第153回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和5年9月14日(木)16:00~18:00

場所

東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス「Room A」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、上野技術専門委員

事務局

医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.総括報告書の評価について
  2. 2.試験実施計画の変更について
  3. 3.協力医療機関の追加について
  4. 4.先進医療の取下げについて
  5. 5.その他

議事

議事内容
○竹内座長 
それでは、定刻となりましたので、第153回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。本日は御多用の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。本日の構成員の出欠状況ですが、伊藤構成員、北川座長代理より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は、技術専門委員として、上野秀樹委員に御出席を頂いております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 現在、15名の構成員にお集まりを頂いておりますことから、本会議が成立していることを申し添えます。最初にまず、事務局から連絡がありますので、お願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 事務局です。弊省の組織再編に伴って、「医薬・生活衛生局」の名称が、9月1日付けで「医薬局」に変更になりましたので御報告いたします。
 もう一点は、前回の先進医療技術審査部会で、国立がん研究センター中央病院からの変更申請の告示番号48番、シクロホスファミド静脈内投与療法について、登録期間を過ぎての新規登録が行われたことについて臨床研究法上問題にならないのかが議論になりました。その後、事務局から新規登録を中止するように研究代表者に伝え、現在、新規登録は中止いただいております。また、事務局から医療機関に確認した結果、臨床研究法上の不適合に該当すると医療機関側から回答が得られました。現在、再発防止策等を含め、申請医療機関と調整を行っております。報告がまとまり次第、後日、本部会にて先進医療としての取扱いについての御議論を頂く予定です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。確認ですが、新規の組入れは中止しているということでよろしいですか。
○研究開発政策課長補佐
 はい、そのとおりです。
○竹内座長
 ありがとうございます。何か御質問はありますか。よろしいですか。引き続き、当該医療施設からの報告を待っているというところです。それでは、本日の配布資料、審議案件の確認を事務局からお願いします。よろしくお願いします。
○研究開発政策課長補佐
 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。配布資料について確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、総括報告書の評価について資料1-1~1-3、試験実施計画の変更について資料2~資料4、先進医療Bの協力医療機関の追加について資料5-1~資料5-2、先進医療Bの協力医療機関の取下げについて資料6、会議資料の最終ページは43ページとなっております。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧6の技術、国立国際医療研究センター病院からの総括報告に関して、上村夕香理構成員におかれましては、実施施設からの申請ということで、審議の際は一時御退席いただければと思います。また、当該技術について、平川構成員、山本構成員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員、事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かります。本日は、オンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等ありましたらお知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果について、事務局から御説明をお願いします。
