第31回肝炎対策推進協議会 議事録

健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

日時

令和5年10月18日(水)17:00~18:30

場所

航空会館ビジネスフォーラム 901号室(9階)
東京都港区新橋1-18-1

出席者

委員
  • 泉 並木(武蔵野赤十字病院長)
  • 出田 妙子(薬害肝炎原告団)
  • 伊藤 悦郎(健康保険組合連合会常務理事)
  • 今村 英仁(公益社団法人日本医師会常任理事)
  • 及川 綾子(薬害肝炎原告団)
  • 及川 勝(全国中小企業団体中央会常務理事)
  • 大久保 暁子(日本労働組合総連合会中央会費制度移行準備室長)
  • 考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長、肝炎情報センター長)
  • 小池 和彦(公立学校共済組合関東中央病院長)
  • 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学域医学系医歯学総合研究科疫学・予防医学教授)
  • 後藤 千代美(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 坂上 博(読売新聞調査研究本部主任研究員)
  • 鹿野 さゆり(全国B型肝炎訴訟東京原告団)
  • 清古 愛弓(葛飾区健康部長兼葛飾区保健所長)
  • 辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
  • 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
  • 村松 正道(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター感染症制御研究部長)
  • 山﨑 喜彦(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 山下 輝夫(兵庫県保健医療部長)
  • 米澤 敦子(日本肝臓病患者団体協議会代表幹事)

参考人
  • 四柳 宏(東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野)  

議題

(1)令和6年度肝炎対策予算概算要求について
(2)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について
(3)研究報告について
(4)肝炎医療コーディネーターについて
(5)その他
 

