第31回 厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会 議事録

日時

令和5年8月8日(火) 13:30~17:49

場所

航空会館ビジネスフォーラム201号室(オンライン併用)

出席者

委員

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)国立研究開発法人国立国際医療研究センターの令和4年度業務実績評価について
    2. (2)国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和4年度業務実績評価について
    3. (3)その他
  3. 閉会

配布資料

国立研究開発法人国立国際医療研究センター
  1. 資料1-1 令和4年度 業務実績評価書(案)
  2. 資料1-2 令和4年度 業務実績概要説明資料
  3. 資料1-3 令和4年度 財務諸表等
  4. 資料1-4 令和4年度 監査報告書
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
  1. 資料2-1 令和4年度 業務実績評価書(案)
  2. 資料2-2 令和4年度 業務実績概要説明資料
  3. 資料2-3 令和4年度 財務諸表等
  4. 資料2-4 令和4年度 監査報告書

議事

第31回 厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会
○北久保室長補佐
 定刻となりましたので、ただいまより第31回国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会を開催いたします。委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。事務局の大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室の北久保と申します。よろしくお願いいたします。
 議事に先立ち、事務局より本日の御説明を申し上げます。本日は神﨑委員、庄子委員、中野委員、藤川委員、深見委員、前村委員がオンラインでの御参加となっております。なお、深見委員より15時50分頃で退席される予定との御連絡を頂いております。また、神﨑委員からも16時前に退席される予定との御連絡を頂いております。
 出席委員に関しては部会所属委員の過半数を超えておりますので、会議が成立するということを御報告いたします。
 また、厚生科学課長の伯野につきましては、用務の関係上、遅れての参加となりますが御了承くださいますようお願いします。
 続いて、本日の会議の進め方について説明いたします。まず、御発言の際はオンライン参加・会場参加に関わらず、Zoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いいたします。また、オンライン参加の方は御発言時以外ではマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 御発言の際には、冒頭にお名前を述べていただき、資料を用いて御説明される際には資料番号と該当ページを明言いただきますよう、お願いいたします。
 続いて、本日の議事を御説明いたします。本日は国立国際医療研究センター及び国立循環器病研究センターに関する「令和4年度業務実績評価」に係る意見聴取を行います。評価に係る意見聴取の流れにつきましては評価項目ごとに法人から説明をしていただいた後、委員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。説明と質疑応答のお時間は事前に時間設定をしており、終了1分前と終了後に事務局がベルを鳴らしますので、目安としていただきますようお願いします。
 それでは、本日の会議資料の御確認をお願いします。オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれましては、お手元に議事次第、資料1-2、資料1-4、資料2-2、資料2-4を御用意いただいておりますでしょうか。その他の資料につきましては、事前にお知らせいたしましたURLより閲覧していただくようお願いいたします。会場の皆様の資料につきましては、お手元にあるタブレットに本日の資料を格納しておりますので、そちらを御覧くださいますようお願いします。審議終了後に作成いただく評定記入用紙につきましては、事前にメールでお送りしています様式に御記入いただき、後日、事務局に御提出くださいますようお願いいたします。
 機器の操作方法や資料の閲覧方法について御不明な点がありましたら、お近くの職員にお声掛けいただくか、チャット機能等で事務局までお申し付けください。
 事務局からの説明は以上ですが、何か質問等ありますでしょうか。それでは、以降の進行につきまして、土岐部会長よろしくお願いいたします。
○土岐部会長
 皆様こんにちは。大変お暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。また、委員の先生におかれましては、ちょっと本日も長丁場になりますが、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは早速、議事のほうに移らせていただきます。まず、最初に国立国際医療研究センターの令和4年度の業務実績評価について、審議を開始いたします。それではまず、理事長のほうから一言、御挨拶をよろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター國土理事長
 国立国際医療研究センター理事長の國土でございます。部会長の土岐先生、評価委員の皆様、本日はお忙しい中、評価部会を開催いただきまして大変ありがとうございます。
 さて、新型コロナのパンデミックが始まって丸3年が経過いたしましたが、私どもNCGMは感染症等の疾患に対して対応するナショナルセンターとして、昨年度も引き続き新型コロナ感染症と対峙してまいりました。通算いたしますと、本年7月末の時点でコロナウイルス感染症、入院患者総数は2,396人。延べ数では3万3,018人という多くの患者さんを治療し、研究開発に取り組んできたことになります。
 学術面では詳細は後で御説明いたしますけれども、オミクロン株に対するワクチンの効果や、オミクロン株やXBB1.5系統などの変異株に対するゾコーバを含む既存の4つの薬が有効であるという報告。あるいは既存薬よりも更に強力な抗ウイルス薬の開発などを行い、その成果を『The New England Journal of Medicine』や『Nature』、『Lancet Infectious Diseases』などのジャーナルに報告しております。また、満屋研究所長が主導する新規エイズ治療候補薬イスラトラビルの臨床開発も最終段階となってきました。
 COVID-19のレジストリでありますCOVIREGI-JPは、患者のサンプル、ウイルスサンプルのバンキングであるREBIND事業に発展し、今後の新興・再興感染症にも備える形となっています。
 本年5月に、150万検体を格納できる自動倉庫も完成いたしました。昨年来流行しておりますエムポックス、いわゆるサル痘は、REBIND事業の2番目の対象疾患となりましたが、ばく露前予防、ばく露後予防のワクチン、抗ウイルス薬であるテコビリマットの臨床試験などを当センター主導で開始しています。感染症の臨床研究支援基盤として、国内にはGLIDEという組織を、アジア諸国との連携のためにARISEという国際的なAROを立ち上げて、研究開発が少しずつ進捗しております。
 JHの活動状況につきましてはこの後、御報告があると思いますが、設立4年目を迎え、幾つかの共同研究や若手研究支援、電子カルテ統合データベース事業など多くの事業が順調に進捗しております。
 経営面ではコロナ補助金や研究費獲得などにより、幸いなことに昨年度も21億円の黒字となりました。繰越欠損金残高は2018年度に最高110億円に達しましたが、過去4年連続で黒字決算となり、19億円まで減少いたしました。ただ、今年度も入院患者数の回復が十分ではなく、電気ガス料金の高騰が続き、新型コロナウイルス補助金が大幅に減額される中で、アフターコロナに向けて経営改善をするための努力を続けているところであります。
 それから、昨年6月に当センターの総務課係長が収賄容疑で逮捕されました。直ちに調査委員会を立ち上げ、再発防止と綱紀粛正に取り組んだことを昨年8月の評価委員会で御報告いたしました。その後、今年3月に外部委員を加えた調査委員会の報告書が提出され、当該職員以外に収賄にかかわった者はいないことが確認されましたが、一方で、関係業者とのかかわり方について、一層の透明性・公平性を求められており、職員全員に周知しているところであります。
 最後に、国立感染症研究所との合併について、昨年6月に厚生労働大臣から御指示を頂きました。感染研とはこれまでも多方面で協力してまいりましたけれども、更に連携を強化し、統合準備作業をスムーズに進めるために国立感染症研究所(NIID)、国立国際医療研究センター(NCGM)の共同推進会議、略してNN会議と申しますが、直ちに立ち上げました。この中に研究、人材育成、国際協力、システム、広報の5つのワーキンググループを立ち上げて活動をしています。そして、報道されましたように、5月31日に国立健康危機管理研究機構を設立する改正法が国会で成立いたしました。今後は厚生労働省の御指導を頂きながら準備作業を進める予定であります。大変長らく失礼いたしました。本日は以上の詳細につきまして、各担当者から説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
○土岐部会長
 國土先生、どうもありがとうございます。それでは、審議のほうに移りたいと思います。まずは「研究・開発の成果の最大化に関する事項」の評価項目1-1及び1-2に係る業務実績について、議論したいと思います。
 はじめに法人から御説明いただき、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思いますが、本日は国立国際医療研究センター分と医療研究連携推進本部(JH)の部分を分けて議論したいと思っております。ですので、まずは医療研究連携推進本部の部分を除いた御説明をお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
 それでは、評価項目1-1について、研究所長の満屋が御報告いたします。5ページを御覧ください。自己評価はSとさせていただいております。6ページに指標の達成状況がございますが、そこに、感染症その他の疾患の解明と医療推進に大きく貢献する研究成果とございますが、いずれも100%を、2021年、2022年とも達成しているところでございまして、後で述べることになりますが、また、國土理事長が申し上げましたように、極めてインパクトの高い多くの論文を発表しているところでございまして、原著論文数も100%を超えているところでございます。
 評定は自己評価でSとさせていただいておりますが、その根拠について、7ページを御覧ください。ここでは3点を挙げております。1つは、新規エイズ治療候補薬のイスラトラビル、これは新規の核酸系逆転写酵素阻害剤でございまして、つとに米国メルク社に導出しておりまして、このISL(イスラトラビルの略称)は、エイズ治療と感染予防で「game-changer・paradigm shift」とされて、劇的な変革をもたらすと期待されているところでございまして、第3相の国際共同試験、第3相と申しますのは、皆様御承知と思いますが、臨床試験の最後の段階でございまして、ここで臨床効果が認められれば、いわゆる実薬となるものでございまして、その第3相の国際共同試験が去年、令和4年9月に開始されまして、NCGMは日本で最大数の治験症例を担当しているところでございます。また、研究所のグループは、HIVの増殖に極めて重要なシグナルをブロックする化合物を初めて同定しておりまして、これについても臨床応用が期待されるところでございます。
 第2点は、これも國土理事長が述べましたように、SARS-CoV-2、新型コロナウイルスの変異株の病原性の解明等にかなり努力を割いてきたところでございまして、例えば右に書いておりますように、変異株のオミクロン株が一概に弱毒でなく、一部の株が肺炎を起こすことなどを示しているところでございます。また、既存の治療薬よりも格段に強力な新規の化合物のデザインを独自で行い合成に成功したところでございまして、これらについても後にお話することといたします。
 第3点に、糖尿病に伴うサルコペニアと老化促進・癌発症のメカニズム解明とその予防・治療法の進展についてもお話申し上げます。8ページを御覧ください。今回は、評価項目の1-1ということで、6項目を主要な、つまり、社会的あるいは学術的にインパクトの高い6項目を御報告いたします。
 8ページですが、ここでは先ほど申し上げましたイスラトラビルについての件でして、非常に強力で、1日に0.25mgという極少量で、非常に強い抗ウイルス効果を発揮するものでして、世界で2,180症例の第3相の臨床試験が進行中ですが、日本で50~60例で、そのうちの半数以上をNCGMが担当しているところでございまして、中段の一番右側にイスラトラビルの構造がございまして、詳しくは申し上げませんが、特異的な構造を持っておりまして、その左側に3つの高いバーがあります。これは90%の方でウイルスが血中にディテクトできない、検出されないような強い抗ウイルス効果を発揮するというものでございます。
 [2]について、9ページを御覧ください。先ほど申し上げましたように、2020年から現在まで、NCGMは6つのナショナルセンターでは唯一COVID-19、新型コロナウイルス感染症対応に組織を機能的に改編統合して、臨床と研究を進めてきてまいりまして、大きな成果を挙げてきていると自負しているところでございます。
 右上の大きな図は、感染細胞表面上の多数のウイルスが青の点々で示してございます。オミクロン株の中でも症状を起こすものがございまして、それは右のちょっと小さな図になりますけれども、デルタ株は死者も多く感染性も強かったのですが、オミクロンになると症状が余り出にくいということでございましたが、下の図、「鼻」「肺」と書いてありますが、縦軸はウイルスの量を示しております。オミクロン株の2.75、ピンクで示しておりますが、肺でかなり増殖しているのが分かります。このように、オミクロン株と言っても、肺で炎症を引き起こす可能性のあるウイルスが存在する可能性などを『NATURE』あるいはその姉妹誌に報告しておりまして、こうした所見は政策立案等に大きく貢献したと思われます。
 [3]は10ページを御覧ください。研究所のグループは、SARS-CoV-2、新型コロナウイルスが持っておりますウイルスの増殖に必須なウイルス酵素、これは主要プロテアーゼと呼ばれるもので、蛋白分解酵素ですが、そうした主要プロテアーゼを分子標的とする新規の小分子化合物、TKB245、TKB272等を合成して、同定、発見しておりまして、このTKB272は、何れの変異株に対しても極めて高い抗ウイルス活性を発揮するということで、これも『NATURE』の姉妹誌等に報告しているところでございます。特に、このTKB272は経口吸収率、口から飲んで血中に至って患部でウイルスと戦う、そのパーセンテージが95%以上と佳良で、将来出現すると思われる、波及効果と今後の所ですが、そうした変異株に対しても極めて高い抗ウイルス活性を発揮すると期待されておりまして、特にnirmatrelvirというのが日本でよく使われておりますが、これはパキロビッドという名前でございますが、nirmatrelvirというファイザー社で使われております実薬は、実は禁忌薬が26例、注意を要する薬が82例と、かなり使いにくいところでございますが、ここで御紹介いたしましたTKB272は併合禁忌薬がなくて強い抗ウイルス効果を発揮することを確認しておりまして、臨床応用へと持っていくこととしているところです。
 次に[4]ですが、SARS-CoV-2の変異株に対する認可されております治療薬の有効性の評価についても、多くの論文を『The New England Journal of Medicine』などに報告いたしておりまして、これも日本の治療方針策定に大きく貢献したと考えているところでございます。
 同じページ、11ページの[5]を見ていただきますと、特にSARS-CoV-2、COVID-19、この感染症でお亡くなりになった御遺体からのウイルス伝播が不明であったために、パンデミック以降、御遺体と御遺族との御対面が困難であったため、そういったことから御遺体からの感染伝播の是非について検討をいたしましたところ、そこの図の真ん中の下にありますけれども、感染主体はハムスターでございますが、そうしますと、感染していないハムスターへと感染が当然起こりますが、感染主体に適切な処置をいたしますと、感染が起こらないということを報告いたしまして、これは特にお亡くなりになった方々の葬儀、火葬等に関する、国が設定しておりますガイドラインの2023年1月の改訂の際に本研究成果が活用・反映されて、今では御遺族とエンゼルケアあるいはエンバーミングといった処置を施した御遺体との御対面が可能となったところでございます。
 12ページを御覧ください。項目[6]の糖尿病に伴うサルコペニア、サルコペニアと言いますのは右下に書いておりますように、加齢などで筋肉量が減少して、筋力や身体機能が低下する状態、あるいはフレイルという病態もございますが、これも加齢や疾患で身体的、精神的に機能が衰え、心身のストレスに脆弱になった、ストレスに弱い状態でございます。そうした状態が、特に糖尿病の患者で著明に起こりやすいのを研究所のグループが、そのメカニズムの解明を試みまして、こうした平均寿命が短くなったり、サルコペニアやフレイルというものを防止できる、そのような治療法の開発につながる所見を得ているところでございます。私からの御報告は以上でございます。ありがとうございました。
○国立国際医療研究センター杉浦臨床研究センター長
 中長期の目標としては8項目を挙げておりますが、この後、具体的に御説明していきたいと思います。
 19ページにいきまして、指標の達成状況が書いてあります。2022年度は、全部でここに8項目ございますけれども、First in human以外は全て120%以上の達成をしております。
 21ページに評定の根拠を書いております。全部で3つの項目を挙げております。1番目の新興・再興感染症の研究・開発を促進するためのナショナル・リポジトリの構築というものは、REBINDと私どもが呼んでいるものでありまして、感染症の研究を推進するための研究基盤としての感染症専門のバイオバンクです。
 2番目が、国際臨床試験を加速するためのネットワーク構築で、国際AROアライランス(ARISE)を立ち上げて、昨年度はその活動を活性化しております。
 3番目は国内のほうになるのですが、国内における臨床研究、開発を促進するためのネットワーク構築で、GLIDEというものに昨年度は取り組んでおります。この後、全部で11項目のスライドがありますけれども、数が多いので、そのうちの7項目について、御説明していきたいと思います。
 22ページの[2]を御覧ください。NCGMの職員新型コロナ抗体調査。これは私どもの職員を対象としたコロナの抗体調査で、SとNの両方を見ているので、感染しているかどうかが分かるのですけれども、2020年の7月から今日まで、全部で8回やっております。ここのスライドには7回までしか出ておりません。昨年の12月の時点では、39%の職員が感染したことが分かっております。ちょうど先月終わったばかりなのですが、第8回目では50%ということになっておりまして、およそ2人に1名の職員が、既にコロナにばく露していることが分かっております。現在、新型コロナは5類になっておりますが、今までのように検査はカバーしなくなってくる中で、こういった抗体の陽性率から感染状況を見ていくというのは非常に重要なのではないかと考えております。
 続きまして[3]です。RIBINDの話になります。左下にあるように、現在、1万5,000検体近くが登録されております。特に強調したいのは、昨年度から利活用を加速しておりまして、現在までに臨床情報の活用としては31件、また、試料、ゲノム情報、テストランを含めて3件の相談をしているところでございます。
 23ページは、臨床研究中核病院に必要なARO機能の整備ということで、私どもは特定領域での臨床研究中核病院の取得を今年度目指しておりまして、現在、12月の申請を目指して取りまとめております。その中で重要なのが、左下のほうにある医師主導治験数になってくるのですが、この中で、御覧のように、これは過去10年間のデータが出ておりますけれども、2019年、2020年、2021年、2022年と、2020年はコロナの影響で特に高いのですが、現在、自分たちが主導するもの、あるいは他施設主導で、私どもが参加したものを含めて、積極的に治験に参加しております。
 また、支援のほうなのですが、それに関しては右側に書いておりますが、非常に幅広く支援をしておりまして、こちらも年ごとに増えてきております。特に下のデータマネジメント、JCRACというデータセンターがあるのですが、こちらは昨年度、ISOの20007を取っておりまして、品質の部分に関しても自信を持っております。
 続きまして、24ページを御覧ください。こちらの国内ネットワーク、GLIDEの説明になります。まず、昨年度やったこととしては、過去3年間を振り返りまして、こういったパンデミックの際に何が必要なのか、何がなかったのかということを振り返って、提言書というものを公表しております。また、今回、このパンデミックの中では、製薬企業が、治験をやろうにもどこに患者がいるか分からないということで非常に困ったということを伺っておりますので、私どもとしては、One-stop solutionということで、我々のネットワークのほうに話を持っていったことによって、フィージビリティ調査を含めて迅速にエンロールメントが進むような体制を構築しております。
 それ以外に、新しい手法としてアダプティブデザインのコアプロトコルを予め準備しておく、あるいはリモートでもできるような分散型臨床試験といったもののツールを現在開発しているところです。
 25ページはARISEの説明になります。ここに書いているように、現在、多くのASEANの諸国に参加していただいておりまして、このうち、右上の図、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシアには、現地にサテライトオフィスを置きまして、職員が常駐して活動しております。これまでの成果としまして、アジア内のプロジェクトとしては、全部で17の試験を主導しておりまして、その中でも1件は、右側の矢印の絵の下から2番目になります。薬ではないのですが、オゾン化消毒剤の薬事申請支援ということで、実際に1件、薬事承認までたどり着いているものがございます。また、ほとんどのものが検査薬なのですけれども、そのうち下から3番目と4番目に関しては、薬剤の開発のほうにも少し裾野を広げて活動しているところです。
 26ページに移ります。この中で申し上げたいのは、9番目のClinical Innovation Networkです。御存知のように、現在、高騰化する薬の開発コストを下げるために既存の医療情報を活用するということで、私どものほうとしては、研究者たちが作ったレジストリの760件をカタログ化して、その情報発信をしております。また、レジストリを作るに当たっての支援にも併せて取り組んでまいりました。
 続いて27ページの下のほうを御覧ください。研究活動を活性化する取組ということで、この3年間、COVID-19学術支援委員会というものを71回開催してまいりました。その中で140件に上る研究活動を議論しておりまして、その多くが論文という形で成果を発表しております。
