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第1回匿名指定難病関連情報及び匿名小児慢性特定疾病関連情報の提供に関する有識者会議(議事録)
日時
令和5年11月10日(金) 9:00~11:00
開催方法
オンライン開催
議事
○横田課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第1回「匿名指定難病関連情報及び匿名小児慢性特定疾病関連情報の提供に関する有識者会議」を開催させていただきます。
本有識者会議の事務局を務めます横田でございます。よろしくお願いいたします。
構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日はオンラインにて開催しております。
以下、オンライン開催に際してのお願いです。ビデオカメラはオンにしてください。また、マイクはミュートにしてください。発言時にはマイクをオンにしてください。発言時には名前をおっしゃった上で発言をしてください。また、発言が終わりましたらマイクをミュートにしてください。よろしくお願いいたします。
では、会議の開催に際し、大坪健康・生活衛生局長より御挨拶を申し上げます。
○大坪局長 先生方、おはようございます。厚生労働省の健康・生活衛生局長の大坪でございます。
構成員の先生方、朝早くからの御参画を誠に感謝申し上げます。
また、日頃から難病対策・小慢対策をはじめ健康行政全般にわたっての御指導、御助言、誠にありがとうございます。
御案内のとおりですけれども、昨年の難病法及び児童福祉法の改正によりまして、令和6年4月から難病・小慢データベースの法的根拠が設けられ、第三者提供のルールなど、こういった規定が整備されたところでございます。
本年7月に開催されました難病・小慢合同委員会におきまして、第三者提供に関する会議、これを設置することを了承いただいておりまして、本日の開催に至ったところでございます。
今後は製薬企業等の民間企業の皆様に対しても、この創薬において参考となるようなデータベースの情報、これを御提供さしあげることができることになりました。
厚生労働省といたしましても、今回の改正法の施行を契機に、創薬に資するような情報を今後提供させていただきたいと思っておりますので、構成員の皆様には、本日忌憚のない御意見をいただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
○横田課長補佐 局長は公務のため途中で退席させていただきます。
続きまして、本有識者会議の座長の選出をしたいと考えております。
お手元の資料1にありますけれども、本有識者会議の座長は、開催要綱の3の(3)の規定に基づきまして、厚生労働省健康・生活衛生局長より、山本隆一構成員を指名いただきましたので、御報告をいたします。
山本隆一座長、一言御挨拶をお願いいたします。
○山本座長 ただいま座長に御指名いただきました山本でございます。よろしくお願いいたします。
私、難病の専門家でも小児慢性特定疾病の専門家でもありませんけれども、こういった医療情報のデータベース、特に公的データベースに関しましては、NDBのデータベースの構築のときからずっと関わっておりまして、それから、介護あるいはがん登録、そういったデータベースの班にも参画させていただいております。そういった経験を踏まえて、できるだけこの難病・小児慢性特定疾病のデータベースの活用を安全に広げるというようにしていきたいと思いますので、どうぞ皆さん御協力をよろしくお願いいたします。
○横田課長補佐 ありがとうございます。
次に、本有識者会議は本日が第1回目の開催となりますので、構成員の皆様を御紹介させていただきます。
お手元の資料1の2ページを御覧ください。名簿の順に御紹介させていただきます。
国立研究開発法人国立成育医療研究センター理事長、五十嵐隆構成員です。
続きまして、東京大学医科学研究所先端医療研究センター生命倫理研究分野准教授、神里彩子構成員です。
早稲田大学政治経済学術院教授、野口晴子構成員です。
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学教授、康永秀生構成員です。
聖マリアンナ医科大学大学院先端医療開発学教授、難病治療研究センター部門長の山野嘉久構成員です。
一般財団法人医療情報システム開発センター理事長、山本隆一構成員です。
公益社団法人日本医師会常任理事、渡辺弘司構成員です。
また、本日は、参考人として、元・日本製薬工業協会医薬品評価委員会運営委員会幹事、稲垣治様、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク専務理事、福島慎吾様、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会理事、森幸子様、一般社団法人日本バイオテク協議会会長、山田英様、浜松医科大学理事・副学長の渡邉裕司様が出席しております。
以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いしたいと思います。山本座長、よろしくお願いします。
○山本座長 それでは、早速議事次第に従いまして、議事を進めてまいりたいと思います。
まずは資料の確認をお願いいたします。
○横田課長補佐 本日の資料としましては、議事次第、また、資料が1から7まで、また、参考資料が1から4までございます。
お手元にもしなければ、ホームページに公表しておりますので、そこから確認いただければと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
それでは、早速議事を進めてまいりたいと思いますので、まず、資料2について事務局より説明をお願いいたします。
○横田課長補佐 お手元の資料2に沿って御説明させていただきます。表題が「難病・小慢データベースの現状と改正難病法・改正児童福祉法について」ということでございます。
1ページ、難病・小慢データベースの現状を御説明させていただきます。
2ページに行っていただきまして、データベースの概要を記載したものでございまして、現在難病・小慢につきましては、それぞれの法律に基づく基本方針に基づいて、例えば難病でありますと、国は指定難病の患者の診断基準や重症度分類等に関する臨床情報をデータベースに格納しているというところでございまして、一番下でございますが、厚生科学審議会、社会保障審議会の専門委員会におきまして議論いただきまして、現在ガイドラインに基づく提供を2019年度から始めているところでございます。
3ページに行っていただきまして、指定難病患者データベースの現状というところでございます。難病のデータベースにつきましては、医療費助成の申請時に提出された臨床調査個人票に記載されている臨床情報を基に構築しているところでございます。
続きまして、4ページに行っていただきまして、では、具体的に登録されている項目は何なのかを整理した紙でございます。難病データベースには、氏名・生年月日といった基本的な情報のほか、医療費助成の支給認定の審査に必要な診断基準または症状の程度に関する情報などが登録されているところでございまして、左側の1のところに下線を引いてございますが、被保険者番号等につきましては、来年の4月から登載ができるような状況となっているところでございます。
5ページは、小児慢性疾病児童等に関するデータベースの現状でございます。基本的には先ほど申し上げた難病と同じでございます。
6ページに行っていただきまして、こちらは小慢のデータベースに登録されている項目でございます。こちらも基本的には難病と同じ形になっているところでございまして、左側の被保険者番号等につきましては、今年の10月からようやく登載できる準備が整ったところでございます。
7ページ、8ページにつきましては、医療費助成の申請の際に、本人からデータベースの登録について同意をもらっていることでございまして、その参考資料となっているところでございます。
9ページに行っていただきまして、現在予算事業でデータベースを運営しておりますが、その利活用に関する対応方針を平成31年にまとめさせていただきました。現在のデータベースの運用方法につきましては、下の箱のところ、上から2つ目でございます。例えば情報の提供先につきましては、原則として、厚生労働省または厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定している。また、上から4つ目でございます。利活用の目的につきましては、原則として、各疾病の疫学調査等の研究や学術目的としての利用に限定する。その下でございます。公表につきましては、個人が特定されないようにした上で、公表する。一番下、審査会の設置ということで、現在審査会を設置させていただきまして、例えば提供の可否や適否につきまして議論し、提供しているというのが現状でございます。
10ページ、11ページにおきましては、来年度以降のデータベースの改修を今、進めているところでございます。その基礎資料でございます。
12ページに行っていただきまして、こちらは現在の難病・小慢データベースの第三者提供の実績でございます。難病につきましては、現在400万件登録があります。小慢につきましては、50万件登録がありまして、それぞれまだ提供件数が少ないところでございますが、現状このような形で運用しているところでございます。
13ページに行っていただきまして、次は改正法の概要でございます。
14ページ、これは昨年法律が成立いたしました障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律の概要でございます。5ポツに赤線を引いてございますが、これが難病・小慢データベースに関する規定でございます。NDBなどと同様に、法的な根拠が設けられたところでございます。
15ページに行っていただきまして、これが今年の7月に厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会におきまして議論させていただいた紙でございます。改正の概要でございますが、1ポツ目、小慢・難病データベースの法的根拠が新設され、国による情報収集、患者等の同意を前提とした都道府県等の国への情報提供義務が規定されたこと、また、2ポツ目でございますが、安全管理措置や第三者提供ルール等の規定が新設されたこと、他の公的データベースとの連結解析も可能とされたということでございます。
真ん中のところ、今後の対応(案)のところでございます。先日、厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会におきましては、この新たな公的データベースの連結解析や具体的な運用を議論するために、このデータ提供に関するガイドラインを策定する必要がございますため、データ提供に関する有識者会議を立ち上げてはどうかということで御了承いただきまして、今回この有識者会議を開催させていただいた、そういった運びでございます。
16ページにつきましては、現行の予算事業においても、ガイドラインを策定し運用する際には、有識者会議を立ち上げていたという経過でございます。
17ページは、法律が成立した際の附帯決議の御紹介でございます。
18ページに行っていただきまして、今回法律を作成するに当たって厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会におきまして、意見書を取りまとめていただいております。この意見書、赤囲みしておりますが、「データベースの充実と利活用について」ということで意見をいただいております。具体的には、個人情報に十分配慮しつつも、治療研究に有用なデータ提供がなされるように、難病・小慢データベースについて法律上の規定を整備するでありますとか、提供する情報の内容はこれまでと同様でありまして、第三者提供の範囲は民間企業を含めて判断していく、また、想定される法律上の規定は、例えば第三者提供のルールでありますとか、安全管理措置でありますとか、そういったことを規定してほしいという意見書を取りまとめているところでございます。
19ページに行っていただきまして、大きく今回来年度以降何が変わるのかを大きなポイントとしてまとめさせていただきました。大きなカテゴリーの1つ目でございますが、匿名データの第三者提供先・活用できる業務の範囲が変わってくるというところでございます。現在のところにつきましては、先ほど御説明さしあげましたが、提供対象者が、原則、厚生労働省や自治体等に限られていて、製薬企業等の民間企業への提供はできないという形が原則として取られております。ですから、過去に製薬企業等に提供した実績はございません。また、業務の範囲につきましては、難病等の患者のデータを用いて研究を行う場合にのみ使えるということでございますから、結果的に患者疫学情報の把握のみに活用しているという実態がございます。
ですから、右側を見ていただければと思いますが、来年度以降につきましては、提供対象者につきましては、冒頭局長からの御挨拶にもございましたが、製薬企業等の民間企業に対しても提供することができる、そういった形になっているところでございます。また、業務の範囲につきましても広げまして、難病・小慢患者に関する医療・福祉分野の研究開発に資する分析等、そういったことに活用できるのではないかということが法律上例示として規定されているところでございます。ただ、特定の商品や役務、つまり、企業内に閉じた形での活動に活用する、そういったことはさすがにできないということが法律上明記されているところでございまして、矢印のところ、例えばでございますが、創薬においては、開発したい治療薬の対象患者の概要の把握、これで治験の実行可能性が判断できるのではないか、また、治験で使用するアウトカム指標の検討などに活用できるのではないか、そういったことが考えられるところでございます。
下のところに行っていただきまして、他のデータベースとの連結解析につきましては、現在、難病は小慢、小慢は難病と連結解析して提供することができる、そういった状況でございますが、来年度以降につきましては、他の公的データベースとの連結解析をすることができる、そういった法律上の規定になっているところでございます。
20ページに行っていただきます。今回民間企業に対象を広げていくというところがございますから、具体的に製薬企業などにおいてはどういった形で活用できるのか、これを我々厚生労働省において企業さんにいろいろヒアリングさせていただきながらまとめさせていただいた資料でございます。上のリード文でございますが、製薬企業の研究開発においては、主に、例えば、特定の患者群に係る疫学情報の整理・把握、また、個別の患者の新たなデータの収集、患者へのアプローチに向けた情報の把握・分析などに活用できるのではないか、そのように考えているところでございます。
活用の目的につきましては、今、述べた2つを記載しておりまして、右側の一番上でございます例えば期待される活用例としましては、開発したい治療薬の対象疾患の全体患者数や状態別の患者数によって、全てこれで分かるということではございませんが、その参考資料として、市場規模や治験の実行可能性は評価できるのではないか。また、2つ目の○でございます。患者全体の疾患活動性スコアや重症度分類の経時的な変化、これによって対象患者の自然歴の全体的な傾向を把握できるのではないか、そういったことがあり得ます。ただ、これはマクロ的な情報でございまして、国としてもこういった情報を今後一層情報提供していくことで支援をしていきたいと思っているところでございます。
点線がございまして、その下でございます。これは個別企業のニーズに応じて活用できるのではないかということをまとめた資料でございます。点線の○の1つ目、つまり、全体の3つ目でございますが、患者の年齢層や性別、症状、遺伝子型の区分ごとの疾患活動性のスコアや重症度分類の経時的な変化、そういったことを把握することによって、対象疾患の詳細な自然歴を把握できるのではないか。その下でございます。個別の患者の疾病のスコアでありますとか、疾患活動性スコア、また、重症度分類ごとの治療効果のアウトカム指標になり得る実際のデータの把握、また、各データの平均値、また、標準偏差、まだ十分全ての患者のデータが入っているものではございませんが、そういったことを検討するに当たっての参考指標として、例えば治験における適切なアウトカム指標の設定でありますとか、必要なサンプルサイズの算出、そういったことに活用できるのではないかと考えているところでございます。その下も同じようなことでございますが、そういったことを踏まえまして、例えば治験へのエントリーの適格基準でありますとか、そういった検討の際の一つの参考になるのではないかと考えているところでございます。
下の箱でございます。2つ目のカテゴリーでございますが、これまで御説明さしあげましたのが、データベースに入っている情報をどう分析していくのか、そういったところでございまして、その下のカテゴリーは、そのデータベースの情報を足がかりとして、次のステップに進める、そういったことを提供できるのではないかということを考えているところでございます。一番下の○でございますが、対象疾患を多く診断・診察しているような医療機関の分布、そういったことを把握できますれば、それを踏まえて患者の細胞や組織のサンプル、例えば口内の細胞とか、そういったサンプルの提供依頼につなげていく。また、医療機関に対する治験への参入、この治験というのは公表していくことになりますから、公益性に資するということで、そういったことにも活用できるのではないか、そういった形で資料を整理させていただきました。
21ページ以降でございます。こちらは今の難病データベースの登録状況を疾患群ごとに示したものでございます。
22ページ、例えばデータベースにどういった項目が格納されているのかを実際の臨個票を示したものでございまして、例えば部位別の状況でありますとか、治療薬、投与量でありますとか、重症度、そういったことをデータベースに格納している状況でございます。
23ページに行っていただきますと、現在の難病DBを活用した形で、例えばこのベーチェット病の診療ガイドラインにおきましては、こういった形で分析ができており、現状の立ち位置として御説明の資料でございます。
24ページに行っていただきまして、これは今回法律に罰則規定などを定めているところでございます。改正法によって匿名データの利用者に対してはその情報の取扱いに関する義務等が課されますから、その義務の適切な履行を図るために、大臣による立入検査、また、是正命令などの規定を整備しているところでございまして、不適切な利用、そういったことが御心配だという声をいただいておりますから、そういったところに対しては必要な罰則規定を設けて対処していくものでございます。
25ページ以降は、参考資料でございます。
ざっとになりますが、資料2の説明は以上となります。
○山本座長 ありがとうございました。
これに関して御意見を伺う前に、本日御出席をいただいている参考人の方々から御意見を伺いたいと思います。
最初に、稲垣参考人、お願いできますでしょうか。
○稲垣参考人 ありがとうございます。稲垣でございます。
私から製薬企業のサイドといたしまして難病・小慢データベースの活用、これを企業が利用させていただけることでどのような活用が期待できるかという企業側の期待について述べさせていただきたいと思っております。
私自身、今は退職しておりますが、以前業界活動をしていたときに、こういった活動でデータベース等を使わせてほしいということをいろいろとお願いしていた経緯もありまして、今日こちらに登場させていただきました。
次のスライドをお願いいたします。先ほどの説明の中でありましたように、この種のデータベースができたとき、これを使えれば企業側にとっても医薬品開発で非常に役に立つことを期待したわけですが、平成31年につくられましたガイドラインでは、情報の提供先、利活用の方法等を厳しく制限されておりまして、実際に企業側は使えなかったというところが経緯でございます。ただ、昨年の難病法の改正によりまして、第三者提供、民間企業への利用・提供等の規定についても整備するということで、こういったデータベースを利活用できることになったということで、個人的にも非常に喜んでおりました。
また、次のスライドをお願いいたします。製薬協でも7月に「難病・希少疾患に関する提言」という形で、この種の情報が活用できることに対する期待感というところで述べさせていただいているところかと思います。
実際に先ほどの厚労省の方の御説明のスライドの20枚目のところで十分述べられているところではございますが、こういった医療データベースについて、企業側としてはどのような活用を考えているかという一般的なケースについて述べさせていただいたのが、こちらのスライドでございます。左側にありますように、この種のデータベースからの医療データ、これは医薬品開発の研究テーマ立案時から最後のアウトカムの指標のところまで、幅広いところで使うことが可能と思っております。
どのような場面で、どのような用途でというところで、左側で示させていただいたところですが、研究テーマ立案時では、患者数等で研究領域・疾患の決定、アンメットメディカルニーズの決定、どのような患者層を狙えばいいかというところで考えます。
また、臨床試験の計画をするときには、臨床試験計画の参考として重要な情報になります。すなわち、どれぐらいの期間医薬品を投与して観察すればその変化を検出できるのか、これは最初に臨床試験の計画を立てるときにどのような時間経過で変化が起こるのかという情報がないと投与期間、観察期間の設定ができませんし、また、さらに実際に試験に入るに当たって、どういった施設に治験をお願いすればよいのか、患者さんのいる施設はどこなのかという情報、これは非常に重要なものになります。
治験の実施時、出てきた患者様についての組入れ促進のところでこういったデータを使いたいというところは当然あるわけなのですが、それとともに、後ほど述べさせていただきますが、こういった希少疾患、患者さんの数の少ない疾患、あるいは最初の被験者の群の中から適切な患者さんを選べないような疾患の場合、この選んだ試験での例えば対照群等が本当に適切だったのかどうか後から検証するような際にも、こういった幅広い患者さんのデータ等が必要になるのかと思っておりますし、また、実際に治験を推進中に想定外の有害事象が発生したとき、この発生した事象は例えばその疾患に伴って発症するもの、過去にそういった例があったのかどうか、そういった情報は非常に重要になります。
承認申請時、これはできればというところですが、単群試験にならざるを得なかったとき、対照群として自然歴データを利用できないか、あるいはせめて過去のデータ等を参考データとしてそれを利用できないかというところは、常に思うところでございます。
さらにアウトカム調査、これは薬剤を投与してその後の長期の指標がありますと、長期予後や長期の安全性の評価に使えますし、実医療下での真の有用性評価、そういったものにもつながる可能性があるのかと思っております。
このために使いたい情報として、右側に書かせていただいておりますけれども、患者さんの数、特に重症度等のカテゴリー別、場合によっては、これは難病の場合、遺伝子型等によってのカテゴリー別の患者数にもなるかと思います。
