第2回健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会議事録(2023年8月31日)

 

 


○日時


令和5年8月31日(木)10時00分~12時00分


○場所


AP新橋 Eルーム (オンライン開催)


○議事


○開会
【小田課長補佐】  定刻になりましたので、ただいまより、「第2回健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます、健康局健康課の小田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、委員の皆様にはオンラインにて御参加いただいてございます。
議事に入る前に、WEB御参加者への留意点、資料の確認、本日の出欠席状況等について御説明差し上げたいと思います。
まず、WEB参加者に係る留意点でございます。まず、オンラインで御参加の方に向けてでございます。ビデオカメラはOnにしていただくようお願いいたします。御発言される際以外は、マイクはミュートにしていただくようお願いいたします。御発言される際には挙手をしていただき、座長の先生から御指名の後に御発言いただくようお願いいたします。発言時にはマイクをOnにしていただき、名前をおっしゃった上で御発言していただき、発言が終わりましたらマイクをミュートに戻していただくよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに不足がないか御確認いただければと思います。まず、議事次第、構成員名簿、座席表がございます。資料といたしましては、資料1「身体活動基準の見直しについて(案)」を御準備いたしております。また、参考資料といたしまして、参考資料1「健康づくりのための身体活動基準2013」、参考資料2「身体活動・運動の推奨値(案)」、参考資料3「身体活動・運動に係る参考情報(案)」を、事前にお送りさせていただいてございます。もし、資料の不備等ございましたら、事務局まで御連絡いただくようお願いいたします。
また本日、岡本構成員、横手構成員より御欠席の連絡を頂いてございます。
報道関係者の撮影については、ここまでとさせていただきます。
それでは、以後の進行は中島座長にお願いしたいと思います。中島座長、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○議題
1.身体活動基準の見直しついて(案)
【中島座長】  皆さん、おはようございます。座長を務めております、日本整形外科学会の中島と申します。本日第2回目ということで、この身体活動基準の見直しをさらに一歩深めてまいりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
早速、議題に入ります。「身体活動基準の見直しについて(案)」について、事務局から説明をお願いいたします。
【田邉室長】  事務局でございます。では、資料1「身体活動基準の見直しについて(案)」をご覧ください。
1ページおめくりいただきまして、こちらは前回も掲載させていただきました、先生もご案内のとおりと思いますけれども、現在の「健康づくりのため身体活動基準2013」でございます。こちらは18歳~64歳、いわゆる成人の部分については身体活動・運動について、それぞれ強度、時間ともに記載させていただきまして、こういう身体活動・運動をしてはどうかという推奨値を出してございます。一方、高齢者、18歳未満につきましては、当時まだ、なかなかエビデンス等の問題もあって空欄になっているところがございます。こういうところを、今回、新しいエビデンス等々踏まえて、しっかりと補強しつつ、また新しいものについてどういうものを追加していくかということを、前回先生方に御指導いただいたということでございます。今回、前回先生方から頂きました御意見をまとめて、事務局の案的なものを作成いたしましたので御議論いただければと思ってございます。
おめくりいただきまして、まず、新しい基準の構成(案)でございます。やはり前回と同じように、ライフステージ別の身体活動・運動の推奨値をしっかりと整理して、エビデンスに基づいてお示しするというところ。ただし、当然、個々人に推奨値を適用する場合は個人差等がありますので、そこに関しては柔軟に御対応くださいということもしっかりと書いていくということが大前提と考えてございます。
改訂案の具体的内容でございます。まず、青枠のところでございますけれども、ライフステージ別の身体活動・運動の推奨値について、メタ解析等で一定のエビデンスがある情報をしっかりと掲載するということで、前回と同様、成人・こども・高齢者の区分に分けて推奨値を提示してはどうかと考えてございます。それから、生活習慣病等がある方、前回先生方からも御指摘いただいた点につきましては、現在、学会等の先生方と調整を行っておりますので、それが終わり次第、こちらの検討会にお出しできればと考えてございます。
下の緑の2点目ですけれども、先ほども申しました推奨値に加えまして、身体活動・運動に関する取組を推進する場合に、特に運動指導者の方やあるいは政策立案者、そういう方々が参考となるような情報を掲載してはどうかということで,メタ解析等々まではないですけれども、論文等で一定のエビデンスはオーソライズされているものについて掲載してはどうかということで、今回は①~⑦のものについて御用意させていただいてございます。また、栄養士会の鈴木構成員から適切な運動の推奨値と身体活動に関するものについても追加してはどうかと御意見を頂いておりますので、今、こちらについては作成中でございますので、こちらも出来上がり次第、こちらの検討会のほうで先生方の御意見を伺うというところでございます。このようなに、構成としては推奨値の部分、それから参考にしていただく情報の2本立てで今回作成してはどうかと考えてございます。
おめくりいただきまして、まず推奨値の部分についてでございます。少しビジーな内容で申し訳ないのですけれども、成人版・こども版・高齢者版、それぞれの身体活動・運動、またその他の筋力トレーンニング等につきまして、どういうことを書いていくかというところをまとめてございます。
成人版の身体活動につきましては、前回の2013同様に、週に23メッツ・時以上ということで、例えば、歩行であれば1日60分(約8,000歩)以上とするものを推奨してはどうかというところ。運動に関しましては、週4メッツ・時以上ということで、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分程度行ってはどうかということを、引き続き推奨してはどうかというところでございます。こちらに関しましては、2013と同様の推奨値を今後も継続してはどうかというところでございます。これに加えまして、新しい要素として筋力トレーニングの強度については個人の状態に応じたということで、そこはなかなかお示しするのは難しいのですが、頻度として成人については週2日以上と書いてはどうかということを考えてございます。また、座位行動につきましては、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように、できるだけ頻繁に中断するという、ブレイクについても推奨してはどうかということを考えてございます。
続きまして、こども版でございますけれども、こどもにつきましては関係省庁であります文部科学省、スポーツ庁と御相談させていただきまして、どちらかと言いますと、やはりこどもについては、運動習慣の二極化がかなり問題になっていると。特に中学生になると、部活動等で運動しすぎのこどもの方が、むしろ心配だというところで、スポーツ庁のほうでは部活動の上限を定めているという状況でございます。そういうところがございますので、これがよりそういう方々にとって、もっと運動しなさいというメッセージを与えることをかなり危惧されていましたので、運動習慣の少ない、二極化した運動をあまりされていないこどもが対象ですよということを最初にメッセージを出してほしいと。その上であれば、WHOでも示されておりますので、この辺りを参考にすることについては良いのではないかという御意見を頂きましたので、まず最初に、運動習慣の少ないこどもを対象としますということは書かせていただいてございます。その上で、WHOで推奨されておりますこと、いわゆる1日平均60分以上の運動を行うであるとか、ある方は座りっぱなしの時間、特にスクリーンタイムを減らすということを書いてはどうかというイメージでございます。
続きまして、高齢者につきましては、まず身体活動ですけれども、ここは週15メッツ・時以上ということで書かせていただいております。こちらにつきましても、強度がやはり前回は問わないと書いていたのですが、歩行(3メッツ)以上の運動ではどうかというところで書いてございます。例としましては、1日40分以上(1日約6,000歩)程度の身体活動を推奨してはどうかということでございます。ただし、高齢者につきましては、特に個人の状態にかなり差がございますので、そこはしっかりと個人の状態を踏まえて調整するということをより強調してはどうかということでございます。筋力トレーニングにつきましては、週2日以上ということでございますけれども、こちらについてはむしろ週2~3日と限定してはどうかというご意見もございます。高齢者の場合、やり過ぎというものも問題になってきますので、ここに関しては先生方の御意見を伺えればということで、現在「週2日以上」と書いておりますけれども、むしろ「2日程度」「2~3日」と絞ってはどうかというところについては御意見を頂ければと考えてございます。座位行動につきましては、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにということは、成人版と同じように書いてはどうかと考えてございます。
次のページをご覧いただきまして、こちらが先ほどの2013のバージョンから、今回アップデートしたものでございます。黄色で書いております部分が、今回、新しく足してはどうかというところでございます。
成人の身体活動・運動につきましては同じなのですけれども、高齢者につきましては身体活動の強度、運動につきましては、いわゆる多要素な運動を週3日以上ということで追加してはどうかということでございます。座位行動に関しましては、高齢者・成人の両方とも、座りっぱなしの時間をなるべく中断してはどうかということで書いております。
この座位行動の、特に高齢者の部分につきましては、横手構成員から、障害等がある方でどうしても車いす等々に座られていることになる方もいらっしゃいますので、そういう方に対して、座っていることが不健康、良くないというメッセージにつながると良くないということで、そういう方々に対して、何かほかに、車いすの方などの場合はこういうことを推奨するというものがあれば、ぜひ追加で提示してはどうかという御意見を頂いてございます。これにつきまして、先生方から何か良い案がございましたら、御教示いただければと考えてございます。
その他の筋力トレーニングですけれども、先ほど申しましたように、成人につきましては「週2日以上」と書いてございます。高齢者につきましても同様の記載にしているのですけれども、本日御欠席の岡本構成員からも、やはり2~3日などというような、少し上限を設けるような記載にしてはどうかという御意見を頂いておりますので、こちらについても先生方の御意見を頂ければと考えてございます。
こどもにつきましては、WHOの値を参考にするというところで、身体活動・運動についてはそれぞれ3メッツ・時以上、60分以上。運動については週3日以上、また、座位行動に関しては余暇のスクリーンタイムを減らすと。学校等のことがございますので、これについては余暇のところでスクリーンタイムについて、しっかり注意喚起を促すようなメッセージを出してはどうかというところでございます。
続きまして、参考資料2に移らせていただきまして、今申しましたのが概要のイメージでございます。これを具体的に落とし込んだものが、参考資料2となってございます。成人版・こども版・高齢者版、それぞれA4で表裏1枚でまとめる形になってございます。構成としては全部同じようにしております。まず1番目のところに四角で、推奨すべき点をまとめたものを書いてございます。先ほど申しましたように、身体活動の週の推奨値、運動、筋力トレーニング、座位行動について書いております。
