第49回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和5年8月9日(水) 10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第13会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第49回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は御多忙のところ、委員、参考人の方々には御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
本日の議事は、公開・頭撮り可としております。また、前回と同様、議事の様子につきましてはユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
開催に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介を申し上げます。7月4日付で大坪健康局長、佐々木生活衛生・食品安全審議官が内閣官房の新型コロナウイルス推進担当官審議官併任となってございます。また、7月18日付で堀予防接種担当参事官が着任しております。
初めに、大坪健康局長から御挨拶を申し上げます。
○大坪健康局長 おはようございます。今日もお時間をありがとうございます。大坪でございます。4月8日付で佐原健康局長の後任として健康局長を拝命いたしました。
先生方にはこれまで、ワクチンの当初からずっとお世話になってこれを順次進めてまいったところでありますが、今後もどうぞ引き続きよろしく御指導ください。
今日は新しく私の後任で佐々木が座っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 続きまして、佐々木生活衛生・食品安全審議官から御挨拶を申し上げます。
○佐々木生活衛生・食品安全審議官 佐々木でございます。
現在、生活衛生・食品安全審議官で、例えば検疫、水際対策等を担当しております。あわせて、今回、ワクチンも担当させていただくことになりました。大坪局長、また、事務局の皆ともども先生方のお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございました。
次に、本日の出欠状況につきまして、御報告をいたします。本日は清元委員、森尾委員、丹下参考人から欠席の連絡を受けております。現在、委員17名のうち15名に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告申し上げます。
また、本日は、参考人としまして、日本小児科学会より日本大学医学部小児科学系小児科学分野の森岡一朗教授に参考人としてお越しいただいております。
○森岡参考人 よろしくお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
また、本分科会の資料につきましては、あらかじめ送付させていただきました電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号07の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、本日の頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほど、お願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、ここからの進行は脇田分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 委員の皆様、本日もよろしくお願いいたします。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について、御報告をお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員、参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、薬事承認等の申請書類への関与について申告いただきました。委員及び参考人からの申告内容については、番号07の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日の出席委員及び参考人の寄附金等の受け取り状況から、参加規程第9条により、中野委員が寄附金等の受け取りの実績があり、かつ、その額が50万円を超え、500万円以下の年度があることから、議決不参加の基準に該当いたしますので、意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
引き続き、各委員、参考人におかれましては、講演料等の受け取りにつきまして、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お手数ですけれども、引き続きよろしくお願いします。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、今日の議事に入ってまいりたいと思います。今日の議題は「新型コロナワクチンの接種について」ということになっておりますので、まず事務局から新型コロナワクチン接種の現状について説明していただいた上で、議題についても説明をお願いいたします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず、早速事務局から御説明をさせていただきます。資料1と右上に書いてございます、「新型コロナワクチンの接種について」の資料を御覧ください。
まず、前半でコロナワクチン接種の現状として簡単に御説明をいたします。3ページ目以降でございます。最近の接種の状況についてお示しをしております。
4ページ目は、令和4年秋開始接種以降の接種の状況を全体的なグラフとしてお示ししているところでございます。この7月30日時点においては、接種率が65歳以上では52.4%というところでございました。
5ページ目以降は、感染症の状況でございます。5ページ目は定点当たりの報告者数等の情報、6ページ目は入院者数等の情報でございます。
7ページ目以降にお進みいただきまして、変異株の発生動向、アドバイザリーボードに示された情報でございます。最近、XBBの流行が主となっておるというところでございます。8ページ目には、その内訳として感染症研究所から報告されているゲノムサーベイランスの情報がお示しされております。
続きまして、本日の論点でございます。10ページ目にお進みいただきますと、【1】番に令和5年秋冬の接種について、【2】番に6年度以降の接種についてという議題を御用意してございます。それぞれ論点がございますので、事務局からまず御説明をさせていただきます。
