第13回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和5年9月20日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省仮設第2会議室(Web会議併用)

出席者

出席委員(五十音順)

(会議室)
(Web会議)

※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

厚生労働省
(会議室)
  • 森光 敬子 危機管理・医務技術総括審議官
大臣官房厚生科学課
  • 伯野 春彦(厚生科学課長)
  • 綾 賢治(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
  • 勝山 佳菜子(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
医政局
  • 矢野 好輝(総務課保健医療技術調整官) 他
健康・生活衛生局
  • 小畠 啓史(感染症対策部予防接種課ワクチンシステム高度化推進専門官) 他
医薬局
  • 松倉 裕二(医薬品審査管理課長補佐)
    浦 克彰(医薬安全対策課課長補佐) 他

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  2. 2.委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について
  3. 3.医薬局からの定期報告について
  4. 4.その他

議事

○綾室長 皆様、お待たせいたしました。ただいまより、第13回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、ウェブ開催としておりまして、磯部委員長を除く他の委員の皆様方には厚生労働省外から御参加いただいております。
 また、傍聴に関しましては、ユーチューブでライブ配信を行っておりますので、御説明に当たって、また御発言に当たっては、できるだけゆっくりはっきり御発言いただきますようよろしくお願いいたします。
 なお、資料は随時投影させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投影を中断し、音声配信を優先する等の対応を取ることがございますので、あらかじめ御了承願います。
 議事に入る前に、事務局に異動がありましたので、御報告させていただきます。
 9月1日付で森光危機管理・医務技術総括審議官が着任しております。総審より一言御挨拶をお願いします。
○大臣官房危機管理・医務技術総括審議官 9月1日付で危機管理・医務技術総括審議官に着任いたしました森光です。どうぞよろしくお願いいたします。
 当該委員会につきましては、医薬品などの安全性の確保や薬害の再発防止を果たすために重要な役割を担っていると認識しております。この委員会での真摯な議論を受け止め、行政に反映していくため、努力を行っていきたいと考えております。
 本日もGLP-1受容体作動薬等の適応外使用に係る課題等について議論をしていただくこととなっております。先生方の真摯な議論を期待しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○綾室長 ありがとうございました。
 また、私でございますけれども、7月4日付で医薬品等行政評価・監視委員会室長に着任しました綾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 ほか、7月1日付で勝山室長補佐が着任しておりますので、併せて、どうぞよろしくお願いいたします。しっかり務めてまいりたいと思います。御指導のほどよろしくお願いします。
 それでは、以降の議事進行は磯部委員長にお願いいたしたいと思います。
○磯部委員長 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局から委員の出席状況の御報告をお願いします。
 また、利益相反の取扱規程に基づいて各委員の申告内容の報告をお願いいたします。
○綾室長 御報告いたします。
 まず、委員の出席状況をお知らせいたします。本日は、9名中の委員全員に御出席をいただいておりまして、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 続いて、利益相反について御報告いたします。まずは、利益相反の取扱規程に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告でございますが、本日は、議事次第にありますとおり、議事及び資料の内容から、制度や施策の概要を初めとした全般的な議論が中心となり、特定の医薬品について議論を行うことは予定していないことから、個別医薬品に関する利益相反の申告はいただいておりませんので、御報告いたします。
 続いて、委員会の議題によらない全般的な利益相反の定期的な開示です。これは、議題とは関係なく、薬事に関する企業や厚生労働省、PMDA、AMEDとの関係性を広く毎年一度申告していただき、利益相反の状況として公開するものです。項目としては、審議会への参画状況や研究費の受け取り状況などがあり、それぞれの該当の有無は参考資料5に取りまとめておりますので、御報告いたします。
 また、各委員の申告書は、本日の委員会終了後に本委員会のウェブサイトに公開いたしますので、申し添えます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、委員の求めに応じた個別事項への対応として、糖尿病治療薬等の適応外使用に関連した取組、そして、委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況として、医薬品安全性監視活動(使用成績調査)に関するお話、そして、医薬局からの定期報告について取り扱うこととしています。
 なお、この9月より、厚生労働省内の組織改正により医薬・生活衛生局は医薬局となりましたので、本委員会における定期報告についても併せて変更させていただいております。
 今回も、厚生労働省からの説明の簡素化などで効率的に進めさせていただきたいと思いますので、御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
 では、議題に先立ちまして、前回の第12回委員会でいただきました御意見、御質問について取り扱いたいと思います。
 3点あります。
 まず、前回の委員会の最後に、伊豆津先生から、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、それまでの間に医薬品関係で実施された各種の対策についてどうであったのか、行政機関としてしっかりと振り返っていただきたい旨の御意見がございました。
 私も大賛成でした。本件につきましては、伊豆津先生とも御相談させていただきまして、現時点で何か文書等を出すことはいたしませんが、特例承認や緊急承認などについて、各担当部署においてはしっかりとその後の対応を実施いただき、必要に応じて本委員会に御報告をお願いすることとなると思いますので、その際には御報告いただくなどしていただければと思います。担当部署におかれましては、改めてどうぞよろしくお願いいたします。
 また、2点目。佐藤委員より、ワクチン接種後の遷延する症状について、実際にどのような症状が起きているのかなど、症例を診ておられるお医者さんからお話を伺いたいという御意見もいただきました。この点につきましては、委員会における議論の前に、まずは委員会のメンバーがもう少し実際の臨床現場の様子、皆さんが訴えられている症状などの情報をよく理解する機会が必要であろうということで、佐藤委員とも御相談させていただきまして、そうした中で今後のさらなる委員会での議論につなげていくことができればと考えております。
 最後、3点目です。前回、泉委員から祖父江班の全国疫学調査の研究計画書を開示いただきたいという御意見がございました。研究計画書は本日の参考資料1として御提出いただいております。なお、研究計画書については、厚生労働省で保有されている行政文書に該当するもので、情報公開法に基づく開示請求等が行われた場合と同様に、書類作成者である研究代表者にも確認の上で、個人情報等をマスキングした後、委員会に御提出いただきました。
 以上3点ですが、今の点につきまして、何か委員の先生方からコメントなどございましたら、お願いいたします。
 よろしいでしょうか。また何かあれば後で言っていただければと思います。
 それでは、前回委員会でいただきました御意見への御対応状況についてのお話というのはここまでにしたいと思います。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 議題の1「委員の求めに応じた個別事項への対応」として、今回、戸部委員より新たな議題の御提案をいただきました。最近、GLP-1ダイエットなどという言葉を耳にすることもございますけれども、美容医療等において、糖尿病治療薬等をダイエット目的で使用する治療が実施されており、ウェブサイト上の広告を目にすることもある一方、国民生活センターへの相談事例などもあるようです。
 承認された効能・効果とは異なる目的で医薬品を用いる治療については、医師の裁量と患者の同意の下で実施されており、医薬品そのものの安全性に関する事項ではなく、主に医療法や医師法といった医療提供に関する事項かと思いますが、一方で、医薬品の使用に伴う課題ということであれば、医薬品医療機器等法において何か対応すべきこともあるかもしれません。まずは、関連する規制や現状の取組について御説明をいただきたいと思います。
 今回は、医療法等を所管している医政局の担当の方にも御説明をお願いいたしました。医政局総務課、続いて、医薬局監視指導・麻薬対策課及び医薬安全対策課より、本件の関連規制や施策について御説明をお願いいたします。
○総務課保健医療技術調整官 医政局総務課の矢野と申します。
 資料1-1に基づきまして、糖尿病治療薬等の適応外使用に関連した注意喚起等の取組、医政局の取組を御紹介させていただきます。
 2ページ目でございます。まず医療広告の規制でございます。この医療広告の規制は医療法第6条の規定に基づきまして行っているものでございますが、広告の規制対象の範囲としましては、誘因性と特定性があるかどうかで判断することとなっております。例えば医療機関のホームページ等については医療広告の規制の対象になるところでございます。
 この医療広告の対象になった場合、患者等の利用者保護の観点から、広告可能な事項というのは診療科名とか医療機関の名称などに限定しているということでございまして、それら以外の広告は原則禁止となっております。ただ、これは原則禁止でございまして、例外がございます。
