第184回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和5年10月3日(火) 16:00~18:00

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○伊藤調整官 定刻でございますので、まず冒頭、事務局より開催に先立ちましての御連絡を申し上げます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。部会中は、オンラインの方は、基本的にカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。また、発言をされる際には、会場の方は挙手、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用いただきまして、部会長から御指名いただいた後に、御発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は別会場にて、オンラインで行っております。
 また、職業安定局長は遅れての出席を予定しております。
 進行に関する説明については、以上でございます。
 では、部会長お願いします。
○守島部会長 それでは皆様、今日はお忙しい中をお集まりいただき、どうもありがとうございます。ただいまより第184回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出欠状況ですけれども、労働者委員の内藤委員が所用のため御欠席と伺っております。
 マスコミの頭撮りは、大丈夫ですね。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1は「雇用保険制度について」でございます。
 それでは、資料1「教育訓練給付等について」を事務局より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。資料1に沿いまして、「教育訓練給付等について」御説明を申し上げます。
 ページをおめくりいただきまして、1ページ以降は、教育訓練給付の概要と制度の変遷をお示ししております。
 2ページ目でございますが、教育訓練給付は失業等給付の1つと位置づけられておりまして、保険料につきましては、労使折半の8/1000が充てられています。国庫負担がないという状況でございます。
 3ページ目のところで、教育訓練給付の意義をお示ししております。平成10年の法改正で導入されたものでございますけれども、この改正の背景としては、産業構造の変化、企業の高付加価値化、新分野転換等に伴い、これまで以上に高度で幅広い職業能力が求められている中で、労働者個々人による主体的な職業能力開発が重要不可欠な意味を有し、労働者自身のニーズも急速に高まっていました。
 こうした中で、労働者個々人の主体的な職業能力の開発の促進が労働者に共通の雇用上の課題として認識され、被保険者としての個々の労働者に共通して発生する雇用に関する問題、リスクに対する仕組みである失業等給付により措置することが必要かつ適当な状況ということで、職業能力に開発に関する費用の一部を支給する教育訓練給付が失業等給付として創設されたといったところでございます。
 4ページ目で、教育訓練給付金の概要を説明申し上げております。3つ類型がございます。
 1つは、専門実践教育訓練給付金で、労働者の中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練講座が対象となっているものでございます。給付内容につきましては、受講費用の50%、年間上限はございますが、訓練終了後1年以内に資格取得等をし、就職などした場合には、受講費用の20%を追加支給するということとなっております。支給要件につきましては、雇用保険の被保険者期間が3年以上、初回の場合は2年以上に短縮されております。対象講座数・受給者数はそれぞれのとおりで、支給額については、約138億円となっております。
 真ん中の特定一般教育訓練給付金につきましては、速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を対象とし、受講費用の40%、こちらも上限はございますが、40%を受講修了後に支給しているというものでございます。支給要件につきましては、雇用保険の被保険者期間が3年以上、初回の場合は1年以上に短縮されていると。対象講座、受給者数はそれぞれのとおりですけれども、支給額については約2億円となってございます。
 一般教育訓練給付金につきましては、これらの先ほどのもの以外の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練講座が対象となっており、受講費用の20%を受講修了後に支給しているものでございます。支給要件については、特定一般と同じ形で、対象講座数と受給者数はそれぞれのとおりで、支給額については約30億円となってございます。
 5ページ目で、教育訓練給付金の支給手続の流れをお示ししております。
 まず、専門実践教育訓練や特定一般教育訓練につきましては、訓練の実施前に、キャリアコンサルティングを受ける必要がございます。このキャリアコンサルティングでは、職務経歴の棚卸などを行った上で、希望する教育訓練がキャリア形成に資するものであるかというのを考えていただくということで実施しているところでございます。特定一般教育訓練と一般教育訓練につきましては、受講修了後、一括申請で支給されることとなっておりまして、専門実践教育訓練につきましては、6か月ごとに申請をしていただくという形になっております。専門実践教育訓練につきましては、訓練修了後1年以内に資格取得し、就職等をされた場合には、追加支給の20%分が支給されるという仕組みとなっております。
 6ページ目で教育訓練給付の対象講座の指定要件をお示ししております。右肩からの説明で恐縮ですけれども、まず、一般教育訓練につきましては、公的職業資格または修士もしくは博士の学位等の取得を訓練目標とするものなどが指定されているところでございます。趣味的・教養的な教育訓練とか、入門的・基礎的な水準の教育訓練などについては、対象外となっているところでございます。
 特定一般教育訓練につきましては、まるポツ1として、専門実践教育訓練に該当しない業務独占資格、名称独占資格あるいは必置資格に係る養成施設の課程とか、これらの資格取得を目標とする課程が指定されております。実績等も見ておりまして、受験率、合格率、就職・在職率の実績が一定以上のものが指定されているという状況でございます。そのほかまるポツ2まるポツ3といった類型があるというところです。
 一番左が専門実践教育訓練の対象講座をお示ししておりまして、7つの類型がございます。7ページ目で、それぞれの講座類型を詳細に説明しておりますが、まず1つ目の類型として、看護師等の業務独占資格あるいは介護福祉士等といった名称独占資格に係る養成施設の課程が1つの類型。
 2つ目は、実務の最新知識などを身につける専門学校の教育実践専門課程とか、職業に係る実務に関する知識などを身につけるキャリア形成促進プログラムが、2つ目の類型として設けられております。
 そのほか、MBAなどの専門職大学院、社会人を対象とした大学等の職業実践育成プログラム、5番目、6番目のところでございますが、情報通信技術に関する資格取得とか、デジタル分野のスキル習得を行うもの、あるいは7番目の類型として、専門職大学といったものが講座指定の要件となってございます。
 7ページ目は、先ほど申し上げたとおりで割愛いたします。
 8ページ目においては、「教育訓練給付の対象となる資格・講座のイメージ」をお示ししております。赤色のものが給付率最大70%の専門実践教育訓練給付の対象、青色のものが特定一般教育訓練給付の対象となるもの、緑色のものが一般教育訓練給付の対象となるものをそれぞれお示ししてございます。
 9ページ目におきまして、教育訓練給付の制度変遷をお示ししております。
 平成10年改正で創設され、平成10年12月からスタートした当時は、受講費用の80%(上限額20万円)となってございました。
 その後、平成19年改正、10月施行の際には20%(上限額10万円)となったところでございます。
 平成26年改正におきましては、非正規雇用労働者を中心としたキャリアアップ等を支援する観点から、専門実践教育訓練給付金、最大60%の給付(上限額48万円)の専門実践教育訓練給付が創設されております。当時は、被保険者期間としては10年以上、初回に限り2年とされていたところでございます。それに併せまして、教育訓練支援給付金として、基本手当日額の50%を支給するもの。これは対象者が限られておりまして、45歳未満の受講者などの要件がかかっております。こちらにつきましては、平成30年度末までの暫定措置としてスタートしております。
 その後、平成29年の改正におきましては、専門実践教育訓練給付については最大70%(上限額56万円)と拡充され、支給要件につきましても3年以上と短くなってございます。それに併せまして、教育訓練給付金につきましても、基本手当日額の80%と拡充をされております。併せまして、令和3年度末までの暫定措置が延長され、これも、その後令和4年改正において、令和6年度末まで延長されているという状況でございます。
