第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課

日時

令和5年8月28日(月) 13:00~15:00

場所

Web会議
中央合同庁舎5号館 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)2023/24 シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について
  2. (2)ワクチンの研究開発支援について
  3.   
  4. (3)その他

議事

議事内容
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を開始いたします。本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の議事は公開・頭撮り可としております。議事の様子につきましてはユーチューブで配信いたしておりますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、頭撮り御希望のプレスの方には御協力と御理解のほどをお願いいたします。また、傍聴される方につきましては、「傍聴に関しての留意事項」の順守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御了承ください。
 また、本日は、対面及びWeb会議によるハイブリッドで開催いたします。まず、Web会議が開催されるに当たり、会議の進め方について御連絡をさせていただきます。御発言される委員の皆様には、まずお名前をおっしゃっていただきまして、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、Web会議ですので、タイムラグが生じることを御了承いただければと思います。また、会議の途中で、長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合には、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。また、開催に先立ちまして、事務局に人事異動がありましたので、御紹介を申し上げます。7月18日付けで、高城前参事官に代わって堀予防接種担当参事官が着任しておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現在、10名の委員のうち、10名全員の先生方に会場及びWebで御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 それでは、議事に先立ちまして、資料の確認をします。本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた、電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施します。番号01の「議事次第及び委員名簿」、番号04の「利益相反関係書類」を用意しております。資料の不足等、御不明な点がありましたら、事務局までお申し出ください。申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りについてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。それでは、ここからの進行につきましては伊藤部会長にお願いしたいと思います。
○伊藤部会長 皆様、御出席いただき、ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは、事務局から、審議参加に関わる順守事項などについて報告をお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 引き続き事務局でございます。審議参加の取扱いについて御報告を申し上げます。本日御出席いただいた委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規定に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、申請書類への関与について御申告を頂きました。本日の各委員からの申告内容につきましては、資料04の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。また、本日の議事内容において、個別に調査審議される品目はありませんので、議事への不参加に該当する委員はいませんでした。また、毎回のお願いで大変恐縮ですが、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認していただくことにより、正しい内容を御申告いただくよう、よろしくお願い申し上げます。事務局からは以上です。