 例外は○に記載がございます。「ウェブサイト等による広告の場合の例外」ということでございまして、ウェブサイト等に限っては、一定の要件(限定解除の要件)を満たせば、広告可能事項以外の広告を可能とするという考え方となっております。これは平成29年医療法改正における広告規制の対象の検討の際の考え方でございます。
 3ページ目が、その限定解除の要件ということでマル1からマル4までお示ししております。このマル3からマル4については、自由診療について情報提供する場合に行うものとされております。マル1につきましては、患者が自ら求めて入手する情報である、例えばこのウェブサイトというのは患者さんが自らアクセスして得る情報であるということでありますとか、マル2は、問合せ先をきちんと記載すること、マル3は、治療内容とか費用に関してきちんと情報提供すること、マル4は、主なリスクや副作用について情報提供すること、こういった条件をきちんと満たしている場合は広告事項の限定が解除される形となっております。
 4ページ目は広告可能な事項です。限定列挙されているものでございまして、通常であれば、この範囲でしか広告の記載ができないということでございますが、これが一定の要件を満たせば解除されるという考え方を取っています。
 5ページ目は医療広告のガイドラインで、さらに詳細な考え方を示しております。未承認医薬品、医療機器を用いた治療は広告可能でしょうかというクエスチョンに対する回答でございます。これは、未承認の医薬品もそうですし、GLP-1のような薬の適応外使用も含めてということになりますが、限定解除の要件につきまして、5ページ目から6ページ目にかけて、さらに4つのことをきちんと明示する必要があると定めております。具体的には、未承認医薬品等であることの明示に関して、用いる未承認医薬品等、適応外の薬等が承認を得ていないものであることをきちんと明示すること、6ページ目でございますが、入手経路をきちんと明示すること、国内の承認医薬品等の有無を明示すること、諸外国における安全性等に係る情報を明示すること。これらが限定解除の要件となっているということでございます。
 7ページ目は、医療広告の規制をきちんと医療機関のほうに周知するために作成しているウェブサイトの事例解説書でございます。こちらの中にも、未承認医薬品等の要件を満たしていない表現は具体的にどのようなものなのかという形で分かりやすく図示して、広く周知しているところでございます。
 さらに、これらの医療広告のガイドラインや事例集等がきちんと遵守されているかどうかを監視するためのネットパトロール事業、ウェブサイトの監視体制事業の御説明をします。
 平成27年7月に、消費者委員会において、「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」がなされたことなども踏まえまして、平成29年度よりネットパトロールを実施しております。具体的には、マル1にございますとおり、医業等に係るウェブサイトが医療広告規制等に違反していないかどうかを監視いたします。マル2でございますが、もし不適切な記載を認めた場合は、医療機関等に対して規制を周知して、自主的な見直しを促します。マル3、もし改善が認められない場合は、それを所管する自治体に情報提供を行って、自治体から法的な観点を含めた指導を行っていただく。マル4が追跡調査でございますが、自治体に情報提供しまして、改善されたどうかということの調査も行うという形で、受託事業者によってこうした取組みが行われております。
 さらに、医療広告協議会というのがございます。関係団体とか自治体の方々を含めまして、こういった医療広告の規制の考え方について、その指導内容等が自治体によって差異が生まれないように、その解釈について明確化できるようにこの協議会を設置して議論していただいて、事例集などのブラッシュアップなどを行っております。
 9ページ目がネットパトロールの実績でございます。令和3年度の1年間の実績でございますが、847サイトにおいて合計3886カ所の違反があったということでございます。そのうち特に美容と歯科のものに違反が多かったということでございます。
 その美容と歯科の内容の内訳が次の10ページに示されております。美容の中で特に多いのは、美容注射、発毛、顔整形などがございますが、GLP-1に関することも3%に広告の違反が認められたところでございます。
 11ページ目は、美容医療に関するインフォームドコンセントに関してでございます。医療法では、医師等に対して患者の説明と理解(インフォームドコンセント)を求めておりまして、GLP-1ダイエットを含む美容サービス等の自由診療においては、患者が安全性や有効性について理解した上で受診することが重要でございます。
 このインフォームドコンセントについては医療法第1条4の規定がございます。この規定のさらなる美容医療におけるインフォームドコンセントの考え方としまして、医療従事者と国民・患者向けの取組をしております。
 医療従事者向けについては、平成25年9月27日付の医政局長通知において、特に施術の有効性及び安全性に係る説明に当たっては、効果の程度に個人差がある旨を丁寧に説明しなければならない、また、即日施術の強要は厳に慎まなければならない、費用や解約条件については施術前に丁寧に説明しなければならないということをお示ししております。
 また、国民・患者向けについては、チェックシートを消費者庁と合同で作成いたしまして、患者から医療従事者等に理解できるまで追加の説明を求めるなどの対応を促しているところでございます。
 12ページ目が国民・患者向けのチェックシートと周知のチラシでございます。これを消費者庁や国民生活センターとも連携して周知しておるところでございます。
 医政局からの説明は以上になります。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 続きまして、監視指導・麻薬対策課でございます。
 適応外使用の対応につきましては、医薬品医療機器等法の観点からの対応もございますので、その点について御説明したいと思っております。
 内容としましては、主に医薬品等の広告規制に関するものと適正使用の推進の2つがございますので、それぞれ順番に御説明したいと考えております。
 まず、スライド2でございますが、医薬品の広告規制の概要から御説明したいと思います。説明に当たっての前提になりますが、医薬品に関する広告としましては、先ほど資料の中で御説明させていただいたとおり、医療機関が診療内容として発信するようなケースと、製薬企業や販売業者、卸といったところが販売の促進のために医療機関などに対しまして医薬品そのものの広告を行う、この2つのケースがございます。それぞれの法律の所掌に従いまして、先ほど御説明しましたような診療行為に関するようなものは医療法の中で、あるいは製薬企業等が医薬品としての広告を行うようなものに関しましては医薬品医療機器等法の中で必要な規制を設けて対応しているということになります。
 このようにすみ分けが明確でございますので、我々厚労省として重複や漏れがないように対応しているというのが現状でございます。こちらの医薬局の資料の説明の中では、医薬品医療機器等法に関するものですので、例えば製薬企業や卸といった者が医療機関に対しまして広告を行う場合のルールの御説明となります。
 それでは、資料の説明に入りたいと思います。
 まず、上段の見出しの中に記載させていただいておりますが、医薬品医療機器等法に規定される製品に関しましては、これらの不適正な使用とそれによって生じる危害の発生を防止するという観点からは、法律、あるいは、この後御説明します通知の中で必要な広告の規制を設けています。
 スライド2と3に関しまして、主な規制内容を一覧にお示ししております。今回、関連するような医療用医薬品の適応外使用の広告に関するものを赤字で一覧としてお示しさせていただいております。詳細については、この後のスライドで御説明させていただきますので、省略いたします。
 まず、スライド4でございますが、法律そのものによる広告の規制でございます。広告に関しましては、法律の規定の中で、虚偽・誇大広告の禁止、特定疾病用医薬品、例えば抗がん剤でございますが、こういったものの一般人向けの広告の禁止、あとは、承認前医薬品の広告の禁止という3点が定められております。例えば、今回の論点のように、製薬企業が仮に適応外の広告を行ったとなりますと、虚偽・誇大広告、あるいは未承認の広告に該当しますので、法律の66条や68条の規定に抵触することとなります。
 続きまして、スライド5でございます。法律の中で違反広告の取締りの実効性を担保するために、違反した場合の罰則、措置命令、あるいは虚偽・誇大広告の売上に対しまして課徴金の納付を命じることが可能とする規定も併せて設けております。
 スライド6でございます。こちらは医薬品等適正広告基準という通知でございますが、その規定についても説明したいと思います。こちらのスライドにおきましては、適正広告基準の目的、広告を行う者の責務、主な基準をまとめておりますが、この赤字の部分が今回の論点に関係するものでございます。
 スライド7に具体的な内容についてまとめさせていただいております。承認等を要する医薬品等についての効能・効果等の表現の範囲につきましては、趣旨は法律と同様でございますが、より具体的に明示的、暗示的であるかを問わず承認等の範囲を超えてはいけないとしております。
 また、下の医療用医薬品の広告の制限でございますが、医療用医薬品につきましては、医療関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはならないとしておりますので、適応外であるか否かを問わず、例えばGLP-1受容体作動薬といった医療用医薬品の広告を行うことは禁止されています。
 続きまして、スライド8でございます。こちらの通知でございますが、販売情報提供活動ガイドラインというものでございます。目的と範囲は資料に記載させていただいたとおりで、こちらに関しましても、製薬企業が医療機関に行う広告などの適正化を目的としたものでございます。こちらはガイドラインでございますが、先ほどの適正広告基準よりもより詳細なルールや、その広告の適正化に関しまして組織体制の整備というものも定めております。
 スライド9、あるいは次の10、11に関しては、ガイドラインの、例えば販売情報提供活動において満たすべき要件、あるいは禁止事項、積極的に行うべき行為といったものをまとめております。赤で塗った部分ですけれども、こちらのガイドラインにおきましても、承認の範囲内の情報を提供するべきこと、虚偽・誇大広告の禁止というものを明記させていただいておるということになります。