 平成31年の省令改正におきましては、一般教育訓練から新たに特定一般教育訓練を創設しまして、こちらにつきましては、受講費用の40%(上限額20万円)として創設されたというところでございます。
 10ページ目におきまして、こちらは講座類型の拡大経緯をお示ししております。そのときの社会状況とかニーズなどに応じて、もともとは講座類型が3つあったものを、現在、7つの類型の講座を指定しているというところでございます。
 11ページ目におきまして、令和4年改正におきまして、当部会で御指摘いただきました事項の報告書を掲げております。教育訓練給付につきましては、制度利用の促進、指定講座のオンライン・土日開催など、利用しやすい環境整備、内容の充実などを図るべきとの御指摘をいただいているというところでございます。
 12ページ目におきましては、「公的職業訓練と教育訓練を行う個人への支援」の諸外国の比較をしております。
 例えばアメリカですと、ワンストップ・センターというところで訓練を行う個人や企業に助成金を支給する形で国民に訓練機会を提供したり、あるいは職業訓練を必要とする判断した者にバウチャーを発行して、認定を受けた教育訓練機関などで無料の職業訓練が受けられるという状況でございます。
 ドイツやフランスにおきましては、若者を対象とする初期の職業訓練と継続職業訓練という2つが用意されております。例えばドイツですと、継続職業訓練の中には、職業能力の向上を目的とした向上職業訓練とか、再教育訓練、マイスター資格取得のための職業訓練が設けられているというところでございます。ドイツにおきましては、失業者には訓練クーポンが支給され、認定訓練機関の訓練を受講することが可能となっております。フランスにおきましては、職業訓練個人口座を開設し、その講座に積まれる受講料金を用いて訓練を受講することができる仕組みが設けられているというところでございます。
 13ページ目以降で、「教育訓練給付金の運営状況」について説明申し上げます。
 14ページ目のまず上のほうですが、一般教育訓練給付金につきましては、受給者数については減少しているという状況でございます。特定一般教育訓練給付金につきましては、制度発足から間もないというところもございますが、受給者数が3,056人となっているという状況でございます。
 15ページ目におきまして、専門実践教育訓練給付金の支給状況をお示ししております。初回受給者数、支給金額ともに伸びているところですけれども、伸びが少し鈍化しているかなというところでございます。
 16ページにおきまして、「対象講座の指定状況の推移」をお示ししております。最新のものですけれども、令和5年10月時点で、2,861の講座が指定されています。そのうち第一類型。業務独占資格とか名称独占資格の養成施設の課程ですが、第一類型が1,767講座と最も多いという状況でございます。
 17ページ目以降に、それぞれの教育訓練の指定講座の内訳を記載しております。
 まず、17ページ目では、専門実践教育訓練の指定講座をお示ししております。第一類型では、介護福祉士とか看護師といった養成施設の課程が多いとなってございます。第二類型では、職業実践専門課程とか、キャリア形成促進プログラム。
 18ページ目におきまして、3番目の類型として、専門職大学院とか、情報通信に関する資格取得、第四次産業革命スキル習得講座といったものとか、大学等の職業実践力育成プログラム、専門職大学といったものが指定されております。
 19ページ目に、特定一般教育訓練の指定講座の内訳をお示ししております。介護分野の研修とか、あるいは運転免許関係の講座が多く指定されているという状況でございます。そのほか、情報通信技術に関する講座とか、短時間の職業実践力育成プログラムなどの講座が指定されております。
 20ページ目におきましては、一般教育訓練の指定講座の内訳をお示ししております。一番多いものとしては輸送・機械運転関係ということで、大型自動車第一種免許などの運転免許の関係、2つ目の分野としては、医療・社会福祉・保健衛生関係の研修とか試験に関するもの、21ページ目におきまして、専門的サービス関係の公的資格・民間資格、情報関係の資格、22ページ目でございますが、事務関係、この中にはTOEICといった語学関係のものも含まれております。あとは、営業・販売・サービス関係の資格とか、技術・農業関係、製造関係、その他の資格取得のための講座などが指定されているという状況でございます。
 23ページ目以降で、それぞれの教育訓練の講座指定の状況を都道府県別にお示ししております。1つ御留意いただきたいのが、データとしては、講座運営の法人の所在地をそれぞれカウントしているというものでございます。23ページ目では専門実践教育訓練の講座指定の状況、24ページ目では特定一般教育訓練の講座指定の状況をお示ししております。特定一般につきましては、講座指定数が少ないこともありますので、都道府県によっては0といったところもございます。25ページ目においては、一般教育訓練の講座指定の状況をお示ししております。一般教育訓練については、講座の指定数が多いこともありますので、ほかのものに比べると、都道府県のばらつきがやや目立つかなというところでございます。
 26ページ目におきましては、部会でも御指摘いただいております「専門実践教育訓練におけるオンライン、夜間、土日の講座数の推移」をお示ししております。数字が絶対数で、括弧書きが全ての指定講座数に占めるその講座の割合をお示ししております。夜間、土日については、絶対数は増えておりますけれども、その割合については少し微増といったところです。オンラインにつきましては、割合についても増えているという状況かと見てとれます。
 次に27ページ目におきまして、「教育訓練給付金の受給者の属性」をお示ししております。右上の「受講開始時の在籍状況」を御覧いただければと思いますけれども、一般・特定一般・専門実践いずれにおいても、在職者の方が多いという状況でございます。
 一方、専門実践には離職者の方が比較的多いというところと、性別に関しても、専門実践などは女性の方が多いという状況でございます。
 28ページ目におきましては、専門実践教育訓練給付金の受給者の方の受講内容をお示ししております。令和2年度から令和4年度の数字でございますけれども、直近3か年度では、介護福祉士、キャリアコンサルタント、看護師、社会福祉士といった資格の取得を目的とする講座が多くて、次に、デジタル分野のスキル習得講座とか、専門職大学院といった形になっております。
 29ページ目におきましては、「専門実践教育訓練給付受給者の主な受講内容」ということで、類型ごとで、どの分野の初回受給者が多いのかということをお示ししております。令和4年度の状況でございますけれども、一番多いのは第一類型、看護師などの業務独占資格、介護福祉士などの名称独占資格関係が一番多いという状況でございます。
 30ページ目においては、離職者の方で専門実践教育訓練給付を受けられる方の雇用保険適用就職率、正社員就職率、追加給付受給率をお示ししております。3か年度でございますけれども、雇用保険適用就職率については7割程度、正社員就職率については4割程度、追加給付は、資格取得をして雇用されているという要件に該当する人につきましては、4割程度となってございます。左肩のほうに参考までに、基本手当支給終了後1年以内の離職率をお示ししております。専門実践については、これよりも高い就職率が示されているというところでございます。
 31ページ目におきまして、こちらも離職者の方で専門実践教育訓練を受けられた方の訓練修了後の賃金の変化(受給者アンケート)をお示ししております。なお、年齢につきましては、アンケート時のもので、受講時のものとは少しずれがあることに御留意いただければと思いますけれども、全体として、教育訓練受講後に賃金が増加したという方は47.9%となってございます。
 御参考までですけれども、労働市場全体の転職入職者の賃金変動の状況と比べますと、労働市場全体では、賃金上昇が34.8%となっている一方で、こちらは10%ポイント高い状況が示されております。
 32ページ目は、離職者の専門実践教育訓練を受けられた方の就職率・就職時期をお示ししております。就職率は77.3%となっております。ただ、全体として、年齢層が高くなる55歳以上になりますと、就職率がぐっと下がってきているというところが見てとれます。
 33ページ目におきまして、講座受講の効果をお示ししております。講座受講の効果を尋ねたところ、約9割の方が何らかの効果を感じていると。そのうち「希望の職種・業界で就職できた」が半数程度となっている状況でございます。また、年齢が低い方ほど「より良い条件(賃金等)で就職できた」と回答される方の割合が多くなっているというものでございます。
 34ページでございますが、こちらは、これまでは離職者で専門実践教育訓練を受けられた方ですけれども、今からは在職者の方についての追加給付受給率をお示ししております。おおむね60%となっているという状況でございます。留意が必要なのは、離職者の方の場合は4割程度となってございましたが、この追加給付の要件としては、資格取得プラス雇用されているというものでございますので、在職者の方については一方の要件を満たしているという背景があるというところでございます。
 35ページ目では、在職者の方の訓練修了後の賃金の変化をお示ししております。賃金増加は39.7%ということで4割の方が「賃金が増加した」と回答されています。比較ですけれども、離職者の方の場合は約5割であったというところが、少し差があるかなというところでございます。
