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第168回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和5年9月29日(金)9:58~12:22
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.オンライン資格確認等について
- 2.令和6年度診療報酬改定の基本方針について
- 3.「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について
報告事項
- 1.「年収の壁・支援強化パッケージ」について
- 2.後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について
議事
- 議事内容
○池上課長 定刻より若干前ではございますけれども、皆様に御参加いただきましたので、ただいまより第168回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして大変ありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菊池部会長代理、伊奈川委員、内堀委員、羽田委員、原委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
なお、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 おはようございます。
まず、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理として伊藤賢一参考人、原委員の代理として井上誠一参考人、横本委員の代理として清家武彦参考人、以上3名の出席につき、御承認を賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいります。
本日は、「オンライン資格確認等について」、「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」、「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等関連事項について」、以上の3件を議題といたします。
では、まず「オンライン資格確認等について」を議題といたします。事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
それでは、資料1「オンライン資格確認等について」という資料を御覧いただきたいと思います。
ページをおめくりいただきまして、まず訪問看護におけるオンライン請求・オンライン資格確認の導入についてでございます。
2ページでございますけれども、現在、医療保険における訪問看護のレセプト請求につきましては紙媒体により実施されておりますけれども、レセプト請求事務等の効率化やレセプト情報の利活用の観点からオンライン請求を進めることとしております。
3ページでございます。また、オンライン資格確認については、現在、医療機関・薬局において導入していただいておりますけれども、訪問看護でも導入を進めてまいりたいと考えております。
4ページでございますが、そこで、今般、訪問看護ステーションにおきましては、令和6年度診療報酬改定の施行時期も踏まえまして、令和6年6月よりレセプトのオンライン請求とオンライン資格確認を同時に開始し、さらに本年6月2日に成立いたしましたいわゆるマイナンバー法等の一部を改正する法律の施行による保険証廃止と時期をそろえまして、令和6年秋にオンライン請求・オンライン資格確認を義務化することとしてはどうかと考えております。
資料5ページを御覧いただきたいと思います。義務化に当たっては、やむを得ない事情がある場合は期限つきの経過措置を設けることを考えております。
まずはオンライン請求からでございますが、令和6年秋(保険証廃止時期)時点でやむを得ない事情がある場合につきましては、6類型で期限つきの経過措置を設けてはどうかと考えております。詳細につきましては御覧いただいているとおりでございますけれども、例えば(2)を御覧いただきたいと思いますが、(2)では義務化の2か月前の月末までにベンダーと契約締結したものの導入に必要なシステム整備が完了しなかったという事業所につきまして、最大義務化の6か月後の月末まで経過措置が認められることとしたいと考えております。仮に保険証の廃止が令和6年12月1日であれば、契約については令和6年10月末まで、また、経過措置については令和7年5月末までということになります。
また、(1)から(5)の類型に当てはまらない場合につきましても、例えば介護保険における経過措置と同じく、従業者が皆高齢であるといった場合など、特に困難な事情がある場合につきましては個別に判断をして、その事情が解消されるまでの経過措置を認めたいと考えております。
6ページを御覧いただきたいと思います。オンライン資格確認につきましても同様の考え方で、医療機関・薬局での経過措置も参考にしながら5類型の経過措置を設けたいと考えております。
7ページでございます。今申し上げたようなスケジュールで導入を進めてまいりたいと考えておりますけれども、訪問看護事業者の方には導入に向けた準備をしていただくことになりますので、厚生労働省といたしましても事業者に対する必要な情報発信や問合せ対応、さらにシステム整備等に必要な対応をパッケージとして提供する導入支援事業者も確保しながら、システム事業者への働きかけも行い、導入促進を図ってまいりたいと考えております。
8ページでございます。また、医療情報化支援基金、いわゆるICT基金を活用した財政支援も行ってまいります。事業内容は、オンライン資格確認を導入するために事業所において必要となるモバイル端末等の導入やネットワーク環境の整備、レセコンなどの既存システムと連携するための改修について補助することとしており、42.9万円を上限とした実費補助を予定しております。今回、オンライン資格確認に併せましてオンライン請求の導入も進めていただきたいと考えておりますが、必要な機器等の一部はオンライン資格確認と兼用可能でございますので、効率的な導入を支援してまいりたいと考えております。
9ページを御覧いただきたいと思います。今御説明させていただいたことをスケジュールに落としたものでございます。スライドのほうにはございませんけれども、オンライン資格確認の義務化に当たっては、医療機関・薬局の療担規則、薬担規則に相当いたします指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準、いわゆる訪看基準を改正する必要がございますので、法令上の手当につきましては追って中医協のほうにお諮りしたいと考えております。
次に、10ページでございます。訪問診療等におけるオンライン資格確認についてでございます。
11ページを御覧いただきたいと思います。訪問看護ステーションだけでなく、訪問診療等を実施する医療機関・薬局においても利用いただくこととなる居宅同意取得型のオンライン資格確認の仕組み等について御説明をいたします。
居宅同意取得型のオンライン資格確認では、患者宅等に医療関係者がモバイル端末を持参し、マイナンバーカードによる本人確認に基づく資格確認のほか、薬剤情報等の提供に関する同意を取得することが可能になります。また、居宅同意取得型では、訪問診療等で医療関係者が患者宅等を訪問し、患者のなりすましリスクが低いことを踏まえまして、2回目以降は当該医療機関等との継続的な関係の下、訪問診療等が行われている間は、医療機関等においてオンライン資格確認等システムへの再照会機能を活用して患者の資格情報を確認するとともに、初回時の同意に基づき薬剤情報等を取得可能な仕組みを実装する予定としております。
また、左下の黄色の吹き出しの箇所でございますけれども、マイナンバーカードにつきましては、11月頃を目途に暗証番号の設定が不要なカードの申請受付、交付を開始することが総務省より示されたことを受けまして、今後、専用アプリを活用して、初回時に行うマイナンバーカードによる本人確認について、暗証番号の入力だけでなく、医療関係者の目視によっても可能とする仕組みを令和6年度内に実施することを検討しております。
12ページを御覧いただきたいと思います。12ページはただいま申し上げたことを少し詳しくした資料でございますが、上の紫の帯の※書きのところでございます。診療等の継続はレセプトにより確認することを記載しており、さらに、中央右側の※書きでございますけれども、再照会機能の活用は新たな資格確認方法になりますので、今後、療担規則等の法令に位置づけるに当たって中医協のほうにお諮りするほか、併せて健康保険法施行規則等においても必要な対応をしてまいります。
13ページを御覧いただきたいと思います。13ページ、14ページでは、実際に居宅同意取得型のオンライン資格確認を実施する際の操作手順をお示ししております。
15ページでございますけれども、こうした居宅同意取得型の機能は、医療機関・薬局におかれては既にICT基金も活用いただきながら整備いただいたオンライン資格確認のシステム本体に対する付加機能となりますので、追加的に必要となるモバイル端末等の導入やレセコンの改修にかかる費用を補助してまいります。
16ページでございます。16ページではオンライン診療等の場合を記載しておりますが、患者本人のモバイル端末等を用いてマイナンバーカードによる本人確認に基づく資格確認のほか、薬剤情報等の提供に関する同意を取得することが可能になりますが、これらにつきましては、通常の外来診療と同様に医療機関等を利用する都度行っていただく仕組みとしております。
また、17ページでは財政支援の内容を記載してございます。
18ページを御覧いただきたいと思います。柔道整復師、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認の導入についてでございます。
19ページでございますけれども、先週、22日には医療保険部会の下に設置をされております柔道整復療養費検討専門委員会、また、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会の両委員会におきまして御議論いただきましたので、その御報告でございます。
まず1ポツ目、制度の立てつけでございますけれども、こうした施術所での施術につきましては、医療機関・薬局での療養の給付と異なり、法令上、償還払いの仕組みが取られておりますが、2ポツ目以降、地方厚生支局長、それから、都道府県知事と協定または契約を結んだ施術者には、患者に代わって施術者が保険者に請求を行う受領委任形式が認められており、その協定・契約のひな形を局長通知によりお示ししております。
現在、局長通知では施術に当たっての資格確認の方法として保険証のみを規定しておりますが、令和6年秋の保険証廃止も踏まえまして、令和6年4月以降、資格確認方法にオンライン資格確認を位置づけるとともに、令和6年秋以降、導入を義務化する方針を了承いただきました。施行に向けて、こちらも詳細を詰めて導入を進めてまいりたいと考えております。
21ページを御覧いただきたいと思います。施術所では、資格情報のみを取得できる簡素な仕組みとして、資格確認限定型のオンライン資格確認を導入いただくこととしております。
21ページ以降、システム図や実際の画面操作のイメージをお示ししておりますので、御覧いただければと思います。
また、24ページでございます。令和6年10月にはレセコン導入済みの施術所に向けましては、API連携により資格情報を直接レセコンに転記する機能、また、レセコン未導入の施術所に向けましては、資格確認を行った患者の資格情報を後で履歴として閲覧できる機能を実装することも予定してございます。
25ページでは施術所に対する財政支援の内容をお示ししており、また、26ページにおきましては、申し上げたことをスケジュールに落としたものをお示ししてございます。
次に、27ページを御覧いただきたいと思います。オンライン資格確認における登録データの正確性の確保についてでございます。
28ページでございますが、本来の負担割合等と表示が異なる事案への対応についてでございますが、医療機関でマイナ保険証を利用した場合の患者の窓口負担割合について、保険証の表記と異なる負担割合が表示されるケースが報告されていたことから、実態調査を進めてまいりました。
今般、この調査結果が取りまとまり、オンライン資格確認の表示が異なる事案につきまして、負担割合等の相違が判明し中間サーバー等の負担割合等を修正した事象が5,695件報告されました。その内訳を見ますと、正しい事務処理手順が踏まれておらず、システムで防止する仕組みがなかったものが4,017件、事務処理手順にかかわらず、システムの仕様の問題により発生するものが1,678件となっております。
これらの負担割合等が相違する事象につきまして、各保険者のレセプト審査では本来の負担割合に基づき審査を行っているため、最終的に被保険者には正しい負担割合で御負担いただいております。
29ページでございます。今回の調査結果を踏まえまして、同様の事象が発生しないよう速やかに事務処理マニュアルの改訂を行うこと、また、保険者のシステムについて10月以降順次改修を行うこと、調査で判明したパターンについて11月末を目途に各保険者で改めて点検を行うこととしております。また、保険者が被保険者から相談を受け、速やかに本来の負担割合等を確認し、被保険者や医療機関等に伝える仕組みを今月中に構築いたします。さらに、オンライン資格確認で表示される負担割合等を定期的にチェックする仕組みについて、来年夏までに導入することとしております。
また、下半分でございますけれども、オンライン資格確認結果とレセプトコンピューターの表示が異なる事案につきましては、まず、レセコン事業者に対してオンライン資格確認等システムのデータと異なる負担割合等が表示される仕様を維持している場合、そうした仕様となっている旨と負担割合等は資格確認端末等で確認する必要があることを顧客である医療機関等に周知するとともに、そうした仕様を改修するよう要請を行ったところでございます。
さらに、レセコン事業者に対して、自社製品の仕様についてアンケートを行い、オンライン資格確認等システムからのデータと同期して表示している事業者名を医療機関等向けポータルサイトに公表するとともに、今後、時期を明示した上で改修を予定している事業者名も公表することとしております。加えまして、こうした情報は医療機関等においてレセコンの仕様を確認する上で参考になるものでございますので、医療機関等に周知も行ったところでございます。
30ページを御覧いただきたいと思います。30ページは、先ほど申し上げました、保険者が被保険者から相談を受け、速やかに本来の負担割合等を確認し、被保険者や医療機関等に伝える仕組みについて、その流れを記載したものでございます。