 スライド12でございます。販売情報提供ガイドラインにおきましては、未承認や適応外の情報提供に関しても必要なルールを設けさせていただいております。これまで御説明させていただきましたように、製薬企業等が未承認薬の広告を行うのは禁止されておりますが、一方で、実際の医療現場におきましては、例えば希少疾病の患者さんなどのためにやむを得ず未承認薬や適応外の薬を使うということも起こり得ますので、そういった場合も想定しまして必要なルールを明確化しております。
 前提としましては、情報提供については、医療関係者から求めがあった場合と限定しておりまして、その上で、必要な要件としまして、例えば(1)通常の販売情報提供活動とは切り分けること、(2)医療機関からの要求内容に沿った内容に限定すること、また情報提供先は要求者のみに限定すること、(6)副作用の危険が高まることやネガティブな情報についてもきちんと情報提供すること、(7)で未承認であることは明確に伝えること、そして(8)でございますが、記録を作成し保管すること。といったように、適応外の使用に関しまして厳格なルールと記録の作成を求めています。
 スライド13に関しまして、先ほど申しましたとおり、製薬企業に対しまして広告の適正化のための体制整備を求めております。左上の【主なポイント】のところにまとめておりますが、製薬企業に対しまして、販売情報提供活動監督部門の設置と資材審査、あるいはその情報提供の内容に関しましてモニタリング等を実施すること、あるいは審査・監督委員会によりまして外部の視点を取り入れた上でのフォローを行うということ、あるいは苦情窓口の設置とその対応を求めております。
 スライド14を御覧いただければと思います。広告規制も含めまして、薬事監視というものは日々自治体や厚生労働省が実施しております。これに加えまして、販売情報提供活動監視事業というモニター調査も組合せで実施させていただいております。
 中央に絵をお示ししておりますが、右の医療機関のところでございます。医療機関の中で、モニター調査に御協力いただける医療機関を選定しまして、実際に日々製薬企業から医療機関に情報提供が行われる中で、適切性に疑義があると思われたものがありましたら、事務局のほうに御報告いただいております。
 事務局におきましては、学識経験者あるいは医療従事者などで構成されます事例検討会を定期的に開催させていただいておりまして、報告された内容について検討を行って、問題があるということでしたら、厚生労働省から個別事例について当該事業者に対して指導を行うほか、あるいは業界団体とも連携しまして必要な対応を検討しているということになります。
 スライド15でございます。詳細は割愛いたしますが、監視事業の調査結果に関しましては、毎年度、報告書という形でまとめて公表しておりまして、製薬企業に関しまして注意喚起や違反事例の監視を行っていることの周知を行っております。
○医薬安全対策課課長補佐 最後になりますけれども、医薬局医薬安全対策課より医薬品等の規制当局において適正使用に関する注意喚起を行っておりますので、その内容を御紹介させていただきます。
 まず、GLP-1受容体作動薬等の適応外使用につきましては、PMDAのホームページに文書を掲載して、適正使用に関する注意喚起を行っているところでございます。本日、一般社団法人日本糖尿病学会、それから関係製薬企業から出されている文章を資料としてお示しさせていただいており、2020年の夏頃に同様の文書が出されておりまして、本日お示ししているのは今年になって更新されたものになっております。詳細な内容については割愛させていただきますけれども、これらの薬剤が2型糖尿病の治療薬であること、それに基づいて適正使用を求めるという内容になっていると承知しております。
 簡単ですが、以上になります。よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 というふうに、今、御説明いただきましたけれども、様々な論点があろうかと思います。委員の皆様から御質問、御意見があれば御発言をお願いいたします。
 では、戸部委員、お願いします。その後、花井委員でお願いします。
○戸部委員 御説明ありがとうございました。
 まず、私が今回この提案をさせていただいた背景をお伝えしたいと思っております。
 こういった、治療目的ではない、いわゆる医療ダイエットを目的とする医薬品の販売方法だとかに関しては、全くだめということではなくて、利用者にとっての利便性とリスクが見合った管理がされる必要があると思っています。
 そういった意味では、これまで医療機関あるいは医薬品に関する規制は治療目的の活動を中心に積み上げられてきたが、これまでと同じ規制でいいのかどうか、そんな疑問を持ったので、提案をさせていただいたということです。
 もちろん、利用者としてもきちんと正しい理解をしていかないといけない。利用者のリテラシーもとても大事だと思っております。最後に説明をいただきましたけれども、やはり治療目的というところが最優先だと思うので、例えば医療ダイエットを目的とする利用者が非常に増えることによって、必要な薬剤が治療に必要な人のところに届かないというのはまずいと思いますし、そういったところで、治療目的ではない薬剤の使い方については、これまでの規制の在り方を考え直さないといけないのではないかと思っております。治療目的と医療ダイエットというのは、医薬品の市場としてはちょっと違うのかもしれないけれども、医薬品の提供という意味では同じ土俵で考えていく必要があるかなと思っております。
 そんなところです。ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 どうしましょう。一つ一つお答えいただきますか。今のところはどうですか。監視の目的や方法が治療目的とそうでないところで。肥満症の治療であるという意味においてはそうなのかもしれないが、リアルな感覚としてはダイエット・美容ということで、そこの違いは法制度運用上何か大事なのでしょうか。医政局でも医薬局でもどちらからでも。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 監視指導・麻薬対策課でございます。
 まず、医薬品の広告規制という観点からお話しさせていただきますと、我々としましては、資料の中でも御説明させていただきましたけれども、薬機法で規制されているもの、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器もそうなのですが、こういったものに関して必要な規制を置くことになります。例えばカロリーが低いから痩せるとか、そういったものはまた別の話かと思いますけれども、医薬品とかの効果によってダイエットをするとか、その医薬品的な効能・効果に該当するようなものに関しましては全て対象としまして必要な監視を行っておるということになります。
 今回、GLP-1を使ってダイエットということになりますと、医薬品的な効能・効果ということになりますので、私の資料の中でも御説明させていただきましたとおり、きちんと薬機法に基づいた監視を行っていくというスタンスは変わらないと考えております。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、医政局。
○総務課保健医療技術調整官 医政局総務課でございます。
 大きく2つの観点の御意見だったと理解しております。
 1つ目が、治療が目的のものと美容が目的のもので医事法制上の規制の考え方が違うのかということについてですが、どちらも医療行為として医療法、医師法の考え方に基づいて必要な事項を定めているということになります。特に美容につきましては、インフォームドコンセントにおいても、また医療広告におきましても、特段の対応として、先ほど資料でも御説明しましたが、限定解除要件においても、自由診療の場合は特にこれを説明してくださいという形で定めたり、また、周知についても、美容医療については消費者庁ともきちんと連携して周知に努めるなど、美容関係に特化した取組もこれまで進めてきているところでございます。
 もう一つは、GLP-1受容体作動薬が必要な人に届かなくなっているのではないかという御指摘についてですが、こちらについては、医政局の医薬産業振興・医療情報企画課から事務連絡を発出しておりまして、医療機関のほうに適正使用に努めていただくよう周知するといった取組をしております。それぞれ問題が指摘されているところでございますが、こうした取組を医政局として、実施しているところでございます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 戸部委員は今のコメントに対してさらに何か。
○戸部委員 まだお伺いしたいことがありますが、花井先生が手を挙げていらっしゃるので、また後でお願いしたいと思います。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 まず、医薬局のほうなのですけれども、いわゆる適応外に対する情報提供について、本来、添付文書にある効能・効果内でやるべきであるという意見をかねてから主張していました。確かに、いわゆるオーファンのような希少疾病等々で適応外使用が医療行為の中で行われる中で、求められた場合はそれをしていいということになっているスライド12ですけれども、これについては、求められたのか求められていないのかというのが事実上分からないという感じです。本当にそれがチェックできるのかということは疑問を呈していたのですが、これについてはいわゆる医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業というところでフォローアップしているのだというのが当局のこれまでの説明だったわけです。
 それの効果自体が十分かということはとりあえず置いておくにせよ、今回の場合、今、戸部委員からも疑問が呈されたように、このモニター事業は、普通に考えると普通の医療行為であるし、診療所というよりは病院中心かなと。それを病院自体が報告するのだから、いわゆる情報提供されたものは、これは問題だと思う人たちが報告するというたてつけなので、そこを報告するかしないかということについて、例えば今みたいな美容領域だとちょっと様子が変わってくるのではないかと思います。なので、この監視事業において、いわゆる自由診療領域、あるいはクリニックのようなところはどこまでフォローできているのかという認識をお聞きしたいというのが医薬のほうに対する質問です。
 それから、医政のほうです。これは1つの感想になりますが、実は薬機統制というのは結構厳しくて、全部罰則とかが厳しいわけです。ところが、この医政統制のほうは意外にそこは罰則とかが余りない感じになっていて、そこが薬機のほうがきついかなと。
 今回、これもモニターという形でやっておられるのですけれども、ネットパトロールとかでこれだけの違反事例があっても、特にペナルティーというのがない。やめなさいという感じで、それでもやめなかったら自治体がさらに指導するみたいな感じですが、ペナルティーみたいなものがあるかということをお聞きしたい。