 36ページ目におきましては、これも同様、在職者について講座受講の効果を尋ねたところ、8割の方が「効果あり」という回答をされております。
 37ページ以降では、特定一般教育訓練給付金受給者の主な受講内容をお示ししております。令和4年度の状況を見ますと、介護支援専門職などの介護関係とか、大型自動車第一種免許などの運転免許関係の講座の受講者が多いという状況でございます。
 38ページ目では、一般教育訓練給付金受給者の主な受講内容をお示ししております。こちらは令和4年度の状況でございますけれども、大型自動車第一種免許の受講者が特に多いという状況でございまして、その後、介護関係の研修とか、建築士、フォークリフト運転技能講習などと続いているというところでございます。
 39ページ目におきましては、離職者の方で、一般・特定一般教育訓練給付金を受けられている方の雇用保険適用就職率・正社員就職率をお示ししております。一般教育訓練の方は、雇用保険適用就職率は64.4%、特定一般は67.5%、正社員就職率は、一般の方は32.9%、特定一般の方は35.6%となってございます。専門実践は、約7割、約4割と、ほかの講座よりも高い数字が示されていたところでございます。
 40ページ目に、離職者の方で特定一般教育訓練を受けられる方の講座受講の効果をお伺いしたところ、92.2%の方が何らかの効果を感じているというところと、43.6%の方が賃金増加をしている。ただし、これにつきましては、回答者数が少ないことに御留意いただければと思います。
 41ページ目におきましては、在職者についてお示ししております。74.1%の方が何らかの効果を感じ、賃金増加が26.3%あったという回答をいただいております。これにつきましても、回答者数が少ないところに御留意いただければと思います。
 42ページ目におきましては、在職者の方で特定一般教育訓練給付金を受けられた方の訓練修了後の賃金の変化を年齢別にお示ししております。これもちょっとN数が少ないので、御留意いただければと思いますけれども、特定一般の在職者の方では、賃金増加された方が26.3%、特に40歳未満の方だと、4割以上で賃金が増加をしているという状況でございます。
 続きまして、43ページ以降で「労働者の自己啓発の状況」をお示ししております。
 44ページ目でございますけれども、自己啓発を行った方は、正社員では44.1%でございまして、その半数近くが20時間未満という状況でございます。
 45ページ目では、労働者の方の自己啓発費用の自己負担の費用の状況などをお示ししております。自己啓発を行った方の延べの負担費用額を見ますと、0円という方が最も多くて、1万円未満は63.4%、5万円未満は87.7%という状況でございます。
 自己啓発費用の補助主体別の内訳を見ますと、正社員では、勤務先の会社が88.6%のほとんどを占めており、教育訓練給付金につきましては3.3%という状況でございます。
 46ページ目におきましては、自己啓発を行った理由についてお示しをしております。自己啓発を行った理由を見てみますと、正社員の方ですと、「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」が最も多く、次いで、「将来の仕事やキャリアアップに備えて」といった回答が続いておるところでございます。
 47ページ目におきましては、あくまでも御参考までですが、専門実践教育訓練給付金における給付と負担ということで、数字をお示ししております。専門実践教育訓練給付については、3年間で年間上限168万円が受給することができます。一方、負担につきましては、仮に年収400万円の労働者の方を想定とした場合のものですけれども、3年間で合計7万2,000円という状況でございます。
 48ページ以降では、教育訓練支援給付金(暫定措置)の概要とか運営状況を御説明申し上げます。
 49ページ目に、「教育訓練支援給付金の概要」をお示ししております。通信制・夜間制を除く専門実践教育訓練を受講し、修了する見込みのある方で一定の方に対して,訓練期間中の受講支援として、基本手当日額の80%を支給しているという状況でございます。
 主な要件としては、受講開始日において45歳未満である方とか、失業認定を受けて、基本手当が支給されていない方、初めて専門実践教育訓練を開始した方となっております。こちらにつきましては、令和6年度末までの暫定措置になっております。
 50ページ目におきまして、教育訓練支援給付金の趣旨とか改正の経緯をお示ししております。平成26年の創設当時でございますが、部会報告書などを基に作成しておりますが、非正規雇用労働者を中心としたキャリアアップ等を支援する観点から、中長期的なキャリア形成に資する教育訓練(専門実践教育訓練給付)の創設に合わせて、45歳未満の若年離職者は、長期の教育訓練の期間中の支援が必要であることを考慮されまして、当面の措置として、基本手当の50%相当額を支給することとされております。45歳未満の離職者を対象としているのは、これまで十分な離職機会が得られておらず、かつ、訓練の成果を生かせる期間が長い者として、年長フリーター層を想定して重点的に支援する措置という形で説明をされております。こちらにつきましては、当時の「日本再興戦略」における集中的な取組期間を踏まえ、平成30年度末までの5年間の措置ということで開始されております。
 その後、平成30年1月からは、専門実践教育訓練給付の給付率の拡充に併せて、基本手当の50%相当額の支給を80%に拡充をするとともに、暫定措置を3年間延長しているところでございます。
 繰り返しで恐縮でございますけれども、令和4年の改正におきましては、暫定措置を、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえ、3年間延長することとして、令和6年度末まで延長されているところでございます。
 51ページ目に、「教育訓練支援給付金の支給状況」をお示ししております。初回受給者数については少し減少しておりますが、受給者数については増加と。支給金額につきましては96億円となっており、増加しているという状況でございます。
 52ページ目においては、参考に、一人当たりのそれぞれの給付の支給金額・期間をお示ししております。一番右端で、教育訓練支援給付金についてお示ししておりますけれども、一人当たりの支給金額としては約287万円となってございます。専門実践、一般・特定一般をお示ししておりますが、基本手当につきましては、平均55万円となっている状況でございます。
 一方、平均給付期間ですけれども、右肩の教育訓練支援給付金につきましては、平均で24.46か月となってございます。専門実践については資料のとおりでございまして、基本手当につきましては4.34か月となっているところで、教育訓練支援給付金につきましては、期間も2年以上となっていて、額としても約300万円程度となっているところでございます。
 次に53ページ目に、教育訓練支援給付金を受けられている方の受講内容をお示ししております。直近3か年度の支援給付金の受講者の受講内容を見ますと、各年度とも、看護師とか准看護師を資格取得の目標とする講座の受講者が最も多くなってございます。次いで、はり師、歯科衛生士、デジタル関係の講座という状況でございます。
 54ページ目におきましては、教育訓練支援給付金の雇用保険適用就職率などをお示ししております。グラフですけれども、青色のものが教育訓練支援給付金を受けている方。オレンジのものが教育訓練支援給付金を受けていない方、グリーンのものが教育訓練支援給付金を受けていない者で、教育訓練支援給付金の受給者に合わせて45歳未満の方を取り出しているものでございますけれども、教育訓練支援給付金の受給者の方が非受給者と比べても、それぞれの就職率、追加給付の受給率が高いという状況であるとともに、45歳未満の方に限定して見た場合でも、それぞれの率は高くなっているという状況が見てとれます。
 55ページ以降に、「教育訓練給付に関連する閣議決定等」をお示ししております。
 56ページ目でございますけれども、いわゆる骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針2023」におきましては、「教育訓練給付の拡充、教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設について検討する」ということが盛り込まれております。
 57ページ目におきまして、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」これも閣議決定でございますけれども、お示ししております。
 まず、冒頭のところで、個人への直接支援の拡充をしていくことがうたわれた上で、「雇用保険の教育訓練給付に関しては、高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上を期待される分野について、補助率や補助上限について、拡充を検討することとし、具体的な制度設計を行う」とされております。
 58ページ目において、「こども未来戦略方針」を示しておりますけれども、「こども未来戦略方針」の中にも、教育訓練給付について、訓練効果をより高める観点からの補助率を含めた拡充の検討とか、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設などについて検討することがうたわれております。
