第14回新しい時代の働き方に関する研究会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和5年9月29日(金) 10:00~12:00

場所

AP虎ノ門 I+Jルーム

議題

報告書にむけた議論

議事

議事内容

○今野座長 それでは、時間ですので、第14回「新しい時代の働き方に関する研究会」を開催いたします。
 本日は、武田構成員がオンライン参加です。よろしくお願いします。
○武田構成員 よろしくお願いします。
○今野座長 それ以外に、安部構成員と小林構成員は御欠席でございます。
 カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきまして、それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 まず、事務局よりパブリックコメントの意見の収集の結果と、報告書案の説明をしていただいて、それで議論をしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
 前回の座長からの御指示を踏まえまして、パブリックコメントを実施させていただきました。
 結果については、事前に構成員の皆様にも送付させていただいておりますけれども、本日机上に置かせていただいておりますので、御議論の御参考としていただければと思います。
 それでは、報告書案について御説明いたします。資料1、報告書案を御覧ください。
 まず、柱立てですが、第1から第4までということで、前回お示しいたしました骨子をベースに、文章に肉づけをしている形となっております。
 2ページ目でございます。
 第1「本研究会の契機となった形態社会の変化」というところでございます。
 まず、2ページのところに関しましては、冒頭からこの研究会の前提となった経済社会に関しての概要をざっと記載いたしまして、5つ目のポツの19行目から23行目のところ、そこの部分で本研究会の視点として、次の視点が重要であると書いております。
 そして、25行目からのところでございますが、「守る」の視点、「支える」の視点ということで、冒頭から「守る」と「支える」という視点があるということは、ここでもお示ししたところでございます。
 3ページに進みまして、一番上の1行目、2行目のところでございますが、「本報告書は、こうした視点を踏まえ、今後の労働基準法制の課題と目指すべき方向についてとりまとめたものである」としております。
 前回までの御議論の中で、この研究会の報告書の射程がどこまでなのかというところが、やや曖昧になっているという御意見をいただいておりましたので、まず、冒頭のところでも、この報告書の射程は、基本的には労働基準法制の課題であることをお示ししたものとなっております。
 3ページ、4行目以降のところでございますが、骨子案の段階と構成が少し変わっております。
 まず「1.企業を取り巻く環境の変化、労働市場の変化、働く人の意識の変化」ということで、この研究会以外のもの、基本的な統計とかから分かる変化の部分について、まず概略をお示しした上で、2番と3番で本研究会のヒアリング結果、そして、以前に御紹介いたしましたニーズ調査の結果といった、この研究会で独自にやったもの、ファクトをお示しする。その上で、4番で個人と組織の関係性がどう変わってきているかというものを論じるという構成となっております。
 3ページにお戻りいただきまして、1番のところに関しましては、既存の情報から読み取れる変化というものを書き起こしたものとなっております。骨子のときにも1番に書いていたものでございます。
 4ページ目から5ページ目まででございますが、本研究会でのヒアリング結果ということで、今後の研究会においてヒアリングをした結果、次のような一定の共通性が見られるということで、ヒアリングの結果を2つのグループに分けて紹介している形となっております。
 1つが(1)26行目のところですが、「集団・個別双方の労使コミュニケーションを行いながら、雇用管理・労務管理を実施している」というものでございます。
 2つ目のグループが、5ページ目、21行目からですが「健康管理・職場環境改善を重視し、社員とのコミュニケーションを踏まえて改善を図っている」というところでございます。具体的な内容については省略いたします。
 続いて、6ページでございますが、3番「働き方に関するニーズ調査結果」というところでございます。
 6ページ目から8ページ目の20行目までにかけまして、以前の研究会でも御報告をいたしましたニーズ調査の結果、その中から今回の報告に関連の深いデータについて、抜粋して紹介している章となってございます。事実関係を列挙しているものでございます。
 8ページ目でございます。4番「個人と組織の関係性」というところで、前回の座長からの御指摘を踏まえまして、個人と組織の関係について、個人についての変化、組織についての変化、それを踏まえた上での個人と組織の関係性という形で構成をしております。
 8ページ下のところからの個人のところでございますが、まず、自発的なキャリア形成とライフステージ、キャリアステージに合わせた多様な働き方を求める労働者が増えているということ。
 9ページ目に移りまして、そういった多様な働き方やキャリア形成をできる機会の提供を求める方が増加していることを示しております。
 続いて、組織でございますが、長期的な視点に立って優れた人材を確保し、活用することが重要であるということ。
 企業内でキャリア形成を重視しつつ、労働者の能力や成果を評価し、処遇や人材配置などに反映していく仕組みが広がっているということ。
 パーパス経営を推進するために、労働者とのコミュニケーション等を重視する企業が出てきているということ。こういったことをお示ししております。
 その上で15行目でございますが、個人と組織の関係性については、こういった変化の中で、新しい個人と企業の関係の構築を指向するケースが増えております。
 企業は、そういったケースにおいては、企業に対しては、雇用形態等にとらわれずに、働き方の柔軟な選択や能力を高めると、そういった環境を提供することが求められている。
 働く人の側には、自発的に働き方とキャリアを選択した上で、能力を発揮することが求められるということを記載しております。
 以上が、第1の現状認識の章でございます。
 進みまして、11ページでございます。
 「第2 新しい時代に対応するための視点」というところでございます。
 まず、11ページから12ページにかけてでございますが、「これまでの労働基準法の特徴と課題」ということで、現行法の特徴と、そこから見える課題について記載しているところでございます。
 11ページの上の現行法の形のところでございますが、かいつまんで申し上げますと、現行の労働基準法制は、鉱業法ですとか、工場法といったものを前身としたものであって、同じ時間、同じ場所で使用者の指揮命令に従って画一的に働く手段を想定しております。
 また、物理的な事業場を規制の単位として、各種規制を執行しているという中身になっていることをお示ししております。
 11ページ下段、24行目から検討課題について記載をしておりますが、サマリーとなっておりますのが、12ページの6行目からの部分でございます。
 これからの雇用管理、労務管理においては、画一的なものだけでなく、多様性を生かすということ。そして、主体的なキャリア形成が可能となるように環境を整備することが重要ということで、基準法制につきましても、対象とすべき労働者の範囲ですとか、事業場の単位といった規制がなじまない場合の適用手法、こういったものの在り方を考えていくことが必要ということをお示ししているところでございます。
 12ページ下、32行目からでございますが「これからの労働法制の検討の基礎となる視点」ということで、「守る」と「支える」の2つの視点について、この節で詳述しております。
 まず、13ページでございます。
 【「守る」について】ということで、「守る」「支える」双方について考え方と、それに関する検討の視点ということで整理しております。
 まず「守る」についてですが、13ページ5行目からでございます。心身の健康の重要性というのは、全ての働く人に共通であり、従来から労働基準行政が果たしてきた「守る」役割というものは、引き続き確保されるべきであるということ。