 28ページを御覧ください。NCGMは2019年に『Global Helth and Medicine』という総合医学学術雑誌を刊行しておりまして、昨年度は3年目なのですが、米『Web of Science Core Collection』に掲載されるという快挙を達成しております。また、これは昨年度の業績ではないのですが、先々月の6月にImpact Factor2.6というスコアを付与されています。ということで、NCGMが自ら学術発表をするような取組をやってまいりました。私のほうからは以上になります。
○国立国際医療研究センター美代医療情報基盤センター長
 29のスライドを美代より御説明いたします。NCGMが進める医療DXについて、下の図に示した3つの取組について御説明いたします。
 はじめに、糖尿病学会と連携して進めているJ-DREAMSプロジェクトです。従来の医学研究用の疾患データベースは、手作業により情報収集が行われてきました。このプロジェクトでは電子カルテと連携し、直接診療情報を収集する仕組みを開発することで、糖尿病の医療ビッグデータを構築し、診療の標準化や新しい治療法の開発を進めています。
 次に、厚生労働省と連携して進めているJASPEHRプロジェクトです。異なるメーカーの電子カルテから共通の形式で診療情報を直接収集するプラットフォームを開発しており、ここに挙げたような様々な事業で活用しています。個々の事業ごとにソフトを開発していた従来に比べ、大幅な費用対効果及び二次利用の容易さが実現できております。
 最後に、革新的電子カルテシステムの開発について御説明いたします。下の図の医師は、映像を見ることができる特殊な眼鏡をかけております。この眼鏡を通じて、様々な電子カルテ情報を閲覧することができます。PCがなくても診療可能になるなど、医療現場の革新的なインフラ構築を目指して研究を進めております。この取組はYouTubeでも公開しておりますので、是非このQRコードからアクセスして御覧いただければ幸いです。以上です。
○土岐部会長
 それでは、議論に移りたいと思います。花井委員、よろしくお願いいたします。
○花井委員
 幾つか教えていただきたいのですが、まず、30年ぶりのキードラッグになるDIも期待なのですが、SARSの治療薬について、昨年は開発しつつも、日本のシーズが企業にアピールするのは難しいということで、アメリカと環境が違うということをおっしゃったのですが、こちらについては、具体的に企業に導出して実用化のめどが立ちつつあるのかどうかという点を教えていただきたいと思います。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
 私どもは今回についてはHIV、エイズの治療薬で大きな成果を挙げているプロテアーゼ阻害剤の開発に成功したことから、これは2003年になります。そうした技術、考え方を援用しまして、SARS-CoV-2、新型コロナウイルスが持っている、非常に似ているプロテアーゼ阻害剤の開発に乗り出して、先ほど申し上げたファイザー等の薬よりも、およそ数十倍から100倍ほど強いのがありますけれども、今のところ、本当にこのまま、特に米欧では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者の数が激減しているところから、いわゆるメガファーマが乗り出して、大きな資本を投下しないかもしれないというところで、今のところは予断を許さない。しかし、私が強調したいのは、日本ではそういう治療薬の開発が中途半端に今まで終わってきているところから、日本が米欧でのワクチンにしても治療薬にしても、その開発にかなり、言わば大敗したとしか私には見えませんが、そういった状況ですが、もしかしたら、まだ第9波、第10波というのが世界的に大きな問題となれば、そのようなメガファーマが乗り出して、やはりメガファーマでないと、このような薬の開発は無理ですので、そうした準備も含めて努力を続けているところです。
○花井委員
 でも、第一三共さんとか、武田薬品さんとか、アステラスさんも頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。
○土岐部会長
 続きまして、前村委員、どうぞ。
○前村委員
 2つお伺いします。まず、イスラトラビルがフェーズ3までいっているのは、すばらしい進捗だと思います。それをやっている会社がメルクなのですが、これは日本の会社でできなかったのでしょうか。日本の会社にそれだけの体力がなかったのか。満屋先生はアメリカでも研究されているので、そういう関係でメルクがされることになったのでしょうか。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
 各社に御協力をお願いしたのですが、日本の会社にも実際にお考えいただいたのですが、入れる前に下りられて、100億に近いお金がかかるようですので、日本の会社にはお引受けいただけなかったということで、外国のメガファーマ、計6社ほどに共同研究を持ち掛けて、メルク社のみがこれを引き受けたというところです。その辺りは、日本の開発力がまだまだ米欧のそれとは著しく弱い。私自身も残念に思っているところです。
 しかし、メルク社は、これが開発される段階になれば、日本でも臨床試験をやるという約束を果たしていただいておりますし、また、イスラトラビルはヤマサ醤油。ヤマサ醤油というのは核酸の合成等に長けているところがございましたので、そこと共同研究を12年間続けましたものですから、これは日本初でNCGMも直接開発に寄与しているというところからすると、アメリカだけに栄誉を与えたというのではないのではないかと私自身は考えようとしているところです。
○前村委員
 是非日本の企業にも、そういう体力を付けていただきたいと思います。
 2つ目はJ-DREAMSのところでお伺いしたいのですが、今、いろいろなレジストリ研究が盛んに行われていて、実際の現場はデータを入れるのに非常に疲弊している所があるのです。それで、メディカルクラークに入れてもらう方向とカルテから自動的に入れる方向を模索しているのですが、このJ-DREAMSの場合は、どれぐらいの割合のデータが自動的に電カルから入るようになっているのでしょうか。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 糖尿病研究センター長で、日本糖尿病学会の理事長もしておりますので、植木が答えさせていただきます。J-DREAMSの場合には診療テンプレートというものが入っておりまして、SS-MIX2に自動的に入る処方データ、患者の基本データ、検査データは、医師は何もする必要がありません。診療テンプレートに、日常診療で普通にデータを取る血圧、体重、病歴などを入力していただくと、それもSS-MIX2の中に入るようになっておりますので、日常診療から大きく超えた負担があることはなく、ほぼ全てのデータが取得できるようになっております。
○前村委員
 このシステムだと、かなり助かると思います。ありがとうございました。
○土岐部会長
 根岸委員、どうぞ。
○根岸委員
 感染症をはじめ、大変多くの研究に取り組まれてすばらしい成果を収められていると思いました。
 2点ほどございます。まず、1点目ですが、12ページの糖尿病についてのサルコペニアのリスクということで、これは様々な疾患の予防ですとか、進行を遅らせる可能性が出てきて、すばらしい内容だなと思いました。これは実際に抑制剤が有効だろうというようなことが書いてありますけれども、実用化のめどというのは、どのぐらいを想定したらよろしいのでしょうか。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 実際に、この研究で投与したのは、FoxOという転写因子の阻害薬ですが、様々な製薬企業が、これはサルコペニアの目的ではなく開発しておりまして、我々が使ったのはアステラスが開発したものですけれども、実際に筋肉量が一定程度元に戻ります。ただし、投与期間が比較的短い実験しかしておりませんので、今後、もっと長期間、大規模にやる必要はあります。この阻害薬には、血糖値などをよくする効果もあると考えられますので、期待できるのではないかと考えております。
○根岸委員
 ありがとうございます。健康寿命の延伸に大きく寄与する内容だと思って伺いました。
 もう一点なのですが、22ページ、24ページの辺りに関連するかと思います。COVID-19についてです。次なるパンデミックへの備えとして、COVID-19に関しては、本当に様々なことを今までに手掛けてくださっておりますけれども、特に今後の対応として、どこに重点を置いていくべきなのか。国際的に見て、日本が果たすべき役割の一番重要なところというのはどの点になるのでしょうか。
 それと、この3年、4年の取組の中で、日本における課題というのは、いろいろな取組をする上で、この部分を解決できれば、日本はもっと早く先に進めるのだというような、この部分が足枷になってしまうというようなことがあれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター杉浦臨床研究センター長
 御質問ありがとうございます。まず、御質問の前半部分に関してなのですが、21ページの評定の根拠の所を見ていただきたいのですが、この3つの取組ですが、まず、REBINDという、サンプルを集めて、それを研究者の方に迅速に提供していくようなシステム、それから、日本が中心となってアジア地区で薬剤の開発ができるような臨床試験体制を構築していくこと、更には、その1つ前として、国内においてきちんと短期間に患者の登録ができて、結果を出せるようなネットワークを作っていくこと。そのためにはどこに患者がいて、どこに人を投資したらいいかということを知る必要がございますので、これも平時から動かしていかないとなかなかできないことだと思っております。今回のパンデミックでは、そういったネットワークが国内でできていなかったものですから、なかなか研究開発が進まなかった点があるのではないかと思っております。
 2番目の国際試験に関しては、やはり規制調和ということで、各国、薬事に関する規制が違っておりますので、これに関しても平時からきちんと目線合わせをして、迅速に動けるような体制が必要なのではないかと思います。ですから、この3つが次なるパンデミックのプリペアの話として、私どもが取り組む大事な事業であると考えております。
 後半の質問に関しては、私一人で回答するのは難しいのですけれども、満屋先生から御意見を頂けると。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
 私の個人的な考え方で、2020年に米国はトランプ政権の下で、国庫から1兆円を拠出してワクチンの開発に臨んでいます。同時期に日本は100億円、つまり100分の1を当時の安倍内閣が拠出しております。
 ワクチンのmRNAというのは日本ではほとんど顧みられていなくて、一部でそのような試みがあったのも、非常に短期的な研究費の給付しかないために、それは全部ストップされていて、2010年代ではほとんど行われていなかったというのも、日本が旧来のワクチンで、言わば不活化ワクチンでほとんど効果がないという残念な結果に終わってしまった。つまり、継続性がない。それから、私どもの治療薬にしても、不満を言うようですが、全て単年度で、毎回評価と新しい申請がある。そうすると、落ちる場合もあるのです。そうしますと、そこで継続性が担保できませんから、また、9か月しか研究ができなかったり、6か月しかできない。そういった継続性がないというのでは、今後はその辺りを改善しない限りは、次のパンデミックといっても非常に難しいのではないかと、私はそのような大きな懸念を抱いているところです。
○国立国際医療研究センター國土理事長
 感染症の研究・開発は私もいろいろ見てきて、思いますのは、スピードとデータの共有が日本はまだまだ十分ではなかったという事です。特に、例えばディスカバリー試験という、イギリスでデキサメタゾンなどの有効性を証明した有名な研究がありますけれども、プロトコルは一晩で書いたというぐらい早かったと聞いています。
 特に、パンデミックの場合は、流行の波のピークがきて、すぐに終わってしまうというところがありまして、それにうまく間に合わせなければいけないという難しさがあります。
 それから、データの共有についても日本はまだまだ医療DXが遅れていると言われています。例えば生死のデータがディスカバリー試験ではエンドポイントだったわけですけれども、行政データと結びつけることで確実に補足できたそうです。このような行政データとつながるのは、日本で言うと私の知っている範囲では、地域がん登録しかありませんので、そういうデータの共有もできていなかったのではないかなと思います。
 今度、感染研との合併をするわけですが、もしデータにもう少しアクセスがよくなれば、このような問題が少し改善するかもしれないと期待しております。
○根岸委員
 大変詳細な御説明をありがとうございました。
○花井委員
 先ほど1つ聞き忘れたのですけれども、CINのレジストリの検索システムと調査という点なのですけれども、今はうちも大変お世話になっているのですが、何を困っているかと言うと、手探りで作っていくに当たって、今の話とも関係するのですが、最初は研究費などがあればCROを使ったり、サイトマネジメントを使ったりするわけですけれども、結局運営コスト、継続的にしようと思うと、そういうものがなくなった瞬間にレジストリが運営できなくなるという状況というのは、どのレジストリにもあって、この調査で、例えば運営コストはどうなっているかとか、そういうことを一貫して見るような調査というのは可能なのでしょうか。今、いろいろな情報を見せていただいて参考にはしているのですが、結局それぞれのレジストリが人の手当とか、お金の手当について、継続性のところ。立ち上げのところは何となく分かるのですが、継続性のところとか、あとPMSDOにするにはクライテリアはどうなっているかとか、一覧に見るというのは今はできなくて、いろいろなものを見て摘み食いしながらやっているのですが、そういう調査というのは可能なのでしょうか、若しくは現状でもある程度のデータはあるのでしょうか。
○国立国際医療研究センター杉浦臨床研究センター長
 ある程度の、言葉は悪いのですが、生きているレジストリと既に止まってしまったレジストリのものは、ある程度、このカタログの中では把握はしていると思うのですが、そこの部分にポイントを置いて今まで調査をしてきておりませんので、今日頂いた御意見を持ち帰って考えたいと思います。
○花井委員
 是非お願いします。そうすると国の支援の仕方というのも変えていただいて、そして、今後そのレジストリをもうちょっと作るということができるようになると思うので、よろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター杉浦臨床研究センター長
 分かりました。ありがとうございます。
○土岐部会長
 私からも1点お伺いします。興味に近いところがあるのですが、職員の抗体価が興味深かったのですが、いわゆるワクチンによる抗体と感染による抗体は区別できるのかなとかは、知識がなくて分からなかったのですが、その場合、感染による抗体のほうが、抗体が落ちていくのが遅いのか、要するに、1回かかると次は感染しにくいのかとか、その辺についてはいかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター杉浦臨床研究センター長
 まず、S抗体に関しては、実際に感染したかどうかは、この検査では判定することは難しいと思います。これは質的な部分は見ておりません。S抗体のあるなし・力価までは分かりますが、もう少し細かい、どの辺りにできてとか、そういうことは分からないものですから。ただ、N抗体のほうで感染の有無は判定していますので、それで分かることになります。
 あと、その後はどのぐらい続いているかということに関しては、現時点では私どもはそこまでは分析は進んでおりませんけれども、そのような視点で少し解析を進めたいと思っています。ありがとうございました。
○土岐部会長
 また教えていただけたら有り難いと思います。ありがとうございました。それでは、次に移りたいと思います。続きまして、評価項目1-1の医療研究連携推進本部について議論したいと思います。先ほどと同様の流れで、まず法人から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 JH本部長の植木から報告させていただきます。資料の13ページを御覧ください。まず、組織の運営についてです。先生方は既に御存知のように、2020年の4月に6NCの内部組織としてJHは発足しておりまして、昨年度末時点で6NCのクロスアポイントメントの職員約30名が、この事業に従事しております。ミッションとしては、6NCが連携して新たなイノベーションを創出し、それを社会実装するということですが、13ページの右下にあるように、そのために5つの課、データ基盤課、共同研究課、知財・法務課、広報課、人材育成課が、毎月6NC理事長会議の下で、承認を得ながら事業を進めているところです。
 一番右に、これまでと違う組織の名前が書いてありますが、全ゲノム解析等事業実施準備室というのがございます。これは、昨年度、全ゲノム解析等実行計画2022に基づいて、JH内にその準備室を置くということが定められておりまして、中釜NCC理事長が準備室長として赴任されて、令和7年度からの事業の実施に向けて、その準備を進めているところです。これまでのJHの事業とは少し違う枠組みで活動をしているところです。
 14ページから、昨年度の取組について御報告いたします。参考資料として、15ページ、16ページも一緒に御覧ください。まず、新たなニーズに対応した研究開発機能の支援・強化です。1ポツ、6NCのセントラルラボとして、空間情報を保持した1細胞レベルの網羅的遺伝子発現解析の6NC共通解析基盤を構築しました。これは、16ページの左側にあるVisiunという比較的最近のトレンドとなっている空間情報を加味した発言情報解析システムを用いて、各NCが担当している疾患の患者の検体、あるいはモデル動物の検体について、病態の解明あるいは新しい治療法の開発につなげる研究で、6NCが共同利用しております。非常に高い評価を受けておりまして、JSTのCRESTにも採用されております。
 2ポツ目は、小児・AYA世代の全国ゲノム診断プラットフォームを構築いたしました。成人用のがんゲノム診断の検査法として確立しているTodai OncoPanel 2が、小児・AYA世代にも有用であるということを実証しております。
 3ポツは、6NC-EHRs、これは15ページの左側を御覧いただければと思います。各NCはそれぞれに違ったベンダーの電子カルテを使っておりますが、SS-MIX2というストレージには、患者の基本データ、処方データ、検査データは、同じ様式で溜めることができますので、これを蓄積して、6NCで疾患横断的にそれを解析するということをやっておりまして、昨年度末時点で69万人のデータ、3億3,500万レコードが蓄積されて、これを活用した共同研究も開始しているところです。
 4ポツは、「6NC連携レジストリデータ利活用促進事業」です。これは、一昨年度までは研究として行っていたものですけれども、6NCに存在するレジストリについて、その窓口機能を担っていただくとともに、レジストリ作りのノウハウを共有することを行っております。
 5ポツですが、研究支援人材の育成に取り組むために、特に生物統計家が臨床研究にとって重要ですが、なかなかその人材が各NCで不足しているということで、NCCに実際に行っていただいて、On the Job Trainingで、若手の生物統計家の人材育成に努めております。
 6ポツですが、「6NC共通教育用プラットフォーム」というものを立ち上げております。15ページの右上にございますが、各NCが保有している教育コンテンツをICRweb上に上げまして、例えば動物の実験の講習を共通化する等をやっております。
 引き続きまして、6NC連携で有効な研究開発が期待される領域の取組の支援・強化です。これまで横断的研究推進費課題というものを毎年採択しておりまして、1課題、大体年間5,000万円程度で6NCが共同して課題に取り組んでいます。その中で、どの程度の成果が出たのかということを調査しております。最近、論文が先行してWeb上で出ていたりしますので、年度で分けるのが少し難しくて、ちょっと大雑把になっているのは申し訳ないのですが、2020年4月の発足時点から昨年度末までで、81件の論文が出ておりまして、トータルのインパクトファクターが623ですので、まずまず質の高い論文が出ているのではないかと思っております。
 また、若手の研究支援も行っておりまして、これは科研費の基盤C以上、あるいはAMEDの研究代表者にはなったことがない若手の方々を支援するということを行っております。その中で、文部科研等の採択につながっている研究が既に出ております。先ほども申し上げましたように、「全ゲノム解析等実行計画2022」に基づいて、その準備室がJH内に発足したところです。
 また、知財・法務相談をしておりまして、特に特許などの知財については、映像資材を提供するなどしております。また、JHが支援している研究課題やその他の英語版の情報も含めまして、ホームページを充実させるとともに、16ページの右下ですが、毎年シンポジウムを行っておりまして、昨年度は「コロナで変わる、コロナを変える」というタイトルで、6NCが行っているコロナ研究についてWebベースのシンポジウムを行い、500名以上の参加者を得て、成功裏に終了したと考えています。
 一番最後の17ページは、令和3年度と令和4年度の、ただいま御説明した幾つかの項目について見える化したものです。私からの説明は以上になります。
○土岐部会長
 ありがとうございます。それでは、審議のほうに移りたいと思います。委員の先生方から御質問等はありますか。
○深見委員
 深見です。6NCの共同事業のJH事業が非常に順調に活動が進んでいるということで、とてもよろしいかなと思います。こういった事業の中で、やはり一番大事なのはゲノムの解析の所と、検体の管理というところが1つのコアになるのではないかと思います。ゲノムの解析のほうは、この新しく解析事業ができてきたということなのですが、こういうように蓄積と同時に活用というところが非常に重要で、これを中核として、中釜先生がこういうような陣頭指揮をとって6NCを統括して、このゲノムの所でうまく活用できる、そこのコアになるところはどういうような組織でこれからやっていくのか、ゲノム解析事業の所でやっていくのかどうかということをお尋ねしたいことと、それから、患者さんのサンプル等はどういうように今、総括、又は活用に向けて動いているのかというところを、もう少し御説明していただけたらと思います。以上です。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 少し切り分けて御説明いたします。まず、6NCが共通で持っているNCBN、6NCのバイオバンクがあります。それは6NCが共通して管理、各NCにあるサンプルをNCGM内にあるNCBNのセンターがカタログデータベースとして公開して、その二次利用を図っているところでございます。この全ゲノムのほうは別事業として、がんと難病でスタートするということになっております。実際の事業の開始に当たっては、準備室はJHの中に設けられておりますが、別法人が設立されて令和7年度から動き出すというように聞いております。
○深見委員
 そうなのですか、分かりました。サンプルのほう、検体のほうは。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 NCBNについては、各NCでサンプルを管理しています。
○深見委員