 59ページ目におきまして、57ページ目の閣議決定の中で、高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上を期待される分野ということで、IT、データアナリティクスとか、観光・物流などについて記載されておりますけれども、これについて少し説明した資料でございますが、この閣議決定に至るまでの過程の中で、「新しい資本主義実現会議」に出された資料でございますが、この資料自体は、他の先進国では高いスキルが求められる職種や高い賃金が獲得できて、これに対して日本企業の中では、その賃金差は小さいという資料でございますけれども、日本企業だけで見ますと、ほかの職種と比べて、ITとか、データアナリティクス、技術研究といった分野の賃金が高いと示されている資料でございます。
 60ページ目のところで、先ほど高い賃金ということで例示として、IT、データアナリティクスなどが示されているところですけれども、これらの分野について、教育訓練給付でどういう形でカバーしているのかというものをお示ししたものです。例えばITとかデータアナリティクスといった分野については、専門実践教育訓練の講座でプログラミングとか、システム開発、IoT/AI人材育成講座、データサイエンティスト養成講座といったものが設けられております。それぞれプロジェクトマネジメントについても、専門実践教育訓練で、マネジメントとか経営管理、技術研究や営業/マーケティング、経営・企画といった分野についても、専門実践教育訓練で講座が指定されているという状況でございます。
 61ページ目におきましては、先ほどの閣議決定の中で、エンプロイアビリティの向上が期待される分野として、観光・物流分野が挙げられておりましたが、それぞれの分野の有効求人倍率をお示ししております。大分類ですので、大きいものとしては、接客・給仕とか、飲食物あるいは自動車運転の職業といったところの有効求人倍率の推移をお示ししております。いずれも、ほかの職種に比べて非常に高い有効求人倍率が示されております。そのうち右肩のほうに、例えば、旅館・ホテル、乗物接客員の方の有効求人倍率とか、自動車運転の職業のうち、バスの運転手とか、乗用・貨物自動車運転の方の有効求人倍率をそれぞれお示ししております。いずれも高い数値が示されているといったところでございます。
 この観光・物流分野に関連する指定講座についても、62ページ目で先ほどと同じような形で、どういう形でカバーされているのかというのをお示ししております。観光分野においては、専門実践教育訓練で観光サービスやトラベルビジネスといった分野、その他に観光に関するものとしては、一般教育訓練で通訳案内士試験とか、語学関係の講座、物流(バス、トラック、特殊車両に関する免許)につきましては、こちらについては、特定一般教育訓練で、大型自動車第一種免許などの講座が指定されております。輸送・機械運転関係の講座については、一般教育訓練でも指定されているというところでございます。
 63ページ目以降で、学識経験者の方にお集まりいただいた研究会の中間整理で示されたものをお示ししております。
 64ページ目の「検討の視点」でいきますと、受講者の偏りについては、社会にとってニーズがあるという観点からは評価されてもいいのではないかといった御指摘とか、オンラインで受けられる講座数の増加は、在職中の人も使いやすくなりよい傾向ではないかといった御意見をいただいておるところでございます。
 65ページ目では、(効果検証)のところで、内部労働市場の中で、賃金の伸びが生産性の伸びを表しているとは必ずしも言えないというところで、効果の把握には工夫が必要だといった御指摘をいただいております。
 最後に66ページ目で、「教育訓練給付等に関する論点」をお示ししております。
 まず最初の1つ目でございますが、教育訓練給付の在り方について、制度趣旨、支給状況等を踏まえ、どのように考えるか。
 特に、骨太の方針などの閣議決定において、個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援を強化、推進する観点から、教育訓練給付の拡充を検討することとされていることについて、どう考えるか。
 この場合、閣議決定で掲げられている「高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」での「給付率等の拡充」を検討することとし、具体的な制度設計を行うとされていることをどう考えるか。
 仮に、具体的な制度設計を行う場合には、「高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」での「給付率等の拡充」をどのように教育訓練給付制度に反映し、その給付率等の拡充をどのように設計するか。
 また、令和6年度末までの暫定措置である教育訓練支援給付金の在り方、特に、対象者や給付内容について、どのように考えるか。
 といった論点をお示しさせていただいております。
 すみません。ちょっと長くなって恐縮ですけれども、資料1の御説明は以上でございます。
○守島部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明のありました件について、御質問・御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 清田委員、手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○清田委員 ありがとうございます。日商の清田です。御説明ありがとうございました。2点申し上げたいと思います。
 まず、教育訓練給付についてでございますが、労働者の雇用の安定と就職の促進という目的を踏まえれば、この教育訓練給付、一定の意義は認められるものと考えてございます。
 その上で、個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援を強化するという政府方針については、その目的が、構造的な賃上げということであるのであれば、財源について、雇用保険財政のみにより措置することというのが、この雇用保険制度の趣旨から適切ではなく、一般会計も含めた措置を検討すべきではないのかと考えます。
 加えまして、3つの類型の教育訓練給付につきましては、給付実績にも鑑みまして、訓練内容をどの分野に重点を置くのかという点について、さらに検討が必要ではないかと思います。
 また、労働者の主体的な学びを促すという観点から、個人への直接支援を強化するという政府方針は理解いたしますけれども、深刻な人手不足に直面している中小企業からは、個人への直接支援の強化が、従業員の転職を促すものではないかという懸念が強くございます。教育訓練給付の議論とはやや離れてしまいますが、中小企業においては、まずは、既存の従業員の育成、スキルアップを通じた生産性向上が課題になっておりまして、企業経由の支援のバランスにも配慮をしていただきたくお願いをいたします。
 教育訓練給付の拡充を検討するに当たりましては、転職を前提とした訓練ではなくて、在職者の能力開発強化にも資する取組であるということを政府としても適切に発信をしていただきたいと思います。
 次に、教育訓練支援給付金について申し上げます。専門実践教育訓練が中長期なキャリア形成を目的とした訓練であり、訓練期間が長期に及ぶため、その間の生活保障を行う観点から給付は暫定的に講じられているものと理解はしてございますが、支給実績における訓練内容などに偏りが生じているということを踏まえますと、暫定措置の継続については、さらに議論が必要なのではないかなと考えてございます。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいらっしゃいますでしょうか。
 冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 まず、職業能力開発全般について、社会・経済様々変化する中で、将来を見据えた職業能力開発を適切に行うことは、働く者の雇用の安定、また、その賃金・処遇などの向上に資するものであって、雇用政策における非常に重要な柱だと考えております。
 また、教育訓練やリ・スキリングなどの能力開発機会は、当然のことながら非正規雇用で働く者を含めて全ての労働者・求職者に対して等しく提供されることが重要だと思っておりますし、とりわけ非正規労働者を含む労働者に対しては、企業が主体となって実施するべきだと考えております。
 そのことを前提とした上で、教育訓練給付について、現状は労使の保険料のみを財源としているため、教育訓練の指定講座は、例えば失業予防や早期再就職などを目的としたものに限定するべきだと考えておりますし、訓練ごとの効果検証もしっかり行っていただいた上で、適宜、訓練メニューの見直しを行う必要があると考えております。
給付の拡充については、先ほど申し上げたとおり、雇用保険制度の趣旨に鑑みれば、教育訓練給付は失業予防、早期再就職を目的にしたものに限定するべきだと考えており、国の政策としてその目的を上回るような拡充をしていくということであれば、国の責任により一般財源で実施するべきだと考えております。また、教育訓練は特定の産業分野の人材育成というような産業政策的な側面でもあることを考えると、これは雇用保険財源だけに頼るのではなく、その分野での業所管省庁から一定の財源支援を受けることも考えていいのではないかと思います。