 それから、これは感想ですが、薬機統制に対して医政統制のペナルティーが緩いのではないか。これは、再生医療等でも一定議論になったのですけれども、いわゆる若返りとかいって間葉細胞を使用するようなものとかがありまして、これについてもちょっと過大ではないかという広告があることは医師等からも指摘されており、これで十分な効果があるかについての見識と、今後、医政統制を見直す方向性をしてほしいということは希望として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 お願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 監視指導・麻薬対策課でございます。
 1つ目のご質問の、モニター調査でどこまで網羅的にできているかという御指摘でございます。御指摘のとおり、モニター調査では全ての医療機関を報告対象にしているわけではなく、選定されたモニターによる善意での報告に基づくものですので、網羅的には把握できていないのではないかという点は、御指摘のとおりかなと思っております。ただ、この監視事業というのは取組の1つでして、これだけでやっているわけではなくて、都道府県や厚生労働省でも日々監視指導しておりますし、この資料には加えておりませんでしたけれども、我々もホームページをキーワード検索して怪しいサイトがあったら排除するという取組を組み合わせてやっております。また、このような監視事業が行われていることを積極的に周知していくことで、一定の抑止力があるかなと考えております。
 すみません、1つ補足になります。私、資料の説明の中では飛ばしてしまったのですが、モニター医療機関だけではなくて、一般報告という形でモニター以外の医療機関も報告できるようにしておりますので、モニターだけでなく一般報告というのがあるのも周知して、問題があるような広告があればどんどん報告していただけるような体制を我々としても作っていきたいと考えております。
○磯部委員長 お願いします。
○総務課保健医療技術調整官 医政局でございます。
 医事法上の罰則の規定などの点についての御指摘がございました。広告の違反があった場合の指導とかについてなのですが、医療法でもかなり厳しい規定がございます。具体的には、行政指導から始まりまして、報告命令とか立入検査の権限、中止命令、是正命令をする権限とか、最終的には行政処分として病院の開設許可の取消しといったところまで法律上の権限としてございます。ですので、法律上はもう既にかなり厳しい規定があるところかと思います。
 一方、こうした権限をきちんと行政側が行使できているのかということについて、特に今、ネットパトロール事業で広告違反事例が積み上がってきているところですが、行政指導をしても、自主規制が働かないような、長期未改善の事例があるという指摘もございます。こういったところには、法的措置もきちんと講じて訂正を促していく必要があるのではないかという御指摘を、医政局の検討会でいただいているところでございまして、法に基づいた改善指導も含め、きちんとした行政的な指導の実施を促していくことを、今、医政局でも検討しているところでございます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 花井委員、いかがですか。
○花井委員 了解いたしました。医政局の説明について、事実上余り強い行使をしていないところもあると思いますし、あと、特に歴史的に見ると、例えば総合病院の違反とかで病院自体に厳しくすると困るのはその地域の患者さんであるということで、病院を閉鎖しろとか、そういうことはなかなかできないというところもあったのかなと思います。なので、自由診療的なところはそことは違うということで、そこのところはいろいろあると思いますけれども、法的権限があるのであればきっちりと行使していただいて、国民が医療機関を選択するときにも安心して選択できることが重要だと思います。特にインフォームドコンセントですね。こういうものはみんなすることになっているのですけれども、今回の案件について言えば、適応外使用なのですよなどということを説明しているのでしょうかというところになると非常に疑問がありますので、そういった点も含めて今後ともその辺はちゃんとルールを守ってもらうよう規制していただけたらと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 戸部委員、お願いします。
○戸部委員 ありがとうございます。
 今、インフォームドコンセントのお話も出たので、私もちょっと気になっているところがあって。
 確かに、利用者もきちんと理解しないといけないというところはよく分かります。先ほどインフォームドコンセントの説明のところに、利用者向けのチェックシートをということで御提示いただきました。なるほど大事なことだと思うのですね。なので、今見せていただいている左側のところ、チェックの1番のところなどは「使用する薬などがどのようなものか、自分でも説明できますか?」ということで、通常の「理解していますか?」ということだけではなくて、自分でも説明できるほど理解してくださいということで、これはとても大事な声がけだと思うのです。となると、逆に言うと、医師からは、患者さんが自分で説明できるほどの説明をしてもらわないといけないことになるのです。なので、そういうことを伝えてくださる側も、利用者に求められる理解の程度に合った説明をしていただけるように何か工夫をしてくださっているのかどうか、そこが知りたいです。
○磯部委員長 これは医政局に聞けばいいですか。
○総務課保健医療技術調整官 医政局でございます。
 例えば糖尿病学会のようなところでは、こういったGLP-1の薬の使用に関する会員向けの周知として、インフォームドコンセントのガイドラインとかに沿った診療を行うよう周知を行って、医療団体としてそういった取組がなされているところと承知しております。ただ、これによって全ての医療機関が完全にどうなのかというところまでは行っていないと思いますが、厚労省としてはなるべくこういった考え方が広まるよう周知しているところです。美容医療に関するインフォームドコンセントの取扱いの徹底については、都道府県に対して事務連絡を何度も何度も発出して周知を行っております。直近ですと、昨年度も周知を行っておりまして、このように繰り返して周知をすることによって、なるべくこういった考え方に沿った医療を提供していただけるよう促しているところでございます。
 以上です。
○磯部委員長 戸部先生、何かあれば。
○戸部委員 ありがとうございます。
○磯部委員長 その他の先生方、いかがでしょう。
 伊豆津先生、お願いします。
○伊豆津委員 伊豆津です。
 今回、GLP-1の問題、ネットを見てすごく思ったのですけれども、医療機関というか、クリニックそのものが宣伝を出しているというよりは、医療機関の比較サイトの形を取って、実質的に特定のクリニックに誘導していく形。多分、実質的広告だと思っていいと思うのですけれども、そういった形のものが非常に多いということ。ですから、今までの広告というのはこういうものだという考え方がなかなか適用できない新しいグレーゾーンみたいなところが非常に広がっていると思いますので、そういったところをどうしていくかということを十分検討していっていただきたいと思っています。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 これも医政局からお願いします。
○総務課保健医療技術調整官 医政局でございます。
 今、御指摘があったようなパターンにつきましても基本的には医療広告に該当する、特定医療機関への誘因性が認められる場合は医療広告に該当する、という考え方で、きちんとネットパトロール事業の対象にもしており、現に指導を行っているところでございます。
 一方、今、委員から御指摘ございましたとおり、様々な内容のネットの情報が出てきているところと認識してございます。最近は特にSNSとか動画とか、そういったものも増えているのではないかという消費者庁からの指摘もありますので、そういった新しい情報提供の方法に対する医療法の規制の考え方を、今後もきちんと明確化する取組をしていきたいと考えております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 まだ時間はありそうですので、遠慮なく御発言いただければと思います。
 泉先生、お願いします。
○泉委員 戸部委員の今回の提案から、私も初めてインターネットを見ますと、医療機関というより美容機関、美容整形のような、あるいはそれにも該当しない一般のいわゆる販売業者が広告を出されていて、しかもその広告は、今の説明の中にあった未承認薬であるとか、そういうことを踏まえた内容が広告の一番下のほうにしっかりと出ていたり、普通、購入しようとする人がそこまでいかないだろうみたいなところに書かれていたり、すごく巧妙な手口で販売している。
 特にこのGLP-1に関しては、痩せたいとか、食欲がどうしても抑えられないという人を誘うような言葉が入っていて、しかも、その中には、医療広告であることの規制を外れるような内容をしっかりと書いている。で、先ほど言ったように非常に巧妙なのです。この薬をインターネットで購入できる。未承認薬ですよね。未承認薬というのはインターネットで購入できたのかどうか。私は、できないのではないかと思ったのですが、そういうような形で販売。しかも、明日届きますとかなんとかと。そのような取組は恐らく監視指導の厚生労働省とかPMDAだけではできない。とてもではないけれども、いたちごっこでできないと思う。
 都道府県の監視対策が県庁にあると思うのですけれども、そこへ協力を要請してもできないとしたら、その薬を販売するところ。先ほど言った一般使用者に対しての販売ではなくて、購入者に対してこれを運営するところ、販売するところへの規制をもうちょっと強くかけるような仕組みを。特に未承認薬に関してはこのGLP-1以外も含めて今までもあったと思うし、今後もあると思うので、そのような方法が何か取られているのかどうか、お伺いしたいです。
○磯部委員長 お願いします。重要な御指摘です。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 ありがとうございます。
 医薬品医療機器等法の観点でお話すると、先ほどの資料の中には含めておりませんが、未承認薬の販売や広告というものは薬機法の中で禁止されておりまして、我々としても様々な取組をやらせていただいております。先ほどの質疑応答の中でも少し触れましたけれども、キーワードで検索して違反サイトの取締りを行っているところでございまして、そういったものがあれば厳正に対応していくという姿勢はもちろん変わりません。