また、31ページはレセコン事業者に対して行ったアンケート結果を取りまとめたものでございます。
最後に32ページでございますが、健康保険組合において加入者の住所情報を把握するための対応についてでございます。現在、健康保険組合におきましては、省令上、保険者の判断で住所情報の届出を求めないことが許容されているため、加入者の住所情報を保有しておらず、健康保険組合がJ-LIS照会を行って加入者情報をシステムに登録しようとする際、事前に事業主や本人に対し住所情報の確認を行う必要が生じることから、データ登録までに時間を要することとなっております。
今後の対応といたしましては、新規登録データの正確性を確保し、本人に係る事務処理を円滑にするため、省令改正等を行い、全ての健康保険組合が加入者の住民票上の住所情報を把握することを必須化いたします。あわせまして、事業主・被保険者に対しましては、住所情報とマイナンバーを提出いただきたい旨も周知してまいります。
33ページ以降は参考資料でございます。
資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願い申し上げます。あと、オンラインで参加の委員の皆様方におかれましては、挙手ボタンのほうでお知らせいただければ幸いです。
では、よろしくお願いいたします。
では、袖井委員、よろしくお願いします。
○袖井委員 オンライン資格確認ですが、医療の次は看護というのは当然の流れかと思うのですが、訪問看護事業所は医療機関と違って非常に小規模でスタッフが少ない。このスケジュールを見ますと、医療に比べて非常に短期間にやらなくてはいけないということで、これは大丈夫かなという危惧の念を抱いております。
それで、財政的な支援をするということですが、私はお金もさることながら、技術的な支援とかそういうことが重要だと思うのです。医療につきましては、医師会といった大きな団体がついていますが、訪問看護の場合、そういうバックアップする体制がどのぐらいあるかということを教えていただきたい。
そして、この7ページのところですけれども、導入支援事業者とはどういうものなのか御説明いただけないかということです。
それから、もう一つ別のことですが、マイナンバーカードで暗証番号が使えない人の問題ですが、これは11月から暗証番号なしでも利用できるという制度になるそうですが、こういう場合、暗証番号がない場合には自分の過去のデータについては見られないということですか。例えば家族の方とかケアマネの方とかが過去の医療情報を知りたいということがあったとしても、もし暗証番号のないカードの場合にはそれは無理ということですか。
この2点をお伺いしたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、御回答をお願いいたします。
○中園室長 御質問等いただきありがとうございます。保険データ企画室長でございます。
まず、1点目の訪問看護におけるオンライン資格確認とオンライン請求の導入支援について、訪問看護ステーションの事業者は小規模な事業体が多いというのは、御指摘のとおりでございます。このため、財政支援もさることながら、システム導入に当たっての相談支援や、大手ベンダーに導入支援事業者として手を挙げていただき、オンライン資格確認のシステム導入をパッケージ商品として分かりやすく御提供をいただくことが大事になってくると考えております。
導入支援事業者につきましては、38ページ目に挙げさせていただきました。こちらは保険医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の導入に際しても、導入支援事業者として、オンライン資格確認の導入のために大手ベンダーがパッケージ商品として御提供するということを行っておりました。今回、訪問看護においては、いち早く導入支援事業者の呼びかけを行いまして、5社について手を挙げていただいたところです。今後、この5社におきまして、具体的なパッケージ商品を開発・提供していくこととなります。その際、各社のお問い合せの相談ダイヤルなどについても、順次、医療機関向けポータルサイトや周知資料などに掲載して、現場に対する周知を図っていきたいと考えております。
また、導入に当たっての相談支援としてコールセンターについても、来月から立ち上げていきたいと考えております。コールセンターの受付時間などについては37ページ目にまとめております。
いずれにいたしましても、看護関係団体とも協力いたしまして、現場における導入支援をしっかり図っていきたいと考えております。
2点目の御質問でございます。現在、総務省において、暗証番号の管理にやや不安を覚える方やその家族のお声に対応するために、本年11月頃から暗証番号の機能をロックした形でのマイナンバーカードを提供することを始める旨、聞いております。制度の詳細については、現在、総務省において検討中ですが、御質問に関しては暗証番号の機能が使えない状態ですと、PC・タブレット・スマホなどの端末からマイナポータルにログインして御自身の情報を閲覧することについては、ログインのところで暗証番号がないとそういった機能は使えないことになります。したがって、いわゆる身分証や保険証としての機能に特化したような、形でのマイナンバーカードの御提供になるのではないかと聞いているところです。
このように暗証番号の機能がロックされたカードにも対応するために、在宅における初回の本人確認に当たりましても、今後、4桁の暗証番号を不要とし、目視でのお写真と御本人の確認が居宅同意取得型の仕組みにおいても実装することを検討しております。総務省ともよく連携しながら、医療関係者の皆様にも周知していきたいと考えております。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
では、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、訪問看護レセプトのオンライン請求は、レセプト請求・処理の事務効率化につながるものであります。また、オンライン資格確認についても、業務効率化や質の高い医療の提供を実現するものであるので、これは医療DXの一環として推進する必要があると認識しております。その点から見ても、経過措置というのは真にやむを得ない範囲としていただきたいと思っています。
それから、柔整・あはき療養費の受領委任払いにおけるオンライン資格確認導入・義務化についても業務効率化に資するものでありますので、円滑な導入と導入後の着実な運用のために、個々の課題について早期にスケジュールを定めて、丁寧に議論を進めていただきたいと思います。
ただ、あはきにつきましては、健保組合における受領委任払いは約2割にとどまっており、柔整と状況が違っております。こういった点も踏まえて議論をお願いしたいと思います。
いずれのオンライン資格確認についても、窓口での混乱を生じさせないように、国民に対する事前の分かりやすい周知・広報をお願いしたいと思います。
それから、資料の32ページに出ておりますとおり、健保組合における加入者の住所情報の把握について、12月1日から資格取得時の住民票上の住所情報の把握の必須化、並びに住所変更時の住所情報の取得を取りまとめいただきましたが、健保組合にとっては、単身赴任者等への対応において、居所住所の取得も必要になるケースがございますので、システム改修や運用の変更を伴うものとなります。12月1日からの施行に向けてしっかり対応していきたいと思っておりますけれど、国としても支援をお願いするとともに、事業主への周知や、さらにJ-LIS照会を行う際の表記揺れ対応等入力誤りの防止の観点から、人事給与システムですとか電子申請環境の整備についても取組を進めていただきたいと思います。
それから、今の説明にはございませんでしたけれども、参考として保険者別のマイナ保険証利用状況の実績が公表されておりますが、利用割合の高い健保組合においては、マイナ保険証で受診する様々なメリットを広報誌等で周知する取組を行っております。今後、このマイナ保険証の利用促進は非常に重要なものだと思いますので、健保連としても国民・加入者に向けて理解促進のための周知広報に取り組んでいきたいと思っております。国においても、医療DX推進の基盤であるこのマイナ保険証の利用促進について、しっかり対応いただければと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私からは28ページから29ページ、オンライン資格確認の際の表示が異なるケースについて、チェックするシステムを導入していくということが29ページの3番のところで書かれております。これについて発言をさせていただきます。
もちろん、保険者が持っている情報がオンライン資格確認上の表示と異なるケースというのが生じるということは理解できます。原因として考えられるのが、システムの中で入力ミスなどヒューマンエラーが一定の割合で、一定の頻度で生じてしまうこと、出てしまうことはやむを得ないということでありますし、そのことへの対応が必要であることは理解いたします。その上で、このチェックする仕組みが今後検討されるという御説明でございました。この仕組みをどういう形でつくるかということになりますと、当然保険者がやるわけですので、保険者の担当者が、すなわち人間が作業していくということが想定されます。したがいまして、このこれからつくられる仕組みでありますが、確認をする者にとって、できる限り手間とならないような効率的なものとしていただくよう、あらかじめお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き伊藤参考人、よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
私からは、訪問看護等におけるオンライン請求・オンライン資格確認の導入についてでありますが、その導入に当たっては、国の責任において安全な運用に万全を期していただくとともに、事業者や患者に混乱が生じないよう、丁寧な周知、広報に取り組んでいただくこと、それから、システムの導入等に要する費用への十分な支援をお願いしたいと存じます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。日本医師会の猪口です。
まず、訪問看護のオンライン請求・オンライン資格確認の導入についてですが、医療機関のオン資導入については、補助金を上回るケース、ランニングコストといった導入、運用の費用負担が想定以上にかかっているということを以前から指摘させていただき、その解決を要望してきております。
訪問看護においては、さらにモバイル端末の導入、運用も求められていますけれども、訪問看護事業者は先ほどありましたように小規模なところが多いので、通常の医療機関以上にDXへのコスト捻出、スタッフの確保が非常に難しいものと思われます。これで質問なのですけれども、これらは訪問看護事業者と直接お話をして理解は既に得られているのかどうか、ここを教えていただければと思います。
続きまして、訪問診療等におけるオンライン資格確認(居宅同意取得型)についてですけれども、これは医療現場の医師をはじめとするスタッフが使いやすい環境を整えていくということが何よりも重要です。通常のオン資よりも運用に多くの手順が必要となると思われますので、分かりやすい手順書とかトラブルの際の対応マニュアルの整備など、きめ細かい対応をお願いしたいと思います。
続いて、45ページが気になるところでありまして、オンライン資格確認の利用状況という参考資料が載っております。これによりますと、現時点でオンライン資格確認の利用状況は約5%にすぎないと。この状況では、なかなか現実的に導入等の準備をしても進んでいかない。これが現状だと思いますので、我々医療機関のほうも利用する患者様に促すとともに、国としてさらにこれを利用しやすい状況をつくっていただいて進めていかないと、幾ら皆さんが苦労して準備をしても情報を活用できない状況になっている。ここを十分に考えていただきたいと思います。
次に、29ページにありますレセプトコンピューター事業者への要請ですけれども、改修が行われるということはよいとは思いますが、あくまで医療機関の保守契約の中で対応するというように、新たな支出がないように事業者への働きかけをお願いしたいと思います。
最後にもう一つ質問ですけれども、30ページの負担割合等の相違の可能性がある場合の被保険者からの相談対応ということですが、ここにある例は過払いが分かったときに返すというシステムです。では、過少な場合、支払いが不足している場合にはどのような対応を考えているのか、これを質問させていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
2点ほど御質問がございましたので、回答をお願いいたします。
○中園室長 御質問等いただきありがとうございます。保険データ企画室長でございます。
まず、1点目の訪問看護におけるオンライン資格確認・オンライン請求の導入支援についてでございます。御指摘のとおり、訪問看護の事業所は小規模な事業体が多いという点、その点で財政支援や相談支援、周知広報など、今後しっかりと行っていきたいと考えております。
今回、オンライン資格確認やオンライン請求の導入に当たりまして、訪問看護事業者のお声もお伺いすることがございました。団体を通じて状況を伺うこともこれまでやってきております。しかしながら、特にオンライン資格確認の導入に当たりまして、現場への浸透度や周知の度合いはまだまだであるというお声もいただいており、私どもの取組もまだ周知が十分ではないのではないかと考えております。現場の実態に応じた形で円滑にオンライン資格確認の導入を進めていくためにも、今後、システム導入というなかなかなじみのないことを現場の方々に行っていただくことになりますので、その際のコールセンターでの相談支援や導入支援をきめ細かくしっかりと行ってまいりたいと考えております。また、関係団体の皆様とも協力して、現場からの御質問やお声、実態などについて継続して吸い上げて、現場からのお問合せにもしっかりと答えていきたいと考えております。
あわせまして、訪問診療について、在宅等の現場でモバイル端末を利用してマイナンバーカードを読み取り、本人確認や同意の取得を行うこととなりますが、分かりやすい手順の説明や、何らかの事情で現場でカードを読み取れないときの対応など、現場の負担にならないような形で分かりやすいマニュアルなども用意していきたいと考えてございます。