 また、労働憲章的な規定ですとか、基本原則といった全ての労働者にとって「守る」べき考え方というものは、これからも堅持すべきであるということを、まず、お示しし、これを前提として、2つ目のポツのところでございますが、具体的な制度設計においては、労働者の心身の健康をしっかりと「守る」ものとして検討されることが必要としております。
 16行目からの「『守る』に関する検討の視点」ということでございますが、変化を続ける環境下において2つ目のポツのところですが、どのような働き方をする人について「どのように守るのか」ということの再検討が必要ということを示しております。
 その再検討に当たりましては、まず、労働者の健康を確保するに十分な制度であるということを大前提としつつ、これに加えて、個々の労働者の多様な希望や事情に応じた柔軟な活用ができるものであることが求められるとしております。
 続いて「支える」の視点でございます。13ページ目の32行目からですが、中身については、14ページからでございます。
 「考え方」のところでございますが、まず、働く人の大目標として、人は、よりよい職業生活を送り、人生を豊かにすることを目指して日々働いているということを示した上で、そのよりよい職業生活を実現するために、自らの望むワークスタイルですとか、キャリア形成、こういったものを実現するための柔軟な働き方というものを希望する労働者が増えてきている現状がございます。
 その中で、こうしたよりよい職業生活を送ることができるような労働者の希望、これを「支える」ということについて、労働基準法制が適切に効力を発揮するよう見直すことが必要とまとめているところでございます。
 この「支える」に関する検討の視点でございますが、15行目以降のところでございます。
 労働基準法制が、自らの希望やキャリアを踏まえて自発的に働き方を選択しようとする人、こういった方々の妨げにならないように、また、選択と希望の実現を「支える」ことができるよう整備されていくことが重要ということが1点。
 もう1点が、自発的な選択を行った人が意図せず不利な状況に陥ることを防ぐ、そのために労使の適切なコミュニケーションが図られるような労働基準法制とすることが求められる。大きくこの2点について、お示しをしているところでございます。
 14ページの29行目から「『守る』『支える』ための具体的な制度設計に向けた考え方」のところでございます。
 この節は、次の第3の個別の詳述に向かってのブリッジの記述となっております。
 まず、ここまで述べた「守る」「支える」実現のための押さえるべき考え方ということで、14ページの34行目からマル1からマル8ということで、大きくくくりをまとめたところでございます。これについては、第3で詳述されるところでございます。
 15ページの9行目のところでございますが、こういった考えるべき柱に加えて、監督署による事業場の臨検監督、これを主たる手法としてきた労働基準監督行政の在り方についても、再検討する必要があるということをお示ししているところでございます。
 続いて、16ページにお進みいただきます。
 「第3 新しい時代に即した労働基準法制の方向性」というところでございます。これが、この報告書のメインコンテンツの部分となります。
 まず「1.変化する経済社会の下でも変わらない考え方」ということで、ここまでも出てきました基本的な原則の部分でございます。
 基本原則として基準法制の中で様々ございますけれども、そういった基本原則は全ての労働者にとって変わることのない基盤であります。
 一方で、現場において、現在でも不当な条件のもとで働く方ですとか、長時間労働での健康上の支障といったものは、残念ながら発生しているところからも、こういった方々をいかに保護していくかという精神は、忘れてはならない基本的価値観ということをお示ししております。
 「2.働く人の健康確保」というところでございます。
 まず、現行の状況というものを整理したのが、1つ目のポツ、21行目から4つ目のポツ、32行目のところでございます。
 まず、前提として健康の確保というものが、全ての働く人にとって共通して必要であるということ。
 そして、労働者の健康を確保することは、企業の責務であるという原則もお示しした上で、25行目から現行の制度、労働基準法における制度内容ですとか、安全衛生法における制度内容というものを紹介しております。
 35行目からでございますが「一方」としております。今回の企業ヒアリングの中で様々出てきました意見というものを、17ページ目の7行目に向かって整理しております。
 こういった実情を踏まえた上での検討の内容でございますけれども、10行目のところから、個々の労働者の置かれた状況に応じた企業による労働者の健康管理の在り方について、どのような方策が考えられるか。医学的な診断技術の進歩も考慮しつつ、継続的に検討していくことが必要としております。
 加えて、労働者自身も自分の健康状態を知り、健康保持増進を主体的に行うことが重要ということも記載しております。
 18行目のところですが、少し違った論点として、勤務時間外や休日などにおける業務上の連絡等の在り方についても、引き続き議論ということで論点出しをしております。
 また、21行目のところでございますが、こうした健康管理を企業が行うに当たって、業務遂行に直接関わる部分を超えて、労働者の健康に係る情報をどこまで把握してよいか、こういったことも議題であるということをお示ししております。
 17ページの27行目でございます。「3.働く人の選択・希望の反映が可能な制度へ」というところでございます。
 まず「(1)個々の働く人の選択・希望の変化を踏まえた制度」ということでございます。
 まず、1つ目のポツは、前提としての健康管理、労働者の保護ということを記載した上で、2つ目のポツのところでございます「一方」として、これも6行目にかけて、今回のヒアリングで出てきた企業の御意見というものを紹介しております。
 その上での検討の視点でございますが、6行目後半からでございます。テレワークや副業・兼業のように職場の概念が変わり、従来の雇用管理や対応が難しくなっている。また、フリーランスなど、従来の労働基準法制のみでは有効に対応できないような方がいるという中で、労働基準監督署による事業場の臨検を前提とした監督はなじまない場合、こういったものも出てきている。こうした新たな課題というのが起きているので、それらを念頭に、制度の趣旨、目的を踏まえ、時代に合わせた見直しが必要であるとしております。
 また、14行目のところでございますが、そういった検討を行う際には、雇用形態の違いなどにかかわらず、「守る」ことを保障した上で、希望の実現を「支える」という配慮が求められるとまとめております。
 18行目から(2)でございますが、こういった変化についての検討をするに当たっての労使コミュニケーションの確保というところでございます。
 まず、20行目からでございますけれども、現状として人材マネジメント、これが画一的・集団的管理から個別管理の傾向を強めている。そんな中で賃金待遇等の格差が拡大することが想定されるという中で、労働者間の公平性・納得性の確保が課題ということをお示ししております。
 その対応につきましては、2つ目のポツのところでございますが、集団的コミュニケーションの役割は、これまで以上に重要であり、組合の果たす役割というものも、引き続き大きいということを記載した上で、30行目のところから「一方で」のところでございますけれども、今回、企業において、必ずしも組合がある企業だけではない中で、様々な取組をしているというものがありましたので、それを御紹介している形としております。
 19ページの8行目から、これに対する結論というところでございますけれども、働き方の個別・多様化が進む、非正規雇用者が増加する、労働組合組織率が低下する、こういった様々な状況を踏まえますと、企業内で働く人の多様な声を吸い上げ、その希望を労働条件の決定に反映させるためには、現行の労働基準法制における過半数代表や労使委員会といった意義、制度の実効性を点検した上で、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方について検討することが必要であるとまとめております。
 19ページの20行目「4.シンプルでわかりやすく実効的な制度」のところでございます。
 今回のメインターゲットである労働基準法でございますが、累次の制度改正によりまして、全体として複雑な内容となった面がございます。
