2023年5月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和5年5月29日(月)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、本日のWeb会議におきます委員の出席状況ですが、浦野委員、大曲委員より御欠席との御連絡を頂いております。そのほか、亀田委員、川上委員からは、遅れて御参加との御連絡を頂いております。したがって、本日ですが、現在のところ当部会委員数21名のうち、17名の委員がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。なお、薬事分科会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様から適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
 それでは清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 皆さん、こんばんは。清田です。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~18を用いますので、お手元に御用意いただけますか。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料18に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
 議題1「オンキャスパー」、退室委員は山口委員、山本昇委員、議決に参加しない委員は南委員、山本俊幸委員です。
議題2「リトゴビ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は南委員、山本俊幸委員です。
議題3「キイトルーダ」、退室委員は大隈委員、川上委員、議決に参加しない委員は亀田委員、中野委員、南委員、山口委員です。
議題4「バクニュバンス」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、松下委員です。
議題5「デュピクセント」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員です。
議題6「リットフーロ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、山本俊幸委員です。
議題7「希少疾病用医薬品の指定の可否」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員です。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に、特段の御意見はありますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項が7議題、報告事項が5議題、その他事項が2議題となっています。
 それでは、審議事項の議題に移ります。議題1、山口委員におかれましては、利益相反の申出に基づき、また山本昇委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題1の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。山口委員、山本昇委員は、御退室をお願いいたします。
──山口委員、山本昇委員 退室 ──
○清田部会長 それでは、議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品「オンキャスパー点滴静注用3750」の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの80分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるペグアスパルガーゼは、L-アスパラギナーゼ製剤であり、血中のL-アスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに分解し、L-アスパラギンを枯渇させることにより悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。本剤は「急性白血病、悪性リンパ腫」の効能・効果で承認されているL-アスパラギナーゼに、ポリエチレングリコール(PEG)を結合させた製剤で、本剤はL-アスパラギナーゼと比較して持続的な体内動態を示すため、投与頻度の低減が期待されています。
 今般、本剤は「急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。令和5年2月時点において、本剤は70の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には、9人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料17を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験である201試験が提出されました。有効性については、審査報告書30ページを御覧ください。
 未治療のB前駆細胞性急性リンパ性白血病(ALL)患者を対象とした201試験が実施されました。201試験の主要評価項目は、血中アスパラギナーゼ活性が0.1IU/mL以上を達成した患者の割合という臨床薬理的な指標となっています。
 本剤は、既承認のL-アスパラギナーゼ製剤と同じく、ALLや悪性リンパ腫に対して単独投与ではなく多剤併用化学療法の一部として投与することとされており、本剤単独投与での抗腫瘍効果を評価することは困難であることに加え、本剤の作用機序がL-アスパラギンを枯渇させることであり、L-アスパラギナーゼ製剤の有効性を評価する上で血中アスパラギナーゼ活性が0.1/mLという基準がコンセンサスになっていることを考慮して、血中アスパラギナーゼ活性に基づき本剤の有効性を評価することは可能と判断いたしました。その結果、主要評価項目として「本剤初回投与14日後の血中アスパラギナーゼ活性値が0.1IU/mL以上を達成した患者の割合」は100%であり、本剤の一定の有効性が示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書39ページの「7.R.3安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、過敏症、膵炎、出血、血栓塞栓症、肝機能障害、骨髄抑制、感染症、脂質異常症、高血糖及び中枢神経障害が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。以上のような審査の結果、機構は「急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。