少し飛びまして、後半のマイナンバーカードの利用状況についても御指摘をいただいております。45ページ目ですが、直近の8月現在においては、月734万件のマイナンバーカードの利用件数でした。御指摘のとおり、保険証をオンライン資格確認で利用したケースとの比率といたしましては5%程度となっております。この間、医療機関におけるトラブル等の御指摘などもいただいてきております。そういった現場のトラブル等に対する分かりやすいトラブルシューティングなども今後お示ししていくなど、一つ一つ課題を解決していきたいと考えております。また、現在、マイナンバーカードの利用件数が高い医療機関等もあり、そういった医療機関等での取組の好事例についても収集しまして、マイナ保険証の利用促進のための周知・発信を図ってまいりたいと考えております。
○安中課長 高齢者医療課長でございます。
30ページの相談対応につきましては、一例ということで過払いの場合の返金について記載しておりますけれども、実際には事務連絡を今後発出することといたしておりまして、その際には不足分の徴収についても同様の流れで対応するということを記載いたします。
○田辺部会長 猪口委員、よろしゅうございますか。
○猪口委員 訪問看護ステーションの現場の意見、特に小規模のところもよくお聞きになって、これも義務ということになりますので、これについては十分な注意を払っていただきたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
まず、訪問看護等によるオンライン資格確認の導入につきましては、経過措置を含めて異論はございません。8月上旬にまとめられましたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめにおきまして、今回御提示がありました訪問看護や柔整、あはきに加え、特定健診実施機関等についても令和6年度からの運用開始に向けて着実に推進するとされており、同様に財政支援も含め、オンライン資格確認の導入が着実に進む環境の整備をぜひお願いしたいと思います。
また、関連しまして、医療DXの関係で検診機関がオンライン資格確認等システムに直接検診情報の登録を行えるスキームの検討が進んでいると認識しております。事業主への同意の取得方法の検討であるとかシステム改修の必要はあるものの、保険者にとりまして多大な負担となっている事業者健診情報の取得業務につきましては、効率化につながる可能性があります。登録されております健診情報の正確性と適切な管理を担保することを前提に、併せて検討をお願いしたいと思います。
なお、資格確認書や資格情報のお知らせなど、令和6年秋に予定されております一体化の際の業務移行の在り方の詳細につきましては、方針の整理であるとか調整を行っていただくようお願いをしております。システムの改修や業務フローの変更を保険者としても速やかに行う必要があることから、改めて早急に御指示をいただくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、任委員、よろしくお願いいたします。
○任委員 よろしくお願いいたします。
まず、訪問看護におけるオンライン資格確認及びオンライン請求につきまして、様々な支援策等を準備いただいておりますことに感謝申し上げます。
先ほどからも出ておりますとおり、訪問看護の現場では、このオンライン資格確認やオンライン請求が開始されることの理解は、まだ十分には浸透していない状況であると考えます。訪問看護事業所としましては、これから非常に短い期間の間にこのオンライン資格確認・オンライン請求に向けて準備をしなければならない状況にあります。本会としましても、関係団体とも連携して最大限の周知活動を展開していく予定ではございますが、国としましても7ページに挙げてくださっておりますような推進策を着実に実行いただくとともに、これからも様々な機会をとらえての周知を一層実施していただきたいと思います。現場が混乱なく円滑に開始できますよう、ともに御支援くださいますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
幾つか意見をさせていただきたいと思います。
まず、19ページから「あん摩、はり・きゅう」のことが出ているのですけれども、実はこういった細かい対応が必要なのですが、一方ではこれまでの間に一部不適切な事案もありました。あん摩やはり・きゅうは、年配の皆さんや腰痛とか背中が痛いとか足腰に不具合があるような方にとっては非常に助かる施術なのですけれども、一部不適切なものがあって、この医療保険部会でも過去に取り上げられたことがありますし、我々後期高齢者医療広域連合でも、幾つかの県においてそういった事案があって対応したことがありますので、今回いきなりそこを改善とは思っていませんが、そういったことも是正できるようなルールを入れ込むとか、仕組みをつくるとか、そういった意識もぜひ一方に持っていただきたいなと思います。そうしないと、医療費に準ずる支出のみが増えていきかねませんので、その辺も考えていただくととてもいいのではないかなと思っているところです。
続いて32ページ目、ほかの委員の方もおっしゃっておられますが、「健康保険組合における加入者の住所情報の把握」のことです。ぜひ省令改正も含めて、迅速かつ的確な対応をやっていただきたいとお願いをしたいと思います。特に細かいところが抜けてしまっている理由の一つは、デジタル時代を想定しない過去の事務処理で考えてきた流れでの不足だったと思うのです。デジタルガバナンスを前提とした医療や介護や福祉等の供給をどうするのか、それをどう事務的にサポートするかというのはすごく重要なので、そういった視点での改革をぜひお願いしたいなと2つ目に思っているところです。
また、28~29ページ目に「オンライン資格確認とレセプト」に関することが出ているのですが、こういうことも含めて、我が国はぜひトータルとして医療関係のDXを新たにどうつくっていくかということを、今日の議論とは直接は関係していませんけれども、毎回の議論と関係していると思っているのですが、ぜひトータルの戦略的なDX推進をどうするかというのをどこかでしっかり考えていただく必要があると思っています。
海外の例で恐縮ですが、海外では、非常にこの分野、DXにも関心を持った医師はそういった仕組みづくり、ルールづくりにも大きく関わったり、むしろ先導的にやっていこうというぐらいの思いを持った方もいらっしゃって、要は医療の実態を分かったDXが進んでいるそうです。けれども、日本の場合、ともするとベンダー各社あるいはIT系の技術者が考えた改革の方向、改善の方法に従ってしまっている面もございまして、それは必ずしも医療現場を把握しているわけではありませんので、足りない点があるということを海外に詳しい方からも聞きました。その方は日本のこともよく御覧になっています。
そういった意味も含めまして、いろいろなことをトータルで考え、DXを戦略的にやるという大前提の中に今回のことがあると思っています。特にDXを迎えたイノベーションにとりまして、マイナンバーカードの活用や健康保険情報とのリンク、そして、資格を瞬時で確認して適切にやるというのは、医療機関にとっても収入を確保することができます。また、海外のことを少し調べてみましたら、海外ではこのレセプトチェック等に関しましては、3~4週間程度で結果が出て医療費が医療機関に支払われるそうですけれども、日本の場合は2~3か月かかっていると思うのです。これだけでも、実は医療機関にとりましては経営的にも厳しいときがあったりするときをどう乗り越えるかということにも影響が出ていると聞いていますので、ぜひそういったことも含めて検討いただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
訪問看護におけるオンライン請求・オンライン資格確認導入について申し上げます。まず、ほかの委員の皆様もおっしゃっていますように、現場が混乱しないような周知をぜひよろしくお願いしたいと思っております。
また、別の角度ですけれども、前回の診療報酬改定時に、中医協の答申書の附帯意見におきましては、明細書の無料発行について、「施行状況や訪問看護レセプトの電子請求が始まること等を踏まえ、患者への情報提供の促進、医療の透明化の観点から、さらなる促進の取組について引き続き検討すること」とされております。こうした意見を踏まえまして、訪問看護などについても明細書の無料発行の取組がさらに促進されるよう、早急に進めていただきたいと思います。お願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
訪問診療等における在宅患者に対するオンライン資格確認の導入は当初から言われている部分で、大変必要なところですので、早期に進めていただきたいと思っております。
ただ、実運用に関しましては、現場に即したシステム上の対応をしていかれると思いますが、その辺に関して、現段階で示されている部分の中での検討事項について数点意見を述べさせていただきたいと思います。
1つ目は、最初もありましたけれども、暗証番号の部分、PINコード、PIN認証のみでシステムを稼働するとされていますが、在宅患者におけるPINの認識という部分とPINなしのマイナンバーカードが示されている部分の現状を踏まえて、目視等で認証する部分を可能な限り早く実装する必要があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、スライドの13ページ、14ページに示されているマイナ在宅受付Webを用いた資格確認ですけれども、これの手順に関しましても、本人確認の前に同意取得の手順を踏んでいる等の操作性の課題もあると思いますので、その辺もプレ運用等の中で意見を踏まえて対応していただきたいと思います。
それと、初回同意した後に、継続的な関係がある場合は薬剤情報等の確認が継続的に可能となるという部分ですけれども、この継続的な関係という部分の判断がレセプト情報によっているのであれば、外来患者等に関するオンライン資格確認等においても、同様のシステムを導入することで継続的な確認ができるようになるのではないかという部分の検討です。
それと、この継続とみなす期間についてです。どれだけの期間続いていると継続とみなすのかという部分も検討していく必要があるのではないかなと思います。
このようなシステム上の懸念については、マイナンバーカードと保険証の一体化の検討会等の取りまとめにおいても、マイナ保険証を円滑に利用するための環境整備に取り組むこととされており、医療現場においても重要な課題ですので、現場の声を反映していくために丁寧な対応、連携をお願いしたいと思います。
最後に補助金についてなのですけれども、オンライン資格確認の導入を原則義務化とする中にあって実費補助がなされた中で、在宅に対応するシステムの改修、モバイル端末の調達などの追加的な費用を現場に求めるという部分に関しては、非常に負担が大きいと考えます。
また、オンライン診療オンライン服薬指導の部分に関しても、このシステムを用いてモバイル端末を必要としない補助金設定となっているかと思いますけれども、この辺に関しても、オンライン診療であったり、オンライン服薬指導であったりに使用するシステムというものをマイナポータルとAPI連携等で資格認証していくためのバージョンアップ等のことが必要になります。ここにも費用が発生するということになってまいりますので、この辺も併せて御理解をいただきたいと思います。
重ねてのお願いになりますけれども、これらの本運用を進めていく中にあっては、現場が使いやすい仕組みにしていけるように、このような点について現場の声を反映できるように、関係者と連携して課題解決をして進めていただきたいと思っておりますので、現場が混乱しないような丁寧な周知、フォローをお願いしておきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
訪問看護等へのオンライン資格確認の導入拡大は重要な課題でございますので、粛々と進めていただきたいと思います。
それから、資料1の29ページ以降に記載されております登録データの正確性の確保についてでございますが、どのようなトラブルが発生しているのかはもとより、その対応策を国民へ丁寧に説明するなど、不安払拭への努力を粘り強く続けることが極めて重要ではないかと考えます。政府のマイナンバー情報総点検本部を中心に、関係省庁が一丸となった取組の強化を期待いたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の池端です。
全体的な方向性については私も賛同したいと思います。その上で、少し確認をしたい点が1~2点ありますので、よろしくお願いします。
まず、1ポツの表題は訪問看護における云々となっていますが、一方で、訪問看護を提供するのは医療機関におけるみなし訪問看護があるかと思いますけれども、これは、私の理解では、既に医療機関の療担規則の中でオン資確認等が義務化されているので、そこでやっているという理解でいいのかということが1点目の確認。
2つ目、2ポツで、となれば、訪問診療等におけるオンライン資格確認の居宅同意取得型に関しては、みなし訪問看護でそれをやる場合には、この「訪問診療等」の「等」の中にこのみなし訪問看護は入るのか。
あと、もう一つ、訪問医療機関から行っている訪問リハビリテーションも居宅同意型を取得する可能性があると思います。ここもこの「等」の中に入るかどうか。もし入るとすれば、そこに関していわゆる財政支援等もみなし訪問看護あるいは訪問リハビリテーション、医療機関から行われる訪問リハビリテーションに対するモバイル端末等の財政支援も行っていただけるかどうか。それについて質問させていただきたいと思います。
以上、よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございます。
では、回答をお願いいたします。
○中園室長 保険データ企画室長でございます。
御質問ございました医療機関で行うみなし訪問看護につきましては、御指摘のとおり、現在も医療機関からの医科レセプトのオンライン請求の中で対応されております。したがいまして、位置づけといたしましては、訪問診療等に含まれ得るものだと考えております。財政支援などにつきましては、今後、実施要領を定める中で、その対象について精査してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
では、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。
訪問診療等におけるオンライン資格確認(居宅同意取得型)について、意見と要望をさせていただきます。
居宅等への訪問診療時における資格確認について簡易な方法を検討していただき、感謝をいたします。医科では訪問診療料と往診料がありますが、歯科では往診料はなく、全て歯科訪問診療料によって算定をしております。この中には、入れ歯等の不具合や緊急的な外科処置など、往診的な対応を行う場合もかなりあります。また、初診が歯科訪問診療の場合もあり、依頼時の主訴から想定される治療に必要な機器を多く持参した上、居宅等へ訪問することになります。この場合、訪問先で資格確認はできても、薬剤情報などの医療情報は本体のある歯科診療所の端末を使用しないと確認できず、診療には活用できません。オンライン資格確認システムにより診断及び治療の質の向上を図るという大きなメリットを活かせないことになりますので、今後の課題として、初診時においても情報を活用できるような仕組みの検討をお願いしたいと思います。
