第17回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和5年10月3日(火) 15:00~17:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○医療イノベーション推進室 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第17回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室の青木と申します。
 本日は、栗原委員、森委員より途中からの参加となる旨の御連絡をいただいておりますが、そのほかは全ての委員に御出席いただいております。
 参考人につきましては、時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、「参考資料2 委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
 参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただきますようにお願いいたします。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1から3、参考資料1から7までございますので、御確認ください。
 資料3は、本委員会の運営細則となっております。第5条の委員の庶務について一部変更してございます。厚生労働省の組織改編に伴いまして、「健康局において総括及び処理することとし」から、「健康・生活衛生局において総括及び処理することとし」へ変更してございます。専門委員の先生方、中釜委員長におかれましては、本件について御承認いただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○医療イノベーション推進室 それでは、御承認させていただきます。全員の御承認いただき、ありがとうございます。
 また、本委員会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 事務局からは以上でございます。
 これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 中釜です。
 委員の先生方におかれましては、本日もよろしくお願いいたします。
 2時間という限られた時間の中で全ゲノム事業の全体的な方向性について、専門の先生方から御意見を伺い、方向性についての指示をいただくということですので、よろしくお願いいたします。
 では、早速本日の議事に入りたいと思います。
 まず、議題1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、厚生労働省医政局研究開発政策課の医療イノベーション推進室から資料1の説明をお願いいたします。
○医療イノベーション推進室長 よろしくお願いいたします。厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室長の市村です。
 それでは、資料、次のページをお願いいたします。
 まず、全ゲノム解析等実行計画の推進につきましては、骨太等の政府方針におきまして、2019年から2023年にかけまして全ゲノム解析等に係る推進をしっかりとするということが記載されているところです。
 次のページをお願いいたします。
 全ゲノム解析等実行計画2022の全体像となります。質の高い情報基盤の構築、右下、患者への還元、左上が両輪となって、全ゲノム解析等を行い、解析結果の日常診療への導入、そして新たな個別化医療の実現、そして蓄積されたデータを用いた研究・創薬を行いまして、国民へ質の高い医療を届け、最終的にはがん・難病等の克服を目指していきたいと考えております。
 次のスライドをお願いします。
 全ゲノム解析等実行計画2022の概要となります。下の表を御覧ください。令和元年度から3年度に先行解析として、既存検体を用いて、実行計画第1版に基づいて1万9200症例の全ゲノム解析を行ってまいりました。令和4年度からは本格解析に移行しまして、令和5年度は2年目となっております。
 次を御覧ください。
 これまでの全ゲノム解析等のデータの格納症例数となります。がん・難病データ格納症例数は、累計で2万356症例となっております。
 下に期間別のデータの格納症例数が記載されているところです。
 次のページを御覧ください。
 これまで全ゲノム解析等に係る事業実施組織の事業概要を何度か御説明しておりますが、現在この事業実施組織発足に向けまして事業実施準備室が具体的な中身を詰めているところです。事業内容につきましては、右側の事業内容を御覧ください。1)から6)が事業内容となっておりまして、特に1)から3)が三本柱と考えております。つまり、「全ゲノム解析等の結果および成果の速やかな患者還元支援」「個別化医療の推進支援」「質の高い情報基盤の構築と運用」というのが三本柱となっており、4)から6)に関しましては横断的に検討していく事業内容となっていると考えております。
 次を御覧ください。
 この事業実施組織のビジョンというのは、下側の情報基盤の構築、そして患者還元というものが好循環するのが組織のビジョンとなっております。
 次を御覧ください。
 全ゲノム解析等実行計画の目指す未来としまして、全ゲノム解析の位置づけというのは、ビッグデータのコアとなるのが全ゲノム解析であると。全ゲノム解析を中心として、オミックス解析、臨床情報や病理情報、画像情報、患者さんからの情報であったり、ウェアラブル機器からの動的な生体情報、これらの情報を多層的に加えて、基礎研究や応用研究、多種多様な研究をすることで最終的には国民へ質の高い医療を届け、将来的ながん・難病等の克服を目指すということを考えております。つまり、言ってみれば、ゲノム情報に基づいたデータ駆動型の普遍的な医療というものが今後の全ゲノム解析等実行計画の目指す未来と考えております。
 次を御覧ください。
 こういった未来の姿を達成するために実際にどういった形で出口を築いていくか、出口戦略をつくっていくかということですが、これまではデータベースをつくったから使ってくださいというような形だったのですけれども、真ん中より右側にあります産学コンソーシアムにおきまして創薬等の出口を見据えた戦略コホートをしっかりと提案していただいて、それに基づいた形で、マル2のところで臨床試験・治験等を行い、マル3のところで質の高い情報基盤の構築を行って、それらを利活用していただきましてマル4の創薬プロセス等の格段の加速・効率化を図っていきたいと考えております。
 次を御覧ください。
 実行計画2022にはもともと基本戦略というものがしっかりと記載されております。この基本戦略にのっとってどういった出口をイメージしていくかということを今後しっかりと具体的に考えていかなくてはいけないと考えております。特に出口イメージとしましては、下側の3つの四角がありますように、予防、診断、治療という枠組みに大きく分けられると考えております。これらに記載してあるような出口をイメージしつつ、具体的なコホートを設定し、先ほどの図にありましたように、産学コンソーシアム、いわゆるアカデミアや産業界が中心となって出口戦略に基づいたコホート選択をしていくべきであると考えております。
 次のページを御覧ください。
 今後のスケジュールですが、今回は17回専門委員会となります。12月に専門委員会を予定しておりますが、ここでは令和5年度の中間報告、年度末には最終報告を予定しております。今後しっかりと出口戦略を検討していっていただきたいと考えております。
 次のページを御覧ください。
 これはこれまでの実施体制のまとめとなっております。
 次のページを御覧ください。
 現在、全ゲノム解析等の専門委員会の下に事業実施組織、準備段階の事業実施準備室が設置されているところです。現在、ボードで最終的な判断をしていただきながら、事業実施部門、各チームに分かれて事業化に向けた詳細を検討していただいているところです。
 次のページを御覧ください。
 10月現在のボードメンバーにつきましては、各分野から13名の先生方に御参画いただいております。現在このボードメンバーに加えまして、財務の観点や経営の観点、あるいはITの観点でボードメンバーを追加していくことを検討しているところです。
 次のページを御覧ください。
 また、今回全ゲノム解析等実行計画に係る取組とは別に、「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」が6月16日に公布・施行されております。これに基づきまして、厚生労働省、特に当室が主体となってこの基本計画策定に向けた調整を現在進めているところとなっております。
 次のページを御覧ください。
 令和6年度のがん・難病の全ゲノム解析等の推進に係る予算要求の現状となっております。がん・難病の全ゲノム解析等の推進事業としまして、今年度から19億円を予算要求しております。また、これまでAMED研究費として革新がん・難治性疾患実用化事業としまして、現在、こちらに記載してあるとおりで概算要求をしているところでございます。
 以上が報告となります。
○中釜委員長 説明ありがとうございました。
 それでは、資料1の説明につきまして、委員の先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移らせていただきますが、もし後ほど議題1に関連して何か御質問がある場合には、そのときに御発言いただければと思います。
 では、議題2に進みます。「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況等について」、事業実施準備室の青木先生より資料2の説明をお願いいたします。
○青木参考人 事業実施準備室の青木です。
 本年3月に事業実施準備室が設立されまして、活動が進められております。本日は引き続き事業実施準備室の活動に関して、資料2-マル1を用いて進捗状況を説明させていただきます。また、資料2-マル2として準備室版の「全ゲノム解析等のデータ利活用ポリシー(案)」、資料2-マル3として準備室版の「全ゲノム解析等の利活用審査委員会設置・運用規程(案)」が配付されております。