○伊藤部会長 それでは、早速議事に入ります。毎年、夏のこの暑い時期に議題となる、「2023/24シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について」です。まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○清水ワクチン開発専門官 事務局でございます。それでは、資料1に基づいて、「2023/24シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について」、御説明いたします。まず、2ページです。こちらはインフルエンザワクチンの供給量の年次推移です。季節性インフルエンザワクチンは鶏卵から製造するもので、過去からの供給量と使用量をスライドで示したものです。供給量が緑の棒グラフ、使用量が赤の折れ線グラフです。ここ数年の経緯としては、令和元年に、供給量2,942万本に対して使用量2,825万本、令和2年は供給量3,342万本に対して使用量が3,274万本、令和3年は供給量2,867万本に対して使用量が2,597万本、令和4年が供給量3,649万本に対して使用量2,567万本です。今年度の、令和5年度の供給量は3,121万本になる見込みです。
 続きまして、3ページです。こちらが週次のインフルエンザワクチンの累積供給量を示しています。令和5年は9月末の時点で、年度の供給量の半数を上回る約1,660万本が出荷される予定となっています。
 最後に、4ページ、「今シーズン(2023/24シーズン)のインフルエンザワクチンの供給に係る対応」です。まず1つ目の緑枠、「インフルエンザワクチンの供給等に関する近況」です。まず、定期接種対象者がインフルエンザワクチンの接種を希望する場合、その機会を逸することがないように、例年、ワクチンの効率的な使用等について現場に働き掛けを行っており、そうした前提の中、通常年の使用量は3,000万本以下となっております。その近況としましては、令和2年度は新型コロナワクチンが供給されていない中で、新型コロナウイルス感染症との同時流行が懸念されたことから、例外的に接種者が大幅に増加されたことから、需要が高まっております。令和3年度は製造資材等の入手遅延等を受けて、供給量が低下しております。令和4年度は新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念されたため、特例的に増産要請にお応えいただき、供給量が高まりました。
 2つ目の緑枠、「今シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」です。令和5年度のワクチンの供給量は、最初に申し上げたとおり、3,121万本となり、通常年の使用量を超える供給量となる見込みです。また、9月末時点で年度内の供給量の半数を上回る約1,660万本、成人換算で約3,320万回分が出荷される予定です。これは、65歳以上の高齢者が約3,590万人おりまして、その9割が1回ずつ接種できる量に相当します。
 3つ目の緑枠、「今シーズンの対応」です。以上を踏まえて、令和5年度は需給が逼迫する可能性は低いが、これは例年行っているワクチンの効率的な使用が前提となっているから、今年度も昨年度と同様に、ワクチンの効率的な使用等について、医療現場に働き掛けを行っていくこととしてはどうかと考えております。説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤部会長 ありがとうございました。今年のワクチンの供給の見通しについて説明いただきましたが、もしかしたら、今年が従来型の鶏卵培養のワクチンだけが供給される最後になるかもしれません。というのは、来年からは、経鼻ワクチンやmRNAベースのインフルエンザワクチンの開発が進んできていますので、どんな形になるか分かりません。今年の我が国の供給に関しては、鶏卵ベースの従来と同じ形のワクチンで3,000万人分以上の供給があり、昨年度実績に比べると多いので、供給に関してそれほど不安がないという説明を受けたと思います。皆さんから御質問、御意見はありますでしょうか。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 お伺いしたいのですが、恐らく、御担当の方ではないかと思うのですが、今のところ、9月20日から新たなコロナワクチン、XBB対応型ワクチンを接種の通知が我々市町村に来ております。そこで質問なのですが、この冬もインフルエンザワクチンとコロナワクチンとの同時接種を可能にするという方針なのか、違うのか。もうすぐコロナワクチンが始まりますし、インフルエンザワクチンも10月に入ったら市町村は始めますので、この会議とはダイレクトには関係ないのかもしれませんが、もしお分かりになれば、その辺の情報をお教えください。以上です。
○清水ワクチン開発専門官 事務局です。質問に関して、お答えできる範囲でお答えさせていただきます。まず先生が御指摘のとおり、今の季節性インフルエンザワクチンとコロナワクチンの同時接種のお話は、本部会の所掌ではありません。その前提でお話をさせていただきます。季節性インフルエンザワクチンとコロナワクチンの同時接種に関しては、昨シーズン、別の会議体で検討し、昨年度は推奨するという対応をしたと記憶しております。今シーズンに関しても、季節性インフルエンザワクチンとコロナワクチンの同時接種の形があると認識していますが、そちらについては、引き続き内部で検討しているところです。以上です。