また、15ページに示されました財政支援についてです。診療所は4分の3の補助率でレセコン改修費約13万円ということですが、オンライン資格確認のランニングコストに加え、訪問診療用、医療扶助用と改修経費が必要となるため、医療機関の負担感は大きなものになると思われます。
また、日本歯科医師会は、地域包括ケアシステムの中で歯科医療の役割として各地域で訪問診療を推進してきております。しかし、オンライン資格確認システムの整備やランニングコストが増大すると、歯科訪問診療を行うかどうか検討中の診療所が二の足を踏んでしまうのではないかと現場感覚として心配するところであります。在宅歯科医療を担う医療機関のさらなる負担増とならないよう、支援を要望いたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見等はないようでございますので、本議題につきましてはこれまでとしたいと存じます。
次に「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料2「令和6年度診療報酬改定の基本方針の検討について」という資料を御用意いただきたいと思います。
令和6年度診療報酬改定の基本方針についてでございますけれども、これまでの診療報酬改定の基本方針におきましては、①といたしまして改定に当たっての基本認識に続きまして、②改定の基本的視点と具体的な方向性と、こうした構成でお示しをしてございます。
この構成につきましては、基本的にこれまで継承されてきておりまして、その上で、その時々における医療を取り巻く状況等を踏まえた重点課題などを設定してきたところでございます。令和6年度改定におきましても、これまでの基本方針の構成をベースとしつつ、近年の社会情勢、医療を取り巻く状況を踏まえたものとしてはどうかと考えております。
具体的には、改定に当たっての基本認識といたしまして、下の表でお示ししたような4つの項目が考えられるのではないかと整理をさせていただきました。左の列が項目の例で、右の列がその項目のパートで記載内容として盛り込むことが考えられる内容の例になります。
まず1点目、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応。内容といたしましては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う旨を記載することが考えられるのではないかと思います。
2点目といたしまして、全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など、医療を取り巻く課題への対応でございます。内容といたしましては、75歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少という人口構造の変化に対応した全世代型社会保障を構築する前提の下で進めること。また、6年に1度の同時改定であることを踏まえまして、ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据えた対応の必要性。さらに、新型コロナウイルス対策の経験を踏まえ、新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築する必要性。こうしたことについて記載することが考えられるのではないかと思います。
3点目といたしまして、医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現でございます。その内容といたしましては、医療DXを推進し、医療情報の有効活用や医療機関等間の連携を進め、質の高い医療を実現する旨や、医療分野のイノベーションを推進し、創薬力・開発力を維持・強化する旨を記載することが考えられるのではないかと思います。
4点目でございます。社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和でございます。内容としては、骨太の方針2023等に沿った対応を行う旨を記載することが考えられるのではないかと思います。
次に、2ページを御覧いただきたいと思います。
基本認識に続きまして、改定の基本的視点と具体的方向性の例として整理をしてございます。
基本的視点の例でございますけれども、まず、ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、そして、連携の推進という視点から、右側でございますけれども、医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進、また、生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組、さらに、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進、地域医療構想・地域包括ケアを踏まえた医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価、新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価といった具体的な方向性の例を記載してございます。
2点目といたしまして、現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進という視点から、右側でございますが、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組、また、働き方改革に向けての取組の推進といった具体的な方向性の例を記載してございます。
3点目といたしまして、安心・安全で質の高い医療の推進でございます。この視点からは、右側でございますけれども、食材料費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応、アウトカムにも着目した評価の推進、小児医療、周産期医療等の重点的な対応が求められる分野への適切な評価、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進、薬局の地域におけるかかりつけ医機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価、そして、医薬品産業構造の転換も見据えたイノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等といった具体的な方向性の例を記載してございます。
最後に、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上でございます。この視点からは、右側でございますが、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品等の在り方、費用対効果評価制度の活用、市場実勢価格を踏まえた適正な評価といった具体的な方向性の例を記載してございます。
今回提示させていただいた記載例につきましては、前回の医療保険部会や医療部会の議論、また、中医協の議論、過去の基本方針の記載、骨太2023等の政府の方針などからピックアップしてございますが、本日も幅広い御意見をいただきながら、この基本方針のたたき台について肉づけ、修正の作業を行っていきたいと考えております。
最後の3ページ目のスライドは、これまでの改定の基本方針における基本認識と基本的視点の項目を抜粋したものでございます。
また、参考資料1といたしまして、本日お示しした項目に関わるデータ等について整理をしてございますので、御覧いただければと思います。
調査課長のほうから追加の説明がございますので、マイクを譲ります。
○鈴木課長 調査課長でございます。
最後に御紹介させていただきました参考資料1について、1つだけ御報告をさせていただければと思います。
参考資料1「診療報酬改定の基本方針 参考資料」ということで、関連したデータ等をお示しさせていただいているわけですけれども、9ページを御覧いただければと思います。
こちらは先日の中医協で提出させていただいた資料でございますけれども、最近の医療費の伸びに関する資料となっております。こちらの9ページのほうは、総額ということで医療費全体の伸びに関する資料となっておりますけれども、続く10ページ、11ページでこれを入院、入院外に分けたものをお示ししているということで、これは中医協のほうでもお示ししておったわけですが、大変申し訳ないのですけれども、こちらの先日の数値に一部誤りがございまして、内訳の2ページ分、10ページ、11ページですけれども、右上の肩のほうにも(修正版)とあると思いますが、資料のほうは一部誤りを修正したものという形になっておりますので、その点、御了承いただければと思います。別途、中医協のほうの資料も訂正をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、今回の資料を拝見した率直な感想として、「基本認識」について、例示とはいえ物価高騰・賃金上昇というのが最初に示されていることは大変大きな違和感を覚えます。
具体的に2点ほどコメントをさせていただきたいと思います。
一点目は、参考資料の12ページに記載されている「長期的な消費者物価指数の動向」についてでございます。先ほど医療費のデータは御説明がありましたけれども、この消費者物価指数の動向のグラフに、診療単価である「外来の一受診当たりの医療費」や「入院の一日当たり医療費」を重ねたグラフを提示いただきたいと思います。今まで賃金が伸び悩む中で、プラス改定が繰り返され、結果として保険料が上昇し続けてきた過去の経緯も十分に踏まえた議論をしていただきたいと思います。
二点目は、参考資料の13ページに記載されている「医療関係職種の賞与込み給与の推移について」でございます。医療関係職種について「医師・歯科医師・薬剤師・看護師を除く」という表現が入っております。グラフには看護師の推移は単体で入っておりますけれども、医療関係職種から、医師・歯科医師・薬剤師・看護師を除いて、平均を示す意図がよく分かりません。診療報酬は本来個々の医療職種に払うものではなく、医療機関・薬局といった施設単位で払うものであり、仮にそれぞれの施設の中で職種間の格差があるというのであれば、これは施設のなかでの配分の問題、いわばマネジメントの問題ではないかと思います。そういう点でも、正確なデータをもって議論をお願いしたいと思っております。
最後、基本方針の中では、私ども健保連としては、医療保険制度の持続可能性について極めて強い危機感を持っております。令和6年度改定においては、生産年齢人口が急激に減少するなかで、75歳以上人口が増加することを踏まえ、医療機能の分化・強化、連携や、医療の効率化・適正化を最大限に推進することが最も重要であり、安心・安全で質の高い医療を支える保険財政を維持するためにも、持続可能性の向上が極めて重要であると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 今、いろいろ御意見はございましたけれども、やはり現在の物価上昇・賃金上昇は避けて通れないところでございまして、次回の令和6年度診療報酬改定においてはそれを十分反映させるものであってほしいと思います。
また、持続可能性という意味でも、病院、有床診療所、無床診療所など、全ての医療機関の経営の状態を安定化させるということが重要だと思います。特に現状人手不足がある中で、医療従事者のみ待遇が改善できないということになると、医療には人手が集まらない、他の産業に人材が流出していくということが実際に起きてきております。次年度の診療報酬改定に当たっては、従事者の賃金をしっかりと確保するという点を強く要望したいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
以前の部会でも申し上げたとおり、年齢を問わず元気で意欲のある人々が活躍できる環境づくりというのが大前提で、極めて重要だと思いますが、健康寿命の延伸に向けた取組はもちろん、それから、国民のヘルスリテラシーの向上やセルフメディケーションの推進というのが不可欠ではないかと考えます。その観点からしますと、この資料に書かれている中では、これらのことがあまり考えていないのではないかと感じておりまして、令和2年度及び4年度の改定基本方針で基本認識とされていました、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた全世代型社会保障の実現を、今回もぜひ柱の一つにするべきだと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。
では、横尾委員、お願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
私ども首長でもありますので、非常に危機感を持っているのは地域医療の確保ということでございます。このことは繰り返しこの会議で申し上げているのですけれども、地域医療確保をどうするかは大きなテーマだと思っています。しかも、医師の皆さんの働き方改革が推進されていくようになっていきますので、ある意味でよりその危機感というか懸念は大きくなっていくなという予想もできるところでございますので、そういった医師確保あるいは医療機関の運営の適正化ということもどこかで配慮いただくようなことも大事かと思っています。
また、2つ目に感じているのは、先般、ある病院の取組等をテレビで拝見したのですけれども、そこは事務クラークを入れておられまして、ドクターが本来は御自身でカルテを書くなり入力をするなりされるところを、事務クラークがサポートを完全にやっているおかげで医師が患者の対応する数が圧倒的に増えているわけです。そのことによって、またデジタル面の分かったスタッフも養成されているようで、通院患者の待ち時間は極めて短い、そして、医療サービスを的確にしてくれる、さらに、この医院の医師が自分でできないところは適切な医療機関をすぐ紹介してくれるということで、大変好評を博しているような紹介がございました。いろいろな医療機関でも同様のお取組はされていると思うのですけれども、今後はこういった医師をサポートするクラークの体制とか、そういったことも含めて配慮をしていくことが、ひいては地域に関する医療の充実にもつながっていくと思いますので、そういった検討もしていただくとありがたいのではないかなと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