 次のスライドをお願いいたします。
 これが本日のアジェンダとなっております。まず、プロジェクトの推進体制を説明させていただきます。次いで、審議事項といたしまして、患者還元支援チームよりAMED研究班への連携医療機関の追加について御説明をさせていただき、審議をお願いいたします。
 3番目、報告事項といたしまして、臨床・患者還元支援チーム、利活用支援チーム及びコンソーシアム設置支援委員会、解析・データセンター運営チーム、ELSIチームから報告いたします。
 報告事項につきましては、全てのチームの説明が終わった後に質疑応答をさせていただければ幸いです。
  次のスライドをお願いいたします。
 これは先ほどの厚生労働省からの資料にありましたが、ボードメンバーの一覧です。再掲させていただいております。
 次をお願いいたします。
 このページと次のページにおきましては、現在の準備室の人員体制ということが記載されております。7月の専門委員会の時点より臨床・患者還元支援チーム、解析・データセンター運営チーム、ELSIチーム、総務チームのメンバーが追加されており、現在延べ67名が関わっているといった状況です。
  それでは、審議事項に移らせていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 上野先生より御説明をお願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いいたします。
 AMED研究班への連携医療機関の追加ということで、御審議をお願いいたします。
 本件に関しましては、現在行われておりますAMEDのA班、A2班、3班のほうで戦略コホートとしまして、出口戦略ということで、臨床試験とひもづいた全ゲノム解析というものが計画され、既に一部は始まっております。その中で連携医療機関を追加していく、臨床試験のほうに参加いただく施設にも全ゲノムをやっていただくということで、この基準としまして、第12回の本専門委員会で承認いただきましたこの基準にのっとって、現在その医療機関の追加を検討しているところでございます。
 次をお願いします。
 その中で、前回14施設について承認をいただいておりますけれども、あと6つの施設について御審議いただければということで、今回提示させていただいております。この6つの施設は先ほどの基準のほうは全て満たすということは確認されております。
 次のページをお願いします。
 その中で、先ほど言いました3つのA2班、現在AMEDの全ゲノム解析の患者還元を行っている3つの班の中でこのような臨床試験が行われておりますが、それぞれにおいて、今回赤枠で囲っております6つの医療機関がそれぞれの臨床試験に参加するということで、専門委員会のほうで御承認いただければと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、今、説明がありました連携医療機関の追加につきまして、御意見、御発言ございますでしょうか。御発言のある委員の先生方は挙手ボタンを押していただければと思います。よろしいでしょうか。
 特に御異議ございません。
 専門委員会としての最終的な判断に進みたいと思いますけれども、この追加、6機関に関して御承認いただける委員の先生方は挙手をお願いいたします。
(賛成者挙手)
○中釜委員長 確認できた範囲では全員の委員の先生方が挙手をしていただいたと思いますので、この追加については承認とさせていただきます。ありがとうございました。
○上野参考人 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、続きまして、議題2に移ります。青木先生から説明がありましたけれども、まず各チームリーダーに全体について順次発表していただき、最後に全部の発表を踏まえて委員の先生方から御意見をいただきたいと思います。前回、前々回も説明いたしましたが、お互いのチームが連携をしながら進めておりますので、全体をお聞きいただいて、相互の連携関係についても把握いただき、それらを踏まえて御発言いただきたいと思います。
 それでは、順次発表をお願いいたします。まず最初、臨床・患者還元支援チームリーダーの上野先生から御説明をお願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いいたします。
 スライドをお願いいたします。
 次のスライドをお願いします。
 我々臨床・患者還元支援チームとしましては、2つの大きな柱をプロジェクトの柱としております。1つが全ゲノム解析の臨床応用に向けた活動。臨床応用という点。Bのほうが研究・開発目的でのデータ収集における連携医療機関拡大に向けた活動ということで、こちらは医療機関の拡大という観点です。
 Aのほうで行きますと、我々としましては、現時点である程度有用性が判明しているような希少がん、小児がん、遺伝性がん、あるいは原発不明がんなどにおきまして、まずは速やかに全ゲノム解析が臨床実装できるような体制を行いつつ、さらに我々としましては、がん全体を見据えて、それらを患者さんに還元するための仕組みづくりを行っていく。その中で、現時点ではMRDあるいはネオアンチゲン等の。MRDというのは、いわゆるがんの初期治療が終わった後の微小残存病変ということになりますし、ネオアンチゲンというのは将来の免疫治療等につなげるということで、そういうものを実際に患者さんの治療に結びつけるという形で還元するスキームをつくっていくというところになります。
 次のスライドをお願いします。
 その中で、本年度としましては、先ほど言いましたようなある程度有効性が確立している、報告されているものに関しましては、先進医療等を用いまして、令和8年度の臨床実装に向けて、その段階で臨床実装できるような形でのスキームをつくっていければと考えております。
 また、ネオアンチゲン・MRD等、さらに患者さん全体に関するような方向に関しましては、研究開発という側面もありますので、こちらのほうは様々な、AMED等とも協力しながら、お願いしながら、そういうスキームづくりを行っていければと考えております。
 以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、続きまして、利活用支援チームから吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 それでは、利活用支援チームから吉田が説明いたします。
 14ページをお願いいたします。
 本日は利活用支援チームから2点。1つはこの事業全体の立てつけの整理と、それに基づいてデータ利活用ポリシーの案と、利活用審査委員会設置・運用規程の案をまとめましたので、資料2-マル2とマル3として今回提示しております。
 全体の立てつけですけれども、R7年度を予定しております事業実施組織が法人として確立した事業実施組織フェーズのイメージをまずつくっております。研究として行われる全ゲノム解析等実行計画を想定しておりますが、その中心となるのは、左上の点線で囲んだ新しい法人の事業実施組織と、PJGと書いてあるのは、日本の全ゲノム解析等実行計画に参加される医療機関との間の共同研究としての生命科学・医学系指針に基づくいわゆるバンク・アーカイブ研究。こういう形でデータや検体の収集が行われる。
 それの中心にあるのが真ん中にあります患者さんで、医療機関で説明・同意や、患者還元の一環として研究結果の説明を受け、場合によってはさらに再コンタクトを受けて、試料あるいはデータの追加収集、臨床情報の収集などを受ける。それらを通して利活用に関する同意の管理など、患者さんによる主体的管理を事業実施組織を通して行うという形になっております。
 こうやって集められたデータ等を利活用に回す線が3つありまして、1つは事業実施組織から右に伸びている青い線。これは第三者提供としてデータを提供するスキームで、このコンソーシアムに参加が原則となるいわゆる利活用のユーザーが行う研究に対してデータや試料を提供していくというものになります。場合によっては企業等単独で研究を行いたいという方もいるでしょうし、中にはコンソーシアムの中での共同研究という形もあるだろうと考えています。
 2つ目の流れは事業実施組織から下に伸びている線で、これは事業実施組織自体が研究機関としてほかのユーザーたちと一緒に共同研究を行うスキームになります。この場合には、左下にある点線のように、上記のバンク・アーカイブとは別な、生命科学・医学系指針適用研究が主となると思われますけれども、その共同研究に参加してデータや試料を共有していくものです。
 3つ目は左側の公的データベースのデータの登録ということで、一定の期間が経過したデータについては、公的データベースから限定された臨床情報とともに公開をしていくということになります。
 これらの中でDTA、真ん中に書いてあるDTAはData1 Transfer Agreementですけれども、こういう契約に基づいてミスユース、不適切なデータの利用を防いでいくと。こういう契約の下に提供していくというのが理想とする姿となります。
 15ページをお願いいたします。
 それに対して、R5年度、R6年度におきましては、AMED研究班が主体となったデータ・試料の収集になっておりまして、まだ事業実施組織は法人として立ち上がっていませんから、そこの部分が入れ替えになっております。先ほどのDTAの契約の仕方、AMED研究班との調整など、こういったことを重ねております。
 16ページをお願いします。
 これは今まで上記のスキームのことを一度文章にしたもので、15・16ページ以外の項目としては、例えばマル9、外国への試料・情報の提供に関する検討なども進めているところです。
 17ページをお願いします。これは全体の流れで、Genomics England等の利活用を参考にし、かつそれよりもさらによいものをつくっていこうということで、まずユーザーは基本的に先ほどのコンソーシアム、市村室長の説明でもコンソーシアムが非常に重要な役割を果たすわけですが、ここに参加して、プレ検索、簡易検索のような形で、登録件数などを検索して研究を立案し、それでその計画を実際に倫理審査委員会の承認を少なくとも各ユーザーが受けて、利活用審査委員会に申請をし、審査を受ける。そこで承認された段階できちっとしたDTA契約を結んで利活用に進む。そこでは事業実施組織やコンソーシアム等からの解析支援なども受けながら、最終的に利活用の結果の報告をしていただくという形になります。