12ページ目までお進みいただけますでしょうか。まず、秋冬の接種についてということで、令和5年3月に本分科会で御議論をいただきまして、現在示されている方針を抜粋してございます。今年度の接種につきましては、「目的及び対象者」として重症者を減らすことを目的として、高齢者など重症化リスクの高い者を接種の対象とする。また、リスクの高くない者であっても、重症者が一定程度生じているという状況を踏まえまして、接種機会を確保するといった考え方が示されていると承知しております。
その下、「2023年秋冬の接種について」ということで、接種の準備を進めることとなってございました。マルの1番で全ての者を対象に接種を実施すること、そして使用するワクチンについては今年度早期に結論を得ることとなってございます。こちらの2番のほうにつきましては、前回6月16日に実開催をさせていただいた分科会において決定をいたしております。他方、対象者につきましては、12ページ目の下のほうに書いてございますとおり、今年3月にWHOが指針を公表したこと、あるいは各国において接種プログラム等が公表されていることを踏まえまして、接種の対象者について、今回、御確認をさせていただければと考えてございます。
13ページ目以降が3月時点での方針ということで、接種の対象者及び公的関与の範囲ということで記載をしてございます。13ページ目の上側のブロックは追加接種に関すること、下のほうは初回接種に関することでございます。初回接種のほうは現時点で重症化リスクの高低を問わず公的関与がかかるという形になってございます。
14ページ目も3月時点の状況でございます。
15ページ目にお進みください。「WHOの新型コロナワクチンの利用に関する指針」ということで、3月30日に公表されたものでございます。上のリード文にございますとおり、接種により得られる公衆衛生上の利益を踏まえて、定期の接種プログラムにおいて、高齢者等についてはさらなる追加接種を推奨する一方で、健康な乳幼児、小児、成人等に対するさらなる追加接種は定期的には推奨しないとされております。また、健康な乳幼児、小児については、初回接種、追加接種についても疾病負荷等を踏まえて各国において検討すべきであるとされてございます。
このページの真ん中の表にございますように、プライオリティーを高い、中ぐらい、低いとした上で、それぞれの接種について推奨を出しているというところでございます。一番右側の「更なる追加接種」というところは、ルーチンの接種プログラムというイメージで記載があったと認識しておりますが、プライオリティーの高い者については推奨、それ以外の者については定期的には推奨しないといった形で示されているところでございます。
続きまして、16ページ目以降は諸外国の状況でございます。16ページ目には初回接種の状況を記載してございます。詳細は割愛させていただきますが、御覧いただけますとおり、重症化リスクの高い者に限って初回接種を行っている例えば英国やドイツがある一方で、米国、カナダ等においては比較的幅広い対象者に初回接種を行っているといった状況かと認識しております。
17ページ目以降が追加接種に係る諸外国の状況でございます。こちらも春のプログラム、秋のプログラムということで少しビジーになっており恐縮でございますが、現在、春から夏にかけてというシーズンでございますけれども、各国を見ていただきますと、高齢者や重症化リスクの高い人に対して追加接種を行っているという国がほとんどでございます。
続きまして、18ページ目以降は接種の対象者について、各国において線の引き方といいますか、対象者の具体的なところが少し異なっておりますので、補足としての資料でございます。
続きまして、19ページ目以降でございますが、こちらは少し小児について特化した形で抜粋をしてございます。リード文にございますとおり、6か月から17歳の若い方に対しましては、初回接種、追加接種は、米国やイスラエルにおいては健康な小児にも接種を可能としている一方で、多くの国では高リスクの子供にのみ接種を推奨しているといった状況になってございます。
また、追加接種に関しても同様に、20ページ目でございますけれども、さらなる追加というものを推奨している国においては、基礎疾患のある方となっている。接種する機会を提供するといったイメージだと認識しておりますが、そういった場合ですと、フランスでなどについては希望者等々にも接種の機会を提供するといった形になっていると認識しております。
以上が諸外国の状況でありまして、21ページ目以降は、国内の感染の状況について少し再掲等をしながら御説明をさせていただきます。21ページ目でございますが、現在、定点の把握となってございますが、上側のブロックは発症者数の定点報告でございます。直近ですと、表のほうを御覧いただきますと、全体的に少しずつ増えているという状況でございますが、年齢別に見ますと、10歳未満、10代といったところが少しボリュームゾーンになっているのかなと認識をしております。
続きまして、22ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらは少し前のデータでございますけれども、令和4年12月のアドバイザリーボードに示されております、令和4年1~8月における、いわゆるオミクロン流行期における新型コロナの重症化率・致死率等についてということで、専門家の議論に供されたデータでございます。こちらは、協力の得られた3県のデータを活用したと認識しておりますけれども、各年代別の重症化率・致死率等を計算可能な県において分析をしたということでございます。下の表を御覧いただきますと、2か月ごとに推移を見ているというところでありますが、10歳未満や10代、20代等は、感染者数は多い一方で、重症化している者は比較的少ない。幸いこういった世代はリスクが高くないということが見てとれるかと思う一方で、右のほうの高齢の方になりますと、感染者数に比して重症化する方、あるいはお亡くなりになる方というのが多くなってございまして、重症化率・致死率といったものが数字として大きくなっているということが年代別に把握できるといった状況かと思っております。
以上が事務局から御用意いたしました諸外国の状況、あるいは国内の感染の状況でございます。
本日は、小児科学会から特にお子さんの疾病負荷の状況ということでぜひ御説明をいただければということで、森岡参考人に御出席いただいておりますので、よろしければ小児科学会からも御説明をいただければと思いますが、脇田分科会長、よろしいでしょうか。
○脇田分科会長 承知しました。
では、森岡参考人から御報告いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○森岡参考人 御紹介いただきました、日本小児科学会から来ました、日本大学小児科の森岡でございます。どうぞよろしくお願いします。
それでは、資料2をお願いいたします。少しまとめてまいりましたので、よろしくお願いいたします。
2ページ目には、日本小児科学会予防接種感染対策委員会から出されています新型コロナワクチン接種に対する小児への考え方です。下線のところでございますが、国内小児に対する新型コロナウイルス感染症の脅威は依然として存在することから、これを予防する手段としてのワクチン接種については、日本小児科学会としての推奨は変わらず、生後6か月~17歳の全ての小児に対しまして、新型コロナワクチン接種(初回及び適切な時期の追加接種)を推奨しますという形で出しております。