まず、「1 推奨値と具体的例の説明」ということで、この週23メッツ・時以上の場合、どのような身体活動・運動をするのかというところで、例えば1日60分以上の運動ということで、毎日10分間歩くと大体1,000歩に相当しますので、60分だと6,000歩。さらに、3メッツ以下の生活活動で2,000歩、足して1日8,000歩という分かりやすい例を書いてございます。「2 科学的根拠」でございますけれども、身体活動につきましては、量反応関係はありますけれども、大体23メッツ・時のところからフラットになってくるというところで、エビデンスの部分を書いてございます。「3 現状」でございます。現在の運動について、どういう状況かということを書いてございます。ここに関しましては、「国民健康・栄養調査」でございますが、若干右肩下がりで、大体今、6,000歩プラスくらいの値になっているというところでございます。座位行動につきましては、1ポイントしかないのですけれども、大体3分の1の方が8時間以上座位の時間があるという結果があるという、こういう現状を示してございます。これを踏まえて、「4 取り組むべきことは何か」「5 よくある疑問と回答(Q&A)」ということで、ポイントを書いているという構成になってございます。
次のページを見ていただきまして、こどものほうでございます。先ほど申しましたように、運動しすぎるということの懸念があるということでございますので、最初に「運動習慣の少ないこどもを対象とする」と書かせていただいてございます。それ以降は、基本的にはWHOの推奨の値を書かせていただきまして、エビデンス等々もそのあとのところを参照して、記載しているところでございます。
おめくりいただきまして、「3 現状」としまして、左側の図ですが、グレーのところが60分未満の運動時間の方、グリーンのところが420分以上。中学生になると、男子だとほぼ8割の方が420分以上ということでございますので、そのことに注意しながら行いましょうというところでございます。右側がスクリーンタイムでございます。スクリーンタイムの時間が、やはり中学生になると男女ともに70%以上が2時間以上のスクリーンタイムがあるということで、1つの目安になるかと考えてございます。
続きまして、高齢者のほうをご覧いただきまして、高齢者につきましては、成人版と同様の記載が多いのですけれども、やはり年齢や体力にかなり差があるところがございますので、身体活動の強度や量についてはそれに応じて調整しましょうというところ。また、そういう意味では強度・推奨値に満たなくても、少しでも身体活動を行うことを推奨してはどうかということを書いてございます。また、高齢者の場合は転倒等に配慮が必要ですので、そういうことに対しても十分配慮してくださいということを、冒頭に書いてございます。また、体力の高い方に関しては、成人と同様の身体活動を行ってはどうかということもお示ししてございます。筋力トレーニングのところは、現在「週2日以上」とありますが、この書き方については先生方の御意見を頂ければというところでございます。
また、「1 推奨値と具体例の説明」のところですけれども、6,000歩と書いてございますが、それに加えて「多要素な運動」ということで、筋トレ、ラジオ体操に加えて、例えばヨガなども追加してはどうかという御意見もございますので、どの辺りまで書くかということについても、先生方に御意見を頂ければと考えてございます。
おめくりいただきまして、2番の後半の部分ですけれども、例えば、やはり多要素な運動を主体としたプログラムで転倒リスクは減少するとございますので、そういう意味ではそういうこともしっかりと書いた上で、運動プログラムについては週3日以上ということを書いてございます。「3 現状」としまして、やはり年齢とともに歩数が減ってくるという現状がございます。とはいえ、85歳以上の方に、絶対6,000歩というのは難しいですから、その辺りは年齢に応じた値でしっかり頑張りましょうというメッセージを出せればと考えてございます。また前回、先生方に御議論いただきましたマルチコンポーネント運動、いわゆる多要素な運動ですけれども、こういう用語もあるということはQ&Aで御紹介する形にしてございます。
推奨値につきましては以上となります。よろしくお願いいたします。
〈質疑応答〉
【中島座長】  御説明ありがとうございました。それでは、委員の皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。大まかには、最初の推奨値一覧を作り上げるということが、私たちの大きな目標でございまして、それぞれ変わったところが黄色でハイライトされています。成人・こども・高齢者と3つの年齢層に分かれていますので、先ほど参考資料のほうで説明していただいた順番に御意見を頂きたいと思います。
まず、成人に関して御意見がある方、いらっしゃいますでしょうか。手が挙がっていらっしゃる荒井構成員、お願いします。
【荒井構成員】  高齢者についてコメントしようと思ったので、後回しで結構です。すみませんでした。
【中島座長】  それでは、手が挙がっていらっしゃる宮地構成員、お願いいたします。
【宮地構成員】  成人だけでなく、高齢者や子どもにも関わることですけれども、「その他」という列で、「筋力トレーニングを週に2回以上」という記述があります。ここにいらっしゃる先生方は、御承知のことと思いますが、筋力トレーニングは左から2番目の列の「運動」に含まれるものです。余暇時間に目的を持って、この場合、体力、特に筋力の増強、あるいは筋量の増加といった目的を持って行う運動に属します。したがって、今の表は、4列ですが、「その他」をなくして、運動の中に筋トレを入れていただき、3列構成にしてはいかがかというのが私の意見です。どうぞ御検討ください。よろしくお願いいたします。
【中島座長】  宮地構成員、ありがとうございました。事務局のほうからございますか。
【田邉室長】  先生方が、そちらのほうがということで、皆様ございましたら、そのような形で修正のほう考えたいと思います。
【中島座長】  先ほどの成人のところの一覧表を見ると、運動は「週60分以上」と書かれていて、これは週あたりの分数で書かれています。その他のところは「2日以上」と日数で書かれているので、確かに、そこは混乱しやすいかなと私も感じました。澤田構成員、お願いします。
【澤田構成員】  まず、宮地構成員からの御提案に賛成させていただきます。少し長くなりますけれども、研究班としまして、エビデンスに基づいて奨励したいと考えている身体活動に関しまして、強度と頻度を考えていただくにあたって、2つのポイントを紹介させていただければと思います。
まず1つ目は、推奨値という絶対値の設定に関する考え方になります。推奨値の案を、研究班として提案させていただくにあたりまして、研究班としましては推奨値が日本人の平均値、あるいは平均よりも若干高めの値になるように、日本人の現状を配慮して提案させていただいております。これは、現実的な推奨値にするための配慮となりますけれども、一方で、国民全体のことを考えますと、身体活動というのはほぼ正規分布していますので、平均になりますと、半数の人は既に推奨値よりも多い身体活動で生活しているということになります。また、分布の低いほうに位置している10~20%の人にとっては、平均値あたりというのはとても遠い目標、つまりあまり現実的ではない推奨値になってしまいます。このため、推奨値を自分事として捉えやすい人というのは、残りの30%の人たちに限定されるという値になっています。そのため、資料1のこの高齢者と成人のところにまたがる形で、「個人差等を踏まえて柔軟に調整する」と記載していただいております。
もう1つは、身体活動と健康アウトカムの関係の間に存在しています「量反応関係」になります。これは、研究班がレビューしたエビデンスというのは主に観察研究になりまして、これはWHOとか世界の多くの国におけるガイドラインに共通しているのですけれども、観察研究をエビデンスに、つまり科学的根拠にしていますけれども、介入研究ではないのです。多くの観察研究の結果というのは、身体活動量と様々な健康アウトカムの間に、負の量反応関係、つまり身体活動量が多い人ほど健康アウトカムが良い状況であるということを観察していまして、研究班、あるいは世界のガイドラインというのは、身体活動量を増やせば健康アウトカムが良くなるのではないかと観察研究から推測しています。したがって、このことから「行わないよりも行ったほうがいい、行うなら多いほうがいい」というのが、身体活動ガイドラインの基本になっております。
このため、前回の2013年のガイドラインでは「プラス・テン(+10)」というアクションワードを紹介して、少しでも多く、身体活動を実施することを推奨しておりますので、「+10」も、今回のガイドラインにおいても採用していただくかについては、今後の検討会で議論していただけるものと思いますので、こちらのほうも何とぞお願いいたします。
2つのポイントについて、御紹介させていただきました。
【中島座長】  澤田構成員、ありがとうございました。次、津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  前回と比べて、運動強度、有酸素運動の場合に「3メッツ以上」など、そういう記載が入ったということで、より的確になったのではないかと思っています。
この分類ですが、先ほど宮地構成員から御指摘があったのですけれども、実は一番左の身体活動というのは、「生活活動と運動」で、運動の中でも有酸素運動的なものを指している。次の運動というのは、成人のところでは有酸素運動的で、ちょっとジョギングとか強度の高い運動が60分入っているということで、この分類の中で有酸素運動、筋トレという運動の種類の話と、生活活動としているのか、意図的な運動としているのかということが、少し分かりにくくなっているような気がしないでもないかなと思っていますが、いかがでしょうか。
一番左の「身体活動」と書いてあるところは生活活動で、主に有酸素運動的なものについて書いてある。2番目の「運動」については意図的に行う運動ですけれども、その中に有酸素運動的な、例えば成人のところにあります、4メッツ・時以上のものを週60分というのは、運動の中で意図的に行う有酸素運動、そして、運動の中で意図的に行う筋トレは運動の中には入るのですけれども種類が違うので、そこを2つに分けて記載したほうが分かりやすいのではないかと思ったというのが、この表を見ての感想でございます。
ただ、2013は有酸素運動の表になっていますので、それよりもより明確になってきたとは思いますが、少し位置づけの再整理を検討していただいたほうがいいのではないかと思いました。
【中島座長】  事務局、どうですか。今の御指摘の縦の枠をどのように捉えているかということに関して、お願いします。
【田邉室長】  御意見ありがとうございます。おっしゃるとおりで、運動のところにつきましては、先ほどの筋トレをここに一緒に入れたほうがよいという御意見を頂きましたが、少し記載の仕方は工夫させていただければと思います。
【中島座長】  では、今の津下構成員の御質問の身体活動というのは、歩くなどの有酸素運動を示していて、運動というのは意図的な、筋トレも含む運動という理解でよろしいのですか。
【小田課長補佐】  この表の中では、具体的に有酸素運動に限定したものではないという認識でございます。今回は、例として、歩行が出ているところではございますけれども、内容としては生活活動の中で、おっしゃるように有酸素性の身体活動がメインというところであるかと思うのですけれども、特段、運動の種類については、今回この表の中では分類づけはしていないという認識でございます。澤田構成員、何か補足がございましたら、お願いします。
【澤田構成員】  ありがとうございます。運動の種類に関しましては、今回4つの種類を考えさせていただいて、1つは「有酸素運動」で、もう1つは新たに「筋トレ」という名前で筋力トレーニング。そして、「座位行動」という形で、非常に活動強度の低い、でも起きているという活動。そしてもう1つは、「マルチコ運動」というものを、研究班として御提案させていただきました。その4つの中で、座位行動というのは、明らかに1つ特出しになっておりますし、筋トレはその他のところで特出しになっています。津下構成員に御説明いただきましたけれども、この点を整理してより分かりやすく表現していくということは、大切だと思いますので、よろしければ、このあと事務局の皆さんと相談させていただいて、より分かりやすい表に、さらに仕上げていくということに取り組めればと思っております。
【中島座長】  ありがとうございました。では、石井好二郎構成員、次に手が挙がっているようですのでお願いします。
