2023年6月12日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和5年6月12日(月)16:00~

場所

新橋6E会議室

出席者

出席委員(20名)五十音順

(注)○部会長代理

他参考人3名出席


欠席委員(3名)五十音順

(注)◎部会長


行政機関出席者
  • 山本史 (大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 中井清人(医薬・安全対策課長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多用中のところありがとうございます。
 まず最初に、今回から新たに、横浜市立大学附属病院産婦人科部長の宮城悦子先生に部会委員として御就任いただいておりますので御紹介いたします。宮城委員におかれましては、恐縮ですが一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○宮城委員 横浜市立大学産婦人科の宮城です。専門は婦人科腫瘍学です。いろいろ学ばせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。以後、よろしくお願いいたします。
あと、事務局側で異動がございましたので報告のみさせていただきます。令和5年4月1日から、医薬品医療機器総合機構の医務管理監に南学、安全管理監に倉持憲路、医療機器調査・基準部長に小川将仁が着任しておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況を御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会の委員23名のうち17名に御出席いただいておりまして、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告いたします。1名、宮川委員は遅れての参加ですので、参加されましたら20名となります。なお、12名の委員の方におかれましては、Webシステムにて出席いただいているという状況です。
 次に、本日の審議に参考人として御出席いただいている先生を紹介させていただきます。議題2につきましては、社会医療法人岡本病院(財団)京都岡本記念病院院長特別顧問・心臓血管外科スーパーバイザーの山岸正明先生、議題3につきましては、国際医療福祉大学医学部脳神経内科教授の赤松直樹先生、議題4につきましては、昭和大学外科学講座乳腺外科学部門特任教授の中村清吾先生に御出席いただきます。なお、山岸先生におかれましてはWebシステムにて御出席いただくこととなっております。
 続きまして、議事に先立ち、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告します。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、書面を御提出いただいております。御負担をおかけしますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局から御説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明いたします。平成13年の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 それでは続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加される委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~9をお手元に御用意ください。なお、資料3、4及び6の一部に修正がございましたので、当日配布資料1~3として、それぞれの正誤表をお配りしております。タブレットの操作について御不明な点等がございましたら、お近くの事務局員までお声かけいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の先生方へ、注意事項を御説明いたします。審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで一報いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。なお、本日は小野部会長が御欠席ですので、以降の進行につきましては、佐久間部会長代理、よろしくお願いいたします。
○佐久間部会長代理 佐久間でございます。よろしくお願いいたします。
まず、ただいまの事務局の説明について御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、これより議題に入ります。本日は、議題2~5が審議事項、議題1、6及び7が報告事項となっております。
それでは、議題1「医療機器の承認基準及び認証基準の改正について」に入ります。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議題1「医療機器の承認基準及び認証基準の改正について」を、資料1に基づき御報告いたします。今回、認証基準として制定1件、承認基準として改正7件を行います。
まず、基準について御説明させていただきます。本邦におきまして、医療機器はリスクに応じてクラスI~IVに分かれており、比較的リスクの低いクラスII及び一部のクラスIIIの製品については、厚生労働省が認証基準を定めることで、厚生労働大臣が認定した民間の登録認証機関による審査・認証を認めております。また、承認基準では、後発医療機器の承認申請を行うに当たり必要な非臨床試験項目や各試験方法等を明確化しており、開発企業にとっては承認申請までのプロセスを効率的に進めることができるとともに、承認審査の迅速化を図っております。
 それでは、資料1-1を御覧ください。認証基準の改正についてです。今回、令和4年の規制改革実施計画において、開発促進を促すためプログラム医療機器の認証基準を策定することとなり、今般、「創外固定器治療計画支援プログラム」の認証基準の制定を行うため、認証基準告示の改正を行います。
 今回制定する「創外固定器治療計画支援プログラム」は、X線診断装置等から得られた情報、及び併用する創外固定器の情報をもとに、骨矯正のために必要な創外固定器の支柱・ストラットの長さ調整量や矯正スケジュールを計算し、その結果を表示するプログラムです。なお、創外固定器とは、骨折治療、骨延長等のために骨又は軟組織に刺入するピン等を体外で固定する器具になります。また、当該プログラムの使用方法ですが、基本的には、術前計画に使用されますが、骨矯正中でも使用されます。
 資料1-2の1ページの表を御覧ください。こちらが「創外固定器治療計画支援プログラム」の基準案文となっております。同等性を評価すべき主要評価項目として、「接続する併用医療機器等からのデータ受信機能」等の3項目を規定し、使用目的又は効果は、「創外固定器使用時に、患者情報や併用する機器情報を入力し創外固定の治療計画の決定を支援すること。」としております。3ページからは、医薬・生活衛生局長が定める基準の通知案となります。認証基準の内容を補足する局長通知において、既存品との同等性評価の基準については(2)でお示ししております。
 続きまして、承認基準の改正になります。資料1-1の2ページを御覧ください。今回、改正する7件全ての承認基準におきまして、引用している日本産業規格が改正されたことに伴い、その変更内容を反映するため承認基準の改正を行います。
(1)の人工腎臓装置については、漏血に係る試験におきまして、試験液として豚血を使用可とする内容等を追加しております。
 (2)の自動腹膜灌流用装置については、引用規格におきまして試験方法を規定する改正がなされたことに伴う記載内容を整備するとともに、本邦では承認実績がない透析液調整機能を有する装置に関する規定については基準の対象外としております。
(3)~(6)までの針やカテーテル関係については、引用規格においてエンドトキシン試験が削除されたのですが、引き続き留意が必要な事項であることから承認基準においてエンドトキシンの評価に係る規定を追加等しております。
 (7)の人工肺については、承認前例のあるヘパリンコーティングを施した人工肺を適用範囲に追加等しております。
なお、各承認基準における個別の詳細内容につきましては、資料1-3にお示しさせていただいております。以上、御説明させていただきました承認基準及び認証基準のパブコメは既に実施しており、内容を大きく変更するような意見は頂いていないことを申し添えます。御報告は以上になります。
○佐久間部会長代理 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から、御意見、御質問等はございますでしょうか。Webの先生方も、もし何かありましたらどうぞ。
JISの規格にはあるのだけれども対象外とするのは、我が国では実績がないので技術的にまだ未知の部分があるということで、除外をすることになったと伺っています。やったことがないものをやるというわけにはいかないと思いますので、それはそのとおりだと思います。
ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに御意見等がないようですので、これで議題1を終了したいと思います。
 それでは、以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議などを開始したいと思います。
○事務局 準備が整いましたので、部会を再開いたします。本部会の利益相反について、報告いたします。資料8「競合品目・競合企業リスト一覧」をお開きください。Webにて御参加されている皆様は共有画面を御覧ください。1ページに「シンフォリウム」について、2ページに「メドトロニック Percept PC」について、3ページに「Cool-tip RFAシステムEシリーズ」について、4ページ以降に一般的名称に係る影響企業のリストがございますので、必要に応じて御覧ください。
 委員の皆様に、資料8に示す企業についての寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたが、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に該当する委員はいらっしゃいませんでした。また、薬事分科会審議参加規程第13条に基づく議決に参加できない委員は、議題2において田中委員、富田委員が、議題3において富田委員、松宮委員が、議題4において田中委員、松宮委員が該当しております。
○医療機器審査管理課長 以上、報告です。以降の進行につきましては、佐久間部会長代理、よろしくお願いいたします。
○佐久間部会長代理 それでは、今の事務局の説明について、御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