 こういった法制度が守られる実効性のあるものにするためには、労使ともに法制度の内容、必要性を十分に理解し、受容していただくことが必要でございますので、そういった複雑なものをシンプルにしていく必要があるということを記載しております。
 31行目から、法制度を検討するに当たっての視点でございますが、有効性の視点、それから透明性の視点、こういった視点に立って検討することが必要であると。
 また、実効性を確保するという観点から、制度の運用後の状況についての労使コミュニケーション、こういったものも必要でありますということをお示ししております。
 20ページの12行目「5.労働基準法制における基本的概念」というところでございます。こちらについては、骨子案の段階ではなかった節となっております。
 ここにつきましてですが、労働基準法制については、先ほども述べましたとおり、労働者を対象としているということ。事業場を単位として規制を適用するということ、こういったことで法的効果を発揮してきたものでございます。
 一方で、変化する経済社会の中で、働き方が労働者と働く人と、これが類似しているような方が見られるということですとか、事業場単位で捉え切れない労働者が増加していると、こういった現状の中で、労働者ですとか、事業、事業場といった労働基準法制における基本的概念についても、経済社会の変化に応じて在り方を考えていくことが必要ではないかということをお示ししております。
 26行目「6.従来と同様の働き方をする人が不利にならないこと」でございます。この節も追加の節でございます。
 ここにつきましては、まず、28行目からの現状のところでございますけれども、これまでと同様の働き方がなじむ労働者、こういった方々も引き続き多く存在しているということで、ここまで述べてきたような変化をしていく方々だけではないということ。そういった方々については、従来どおりの法制というものが適している面もございますので、一番下のところでございますが、維持すべき制度は維持しつつ、労働基準法制を設計、運用していく必要があるとしております。
 21ページ目でございますが、今回変化をしていく中での留意点ということで、5行目の後ろのところからでございます。労使合意を前提とした制度や、多様・複線的な集団的労使コミュニケーションの在り方については、対等な労使コミュニケーションが形式的のみならず、実質的にも機能していることを前提に検討する必要があると言及しております。
 10行目「7.労働基準行政の充実強化」というところでございます。
 まず「(1)番労働基準監督行政の課題」ということで、これは骨子案の段階でも御紹介をいたしました、量的課題、質的課題というものがございまして、そういったものに対応するために監督行政のアップデートを図ることが必要であることをお示ししているところでございます。
 (2)番で具体的な中身でございますけれども、まず1つ目のポツのところです。「具体的には」以降のところですが、監督指導において、AI・デジタル技術を積極的に活用する。それから、労働基準監督署に集積した各事業場の情報や過去の指導記録等の情報の活用を図る。また、事業者が自主的に法令遵守状況をチェックできる仕組みを確立する。こういったことが考えられるとしております。
 さらに、2つ目のポツのところでございますが、36行目の一番後ろのところですが、物理的な場所としての事業場のみに依拠しない監督指導の在り方、こういったものも検討することが必要であるとしております。
 22ページの3行目、さらに働き方の個別・多様化を踏まえて、雇用によらない働き方か、雇用かというものを問わずに、働く人全てを念頭に入れて監督指導の在り方を検討する必要があるとしております。
 22ページの8行目「(3)労働市場の機能等を通じた企業の自主的な改善の促進」ということで、これについても前回まで御議論をいただきました。企業の自主的な取組を支援し、促進することを通して履行確保を図るという対応も検討される必要があるということで、企業に法制度の周知啓発を図るということですとか、企業に対して、労働条件、職場環境に関する情報の開示を促して、市場における評価を通して好循環を生んでいくというような市場メカニズムを活用した方法、こういったものを検討することが必要であるとしております。
 こういったことによりまして、魅力的な労働条件、職場環境の企業に人材が応募するという好循環が生まれて、労働条件、職場環境を向上させるということが期待できるとしております。
 最後のポツのところでございますが、こういった仕組みにおきまして、働く人が正しく選択できるようにするためには、働く人向けの情報面でのサポートというものも必要でありますということも言及しているところでございます。
 23ページでございます。
 「第4 未来を担う全ての方へ」というところでございます。
 この章につきましては、骨子案の段階では、企業や働く人に期待することということでまとめておりましたが、この報告書の主たる対象が労働基準法制の課題と方向性ということでございますので、そういった企業で働く人に期待することについては、付加的なものとするということで、第4をまとめの節という形に少し立てつけを変えております。
 まず、23ページの前半部分でございますが、ここまでのまとめということで、個人の選択を支援するために、働く人の多様性や主体性が生かされ、働く人が意欲や能力を高めていける働く仕組みを、企業内、労働市場の両面から追求し、具体化していかなければならないとしております。
 20行目のところでございますけれども、冒頭にもありましたことの繰り返しでございますが、この報告書というのは、労働基準法制の課題と方向性について取りまとめるというもので、第3まででそこを取りまとめました。
 一方で、未来を担う企業、働く人の一人一人にも意識行動の変化が求められるということで、政府に対しての提言に加えて、未来を担う企業や働く人に今後期待することを示しますということで、以降の企業に期待すること、働く人に期待することにつなげていくという形としております。
 23ページの29行目、まず「1.企業に期待すること」のところでございますが「(1)ビジネスと人権の視点」ということでございます。
 企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重、健康確保を図っていくという視点を持って、企業活動を行っていくことが重要であるということに言及をしているところでございます。
 24ページの4行目「(2)主体的なキャリア形成の支援」というところでございます。
 ここについては、節を2つに分けております。「人的資本投資への取り組み」ということと「働く人への情報提供」というところでございます。
 まず、人的資本でございますけれども、働く人の主体的なキャリア形成を促すためには、法制度で「支える」というだけではなくて、使用者である企業の支援も重要となると、これについて、人材を人的資本として捉えて積極的に投資していっていただきたいということをお示ししております。
 これは、いわゆる能力開発だけではないということで、15行目でございますが、この人的資本投資に関しては、能力開発への投資にとどまらず、労働条件の改善、主体的なキャリア形成の支援への投資も含み、人材の価値、企業価値の向上とともに、個人の健康や幸福感の向上をもたらすことが期待されるとまとめております。
 続いて、19行目の「働く人への情報提供」ございますけれども、全ての働く人の主体的な能力開発とキャリア形成を行う上で、必要な情報と機会、そういったものを企業が提供していくことが必要であるということをお示ししております。
 また、提供する機会、情報というものに格差が生じないように、労使コミュニケーションを活用したサポート、これについても重要であると触れているところでございます。
 その際なのですが、27行目でございます。これを企業内でやるということはもちろんでございますが、企業外に対しても情報発信をしていただきまして、特にその企業が求める人材像、能力、スキルといったものが分かるということで、その企業に合った人材が就職、転職、こういったものの検討もしやすくなるということも期待できますので、そういった情報開示、情報の提供をやっていただきたいということをお示ししています。
 31行目「(3)働き方・キャリア形成への労使の価値観の共有」というところでございます。
 企業が働く人が高いエンゲージメント意識を持って働ける、そんな人材マネジメントを実現するということが求められている中でございますので、企業は、パーパスを明確にし、ビジネスの将来像を明確にした上で、求める人材像を可視化し、双方向のコミュニケーションを図ることによって、それを働く人と共有化するといったことが大切であるということをお示ししております。