【石井(好)構成員】  座位行動、座りっぱなしの表現について、頻繁に中断するというだけですと、立ち上がっておけばいいでしょうという印象を与えると思うのです。澤田構成員、どうなのでしょうか。私が、最近の、いろいろ読んでいるところでは、座っている時間を途切れさせて、少し動くようにするというのが多いと思うので、ここは単に頻繁に中断するではなく、「頻繁に中断し、少しでも動くようにする」ということを入れたほうがいいように感じます。
そういったことも含めて、座位行動、座りっぱなしを途切れて少し動くようにするという、それ自体が身体活動の考え方に入ってくるのではないかという感じはするのです。何かそこだけがクローズアップされると、座るのをやめればいいのですよねという、誤ったメッセージになるのが一番危惧するところです。
【中島座長】  座位行動の欄をなくしたほうがいいという意味でしょうか。
【石井(好)構成員】  なくすかどうか分かりませんけれども、あまりにここがクローズアップされると、「座るのをやめておけばいいんですよね」と、どうしてもそちらのほうが楽なので、そちらのほうにいきそうな気がして、私が読んでいる最近の論文では、途切れさせて動くようにする、少し動くというところが多いように思うのです。澤田構成員、途切れさせればいいというメッセージにならないでしょうか。
【澤田構成員】  座位行動に関しては、いろいろな角度からの論文がございます。座りっぱなしの時間の長さと健康アウトカムの関係、あるいはブレイク、中断をした回数との関係。あるいは、ほかの身体活動、少しでも動く方向に変更したときの健康アウトカムの関係というものがありますので、石井構成員がおっしゃることはそのとおりだと思いますけれども、今回研究班として提案させていただいたのは、まず新たな概念として座りっぱなし、座りすぎは良くない。少しでもそれを中断するという、非常にドウス(dose)の低いところというのでしょうか。まず、座りっぱなしは良くないということを伝えたいという意図で、このような表現を取らせていただきました。その次には、もちろん立ち上がって動くということは、重要であるということは認識しておりますけれども、メッセージとしては、まずはできるだけ頻繁に、学術的には「ブレイク」と言いますけれども、頻繁にブレイクするということを奨励してはどうかと考えております。
【中島座長】  ありがとうございました。これは、運動の中に入れるというのも、少し無理がありますか。澤田構成員、長く座りすぎないというところが、今注目されているというところで、新しい項目として入れようという提案なのですよね。
【澤田構成員】  WHOのガイドラインで、前回2010年に出たものはphysical activityガイドラインだったのですけれども、2020年に出たものはphysical activity and sedentary behaviour(座位行動)ガイドラインということで、座位行動が特出しされておりまして、それは世界の傾向です。それについては、身体活動の中に入れるというよりは、座位行動ということを特出しして、国民の多くの方に、身体行動の奨励と同じように、できるだけ座りっぱなしを減らしたほうがいい、ブレイクしたほうがいいということを伝えられればと思っております。
【中島座長】  石井好二郎構成員、よろしいでしょうか。これは独立させた欄にしたいという御意見だったと思います。
【石井(好)構成員】  WHOは分かるのですけれども、私は実際、WHOにしてもアメリカにしても成功しているとはあまり思わないのです。どちらかというと、日本のほうが健康寿命も平均寿命も長いので、WHOがそうしているから、我々もそうするのではなくて、違った考え方があってもいいかなと思ってはいます。並列になると、どうしても皆さん、楽なほうにいってしまうかなと。まず、立ち上がってというのはいいと思うのですけれども、それが身体活動・座位行動となると、何か間違ったメッセージにならないかなというのは少し危惧するところです。
【中島座長】  これは、身体活動・運動・座位行動は、身体活動or運動or座位行動ではないのですよね。andで結ばれているというか、そういう理解でよろしいですか。
【小田課長補佐】  エビデンスとしては、身体活動だけ行っても健康増進効果はありますし、運動だけを行っても、座位行動だけを減らしても、エビデンスの部分では独立した健康アウトカムはございます。しかし、取組としては項目も多くなっていますので、全て頑張ってくださいというよりは、それぞれの個人差等も踏まえて、取り組めるところから取り組んでいきましょうという方向性のメッセージにできればと考えています。
【中島座長】  ということは、orで結ばれるということですか。
【小田課長補佐】  そうですね。orという認識です。
【中島座長】  すると、やはり楽なほうにいってしまうという、危惧はあると。
【石井(好)構成員】  私が以前、例えば「1万歩」という言葉を出したりすると、1万2,000歩歩いていた方が1万歩に戻ってしまうということがあるのです。そういうようなメッセージになったらよろしくないなという気持ちがあります。いろいろなものとして、座りっぱなしはよろしくありませんよというのはいいのですけれども、どれを行っても同じような効果があるというようなメッセージが伝わると、少し違うように思うのです。行っていない方は、まず立ち上がりましょうというのは分かるのですけれども、これが、「動くよりも座っているのをやめていればいいんだよね」とならないことを願っているという感じです。
【中島座長】  ここは少し対立した意見ですけれども、この座位行動を入れる・入れないということに関して、ほかに御意見ございますでしょうか。
【石井(好)構成員】  すみません。入れることには異存ありません。ただ、伝え方が並列になると間違うかなという感じを持っているだけです。
【中島座長】  では、運動と同じレベルのところに置くのは良くないのではないかという、そういう意味ですか。
【石井(好)構成員】  そういうメッセージにならないようにする配慮が必要ではないかと思ってはいます。
【中島座長】  ということは、その中の文言のところを、もう少し工夫したらどうかという、そういうメッセージですか。
【石井(好)構成員】  そうですね。
【中島座長】  分かりました。これは今後、文言を考えることにしていきたいと思います。
では、手が挙がっている小野構成員、お願いします。
【小野構成員】  まさに、今の中島座長の御質問と同じで、andかorか、これはどう伝わるのかなと御質問しようと思ったところでございました。
座位行動は非常に重要な概念でして、この2023で入るということは、非常に喜ばしいことだと思っております。ただ同時に、身体活動・運動・座位行動の3つになったときに、andなのかorなのか、全部行うべきなのか、1個でもいいのかというところは、やはりメッセージとして残したほうがいいのかなと。先ほど、小田課長補佐のほうから、独立して関係があるという言葉もありましたので、まずは1個から行い始めたらいい。できれば量反応関係があるので1つずつ、できれば全部行ったほうがいいというメッセージが伝わればいいのではないかということを御質問しようと思った次第ですので、先ほどの質問の延長になったかなと思いました。
もう1点が、横手構成員からの、車椅子の方に対するメッセージがという御質問を御紹介いただいたと思います。おっしゃるとおり、座位行動になりますと車椅子のイメージもあるかと思いますが、私、エビデンスそのものはまだ明確に把握しておりませんが、この※4のところに、車椅子に乗っている方はなるべく車椅子で移動しましょうとか、もう少しエビデンスがありましたら、そういうコメントを入れることで、車椅子といえども、座っていることそのものは座位行動に近いですが、イコールで動くということは生活行動に彙類しますので、そういった動くことを推奨するというメッセージを入れることで対応できるのではないかと思った次第です。
【中島座長】  ありがとうございました。事務局側としては、横手構成員の御意見に対して、どのように対応しようと考えているところですか。
【田邉室長】  横手構成員がおっしゃるとおり、要は車いすの方はずっと座っているので、それが座位行動として捉えられて、それが偏見などにつながる可能性があるので、その代替となるような、今おっしゃっていただいたような、なるべく動くなど、何かそういうことがあれば、そういう方にはこういう行動をとりましょうというような、代わりとなるメッセージを追記すればよいという御意見を頂きました。我々もそういうエビデンスを持ち合わせていなかったものですから、むしろここは先生方に、どのようなことを書いたらよいか御指導いただければというスタンスでございます。
【中島座長】  では、そこの注釈については今からというところですね。言うなれば、じっとしておかない、じっとし続けないというような意味合いだと思うのですけれども、何かその点について、こういう言葉であればちょうどいいのではいなかなどありましたら。委員の先生方、どうですか。
【藤内構成員】  今回、座位行動がこの指針の中に加わったわけですが、結構その身体活動や運動を意識して行っていても、やはり1時間半とか2時間の会議は普通にありますし、どうしても座位を続けることは、こういう日常生活の中ではよくあることなので、特出しで座位を続けないよう中断するということの意識付けはとても大事だと思っています。
それから、全く素朴な質問で恐縮ですが、身体活動の欄と運動の欄で、それぞれ身体活動は目安が1週間23メッツ以上、運動の欄が1週間に4メッツ以上とあるのですが、これはそれぞれ別、つまり、23メッツの中にこの4メッツは含まれないということなのか。この身体活動のところに「=生活活動+運動」と書いてありますので、素直に読むと、この運動と書いている列の4メッツは、身体活動のところに書いてある23メッツに含まれそうに見えるのですが、これはあくまで別なのか。そこを教えてください。
【中島座長】  事務局、お願いします。
【小田課長補佐】  藤内構成員の御指摘ですけれども、身体活動はそれぞれ、身体活動だけで1日60分というところにエビデンスがございまして、運動は運動で週60分というところでエビデンスがあるということで、それぞれ独立して健康効果があると認識してございます。
【中島座長】  では、両方別だということですね。
【小田課長補佐】  はい、おっしゃるとおりです。
【中島座長】  藤内構成員、よろしいでしょうか。
【藤内構成員】  はい。
【宮地構成員】  今のことに関して、コメントしてもよろしいでしょうか。
前回の2013を決める時から、藤内構成員が御質問いただいた、この23メッツの身体活動に4メッツの運動は含まれるのですかという議論は、多くの先生からも頂いておりました。また、一般の方や指導者からもよく聞かれるところです。エビデンスとしては、身体活動を23メッツ・時行うことと、運動を週に4メッツ・時行うことは、それぞれ独立して効果があるのですけれども、ここでの身体活動23メッツ・時の中に、運動の4メッツ・時が含まれてもいいということです。例えば月曜日から金曜日までは仕事や通勤で歩いて8,000歩いくのだけれど、土・日はスポーツ・運動をして8,000歩いくのでも良い。それで週当たりの平均で1日8,000歩になっていても良いということです。藤内構成員、このような御理解でいかがでしょうか。
【藤内構成員】  また分かりにくくなった感がします。それぞれエビデンスとしては、週に30分を2回、週60以上の運動が、効果があるというエビデンスがあるのですけれども、実際にこの指針を見せられたときに、悩ましいのは、この冒頭の「身体活動」のところに、「=生活活動※2+運動※3」とあって、※3の説明を読むと、これは余暇時間とかスポーツの時間…とあるので、この身体活動の中に2列目の運動の項目が含まれてしまうのではないかというふうに読めるのです。今の説明によると、身体活動で週に23メッツ・時以上していれば、それとは別に運動をしてもいいし、しなくてもいいということなので、そこの解釈がどちらでもいいというのは何か少し変な気がするのです。
【中島座長】  事務局が今説明したのは、身体活動と運動は全く別物ですよ、どちらも行ってくださいというような意味合いだったのですけれども、実際は含まれているという解釈でいいということですか。事務局、それでいいですか。
【小田課長補佐】  エビデンスについては別々にあるところですので、身体活動を1日60分する中で、週60分の運動も取り入れましょうということですので、もちろんそれを一緒にしていただくという分にはいいかと思うのですけれども、ただ、身体活動だけではなく、運動も週60分取り入れましょうという位置づけかと思います。
