第156回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年9月5日(火)14:00~16:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員

労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)

議題

(1)建設業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)
(2)林業・木材製造業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)
(3)リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン案について(報告)

議事

議事内容

○髙田分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから、第156回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は、使用者代表委員の鈴木委員、労働者代表委員の袈裟丸委員が欠席しております。また、使用者代表委員の鈴木委員の代理として、日本経済団体連合会の坂下様が御着席されております。なお、及川委員につきましては、15時30分で退席されます。また、砂金委員がオンライン参加の予定ですが、10分ほど遅れる予定ということで連絡を受けております。本日は感染症の防止対策として、対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので御承知おきください。また、今回の参考資料2に委員名簿を付けておりますが、労働者代表に新たに就任いただいた委員の方を御紹介いたします。8月14日付けで佐藤委員が退任され、全国ガス労働組合連合会中央執行委員長の山口裕之委員が就任されました。山口委員、一言お願いいたします。
○山口委員 皆さんこんにちは。全国ガス労連の山口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。カメラ撮影等につきましては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。まず事務局から、オンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 事務局です。オンラインで御参加されております委員の方々に対しまして、Zoomの操作方法等についての御説明をさせていただきます。本日はハウリング防止のため、御発言されないときにおきましては、マイクをオフに設定のほうをよろしくお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、分科会長から指名がありましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をお願いいたします。このほか進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込み又は事務局のほうにメール等々で御連絡を頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。事務局から以上です。
○髙田分科会長 それでは議事に入ります。議題(1)建設業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)、及び議題(2)林業・木材製造業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)については、次第上は分かれておりますが、ともに災防団体の労働災害防止規程変更案に関するものですので、併せて審議することといたします。それぞれの議題について事務局から説明をお願いいたします。
○機構・団体管理室長 それでは、議題(1)建設業労働災害防止規則の改正について、及び議題(2)林業・木材製造業労働災害防止規程の改正について、私、安全衛生部計画課機構・団体管理室の三浦から御説明申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議題(1)の建設業労働災害防止規程の改正についてです。お手元に資料1-1「建設業労働災害防止規程変更案要綱について」、及びパワーポイントで作成しました資料の1-2「建設業労働災害防止規程変更案の概要」の2つがありますが、本日はパワーポイント資料の1-2で御説明をさせていただけたらと思います。よろしくお願いします。
 それでは、表紙の次の1ページを御覧ください。まず、労働災害防止規程とはということで、こちらは労働災害防止団体法36条第1項第1号の定めに基づき、業種別労働災害防止協会が設定するものです。この規程につきましては、会員には当該規程の遵守義務が課せられているところです。また、併せて、この規程の設定変更に当たっては、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないものとなっているところです。今回この許可に当たって、資料に赤字で書いておりますが、「厚生労働大臣は労働政策審議会の意見を聞かなければならない」という作りになっているところです。
 続きまして2番の労働災害防止規程では、まず適用範囲に関する事項をはじめ、労働災害防止に関して機械、器具、その他の設備、作業の実施方法等について、講ずべき具体的な措置に関する事項等について定めることになっているところです。この位置付けとしては、各災防団体の会員にのみ適用される、いわゆる法令プラスアルファーの自主的ルールというような性質のものであるところです。なお、仮にこの災防規程に定めがなくとも、法令については事業者はこれを遵守しなければならないということはいうまでもありません。
 3に参考ということで記していますが、労働災害防止協会として厚生労働大臣が指定業種として指定した業種の協会は、今、建設業の説明をしておりますので赤字で記載しておりますが、1つ目として建設業、2つ目として陸上貨物運送業、3つ目として林業・木材製造業、4つ目として、港湾貨物運送事業の4協会が現在存在しています。今般この4協会のうち、建設業労働災害防止協会及び、後に説明させていただきますが、林業・木材製造業労働災害防止協会より、それぞれ労働災害防止規程の変更認可についての申請がありましたことから、今回この場で諮問をさせていただいているところです。
 続きまして、資料が変わりますが、次の資料2ページを御覧ください。こちらでは建設業労働災害防止規程等が全部書いてありますが、その中で建設業労働災害防止規程は、昭和41年に制定・認可され、累次の変更を行ってきたものですが、今般、変更申請を行った趣旨としては、建設業労働災害防止協会が策定した、資料では赤字で書いてありますが、建設業労働災害防止5か年計画に定める目標の達成、また墜落・転落災害防止をはじめとする労働安全衛生関係法令や、各種ガイドライン等の改正などを踏まえ、それらの変更を行うものです。
 変更の趣旨の1点目としては、労働安全衛生関係法令、ガイドラインの改正等を起点に取り組むもの、真ん中辺りの1で横に赤い矢印で記載している所がそれに該当いたします。こちらは労働安全衛生関係法令、ガイドラインの改正等を起点に取り組むものですので、例えば記載にありますが、足場からの墜落防止措置の強化であったり、一人親方等に対する措置の義務化等を踏まえ、これに沿った規定の変更を行っているところです。
 2点目は、赤い矢印の下のほう、こちらは労働災害の実状等を踏まえた上で、協会が独自に設定したいわゆる上乗せ規定と呼ばれる部分で、例えば令和3年度に開発された建災防方式「新ヒヤリハット報告」の活用です。この新ヒヤリハット報告というのは、近年、建設業における労働災害の減少率が鈍化していることから、建災防がこの現状を打破するために人に関わる要因、いわゆる作業負荷、心身の状態、コミュニケーション、予測注視等、レジリエンス能力に着目し、新たな災害防止のツールとして、令和3年度に建災防方式として開発したところです。今般この改定で上乗せの部分として、今後新たなツールの活用促進を会員へ周知することで、建設作業従事者の働きがいを高めるとともに、更なる災害の防止を図ることとするため、追記をしています。
 2つ目としては、地山等の崩壊等による危険の防止ということが上乗せで記載があります。こちらのほうは「地山等」と「等」を入れているわけですが、背景としまして、道路上での排水管掘削や建物の地下掘削では、盛り土や掘り戻し土が多くあるわけですが、その場において、地山と勘違いして土止めを行わずに土砂崩壊を繰り返しているというような状況にあるということです。そういうことも踏まえ、会員に対して盛り土や掘り戻し土に地山以上の対策を行うという認識を持たせるために変更するとしたものです。