そして、患者さんがどこにいらっしゃるのか、受診施設はどこなのか、これもどこの施設にお願いして試験を速やかに進行するかというところで重要な情報となります。
そのほか、患者さんの現状はどのような治療法が使われているのか、それに合わせて臨床試験を組むときに併用薬は何が必要なのかというところ、それらを併せて準備しなければいけません。
あわせて、下に述べている患者さん個々の背景情報、これは現病歴は当然のこととして、既往歴等につきましても情報があると、どういう試験、想定し得るリスクは何かを考える上で有用になります。
疾患スコアの経時変化、これは厚労省の方のスライドの20枚目で述べていただいたところと同じです。
そのほか、服用後のデータ等も長期のアウトカム等で使えるような形になるかと思っています。
こういったものについて、これは実際のところ、それぞれのデータの精度・品質、あるいは取得方法や取得時期等によって使い方等について制限はあるわけなのですが、次のスライドをお願いします。難病・小児慢性疾患のデータベースで特にこのような場面で使いたいかというところでの活用シーンというところで、具体例等を述べさせていただきました。難病等患者さんの数が少ない場合、最近は国際共同治験という形での進行になりますけれども、その場合、日本でどれぐらいの患者数を組入れが可能なのか、症例数を提示できるのか、全体に対しての試験計画を組んでいく中で、日本はどれぐらい国際共同試験に寄与できるのかというところ等の話は重要になります。
あわせて、先ほどのように試験計画を立案する際に、どのような経時変化で疾患が進行していくのか、そのばらつきがどれぐらいあるのか等のデータ、これらは非常に重要ですし、対象とすべき患者さんの選別等でもこういった過去のデータ等は使わせていただきたいと思っております。
先ほどの組入れのところでは、組入れ基準を満たす患者さんを診ている施設がどこなのか、こういったところの施設情報等も必要になりますし、組入れ進行が停滞してしまったときに、新たな患者さん、この場合、新規の患者さんという意味ばかりではなく、例えば最初に調査したときに症状が不安定等で組入れ基準を満たせなかった方でも、その後安定してきた等で組入れ基準を満たすようになった患者さん、そういった方もいるのではないかというところ等での情報のアップデート、最新情報等があるとありがたいのかと思っております。
あと、先ほどのように有害事象発生時に原疾患による自然歴データ、こういったものについても欲しいと思っております。
できればというところですけれども、自然歴データを対照群あるいは対照群が十分な数得られない場合が多いでしょうから、そういったときの補強データとして使えるとありがたいと思っております。
次のスライドをお願いいたします。難病や小児の慢性疾患等で希少疾患に近いものの場合、特に重要なのかと思っているところがこちらでございます。すなわち、治験という場合、限られた患者さんを対象にしてデータを集計いたします。しかも、組入れが難しい患者さんの場合、治験に参加していただける患者さん、これを順番に組み入れていく必要があります。しかしながら、それらの患者さんが疾患全体の中でどのような位置づけの患者さんなのかというところ、これについては常に見ていかないといけないのではないかと思っております。従来、これは文献情報などをやっていたわけですけれども、難病・希少疾患等では病態の進行等について十分な解析が行われていない場合のほうが多いのではないかと思っております。そういったときに、治験で入ってきた患者さんが患者さん全体の群の中でどのような位置づけになるか、木を見て森を見ずとならないようにしたいということの中で、個別の例を見ている治験とそのときにデータベースで網羅的に収集したデータを参照できるところは、非常にありがたいことと思っております。こういったことを医師主導治験等、MDの先生方ですと先生方の中のネットワークで情報交換しながら全体像をつかんでいるわけですけれども、企業としては直接そういった患者さんや幅広い先生方への接触がなかなか難しいところもあり、データベースから患者の全体像を把握し、それをもって治験を進められるようになるといいのかと思っております。
次のスライドをお願いいたします。先ほど具体的な例としてというところで、こんな場面でというところを赤矢印にさせていただいたのですけれども、これを見ていただければ分かりますように、欲しい疾患というところ、疾患スコア等の経時変化とともに、患者さんがどこにいらっしゃるのかといった情報、どこの施設で診ていただいているのかという情報、これらも結構治験を進めていく上では重要になっているかと思っております。
それとともに、下の欄外に書いてあるところですけれども、希少疾患等ではごく少数例での臨床試験についても考えなければいけないところがあるかと思っております。そういった意味でも疾患に関する背景情報や経時変化等のデータが充実してくださることを希望しております。
ということで、最後のスライドをお願いいたします。改めて言うまでもないことですが、疾患を知ることが、治療法開発、医薬品開発の第一歩ということで、直接患者さんに接することができない製薬企業としては、こういったデータベースにある疾患データを通じて幅広い患者さんの状況を知ることができるようになることが、治療法開発を具体的に考える上で非常に重要なポイントになるかと思っております。そして、どのようなデータがというところでは、効率的に医薬品開発を進める上では多くの情報が必要であることは確かなのですが、その上で臨床試験計画等を立案する際には、疾患のスコアあるいはその経時変化等の疾患に関する情報が非常に重要になりますけれども、効率的な臨床試験の推進というところでは、被験者へのアクセスにつながる情報も大きなポイントになるというところで、ここについてもこういったデータが活用できるとありがたいと思っております。
私からの意見としては以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
続きまして、福島参考人にお願いできますでしょうか。
○福島参考人 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。本日はこのような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
私からは小児慢性特定疾病を中心に患者・家族の視点から意見を申し述べたいと思います。
総論としては、個人情報保護に十分に配慮することを条件に、治療、治療薬の開発などの研究に結びつく小児期から成人期までの一気通貫した役に立つデータベースの構築とその運用が必要だと思っております。これに関して、各論として5つほどの視点から申し述べたいと思います。
1点目は、個人情報保護についてでございます。希少な疾病や遺伝性の疾病も多いため、氏名や住所を削除した情報でも個人を特定されてしまう可能性、危険性を鑑みて、個人情報保護においては情報の漏えい防止策や不正に利用した場合の罰則規定の整備など、現行のNDBなどよりもさらに慎重かつ厳重な安全管理措置を講じていただきたいと思っております。
2点目は、トランジション問題です。患者の状況に応じた経年的な自然経過や疾病の小児期と成人期の病態の変化を解析するなど、小児期から成人期までの一気通貫した役に立つデータベースの構築のためには、いわゆる小児慢性特定疾病の二十歳以降の問題の解決が不可欠だということを改めて強調しておきたいと思います。あわせて技術的な話になりますけれども、小児慢性特定疾病の医療意見書と指定難病の臨床調査個人票の記載内容についての様式のすり合わせあるいは統一化などが必要だとも思います。
3点目は、悉皆性のあるデータ構築を目指してということです。全ての小慢患者を研究登録の対象とするために、小児慢性特定疾病の疾病の状態の程度を満たさない、あるいは他の公費負担医療制度を利用している小慢患者をデータベース登録の対象とするための方策を目指していただきたいと思っております。そのためには、提出書類の軽減あるいは申請頻度の再考など、申請者の負担軽減に係る手続の簡素化を図っていただきたいと思います。
4点目は、申請者にも利便性のある医療DX化を進めていただきたいということです。申請窓口に足を運ばなくても申請者または場合によっては申請者の代行として医療機関がオンライン申請できるように、申請者が利便性を実感できる医療DX化も選択できるとよいと考えております。
最後の5点目は、データ提供の同意についてでございます。保護者の書面による同意によって既に登録済みのデータについて、当該小慢患者が成人に達したときに、本人による再同意取得の必要性あるいは同意の撤回についてどう考えるのかというのもぜひ検討をしていく必要があるのではないかと思います。一方、登録した患者本人への直接的なメリットはなくても、同病者や将来の患者に対して役に立つ、あるいは社会貢献できる役割が果たせる可能性があることも、きちんと啓発していくことが大事だと思っております。
今日は資料5を用意させていただきました。これは日付を見ていただきますとおわかりのように2021年6月ということでございますので、ちょうどいわゆる5年後の見直しの検討の渦中に親の会の皆さんと一緒にまとめたものでございます。今回の部分に関連するものとして、2項目めの1、2、4項目めの1と2がございます。こちらも併せて御参照いただければと思います。
私からの意見は以上でございます。どうもありがとうございました。
○山本座長 どうもありがとうございました。
引き続いて、森参考人、お願いできますでしょうか。
○森参考人 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私どもは様々な疾病や各地域の患者団体が加盟する難病の患者・家族の中央組織です。患者の立場から発言させていただきます。
難病は大変希少な疾病が多く、実態把握も難しく、各地での難病対策も、また、病気の解明や創薬の開発等の研究も大変難しい状況であろうと思います。十分な人材も、そして、予算も確保いただき、次期難病・小慢データベースが法定化され、データ利活用による成果が出ることを大いに期待しています。
安心して個人データを提供できる運用体制の整備を望みます。管理措置はもちろんのこと、個人情報漏えい、拡散が起こらない、不正が起こらないと、データを提供する私たちが安心できるように示していただきたいです。まず、人的ミスを防止する仕組みがあること、昨年、個人情報が含まれたまま研究者に提供されるという事態が起こり、私たちは起こるはずがないと思っていただけに、大変ショックを受けました。人的ミスということでしたが、その後、十分な対策はできたのでしょうか。人的ミスは個人が気をつければよいということだけではありません。ミスが起こらないシステムとミスを起こさせない環境になっていること、いわゆるポカヨケになっているのか、検討が必要と思います。さらに、悪意のある行為、不正を抑制する仕組みとして、罰則規定などがあることも必要と思います。安心できる法整備がなされ、具体的な対策が取られることを望みます。データを利活用する際も同様に、厳重に取り扱われること、そのためにもそれらが広く十分に周知、理解されることも必要です。
他の公的データベースとの連結解析とありますが、これはどのようなものなのでしょうか。データの連結により情報量も増え、詳しい解析ができるようになることは想像できます。しかし、今、私たちが暮らしているこの社会は、まだまだ難病への誤解や偏見、差別もあり、生きにくい状況があり、難病であることを隠さなくては生きていけない患者・家族もいます。どのデータがどのように連結されるのか、具体的に理解できないと不安です。データ登録に同意することと暮らしの中で偏見や差別が起こっているところは別物ではありますが、不安になることは極力取り除き、患者が悩まず登録しようと思える状況をつくっていただきたいです。
第三者提供先に製薬企業等にも提供可能となること、医療・福祉の分野の研究開発等に利用可能とすることには賛成です。難病についてより理解され、現状が改善される成果が上がることに期待しています。
データ提供先の選定については、患者が安心していられるよう、適切にデータが利活用されるよう厳格な審査を行ってください。
現状のデータ登録の説明についても、患者に直接説明は行われておらず、説明同意文書は文字も細かく分かりにくいです。改善の必要があるのではないでしょうか。分かりやすく理解が促進できるための説明資料、例えばパンフレットや動画などで補完できるといいと思います。匿名データではありますが、そこを出発点として、特に第三者提供により、臨床研究等への実施へとつながり、主治医を介して説明され、再同意を求められる可能性もある、匿名データはその入り口のデータ提供にもなるものであることも、患者に分かりやすく伝えておく必要があるのではないでしょうか。そのことは悪いことでもないので、この難病・小慢データベースがどのような可能性を持っているものなのか、患者・家族にとっての全体像を分かりやすく示していただきたいです。
研究成果等の公表については、データ提供先や利用目的、成果などの情報公開は、患者にも分かりやすい方法で公表し、広く情報共有が促進されることを望みます。現状、どこに公表されているのか見つけにくいです。同意したものがどのように使われているのか、役立っているのかを知ることは、登録しようとするデータ収集の促進につながるはずです。軽症のデータも登録できるようになり、さらにデータを集めることが重要であり必要としていることを研究成果等と一緒にもっと啓発することで、難病・小慢対策、そして、研究が促進されることを願っています。
以上です。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。
引き続きまして、山田参考人、お願いできますでしょうか。
○山田参考人 よろしくお願いいたします。日本バイオテク協議会の山田でございます。
難病・小慢データベースのデータ活用に関しまして、意見を述べさせていただきます。
資料2のスライド20ページに取りまとめられているとおりでございますが、難病・小児慢性疾病データベースの第三者活用は、私どもベンチャー企業にとっては大変メリットがございます。大変ありがたい次第でございます。特にベンチャー企業は大手企業の手がけない患者数の少ない疾病、希少疾病用治療薬の開発を手がけることが多いわけでございますが、情報が少なく、開発に苦労することも多々ございます。このようなデータベースを活用できることは大変ありがたい次第でございます。
具体的には、対象となる患者数や、どの施設にどれくらいの患者さんがいるかなどの情報、患者さんの経年的な変化の情報、対象患者さんの少ない疾患に対する治療薬の開発には特に有用と考えてございます。また、ベンチャー企業が利用する際には、なるべく負担の少ない費用で利用できることも大変私どもにとってはありがたい次第でございます。
一方、治療薬開発のためのデータとして活用するためには、データの信頼性構築が必要になります。信頼性の高いデータベースを引き続き構築していただきたいと思っております。
また、私どもの申請等に関わりますPMDAも、このようなリアルワールドデータを活用した開発を積極的に認めていただきたいと存じます。
また、データベース連携のお話がございましたが、学会や患者会などで運営しているデータベースにつきましても、連携あるいは統合されるとさらに多くの情報が得られ、さらに使いやすくなるのではないかと思料いたします。
複数のデータベース統合には時間がかかると思いますが、データ入力のルールを統一化することで、統合がさらに促進されると考えてございます。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○山本座長 どうもありがとうございました。
最後に、渡邉参考人、お願いできますでしょうか。
○渡邉参考人 よろしくお願いします。
初めに、このような発言の機会をいただき、ありがとうございました。
私自身は臨床薬理学を専門として、臨床試験を通じた医薬品開発、創薬に関わってまいりました。また、同時に、循環器内科医として20年以上マルファン症候群あるいは肺動脈性肺高血圧症といった患者さんの診療を行っておりまして、毎年何例か臨床調査個人票を作成してきました。先ほど申請者の方々から非常に時間がかかる、手間暇をかけて臨床調査個人票を申請するということを伺いましたが、医師にとってもこの臨床調査個人票の作成には、かなり時間をかけて対応しております。今回そのように時間や労力をかけ作成された臨床調査個人票のデータが臨床研究あるいは企業治験も含んで活用の道が開かれてきたこと、大変歓迎しております。
それでは「アカデミアにとっての難病・小慢DBの研究利用の有用性」について、少しお話しさせていただきます。
次のスライドをお願いします。ありがとうございます。これは臨床研究におけるレジストリデータの活用法ということで、難病・小慢データベースに限らず一般的なレジストリデータの活用方法についてお示ししたものです。レジストリデータにより、患者さんの病状や診療実態の把握などベースラインのデータを提供することが可能となります。また、そのデータにイベント、例えば最も信頼性の高いハードエンドポイントである死亡といったデータも捕捉されるならば、予後予測も可能になります。オールジャパンのレジストリならば日本全体の患者数や都道府県分布の把握も可能になり、このデータを基にして臨床試験を行う際のサンプルサイズあるいは実施可能性も検討することが可能になろうと思いますし、臨床試験を行う際の施設候補選定の資料ともなります。希少疾病の場合には患者さんの数が非常に少ないということで、被験者の方々の組入れにも苦労しますが、そのレジストリ自身が臨床研究参加候補者パネルを形成するという可能性も期待されます。もちろんその場合には主治医の方を通じて研究参加の要請というもう一つのハードルがありますが、それが可能ならば、レジストリ参加者が、臨床研究の参加者候補になっていただける可能性があると思います。また、臨床試験と同等の品質のデータが確保できるならば、レジストリが臨床試験の対照群を形成することも期待されます。
次のスライドをお願いします。レジストリからのデータは広い意味でのリアルワールドデータとなるわけですけれども、そのようなリアルワールドデータを臨床研究に使用する際の一般的な留意点として現在考えられているのは、まず、それがどのようなリアルワールドデータであるか、そこに集められたデータの質はどの程度のものか、また、そもそもリアルワールドデータをどのような目的で利用したいのかという点で、これらは必ず検討しなければなりません。難病のデータベースあるいは小慢のデータベースについては、臨床研究を最初から計画したわけではなく、実際には医療費助成ということを目的としていることを認識すべきであろうと思います。また、当然のことですが、システムバリデーションやセキュリティーの対策、対象者からのインフォームド・コンセントの取得、個人情報保護の対策といったことも、今後の重要な課題です。
スライド下部に「リアルワールドデータを承認申請時に活用するための3つの要件と7つの提案」と題した、製薬協の医薬品評価委員会から提出された資料を引用いたします。これはリアルワールドデータを二次利用する場合と臨床試験データの主な相違点を示したものです。まず、データ利用に関する患者さんの同意については、リアルワールドデータの場合には二次利用の同意は必ずしも得られていない。一方、臨床試験データの場合には文書同意を得ている。データベースの構造も、リアルワールドデータの場合は標準的なものがない場合が多く、また、保有するデータ項目の種類や粒度も様々である。一方、臨床試験データの場合には、多くはCDISC標準に準拠しています。また、データベースの保有者は、リアルワールドデータの場合には民間事業者やアカデミアなど、臨床試験データは臨床試験のスポンサーがそれを保有しています。また、非常に重要な点ですが、臨床試験データはデータクリーニングが実施されていますが、リアルワールドデータの場合には通常実施されておりません。
これが最後のスライドになります。難病・小慢データベースの臨床研究における活用法を整理してみますと、ベースラインデータの提供、病状や診療実態の把握、これらに関しては有用なデータが提供可能だと思います。一方で、先ほど申し上げたように、ハードエンドポイントである死亡などのイベントデータまでしっかり捕捉できているかということになると、まだ不十分な点があるのではないでしょうか。
また、患者数や都道府県分布の把握、サンプルサイズや実施可能性の検討、施設候補選定の資料などについては、十分現状で対応可能であろうと思います。
臨床研究参加候補者パネル、主治医を通じた研究参加要請、これも対象者からのインフォームド・コンセントの取得、個人情報保護の対策などがしっかり成されれば現在のデータベースで可能になろうと考えています。
一方、最後に挙げた臨床研究の対照群を形成する点については、そもそも難病・小慢データベースにおけるデータの質が臨床研究の基準で得られているわけではないので、まだ少しハードルが高いのではないかと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○山本座長 どうもありがとうございました。
それでは、事務局からの資料2の御説明と参考人の御意見等も踏まえまして、構成員の皆様方から御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
日本医師会の渡辺先生、どうぞ。
○渡辺構成員 日本医師会の渡辺でございます。
森幸子参考人の御意見に関してコメントを述べたいと思います。匿名化して二次利用することに対して、法的にはあまり縛りがないということは、実際にはそうなると思うのですけれども、利用される側の立場の患者さん方の理解というのは、今回のデータベースの利活用にも必要なことではないかと思います。どうしても医療者側か研究者側が説明文をつくるときは、これで分かるだろうというような感覚になりがちだと思うのですけれども、必要なことは、利用される患者さんがそれを理解されることではないかと思います。うまくつくっていただいているようであっても患者さんが理解されない場合は、医療者が患者さんを診るときの視点と同じことで、説明をしたと思っても理解されていなければ、説明方針を変えるか、もしくは違う表現で説明していくことが一般的でございますので、今の森参考人の御意見が、現状では分かりにくいということを事務局は考慮していただいて、どうすれば分かりやすいかというように検討していただく視点があればいいかと思いました。
私からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
神里先生、どうぞ。
○神里構成員 神里です。
事務局にお伺いなのですけれども、資料2の8ページに臨個票の研究利用に関する説明資料というものを掲載していただいております。この説明文書自体もそんなに詳しいものではないのですけれども、小慢に関してはどのようになっていますでしょうか。これよりももっと短いものになっているものと認識しているのですけれども、その状況について教えていただけますでしょうか。
○山本座長 事務局、いかがでしょうか。