 なお、石井明子委員より、事前に御質問を二つ頂きましたので、回答させていただきます。一つ目は、添付文書における単位の記載についてです。「3.1組成の項において、単位の定義が重要と考えるので、IU(国際単位)に関して、L-アスパラギンを基質とした場合の酵素活性であることを明記してほしい」との御指摘です。この点については、御指摘を踏まえ、ロイナーゼ注の添付文書の記載を参考にして適切に修正いたします。
 二つ目は、抗薬物抗体についてです。「既に臨床で使用されている大腸菌由来のL-アスパラギナーゼ製剤(ロイナーゼ注)では、過敏症がしばしば問題となります。過敏症の要因となり得る抗薬物抗体について、審査報告書55ページに機構の考察が記載されており、「臨床試験において抗アスパラギナーゼ抗体及び抗PEG抗体が発現した患者が報告された旨について、添付文書等を用いて医療現場に適切に情報提供する必要がある」と判断されていますが、添付文書では15.1項において、「国内外の臨床試験において本剤に対する抗体の産生が報告されている」旨の記載がなされているのみであり、リスク管理計画書(RMP)には特に記載がないようです。添付文書又はRMPにおいて、もう少し具体的な情報提供が必要ないか検討ください。」との御指摘を頂きました。また、「抗薬物抗体について、臨床試験で行われた免疫原性評価法の妥当性についても説明をしてほしい。」とのコメントを頂きました。
 これらの点について、機構より回答いたします。まず、抗薬物抗体の情報提供についてです。本薬の抗薬物抗体に対する現時点での評価としては、審査報告書に記載のとおり陽性例が限定的であることから、有効性及び安全性に抗薬物抗体が影響を及ぼす可能性について明確な判断を下すことはできず、添付文書では現在の記載以上に踏み込んだ記載をすることは難しいと考えています。ただし、頂いたコメントを踏まえ、RMPにひも付く医療従事者向け資材において、抗薬物抗体に関するページを新しく設定し、表46の情報をベースとした情報提供を行う対応をさせていただきたいと思います。
 次に、臨床評価における免疫原性の評価方法についてです。抗薬物抗体については、共存薬物耐性の評価を含めバリデーションが実施された分析法であり、方法自体に大きな問題はないと考えていますが、いずれにしても、先ほど申し上げた抗薬物抗体に関する情報提供を行うとともに、過敏症発現は特に注意を要する副作用の一つとして、添付文書等で必要な注意喚起を行っていますので、十分に留意したいと思います。以上、御質問に対する回答とさせていただきます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。まず、石井先生、ただいまの機構からの回答について、何かありますか。
○石井委員 御説明いただき、ありがとうございました。御見解は理解いたしました。この分野の臨床の御専門の先生が、そういった記載で差し支えないということでしたらよろしいかと思いますので、臨床の先生のコメントを頂戴できればと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問、御意見はありますか。
○南委員 南ですが、確認させてください。
○清田部会長 どうぞ。
○南委員 先ほどの御議論で、添付文書で薬剤名がオンキャスパー点滴静注用3750で、ペグアスパルガーゼ4050単位と書いてあるのですが、この数字の整合性はとられるのでしょうか。それとも、数字の違いがどこかにコメントされるのでしょうか。使う側とすれば数字がずれていることを何か気持ち悪く感じます。添付文書で細かく注3750を有するというのが書いてあるのですが、この記載以上にはどうしようもないのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。添付文書の含量、3750と4050の違いの御指摘かと思いますが、添付文書の1ページの左下の方に少し記載があります。内容としては、過量充填をしているということになりますので、その点が記載の違いということになります。
○南委員 分かりました。過量充填なので、使うときは気を付けてくださいというスタンスですね。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。
○南委員 分かりました。了解です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。ないようですので、議決に入りたいと思います。南委員、山本敏幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。それでは、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで待機されています山口委員、山本昇委員をお呼びください。
──山口委員、山本昇委員 入室 ──
○清田部会長 大丈夫ですか。
○事務局 はい。
○清田部会長 続いて、議題2に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品リトゴビ錠4mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。以後の審査報告書のページ数は各ページの75分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるフチバチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、FGFR2のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、FGFR2融合遺伝子を有する腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を伴う局所進行または転移性胆道癌」を効能・効果として承認申請されました。令和5年3月時点において本剤は米国のみで承認されています。
 本品目の専門協議には8人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料17を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国際共同第I/II試験である101試験の第II相パートが提出されました。有効性については審査報告書34ページの表21を御覧ください。化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子又はFGFR2遺伝子再構成を有する治癒切除不能な肝内胆管癌患者を対象とした101試験の第II相パートにおいて、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく独立評価委員会判定による奏効率は41.7%でした。