○伊藤部会長 多分、基本方針部会で議論していて、基本方針部会にも所属されている方もいらっしゃいますが、今の段階では同時接種は可能で、それを変えるということにはなってないと思っていますが、それでよろしいでしょうか。
 ほかに何かございますか。それほど大きな問題がないということで、議論がないと思いますが、そこに書いてあるように、昨年度も、13歳以上の方に関しては1回の接種でお願いすることに加え、買占めなどがないようにということは、皆さんにお願いしなければいけないのだろうと思います。例年の取扱いから考えると、需要・受給の乱れはそれほどないと、今の段階では予測できているということだと思います。それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。皆さん、首肯していただけていますので、この議題に関しては、それで了承したとさせていただきたいと思います。
○釜萢委員 先生、釜萢ですが。
○伊藤部会長 ありがとうございます。釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 今の先生のおまとめについては賛同申し上げます。この議題は終わってしまってもしょうがないのですが。関連して、先ほど伊藤先生が言われた来年以降の見通しについて、まだ未確定だろうとは思いますが、現時点で事務局として示すことのできる情報を、もう一度整理をしていただいて、全く今は未確定で何も出せませんというのであれば、それはそれでしょうがないのですが、せっかく皆さんこうしてお集まりになっておられるし、関心の高いところなので、現在の新たなワクチンの製造の進捗状況や今後の見通し等について、伺えることがあれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○清水ワクチン開発専門官 事務局です。お答えできる範囲になってしまって恐縮ではありますが、今、当方で把握している情報をお話させていただければと思います。現時点で、鶏卵ワクチン、いわゆる鶏の卵から作るワクチンのほうが現場に出ていると認識しています。このほかにどういったものがあるのかというと、まず1つは経鼻のワクチンです。薬事承認された品目がありますので、その経鼻の季節性インフルエンザワクチンについて対応を、どうしていくか検討していく必要があるかと思っています。
 もう1点あるのが、こちらの部会の1月の部会で検討させていただきました海外製の季節性ワクチンです。こちらもどういった形で入れていくかも併せて検討していく必要があると思っています。その辺りが、今後、検討の課題となっていまして、こちらに関しては、また引き続き、今シーズンではないのですが、部会の中で議論していただいた上で進めて、安定供給に関して御議論を賜れればと考えております。以上です。
○釜萢委員 どうもありがとうございました。まだ未確定のところで、御説明なさりにくいだろうと思いながら、あえて質問させていただきました理由は、一番懸念されることは、新たな鶏卵以外のワクチンで、経鼻なワクチンはこれはまた別に置いておいて、注射をする形のものでのワクチンについて、方式を鶏卵から改めた場合に、安定供給がどうなのか、あるいは効果はどうなのかということについては、十分検討して、国民の皆さんに安定してワクチンを提供することが極めて重要でありますので、その検討の時期が十分確保される必要があるだろうと思います。それから、ワクチンの製造にはそれなりに時間が掛かるので、ある程度共通の認識が早い段階でできていて、そしてそれに基づいてメーカーが適切にワクチンを製造できる環境が必要なのは申すまでもないので、その辺りの情報はなるべく早く開示されて、合意形成につながることを強く願うという趣旨から発言をさせていただきました。以上です。
○伊藤部会長 釜萢先生、ありがとうございました。前々回に、インフルエンザワクチンの元株に関しては、WHOが推奨しているものをそのまま我が国でも受け入れるという話になっていますので、海外で製造されたワクチンが入ってくるのだろうと思っています。
 これは私が個人で知る限りのところですが、コロナワクチンとインフルエンザワクチンのコンビネーションの開発もされていたりしますので、そういうことも含めて、早めに情報が分かり次第、この委員会に上げてほしいということについては、釜萢先生がおっしゃられるとおりだと思いますので、この委員会として事務局に要望したいと思いますが、皆さんよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そういう形で、新しいモダリティのインフルエンザワクチンに関しての情報が分かり次第、できるだけ早くこの部会にも報告してほしいということの要望をさせていただきたいと思います。