 脚立等の適正使用等につきましては、昨今の墜落・転落災害防止の充実・強化に関して、はしご・脚立による災害が増加傾向にあるということもあり、はしご・脚立による墜落防止対策の必要性が明記されたことから、追記したところです。
 最後の車両系建設機械のシートベルトの着用につきましても、昨今、車両系建設機械の転落・転倒によって、運転者が投げ出されたり、建設機械の下敷きになる災害が多くなっていることも踏まえて、運転者の安全確保のためにも、シートベルトの着用を追記することとしました。以上が2番の協会独自の上乗せ規定ということになっています。以上、簡単ではありますが、私のほうから(1)建設業労働災害防止規程の改正についての説明とさせていただきます。
 続いてよろしいでしょうか。続きまして、(2)林業・木材製造業労働災害防止規程の改正について、同じく三浦のほうから説明をさせていただきます。資料のほうは同じパワーポイント資料で、林業のほうは資料№2-2で同じ形で作成しています。こちらの資料について説明をさせていただきたいと思いますが、こちらにつきましては表紙の裏の最初のページの「労働災害防止規程の概要について」は、先ほどの建災防と同様になりますので、説明は割愛させていただきます。
 2ページ目からを御覧ください。建災防同様、今回の林業・木材製造業労働災害防止規程の改正については、先ほどの建設業と同様ですが、1点目としては関係法令や各種ガイドライン等の改正を踏まえたもの、2点目としては、近年の林材業における労働災害の発生状況を踏まえて、上乗せで規定を設定するものということで、大きく2つあります。
 まず1点目です。労働安全衛生関係法令、ガイドラインの改正等を盛り込む部分です。こちらにつきましては、記載にもありますが、高所作業時における墜落防止措置や、立木の抜木作業を安全に取り行うための方法を明確化するもの、また、作業現場における緊急連絡体制に関わる規程の変更等を行っております。特に作業現場、林業の場合は特殊な作業現場と申しますか、例えば連絡方法として、通常我々は携帯電話等を利用する機会が多いと思うのですが、なかなか電波が届かない部分での作業も多々あるということから、例で挙げれば、衛星電話等の使用も含めた、新しい確立した連絡体制を検討・確保していくということで、そういう内容を追記しています。
 続いて2番の協会独自の上乗せ部分の規定等です。こちらにつきましては、近年の労働災害発生状況を踏まえた上で、やはり新規就業者に対する配慮と指導の規定、他方は、新規就業者の伐木作業時における労働災害が多発しているということも考慮しまして、今回このような新規就業者に対する配慮と指導の規定を盛り込んだところです。
 また、昨今の災害発生状況で、集塵サイロ等作業、テーブル式昇降装置作業中における死亡災害が発生したということを受けての対応として、集塵サイロ内における作業、サイロ内のおがくず等の貨物自動車等への積み込み作業、テーブル式昇降装置の保守・点検等、作業時の危険防止に関する規定を新設したところです。
 そのほか(2)として、困難木等の伐木作業に関する規定、刈払機を用いた作業時のバンド使用の規定等を追記しています。特に転倒時についても、刈刃の体への接触を防止するということで、刈払機ハーネス型肩掛けバンドの普及、更に股バンドの使用等も今回追記しております。以上が内容です。こちらも少し駆け足で簡単ではありますが、以上で林材業における防止規程の変更についての説明とさせていただきます。
 なお、これらの規程変更ですが、両団体とも厚生労働大臣の認可のあった日から起算して90日を経過した日から適用することとされております。1-1、2-1の最後にもそれぞれ記載がありますが、そのような内容となっています。御審議のほう、どうぞよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で御意見、御質問がある方は。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 労働側委員の中村です。私から、議題2の林業・木材製造業労働災害防止規程の変更について、意見と要望を発言させていただきます。3点ほどあります。
 まず1点目ですが、先ほどお話がありましたとおり、林業における労働災害は他の業種と比べても発生率が高く、特に伐木作業等重大な災害が発生するおそれがあるだろうと思っております。そうした中、今回の災防規程の変更は、これまでの対策を補強するものであると受け止めたいと思います。しかしながら、先月北海道の富良野市の国有林内で、伐倒作業の際、つるが絡んでいた枯損木が何らかの原因で折損して、被災者の頭部に当たって死亡したという災害が発生しました。事業実行事業体は、林災防の会員であるとも聞いています。この間、伐木等作業の安全に関するガイドラインの改正等もされたところですし、やはり早急な災害防止規程の補強が必要であったのではないかと考えています。今回の災防規程の改正では、つくりとして学識経験者と関係労働者の意見を聴くことになっていますが、やはり所管省庁である林野庁の意見も聴くべきであると思っています。
 2点目は、この災害防止規程の変更点や、特に新たな規程については、やはり会員のみではなくて、現場従事者や、その下請事業者まで理解・定着が図られるように、別途解説書やパンフ等を作成の上、丁寧な説明・周知に努めていただければと思っております。
 最後に3点目は意見になりますが、先ほど御説明いただいた資料2-2の2ページに、協会独自の上乗せ規定として、チェーンソーによる伐木等作業における大径木や困難木の伐倒に関して、その危険性に応じた受け口切り・追い口切りの方法等の措置を新設しています。その中で、資料2-1の規程本体ですが、第4項の21に、つる絡みの木の伐倒において、つるを事前に取り除くことができない場合について記載があります。現場段階でいうと、このつるがなかなか取り除くことができない実態も多々あります。その場合、業務に関して指名した者に判断させるとなっているのですが、どのような判断をすべきか、この記述ではなかなか分からないと。例えば、本当に外せない危険木であるならば、伐倒しないといったことも考えられると思うのですが、その辺りについて具体的なものを示すべきではないかと思っておりますので、現段階における考え等がありましたらお聞かせ願えればと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 議題1について、要望と確認をさせていただきます。諮問内容については、この間の法改正の内容等を規程に反映いただいたと認識しておりますので、特段の異論はありません。その上で、現在一人親方等に関する安全衛生対策については検討会において議論がなされていると認識をしておりますが、それらの法改正がなされた際には防災計画に合わせた5年ごとの見直しにこだわらず、時宜を得た見直しを行うよう、政府として団体に働き掛けを行っていただきたいと思っております。
 また、今回は建災防と林災防の規程の変更が諮問されておりますが、ほかの団体について、規程の変更の見通しもお伺いしたいと思っております。特に、陸運関係の安全衛生対策については、今般の14次防の策定の際に議論したところですので、政府から必要な見直しについて働き掛けをお願いしたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 質問というか意見なのですが、林業・木材の規程で変更ということはないのですが、正に建災防に出ています騒音障害防止のためのガイドラインの引用という形で、改正されたものが新しく出ました。ここは変更というわけではないのですが、是非今後の活動の中で参考にする形でお願いしたいと思います。
 というのは、屋外作業であっても騒音のばく露が高い場合、騒音性難聴になるということも分かっていますし、振動が起きるわけですから、当然ですが騒音もしっかりと出ると。それに対する対策が非常に重要で、測定する機械が最近進歩もして手軽に使えるようになったり、保護具の選定もかなり明確にいろいろできるようになってきましたので、是非今後そのような新しい技術を参考にしていただいて災害防止活動に活用いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかに会場の委員からはありますか。奈良委員、お願いいたします。
○奈良委員 御説明ありがとうございました。全建総連の奈良です。1の建災防の規程の改定について、意見と要望を申し上げたいと思います。今回の規程の改定は、法改正等に伴うものと承知しております。建設労働者の組合として、また建災防の団体として遵守、労働安全に一層努めてまいりたいと思います。
