2023年9月29日 令和5年度第1回中央職業能力開発促進協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和5年9月29日(金) 10:00~

場所

中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室

議題

  1. (1)中央職業能力開発促進協議会ワーキングチームの開催について
  2. (2)令和4年度第2回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について
  3. (3)令和4年度公的職業訓練の実績
  4. (4)今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告
  5. (5)ハロートレーニングに対する民間教育訓練実施機関からの意見・要望及び回答
  6. (6)令和6年度全国職業訓練実施計画の策定方針

議事

○藤村座長 皆さんおはようございます。定刻になりましたので、ただいまから「令和5年度第1回中央職業能力開発促進協議会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の協議会は、対面形式・オンライン形式を組み合わせて開催いたします。また、傍聴を希望される方々には全て公開としております。本協議会の冒頭の撮影を御希望の場合は、人材開発統括官からの開会挨拶までとさせていただきます。
 まずは構成員の交代がありましたので、御紹介させていただきます。今回から、全国専修学校各種学校総連合会より重里徳太理事・総務委員会副委員長に御参加いただくこととなっております。重里構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○重里理事・総務委員会副委員長 よろしくお願いします。
○藤村座長 本日は、構成員全員に御出席をいただいております。政府からは厚生労働省に加えまして、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省が出席、オブザーバーとして4団体に出席いただいております。なお、事務局においても、人事異動により、岸本人材開発統括官、宇野人材開発総務担当参事官、松瀨人材開発政策担当参事官が新たに着任をしております。それでは、まず初めに岸本人材開発統括官から御挨拶があります。
○岸本人材開発統括官 人材開発統括官の岸本です。本日は、中央職業能力開発促進協議会に御参集いただきまして、ありがとうございます。日頃から人材開発行政の推進に御協力いただきまして、感謝申し上げます。
 本協議会は御案内のとおり、昨年10月に法定化されました「地域職業能力開発促進協議会」に合わせてリニューアルをさせていただきまして、2年度目を迎えることとなったものです。昨年度の中央・地域の職業能力開発促進協議会の成果としましては、例えばですが、半導体関連企業の進出に伴いまして、これまで以上に高度な技術を求める企業が多くなってきた。こういう認識の下、ポリテクセンターのカリキュラムを見直されました熊本県の例ですとか、中小企業を中心にデジタル人材の確保・育成が困難という課題の認識の下、デジタル分野の訓練コースの定員増を実施されました新潟県の例などが挙げられます。
 こういう協議会、もちろんその関係各方面の情報共有・認識合わせといった意味を持つものですが、やはり職業訓練は産業構造・職業構造の変化、スキルの変化に対応して、求人者・求職者の利益になるような、その時点、その時点の最善のメニューを提供することがやはり生命線ですので、こういう協議、中央・地方での協議を、やはりよりよい訓練提供のアクションに生かしていけるような、そういう場として続けてまいりたいと考えている次第です。
 本日も、昨年度の公的職業訓練の実績、その分析、それから訓練現場のほうから頂きました御意見に対する対応を御報告をさせていただきます。それらを踏まえまして、来年度の職業訓練実施計画の策定に向けて、闊達な御意見を頂ければと思います。併せまして各省、厚労省以外の各省におけるリスキリングの取組についても御報告を頂けるように思います。
 都道府県の協議会の議論の内容については、後ほど御報告申し上げますが、本日のこの中央の協議内容は各都道府県の地域協議会にも情報提供いたしまして、中央と地方の双方の、双方向のやり取りの中で、よりよい職業訓練提供を進めたいと考えております。どうか本日は幅広い御意見を頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます。
○藤村座長 どうもありがとうございました。それでは議題に入る前に、本日の注意事項につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○松村人材開発統括官付訓練企画室長補佐 事務局です。まず報道関係者の方々の撮影ですが、ここまでとなりますのでよろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、御発言を希望される場合、会場内の方は挙手で、オンライン参加の方はZoomの「手を挙げる」機能により意思表示を頂きまして、座長から指名された後に、会場の方はお手元のマイクのボタンを押してから御発言いただきますようお願いいたします。また、オンライン参加の方におかれましては、Zoomの接続や音声などに問題が生じたときは、事前にお送りしましたマニュアルに沿って、その旨をチャット機能や、メール又は電話で御連絡いただければと思っております。以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございます。それでは議事に入りたいと思います。今日もたくさんございますので、効率的にやっていきたいと思います。まずは議題(1)ですね。「中央職業能力開発促進協議会ワーキングチームの開催について」、事務局から説明をお願いいたします。
○松村人材開発統括官付訓練企画室長補佐 それでは、私のほうから資料1-1、それから資料1-2について御説明いたします。まずはお手元の1ページの資料1-1、中央職業能力開発促進協議会ワーキングチーム実施要領を御覧ください。各都道府県におきましては、地域協議会の下に、ワーキンググループを設置しまして、関係者へのヒアリングを通じて職業訓練の効果分析を行うという取組を、本年度から始めているところです。中央協議会におきましても、要領の1の目的にもありますとおり、ワーキングチームを設置・開催しまして、企業や訓練実施機関などへのヒアリングによりまして、産業分野ごと、あるいは職種ごとの情報を収集しようという取組を始めたところです。
 この実施要領に基づき行った、ワーキングチームの開催状況をまとめたものが資料1-2となります。
 5ページを御覧いただければと思います。まずヒアリングの対象とした産業分野についてですが、デジタル人材の育成・確保が不可欠となっている現状を踏まえまして、今年度については、デジタル分野を対象としたところです。その上で7月から8月にかけまして、デジタル分野の職業訓練を実施する民間の訓練機関5機関、それから実際に訓練受講生を採用した企業2社に対してヒアリングを実施したところです。
 次のページ以降は、そのヒアリングの結果をまとめた資料です。6、7ページは訓練実施機関に対するヒアリングの概要、8ページは受講生を採用いただいた企業に対する概要となっております。
 まず6ページです。資料の構成としましては、左側に我々からお伺いした質問事項、真ん中が先方からの意見や現状認識、右側がこれらの意見などから見えてきた検討課題という構成になっています。時間の都合もありますので、かいつまんで御紹介いたしますが、まず1つ目の箱の3つ目のポツです。新たに必要とされるスキルに対応していくために、DX推進スキル標準を参考にしながらカリキュラムに反影させているという御意見などを頂戴したところから、このDX推進スキル標準の活用が有効ではないか。
 2つ目の箱の2つ目です。デジタル分野以外でも今はどの職場でもITを使いこなす必要があるという御意見から、デジタル分野のみならず他の分野においても、基礎的ITリテラシーが求められているということが見えてきたところです。
 また3つ目の箱ですが、現在実施しております、訓練修了者の一定割合が資格を取得した場合の委託費等の上乗せ措置について、その評価などをお伺いしましたところ、資格取得を目指すことが本人のモチベーションになるという一方で、試験が年に1回、あるいは数回しかないなどによって、訓練コースの設定が難しいというお声も頂いたところです。デジタル分野のコースの設定を増やすためには、「資格取得」による上乗せ以外にも新たな措置が必要ではないかという課題も見えてきました。
 続いて7ページを御覧ください。デジタル分野の特有の負担ということでお伺いしたところ、1つ目の箱ですが、講師の確保が非常に難しいく経費の中で人件費が最も高いという現状であったり、真ん中の箱にもありますとおり、設備に関しましても、定期的にPCの入れ替えが必要といった特有の費用負担が課題であるということが分かりました。また、就職支援にあたっては、ハローワークとの連携を強化してほしいという御要望もいただいたところです。
 8ページを御覧ください。続いて訓練受講者を採用いただいた企業のヒアリングの概要になっております。2つ目の箱に飛びますが、プログラムの開発というのは基礎として身に付けておく必要がある一方で、ドキュメントの作成能力であったり、コミュニケーション能力といったことも重要であり、訓練カリキュラムにより実践的な内容を加味することが有効であるという御意見や、3つ目の箱では、公的職業訓練によりデジタルスキルを身に付けた方は貴重な人材であり、定員を増やしてほしいという御要望もいただきました。
 このようにヒアリングを通じて見えてきた課題に対してどう対応していこうかということを示したのが、次の9ページの資料です。左側に先ほども御紹介した検討課題、右側にそれぞれの課題に対する取組方針を記載しております。
 1つ目の箱ですが、デジタル分野の訓練の設定促進、あるいは費用負担という課題に対しましては、令和6年度の予算要求で、DX推進スキル標準に対応した訓練コースにつきまして、新たに委託費等の上乗せを行うという拡充措置を盛り込んだこと、また3つ目の箱ですが、より実践的なカリキュラムが有効であるということに関しまして、こちらも令和6年度予算要求で、訓練修了者にさらに実践経験を積むための機会を提供する事業を、新たにモデル事業として実施することも盛り込んだところです。