 18ページ把を願いします。
 ということで、現段階では事業実施組織が法人として立ち上がっていないので、最終的なR7年度の姿をイメージして構想しましたけれども、まずは実際のポリシー、利活用審査委員会の規程としては事業準備室版として今回まとめまして、資料としてつけておりますので、また御意見などをいただければと思います。
 それでは、コンソーシアム部分、コンソーシアム設置支援委員会委員長、松島先生、お願いいたします。
○松島参考人 松島です。
 この間、コンソーシアム設置支援委員会で三度の会議を行いまして、来年度までのコンソーシアムの準備室フェーズでの設立に向けた検討を行ってまいっております。準備室フェーズにおけるコンソーシアムの目的、活動内容、また、会員広報プロセスとか会費に関すること、会員参加基準等について議論を積み重ねて、もう既に幾つかの企業、広報企業並びにアカデミア会員の広報会員等を選びつつ、実際に今、説明資料を作成して、それぞれのコアメンバーのリクルートを図ろうとしているところであります。
 実際に声かけする人数が20施設を超えることになっていきますので、最終的には恐らく幹事会を設置して十数名でのコアメンバーでの運営を準備室フェーズでも行っていく必要があるのではないかと考えておる次第であります。
 次をお願いします。
 これはタイムスケジュールでありますけれども、準備室フェーズの第一段階のコンソーシアムの立ち上げを12月に行いまして、令和7年度からの実質的なコンソーシアムの立ち上げの様々な準備を図りたい。その間、実データの利活用を実際に行いまして、データの提供、それに関してのいろんな改善点であるとか、また使った上でのフィードバックを実施組織のほうに還元、フィードバックしたいと思っている次第であります。
 次をお願いします。
 これはいいですかね。
 次をお願いします。
 これは具体的なコンソーシアムの準備室フェーズでありますけれども、そこに参加いただく方々の参加基準ということで、企業の透明性であるとか、生命科学に対する理解であるとか、日本に対する貢献という観点で具体的にこういう項目で確認をし、それにふさわしい方々に会員になっていただく。そういう議論を積み重ねて決定いたしております。
 これで設置支援委員会からの報告を終わります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、解析・データセンターからの報告をお願いいたします。井元リーダー、お願いいたします。
○井元参考人 解析・データセンター運営チームの井元でございます。私から解析・データセンター運営チームで検討している内容について説明させていただきます。
 このスライドは、今年の3月9日に行われました第14回の専門委員会で示された解析・データセンターに関する検討の現状、その対応の方向性です。
 4つのポイントが示されています。上からデータベース、2番目が解析、3番目がシステム開発の内製・外製のバランスです。4番目は業務の効率化。これら4つのポイントにおいて対応の方向性が書かれております。
 解析・データセンター運営チームでは、この対応について現状を踏まえて再整理し、具体的な検討を行ってまいりました。その状況について報告させていただきます。
 次をお願いいたします。
 先ほどの検討のポイントにつきまして、まず、戦略・方針、2番目が組織・人材、3番目が業務の効率化、この3つの分類に分けてそれぞれ説明したいと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 まずは戦略・方針でございます。右の「あるべき姿の概要」を御覧ください。解析・データセンターは、解析機能の向上、プロセス管理の機能を担うために、マル1_部門運用、マル2_研究、マル3_自部門の業務・システムの企画、他部門の業務・システムの企画支援の業務を行うことになります。まず、マル2について、解析・データセンターにおける研究の位置づけに関して説明させていただきます。
 次をお願いいたします。
 このスライド26が解析・データセンターにおける研究の位置づけを説明しているスライドになります。一番上に「特に」と強調しましたが、研究については、症例蓄積や企業・アカデミアとの共同研究の推進のために、解析・データセンターは高い解析技術を有する組織を目指す必要があります。
 その理由について、下にaとbと記載していますが、まず下の絵で説明したいと思います。中央が解析・データセンター運営部門です。解析・データセンター運営部門で行う研究は、1番目に解析技術等の向上のための研究です。申し上げるまでもなく、全ゲノム解析に代表されるゲノム解析は日々進歩しております。その技術革新にキャッチアップできる組織である必要があります。最近の代表例として、「ロングリード等」と書きましたが、新しいデータにいち早く対応できる組織である必要があります。高い技術力を持つ組織であるから、2番として記載しました左側「患者還元」として記載した医療機関からのデータを全ゲノム事業として高品質で低コスト、かつ迅速に実施できることが、医療機関にとってこの全ゲノムプロジェクトに参画するインセンティブになると思っております。
 また、利活用という観点からは、右に研究機関、製薬会社、アカデミア・学会、IT企業とあげましたが、外部の機関と連携して行う研究として、3番の解析技術に関する共同研究、4番の疾患・創薬等に関する共同研究がございます。
 また、5番としてAMED研究等他組織の研究のための解析受託、6番に解析コンサルの受託を書かせてもらいました。高い技術力を持つ解析・データセンターの特徴を活かして、症例蓄積の加速、創薬研究の加速に寄与する組織である必要があると考えております。
 次をお願いいたします。
 今、私が説明しましたことがこの表にまとめられております。研究を2種類に分けておりまして、aがシステムやネットワーク、データ解析技術等に関する研究開発、bが疾患研究・創薬等研究開発です。それぞれの研究の具体例を一番右のカラムにまとめております。全ての研究は、表の上に太字で書かれているように、「公平性」を担保した仕組みを整備した下で実施するということが必要だということを申し添えます。
 次のスライドをお願いいたします。
 次は2番目の組織・人材に関する項目について説明します。まず、システム開発の内製・外製の方針を定義するということ。それから、部門内の組織構造を具体的に定義することをこの項目では検討しております。
 次のスライドをお願いいたします。
 このスライド29は、3月9日の14回専門委員会で示されている情報となります。私がお話ししている解析・データセンター運営チームは、左側の青の3本の柱の中央に位置する運営部門を設立するためのチームです。解析・データセンター運営部門は、臨床・患者還元支援部門やコンソーシアム支援部門、これはデータ利活用のチームが該当すると思いますが、それらの部門と連携した体制が必要となります。これが全体像の中で解析・データセンター運営部門の位置するところになります。
 次をお願いいたします。
 その解析・データセンター運営部門の業務としまして、大きく分けると上から「プロセス管理」「解析機能の向上」「人材育成他」という形で3つの項目となります。表の上の太字で書かれているように、原則、企画・管理機能は内製、開発・運用・保守等の実作業は外製で行う方針としております。各項目の内製・外製の方針は、中央右のカラムに書かれていますが、きっちりと全て内製、全て外製と区別がつく項目はそれほど多くはございません。それぞれの項目、バランスを考えて持続可能な組織にするために判断していくことが必要だと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。
 これが解析・データセンター運営部門の組織図案になります。解析・データセンター運営グループが中央にございます。先ほどスライド29では青で示した3つの部門がありましたが、臨床・患者還元支援グループとの連携グループはこの組織図の一番左に、利活用支援グループとの連携グループを左から2番目に書いております。また、先ほど研究についてお話ししましたが、研究グループとして、解析・データセンターの技術を磨いていく研究グループとしては、解析革新研究ユニットと書いた研究グループが対応します。また、共同研究を推進する共同研究ユニットを記載しております。
 また、人材確保・育成ユニット、調達事務支援ユニット、研究支援ユニットは、研究活動を支援するユニットとして配置しております。これが現在の解析・データセンター運営部門の組織図案となります。
 次をお願いいたします。
 今、お示ししました組織図にて示された、それぞれのグループ、それぞれのユニットの役割をこのスライドには記載しております。
 次をお願いいたします。
 最後に業務の効率化についてお話しいたします。3月9日の専門委員会資料では効率化として書かれていたのですが、実は効率化だけではないという話もしたいと思います。
 次をお願いいたします。
 ちょっとビジーなスライドになってしまいましたが、解析・データセンターの業務プロセスの全体像を1枚のスライドで表しました。左上に医療機関がありまして、その少し右に患者様がいらっしゃいます。マル1で患者様からの同意を取得しまして、その情報に従い医療機関からマル3検体取得・管理として、患者様から頂いた検体がまずシークエンス受託会社に送られます。シークエンス受託会社にてシークエンス解析が行われ得られたゲノムデータが、解析・データセンターに送られます。中央のデータベースに格納されます。また、残余検体はバイオバンクにて管理されることになります。次に、マル4として変異検出のプログラムを用いた解析を行うことによってゲノム変異を検出します。この検体・データの授受、シークエンス解析やデータ解析の状況等はマル2の集中管理システムによって全体のコントロールがなされます。次に、検出された変異からレポートを作成しなければなりません。レポートはゲノムの変異情報だけではつくれません。マル5として、医療機関から臨床情報を自動的に収集し、解析・データセンターのデータベースに格納されます。そこからレポート作成システムにゲノムの変異情報とともに入力されて、マル6の解析結果標準レポートのシステムによってレポートが作成され、エキスパートパネルに返っていくというプロセスになります。
