2023年8月9日第34回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

1.日時

令和5年8月9日(水)14:00~16:30

2.場所

対面及びオンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)

3.出席者

4.議題

  1. 1.関係団体ヒアリング6
  2. 2.その他

5.議事

○伊藤障害福祉課長 定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第34回会合を開催いたします。
 関係団体の皆様及びアドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は、アドバイザーの皆様にはオンライン、または会場にて御参加いただいております。傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本日のアドバイザーの出席状況ですが、石津アドバイザー、田村アドバイザー、野澤アドバイザーは所用により欠席となっております。
 本日は団体の皆様からのヒアリングを行うため、関係団体の方々にお越しいただいております。ヒアリングは1団体ごとに入れ替わりで行いますので、団体名、御出席者名につきましては各団体のヒアリングの際に御紹介させていただきます。
 本検討チームの議事は公開とし、審議内容は皆様に御確認いただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載します。
 議事に入る前に、資料の確認、会議の運営方法、ヒアリングの段取りを確認させていただきます。
 資料については、オンライン参加のアドバイザーにおかれましては電子媒体でお送りしている資料を御覧ください。同様の資料をホームページにも掲載しております。
 本日の資料でございますが、ヒアリング資料の1から9として本日ヒアリングを行う各団体様から提出いただいた資料をお配りしています。そのほか、参考資料をつけております。
 続きまして、ヒアリングの進め方についてです。
 ヒアリングは1団体ごとに行い、まず団体からの意見を8分間行っていただきます。4分を経過した時点でベルを1回、8分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに意見をまとめていただきますようお願いします。団体からの御発言の後、アドバイザーの皆様からの質疑応答を計7分間行います。
 御発言される場合は、現地で出席いただいている場合は挙手、オンラインで参加いただいている場合はZoom機能の挙手ボタンを押してください。こちらから指名させていただきますので、指名された方から御発言をお願いします。
 ヒアリングに当たりましては、5月22日の検討チームでお示しした4つの視点、アドバイザーの皆様から御助言いただいた観点を踏まえて資料を御用意いただいています。基本的には、資料のうち「概要版」を使って御説明をお願いします。
 4つの視点を御紹介いたします。
 1つ目の視点は、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法です。
 2つ目の視点は、地域において利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための、質の高い人材の確保を含めたサービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策です。
 3つ目の視点は、障害福祉サービス等の予算額が障害者自立支援法施行時から3倍以上に増加し、毎年1割程度の伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策です。
 4つ目の視点は、ICT活用など業務の負担軽減・効率化に向けた課題及び対処方策です。
 以上の4つの視点を踏まえた御説明をお願いしております。
 なお、本日は手話通訳及び要約筆記を行っておりますので、御発言の際はできるだけゆっくり、分かりやすくお話しいただきますようお願いいたします。
 それでは、ヒアリングを開始させていただきます。
 まず初めに、一般財団法人全日本ろうあ連盟より、吉野幸代様、河合めぐみ様、よろしくお願いいたします。
○全日本ろうあ連盟 こんにちは、一般財団法人全日本ろうあ連盟の吉野です。よろしくお願いいたします。
 私どもの団体は、聞こえない者が情報にアクセスできない、手話言語でコミュニケーションを取るために、皆様から見ても聞こえない人かどうか分からないという、見て判断することができない障害を有しています。ろう重複障害の方の中には知的障害を併せ持っている人も多くいますし、そういう方は手話でコミュニケーションがうまく取れないという非常に難しい障害特性があります。
 ろうあという特性を捉えた支援が非常に大切になることについて御説明させていただきたいと思います。
 まず1つ目といたしまして移動支援、同行支援につきましてお話ししたいと思います。
 全国のろう学校は、全て合わせても100校前後です。県内で最も多いところは9校、少ないところでは1校というように、非常に全国的な差があります。その中で、ろう学校へ通おうと思っても自宅からは非常に遠方で、通うのが大変という例があります。幼稚部、小学校1、2年という低学年のろう児の場合には自分で通学ができない、難しい。そのために親が同行して移動をする、または送り迎えをせざるを得ないような状況がたくさんあります。
 家庭の都合で、例えば両親が共働きしなければならない場合、移動支援を使いたいと思って申し込んでいても、聴覚障害という理由で断られてしまうという例もあり、やむを得ず自宅の近くの小学校に通わざるを得ないという例があります。
 また、特別支援学校の養護学校にスクールバスがあるため、その学校に選択するという例もありますし、学校の近くに引っ越さざるを得ないような方もいらっしゃいます。そのために、移動支援に聴覚障害という部分を加えていただきたい。
 全国で毎年6月に全国ろうあ連盟の評議委員会を開催しています。移動支援の中に聴覚障害も入れてもらいたい、対応してもらいたいと毎年要望が出されている状況です。
 しかし、今まだこどもたちは自分たちで通学できず、聞こえない、情報アクセスできないという障害から、支援が必要な場合があります。
 移動支援では、地域によって格差があります。移動支援が使える地域と、使えない地域というふうに地域格差が出ています。その地域の格差をなくすためには、やはり同行援護ということで、同行援護の場合は視覚障害者だけが活用できます。視覚障害者の場合は、見えないために移動するための情報提供をするので同行します。それと同じように、ろうのこどもたちも聞こえない、つまり情報が得られない、一人では行けない、通学できない、だから同行援護をしてもらいたい。聴覚障害児も、同行援護の中にぜひ入れていただきたいと思います。
 SDGsは誰一人取り残さないという考え方から、聴覚障害者も同行援護の対象とすべきというふうに考えております。そういう意味で、ぜひ皆様方にお願いしたいです。
 地域の新事業にも加算をし、格差があります。そのために、ぜひ同行援護にも聴覚障害児を含めていただきたいと思っています。
○全日本ろうあ連盟 発言を替わります。全日本ろうあ連盟の福祉労働委員をしております河合と言います。よろしくお願いいたします。
 先ほど、吉野のほうから同行援護、それから移動支援についてお話をさせていただきましたが、小さいこどもが手話で学ぶ、手話で理解をする、そういったためにも移動支援は非常に必要なものになっています。
 それで、今お話しさせていただいたのは視点-2の部分になりますけれども、私はこれから視点-1、それから3、4に絡めてコンパクトにお話をさせていただきたいと思っています。
 手話は、日本語と異なる独自の体系を持った言語になっています。ですので、文字情報には置き換えることができない言語として、私たちは日々利用者の支援を行っています。言語というのは、地域社会を形成する上でも非常に必要不可欠なものでありまして、その言語を利用するといったことはコミュニティーの文化を形成する上でも非常に大事なものだと思っています。ですので、数の多い、少ないで軽視することがあってはならないという認識の下で、私たちはふだんから利用者の支援を行っています。
 令和4年度の障害総合福祉推進事業の指定課題14の中でも、障害福祉サービスにおける視覚・聴覚言語障害者に対する支援の在り方に関する実態調査を行っていただきました。ありがとうございます。視覚・聴覚言語障害者の支援は、通常の支援に比べても個別対応やコミュニケーション面での特性があるために職員の負担も大きく、時間がかかるものと記載されておりました。
 私ども全日本ろうあ連盟が福祉基本政策プロジェクトチームというものを結成して、その中で全国のろう重複障害者福祉施設連絡協議会とともに活動を行っておりますが、そちらの団体の調べでは、令和4年度の調査の中で3つ以上の障害を重複している利用者というのは22%おりました。聴覚障害と知的障害の重複が手帳所持者で76%になっています。手帳未所持の知的障害の方を比べると、96%が重複の障害を有している利用者が全国のろう重複の施設協議会の実態となっています。
 手帳未所持の方というのは、聴覚障害があるために身体障害手帳を所持されている方が経過的に知的障害の手帳を取得されていない方が実際にはいらっしゃいますが、実態を見てみますと、重複障害の方は重度、最重度と言われる方々がほとんどになっています。食事もできますし、おトイレも行くことができます。お風呂も入れますが、細かいところでの支援が常時必要になりますし、特に聴覚障害と知的障害、その複数を併せ持ったろう重複障害の方々にはふだんから必要な支援、特に理解支援というものが必要になっています。
 私たち全日本ろうあ連盟としても、ろう重複の方々が自分らしく生活できるような支援をといったところで、現在も配置をしていただいている視覚・言語聴覚支援体制加算、要件も含めて維持をしていただきたいと考えております。それが、よりよい支援の提供につながっていくと考えております。
 全国的に見ても、聴覚障害者、またろう重複障害者の専門施設は数がまだまだ少なく、これは資料にも掲載がしてありますので後ほど確認していただければと思いますが、非常に数が少なくて地域格差が多くあると言わざるを得ない状況です。
 ましてやろう重複児、また聴覚障害児のコミュニケーション支援や言語獲得の状況は非常に個別性も強いものがありますので、より質の高いサービスを提供していくためには手話言語を含む様々なコミュニケーション手段、また聴覚障害についての専門性を有する支援者の体制を整えることが不可欠だと考えています。
 現在、成人の事業所においては視覚・聴覚言語障害者支援体制加算が適用されていますが、相談支援事業、また児童発達支援、放課後等デイサービスについては適用がなされていません。手話言語を含む様々なコミュニケーション、聴覚障害についての専門性を有する職員を配置するためにも、ぜひとも適切な評価をしていただきたいと思います。
 視点-3、4についても資料に記載のとおりですので、ぜひ御検討をお願いいたします。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー どうも貴重な報告ありがとうございました。
 私のほうで知りたいことなのですけれども、3ページの視点-1、マル3という3番目のところです。いわゆる専門的な施設の評価ということで参考資料が示されておりまして、この参考資料にあるのが大体全国的な専門的な施設のおおよその数と考えていいものかどうか。その場合に、ぱっと見なのですけれども、都道府県による差がかなり激しくある。
 それを考えたときに、既存の事業所の評価という考え方に加えて、全く設置がないような都道府県に対してはどういうふうに考えたらいいのかということです。
 以上です。
○全日本ろうあ連盟 河合です。御質問ありがとうございます。
 全国的に見ても非常に格差があるというのは、小澤アドバイザーがおっしゃられるとおりかと思っています。私ども全日本ろうあ連盟加盟団体が運動として立ち上げた事業所も複数ありますが、やはり親御さんが御自身のお子さんが聴覚障害児であるということで、御自身で立ち上げた事業所というのも、特に児童の事業所については複数存在をしている状況になっています。
 ですので、本来であれば全国各地に聴覚障害の方はおられるわけですから、どこでも手話言語でコミュニケーションの支援が受けられる事業所が必要だとは思っていますが、なかなか広がっていかない。
 というのは、聞こえない方というのは点在しておられるわけですので、どうしても通常の送迎の範囲での営業として考えると、とてもではありませんけれども、今の放課後デイサービスや児童発達支援の報酬単価では経営がままならないといった状況もあります。
