第15回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年10月2日(月) 13:00~

場所

AP虎ノ門Aルーム(11F)
東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11F

議題

  1. (1)報告書案について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○船井主任中央労働衛生専門官 本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。定刻より少し早いのですが、皆様おそろいですので、ただいまより第15回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催いたします。本検討会ですが、会議の資料及び議事録は原則として公開でございますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日は、清水委員と森委員のお二方が御欠席ということでございます。あと、鹿野委員がオンラインでの参加となっておりますのでよろしくお願いいたします。また、今回、事務局メンバーに交代がございましたので御紹介させていただきます。新しく着任した小林安全衛生部長でございます。
○小林安全衛生部長 10月1日付けで安全衛生部長になりました小林でございます。よろしくお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 それでは、以降の議事進行につきましては、土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは、皆様よろしくお願いいたします。本日は、前回までの検討会において御議論いただいた内容を整理しました報告書(案)をもとに、取りまとめに向けた議論を行っていただくことを予定しております。では、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○船井主任中央労働衛生専門官 お手元にクリップどめの資料一式があります。1枚目が、いつもと同じように、議事次第と裏に資料の一覧が記載されております。今回は、資料1として報告書(案)でして、議論いただく資料はこの1種類となっております。前回までありました資料2につきましては、前回御議論を頂きまして、中身について検討会で合意いただきましたので、この資料1のほうに文字の色を変えて追加させていただいております。参考資料1、2は毎回お付けしているものです。開催要綱と検討会の考え方の基本的なポンチ絵ということになっております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは、議事の1番になりますが、資料1の報告書(案)について御議論いただきたいと思います。まずは、議論に先立ちまして、事務局から資料説明をお願いします。
○船井主任中央労働衛生専門官 それでは、お手元に資料1を御用意いただければと思います。個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書(案)です。1枚めくっていただいて目次があります。この部分は、前回出させていただいた資料から特に変更はありません。1の(1)という形で、検討会の趣旨や開催状況について記載しています。この黒字の部分は、前回出させていただいた資料から変更していない部分です。(1)の趣旨の所は、開催要綱に書いてあることを少し分かりやすく肉付けした内容になっています。
 4ページ目の(2)、(3)と続きますが、(2)は参集者のお名前、(3)は開催状況ということで、本日の15回までの各回について、開催日と議題のタイトルを載せさせていただいています。ちょっと長くなってしまいますが、前回も御説明させていただいたとおり、各回によっては関係団体の皆様にヒアリングをした部分があります。どういう団体にヒアリングをさせていただいたのかということが一覧で分かるほうがいいだろうということで、こういう形にさせていただいています。
 7ページ目の真ん中辺りから、個人事業者等を取り巻く安全衛生上の現状と課題ということで、大きく分けて6点ほど書かせていただいています。(1)については、災害の発生状況など、また、そういったものを網羅的に把握する仕組みがないので、その仕組みの構築が必要不可欠な状況について書いています。
 (2)については、個人事業者等の就業場所ということで、3割ほどの方が自分のオフィスなどではなく、どこかほかの企業やほかの現場、ほかの労働者と混在するような場所でも働いておられるということです。
 (3)が個人事業者が行う危険有害作業ということです。少なからずこういう作業をやられていますが、一方で取り扱う有害物の教育や説明を受けている割合は低調ですし、労働者であれば受けなければならない特殊健診に相当するものを受けている割合も極めて低調だという状況があるということです。
 (4)については健康管理の状況です。自治体などでやっている健診も含めて、何も健診を受けていないという方が大体3分の1以上います。1週間の平均の就業時間が60時間を超えるような長時間になっている割合、これも労働と比較して高い傾向にあります。あと、業務に関してストレスや悩みがあるという方も4割ほどいるのですが、労働者であれば申し出があった場合も含めて、受けることになっている面接指導やストレスチェックを受けたことがないという割合が97%や85%という形で、非常に高くなっているということを書いています。
 (5)ですが、これは請負における注文者との関係についてです。現場で初めて具体的な作業が分かるという、そしてそういうことが分からないまま発注されているといったような場合、また、契約の予定にないような作業が依頼されるような場合もあるというお話もありました。
 9ページ目の上の黄色い部分ですが、これは前回の山脇委員からの御指摘でして、過去の回でこういったような偽装フリーランスの問題についても御発言いただきましたので、その旨を書いています。
 あと、「更に」という所ですが、これは例えば重層下請の場合などで、直接の雇用関係にない下請会社さんの労働者の方が、安全上余り適切ではない作業をしていたときに、本来は安全上の指示をしたいわけですが、指揮命令に該当して偽装請負になってしまうのではないかということで躊躇しているという、そのようなお話もありました。
 (6)については、フードデリバリーの配達員やイーコマースの商品配送員に代表されるような新しいプラットフォーマーを介して行うような業務の形も増えてきているのですが、一口にプラットフォーマーと言ってもいろいろな形がありますし、個人事業者等が行う業務への関与の度合いというものもまちまちです。ですので、誰がどういう役割分担の下で、この作業をする方の安全性を確保すべきかというのが、なかなか明確になっていないのではないかと、こういう観点です。
 今、御説明したような点を踏まえて、この検討会においては、この黄色い部分で追加したとおり、労働者と同じ場所で就業する方、労働者とは異なる場所で就業する場合であっても労働者が行うものと同じような作業を行う方々、こういう方々については、名称というか契約上、労働者であるか否かにかかわらず、労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきである。それが、この検討会の検討に当たっての基本的な考え方であるという、その観点から、3-1にあるような検討を行って、結果として取りまとめたということを書いています。
 こういったものについては、制度や仕組みを見直すこと及び取組を進めることが適当とされた事項、これは私どものほうで速やかに必要な法令改正や予算措置等を行うべきであるということで、御提言を頂いています。
 9ページ目の一番最後のまた書きですが、これは前回、土橋座長からもコメントがありましたように、施行に移す中で措置等の改善が必要になれば見直しを行いますし、個人事業者等における安全衛生の確保に向けて、不断の見直しを行うべきであるというお話がありましたので、それも追記をさせていただいています。
 3-1以降は、具体的な論点について書いています。これはちょっと長くなりますので、変更点を中心に御説明します。(1)のアですが、この黄色く書いた所は中身は特に変わっていないのですが、この報告制度において、脳心・精神事案については別途出てきます本人から監督署への情報提供ができるという仕組みを作ろうということでしたので、従来、ここは対象外という書き方をしていたのですが、検討の経緯を御存じない方が読むと、それはもう全くやらないのかというふうに見えてしまうので、そういうことがないように、後できちんと出てくるということを追記をしました。
 イの報告主体ですが、報告主体を選ぶに当たっての基本的な考え方を一番初めに書いた上で、その後、個人事業者が亡くなってしまったような場合について、御自身で伝達、報告が不可能な場合における報告主体をどうするのか。その次に、個人事業者自身が、災害の事実を伝達、報告できるような場合の報告主体をどうするか。あとは、個人事業者等の「等」に該当する部分ですが、中小企業経営者や役員であるような場合、所属母体があるような場合、報告主体をどうするかということを順に書いています。