○研究開発政策課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価を頂くのは、告示番号旧6、腹膜偽粘液腫に対する完全減量切除術における術中のマイトマイシンC腹腔内投与及び術後のフルオロウラシル腹腔内投与の併用療法です。申請医療機関は、国立国際医療研究センター病院です。審査担当構成員は、主担当が平田構成員、副担当が山本構成員、技術専門委員が上野委員となっております。なお、本議題の審議に際し、上村夕香理構成員におかれましては、利益相反の関係等から、御退席いただければと存じます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
(上村(夕)構成員退席)
○研究開発政策課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明いたします。腹膜偽粘液腫は、年間100万人に2人が発症する非常にまれな疾患であり、腹腔内に多量の粘液が貯留する病態である。腫瘍は遠隔転移を来さないものの、ゼリー状の粘液は時間とともに増加し、腹腔内に充満する。症状緩和のため姑息的な手術を繰り返す治療が行われることもあるが、腫瘍を完全に取り除くことができず再発を繰り返し、5年生存率34~67%、10年生存率21~32%とその長期予後は不良である。しかし、腹腔内の2.5mm以上の全ての腫瘍を切除する完全減量切除と2.5mm以下の残存腫瘍を抗がん剤によって死滅させる周術期腹腔内化学療法を組み合わせることにより、根治を目指すことが可能となり、良好な長期予後が海外の多くの施設から報告されている。本研究では、腹膜偽粘液腫症例に対して減量切除と周術期腹腔内化学療法(術中腹腔内温熱化学療法及び術後早期腹腔内化学療法)を行い、有効性と安全性の評価を行った。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、本技術の評価について、主担当の平田構成員から御説明をお願いいたします。
○平田構成員
 まず、内容を図示したものが、会議資料では通し番号25ページ、右上で言いますと、資料1-3を御覧ください。
 本技術について、腹膜偽粘液腫の減量手術に対する周術期腹腔内化学療法に関する医療技術になります。この試験は、2014年に先進医療として承認されており、5年生存割合を主たる有効性と総括したもので、長期の時間を必要となった試験です。
 技術の内容に関しては、腹膜偽粘液腫の患者さんに対して、腹腔内に存在する腫瘍を肉眼的に全て切除、若しくは残存腫瘍の大きさが2.5mm以下になるように切除いたします。その際、大腸や胃、大網や子宮付属器、そして肝皮膜、胆摘、脾臓摘出など、他臓器の切除を組み合わせた侵襲のある手術を実施いたします。そのような完全減量切除が達成できた症例に対して、手術と同日に抗がん剤であるマイトマイシンCを生食に溶解し、温度を維持したまま1時間、腹腔内に還流させます。手術の翌日より今度は別の抗がん剤であるフルオロウラシルを腹腔内に投与し、24時間ごとに薬剤を入れ替えて、4日間連続で実施いたします。非常にまれな疾患ではありますが、申請医療機関の努力の賜物で、単施設で実施されたシングルアーム試験になっております。
 それでは、私の評価の部分に移ります。会議資料の17ページを御覧ください。まず、有効性の評価については、本試験の主要評価項目であるPPS解析対象症例における5年生存割合は76.7%です。本試験において、閾値を50%と設定しておられます。それが95%信頼区間下限値を上回っていることから、計画時に設定した基準値は満たしているということになります。しかしながら、申請医療機関の記載にもありますが、今回の対象が希少疾患ということもあり、本試験の閾値等の設定の根拠となるエビデンスが、十分に担保できていると言えない状況や、シングルアーム試験であることから、結果の解釈には限界があると考えます。
 しかしながらも、先ほど申し上げた本試験の主要評価項目の結果だけでなく、副次評価項目である無病生存期間や無再発生存期間の結果、更には各組織型が幾つかあるのですが、その5年生存割合を全てにおいて確認しましたが、海外で実施されている完全減量切除に加えて、周術期腹腔内化学療法の先行研究とデータを比較しても遜色ない結果を踏まえますと、一定の有効性はあると判断しました。ただ、限られた症例数でシングルアームの試験であることを考慮しますと、従来の医療技術、ここで言いますと、手術単独になるのですが、その従来の医療技術を用いるより大幅に有効であるということまでは判断致しかねますので、Bの従来の医療技術よりやや有効であると判断いたしました。
 次に、安全性に関する評価になります。本試験で認めた有害事象は、基本的に既知の事象・予期される事象ではありましたが、Grade3以上の有害事象は高頻度に認めていることから、Cと判断いたしました。その多くは臨床検査値関連という、例えば、肝・胆道系酵素の上昇、血球減少等で、手術関連死亡や再手術は認めず、保存的治療でそれらが回復しているということもありますが、前に申し上げているように、重篤な合併症や有害事象が発生しやすいため、当該治療を熟知した医師を中心としたチームで、しっかり管理することが重要であり、また、それ以前に適切な症例選択というものが非常に重要となってくると考えております。
