2023年5月26日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和5年5月26日(金)16:00~

場所

新橋6E会議室

出席者

出席委員(14名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 


欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
 
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  中山智紀(医療機器審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。
私は医療機器審査管理課長の中山です。委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして、ありがとうございます。今回はWeb会議形式を併用して開催いたします。
現時点で、再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、13名の先生方に御出席いただいております。1名、森尾委員におかれましては、遅れていらっしゃるということになっています。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。なお、13名のうち7名の先生方は、Webで御参加ということになっています。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。薬事分科会規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。今後また書面の御提出を頂くということで、会議の都度御迷惑をおかけいたしますが、御協力くださいますようお願い申し上げます。
 続いて、本日の議題の公開・非公開について、事務局から説明させていただきます。
○事務局 平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、部会の全ての議題について、再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
なお、委員の皆様には事前にメールにてお知らせしましたとおり、議題2「PHE885を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について」は、申請者より希少疾病用再生医療等製品指定申請の取り下げを行う旨の連絡がありましたため、本部会の議題からは取り下げることといたしました。委員の皆様におかれましては、資料を御確認いただいていたところ、直前の御連絡となり申し訳ありません。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせしていたとおり、本日はペーパーレスで会議を進めたく、会場の皆様のお手元には、議事次第、座席表のみをお配りしております。Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前に郵送若しくはメールにてお配りした資料をお手元に御用意ください。また、タブレットの操作について、御不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声かけいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の皆様へ、注意事項を御説明いたします。審議中はマイクミュート、通信環境等の支障がない限りカメラオンで、お願いいたします。御発言の際は、画面の右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますよう、お願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りした事務局員連絡先まで御一報いただければと思います。
 次に、競合品目・競合企業リストを御覧ください。1ページに「ルクスターナ注」についてリストがありますので、必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料5に示す企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条により、議決に参加できない委員はいないことを確認しました。以上、報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いします。
○合田部会長 ただいまの事務局の説明について、御意見等ありますか。よろしいですか。
Webの先生方、特に通信環境に問題がなければ、できればカメラオンにしておいていただけると状況が分かりますので、よろしくお願いします。
 それでは、これより議題に入ります。先ほど、議題2は取り下げる旨の説明が事務局よりありましたので、本日は、議題1が審議事項、議題3が報告事項となっております。
それでは、議題1に入ります。「再生医療等製品「ルクスターナ注」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1「ルクスターナ注」の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。
 会場にいらっしゃる委員の皆様は、タブレットの当日配布資料1というファイルをお開きください。また、オンラインで御参加の皆様は、事前にメールにてお送りいたしました電子ファイルをお開きください。
 御審議いただく対象品目は、販売名「ルクスターナ注」という製品です。スライドの2枚目、品目の概要ですが、本品はノバルティスファーマ株式会社より、令和4年9月30日に、新再生医療等製品として製造販売承認申請されました。申請効能・効果又は性能は、両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーとされておりました。なお本品は、当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。また本品は、2017年12月に米国で、2018年11月に欧州で、承認されております。