○神田課長補佐 難病対策課でございます。
基本的には国からは同じ様式で示しているものと認識をしております。自治体さんの中で少しそれを加工されたりしているケースはあるかもしれないのですけれども、基本的には同じベースで作成をさせていただいていたかと思っております。
○神里構成員 分かりました。それならばいいのですけれども、自治体の様式を見ますと、認定申請書兼同意書というものの中に医療意見書の取扱い及び研究利用についてということで本当に短い文章が入っているのですけれども、それだけだとかなり不十分だと思ってお伺いした次第です。ありがとうございます。
コメントになりますけれども、先ほどの福島様、森様からの説明文書、そして、患者様への御説明と普及啓発、こういうことをやっているということ、それについては現在のところ足りていないように思います。特に福島様がおっしゃっていたように、小慢に関しては、小児期の同意は親御さんからお取りになっていて、そして、その方たちが成人になった後の再同意についてはこれまで検討をきちんとしていなかったと思いますので、その取扱いについて、そして、その再同意をするに当たっても、急にそういう話を出すということではなくて、お子様のときからこういうことでみんな協力しているのだよということで、お伝えを子供たちにも分かりやすくしていくことは重要ではないかと思います。
以上、コメントです。
○山本座長 ありがとうございました。非常に大事な意見だと思います。
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
山野先生、どうぞ。
○山野構成員 山野です。
本日患者会の方々から御発言があった点は、この事業を成功させるためにはまさしく的を射た御意見の部分であったと思っております。このデータベースの利活用を企業等へ活用を広げていくという方向性は、患者さん方が一番求めている創薬の推進に必ず役立つというのは間違いないと、おそらく患者さん方も理解されておられると確信しております。それを前に進めていくことは非常に重要なことでありますので、それをどう患者さん方の御理解をしっかりと得た、あるいは安心して活用できるような形で進めていけるかが、この有識者会議からしっかりと提言すべき内容なのかと改めて感じております。
特にデータがどのように活用されて、そういう個人情報がどのようにして守られるのかをしっかりと丁寧に説明できるような資料を公開していくあるいは理解をちゃんと得ていくこと、この事業自体あるいは同意の部分も含めて患者さん方に理解を普及していくようなウェブサイト等でのそういう活動をちゃんとやっていくことは、この事業を前に進めていく上では重要なのかと改めて思っております。
以上です。どうもありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。
説明、それから、御理解をいただくことは非常に大事ですけれども、その一方で、その前提として、このデータベースの利活用が本当に個人情報をしっかり保護した上でかつ安全にできるのだという、つまり、利用する側の出口の問題ですね。これもしっかりつくっていかないと、何もかも理解できるわけではないと思うのです。ですから、それをしっかりつくっていく必要があるのだろうと思います。
ほか、御意見はいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
後でまた全体で御意見いただいても結構ですので、それでは、論点の整理ということで、資料3について事務局から説明をお願いいたします。
○横田課長補佐 事務局です。
資料3を説明させていただきます。「主な論点と対応の方向性(案)について」という題名の資料でございます。
次のページ、1ページでございますけれども、法施行に向けた検討における基本的な方向性、そこを確認したいということでこのスライドを作成しているところでございます。現状・経緯のところでございまして、1つ目の○でございます。冒頭、御説明さしあげましたが、現行の難病DB・小慢DBについては予算事業により実施しておりまして、第三者提供する場合、あらかじめワーキンググループにおいてガイドラインに基づいて審査を行った上で提供しているというのが現状でございます。2つ目の○でございますが、先ほど資料2で御説明さしあげましたが、「難病・小慢対策の見直しに関する意見書」が厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会でまとめられているところでございまして、その中においては、難病DB・小慢DBについて法律上の規定を整備した上で、既に法律上の規定が設けられているNDB等のルールを参考にして、所要の措置を講ずべきである、また、2ポツ目でございますが、他のNDB等の公的データベースの取扱いや、より良い医療を患者に提供する、そういった観点から、難病DB・小慢DBについても民間事業者を含む幅広い主体へのデータ提供を認めていく、その上で、適切にデータの利活用がされるように個々の事案ごとに審査会でデータの可否等を判断していく、そういったことが提言されていて、来年の4月から施行されていく、そういった流れでございます。
下のところでございますが、検討における基本的な方向性のところでございまして、今、述べさせていただいた法律の施行に向けては、政省令、また、第三者提供の手続等に関するガイドライン、それを策定することが必要でございますが、その政省令、ガイドラインの検討の基本的方向性としましては、今、御説明さしあげましたが、意見書の内容を踏まえつつ、現行の難病DB・小慢DBの運用をベースとしつつも、NDBの規定・運用を参考として検討をしていくということでどうかと考えているところでございます。
2ページ、3ページが、各改正法の内容と論点をまとめたものでございまして、2ページに行っていただきまして、大きな項目の1つ目「データベースへの情報の格納」というところでございます。都道府県は、法律上でございますが、難病患者等への同意を得た上で難病の病名等のデータを厚労大臣に対して提供しなければならないと法律上規定が設けられているところでございまして、そこにおいては、論点としましては、格納されるデータはどういうものなのか、同意取得の方法はどうするのか、また、大臣に対して都道府県が提供する際の手続はどうするのか、そういったことが論点としてあります。
2ページの2の真ん中ら辺で「匿名データの第三者提供」というところでございます。厚労大臣は、難病DB・小慢DBの情報については匿名加工を行って、個人が識別できないようにした上で、公益性を有すると認められる第三者に提供することができるという法律の規定となっているところでございます。この法施行に当たって検討すべき論点としましては、匿名加工の基準をどうするのか、データ提供の手続をどうするのかというのが論点2として記載しているところでございまして、論点3に行っていただきますと、匿名データの第三者提供先となる民間企業の範囲はどうするのか、また、活用できる業務の範囲はどうするのか、そういったことが論点としてあります。一番下でございますが、難病DB・小慢DBの匿名データにつきまして、他のNDB等の公的データベースと連結して提供することができるようになった、それが法律上設けられたところでございますが、どういった情報と連結できるようにするのかが論点としてあります。
3ページに行っていただきまして、続きでございますが、法律上、厚労大臣は、難病や小慢の治療方法などの調査・研究や匿名データの利用・提供に関する事務を委託することができるという規定がございまして、省令におきまして、委託先の範囲を決めなければなりません。それを論点として記載しているところでございます。次のところでございますが、法律上、難病DB・小慢DBの匿名データの提供に関しては、厚生科学審議会、社会保障審議会の意見をあらかじめ聴くという法律の規定が設けられておりますので、審議会のどの場で検討するのか、それを論点の6として記載しているところでございます。
3ページ、真ん中でございます。3つ目の柱でございますが、「匿名データ利用者の義務」として、安全管理措置を講ずることを義務づけられておりますので、その具体的な中身は省令で規定することになっているところでございます。それが論点7として記載しているところでございます。一番下でございます匿名データの利用者は手数料を納めると法律上なっておりますから、その手数料の設定の方法をどう考えるのかなどを論点8として記載したところでございます。
今、ざっと法律上の規定と論点を述べさせていただきましたが、各論として4ページ以降、簡単に御説明させていただきたいと思っているところでございます。
では、4ページに入らせていただきます。論点の1つ目、データベースに格納する情報ということでございまして、法改正によって難病患者等の同意を得た上でデータを厚労大臣に対して県は提出する、そういったことになりますが、上から2行目でございます。1難病DB・小慢DBに格納される情報は、現行のDBと同じように、臨個票や医療意見書に記載された情報としてはどうかということです。また、○の2つ目でございますが、2として、研究利用に関する本人の同意は、現行のDBと同様に、本人同意を取得し、症状の状況から見て同意を得ることが難しい場合は、保護者などからの同意でも可能とし、ただ、同意を得る方法は書面ということで、現行のDBと同じようにやっていきたいということでどうかということです。また、さらに3でございますが、県から大臣への提出方法、現行DBと同じように、オンラインや書面などによることとしてはどうかということで提案したいと思っております。真ん中には改正法の条文、また、下のほうには、令和3年7月に厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会において取りまとまった意見書の該当部分を抜粋しているところでございます。
5ページに行っていただきまして、現状はどうなっているのかを記載したところでございます。1つ目の○でございますが、現行の難病DB・小慢DBの運用につきましては、1格納される情報は臨個票・医療意見書に記載された項目としていること、2研究利用に関する同意は本人の同意を取得し、難しい場合には本人に代わって代理人が同意できることとしておりますが、基本は書面で同意を得る、そこで本人の理解を得るということで今、運用しているところでございます。3臨個票・医療意見書を複写したものを県は郵便等で厚労大臣、厚労省ですね。その委託先に送付するということが手続としてなっておりまして、また、その部分につきましては、下の2つ目の○でございますが、今年の10月から自治体は厚労省に対してはオンラインで提出することが可能という運用としているところでございます。
その対応の方向性としましては、5ページの下の部分でございますが、こういった現状や意見書を踏まえた上で、1格納される情報については、現行と同様に、臨個票・医療意見書に記載された情報、2研究利用に関する同意につきましては、本人の同意を取得し、難しい場合には保護者等から同意を得る、その上で、同意を得る方法は書面とする、3県から厚労大臣への提出方法は、オンライン等にしてはどうかということを提案させていただきます。この同意の取得の方法につきましては、今、専門家の皆様、参考人の皆様から御意見をいただいたことがございますので、同意の取り方についてはまた御意見をいただきたいと思っております。
6ページ、論点2でございます。匿名データの提供手続については、上の箱の○の1つ目でございますが、第三者提供する場合には、匿名加工基準をどうするのかというところがございますので、NDBにおいては、省令において本人を識別することができる記載を削除することになっておりますが、それと同じにしたらどうか。また、2匿名データの提供手続は、現行のDBでも手続を定めていますし、NDBにおいても定めておりますから、そういったところと同じように、つまり、氏名、住所、利用目的、そういった必要なことを記載したものを提出し、厚労省において審査する、その上で審査会において議論していく、そういった手続としてはどうかということを考えているところでございます。真ん中のところが法律上の規定でございます。省令で定めるということになっているところでございまして、下のところが意見書の抜粋でございます。下線を引いておりますが、既に法律上の規定が設けられているNDB等のルールを参考として所要の措置を講じるべきでありますとか、適切にデータが利活用されるようということが指摘されているところでございます。
7ページに行っていただきまして、冒頭でございます。1匿名加工の基準をどうするかというところでございます。現状におきましては、○の1つ目、今のところにおきましては、研究利用に関する情報は残した上で、氏名、住所など直接個人が特定されるような情報を削除した上で提供しているという運用をしているところでございます。また、○の2つ目でございます。NDBにおいては、下の箱で具体例を書いておりますが、高確法に基づく省令において匿名加工に関する基準を規定しているところでございます。
こういった現状を踏まえた上で、一番下、対応の方向性の案でございますが、難病・小慢DBの匿名加工の基準は、こういう意見書やNDBにおける運用を踏まえた上で、NDBと同内容を規定するとしてはどうかと考えているところでございます。
8ページに行っていただきまして、2匿名データの提供手続をどのようにするのかというところでございます。現状におきましては、○の1つ目でございます。ガイドラインに基づいて1必要な事項を記載した上での提供申出書を提出いただいて、研究計画書の写し等の必要書類を添付して提供の申請を行う、2本人確認を行った上で、3申請が適当と認める場合には承諾通知を行う等々の手続を定めているところでございます。下の○でございますが、NDBにおいては、高確法の省令において第三者提供に必要な手続を定めております。
詳細な内容はガイドラインに規定しておりまして、具体的には9ページに行っていただきます。こちらが省令においてNDBで規定している内容でございます。例えば一番上の○でございますが、提供申請者が公的機関の場合においては、機関の名称や担当部局、そういったことを記載してくださいということを省令で規定しているところでございます。
一番下でございますが、対応の方向性の案というところでございまして、難病DB・小慢DBの匿名データの提供手続については、こういった現状でありますとか、この意見書、また、NDBにおける運用を踏まえた上で、省令においてNDBと同様の内容を規定した上で、具体的な内容はガイドラインにおいて規定することとしてはどうかということを記載しているところでございます。
10ページに行っていただきまして、論点3でございます。匿名データの提供先の範囲というところでございます。1つ目の○でございます。法改正によって民間企業等に対しても提供できるようになるということ、また、業務についても法令上定められているところでございます。その中で、4行目でございます1民間事業者の範囲等については、NDBを参考にして、民間事業者または補助金を充てて相当の公益性を有する業務を行う個人であって、統計法などの関連法令に違反した者は除いていく、そういったことでどうかということで考えているところでございます。2としましては、民間事業者等が活用できる業務の範囲は、法律上例示がありますが、難病・小慢患者に対する医療・福祉分野の研究に資する分析など相当の公益性を有する業務が法律上規定されておりますから、そういったところとしてはどうかということでございます。下のところが法律の条文でございます。
11ページに行っていただきまして、冒頭が附帯決議でございます。真ん中以下が意見書の内容でございまして、下線等を引いてございますが、NDB等のルールを参考にして、でありますとか、一番下の○でございますが、NDBや介護DBについては、相当の公益性を有する研究等を行う自治体・研究者・民間企業等の幅広い主体に対して提供することができることが法律上明確化されているところでございまして、一番下のパラでございますが、他の公的DBの取扱いや、よりよい医療を患者に提供する、そういった観点から、難病DB・小慢DBについても、民間企業を含む幅広い主体へのデータ提供を認めていく、そういったことを意見書として記載しているところでございます。
12ページに行っていただきまして、製薬協で今年まとめられた提案におきましても、このDBに対する期待を述べていただいているところでございます。
13ページに行っていただきまして、民間企業等の範囲をどうするのかというところが論点としてございます。まずは現状の整理でございますが、1つ目の○でございます。現在のDBにおいては、ガイドラインにおいてデータ提供先の範囲について規定しております。そこは厚労省などがございますが、そういった主体以外としては、厚労省または文科省が補助を行う研究事業に対して提供できますが、法令や契約違反によって提供禁止措置等が取られている場合は提供を行わないという運用をしているところでございます。また、○の2つ目でございますが、NDBにおいては、省令において民間事業者または補助金等を充てて相当の公益性を有すると認められる業務を行う個人であって、高確法や統計法などの法令に違反をした者などに該当しない者を提供主体として定めているところでございます。
こういった状況を踏まえまして、13ページの下のところでございますが、対応の方向性の案としまして、DBの匿名データの第三者提供先となる民間企業の範囲につきましては、現行のDBやこの意見書、またはNDBを踏まえまして、NDBと同内容を規定するとしてはどうかと考えているところでございます。
14ページに行っていただきます。見出しとしましては、民間事業者が活用できる業務の範囲はどうするのかというところでございます。現状の整理をさせていただきますと、1つ目の○でございますが、現在におきましては、ガイドラインにおいて、データ提供先で行われる業務について、2のところ、下線を引いておりますが、研究成果を広く一般に公表することを目的として、難病患者等のデータを用いて研究を行う場合や、臨床研究等の実施に関して患者に協力を求める場合について、法令違反等により禁止措置が取られている場合を除いた上で提供している、そういった実態がございます。また、2つ目の○でございますが、NDBにおきましては、省令において民間企業等が行う業務については、特定の商品や役務の広告・宣伝等に利用する場合を除いた上で、例えば医療分野の研究開発に資する分析、これは法令上、民間企業等の業務として例示されている業務であります。または地方公共団体ができる業務でありますとか、そういった公益性が高い業務として法律上列挙されている業務について認めている。その上で、相当の公益性を有すると認められる要件としましては、例えばそういうデータの提供が直接の利用目的になっていますとか、ちゃんとNDBを利用した業務の成果が公表されたりとか、そういった要件を課した上で提供している状況でございます。
今、述べさせていただいたものをまとめたものが、15ページでございます。一番左、NDBが認めている業務の範囲と法律上の規定、これと難病法、小慢の関係で児童福祉法でございますが、法律上、公益性が高いと認められている業務を列挙した資料でございます。
こういったことを踏まえまして、16ページでございますが、その業務の範囲につきましては、現行のDBでありますとか、こういったNDBの取扱いを踏まえまして、1省令において、相当の公益性を有すると認められる業務として法律上記載されている業務または国が行う匿名データの利用・提供の目的に資する業務であって、それが例えば直接の目的でありますとか、そういった公益性を有すると認められる要件を満たすもの、そういったところを規定したいと考えております。その上で、ガイドラインにおいて具体的な例示などを含めて規定してはどうかということを、対応の方向性の案として記載しています。
下のところは、NDBガイドラインにおいてこういった具体的な例示を記載しております。例えば製薬企業をはじめとする民間事業者等による医薬品安全性調査、市販後の有害事象のエビデンスの収集等の研究、こういった形で具体的にどういったことに活用できるのかをガイドラインにおいて規定しているところでございまして、今回の議論を踏まえまして、難病・小慢DBのガイドラインを次回以降議論していただきますが、同じように具体的に例示を書くことによって、こういった利活用を促進していったらどうかと考えているところでございます。
17ページ、論点4でございまして、連結可能なデータベースの範囲ということでございます。一番上の○でございますが、法改正によってNDB等の他のデータベースと連結することが可能とされましたが、令和6年4月から、つまり、来年の4月からはまずは難病DBは小慢DBと、小慢DBは難病DBと連結して提供できるようにした上で、他のNDB等の公的データベースとの連結解析につきましては、冒頭資料2で述べさせていただきました被保険者番号の履歴を活用した連結をするために、被保険者番号等の情報の格納などの準備状況を踏まえて今後検討していってはどうかということで考えているところでございます。真ん中が条文でございまして、一番下が意見書の内容でございます。意見書の一番下の○でございますが、技術的には他の公的データベースとの連結解析に当たっては、研究に必要な精度を保つ観点から確実性・正確性を確保することが重要であって、そのために個人単位化された被保険者番号の履歴を活用した連結をすべきだということで言われております。
18ページに行っていただきます。現状どうなっているのかというところでございます。1つ目の○でございますが、現行のDBのデータ提供においては、申請があれば難病・小慢、両者を連結して提供することが可能ということで運用しているところでございます。また、○の2つ目でございますが、現在難病DB・小慢DBには氏名や生年月日等は格納されていますが、これまで被保険者番号等の情報は格納されていなかったために、小慢については先月から、難病については来年4月から、被保険者番号等の情報を格納することができる、そういったデータベースの規格としているところでございます。そして、来年の4月以降、他のデータベースとの被保険者番号の履歴を活用した連結に向けて、社会保険診療報酬支払基金でありますとか、そういったところの履歴の名寄せのシステム、履歴照会・回答システムを活用した上で連結解析できるような準備をしていく、そういったことを考えているところでございます。
一番下でございまして、こういったことを踏まえまして、まずは連結の対象となる情報につきましては、現時点では被保険者番号等の情報が格納できておりませんから、まずは意見書などを踏まえた上で、来年4月からは、難病DBは小慢DBと、小慢DBは難病DBと連結して提供できる体制としてはどうかということでございます。その上で、NDB等の連結解析につきましては、被保険者番号等の履歴を活用した連結をするために、その準備状況、それを踏まえた上で連結をしていってはどうかということを提案したいと思っております。