よろしければ、これより議題2に入ります。それでは、議題2「医療機器「シンフォリウム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。本議題について、参考人として山岸正明先生に御出席いただいております。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2の1ページ、専門委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、こちらの3名の専門委員から御意見を頂きました。以降の説明は、次のページ、審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、資料2の緑色の通しのページ番号と、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。
 初めに、本品の概要を御説明いたします。資料7ページ、審査報告書6ページ、「1.審議品目の概要」と、スライドを併せて投影いたしますので、御覧ください。
本品「シンフォリウム」は、先天性心疾患の外科手術における血流の修正、血液流路の確保及び周辺組織の構築・再建に用いる合成心筋パッチです。本品は、生分解性合成高分子のポリ-L-乳酸、PLLA糸と、非生分解性合成高分子のポリエチレンテレフタレート、PET糸からなる編物を架橋ゼラチンの膜で覆い、一体化させた構造を有します。本品の吸収・伸展過程の模式図として図1、スライドの下の図を御覧ください。ゼラチン膜とPLLA糸の分解吸収過程と併行して、自己組織が本品に浸潤しながら再生し、栄養血管を伴う新たな血管様組織が形成されます。PET糸は、再生した自己組織の強度を保持するという役割を担うとともに、PLLA糸分解後、組織の成長に追従した伸長が可能なよう設計されています。
 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。同じ資料の7ページ、審査報告書6ページ、152行目「(1)開発の経緯」から御覧ください。
近年、医療技術の進歩に伴い、手術成績が向上し、先天性心疾患患者の約90%が成人期に達するようになりました。一方で、埋植された手術材料に起因する長期的な問題として、劣化や石灰化、血管の再狭窄等の合併症が挙げられます。既存パッチは、いずれも心臓及び血管の成長に伴う伸長性を有さず、特に小児ではパッチと自身の組織との発育バランスが異なることにより再狭窄が生じる可能性があります。申請者はこの課題を解決するため、材料が劣化しにくく、内膜過剰増生を惹起せずに、生体血管が有している機能と遜色のない状態に修復され、かつ組織の成長とともに伸長する特性を有するパッチが臨床現場から必要とされていると考え、本品を開発しました。
 ただし、開発コンセプトの達成を評価するには10年単位の評価期間が必要となることから、まずは既存パッチとの同等性を示す方向で開発が進められています。なお、本品は世界に先駆けて本邦で早期開発される品目として、平成30年3月27日に厚生労働省より医療機器に係る先駆け審査指定制度の指定を受けています。
 続いて、本品の非臨床試験について特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料17ページ、審査報告書16ページ、上段457行目を御覧ください。
本品に関する臨床試験成績として、国内6施設で実施されたOFT-G1-301試験の試験成績が提出されました。概要については、同じページの表2を御覧ください。本治験は、先天性心疾患で心臓修復術を受ける患者を対象として、本品の有効性及び安全性を評価することを目的とした、多施設共同・前向き・単群試験です。34例に本品が使用され、主要評価項目は「術後1年での手術成功の割合」と設定されました。
 結果について御説明いたします。資料23ページ、審査報告書22ページ、下段540行目「1)主要評価項目」を御覧ください。主要評価項目「術後1年での手術成功の割合」は、点推定値100%、90%信頼区間は91.6~100%で、信頼区間の下限値は、事前に設定した閾値○%を上回り、本品の性能目標を達成しました。
 続いて、有害事象について御説明いたします。資料26ページ、審査報告書25ページ、表5を御覧ください。術後1年までに発生した有害事象の発現割合は88.2%でした。機器関連有害事象は4例で11.8%、重篤な有害事象は5例で14.7%発生し、いずれも本品との因果関係はなしと判断されました。本治験では、術後3年までのフォローアップが計画されており、本年1月時点で、術後1年から3年までの期間に重篤な有害事象として肺動脈狭窄2例が報告され、そのうち1例は、発現部位から本品との因果関係なし、もう一例は、術中止血のための追加縫合が主因とされ、本品との因果関係があるかもしれないと判断されました。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。
まず、本品の臨床的位置付けについて御説明いたします。資料27ページ、審査報告書26ページ、下段669行目「(1)本品の臨床的位置付けについて」を御覧ください。
機構は、申請者が本品の適応を、開発コンセプトに沿って、先天性心疾患に対する心臓中隔、心臓外壁及び血管壁とすることについて、既承認品の範囲内であり、特段の問題はないと考えます。一方で、本品の開発コンセプトについては、非臨床試験の結果からその傾向は示されていますが、動物試験の結果を完全にヒトへ外挿することは困難であること、臨床試験という限られた期間での評価は困難であることから、現時点で本品の臨床的位置付けは、先天性心疾患に対して既存パッチと同様に用いられるパッチとして評価することが妥当と判断します。一方、本品の開発コンセプトについては、引き続き実臨床で長期データを収集していくことが重要と考えます。そのため、長期フォローアップ中である本治験に登録された被験者の長期予後について、経年解析報告を機構宛てに報告する必要があると判断し、これを承認条件1として付すこととしました。
 次に、本品の有効性及び安全性について御説明いたします。資料30ページ、審査報告書29ページ、下段773行目からを御覧ください。本治験において、既存パッチと同等の製品であることを評価するために事前に設定した性能目標を達成していること、及び本品と関連のある特筆すべき安全性事象がないことから、本品の臨床的有効性及び安全性は許容可能と判断しました。ただし、症例数は限定的であり、かつ、後で述べますように高圧系のうち大動脈への使用症例がなかった点を踏まえ、市販後の安全対策については慎重な判断が必要と考えました。
 続いて、先ほど述べました、本治験において使用症例がなかった、高圧系のうち大動脈に本品を使用することの有効性及び安全性について、御説明いたします。資料32ページ、審査報告書31ページ、上段827行目を御覧ください。
本品を大動脈に使用することについては、イヌ下行大動脈例にて、最長○年間の瘤化、破裂が確認されていないこと、イヌ埋植例の組織観察の結果から、ゼラチン膜の分解吸収過程と併行して、自己組織の増殖が確認されたこと、また、比較的高いとされている主要体肺側副血行路を合併した肺動脈閉鎖例で有効性及び安全性について問題なかったことから、本品の承認に当たり大動脈を適応から除外する必要はないと考えました。ただし、市販後、大動脈については使用施設を限定し、使用成績評価において一定の成績を確認した上で段階的に使用施設を拡大していくことが適切と、専門協議での議論も踏まえ判断しました。
 次に、本品を異素材と直接縫合した場合の有効性及び安全性について御説明いたします。資料34ページ、審査報告書33ページ、冒頭889行目を御覧ください。
本品を異素材の製品と直接縫合した場合、893行目からお示しするような、遠隔期における縫合部の裂け等が懸念されましたが、イヌ下行大動脈例において、縫合部と自己血管壁と再生組織との層状の連続的移行が組織学的に成立していることが認められたこと、また、治験では本品と異素材を直接縫合した被験者11症例において、当該縫合部に特段の問題が生じていないことから、機構は、異素材と本品の直接縫合について、適応から除外する必要はないと判断しました。一方で、治験症例の長期データについては情報収集を続け、後述する使用成績調査のデータ等においても新たな知見が得られた場合には遅滞なく医療現場に情報提供することが必要と考えます。
 市販後の安全対策について、資料36ページ、審査報告書35ページ、表8を御説明いたします。本品の使用に当たり、特別なトレーニングを必要とするほどの既存品との操作上の差分はありませんが、詳細な留意点等の表に記載の内容について、医療機関に対して情報提供を行うという申請者の説明は受入れ可能と考えます。
 最後に、本品の使用成績評価について御説明いたします。資料37ページ、審査報告書36ページ、表9を御覧ください。
本品を用いて心臓外科手術を施術した症例の情報を収集し、安全性及び有効性を評価するとともに、本治験では登録のなかった大動脈へ使用した有効性及び安全性の情報収集を行い、必要に応じて追加のリスク低減措置を講ずる必要があると判断しました。
 なお、大動脈への使用については、全例を調査対象とし、一定期間の成績を確認した上で、段階的に使用施設を拡大していくという、申請者が計画している使用成績調査計画案は妥当と判断し、これを承認条件2として付すこととしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料39ページ、審査報告書38ページ、1,058行目より記載しております使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。また、使用成績調査の調査期間は7年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○佐久間部会長代理 まず、参考人の山岸先生から、追加の御説明はありますか。
○山岸参考人 小児心臓外科を専門としております山岸と申します。よろしくお願いいたします。
小児心臓血管領域で、肺動脈や大動脈の修復をする頻度は非常に多くて、現在、補填材料としては、ホモグラフト、人工血管、ダクロン(EPTFE)、それと自己心膜、異種心膜、自己再生組織などが用いられております。
 しかし、ホモグラフトは御存じのように入手困難です。人工血管は成長の可能性が見込めません。特にダクロンを使用した場合、内膜の異常増生により血管狭窄を来してしまいます。EPTFEは、現在では最もよく使用されていて、特に合併症を認めません。しかし、成長の可能性がないということが唯一EPTFEの欠点となります。自己心膜は採取に制限があります。再手術では癒着のため使用することはできません。異種心膜は石灰化などの問題点があります。自己再生組織はまだ研究段階です。このように、現在では、EPTFE、自己心膜しか、小児心臓血管領域では選択肢がない状況です。
 本品は、人工物として唯一成長の可能性をうたっておりますので、小児に対して期待できる素材ではあると思います。一方、本品が人工物であるがゆえに、内膜増生を来した場合、成長阻害や将来的なバルーン拡大術が無効となる懸念が残りますが、今、述べましたように、選択材料がない現状では、臨床での選択肢が増えることは望ましいことだと考えております。高圧である体動脈系への使用に関しては、慎重に進めることが重要であると考えます。以上です。
○佐久間部会長代理 ありがとうございます。それでは、審議に入ります。委員の皆様から、御意見、御質問等はありますか。