 25ページの7行目から「2.働く人に期待すること」というところでございます。
 働く人が幸せな職業人生を実現するためには、自発的にキャリア形成をすることが重要であるということで、2つ目のポツのところでございますが、業務遂行の面でも、健康管理の面でも、自己管理能力を高めることが求められているとしております。
 3つ目のポツのところですけれども、企業、労働市場においてどのような人材が求められているか、自ら望む働き方、キャリアに求められる能力は何かというものを明確にした上で、自主的に能力開発に取り組んでいただきたいということをお示ししております。
 17行目からでございますが、働く人にとって労働基準法制を正しく理解し、活用することも大切であるということもお示ししております。
 20行目のところでございますが、働く人がそういったキャリアについて適切に判断をする、あるいは今働いている職場の環境をよりよいものとしていくためには、働く人自らも自立的にそれを考えて、企業と交渉する、あるいは情報収集をしていくことが必要である。
 そういった観点からも働く人同士のネットワークというものが有効であると記載をさせていただきました。
 これに関しましては、労働組合の活用ということが、まず第一に挙げられますけれども、それに加えてもっと緩やかなつながりということも考えられるとしております。
 28行目からですが「3.結語」といたしまして、これらの企業や働く人に期待することが行われることを通して、働く人一人一人が心身の状態を良好に保ち、職業人生を充実させていくことを期待したいとまとめているところでございます。
 報告書の概要は、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○今野座長 ありがとうございました。
 それでは、いつものように自由に議論したいのですが、その前に、私から御相談したいことがあるので、それから最初に議論をさせていただけますかね。
 まず、1ページ目の表書きを見ていただきたいのですけれども、これは、前回議論した骨子を前提に文章化していただいたのですけれども、そのときに第1の部分で、もともと2のヒアリング結果と3のニーズ調査結果が最初にあって、それを踏まえて1の企業を取り巻く環境の変化、労働市場の変化、働く意識の変化という順番だったのです。
 事前に事務局にお願いして、やはり流れが変なので、どうしてかというと、この研究会でやったヒアリングの内容とか働き方のニーズ調査というのは、前者については企業の雇用管理に限定しているし、後者については働く人の働くニーズに限定しているので、それを受けて1の企業を取り巻く環境の変化、労働市場の変化というのが出てくるのが、何か違和感があったので、最初に1で全体的なことの認識を整理して、そのもとで企業がどういう雇用管理をして、働く人は、どういう働くニーズを形成しているのかというのを見ます。そういうことも踏まえて、第2項に入りますとしたほうが素直なのではないかということで、構成を変えてもらったのですけれども、まず、この点について御意見をいただきたいと思っています。
 あと、2点ほど御相談したいことがあるのですけれども、第1点目はそこなのですけれども、いかがですかね。
 それでよろしいですかね。では、これで行きます。
 第2点目は、大体前回の議論とか骨子案を踏襲して書かれているのですけれども、議論がうまく整理できていなかったのは、第1の4の個人と組織の関係性の書き方についてなのです。
 これについては、11ページ以降ですか。
○労働条件確保改善対策室長 今、御指摘のところは、8ページ目、9ページ目でございます。
○今野座長 これも事前にお願いして整理してもらったのですけれども、これでいいかということです。
 書き方としては、個人はこういうことを求めています。その次は、組織はこういうことを求めています。したがって、その組織と個人の求めていることを踏まえると、新しい個人と組織の関係が形成されますと、そういう構成にしてあるのですけれども、これの書き方でいいかどうかを、まず、御意見をいただきたいと思っています。この点についてはどうですかね。
 いいぞと言っていただければ、次に行きますけれども、何かありますか。
 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 大きい方向性はこのほうがいいと思うのですけれども、今、座長から求められているのは、書きぶりも含めての意見ですか、それとも大きい骨格が、これでいいかと、どこまでの。
○今野座長 書きぶりでもいいですよ、ここの「個人と組織の関係性について」。
○中村構成員 分かりました。
 そこの中で言うと、2か所気になった点があって。まず、前段のヒアリングとか調査のところ、特に調査結果というところを踏まえて出てくるのだと思うのですけれども、6ページの希望する働き方とか希望する労働時間という中で、割と現状維持だったり、分からないみたいな人が多いということが、前段にかなり強調というか、実態としてそれがハイライトされています。
 一方で、すごく環境変化が激しくなってきていて、個人の認知は現状維持バイアスがかかるので、現状維持を望んでいるとか、分からない人がたくさんいるけれども、環境変化の中では変えていかないといけないこともあるみたいな。少し現状維持志向が強いという前提で、新しい時代に向けてのところにブリッジをかけるような言葉が入ったほうがいいのではないかなと、4の冒頭については思いました。
 もう一点気になったのは、9ページの「組織について」なのですけれども、パブリックコメントの中でも、片仮名が多いとか、エンゲージメントとかパーパスという言葉はどうなのだというのが、幾つか入っていて。ここの中のパーパスとか1on1とかを使うのであれば、括弧づきとかで使わないと、読み手にとっては、混乱を招きやすいかなと、その2点が気になりました。
 以上です。
○今野座長 前者については、8ページの「個人について」の最初の黒丸で「これまでと同様の働き方が馴染む労働者が多く存在する一方」という書き方で、多分、事務局は中村構成員が言ったようなことを受けて書いた意図だと思うのですけれども、もう少し明確にすべきということかな。
○中村構成員 そうですね。馴染む人がいて、その人たちを大切にするのは大前提なのですけれども、だからといって、それだけを前提にしてしまうと、環境変化を乗り越えていけないので。環境変化を乗り越えていくためには、制度上も、企業も、当然個人も、何らかの前に向いた行動が求められるというニュアンスが、出たほうがいいのではないかなという気がしました。
○今野座長 今言った点のところの文章を少し書き直すべきということですね。
 後者については、括弧書きで全部説明を入れるか、パーパスもエンゲージメントも日本語にしてしまえばいいのですけれども、何かいい日本語があったら、あるいは括弧で入れるか、それでいいかな。
 事務局、どうぞ。
○労働条件確保改善対策室長 一応パーパスに関しては、右の横に括弧づけをしているということが一点と、1on1に関しては、下に脚注で1on1ミーティングの話というのを、脚注には入れております。エンゲージメントだけ入っていないところでございますけれども、言い換えの日本語があるかどうかということと、パーパスに関しては、パーパス経営というワーディングの中のものでありますので、代替する用語が思いつかないというところはございます。
 やり方として注釈にするかどうかでございますけれども、そこは、いかがいたしましょうか。
○中村構成員 パーパスと1on1は、本文中はこの括弧でくくったほうがいい気がしていて。パーパス経営なのか、パーパスのところと、あと1on1というのは、ある種の固有名詞というか、その上で必要だったら注釈をつけるというパターンにしたほうがよくて。エンゲージメントは満足度とかと訳してしまうと、違う趣旨になるので、エンゲージメントは、このまま平で載せて、エンゲージメントとは、こういうもので、昨今注目度が高まっているみたいなことを注釈で追加するのがいいのかなという気がします。
○今野座長 これは、伊達構成員が一番詳しいのですけれども、エンゲージメントは日本語だと何、これも日本語なのだけれども。
○伊達構成員 日本語で一言で表すのが難しいこともあって、エンゲージメントという言葉が使われ続けています。仮に括弧書きで書くとすれば、働く人と仕事や組織との良好な結びつきといったところですかね、すみません、なかなか思いつかないです。