 その上で、石綿解体作業の事前調査、いわゆる石綿含有建材の事前調査について、もう間もなく資格者による調査の義務付けが始まることになったと思います。私たちとしても、有資格者の育成に力を入れているところですが、なかなか十分な調査者の確保にはまだ至っていないと承知をしております。スムーズな施行に向けて、是非一層の御尽力をお願いいたします。
 それから、この規程の丁寧な説明、取り分け発注者、またエンドユーザーでもある消費者への新たな仕組みの周知について、これは大防法の関係で3省共管と承知をしておりますので、関わりのある国交省、環境省ともきちんと連携をとっていただいて、一層の周知に努めていただければということです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。会場の委員はよろしいでしょうか。オンライン参加の委員については、ただいまのところチャットの書き込みはないということでよろしいでしょうか。そうしましたら、中村委員、山口委員、宮内委員、奈良委員から御意見、御要望、御質問がありましたので、そちらについて事務局から回答をお願いいたします。
○機構・団体管理室長 それでは、順番に回答させていただきます。まず、中村委員から頂いた質問ですが、質問、また御指摘をありがとうございます。改定に当たっての、要は周りからの意見ということだと思うのですが、内部での改定についての意見収集は現在も行っております。先ほどお話があったように、関係省庁である林野庁から意見をもらったらどうかという意見を頂戴いたしました。そういったことも踏まえて、本日頂いた意見をもう一回整理して、団体にもお伝えして、より効果が出るよう、行政としても連携して対応してまいりたいと考えております。
 また、せっかく改定するに当たって、周知・説明を丁寧にやっていただけたらということで、現在もこのような改定があった場合、各災防団体としては災防規程の内容について、会員への周知徹底を行うこととしております。その方法としては、まず各協会のホームページへの掲載等、次に協会独自にリーフレットを作成して、支部を通じて会員への配布を行っております。また、安全衛生管理士といった安全衛生に関する知識を有する者による集団指導の場で周知を行う等、いろいろな形で取り組んでいるところです。併せて、最後に申し上げました集団指導においては、協会の会員ではない事業者も参加いただけるものであり、こちらの場で業種全体の労働災害防止に資するよう、各協会において周知活動を行っております。当然国としても、引き続きこのように各協会の労働災害防止に関する活動を支援・連携してまいりたいと考えております。
 また山口委員からは、一人親方の関係の話がありました。一人親方の関係についても、こちらは現在もいろいろ検討が進んでいたりして、すぐ規程に盛り込むべきではないかというお話を頂いております。こちらの建設業に関しては、個人事業主、一人親方への対策に関する検討会が現在も進行中であるという状況です。検討会で示される方向性にもよると思われる部分もあるわけですが、適切な時期に改定が行われるよう、建設業労働災害防止協会とも連携して対応してまいりたいと考えております。
 もう一点、他の団体の災防規程の変更はどうなっているのだという御意見を頂戴いたしました。今日の議題になっております災防規程ですが、こちらについては冒頭、資料でも若干触れさせていただきましたが、各協会が主体となって法令等の施行状況等を踏まえて変更等を行う協会内の自主的ルールであること。一義的には、改定のタイミングはやはり各種災防団体において検討されるべきものであろうと考えてはおります。しかしながら、先ほど委員からも御意見、御質問いただいたように、災防規程はやはり労働者等の安全に関わるものですので、厚生労働省としても災防規程には最新の法令、ガイドライン等ができるだけリアルタイムに反映されていることが望ましいと考えております。
 また、時間外労働の上限規制の適用除外が、陸運業については2024年から開始されることが既に確定している状況です。そういう意味では、陸上貨物運送事業労働災害防止協会においては、既にこの改定案の検討を行っているというお話を聞いております。また、そのように承知しております。厚生労働省としても、陸上貨物運送事業労働災害防止協会と連携をとりながら、早期の改定に向けて働き掛けを引き続き行ってまいりたいと考えております。
 また、建設業に関して、もっと短いスパンにということで先ほどお話もあったわけですが、最終的にいずれの団体も規程改正のタイミングにかかわらず、法令、ガイドラインの改正がなされた場合は、会員への周知徹底を行っていると先ほど申し上げました。そういうことを通して懇切丁寧な説明を行って、しっかり会員を含め周知を行っていきたいと考えております。
 宮内委員からは、林災防に関して新しい技術を用いた新たな対策も導入していただけたらという話を頂きました。こちらも、非常に有り難い意見をありがとうございます。こちらについても、そのような新しい技術を含め、いろいろと林災防で考えられる対策等については、厚生労働省としても協議、連携しながら本日頂いた意見以外にも頂戴した有り難い意見を団体にも伝え、また行政側としても吟味し、どのように対応していくかを引き続き検討して、よりよい改正等が進められたらと思っております。
○計画課長 すみません、宮内委員からお話がありました件について、騒音のガイドラインの話がありました。我々としても協会に御意見を頂いたことについてお話をさせていただいて、また団体にもしっかり考えていただきたいと思っております。
 奈良委員からもお話がありました、先ほど機団室長からも話がありましたが、今回の改定、規程の見直しに当たって、規程の丁寧な説明については、我々役所側もそうですが、団体側に改めて内容の周知徹底を図っていくという御意見があったということを伝えていきたいと思っております。また、その周知、関係省庁との連携についても、これも先ほど回答させていただきましたが、併せて協会、団体にも話をして、我々としてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。以上です。
○化学物質対策課長 先ほど奈良委員から御指摘がありました石綿の事前調査者の確保の点ですが、現在全国で124の講習機関で事前調査を行うための講習を実施しております。現時点で約14万人の方が修了されました。具体的にどれぐらいの人数が必要なのかというのは予測しがたいところもありますので、引き続き講習についてはしっかり努めてまいりたいと考えております。
 また、石綿事前調査の費用を十分に負担していただけるように、住民、施主さん向けのリーフレットなどを国交省などと連携して作っておりますので、そういったものの周知にも努めてまいりたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 事務局、よろしいでしょうか。中村委員、山口委員、宮内委員、奈良委員、ただいまの回答について更に何かありますか。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 改めて確認なのですが、先ほど意見として言わせていただいた規程の書きぶり等の関係について、整理して団体等に報告をするという回答があったと思うのですが。この災防規程の変更自体が、この分科会を通して最終的に大臣が認可をするという形になると思うのですが、意見を出した返しについては今後どのようになるのでしょうか。
○髙田分科会長 事務局、お願いします。
○計画課長 先ほど機団室長からお答えさせていただきましたが、今回頂いた意見を団体にもしっかり話をさせていただきます。団体側の対応については、今後どういう形で御報告するか、この場もあるかもしれませんし、個別に状況等を説明するということもあるかと思います。その辺りについては、分科会長とも相談して返し方を検討していきたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 中村委員、よろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見はよろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかに発言はないようですので、それでは議題(1)建設業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)、及び議題(2)林業・木材製造業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)については、妥当と認めることでよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に、議題(3)化学物質の自律的な管理における健康診断に関するガイドラインについて(報告)に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○産業保健支援室長 私、産業保健支援室の中村より御説明させていただきます。本日は、資料3と参考資料1を御用意しておりまして、参考資料1のほうがガイドライン(案)の本体です。こちらで8月18日~9月1日までパブリックコメントを掛けておりまして、本日の御説明は、その概要版である資料3のパワーポイントで御説明をさせていただきたいと思います。前回、専門家会議の概要を御報告させていただきましたので、基本的にはその内容を踏まえながら策定したものとなっております。