 なお、11ページ目の下のほうにある黄色いマーカーは、これはテクニカルな修正でして、業種・職種別団体というものがこの報告書(案)の中でたくさん出てくるのですが、この定義の部分が一番初めになかったので、そこに持ってきたということです。
 あとは、報告対象外の災害についてどうするのか、報告主体になる特定注文者や災害発生場所管理事業者についての考え方、13ページに移りまして、報告時期や罰則の話、報告事項の話という形で続きます。報告事項については、前回、青木委員からマル3の所にあるように、建設業では余りないのかもしれませんが、いろいろなフィールドで活躍される個人事業者の中には外国人の方もいらっしゃるだろうということで、災害報告、災害の把握に当たりましては、外国人であるかどうかということを把握できたほうがいいのではないかということで、労働者死傷病報告で御報告いただくこととしています国籍、地域や在留資格についても同じように把握するということで、報告事項に含めさせていただきたいということで、こちらに書かせていただいています。
 次の14ページ目のカです。報告を行ったことによる不利益取扱いの禁止ということですが、この部分については、前回、資料2で個別論点ということで御議論を頂きました。この中身については大筋合意いただいて、こちらに移したわけですが、その際に2つ目の○の最後のほうにありますとおり、鹿野委員から法令上、不利益取扱いはできないということを書くのだということで、では不利益取扱いとは何なのかというのは、通達等でお示しするということだったのですが、これは条文上、代表的なものというのは不利益取扱いの前に「○○のような不利益取扱い」という形で書くべきではないかということで、その旨を書いています。それ以外の該当するものについての全体像は、通達等でお示しするということで変わりはありません。
 キの部分ですが、これはちょっと細かい修正を入れていますが、1つの文書が長くて、誰が誰に対して情報共有することが望ましいのかということが、ちょっと分かりにくかったので、文言を追加して分かりやすくしたという修正です。
 15ページ目の(2)については、脳心・精神の事案に関する個人事業者自身から監督署に報告できるという規定の仕組みの部分です。こちらも、報告事項については外国人かどうかという部分を並びで追加をしています。
 16ページ目の(3)ですが、業務上災害の分析ということで、この報告制度によって把握したものについてはきちんとしっかり分析をしますし、前回、大木委員からも御指摘がありましたように、集めたものはしっかり分析をして公表していくということも書かせていただいています。
 今、申し上げたのが報告制度関係ですして、3-2からより具体的な措置になってきます。この部分については、(1)ですが、まず個人事業者自身による措置やその実行性を確保するための仕組みとして、機械の関係や健診のこと、有害作業の教育の関係も書いています。17ページの一番下にありますように、個人事業者の方が混在作業を行う場合の扱い、それから次の18ページ目の1個目の括弧にありますように、事業者が作業の一部を請け負わせる個人事業者に対して講じる措置への個人事業者の対応ということです。これは最高裁判決を踏まえて、省令を改正した22条関係の規則に基づいて、いろいろな取組を事業者さんに新たにお願いをしました。それに対して、例えば保護具が必要であるということで周知を受けた個人事業者さん、若しくはこの場所には立ち入ってはいけないということで、立入禁止措置を講じられた場合における個人事業者さんの対応がどうあるべきかということを、労働者との並びも踏まえて整理したということです。
 18ページ目の下ですが、(2)注文者(発注者)による措置ということです。注文者の責務というのは、既に安衛法上あるわけですが、これは条文の記載上、あたかも建設工事に限定しているように字面だけ見ると読めてしまうので、そういったことがないように、しっかり周知していくということや、その配慮の中身、無理な工期や納期の設定、変更も含めて、そういった部分も入るということです。あと、注文者と一口に言っても、仕事を注文するときに、この真ん中辺りにあります作業場所を指定するような場合や、作業方法、機械設備、原材料を指定する、しないということで、実際に受けた仕事を行う個人事業者さんの仕事の中身、若しくはその作業に伴うリスクが大分変わってきますので、こういった状況も踏まえて、具体的措置内容というのは明確化したほうがいいのではないかといったようなことも書いています。
 それ以外にも、20ページにありますように、混在作業の連絡調整、建設業等以外の業種の混在作業における連絡調整ということで、建設業や造船業といった特定事業、又は製造業の部分に関しては、1つの場所における混在作業については、その業主の仕事に関係する事業者さんというのは、元方事業者さんがしっかり統括、管理するということで、法令上、既に規定があるわけですが、では、そういう仕事を行っている1つの場所に、ほかの方が、その仕事とは違う別の仕事を持ち込んだといいますか、例えば製造工場において、製造業の元方事業者さんが管理している場所に荷物の配送で運送業の方が来られた場合、そういった場合は1つの場所の混在作業として現行の規定上はまだカバーできていませんでした。ただ、そういった部分での災害というものも現に起きていますので、そういった部分をどうするかという観点です。
 20ページ目の下のほうですが、特定事業の仕事を自ら行う注文者、次の21ページの化学設備の改造等の作業に係る仕事の注文者、その下にある建設業の特定作業を行う発注者、こういった部分については、安衛法上、特別規制という形で事業者に課した義務以外の規制が掛かっているわけですが、こういう部分については、法律条文上、労働者の労働災害を防止するため必要な措置という形で、その措置、目的が労働者限定になってしまっているような状況がありますので、これを個人事業者であろうが、労働者であろうが、今、挙げたようなシチュエーションというのはリスクは変わらないと思いますので、労働者に限定しないような形にしていく必要があるのではないかということです。
 (3)ですが、発注者以外の災害原因となるリスクを生み出す者ということです。これは2つ挙げていますが、機械等貸与者、建築物等貸与者でして、ある機械のリースを行うと、そのリースされた機械をまた個人事業者の方に使ってもらって、それによって災害が起きるということも十分あり得るわけで、これは労働者に限定しないで、個人事業者も含めた形できちんと措置が講じられるようにするべきではないかということです。また、このリース対象機械というものも法令上かなり限定的で、災害の実態も踏まえつつということになりますが、荷物を運んだ先でその工場が持っているフォークリフトで、荷物をそこまで運んでくれといったような作業というものも実際にあるわけですので、対象機械としてフォークリフトといったようなものも含めることについても検討するということです。
 22ページ目の建築物貸与者の関係もそうですが、同じ趣旨で労働者限定にしないということと、規制対象としている建築物が事務所と工場に限定されているので、それ以外の場所でも災害が発生しているわけで、それ以外の場所を追加するに当たっては、それなりの措置というものも考えなくてはいけないということです。
 あと、真ん中辺りにありますプラットフォーマーの関係ですが、プラットフォーマーが注文者に該当するような場合については、先ほど出てきました安衛法第3条3項の関係を踏まえて、いろいろと配慮していただければと思いますが、そうでない場合についても、そういったことも参考にしながら取り組んでいただきたいということです。
 3個目の○にありますように、プラットフォーマーについては、いろいろな業務形態や契約に着目した新たな規制枠組みというものもできていますし、諸外国でもいろいろ規制するような動きもありますので、そういった動きにも注視しつつ、安衛法の既存の枠組みでは捉え切れないような課題に対応していくために、将来的な検討課題の把握に努めるということも書かせていただいています。
 (4)ですが、これはずっと検討会においても論点2ということでやっていました最高裁判決を踏まえた安衛法第22条以外の危害防止規定に関して、22条について対応したことと同じような考え方で省令改正の手当をする必要があるのではないかという観点です。これについては、23ページ目の真ん中辺りに書いてありますように、有害性の場合はなかなか目で見て分かるという状況はないと思いますが、危険性の場合はぱっと見て高い所から落ちる、そうしないための措置ということもとても分かりやすいわけですが、そういう状況もあるわけです。一方で、例えばあるコードがあってそこに高圧の電流が走っているというのは、見ただけでは分からない、その情報を聞かなければ分からないですし、一見しっかりした床のように見えて、実はスレートで、人が乗ったら踏み抜けてしまうというような状況もある。そのようにいろいろな規定がありますが、目で見ただけでは十分把握できなくて、教えてもらわなければ、対処のしようがないケースというものもあるのではないかということで、そういう部分については、新たに創設しようとしている災害報告制度も踏まえて、災害実態もよく把握して、精査の上、必要なものについては対応するということです。とは言え、それまで放っておいてはいけないということで、ガイドラインのような形で、法規制という形ではないのですが、保護具や作業方法の周知などについては、しっかりやっていこうということです。