 今回論点となっているGLP-1ダイエットの関連では、我々のほうでもかなり調べておりますし、かなり話題にもなっているので、我々、厚生労働省は、都道府県とも連携してやっていますし、ネットパトロールでも、例えばGLP-1とかダイエットとか、そういった製品の対応は行っていて、実際いろいろ情報を収集して、必要があれば対応しております。
 見ておりますけれども、今回論点となっているものは典型的には医療内容の広告かなと思っておりまして、未承認の医薬品の広告とか販売を行っているものはあまりないとは思っております。ただ、ブログのお話もございましたが、確かにおっしゃるとおり、医療機関の広告なのか、販売の広告なのか、あるいは個人輸入の代行なのか、よく分からないものがありますけれども、そういったものももちろん、実態として特定製品の広告とみなせるようなものであれば、ブログであっても薬事のほうにおいても広告とみなして指導を行っておるところでございます。今日御報告したようなことも踏まえて、あるいはインターネットパトロール事業といったものもやっておりますし、海外医薬品に関しましてそのリスクを情報発信する専用サイトもありますので、そういうところで情報発信していきます。今回、医薬品と医療、両方の観点から御説明させていただきましたけれども、我々も引き続き、こういった両方の観点から漏れがないように、重複しないように適切な対応を今後もしっかり取っていきたいと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 という御回答でしたけれども。
○泉委員 引き続きよろしくお願いしますということと、皆さん、PMDAという組織に関して余り知らないというところがまだありますので、どのようにPMDAと協力しながらやっていくかということもよく考えてもらいたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、私も一言、二言というか。
 これは小風先生や渡邉先生に伺ったらいいのかと思うのですけれども、そもそも未承認とか適応外かどうかという話はさておき、このGLP-1を使ったダイエットが日本人にとって安全で有効なのかといったエビデンスが果たしてあるのかというところが大前提ではないかという気がするのです。多分それがないままやっているというのが。それでも適応外利用のカテゴリーに入ると言えば入るかもしれないけれども、学会も適正使用と呼びかけるぐらいで、そもそもエビデンスに乏しいものとして、医療としてさえやってはいけないのではないかというところをそもそも野放しにしていていいのですかというあたり、お医者さんはどうお考えなのでしょうということをちょっと。
 渡邉先生、いかがですか。
○渡邉委員 今、磯部先生がおっしゃったことは本当にそのとおりだと思います。学会側の文章でも、2型糖尿病を有さない日本人に対しては、有効性、安全性がしっかり示されていないということを述べているわけですから、まずそのエビデンスを示すことが求められると思います。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 インフォームドコンセントさえあれば何でもやっていいかというと、そこはそうではなくてということもあると思うのですね。
○渡邉委員 はい。リスクを十分説明したからということで言い逃れることはできないのではないかと思います。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 小風先生も何かありますか。
○小風委員 渡邉先生と同じです。やはりしっかりエビデンスを示してというところで、今の状況ではちょっと好ましくない使い方だなというのは私も思うところであります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 そういう意味では、医療界がどう自己規律できるのか、専門家の裁量を適切に働かせるための自己規律の仕組みの在り方といったことにおいては、学術団体がどうするかということももちろん大事だと思うのですけれども。
 奥田先生、手を挙げていらっしゃいますか。
○奥田委員 すみません、奥田です。
 今、保険医療になっているものについては、標準化ができている、要するに安全確保が一定レベルでできているから保険承認されているということで、利用者側もある意味安心して使うことができるわけですけれども、自由診療の実態がなかなか見えていない中で、実際、自由診療にどのぐらいリスクがあるのかという情報があるのかどうかというところが少し疑問に思った点です。
 今、GLP-1作動薬の話になっていますが、たまたま承認薬の適応外使用という範疇ではあると思いますけれども、これももともと低血糖のリスクがあっての話だと思いますし、用法・用量がそのまま承認された量で自由診療で使われているのかどうかということも分からない。私はちょっと分からないのですが、そういうことも含めているということは、やはりリスクが確立していない診療をしていることになると思うので、そういった診療に対してどういうふうに安全性を確保していくのかということが結構大事な点かなと。広告でどうとかというところももちろん大事なところだと思うのですけれども。
 もう一つ思ったのは、お薬がどういう形で利用者に渡っているのか。保険診療の場合に限らず、そもそも医薬分業の考え方でいうと、薬剤師が薬の管理を行うというか、薬を調剤している。薬の安全性の確保という意味では、薬剤師が一定の役割を果たしているというのが世の中の仕組みだと思うのですけれども、この自由診療で、GLP-1作動薬に限って話しても構わないのですが、薬が利用者にどのような形で渡っているのか、薬剤師の目を通っているのか、安全性のモニタリングとかに対して誰かが役割を担っているのか、そのあたりの実態も少し調べていく必要があるのかなと思いました。
 すみません、意見というか、コメントみたいな話ですけれども、よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今のところは何かコメントいただけますか。
○医薬安全対策課課長補佐 医薬安全対策課でございます。
 今、リスクについて奥田先生がおっしゃっていたとおりで、このお薬は糖尿病の治療薬ということで、低血糖のリスクですとか、そういった重篤な副作用を引き起こし得るものだということからすれば、医療現場においてしっかりと慎重に対応していただくことが必要なのだろうと思っております。我々としては、学会等から文書が出ておりますように、承認外での使用を是とする立場ではございませんので、引き続き、こちらで承認している効能・効果、用法・用量に基づいて使用をお願いしていく立場に変わりはないところでございます。
 安全性の情報ということになりますけれども、副作用報告制度の中で、適応理由というのを書いていただく欄がございます。その中に、体重管理ですとか、ダイエットですとか、そういったものを記載して報告いただくケースもまれにございます。そういった中では、下痢ですとか蕁麻疹ですとか、そういった報告もありますので、副作用報告による対応に限界があるのは承知しておりますけれども、こうした中でも特に重大なものが見出されている状況になりましたら、注意喚起を強めていくとか、そういった対応も必要になるだろうとは感じておるところでございます。
 最後の、どのような形で提供されているかということについては、自由診療でやられているというところもありますので、明確に何か実態を明らかにしているものではありませんけれども、私が仄聞する限りということになりますが、医療機関のほうでそのまま処方されてお薬が提供される場合が多く、必ずしも処方箋を出して薬局でもらう形で提供されているものが多いわけではないようだということは聞いたことがございます。
 簡単ですが、以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 奥田先生、何か。
○奥田委員 ありがとうございます。
 最後のところは、余り情報がないのかなと思ってお聞きしました。全般的には、標準医療、保険医療に比べてリスクを否定できない、潜在的なリスクがある使い方は、本来、より安全策が必要な診療かもしれないにもかかわらず、安全の網が十分でないという印象なので、対策としては、自由診療に対してのリスクをちゃんと軽減するための対策が必要なのではないかと思いました。
 比較にはならないかもしれませんが、御存じのように、医療法施行規則、平成28年の改正において、特定機能病院においては義務化された未承認薬等の使用実態の把握と、それに応じた変化といいますか、保険医療機関の一部ではそういうことがされているという少し対照的な実態が今回の議論の中では明らかになっているのかなと思った次第です。
 よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございます。貴重な御指摘、ありがとうございました。
 そろそろ時間がなくなってきているのですけれども。
 では、渡邉先生、どうぞ。
○渡邉委員 今の御意見にちょっと追加で、こちらは確認なのですけれども。
 もし適正な使用法に基づかない状況で有害作用が起きたときは、医薬品副作用被害救済制度の対象にはならないと考えていいのでしょうか。
○磯部委員長 お願いします。
○医薬安全対策課課長補佐 本日、副作用救済制度の担当部局がいませんので、代わりにお答えさせていただきます。
 救済制度の判定におきましては、適正使用、適正目的であったかどうかも確認項目となっておりまして、この件につきましては、恐らくそうした項目からすれば対象外と判断される可能性が非常に高いだろうと考えられます。
○渡邉委員 もしそうだとすれば、副作用が起きたときに、それは医薬品副作用被害救済制度の対象にもならないということも重要なポイントだと思って意見を伺いました。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 薬を提供するということ自体が、昔は医療それ自体なわけですね。薬師如来というのは医の仏様なわけで。それが、例えば今回のお医者さんのほうで場合によっては個人輸入して使用できるようなことがあったとすれば、それが薬害につながったなどという経験は過去にもあるわけで、では、医薬品の安全性という観点でどういう規制ができるか、医薬品の流通というところでどういうふうに規制ができるか。実際に使用するプロフェッショナルは何ができるか、その施設についての医療法の規制で何ができるか、広告規制、いろいろなアプローチがあるのだろうと思うのですけれども、全体としてうまくいっているのかなと。結局どうなのだろうということをぜひ素朴に今後も考えていきたいと強く思った次第です。消費者庁との連携といったことも含めて。