 また、デジタル以外の分野の職業訓練でも、訓練カリキュラムに基礎的ITリテラシーの要素を加味することであるとか、説明会の開催や訓練修了者歓迎求人の確保といったハローワークの取組強化についても進めてまいりたいと考えております。私からの説明は以上です。座長にお返しいたします。
○藤村座長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について御質問、御意見あればどんどんお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。特にないようですので、次に議題(2)ですね。「令和4年度第2回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について」、事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。それでは、訓練企画室から議題(2)地域職業能力開発促進協議会の概要について御説明させていただきます。資料の10ページ、資料2です。昨年10月に法定化されました都道府県単位の協議会ですけれども、第2回地域職業能力開発促進協議会が、今年2月から3月にかけて全都道府県において開催されました。各都道府県の協議会とも、主な協議内容が3つあります。
 まず、1つ目ですけれども、令和5年度地域職業訓練実施計画の策定ということで、地域のニーズなどについて様々な御意見を賜りましたので、それを基に地域職業訓練実施計画に反映させていただいたところです。
 2番目の協議内容としましては、公的職業訓練効果検証ワーキンググループに関することです。地域協議会では、令和5年度から訓練コースの内容がニーズに即しているか、効果が上がっているかを検証するため、ワーキンググループで受講者や企業などにヒアリングをすることとしております。その取組の前に、対象とする職業訓練分野、ヒアリングの項目などについて意見交換いただいたところです。
 3つ目としましては、職業能力開発に関する様々な取組についての情報交換です。中でも多かったのが、地域リスキリング推進事業についてです。それぞれについて簡単に紹介させていただきます。
 資料については11ページ、別添1を御覧ください。1つ目の地域職業訓練実施計画につきましての御意見とその対応です。一番左側が、頂きました御意見で、真ん中が計画への反映状況などです。例えば、秋田では全国で最も人口減少や高齢化が激しいということで、介護分野の求人倍率が高く、今後とも介護分野の人材育成が必要という御意見がありました。そこで、地域職業訓練実施計画のほうには、「人材確保がより困難となっている介護等の分野・職種に重点を置くこと」と記載しまして、求職者支援訓練の規模の増加、あるいは、そういった訓練への受講勧奨・周知広報の強化に取り組むことを決めました。ちなみに、一番右側が令和5年度に入ってからの取組状況で、秋田ではSNSなども使いまして広報を強化したほかに、ハローワークの受講勧奨のために職員の理解を充実させるような取組もしているところです。そのほか、新潟では、先ほど岸本統括官からの挨拶にもございましたが、デジタル人材の確保・育成に関する御意見を踏まえた計画への反映、熊本では、半導体に関する企業の進出に伴ったニーズの御意見がございましたので、それに関しての計画への記載をしております。
 続きまして別添2、2つ目の協議内容です。令和5年度から地域協議会の下にワーキンググループを作りまして、企業や受講者の方々にヒアリングをし、効果検証をしていくこととなっております。このワーキンググループの活動前に、令和4年度のうちにどのような分野の職業訓練を取り上げていくかなどについて協議いただきました。対象とする分野で多かったものについて紹介しますと、デジタル分野やITを取り上げられているところが30県以上ございました。これはやはり現在のデジタル分野の人材が不足しているところで、そういった人材を増やす必要がある一方で、就職率を上げなければいけないという課題もあるので取り上げられた県が多かったものです。そのほかには、営業・販売・事務分野を選ばれるところや、介護・医療・福祉分野を取り上げられるところが多かったです。下側にありますけれども、ヒアリング等を行うに当たっての御意見もいただいております。例えば一番上、宮城では、ヒアリングする企業の選定に当たっては、大企業や中小企業といった、企業規模の区分も意識した選定をお願いしたいといった御意見をいただいたところです。
 それでは、13ページ、別添3です。これは、後ほど総務省さんからも御説明いただけるとは思いますけれども、簡単に御説明させていただきます。地域の人材確保のため、成長分野に関するリスキリング支援を自治体が行うと、令和5年度からその経費について特別交付税措置がなされることになりました。ただ、その前に地域協議会で話合いをして、地域職業訓練実施計画にその事業を位置付ける必要があるということで、地域協議会での職業能力開発関連の情報交換の中で、地域リスキリング推進事業に関して意見交換を行う事例が多かったです。幾つか御紹介しますと、例えば2つ目の今治市では、市内企業や団体に向けて脱炭素社会と経済成長の両立を図るためのシンポジウムを開催する事業や、4つ目ですけれども、豊田市ではデジタル化を牽引する人材育成のために、地元の大学とも連携しまして、市内の企業の従業員様向けの研修を新たに実施することとしたそうです。議題(2)につきましては以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。議題(2)について御意見、御質問があればお願いいたします。先ほど事務局からの説明にはありませんでしたが、京都の取組が、確か別添1で紹介されておりました。河島さん、もしここに書ききれていないことがあれば、お願いいたします。
○河島構成員 ありがとうございます。京都府の河島でございます。別添1で京都府の地域職業能力開発促進協議会の状況を御報告いただきましたけれども、御承知のとおり昨年度この場でも、いわゆる委託訓練と求職者支援訓練との関係、いろいろ制度上の違いがあるのですけれども、地域によって少し混乱が生じているといった実態については御紹介させていただいたところです。地域の協議会におきまして、早速この問題、皆様方のほうで取り上げていただき、最終的には制度改正を含めたところを考えていかなければいけないと思うのですけれども、まずは運用面で、国においてどのように行っていくのか、それから、我々自治体のほうがどのように連携、歩調を合わせてやっていくのかといったところを、関係の皆様方とも意見交換をさせていただいて、一定の改善の取組を、本年度、早速進めているところです。正に、言葉は適切ではないかもしれませんけれども、これまで形式的に行われていた地域の協議会、これが実質的な議論ができるような雰囲気が、少なくとも京都においては始まったのかなという感想を持っています。瑣末な話ですけれども、一応こういう状態でございます。
○藤村座長 どうもありがとうございました。そのほか御意見、御質問ございますか。どうぞ、山脇さん。
○山脇構成員 連合の山脇です。ご説明を受け、各地域で積極的に取組を進めていただいていることが改めてよく分かりました。また12ページには公的職業訓練効果検証ワーキンググループでの効果検証に当たっての意見を記載頂いております。先ほど室長から1つ目の御意見を紹介いただきましたが、それ以外で2つ目のマルには就職後の長期スパンでの追跡調査が必要という意見、3つ目のマルにはヒアリング項目の追加として、訓練受講、賃金や雇用形態にどういう影響を与えたかどうか調査ができると良いという前向きな提言をいただいているところ。効果検証の対象として選定された分野に限らず全ての分野に共通する課題であると受け止めております。こういった意見を踏まえて厚労省として今後どのように対応していくのか、お考えがあれば伺いたいと思います。以上です。
○藤村座長 いかがですか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。ワーキンググループの取組につきましては、各地域協議会が10月、11月に開催されるのですけれども、そちらでどのような御意見があったか、どのような改善をするかについて提示しまして、また、地域協議会の中で御議論いただくこととなっております。その情報につきましては、中央の協議会にも第2回でお示ししますけれども、好事例がありましたら、それをほかの地域協議会に横展開するなどの取組をしていったり、あるいは、制度改正に何かつなげなければいけない事項がありましたら、こちらの本省のほうでも考えたいと思います。以上です。
○藤村座長 山脇さん、よろしいですか。
○山脇構成員 是非、今後に活かせるよう、中央協議会でも議論できればと思っております。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。そのほか、ございますでしょうか。平田さん、どうぞ。
○平田構成員 経団連の平田です。御説明ありがとうございました。各地の取組を御報告を興味深く拝見しました。別添1でいくつかの県の「状況」「御意見」「対応」「取組状況」がまとまっています。いずれも何か特徴があるからこそ、ピックアップされたと推測しています。他方、例えば首都圏の取組の紹介がないと受け止めました。全て御紹介いただく必要はないと思うのですけれども、全体を俯瞰できる資料はあってもよいのかなと思いました。今すぐにではなくても構いませんので、今後改善していただければと思います。
○藤村座長 どうぞ。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。全国の状況につきましては、参考資料3、107ページからですけれども、非常に細かい資料にはなるのですけれども、こちらに付けております。これは、やはり地域協議会にもバックしまして、こちらの好事例は横展開させていただければと思っております。
○平田構成員 きちんと読んでいないこと、失礼しました。
○藤村座長 そのほかございますでしょうか。北村さん、どうぞ。