 当該成績に加えてFGFR2融合遺伝子はがんのドライバーであること、FGFR2融合遺伝子を有する患者と、FGFR2遺伝子再構成を有する患者との間で、奏効率に明確な差異は認められなかったことなどを考慮すると、化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子又はFGFR2遺伝子再構成を有する治癒切除不能な肝内胆管癌患者に対する本剤の一定の有効性が示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書の40ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象は、高リン血症、網膜剥離、眼障害(網膜剥離を除く)、爪障害、手掌・足底発赤知覚不全症候群及び急性腎障害であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。
 ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上の審査の結果、機構は「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれも概当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでございます。
 それでは議決に入りたいと思います。南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして議題3に移ります。大隈委員、川上委員におかれましては利益相反の申出に基づきまして、議題3の審議の間会議から御退出して御待機いただくことといたします。
──大隈委員、川上委員退室 ──
○清田部会長 よろしいですか。それでは議題3とその他事項、議題1が関連する議題でございますので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3資料番号3、医薬品キイトルーダ点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は各ページの33分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤はヒトprogrammed cell death-1(PD-1)に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクロナール抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。
 現在、本剤は、悪性黒色腫等の複数の効能・効果で承認されています。今般本剤は「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。
 令和5年3月時点において、再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)に係る効能・効果で、24の国又は地域で承認されています。なお、本剤はPMBCLとして希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の専門協議には4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料17を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I相試験であるA33試験、及び海外第II相試験である170試験が提出されました。
 有効性については審査報告書9ページの表2を御覧ください。再発又は難治性のPMBCL患者を対象としたA33試験において、主要評価項目とされた中央判定による奏効率は42.9%でした。また審査報告書10ページの表3を御覧ください。再発又は難治性のPMBCL患者を対象とした170試験において、主要評価項目とされた中央判定による奏効率は45.3%でした。以上の結果等から、再発又は難治性のPMBCL患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書12ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象と同一であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することが可能と判断しました。本剤はPMBCLに係る効能・効果で、希少疾病医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果に対して再審査期間は10年とすることが適当であると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。先にその他事項議題1につきまして、事務局から概要の御説明をお願いしてもよろしいでしょうか。
○事務局 はい。資料14のペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドラインについて御説明をいたします。以降の説明においてページ番号は各ページの最下部の通し番号とさせていただきます。
 原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫につきまして、この度の一部変更承認に伴い、資料14の1ページ~13ページまでにありますように、最適使用推進ガイドラインを作成しております。記載の形式はこれまでに作成している最適使用推進ガイドラインと同様です。
 また14ページ以降ですが、今般古典的ホジキンリンパ腫に係る新たな臨床試験成績が得られており、当該試験成績について最適使用推進ガイドラインに追記する改定を予定しておりますので、御説明をいたします。
 主な改定箇所はグレイのハイライトの部分です。16ページの枠内に対象となる効能・効果及び用法・用量を示しておりますが、この度の改正でこれらに変更はありませんが、今後添付文書の臨床成績の項にも当該試験成績を追加することを予定しております。この度新たに得られた臨床成績は、19ページに記載しておりますが、1レジメン以上の化学療法歴を有する再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験です。なお安全性については、新たに注意すべき事項は認められておりません。説明は以上となります。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。ございませんでしょうか。
○山口委員 先生、よろしいでしょうか。山口でございます。
○清田部会長 はい、どうぞ。
○山口委員 統計解析の計画に関して途中何度か改訂等とかがなされていて、最終的には臨床的な意義等を考慮して問題ないというような、そういう結論になっているかと思うのですけれども、その辺り例えばアルファのインフレとか起こっていないかとか、統計学的な観点で問題がなかったかどうか、機構の見解を教えていただければと思います。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。少々お待ちください。御指摘の点は海外で実施された170試験についてのことだと思いますけれども。