 ちなみに、私が勤務をしております埼玉にあります聴覚障害者福祉会のでも放課後等デイサービスの事業を行っておりますが、通常の送迎範囲を超えて送迎を行う。帰りに2時間ほどかけて自宅の近くまで送って行くといったサービスを提供しなければ、必要な支援というのは行えていないという状況になっています。まだ設置がない都道府県についてですが、実際に通常の放課後等デイサービスをやむを得ず利用している親御さんも非常に多くいると伺っております。
 ですので、視点-3にあるように、実際にろう学校に通われている親御さん、手話言語で教育を受ける、手話言語で育てていきたいと思われている親御さんのニーズをぜひ聞いていただいて、どういった支援が必要なのか、まだまだ支援が足りないところに適切な支援をするのはどうしていったらいいのかというのは、連盟だけではなくて皆さんのお力も借りながら進めていく必要があるかと思っています。
 特に聴覚障害者の支援については、先ほど吉野もお話ししたように、目で見て分からないといったところが一番大きな障害の部分でありますので、特に聴覚障害児、児童であればなおさらアイデンティティーを形成する上で言語発達はとても大事なものです。
 ただ、自宅の近くにろう学校がない。また、送迎のサービスがない。やむを得ず一般の養護学校を選択せざるを得ない、通常の学校選択せざるを得ない、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用せざるを得ない状況の中でアイデンティティーが育っていくのかといったところは、今回の報酬改定での別の議論になるかと思うのですが、こども家庭庁ができたこともありますので、ぜひいろいろな場面で手話言語の必要性というのを訴えていきたいと思っています。
 以上です。
○小澤アドバイザー どうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、以上となります。全日本ろうあ連盟の皆様、どうもありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人DPI日本会議より、今村登様、白井誠一郎様、よろしくお願いいたします。
○DPI日本会議 DPI事務局次長の今村と白井です。本日はよろしくお願いいたします。
 DPIは1986年に創設し、障害種別を超えた91の障害当事者団体が加盟している全国団体です。全ての障害者の機会均等と権利の獲得を目的とし、現在は障害者権利条約の完全実施に向けて取り組んでいます。
 それでは、説明させていただきます。
 まず、3ページを御覧ください。今回の報酬改定に関するDPIの基本的な考え方をお伝えいたします。
 昨年9月に国連障害者権利委員会から出された「総括所見」と「緊急時を含む脱施設化に関するガイドライン」で指摘のあった「施設から地域生活への予算配分変更」を念頭に、施設、病院、親元からの地域移行を推進し、脱施設を実現するために報酬改定時に取り組むべきことを提案いたします。
 なお、「DPIの目指す脱施設」とは、家族介護・入所施設に依存しない地域社会の構築であります。
 「入所施設は、そもそも緊急対応や看取りも含めて家族介護を前提とされ過ぎたために家族が疲弊し、地域の中でも受け止められず、地域社会から排除されてきた結果、必要とされてきたものである」という視点から取り組んでいくことが、脱施設を進めていく上で重要だと考えます。したがって、施設対地域といった二項対立に陥ることなく、障害福祉政策全体として「新規入所を止めても家族介護に依存することなく、安心した地域生活が送れるようにするための地域づくり」に向けた政策誘導が必要であると考えます。
 その上で、視点1と2に関する現状の問題意識を御説明します。
 6ページを御覧ください。地域移行の問題点についてです。
 地域での自立生活(各種のサービスを活用しながらの一人暮らし)という選択肢を知る機会が仕組みとして成り立っていないこと。
 地域移行先のイメージがグループホームしかない行政、施設職員、相談支援専門員、ケアマネジャー、医療関係者、家族等がまだまだ多いこと。
 意思決定を支援する仕組みが機能していないこと。
 入所・入院者、入所待機者の丁寧な意向確認の仕組みが脆弱であること。
 施設、病院、家族からの地域移行を望んだとき、長年失われてきた様々な体験の機会をカバーする十分な体験、シミュレーションを行える場、機会の提供が希薄であること。
 あわせて、医療的ケア従事者の不足が続いていることがあります。
 次に、7ページを御覧ください。市町村の支給決定における独自の判断、いわゆるローカルルールに関する問題です。
 総合支援法は措置から契約へと変わった支援費制度移行も、最終決定を下す市町村の判断の影響は大変強く、それゆえ自治体間格差が広がり、いつしか障害者の自立、社会参加を阻む社会的障壁となっているケースが横行しています。
 8ページの札幌市在住の医療的ケア児のケースは、幾重ものローカルルールにより、御本人、御家族が望む自宅での生活ができず、なおかつ義務教育を受ける機会さえ奪われています。幾ら相談支援専門員が、一般相談も計画相談も親身になって、採算も度外視して必要な支給量サービスを提案し、求めても、市区町村のローカルルールにより却下され、その穴埋めは結局家族に強いられ、いわゆる5080問題、あるいはヤングケアラーの問題などへと続きます。幾つかの心ある事業者、支援者が入ることで何とか保っているようでは、それこそ持続可能性がありません。
 このような厳し過ぎるローカルルールを許したままでは、法改正で市町村の努力義務となった地域生活支援拠点基幹相談支援センターも、地域移行や困難事例に対し十分に機能しません。
 このような現状から、視点1、2についての意見を申し上げます。
 4ページ、5ページにお戻りください。
 ここで、施設から地域への予算配分変更を主眼としたDPIの主な提案は、まずもって地域生活支援拠点の充実に予算をしっかりとかけること、特に拠点コーディネーターは地域移行に特化した専門職として複数人数雇用可能なものにしてください。相談支援の加算程度では機能できません。
 あわせて、施設、病院側にも地域移行コーディネーターを配置し、意思決定支援を機能させ、地域移行を進めた施設、病院をしっかりと評価する報酬体系も必要です。ソウル市が行っている自立生活支援支度金なども有効です。支給決定における厳しいローカルルールが生じている大きな要因に、国庫負担基準の問題もあります。
 11ページから13ページの資料はちょっと古くて恐縮ですが、平成26年の報酬改定検討チームの資料です。
 13ページに、支給実績をカバーするように設定とありますが、現在その実態はどうなっているのでしょうか。ちゃんと9割の市町村をカバーできているのでしょうか。
 11ページに書きましたように、国庫負担基準の問題は早朝・夜間、深夜に及ぶ介助が考慮されていないために夜間の支給決定が出にくいこと。
 医療的ケア児・者、強度行動障害児・者をもっと受け入れられる事業所、長時間介助を受け入れられるようにするために区分間流用、いわゆる清算基準がしやすいような国庫負担基準の新設が望まれます。
 介護保険適用者の減算により、市町村が65歳を機に介護保険への切替えや併給を執拗に求め続けており、なおかつ支給量の削減も起きています。
 もう一つ、精神の方、軽度の知的障害の方などでよく起きていることとして、支給決定が家事援助のみ、あるいは家事援助と移動支援の身体介護なしという支給決定です。これは、居宅介護の中で身体介護と家事援助の報酬単価の差が大き過ぎて家事援助を受けたがらない事業所が多く、十分な支援ができていない問題が起きています。次回の法改正時には、居宅介護は身体介護と家事援助に分けず一本化するべきと思いますが、今回の報酬改定時には現在の報酬の差を小さくすることを求めます。
 常時解除を必要とする重度障害児・者の地域移行において、訪問系サービスの要となる重度訪問介護の報酬は、他のサービスに比べてまだまだ報酬が低く、事業所指定を受けていても報酬単価が安いことで実質行っていない事業者が多く存在します。
 また、行っている事業所は幾つもの加算を取ることで何とか保っています。加算がなければ、月160時間のフルタイム勤務をしても年収は300万に届くかどうかといった具合で、フルに加算が取れたとしてもようやく全国平均の400万に届くかどうかといった状況です。重度訪問のさらなる報酬額を求めます。
 視点3についてです。食事提供体制加算、補足給付及び利用者負担額の全体のバランスを考慮しつつ、再設定することで財源を確保して、これを地域生活支援拠点の充実に充ててください。
 また、インクルーシブ保育の推進、インクルーシブ社会の構築に向けて障害児を受け入れる学童保育事業者にも加算をしてください。予算が3倍に増えていると言われますが、地域生活支援事業は3倍も増えていないことが分かっています。メニューは増えていますがここは増えていないので、ぜひここの充実を求めます。
 その一つの案として、移動支援の地域生活支援促進事業化を求めます。
 最後に視点4について、3種類の処遇改善加算があり、これは大変助かっておりますけれども、非常に手続が煩雑です。手続の加算の一本化、簡素化を求めます。例えば、昇給の仕組みがあれば配分方法、対象は事業者に委ねるなど、お願いしたいと思います。
 そして、医療的ケア研修の見直し、これは制度ができてから一度も見直しがされておりません。1号、2号の研修を終えた者でも、3号研修を受ける場合は1から取らなければなりません。免除をするなど、新たな見直しをお願いしたいと思います。詳しくは、参考資料を御参照ください。
 あとは、資料に書き漏らしましたけれども、現在のグループホームのホームヘルパーの利用についてですが、更新が続いておりますが、これは恒久化していただきたいと考えます。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。いかがでしょうか。
 石川アドバイザー、お願いします。
○石川アドバイザー 当事者のお立場からの貴重な御意見、ありがとうございました。私のほうから、ちょっと質問させていただきたいと思います。
 まず、新設ということで、地域生活支援拠点等にコーディネーターを複数配置となっておりますが、この内容を拝見させていただきますと、個別の支援をいろいろなところと連携を取ってされるような形に受け取ったのですけれども、相談支援事業所の計画相談員もなかなか配置し切れていない状況がある中で、このような立場の方をどれぐらい配置することをイメージされているのかということです。
 それから、もう一つ、6ページに地域移行先のイメージがグループホームしかない行政とか施設職員ということが書いてありますが、地域移行先のイメージがグループホーム以外にどう広がっていけばいいか、当事者としての皆様の御意見をお伺いさせていただきたいと思いまして質問させていただきました。
○DPI日本会議 御質問ありがとうございます。
 まず1点目についてですけれども、これはどのぐらいの規模で、どういう配置がという基準がまだ多分できておりませんで、これから国のほうも検討になると思いますが、私どももどれぐらいが適切かという具体的なことは分かりませんが、多分5万人に1か所とか、10万人に1か所とか、拠点型にしろ、面的型にしろ、地域生活支援拠点というものが非常に曖昧な形で今存在していますので、それが面的拠点といったときにどこと、どこと、どこの事業所で連携が取れているのか。そのうちのどこにコーディネーターがどう配置されているのかというのは非常に曖昧なままですので、そこをはっきりさせていく。
 それはこれからの大きな検討になると思いますけれども、そういう基準をつくって、その中で一般相談とかほかの相談と片手間でやるのではなくて、地域移行というものに特化して施設とも地域の事業者とも連携を取っていくという役割をコーディネーターに求めたいと思いますので、それは1人だけいれば何とかなるという問題ではないので複数人ですが、では2人なのか、3人なのかまでは私もはっきり答えられませんが、そういう意味合いで複数必要だと思っております。
 2つ目の御質問についてですけれども、いわゆる重度訪問介護とか、行動援護とか、そういった長時間介助に対応できるような訪問系サービスを中心にいろいろなサービスを組み合わせるなり、それだけ一本でも構わないんですけれども、地域生活のサービスを受けながら地域で一人暮らしができる。実際に私もそうですけれども、そういった仲間が非常に多くいますが、実際に行政の方から、そこまで重度の人は普通は施設ですというような発言が平気で行われることはよくあります。そうではなくて、そういう選択肢があるのだということをちゃんと伝えて、例えば実際にそういう人たちを紹介していくとか、そういう中でやっていく。
 それが国連でも言っている地域移行、脱施設化を進めなさいということにもつながると思いますので、そういった生活スタイルの追求というか、そちらのほうにシフトしていきたいなと思っております。