議事

議事内容
○岡野肝炎対策推進室長 それでは定刻となりましたので、ただいまより第31回「肝炎対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の肝炎対策推進室長をしております岡野でございます。冒頭の議事進行を担当させていただきます。
 本日の協議会ですけれども、委員の皆様におかれましては対面とオンラインを併用したハイブリッド形式で開催させていただいております。また、傍聴される方やメディアの方に対してはYouTube配信をさせていただいております。
 本日は、ウェブ上で御参加される方もいらっしゃることから、接続状況が悪くなったり、あるいは画像・音声が乱れる場合がございますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
 それでは、開会に当たりまして、健康・生活衛生局長の大坪から御挨拶をさせていただきます。
〇大坪健康・生活衛生局長 皆様こんにちは。健康・生活衛生局長を拝命しております、大坪でございます。本日は、お忙しい中どうもありがとうございます。
 日ごろから肝炎対策の推進、また取組に対して御助言・御支援をいただいておりますことに、この場を借りて感謝申し上げたいと思っております。
 御案内のとおりですけれども、厚生労働省では肝炎に対しまして、治療方針・基本指針に基づき、肝疾患治療の促進、肝炎ウイルス検査の促進、肝炎医療の体制整備、普及啓発と研究開発といった5本柱で取り組みを進めているところでございます。
 本日の協議会では、まずこちらから肝炎対策の令和6年度予算の概算要求の内容について御報告・御紹介させていただきたいと思っております。その後に、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の現状についても御報告させていただきたいと思っております。
 加えて、本日は東京大学医科学研究所先端医療研究センターの四柳先生に参考人としてお出でいただきまして政策研究の御報告をいただくこととなっております。また、協議会の委員であります米澤先生からは、肝炎医療コーディネーターについての御報告をいただくこととなっております。
 また、泉先生、大久保先生、米澤先生におかれましては、本日の協議会が委員としての最後の御出席と伺っております。これまでの肝炎対策の推進への御助言・御尽力、誠にありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げたいと思っております。
 本日も皆様におかれましては、様々な御意見を頂戴できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
〇岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございました。
 会議の進行に当たりまして、委員の皆様に幾つかお願い事項がございます。まず、会議中マイクはオフにしていただくようお願いいたします。御発言を希望される場合には、会場の方は挙手を、ウェブ上で御参加の方はZoomの画面の下のほうに「リアクション」というのがありますので、こちらをクリックしていただいて挙手ボタンを選択していただきますようお願いします。その後、会長より指名されましたら、マイクをオンにしていただいて御発言をお願いいたします。御発言の際には御名前を名乗っていただきまして、ウェブ上の環境ですので、可能な限りゆっくりお話しくだされば幸いでございます。
 より多くの委員の御発言の機会を確保するために、できる限り簡潔に御発言をいただければ幸いでございます。
 操作などの御質問がある場合には、事務局までお問合せいただければと存じます。
 続きまして、委員の出席状況について申し上げます。本日ですけれども、考藤委員、また後藤委員から御都合により欠席との御連絡をいただいてございます。なお、泉委員でございますけれども、御都合により18時過ぎごろから御参加と伺ってございます。
 現時点では20名の委員中17名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますので会議は成立いたしますことを御報告いたします。
 また、本日は先ほど局長から申し上げたように、参考人として四柳先生に御出席いただいております。
 このほか事務局に異動がございましたので御紹介いたします。
 先ほど御挨拶させていただきました、健康・生活衛生局長の大坪でございます。
 その隣に健康・生活衛生局のがん疾病対策課長の西嶋でございます。
 以下、がん疾病対策課の肝炎対策推進室の担当職員が出席させていただいております。配席図等を御参照いただければと存じます。
 続きまして、本日の資料について確認させていただきます。
 お手元にあろうかと思いますけれども、まず、議事次第と委員名簿、座席表、配付資料一覧、これら1枚ものでございます。
 それから資料番号をつけてございますが、資料1から4まで。さらに、その後ろに参考資料として1から7をつけてございます。
 不備等ございましたら、お申し付けいただければと存じます。
 この後、議事に入らせていただきますが、ここまでのところで接続状況の不具合や操作方法等で御質問がありましたら、併せてお申し付けいただければと思います。
 では、以後の議事進行につきましては、小池会長、よろしくお願いいたします。
○小池会長 会長の小池でございます。皆様、聞こえておりますでしょうか。
 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
 本日の協議会では、事務局より令和6年度肝炎対策予算概算要求及び肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について御説明をいただきます。
 また、四柳参考人より研究成果の発表を、米澤委員より肝炎医療コーディネーターについて御発表をいただくこととしております。
 また、参考資料として、8月に開催された全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と大臣の定期協議に係る議事録及び患者を代表されています委員の皆様より、あらかじめ頂戴しております要望書がございます。
 それでは、まず、議題(1)「令和6年度肝炎対策予算概算要求について」、議題(2)「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」、併せて事務局から資料の御説明をお願いいたします。
〇岡野肝炎対策推進室長 事務局でございます。資料の御説明をさせていただきます。
 まず、資料1「令和6年度肝炎対策予算概算要求について」でございます。
 1ページでございます。肝炎対策につきましては、肝炎対策基本指針に基づいて肝硬変・肝がんへの移行者を減らすことを目標として進めてございます。冒頭、局長からも申し上げたように、この概算要求の柱立てにもなってございますが、5つの柱に基づいて施策を推進してございます。
 令和6年度概算要求におきましては、総額で175億円を計上してございます。
 1つ目でございますけれども、肝疾患治療の促進につきましては、肝炎治療の医療費助成、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業を合わせて84億円となってございます。括弧書きしておりますが、令和5年度よりも2億円の減額となってございます。こちらにつきましては、C型肝炎につきまして根治薬であるインターフェロンフリーによりましてウイルス排除が可能になった等の事情から、患者数が減少していることを踏まえたものでございます。実態に応じて必要な予算を確保してまいります。
 2つ目、肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進には39億円。
 3つ目ですけれども、地域における肝疾患診療連携体制の強化に5億円。
 4つ目、国民に対する正しい知識の普及に2億円。
 5つ目、研究の推進には45億円を計上してございます。
 令和6年度の概算要求についての御報告は以上でございます。
 続きまして、資料2を御覧いただければと思います。「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」でございます。ページ番号については右下に書いてございますので、併せて御参照ください。
 まず、1ページは事業の概要についてでございますけれども、この事業、B型・C型の肝炎ウイルスに起因いたします肝がん・重度肝硬変患者の特徴を踏まえまして、患者の医療費の負担軽減を図りつつ、肝がん・重度肝硬変の治療効果、患者の生命予後、生活の質を考慮して最適な治療を選択できるようにするための研究を促進する仕組みを構築することを目的として、平成30年12月から事業を開始しているものでございます。事業の開始当初は入院医療のみが対象でございましたが、令和3年度に助成対象を拡大いたしまして、今は対象に分子標的薬等を用いた外来医療も追加いたしております。また、同じ令和3年度からは、助成開始の対象月数を4月から3月に短縮するといった見直しもしてございます。
 また、右側に赤字で書いてございますが、今年度からは外来医療にさらに粒子線治療を追加してございます。
 2ページは、昨年度のこの事業の助成実績を今年9月1日時点でまとめたものでございます。先ほど申し上げました事業の見直しを行った令和3年につきましては、前年度の令和2年度と比較して助成件数が971件から3,366件と約3倍に伸びてございます。さらに、令和4年度の実績につきましては、令和3年度ほどの伸びではございませんけれども、3,997件とさらに前年度から600件ほど増えてございます。この600件ですけれども、1つ下の内訳の外来の助成件数を御覧いただくと、こちらが大体600件ほど増えてございまして、そういう意味では、ほぼ外来医療の増がそのまま全体の増につながっておりまして、この事業における外来医療の広がりがうかがえる状況でございます。
 続きまして3ページをお願いいたします。先ほどの令和4年度の助成実績を都道府県別にまとめたものでございます。人口比等は加味していないのですが、単純に助成件数を積み上げた少々粗いものではございますけれども、ここからは都道府県ごとの実績にかなりばらつきがあることが分かります。私どもといたしましても、まずは制度の普及啓発が大事であると考えてございます。患者の方がどこの地域に住んでいても、助成要件さえ満たしていればこの事業の助成が受けられるように、引き続き都道府県やこの事業を実施いたします指定医療機関の取組を支援していきたいと考えてございます。
 続きまして4ページです。実績が増えている都道府県には大体実績のある拠点病院があるわけですけれども、そういった拠点病院に共通する取組について御紹介させていただきます。
 この事業の利用実績が増えている拠点病院におきましては、病院内の医療関係者や事務の方、医事課への制度周知がしっかりされていること。また、院内の医療スタッフがいろいろな職種ございますけれども、それぞれ分担・連携して対象患者の抽出、抽出した後の申請、その後のフォローアップといった一連の流れの仕組みをしっかり構築していることが挙げられます。