3点申し上げたいと思います。
1点目は、先ほど来あります人材の確保の必要性の部分でございます。人材確保につきましては、医療従事者等の働きに見合った処遇改善が欠かせないと思っております。持続可能な社会保障制度の構築に向けて、患者本位の良質な医療の確保を図っていくことを大前提にいたしまして、看護職員を含めた医療従事者全体の賃金、労働環境の改善につながる報酬改定にしていただくことが必要であると考えております。
2点目は、その次の「医療・介護・障害福祉サービスの連携強化」についてでございます。資料の記載にも「ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据え」とございますが、中長期的観点から医療と介護の連携を強化する方向づけが重要となると思います。新興感染症なども考慮しつつ、あらゆる設置主体の医療機関の参画によりまして、地域医療構想の再検討とともに、社会インフラとしての日本全体の医療提供体制の改革につながる報酬改定を検討していく必要があると考えております。
3点目は社会保障制度の安定性・持続可能性の確保についてでございます。制度の持続可能性の確保の観点からは、効率化を図る必要性も理解いたしますが、先ほども発言いたしましたように、制度を支える人材確保が大変重要でございます。医療従事者の働きに見合った処遇改善は本当に必要だと思っておりますので、具体的方向性におきましてはこうした点もぜひ触れていただきたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
資料の基本的認識、基本的視点に書かれている部分に関しては、いずれも適当な内容だとは考えていますが、個別にそれぞれ少し意見を述べさせていただきたいと思います。
コロナ禍において、薬局は自宅であったり宿泊療養であったりの対応で多くの人材確保が必要になりました。その辺も踏まえて、今後の感染症対策等の強化、また、医療計画等に示されているような地域においての薬局や医療機関をはじめとした医療関係機関との連携等を充実させていく必要があります。
また、今回、コロナ禍の教訓を踏まえた将来の新興感染症、再興感染症等への備えも必要で、さらなる人材確保が必要になると考えています。物価高騰・賃金上昇の影響がかなり大きく、これらを踏まえた人材確保であったり、働き方改革を実行するための環境整備であったりが重要な視点なのだと思っています。
2点目の医療DXについてですけれども、この推進においては、医療情報の有効活用等も見据えて、薬局においては早い段階から体制構築に努めてまいりました。マイナ保険証の活用についても、薬局としてより一層積極的に患者さんへの声かけ等で普及促進に努めたいと思っておりますけれども、ただ、今後、継続的に医療DXへの体制を確保、進化させていくに当たっては、整備している状況に応じた施設の維持管理費用等を捻出していく必要が生じています。この辺りも検討いただきたいと思っております。
また、薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価の部分については、冒頭でも言いました感染症対策による地域連携だけでなく、在宅におけるチーム医療の部分、そして、地域住民の患者に対する相談応需体制の部分も踏まえた地域の医薬品提供体制を整備する必要があると思っています。地方においては規模が大きくなく、コロナの影響がかなり大きく出ている薬局もあり、経営に影響が生じているところもございます。その点の配慮が必要だと思っております。また、その一方で、敷地内薬局のような効率性の部分に応じた適正な評価は必要であると考えています。
最後に、後発医薬品、バイオ後続品についての記載があるのですけれども、この使用促進においては、供給問題の部分等、バイオ後続品に関しては先発品との適応の差異によって変更ができない品目という部分も生じています。これらの解決策が見えない中で、単純に数値目標であったり金額目標であったりを掲げても、現場が混乱し、負担が増えるだけではないのかなと思っております。使用促進基本方針に盛り込むのであれば、医薬品全体としての供給問題への対処も含めた後発医薬品、バイオ後続品の推進策を総合的にパッケージとして展開する必要があると思います。正直に言うと、そのような姿が見えないとも感じます。担当部局等においてもこのような課題等に取り組んで、スケジュール感等も含めてこの医薬品問題に関しては全体的な対応を早急に進めていただきたい。その上で今後の対応していく必要があると思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、清家参考人、よろしくお願いします。
○清家参考人 基本認識、それから、基本的視点を通しで拝見しますと、これはあくまで例示ではございますが、基本認識の並びと基本的視点の並びで若干違っている点はやや違和感があります。
その中で、基本認識のほうです。先ほど佐野委員からもございましたが、物価高騰・賃金上昇等が前面に出ているのですけれども、例えば物価高騰につきましては交付金を通じて既に御対応いただいている部分もありますし、処遇改善につきましても前回の改定でも行ったところであります。各施設での配分が適切に行われているのか、そういった点の検証も必要ではないかと思っております。そういう意味で、診療報酬で対応すること、交付金等で対応すること、役割分担や効果を検証、整理する必要があるのではないかと思っておりまして、既に基本意識にも明記いただいておりますが、いずれにしましても患者負担、保険料負担への影響の点を十分御認識いただいて議論していく必要があると思います。これが一点目でございます。
2点目が具体的方向性です。2ページ目の一番下の制度の安定性・持続可能性につきまして、例示として薬のことばかり書かれてありまして、ややバランスを欠くのではないかという認識を持っております。効率化・適正化につきましては、薬の分野に限らず、あらゆる分野でめり張りのある評価というものが必要ではないかと思っております。前回の基本方針におきましても、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価でありますとか外来医療の機能分化等が含まれておりましたので、こうした視点も今後ぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、伊藤参考人、よろしくお願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
今回の基本認識及び基本的視点の例についてでありますが、物価高騰や人材確保の必要性、新興感染症への対応、医療DXの推進など、近年の社会情勢を踏まえ、必要な認識及び視点が盛り込まれているものと考えます。これらについては、都道府県単位の臨時的な補助金等ではなく、診療報酬の改定により全国一律の対策が求められるということで、必要な取組について適切に評価いただくようお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
診療報酬の改定となった場合、医療財政の問題といったことが大きく関わっているわけですけれども、一つ高齢者の立場から申し上げますと、これまで窓口負担の問題や保険料の問題が取り上げられてきましたが、窓口負担が大きくなるということは医療から必要な人が遠ざかるという問題を含んでますので、私自身はむしろ窓口負担の軽減ということが必要だろうと思います。そのためには、やはり所得格差が広がっているということを踏まえて、保険料負担の在り方、むしろ所得の大きい人たちからどう負担を求めていくのかということを真剣に考えていただかないとまずいのではないかと思います。
それから、働き方改革の問題ですけれども、私自身は8月に旧お盆で東北の田舎に帰って、それでコロナの2回目の感染になったわけですが、地方の医療機関に行ったわけですけれども、今年は熱中症の問題もあって、外来が非常に混んでいた。私の場合は後期高齢者でしたので、PCR検査もしていただいて、それから、解熱剤等の投与もいただいたわけですけれども、次の日、私の妻も熱が高かったので医療機関に行きましたけれども、今申し上げたように発熱外来が大変混雑しておりまして、そこで言われたのは、かかりつけのところに行ってもらいたいということで対応してもらえなかったわけですけれども、400キロ以上離れたところでかかりつけ医と言われても大変苦慮したわけですが、いろいろな方法を講じて何とか帰ってきて診てもらいましたけれども、やはり今も娘と例えば味が分からないとか、いろいろな後遺的なものもありました。
少し細かくなりましたけれども、言いたかったのは、やはりこのコロナの問題等を含めて、最近のこの救急体制でしょうか。救急車が走っていない日はないような状況ですので、医師の問題ですが、偏在なのか、あるいは足りないのか。この辺について突っ込んだ議論をしていただいて、私は今の経験からいくと、特に地方では医師が足りていないのではないか。それと併せて、看護師と医療従事者が不足しているのではないかという体験もいたしましたので、そういう点では、働き方改革の問題、例えば医師の年間の労働時間の問題も、やはり市民感覚からいくと、本当にあれでいいのかなと。あのような時間数で医療事故につながらないのか、そういったことも私たちの中では懸念する話も出ていますので、そういった点も踏まえて検討を進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
資料に示されています基本認識の例ですが、前回、議論でも最も意見が多かった例を見ない物価高騰と賃金上昇、人材確保については、ほかの委員も言われましたけれども、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
そして、トリプル改定の対応、新興感染症への対応、医療DX等については賛同いたします。
また、基本的視点及び具体的方向性についても、必要な内容がおおむね網羅されていると考えます。
歯科に関わることとして、リハ、口腔、栄養の一体的推進や新興感染症に対応できる医療提供体制の構築、かかりつけ歯科医、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進は、このとおり進めていただきたいと思います。
冒頭に申し上げました医療従事者の人材確保及び賃上げに向けた取組については、歯科のコメディカルである歯科衛生士、歯科技工士についても離職等が問題になっており、特に歯科衛生士の確保は喫緊の課題と考えております。歯科衛生士や歯科技工士についても、給与の安さなどから離職後はほかの業種に就くケースが少なからずあることから、これらの歯科専門職も含めて、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組を検討いただきますよう強く要望いたします。
また、歯科医療現場では、歯科材料費や機材等の高騰にも頭を悩まされているところであります。良質な歯科医療を提供するため、材料費等の物価高騰への対応もよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
まず基本認識について、各委員もおっしゃったように、やはり現状では物価高騰・賃金上昇等についての対応というのが一番に来て当然だと思います。特に人材確保、処遇改善、医師の働き方改革等もありますけれども、人材確保について、医療機関の人材というのは全て公的価格で決められている。公的価格というのは診療報酬で決められている。一方で、今、これだけ賃金上昇の圧力がかかっている一般企業に関しては、賃金はどんどん上昇している。周囲の一般企業は上昇している。そして、それを価格転嫁できているのですけれども、医療機関は価格転嫁できないのです。その現実をぜひ理解していただいて、今、大杉委員もおっしゃったように、実際に起きていることは看護補助者なりコメディカルなりが資格を捨ててでも他の企業に移ってしまう。それは、それだけ大きな賃金格差があるからそうなってしまっている現状がどんどん進んでいる。介護の世界で言えば、入ってくるよりも出る介護職が多くなっているという数字が出ていますので、こういうことが現実に医療・介護の現場で起きているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
ある委員が交付金もあるじゃないかとおっしゃいましたけれども、これは全産業に向けて行っている交付金のうち、各都道府県で折衝をやって医療機関にどれくらいということがなされていますし、多い少ないもありますけれども、少なくとも私の福井県において出された交付金に関して、物価上昇の分の10分の1程度、これは大学病院も含めてそういうデータが出ています。その程度の交付金で交付金を出しているよと言われても、とても経営的には十分ではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
もちろん、我々も含めて、医療提供者側も持続可能な保険制度というのは維持しなくてはいけない。これは十分理解しているところでありますが、さっき兼子委員もおっしゃったように、保険あってサービスなしになっては本末転倒ではないかと思いますので、この問題については本当に真剣にトップで取り上げていただきたい課題ではないかと思いますし、この基本認識でぜひ取り上げていただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見がないようでございますので、本議題についてはこれまでといたします。本日の意見を踏まえつつ、議論を深めていければと存じます。
次に「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等関連事項について」を議題といたします。それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
資料3を御覧いただきたいと思います。「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等関連事項について」でございます。
おめくりいただきまして、2ページ目でございます。今年6月に閣議決定されました骨太の方針の抜粋でございます。赤字の部分ですが、創薬力強化に向けて、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行うため、イノベーションの適切な評価などのさらなる薬価上の措置を推進するとされていまして、また、中ほどを御覧いただきますと、医療保険財政の中でこうしたイノベーションを推進するため、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進めるとされてございます。