19ページ、具体的に将来的にはNDBと連結解析した際にはどういったイメージで連結できるのかということで、イメージ図でございます。一番上はNDB等の入り方につきまして書いているところでございまして、一番下が難病DBの入り方、データの入り方を図示したものでございます。そこで被保険者番号等をそのまま研究者等に提供するのではなくて、匿名加工をした上で、ハッシュ化をした上で、本人が特定できない形で加工して、研究者に提供していく、そこで連結した上で、難病DBのデータとNDB等のデータを合わせた形で提供する、そういったことが将来的には考えられるところでございます。
20ページに行っていただきまして、論点の5でございます。匿名データの利用・提供等の事務の委託先でございます。法改正によって、難病や小慢の治療方法の調査・研究でありますとか、匿名データの利用・提供に係る事務については、基盤研や成育センターのほか、省令で定めるところに委託することができるとされたところでございます。そこにつきましては、現行DBやNDBを参考としつつ、支払基金、国保連、事務を適切に行える者としてはどうかということで、論点として記載しているところでございます。下の部分が改正条文でございまして、21ページに行っていただきまして、一番上が意見書の概要でございます。
21ページ、下の部分が現状を整理したものでございまして、1つ目の○でございますが、現行のDBについては、難病DBについては医薬基盤・健康・栄養研究所、小慢につきましては成育センターに管理・運営等を委託しておりまして、患者から登録されるデータの登録センターなどの事務につきましても委託しているところでございます。また、データ加工などにつきましては、民間企業の力を借りまして、今、運用しているところでございます。その下の○でございますが、小慢DBは今年の10月から、難病DBは来年の4月から、被保険者番号等の情報を格納するということで先ほど御説明させていただきました。今後連結するためには、支払基金等のシステムを活用する必要がございます。また、国が難病等の調査・研究につきましてもデータを適切に扱える者に対して委託して事業を実施していく、そういったことが想定されているところでございます。一番下の○でございます。NDBの取扱いにおきましては、そういった委託先においては、法令上、社会保険診療報酬支払基金または国保連を法律上委託できる先として規定しているところでございます。
22ページに行っていただきまして、現在の難病DB等のフロー図を図示したものでございます。
こういった現状を踏まえまして、22ページ、下のところでございますが、難病・小慢の調査・研究や匿名データの利用・提供に関する事務を委託できる者としては、現行の状況やNDBを踏まえまして、基盤研や成育のほか、支払基金や国保連合会、また、厚労大臣が事務を適切に行うことができると認めた者としてはどうかということを提案したいと思っているところでございます。
23ページに行っていただきまして、論点6でございます。匿名データの提供に関する意見聴取の場ということでございまして、一番上の箱でございますが、改正法におかれては、難病DB・小慢DBの匿名データの提供に関して、難病については厚生科学審議会、小慢におきましては社会保障審議会の意見をあらかじめ聴くことになっているところでございます。こちらについては、NDBと同様に、それぞれの部会に専門的な委員会を立ち上げてはどうかということを論点として提示しているところでございます。下に条文と意見書の概要を記載しているとこでございます。
次のページに行っていただきまして、24ページでございます。現状の整理は1つ目の○でございますが、現行のDBのデータ提供においては、厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会の議論を踏まえて設置されたワーキンググループにおいて審査等をやっているというところでございます。2つ目の○でございますが、NDBにおいては、第三者提供の可否等については、専門的な観点から審査を行うために、社会保障審議会医療保険部会の下に匿名データの専門委員会を設置した上で、そのデータの利用目的や利用内容などについて厳正に審査した上で提供しているということでございます。
こういった状況を踏まえまして、24ページの真ん中でございますが、対応の方向性の案ということでございまして、難病DB・小慢DBの匿名データの第三者提供の可否等については、専門的な知見を有した者において議論することが重要でありますため、現行のDBの取扱いや意見書、NDBにおける取扱いを踏まえまして、厚生科学審議会、社会保障審議会に専門的な委員会を設置して審議してはどうかということを提案したいと思っているところでございます。
25ページに行っていただきまして、論点7でございます。安全管理措置の内容でございます。一番上の○でございますが、法改正によって、匿名データの利用者に対して安全管理措置を講ずることが義務づけられました。具体的な内容につきましては、省令などにおいてNDBにおいてはいろいろと記載しているところでございまして、現行のDBにおいてもガイドラインでいろいろと記載しているところでございます。そういった内容を踏まえまして、組織的な安全管理措置や人的な安全管理措置を規定してはどうかという論点を提示したいと思っております。真ん中が条文でございまして、一番下が意見書でございます。意見書の一番下の○でございますが、意見書におかれても、安全管理措置においては、現状はガイドラインに基づいて講じられているところでありますが、これを法令に基づくものとした上で、組織的な安全管理に関する措置、人的な安全管理に関する措置、物理的な安全管理に関する措置、技術的な安全管理に関する措置など、難病が対象に含まれることを留意した上で、しっかりと講じていくべきだ、そういった意見書がまとめられているところでございます。
26ページに行っていただきまして、一番上の○でございますが、現状のデータの整理でございます。ガイドラインにおいても、先ほど申し上げましたが、以下の点、つまり1から5まで例示しておりますが、そういった管理の方法として安全管理措置を定めているところでございます。2つ目の○でございますが、NDBにおいても省令において安全管理措置1から5を定めた上で、具体的な内容においてはガイドラインにおいて規定している、そういった内容でございます。
ですから、こういったことを踏まえまして、26ページの一番下でございますが、難病DB・小慢DBの匿名データの安全管理措置につきましては、こういった現状やNDBを踏まえた上で、省令においてまずはNDBと同じような規定をした上で、具体的な内容をガイドラインに規定していってはどうかということを提案したいと思っているところでございます。
27ページ、参考として、NDBにおいて省令で規定されている内容でございます。こういったそれぞれ5つの分野におきまして、詳細なことを省令でまず規定しているということがございます。
28ページ、最後の論点でございます。匿名データの提供に関する手数料のところでございます。改正法によって、利用者は実費相当の手数料を納めるという規定が設けられました。そこで、○の3行目でございます。手数料については、NDBの考え方と同様に、人件費等を踏まえた時間単位の金額に、作業に要した時間を乗じる、その下「また」というところがございますが、手数料の免除の対象ということで、NDBの考え方と同様に、国の行政機関等々は免除の対象とする、また、3でございますが、手数料納付手続もNDBと同様としてはどうか、そういった形で論点を記載しているところでございます。真ん中が条文でございまして、一番下が意見書でございます。
最後のスライドでございます。29ページでございますが、現状においては、1つ目の○現行のDBは申出者の範囲が厚労省など限定されていることもありまして、行政主導の下に公的に行われていることになって手数料を徴収していないという現状でございます。2つ目の○でございます。NDBの運用はどうなっているのかというところでございまして、1実費を勘案して定める手数料は、人件費等を踏まえた時間単位の金額に、作業に要した時間を乗じて得た額、2行政機関や地方公共団体等のそういったものであるほか、科研費等の補助の提供を受けて公益性のある調査研究事業を行う者、また、これらが共同して行う場合には手数料を免除している、3手数料の納付の手続は、提供申出者へのNDBデータの提供が承諾された後に手数料額等を納付する、そういう手続が省令または政令で定められているところでございます。
ですから、29ページの後半でございますが、こういったところにつきましては、現行の運用でありますとか、そういうNDBの運用を踏まえまして、以下としてはどうかということで記載しているところでございます。具体的には1手数料は、人件費等を踏まえた時間単位の金額に、作業に要した時間を乗じて得た額にしてはどうか、2国の行政機関や地方公共団体、科研費等の補助金の提供を受けて公益性のある調査研究事業を行う者のほか、これらの者が共同で行う場合には手数料は免除としてはどうか、3提供申出者への匿名データの提供が了承された後に手数料額等を納付する、そういった手続を定めてはどうかということを、対応の方向性の案として規定しているところでございます。
早口になりましたが、資料3の説明は以上となります。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
ただいま事務局から御説明いただきました論点整理に関しまして、御意見がありましたらよろしくお願いいたします。論点1から。
五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。
スライドの23ページでもよろしいでしょうか。
○山本座長 どうぞ。
○五十嵐構成員 データ提供についてです。既にナショナルデータベースの提供に関しては山本先生が中心の委員会で検討されています。23ページによると、難病と小慢それぞれ別々の判定の委員会をおつくりになると記載されています。難病と小慢はかなりオーバーラップする疾患もあります。難病と小慢とで認定の基準が異なっています。将来、同じ基準にする可能性はいかがでしょうか。これについてまず教えていただきたいと思います。
○山本座長 事務局からコメントはございますでしょうか。基本的にこれは合同委員会の形にしてやるのだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○横田課長補佐 この有識者会議の意見を踏まえまして、設置につきまして御了解を得られれば手続に入っていきたいと思っておりますが、24ページのスライドでございますけれども、法律上は厚生科学審議会、社会保障審議会は別々ということになっております。ただ、実際の運用上は、今の五十嵐構成員の意見もございますし、同様の基準、また、データの関連性もあることでございますから、設置した上で合同して委員会を運営していく、そういったことを現時点で事務局としては考えているところでございます。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。
もう一点なのですが、NDBのデータ利用について外資系の民間業者からの申請があったかどうかについて私はわかりませんが、外資系の民間事業者が希少疾患データベースを使いたいと申請があった場合、外資系ということで排除することはないわけですね。
○山本座長 ありがとうございます。
NDBは外資系の申請は既に結構届きます。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。例えば希少疾患の遺伝子治療を考えているような企業が日本のデータを欲しいといったときに、これを排除するものではないと理解してよろしいでしょうか。
○山本座長 事務局からコメントはございますか。
○神田課長補佐 そこも実はこれからガイドラインの中で決めていく部分になるかとは思うのですけれども、例えばNDBではデータの利用場所等は国内に限るということがガイドラインに書いておりますし、現行の難病データベースのガイドラインについても同じように記載をされております。それを踏襲すると、外資系であっても申請は可能ですけれども、利用場所は国内に限られることになるのかと考えております。
○五十嵐構成員 分かりました。ありがとうございます。
○山本座長 康永先生、どうぞ。
○康永構成員 東京大学の康永秀生と申します。
難病などのデータの提供は現状は研究者向けにされておりまして、非常に厳格な審査をしている状況で、例えば現状は研究者向けには厚労科研や文部科研など科研費を通っていることがありまして、要するに、研究の内容や公益性に関してはその辺りで一つ担保している、また、研究者は所属する研究機関に倫理申請をしてその承認を得ている、なおかつ、そこで審査会で厳格に審査をした上でようやくパスできる形で、今般、民間事業者に提供対象を広げるのは非常にいいことだと思うのですけれども、民間事業者だからといって審査を緩めることは決してないと思うのですね。ただ、民間事業者さんに科研費がどうとか、それは難しいと思いますから、結局内容については審査会において公益性などを実際上は審査しなければいけないという形になってくると思うのですが、そのような認識でよろしいでしょうか。
○山本座長 ありがとうございます。
そのような認識だと思いますけれども、事務局からコメントはございますでしょうか。
○横田課長補佐 ありがとうございます。
同じ認識でございまして、NDBなどと同じように、そういった形で審査会で厳正に審査していくということでございます。また、倫理審査委員会の話がございましたが、ガイドラインは次回以降議論させていただきたいと思っておりますが、現行のNDBのガイドラインを見ますれば、倫理審査委員会、民間企業であってもやっていただくということがございますから、補助金等はないところでございますが、倫理審査でありますとか、そういった面の書類をつけた上で申請いただくというのは現行NDBでやっておりますから、そういった要件につきましては、同じようにしていくのかということを今は事務局としては考えているところでございます。また次回以降議論いただければと思っております。
○康永構成員 分かりました。ありがとうございます。
○山本座長 ほか、御意見いかがでしょうか。
渡邉先生、どうぞ。
○渡邉参考人 参考人からでも意見をよろしいでしょうか。
○山本座長 結構です。
○渡邉参考人 ありがとうございます。
NDBと難病DBとの連結イメージということで、連結について少し伺いたいのですが、先ほどの意見陳述で、現状のデータベースではイベント、死亡記録などがしっかり捕捉されていないので、予後予測のデータベースとしては必ずしも十分ではないと申し上げました。難病でDBとNDBが連結することになると、そのような死亡といったアウトカムも捕捉される可能性があると考えてよろしいのでしょうか。
○山本座長 NDBはまだなのですけれども、間もなく死亡票情報等が入ってくることになっていますので、実際にこの難病・小慢のデータベースと突合する、実質的には再来年以降になると思うのですけれども、その時点では死亡情報とのリンクは可能になると思います。
○渡邉参考人 どうもありがとうございます。
○山本座長 事務局、それでよろしいですね。
○横田課長補佐 はい。同じような認識でございます。
○山本座長 山野先生、どうぞ。
○山野構成員 これは実際にデータを企業等にも提供するとなって、かなり広がりが出てくると思うのですけれども、そうなった場合に、かなり制御というのは、厳正な審査をするとはいえ、決して簡単ではないのではないかと想像しております。想定されます。ですから、あのような形で審査をして、どういう機関に提供というものがあったとしても、その情報を漏えいした場合の罰則はより明示していただいたほうがいいのかと思いますので、その罰則をしっかりと資料として御説明いただいたほうが、患者さん方も御安心するのかと思っております。
また、実際にデータを提供する限りはリスクが常につきまとうと思いますので、どれだけ審査をしたとしても、その情報、データは独り歩きしてしまうところがあるので、今、難病全ゲノム等の事業などでは解析基盤を準備して、外部からアクセスして、そこの上で解析して、統計情報しか見られないという形で、あくまでも患者さんのデータは渡さないという仕組みを、ゲノミクスイングランドもそうだと思うのですけれども、そういう形を取っているので、将来的にもちろん金銭的な部分もあるのでしょうけれども、今の医療DXの推進で日本が本当にアクセスしやすいデータ、これの利活用をより推進していく意味でも、毎回審査もかなり時間がかかって、皆さんの御都合もそろえるのが大変で、それが膨大になったときに果たして現実的かということを考えたりもすると、そういう解析基盤等を準備していくのがこの利活用を進めていく上では重要だろうと。
例えば企業などですと、恐らくあまりサイエンティフィックなことをこの情報に求めるというよりは、先ほどのああいう外国のベンチャー企業などだと、本当に日本で治験できるのかぐらいのこととか、どれぐらいの患者がいて、どこにいて、適格基準、除外基準に当たるような患者さんが何人ぐらいいるのかというサーチに使うのが主な目的になるのではないかと思いますので、疾患のサイエンティフィックな観点で今は難病の情報の審査、データベースの利活用の審査をしていると思うのですけれども、あまりそういうものを取り入れ過ぎると創薬が進まないのではないかと思いますので、そういうことも気軽にできるような仕組みをどうつくっていくのかが非常に重要なのではないかと思っております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
これは現状、事務局から何かコメントはございますか。
○神田課長補佐 今、先生がおっしゃったようなところで、例えばわざわざ申請をしなくても情報として提供できる部分みたいなところは国でもある程度まとめて、データベースの先ほどの研究成果の公表みたいなところと併せて、基本的な情報などを公表するような形にしていきたいと考えております。ただ、その公表の際に、難病あるいは小慢の希少性などの特性もありますので、あまり出し過ぎると個人の特定につながってしまう懸念がありますので、その辺りに留意しながら進めていきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
NDBは2016年からオープンデータというものをつくっていて、大体のことはそれを見れば分かると。そのデータを見た上で、さらにもう少し詳細を知りたい方のために、幾つかのルートをつくっているのです。データセットを提供する、つまり、データを提供するのが一番厳しいのですけれども、それ以外にオンサイトセンターに来ていただいて、つまり、データは渡さないのですけれども分析はできる、そこから分析結果だけを持ち出せるようにするというのが、これがかなりもう何年か実運用しています。それを、今、クラウド上でできるようにしようということで、HICと呼んでいるのですけれども、クラウド上でデータをお渡しするのではなくて分析だけはできて、その結果だけをもちろん審査の上で持ち出すことができる。このHICの環境を、実はNDBだけではなくて様々な公的データベースに広げようという計画もあるようには聞いています。まだ完全に具体化はしていないのだと思います。
ですから、難病・小慢のデータベース、私はこのいわゆる分析環境を提供して結果だけを持ち出せるようにする、データそのものはお渡ししないというのは、非常に有効に機能する気がしていますので、近い将来的にそういうことが厚労省全体として検討されるということがあるのではないかとは思っていますけれども、今、現実に今回の審査に関しては、取りあえず法整備がされて、罰則もきちんと規定されたので、それに従ったガイドラインをしっかり考えていくのが目的になろうかと思います。
○山野構成員 ありがとうございます。
ぜひそういう方向性で検討していただけると、より利活用も広がるのではないかと期待しております。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、御意見はいかがでしょうか。おおむねよろしゅうございますか。
今日いただいた御意見の中で、患者さんへの理解をどう促進していくか、これは非常に大事なポイントだと思いますので、その点も含めて事務局でさらに検討を進めていただければと思います。
野口先生、どうぞ。
○野口構成員 最後になりました。すみません。現在NDB・介護DBで私も有識者会議に参加させていただいているのですけれども、例えば今まで割とストリクトに1課題1度の申請ということで、かなり課題のリサーチクエスチョンを明確にして、研究する仮説を明確にして審査をしてきたのですけれども、昨今、民間の研究者でない方あるいは研究者もそうなのですけれども、割と大きな課題で何でもできるような形で全てのデータ、データを全てというのは私も研究者としてよこせというのはすごく分かるのですけれども、何でもかんでもその中に取り込めていけるような、何でもできてしまうような形で申請してこられるケースが非常に増えてきている。有識者会議としてはあまり研究のことについて口出しはしない、ただ、形式が整っているか、情報がきちんと使われるか、そういうところで評価をするということで、何となく1課題1申請がだんだん緩んできている気がするのです。特に民間の例えば生保会社だとか、製薬メーカーだとか、本当に何でもできてしまうような形で申請してこられるような場合があるので、もう一度小慢を始めるに当たって、どこまで1申請として認めるのか、どの範囲までだったらリサーチクエスチョン、仮説に対して1申請で済ませるのかというところを、この小慢と難病だけではなくて全体としてしっかりと検討すべきかと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
確かにそういう傾向があって、審査に苦労しているところですね。あまりに広いのは今のところ通ってはいないのですけれども、申請としては増えてきていますね。ただ、今、例えば人工知能を使ってどうのこうのとかとなってくると、1テーマに絞ること自体がそもそも難しくなってきて、そういう動きを止めてしまっていいのかというと、これも社会として失うものが大きいことがあり得ますので、なかなか悩みの深いところではありますね。引き続きこういうことは検討していければと思います。ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、今日いただいた御意見を基に、もう少し検討を深めて、次回の検討につなげていきたいと思います。
事務局から次回の予定について何かございますでしょうか。
○山田課長 難病対策課長の山田です。本日はどうもありがとうございました。
様々な御指摘、御助言いただきました中で、山本座長にも最後にまとめていただきましたけれども、特にデータベースを有効なもの、使えるものにしていくには、その前提として患者の方々の理解、同意の在り方、また、安心感が重要であると委員の皆様共通で御指摘されたかと思います。今日の資料の例えば資料2の8ページで今の説明資料があるのですけれども、確かにこういったところも分かりにくいと思っておりまして、こういったところを見直すことも含めて今後検討させていただきたい、また、小慢も同様に修正を検討していきたいと思っております。引き続き次回以降、どうぞよろしくお願いします。
次回の日程でございますが、事務局から改めて追って御連絡をさせていただきたいと思います。