 今回、論点の4つ目の○のところで、「高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」での拡充を検討とありますが、資料59ページにあるように、第四次産業革命スキル習得講座などによってスキルを身につけたとしても、スキルに見合った処遇改善を行わなければ、政策効果はなかなか上がらないのではないかと考えております。資料では、賃金差が小さいことが非常に問題ではないかということが書いてありますが、実際にはその企業において賃金を上げていかなければ、こういった支援をしていたとしても、なかなか効果が出ないということが、懸念されるところです。
 それから、1点質問です。今の論点のところで、「高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」ということで、資料もつけていただいているのですが、厚生労働省が考える「高いエンプロイアビリティの向上」とは何なのか、厚労省の考えを伺いたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 今の点、事務局から何かありますか。
○尾田課長 事務局からよろしいでしょうか。
○守島部会長 どうぞ。
○尾田課長 閣議決定では、「高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」での補助率・補助上限の拡充と言われております。そこの例示は、観光・物流と認識しておりますけれども、私が思うに、「高いエンプロイアビリティの向上」は、要するに、訓練を通じて雇用される可能性が高まるということですので、1つには、そのスキルが評価される職種である。他方では、求人倍率が十分にある業種ということかと思います。後者の求人倍率については、その時々で状況が変化するので、恒常的にその分野がどうということは言いにくいかと思いますけれども、私どもといたしましては、今、教育訓練給付の指定講座については、もともとの趣旨が、最初の制度のところで御説明したとおり、雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練講座を指定するということでやっておりますので、今の教育訓練給付指定講座は、いずれもエンプロイアビリティの向上に資する訓練であると考えているところでございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それで、よろしいでしょうか。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。説明は分かりました。
 ただ、62ページに出ている講座例が、当該の業界の労働者の方から見ると、通常取得すべき資格等が多いのではないかと思っておりまして、それが本当に高いエンプロイアビリティの向上につながるのか疑問に思うところもあります。また、労働者からすると、それとセットで賃金・処遇の改善や、業界の産業の長期展望が見込めるかも重要だと思いますので、そういった視点も踏まえて検討をするべきではないかと考えます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかにどなたか、御意見・御質問のある方いらっしゃいますでしょうか。
 三島委員が手を挙げていらっしゃいますか。どうぞ。
○三島委員 ありがとうございます。
 給付金の在り方について意見させていただきたいと思います。
 教育訓練支援給付金については、就職率向上など一定の効果は得られているものの、受給者の訓練内容にも偏りがあり、既存のデータのみで効果検証を行うことが難しいと考えています。訓練内容に看護師等が多く、その偏りが生じる理由や受給者の特性などを検証した上で整理すべきではないでしょうか。
 また、今回、教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設について議論が行われることを踏まえれば、それらの制度とのバランスや整合性など、併せて検討を行うことが必要と考えます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ほかにどなたか、御意見・御質問ある方はいらっしゃいますでしょうか。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 教育訓練給付については、在職者の主体的な能力開発、スキルアップを支援する給付として、失業の予防や生活の安定のみならず、離職者の再就職支援にもつながり、経団連が主張している「労働移動推進型」のセーフティネットの一翼を担うのではないかと認識しています。DXやGXの推進に伴い産業構造が大きく変化する中、個人の主体的なリ・スキリングを支援し、高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野で、給付率等を拡充するという方向性は理解しています。
 ただし、スライド2にもあるとおり、教育訓練給付については国庫負担がなく、何人かの委員からも御意見がありました。国を挙げて在職者のリ・スキリング、教育訓練を支援していくということであれば、一般財源を投入して国庫負担を行うなど、政府として人への投資にしっかり取り組むという姿勢を明確に示していくべきだと思っております。
 給付の対象講座指定の状況、実態については、地域差があるとの御説明がございました。給付の3類型の中においても、受給者数に偏りがあると思っております。制度のさらなる周知や広報も必要なのではないかと思っております。
 さらに、暫定措置の教育訓練支援給付金については、コロナ禍からの回復途上にあったことを理由に、令和6年度まで延長されていますが、雇用保険制度の運営が平時に戻っていることも踏まえて、必要性も含めて見直しをしていくことが必要なのではないかと思っております。
 意見は以上でございまして、単純な質問があります。スライド14で、一般教育訓練給付金の年度別の支給状況が整理されておりますが、平成25年度からの支給金額の減少は、新しい特定一般や専門実践の類型の充実に伴い、それらへの移行が背景にあるという理解でよいのかどうかを確認したいと思います。
 もう1つは、教育訓練給付金の将来の支給金額の見通しはシミュレーションできるものなのかどうかをお尋ねしたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 今、お答えになりますか。
○尾田課長 事務局でございます。
 まず、参考資料の3ページ、4ページに、一般教育訓練給付金の指定講座数の推移と支給額及び受給者数を載せております。
 3ページで、指定講座数の推移を御覧いただきますと、平成13年辺りをピークとしてずっと下がっておりまして、平成20年、平成21年辺りを底として、その後は緩やかに上昇となっております。
 一方で4ページの給付のほうでございますが、平成15年度当時は898億の支給がございましたが、そこを山といたしましてずっと下がって、近年まで下がり続けております。
 先ほどの支給実績との関係で申しますと、一般教育訓練給付金は経年的にずっと下がってきているという途上でございますので、専門実践のほうに流れたというよりも、それ以前から既に傾向的には下がってきているということかと思います。先ほど、制度変遷のところで御説明したとおり、この制度については、当初、8割、上限20万円という制度で創設いたしましたが、平成15年改正で給付率を4割に下げて、平成19年改正で給付率を20%に下げるという改正をいたしました。その改正の効果も多少ございまして、一般教育訓練給付金については、経年的にこのような傾向にあるのかなと認識しております。
 そして、将来推計については、なかなか難しいところがちょっとございまして、一般教育訓練給付金については、こうしたところで経年的にずっと減少傾向ということで、傾向としてはこういうことなのだろうと。ただ、先ほど平田委員からも御指摘ございましたが、私どもとしても、周知・広報の効果はあるだろうと認識しております。これまでも周知・広報はしているわけですけれども、今後とも、制度を拡充する、しないにせよ、制度の広報には努めまして、その成果は多少あると思います。ですので、今後、どれぐらい伸びるか下がるかというのは、今の制度のままで考えたとしても、ちょっと予測のつきにくいところは正直ございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ほかにどなたか、御意見とか御質問ある方はいらっしゃいますでしょうか。
 水島委員、お願いいたします。
○水島委員 水島でございます。
 まず、事務局におかれましては、詳細な資料を作成いただき、また、御説明いただき、ありがとうございました。
 私自身、この賃金上昇が教育訓練給付の効果と言えるかどうか、正直疑問に思っていたのですけれども、今回、労働市場全体の転職入職者の数字をお示しいただき、比較できました。ありがとうございました。
 御説明を伺いまして、再就職しやすくなった、特に希望の職種に就職できたという傾向が見られるように思います。少なくとも一定の効果は認められると判断できますので、教育訓練給付の存続・拡充自体に、特に異論はございません。