 3-3は、また話が変わりまして、個人事業者の過重労働やメンタルヘルス、健康確保対策の関係です。この部分については、基本は個人事業者自身が御自身でしっかり管理していただくのですが、そういったものがやりやすくなるように、国がいろいろなツールや支援というものをやっていこうと、こういう形で書いてあります。そのためには、25ページの一番上の括弧の所にありますように、個人事業者の方のヘルスリテラシーの向上も重要であろうと。
 一方で、25ページの(2)にありますように、個人事業者自身だけではなかなか難しい部分もあるのではないかと。例えば長時間就業による健康障害の防止ということで、個人事業者に仕事を注文する方、その仕事を管理するような方というのは、個人事業者がそこで働く際に時間など、そういったものをおのずと決めてしまうような場合、決まってしまうような場合があります。
 どういうものかというのは、真ん中よりちょっと下に書いてありますが、注文者等が1日に配送すべき荷物の量を指定するということです。例えば映画の撮影現場のように、個人事業者の方が今日は疲れたから帰ってしまうというようなことは、なかなか難しいわけです。3番目のように、個人事業者が注文者の事業場に常駐して、ITのプログラムなど、リリースまでに一定の仕事をやり遂げなくてはいけないというような状況、こういう限定したシチュエーションにはなるとは思いますが、その注文者が事実上、個人事業者の作業に必要な時間などをおのずと仕事の注文によって決めてしまう、決まってしまうような状況があるという、こういう場合については、安全衛生を損なうような、長時間就業とならないような期日設定の配慮や、2つ目にありますように長時間になってしまった個人事業者から求めがあった場合に、医師による面接指導を受ける機会の提供、こういったことを進めていくべきではないかということです。
 メンタル不調についても、安全衛生を損なうような就業環境や就業条件にならないように、配慮をしていただくということも必要ということです。
 このメンタルの部分については、労働施策総合推進法やいわゆるフリーランス新法の関係などで、パワハラ関係の防止規定というものも入っていますので、こういったものも踏まえながらうまく連携をして、新たに安衛法で何かというわけではないのですが、周知等に当たってはよく連携しながら、必要な措置が講じられるように求めていくということです。
 26ページ目の一番上にありますように、健康診断の受診促進ということです。受診機会がきちんと提供されて、健診が実施されるようにしっかりと求めていくということを一番上に書いています。この健診費用についても、安全衛生計費として契約に盛り込むことについては、いわゆる危険有害業務の特殊健診のようなものと一般定期健診のようなものではちょっと考え方が違いますので、それぞれ分けて整理をさせていただいています。
 27ページの上の作業環境による健康障害の防止という部分についても、注文者がお願いした仕事が、ある場所で行うことを前提としているような場合については、注文者が自分で管理している場合にはしっかり措置を講じればいいのですが、そうでないような場合については、その建物、場所を管理するような人、貸与する人に、しっかりした措置が講じられていることを確認するといったことを促していこうということです。
 3-4は支援の話についてです。業種・職種別団体等も活用して、いろいろな情報を共有していこうということで、国がしっかり旗を振ってやっていくということを書いています。窓口についても、いろいろな窓口があると思いますので、なるべくそういった部分が連携をして、利用者がワンストップで利用できるような既存チャンネルの連携、活用ということが必要ではないかということを書かせていただいています。
 最後にその他ですが、(1)については前回も御説明させていただいたとおり、国がいろいろな取組を実施、促進するに当たっては、この個人事業者の皆さんが、保護される一辺倒の立場というわけでは必ずしもなくて、事実的に事業活動を行うという事業者的な側面も有しているのだと、ともすれば、私は管理されたくないので個人事業者をやっているという方も中にはいるのではないかといったこと、若しくはいろいろな幅広な業種で活躍されているということも踏まえて、十分に実態に則した内容となるように配慮する必要があるということで書かせていただいています。
 (2)については、個人事業者に対して労働者と同じように監督署に申告できるような仕組みを設けてはどうかということで、前回、御議論いただいたものをこちらに移しています。
 一番最後の行ですが、こちらについては今回の検討会の主たるテーマではないという前提なのですが、出口委員から御発言があった部分でして、前回御指摘いただいたものを御提案いただいたような文言で修正をさせていただいています。長くなりましたが、資料1については以上です。
○土橋座長 説明、ありがとうございました。それでは、資料1に基づきまして御議論いただきたいと思います。御発言いただく際は、資料のページ番号と該当部分を明示してくださいますようお願いいたします。いかがでしょうか。出口委員、お願いします。
○出口参集者 出口です。よろしくお願いいたします。前回の検討会から日がたっておりませんが、御説明、要望等を取りまとめていただきありがとうございます。第14回の検討会後に放送されましたニュースを視聴したり、その後、個人事業者の方にお話を聞くこともあったりしまして、報告案は今までの検討会で協議を重ねた上で取りまとめていただいた結果であるとの認識を前提としまして、参集されていない他業種のヒアリングも考慮しながら、危惧される点について確認及び修正、加筆等の要望をさせていただきます。
 まず、10ページの(1)、業務上災害の報告の仕組みアの報告対象ですが、「労働者死傷病報告の報告対象を踏まえ、休業4日以上の死傷災害とし、脳心・精神事案が疑われる事案は、本報告の仕組みとは別に措置(3-1(2)参照)すること」とあります。(2)は業務上の脳・心臓疾患及び精神障害の報告の仕組みで、「個人事業者自身が労働基準監督署に報告することができる仕組みを整備する。その際、業種・職種別団体が当該個人事業者による報告を代行する等の支援をすることができる」とあります。これらは、「発注者等、仕事の受託に関わる者による報告を想定した場合、個人事業者に対する不利益な取扱いにつながる懸念があること」、「特にメンタルヘルスに関しては個人情報の保護に留意する必要があること」とされています。
 これらは一見、不利益や個人事業者保護に配慮された仕組みと思われますが、不利益な取扱いの排除、個人情報保護も非常に大切なのですが、これらを安全衛生対策のあり方に置き換えますと、非常に難しい部分が出てくるのではないでしょうか。例を挙げますと、業務上の脳・心臓疾患や精神障害の原因の特定が困難であり、他の業務上災害とは区別して個人事業者自身が労働基準監督署に報告することができる仕組みとすると、その方々が休業から復職した際に、個人事業者等の脳・心臓疾患や精神障害の症状などを特定注文者が認識せずに個人事業者等に発注し、作業中に現場内で再発、症状が悪化した場合、災害発生リスクが非常に高くなると考えています。
 これらの情報を特定注文者等が事前に把握していれば、作業内容の変更や適正配置を行い、災害発生を回避することができるかもしれません。しかし、把握、認識されていない状態で、個人事業者等に発注する作業が高所などの危険作業や場外に及ぶ車両建設機械の運転や資機材の運搬などの場合は、第三者まで巻き込む事故、災害リスクが非常に高いと考えられます。この点に関しましては、災害発生リスクを回避する手段及び情報の取扱い、特定注文者等への情報の共有など、どのようにお考えでしょうか。現在分かる範囲で回答ください。
 そして、11ページ、「個人事業者等が死亡した場合や入院中など災害発生の事実を伝達・報告することが不可能な場合」がありますが、○の2つ目の下から3行目に、「災害発生後に被災者が自ら災害発生場所を立ち去り、災害発生の事実を知り得なかった場合についてまで報告義務を負う趣旨ではない旨を通達等で明確にすること」とあります。しかし、個人事業者等が死亡した場合や入院中などの場合は、自ら災害場所を立ち去ることはなく、どちらかと言えば、「個人事業者等が災害発生の事実を伝達・報告することが可能な場合」に加えるべきではないでしょうか。自ら災害場所を立ち去ったり、特定注文者が指導していても被災者である個人事業者等が報告義務を履行しなかった場合など、災害発生の事実を知り得なかった場合についてまで、過剰な報告義務を負う趣旨ではない旨を通達等で明確にするとともに、このような場合は、特定注文者又は災害発生場所管理者が全部又は一部事項についても、監督署に報告を行わなかったとしても責任を追及されることはないという点についても、通達等で明確に示していただきたいです。その上で、個人事業者等は報告主体を選定する際の基本的な考え方を前提とした上で、これとは別に、直接監督署に情報提供することも可能である旨を、通達等で明示するように加筆をお願いいたします。