 下の方に代表的な例として、虎の門病院・鳥取大学医学部附属病院の2つを御紹介させていただいてございます。これらにつきましては、例えば、事業を担当いたします自治体や都道府県、拠点病院等が集まります会議、私たちはこれを全国のブロックごとに開催してございますけれども、こうした会議などで好事例をしっかり横展開しまして、医療機関の取組を引き続き支援していきたいと考えてございます。
 次に5ページは、第211回、本年の通常国会に日本肝臓病患者団体協議会から提出された請願の御紹介になります。
 主にウイルス性肝がん事業についての請願をいただいてございますが、1つ目のパラグラフの、「新しい条件もこの病気に苦しむ患者の実態に合っていない」といった御意見や、「ウイルス性の肝がん・重度肝硬変の患者の多くは、過去1年間に2~4度入退院を繰り返すのではなく、年に1度程度の入院を数年にわたり繰り返し」ている、あるいは次のパラグラフですけれども、「現在の条件では、短期的に通院・入院を繰り返す重症で予後が困難な患者が対象になり、長期的に発がんを繰り返す患者は制度から外れて」いるといったことを請願でいただいているところでございます。
 肝がん事業の実態に即した中身となるように見直しを求める内容となってございまして、本年の通常国会の衆議院・参議院それぞれで、ともに採択をされたものでございます。
 6ページからは、今御紹介した御要望の内容を踏まえて少しデータを紹介させていただきたいと考えてございます。
 6ページは、NDB(ナショナルデータベース)、レセプトのデータベースから抽出したものですが、過去10年間、2012年から2021年度の10年間の肝がん・重度肝硬変治療を行った患者のデータを抽出いたしまして、先ほどの要望で治療間隔が空いている患者の話もありましたので、この10年間に治療間隔が半年、6か月以上あるいは1年以上あいたことが1回でもあるという患者についてデータを抽出いたしまして、そうした患者について大体10年間に何年治療しているか、それを表の右で1年から10年に分けているわけですけれども、その治療年数ごとに1年当たりの平均的な治療月数を算出したものでございます。あくまでも平均の数値で、全ての患者さんについてのお話ではもちろんないのですけれども、見ていただきますと、原告団の方々から先ほど請願の中でもありましたように、現行制度では治療歴、表の1年から10年までございますけれども、これが短いと年3回の入院を満たしていないわけですが、治療を重ねるにつれて治療月数が増える傾向があることがこの資料から分かります。特に、黄色いところが3月以上ですが、年数が増えていくにつれて治療頻度は上がっていくことが分かります。
 次に7ページは、小池会長に研究代表者を務めていただいております政策研究がございまして、そちらの政策研究班からのデータを御紹介いたします。2018年4月から2021年1月、この2年強の期間において、肝がんの初回治療のために入院した症例を集めていただいています。この間の治療回数と治療方法についてデータをまとめたものでございます。
 こちらは2年程度のデータですが、この2年間の経過を追いますと各治療法、表の横軸が治療法ごとの数字になっていますが、治療法ごとに回数を追うごとに比率が変わっていくということがございます。もちろん治療法の比率が変わる可能性はあるのですが、単純に一番のボリュームゾーンを赤で囲っていますので見ていただきますと、1回目の治療では切除といった根治療法的な療法が行われる傾向がございます。また、治療回数が増えて下のほうにいきますと、だんだん赤枠が右側にいくわけですが、治療回数が増えると肝動脈塞栓療法や全身薬物療法の割合が増えていきまして、肝がんが進行した症例が増えてくることが分かりました。
 続きまして8ページは、昨年度に肝疾患診療連携拠点病院に対しましてアンケート調査を実施いたしました。その結果をまとめたものでございます。全国72か所の拠点病院の医師あるいは医療事務の担当者、肝炎医療コーディネーターといった方々を対象に、事業実施に当たっての課題を伺ったものです。
 多かった回答としては、「自己負担額が高額療養費の算定基準額を超えずに月数要件に達しない」や、「制度周知や対象患者を抽出するための院内体制が構築できていない」、あるいは「月数要件に達する前に緩和ケアへの移行や死亡等により利用できない」といったものでございました。
 その他の回答も少し具体的に御紹介してございますけれども、例えば、制度が複雑なため、患者さんの理解を得るのが大変である。あるいは、助成を受けるための申請や外来医療に係る償還払い手続が煩雑である。あるいは、患者や医療機関にとって負担が大きいといった回答をいただいてございます。
 次に、9ページです。簡単にまとめてございますけれども、先ほど令和4年度の助成実績を御説明した際にも申し上げましたが、現状における地域の医療機関によって事業の取組状況に差がございます。ですので、引き続き周知等を行っていきたいということが、まず1つ目でございます。先ほどこの資料の3ページでお示ししたのは都道府県ごとの実績でございますけれども、その際にも御説明したように、県ごとというとどうしても取組が盛んな拠点病院がありますと実績が上がるということがございますので、拠点病院の実績をしっかりフォローしていく必要があるかと考えてございます。引き続き、事業の周知や啓発を重点的に行いますとともに、しっかりと好事例を関係者の皆様が集まる会議の場で横展開させていただきたいと考えてございます。
 2つ目ですが、先ほど御説明したレセプトのデータベースや政策研究班にまとめていただいた肝がんの非代償性肝硬変データベースについての調査結果あるいは拠点病院に対しますアンケート結果を踏まえまして、この事業の実施に当たってどんな課題があるのか引き続きよく整理しまして、患者さんや医療機関の負担をどう軽減し、あるいはどうやればもっとこの制度を利用していただけるのか、アクセスしやすくなるのかといったことも含めて、しっかりこの事業の在り方について今も検討している状況でございます。引き続きしっかり検討していきたいと考えてございます。
 最後に、10ページでございます。こちらは参考として御紹介するものでございますけれども、今、周知を行っていくと申し上げておりますが、周知用資材の御紹介です。こちらは既に御承知の方も多くいらっしゃると思いますが、ポスターやリーフレットを作成して、医療機関、自治体、薬局などにも配布してございますし、厚生労働省のホームページにも掲載してございます。ぜひ御活用いただければと考えてございます。
 私からの説明は以上でございます。
○小池会長 どうもありがとうございました。ただいまの御報告に関して、御意見・御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 山﨑委員どうぞ。
〇山﨑委員 予算概要要求や今の説明があったのですが、まず最初に、議事に先駆けて言いたかったのですが、今協議会の資料のデータ配信並びに郵送による紙媒体での資料の送付に対して、事務局にお礼を申し上げたいと思います。前回の協議会では、直前の資料のデータの配信で紙媒体のプリントアウトや読み取りのための時間がないので改善をお願いしたいと申し上げたところ、今協議会では1週間前に資料のデータ配信をしていただいたばかりか、速達による紙媒体での郵送をしていただきまして、誠にありがとうございました。おかげで時間をかけて資料を読み取ることができました。今後とも資料の提供につきましては、今協議会のように対応していただきましたら大変ありがたいと思います。大変ありがとうございました。
 それから、もう一つよろしいですか。
○小池会長 どうぞ。
〇山﨑委員 令和6年度の予算概要要求について、概要の「3.地域における肝疾患診療連携体制の強化」について発言したいと思います。前回の協議会で、肝疾患専門医療機関が1か所もない2次医療圏が全国で7か所あると回答していただきました。当然、肝炎医療の均てん化の観点から改善に向けた取組を行っていただいているとは思いますが、その後改善状況についてどのようになったのか御説明をいただきたいと思います。
 さらに、改善が図られていない2次医療圏で肝臓病の専門医がいないので常任の確保ができなかったり、病院の経営上専門医を雇用できなかったり、大きな病院からも協力が得られなかったり等様々な理由があると思うのですけれども、予定されている予算の5億円の運用の中で、令和6年度につきましては肝疾患専門医療機関が1か所もない2次医療圏を解消していただくようにお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局いかがでしょうか
〇岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。まず資料につきましては、私どももできるだけ早く資料をセットさせていただいて、可能な限り早くお送りしたいと考えております。今後もできる限りそのようにさせていただきたいと思ってございます。
 続きまして、予算についていただいた御質問についてです。おっしゃいましたように、今年2月の協議会で都道府県にした調査の結果を御報告いたしまして、その中で2次医療圏ごとに見ると7か所専門医療機関がないという結果でございました。その後どうなっているかは今まさに自治体に調査していますので、まだ現状把握はできていないところでございますけれども、引き続き医療機関等々を支援して均てん化を進めていきたいと考えてございます。
 ただ、今記憶にある限りで申しますと、その7か所というのは例えば島しょ部であるとか、いずれも医療を確保するのがかなり困難な状況を抱えていた地域であるように記憶してございますので、直ちに改善しているかは分かりませんが、引き続きフォローさせていただきたいと考えてございます。
 以上です。
○山﨑委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
○小池会長 その他いかがでしょうか。
 辰巳委員、どうぞ。
〇辰巳委員 B型肝炎の辰巳です。よろしくお願いします。
 私も、資料1の予算の概算要求で発言させていただきます。「5.研究の推進」で、昨年度の38億から45億に7億増額いただいているのですけれども、B型肝炎はC型肝炎と違って根治するお薬がまだ開発されていないということがあって、この増額に関してはすごくありがたく思っていますし、期待もしているところです。
 以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
 特に事務局からはよろしいですか。
〇岡野肝炎対策推進室長 1点だけ補足させていただきます。今、御紹介いただきました研究推進の額でございます。お話がありましたように、まさに創薬の関係もございますので、特にAMEDの研究を中心に増額要求をさせていただいているところでございます。最終的にこの額の確保ができるか分かりませんが、予算の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○小池会長 ありがとうございます。