 スライド3枚目、ルクスターナ注の使用方法ですが、スライドの図では、本品投与時の術者が見ている眼底の図をお示ししております。図の下側が、患者さんの頭側となるように示されております。この本品の投与部位は、図の青い点線で囲った箇所。上方血管アーケードに沿ったエリアで、中心窩から2mm以上離れた部位を選択することになります。
 スライド4枚目、こちらは投与時の、投与器具の挿入の様子を示したものになります。この図で言いますと、右の上方から投与部位を照らして、左上方から本品を投与するためのカニューレが挿入されているというイメージになります。
 スライド5枚目、ここから実投与時のイメージに移ります。先ほど御説明したエリアに投与カニューレの先端部を押し付け、先端部が網膜で覆われるように慎重に配置し、ゆっくり少量ずつ薬液を注入しております。スライド6には、その状況を拡大した図が載せてあります。
スライド7については、薬液が適切に注入されていますと、図に示すように、ブレブが形成されて、薬液が投与できているということが確認できます。以上が、本品の投与手技になります。
 続いて、スライド8枚目、本品の適応対象となる遺伝性網膜ジストロフィー(IRD)の病態について、御説明したいと思います。遺伝性網膜ジストロフィーは進行性の視覚障害を伴う遺伝性網膜疾患の総称でありまして、臨床診断名としては、レーベル先天黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)などとして診断されております。これまでにRPE65遺伝子を含む260以上の原因遺伝子が特定されております。今回の品目の対象となる両アレル性RPE65遺伝子変異を有する遺伝性網膜ジストロフィー患者は、網膜の視細胞が光を吸収することにより生じる生化学反応、一般的には視覚サイクルと呼ばれますが、これに関与する酵素の一つであるRPE65タンパク質の活性が欠失しておりまして、網膜への細胞傷害性物質の蓄積を引き起こし、最終的には視細胞をはじめとする網膜細胞の変性・壊死を生じることになります。臨床症状としては、進行性の著しい視力低下等がありますが、特に光の感度の低下による夜盲が特徴的な症状になります。網膜変性が継続しますと、多くの場合、最終的に完全な失明に至るという病態です。なお、この疾患に関しては、標準治療はないというところです。
 次に、スライド9枚目、ルクスターナ注の構造について、簡単に御説明します。この遺伝子組換えAAV2のカプシド、六角形の図があるかと思います。このカプシド内にヒトのRPE65遺伝子を発現する遺伝子発現構成体、これが搭載されているという品目になります。
 スライド10枚目、本品の作用機序について、御説明いたします。一番左の図で、本品の網膜下に投与されている図が示されているかと思います。投与された本品が患者の網膜色素上皮(RPE)細胞に感染して、この細胞内で、真ん中の図のように、ヒトRPE65遺伝子を発現して、遺伝子の機能欠損を補います。そうすることで、一番右の図に示しているように、正常な視覚サイクルが回復するという形になります。この機序によりまして、患者の視覚機能を改善する効果が期待されるという製品になります。品目の概要については以上です。
 次に、審査の概要について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。会場にいらっしゃる委員の皆様は、タブレットの資料1-1のファイルをお開きください。また、オンラインで御参加の委員の皆様は、お手元の資料の審査報告書をお開きください。資料1-1統合版というファイルになります。
このファイルの下の番号では24/88ページ、審査報告書では20ページ、表15を御覧ください。臨床データパッケージの表が御覧いただけているかと思います。今般の承認申請では、両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィー患者を対象とした四つの臨床試験成績が提出されました。提出された臨床試験成績のうち、申請効能に対する本品の有効性及び安全性を評価する上で重要な臨床試験は、表の3番目と4番目、すなわち海外第III相試験の301試験と、国内第III相試験のA11301試験で、ここからその2試験の結果を中心に説明させていただきます。
 まず、有効性について説明いたします。タブレットのファイルで34/88ページ、審査報告書の30ページ、表27を御覧ください。海外の301試験におきましては、被験者が異なる照度レベルの環境下で、決められたコースを正確かつ妥当な速度で移動できる能力を評価する方法として開発された「MLMT」という指標、これの両眼のスコアが主要評価項目とされ、有効性が評価されました。表27を見ますと、ベースラインから本品の2眼目投与1年後までの両眼MLMTスコアの平均変化量の結果、これは本品群で1.8±1.1、無治療対象群で0.2±1.0であり、群間で有意差が認められました。
 次に、国内試験の結果です。タブレットのファイルで40/88ページ、審査報告書は36ページ、表33を御覧ください。国内A11301試験においても、海外試験と同じMLMTを主要評価項目として設定することが望ましかったと考えますが、本邦でのMLMTの実施が困難であることから、本疾患で障害される光感受性の評価に適切な指標である「FST」という指標を主要評価項目に設定し、実施されました。表33のとおり、ベースラインから本品の2眼目投与1年後までのFSTの変化量の結果は、症例数4例と非常に少ないものの、平均で-1.831、範囲としては-3.54~-0.56となりまして、いずれの被験者も複数回測定した際の変動の範囲内とされる0.3log10を上回る減少、つまり改善を示しております。そのほか4例中2例では、臨床的に意味のある閾値である1log10を上回る2log10以上の減少が認められて、100倍以上の光感度の改善を示しました。有効性については以上です。