 次に、医療技術に関する評価になります。本試験で実施された医療技術は、高度な侵襲を伴って、高頻度で重篤な有害事象が発生することが予想されること、日本国内において、まだ一般的に実施されているとは言えない医療技術が含まれていることを踏まえますと、実施可能な施設は限定され、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制でなければ、適切に行うことは困難と考え、Cと判断いたしました。残りの評価結果については、山本構成員、上野構成員の御説明の後にさせていただきます。私からは以上です。
○竹内座長
 平田構成員、どうもありがとうございました。続きまして、副担当の山本構成員から御説明をお願いします。
○山本構成員
 こちらのほうを副担当させていただきました山本です。まず、有効性については、先ほど平田構成員からも御説明がありましたが、本試験をもって、シングルアームということも鑑みて、閾値は確かに超えてはいたのですが、ここで有効であるというエビデンスとして認めるのはやはり難しいのかと考えまして、今回はその他ということで、比較しての言及は難しいという評価にさせていただきました。
 続きまして、安全性に関しては、重要な有害事象である術後合併症、薬物有害反応の発現割合が高い点や、Grade3以上の有害事象も高頻度に発現しているというところにも鑑みますと、非常に大きな重大な懸念があるとまでは言えないですが、注意を要する点があるということで、私のほうも問題ありと評価させていただきました。
 技術的成熟度に関しては、当方では判断が難しいため、主担当の平田先生に評価を委ねたいと思います。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして、技術専門委員の上野委員から御説明をお願いします。
○上野技術専門委員
 今回、初めて技術専門委員として参加いたします。その立場から発言をさせていただきます。初めに、先ほども御発言がありましたけれども、今回の疾患が非常に希少な疾患であるため、対象となる従来の治療に関する情報が不足しております。したがって……。
○竹内座長
 ちょっと通信が不安定みたいですね。構成員の先生方でカメラをオンにされている先生がいらしたら、オフにして対応していただけると、通信が安定するかもしれません。上野先生もカメラをオフにしていただけると、通信が安定するかもしれません。音声だけで御説明いただけるとよろしいかと思います。
○上野技術専門委員
 電波が悪いようで申し訳ございません。もう1回初めからお話させていただきます。この疾患は非常に希少な疾患なので、対象となる従来の治療の情報が不足しており、有効性の判断が非常に難しいといった点は、私も先ほどの御発言と同様に考えております。そのように困難性を感じながらも、臨床試験の結果なので、A~Cのいずれかに分類したいと考えて資料を拝見した次第です。そういった中で、本研究の解析結果としては先ほどの御紹介にもありましたように、Per Protocol Setにおいて、5年全生存率が76.7%という数値です。この数値をどう考えるかといった点で初め、資料を拝見しました。
 まず、本邦で行われた初めての試験結果です。海外から報告されているCRS+補助療法の長期成績と比べて遜色のない結果と考えられますが、非常にたくさんの症例を経験されている所、初めに御報告のあったシュガー・ベイカー先生の施設、あるいはベージングストークからの報告辺りは、300例前後の症例を経験されております。そういった施設と比べると、10%ぐらい成績が落ちる結果です。これは臨床家として何を示すかというと、このような高侵襲な治療だと更に今後、症例の経験によって成績が伸びることを示唆しているというようにも考えますので、本治療に関してはプラスフアルファの成績の向上が望まれるかもしれないと考えております。
 そして一番問題となるのが、従来の手術の成績との比較です。資料には5年生存率のあるデータが3つ供覧されております。これを供覧いただくことは可能でしょうか。総括報告書の19ページの表7.2-1です。そこを御覧いただきますと、5年生存率の報告が、従来のもので3つあります。1つはメイヨークリニックからのもので、5年生存率は50%です。もう1つは、メモリアル・スローン・ケタリングからの67%です。そして3つ目が、ベージングストークからの34%です。その中で論文をそれぞれ当たってみますと、最後のベージングストークのモラーン先生ですね。今回の研究の共同研究者となっている施設です。この34%という数字は、あくまでも全腹膜切除ができなかった症例に限った検討なので、過剰に低い数字が述べられております。したがって、5年生存率は従来の報告で考えますと、50%からおよそ67%の間に、標準的なところがあるのだろうと考えます。そう考えますと、今回の5年生存率の……。今、大丈夫でしょうか。