【中島座長】  今、御指摘のあった、※3などのところで、「身体活動の一部で」というのは。
【田邉室長】  今の御指摘は、例えば生活活動を毎日60分行っている人がいたとして、その人については生活活動による健康増進効果はありますけれども、運動の部分を身体活動で全然行っていないのであれば、運動によるプラスの健康増進効果はありませんということだと思います。したがって、身体活動の中に「+運動」と書いていますけれども、運動もされているのであれば、当然、その運動による効果も入ってきますが、生活活動で1日60分、8,000歩しか毎日行っていない方は、土・日に運動として1日60分、週60分行ってくださいというニュアンスだと思いますので、普段の生活の中で身体活動と運動を両方ともされている方については、藤内構成員がおっしゃるとおり交ぜてもいいのですが、生活活動しかしていない方については、運動を休みの日に行ってくださいというメッセージと考えていただければいいと思います。そういう意味で、独立したエビデンスがあるということです。
【中島座長】  では、大きな項目で「身体活動」「運動」「座位行動」等々がありますけれども、みんなそれぞれorで結ばれていたということは、普段、例えば成人で言うと、1日60分・8,000歩以上歩かない人でも、週に1回60分以上、汗をかくような運動をすればいいという理解なのですね。
【田邉室長】  はい。そういう方については、運動による健康増進効果はあると。ただし、身体活動による健康増進についてはないというイメージです。
【中島座長】  では、先ほどの藤内構成員の質問については、基本的には含まれないというのが答えですか。
【田邉室長】  それは個人個人のケースによりますので、身体活動と運動を両方ともされている方であれば、当然含まれますけれども、1週間、単に通勤だけで、運動としては何も行っていない人であれば別という、個人個人の身体活動がどういう生活活動と運動のバランスで行われているかによると思います。
【中島座長】  藤内構成員、今の御説明でよろしいですか。
【藤内構成員】  例えば、通勤中に意識的に早足で歩いて、例えば朝と夕で20分、通勤で歩いている方は、生活活動の中でそういう運動ができているということになるので、そういう方は、もちろん身体活動で23メッツがクリアできるし、早足で歩いている分も運動としてカウントして、それが4メッツを超えればOKということで、要は、23+4ではなくても、まさに日々の活動の中でそういう運動が組み込まれていれば、それはトータルで23メッツでもいいということですね。
【中島座長】  そうだと思います。
先に急いでいいですか。津下構成員の手が挙がっています。お願いします。
【津下構成員】  どのようにエビデンスを整理されたかという話と、一般の方がどう受け止めていくかという話が混在している感じがしています。これについては、左から推奨の強さが強いのか。例えば、座りっぱなしと先ほどありましたけれども、非常に身体活動が低いレベルにある人が少しでもやることという意味もあるということになると、むしろ生活の仕方を工夫する中に、座りっぱなしを減らすような工夫、こまごま動いて歩数を稼ぐことというか、それを生活のレベルで行っていくことがまず一つ重要である点。また、意識的にする運動の中で有酸素運動、一定の強度のある運動とトータルの23メッツ以上というものがあるのと、あと、筋トレがあるということです。WHOのガイドラインの図では低いほうからだんだん体力がついてきたり、「やる気がある人はもっとここまでいけますよ」みたいな並びになっていて、「では、自分は今ここだから、次はこれをやらなきゃね」みたいなメッセージが受け取られるのですけれども、この表の場合は、「どれでもいいですよ」なのか、ここを強調したいのだということがもう少し分かったほうがいいように思いました。左側を優先的に考えるのであれば、左側に一番推奨すべき、身体活動+運動を両方行っているパターンがあって、運動が意識的にできなくても生活活動で一定量があればいいですよ、そして、座位行動みたいな感じになるし、これは優先順位と捉えていいのかどうか、並び順も少し考えてもらったらいいのではないかと思いました。
【中島座長】  事務局、優先順位はどうかという考え方について、いかがでしょうか。
【田邉室長】  そういう意味では、おっしゃるとおり、左から身体活動が当然日々のものですので、1番で、運動、座位行動というふうになると考えております。
それから、1点修正があります。先ほどの、通勤で早歩きをするというのは、それは身体活動ですので運動には含まれません。※2と※3を見ていただくと、※3で、運動とは余暇の時間に行うものという定義ですので、あくまで通勤は※2に書いてあるように、それは身体活動ですので運動には含まれません。したがって、余暇の時間に体を動かすのが運動ですので、通勤で早歩きしているのは身体活動なので、運動はしていないという定義になります。そこのところは要注意なのですけれども、そういう意味では、少し細かいのですが、あくまで休みの日というか、仕事などと関係なく行う活動が運動と考えていただいたほうがいいかと思います。
【中島座長】  運動の定義ということでした。優先順位としては、できることから行うという感じでいくと、座位行動の位置づけが難しいのではないかと思うのです。かといって、一番左側に座位行動を持ってくるのもどうかという感じもしますので、この3項目を入れるのであれば、やはりこの順番になるかなと思いました。事務局、その解釈でよろしいですか。
【田邉室長】  そういう意味では、例えば、先ほど筋トレを運動に入れてしまうという御意見がございましたので、座位行動も、例えばそれを「その他」で注意事項のような書き方にすれば、全く横並びではないように見えるので、そういう表現ではどうでしょうか。「身体活動」「運動」「その他」で、「その他」のところに、今、座位行動で書いている文言を入れるという形であれば、重み付けといいますか、少し変わってくるのかなと思います。例えばそのような見せ方等もあるかと思いますので、また先生方に御相談させていただきながら修正しようと思います。
【中島座長】  澤田構成員、一言、今の座位行動の入れ方の案についてどうですか。
【澤田構成員】  現在の流れでいきますと、座位行動にさらに睡眠も入って、24時間で生活全体を考えていこうという方向にいっておりますので、座位行動を「その他」に入れ込むというよりは、座位行動を特出しして、特に研究データは、この座位行動(sedentary behaviour)に関しては非常にたくさん出ていますので、影響も決して小さくないということも分かっていますし、座位行動はこれから恐らくさらに増えていくということが容易に想像できる状況ですので、ここは明確にメッセージとして国民の方たちに特出しした形で出していければと、私個人は考えております。
【中島座長】  では、今の事務局の、「その他」のところに入れるということに関しては反対だということですか。
【澤田構成員】  はい、おっしゃるとおりです。
【中島座長】  ここは、また先で検討させていただければと思います。
約11時頃までこの表について話し合えるというシナリオがございます。次、黒瀨構成員、よろしくお願いいたします。
【黒瀨構成員】  まず、一番最初に申し上げたいのは、健康日本21の今回の重要な視点として、「誰一人取り残さない」という視点がございます。その点から言うと、先ほど横手構成員も御懸念されていたように、障害のある方、特に車椅子の方、あるいは、つえをつかないと立位がとれない方といったことに対する配慮をしっかりとここで示す必要があると思います。特に座位行動を独立した1つのカテゴリーとして出すのであれば、なおさらそこをしっかりと表記していただくほうがいいと思います。少なくとも、この座位行動のこの表現の中で、座位行動だけではなく身体活動も運動も全部そうなのですけれども、障害のある方に対する配慮を何か、例えば欄外のただし書き等に入れていただくとか、あるいは、「可能な方であれば」というような言い方をするとか、何か工夫が必要ではないかと感じて聞いておりました。
【中島座長】  ここは、事務局も冒頭に言いましたように、立位がとれない、あるいは歩行が難しい方への配慮の文言は何らかの形で入れるということで、恐らく、今日はこういう文言は検討できないと。今から作るということになるかと思っています。事務局、それでよろしいですか。
【小田課長補佐】  はい。今後、この見せ方については検討させていただきたいと思います。
【中島座長】  石井好二郎構成員、手が挙がっていますね。
【石井(好)構成員】  私も、座位行動とかいろいろ学会で話す時に用いている資料がございますので、それをお見せできればと思っております。
これは、座位行動と健康の専門家が2018年にオーストラリアで集まった時の話をまとめたものです。こちらでは、結局、立ちっぱなしも座りっぱなしもよろしくないと。座ることは簡単だと言われると身体活動が強調されない可能性があるので、メッセージには必ず、座りがちな行動を減らして、身体活動を増やすべきだということが含まれなくてはいけないと。こういったメッセージ性が必要とあります。ですから、これがきちんと伝わるようにしていただきたい。私も座位行動に関してはいろいろ話をしていますけれども、常々ここを言って、途切らせればいいだけになってはいけないと思っております。
運動に関しましては、こちらです。例えば仕事でやっているところは、心肺機能にはあまり十分なことは与えられないので、余暇時間で運動というようなところが必要だというふうになると思います。
【中島座長】  石井構成員、ありがとうございました。先ほどの表の、「中断」だけすればいいのではなく、それを運動に結び付けるような書き方にしてはどうかという意見だったと思います。そこは「中断」で終わっているので、そこにもうひと工夫入れればいいのではないかと解釈いたしました。
では、荒井構成員、お願いいたします。
【荒井構成員】  基本的に今までの先生の議論に賛成で、3列にして整理するということでいいかと思っております。
有酸素運動についてはある程度目安がはっきりしていて、3メッツ以上の強度、あるいは心拍数で評価をするみたいなことができるのですけれども、筋トレについては、なかなかそういう目安が難しいと。参考資料のほうに幾つか書いてはあるのですけれども、筋トレといっても、例えばかかとを上げ下げするとか、ハーフスクワットなど、簡単にできるものであれば、別に毎日行っていただいても結構なのですけれども、運動指導士が関わるとか、あるいは、ジムに行って例えば30分、60分、全般的に筋トレをするということであれば、きちっと1日休息の時間を置いたほうがいいと思います。筋トレは非常にバラエティーが大きくて、毎日できるものから週2、3回にとどめておくものまでいろいろあります。一応参考資料を見たのですけれども、なかなかその辺の記載がないので、特に高齢者においては、やりすぎるとむしろ筋トレは逆の作用になってしまうので、そうならないような配慮などがあるといいのではないかと思いました。この筋トレについては、専門家の先生に入っていただいて、もう少し参考資料の内容を充実していただければありがたいと思いました。
座位行動については、先ほどの議論のとおりで、車椅子の方も、車椅子を手で操作して歩けば、ある程度有酸素運動的になりますし心拍数も上がります。そういった記載であったり、上肢の筋トレは可能かと思いますので、そういったこともどこかに追記していただけるとありがたいと思いました。
【中島座長】  筋トレのこの表に盛り込むのは少し難しいかもしれませんけれども、参考資料等に、年齢に応じた適当なインターバルであるとか、強さをもう少し書くべきではないかという御指摘だと思います。
手が挙がっている先生がいらっしゃいますけれども、年齢ごとにこれでいいかという視点も持って御意見を頂ければと思います。ここに関しては、手を挙げていらっしゃる鈴木構成員まで御意見を伺いたいと思います。では先に、石井荘一構成員、お願いします。
【石井(荘)構成員】  推奨値一覧に関しましては、この10年間で蓄積されてきたエビデンスに関して、身体活動・運動から座位行動まで、ストーリーを持って分担研究をされてきたと思いますので、今回、この一覧に座位行動を特出しして、それぞれの世代に入れていただいたことは重要な部分かと思います。