 次に、安全性について御説明いたします。安全性については、タブレットのファイルで56/88ページ、審査報告書は52ページ、表46を御覧ください。本品投与時に特に注意を要する有害事象として、臨床試験では、投与手技に関連する眼の有害事象、すなわち表の中にある、白内障、眼圧上昇、黄斑部疾患、網膜裂孔、投与手技に関連する眼内炎又は眼内感染症、網膜剥離が認められております。また、表46には記載がありませんが、臨床試験とは別に、海外市販後に進行性網脈絡膜萎縮による視力喪失という事象が認められております。したがいまして、本品の投与時には、これらの有害事象の発現に注意すべきと判断いたしました。ただ、一方で、本品と関連ありと判断された重大な安全性上の懸念は認められていないことを踏まえて、これらの有害事象の発現に対応できる十分な設備の整った医療施設において、網膜下手術について十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応がとられることによって、本品投与による安全性は忍容可能と判断いたしました。
 ただし、国内での治験症例数が極めて限られていますので、製造販売後には全症例を対象とする調査を実施する必要があると判断しております。以上が安全性の説明になります。
 ここまでに御説明したような審査の結果、機構は、タブレットのファイルで3/88ページ、審査報告書の1ページの、下段に記載している効能・効果又は性能、次のページに記載してある用法・用量又は使用方法、重ねて、同ページに記載した承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。
 本品は、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、また指定再生医療等製品への指定は不要と判断いたしました。
 また、本品の審査における専門協議に御参加いただいた専門委員は、専門委員リストのファイルにある5名の委員になります。
以上が、審査の概要の説明になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。宮川先生。
○宮川委員 御説明ありがとうございます。まず第1点として、海外の試験と国内の試験と、その評価の方法が違ったことについて、御説明いただければ幸いです。いろいろな試験に対しては、様々な特許や制約があるはずですが、国内でその手法が採られなかった、そして他の手法を採られたということで、その、他の手法を採られたということに妥当性があるものなのかどうか。そして、その手法というのは、ほかのいろいろな様々な眼科的な疾患に対してのそういう評価法として、正しいものなのか。そういういろいろなものの中で選ばれた手法なのかどうかということを、お聞かせ願いたいと思います。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。御指摘のとおり、301試験で採用されている主要評価項目MLMTという指標が、国内試験ではデータ取得されずに、国内では別の主要評価項目としてFSTという項目が設定されました。この背景としましては、301試験で採用されているMLMTという試験項目は、○○○○○○○○○が○○を○○していて、設置可能な施設が301試験に参加した2施設に限られる。プラス、ほかの施設への移設も困難であるという状況がございまして、日本での実施がまず困難と判断されたところは、経緯としてございます。
 一方で、A11301試験、国内試験で採用されているFSTという指標は、網膜全体の光感度評価は可能でして、この対象疾患である両アレル性RPE65遺伝子によるIRD患者、遺伝性網膜ジストロフィーの患者さんが高頻度に合併する眼振の影響を受けないこととか、あるいは視覚障害の有無とか、重症度に関わらず評価可能という特性がございます。プラス、この患者さんの主要症状である夜盲、これを評価するのに適した評価指標であるということを考慮しまして、また実施可能性の観点も考慮した結果、国内試験でこのFSTというものを評価、主要評価項目として設定することは、許容可能と判断いたしました。
 また、海外の301試験でも、副次評価項目としてFSTの評価が実施されておりまして、この結果と比較するためにも、FSTを選択することが適切と考えた次第です。
○宮川委員 御説明ありがとうございました。よく理解できました。
それから、もう一つですが、36ページの4例、日本人の症例は非常に数が少なくて4例だったのですが、これは非常にばらつきが4例とも多いということなのですが、その解釈と、それから、そのバックグラウンドである年齢や疾病の重症度とかそういうことがここに関わっているのかどうか、それについて教えていただきたいと思います。
○合田部会長 よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。まず、36ページ表33の日本人被験者4例におけるFSTの結果を御覧いただきますと、症例○○と○○では変化量が割と小さく、○○と○○の被験者さんは、大きく変化量が得られているという状況がお分かりいただけるかと思います。
この原因なのですけれども、症例○○と○○の患者さんは、年齢が比較的高めの患者さん、いずれも4○歳の症例の方でして、一方で、○○と○○の被験者さんは、それぞれ1○歳と1○歳ということで、被験者さんの年齢が若い方ほど有効性が大きく認められているという状況です。
 この理由としましては、本品が、生存している網膜細胞に感染して遺伝子を補充して効力を発揮するという特性を持っているものですから、若い患者さんほど効果は大きく得られていると、年齢が上の患者さんほど変化量としては小さくなるということが考えられます。
○宮川委員 ありがとうございます。効果が少ないというよりは、逆にマイナスになっているのはどうやって捉えたらいいのでしょうか。○○は、37ページのところで、指標としての「投与1年後までの変化量」というのがマイナスになっているのは、どのようにこの数値を読みとればいいのでしょうか。表35なのですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点は、表35の、動的視野の○○番の患者さんのことでしょうか。
