第41回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和5年8月8日(火)10:00~12:00

場所

会場:中央合同庁舎5号館 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 省議室(9階))

議題

(1)分科会長の選出、分科会長代理の指名並びに監理団体審査部会委員の指名について
(2)2022 年度の実績評価及び 2023 年度の目標設定について
(3)技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の中間報告書について(報告)
(4)その他 

議事

議事内容

○宇野人材開発総務担当参事官 定刻から少し遅れましたが、ただいまから第41回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日、本分科会はオンライン併用での開催となっております。さて、本年4月27日付けで委員の改選があり、本日は改選後の最初の分科会となりますので、冒頭、事務局が議事進行をさせていただきます。本日の出欠状況ですが、使用者代表の増田委員、宮田委員、渡邉委員が御欠席です。また、美野川委員が現在、まだいらしてないということです。また、御欠席の宮田委員の代理として、ANAホールディングス株式会社グループ人事部マネージャーの田辺様が代理出席されております。
 それでは議事に入ります。議題1の分科会長の選出、分科会長代理の指名並びに監理団体審査部会委員の指名についてです。資料1-1を御覧ください。
 人材開発分科会長については、労働政策審議会令第6条第4項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の方々の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。事前に武石委員が分科会長として選出されておりますので、以降の議事進行は武石分科会長にお願いいたします。
○武石分科会長 おはようございます。人材開発分科会長に御指名いただきました武石です。どうぞよろしくお願いいたします。今回、新たに本分科会の委員になられた方がいらっしゃいますので、御紹介をしたいと思います。私からお名前を申し上げますので、それぞれ御挨拶をお願いしたいと思います。まず、公益代表委員として、横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授の石﨑委員です。
○石﨑委員 石﨑でございます。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 リクルートワークス研究所客員研究員の石原委員です。
○石原委員 石原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 慶應義塾大学商学部教授の風神委員です。
○風神委員 慶應義塾大学の風神です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 次に学習院大学経済学部経営学科教授の守島委員です。
○守島委員 守島です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 神戸大学大学院経済学研究科教授の勇上委員です。
○勇上委員 勇上と申します。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 皆様、ありがとうございました。それから、事務局に人事異動がありましたので紹介させていただきます。岸本人材開発統括官です。宇野人材開発総務担当参事官です。松瀬人材開発政策担当参事官です。堀海外人材育成担当参事官です。佐藤キャリア形成支援室長です。秋山企業内人材開発支援室長です。それから、横田政策企画室長です。代表して、岸本人材開発統括官より御挨拶をお願いいたします。
○岸本人材開発統括官 改めまして、人材開発統括官になりました岸本と申します。委員の皆様には、日頃より厚生労働行政、また能力開発行政に多大なる御理解、御支援を賜りまして、厚く御礼申し上げます。人材開発行政ですが、デジタルトランスフォーメーション、あるいはグリーントランスフォーメーション、これらに伴う公正な移行など、社会全体が大きな変革期の1つを迎えている状況の中で、それに対応した人材育成の重要性がますます高まっているものと考えております。政府としても、人への投資という大きな目標を掲げまして、金額的にも5年で1兆円という大きな金額規模の最中でありますが、内容的にも従来の企業内人材育成、あるいは離職者訓練などに加えて、在職者の継続的な学び直しの支援ですとか、個人が主体的に教育訓練を受けられて、そのままキャリアコンサルティングの仕組みを通じて支援していくと、こういった多面的な人材育成の仕組みが求められていると認識しております。
 この審議会では最近でも職業能力開発促進法の改正や、キャリアコンサルティング資格の国家資格化、職業訓練の地域協議会、あるいは学び直しガイドラインなど様々なテーマについて御議論いただきました。今後とも能力開発行政の重要事項について御知見を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、次に分科会長の代理の選任をさせていただきます。労働政策審議会令第6条第6項の規定で、分科会長に事故のあったときに、その職務を代理することが役割とされており、分科会長があらかじめ指名することとなっています。そこで、守島委員にお願いをしたいと考えていますので、守島委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○守島委員 ありがとうございます。
○武石分科会長 また、本分科会の下に設置されている監理団体審査部会について、部会に属する臨時委員等については、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっており、お手元の資料1-2のとおり指名していますので、御報告します。どうぞよろしくお願いいたします。この議題はこれまでとします。
 次に議題2、2022年度の実績評価及び2023年度の目標設定についてです。内容について、事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 人材開発の総務担当参事官の宇野です。私から、議題2の2022年度の実績評価及び2023年度目標設定について御説明したいと思います。
 年度目標の設定及びその評価については、2010年度よりPDCAサイクル機能の充実強化を図るため実施しています。2012年度までは、労働政策審議会点検評価部会で実施していましたが、その後は各分科会で実施しているところです。
 今回は、昨年設定した2022年度目標の実績評価及び2023年度の目標設定について、資料2-1及び2-2により御説明させていただいた後、御意見を頂きたいと考えています。画面上は資料2-1を用いて説明しますが、委員の方々は資料2-2も横に置いて同時に御覧いただければ幸いです。なお、資料2-1のこの様式ですが、昨年度の分科会において松浦委員より頂いた御意見を踏まえまして、今年度から各項目の参考指標を右側に新たに記載しているところです。