○今野座長 分かりました。でも少し突っ込むと、いい関係とは何を言っているのですかと、全く知らない人だと分からないですね。そうすると、少しいい関係も説明してあげなければ、本当はいけない。
○伊達構成員 そのほうが丁寧でいいと思いますね。
○今野座長 では、どう書くか、もし分からなくなったら、伊達構成員に聞けばいいですね。
○労働条件政策課長 原案をつくりまして、また、先生方に御相談させていただければと思います。
○今野座長 私が一番気にしたのは「個人と組織の関係性について」なのですけれども、どうですか。
 戎野構成員、どうぞ。
○戎野構成員 この流れの中でこう来るのは、構造的にいいなと思ったのですけれども、文言として「新しい」というのが少し気になって、新しいとは何となったときに、恐らく、次のポツのところが、ある程度具体的な説明になるのかと思うのですけれども、新しいという言葉がどうなのかなと。
 例えば、個人と企業の関係性も、多様化とか、様々な形での構築とか、そういう文言でもいいのかもしれないと思います。次のポツのところで説明するなら、もう少し書かないと分かりにくいかなと思いました。いわゆる雇用関係に関わらない働き方も、多分、イメージしているのだろうと思うのですけれども。
○今野座長 武田構成員、どうぞ。
○武田構成員 私もここのところはずっと、すみません、前回お休みしたので、全部の議論についていけていないと思うのですけれども、人事の立場として、今周りで何が起きているかというと、社員に対して今までは一律に、例えば、研修の機会であったり、キャリアを考える機会であったりということが、今、崩壊していて、いかに社員のオンデマンドであったり、個別に対応できるかということを、今、しなくてはいけないフェーズに来ている。
 そういったことを多様なという言い方、また、新しい個人という言い方にしているのですけれども、むしろ今までのように、一律な対応をするのではなくみたいな、そういう表現が1つ入ると、内容が少しましになるかなと思ったのですけれども、1つのアイデアとして申し上げました。
○今野座長 多分、事務局案としては、武田構成員が言われたことは含意しているのだね。だから、例えばここの文章で言うと、働き方を柔軟になどという言葉は、その背景には、多様だとか、画一的ではないということを含意しているのだと思うのですけれども、では、もう少しそれが画一的でなくて、多様な選択というワードを入れたほうが、もう少し明確になると、武田構成員の意見は捉えていいですか。
○武田構成員 どちらかというと、個人というよりは、組織のほうが、それを実現する、要は今までの一律の何かを提供することではなくて、組織のほうも単純に社員の多様性を受け止めるだけではなくて、今までやっていたことをやめる、そういう表現を入れたらどうかという意見でした。
○今野座長 今までやっていたことをやめるということが、よく分からなかったのだけれども、もう一度説明してくれるかな。
○武田構成員 要は、新卒一括採用だった過去のやり方で、何年目にどんな研修をしてとか、何年目にキャリア研修をしてということが、多様化に応じて、もう通用しなくなってきているわけではないですか、ですので、そこにきちんと組織のほうもついていないと駄目という表現です。
○今野座長 この文章は、多分、この4行の前半と後半が違っていて、前半は、企業が働く人、社員にこういうことを提供しなさいよという話なのですけれども、ですから、そのときに、武田構成員の言われているのは、一律的に能力開発機会でもいいし、昇進でも何でもいいですけれども、一律的に提供するというのはもうやめて、もう少し多様性ということを考えて対応しなさいということを書けばいいのかなと聞いていたのですが、それでいいですか。
○武田構成員 はい、そういう意見でした。そのとおりです。
○今野座長 伊達構成員、どうぞ。
○伊達構成員 「個人と組織の関係性について」というパートですが、基本的には書かれている方向性に賛成です。
 さらに、コミュニケーションがより必要になってくるといった観点を含められるといいですね。例えば、「組織について」の中で書かれている12行目と13行目の1on1の部分は、組織だけではなく、組織と個人が関わることですので、そこは「個人と組織の関係性について」に移動させてもいいと思いました。
○今野座長 内容からしたら、例えば、組織についても書いておいて、関係性についても両方入ってもいいかなと。
○伊達構成員 大丈夫です。
○今野座長 確かに、個人と組織の関係性の2番目の点の後に、コミュニケーションの問題がきちんと入るというのは、私もすごく収まりがいいかなと思います。
 事務局としては、どうかな。
○労働条件確保改善対策室長 今までのお話を総合してですけれども、15行目からの個人と組織の関係性の、まず1つ目のポツのところ「新しい個人と企業の関係の構築を指向する」と、こういう中に、前提として今まで一律だったものを一律ではなく、個別の人とやっていくということと、良好な関係をつくっていくという、この中身を少し書き起こすということ。
 それから、2つ目のポツの企業がやることのところに、そういった個別対応みたいな話をもう少し盛り込むということ。
 それから、今し方、伊達構成員からいただきました、こういったことをやっていく際には、より細やかなコミュニケーションが必要であるという視点、こういったものを付け加えるということかと受け止めましたが、よろしゅうございますでしょうか。
○今野座長 多分、全体のつくりとすると、個人はこう言っている、こんなことほしいと言っている、組織はこうやっている、それで関係性ができ上がって、こういう関係性ができると。
 でも、その際に、2つの言っていることを調整しなくてはいけないので、そのために労使コミュニケーションというのは、しっかりつくったほうがいいのだと、そういう流れですね。
○労働条件確保改善対策室長 また、文案を作成いたしまして、御相談したいと思います。
○今野座長 全体の文章が少し人事っぽいのですね。
 水町構成員、どうぞ。
○水町構成員 今、議論されている方向性は、基本的に法律的な観点からは、それで特に問題ないですし、いいことだと思いました。
 1つだけ文章を少し、言葉の問題ですが、8ページの28行目「上司の指示どおりに着実に業務をこなす」というのが、これまでの働き方がそうだと言われると、少しネガティブに書かれ過ぎているので、上司の指示に従い、組織的・受動的に業務を遂行するぐらいに書いておいてあげたほうがいいかなと思いました。
 以上です。
○今野座長 それでは、9ページの「個人と組織の関係性について」のところなのですけれども、先ほど戎野構成員から最初の黒丸の1行目で「新しい」という言葉が気になるということだったので、そうすると、実際には、1つ目の点の中身は、2番目以降に書いてあるから、直し方としては、以下の個人と企業の関係の構築を指向するケースが増えたというぐらいにしておけば、一番単純でいいのだけれども。
 その前にいろいろな形容詞をつけると、形容詞のつけ方が、また問題になってくるので、どうですか。
○戎野構成員 これが出てきたときに、最初、何のことかなという感じがしたので、説明が要るなと思ったのです。
○今野座長 あるいは、「次のような」でもいいですよ。言葉をいっぱい入れれば入れるほど、その言葉が適切かということを、また考えなくてはいけなくなってしまうので、そのぐらいにさせていただいたほうがいいかなと思いました。
 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 あわせて、よく見たら10ページも個人と組織の関係性なのだなと思っていて、10ページではないかな、私は、昨日メールでもらったものを印刷してしまったので、資料がみんなと違いますか。
○労働条件確保改善対策室長 10ページの囲みのところでしょうか。「~今後の個人と組織の関係性~」と。
○中村構成員 そうです。ここの中も2つ気になった点があるので、あわせて言っておいたほうがいいのだと思いました。
 1つは、まず、この差分というのが何なのか分からなかった。特に0.9%とかというのは、大きいのだろうかとかいうのも不思議に思ったので、少し言葉を足していただけるといいなと思った点が1つ。