○宮川委員 そうです。-11と-18になっているのですが、これは、プラスではなくてマイナスになるということは、どういうことを意味するのかを教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 視野の結果としては、確かに○○番の患者さんに関しては、結果として、数値としては悪くなっているということが言えるかと思います。
 本品の特性としまして、まず、本品が錐体細胞よりも桿体細胞に働くというメカニズムの特徴を有しておりまして、中心窩の性能に依存する視力ですとか視野といった評価項目に関しては、なかなか大きな改善を望むのは難しいという事情もありまして、そういったところが、○○番の患者さんについてはマイナスになったという評価にも表れていると考えられます。
○宮川委員 それは単なる、これは注入するわけですけれども、注入する位置が異なっているというか、限定されているとか、そういうことだけに依存するという形で考えていいのですか。それは余りにも差が多すぎると思うのですが。その視野のところと中心窩のところ、それだけでその結論を帰着させるということでよろしいのかどうか。
○医薬品医療機器総合機構 今、御説明したのは、動的視野の結果に関して、数値が悪くなっているような結果が見受けられるような、そういった状況に関してどういう説明が考えられるかということを御説明いたしました。
 結果のばらつきという観点で申し上げますと、やはりこの品目の特性上、基本的には、視力といった、そういった高度な視覚機能の改善までを望むような製品ではないというところもあり、基本的には、被験者によって結果にばらつきが生じてくるものと理解しておりまして、なおかつ、今回は症例数が4例と少ないということもあって、なかなかばらつきの大きな結果には見えてしまっているというところかと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。ということは、FSTという検査方法というのは、非常にラフで、ある程度大きなものに関して、視野の明るさとか暗さとかそういうようなものと、それから、視力の中での非常に細かいところを見るということだけではないということだけで判断されたということで、細かなところまでの、視力も含めてですけれども、認識力というものまではなかなか改善できないというのは、この疾患の特性というように考えていいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床担当から補足で御説明させていただきます。おっしゃるとおり、本品に関しましては、作用機序から桿体細胞での光感受性を改善する、それに加えまして、先ほど申しましたように、網膜を障害するような物質の蓄積による二次的な桿体細胞の低下及びその周りの錐体細胞の低下、減少というところで最終的に失明に至るというところを抑えることが、最終的な目的となります。ただ、薬効というか、本品の性能を評価するというところにおきましては、やはり光感受性を中心とした評価が中心で、MLMTに関しましても、そのような細かいものは見なくても、外に出て歩ける、物にぶつからない、そういったところに、やはりこのようなロービジョンの患者さんには臨床的意義が高いと判断されて、開発されているという経緯がございます。ですので、御指摘のこの2例、○○と○○の患者さんの視力及び視野に関しましては、この他の2例と比べまして、ほとんど0に近い値になっております。本来は組入れを避けるべきだったかもしれないという患者さんですけれども、試験の選択基準には該当するので、組み入れられたということになります。ただ、総合的に見まして、FSTの上昇が認められていますし、○○の患者さんに関しましては、視力がもともと手動弁であった方が指数弁に改善しています。このような視野が非常に狭窄して視力が低下しているような患者さんにおいては、臨床的に意義があると考えております。専門協議でも、この点は議論になりましたが、臨床的な有効性は示されているのではないかと考えられると結論しております。
○宮川委員 ありがとうございます。ということは、海外でやられたMLMTの試験というものとFSTを考えると、どちらの方がその精度というか、細かいところまで見るのかということになると、FSTの方がはるかに細かいところを見ているような気がするのですが。MLMTというのは、光度の違った所を歩かせるということは非常にラフな形で、その細かいところの視野の認識力というのは逆に低いのではないかと思って。私は逆だと思って質問して、そういう国内試験の方が、より少しばかりは、精度というわけではないですが、グレードとして高いものなのかなという逆に疑問があったのでお聞きしたのですが、そのように考えてもよろしいのでしょうか。海外でも同じような、実際にFSTみたいなことをやっているわけですけれども、それとの差というか、そういうのはどうだったのでしょうか、実際には。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの方で、審査報告書の方でも相関関係に関しては確認しております。強い相関ではなく、相関が認められるという程度でした。なお、MLMTの評価は幾つかの方法、両眼の平均、合計、片眼のスコアでの評価が行われております。両眼の合計スコアではFSTと良好な相関を認めましたが、両眼の平均スコアでは相関の程度が低くなっていました。ただ、相関関係は同じ方向を向いていると判断しまして、MLMTの海外の301試験の結果をFSTと相関していることから、日本人患者の評価として使用できるということで、この本品は日本人患者にも有効性が期待できると結論しております。MLMTは御指摘のとおりラフな検査ではありますが、実際の生活、臨床的意義を評価するという意味においては、実際のいろいろな状況を表現して効果を見たという意味で、重要な検査と考えております。
○宮川委員 はい。私もそうやって理解しているのです。その補強というものは、そういう説明をされないと私たち理解できないので、あえて詳しく聞かせていただきました。