 やはり各NCが管理、運営するということで、全体の統括的なものは。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 カタログデータベースがあって、実際にどこに何があるのかという統括はしておりますが、実際のサンプルの出荷などは各NCからということになっております。
○深見委員
 分かりました。もう1つお願いします。感染研との合併というところで、私が一番懸念するのは、こういった6NCの事業に影響が及ぶのではないかということなのですが、その辺りのところ、合併が今後どういうように影響するというように考えていらっしゃるかということも御説明していただけたらと思います。
○国立国際医療研究センター國土理事長
 大変重要な御指摘をありがとうございます。國土でございます。この点については、我々は今、6つのナショセンのメンバーの1つです。今度、新しい組織は特殊法人になるわけですが、新組織になっても、このナショセンとしてJHとしてやってきたことは引き続き共同でやらせていただきたいということを強く希望しておりまして、理解を頂いているものと理解しております。この事は先日加藤大臣にお会いしたときにも、ほかのナショセンの理事長の先生方にも申し上げております。
○浅沼危機管理・医務技術総括審議官
 厚生労働省の浅沼でございます。補足いたしますと、今、國土理事長がおっしゃられたとおりで、NCGMサイドから、そういった要望は受けております。JH、ほかの5NCの御意向も踏まえながらなのですが、現在のところは、やはりこのJH、非常にいい仕組みになっているので、このまま新しい「機構」と通称で言っていますが、機構が特殊法人となって、いわゆる独法ではないのですが、独法みなし、この6NCみなしという形で取り組んでいけるように、ちょっと今、中身で検討しているところでございます。よろしいでしょうか。
○深見委員
 分かりました。統合したことで非常に大きなメリットがたくさんできてきたと思いますので、是非、そこのメリットが削られることがないようにということでお願いしたいと思います。以上です。
○土岐部会長
 ありがとうございました。花井委員、ありましたらよろしくお願いします。
○花井委員
 このJHというのは、そもそも、恐らく民主党政権時代に日本版NIHという形でイメージされて、今ファンディングエージェンシーができて、このJHで6NC連携して、NIHみたいなものは難しいということで始まったことに端を発して、これができてから4年たっていると思います。共通プラットフォームの構築と、全体としてのそれを使った研究支援という、私はNIHは行ったことないし、全然知らないのですが、文献なんかを読むと、やはりあそこのメンバーは、研究を支援する人がすごいレベルの高い人がたくさんいて、若い研究者が何かプロトコルを作って、各病院のAROみたいなものなのかもしれませんけれども、要するに、支援体制が充実しているというように伺っています。何か、ベセスダからアトランタに移ってとか、私はよく理解できなくなっているのですが、やはり、ここのところをちゃんとしていくということは大事だと思うのです。
 今は、ちょっと御説明を聞くと、その研究支援という形では、ちょっとこのJH全体としての研究支援リソースというのは、まだそんなにそろっていないという、それとも、そこもかなり充実してきたというイメージなのかというのを教えていただきたいということと、今、申し上げたとおり、やはり行く行くはCDCの一部を刈り取った日本版NIH的な、AMEDと連携してやるということを、やはり構想していく上では、浅沼さんがおっしゃったのですが、やはりそういうグランドデザインを作っていかないと、組織が変わるといろいろ変わってきますし、永田町の干渉もあると何かよく分からなくなってくるというのはありがちな話なので、是非そこは本省のほうでリーダシップを取っていただきたいということと、それから今、ちょっと質問をした研究支援について、各施設のAROとの関係というのも教えてもらえますでしょうか。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 先ほど御説明いたしましたように、クロスアポイントメントで約30名の組織になっております。5つの課があり、研究者としてはその3分の2ぐらいになりますので、マンパワーとして、そもそも、そこまでできるマンパワーがございません。各NCで持っているリソースをなるべく共通化して、それをサポートするということが今現在、我々ができているところです。もう少し規模が大きくなる、あるいは予算が付くということになると、先生が今おっしゃってくださったような、本当の意味での支援ができるのではないかと思いますけれども、まだそこまではできていないというのが現状になります。
○花井委員
 ありがとうございます。どさくさ紛れに膨らませてください。
○浅沼危機管理・医務技術総括審議官
 厚生労働省です。御指摘ありがとうございました。JHに関しては、今、植木先生がおっしゃられたとおり、今は6NCのリソースを頂きながら、こうしていろいろと進め、例えばデータ、カルテ等、ゲノムや人材育成などをやっていただいているのですが、今後、正にこの6NCの共通基盤として、どこまでこの共通基盤の業務を膨らますのかといったときに、では、そのままの、要は、今みたいに、そのNCGMに随分お世話になっていますけれども、ただ、法人格も持たずに、このままJHを続けていくことでいいのかどうかなど、現時点で幾つか課題があるのです。そういったものを1回整理して、例えば、本当に共通基盤になりそうなことはほかにもたくさんあるのではないかという話になれば、テコ入れをして、何か別の組織体を作るというのはあり得るのかなと思っています。ただ、現時点では、まずは機構の話があるので、機構をしっかり作るのも結構重大な作業ですから、それをしっかりとやったときに、併せてJHのことも、次の課題を整理して、次のステップアップで考えていきたいと思っています。
○土岐部会長
 まだまだ課題が多いようではありますが、時間もありますので、次のほうに移らせていただいてよろしいでしょうか。すみません。時間が押しておりまして、次に移らせていただきます。
 続いて、医療の提供等その他の業務の質の向上に関する事項の評価、1-3~1-7について議論したいと思います。まず、法人のほうから説明をよろしくお願いします。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 では、評価項目1-3の医療の提供に関する事項をセンター病院長の杉山と国府台病院の青柳が説明いたします。まず、30ページを御覧ください。自己評価はSとしました。次のページで指標の達成状況がありますが、33ページを御覧ください。評定の根拠は、感染症への対応と救急医療の提供、さらに、高度・専門的な医療の提供の3つの観点から御説明しようと思います。
 34ページ、COVID-19への対応です。患者の受入れですが、感染当初から引き続いて令和4年度においても最大79床の病床を確保して、通算2,262名の患者の受入れを行っており、令和4年度においても685名、うち重症者は45名の患者の受入れを行いました。また、SARS-CoV-2の遺残を判断するフローを作成し運用することによって、より多くの患者の受入れが可能となっております。検査体制の強化についてですが、入院時のスクリーニングとして、FilmArrayなどによる迅速診断でCOVID-19やインフルエンザ等の多項目の病原体を一度に検出可能な体制を整備しております。
 それから、新興感染症の備えとして、MERS-CoVやエムポックス等も検出可能な体制を整備しております。左下の感染のピーク時には、敷地内に最大6台の救急車が並ぶ状況です。右はCOVID-19の患者の受入数の表の図で、ある意味、成績表みたいなものでございます。
 35ページ、救急医療の提供です。左下の三次搬送件数の図です。センター病院においては、救急搬送件数は都内でもトップクラスとなる1万件を超えており、最も重症な三次救急については令和4年度は都内で最多の搬送件数であり、目標の1,500件を大きく上回る2,294件でした。
 それから、救急応需率では、コロナ禍の影響により数値目標を達成できませんでしたが、東京都の平均は43.1%と非常に低かったのですが、我々の所は85.7%、それでも、ある程度の救急の応需をしておりました。それでS評価を維持しております。国府台については、後で青柳がお話します。
 36ページ、エムポックスへの対応ですが、令和4年5月からの世界的な流行初期から、厚労省等の行政機関と連携の上、欧州で承認されているテコビリマットを輸入し、特定臨床研究の枠組みで日本の患者に投与できる体制を6月に整えました。また、当院が事務局となり、医療機関のネットワークを形成して、7月には多施設共同研究として患者が診られるような医療提供体制を整備しました。
 診療ですが、7月以降、実際にこの取組で診療し、令和5年1月以降の症例の増加にも対応しました。また、欧米を中心に重症化や死亡例の報告があり、重症例や重症化ハイリスク患者のためのワクシニア免疫グロブリン製剤も使用できる多施設共同研究の体制を2023年3月に整備しております。
 医療の均てん化ですが、「診療指針」を右の図に示してあるように、作成し公表するとともに診療から得られた知見を「症例報告」として早期から公表しました。結果として、他医療機関の診療に貢献するものと考えております。
 37ページ、高度・専門的な医療の提供ですが、腹膜偽粘液腫の手術です。腹膜偽粘液腫は腫瘍細胞が腹腔内に散らばり、粘液が腹腔内に貯留するまれな病態です。当センターでは、腹膜偽粘液腫に対して、腹膜切除+術中腹腔内温熱化学療法を行っております。我が国で極めて限られた施設の1つです。本治療法は、高難度・高侵襲治療法であるため、総合病院の特性をいかし、各科と連携することで安全に施行することが可能となっております。結果として、令和4年度は腹膜疾患141例中、完全減量切除術中温熱化学療法51例の手術を実施しております。
 先進医療Bとして本治療法を単施設で60例実施して、5年の観察期間を令和4年2月に終えました。今年の9月には、厚労省の先進医療技術審査部会に提出する予定です。この治療法は世界初の前向き試験で行いました。
 COVID-19陽性の手術です。COVID-19陽性の緊急手術を積極的に行いました。陰圧室を持っており、感染対策を十分に行い、帝王切開、腹部手術、骨折などの手術などを施行しました。結果として、術後にCOVID-19の感染の増悪を認めず、これまで通算75件、うち令和4年度は35件のCOVID-19陽性患者の手術を実施しました。
 38ページ、高度・専門的な医療の提供ですが、まず、HIV感染症です。新規HIV診断59例に対し、薬剤耐性検査に基づいた抗HIV療法を導入する一方、定期通院患者のウイルスの抑制率は、WHOが掲げる目標の90%を超える95%を維持しております。薬害エイズ患者89例の95%以上を包括専門外来で診療し、13名に循環器スクリーニング・36名にがんスクリーニングを実施、他施設の治療困難や薬害エイズ12症例に対しても専門的医療を提供しました。また、赤痢アメーバ症の治療困難例について、保険外検査及び治療コンサルテーションを行って、専門的医療を提供しております。
 2番目は膵島移植です。脳死ドナーからの同種膵島移植を1例実施しました。現在10例がレシピエント登録されております。先進Bの技術である自家膵島移植を国内で唯一となる2例を実施しました。過去10年において、国内で実施された10例のうち7例を当院で実施しております。
 高難度新規技術による先端的医療の充実ですが、ロボット手術です。令和4年度は241件の手術を実施しました。では、青柳先生お願いします。
○国立国際医療研究センター青柳国府台病院長
 国府台病院について御説明させていただきます。院長の青柳です。どうぞよろしくお願いいたします。まず、35ページにお戻りください。中段にある精神科救急に関してですが、当院では精神科救急入院病棟において、重症身体疾患を合併している患者さんの比率を15%以上とする目標を策定しております。重症身体疾患とは、それ単独でも入院が必要となる疾患であり、肺炎、骨折、がん、薬物中毒などです。これらを合併する精神科救急患者さんに対応できる施設というのは限られておりますが、令和4年度は精神科救急入院病棟、当院の病棟における重症身体疾患合併患者さんの比率は、目標を上回る18.4%でした。
 続いて39ページです。摂食障害医療に関してです。当院は、千葉県の摂食障害支援拠点病院になっております。右の棒グラフはDPCデータに基づいた日本全国の摂食障害入院患者数上位施設の年次推移を表しております。こちらにお示ししたように、摂食障害に関しては全国一多い入院患者数を維持しております。また、昨年度は摂食障害相談を科内に開設、あるいはSNS等による情報発信を強化して、摂食障害診療の啓蒙と均てん化にも注力しているところであります。
 最後に40ページです。肝炎医療への取組に関してです。昨年度は肝炎情報センターを中心として、全国の肝疾患診療連携拠点病院での各種指標の達成状況を調査し、課題の抽出と改善に向けた取組を行いました。これらの指標には32の項目があります。右のグラフでは主な8項目を示しております。今回の調査では、これら32の指標値が全て目標の70%以上となり、肝炎診療の均てん化が進んでいることが確認されました。また、これらの結果を基に令和5年度は均てん化に向けた運営を行う予定です。以上です。
○国立国際医療研究センター杉浦臨床研究センター長
 それでは、1-4の人材育成に関して杉浦のほうから説明させていただきます。まず、41ページを御覧ください。自己評価がA。指標の達成状況を見ると、最初の項目のほうが達成度が69.3%ということで100%になっておりませんが、これは、そもそも目標を平時に戻ったときの75回というものを基準としたので、そういう意味ではちょっと達成はできておりませんけれど、コロナによる人流抑制があった中での成果でもございますので、それなりに、私どもとしては頑張ってきたと判断しております。
 42ページです。評定の根拠です。まず、臨床研究に関する人材育成、これは特に国際共同研究を担う人材育成というところに重点を置いたARISEを中心とした人材育成になっております。先ほど、根岸委員のほうから、何が不足しているかという御質問がありましたが、ちょっと私、答え損なったのですが、正に、この人材というものが、臨床研究ができる人材がいなかったというのも大きな要因ではないかなと考えております。続いて、モデル的研修・講習の実施。これは非常に高度な専門家の育成なのですが、これに関してはHIV及び児童精神科関連で、ずっと人材育成に取り組んでまいりました。
 43ページです。今、申し上げた国際的な共同研究、臨床研究に関する人材育成に関して、こちらのほうに示しているように非常に多くの国からの参加があり、まず、ARISE-PMDA Joint symposium for Asian Clinical Trialのほうでは、全部で488名が参加しております。これは、ある種のネットワーキングであり、その場で多くの情報の共有がなされました。あと、ARISEシンポジウムのほうでも451名ということで、非常に多くの方に参加をしていただいております。とにかく私どもに不足しているのは、国際臨床共同研究者というもので、共同研究ができる者でして、そういった方の人材育成に取り組んでまいりました。
 44ページです。先ほど言いましたモデル的研修、下のほうですが、講習の実施、こちらのほうはHIV関連になりますが、一番大きな成果は、今まで行ってきたトレーニングコース全てをe-learningのほうに移行して、これからはいつでも、必要となる必要な方が参加できるような体制は整備したということになります。ちなみに、このコロナ禍での2年間で、e-learningの累計受講者は475名に達しております。
 45ページ目、今度はモデル研修の児童精神科関連のほうです。こちらのほうでは、今までの実績として53名の方が受講しており、令和4年度は3名の方が受講しております。また、臨床研究人材の育成ということにも取り組んでおり、特に、論文を執筆するような支援であったり、学会発表といったものについての支援を行ってまいりました。
 最後、研修及びメディアということなのですが、厚生労働省こころの健康づくり対策事業、思春期精神保健研修、思春期精神保健対策医療従事者専門研修といったものを行い、令和4年度は913名が参加をしております。右手のほうに研修参加人数がありますが、令和1年~令和4年にかけて、特にオンラインで実施したこともあり、参加者は伸びてきております。
 本当に最後になりますが、御紹介した以外に、昨年度から冒頭に國土理事長が紹介しましたNN会議のほうでも、今後の感染研との統合に向けて、新しい人材育成プログラムというものを現在準備しているところでございます。私のほうからは以上です。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 続いて1-5、「政策提言、医療の均てん化等、重大な危害」です。自己評価はSといたしました。設定の根拠は、新型コロナウイルス関連の政策提言、エムポックス関係の情報発信、糖尿病関係の政策提言の3つでお話いたします。48ページを御覧ください。新型コロナウイルス関連ですが、専門家としての提言で、厚労省の厚生科学審議会感染症部会において、当院の大曲国際感染症センター長が委員として出席し、新型コロナウイルスやエムポックスの感染対策等について、感染症の専門家としての発言を行いました。東京都の新型コロナウイルス感染症モニタリング会議においても、大曲センター長がボードのメンバーとして毎週出席して、都内の感染対策等について専門家としての発言を行いました。
 オミクロン株に関しては、積極的疫学調査、first few hundred studiesを実施いたしました。約2か月間の調査を行い、速やかに執行することによって医療機関のデータの取りまとめを行い、厚労省や国立感染症研究所に報告を行いました。これらの情報を基に、厚労省において隔離期間を決定しており、結果として日本における新型コロナウイルス感染症の隔離期間の短縮に大きく貢献いたしました。また、オミクロン株のウイルス排出期間の分析としては、世界で最も早いタイミングで知見を公表したと思っています。
 49ページです。エムポックス関係ですが、医療従事者向け情報発信としては、先ほど述べたように「診療指針」を作成し公表するとともに、診療から得られた知見を「症例報告」として公表いたしました。一般向け情報発信としては、右の図にあるように、世界的流行のエムポックスに関して啓発資料を作成し、ホームページに公開いたしました。これらによって他医療機関の診療や、一般の方の感染対策に貢献するものと考えています。
 その他、新興感染症関連としては、感染症指定医療機関における感染症の研修実施のための模擬セミナーをオンラインで実施し、主に感染症指定医療機関等の医療従事者257名が参加いたしました。また、輸入感染症・動物由来感染症オンライン講習会を開催し、主に感染病指定医療機関等の医療従事者287名が参加いたしました。
 50ページは、糖尿病関連です。先ほどから何度もお話があったように、日本糖尿病学会と共同で診療録直結型データベース事業(J-DREAMS)を70施設まで参加施設を拡充し、既に9万4,000例を超える患者が登録されています。これらのデータを用いて臨床研究を進めています。また、ナショナルデータベースより110万人の日本の糖尿病治療薬処方の実態を明らかにし、日本糖尿病学会の治療アルゴリズム作成に貢献しました。また、第8次医療計画における糖尿病に関する指標例作成にも貢献いたしました。糖尿病情報センターでは、国民向けの情報提供並びに医療従事者向けの診療用患者説明資材を公開・継続的に改訂しており、雑誌などメディアに糖尿病に関する資材として引用・転載されています。
 52ページをお願いいたします。HIV関連です。定期通院している薬害エイズ被害者のほぼ全員を癌スクリーニング研究の対象にしており、令和4年度は36名に癌スクリーニングを行いました。癌スクリーニングの重要性を各ブロックの連絡会議で講演し、全国のエイズ治療拠点病院等への均てん化に努めています。全国8ブロックの拠点病院等連絡会議において講演を行い、HIV感染症の診療に関する最新情報を提供しています。また、HIV診療均てん化のために、図に示したような患者ノートなどの資料を毎年更新し、ホームページで公開するとともに、患者ノートに関しては、改訂版の冊子を全国に約6,000冊配布いたしました。では、青柳先生、お願いいたします。
○国立国際医療研究センター青柳国府台病院長
 それでは、51ページへお戻りください。肝炎医療の均てん化と情報発信に関して御説明いたします。平成28年度から、肝炎対策地域ブロック戦略会議を開催しています。こちらは、地方公共団体と肝疾患診療連携拠点病院、厚労省肝炎対策推進室、肝炎情報センターの4者で構成され、全国を6ブロックに分けて行う会議です。昨年度は、肝炎政策の取組状況、肝炎対策好事例の紹介、あるいはその問題点と解決方法等を議題として、ハイブリッド開催といたしました。一昨年度はオンデマンド配信のみでしたが、それに比べると自治体の参加数が増えたという実績があります。また下段のほうですが、肝炎情報センターのホームページを通じて一般向けに肝炎の情報提供をするとともに、肝疾患診療連携拠点病院間の情報共有を支援しています。以上です。
○国立国際医療研究センター池田国際医療協力局長
 53ページをお願いいたします。「グローバルヘルスに貢献する国際協力」ということで、国際医療協力局長の池田から御説明させていただきます。自己評価はSとしています。中長期目標の内容は記載のとおりです。新興国や途上国に対して支援等を実施することは、これらの国の発展にもちろん直接資するものではあるのですが、それに加えて、コロナで経験した人々の健康のみならず、世界全体の社会、経済、安全保障に大きな影響を与えた経験、そのほかにも今、地政学的にも様々なリスクがあります。そうした中で日本の保健外交を進める上でも、健康・医療戦略における国際展開の促進に直結するものであるということから、重要度を「高」にしています。
 54ページです。指標の達成状況は、100%、135%です。コロナの影響が弱まったことに加えて、これまでの実績等から世界銀行など新しい研修を受託することができました。JICAからも、通常は1コースしかできない研修を2コース依頼されたことが大きかったと考えています。
 55ページです。トルコの地震において、国際緊急援助隊のメンバーとして多大な貢献をしたこと、広島で行われたG7のために、日本政府に対して提言をするG7グローバルヘルス・タスクフォースのUHC班のワーキンググループの座長の役目を果たしたこと、新規研修の受託展開推進事業により、相手国の国家計画・ガイドライン4件が採択され、医療機器の調達にもつながったことからS評定としています。
 56ページです。総合的な技術協力活動ですが、JICAの技術協力6か国に、プロジェクト8件、保健省の技術顧問派遣3件として、長期専門家延べ15名、WPRO、WHO本部に1名ずつ長期派遣しています。
 57ページです。左側の写真1は、昨年度新たに始まったラオスの病院の保健医療サービスの質及び財務管理の改善プロジェクトの様子です。写真2は、トルコの地震にJICAの国際緊急援助隊として井上医師が派遣されているところです。図1、右側ですが、IOMのベトナム事務所から依頼されて、日本で働くベトナム人のために作成した健康ハンドブックです。これらも活用して、健康危機対策に取り残されがちな在住外国人の対応を進めるためのネットワークづくりも実施しています。