 以上です。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 そのほかいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 では、以上とさせていただきます。DPI日本会議の皆様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、きょうされんより小野浩様、多田薫様、よろしくお願いいたします。
○きょうされん 本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。きょうされんからは今、御紹介がありましたように、きょうされんの政策調査委員長をしております小野浩と、事務局長の多田のほうで対応させていただきます。
 きょうされんの概要については、2枚目のほうにありますのでそちらを御参照ください。
 それでは、意見の詳細については小野から申し上げさせていただきます。
○きょうされん 本日はどうもありがとうございます。政策調査を担当しています小野と申します。きょうされんからの意見を申し上げます。
 ページ番号3ページに概要がありますが、まず視点1について簡潔に要点だけを述べさせていただきます。
 まず、営利法人の参入について都道府県も本当に困り果てて、市町村も困り果てているのですけれども、特別な指定要件を課すべきではないかという点です。
 それから、「常勤換算方式」がやはり支援水準を引き上げることを困難にしていますので、適正な正規職員の配置基準を設けるべきであす。
 それから、先ほどDPIも主張されていましたが、昨年の総括所見を踏まえて医学モデルの制度を根本的に制度的に廃止し、「社会モデル」あるいは人権モデルに適応した制度にすべきだという点では、支援区分制度そのものを根本的に見直すべきだということを提案させていただいています。
 質の高い人材の確保と持続可能な制度の課題について、ここは併せて指摘をさせていただきたいと思います。
 資料の6ページ目を見ていただきたいのですけれども、厚労省の資料では既に報酬改定検討チームで3月に配付されておりますが、この15年間で障害福祉の予算が3倍増、自立支援法からはさらに増えているという指摘がされています。
 これに対して、OECDの毎年行われている調査を過去20年間にさかのぼってデータをグラフ化したものが6ページの右下のグラフです。OECDの調査で各国GDPに占める障害施策予算の平均値というのは、一貫して2%で推移をしてきました。4%、5%の高水準、トップの国はデンマーク、ノルウェー、スウェーデンなどです。日本は3倍増という説明があるのですが、確かに額的には3倍に増えているかもしれませんが、措置制度時代から比較しても0.7%から1.1%の推移でとどまっているんですね。これは国会の特に与党の議員からも出されていますが、OECDの調査で各国GDPに占める2%平均をやはり超えるべきだろう。これは一番の課題だと思っています。
 次の7ページを見ていただきたいのですが、今きょうされんで各障害団体、事業者団体にも協力してもらって調査をしていますが、本当に人の確保が困難で、表にあるような充足率の状態にあります。報酬改定検討チームのアドバイザーの皆さんは御存じだと思うのですが、右下のグラフは2018年の処遇改善加算の見直しの際に厚労省が示した資料です。厚労省が行なっている全産業の賃金調査では、常に障害福祉は「医療、福祉」の中にいつも含み込まれてしまうのですが、2018年の報酬改定検討チームのときには、障害福祉を抽出したグラフが公表されました。それによると、一番下の月23万、これは正規職員の範囲だと思うのですけれども、こういう水準がやはり支援水準を高めるための大きな課題になっていると思います。
 さて、持続可能な制度の課題という点では8ページを見ていただきたいのですが、まず1点目は先ほどのOECDにおけるGDP比が2%を超えることが求められるという点です。それを踏まえて2点目を申し上げます。
8ページのグラフは、自立支援給付の給付内訳です。既に報酬改定検討チームで配られて説明がされております。ここ数年、生活介護がトップ、次に就労継続支援B型、そして放課後等デイサービスを合わせると自立支援給付の半分を占めます。またここ数年、厚労省は、生活介護のすぐ下の施設入所支援費を、その隣の共同生活援助の介護サービス包括型が超えているという指摘が強調しています。
 しかし、9ページを見ていただきたいのですけれども、このオレンジの施設入所支援費は皆さんも御存じだと思うのですが、障害者支援施設の夜間支援の給付費です。それで、障害者支援施設、入所施設の全てが日中支援で、生活介護や就労継続支援B型の給付費を受けて、それを含めて昼、夜の運営、特に夜の支援体制が賄えているというのが実情なんです。
 それで、いつも厚労省に尋ねるのですが、これまでオープンにされたことがないため、6月に正式に文書で「障害者支援施設の日中支援の利用者数と総費用額」を尋ねました。しかし新たな集計ツールをつくる必要があって4か月かかってしまうということで、今回の団体ヒアリングまでに回答をいただけませんでした。
 けれども、東京都内の幾つかの自治体に問い合わせたところ、ものの30分でこの左下の障害者支援施設の日中支援の内訳を教えていただけました。圧倒的に生活介護なわけです。それで、右の表にあるように、厚労省の表に基づいて生活介護の29万8000人のうち12万4000人の施設入所支援の日中はそのまま生活介護が給付されていると想定すると、8ページの円グラフは崩れます。障害者支援施設が17%を占めるのです。
 先ほどDPIあるいは育成会の意見でも出ていましたが、総括所見の施設から地域への移行、脱施設の点からもこの内訳が重要になります。特に障害者支援施設は入所だけではなく通所のみで利用している人もいますので、その人は厚労省の社会福祉施設調査のデータからすると1万4000人くらいになる。そうすると、18%くらいになるんですね。ですから、そこに根本的にメスを入れるべきだと考えます。
 最後に、3ページの概要の一番下のところに戻りますが、報酬改定に当たっての重点課題として、1つは食事提供体制加算の継続・増額、そして恒久化。
 それから、課税世帯への負担軽減策の拡大対象。
 そして、介護保険優先原則の総合支援法第7条の廃止、選択できる制度にすべきだという点と、負担軽減策は全ての人を対象にするということを提案させていただきます。
 さらに、放課後等デイサービスについてはこどもの発達にふさわしい支援を提供しているところの評価を重視していただきたいという点で述べさせていただいています。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 どうもありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 有村アドバイザー、お願いします。
○有村アドバイザー 御発表ありがとうございました。詳細なデータを使いながらのお話で、大変納得できる内容であったかと思います。
 そこで、私がお伺いしたいのは、まず営利法人の参入は特別な指定要件を課すということをお示しいただいております。この指定要件ということは各自治体さんも逆にどういうふうに考えていけばいいか、頭を悩ませているところかと思います。指定要件というか、どこに参入していただくかというところでは、11ページの(4)にもお示しいただいているのですけれども、ここの指定要件というところで何かこういう要件をつくれば効果的かというようなアイデア等はございますでしょうか。お願いいたします。
○きょうされん 意見の資料の4ページですが、これは私が事業を行っている自治体での実情で、例えば東京都内の人口43万の自治体では39か所の放デイのうち29か所、74%が営利法人で、144のグループホームのうち49か所が営利法人で、この営利法人がやはり誇大広告であったり、あるいは特に身体障害の介助度の少ない人、知的障害あるいは精神障害対象として事業者が利用者を選ぶという現状がまかり通っています。
 これは給付の悪用、あるいは加算の悪用につながるので、お尋ねの基準という点では、やはり利用者主体の支援、特にうちの自治体ではもうグループホームの参入については、こういう障害特性・程度の人、こういう介助・支援が必要な人のグループホームが必要なので、そういうグループホームの計画でなければ受け入れませんと窓口で蹴っているんです。そういうふうな支援内容に伴って基準を設ける必要があると思います。
 あとは、収支差率ですが、株式会社の支出は「その他費用」が多く計上されます。そういう点でも、社会福祉法人やNPOなどの非営利法人と営利法人の会計基準の違いがありますので、その点からもやはり基準を設ける必要があるかと思いました。
○有村アドバイザー ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。
 小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー どうもありがとうございます。
 私のほうとしましては、最初の質の高い支援を提供するための課題というところの3番目です。「「社会モデル」の視点のない」というところですが、これは確かに総括所見の中でも冒頭に強調されている出来事なのですけれども、これは非常に根幹に触れる大きな指摘だと思うのですが、この場合、現行の区分制度の在り方そのものを考え直すということは、私も実はそれはそうだなと思っているところなのですが、具体的にはどういうようなところを考え直すのがいいのか、もしあったら教えてほしいなと思いました。
 以上です。
○きょうされん 大変難しいですけれども、小澤先生だから直接リアルに言わせていただきますが、要介護認定も含めて私は見直すべきだと思います。
 そもそも要介護認定をベースにつくられた障害支援区分、その前の障害程度区分の段階から徹頭徹尾医学モデルなんです。ですから、基本はやはりニーズアセスメントで、例えば北欧地域であるとかイギリスもそうですし、オーストラリアやニュージーランドで実施されているようなニーズアセスメントで社会モデルの要素を加味して、そこを重視した質問項目による計画づくりというか、サービス提供の支給決定プロセスといったものが、私は必要だと思います。
 実際、今回データベースが既に実施されています。それで、ここの一番のポイントは「要介護保険情報」を見ていただければ分かるのですが、これは不思議なんですけれども、要介護度5、4、3、2、1、要支援の割合が、どの市町村もあるいは全国平均の経年で比較してもパーセンテージがずっと同じなんです。一方、東京都内で区市町村ごとの障害支援区分判定のデータを見ると相当ばらつきがあります。自治体別で見ても、自治体比較を見ても、要介護度というのは、要するに審査会での変更率が低いんです。コンピューター判定で出た結果というのは、やはり一律になるわけです。それに対して、障害については審査会での変更率が高いんです。
 今回のデータベースはそこを修正していきたいというか、統制をかけていきたい面があると思うのですが、あれをやってしまうと本当に必要な支援が受けられなくなると思います。それで、個人情報を伏せてデータを収集するということになっていますけれども、社保審の障害者部会の直近の資料を見ると、個人情報を削除して、データを民間研究所、研究機関等に提供するということが政省令で定めるということがなされているのですけれども、実は公表されていない障害福祉データベースの資料の中で、氏名、生年月日、市町村番号をハッシュ化してデータ化する。つまり、個人の特定されたデータを収集して、しかもそれを介護保険データベースと連結すると言っているんです。
 そこからも、今の障害支援区分の延長線上で障害のある人たちの必要な支援を導き出すことが私は不可能だと考えますので、やはり社会モデルに立ったニーズアセスメントが必要だと思います。
○小澤アドバイザー どうもありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、以上といたします。きょうされんの皆様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会より、片岡保憲様、よろしくお願いいたします。
○日本高次脳機能障害友の会 よろしくお願いします。
 このたびは発言の機会をいただき、ありがとうございます。日本高次脳機能障害友の会の片岡です。
 早速ですが、御説明に入らせていただきます。概要までは御参照いただき、詳細版の資料に沿って御説明させていただきます。