○北村構成員 全産能連の北村です。今、山脇さんの御指摘があった12ページの効果検証の所の一番最後です。介護・保育分野は、なかなか定着率がよくなくて、この事業、当然入り口の職業に就くところをメインにフォローアップしていただいていますけれども、一方で、長く定着して頂きたいということで、就業中のストレス、メンタルのところをフォローアップするような形の事業も、少しその先を見てやっていくような取組をしていただくと、大変ありがたいと思っている次第でございます。以上です。
○藤村座長 何かございますか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。確かに定着については重要な問題かと思います。ハローワークの取組で定着までは行き届いていないかもしれないですけれども、少なくとも就職して間違えた、こんな職場ではなかったと思うことがないように、ハローワークのほうでは、職業についてよく御理解いただいて職業紹介させていただいたり、訓練を受ける前にも、当然、こんな訓練を受けるとこんな仕事になるよというような、将来の展望を描かせてから受講あっせんするようにしたいと思っております。以上です。
○北村構成員 ありがとうございます。
○藤村座長 そのほか、いかがでしょうか。議題(2)よろしいですか。
 では、議題(3)に行きたいと思います。「令和4年度公的職業訓練の実績」について、事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 私からは議題(3)について御説明させていただきます。資料3-1の15ページを御覧ください。直近の公的職業訓練の実績ということで、資料を2つ付けさせていただいておりますが、15ページの資料3-1につきましては、離職者向けの訓練に特化してお示しさせていただいております。
 まず、離職者向けの訓練。都道府県や国の施設内の訓練と、それから都道府県からの委託訓練、求職者支援訓練を全部合計してどのくらいの規模で行われたかというのを、最初の15ページにまとめさせていただきました。
 一番下から2番目の行を御覧いただきたいのですが、受講者数は、1年度間で12万4,194人で、これは令和3年度から比べると4%増となっております。それを更に、どのような分野の訓練を受けたかということで分野ごとに御覧いただきたいのですが、一番多かったのが営業・販売・事務分野で3万4,000人ぐらいと全体の4分の1ぐらい、次がIT分野で1万9,000人ぐらい、次がデザイン分野となっております。
 この順番ですが、令和3年度は1番と2番は一緒ですけれども、3番は、実は介護・医療・福祉分野でした。ただ最近は、やはりデザイン分野、Webデザインを中心に受講者の希望が多いことや、この分野の定員を増やす取組を行っていることから、令和4年度については1万4,000人で、3番目に多いという状況になっております。
 続きまして、次ページを御覧ください。今、御覧いただきました離職者向けの職業訓練につきまして、今度は制度別にお示しさせていただいたものです。最初の16ページのほうは、民間の訓練機関様にお願いして、実施している公的職業訓練でして、左側のカテゴリーが委託訓練、右側が求職者支援訓練になっております。先ほどと同じように、分野ごとにお示ししておりまして、受講者数だけではなく、応募倍率、これは定員に対してどのくらい受講を申し込んだ人がいたかという割合と、定員に対してどのくらいの受講者があったかということを示した定員充足率、それから、最後に就職された方の割合ということで、就職率もお示しさせていただいております。
 応募倍率と就職率について、特に御覧いただきたいと思います。高いものを赤色で、低いものを緑色でお示しさせていただきました。受講者数の多い分野に限って御覧いただきたいのですけれども、例えばIT分野やデザイン分野は、応募倍率が赤が付いていることが多く、委託訓練も求職者訓練もどちらも応募が多かった分野です。片や、特にデザイン分野なのですが、就職率は緑が付いていますので、低い状況です。逆に、介護・医療・福祉分野を御覧いただきたいのですが、応募倍率は低いけれども、就職率が高いというのは、都道府県の委託訓練も求職者支援訓練も同じような状況です。この資料3-1につきましては、また議題(6)のほうで御説明したいので、ここまでとさせていただきます。
 次のページからが施設内の訓練です。都道府県の施設内訓練と国の施設内訓練についての同じく受講者数と応募倍率等々です。さらに資料3-2ということで、在職者訓練、離職者訓練、障害者訓練、学卒訓練のそれぞれについて、詳細な資料を付けさせていただいております。お時間があるときに御覧いただきたいと思います。実績は以上になります。
○藤村座長 ただいま御紹介いただきました議題(3)に関わる部分、公的職業訓練の実績で御質問や御意見をお出しいただきたいと思います。佐久間さん、どうぞ。
○佐久間構成員 全国中小企業団体中央会の佐久間でございます。16、17ページでしょうか。この資料ですけれども、これは重要な表なのではないかなと思います。今日拝見させていただいた資料で、103、104ページ、これは後ほど説明があるのかもしれませんが、これを就職率と応募倍率についてマトリックスで表にしていただいて、要因をすごく分析する。それによって104ページなどでは、どのようなタイプのものが実施計画で取組状況になっているか。方向性として分かりやすくまとめていただいたのではないかと思います。16、17ページの表だけで、私は拝見させていただいたときに、これは応募倍率の人気があるというか、これから取り組まなければいけないと思っている受講される訓練生の方々が、IT分野やデザイン、それから、相変わらず理容・美容などは結構高い数値を示しています。ただ、就職率については、希望は多くてもこちらの就職率が低かったり、または低いように思えるのです。いろいろなタイプがありながら、特に開きが多いのが「デザイン分野」です。これは公共職業訓練、都道府県委託訓練や、それから求職者支援訓練などを見ても、やはり89.8ぐらいの開き、パーセンテージのそのただ単に差し引きなのですけれども。それから、デザイン分野についても、求職者支援訓練も92.7、145.3から52.6を引くと92.7、かなり開きが出てきているのですね。
 こういうところのタイプを見ていると、開きが多いところというのは、やはりその応募に対して、実際に就職した所が合わないのか。また、受入企業側の母数自体が少ないのか、そういうことによって出てくるのではないかと思いますけれども。その辺の要因というのが、この104ページのほうでは、その取組の開始時間を早くしたり、そういうことはあると思いますけれども。何かこの根本に「マッチングの不適合」というか、メニュー、例えばITでも、いろいろなタイプがあって、Excel的なものとか、もう少し高度なプログラミングを組んでいきたいとか、そういう部分についての企業との想いと、それから、受講生・訓練生がせっかく技術なり技能を身に付けたときに、企業と合っていなくて、この後もまた就職したけれども、こういう所については離職率も高くなってしまうのではないかと。こういう何か一連の現象というか、傾向についてが、どのように考えていけばいいのか分からないものですから、漠然たる質問で申し訳ないのですが、教えていただければと思います。
○藤村座長 御説明をお願いします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 御指摘をいろいろとありがとうございます。お答えする前に、一旦、すみません。私の説明がまずかったかもしれませんので、資料の16ページについて、もう一回データの見方を御説明させていただきます。
 まず、応募倍率というのは、100人の定員がもしあったとして、そこの定員に対して何人の御応募があったかということです。ハローワークを通じて申込みいただくのですが、例えばデザイン分野の156.8%とあるのは、100人の定員に対して、156.8人の方に応募いただいているような状況です。ですので、100人しか受けられないので、実際には56、57人の方は、受講できないというような状況です。片や就職率は100人の方が最後まで受講されて、就職されたのは、そのうちのデザインの委託訓練の場合であると67%なので、67人だったということなので、単純に応募倍率と就職率を差し引きしていいかというと、そういう訳ではないというのは、まず御理解いただきたいと思うのです。でも、おっしゃるとおり、とても人気があって、100%に近い定員を確保できている、定員に対する受講者を確保しているにもかかわらず、就職率が低いというのは、たくさん受講者がいたのに就職できなかったという意味では御指摘のとおりかと思います。ということで、やはりデザイン分野やIT分野については、今後とも就職率を高める取組がないといけないのかなというのは、こちらとしても思っているところです。
 先ほども少しお話がございましたけれども、やはりITとかデザインというのは、なかなか就職される方というか、御希望になられる受講者の方も、どのような仕事に就くかというイメージがつかまえづらかったり。あと、IT企業やデザイン企業だけではなくて、そのスキルを持って普通の会社にも入れるにもかかわらず、企業様のほうでも、なかなか受講生を採っていただけることにならないということです。求人者側と受講者側の意識のミスマッチのようなものが若干起きているのは確かです。そういったところはハローワークでも、受講勧奨するときに丁寧に御説明したり、あるいは求人確保をするときにも、この訓練を受けると、このようなスキルが身に付いた方々が出てきますということを御説明して求人確保につなげるとか、そういった取組を今後とも強化していきたいと考えております。以上です。
○佐久間構成員 ありがとうございます。よく分かりました。応募倍率について、定員はもちろんあるので、ただ、やはり人気の職業形態というか、分類があるわけで、そこに応募が殺到するというか、多くなる傾向は若干あると思いますけれども、それについて就職率というのが、まだまだ低く、マッチングさせながら推進していただくようお願いしたいと思います。ありがとうございました。以上でございます。
○藤村座長 私は人事管理の研究をずっとしてきておりますが、求人を企業が出すときに、割と曖昧な形でハローワークに求人票が出てくるのです。極端な話、いい人が欲しいと。いい人というのはどういう人ですかという、その辺の分解がちゃんとできていないので、応募する方も、ざっくりした求人の言葉を見て応募する。しかし、企業側が求めているのは必ずしもそういう人ではなかったということが起こっています。求人情報の出し方をもう少し会社側も工夫する必要があると思っております。そのほかはございますか。清田さん、どうぞ。