○富田委員 昭和大学の富田です。御説明は全くそのとおりで、是非臨床に導入していただきたいマテリアルではあります。1点、こういうデータがあるかどうかだけ教えていただきたいのです。ゼラチンとかPLLAが分解吸収される前に、この素材に伸展する圧力をかけるような手技、つまりPLLAやゼラチンの架橋を壊すようなバルーン拡張が必要になる状況はあり得ると思うのですが、その場合に、自己組織と置き換わる前の架橋がまだ十分ある段階で、そういうことをしていいものかどうか。するとどういうふうになるのか。何かデータがあれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より御説明させていただきます。治験においてはそのような症例はありませんでしたが、非臨床試験の方で、PLLAやゼラチンが溶ける前のものでどのくらいの引っ張り強度があるかというところの確認をしております。その際には高圧系がかかる。
○富田委員 いや、壊れなければいいのです。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、壊れないことでしたね。
○富田委員 PLLA、ゼラチンが壊れたらどうなるかを聞きたいのです。架橋が壊れないことを前提にするのではなくて、壊れた場合にどうなるか。壊さないためにはどういう注意が必要なのか。そういうことが、実臨床では必要だと思うのです。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。まずは2週間から1か月程度でそのゼラチンが溶けて、その後自己組織がその状態で張ることの確認がされております。その時点でバルーン拡張をした場合に、ある程度自己組織等の効果で、バルーンに耐えられるだけの効果はあると思うのですが。
○富田委員 実臨床でデータを集積するしかないと私は思っており、別にあらかじめデータを持っている必要は全然ないと思うのですが、最速だと手術翌日にバルーンをすることもあるのです。1週間以内もあり得るのです。ですので、その辺のデータを積んでいく必要性、そういう観点からのデータも集めていただきたいということだけなのです。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。その点も含めて情報収集をしていくように、申請者に伝えたいと思います。
○佐久間部会長代理 山岸先生、お願いいたします。
○山岸参考人 富田先生、コメントをありがとうございます。先生の御懸念はごもっともだと思います。EPTFEと自己の肺動脈を吻合した場合、術直後であっても、バルーンをかけてもEPTFEは破壊されないのですが、本品の場合、撚り糸になっていますので、自己の組織との吻合部がバルーンによって断裂する可能性は否定できないと思います。ですから、早期のバルーン拡張は、本品の場合少し懸念が残るというのが外科医の正直な印象です。エビデンスはありませんで、印象だけで申し訳ございません。以上です。
○富田委員 ありがとうございます。
○佐久間部会長代理 今の点は、使い方を注意しながらということを指摘しておくということかと思います。ほかにありますか。
○永井委員 京大の永井です。この製品の開発コンセプトは、患者の成長と一緒に製品も大きくなるということですが、この臨床試験を見ると、59歳までの人が入っています。59歳となると、もう成長することはないですよね。また、この製品の長期成績もない中、ある程度の年齢の方にはゴアテックスを使うのが普通ではないかと思うのです。そうすると、年齢や長期予後成績に関する注意喚起をしておいたほうがいいのではないかというのが1点です。
 もう一つは承認条件に関連するものです。長期予後について経年解析結果を機構に報告しなさいということと、使用成績調査をしなさいということと二つあります。後者については通常のパターンですが、前者の長期予後について機構に報告しなさいというのは余り見かけないように思います。見かける見かけないはいいのですが、機構が報告をもらったら、それをどのように処理するのでしょうか。機構の中で議論して現場にフィードバックするのか、あるいは、然るべき所で審議するということになるのか。以上2点、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構から御説明させていただきます。
1点目の59歳の方への使用については、御指摘のとおり成長に伴う伸長は望めないところですが、まだ非臨床でしか確認はできておりませんが、石灰化の抑制であったり狭窄などがないというベネフィットを期待して、組み入れられたというふうに申請者から伺っております。ただ、先生から御指摘を頂きましたとおり、どういう患者さんに使うかというのは、今後本品の評価されている内容も踏まえて、先生方、実臨床の現場で、御検討いただく必要があるのかなと考えております。
 2点目の、承認条件1の長期予後の御報告についてですが、本治験がまだ終わっておりませんので、終わっていない治験や臨床試験が添付されている場合に、付けさせていただいている承認条件となっております。こういう経年解析については、機構の方に報告をもらった後、審査部と安全対策の方で内容の確認をし、必要に応じて医療現場へフィードバック等をさせていただいたり、安全性で大きく懸念されるものがありましたら、対策等をどう考えているか企業の方とやり取りをして、対応しております。以上です。
○永井委員 ありがとうございます。
○佐久間部会長代理 それでは、松宮先生、Webから御発言いただければと思います。
○松宮委員 何点かあります。1点目は、一般的名称が「合成心筋パッチ」となっていますが、これは心筋の代わりをするわけではないので、誤解を生む名称かと思いますが、なぜこのような名称になったのかというのを、まずお聞かせいただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。本品の一般的名称については、類似する既承認品の方がこういう「合成心筋パッチ」というところの一般的名称に入っているというところもあり、本品も同様に入れさせていただきました。おっしゃるとおり、心筋だけに使われるものではないというのはそのとおりかと思うのですが、それを補足するように定義の中で本品が入ることの確認をしております。
○松宮委員 心筋の代わりは全くしないですよね、これ。むしろ「心臓大血管手術用パッチ」という別の名前がありましたが、ゴアテックスとかですかね。「心臓修復用パッチ」とかそういった名称の方が適当のような気がします。なぜ「心筋」を代用するということになったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、そのゴアテックスがこちらの箱に入っております。この一般的名称の定義というのが、「心中隔欠損、心筋組織損傷、心膜又は術中に作成した血管開口部の閉鎖及び修復に用いる機器をいう。ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル又は吸収性材料等からなる。」となっていまして、御指摘のように、一般的名称の名称だけを見てしまうと入らないように見えるのですが、定義の中で入るので、新たに作るのではなく、この中に入れるという判断をさせていただいております。
○松宮委員 はい、分かりました。
もう1点。これは人工血管ではないですけれども、人工血管もダクロンという素材を編み込んで、より密に編み込むか、粗に編み込むかで、ウーブンとかニッティドダクロングラフトという言い方をしています。ポロシティという単位があると思うのですが、その繊維がどれだけ隙間をもって編み込まれているかということ。より密に縫えば縫うほど血液は漏れないけれども、自己組織は入りにくい。逆にニッティドの方が、粗ければ粗いほど周りから組織が入ってきやすい。人工血管でも昔から用途によって、それぞれ使い分けているわけですが、この素材が、2、3年後に介在するPLLAが分解されたときに、ちょっと粗になるわけですよね。そのときの間隔というのは、従来のポロシティという単位でいうと、どのような数値になるのでしょうか。ニッティドよりも更に粗い、粗な間隔を持った素材ということなのか。その辺が分かれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。ポロシティに関してはデータがないのでお答えしかねますが、一般的なウーブンとかダクロンとかの血管に比べると、恐らく、より粗になっているというふうに理解しております。審査報告書6ページの図1を御覧になれば分かると思いますけれども、ゼラチン分解前がウーブンで編んだような感じで、いわゆるプレクロッティングが必要なイメージ、ただゼラチンで基本的には補填されているという状態です。けれども、成長に合わせて伸展したところでは、それよりも粗になっているというイメージです。よろしくお願いいたします。
○松宮委員 はい、ありがとうございます。
最後ですが、成長するというところが非常に重要なのだと思うのですが、ビーグル犬の大動脈に1×2センチのものを縫いつけて4年間観察しているわけですけれども、実際にそれで摘出するときにそのパッチは大きくなっていたのかという点はいかがなのでしょうか。4年大動脈の圧をかけているので、期待どおりでいけば、それは大きくなっているということが当然期待されるわけですけれども。実際はどうだったのかというのは分かりますか。
○医薬品医療機器総合機構 ビーグル犬に植えた組織は、本品パッチは特に大きくなっておりません。本品に自己組織も張っておりますので、圧がかかっても大きくならない、瘤化しないことの確認がされているというところになります。
○松宮委員 確かに大きくならないより、瘤化して破れたりするほうがよほど問題としては大きいので、期待どおり大きくならなくても、破れない、瘤化しないほうが重要だとは思いますが、そうすると、実際に期待どおりこれが成長とともに大きくなるかどうかは、まだまだ分からないということかと理解しました。ありがとうございました。
○佐久間部会長代理 ありがとうございます。ほかに御意見等はありますか。
使い方についての話、それから年齢というようなところ。名称については御説明のあったとおりということかと思います。あと、期待するところ、「成長に伴って」ということについては、今後やはり見ていく必要があるということかと思いますが、ほかにございませんか。よろしいですか。
それでは議決を行います。医療機器「シンフォリウム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は期間を7年として指定することでよろしいでしょうか。異議はないようですが、よろしいでしょうか。御異議はないようですので、そのように議決いたします。本件は分科会にて報告を行うこととなっております。
これで議題2を終了いたします。山岸先生、どうもありがとうございました。
── 山岸参考人退室 ──
○佐久間部会長代理 それでは、続きまして、議題3「医療機器「メドトロニック Percept PC」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。本議題について、参考人として赤松直樹先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それでは、事務局より説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料3、1ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり4名の専門委員から御意見を頂きました。
