第45回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会議事録

日時

令和5年9月15日(金)14:00~16:00

場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○布施補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第45回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会」を開催いたします。冒頭は事務局が進行いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まずは、マスコミの方への留意事項を申し上げます。カメラ等の撮影をされる場合は、議事が始まる前までといたしますので御協力をお願いいたします。また、本日の議題(4)「港湾労働者派遣事業の許可について」は、個別事業主に係る許可の案件ですので、「審議会等会合の公開に関する考え方」の「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当いたしますので、非公開の取扱いとさせていただきます。したがって、傍聴していただいている方につきましては、この議題の前に御退出をいただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、本日の専門委員会では、公益代表の渡邊委員、使用者代表の小野委員、花島委員、藤木委員におかれましてはオンラインでの参加となっております。会議の進行中に通信トラブル等で接続が切断された場合や音声が聞こえなくなった場合などトラブルがございましたら、操作マニュアルに記載の事務局担当者まで御連絡ください。また、委員の皆様におかれましては、御発言の際は、できるだけ聞き取りやすい発音と速度でお話いただきますようお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。会場にお集まりの委員におかれましては、お手元の資料を御覧ください。オンライン参加の皆様におかれましても、事前に同様の資料を送付しておりますので御確認ください。
 資料は、議事次第、続きまして配付資料が「資料1」から「資料5」まで。なお、資料5につきましては、非公開資料のため委員のみ配付とさせていただきます。続きまして、参考資料が「参考資料1」から「参考資料4」までの合計9種類となっております。資料に不足はございませんでしょうか。
 ここまでで御不明な点がございましたらお申出ください。
 次に、委員の交代がありましたので、新たに選任されました委員を御紹介いたします。資料1が最新の委員名簿となっておりますので御覧ください。4月27日付けで労働者代表の松永委員が退任され、新たに、全日本港湾労働組合九州地方本部執行委員長の法本健吾委員が御就任されております。なお、本日、法本委員は御都合により欠席となっております。また、9月1日付けで使用者代表の溝江委員が退任され、新たに楠原輸送株式会社代表取締役社長の花島孝明委員が就任されております。それでは、花島委員から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
○花島委員 楠原輸送の花島です。今後ともよろしくお願いします。
○布施補佐 ありがとうございます。本日の専門委員会には、オブザーバーとして国土交通省港湾局港湾経済課の澤田課長に御出席いただいておりますのでよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局である厚生労働省職業安定局におきましても人事異動がございましたので、御報告いたします。令和5年7月4日付けで、高齢・障害者雇用開発審議官に田中佐智子が就任しております。本来であれば、この場で皆様に御挨拶申し上げるところですが、本日は所用のため欠席させていただいておりますので御了承いただきたいと存じます。ここで事務局を代表いたしまして、建設・港湾対策室長の島田より御挨拶申し上げます。
○島田室長 皆さん、こんにちは。建設・港湾対策室長の島田でございます。事務局を代表して、私から一言御挨拶申し上げます。本日は、中窪座長をはじめ、委員の皆様には、お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。また、日頃より港湾労働行政の推進に多大な御理解・御協力を賜り、この場を借りて御礼申し上げます。