○清田構成員 日本商工会議所の清田でございます。こちらの公的職業訓練というのには、日商としても非常に大きな期待を持っております。御案内のとおりと思いますが、今、非常に中小企業は人手不足という状況の中で、新たに人材を確保する視点に加えて、在職者訓練も含めて、今いる従業員の能力を高める視点でも、地方を含む中小企業の能力向上という点で非常に大きな期待をしているところです。引き続きの取組をお願いしたいところです。
 1点、今、御議論がありましたけれども、応募倍率、就職率を踏まえた中で、定員充足率について、応募倍率と定員充足率の差を見るのか、定員充足率と就職率の差を見るのか、またはその両面かもしれませんが、できる限り定員充足率というのを高めるような検討を、今後継続していただければと思っております。コースの内容、施設の状況などもあり、原因はさまざまと思いますが、受講者のニーズと就職率から見た企業側のニーズを分析し、定員充足率の向上をお願いします。私からは以上です。
○藤村座長 何か事務局からございますか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。できる限り訓練のほうの定員充足率については高めるように、ハローワークでも受講あっせんを頑張っていきたいと思っております。以上です。
○藤村座長 そのほかに御質問や御意見、では、河島さん、どうぞ。
○河島構成員 少しその前の話でお聞きしたいことがあるのですけれども、正に職業訓練の就職率を高めていく上では、求職者、それと求人企業のニーズをそれぞれ合致させることが必要です。先ほど座長もおっしゃったように、我々もいろいろ現場でやらせていただいている中の、特に今回出ておりますITとかデザイン分野、デザイン経営という言葉があったり、DXという言葉があって、企業の皆様方は、非常に期待をされておられます。
 ただ、正直なところ、自社においてどの程度のDX人材、あるいはITの熟度が必要なのか、どういった分野でそのデザイン的な能力が必要なのか。それをしっかり考えて求人票を作っていこうとすると、それなりの業務の切り出しであったり、業務分析をした上でないとなかなかうまくいかない。でも、そこがなかなかノウハウをお持ちではない。我々自身も限られたリソースの中で、企業支援をさせていただいている部分ではあるのですが、なかなかそこは、正直追い付かなくて、結局、結果的にミスマッチ。いいものをやるのだけれども、結局、出口のところに来たときに、企業さんのほうは、その技術力、知識力というよりは積極的な人材みたいな、抽象的な話が優先されてくるといった実態がある。そういった企業さんに対しての業務の切り出しとか、あるいは分析的な部分でのアプローチ、何か新たなこととか、既存の部分の拡充みたいなことでお考えのことがあれば、教えていただければと思います。
○藤村座長 鶴谷さん。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。まず、求人を受け付けるという関係でございますが、やはりDXというか、ITの関係は非常に技術も進歩しておりますので、なかなかハローワークの職員の理解が追い付かないと、きちんと求人を受けられないということにもなってまいります。ハローワークの職員へは、IT関係やデジタル関係の理解や知識を増やさせるような取組というのも、今、正にやっているところです。
 これは求人を受け付ける所というか、就職をあっせんする所の取組なのですけれども、それ以外に後半で、企業の中でどのように人材育成をしていいのかという、悩みのようなものがあるというお話が、先ほども少しあったかと思います。そちらについては、実はJEEDの生産性向上人材育成支援センターのほうで正に今やっていますので、私より多分JEED様のほうから御説明いただいたほうが上手かなと思いますので、お願いいたします。
○藤村座長 須摩さん、どうぞ。
○須摩構成員 JEEDの須摩でございます。今おっしゃっていただいた話であるとか、その前段の応募倍率と就職率の乖離等、私どもも施設内訓練や求職者支援訓練等で、かなり課題になっているのですけれども、やはりそちらの乖離につきましては、企業さんが求めるのは、比較的ITだとかデザイン分野ではかなり専門性が高い方を希望されていると。一方で訓練現場のほうでは数箇月でそこまで届かせるかというと、なかなか難しい場面があって、そこで今、若干乖離があると。
 それから、私どものほうでも、難しいと思うところは、特にITやデザイン分野で受講を希望される方は、比較的リモートワークなど出社しないことを希望されている方が比較的多くて、そういう求人は、さほど多くないというのがあって、どうしても乖離が出てしまうと。
 それから、e-learningやオンライン訓練の課題としては、訓練実施機関がどこの受講生でも受け入れられるので、就職するに当たって自分の地場であれば、ある程度就職の支援はできるのですけれども、全国で就職に至るかというと、難しい面とかあったり、また、ITはITで新たな課題が出てくるということも、先ほどからの関係で私が今思っているところです。
 それと後半で、企業の中でどうやって人材を育成していくかという部分につきましては、私ども、特にものづくりというところに特化して施設内訓練をやっている所ですので、ITというのは目標ではなくて、ものを作っていくなり、業務を行っていくなりの手段やツール等という部分がかなり高い所でして。やはり会社におけるそれぞれの立場や、やっている業務の中で業務に精通した人が、その仕事ごとに必要なITを身に付けていくことが極めて重要と感じております。先ほど御紹介いただいた生産性向上人材育成支援センターの生産性業務課のほうでは企業さんのほうに出向いて、悩みを直接伺って、それで、まず生産性向上支援訓練を受けていただいて、こういうやり方があることを見ていただいた後に、私どものより高度な在職者訓練を受講いただいて、それぞれの現場に合った訓練を実施していただくような仕組みづくりを、今、構築しつつあるというところです。以上でございます。
○藤村座長 よろしいでしょうか。平田さん、どうぞ。
○平田構成員 応募倍率と就職率の関係は興味深く拝見しました。「介護は応募倍率が低くて就職率は良い」「デザインは応募倍率が高くて就職率は良くない」ようなので、就職という出口を意識した職業訓練は非常に大事だと思いました。
 もう1つ気になったことは、応募倍率は高いものの残念ながら就職率はよくないケースです。訓練がニーズに沿っていないのかもしれません。デザイン分野に求人があまりないのであれば、こういったデザイン分野の訓練は減らすアプローチもあると思います。職業安定局との協力も大事であるという感想を持ちましたので、お伝えしておきたいと思います。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。何かありますか。手が挙がっていますか。堀さん、どうぞ。
○堀構成員 ただいまの皆様の御議論を、大変興味深く拝聴いたしました。ミスマッチにつきましては、今、御指摘があったような訓練内容のミスマッチもあるのだと思いますけれども、そもそも誰がどういう訓練を受けているのかという属性につきまして、データをお示しいただきますと、大変、更に議論が深まるのではないかと感じた次第であります。一般的には、多分IT系は若い方が受けているのだろうと推測するところなのですけれども、年齢・性別辺りはそのようにお示しいただけるかなと思いますので、是非、次回御検討いただければと思っております。
 また、それと同時に就職率は、もちろん職業訓練は就職のために行われていることではあるのですけれども、ただ、訓練機会を公平に配分していくのも公的職業訓練の重要な点だと思いますので、就職率と同時に、もう少し幅広い観点から検討していくということもお願いできればと思っております。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。いかがですか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 皆様、いろいろとありがとうございます。先ほどの平田委員のほうからも御指摘がございましたデザインの分野に関しましては、おっしゃるとおりで、就職率がかなり低いような状況ですので、まずは定員を増やすこともそうなのですけれども、そのデザインの訓練が本当に社会に合っているのかどうかというのは、今後ともよく分析していきたいと思っております。
 また、今回、地域のほうの協議会でも、ワーキンググループなどで個別のカリキュラムなどを見ていく中の結果も上がってくるので、その中で、もし何かいい情報があれば、それも使って、今後の改善につなげていきたいと考えております。
 次に、堀委員から御指摘がありました受講者の属性なども勘案して、よく考えたほうがいいのではないかというお話がございました。先ほど説明を省かせていただいていたのですが、資料3-2、18ページから、細かい実績を載せさせていただいておりまして。例えば離職者の訓練ですと、33ページに入校された方や就職率に関して、年齢と女性か男性かということと、分野別のかなり細かい数字を載せさせていただいております。おっしゃるとおり、ITだと若い方が多いとか、そういうことが分かるのですけれども、今後とも職業訓練のいろいろな分析を深めていきたいとは思っております。以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。そろそろこの議題(3)はよろしいですか。では、次の議題(4)にいきたいと思います。「今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告」です。総務省、文部科学省、経済産業省からそれぞれ御報告いただきまして、後にまとめて意見交換をしたいと思います。まずは総務省から説明をお願いいたします。