 2ページを御覧ください。ガイドラインの趣旨・目的、基本的な考え方です。このガイドラインそのものは、既に公布されております安全衛生規則の中で規定をされているリスクアセスメント結果に基づいて行う健康診断について、どういう目的であるのか、どういうところに留意をしなければいけないのかをまとめたものです。基本的な考え方の所にありますが、前回も御説明させていただきましたが、今、やられております特化物、有機溶剤などの特殊健康診断とは違う点として、今回の自律的な管理における健康診断というのは、まずリスクの評価をして、健康障害リスクが高いと判断された方に対して実施するのが、この新しい健康診断の仕組みです。
 その下にありますが、基本的には、ばく露防止対策をきちんと実施し、ばく露を抑えることが大前提になりますので、逆にそういうばく露防止対策をきちんとやっていただいて、ばく露が低い状態であれば、健診をやらないことができる仕組みになっております。ただ、逆にばく露防止対策をないがしろにして健診でフォローと、そういう考え方は適切ではありませんということを、ガイドラインの中に記載をさせていただいております。
 留意すべき事項で幾つか書かせていただいておりますが、第3の目的の所にあります、先ほどの御説明とかぶりますが、今回は第3項健診と第4項健診という2種類の健診がありまして、第3項健診は、先ほど御説明したようにリスクアセスメントを行って、リスクが高い方に対して健診をやるものです。第4項健診は、リスクアセスメント対象物のうち濃度基準値があるものについて、濃度基準値を超えてばく露した場合については、速やかに健診をすると、そういう2つの仕組みができます。
 3ページを御覧ください。それぞれの健診について実施するかどうかは事業者側で判断をすることになるわけですが、どういうものを根拠に判断をしていけばよいのかという考え方を示したものになっておりまして、第3項健診は、基本的にはリスクアセスメントの中で健康障害リスクを評価していくことになるわけですが、その要素となるものとして、ここに書いてありますように有害性の程度や取扱量やばく露歴、こういったものを要素として総合的に評価をしていくことになります。基本的には事業者側で判断していただくのですが、その下の①~④の水色で色を付けている部分については、努力義務を満たしていない場合や工学的措置、保護具によるばく露の制御が不十分であるとか、そういったケースについては、なるべく健康診断を実施することが望ましいのではないかということで、4つケースを示させていただいております。
 (2)の第4項健診は濃度基準値を超えた場合に実施義務が掛かってくる健診ですが、濃度基準値を超えた場合というのはどうやって判断をするのかということでして、それが下の水色の色を付けている部分です。そもそも呼吸域のいわゆる環境の濃度が濃度基準値を超えている状態であって、そういう場合は、基本的には局排を設置するとか、そういう工学的措置で濃度を下げるとか、呼吸用保護具を使って吸入する濃度が基準を超えないようにするというのが、まず大前提になるわけです。
 ただ、そういった対策を実施しているにもかかわらず、例えば異常な状態が発生してばく露してしまった場合、下に①~④で書いておりますが、例えば局排が故障していたとか、マスクを着けていなかったとか、やるべき措置が適切に講じられていなかったケースが、実施義務が掛かるケースに入っていくだろうということです。それから、漏洩事故などで大量ばく露してしまった場合も、これはなかなか量的な評価は難しいのですが、おそれがあるケースには当てはまっていくだろうということで整理をさせていただいております。
 4ページに行ってください。今、御説明したのは、健診を実施するかしないかという判断ですが、では実施しますという判断をした場合に、実施の頻度、どういう検査項目でやるのかということです。実施の頻度自体もリスクに応じて決めていくことになるのですが、一応、目安として専門家の方々にまとめていただいたものがブルーの部分でして、急性毒性があるものについては半年ごと、発がん性については1年ごと、それ以外については、3年ごとというものが目安になるのではないかということを示していただいておりますので、ガイドラインでもそれを踏襲して記載をしております。第4項健診は、速やかに実施ということです。
 検査項目はどういうものを選んでいくかということでして、こちらは基本的には濃度基準値を設定するときに根拠とした文献でありますとか、SDSにその物質はどのような有害性があるのか、どういう臓器にどういう影響があるのかという情報が書いてありますので、基本的にはそういう情報を基に医師のほうで設定をしていくことになるかと思います。その目安として下のブルーの所に記載をしておりますが、第3項健診については、まず大前提となるのは、業務歴の調査や作業条件の簡易な調査と、こういうものは共通して必要になってくるのではないかということです。また、必要とされた場合に標的となる健康影響のスクリーニング検査をやっていくという考え方をまとめております。
 第4項健診は2種類ありますが、八時間濃度基準値について超過の場合は、直ちに健康障害が発生する可能性が高くない場合には、同様に作業条件の調査や業務歴の調査などがまず基本となるのだろうと。短時間濃度基準値を超えた場合は、急性の影響が懸念されるわけですので、急性の影響に関する検査を行うのがまず基本的な考え方になるのではないかということです。歯科については、口腔内の視診が基本になるだろうということです。
 最後の5ページですが、今、行われている特殊健診で設定されている配置前、配転後の健診が、公布されているリスクアセスメント対象物健診には組み込まれていないわけですが、考え方として、配置前については一般健診の情報を参考にしていただくことが適当なのではないかと。配転後の健診については、遅発性の健康影響が懸念される場合は、医師の意見を聴いていただいて、一定期間、定期的に健康診断を実施することが望ましいのではないかと。これは専門家の方からも頂いた意見を踏まえて、そのような記載としております。
 真ん中で、今回、リスクアセスメント健診の対象とならない方、これはリスクアセスメントでリスクが低いと判定された方もいると思いますし、リスクアセスメント対象物以外の化学物質、これは危険性・有害性が明確になっていないものも含めてということですが、こういう物質を扱う方については、リスクアセスメント健診ということではないのですが、一般健診の中でそういった化学物質を扱っている方ということに留意をして、業務歴の調査や自覚症状の有無の検査などで、留意をしてみることが望ましいのではないかということです。そこで健康の影響が確認されましたということになれば、診断や治療などをまずやっていただくのは大事ですが、職場に問題がある可能性もあるので、リスクアセスメントのやり直しとか、やり直してリスクがあると分かれば、リスクアセスメント健診の流れに乗せていくと、こういうことになるのではないかということです。
 最後、リスクアセスメント対象物健診は、前回も申し上げましたが、特殊健診と同様に事業主負担が基本になるということです。9月1日までパブリックコメントをさせていただいて、合計で37件の意見を頂いております。基本的に今回お示しした内容に反対という御意見は頂いておりませんので、大きな修正はないと思いますが、また内容を精査させていただいて、若干の文言修正はあるかもしれませんが、基本的には今日御説明した内容で、なるべく周知期間が取れるように、来月にはこのガイドラインもお示しできるように進めていきたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、本件につきまして、質問、意見等のあります方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。では、まず、会場の委員から、及川委員、お願いいたします。