構成員及び参考人の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席賜りまして、ありがとうございました。
○山本座長 それでは、本日の委員会は以上で終了とさせていただきます。どうも活発な御議論をありがとうございました。
本有識者会議の事務局を務めます横田でございます。よろしくお願いいたします。
構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日はオンラインにて開催しております。
以下、オンライン開催に際してのお願いです。ビデオカメラはオンにしてください。また、マイクはミュートにしてください。発言時にはマイクをオンにしてください。発言時には名前をおっしゃった上で発言をしてください。また、発言が終わりましたらマイクをミュートにしてください。よろしくお願いいたします。
では、会議の開催に際し、大坪健康・生活衛生局長より御挨拶を申し上げます。
○大坪局長 先生方、おはようございます。厚生労働省の健康・生活衛生局長の大坪でございます。
構成員の先生方、朝早くからの御参画を誠に感謝申し上げます。
また、日頃から難病対策・小慢対策をはじめ健康行政全般にわたっての御指導、御助言、誠にありがとうございます。
御案内のとおりですけれども、昨年の難病法及び児童福祉法の改正によりまして、令和6年4月から難病・小慢データベースの法的根拠が設けられ、第三者提供のルールなど、こういった規定が整備されたところでございます。
本年7月に開催されました難病・小慢合同委員会におきまして、第三者提供に関する会議、これを設置することを了承いただいておりまして、本日の開催に至ったところでございます。
今後は製薬企業等の民間企業の皆様に対しても、この創薬において参考となるようなデータベースの情報、これを御提供さしあげることができることになりました。
厚生労働省といたしましても、今回の改正法の施行を契機に、創薬に資するような情報を今後提供させていただきたいと思っておりますので、構成員の皆様には、本日忌憚のない御意見をいただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
○横田課長補佐 局長は公務のため途中で退席させていただきます。
続きまして、本有識者会議の座長の選出をしたいと考えております。
お手元の資料1にありますけれども、本有識者会議の座長は、開催要綱の3の(3)の規定に基づきまして、厚生労働省健康・生活衛生局長より、山本隆一構成員を指名いただきましたので、御報告をいたします。
山本隆一座長、一言御挨拶をお願いいたします。
○山本座長 ただいま座長に御指名いただきました山本でございます。よろしくお願いいたします。
私、難病の専門家でも小児慢性特定疾病の専門家でもありませんけれども、こういった医療情報のデータベース、特に公的データベースに関しましては、NDBのデータベースの構築のときからずっと関わっておりまして、それから、介護あるいはがん登録、そういったデータベースの班にも参画させていただいております。そういった経験を踏まえて、できるだけこの難病・小児慢性特定疾病のデータベースの活用を安全に広げるというようにしていきたいと思いますので、どうぞ皆さん御協力をよろしくお願いいたします。
○横田課長補佐 ありがとうございます。
次に、本有識者会議は本日が第1回目の開催となりますので、構成員の皆様を御紹介させていただきます。
お手元の資料1の2ページを御覧ください。名簿の順に御紹介させていただきます。
国立研究開発法人国立成育医療研究センター理事長、五十嵐隆構成員です。
続きまして、東京大学医科学研究所先端医療研究センター生命倫理研究分野准教授、神里彩子構成員です。
早稲田大学政治経済学術院教授、野口晴子構成員です。
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学教授、康永秀生構成員です。
聖マリアンナ医科大学大学院先端医療開発学教授、難病治療研究センター部門長の山野嘉久構成員です。
一般財団法人医療情報システム開発センター理事長、山本隆一構成員です。
公益社団法人日本医師会常任理事、渡辺弘司構成員です。
また、本日は、参考人として、元・日本製薬工業協会医薬品評価委員会運営委員会幹事、稲垣治様、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク専務理事、福島慎吾様、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会理事、森幸子様、一般社団法人日本バイオテク協議会会長、山田英様、浜松医科大学理事・副学長の渡邉裕司様が出席しております。
以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いしたいと思います。山本座長、よろしくお願いします。
○山本座長 それでは、早速議事次第に従いまして、議事を進めてまいりたいと思います。
まずは資料の確認をお願いいたします。
○横田課長補佐 本日の資料としましては、議事次第、また、資料が1から7まで、また、参考資料が1から4までございます。
お手元にもしなければ、ホームページに公表しておりますので、そこから確認いただければと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
それでは、早速議事を進めてまいりたいと思いますので、まず、資料2について事務局より説明をお願いいたします。
○横田課長補佐 お手元の資料2に沿って御説明させていただきます。表題が「難病・小慢データベースの現状と改正難病法・改正児童福祉法について」ということでございます。
1ページ、難病・小慢データベースの現状を御説明させていただきます。
2ページに行っていただきまして、データベースの概要を記載したものでございまして、現在難病・小慢につきましては、それぞれの法律に基づく基本方針に基づいて、例えば難病でありますと、国は指定難病の患者の診断基準や重症度分類等に関する臨床情報をデータベースに格納しているというところでございまして、一番下でございますが、厚生科学審議会、社会保障審議会の専門委員会におきまして議論いただきまして、現在ガイドラインに基づく提供を2019年度から始めているところでございます。
3ページに行っていただきまして、指定難病患者データベースの現状というところでございます。難病のデータベースにつきましては、医療費助成の申請時に提出された臨床調査個人票に記載されている臨床情報を基に構築しているところでございます。
続きまして、4ページに行っていただきまして、では、具体的に登録されている項目は何なのかを整理した紙でございます。難病データベースには、氏名・生年月日といった基本的な情報のほか、医療費助成の支給認定の審査に必要な診断基準または症状の程度に関する情報などが登録されているところでございまして、左側の1のところに下線を引いてございますが、被保険者番号等につきましては、来年の4月から登載ができるような状況となっているところでございます。
5ページは、小児慢性疾病児童等に関するデータベースの現状でございます。基本的には先ほど申し上げた難病と同じでございます。
6ページに行っていただきまして、こちらは小慢のデータベースに登録されている項目でございます。こちらも基本的には難病と同じ形になっているところでございまして、左側の被保険者番号等につきましては、今年の10月からようやく登載できる準備が整ったところでございます。
7ページ、8ページにつきましては、医療費助成の申請の際に、本人からデータベースの登録について同意をもらっていることでございまして、その参考資料となっているところでございます。
9ページに行っていただきまして、現在予算事業でデータベースを運営しておりますが、その利活用に関する対応方針を平成31年にまとめさせていただきました。現在のデータベースの運用方法につきましては、下の箱のところ、上から2つ目でございます。例えば情報の提供先につきましては、原則として、厚生労働省または厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定している。また、上から4つ目でございます。利活用の目的につきましては、原則として、各疾病の疫学調査等の研究や学術目的としての利用に限定する。その下でございます。公表につきましては、個人が特定されないようにした上で、公表する。一番下、審査会の設置ということで、現在審査会を設置させていただきまして、例えば提供の可否や適否につきまして議論し、提供しているというのが現状でございます。
10ページ、11ページにおきましては、来年度以降のデータベースの改修を今、進めているところでございます。その基礎資料でございます。
12ページに行っていただきまして、こちらは現在の難病・小慢データベースの第三者提供の実績でございます。難病につきましては、現在400万件登録があります。小慢につきましては、50万件登録がありまして、それぞれまだ提供件数が少ないところでございますが、現状このような形で運用しているところでございます。
13ページに行っていただきまして、次は改正法の概要でございます。
14ページ、これは昨年法律が成立いたしました障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律の概要でございます。5ポツに赤線を引いてございますが、これが難病・小慢データベースに関する規定でございます。NDBなどと同様に、法的な根拠が設けられたところでございます。
15ページに行っていただきまして、これが今年の7月に厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会におきまして議論させていただいた紙でございます。改正の概要でございますが、1ポツ目、小慢・難病データベースの法的根拠が新設され、国による情報収集、患者等の同意を前提とした都道府県等の国への情報提供義務が規定されたこと、また、2ポツ目でございますが、安全管理措置や第三者提供ルール等の規定が新設されたこと、他の公的データベースとの連結解析も可能とされたということでございます。
真ん中のところ、今後の対応(案)のところでございます。先日、厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会におきましては、この新たな公的データベースの連結解析や具体的な運用を議論するために、このデータ提供に関するガイドラインを策定する必要がございますため、データ提供に関する有識者会議を立ち上げてはどうかということで御了承いただきまして、今回この有識者会議を開催させていただいた、そういった運びでございます。
16ページにつきましては、現行の予算事業においても、ガイドラインを策定し運用する際には、有識者会議を立ち上げていたという経過でございます。
17ページは、法律が成立した際の附帯決議の御紹介でございます。
18ページに行っていただきまして、今回法律を作成するに当たって厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会におきまして、意見書を取りまとめていただいております。この意見書、赤囲みしておりますが、「データベースの充実と利活用について」ということで意見をいただいております。具体的には、個人情報に十分配慮しつつも、治療研究に有用なデータ提供がなされるように、難病・小慢データベースについて法律上の規定を整備するでありますとか、提供する情報の内容はこれまでと同様でありまして、第三者提供の範囲は民間企業を含めて判断していく、また、想定される法律上の規定は、例えば第三者提供のルールでありますとか、安全管理措置でありますとか、そういったことを規定してほしいという意見書を取りまとめているところでございます。
19ページに行っていただきまして、大きく今回来年度以降何が変わるのかを大きなポイントとしてまとめさせていただきました。大きなカテゴリーの1つ目でございますが、匿名データの第三者提供先・活用できる業務の範囲が変わってくるというところでございます。現在のところにつきましては、先ほど御説明さしあげましたが、提供対象者が、原則、厚生労働省や自治体等に限られていて、製薬企業等の民間企業への提供はできないという形が原則として取られております。ですから、過去に製薬企業等に提供した実績はございません。また、業務の範囲につきましては、難病等の患者のデータを用いて研究を行う場合にのみ使えるということでございますから、結果的に患者疫学情報の把握のみに活用しているという実態がございます。
ですから、右側を見ていただければと思いますが、来年度以降につきましては、提供対象者につきましては、冒頭局長からの御挨拶にもございましたが、製薬企業等の民間企業に対しても提供することができる、そういった形になっているところでございます。また、業務の範囲につきましても広げまして、難病・小慢患者に関する医療・福祉分野の研究開発に資する分析等、そういったことに活用できるのではないかということが法律上例示として規定されているところでございます。ただ、特定の商品や役務、つまり、企業内に閉じた形での活動に活用する、そういったことはさすがにできないということが法律上明記されているところでございまして、矢印のところ、例えばでございますが、創薬においては、開発したい治療薬の対象患者の概要の把握、これで治験の実行可能性が判断できるのではないか、また、治験で使用するアウトカム指標の検討などに活用できるのではないか、そういったことが考えられるところでございます。
下のところに行っていただきまして、他のデータベースとの連結解析につきましては、現在、難病は小慢、小慢は難病と連結解析して提供することができる、そういった状況でございますが、来年度以降につきましては、他の公的データベースとの連結解析をすることができる、そういった法律上の規定になっているところでございます。
20ページに行っていただきます。今回民間企業に対象を広げていくというところがございますから、具体的に製薬企業などにおいてはどういった形で活用できるのか、これを我々厚生労働省において企業さんにいろいろヒアリングさせていただきながらまとめさせていただいた資料でございます。上のリード文でございますが、製薬企業の研究開発においては、主に、例えば、特定の患者群に係る疫学情報の整理・把握、また、個別の患者の新たなデータの収集、患者へのアプローチに向けた情報の把握・分析などに活用できるのではないか、そのように考えているところでございます。
活用の目的につきましては、今、述べた2つを記載しておりまして、右側の一番上でございます例えば期待される活用例としましては、開発したい治療薬の対象疾患の全体患者数や状態別の患者数によって、全てこれで分かるということではございませんが、その参考資料として、市場規模や治験の実行可能性は評価できるのではないか。また、2つ目の○でございます。患者全体の疾患活動性スコアや重症度分類の経時的な変化、これによって対象患者の自然歴の全体的な傾向を把握できるのではないか、そういったことがあり得ます。ただ、これはマクロ的な情報でございまして、国としてもこういった情報を今後一層情報提供していくことで支援をしていきたいと思っているところでございます。
点線がございまして、その下でございます。これは個別企業のニーズに応じて活用できるのではないかということをまとめた資料でございます。点線の○の1つ目、つまり、全体の3つ目でございますが、患者の年齢層や性別、症状、遺伝子型の区分ごとの疾患活動性のスコアや重症度分類の経時的な変化、そういったことを把握することによって、対象疾患の詳細な自然歴を把握できるのではないか。その下でございます。個別の患者の疾病のスコアでありますとか、疾患活動性スコア、また、重症度分類ごとの治療効果のアウトカム指標になり得る実際のデータの把握、また、各データの平均値、また、標準偏差、まだ十分全ての患者のデータが入っているものではございませんが、そういったことを検討するに当たっての参考指標として、例えば治験における適切なアウトカム指標の設定でありますとか、必要なサンプルサイズの算出、そういったことに活用できるのではないかと考えているところでございます。その下も同じようなことでございますが、そういったことを踏まえまして、例えば治験へのエントリーの適格基準でありますとか、そういった検討の際の一つの参考になるのではないかと考えているところでございます。
下の箱でございます。2つ目のカテゴリーでございますが、これまで御説明さしあげましたのが、データベースに入っている情報をどう分析していくのか、そういったところでございまして、その下のカテゴリーは、そのデータベースの情報を足がかりとして、次のステップに進める、そういったことを提供できるのではないかということを考えているところでございます。一番下の○でございますが、対象疾患を多く診断・診察しているような医療機関の分布、そういったことを把握できますれば、それを踏まえて患者の細胞や組織のサンプル、例えば口内の細胞とか、そういったサンプルの提供依頼につなげていく。また、医療機関に対する治験への参入、この治験というのは公表していくことになりますから、公益性に資するということで、そういったことにも活用できるのではないか、そういった形で資料を整理させていただきました。
21ページ以降でございます。こちらは今の難病データベースの登録状況を疾患群ごとに示したものでございます。
22ページ、例えばデータベースにどういった項目が格納されているのかを実際の臨個票を示したものでございまして、例えば部位別の状況でありますとか、治療薬、投与量でありますとか、重症度、そういったことをデータベースに格納している状況でございます。
23ページに行っていただきますと、現在の難病DBを活用した形で、例えばこのベーチェット病の診療ガイドラインにおきましては、こういった形で分析ができており、現状の立ち位置として御説明の資料でございます。
24ページに行っていただきまして、これは今回法律に罰則規定などを定めているところでございます。改正法によって匿名データの利用者に対してはその情報の取扱いに関する義務等が課されますから、その義務の適切な履行を図るために、大臣による立入検査、また、是正命令などの規定を整備しているところでございまして、不適切な利用、そういったことが御心配だという声をいただいておりますから、そういったところに対しては必要な罰則規定を設けて対処していくものでございます。
25ページ以降は、参考資料でございます。
ざっとになりますが、資料2の説明は以上となります。
○山本座長 ありがとうございました。
これに関して御意見を伺う前に、本日御出席をいただいている参考人の方々から御意見を伺いたいと思います。
最初に、稲垣参考人、お願いできますでしょうか。
○稲垣参考人 ありがとうございます。稲垣でございます。
私から製薬企業のサイドといたしまして難病・小慢データベースの活用、これを企業が利用させていただけることでどのような活用が期待できるかという企業側の期待について述べさせていただきたいと思っております。
私自身、今は退職しておりますが、以前業界活動をしていたときに、こういった活動でデータベース等を使わせてほしいということをいろいろとお願いしていた経緯もありまして、今日こちらに登場させていただきました。
次のスライドをお願いいたします。先ほどの説明の中でありましたように、この種のデータベースができたとき、これを使えれば企業側にとっても医薬品開発で非常に役に立つことを期待したわけですが、平成31年につくられましたガイドラインでは、情報の提供先、利活用の方法等を厳しく制限されておりまして、実際に企業側は使えなかったというところが経緯でございます。ただ、昨年の難病法の改正によりまして、第三者提供、民間企業への利用・提供等の規定についても整備するということで、こういったデータベースを利活用できることになったということで、個人的にも非常に喜んでおりました。
また、次のスライドをお願いいたします。製薬協でも7月に「難病・希少疾患に関する提言」という形で、この種の情報が活用できることに対する期待感というところで述べさせていただいているところかと思います。
実際に先ほどの厚労省の方の御説明のスライドの20枚目のところで十分述べられているところではございますが、こういった医療データベースについて、企業側としてはどのような活用を考えているかという一般的なケースについて述べさせていただいたのが、こちらのスライドでございます。左側にありますように、この種のデータベースからの医療データ、これは医薬品開発の研究テーマ立案時から最後のアウトカムの指標のところまで、幅広いところで使うことが可能と思っております。
どのような場面で、どのような用途でというところで、左側で示させていただいたところですが、研究テーマ立案時では、患者数等で研究領域・疾患の決定、アンメットメディカルニーズの決定、どのような患者層を狙えばいいかというところで考えます。
また、臨床試験の計画をするときには、臨床試験計画の参考として重要な情報になります。すなわち、どれぐらいの期間医薬品を投与して観察すればその変化を検出できるのか、これは最初に臨床試験の計画を立てるときにどのような時間経過で変化が起こるのかという情報がないと投与期間、観察期間の設定ができませんし、また、さらに実際に試験に入るに当たって、どういった施設に治験をお願いすればよいのか、患者さんのいる施設はどこなのかという情報、これは非常に重要なものになります。
治験の実施時、出てきた患者様についての組入れ促進のところでこういったデータを使いたいというところは当然あるわけなのですが、それとともに、後ほど述べさせていただきますが、こういった希少疾患、患者さんの数の少ない疾患、あるいは最初の被験者の群の中から適切な患者さんを選べないような疾患の場合、この選んだ試験での例えば対照群等が本当に適切だったのかどうか後から検証するような際にも、こういった幅広い患者さんのデータ等が必要になるのかと思っておりますし、また、実際に治験を推進中に想定外の有害事象が発生したとき、この発生した事象は例えばその疾患に伴って発症するもの、過去にそういった例があったのかどうか、そういった情報は非常に重要になります。
承認申請時、これはできればというところですが、単群試験にならざるを得なかったとき、対照群として自然歴データを利用できないか、あるいはせめて過去のデータ等を参考データとしてそれを利用できないかというところは、常に思うところでございます。
さらにアウトカム調査、これは薬剤を投与してその後の長期の指標がありますと、長期予後や長期の安全性の評価に使えますし、実医療下での真の有用性評価、そういったものにもつながる可能性があるのかと思っております。
このために使いたい情報として、右側に書かせていただいておりますけれども、患者さんの数、特に重症度等のカテゴリー別、場合によっては、これは難病の場合、遺伝子型等によってのカテゴリー別の患者数にもなるかと思います。
そして、患者さんがどこにいらっしゃるのか、受診施設はどこなのか、これもどこの施設にお願いして試験を速やかに進行するかというところで重要な情報となります。