前回の2013では、高齢者の身体活動におきましては、強度を問いませんでしたので、極端な話、「立っているだけでもいい」といったメッセージになっていたかと思います。それを考えますと、今回の座位行動の欄は、「立っているだけでもいい」というメッセージの代わりになると思います。また、成人におきましては、適切な運動習慣があったとしても、やはり長時間の座りすぎにはリスクがあるといったメッセージになろうかと思います。こどもに関しても、当然、座位時間が増えることによって、余暇時間などでの身体活動量が減ってしまうというところのメッセージになると思いますので、今回、座位行動が一覧に含まれたことは、非常に重要なことだと思っております。
【中島座長】  今のこの3つの分け方に賛同するという御意見だったと思います。
では、鈴木構成員、お願いしてよろしいですか。
【鈴木構成員】  今回、おまとめ内容につきましては賛同いたします。1つ、先ほどのお話の※3のところですが、2006年の運動基準の時に、運動とはということで運動の定義を明確にしました。その時には、「余暇時間や体育・スポーツ活動の時間に」というところはなくて、私どもが保健指導等を行っている時に、1つ前のバスの停留所で降りて、それを自分の体の目的として歩いて通勤した場合のように、自分の体の目的を持って動いた身体活動に対しては、計画的に行動しているので「運動」ですと、皆さんにお話ししてきました。今回、この運動の定義については、変更されたという認識でよろしいでしょうか。質問です。よろしくお願いします。
【中島座長】  事務局、お願いします。先ほどは、余暇時間に行うものが運動とおっしゃっていたと思います。
【小田課長補佐】  我々の認識としましては、2013年のものを踏襲したというところで、特に大きく変更したという認識はなかったのですけれども、2013の時には、鈴木構成員が先ほどおっしゃった、通勤時間に意図的に競歩で歩くのは運動であるという定義であったという理解でよろしかったでしょうか。
【鈴木構成員】  そういう理解できていたのですけれども。
【中島座長】  澤田構成員、何かありますか。
【澤田構成員】  こちらの定義は研究班のほうで提案させていただいたもので、鈴木構成員から御指摘いただきましたとおり、2013年のものから変更させていただいております。
1点は、「体育の時間・スポーツ」が入りましたが、2013年にはこどもが対象に入っていませんでしたので、今回、こどもを対象にしてガイドラインを提案させていただきましたので、体育・スポーツ活動ということを入れさせていただきました。また、余暇時間というものを入れさせていただきましたのは、まさに鈴木構成員から御指摘いただきましたような、御本人の気持ち次第で運動になったり生活活動になったりするという、生活の中で動いたとしても、気持ち次第で、目的を持てば運動になってしまうという混乱がありました。
また、文献におきましては、leisure-time physical activityという形で、余暇身体活動という形の論文が運動の中には多く含まれておりますので、そういう意味で、混乱を避けるため、また、文献、エビデンスに合わせるために、逆にこれまで御指導いただいた皆様におかれましては定義の変更は混乱を生んでしまうということになるのですけれども、ここで改めて、余暇時間、あるいは体育・スポーツということを入れさせていただいた次第です。
【中島座長】  鈴木構成員、定義は2013年から少し変えたということでございます。
【鈴木構成員】  これは運動をする人よりも、スポーツをする人のカウントに入ってくる可能性が高く、運動をする人ということを皆さんに問うたときには下がるのではないかと、健康日本21などでも影響を受けるかもしれないと、少し懸念するところです。運動の定義は、管理栄養士、栄養士たちをはじめ、2013年までの運動の定義で、自分の体の目的を持ってプラスで一生懸命動くことも運動に関わりますと言ってきました。そこの部分が崩れますので、少し慎重に検討してもよいのではないかと思います。
【中島座長】  澤田構成員、身体活動の中の括弧の中にある「運動」と左から2番目の大項目にある「運動」は、一緒のものと考えなければいけないのですか。先ほど鈴木構成員がおっしゃった、早歩きで一駅わざわざ歩くとか、そういうことは身体活動の中の運動ではあるけれども、わざわざ行う運動とは別物とか、どういう解釈なのでしょうか。
【澤田構成員】  今回の定義になります、この※3の定義で運動を捉えていただければと思っております。左から2番目の「運動」も同じく※3です。
【中島座長】  ということは、一駅早歩きで歩くというのは生活活動のほうですね。
【澤田構成員】  そうです。今までは、鈴木構成員がおっしゃられたとおり、目的を持って計画的に歩いていますので、運動の定義に入っていたのですけれども、それが定義から外れてしまうということで、鈴木構成員の御指摘のとおり、混乱はあると思います。
ただ、国民健康・栄養調査につきましては、質問紙自体にはそこの定義はこの形で明確に入ってないので、大きな混乱がなければいいなと思いますけれども、そこも鈴木構成員の御指摘どおり、十分慎重に検討していかなければいけないことだと思っております。
【中島座長】  事務局、運動の定義について、この場でディスカッションを進めていくべきですか。
【小田課長補佐】  今回、新たにレビューしていただいたエビデンスの部分についても少し整理させていただいて、澤田構成員たちとも御相談させていただきたいと思います。一回持ち帰らせていただいて、次回までの宿題とさせていただいてもよろしいでしょうか。
【中島座長】  はい。少し重い内容だと思いました。
では、このそれぞれの升の中が妥当かというところの確認の時間も必要ですので、津下構成員まででいいですか。では、津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  今の話は、本当に私にとっても青天の霹靂でございまして、運動習慣の考え方が全然変わってしまうくらい大きな変化であるということを認識の上、明記をしていただきたいと思っています。それが1点です。
それから、高齢者について、65歳以上となっていますが、事務局の説明でも、それぞれ個人に合ったということはあるのですけれども、この主な対象者は前期高齢者になるのか、例えば80歳以上になると歩数も非常に少なく、これを達成することが難しいということになります。高齢者をひとくくりにした表記をする場合においては、主にそのエビデンスを構築した年齢層、どのくらいをメインのターゲットとしているかということを明記したほうが、良いかと思います。後期高齢者がやり過ぎにならないためにも、安全性のためにも必要なのではないかと思ったのです。その辺りはいかがでしょうか。
【中島座長】  津下構成員、この表の中にですか。それとも、先ほどの補足説明の中にということですか。
【津下構成員】  これは「高齢者(65歳以上)」という記載になっていまして、上限がないので、90歳でもこの基準かなと受け止められるのではないかと。このエビデンスを作ったその論文のメインの年齢層があると思うのです。後期高齢者でも体力があるとか、個人に応じてこのくらいというような目安なのか、65歳以上は一律の基準というように見えるのが少し心配だと思ったのです。その辺はいかがでしょうか。
【中島座長】  事務局から、ありますか。
【小田課長補佐】  先生の御指摘はごもっともだと思います。こちらは、レビューの論文の数等は載せてあるのですけれども、改めて対象者、メインターゲットがどこなのかという部分を確認させていただきまして、主にはその対象であって、あとは、体力に応じて調整するという部分をさらに強調するというところかと思いますので、また高齢者についてこの表の見せ方を工夫させていただきたいと思います。
【中島座長】  細かく言えばものすごく細かくならざるを得ないところもありますけれども、ある程度は大まかにくくりにして、あとは補足説明かなという感じもいたします。
では、ずっと続けるとこのまま2時間終わりそうな感じがしますが、いかがですか。作りとしては「その他」の「筋トレ」は運動の中に入れさせていただく。それから、座位行動に関してはもう少し詳しくというか、立ち上がれない方への配慮を加えていただく。あるいは、中断するだけではなく、もう一歩前に進めたような文言を入れるということに集約していたかと思います。
この新しく加えられている、黄色い文言についてはいいですか。例えば御高齢の65歳以上ですけれども、マルチコンポーネントというのですか、多要素な運動を週3日以上しましょうというような言葉を入れたらどうかということでございますけれども、それは皆さん賛成していただけますか。
【構成員一同】  異論なし。
【中島座長】  成人に関しては、左側の2つの「身体活動」と「運動」に関しては、前回のバージョンをそのまま踏襲した内容となっております。これに関してもよろしいですか。澤田構成員、手を挙げられましたか。
【澤田構成員】  はい。こちらの高齢者のところで、前回の検討会でもマルチコンポーネント運動、略称で「マルチコ運動」ということで検討していただいて、今回の推奨値のほうにこのような記載を入れていただきましたけれども、国民に対するメッセージ性といった視点、あるいはWHOとの連携といった視点から、括弧書きで「マルチコ運動」と記載していただく、マルチコ運動とは何だろうということからこういった複合運動に対して関心を持っていただくという意味で、そういった記載をしていただくことを御検討いただければと思います。
【中島座長】  この表の中にですか。
【澤田構成員】  はい。この表で、「多要素な運動(マルチコ運動)」で、※で「マルチコ運動とは」と。もちろん片仮名用語や新しい用語を増やすということに対する課題といいましょうか、抵抗があるということも十分理解してはいるのですけれども、今回、筋トレ、座位行動、マルチコ運動というものが、研究班として提案させていただいた、新たな国民の方の話題にしていただける、そして、向こう10年において大切な用語だと思っていますので、そのことを御検討いただければと思っております。
【中島座長】  構成員の先生方、いかがでしょうか。前回の時も、初めて聞いた方が多かったと思いますので、「おっ」と思われた方がいらっしゃるのではないかと思います。この表の中にマルチコンポーネントの「マルチコ運動」というものをぜひ組み入れたいという澤田構成員の御意見ですけれども、いかがでしょうか。
【宮地構成員】  現在は、アクティブガイドや指針ではなく基準の話をしています。身体活動、運動、座位行動の言葉の定義も、先ほどから厳しく議論されております。マルチコンポーネント運動という正式な英文の言葉を使うのであればまだ良いけれども、マルチコ運動と略してしまうと、その言葉の定義が一層よく分からなくなってしまうというのが、私の懸念です。要は多要素な運動ということですね。そういうしっかりわかる言葉で定義をしないと、基準としては専門家にさえも理解されにくくなってしまうと思います。バズワード的な使い方というのは、国民向けのツールや、アクティブガイドで検討してはどうかと思います。基準ではできるだけ厳格に、先ほどの運動の定義の議論でもありましたように、しっかりとした定義に基づいて示していかれたほうがよいのではないかというのが個人的意見です。
【中島座長】  宮地構成員、ありがとうございました。荒井構成員、どうぞ。
【荒井構成員】  今の宮地構成員の御意見に全く賛成です。今回はその用語をここの表に入れるのは、私は反対します。
【中島座長】  ありがとうございました。そうですね、推奨値一覧の表ですので、たくさん言葉の解説をしなくてはいけないものをここで盛り込むのはやめておいて、ほかのところに幾つかありますので、その中に入れていただくことでどうでしょうか。
【澤田構成員】  承知しました。ありがとうございます。
【中島座長】  委員の皆さんの感触的にも、この表に入れるのはどうかなという感じが多いと思いました。
では、皆さん、こどもに関してはいかがですか。ここに関しては、あまり部活などで運動をしないお子さん向けということが前提としてありましたよね。それをどこかに明記されていますか。事務局、いかがですか。
【小田課長補佐】  推奨値の一覧のパワーポイントのほうで、4ページのこどもの欄でも冒頭に記載させていただいておりますのと、実際、参考資料2の最初の四角の一番最初のポツの部分で、同様の文章を記載させていただいております。
【中島座長】  そうなのですけれども、最も大事なこの表の中に、何かしらそれが分かるものがあったほうがいいのではないかと思いましたので、発言させていただきました。この表が一番大事なのであれば、この表に一番大事なポイントだけは入っておいたほうがいいのではないかと思いました。
【小田課長補佐】  ありがとうございます。記載させていただきたいと思います。