○及川委員 及川です。ありがとうございます。意見のほうは37件ということを教えていただきました。ありがとうございます。まず、資料の2ページ、基本的な考え方を今後とも、是非広報していただきたいと思っております。と申しますのは、中小・小規模事業者にとりまして、この労働者に対しての一律健康診断の実施を求めるものではなく、自律的な化学物質管理の一環としてという、大きな施策転換の背景をまず理解をしていただく必要があるのだと思います。
 専門家会議で決定をされて進めていただきましたので、この方向でということだと思いますが、中小・小規模事業者の中では、この自律的な化学物質ということに対して、少しとまどいやどのようにしたらいいのかという不安の声が届けられています。繰り返しですが、この基本的な考え方について、しっかりまずもって理解をしていただくように広報いただきますようお願い申し上げます。
 もう1つは、このガイドラインについては、今、中村さんの御説明にありましたように、ばく露防止について、「リスクが許容される範囲を超えないと判断すれば」ということで、中小・小規模事業者に判断を求める内容になっております。これは自律的なということで、そういうことになるのだと思いますが、3ページにありますように、また、リスクアセスメントの対象物の健康診断の実施についても事業者側が判断するということで、リスクを許容できる範囲であるのかどうか、あるいは健康診断を実施することが望ましいと言われるものの、判断に迷う場合があると思います。
 特に、第4項健診等の考え方では、「濃度基準値を超えてばく露したおそれ」ということについても判断が入りますので、特に事故があった場合の濃度基準がどうかということは、中小・小規模事業者にとっても大変難しい問題だと思います。したがいまして、ステップごとに、どういう判断が必要なのかということを、分かりやすく説明をしていただきまして、ガイドラインの普及には、懇切丁寧な中小・小規模事業者の立場に立った御説明をお願い申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。まず、会場の委員、ほかに御発言はありますでしょうか。出口委員、お願いいたします。オンラインの委員の方は、その後、御指名しますのでお待ちください。
○出口委員 出口です。御説明ありがとうございました。ガイドラインについては、特に意見はございません。化学物質の自律的管理に関係する事項について、現状と要望等について、意見を述べさせていただいてもよろしいでしょうか。
○髙田分科会長 お願いいたします。
○出口委員 ありがとうございます。自律的な管理を基軸とした新たな化学物質管理については、令和6年4月1日より罰則付きで義務化されます。残りの期間が約半年となりました。建災防の化学物質検討会にて、現在、ばく露測定を、モデル現場となっていただきましたゼネコン各社の協力を得まして、5現場にて実施しております。ウレタン防水や塗装、床樹脂接着作業等の一部の物質マニュアルについては、今年度中の完成が見込まれているようですが、他の物質については未定の状態です。
 また、皮膚障害等防止用保護具の検討会にて、保護具の選択に関するマニュアル作成に向けた会議が始まったようですが、全ての保護具についての選択が、周知期間も含めて、あと半年でマニュアル化ができるのか疑問を感じております。化学物質のSDS及びラベル表示義務化物質も、現在の675物質から、2024年4月1日から約900物質、2025年4月1日からは約1,540物質に拡大することが既に決まっております。その後も、危険性が分かっている物質から順次追加されていくわけですが、取扱業者には、リスクアセスメントの義務、不浸透性の保護具使用義務等の規制が同時に掛かってきますが、製造メーカー側の表示義務、保護具の種類の記入は追い付いていない状態が続いています。新規に対象となる化学物質を含めますと、約6割程度しか表示できていないと聞いております。
新規に対象となる化学物質を含めると約6割しか表示できていないと聞いています。
 メーカーのホームページからSDSの情報を事前に得ようとしても、すぐには見れないメーカーが多いということで、現場からは、やはり今回の化学物質の自律的な管理の改正は無理があったのではないかと、一部では声が上がっております。
化学物質管理者並びに保護具着用管理責任者の選任についても、令和6年4月1日より義務化されるわけですが、推奨される講習を受講しても、SDSに保護具等の記載がなければ適正な管理はできません。それにより選任された管理者、個人が責任を感じて負担となることも危惧しております。現状、製造メーカーや保護具メーカーに確認しましても、適正な保護具の回答を頂けないケースが発生している状況です。ラベル表示、SDS交付義務の達成状況も7割程度の状況の中で、取扱事業者側に罰則付きの義務だけが施行されるのは納得いかないという声も聞こえてきます。
 そこでお願いしたいのが、既に実施していただいておりますが、現行、行っている建設業のマニュアル作成の継続支援及びメーカー側への保護具の種類の記載指導を徹底していただくとともに、さらなる措置等の検討や、来年の義務化に円滑に移行するまでの手段を講じていただきまして、取り扱う事業者が正しく理解し、従事する労働者等が安全に健康に作業を行えるようにお願いいたします。また、分科会にて、マニュアル作成及び皮膚障害等の防止用保護具の選択に関するマニュアル作成の進捗状況、今後、講じられる措置について、適宜、御報告いただけないでしょうか。これらを強く要望いたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、オンラインの委員から、順次、お願いしたいと思います。まず、門﨑委員、御発言を希望されているようですので、お願いいたします。
○門﨑委員 前回の検討会でも労働側委員から発言したように、化学物質の健康障害を未然に防止するためには、ばく露そのものをなくす、あるいは低減させることが基本であるので、この点をまず徹底していただくことを強調しておきたいと思います。その上で、具体的な内容について何点か触れさせていただきます。まず、3ページのリスクアセスメント対象物健康診断実施の要否の判断方法、この(1)第3項健診の2つ目の○の③では、濃度基準値がない物質についてが記載されているが、本来であれば、健康診断の実施の要否は、第4項健診のように濃度基準値が決められて、その基準を超えた場合に実施するというのが大原則と言えると思います。現在、濃度基準値がない物質についても目安を設定するなど、労働者保護の観点からの取組の深掘りを検討していただきたいと思います。加えて、濃度基準値がない中、「漏洩事故等により大量ばく露した場合」と記載されることで、事業者によっては大量ばく露とは漏洩事故だけと解釈されて、早期に健康診断を受けることで被害を最小に抑えられるはずの労働者の健康が脅かされることがないように、趣旨等を十分に留意していただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 御発言、ありがとうございます。続きまして、砂金委員が御発言を希望されているようですので、お願いいたします。
○砂金委員 砂金です。聞こえますでしょうか。
○髙田分科会長 聞こえております。
○砂金委員 御説明、ありがとうございました。こちらのリスクアセスメントに関する趣旨について、御異論はありません。ただ、リスクというものを考えた場合には、それが発現するかどうかが課題になると考えています。また、リスク発現においてもいろいろなフェーズがあり、実態上、それがどのようになるかややはっきりしないところもあるかと考えています。そのため、リスク自体は、その程度を見積もって、その大きさに基づいて対策の優先度や措置を決めていくことになり、そして、その結果を記録していくところまでが実際のリスクアセスメントの流れかと思います。
 今回、そのリスクを捉えていたことに対して、例えば、健診の実施等を挙げられていますが、その記録の内容が引き継がれていくような仕組みも必要であり、それを個人にどこまで委ねられるのか、または、そうではないのかといった枠組み等も含めた検討が必要ではないかと、お話をお聞きして思いました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、新屋敷委員、御発言を希望だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○新屋敷委員 九州大学の新屋敷です。資料3の2ページによると、第3項健診というのは、「健康障害発生リスクが許容される範囲を超えると判断された場合に、関係労働者の意見を聴き、必要があると認められた者について、当該リスクアセスメント対象物による健康影響を確認するために実施するもの」とあります。ということは、新しい自律的な仕組みの下では、関係労働者の意見を聴くというところがかなり重要になってくるかと思います。最終的には事業者が判断することになると思うのですが、この労働者側の意見を聴く段階で、恐らく労働者がリスクなどについてしっかり理解するという段階になるかと思います。