 それから、今、効果が上がらなかったということに関しても含めてですけれども、ほとんど全例プレドニンが投与されているという形で、これが眼圧の上昇も含めてですけれども、いろいろなことが起こってくるのでしょうけれども、細かいことを言ってしまうと、この○○、なかなか出なかった、高齢であっても出なかったというのは、プレドニンの量によって差はあったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 プレドニゾロンは全員あらかじめ規定された用量で投与されておりますので、その差によるものではないと判断しております。
○宮川委員 ないというように考えていいですか。はい。
それから、ここに安全性のところで、有害事象のところでは、この手技に関して非常に大きなばらつきがあるのだというように書いてあるのですけれども、これに関しては、このような良好な結果が得られなかったというものに関しては、網膜裂孔とか裂傷とかそういうようなことも含めてですが、手技がここに関して大きく関与しているということはなかったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 A11301試験におきましては、投与後の合併症、投与手技に伴う合併症が、特に有効性の結果が悪かったこの二人の患者さんに多く発現している傾向は認めておりません。
○宮川委員 ありがとうございます。総じて言うと、もう一回繰り返しますけれども、プレドニゾロンの投与に関しては、余り最終的な結果に大きな影響はないというように考えてよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのように理解しております。ステロイド投与をしておかないと、術後に免疫反応により硝子体に侵襲を与えます。過敏症を起こすことが経過に問題を生じると考えますので、これは必要な処置だと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○合田部会長 宮川先生、ありがとうございました。荒戸先生が御質問のようですので、荒戸先生、お願いします。
○荒戸委員 お願いします。審査報告書の57、58ページなのですけれども、先ほどの議論にもありましたが、日本人4例中2例がLCA、2例がRPで、RPの患者さんは年齢が高いということもあって、効果がLCAに比べて少ないという説明がされています。さらに、58ページでは、海外での試験にRPの患者さんはほとんど入っていないように読めますし、製造販売後も投与した報告があるということだけのようです。そうすると、原因がRPE65ジーンの変異ということでRPも対象となるということは理解できるのですが、少なくとも製造販売後の調査の中でRPを何例か、きちんと見る必要がないのか、お考えを聞かせいただきたく思います。
○合田部会長 よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。確かに御指摘のとおり、RPの患者さんは症例数としては少ないという状況ですので、市販後の調査においては、そういった患者さんの経過、特に有効性に関してはFSTの項目もとるように計画されておりますので、そういった情報が収集されていくことになるかと思います。ただ、この疾患が、非常に患者数が少ないということがありまして、その中でRPと診断される患者さんというのがどれくらい見込めるかというところも、なかなか難しいというところはあります。少なくとも全体として15例という計画はしているのですけれども、その中の何例がRPでなければならないというのは、国内で見つかる患者さんの症状によるところもありまして、なかなか難しいところもあるのではと思っております。もちろん組み入れられた患者さんについては評価される見込みです。
○合田部会長 ありがとうございます。荒戸先生、よろしいですか。
○荒戸委員 そうすると、今、実際に日本で、この治療法の対象となりそうな患者さんの数、それぞれRPやLCAが、どのくらいいらっしゃるというように見積っているのでしょうか。それによって、この15例の中でどのくらいRPの患者さんが入ってくるかということが決まるかと思うのですが。
○合田部会長 よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 症例数の算出に当たっては、なかなか使える情報が少ない中、推定に推定を重ねたようなところはあるのですけれども、全体で15例という数字を弾き出すということに至ったのですけれども、やはりRPE65遺伝子変異を有する患者さんで、なおかつLCAなのか、RPなのかというところの比率という点で言うと、なかなか参考にできるデータもないという状況でありまして、そういった観点からも、なかなか何例はRPの患者さんというところが難しいのではないかという感触は持っております。
○合田部会長 ありがとうございます。難しいみたいですね。荒戸先生、よろしいですか。
○荒戸委員 難しいのだとは思うのですが、やはり企業の方には、ちゃんとRPも集めてほしいということは御指導いただければと思います。私からは以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。もちろんRPの患者さんが組み入れられた際には、きちんとデータが収集されるよう、全例調査となっておりますので、必ずデータは収集されることになります。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは永井先生、よろしくお願いします。