 また、確認したい点としまして、このような場合には報告義務は果たされたものとみなすことができないのでしょうか。過去に被災した事実を報告しなかったり、被災後に数週間、数箇月後に報告してこられた被災者や、また被災後に音信不通となったり、災害の発生状況が分からない事案、直近上位の事業者、元請等に何も報告したくない、直接監督署に自ら報告したいという方々も結構おられました。
 また、同じく「個人事業者等が災害発生の事実を伝達・報告することが可能な場合」の○の2つ目に、「個人事業者等から報告を受けた特定注文者又は災害発生場所管理事業者は、当該報告内容を踏まえ、必要に応じ、注文している業務の内容や災害発生場所の状況を踏まえ必要事項を補足した上で、監督署に報告すること」とあります。13ページの報告事項のマル1~マル6は、基本的な事項で、個人事業者等が一番知り得る情報です。「必要に応じ」との記載はございますが、当初から補足が前提となるような特定注文者等に過度な負担が掛かるようなイメージではなく、あくまで「特定注文者に報告義務がある被災者である個人事業者等に対して指導・支援」という記載に修正していただくことはできないでしょうか。
 更に、個人事業者等の過度な負担の回避について、第14回の検討会後に、運送業の個人事業者等の方からお話を聞くことがございました。聞いた話によりますと、確かに負担が大きく、何らかの措置が必要だなと認識しましたので、こちらについても修正及び加筆について御検討いただくようにお願いいたします。
 12ページに「特定注文者の適用について」、「災害発生場所管理事業者の適用について」の記載がございます。注文者が災害発生場所に来ることが一切ない場合など、特定注文者が存在しない場合には、災害発生場所管理事業者を報告主体とするとあります。これは、運送業などの特定注文者が災害発生場所に一切来ることがない場合を示されるものと思いますが、実態としては災害発生場所には来ないが、直近上位の特定注文者は存在します。個人事業者等からすれば、直近上位の特定注文者がいながら、会ったこともない一番上位の発注者、災害発生場所管理事業者に対して報告するほうが厳しいという話を聞きました。最近は、大きな設備機械の不良等による災害は減少し、人的ミス、ヒューマン・エラーのつまずき、転倒などの災害の増加や特定注文者等による優越的地位の濫用なども聞かれます。個人事業者等からすれば、一個人事業者等が大手の災害発生場所管理事業者に報告しても、大きな設備や機械の不良等でなければ、逆に信用を失い、不利益な取扱いを受けるおそれもあると。直接監督署等に報告し、設備等に不備がある場合には、報告を受けて、災害発生場所管理事業者への臨検等を行い是正してほしいとの声も聞かれました。
 これらに関しましても、特定注文者や災害発生場所管理事業者の過度な負担と同様に、個人事業者等の過度な負担も回避する。個人事業者等の過重労働による脳・心臓疾患及び精神障害の案のように、個人事業者自身が労働基準監督署に報告することができる仕組みを整備するなどの措置を講じていただかないと、逆に報告されない災害が増えてくるのではないでしょうか。
 あと2点、前回の検討会でも発言しましたが、報告案の至るところに「促す」「周知・支援」と書かれています。ですが、団体・通知・通達の発出・ホームページの掲載・説明会等、既存の方法では効果はなく、ターゲットである個人事業者等に直接働き掛けていただかなければ、大きな効果は望めません。取得しなければいけない資格、受講する教育、特殊健康診断等の受診、周知すべき事項を対象者にも直接・間接含め伝達するためには、個人事業者の登録制などによって、現状の課題に対して、より問題点を改善できると考えています。今後是非御検討ください。
 最後に、芸能従事者、ITイラストレーション、赤帽などの軽自動車運輸、フードデリバリーサービスなど、新しい分野で様々な業種、職種が生まれており、これらを統一するのは非常に難しいと考えています。報告書の3、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討結果にもございます。措置等の改善が必要となれば、個人事業者等における安全衛生の確保に向けて不断の見直しを行うべきであると、実態を考慮し、今後も国により、業種・職種ごとに見直し改善していただくことによって、より良い基準を示していただく必要があります。是非不断の見直しをお願いいたします。以上です。
○土橋座長 事務局からお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 いろいろと御指摘ありがとうございます。全てについて明確に答えを持ち合わせているわけではないですけれども、まず1点目、この報告制度の中でも脳心・精神に関する部分ですが、脳心・精神に関して、自分が発症したという事実を特定注文者等が把握していれば、注文する仕事において災害を未然に防止できるのではないかということだと思います。その部分についてはそういうことなのだと思いますが、それを特定注文者に報告してくださいとか情報共有してくださいということを、今回の検討会において余り議論しておりませんし、そういうような仕組みを設ける予定はございません。ただ、実際、注文者が個人事業者の方に何か仕事をお願いするときに、お願いする仕事の中身に応じて、経験であるとか、こういう仕事はこういうリスクが伴うので何か急にめまいがするような薬を飲んでいないですかとか、そういうようなことを確認した上で契約することはあり得ると思いますので、それを禁止したり推奨したりということは、国の行政の取組として今回の検討会では特に議論していない。そういう答えになるかと思います。
 それと、特定注文者とか災害発生場所管理事業者の報告義務の範囲というのでしょうか、11ページ目の真ん中辺りにありますが、自ら災害発生場所を立ち去って知る由もなかったものまで報告義務を負う趣旨ではない旨を通達等で明確にすることとするという、これはこのとおりですが、この場所が、本人が伝達・報告することが不可能な場合の所にあるというのが違和感があるという御指摘だと思います。これは「自ら立ち去り」というのが、多分そういうことを招いていると思います。例えば一緒にいた人が連れて行ってしまったみたいなこともあり得ると思いますので、この記載を工夫するか、場所を変えるかは検討させていただきたいと思いますが、いずれにしろ、そういう不整合がないようにしたいと思います。
 あと、直接、個人事業者の方から監督署に情報提供できる仕組みをということです。こちらにつきましては、例えば報告義務対象の災害であっても、直接監督署に情報提供していただく分には妨げるものではないという旨は、前回の検討会でも発言させていただいたとおりでして、それをこの報告書に明記するかどうかというのは検討させていただきたいと思います。ただ、そういう情報提供をしたことをもって、今回新たに御議論いただきました特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者に対する報告義務であったり、その報告を受けた特定注文者や災害発生場所管理事業者が、監督署に対して報告する義務がなくなるという話ではありません。なぜそういうふうにできないかというのは、前回の検討会で事務局から振り返りも含めて詳細に御説明させていただいたとおりです。
 それから、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者が、個人事業者が報告してくれた事項について、必要に応じて補足の上、監督署に報告するという点ですが、こちらについては決して過度な負担を強いるようなことは考えておりません。従来からやられている管理なり、作業の管理若しくは場所の管理、そういった中で把握し得た情報を、必要に応じて補足して追記し、監督署に出していただければ問題ないということです。そのことはここに書いたつもりですし、報告事項の中にも可能な範囲でということは書いてございますので、それで御理解いただければと思います。指導・支援に文言を変えるとなると、またちょっと違う意味になってしまうという気もしますので、御提案の点も含めて、同じ趣旨になるのかどうか検討させていただきたいと思いますが、考え方としては、何か新たに調査をお願いしたりということではなくて、通常の管理の中で把握し得た情報を、必要に応じて追記、補足した上で出していただければいいということです。確認的になりますが、そのようにお伝えしたいと思います。