【中島座長】  黒瀨構成員、どうぞ。
【黒瀨構成員】  そもそもの話になってしまうのですけれども、この「こども」という表現自体が誤解を招いてしまう可能性はないでしょうか。というのは、「18歳未満」と書いてありますけれども、小学生、中学生、高校生と非常に幅広いですよね。その中で、先ほどの津下構成員の高齢者の話もありましたように、こどももかなり大きく違いがありますので、そこも表現の仕方があるのではないかと思いました。
あと1点、時間の節約のために申し上げたいのですけれども、高齢者の点に関して、こちらの高齢者版の案のほうには、「年齢・体力に応じて調整する」と書いてあります。これは恐らく、最終的に修正していただいて、こちらの一覧表のほうでは「個人差」という表現にしてくださっているのですけれども、これは統一しておいたほうがいいのではないかと思いました。「個人差」でいいと私は思います。
【中島座長】  黒瀨構成員、ありがとうございました。2つ目はそれでいいとして、1つ目の「こども」という表現ですね。先生、何か代替案がございますか。
【黒瀨構成員】  イメージとして「こども」というと、小学生・中学生が対象なのかな、学童期、義務教育期なのかなと思うのですけれども、高校生まで入れるとなると、今は18歳未満は未成年ですから、未成年という言い方のほうがより正しいのではないかと思います。また、こちらのこども版のほうで見ると、ほとんどのエビデンスが6~12歳、13~15歳というところで現状の状況が説明されていますので、18歳未満を全部ひとくくりにする表現の仕方はどうなのかなと、少し違和感があったので言わせてもらいました。
【中島座長】  そうですね。「こども」という語感からは小学生くらいの感じがします。学童期というと中学生くらいまでになるのですかね。成長期などの言葉もあるかと思います。事務局、この「こども」という表現に関して、いかがですか。
【田邉室長】  健康日本21の方でも、「こども」、「高齢者」という言葉を使わせていただいたので、それに合わせて「こども」という表現にさせていただいたのですけれども、少し検討させていただきます。
【黒瀨構成員】  統一性があるのであれば、それでいいと思います。
【中島座長】  黒瀬構成員からは、統一性があるのならばそれでいいのではないかという御意見でした。では、事務局で少し検討してください。
【石井(好)構成員】  海外のほうでは、school age children(学齢期)と、あと、and adolescent(思春期)となっていますので、実際には、日本で考えると「こども・青少年」という捉え方が分かりやすいかと思います。
【中島座長】  青少年とこどもは、また別にしたほうがいいのですか。
【石井(好)構成員】  日本で「こども」と言ったときは、どうしても学齢期といいましょうか、児童と思われるかもしれないので、加えるとしたら「こども」と「青少年」にすると思春期が入った感じになると思うので、そういうほうが言葉として伝わりやすいかと思います。
【中島座長】  鈴木構成員、何かアイデアがありますか。
【鈴木構成員】  今の何歳の議論ではないのですが、「こども」に関して、よろしいでしょうか。
【中島座長】  できれば「こども」という表現に関して。
【鈴木構成員】  すみません、表現ではないところで手を挙げました。
【中島座長】  では、ここの表現は健康日本21との兼ね合いもあると思いますので、いったん事務局引き取りでお願いします。
【小田課長補佐】  承知いたしました。
【中島座長】  では、鈴木構成員、どうぞ。もうこれで、一応ここの表は終わりにしたいと思います。
【鈴木構成員】  「こども」の、部活動をしているこどもさんに対しては、抜きますという形ではなくて、全体はこういう基準です、発育・発達に合った運動量にしましょうという、多くやっているこどもに対しては、注意の方向で記載するほうがいいのではないかと考えます。運動量が多いこどもを抜きにしてこの基準を使いましょうというのではなくて、部活動のこどもたちに言っているのではありませんよというのではなくて、「多くのこどもにはこの基準です。たくさん運動しているこどもに関しては、注意をきちんとしてほしい」という、それこそ「その他」のほうに入れるべきなのではないかと考えました。
【中島座長】  御意見ありがとうございます。事務局、お願いします。
【小田課長補佐】  どのような強さで訴えていくかという部分になるかと思います。先生の御指摘はごもっともでございます。今回WHOが推奨しているというところで、こどもの総運動時間を見ても、420分以上はかなり多いということで、やり過ぎに注意するという部分は非常に該当者が多いという部分でございますので、この表の中、もしくはシートのほうでも少し強調させていただきたいと考えております。
【中島座長】  今の御指摘は、こどもを場合分けするのではなく、「全てのこどもたちにこのくらいの運動が要る。ただ、部活などでやり過ぎている人は注意が必要ですよ」という文言をこの表の中に入れる、あるいは「その他」のところに入れるというアイデアだったのではないかと思います。
【小田課長補佐】  先ほど中島座長の御意見があった、ここの「こども」の部分に、対象を運動習慣の少ないこどもとするのか、それとも、全体的に示して、右側の「その他」にやり過ぎの方は注意しましょうと記載するのかというところで、後者のほうが良いのではないかという御意見ですか。
【中島座長】  そういう鈴木構成員の御意見だったと思います。
【小田課長補佐】  失礼いたしました。そこも一回持ち帰らせていただければと思います。そのあとの見せ方については、他省庁からも少し御意見を頂きまして、御検討させていただければと思います。
【中島座長】  文部科学省との兼ね合いもあるようで、即答はできないようですので、先生、これはまた事務局預かりということで。預かりが増えて申し訳ないですけれども、そのようにさせていただきたいと思います。
事前に説明されたのは、11時頃までにこれを終えるようにという指示を受けましたが、皆さんにたくさん意見を言っていただいて、大幅に超過しました。今日が最後ではありませんので、先に進めさせていただければと思います。
 
・身体活動・運動に係る参考情報(案)について
【中島座長】  田邉室長、次の説明をお願いしてよろしいですか。
【田邉室長】  では、次の6ページと参考資料3を併せてご覧いただければと思います。こちらは運動を指導される方、あるいは、政策立案者の方等に参考としていただく資料として用意したものでございます。
7つテーマを用意しております。1つ目でございます。まず、「①身体活動基準の認知と身体活動について」でございます。こちらに関しましては、こういうガイドライン的なものの認知度の向上が身体活動の向上につながるという報告がございますので、どちらかというと政策立案者の方に向けたメッセージでございます。こういうものについて、しっかり認知度を高めていきましょうというところでございます。残念ながら現在の最新のものですと20%くらいですので、より一層認知度の向上に向けた取組をしましょう、情報発信をお願いしますというようなメッセージを書いているものでございます。
「②筋力トレーニングについて」は、先生方に今御議論いただきました、筋力トレーニングについて細かく書いたものでございます。こちらに関しましては、まず、筋力トレーニングという言葉の持つイメージでいう、いわゆるウエイトトレーニングだけではなく、自重による運動も含むということをまず大前提として書かせていただいた上で、頻度の週2日程度ということを書いてございます。また、どういう効果があるかという部分でございますけれども、生活機能の維持・向上に加えまして、疾病の発症予防であるとか死亡リスクの軽減につながるという報告がございますので、そういう面からも筋力トレーニングを取り入れてはどうかということを推奨させていただいているものでございます。また、先ほどからございますように、他の運動、いわゆる有酸素運動等々と組み合わせていただくと健康増進効果があるということを書かせていただいてございます。
次が、「③働く人が職場で活動的に過ごすためのポイントについて」ということでまとめてございます。主に働いている方、また、いわゆる雇用者側の方々をイメージして用意したものもございます。ご覧のとおり、働く世代はどうしても運動習慣者が少ない、特にオフィスワーカーの方は、座って仕事をする時間が長いために身体活動レベルが低くなる傾向があるということが報告されてございます。こういう方々に対して、職場での活動量を上げることによって健康増進プラス労働生産性の向上につながる可能性があるという報告もございます。こちらに関しましては、特に取組事例について力を入れておりまして、前回も数例あったのですが、今回はなるべくその事例を、いろいろなパターンを用意させていただいて、参考になるものになるようにという工夫をさせていただいてございます。
4点目が、まさに運動を指導される方に向けた注意喚起をするという意味で、「④身体活動・運動を安全に行うためのポイント」を書いてございます。運動を開始する前、運動中、運動後ということで、例えば運動開始前ですと、疾患の有無、あるいは内服薬等々。身体運動中については、活動の内容、環境、特に最近ですと室温や気温等々ございますので、そういう面についての注意喚起。あるいは、運動後に注意する点等をまとめてございます。例えばお薬ですと、利尿薬などを飲んでいる場合は脱水になりやすい等々の例示を書いて、分かりやすく解説をしてございます。
5番目が、「⑤身体活動による疾病等の発症予防・改善のメカニズムについて」ということで、これもどちらかというと運動を指導される方の理解を深めていただくようなイメージでございます。メタボや心血管疾患、がん等につきまして、運動がどういうメカニズムで働いて病気の発症予防や改善につながるのかということを書いてございます。例えば骨粗鬆症ですと、骨への物理的な刺激が加わりますので、それによって骨のリモデリングのバランスに影響を与え、骨粗鬆症の改善につながるというようなことを書いております。
6つ目が、「⑥全身持久力(最大酸素摂取量)について」です。日本人の平均の値を、研究のレビューから性・年代別に基準値を出しています。これも運動を指導される方の参考になるものということで御用意しております。
最後の「⑦身体活動支援環境について」は、環境整備の部分でございます。身体活動の中の生活活動と運動に大きく分けまして、物理的な環境と社会的環境ということで用意してございます。
参考資料3をご覧いただければと思います。先ほど申しました「ガイドラインの認知と身体活動(案)」でございます。2番のところで、現在の認知度を書いております。大体、2割くらいということで、しっかり頑張っていきましょうというものでございます。
次の「筋力トレーニングについて(案)」にいっていただきまして、筋力トレーニングにつきましては、一番上のところに大事な点をまとめてございます。先ほど申しました、筋力トレーニングというのは筋トレマシンなどだけではなく、自重のものも含まれるということでございます。2番のところ、エビデンスの部分でございますが、左側の図1で、筋トレと総死亡の関係、右側のほうでは、さらに有酸素運動を組み合わせた場合の総死亡との関係ということで、有意に効果があるということを示しているものでございます。
次、「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント(案)」です。少しページをおめくりいただきまして、3ページ目、4番の「事例集」をご覧ください。工場であるとか職場、オフィスなどいろいろなパターンを用意しておりまして、どういう活動が職場でできるのかというものを示してございます。この中で取り入れられるものがあればぜひ取り入れていただければというイメージで用意してございます。
次が、「身体活動・運動を安全に行うためのポイント(案)」でございます。先ほど申しましたように、運動前、運動中、運動後に分けて書いてございます。2番のところで、まず運動前に注意すべき、例えば疾患であるとか、次のページにいかせていただきまして、内服薬。先ほど申しましたように、例えば利尿薬等々を飲んでいるかどうか、血圧の薬、糖尿の薬等々がある場合の注意点を書いてございます。このような感じで、運動前の注意点。それから、ページをおめくりいただきまして、運動中の注意点等で、その方の症状等によるものや、先ほど申しましたように、気温、室温や湿度に対する配慮、熱中症等々についても注意してくださいという部分を書いてございます。