 ただし、解析結果標準レポートは、解析した結果の最低限のレポートになりますので、医療機関やレポート作成の技術を持っているIT企業がさらに参画されて、独自のエキスパートパネルに活用できるレポートを作成することも想定しています。その際に、さらにデータの二次解析を行うことも考えられますので、一番下のマル7のデータ提供環境によってデータは提供されます。このデータ提供環境は、二次解析だけではなく、利活用でも使われます。一番右に書かれています利活用者、これはコンソーシアムのことだと思っていただければ結構で、コンソーシアム参加者はデータ提供環境にアクセスし、データの利活用がされることになります。ざっと説明しましたが、これが解析・データセンターの業務プロセスの全体像とお考えいただければよろしいかと思います。
 簡単に業務プロセスの流れとそれぞれの項目について説明申し上げました。がん領域と難病領域でAMED研究は独立して進んでいるわけですが、それぞれの解析・データセンターとしての業務については共通部分がございます。その共通部分に関しては、共通のフローで解析・データセンターの業務を行うことが効率的と考えられます。
 次のスライドをお願いいたします。
 それぞれの業務項目につきまして、業務の効率的な運用と品質の向上を目標に、2つの軸でそれぞれの業務項目を評価していきました。 評価について説明します。まず横軸です。その業務をがんと難病で共通の方式で行うとした際に、その実装が易しいか、難しいかを示してます。難しいものは右に記載しています。縦軸は、2つの領域において業務を統合することでそのインパクト、つまり効果が大きいかどうかを測っています。実装は難しいけれどもインパクトが大きい業務に関しては「統合に向け検討」として、右上の四角の中に記載するようにしています。実装が易しい業務に関しては、もちろん業務を共通にしていこうと判断することになります。
 次のスライドをお願いいたします。
 先ほど1枚のスライドで説明しました解析・データセンターにおける業務プロセスの構成要素につきまして、それぞれがん領域と難病領域の専門家によって評価を行ってまいりました。実装が難しいけれども効果が大きい業務は、右上に示されていますが多くございます。これらの項目は共通化することで業務の効率化が図れると言えますし、スライド右側に記載しました「統合に向け検討」の6つの業務の中の下3つの業務「ゲノムデータ管理・保存」「二次解析」「利活用」について、これらについては、共通にすることで効率化が図れることと、がん領域と難病領域のそれぞれのノウハウ、それぞれの知識・知見を交換して、学問領域の発展や患者還元についても効果が見込めると考えております。
 これが本日、運営チームで準備しました現在までの検討状況のまとめになります。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、続きまして、ELSIチームから加藤リーダー、お願いいたします。
○加藤参考人 加藤でございます。
 スライドをお願いします。
 ELSIのチームは、ELSI、つまり倫理的・法的・社会的課題に取り組み、事業が社会等の信頼関係の下で進むようにする。また、令和7年度からの実施組織では別になりますが、現在では、PPI、つまり患者・市民参画も対象として活動しておりまして、患者・市民の観点を重視して、社会との対応が促進されるようにする。こうしたゴールを基に、チームの横断的な課題を抽出して対応策の検討を進めてきました。
 本日は、そういった中から出てきた1点だけですが、このタイトルにあります国外へのデータ提供に関する対応を見ておくことが重要と思われますので、その対応策の検討状況を御報告いたします。
 一番上の部分ですけれども、昨年度まで本事業の様々な活動の性質上、同意の段階では提供先の全ては事前に特定できないということで、海外への提供についても具体的な国名は含まない形での包括的な説明をしてきて、適切な同意を取得するということで進めてきました。
 改正前の研究倫理指針のガイダンスでは、2つ目のポツにありますように、所定の情報提供を行うことを前提に、提供先が特定できない場合でも適切な同意が取得可能であると。そして、事後的に提供先の第三者が所在する外国が特定できた場合には、本人の求めに応じて情報提供を行うことが望ましいということでした。これに合わせた対応をしてきたわけです。
 ところが、1つ課題が出てきまして、その下の真ん中の部分ですが、今年の4月に研究倫理指針のガイダンスの改定が行われまして、国外提供に関して規定が変更されまして、「国外提供先は同意の時点で特定されている必要がある」という規定が出てきたわけです。
 次のスライドを出していただきたいのですけれども、このスライドの詳細には入りませんが、ガイダンスで示された点は、実は個情法にはないことを指針として上乗せ。もともと上乗せをしていたのですが、さらに上乗せという形で出てきた点でございます。左の部分に行っていただきたいのですが、倫理指針に定めるインフォームド・コンセントの手続に関するルールは、基本的には個人情報保護法制に定める個人データの第三者提供規制よりも厳しい「上乗せ」ルールになっているわけです。
 2つ戻っていただけますか。ですから、昨年度までの対応でもちろん個情法の対応はできているわけです。その上で、昨年度までの指針に対する上乗せの要求をしっかり満たすために幾つかのことをやってきたという状況があったわけです。今年、国外提供についてさらなる上乗せが出てきたのが今、申し上げた点なのです。
 黒ポツにありますけれども、ガイダンスの規定であり、指針本文でもなくて、個情法上は対応が必須ではないのですが、やはり事業実施組織は公的なものですので、対応が必要であるだろうということで検討を進めてきました。
 次のスライドをお願いします。
 対応方針の案ですけれども、同意取得から利活用の審査、利活用の各ステップ、3つのステップで適切な対応を行うことで、なるべく幅広く国外へのデータ提供を実施しようということで、個情法・研究倫理指針及びガイダンスを基に、複合的なA、B、Cの対応を現在考えております。完全にフィックスまでは行っていないのですが、今日この図に入れています。
 まず、Aです。昨年までは入れていなかったのですが、可能な範囲で国外提供の対応国を提示できればということで検討しております。赤字下線の部分です。リスト化して、提供先としての説明根拠等を整理して、同意取得地に情報提供しておこうということがAにあります。これがまさにガイダンスの変更に合わせた個別の対応になります。
 BとCはもっと広く全般に関することでもあるのですけれども、Bは利活用審査におけるしっかりとした審査をしましょうということで、個情法の求めている条件に加えて、国外への審査基準をしっかりとつくって、毎回しっかりと審査をしようということになります。その際には、右下の部分にありますが、オプトアウトの手続もしっかりとして、参加者の方が拒否可能な機会を設けるということで、拒否されなかった方のデータが国外に出ていくというふうになるようにしましょうということです。
 さらには、3つ目の対応策として利活用環境による制限ということで、これはvisiting環境を活用して、国外へのデータ提供であってもデータをダウンロードできない環境、安全な利活用環境を可視化する。そういう形でデータを守って、データを使っていただく、利活用していただくということ。こうした押さえを入れた上で、しかし、最大限にいろんなところに使っていただくということを考えています。
 Cについては、実際にどういうデータがどのようにしてvisiting環境で利活用できるかということについては、他のチーム、テクニカルなチームとしっかりとしたやり取りが必要と考えておりますので、まさに横断的な議論を進めているところです。
 ELSIからは以上であります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 これまで各チームの進捗状況及び検討状況について発表させていただきましたので、ここから質問、御意見を受けたいと思います。まずは各チームごとに、あるいはチームが関連するチーム間の連携等に関して御質問をいただきたいと思います。
 最初に臨床・患者還元支援チームからの発表に関する御質問、御意見はございますでしょうか。質問のある先生方は挙手ボタンを押していただければと思います。それでは、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 臨床・患者還元チームの12ページ、「遺伝子パネル検査」という言葉が左上に出てきていますけれども、この専門委員会発足当時から、井元先生も時々触れられていますが、何のために全ゲノムをやっているのか疑問です。最終的に遺伝子パネルで評価しないと薬が届かないという状況でいいのかどうかということと、2番目の段の右端に「ネオアンチゲン」とか「MRDモニタリング」という言葉が出てきていますが、必ずしも遺伝子パネルによらないいろいろな情報が全ゲノムでは得られるわけです。全ゲノムのデータを生かすために何をすべきなのかということがここにあまり含まれていないわけで、現状の遺伝子パネルを通さないと患者さんに還元できないのかをしっかりと考えてください。例えばネオアンチゲンなどは、パネルでカバーされていない情報をネオアンチゲンとして活用する必要があるわけですから、活動の中に全ゲノム情報をどうすればネオアンチゲンや、MRDにしても必ずしも遺伝子パネル検査に含まれていないものもあるので、全ゲノムの応用の在り方をどこかで考える必要があります。保険適用されないと永遠にそれはできない課題なのかどうかということをぜひ考えていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 この点について、上野リーダー、お願いいたします。
○上野参考人 どうもありがとうございます。