3ページ目、4ページ目を御覧いただきますと、6月に医薬品の迅速安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会、これは厚生労働省におきまして開催した検討会の報告書の抜粋でございまして、3ページ目の中ほどを御覧いただきますと、創薬力の強化に向けて、新薬の研究開発に注力する環境を整備する観点、長期収載品の様々な使用実態に応じた評価を行う観点から、選定療養の活用や薬価上の措置の見直しを含めて、適切な対応について検討すべきであるとされています。
また、4ページ目でございますが、最後のその他の課題としまして、この報告書におきまして、やはりイノベーションの推進等に向けた薬価上の対応を行うに当たっては、以下のような指摘について必要な措置を講ずるべきではないかという構成員の意見がまとめられてございます。2つについては、先ほど申し上げました長期収載品の薬価上の措置の見直し、もう一つは長期収載品の患者負担の在り方についての議論が必要ではないかという指摘。3つ目の指摘としまして、長期収載品以外の医薬品を含めた薬剤一般についての軽度の負担を広く求めるべきではないか。そういった御指摘があったところでございます。
5ページ目以降、医薬品等に関する現状でございます。既にデータの関係は委員の皆様はかなり御存知かと思っておりますので、かいつまんで御紹介します。
6ページ目、薬剤費の推移ですが、おおよそ9.56兆円ということで、薬剤費に占める割合としては22.3%となってございます。
7ページ目でございますけれども、2番の円グラフ、薬剤費の構成割合の推移ということでございまして、先ほど話題に出てきました長期収載品についてはおおむね20%前後を占め、その上の緑の後発品について、15%から16%台となっているという現状でございます。
8ページ目でございますが、欧米諸国と比較したGDP比に対する薬剤費の比率となっていますが、日本における比率というのは欧米諸国と比べて高い傾向を見せているという状況でございます。
9ページ目、後発品への置き換え状況でして、79%前後で現状は横ばいとなってございます。これは数量ベースです。
10ページ目、11ページ目でございますが、10ページ目が後発品のシェアの国際比較でございます。定義でをそろえる関係で、先ほど見ていただいたものと数字が異なるのですが、国際比較上、日本は比較的後発品のシェアについては数量、金額ともにやや低い傾向にございまして、続きまして、11ページ目を御覧いただきますと、長期収載品のシェアに関しては逆に日本は比較的高い傾向にあるというところが出てございます。
12ページ目以降ですが、新薬、医療用医薬品の関係でございまして、医療用医薬品の世界売上げ上位100品目の国別起源比較、日本の推移を見せていまして、現状ですと少し2桁を切っているという状況です。
続きまして、13ページ目ですが、世界における販売額の推移と市場規模というところになりますが、棒グラフの下から3つ目のピンクが日本でございまして、一番大きいのはアメリカですが、近年、中国の伸びが著しい。日本については横ばいといった状況でございます。
14ページ目、日本起源の医薬品の世界医療用医薬品の市場シェアでして、かつて2000年代半ばぐらいまでは15%近くまで行ったこともあるのですが、近年は10%程度で推移しているという状況でございます。
3番、薬剤自己負担に係るこれまでの議論でございます。
16ページ、患者一部負担の推移でございまして、様々な制度変更を経た上で、現状の整理をまとめたものでございます。かつては薬剤一部負担という仕組みもございましたが、平成15年4月からは全て廃止されています。
17ページ目から18ページ目はかつてあった薬剤一部負担制度の概要ですので、ここは省略させていただきます。
19ページ目以降は、薬剤自己負担の引き上げに関するかつてのこの医療保険部会での議論をまとめたものでございます。委員においてはこの当時から御参画いただいている方もいらっしゃるかと思っていますが、かいつまんで申し上げますと、自己負担の見直しに関して行うべきという積極的な御意見と、一方で慎重にあるべきといった意見もございまして、引き続き検討とされているものが多くなっています。
続きまして、4番の薬剤自己負担に係る論点ということで、26ページ目を御覧いただきたいと思います。薬剤自己負担の見直しに関する主な項目ということで、これまでの議論などを踏まえますと、例えば以下のような項目が考えられるのではないかということで4つほど並べてございます。1つ目、薬剤定額一部負担、よくワンコインと呼ばれるものでございます。2つ目、薬剤の種類に応じた自己負担の設定。3つ目が市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し。4つ目として長期収載品の自己負担の在り方の見直しでございます。
1つ目、薬剤定額一部負担については、外来受診や薬剤支給時に薬局窓口等において薬剤に関して定額負担を求めるという考え方でございまして、課題として2つ並べてございます。低い価格の医薬品ほど定額負担になりますので相対的に負担が重くなるという点。もう一点、平成14年の健保法等改正法の附則2条におきまして7割給付維持とされてございまして、これとの関係というのが課題としてあろうかと思っています。
2つ目の薬剤の種類に応じた自己負担の設定でございますが、有効性などの医療上の利益に基づいて薬剤を分類、各カテゴリー別に自己負担割合を設定するというフランスのやり方が一つ参考になるのではないかと思っていまして、課題としては、疾病との区分の是非、2つ目は医療上の重要性などの分類の技術的な可能性ですとか、その分類方法といったところがあるかと思います。3つ目は、先ほどの定額負担と同様に附則2条との関係というのがあろうかと思います。
3つ目、いわゆるOTC医薬品に類似品がある医療用医薬品について、例えば保険給付の範囲から除外するとか、償還率を変える、定額負担を導入するなど、保険給付の在り方を見直すというもの。課題としては、医療上の必要性に応じて適切な医薬品を選択できるよう担保する必要があるのではないかという点。もう一つが、市販薬があるかどうかで取扱いを変えるということの是非、例えば医療用と市販薬では、同一の成分であっても期待する効能・効果ですとか使用目的、患者の重篤性などが異なる場合がある。こういったところが過去の議論を踏まえても課題としてあるのかと思っています。
4つ目、長期収載品の自己負担の在り方の見直しですが、様々な使用実態に応じた評価を行う観点ですとか、後発品との薬価差分を踏まえながら自己負担の在り方を見直すという考え方でございます。課題としましては、医療上の必要性に応じて適切な医薬品を選択できるよう担保する必要性があるのではないかと。また、かつて何度か議論が行われました、いわゆる参照価格制、後発品との差分を全て自己負担とするという考え方かと思っていますが、これとの関係性をどう捉えるのかというところも課題になると思っています。
そういった点を踏まえまして、27ページ目でございますが、薬剤自己負担に係る論点について3つございます。
国民負担の軽減とイノベーションの推進が求められる中、骨太2023においては、創薬力強化に向けて、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行うため、保険収載時をはじめとするイノベーションの適切な評価などのさらなる薬価上の措置等を推進する。医療保険財政の中でこうしたイノベーションを推進するために、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進めるとされてございます。
また、有識者検討会報告書では、先ほど御案内のとおり、新薬の研究開発に注力する環境を整備する観点や、長期収載品の様々な使用実態に応じた評価を行う観点から、選定療養の活用や現行の後発品への置き換え率に応じた薬価上の措置の見直しを含め、適切な対応について検討すべきとされてございます。
こうした中で、薬剤自己負担の在り方の見直しについて、どういった対応が考えられるかということで御意見をいただきたいと考えてございます。
資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
先ほど任委員が手を挙げていらしたようですけれども、私、老眼のせいか見逃してしまいましたので、御発言があればよろしくお願いします。
○任委員 タイムラグがあって失礼いたします。日本看護協会の任でございます。
先ほどの診療報酬の基本方針に関しまして、意見を述べさせていただければと思います。
先ほどの資料の2ページ目、基本的視点と具体的方向性についてのところで、まず、前回本会からはタスク・シフト/シェアの推進ですとか、専門性の高い看護師の活用、在宅医療・訪問看護の確保が重要であるということを述べました。これらの点は、例えば、「地域包括ケアシステムの深化・推進」など、ほかの文言の中に読むことも可能かもしれませんが、この2ページでは「具体的方向性」ということですので、重要なことについてもう少し具体を記していただくとよいのではないかと考えます。
また、今後、複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有する高齢者がさらに増加するとともに、生産年齢人口の急減も見込まれております。病棟、外来、訪問看護等が連携して効率的に質の高い医療を提供すること、そして、外来における療養指導等により重症化、再入院を防止することがますます重要になると考えてます。この重症化予防の重要性、外来における療養指導の重要性をもう少し打ち出していただくとよいのではないかと考えます。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 大変失礼いたしました。
それでは、資料3の経済財政運営と改革の基本方針に戻りまして、御意見等がございましたらお願いいたします。
では、安藤委員、よろしくお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
26ページに薬剤自己負担の見直しに関しまして4つの考え方が提示されておりますが、経済財政運営と改革の基本方針2023にて、創薬力強化などに向け、医療保険財政の中でイノベーションを推進するため、長期収載品の自己負担の在り方の見直し、検討を進めるとされておりますこと、また、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会でも、新薬の研究開発に注力する環境を整備する観点や長期収載品の様々な使用実態に応じた評価を行う観点から、適切な対応について検討すべきとされていることなどを踏まえますれば、日本の製薬業界が新薬の研究開発に注力できる環境を整えるとともに、④に書かれてあります長期収載品の自己負担の在り方の見直しを行う方向で検討を進めるのが、現在進められている医薬品の供給体制等に関する見直しの方向性とも合致すると考えております。
なお、今回の資料には記載がございませんが、骨太の方針2023にはメンタルヘルス対策を着実に推進するという旨が盛り込まれております。本部会でも折に触れて御紹介しましたとおり、協会けんぽの傷病手当金に占める精神及び行動の障害の支給金額及び構成割合は年々増加の一途をたどっており、協会として、厚生労働省労働安全衛生部の御協力の下、メンタルヘルス予防対策に関する産業保健総合支援センターの事業を事業所に活用していただくためのリーフレットを作成するなどの取組を行ってまいりました。一方で、こうしたメンタルヘルスのような各年代に幅広くまたがる課題につきましては、母子保健、学校保健、産業保健、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険等の主体が、それぞれの担うべき役割を明確にした上で相互に連携できるようなトータルビジョンを描くことが必要不可欠であると考えております。年末に向けまして医療保険部会での議論も煮詰まっていくと思いますが、厚生労働省におかれましては、こうした中長期的な課題につきましても、対極図を描いた上で今後の政策の検討を進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、猪口委員、よろしくお願いします。
○猪口委員 ありがとうございます。
今回の提案ですけれども、骨太の方針などを踏まえて、薬剤の自己負担の見直しをどうするかという提案と理解しております。しかし、薬剤自己負担の見直しに関する主な項目の4つの案のいずれであっても、患者の自己負担が増えることには変わりありません。議論を進めるのであれば、やみくもに負担増を求めるのではなく、医療上必要なものは保険適用するという公的医療保険制度の原則が守られているのか。安心して必要な医療を受けることができる環境が守られているのか。また、昨今の長期収載品の後発医薬品への置き換えが金額ベースでも進むためには、まずは後発医薬品の安定供給の問題を最優先に解決すべきだと思います。創薬力の強化、イノベーションの推進など、国民にとって必要な医療の質の向上が期待できるのか。こういった幾つかの点を踏まえて検討する必要があるのではないかと思います。こうした観点から見れば、国民にとって必要な医療が確保されているのかという点から、相当に精緻な議論が今後必要になると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
薬剤の自己負担について、今回の資料の26ページに4つの見直し案が例示されておりますが、国民皆保険の持続可能性を確保する観点で、重篤な疾患等の薬剤を確実に保険でカバーするという一方で、OTC医薬品等で代替可能な薬剤については、保険給付範囲からの除外や給付率の引下げ等の適正化により、事業主や被保険者の保険料負担の軽減につなげるべきというのが、健保連の基本認識でございます。
また、骨太の方針では、「イノベーションを推進するために長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進める」とされておりますが、新薬メーカーが長期収載品への依存から脱却するように促すとともに、医療費の伸びを抑制し、国民負担を軽減するということを念頭に、長期収載品と後発品でもって自己負担を変えるということも考えられます。近年、後発品の供給について問題が生じておりますけれども、全体として見れば、後発品の使用が一般化してきたと言えます。疾患や薬剤の種類によって、無論、様々な事情に配慮する必要あると思いますけれども、やはり長期収載品を含めて保険給付範囲の見直しは検討すべきであると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