 もう1つが、後半の2つ目のポツの最後の2行なのですけれども「全ての労働者を一企業に縛り付けるという趣旨ではない。新しい時代においては、働く人が雇用の不安を感じずに働ける環境が確保されていることが重要である」という文章なのですが、やはりここも少しニュアンスがネガティブだと思っていて。例えば、雇用の不安を感じないというのも大事なのですけれども、将来に展望を持って働けるとか。実態はこのとおりだし、課題を解決するということはとても大事なのですけれども、書きぶりを少しチューニングいただけるといいかなと思いました。
○今野座長 読者がこれを読んでくると、ここだけ囲みがあるというのは、ほかはこういうのはないのだね。
 ということは、この報告書は、個人と組織の関係性については、特に注目をしているというメッセージになる。そっちのメッセージ効果のほうが大きいかなと思うのだけれども。
○労働条件政策課長 すみません、ここは本文にすぽっとはまりにくいけれども、議論があったなということで囲みにしていたものですが、若干「てにをは」なり接続詞を入れることで、本文に溶け込ませられるのなら、そういう処理のほうが目立ち過ぎないというのは、御意見のとおりかと思います。
○今野座長 本当は、そのほうがいいかな。
○戎野構成員 これを入れることによって、さっきの説明不足のところを補えるかなと思います。
○今野座長 では、そうしましょう。
 それでは、私が気にしていた2点目は終わりましたので、もう一点だけ私の気にした点に議論を付き合っていただきたいのですが、最後の「未来を担う全ての方へ」の内容なのですけれども、これも前回もいろいろ議論があって、皆さんの意見の内容が確定したわけではなくて、ふわっとして終わっていたので、そこでこの辺について、もう一度皆さんの御意見を伺ったほうがいいかなと思っているのですが、いかがでしょうか。何か気になる点があったら。
 戎野構成員、どうぞ。
○戎野構成員 バージョンアップされてどんどんよくなってきているので、2週間前のものよりもはるかにすごく気になる点がなくなっていて、しかもポジティブな方向になって書かれているなと思いました。
 それから、もう一つは、労労コミュニケーションのような横のつながりについても、「加えて」という形で、25ページに足してもらえているので、個人と組織との関係、労使の縦関係、それが実現するためには、相互の労働者同士の理解というのも重要かなと思ったので、これが入っているのはいいと思いました。
ですが、できればもう少し個々人の、互いに尊重し合うということがあったほうがいいかなと思いました。そういう文言が「働く人に期待する」ところに加えられるといいと思ったのです。
 個人はこうあったほうがいいと、自分を見つめて、そしてそのあと、組織との関係を見るのですけれども、それを実現するためには、やはり隣で働いている多様な、自分と違う働き方をするような人たちに対しての理解が重要で、今までは一律隣と同じことが多かったですが。そのため、互いに尊重しあう、そういったことが入ると一番いいかなと思いました。
 以上です。
○今野座長 いいね。どこか入りそうですね。
○労働条件確保改善対策室長 少しどこに入れるか考えさせてもらえれば、入れる場所で、ここがいいのではないかというのがあれば、ぜひいただければ助かります。
○今野座長 ほかにいかがですか。
 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 最初に1つ質問なのですけれども、パブリックコメントの中に教育機関について言及する必要があるみたいなコメントが出ていたと思うのですけれども、ここの部分は、事務局としてどう御判断されているのかなと思って。
○労働条件確保改善対策室長 教育機関に関しては、申し訳ございません、私どもの所掌の範囲外なので、ちょっと扱えないかなというところでございます。
○中村構成員 その上で細かいところも含めてなのですけれども、まず、24ページの15行目です。人的資本投資のところで、労働条件の改善というのが入っているのですけれども、賃金の引上げは、別出しで出したほうがいい気がしています。賃金の引上げ・労働条件の改善とか。
 あと、次の20行目の情報提供の部分なのですけれども、ここも弱い立場にいる人たちについては、一層の配慮が必要というか、いわゆる正社員以外で働く人とかフリーランス、要は、全体として大事なのですけれども、全体として満遍なくやると、もともと弱い人たちは、やはり引き続き弱い状態が維持されてしまうので、そこの部分は少し弱い人たちについて強調するみたいなことが望ましいと思います。
 続いて、33行目からの労使の価値観の共有なのですけれども、パブリックコメントに出ている片仮名が多いというのに、思い切り当たっているのはここだと思っていて。特に労務管理とか雇用管理という言葉を整理したのに、ここで人材マネジメントとかが出てくるのも不思議な気がしました。
 あと、パーパスというのもビジョンを明確にしとか、いろいろなやり方があるし、ビジネスの将来像というのも、例えば日本語で、事業の将来像とかにもできるので、ここは、片仮名が多過ぎる問題を含めて、もう少し調整したほうがいいかなという気がします。
 続いて、25ページの「働く人に期待すること」のところなのですけれども、21行目のところで「現在働いている職場の環境をよりよいものとしていくために」と言っているのですけれども、管理職の人に言うのなら、こうかもしれないのですけれども、個人の人全般に言うのであれば、よりよい環境で働き続けるためにとか、やはり個人にとってそれが必要だからという書きぶりに変更したほうがいいかなと思います。
 もう一つ、25ページの「働く人に期待すること」のところで、先ほどとも重なるのですけれども、10行目のところの「自発的にキャリアを形成する」のところに、環境変化を乗り越えながらとか、そういう一言を入れたほうがいいかなと思いました。
 私からは以上です。
○労働条件確保改善対策室長 今、いただいたものの中の2点目のところなのですけれども「職場の環境をよりよいものとしていくために」というところに関しましては、このポツの部分が、働く人のネットワークをつくっていくというものなので、どちらかというと、環境を所与のものとせず、自分たちも、要はネットワークをつくって、極めて典型的に言えば、組合活動による環境改善みたいなものが当たるわけですが、そういったような働く人の側からのアプローチも期待しますよということを、この節に込めているというものかと考えているところでございます。
○中村構成員 事務局の趣旨は、そうだろうと思うのですけれども、読んだときには、「いい環境を個人が責任を持ってつくらないといけないのだ」という、労働者はそういう立場なのでしたかという、若干、過剰期待に聞こえるなと思いました。
 ですので、今おっしゃってくださったニュアンスが、もう少しストレートに伝わる表現にしていただけたら、よりいいのではないかなと思います。
○今野座長 事務局は文案を考えて。
○労働条件確保改善対策室長 かしこまりました。
○今野座長 悪いね、いつも考えてで終わる。
 伊達構成員、何かありますか。
○伊達構成員 24ページ目の「主体的なキャリア形成の支援」ですが、15行目辺りに、少しだけ主体的なキャリア形成の支援に関する記述が出てくるのですが、これは、労働条件の改善と並べるのではなくて、1つの項目として独立してきちんと記述したほうがいいのではないのかと感じました。
 そこに関連して、6ページの10行目から12行目に、希望する働き方について「なりゆきに任せたい」「わからない」という労働者が多いという箇所に下線が引かれているのですが、ここは、労働者の求める働き方は多様であることを主張していく箇所なので、データと噛み合っていないのかなと。
 むしろ、6ページの10行目から12行目に書かれている内容は、先ほどの24ページの15行目から17行目を補強できる内容なのかなと。労働者に対してキャリア開発の支援を行っていくことが企業に期待されていることを表すデータとして用いるほうが収まりがいいかもしれません。
○今野座長 どうですか、今、伊達構成員が言われたような書き方をすると、多分、この内容がさらに補強されるという感じ。
○労働条件確保改善対策室長 御指摘を踏まえて、少し表現を考えたいと思いますけれども、その前に一点、6ページの線を引いているというところですけれども、すみません、今、確認をしたのですけれど、この線自体にあまり意味がなく、作業中のものが残ってしまっていたというものでございます。申し訳ございませんでした。
○伊達構成員 承知しました。
○今野座長 先ほどの中村構成員の件ですけれども、横文字、片仮名はなるべく減らすので、よろしく。