そのほか、患者さんの現状はどのような治療法が使われているのか、それに合わせて臨床試験を組むときに併用薬は何が必要なのかというところ、それらを併せて準備しなければいけません。
あわせて、下に述べている患者さん個々の背景情報、これは現病歴は当然のこととして、既往歴等につきましても情報があると、どういう試験、想定し得るリスクは何かを考える上で有用になります。
疾患スコアの経時変化、これは厚労省の方のスライドの20枚目で述べていただいたところと同じです。
そのほか、服用後のデータ等も長期のアウトカム等で使えるような形になるかと思っています。
こういったものについて、これは実際のところ、それぞれのデータの精度・品質、あるいは取得方法や取得時期等によって使い方等について制限はあるわけなのですが、次のスライドをお願いします。難病・小児慢性疾患のデータベースで特にこのような場面で使いたいかというところでの活用シーンというところで、具体例等を述べさせていただきました。難病等患者さんの数が少ない場合、最近は国際共同治験という形での進行になりますけれども、その場合、日本でどれぐらいの患者数を組入れが可能なのか、症例数を提示できるのか、全体に対しての試験計画を組んでいく中で、日本はどれぐらい国際共同試験に寄与できるのかというところ等の話は重要になります。
あわせて、先ほどのように試験計画を立案する際に、どのような経時変化で疾患が進行していくのか、そのばらつきがどれぐらいあるのか等のデータ、これらは非常に重要ですし、対象とすべき患者さんの選別等でもこういった過去のデータ等は使わせていただきたいと思っております。
先ほどの組入れのところでは、組入れ基準を満たす患者さんを診ている施設がどこなのか、こういったところの施設情報等も必要になりますし、組入れ進行が停滞してしまったときに、新たな患者さん、この場合、新規の患者さんという意味ばかりではなく、例えば最初に調査したときに症状が不安定等で組入れ基準を満たせなかった方でも、その後安定してきた等で組入れ基準を満たすようになった患者さん、そういった方もいるのではないかというところ等での情報のアップデート、最新情報等があるとありがたいのかと思っております。
あと、先ほどのように有害事象発生時に原疾患による自然歴データ、こういったものについても欲しいと思っております。
できればというところですけれども、自然歴データを対照群あるいは対照群が十分な数得られない場合が多いでしょうから、そういったときの補強データとして使えるとありがたいと思っております。
次のスライドをお願いいたします。難病や小児の慢性疾患等で希少疾患に近いものの場合、特に重要なのかと思っているところがこちらでございます。すなわち、治験という場合、限られた患者さんを対象にしてデータを集計いたします。しかも、組入れが難しい患者さんの場合、治験に参加していただける患者さん、これを順番に組み入れていく必要があります。しかしながら、それらの患者さんが疾患全体の中でどのような位置づけの患者さんなのかというところ、これについては常に見ていかないといけないのではないかと思っております。従来、これは文献情報などをやっていたわけですけれども、難病・希少疾患等では病態の進行等について十分な解析が行われていない場合のほうが多いのではないかと思っております。そういったときに、治験で入ってきた患者さんが患者さん全体の群の中でどのような位置づけになるか、木を見て森を見ずとならないようにしたいということの中で、個別の例を見ている治験とそのときにデータベースで網羅的に収集したデータを参照できるところは、非常にありがたいことと思っております。こういったことを医師主導治験等、MDの先生方ですと先生方の中のネットワークで情報交換しながら全体像をつかんでいるわけですけれども、企業としては直接そういった患者さんや幅広い先生方への接触がなかなか難しいところもあり、データベースから患者の全体像を把握し、それをもって治験を進められるようになるといいのかと思っております。
次のスライドをお願いいたします。先ほど具体的な例としてというところで、こんな場面でというところを赤矢印にさせていただいたのですけれども、これを見ていただければ分かりますように、欲しい疾患というところ、疾患スコア等の経時変化とともに、患者さんがどこにいらっしゃるのかといった情報、どこの施設で診ていただいているのかという情報、これらも結構治験を進めていく上では重要になっているかと思っております。
それとともに、下の欄外に書いてあるところですけれども、希少疾患等ではごく少数例での臨床試験についても考えなければいけないところがあるかと思っております。そういった意味でも疾患に関する背景情報や経時変化等のデータが充実してくださることを希望しております。
ということで、最後のスライドをお願いいたします。改めて言うまでもないことですが、疾患を知ることが、治療法開発、医薬品開発の第一歩ということで、直接患者さんに接することができない製薬企業としては、こういったデータベースにある疾患データを通じて幅広い患者さんの状況を知ることができるようになることが、治療法開発を具体的に考える上で非常に重要なポイントになるかと思っております。そして、どのようなデータがというところでは、効率的に医薬品開発を進める上では多くの情報が必要であることは確かなのですが、その上で臨床試験計画等を立案する際には、疾患のスコアあるいはその経時変化等の疾患に関する情報が非常に重要になりますけれども、効率的な臨床試験の推進というところでは、被験者へのアクセスにつながる情報も大きなポイントになるというところで、ここについてもこういったデータが活用できるとありがたいと思っております。
私からの意見としては以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
続きまして、福島参考人にお願いできますでしょうか。
○福島参考人 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。本日はこのような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
私からは小児慢性特定疾病を中心に患者・家族の視点から意見を申し述べたいと思います。
総論としては、個人情報保護に十分に配慮することを条件に、治療、治療薬の開発などの研究に結びつく小児期から成人期までの一気通貫した役に立つデータベースの構築とその運用が必要だと思っております。これに関して、各論として5つほどの視点から申し述べたいと思います。
1点目は、個人情報保護についてでございます。希少な疾病や遺伝性の疾病も多いため、氏名や住所を削除した情報でも個人を特定されてしまう可能性、危険性を鑑みて、個人情報保護においては情報の漏えい防止策や不正に利用した場合の罰則規定の整備など、現行のNDBなどよりもさらに慎重かつ厳重な安全管理措置を講じていただきたいと思っております。
2点目は、トランジション問題です。患者の状況に応じた経年的な自然経過や疾病の小児期と成人期の病態の変化を解析するなど、小児期から成人期までの一気通貫した役に立つデータベースの構築のためには、いわゆる小児慢性特定疾病の二十歳以降の問題の解決が不可欠だということを改めて強調しておきたいと思います。あわせて技術的な話になりますけれども、小児慢性特定疾病の医療意見書と指定難病の臨床調査個人票の記載内容についての様式のすり合わせあるいは統一化などが必要だとも思います。
3点目は、悉皆性のあるデータ構築を目指してということです。全ての小慢患者を研究登録の対象とするために、小児慢性特定疾病の疾病の状態の程度を満たさない、あるいは他の公費負担医療制度を利用している小慢患者をデータベース登録の対象とするための方策を目指していただきたいと思っております。そのためには、提出書類の軽減あるいは申請頻度の再考など、申請者の負担軽減に係る手続の簡素化を図っていただきたいと思います。
4点目は、申請者にも利便性のある医療DX化を進めていただきたいということです。申請窓口に足を運ばなくても申請者または場合によっては申請者の代行として医療機関がオンライン申請できるように、申請者が利便性を実感できる医療DX化も選択できるとよいと考えております。
最後の5点目は、データ提供の同意についてでございます。保護者の書面による同意によって既に登録済みのデータについて、当該小慢患者が成人に達したときに、本人による再同意取得の必要性あるいは同意の撤回についてどう考えるのかというのもぜひ検討をしていく必要があるのではないかと思います。一方、登録した患者本人への直接的なメリットはなくても、同病者や将来の患者に対して役に立つ、あるいは社会貢献できる役割が果たせる可能性があることも、きちんと啓発していくことが大事だと思っております。
今日は資料5を用意させていただきました。これは日付を見ていただきますとおわかりのように2021年6月ということでございますので、ちょうどいわゆる5年後の見直しの検討の渦中に親の会の皆さんと一緒にまとめたものでございます。今回の部分に関連するものとして、2項目めの1、2、4項目めの1と2がございます。こちらも併せて御参照いただければと思います。
私からの意見は以上でございます。どうもありがとうございました。
○山本座長 どうもありがとうございました。
引き続いて、森参考人、お願いできますでしょうか。
○森参考人 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私どもは様々な疾病や各地域の患者団体が加盟する難病の患者・家族の中央組織です。患者の立場から発言させていただきます。
難病は大変希少な疾病が多く、実態把握も難しく、各地での難病対策も、また、病気の解明や創薬の開発等の研究も大変難しい状況であろうと思います。十分な人材も、そして、予算も確保いただき、次期難病・小慢データベースが法定化され、データ利活用による成果が出ることを大いに期待しています。
安心して個人データを提供できる運用体制の整備を望みます。管理措置はもちろんのこと、個人情報漏えい、拡散が起こらない、不正が起こらないと、データを提供する私たちが安心できるように示していただきたいです。まず、人的ミスを防止する仕組みがあること、昨年、個人情報が含まれたまま研究者に提供されるという事態が起こり、私たちは起こるはずがないと思っていただけに、大変ショックを受けました。人的ミスということでしたが、その後、十分な対策はできたのでしょうか。人的ミスは個人が気をつければよいということだけではありません。ミスが起こらないシステムとミスを起こさせない環境になっていること、いわゆるポカヨケになっているのか、検討が必要と思います。さらに、悪意のある行為、不正を抑制する仕組みとして、罰則規定などがあることも必要と思います。安心できる法整備がなされ、具体的な対策が取られることを望みます。データを利活用する際も同様に、厳重に取り扱われること、そのためにもそれらが広く十分に周知、理解されることも必要です。
他の公的データベースとの連結解析とありますが、これはどのようなものなのでしょうか。データの連結により情報量も増え、詳しい解析ができるようになることは想像できます。しかし、今、私たちが暮らしているこの社会は、まだまだ難病への誤解や偏見、差別もあり、生きにくい状況があり、難病であることを隠さなくては生きていけない患者・家族もいます。どのデータがどのように連結されるのか、具体的に理解できないと不安です。データ登録に同意することと暮らしの中で偏見や差別が起こっているところは別物ではありますが、不安になることは極力取り除き、患者が悩まず登録しようと思える状況をつくっていただきたいです。
第三者提供先に製薬企業等にも提供可能となること、医療・福祉の分野の研究開発等に利用可能とすることには賛成です。難病についてより理解され、現状が改善される成果が上がることに期待しています。
データ提供先の選定については、患者が安心していられるよう、適切にデータが利活用されるよう厳格な審査を行ってください。
現状のデータ登録の説明についても、患者に直接説明は行われておらず、説明同意文書は文字も細かく分かりにくいです。改善の必要があるのではないでしょうか。分かりやすく理解が促進できるための説明資料、例えばパンフレットや動画などで補完できるといいと思います。匿名データではありますが、そこを出発点として、特に第三者提供により、臨床研究等への実施へとつながり、主治医を介して説明され、再同意を求められる可能性もある、匿名データはその入り口のデータ提供にもなるものであることも、患者に分かりやすく伝えておく必要があるのではないでしょうか。そのことは悪いことでもないので、この難病・小慢データベースがどのような可能性を持っているものなのか、患者・家族にとっての全体像を分かりやすく示していただきたいです。
研究成果等の公表については、データ提供先や利用目的、成果などの情報公開は、患者にも分かりやすい方法で公表し、広く情報共有が促進されることを望みます。現状、どこに公表されているのか見つけにくいです。同意したものがどのように使われているのか、役立っているのかを知ることは、登録しようとするデータ収集の促進につながるはずです。軽症のデータも登録できるようになり、さらにデータを集めることが重要であり必要としていることを研究成果等と一緒にもっと啓発することで、難病・小慢対策、そして、研究が促進されることを願っています。
以上です。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。
引き続きまして、山田参考人、お願いできますでしょうか。
○山田参考人 よろしくお願いいたします。日本バイオテク協議会の山田でございます。
難病・小慢データベースのデータ活用に関しまして、意見を述べさせていただきます。
資料2のスライド20ページに取りまとめられているとおりでございますが、難病・小児慢性疾病データベースの第三者活用は、私どもベンチャー企業にとっては大変メリットがございます。大変ありがたい次第でございます。特にベンチャー企業は大手企業の手がけない患者数の少ない疾病、希少疾病用治療薬の開発を手がけることが多いわけでございますが、情報が少なく、開発に苦労することも多々ございます。このようなデータベースを活用できることは大変ありがたい次第でございます。
具体的には、対象となる患者数や、どの施設にどれくらいの患者さんがいるかなどの情報、患者さんの経年的な変化の情報、対象患者さんの少ない疾患に対する治療薬の開発には特に有用と考えてございます。また、ベンチャー企業が利用する際には、なるべく負担の少ない費用で利用できることも大変私どもにとってはありがたい次第でございます。
一方、治療薬開発のためのデータとして活用するためには、データの信頼性構築が必要になります。信頼性の高いデータベースを引き続き構築していただきたいと思っております。
また、私どもの申請等に関わりますPMDAも、このようなリアルワールドデータを活用した開発を積極的に認めていただきたいと存じます。
また、データベース連携のお話がございましたが、学会や患者会などで運営しているデータベースにつきましても、連携あるいは統合されるとさらに多くの情報が得られ、さらに使いやすくなるのではないかと思料いたします。
複数のデータベース統合には時間がかかると思いますが、データ入力のルールを統一化することで、統合がさらに促進されると考えてございます。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○山本座長 どうもありがとうございました。
最後に、渡邉参考人、お願いできますでしょうか。
○渡邉参考人 よろしくお願いします。
初めに、このような発言の機会をいただき、ありがとうございました。
私自身は臨床薬理学を専門として、臨床試験を通じた医薬品開発、創薬に関わってまいりました。また、同時に、循環器内科医として20年以上マルファン症候群あるいは肺動脈性肺高血圧症といった患者さんの診療を行っておりまして、毎年何例か臨床調査個人票を作成してきました。先ほど申請者の方々から非常に時間がかかる、手間暇をかけて臨床調査個人票を申請するということを伺いましたが、医師にとってもこの臨床調査個人票の作成には、かなり時間をかけて対応しております。今回そのように時間や労力をかけ作成された臨床調査個人票のデータが臨床研究あるいは企業治験も含んで活用の道が開かれてきたこと、大変歓迎しております。
それでは「アカデミアにとっての難病・小慢DBの研究利用の有用性」について、少しお話しさせていただきます。
次のスライドをお願いします。ありがとうございます。これは臨床研究におけるレジストリデータの活用法ということで、難病・小慢データベースに限らず一般的なレジストリデータの活用方法についてお示ししたものです。レジストリデータにより、患者さんの病状や診療実態の把握などベースラインのデータを提供することが可能となります。また、そのデータにイベント、例えば最も信頼性の高いハードエンドポイントである死亡といったデータも捕捉されるならば、予後予測も可能になります。オールジャパンのレジストリならば日本全体の患者数や都道府県分布の把握も可能になり、このデータを基にして臨床試験を行う際のサンプルサイズあるいは実施可能性も検討することが可能になろうと思いますし、臨床試験を行う際の施設候補選定の資料ともなります。希少疾病の場合には患者さんの数が非常に少ないということで、被験者の方々の組入れにも苦労しますが、そのレジストリ自身が臨床研究参加候補者パネルを形成するという可能性も期待されます。もちろんその場合には主治医の方を通じて研究参加の要請というもう一つのハードルがありますが、それが可能ならば、レジストリ参加者が、臨床研究の参加者候補になっていただける可能性があると思います。また、臨床試験と同等の品質のデータが確保できるならば、レジストリが臨床試験の対照群を形成することも期待されます。
次のスライドをお願いします。レジストリからのデータは広い意味でのリアルワールドデータとなるわけですけれども、そのようなリアルワールドデータを臨床研究に使用する際の一般的な留意点として現在考えられているのは、まず、それがどのようなリアルワールドデータであるか、そこに集められたデータの質はどの程度のものか、また、そもそもリアルワールドデータをどのような目的で利用したいのかという点で、これらは必ず検討しなければなりません。難病のデータベースあるいは小慢のデータベースについては、臨床研究を最初から計画したわけではなく、実際には医療費助成ということを目的としていることを認識すべきであろうと思います。また、当然のことですが、システムバリデーションやセキュリティーの対策、対象者からのインフォームド・コンセントの取得、個人情報保護の対策といったことも、今後の重要な課題です。
スライド下部に「リアルワールドデータを承認申請時に活用するための3つの要件と7つの提案」と題した、製薬協の医薬品評価委員会から提出された資料を引用いたします。これはリアルワールドデータを二次利用する場合と臨床試験データの主な相違点を示したものです。まず、データ利用に関する患者さんの同意については、リアルワールドデータの場合には二次利用の同意は必ずしも得られていない。一方、臨床試験データの場合には文書同意を得ている。データベースの構造も、リアルワールドデータの場合は標準的なものがない場合が多く、また、保有するデータ項目の種類や粒度も様々である。一方、臨床試験データの場合には、多くはCDISC標準に準拠しています。また、データベースの保有者は、リアルワールドデータの場合には民間事業者やアカデミアなど、臨床試験データは臨床試験のスポンサーがそれを保有しています。また、非常に重要な点ですが、臨床試験データはデータクリーニングが実施されていますが、リアルワールドデータの場合には通常実施されておりません。
これが最後のスライドになります。難病・小慢データベースの臨床研究における活用法を整理してみますと、ベースラインデータの提供、病状や診療実態の把握、これらに関しては有用なデータが提供可能だと思います。一方で、先ほど申し上げたように、ハードエンドポイントである死亡などのイベントデータまでしっかり捕捉できているかということになると、まだ不十分な点があるのではないでしょうか。
また、患者数や都道府県分布の把握、サンプルサイズや実施可能性の検討、施設候補選定の資料などについては、十分現状で対応可能であろうと思います。
臨床研究参加候補者パネル、主治医を通じた研究参加要請、これも対象者からのインフォームド・コンセントの取得、個人情報保護の対策などがしっかり成されれば現在のデータベースで可能になろうと考えています。
一方、最後に挙げた臨床研究の対照群を形成する点については、そもそも難病・小慢データベースにおけるデータの質が臨床研究の基準で得られているわけではないので、まだ少しハードルが高いのではないかと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○山本座長 どうもありがとうございました。
それでは、事務局からの資料2の御説明と参考人の御意見等も踏まえまして、構成員の皆様方から御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
日本医師会の渡辺先生、どうぞ。
○渡辺構成員 日本医師会の渡辺でございます。
森幸子参考人の御意見に関してコメントを述べたいと思います。匿名化して二次利用することに対して、法的にはあまり縛りがないということは、実際にはそうなると思うのですけれども、利用される側の立場の患者さん方の理解というのは、今回のデータベースの利活用にも必要なことではないかと思います。どうしても医療者側か研究者側が説明文をつくるときは、これで分かるだろうというような感覚になりがちだと思うのですけれども、必要なことは、利用される患者さんがそれを理解されることではないかと思います。うまくつくっていただいているようであっても患者さんが理解されない場合は、医療者が患者さんを診るときの視点と同じことで、説明をしたと思っても理解されていなければ、説明方針を変えるか、もしくは違う表現で説明していくことが一般的でございますので、今の森参考人の御意見が、現状では分かりにくいということを事務局は考慮していただいて、どうすれば分かりやすいかというように検討していただく視点があればいいかと思いました。
私からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
神里先生、どうぞ。
○神里構成員 神里です。
事務局にお伺いなのですけれども、資料2の8ページに臨個票の研究利用に関する説明資料というものを掲載していただいております。この説明文書自体もそんなに詳しいものではないのですけれども、小慢に関してはどのようになっていますでしょうか。これよりももっと短いものになっているものと認識しているのですけれども、その状況について教えていただけますでしょうか。
○山本座長 事務局、いかがでしょうか。
○神田課長補佐 難病対策課でございます。
基本的には国からは同じ様式で示しているものと認識をしております。自治体さんの中で少しそれを加工されたりしているケースはあるかもしれないのですけれども、基本的には同じベースで作成をさせていただいていたかと思っております。