薬剤自己負担の見直しに関する主な項目というところなのですけれども、経済学的に考えますと、やはり②の薬剤の種類に応じた自己負担の設定というのと④の長期収載品の自己負担の在り方の見直しというのが原理原則としては望ましいのかなと思いました。
①の薬剤定額一部負担であるとか、③の市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直しといったことは、②が実際に行う場合には非常に手間がかかるというか非常にいろいろなことを考えなくてはいけなくて、実際には大変だから簡易的に行うということなのかなと思ったので、その場合は、②の原則に対して①と③でどういうふうに近づけるのかということに対して、何かエビデンスというか議論といったものが必要ではないかなと思いました。
さらに言えば、自己負担で患者がどこまで無駄を減らせるかというと、これは限定的なものもあるかと思うのです。ですから、②の考え方で医学的利益が少ない処方というものに対しては、そういうものを処方したことに対する医師への診療報酬の引下げというようなことも考えていかなくてはいけないのではないかなと思いました。
それから、これは質問なのですけれども、最後に、薬剤定額一部負担とか薬剤の種類に応じた自己負担の設定ということだと、平成14年健保法等改正法の附則における7割給付の維持との関係とありましたけれども、③のOTC医薬品に類似品がある場合の保険給付を見直す場合も、これは潜在的には7割給付の維持に反してしまう可能性はないのかなと。③だと7割給付の維持が問題にならないということであれば、どうしてそうなるのかお伺いしたいと思いました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
1点御質問がございましたので、お願いいたします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。ありがとうございます。
3項目目のOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについてですが、見直しの仕方によっては、今、中村委員から御指摘のあった附則2条との関係が発生いたします。例えば償還率を変えるとか定額負担を導入するといった対応について見ると、実質的には1項目目、2項目目と近しい対応を行うということになりますので、その場合は附則2条との関係が発生いたします。
単純に保険給付の対象とするかどうかといった議論は、7割給付の維持といったところとは直接の関連性はないので、附則2条との関係は発生しないものと理解をしているのですが、資料では他の課題を主に取り上げてございまして、「等」の中で2条との関係も読み得るということで処理させていただいてございます。基本的な考えとしては今お答えしたとおりでございます。
○中村委員 分かりました。ありがとうございます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございますか。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、基本的な考え方を述べますと、薬剤給付の適正化を検討するに当たりましては、長期収載品の自己負担の在り方はもとより、医師による処方の在り方、あるいは患者さんの受診の在り方についても、議論すべきではないかなと考えます。
それから、資料3の29ページには、改革工程表2022の抜粋が掲載されておりまして、そこに、薬剤給付の適正化のため、セルフメディケーションの推進が重要と明記されております。これを実現していくために、OTC医薬品の活用促進につながる国民のヘルスリテラシー向上が進むよう、政府に一層の取組をお願いしたいと思います。
また、医薬品の国際間比較というのも、大変興味深く拝見したわけでございますが、視点を変えて、医療用医薬品とOTC医薬品の比率が一体どうなっているか。我が国の場合は9対1以上なのですよね。少なくとも、先進国でこんなに医療用に偏っている国というのは珍しいのではないか。ぜひ、国際比較をこのような観点からも一回やっていただければなと思うわけでございます。
それから、かねてより申し上げているとおりでございますが、人件費や原材料が高騰している中、薬剤の供給体制をどう維持するかというのは重要な課題となっておるわけですが、セルフメディケーション重視の考え方からすれば、日常的な軽度な疾病については、可能な限りOTC薬の活用を促す。もちろん、これはかかりつけ医師、かかりつけ薬剤師に必要に応じて色々な御指導を仰ぐということも必要だと思いますが、こういったことが前提となるのではないかと思います。
あるいは、一方では、限られた医療資源をどこに活用するか。これはOTC類似薬のないカテゴリーを優先すべきではないか。あるいは創薬力の強化ですね。開発力も限られるわけですから、こういった創薬の強化にできるだけ振り向けるということを考えていいのではないかなと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
スライドの26ページに自己負担の見直しが示されておりますけれども、先ほど猪口委員先生からもありましたが、これらの案は患者負担の増加につながりますので、必要な医療が受けられない、受療行動が控えられるというような医療のアクセスが阻害されることがあってはならないと思いますので、それは大前提で考える必要があると思います。
また、医療上必要なもの、必要な医薬品については保険適用にするという公的医療保険制度の原則が守られていなければならないと思いますので、その上で4つに関してコメントをさせていただければと思っています。
まず①なのですけれども、これは課題に記載されているような懸念もありますが、患者が受けた医療の内容と関係なく自己負担が発生するという部分でもありますので、健康保険法上で規定されているような定率の一部負担金、一部負担という考え方とは異なるもので、少し論外というか、法的に規定されている部分からしても論外な提案なのではないかなと思います。
②については、過去に導入されて廃止された、かなり現場に混乱を来した部分での内容でもあります。患者の理解も得られにくく、ルールが煩雑になる過大な事務負担も発生したという部分になりますので、患者さんへの説明対応を含めた大混乱した部分も考えると、あまり現実的ではないのかなと思います。
③についてですけれども、患者さんへの説明もそうなのですが、かえって高額な医療へシフトしてしまう可能性というのもあります。また、医療において市販品があることをもって類似薬品を使用しにくくしてしまうという部分に関しては、患者の不利益にもつながるので、ここは一概に使いにくくするということではない方法も考えながら、現場に負担が生じないように、混乱しないように問題を解決しながら、このままでは問題が極めて多いと思います。
④についてなのですけれども、長期収載品に関しての後発医薬品の置き換えを進めるということは必要なものと認識しています。ただ、現状、後発医薬品の供給問題に鑑みると、不安があると言わざるを得ないと思っています。説明にもあったのですけれども、参照価格制度とは別なものと認識しておりますので、この辺りは明確にしておく必要があるのかなと思います。
いずれにせよ、患者の自己負担の増大、負担が生じるような方策を検討するのであれば、それが今後創薬力やイノベーションにつながり、日本の医療に貢献して、そして、患者、国民の治療の利益に資するものにつながっていかないと意味がないと思いますので、医療現場等に混乱が生じないような制度設計、周知、丁寧な検討、議論が不可欠だと思いますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、村上委員、お願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
皆様おっしゃっておりますけれども、今回、様々な議論がございますので、今回の議論だけで結論を出すのではなくて、丁寧に議論を進めていただきたいと思っております。
また、薬剤自己負担の見直しについて、患者負担の増加によりまして、経済力がない方が医療にアクセスできなくなり、結果として重症化につながるといったことがないよう、十分慎重に検討していただきたいと思います。
26ページで示されております項目につきましては、いずれも医療アクセスの観点から問題があると受け止めております。また、患者の利益につながるイノベーションの促進の観点は理解いたしておりますけれども、一方で、改正法附則の7割給付を維持するという観点からは、選定療養の活用や現行の後発品への置き換え率に応じた薬価上の措置の見直しについては、重ねてですが、慎重かつ丁寧に議論いただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
では、清家参考人、よろしくお願いします。
○清家参考人 私ども、これまで今後登場する革新的な医薬品への国民のアクセスを確保するために、それは保険制度しっかり対応していく。一方で、給付を重点化し、制度の持続可能性を確保する観点から、薬剤の自己負担の在り方について問題提起しております。そういう意味で、今回、26ページに4つ例示が取り上げられておりますが、これらを検討することについて違和感はございません。昨今、ドラッグラグとかドラッグロスへの懸念も非常に高まっておりまして、今回、薬剤の自己負担の在り方を見直す際には、国民皆保険の持続性の確保とイノベーション推進を両立させていくという視点から御議論いただいて、適正化した際にはイノベーションの推進にぜひつなげていただくということが重要だと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、袖井委員、よろしくお願いします。
○袖井委員 この国際比較のデータはすごく興味深く見ているのですが、これは全体として日本における研究レベルの低下ということを反映していると思うのです。だから、これは薬剤、創薬だけの問題ではなくて、全体的に見て、例えば毎年世界のランキングが出ていますが、日本はどんどん落ちています。そして、いろいろな研究論文で引用される比率とか数とか、そういうのを見ても、今、中国とか韓国に負けてしまっている。国際的な比較で考えた場合に、なぜ日本がこういうふうに落ちてしまったかという大元を考えないと、ちょこまかしたとこだけではなくて研究費全体にもっとお金を出すとか、そういうマクロな視点が必要ではないかと。この国際データを見ると非常に暗い気持ちになって落ち込んでしまいますので、私の意見を申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
では、横井委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 薬剤の自己負担に関することは、方針や考え方や方法とか、今、いろいろな意見も出ているわけでございますけれども、これは報道に出ていくと、特に高齢者の方や低所得者の方にとっては大変大きな負担感が増していくことになっていきますので、その不安ができるだけ出ないような次善の策というか、そういったことも必要だろうと思っています。特に高齢者で単身あるいは夫婦のみという感じで経済的になかなか余裕がない方にとって大きな負担感になると思いますので、そういった配慮をぜひお願いしたいと思います。
また、今ほど出ました日本の創薬等に関してのことですけれども、やはり日本はデータ蓄積がまだまだ遅れていると思っていまして、いろいろな医療に関するデータ、健康に関するデータ、または医療機関が持っていらっしゃるデータを、できれば「国として戦略的に活用する」ということを前提に、デジタルガバナンスの中でそういったデータ活用ということもぜひ考えていただくことが将来的にも必要だろうと私も感じています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
では、ほかに御意見等なければ、本議題についてはこれまでといたします。
次に、事務局から別途報告事項があるということでございますので、保険課長、調査課長のほうから説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○山下課長 保険課長でございます。
資料4「『年収の壁・支援強化パッケージ』について」について説明いたします。
まず、問題の所在を御理解いただきたいので、スライドの11まで飛んで見ていただきたいと思います。
年収の壁に関する適用関係でございますが、年金でいうといわゆる第3号被保険者、健保でいうと被扶養者につきましては、保険料の本人負担なく保険給付を受けられるということ、そして、国民年金の基礎年金部分について終身給付されているということがあります。
この方々がパート労働者として働いた場合、2種類ありまして、パート労働者に対して健保・厚生年金を適用する企業で働いた場合につきましては、この方々は第2号被保険者になりまして、保険料負担につきましては会社と御本人折半となり、給付については健保の給付、厚生年金の給付、基礎年金の給付があるということであります。
一方で、この方々が、社会保険の適用のない企業で働いた場合につきましては、第1号被保険者となりまして、保険料負担は増えますけれども、給付につきましては国保の給付、国民年金の給付となります。
このとき、第2号被保険者になるための条件としまして、矢印の真ん中にありますけれども、週労働時間20時間以上で年収が106万以上になった場合、また、第1号被保険者のほうになる場合につきましては、年収130万円以上になった場合ということがございます。そして、この年収106万円以上、又は、130万円以上の赤い文字で書かれているところについて避けようとするというようなことが起きているということでございます。
一方で、第2号被保険者、106万円以上の場合につきましては、本来であれば、保険料は確かに御本人負担分はありますけれども、会社と折半で給付は非常に手厚くなるということをあえてお伝えしたいと思います。
これにつきまして、スライドの2を見ていただきたいのですけれども、対応を考えたということでございます。
106万円の壁への対応につきましては、パート労働者を雇う企業に対して、パート労働者に対して賃金を増やします、もしくは労働時間を増やしてくださいというようなことをきちんと短時間労働者に伝えていただいて、短時間労働者の方に社会保険適用促進手当を支給していただければ、1人当たり最大50万円の支援を企業にする。
それに関して、企業が短時間労働者に支給する社会保険適用促進手当に関しては、本来であれば被保険者の給与でございますので、本来であれば、標準報酬の算定に入るのですけれども、これにつきましては標準報酬の算定においては特例として対象としないということになります。これにつきましては、社会保険の例外でございますので、最大2年間ということで対応するということでございます。