 その他いかがでしょうか。質問あるいは御意見、何でも結構です。
 山﨑委員どうぞ。
〇山﨑委員 すみません、たびたび申し訳ないです。日肝協(日本肝臓病患者団体協議会)の山﨑です。
 肝がんと重度肝硬変治療の研究促進事業について発言したいと思います。資料2の2ページで事業の認定数と助成件数が報告されています。見直しを行った令和3年度以降に助成件数が伸びていますが、ここでは助成の見込み数が表示されておりませんので、助成見込み数に対する助成実績数の比較ができません。当事業では非常に残念なのですが、助成実績数が助成見込み数のわずか数パーセントでしかなく、極めて大きく乖離しており、医原病によってさらに重い病気と経済的負担に苦しんでいる多くの患者が救済されておらず、肝炎対策基本法の趣旨が十分に反映されていません。
 4ページの肝疾患医療連携拠点病院における取組の工夫ですが、実績が増えている拠点病院に共通する取組例が紹介されていて、この好事例の展開により利用実績が向上するよう医療機関を支援すると結ばれていますが、様々な工夫と努力によって大きな成果を挙げておられる医療機関には敬意を表したいと思います。しかし、これに続けと言わんばかりで、医療機関の負担は今後また極めて大きくなると考えます。
 8ページの肝疾患診療連携拠点病院に対するアンケート結果の概要からも分かるように、制度が複雑なため、患者にも医療機関にも負担が大きい現状があります。医師は患者の医療に専念でき、医療スタッフの負担も軽減でき、患者も重い病気や不安な心としっかりと向き合える制度にすべきだと考えます。肝がんは再発率が高いですが、過去1年間に3度の治療は末期の状態の患者のみが対象となると考えますので、肝がん・重度肝硬変治療の助成は初回からの適用にすべきだと考えます。制度が簡単になり、医療機関の負担は軽減し、助成実績数も増え、助成見込み数により近づきます。また、所得要件も肝炎治療に対して大変厳しく、肝炎治療同様の要件の緩和が必要と考えます。
 9ページのまとめにもありますように、事業の実施に当たっての課題をしっかりと整理して、肝炎対策基本法の趣旨が十分に反映され、医原病によって苦しんでいる多くの肝がん・重度肝硬変患者のためにも、患者の治療のために誠心誠意取り組んでおられる医療機関のためにも、大きな負担にならないような事業の在り方の検討を強く求めます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局からお願いいたします。
〇岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。重要な指摘を幾つもいただいたと考えております。
 まず、執行率が低いというところは冒頭まとめて申し上げてしまったのですけれども、この肝がん事業に関しては大体十数億の予算を確保しているところですが、確かにかなりの部分を執行できていない状況がございます。そういう意味でも大分実績は上がってきているのですが、ばらつきなどもあるものですから、私どももまずは、この事業の周知なども徹底されていない部分もあると考えてございますので、そこは引き続きしっかり支援を進めていきたいと考えてございます。
 その上で、今お話もいただいたように、医療機関の負担が大きいのではないかという御指摘もございました。それは今回確かに好事例の御紹介をさせていただきましたが、しっかり丁寧に対応していただいている医療機関が実績を上げていまして、この部分はそれなりに確かに負担もかかってくるだろうというのはおっしゃるとおりでございます。何とかそのあたりは好事例の中でもうまく効率的にやっている事例なども御紹介できればと考えているところでございます。
 また、8ページのアンケートも御紹介いただきましたが、負担が医療機関にとっても患者にとっても大きいということも確かにアンケートから見えてくるところでございます。改めましてこの制度の趣旨としては、冒頭御紹介しましたように、肝がんが他のがんと比較しまして、例えば長期にわたって療養を繰り返す、再発を繰り返したり、あるいは予後が悪いといった特徴を踏まえて経済的負担が大きいだろうと、また治療研究をする必要があることから研究促進事業をスタートしているという背景がございまして、この趣旨の中で、この制度をどのようにより使い勝手がよいようにできるかということだと考えてございます。どうしても経済的負担を軽減する仕組みなものですから、経済的負担が特に集中するような、所得の低い方を中心にこの事業を使っていただく必要性が高いということがまずあるのだろうと考えてございます。
 また、先ほど月数要件の御指摘もいただきました。確かに、資料の説明の中でも御紹介したように、この事業は治療年数を追うごとに治療頻度が上がっていくというデータが見えたものですから、治療を始めたばかりのころは年に3回も治療していないのではないかという御指摘をいただきました。確かにデータだけを見るとそういう傾向も伺えますので、この制度の在り方としてどのような形にすれば、よりアクセスがしやすくなるのかは私どもも検討させていただきたいと考えてございます。
 私からは以上でございます。
○山﨑委員 どうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございます。
 郡山委員どうぞ。
〇郡山委員 ありがとうございます。今、御説明の中で、3ページで都道府県間の格差があるというお話があり、実際に好事例のお話はありましたけれども、逆に助成件数がゼロという都道府県もありますが、アンケートの中で見たときに、もし助成件数が低いところのアンケートの御回答で特徴的なものが把握できていたら教えていただければと思いましたが、いかがでしょうか。
○小池会長 事務局、お願いいたします。
〇岡野肝炎対策推進室長 特に業績が上がっていないところですが、あまり対象者がいないというようなお声は聞きますけれども、アンケートから特に固有の課題が見受けられたということは記憶の限りはなかったように思います。引き続き分析は続けたいと考えてございます。
○小池会長 ありがとうございます。
 出田委員、お願いいたします。
〇出田委員 薬害肝炎原告団の出田です。
 3ページの助成件数の表ですけれども、見てみると九州、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島あたりがすごく実績を伸ばしているのですが、ブロック別で頑張っていらっしゃるのではないかと考えられます。佐賀が先駆けて頑張っていらっしゃったので、それに追いつくように横展開で増えていったのではないかと思っています。
 それに反して東北のほうは、なかなか件数が伸びていないので、ブロック別で切磋琢磨していただくと伸びるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 以上です。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
〇岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。恐らく今おっしゃったように、ブロック単位で切磋琢磨しているということはあるのだろうと思います。そういう意味でも、私どもとしては引き続きブロック単位の会議をしっかり進めていきたいと。そうすることによって、ブロックごとの比較もできて効果があるのではないかと考えてございます。
○出田委員 お願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 すみません、会場からも御発言したい委員がいらっしゃるのですが、会長どういたしましょうか。まず、米澤委員を御指名いただいてよろしいですか。
○米澤委員 小池先生、発言してもよろしいでしょうか。
○小池会長 手が挙がっていたのは事務局ではないんですね。では、どうぞ。
〇米澤委員 今の出田委員と同じページなのですけれども、ブロックごとに効果が上がるのではないかという御指摘・御意見があったのですが、私は前回お示しいただきました令和3年度の助成件数と比較しまして、ネガティブなことを言うと、減っているところもまあまああるのですけれども、それよりもびっくりしたのは驚異的に伸びているところがあって、好事例も横展開ということでそれが目標になるというお話もありましたので、例えば、鹿児島県などは44件だったところが131件と増えていたり、あるいは大阪が171件が215件とか、鹿児島県などの伸びについて具体的に何かをやったというような情報は入っておりますでしょうか。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
〇岡野肝炎対策推進室長 鹿児島も大阪も拠点病院がかなり、先ほどの好事例のような取組を進めているという情報は聞いてございます。先ほど指摘を忘れてしまったのですけれども、ブロックごとというお話もございましたが、どうしても地域によって実情が違うところもございます。九州は取組が進んでいると、実績からはもちろん上がっているのですが、なかなか申し上げづらいところではありますが、もともと肝がんの患者数も比較的多かったということもございまして、割と取組が進みやすかったという点もあったかもしれません。そういう意味では一律に数が伸びた、減ったということが地域ごとの取組の熟度なのかというのは、なかなか申し上げづらいところではありますが、いろいろ地域の実情なども踏まえて分析を進めていく必要があるかと考えてございます。
 会場の挙手がなかなか伝わりづらいのですが、今、会場では及川委員が挙手していただいていまして、御指名いただけると幸いです。
○小池会長 どうぞ。
〇及川(綾)委員 及川ですが、小池先生、よろしいでしょうか。
○小池会長 及川委員どうぞ。
〇及川(綾)委員 薬剤肝炎原告団の及川です。
 細かい点につきましては、山﨑委員、出田委員、米澤委員からいろいろ出していただいた資料につきまして患者からの要望を述べさせていただいたのですが、私たち患者団体としまして、患者委員としまして、最後に要望書をつけさせていただいているのですけれども、ここに関係ありますので、ちょっとお話しさせていただきたいかなと思います。
 私の感想もありますが、NDBの説明や拠点病院のアンケートの御説明とかありましたけれども、患者の思いとしましては、いつまで横展開、いつまで啓発なんだという思いがとても強いんです。伸びていることは横展開でやっていくということはもちろん分かるんです。ただ、5年たっていて亡くなっている方がかなり多いという思いを私たちは申し上げなくてはなりません。
 すみません、患者の要望書のところについて触れていただけなかったのですが、後で要望書について時間をとっていただけますでしょうか。議事次第で御説明がなかったものですから、取り上げていただけないものかとちょっと危惧しましたので、発言させていただこうと思いました。その点については確認してから再度発言させてください。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