初めに、本品の概要について、スライドを用いて御説明いたします。本品は、脳深部に電気刺激を与えることで、各種運動障害症状の改善を目的とする脳深部刺激療法(以降「DBS」と言う)に使用する植込み型の電気刺激装置です。本品は、薬物療法で十分に効果が得られない振戦、パーキンソン病又はジストニアの症状の軽減を目的とする医療機器として、2020年に承認されています。本申請は、赤字で示しました、薬剤抵抗性の焦点性てんかんの発作の軽減を使用目的に追加することを目的とする、一部変更承認申請です。
 次のスライドをお願いします。本品は、刺激装置本体を胸部に埋植し、脳深部及び皮下に埋植した別品目のリード電極及びエクステンションリードを接続して使用します。スライドの右側の図が、使用イメージになります。
次に、開発の経緯を御説明いたします。以後の説明は、資料3に戻っていただきまして、2ページからの審査報告書に基づいて、御説明いたします。ページ番号は、緑色の通し番号、審査報告書のページ番号、それから左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。なお、事前にお配りした審査報告書に一部修正がありましたので、当日配付資料1の正誤表にてお示しいたします。この度は修正がありますことをお詫び申し上げます。
 資料8ページ、審査報告書で7ページ、冒頭の「開発の経緯」を御覧ください。てんかんは、脳細胞に過剰な興奮が発生することで、意識障害やけいれんなどを発作的に起こす慢性的な疾患です。今回、本品の適応対象となるのは、てんかんの種類のうち「焦点発作」です。焦点発作は、脳の一部に異常な興奮が発生することで、その組織の担う運動や感覚などの機能に異常が生じます。治療の第一選択は薬物療法ですが、症状のコントロールが困難な場合には「薬剤抵抗性てんかん」と呼ばれ、外科的治療が検討されます。外科的治療は、脳の異常興奮が発生する部位を切除する「焦点切除術」が根治治療に当たるため、第一に検討されますが、その適用が難しい場合には、迷走神経を電気刺激する迷走神経刺激療法VNSによる治療が行われているのが現状です。
 本品は、脳深部にある「視床前核」と呼ばれる領域を刺激すると抗けいれん効果が得られるとの発見から開発された医療機器です。欧州では2010年、米国では2018年に本品の前世代品が許認可を得ており、本品はその後継に当たる最新機種です。本品については、一般社団法人日本てんかん学会より適応拡大の要望が挙がり、2021年11月に医療ニーズの高い医療機器として指定されております。
 今回の適応拡大に当たっては、本品の設計や構成品、搭載する機能等に変更はありませんので、本品の臨床評価について、御説明いたします。資料12ページ、審査報告書11ページ、下段140行から御覧ください。
本申請では、米国において実施された臨床試験「SANTE試験」の成績及び公表文献を基に作成された臨床評価報告書が提出されました。SANTE試験は、米国17施設で実施された、薬剤抵抗性の焦点性てんかん患者110例を対象とした比較試験です。DBSの植込み後、治療群と対照群の2群に割りつけられ、12週間後の総てんかん発作頻度が対照群と比較して減少することが、主要評価項目として設定されました。その後、対照群も治療刺激を開始し、最終的に術後7年までの総てんかん発作頻度や発作頻度が50%以上減少した患者の割合(レスポンダー率)などが評価されました。
 主要評価項目の結果について、御説明いたします。資料15ページ、審査報告書14ページ、中段179行から御覧ください。治療群では、1か月あたりの発作回数が17.5回であったのに対して、対照群は21.1回で、対照群と比較して発作頻度は17%減少し、対照群に対する治療群の優越性が検証されました。また、資料17ページ、審査報告書16ページ、上段の図5のとおり、術後1年で41%、術後7年で75%の減少効果が確認され、長期間にわたって有効性が持続することが確認されました。また、発作頻度が50%以上減少した患者の割合、レスポンダー率については、術後1年で43%、術後7年目で74%と、多くの患者に治療効果が得られることが確認されました。
 続いて、安全性の結果について、御説明いたします。資料19ページ、審査報告書18ページ、中段229行から御覧ください。術後12週間の盲検化期間に、治療群においてうつ病と記憶障害が対照群よりも多く発現が確認されましたが、いずれも症状は軽度から中等度で、試験中止となる症例はありませんでした。重篤な有害事象については、資料20ページ、審査報告書19ページ、中段の表8に示しますとおり、両群で統計学的な有意差はありませんでした。また、本試験全体では、資料23ページ、審査報告書22ページ、中段の表10に示しますとおり、植込み部位感染やリードが標的部位にないなどの事象で、これらは既存のDBS治療においても生じる既知の事象で、その発現頻度に大きな差はありませんでした。続いて、死亡例についてです。資料24ページ、審査報告書23ページ、上段の表11を御覧ください。植込み後7年までに7例ありました。てんかんにおける原因不明の突然死(SUDEP)は3例で、1,000人年当たりの発現率は2.8で、既知の文献で報告される外科的手術候補患者における発現率9.3よりも低い値でした。そのほか、公表文献で報告される薬剤抵抗性の焦点性てんかんに対するDBSの有効性及び安全性は、SANTE試験と同様の結果でした。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。
まず、本品の臨床的位置付けについてです。資料34ページ、審査報告書33ページ、下段469行から御覧ください。冒頭にも御説明しましたように、薬物療法で十分な効果が得られないてんかん患者に対しては、外科的切除が検討されます。しかしながら、脳の発作部位が特定できない場合など、外科的切除の適応とならない場合は、迷走神経刺激療法VNSが治療の選択肢として考慮されます。VNSは、装置本体の胸部への植込みと、左頚部の迷走神経への電極リードの留置が必要となる侵襲性の高い緩和的治療法です。本品もVNSと同様に装置本体や電極リードの植込みが必要な侵襲性の高い緩和的治療法に当たります。DBSの治療成績は、VNSと比較して遜色ないものであったことから、背景が多様なてんかん患者に対応する上で、作用原理の異なるDBSは治療選択肢としての有用性は高いと考えます。DBSとVNSはそれぞれ想定される副作用が異なるため、患者の病態や背景を考慮し、よりリスクの少ない治療法を選択することが妥当と考えます。以上より、本品の臨床的位置付けは、VNSと同等とすることが妥当と判断しました。
 続いて、本品の有効性及び安全性についてです。資料39ページ、審査報告書38ページ、冒頭566行から御覧ください。SANTE試験の主要評価項目である「総てんかん発作頻度の減少」について、対照群に対する治療群の優越性が検証され、その治療効果が術後7年まで継続することが示されました。ほかの臨床試験に関する文献においてもSANTE試験と同様の結果が得られており、これらの治療成績は、既存治療法であるVNSと比較しても遜色ない成績でした。以上より、本品の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、資料40ページ、審査報告書39ページ、上段607行から御覧ください。SANTE試験で発現した重篤な有害事象は、本品の既承認適応においても確認される事象であり、発現率も大きく異ならず、対照群と比較しても統計学的な有意差はなかったことから、本適応拡大で新たに懸念されるリスクではないと考えます。また、死亡例については、SUDEP発現率は既知の文献で報告される発現率よりも低く、VNS治療患者における発現率と比較して同等であったことから、許容可能と考えます。治療群に多く発現が確認されたうつ病と記憶障害については、いずれも症状は軽度から中等度であり、試験中止となる症例はなく、刺激の調整により回復する例も認められました。本品の対象患者は、治療に難渋する薬剤抵抗性の患者であることを踏まえ、当該リスクを患者や医療従事者等に情報提供した上で本品の適用を検討することで、当該リスクは臨床的に許容可能と判断しました。
 以上から、機構は、本品の有効性及び安全性について、VNSと同程度の治療効果が期待され、SANTE試験及び公表文献から確認された有害事象は、DBSの既承認適応における事象と大きく異ならないことから、適切な患者選択を行うことで、期待されるベネフィットに比して想定されるリスクは臨床的に許容可能であると判断しました。
 最後に、製造販売後の安全対策と使用成績評価の要否について、御説明いたします。製造販売後の安全対策について、資料42ページ、審査報告書41ページ、下段696行から御覧ください。DBSは、本邦に導入され20年以上が経過しており、振戦やジストニアの症状の軽減に対してそれぞれ使用成績調査を完了しているなど、既に多くの使用実績が蓄積されており、DBSに係る医療体制は既に確立されていると考えます。また、本品の適用を判断する上で、診断や治療、長期フォロー等の医療体制はVNSと同様と考えられ、VNSは薬剤抵抗性てんかんに対する緩和的治療法として既に確立していることから、その医療体制も国内で既に構築されているものと考えます。以上より、現行の国内医療環境下で本品を有効かつ安全に使用することは可能と判断しました。
 使用成績評価については、資料43ページ、審査報告書42ページ、中段724行から御覧ください。てんかんに対するDBSは、欧州で許認可を得てから12年、米国では4年となり、その使用実績が蓄積されています。これまでに未知の重篤な有害事象などは報告されておらず、アジア圏においてもSANTE試験と同様の結果が報告されています。脳の機能や構造、てんかんの病態、治療成績に、人種差や民族差はなく、海外での使用実積やその成績、先ほど御説明したDBSに係る国内の医療体制にも大きな懸念はないことから、本品に対する使用成積評価は不要であると判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料45ページ、審査報告書44ページ、中段779行より記載します使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○佐久間部会長代理 ありがとうございました。それでは、まず、参考人の赤松先生から追加の御説明はありますか。よろしくお願いいたします。
○赤松参考人 国際医療福祉大学の脳神経内科の赤松と申します。てんかん専門医をしておりまして、日本てんかん学会の理事、日本てんかん学会ガイドライン委員長等を務めさせていただいております。
 まず、このてんかんという病気ですね。先ほどから説明がありましたように、日本では80万人から100万人ぐらいの患者さんが存在するのですが、抗てんかん発作薬、薬で発作が止まらない人が3割ぐらいございます。ですから、20万人、30万人といった患者さんが、難治性てんかんということになります。このような患者さんにおいては、一部の患者さんは、焦点ですね、ここからいつも発作が出ていると。そういう患者さんは手術で治せるということなのですが、そういう手術にいける人は、現在、日本では年間700人程度で、ごく一部です。ですから、薬に代わる治療法ということが非常に求められています。