 ほかによろしいでしょうか。では、続いて、次の議題に移らせていただきます。次に、「ワクチンの研究開発支援について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○坂西予防接種担当参事官室室長補佐 資料2に基づいて、ワクチンの研究開発支援について御説明いたします。2ページです。こちらは令和3年6月1日に閣議決定された「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づく関連予算をまとめたものです。一番上の1つ目の○です。強化戦略に基づきまして、感染症有事に備え、より強力な変異株や、今後脅威となりうる感染症にも対応できるよう、戦略性を持った研究費のファンディング機能の強化、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、創薬ベンチャーの育成、ワクチン製造拠点の整備等、平時からの研究開発・生産体制を強化することとなっております。
 また、国産ワクチン開発企業に対する実証的な研究費用の支援等とともに、ワクチン開発に成功した場合には買上げも検討することとなっております。
 枠の中ですが、令和3年度と令和4年度の補正予算における関連予算を記載しており、厚生労働省関係としては、左側の黒ポツの4つ目、感染研において、ワクチン開発研究推進に向けた品質保証に係る機能強化の予算、右側の黒ポツの1つ目、臨床研究中核病院において、新興・再興感染症に対するワクチン等の治験等を実施するための基盤整備、また、その下のワクチン開発、供給、GHIT、COVAX等への貢献、その下の感染研において動物由来感染症リスクに対応するための危機管理体制強化、枠の中の一番右下ですが、新型コロナワクチンについて、国内企業が実施する実証的な研究の実施費用や、実用化されたワクチンの買上げ、国産原材料・資材の品質評価を支援する予算が含まれております。
 続きまして、3ページは今ほど御説明した政府の取組について、ワクチン研究開発の各ステージに沿ってどのようなものがあるか図示したものです。枠の中の左下を御覧ください。この図は、左側から病原体の特定などの基礎研究、応用研究、開発研究・治験、製造方法の開発研究、製造のようなステージに沿いまして、各事業を配置しております。各事業については、オレンジ色の枠の左上側に、感染症モニタリング体制強化がありまして、その下に、青い丸い枠のAMEDのSCARDAによる取組があります。中ほどに、臨床研究中核病院等の治験環境整備・拡充などがあり、オレンジの枠の右下には、新型コロナワクチンの大規模臨床試験及び買上げ等があり、各ステージにおける支援を行うこととなっております。
 4ページです。こちらは、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づく研究開発等の推進について、全体概要や、AMEDで実施している「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」、これは前のページで「戦略的研究費ファンディング機能の強化」と記載されているものですが、この事業の特徴などをより詳細に御説明しておりますので、適宜御参照いただけますと幸いです。
 5ページは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの研究開発について、AMEDにおける取組を御説明するものです。時系列的には少し遡りますが、令和2年度の補正予算によるワクチン開発推進事業の内容を御説明するものです。図の青枠、赤枠のように、基礎研究から臨床試験まで、新型コロナワクチンの研究開発の各ステージについて支援を行っております。
 6ページは、厚生労働省による国内企業の新型コロナワクチン実用化に向けた取組、ワクチン生産体制等緊急整備事業などを御説明するものです。中ほどに、大きな3つの吹き出しがあります。左側の青い令和2年度2次補正予算による取組、真ん中の黄緑色の令和2年度3次補正予算による取組、右側の太い緑色の令和3年度の補正予算による取組により、ワクチン製造販売企業等の生産体制の整備の補助に加え、実証的な研究、大規模臨床試験等の支援を行っております。
 7ページは、先ほどのワクチン生産体制等緊急整備事業のうち、第1次、第2次、第4次公募による採択結果をお示ししております。事業者が研究開発又は製造するワクチンについて、第1次と第2次の公募で採択された事業者、表では、令和2年と令和3年の採択事業者については、国内における生産設備の整備を支援しています。また、第1次と第2次のうち、KMバイオロジクス、塩野義製薬、第一三共及びVLP Therapeutics Japan、そして、第4次公募で採択されたMeiji Seika ファルマに対しては、実証的な研究等の支援を行っております。
 8ページは、ワクチン生産体制等緊急整備事業の第3次公募による採択結果をお示ししております。こちらは、上側の黄色の枠内の1つ目の黒ポツですが、新型コロナワクチン等の医薬品製造を国内で安定的に生産するために必要な部素材の国産化による安定供給に資するため、国内で製造される又は製造が計画されている部素材及びその原材料について、ユーザーとなる医薬品メーカーが医薬品製造への採用可否を判断するための材料となる品質等のデータの取得に必要な経費を支援するものです。表に記載のように、令和4年12月に7事業者の8事業を採択しております。