その次が、「身体活動による疾患等の発症予防・改善のメカニズム(案)」でございます。こちらは主に身体活動・運動によるロングタームの効果を中心にまとめて書いてございます。なかなか全てを網羅するのは難しいのですれども、運動を指導される方にご理解を深めていただくような意味で書いているということで、主に次のような形で改善のメカニズムを表でお示ししているものになってございます。
次が、「全身持久力(最高酸素摂取量)について(案)」でございます。次のページをおめくりいただきまして、日本人の平均の参考値を、前回の時は20歳刻みだったのですが、今回は10歳刻みにさせていただいて、10歳から79歳まで10歳刻みで基準値を示しております。
最後が、「身体活動支援環境について(案)」ということで、環境整備の部分でございます。主に政策立案者の方に向けてというイメージでございます。少し小さいのですが、表の部分をご覧いただきまして、生活活動と運動でそれぞれどういうことをすると身体活動の増加につながるかというような観点で用意しております。
駆け足でございますが、参考資料につきましては以上となります。よろしくお願いいたします。
〈質疑応答〉
【中島座長】  ありがとうございました。説明がありましたように、今度は指導する側に対する、少し詳しめの解説であると。それを箇条書きにしたものが、今、目の前にあるもので、それを詳しく書いたものが、先ほどの参考資料3と思っていいと思います。
では、資料1を基に、7つありましたので1つずついきたいと思います。まず、「①身体活動基準の認知と身体活動について」ということで、そこにまとめが書いてあります。
津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  国民の認知度を上げるためには、行政とか指導者とか医師とか、専門職がこのガイドをしっかり知って、活用できるようにしないといけないと思います。国民の認知度を上げると書いてあるのですけれども、その前段階として専門職や行政がしっかり理解して使っていく、そこの段階の認知度を上げなければいけないということを書いていただくといいのではないかと思いました。といいますのも、運動指導者の研修会で「アクティブガイドを知っていますか」と聞いて、知らないという方々が非常に多いということにびっくりしたことがありまして、まずは指導者、行政が知るということも明記していただきたいと思いました。
【中島座長】  事務局、よろしいですか。
【小田課長補佐】  ありがとうございます。御指摘はごもっともだと思いますので、明記させていただきたいと思います。
【中島座長】  指導者への認知度向上ですね。石井構成員、お願いいたします。
【石井(好)構成員】  以前から言われています、EBM (Evidence-Based Medicine)と、もう1つ、NBM(Narrative-Based Medicine)というところで、物事に基づいたというところで、国民に伝わりやすい分かりやすい言葉を使うということが重要と思います。ある意味、詭弁ではなく方便のようなこともあってもいいかなと私自身は思っています。国民が分かって、理解しやすいように、基準のほうはエビデンスベースで、こちらは多分指針になると思いますけれども、そちらのほうは国民に伝わる言葉を用いたほうがいいのではいなかと思っています。
【中島座長】  ここの言葉は、先ほどの説明では指導者向けという話だったと思いますけれども、それも含めて国民ということですか。それとも、国民向けの例えばガイド、パンフレットがありますよね。
【石井(好)構成員】  指導者は恐らくそういった参考書を読むと思うのですけれども、国民に伝える場合には、そういう方法にしないといけないのではないかと思っています。
【中島座長】  社会に向けては、また別にパンフレットをお作りになられていたと思いますので、そこでは非常に分かりやすい言葉を使うのが重要だと思いました。事務局、今、目の前に見えているものは、一般向けではなく指導者向けという理解でよろしいですね。
【小田課長補佐】  はい。御認識のとおりでございます。
【中島座長】  では、澤田構成員、よろしくお願いいたします。
【澤田構成員】  今のお話に関連して、資料1につきまして、この情報の分類、具体的には「①身体活動基準の認知と身体活動について」で、その右に「高齢者」「成人」「こども」と書いていただいておりますけれども、こちらは参考情報の対象が誰かという意味では、よく理解できる分類ではございますけれども、研究班として参考情報を作成させていただいたのは、読んでいただくターゲットは、この「高齢者」「成人」「こども」の分類ではなくて、具体的には、最初の資料については健康立案者、②の筋トレに関しましては運動指導者、③の働く人につきましては、産業保健担当者をターゲットに作成しています。今の分類でも良いかと思いますけれども、資料1としては、読んでいただきたいターゲットで分類する方法もいいのではないかと思いますので、御検討をお願いいたします。
【中島座長】  もっともな御意見かと思いました。もちろん、対象となる高齢者、成人、こどもの記載もあっていいと思いますけれども、ここの文を読むべき人が誰かということをもっと明記してはどうかという意見だったと思います。事務局、よろしくお願いします。
【小田課長補佐】  はい、承知いたしました。
【中島座長】  では、②の筋トレについてのところにいきたいと思います。御意見はございませんか。自重で行う、週2回、これは高齢者・成人ですね。筋トレの実施。先ほど荒井構成員から御質問のあった、間隔を開けるなどについては、参考資料のほうには詳しく書かれているのですか。あまり書かれていないという御指摘があったような気がしますが、事務局、いかがですか。
【小田課長補佐】  休養日、または取組に対しての、実際にどのような形で取り組むかといったところは、専門家の先生を入れてという御指摘がございましたので、検討させていただきたいと思います。
【中島座長】  では、そこはお願いいたします。津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  筋トレについて、ここに書いてあることはいいのですけれども、筋トレ愛好家などで、プロテイン摂取など、そういうサプリメントをかなり使っている方があります。これは、栄養摂取というか食事摂取についてまた1枚作られるという話が先ほどありましたけれども、高齢者でプロテインを取り過ぎると、腎臓への悪影響もありますので、筋トレをすればするほど健康効果は得られますかと受け止められたり、サプリメント、プロテインを使ってでも筋トレをしたいという方への警鐘も少し入れておいてもいいのかなと思ったので、御検討いただければと思います。
【中島座長】  津下構成員としては、そういうサプリメントをしたほうが効果的ということではなくて、やり過ぎの人に対する抑止力という意味ですか。
【津下構成員】  そうです。中高年でも既に腎機能が落ちている方に話を聞いてみると、運動が健康にいいからということで、筋トレを頑張って、サプリメントも、プロテインとかそういうものも勧められて飲んでいるという方を少なからず拝見しております。留意事項としてはここに入れていただくか、食事摂取かどこかで触れていただいてもいいのではないかと思います。
【中島座長】  事務局、栄養に関して、どうですか。もしくは、今の御指摘に関して、ここにもう少し入れるか。
【小田課長補佐】  栄養のほうについては、鈴木構成員と御相談させていただきながら、内容について詰めさせていただきたいと思います。また別でシートを作る形になることを想定してございます。また、筋トレの部分でも、そこにリンクづけるような、詳しくは参照してくださいといったような文言を少し入れて、そちらをリンクできるような形の記載を検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【中島座長】  では、先にいきたいと思います。「③働く人が職場で活動的に過ごすためのポイントについて」です。では、荒井構成員、よろしくお願いいたします。
【荒井構成員】  ここは成人のみが書かれているのですけれども、最近は高齢の方でも働く人が非常に多く、日本はOECD諸国に比べても高齢者で働いている方が多いので、ここが成人だけというのは少し引っ掛かります。
あと、先ほど言うべきだったと思いますが、「こども」について、漢字の部分と平仮名の部分が混ざっているので、統一したほうがよいかと思います。いろいろな法律で、こどもは18歳未満の学童・生徒を表すことになっておりますので、少し違和感はあるかもしれませんけれども、「こども」のままでいいのではないかと考えております。
【中島座長】  確かに65歳以上でもたくさんの方が働いていらっしゃいますので、これを成人のみに限るのはおかしいのではないかという御指摘だったと思います。事務局、よろしいですか。
【小田課長補佐】  はい、承知いたしました。
【中島座長】  そのまま高齢者を入れるべきなのかどうかは、少し悩むところですけれども、そこは考えていただければと思います。それから、「こども」という文言に関しては、漢字だったり平仮名だったりというところです。ただ、もう第3次がオープンにされていますので、そことの整合性が必要かと思いました。では、津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  事例も引いてあって、非常に分かりやすいのですけれども、先ほど荒井構成員がおっしゃった、高齢労働者とか、特に介護とかそういう現場で働く方が、転倒とか腰痛など、様々な労災事故が増えているということがありますので、そういう防止活動として運動を取り入れている職場の例などを入れていただくと、高齢者労働者が多い職場の取組に触れることができるのではないかと思いましたので、御検討いただければと思います。
【中島座長】  ここにはたくさんのケースが例として挙げられています。その中に介護のところなどを入れるということですか。
【津下構成員】  これは、オフィスワーカーで運動不足のところと、どちらかというとメタボとか生活習慣病予防関連のところが入っているのですけれども、もう1つ、高齢労働者の多い職場での取組など、労働局側でそういう調査もしたことがあると思いますし、職場でのこういう運動の取組の事例も、介護現場等も触れていただくと、範囲が広がってくるのではないかと感じたところです。
【中島座長】  介護現場というか、高齢の方が多く働いている場所での事例ということですね。
【津下構成員】  はい、そうです。
【中島座長】  石井構成員、手を挙げられていますか。
【石井(好)構成員】  はい。今回、オフィスワーカーが中心になっていますが、「協会けんぽ」などの調査では、いわゆるブルーカラーといいましょうか、肉体労働の方々が、大変ハイリスクの方が多くなります。津下構成員や、今回御欠席の横手構成員、荒井構成員などは、「私はたくさん仕事で動いています」と言う方が通院してこられるのはよくあるパターンです。そういう方々にさらに動いてくださいと言うのが、正しいメッセージかどうか。疫学で「肉体労働者の方が肥満している」という結果に対し、その方々はよく食べていますとか言うので、そこを調整するのですけれども、実際には、そういう方々は動いているけれど食べてしまっているというのがリアルワールドなので、そこを、うまくメッセージを入れると言いましょうか、ここでも、肉体労働という激しい仕事が健康に対してあまり貢献していない、身体活動パラドックスというのですけれども、そういったものがあるということを加えたほうがいいように思います。
【中島座長】  激しい労働もよくないということですか。
【石井(好)構成員】  そうです。「私はそれをやっていますから」と、運動をしない方が多いのです。私もよく、そういったことを先生方から御質問を受けます。そういった質問に対しては、身体活動をしていても、労働で強いられている場合にはあまりプラスにならないというようなことも、メッセージとしてはあるべきかと思います。
【荒井構成員】  今の点はまさにそのとおりで、就労中の活動はあまりイベント抑制につながらないというのは、エビデンスとして分かっていて、労働時間以外の運動が、効果があるということなので、今の石井構成員の御指摘は入れていただくといいかと思いました。
【中島座長】  具体的には、この事例の中にそれを入れるということになるでしょうか。石井構成員、それでいいですか。
【石井(好)構成員】  そうですね。そういう仕事上の身体活動は、健康に貢献しないというものがあるというようなことを書いていただいたほうがいいと思います。
【中島座長】  では、この③に関して、最後に小野構成員、お願いします。