 その点に関しましては、我々としましても現時点で遺伝子パネル検査と比較を常にしているということでもございません。もう一つは、小児がんなどにおきましては、それに匹敵するような結果も出てきておりますので、それを見据えつつ、さらに今のデータ活用等も含めてさらに応用を広げていくという方向性を考えております。なので、1つの流れとしましては、既に有用性が確立しているものに関しましては、速やかに保険に向けていくと。それ以外の部分に関しましては、必ずしも保険というものにとらわれずに、臨床応用というものを全体として進めていくという方向性で考えております。
 ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○中村委員 ありがとうございます。
 全ゲノムよりもはるかに高いコストで遺伝子パネル検査をして、それでないと使えないというのでなくて、例えば検査室レベルでクオリティーが高ければ、PCRのプライマーをつくってPCRをやれば、はるかにMRDモニタリングとかは安くできるわけですし、本当にデータを生かすための工夫が保険でないとできないのでなくて、やったことが保険として認められるような形で考えていく必要があると思いますし、検査会社に委託するという方法もありますけれども、このパネルにこだわる必要は全然ないと思いますし、活動の中でパネルを使わなくてもデータがコンファームできるようなシステムとか、それを保険診療で使っていくという考え方が必要だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○上野参考人 はい。どうもありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ここに書かれている出口戦略としての仕組みの中で具体的な戦略を練っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかに質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 また、後ほど関連することで御質問があればと思います。
 続きまして、利活用支援に関する吉田チームリーダーの発表について、何か御質問、御意見はございますでしょうか。それでは、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。大変分かりやすく御説明していただきました。
 非常にマイナーなことですけれども、20ページのスライドです。これは令和7年度が右端にあって、その左側には9月と12月があるのですが、令和5年の9月、12月かなと思うのですけれども、令和6年なのでしょうか。そこは抜けているのでしょうか。
○中釜委員長 では、松島先生、お願いいたします。
○松島参考人 松島ですけれども、これは令和5年度の9月、12月で、1年半をかけて令和7年度に向かって準備するという意味です。
○水澤委員 令和6年も含んだという感じでしょうか。
○松島参考人 はい。だから、12月以降と並んでいますのが6年度ですね。ちょっと訂正させていただきます。
○水澤委員 分かりました。
○中釜委員長 では、その辺が分かるように記載をお願いいたします。
○松島参考人 はい。
○中釜委員長 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。では、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
 私1人で質問して申し訳ないですけれども、14ページと15ページを比較すると、14ページのタイトルは「事業実施組織フェーズにおいて理想とする姿」になっていて、15ページは現状を出しているのですが、現状だと「個別DTAが必要」と書いてありますけれども、「理想」という言葉に非常に引っかかるのは、本来ここに大きなデータセンターをつくって、そこを介してGenomics Englandのような活動をしていこうとしているわけで、事業実施組織では何を前提とするかということをはっきり明示しておかないと、14ページにあるように、これは理想であって、現状が変わらなければ今のまま個別DTAで行くのかどうかという書きぶりに見えるのと、もう一つは、井元先生が説明されたように、実施組織の中のデータセンターというのはかなりいろんな考えを組み入れていて、なおかつそこが主体的に本当に日本のゲノム研究をリードしていこうという姿勢が見えるのですけれども、15ページだと、結局、個別で、真ん中はただ単に上と下と連携してやっていくだけだというようにしか見えないので、事業実施組織になれば何が変わるのかと。何となく「理想とする」という言葉を書くと、理想が実現されなかった場合に今と同じなのかどうかという印象を与えるのですけれども、「理想」というのは、吉田先生はどういう意味で言われているのですか。
○中釜委員長 吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 まず、このスライドはタイトルが言葉不足だったのですが、「利活用に関する理想とする姿」ということで書いています。なので、患者還元とかいうところが入っていなくて、研究のための利活用なのですけれども、その理想という意味は、事業実施組織が法人としてできると、こことの一本化された手続、契約、コンタクト、患者さんのコンタクト、ユーザーのコンタクト、こういったものが事業として行えるようになると。
 それに対して、15ページの段階でもそれほど理想が実現できていないわけではなく、事業実施組織自体は法人として存在しませんけれども、AMEDの中の解析・DCがかなり同じようなバンク・アーカイブ的な、中央的な仕組みになっていると。ただ、「個別DTAが必要?」とクエスチョンマークをつけたのは、一部の研究では同意の宛先があくまでも病院になっているので、そうすると、データの第三者提供等においては、各医療機関とユーザーがそれぞれこの契約を結ばなければいけないのではないのかと。それは現実的にユーザーにとっては非常にバリアになりますので、そういう手続的なところを改善したい。こういう手続的なところが主な改善点になります。
○中釜委員長 どうぞ。
○中村委員 でも、それを言っていると、大きなデータセンターとしての機能は永遠に機能しないと思います。
○吉田参考人 いえ。14ページのようにこの法人格ができると、同意の宛先がこの事業実施組織になりますので、大きなデータセンターはこの事業実施組織に本当にワンストップで患者さんもユーザーもコンタクトできて、非常に迅速な契約で迅速に研究が着手できるようになると。そういったことは国際競争力上は重要な点かなと思っています。
○中村委員 前向き研究の場合には今の説明で正しいと思うのですけれども、今、現に行われている全ゲノム解析データというのはいつまでたっても個別DTAが必要で、そうでないとコンソーシアムに提供できないという形に聞こえるのですけれども。
○吉田参考人 はい、それは確かに簡単ではないのですが、データの移管ということを井元先生たちも一生懸命考えてくださっていて、何らかの形でAMED研究の成果をR7年度以降の事業実施組織のほうに移管して、そちらからも14ページのスキームで利活用に回せるようにと。それは不可能ではないと思いますので、その検討を各方面と今、しているところです。
○中村委員 揚げ足を取るようで申し訳ないですけれども、結局、実施組織ができないと実施組織と医療機関との契約はできないと。
○吉田参考人 現実的には法人格を持っているかどうかで大きくかわります。様々なルール、法律や指針に基づいてこの研究としての事業を研究する場合には、どうしてもそこをきちんとしなくてはいけない。さらに言えば、6月に成立しました理念法であるゲノム医療推進法を超えるようなゲノム情報と臨床情報を集約し、それをまた利活用していく、そういった法律的整備も必要ではないかと。弁護士さんと相談をしているのですが、そういった御意見も出ております。この事業実施組織と法整備、この2本があると本当に強力な理想となる姿になるのではないかなと考えています。
○中村委員 分かりました。ありがとうございます。加藤先生の説明を聞いていても、結果的には患者さんと医療機関の契約上、どこで使うということが書かれていると、理想とする姿にはなかなかならないと感じます。令和7年に実施組織ができても、利活用をダイレクトに事業実施組織からコンソーシアムと契約するという形にはならないと。今の説明はそういう理解でよろしいのでしょうか。
○吉田参考人 はい。事業実施組織ができれば直接のものができるし、15ページはそれに近い、「個別DTAが必要?」とクエスチョンマークをつけたのは、例えば代理の契約のような方法もあるのではないかと弁護士さんから伺っておりますので、そういう可能性についても検討を進めているところです。
○中村委員 ありがとうございました。加藤先生のところでいろいろ議論していただいて、早く活用できるようにしないと、せっかく実施組織をつくった意味がなくなると思いますので、よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、加藤先生、御発言をお願いします。
○加藤参考人 ここではほんの一言だけです。実施組織にデータが移っていって、そちらが使うということに関しては、現在のICFにも入れておりますので、スタンバイできればすぐにできるということで、もちろん過去の検体に関してはそれぞれ見ないといけないのですが、そういう体制を取るということは、前向きに動いている状況です。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○中村委員 結構です。ありがとうございます。
○中釜委員長 データをできるだけ移管する形で進めていって、広く利活用できる方向で検討しているということでありました。
 ありがとうございます。
 それでは、ほかに御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 では、続きまして、コンソーシアムの設置に関する説明に関して何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 これは先ほどの利活用支援チームと一体となってできるだけ広く利活用できる仕組みを今つくっているという段階です。そういう目的のコンソーシアムの設立に向けて検討している段階ですので、先ほど松島先生から御説明がありましたが、今後の進捗については適宜説明させていただいて、より広い利活用に向けての取組としていきたいと思います。