○神里構成員 分かりました。それならばいいのですけれども、自治体の様式を見ますと、認定申請書兼同意書というものの中に医療意見書の取扱い及び研究利用についてということで本当に短い文章が入っているのですけれども、それだけだとかなり不十分だと思ってお伺いした次第です。ありがとうございます。
コメントになりますけれども、先ほどの福島様、森様からの説明文書、そして、患者様への御説明と普及啓発、こういうことをやっているということ、それについては現在のところ足りていないように思います。特に福島様がおっしゃっていたように、小慢に関しては、小児期の同意は親御さんからお取りになっていて、そして、その方たちが成人になった後の再同意についてはこれまで検討をきちんとしていなかったと思いますので、その取扱いについて、そして、その再同意をするに当たっても、急にそういう話を出すということではなくて、お子様のときからこういうことでみんな協力しているのだよということで、お伝えを子供たちにも分かりやすくしていくことは重要ではないかと思います。
以上、コメントです。
○山本座長 ありがとうございました。非常に大事な意見だと思います。
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
山野先生、どうぞ。
○山野構成員 山野です。
本日患者会の方々から御発言があった点は、この事業を成功させるためにはまさしく的を射た御意見の部分であったと思っております。このデータベースの利活用を企業等へ活用を広げていくという方向性は、患者さん方が一番求めている創薬の推進に必ず役立つというのは間違いないと、おそらく患者さん方も理解されておられると確信しております。それを前に進めていくことは非常に重要なことでありますので、それをどう患者さん方の御理解をしっかりと得た、あるいは安心して活用できるような形で進めていけるかが、この有識者会議からしっかりと提言すべき内容なのかと改めて感じております。
特にデータがどのように活用されて、そういう個人情報がどのようにして守られるのかをしっかりと丁寧に説明できるような資料を公開していくあるいは理解をちゃんと得ていくこと、この事業自体あるいは同意の部分も含めて患者さん方に理解を普及していくようなウェブサイト等でのそういう活動をちゃんとやっていくことは、この事業を前に進めていく上では重要なのかと改めて思っております。
以上です。どうもありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。
説明、それから、御理解をいただくことは非常に大事ですけれども、その一方で、その前提として、このデータベースの利活用が本当に個人情報をしっかり保護した上でかつ安全にできるのだという、つまり、利用する側の出口の問題ですね。これもしっかりつくっていかないと、何もかも理解できるわけではないと思うのです。ですから、それをしっかりつくっていく必要があるのだろうと思います。
ほか、御意見はいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
後でまた全体で御意見いただいても結構ですので、それでは、論点の整理ということで、資料3について事務局から説明をお願いいたします。
○横田課長補佐 事務局です。
資料3を説明させていただきます。「主な論点と対応の方向性(案)について」という題名の資料でございます。
次のページ、1ページでございますけれども、法施行に向けた検討における基本的な方向性、そこを確認したいということでこのスライドを作成しているところでございます。現状・経緯のところでございまして、1つ目の○でございます。冒頭、御説明さしあげましたが、現行の難病DB・小慢DBについては予算事業により実施しておりまして、第三者提供する場合、あらかじめワーキンググループにおいてガイドラインに基づいて審査を行った上で提供しているというのが現状でございます。2つ目の○でございますが、先ほど資料2で御説明さしあげましたが、「難病・小慢対策の見直しに関する意見書」が厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会でまとめられているところでございまして、その中においては、難病DB・小慢DBについて法律上の規定を整備した上で、既に法律上の規定が設けられているNDB等のルールを参考にして、所要の措置を講ずべきである、また、2ポツ目でございますが、他のNDB等の公的データベースの取扱いや、より良い医療を患者に提供する、そういった観点から、難病DB・小慢DBについても民間事業者を含む幅広い主体へのデータ提供を認めていく、その上で、適切にデータの利活用がされるように個々の事案ごとに審査会でデータの可否等を判断していく、そういったことが提言されていて、来年の4月から施行されていく、そういった流れでございます。
下のところでございますが、検討における基本的な方向性のところでございまして、今、述べさせていただいた法律の施行に向けては、政省令、また、第三者提供の手続等に関するガイドライン、それを策定することが必要でございますが、その政省令、ガイドラインの検討の基本的方向性としましては、今、御説明さしあげましたが、意見書の内容を踏まえつつ、現行の難病DB・小慢DBの運用をベースとしつつも、NDBの規定・運用を参考として検討をしていくということでどうかと考えているところでございます。
2ページ、3ページが、各改正法の内容と論点をまとめたものでございまして、2ページに行っていただきまして、大きな項目の1つ目「データベースへの情報の格納」というところでございます。都道府県は、法律上でございますが、難病患者等への同意を得た上で難病の病名等のデータを厚労大臣に対して提供しなければならないと法律上規定が設けられているところでございまして、そこにおいては、論点としましては、格納されるデータはどういうものなのか、同意取得の方法はどうするのか、また、大臣に対して都道府県が提供する際の手続はどうするのか、そういったことが論点としてあります。
2ページの2の真ん中ら辺で「匿名データの第三者提供」というところでございます。厚労大臣は、難病DB・小慢DBの情報については匿名加工を行って、個人が識別できないようにした上で、公益性を有すると認められる第三者に提供することができるという法律の規定となっているところでございます。この法施行に当たって検討すべき論点としましては、匿名加工の基準をどうするのか、データ提供の手続をどうするのかというのが論点2として記載しているところでございまして、論点3に行っていただきますと、匿名データの第三者提供先となる民間企業の範囲はどうするのか、また、活用できる業務の範囲はどうするのか、そういったことが論点としてあります。一番下でございますが、難病DB・小慢DBの匿名データにつきまして、他のNDB等の公的データベースと連結して提供することができるようになった、それが法律上設けられたところでございますが、どういった情報と連結できるようにするのかが論点としてあります。
3ページに行っていただきまして、続きでございますが、法律上、厚労大臣は、難病や小慢の治療方法などの調査・研究や匿名データの利用・提供に関する事務を委託することができるという規定がございまして、省令におきまして、委託先の範囲を決めなければなりません。それを論点として記載しているところでございます。次のところでございますが、法律上、難病DB・小慢DBの匿名データの提供に関しては、厚生科学審議会、社会保障審議会の意見をあらかじめ聴くという法律の規定が設けられておりますので、審議会のどの場で検討するのか、それを論点の6として記載しているところでございます。
3ページ、真ん中でございます。3つ目の柱でございますが、「匿名データ利用者の義務」として、安全管理措置を講ずることを義務づけられておりますので、その具体的な中身は省令で規定することになっているところでございます。それが論点7として記載しているところでございます。一番下でございます匿名データの利用者は手数料を納めると法律上なっておりますから、その手数料の設定の方法をどう考えるのかなどを論点8として記載したところでございます。
今、ざっと法律上の規定と論点を述べさせていただきましたが、各論として4ページ以降、簡単に御説明させていただきたいと思っているところでございます。
では、4ページに入らせていただきます。論点の1つ目、データベースに格納する情報ということでございまして、法改正によって難病患者等の同意を得た上でデータを厚労大臣に対して県は提出する、そういったことになりますが、上から2行目でございます。1難病DB・小慢DBに格納される情報は、現行のDBと同じように、臨個票や医療意見書に記載された情報としてはどうかということです。また、○の2つ目でございますが、2として、研究利用に関する本人の同意は、現行のDBと同様に、本人同意を取得し、症状の状況から見て同意を得ることが難しい場合は、保護者などからの同意でも可能とし、ただ、同意を得る方法は書面ということで、現行のDBと同じようにやっていきたいということでどうかということです。また、さらに3でございますが、県から大臣への提出方法、現行DBと同じように、オンラインや書面などによることとしてはどうかということで提案したいと思っております。真ん中には改正法の条文、また、下のほうには、令和3年7月に厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会において取りまとまった意見書の該当部分を抜粋しているところでございます。
5ページに行っていただきまして、現状はどうなっているのかを記載したところでございます。1つ目の○でございますが、現行の難病DB・小慢DBの運用につきましては、1格納される情報は臨個票・医療意見書に記載された項目としていること、2研究利用に関する同意は本人の同意を取得し、難しい場合には本人に代わって代理人が同意できることとしておりますが、基本は書面で同意を得る、そこで本人の理解を得るということで今、運用しているところでございます。3臨個票・医療意見書を複写したものを県は郵便等で厚労大臣、厚労省ですね。その委託先に送付するということが手続としてなっておりまして、また、その部分につきましては、下の2つ目の○でございますが、今年の10月から自治体は厚労省に対してはオンラインで提出することが可能という運用としているところでございます。
その対応の方向性としましては、5ページの下の部分でございますが、こういった現状や意見書を踏まえた上で、1格納される情報については、現行と同様に、臨個票・医療意見書に記載された情報、2研究利用に関する同意につきましては、本人の同意を取得し、難しい場合には保護者等から同意を得る、その上で、同意を得る方法は書面とする、3県から厚労大臣への提出方法は、オンライン等にしてはどうかということを提案させていただきます。この同意の取得の方法につきましては、今、専門家の皆様、参考人の皆様から御意見をいただいたことがございますので、同意の取り方についてはまた御意見をいただきたいと思っております。
6ページ、論点2でございます。匿名データの提供手続については、上の箱の○の1つ目でございますが、第三者提供する場合には、匿名加工基準をどうするのかというところがございますので、NDBにおいては、省令において本人を識別することができる記載を削除することになっておりますが、それと同じにしたらどうか。また、2匿名データの提供手続は、現行のDBでも手続を定めていますし、NDBにおいても定めておりますから、そういったところと同じように、つまり、氏名、住所、利用目的、そういった必要なことを記載したものを提出し、厚労省において審査する、その上で審査会において議論していく、そういった手続としてはどうかということを考えているところでございます。真ん中のところが法律上の規定でございます。省令で定めるということになっているところでございまして、下のところが意見書の抜粋でございます。下線を引いておりますが、既に法律上の規定が設けられているNDB等のルールを参考として所要の措置を講じるべきでありますとか、適切にデータが利活用されるようということが指摘されているところでございます。
7ページに行っていただきまして、冒頭でございます。1匿名加工の基準をどうするかというところでございます。現状におきましては、○の1つ目、今のところにおきましては、研究利用に関する情報は残した上で、氏名、住所など直接個人が特定されるような情報を削除した上で提供しているという運用をしているところでございます。また、○の2つ目でございます。NDBにおいては、下の箱で具体例を書いておりますが、高確法に基づく省令において匿名加工に関する基準を規定しているところでございます。
こういった現状を踏まえた上で、一番下、対応の方向性の案でございますが、難病・小慢DBの匿名加工の基準は、こういう意見書やNDBにおける運用を踏まえた上で、NDBと同内容を規定するとしてはどうかと考えているところでございます。
8ページに行っていただきまして、2匿名データの提供手続をどのようにするのかというところでございます。現状におきましては、○の1つ目でございます。ガイドラインに基づいて1必要な事項を記載した上での提供申出書を提出いただいて、研究計画書の写し等の必要書類を添付して提供の申請を行う、2本人確認を行った上で、3申請が適当と認める場合には承諾通知を行う等々の手続を定めているところでございます。下の○でございますが、NDBにおいては、高確法の省令において第三者提供に必要な手続を定めております。
詳細な内容はガイドラインに規定しておりまして、具体的には9ページに行っていただきます。こちらが省令においてNDBで規定している内容でございます。例えば一番上の○でございますが、提供申請者が公的機関の場合においては、機関の名称や担当部局、そういったことを記載してくださいということを省令で規定しているところでございます。
一番下でございますが、対応の方向性の案というところでございまして、難病DB・小慢DBの匿名データの提供手続については、こういった現状でありますとか、この意見書、また、NDBにおける運用を踏まえた上で、省令においてNDBと同様の内容を規定した上で、具体的な内容はガイドラインにおいて規定することとしてはどうかということを記載しているところでございます。
10ページに行っていただきまして、論点3でございます。匿名データの提供先の範囲というところでございます。1つ目の○でございます。法改正によって民間企業等に対しても提供できるようになるということ、また、業務についても法令上定められているところでございます。その中で、4行目でございます1民間事業者の範囲等については、NDBを参考にして、民間事業者または補助金を充てて相当の公益性を有する業務を行う個人であって、統計法などの関連法令に違反した者は除いていく、そういったことでどうかということで考えているところでございます。2としましては、民間事業者等が活用できる業務の範囲は、法律上例示がありますが、難病・小慢患者に対する医療・福祉分野の研究に資する分析など相当の公益性を有する業務が法律上規定されておりますから、そういったところとしてはどうかということでございます。下のところが法律の条文でございます。
11ページに行っていただきまして、冒頭が附帯決議でございます。真ん中以下が意見書の内容でございまして、下線等を引いてございますが、NDB等のルールを参考にして、でありますとか、一番下の○でございますが、NDBや介護DBについては、相当の公益性を有する研究等を行う自治体・研究者・民間企業等の幅広い主体に対して提供することができることが法律上明確化されているところでございまして、一番下のパラでございますが、他の公的DBの取扱いや、よりよい医療を患者に提供する、そういった観点から、難病DB・小慢DBについても、民間企業を含む幅広い主体へのデータ提供を認めていく、そういったことを意見書として記載しているところでございます。
12ページに行っていただきまして、製薬協で今年まとめられた提案におきましても、このDBに対する期待を述べていただいているところでございます。
13ページに行っていただきまして、民間企業等の範囲をどうするのかというところが論点としてございます。まずは現状の整理でございますが、1つ目の○でございます。現在のDBにおいては、ガイドラインにおいてデータ提供先の範囲について規定しております。そこは厚労省などがございますが、そういった主体以外としては、厚労省または文科省が補助を行う研究事業に対して提供できますが、法令や契約違反によって提供禁止措置等が取られている場合は提供を行わないという運用をしているところでございます。また、○の2つ目でございますが、NDBにおいては、省令において民間事業者または補助金等を充てて相当の公益性を有すると認められる業務を行う個人であって、高確法や統計法などの法令に違反をした者などに該当しない者を提供主体として定めているところでございます。
こういった状況を踏まえまして、13ページの下のところでございますが、対応の方向性の案としまして、DBの匿名データの第三者提供先となる民間企業の範囲につきましては、現行のDBやこの意見書、またはNDBを踏まえまして、NDBと同内容を規定するとしてはどうかと考えているところでございます。
14ページに行っていただきます。見出しとしましては、民間事業者が活用できる業務の範囲はどうするのかというところでございます。現状の整理をさせていただきますと、1つ目の○でございますが、現在におきましては、ガイドラインにおいて、データ提供先で行われる業務について、2のところ、下線を引いておりますが、研究成果を広く一般に公表することを目的として、難病患者等のデータを用いて研究を行う場合や、臨床研究等の実施に関して患者に協力を求める場合について、法令違反等により禁止措置が取られている場合を除いた上で提供している、そういった実態がございます。また、2つ目の○でございますが、NDBにおきましては、省令において民間企業等が行う業務については、特定の商品や役務の広告・宣伝等に利用する場合を除いた上で、例えば医療分野の研究開発に資する分析、これは法令上、民間企業等の業務として例示されている業務であります。または地方公共団体ができる業務でありますとか、そういった公益性が高い業務として法律上列挙されている業務について認めている。その上で、相当の公益性を有すると認められる要件としましては、例えばそういうデータの提供が直接の利用目的になっていますとか、ちゃんとNDBを利用した業務の成果が公表されたりとか、そういった要件を課した上で提供している状況でございます。
今、述べさせていただいたものをまとめたものが、15ページでございます。一番左、NDBが認めている業務の範囲と法律上の規定、これと難病法、小慢の関係で児童福祉法でございますが、法律上、公益性が高いと認められている業務を列挙した資料でございます。
こういったことを踏まえまして、16ページでございますが、その業務の範囲につきましては、現行のDBでありますとか、こういったNDBの取扱いを踏まえまして、1省令において、相当の公益性を有すると認められる業務として法律上記載されている業務または国が行う匿名データの利用・提供の目的に資する業務であって、それが例えば直接の目的でありますとか、そういった公益性を有すると認められる要件を満たすもの、そういったところを規定したいと考えております。その上で、ガイドラインにおいて具体的な例示などを含めて規定してはどうかということを、対応の方向性の案として記載しています。
下のところは、NDBガイドラインにおいてこういった具体的な例示を記載しております。例えば製薬企業をはじめとする民間事業者等による医薬品安全性調査、市販後の有害事象のエビデンスの収集等の研究、こういった形で具体的にどういったことに活用できるのかをガイドラインにおいて規定しているところでございまして、今回の議論を踏まえまして、難病・小慢DBのガイドラインを次回以降議論していただきますが、同じように具体的に例示を書くことによって、こういった利活用を促進していったらどうかと考えているところでございます。
17ページ、論点4でございまして、連結可能なデータベースの範囲ということでございます。一番上の○でございますが、法改正によってNDB等の他のデータベースと連結することが可能とされましたが、令和6年4月から、つまり、来年の4月からはまずは難病DBは小慢DBと、小慢DBは難病DBと連結して提供できるようにした上で、他のNDB等の公的データベースとの連結解析につきましては、冒頭資料2で述べさせていただきました被保険者番号の履歴を活用した連結をするために、被保険者番号等の情報の格納などの準備状況を踏まえて今後検討していってはどうかということで考えているところでございます。真ん中が条文でございまして、一番下が意見書の内容でございます。意見書の一番下の○でございますが、技術的には他の公的データベースとの連結解析に当たっては、研究に必要な精度を保つ観点から確実性・正確性を確保することが重要であって、そのために個人単位化された被保険者番号の履歴を活用した連結をすべきだということで言われております。
18ページに行っていただきます。現状どうなっているのかというところでございます。1つ目の○でございますが、現行のDBのデータ提供においては、申請があれば難病・小慢、両者を連結して提供することが可能ということで運用しているところでございます。また、○の2つ目でございますが、現在難病DB・小慢DBには氏名や生年月日等は格納されていますが、これまで被保険者番号等の情報は格納されていなかったために、小慢については先月から、難病については来年4月から、被保険者番号等の情報を格納することができる、そういったデータベースの規格としているところでございます。そして、来年の4月以降、他のデータベースとの被保険者番号の履歴を活用した連結に向けて、社会保険診療報酬支払基金でありますとか、そういったところの履歴の名寄せのシステム、履歴照会・回答システムを活用した上で連結解析できるような準備をしていく、そういったことを考えているところでございます。
一番下でございまして、こういったことを踏まえまして、まずは連結の対象となる情報につきましては、現時点では被保険者番号等の情報が格納できておりませんから、まずは意見書などを踏まえた上で、来年4月からは、難病DBは小慢DBと、小慢DBは難病DBと連結して提供できる体制としてはどうかということでございます。その上で、NDB等の連結解析につきましては、被保険者番号等の履歴を活用した連結をするために、その準備状況、それを踏まえた上で連結をしていってはどうかということを提案したいと思っております。
19ページ、具体的に将来的にはNDBと連結解析した際にはどういったイメージで連結できるのかということで、イメージ図でございます。一番上はNDB等の入り方につきまして書いているところでございまして、一番下が難病DBの入り方、データの入り方を図示したものでございます。そこで被保険者番号等をそのまま研究者等に提供するのではなくて、匿名加工をした上で、ハッシュ化をした上で、本人が特定できない形で加工して、研究者に提供していく、そこで連結した上で、難病DBのデータとNDB等のデータを合わせた形で提供する、そういったことが将来的には考えられるところでございます。