○竹内座長
 今、ちょうどいい所まで御説明いただきました。タブレット資料20ページの表7.2-1の長期成績の御説明を頂いて、34%はちょっと低過ぎると。対象が違うので、5年生存率は手術成績が50~67%であろうという御説明を頂きました。ここまで音声が通じておりました。それから先の御説明をお願いいたします。
○上野技術専門委員
 ありがとうございます。その数字を基に考える必要がありますけれども、やはり年代の差がありますので、50~60%後半というのは、やや低く考えなければいけません。それにしても現在は該当の疾患に対する化学療法に有効なものがありませんので、余りこれと大きく変わったデータは出てこないだろうという前提に立ちますと、今回の成績は従来の治療と比べて、10~20%の上増しがあると考えました。その数字を基に考えますと、例えば大腸がんだと5年生存率10~20%というのは、かなり大きな飛躍と考えますので、私は、この治療成績に関しては……。
○竹内座長
 また途切れましたね。大幅に有効であるという根拠を説明いただいたところまでは聞き取れました。接続状況を確認していただいております。場合によっては、電話で御対応いただいてもいいかと思いますが、どうでしょうか。
○上野技術専門委員
 電話でしたほうがよければ、電話で御説明させていただきます。
○竹内座長
 画面は映っておりますので、それでは電話でお願いいたします。
○上野技術専門委員
 分かりました。
(以降電話)
○上野技術専門委員
 安全性ですが、今回のGrade3以上の合併症の発生に着目して、御説明をさせていただきたいと思います。まず、一般的な手術の合併症に関してです。NCDのAnnual Reportというものがあります。これを見ますと、本邦での一般的な手術成績が理解できます。Grade3以上の術後合併症の発生率というのは、非常に高難度手術と言われる食道がん、肝臓がん、膵臓がんのパーセンテージを見ますと、最大実数3%前後というのが日本の成績です。それを基に考えますと、今の報告はGrade3以上の有害事象が90%を超えるデータということになりますので、一般的に認識されている消化器外科手術の合併症と比較しますと、Grade3以上には化学療法に起因する検査値の異常値が含まれているものの、やはりはるかに高率と言わざるを得ないと考えます。これにより、安全性に関しては問題があると考えました。
 技術的な成熟度に関しては、やはり当該分野を専門とした、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制を取っていかないと実施できないとしました。先ほど述べたとおり、非常に高率な有害事象を発生させ得る治療であるということは、外科医であれば誰でも納得できる治療です。一方、今回の報告のパーセンテージを見ますと、プロトコル治療と因果関係が否定できないGrade4以上の重篤な合併症あるいは再手術は含めませんので、かなり高度な医療機関においては対応できる治療だということも、併せて考えられると思いましたので、技術的な成熟度に関しては、経験を積んだ医師を中心とした体制であれば実施できる。逆に言うと、それ以外は実施できないと判断しました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは主担当の平田構成員より、何か追加のコメント等がありましたらお願いいたします。
○平田構成員
 平田です。総合的なコメントに移らせていただきます。会議資料の18ページを御覧ください。本試験の結果から、腹膜偽粘液腫に対する完全減量切除術における術中のマイトマイシンCの腹腔内投与及び術後のフルオロウラシル腹腔内投与の併用療法については、一定の有効性はあると判断します。しかし安全性に関しては、重篤な有害事象の発現頻度が高いことには注意が必要ですし、本技術については先ほど技術専門委員からも述べていただいたように、標準化や技術の均てん化については、今後の課題と考えます。
 薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうかについてです。本試験の対象が希少疾患等であることを踏まえますと、本試験で得られたデータには意義があると考えております。本試験での症例数が限られていることなどから、適切な承認条件を付すことにより、市販後の安全性が確認できる場合には添付資料の1つになり得るかと考えております。私からは以上です。
○竹内座長
○天野構成員
 御説明いただきましてありがとうございました。私からは今の試験についてです。まず、この試験の有効性については既に御説明いただいたように、非盲検単群前向き試験であり、症例数も限られているということで限界はあるにせよ、一定の有効性は示唆されるという状況かと思います。ただ一方で複数の構成員から、安全性並びに技術的成熟度については、Cという評価を頂いたと承知しております。