 まず「高次脳機能障害者の障害特性を考慮した支援体制の見直しについて」ということで、1つ目の「高次脳機能障害者に対する十分な治療期間の提供と退院後の生活支援について」というところです。これは同時改定ということもあり、書かせていただいたことなのですが、高次脳機能障害者の障害像が短い入院期間中には顕在化せず、それぞれのコミュニティーに帰ってから顕在してくるケースがまれではないことから、必要な医療的アセスメントやリハビリテーションが十分に受けられず、結局は家族が戸惑いながら当事者を抱えているという現状があります。
 そういったことから、高次脳機能障害者が重度なケースの入院時における在院日数を含めた十分な医療的リハビリテーションを受けることのできる期間の確保について御検討いただきたいということと、そのように医療機関で既に大変なケースだと分かっている方については退院後も地域定着支援、自立生活援助の利用についての条件緩和や、そういった方をきちんと支援していただけるように医療機関や福祉事業所への加算の御検討をお願いしたいという内容のものです。
 2つ目は、「高次脳機能障害(特に社会的行動障害)が重度の方を重度者として定量化できる基準の見直しについて」ということで、いつも当会が要望させていただいていることで既に厚生労働科学研究でも取り組んでくださっておりますが、例えば身の回りのことなどは全て自分でできるけれども、暴言・暴力行為などの社会的行動障害が重度な方が既存の行動関連項目などでは区分が出ない、重度者として判定されないということに課題を感じております。
 そのようなことから、高次脳機能障害の中でも特に社会的行動障害が重度の利用者を重度者として定量化できる新しい基準の設置や行動関連項目の見直しを御検討いただきたいというものです。
 3つ目の「新たなサービスである「就労選択支援」の対応について」というところですけれども、復職や新規就労を希望する高次脳機能障害がある人は、障害特性を踏まえた就労準備性という観点から、退院後早期にサービスにつながることが重要となるケースがあります。そういったことから、退院後早期よりサービスが提供される仕組みと、サービス利用中に就労アセスメントの手法を活用した支援が提供される等の御配慮をいただきたいというものです。
 4つ目になりますが、「就労中の就労支援サービスの併用について」です。高次脳機能障害がある人にとって、就労中の就労支援サービスの併用は職業生活や地域生活の安定につながっているケースがありますので、原則的に認めていただきたいという内容のものです。
 次に、5つ目です。「相談支援専門員における各種手続きや通院の同行について」ですが、当事者の身近にいて信頼されている相談支援専門員が、例えば金銭が絡むような手続であったり、行政の手続、当事者の通院に同行して支援を行っているというケースがあります。そういったことに対して報酬が発生させられるような仕組みの御検討や、現行の地域生活支援事業の移動支援をもう少し柔軟に活用できるよう、見直しを御検討いただきたいというものです。
 前回の改定のときには、計画相談において高次脳機能障害支援体制加算の設置を要望させていただきました。そういったことも併せて御検討いただければ大変ありがたいです。
 次に、「高次脳機能障害者に必要なサービスの見直しについて」ということで、2の(1)になりますが、「就労継続支援B型事業所における報酬体系の見直しについて」というところで、重度の社会的行動障害などの障害特性上の理由から長時間作業することができないケースが存在し、そして週に4日以上施設を利用する者が契約者の3割程度というような事業所も複数存在している現状があります。
 次の意見にもつながりますが、就労継続支援B型サービス費(I)(II)においても地域協働加算・ピアサポート実施加算が算定できる仕組みや、就労継続支援B型サービス費(III)(IV)の報酬単価の見直しを御検討いただきたいというものです。
 そして、2の(2)として「「ピアサポート体制加算」および「ピアサポート実施加算」の報酬単価の見直しについて」というところで、現行のピアサポート体制加算やピアサポート実施加算の報酬単価では、加算報酬料よりも必要経費のほうがどうしても大きくなってしまって、必要とされる場所にピアサポーターが配置されている現場が少ない現状があります。
 そのような背景から、現行の報酬体系の見直しや就労継続支援B型において、ピアサポート加算を報酬区分I・IIでも算定できる仕組みであったりとか、雇用条件の人員配置0.5の縛りを見直すことを御検討いただきたいというものです。
 最後になりますが、「現場で工夫している事例について」ということで2ページほど記載させていただきました。
 特に1ページ目の事例ですが、社会的行動障害が重度な事例で、暴力案件を含む他者とのトラブルを頻回に起こしていた事例なのですけれども、実は全国地域生活支援ネットワークのプロジェクトなのですが、この方を県外のバリアフリー演劇の公演に連れて行ったというエピソードになります。これは隣の県だったわけなのですけれども、この方にとっては事故以来、25年ぶりの県外、25年ぶりの外食という経験になったわけですが、その旅以降、明らかに他者とのトラブルが激減したという事例です。
 非日常といいますか、楽しみとか、趣味とか、娯楽の中に行動障害を抑制できる要素があるのではないか。そして、支援者にとってもこういう経験はとても有意義なのではないかと考えてこのような事例を挙げさせていただきました。
 私のほうからは、以上となります。御清聴ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 佐藤アドバイザー、お願いします。
○佐藤アドバイザー 佐藤です。御説明ありがとうございました。
 障害の特性で医療とのつながりが非常に重要になると思うのですが、その医療とのつながりのための仕組みのようなものは何か必要とされていないのでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○日本高次脳機能障害友の会 最初の1の(1)のところで発言させていただいた内容に近いと思いますが、現状では結局、高次脳機能障害のある方というのは事故とか病気とかで身体麻痺を伴わないケースであれば、体は比較的早期に回復して歩けるようになったり、日常生活が自立するようになるケースが多い状況です。
 ところが、注意障害や記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害ということが病院の中では顕著に露呈されず、そのまま自分のコミュニティーに帰ってくる、御自宅に帰られる、地域で人間関係が悪くなったり、知人に暴力を振るってしまったり、あるいは記憶障害が原因で様々なトラブルがあったりして問題が生じているというようなことです。
 これは、医療機関の中でもう少ししっかりと高次脳機能障害の評価をしていただけるようなスキームがあったり、それに対してリハビリテーションがしっかり提供されて、何回か地域の方とのやり取りを重ねて、これで大丈夫だねということを確認してから地域のほうに返していただくというような仕組みがあったらいいなということを思っている次第です。
 実際、医療との連携ということに関しては、高次脳機能障害の普及支援事業の中で支援拠点機関が各都道府県に配置されている状況です。それで、私の高知県の場合は民間の病院と連携して共同で拠点を運営しているというような状態があります。病院とNPO法人で地域の福祉事業所をやっているものが協働してそういうような連携をモデルとしていただいて、そちらのほうの強化もしっかり進めていただきたいなということは感じているところです。
 以上です。
○佐藤アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、橋本アドバイザーお願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明ありがとうございます。
 11ページのピアサポート加算についてですが、雇用条件の人員配置0.5の縛りを見直してほしいということですが、この0.5という縛りでどのようなところで困っていて、どのようにできるとよいとお考えか、教えていただければと思います。
○日本高次脳機能障害友の会 ピアサポート自体は、非常に高次脳機能障害がある人にとっても重要だと考えています。例えば、交通事故に遭って高次脳機能障害になって20年が経過した人たちは、高次脳機能障害になりたてでこの先にすごく不安を感じている人たちにとってはとても大切な存在になってくるんですね。
 そこで、ピアサポーターを配置したいと考えても、この人員配置0.5で雇用すると、事業所がその人に払う人件費という問題に直面します。これを外していただければ、その時々で、私たちはインフォーマルな場で当事者家族会としても活動しているので、そういうところでは月に1回程度は当事者同士、あるいは当事者家族同士で話し合うような場を設けているのですけれども、もう少し専門的なピアサポートを行っていきたいと思う場合、そういった経営上の壁が出てくるので、そこら辺りを見直していただきたいというような趣旨の内容です。
 以上です。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 では、以上といたします。日本高次脳機能障害友の会様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、一般社団法人全国重症児者デイサービス・ネットワークより、上田智也様、秋山政明様、よろしくお願いいたします。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 全国重症児者デイサービス・ネットワークより説明させていただきます。
 我々、全国重症児者デイサービス・ネットワークは平成26年11月4日に設立し、地域で暮らす重症心身障害児者と重症児医療的ケア児者のソーシャルスキル、ライフスキルを育む日中活動生活を支援しております。
 私たちは日々、重症心身障害児者と同じ時間を過ごすことで見える利用者の新たな発見と、それから希望、そして充実した生活を送るために必要な支援を提供し、家族の負担を少しでも軽減できるような新たなサービスの提供と施設整備を行うことで、重症児者が地域で普通に暮らすことのできる社会をつくりたいと考えております。
 重症心身障害者を対象とした「児童発達支援」「放課後等デイサービス」は、我々重デイネットのみとなっております。
 主な活動としましては、全国6ブロックに分かれ、その各地で勉強会、情報交換、情報共有、そして新規設立支援、災害支援など、重症児の生活を向上させるための活動を行っております。
 現在の会員数は、正会員165、準会員31となっております。
 資料の3ページ目に移らせていただきます。
 次に、主に重症心身障害児を対象とすることでの課題について御説明させていただきたいと思います。主には、この3つの課題を説明させていただきます。
 1つ目は「生活介護の拡充」、多くの加盟事業所が設立をしてから10年を迎えようとしています。利用者も同じように成長し、成人のサービスへと移行していきます。加盟事業者の大半は放課後デイサービスと生活介護の多機能事業を行っている事業所が多く、小さい頃から放課後デイサービスを利用し、そのまま生活介護へ移行するというような状況になっております。
 しかし、ここで一つの問題が出てきます。児童のときから看護師であったり職員との信頼関係、御家族の方との信頼関係を築いてはいるのですけれども、これが成人になったときにほかの生活介護の事業所を利用するということは御家族の方はあまり望まれていない。そのまま多機能事業所として、今の事業所を利用したいという御希望が非常に多くあります。
 しかし、サービスの質であったり、サービスの量というのは変わらないのですけれども、その生活介護を利用することでの報酬が下がってしまうという問題に直面しております。これは参考資料5を見ていただければと思います。
 そして、生活介護の単独事業を行っている事業所もございます。これは定員10名であったり、定員20名で事業を行っている事業所でありまして、ここもほぼ全員がやはり重症心身障害児で医療的ケアを含む方も利用されておりますが、ここでは看護師配置をするのが非常に難しい状況になっております。そのため、医療的ケアのある方については利用を制限するという状況が続いております。
 ですので、今後生活介護を利用する児童はさらにこれから増えてくるということが予想されます。そして、この生活介護を利用する利用者が地域でも安心・安全に暮らすためには、看護師配置の問題ということについて解決を図っていただきたいと考えております。
 2つ目は「医療的短期入所の拡充」についてなのですけれども、こちらのほうもやはり重症心身障害児、医療的ケア児が非常に多く利用されておりますので、この利用に向けて御家族の方からのニーズが非常に多くなっております。こちらも17ページに記載しておりますので御覧いただけたらと思っておりますが、非常にこれを開設するというハードルが高く、また、現在加盟事業所の中にも医療的短期入所を運営している事業所がありますが、なかなか増えるということは難しいという状況にはなっております。