 もっとも雇用保険の目的に照らしますと、より優先されるのは、失業の回避や雇用の継続といった労働者の職業の安定と考えます。既に安定した職にあり、一般社会人の水準を上回る能力やスキルを備え、失業の心配がない被保険者により高い賃金を獲得するため、高いエンプロイアビリティの向上のために、雇用保険が被保険者の教育訓練を後押しすることは、雇用保険の目的・趣旨を逸脱しないとしても、優先順位は後になると考えます。具体的な制度設計を行う際には、まず、何をすべきなのか。また、雇用保険の射程を意識すべきと考えます。
 このように考えますので、論点にある「高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」での給付率等の拡充については、私は消極的な意見です。もちろん経済政策や技術政策といった観点から、他の制度を用いて支援をすることについて否定するものではございません。この点、労使の委員からも同様の意見があったと認識しておりますけれども、公益の立場からも申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続いて、佐々木委員お願いいたします。
○佐々木委員 どうもありがとうございます。
 論点の4つ目にある「高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野」について、先ほどからよく話がありますけれども、その給付率の拡充をすることによって、生産性が向上して、賃上げが達成できることが期待できるのと思っております。
 ただ、その前にちょっと注意点がありまして、まずはエンプロイアビリティの向上が期待される分野は思った以上に速いスピードで変化しているのではないかなと思います。その中では、ITだったり、データアナリティクスだったり、観光だったり、物流だったりしますが、後者2つは構造的な人手不足から、今後も労働需要が多い分野だと思う一方で、AI、データアナリティクスに携わるデジタル人材に関しては、今は成長分野の象徴と思われていますが、AIが更に普及すると、デジタル人材の仕事を奪ってしまうこともありえます。そうなるとデジタル人材の失業につながる可能性があります。ですから、最近までは非常に成長分野で、高い賃金が約束されていた仕事にもかかわらず、早い段階で廃れてしまうことがあるので、求められる人材は速いスピードで変わっていく状況を注視していく必要があるかなと思います。
 もう一つは、スキル、技能だけではなく、基本的な働く姿勢やコミュニケーション能力のような非認知能力を高める必要があると思います。デジタル人材として、クライアントが何を望んでいるのかを常に気を遣い、クライアントとのコミュニケーションを絶やさないことで、そのクライアントの要望を聞いていくというのはAIにはできない仕事であり、AIとの補完性が高いと思います。デジタルなスキルや技能だけを学んでしまうと、それは単なる新たな技術が開発したときに、その技術と代替される可能性があります。本当のエンプロイアビリティとは、そのような技能プラス働くときに重要な姿勢であったり、コミュニケーション能力であったりするような非認知能力を備わっていないといけません。非認知能力を鍛える訓練を心掛けたほうがいいかなと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 柴田委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○柴田委員 JFEスチールの柴田でございます。
 企業の側からこの制度を見させていただくと、今まで皆さんが言われているように、いろいろな目的のものがたくさんこの教育訓練給付制度の中にあって、何からやっていくべきなのかということですね。考えなければいけないのかなと。スクラップアンドビルドをしなければいけないのかなということはちょっと感じました。
 企業としても、今、人的資本開示が求められる中で、人への投資というのが求められておりますし、支援もその中でやっていくという動きで今やっていますが、教育もすごく重要な分野でして、個人のどのようなキャリアを実現してあげるという観点で、教育のこういう補助制度の充実を、今、企業としても取り組んでいますので、ある程度の部分、企業にその取組を任せるという考え方も、これは私が言うのもちょっとおかしな話ですが、そういう考え方もしかるべしなのかなとも思っておりますので、この場で述べさせていただきました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、御意見・御質問ある方はいらっしゃいますでしょうか。
 会場はもういらっしゃいませんね。
 それでは、これで意見が出尽くしたようですので、次の議題に移りたいと思います。
 次は、資料2「訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設について」でございます。まず、事務局より資料の御説明をお願いしたいと思います。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。資料2に沿いまして、「訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設について」説明を申し上げます。
 1ページ目以降につきましては、先ほどと重複しますので、簡単に説明申し上げますけれども、政府の閣議決定の中で、教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設について検討することとされております。こちらにつきましては、「こども未来戦略方針」の中にも同様に、生活等への不安なく、主体的にリ・スキリングに取り組むことができるように、これらのことについて検討するとされておるところでございます。
 3ページ目以降で、労働者の主体的なキャリア形成に向けた取組についてどのようにしているかというところを、「能力開発基本調査」を基にお示ししております。企業の側の取組ですけれども、企業が労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組の中に、「自己啓発に対する支援」がございます。その中で、どういう支援をしているかという内容につきましては、「受講料等の金銭的な援助」が最も多く、その次に、「就業時間の配慮」とか情報提供といったことに加えて、最後、2割程度でございますけれども、「教育訓練休暇(有給・無給の両方を含む)の付与」が回答として挙げられております。
 4ページ目におきまして、こちらは次に労働者の側から見たときの自己啓発を行う上での問題点について、同様の調査を基にお示ししております。労働者の方が自己啓発を行う上での問題点としては、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」といった時間的な課題を挙げる方が多いといった状況でございます。
 5ページ目におきましては、こちらは、また、企業側の取組でございますけれども、教育訓練休暇制度の導入状況についてお示ししております。教育訓練休暇制度を導入している企業は全体の7.4%、予定しているとする企業は10%であったところでございます。
 この制度の導入予定がない理由としては、代替要員の確保が困難であるため、制度自体を知らなかったためというものが多いという状況でございます。
 6ページ目において、こちらは次に労働者の側に戻って、その教育訓練休暇制度の利用と今後の利用要望についてお示ししております。正社員の方で見ますと、教育訓練休暇制度を利用したことがある方は2.4%にとどまっている状況でございますが、下のほうを御覧いただきますと、今後の利用の要望がある方は24.9%と、実際に利用したことがある割合よりも多くの方が求めているという状況が見てとれます。
 7ページ目のところで、この教育訓練休暇ということで、職業能力開発促進法の条文をお示ししております。それぞれ有給教育訓練休暇とか長期教育訓練休暇の中身をお示ししているところでございます。
 8ページ目におきましては、こちらは事業主の方の休暇制度の例を、キャリア形成に関する長期の休職・休暇制度を各企業のホームページなどから引用したものでございます。幾つか例がございますけれども、専門スキルを身につけるために、国内外に最長2年、私費で修学できる休暇制度があります。無給だけれども、社会保険料は会社が支給、修学に係る初期費用は50万円まで会社が負担といったケースとか、勤続10年ごとに最長6か月の休暇取得が可能といったもの。休暇中は基本給の3割を支給といったものとか、勤続5年以上の社員を対象として、最長3か月の休職制度。あるいは、期間は短いですけれども、年間40日まで、連続または断続的に取得できる休暇制度(休暇中は無給)となっていたり、勤続10年以上の正社員を対象とした、2~3か月間の休暇制度を設け、1か月間は給与を支給し、残りの期間に有給休暇を充てたりすることも可という形で、会社の中でもキャリア形成に関する長期の休職・休暇制度を設けているところがあるという状況でございます。
 9ページ目におきまして、個人向けの教育訓練支援を大きな見取り図のような形でお示ししております。左肩が求職者支援訓練あるいは公共職業訓練を受けている際の生活支援がどうなっているか、右肩が自発的な教育訓練を受ける際の訓練期間中の生活支援がどうなっているかを、それぞれ在職者・求職者という観点でお示ししております。