○永井(洋)部会長代理 大きく二つほど質問です。一つ目は、進行性網脈絡膜萎縮に関してです。これは製販後の調査で分かってきたものですが、審査報告書55ページの上の方で、886眼中106眼という、10%を超える結構な頻度で網脈絡膜萎縮が起こっています。それが良いものなのか悪いものなのかがよく分かりませんでした。適正使用指針を見ると、赤くハイライトされていた部分がどこかにあったり、萎縮のある群で良くなっていたというような記載もあったりします。これが良いものなのか悪いものなのか、本品や手技との関係があるのか否か、市販後に留意しないといけないと思いますので、その辺を教えてほしいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。御指摘のとおり、進行性網脈絡膜萎縮による視力喪失や低下の可能性がある事象がまずまずの頻度で、市販後になって初めて認められているという状況です。本品の投与、網膜下投与というところが、そもそも網膜に障害を与える、剥離を起こさせるような処置でありまして、その後の炎症が、萎縮を伴うような変化になると考えています。おおよそこの認められたケースに関しましては、部位はその投与の膨隆、ブレブの周囲に多くが認められています。ただ、離れた場所にも認められる場合もありますし、発症の時期が、早期の投与後数日から2、3か月後以内というものから、1、2年後と、かなりばらつきがあります。一方、この疾患自体が、網膜の萎縮を来すので、本品のせいなのかは分かりません。また投与手技だけでは説明できないような事象も認められているため、更なる注視が必要ということで、まだ決定的なものではないですが、潜在リスクとして、慎重に観察、評価が行われているという状況です。
○永井(洋)部会長代理 そうしますと、これはむしろリスクなわけですね。適正使用指針を見ると、術後1か月のFSTの改善は、萎縮のない群よりも萎縮のある群で改善していますが。
○医薬品医療機器総合機構 これも一つの報告で、今後、情報を集積して、これが良い兆候なのか検討する必要があります。先ほど申しましたように、本品投与後の変化ではありますので、有効性の高い群で萎縮が起こるのか、あるいは委縮は有効性に関係ないかどうかは、これからの検討が重要かと考えております。
○永井(洋)部会長代理 そうですね。これからの検討が重要ですね。ありがとうございます。
それから、もう一つ、大きめなところであるのですが、よろしいですか。もう一つが、効果の持続。これは市販後の調査とも関係するのですけれども、審査報告書の30ページのグラフを見ますと、非常に良くなった症例もたくさんいる一方で、もうちょっと経過を見たら良くなる症例は、1年しか見ていませんので更に2年とか3年見たらもうちょっと良くなる症例が、ここに混じっているのか。あるいは、その良くなった症例でも、2、3、5年というように見ていくと悪くなっていく人がいるのではないかというところ。市販後の調査計画を見ますと、5年間安全性だけを見るというような調査計画になっているのですね。審査報告書70ページです。やはりこれは、1年ではその後どう動くかが分からないので、効果も含めてきちんと見る必要があるのではないかなと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 長期の有効性に関して、機構から補足説明させていただきたいと思います。審査報告書の42ページを御覧ください。図5に、本品投与後最長6年までの長期のMLMTのスコアの結果が、その下の図6に、FSTの長期の結果が、掲載されております。実線の方が海外の臨床試験で最初に投与された群、点線の方が1年後に無治療対照群だった人たちに投与された患者の群の結果で、このグラフでいうと、投与後5年、6年まで有効性が維持されているということがまず分かります。
 プラス、この後の経過も一応追っておりまして、最長8年まで追った被験者さんがいらっしゃることが分かっています。その患者さんで、ここまでに得られた結果が低下するような傾向は今のところ認められていない、という情報も得られております。
 ということで、市販後の調査の期間としては5年としているのは、再審査期間が10年とされているものですから、投与登録症例がこれから4年で集められるとして、最後の被験者も5年くらいのデータは集められるということで、そういった設定になっているところです。それ以上の経過については、今のところ臨床試験の長期の成績というところが、一応設定としては得られる見込みではありますので、そういったものも併せて検討することができるのではないかと考えております。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。確かに数年間の経過が書いてあります。それにしても、日本人で今のところ4人しかないので、安全性だけ追えばいいというものではないと思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書には、主な検討事項として、安全性の重大な事象についての検討事項を記載させていただいているのですが、有効性の情報についても収集される計画となっておりまして、視力、視野、今回の国内試験で主要評価項目とされていたFSTも取得されるようになっておりますので、有効性の情報も得られるようにはなっております。
○永井(洋)部会長代理 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 それでは続きまして、小原先生、お願いしてよろしいですか。
○小原委員 まず1点目なのですが、有害事象の件で、表29と表30について教えていただきたいのですが。全体の数が31で、有害事象のトータル例が20例ということなのですが、因果関係はないということですけれども、これは一人の人が複数の症状をかなり出しているのか。どういう形でこれをまとめられたのか、もしデータをお持ちでしたら、お願いしたいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 表29ということは、301試験という形で、まずお答えさせていただきます。一番上にある白血球増加は、術後のステロイドを投与されておりますので、大体の患者さんは一度早期に認められています。また、幼少の患者さんに一般的に認められる嘔吐、発熱、鼻咽頭炎等の事象は繰り返し発現しております。この表自体は1度だけでも、複数回でも一つとカウントする形となっております。経時的に、特定の期間別に提示したものではなく、1年後までに1回でも発現したものは、10回であろうが1回であろうが一つとカウントする形になっております。先ほど申しましたような、一般的に見られるような症候に関しましては、繰り返し認められておりますが、周術期の投与手技に伴うものに関しましては、頻繁に反復している患者さんは多くは認められておりません。