〇岡野肝炎対策推進室長 すみませんでした。当初の御紹介が少し足らなかったことをおわび申し上げます。参考資料7として要望書をお配りしてございます。こちらは議事の最後に少し御紹介できればと考えてございました。主に2点要望をいただいていますが、1点目はまさに肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業についてでございまして、これにつきましては要望は私どもしっかり承っていまして、この要望の中でも触れていただいていますように、今年の夏に実施した大臣との定期協議の場でも御要望いただいたもので、私どもとしてもしっかり受け止めているものでございます。私としては、こういった要望も踏まえて今御説明させていただいて、もちろん事実としてばらつきがあるので周知の課題があることは申し上げさせていただくとともに、また制度の在り方の課題もあることがアンケート等々から見えてきていますので、それにつきましては引き続き検討を進めていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○及川(綾)委員 すみません、小池先生、引き続きよろしいでしょうか。
○小池会長 どうぞ。
○及川(綾)委員 今、要望書に触れていただきましたのでお話しさせていただきたいと思います。私たち患者団体としましては、制度上の助成要件の更なる改善が必要だと思っております。それは変わりございません。B型肝炎訴訟原告団の大臣協議の大臣の回答で、2023年末までに一定の結論を得るべく検討中だというお話がございましたが、これは23年末までに何らかの検討したものをお話ししていただけるという理解でよろしいでしょうか。
○小池会長 事務局、いかがですか。
〇岡野肝炎対策推進室長 今、及川委員から御紹介いただきましたように、今年の協議の場で大臣からも年末を一つのめどに検討結果を、という御回答をさしあげています。冒頭の概算要求の中で少ししか触れなかったのですが、概算要求の中では肝がん事業についても要求させていただいていまして、大体役所の予算要求のサイクルといたしまして、令和6年度の予算を要求するに当たって、政府として年末に政府予算案をまとめまして、来年の国会で審議いただくという流れになってございます。そういう意味では、一定の政府の結論が年末に出るということが毎年の通例でございますから、そういった予算編成過程の中で肝がん事業についても検討を進めたいと考えてございます。
○小池会長 よろしいですか。
○及川(綾)委員 小池先生、もう一言だけよろしくお願いいたします。
 すみません、要望書にもう一点書いてあるのですけれども、私たちは要件緩和の見直しが必要であるということと、結論が出る前に、私たちと意見交換の場を持っていただけないだろうかという要望をしております。といいますのは、結論が出たときにやっぱり要件緩和が全くなかったという結論が出ましたら、この制度を使えない多くの患者が残ってしまいます。患者の意見というのはお分かりいただけているとは思うのですけれども、私たち患者団体と意見交換の場を持っていただけないかというのが要望でございます。御検討ください。よろしくお願いいたします。
○小池会長 事務局からどうですか。
〇岡野肝炎対策推進室長 協議会としても御議論させていただいておりますし、また、制度につきましては、引き続き事務的にもしっかり協議させていただきたいと思っております。
○小池会長 よろしいでしょうか。
〇岡野肝炎対策推進室長 会長、すみません、あと会場から大久保委員から手が挙がっておりますので、よろしくお願いいたします。
○小池会長 では、大久保委員どうぞ。
〇大久保委員 連合の大久保でございます。
 御説明ありがとうございました。1点目、令和6年度肝炎対策予算概算要求に戻りますが、来年度の予算概算要求は今年度予算から5億円増ということで、ぜひ確保に向けて頑張っていただきたいのですが、1点指摘させていただきたいと存じます。政府が今年6月に取りまとめられました「こども未来戦略方針」で、国民に追加負担を生じさせることなく、子育て支援を強化する財源を確保するために、社会保障の歳出改革の取組を徹底するとしていらっしゃいます。私ども連合は、この社会保障の歳出改革によって必要な社会保障サービスが低下することがあってはならないと考えております。肝炎対策予算要求につきましても、今、政府が一生懸命やっていらっしゃいますが、子育て支援の財源が足りないからカットをする、あるいは今年度の予算額を割り込むというような事態にならないよう、必要な予算をしっかり確保していただきますよう、事務局の皆さんへの激励の意味も込めて要望いたします。ぜひ、よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
〇岡野肝炎対策推進室長 私どもとしては引き続き、まずは政府全体もそうですけれども、しっかり肝炎対策の予算が確保できるように、予算編成過程で調整を進めてまいりたいと考えてございます。
○小池会長 ありがとうございます。
 あとはいかがですか。
〇岡野肝炎対策推進室長 会場から鹿野委員が挙手されています。
○小池会長 鹿野委員どうぞ。
〇鹿野委員 ありがとうございます。全国B型肝炎訴訟東京原告団の鹿野と申します。
 先ほどの資料2ですけれども9ページのまとめの上の段で「引き続き、周知・啓発を重点的に」と書いてございまして「自治体・医療機関の取組を更に支援していく」となっておりますけれども、これはもちろん厚生労働省が主語になっていることと思いますが、支援していく中身が何をどう支援してくださるのか、もし具体的にお話しできることがございましたら御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小池会長 事務局、お願いします。
〇岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。説明が舌足らずで失礼いたしました。こちらにつきましては、まず1つは、先ほど来申し上げているように好事例の横展開を考えてございます。ノウハウがそもそもないということがあるものですから、ブロックごとに開催いたします会議等々の場でしっかり好事例を横展開して、意見交換等もやっていますので、そうしたことを通じて自治体や医療機関の支援をさらに進めていきたいというのが1つでございます。
 これに加えまして、連携拠点病院と自治体の支援を私ども厚生労働省と肝炎情報センターが一体となって実施しておりますが、もちろんブロック会議にも情報センターはしっかりと関わっていただいていますし、昨年来、地域によって実情が違うものですから、地域を訪問いたしまして意見交換をやってございます。本年度も特に肝炎情報センターの予算も拡充いたしまして、取組として強化しているところでございまして、今日は御紹介できていないのですけれども、例えば本年5月から愛媛県や鳥取県を訪問させていただいております。こうした自治体に対する意見交換なども通じて、しっかり個別の地域の実情に応じた支援を進めていきたいと考えてございます。
 以上です。
○小池会長 ありがとうございます。よろしいですか。
〇鹿野委員 ありがとうございました。
○小池会長 挙手している方はいらっしゃらないようですね。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題(3)「研究報告について」。今日は、東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野の四柳宏参考人から、研究成果の御発表をいただきます。資料3を御覧ください。
〇四柳参考人 東京大学医科学研究所の四柳と申します。今日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。研究班でこの2年半にわたって行ってきた研究について紹介させていただきます。
 本研究班の目標を4つに置きました。本日は、このうち1、2、4番目の項目について御紹介いたします。
 肝炎対策基本法では、肝炎の予防に関する啓発及び知識の普及を行うことが基本的施策として記載されております。知識を普及する手段の一つがe-learningになります。本研究班では一般生活者、保育施設勤務者、医療従事者を対象として、知識の普及を目的としたe-learning教材を作成いたしました。
 11月から一斉に展開する予定で、現在準備を進めております。
 また、施行の前後で理解度を確認するアンケート調査もe-learningに加えて行い、学習効果を評価することにしております。
 本年度は、かねてから啓発の必要性が言われてきた歯科領域におけるe-learningの作成を現在進めております。作成に当たって行ったアンケート調査の結果は、後ほどお示しいたします。
 歯科診療におけるウイルス性肝炎の感染リスクと問題点を示します。歯科医療従事者、患者それぞれが感染リスク、医療上の問題点を抱えております。
 6ページは、一般生活者用に作成したe-learning教材です。基本的事項の多い教材ですが、これを歯科医療従事者に受講していただき、基礎知識を持たれているかどうかを確認することといたしました。
 7ページは、日常生活の中で感染するリスクの高い行為、低い行為を示したものです。血液、体液が直接体表の傷から体内に入る行為のリスクが高いのですが、こうしたことが理解していただけないと感染者に対する偏見・差別につながります。
 e-learning受講後に、8ページの2問を解いていただきました。
 2問とも正解したのは歯科医の約9割でした。開業されている方の正解率がやや低い傾向でした。
 10ページは、歯科医に対して行ったアンケートの結果です。肝炎に関する知識がまだ十分には浸透していないことがうかがわれます。
 11ページでは、歯科医から見て困ったことを回答していただきました。歯科を受診される方が、ウイルス肝炎に感染しているかどうか否かが分からないという回答が最も多く見られました。これを正確に把握することは実際上不可能ですので、全ての患者が感染している可能性を考え、標準予防策をとることになります。
 また、歯科医院は狭いところが多く、12ページに書かれた点にも十分に配慮する必要がございます。
 13ページでは、歯科医に対して資材の希望を聞いてみました。歯科医のほうも現状に即した資材の作成を希望されていることが分かります。
 次の目標は、小児におけるHBワクチンの接種状況・感染状況に関する調査です。本日は、小児救急医療センターにおけるHBs抗体、HBc抗体の保有状況をお示しします。
 2022年12月までの解析対象数と解析総数を示します。合計652名のお子さんの検体を解析いたしました。
 16ページは、2022年までに調査した小児のHBs抗体の結果です。1歳時では98%がHBs抗体陽性ですが、年齢とともにその割合は低下してまいります。
 17ページは、同じ期間に調査した小児のHBc抗体の結果です。2022年に調査した475名のお子さんのうち、HBc抗体陽性は1名のみ。それもカットオフ値ギリギリのところです。定期接種導入により新規感染は十分防止できていると評価可能だと思います。
 続いて、8歳児を対象にしたエコチル調査の残検体を用いたHBマーカーの測定結果をお示しします。