 さて、御案内のように、現行の港湾雇用安定等計画の期間が今年度までとなっておりますので、今年度は、令和6年度からの新たな港湾雇用安定等計画の策定のための議論を行っていただく年となっております。後ほど、本日の議題の中で事務局から改めて御説明いたしますが、現行計画の策定以降、港湾労働を取り巻く環境については、急速な高齢化や低調な入職率といった課題が続いており、向こう5年間の計画を考える場合、労働者不足への対応が重要な課題となるのではないかと考えております。また、港湾荷役の技術革新により、港湾労働者に求められる技能は一層多様化・高度化し、高度な技能労働者の育成が不可欠となっております。こうした環境変化に対応した教育訓練の必要性が増しているといった状況にございます。
 厚生労働省といたしましては、そのような状況の変化等に対応した、より良い計画を策定していきたいと考えておりますので、委員の皆様からの貴重な御意見を賜れれば幸いでございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○布施補佐 これから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでといたします。御協力をお願いいたします。事務局からの説明は以上となります。以後の進行は、中窪座長にお願いしたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。
○中窪座長 皆様こんにちは、中窪です。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。早速議事に入りますが、本日の委員会は、議事次第にありますとおり、4つの議題があります。1つ目は「新たな港湾雇用安定等計画の策定スケジュールについて」、2つ目は「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」、3つ目は「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」、4つ目は「港湾労働者派遣事業の許可について」です。
 それでは、1つ目の議題の「新たな港湾雇用安定等計画の策定スケジュールについて」、事務局から説明をお願いいたします。
○布施補佐 それでは、議題(1)「新たな港湾雇用安定等計画の策定スケジュールについて」、御説明いたします。資料2を御覧ください。御案内のとおり、今年度は令和6年度を始期とする次期港湾雇用安定等計画の策定を行うため、専門委員会は4回程度の開催を見込んでおります。
 まず、7月~9月にかけて、港湾運送事業雇用実態調査を実施し、調査結果の集計・分析を行っております。実態調査につきましては、5年に1回、新たな計画を策定する際に、事業所に対して実施している調査となります。調査結果につきましては、後ほど本日の議題(3)において御報告いたします。
 次に、9月~12月頃にかけて、専門委員会を複数回開催し、御議論いただくこととしておりますが、まず、本日、今年度1回目の専門委員会におきまして、現行計画の進捗状況と実態調査の速報値を御報告し、それらを踏まえて、新たな計画の策定ポイント案について、委員の皆様に御意見をお伺いいたします。その後、2回程度専門委員会を開催し、新たな計画の内容について具体的に御検討いただき、年内に原案を取りまとめていただきます。
 次に、年明け1月~2月にかけて、6大港を管轄する労働局において開催する地方労働審議会港湾労働部会及び都府県に対して意見照会を行うこととしており、各地労審において、新たな計画の原案について事務局から御説明いたします。
 次に、2月頃をめどに再度、専門委員会を開催し、地方の意見も踏まえて、最終的な取りまとめを行っていただきます。その後、雇用対策基本問題部会にお諮りし、御審議いただいた上で決定することとしております。
 そして、3月中に告示を行い、4月から新たな計画の適用をスタートさせる予定となっております。スケジュールにつきましては以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。ただいま説明のありました議題の内容につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。特によろしいですか。では、議題(1)についてはこういう形にいたします。
 それでは、次の議題に移ります。議題(2)「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○布施補佐 それでは、議題(2)「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」、御説明いたします。資料3を御覧ください。こちらの資料は、本年2月28日の専門委員会においてもお示しした現行計画の進捗状況です。令和4年度の実績値を反映いたしましたので、更新のあった部分及び新たな計画の策定ポイントに関連する部分を中心に御説明いたします。
 資料3の1ページを御覧ください。資料構成といたしましては、左から順に「計画の概要」、「実績」、「特記事項」となっております。1ページの中段、実績欄の表1「実労働時間及び賃金の推移」を御覧ください。港湾労働者の月平均実労働時間は、令和2年に減少したものの、令和3年以降は増加に転じており、全産業と比較して高い水準で推移しております。また、港湾労働者の令和4年の賃金、こちらは月平均・所定外労働時間分を含むものですが、令和3年と比較して増加しております。なお、令和4年の賃金額につきましては41万4,600円と、令和3年の37万6,300円から約1割増となっており、大幅に増加しておりますが、この数値につきましては、実態からは少し乖離があると認識しております。本データは賃金構造基本統計調査の結果を使用しておりますが、令和4年は当該調査における港湾労働者のサンプル数が少なくなっていることから、統計上の誤差が大きくなっている可能性があります。そのため、賃金増の状況は見て取れるものの、具体的な金額としましては、実態よりも高めの結果が出ているのではないかと考えております。
 続きまして、1ページの下段、実績欄の表2「6大港におけるコンテナ貨物量の推移」を御覧ください。令和元年度の第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、船舶積卸量、コンテナ積卸量ともに減少しておりますが、6大港におけるコンテナ化率は上昇傾向にあります。
 続きまして2ページの中段、実績欄の表3「常用港湾労働者数の推移」を御覧ください。常用港湾労働者数は、平成14年度以降増加傾向にありましたが、令和3年度以降、僅かではありますが減少に転じております。
 続きまして、2ページの下段、実績欄の表4「就業形態別港湾労働者数の推移」につきまして、令和4年度の港湾労働者の就労状況ですが、常用労働者数は96.5%、港湾派遣労働者は0.4%、日雇労働者は3.1%となっております。新型コロナウイルス感染症の影響による業務量の減少により、企業外労働力の需要が一時的に減少したことから、令和2年度は港湾労働者全体に占める港湾派遣労働者及び日雇労働者の割合が低下しておりますが、令和3年度以降は輸出入貨物量等の回復により、令和元年度以前の水準に戻りつつあります。
 続きまして、4ページの実績欄を御覧ください。上から「雇用秩序連絡会議」、2つ目に表7の「現場パトロール」、3つ目に表8の「事業所訪問指導及び立入検査の実施状況」につきまして御説明いたします。令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面による指導を実施することが困難であったことから実績が低調となっておりましたが、現場パトロールの実施状況につきましては、令和4年は回復傾向にあります。
 なお、右の「特記事項」に記載のとおり、横浜港におきまして、ワッペン導入に係る労使の協議が整い、令和5年10月から実施する予定となっております。
 続きまして、5ページ上段の実績欄です。雇用保険二事業における目標につきまして、派遣のあっせん成立率の令和4年度目標90%以上に対しまして、実績は90.9%となり、目標を達成しております。新型コロナウイルス感染症の影響による港湾全体の仕事量及び港湾派遣の受け入れ先事業所数の減少により、令和2年度、3年度は目標未達成となっておりましたが、令和4年度は回復しております。
 続きまして、6ページ上段、実績欄の表10「労働災害の発生状況」を御覧ください。令和4年の港湾運送業における労働災害発生状況ですが、死亡者数、死傷者数ともに減少しております。
 7ページ中段、実績欄の表13「港湾技能研修センター訓練受講者数」を御覧ください。港湾技能研修センターが令和元年10月に豊橋から神戸に移転したことにより、平成30年度から令和元年度に大きく受講者数が減少し、令和2年度以降も新型コロナウイルス感染症の影響を受けているものの、受講者数は移転前の水準に回復しつつあります。また、事業所のニーズに対応するため、港湾技能研修センターにおきまして、港湾で急速に普及が進むリーチスタッカーの実機を導入し、令和4年度から訓練を開始しております。
 最後になりますが、8ページ上段、実績欄の表16「港湾労働者派遣事業の許可の取得率」について、令和4年度末時点で許可事業所は289社、28.8%となっております。進捗状況についての説明は以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。ただいま御説明のありました進捗状況等につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。それでは、髙島委員、お願いします。
○髙島委員 4ページのワッペンの件ですが、横浜港で実施するということですが、私どもの認識としては、名古屋港がまだワッペン導入ができていないということで、その見通しはどうなっているのか、もし進捗状況があればお聞かせいただければ。
○島田室長 名古屋港につきましては、今のところ、まだ労使の調整が進んでいないということで、当面いつ頃というような見立てはまだない状況です。
○中窪座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 私のほうからは、7ページの訓練センターのことです。先ほど挨拶等々でもあったと思うのですが、人員不足と人材育成という観点からいきますと、シミュレーター、要はガントリークレーンにしてもそうですけれども、ソフトを入れればトランステナー等々のようにシミュレーションができる。そのシミュレーターも神戸の技能センターにはあるのですけれども、京浜にはないということで、京浜の導入ができるのかどうなのか、その辺の考え方も御意見をいただきたいと思っております。
○島田室長 今、岡部委員からありました点ですが、西の神戸にはあるという中で、訓練をやっていく上では、そういった拠点があるというのは理想的だと考えております。一方、設置に当たっては、費用や、いろいろな課題もあると思いますので、すぐ設置するというのは難しいかもしれませんが、その問題意識を踏まえながら、何らかの訓練をいかに充実させていくかは考えていきたいと思っております。
○岡部委員 そうですね。再度同じことですけれども、各港の港運協会なりに相談していただいて、費用、設置ができるか等々というのも時間がかかるとは思うのですけれども、やはり、日本全体を通すと、北のほうから関西のほうに移動するというのだけでも結構事業主でも負担がかかりますし大変なので、西と東でそのシミュレーションがあったら、港湾の技能だけではなく、安全に考慮したことも学ぶことができますので、その辺を御留意願いたいと思っております。
○島田室長 御意見ありがとうございました。
○中窪座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議題(2)につきましても、以上とさせていただきます。
 それでは、議題(3)「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。
○布施補佐 それでは、議題(3)の「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」ですが、こちらは大きく2つに分けて御説明いたします。まず初めに、今年の6月30日時点で実施しております「港湾運送事業雇用実態調査」の結果概要について、御説明いたします。その後、新たな計画の策定について、委員の皆様に御議論いただくに当たり、ポイントと考えられる事項をピックアップいたしましたので、そちらについて御説明いたします。
 まず、「港湾運送事業雇用実態調査」の結果についてです。資料は参考資料2「令和5年港湾運送事業雇用実態調査結果概要(速報値)」を御覧ください。
 1ページは、調査の概要についてです。1の「調査の目的」ですが、今後の港湾労働対策を推進するための基礎資料を得ること。また、それに加え、新たな港湾雇用安定等計画の策定に資するためということで位置付けており、昭和60年以降、5年に1回、新たな計画を策定する際に実施しているものです。
 2の「調査の内容」です。調査対象としては、(1)に記載しておりますとおり、6大港全ての事業所、今回は1,003事業所となっております。調査事項については、(2)に記載しておりますとおり、事業所の属性や事業量、また労働条件、派遣や日雇労働者の利用状況など、多岐にわたっております。
 2ページの(7)回収状況です。今回は、1,003事業所のうち、897事業所に回答をいただいております。有効回答率は89.4%で、回答率は前回とほぼ同じ状況となっております。
 それでは、5ページ以降、具体的な調査結果について見てまいります。時間の関係もありますので、ポイントを絞って御説明いたします。なお、こちらの調査結果については、まだ完全なものではなく、一部集計中の項目もありますので、速報値ということで御理解いただければと思います。
 5ページの1、「事業所の属性に関する状況」の(1)事業の種類です。左側が令和5年で今回の調査、右側が平成30年で前回、5年前の調査となっております。6大港全体では、「港湾荷役事業」が42.3%と最も多く、次いで「一般港湾運送事業」が38.0%となっております。
 6ページの(2)事業所規模です。グラフの右にいくほど事業所規模が小さくなっており、一番右から3つ目までの合計が30人未満の事業所となります。6大港全体では、30人未満の事業所が全体の68.5%を占めており、平成30年と同程度となっております。
 7ページです。2の「港湾運送事業量に関する状況」については、集計中となっておりますので、御了承ください。
 8ページです。3の「常用労働者の労働条件等に関する状況」です。(1)年齢階級構成です。こちらの棒グラフですが、左のほうが若い労働者、右のほうが高齢の労働者になっております。6大港全体では、「35歳未満」と「35~44歳」の合計が46.9%となっており、平成30年の53.8%と比べて減少しております。一方、「60~64歳」、「65~69歳」、「70歳以上」の合計は10.5%となっており、平成30年の8.6%から増加しております。この調査から、急速に高齢化が進んでいる状況が見て取れます。
 9ページです。(2)定年制です。6大港全体では一律の定年制を設けている事業所のうち、定年年齢「65歳以上」の事業所が24.0%となり、平成30年の8.1%と比べて大幅に増加しております。
 11ページの(4)勤続年数です。こちらの棒グラフですが、左のほうが勤続年数が短く、右にいくほど勤続年数が長い労働者になります。6大港全体では、「15~19年」、「20~24年」、「25年以上」の3つの合計は48.8%となっており、平成30年の42.2%と比べて増加しております。一方、「1年未満」と「1~4年」の合計は21.9%となっており、平成30年の23.2%から減少しております。こちらの調査から、1つ目として勤続年数が長いベテラン労働者の割合が増加しており高齢化が進んでいること、2つ目として勤続年数が短い労働者の割合が減少していることから入職状況が低調であることが見て取れるかと思います。
 15ページ以降は、労働時間と休日日数に関する調査です。16ページです。月間実労働時間です。6大港全体では、平成30年と比べて短くなっております。17ページは月間所定外労働時間です。こちらも6大港全体では、平成30年と比べて短くなっております。   
 19ページの(9)、週休2日制の導入状況です。何らかの形態での週休2日制の導入について、6大港全体では、「あり」(導入している)が約9割を占めている状況です。20ページは、週休2日制の形態です。週休2日制を導入している企業のうち、完全に実施している企業の割合は、6大港全体で63.7%となっており、平成30年の56.9%から増加しております。
 続いて23ページ、4の「港湾派遣労働者及び日雇労働者の利用に関する状況」です。(1)使用事業所割合について、6大港全体では「港湾派遣労働者」及び「日雇労働者」を使用した事業所の割合は、ともに平成30年より減少しております。
 24ページは、(2)募集動機です。港湾派遣労働者、日雇労働者のいずれも、「波動性に対処するため」という理由が最も高い割合になっております。
 続いて26ページ、5の「荷役の波動性に関する状況」です。こちらの調査については、6月の1か月間、それぞれの日の就労延人数を調査したものです。(1)波動性の大きさです。こちらは、「ピークの日」と「ボトムの日」の差が、いわゆる波動性の大きさになるかと思いますが、こちらについて6大港平均で260人日となり、平成30年と比べて減少しております。
 30ページ、(5)港湾労働者の過不足です。6大港全体では「雇用労働者が適正であった日」が54.6%と、平成30年と同様に過半数を占めております。一方で「過剰であった日」、「不足であった日」、ともに平成30年と比べて減少をしております。
 32ページ、(6)不足の場合の対応方法です。6大港全体では、「日雇労働者を雇い入れた」が54.5%で最も多く、次いで、「港湾派遣労働者の派遣を受けた」が29.2%となっております。
 34ページからは、6の「教育訓練の実施状況」です。(1)教育訓練の実施の有無について、6大港全体では「訓練を実施した」が63.7%となっており、平成30年の67.4%から減少しております。
 35ページ、(2)教育訓練の実施方法です。「新規採用時の社内訓練」、「新規採用時の委託訓練」、「在職者に対する社内訓練」を実施した事業所は、平成30年と比べて増加しております。また、全体として、委託訓練よりも社内訓練が積極的に行われている状況です。
 36ページ、(3)教育訓練の種類です。6大港全体、各港湾別のいずれにおいても、「安全衛生」が最も高い割合を占めており、次いで「フォークリフト運転」となっております。
 37ページ、(4)教育訓練を実施しなかった理由についてです。こちらについては、6大港全体では「対象者がいない」が最も多く、次いで「時間がない」となっております。
 38ページ、(5)教育訓練の課題についてです。上が社内訓練、下が委託訓練となっております。6大港全体では、社内訓練は「指導する人材が不足している」が最も多く、次いで「教育訓練を行う時間がない」となっております。また、委託訓練は「教育訓練を行う時間がない」が最も多く、次いで「適切な教育訓練施設がない」となっております。実態調査の結果については以上です。
 続いて、資料4 「新たな港湾雇用安定等計画の策定ポイント(案)」について御説明いたします。本資料については、新たな計画の策定について委員の皆様に御議論いただくに当たり、ポイントと考えられる事項をピックアップし、1に「現状と課題等」、2に「現状と課題等を踏まえた主な取組」として記載をしております。まず、1の現状と課題等です。こちらは、前回の計画の策定時(平成30年)からの主な状況変化として、2点を挙げております。1つ目は、(1)港湾労働者不足(急速な高齢化、低調な入職率)への対応です。全産業における50歳以上の労働者比率は、平成30年が30.7%、令和4年は34.1%と3.4%増となっているのに対し、港湾労働者においては平成30年が27.9%、令和4年が33.4%と5.5%増となっており、港湾労働者の高齢化は、他産業と比べて急速に進んでいる状況です。
 また、令和4年における労働者の入職率は、全産業では15.2%であるのに対し、港湾労働者では8.2%にとどまっております。一方、令和4年における労働者の離職率は、全産業では15.0%であるのに対し、港湾労働者では8.5%となっております。
 以上のことから、港湾労働を取り巻く環境については、「急速な高齢化」や「低調な入職率」といった課題が続いており、港湾労働者、とりわけ若年労働者の確保が重要な課題となるのではないかと考えております。一方、離職率については全産業より低くなっており、一度入職すると港湾業界に長く定着していることが分かると思います。
 続いて、(2)港湾荷役作業の革新等に対応した教育訓練の支援です。港湾荷役の技術革新により、港湾労働者に求められる技能は一層多様化・高度化しております。また、先ほど1番でも取り上げましたとおり、労働者不足が重要な課題となっております。これに対応するためには、高度な技能労働者の確保が不可欠であることから、特に若手労働者に対する教育訓練について支援の必要性が増していると考えられます。
 次に、2の現状と課題等を踏まえた主な取組について、考えられる主な取組として4点挙げております。まず、(1)港湾労働者不足への対応です。2点挙げております。①として、若者・女性・高齢者等を含む幅広い人材の活躍を促すための、働きやすく働きがいのある職場の確保。②として、低調な入職率等を踏まえ、若者に対し港湾運送業への理解・入職を促進するための仕事や職場の魅力に接する機会の提供ということで、2点を記載しております。
 ①については、担い手不足への対応ということで、若者・女性・高齢者などの幅広い人材に活躍いただく必要があり、そのための職場づくりが必要ではないか、というものです。②については、急速な高齢化や低調な入職率の背景には、就職先を決定する過程において、港湾運送業界の情報が正しく伝えられていない状況にあると考えられるため、若年者が港湾運送業界と接する機会を提供することにより、若年者の港湾運送業への理解を深め、入職促進を図る取組が必要ではないかというものです。
 続いて、(2)港湾荷役作業の革新等に対応した教育訓練の支援です。現場の人材ニーズに即した港湾労働者の能力開発を図るための、港湾技能研修センターにおける教育訓練の拡充を挙げております。港湾荷役の技術革新等により、港湾荷役オペレーターをはじめ、港湾労働者に求められる技能は一層多様化・高度化しており、港湾労働の魅力向上、人材確保への寄与の観点も含め、これら課題に応じた教育訓練の更なる拡充が求められております。このため、港湾技能研修センターにおいて、港湾現場を支える若手・中堅層を重点に、高度な技術や技能の習得、円滑な技能継承につながる実践的な教育訓練が必要ではないかというものです。
 続いて、(3)港湾労働における安全対策です。労働災害防止計画の効果的な推進、港湾労働を取り巻く環境の変化に対応した労働環境の整備を挙げております。安全衛生対策への取組は、労働災害防止はもとより、事業者にとっても人材の確保・育成・定着の観点から不可欠なものです。これは現行計画にも記載されており、基本的な事項ではありますが、労働災害防止計画を効果的に推進し、港湾労働を取り巻く環境の変化に的確に対応した労働環境の整備が必要ではないか、というものです。
 最後に、(4)港湾労働者の雇用の改善です。長時間労働や不規則な勤務等に対応するための、港湾運送の現場における労働条件の改善・雇用環境の整備と記載しております。働き方改革をめぐる取組が社会全体で行われる中、港湾労働業界においても労働時間の問題をはじめとする様々な課題への対応が求められており、これらの状況を踏まえ、労働条件の改善や雇用環境の整備等を通じた「魅力ある職場づくり」の推進について、更なる取組が必要ではないか、というものです。議題(3)の「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」の説明は以上です。
○中窪座長 ただいま御説明がありました内容について、御質問、御意見等がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。個人的な感想としては、最後の2の(1)から(4)とありますが、順番としては雇用条件の労働時間というものをまずはきちんと改善して、それから安全についてもきちんとあって、その上で、更に働きやすい、若者・女性・高齢者がもっと入れるような取組という感じになるのかなという印象を持ちました。いずれも大事なことだと思いますが、それによって是非たくさんの若い方にも興味を持ってもらえて入ってきていただける、そこにまた適切な教育訓練ができるような計画が必要であろうと思います。そのほか、いかがでしょうか。せっかくの機会ですから、どうか皆さん、御遠慮なく。髙島委員、お願いいたします。
○髙島委員 労働環境の整備では、例えば2025年に65歳定年延長というのは、これはもう産別労使で決まっていることなので、当然今言われたように、労働環境の面では、例えば船内でいうとコンテナ船、いわゆる本船がいつ入ってくるか分からないと。その中で、それに応えて、例えば夜中に入ってきても作業をしている。365日、元旦以外はそれに対応しているというのが今の状況です。そこに若い方たちが入ってきてほしいという思いは、我々組合も努力しているのですが、今はなかなか難しいのが正直なところです。
 昨今は、正直賃金よりも、今言われたように労働条件で、例えば土曜日、日曜日は完全週休がいいと。これでないと、なかなか入ってこないというような業側の声もあるのが今の実態です。その辺りについては、労使で何とか若い方たちを入れたいというのは、当然近々の課題と思って努力しているところです。
○中窪座長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。渡邊委員、お願いします。
○渡邊委員 御説明どうもありがとうございました。要望ということで申し上げておきたいのですが、アンケート調査でいろいろな項目について調査されているかと思うのですが、例えば教育訓練の項目において回答欄の中で、「その他」を回答している率が非常に高いと思っております。「その他」の所で、具体的にどのようなことを問題視されているのか、課題として捉えているのかといったことが分かると、今後の対策にいきてくると思います。例えば、「その他」の所で自由記述を促すといったような取扱いを検討していただければと思いました。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○島田室長 今、渡邊委員から御指摘がありましたとおり、「その他」で、結局そこが分からないと対応も本当には取れないのではないかということもありますので、今いただいた御意見を踏まえて次回は改善したいと思います。
○中窪座長 そのほかに御意見、御質問等はいかがでしょうか。すみません、私からもう1つだけ。特に週休2日制について、非常に高い所もあれば、結構低い所もあり、6大港の中でも割と違いのあるような条件もあるのかなという感じがしたのですが、その辺りの全体の課題と個別の港湾の課題は、分けて論ずるような場所はあるのですか。それとも、全体を通して1つの計画になるのですか。
○島田室長 6大港の中で同じような傾向が出ているものもあれば、港によって少し違ったような結果が出ているものがある点について、今、座長から御指摘があったところです。計画の中で言えば、全体を通した中での評価に基づいて計画を立てていくということで、余りにも違いすぎると評価もしにくくなりますが、6大港全体として1つの計画を考えていくということです。
○中窪座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。これについては、また、今から具体的に詰めていくことになりますが、ポイントとしてはこういうことで御了承いただいたということにいたします。
 それでは、公開の議題はここまでとさせていただきます。