○小原委員 そうしますと、毎回繰り返して出された症状に関しても、因果関係については全てフォローされているという考えでよろしいわけですか。
○医薬品医療機器総合機構 その理解でおります。本品の関連及び投与手技に関連するということで、二つに分けて因果関係を評価しておりまして、特にこの国内試験においては、ステロイド投与との関連も含めて、評価しております。
○小原委員 分かりました。
もう一つ、用法で教えていただきたいのですが。AAV2をベクターとした本品なのですが、例えば効果が低かった患者さんに反復投与というか、そういうことは用法として考えていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問の点は、恐らく同一眼への再投与に関してはどうなっているのかということかと思います。
○小原委員 はい。
○医薬品医療機器総合機構 再投与に関しましては、国内、海外ともに、臨床試験でも、海外製販後でも、1例も投与された経験がないものですから、今のところ再投与した際の有効性、安全性、特にリスクの部分が不明であることから、本邦では再投与はしないというところを、用法・用量で規定するという判断に至っております。
○小原委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ほかに御質問、御意見等はございますか。佐藤陽治先生、お願いします。
○佐藤(陽)委員 関連して一つ、素人のようなコメントなのですが。審査報告書の4ページには、「同一眼への本品の再投与はしないこと」と書かれています。一方で、当日配布資料の7ページには、ブレブ形成が見られない場合は新規投与部位で残りの液を注入しましょうというように書いてあります。この、審査報告書4ページの、いわゆる「単回投与」という言葉には、ブレブ形成がされないとき、別の投与部位に投与するということも含むと普通は読めますが、誤解を生みそうだなと思っています。なので、添付文書や適正使用ガイドラインの中で、単回投与の定義に関しては明確に理解できるようにしておいていただいたほうが良いのではないかと思います。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 確かに、今回この品目では、投与手技が非常に繊細ということもありまして、投与手技が失敗したケースも考えてあります。具体的には、予備の投与液を準備できるようになっておりまして、1回目の投与でブレブ形成に失敗した場合には、予備のものを使えるということになっておりまして、今のところ、製造販売業者が作成中の医療機関向けの資材において、予備の投与ができるということを御説明されているところです。御指摘の点としては、そのほかの適正使用指針などにも書いたほうがよいといった御意見でしょうか。
○佐藤(陽)委員 誤解を生みそうなので。「再投与をしてはいけない」ということが念頭にあると、ブレブ形成が見られなかったときに、現場での投与の継続が控えられてしまう可能性があります。その後も再投与ができないとなると、治療のチャンスを患者が失ってしまうかもしれません。だから、この点について誤解が生まれないような何か工夫が要るかもしれないと思っています。そのやり方については御検討いただければいいと思いますけれども、工夫したほうが良いのではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 資材ですとか、そのほかの何らかの手段で、適切に医療現場に誤解なく伝わるように工夫させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○合田部会長 ほかに御質問等はございますか。井上先生、よろしくお願いします。
○井上委員 適応対象が両アレル性RPE65遺伝子変異というところですが、RPE65遺伝子の変異の確認や診断は具体的にはどのような手法で実施され、どのような変異を有した患者さんが適応になるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、診断の方法ですけれども、今、RPE65遺伝子に限らず、遺伝性網膜ジステロフィーの遺伝子診断に使用するためのパネル検査、製品名「プリズムガイドIRBパネルシステム」というものが、シスメックス株式会社により、本品と同時期に医療機器として承認申請されているという状況がありまして、遺伝子変異はそのパネル検査で確認される見込みとなっております。
 どのような変異かというところに関しては、シーケンサーを用いた変異の解析ということで、特に何の変異というところまでは縛っていないというところです。両アレル性の変異であることが確認されれば、投与可能ということです。
○井上委員 要するに、変異には機能喪失型、機能減弱型、機能獲得型などがあり、変異の種類により遺伝子機能に対する影響が異なるわけですが、そのような変異の種類は考慮せずに、両アレルに変異が入っていればよいという判断になるということでしょうか。そもそも、RPE65遺伝子の変異にどの程度の多様性があるかを把握していないのですが、変異の影響が明確な既知の変異のみが検出されるという状況でしょうか。変異の種類を考察する必要があるのではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。医療機器の性能にも関連する情報でして、今、手元に情報がない状況でございます。部会後に改めて調べて、御連絡することでいかがでしょうか。
○井上委員 それで構いません。よろしくお願いします。
○合田部会長 もともと非常に希な患者さんですかね。どれだけの情報が取れるかということもあるだろうと思いますけれど。
ほかに御質問等はございますか。よろしいですか。