 それでは、順に上から説明させていただきます。まず1番目、地域若者サポートステーションの就職等率についてです。2022年度については、目標65.8%に対して実績は73.2%となり、目標を達成しました。主な要因は、コロナ禍による影響が縮小し、企業の採用意欲が回復しつつあることに加えまして、コロナ禍の影響によりサポステに来所することをためらう方などのニーズに応え、オンラインと対面を組み合わせた効果的な支援が一定程度実施できたということで、就職に結び付いた方や就労に対する意欲が高まった方が一定数いたためと考えられます。
 2023年度の目標については、67.9%としています。この値は過去3年間の実績の平均で設定しているところです。
 続きまして、2つ目のわかものハローワーク等を利用して就職したフリーターのうち、正社員として就職した者の割合についてです。2022年度については、目標64%以上に対して実績は69.2%となり、目標を達成しました。主な要因は、コロナ禍による影響が縮小し企業の採用意欲が回復しつつあることなどによるものと考えられます。
 2023年度の目標については、65%以上としています。この値は過去3年間の実績の平均を踏まえ設定しているところです。
 続きまして、3点目、就職支援ナビゲーターによる支援を受けて正社員就職した新規学校等卒業者等の数についてです。2022年度については、目標15.7万人に対して実績は16万1,047人となり、目標を達成しました。主な要因は、コロナ禍による影響が縮小し企業の採用意欲が回復しつつあること等によるものと考えられます。
 2023年度の目標については、15万8,000人としています。この値は、支援対象者となる2023年度卒業予定の学生・生徒数及び2022年度未内定卒業者数等を都道府県労働局ごとに把握し、その結果設定した目標を積み上げたものです。
 続きまして、ジョブ・カード作成者数です。2022年度のジョブ・カード作成者数は、目標28.2万人に対して速報値で27万3,526人となり、目標未達成となる見込みです。主な要因ですが、ジョブ・カードの作成支援を推進するキャリア形成サポートセンター事業において、2022年度に受託者が交代した結果、拠点数が42拠点から19拠点に減少したためと考えています。
 2023年度の目標は、28.2万人としています。この値は、2022年度の目標値などを踏まえて設定したところです。なお、先ほど御説明した事業の後継として2023年度に実施しているキャリア形成・学び直し支援センター事業においては、全国47拠点を整備しており、目標達成に向けて積極的に取り組んでいるところです。
 続きまして、公共職業訓練(離職者訓練)の就職率についてです。2022年度については、ポリテクセンターが行う施設内訓練については、目標80%に対して速報値で87.6%と目標を達成しましたが、民間教育訓練機関に委託する委託訓練については、目標75%対して速報値で73.1%と未達成となる見込みです。委託訓練が目標未達成となった主な要因としては、目標値として参考としたコロナ禍前の2017年度~2019年度の有効求人倍率が1.54倍~1.62倍であったのに対して、2022年度の有効求人倍率が1.31倍と弱含みであったことが考えられます。なお、委託訓練は目標を達成できなかったものの、令和4年度はコロナ禍前以上の訓練受講者数となっています。
 2023年度の目標ですが、施設内訓練については、ポリテクセンターを運営している独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の今年度から始まる中期目標において、82.5%以上と引き上げられたことから、その値を設定したところです。委託訓練については、2022年度の目標値などを踏まえまして設定することとして75%としています。
 6番目、求職者支援制度による職業訓練の雇用保険適用就職率です。2022年度ですが、基礎コースが目標58%に対して速報値で55.3%、実践コースが目標63%に対して速報値で58.4%となり、それぞれ目標未達成となる見込みです。目標未達成となった主な要因ですが、公共職業訓練と同様に、目標値として参考としたコロナ禍前の有効求人倍率と比較して、2022年度の有効求人倍率が弱含みであったということに加えまして、特例措置として実施している短期間・短時間訓練の就職率が通常訓練に比べて低いことなどによるものと考えています。
 2023年度の目標ですが、2022年度の目標値を踏まえ基礎コースで58%、実践コースで63%と設定しました。
 最後に、技能検定受検合格者数です。2022年度については、目標28万人に対して35万9,641人と、目標を大きく上回る人数での達成となりました。主な要因ですが、技能実習生が受検する「基礎級」について、入国後8か月~9か月経過した時点で受検するため、2021年度、前年度の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた入国制限の影響を見込んで、抑えた目標値としていました。実際には入国制限の緩和により受検者数に一定の回復が見込まれたことから、目標値を上回ったものと考えています。
 2023年度の目標は、技能検定合格者数34万人としました。この目標は2022年度の実績を踏まえて設定していますが、2022年度中に手数料の値上げを行った職種の合格者数については、値上げ後の合格者数を基に設定しているところです。
 目標自体は以上ですが、最後に、評価結果を当該年度の施策の実施に反映させる観点から、年度中間の実績評価をこれまでも行っています。この時期について、より早くすべきとの御指摘を本年3月の人開分科会で経団連平田委員より頂いたほか、労働者側の委員の方からも同様の御指摘を頂いていました。この点については、他の分科会でも同様の指摘を受けているところです。こうした指摘を受けまして、今般、労働政策審議会全体を所掌している政策統括官総合政策担当より、中間目標の審議時期の前倒しについて検討するよう指示を受けています。当分科会においても、例年3月に御報告している中間評価の時期を前倒しする方向にしたいと考えています。具体的な時期、内容については、各指標が把握できる時期を見つつ、検討していきたいと考えているところです。説明は以上です。
○武石分科会長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。では、岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 自動車総連の岡野です。今、御説明いただいた評価と実績について、発言させていただきたいと思います。まず項目①の地域若者サポートステーションの就職率並びに項目②と③と⑦に関しては、23年度の目標値が前年度の実績を下回る数字で設定されている内容があるかと思います。それぞれの項目において、目標設定の考え方が資料2-2に記載されており、目標設定の考え方が異なる点もありますし、ここ数年のコロナ禍の影響も踏まえ、3年間の平均値などでの目標設定を行ってこられているとは承知しています。ただ、現在コロナの影響は脱しつつあることを踏まえますと、次年度以降の目標というのは、前年度目標とこの実績を比較した上で、より高い数値を適用するなど、積極的に高い目標での取組を促すよう検討していくべきではないかと思います。御確認のほどよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。では事務局からいかがでしょうか。
○谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官の谷口と申します。御指摘ありがとうございます。この地域若者サポートステーションの目標については、過去3年間の実績の平均値ということで目標を設定させていただいています。こういった就職等率の目標を設定するに当たっては、当然こういった数値については雇用情勢や経済情勢などの影響を受けるということですが、そういったことについて、あらかじめどの程度というものを見込むのは難しいということもありまして、一定のトレンドを踏まえたものとなるようにということで、過去の平均値を用いているということです。
 御指摘にありましたとおり、コロナ禍においての数値なのですが、2020年度や2021年度というところが特にコロナ禍の影響があったかと思いますが、そのコロナ禍前の実績値と比較しても、その対象の年度を除外するほどの異常値と言えるような数値にはなっていないということです。例えばコロナ禍前の2019年度の数字でいきますと、実績67.0%ということで、今回、目標値と設定させていただいている67.9%よりも低くなっていて、今回の目標はコロナ禍前の実績よりも高い目標値とさせていただいているということです。ですので、当方としては、こういった過去のコロナ禍の期間の年度も含めた平均値ということで目標を設定させていただくのが適当ではないかと考えているところです。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。事務局から①だけでよろしいですか。
○岡野委員 ありがとうございます。可能な限り高い目標をと思った次第です。御説明の経緯は理解しました。ありがとうございます。
○武石分科会長 岡野委員、ありがとうございました。では、手が挙がっている滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員 御指名ありがとうございます。中小企業団体中央会の滝澤です。私も今の岡野委員の意見と同様なのですが、御説明いただいた各項目の2023年度の目標設定については、多くの項目において、やはり過去3年間あるいは5年間の実績の平均を用いて23年度の目標を設定されているということで、ちょっとこれは機械的かなと、ある意味、幾分消極的な方向なのではないかという印象を持っています。本来であれば、本年度の重点項目などを勘案し、政策目標として積極的な目標設定を図るなど、今後、この目標設定を検討する際は、是非そのような視点を持っていただければと、これはお願いの意見として申し述べさせていただきます。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思いますが、事務局からはよろしいですか。平田委員、関連ですか。
○平田委員 目標設定に際し3年平均の実績を見ているということに関しては、今、御指摘のあったとおりで、我々も同じ認識をしております。今後、目標の在り方を検討していただきたいというお願いとともに、その際には、全ての事業の目標を高い目標、チャレンジングなものにする必要はないと思いますが、堅実に実行していくもの、少し背伸びをして実行していくもの、そういった分類で、それぞれ適切な目標を立てていくという視点も考えられると思っています。来年度以降ということも含めて、意見として申し上げておきます。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。今後の目標設定についてということで、お二人から御意見を頂きました。お願いします。
○宇野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官から全体の関係で説明させていただきます。今、滝澤委員、平田委員からお話がありましたとおり、目標設定の考え方として、どうしても事務局ないし担当者のほうが達成を見込んで低めに設定するのではないか、多分そういった御懸念から先ほどの御意見も頂いたのではないかと思います。先ほど平田委員もおっしゃったとおり、それぞれの目標は、その目標の特性、経済情勢、雇用情勢、そういったものを踏まえ、右肩上がりで全て上がっていけばいいのでしょうが、雇用政策というか労働政策の指標は、やはりどうしても循環的な影響や社会影響に大きく影響されます。その中でも、いかに実際にその政策のターゲットの方々に対してきちんとした効果的な施策を講じているかということを検証するという観点から、目標に応じた3年平均のトレンドを行ったり、例えば最近リ・スキリングや学び直しで注目されている公共職業訓練、求職者支援訓練のようなものについては、達成はしないにしても、達成を目指すために高い目標を維持しているなど、そういう形で、それぞれの数値ごとに目標設定は工夫して行っているところです。今後とも、安易に低めの数値にならないように、各数値の持つ意味や政策の重点、重要性などを考えながら、我々としても不断に目標設定については見直しを行っていきたいと思っています。以上です。
○武石分科会長 御説明ありがとうございます。滝澤委員、よろしいでしょうか。
○滝澤委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 平田委員、よろしいですか。貴重な御意見ありがとうございました。それでは、冨髙委員。
○冨髙委員 先ほど、御説明の最後に中間評価の在り方について御説明いただきました。先ほども御説明いただきましたが、この間も中間評価の実施時期が少し遅いのではないかという課題認識は我々からも指摘していたところですので、前倒しは望ましい形だと思っています。やはりPDCAサイクルをきちんと回すという意味でも、中間評価に基づいて必要に応じて軌道修正していくことは重要だと思っています。そのプロセスが最終的には年度末の適切な評価、次の目標設定に続いていくことだと思いますので、是非、丁寧に進めてもらいたいと思います。
 また、皆さんから目標設定についていろいろな御意見がありましたが、正にPDCAをきちっと回していくということで、その目的の特性を踏まえてというのは十分理解できるところです。この分科会の中でデータも踏まえてしっかりと議論していくことが重要だと思っていますので、是非、お願いしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。御意見、承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。小林委員、お願いいたします。