○総務省石川自治財政局調整課長補佐 地域におけるリスキリングの推進に関する地方財政措置についてです。地域に必要な人材確保のため、デジタル・グリーン等成長分野に関するリスキリングの推進に要する経費に対して、令和5年度より特別交付税措置を講じております。地域におけるリスキリングの推進に関して、各地の地域職業能力開発促進協議会において議論され、取組が進められているということで、大変感謝をしております。本事業は、厚労省と連携し、新たに取り組んでいるものですが、本日、中央職業能力開発促進協議会で説明される各施策と有機的に連携させ、各地域の取組が進むことを期待しております。
 概要ですが、対象の事業としては、①経営者等の意識改革・理解促進、②リスキリングの推進サポート等、③従業員の理解促進・リスキリング支援を対象としており、地域職業訓練実施計画に位置付けられる地方単独事業を対象としております。
 地方の対象事業例としては、機運醸成や裾野を広げるというような例示が並んでいます。地方の取組と国の取組が合わさって、リスキリングの推進に向けて施策の充実を期待しているところです。
 先ほど、厚労省から本年2、3月に実施された地域職業能力開発促進協議会において説明された、具体的な地域リスキリング推進事業の事例の説明がありましたが、DXの取組もそうですし、GXに関しては最初の取っ掛かりのシンポジウムであったり、自動車や住宅といった個別分野のGX化への対応の取組といった報告もありました。各地域産業のDX化、GX化と成長分野の取組が進むよう、各地域のニーズも踏まえながら対応いただきたいと思っております。令和5年度の地方財政措置の対象事業として地域職業訓練実施計画に位置付ける機会は、この秋の地域職業能力開発促進協議会が最後のチャンスになります。
 各都道府県の地域職業能力開発促進協議会の担当者の参考となるよう、各都道府県の財政当局が総務省に報告する様式を、参考までに添付させていただいておりますが、当該財政措置の対象となるには、地域職業訓練実施計画に位置づけられていることが条件となりますので、各都道府県において地域リスキリング推進事業に位置付けられる事業について、最後までよく検討いただきたいと思っております。また、来年度に検討いただく事業についても、この中央職業能力開発促進協議会、地域職業能力開発促進協議会で意見交換いただいて、年明けの第2回地域職業能力開発促進協議会に向けて、各都道府県において市町村に紹介いただくなど、地域のリスキリングの推進に努めていただければと思っております。
 最後になりましたが、中央職業能力開発促進協議会の構成員の皆様におかれましても、引き続き各労働局、各自治体、各支部等、関係の団体にも共有していただいて、各地域の実情に応じたリスキリングの推進への御支援をよろしくお願いいたします。以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。続いて、文部科学省からお願いいたします。
○文部科学省石橋総合教育政策局生涯学習推進課長 文部科学省でございます。文科省の御説明は66ページから準備しております。
 67ページは現状です。リカレント教育の現状ということで、少し古い数字になっていますが、41万人の方が大学・専門学校等で学んでいただいているという状況です。
 次のページ以降が、今動いている令和5年度事業の御説明です。69ページを見ると、成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業ということで、5つの事業実施内容のメニューを準備して取り組んでおります。
 70ページを見ると、実際の採択機関数として、28の都道府県・63教育機関・88プログラム、総受講者数が6,400名ということで支援させていただいているところです。
 71ページは採択分布です。白い所が何も御支援できていないという所になるのですが、それ以外、日本全国こういう形で御支援させていただいております。
 72ページです。プラットフォーム構築支援事業ということで、大学、自治体、産業界、地方金融機関という4者で一緒に考えていただいて、実際の大学でのプログラムを実施していくというものとなっております。73ページに、今、取り組んでいただいている12の機関を御紹介していますが、京都府のほうは河島様の所でやっていただいているところです。74ページ、75ページは普及啓発等々になりますので割愛させていただきます。
 76ページです。「職業実践力育成プログラム」(BP)認定制度について簡単に御説明いたします。77ページ、これは社会人や企業等のニーズに応じて大学等が行う実践的・専門的なプログラムを、文部科学大臣が認定させていただき、その効果として厚生労働省様と連携させていただいて、教育訓練給付制度を頂けるというような形でやらせていただいております。このように、BP認定をされることで学びやすさが増しているということで、引き続きこの認定ができる良質なプログラムを増やしていきたいと考えております。連携については78ページに入れています。
 79、80ページです。文部科学省としては、社会人等の学び直しの情報発信をしていこうということで「マナパス」というサイトを立ち上げさせていただいております。これは経団連様のほうからも、やはり情報が少ないという御指摘を頂いておりまして、ここに実際にプログラムを載せて、社会人の方々等々が御覧になっていただいて、自分が受けたいプログラムを検索して探していただくという機能になっております。まだ少し見やすさなどは改善の余地があると思っておりますが、もし、このようなサイトがあるということをPRしていただけると有り難いなと思っております。
 82ページからが令和6年度の概算要求。83ページがリカレント教育等社会人の学び直しの総合的な充実ということで1枚にまとめているので、こちらで御説明いたします。左側の新時代の産学協働リカレント教育モデル開発支援事業ということで、これまでプログラムはしっかりと開発してきたというところがあるのですが、実際、企業から従業員の方を派遣していただいて、その後、どのように人事評価や給与などに反映されているかということを、やはりこれまでは補正予算が中心でしたので、息長く御支援できればと思っており、新規を1つ考えさせていただいております。
 新規を中心に御説明いたします。②に関しては新規ではないのですが、専門学校の教育分野8分野において、プログラム開発を提供させていただいているところです。
 新規は資料の下の青い箇所です。地域ニーズに応じたプラットフォームの構築支援は、再度、今までやってきたことを少しリニューアルして新規事業として要求しているということと、右側の「マナパス」のほうも充実を図っていきたいと思っております。残りの資料はその関連資料ですので、お時間のあるときに見ていただければと思います。御説明は以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。最後に、経済産業省から説明をお願いいたします。
○経済産業省金杉商務情報政策局情報技術利用促進課長補佐 経済産業省情報技術利用促進課でございます。当課は企業、産業のDX推進を担当しており、そのための政策としては企業のDX推進であったり、又はそれに伴って必要なデジタル人材の育成を両輪として施策とし展開しているものです。今日は、その中でも生成AI時代のデジタル人材の育成として8月に取りまとめて公表した報告書を御紹介します。
 91ページです。まず、有識者検討会、「デジタル時代の人材政策に関する検討会」は、もともと企業のDX推進の変化を踏まえて、新たな時代に即したデジタル人材政策の方向性について議論を行う検討会として、3年ほど議論を行ってまいりました。直近の上半期では生成AIが非常に話題になりましたが、政府でもAI戦略会議において、5月に暫定的な論点整理が公表されたところです。
 AI戦略会議の論点整理の1つに、デジタル時代の育成確保も重要であり、学びの指針となるデシタルスキル標準などに関して、生成AIの登場を踏まえ、必要な見直しを早急に検討すべきといったことが盛り込まれており、これを踏まえた形で生成AIの登場や、その進化を踏まえたデジタル人材の育成の在り方の影響について検討しました。こちらは6月から約2か月程度検討し、アジャイル的に報告書として取りまとめたものです。検討項目としては主に3点あります。
 まず、人材育成に係る生成AIのインパクトをどのように捉え、更に人材育成・人材スキルに及ぼす影響はどのようなものであるか、更には生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方について、どのように考えていくべきかということを検討してまいりました。
 簡単に検討経緯です。第1回においては、AI戦略会議の座長でもある東大の松尾先生に、生成AIの登場を踏まえたインパクトであったり、今後の方向性についてプレゼンいただき、その後、2回、3回と開発企業の日本マイクロソフトであったり、第3回では生成AIを実際に活用している企業の日清食品HD、中外製薬、パナソニックコネクトといった企業の方からヒアリングをしたり、第4回では教育コンテンツとして生成AIを活用しているエクサウィザーズ、グロービスといった方々にプレゼンしていただきながら検討してまいりました。その結果が92ページの報告書の概要です。
 簡単に御紹介します。生成AIの技術は、ビジネス機会の創出や様々な社会課題の解決などに資することが期待されているところです。そうした生成AIの利用を通じた更なるDXの推進に向けて、生成AIを適切に、かつ積極的に利用する人材・スキルの在り方について集中的に議論し、現時点で取るべき対応をアジャイル的に取りまとめたものです。こちらについては、一旦8月に公表したものですが、その後も利用技術は絶え間なく進展しているので、人材・スキルに与える影響については継続的に議論を続けていきます。生成AIがもたらすインパクトについては、(1)で紹介しています。生成AIはいわゆるプログラミング言語ではなく、自然言語で取り扱いますので、使いやすさによって年代を問わず広まり、専門業務の代替にも寄与するものです。特にホワイトカラーの業務を中心に、生産性や付加価値の向上等に寄与するもので、大きなビジネスの機会を引き出す可能性があるものと考えております。
 企業視点として、生成AI利用によるDX推進の後押しを期待されるもので、そのためには経営者のコミットメントであったり、社内体制の整備や社内教育のほか、顧客価値の差別化を図るデザインスキル等が重要になってくると考えております。