 まず、在職者の方については、雇用保険被保険者の方であれば給与があるというところで、雇用保険被保険者以外の方について、求職者支援訓練を受講して、収入や資産が一定額以下の方については、職業訓練受講手当(月10万円)が支援として支給されています。求職者の場合、雇用保険受給者であれば、基本手当(離職前の賃金の50~80%)が支給。その上で、公共職業訓練等の受講期間については、所定給付日数を超えて支給されているという状況です。受講修了後の方で、先ほどと同様に、求職者支援訓練などを受けて、収入や資産が一定額以下の方については、手当が支給されているという状況でございます。
 一方、自発的な教育訓練として、資料1で御説明した教育訓練給付で費用負担が行われているというところでございます。これは、雇用保険被保険者と雇用保険受給者の方などを対象に支給されています。
 一方、個人向けではなくて、事業主向けの助成金ですけれども、人材開発支援助成金によって労働者の方が自発的に受講した訓練費用を事業主に助成しているという制度もございます。
 一方、自発的な教育訓練を受けられた際の生活支援としては、在職者の方は給与ですけれども、基本的には、現行だと、訓練期間中の生活支援がないという状況でございます。
 一方、事業主向けとしては、有給教育訓練休暇の賃金助成を、人材開発支援助成金を通じて行っているというところでございます。
 求職者の方については、基本手当とか一定要件の方、基本手当の受講修了後の一定要件に該当する方、45歳未満の方などについては、教育訓練支援給付金が支給されているという状況でございます。
 一方、フリーランス等、雇用者を目指す方であったとしても、特段、自発的な教育訓練とか生活支援がないという状況でございます。
 10ページ目のところで、新たな給付を踏まえまして、雇用保険制度における給付の代表例、基本手当と育児休業給付をお示ししております。基本手当につきましては、失業した場合に支給されるもの、支給要件としては、離職の日以前2年間に、被保険者期間が12か月以上、倒産、解雇の場合には、1年間に6か月以上あることが求められております。給付額については、離職前賃金の50~80%相当額、所定給付日数は、離職理由等によりますが、正当な理由がない自己都合離職の場合には、短い期間、90日~150日が設定されているというところでございます。
 4番目でございますが、給付を受けた場合の被保険者期間の扱いですけれども、基本手当を受給した場合には、離職前の被保険者期間は、次に基本手当を受給する際の受給資格の決定とか所定給付日数の算定に用いる期間からは除かれる、被保険者期間がリセットされるという扱いとされております。
 一方、育児休業給付でございますが、1歳未満の子を養育するための育児休業を行う場合に支給されるもので、支給要件につきましては、休業の開始日前2年間に、被保険者期間が12か月以上あること。給付額は、休業開始前賃金の67%相当額(180日まで)、181日以降は50%相当額となっております。
 先ほどの基本手当との対比で、育児休業給付を受けた場合の被保険者期間の扱いでございますが、育児休業給付を受給した場合でも、休業前の被保険者期間は、基本手当を受給する際の受給資格の決定や所定給付日数の算定に用いる期間に含まれると。ただし、所定給付日数の算定の際、給付を受給する休業期間は除かれるという扱いにされています。
 これらの給付を踏まえて、新たな給付をもし制度設計することになった場合の御参考としてお示しさせていただいております。
 11ページ目においては、融資制度の検討がうたわれておりますので、既存の融資制度についての御説明をしております。
 例えば、求職者支援資金融資として、先ほどの求職者支援を受けて、求職者訓練を受けられている方で、一定の所得とか資産以下の方について、給付金をお支払いしているところですけれども、その方が、さらに生活費が必要な場合には、単身者の方であれば5万円、配偶者等がいる方については10万円で、訓練期間について融資を行っているところでございます。
 技能者育成資金融資ということで、総合大学校とか公共職業能力開発施設の学卒者訓練の受講者(成績基準を満たし、父母等の所得が基準額以下)に対して、1年当たり36~69万円の融資を行っているものとか、あるいは、就職促進資金融資ということで、北海道労金だけのものですけれども、アイヌ地区住民の方に対して、就職促進ということで、世帯主の方は20万円、それ以外の方は15万円の融資を行っております。この融資につきましては、常用労働者として1年間雇用された場合には返済免除という仕組みが設けられているところでございます。
 残りの2つは、既に新規受付が終了しているものでございますけれども、過去、教育訓練支援給付金受給者を対象に、さらに上乗せの融資として、教育訓練受講者支援資金融資といったものとか、リーマンショックの際につくられたものでございますけれども、訓練・生活支援資金融資ということで、当時の緊急人材育成支援事業で、訓練・生活支援給付金を受けられていた方に対して、被扶養者がない方は5万円、被扶養者がある方には8万円、それぞれ訓練期間中に支給するといった融資がございました。これにつきましては、訓練修了6か月後までに、6か月以上の雇用が見込まれる就職をして、雇用保険の被保険者資格を取得した場合には、貸付額の50%に相当する額を返済免除するという仕組みが設けられていたところでございます。
 12ページ目でございますが、すみません、あくまでも参考でございますが、教育費・奨学金の負担軽減ということで、少し別の分野になりますけれども、高等教育の教育負担に関する世論調査で示されたものをお示ししております。至極当然のことかもしれないですけれども、教育費用の負担軽減のための支援の充実を求める声が多いといったものでございます。
 これらの現行制度などの状況を踏まえて、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付とか融資制度に関する論点を13ページ目でお示ししております。閣議決定でうたわれております個々の労働者が教育訓練中に生ずる生活費等への不安なく、主体的にリ・スキリングに取り組むことができるよう、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設を検討することとされていることについて、どう考えるか。
 この場合、具体的な設計に当たり、以下の点について、どう考えるか。
 新たな給付につきましては、訓練期間中の生活を支えるという趣旨・目的を踏まえた、対象者、支給要件、給付内容をどうするか。
 新たな融資につきましては、新たな給付との関係とか、趣旨・目的を踏まえた、対象者、融資内容、事業の位置づけをどうするか。
 希望する教育訓練の受講を促し、その教育訓練の効果を高めるための仕組みについては、どう考えるか。
ということを論点としてお示しさせていただいております。
 資料としては、以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明にあった件について、御質問・御意見があったら、お受けしたいと思います。
 大谷委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 まず、休職者の給付の件ですけれども、企業では、全てとは言いませんけれども、必要な業務の資格取得をする場合の訓練、それから、その資格試験の受験等々につきましては、業務として行うといった場合が多いと思っております。
 それ以外の部分で教育訓練を受けるといったときに、業務に関係する部分であればいいのですが、そうではなくて、離職のための準備とか、会社に知られたくないという内容のものが出てきた場合は、今回の場合、ちょっと使いにくいだろうなと思いますし、かなり限定的な使い方になるのではないかなと思っております。そういった場合に、限定的な方たちに対して給付を与えるなどのプレミアムを設定するのかどうかということは、議論の必要があるかなと思っているところでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続いて、段委員どうぞ。
○段委員 ありがとうございます。パナソニックエナジーの段でございます。
 このような新たな給付・融資制度ということで、リ・スキリングに投資するという意味においては一定の効果が見込まれる制度であると理解をいたします。私どもの会社においては、社員の自律的なキャリア形成を促進させる支援制度ということで、キャリア開発を目的とした休業制度を2016年に導入いたしました。これは勤続3年以上の従業員を対象に、最大3年間休業が可能で、その間、賃金は無給ですけれども、会社に籍を置いてキャリアアップのための自己研鑽等に取り組めるということで、従業員にとっては非常に安心感のある制度になっています。
 このような制度を運営する上で課題となりますのが、取得した人のリテンションでございます。企業からしますと、休業中に資格を取得して、復帰せずに退職してしまうという事例が発生する懸念がございますので、制度上、一定の制限を設けるなどといったことで工夫を行っているというところでございます。
 先ほどの御意見もございましたけれども、昨今、若年層を中心とする人材不足が深刻となる中で、企業にとってリテンションは非常に大きな課題になっております。給付や融資制度が導入されますと、懸念されるのは休業取得者の退職増というところでございますので、制度を検討するに当たっては、取得者の退職を抑制するという点にも配慮した制度設計で、例えば、給付水準は一定の水準に抑えるとか、給付の一部は訓練の何か月後かに支給するといった、そういう抑制する工夫・仕組みといったところも必要ではないかと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、どなたか。