 19ページの左側に、HBワクチンの接種歴のある674名のHBs抗体の測定結果を示します。67.4%のお子さんがHBs抗体陽性です。右側はHBワクチンの接種歴がない、あるいは不明のお子さんのデータです。1.9%のお子さんがHBs抗体陽性でした。
 HBc抗体、HBs抗原の測定が可能だったお子さんがおられますが、持続感染が確認されたお子さんは認めませんでした。
 HBワクチン接種歴のあるお子さんの中に、HBs抗原陽性例が2例ありました。2例ともHBc抗体陰性であり、はっきりとしたHBV感染を認めませんでした。症例1は、ワクチンに含まれるHBs抗原を見ているものと思われます。
 初回接種時の年齢における8歳児のHBs抗体獲得率には有意差は認められませんでした。
 次に、急性肝炎の発生状況に関する正確な状況把握の検討結果をお示しいたします。
 24ページで、現在、感染症法に基づいて行われているサーベイランスの流れを示します。B型肝炎、C型肝炎は5類の全数届出感染症ですが、感染症医・小児科医以外の消化器内科医を受診することが多いために届出が漏れていることがかねてから指摘されておりました。
 25ページで、感染症法下での急性肝炎の届出数を示します。B型肝炎は年間100~200例、C型肝炎は年間約50例が届けられております。
 26ページでは、健康保険加入者の約7%が捕捉されているデータベースを用いて、B型急性肝炎の発生数を調べた結果をお示しします。2015年度から2018年度までの推定発生数は、年間約500例でゆっくりと減少していることが推定されました。
 27ページは、B型急性肝炎の発生に関連するリスク因子を調べた結果です。男性若年者での発生が多い傾向を認めます。さらに、STDの既往のある例では、ない例と比べて10.8倍急性肝炎の発生頻度が高いことが確認されました。
 28ページで、C型肝炎の発生頻度を示します。2015年から2019年にかけて発生が減少していくことが推定されました。こうした傾向が間違いないかどうか、今後B型肝炎、C型肝炎に関しては施設調査を行って確認していく予定でおります。
 29ページは、まとめのスライドになります。肝炎ウイルスの基本、感染経路を知って頂くためのe-learningを一般生活者、保育施設従事者等に作成・実施しております。
 歯科医療従事者に対するe-learningの作成に当たって留意すべき点に関して調査を行いました。
 2016年10月から導入されたHBワクチン定期接種、それに先だって行われた自治体による接種により持続感染の発生は極めて低率に抑えられております。
 急性肝炎の発生者数の正確な把握に向けての調査・研究を行いました。
 発表は以上になります。御静聴ありがとうございました。
○小池会長 どうもありがとうございます。
 四柳先生に御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。
〇岡野肝炎対策推進室長 会場から米澤委員が挙手されています。
○小池会長 米澤委員どうぞ。
〇米澤委員 先生のスライドの11ページ、これは河野先生がとられたアンケートだと思いますが、「歯科医からみた“困ったこと”」として、「問診で本人に聞きづらいこと」「患者の自己申告に頼らざる得ないこと」「感染歴を申告したがらない患者がいること」などがあがっていました。これは標準予防策を徹底していれば、こういった困ったことには至らないのではないかと思うのですけれども、そのあたりは御意見いかがでしょうか。
〇四柳参考人 御質問ありがとうございます。アンケート項目自体は、河野先生が御自分でおつくりになったものでいらっしゃいますので、全体としてこんなことだろうなということを予想してお聞きいただいたことだと思います。御指摘のとおり、完全に標準予防策が徹底されていれば、そもそもこれを本当に聞く必要があるのかという問題がありますけれども、あとは患者さんによっては肝機能異常がある程度進んでいる、あるいは併用薬との関係といったことをどうしても聞く必要が場合があるということが、医師の立場から見るとあるとは思います。あとは、肝炎に罹患している患者さんのお気持ちもあると思いますので、その辺はこれからまたすり合わせをしながら、どの程度の情報を収集するかも含めて考えなければいけない問題だと認識しております。
 以上です。
〇米澤委員 ありがとうございました。承知しました。
○小池会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 HBワクチンの定期接種のフォローアップの結果は、私は大変興味深く拝見いたしまして、本当に効果的であるということで安心いたしました。
 20ページで、HBs抗原陽性例2例とあったけれども、1例目はワクチン接種直後だったケースですね。2例目は測定法の問題ですかね。高感度HBs抗原だと0.0056、非特異反応のようなものを考えておられるのでしょうか。
〇四柳参考人 これは右下に書いてありますように、田中靖人先生たちにやっていただいた検討でございますけれども、小池会長の御指摘のとおり、HBs抗原は非常に低いものです。HBs抗体が共存していることによる影響などもありますので、実際には真のHBs抗原陽性、キャリアとは判断しておりません。
○小池会長 ありがとうございます。
 日浅委員どうぞ。
〇日浅委員 愛媛大学の日浅です。
 私も歯科医師会などで講演したりして歯科の先生と交流する機会はあるのですが、歯科診療の中でB型肝炎、C型肝炎の抗体検査が術前検査としてできないところに、かなり歯科の先生方は不安を感じられているのが現状だと思います。実際、歯科に行って採血されることはほとんどないと思うのですけれども、キットの開発も含めて、そのあたりのスクリーニングを考えていかないといけないのではないかと医療の現場としては感じているのですが、医科・歯科で縦割りのところもあってなかなか難しいところもあると思うのですけれども、そのあたりは何か進んでいますでしょうか。
〇四柳参考人 日浅先生、御質問ありがとうございます。ほかの研究班でもお話ししているのですけれども、例えば大きな問題になったのは、HCV抗体のウイルスの感染機序に関して、十分なきちんとした理解が及んでいる歯科医が決して多くない現状にあるかと思います。ですので、その辺まで現場で聞くのは、難しいと思いますので、どのような形で聞くのかというところは、慎重に皆様方の意見をすり合わせながらやらなければいけないかと思っております。
○小池会長 ありがとうございます。日浅委員、よろしいですか。
〇日浅委員 なかなか保険診療上、抗体検査が難しいという話を聞いておりますので、その辺は体制として何か考えていかないといけないのではないかと感じている、そういう問題意識を持っております。
 以上です。
○小池会長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。
 特に御質問がこれ以上ないようですから、この議題については終わりたいと思います。四柳先生、どうもありがとうございました。
○四柳参考人 どうもありがとうございました。失礼いたします。
○小池会長 それでは、続きまして議題(4)「肝炎医療コーディネーターについて」、特に患者としての肝炎医療コーディネーターの取組について、米澤敦子委員から御発表いただきます。では、資料4を御覧ください。米澤委員、お願いいたします。
〇米澤委員 日本肝臓病患者団体協議会の米澤敦子と申します。本日は、このような場を設けていただきまして、大変感謝しております。ありがとうございました。患者の立場で患者肝炎コーディネーター、目次に「肝炎医療コーディネーター」とありますが、患者肝炎コーディネーターについてお話させていただきたいと思います。
 最初に、肝炎医療コーディネーターについてお話します。
 2ページは厚労省でつくっていただいている、いつも紹介していただく通知についての内容を分かりやすく書いてあるものです。私はこの図をよく活用させていただいているのですが、特に下のところ、肝炎医療コーディネーターの職種について書かれています。基本的には多くのコーディネーターの方は医療関係者、医療従事者になるわけですけれども、左から2つ目、私たち患者会の患者も肝炎医療コーディネーターとして活躍してくださいよという厚生労働省のメッセージがここに表れています。
 通知につきまして「肝炎医療コーディネーターの養成及び活用について」という内容は、今年2月に改正されております。その改正の内容が3ページの3つになるわけですけれども、赤枠のところは患者についてです。
 4ページはそれを大きくしました。2つあります。上は、患者会会員等においては、肝炎患者等やその家族等の経験や思いに共感し、当事者の視点で橋渡し役となることが期待される。それから、患者やその家族等の話を直接聞く機会を設けることなども積極的に検討されたいというのが厚労省の提示になるわけですが、上のほうは、肝炎医療コーディネーターさんに患者も含めてねという内容だと私は捉えていて、下のほうは、もしできるのだったら養成研修会等々で患者さんの話を直接登壇してもらって聞くというのも、ちょっと考えてみたらどうでしょうかという内容だと理解しています。
 では、実際にどんな状況かということですが、5ページは前回の協議会でお示しされた内容になりますが、肝炎医療コーディネーターにおける肝炎患者等の参画状況ということで、47都道府県のうち27都道府県で176名の肝炎患者が、この時点で肝炎医療コーディネーターとして養成されているというデータになります。このデータは令和3年度の数字で少し前になりますので、例えば東京都なども1人となっていますが、東京都は昨年度から養成が始まっていますので、27ではなく、現在はかなり多くの都道府県で養成者数が増えているのではないかと予測しています。
 患者の肝炎コーディネーターの養成が進まない理由は何だろうということを自治体の方々や拠点病院の先生方とお話をしたことがあります。それが肝炎医療コーディネーターという名称にあるのではないかと考えています。もともと、この政策を進めるに当たって厚労省が最初から肝炎医療コーディネーターという名前で「医療」をつけて肝炎対策として推進してきたわけですが、この「医療」というのがどうしても引っかかるという拠点病院の先生などもいらっしゃいます。例えば、埼玉県や東京都は、肝炎医療に患者の養成を含めることはできないよねということで、肝炎医療ともう一つ患者等と患者その他、一般の方も含めて養成できるような枠組みを別につくっています。埼玉県は地域コーディネーター、東京都は対策コーディネーターという名前になっています。そのような工夫をそれぞれの都道府県が行っているというのが現状なのですが、養成研修会を例えば2つ設けるとか、講義もそれぞれ倍になるわけですし、予算的に厳しいということもあると思います。実際に肝炎医療コーディネーターとして患者を養成研修会に含めるのはちょっとハードルが高いので、患者さんはコーディネーターとして養成できない、ちょっと待ってて、米澤さんと、ある県の先生に言われました。当初から肝炎医療コーディネーターという名称でずっと対策をお願いしていることもありまして、なかなか難しいとは思いますけれども、この名称を少し検討していただいたらいいかなと思っています。