 (2)人材育成やスキルに及ぼす影響としては、生成AIの技術発展は非常に速いものなので、そうした技術変化のスピードのミスマッチに留意しながら、こうしたデジタルの進化の環境変化をいとわずに、主体的に学び続けるマインドが必要と考えております。また、新たに登場した生成AIを適切に使うスキル、いわゆるプロンプトと呼ばれていますが、この習熟とともに、もともと従来から人間として必要と言われている、いわゆるクリティカル・シンキングと言われている批判的思考能力も非常に重要になってくると考えております。
 また、生成AIによって自動化が進み、更に作業が大幅に削減されることが想定されるので、専門人材を含めて、人の役割はより創造性の高いものに変わって、人間ならではのクリエイティブなスキルやビジネス・デザイン等が重要になってくるものと考えております。こうした生成AIの利用によって、社会人が業務を通じて経験を蓄積する機会の減少を認識する必要もあります。
 こちらは(4)に記載していますが、生成AIを企業がDX推進に利用するために、部分的な業務効率化のみならず、全社的なビジネスプロセス・組織の変革、製品・サービス・ビジネスモデル変革につなげることが重要と考えております。まずは、こちらの生成AIを適切に使って、生成AIのリテラシーを有する人材を増やすフェーズだと考えております。そのため、その利用に当たっては、経営層の理解や社内体制の構築が重要と考えております。ここも重要だと思うのですが、企業価値の向上につなげるために、生成AIの利用スキルが、社員が身に付けるための社内教育であったり、担い手確保に取り組む大きな機会だと思っております。こうした生成AIをポジティブに使ってみるという前向きなトーンを、報告書では盛り込んでいるところです。(5)の報告書における政策対応については次ページ以降で御紹介しています。
 93ページ、デジタルスキル標準は昨年12月に策定したもので、デジタル人材として必要なスキルや学びの方針を定めたものです。中身としては大きく2つあります。左側のDXリテラシー標準では、経営層を含む形ですが、全てのビジネスパーソンが身に付けるべき知識・スキルを定義したものです。下の家の図のとおり、土台としてマインド・スタンス、3本の柱として、DXの背景、Whatとしてデータ・技術がどのように使われるか、それがHowとして利活用、どのように使われているかといった点です。更には、企業内でDX推進する人材としては、DX推進スキル標準として5つの人材類型に分けられております。いわゆるDXを推進するためにはIT知識が必要となるソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ、データサイエンティストに加え、その企業の課題とデジタルの技術を橋渡しするビジネスアーキテクトであったり、顧客視点で製品のデザインを担当するデザイナーといった役割も重要と考えております。こちらについては、冒頭の職業訓練のほうでもDSSの活用について御紹介いただきありがとうございます。策定して半年ですが、様々な民間の企業でも使われており、例えば教育現場においても、こちらのDSSにひも付けた形で教育コンテンツを展開されたり、又はDXを進めるユーザー側の企業においても、自社の人材育成のモデルとしてこちらを活用され、例えば旭化成、味の素、イオンといった企業では、自社の育成のモデルとしてこちらのDSSを活用しながら、自社の人材育成に取り組んでいるところです。こうした形で、様々な分野で、デジタル人材としての学びの方針の利用拡大をしてまいりたいと思っております。
 94ページです。先ほどの生成AI対応を踏まえて、早速、改訂しております。主な改訂点は赤字のとおりです。生成AIの登場を踏まえて、生成AI関連の記載について追記しています。
 95ページにおいて、経産省はデジタル人材育成のために、民間や大学等が提供している様々なデジタルスキルを学べるオンラインコンテンツをまとめたポータルサイトの「マナビDX(デラックス)」というものを提供しています。こちらは有償、無償を含めて約400講座ほどを現在掲載しているところですが、こちらにも生成AIへの関心の高まりを踏まえて、プロンプトエンジニアリングなどの技術が習得できる講座を順次追加しているところです。
 最後の96ページです。IPAが実施しているITパスポート試験についても生成AI対応について検討しており、まず、生成AIを踏まえたこちらのシラバスを改訂しております。そして、サンプル問題については、直近の8月31日に公開したところで、来年4月から、こちらの生成AI関連の問題も追加した試験を実施するという形でアップデートしているところです。経産省からは以上です。
○藤村座長 ただいま3つの省から説明がありました。御意見や御質問があればお願いします。よろしいですか。それぞれに取り組んでいただいており、DXという言葉がいろいろなところで踊っていて、一体、何をどうすればいいのか分からないまま進んでいるようなところがありますよね。具体的に分解して示していくことによって、働いている人たちも、こういうことをやっていけばいいんだというのが分かってくるかと思います。非常に多くの情報を提供されているので、これを受け止めるほうがちゃんと使いこなせるようにしていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 続いて、議題(5)「ハロートレーニングに対する民間教育訓練実施機関からの意見・要望及び回答」についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○松村人材開発統括官付訓練企画室長補佐 それでは、資料5-1、5-2について説明させていただきます。まずは、97ページの資料5-1を御覧ください。こちらにつきましては、厚生労働省において、この5月に新たに始めた取組ということで、御紹介させていただきます。議題(1)でも御報告させていただきましたワーキングチームと同様に、現場の声、訓練実施機関の皆様の声を頂く機会を増やして、施策の改善につなげていこうという趣旨の取組でございます。スキームとしましては、2にございますように、厚生労働省のホームページに直接御意見・御要望を送信できるフォームを開設いたしまして、お寄せいただいた御意見を半年に1度取りまとめて、対応結果、取組方針等々と合わせて公表しようといった取組でございます。
 次の98ページの資料5-2を御覧ください。この送信フォームを開設いたしました5月の中旬から8月末までの3か月半の期間に寄せられました主な御意見、御要望について御紹介させていただければという資料です。この間、頂いた御意見の件数自体は合計で110件となっておりまして、主なものとしては、この資料に記載の5項目でした。この5項目で全体の約6割程度を占めているところです。最も多かったのは、1つ目の委託費等の単価を上げてほしいという要望でした。こちらにつきましては、全分野、また全訓練コースの引上げとまではいきませんが、先ほど申し上げましたとおり、デジタル推進人材の育成のためにDX推進スキル標準に対応した訓練コースにつきまして、新たに委託費等の上乗せを行うといった拡充を令和6年度予算要求で計上したところです。
 2つ目です。申請書類や手続を簡素化してほしいという、業務簡素化に関する要望です。これらにつきましては、例えば求職者支援訓練におきましては、この7月から、これまで紙での提出をお願いしていた書類を電子メールで申請することを可能としたり、報告業務の一部効率化を行ったりといった取組を行ったところです。今後も引き続き簡素化を検討してまいりたいと考えています。
 3つ目です。就職率に応じた委託費の上乗せ措置の支給要件緩和に関する要望です。質が高く、就職につながる訓練を提供いただきたいという観点から、就職率に応じて委託費等の上乗せを実施しているところですが、この際の就職の定義を緩和してほしいといった内容の要望です。こちらにつきましては、その趣旨であるとか、また過去の会計検査院からの指摘等々も踏まえますと、一定水準以上の雇用期間や就職率を要件とすることには一定の合理性があると考えており、現状維持でお願いしたいといった内容にさせていただいております。
 4つ目です。ハローワークの受講あっせんに関する要望です。委託費等の金額は訓練修了者の数に左右されるといった背景から、健康状態が悪い方であるとか、受講意欲が欠如している方など、訓練を修了できそうもない方のあっせんは控えてほしいといった内容です。こちらにつきまして、ハローワークでは受講に必要な能力等がある方をあっせんすることとなっておりますので、引き続き丁寧な制度説明、適切なあっせんに努めてまいりたいといった回答としております。
 最後の5つ目です。応募者の確保に関する要望です。こちらも4つ目と同様ですが、委託費等の金額が受講者の数に左右されるといった背景から、要望を頂いているものです。こちらにつきまして、希望者が少しでも応募しやすくなるよう、訓練の開講時期を柔軟化することなどにつきまして、都道府県に検討をお願いしたりといったことに加えて、ハローワークでも引き続き制度の周知に努めてまいりたいと考えております。以上、厚生労働省における新たな取組として、簡単に御説明させていただきました。以上でございます。
○藤村座長 ありがとうございました。では、今御紹介がありました点について、御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ、河島さん。
○河島構成員 委託費の単価の引上げの所で、これも従来からいろいろ言わせていただいて申し訳ないのですが、今回、DX推進スキルの部分で上乗せ措置をしていただき、本当に感謝を申し上げます。ただ、もう1つ従来から申しておりますのは、やはり障害者訓練の所でございまして、個々の対応が非常にきめ細かくやらなければいけない部分、ともすると固定経費が上回ってくる状況がございまして、特に来年度、障害者の法定雇用率の引上げのタイミングにもなってまいりますので、そういった障害者の訓練の部分でもまた、御配慮をいただければ幸いかなと思っています。以上でございます。
○菊地人材開発統括官付特別支援室長 障害者訓練担当の特別支援室菊地でございます。今頂きました障害者訓練の委託訓練の単価の部分なのですが、単価自体の引上げというのは、ちょっとなかなかすぐには難しいのですが、上乗せという形で、今回令和6年度概算要求において、交通費ですね、講師の方が訓練の実施する場所まで移動するに当たって、結構交通費が掛かっているという現状を踏まえまして、その実費をカバーできるような形で、上乗せできないかというところに、概算要求させていただいております。以上でございます。