 では、奥委員お願いいたします。
○奥委員 ありがとうございます。
 資料の4ページ目、自己啓発を行う上での問題点の内訳がございます。こちらを見ますと、時間的な課題が多いとのことであり、まずは、働き方改革の徹底による長時間労働の是正、柔軟な働き方ができるフレックスタイム制度、それから、教育訓練休暇制度の導入促進が必要であると考えております。
 また、中小企業におきましては、人手不足の中で、教育訓練によって職場を抜けることに難色を示す経営者、それから、労働者が転職してしまうのではないかと不安を持つ経営者もいると伺います。教育訓練の重要性を正しく認識し、キャリアアップのための時間を確保していくような意識を、経営者や労働者といった職場だけではなくて、社会全体で醸成していくべきだと考えております。
 もう一点、雇用形態にかかわらず、働く者が自己啓発を行い、キャリアアップを目指すための支援は非常に重要でありますが、新たな給付や融資制度の創設につきましては、既存の事業主への支援である人材開発支援助成金を拡充することによる対応や、雇用保険被保険者以外が生活費を受給しつつ教育訓練を受講できる求職者支援制度とのすみ分けをどうするか、支援が必要な対象者の基準設定を検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、御意見とかおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
 中窪委員、お願いします。
○中窪委員 今の御意見にも関係するのですが、閣議決定の文章の中で、教育訓練給付の拡充は、今あるものの拡充だと分かるのですけれども、教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設について検討するのは、これは雇用保険制度の中にそういうものをつくることを検討するということなのでしょうか。この部会に出ているから、そういう趣旨であろうとは思うのですけれども。
 それから、もし、そういう場合に、給付はともかく、融資制度はどういう形で制度ができるのだろうかという点です。今、雇用保険は失業等給付と二事業でやっているわけですけれども、もし事務局で、そことの関係がイメージできるのであれば、教えていただきたいと思います。
 私自身は、さっき水島委員がおっしゃいましたように、基本的な雇用保険の目的から言って、教育訓練給付については、十分に関連性があると思うのですけれども、さらに、ここまで訓練期間中の生活を支えるところまで行くことが適切かどうかというのは、若干疑問を持っております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続いて、平田委員お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。
 新たな給付と融資制度の創設は、いずれも経済的な理由によって教育訓練の受講をためらう働き手を支援する仕組みとして、一定の評価はしたいと思っております。仮定の話でありますが、人材開発支援助成金の中にも教育訓練休暇等付与コースがあり、この認知度向上などを通じて、新たな給付の活用につなげていくことも必要なのではないかと思っております。 また、休暇・休職中の人員確保の支援や、職場を支えている他の労働者への支援といった支援も重要と思っております。
対象者、支給要件、給付内容等の詳細な制度設計に当たっては、雇用保険被保険者に限らず、全ての働き手が活用できる仕組みにすることが必要です。融資制度の対象者や融資内容と併せて検討して、2つの制度が相互に補完し合える仕組みにすべきと考えております。
 これに加えて、給付あるいは融資の対象者によって、当然、財源は変わるべきと理解しております。制度設計に当たっては、財源についての十分な議論も必要です。
 差後に、1つ質問です。資料のスライド9では、個人向け教育訓練支援をできれいに整理していただいています。ここにある施策は厚生労働省所管のものと理解しておりますが、政府全体の施策を調べて、記載いただいたのかということを教えていただければと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 お答えになりますか。
○尾田課長 事務局からよろしいでしょうか。
○守島部会長 よろしくお願いします。
○尾田課長 まず、中窪委員からの御質問でございますけれども、閣議決定の文書については、雇用保険で対応するという趣旨なのかという御指摘についてでございます。
 確かに、閣議決定上は、そこは何も書かれておりませんが、職業人が教育訓練を受ける際の生活を支えるための支援ということでございますので、一義的には、厚生労働省で受け止めて対応するものと理解をして、検討しているところでございます。それに当たっては、今、委員からもるる御指摘がございましたが、財源をどうするかということも含めて、この部会でまずは受け止めて御議論いただきたいという趣旨でございます。
 もう一点、中窪委員から御指摘ございました融資制度について、どのような仕組みなのか分からないという御指摘がございました。
 今回の資料の中では、11ページで、これまで厚生労働省で実施しておりました既存の融資制度をお示ししております。これはいずれも労働金庫に御協力いただきまして、融資自体は労働金庫から行うと。一方で、それが焦げついた場合の支援、あるいは返済免除に応じた場合の当該金額に対しましては、国から補助金を出すという形でいずれも実施しているところでございます。こうした制度が1つ参考になるのではないかということでお示ししているところでございます。
 平田委員から御指摘がございました、資料の9ページ目でございます。
 これはちょっと未定稿とすべきだったかもしれませんが、政府全体での支援が全て含まれているというものではございません。例えば、自己啓発に対しまして税額の控除という仕組みが税制上ございます。これも在職者の教育訓練を支援する仕組みとして、本来ですと、自発的な教育訓練を支援する仕組みとして記載すべき項目として1つはあろうかと思います。その他どういう制度があるかということは、調べ切れておりませんので、今後、調べまして、追加が必要でしたら、またお示しさせていただければと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに、御意見・御質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。
 水島委員、お願いいたします。
○水島委員 ありがとうございます。
 論点からずれるのですが、意見を1つ述べさせてください。
 8ページに休暇制度の例が挙げられていますが、こうしたグッドプラクティスの拡充が本当によいことなのか、ニーズがあるのかという問題提起です。現在、兼業・副業を促進する政府の方針もありますし、タイムパフォーマンスを重視する若い労働者の意識からすると、休業して教育訓練をすることが今後受け入れられにくくなるのではないかと考えます。
 先ほど、奥委員からも御指摘がありましたように、休業して教育訓練をするという選択肢だけではなくて、柔軟な働き方、時間外労働がない働き方、あるいは短時間勤務を選択できて、夜間の大学院や専門学校に通う、働きながら教育訓練を受けるというニーズが今後広がるのではないかと考えます。
 問題提起として発言させていただきました。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、御意見・御質問ある方はいらっしゃいますでしょうか。
 大丈夫ですかね。
 ありがとうございました。それでは、議題1については、これで終わりにさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、「教育訓練給付等」について、今日の議論も踏まえて、必要な整理を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、私からちょっと一言ですけれども、何回か厚生労働省の声が聞きにくい部分があって、これは私だけなのか、それともほかのオンラインの方も、そういうことがあったという方、ちょっと手を挙げていただけますでしょうか。
(挙手する委員あり)
○守島部会長 そうですよね。
 結果的には、多分、全部伝えられていると思うのですけれども、できればスムーズに聞けたほうがいいと思いますので、今日は、私、オンラインで出ることがあまりないので、初めて気がついたのですけれども、皆様方にきちんと伝わっていくことも大切だと思いますので、できれば、そういうところも少し対応していただければと思います。
 よろしいでしょうか。
○尾田課長 事務局でございますけれども、ちょっと技術的な問題もございますので、すぐ解決するかどうかは分かりませんが、すみません、改めて、御指摘いただきまして、ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日予定されている議題は以上ですので、今日の部会はこれで終了いたしたいと思います。
 皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。