 58ページです。実践的なエビデンスを創出して、論文を発表することにも注力しています。例えば図1ですが、ラオスの血清疫学についての論文です。ラオスでは、1979年に予防接種拡大計画が導入され、補足的な接種を実施しているにもかかわらず、ワクチンの予防可能疾患のアウトブレイクが発生しています。これについて、以前の研究で、2017年にワクチンの温度管理状況を評価する研究を実施して、その課題は既に報告しています。ポピュレーションベースで抗体検査を行って、エビデンスをもってラオス政府に提言したところ、ラオス政府がきちんとコールドチェーンを整備してくれました。今回の報告では、コールドチェーンが確保されたために血清有病率が有意に上昇していることを確認し、政府に対してエビデンスをもって提言を行った結果、効果があったことをまたエビデンスで示したペーパーです。図2は、情報弱者である日本に在住する外国人へのCOVID-19に関する情報普及活動に関する論文です。
 59ページです。政策提言と技術規範立案ですが、政策提言に関しては、図1、WHO等国際機関が設置する各種委員会で、保健医療に関する国際的な基準や共通ルールを策定するメンバーを、我々は「規範セッター」と呼んでいるのですが、こうした形でも9人の局員が活躍しています。これに加えて、新たにコロナの後に設立されたパンデミックファンドの技術諮問パネルにも1人の局員が任命されていますし、先日は、WHO本部のワクチンのマーケットアクセス技術諮問委員にも局員が任命されました。写真1は、世界保健総会で日本代表として発言しているところ、写真2は、グローバルヘルスセキュリティアジェンダ、世界健康安全保障アジェンダ、これは、アメリカのCDCが中心となって、世界各国の感染症対策の能力を向上させることを目的とした取組ですが、ここのハイレベル会合で発言しているところです。
 60ページです。リーダー人材の能力開発とキャリア支援ですが、国内外のリーダー人材の能力開発とキャリア支援を進めて受講者数を積み重ね、その実績を買われて、写真2のように新たな研修を受託しています。
 61ページです。写真3、4のように、国際展開事業で日本の技術に関する研修を積み重ねた結果として、日本の技術がガイドラインに採択されたり、相手国で日本の医療機器が調達されたりしているところです。写真5、6のように、日本人に対する保健外交の場での効果的な介入を習得するための実践的ワークショップを実施したり、希望する日本人の国際機関等への就任支援を実施したりしているところです。
 62ページです。革新的な取組に向けた基盤整備ですが、写真1のように、企業の方々とベトナムを訪問し、医療従事者とのディスカッションや病院視察により、現地のニーズを踏まえた海外向け医療機器開発を支援しています。写真2は、国内のWHO協力センター同士の協力を引き出すためのWCC連携会議を開催したもの、写真3は、WHO西太平洋地域事務局主催のWHO協力センターフォーラムの様子です。
 63ページです。広報活動としてホームページはもちろん、メディアセミナーやプレスリリースを積極的に進め、ラジオNIKKEIでは1か月に1回、『グローバルヘルス・カフェ』という番組を放送しています。毎回1万人程度の方に聴いていただいており、リスナーアンケートでも「貴重な話を聞くことができるので放送日を楽しみにしています」といった感想を頂いています。私からは以上です。
○国立国際医療研究センター萱間看護大学校長
 それでは、評価項目1-7、「看護に関する教育及び研究」について、国立看護大学校の萱間より御報告いたします。64ページを御覧ください。国立看護大学校の設置目的は、政策医療を担うナショナルセンターで求められる高度な臨床看護実践能力、看護研究能力を身に付けた優秀な人材を育成することです。指標の達成状況については、いずれも100%を超えていますので、自己評価はAとしております。
 66ページです。まず、人材育成についてです。[1]の国立高度専門医療研究センター(NC)への就職志願者数を指標としております。就職を志願する者の中でNCを志願した者は、96.9%でした。その隣の表に、それぞれのNCに何人が受験し内定したかの内訳が書いてありますが、最終内定者は91%でして、こちらでも90.9%となっています。[2]の国家試験合格率に関しては、看護師国家試験は99%、助産師国家試験は100%の合格率でした。[3]の病院等の臨地実習等必要な教育の諸活動の充実ですが、COVID-19の感染状況が拡大した時期、2020年度は20%程度しか臨地で実施できていませんでしたが、2022年度は各NCの御協力を頂き、実習時間の7割以上を臨地で実習することができました。
 [4]の国際交流研究や国際看護実習については、今年度までオンラインで行っています。大学の学生や教員とともに、グループ討議を活発に行っています。また、インドネシアとの国際研究では、VRを用いて高齢者看護に関する様々な指導者の育成を行っており、246名が参加していました。
 67ページです。卒業式・修了式に関しては、感染対策として保護者は別室で参加になっていましたが、2022年度の卒業式では、同じ空間で祝うことができています。また、18歳人口の減少の中で質の高い人材を確保するために、英語や面接試験を復活させていますが、受験者数に関しては、入試改革を行い、広報活動も活発化して増加を願っています。オープンキャンパスもこれに向けて努力しており、様々な形で行っています。徐々に対面に戻しています。また、JHの若手研究助成課題には積極的に参加することにしており、課題の採択、研究の実施が行われています。以上です。
○土岐部会長
 よろしいですか。それでは、1-3から1-7まで、医療の提供その他の業務の質の向上に関する事項についてですが、御質問をお受けしたいと思います。中野委員、どうぞ。
○中野委員
 川崎医科大学の中野でございます。NCGMにおかれましては、毎年非常に幅広いいろいろな領域で成果を上げておられて、すばらしいと思います。私からは、2点質問させてください。1点目は、医療の提供に関してです。医療の提供に関して、救急医療から高度専門医療、感染症の領域では、COVID-19はもちろんのこと、HIV、肝炎、更にはエムポックス、それ以外にも糖尿病とか、本当に幅広い活動をされておりますが、今回の御紹介の中でこれはすごいなと思ったのは、摂食障害の入院数が6年間続けてDPCで国内トップということで、国府台病院の御診療かと思うのですけれども、これに関して単純に受診者とそれを診ていただけるスタッフの方が多いからなのか、それとも何か特別な診療というか計画してやっておられるのか、分かる範囲で結構ですので、平均在院日数とか、患者さんの年齢とか、特別に行っておられる治療とかがあれば御示唆、御教示いただければと。どこの病院でも摂食障害の診療はかなり難渋していると思いますので、御教示いただければと思って御質問いたします。
 もう一点は、1-6のグローバルヘルスへの貢献に関してです。こちらもポストCOVIDになって、更に幅広く現地にも出掛けること、あるいは、各国から研修生とかも来られるようになって、より活性化するかと思うのです。WHOの会議とか、国際緊急援助隊(JDR)などは、もちろんいろいろな地域で活動していただいていますが、技術協力、フィールドでの協力に関しては、アクティビティを拝見して西太平洋地域とアフリカが最も多いかなという印象を受けました。これに関してはたまたまなのか、ある程度何か意図してWPROとアフリカに集中しておられるのか、それについてもお教えいただければと思います。以上です。
○国立国際医療研究センター青柳国府台病院長
 では、摂食障害に関して、私からお答えいたします。国府台病院の摂食障害入院患者数は日本一が続いています。もともと国府台病院は、摂食障害の診療に関しては、伝統的に強いということがまず1つ背景にあります。非常に力を入れていると。そういう背景で、やはり重症患者さんも集まってきます。摂食障害も重症化すると、最終的に亡くなる人が出てきます。そういう患者さんも入っていますので、数が多いというのが1つあります。あとは、医療経済的というか、申し訳ないのですが、入院診療単価が安いのです。ですから、総合病院としては、そういう病床の活用という観点からはほかの患者さんを入れたいというのが多分本音だろうと思いますので、そういう駆け引きもあるのかなと思っています。一番は、最初に申し上げたように伝統的に非常に強い歴史がある、力を入れているというところが大きいと思います。
○国立国際医療研究センター池田国際医療協力局長
 それでは、グローバルヘルスに関しての御質問に対してお答えさせていただきます。御指摘のように、初期派遣者については、確かにアジアとアフリカに集中しています。これは、今現在は比較的意図を持って、もともと得意なアジア、一番取り残されているというアフリカの案件を積極的に受けようということはしていると思います。ただ、初期の頃には中南米に結構対応していましたし、現在、英語、フランス語を話す局員はそこそこいるのですが、スペイン語は必ずしも強くないということもあって、結果的に一部は意識的にアジアとアフリカの案件をお受けするという形になっています。以上です。
○中野委員
 ありがとうございます。2つの御回答とも非常に納得できました。ありがとうございます。
○土岐部会長
 続いて、神﨑委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○神﨑委員
 委員の杏林大学の神﨑と申します。私からの質問は、35ページです。とても驚きなのですが、救急の応需率が東京都の平均43.1%のほぼ倍の85.7%という非常に高い数字に感銘を受けました。一般に世の中では、救急車のたらい回しというのが報道でよく流れている中で、これだけ高い応需率が達成できるのは、多分、病院の仕組みに何か工夫があるのだと想像したのですが、そのことを教えていただきたいのと、このような高い応需率を達成することがほかの医療機関でももし可能なのであれば、そのノウハウを伝授していただくこともやっていただくといいのではないかなと思ったので、この点についてちょっと御教示いただけますか。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 確かに三次救急は非常に増えて、応需率もかなり高く維持しています。これは、まず基本的に断らないというのが今の救命センター長以下皆さんの意思でして、基本的には空いているスペースがあれば必ず入れると。場合によっては、コロナのときなどは陰圧室の所に2人詰め込むとか、そのようなことまでやりましたので、使える部屋は全て使ったということです。ベッドに入れる、要するに入院させることに関しても、外来で可能な限り診て、それで翌日の病室を確保するとか、そのような工夫をやっていました。もう1つは、救急救命士をかなり積極的に活用しており、その人たちに役割分担、タスクシフトを進めることによって完全な交替勤務制を維持しています。
○神﨑委員
 申し訳ありません。ほかの病院で参考にすることはできますか。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 はっきり言うと、なかなか難しいと思います。
○神﨑委員
 難しいですか。分かりました。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 まず、救命医療をやるには完全交代勤務でないと無理だと思います。ある程度のハイボリュームで人を集められないと、なかなか難しいと思います。今の働き方改革でも一番問題になっているところです。
○神﨑委員
 そうですよね。分かりました。ありがとうございました。
○国立国際医療研究センター木村救命・救急センター長
 担当している木村と申します。一番大きな所は、我々は独立型の三次救急というのではなくて、病院全体でやるというポリシーでやっていますので、要するに、独立型の三次救急をやっていると、すぐスタックしているというのが今回のコロナのところだったと思うのですが、それを院内全体でサポートしているというところが一番違うところではないかなと思っています。それから、二次も三次も同じ所に運ばれて、病院内でもう一度トリアージをして診るという形を取っていますので、今回のコロナは、病院前では二次とか三次とか線が引けないのです。だから、とにかく病院で取って、そこでちゃんと仕分けすれば、たくさんの患者が取れるということを証明したのだと思います。以上です。
○神﨑委員
 ありがとうございました。
○土岐部会長
 病院一丸となっての取組は、本当に尊敬いたします。続いて、前村委員、どうぞ。
○前村委員
 長崎大学の前村です。私も35ページについては本当に驚きだったのですが、三次救急がこれだけ多いというのは非常に感銘を受けました。質問としては、ほかのNCの場合は、割と疾患特異的な診療をしていると思うのですが、NCGMの場合は国際医療とか、感染症とかは非常に強い分野だと思うのですけれども、三次救急が多いというのは、コロナの患者が多かったので、それに関係して三次救急が増えたのか、病院の方針として、救急はジェネラルに全ての疾患を受けようという方針なのでしょうか。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 基本的に病院全体で受け入れるという方針で対応しています。細かいことは木村先生、よろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター木村救命・救急センター長
 正に今、院長がおっしゃったことなのですが、確かに今回、コロナ患者だけがたらい回しになったのではなくて、普通の一般の救急もかなりダメージを食らったというか、多くの病院で取れなくなってしまったのです。我々はそちらも何とかカバーしようと思ってやったということで、このような数字になったというところだと思います。
○前村委員
 どうもありがとうございます。
○土岐部会長
 根岸委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○根岸委員
 根岸です。よろしくお願いいたします。今、1-3、4、5、6、7の御説明がありましたが、それぞれの項目が昨年度の評価より全てステップアップされた自己評価が付いているかと思います。今の御説明にありましたことを考えますと全く異論がなくて、全てSでもいいのではないかと思うぐらい、コロナをはじめ、今御説明があった、あるいは先ほどの研究に携わっている方々、本当に大勢のスタッフの方たちが一丸となって取り組まれていると非常に感銘を受けております。改めて感謝申し上げたいと思います。理事長先生からスタッフの方々には十分ねぎらいというものがあったかと思いますが、本当に大変だったと思いますし、また今も続いているかと思います。それから、多くの課題を抱えて、これからの感染症対策にも備えていかなければいけないというとても大変な時期だと推察しておりますので、スタッフ一人一人への労を是非更にねぎらっていただきたいなという、まずお願いです。
 質問が1点あります。先ほど萱間先生から大学についての御説明がありました。66ページです。臨地実習が7割以上回復したということ、本来の教育体制にだんだん戻りつつあるということで、大変喜ばしいと思います。NCへの志願率も大変高いですし、国家試験の合格率も平均よりも高い、助産師については100%というすばらしい結果だと思います。質問というのは、昨年、指定規則の改正があって、恐らくカリキュラムの改正が大幅に行われたところだと思います。その点について特には触れていらっしゃらなかったのですが、恐らく国立看護大学校の特色を新カリキュラムに存分に反映された内容を整えたのではないかと思いますので、ポリシーとしてどのようなカリキュラムを整備されたのか教えてください。よろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター萱間看護大学校長
 御質問ありがとうございます。カリキュラムの改定では、地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅に関する科目と、統合実習といって、様々な実習での経験を統合するものの充実が図られています。国立看護大学校では、もともと政策医療実習というのが4年生であって、NCの政策医療についてそれぞれの学生が3年生までの実習で特に関心を持ったNCを希望して、そちらで学ばせていただき就職にもつながるというのを持っていました。ですので、そこのところは強化して引き続きやっています。その中で、学生が将来どこで実践をしたいかということを育てているようです。実習の時間が元に戻ってきたというのもそうなのですが、各NCで工夫いただいて、全面的に駄目ということではなくて、受入れについて常に模索していただき、今の状況があると考えています。以上です。
○根岸委員
 ありがとうございました。
○土岐部会長
 ほかにいかがですか。私から細かい数字のことで、32ページの在院日数の計算が逆方向ではないかなと思って、目標に対して短縮しているときが100超えで書かれているのですが、目標に対して下回っているのが100超えということで、修正をお願いいたします。それはいいとして、お伺いしたかったのは、私は外科医ですので手術のことなのですが、コロナの影響があって、2022年も十分に回復していないようです。先ほど病院を挙げて救急をやっていたという影響も多少はあったのかもしれませんが、この時期においては手術はほかの所もやっていましたので、コロナを見ていただいたほうが日本にとっては役に立ったかなと感謝しています。それで、お伺いしたかったのは、この後、回復基調にあるかどうかということです。手術は現在、順調に戻ってきているのでしょうか。簡単な傾向で結構です。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 2019年度が最高の値だったのです。それを目標にしているのですけれども、だんだんそれに近づいてはいますが、まだそこまでいっていません。ただし、月によっては最高の目標の月割りの例数まで達するときが出てきていますので、今年度後半から来年度は期待できるのではないかと考えています。
○土岐部会長
 よろしくお願いいたします。ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、次に移りたいと思います。
 続いて、「業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項」です。2-1~4-1について議論したいと思います。それでは同様に、法人から説明をよろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター岡野統括事務部長
 3項目につきまして、統括事務部長の岡野から説明いたします。68ページを御覧ください。「業務運営の効率化に関する事項」です。自己評価はBとさせていただきました。具体的な指標につきましては次の69ページを御覧ください。4つございました。経常収支率100%以上、年度計画では100.8%以上ということです。昨年もそうでしたが、コロナ補助金等の支援もあった上でということですけれども、経常収支は104.7%で達成です。
 後発医薬品のシェアの関係ですが、85%以上、年度計画では90%以上としています。センター病院、国府台病院ともに92%台の高いレベルを維持できていると思っています。
 次の一般管理費ですが、これは2020年度の額から5%削減、これは金額ベースで削減ということになっています。これは未達成になっていますが、下のほうに要因として書いています。センター全体の事業規模が拡大している中で、額のベースで削減というのは極めて厳しいと思っていますけれども、その中での更に光熱水道、電気代、ガス代等の高騰もございました。結果として、差額が括弧書きで1億2,900万円となっていますが、2020年からそれぐらい増えているということです。ただ、ここに書き忘れましたけれども、2021年度、2022年度に宿舎関係の整備が終わっていまして、減価償却費が1億円相当入っていました。これを仮に除けば2022年度で3,000万円ぐらい増えている状況です。引き続き、増えていかないように努力をしていきたいと考えています。
 4つ目が医業未収金比率です。これは前期の一番低い率にということですが、これも達成ができていません。要因としましては、下にありますように外国人渡航者などの請求分、保険会社等への請求あるいは公費の請求の手続が、まだ年度末時点で未了になっているものが増えているということでした。いずれにしましても、これは速やかに手続を進めて未収の回収を進めていくとともに今年度につきましては、年度末までにしっかり回収できるようにやっていきたいと考えています。
 70ページを御覧ください。「財務内容の改善に関する事項」です。自己評価はBとさせていただきました。指標については真ん中辺りにあります繰越欠損金の削減ということです。2022年度も21.5億円の削減ということで達成したとなっています。
 72ページを御覧ください。真ん中辺りに財務内容の改善に関する事項でグラフがございます。冒頭、理事長からもありましたが、平成30年が110億円でピークになっていました。これから黒字が続いているということで、令和4年度末では19億円まで減ったという状況です。それから、指標に直にございませんが、外部資金の獲得という面でも受託研究費あるいは競争的研究費が順調に取れていると考えています。もう1点、先ほども少し申し上げましたように財務内容の改善に少し貢献していると理解していますが、電気代、ガス代は単価がものすごく上がりました。これに対してセンターを挙げて節電をする努力をし、使用量としては令和3年度より抑えたということ。金額的には全体として5億弱の増加になったということですが、使用量は抑える努力をしたことを申し上げたいと思います。
 71ページに戻っていただきたいと思います。「その他業務運営に関する重要事項」です。これも自己評価はBとさせていただきました。指標は特にここでは設定されていません。
 資料の74ページを御覧ください。上のほうですが、1つは情報セキュリティ対策の強化をしたという点です。病院へのサイバー攻撃等が報道でも散見されてきています。当院としても攻撃型のメールに対応するノウハウを共有するため、医療系サイトアクセスの注意喚起、あるいは電子カルテシステムのバックアップ方式を導入した安全なバックアップ、それから、電子カルテがシステムダウンしたときの対応計画書等々を最新化して対策の強化を図っています。
 下の段になります。これは冒頭、理事長からもございましたが、昨年6月に職員が逮捕された事案がございました。これについて昨年度は書いていませんでしたが、今年度、ここに記載させていただいています。内部での調査委員会を発足させ、結果的に他の職員に不正はなかったところですが、この提言を踏まえた改善の取組をできるものからやりました。調査結果が出る前からやっているものもありますけれども、提言を踏まえた見直し、コンプライアンス研修あるいは契約に関する業務手順、契約担当職員に向けた研修の強化、あとは電子入札を取り入れたいということで、今、そういったことについても検討しています。これも引き続き徹底してまいりたいと考えています。
 75ページは、財務状況等の概要になっています。貸借対照表、繰越欠損金△19億円という先ほどの数字です。真ん中の損益計算書が収支で21億円プラスというものです。
 最終76ページは、主要な指標について記載しています。これは御参照いただければと思います。1点、大変恐縮ですが、1日平均外来患者数に誤謬がございました。先ほど32ページに同じ指標を書いています。センター病院のほうは括弧書きの中が(1,505)、国府台病院の今年度分、括弧書きでないほうは748ということで訂正させていただきたいと思います。説明は以上です。
○土岐部会長
 ありがとうございます。ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問等がございますでしょうか。藤川委員、よろしくお願いします。
○藤川委員