○山口委員 すみません、はい、そうです。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書12ページの機構の判断のところにも記載をしておりますが、試験計画全般について確認したところ、治験実施計画書に規定されていない時点で解析が実施され、当該結果が得られた後に、試験途中に試験計画当時に設定された閾値とは異なる閾値に変更されたこと、試験途中に仮説検定を実施しない計画に変更され、その後さらに仮説検定を実施する計画に変更されたこと等を踏まえ、この試験で得られた結果の統計学的な解釈は難しいと機構は判断しています。
○山口委員 そうしますと、いわゆる統計的な観点ということではなくて、今回だと奏効率、例えば二つの試験だと45.3%等の臨床的な成績という観点から、今回は認めたいというような、そういう御意向で、統計の方は報告書に書いてあるとおりで、正確には幾つか問題というか課題があるというような、そういう理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。得られた結果の効果の大きさ等を考慮して一定の有効性は示されたと判断しております。
○山口委員 分かりました。その辺り、臨床の先生の御判断ということだと思って、私の質問はこれぐらいにさせていただけたらと思いますけれども、了解いたしました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。この点につきましてほかの先生から御意見ございますでしょうか。非常に少ない、対象が非常に少ないですね。ですからそこの評価もなかなか難しいと。ロジカルにはいかないのではないかというふうに思います。よろしいでしょうか。
 それでは御質問がないようでございますので、議決に入りたいと思います。亀田委員、中野委員、南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として薬事分科会に報告されていただきます。それではロビーで待機されている大隈委員、川上委員をお呼びください。
──大隈委員、川上委員入室 ──
○清田部会長 続きまして議題4に移ります。機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、バクニュバンス水性懸濁注シリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より御説明いたします。本説明中のページは、各ページの下段に青字で記載の54分の幾つの数字を使用します。
 本剤は、肺炎球菌の15種類の血清型の莢膜ポリサッカライドに無毒性変異ジフテリア毒素をキャリアタンパク質として結合させたものを有効成分とする15価肺炎球菌結合型ワクチンで、国内で既承認のプレベナー13水性懸濁注(以下、「PCV13」)に含まれる13種類の血清型の莢膜ポリサッカライドと、追加で2種類の血清型の莢膜ポリサッカライドを含みます。
 本剤は、2022年9月に高齢者及び肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人を適応対象として本邦で製造販売承認され、今般、小児に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認一部変更承認申請がなされました。本剤は、2023年4月時点で、米国、欧州を含む30以上の国又は地域で小児に係る適応が取得されています。
 本品目の専門委員として、資料No.17に記載の4名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について御説明いたします。健康小児における有効性について、審査報告書10ページを御覧ください。表5に、乳幼児を対象とする国内第III相試験の結果を示しています。主要評価項目である本剤3回皮下接種後の血清型特異的IgG抗体応答率は、非共通血清型である血清型33を除き、PCV13に対する非劣性の基準を満たしました。血清型33については非劣性の基準を満たさなかったものの、抗体応答率は90.9%でした。
 次の11ページの表6には、血清型特異的IgG抗体濃度(IgG GMC)の結果を示していますが、本剤3回皮下接種後の13共通血清型に対するIgG GMCは全てPCV13に対する非劣性の基準を満たしました。また、接種経路を筋肉内接種として実施された乳幼児を対象とする海外第III相試験の結果を13~15ページに示しております。当該試験でも14ページの表11に示す3回目接種後のIgG GMCで血清型6Aについては非劣性の基準を満たさなかったものの、表10に示す抗体応答率については全ての血清型で非劣性の基準を満たしていました。
 その他の評価項目の結果や他の試験での成績も含めて評価した結果、本剤3回接種による15血清型に対する免疫応答は確認されたと判断しました。また、本剤を追加免疫として4回目接種したときの免疫原性については26ページの表25を御覧ください。本剤4回目接種後の血清型特異的IgG抗体保有率及び血清型特異的IgG濃度(IgG GMC)は、いずれの血清型でも上昇し、これらの結果からも本剤の有効性は期待できると判断しました。
 次に、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる小児(以下、「ハイリスク小児」)における有効性について、鎌状赤血球症患者を対象とした海外第III相試験における免疫原性の結果は21ページの表21に示しております。本剤接種により血清型特異的IgG GMCの上昇が確認されました。また、HIV感染患者を対象とした海外第III相試験においても23ページの表23に示すとおり、免疫応答が確認されています。その他の評価項目も含めて評価を行った結果、ハイリスク小児に対しても本剤の有効性は期待できると判断しました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書11ページを御覧ください。皮下接種で実施された国内第III相試験における特定有害事象の発現状況を表7に示しています。特定有害事象はワクチン接種で一般的に認められる有害事象としてプロトコルに規定して収集されたものです。注射部位紅斑、注射部位硬結といった局所性の反応が高い割合で認められています。
 次に33ページを御覧ください。こちらは、筋肉内接種で実施された海外臨床試験の併合解析の特定有害事象の発現状況を表30に示しており、易刺激性、傾眠といった特定有害事象が比較的多く認められています。
 また、日本人乳幼児を対象に皮下接種と筋肉内接種の両方について検討を行った国内第I相試験の結果は9ページの表3に示しております。局所性の反応の発現割合は本剤皮下接種群よりも筋肉内接種群で低く、全身性の反応の発現割合は両接種経路でおおむね同様でした。特定有害事象以外の有害事象として発熱が一定の頻度で認められていました。本剤接種後にワクチン接種で一般的に認められる局所性又は全身性の特定有害事象が多く発現していましたが、ほとんどが軽度又は中等度で回復性が認められていること、また、類薬であるPCV13とも安全性プロファイルは類似していることを確認し、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本剤は新効能医薬品及び新用量医薬品であるものの、既に付与されている再審査期間の残余が4年以上あることから、再審査期間は残余期間と設定することが適切と判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見ございましたら承ります。いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。小児科では中野先生、御意見はよろしいでしょうか。