 9ページは、コロナワクチン開発の進捗状況の主なものをお示ししております。まず、一番上の第一三共のmRNAワクチンは、真ん中の欄の赤字の部分ですが、令和5年8月に起源株に対応する成人向けブースター用ワクチンの薬事承認がなされました。なお、現在の新型コロナのmRNAワクチンの追加接種は、オミクロン株対応2価ワクチンが用いられておりますので、こちらのワクチンは出荷されておりません。第一三共は、引き続きオミクロン株XBB.1.5系統に対する1価ワクチンの開発に取り組んでおります。また、2段目の塩野義製薬の起源株組換えタンパクワクチンと、3段目のMeiji Seika ファルマの起源株レプリコン型mRNAワクチンについては、薬事承認申請中となっております。また、4段目のKMバイオロジクスの不活化ワクチンと、VLP セラピューティクスのレプリコン型mRNAワクチンについては、現在臨床試験を実施しているところです。一番下のアンジェスによるDNAワクチンについては、中ほどの赤字のように、臨床試験において主要評価項目が期待する水準に至らず、2022年9月に開発中止となりました。
 10ページは、経済産業省によるデュアルユース補助金の御説明です。上の青枠の中を御覧ください。平時は企業のニーズに応じたバイオ医薬品を製造し、感染症有事には、ワクチン製造へ切り替えられるデュアルユース設備を有する拠点等を整備するものです。事業イメージは、スライドの右側のとおりであり、有事の際には、右側の赤枠のような製造に活用できる拠点を整備するものです。この事業は、上のほうに記載がありますが、令和3年度と令和4年度の補正予算で措置されており、令和3年度補正予算では、次の11ページに記載の事業者が採択されております。
 最後の12ページは、令和3年度補正予算で採択された事業実施場所を地図上で図示したものです。令和4年度補正予算による事業については、現在、採択作業中と伺っております。以上、資料2に基づいて、ワクチンの研究開発支援について御説明いたしました。説明は以上です。
○伊藤部会長 今まで散々、ワクチンの開発状況の詳細を教えてほしいと。特に他省庁やAMEDも含めて教えてほしいとお願いをしておりましたが、今回、いろいろな資料を併せてきれいにまとめていただけたと思います。特に9ページの、現行のコロナワクチン開発の進捗状況は直近のものまで含めたデータを頂けていますので、今後の議論の参考になるだろうと思います。まず、事務局の説明に対して、御質問を頂けますか。少しボリュームが多いので、消化するのが大変かと思いますが、今まで荒戸先生や信澤先生から、デュアルユースというのはそんなに簡単なものではないというご意見をいただいていたと思いますが、それに対する対応策として、様々な施策、特にシングルユースですぐに取替えができるような資材も含めた今の取組について、説明頂けていると思いますが、いかがですか。
 もう一点、説明を聞いているのは、ワクチンの製造に当たって、今までは、外国から製品を輸入して、緊急事態ではなかなか国内で需給ができなかったという安全保障上の問題が発生した点を、もう1つは、生産体制として国内で需給ができるようにという話で補助が行われていると聞いております。
○坂元委員 川崎市の坂元です。1つ質問です。これも予防接種室のマターではないかもしれませんが、確かこの前、第一三共がコロナのmRNAワクチン、これは野生株だと思いますが、薬事承認が取れたということですが。日本でも野生株で承認を取れた場合、今後、例えばオミクロンXBBとか、新たな株に対しては、再度臨床試験をやらない。俗に言うインフルエンザと同じようなプロトタイプ承認という方向性があるのかどうか。アメリカはそういう方向性だということを示しているように思いますが、日本の場合、その辺の方向性は何らか示されているのでしょうか。もしお分かりになれば、よろしくお願いいたします。
○伊藤部会長 すみません、釜萢先生、質問を頂けますか。
○釜萢委員 これもなかなか難しい問題だと思いますが、今、御説明を頂いた内容を伺っていても、これまでにない、国としても大変大規模な支援をして、そして、ワクチンを国内で何とか製造しようという大変強い決意が伺われて心強く存じます。その背景として、現時点でなかなか新型コロナのためのワクチンを国内で十分生産できなかったというか、輸入せざるを得なかったということがあるわけですが、それを少なくとも改善する方向で、今かなり動き出していることはよく分かりました。が、もう一度、この時点で、我が国における課題は何があって、それにどのような手立てを講じて、現時点では、ここまで改善してきたのだというところが明確になる必要があると思います。そして、そのことを踏まえると、今後の見通しがより明らかになってくると思います。例えば、先ほどお話があった第一三共のワクチンについて、XBBタイプのものが、一体いつ頃になれば供給されるのか。これもまだ不明だとは思いますが、そういうところとの関連も出てきますので、もう一度、我が国における体制で不十分だった点の総括、それに対して、これだけ手当てをしたことによって、どのように改善し、今後の見通しがどうなのかということについて、現時点で伺える点をお尋ねしたいと思います。以上です。