○労働条件確保改善対策室長 そこは少し表現ぶりを考えてみたいと思います。
○今野座長 武田構成員、どうぞ。
○武田構成員 ありがとうございます。
 私は、今、話題になっていたところで、すごく伊達構成員の意見に共感しながら聞いていたのですけれども、結局、人的資本は社員が持っている、従業員が持っているものではないですか、ですので、企業としてやるべきことは書いてある内容でいいと思うのですけれども、要は、それを引き出させる、会社が投資をして資本を回していくよりは、社員がその資本を会社に余すことなく提供したいと思ってもらえるような、少しレベル感的には高い話になってしまうかもしれないのですけれども、何かそういうニュアンスが、もし、ここで感じ取れると、もうすごく完成度は高いと思うのですけれども、さらによくなるのかなと思いました。その資本のありどころが、どこみたいなことを少し感じ取ってもらえるような書き方をしてあると、会社が好きにできるものではなくて、あくまでそれは社員の中に、従業員の中にあって、そこを余すことなく使ってもらえる環境を、組織のほうがいかにつくるかという視点があると、さらにいいかなと、すみません、かなり私的な希望的な意見でした。
 以上です。
○今野座長 要するに、投資をするけれども、企業の言葉で言うと、それを活用しないとな、という話ですね。
○武田構成員 そうです。まず、提供してもらって、活用するのは、もちろん組織になるのですけれども。
○今野座長 今のことは、先ほど話題になっていた個人と組織の関係性と関係が深くて。
○武田構成員 そうですね。
○今野座長 そこの関係性では、例えば、キャリア形成とか、能力開発は支援するけれども、ちゃんと能力発揮をしてくれよという関係になってくるのだと、言い方は少し違いますけれども、そういう書き方になっているので、それを受けるような形に、少し発揮場面についても、ここは企業の希望だからいいので、そういうのをどこかに少し加えましょう。どう加えるか、どこに加えるかは任せますので、よろしくお願いします。
 水町構成員は労働法の観点から、どうですか。
○水町構成員 ありがとうございます。
 1つだけ、25ページの「2.働く人に期待すること」が、少し過剰な期待になっているような気もするのだけれども、その1つのセーフガードとして、自分でどういう人生を設計するか、ワーク・ライフ・バランスとか、自分の私生活とのバランスをどうするかというのを、まずしっかり持った上で、その中でキャリアとかを考えることが大切だというメッセージを入れるためにも、入れ場所が適切かどうか分かりませんが、9行目の「働く人が幸せな職業人生を実現するためには」の次に、自らの人生設計、ライフスタイルや、私的生活との適切なバランスを意識しつつ、その中で、働き方を自ら選択し、自由で豊かな発想へということで、人生の中で、どこで勉強して、どこでキャリアを発展させるかとか、それぞれの中でプライベートを重視しながら、その枠の中でどうキャリアを展開していくかということで、あと、いろいろ課題もあるけれどもということにつなげていったほうがいいかなと思いました。
 それとの関係で(2)のところも、人的資本投資と言い始めると、人間を金もうけのもととして会社は期待しているということが、少し前面に出て来過ぎているような気もするので、今言ったようなことと同じようなことを、7行目辺りですかね「働く人の主体的なキャリア形成を促していくためには、法制度において」の間辺りに、働く人の人生設計とか私的生活との適切なバランスというのも、きちんと認識、尊重してあげながら、人的投資ということを入れればいいと思いました。
○今野座長 それでは、ほかにありますか。
 私からよろしいですか。内容ではないのですけれども、最後の結語というのが、寂しい。この結語というのは「未来を担う全ての方へ」についての結語ですね。寂しくないですか、内容どうこうではなくて、何か寂しいなと。
○労働条件確保改善対策室長 一応全体の立てつけとしての結語の前半みたいなものが、第4の最初のところに、例えば、誰もが人生の主人公として云々というところで書いた上でのものでしたので、ここの結語は、どちらかというと、企業に期待すること、働く人に期待することのところを、きゅっと結んだというようなイメージで書いていたものですから、そうなっているところです。
○今野座長 要らないのでは、これは、ないと落ち着かないですか。どうですか。
○労働条件政策課長 25ページの30行目以降の3行を、23ページの25行目の後ぐらいに入れる、要は、次に書くようなことが行われることを通じて、職業人生を充実させていくことを期待したいという結び方にして、企業、働く人それぞれに期待することが、1、2で書かれるという流れならば、3ポツにあるよりは自然かなとは思いますが。
○今野座長 そうしよう。
 あと、私が一番気にした点については、御議論いただきましたので、あとは、皆さん、気がついたことを議論していただければと思います。
 いかがでしょうか。中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 ありがとうございます。
 全体は、今までよりはるかによくなったなと思っていて、とても読みやすく拝見しました。
 その上で、大きく2か所気になった点があるのですけれども、1個は15ページのところです。
 「守る」「支える」ための具体的な制度設計に向けた考え方」が8点あるのですけれども、この8点の中で、2、3、4、6、8が、全部最後が制度設計で終わっていて、制度設計がこういう条件が必要という話なのであれば、少し制度設計のグループと、そうではなくて、ほかの1番みたいのを分けるか、もしくは最後の押さえの言葉が制度設計ではないのであれば、そう書くか、ここの並べ方と書き方は調整したほうが、メッセージがクリアに伝わると思いました。
 もう一点は、21ページです。基本的な概念のところなのですけれども、21ページで働く人が不利な労働条件等が一方的に定められるおそれがあることに留意する必要があるということも、特にそうなのですけれども。情報開示や情報の提供というのが大事であるという一文が、ここの中に入ってきたほうが、いいと思いました。結局不利な状況を、労使コミュニケーションとかで担保するという話だと思うので、そもそも個人側が自分の状況を理解するためには、やはり情報提供が必要なので、その点が、この21ページの冒頭のどこかに入ってくるといいなと思いました。
 あとは小さい点なのですけれども、テレワークとリモートワークという言葉が混在しているところは、そろえたほうがいいかもと思いました。
 あと、19ページの上から5行目なのですけれども「個別の労使コミュニケーション」と書いているときに、ここで想定しているのは、ラインにおけるとか、人事による一対一のコミュニケーションだと思うのですけれども、個別という言葉が特に労使コミュニケーションの文脈で使われる場合は、企業単位の個別的労使関係とかでも使われたり、結構多義的なので、一対一と書いて、従業員に対するものだということが分かる言葉遣いにしたほうが、ストーリーがはっきりするかなと思いました。
 以上です。
○今野座長 よろしいですかね。今の点は、大丈夫かな。
 ほかにいかがでしょうか。読みやすくなった。
○中村構成員 はるかに。ここ2回ぐらいで格段に分かりやすくなった。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
 伊達構成員、どうぞ。
○伊達構成員 2ページの10行目から12行目のところ、新型コロナを背景とした将来への漠然とした不安感が原因で、転職を通してキャリアチェンジを行ったり、副業・兼業に就いたりする人が増えていると説明されていますが、これ以降、特にエビデンスが示されているわけではありません。ですので、ここの書きぶりを修正していただくほうが誤解が少ないと思いました。
 もう一点が、22ページの8行目の「(第2の『守り』)」と書かれているところなのですが、特に22行目から25行目の内容になると、「守る」だけではなくて「支える」についても言及されています。「(第2の『守り』)」だけではなくて「支える」も追加してもいいのではないでしょうか。
○今野座長 今、2点ありましたので、前者について、3ページ目の書きぶりなのですけれども、内容上は「企業を取り巻く環境の変化、労働市場の変化、働く人の意識の変化」という3ページ目以降と、2ページがかなりオーバーラップしているのだね。違いますか。