次のページをお願いいたします。この「小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」でございますが、先ほど事務局からも御説明があったように、WHOの発表におかれましては、健康な小児に対する新型コロナワクチンの接種はロープライオリティーとしておりますが、国ごとに疾病負荷、費用対効果、機会費用を照らし合わせた方針を検討すべきとしております。後ほど提示いたしますが、国内では、全体を見ますとまれという範疇に入ってくるかもしれませんが、急性脳症、心筋炎などの重篤な合併症の報告が出てきております。私たちが学会の中の委員会で調査を進めていく中では、小児に対するワクチン接種においては発症予防、重症化、入院の予防の効果は確認できていると考えております。
次の4ページ目になります。小児の重症・中等症の患者数の変化を棒グラフで示しているところでございます。青の線は全体の重症・中等症の患者数でございますが、そのうち赤の線が基礎疾患のあるお子さんになります。こういった分布になっておるわけでございますけれども、それを少しこれからまとめてまいりたいと思います。
次に、5ページ目をお願いいたします。小児の中等症・重症例の基礎疾患の内訳でございます。7波、8波で基礎疾患があったお子さんというのは、中等症・重症例の408例の中で148例いたということになります。以下が基礎疾患の具体的な内容になるわけですけれども、横に青の四角で書いてあるところでございますが、神経・筋疾患、医療的ケアが必要なお子さん、慢性の呼吸器や心疾患、そして早産児などが主な基礎疾患に当たると考えられます。
次に、6ページ目でございます。これも円グラフにしたところでございますけれども、基礎疾患のある方が約3割、残りの7割の基礎疾患のない方が小児の重症・中等症に至っているという状況でございます。
次の7ページ目でございますが、小児の重症・中等症の年齢別の割合を円グラフに示したものでございます。ここを見ていただきますと、一番多いところは、いわゆる小学校に入る前、1歳から5~6歳ぐらいまでのところが約半数を占めているということになります。その次は小学生、それから1歳未満の乳児というところが年齢別の割合になっております。
次の8ページ目でございますけれども、こういったお子さんが入院する理由でございます。一番多いのは、約4分の1を占めています青といいますか、グリーンといいますか、一番右下のところに「けいれん」と書いていますように、けいれんを起こして入院をするというお子さんが一番多いということになります。その次は、左下の急性脳症と赤色のところにあります肺炎がほぼ同程度という形になりまして、神経疾患、それから呼吸器疾患に伴って入院しているという現状でございます。
9ページ目です。そういった中で、中等症・重症例で入院を要するようなお子さんに対しましてのワクチン接種歴を調べたものを円グラフにしてもいるのが9ページ目でございますけれども、8割はワクチン接種が行われていないというお子さんになります。接種ありの人は4%でも起こってはいますけれども、多くはワクチン接種歴のないお子さんがこのような入院症例に至っているということになります。
次の10ページ目になります。これは国立感染症研究所から出されています20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査の内容を記載しております。内因性死亡と考えられました20歳未満の方50例を見ていきますと、死亡した中で5~11歳、1~4歳というところが多くを占めているところでございます。そのような亡くなられた方の新型コロナウイルスワクチンの接種を見ていきますと、接種対象外の年齢が5割いたわけですけれども、接種対象年齢のお子さんにおいても未接種が多く占めるというところになります。88%という状況でございます。
次に、11ページ目でございます。こういった20歳未満の方はどういった形で死亡されるかということになりますけれども、先ほどありましたように、急性脳症をはじめとする中枢神経系の異常、それから循環器系、呼吸器系。循環器系では急性心筋炎、呼吸器系は肺炎、細菌性の合併も含んでおりますけれども、こういった中枢神経系の合併症を生じているということになります。
発症から死亡までの日数でございますけれども、中央値で3日ということになっております。基礎疾患の有無に関しましては、基礎疾患ありが4割、基礎疾患のない方が6割という形になっています。
続きまして、12ページ目でございますけれども、その基礎疾患の内訳を分かった範囲で書いておりますけれども、中枢神経疾患、先天性心疾患、染色体異常という方が挙げられております。
13ページ目になりますけれども、これは新潟県のデータでございますけれども、2020年、21年、22年となっておりますが、このように後半にオミクロン株の流行が進んでから、この棒グラフでいいます治療のために入院するケースというのが増えてきているという現状でございます。もちろん点線で書かれています患者数、感染者数が大きく増えてきているのに伴って、治療を要する入院の患者さんも増えてきているという現状でございます。
14ページ目は、新潟県におけます熱性けいれんでございますけれども、熱性けいれんは大体小学校に入る前までのお子さんが多いものでございますけれども、このように小学校入る前、1~2歳はもちろん多いわけでございますけれども、もう少し大きなお子さんに対してもけいれんが出てきているという現状がございます。
15ページ目になります。こういった状況で学校や幼稚園等で今後流行するということが考えられているわけです。今、私たち臨床の現場においても、いろいろな夏風邪がはやっている中、RSもヒトメタニューモも新型コロナも混ざっています。RSやヒトメタニューモのピークは少し落ち着いたような感じがしますけれども、新型コロナは、実診療ではオミクロン株流行以降に小児患者数が急激に増加しています。学校閉鎖、学級閉鎖等も行われています。今までは、小児へは成人からの伝播というのが多くを占めていたのですが、オミクロン株流行後はインフルエンザのように子供同士で感染する機会が増加しているということになります。先ほど提示しましたように、全体からすればまれという状況にはなりますが、コロナ感染によって重症例、入院症例というのがございますので、感染拡大というのが起これば、このような重症例は当然ながら増加していく可能性が考えられます。
ただし、ワクチン接種の要否につきましては、かかりつけの小児科医等とも相談しながら、納得した形で判断していくことが重要であると考えます。
16ページ目は、国内における年齢別のワクチン接種率を表にしたものでございます。小児の部分は5~11歳、6か月~4歳のところを示していますけれども、やはり65歳以上の高齢者に比較しまして非常に少ない接種率になっております。5~11歳は1回目、2回目は2割強程度、6か月~4歳におかれましては1桁パーセントになっておりまして、ワクチン接種率としてはこのような現状と理解しております。