 それでは、続きまして、解析・データセンターに関する報告・検討状況につきまして、何か御発言、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、続きまして、ELSIチームからの発表について。中村先生、お願いします。
○中村委員 今の解析センターの部分というのは非常に事業性が高くて、かつ継続性が必要だと思うのですけれども、この実施組織ができたときの予算というのは、やはり単年度の縛りがあって、予算的には厚労省の中の予算なのか、AMEDからサポートされる解析センターになるのか、どちらなのですか。
○中釜委員長 現状ではAMEDの研究事業として基本的には進めているわけですが、これについては厚労省、御発言いただけますか。
○医療イノベーション推進室長 イノベ室の市村です。
 令和5年度まではAMED研究がメインでしたが、先ほど御提示させていただいたように、令和6年度の概算要求では医政局のほうから事業費として19億円概算要求をさせていただいているところです。全体のシステムに係る部分につきましては、厚生労働省の医政局のほうから事業費として今後予算要求をしていくこととなっております。
○中村委員 結局、最終的には単年度という制度は変わらないけれども、医政局の事業費として運営されるという理解でよろしいでしょうか。
○医療イノベーション推進室長 そのとおりでございます。
○中村委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 続きまして、上野委員、お願いいたします。
○上野委員 国外データ提供の部分ですが、よろしいですか。
○中釜委員長 はい。お願いいたします。
○上野委員 今回整理していただいてありがとうございました。
 質問というよりはコメントなのですけれども、46ページ以降のスライドです。マル1、マル2、マル3と整理していただいて、マル2、マル3はほぼ問題がないカテゴリーということだったと思います。
○加藤参考人 資料が違うと思います。事務局、お願いします。
○上野委員 この辺りです。
○加藤参考人 これですか。
○上野委員 マル1、マル2と申し上げたのはここです。
 次のスライドに行っていただいて、対応案概要ということで、Bのところで書いていただいている利活用審査における法人レベルの確認をされるということで、これは個別の申請者に対する審査のときに利活用審査委員のほうで確認するということだと理解しております。利活用ポリシーのほうを見てみますと、「承認の原則」というところで、8条の四号で国外へのデータ提供に関しては、十分な対応ができていることが認められていることがきちんと承認の前提になっていますし、あと、倫理審査、指針対象になる場合には事前に承認も受けていることというのもちゃんと要件になっているので、形としてはカバーされている形になっているのかなと思ったのですけれども、実際に個別の申請者さんのほうで今回のこのプロジェクトに関してどこでデータをどう取り扱う。例えば申請者自体は国内の法人であっても、国外の別個法人でどうこうするみたいな話があるのか、ないのか。そういった具体的な取扱い事実関係についてはきちんと審査の俎上に上ってきて、委員のほうで確認できるような実務的なハンドリングもおいおい検討いただくといいのかなと思いました。
○中釜委員長 お願いいたします。
○加藤参考人 上野委員、ありがとうございます。
 まさにそこは準備室でのチーム間の横断的な連携が重要で、かつ生きてくるところだと考えておりまして、我々は今日ELSIチームとしてこの3枚のスライドを提示したのですが、実務的には利活用の審査委員会を動かしていくことの中でのそういった対応が必要になってきますので、利活用支援チームでの我々のこの視点を入れた実務的な整理、対応の決定、案づくりということ、それから実際にITのシステム自体もそれでチェックしていかないといけないですし、それがチェックできているという記録を基に実際データが出ていかないといけないので、これはハード面、技術面での実際の担保、ELSIの担保になるかと思うのですけれども、そういうことが必要になってきます。
 ELSIのほうがある程度考えが固まってきたものですから、ちょうどこの1か月ぐらいそういった連携の議論をやっているところですので、御意見、大変的確なことをいただいたと思っておりますし、しっかりとやっていきたいと思います。ありがとうございます。
○上野委員 ありがとうございました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 では、続きまして、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
 ちょっと戻るというか、解析・データセンターのところですが、1つはコメントで。
○中釜委員長 何ページになりますか。
○水澤委員 では、36ページを出していただいて、直接これには関係しないことがまず1つあるのですけれども、研究力を強化して、組織を研究者にとっても魅力的なものにしていただくという方針が多分初めて示されたのだと思います。従来何度か申し上げたのですが、私もそれは賛成で、非常に大事だと思いますので、大変よかったなと思います。
 2つ目も半分くらいはコメントなのですけれども、ここでがんと難病領域の統合ということを例に挙げてお話しいただきました。我々はそうやってずっと議論してきましたが、これは実行計画に書いてありますように、「がん・難病等」というのが入っていて、時々厚生労働省の資料を拝見しても、がん、難病に加えて、(3)として「その他」というふうに書いてあるときもあるように思います。これはある意味では当然で、がんと難病以外の病気もたくさんあって、全ゲノム解析はもう既に行われていて、様々な成果も上がっていると思います。そういうこともちょっと念頭に置いてやっていただくとよいと思いますし、そういう意味では、統合と申しましょうか、できるだけ普遍的な共通のフローでできる部分が多いとやりやすくなると思いますので、ぜひ今回お示しいただいたような方針でそういったところも含めて考えてやっていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 最初の点の研究力については、井元リーダーから追加で御発言いただきたいのですけれども。説明にありましたように、事業実施組織としては公平性を保つという意味から、将来的に自らの行う研究というよりも、共同の研究を支援するという説明があったかと思います。その点について、井元リーダーお願いいたします。
○井元参考人 ありがとうございます。
 私のほうから特に追加することはございませんが、共同研究を推進するということも大切ですし、解析・データセンターの保有する技術をさらに磨き、かつ新しい技術にキャッチアップして最先端の研究を行うことも大切だと認識しております。
 また、水澤先生から御指摘いただいた「がん・難病等」については、まさにそのとおりだと認識しました。また、このスライドに関しては、がん領域と難病領域の「統合」という言葉も見直したほうが良いのではと思いますが、その2つの領域における業務プロセスの一本化について議論した結果ですので、「等」はここでは除いております。しかしながら、他の疾患についても取り組みを広げていくことが必要、ということは強く認識いたしました。
 ありがとうございます。
○水澤委員 ありがとうございます。
 ちょっと追加というか、今、中釜委員長がおっしゃったことは私もよく理解しておりますし、たしか井元先生のスライドでもどこかに公平性を担保してということを強調されていたと思います。それは非常に重要だと思いますので、そういう方針の下で、しかしながら、解析技術等も含めて最先端のことができるところといった非常に魅力ある組織となりますと、優秀な研究者の方も集まっていただけると思いますし、そうなりますと、共同研究などの面でも十分ほかの研究にも役立つ、コンソーシアムのほうの発展にも役立つのではないかなと思っております。細かいところはできてからでも十分に運用できると思いますので、そういう方針でつくっておいていただければ大変利用価値が高いのではないかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 それから、1点、がんと難病の統合に関して、解析等のパイプラインなど様々な仕組みのシステムの統合というところで書かせていただいています。出来上がったデータや実際の利活用に関しては、先生が御指摘のように、将来的には様々な疾患への応用、他の疾患領域からの利活用ということも当然念頭に置くべきだという御指摘だと理解いたしました。その方向で検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
 では、続きまして、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
 ELSIチームへのコメントです。今回A、B、Cという御提案をつくっていただきましてありがとうございます。
 まず、Aに関して、想定される国をリスト化するということですがで、研究対象者の方に一番重要なところを読んでいただきたいわけで、そういう中で提供国がずらっと同じような形で書かれていると、すごく分かりづらいのですけれども、書き方を工夫すれば、このやり方も可能なのかなという気がしております。
 それと、今回御検討いただいた背景としては、令和5年の指針のガイダンスに規定が盛り込まれたということでありますが、ガイダンスであっても、みんなすごく気を遣ってここに注力していろいろ改訂をするわけです。ただ、この規定自体がデータベース事業にそぐわないものであり、それがガイダンスの中に入ってしまっているがために混乱を導いております。そのため、この辺は厚労省のほうでも次回のガイダンスの改正時に、バンク事業とかデータベース事業においての対応ということも含めてガイダンスにきちっと書いていただければと思います。コメントです。
 以上でした。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 加藤リーダー、何か。
○加藤参考人 コメントとしては特にありません。おっしゃる通りで、重要な検討事項だと思っています。