 次にピアサポート。ピアというのは、簡単なことですが、仲間とか同僚とか同じ境遇の人ということですけれども、患者会のもともとの発想になります。今、多くの疾患の患者会でピアサポートの重要性が、叫ばれています。
 ピアサポート活動を2つぐらい紹介させていただきます。今現在、私が患者団体として行っていることです。ピアサポート活動のその1、電話相談です。電話相談は、もう患者会が発足してから50年近く行っています。8ページの右側にいるのは、スタッフでもある今日、委員でいらしている及川さんで、相談電話をとっているところです。
 もう一つのピアサポート活動としては、面談の相談を東京都の委託事業として行っています。東京都障害者福祉会館で月に1回行っています。
 最後になりますが、今新たに行っているピアサポート外来という外来について御紹介したいと思います。佐賀県の江口病院、これは江口先生の病院ですが、この活動そのものは江口班の活動の一環です。毎月1回第3水曜日に、11ページの右側の写真のような形で、あれが外来なのですけれども行っています。予約外来です。
 大体一日に2~5名来られます。ごめんなさい。皆さんにお配りしている資料には抜けているものがかなりあるのですが、個人情報的なものもありますので今日のスライドだけにさせていただきます。これが2022年度、ピアサポート外来は昨年4月から始まりまして、これが今年3月末までの患者の概要になります。大体30名弱ぐらい。ウイルス性の肝炎の方が多いです。C型肝炎はSVRになって肝がんを発症された方などが非常に多いです。
 これは、患者さん御自身からの予約もあるのですけれども、先生から紹介されて、この患者さんちょっとお願いします、お話ししてあげてくださいということで行うこともあります。ですので、人数が流動的になっています。
 事例を3つほど紹介させていただきます。
 その1。3年前に肝がんを切除しました。再発は今現在4回です。現在、抗がん剤の内服治療中ですという患者さん。この方は何回もピア外来にいらしているのですけれども、これは最初のときのお話です。課題としては、抗がん剤の副作用で今現在味覚異常がいっぱい出てしまって、食欲が全然なくなって、そのため御飯が食べられなくなってしまったので体力が落ちてしまって、仕事ができずに経済的にもすごく不安なんですと。この方は男性なのですけれども、一人暮らしの方です。私自身はピアサポートとはいえ、抗がん剤治療の経験はもちろんないわけです。ピアサポート外来中に、私はC型肝炎なのですが、実は15年前にペグ・リバ療法、72週1年半の治療を行いまして、後半味覚異常に非常に悩まされたという経験がありまして、それが自分にとってどうだったかということと、どうやって克服したか、そういった経験や最終的に味覚異常が全部なくなるまで5年くらいかかったなどの経験をお話しすることで、彼は味覚異常の人と話したのは当然初めてなわけで、そういった気持ちの共有もそうだし、それだったら自分はこうかもしれないねというようなことで、自分の話を聞いてもらって非常にすっきりしたし、私の話を聞いてちょっと気持ちが落ち着きましたということでした。慢性疾患の方は日常的に様々な悩みがあるのですが、肝がんになったときにいろいろなことが一斉に降りかかってくるんですよね。医療費のことももちろんそうですし、副作用のことだったり、この方も副作用はいろいろなものが出てきてしまっているので、どうしようどうしようということで、仕事のこともそうだしということで、一人暮らしなので誰にも相談できないので、こうやって人に話を聞いてもらって一つ一つ整理をして、次にこうすればいいのかなと、治療のことを担当の先生に相談して、少しお薬の間を置くようなことをしてもらうか何かを相談してみますねということをおっしゃっていました。とてもすっきりされていました。その後も何回か外来にいらしているのですけれども、順調に治療が進んでいると伺っています。
 2人目の方は、B型肝炎の方で、数年前から核酸アナログの服用を勧められているのだけれども、一生飲み続けることに抵抗があって服用をずっと断り続けているんです。もう何年も、恐らく3~4年だと思います。課題は、進行して肝がん発症リスクが大きくなってしまうということです。私はB型肝炎ではないので核酸アナログ製剤の服用の経験はないですが、例えば、私たちのスタッフである鹿野さんは、核酸アナログ製剤の服用をずっとやっていらっしゃる。あるいは私は電話相談でそういった方の相談をいっぱい受けているということで、間接的ではあるのですが、B型肝炎の方の話をたくさん聞いているんです。中には、一生飲み続けるのが嫌だから飲むのを断っているという人も電話相談でいらっしゃるんです、デリケートな方。そういった方たちがその後どうなったかや、飲み始めるに当たってこんなふうに考えたよということをお話ししました。お話ししているうちに、初めて治療したいという意欲がこの方も湧いてきたと、女性の方です。
 3番目は、ちょっと進化形なのですけれども、ピア外来。手前の方が患者さんなです。2年前にC型肝炎と分かったんです。この日がちょうど治療薬を服用する日で、ピア外来にいらっしゃって、そのときに肝炎医療コーディネーターである薬剤師さんも一緒にいらっしゃって、水色のマスクをしていらっしゃる手前の方が薬剤師さんで、服薬指導をされています。これは大きい薬です。2㎝の薬、C型肝炎の。2㎝ですよ、2㎝。何回も言いますけど、実際に見ると皆さんびっくりすると思いますが、これ飲めるの?というくらいの大きさの薬なんです。この薬は何年も前から服用がスタートしていますので、飲んでいらっしゃる方をたくさん知っています。この方たちが飲むときにどうやって工夫をされたか、どういうふうにしたかをいろいろ聞いていましたので、そういったお話も交えつつ、薬剤師さんのコーディネーターさんと患者コーディネーター2人で、こういうふうに飲んだらいいと聞いていたよとか、こういうふうにしたらどう?みたいなことをお話ししました。その後無事に治療は成功したとのことでした。
 私は、この先ずっと佐賀に行き続けることはなかなか難しいので、現在、地域の患者会、佐賀県ですので佐賀に日肝協の加盟団体だった佐賀肝臓友の会というところがあって、そこの患者さんに今少し来ていただいて、今後はその方たちに徐々につないでいきたいなと考えています。これは、あくまでも研究班としての活動ですので終わりがあるというのが前提になりますので、地域の患者さんにつなぐ。それから、今現在、研究班の研究としては、ピアサポート外来のマニュアル作成をする予定になっています。
 以上は私の活動なのですが、では、肝炎患者、患者コーディネーターとして私は一体何をしたらいいのということをよく聞かれます。患者団体を運営していたり、活動していたりする方たちというのは、皆さん既にやっていることが患者コーディネーターの活動と考えていただいていいと思います。特に、コーディネーターになってしまったから特別なことをしなければいけないことは決してなくて、今やっていることが既にコーディネーターさんの活動ですよと考えていただいて、その活動の幅をどんどん広げていただいたらいいかなと思っています。
 何よりも、ほかの方たち、医療従事者もそうですし、患者以外の方たちと圧倒的に違うのは、とにかく私たちは当事者であるということです。当事者としての強みがありますよね。さっきもずっとお話ししましたけれども、気持ちを共有できたり、ほかの患者さんの事例をたくさん紹介したりということもそうですし、当事者としてできることを進めていただきたいと思っています。私たちにアクセスしてくる方たちというのは、ごくごく一部の方で、今でもどこかでたった1人で悩んだり苦しんだりしている患者がたくさんいると私は思っています。皆さんがそういう方たちの1人でも多くの方たちに手を差し伸べるような活動を、ぜひぜひしていただきたいと考えています。
 12月3日は肝炎医療コーディネーターさんありがとうの日というのを東京肝臓友の会が日本記念日協会に昨年末に申請して、今年の春にそれが認められましたので、今年の12月3日、肝炎医療コーディネーターさんありがとうの日という記念日になりますというお知らせです。私たち患者は全国の肝炎医療コーディネーターさんになかなか会う機会はないのですが、例えば肝臓学会のメディカルスタッフセッション等々で皆さんの活動の状況を聞いていますと、看護師さんであれ、保健師さんであれ、ドクターもそうですし、薬剤師さんもそうなのですけれども、自分の本業にプラスして私たち患者のためにたくさんのことをボランティアとしてやっていただいているんですね。それがあまりに申し訳なく、そして、ありがたく、何とか感謝を表せる日があったらいいなという思いで、記念日をつくりました。活動の動機付けにもなりますし、患者としてはこの日に身近な肝炎医療コーディネーターさんに対してお礼を言いたいなと思っています。
 私の発表は以上です。御静聴ありがとうございました。
○小池会長 どうもありがとうございました。米澤委員より患者肝炎コーディネーターについて、お話をいただきました。ただいまのお話に関して、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。
 出田委員どうぞ。
〇出田委員 米澤さん、ありがとうございました。私も今のお話を伺っていて、もう随分昔のことですけれども、感染直後からの私自身の闘病生活のことを思い出して、当時、約20年近く相談する人もおらず、以前はみんなそうだったと思うのですけれども、たった1人で闘病生活を送っていて、本当にどうしていいか分からないことも多々あって、つらかったなということを思い出しました。今でも、そういうたくさん隠れた患者さんがいらっしゃると思いますので、肝炎医療コーディネーター並びに患者肝炎コーディネーターさんと接触ができるように頑張っていかなければならないなと思っています。今日は、本当に貴重な報告ありがとうございました。
 以上です。
○小池会長 どうもありがとうございます。ほかはいかがでしょう。
 日浅委員どうぞ。
〇日浅委員 ありがとうございました。確かに医療の現場で患者さんの声を反映していただくのは、今日提示されましたように核酸アナログの導入の開始時などは非常にありがたいと思います。一方で、県によってはそういうことを知られたくないとか、しゃべりたくないという患者さんもいらっしゃると思うので、誰でも彼でもというわけにはいかないと思いますが、各県でこういう方がピアサポートの候補になりますよという方を御紹介いただけると非常にありがたいのではないかと思って話を聞いておりました。
 以上です。
○小池会長 どうもありがとうございます。ほかにはございませんか。よろしいですかね。
 それでは、ただいまの議題に関しては終わりにさせていただきます。
 事務局、確認ですが、要望書についてはもう完了ということでよろしいですね。
〇岡野肝炎対策推進室長 及川委員からもし補足があればいただきたいと思います。
〇及川(綾)委員 小池先生、すみません、よろしいでしょうか。最後に要望書について御説明させてください。
 参考資料7になります。患者委員7名からの要望書を提出させていただいております。
 1点目につきましては、先ほど資料のところで議論させていただいておりますので省略させていただきたいと思います。
 2点目について要望、お話をさせていただきたいと思います。