最後の17ページ目がまとめでございます。この新型コロナウイルス感染では、オミクロン株に変わってから、まれではありますが、重症例・入院症例というのが増加している現状がございます。小児のワクチン接種率はいまだ低い状況が続いています。今後、学校等で流行し始めますと、患者数が増加することが想定されます。患者数が増加しますと、その分重症例が増えるというふうにつながっていくのではないかと考えます。したがいまして、ワクチンによって重症化が防げるということがございますので、接種を希望する小児においてはその機会を提供する必要性があろうかと考えます。
ただし、こういったいろいろな御意見もございます。ワクチン接種に関しましては、十分かかりつけの先生とも相談しながら、納得した形で判断を進めていくことが重要ではないかと考えます。
以上になります。
○脇田分科会長 森岡先生、どうも御説明をありがとうございました。国内の小児のコロナの現状とワクチンの考え方を御説明いただきました。
この後、また事務局の説明の後にディスカッションがありますので、そのときにもし委員の皆さんから森岡先生への御質問等があれば、また対応していただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、引き続き事務局から追加の説明をお願いいたします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。森岡先生、ありがとうございました。
資料1にお戻りいただけますでしょうか。こちらの23ページ目でございます。今回の論点の「接種の対象者等について」のまとめでございます。情報は、先ほど御説明したとおり、2月、3月の議論及び接種の方針を踏まえまして、接種の目的及び対象者は以下のとおりと書いてございます。重症者を減らすことを目的として、高齢者などの重症化リスクの高い者を接種の対象とするということが基本でございます。そのほか、その次のところでございますけれども、現在実施している接種の公的関与の規定の適用の状況は以下のとおりでございます。初回接種については全ての者、追加接種については高齢者等重症化リスクの高い方になってございます。
諸外国の状況として、先ほど御説明したとおりWHOにおきまして、高齢者等についてはさらに追加接種を推奨する一方で、それ以外の方については定期的な接種というものは推奨しないといったこと、あるいは健康な乳幼児、小児については、初回接種を含めて検討すべきとされているところでございます。
我が国における流行状況として、全体の状況としては事務局で御説明をいたしましたとおり、高齢者の重症化率や致死率というものは高い一方で、それ以下の世代については重症化率・致死率は低いという現状にあると承知しております。先ほど森岡先生からも御説明があったように、重症化例はまれではあるけれども、こういった内容で重症化して加療されているお子さんがいるといった状況もあるかと思っております。
以上を踏まえまして、事務局の案といたしましては、下の【接種の対象者について】でございますけども、今後の秋の接種の対象者について、今般、WHOの声明、あるいは我が国における流行の状況を踏まえまして、引き続き重症者を減らすという目的の下で、高齢者など重症化リスクの高い者を接種の対象としつつ、その他全ての者については接種の機会を提供するということとしてよいかということでございます。
2つ目は、公的関与の規定の適用につきまして、秋冬の接種の目的が重症化予防といったところでございますので、重症化リスクの高い者については接種の機会を提供することとされております。こうしたことを踏まえまして、秋以降の接種における初回接種の公的関与の規定の範囲は、重症化リスクの高い者にのみ適用するといったこととしてはどうかということでございます。
以上、事務局からの御説明でございます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
ただいまの説明は、主には令和5年の秋冬の接種についての対象者についてというところ、そして、その接種対象に関する公的関与の規定をどのように考えるかというところで、これはこれまでに既に議論を行ってきたところでありますが、事務局案を提示していただきました。あわせて、秋冬の接種以降、初回接種の公的関与の規定についても同様に考えてはどうかといった事務局からの御提案ということであります。
では、今の事務局の説明、そして森岡先生からの小児に関する御説明を合わせて、委員の皆様から御質問、御意見等があれば、お願いしたいと思います。その上で、事務局案に対する考え方を決めたいと思っております。
では、よろしくお願いします。
まず、坂元委員、そして池田委員、それから白井委員。順番にお願いします。まず、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
森岡先生、貴重なデータ、御説明をどうもありがとうございました。今の森岡先生の御説明を聞いていると、健常な子供さんへの公的関与を外すということに関して一つ重要なことは、公的関与を外しても構わないけれども、周知の機会を確保するということはすごく重要だと思います。公的関与を外してしまうと、いわゆる接種勧奨というのがなくなる。そうすると、市町村の中には必ずしも市民の方にいわゆる案内を送ったりする義務等がなくなりますので、そういう意味では接種の機会の確保というのが損なわれる可能性があるので、公的関与を外すということがあっても、接種機会の確保に努める、周知に努めるという文言は、私は必ず入れるべきだと考えております。
それから、もう一つが接種を推奨しないという言葉、これは多分日本語の響きで、推奨しないという言葉を聞いたときに接種するとまずいというニュアンスも同時に伝わってしまうので、それは接種対象年齢とはしないという中立的な表現に改めるべきではないかと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
続きまして、池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
森岡先生の御説明、ありがとうございました。こちらについてちょっと確認といいますか、私が聞き逃したのかもしれないのですが、1点目でございます。小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方というところで、疾病負荷、費用対効果、機会費用といったところの検討というのをWHOがすべきというふうにしているということでございまして、それを考える上で2点教えていただきたい。
1点目でございますが、小児の中で基礎疾患ありとみなされる小児というのは、大体どのぐらいのパーセントいるのかということをまず教えていただきたいと思います。