○中釜委員長 では、厚労省、御検討よろしくお願いいたします。
 続きまして、葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 私も準備室でお世話になっておりますので、準備室側ではITの設計もしているのですが、その中で、私はデータセンターの在り方とデータの使い方と、これは倫理とかにも関わってきますし、ひいてはコンソーシアムにも関わるのですが、実はどこで臨床情報を取得することを決めているのかとか、どのところでデータをガバナンスすることを決めるのかというのは、実は曖昧なのです。
 そこを少し丁寧に調べていったときに、Genomics Englandは果たしてどうしているのだろうかということを考えたときに、単純に利活用委員会というような話でやってはいなくて、結構完全に抜けていたなと思って、私も今、徹底的に調べ直しているのですが、我々はGenomics Englandにすごくフォーカスしていたのでけれども、そうではなくて、Genomics Englandというのは、新たな治療法を開発している。それも確実に患者還元できることを急いで開発しようとしているという組織で、保険という考え方にはならないのですが、もともとイギリスはNHSがやっているので。NHSのほうでGenomic Medicine Service、こちらもインフラストラクチャーを持っているのです。臨床情報とかを管理しているインフラがありまして、こちらのインフラストラクチャーとGenomics Englandのインフラストラクチャーは両輪になって動いているのです。
 NHS Genomic Medicine Serviceというのは、まさに遺伝子治療をするエキスパートパネルレポートであるとか、7つのラボがあるのですけれども、その7つのラボが中心となって、私が一番着目したのはテストディレクトリというもの。テストディレクトリというのは何かというと、検査のディレクトリではなくて、例えば固形がんで、これはある程度担保された治療法として使うパイプラインのリスト。140ぐらいあるのですけれども。各がん、もしくは希少疾患でそれぞれ認められているテスト、いわゆるパイプラインと実際のテスト、シークエンスまで、そういった情報の管理というのをかなり丁寧に管理されているのです。
 そういったところは治療にちゃんと使うためのディレクトリとしてのデータを管理し、そこのデータにGenomics Englandはちゃんと登録をしてくださいという関係になっているのです。なので、NHS GMSのような機能が今ないので、ITの設計をしているとデータセンター内の中でもガバナンスが混乱するのです。というところがちょっと気になります。
 一方、Genomics Englandは何をやっているかというと、Research EnvironmentとGenomics Englandのデータを保有する機能というのが2つありまして、NHSとGenomics EnglandとGenomics England Research Environmentの3つで構成されているのです。これが中核となるエコシステムです。そこから産業を生み出していって、今、154ぐらいの企業があるのですけれども、そこに大体1万人ぐらいの社員がいるということで、そういうGenomics Ecosystemをつくるのだということが政策目標になっていて、イギリスは遺伝子のリーディングネーションであるということを最初から決めている。
 ところが、日本の場合は、今、単純にGenomics Englandの機能論でずっと終始しているので、どうしてもその次のステップでGenomics EnglandもしくはGMSのような機能が果たせない。そうすると、患者還元まで行かないし、創薬まで行かないという危機感を感じていまして、いま一度そういったところは政策的にも整理をする必要があるのではないかなと。もちろん、準備室の中でもファンクション的なことを含めていま一度再整理をしないと、どんどんイギリスから後れを取っているなという感じで。イギリスの2000年ぐらいの感じの議論がされているので、そこから先に行かないことをちょっと危惧しております。感想めいたところではあるのですが、私からの意見です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 確認ですが、今の御指摘の点、NHS Genomic Medicine Serviceに関しては、日本でいわゆるCGPの検査結果の臨床応用に相当するのかなと理解していたのですけれども。
○葛西参考人 そうですね。かなり近いと思うのですが、実は最初からGenomics EnglandがGMSのデータに返すようにしているのです。なので、これはシステム的には連携されていて、分かれていないのです。なので、日本の場合は保険という壁があって、保険収載したら病院データとして管理するみたいになってしまうのですが、そういうことではないのです。だから、ゲノムのエコシステムとしては、まさにパイプラインと検査と全てのここで認められているものというのをGenomics Englandが発案すると、NHSがチェックするというガバナンスになっているというところで、僕も誤解していたところがあるなと思いました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 その点については、臨床・患者還元支援チームから今日説明がありました患者還元の仕組みの出口戦略のところで御議論いただくのがよろしいかなと理解しましたが、上野リーダー、今の御指摘に対して、この時点で何かお答えがありますか。
○上野参考人 非常に重要な観点だと思いますので、我々のほうもその点を踏まえて議論を進めさせていただければと思います。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 今日は実施組織のより具体的な形というのが見えてきましたので、大変よかったと思います。
 もう既に中村委員が御指摘されたところなのですけれども、12ページの一番左上の「既存の治療標的」云々で、「がん遺伝子パネル検査に対する優位性は確立していない」というのは、中村先生がおっしゃったとおりで、これは遺伝子パネルと比較して云々という話のものではないので、全ゲノムシークエンスの将来性を感じさせるような認識の文章に是非していただきたいなというのが1つありました。
 もう一つ、ちょっと具体的なことで、10ページ、参加施設のことですけれども、これはゲノム中核あるいは拠点病院を中心に、そこから広げていっていると思うのですが、例えば15番から20番、今日認めていただいたこういう施設というのは、どういう形で応募あるいは公募されたのでしょうか。
○中釜委員長 それについては、上野リーダー、お願いできますか。
○上野参考人 この戦略コホートに関しましては、いわゆる日本のある程度中心になってやられているJCOGあるいはWJOGといったような臨床試験グループの臨床試験に全ゲノムを紐づけるという形で行っておりまして、今回の申請に関しては、例えばJCOGの臨床試験グループに入っているような施設で浦上班の臨床試験に入る施設というものに手挙げをしていただいているような状況なので、特に公募という形ではなくて、臨床試験グループの試験に参加している施設というふうな立てつけになっております。
○森(正)委員 分かりました。将来的には実際日本全国で使うようなものになると思うのですけれども、恐らくこういうものにより積極的に参加したいという施設も当然あろうかと思いますので、そういう施設にもチャンスがあるような形を取ってもらえるとありがたいなと思いました。
 先ほど言いましたけれども、将来は日本全国の施設がこれに参加して、日本全体がよくなるというのが一番重要なことだろうと思いますが、それに当たって、前々からそれぞれの病院でこれをする担当者、あるいは検体を扱う人たちへの教育という仕組みというのは、今日お示しした実施の体制の中に何らかの形で入っていますか。その確認だけお願いします。
○上野参考人 では、私のほうからまたお話をさせていただきますと、患者還元支援チームのほうの2本柱があるうちのBと言われているほうの、連携施設の拡大というところで、そういう施設拡大におきましていわゆるクオリティーを含めた保証、担保していくという形で、検体の管理等も含めて規定していく、システムをつくっていくというような方針にしております。
○森(正)委員 そこでぜひ具体的にどういうところができれば合格だということも示していただいて、一番最初のサンプルを集めるところでクオリティーがみんなイコールになるようにしていかないと、汎用性という点でよくないだろうと思いました。
 最後に、これだけの立派な組織ができてやっていくための、これも中村先生がおっしゃったのですが、AMEDの支援とか、あるいは厚労省の支援ということなのですが、将来的に本当にどういう財政基盤でどういうふうに運用するかということも、当然もう考えておられると思いますけれども、どこかの時点で青写真でも示していただければ大変ありがたいなと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 いずれも重要な御指摘で、特に運営基盤をどうするかということはビジネスモデルとも関連することだと思いますので、準備室としても検討していきたいと思います。重要な御指摘ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますでしょうか。それでは、栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
 今、森先生がおっしゃられたことに関連いたしまして、現在、準備組織の検討が詳細に進んでおり、かつ実施組織についてもこれだけ議論が進んでいますが、令和7年度に実施組織が発足し運用が開始されるためには、令和6年度に様々な検討だけではなく、実際の解析・データセンターに必要なIT基盤とか、そういったものの投資や費用が必要になると思うのです。途中参加したので、冒頭に説明があったら申し訳ないのですが、令和6年度の概算要求で推進事業として19億円が要求されていますけれども、令和6年度は本格的な作業をするに当たって、この金額で足りるのでしょうか。また、令和7年度以降、どういう財務基盤あるいは資金が必要になってくるのかという点も見ていかなければいけないのではないかなと思います。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 現時点で厚労省から何かございますか。