○河島構成員 ありがとうございます。もう一踏ん張りいただければ有り難いと思います。以上でございます。
○藤村座長 そのほかございますでしょうか。よろしいですかね。いろいろな意見が出てきて、要望が出てきて、それに丁寧に対応していくのは、とても大事なことだと思います。国の制度として、変えられるものもあれば、すぐには変えるのが難しい、あるいは少し時間が掛かるものもあります。ただ、実態に合わせてよりよい方向に改正をしていっていただきたいと思います。
 では、次に議題(6)になります。「令和6年度全国職業訓練実施計画の作成方針」について、事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 それでは、議題(6)の職業訓練実施計画の来年度の策定方針について御説明いたします。その前に、まずは99ページ、資料6-1を御覧ください。私ども公的職業訓練の関係で、今どのぐらいの予算を要求させていただいているかというところについて御説明させていただきます。令和6年度概算要求ですが、要求額は右の上側の1,186億円でして、前の年から比べると24億円増となっています。これは、デジタル関係の訓練の設定を増やすために、先ほどから御説明していますとおり、委託費等の上乗せ等もしていますので、少し予算が増えたものです。
 訓練の規模に関しては、その下ですが、全体では40.9万人の規模でして、前の年の令和5年と同じ規模です。細かい内訳としては、その下の箱の中を御覧いただきたいのですが、左側を御覧ください。離職者訓練については、実績を見ながら人員を少し減少させていただいていますが、在職者訓練はニーズが高いことから、少し増やさせていただいている状況です。
 このような概算要求の状況も踏まえつつ、実際にどのような策定方針にするかというところについて御説明させていただきます。資料は102ページで、資料6-2を御覧ください。令和6年度全国職業訓練実施計画の策定に向けた方針(案)です。まず規模ですが、今、概算要求で御説明させていただいたとおり、令和5年度計画と同程度の規模で人材を育成していきたいと考えています。ただ、どの分野について重点的に梃子入れをすべきかというところについては、様々な実績やニーズ、そういうものを踏まえて考えていきたいと思っています。
 実施状況の分析をした上で、どのような所に重点化するかですが、先ほどの資料3-1を思い出していただきたいのですけれども、例えば、受講者数が多くて、応募倍率、就職率に課題があった分野をどうしていくかについて考えていきたいと思います。103ページの参考を御覧ください。先ほど資料3で御説明させていただいた離職者訓練の分野別についての応募倍率と就職率について、細かく分析したものです。中でも民間の教育訓練機関にお願いしている訓練は受講者数が多いことから、ここでは左側の都道府県の委託訓練、それから、右側の求職者支援訓練を特別に取り出して分析したものです。グラフの見方としては、下の横軸というか、X軸が応募倍率でして、定員に対しての受講申込者の割合です。先ほどお話があったとおり、100の定員に対してあまりにも希望者が少ないと定員割れを起こしますし、逆に、100を超えて大層多い応募倍率となると、受講したくても受けられないという事態が発生してしまいます。
 横側の縦軸、Y軸は就職率でして、これはもちろんなのですが、高ければ高いほど良い、効果のある訓練ということです。点でそれぞれ示しているのですが、青色の点が令和3年度の実績でして、その後、令和4年度にどうなったかという動きをオレンジで示しております。課題になっていた1つは、応募倍率が低くて、就職率が高い分野の「介護・医療・福祉分野」です。左側を御覧いただきたいのですが、委託訓練については応募倍率が少し下がっている状況で、就職率は少し良くなったかなという状況です。右側の求職者支援訓練については、応募倍率は改善したのですが、就職率が下がってしまったという状況でして、この分野については、まだまだどちらも応募倍率が70%台ですので、課題が残っている状況です。
 もう1つ、「IT分野」と「デザイン分野」を御覧ください。まず、左の委託訓練の、特に「デザイン分野」を御覧いただきたいのですが、応募倍率が令和3年度は200%を超える応募倍率だったのですけれども、150%ぐらいにまで改善してきています。ただ、やはり100の定員に対してそれ以上の応募があるということで、まだまだ定員が足りない状況ではあります。また、IT、デザインとも言えることなのですが、どちらも就職率についてはほかの分野に比べてもあまり高いと言える状況ではありません。右の求職者支援を御覧いただきたいのですが、IT、デザインとも応募倍率が更に上がってしまったということで、ここは、やはり両分野とも設定を増やして定員を増やす努力が必要です。さらに、就職率については、令和3年度より令和4年度のほうが下がってきていますので、就職率を高める更なる措置が必要ということが分かると思います。
 ということで、こちらを踏まえて前のページに戻っていただきたいのですが、102ページです。令和6年度の策定方針として、実施状況の分析を踏まえた対応策です。最初は上側です。応募倍率が低く、就職率が高い分野であった「介護・医療・福祉分野」についてです。右側の箱を御覧いただきたいのですけれども、一部改善も見られますが、この分野の応募倍率はまだ70%台と低いことから、引き続き訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨の強化が必要です。さらに、応募倍率が低下してしまっている委託訓練については、受講しやすい工夫も必要と書かせていただいています。
 2番目です。応募倍率が高く、就職率が低い分野、「IT分野」や「デザイン分野」を想定しています。右側を御覧いただきたいのですが、高応募倍率が続いていますので、「IT分野」「デザイン分野」ともに一層の設定促進をし、定員を増やすことが必要です。他方で、特に「デザイン分野」なのですが、就職率が低いことから、求人ニーズに即した効果的な訓練内容かというところは検討が必要と整理させていただいています。さらに、就職率向上のためにも、受講希望者のニーズに沿った適切な訓練を勧奨できるように、ハローワーク職員の知識の向上とか、求人の確保といった取組の推進も必要と記載させていただいています。
 次ですが、計画していた人数と実績について、比べてどうかというところについて書かせていただきました。少し説明が漏れているのですが、委託訓練に関しては、令和4年度は受講者数が減少しているという状況です。ここについては、右側ですが、例えば開講時期を柔軟に設定する、申込期日で少し工夫する、あるいは、効果的な周知公報をすることで、受講者数増加のための取組をしていきたいということを記載させていただいています。
 最後に、産業ニーズ、人材ニーズの関係です。一番下を御覧ください。デジタル人材が質・量とも不足しているという状況ですので、右側、職業訓練のデジタル分野の重点化を進め、一層の設定促進が必要と整理させていただいています。以上が策定方針(案)ですので、御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○藤村座長 どうも御説明ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。重里さん、どうぞ。
○重里構成員 初めて参加させていただきます、全国専修学校各種学校総連合会の重里でございます。2点ほど御質問と御要望があります。まず、資料6-1の概算要求についてです。左側に公共職業訓練の所がありますが、その中でも、特に学卒者訓練の所です。私ども専修学校は、特に公共職業能力開発施設等における社会人入校率の低さを定期的に御指摘させていただいております。直近で申し上げると、社会人の入校率は8%だったと記憶しておりますが、ほぼ新規高卒者の入校で占められているというのが現実だと認識しております。それに対して、本来の趣旨から、新規高校卒業者ではなく社会人の入校率を上げるようにということを御要望申し上げております。今回、学卒者訓練というのは、もちろん高校既卒者、見込み者も含まれていると思うのですが、この2.1万人の中で、例えば高校既卒者、あるいは見込み者などという詳細な内訳がありましたら、御教示いただきたいということを1つお願いしたいと思います。
 もう一点は、デジタル人材の育成を強化していくに当たって、全体的なことですが、私ども専門学校として御質問というか、御要望を申し上げたいと存じます。特に、IT分野を対象としたデジタル分野の人材育成が急務であることは、国全体の課題でもありますし、これらの訓練を強化する、次年度の概算要求においても、拡充を図ることについては十分理解しております。一方、文部科学省における専修学校関連予算の概算要求においても、新規予算として、地方やデジタル分野における専修学校理系転換等推進事業として、規模は全く違いますが、現状では4.2億円が上げられております。IT人材は、推計で2025年で36万人、2030年で45万人が不足すると言われておりますが、その解消には専門学校においても育成するIT人材を増やす必要があるとして、IT以外の分野の専門学校からの転換、あるいは新設を促すという趣旨のものと認識しております。
 先ほども申し上げたとおり、かねてより私ども専門学校と、特に公共職業能力開発施設等とは、募集という点において競合し、各種の会議等においても、先ほども申し上げた新規高卒者の入校率よりも、社会人を増やすことをお願いしておりますが、今後この分野においてもお互いが拡充を図るとなると、ワーキングチームのヒアリングの課題にも出てきていたように、講師確保の問題であったり、あるいは、今後の対応策として挙げられております企業実習の課題、学生、訓練生の募集という観点以外にも競合する可能性は幾つかあるように感じております。