 今回は、美容・ダイエットという話でしたけれども、がんの領域とか、再生医療とか、本当にエビデンスに乏しい、広告でうまくつって、本当に大丈夫かというものがたくさんある。再生医療については見直しの研究をやったことがあって、ミスマッチが顕著でございました。ですので、我々監視委員会としての所掌がどこかという話はもちろんあるのですけれども、今後もこのテーマは関心を持ってやっていきたいと感じた次第です。
 それでは、時間があれなので、ここら辺で最初の議題を終了したいと思います。
 医政局、医薬局、ありがとうございました。
 議題1はここまでということで、続いて、入れ替わっていただいて、議題の2に行きたいと思います。
 議題の2「委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況」として、佐藤委員から「目的に整合した医薬品安全性監視活動への移行」について議題として取り扱うことの御提案をいただきました。本件は、参考資料2として添付しておりますとおり、第5回委員会において「医薬品等行政評価・監視委員会において検討すべき課題」のうち、4として、佐藤委員が日本薬剤疫学会の理事の皆様の御意見をまとめてくださった事項のうちの1つでございます。製造販売後調査、特に使用成績調査について、比較群を設けない旧来型の使用成績調査を一律に課すのではなく、目的に応じた調査を実施すべきではないかというものです。
 それでは、今日は、資料2-1について、医薬局の医薬品審査管理課から御説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課課長補佐 医薬品審査管理課の松倉と申します。よろしくお願いいたします。
 医薬品製造販売後調査についてということで、医薬品審査管理課と医薬安全対策課で資料を作成させていただいております。本日は、代表して、私、医薬品審査管理課から説明をさせていただきます。
 まず、こちらのスライドですけれども、医薬品の市販後安全対策の概要ということで、基本的な3つの柱を記載しております。こちらは、市販後にどのような情報収集を行って対応するかという3つの基本的な柱を書かせていただいております。基本的な内容だと思いますので、簡単に説明をさせていただきます。
 1つ目が副作用等の報告制度。2つ目が再審査。これは新薬が承認されてから4~10年、それぞれの薬の性質に応じて一定期間後に再審査を行うという制度です。3つ目は再評価。こちらは何年後という決まりはなくて、科学水準の進展に合わせて必要に応じて再評価を行うものです。これらによって市販後も継続的に評価・検討を行い、その結果によりまして、例えば添付文書の改訂など医療現場への追加の注意喚起を実施する、あるいはその承認内容を見直すなど必要な措置を取っているところです。
 次のスライドです。こちらも似たような要素を記載しておりますが、特に再審査との関係で説明をさせていただいております。
 左から時系列に沿って流れておりまして、医薬品の申請がありまして、審査の結果、承認がされます。その後、再審査の申請というのが一定期間後に予定されておりまして、そのときに提出される資料としては、矢印として3つ記載している内容です。
 1つ目が安全性定期報告です。これは、承認から最初の2年間は半年ごと、それ以降は1年ごとに定期的な報告を求めておりまして、この中ではその期間に収集された副作用報告であるとか、使用成績調査のその時点の収集された情報をまとめて報告していただく形になっています。
 2つ目、副作用、不具合報告・研究報告・海外措置報告等については御案内のとおりだと思いますので、説明は省略いたします。
 3つ目が製造販売後調査等ということで、ここに使用成績調査であるとか製造販売後臨床試験というのが入ってきます。
 これらを再審査申請のときに全体として評価を行いまして、引き続き承認を認めるか、あるいは一部変更ないし取消しをするかという判断を行っております。
 この点線の赤枠で囲った「製造販売後調査等」のところですけれども、ここについては再審査の根拠となる資料ですので、一定の信頼性を確保して実施していただく必要があるということで、具体的にはGPSP省令という薬機法に基づく省令がございまして、そちらに基づいて実施をしていただくという決まりになっております。
 次のスライドが、今申し上げたGPSP省令についての説明となります。こちらの中で、製造販売後調査にはどのような調査、臨床試験があるのかという定義づけとか、それを適切に実施していただくためのルールなどを定めているものです。
 こちらのGPSP省令については平成29年10月26日に改正を行いまして、その内容が平成30年4月1日から施行されております。この平成30年4月というのは、ちょうどMID-NETが本格運用された年でして、そういった背景もありまして、医療情報データベースを活用した市販後調査というのをこのGPSP省令の中に位置づけるというのが大きな改正のポイントでありました。
 真ん中の図を御覧いただきまして、製造販売後調査等というのがさらに3つに区分されております。左から、使用成績調査、製造販売後データベース調査、製造販売後臨床試験となっておりまして、今回、オレンジ色で塗ったところがこの改正によって新たに位置づけられた区分となっております。先ほど申し上げましたように、この医療情報データベースを用いた調査を製造販売後調査の一類型として位置づけたというのが改正のポイントとなっております。
 それと同時に、使用成績調査という部分について、さらに3つの細分類を明示したところがございます。これもオレンジ色のところが新しいところです。従来は使用成績調査とその中の一類型である特定使用成績調査、この2つの呼び方しかありませんでした。今回それをさらに3つに分類しまして、一般使用成績調査、特定使用成績調査、使用成績比較調査という区分を明示いたしました。
 このうち一般使用成績調査というのは、従来、単に使用成績調査とだけ言っていたものの呼び名が少し変わったということで、中身としては従来の使用成績調査に当たるものです。2つ目の特定使用成績調査は従来から位置づけられていたものです。その下、使用成績比較調査というのは、薬を使用する群とその薬を使用していない群とを比較する使用成績調査という位置づけになります。
 このようなタイプの調査について、このGPSP省令の改正以前からそれに相当するような調査自体は行われていたわけですけれども、今回、それを一つの類型として明示することによりまして、このような調査が可能であるということを明らかにしたという趣旨であります。
 こちらは、今申し上げた製造販売後調査の分類をさらに詳細に説明をしたものとなります。簡単に説明させていただきますと、使用成績調査のうち一般使用成績調査というのは、医薬品を使用する者の条件を定めることなく行う調査であります。次の特定使用成績調査というのは、小児、高齢者、妊産婦など、医薬品を使用する者のうち特定のものを条件で絞りまして、そこに集中して調査を行うやり方です。3つ目の使用成績比較調査については、先ほど申し上げたとおり、特定の医薬品を使用する者の情報と当該医薬品を使用しない者の情報を比較することによって行う調査であります。
 製造販売後データベース調査というのは、名前のとおりですが、医療情報データベースを用いて行う調査を指しております。
 製造販売後臨床試験というのは、臨床試験として介入する形で行う試験を指しています。
 以上が製造販売後調査の類型になるのですが、実際にある薬についてどのような調査ないし試験を選択して市販後に必要な情報を収集していくかというのは個別に検討して判断していくことになります。
 そのための検討の進め方というのをこちらのスライドにまとめております。この内容は下の注釈のところに通知を引用しておりますけれども、この通知の内容をまとめたものでございます。
 まず、一番上の枠囲みのところですけれども、基本的な考え方として、製造販売後の調査及び試験に際しては、目的に応じて科学的に最適な手法を選択し、効率的かつ効果的な調査または試験が実施されることが重要であるという考え方です。
 より具体的にどのような考え方で検討するかというと、その下、ステップ1からステップ4という形で記載しております。
 まずステップ1として、各安全性検討事項における製造販売後に明らかにしたい懸念事項の明確化。これは承認審査までに得られた情報に基づきまして、例えばこの副作用については既にリスクとして特定されている、あるいはこの副作用については潜在的な可能性は考えられるが、まだはっきりしないとか、あるいはこの副作用についてはまだ情報が不足しているとか、承認時までに得られたデータに基づいてそれぞれの安全性検討事項の位置づけを評価しております。これがまずステップ1として前提になっております。つまり、市販後にどのような安全性検討事項についてどのような追加的な情報が必要であるかというのをまず検討していただくというのがステップ1です。
 続いて、ステップ2として、ステップ1で特定されました懸念事項それぞれについて、実際にどのような科学的に適切な対処方法があるかというのを決定していただきます。これは個々の懸念事項の内容に応じたリサーチクエスチョンという形で、それに対してどのような調査を行えばそのクエスチョンに対する答えが得られるかということを検討していただきます。
 その検討結果に基づいて、ステップ3で、先ほど申し上げたような幾つかの調査ないし試験の類型がございますので、その中で必要な手法を選択していただく。
 その上で、最後、ステップ4として、詳細な計画、具体的な計画を策定し、市販後に実行していただく。こういう流れで決定をしております。
 ここまでが制度論の説明となります。この後は、実際に製造販売後調査の実施状況について御説明をさせていただきます。
 こちらのスライドからは、令和4年度、昨年度に承認されました新有効成分含有医薬品を一覧にした上で、それぞれについてどのような製造販売後の調査を実施中あるいは実施されたかを記載しております。右半分がRMPにおける製造販売後調査という欄になっておりまして、一般使用成績調査、特定使用成績調査、使用成績比較調査、データベース調査、製造販売後臨床試験という形になっております。○をつけたところがそれぞれの薬について該当する調査ないし試験を実施しているという意味となります。
 この後スライドが何枚か続きまして、一覧となっております。一つ一つの説明は省略させていただきますが、全体としては、一般使用成績調査や特定使用成績調査を実施しているものが多い傾向が見られるかと思っております。
 一方で、使用成績比較調査については、令和4年度の中では、今、画面上にお示ししているスライドの一番下に出てくる「フルミスト点鼻液」で計画をされています。こちらは、季節性インフルエンザのワクチンなのですけれども、経鼻、鼻から投与するという国内では初めてとなるタイプのワクチンであるということと、インフルエンザは毎年株が変わりますので、年によって有効性の値が大きく変動する場合がございますので、この点について使用成績比較調査で有効性を確認することが予定されております。