次に、130万円の壁につきましては、被扶養者をパート労働者として雇う企業で、その企業がどうしても一時的な収入が増えてしまっているということの証明を被扶養者に渡していただいて、その被扶養者を扶養する方の健康保険組合や協会けんぽ、もしくは共済組合のほうにその書類が届いたということであれば、連続2回までの限度でありますけれども、例え130万円を超えていたとしても、一時的なことであるとして、被扶養者の認定については柔軟に考えるということにするというパッケージを提示させていただいたということでございます。
これにつきまして、両方の対応につきましては、人手不足、つまり、年末に近づく中でパート労働者を雇う企業のほうで人手不足が生じてしまう。つまり、就業調整で少し働くことをためらってしまうということに対する対応が急務という中で、当面の対策としてまとめたものでございます。
一方で、これらの第3号被保険者、また、被扶養者の問題につきましては、先日、年金部会でも第3号被保険者に関してどうあるべきかという議論を開始したというところでございますので、これらにつきましても、この2ページの上の文章にありますとおり、制度の見直しというもともとの制度をどうするかということにつきまして議論を開始したところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○鈴木課長 続きまして、調査課長でございます。
資料5でございます。「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について」について御説明をさせていただきます。
後期高齢者医療制度の患者負担割合につきましては、昨年10月より一定以上の所得を持つ方について負担割合が1割から2割へと引き上げられたところでございます。医療においては、こういった負担割合が変わりますと、それが受診行動に一定程度影響を及ぼす。具体的に言いますれば、負担割合が上がりますと受診頻度が一定程度下がる方向に変化する。こういったことが過去のデータからも観測されておりまして、これをいわゆる長瀬効果というわけなのですけれども、実際に負担割合が1割から2割に変わりましたということで、受診行動へどのような影響が出たのかということで、実績のデータの分析を行うべきといった御指摘が国会の審議でもございまして、実際に法案の附帯決議でもそのような分析が求められていたというところでございます。
それを受けまして、現時点でということですけれども、保険者の皆様の御協力も得まして、当面、まずは制度改正の前後6か月、半年についてデータを集めさせていただきまして、それを分析した結果というのが本日の資料の1ページとなってございます。
本来はこういった医療費の分析というのは、医療費は月々によってぶれがございますのでもう少し長い期間のデータをもって分析することが普通なのですけれども、できるだけ早い段階で状況をお示しするといった観点から、前後半年という段階で一旦分析をさせていただいております。
実際の結果でございます。グラフを見ていただきたいのですけれども、こちらは1か月ごとの平均の受診日数のグラフとなっております。青いラインと赤いラインがございますけれども、青いラインは一般Ⅰと書いてありますけれども、これが1割負担のまま変化しない方のグループ。赤いラインは一般Ⅱと書いてあります。こちらが1割負担から10月に2割負担に変わった方のグループとなっております。
主に赤いラインを見ていただきたいと思うのですけれども、負担割合が上がる直前の9月に大きく上がりまして、そして、10月に反動でぐっと下がり、その後、青いラインより少し下で、全体を見ていただくと、負担が上がる前と比べると受診日数が若干減っているということが見てとれるかと思います。
では、数字としまして、全体としてどの程度影響があったのかというところですけれども、直前の今御説明しました駆け込み的な現象が見られる9月とその反動である10月というのは除きまして、この制度改正前後の一定程度安定しているデータである5か月分の平均を取った上で、1割の青いラインの方と2割の赤いラインの方でどの程度の差があるかというのを計算しますと、これが割合にしましてマイナス3.1%、日数に換算しますと0.1日となっております。
こちらは実際に制度改正を医療保険部会等でも議論していただいた際に試算等をしていたわけですけれども、そのときに想定した影響はマイナス2.6%という値でございました。実績は3.1%だったということで、これはデータを見ていただくと分かるとおり、月々いろいろデータのぶれがございます。こういったぶれを考えると、このマイナス3.1%というのは想定のマイナス2.6%と比べてぶれの範囲内に収まっているのではないかということで、おおむね同水準と今のところ言えるのではないかと考えております。
今回は取り急ぎということでこういった形の分析ですけれども、今後はより長い期間のデータを集めていきながら、より詳細な分析、どういった分析ができるかといったことも含めまして、分析をやっていければと考えております。
御説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
報告事項1の「年収の壁・支援強化パッケージ」についてコメントさせていただきます。今回お示しいただきました政策パッケージについて、少子化対策の一環として出されたものと理解しております。ただ、資料の2ページに記載された、従業員100人以下の企業において年収130万円以上でも連続2年間までは扶養内にとどまるとすることは、これまでの取扱いと大きく異なるものでございまして、保険者の実務においても大きな影響があるということで、健保組合からも唐突感があるという声が多く寄せられております。10月から実施されると聞いておりますけれども、現場に混乱を来さないように、詳細な取扱いについて迅速かつ分かりやすい周知を行うなど、配慮をお願いしたいと思います。この措置はあくまでも当面の対応と認識しておりますので、年収の壁が生じる根本的な制度の見直しについてもしっかり検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかに。
では、安藤委員、よろしくお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
ただいまの佐野委員からの御意見と同様の意見なのでございますけれども、年収の壁への対応につきましては、本年10月からの開始とありますが、各保険者が行っております被用者保険の被扶養者の再確認業務について具体的にどのように行うのか、そして、制度の詳細について速やかにお知らせをしていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
年収の壁・支援強化パッケージについてでございますが、この支援策については壁の抜本的な解消にはつながらないということもそうですし、財源についてもほかの財源を持ってくるということで、支援策として問題であると考えておりますが、本日は医療保険部会ですので、この部会に関わる点として2点申し上げたいと思います。
一点は、年収の壁という話で106万ということですけれども、年収に換算すれば106万円ですが、標準報酬月額は8万8000円が要件でございまして、その制度の正しい理解につながらないのではないか、誤解をされるのではないかという懸念も持っております。資料では小さく標準報酬月額の記載もされておりますけれども、もう少しきちんと理解をしていただくような方策も必要ではないかと考えております。
また、1点質問です。8ページで事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の仕組みの絵がございます。健康保険でいう被扶養者には配偶者だけではなくて直系の尊属や子供も含まれますけれども、今回はあくまでも第3号被保険者である被扶養者のみが対象なのかどうかということを確認したいと思います。お願いいたします。
○田辺部会長 この点、いかがでございましょうか。
○山下課長 これにつきましては、8ページの概要の中にありますが、第3号被保険者等という括弧書きとともに被扶養者とありますので、健保のことで言うと被扶養者全体ということで、年金の第3号被保険者に限らずということでございます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料4、年収の壁について、1点、申し述べたいと思います。1ページに就業調整が発生していると記載されておりますが、特に106万円の壁については、本来意識する必要のない状況を壁と考えて、就業時間の調整を行っているケースが少なくないのではないかと考えます。その原因として考えられる制度への誤解を解くには、9月21日に開催されました社会保障審議会年金部会の資料の14ページを活用して、国民や事業者へ説明するのがよいのではないかと思います。本来、これは年金局の御担当かもしれませんけれども、保険局としても無関係ではないと思いますので、御検討いただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
何か発言はございますか。
○山下課長 ありがとうございます。
御指摘ありがとうございます。まさに先ほどの11枚目のスライドですけれども、今、被扶養者の方がしっかりと働いていただくことで、第2号被保険者になっていただく。そのために社会保険、パート労働者を雇う企業の範囲を広げていくという適用拡大をこれまで年金局とともにしてきたところでありますので、今後もそういったことを通じて、パートの方々であっても健保・厚生年金の手厚い給付の傘に入れるようにしてまいりたいと思っています。
同時に、安藤委員、佐野委員からありましたけれども、この政策パッケージということで、まさに実務のところについては大変御迷惑をかけることになります。申し訳ございません。今後、私どものほうから、実務としてきちんと健康保険組合の方々、協会けんぽの方々、共済組合、そして、適用する日本年金機構が円滑に事務ができるよう、Q&Aを通じて詳細な事務手続について追ってお示しさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、ほかに御意見等なければ。
どうぞ。
○袖井委員 これは本当に唐突なのですが、2年間というのがよく分からないのです。人手不足は2年経ったら解消するとも思えないので、これは2年経ったらまた見直すということなのでしょうか。あるいは2年できっちりやめるのでしょうか。その辺、どうなっているか知りたいと思います。
○山下課長 袖井委員、ありがとうございます。
私どもとしましては、この2年の特例的な期間の間に、パート労働者として働くお一人お一人がそれぞれどういう働き方をしたらいいのか考えていただきたいと思っています。もちろん、これは将来の御自身の年金給付とも大いに関係することでありますので、そういったことをしっかりと理解した上で、自分の働き方としてどうするべきかということをお考えいただきたい。そういうことでの2年間ということでございます。もちろん、並行して、今後、社会保障審議会年金部会を中心に第3号被保険者に対する保障の在り方について議論していくということでありますので、そういったこともにらみながらパート労働者の方々に考えていただきたい。また、そういった方々を雇う企業の方々にもぜひとも厚生年金、健保に入るよさを短時間労働者に伝えていただきたく、保険局としても周知させていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○袖井委員 そうすると、パート労働者に対して認識を改めてもらうというような周知徹底をするような具体的なプランはあるのですか。
○山下課長 それは、まさに助成金を出す、雇用保険の助成金も含めて周知もありますので、やってまいります。
○田辺部会長 ほかはよろしゅうございますか。
それでは、本日はこれまでといたしたいと存じます。
最後に、このたび、安藤委員が御退任となりますので、一言御挨拶を頂戴できますでしょうか。
では、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 お時間のないところ、すみません。挨拶させていただきます。
医療保険部会の委員を6年間やらせていただきまして、本当にありがとうございます。退任するに当たりまして、2点だけ要望をさせていただきたいなと思っておりまして、この部会においてもこれまで何度か触れさせていただいておりますが、骨太の方針にも書かれているメンタルヘルス対策の推進についてでございます。現状、メンタルヘルス対策は健康保険だけではなく、産業保健で行われております。今年の8月4日に厚生労働省から令和4年労働安全衛生調査の実態調査が発表されております。その結果を見てみますと、メンタル不調により連続1か月以上休業した労働者または退職者がいた事業所の数が13.3%と前年の10.1%よりも3.2%も増加しております。一方で、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、前年の59.2%から63.4%とこちらは増加しております。その対策の中身を細かく見てみますと、それぞれの事業所における対策も多岐にわたっており、この課題を何とかしたいと考えているという思いが伝わってまいります。
しかしながら、今年の2月24日の本部会に協会から提出いたしました資料にもありますように、メンタルヘルスが原因で傷病手当金を申請する方の数は毎年増加しております。なぜこのように増加しているのでしょうか。その原因の一つに、各事業所が行っている対策の中身を見てみますと、そのほとんどに既にメンタルに不調を感じている労働者への対応ということが多く含まれております。その手前で止めるための取組というものがあまり見てとられません。メンタル不調になって会社を休むようになる前に、そうならないようにするための対策というものを国全体で取り組むべきであると考えております。少子高齢化が進み、労働者人口が減少していく中で、働くことができる人の数をしっかりと確保するという政策が必要であると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
もう一点は、本日御参加されております横尾委員が以前からおっしゃっている、国民のヘルスリテラシーの向上のための教育を各年齢階層別に幼児期から学校教育の場でしっかりと身につけていただけるようにするということも要望させていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。委員の本部会への貢献に御礼申し上げる次第です。
これで本日は閉会といたします。
次回の開催日につきましては、追って事務局より連絡いたします。
本日は御多忙の折、御参加いただきありがとうございました。
それでは、閉会いたします。