 例えば、専門学校においては、文部科学大臣が認定する職業実践専門課程という企業連携を柱とした制度があります。厚労省様からも、専門実践教育訓練給付金という形で御支援いただいておりますが、そこでは企業実習も必須となっております。その多くの企業実習をしていただいている企業には、大変御負担を掛けておりながらも、専門学校との就職を通じた信頼関係で成立している部分もあります。それが委託費の上乗せにより促進されますと、これも場合によっては問題が生じる可能性があると感じました。お互いが競い合って繁栄することは良いことですが、結果的に圧迫とならないように、こうした可能性のある問題を、特に地域の現場で共有いただくなど、きめ細やかな配慮を頂きながら進めていただくことを改めてお願いしていきたいと思います。以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 まず最初の、資料6-1の学卒者訓練の訓練規模2.1万人の中で社会人の部分がどうかということなのですが、あくまでも予算上ですので、その内訳に社会人分が何人というものの色分けは、特にありません。実際上どうなっているかというお話は、都道府県の訓練校等では、その地域の集まり具合等を見られて社会人枠を付けたりとか、募集年齢を少し上げたりとか、いろいろな工夫をなさっていると伺っているところです。
 後半の、民間の訓練機関と能力開発校との連携というか、重複のないような措置については、常々御指摘いただいているところです。私ども厚生労働省から都道府県、それからJEEDには、競合がないように調整をしましょうということについては通知させていただいていますので、引き続きその措置はやっていきたいと思っています。以上です。
○藤村座長 いわゆる民業圧迫にならないようにというのが重里さんの御主張かと思いますが、そこを十分に気を付けていただきたいと思います。そのほか、いかがでしょうか。北村さん、どうぞ。
○北村構成員 全産能連、JAD の北村でございます。昨年も申し上げたとおり、103ページのデータの所辺り、そして課題の整理の所は、まさにおっしゃるとおりだなと思います。そして、103ページのデータですが、介護・医療・福祉という形で3つのジャンルがくくってありますので、多分、中身で介護、福祉、医療という部分に分かれると思います。私どもが関連しているその下の医療事務とあるのですが、正に就職率が5ポイントぐらい落ちているという所を見ましても、医療部分の一分野ではありますけれども、そこの職業的な魅力とか報酬の所、当然、就労マーケットとしての需給バランスが大きく影響、変化しているのだろうなという形で見えております。詳細な中身データ、年齢別とかありますので、その辺をまた見させていただきながら、勉強させていただいて、分析しながら、おっしゃるように魅力ある職業とか必要なところを伸ばしていく努力は、私ども団体としても必要だなと思っている次第です。このような形で今後も検討させていただければと思います。以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。山脇さん、どうぞ。
○山脇構成員 連合の山脇です。方針策定にあたっては、非正規雇用で働く方や、障害を持つ方をはじめ、多様な事情を抱えていらっしゃる方も含めて、全ての求職者・在職者がしっかりと職業訓練の機会を等しく得られ、キャリア向上につなげていく仕組みの構築が重要と考えます。「人への投資」の中の重要な施策として職業訓練を更に活性化させていくべきと認識しております。
 こうした観点から、3点発言いたします。まず1つ目です。102ページの実績状況の分析にあるとおり、応募倍率と就職率には引き続き乖離が見られます。求人側のニーズに即した訓練コースとしていただくことが重要であり、ワーキングチームにおけるデザイン分野のヒアリングや、地域協議会におけるワーキンググループでの効果検証の成果も踏まえて、訓練設定のブラッシュアップを行っていただきたいと思います。
 つぎに訓練機関に関して申し上げると、やはり地域偏在がいまだに課題であると思っております。特にIT関係は地域偏在が顕著ですので、引き続き民間訓練事業実施機関の開拓やIT訓練の設定を促進していただくようお願います。併せて、就職率が高い分野を見ても訓練機関ごとに就職率はかなり差があるというデータもあります。就職率が低い機関の質の向上をいかに図っていくかも大きな課題であり、引き続き論点の一つとして議論できるようにしていきだきたいと思っております。
 最後は、非正規雇用で働く方の能力開発です。今年度の概算要求でも、101ページの記載の内容で要求していただいております。事業目的に記載されたとおり、正社員に比べて正社員以外が受けられる能力開発の機会は限定的です。同一労働同一賃金に関する法整備を踏まえ、企業の責任において適切に実施されることが前提ですが、101ページに記載のような仕組みを、軌道に乗せていくことが重要と考えます。次年度の計画策定に向けては、非正規雇用で働く方々にしっかりと焦点を当てた取り組みをお願いしておきたいと思います。
○藤村座長 事務局、いかがですか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 まず、就職率の向上ですが、おっしゃるとおりで、今後ともきちんと上げていかなければいけないと思っていますので、様々な詳細分析をさせていただき、改善につなげていきたいと思っています。1つ飛ぶのですが、訓練機関によっても差があって、質の向上を図るべきではないかというお話がありましたが、おっしゃるとおりです。先ほどの就職率の関係とも重なるのですが、我々が民間の訓練機関にお願いしている委託訓練と求職者支援訓練については、就職率に応じて委託費用を上乗せすることで頑張ってもらえるような取組を行ったり、ハローワークインターネットサービスで訓練コースの御紹介をするときに、各機関ごとの就職率を明らかにさせていただいて、就職率の高い訓練はどういう訓練機関がやっているものかが分かって、そこに申込みがしやすい環境を作っているところです。様々な努力をさせていただき、今後とも就職率向上に努めていきたいと思っています。
 もう1つ、IT関係の地域偏在のお話がありましたが、御指摘いただいたとおり、県ごとに見ると、実はIT分野の訓練が、都道府県の委託訓練あるいは求職者支援訓練で設定がないということもあります。そういうことがあると、受けたくても受けられない人が出てしまいますので、その地域に限っては委託費を上乗せする措置を取っており、なるべくIT関係の訓練ができそうな機関にお願いして、設定してもらえないかということを交渉している状況です。
 最後、非正規の関係でお話をいろいろとありがとうございます。ついでなので、宣伝させていただきたいと思います。資料は101ページです。こちらは、来年度の概算要求に、新規事業として盛り込ませていただきました。非正規というか、今働いている方が訓練を受けたいというと、受けられる方法としては、まず在職者訓練ということで、企業からの業務命令で訓練を受けてきなさいといって受けさせるというやり方と、ハローワークに転職目的で求職申込みをしていただいて、離職者訓練を受けるという方法と2つあるのですが、例えば、ちょっとスキルアップして非正規から正規になりたいと思う方で、転職目的とはしていないし、仕事も結構しているので受講時間がなかなか確保できないという方は、離職者訓練も企業経由で受けられる在職者訓練も受講しづらい状況があります。非正規の方でも、働きながら空いた時間に受講できる職業訓練を作ったほうがいいのではないかということで、どのようなものであれば受講できるかということを今年度5月から検討して、その結果、来年度要求させていただいたところです。
 中身としては、左下の(2)の所を御覧いただきたいのですが、非正規の方はなかなか時間が取れませんので、オンラインの訓練を実施して空いた時間に受けられるとか、スクーリング形式であっても、受講期間を長く取って、1日に少し、1週間に少し受ければ最後まで修了できるという訓練を設定することを想定して、トライアルで来年度、訓練を実施することを検討しているところです。以上です。ありがとうございました。
○藤村座長 山脇さん、よろしいですか。そのほか、ございますか。いろいろ御意見を頂きました。事務局におかれましては、本日頂きました御意見、あるいは、今後、各都道府県で開かれる地域職業能力開発促進協議会における議論も踏まえつつ、来年度の全国職業訓練実施計画について検討作業を進めていただきますようお願いいたします。本日、用意されている議題は以上ですが、全体を通して何か御意見、御質問があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、私から一言申し上げておきたいと思います。職業能力開発というのは、現場で行うOJTと、現場から離れて行うOFF-JTに大きく分かれます。今日、議論をしてまいりましたのは、OFF-JTの部分です。日本はOJT中心で人材育成をやってきたのは、確かにそうなのです。ただ、民間企業の現場を見ておりますと、OJTがうまく機能していないのではないかという気がいたします。その最大の理由は、人員がぎりぎりに絞られた状態で仕事が進められていることです。
 例えば、現状は6割か7割ぐらいの能力なのだけれども、「やってみるか」と先輩・上司から言われて、やってみていろいろな指導を受けながら能力を上げていく、これがOJTです。でも、ぎりぎりの人員で、しかも納期が厳しいとなると、100%できる人に任せるしかない。そうすると、できない人はいつまでたってもできないという状況があるように思います。正に日本の人材育成、能力開発の基本であるOJTの部分がこのままでいいのかと私は常々思っています。この場はその点を議論する場ではありませんが、厚生労働省として日本全体の能力、働く人たちの能力開発を考えていく上で、OJTの部分も視野に入れていく必要があると思っております。
 本日の議題は以上です。これをもちまして、「令和5年度第1回中央職業能力開発促進協議会」を終了いたします。事務局にお返しいたします。
○松村人材開発統括官付訓練企画室長補佐 藤村座長、どうもありがとうございました。また本日、御参加いただいた皆様におかれましても、長時間どうもありがとうございました。本日、頂戴いたしました御意見等を踏まえて、全国職業訓練実施計画の策定作業を引き続き進めていきたいと考えております。本日の議事については、皆様の確認を頂いた後、厚生労働省のホームページで公開させていただくとともに、併せて本日の資料とともに、本日の協議内容について、各地域で開催される協議会でも情報共有していきたいと考えております。
 なお、次回の開催については、来年2月頃を予定しているところです。別途、事務局から御連絡させていただければと思います。本日は、どうもありがとうございました。