もう一点でございますが、資料2の4ページ目のグラフで、基礎疾患ありの方の重症化という数がちょっと目立つような形にはなっていますが、第6波のときにはそうでもなくて、7波、8波のほうで基礎疾患ありの方の数が多いように見えるのですけれども、これは流行株の問題なのか、あるいは何かワクチン接種、その他と関連があるのか、あるいは例えば第6波のときには基礎疾患あり等の情報の収集についての課題があってこういうことになっているのかということで、このグラフをどのように読み解けばいいのかということを教えていただければと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 枚方市の白井です。よろしくお願いします。
森岡先生のお話、ありがとうございました。その中で1つ御質問なのですけれども、12ページに亡くなった方の基礎疾患の積極的疫学調査からのデータということだったのですが、先天性疾患などはあらかじめ分かっている病気だと思うのですが、その辺はあらかじめ分かっていたのか、積極的疫学調査で分かったということなのかということなのですが、そうなると、主治医の先生との信頼関係の下に接種機会が提供されていたのかということが気になりました。
小児については、どうしても初回接種の開始の遅れがあったとは思うのですけれども、主治医の先生にも適切な情報提供があったのか、これからもですけれども、気になるところです。
また、事務局案で重症化リスクの高い方には公的関与ということなのですけれども、特に高齢者とは限らないのですけれども、自治体はどなたが重症化リスクが高いかというのが分からないという議論があったと思うのですが、小児の場合には、小児慢性特定疾患と障害者手帳をお持ちの方などが把握できる範囲ではあるのですが、どういう形でその重症化リスクの高い方にのみ適用するということを運用したらいいのかということを御示唆いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
まだ多く手が挙がっているので、順番に御発言いただきます。
続きまして、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。私からは、資料1の事務局案に1点御質問をさせていただきます。
これまで、本分科会においては、公的関与に関しまして、努力義務をどうするかということが繰り返し議論されてきたと理解しています。私自身も委員の一人として日本の公的関与の中には努力義務と接種勧奨という異なる2つの要素が入っていて、それをどう考えるかがそれぞれの受け取り手によっても違って、なかなかこれが十分理解できていないところもあるのではないかということを申し上げたこともございました。
今回の頂いた事務局案の資料1の23ページでございますけれども、公的関与の規定を適用しないという言葉で表現いただいておりますので、これはすなわち接種勧奨も努力義務も共に適用しないという理解でよいかということを再度確認させていただきたいと思います。私も小児科学会の会員ですし、森岡理事が先ほど発表されましたけれども、小児科学会の予防接種・感染症対策委員会としては、現状も子供たちの接種を推奨しております。その点もあって、再度確認しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。お話をありがとうございました。
まず、公的関与の規定を高齢者など重症化リスクが高い者を対象にすることについては、それでいいと思います。この高齢者などですけれども、引き続き65歳以上ということでよいのかどうか確認をさせてください。重症化の負荷、リスクを見ると、60代と70代ではそれなりに違いがあるのですけれども、恐らく市町村でいうと65で切るか75で切るかしかないということで65になるということかなと考えています。そういうことでよろしいのか、確認をしたいのが一点です。
2つ目です。小児についてですけれども、森岡先生、お話をありがとうございました。1点確認をしたいのですが、9ページの小児の中等症・重症例の円グラフのところです。これはN数は前のページと同じ424でいいのかどうか、また、この円グラフなのですけれども、なしが8割になっていて、不明が15.1%、ありが4.6%ですけれども、母集団も多分同じというか、接種率が低いので、重症化していない人でデータを取っても似たようなグラフになるのではないかと思います。そうすると、重症化している人の接種率と、していない人の接種率を比較しないといけないのではないかと思ったのが、気がついた1点です。
それから、小児について、季節性インフルの接種率との違いのようなものがあれば、教えていただきたいと思いました。季節性インフルは、特に小さいお子さんはワンシーズンに2回受けなければならない、しかも任意で受ける結構負荷の高い、接種する負担の大きいワクチンだと思うのですけれども、それなりに接種が進んでいて、新型コロナの接種率と比べて高いのか低いのかというのはお聞きしたいところでした。
何回か前に専門委員の先生から、コロナのほうが脳症やけいれんの発症確率が高いというお話があって、それはとても気になっているところです。高熱を発すれば、一定数でけいれんが生じたり、脳症が起きたりするだろうと思っておりましたが、コロナのほうが発生率が高いという御発言があったので、そういったデータがあるのかどうかも教えていただければありがたいです。
以上です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
続きまして、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。先ほどの森岡先生からの御説明、そして小児科学会としての結論として、生後6か月から17歳の全ての小児に新型コロナワクチン接種初回及び追加を推奨しますという御意見に私は賛同申し上げます。私は小児科医ですが、このような学会からの意見を今後も非常に重視していくべきだろうと思います。
その中で、まず一つは、中野委員からも御指摘がありましたが、今回は公的関与という整理がされていて、接種勧奨と努力義務という2つを包含する形で公的関与という表現がなされている。このことに私は大変賛同申し上げるところです。というのは、公的関与の中の接種勧奨は当然としても、努力義務というのがかかるのか、かからないのかということで、義務という名称に対する国民の皆さんの非常に強い認識がおありになるので、公的関与という表現のほうがより適切だろうと感じます。
この公的関与があるかないかの違いは何かというと、国としてのワクチンの推奨に少し程度の差をつけるということだろうと思います。公的関与があるほうが接種の推奨の度合いが高いという認識だろうと私は理解をしています。その場合に、初回の接種と追加接種の間での意味づけの違いがあるのかどうかということになりますと、これはまた場合によっては専門の立場から御指摘をいただきたいところですが、ワクチンの初回の接種を終了すると、まず中和抗体などは上がりますが、一方で細胞性免疫の記憶ということも当然あるわけなので、全然接種をしていない人と比べると、初回接種が終了していて、仮にその後かなり年限がたっても、それは全くやっていない人とは違いがあるだろうとは思うのですけれども、このコロナのワクチンについては特にそのうち免疫を忘れてしまうということが割合早く見られるということも分かっていて、追加を行わないで初回だけで終了してしまった場合にどうなのかというところについては、現時点ではまだ十分効果がよく分かっていないというところがあるのではないかと思います。