○中野委員 中野です。今、御紹介いただいた成績も、私も事前に少し読ませていただきましたが、免疫原性、安全性、双方の観点から当初の臨床試験の目的を達成しておりますし、私たち小児科医にとって、肺炎球菌ワクチンは、それなりにちょっと熱も出たりするワクチンなのですが、先行品と比べて、その頻度が低くなるというほどではないようですけれども、当初の目標を大体達していると思いますので承認に関しては妥当と考えております。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは小児科学の滝田先生、いかがでしょうか。
○滝田委員 私も中野先生と同様に、免疫学的な観点からも、あるいは安全性の観点からも十分なエビデンスであると考えておりますので、承認に関しては異論はございません。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方からは、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題5に移ります。議題5について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同皮下注300mgペンの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページは、審査報告書の下段に記載しております29分の幾つの数字で御説明させていただきます。
 本体の有効成分にあるデュピルマブ(遺伝子組替え)はインターロイキン(以下、「IL」)IL-4受容体とIL-13受容体を構成するIL-4受容体αサブユニットに対するモノクローナル抗体であり、本邦では2018年にアトピー性皮膚炎に係る効能・効果で承認されて以降、気管支喘息及び鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に係る効能・効果でも承認されております。今般、「既存治療で効果不十分な結節性痒疹」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお結節性痒疹(以下、「PN」)に係る効能・効果については2022年9月に米国で、2022年12月に欧州でそれぞれ承認されております。
 本申請の専門委員として、資料17に記載されております5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明させていただきます。なお、審査報告書23ページ、「10.その他」の項に有効性と評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、ステロイド外用薬で効果不十分な成人PN患者を対象に本剤の有効性を検討した国際共同第III相試験成績より御説明します。審査報告書、11ページ、表10を御覧ください。本試験では、被験者がそう痒の程度を0~10の11段階で評価する、WI-NRSを用いて、投与24週時にベースライン時から4以上WI-NRSが改善した被験者の割合である「WI-NRSの4以上改善達成率」が主要評価項目とされました。投与24週時のWI-NRSの4以上改善達成率について、プラセボ群と本剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されております。また、同じ表の右側に日本人患者の部分集団解析結果を示しております。以上より、機構は本剤のPNに対する有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性について、審査報告書18ページ、表14を御覧ください。この表にはPNと既承認効能・効果であるアトピー性皮膚炎、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎及び気管支喘息患者を対象とした臨床試験における安全性の概要を示しております。患者背景、曝露期間、併用薬等が試験間で異なるため、比較に限界はありますが、現時点では既承認の他疾患の患者における安全性プロファイルと比較して、PN患者において明らかに安全性プロファイルが異なる傾向は示唆されていないことから、既承認効能・効果と同様の安全対策を講じることが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 以上、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見はございますか。皮膚科の山本俊幸先生、御質問はございますか。
○山本(俊)委員 質問ではないのですけれども、この結節性痒疹という疾患は本当にいい治療がなくて大変、我々の臨床現場も困る疾患の一つなので、今、アトピー性皮膚炎で保険適用を取得しているこの薬剤が適用拡大で、結節性痒疹に使えるようになったということは非常に喜ばしいことだと思います。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、松下委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは御異議はないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題6に移ります。議題6について、機構より概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、リットフーロカプセル50mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に88分の幾つで記載しております数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるリトレシチニブトシル酸塩は、ヤヌスキナーゼの一つであるJAK3とTECファミリーキナーゼを阻害する低分子化合物で、今般、円形脱毛症に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。
 本申請の専門委員として、資料No.17に記載されております10名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。なお、審査報告書79ページの「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、頭部の脱毛部位が広範囲の円形脱毛症患者を対象とした国際共同第II/III相試験である、B7981015試験成績より説明いたします。本試験における脱毛割合の評価は、医師が、頭部の領域ごとに脱毛の程度を評価し、頭部全体の脱毛割合を、0:脱毛がみられない~100:全頭脱毛で評価するSALTスコアを用いることとされ、主要評価項目は、投与24週時の頭部の脱毛割合が20%以下であることを示すSALTスコア20以下達成率とされました。