 そこで恐れ入りますが、技術専門委員に2点の質問があります。1点目は、適切な症例選択が必要という御指摘がありますが、今後、保険適用が視野に入ってきた場合、適切な症例選択についてどういった点を留意すべきか、御意見があれば頂きたいというのが1点目です。2点目は、いわゆる施設についても当該分野を専門とした経験豊かな医師を中心とした医療体制が必要という御指摘を頂いていますが、施設基準あるいは専門者リストの基準等で何かお考えがあれば、保険適用に向けてコメントを頂ければと思います。以上です。
○竹内座長
 それでは適切な症例選択、そして施設基準等で何かお考えがありましたらという2点について、上野委員からお願いいたします。
○上野技術専門委員
 御質問、ありがとうございます。まず術前の評価が一番重要かと思います。特に手術の耐術能に関する評価を、恐らく通常の手術以上に厳しく設ける必要があると思います。もう1つの施設選定に関しては、やはりどこの病院でもできるものではありませんので、当初は日本でも1施設、2施設に限って治療を進めていって、そこで経験を積んだ医師がちゃんとした場所に限定して行っていくということで想定しないと、大きな事故につながる可能性のある治療だと考えています。
○竹内座長
 天野構成員、いかがでしょうか。
○天野構成員
 よく分かりました。ありがとうございました。
○竹内座長
 続いて、渡辺先生からも手が挙がっております。渡辺先生、御質問をお願いいたします。
○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺です。今の天野構成員の御質問にちょっと関連して、安全性の点で御質問させていただきたいと思います。有効性はある程度評価できるということですけれども、安全性のG3、G4の確率が高いということに対しては研究者が総括報告書で、例えば115ページであれば、胆道系の酵素の上昇というのは手術手技によるもので、薬剤との因果関係は否定的という検証をしておられます。116ページでは、高侵襲手術に伴う貧血、血小板減少の可能性があるという御説明がありました。それから同様に116ページで、血球減少については化学療法による影響が否定できないなど、いろいろあるわけです。安全性をもう少し高める、つまり合併症を減らす努力がこの手技では必要ではないかと思った場合に、合併症が多いことに関する検証を、もう少しできないものかという気がするのです。評価された平田先生や上野先生のお考えによると、これ以上の分析はできないのか、それとも合併症の発現率が高いことに対して分析をして、より安全性を高める、改善する努力ができるのかをお聞きしたいのです。
○竹内座長
 それでは、まず上野先生からお答えいただけますか。
○上野技術専門委員
 まず合併症の評価に関して、特定の精度をもってデータが提示されておりますので、評価に関しては余り大きな問題はなかろうと思っています。これを改善できる体制をつくれるかどうかという部分に関しては、どうでしょうか。外科医として一つ感じるところは、まだまだ症例数の経験が少なく、合併症はある一定の頻度で起こっているのだろうと思います。ですから、今後症例数を重ねることで、より安全なものになっていくのだろうということです。それと今回、評価をしていて思ったことは、どうしても抗がん剤を使っている影響からくるG3、G4の合併症の頻度と、手術の技術による合併症が、実ははっきりと分けて述べられてない文献もあります。それぞれが交絡していますので、難しいという点は分かるのですけれども、そこを思い切って評価をクリアにすることは必要かというように思いました。
○竹内座長
 それを踏まえて平田先生、何かコメント等はありますか。
○平田構成員
 この高度な手術に引き続き、抗がん剤を5日連続で行う治療に関しては、手術と抗がん剤の副作用を切り分けるのは、なかなか難しい部分があるのではないかと思いました。ほかの報告を見ますと、残念ながらこの一連の治療、手術から抗がん剤が行われて亡くなられる方というのは1から、高いもので1桁の後半というのもあるわけです。しかし、今回は国際医療センターだけで行われた研究ですけれども、本研究のPPS60例の中で、死亡例はなかったということです。まだ少ない症例ではありますけれども、高頻度の有害事象があるにもかかわらず、幸い亡くなられた方はいらっしゃらなかったという点は、ある程度の技術はあるのかというように感じております。
 ただ、普通に考えて高侵襲の手術に引き続いて、腹腔内に抗がん剤を5日間投与しますと、やはりこれぐらいの有害事象が出てくるのは、現在の医療技術では仕方ないのではないかと理解できるところではあります。これらを基に今後は臨床試験を重ねて、治療の効果は同じだけれども、より侵襲性の少ない技術が開発されることが、我々としては望ましいのではないかと思いました。
○竹内座長
 ありがとうございます。先ほども述べられたように症例選択、特に手術や化学療法に対する耐性等も含めて、より安全性に配慮した症例選択という方向で、安全性を担保していただくというコメントだと理解いたしました。今後、そのようなことも含めて天野先生、いかがでしょうか。