 詳細な内容については記載をしておりませんが、具体的には各シーズン、各年ごとに3000例規模の比較調査を行って、それを3シーズン、3年間繰り返すという形を予定しております。ただ、こちらのフルミストについてはまだ発売はされておりません。承認はされておりますが、季節性インフルエンザ用のワクチンですので、シーズンごとの導入となっております。今年度、今シーズンの発売は予定されていないということですので、スライドの記載上は未発売とさせていただいております。
 続きまして、最後のスライドになります。先ほど令和4年度に新たに承認された新有効成分含有医薬品の一覧を御説明しました。令和3年度以前も同じように集計することは可能かとは思うのですけれども、作業時間との関係で、網羅的な調査は今回できておりません。ただ、今回、使用成績比較調査が特に御関心ということですので、令和3年度以前に実施されたものを記載しております。具体的には、ベリキューボ錠という慢性心不全に対する薬で、令和3年6月23日に承認されたものとなっております。
 こちらの使用成績比較調査の具体的な中身を右半分に記載しております。この記載の中の【目的】の2を御覧いただければと思います。契約医療機関において本調査への参加に係る同意書に署名した慢性心不全患者のうち、本剤の投与を開始した患者と慢性心不全の標準治療薬が投与されている本剤非投与の患者とを比較して、心血管死の発現状況を含む長期投与時における本剤の安全性について検討すること。こういった調査が計画をされております。
 具体的な症例数については、下のほうの【実施計画】の中に記載がございますが、本剤投与群700例、対照群700例という規模を予定しております。
 使用成績比較調査が求められた理由なのですけれども、審査の過程におきまして、日本人の部分集団で見たときに、今回調査対象となる心血管死のイベントが多い傾向が見られている。データの数が少ないためはっきりしたことは言えないのですが、日本人の部分集団で心血管死イベントが多い傾向が見られたことから、その点について市販後に追加的な情報収集を行うという目的で実施が求められています。
 最後、下の注釈、※のところですけれども、この使用成績比較調査という類型が位置づけられて以降の該当するものは今日御説明したものになるのですが、この使用成績比較調査という類型が明示される以前におきましても、それに相当する調査が行われていた事例もございますので、必要な場合にはこのような調査を行ってきているという形になっております。
 説明は以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今、資料2-1についての説明でございました。今回、医薬局からの資料も踏まえ、佐藤先生から追加資料を御提出いただいておりますので、資料2-2について御紹介をお願いしまして、その後、他の委員の先生方から御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 佐藤先生、お願いしてよろしいですか。
○佐藤委員 よろしくお願いいたします。
 今、御紹介いただきました資料を拝見した上で、この委員会として、この医薬品の製造販売後調査の今後のあり方を検討してはどうかという提案を含めてさせていただきたいのですが、今後検討するときの論点を少し整理させていただきました。
 前段のところは、先ほど厚労省の方から御説明いただいたとおりで、製造販売後の調査の方法については、個々の安全性に関する懸念事項を整理した上で、その内容に応じたリサーチクエスチョンを立てて、その問いに答えることができる最良の方法を選択すべきであるということになります。ですので、私も、一律に一般使用成績調査がだめで、何が何でも全ての薬について、使用成績比較調査をせよと言っているわけではないのですけれども、必要に応じて比較群を設けないと分からないことが多いわけです。それであるにもかかわらず、実際には比較群を設けた調査が行われていないのではないかという懸念があって、こういう議題を挙げさせていただいたのです。
 実際に令和4年度の実施状況を拝見しますと、既に実施された、あるいは実施中のもの、35の医薬品について先ほどの一覧表を数えてみたわけですけれども、比較群を設けた調査であると思われるのは、製造販売後の臨床試験5件を除くと、データベース調査が3件と、使用成績比較調査はまだ発売されていないものについて予定されていることを除けば1件も実施されていない。このデータベース調査も詳細をきちんと調べないと、本当に比較群を設けたのかどうかというのは分からないのですけれども、非常に少ないのが現状であるということです。
 先ほどの厚労省の方からの御説明の中で、使用成績比較調査に関心があるというふうに受け取られたのですが、使用成績比較調査をすべきと必ずしも言っているわけではなくて、比較群を設けた調査が重要であるということを言っております。これは、行政の都合で比較群を設けた調査をデータベースを使ってやった場合はデータベース調査、いわゆる紙の調査票を配ってやる場合は使用成績比較調査という区分けがあるだけで、データベースか調査票を使って一次データを収集する調査かの違いだけで、比較群を設けた調査かどうかということが重要だということです。
 そういう実施状況を見ると、少し下のほうに行っていただきまして、論点として、この製造販売後調査において個々の懸念事項の内容に応じた最良の方法が選択されているのか、疑問があるので、一件一件精査する必要があるのではないか。その精査において、まず安全性検討事項の整理が具体的かつ適切なのか。そして、その懸念事項からリサーチクエスチョンが適切に立てられているのか。リサーチクエスチョンに答えることができる最良の方法が選択されているのか。このあたりをきちんと見ていく必要があるだろうということが1つです。
 それから、PMDAにおける事前審査において製造販売後調査の方法に関する指導が行われると思うわけですけれども、RMPの作成の過程の中で、こういうRMPがよいのではないかと企業が出してきたものに対してPMDAが照会をするわけですけれども、その照会の仕方が、厚労省が先ほど方針として出しているリサーチクエスチョンをきちんと立てて、それに応じた最良の調査方法を選択しなければいけないということが厚労省としてはうたわれているにもかかわらず、実際のPMDAにおける指導の場においてそのことがきちんと行われているのかということが極めて疑問なわけです。PMDAの内情について見聞きすると、製造販売後調査の適切な方法を指導できる体制や人員が整っているのかということについてもかなり疑問がありまして、このあたりについてもこの委員会としてきちんと見ていく必要があるのではないかと。そのような問題意識で論点を書かせていただきました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そうですね。今の佐藤先生の御意見にリアクションをお願いはしますけれども、もともと参考資料2にあった令和3年9月に佐藤先生が御指摘になっていた話というのは、確かにデータベースを用いた研究でも比較群を設けて各調査を実施されている、旧来型の使用成績調査は比較群を設けないまま一律にコストをかけてやっているけれども、余り見合っていない、成果が得られていないのではないか、そこを漫然と実施するのではなくて、もうちょっときちんと科学的に合理的にできないかという問題意識があって、それについていかがでしょうというのに対して、今日のお話は、どちらかというと、こういうふうに漫然とやっていますというわけではないですけれども、こういう制度ですという御説明をいただいただけのような気がするのです。なので、改めて今の佐藤先生の資料2-2に基づいて、本当にいろいろな枠組みがあるという話でしたけれども、それが趣旨に見合う形でうまく運用されているという実感をお持ちなのですかということを含めて、今の佐藤先生の御意見にリアクションをお願いしたいと思います。
○医薬品審査管理課課長補佐 ありがとうございます。医薬品審査管理課から御説明させていただきます。
 私どもの認識としては、この通知の考え方に基づいて必要な調査を選択して行われているという認識でおります。確かに、使用成績比較調査の件数自体は非常に少ないという事実はございます。一方で、データベース調査のほうは、データベース調査の導入以降、徐々に実績も出てきていると思いますので、これは今後さらに活用していくことが必要かなと思っております。
 その上で全体的な私どもの見方を申し述べさせていただくと、まず、その比較群を設けた調査が必要かどうかというのは、全ての薬で必ずしもそれが必要というわけではなくて、承認するに当たって有効性、安全性に関して必要な試験を実施して、それを審査して承認している。なので、有効性、安全性について、その承認水準をクリアするために必要な調査はその時点までに行われているというのがまず前提としてあります。その上で、市販後にさらに追加的に調べることが必要かどうかという形で市販後の調査が計画されるわけですけれども、そのときに、その比較群を設けて調査する必要があるといった検討事項がある場合、これについては、恐らくそのデータベース調査が実施できる場合には、一般的にそのほうが効率的な部分がありますので、データベース調査が実施されるかなと思っております。
 その上で、適当なデータベースがないとか、そういった理由でデータベース調査が難しい場合に、先ほど紙で実施するとおっしゃられたこの使用成績比較調査という形が取られる形になっておりますので、今申し上げたその必要性があるかどうかとか、ほかの手段で実施できるかということを個々に検討した結果として、こういった件数になっているというふうに我々としては認識しているところです。
 先ほどPMDAの審査体制についての御指摘もございましたが、審査チームにおいて、統計の専門性のある職員も含めて審査をしておりますし、また、外部専門家、あるいは審議会の外部委員、統計の専門家からの御指摘も踏まえて、必要な全体としての審査を行っておりますので、特にこの製造販売後の調査の必要性とかその手法に関して審査する体制に問題があるとは考えてはおりません。
 一方で、御指摘いただいたような使用成績調査がほとんどの薬で広く行われていて、果たしてそれが本当に効率的で効果的なやり方なのかとか、そういった御指摘は業界からも出ているところですので、このあたりはデータベース調査のさらなる活用とかも含めて、全体としてどうしていくかを考える必要はあるかなと、そういう問題意識ではおります。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょう。
 では、渡邉先生、お願いできますか。