 あとは、ターゲットである個人事業者にしっかり周知するための方策ということです。登録制というお話がございましたけれども、安全衛生の観点だけでそういった仕組みを直ちにというのは難しいと思いますので、御提案ということで受け止めさせていただきますが、何より、いろいろなチャンネルで個人事業者の方の目に触れていただくことが重要だと思います。これは前回もお伝えしたかもしれませんけれども、いろいろな媒体を通じて発信することはもとより、実際の場面では、特定注文者だとか、自分の管理する事業場で個人事業者の方が入って来たときには、個人事業者が働く場所を管理する事業者の方にも協力いただきながら、いろいろなチャンネルで届けていくことが重要だと思います。その上で、我々行政とか事業者の皆さんだけでなく、ほかの行政とも連携してリーチできるような部分がないかというのは、しっかり追求していきたいと思います。
 最後にございましたように、いろいろな業種もございますし、不断の見直しをしてしっかりという部分については、そのように考えておりますのでしっかりやっていきたいと思います。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは、大木委員、お願いします。
○大木参集者 特定注文者が監督署に報告するという枠組みについては反対はいたしませんが、当人が直接監督署に情報提供するというルートがあってもいいのではないかと思っています。それは、災害発生報告の目的を達成する手法が増えるというメリットがあって、個人が直接連絡してはいけないというものではないと思います。
 また、資料1の29ページの黄色の部分で、関係法令に違反する事実があった場合については、「申告して是正のための必要な措置をとることを求めることができる」としていますが、そうでなくて、直接報告しても手法が増えるというメリット、さらに個人事業者の安全意識の向上という意味でも、直接、監督署に連絡するルートがあってもいいのではないかと思います。また、先ほどの出口委員とも重なりますが、被災者、個人事業主が報告しなかった場合、特定注文者も分からないわけですけれども、後から痛くなって1週間とか1か月後、あのときの事故だったのだと言われた場合、特定事業者がそのことを報告しなかったことに対して責任を追及されることがないように、そのことも明確にしていただきたいと思っています。また、特定注文者が報告するについても、建設業の場合、特定注文者といっても2次下請、3次下請の法人が個人事業者と契約、注文していて、事務処理能力が建設業の場合、3次下請ですと非常に脆弱な組織体ですので、事務処理能力も極めてしづらいということもありますから、報告書の書式をできるだけ簡素にしてほしいと思っています。以上です。
○土橋座長 御意見を頂きました。事務局から何かございますか。
○船井主任中央労働衛生専門官 1点目につきまして、報告義務対象の災害についても個人事業者の方から、直接監督署に情報提供できてもいいのではないかという部分については、何度かお答えしているように、特に妨げるものではないです。それを、報告書上、明記するかどうかという部分については、書き方も含めて検討させていただきたいと思います。いずれにしろ、ちゃんと義務を果たしていただいた上で情報提供していただくことには全く問題ございません。
 あと、その話については、違反があったかどうかというのは全然関係なくて、違反があったものについて監督署に是正を申し入れられるというのは申告制度の話なので、報告制度とは切り離して考えていただければと思います。
 それと、報告しなかった場合に後からというのは、実際に運用するに当たっていろいろな限界事例みたいなものが想定されると思います。それらを全て報告書で想定して書いておくというのはなかなか馴染まないと思いますので、いろいろ制度が決まりましたら、運用面を考えていく際に、ここに書いてあること以外にも通達で丁寧に周知したり、誤解がないようにということをやっていきたいと思います。そういう中で、いろいろな事例を考えながら対応していきたいと思います。
 最後、事務処理能力と報告様式の関係ですが、これは報告書に明確には書いていないのですけれども、別途、労働災害の際に出していただく労働者死傷病報告につきましては、今、紙様式のもの、若しくは電子申請のいずれもできる形にしていますけれども、何年か後には原則電子申請義務化という形に持っていこうとしていまして、今回の検討を踏まえた法令改正若しくは施行ということのタイミングもあるとは思いますが、基本的にこれができるときには電子申請でやることになります。その際に、様式について特に複雑なものは考えていなくて、労働者死傷病報告で求めている項目のうち、報告書にも書いてありますけれども、主要な項目について出していただく形にしています。これはシステムの話なので、今後検討ということになりますが、全然違うインターフェースで死傷病報告と業務上災害の報告を出してもらうのは混乱するだけなので、同じ入口からそれぞれ労働者報告と個人事業者の報告を選択して、同じインターフェースから出せるようにしたいと思います。そういうことも負担軽減につながると思っていますので、これからシステムを検討していく際に工夫していきたいと思いますし、実際、現場でそういう作業をする皆様の声もしっかり聞いていきたいと思います。以上です。
○土橋座長 それでは、青木委員、お願いします。
○青木参集者 住宅生産団体連合会の青木と申します。ちょうど今、電子申請といいますか、そういった報告の手段についてお話いただきましたが、同じ入口からということで、できればスマートフォンとかタブレットから電子申請が可能になるようにやっていただきたいと思います。当然、その際には、個人事業者等から報告を受けた特定注文者又は災害発生場所管理事業者は、その送信された電子データを必要に応じて補足した上で監督署に転送し、報告義務を果たすのが一般的と思われますけれども、先ほどもお話がありましたように、個人事業者等が直接監督署に報告することを希望して、それを選択した場合には、メールであればCCなどを活用して監督署のほうに情報提供したり、又は労基署のほうに情報提供したりということが可能かと思います。ただ、CCというやり方とはまた別に、これは1例ですけれども、石綿調査報告においては既に電子化されている石綿事前調査結果報告システムというのがあると思います。ここでは現状がどうなっているか申し上げますと、申請先を区分として、厚労省(労働安全衛生法に関するもの)と環境省(大気汚染防止に関するもの)、これを選ぶことができるようになっています。原則は両方に報告することになっていますから、両方同時に申請できるようになっています。もちろん、片方だけ選ぶということも多分できるのだと思いますが、これと同じように特定注文者又は災害発生場所管理事業者と監督署のどちらか、または両方を選択して、送信できるような形にしていただければ、今お話にありましたような方法が簡単にできるのではないかと思います。
 また、特定注文者や災害発生場所管理事業者のいずれも存在しない場合や、被災程度が報告義務対象外の災害については、個人事業者等が監督署に直接情報提供する場合があると思いますけれども、その際にも利用できるような仕組みとしていただければ、個人事業者の負担が軽減されるのではないかと思います。以上です。
○土橋座長 事務局からございますか。
○船井主任中央労働衛生専門官 いろいろ御提案をありがとうございます。今、おっしゃっていただいたようなことも念頭に入れて、使いやすいシステムを作っていこうと思っています。CCがいいのか、途中まで入力したものが添付ファイルになっていくのがいいのか、いずれにしろ、入れようとした人が、報告若しくは情報提供先が複数あるので同じことを2回やらなければいけないというのはやめていただきたいという御趣旨だと思いますので、そういうふうになるように、システムを検討する際には、実際に使われる方の御意見も十分に聞きながら考えていきたいと思います。
○土橋座長 そのほか、御発言はございますか。中村委員、お願いします。
○中村参集者 中村です。ありがとうございます。今回の全体を通して感じたことを申し上げたいと思います。2点ありまして、1点目ですが、今回、個人事業主をどういう格好で保護するかという観点から見ると、この報告書の中で非常に重要な点は、1つが、9ページ目の所で黄色でマークしていただいた文章で、これを入れていただいたのは大変有り難いと思います。もう1つは、19ページの所で「災害リスクをコントロールすることができる権限を有する者に対して措置を求めることを明確にすることとする。」と書いたのも、重要な点ではないかと思います。何が言いたいかというと、書いてあることが悪いというのではなくて、このことの趣旨をもっと明確に全体のまとめの基調の中に掲げると言ったら変ですが、そういうことはできないだろうかということです。なぜそういうことを言っているかといいますと、こういうものですから、いろいろなケースを想定して全てを書くことはできないと思うのです。そういうときの物の考え方の基本をどこに置いているのか。1つは、どんな労働者であっても、同一場所で働く以上、そこには差別なく同じ措置でなければいけないと言ったのが、9ページ目の黄色の部分です。もう1つ、リスクをコントロールできる者についてはそれだけの措置をしなければいけないと言ったのが、19ページの上から7行目から始まる文章だと思います。こういうものをもうちょっと趣旨として大きく書けないかという意見です。
 もう1点は、9ページ目の上段の部分で、私が自分で言いながら今まで黙っていて申し訳ないのですが、黄色の文章のすぐ下の所で、「重層下請で作業が行われる現場においては、元方事業者が関係請負人の労働者や個人事業者等に対して安全衛生確保の観点から行う指導・指示が「指揮命令」に該当するのではないかとの懸念から、必要な指導・指示を躊躇しているといった状況がある。」という文章が入っています。これを書いた以上は、状況があるということについて何らかの文章があるかなと思って、今、一生懸命に報告書を見ていたのですが、どこかにそれが書いてあるのか。あるいは、このことについてこの場でよく議論された文章から言えば、安全に関わる作業の仕方とかはきちんと指導していいということがあったと思いますので、その部分をもう少し強く書いていただけないかということです。そうすると、いわゆる偽装受付だけではなくて、もっと指導すべき人がきちんと指導せよということを強く言えると思いますので、その辺のお願いです。
○土橋座長 事務局、いかがでしょうか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問、御指摘ありがとうございます。1点目、9ページ目の趣旨が入ったのはいいということですね。19ページ目の注文者の措置の所、注文者にいろいろお願いする際には、その注文者がどういう形で仕事をお願いしているのかというのを踏まえて、ちゃんとリスクをコントロールできる人に対してお願いしていくのだということを書いていますけれども、これは全体を通じてそういう考え方でやっています。例えば9ページ目ですが、3の柱書きの所の黄色で書いてある所の下に、もともと書いてあったものなのですけれども、下から5行目くらいでしょうか、「個人事業者等の安全衛生の確保について」の後です。この個人事業者等の安全衛生の確保について、一辺倒に誰かに対して何か義務を負わせるということではなく、「個人事業者等自身はもとより、就業場所を管理する者や仕事の注文者など、個人事業者等を取り巻く関係者が講ずべき措置を整理した」ということで、こういうふうにいろいろなプレーヤーを出しているのは、誰がそのリスクを管理するのかということを踏まえて、それに応じて書いているのです。
 例えば、個人事業者が自ら持ち込む機械が危険で、隣で働く労働者の方に危害を及ぼしてしまったときに、いろいろなプレーヤーがいますけれども、基本的にそのリスクを管理する立場にあったのは個人事業者自身だと思います。それと同じように、ある場所で例えば混在作業が行われてみたいな話になると、その場所を管理する人というような形でシチュエーションによってリスクをコントロールする人は変わってくるので、ここは誰か1人だけに何かをやっていただくということではなく、プレーヤーそれぞれが講ずべき措置を整理したということで書いています。文言で「リスクをコントロール」とは書いていないのですが、正に御指摘のとおりで整理をしています。それから、次の点ですが。
○中村参集者 躊躇するといった部分を、今までも御説明いただいていて何らかの格好で事例的なものを書いてみたいとか、あるいは安全上という言葉が付くならそういう指示はしてもいいということは、この場で随分議論されてきたと思うので、何らかのそういう趣旨的なものを少し書いていただけないかと思ったというのが今の意見です。
○船井主任中央労働衛生専門官 9ページ目の(5)の一番最後の所で、「躊躇しているといった状況がある」と書いた根拠は、この下の注釈の所にありますように、実は検討会にお越しいただいていないのですが、事務局のほうが日本化学工業会さんにお願いして、幾つかの事業場の方をお呼びしてお話を伺ったときに、各社ともに躊躇しているとおっしゃっていまして、それをここで実態として書かせていただきました。
 それを踏まえた論点としては、後ろのほうになりますが、19ページ目の一番下の所から20ページ目にかけて書いていますように、今、現在は労働安全衛法第29条というのがあって、元方事業者は、関係請負人やその労働者が違反していたり、違反しそうなときには指導・指示しなければならないと定められています。それをやったからといって、偽装請負、指揮命令でないですよというところまでは言えるのですが、29条に該当しない、ごく一般的で、法令と余り関係がないような安全上の指示・指導というのが、それをやったら偽装請負、指揮命令になるかどうかというのは、余りきっちり整理できていないところがあって、これをきっちり整理すると、現場で安全上必要なことが躊躇なく言いやすくなるという、こういう御指摘だと思いますので、それを整理しましょうということを19ページ目から20ページ目に書いているということです。よろしいですか。
○中村参集者 今ので分かりましたが、全体的なトーンが先ほど言った2つの論点でこの報告書はまとまっていると思いましたので、もう1つ格上げできないかと言ったのが最初のお願いです。全体の趣旨として、こういう考え方を基にこの報告書を作ったのだと、それから、2番目の所は今の説明で分かりましたので、何らかの格好で、今後整理周知したものが出てくるものと期待しています。
○船井主任中央労働衛生専門官 ありがとうございます。
○土橋座長 そのほか、御発言はありますか。三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 私からは、まずこの報告書(案)がよくまとまっていて、これまでの相当の審議や調整の上で今の形になっているということを申し上げたいと思います。もちろん新しい課題なので、あくまで出発点としてということではありますが、その前提で、必要かつできることを書かれていると認識しています。
 確かに、自営業者というのは、自らその立場を選んでいることが多いことや、故に注文者側からしてもある程度信頼して任せているということも分かるのです。他方で、安全衛生の要諦というのは、やはりリスクの情報と管理権限を持っている人に対して報告から始め、実際の対応を任せていくということが原点で、これは今の安衛法を作ったときからそうであったということは、当時の立法過程で政府委員が国会でも言っていることです。要するに、労基法だけの枠組みでは狭いから、もう少し労災を減らすためにはリスクの情報や管理権限の所在に注目した措置を取っていこうということで、今の法制度ができているわけです。
 そうすると、リスクの情報を持っている人というのは誰かということになるわけですが、それは、現にリスクを認識している人もいれば、していなくてもすべき人というのがいるわけで、先ほど来、脳心臓疾患の場合、メンタルの場合はどうするとか、いろいろと複雑なリスクの話が出ておりますが、今ある法制度やこの報告書はそういう趣旨で貫かれているということは、読めば分かることだと思います。もう一度申し上げますと、リスクを認識しているか、すべき場合が該当し、それは分かるようにこの報告書案に書かれているということ、したがって、先ほど特に建設業界様から御指摘のあった懸念というのは、ほぼ出発点としては対応されているか、考え方は示されていると思います。
 もう1つだけ申し上げますと、なぜ個人事業者等を特に安全衛生政策で守る必要があるのかという原点中の原点なのですが、これは時代をまたいで、今も今後もそうだろうと思うのは、1つは経済的な従属性です。要するに、そこから仕事をもらって生計を立てているから、どうしても上下関係ができてしまうということです。2つ目は、我々は勤務条件の他人決定性と言いますが、要するに働く条件を相手が指定してきて、そこに従わざるを得ないという点です。これと絡むのですが、3点目は、注文者等の側がそのことと関係して、リスクの情報や管理権限を持っているということだろうと思います。
 特に今、問題になっているのは報告制度でしたが、報告はもちろん、災害の責任と直結はしないのだけれども、情報を取るという意味では当然予防の重要なきっかけになるということも前提に、やはり情報収集に結び付くようにということが基本になります。今回のスキームは、いろいろ調整の末、かなりガラス細工でできていると思いますが、それでしばらく運用してみて、情報がしっかり取れるのかどうかということは検証をする必要があると思いますが、まずはこれでスタートするということでいかがかなとは思っております。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。小野委員、お願いします。
○小野参集者 小野です。御苦労さまです。報告書全体の構成の紹介がありましたが、その中でも特に、昨年度は様々な業種についてもヒアリングをしてきたわけです。実際に、個人事業者の多さ、あるいは取引の多層構造が様々な業種にあって、そして実際に様々な働き方があるということが分かりました。こういった安全衛生対策については、特定の業種に限らず、そういった様々な業種、例えば去年行ったIT、あるいは芸能、イラストレーションなどがありますが、そういったものにも対象となるような内容表現にもなってきております。そういう点で見ますと、本当に有り難いと思います。
 さらに、特に私の専門で言えば、配送、物流、荷役という分野においては、この報告書の中では、なかなかどういった所で該当するのかが分かりにくいところはあるのですが、事例、あるいは参照で想定されるケースということで取り上げていただいており、すごく分かりやすくなってきているなと感じております。そういった中でも、特に先ほど申し上げたような様々な業種に実際にフリーランスがいるということを考えれば、まだまだ不足しているように感じます。
 ある特定の業種で、私の業界には関係がないと思われないような形で、例えば先ほど言いましたような芸能、イラストレーション、ITなど様々な業界の、こういった問題はここに該当するというような事例、あるいは想定されるケースということで取り上げていただき、この報告書の中だけでなく通達でも構いませんので、しっかり分かりやすく取り上げていただけたらと希望いたします。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。そのほか、御発言はありますか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 本多です。報告書についてと、後ほど各論に関して、2点ほど簡単なことだけ申し述べます。その前に、お礼及び感想と、当方のスタンスをお話いたします。
 まず、感想とお礼です。建設業界として、これまで様々な意見を申し述べさせていただきました。それは、重層的で管理困難な建設現場の実態、あるいは建設業と一言でいいましても、様々な多岐にわたる事業者がいるという実情を申し述べましたが、そういうことについて、委員の皆様、それから事務局に一定の御理解を頂いて、こういう形で報告書がまとまりつつあることについて、まずお礼を申し述べたいと思います。
 それから、当方のスタンスですが、建設業界の各委員の方々がこれまで申し述べましたとおり、大きなスタンスは2つ、この報告書に関する意見としては、大きくは2つの主張です。1つは、情報提供の所で何度もお話が出ておりますが、御本人が報告可能な場合に、御本人から監督署に対して直接情報提供できる仕組みを何とか記述いただければと思います。このことに関して、一定の有効性についても言及していただければ有り難いです。
 もう1つは、御本人自身の特定注文者等への報告に当たって、人によりますが、非協力的であったりということもありますので、事業者に対して過度な負担にならないようにということを、この報告書に関して、意見としては、そういうスタンスということです。
 それから、各論で2つほど申し述べたいのですが。8ページの(4)です。非常に小さいことで恐縮ですが、3行目に「平均の週就業時間が60時間を超える場合は労働者と比較して高い傾向にあり」と記述されております。昨年9月の第5回のときに、建設業界として申し述べましたが、建設業界の個人事業者に関しては、実は就労時間も一般の労働者に比べて少ないこと、それから収入も高いことは事実ですので、例えばこの前提で「業種にもよるが」という感じのことを一言いただければ有り難いと思っております。
 2つ目は14ページです。カの「報告を行ったことによる不利益取扱いの禁止」とあり、○の2つ目に不利益取扱いに該当する具体例を通達等で示すとなっております。これについて加味いただければ有り難いのは、この通達等には、被災者である個人事業者等が報告義務の対象となるにもかかわらず、特定の注文者に対して報告を行わず、これに関して元請事業者から法第29条に基づく指導指示を行っても、なお合理的な理由なく報告を行わないような悪質な場合については、その理由として特定注文者が、例えば当該個人事業者等の契約を終了させても、この不利益取扱いに該当するものではないという解釈についても、併せて御検討いただければ有り難いと思います。
 最後に、当方いろいろなことを申し上げておりますが、この報告書(案)の削除や修正を求めるものではありません。事業者側としての目線で、現実的に懸念、危惧されることなどを払拭すべく、一部御検討いただければ有り難いということです。以上です。
○土橋座長 事務局から何かありますか。
○船井主任中央労働衛生専門官 いろいろ御指摘ありがとうございます。大きなスタンスで2点おっしゃったこと、本人が直接監督署に情報提供できるという部分については、それはもちろん報告義務対象の部分についてはしっかり義務を果たしていただいた上で別のルートでというのは、先ほどから申し上げていますように可能ですので、それをどういう形で書くかについては検討が必要かもしれませんが、まずそういう状況ということです。
 それから、過度な負担にという部分です。これは、先ほど来申し上げているとおりで、一応書いてはいるのですが、留意事項としてもう少し書く必要があるかなという気もしてきましたので、また検討させてください。
 それから、各論の1点目については、確かに何回目か忘れてしまいましたが、本多委員から調査結果をお示しいただいた部分では、そうであったと思います。それから、これは注釈に付けておりまして、アンケートの結果ですが、全業種で見るとこうだというのも事実ですので、文言を工夫しますけれども、あらゆる業種でというような誤解が生じないような追記は必要かなと思います。
 最後に、14ページの不利益取扱いの関係です。報告義務を果たした、報告したことをもって不利益取扱いをしては駄目ですという事例を示すと言っているのですが、今、本多委員から御提案があったのは、報告したことに対する不利益取扱いというよりも、その真逆でして、全然報告してくれないという部分なので、ここに馴染むかどうかは分からないのですが、先ほど申し上げた限界事例のようなものがいろいろとあると思うのです。そういうものの中で想定される事例についてどう対応するかとか、考え方はどうだというのは、同じ通達の中になると思いますが、何らかまとめてお示ししなければいけないと思います。そういうものは、きちんと考え方は示していきたいと思います。報告書に書くというのは馴染みませんが、通達でしっかり示す必要はあると思っています。以上です。
○土橋座長 そのほか、御発言はありますか。山脇委員、お願いします。
○山脇参集者 連合の山脇です。今回示されている報告書については、この間、15回にわたって議論してきた内容がおおむね反映されているものと受け止めておりますので、基本的にはこの内容で取りまとめられるべきと思っております。
 フリーランスあるいは一人親方をはじめとする個人事業者で本来、保護されるべき方々が危険にさらされている状況を、一刻も早く、かつ、できるところから変えていくことが必要と考えます。それぞれが立場を超えて、少しでも前に進めていくため、それぞれが譲るべきところは譲ることでなんとか取りまとめようと努力してきたものと認識しています。
 また、先ほど事務局から「過度な負担」という表現を検討する旨の発言がありましたが、安全衛生に関する法令で過度な負担という言葉が入っているのを余り見た記憶がありません。こうした表現を記載するのが適切かどうかは、これまで経過との整合という観点も含めて御検討いただけないかということを申し述べておきたいと思います。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。では、Webのほうから、鹿野委員、お願いします。
○鹿野参集者 すみません、所用により2時半ぐらいに退室させていただきますので、その前に一言意見を申し上げたいと思います。まず第1に、今回の報告書(案)については、全体として賛成です。今までの議論で様々な御意見があったわけですが、それらを調整してうまく取りまとめを案として示してくださったなと感じております。
 それから、第2点として、それと関連するのですが、既に先ほど中村委員がおっしゃったように、やはり9ページの基本的な考え方がきちんと示されているところがとても大切だと思います。これに沿って、各論的にいろいろなことがその後に書かれているということで、多少の言葉の追加の余地もあるのかもしれませんが、この基本的な考え方が明確化されているところがとても大切だと思っております。
 3点目に、各論としては、今回、実態把握のための報告の制度を設けようということで、これについてはいろいろと御意見もあったところです。事務局からの再三の御説明、そして先ほどの議論にもありましたように、それぞれの立場で、その場所やリスクの把握ができるような方に、それなりに役割を担っていただいて、情報をきちんと把握できるようなシステムを作り、それを今後の対策につなげていくというようなことで考えられたものと思います。過去にも言いましたが、そういう意味ではバランスが取れた役割分担となっているものと思います。
 それから、過度な負担になるのではないかという御意見、あるいは御懸念なども途中で示されたことがありますが、そのような非常に厳格な調査義務を新たに課すというような趣旨ではないということも、既に御説明があったところです。ここでは、知らなくても済むということではなく、通常すべき管理において把握できるものについては報告をしてくださいという、そういう立て付けになっているものと認識しており、これについても賛成です。
 4点目として、より具体的に先ほどの基本的な考え方に基づいて、報告書(案)の3-2以下の所で、現行法では労働者に限定したような立て付けになっているところ、この基本的な考え方によると、労働者には限定すべきではないのではないかということで、新たな考え方が示されており、そこがとても重要ではないかと思っております。
 最後に、これは業種によって多様なものがありますので、この報告書(案)の書き方でもいろいろな例が挙げられています。さらに、先ほどからも御懸念があるように、いろいろと限界事例などもあると思いますので、それをガイドライン等でしっかりと明確化していただきたいと思います。それから、プラットフォームが関連するようなものなどについては、特にいろいろな形で今後も展開があると思いますし、現時点でまだ把握が十分にできていないものもあるかもしれませんので、取りあえずこれでスタートして、不断に見直しを図っていくことが大切だと思っています。どうもありがとうございました。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか。田久委員、お願いします。
○田久参集者 全国建設労働組合総連合の田久です。私自身も、最初の報告と、この間、事務局からの説明も含めて、この方向で進めていただきたいということを、まず表明はしたいと思います。先ほど三柴委員や鹿野委員からも言われたように、まずここから始めて、今後テーマを変えていくといった、このような取組で是非進めていただければと思います。全国建設労働組合総連合としても、本当に弱い立場である中小零細事業主や一人親方といわれる方々を多く抱えてる団体の中で、なかなか言えないという問題や安全対策の外に置かれてきた人たちから、いろいろ相談は受けてきている立場でもありますので、そういった点からも、報告書の中身のことを進めていくことによって、少しでも改善ができるるのではないかということ、実際に検討会の中身を見た仲間からは、そうした声も出てきているということもありますので、是非そういった点ではこの方向で進めていただきたいということがあります。
 ただ、1つ確認なのですけれども、報告主体で10ページの1つ目の○、「被災時に個人事業者等が行っていた業務の内容を把握している者」ということになると、これはプラットフォーマーにも当てはまるのかどうかということです。プラットフォーマーも業務内容を把握はしてるのではないかと思うのですけれども、その辺でプラットフォーマーの位置付けは、報告主体の中ではどういうふうにしていたかを再度、最終確認をしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 御意見と確認事項でしたが、事務局からお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。ここでいう業務や仕事の中身や状況、若しくは災害発生場所の状況というのは、プラットフォーマーさんもいろいろいらっしゃるので、よく分かっている人もいるかもしれないのですけれども、例えば何の配送業務がどこでどう現に行われていたかというところまでは、スマートグラスやカメラをつけてていたら分かるのかもしれないですけれども、そこまでは想定してませんでして、なかなか個別具体的に、その業務をどう作業していたのかというところまでは把握されていないだろうという前提で、ここの基本的考え方に当たっては、その場所にいたり、現に自分で作業を行っていたり、作業を行われている場所というのを管理していたり、そういう部分に着目して整理したので、ここの中にはプラットフォーマーは入っておりません。なので、プラットフォーマーが義務対象になるというのは余り考えておりません。例えば、プラットフォーマーということであっても、注文者の立場として、業務指導で例えば一緒に配送業務で車の隣に乗って作業をやっているところを見張ってるみたいなことがあれば、その場合は特定注文者という位置付けで該当するケースは否定しませんけれども、基本的には対象になっていないということでございます。
○土橋座長 そのほか御発言はございますでしょうか。日下部委員、お願いします。
○日下部参集者 長い間、皆さんの御議論を聞かせていただいて、このような報告書がまとまってきたということについては、皆さんの御努力に対して、まず敬意を表したいと思います。私が考えるに、業務災害というのは人的な要因と社会的要因に加えて、自然の要因も当然あるわけでございますが、今回の御議論は人的・社会的要因が主だったというふうに私は理解しておりまして、自然要因、特に最近は自然外力が増えている中で、これからどうするかということも、業務災害を減少させていくことについては十分大事なポイントと私は理解しておりますので、この機会とは別に、是非そういった観点からも、業務災害の低減について御議論を進めていただきたいという希望を持っております。以上でございます。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。御議論ありがとうございました。
 前回も申し上げましたが、今回は新しい制度の検討ということでございまして、いろいろな課題はあるとは思いますが、まずは今回、事務局から示された報告の仕組みでスタートいたしまして、災害把握や再発防止の観点から、改善が必要ということになれば、不断の見直しを行うということにしていきたいと思います。これは、報告書の9ページ目から10ページ目にその旨を追記いただいております。
 今回、幾つか報告書の記載について御要望等がございました。これらについては、書き方や表現の再検討、あるいは留意事項として書き込むという形にしたいと思います。これについては、事務局とも相談しながら最終的には座長預かりということにさせていただいて、取りまとめを進めたいと思います。いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日の御指摘も踏まえて、事務局と相談の上、速やかに報告書を取りまとめさせていただきたいと思います。今回、最終回ということになると思いますので、座長から一言挨拶させていただきたいと思います。
 これまで、労働衛生安全法では労働者を主たる保護対象としておりましたが、近年は労働という枠に収まらない多様な働き方が広まってまいりまして、そのような形態で働く方々の安全衛生の確保が喫緊の課題となっていたところでございます。今回の検討会におきましては、様々な分野の現状についてヒアリングするというところから始まりまして、様々な分野で活躍されている個人事業者等の安全衛生の確保に必要な対策を検討してまいりました。
 労働者であるか否かにかかわらず、享受すべき安全衛生水準に変わりはないという基本的考え方の下、個人事業者自身はもとより、注文者や就業場所を管理する者、プラットフォーマーなど、個人事業者の就業を取り巻く様々な関係者の役割について、委員の皆様の御協力を頂きながら整理することにより、個人事業者等の安全衛生の確保に資する対策の方向性を取りまとめることができたと考えております。委員の皆様には、これまで15回にわたりまして、それぞれの立場から実態に即した御議論を頂きましたことに感謝申し上げます。大変ありがとうございました。
 それでは、議題1に関しまして、事務局側から何かございますでしょうか。
○小林安全衛生部長 本日は活発な御議論ありがとうございました。期間にして約1年半、15回という長丁場の議論でございましたけれども、皆様方の御協力によりまして、対策の方向性を取りまとめさせていただくことができましたこと、土橋座長をはじめといたしまして、参集者の皆様にこの場をお借りして心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 本日、御議論いただいた点も踏まえて、土橋座長に御相談をさせていただきながら、近日中に報告書を取りまとめの上、制度見直しを含めて必要な取組を速やかに進めさせていただきたいと考えてございます。今後、報告書で御提言いただいた事項の具体化に向けた検討を進めていくことになりますけれども、参集者の皆様方にも、またいろいろ御協力をお願いする場面があるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは、最後になりますが、その他として事務局から何かございますか。
○船井主任中央労働衛生専門官 事務連絡を2点ほどお伝えさせていただきます。本日の議事録については、参集者の皆様に御確認いただいた上で公開することとさせていただきます。もう1点については、検討会のホームページに載せた開催案内にも書かせていただいたのですけれども、この後、この会場で報道関係者の皆様を対象とした勉強会を開くことを予定してございます。会場内においては、この後、座席の配置変更する作業がございますので、終了後なるべく早めの御退室に御協力いただきますと有り難く思います。以上です。
○土橋座長 それでは、本日は長時間にわたりまして活発な御議論を頂きましてありがとうございました。以上で、第15回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を閉会いたします。ありがとうございました。