 2ページ、「肝炎患者の人権の尊重に関する取り組みについて」です。基本指針が改定されまして、「肝炎患者等に対する偏見や差別を解消するためには、肝炎についての正しい知識の普及を前提に、感染症患者に対する偏見や差別の歴史も踏まえ、肝炎患者等の人権を尊重するためにはどのようにふるまうべきかを考え、学ぶことが重要である」と1点目に書かれています。2点目は「肝炎患者等の人権尊重について取組を推進することは、感染症患者全体の偏見や差別の解消に資するものであり、国は、このような観点から、地方公共団体、学校教育関係者及び患者団体等の様々な関係者と連携し、その方策の検討を進める必要がある」ということが基本指針に書かれております。この指針が改正されてから1年9か月たっているんですね。やはり早急な取組が必要であると私たちは考えておりまして、国としてどのように取り組んでいくのかを全体像と具体策、スケジュール等を教えていただきたいと思って要望書を出させていただいております。
 7月26日に薬剤肝炎原告団の大臣協議では、加藤大臣から次のような回答をいただいております。対象者をどのように考えていくのかということ、具体的な課題についてしっかりと検討していく必要があると考えていること、最後に、人権教育としての在り方は所管が文部科学省になりますので、そことよく連携していきたいと加藤大臣から御回答がありました。最後に「皆さんの」というのは患者団体の委員ですけれども、意見交換しながら早く取り組んでいきたいという御回答をいただいております。ここには書かれておりませんが、大臣からは研究班の取組についての御説明もありました。今回資料は、残念ながらこれについての御回答がありませんでした。前回2月の推進協議会のときには多少の御説明はあったのですけれども、今回、回答がなかったことに残念な思いをしております。
 患者委員の意見として出させていただいたということで、米澤委員から付け足しがあります。
○小池会長 では、米澤委員にバトンタッチですね。
〇米澤委員 追加で少しだけお話しさせていただきます。
 今、及川委員もお話ししましたけれども、前回の協議会で岡野室長が、肝炎患者等の人権の尊重に関する取組について、法務省、文科省と連携を取りながら進めていき、省庁間での調整はどこが担うかという私の質問に対して、省庁間の調整につきましても、肝炎対策を出発点として普及啓発あるいは人権の尊重に関する取り組みを進めていくという点に関しましては、厚生労働省で調整を担っていきたいと考えてございますという御回答をいただきました。このときはとてもありがたく、「よし」という気持ちだったのですけれども、そのときから半年以上月日がたっているわけですが、具体策やスケジュール等々の確認がまだなかなかできないために、またこのような要望書を提出するに至ったということです。御理解いただければと思います。
〇及川(綾)委員 小池先生、すみません。引き続いてよろしいでしょうか。
○小池会長 どうぞ。
〇及川(綾)委員 患者は要求ばかりするではないかと思われるかもしれませんけれども、僣越ながら患者として何をやっているかを少し説明させていただいて、厚労省の御協力をぜひいただきたいと思っております。
 私たちは3団体、日本肝臓病患者団体協議会とB型肝炎訴訟原告団、薬害肝炎原告団は、指針が改定される前からいろいろな取組をしています。昨年夏より3団体でいろいろな講演会や勉強会を何度も開いております。差別・偏見の歴史から学ばなければいけないということで、ハンセン病の患者やHIVの患者をお呼びして講演を聞いた上で、差別・偏見の歴史の元になっているのが何だったのかを勉強させていただいたり、偏見・差別の授業をされている先生をお呼びして、実際に授業を行ったりすることもやっております。患者団体は患者団体なりにやれることを頑張っていると、僣越ながら申し上げさせていただきたいと思います。
 ただ、これだけで十分だとは思っておりません。これをさらに進めるために、厚労省、国の力が必要だということをお伝えしたいと思っています。2月の御報告ではB型肝炎訴訟原告団さんの患者講義ついての御報告がありました。3団体とも大学や高校で患者の講演をしております。日肝協さんは米澤委員さんが肝炎コーディネーターという立場で大学で講演されていますし、薬害肝炎原告団も高校、中学、大学で薬害教育という形で講義をさせいただいています。ただ、それは偏見・差別、人権の尊重に特化した授業ではないわけです。それぞれの団体の成り立ちから考えまして、主たる内容が偏見・差別ではないわけです。ですから、私たちはそれ以上のことをやっていかなければ、人権の尊重の取組として成り立たないのではないかということで、厚労省さんのリーダーシップで御協力いただきたいと思っています。文科省の連携、他省庁との連携は私たちだけでできることではありませんので、ぜひこの辺を御検討いただきながら一緒に進めていただきたいというのが切なる願いでございます。
 以上、長くなりました。申し訳ありません。
 患者委員から付け足しがありましたら是非お願いします。
○小池会長 どうもありがとうございます。どなたか委員から付け足しがありますか。よろしいですか。
 事務局、いかがでしょう。
〇岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。2月にも御要望いただきましたし、事務局としては、例えば今もお話がありましたような患者講義につきましては、中学校で講義いただける調整を進めたり、できることを進めてきたところでございます。例えば、研究班の中でも人権の関係の研究を進めたり、スモールステップかも分かりませんが、そういうことを進めてきたところです。
 今、及川委員からも患者団体としても進めてきたことがあるというお話もいただいていますので、今後の進め方は協議のときに大臣からも申し上げていることではありますけれども、そもそもお互いの認識を共有していないと一緒に進めていくこともできないと思っておりますので、それぞれの立ち位置を確認してどのように進めていくのかを事務的に協議できればと考えております。この協議会というよりは、まず事務的に意見交換などを進めていければと考えてございます。
○小池会長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、最後になりますが、今回の協議会を最後に泉委員と大久保委員、米澤委員が退任されますので、お三方から簡単に御挨拶をいただきたく存じます。
 まずは、泉委員、よろしくお願いいたします。
〇泉委員 武蔵野赤十字病院の泉でございます。今日は遅れて来ましてすみませんでした。
 私は、C型肝炎が見つかる前からずっと肝臓に取り組んでおりまして、ウイルスが見つかって診断できて、インターフェロン治療して、飲み薬で治るという時代を過ごさせていただきました。また、B型肝炎についても核酸アナログ治療を推進するということで、非常に驚くべき医学の進歩があったと。これをいかに患者さんに届けるかということで、この協議会を通じまして厚生労働省の行政としてどのような対策を、あまり科学的に正しくないことはまずいので、科学的にきちんとできることをできるだけ患者さんに届けるような対策をとるという立場から意見を申し上げてきました。患者さんがどのように治療しているかということで、一緒に非常に大きな勉強をさせていただいたなということで、大きな経験を得させていただいたと思っております。本当にありがとうございました。どうも長い間お世話になりました。まだ診療は続けておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○小池会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、大久保委員、よろしくお願いいたします。
〇大久保委員 連合の大久保でございます。私は、労働組合のナショナルセンターである連合から、中でも特に労働条件、つまりそれぞれの職場での取り組みを進められる部署からということでこの協議会に参画させていただいておりました。このたび連合内の人事異動がございまして、ほかの部署に移ることとなりましたので、今回限りでこの協議会の委員を退かせていただきます。この協議会、正直どれくらい貢献できたものか非常に心もとなく思っておりますが、今後とも皆様の御努力で、この肝炎対策が進みますように外からではありますが、お祈りをしております。多分2016年くらいからお世話になっておりました。長い間本当に様々な勉強の機会をいただきましたことに御礼申し上げますし、皆様の今後の御活躍をお祈りしております。本当にありがとうございました。
○小池会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、米澤委員、お願いいたします。
〇米澤委員 日本肝臓病患者団体協議会の米澤敦子です。私は、10年間この協議会の委員を務めさせていただきまして、まさか10年で辞めなくてはならないということは全く存じ上げませんでした。日肝協は70歳定年ということでみんなわさわさと委員を辞めていったという過去がありましたので、70までか、などど考えていました。。この10年というのは、非常に長いようであっという間の10年間だったなと思っています。実は私は電話相談を始めてから15年になるのですけれども、この15年間で取った電話の件数を数えてみたことがありまして、同じ人もたくさんいるのですが、累計2万5000件強の電話をとっていたことが分かりました。この協議会に参加するに当たって、その2万5000人以上の、あるいはもっと多くの数万人の患者が私の後ろにいるのだという意識を持って、代弁者として常に参加していたつもりです。今後、協議会という場で発言はできなくなりますが、この思いは続きますし、その意識は変わらずに全国の肝炎患者の代表として活動を続けていきたいと思っています。
 今までどうもありがとうございました。
○小池会長 ありがとうございました。お三方、大変長い間ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項等がございましたら、お願いいたします。
〇岡野肝炎対策推進室長 本日は、長時間にわたりまして御意見等々いただき、ありがとうございました。
 本年度また開催したいと考えてございます。今回は御報告できなかったのですけれども、国・自治体の取組状況等々を今調査していますので、その関係の御報告をさせていただきたいと考えております。まだ調査にお時間をいただきたいと思いますので、日程についてはまた後日、調整の上、御連絡させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○小池会長 ありがとうございます。
 それでは、これで閉会とさせていただきます。本日は長い時間どうもありがとうございました。
 

照会先

健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

室長補佐 行本
室長補佐 木塚
係長     舘 (内線2948)

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(代表) 03(5253)1111