○坂西予防接種担当参事官室室長補佐 お尋ねの点について、お答えを申し上げます。まず、坂元委員から御質問がありました、変異株対応のワクチンの承認審査については、所掌としては、薬事・食品衛生審議会の審議になっております。その考え方として、変異株対応ワクチンのうち、ケースによっては、ベースとなる臨床試験の成績があれば、あとは今、問題となっている変異株に対する非臨床でのデータとの組合せによって、承認できる場合があるという考え方が示されていると承知しております。
 これまでもオミクロン株の変異株のワクチンは承認されたものがありますが、そういったものは、こういった組み合わせで検討がなされているものがあると承知しております。まず、坂元先生の御質問に対しては、以上です。
 次に、釜萢先生からの御指摘の点ですが、今回の新型コロナワクチンの開発の事例を踏まえて、感染症有事が発生した場合には、迅速にワクチンを開発、そして、国民に接種するための必要な量を供給する必要があると承知しております。それに当たりまして、まずは、国内における研究開発体制、迅速な開発がなされる体制が必要ということと、あワクチンに関しては、感染症が発生してからでないと、企業にとっては投資をするか否か判断するためのニーズを見積もりにくいという課題があります。そういった見積りが難しくて、投資が難しいだろうということに関して、国としても、生産体制のように、これまで国内で十分でなかったところを支援する必要があるということになったと承知しております。そのために今回、ワクチン生産体制等緊急整備事業、厚生労働省ではこういった事業を実施して、生産体制などの整備に取り組んでいます。
 こちらは、9ページでお示ししたとおり、それぞれのワクチンの開発については、臨床試験までステージが進んでいるということと、あと本日、具体的には御説明しませんでしたが、右端の交付基準額の金額には、臨床試験の費用のほかに、国内での生産体制の整備のお金も含まれておりまして、各社において、国内における生産ラインのための施設や、設備などの整備に使われて執行されているという状況です。
 あと第一三共社のXBB.1.5系統に対するワクチンの開発についてです。こちらは第一三共社のプレスリリースによりますと、今年をめどに供給できるように開発に取り組んでおられると承知しております。御回答は以上です。
○釜萢委員 どうもありがとうございました。これだけの手当てをしていただいて、いろいろな改善を図っている。特に、臨床治験を実施することは非常に大変なことだと思いますので、その辺りについても随分御支援を頂いていることが分かりました。その結果として、現時点では、今後の大きなワクチンの生産が必要な段階においては、現時点での判断としては、かなりワクチンの供給が国内で十分可能になる見通しと申し上げてよろしいのでしょうか。
○坂西予防接種担当参事官室室長補佐 ただいまのお尋ねについて、9ページのワクチン生産体制等緊急整備事業で、国内に整備された施設・設備等については、企業においては、少なくとも令和11年度末まで生産体制の設備を維持して、新型コロナワクチンの製造や、ほかの感染症が出てきた場合には、そういった必要なワクチンの製造などに使っていただくということが、公募の際の条件になっております。厚生労働省としては、この条件に基づいて、本事業で整備された施設・設備等については、今後の感染症有事にしっかりと活用されるように取り計らっていきたいと考えております。以上です。
○釜萢委員 どうもありがとうございました。よく分かりました。
○伊藤部会長 ほかに御意見や御質問はありますか。大丈夫ですか。今回は随分きちんとした、まとまった資料を御提示していただいたので、よく分かるようになったと思っています。釜萢先生がお話をされるように、今後、これをどういうふうに生かしていくのかということは考えていかなければいけません。せっかくこれだけ予算を使っているので、無駄のない形で国民にワクチンが供給できるようになっていくといいなと思います。それはどちらも個人的な思いです。ほかに皆さんいかがですか。我が国は、外国に比べますと少し遅かったかなと思いますが、ようやく追い着いた状況にはなっているのではないかと思います。今後、新たな感染症が出てきたときに、こういったものが役に立ってほしいと思います。よろしいですか。特に、皆さんから御意見がなければ、これで説明を終わりにいたします。本日、予定していた議事は以上です。そのほか、事務局から何かありますか。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 事務局です。本日も様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。次回の開催については、追って御連絡をさせていただきます。引き続き、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。また、前回話が出ておりましたように、予防接種の基本計画というか、今後の見通しの話については、もう少し整理していただいた上で、また会議を開く御予定だと思いますが、またそのときは、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。