○医療イノベーション推進室長 予算に関しましては、令和6年度の概算要求の資料しか提示できておりませんが、必要に応じ予算をしっかりと確保していきたいと考えております。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。19億円で必要なものが確保できるのかというのは、今後の長期的な見通しの中でも比較的早い段階でお示しいただければと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。事業実施組織としてどういうタイムラインでスケールアップできるかということも含めて、実効性のある組織の立ち上げの段階においては、財政的な裏づけというところも厚労省と相談しながら進めていきたいと思います。
 ありがとうございます。
 水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
 全般的なことになるのですけれども、先ほど葛西先生がおっしゃったことは非常に重要だと思っていまして、先生がおっしゃったように、Genomics England、英国でもフランスでも全ゲノム解析は部分的に診療に実装化されております。日本の場合、実装化あるいは患者還元ということを言ったときに、保険診療になるということが1つ大きなファクターになってくると思いますので、話が少しややこしくなると思うのですが、この議論をしていますと、これは研究ベースでの議論なのか、保険診療のときの議論なのかということが常に絡まっていて、なかなか分かりにくいことがあると思います。
 恐らく大事なことは、令和7年度にこの組織ができたときの状況を考えたときに、もちろん研究としても進めなければいけないし、患者還元も含めて全ゲノム解析が保険診療の一部かどうか分かりませんけれども、診療実装されることは間違いないと思うのです。したがいまして、両方のサンプルと申しましょうか、診療から得られた検体とか情報とか、それから研究で得られたもの、両方をこの組織は扱うのだという理解で私はやってきているのですが、それをみんなで確認したほうがいいような気がいたしましたが、いかがでしょうか。それで間違いないのですよね。両方使うということで。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 これは後ほど上野リーダーから説明いただきたいのですけれども、冒頭中村委員の御指摘にもありましたように、保険診療だけではなく、様々な出口戦略を想定しながら、そのための仕組みを考えていくというところがA班のこれからの活動になってくると思います。その中で今、御指摘の点を踏まえて、全ゲノム解析の強みをいかに発揮できるような仕組みをつくれるかというころが重要だと理解しています。上野リーダー、追加で御発言ございますか。
○上野参考人 どうもありがとうございます。
 我々としましても、おっしゃるとおりで、医療全体の中でどういうふうに活用していくかということですので、決して保険診療にこだわる必要はないと思っています。ただ、保険診療、実際患者さんに保険で適用する部分というのももちろん出てくるので、それを見据えつつ、医療全体としてさらに保険に縛られない、研究的側面も含めて考えていくということでやっております。
 どうもありがとうございます。
○水澤委員 そうですね。研究としてやる場合には、条件さえつければ簡単に検体は集まりますので、問題ないのですね。葛西先生がおっしゃったのはその部分があると思うのですけれども、保険診療で集めた、クリニカルに集めた検体や情報をいかに研究にも活用するかというところがかなり難しくなってくると思うので、そういう点を配慮しながら我々はやらなければいけないのではないかと思っております。
 ありがとうございました。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 先ほど申し忘れたのですけれども、人材育成のところです。ELSIのところに入るのかどうか分かりませんが、現実的に患者さんとしてはいろいろ調べていただいた上で、適合する薬があるということになれば一番喜ばしいのですけれども、現状としてはなかなか希望する薬に届かない人のほうがかなり多いということで、その場合の患者さんのケアをするドクターなり、あるいは方々。がん拠点病院を中心にそういう人材をそろえているところはたくさんあると思いますが、これを全国に普及していくためには、そういう方々をどういうふうに育てるかというところも1つの観点としては重要だと思うので、人材育成のところにそういう人の育成というところも少し勘案できれば、よりいいかなと思いました。先ほど言い忘れたのですが、その点もよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。現在準備室の中でも事業実施組織の立ち上げの際には各部門で人材の育成は非常に重要な課題だと認識しており、ELSIにとどまらず、解析データセンター、利活用の部分、あるいは臨床・患者還元のところでも先生が御指摘の人材育成ということがどういう形で実現可能かということに関しては検討させていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 ほかに御質問、御意見ございますか。それでは、大沢委員、お願いいたします。
○大沢委員 がんゲノム医療連携病院などではない市中病院とかですと、今は保険でコンパニオン診断を提案ということぐらいしかまだ一般的ではなくて、患者さんも標準治療の終了が見込まれる段階になってからがん遺伝子ゲノム検査という話が出てきても、自分の病院では受けられず、受けられる病院につないでもらわないとならない。そもそもそういう情報が患者さんのほうにはあまり届いていないので、令和7年に向けていろいろ進んでくるのだとは思うのですけれども、患者さんに分かりやすいような情報発信とか、先々こんなふうに変わってくる見込みがあるよと。ちょっと希望につながるような。ただ、つながっても希望が断たれてしまう可能性もあるわけなのですけれども。難しい議論なので、少しずつ患者さんに令和7年に向けて情報が伝わるようなことをやってもらえたらいいかなと思って。
 あと、ちょっと分からなかったのが、例えば内臓転移にはまだお薬が効いている方が、新たに出てきた脳転移をコントロールしたい、と考えてがん遺伝子ゲノム検査に出すのは、血液脳関門の関係で意味がないのか、やはりそれは放射線や手術しかないのか、知りたいと思いました。もうちょっと治療中の患者さんに分かりやすいような情報発信がなされていくといいなと思いました。感想です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。情報発信において、できるだけこの事業実施組織の活動について知っていただくという意味では、いわゆる広報やELSI、あるいはPPI活動を通して十分に理解していただくことが重要と考えています。どういうことが可能なのか、どういうことが課題なのかということも広く国民に知っていただく機会をより増やしていく必要があるということは、準備室の段階でも今、議論されているところですので、御指摘を踏まえてより広く全ゲノム解析事業の方向性について理解いただくことを目標として努めていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、いま一度全体を通して何か御発言、御意見ございましたらお願いしたいと思います。それでは、横野参考人、お願いいたします。
○横野参考人 参考人の横野です。
 先ほど最後2つの御発言の中でありました情報提供や相談支援体制等に関しましては、現段階ではこの事業の準備室としても取り組んでいくことだと考えておりますが、先般成立しましたゲノム医療法の中でも基本的な施策の中にそういったものが盛り込まれておりますので、その法律に基づく政策の推進という意味でも厚労省のほうで御尽力いただきたいと思っております。
 以上です。
○中釜委員長 追加の発言ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 全体を通してこの場では生成AIとかという言葉が出てこないのですけれども、今の患者さんに分かりやすい説明とか情報提供という観点では、今後生成AIを活用していろんな情報を提供していくということが重要だと思いますので、今、井元先生が一生懸命やっていただいて、かなりしっかりしたものをつくっておられますが、患者へどう伝えるのか、みんなでどう情報を共有するのかという観点で、生成AIを使ってうまい仕組みをつくるということも重要だと思いますので。これは気づいた点で、単なるコメントとしてお受け止めください。
○中釜委員長 重要な御指摘と理解いたします。ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 特にないようです。本日も多くの御意見をいただきありがとうございました。おおむね現在の進捗、検討状況に関しては御賛同いただいたかと思います。本日御指摘いただいた点を踏まえながら、さらに機能的により充実したものに図っていきたいと思います。先生方の本日の御意見を反映させながら今後の活動に生かしていきたいと思います。どうも御意見ありがとうございました。
 それでは、以上で本日の本委員会を終了したいと思います。追加の御意見等ございましたら、適宜事務局まで寄せていただければと思います。
 また、委員の皆様には本日のスムーズな議事進行に御協力いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、議事進行を事務局にお返しいたします。
○医療イノベーション推進室 ありがとうございます。
 では、次回の専門委員会の日程調整につきまして、事務担当より連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては御回答のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。