 最後に3つ目、放課後デイサービスについてです。重症児の通所支援については非常に手厚い支援をいただいておりますが、制度ができてこれも10年で、この中で変わらない問題、課題となっておりますのは、キャンセルが非常に多いということです。重症児は感染や気温変化等に弱く、入院のリスクも高いことから、一般放デイに比べて欠席率が非常に高いということがあります。こちらのほうも資料には入れておりますが、この問題についても改善、議論を進めていただきたいと考えております。
 2つ目、送迎加算についてですが、送迎についても車椅子を利用する方が非常に多く、または看護師も同乗するという現状にはなっております。これは、医療的ケアがある、なしにかかわらず看護師も同乗しているという状況であります。そして、近年の人件費の高騰、それから車両の維持費、燃料代の高騰についても非常に経営を圧迫しているという現状ではあります。
 最後に3つ目、ほとんどの放課後デイサービスについては児童の入浴サービスを提供しております。やはり御自宅で入浴するというのは非常に難しい状況にあります。医療的ケアのある方であれば御家族、お母さんが一人で入浴させるということは非常に困難でありまして、施設のほうで機械を使って入浴をしているという現状にはなっておりますので、ここに向けてのスタッフの増員、入浴設備を備えてサービス提供しております。こちらについては、入浴に関する新たな加算の検討ということをお願いしたいと思っております。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 今回、重デイネットとしては、加盟事業所様に生活介護に移行するこどもたちがどれくらいいるのかということの調査を実施しました。その結果、今40%近くの事業所が生活介護を行っているという回答と、15歳から18歳、3年後、5年後に生活介護になるこどもたちが増えるといった回答も得られました。
 一方で、体が大きくなるにつれて介助が難しくなるといった現場の声も出てきていたので、生活介護の事業所の問題としては6ページに重デイネットとして提案をまとめています。
 1つ目が、既に加盟事業所の皆さんは重症心身障害者向けのデイサービスを行っていまして、その中で多機能型特例という形で5名定員の中にそのまま生活介護のこどもたちが通えるといったことを行っています。
 これは、15ページ目を御確認ください。具体的な報酬をまとめているのですけれども、児童発達支援、放課後デイに関しては定員5名に対して看護師が3名配置できるような報酬体系を組んでいただいています。これは前回の報酬改定の中でしっかりと手厚くしていただいたので、その後、重症心身障害児や重心医療的ケア児のこどもたちの日中活動は大きく進化しました。
 一方で、18歳以降を迎えると右側に書いてあるとおり、20名の定員に対して加算を取って看護師3名という状況になっています。ここが、保護者から見たときに放課後デイから途端に生活介護になると看護師の配置が少なくなる。こういった課題につながっておりますので、今回改めて提案させていただきました。
 以上になります。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 高アドバイザー、お願いします。
○高アドバイザー 貴重な御意見、ありがとうございました。
 私も保護者の方から、放デイから生活介護へ移るときの多機能の要望は非常に聞いております。ここは本当に何とかしないといけないと感じているという意見がまず1つと、もう一点はそれに関連してなのですが、今回短期入所については医療型のところで御提案いただいているのですが、19ページにも書かれているのですが、地域ごとの医療構想ですね。特に大都市圏では医療計画で申請ができないという事例を私も聞いております。
 そういった中で、成人期を迎えた保護者からは、ふだん生活介護をしている事業所さんが福祉型で参入していただきたいという意見もたくさん聞くんです。そういった中では、団体さんとして福祉型、医療型の整備の在り方とか御意見がありましたら、まだまだ福祉型で医ケアのお子さん等を受け入れるところは少ないと思うのですけれども、福祉型、医療型といった中での整備の在り方とか御意見があったら教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 福祉型のほうについて発言させていただきます。
 福祉型での短期入所ということも、これから検討していくという部分ではこちらの団体としても考えております。
 ただ、やはり福祉型にしてしまうと医療的ケアの方というのは利用できなくなってしまいますので、この辺りの差別ではないですけれども、どのような形で医療的ケアの方が利用できるように整えていくかは少し大きな課題となっていくのではないかと考えております。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 医療型短期入所に関しては19ページにも記載させていただいているのですけれども、無償診療所での宿泊という方向性を重デイネットの加盟事業所の中では2つ、3つ事例として出てきています。
 というのは、地域医療構想の中でベッド数が限られていて、そこを増やすであったり、その権利をいただくといった難しさが出てきている中で、無償診療所にすることによって診療所をオープンできる。
 ただ、一方で夜間の見守りであったり医師の当直といった課題が出てきているので、参考資料の22ページに書いてあるのですけれども、介護医療院に関しては医師の当直が例外として認められているといった基準が設けられていますので、医療型短期入所の要望、医療的ケアがあるこどもたちの受入れに関しては今後進めていただけたらと思う一方で、有床診療所であることがネックになっているというところをお伝えできたらと思います。
○高アドバイザー ありがとうございます。
 では、当面はしっかりと整備をする中では医療型を中心にしていくということでよろしいと捉えていいでしょうか。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク はい。
○高アドバイザー ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、以上といたします。全国重症児者デイサービス・ネットワークの皆様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会より、戸髙洋充様、近藤淳様、よろしくお願いいたします。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会、略称あみの代表をしております戸髙です。よろしくお願いします。本日は、ヒアリングの機会を設けていただきありがとうございます。
 私は、神奈川県藤沢にあります社会福祉法人藤沢ひまわりというところで地域定着、移行、B型、地活、共同生活援助、相談事業を行っております。
 あみは1997年に「作業所の法定化」「地域格差の是正」「地域生活支援のネットワーク推進」ということで発足しました。先月、沖縄で26回目の全国大会を開催しております。そういう活動をしておりますが、今日ヒアリングに関しては事務局長の近藤のほうから説明させていただきます。よろしくお願いします。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 そうしましたら、資料のほうを御説明させていただきます。事務局長の近藤と申します。よろしくお願いいたします。
 1枚めくっていただきますと、右上にマル2と入っている【概要版】がございます。こちらで御説明させていただきまして、【詳細版】につきましては質疑応答の時間で触れさせていただければと思っております。
 まず、最初に計画相談支援ですが、3つございます。
 1つ目は、サービスを提供していた事業所がその方のサービスが終わった後の引継ぎなどがあまり丁寧にされていないことが多く、結果的に御本人が日常生活で支障を来すということがございます。そういった場合に、アフターフォローを計画相談の計画支援員が無償でやらざるを得ないというようなことが現場で多くありまして、こちらの点について評価していただきたいということがございます。
 2つ目は、障害者の社会参加を促進していく地域共生社会や、にも包括というものがうたわれている中ですが、やはりインフォーマルな資源につなぐ必要性というのは非常に高いと思っております。この点について、評価されていないということを今回挙げております。福祉サービスばかりで計画をつくっていくというのではなく、市民として地域で生活を送る上でもサービス等の「等」に対する加算を検討していただきたいと思っております。
 3つ目は、本人を取り巻く環境整備においての御家族ということで、とても重要な存在ですが、サービスを提供されている事業所さんの中ではそこまで手を伸ばさないで現場だけの支援ということが非常に多いという場面も見受けられます。やはりその辺りも計画相談が担うケースが多く、この点についても評価を御検討いただければと思っております。
 次に共同生活援助、グループホームについて3つ挙げさせていただきます。
 まずは前回、令和3年の報酬改定で夜間支援体制加算が障害支援区分によるものに変更されております。御存じのとおり、平成18年に支援法が施行される前から精神障害者の方は区分がつきづらいという課題がありまして、今回区分のつく方が対象となったことで、精神に今まではついていた体制加算がつけられなくなってしまったというホームがたくさんあるということです。精神の場合、日内変動という障害特性がございますので、日中は安定しているのですが、夕方、夜という形で不安感が高まって体調が変わることは少なくありません。そこで夜勤がつけられなくなったことで困っている利用者、事業者が出てしまっているということになります。
 また、仮に区分2以上がついた場合の方がいらしても、この前の改定で単価が1晩4,500円と大幅に下がってしまっているので、年間でいうと160万ほどのマイナスになってしまいます。これでは加算が仮についたとしても夜勤が雇えない状況にありますので、精神障害者に対する区分の出し方、夜間支援体制の加算についてぜひ御検討いただければと思います。
 次に大規模減算です。今は減算率が低いので、減算されても構わないので定員を多くしてでも利用者を入れたほうが収入が上がるというホームが随分多く出ている。結果として、支援の質の低下、無駄にサービス量が増えているのではないかという危惧があります。より減算率を高くして、逆に質の低下があるような営利的な目的のグループホームの乱立にストップをかけてほしいと思っております。
 グループホームの最後は、新設で今お話がいろいろ出ている利用期限を定めたグループホームですが、東京の場合はグループホーム通過型ということで利用期限3年を設けた事業を実施していますが、受け皿の在宅支援が一定程度充実していること、あとは東京都の独自の補助事業があるということで事業運営も安定する。その中で安心して本人の望む場所に送り出しているということができております。新設のホームに関しましては、地域の支援体制と事業運営はセットで考えていただければと思っております。
 次にB型になります。就労継続支援B型ですが、前回の改定で「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する体系が創設されました。
 一方で、工賃額で評価する報酬体系のB型は平均工賃を高くして運営費を稼ぐわけですから、生産性の高い利用者を求める傾向が年々高くなっているということです。働ける利用者を欲しがっているということになります。週3日以上でないとうちは受入れができないというようなB型もだんだん出てきておりまして、そういう方が敬遠されてしまう中で、一方で利用者は高齢化しますし、生産性が下がっているという傾向もあります。精神の場合、精神科病院から退院した方や自宅に長い間、引きこもっていた方、またはその対人関係を築くことをまず優先し、その中で働きたいなど、必ずしも生産性が高い人ばかりではないということです。
 つまり、先ほどの一律に評価する体系ができたのですが、そういうような方の受入れとしてニーズがあるはずなのですが、事業者数が非常に今は少ない。これは明らかに報酬単価が低いことが原因だと思っております。地域連携などがいろいろできるB型ですので、ぜひここは単価を600単位前後に上げていただければ事業所がそちらを選ぶということも出てくると思いますし、今は単価が低いのでそれを選ばないというような状況が起きている。誰も取りこぼさないような制度づくりをぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、【8】は就労選択支援なのですが、定着支援と書いてあります。申し訳ございません。これは間違えています。就労選択支援です。