したがいまして、初回なのか追加なのかということは、今後はあまり区別せずに、ワクチンの接種をやるかやらないかということに徐々に整理されてくるのではないかと思います。したがいまして、初回だから公的関与がどうの、追加だから公的機関はどうのというよりも、ワクチンの接種に関して公的関与をするかどうかという議論に徐々になっていくのではないかと思います。
そのことを前提として、今回の事務局の提案については、秋以降の接種における初回接種の公的関与は、重症化リスクの高い者のみに適用するということは当面それでもよいと思います。いずれこの公的関与というのは初回がどうのとか、追加がどうのというよりも、当該ワクチンの接種に関して整理されていくという方向に向かえば、より国民にとって分かりやすくなるのではないかと思います。
もう一点、坂元委員が指摘されましたけれども、ワクチンに関する周知をしっかり行うということは今後もずっと必要で、特に今日の森岡先生のお話にありますように、小児に対しては学会としてずっと推奨していくという方針でいくとすれば、ワクチンに関する情報の提供というのはずっと行われないといけなくて、予診票が送られなくなるとワクチンに対する情報が届かなくなるということは大いに注意しなければいけなくて、そのことについては私からも強くお願いをしておきます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
特に小児へのワクチン接種に関しては、今日提示されたようなまとめのようなしっかりとしたデータを基に考えていただくということが重要だと思いますという意味でも、情報の周知、情報の提供が必要という御意見だったと思います。
続きまして、日野参考人、お願いします。
○日野参考人 ありがとうございます。
森岡先生、今日はすごく貴重なお話をありがとうございました。私は重症化リスクの高い疾患などを持っている方の範囲のことが気になりまして、質問させていただきます。今後の対応というか、特に今、初回かどうかという話もありましたけれども、初回接種の公的関与の中では重症化リスクの高い者にのみという形になっていますが、もともと最初にコロナワクチンを接種するとき、たしか先行接種のときに、こういう重症化リスクの高い人は先に打ち始めるということがありましたね。そのときに、去年でしたか、当分科会、または方針部会のほうで重症化リスクの高い基礎疾患を有する者の範囲はきちんと明文化されていますけれども、当初はそれがなかったために、結局先行接種に自分が該当するかどうかをみんな逐一自治体に電話をして問い合わせて聞いていたのですよ。自分は該当しますかとか、先行接種を受けたいので申し込みますという申込み行為をしないと、実は先行接種の対象にならなかったのですね。
それで、今回すごく気になるのが、ちょうど昨年の44回の予防接種・ワクチン分科会の資料にあったのですけれども、重症化リスクの高い基礎疾患を有する者の範囲ということでちゃんと全部列挙してあるのですけれども、かなり幅が広い。例えば慢性の呼吸器の病気や慢性の心臓病、高血圧を含むなどと記載があるのですけれども、例えば高齢者の肺炎球菌などは、60歳以上から受ける方はこのリスクが高い方ということで、呼吸器の病気等で障害手帳の1級以上を持っている人みたいに、その病気の中でもちゃんと基準が示されているのですよ。そういうものがないと、私は実は高血圧なのですけれども、この慢性の心臓病に該当するのかなというのが自分で判断がまずつかないので、そちらの判断基準はどうなっていくのかなというのが気になっています。
あと、同時に、そういった情報はそもそも役所は持っていないではないですか。例えば特定保健指導を受けているとか、特殊疾病の医療証をもらっている人だとか、手帳をもらっているという人だったら、役所はそういう情報を持っていますけれども、私みたいに高血圧の人などは役所が情報を持っていませんから、情報を持っていない人に対してどうやってあなたは重症化リスクが高いから接種してくださいねという勧奨ができるのかなというところがすごく疑問なのですけれども、そこはどういうふうにして私たちに自分が対象者だから受けてくださいという情報を得られるのかという観点で御質問いたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
次に、鈴木基先生、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
小児に対する接種の考え方について、先ほど森岡先生から非常に詳細な御説明をいただきましてありがとうございます。
今、論点になっておりますように、確かに今、接種率が高くなくて、一方で、一部ではあるけれども重症化するお子さんがいるということで、そこに注意をしなくてはいけないというところで、それに基づいて考えないといけないのですが、あともう一つ考えなくてはいけないのが、抗体保有率です。血清疫学調査を見ますと、小児の自然感染による抗体獲得率が急激に上がってきています。今年5月の献血の調査では、献血の対象者が16歳以上ですので、それでいうと16~19歳については、60%が感染で既に抗体を獲得している。献血以外の子供のデータというのはそのほかのスタディーから情報収集するしかないのですが、明確には数字は申し上げられませんけれども、少なくともこの16~19歳よりも高い、つまり5月の時点で6割以上は既に自然感染で抗体を獲得していると推定されます。ですので、特にこの1年間で15歳未満の抗体獲得率というのは非常に急激に上がってきています。
確かに自然感染で獲得した抗体も再感染を予防するという効果は完全ではないですし、また、時間とともに減弱はしてきますけれども、とはいえ、再感染したときの重症化リスクというのは、当然1年前に比べれば低いと考えられます。これがさらに今後下がっていくということが予測されます。
ということで、確かに小児に対して、特に重症化リスクが高い子供さんに対してはしっかりと接種する機会を与える必要があると思いますが、一方で、大半の子供が既に自然感染によって抗体を獲得しつつあるという現状の中で、子供たちに対して接種率を現状よりもさらに高めるということは、それほど優先順位は高くないのではないかというのが私の現在の見解です。
以上です。
○脇田分科会長 鈴木先生、どうもありがとうございました。別の視点からの御意見だったと思います。
続きまして、福島委員、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
森岡先生から小児に関する詳細なお話をいただきまして、オミクロン株流行下における疫学状況が大変よく分かりました。ありがとうございました。
全体的に重症化する割合が下がってきておりますので、ワクチンに対する負の感情が高まっているというのも私は感じるところなのですけれども、ワクチン接種による免疫獲得があまりない状況で生のウイルスに曝露された場合に、これぐらいの頻度でかなり重篤な事象が起こり得るということも一つの貴重な情報かと思いました。その上で、先ほど鈴木先生が述べられたように、自然感染による免疫獲得がどんどん進んでいるということも、今後考えていかなければならないというのは私も感じております。