そこで、近年注目されているのが、ニューロモジュレーションという治療法です。これは脳に刺激を与えて脳の活動を少し変えて、病気を良くするということです。この脳深部刺激は、パーキンソン病でかなり前からやられている治療であります。パーキンソン病で使っている機械をそのまま今度はてんかんに使おうということです。てんかんに対するニューロモジュレーションというのは、先ほども話に出てきていましたように、迷走神経刺激術です。これは、胸部に埋め込んだ電池で、頸部にある迷走神経という末梢神経を電気刺激するわけです。それが脳の中枢ですね、孤束核から大脳に行く経路を刺激して、てんかんをちょっと軽くする。これが一つです。それから、このDBS。視床などの重要な中継核を電気刺激して、てんかんを軽くする。もう一つ、アメリカで最近認可されたのは、てんかん発作が起こる場所に電極を埋め込んでいて、発作が起こったのを検知してバンと電気刺激をする。要するにカルディオバージョンと一緒ですね。それでてんかんを止めると。そういう三つぐらい治療法があるのですが、これは、2番目の方法であります。
 今回、審議にあがっている機械自体は、令和2年に、パーキンソン病あるいはジストニアに、これは大脳基底核を電気刺激して、震えたり勝手に動く病気を良くするという治療法です。それを、視床という脳の中継核、これは皆さん御存じのように特に感覚の情報が視床を介して脳に伝達される、あるいはPapezの回路と言って記憶の回路ですね、これは側頭葉てんかんで電気がグルグルと回る回路が視床を通っている、そういう所を、電気で刺激すると、電気刺激によって回路の過剰興奮がちょっと止まると。ですから、電気を与えて刺激するのではなくて、実は電気を止めているのです。そういう治療法であります。先ほどありましたように、SANTE試験というランダム化されたブラインドの試験で、有効性が示されているということです。
 副作用についても、これは脳に電極を刺すわけですから、出血とか感染とかが問題になりますが、日本ではパーキンソン病に対する、脳深部の電極ではなくて、電極を入れてそこを焼くやり方がかなりやられています。ですから、日本の脳外科はかなりターゲットに電極を入れるのが上手です。そういうことで脳出血などの副作用というか、アクシデントは非常に少ないというふうになっています。もちろん、感染ということは問題になっています。
 それから、話に出てきていましたように、うつ病とか記憶障害ですね。これはもともとてんかんに付き物のところがあるのですが、少し増えるかもしれないけれども、この治療中止に至った例はなかったということです。
認可後は、もちろん、この電極を入れるのが上手な先生方、脳外科の経験のある先生方にやっていただくということになると思います。
 それから、米国では18歳以上という縛りがありますが、これは、最初の試験を18歳以上でやったので、そういうことになっています。先ほども説明がありましたように、小児でも難治の人がたくさんいて、この適応になる方は必ずたくさんいますので、この治療法が適切だと思います。問題点は、余り小さい子にやると、脳が成長するので電極がずれるのではないかということですが、これは、これぐらいまで脳が成長して骨が固くなったら大丈夫ということをきっちり見極めてする必要があるのですが、そこのところは、てんかん学会あるいはてんかん外科学会なども協力して、きっちり市販後のフォローが必要と考えております。
以上です。何か御質問がありましたら。
○佐久間部会長代理 ありがとうございます。それでは、御意見、御質問等ございませんでしょうか。
○永井委員 京大の永井です。このDeep Brain Stimulation自体はかなりの歴史があるということですが、今回、視床前核を刺激するというところが気持ち悪く感じています。御承知のとおり、視床前核は、情動とか新しい記憶を司るというところで、ここを刺激して大丈夫かなという目で審査報告書18ページの表6を見てみました。すると、治療群と対照群で有意な差が出たのは、確かにうつ病と記憶障害だけです。しかし、その下の不安、錯乱状態、錯感覚、いずれも治療群で高い傾向です。有意な差こそありませんが、それは検出力の問題かもしれません。明らかに高いという感じではありませんが、高い傾向があると思います。また、1人拳銃自殺した人がいて、因果関係なしとされていましたが、本当にうつと関係ないのかは素朴な疑問です。
 また、審査報告書20ページを見ますと、7年間の累積でうつ病や記憶障害のデータが出ていますが、うつ病に関しては7年間で39.1%、記憶障害については、それはどう評価したか分かりませんが、文字面だけで言いますと30.9%と、かなりの頻度で起こっています。そうしますと、従来のDeep Brain Stimulationで基底核を対象に治療した際に見られる振戦、パーキンソン、ジストニアなどとは異なり、視床前核を刺激することでうつ病とか記憶障害が多くなるのではないかという疑問があります。欧米にもしデータがあれば、教えていただきたいと思います。以上です。
○佐久間部会長代理 永井先生、ありがとうございました。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。うつ病であるとか記憶障害に対する市販後の状況ですが、審査報告書では9ページ、表2に、外国における有害事象について一覧表に示しています。うつ病が○例で0.6%、記憶障害については0.6%ということで報告がされています。ここの考察については、市販後でも傾向として発現率が高いということはないと申請者から説明を受けているところです。
○永井委員 今、御説明いただいたのは、いわゆるSAEですよね。重篤なものだけですね。それが0.6%と。20ページにあるのはSAEに至らないまでのものも含めると、それとは桁が違う感じで発生しているのです。それが臨床的にコントローラブルなものだったらいいのですが、そこが怖いという感じを受けています。
○赤松参考人 私からよろしいでしょうか。
○佐久間部会長代理 お願いします。
○赤松参考人 てんかん、特に難治性てんかんなので、側頭葉てんかんがこのSANTE試験などでは多いわけです。欧米でこの手のデプレッションの率を見ると2~3割というのがもともとなのです。僕らが日本でやっていると、自分の患者さんで1割もいるかなと思っていますが、少しデプレッションの診断基準がちょっと違って、ですから、この率というのは、難治性てんかんとしては2割ぐらいあるのが僕らとしては当たり前かなという感じです。もちろん、側頭葉のてんかんがこのグループでかなり入っていますので、てんかん自体で記憶障害がありますので、こういう観察研究中に出た証拠が、このインターベンションによるものなのか、もともとのものがどれぐらい関係するかといったものです。ですから、先生がおっしゃっていたように、もともとの論文の表を見たら15%ぐらいがadverse eventとして報告されていますし、刺激ですごく増えたというのは言えないのではないかなと思います。
○佐久間部会長代理 いかがでしょうか。どうぞ。
○永井委員 ありがとうございます。ただ、表6を見ると、二重盲検で評価してもやはり中枢系のものが多いように見えるので、今回、市販後調査しなくて、学会のレジストリーでフォローされるということだと思いますので、是非、うつについても注目していただいたほうがよいと思いました。
○赤松参考人 承知しました。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。臨床試験でのうつ病の発現の詳細について、御説明させていただきます。資料25ページ、審査報告書24ページになります。
うつ病についてですが、対照群も含めると9例あります。そのうち全てが、重篤度としては軽度又は中等度という形になっていて、その後、最終的には9例中4例が回復し、残る5例は未回復でした。ただ、重篤性としては軽度又は中等度ということで、このうつ病による試験中止までにはなっていないという形になっています。また、未回復の中には、薬物療法を続けて症状をコントロールできている方も含まれる、いわゆる寛解といった状態の方も含まれ得ると、申請者から説明を受けていますので、症状としてコントロールできていると判断しています。
 記憶障害については、次のページ、審査報告書25ページの真ん中辺りからです。こちらも8例発生していますが、これらは全て、何も処置しないであるとか、あるいは刺激の出力を調整することによって症状が回復するということで、こちらは全て回復されています。
ですから、臨床試験の結果としてはそういった事象が見られたという形にはなりますが、それに対して適切な対応をとれば、臨床的には許容され得るような状態までコントロールできているというふうに判断しています。また、添付文書でも注意喚起していますように、うつ病であるとか記憶障害についてのフォローアップが重要であると、注意喚起されているような状況です。以上です。
○佐久間部会長代理 よろしいですか。それでは、Webで御参加の北澤委員、お願いいたします。
○北澤委員 北澤です。審査報告書37ページの図10の読み方について教えてほしいのですが、これは発作減少率の分布ということで経年的に書いてあります。少数の方だと思いますが、上にはみ出ている人がいますよね。発作が逆に増えている、例えば150%とか200%というのが1例、2例いらっしゃいますが、そういう人は、逆に発作が増えたということを意味しているのでしょうか。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきましてありがとうございます。機構より御説明いたします。今回の試験において、御指摘いただきましたように200%であるとか、0より上の方におかれましては、刺激を開始する前のベースライン期間と比較して増えているという解釈になります。
○北澤委員 ありがとうございます。それで、そういう人は、治療する前よりも発作が増えてしまっているということなので、途中で治療をやめて中断するということなのでしょうか。つまり、ここで例数を見ると、Year1~Year7で大体半分ぐらいに減っているので、そういう人はどんどん抜けていくのかなと。そうなると、結局、Year1のところではそんなに悪くなかったけれども、経年的に上の方にはみ出てしまう人がいるのかなと素朴に思ったものですから、質問させていただきました。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構より御説明いたします。このDBSの使い方としては、術後1年以降がそのように実施されているのですが、患者さんの状態を見ながら刺激設定を調整をしていきます。患者さんと常にフォローアップ、患者さんの状態を見ながら、先生と対話しながら、日々の生活がどうであったか、それに対して刺激設定をどう変えましょうということで、また次、どうでしたかということで、状態を見ていくような形になっています。なので、一時的にこういった200%、300%というような結果が出たとしても、その後、刺激設定を調整することで回復しているという症例はあるかと思います。ただ、脱落の中には、治療をやめるということで脱落している方もいますが、治療効果が得られていてもやめている患者さんがいますので、今回n数がどんどん減っていくことについて、治療効果がないからどんどん脱落していっているということではございません。以上です。