【小野構成員】  ここの働くところに高齢者を入れるべきという荒井構成員の御意見は、ごもっともと思います。一方で、この働くというのは、作られた意味としては、オフィスワーカーを対象としたものと認識しております。ただ、高齢者が働くというのは、障害予防という観点だけではなく、社会参加という要素が非常に大きいのではないかと思っております。そういった観点から見ると、ここはあまりマッチしないように感じるのですが、そういった社会参加としての労働は、あえて今回は認識しないという理解でよろしいでしょうか。
【中島座長】  事務局、お願いしていいですか。
【小田課長補佐】  先生方から様々な御意見を頂きまして、今回は、オフィスワーカーはそもそも座位時間が長いという報告があるというところをベースに、オフィスワーカーとなると、やはり対象は成人が多いだろうというところで、そこを対象に、事例の内容としても、主に企業の中ですとか、そういったものを中心に記載させていただいたところでございます。ただ、当然、働く人というところの問題としては、先生方に御指摘いただいたように、座位行動が長いという以外にも多くあると認識しているところでございます。一方で、この中にどこまでの情報量を書き込むかについて、先生方の御意見をまとめさせていただきまして、少しこのシートについては構成から見直したいと思います。
【中島座長】  社会参加というのは、精神的な意味での効果も書いたらどうかという意味ですか。
【小野構成員】  はい。社会で参加することで活動量が維持されるということもあります。また少しこことは違うなとも思ったのですが、荒井構成員、いかがでしょうか。そんなものは入れなくていいでしょうか。
【荒井構成員】  難しい御質問を急に振られて、今は考えてなかったです。これはまた議論すればいいかと思います。
【中島座長】  分かりました。あと残り5分という表示が出ましたので、次のページの、④にいってもらっていいですか。「④身体活動・運動を安全に行うためのポイントについて」です。御意見はございますか。「利尿剤等の内服」と急に具体的な話だと思ったのですけれども、これは、脱水などを予防するためという意味の意図的な入れ方ですか。
【田邉室長】  分かりやすい例かと思いましたので、例として書かせていただきました。冊子のほうには、それ以外にも糖尿病薬や高血圧の薬など、いろいろな例がございます。ぱっとイメージが湧きやすいかと思いまして、例として書かせていただいたという以上の意図はございません
【中島座長】  あってもいいかなと思いましたけれども、何かそこだけ異様に具体的かなという印象も受けたのは正直なところです。
先生方、ほかに何か御意見はございますか。ここはこれでよろしいですか。
事務局、これは2時間たったらぷっつり切れるわけではないですよね。
【小田課長補佐】  はい、そのようなことはありません。
【中島座長】  先ほど、字幕で「あと5分です」と出たので、心配になりました。
では、「⑤身体活動による疾病等の発症予防・改善のメカニズムについて」というものが緑色であります。ここについて御意見はございますか。よろしいですか。
私が時間のことばかり言うので、意見を出しにくくなったのであれば、申し訳ありません。
【荒井構成員】  下の例で、骨粗鬆症が書いてあるので、もし可能であれば、上の「疾患の発症予防のメカニズムを疾患別」の括弧の中にも骨粗鬆症を入れていただいてもいいのかなと思いました。
【小田課長補佐】  追記させていただきたいと思います。
【中島座長】  ここはかなり広範なところが含まれていますね。では、6番にいきましょう。「⑥全身持久力(最大酸素摂取量)について」です。津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  全身持久力について、評価法としてエルゴメーターやトレッドミルの話があるのですけれども、実は、特定健診の質問票を作成する時に全身持久力を反映できるようなものがないかということで、ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速い、これは全身持久力、VO2maxの比例関係にある12分間歩行を分かりやすく表現したものということで作成されて、全身持久力を質問票レベルで割と把握できることと、特定健診ですから全国3,000万人の方が毎年受けているということです。それがある程度、全身持久力に関連があるということを触れていただけると、全身持久力にも関心が向くのではないかと思います。特殊な機器でないと測れないという雰囲気で書かれてしまっていると、少しもったいないかなと思います。例えば歩行速度や階段を楽に上れるとか、そんなことが全身持久力と関係しているので、日常でどう把握するかということに触れていただいたらどうかと思いました。
【中島座長】  ありがとうございました。より現実的なというか、普通の活動に結び付けた表現がいいのではないかというお話だったと思います。では、事務局、よろしくお願いします。次、小野構成員、お願いします。
【小野構成員】  すみません、1個前のところで恐縮ですけれども、参考資料3の「身体活動による疾患等の 発症予防・改善のメカニズム」の、図1の「疾患群」のところで、上のメカニズムのほうは「運動器障害」と書かれていますが、ここは「筋骨格障害」と書かれているので、どちらかに統一したほうがいいのではないかと思った御指摘でございます。
【中島座長】  「筋骨障害」とか「筋骨格障害」とか書いてあるところですね。では、統一をお願いいたします。これはmusculoskeletalの訳ですよね。
【小田課長補佐】  修正させていただきたいと思います。
【中島座長】  ありがとうございます。では、宮地構成員、お願いします。
【宮地構成員】  津下構成員、貴重な御意見をありがとうございました。特定健診の質問票もそうですし、呼気ガス分析や自転車エルゴメーターやトレッドミルを使わなくても、日常生活の活動から最大酸素摂取量や体力を推定する質問票や方法はたくさんありますので、それらを踏まえて、この緑の表の一番下のところに推定法や測定法の項目がありますから、そこに加筆する方向性でよろしいでしょうか。
【津下構成員】  はい、よろしくお願いします。
【宮地構成員】  承知いたしました。ありがとうございます。
【中島座長】  では、持久力のところはよろしいですか。石井構成員、何かありますか。
【石井(荘)構成員】  別の点での発言になってしまいますが、今回、こちらは政策立案者ならびに運動を指導する立場の方への基準ということを考えますと、かいつまんだ表現といいますか、分かりやすくするよりも、正式な名称を使うとか、しっかりした用語で伝えるという方法がよろしいのかなと思います。例えば、筋力トレーニングのところは、括弧して「(筋トレ)」とか書いてありますので、そういった表記は必要ないのではないかと考えます。前回も発言させていただきましたが、資格を持った運動指導者が常駐している運動環境ばかりではないということを考えますと、そういった説明方法も必要なのかと思いましたが、やはり基準ですので、しっかりした用語で伝えていくべきではないかと思います。
【中島座長】  ありがとうございました。安易な略語などではないほうがいいのではないかということですね。
【石井(荘)構成員】  はい。
【中島座長】  ありがとうございます。では、それは、事務局、よろしくお願いします。
最後に、「⑦身体活動支援環境について」、いかがですか。津下構成員、お願いします。
【津下構成員】  ここの表の中に「医療・ヘルスケア」とあって、「医療・ヘルスケアにおける運動・身体活動指導の充実」と書いてあるのですけれども、端的に言いますと、特定健診の時に質問票で3項目、運動を聞いていて、その中で運動習慣がない人は確実に把握できるので、その事後の指導の時にきちんと運動習慣、運動を促していくということを意識づけるチャンスがあると思うのです。「医療・ヘルスケア」と書いてしまうと、少しぼわっとしてしまうので、特定健診時はメタボではない人も全員運動習慣が分かりますし、それから、特定保健指導はメタボ改善のために運動を入れるチャンスでもあるので、文言として「特定健診・特定保健指導」の言葉を入れていただいたら、「ああ、そうか」と気付いていただける指導者も増えるのではないかと思いますので、御検討ください。
【中島座長】  事務局、いいですか。
【小田課長補佐】  はい、承知いたしました。具体的なイメージを想像できるように、追記させていただきたいと思います。
【中島座長】  では、藤内構成員、お願いします。
【藤内構成員】  私、自治体から今回のこの検討会に参加させていただいているのですけれども、御案内のように、今、健康増進計画の改訂作業を真っ最中で行っています。途中でパブリックコメントにかける関係で、多くの自治体が年内、早い所は11月くらいに次の健康増進計画の素案が出来上がります。今回、提案していただいたこの身体活動の実践を支援する環境、特にこの参考資料3に紹介されているような表は、各県の健康増進計画を策定する上で非常に有用だと思っています。これまで健康日本21の推進において、健康を支援する環境づくりはやや手薄だった部分があって、今回、この部分をアクションプランの策定などにより、かなり強化しようという動きが出ています。具体的にこういうものが運動を進めやすい環境の整備だということを示すことは、今、計画策定中の自治体にとって非常に有用だと思います。この基準が出来上がるのを待っていますと、計画に盛り込むタイミングを逸する可能性がありますので、願わくはこうした情報を早めに自治体のほうに提供いただければと思います。
今日議論された、座位を続けないということや、高齢者における筋力トレーニングの大切さのようなことも、恐らく、これからの健康増進計画の中にしっかり盛り込んでいただくこと、かつ、今回のこの身体活動基準もそれぞれの自治体の健康増進計画に盛り込まれることで認知度もぐっとアップするのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。
【中島座長】  ありがとうございました。では、あと津下構成員と澤田構成員で最後にさせていただきたいと思います。津下構成員、手を挙げられていますか。
【津下構成員】  何度もすみません。ここに「アクセスの改善」とあるのですけれども、医師や保健師がその人の健康状態に応じた運動の場につなげようとすると、地域にどんな運動施設があるのか、指導者がいるのかという情報を医療関係者等にも分かりやすく伝えることが必要ということで、現在、日本医師会やスポーツ関係団体も一緒になって、運動資源マップ作りという活動を始めています。そういう施設があること、それがどういう人に適しているという情報について、保健師や医師が常に新しい情報を知ることができるということが非常に重要なので、この「アクセスの改善」のところに、そういう運動資源マップ的なことも含めて、名称をどういれるかは別としましても、表記をしていただければと思います。これからの方向性として必要なことだということを明記していただけると、地域での連携が進むかと。運動と医療の健診の場の連携をぜひ進めていただきたいと思っています。
【中島座長】  ありがとうございました。では、事務局、よろしくお願いいたします。
【小田課長補佐】  承知いたしました。
【中島座長】  では、最後に澤田構成員、お願いします。
【澤田構成員】  今、藤内構成員から頂きました御要望につきましても、大変重要な御要望だと思っております。いろいろ制約はあると思いますけれども、できる範囲で何とぞ工夫をしていただきますようにお願いいたします。
 
○閉会
【中島座長】  皆さん、たくさんの御意見、どうもありがとうございました。座長の不手際で時間が少しオーバーして申し訳ありません。本日の議論としてはここまでにさせていただきます。皆さんの御意見で、非常にさらにブラッシュアップできたのではないか思います。最後に、今後のスケジュールについて、事務局から説明してください。
【小田課長補佐】  今後のスケジュールについて、御案内申し上げます。次回の委員会につきましては、今回の議論等を踏まえまして、追って調整いただきたいと思います。お忙しい中恐れ入りますが、先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
【中島座長】  あらためまして、皆さん、活発な御意見、どうもありがとうございました。それでは、本日の検討会を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。