○渡邉委員 松倉さん、御説明どうもありがとうございました。今おっしゃったように、MID-NETを使ってデータベース調査ができれば、それは本当に効率的ですし、データの信頼性も高いと思うのです。そうはいっても、実際にデータベース調査が行われているのが少ないような印象があるのですが、これはMID-NETでなかなか網羅できないというか、MID-NETの加入病院でないところに患者さんがいらっしゃるということを表しているのでしょうか。それがまず1点目です。
 2点目は、ベリキューボで使用成績比較調査が行われたということですが、この場合の対照群というのはやはり選択バイアスを排除できないというか、背景因子がそろっていないような状況での比較群ということなのでしょうか。
 その2点について教えてください。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 お願いします。
○医薬安全対策課課長補佐 渡邉先生、御意見ありがとうございました。1点目に関しましては、医薬安全対策課から少しお答えさせていただきたいと思います。
 先生御存じのとおり、MID-NETについては、現在、大病院を中心として連携医療機関を展開してきているところがございまして、他のデータベースの活用可能性を含めて、いわゆるクリニック等で多く使われるような医薬品の安全性情報を適切に補足するにはまだ今後のさらなる展開が必要であろうというところかなとは思っております。
 ただ、この製造販売後調査を検討するに当たって、必ずしもMID-NETを使わなければいけないということで進めているものではないと思いますので、まずはそのリサーチクエスチョンを立てていただいて、そのときに適切なデータベースがあるだろうか、その中でMID-NETが1つとして選ばれていく、そういう思考プロセスを経ているものだと認識しております。
○渡邉委員 ありがとうございました。
○医薬品審査管理課課長補佐 続けて2つ目の御質問です。ベリキューボについて、この両群での背景の調整とかが行われているかという御趣旨の御質問かと思っております。こちらについては、臨床試験のような無作為化は行われておりませんので、あくまで観察研究としてその無作為化はせず患者さんの情報を集めておりますので、その意味では、背景因子の部分については調整がされていない部分があります。その意味で、無作為化臨床試験ほどの高いエビデンスがないというのはそこが限界かと思っております。
○渡邉委員 御説明ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 佐藤先生、どうぞ。
○佐藤委員 先ほどの厚労省の方のお答えで、PMDAでの体制に特段問題があると思っていないということだったのですが、その理由として、統計の専門家がいるからというお答えだったのですけれども、統計の専門家がいればいいというものではないのです。先ほど渡邉先生が御質問された、使用成績比較調査の患者背景がそろっているのかというあたりについては、疫学の専門家が関与することが非常に重要で、統計の専門家が必ずしも疫学の専門家ではないです。私、薬剤疫学を専門としておりますので、なおさらそう思うわけですが、疫学の専門家が審査の段階で製造販売後調査の方法が疫学の手法として適切かという観点で指導ができているのかということに関しては、極めて疑問だろうと思います。疫学の専門家が個々の製品ごとの審査のPMDAの審査チームの中において、疫学の専門家がそれぞれの個別の審査においてどの程度関与しているかということに関してきちんと精査をすることが必要だろうと思っています。
 先ほど厚労省の方からもお答えがありましたけれども、MID-NETはデータベースとしては余り使い勝手がいいものではないし、その該当の病院を受診しているデータは分かりますけれども、同じ患者さんが別の病院を受診した場合に、その情報は得られないという、疫学の観点からいうとかなり致命的な欠点があって、必ずしもMID-NETがあればいいというものではなくて、むしろナショナルレセプトデータベースのほうが網羅性があったりしますので、どういうデータベースを使うのが適切かということに関しても、疫学の専門家の関与というのが非常に重要になるということを意見として強調しておきたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、お願いします。
○医薬品審査管理課課長補佐 医薬品審査管理課です。
 すみません。先ほどの私の答えが的確ではなかったところは申し訳ございませんでした。統計の専門家が加わっていると申し上げたのですが、疫学の担当者も審査に加わっておりますということは申し加えさせていただきたいと思います。
 あと、企業に対する相談制度として疫学調査を実施する場合の相談制度というのもございますので、そういったものも利用いただくことによって調査計画が適切なものになるよう必要な対応を行っているところでございます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 PMDAの審査の体制というのは、この点についてはどうだったのかを過去に調べたことがあったのか、私も記憶が定かでないのですけれども、委員全体でリソースが配備されているのかどうかという大きな問題意識は各委員おありだと思います。データベースの利活用というのは本当にあちこちで問題になりますね。あれは使えるとか、人によって言うことが違ったりして、使える人が使えばいいというのではちょっと物足りないわけで、どこまで見据えてどういう利用を期待していて、それが本当に期待どおりなのかそうではないのかということを絶えず考えていったほうがいいかなという気がします。
 データベース調査の活用その他、まだ御意見があれば。よろしいですか。
 ありがとうございました。では、今後も議論させていただければと思います。
 では、議題2についてはここまでということです。ありがとうございました。
 それでは、以降、資料3と資料4です。医薬局からの定期報告と個別医薬品の海外調査について。こちらは事務局から御説明をお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 事務局でございます。
 それでは、事務局から資料3、資料4についてまとめて御説明させていただきます。
 まず、資料3の「医薬局からの定期報告」でございます。こちらは毎回の資料とはなりますけれども、1つ目として製造販売承認された医薬品の情報、2つ目として国内における市販後の安全対策の措置状況、3番目として外国での新たな措置の報告状況でございます。
 今回ですけれども、緊急安全性情報や安全性速報、いわゆるイエローレター、ブルーレター等は、前回委員会以降発出されておりませんので、これらの資料は含まれておりませんことを御報告いたします。
 資料3の2ページ目からは、1点目の製造販売承認された医薬品の情報でございまして、今回の該当期間においては2品目が新たに該当品目として承認をされております。いずれも海外で承認実績のないものについて本邦で承認されたというものでございます。
 2点目については、本邦においてまだ販売をされていないということで、RMPについては未公表という記載となっております。
 3ページ目以降につきましては、国内における市販後の安全対策の措置状況ということでございまして、こちらは、本年6月29日に開催された薬事・食品衛生審議会、医薬品等安全対策部会に報告された内容となります。
 資料は13ページまで続いておりますけれども、本年3月2日から6月28日までの3カ月強で行われました計18件の添付文書の改訂について掲載しておりまして、いずれも国内や海外症例の評価を基にして、重大な副作用や重要な基本的注意事項などの改訂を行ったものとなってございます。
 個別の説明は割愛をさせていただきます。
 最後、3番目の外国での新たな措置の報告状況でございます。こちらも先ほどと同様、6月の安全対策部会で報告された334件のうち、本委員会において報告をすることになっております回収、警告や禁忌に関する添付文書の改訂などについて抜粋してございます。今回全部で98件が報告対象となっておりますけれども、いずれも安全性の懸念による販売中止や未承認といった報告はございませんでした。
 続きまして、資料4でございます。こちらは、新たに承認された医薬品の成分で、国内での承認審査時に海外では承認がなかったものや特例承認等を行った対象品目について、欧米での承認状況等を調査している結果となります。
 表の見方ですけれども、こちらの表の右側のFDAに関しては水色、EMAに関しては薄い黄緑色でカラーをつけた部分が今回の調査期間中に新たに情報として追加されたものになります。
 個々の詳しい説明は省略させていただきます。今回、R3-13、ラゲブリオカプセルにつきましては、緊急使用としてEMAで使用がされておりますけれども、欧州EMAにおける通常の承認申請につきましては、製造販売業者のほうから申請の取下げが行われたということで情報が更新されておりますので、念のため御報告をさせていただきます。
 事務局からの説明としては以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 委員の皆様から今の資料3と4について御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 ラゲブリオについては、EMAでは通常承認の申請の取下げがあったということなど、最新の情報として動いているところですけれども、それをどう評価するのかとか、こちらでも取り上げるべきことがあるのかどうか。もしお気づきのことが何かあればお知らせください。
 それでは、特段御意見がなければ、ありがとうございます。定期報告はこんな感じでまた引き続き次回以降もお願いしますということになります。
 おかげさまで時間がまだある中、一応本日の議題は一通り見たことになりますけれども、今日の議題であれ、監視委員会の今後のこと、そういった全般について御自由に御意見、御発言があればお願いいたします。
 よろしいですか。
 今日のGLP-1のところは個人的にはとても面白かったです。医事法の研究をしている者としては、適正な医療をどう担保するのかというのは本当に難しいなと思うところでした。またぜひよろしくお願いいたします。
 事務局からは何かありますか。
○綾室長 次回の委員会でございますけれども、事前の調整をさせていただきました結果、12月27日に開催させていただこうと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、議題につきましては、別途委員の皆様方からの御意見を基に御相談させていただこうと考えております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日の委員会はこれで終了します。お疲れさまでした。