 そこで、この「関係労働者の意見を聴き」ということは、どういうふうに確保されるのか、どのような仕組みで関係労働者が意見を聴かれることになるのかについて、御説明いただきたいと思っております。
 質問になるかと思います。また、この点が、恐らく法律など、かなり詳細に決まっていないと、先ほども意見がありましたが、中小企業の担当者の方、使用者や労働者にとっての負担が大きくなってしまうように思います。また、健康は労働者にとって非常に重要な点ですので、後から労働者がリスクを理解する、健康障害を理解するといったことがないように、きちんと健康診断が受けられるように、この体制がきちんと徹底されるようにお願いしたいと思います。また、併せて、こうした意見を聴くという仕組みの実施状況がかなり重要かと思いますので、可能であれば今後の実施状況につき調査をしていただきたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、山脇委員、御発言を御希望のようですのでお願いいたします。
○山脇委員 3点確認と、2点意見を申し述べたいと思います。まずはじめに、5ページに記載の「配置前及び配置転換後の健康診断」の2つ目の○についてです。例えば、リスクアセスメント健診の対象外となった労働者が、配置転換後に自ら健診を希望する場合、あるいは、3つ目の○に書いてある、対象となっている方であっても退職をしてしまい、新たな職場に移った場合については、どのようにフォローすることを厚生労働省として考えておられるのか伺いたいのが1点目です。退職した労働者についても、労働者保護の観点からは何らか対応していくべきと考えるところです。2点目は、ほかの方々からも御発言がありましたが、今回のガイドラインはかなり抽象度の高いものとなっております。今回の内容のみをもって、各事業者が健診内容を決定していく、あるいはこの内容をもってフォローしていくというのは、困難な場合も十分想定されます。特に中小事業者に対して必要なサポートを行っていくという観点からすれば、より詳細な取扱いマニュアルなどを示していくことも検討すべきではないかと思いますが、今後、どのようなことを考えてらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。質問の3点目です。これは前回も申し上げたところですが、リスクアセスメントの適切な実施、あるいは職場で扱っている化学物質にSDSがきちんと交付されているのかどうかが大前提になる仕組みであると思っております。参考資料2の「令和4年の労働安全衛生調査」を見ましたが、リスクアセスメントの実施率も前回から下がっているようですし、SDSの交付状況を見ても、全ての製品にSDSを交付している事業所の割合は4割強ということで、前提となる環境が整っていると言えるのかどうか疑問があるところです。労働者が必要な健診を受診できるよう、これから政府としてどのようにフォローを行っていく考えなのか、改めて伺いたいと思います。
 意見の1点目は、今ほど新屋敷先生がおっしゃっていた、労使が事前に協議を行うことが今回の取組の肝だと思っておりますので、この点については、行政としても取組をお願いしたいというのが1点目です。2点目は、今回の取組は大きな方針転換ですので、今回、決められたガイドラインが未来永劫変更されないということではないのだろうと思っております。適宜適切な見直しを行っていくことについて、改めて確認しておきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。引き続き、矢内委員が御発言を希望のようですので、お願いいたします。
○矢内委員 矢内です。御説明ありがとうございました。ガイドラインについては理解いたしました。今後、現場で自律的な健診の実施を想定した際に、健診実施は社外の健診実施機関になると思いますので、健診機関との連携や連動が非常に重要になってくると考えております。
 特に実施頻度も、今まである程度固定だったものが分散される可能性もありますし、ばく露後の随時健診など、スケジュール管理も非常に重要になってくると考えます。そういった中で、健診機関の柔軟な対応に期待しています。現在、健診機関に対して、行政からどのような働き掛けが行われているか、また今後の予定も含めお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。オンラインの委員の御発言はこれで終わりですので、ほか、会場からいかがですか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。資料3の3ページ、(1)「第3項健診の実施の要否の考え方」の1つ目の○の所に列挙されている項目は、厚生労働省が公開している「作業条件の簡易な調査における問診票(例)」というのがあるのですが、それの項目とほぼ重複しているようにお見受けしました。
 ですので、第3項健診の実施要否を検討する時点で、4ページに掲載されている第3項健診のうち、作業条件の簡易な調査を実質的に実施することになるなと思いながら拝見しました。この第3項健診の前の段階の、実施要否を判断する上での「作業条件の簡易な調査」と、それから第3項健診としての「作業条件の簡易な調査」の位置付け、違いについて確認させていただきたく、特に、どのように区別して運用していくことになるかというところを確認させていただけたらと思います。
 これをお伺いしたかった理由としては、今後の現場の運用で混乱を招くのではないかと思ったことと、それから、第3項健診は資料の2ページにもありますように、健康障害発生リスクが高いと判断された労働者に対して実施するものということですので、作業条件の簡易な調査を実施した、イコール、すなわち第3項健診を実施した、すなわち事業者が健康障害発生リスクがあると認識していた、といった具合に取られてしまいますと、民事裁判等で誤った根拠として利用されたりしないかといったところが事業者側の懸念になるかと思いましたので、その区別は重要と考えますゆえ、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。坂下様、お願いいたします。
○鈴木委員代理(坂下様) 経団連の坂下です。委員の鈴木の代理で出席させていただいております。まず、今回、御報告いただきましたガイドライン案の内容については、パブコメも経ているということで、これ自体に反対するものではありません。他方で、出口委員や及川委員からもありましたが、化学物質の自律的な管理というものは、180度管理の仕方が変わるような大きな見直しでして、その方向性に変わること自体は、一昨年前のこの分科会で必要な政省令の見直しも行ったということですので、それをどうこうということではないと思っています。
 その場のときも、鈴木からも申し上げましたが、万全な体制でしっかりと臨むために必要な支援を是非、行政にはお願いしたいと強く強調させていただいたところです。この後、厚労省様から、特に出口委員の御質問に対しての何らかのご回答があると思っておりますが、経団連としても業種別のガイドラインの作成とか、現場が混乱しないような支援を是非お願いしたいと思っておりますので、それを強調しつつこの後の御説明をお聞きした上で、必要があればまた御発言させていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。今の時点で、ほかにいかがですか。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 どうもありがとうございました。ガイドラインの目的・趣旨等が明確になりましたので、非常に分かりやすく理解できました。ただ、今回、大きく言うと、1つは健康障害防止、化学物質による健康障害防止の一環で、特に早期発見とかということを目的としていると思うのですが、そのためには、いろいろな情報が実は必要で、協力して事業主が主体となってやっていくという形になると思います。結果についても、例えば保存の状況、保存期間とか、そういうことも併せてきちんとしていったほうがいいかなと思いました。