 このサービスについて詳しいことはまだ全然分かっていないところだとは思いますが、3月に障害者職業相談センターが出したアセスメントシートの活用手引が出ております。これがサービスのベースになるのではないかという声も随分聞こえてはくるのですが、ちょっと拝見させていただきますと、障害者枠での一般就労に対する視点が非常に強い。この手引を活用することで、自分はちょっと就職は無理なのではないかとか、働くことに対してのハードルが高く感じる方がいるのではないかという危惧があるということです。
 昨年の国連の権利条約に対する対日審査でも、医療モデルについて指摘がされています。この手引は、結構医療モデルの面が非常に強いと感じております。障害者が働く環境をつくる上では社会モデル的な手引を企業に対してつくっていくような、そんな視点も加えて事業化を進めていただきたい。
 最後になりますが、財源です。財布が違うので配分できないという指摘もありますけれども、国連の審査でも精神科の入院者についての削減を求められているわけでして、退院して地域で暮らす社会をつくることを前提とした予算措置が必要だと思っております。
 申し訳ございませんが、ぜひ段階的にそういう形で入院医療の財源などを地域の医療と福祉のほうに充実していくような形を御検討いただければと思います。
 駆け足となりましてすみませんが、以上となります。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。御丁寧な説明、ありがとうございました。
 14ページにありますB型のところなのですけれども、その下に「今後、法改定見直しの際は、就労系サービスとは別に、「工賃には関わらず、安心して自分らしく働くことができる社会参加の居場所的なサービス」の創設が必要と考える。」と書かれているのですが、例えば地域活動支援センターとか、一部の日中一時支援のようなところで工賃を得るような作業をしながら居場所的な役割を担っている事業所もあるかと思うのですけれども、今回こちらに書かれている新たに創設する必要があるサービスというのは、またこれらのサービスとは別のイメージのものになるのでしょうか、教えていただければと思います。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 この件につきましては、前回の改定のヒアリングでもお話はさせていただいております。私ども、あみとしては、工賃で事業所の評価をしていくということに対して利用者のニーズ調査をさせていただきました。この後、ヒアリングの発表をされるNAWMさんとも合同で利用者のアンケートをしまして、工賃が高いということに対して満足度を得るかという調査をしたのですけれども、これについては国の科研の調査などをやっていただいている大学の先生に入っていただきました。工賃倍増計画の調査などもされていた方ですが、その先生に入っていただいて利用者アンケートを取ったところ、やはり工賃イコール満足度につながらない。もうちょっと必要なものが別にB型にはあるということで、B型の中でもうちょっとそうではない類型をつくっていただきたいということを国の方にお伝えしてきたところです。
 今、お話にありましたような地域活動支援センターなどもそういう社会資源の一つになるかと思いますが、地域活動支援センターは市区町村事業のため、財源に非常にばらつきがあって地域格差がある。国が2分の1、財源をしっかり持つという位置での給付事業での事業所が望ましいと思っておりますし、具体的に言うと期限のない生活訓練のようなものがあることが望ましいのではないかとは思っている次第です。
 以上となります。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、岩崎アドバイザーお願いします。
○岩崎アドバイザー 御説明ありがとうございます。
 私がお聞きしたいのは、3番目として挙げられている計画相談におけるアフターフォローの加算の検討をお願いしたいというような点です。こちらの提案理由として書かれているところを拝見すると、本来ですとサービスを終了するときにやはり丁寧なつなぎが普通は行われていることが基本かと思うのですけれども、そういう状況にないといったこと、地域でその人が安心して暮らしていけるという環境があまり整っていないような状況がここに書かれているわけですけれども、そうなっている理由をもう少し詳しく教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 これは、地域ごとでいろいろ違います。あみの理事は全国におりまして、地方の理事に聞きますと、例えばB型であったり、グループホームなどを使っていて、急にいろいろなトラブルであったりして、ぱっと辞める人がいる。計画相談の方が事前に周りとつないでいればいいんですけれども、急に何か辞めることになりました。ただ、引継ぎは保健所にしておいたとか、どこどこにしておいたということなのですが、そこに連絡すると辞めたという連絡しか入っていないということで、結果的にその方がいろいろお困りになるというようなことが正直出てくる。
 先ほど言いましたように、生活全般のいわゆる支援のスキルというところが最近低くなっているのではないかというのがうちの理事からの話としてはあります。ですから、サービスの提供をする、しないというだけで関わりを持ってしまう。そうではなく、暮らし全体で見ていくという部分は、結果的には計画をやることではなく、サービス提供事業者がしっかりやるべきものなのですが、そこの個別支援計画がしっかりできていない。要は、そのしわ寄せが全部丸投げされているというような状況かと思っております。
 以上です。
○岩崎アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。
 小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー 最初の概要版の2番と3番のいわゆる計画相談に関する事項なのですけれども、これは私の理解では計画相談はもともと基本相談と計画相談を含めて報酬という議論があったかと思うので、これは加算という概念というよりも本来計画相談の中に含まれるであろう基本相談のというふうに考え始めると、そもそも計画相談の基本報酬、要するに基本報酬を上げるというロジックじゃないかなと思って聞いていたんです。そうしないと、本来やらなければいけない仕事なんじゃないか。
 私からは以上です。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 ありがとうございます。
 おっしゃられるとおりで、今回基本単価を上げろ、上げろとこういう場で言ってもどうかということがうちの中でありまして、それで加算であったりという話をしましたが、本来的には報酬がちゃんと高くついていればという部分は計画相談はございます。
 ただ、今は持ち出しで、結局無償で全部それをやらなくちゃいけないというところで、せめて加算がついたらどうなんだろうというようなことで今回出させていただいているということになります。
○小澤アドバイザー ありがとうございました。
 加算というと、やる、やらないという議論が出てきてしまうのですが、これは本来やらなければいけないと思いましたので、ありがとうございました。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。
○伊藤障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、お時間がまいりましたので、全国精神障害者地域生活支援協議会の皆様、どうもありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、一般社団法人全国精神障害者福祉事業者協会より、森敏幸様、近藤友克様、よろしくお願いいたします。
○全国精神障害者福祉事業者協会 本日は、このような機会をいただきまして感謝申し上げます。
 一般社団法人全国精神障害者福祉事業者協会、略称NAWMの会長の森と申します。本日は、東京事務所の近藤とともに参加させていただきました。よろしくお願いします。
 NAWMは、昨年10月に日精連という団体と全精福祉ネットという2つの団体が統合されてできた全国組織です。会員は、精神障害者を主な利用者とする障害福祉サービスを運営している全国402の事業所で構成されている団体です。
 今回、この場に参加するに当たりまして、各事業所からいろいろな意見をいただきまして意見をまとめさせていただきましたので、発表させていただきます。
 それでは、資料の4ページを御覧ください。
 相談支援事業ですが、地域で生活する障害者の生活場面で対応する業務で、精神障害者の体調や病状の変化などに対する生活場面での急な対応を迫られる場面も多くあります。また、精神科医療機関との連携など、専門性が求められる場面も多く、会員の事業所の多くは精神保健福祉士を相談支援専門員として配置し、切れ目のない適切な支援を実践しています。
 専門職を安定的に確保するためには、報酬上の評価が必要であると考えます。相談支援業務を処遇改善加算対象に加えていただき、業務に見合った評価が十分反映されるようお願いしたいと思います。
 また、相談支援業務は当事者の状況に応じた多様な対応が求められ、関係機関との連携だけでなく家族や地域との調整など、福祉サービスにつながるまでの業務が障害者の方たちのその後の自立した地域生活を実現するためにとても大切なものと考えています。
 いわゆる基本相談の部分だと考えていただいていいと思いますが、現行制度ではその場面の報酬上の評価が十分されていません。特に障害福祉につながらないような場合は、結局は報酬上、無報酬というような形になったりすることが結構ありますので、その辺の支援に見合った報酬の在り方について御検討いただければと思います。
 続きまして、「就労支援事業について」述べさせていただきます。
 まず、障害者就業・生活支援センター、通称、ナカポツと呼ばれている事業についてです。御存じのように、ナカポツの運営は各地域の労働局の所管事業と、各都道府県の障害福祉部局と、さらに労働部局が所管している事業が複雑に入り組んで運営されています。
 会計業務はそれぞれの業務ごとの決算が求められ、資金流用ができず、どうしても法人持ち出しが生じています。また、地方の小規模センターでは地域の委託費に格差もあり、厳しい運営を余儀なくされています。
 ナカポツは、障害福祉サービス事業所などと連携を図りながら、地域の障害者の就労支援の基幹的な役割を期待される社会資源となってきています。安定した運営が可能となる在り方について御検討いただければと思います。
 続きまして、近年急増している障害者雇用に係る「代行ビジネス」については、法定雇用率の引上げに伴い、今後ますます増加することが予想されます。私どもの会員の就労継続支援事業所や就労移行支援事業所の運営も、少なからず影響を受けています。これは、一般事業所に障害者がいかに多く受け入れられていくのかの数を中心にした、60年を過ぎましたこの施策のひずみを表している現象ではないでしょうか。
 インクルーシブな雇用を目指し、真摯に障害者を戦力として受け入れ、雇用の質を求めてきた優良企業がたくさんあります。そのノウハウから学び「障害者雇用促進法」の理念の原点に立ち戻り、雇用の質を評価指標としない限り、続いていく現象ではないかと考えております。制度の根本的な在り方の検討が必要な時期にきているのではないでしょうか。
 続きまして、就労継続支援B型についてです。精神障害者の障害特性として、どうしても体調の不安定さがあり、それが事業運営にも反映されます。定員以上に登録者は多く受け入れていますが、日々の利用者は登録者の6割、定員の8割程度です。実際の日々の支援の実態としては、通所していない場合にも連絡を取ったり、相談を受けたり、時には家庭訪問するなど、何らかの支援を展開している場合が多いのが実態です。
 そこで、これらの支援を評価していただくために、欠席時対応加算について現行の月4日を8日に見直していただきたいと思います。さらに、月22日を超えて支援する場合の評価も御検討いただければと思います。
 次に、同じくB型事業についてですが、利用者は1日の就労訓練時間の不安定さもあるため、現行の月額工賃を基にした報酬体系ではどうしても評価が低くならざるを得ません。
 そこで、利用日の平均額や時給額などを基準とするなど、柔軟な算定基準について御検討いただければと思います。
 次に、「宿泊型自立訓練について」です。精神障害者が地域生活へ移行するためには、貴重な社会資源の一つと考えています。不安を抱え込みやすい精神障害者にとっては、このような社会資源を活用するためには体験利用を重ねることがとても大切になります。また、医療観察法で処遇されている方が利用する場合は、1年余り前から何度も体験を重ねるとともに、居室を空室のまま確保することが必要となります。