○小林委員 小林です。私からは、⑦の技能検定についてお願いを差し上げたいと思います。2022年度の実績は、技能実習生の動向等を踏まえ目標値を一定抑えて設定をしたという御報告も頂きましたが、その後、コロナの影響も残る中、厚生労働省、中央能会、各職種団体の御尽力の中で、約36万人と目標を上回ったという御報告です。この実績を踏まえ、23年度目標は34万人と、コロナを脱していく中で、私としては前向きな設定を頂いているのだろうというふうに思っています。技能検定は、製造をはじめとしたものづくりからサービスの職種まで、幅広くその技能水準を公的に示す仕組みであって、全産業的な、現在、叫ばれている人手不足という課題に対応するための確保、取り分け育成ですね、キャリア形成過程における重要な要素になっているのだろうと思います。そういった意味では、これまで以上にその重要性は増しているのではないかというふうに認識をしています。
 全体としては、受検者数、合格者数、それぞれ増加しているものの、職種によっては伸び悩んでいる職種、こういったものもあると承知をしています。また、今日の議論とは別に、検定職種の統廃合といった議論も一方なされていると聞いています。2023年度の目標に向けた運用に当たっては、この伸び悩んでいる分野の底上げも含めて、引き続き技能検定制度の推進を図っていただきたくお願いをしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、事務局からお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 御指摘いただきありがとうございます。まず、この技能検定の実績の推移ですが、御案内のとおり、近年、入国制限に伴ういわゆる実習生の動向が大きく影響しています。具体的に言いますと、2020年は技能実習生絡みの合格者数が8万4,000人だったものが、2021年度は4万9,000人ということで、大きく減少していたこと等も踏まえて、2022年度、前年度の目標を少し抑えめにしていたところ、2022年の実習生の合格実績は6万2,000人ということで、右肩上がりにちょっと伸びているという動向があります。そういったこともありまして、目標設定自体を3か年平均ではなく、2022年度の実績を基に更に積むということで、少し前向きな目標にさせていただいているところです。
 一方で、日本人も含めて技能検定を受けていただく、ここは職種によって、おっしゃるとおり、なかなか受けていただけない職種というものもありますので、例えば工業高校の方々にものづくりマイスターの派遣などを行って、この技能検定に係る職種について幅広く興味を持っていただく事業、こういうものも行っています。そういうものも活用しながら、様々な職種で技能をしっかり得ていただく取組、こういうものは取り組んでいきたいと思っています。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。小林委員、よろしいでしょうか。
○小林委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。石原委員、お願いいたします。
○石原委員 石原です。初めて伺って、ちょっと空気を読めていないかもしれませんが、お伺いしたいのが、基本的に今回、目標を達成したものに関しては、景気が良かったから、コロナの影響を脱しつつあるからというふうに、環境要因ですと言ってらっしゃるケースが非常に多い。例えば④などで、目標を達成できていないのは、その受託者交代でセンターの数そのものが減ったからというようなことが書いてあるのですが、基本的に、目標を設定して、目標を達成するために環境以外の要素でこれだけ努力をします、これだけの何らかの積極的なアクションをしますということがセットでないと、その目標が正しいのか正しくないのか分からない。今のこの目標の振り返りは、環境が良かったので達成します、環境が良くなかったので達成しませんということにしか触れられていないように思えるのです。ですので、積極的にもっとこういう手をしますとか、例えば増員するのか、よりコストを掛けていくのか分からないのですが、何らかの省としてのアクションをすれば、もっと数字が伸びるのではないか。それこそ、前年これだけ景気が回復する途中で、これだけ回復したので、今年はもっと望めるのではないかという、何かそのような考え方が必要なのではないかなという気がします。景気の循環に手なりで数字が増えているだけのように見えてしまうところを、様々に手は打っていらっしゃると思うので、多分、その要素や要因の所の記載の仕方がもうちょっと何かあるのではないかなと感じましたので、ちょっと一言、付言させていただきました。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。宇野参事官、お願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 石原委員、ありがとうございます。おっしゃるとおり、やはり景気循環の部分の影響は大きいのですが、今後、そのプラスアルファの部分の説明ぶりをどういうふうに工夫していくのか、そこは我々としても正にPDCAというもの、具体的にPDCでやった後のアクションは何なのかという部分を工夫したいと思います。一応、我々としては、例えば地域若者サポートステーションの記述などについては、オンラインと対面を組み合わせた効果的な支援というものを書かせていただいています。一方で、職業訓練の所については、これはこの人材開発分科会でも御議論いただきましたとおり、新しい職業能力開発促進法の改正、新しい地域の協議会もできまして、正にニーズに合った職業訓練の設定というものを推進していますので、こういったものの効果、影響をこういう所に書き込みながら、かつ、それがどういうふうに数字として表れてくるのか、それは次回の目標の設定の分析や中間目標のところで工夫していきたいと思います。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。政策効果を考えないといけないので、確かに書きぶりについては、今後工夫が必要なのかもしれないです。ほかにいかがでしょうか。オンライン参加の方もよろしいでしょうか。
 それでは、御意見等が出尽くしたようであれば、頂いた御意見、それから事務局からの御回答も踏まえまして、当分科会としては、2022年度の実績評価及び2023年度の年度目標については、案のとおり了承したいと思いますが、よろしいですか。
                                   (異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。幾つか宿題を頂いていますので、それについては今後の検討課題とさせていただきたいと思います。それでは、この議題は以上とさせていただきます。
 次の議題に入ります。技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の中間報告書についてとして、事務局から御報告があります。よろしくお願いいたします。
○堀海外人材育成担当参事官 海外人材育成担当参事官の堀と申します。よろしくお願いいたします。資料3-1を御覧ください。技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議につきましては、昨年11月30日の当分科会において、開催について御報告をさせていただいておりますが、今般、中間報告書が提出されましたので御説明をさせていただきます。
 この有識者会議については、外国人技能実習制度及び特定技能制度につきまして、それぞれの制度の検討条項がございます。これを踏まえまして、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に、この有識者会議を開催し、政府全体で検討することになりました。特定技能制度は法務省の所管ですが、技能実習制度は厚生労働省と法務省の共管となっておりまして、両制度を併せて検討するということで、この閣僚会議の下に有識者会議を開催することとなっております。
 2ページを御覧ください。有識者会議の構成員についてです。座長は田中明彦JICA理事長、構成員として、当分科会の武石分科会長、それから連合の冨髙委員が入られております。また、経団連、日商、中央会からも、それぞれメンバーに入っていただいているという構成になっております。
 3ページを御覧ください。有識者会議の開催スケジュールです。これまで計10回開催されております。昨年12月に第1回を開催し、7回会議を開催したところで、5月11日に中間報告書が提出されております。これを踏まえて骨太の方針で対応方針等を政府として決定をしておりますが、更にその後、8回から10回まで計3回開催をしております。今後のスケジュールとしては、秋頃に最終報告書を取りまとめ、それらの意見を踏まえ、両制度の在り方について関係省庁で協議をしていくことになっております。
 4ページを御覧ください。5月に提出された中間報告書の概要です。本体につきましては資料3-2として配布をいたしておりますので、後ほど御覧いただければと思います。まず、検討の視点です。我が国の人手不足が深刻化する中、外国人が日本の経済社会の担い手となっている現状を踏まえて、外国人との共生社会の実現が社会のあるべき姿であることを念頭に置き、その人権に配慮しつつ、外国人の適正な受入れを図ることにより、日本で働く外国人が能力を最大限に発揮できる多様性に富んだ活力ある社会を実現するとともに、我が国の深刻な人手不足の緩和にも寄与するものとする必要がある。このような観点から、技能実習制度と特定技能制度が直面する様々な課題を解決した上で、国際的にも理解が得られる制度を目指すとなっております。
 その下に、検討の基本的な考え方ということで、6つの論点と現状、それから新たな制度の方向性が示されております。
 1つ目の論点は、制度目的と実態を踏まえた制度の在り方です。現状は、人材育成を通じた国際貢献が技能実習制度の目的となっておりますが、実態との乖離が指摘をされております。したがって、新たな制度においては、現行の技能実習制度は廃止して、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討するとされております。これについては、後ほど資料4で骨太の方針の御報告をさせていただきますが、その中では、実態に即して発展的に解消して人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設するとされております。また、特定技能制度については、制度の適正化を図り、引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き議論することとなっております。
 2つ目の論点は、外国人が成長しつつ、中長期的に活躍できる制度の構築です。現状では、技能実習制度における職種と特定技能制度の分野とが不一致となっておりますので、新たな制度と特定技能制度の対象職種や分野を一致させる方向で検討することとなっております。また、現行の両制度の全ての職種や分野等並びに特定技能2号の対象分野の追加及びその設定の在り方について、その必要性等を前提に検討するとなっております。
 3つ目の論点は、受入れ見込数の設定等の在り方です。特定技能制度においては、現在の受入れ見込数は34.5万人とされておりますが、その設定のプロセスが不透明であるという御指摘を頂いております。したがいまして、業所管省庁における取組状況の確認や受入れ見込数の設定、対象分野の設定等については、様々な関係者の御意見やエビデンスを踏まえつつ判断がされる仕組みとする等の措置を講じることで、そのプロセスの透明化を図るとなっております。
 4つ目の論点は、転籍の在り方です。技能実習制度では原則不可となっておりますが、これが人権侵害の要因にもなっているという御指摘を頂いております。したがいまして、人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることから、制度趣旨と外国人保護の観点から、従来より緩和することとなっております。その緩和の在り方、転籍制限の在り方については引き続き議論するとなっております。
 5つ目の論点は、管理監督や支援体制の在り方です。技能実習制度においては、監理団体が実習実施者等の監理を行っており、また、特定技能については、登録支援機関が外国人の支援等を行うことになっており、さらに、外国人技能実習機構におきまして、技能実習の監理団体の管理等も行っているということでありますが、その指導監督や支援の体制面で不十分な面があるという御指摘を頂いております。また、外国人に多額の借金を背負わせるなど、悪質な送出機関が存在するとの指摘も受けております。
 したがいまして、新たな制度では、監理団体や登録支援機関が担っている機能は重要なのですが、他方で、人権侵害等を防止・是正できない監理団体や、外国人に対する支援を適切に行えない登録支援機関を厳しく適正化・排除する必要があるとされております。したがって、監理団体や登録支援機関の要件の厳格化等により、監理・支援能力の向上を図ることとされております。また、外国人技能実習機構につきましても、その体制を整備した上で管理・支援能力の向上を図ることとされております。さらに、悪質な送出機関につきましては、その排除等に向けた実効的な二国間取決め、いわゆるMOCについて、その取組を強化することとされております。
 最後に、6つ目の論点は、外国人の日本語能力の向上に向けた取組です。現状では本人の能力や教育水準の定めはないこととなっておりますが、一定水準の日本語能力を確保できるように、就労開始前の日本語能力の担保方策、また、来日後において日本語能力が段階的に向上する仕組みを設けることとされております。以上が中間報告書の概要です。
 今後の進め方といたしましては、先ほどもスケジュールの所で申し上げましたが、この中間報告書で示された検討の方向性に沿って具体的な制度設計について議論を行った上で、令和5年秋をめどに最終報告書を取りまとめ、その最終報告書に基づきまして政府としてどのような対応をするかということを検討していくことになっております。当分科会においても、節目ごとに御報告をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございました。どのように日本で働いた外国人の方の能力を開発していただくかという部分で、こちらの分科会と非常に密接に関連をしておりますので、随時、御報告を頂いております。5月の中間報告で方向性がある程度まとまって、現在はその中身の制度についての議論をしているという状況になっております。付け加えさせていただきました。
 それでは、ただいまの御説明に関して、御質問、御意見がございましたら、先ほどと同様に、こちらにいらっしゃる方は挙手をしていただき、また、オンラインの方は「手を挙げる」ボタンを押していただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。平田委員、お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。御報告ということですが、念のため、経団連の考え方を2点申し上げます。技能実習制度に代わる新たな制度は、外国人の人権保護が十分担保されるとともに、外国人自身が成長を実感しながらキャリアアップを図れる制度であることが重要であると考えております。また、日本企業の産業競争力の維持発展に資する制度であるということも欠かせないと思っております。単なる名前の書き換えではなく、抜本的な制度改革になることが重要であると考えております。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見等はございますでしょうか。滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員 御指名、ありがとうございます。滝澤でございます。ただいま、技能実習制度及び特定技能制度の有識者会議の中間報告について御説明を頂きましたけれども、この中間報告が発表された際には、説明の中にもありましたが、技能実習制度の廃止ということが報道で大きく一人歩きし、大きな波紋が広がったのではないかなと思っております。その後の骨太の方針で、廃止から発展的解消と表現が若干変わりましたが、多くの産業において、あるいは多くの我々中小企業においても、技能実習生を受け入れている企業が多くあるわけでございまして、そういった企業にとっては、この制度がどう変わっていくのかということは大変切実な問題でありまして、関心も寄せているところだと思います。今後の具体的な制度設計についても、一早く、きめ細かな御報告を是非よろしくお願いしたいと思っております。是非、丁寧な御周知を引き続きよろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。御意見として承りました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
 次に、その他として事務局から報告があります。資料4、各種閣議決定について(人材開発行政関係部分)及び参考資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官です。私からは、資料を2つほど御説明させていただきます。まず、資料4を御覧いただけますか。本年6月に閣議決定された一連の文書の人材開発行政関係部分を御報告申し上げたいと思います。
 資料4の1ページを御覧ください。1、2ページは、いわゆる骨太の方針と言われる経済財政運営と改革の基本方針2023の文書の人材開発行政関係部分を抜粋したものです。主な所を御説明しますと、1ページ目の真ん中辺りですが、三位一体の労働市場改革ということで、「リ・スキリングによる能力向上支援」、「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」、「成長分野への労働移動の円滑化」という「三位一体の労働市場改革」を行い、客観性、透明性、公平性が確保される雇用システムへの転換を図ることにより、構造的に賃金が上昇する仕組みを作っていくという記述が盛り込まれています。
 また、その下ですが、企業経由が中心となっている在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるよう、個人への直接支援を拡充するという記述が盛り込まれています。その下の行ですが、5年で1兆円の「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策の見直し等を行うという記述が盛り込まれています。同じページの下から2行目ですが、キャリアコンサルタントが、その基礎的情報に基づき、働く方々のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制の整備等に取り組むという記述が盛り込まれています。
 続いて2ページです。技能実習制度及び特定技能制度の在り方の検討ということで、真ん中から上のほうですが、現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消して人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設する、今後の有識者会議の議論等も踏まえ、制度の具体化に向けて取り組むという記述が盛り込まれています。また、下の段ですが、就労支援の促進とか、就職氷河期世代支援の記述が盛り込まれています。
 3ページは、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」です。骨太の方針の記述がない部分を中心に説明いたします。まず、上から11行目です。下線が引いてある所ですが、業種・企業を問わずスキルの証明が可能なOff-JTでの学び直しに、より重点を置くという記述が盛り込まれています。次に、下から9行目ですが、雇用保険の教育訓練給付の拡充する部分については、ハローワーク、教育訓練機関等で、事前に在職者へのコンサルティングとリ・スキリングの内容の妥当性の確認を行うこととするという記述が盛り込まれています。その下の行ですが、キャリアコンサルタントの役割の強化を図り、将来的には、民間に在籍するキャリアコンサルタントの一部にも、支援措置の妥当性の確認の役割を担わせる可否の検討を進めるという記述が盛り込まれています。続いて、下から2行目ですが、企業内でも訓練機会に乏しい非正規雇用労働者等について、働きながらでも学びやすく、自らの希望に応じたキャリアアップにつながる柔軟な日時や実施方法によるリ・スキリング支援を実施するという記述が盛り込まれています。
 4ページです。真ん中の下段ですが、デジタル分野等の講座の拡充という所で、専門実践教育訓練について、デジタル関係講座数(179講座)を2025年度末までに300講座以上に拡大するという記述が盛り込まれています。また、下から3行目ですが、現行でも、給与所得控除において、勤務先企業の証明があれば、一定の要件を満たした訓練費等を特定支出控除として計上することができる仕組みについて、今年度より、勤務先企業だけでなく、キャリアコンサルタントも、そのリ・スキリングが職務に関連する旨の証明を行え得るように改正したということです。この新制度の活用状況も見ながら、更なる制度の柔軟化を検討するという記述が盛り込まれています。
 5ページです。上段では、キャリアコンサルタントが、基礎的情報に基づき、働く方々のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制を整備する、具体的な内容が書かれています。具体的には、官民の情報の集約化とか、在職時からの継続的な相談支援といった記述が盛り込まれています。また、下から10行目ですが、公共職業訓練制度については、申請のオンライン化やハローワークの就職データの活用による民間教育訓練事業者の業務の効率化を推進する、現場の民間教育訓練事業者からの意見を直接聴取する仕組みの導入等を速やかに実現する、転職前後の賃金を捕捉・比較する方法を検討する、その上で、転職前後の賃金上昇可能性やその後の熟練度に応じた更なる上昇可能性まで考慮に入れた推薦が行われるよう制度の運営改善を行うという記述が盛り込まれています。
 6ページです。上ですが、中小・小規模企業が従業員をリ・スキリングに送り出す場合、個人の主体的なリ・スキリングであっても、賃金助成等の支援策の拡充を検討するという記述が盛り込まれています。また、下の段ですが、政府全体で行っているデジタル人材育成についての記述が盛り込まれており、厚生労働省部分としては、職業訓練等(年13.5万人)という記述が盛り込まれています。
 最後に、7ページを御覧ください。「規制改革実施計画」です。上段には、技能実習制度の手続の簡素化とかオンライン化について記述が盛り込まれています。下段ですが、多様な正社員の活用促進の一環として、キャリアコンサルティングの機会の提供や、キャリアコンサルタントの専門性の向上についての記述が盛り込まれています。
 資料4の説明は以上で、お手元に報道発表資料ということで、令和4年度能力開発基本調査の調査結果についてというものを、参考資料として配布させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。会場の石原委員、それから篠原委員の順番でお願いいたします。石原委員、お願いいたします。
○石原委員 不勉強で分かっていない所があり、1つ教えていただきたいのですが、キャリアコンサルタントを活用するの所で、求職・求人に関して官民が有する基礎的情報というものを活用していくという表記が何箇所かに出てくるわけなのですけれども、基礎的情報は例えば何かということを御説明いただけたら幸いです。何だろうと思っております。
○武石分科会長 御質問ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 ありがとうございます。基礎的情報の部分は、5ページに「キャリアコンサルタントが、その基礎的情報に基づき」というのが書いてありますが、その下のⅰ)ⅱ)ⅲ)の部分が、実際に基礎的情報として使うものです。ハローワークの保有する「求人・求職情報」を加工して集約する、民間人材会社の保有する「求人情報」のうち、職種・地域ごとに、求人件数・(求人の)賃金動向・必要となるスキルについて、求人情報を匿名化して集約することとし、その方法については、転職賃金相場等をまとめている人材サービス産業協議会の場において検討を行う、民間の協議会・ハローワーク等に情報を集約するという、この情報を基礎的情報ということで指定しているところです。
○石原委員 理解いたしました。ありがとうございました。
○武石分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。それでは、篠原委員、お願いいたします。
○篠原委員 御指名ありがとうございます。基幹労連の篠原です。それでは、人材開発行政に関する閣議決定について、少し話をさせていただければと思います。ただいま御報告いただきました閣議決定の内容は、今後の労働者の能力開発に大きく関わるものです。政府におかれましては、労働者の安定雇用あるいは処遇向上に資するように、積極的な検討をこれからお願いしたいと思います。
 その上で、労働側として3つ、御要望という形で御意見させていただきたいと思います。まず1つ目ですが、技術・技能の習得は、労働者の雇用安定と処遇向上に不可欠です。したがって、雇用形態等にかかわらず、全ての労働者に対して必要な能力開発の機会が確保されるべきですし、そのための企業の人材育成に関わる責任と役割の重要性は、今後、経済社会がどのように変化しようとも何ら変わることはないということを、労働側として改めて強調させていただきたいと思います。
 2つ目です。今後、重要性が増していくキャリアコンサルタントの活用促進など、キャリア形成支援の充実の方針も打ち出されております。労働者の能力開発あるいはリ・スキリングの実施と併せて、それらをどう活かしていくかというキャリアコンサルティングも重要だと思います。そのため、DX等による産業構造の変化への対応など、様々な専門的な知識を有する質の高いキャリアコンサルタントの育成に向けた取組にも注力をお願いしたいと思います。
 3つ目、最後ですが、今後の検討に当たっては、やはり、エビデンスに基づいて政策立案をしていくという観点がとても大切だと思います。そのためには、これまでの施策の効果をきちんと検証しつつ、その在り方について労政審等で丁寧に議論して、結論を得ていくべきだということを、改めて申し上げさせていただきたいと思います。私からは以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。今後の分科会の議論において非常に重要な点を御指摘いただいたと思います。事務局からありますか。よろしくお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官です。篠原委員、ありがとうございます。今、御指摘いただいた3つは、どれも重要だと思っています。特に1つ目の雇用形態に関わらない能力開発の重要性は、確かこの分科会でも6回にわたって御議論いただきました、「学び・学び直し促進ガイドライン」にも明記されていることです。今、ガイドラインの周知啓発もやっていますので、そういったものも踏まえながら取り組んでいきたいと思います。また、キャリアコンサルタントの質の向上とか、エビデンスに基づいた政策決定、施策の推進、どれも重要だと思いますので、そういった御指摘を踏まえつつ、今後とも施策の検討等を進めていきたいと思っています。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。
○篠原委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 篠原委員、ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。守島委員、お願いいたします。
○守島委員 御説明ありがとうございました。今回の話というのは、多分、大きな流れとして、人材育成とか人材能力開発を、企業内からもうちょっと労働市場全体に移していくというか、労働市場に任せていく、そういう流れだと思います。それはそれで今、必要なことだと思うのです。ただ、同時に、日本の人材育成、能力開発のかなりの部分は、過去30年間、50年間ぐらい、企業が担ってきたところであり、また人材育成のノウハウの大部分は企業がもっているので、して、先ほどの篠原委員の御意見にもありましたが、企業の中における人材開発というものを忘れてはいけないという、ちょっと強い言い方になってしまいますけれども、そこの部分も強調していかないといけないと思っております。
 かつ、厚生労働省というのは、どちらかと言えば内部労働市場の活用のための施策を重視してきたところがあって、別にこれからもそれオンリーでやったほうが良いという意見ではありませんが、やはり外部と内部、最初の所にも書いてありますけれども、外部労働市場と内部労働市場というものの連関をどのように進めていくのかということを、厚生労働省としてはもうちょっと強調するというか、その観点を重視されるという動きがあってもいいのではないかなと思いました。要望というか、そういう意見です。
○武石分科会長 ありがとうございます。先ほど参事官から御説明があったガイドラインを策定する過程では、企業内の育成の重要性というのは労使の皆様からも御指摘があって、かなりそこを丁寧にフォローしている内容になっていると思いますので、今の御指摘はおっしゃるとおりだと思います。どちらかというよりは、両方きちんと進めていくことが重要なのだろうと思っております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。平田委員、どうぞ。
○平田委員 2点申し上げます。御説明がありました「三位一体の労働市場改革」においては、リ・スキリングによる能力向上支援に向けて、個人への直接支援を拡充する方向にあると理解しています。DX推進等による産業構造変革に対応するため、教育訓練給付の講座指定を適切に拡大していくことが重要であると考えております。これに加えて、これは本分科会の所掌ではないと思いますが、雇用保険財政の危機的状況も踏まえ、労使の保険料のみで負担している教育訓練給付に対して一般財源による国庫負担を行う方向で、制度設計拡充の検討を求めたいと思います。前例はないのかもしれませんが、正に改革するチャンスではないかと思っております。
 2つ目です。「人への投資」のパッケージの一つの柱は人材開発支援助成金で、その着実な活用が重要だと思っております。不正受給防止の観点も踏まえつつ、手続の簡素化を含めた使いやすさの追求や周知広報を徹底するとともに、PDCAサイクルで適切に管理を行い、効果が見られない場合には見直しを行うなど、不断の取組が必要と考えております。守島先生からも御指摘がありましたが、企業内の人材育成の支援という視点も非常に重要だと考えております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。貴重な御意見をありがとうございました。ほかに御意見、御質問はございますか。石原委員、どうぞ。
○石原委員 度々すみません。3ページのちょうど中段ぐらいの所に、「業種・企業を問わずスキルの証明が可能なOff-JTでの学び直し」というのがあるのですが、ここにも書いてあるとおり、学習によってどのようなスキルを身に付けたかということが、今後、労働者にとって自分のキャリアを考えていく、あるいはキャリアを切り開くときに、1つの財産になっていくのだと思われるのです。しかし、スキルベースの会話というか、スキルを基にした転職とか、スキルを基にした人材の登用とかが実はなかなか行われていないというのが、日本の現状かと思っております。これは、ジョブ型とかの話に広がっていかなくてもできる話ではないかと思っています。
 最近すごく思っているのは、例えば経産省が定めたDSSでも何でもいいのですけれども、スキルを同じ言語体系で労働者側と企業側が表現できる、企業側はどういうスキルを求めているのかというのを求人票などに記載できる、労働者も自分がどのようなスキルを持っているのかというのを、自由書式の職務記述書に書くだけではなくて、フォーマットにのっとって、自分のスキルは、これに関してはこういう証明を受けたスキルの獲得がありますよというようなことが表現できるというように、よりスキルというものを採用とか異動のときの判断にできるような、実効的な取組というのが必要なのかなと思っております。そういうことも、先ほどのJHR、人材サービス産業協議会ですかね、是非、ああいう所と一緒に、具体的に履歴書の書式に加えるとか、求人票の書式に加えるということを考えていけるといいのではないかなと最近思っておりましたので、発言させていただきました。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 ありがとうございます。石原委員の御指摘の点については、先ほど御説明した5ページの基礎的情報の中に「必要となるスキル」という言葉が入っています。求人情報の中ではどういったスキルが必要かというのも、今の求人情報から出していくという形で、どのようにして見える化していくかというところが重要かと思います。
 また、局が違いますが、同じページの一番下に、情報インフラ整備ということで「日本版O-NET(job tag)の機能強化」とあります。我々としては、こういった基礎的情報は、job tag等も使って、いかに見える化していくかというのが重要ではないかと思います。
 また、スキルの見える化については、先ほど来出ていますが、この分科会で御議論いただいたガイドラインの中でも、スキルの明確化というのはお示ししています。ただ、石原委員も御案内のとおり、企業内で分かる形のスキルというのと、労働市場を含めて横断的にスキルという部分を、どのように組み合わせていくのかと。これは、ずっと人材開発行政が取り組んではうまくいかなかった課題だということですので、この辺りは一朝一夕というか、すぐにはできないと思いますが、我々のほうには能力評価担当参事官室もありますので、どういう形で今の日本の労働市場に合った形で、かつ労働者、企業の方々がどのようにしてうまく使うようにできるかというのは、ここの分科会の御意見も伺いながら我々としても検討を進めていきたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。石原委員、よろしいでしょうか。
○石原委員 ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。これから外部労働市場がかなり機能していく中で、企業の中の特殊的なスキルを汎用性を持った形で共通言語化していくというのは、大変重要な視点ではないかと思います。また、ジョブ・カードなどが、これまでの履歴を外に示す1つの有効なツールだと思いますので、こちらの分科会でもまた議論させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、特にないようであれば、この案件についてはこれまでといたします。
 議題については以上ですが、全体を通して委員の皆様から何かございますか。よろしいですか。特にないようであれば、本日の議論は以上といたします。次の開催日程については、決まり次第、事務局から御連絡させていただきます。
 それでは、以上を持ちまして、第41回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。