 というのは、この健康診断の結果を受けて、例えば実際、対策を立てる、作業環境管理上とか作業管理上の問題があるのではないかなという形でフィードバックして、何かやっていく必要が出てくると思うのです。そのときに、データをきちんと取っておいて突き合わせをしていく、又は、それが本当に解決できたかということを遡っていって検証していくことが必要かなと思うのです。今回のガイドラインは健康診断についてですから、これは全く異論はないのですが、これをどういう位置付けにするか、この新しいリスクアセスメントの中として、ここの情報をどう活用してリスクアセスメントの目的を達していくのかということを強調していただいたほうが明確になるのかなと思いました。別にガイドライン自身には全然問題ないのですが、今後の位置付けのようなところをもう少し書いていただけるとよろしいかなと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、大変長くなりましたが、申し訳ありません。ここまでで、まず御回答をお願いいたします。
○産業保健支援室長 たくさん御意見を頂いたので、1つずつ御回答したいと思いますが、出口委員と坂下委員代理は、恐らく対策課から回答を頂けると思いますので、それ以外について私から回答させていただきます。まず、及川委員から頂いた中小にとっても分かりやすい周知をということと、もう少し分かりやすい説明をということですが、当然、字で書いてあるガイドラインだけで周知しようと思っているわけではなくて、分かりやすいリーフレットなり動画なり、趣旨や基本的な考え方も含めて事業者の皆様、労働者の皆様にもより御理解いただけるような周知の仕方をこれから工夫していきたいと思っています。何かこういう周知の仕方がいいという御要望がもしありましたら、頂ければそういったことも踏まえて取り組んでいきたいと思っています。
 それから、門﨑委員から頂いた濃度基準値のないものについてです。今日の概要資料には入れていなかったのですが、ガイドライン本体のワード文書の4ページを御覧いただくと、注と書いてあるものがあります。注2とか注3は、実施の要否を決めるに当たっての参考情報を書かせていただいていますが、濃度基準値がない場合についても、こういうものを参考にしていただけると望ましいのではないかということも書かせていただいていますので、こういったことも含めてきちんと周知していきたいと考えています。
 それから、砂金委員から頂いた、結果の記録がきちんと引き継がれていくにはどうしていくのかということです。実は、化学物質の規制の見直しの検討会のほうでも、今後、転職とかが頻繁に行われた場合にどうやって引き継いでいくのかということで、第三者機関による保存の仕組みというのも考える必要があるのではないかという御提言を頂いている状況です。どういった形で個人にひも付かせるのかも含めて、記録が散逸してしまわないような方法というのはどういうやり方があるのかというのを検討させていただきたいと思っています。対策課とも協力して、どういう記録の残し方がいいのかというのを考えていきたいと思っています。
 それから、新屋敷委員から頂いた、労働者の意見を聴くということをどのように担保していくのかです。今回、第3項健診を行うに当たっては、関係労働者の意見を聴くということで規定されていますが、併せて、例えば50人以上の事業所であれば、衛生委員会の中でリスクアセスメント健診の実施については審議していただくことになっていますし、50人未満であれば労働者の意見を聴く機会を設けるという規定がありますけれども、そういった中で意見を聴いていただくということを既に施行通達等ではお示ししていますので、そういったプロセスがきちんと取られるように、我々行政としてもきちんと周知していきたいと思っています。
 それから、調査の話も頂きましたが、そもそも今回の新しい仕組みというのがきちんと現場で実施されていくのかということについては、健康診断にかかわらずということだと思います。我々としても今後、実態をよく把握していくということは大事だと思っていますので、どういう方法かというのは今後の検討になるかと思いますが、きちんとフォローはしていきたいと思っています。
 山脇委員から幾つか頂いていますが、退職後の健康診断の仕組みをどうするのかということです。同じ会社の中で雇い続けている場合は、遅発性の影響がある者の配転後の健診というのは、今回のガイドラインに盛り込んでいますが、別の会社に移ってしまった場合に、移った先の会社にそのフォローをしていただくのかというと、全く別の仕事をしている場合にはなかなか難しいと思っています。基本的には御本人にその意識を持っていただくということになるかとは思っていますが、どうすれば退職した後のフォローが効果的に行われるのかということは、私もこの場で答えを持っているわけではありませんので、今日頂いた御意見を踏まえて考えていきたいと思っています。
 それから、今回のガイドラインが抽象的で、これだけでは中小はなかなか厳しいのではないかというお話も頂きました。今、日本産業衛生学会と御相談させていただいており、もう少し現場の実務の中で、このガイドラインに基づいた取組を進めていけるような分かりやすいマニュアルというか、手引きのようなものを作れないかということで相談していますので、なるべく現場で分かりやすいものを作れるように、我々も関係者とよく連携していきたいと思っています。
 それから、リスクアセスメントの実施、SDSの交付が大前提ではないかということですが、対策課とも連携して取り組むと前回もお答えさせていただきました。おっしゃるとおりだと思いますので、自律的な管理というのがきちんと定着するように、行政としては全力を挙げて周知なり指導なりに取り組んでいきたいと思っています。新しい取組ですので、今回ガイドラインをお示しいたしますが、現場でどのように運用されていくのか、それから課題が新しく見えてくることもあるかと思いますので、何か見直すべき点が出てくれば当然、見直しを検討していくということだと理解しています。
 それから、矢内委員から頂いた健診機関との連携です。御指摘いただいたように、新しい健診制度を行うに当たっては、健診機関でどのように実務が回るのかというのは非常に重要な点です。専門家会議にも健診機関の代表に入っていただいていましたが、全国できちんと事業者が求める健診ができるような体制の整備をお願いしていますし、今回の健診制度の趣旨とかがきちんと正確に健診機関の方にも理解いただけるように、説明会を含めて我々も必要な対応は進めていきたいと考えています。
 それから、増田委員から頂いたリスクアセスメントの中で行う作業条件調査と、健診の中で労働者に行う作業条件調査の違いということです。リスクアセスメントというのは個人ごとにやるというのが基本ではあると思いますので、それぞれの労働者がどういう作業をして、どういうばく露をしていたのかという点では、内容としては共通するものだと理解しています。そのリスクアセスメントの中で、どのぐらいのばく露リスクがあったのか、健康障害リスクがあったのかということの評価を基に健診の要否を決めるということですので、そのリスクがリスクアセスメントの中で高くて健診のほうに回っていけば、そこからまた医師による作業条件調査というプロセスに入っていくわけですが、仮にリスクアセスメントの中でそういう情報が取られていれば、そういった情報を医師に情報共有をしていただいて、それを基に健診をしていただくというやり方もあるかと思います。
 いずれにしろ実務的な整理については、まだ十分にできていない点もありますので、御意見を頂きながら先ほど申し上げた産業衛生学会の手引等も含めて整理していきたいと思っています。
 私からは最後になりますが、宮内委員から頂いた結果の保存です。今、法令上は5年保存が義務になっており、発がん性のあるものについては30年保存となっています。先ほども申し上げた長期保存の仕組みとも関係してきますが、こういった結果が適切にきちんと保存されていくことが大事だと思いますので、その徹底は図っていきたいと思っています。PDCAを回すというのは、化学物質に限らず当然大事なことだと思いますが、そういう考え方、健診をどう位置付けるかも含めて分かりやすく周知できるように努めていきたいと思います。
○髙田分科会長 続けてお願いいたします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長の安井です。私からは、まず出口委員からの御質問ですが、全部で5点ぐらいあったと思います。まず、建設業のほうで進めているいわゆる業種別マニュアルの関係について、引き続き支援を頂きたいということですが、こちらについては典型的な作業、塗装とか接着とか、セメント作業とか防水とか、そういったものを抜き出して、それに対して、昨年度から現場をお借りして測定を行って、今のところそれほど高い濃度は出ていないということもありますので、それに基づいた形でどういったマスクを着ければいいかとか、そういったマニュアルを作成しようというところです。
 いわゆる典型的な作業については、今年度中にほぼ終わるという認識ですが、非常にまれに使う化学物質というのがありますので、令和6年度以降も引き続きこういったマニュアル作りについては、建災防に設置された化学物質センター等を通じて支援していきたいと考えております。