 しかし、この体験には報酬面の評価が制度上確保されていません。ぜひ、共同生活援助事業、グループホームのように体験利用が報酬算定できるように御検討いただければと思います。
 最後に、共同生活援助事業、グループホームについてです。精神障害者の支援には、精神科医療機関等との連携が欠かせません。私どもの会員のグループホームでは、精神保健福祉士を配置して専門的な対応に努めています。
 しかし、現行制度では精神障害者の障害支援区分は高い判定が出にくく、報酬単価は低い額となり、有資格者の常勤配置は難しくなっています。制度の在り方、報酬単価や加算の見直しなどを御検討くださり、専門的な有資格者の常勤配置が可能となる制度にしていただければと思います。
 来年度から予定されているグループホームの支援として、一人暮らしを希望される方に対する支援策が盛り込まれていますが、家賃助成を受けているグループホーム利用者が一般のアパートに移ろうとする場合、高い家賃がネックとなり、移行が困難となるケースも出てくることが予想されます。
 移行を促進するためにグループホームのような家賃助成を設けることと、移行時にかかる初期費用の助成制度などについて御検討いただければと思います。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明ありがとうございます。
 先ほどお話しされていた6ページのグループホームの最後のところなのですけれども、「現在グループホームに限定されている家賃助成を一般アパート等に移行した場合も家賃助成の継続ができるようにしていただきたい。」とありますが、確かにグループホームは家賃助成があることから、一人暮らしに移行する際にかえって足かせになっているところもあると思うのですけれども、もしそのような家賃助成がある、ないというような足かせがなくなったとしたら、グループホームから一人暮らしをしたいと思っている人は実際に多くいるのでしょうか。
 また、グループホームに入居する際も、本当は一人暮らしがしたいのだけれども、家賃助成があるからグループホームに入ることにしたというような方は多いのでしょうか。その辺、教えていただければと思います。
○全国精神障害者福祉事業者協会 結構グループホームを利用する方、特に長期入院をしておられてグループホームなどに入るような場合、家賃というか、月々の費用がどれぐらいかかるのかというのは、病院のワーカーだとか私どもの相談専門員などがきちんと計算して、これぐらいの費用で、年金が幾らで、収入がどれぐらいだから、これだときちんと生活ができるよというような感じのやり取りをやってグループホームに入っています。そうすると、しばらくすると、病院よりはグループホームのほうが自由がありますので、非常に最初のうちはグループホームが居心地がいい。
 ところが、2年、3年たってくると、やはりもう少し自由が欲しいというのがあって、アパートへ移ろうというような場合がありますが、精神障害者の場合は結構高齢者が多いので、御家族がいなくて、要するに保証人がいなくてアパートを探さなければならないというのがすごくネックになる場合があります。
 私、森個人の法人では、岐阜市と話し合って福祉ホームというのを設けてそこへ移っていただき、徐々に一般のアパートへ移っていくというようなこともやっていますが、やはりそのときにネックになってくるのは、実際にお金が幾ら要るのかということになっていますので、アパート代がグループホームと同じような家賃となると、かなり劣悪なアパートを探さざるを得なくなってくる。そして、そういうことが壁としてなければ、もっともっと私たちはグループホームにいる人たち、病院にいる人たちは地域のほうへ誘導することは随分可能かと考えております。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 続いて、岩崎アドバイザーお願いします。
○岩崎アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 私がお聞きしたいのは2番目の就労支援事業、特にB型のことに関してなのですけれども、精神障害の方たちは支援区分が低く出てしまうということなどもあって、多様な方がB型を利用されている現状というのがあると思うんです。
 そういったことを前提に御提案いただいていることかと思うのですが、最近高齢化の問題ですとか、様々な御利用者さんの生活課題というものがあって、生活支援に業務量を多く割かれていらっしゃるということも書かれているわけですが、それを前提にした柔軟な評価方法というふうにおっしゃられたことをもう少し詳しく御説明いただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○全国精神障害者福祉事業者協会 先ほど、あみさんからの意見も結構あったのですけれども、やはりB型は非常にいろいろな思いで利用されている方が多いように思います。病院のデイケアを利用して、そして半日ぐらいをB型でというような人たちもいるにはいます。
 それで、私たちはそういうときにどちらにシフトするのか、地域で自分らしい生活はどちらにどういう形を取るのかというのは、ゆっくりゆっくり話し合いながら御本人と計画を立てていくのですけれども、それには本当に結構手間暇がかかることと、それからどうしても高齢の方がいますので、御家族の状況が変わってきて、家族調整、それから生活の長期的に安定した場所、そういうものの整備など、非常に目に見えない支援というのがすごく多くなってきます。
 そして、私どもなどは御本人たちと話していると、やはり一般社会の中で一般の人と働くということがすごく彼らにとっては大きなハードルになっていますけれども、働きたいという思いがすごく強いので、岐阜市などでは超短時間雇用モデル、東大の近藤先生と一緒に本当に短時間から社会の中で一般の人と働ける仕組みをつくりつつありますが、それなどを見ていると、B型事業所から一般企業でほんの少し働いて、徐々に延ばしていって雇用につながっていくという事例も既に10件以上のケースが出てきています。
 こういうような形をB型事業所もどんどん併用しながら支援していく必要があるのではないか。そういう地域づくりをしていく必要があるのではないか。B型事業所は、ただ事業所の中で支援をしているだけでは本来の支援になっていかないような、いわゆる地域のケースワークをきっちりとやっていく必要があって、そういうものを評価されるような制度にしていただけるとありがたいと考えております。
○全国精神障害者福祉事業者協会 追加でちょっと御意見させていただいてよろしいでしょうか。
 先ほど森代表が言われたようなことが主なのですけれども、添付した資料にありますように、精神障害者のB型通所の特性としてなかなか不安定な要素が多くて出勤率が6割を切る。これはいろいろな調査データにもあると思いますが、やはりその利用者数を確保するために、特に精神障害者中心の事業所は1.4倍ぐらいの定員を確保しなければいけないということがあります。
 そうなると、通所したい人だけを支援しているかというと、欠席した方とか体調の悪い方への支援、これは電話相談ですとか訪問といったものもあるわけで、非常に支援量が多いということも現状にあると思います。
 現状、B型はどうしても工賃ありきというところで、工賃の段階的な報酬単価になっていますが、A型にもありましたようにいろいろな多様性を持った評価軸をもってスコアシートみたいな形に今後なっていくべきではないかと考えております。
 以上です。
○岩崎アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 それでは、お時間がまいりましたので、全国精神障害者福祉事業者協会の皆様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、一般社団法人日本発達障害ネットワークより、本日はオンラインでの御参加になりますが、小林真理子様、大塚晃様、よろしくお願いいたします。
○日本発達障害ネットワーク 皆さんこんにちは、一般社団法人日本発達障害ネットワークの大塚です。小林とともに参加しています。
 今回は、報酬改定のヒアリングということで機会をいただきまして感謝申し上げます。
 それでは、皆さんのお手元の3ページの「報酬改定に関する意見等【概要】」に7つの項目があります。この項目に沿って御説明していきたいと思います。
 1番目は、「強度行動障害者支援における「広域的人材」が活動できる環境整備」であります。
 強度行動障害の方については虐待のハイリスク、あるいは施設から地域への移行の困難ということで、このいろいろな課題を解決するということは非常に急がれるところでございます。そのためには、強度行動障害の方がきちんと施設や事業所で支援を受けられる、それも専門的に適切な支援が受けられるよう加算などの報酬、単価を変えていただきたいと思っています。これはまた施設から地域への移行、あるいは地域において強度行動障害の方を支えるためにも必要なことだと思っています。
 また、強度行動障害の方の支援というのは、やはり施設事業所で日本においては専門的な支援を行える、いわゆる広域的支援人材がおられます。
 ただ、この人たちについては自分の施設、事業所がいっぱいなので、ほかの施設、事業所をサポートするということも必要だと思っています。その専門性はあります。ただ、そのためには自分の施設のことをないがしろにすることはできないので、何かしらのこういう人材の方が他の施設、事業所をサポートできるシステム、こういうところに評価をしていただきたいと考えております。
 2番目は、「児童発達支援・放課後等デイサービスにおける質の高い家族支援の重要性」ということであります。
 障害児の支援については、本人の発達支援だけではなくて家族支援というものが非常に重要なテーマとなっています。この家族支援についてはペアレントメンター、あるいはペアレントプログラム、ペアレントトレーニングと、既にエビデンスに基づいた有効な方法というものがあります。
 ただ、この支援の仕組みが障害児サービス、例えば児童発達支援や放課後等デイサービスという事業所において全国津々浦々利用されているということではありません。このような方法が全国津々浦々に支援が行きわたるようガイドラインなどを作成するとともに、できれば報酬のこと、特に事業所内相談支援加算というのは月1回になっています。これではやはり不十分なので、本人のニーズに応じて訪問して支援ができるような形、相談支援加算の数を評価していただきたいと思っています。
 3番目は、「より質の高いサービスを提供していくための人材確保と育成」ということでございます。
 これも、特に障害児のサービスについては保育士さんであるとか児童指導員の方、あるいは専門職の方についてもいろいろな支援を行っていただいていますけれども、例えば実習生、あるいはインターンシップなどにおいて事業所がそういう方を受け入れる、こういうふうに積極的に事業所が人材を受け入れるということができれば、将来はそのような施設や事業所において人材が確保できる道につながると思っていますので、ぜひこのような保育士、社会福祉士等を実習指導者として配置して、実習生やインターンシップの積極的な受入れをしていく事業所については評価をお願いしたいと考えております。
 4番目は「エビデンスに基づいた支援の提供に対する評価」ということで、これについてもABAなど、障害のある人のサービスについてはエビデンスに基づいたものが開発されています。そのようなエビデンスに基づいた支援についての評価をきちんとお願いしたいと思っています。特に、人員配置についても今のことを書いていただきたい。
 5番目は「支援の質に対する外部による評価の仕組み」ということで、外部評価としては第三者評価がありますけれども、外部から評価するだけではなくてその支援の質の評価のみならず施設事業所と一緒に支援の質の内容を改善していくという協働していくような仕組みを導入することによって、児童発達支援、放課後等デイサービスの質も高まると考えておりますので、ぜひお願いいたします。
 ICTについても積極的に活用していくことが必要ですけれども、これをシステムとしてきちんと広げるようなことをお願いしたいと思います。
 最後に、専門職の配置です。
 自立訓練などのリハビリテーションに対する専門職の配置の評価、リハビリテーション専門職を配置した場合の評価、あるいはサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者、こういうところについても専門職を配置した場合についてはぜひ評価をお願いしたいと思います。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。
 高アドバイザー、お願いします。