○北澤委員 その点については審査報告書の559行目から、「脱落例はレスポンダー、非レスポンダーのいずれにも認められていた」と書いてあるので、そういうものなのかなと思ったのですが、脱落例がどっちであったかが書いていないので、発作が増えた人が余計に脱落していることも、もしかしてあるのではないかと思いました。どういう方が脱落しているのかが分からないと、この図10で減少率が徐々に減っていることが解釈できるのかどうか分からないと思って、質問させていただきました。
○佐久間部会長代理 機構から何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。今回の審査報告書には記載していませんが、おっしゃるような御指摘があるかなと思いまして、フォローを続けていったときにどれぐらいの発作の回数があったかのデータを、申請資料の方では確認しています。その中では、発作の回数としても一定程度きちんと効いていましたので、おっしゃるとおり、懸念されるような、効かなかった人だけが脱落し、そのためにこういった結果になっているということは否定できるのではないかと考えています。以上です。
○北澤委員 できれば、その辺りも書いておいてもらうと誤解がなくてよかったと思います。ありがとうございました。
○佐久間部会長代理 御指摘ありがとうございます。ほか、お願いいたします。
○赤松参考人 赤松です。先ほどの御指摘は非常に鋭いところで、僕らもこれが一番気になっているところです。nが減っているのが何で減ったか。論文を隅から隅まで読んだり、研究者を知っているので聞いたりすると、やはり、出血とか感染とか、機器がうまくいかずに、本当は効いているけれど脱落した人もいるし、効かないのでやめた人もいるしで、理由はいろいろみたいです。ですから、効かないからやめた人がすごく多いわけでもなさそうです。ですが、ここは北澤先生が御指摘されたとおりで、経年的に有効率の数字は上がっていくのです。ですから、少し効きにくい人がある程度脱落するので、数字が上がっているのではないかと勘ぐる節もちょっとあるわけですが、そればかりではないというのは確かなようです。
○佐久間部会長代理 御説明ありがとうございました。そのほか、御意見はございませんか。
幾つかうつであるとか、そういうことに対する注意をしながら使っていくということになるのかなと思いますが。何かほかにございますでしょうか。ある意味では、ひとつの治療手段を与えるものになるかなということであるかと思います。
 それでは、議決を行います。医療機器「メドトロニック Percept PC」について、本部会として製造販売承認事項一部変更承認を可として差し支えないものとし、また、使用成績評価は不要とすることで、よろしいでしょうか。特に異議はございませんでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は分科会にて報告を行うこととなっております。これで議題3を終了いたします。赤松先生、ありがとうございました。
○赤松参考人 ありがとうございました。
── 赤松参考人退室 ──
○佐久間部会長代理 それでは、議題4「医療機器「Cool-tip RFAシステムEシリーズ」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。本議題について、参考人として中村清吾先生に御出席いただいております。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料4、1ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たりまして、こちらの3名の専門委員から御意見を頂きました。
 初めに、本品の概要を御説明させていただきます。投影スライドを御覧ください。本品は、肝腫瘍等の組織凝固及び焼灼を行うラジオ波焼灼システムとして、既に承認が取られており、今般、早期乳癌に対する適応追加のための医療機器承認事項一部変更承認申請が行われました。
 次のページをお願いします。本品は、主にアクティブ電極及びジェネレータから構成されています。
 次のページをお願いします。今回、適応が追加となる早期乳癌患者に対する現状の標準的な治療としては、乳房を手術により部分的に切除した後、術後放射線療法を行う乳房温存療法が実施されることが多くなっています。本品は、乳房を手術により部分的に切除する代わりに、針状のアクティブ電極を経皮的に乳癌組織に穿刺し、凝固・焼灼いたします。以降の御説明は、審査報告書に基づいて御説明いたします。
 なお、事前に配布しました審査報告書に訂正がございますので、当日配布資料2の正誤表にてお示しいたします。訂正1及び3については、機構より注意事項等情報にて必要な注意喚起についての対応を求めた審査の内容自体は相違なく、資料の構成の変更のみに伴う対応です。本件、深くお詫び申し上げます。
 以降の御説明におけるページ番号は、資料4の通し番号、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。
 初めに、本品の開発の経緯について御説明いたします。資料10ページ、審査報告書9ページ、7行目から御覧ください。本品は、腫瘍径1.5cm以下の単発、腋窩リンパ節転移及び遠隔転移を認めない限局性早期乳癌を対象としています。これら患者群に対する現状の標準的な治療としては、先ほどスライドにて御説明した、乳房部分切除術及び術後の放射線療法からなる乳房温存療法が実施されることが多くなっています。
 本品を用いたラジオ波焼灼療法(以降「RFA」と言う)では、超音波ガイド下において、針状のアクティブ電極を経皮的に乳癌組織へ穿刺し、凝固、焼灼します。このため、外科的切除と比べると、正常組織への侵襲も少ないことが想定されます。
 その一方で、本治療は、薬事承認を未取得の状態で、自由診療下で治療が行われてきた経緯があります。このため、整容性に重きを置くあまり本治療が不適とされる患者にも治療が行われ、乳癌が再発した症例も報告されています。これらの経緯を踏まえ、2010年7月に日本乳癌学会より、臨床試験の目的以外ではRFAによる治療を実施しない旨の注意喚起が行われている状況です。
 しかしながら、一定の条件を満たした患者に対しては、本治療が有効かつ安全に実施できるという臨床研究結果も存在していたことから、国立がん研究センター中央病院において、2013年8月から、先進医療B臨床研究(以降「RAFAELO STUDY」と言う)が実施されています。その後、RAFAELO STUDYの実施状況を踏まえ、本治療の有用性が再検討されたことにより、2021年11月には、日本乳癌学会からの要望により、本品を医療ニーズの高い医療機器として指定するとともに、指定の際の留意点として、早期に薬事承認を取得し、適切な患者に対して適切なRFAを実施する環境を整えることが要請されているところです。
今般、以上の経緯を踏まえ、乳癌への適応を追加するための医療機器製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
本品の国内外における使用状況につきましては、資料11ページ、審査報告書10ページ、31行目から次のページの表2にかけて、記載しております。
 続きまして、本品の非臨床試験についてです。資料15ページ、審査報告書14ページ、6行目から御覧ください。本申請において、本品の仕様及び構成品等に変更はなく、初回承認時に提出済みの性能試験結果から、本品の組織穿刺、凝固及び焼灼性能などについては評価済みであることから、非臨床に関する資料については省略されています。
 次に、臨床試験成績について御説明いたします。資料18ページ、審査報告書17ページ、17行目からを御覧ください。本申請では、臨床試験成績として、先に述べましたRAFAELO STUDYの試験成績が提出されました。申請者は、本品が医療ニーズの高い医療機器として指定されたことを受け、その早期薬事申請のために、5年間とされていた観察期間の満了を待たず、2022年2月2日までに得られた結果を、主たる解析とは独立に薬事申請用としてまとめ、本申請を行いました。本申請のためにまとめられた結果においては、FAS346例のうち、全例が3年目までの観察が完了し、324例が4年目まで、183例が5年目までの観察完了となっています。
 次に、試験結果について御説明いたします。資料23ページ、審査報告書22ページ、6行目を御覧ください。主要評価項目である、5年温存乳房内無再発生存割合につきましては、98.5%であり、95%信頼区間は96.4%から99.4%でした。
 次に、安全性について御説明いたします。資料26ページ、審査報告書25ページ、2行目を御覧ください。CTCAE分類、Grade3以上の、機器との関連がある有害事象の発生割合は1.1%、95%信頼区間は0.3%から2.7%でした。RFA中に発生した有害事象は、熱傷1.9%であり、Grade3以上の有害事象は発現しませんでした。
 次に、本品の審査における主な四つの論点について御説明いたします。
一つ目の論点は、新規に治験を行わず、先進BのRAFAELO STUDYを検証的試験とみなすことの妥当性についてです。資料27ページ、審査報告書26ページから次のページにかけてを御覧ください。まず、機構としましては、薬事承認申請に必要な臨床試験評価は、医薬品医療機器等法の「治験」として実施された結果により評価されることが原則と考えます。しかしながら、本申請においては、資料28ページ、審査報告書27ページ、26行目以降に示した点を踏まえ、提出されたRAFAELO STUDYの成績をもって、臨床評価を行うことは可能であると判断いたしました。その理由としまして、まず1点目としては、GCP調査を行い、RAFAELO STUDYのデータの信頼性が、医療機器GCPの基準を十分に満たして収集されたことが確認されたこと。2点目としては、既に標準治療において100%近い5年無再発割合が確立されていることから、改めて標準治療と直接比較をした臨床試験を行わずとも、本試験のような単群試験デザインの結果から評価は可能であると考えたこと。最後に、本品が医療ニーズの高い医療機器に指定されており、一日も早い薬事承認が望まれていること。これらを総合的に判断し、改めて標準的治療と比較した検証的治験を行わずとも、本試験結果をもって臨床評価は可能であると考えました。なお、提出された試験報告書では、半数以上の症例が観察期間を満了し、その残りは現在も観察期間中であることを踏まえ、機構としましては、全症例の試験が完了した段階の結果については再度その内容を確認し、必要に応じて適切な措置を申請者に講ずるように指示することを承認条件として付すこととしています。
 二つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。資料29ページ、審査報告書28ページ、34行目からを御覧ください。主要評価項目である、5年温存乳房内無再発生存割合は98.5%であり、資料30ページ、審査報告書29ページ、11行目の表15において示した本邦での外科的療法の成績と比較しても、遜色ないデータが得られました。また、安全性についても、適格基準を満たした患者に使用された場合であれば、本品の安全性が臨床的に許容される範囲内であると判断しました。