 それから、SDS等における保護具の記載については、SDSの交付義務が掛かる物質と、リスクアセスメント義務が掛かる物質は当然同時でして、SDSが交付される物質が段階的に増えていくのに合わせて、リスクアセスメントの掛かる物質も段階的に増えていくということです。そういった関係で、リスクアセスメントができるSDSというのをきちんと流通させるということでやっていく考えです。また、今、手袋等の保護具の関係については委託事業ですが、具体的にどういう化学物質であればどういう材質の手袋を選ぶのかと、その上で、実際の作業内容に応じて厚さを選んでいくという、簡易なリスクアセスメントの手法を入れた形で手袋を選べるよう、マニュアルを現在、作成しております。そちらは建設業の方も委員として参加されて検討しているところですので、そういったものを今年度中に作成して周知していくという予定です。
 4点目で、円滑な施行についての支援は、従来から電話相談、訪問支援を行っており、こちらについては引き続き進めていきたいと考えております。また、マニュアルの進捗状況を御報告いただきたいということですが、こちらについては、この場で報告するのが正しいかどうか、その場に応じた判断になると思いますけれども、何らかの形ででき上がった業界別マニュアルは、当然ホームページに公開する等のことはさせていただく予定です。
 それから、山脇委員から、リスクアセスメント物質が今後増えていく中で、きちんとSDS等の交付が行われていくのかという御指摘があったところですが、先ほど申し上げたように、令和6年4月、令和7年4月、令和8年4月という形で徐々に物質を増やしていくわけでして、メーカー団体である日化協がSDSの作成作業を現在、一生懸命されているというところです。その中で、化学業界も上流と下流があり、大量に単一物質を製造する会社と、それを混ぜ合わせて接着剤のようなものを作る下流があります。上流がSDSを作らないと下流がSDSを作れないといった状況もあるようでして、そういった目詰まりが起きないようにできるだけSDSを電子化するとか、標準化するとか、そういったことは今後考えていきたいと思っています。
 それから、坂下委員代理からもありましたが、業種別ガイドラインとか業種別マニュアルというものを今後どうするかというところです。現在は、先ほど申し上げた建設業で先行しておりますが、それ以外に塗料とか接着剤あるいは洗浄剤のように、第三次産業で多く使われるものについては一定のマニュアルを作ることが必要だと考えております。こういったメーカーの団体と今お話をさせていただいており、向こうもやる気があるということですので、これらメーカー団体と協議しながら、マニュアルを作っていきたいと考えています。以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 御回答ありがとうございます。今の御説明を解釈しますと、これらのマニュアル、また皮膚障害等防止用保護具のマニュアルについても混乱なく、周知期間も含めた状態で完成して、円滑に進むようになるという形で解釈させていただいてよろしいということでしょうか。
○髙田分科会長 事務局お願いします。
○化学物質対策課長 建設業マニュアルにつきましては、先ほど申し上げました状態で、昨年度から実施しておりまして、測定もほぼ終わっている状態ですので、今年度、冬の頃にはほぼ出来上がって、周知開始ができる予定です。また、手袋も大体同じぐらいのスケジュールで、まず一度、事業所でトライアルをしてみようということになっていますので、そのトライアルしたあとに最終案をまとめますが、冬かそれぐらいには一応、暫定版は表に出る形になると思いますので、そこで周知を図っていくことを考えている予定です。
○髙田分科会長 出口委員、よろしいでしょうか。
○出口委員 冬ぐらいに完成して、周知されるということですので、完成を待ちたいと思います。御協力、よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。坂下様、お願いします。
○鈴木委員代理(坂下様) 坂下です。御説明ありがとうございます。私から強調させていただきたいのは、今、マニュアルやガイドライン作りについては、建設業のほうは進んでいるというお話があったのですが、化学物質は建設業だけでなく、製造業を中心に多くの事業者が使っています。来年の4月の法令施行に向けていよいよ残り半年という状況になり、SDSの作成状況については、メーカーも一緒になって努力をされているというお話がありましたので、混乱のない形でしっかりとしたSDSが市場にちゃんと出回り、使う側がしっかりそれに基づいて適切なリスクアセスメントをし、必要な対策を講じられるような状況を是非作っていただきたいと思っております。現状では、電話相談ですとか、訪問支援ですとか、いろいろとされているということなのですが、引き続きそういった取組をしっかり強力にやっていただければと思っています。
 今後、問合せがいろいろ来るのではないかなと想定されています。現時点では、経団連でも化学物質の自律的な管理に移行するという説明をしたときに、多くの企業が不安になられたのは事実です。大手であってもそうでした。特に各社はしっかり安全対策をやりたいと思っておりますので、そうした中、まだマニュアル等々も作成中であると御説明もありました。引き続き、しっかりとした体制ができるように、取り組んでいただきたいと思います。あえて、そこはもう一度、強調させていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございました。事務局は追加はございますか。
○化学物質対策課長 御意見承りました。製造業の方も様々な製造業もあると思いますので、説明の機会とか、意見交換の機会もあったら、設けさせていただければと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほかの御意見、御質問をされた委員の方で、更に追加でございますでしょうか。オンラインの委員の方、何か追加がございましたら、チャットに書き込みをお願いいたします。そのほか、会場の委員で追加で御発言ございますでしょうか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御回答ありがとうございました。このリスクアセスメント対象物健康診断の成否は、やはりばく露の評価の所が重要になってくると改めて感じました。先ほど矢内委員からも健診機関の役割についての御発言、御意見等ございましたが、やはりこの業務歴の調査とか、作業条件の簡易な調査、いわば一次検査として位置付けられている項目につきましては、外部の健診のみ請け負っている所だと、なかなか厳しいものがあるように思います。産業医、そして保健師の役割が重要になってくると思いますので、その辺りにつきましても、日本産業衛生学会と今後、連携してマニュアルを作られるということですので、担うべき役割等々、示していただけたらいいのではないかと思った次第です。以上です。
○髙田分科会長 御意見ありがとうございました。追加はございますか。
○産業保健支援室長 ありがとうございます。今回、このリスクアセスメント健診で、医師が関わる部分については、産業医がいらっしゃる事業所については、基本的には産業医が主体的に関わっていただくという考え方かなと思っておりまして、今後、ガイドラインなど具体的なものを出す際とか、周知の際にもそういったことも周知をしていきたいと思いますし、産業医の先生方にも御自身がどういう役割をこの中で果たすことが期待されているのかが分かりやすく伝わるように産業衛生学会、医師会などとも協力しながら、よく周知をしていきたいなと思っております。
 それから、健診機関が健診をする際には、やはり情報が事業者から伝わっていることは大事だと思っていますので、きちんと健診において判断するのに必要な情報が事業者から健診機関に伝わるように、そこも現場の方の意見も聴きながら、よく整理をしていきたいと思っております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほか、よろしいでしょうか。チャットのほうも書き込みがないようですので、そうしましたら、今たくさん御意見、御要望、御質問を頂きましたけれども、その内容も踏まえまして、事務局から説明いただいた方針で更に進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これで、全ての議題を終了いたしました。本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了いたします。お忙しい中、ありがとうございました。