 審査報告書43ページの表43を御覧ください。SALTスコアが20以下を達成した被験者の割合は一番上の行に示しているとおりであり、曝露反応関係の検討のための情報取得を目的として設定された10mg群を除く、いずれの本剤投与群においてもプラセボ群との各対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する10mg群を除く本剤投与群の優越性が検証されております。日本人部分集団の有効性の結果は、同じ表の下段となっております。
 また、他の有効性評価結果として、審査報告書52ページの表52には、医師による頭部の硬毛、眉毛及び睫毛に係る評価項目の結果を、審査報告書54ページの表54に、患者報告アウトカムに係る評価項目の結果を示しております。いずれも大部分の評価項目及び評価時期で、有効性検証の対象とされた30mg以上の本剤投与群でプラセボ群を上回る改善傾向が認められております。以上より、円形脱毛症に対する本剤の有効性は示されていると判断いたしました。
 なお、本剤投与群の用量間の比較につきましては、30mg群と比較して、50mg群において多くの有効性評価項目で改善の度合いが大きい傾向が認められている一方、50mg群と、200mg4週間の導入用量を設定した200/50mg群との比較では、導入投与による効果が長時間持続する傾向は認められていないとの成績が得られております。
 安全性につきまして、審査報告書57ページの表57に、本剤の臨床試験における安全性の概要を審査報告書58及び59ページ、表58~60に本剤の臨床試験において認められた、主な有害事象を示しております。また、本剤の薬理作用等から懸念される本剤投与時に注目すべき有害事象についても検討した結果、安全性上の重大な懸念は示されておらず、円形脱毛症の治療に精通した医師の下で使用することや、同様の作用機序を有する既承認の薬剤で実施されている注意喚起等の適切な安全対策を実施することにより、本剤の安全性は許容可能と考えております。
 これらの結果より、効能・効果は「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」、用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与する。」と設定することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。宗林先生どうぞ。
○宗林委員 宗林です。、審査報告書の方は24週までで試験を終えていて、有効性が認められるという話になっておりますが、実際に添付文書になると、48週まで使うということで、48週までに効果が得られなかった場合は投与を中止ということになっているのですが、実際の生えていくカーブというのは、24週を越えて、また新たに生え始めるということが多いからこうなっているのですか、この週のずれはどういうことで起きているのか教えてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を頂きまして、ありがとうございます。御指摘につきましては、43ページの表43では、24週までの成績が示されている一方で、添付文書には48週というような記載もあるという御指摘と理解しております。審査報告書52ページの表52を御覧ください。
○宗林委員 はい。
○医薬品医療機器総合機構 プラセボ群は24週までですが、本剤投与群は48週で、24週以降も本剤を継続投与する試験として実施されております。審査時には48週までの成績が提出されており、御質問を頂いている24週以降について、例えば50mg群の所を御覧いただきますと、24週から更に48週にかけても、SALTスコア20以下達成の患者さんが増えるなど、早めに反応する患者さんもいらっしゃる一方で、もう少し発毛が見られるまでに時間が掛かる患者さんもいらっしゃるというような臨床試験成績が得られております。
○宗林委員 ありがとうございます。もう少しお聞きしますけれども、SALTスコア20%以下ということは、80%が発毛しているという段階だというように思いますが、この48週で数値が上がっているということは、24週とか34週のときには、全く髪の毛が生えていないものが、48週になると、発毛の兆しがみられたというようにみるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 集団での評価となりますので、SALTスコア20以下達成率だけですと、なかなかイメージするものが難しいところもあるかと思います。同じ表のSALTスコア10以下達成率のすぐ下に、SALTスコアの推移を示しております。表が細かくて恐縮なのですが、SALTスコアBLが、ベースライン時のSALTスコアであり、例えば50mg群の患者さんでは、90.3±14.7となっておりますので、SALTスコア90、つまり、9割脱毛が認められているという患者さんが、その下を御覧いただきますと、12週、24週、34週、48週となるに従って、-12、-33、-43、-48と、経時的に発毛が見られていく傾向が認められております。
○宗林委員 ありがとうございました。これは今までやられてきた紫外線とか、そういうようなものとの併用はしないという前提なのでしょうか。添付文書を見ても、特には記載がないようですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 本剤は免疫を抑制する薬剤ですので、免疫を抑制するような全身性の治療薬との併用は避けること、という注意喚起をする予定でございます。一方で、ステロイドの局所の注射などは、そこまで免疫抑制の影響が大きくないと想定されることから、免疫抑制の影響が大きいものについては併用を避け、そうではないものについては併用も可能、という使用方法が可能と判断しております。
○宗林委員 分かりました。よく紫外線を当てたりとかされていますので、その辺を分かるように添付文書の方ではしていただければと思います。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。利益相反がおありで、皮膚科が御専門の山本俊幸先生に、今の辺りを追加で御解説していただけますでしょうか。
○山本(俊)委員 この脱毛も、すごくひどくなると全頭脱毛症とか、眉毛、睫毛も抜けたりで、患者さんのQOLが非常に下がる疾患で、従来はステロイドのパルス療法ぐらいしか、あとは局所免疫療法ぐらいしかなくて、確実な方法がなかったのですが、近年、JAK阻害剤が出てきて、反応がいい人は、本当にものすごく反応してくるということが、ここ1年ぐらいで分かってきまして、数箇月ですぐに反応してくれる方と、半年以上掛かって、少し、比較的ゆっくり反応してくる方とに分かれます。従来、紫外線治療も、ほかにいい治療がないからやっていたという感じで、それがすごく効くというわけでも決してないのです。新しいお薬が一つ選択肢が増えるということは、患者さんのQOLの改善をもたらすこともあるのかと思って期待しています。