そのような情報を勘案して、本日、資料1の23ページで、事務局案でお示しされました令和5年秋開始接種の方針については、私は異存はございません。
1つ御質問させていただけるのであれば、資料1の24ページの図なのですけれども、これも先ほど来、多くの委員が指摘されていますが、「公的関与なし」が、「接種を受けることができない」と間違って理解されるのではないかということは私も心配しております。これは事務局への御質問なのですけれども、例えば令和5年秋開始接種の赤枠囲みですが、接種対象のほうを先に持ってきてはいけないのでしょうか。どなたも接種機会がありますと。予防接種法の下で無料で受けることができますよと。ただし、行政的な公的関与としては濃淡があります、といった表に替えていただくことは可能でしょうか。もちろんこれは行政資料としての視点ですので、一般向けには使いませんということであれば、それでいいのですけれども、この赤枠囲みの例えば一番下の「初回接種の6か月以上の健常な方」にバツが赤でついており、私ですらこれを見たときに、まだまだ接種機会を提供してあげたらいいのに、しかもXBB対応1価ワクチンも利用可能になるのに、と思ってしまいました。よく見ると、接種対象としては皆さん接種を受けることができるのですねというふうに、私ですら混乱してしまいましたので、レイアウトの工夫をいただけるとよいのではないかと思います。
結局、公的関与といっても、基礎疾患ありの方だけに接種券を送ることはできませんので、リーフレット等を入れて、御自身で判断していただくことになろうかと思いますので、皆さんに接種を受ける権利がありますということを明示していただくのはいかがでしょうかと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
次に、伊東亜矢子委員お願いします。
○伊東委員 ありがとうございます。私からは1点だけでございます。
森岡先生から本日、小児のワクチンに関する意義の部分を御説明いただいて、よく理解できましたが、接種率自体が低いので、あまり大規模な調査がしにくい御状況かもしれないのですが、リスクの部分、副反応の部分については小児においてどのような御状況かということを教えていただける範囲で教えていただきたいのと、先ほど来、複数の先生方から周知が必要だというお話がありまして、同意でございますが、そういったときにリスクの部分も含めて御案内、御周知をいただくのがよろしいのではないかなと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、最後に伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
今回の事務局の提案は初回接種も推奨しないと言い切るところが新しいところだと思います。コホート調査を担当させていただいておりますと、小児の接種者を収集するのに大変苦労しておりますし、一般の方々の御意見を聞きますと、事務局の提案というのは妥当なのかなとは思います。
一方で、今回、公的関与という言葉をお使いになられていますが、一般の方々は努力接種という言葉についての抵抗が大変強いところだと思うので、こういった用語を使うということはいいことだと思いますが、坂元先生もおっしゃられたように、自治体も接種勧奨しない、イコール打つ必要がないというメッセージにならないようにしていかないといけないのではないかなと思いましたので、その点について再度強調させていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、一区切りというところで、私からも皆様からの御意見に特に付け加えるところはないのですけれども、多くの御質問をいただきました。森岡先生には小児のこと、資料に関しても御質問があったので、少しそこは整理してお答えいただくということですが、まずは事務局から、今、幾つか問題点が委員の先生方から挙げられましたので、それについて私のほうでも整理し切れないところもあるのですけれども、順次事務局からレスポンスいただけますでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。御指摘、御質問ありがとうございます。幾つか重複した内容等の御質問もあったかと思いますので、順次御回答させていただきます。
まず、冒頭の坂元先生以降、周知の機会を適切に確保することが重要であるという御指摘をいただいておりますが、まさに私どものほうでも情報提供の資材等をお作りさせていただいているところでございます。こういったものを例えば自治体の接種券を送付されるタイミングに合わせて作るようにという御指摘もいただいているところでございまして、今、まさに今回お諮りした内容がもしお認めいただけるのであれば、そういった形で接種の対象者の範囲等々についてリーフレット作成をして、適切なタイミングで自治体説明会等でお示ししたいと思ってございます。こういった形で機会の周知ということはぜひさせていただくようにしたいと思ってございます。
また、医療機関に対してもそういったことを情報提供すべきという話でございましたけれども、私どものほうでお作りしている手引等を適切に更新させていただいて、周知をさせていただくということもぜひ並行させていただければと思ってございます。
福島先生等からも御指摘をいただいた、接種の対象としつつ、公的関与の範囲を検討しているということでございますので、先生御指摘のとおり接種の対象が前にあって、その中での公的関与の範囲がどうかということでございますので、こちらはメッセージが分かりやすいような形で改訂をさせていただいて、お示しするようにしたいと存じます。
24ページ目は、説明をしておりませんでしたけれども、仮に今回お諮りしている内容が認められればこういった範囲かということで図にしたところでありますけれども、併せてメッセージのほうも誤解のないようにしたいと思ってございます。
中野先生等からも御指摘をいただいた公的関与の範囲ということでございますけれども、基本的には春の接種と同様に考えておりまして、従前、例えば妊婦さんの方、あるいは小児に対する努力義務という議論をした際には、努力義務という形で議論をさせていただいたかと思うのですけれども、令和5年度の接種に関しましては、接種の目的を踏まえて、公的関与の範囲そのものをどう考えるかということで御議論いただいていたかと思いますので、2つの要素、すなわち努力義務と接種勧奨というところを併せて検討しているものと認識しております。
そういった形の中で、接種勧奨を市町村がするときに接種の勧奨の対象者が分かりにくいという御指摘をいただいております。これは今年の冬の時点でそういった問題点というか、運用上の問題点を御指摘いただいているかと思っておりまして、接種の勧奨の方法につきまして、事務連絡等でも御案内をしているところでありまして、リスクのある方のみに接種券を送るというのは御指摘のとおり難しい状況でありまして、その場合に例えば対象となる年齢の全ての方に送った上で、中にその範囲のリーフレットといいますか、情報を入れていただく等の方法をお示ししているところでございます。