20ページに行っていただきまして、論点の5でございます。匿名データの利用・提供等の事務の委託先でございます。法改正によって、難病や小慢の治療方法の調査・研究でありますとか、匿名データの利用・提供に係る事務については、基盤研や成育センターのほか、省令で定めるところに委託することができるとされたところでございます。そこにつきましては、現行DBやNDBを参考としつつ、支払基金、国保連、事務を適切に行える者としてはどうかということで、論点として記載しているところでございます。下の部分が改正条文でございまして、21ページに行っていただきまして、一番上が意見書の概要でございます。
21ページ、下の部分が現状を整理したものでございまして、1つ目の○でございますが、現行のDBについては、難病DBについては医薬基盤・健康・栄養研究所、小慢につきましては成育センターに管理・運営等を委託しておりまして、患者から登録されるデータの登録センターなどの事務につきましても委託しているところでございます。また、データ加工などにつきましては、民間企業の力を借りまして、今、運用しているところでございます。その下の○でございますが、小慢DBは今年の10月から、難病DBは来年の4月から、被保険者番号等の情報を格納するということで先ほど御説明させていただきました。今後連結するためには、支払基金等のシステムを活用する必要がございます。また、国が難病等の調査・研究につきましてもデータを適切に扱える者に対して委託して事業を実施していく、そういったことが想定されているところでございます。一番下の○でございます。NDBの取扱いにおきましては、そういった委託先においては、法令上、社会保険診療報酬支払基金または国保連を法律上委託できる先として規定しているところでございます。
22ページに行っていただきまして、現在の難病DB等のフロー図を図示したものでございます。
こういった現状を踏まえまして、22ページ、下のところでございますが、難病・小慢の調査・研究や匿名データの利用・提供に関する事務を委託できる者としては、現行の状況やNDBを踏まえまして、基盤研や成育のほか、支払基金や国保連合会、また、厚労大臣が事務を適切に行うことができると認めた者としてはどうかということを提案したいと思っているところでございます。
23ページに行っていただきまして、論点6でございます。匿名データの提供に関する意見聴取の場ということでございまして、一番上の箱でございますが、改正法におかれては、難病DB・小慢DBの匿名データの提供に関して、難病については厚生科学審議会、小慢におきましては社会保障審議会の意見をあらかじめ聴くことになっているところでございます。こちらについては、NDBと同様に、それぞれの部会に専門的な委員会を立ち上げてはどうかということを論点として提示しているところでございます。下に条文と意見書の概要を記載しているとこでございます。
次のページに行っていただきまして、24ページでございます。現状の整理は1つ目の○でございますが、現行のDBのデータ提供においては、厚生科学審議会、社会保障審議会の委員会の議論を踏まえて設置されたワーキンググループにおいて審査等をやっているというところでございます。2つ目の○でございますが、NDBにおいては、第三者提供の可否等については、専門的な観点から審査を行うために、社会保障審議会医療保険部会の下に匿名データの専門委員会を設置した上で、そのデータの利用目的や利用内容などについて厳正に審査した上で提供しているということでございます。
こういった状況を踏まえまして、24ページの真ん中でございますが、対応の方向性の案ということでございまして、難病DB・小慢DBの匿名データの第三者提供の可否等については、専門的な知見を有した者において議論することが重要でありますため、現行のDBの取扱いや意見書、NDBにおける取扱いを踏まえまして、厚生科学審議会、社会保障審議会に専門的な委員会を設置して審議してはどうかということを提案したいと思っているところでございます。
25ページに行っていただきまして、論点7でございます。安全管理措置の内容でございます。一番上の○でございますが、法改正によって、匿名データの利用者に対して安全管理措置を講ずることが義務づけられました。具体的な内容につきましては、省令などにおいてNDBにおいてはいろいろと記載しているところでございまして、現行のDBにおいてもガイドラインでいろいろと記載しているところでございます。そういった内容を踏まえまして、組織的な安全管理措置や人的な安全管理措置を規定してはどうかという論点を提示したいと思っております。真ん中が条文でございまして、一番下が意見書でございます。意見書の一番下の○でございますが、意見書におかれても、安全管理措置においては、現状はガイドラインに基づいて講じられているところでありますが、これを法令に基づくものとした上で、組織的な安全管理に関する措置、人的な安全管理に関する措置、物理的な安全管理に関する措置、技術的な安全管理に関する措置など、難病が対象に含まれることを留意した上で、しっかりと講じていくべきだ、そういった意見書がまとめられているところでございます。
26ページに行っていただきまして、一番上の○でございますが、現状のデータの整理でございます。ガイドラインにおいても、先ほど申し上げましたが、以下の点、つまり1から5まで例示しておりますが、そういった管理の方法として安全管理措置を定めているところでございます。2つ目の○でございますが、NDBにおいても省令において安全管理措置1から5を定めた上で、具体的な内容においてはガイドラインにおいて規定している、そういった内容でございます。
ですから、こういったことを踏まえまして、26ページの一番下でございますが、難病DB・小慢DBの匿名データの安全管理措置につきましては、こういった現状やNDBを踏まえた上で、省令においてまずはNDBと同じような規定をした上で、具体的な内容をガイドラインに規定していってはどうかということを提案したいと思っているところでございます。
27ページ、参考として、NDBにおいて省令で規定されている内容でございます。こういったそれぞれ5つの分野におきまして、詳細なことを省令でまず規定しているということがございます。
28ページ、最後の論点でございます。匿名データの提供に関する手数料のところでございます。改正法によって、利用者は実費相当の手数料を納めるという規定が設けられました。そこで、○の3行目でございます。手数料については、NDBの考え方と同様に、人件費等を踏まえた時間単位の金額に、作業に要した時間を乗じる、その下「また」というところがございますが、手数料の免除の対象ということで、NDBの考え方と同様に、国の行政機関等々は免除の対象とする、また、3でございますが、手数料納付手続もNDBと同様としてはどうか、そういった形で論点を記載しているところでございます。真ん中が条文でございまして、一番下が意見書でございます。
最後のスライドでございます。29ページでございますが、現状においては、1つ目の○現行のDBは申出者の範囲が厚労省など限定されていることもありまして、行政主導の下に公的に行われていることになって手数料を徴収していないという現状でございます。2つ目の○でございます。NDBの運用はどうなっているのかというところでございまして、1実費を勘案して定める手数料は、人件費等を踏まえた時間単位の金額に、作業に要した時間を乗じて得た額、2行政機関や地方公共団体等のそういったものであるほか、科研費等の補助の提供を受けて公益性のある調査研究事業を行う者、また、これらが共同して行う場合には手数料を免除している、3手数料の納付の手続は、提供申出者へのNDBデータの提供が承諾された後に手数料額等を納付する、そういう手続が省令または政令で定められているところでございます。
ですから、29ページの後半でございますが、こういったところにつきましては、現行の運用でありますとか、そういうNDBの運用を踏まえまして、以下としてはどうかということで記載しているところでございます。具体的には1手数料は、人件費等を踏まえた時間単位の金額に、作業に要した時間を乗じて得た額にしてはどうか、2国の行政機関や地方公共団体、科研費等の補助金の提供を受けて公益性のある調査研究事業を行う者のほか、これらの者が共同で行う場合には手数料は免除としてはどうか、3提供申出者への匿名データの提供が了承された後に手数料額等を納付する、そういった手続を定めてはどうかということを、対応の方向性の案として規定しているところでございます。
早口になりましたが、資料3の説明は以上となります。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
ただいま事務局から御説明いただきました論点整理に関しまして、御意見がありましたらよろしくお願いいたします。論点1から。
五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。
スライドの23ページでもよろしいでしょうか。
○山本座長 どうぞ。
○五十嵐構成員 データ提供についてです。既にナショナルデータベースの提供に関しては山本先生が中心の委員会で検討されています。23ページによると、難病と小慢それぞれ別々の判定の委員会をおつくりになると記載されています。難病と小慢はかなりオーバーラップする疾患もあります。難病と小慢とで認定の基準が異なっています。将来、同じ基準にする可能性はいかがでしょうか。これについてまず教えていただきたいと思います。
○山本座長 事務局からコメントはございますでしょうか。基本的にこれは合同委員会の形にしてやるのだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○横田課長補佐 この有識者会議の意見を踏まえまして、設置につきまして御了解を得られれば手続に入っていきたいと思っておりますが、24ページのスライドでございますけれども、法律上は厚生科学審議会、社会保障審議会は別々ということになっております。ただ、実際の運用上は、今の五十嵐構成員の意見もございますし、同様の基準、また、データの関連性もあることでございますから、設置した上で合同して委員会を運営していく、そういったことを現時点で事務局としては考えているところでございます。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。
もう一点なのですが、NDBのデータ利用について外資系の民間業者からの申請があったかどうかについて私はわかりませんが、外資系の民間事業者が希少疾患データベースを使いたいと申請があった場合、外資系ということで排除することはないわけですね。
○山本座長 ありがとうございます。
NDBは外資系の申請は既に結構届きます。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。例えば希少疾患の遺伝子治療を考えているような企業が日本のデータを欲しいといったときに、これを排除するものではないと理解してよろしいでしょうか。
○山本座長 事務局からコメントはございますか。
○神田課長補佐 そこも実はこれからガイドラインの中で決めていく部分になるかとは思うのですけれども、例えばNDBではデータの利用場所等は国内に限るということがガイドラインに書いておりますし、現行の難病データベースのガイドラインについても同じように記載をされております。それを踏襲すると、外資系であっても申請は可能ですけれども、利用場所は国内に限られることになるのかと考えております。
○五十嵐構成員 分かりました。ありがとうございます。
○山本座長 康永先生、どうぞ。
○康永構成員 東京大学の康永秀生と申します。
難病などのデータの提供は現状は研究者向けにされておりまして、非常に厳格な審査をしている状況で、例えば現状は研究者向けには厚労科研や文部科研など科研費を通っていることがありまして、要するに、研究の内容や公益性に関してはその辺りで一つ担保している、また、研究者は所属する研究機関に倫理申請をしてその承認を得ている、なおかつ、そこで審査会で厳格に審査をした上でようやくパスできる形で、今般、民間事業者に提供対象を広げるのは非常にいいことだと思うのですけれども、民間事業者だからといって審査を緩めることは決してないと思うのですね。ただ、民間事業者さんに科研費がどうとか、それは難しいと思いますから、結局内容については審査会において公益性などを実際上は審査しなければいけないという形になってくると思うのですが、そのような認識でよろしいでしょうか。
○山本座長 ありがとうございます。
そのような認識だと思いますけれども、事務局からコメントはございますでしょうか。
○横田課長補佐 ありがとうございます。
同じ認識でございまして、NDBなどと同じように、そういった形で審査会で厳正に審査していくということでございます。また、倫理審査委員会の話がございましたが、ガイドラインは次回以降議論させていただきたいと思っておりますが、現行のNDBのガイドラインを見ますれば、倫理審査委員会、民間企業であってもやっていただくということがございますから、補助金等はないところでございますが、倫理審査でありますとか、そういった面の書類をつけた上で申請いただくというのは現行NDBでやっておりますから、そういった要件につきましては、同じようにしていくのかということを今は事務局としては考えているところでございます。また次回以降議論いただければと思っております。
○康永構成員 分かりました。ありがとうございます。
○山本座長 ほか、御意見いかがでしょうか。
渡邉先生、どうぞ。
○渡邉参考人 参考人からでも意見をよろしいでしょうか。
○山本座長 結構です。
○渡邉参考人 ありがとうございます。
NDBと難病DBとの連結イメージということで、連結について少し伺いたいのですが、先ほどの意見陳述で、現状のデータベースではイベント、死亡記録などがしっかり捕捉されていないので、予後予測のデータベースとしては必ずしも十分ではないと申し上げました。難病でDBとNDBが連結することになると、そのような死亡といったアウトカムも捕捉される可能性があると考えてよろしいのでしょうか。
○山本座長 NDBはまだなのですけれども、間もなく死亡票情報等が入ってくることになっていますので、実際にこの難病・小慢のデータベースと突合する、実質的には再来年以降になると思うのですけれども、その時点では死亡情報とのリンクは可能になると思います。
○渡邉参考人 どうもありがとうございます。
○山本座長 事務局、それでよろしいですね。
○横田課長補佐 はい。同じような認識でございます。
○山本座長 山野先生、どうぞ。
○山野構成員 これは実際にデータを企業等にも提供するとなって、かなり広がりが出てくると思うのですけれども、そうなった場合に、かなり制御というのは、厳正な審査をするとはいえ、決して簡単ではないのではないかと想像しております。想定されます。ですから、あのような形で審査をして、どういう機関に提供というものがあったとしても、その情報を漏えいした場合の罰則はより明示していただいたほうがいいのかと思いますので、その罰則をしっかりと資料として御説明いただいたほうが、患者さん方も御安心するのかと思っております。
また、実際にデータを提供する限りはリスクが常につきまとうと思いますので、どれだけ審査をしたとしても、その情報、データは独り歩きしてしまうところがあるので、今、難病全ゲノム等の事業などでは解析基盤を準備して、外部からアクセスして、そこの上で解析して、統計情報しか見られないという形で、あくまでも患者さんのデータは渡さないという仕組みを、ゲノミクスイングランドもそうだと思うのですけれども、そういう形を取っているので、将来的にもちろん金銭的な部分もあるのでしょうけれども、今の医療DXの推進で日本が本当にアクセスしやすいデータ、これの利活用をより推進していく意味でも、毎回審査もかなり時間がかかって、皆さんの御都合もそろえるのが大変で、それが膨大になったときに果たして現実的かということを考えたりもすると、そういう解析基盤等を準備していくのがこの利活用を進めていく上では重要だろうと。
例えば企業などですと、恐らくあまりサイエンティフィックなことをこの情報に求めるというよりは、先ほどのああいう外国のベンチャー企業などだと、本当に日本で治験できるのかぐらいのこととか、どれぐらいの患者がいて、どこにいて、適格基準、除外基準に当たるような患者さんが何人ぐらいいるのかというサーチに使うのが主な目的になるのではないかと思いますので、疾患のサイエンティフィックな観点で今は難病の情報の審査、データベースの利活用の審査をしていると思うのですけれども、あまりそういうものを取り入れ過ぎると創薬が進まないのではないかと思いますので、そういうことも気軽にできるような仕組みをどうつくっていくのかが非常に重要なのではないかと思っております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
これは現状、事務局から何かコメントはございますか。
○神田課長補佐 今、先生がおっしゃったようなところで、例えばわざわざ申請をしなくても情報として提供できる部分みたいなところは国でもある程度まとめて、データベースの先ほどの研究成果の公表みたいなところと併せて、基本的な情報などを公表するような形にしていきたいと考えております。ただ、その公表の際に、難病あるいは小慢の希少性などの特性もありますので、あまり出し過ぎると個人の特定につながってしまう懸念がありますので、その辺りに留意しながら進めていきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
NDBは2016年からオープンデータというものをつくっていて、大体のことはそれを見れば分かると。そのデータを見た上で、さらにもう少し詳細を知りたい方のために、幾つかのルートをつくっているのです。データセットを提供する、つまり、データを提供するのが一番厳しいのですけれども、それ以外にオンサイトセンターに来ていただいて、つまり、データは渡さないのですけれども分析はできる、そこから分析結果だけを持ち出せるようにするというのが、これがかなりもう何年か実運用しています。それを、今、クラウド上でできるようにしようということで、HICと呼んでいるのですけれども、クラウド上でデータをお渡しするのではなくて分析だけはできて、その結果だけをもちろん審査の上で持ち出すことができる。このHICの環境を、実はNDBだけではなくて様々な公的データベースに広げようという計画もあるようには聞いています。まだ完全に具体化はしていないのだと思います。
ですから、難病・小慢のデータベース、私はこのいわゆる分析環境を提供して結果だけを持ち出せるようにする、データそのものはお渡ししないというのは、非常に有効に機能する気がしていますので、近い将来的にそういうことが厚労省全体として検討されるということがあるのではないかとは思っていますけれども、今、現実に今回の審査に関しては、取りあえず法整備がされて、罰則もきちんと規定されたので、それに従ったガイドラインをしっかり考えていくのが目的になろうかと思います。
○山野構成員 ありがとうございます。
ぜひそういう方向性で検討していただけると、より利活用も広がるのではないかと期待しております。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。
ほか、御意見はいかがでしょうか。おおむねよろしゅうございますか。
今日いただいた御意見の中で、患者さんへの理解をどう促進していくか、これは非常に大事なポイントだと思いますので、その点も含めて事務局でさらに検討を進めていただければと思います。
野口先生、どうぞ。
○野口構成員 最後になりました。すみません。現在NDB・介護DBで私も有識者会議に参加させていただいているのですけれども、例えば今まで割とストリクトに1課題1度の申請ということで、かなり課題のリサーチクエスチョンを明確にして、研究する仮説を明確にして審査をしてきたのですけれども、昨今、民間の研究者でない方あるいは研究者もそうなのですけれども、割と大きな課題で何でもできるような形で全てのデータ、データを全てというのは私も研究者としてよこせというのはすごく分かるのですけれども、何でもかんでもその中に取り込めていけるような、何でもできてしまうような形で申請してこられるケースが非常に増えてきている。有識者会議としてはあまり研究のことについて口出しはしない、ただ、形式が整っているか、情報がきちんと使われるか、そういうところで評価をするということで、何となく1課題1申請がだんだん緩んできている気がするのです。特に民間の例えば生保会社だとか、製薬メーカーだとか、本当に何でもできてしまうような形で申請してこられるような場合があるので、もう一度小慢を始めるに当たって、どこまで1申請として認めるのか、どの範囲までだったらリサーチクエスチョン、仮説に対して1申請で済ませるのかというところを、この小慢と難病だけではなくて全体としてしっかりと検討すべきかと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
確かにそういう傾向があって、審査に苦労しているところですね。あまりに広いのは今のところ通ってはいないのですけれども、申請としては増えてきていますね。ただ、今、例えば人工知能を使ってどうのこうのとかとなってくると、1テーマに絞ること自体がそもそも難しくなってきて、そういう動きを止めてしまっていいのかというと、これも社会として失うものが大きいことがあり得ますので、なかなか悩みの深いところではありますね。引き続きこういうことは検討していければと思います。ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、今日いただいた御意見を基に、もう少し検討を深めて、次回の検討につなげていきたいと思います。
事務局から次回の予定について何かございますでしょうか。
○山田課長 難病対策課長の山田です。本日はどうもありがとうございました。
様々な御指摘、御助言いただきました中で、山本座長にも最後にまとめていただきましたけれども、特にデータベースを有効なもの、使えるものにしていくには、その前提として患者の方々の理解、同意の在り方、また、安心感が重要であると委員の皆様共通で御指摘されたかと思います。今日の資料の例えば資料2の8ページで今の説明資料があるのですけれども、確かにこういったところも分かりにくいと思っておりまして、こういったところを見直すことも含めて今後検討させていただきたい、また、小慢も同様に修正を検討していきたいと思っております。引き続き次回以降、どうぞよろしくお願いします。
次回の日程でございますが、事務局から改めて追って御連絡をさせていただきたいと思います。
構成員及び参考人の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席賜りまして、ありがとうございました。
○山本座長 それでは、本日の委員会は以上で終了とさせていただきます。どうも活発な御議論をありがとうございました。