 次に、治療後残存病変について、資料33ページ、審査報告書32ページ、26行目を御覧ください。RFAを実施の後、放射線治療後3か月時点で施行する吸引式針生検での治療後残存病変割合は、10例、2.9%でした。適格基準を満たした患者に対して治療を行った場合であっても、病変が残存する症例が一定程度起こり得るため、市販後においても、資料34ページ、審査報告書33ページ、7行目の図5に示すようなプロトコルにて治療が実施される必要があると考えます。そのため、市販後に本治療を行う際の適切な治療プロトコルについては、関連学会が作成する適正使用指針に規定することが必要と考え、承認条件を付すことが必要であると判断しました。
 三つ目の論点は、本品の臨床的位置付けについてです。資料35ページ、審査報告書34ページ、12行目を御覧ください。本品による乳癌RFA治療は、本審査で確認した有効性及び安全性の結果等を踏まえ、承認事項、添付文書及び関連学会が策定した適正使用指針に従い、適切な患者選択が行われ、また、適切な施設及び医師の下、治療が実施されるのであれば、現在の標準治療に加え、新たな早期乳癌治療の選択肢の一つとして実臨床下へ導入することは可能であると判断しました。
 四つ目の論点は、製造販売後安全対策についてです。資料37ページ、審査報告書36ページ、35行目を御覧ください。前述のとおり、関連学会と連携し、患者選択基準、医師、施設要件を含めた適正使用指針及び教育プログラムの作成は必要であると考えます。機構としましては、適正使用指針の遵守を承認条件として付すことが妥当と判断しました。
 最後に、使用成績評価についてです。資料40ページ、審査報告書39ページ、8行目を御覧ください。RAFAELO STUDYでは、本邦において既に300例以上、かつ4年以上のデータを含んでおり、試験成績において、有効性や安全性に対して特段の懸念は認められていないことから、新たに使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、補足としましては、承認事項とは切り離した形にはなりますが、申請者と早期導入の要望を行った日本乳癌学会が連携し、本品治療に関する上市後の臨床情報が網羅的に収集されることとなっております。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料44ページ、審査報告書43ページ、18行目より記載している使用目的及び承認条件にて、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
機構からの報告は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いします。
○佐久間部会長代理 それでは、まず参考人の中村先生から、追加の御説明はありますでしょうか。よろしくお願いします。
○中村参考人 乳癌の外科手術においては、必ず乳房に傷がある一定の割合でつくと。最初は乳房全切除の時代がありましたけれども、乳房温存手術になって、傷は小さくなったのですが、ある一定の割合でつくと。ですから、患者さんにおいては、もし体表に傷をつけずに治療が可能であればという強いニーズがあることは事実です。ただそのときに、厳密な画像診断等の適応をしっかり守るということを行うことが前提条件になると思いますので、その点においては、今回根拠になったRAFAELO STUDYというのは、非常に厳密な適応基準の下で、そして5年近く経過観察を追ってしっかりとした成績を出しているということが、私の観点からも、このスタディーで今回の承認要件を満たしていると感じました。以上です。
○佐久間部会長代理 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、何かございますか。
○田中委員 奈良医大の田中です。IVRの専門医としての意見と質問がありますので、お聞きします。
一つ目は、細かいことなのですが、15ページの非臨床の御説明の中で、上皮組織、結合組織、脂肪組織、乳腺組織、そのとおりなのですが、これは肝臓の組織とは随分違うと言われていまして、20年ぐらい前に欧米で出したときから、乳腺はインピーダンスが高くて、熱凝固をできるのに限界があると言われていました。実際、このRAFAELO STUDY、今回は1.5cmと限局されていますので、そういう意味では過去の基礎データも踏まえて可能な範囲ですけれども、ここは、肝と組織学的に同等の性質を持っているとあえて記載されていることに違和感を感じましたので、修正をされたらいいかなと思います。これが1点目で、コメントです。
 もう1点は、有害事象、熱傷が一番の問題になると思います。コスメティックに希望される患者さんが受けられる治療法ですので。熱傷なのですが、このRAFAELO STUDYでは1.9%と非常に上手にされていて、9施設ということですけれども、おそらく適用を既に経験されている先生方が選ばれているのではないかなと考えます。皮膚からの距離がある程度ないと、やはり熱は絶対に伝わりますので熱傷が起こりますし、あとは、怪しいなと思えば、おそらく皮膚の冷却とか、皮膚と腫瘍の間にハイドロダイセクションと言いますが水を入れて距離をとらせるとか、かなり高度なことを踏まえてのこの成績ではないかと感じますので、これは非常に手軽にできますので、これが一般に広まったときに、患者さんの満足度が得られないような、熱傷を起こすようなことが出るのではないかということが少し危惧されますので、その辺の適応基準と、あとはテクニカルなことなどが、もう少し吟味されているかどうかをお聞きしたいです。
○医薬品医療機器総合機構 まず1点目、コメントを頂いた点で、大変失礼いたしました。書きたかった意図としましては、基本的な焼灼性能は初回承認時に確認されているという意図でした。おっしゃっていただいたように、乳腺腫瘍に対する焼灼というところに関しましては、RAFAELO STUDYであったり、RAFAELO STUDYの前に行われていた臨床研究を基に、どういった出力方法が妥当であろうというところは、申請者の方で確認をしておりまして、教育プログラムで出力方法であったり焼灼範囲というところが規定されていくようなイメージを持っております。
 熱傷というところに関しましては、資料の54ページに添付文書があるのですが、右側の上段の(39)というところに、正におっしゃってくださったように、「皮膚熱傷、胸壁熱傷を予防するために、皮下組織内に適宜5%ぶどう糖液の注入を行う。また、通電中は氷嚢にて皮膚冷却を行い、必要に応じて術後も冷却を継続すること。」というようにしていまして、熱傷を予防するために間を空ける必要がある場合にはぶどう糖を注入しておりますし、外側からも冷やしているというのが現状です。また、こういった方法につきましては、教育プログラム等に反映され、市販後においても適切に実施されていくものと考えております。
 また、今回なのですが、適正使用指針の中で、使われ方として、最初の3例までは、プロクター制度のような形で、実際に実施をしたことがある医師の立会いの下、実施していくような形をとらせていただいておりますので、焼灼方法であったり、安全性というところは、そこで担保されたような形で十分に実施可能なのではないかと考えているところです。
○田中委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○佐久間部会長代理 今のところについてですが、資料15ページの11行目に、今の話で、仕様として電力出力特性その他が設定されたと書かれているのですが、そういう意味では、ある種の最適化というか、そういうことがされたということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 設定されたというのは、引き続き設定されているということになりまして、本品の基本的な性能として、初回承認時から引き続き変更なく、電力出力特性、周波数等が設定されているということになります。
○佐久間部会長代理 そういうことですね。そういう意味では、この用途に合わせて何かモードができたとか、そういうことではないということですね。
○医薬品医療機器総合機構 そういうことではございません。
○田中委員 恐らく焼灼プロトコルという意味では、何ワット開始で何分というところは、肝臓とは違うという、そういう認識でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりです。具体的には、教育プログラムに書かれる内容、案の段階ではあるのですが、5ワットから出力を開始して、1分経過時に10ワットに設定、それ以降は1分ごとに5又は10ワットずつ出力を上げていくというような形で、教育プログラム上は書かれる予定となっております。
○佐久間部会長代理 そのほか、御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
 最初に、適切な患者に適切なRFAをということで、患者さんを選ぶということと、しっかりした手技をするということ、その両輪があることで、過去においては適切ではないといった治療が、適切に使えるようになったということかと思います。
ほか、御意見はございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、議決を行います。医療機器「Cool-tip RFAシステムEシリーズ」について、本部会として、製造販売承認事項一部変更承認を可として差し支えないものとし、また、使用成績評価は不要とすることでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は分科会にて報告を行うこととなっております。これで議題4を終了いたします。中村先生、どうもありがとうございました。
○中村参考人 ありがとうございました。
── 中村参考人退室 ──
○佐久間部会長代理 それでは、議題5「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入ります。まずは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題5について、資料5に基づいて御説明いたします。
既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス区分に該当するかについて、また、その保守管理に専門的知識を要するものとして特定保守管理医療機器に指定するか否かについて、御審議いただいております。
 今回は、医療機器の承認に関し、一般的名称の新設が必要なものが3品目ございます。
初めに、「家庭用頸管粘液測定器」です。1ページの、新設する一般的名称(案)について御覧ください。新設予定の一般的名称は「家庭用頸管粘液測定器」、定義は「管粘液の水分量を計測するために使用する測定装置をいう。月経周期を予測及び管理するために使用する。ただし、妊孕性の診断や治療を目的には用いない。本品は家庭において使用される。」です。
 3ページに、新一般的名称が付される予定の品目概要がございます。月経周期のフェーズを個人の頸管粘液の粘性傾向から予測・管理するための器具であり、一般女性が家庭で使用することを目的としております。5ページに、品目の写真を示しております。一日2分間、センサー部を腟内に挿入し、頸管粘液の水分量をインピーダンス値として測定し、収集されたインピーダンスデータに基づき、その傾向をグラフ化して表示する製品です。
こちらの製品の使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新たに一般的名称を新設することとなりました。1ページを御覧ください。こちらの製品については、クラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。