○天野構成員
 先ほどの質問に回答いただいたとおりで、私はいいと思っております。症例選択が非常に重要だということは御示唆を頂きましたし、施設も1施設ないし2施設という、かなり厳しい条件でという御指摘がありましたので、そのように進めていただきたいと思っております。
○竹内座長
 渡辺先生、いかがでしょうか。
○渡辺構成員
 御丁寧な解説をありがとうございます。やはり有効性がある程度示された中で、安全性をどう改善していくかということが今後の課題かと思って御質問をさせていただきました。
○竹内座長
 それでは、そのようなことに気を付けていただきながら、告示番号旧の6番については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。上野技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構です。本日は御多忙のところ、誠にありがとうございました。
○上野技術専門委員
 どうもありがとうございました。
(上野技術専門委員退席)
○竹内座長
 上村夕香理構成員にはお戻りいただくことといたします。
(上村(夕)構成員入室)
○竹内座長
 それでは、続いて試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2の27ページを御覧ください。国立循環器病研究センターからの申請で、告示番号44、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤静脈内投与療法です。適応症は脳出血(発症から2時間以内のものに限る)です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、29ページを御覧ください。主な変更内容としましては、実施期間の延長、日本の登録症例見込みを300から400に修正、除外基準の変更、中間解析の追加となります。
 変更申請する理由としまして、1つ目の実施期間の延長については、COVID感染まん延を主因に、米国中央事務局の準備が遅れ、感染疑い患者の登録方法やモニタリング方法について再考され、英文計画書や患者登録フォームの改定がなされ、世界全体の症例登録開始が遅延した。これに伴い、試験期間を延長した。
 2つ目の日本の登録症例見込みの変更については、日本の症例登録実績を踏まえて上方修正した。2022年7月に国内初症例の症例登録以来、2023年7月末までで累計107症例を登録した。これは、世界全体の登録数の年間約45%に当たる。今後、日本国内から年間約100例の登録が見込まれ、世界全体の目標症例数860例の約45%を登録したと仮定すると、390例程度の症例登録が期待されるため、最大400例に修正した。
 3つ目の除外基準の変更については、米国の試験全体のプロトコル改定に対応して修正した。脳室内血腫量基準については、新旧基準の厳密な比較はできないが、変更後は除外基準が緩和されている。変更前は、脳出血軽症例においても、旧基準により除外となる症例が散見された。変更後は適格症例数が増加すると考えられる。凝固促進剤の使用については、脳内出血の治療として標準治療ではないトラネキサム酸やほかの凝固促進剤の使用を除外基準に追加した。
 4つ目の中間解析の追加については、当初の430例時点での中間解析に加え、200例の追跡が完了した時点での無益性判定のための中間解析計画が追加された。また、データ安全性及びモニタリング委員会の裁量により中間解析が追加される可能性について追記された。以上でございます。
○竹内座長
 本変更内容につきまして、御意見やコメント等はございますか。いかがでしょうか。よろしいですか。御意見がないようです。それでは、告示番号44番の変更につきましては認めることとさせていただきます。ありがとうございます。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料3の31ページを御覧ください。東京都立小児総合医療センターからの申請で、告示番号50、腫瘍治療電場療法です。適応症は、膠芽腫(当該疾病が発症した時点における年齢が18歳未満の患者に係るものであって、テント上に位置するものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、32ページを御覧ください。主な変更内容としましては、実施期間の延長です。
 変更申請する理由としましては、実際の症例集積の遅延に伴い、実施期間を延長した。本試験の事前調査により、参加施設はいずれも年間2、3例の対象疾患の経験があり、当初計画として2年6か月の症例集積期間で10症例を登録できると見込んでいた。しかし、東京都立小児総合医療センターのみで実施する最初の3症例の登録が、新型コロナウイルス感染症の流行により遅延し、ほかの3医療機関の追加が2023年2月となった。現在の登録症例は5症例であるが、上記実績に基づき、4施設での症例登録を積極的に進めることによって、2024年3月までに症例登録を終了できる見込みである。以上でございます。