○清田部会長 ありがとうございます。宗林先生、イメージはつかめましたでしょうか。
○宗林委員 はい。
○清田部会長 ありがとうございます。これ、治療をやめたら、また元に戻るようなことはあるのでしょうか、山本先生。
○山本(俊)委員 あります。
○清田部会長 ありますよね。
○山本(俊)委員 JAK阻害剤で全部生えてよかった、よかったと思って、お金が高いので、やはりやめたいという患者さんがいて、やめて、またぶり返す人がいて、そこで飲めばいいのですけれども、また。
○清田部会長 また、ある程度戻ってしまうのですね。
○山本(俊)委員 戻ってしまう人もいます。
○清田部会長 ありがとうございます。なかなか難しいお薬ですね。
○山本(俊)委員 難しいです、はい。
○清田部会長 ほかに御質問がございませんようでしたら議決に入りたいと思います。山本先生、どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に移ります。希少疾病用医薬品の指定の可否についての御審議でございます。本部会からの御審議を一括して進めさせていただければと思います。議題7につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは議題7、希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。資料No.7-1を御覧いただけますでしょうか。今回からこのように表の形でまとめさせていただいておりますので、こちらを基に御説明を進めていきたいと思います。まず、資料No.7-2の関係の「ファビピラビル」ですが、申請者は「富士フイルム富山化学株式会社」、予定効能・効果は「重症熱性血小板減少症候群ウイルス感染症(以下、SFTSウイルス感染症)」となっております。患者数は763人と推定されています。
 SFTSウイルス感染症は、主にマダニを介して感染し、発熱、倦怠感等に続き、嘔吐、下痢等の消化器症状が認められることが多く、臓器不全によって死に至る場合もある疾患であり、現在、確立した治療法はありません。本剤はSFTSウイルス感染症患者を対象とした非盲検既存対照の国内第III相試験が実施されており、○○○○○○○○○○○○○致死率が○○%であり、国内疫学調査の結果に基づく致死率25.6%を下回る結果が得られております。
 続きまして、資料7-3の関係で、「ガンシクロビル」です。申請者は「ロート製薬株式会社」、予定効能・効果は「サイトメガロウイルス角膜内皮炎」です。患者数は最大、約3万人程度と推定されています。サイトメガロウイルス角膜内皮炎は、潜伏感染したサイトメガロウイルスが角膜内皮又は近傍の組織において再活性化されることで炎症等を生じる疾患であり、炎症により角膜内皮細胞密度が一定以上低下すると失明に至る疾患です。現在承認されている治療薬はなく、ガンシクロビルの注射剤や自家調整された点眼剤が適応外使用として治療に用いられています。
 本剤は、本疾患患者を対象とした非盲検非対照試験の国内臨床試験において、点眼投与により前房水中のウイルスDNAコピー数の減少が認められており、現在、別の国内臨床試験も実施中というところです。
 続いて、資料7-4の関係で、「teclistamab」です。申請者は「ヤンセンファーマ株式会社」、予定効能・効果は「多発性骨髄腫」です。患者数は2万9,000人と推定されています。多発性骨髄腫に対する治療法としては、自家造血幹細胞移植や多剤併用化学療法が行われておりますが、未治療・再発・難治のいずれにおいても根治に至らず、予後不良であり、新たな治療法の開発が望まれています。
 本剤は、再発・難治の多発性骨髄腫患者を対象に、海外第I/II相試験が実施中であり、これの第II相パートでは、奏効率60.9%とする結果も得られております。このほか、未治療を含む複数の臨床試験が実施されております。以上より、これらの品目について、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がございましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは議決に入ります。亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項に移ります。報告事項議題1~5につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは報告事項の説明をいたします。まとめ資料を作成しておりますので、資料No.8を御覧ください。まず議題1~3です。議題1、資料9、「ハイゼントラ20%皮下注」です。申請者は「CSLベーリング株式会社」で、申請の概要は、「無又は低ガンマグロブリン血症」における2週間に1回投与に係る用法・用量の追加です。こちらは、週1回投与の2倍量を2週間に1回投与する用法・用量を追加する申請がなされたものです。
 続いて議題2、資料10、「シングリックス筋注用」です。申請者は、「グラクソ・スミスクライン株式会社」で、申請の概要は、「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者」に対する用法・用量の追加となっております。
 続いて議題3、資料11、「アディノベイト静注用」です。申請者は「武田薬品工業株式会社」で、申請の概要は定期的な投与における投与頻度を調整可能とすることに関する用法・用量の一部変更となっております。具体的には、用法・用量における投与間隔を、12歳以上では2~7日間隔、12歳未満では2~4日間隔の範囲で調整可能とすること。それから、12歳以上の用量の上限を、60国際単位から80国際単位とすることに関する一部変更の申請がなされたものです。
 続いて2ページを御覧ください。議題4、医療用医薬品の承認条件についてです。こちらに掲げる品目の承認条件について、機構における評価の結果、適切に対応されたことを確認したものです。資料12です。品目は、「ザノサー点滴静注用1g」、承認取得者は「ノーベルファーマ株式会社」で、対象となる効能・効果は「膵・消化管神経内分泌腫瘍」です。承認条件としては、ここに記載のとおり、いわゆる全例調査に係る承認条件が付与されておりましたが、今般、機構において適切に対応されたことを確認しております。