 もともとは、2ページのすぐ後に調査結果が入っていたので、あまり違和感がなかったのですけれども、構成を変えて、3ページに「1.企業を取り巻く環境の変化、労働市場の変化、働く人の意識の変化」を持ってきてしまったものだから、すごく似たことを繰り返している感じになっているかなと思うので、そういう認識でいいかな、もし、その認識が合っていれば、伊達構成員の意見に対する対応は、多分、上4つのポツは、次とオーバーラップする部分があるからも、もっとがっと短くしてしまえばいいかなと、だからあまり細かいことを書かないようにしてしまえば、伊達構成員の問題は自然に消えると思ったのですが、どうですか。
○伊達構成員 そのとおりですね、消えますね。
○労働条件確保改善対策室長 分かりました。少し要素だけ取り出すということで考えてみたいと思います。
○今野座長 2点目は。
○伊達構成員 22ページの8行目です。
○今野座長 事務局、どうですか。
○労働条件確保改善対策室長 2点目のところなのですけれども、ここは、もとが監督行政の充実強化のところなので、おっしゃられるように「支える」の要素が大分入ってきているものということではあるのですけれども、あまりタイトルを長くしてもということで「(第2の『守り』)」という表現を削ってしまって、この中には「守る」の部分と「支える」の部分が両方あるのだと、そういう対応かなと思うのですが、いかがでしょうか。
○伊達構成員 問題ないです。お願いします。
○今野座長 そのほうがいいですね。
 ほかにいかがですか。
 水町構成員、どうぞ。
○水町構成員 ありがとうございます。
 全体としての感想と、1つ今後の議論に期待することだけ。文章については、これで特に異論はありません。この研究会では、委員全員の御報告を踏まえて、ヒアリングをたくさん行って、最後の詰めのところでは、原案を早めにつくっていただいて、委員の意見を2回、3回と盛り込んでいただいたので、今日何回かお話がありましたように、いろいろな意見を盛り込んで、全体として非常にまとまりのいい、分かりやすい、読みやすいものに仕上がったかなと思っております。
 それで、1つだけ今後の議論に期待するところで、16ページから「新しい時代に即した労働基準法制の方向性(守り方・支え方)」というところの、次の17ページの18行目からポツが2つあるところで、こういう形で書いていただいて、これを今後どうするかというところについてのコメントなのですが、少し大きな話でいうと、日本だと、今、守り方という労働基準法制が罰則つきであって、そこについて、原則としての労働基準法制の例外を認めるときに、労使の過半数組合とか過半数代表者の労使協定があれば、その限りで罰則も含めて労働基準法制が外れますよというところは、ここは結構明確なので、そこをちゃんとしようと。
 ただ、そこで個人の過半数代表者になったときに、うまく機能しているかというと、実質的にはあまり機能していないというところで、そこは考えなくてはいけないということは、1つあるのですが、では、労働基準法制に関わっていないところがどうかというと、日本では、ほとんどが就業規則に書かれていて、かつ人事権の発動でやっていて、厚生労働省としては、罰則つきでの監督ができない。
 最終的に、そこをどこが決めるかというと、裁判所で就業規則が合理的だったのかとか、人事権の行使が濫用に当たらないかどうか、最終的に判決が出るまで分からないのですよ。そういう司法に任せられているけれども、司法の利用率が日本はすごく低いので、要は現場で力関係の強い人たちの言いなりになってきて、労使コミュニケーションがあまり栄えてきていないのではないかというところが1つあります。
 そこで、今、厚生労働省が何もしていないかというと、そういうところに今までやってきたのが、ガイドラインをつくったり、留意事項といって、労基法には直接関わっていないから監督権限があるかどうかは分からないけれども、こうしたほうがいいねというガイドラインとか留意事項がたくさんあります。
 あるのだけれども、現場でそれを守らなければいけないかどうか、守らなければいけないと思うところは、大企業の一部で守られたりするけれども、これは裁判所に言っても微妙だし、みんな裁判を起こさないから、これは守らなくていいよ、努力義務だから、まあいいねとスルーしているようなところが、重要なところで、特にテレワーク関係とか、兼業・副業とかでもいっぱいあるのですよ。
 諸外国を見てみると、複雑になってきて、労働基準行政みたいに罰則でがちがちに決めるところと、労働契約法制のルールメイキングのところで、労使の話し合いを重視してというところの境目がなくなってきて、重要な問題になっているときにどうするかというと、日本でも労働基準法制については、労使コミュニケーションを重視する形で少し柔軟化していこうというところは、ここでかなり中心に書かれているのですが、労働契約法制で、労働基準法制には関わっていないけれども、もう少し労使で話し合ってルールを決めたほうがいいのではないかというところが、この18行目と21行目のポツのところです。
 これは、つながらない権利、どこまで私生活で、企業が手を伸ばしてはいけないかというところとか、さらには、健康情報についても、やはり労使コミュニケーションで決めてくれと、でも、このままで行くと、例えばガイドラインで定めて、守られるかどうか、最終的には裁判所で公序良俗違反とか不法行為になったか、ならないかというレベルの話になってしまう中で、今回、労働基準法制の定義の中に、労働契約法も入りますよと、ただ、労働契約法については、出所が少し違うので違う議論が必要ですよと書かれています。
 要は何を言いたいかというと、労働基準法制とその修正で対応できるところと、労働契約法制が基になって、そこで例えば就業規則の合理性とか、ガイドラインに書かれていることは、実は裁判に任せられているところを、政策として法制としてどうするかというときに、例えばデフォルトルール、原則的にはこうしなくてはいけないということを、例えば労働契約法制の中で定めて、ただし、労使コミュニケーションで具体的に議論して別のように決めたら、別のようにしていいですよということを、労働基準法制とまた別の法制の中でルールメイキングしていくと、それを基に労使コミュニケーションが実質化していったり、ちゃんと労使で話し合わないと原則どおりに硬直的なものになってしまうよという議論の中でどうするかという議論。
 これは、ヨーロッパの議論とかで、そういうものが増えているというのは、ドイツとかフランスの議論の中で言わせていただいたところで、それにつながり得るところが、17ページのポツのところなので、これから具体的に制度設計の議論をしていく中では、労働基準法制の例外としての労使コミュニケーションと併せて、労使の中で大切なことはもっといっぱいあるので、その労使のルールの決め方として、場合によっては労働契約法制におけるルールメイキングの在り方も視野に入れて、そこで労使コミュニケーションをどうするかという連続的な問題なので、そういうことを意識しながら議論をしてほしいということが、この2段落に込められているということで、次の政策的な議論のステップにつなげていただければなというのが、私からの意見、希望です。
 以上です。
○今野座長 今の意見は大変貴重だなと思って、僕は伺っていたのですけれども、この報告書との関連では、報告書を直さなくてもいいということですね。事務局は大変なので、ちゃんと聞いておいてあげなくてはね。ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。
 よろしいでしょうか。それでは、大体いい時間になってきましたね。
 今日は、幾つもいい意見をいただきましたので、それを踏まえて事務局には修正をしていただきたいと思います。
 それで、これは事務局が言うことかな、ここまで議論がまとまってきましたので、次回の研究会で修正していただいたものをもう一度見ていただいて、それでもう一度確認していただいて、次回の研究会で大体終わりということにさせていただければと思います。
 それでは、事務局は大変ですけれども、多分もう9合目ぐらいまで来ていますから、もうひと頑張りしていただければと思います。
 それでは、次回の日程等について、事務局からお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 次回の日時・場所でございますが、また調整の上、追って御連絡をさせていただきます。
○今野座長 それでは、今日は終わりたいと思います。ありがとうございました。