 続いて、6ページの2品目目を御覧ください。新設予定の一般的名称は「汎用心音計用プログラム」、定義は「汎用心音計から得られた情報をさらに処理して診断等のために使用する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。
 8ページを御覧ください。こちらが品目概要です。汎用心音計である「心音心電計シリーズSSS01シリーズ」から提供された心音情報と心電情報を解析し、表示例のように心音図と心電図の情報を表示し、医師の診断を補助する製品です。
6ページに戻り、こちらの一般的名称ですが、当該使用目的、使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することとなりました。クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品はプログラムであるため、保守点検を行う必要のある医療機器ではなく、不要と考えております。
 続いて、9ページの3品目目です。一般的名称(案)は「神経心理検査用プログラム」、定義は「入力された情報に基づき神経心理検査を行うことで、診断等に使用するために用いる医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。
 10ページに品目概要がございます。本品使用時の、使用目的又は効果は、認知機能障害の評価尺度として、連続して収集される視線の情報を用いて認知機能を定量評価し、認知機能の診断を補助する製品です。外観図に示しましたとおり、iPad等の汎用タブレットに既存のMMSE、認知機能検査と類似した設問を表示し、その設問に対する回答を視線検出技術により検出された被験者の視点のプロットデータによって、認知症検査の受診勧奨を行うものとなっております。
9ページに戻り、こちらの製品、神経心理検査を行う医療機器は現在のところ存在せず、使用目的又は使用方法に該当する一般的名称もないことから、新たに新設することとなりました。本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。
説明は以上です。
○佐久間部会長代理 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して、委員の皆様から、御意見、御質問等ありますでしょうか。北澤委員お願いいたします。
○北澤委員 北澤です。この最初の「家庭用頸管粘液測定器」ですが、家庭用なので普通に女性が使うものだと思います。排卵や妊孕性について診断するものではないなど、注意事項がいろいろ書いてあるのですが、企業のプロモーションの仕方によっては、避妊目的に事実上使われてしまうことになるのだろうなと思いながら見ておりました。この辺りはいかがなのでしょうか。
○事務局 資料の3ページを御覧ください。先生の御指摘のとおり、使用目的、効果に「不妊治療の診断を行うものではない。一般女性が家庭で使用する。」とされております。3ポツの注意事項等情報には、排卵や妊孕性について診断するものではない、不妊治療その他の婦人科領域の疾病の診療や診断目的として使用するものではない、避妊目的で使用するものではない、といった注意喚起がされておりまして、それらが添付文書等で注意喚起されております。こちらの注意喚起をもって、一般女性が誤った使用方法をしないように十分に注意されているものと考えております。
○佐久間部会長代理 北澤先生、それでよろしいでしょうか。
○北澤委員 添付文書に書いてあるというのはよく分かりましたが、結局、こういう製品は、Web媒体等も含めて、いろいろ情報が出ていくことになると思うので、そういった広報、広告の在り方についても見ていっていただければと思います。以上です。
○医療機器審査管理課長 補足です。本品については、もし、そのような標榜をして販売されたりした場合は違反という形になります。あくまでそこまでの標榜をしたいということであれば、クラスIではなくクラスIIの扱いになるところですが、今回はそういった目的ではなく、頸管粘液の粘性傾向を測定する器具として、クラスIとして、届出品目として認めるということになりますので、もしそれを上回るようなことがされれば、違反ということで取り締まることになります。
○北澤委員 ありがとうございました。
○佐久間部会長代理 そのほかございますか。よろしいでしょうか。ほかに御意見等ございませんでしょうか。
それでは、議決を行います。「家庭用頸管粘液測定器」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。「汎用心音計用プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。「神経心理検査用プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は分科会にて文書報告を行うこととなっております。これで議題5を終了いたします。
 それでは、議題6「医療機器の再審査結果について」に移ります。まずは事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。「ブレスオーコレクト」の再審査結果の御報告をいたします。
再審査は平成25年改正以前の薬事法第14条の4の規定に基づき、新医療機器等を対象として再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査結果に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
 資料6、1ページを御覧ください。販売名は「ブレスオーコレクト」です。申請者は株式会社シードです。この品目は、レンズ内面に特殊な形状を付与した酸素透過性ハードコンタクトレンズで、就寝時装用により角膜形状を変化させ、レンズ脱着後の日中裸眼視力を矯正維持することを目的としたレンズで、平成24年3月19日に初回承認されています。
 医療機器の使用実態下における不具合発現状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、平成24年7月2日から平成26年5月8日まで使用成績調査が行われました。以降、使用成績調査の概要について御説明いたします。
2ページの図1を御覧ください。当該図は、使用成績調査において、調査対象となった患者背景を示しております。安全性評価については153眼を対象とし、有効性評価については86眼を対象としました。
 まず、安全性について御説明いたします。3ページの下、「(2)安全性」を御覧ください。評価対象の153眼のうち、本品との因果関係が否定できない不具合等は合計6眼で認めましたが、いずれも既知であり、重篤な事象がなかったことを確認しています。表2-2が不具合等の発現状況をまとめた表です。「輪状角膜鉄沈着」及び「レンズの汚れ」が各2眼、それ以外は各1眼で確認しています。これらのうち、重点調査項目であった表層角膜症については、初回承認時の治験データと比べ、発現率が顕著に低く、また、最終的には回復したことを確認しています。そのほか、上記不具合等に含まれない、重点調査項目であった「痛み」については、治験データより大幅な減少を、また、「角膜内皮細胞数」「眼圧」「角膜中心厚」についても、治験データと同等であり、問題がないことを確認しています。以上から、安全性に対して、特段の対応は不要と判断しています。
 続いて、有効性について御説明いたします。7ページ、「(3)有効性」を御覧ください。評価対象の86眼に対して、「目標屈折矯正度数に対する誤差」「裸眼視力における有効率と推移」及び「矯正視力の推移」が評価されました。「目標屈折矯正度数に対する誤差」については、装用開始後12か月時点で有効率85.1%であり、治験データの82.1%と同程度であることを確認しています。また、「裸眼視力における有効率」について、同時点での有効率は92.5%で、治験データの89.6%と同程度であること、また、「裸眼視力の推移」についても、装用開始後1週間で視力改善が認められていることを確認しています。さらに、「矯正視力の推移」についても、装用開始時と比較して大きな変動を認めていません。したがって、有効性について、特段の対応は不要と判断しております。
以上を踏まえ、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法等の承認事項について変更の必要がない、カテゴリー1と判断しております。
以上、「ブレスオーコレクト」の再審査御報告とさせていただきます。
○佐久間部会長代理 ありがとうございました。ただいまの御報告に対し、委員の皆様から、御意見、御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。特にございませんか。ないようですので、よろしければ、これで議題6を終了したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題7「部会報告品目について」に移ります。まずは事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題7です。資料7、横向きの資料を御覧ください。こちらの資料では、令和5年2月1日から令和5年4月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品等、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 医療機器については44品目が該当しております。まず1ページは、臨床試験の試験成績が提出され、審査し承認した医療機器、16品目について、それらの一般的名称、販売名、クラス分類等とともに概要をお示ししており、6ページまで続いております。次に、7ページからは、臨床試験成績を必要とせず、審査・承認した28品目の一覧で、16ページまで続いております。最後に、17ページから、該当する体外診断用医薬品11品目をお示ししております。新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等に該当するものについては、一般的名称欄にそれらの別を記載しております。
 これら報告品目については、事前送付をもって報告としておりますので、この場での個別での御説明は割愛いたします。資料7の説明は以上です。
○佐久間部会長代理 ありがとうございます。これに対して、委員の皆様から、御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、よろしければ、これで議題7を終了いたします。
本日の議題は以上ですが、事務局より、そのほか連絡事項はありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、お忙しいところ、本部会に御参加いただき、どうもありがとうございます。次回の部会については、また後日メールにて御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。連絡事項は以上です。
○佐久間部会長代理 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)