 では、議決を行いたいと思います。再生医療等製品「ルクスターナ注」については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件及び期限付き承認に該当せず、10年間の再審査の対象として指定することでよろしいでしょうか。
皆様、御異議ないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会で報告を行うこととします。これで議題1を終了します。
 続きまして、先ほど事務局より議題2を取り下げる旨の説明がありましたので、議題3「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について、事務局から御報告いたします。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について、御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での御報告以降で、令和5年1月から令和5年3月までに、第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの3品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
 続きまして、第二種使用等の拡散防止措置を行った品目について、御報告いたします。2ページの一覧を御覧ください。令和5年1月から令和5年3月までに、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ5品目となります。これらについての機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、採られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。第二種使用等をする者と品目名等の組合せが重複しているものもございますが、これらの重複は、複数の「第二種使用等をする場所」についての確認申請があり、各場所について拡散防止措置の確認を行ったため生じたものです。
 引き続き、農林水産省からの報告をいたします。
○農林水産省 農林水産省でございます。引き続き、資料3を御覧ください。カルタヘナ法に基づく申請については、人用医薬品等については報告があったところですが、動物用医薬品の分野では、本部会の傘下にある動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会で御審議いただいた上で、農林水産大臣が第一種使用規程の承認、若しくは第二種使用等の拡散防止措置の確認を行っております。
 3ページを御覧ください。昨年度、第二種使用等をする間に採る拡散防止措置の確認を行った品目を示しております。これら3品目について、調査会で御審議いただき、大臣確認を行ったところです。いずれも動物用医薬品の有効成分製造用の微生物として使用されるものであり、使用区分はGILSPです。昨年度に第一種使用規程の承認を行った品目はございませんでした。報告は以上です。
○合田部会長 ただいまの件について、委員の先生方から御質問等はございますか。よろしいですか。それでは、これで議題3を終了させていただきます。
本日の議題は以上ですが、事務局から連絡事項はございますか。
○医療機器審査管理課長 前回2月の部会の際に、「ビズノバ」という製品の審議を頂きました。その際、原料の原産国についての記載ということで宿題を頂いておりました。それについて、事務局から報告させていただきます。
○事務局 資料4を御用意ください。「同種由来の再生医療等製品の原料に関する添付文書の記載について」です。先ほど課長から御説明がありましたが、これまでの経緯について御説明いたします。
 令和5年2月13日に開催した本部会において、再生医療等製品「ビズノバ」の製造販売の承認の可否に関する審議が行われた際に、同種由来の製品では安全性のリスクが懸念されることなどの理由から、情報を開示するべきであり、同種由来の原料の原産国について添付文書に記載する必要があるのではないか、という旨の御指摘を頂きました。なお、現状のルールについては参考1と参考2にそれぞれお示ししております。
 これらを踏まえて今後の対応です。感染症のリスクが高い再生医療等製品は指定再生医療等製品に指定されておりますが、指定に関する感染症のリスクの観点というのは様々ございまして、必ずしも原産国に関係しない場合もございますので、一律に添付文書に記載を求めるべきではないというような考えがある一方で、そうは言っても添付文書に記載することで関係者への情報提供が可能になり、現場で柔軟な対応が可能になることに加え、今後新たに原産国で感染症等が発生した場合においても、適切な治療の選択に資するということも考えられることから、以下の二つの点について、記載を求めることとする予定です。
 まず、一つ目ですが、指定再生医療等製品は感染症のリスクが高いことから、同種細胞組織が利用されている指定再生医療等製品については、一律に、添付文書に成分欄を記載する場所がございますので、そこに原産国を記載するよう求めるという対応をとろうと思っております。
 また、二つ目ですが、原産国が関係する感染症のリスクが懸念される指定再生医療等製品の場合には、添付文書の成分欄に原産国を記載することに加えて、添付文書における感染症伝播リスクに関する注意として、冒頭に記載することで特別の注意を示すことを求めるという対応をとろうと思っております。
 なお、こちらの対応については、添付文書の記載に関することですので、記載要領という通知があります。こちらについては、この2点が既に反映されるような改正を行ったところですので、それも併せて御報告させていただきます。御説明は以上です。
○合田部会長 本件について、御質問等はございますか。よろしいですか。
それでは、ほかに事務局から何か連絡等はございますか。
○医療機器審査管理課長 本日も御議論いただきまして、どうもありがとうございました。次回の部会は9月11日の17時からを予定しております。詳細については事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)