 続いて、再審査の関係です。次のページを御覧ください。医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。今回報告するのは、こちらに記載のとおりです。一つ目は、「ゾリンザカプセル」で、「皮膚T細胞性リンパ腫」です。資料13-2は、「オルプロリクス静注用」です。資料13-3は「ゼルヤンツ錠」、資料13-4は「プラリア皮下注」、資料13-5は「サレドカプセル」、資料13-6は「エジュラント錠」、資料13-7は「ロンサーフ配合錠」です。これらの品目について、製造販売後調査等の結果に基づき機構における審査の結果、「カテゴリー1」に該当する。効能・効果、用法・用量のいずれの変更も必要がないとして評価がされております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問はありますか。よろしいでしょうか。宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 度々すみません、宗林です。シングリックスの帯状疱疹で、年齢制限を50歳以上だったものを18歳以上に下げるというお話ですが、これは特に免疫に問題がある人とか条件がいろいろ付いていますが。審査報告書を少し見ますと、もともと持っている抗体量については50歳でも18歳でも余り変わらないような気がしますが、これはやはり18歳の人には大分注意をして安全性の問題などがあるのでしょうか。そうでなければ、18歳以上に打っても大丈夫そうな気もするのですが、教えてください。
○清田部会長 機構、答えられますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。今回は、帯状疱疹に罹患するリスクが高い方々への適応なのですが、抗体価のベースが同じだったとしても、ストレスなどでもリスクが高くなる場合があるほか、接種対象の中心に考えているのは造血幹細胞移植やがん治療等で免疫機能がかなり低下した方に対して免疫を付与して帯状疱疹を防ぐというコンセプトとして、今回の適応を考えております。
 ただ、先生がおっしゃるとおり、それ以外の方も打てるような形で、医師が必要と判断した者ということで、適応は考えておりますが、基本的にはかなり免疫が低下するといったリスクが高い状況の人に対して使われることを想定しております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 ありがとうございました。ただ、添付文書や中を見ると、先ほどお話しましたように、もともとの抗体価も余り変わらないし、そうすると特に疾病などで下がった人だけが打てるのか、あるいは上記以外で医師が本剤の接種を必要と認めた者というところで、相当カバーして打てるのかが、これは打ちたいという人も結構出てくると思うのですが。それについてどういう判断をされるのかが、医師が打ってあげるといえばいいのかどうかが少し曖昧でしたのでお聞きしました。何か明確なものはありますか。
○清田部会長 機構、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。
○中野委員 中野ですが、少しコメントさせていただいてよろしいですか。
○清田部会長 どうぞ。助かります。
○中野委員 宗林先生、御質問ありがとうございます。機構も、お答えありがとうございます。私なりの理解としては、帯状疱疹に関わるのは主に細胞性免疫で、抗体価が高い、低いということの影響はどちらかというと少ないと思います。なぜなら、潜伏するヘルペス属のウイルスですので、例えば免疫が非常に低下した方でトータルのIgGが低かったりすると、抗体価としては余り検出されないケースもあると思うのです。
 ただ、その一方で宗林先生の御質問はとても大事なポイントで、今の50歳以上の人というのは大体みんな水疱瘡にもう罹ったことがある人なのですが、これからの世代はワクチン世代もあれば罹った人もいらっしゃると。またヘルペス属ウイルスの特性を反映して、例えば非常に低年齢で掛かった方はその後、細胞性免疫の成立も抗体の上がりも余りよくないという報告もあると。ですので、広い意味でリスクがある方々、18歳以上に臨床試験が行われて一定の基準を満たしたので承認されたのであると私は理解しております。
 ですから、水痘・帯状疱疹ウイルスは免疫不全宿主には、やはり麻疹と並んで非常に恐ろしいウイルスです。そういった観点から、生ワクチンは弱毒ワクチン株が悪さをする可能性がありますので、免疫不全宿主には使いにくいのです。そういった意味で、このワクチンで恩恵を受ける方が増えればいいかなということではないかなと考えております。以上、コメントでした。
○宗林委員 ありがとうございました。私も帯状疱疹に掛かっている若い子を割とたくさん診ているので、一度かかったような学生達も打てた方がいいのではないかなという観点で、お話をしました。ありがとうございました。
○清田部会長 大丈夫ですか。
○宗林委員 はい。
○清田部会長 ありがとうございます。中野先生も、ありがとうございます。機構は、もう答えが済みましたので、よろしいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 中野先生、どうもありがとうございました。
○清田部会長 それでは、報告事項議題1~5については、御確認いただいたものといたします。続いて、その他事項に移ります。その他事項議題2について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.15の、「免疫抑制状態が予測される患者に対する乾燥ヘモフィルスb型ワクチンの接種に関する対応について」を御説明いたします。背景情報としては、本邦においてインフルエンザ菌b型(Hib)の感染予防に対して、乾燥ヘモフィルスb型ワクチン、販売名アクトヒブの接種が、乳幼児期に定期接種の一環として行われております。一方、乳幼児期の定期接種以外である成人への接種については、用法・用量に関連する注意事項等に記載されていないものの、ガイドライン等では免疫抑制剤を使用している等の何らかの外的要因により、免疫が喪失又は低下する患者に対しては、適切なタイミングでHibワクチンの接種が推奨されています。
 今般古典的補体経路阻外薬の開発・承認が進んでおりますが、当該阻害薬の投与の前にも、補体活性が重要な感染防御として機能しているHib等の感染に対してリスクが上昇することになるため、Hib感染予防策を適切に講じることが急務となっております。
 海外ガイドラインや文献等の情報においても、免疫抑制状態が見込まれる患者においてHibワクチンの使用が推奨されていること等を踏まえて、また安全性についても特段の懸念がないことからも、当該患者へのHibワクチンの使用は医学薬学上公知と考え、別紙にありますとおり添付文書の改定を指示することとしたいと考えております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。これに関して、委員の先生方から御質問はありますか。よろしいでしょうか。ないようですので、その他事項2については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、令和5年7月31日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了といたします。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)