○竹内座長
 本変更内容につきまして、御意見はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、告示番号50の変更につきましては認めることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料4の35ページを御覧ください。国立循環器病研究センターからの申請で、告示番号54、テネクテプラーゼ静脈内投与療法です。適応症は、脳梗塞(発症から4.5時間以内のものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、36ページを御覧ください。主な変更内容としましては、研究期間の延長です。
 変更申請する理由としましては、近年起こったコロナ禍やウクライナ情勢に伴うテネクテプラーゼの製造工場の稼働低下・大陸間の薬剤輸送問題が生じ、同時に円安となる大幅な為替変動があり、試験薬であるテネクテプラーゼが試験開始当初の80万円程度から170万円にまで高騰した。従来の研究資金では試験薬の調達が困難になったため試験の進捗が遅延してしまい、実施期間を延長するために研究期間を3年間延長することを申請する。
 現在も試験薬であるテネクテプラーゼの世界的な供給困難が継続しており、試験薬の入手に難渋しているため、各施設に配付できず、登録が一旦停止している施設が7施設ある。恒常的に試験薬が調達できるようになれば全施設で月に平均6件程度の登録があり、残りの症例数115例を18施設で完了するまでに19か月を見込んでいる。その後、各症例を3か月間追跡調査し、統計学的な集計・解析・データクリーニングを行ったところで、発表・論文掲載までおよそ1年を考慮しているため、合計で3年間の延長とした。数年以内にテネクテプラーゼの世界的な供給の安定が起こることが想定されているため、試験薬の入手が効率的に行える可能性がある。なお、本試験の薬剤費は患者負担ではなく、研究者負担である。以上でございます。
○竹内座長
 本変更内容につきましては御意見はございますか。よろしいでしょうか。御意見がないようです。それでは、告示番号54の変更につきましては認めることとさせていただきます。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から御説明をお願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 資料5-1の37ページを御覧ください。告示番号20について1施設、告示番号36について1施設、告示番号39について1施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料5-2、39ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がないようでしたら、手続を進めさせていただきます。以上でございます。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局で手続を進めていただきますようお願いいたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の取下げについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料6の43ページを御覧ください。告示番号39について、協力医療機関のうち1施設の取下げの申請がありました。
 取り下げる理由としましては、例年の傾向から、年1、2例は登録ができる予定であり、試験開始からこれまで近隣の施設にも協力を要請していたが、患者登録はなかった。このことから今後も患者登録の見込みが少ないため取下げを行う。以上でございます。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。御意見はございますか。ないようですので、それでは事務局は手続を進めていただければと思います。
 本日の議題は以上でございますが、構成員の皆様、それから、全体を通して何か御意見や御質問、コメント等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、次回の日程を事務局からお願いいたします。
○研究開発政策課長補佐
 次回は令和5年10月12日(木)の開催とさせていただきます。時間は16~18時までの予定で、詳細につきましては、別途御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、第153回先進医療技術審査部会を、これにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)