○高アドバイザー 種々の御提案ありがとうございます。私のほうから、2番目の質の高い家族支援の重要性について、感想と御意見を聞かせていただきたいと思います。
 まずは、ペアプロやペアトレのところをガイドラインにというところで、私も本当に同感です。行動レベルでこどもを捉えていくという観点では、家族支援の前に事業所の職員のスキルとして必ず持っておくべき技術ではないかと感じておりますので、ぜひともガイドラインに入れていくというところと、コアエレメントから考えると、月1回の事業所内相談支援加算というのは本当に実態に合っていないなと感じているところです。
 そういった中で、なかなか広まっていないというお話もあったのですけれども、私自身もそういったファシリテーターの資格であったりとか、研修を受けた人が受け入れる体制が地域においてまだ整っていないということを実感しているので、その辺の御意見を聞かせいただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
○日本発達障害ネットワーク どうもありがとうございます。高先生の貴重な御意見、承りました。
 おっしゃるとおり、家族支援というのは本人支援だけではなくて、本人あるいは地域を含んだ支援として重要な一要素だと思っています。
 ただ、この家族支援、特にペアトレ、ペアプログラム、ペアレントプログラムというのはなかなか広がらないというのは、このプログラムそのものをどのように形づくって、どのような人の研修をつくって、そしてその人をどのように送り込んで事業所内で評価するかという一連の全体の形が必要だと思っています。
 今のところは方法論のみで、こういうものは有効ですということで広げようと思っている。ここではやはり限界があるので、さらには児童の支援ということで全国津々浦々に、あるいは保健師さんにとっても有効だと思います。最初の障害のあるこどもや家族に当たったときに、保健師さんがこの考え方をマスターしていると随分違います。そういう意味では、システム全体として家族支援をつくる必要がある、その体系をつくる必要があると思っています。ありがとうございます。
○高アドバイザー 貴重な御意見ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、有村アドバイザーお願いします。
○有村アドバイザー 貴重な御意見ありがとうございます。私は今のところに関連して1つと、もう一つは別な質問をしたいと思っています。
 先ほどお話のあった家族支援のところの事業所内相談支援加算は月1回の制限なのですけれども、これはどうなのでしょうか。集団への実施も加算対象になってきているのですが、実際に何をしているかというところで、やはり家族支援のところの中身と、要するにペアレントメンター、ペアレントプログラム、ペアレントトレーニングといったようなものと一致しない場合もあるかなと思っていまして、そこについて単に数を増やすだけではなくていろいろな工夫も要るのだろうと思います。そこら辺はどうなのかなというのが1つです。
 そして、もう少し伺いたかったのが評価のところで、やはり評価によって利用者さんたち、保護者、利用児が自分に合った事業所が選択できる仕組みというのも必要というのは本当にそうだなと思ったのですけれども、これはどのような仕組みをつくっていくかとか、外部評価の中でもしこういう方向性があるのではないかというような御意見がありましたら伺いたいと思います。
 以上でございます。
○日本発達障害ネットワーク ありがとうございます。
 では、小林さんから。
○日本発達障害ネットワーク ありがとうございます。
 有村先生の今のお話を伺いながら頭の中をちょっと整理していたのですけれども、やはり家族支援というのはどんなものなのかということをきちんと定義する必要があるんだろうなと思いました。
 例えば、一番初めの障害受容の段階から始まる家族支援というものもありますし、家族のいろいろな技術、療育的な技術を高めるための家族プログラムというか、ペアレントトレーニングのようなものも必要でしょうし、それからその後、家族がみんなサポートされるという感じでのペアレントメンターの機能という形で、幾つか家族支援の中でも、家族支援とはこういうものなのだというある一定のものを定義する必要が出てくるのではないかと想像しています。ですから、そこら辺も踏まえてガイドラインにきちんと書かれていくことが必要なのではないかということが考えられます。
 それから、先ほど月1回のというふうな話なのですけれども、例えばペアレントトレーニングを行うということに関しては、一定のワンクール何回というふうな形で行われるものですから、月1度というのはちょっと考えられない。まずは加算がつけられたことがすごく大事だったと思うんですけれども、家族支援のプログラムとしては少し数が少ないなというふうなことを想像しています。
 先ほども大塚先生がお話しされているように、やはり仕組みとしてきちんとつくっていくということと、あとは家族支援のプログラム、家族支援というのはどういうものなのかということをもう一度整理していく必要があるのだろうということを想像しております。ペアレントプログラムやペアレントメンターだけではなく、その前にいろいろ受容の段階のプログラムというか、支援も必要でしょうし、その後のものも必要でしょうし、そういうものを整えていく作業がこれから質を高める上でも重要かと思っております。
○伊藤障害福祉課長 続いて、岩崎アドバイザーお願いいたします。
○岩崎アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 私がお尋ねしたいのは、発達障害のお子さん、あるいは御家族への支援というようなことを中心にお話しいただいているのですけれども、その方たちが成人になられたときに、現行、発達障害の方たちに特化した、もちろん就労移行などを中心にした事業所さんも増えてきているのですが、精神障害の方を中心にした事業所さんですとか、いろいろなところに通所なさったりとかしている現状があるので、そのこどものサービスから大人のサービスへのつなぎのところですよね。
 そういったところに関して何か御意見というか、お考えがおありだったらお聞きしたいと思いました。
 以上です。
○日本発達障害ネットワーク 先生、どうもありがとうございます。
 こどもから大人へのつなぎということも含めて、全般的に一般的なことから言うと、障害者基本法においても、障害というのは「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)」と書いてありますので、大人へのつなぎというのは、一般的な考え方としては精神障害という枠内で行っていくというのが法律上の規定も含めて必要で、それが一般的にあるべきだと思っています。もちろん、その中で発達障害の特性を理解した、特に学校から働く現場においてどのように受け入れてくれるか、それは発達障害の方の特性を理解した支援ということを確立していく。
 だから、一般論としての精神障害なのか、それから個別の発達障害の特性に応じた大人へのつなぎと生活や、あるいは就労支援ということを考えていくべきだと思っています。
 以上です。
○日本発達障害ネットワーク 私もそのとおりだと思います。
 あとは、発達障害者支援センターというのが自治体に付設されてつくられていますので、そこでこどもの支援から大人の支援の移行ということをきちんと整理して考えていくというセンター機能というのも整備されてきているはずですので、そこに期待をするところはあるかなとは思っております。
○岩崎アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 それでは、続けて石川アドバイザーお願いします。
○石川アドバイザー 貴重な御意見ありがとうございました。私から教えていただきたい質問が1つあります。
 実は、強度行動障害の方の家族が高齢になって在宅での生活が難しくなり、施設を探しても受け入れていただける施設がなかなか見つからず、苦慮している例が何例かあります。4ページのところに、強度行動障害について受け入れていただける事業所に講師を派遣して、受け入れていただくところに何らかの報酬上の手当をという提案がありますが、このような形が実現すると、重度だけれども受け入れてみようかなと思っていただける施設も出てくるのではと思って伺わせていただきました。講師の派遣は1回でよしということではないと思います。施設への指導や、受け入れた後の適正な対応への評価など、その辺についてもう少し具体的お話ししていただけたらと思いまして、質問させていただきました。
○日本発達障害ネットワーク ありがとうございます。
 強度行動障害の方は、私は必ずしも施設ということではなくて、これからは在宅であれ、あるいは地域できちんと支援していただくことが必要だと思っています。
 ただ、今までの経過から見ると、やはり入所施設などにおいて受け入れてきたという経緯がありますので、全国を見ても強度行動障害の方の専門的支援を、ここは行っていて十分な人材が育っているというのは、やはり入所施設を中心にグループホームをつくってきたり地域展開をしてきたところだと思っています。
 そういう人たちの力を借りながら、その人たちが県内、あるいはもう少し広い範囲について強度行動障害を受け入れた事業所をきちんとサポートしていく。それも1回だけではなくて、その後もずっと継続的にやりながらその人を、施設だったらもちろん地域に移行することも含めて支援していく体制をつくっている。そのための人材がいろいろ活動できるシステム、そしてもし予算的なことの裏づけがあれば、なおそういうことが進むだろうと考えて提案しております。
 以上です。
○日本発達障害ネットワーク そのとおりだと思います。
○石川アドバイザー ありがとうございます。
 確かに、強度行動障害があるでも、在宅で暮らしたいという望みをかなえていくということはとても大事で、在宅で頑張って暮らしている方はたくさんいると思います。しかし、御家族が御高齢になってきて、いよいよ在宅での生活が厳しくなってきたときになかなか受け入れていただける施設が身近なところで見つからないこともありますので、施設で受け入れるに当たってもそういった支援があるといいのかなと思って質問させていただきました。実際には家族だけでは厳しくなっても、地域で見ていけるようにしていくことが必要だということでよろしいでしょうか。
○日本発達障害ネットワーク ありがとうございます。
 今までの経過、現在も含めて、やはり入所施設というのが一つの資源として大きな役割を果たしてきたということがあるので、それはきちんと受け入れて、さらに地域移行ということも含めてやっていくべきだと思います。
 ただ、入所施設というのは、例えば強度行動障害の方、自閉症スペクトラム障害の人が多いんですけれども、感覚過敏などがあって集団での生活というのは非常にうまくないわけです。神奈川県の例にも表れているように、むしろそういうところによって悪化してしまった。そして、どうしても閉じ込めとか身体的拘束をするという逆効果になっているわけです。
 ですから、本人の個別支援がきちんとできるような、施設でももちろんいいんですけれども、むしろグループホームや、あるいはホームヘルプサービスの長時間などを使いながら、きちんと地域で見ていくということもこれからの方向性として考えるべきだと思います。
 以上です。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 それでは、お時間がまいりましたので、日本発達障害ネットワークの皆様、ありがとうございました。
 続きまして、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会様につきましては資料提出のみとなっておりますので、ヒアリングの資料9を御確認いただければと思います。
 なお、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会様におかれましては、今回のヒアリングにおける意見提出はしないという連絡をいただいております。従いまして、令和6年度報酬改定に向けた団体ヒアリングは以上で全て終了となります。
 ヒアリングに御参加いただいた団体の皆様におかれましては、大変貴重な御意見をいただきましたことについて改めて感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日予定している議事は以上となりますが、アドバイザーの皆様、全体を通して何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 次回の検討チームは、8月31日木曜日14時から開催予定となっておりますのでよろしくお願いします。
 本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございました。