第24回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和5年6月28日(水)15:59~17:50

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階ホール15D

出席者

(オブザーバー)

議題

関係団体からのヒアリング

議事

議事内容
○森戸部会長 
 定刻ですので、ただいまより第24回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。
 お忙しいところ、皆様、お集まりいただき、ありがとうございます。
 本日ですが、渡邊部会長代理、山口委員については、オンラインにて御参加いただいております。
 それから、小林司委員の代理として、日本労働組合総連合会の本多様に御出席いただけるということでございます。代理出席につきまして、部会の御承認を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 では、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。

○大竹企業年金・個人年金課長 
 資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料といたしましては、資料1「本日のヒアリング出席者一覧」、
 資料2「信託協会提出資料」、
 資料3「生命保険協会提出資料」、
 資料4「日本年金数理人会提出資料」となっております。
 参考資料1「大江委員提出資料」ということで、こちらは前回、大江委員から御発言いただいた内容の補足ということで提出いただいております。参考資料2「私的年金制度に関する今後の検討における主な視点」、参考資料3「私的年金制度の現状等、参考資料4 部会委員名簿」を準備しております。よろしくお願いいたします。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 カメラの方がもしいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。
 本日は、「関係団体からのヒアリング」を議題といたします。信託協会、生命保険協会、日本年金数理人会から御意見を頂戴します。
 お時間もありますので、各団体からプレゼンいただいて、その後、一括して御意見、御質問をいただきたいと思います。
 早速、信託協会より御説明をお願いいたします。

○信託協会 
 本年度、信託協会において年金専門委員長を務めております、みずほ信託銀行の野口と申します。本日は、貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速ではございますが、資料に沿いまして当協会の意見を申し上げます。
 それでは、資料1ページを御覧ください。今回、社会保障審議会企業年金・個人年金部会において意見を述べさせていただくに当たり、信託協会としましては、私的年金制度はどうあるべきかという点について、いま一度考え、2ページから4ページにまとめております。
 5ページ以降につきましては、この「あるべき姿」に資する提案を含めた、これまで信託協会が提出した改善要望や、これから提出を予定している改善要望の一部を取りまとめたものを記載しております。なお、主要提案につきましては、本部会において厚生労働省様より御提示いただきました3つの主な視点のどれに資する提案かも併せて表示しておりますので、こちらについても御確認ください。本日は、時間の都合上、5ページ以降の説明は割愛させていただきますが、これまで提出しました信託協会の要望についても御認識いただきたく、よろしくお願いいたします。
 それでは、信託協会として検討しました現行制度の課題と目指すべき方向性について御説明したいと思います。
 資料2ページを御覧ください。初めに、信託協会は「信託制度の発展を図り、公共の利益を増進すること」を目的としており、この公共の利益を増進する観点から、私的年金制度の目指すべき方向性について、本ページでまとめております。
 まず、左側の年金制度の「これまで」と「課題」を御覧ください。これまで年金制度は、記載のとおり、「日本型の長期雇用慣行」を背景として、「労働条件の一部として退職金制度が普及」してきたと考えております。そのような時代背景によって、企業規模を問わず企業年金が普及してきたこと。共助のない国民の手段として自助の個人年金があること。それから、世代間扶助等を目的とする公的年金が控除の機能を発揮していることなどが挙げられます。
 しかし、働き方、労働条件が多様化する昨今、転籍者・非正規社員等が不利な制度となっているとともに、多くの環境変化を背景にひずみが顕在化していると考えております。企業年金を例として挙げると、適格退職年金の廃止、厚生年金基金の縮小による企業年金実施率の低下、一時金/年金における課税のバランス等の問題による一時金給付への傾斜、退職金制度が労働条件の一部として発展したにもかかわらず、DC創設時に拠出限度額を設定したこと。さらに、2024年12月からは、DB・DC一体で拠出限度額が設定されることなどが挙げられます。
 また、自助である個人年金は、iDeCoが全国民に解禁された一方で、その限度額は共助である企業年金と一体で枠管理されていること、公的年金は少子高齢化を背景にその機能が低下していることなど多くの課題があり、当初の目的・理念と現実の乖離が発生していると考えています。
 このような整理の下、信託協会としては、改めて今の時代背景に即した年金制度はどうあるべきかを考えました。資料の右側を御覧ください。「新たな労働・雇用慣行への改革」、及び「国民が豊かな老後を安心して暮らせる所得の確保」を目指すべく、「全国民の老後所得確保の機会を再構築」する必要があると考え、それには「公平かつライフプランに対応する税制等への見直し」が必要と考えました。これは現在の制度に対する税制等の緩和要望だけではなく、私的年金全体として一体再整理が必要であると考えた次第です。
 具体的には、3ページ、4ページで「あるべき姿」を御説明させていただきますが、本見直しの実現の効果は、全国民の老後所得確保だけにとどまらず、運用資産の拡大による「資本市場で果たす年金投資家の役割拡大」にもつながり、さらに申し上げると、現在、政府が新しい資本主義実現会議において提示している資産所得倍増プランにも資する内容であると考えています。
 以降、3ページ、4ページにつきましては、部会長の林から御説明申し上げます。

○信託協会 
 信託協会にて年金部会長を務めております林と申します。本日は、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、3ページを御覧ください。3ページにつきましては、2ページで整理させていただきました「目指すべき方向性を実現するための税制等のあるべき姿」のうち、「拠出時」の姿について整理しております。
 なお、上段でございますが、2024年12月以降の状況を「現状」と記載させていただいております。2024年12月以降でございますが、退職金由来の制度と本人拠出由来の制度を合算して拠出上限を管理されることとなっておりまして、本来、労働条件の一部でございました退職金由来の制度まで一体管理されているという実態になっております。現在については、DB掛金による拠出上限は設けられておりませんが、2024年12月が近づくにつれまして、例えば定年延長や給付改善を理由として制度変更を検討するお客さまの中には、企業型DCやiDeCoの拠出限度額が強制的に減額することを避ける理由によって、例えば一部を退職一時金に移行するケースや、全面的にDC移行を検討するケースが現に存在していると現場では感じております。
 成長の果実でございます分配、こちらで言う賃金と資産形成でございますけれども、こちらを誰もが公平に享受するという観点から考えますと、あるべき姿としましては、下の図のように、「退職金」と「個人年金」、つまり「共助」と「自助」の部分を分けて考えること、また共助については、その成り立ちが労働条件の一部ということでございますので、限度額の撤廃も含めた見直しが必要ではないかと信託協会としては考えております。
 最後に、4ページを御覧ください。4ページは、目指すべき方向性を実現するための税制のうち、「運用時」と「給付時」の内容でございます。
 左側の「運用時」につきましては、現在、特別法人税は課税凍結中でございますが、いずれ課税が凍結されるかもしれないという不安定な状態においては、企業年金の普及を阻害するとも考えておりますし、また企業年金だけではなく、iDeCoの残高についても特別法人税が課税されることから、iDeCoの普及の阻害要因となるとも考えております。これらは、資産所得の倍増プランにも逆行するという考えの下、以上のことから「運用時」における特別法人税は撤廃すべきと考えております。
 最後、右側の「給付時」でございますけれども、過去の本部会の資料にも記載がありますとおり、各年金制度の年金の選択割合は低い状況ということでございますが、信託協会が考えるところでは、個人のライフプランに応じた選択結果ということだけではなく、税制等の観点において、年金選択と一時金選択は傾斜がかかっているのではないかと考えることもできると考えております。純粋に個人のライフプランに応じた選択を促す、そのような観点から申し上げると、税控除の観点に左右されない年金税制の仕組みが必要であると考えておりますし、ここからは仮にではございますが、受給者の高齢化に合わせて、高齢期における資産管理に資する年金選択を促進するような目的があるのであれば、その促進に資するような税の在り方が検討としては必要ではないかと考えております。
 以上、本日は、信託協会が考える「あるべき姿」にフォーカスを当てて御説明させていただきました。5ページ目以降につきましては、現行制度に関しての改善要望等も併せて記載しておりますので、お目通しいただければと考えております。
 長くなりましたけれども、信託協会からの意見は以上とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 続きまして、生命保険協会より御説明をお願いいたします。

○生命保険協会 
 生命保険協会企業保険第一部会部会長の大西と申します。本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。早速ではございますが、御説明させていただきたいと思います。
 資料1ページを御覧ください。このページでは、年金制度における生命保険会社の受託状況をお示ししてございます。生命保険会社は、確定給付企業年金、いわゆるDBや、確定拠出年金、いわゆるDCにおきまして、年金資産の運用方法としての保険商品を提供しつつ、各種制度管理の業務委託先として、企業並びに従業員・退職者の皆様の退職給付制度の安定的な運営をサポートしてございます。
 図を御覧ください。左側、DBでは、元本と一定の利率を保証しております、いわゆる一般勘定商品や、運用実績に応じ資産が増減いたします、いわゆる特別勘定商品を提供しております。生保全体では、比較的小規模のお客様の資産を含め、約16.6兆円の資産をお預かりしてございます。また、年金制度の業務委託先として、日々のキャッシュフローや財政決算業務等を担っております。
 一方、右側、DCにおきましても、元本と一定の利率を保証する、いわゆる元本確保型の商品を中心に商品提供を行っておりまして、こちらでも比較的小規模のお客様の資産を含め、生保全体では約1.6兆円の資産をお預かりしております。また、運用関連業務等の業務を受託しているという状況でございます。
 2ページを御覧ください。このページでは、DBにおける生命保険会社の役割についてお示ししております。
 左側のグラフでは、受託資産の割合を示しており、生命保険は約25%程度を担っているのがお分かりいただけるかと思います。
 一方、右側のグラフでございますが、こちらは加入者規模別の受託件数の割合をお示ししております。とりわけ500名未満の企業においては、生命保険会社が過半数を受託しているのがお分かりになるかと思います。また、小規模契約が多いことに加え、大都市圏だけでなく、地方も含め、全国各地で年金制度を受託している、これが生命保険会社の特徴かと考えてございます。
 3ページを御覧ください。こちらでは、1990年代から現在に至るまでの年金制度の普及状況の推移についてお示ししてございます。
 既に御高承のことかもしれませんが、左側のグラフのとおり、適年・厚年の時代から、いわゆるDB・DCの時代へ移行する際には、企業年金の件数が大幅に減少いたしました。
 一方で、右側のグラフを御覧いただきますと、加入者数の減少は契約件数の減少幅ほどではないことが分かります。このことから、比較的加入者数の少ない中小企業の年金制度が大幅に減少したということが推察されます。この背景といたしましては、事業主様にとっては、受託機関からのサポートがあったものの、DB・DC制度への移行負荷、また事務委託費用などの制度の運営負荷が増加したという理由から、年金制度を終了せざるを得なかったといった事情があったものと推察されます。
 次のページを御覧ください。このページでは、DBの役割、また制度変更がもたらす影響・懸念についてお示ししております。
 DB制度は、老後の所得確保だけでなく、従業員の退職時の生活支援の観点でも重要な役割を担っており、退職一時金制度と一体的に普及してきたという歴史がございます。
 また、給付の内容があらかじめ約束されているということから、生活設計を立てやすく、公的年金と相まって個人の老後所得を確保する観点で、社会保障上も重要な制度であると考えております。
 DCの創設以来、事業主様の資産運用リスク回避等の理由から、DBからDCへ移行するケースが多いと認識しておりますが、それに加えて、現行以上にさらにDB上の利便性の低下や運営負荷がかなり高まったりいたしますと、そのことを理由として、DBがさらに、とりわけ中小企業において、より一層縮小していく懸念があるのではないかと考えております。
 したがいまして、下図の中央、赤色の部分に記載しておりますが、DBの実施事業主の運営負荷が高まるルール新設や変更については、慎重に検討すべきではないかと考えております。
 5ページを御覧ください。こうした考えを踏まえつつ、生命保険協会として、年金制度の維持・改善に関する意見を説明させていただきます。
 様々な働き方に公平かつ中立的に豊かな生活の実現を支援する観点から、現在の年金制度を維持・改善し、広く普及している制度をさらに使いやすくする。これは社会的メリットが大きいと考えてございます。具体内容として、下表のとおり4点挙げております。
 1点目は、特別法人税の撤廃でございます。こちらにつきましては、関係者の皆様、ほぼ周知の内容かと思いますので、この場での説明は割愛いたします。
 2点目以降について、DBの現行制度の利便性の維持、定年延長に対応するDBにおける給付減額判定の見直し、また老齢期における年金受取りの多様性の確保につき、それぞれ該当のページにて御説明させていただきます。
 6ページを御覧ください。DBの現行制度の利便性の維持についてです。
 繰り返しとなりますが、DBには、退職一時金制度と一体的に普及してきた歴史があり、現行どおり退職給付時の給付は確保されるべきであると考えております。
 また、そのような背景を踏まえ、例えば拠出限度額の設定や給付事由による給付額の差異の制限など、退職給付制度の見直し、ひいては縮小のきっかけになりかねないようなDBの制度変更は回避すべきではないかと考えております。
 7ページを御覧ください。定年延長時の減額判定の緩和についてでございます。
 多くの企業におきまして、定年延長に伴い、DBの設計を変更する必要が生じております。その際、下図のとおり、様々な変更方法があると認識しておりますが、現在のルール下では、DB法における給付減額に該当するケースが多いことから、労働組合や加入者等の減額同意手続が必要となっております。
 イメージ図でお示ししておりますが、旧定年後、給付水準が維持されるパターン2の場合のほか、旧定年後も給付水準が伸びるパターン1であっても、その水準によっては給付減額に該当する可能性がございます。これに関し、例えば雇用延長期間に伴う見直しであって、旧定年時の給付額が下がらないなど、加入者の給付が一定保護されるような場合におきましては、DB法上の減額に該当しないといった判定基準の見直しを御検討いただければと考えております。
 また、基準自体の見直しが直ちに難しい場合等には、減額同意を取得する際に、例えば不同意申出方式による取扱いを可能とするなど、規約変更の手続を柔軟化することで運営の簡素化を検討してはどうかと考えております。
 8ページを御覧ください。こちらは参考資料としておつけしてございます。ただいま御説明いたしました、定年延長時にDB法上の給付減額と判定される仕組みについて記載しております。詳細な説明は割愛いたしますが、定年延長に伴いまして、将来の給付の現在価値を計算する際の割引期間が長くなることに伴いまして、通常予測給付原価や最低積立基準額が減少し、減額判定となりやすいという構造をイメージ図でお示ししているものでございます。
 最後に、9ページを御覧ください。年金受け取りの多様性確保についてでございます。
 現在、DBやDCでは一時金受け取りが多くなっており、図表にあるとおり、DBでは約7割、DCでは約9割が一時金受け取りとなっております。一時金受け取りについて、必ずしも否定されるものではございませんが、老後の所得確保や多様なニーズへの対応という観点では、年金を含めた受取方法の多様化が重要であると考えております。
 このような状況を踏まえ、一時金選択割合が9割となっているDC制度において、生命保険会社が提供する確定年金や終身年金をより積極的に御活用いただけないかと考えております。
 ページの右側を御覧ください。例えば受給が近づくにつれ、安定的な運用に徐々にシフトするとともに、受給直前については年金受け取りの選択方法等について、継続教育等において改めて加入者に周知・徹底することをお願いしたいと考えております。受取方法としては、生命保険会社が提供しております終身年金や確定年金を御活用いただくことは、安定的な所得確保という観点では有効だと考えております。
 また、そうした現行年金制度内での対応に加え、年金制度の外におきまして、年金等の受取方法の選択肢をより充実させる仕組みをつくることは、受取方法の多様化が進み、受給者にもメリットがあるのではないかと考えております。
 具体的には、イメージ図をページ下段にお示ししておりますが、現在、DB・DCといった年金制度から一時金を受け取る場合には、課税された後、預貯金口座に入り、その後、年金等商品を購入し、受取時にまた課税ということかと思いますが、年金制度等から一時金で年金等商品を購入する場合には、一時金受取時は非課税とするといった、いわゆる課税繰延べの仕組みを検討してはどうかと考えております。こうした仕組みを設けることで、事業主や既存の年金制度のインフラに追加的な負荷をかけることなく、生命保険会社による独自の商品開発が可能となり、受給者にとっても選択肢が広がるとともに、年金受け取りに対するインセンティブを一定付与することが可能となります。
 受給者にとっては、様々な退職給付等による一時金をまとめた上で、老後の生活設計を考える機会にもなるとイメージしておりまして、メリットが大きいものと考えております。受給者の生活をより豊かにする観点から、受取方法の多様化を進める、このような新しい仕組みにつきましても、今後議論いただければと思い、提案させていただきました。
 生命保険協会からの提言は以上でございます。御清聴ありがとうございました。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 続きまして、日本年金数理人会より御説明をお願いいたします。

○原田委員 
 改めまして、公益社団法人日本年金数理人会の原田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。この場では、日本年金数理人会としての意見を述べさせていただきます。時間が限られておりますので、これまでのヒアリングで取り上げられました事項につきましては、補足にとどめたいと考えております。
 早速ですが、1ページの目次を御覧ください。ざっとまとめているものになりますけれども、まず、年金制度の目指すべき方向性というのをまとめております。その後、私的年金制度に関する今後の検討における主な視点ということで、第21回の当部会で示されました視点の例に沿った形で項目をまとめております。それぞれの項目において、どのような点について見直しが必要と考えているかにつきまして御紹介したいと思います。
 資料の最後、参考といたしまして、平成31年3月に当会が公表しました提言について、改めて載せさせていただきました。実際に実現したもの、実現に向けて検討が進められているものもありますが、御参考までに御覧いただければと思います。
 2ページを御覧ください。
 左側、個別の御説明は省略しますけれども、高齢期の生活が多様化していること、公的年金の縮小傾向が予想されること、中小企業において企業年金の実施率があまり高くないこと、自助努力へのサポートがまだ不十分ではないかと考えていることから、こういったポイントがまとめています。
 これらに対しまして、企業年金の世界におきましては、中小企業への普及拡大、それから利便性の向上が必要ではないか。個人に関しましては、自助努力のための環境整備、それから老後に向けた資産形成の後押しが必要ではないかと考えているところでございます。
 3ページは、部会資料の抜粋でございますので、省略いたします。
 4ページからは、多様化するライフコースに対応するために何が必要かということにつきまして、まとめたところになっております。
 5ページを御覧ください。現状では、働き方によりまして利用可能な私的年金制度に違いがありますけれども、その使い勝手が微妙に異なっております。これらを解消していきましょう、解消する必要があると思いますということでございます。例えば被保険者区分によるiDeCoの加入可能年齢の違いとか、中退共から他のDB・DCへの移換に制限があること、こういったことをなくしていって、どのような働き方をしても、そこで使える制度というものの使い勝手が変わらないようにしていくといったことが考えられるかと思います。
 6ページを御覧ください。こちらは、DCの拠出限度額に関する内容ですが、これまで話は出ておりますけれども、少し補足いたします。限度額に関しましては、限度額を計算する方法といたしまして、望ましい所得水準といった金額をベースに、そこから逆算していく方法のほうが簡単なのではないかと考えております。併せて、限度額につきましても、定期的に見直したり、変更したりするといったことを決めていくという仕組みを備えることが必要ではないかと考えております。
 また、拠出限度額が全期間一定である必要もないと考えておりますので、生涯管理とか年齢別、何年かで管理するとか、そういった方法が考えられるのではないかと考えております。
 マル3につきましては、ちょっと特殊といいますか、非常に限定的なケースかと思いますけれども、現時点で既に合計額が5万5000円を超過するといった企業様が、実は一部でございます。こういった制度を行っている企業様につきましては、どちらかの制度を見直そうとしたときには、どちらかを減額しなければならない。先ほど信託協会さんのほうからもありましたけれども、そういったことで、企業年金制度が強制的に減額されるといったことは避けるべきではないかということでございます。
 7ページを御覧ください。高齢期のライフコースが非常に多様化している中で、その多様化に対応できるように、企業年金制度での年金受給の方法をより柔軟にしてはどうかというところでございます。
 マル1は、終身年金とまではいかなくても、おおむね平均余命をカバーするぐらいの期間の年金給付を可能にしてはどうかという観点。
 それから、マル2につきましては、高齢期の必要所得というのは、個人のライフスタイルや実際の就労状況、それから収入、こういったことによって、いつ、どのぐらい必要かというのは様々でございます。これに対応できるように、確定給付、DBの制度内で、支給開始時期とか支給期間といったことが異なる複数の年金給付ができるようにしてはどうかということでございます。現状でも、一定程度、実現可能ではありますけれども、例えば1つ目、2つ目といった年金の期間が合計で20年を超えるようなケースになりますと、マル1の制限に引っかかるということもございますので、マル1の見直しと併せて、ある程度自由な設計ができるようにしていただきたいと考えております。
 8ページにつきましても、かなりレアなケースではありますが、転職支援制度、退職金として一定年齢以上で転職・退職するときに、退職金を少し加算するといった制度がございます。そういった制度は、現状、DB制度では認められておりませんけれども、転職の妨げにならないように、そういった制度もその企業年金の中で実現できないかといったところでございます。
 9ページからは、私的年金制度をより使いやすくするといった観点の内容になっております。
 10ページを御覧ください。確定給付中心ですけれども、行政宛ての手続の簡素化・スリム化といったところでございます。現状でもかなりスムーズに行えるようになっております。ですが、まだ改善の余地はあるのかなと考えております。特殊な事例とかを公表していただくことによりまして、マル2になりますけれども、事前にいろいろと具体的な御相談をするといった時間を短縮できるといったメリットもありますので、今、ウェブサイトで公開されているQ&Aとかの充実といった方法でも、ある程度有効なのではないかと考えてございます。
 マル3は、みなし承認制度。昔、税制適格退職年金制度で運営されていたような仕組みでございますけれども、これも行政審査に係る時間が短縮できるのではないかと考えてございます。
 11ページを御覧ください。こちらは給付減額の内容でございますので、今までも大分出てきておりますけれども、現状では、給付減額かそうでないかといったところで、大きく2つに手続が分かれております。しかし、給付減額に該当するもののうちでも、その内容とか理由などによっては、手続の簡素化が可能ではないかということでございます。
 また、そもそも給付減額の判定基準といったところも、もう一度整理し直してもいいのではないかと考えてございます。
 12ページ、13ページは、中小企業等への企業年金の普及に対する課題認識でございます。負担軽減、運営の簡素化といったことが必要なのではないか。加えまして、従業員に対しても企業年金制度の周知を図るといったところが必要なのではないかと考えております。
 14ページ、税制関係でございます。この辺りは、今までの話の中でほぼ出てきているところでございますので、あまり補足するところはございませんけれども、1つ、15ページのDBの加入者掛金につきましては、所得控除の枠をぜひ拡大していただければと考えてございます。
 16ページを御覧ください。こちらは、DB、確定給付企業年金で終身年金制度をもう少し広げられないかというところでございます。税制優遇とか助成と書きましたけれども、終身年金のような形で準備しようとしますと、個人ではどうしてもコスト高になってしまうということで、DBのように一定の集団として備える、コストの変動に対応するスポンサー、いわゆる事業主がいる。それから、リスクへの対応に対して、時間分散ができる集団としての制度で対応するほうが、ある程度効率的かと思いますので、何らかのインセンティブが設けられないかというところでございます。
 17ページは、その他の事項でございますので、こちらのほうは御参考までに御覧いただければと思います。
 19ページに、これまでいろいろなところで話題になっておりますけれども、あまり議論が進んでいないのではないかと思われるようなことを、あえて記載させていただきました。こういったことを検討する際には、我々も積極的に関与していきたいと考えてございます。
 御説明は以上となります。ありがとうございました。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。皆さん、コンパクトにまとめていただきました。
 それでは、ただいま御説明のありました資料について、一括して議論に入りたいと思います。かなり具体的な御提案もいただきましたけれども、これまでと同様ですけれども、個別の政策の是非というよりは、それぞれの御提案の背景にある課題・問題意識について議論を深めるというところを主にしていただければと思います。
 では、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 冨樫委員、お願いします。

○冨樫委員 
 御説明いただきありがとうございます。関係団体より、DBの発展のための御提案があったものと受け止めております。
 私から、生保協会様と信託協会様に一つ、それから3団体様に一つ、質問させてください。
 ここ数年、DBからDCへの移行、DCの新たな導入について、報道もありますが、私どもに加盟している労働組合の制度調査を見ても、それは明らかだと把握しております。業務委託先の皆様から見て、なぜDCへの切換えが進んでいるのか、会社側の都合などもあると思いますが、DBの発展のための御提案をいただいた中で、DBの普及のためには一体何が必要なのか、御見解があれば伺いたいと思います。
 それからもう一つ、3団体様に質問ですが、定年延長時の給付減額判定について、皆様からそれぞれ触れられております。以前のヒアリングの際に企業年金連合会様から、定年延長を阻害しているというようなコメントをいただいていました。この点について、例えば手続の電子化など、利便性の向上については理解できますが、私ども労働組合としては、その判定の基準や手続のルールの見直しについては慎重であるべきと考えています。
 定年延長ということは結局、勤続期間が長くなりますので、企業年金に加入する期間も長くなると平たく考えますが、加入期間が長くなっても給付額が同じということは、私どもとしては減額と認識しています。この点について、何か補足があれば教えていただきたいと思います。
 特に、生保協会様や信託協会様において、定年延長を実際に阻害している事象、あるいは減額とならないような制度設計、課題等把握されていれば教えていただきたいと思います。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、最初の点は信託協会と生保協会への御質問かと思いますので、お願いします。その点からまず。

○信託協会 
 最初の、DBからDCへの移行とDCの新設の全体に対する意見ということでよろしいですか。今、意見、3点いただいたと認識しています。まず、ここ数年のDB・DC移行とDC新設の傾向というものが1点と、定年延長時の給付減額の阻害要因、いわゆる退職金が伸びる場合に、ストップしているようなものまで減額じゃないと、なぜ見るかという判定と、最後信託協会と生保協会にそのような事象みたいな話を聞いたかと思うのですけれども。

○森戸部会長 
 定年延長の話は後でいいです。最初の。

○信託協会 
 DBからDC。

○森戸部会長 
 それから先に。

○信託協会 
 かしこまりました。失礼いたしました。
 信託協会、幹事・個社としての感じも踏まえた上でお話しさせていただくと、会計上の影響が少し重たいかなと思います。企業会計に与える影響です。こちらの確定給付企業年金ですと、退職給付債務というものを認識して、そのような制度設計をしますけれども、確定拠出年金では拠出だけで費用の認識ができます。このような会計上の背景も1点あるかと思いますし、かつ、DCの場合ですとポータビリティですね。DBの設計のところに中途の方々が来たときに、受入皿として使いやすい制度かどうかということも1点、問題かと思っております。なので、DCを新設する場合にそのようなポータビリティを受け入れるために、DCという枠も新たにつくろうというニーズもあると考えております。
 あと、もろもろほかにも事情があるかと思いますけれども、一旦、大きな枠組みとしては、このような認識を持っているということが、協会というよりも、幹事・個社かもしれませんけれども、意見として述べさせていただきます。
 信託協会は以上です。

○森戸部会長 
 では、生保協会さん、まず、その点をお願いします。

○生命保険協会 
 DBからDCへの移行が進んでいる点については、今、話もございましたけれども、退職給付債務とか会社会計、会社としての負担の重さというものが、DB、資産運用ということの責任の重さというのがあって、DCへの移行が進んでいると認識してございます。そういう意味では、DCのほうが負担が軽いのかといえば、運用環境によっては変わってくると思っております。ただ、DC導入以降は、基本的に金利が下がりましたが、運用環境はどちらにフェイバーだったか評価が分かれるところだったと思います。したがいまして、運用環境によっては、今後、その流れが変わり得るのかなと思っております。
 また、DBの普及のための施策というようなお話ございました。ここは、企業様が従業員様のことを考えたときに、会社としてどちらがいいのか、まさに労働条件の一部として考えるパーツでございますので、制度としてどっちにフェイバーというよりは、どちらも使いやすい状態に確保するということが重要なのであって、どちらかをより一方的によくすることではないのかなと考えております。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、2点目、定年延長のほうは全体に御質問があったかと思いますので、また信託協会からよろしいですか。

○信託協会 
 定年延長時の給付減額、我々の主張は、どちらかというと要件の緩和というか、減額判定のときに使う給付現価の計算方法についてフォーカスを当てさせていただいております。資料としましては8ページと9ページになりますけれども、我々はどちらかというと、給付減額が「各DBが設定している予定利率」によっているというところに少しフォーカスを当てさせていただいております。
 なので、金額がそのままであるとか伸びるかどうかというよりも、どちらかというとDBがやるべき運用によって、少しでも給付が伸びていても、いわゆる予定利率の状況によっては給付減額と判定されてしまう。かつ、退職金の定年延長後であれば、定年延長したときの役割期待によって、いろいろな給付設計が考えられるかと思っています。今までと同じような職位とか役職でいくのかとか、60歳以降、定年延長したけれども、その役割自体は少し変わるという形もあるかと思いますので、果たして同じような内容で給付が伸びていくかということも、1点論点かと思います。
 この点については、結局のところ、伸びても減額になるというところにも問題意識を持っております。これはコンサルの立場で申し上げると、給付は増えるのですけれども、給付減額ですと説明するのは、労働組合の方からすればこれはどういう意味でしたかという話で、より制度を複雑にしてしまっている状況もあるかと思いますので、その辺りはどちらかというと分かりやすいような、給付が伸びているという実感があるのであれば、減額じゃないような制度のスキームをつくれないかというところが、信託協会としての御提案内容になっております。
 信託協会からは以上です。

○生命保険協会 
 生保協会でございますが、資料でお示ししておりましたが、今の説明にもありましたけれども、給付額が伸びた場合であっても、減額に該当することがあるということはなかなか厳しい条件ではないかと認識しておりまして、その辺りはもう少し勘案されてもいいのではないかということであって、いたずらに給付額が減少しても減額ではないといったようなことを言っているわけではございません。その辺りは、定年延長といった辺りとセットで全体の雇用条件・労働条件というものを考えるものかと思ってございます。
 ですので、そこには一定合理的な範囲というのは、今よりも少し広がっていいのではないかというイメージでございまして、受給者の権利という面でも、検証は当然必要だと思ってございます。その辺りは、もし誤解があれば、そういうことではないということで御理解いただければと思ってございます。

○森戸部会長 
 数理人会はいかがですか。

○原田委員 
 減額につきましては、我々は当然、慎重に対処すべき事項だと認識しております。一方で、信託協会さんからもありましたし、生保協会さんからも先ほど御説明がありましたとおり、予定利率というもので基準を判定するといったところは、それは本当に価値の評価として適正なのかどうかといったところにつきましては、ちょっとまた違う考え方があるのではないかと考えております。
 すなわち、予定利率というのは、確定給付企業年金で事業主がお金を出して、将来の給付のために現金を出すのか、運用で賄うのか、このどちらの手段を取るのかという区分けの違いだけですので、実際の給付がそれに左右されるということとはちょっと違うのではないか。そういうことを考えますと、全制度一律の基準で、A社でもB社でも同じことをやったら同じ判定がなされるといった基準をつくるべきではないかなと考えております。
 また、そういったときの手続に関しましても、これだからいいじゃないかということよりも、先ほどもありましたけれども、増えているのに減額であったり、そういった呼び名の問題といったところも実は多分にありまして、何が減額なのだということで労使交渉が非常に長引くというか、うまく伝わらないといったこともありますので、そういったことも回避できればお互いの理解が進むのではないかなと考えております。ですので、受給権の確保といいますか、保護について、我々がもっと簡単にできるようにという趣旨で言っているのでは決してなくて、公平な基準といったものをつくるべきではないかなというのが一番の主題でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 この点は、今日もそうですし、前のヒアリングでも大分論点として要望の中に入っていましたので、いずれにしても、この会で今後論点を整理していく中で、きちんと取り上げなければいけない課題だと思いますので、またそこでちゃんと議論したいと思います。恐らく技術的な問題も結構あるし、ややこしいし、突き詰めれば、定年延長の話が一番注目を浴びるから、ここが出ますけれども、これ以外の給付減額判定の話も関わる話かもしれないので、いろいろ難しいと思いますけれども、いずれにしても議論は避けられないと思いますので、今後議論していきたいと思います。ありがとうございました。
 では、小林洋一委員、お願いします。

○小林(洋)委員 
 御説明ありがとうございました。
 かねてから申し上げているとおり、現状、中小企業にとって私的年金制度の導入・活用は、簡単ではございません。何より、事業主による制度認識や理解の不足、担当係の社員を割けないこと。従業員の関心の引き出し、その上での費用負担や事務手続など、入口のところに様々な課題があるからです。これらをクリアするとともに、普及を加速させる後押しとなる方策や制度の見直しを議論することが重要だと思っております。そういった視点を踏まえて、3点、質問させていただきたいと思っております。
 まず、1点目は、信託協会さんに、iDeCoの最低拠出額見直しについて、お伺いいたします。御説明がなかったページなので、大変恐縮でございますけれども、資料2の13ページで、所得が低い若年層にとって、最低拠出額が5000円であることが加入のネックであるとの御指摘がありました。確かにそういった面もあろうかと思います。これに関し、信託協会さんは最低拠出額5000円の撤廃を要望されていますが、極端な話、1円単位で拠出できるとなると実務が極めて煩雑になるでしょうし、実際には、そんな端数での拠出は起きないとも思っております。例えば、1000円といった切りの良い額への引下げでも十分ではないかと思うのですが、具体的に、100円とか500円とかからにしたほうがよいとか、そういう要望やお考えなどをお聞かせいただけないでしょうか。
 2点目は、年金数理人会さんに、DCの拠出限度額の見直しについて、お伺いします。資料4の6ページで、拠出限度額の算定方法の見直しを提言されております。望ましい所得水準をベースとした算定方法の再構築、限度額に所得代替率、賃金上昇率、物価上昇率を反映させる仕組みを検討とありますが、少し御説明があったのは承知しているのですけれども、具体的にどのような仕組みを考えられているのでしょうか。例えば、拠出限度額の算定方法の見直しを何年ごとに行うのか。さらには、見直しに伴い、事業主の事務手続の負担が煩雑になるかどうかなど、もう少し具体的に、この部分について教えていただけないでしょうか。
 3点目も、年金数理人会さんに、中小企業の企業年金の普及について、お伺いいたします。資料4の12ページに、負担軽減による加入促進との記載があります。ここに記載されている加入インセンティブとしての掛金の助成ですが、前向きに議論していきたいため、もう少し具体的な御説明をいただければと思っております。すなわち、これは国が助成することを念頭に置いておられるのか。また、助成対象は事業主負担分のみなのか、それとも個人負担分も含まれるのかといった点です。
 以上3点の御質問となりますが、よろしくお願い申し上げます。以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、1点目は信託協会さんですので、お願いします。

○信託協会 
 1点目、御質問ありがとうございました。iDeCoの最低拠出額5000円というところで、円単位にするのか、1000円単位にするのかという話でございます。まず、その点につきましては、信託協会として細かい質疑応答というか、その辺りの目線合わせはできておりませんけれども、当然、実務には影響のある話だと思いますので、恐らく切りのいい単位での単位設定は必要であると、これは私見になりますけれども、考えております。
 一方で、我々が今回、5000円を下回るというところを何で問題意識を持たせていただいたかというと、先ほど申し上げましたように、2024年12月のDBとDC、iDeCoを含めた一体管理のところで、どうしてもDBとDC、特にDBですけれども、他制度掛金相当額というのが出てきます。具体的に申し上げますと、今、全体が5万5000円ですので、DBが例えば2万5000円、DCが2万5000円で、DBが万が一、基礎率など変更をかけてしまうと2万6000円になるようなケースがあると、全体が5万1000円になってしまい、本来iDeCoを4000円かけられるはずなのに、その枠がなくなってしまう。そういうところの問題意識を持っておりまして、この5000円ということは撤廃すべきではないかと考えております。
 なので、そのような観点で考えると、他制度掛金相当額の単位に合わせるというのも1つの考え方かなと私見では考えております。
 信託協会からは以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 では、2点目、3点目は数理人会ですので、まとめてお願いします。

○原田委員 
 ありがとうございます。
 まず、当会の資料6ページ、上限の算定方法の見直しの部分でございますけれども、所得代替率とか賃金上昇率・物価上昇率といった指標をここでは示しておりますけれども、具体的にどうかというところにつきましては、公的年金の水準の変化というところもあろうかと思いますので、こういう仕組みがいいのだというところまで考えているわけではありませんが、こういった指標を基に限度額を定期的に見直すといったルールづくりがあったほうがいいのではないかというのが1点でございます。
 それで、頻度でございますけれども、これも毎年やるとか、そういうことはあまり考えておりませんで、一番頻度が高くて、こういった公的年金の財政検証が5年に一度ありますので、5年に一度といったタイミングで見直しの必要性というのを検証して、必要であれば幾らにするのかといったことをやる。こういう運営というのはどうだろうかと、今はまだジャストアイデアですけれども、考えております。
 それから、そういったときに事業主の負担といったところが、当然何らかのアクションを起こさなければいけないというところがありますけれども、正直なところ、限度額がこういうふうに計算されたから限度額を下げますというところは、あまり考えておりませんで、引き上げる必要があるときには引き上げるといったところを想定しておりますので、事業主様にあまり大きな負担はないのではないかと考えております。
 それから、2点目、12ページの中小企業への普及促進のためのインセンティブといったところですけれども、念頭にありましたのは国からの助成金のようなイメージでございます。中小企業退職金共済のように、一定の小さな会社様がそういうDB制度をやるときに、何らかの形で補助金みたいなものを出せないのか。これが正直なところ、年金制度に直接何かやるということなのか、それとも中小企業支援として、こういうことをやったら助成金が出るよという仕組みにするのかといったところは、よく考えていかなければいけないところかなと思っております。
 事業主の負担なのか、加入者の負担なのかといったところにつきましては、DB制度においては、どちらが出したとしても、最終的にそのお金というのは加入者・受給者のほうに行きますので、給付に対する効果といったところはないと思いますけれども、イメージとしては、事業主の負担を軽減して導入しやすくするといった方向のイメージを持ってございます。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 岩城委員、お願いします。

○岩城委員 
 ありがとうございます。
 生命保険協会さんに伺いたいのですけれども、9ページで、投信でずっと運用してきた人が、退職時に保険商品に変えて、決まった金額を年金のように受け取るというのは、海外でもあるケースですし、もしかしたら個人年金保険などに馴染みのある日本人にはとても合っているのかなと思います。そこが非課税になるということなら、移行しやすいという部分もすごくあると思うのですが、手数料というのが問題になると思うのですね。つみたてNISAのときは、ラインナップに入ろうということで非常に信託報酬の低いものがばあっと出てきました。かなり革新的だったと思うのですけれども、このような形で御提案されるということは、老後、保険商品として、たとえば年金保険として受け取るときに、革新的な手数料改革、手数料を相当安くするというような御発想とかはお持ちなのでしょうか。すみません、ちょっと意地悪っぽくて。

○生命保険協会 
 御質問ありがとうございます。
 協会の立場として、手数料で革新的なことができますとはなかなか言えないということではありますが、ここで御提案させていただいているのは、例えば、DBであれ、DCであれ、年金制度の中で年金商品を提供しようとすると、まず制度の管理としてのインフラ負荷が上がることになりやすい。負荷が上がりコストがかかると、結果、いい商品が提供しにくいという構図があると思ってございます。こちらでイメージしておりますのは、生命保険会社が独自に既に持っているインフラを活用して、その中で様々な一時払い系の商品を提供するということが、その会社の様々な知恵や努力によって可能になるのではないかということでございます。
 保障内容につきましても、通常イメージするのは、恐らく年金ということかと思いますが、それはお一人お一人の立場に立てば、もしかすると一部を介護保険に充てたいとか、一部を医療保険に充てたいといったニーズもあるかもしれませんので、そういった様々な受給者の方のニーズを踏まえた多様な商品開発というものが進むのではないか。そんなことをイメージして、今回の御提案になっているということでございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。よろしいですか。
 では、大江委員、お願いします。

○大江委員 
 御説明ありがとうございました。
 私のほうからは、信託協会さんに2点と、年金数理人会さんに1点、御質問したいと思います。
 まず、信託協会さんの御提案の中で、3ページで、拠出について、御本人拠出と会社の拠出の整理をされていたと思うのですけれども、最近、給与・賞与内枠選択制というものがありますが、この場合、御本人が選択して、拠出をされているという意味からすると、本人拠出と整理したほうが、今後、すっきりするのではないかと思うのですが、この辺りはどういう整理でお考えなのかというのを教えていただければと思います。
 それから、4ページですけれども、給付のところで、年金選択というものが、企業型DCに比べるとDBのほうが高いというデータをお示しいただいております。DBのほうが年金選択率が高いという理由について、お考えをお聞かせください。私は、DBのほうが、事務局の方が相当手厚くサポートされていて、そこが効いているのではないかというようにも想像するのですが、この辺り、御意見をお伺いできればと思います。
 それから、最後ですが、年金数理人会さんが7ページで保証期間の延長というところをお示しされておりました。制度運営の負担などが増える話ではないかと思うのですけれども、実際にDBをされている企業さんからこういったニーズがあるのかどうかというところについてお伺いできればと思います。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、最初、2つ、信託協会さんですね。お願いします。

○信託協会 
 御質問ありがとうございました。
 3ページの掛金の考え方について、恐らく本人拠出、会社として制度で用意していて、給与から一部天引きするとか、そのような考え方があると思いますけれども、退職金をどう考えていらっしゃるかということにも若干よるかなと思います。また私見で申し上げるところですけれども、例えば前払い退職金との並行だったらどうなるか。これは結局、退職金として用意しているものですよねという考え方になると思いますし、給与から一部天引きしてつくりますかというと、何となく本人拠出の考え方もあるかなと思います。なので、ここは退職金の由来とか、これはどちらの由来かということを踏まえて、ある程度考えていくという観点は1つ必要かなと考えます。この点については、すみません、その答えぐらいで一旦とどめさせていただければと考えております。
 2点目、4ページ目の給付の割合がなぜDBのほうが高いのか。いろいろ考え方があるかと思います。事務局様のサポートをいただいているということも十二分にあるかと思いますし、例えばDBのほうが給付設計・給付利率がいいとか、終身年金が残っているような確定給付年金は少なくなってきているかもしれませんけれども、そのような制度が存在するようなことであれば、恐らく今後の老後のお金の推移はこのぐらいですよと事務局様が御説明いただいたら、こっちのほうがいいねと選択しているケースもあるのではないかなと考えております。具体的にアンケートを取ったりしているわけではございませんが、想像で申し上げると、DBの選択割合がそれ相応に高いのは、そういう背景もあるのかなと考えております。
 信託協会からは以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 大江さんの1点目は、例の給与切り出し型の話ですね。これは結構ややこしいというか、信託協会さんの3ページの図は、取りあえず今の時点で誰が出しているかというので整理しているけれども、それの元は何だったかという話をどこまでするかという話ですね。まさに前払いの論点も提示されましたけれども、整理の仕方はいろいろあると思いますが、結構ややこしい話だなと思って、すみません、感想を言っているだけですけれども、伺っておりました。ありがとうございます。
 では、数理人会さん、お願いします。

○原田委員 
 保証期間延長の件でございますけれども、具体的にどのぐらいの割合といいますか、どのぐらいの件数のニーズがあるのかというところは、すみません、把握しておりませんけれども、従来より余命が延びてきているという実態が現実問題としてはありまして、そもそも保証期間が20年になったのも大分前ですけれども、もともとは15年が上限で、そのころは60歳から余命が75歳近辺というのが平均だったと記憶しております。それが80歳近くになって、今では83とか4とか5とか、60歳での余命がそのぐらいになっているということを踏まえますと、今後、もう少し長い期間、年金として払えるようにするということはニーズがあることだと考えております。よろしいでしょうか。

○森戸部会長 
 よろしいですか。はい。
 では、藤澤委員、お願いします。

○藤澤委員 
 藤澤です。多岐にわたる視点で御意見をいただき、ありがとうございます。
 日本年金数理人会さんと信託協会さんに質問がございます。
 日本年金数理人会さんの資料の6ページで、DCの拠出限度額の見直しのマル1のところと関連するのですけれども、これはDCに関する話ですが、DBについてもインフレが影響している部分があるのではないかと思っています。普段業務をされていて、DBに与える影響や懸念点が、もしあれば教えていただきたいというのが1点目です。
 あと、8ページ目で、転職支援制度を含む柔軟な制度設計というところで、口頭説明で、レアなケースで一定年齢以上、退職金を加算という説明があったのですが、その部分が法令上、なぜできないのかをもう少し詳しく教えていただきたいというのが2点目です。
 あと、信託協会さんの資料の8ページで、先ほど御議論があった給付減額の判定のところで、事実確認として、定年延長のときだけの御要望なのか、給付減額自体の判定基準自体を変えてほしいという要望なのかというところを教えていただきたいと思っています。
 あと、この要望はこれまでもいろいろな団体さんが要望されていて、そこに下限予定利率という具体的な指標を御提示いただいたので、今後の議論の材料として役に立つと思っていますが、なぜ下限予定利率を使うのかといったところの整理が必要だと思っています。下限予定利率は厚生年金基金のときからあって、記憶が正しければ、ずっと10年国債をベースに規定していると思いますが、それで本当に評価していいのかという点です。もともと予定利率の下限という意味で設定された指標だと思いますが、どれかに決めろと言われると、継続基準と非継続基準の利率があって、給付現価なので継続基準で下限予定利率というのは、何となく消去法的にはそうなのですけれども、何で下限予定利率にするのかというところで、もし御議論等があれば教えていただきたいと思います。この下限予定利率自体が毎年変わる指標ですので、今年は減額ではなかったけれども、来年は減額になるとか、その逆とか、そういうことも発生すると思うので、毎年変わらないような指標に統一するという考え方もあると思います。その辺りを、少し教えていただきたいと思っています。
 最後、すみません、長くなっていますけれども、13ページで第3号被保険者のiDeCoの掛金を本人の所得控除にしてほしいという御要望で、これは前回も全国銀行協会さんが同じ要望をされていて、そのとき岩城委員が公的年金の適用拡大に逆行するのではないかという御意見を言っていて、それもそのとおりかなと思っていました。カナダの場合、RRSPというiDeCoに相当するようなものは、本人が配偶者のために払うと、それが所得控除になるような制度が導入されていて、カナダだと第3号被保険者のような概念はなくて、日本でいう第2号の共働きのケースであっても所得控除になるという形になっています。ですので、お聞きしたいのは、なぜ第3号に限定するのかという必然性をお伺いしたいと思います。カナダの場合を参考に申し上げると、女性が長生きするという岩城委員が前回おっしゃっていた点に加え、離婚してシングルマザーになったときに、高齢で貧困層に陥る層が一定程度いるということもあって、配偶者の女性自身が自助努力で私的年金を積み上げていくことの重要性を認識した上で、そういう制度を導入しているという形になっています。例えば、適用拡大して、第2号被保険者で共働きのケースであっても、所得格差は残ると思うので、2号も要望に含めてもいいのではと個人的には思っています。第3号を限定する必然性について、何か議論があれば教えていただきたいというのが最後の質問です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、最初は数理人会にお願いします。

○原田委員 
 まず、6ページですけれども、そこに絡んでということで、インフレに対しての課題といいますか、そこの部分の話かと思います。確定給付企業年金でも、今、インフレに対応できるDBの制度というのはあまりございませんで、基本的には給付額が固定されている制度がほとんどでございます。ですので、インフレ対応という意味では非常に対応が難しい制度ということが1つあるのかなと思います。ここでDCの拠出限度額に関して、インフレに対応して限度額を上げるという書きぶりにしましたけれども、こちらもいずれにせよ将来の分だけが枠としては拡大されるということになりますので、インフレへの対応というところは、企業年金制度というのはなかなか難しいのかなと感じております。
 ただ、DCについては、積み立てたお金の運用がインフレに伴って高い利回りで運用できたりしますと、ある程度カバーできるという特徴もありますし、DBでもキャッシュバランスプランといった指標に基づいて残高が変動するといった制度につきましては、金利が上がりますと残高がそれに応じて増えるということで、一定程度のインフレヘッジというのはできるのかなと考えております。
 それから、8ページのほうで、転職支援のところですけれども、これがなぜできないかということに関しましては、DBでは加入期間の増加に伴って給付額が減ってはいけないのですね。基本的には増えなければならないということになっていますので、ここで書いている転職支援制度というのは、例えば45歳で転職するときには100万あげます。50歳までの期間が対象だとすると、徐々に金額が減っていきますという形で、逆三角形というか、そういう形での給付設計というのが認められないことに対して、何らかの対応ができないかということでございます。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、信託協会さん、お願いします。

○信託協会 
 御質問ありがとうございました。
 まず、1点目、定年延長の給付限度額の見直しの件でございます。我々としましては、昨今、どうしても定年延長という問題が一番フォーカスが当たっているので、ここについての減額判定の見直しを要請させていただいております。先ほど森戸部会長がおっしゃっていたように、これが定年延長のときだけに影響するのか、全体にも同じような議論ができるのかというのは、ぜひ今後、むしろこの場で御議論いただきたいなというところで問題提起を1点させていただきます。
 では、下限予定利率を使うことについての議論でございますけれども、これも原田委員が先ほどおっしゃっていただいたかもしれませんけれども、この制度ではこっちが減額で、この制度ではこっちが減額ですというのは、状況としてはあまりよろしくないのかなと。なので、全DB、何かしら共通で使えるものが1つ必要だろうというところで、何を選択するか、極端なことを言うと、ゼロ%というところもあるかもしれませんけれども、そうすると、それは給付が変わらなかったら減額じゃないという感じになります。
 ですので、この点については、1つ例示として、DB共通のものであれば等価価値のリスクフリーレートという考え方の下、継続基準の下限予定利率というものを我々は書かせていただきましたけれども、ここも結局、何の利率を使うのが一番適切かというのは、恐らく議論の必要があるかと思いますので、あくまで1つの例示として出させていただいたと御認識いただければと思います。こちらが1点目でございます。
 2点目、第3号被保険者の問題でございますが、もちろん私どもとしても、公的年金の議論が進んでいることを認識しておりますので、第3号被保険者が最終的に拡大して第2号になるとか、いろいろな考え方があるかと思いますけれども、あくまで今回については、今、この制度において第3号被保険者が有利なのか不利なのかというところを、公的年金がどうなるかというのは一旦置いた上で議論させていただこうと思って、今回の要望を出させていただいております。国民年金基金と同じような、いわゆる課税所得控除ができるようなシステムをつくってだけないかというところと。
 第2号から第3号に振り替わった場合に、iDeCoがそのままかけられないとか、かけてもいいですけれども、税控除がないという状態であれば、かけるメリットはないといってiDeCoの継続拠出をしないというケースも十分に考えられるかと思いますので、今回は第3号被保険者に一旦フォーカスを当てて書かせていただいております。当然、公的年金の議論が進んでいって第3号被保険者の考え方が変わってくれば、この辺りをもう少し拡大して要望することも考える必要があるかなと思いますので、この点はいわゆる公的年金の議論を踏まえながら、信託協会としても要望事項は、都度、修正させていただければと考えております。
 信託協会からは以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。 谷内委員、お願いします。

○谷内委員 
 私からは、質問ではなく、今後の私的年金の検討においてポイントとなるであろう論点について2点コメントします。
 まず、信託協会の資料2の3ページには、拠出時のあるべき姿が示されていますが、これは、平たく言うと、事業主拠出と加入者拠出の扱いをある程度区別すべきとの主張だと私は捉えたのですけれども、この考え方には賛同します。当部会でも、同じ私的年金といっても企業年金と個人年金とでは性質が異なり、かつ、両者の性質の差異をどう捉えるべきかという指摘は複数の委員の方からもなされています。その意味では、この3ページの図にあるように、事業主拠出と加入者拠出の性質の違いというものを、もうちょっと掘り下げて検討すべきではないかと考えております。
 特に確定拠出年金は、同じ・法律の枠組みの中に、企業型と個人型という2つの制度がありますが、この2つの制度は、企業年金と個人年金という役割・性質の差異があるにもかかわらず、税制の面ではほぼ同じルールが適用されています。例えば特別法人税は、給与所得課税と平仄を合わせるために誕生した税制なので、事業主拠出に課せられるのは理解できるものの、現在はなぜか、給与所得の性質とは無縁なはずの個人型にも特法税が課されています。よって、企業年金と個人年金の役割や性質の差異という視点は、非常に重要だと感じた次第です。
 続きまして、2点目、今度は生命保険協会の資料3の9ページを御覧ください。ここでは、年金受取の多様性の確保ということで提言をいただいておりますが、いわゆる年金と一時金の選択の問題には、主に2つのポイントがあります。一点目は税制の話。もう一点は、実際に受け取り方をどう選択するかという論点があります。税制については、当部会だけではなかなか結論を出しづらいのですが、もう一点の受け取り方の選択については、今回の生命保険協会の提言のように、特定の商品や口座を用いる仕組みを検討することも重要なポイントだと考えます。
 私は前々回(第22回)の部会で、個別具体的な課題への対応を補完する役割として、ポータビリティの拡充が重要だと述べました。ポータビリティを拡充する方策には2つあります。1つは、企業年金連合会あるいは国民年金基金連合会のような第三者機関を使って通算する方法、もう一つは全国民が使える個人勘定口座を用意する方法がありますが、生命保険協会が今回提言している生保年金等の即時購入に係る非課税措置は、後者(個人勘定口座)によるポータビリティ拡充の一環だと認識しています。ポータビリティの拡充も、様々な選択肢を検討すべきではないかと感じた次第です。
 私からは以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。では、コメントということで承っておきます。 島村委員、お願いします。

○島村委員 
 今日は貴重な御報告をいただきまして、ありがとうございます。
 私のほうからは、年金数理人会さんに1つ質問させていただければと思います。12ページで、中小企業への企業年金の普及ということがありまして、私もこの点、とても大事だと思っているのですが、ここに書かれております共同事務処理センターのような仕組みというところについて、背景とか考えていらっしゃることについて、もう少し詳しく具体的に御教示いただけませんでしょうか。よろしくお願いします。

○原田委員 
 ありがとうございます。
 共同事務処理センターとか、そういったところにつきましては、DB制度を運営するに当たっては、事業主様が加入の届けをする、資格喪失の届けをする、給付の指図をする、行政に対して規約変更の認可申請をするとか、様々な事務が発生いたします。それで、先ほど小林委員からあったと思いますけれども、そういったところに人をきちんと充てられないという問題も当然ありますので、そういったものを外部委託できるような組織があればいいのかなということでございます。
 それで、その例として、こういう共同事務処理センターということを書きましたけれども、これがどのような形であっても、そういうサポートができるような体制であったり、組織であったり、サービスであったりといったものをつくっていけば、中小企業の皆様にももう少し確定給付企業年金も導入しやすくなるのではないかなと考えた次第でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。 小林由紀子委員、お願いします。

○小林(由)委員 
 御説明ありがとうございました。
 私からは、信託協会様と数理人会様、3団体共通でそれぞれ1点ずつ質問させていただきたいと思います。
 まず、信託協会様への質問ですが、資料3ページで提案されている拠出時のあるべき姿についての確認です。従業員拠出と事業主拠出の切り離しということで、例えば「企業型DCの拠出限度額について、マッチング拠出分はiDeCoに含め、事業主拠出の限度額とは分けて管理する」といったように、制度の枠組みも含めた見直しを想定されているのかどうかを確認させていただきたいと思います。
 また、事業主掛金と加入者掛金、あるいは企業年金と個人年金のそれぞれについて、最終的な仕上がりとしてどのぐらいの拠出水準をあるべき姿として考えるか、検討されていればお伺いしたいと思います。
 次に、数理人会様への質問ですが、資料6ページのDCの拠出限度額の見直しについてです。望ましい所得水準をベースとした具体的な御提案だと受け止めましたが、御提案の方法に沿った形で具体的な数字をもし検討されていれば、今後の議論の参考としてお示しいただきたいと考えます。
 最後に、3団体様への共通質問です。先ほどから定年延長時の給付減額判定の話が出ていますが、問題提起された内容は、高齢者雇用の対応を迫られている企業にとっては、それぞれ重要な問題と認識しています。実際に実施事業主から具体的に相談が来ていれば、差し支えない範囲でどのような相談があるかお伺いしたいと思います。例えばその中には、同意取得の手続の負荷や難しさを嫌って、給付型の制度を終了する、あるいは制度改定の議論がストップしてしまって困っている、といった例もあるのかどうかをお伺いしたいと思います。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、また1個ずつ。まず、信託協会さん、最初の質問についてお願いします。

○信託協会 
 御質問ありがとうございました。
 まず、3ページ、マッチング拠出のような事業主掛金と加入者掛金が一体であるものについて、切り離すかどうかというところですけれども、具体的に信託協会として、そこの目線合わせを完全にしているわけではないので、一部私見が入りますが、あくまで退職金由来と本人拠出のところに分けて考えましょうというところにフォーカスが当たりますので、その観点でいきますと、恐らくマッチング拠出は本人拠出のほうに入るのかなという気もいたします。
 ただ、先ほどもいろいろとお話が出ておりますけれども、ここをどう本人拠出とみなすか、どこまでが退職金由来かというところの考え方のところ、相当難しい話、議論が残るかと思いますので、そこは一律マッチングだからどうこうなのか、もともとそういう制度設計なのですという話なのか、制度の成り立ちとか、その辺りを含めての議論が必要になってくるかと思いますので、必ずこちらですということを今、発言としてできませんので、その点は御容赦いただければと思います。
 一方で、拠出水準のあるべき姿のほうになります。当然ながら、個人年金、iDeCo、iDeCo+、合わせて上限2万円とありますけれども、こちらを逆に縮小してくださいという話は全くございませんで、拡大の検討と資料に書かせていただいておりますので、ここは拡大があるべきだと思います。具体的な水準は、全体の税制を踏まえて、どこまでが税優遇を受けられる水準なのかというところを踏まえて議論があるべきだと思いますので、こちらから今、具体的にはこれぐらいですというコメントは差し控えさせていただければと思います。すみませんが、よろしくお願いいたします。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、2点目の質問について数理人会さん、お願いします。

○原田委員 
 ありがとうございます。
 我々の資料の6ページの限度額の具体的な数字というところですけれども、そちらにつきましては、具体的な数字を持ち合わせているわけではございません。ただ、以前、老後2000万円問題といった話も出ましたので、そういった数字というのは1つ参考になるのかなと考えております。
 ただ、一方で、幾らぐらいがあればいいのかということと、併せて、それに備えるための期間を何年ぐらいで考えるべきなのかという縦横の関係がありますので、それも含めて考えていくべきなのかなと考えております。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、3点目、例の定年延長の絡みで給付減額になってしまうという、具体的な事例というか、相談例みたいなものを御存じであればということですが、もしあれば、順番に信託協会さんからお願いします。

○信託協会 
 信託協会です。
 具体的なものというと、各社様、いろいろな御相談を受けているかと思いますので、協会としての意見というよりは、どちらかというと個社、私もコンサルに一部携わっていることがありますので、個人の意見として述べさせていただければと思いますけれども、給付減額という手続を嫌って、生保協会様の資料でいきますと7ページとかになりますか。すみません、先に生保協会さんの資料を拝借させていただきますけれども、例えば定年延長をやろうとするのですけれども、この給付減額に該当しないようにしたいからどうしたらいいかとなると、例えば7ページの一番右側、パターン4のように、旧定年で退職金を打ち切って支給することも可能で、繰り下げることも可能というような制度に持っていければ、減額に該当しないというパターンもありますので、給与のほうは定年延長しますけれども、退職金は60歳で一旦打ち切りますみたいなケースも、相談の事例としてないわけではないというところです。あとは、大きく制度変更をどう考えるかというところの下で、先ほど申し上げましたように、給付を増やしたのに減額という話で、丁寧な説明を求めるので、説明の仕方をどう考えればいいかみたいな相談は実態としてありますので、この点、触れさせていただければと思いました。
 信託協会からは以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、生保協会さん。

○生命保険協会 
 今、せっかく資料7ページを開いていただいたので、そのまま、そのページで御説明させていただきますと、まさに企業様から定年延長に際して設計をどうしたらいいかという質問を受ける場合、私ども、この4パターンをお見せして、それぞれのメリ・デメを御説明して、どうされますかという案内をしているというのが、これは個社の事例でございますけれども、やってございます。
 そうした中で、これもしっかりとした統計ではございませんが、減額を避けるという意味でパターン1とパターン4が3割3割ぐらいのイメージで、比較的多いのではないかと思っております。残るパターンがパターン2、パターン3で、パターン3もそこそこありまして、それよりはちょっと少ないぐらい。パターン2が一番少ないというイメージでおります。パターン3の場合、60の時点で給付額が下がっているのですが、ここも従業員の皆様に雇用延長とセットで御説明すると、一定同意が得られて、このパターンで導入されるというケースもあるという認識でございます。

○森戸部会長 
 数理人会さん、いかがでしょう。

○原田委員 
 我々も会としての意見といいますか、実例を拾っているわけではありませんので、すみませんが、ここでは一年金数理人としての実体験というところで御紹介させていただきます。
 1つございましたのが、こういったときに事業主が憤慨してしまい、減額なんかしていないということで検討が一定期間、止まってしまったという事例が実はございました。
 それから、結構規模の大きい会社様だったのですけれども、同意を取るのが非常に大変だということもありまして、先ほど信託協会、生保協会さんからもありましたけれども、定年延長はするけれども、パターン4を選択して、その代わり支給期間は自由に選べるようにしようという形で減額を避けたという事例はございました。こういったところが定年延長に絡む部分で出てきた事例かなと思います。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 この定年延長との話は必ず出てくるから、現場で問題意識が大分あるだろうというのは伝わってくるところです。減額という言葉が非常に微妙な表現だから、減額はけしからぬという感じがしてしまうから、そこの問題もあるし。それから、これはあまり深入りしないですけれども、この話は、企業年金だけで見ればそうですけれども、内枠で退職金とやっている場合は、企業年金は例えばパターン4でいいけれども、退職金制度では、もしかしたら労働条件の不利益変更かもしれないとか、そういう話とも絡むので、非常にややこしい話だろうと思います。いずれにしても、さっき申し上げましたけれども、ちゃんと論点を整理して、またみんなで議論したいと思います。いろいろ貴重なエピソードをありがとうございました。 では、代理の本多さん、お願いします。

○本多代理 
 本日は、小林司委員の代理として出席させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。各団体の皆様、御説明ありがとうございました。
 私から、まず日本年金数理人会様に1点質問させていただきたいと思います。昨年も議論がありましたが、iDeCoの加入可能年齢についてです。5ページの加入可能年齢の統一について、現在の国民年金の被保険者という加入要件を撤廃すべきという趣旨かどうかについて、確認させていただきたいと思います。その上で、もしその要件を撤廃すべきという趣旨なのであれば、例えば公的年金を受給しながら、その資金をiDeCcに拠出するということなども考えられますが、確定拠出年金法にある、公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与するという目的との整合性、あるいは税制上の公平性などについて御見解があれば伺いたいと思います。
 それから、先ほど谷内委員からも触れられましたが、2ページの目指すべき方向性の中で、DC法に定められた制度の目的、つまり先ほど触れた、公的年金の給付と相まってという内容について、企業年金部分にしか記載されていません。そもそも性格や掛金拠出者が異なる制度をDC法にて一元的に管理されている点に対し、問題意識があるのではないかと推察されますが、コメントがあれば補足いただきたいと思います。
 続いて、生保協会様に質問させていただきたいと思います。本日の資料では触れられていない点で大変申し訳ありませんが、2024年12月から、制度改正により、DB・DC併用の場合、5万5000円からDB等他制度掛金相当額を控除した額を上限にDC拠出ができるようになりますが、令和2年法改正前のこの部会でのヒアリングの際には、生保協会様から、このタイミングでDBを減らしてはどうかといったインセンティブが働くことは容易に想定できる、DBへの影響を懸念している、というコメントをいただいております。
 我々労働組合としてはかねてより、この制度改正が労働条件の引下げにつながりかねないという懸念を持っておりましたが、2024年12月に向けて、特にDBとDCの合計が5万5000円を超えている、あるいは超えそうな企業において、どういった準備が進められているのか、それとも特段進められていないのか、あるいは経過措置を最大限利用するという企業が多いのかなど、企業とのやり取りにおいて、傾向、特徴点など、把握されていることがあれば紹介いただきたいと思います。
 以上です。

○森戸部会長 
 では、最初は数理人会、お願いします。

○原田委員 
 ありがとうございます。
 5ページ目の加入可能年齢の統一といったところにつきましては、国民年金の被保険者であることが条件になっているということは、それは撤廃してもいいのではないかなと考えております。そうした上で、そういう私的年金の活用可能な条件というのを全国民、統一するといったことは、方向性としてやるべきなのではないかなと考えております。
 一方で、おっしゃるとおり、公的年金と相まってという法の趣旨からしてどうなのかということに関しましては、給付をもらいながら、そのお金をそちらに回すといった行為もできるようになってしまうというのは、確かにそのとおりではあると思いますけれども、トータルとして老後の所得を確保するといった手段であることには変わりございませんので、そこのところはあまり大きな問題にはならないのではないかなと考えてございます。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、生保協会さん、お願いします。

○生命保険協会 
 他制度掛金相当額に係る制度改正の件でございますが、こちら、2021年度でしたか、改正内容が定まって以来、お客様に御案内を行っております。実際の試算の下、一定数の割合のお客様においては、こちらの限度を超えるということで、そのまま当てはめれば見直しが必要になるという状況にあるという認識でございます。ただ、現時点におきましては、経過措置というものがあるということを踏まえまして、一旦はそのまま置いている、静観というお客様が現時点では多いというのが現状かと認識してございます。
 ただ、今後、恐らくは定年延長に伴う、こうした全体の見直しなどが行われる可能性は十分あるでしょうし、そうした際には、経過措置が外れてしまうといったことがあろうかと思いますので、そういった場合には、まさに制度見直しが今後、活発化していく可能性があるのではないかと思っております。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。 金子委員、お願いします。

○金子委員 
 すみません。今回、3団体の方から、それぞれの視点から見た課題あるいは改善策を御提案いただき、ありがとうございます。私、今回、御説明していただいた3団体だけじゃなくて、前回と前々回、関連団体から御意見を頂戴したのですけれども、それも含めた感想ということで、特に皆さんに対する質問ということじゃないのですけれども、3点ほど述べさせていただきたいと思います。全てすごく大ざっぱな話で、あまり細かな厳密な話ではないのかもしれないと思っているのですけれども、そういう点で少しはばかれるのですけれども、感じたところをお話しさせていただきたいと思います。3点と言いましたけれども、全てDCに関することでお話しさせていただきたいと思います。
 1つ目は、恐らく今回、3回にわたってお聞きした全ての団体だったと思うのですが、現在5.5万円に定められているDCの拠出枠自身の拡大を提言に挙げていたと思っています。資産所得倍増プランに沿って抜本的な改革が図られたNISAと両輪をなす制度と認識される程度の拠出枠の拡大は、DCにおいてもなされるべきだと私も思っております。特にDCは、金融経済教育と資産形成の実体験が内包されている制度だと認識しておりまして、国民が安定的な資産形成を体現できる場の本命だと思っております。
 現状を見てみますと、例えば今回の参考資料3、私的年金制度の現状の27ページに記載されているグラフを見ても分かるように、例えば企業型DCにおいては、加入者の純増ペースが明らかに鈍化しているみたいなことも見られますので、その対策としても、もう少しDCの枠自身の拡大というのは大事なのかなと思っております。
 それから、2つ目ですが、これは年金選択率の低さなど、受給期の問題を指摘する御意見も多かったと思っております。私自身も問題があろうと思っていますし、ここにいらっしゃる委員の方も、そう思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。ただ、これは5月の部会のときにも申し上げたのですけれども、一時金でもらった後のどんな状況を想定して問題だと思うかというのは、皆さん、イメージが違っているのではないかと思っております。当部会として、一時金の選択率が高いことが老後所得の安定確保の観点で、なぜ問題と言えるのかというのを議論した上で、税制以外の取組も含めて解決策を模索する必要があると思います。
 それから、3つ目は、手続の簡素化と迅速化の話です。これも多くの団体が指摘されていたと思っています。DC制度は、創設以来の考え方として、年金制度であるがゆえに、数十年にも及ぶ利用期間を前提にした発想の下、業務が設計されたり、システムが組み立てられてきたのだと思っています。そういう観点からいいますと、特に手続の迅速化はそんなに重要視していなかったと思いますので、迅速化に係る要望をかなえることは容易にはできないと理解しております。
 ただ、個人単位で手続を行う局面、例えば転職に伴う手続、あるいはiDeCoの申込等では、比較の基準が年金制度というよりも、多分、一般の金融サービスの水準になってくると思います。この水準からすると、明らかにスピード感とか簡便さに欠けるという点は指摘せざるを得ないと思っているのですけれども、DC制度の拠出枠が仮に大幅に拡大されたとしても、手続面での煩雑さが残る限り、限定された効果しかもたらさないということも十分あり得るのかなと思っています。そういう意味で、拠出枠の話と同程度にDC制度の根幹に関わる問題として、手続の簡素化とか迅速化あるいは電子化については検討する必要があると思っております。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 いずれも貴重な御意見ありがとうございました。ちゃんとした部会長が言うようなことを言っていただいて、私、言えないので助かりました。ありがとうございました。また、この点も今後、ちゃんと議論していきたいと思います。
 では、オンラインのほうで、山口委員は何かありますでしょうか。

○山口委員 
 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございます。2点、感想だけお伝えさせていただきます。
 今日、DBの活用可能性についてお話しいただいて、どちらかというとDBがだんだん減ってきているのが、何となくそういうものかと思っていたのですけれども、活用可能性があるという御提案が幾つかあって、ただ、実際に取り入れるとなると、議論しないといけないところがまだあるということは理解しました。
 もう一点、今の金子委員のお話もありますけれども、もらい方が結構大事で、運用のところにまず目が行きますが、もらい方も考えて教育なども進めていかないといけないのだということを、今日のお話を伺って理解しました。今後の議論でも考えていきたいと思っております。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 では、渡邊部会長代理は、御質問、御意見等、いかがでしょうか。

○渡邊部会長代理 
 ありがとうございます。
 1つ質問と、1つ簡単なコメントをさせていただければと思います。
 質問は、年金数理人会の方から御提出いただきました資料18ページのところです。本日の御報告の中では御説明なかったところですが、低所得者の老後への備えの支援といった御提案があったかと思います。これに関して、助成が必要であるという記載があるのですが、具体的な助成方法について、何か御提案といいますか、お考えがあるのであればお聞かせいただきたいといった点が1つ。
 簡単なコメントというもう一つの点ですが、各団体の方から御意見を頂戴いたしまして、様々な現行の規制について、撤廃も含めて見直しが必要といった御提案をたくさんいただいております。今後、論点を整理した上で具体的な検討というものが、この場で進められていくかと思うのですが、その際には、当該規制の趣旨・目的というものを改めて確認する必要があるだろう、その点が重要になるだろうと考えております。その当該規制がなぜあるのかといった趣旨・目的を踏まえた上で、具体的な御提案、見直しの方向性の妥当性といったものを検討できればなと思っております。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 では、1点目について数理人会、お願いいたします。

○原田委員 
 どうもありがとうございます。
 低所得者の支援といった観点でございますけれども、なかなか難しいことではあると思っております。一方で、例えばiDeCoといった今の枠組みを使うという方法もありますけれども、そういう老後への積立てを行う専用口座みたいなものをつくって、その口座に積み立てている間は、一定金額までは何%かの助成を国から行うとか、そういった口座については、一般の民間での商品よりも手数料とか維持コストを安くするといったことが考えられるのかなと、ぼんやりとは思っておりますけれども、どういった方法がいいのではないかといった、本当に具体的な案まで今の段階で持ち合わせているわけではございませんので、申し訳ありませんが、そのぐらいの答えになってしまいます。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。

○渡邊部会長代理 
 ありがとうございました。

○森戸部会長 
 渡邊代理の2点目、もちろんこれから検討していくときは非常に重要なことですので、規制の趣旨を改めて確認しつつ進めていきたいと思います。
 原田委員は、谷内委員の例もありますから、急に委員になって、自分に質問というのだけはなしですけれども、もしあれば何か。時間もちょっとありますので。

○原田委員 
 今日は比較的スムーズに進行しておると思いますので、受け止めるのに精いっぱいで、自分の意見といいますか、感想を考える時間的余裕があまりなかったので、感想ではございますけれども、例えば5万5000円という限度額、当会としても問題提起といいますか、御意見、述べさせていただきましたけれども、そもそもDBとDCが一体化した背景もよく理解しておいたほうがいいのかなと、ちょっと思いましたので、補足させていただきますと、そもそも全体のキャップをはめるということが趣旨ではなくて、DBがある場合は、一律半分の2万7500円といった取扱いについて、DBの給付水準があまり高くないのに、高い給付水準のDBの企業と同じようにキャップが2万7500円になっているというところが問題だったかと思います。
 そこで、言うなれば使い残しの枠をきちんと使えるようにということで、両方合わせて5万5000円というものがあったわけですけれども、その中には、それを導入したことによって、ちょっと弊害が出てきた部分もありますので、そこは何とか見直していきたいと考えているというところでございます。
 あと、大きなところでは、特法税ですね。拠出時と運用時と受給時の課税の問題というのは、もう一度改めて整理していければなと考えているといったところでございます。
 感想は以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 オブザーバーのお二人は、今日は何かよろしいですか。ありがとうございます。
 では、金子委員が本当に全部言ってくれたような気もするので、私は何も言うことはないのですけれども、今までのヒアリングで本当にいろいろな論点が出ました。いろいろな問題、実務的な面も含めて、法的な面も、制度的な面も、様々な論点があるのだなということが改めて浮き彫りになったかと思います。
 今日、信託協会さんでしたか、全国民に老後所得を確保しよう。それは、まさに企業年金・個人年金制度の目的だと思うのですが、他方で、これは信託協会がということではないのですけれども、今回、前回のいろいろな要望を見ていくと、DBは退職金由来でありという話ですね。それから、さっき早期退職の話とかもありましたけれども、老後所得という括りをしつつ、退職金という性格なり、日本の雇用なり人事管理の制度の中で退職金制度として使ってきたものは、そういう歴史なり背景があるから、そこはうまく使えるようにしたいという、ある意味、もしかしたらちょっと相反するようなものも入っている。
 そこをどういうふうに整理していくかというのは、ずっと課題なのですけれども、そういう退職金税制の話とか、いろいろ大きな動きもありますので、そういうことを本当に考えていかなければいけないだろうということを改めて感じた、このヒアリング3回の会でありました。
 なので、これから事務局のほうにお願いして、まとめて議論していこうと思いますが、結局、この後、いつ、何を、どう決めるのですかね。それはまだこれから。

○大竹企業年金・個人年金課長 
 今回を含めてヒアリングでいろいろ御提案というか、論点を出していただいたということかと思いますので、その論点を整理し、論点を確認していただいた上で、個別の論点について深掘りをしていこうということかと思います。それぞれの議題について事務局から御説明させていただくということもあれば、さらにその分野の有識者の方にプレゼンしてもらうとかはあり得ると思いますし、あるいはヒアリングでいろいろと御意見いただきましたけれども、もうちょっと細かい実務的な部分も深掘りが必要だということであれば、事務局のほうで関係団体なり関係者の方にお話を伺って、それをまとめた上で資料を出していただくことも必要かなと思っております。そこはまた御議論いただければと考えております。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 いずれにしても、事務局のほうで論点をまとめるのは大変だと思いますけれども、漏れなくまとめていただければ。よろしくお願いいたします。
 では、大体予定の時間になりましたので、本日の議事は以上で終了いたしたいと思います。充実したディスカッションもできましたし、ヒアリングの皆さん、本当にありがとうございました。
 では、今後の予定について事務局からお願いいたします。

○大竹企業年金・個人年金課長 
 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、次回、論点のまとめということを予定しております。議題や開催日程について、また追って連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 それでは、第24回「企業年金・個人年金部会」を終了いたします。御多忙の折、皆様、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。