 藤川です。よろしくお願いします。それなりに長い年月、評価に関わらせていただいているのですが、最初の頃は国際医療センターはとてもいろいろなことをしていて、何となくばらばら感と言ったら失礼ですが、そういうようなイメージを持っていたのですけれども、ここ何年かで非常に研究も加速化されているし、コロナということが1つのきっかけにもなるかもしれませんが、組織の一体化のようなことを感じているところです。そういう中で感染研と統合することによって、また組織の統合というのはいろいろ風土の変化みたいなところがあるので、どのようになるのかなというところが気掛かりではあるといった印象を持っています。
 そのような中で、今年度について質問させていただきたいのですが、質問の中心としては財務会計とか効率化、リスク管理のようなことを質問させていただきます。1点目は、少し前のほうに戻りますけれども、29ページの所です。ここはセンター独自の取組として書かれているように思いますが、真ん中の所、厚労省と連携して作っている異なるベンダーの電子カルテを一体化させるような取組、これはJH全体でも取り組んでいるものと前のほうの説明で理解しましたが、例えば一番最初のJ-DREAMSというものは糖尿病学会との連携ということなので、これは国際医療センター独自のものなのかなと思ったり、一番右側のものも特に全体でということでは見られないので、独自の取組なのかなと思いました。特に一番左側のものというのは、データベースを標準化してそれを取り込むということなので、今後、JHのデータベースを充実したものにしていくに当たって非常に重要な取組なのかなと思いますが、こういったことは全体でやっていただけないかと思いました。こういったことをするときに、資金面をどうするのかという点も気になりましたので教えていただけたらと思います。それが1点目です。
 2点目は、理事長の最初の御挨拶の中で御説明いただきましが、今年度の収支は、コロナの補助金などを獲得できている面もあったので黒字だったわけですけれども、今後の展開としてどのような取組を考えておられるのか。コロナが落ち着いてくるとなかなか難しい部分もあると思うし、そういったことも既に考えておられると思いますから、その辺りの説明をお願いしたいと思います。
 もう1点は法令遵守の件ですが、今年度内において逮捕者が出てしまった。しかも、契約、調達というところで出てしまったことは少し重い話であると考えました。今年度内に逮捕者が出て、今年度内に調査報告書が作成されているということで、今年のこの1年の中でいろいろ決着されたということだと思いますけれども、ここでBという評価は少しどうなのだろうかという感覚も持ちましたので、その点について御説明いただけたらと思いました。
 あと、未収金に関しては、どうしても外国人等がいらっしゃるということで、回収に時間を要するのかもしれませんけれども、時間をかけたら相当取れているのかどうか。その辺りを御説明いただけたらと思います。駄目なのであれば、今後、外国人が増えると思うので少し違った取組が必要なのかなと思いました。以上、ちょっと多くなりますがよろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター植木医療研究連携推進本部長
 それでは、まずJ-DREAMSに関しましてお答えいたします。J-DREAMSは、御指摘のように診療テンプレートを配備して標準的なデータを取得しているわけですけれども、ベンダーごとにテンプレートを配備しようとしますと非常に高額な費用が掛かります。また、これは糖尿病に特化した診療テンプレートということになりますが、各NCごとに様々な疾患を担当していますので、それに応じた診療テンプレートの開発も必要になってまいります。そこで、隣にありますJASPEHR研究では非常に安価に、また疾患ごとに比較的簡易に診療テンプレートを作ることができるシステムを開発しております。J-DREAMSに関しましては運営費交付金であるとか、あるいは糖尿病学会からの資金、そして、これは既に共同研究という形で二次利用を始めていますので、製薬企業からの資金提供、共同研究の資金等で運営をしているところですが、そのような資金の必要がないような形で進めていくためにJASPEHR研究を進めているところです。
○国立国際医療研究センター國土理事長
 ポストコロナの財政状況というのは非常に心配していまして、冒頭に述べたとおりですが、幸いなことに研究費等はコロナ前に比べると7割増と、ものすごい額のいろいろな研究費が集まっていますので、そちらはプラスに働いていますけれども、患者数についてはまだまだコロナ前に戻っていない状況です。病院の対策についてはセンター病院の杉山院長から説明をお願いしたいと思います。
○国立国際医療研究センター杉山センター病院長
 私が病院長になったのは2019年度で、2019年のときに法人始まって以来の黒字を達成したのですが、そのときの最後の四半期はコロナに突入していましたので、それがなければ多分、5億円くらいの黒字になったと思います。そのときに何をやったかというと徹底的に患者を入れたということです。ところが、コロナになってかなり回転をしなければいけないとか、そのことによって平均在院日数も短くなって単価も上がってきたのですけれども、その結果として、どうしても患者数は減ってしまうわけです。それを補い切れていないというのが今の現状です。それを打開するために新しい診療科、特に特徴のある診療科を設けるとか、ハイブリッド手術室を設置するとか、あるいはダヴィンチの2台目を導入するなど、かなり先進的なことをして集客に努めようと思っています。ある意味、尖ったことをしないといけないということで、先ほど言ったような腹膜偽粘液腫、またそれを含めた腹膜播種の治療などもやっていきたいと思っています。そのくらいでしょうか。かなり地道にやっていかなければいけないと思っています。
 それから、もう1つは、2019年度に非常に黒字になった理由の1つはインバウンドだったのです。インバウンドがゼロになってしまった。その代わりが補助金だったわけですが、インバウンドを今年度の後半から来年度に向かって増やしていく。きちっとやっていくために、今、体制づくりをしていますので、大きな黒字は出ないと思いますけれども、そこそこやっていけるように努力したいと思っています。
○国立国際医療研究センター岡野統括事務部長
 未収金に関してです。先ほど御指摘のございました外国人の関係ですが、もちろん、インバウンドも含めてこれから伸びていくだろうという中で、ここで未収が起きては元も子もなくなるわけですけれども、もともと日本で医療を受ける目的で来られる方というのはエージェントを通していたりして、前払いのスタイルを取ってきていますので、そこはしっかりと未収にはならない形で処理できると考えています。それ以外の救急で来られる方、特に外国人の方が海外旅行で来られた中で受診される場合に、そういう突然の入院になるわけで、そういう方々の支払いについては通常は旅行保険ということで、別途、保険が付いていますから、そことうまく交渉が付くものについては、そちらへの請求手続を進めれば回収はできるというものです。今回、そういう手続のほうで、まだ進めていない金額が今年度増えていたというのもございましたので、これは年度末時点での数字になりますから、年度内でしっかりと請求手続が済むように、今年度は特に考えてやっていきたいと思っています。
 最後の法令遵守関係です。不正事案があってBなのかというところですが、これは評価に従うしかないかなという気持ちはありますけれども、実際に不正事案が実行された年度が令和3年度以前で、令和4年度はそれが発覚して逮捕されたということでした。年度が違うからいいと言いたいわけではなく、他法人のことはあまり言えませんけれども、ほかの法人との一連の流れの中で逮捕という形になった極めて遺憾なパターンでした。発覚直後から改善に向かってセンターが一丸でということで、理事長からもメッセージを出していただき取り組んでいますので、自己評価としてはBとさせていただきました。以上です。
○藤川委員
 ありがとうございました。お考えは分かりました。是非、こういう事件によって、せっかくの勢いがなくなったりしないようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○土岐部会長
 花井委員、どうぞ。
○花井委員
 すみません、簡単に。確かに、今、黒字になっていますけれども、結局、補助金がその倍ぐらいの金額が入っているということで大変心配ではあります。ただ、普通に考えると、全体を合わせて1,000床前後の施設として医療収入がそんなに少ないとも思えないので、診療報酬がおかしいのではないかというところもあるのですが、国府台とセンター病院とで分けたデータが財務諸表にないようですけれども、先ほど摂食障害等で150床、精神病床があると伺いました。そういう国府台的な、つまり摂食障害はすごい赤字医療のはずで、そういうのを受け入れていただいているのは、NCとしては非常にすばらしいと思いますが、その辺はどうなのですか。国府台は黒字とか。
○国立国際医療研究センター青柳国府台病院長
 昨年度は赤字に落ちましたけれども、それ以前の一昨年度、その前は少額ですが黒字を達成していました。精神病床のほうは全部で135床あります。摂食障害のベッドはこれとは別におおむね20床前後、一般病棟にあります。精神科の患者さんも摂食障害も、こう言っては何ですが、あまり診療単価が高くない患者さんですので、そういう面ではかなり人件費もかかりますし苦労しているところですけれども、そういう状況です。
○花井委員
 クリニックなどでも、結局、儲からないから薬漬けにするだけなのです。SSRIを山ほど天こ盛りで処方して終わりというところがあり、避難所になっている側面があるので、もし赤字であってもそれを吸収する経営をしていただいて、いわゆる、ほかで診られない患者さんをサポートしていただければと思います。ありがとうございます。
○土岐部会長
 私から1点、今回の業務内容で働き方の話が出ていなくて、働き方は2023年度、今、準備しているというお答えを頂いた法人もあったのですが、お伺いしたいのが、国立研究開発法人というのは研究も大きな業務ですけれども、研究を自己研鑽としてしまうのか、どういうふうにして分けていくか難しいところであると思います。NCの間でどういうふうにするかといった相談をされているかどうか。これは大学も同じように苦しんでいるのですが、ただ、大学は裁量労働という方策もあるのですが、国立研究開発法人のほうはどういうふうにされるのかお伺いできればと思います。
○国立国際医療研究センター國土理事長
 実は、昨日、6NCの理事長の会議がありまして、そこでこの話題についてもディスカッションしました。それぞれのセンターの実情を聞くと、大体似ているのですけれども、先生がおっしゃる自己研鑽の部分はかなりグレーな部分が残っていると思います。それはどうしてもやむを得ないと思っていますが、例えば具体的なことで言うと学会参加をどう扱うかです。学会参加は自己研鑽でもあるし、全てが業務命令とも言えないわけですが、かといって例えば専門医取得や更新のためにどうしても参加しなければいけない場合もあります。ただし、旅費のほうはかなりの部分を研究費でサポートしています。研究費でサポートするものは自己研鑽なのか。その扱いがまだグレーな部分が正直あると思います。ですから、それは事務の方と相談しながら、どのナショセンも、今、悩みつつあるというところで、なかなか6つのナショセンで統一見解を出しにくいところでもあります。今日のところはそのぐらいしかお答えできません。申し訳ありません。
○土岐部会長
 是非、自己研鑽とか研究という部分、これは時間で評価するものではないと思いますが、何らか評価していただけたら有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかに全般を通じて委員の先生方から何か御質問等はございますか。よろしければ最後に、法人理事長と監事からのヒアリングを行いたいと思います。まずは法人監事より、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告につきまして御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントを頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
○国立国際医療研究センター白羽監事
 監事の白羽です。石井監事と2人で監事のほうを務めさせていただいています。令和4年度の監査結果について御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。監査結果に関しましては、資料1-4として添付しております。監査報告は6月29日に理事長に直接提出いたしまして、同日の理事会に報告し、同じものを厚生労働省に提出しているところです。監査報告の内容ですが、報告内容、監査の結果について監査報告書記載のとおりで、NCGMは適切に運営されており、昨年と同様に特に重要な指摘事項はございません。先ほど評価委員の先生からもお話がありましたが、3年間に及ぶ新型コロナウイルス感染症の治療、研究に対する献身的な努力に対して、監事としても心より敬意を表しているところでございます。
 課題ですけれども、従前から、先ほども御指摘がありましたとおり100億円を超えていた繰越欠損金につきましては、19億円まで縮小され大きく改善されたというふうに認識しております。もう1点、課題として、先ほど来お話が出ています国立感染症研究所との統合がございます。国立健康危機管理研究機構法が本年5月に成立いたしまして、2026年までに国立感染症研究所と統合することが決まっています。今後、統合に向けた準備が本格化するものと推察していますが、NCGMは研究機関であり、かつ、感染症に関しても高度の専門的な機能を有する総合病院としても期待されているところと理解しています。監事としても、この統合の準備については注視しながら監査を進めていく所存です。以上、監事からの御報告でございます。
○土岐部会長
 ありがとうございました。それでは、続きまして法人理事長より、日々のマネージメントを踏まえ、現在の法人の業務運営状況や今後の課題、改善方針等につきましてコメントをよろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター國土理事長
 本日は、長時間にわたり御評価いただきましてありがとうございます。先ほど来の御質問にもございましたように、新型コロナに対応して全センターを挙げて研究開発、診療に取り組んでまいりました。経営に関しましては補助金がかなり大きかったものですから、幸いなことに4年連続黒字、そして累積欠損金も大幅に減額することができました。ただ、今後のことにつきましては、先ほどもありましたようにコロナ以前のレベルまで病院のベッド稼働が戻っておりません。これについては全国的な傾向と理解していますけれども、私どもの病院では特にセンター病院のほうでこの傾向が顕著です。病院全体を挙げて特徴的な医療を強化しながら、患者さんが増えるように、これからも努力する必要があると思っています。
 それから、監事の先生から大変高い評価を頂いて有り難いのですが、先ほどの職員の逮捕のことも含めて、綱紀粛正については、これからも注意喚起を継続的に職員に向けて行いたいと思っています。研究費が先ほど申し上げましたように7割ぐらい増えました。これは大変有り難いことではありますが、事務処理仕事、いろいろな購入手続などもそれだけ増えているわけであり、こういう不正が起こる温床にならないかということで常に事務方と注意をしているところでございます。
 それと、根岸委員からスタッフへの労いということで大変有り難いお言葉を頂きました。これについて確かに職員全員が頑張ったところがあると思いますが、今、リスクとして考えているのは特にナース不足です。看護職員の不足は全国的な傾向だと思っています。私どもも来年度に向けて採用努力をしていますけれども、まだ目標に達していません。看護師さんの待遇も改善しなければいけない。コロナにおいて一番負担が大きかったのは看護職でありまして、それに対する手当をセンター全体として考えています。例えばタスクシフトです。これは医師の働き方改革のためのタスクシフトで医師から看護師へのタスクシフトもありますが、看護師から今度は病棟補助者を増員して看護師の負担を減らす努力も、今、続けているところでありますし、医療DXも看護師さんに特に特化したような医療DX、AIの活用というのを、これから研究としても始めたいと思っています。
 来年に向けて組織統合もありまして、そちらのほうも厚生労働省の御指導を頂きながら、これから具体的な細かいところの詰めが始まると思います。その中で、昨年6月に厚労大臣から御通知いただいたときに心配したのは人材流出です。特に感染症に直接関わらない職員あるいは研究者が、モチベーションを失わないかということを非常に心配しています。NCGMはいろいろな任務を総合的に行っていますので、それを新組織でも着実に実施していくということを既に厚労大臣、それから厚労省の皆様にお話して理解を頂いているところです。それについては職員に向けても定期的に通知をして職員のモチベーションが下がらないように、あるいは、これから入職しようと考えている方がNCGMを敬遠しないように心を砕いているところです。本日は大変ありがとうございました。
○土岐部会長
 ありがとうございました。皆様、追加の御質問等はございますか。それでは、以上で、「国立研究開発法人国立国際医療研究センターの令和4年度業務実績評価について」の審議を終了いたします。ありがとうございました。10分ほど休憩を取らせていただきます。
(国立国際医療研究センター退出)
(休憩)
(国立循環器病研究センター入室)
○土岐部会長
 それでは、評価部会を再開したいと思います。本日の2つ目の議事として、国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和4年度の業務実績評価を始めたいと思います。それでは、まず初めに、理事長から、一言御挨拶をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター大津理事長
 理事長の大津でございます。本日は、当センターの業績を評価していただく機会を設けていただきまして、厚く御礼を申し上げます。令和3年4月に国立循環器病研究センターの理事長に就任して、2年目の業務実績評価となります。私は理事長に就任以降、国循の世界最高レベルの診療設備、研究設備を活用し、職員が存分に力を発揮して成長を果たし、我々が持つ世界トップレベルの医療を希望する全ての国民に提供するとともに、その成果を我が国のみならず、世界に発信することが国循の責務と思っております。その責務を果たすため、令和4年2月に作成した国循の進むべき方向性を示す将来戦略である、いわゆる「大津ビジョン2022」を、ここにいる幹部を中心に、職員が力を合わせて一歩一歩着実に実行してきました。その成果に基づく令和4年の業務実績について、冒頭、私のほうから簡単に御紹介させていただきます。
 まず、研究所におきましては、複数の研究において、世界初の基礎研究の成果拡大及び世界的トップジャーナルへの掲載など、医療の推進に大きく貢献する研究成果を上げ、次にオープンイノベーションセンターにおいては、センター内での産官学の連携を強化、オープンイノベーションラボへの企業誘致を行うことにより、ファーストインヒューマン試験をはじめ、多数の治験、共同研究などを実施し、また、病院においては、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供を推進するとともに、令和4年度には日本初のCADASIL外来を設立し、さらに、横断的診療部門を新設し、メディカルゲノムセンター、循環器病周産期センター、成人先天性心疾患センター、弁膜症センターなど、6センターを新たに設立しました。
 このような世界最高水準の高度でかつ専門的な医療提供の推進の結果、米国のNewsweek誌において、World Best Specialized Hospitalsにおいて、心臓内科部門が世界15位、アジア1位、心臓外科25位にランクインしております。これらの研究所、オープンイノベーションセンター及び病院の取組については、一例ではございますが、私は特に顕著な成果の創出として、世界に誇るべきものではないかと考えています。
 そして、業務運営に関する事項につきましては、優秀な人材の確保及び育成、そして働きやすい環境作りなどに取り組むとともに、光熱費高騰などで病院経営が厳しい中、経営基盤の安定化のため、令和4年8月に経営改革プランを打ち出し、職員とKPIを共有し、経常収支の改善を目指しております。これから詳細につきまして、各担当から御説明させていただきますので、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 最後に、先般報道されました、私が理事長着任前に関わった論文の件では、先生方に御心配をお掛けし申し訳なく思っております。これについては第三者調査委員会を設置し、私に忖度のない公正中立な調査を行っていただくことにしておりますので、一言申し述べさせていただきます。以上をもって、私からの挨拶とさせていただきます。
○土岐部会長
 大津理事長、ありがとうございました。それでは、まず最初に、研究開発の成果の最大化に関する事項、評価項目1-1及び1-2に関わる業務実績及び自己評価について議論したいと思います。まず、資料を用いて、法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 研究所長の望月と申します。よろしくお願いいたします。センターの概要に関しては、毎年御説明申し上げていますので割愛させていただきます。3ページを御覧ください。本年度は私どもの自己評価をSといたしました。難易度は「高」、重要度も「高」としております。
 Ⅰは中長期目標の内容です。[1]に掲げています重点、[2]の戦略に関して、それぞれ、[1]では、症例集積性の向上、臨床研究と治験を進めていく体制を取っております。[2]、戦略的な研究としては、革新的な医療機器・医薬品の開発により生活習慣病の改善に臨んでいきたいと考えて進めてきました。Ⅱを御覧ください。昨年度よりも達成度が数十%上がっておりますので、これも大きく前進したと考えて、自己評価Sとさせていただきました。
 次の4ページです。要因分析に関しては、[1][2][3]の中で、法人の努力結果として掲げていますように、部の統廃合を進め、ベンチャーの創設に至りました。英文原著論文数も大幅に増やす努力をしてきました。Ⅲに書いてありますように、評定の根拠として、先ほど大津理事長が申し上げましたように、研究成果をトップジャーナルに掲載することができた、また、2番目に書いてありますように、予防医学に貢献する研究成果を発表することができた、新規医療機器の開発、ベンチャーにつながる基礎研究、臨床への展開ができたという、この3点を基にSといたしました。
 続いて、5ページを御覧ください。先ほど説明した3点について、それぞれ2つずつ御紹介させていただきます。まず、[1]造血幹細胞ニッチを形成する新たな血管起源の解明。この点は一言で申し上げますと、血管の裏打ち細胞である内皮細胞が、中胚葉、外胚葉、内胚葉のうち、教科書では中胚葉由来ですと言われたのですが、そうではなく、内胚葉から由来する内皮細胞か、血管の造血幹細胞のニッチ、ゆりかごの場所となっていることを明らかにすることができました。これは、世界の最高峰のイメージング機器を用いることによって、深部の血管を明らかにして、造血幹細胞と内皮細胞をイメージングすることで明らかにすることができたという画期的な成果として、Developmental Cell誌に報告することができました。
 続いて[2]、右側を御覧ください。先生方御存じのように、「肺動脈性肺高血圧症」というのは、難治性がんと匹敵するように本当に難治な疾患でして、特に若い女性や子供さんたちがかかると、非常に大変な病気になってしまっております。その病因解明と治療法の開発に取り組んでまいりました。
 マウスモデルだけではなく、ラットモデルなどいろいろ使ってその原因究明をしているのですが、肺高血圧、血管の病気ですが、ただそれだけではなく、血管がどんどん厚くなって血圧が高くなる。その原因としては、肺の中にいるマクロファージが炎症を起こすような起点となる、それを阻害するのに、一番上に書いてあるRegnaseという酵素がありますが、これがだんだん肺高血圧症の人では少なくなってくるという病態、これが肺高血圧症と捉えられます。ここに治療介入をすることにより、肺高血圧の治療ができるのではないかと。そういう成果がでましたので、心臓血管では最高峰と言われているCirculation誌に投稿し、受理されました。
 6ページを御覧ください。[3]で薬剤開発に資するものとして掲げています。なぜ循環器病の中に薬剤耐性菌という言葉が書かれているか疑問に思われるかもしれませんが、ミトコンドリアで細胞内のATPというエネルギー源を作るもの、これは生き物全てのエネルギーになるのですが、ここを調節する呼吸鎖酵素に介入することにより、多剤耐性菌の治療薬ができる。つまり、ATPを一番作る心臓を基にして、そこから多剤耐性菌への治療薬の開発ができたことを成果としております。
 全ての、今、問題となっている抗生物質の中で、多剤耐性菌に対してこういう分子の構造を解くことにより、いろいろな治療法ができるのではないかということで掲げております。詳細は割愛しますが、通常の薬剤の耐性菌、例えば細胞膜の構造を担うとかではなく、生き物の本質であるエネルギー源の元を断つという画期的な治療法の開発という意味で、下に書いてありますように、Nature Communications誌に掲載されました。
 続いて4番目、右側を御覧ください。これは私どもが非常に注力している予防医学・疫学の分野で出た結果です。通常は、いろいろな疾患予測モデルや予後予測モデルがあるのですが、私どもではベイズ予測を用い、年齢、時代、世代を予測して、全て疾患がどうなっているのかを冠動脈疾患と脳卒中について検討しました。左側に「6.8%減」と赤字で書いてある所を御覧ください。従来法と異なる点がありまして、観察値と非常に近い予測値を取ることができたということを明らかにすることができ、この予測法が冠動脈疾患(CHD)と脳卒中の死亡数の予測に非常に資するものであることが分かりました。
 右側の日本地図を御覧いただくと分かると思いますが、この赤で書いてある所が死亡率が高い所で、いろいろ地域差があり、通常であれば国ごとなどで分析するのですが、47都道府県の個々に関して分析することができました。これは総務省との協力により、こういうことができました。
 最下段を御覧ください。特徴的なのですが、冠動脈疾患(CHD)が減少する県が39県ある一方、和歌山、埼玉、栃木など都心部の周囲では上がってきています。また脳卒中の男性を見ていただくと分かりますが、減少が44県に対して、岩手、宮城、秋田などの東北では死亡率が増加するという結果が出ました。こういう特異的な結果をThe Lancet Regional Health誌に投稿し、受理され掲載されました。
 続いて、7ページを御覧ください。これは実用化、企業に向けてベンチャー化できたことを2つ掲げています。まず左側、5番目です。ダチョウの血管を使ってその内側を全部加工することにより、血栓ができない非常に有効な人工血管を作ることができました。これは、ダチョウの血管というのは皆様方も御存じのとおり、首が長く枝がないものですから、いちいち枝を潰す必要がなく、そのまま人工血管として内皮細胞を剥離し、そこに加工することにより新たな血管として使うことができる。また左下に示すように、これを大動物(ミニブタ)で証明することができました。これは一番最下段に青字で書いてあるように、経産省のアイデアコンテストの優秀賞を獲得することができました。
 最後に、6番目です。迷走神経刺激カテーテルを作る会社をベンチャー化することができました。これは、上段に赤字で書いてありますように、日本ベンチャー学会会長賞を受賞することができました。もともと急性期の心筋梗塞の治療法として、下段に書いてあるようなバスケットみたいなカテーテルを用いて迷走神経を刺激することができるのですが、今まで多数のブタで経験してきた実績を、臨床に導き出すことができるという画期的な治療法として起業することができました。これをもって、私どもの成果とさせていただきたいと思います。1-1の説明は以上です。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長
 それでは続きまして、評価項目1-2、「実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」について、オープンイノベーションセンター長の宮本から御説明をさせていただきます。
 13ページを御覧ください。中長期目標は、オープンイノベーションセンターの機能を活用して企業との連携を密にし、最先端医療・医療技術の開発で世界をリードすること、創薬オミックス解析センターの機能整備、循環器疾患情報の収集、知的財産の活用により研究・開発を推進し、研究成果を社会導入すること、住民参加型の実証実験に取り組み、住民の健康に関するデータを用いた研究で循環器疾患の予防につなげるための取組を進めること、臨床研究及び治験を進めることとなっております。
 指標の達成状況ですが、13~14ページに記載しているように、9項目のうち7項目が100%を超えており、ファーストインヒューマン試験実施件数をはじめ、4項目で120%を超える実施率を達成することができました。ファーストインヒューマン試験の1つは、AveirDRという配線のないリードレスの両室ペースメーカーですが、当センターの医療機器の臨床研究実績が高く評価され、導入されるに至りました。この研究成果は、本年7月のNew England Journal誌に掲載されています。先進医療承認件数は100%に達しておりませんが、中長期目標期間中の達成を目指したいと考えております。
 15ページを御覧ください。自己評価をSとした評価の根拠です。健都のまちづくりへの積極的な貢献と住民参加型の実証実験の推進、実用化を目指した研究・開発、そしてオープンイノベーションセンターを核とした産学官連携の強化です。これらについて御説明をしたいと思います。
 16ページを御覧ください。健都のまちづくりへの積極的な貢献と住民参加型の実証実験の推進として、「一般社団法人健都共創推進機構」を設立しました。これは、国が進めるJST「共創の場」の西の拠点である国循拠点の、自立的・持続的発展を目指すための新法人です。今年の3月に設立されました。現在、健都のまちづくりに関しては、大阪府が「コーディネート事業」、地域自治体である吹田市、摂津市が「健都ヘルスサポーター」事業を行っていますが、順次、これらを継承し、「健都」を拠点に企業誘致、実証実験を推進する核となってまいります。
 右を御覧ください。健都の「かるしお」プロジェクトの推進について御報告いたします。吹田市立全小学校36校、児童数2万人の給食を対象に、「かるしお」メニューを開発し、導入を実現することができました。そして、「食と運動」の観点から、吹田市及び摂津市の小学校に「かるしおの食育」と「足はやチャレンジ」の連携事業を実施いたしました。これらはテレビニュースでも取り上げられ、他の自治体からも問い合わせがあります。さらに、「かるしお認定企業」が集まる「かるしおサミット」を2回開催し、「かるしお」の取組の加速化を図りました。そして、健都において、健康的な食に関する行動変容を促す取組を進めるため、国循、医薬基盤・健康・栄養研究所、吹田市、摂津市、そして健都周辺の企業からなる「健都における健康的な生活を支援する食環境の整備に向けたPT」を設置いたしました。
 17ページを御覧ください。実用化を目指した研究・開発として「メディカルゲノムセンター」を設置しました。これは後ほど、1-3の医療の提供に関する事項でも触れられますが、横断的診療部門の1つとして、病院、オープンイノベーションセンター、研究所の機能を合目的に統合し、循環器難病、多因子疾患のゲノム医療を実現することを使命としております。単に医療を行うだけではなく、ゲノム医療診断システムや治療法の開発も行い、問題解決を可能とするエコシステムとなることを目指しております。
 さらに右を御覧ください。実用化を目指した研究開発として、既に行っているNTT-Research社との共同研究を発展させるための共同研究部門として、「バイオデジタルツイン部」を設立しました。これは研究成果を社会実装するために、新たに規定を作った共同研究部門の第1号となります。具体的には、患者個々人の心血管のバイオデジタルツインを計算機上で再現し、治療システムの開発基盤を構築することを目指しています。既に共同研究からは3つの特許が得られており、これらを基にした実用化を現在計画しています。
 18ページを御覧ください。オープンイノベーションセンターを核とした産学官連携の強化について御説明いたします。オープンイノベーションセンターには、企業や国循以外のアカデミアが研究活動ができる場所として、オープンイノベーションラボを設けています。これまでは、入居時に共同研究契約があり、研究内容が確定している必要がありました。しかし、一つ屋根の下で研究を行い、新たなイノベーションを目指すという考えの中で、より共同研究の機会を増やし、共同研究契約がなくてもオープンイノベーションラボへ入居ができるよう、入居要件を緩和いたしました。さらに、国循発ベンチャー規程を改定し、オープンイノベーションラボの住所で登記ができるようにしたことや、株式などを当センターが取得することで利用料の免除条件を拡大するなど、その支援体制を強化いたしました。そして、Nature誌にこれら健都及び当センターのオープンイノベーションラボ入居企業の紹介記事を掲載し、この取組を世界に発信するなど、これらの活動を伝える努力をしております。その結果、令和4年度末までに、面積当たりの入居率は80%となり、現時点では更に88%、21機関の入居となっております。さらに、現在新たな入居企業との交渉を進めております。
 右を御覧ください。オープンイノベーションセンターでは、産学官連携として、オープンイノベーションセンターのサイエンスカフェで「イノベーションカフェ」を月1回定期開催していますが、令和4年度は14回開催し、751人が参加しました。45社の企業に発表していただき、そのうち6社とは秘密保持契約を締結し、国循の研究者と共同研究開発に向けた協議を現在進めております。そして、そこに参加するサイエンスカフェクラブというメンバーシップを作っておりますが、そこに登録していただいている方の人数は、既に800名を超えております。
 また、業種を越えた異分野・異業種間交流を進めるため、医療/ライフサイエンスに限らない分野から、例えば、金融機関や公益社団法人などとも連携協定を締結し、新たなイノベーションを実現する取組を進めております。私からの説明は以上です。
○土岐部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました事項につきまして、御意見、御質問等がございましたら、Webで挙手のほうをよろしくお願いしたいと思います。委員の先生方、いかがでしょうか。まずは花井委員、どうぞよろしくお願いします。
○花井委員
 御説明ありがとうございます。花井です。なんだか健都に移って国循のイメージが変わったようないろいろな取組が出てきて、少しわくわくするような感じなのですが、一応この項のS評価をするためにはグローバルに、圧倒的ということを求められていまして、実は今、御説明を聞いて、例えば新たなモダリティを持った抗菌剤の物質というのは、実はとても画期的な話だと思って聞いていたのですけれども、これ実用化みたいなところはどの辺のめどで考えたらよろしいのでしょうか。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 もう既に特許は取っておりまして、今AMEDのほうで採択されておりますので、それからどう展開していくかということを今、相談しながらやっている最中でございます。
○花井委員
 そうすると、上市するのはいつ頃な感じのイメージ、開発スケジュールなのですか。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 なかなかそれは具体的には。
○花井委員
 結構先の。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 本当は種なので、でもコンセプトとしては非常に面白い考え方なので、構造解析から見付けてきたということで、更にいろいろなことを展開していきたいというように思っております。
○花井委員
 結構こういうのの発表はパイプラインの上流のものが多かったので、いかに画期的かというところで少し言わなければいけないので。このようなものは世界に今までなかったという理解でよろしいのですよね。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 アプローチとしてはございませんでした。
○花井委員
 ありがとうございます。
○土岐部会長
 それでは、続きまして中野委員、よろしくお願いします。
○中野委員
 川崎医科大学の中野でございます。ありがとうございます。造血幹細胞、血管内皮細胞の内胚葉由来というお話や、肺高血圧症、更に世界最小口径の人工血管、迷走神経刺激カテーテル、あと循環器死亡者数、高精度予測の疫学研究、本当に多領域で様々な成果が挙がっていて、すばらしいと思います。
 その中で少し私が御質問させていただきたいのは、資料の5ページでございますけれども、評価項目1-1の造血幹細胞の血管起源のお話でございますが、中胚葉ではなく内胚葉由来ということで、全ての血管内皮細胞が内胚葉由来なのかということと、それと血管内皮細胞というのは、恐らく循環器疾患、いろいろな発症病態、いろいろな病態に関わっていると思います。
 私、感染症が専門なのですが、感染症においても、やはり血管内皮細胞は少しまだ得体の知れないというか、どういうような形で病態に関与するかは分からない。分からないけれども、インフルエンザ脳症や様々な中枢神経の重篤な疾患でも関係しているのではないかということが言われていて、そこでお尋ね申し上げたいのが、今回この起源が内胚葉と分かったことで、すぐ患者さんの役に立つ、非常に早い時期に役に立つ、例えば病態解明や治療とか、どういった観点で応用ができる見込みがあるかというのがもし分かればコメントを頂けると有り難いです。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 先生が御指摘のように、本当に内皮細胞は分かっていないことが多く、例えば感染症でもACE2案が出ているということで、やはり病態には特に関わる、バリアとなっていますので、物が必ず実質細胞に到達するまでには必要なもので、内皮細胞の機能としては非常に注目されているけれども、まだ解明されていないというのが今、現状だと思います。
 それから先生が御指摘されましたように、これは特殊な内胚葉由来の細胞であって、この時期にしか出てこなくて、だから普通は中胚葉由来で、先生がお考えのとおり、間違いないというように思っています。
 これが実用化に行くかどうかということに関しては、将来的には造血幹細胞のニッチとして使えるような細胞群があると、ex vivoでヘマトポエティック・ステムがどこまでできるかどうかは分からないのですけれども、超早期にはこういう細胞が非常に良いゆりかごになっている、ニッチになっているというように考えられると、可能性はないわけではない。ただ、科学的には非常に優れた成果であるということは自他ともに認めているという状況ぐらいにしか今のところは言えないです。ただ、臨床応用には間違いなくつなげていけるようなことを考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○中野委員
 今後の御発展をお祈りしています。ありがとうございます。
○土岐部会長
 続きまして前村委員、どうぞよろしくお願いします。
○前村委員
 長崎大学の前村でございます。昨年に比べて、また大きな進歩があったのかと思います。いろいろ聞きたいことがあるのですけれども、時間の関係もあるので、2つだけ聞かせてください。まず、メディカルゲノムセンターに関して、こういうゲノム解析とは、小さくいろいろなところでやるよりは、もうセンター化してまとめてやったほうがいいのだと思っていますけれども、国循はナショナルセンターとして、日本の施設のどれぐらいの割合を集めて解析できるかということと、それと関連して、ほかのところでもゲノム解析をやっていて、日本でコンソーシアムを作って、一緒に共有しようという動きもあると思うのですけれども、そういう流れに関して国循のスタンスはいかがでしょうか。まず、1点目をお願いします。
○国立循環器病研究センター大津理事長
 理事長の大津でございます。先生がおっしゃるように、国循は国循だけの試料を扱っても仕方がありませんので、日本全国各大学と協働、あるいは日本循環器病学会と協働してこのプロジェクトを推進していく所存です。
 今、日循とは相談中ですけれども、多分、東に1つ、西、国循に1つということで、その中でコンソーシアムを作って、患者さんの診断、治療ということを進めていきたいと思っております。
○前村委員
 ありがとうございます。あと1つだけですけれども、ファーストインヒューマンの試験が2件、昨年度あったと書いてあるのですけれども、具体的にどのような試験を行ったのでしょうか。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長
 では宮本のほうから。先ほど少しお話いたしましたけれども、1つは、リードレスの両室ペースメーカーのファーストインヒューマンであります。もう1つは、脳卒中患者さんに対する迷走神経刺激を用いた医療機器というもののファーストインヒューマンということになっております。
○前村委員
 機器のなのですね。ありがとうございます。
○土岐部会長
 それでは庄子委員、よろしくお願いします。
○庄子委員
 日経BPの庄子です。よろしくお願いします。6ページの循環器死亡者数の予測モデル、これはとても興味深く見ました。面白いというか、もともと普通の死亡者数に地域差があるというのは、もちろん分かっていたのですけれども、予測モデルで見て多いところとそうではない所などが、これ、分かるわけで。
 ちょうど2024年度からは第8次医療計画が始まるので、今、都道府県はみんな医療計画を作らなければいけないということで、いろいろ頑張っていると思うのですが、これはもしかしたら厚労省の仕事なのかもしれないですけれども、こういうデータをせっかく作られて、それを国循として都道府県の人に活用してもらうために、このような発信をしていくつもりだとか、あと、ここにさらっと、「医療政策立案が必要と示唆された」とあるのですけれども、これも国循のほうで、実際に具体的にこのようなことをやったらどうかぐらいまでのことをやる計画があるのかどうか教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター望月理事・研究所長
 先生が御指摘のように、これは総務省と一緒にやっているので、各自治体とともに分かったデータということで、それを自治体に返していきたいと。それだけではなくて、当センターの循環器病対策基本法にのっとって、循環器病対策に対する提言というのを理事のほうから委員会に対して出しておりますので、こういうことも更に行政、それから一般の皆様方に広く伝えられるようにしていきたいと思っています。
○庄子委員
 分かりました。ありがとうございます。
○土岐部会長
 ほか、よろしいでしょうか。私からなのですけれども、このオープンラボのほうなのですけれども、どういう企業、特に国循さんの全体の開発を見ると、割とデバイス系やアプリといったものが多いのですけれども、その創薬を、ベンチャーというのも多数このラボに入って一緒にされているのですか。その企業はどういったところが入っておられるのか、少し教えていただけますでしょうか。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長
 ありがとうございます。創薬に関するベンチャーといたしまして、国循発ベンチャーというもので、リードファーマーというものがございます。ここは核酸医薬を中心とした国循での研究成果を基に、ベンチャー企業をされているところであります。脂質異常症を対象とした製薬というところに取り組んでおりますけれども、現在、更に分野と研究成果を広げていくということで進めておられます。
 また別の企業、これは国循発ではないのですけれども、国循が関係する物質でありますアドレノメデュリンというものを用いた研究開発というものの企業、これもベンチャー企業でありますけれども、入っていただいております。
○土岐部会長
 ありがとうございました。そういったものが早くこのページに載るような薬が出ることを期待しております。よろしくお願いいたします。ほか、御質問はよろしいでしょうか。
 では、せっかくですので、もう1点。吹田市と共同にされているということなのですけれども、具体的に住民の健康を増進させるような、どのようなプロジェクトをされているのでしょうか。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長
後ほど医療の、1-3のところで触れますので、そちらでお話して説明いたします。
○土岐部会長
 では、そのときまたお伺いします。失礼しました。
 では質問も一段落しましたので、続きまして、1-3~1-5、「医療の提供等、その他の業務の質の向上に関する事項」の評価項目のほうに移りたいと思います。では、法人のほうから説明、よろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 それでは、評価項目1-3、「医療の提供に関する事項」から通してまいりたいと思います。病院長の飯原です。どうぞよろしくお願いいたします。1-3は、自己評価Sとしました。中長期目標の内容です。医療政策の一環として、センターで実施すべき高度かつ専門的な医療、標準化に資する医療の提供です。2番は、患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供です。指標の達成状況ですが、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供を引き続き推進するというところで、19ページにありますように、指標の上の3つ、心房細動の根治治療件数、補助人工心臓装着患者外来管理患者数、及び超急性期脳梗塞への再灌流療法、これが全て令和4年度は達成度120%を超えています。
 その次のページ、指標の続きで「研究開発成果の最大化」と「適正、効果的かつ効率的な業務運営」との両立の実現についても、手術件数が3,018件、こちらも121%ということで、主要な定量的な指標は4つの項目が120%を全て超えているということです。
 21ページは評定の根拠です。世界最高水準の高度専門的な医療提供の推進については後ほど述べますが、重症心不全に対するDestination Therapyを令和3年度より開始しておりますが、令和4年度ではそれが着実に実装されて、国内第1位の治療実績であります。また、件数のみならず治療成績についても、世界的にも極めて良好な治療成績であります。神経難病CADASILに対する世界初の疾患修飾薬に対する医師主導治験を令和3年度から開始しておりますが、令和4年度では日本初のCADASIL外来を設立しています。また、「横断的診療部門」の取組として、先ほど話がありましたメディカルゲノムセンター以外にも、循環器病周産期センター、成人先天性心疾患センターを設立しています。世界最高水準の医療の提供については、ハイブリット手術室における脳動静脈奇形の複合治療、手術支援ロボットを用いた低侵襲心臓手術などで良好な治療成績を報告しています。先ほど理事長からもお話がありましたが、これらの高度かつ専門的な医療の提供の実施に対して、Newsweek誌において、World’s Best Specialized Hospital(心臓内科15位、心臓外科25位)にランクインしました。
 次の新たな診療体制モデルの構築・提供については、大動脈解離の外科治療における、脳灌流画像を用いてのレインハートチームによる治療適応の決定を行いました。世界初の急性期脳梗塞のペナンブラ予測バイオマーカーを発見し、脳卒中後のてんかんの発症の予後に与える意義とイメージングバイオマーカーの意義を確立しています。この診療体制モデルでは、全国規模で進めている脳卒中医療のガイドラインの遵守状況を示すエビデンス・プラクティスギャップの解消を目指したClose The Gap-Strokeというプログラムを開発し、この実装前後で日本の脳卒中医療の質が経年的に著明に改善していることを初めて明らかとしています。また、AIの実装で、胎児心臓の動きから不整脈を診断するプログラムの開発を行い、小児循環器内科では、複雑な循環動態を示す先天性心疾患の患者と家族を対象としたシェーマ作成用システムを電子カルテに実装し、遠隔医療への応用に向けた取組を開始しています。
 循環器病の先制医療・個別化医療の実施については、先ほどのメディカルゲノムセンター、循環器病周産期センターなど、横断的なシステム部門を用いて個別化医療を推進しています。診療上多くの課題を持つ心サルコイドーシスや心筋症の世界的なレジストリを確立し、診療実態の解明、疾患概念の整理を行っています。また、脳卒中データバンクなどから、慢性腎臓病が脳梗塞後の転帰不良の独立した危険因子であることを報告するなど、ビッグデータの解析を通じて、循環器病の先制医療・個別化医療の基盤を構築しています。これらは、当該分野の世界的な潮流を先取りする傑出した成果として認められるということで、S評価としました。
 個別には、22ページから説明いたします。Destination Therapyに関しては、実施施設のない遠方からヘリコプター搬送などにより重症患者を身体的負担を最小限に押さえながら搬送しています。令和4年度12月で、国内最多の14例のDTを実施し、重篤な合併症のない生存率92.3%。これは、米国の臨床試験の73.2%をはるかに凌駕する成績であります。DTの実施施設は日本全体で7施設あり、この下のスライドに示すとおり限られた地域なので、これからも国循が先導してDT治療の普及・定着に努めてまいります。
 スライド22ページの右側はCADASIL外来の設立です。CADASILとは、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症の難病です。日本で初めてCADASIL外来を設立したわけですが、日本全国から100人の患者が集まっています。これらの動きは東アジアまで広がって、東アジアの諸国でもCADASILのセンターが立ち上がっているということで、国循がアジアをリードする形、モデル的な医療の確立に貢献しています。
 23ページです。こちらも「横断的診療部門」の1つで、世界で初めて循環器病に特化した周産期センターを設立ということで、妊娠時から出産後までシームレスに対応する多職種による専門チームを作り、産婦人科医のみならず循環器内科医、小児科医、麻酔科医、心臓外科医、看護師、助産師などから構成するチームで、心臓に疾患のある女性の妊娠、出産を安全にサポートするということです。右側は、臨床ゲノム医療のシステム基盤構築です。
 24ページです。今、年間1万人ずつ成人先天性心疾患患者は増加すると言われています。そこで我々は、このセンターを作り、この成人先天性心疾患患者は100人に1人の割合で出生していると言われていますが、多施設共同研究の主導をして病態解明を行うとか、診療でも経皮的肺動脈弁留置術などを行っており、国内トップクラスのACHDの診療体制を、このセンターを設立したことでさらに推進していくというところです。右側は、脳動静脈奇形に対する集学的治療で、これは脳神経外科でも開頭と血管内治療、ガンマナイフの3つの治療を駆使してできるところは国循しかないわけで、この成果が今回は不完全閉塞例に対する2回目のガンマナイフ治療の有用性を『AJNR』という雑誌に報告しました。
 次のページです。ロボット支援による低侵襲僧帽弁手術の標準化を行い、西日本一の症例数で、この指導などを行い、均てん化に努めております。ページの右側は、先ほどお話した『Newsweek』のランクインのデータです。
 26ページは、新しい診療体制モデルです。左側は、米国の胸部外科学会の『AATS』のプレナリーセッションの演者に、若手の外科医が招聘されています。国際学術誌でも発表し、急性大動脈解離は今、循環器病対策の中でも集約化が非常に求められるところですが、その中で、我々は予後の良い症例をどのように選別してやるかということを、この脳灌流画像を用いて、ブレインハートチームで緊急時においても診断するということで、非常に時間との戦いの中でも、より正確な予後診断をしながら治療を行っております。右側は、世界初の脳梗塞におけるペナンブラ予測バイオマーカーの発見で、このMR-proADMが発症早期から上昇することを見つけて、今後、脳梗塞の迅速な診断や治療方針の決定に寄与することが期待されています。これは、『Brain Pathology』に掲載されています。
 27ページです。脳卒中後てんかんというのは、実は高齢者のてんかんの中で半数を占める非常に大きな疾患で、大きなトピックスになっています。そのリスクの1つが脳表シデローシスで、鉄の沈着がリスクと言われており、今まで明らかになっていなかった脳卒中後てんかんの再発と、その後の機能予後との関係を明らかにしたということで、これは一流国際誌『Neurology』、『Annals of Neurology』にも掲載されています。右側は、先ほどお話したガイドライン遵守率の脳卒中医療の質の向上事業、Close The Gap-Strokeと米国のGet With The GuidelinesーStrokeと共同研究を行い、遵守率の差を検証したところです。日本は、米国に比べて、やはり医療の質の改善のプログラムというのは開発が遅れておりましたが、経時的に日本でもどんどん改善していることと、今後、当センターが中心となり、シンガポール・中国・韓国との共同研究に発展させるという動きにつながっています。
 28ページです。AIを用いた胎児不整脈診断支援システムで、胎児心臓の動きをAIで解析し、胎児不整脈を診断するシステムです。まだ試作段階ではありますが、150例の診断を行っております。右側は、先ほどの先天性心疾患のシェーマ作成システムです。電子カルテに実装し、複雑な手術の説明や家族への説明に役立てています。
 29ページは、世界で最大規模の心臓のレジストリです。心臓サルコイドーシス患者に関して、全国127施設から1,500例を超す、多施設レジストリ(MYSTICS)を構築しています。さらに、欧米とは病型や予後が異なることが知られている特発性肥大型心筋症におけるレジストリで、これは3,700例ということで国内最大規模です。これはREVAEL-HCMということで、非常に希少な疾患で、世界最大規模のレジストリを構築して、国循から、この病態解明、新しい治療法の開発に役立てていこうということです。右側は心臓サルコイドーシスの臨床診断の予後を報告したということで、“臨床診断群”は本邦独自の基準です。これも“組織診断群”と同様に予後不良であることを報告しています。
 30ページは、脳卒中データバンクで慢性腎臓病に多い脳梗塞病型として、心原性脳塞栓症であることを発見していることです。右側は、最近注目を浴びている行動変容、認知行動療法の糖尿病患者への応用です。これは、AMEDの研究でエビデンスの創出へ向かって今、最終の詰めを行っているところです。
 引き続いて、1-4にまいります。こちらは、自己評価はAにしています。指標の達成状況ですが、リーダーとして活躍できる人材の育成について、医療従事者の研修受入人数は714名で、計画をはるかに上回る数字を達成しています。179%という数字です。
 評定の根拠です。リーダーとして活躍できる人材の育成については、当センター職員が大阪大学の招聘教授に多数任命され、大学院生の人材育成に取り組んでいるほか、副院長が東京医科歯科大学の心臓血管外科教授に就任。また、研究所の研究室長2名が大学教授に就任するなど、当センターから日本全国へ指導者を輩出し、優れた研究者の育成、活躍促進に大きく貢献しています。JST2022年度創発的研究支援事業にも採択されています。また、リーダーシップセミナーを実施するなど、リーダーとして活躍できる人材育成に寄与しています。モデル的研修・講習の実施については、特定行為研修に、区分選択別コースを新たに開講しています。さらに、国策として今注目を浴びている特定行為のナースの育成について研修費用貸付制度を創設しています。また、オープンイノベーション講座やリーダーシップセミナーを開催し、コロナ禍で中断していた救急隊を対象とした講習会を開講しています。
 33ページ、具体的な説明です。特定行為研修の受講については、現在のところ特定行為の研修は19名終わっており、18名が院内で勤務しております。集中治療室に主に配属され、ICUの9名をはじめユニットに配置されております。区分選択コースは、新たに2区分(橈骨動脈ラインの確保、直接動脈穿刺法による採血)を追加しています。今回も8名、今年度も今、特定行為の研修にセンター内部から看護師が参加し、そのうち4名が研修費用の貸付制度を利用しております。下は連携大学院制度の充実で、先ほどお話した大阪大学の招聘教授6名等、大学教授を輩出しております。JSTの創発的研究支援事業が2件採択されました。右側は、オープンイノベーション講座やリーダーシップセミナーの実施です。こちらも、センターが推進するオープンイノベーションの実践に向けて指導者層の育成に努めております。
 34ページは、先ほどお話したプレホスピタルセミナーです。これも、非常に多くの救急隊を対象に行い、7回開催し、コロナ禍が明けて、合計340名参加ということで、それもあり、やはり救急搬送の件数、私たちの総連絡回数は過去最高を毎月更新しており、年間の救急搬送件数は、令和4年は4,000件を超えることになっております。
 35ページ、左は脳卒中の内科、右側は外科です。全国セミナーを開催し、全国の若手医師の教育に努めるとともに、私たちの施設への医師のリクルート等も行っております。右側の脳外科は、2001年からずっと継続してやっております。
 36ページは、最先端の医療技術の研修、OICトレーニングセンターに最新のVR、AR、MRを駆使した新しいシステムを導入し、マルチアングル映像を使って、撮影機材・専用ビューアを開発、あるいはアイトラッキング・プログラムを開発しております。
 最後は、心不全重症化予防事業を通した新しい保健指導の指導育成です。
 最後の1-5にまいりたいと思います。「医療政策の推進等に関する事項」で、自己評価はAです。指標の達成状況ですが、国民向け、医療機関向けの情報提供の充実を図る。ホームページのアクセス件数が77%で、こちらは目標を達成できておりませんでした。1つの理由は、下にあるようにコンテンツの更新頻度が確かに少なかったことも反省点の1つです。また、閲覧数の集計方法はGoogleのシステムを使っているのですが、それが変更されたこともあり計画未達となっています。疾患情報解説ページの見直しや独自のコンテンツ「病理カラーアトラス」の再公開を実施しているところです。
 39ページ、評定の根拠です。国等への政策提言は、先ほどもお話がありました循環器病対策推進協議会において、当センターが「循環器病情報センター(仮称)」の機能を担い、データベースの管理・運営を行うことについて了承されています。これは、令和3年度です。令和4年度では、それを受けて昨年の「医療DX令和ビジョン2030」の動きと連携し、厚生労働省と取組の再検討を行うなど、循環器分野の施策の推進に大きく貢献しています。医療の均てん化、並びに情報の収集及び発信については、世界最大規模の脳卒中・循環器病のデータベースを活用した均てん化の可視化、臨床指標の革新的な収集手法の実施とアウトカムとの関係を発信し、国の医療政策へ理論的な根拠、Evidence-based Policy Makingの根拠を提供するとともに、進捗状況の把握を可能とする基盤を提供しています。これらは、顕著な成果の創出として認められます。我が国における心不全退院後の外来心臓リハビリの施行の実態と効果について、全国のNCDの情報を用いて解明しています。また、このMCIを音声でスクリーニングするAI予備モデルを開発しています。
 最後の公衆衛生上の重大な危害への対応です。人々の行動及び意識に変容を及ぼしたCOVID-19感染症に対する緊急事態宣言は、市民によるAEDの使用、神経学的転帰が良い患者の割合の低下を引き起こしました。次の感染症パンデミックに備え、Stay at homeの状態で家庭で発生する院外心停止を想定した地域における心肺蘇生技術取得者の育成が必要であることを明らかとし、公衆衛生上の重大な危害への対応の方策を明らかにしました。
 次のページ以降は、その説明です。循環器病データベースは、循環器病対策情報センターで国のがん疾病対策、協議会等と情報を密に共有しながら、この登録事業の推進に向けて努力を続けているところです。右のClose The Gap-Strokeは先ほどの話ですが、ガイドラインの向上についても、今まで医療の質の向上がアウトカムの改善につながるというエビデンスはなかなかなく、それを脳卒中の分野で大規模データを用いて明らかにしたところです。研究参加施設には自施設の遵守率をフィードバックし、ベンチマークとして活用していただいています。
 41ページ、大規模診療情報を用いて、心不全外来リハビリテーションの実態と効果を検証です。全国の診療報酬情報を用いて解明。また、心不全患者の外来リハビリ施行割合は7.1%と十分ではありません。医療費の増加を伴わず、心不全患者の予後改善、心不全再入院の減少と関連することを解明したので、外来心臓リハビリの実施の推進に向けての大きなエビデンスになるのではないかというところです。
 最後、42ページです。新型コロナ感染症に対する緊急事態宣言後に、院外心停止患者に対するAEDの使用率が急激に低下し、神経学的転帰も悪化したことを明らかにしたことで、次の感染症パンデミックに対する大きなメッセージとなるのではないかと考えているところです。私からは以上でございます。
○土岐部会長
 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問等ございましたらよろしくお願いします。花井委員、よろしくお願いします。
○花井委員
 ありがとうございます。大変多彩な疾病に対応しているということで、結構驚きました。この希少疾病であるCADASIL外来で、治験が始まったために、患者さんが結構集まってきたということなのですが、有病率からいうとまだまだ未診断、若しくは気づかない、若しくは単に偏頭痛だと思っているような患者さんがたくさんおられるように思うのですが、こういった全国に散らばっている患者さんに対して何らかのアプローチを今後しておく予定はあるのでしょうか。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 先生おっしゃる点は非常に大事な点で、こういう疾患というのは、実際のところ患者さんがどれぐらいいらっしゃるかというのは、本当に分からないところも多いと思うのです。22ページの右の囲みの所に書いてある、日本唯一の全国規模のCADASIL患者会「国循CADASIL知ってる会」を設立して啓発に努めているところです。やはり今、国循で日本全国で100人の患者さんが来ていると思いますが、それとともに先ほどお話した、東アジアの国、台湾、シンガポールなどの外国とも連携して、CADASILの研究、臨床のネットワークを作ろうということをやっています。海外との取組とともに、今、花井先生がおっしゃった、患者さん、あるいは国民に対する啓発活動を、患者会を通しながら地道にやっていくということが大切なのではないかと思います。ありがとうございました。
○花井委員
 ありがとうございます。ちょっと興味本位で申し訳ないのですが、例えば、よくある偏頭痛クリニック等々に偏頭痛で訪れた患者さんが、この疾病が疑われるということは、そういった専門医であれば、ある程度当たりを付ける可能性というのはあるものでしょうか。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 そうですね。やはり最初の若いときに偏頭痛で発症して、それからここに出てくるような脳卒中や若年性認知症などになってくると、やはりちょっと年代が違ってくるので、その辺を、先生おっしゃったような偏頭痛の外来やクリニックにアプローチして、そういう患者さんが中に紛れているのではないかというようなことを、広く知識を普及させることは大切なのではないかなと思っています。
○花井委員
 ありがとうございます。参考になりました。
○土岐部会長
 それでは引き続いて、前村委員お願いします。
○前村委員
 前村ですが、循環器病の登録事業というのは、悉皆性のあるものを全国でやるというのが待ち望まれているということだったと思うのですが、基本法ができて、令和4年、5年ぐらいに始まるのかなという流れではあったと思うのですが、ここに書かれているように、「医療DX令和ビジョン2030」の方針に合わせて方向性を見直すこととなったためとあります。DXの技術を使って、よりレジストリが、打込みが少なくできるようにするという方向性だと思うのですけれども、これの今後の見通しはどうでしょうか。国循のほうで分かりますでしょうか。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 これは私たちも教えてほしいところです。この医療DXの本部はもう国の中でも真ん中にある、非常に国策の中心にあるようなところなのです。私たち最初にお聞きしていたのは、令和DXの2030年ビジョンが昨年の5月に出まして、それから最初に私たちがお聞きしたのは、やはりこれからは循環器病とかそういう、循環器病は非常に大きなフィールドだと思うのですが、そういう個別の疾患ではなくて、むしろ全国医療情報プラットフォームなどが基盤にあって、その上に乗っかっていくようなイメージと捉えて、突然そういう話が出てきて、そういう方向で検討を進めよということになったと。その後もやはり循環器病の登録というのが、医療DXの下の部分とどういう関わりになっていくかとか、オン資確認システムとかそういう所との関わりとか、関係を待っておればいいのかとか、あるいは一次利用とか二次利用のどの分野でやるのかとか、研究とか一次利用とかどういうところでやるかというのは、いまだにやはり私たちも、担当課ともずっと情報を共有しているところです。
 ですので、恐らく担当課も医療DXの推進本部とか、そういうところとの情報のやり取りはあると思うので、今すぐにこういうデザインでというのは難しいと思うのですが、できるところは幾つかの柱、疫学的な柱とか、医療の質の向上とか、研究とか、そういう幾つかの柱のところで、以前に私たちが定義書で作った項目を基に、再度、今、検討を進めているところです。
○前村委員
 ありがとうございます。
○土岐部会長
 続きまして、中野委員どうぞ。
○中野委員
 川崎医科大学の中野です。33ページです。特定行為研修のことを以前から御紹介いただいていると思います。継続して何年間かやっていただいていると思うのですが、重症集中管理コースと区分選択コースということで、この33ページにもお書きいただいている医師の働き方改革への対応のためのタスクシフトの実施、これも非常に今後大切なポイントだと思うのですが、実際に特定行為研修を受けた方々が、タスクをどれぐらい国循の中で、例えばどれぐらいの頻度でできているかとか、何か把握しておられるものはございますでしょうか。もしあれば教えていただけると非常に役に立つのですが、いかがでしょうか。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 これは特定行為の委員会で月々検討しておりまして、実際にこの行為をどれぐらい実践したかというようなことはデータとして把握しています。実際それがタスクシフトにどれぐらい関係しているかというようなことに関しては、まだこれからだと思うのですが、その詳細については看護部長のほうから少し説明してもらいます。
○国立循環器病研究センター空山看護部長
 看護部長の空山でございます。代わりにお答えいたします。特定行為に関しては、主に呼吸器関連に関するもの、あと循環動態に関するもの、それから特に医師から要望がありました橈骨動脈ラインの確保、直接動脈穿刺法による採血という2区分について、今、実践をしているところです。実際にどの程度の割合でタスクシフトに貢献しているかというのは、現在データを収集中ですので、また今年度、評価ができると思っております。
○中野委員
 分かりました。引き続きどうぞよろしくお願いします。
○土岐部会長
 根岸委員、どうぞよろしくお願いします。
○根岸委員
 根岸です。よろしくお願いいたします。大変高い達成度が評価されて付いておりまして、世界初ですとか、国内初というようなお言葉が並んでいる。大変素晴らしい医療の提供だと思いました。2点質問させていただきます。
 まず、23ページ、世界で初めての循環器病に特化した周産期センターの設立ということで、これも本当に素晴らしい取組だと思いました。これはベッド数としてはどのくらいの規模なのか、実際にそこで出産をされた方がどのくらい現時点でいらっしゃるのかということと、妊娠時から出産後までということになっておりますと、循環器疾患の管理もあり、あと、妊娠中の検診であるとか、あるいは出産、その後というところで、経過をずっと見ていくということは、利用者としては国循の周辺にお住まいの方になるのか、あるいは他県からでも受け入れる、その場合はどんな体制を取っていらっしゃるのかなというのが1つです。まず先にそれを教えてください。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 ありがとうございました。この循環器病に特化した周産期センターというのは、限られた特定の区画があるわけではございませんで、こういうコンセプトというか、そういうようなものです。私たちもMFICUが6床あるのですが、特にこれは先ほどお話したような、特別な区画をセンターと言っているわけではなくて、実は私たちも以前から、先ほど胎児の不整脈診断のAIの話もありましたが、やはりいろいろな所から胎児診断はかなり進んでいて、そういう所でも他施設との連携とか、胎児の段階でのコンサルトというのがあって、その辺りは産婦人科のネットワークがあって、それから小児循環器内科の両者の間で、非常に密なネットワークが私たちは常にあります。そういうところで出生前から、心疾患を合併している患者さん、胎児の情報があり、新生児の段階で来るなり、出生する前に紹介とか、様々な形態があると思います。ですので、必ずしも国循の近隣にお住まいの患者さんだけではなくて、心疾患が胎児の段階で診断された方に関しては、その段階から情報が来て、我々の所で出産する方もいらっしゃいますし、そうでない方もいらっしゃるというところで、必ずしも地理的に近隣に住んでいらっしゃる方というわけではないということです。
○根岸委員
 ありがとうございます。この取組というのは世界で初めてということですから、是非心臓に疾患のある妊婦さん、あるいは胎児、そういった課題のある人たちの出産が安心安全に進むように、是非推進していただきたいと思います。
 それからもう1点、37ページなのですが、保健指導のことが書かれておりますけれども、これまでも保健師等の専門職が、心不全患者を対象とした保健指導というのをしてきていると思うのですが、ここに書かれているものというのは、どういったところに新規性があるのか教えてください。
○国立循環器病研究センター飯原病院長
 下のほうの沖縄県と当センターの連携に係るセミナーなどもあるのですが、実績・成果の所にも、新しい保健指導を均てん化するというところで、レベルアップ講習会を行うということで、指導育成を行うということと、保健指導の育成として、YouTubeの動画を作成して配信し、自己学習を行ったというところだと思います。ポイントの所も、テキストの「生涯健康支援10」というのがあるのですが、この生活習慣チェック票を用いて、新しい保健指導を実施しているということです。遠隔でもこのようにやっているということと、「生涯健康支援10」テキストに準拠した総論と各論のYouTubeを作成して、デジタルコンテンツの開発にも努めているというところが新規性があるのではないかと思います。
○根岸委員
 ありがとうございます。そうするとこの。
○国立循環器病研究センター大津理事長
 すみません。ちょっと追加しますが、我々も30年ぐらい吹田スタディと言いまして、吹田地区を対象に、コホートスタディをやっております。その中でいろいろなことが分かってきたのですが、リスクファクターを組み合わせると、10年後に循環器病の発症率がどのぐらい、あるいは心房細動がどのぐらいという、リスクを計算することができるようになりました。また同時に、どのような生活習慣をしたら循環器病になるかということも、我々のこのデータで分かってきました。それらの実装化ということで、この心不全の重症化予防というのをやっております。
 吹田市民全て健康手帳というのを持っております。その健診データからは重症の予測ができます。ハイリスクグループに対して、心不全で上がる血液検査ですが、proBNPをやっていただきます。そのBNPと10年後の発症率を組み合わせて、この人が10年後に重症の心不全になるかどうかということを検討していく事業です。ということで、それらの事業に携わる人の人材育成ということもありますし、これを今、3万人リクルートしておりますが、これを30年間見て、心不全の重症化予防に必要なものは何かという研究と、かつ実装化ということも組み合わせた事業です。
○根岸委員
 分かりました。ありがとうございました。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長
 もう1つ補足をさせていただきますと、先ほど御質問を頂きました、吹田市と地域との健都での予防の取組はありますかという御質問を頂きましたが、これが正にそれでございまして、心不全ということをテーマに健診とその予防介入ということでの展開をしております。今現在、我が国の健診は主に肥満を中心といたしまして、そして動脈硬化性疾患の発症予防ということを中心にしているかと思いますので、こういった心不全という取組は、これまでそれほど進められてはおりませんでした。これは国循が新たにこういったものを開発していくということをスタートしたと考えていただいていいかと思います。
○根岸委員
 ありがとうございました。大変有用な事業かと思いますので、是非、継続して推進してください。よろしくお願いいたします。
○土岐部会長
 ほかはよろしいでしょうか。それでは、医療の提供等、その他業務の質の向上に関する事項については、以上とさせていただきます。
 続きまして、「業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項」の評価、2-1~4-1について議論したいと思います。それでは、まず法人から説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター稻川企画戦略局長
 企画戦略局長をしています稻川と申します。それでは2-1から順次、御説明させていただきます。43ページです。2-1の「業務運営の効率化に関する事項」ということで、自己評価はBとしています。
 指標としては、3つの項目が挙がっています。1点目の経常収支率については、96.1%ということで目標の100%は達成しませんでした。後発医薬品の使用率については、90.6%ということで達成度は106.6%で、目標値を上回っています。また一般管理費の削減についても、令和4年度1億9,000万円へ減少し、達成度は115.4%ということで目標を上回っているというところです。
 このうち経常収支率については、次の44ページですが財務諸表で損益計算書の部分を御覧いただきますと、当期純損失が15億9,500万ということになっていまして、非常に厳しい結果になっています。また、キャッシュ・フローの計算書が右側にありますが、資金増加額は8億円にとどまっており、今後のキャッシュの需要を考えますと同様に厳しい状況です。医業収益については、令和3年度と比較して約20億円増加をしましたが、費用のほうが1つは燃料費高騰の影響で、水道光熱費が4.3億増加したということや、退職率の改定によって退職給付引当金の繰入額が増加した影響が出ています。
 これについても経営サイドとして非常に危機感を持っていまして、次の45ページになりますが、昨年の秋から医業収益の増加に向けた[1]の対策を取り組み始めています。具体的には新たな経営指標として、新規入院患者数については、令和3年度が月1,000人だったのですが、それを20%増加させて月1,200人とするということ。それから、手術件数やカテーテルの治療件数を同じく令和3年度の実績から20%増加するということを掲げています。その上で、理事長及び病院長が各診療科の部長と目標を共有しまして、毎月、個別にミーティングを行って、目標の実現に向けた打ち手を共有し、実施していくサイクルを確立しています。
 この結果、ここにありますように医業収益自体は6.6%増加したほか、新規入院患者数は10.1%増加、それから手術件数は令和3年度と比較して7.4%の増加、カテーテル・インターベーション件数についても15.2%増加をしています。
 また昨年11月ですが、新センターに移転してから初めて単月で医業収支が黒字になったということです。令和5年度に入ってからも、この取組を続けていまして、夏場はどうしても脳卒中や心臓病に関する救急搬送の件数が減るのですが、先月の実績で言いますと1,187人、新入院患者数がいたということで、1,200人にかなり近いところまで確保しているような状況です。
 もう1つは、医業費用の縮減ということで、右側になりますが、当センターの場合は材料費が40%を超えているという特殊な状況ですので、やはりその削減というか効率化が大変有効です。ここにありますように、調達コストの削減のため、1つは国立病院機構の大阪医療センターと連携協定を締結し、両方が購入することによる購入規模の拡大による価格競争力の強化を図っているということです。
 具体的には、ここにありますように第1弾としてニトリル手袋の切替えや衛生材料の切替え等を行いまして、手袋については年間約3,100万円、それから第2弾のほうについては2,500万円ぐらいの削減を実現しています。これについては調達分野に詳しい外部の方にもアドバイザーで入っていただいていまして、今後、これまでの前例にとらわれない形でさらに一歩踏み込んだ対策を講じていきたいと思っています。
 次に46ページです。3-1の「財務内容の改善に関する事項」です。ここも自己評価はBということにさせていただいています。指標としては、中長期目標期間中に繰越欠損金を第2期中長期目標期間の最終年度比で3.0%削減ということになっていますが、先ほど御説明しましたように、令和4年度、当期純損失が出ていますので、繰越欠損金が増加して達成率は0%ということになっています。その要因については繰り返しになりますが、右の欄にもありますが、収益は増加したものの水道光熱費の高騰による費用の増加、やはり新型コロナウイルス感染症の拡大がありますと、どうしても数箇月遅れて影響が出てくるという感じもありますので、計画よりも患者数が少なくなってしまったということが挙げられます。今後、新センター建設に伴う借入金の返済や医療機器、あるいは設備更新なども考えた場合、新入院患者数、手術件数及びカテーテル治療件数の目標達成はマストのものだと思っていますので、引き続き収益、費用の両面で必要な打ち手を講じて、目標の達成に向けて取り組んでいきたいと思います。
 最後に47ページですが、「その他業務運営に関する事項」ということです。自己評価はBとしています。資料48ページ目になりますが、まず冒頭、理事長の挨拶にもありました大津ビジョンの実施状況について説明したいと思います。一部これまで説明した内容とも重複しますが、まず主な令和4年度の成果としては、ここにありますように大津ビジョンの実現に向けては理事長直轄のProject Management Officeを設置しまして、四半期ごとに各プロジェクトのリーダーから進捗状況を報告していただき、それに基づいて必要な打ち手を打っているというような進捗管理をしています。
 まず1点目の優秀な人材の確保ですが、若手研究者がPIとして腕試しを行う独立型研究室を1つ設置しました。それから部長よりも上位の幹部役職については、役職任期制を導入しています。それから研究環境の整備については、インハウス研究費の配分ルールを見直して、将来性のある分野に戦略的に配分する形に改めるということをやっていますし、そのほか毎月、最先端の研究者を呼んでのセンター合同セミナーの開催など、あるいはメディカルゲノムセンター設置などを行いました。
 病院運営の改革については、高い専門性を持つ診療科が横断的に連携し、世界をリードする医療を提供するためということで、病院に、ここに書いてある弁膜症(SHD)センター、成人先天性心疾患センター、不整脈センター及び先進心不全センターの4センターを設置しています。
 それから次のオープンイノベーションの推進については、国循発ベンチャーに対する支援内容を拡充し、株式保有も可能としたほか、共同研究部の第1号として、バイオデジタルツイン研究部を設置しています。事務機能の強化については、人事制度の改革というものの検討をスタートしています。それから広報については、ホームページの件数が伸びていないということはあるのですが、その中でコンテンツの充実にも取り組んだということです。それから国際化の推進については、海外の研究機関との協定の第1号として、連携協定の締結について、海外の機関と既に合意に至っているという状況です。
 働きやすい環境づくりについては、医師の働き方改革の実現のためにメディカルアシスタントの導入を行うなどタスクシフトを推進するとともに、医師の勤務実態を踏まえ必要なルール策定等を行い、来年4月からの実施に向けて着実に準備を進めているということと、ハラスメント等についても実態調査を行いまして、その結果を踏まえて全職員必須の研修を2回実施し、ハラスメントを撲滅するという強い決意の下で取り組んでいるところです。それから自治体との連携も先ほどお話がありましたとおり、吹田市民との心不全予防に向けた「吹田NEXT研究」を着実に推進しているということです。
 48ページの右側の真ん中の所に研究不正への対応があります。令和5年3月、研究所元室長の研究不正事案について公表をさせていただきました。この事案自体は大変遺憾なもので、我々も大変重く受け止めています。センターはこの間、過去の研究関係の事案を踏まえまして、様々な再発防止策を講じてきていますが、今回、公表した事案というのはその前に起こった事案ですので、対策としては既に講じられているということで、今後、その再発防止策を着実に実施することで、そういう意識を風化させないように取り組んでいきたいと思っています。
 人材の最適化については他の政府機関や自治体、大手金融機関との間に人事交流を行うとともに、研究者や病院医師についても重要なポストに優秀な人材を確保することに成功し、研究機能や診療機能の充実強化に資する人事はできたものと考えています。以上が2-1~4-1までの御説明になります。御審議、よろしくお願いいたします。
○土岐部会長
 ありがとうございます。ただいまの御説明に対して、御意見、御質問等はありませんか。藤川委員、どうぞ。
○藤川委員
 藤川です。よろしくお願いします。私からは理事長が最初に御説明くださった優秀な人材を集めるというようなお話と、今期に入ってから立ち上げたプロジェクト、収支関連の話についてお聞きしたいと思います。
 1点目ですが、ビジョンの中でも優秀な人材を集めるということは、とても、最初からおっしゃっていることで大事にされていることかなと思いますが、直前に先ほど御説明もあったような研究不正というようなことが、頻繁に起きていて、センターにいるときではないという話もあるのかもしれませんが、ここ5年ぐらいで案件として、第三者委員会を立ち上げるようなものが3つもあり、その度に恐らく研究者の方々はいろいろ調べられたりというようなことがあって、余り名誉のあることではないことばかりが起きるということになると、モチベーションを維持できるのか、若い方が入ってこようと思う施設、センターになるのかどうかということが大変不安だなという感覚を持ちました。そういうところについて、どのようなお考えがあるのかということをまずお聞きしたいと思います。
 もう1点ですが、収支について今、いろいろ御説明はいただいたのですが、確かにおっしゃるとおりキャッシュフローが、減価償却はどうしても新しく設備を作ったばかりなので大きいとは思いますが、キャッシュフローが余り生み出せていないという点は気になります。例えば手術件数なども達成されていますし、病床利用がちょっと低いのですが、一般管理費の削減なども他のセンターはなかなか達成できない中で、達成していらっしゃるということは、既に相当な行動にも取り組まれているということだと思う中で、今後、かなり繰越欠損金の解消や収支相償など、そういったところは非常に厳しいのではないかと思いました。そのような中で今期になってから立ち上げたプロジェクトがおありだということでしたので、そのところも少し御説明いただけたらと思いますし、研究費の獲得というようなことに関して、推移がどうなのか、こういうところでお金を集めてくるということは非常に大事だと思います。そういう中で不正は非常にネックになるとは思うのですが、その2点について、御説明を頂きたいと思いました。以上です。
○国立循環器病研究センター稻川企画戦略局長
 それでは御説明させていただきます。まず研究不正については、おっしゃっていただいたとおりで、この間に事例が続いていることに対しては大変申し訳なく思っているところです。ただ、これは多少、私の感覚的なところもあるのですが、では、それで例えば研究に対する姿勢が萎縮しているかどうかというところについては、今日これまで御説明したような形の研究成果も出てきています。あと、この1年間も若手で将来を嘱望されている研究者も複数名、リクルートと言いますか、採用することができましたので、もちろん研究不正をしないというのは最低限の条件ですので、そこはこれからもしっかりとやっていきたいと思いますが、それで例えば研究者のモチベーションが下がっているなど、あるいは人材確保に支障が生じているという事態は起きていないのではないかというふうには思っているところです。
 それから2点目のキャッシュフローの件については、おっしゃられたとおりです。私ども4年前にここに移転してきましたが、今年度から移転した建築費に対する償還が始まりまして、今年度が約16億円の返済、それから来年度以降しばらく24億円の返済というような形になっていますので、端的に言いますと、その分やはり資金は増加していかないと、どんどん資金が減っていくような状況になっているということで、極めて危機的な状況だと思っています。当然、これから数年経てばセンターの機能を維持するため、新しい機器に更新していかなければいけないなど、あるいはいろいろな建物の空調など、そういうものも更新が必要になってくるということになってきますと、大変厳しい状況であることは事実です。
 私どもは、昨年度、今後20年ぐらいのキャッシュフローの見通しというものを作成しまして、それを実現するためにはということで、収入、支出の両面をやっていかなければいけないというところを見定めています。今回、先ほど申しましたように新規入院患者数1,200人という目標を掲げましたのも、これもやはりそれぐらい患者さんに来ていただいてやらないと、なかなかキャッシュを生み出せないという状況もあります。手術件数などについても、大体2割増ということで、去年確かに先ほど病院長が説明しましたように、年間3,000件超える手術例を挙げましたが、やはりもう少し手術なども、もちろん診療上必要なものについて行うことが前提ですが、やっていかなくてはいけないと思っています。
 そういう意味では、国循というのは周辺の医療機関から見て、特にうちの場合はがんなどと異なり救急医療がメインですので、周辺の医療機関との信頼関係が大変重要だということがあります。そういう意味では、まだ周辺から見たときに我々の敷居が若干高いところがあるのではないかという指摘も受けていますので、その辺りはそうでないということを、いろいろ広報をしているということや、あとは先ほど救急応需の件数の話も出ましたが、国循の使命として救急医療は絶対断らないという意識の下で、そういうのを積極的に取っていくということをやっていきますと、昨年11月単月で黒字達成したときというのは、やはり入院患者数1,200人を若干超えていましたし、それから手術件数もほぼ2割増えたような形になって、そこまでいけば、いわゆる減価償却分のお金は貯まっていくというところまでは実感できていますので、あとそれを何とか続けていきたいと思います。本来、夏場は結構患者数が下がるのですが、今年度は1,200人まで届いていないのですが、かなり近いところまでいっていますし、これからハイシーズンというか、冬場に向けまして、できるだけ国循で見なくてはいけない患者さんを取るためには、やはり病床の管理などをしっかりやっていく中で、キャッシュフローを生み出していきたいということで取り組んでいきたいと思っています。経費の節減ということでいうと、やはり材料費の部分、委託費の部分をもうちょっと効率化していく余地はあるのではないかということで、そちらのほうもちょっと手を入れていきたいと思っています。以上です。
○土岐部会長
 よろしいでしょうか。それでは、業務の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項については以上とさせていただきます。
 全体を振り返り何か御質問等はありませんか。よろしければ、最後に法人理事長と監事からのヒアリングを行いたいと思います。まずは法人監事より業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントを頂けたらと思います。よろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター片山監事
 ありがとうございます。監事の片山です。監査結果については、監査報告書に記載のとおり適正、適法の意見を表明させていただいています。
 2点、私から補足して報告させていただきたいと思います。1つは業務運営に関する点ですが、当センター、本年7月で現在の岸辺に移転して丸4年が経過しました。移転に伴って特に病院経営の上では、極めて厳しい状況になるということは、移転前より幹部全員が強く認識しており、経営改善に向けた取組と体制整備について、常にきめ細かい見直しを継続して行ってきました。先ほど局長からも報告がありましたが、毎月の執行役員会で月次決算による経営分析を全員で共有することはもとよりのこと、健全な経営を確立する上での目標数値の共有、さらに、その達成に向けた徹底した現場も含めた診療体制の工夫と議論を続けてきています。さらに、診療実績を見える化し共有するという取組によって、職員全員の経営改革への意職というものが、着実に確実に高まってきていると感じています。その結果が、今後の経営の安定にもつながっていくものと監事として認識しています。
 もう1点は、先ほど来お話が出ていました、局長からも報告しました研究不正の関係ですが、当センターは令和3年3月に独自に研究不正に関する検証会議というものを設けまして、様々な意見を頂戴し、今後の研究不正を防ぐための新たな教育や啓蒙活動、啓発活動計画を含めた再発防止策を策定し、それに基づいて再発防止計画を改正しています。令和3年以後、新たな研究不正の再発防止策の徹底した実施を進めてきています。監事としても、その実行状況を重点監査項目に加えて、監査室による実査に立ち会うなど、常に留意をして取組を継続してきていることを御報告します。なお冒頭に理事長から報告のありました論文不正についての指摘に関しては、既に外部委員のみからなる第三者委員会を設置して、予備調査を開始する準備を進めています。この調査については、監事のほうでセンターを代表する体制を作り、責任を持って実施していくことを併せて御報告します。以上です。
○土岐部会長
 ありがとうございます。続きまして、法人の理事長より日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。
○国立循環器病研究センター大津理事長
 ありがとうございます。大津です。今日は御審議、本当にありがとうございました。最後に御質問がありましたように、センターの経営状態は非常に厳しいものがあります。しかしながら、職員一同一丸となって、それを克服しようと取り組んでいます。実質的にはやはり今年で16億円、来年から24億円の返済、それから減価償却費が毎年38億円と厳しい状態ですが、このすばらしい設備がある、人材があるので、それを克服できるよう頑張っていきたいと思います。
 研究に関しては、今日、先生方にお示ししましたように順調です。さらに循環器病の克服につながるようにスピードアップして、新しいお薬、新しい診断法を見付け、またその知的財産を活用することにより経営も改善していきたいと思っている所存です。今日はどうもありがとうございました。
○土岐部会長
 ありがとうございました。委員の皆様、よろしいでしょうか。では、以上で国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和4年度業務実績評価についての審議を終了します。どうも長時間にわたりありがとうございました。
 以上で本日の議事を終了しました。事務局から今後の流れについて、連絡をよろしくお願いします。
○北久保室長補佐
 事務局です。今後の流れについて御連絡します。本日、御議論いただいた令和4年度業務実績評価については、この後、本部会における御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに公表します。委員の皆様におかれましては、事前に電子媒体でお配りしている評定記入用紙に必要事項を御記入いただき、来週の8月16日までに事務局宛て、メールにより御送付いただきますようお願いいたします。
 なお前回、8月7日及び前々回7月25日の審議分の御記入に当たっては、本日、審議がなされましたJHの業務実績を加味したものとしていただくようお願いいたします。また、決定した厚生労働大臣による評価については、後日、委員の皆様方にお送りします。
 事務局からは連絡は以上となりますが、閉会に当たりまして厚生科学課長の伯野より一言御挨拶申し上げます。
○伯野厚生科学課長
 厚生科学課長の伯野です。本日まで3日間にわたり、大変長時間、御議論いただきまして誠にありがとうございます。大変貴重な御意見をたくさん頂きましたので、その御意見、御指摘を踏まえまして大臣の評価にしっかり反映していきたいと考えています。また、御意見等は法人とも共通の認識を持って、改善に努めていきたいと考えています。
 最後に委員の皆様方におかれましては、引き続き本会議の御協力を頂きますようお願い申し上げまして、簡単ですが私の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○土岐部会長
 それでは、以上とさせていただきます。長時間にわたりありがとうございました。