あるいは、手挙げ式で実施しているというところもあると承知をしております。こういった形で現場現場の運用を横展開といいますか、御案内しながら適切な形で実施していただけるということで情報提供してまいっているところでございまして、現にその形で春の接種も市町村において実施をいただいていると認識しておりますので、引き続き同じような運用が秋の接種においてもなされるように、私どもの方で事務連絡等で情報提供してまいりたいと思っているところでございます。
あとは、年齢のところでございますけれども、佐藤先生の御指摘のとおり、今年の春以降の重症化リスクの高い方の線の引き方ということで御議論をいただきまして、現状65歳ということで引かせていただいているということでございます。
おおむね事務局に御質問いただいた内容はこういったことだったかと思っております。以上でございます。
○脇田分科会長 小児の基礎疾患というのが成人と同様に明示をされているかどうかというのは。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
法令上といいますか、接種の対象となる方の範囲を18歳以上と以下という形でお示ししているところでございます。本日の資料にはおつけしていないところでありますけれども、そちらもお知らせできるように、リーフレット等でも記載をするようにしたいと思ってございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
皆さん接種の対象になるということをきちんと周知していただきたいということでありましたが、それでは、森岡先生、今、幾つか質問があったのですけれども、お答えいただける範囲でお答えいただけますでしょうか。
○森岡参考人 森岡でございます。多くの御質問をいただきありがとうございました。幾つか全部回答できない箇所もございますけれども、御説明させていただこうと思います。
資料の中で幾つかあった4ページ目の棒グラフの6波と7波で、赤の線の基礎疾患の人が少ないのではないかということに関しまして御質問があったかと思います。私どもとしましては、これは日本集中治療医学会、あるいは小児集中治療の委員会のほうに届出があったものを集計しているところでございます。ですので、多くは捉えられているとは思うのですけれども、中にはもしかしたら当初十分でないところがあったかもしれません。
ただ、私たちのイメージとしては、患者数が増えると当然基礎疾患の感染するお子さんも増え、その中で重症化してくると理解しておりますので、流行規模に応じてのものと考えているところでございます。
委員の先生からあった基礎疾患というのは、かかってから分かったのか、事前に分かるのかということもあったかと思いますが、それは事前に分かっていると思います。小児医療においては、基礎疾患があるお子さんの多くは通院をしますし、本人自身、あるいは御家族がしっかり分かっていることが多いですので、その辺りの把握というのは、自分は基礎疾患があるかないかというのはおおむね捉えられるのではないかなと考えております。
あと、資料の数字の不備などといったところはちょっと確認が必要ですが、同じと考えております。
それから、基礎疾患のある人とない人の比較研究といった検討が必要ではないかということでございます。確かにそのとおりでございます。そういったデータがないと、これが本当に基礎疾患があるからかかりやすいのか、基礎疾患があってもなくても流行規模に応じてこういった人が出てくるのかというのを明確に結論づけるには、御指摘の検討がやはり必要なのだろうと思いますので、ただ、そのデータももちろん私自身が持ち合わせていませんし、こういった重症例を集めるということが小児科学会と集中治療医学会の中での検討でなされているところでございますので、この辺りのデータがすぐに提示できませんので、実際にその検討が必要であるということは重要な御指摘だったかとは思っております。
あともう少し幾つかあったかと思いますけれども、一応現状回答できる範囲内でお答えさせていただきましたが、よろしいですか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
私から、皆さんからの意見でもう少しお答えできるいただければと思うところを申し上げますと、重症化した人とそうではない人で、コロナに感染をした小児で重症化していない人の接種率というのが重症化する人と比べてどうなのだというところは調査がまだということですか。
○森岡参考人 私のほうではデータが分かりません。
○脇田分科会長 分かりました。では、そこはまた今後の検討課題ということで、あとは季節性インフルの接種率、それからコロナのほうがけいれんであったり、脳症の発症率が多いのかという御質問がありましたけれども、インフルとの違いはいかがですか。
○森岡参考人 インフルエンザは、歴史的なこともあろうかと思いますが、何となくインフルエンザは任意接種ではございますけれども、接種するという方は一定の割合でおられまして、長い間にこういった脳炎、脳症だとか重症化、それから発症予防は完璧ではないにしても、ある程度学校生活を送る上で必要だみたいな認識ができているかと思います。
一方、コロナに関しましては、小児においては軽いというイメージが非常に強うございまして、インフルエンザとコロナは、私は大分近いと思っているところではありますが、その辺の認識のギャップというのがあるのではないかなと思っています。
インフルエンザとコロナのどちらが重症度が高いのかも、本当に調べてみないと分からないというところでございます。やはり数はどうか分からないですが、一回そういった重症を発症をしますと、率ではなく、例えば急性脳症が起こってしまうと同じで、その重症度というのは両方とも変わらないのではないかなとは思っております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
季節性インフルとコロナを本当の意味で対等に比較するというのは非常に難しい問題だと思いますが、またさらに研究を進めていただければと思います。
最後に、伊東委員からあった副反応のほうはどうですか。リスクについてはいかがでしょうか。
○森岡参考人 幾つか小児においても心筋炎だとか、先日は論文報告で小児の死亡例もなされておりましたけれども、私どもの認識でいきますと、成人よりも軽いとは思っております。ただ、世の中の国民の皆様にとってはコロナ自身が軽いという印象がございますので、どうしても副反応のほうがクローズアップされがちです。成人より軽いというデータがあろうかと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。すみません、追加でお答えいただきました。
それでは、委員の皆様、さらに追加の御意見はございますか。もしなければ、ここでまとめたいと思いますが。
○坂元委員 脇田先生、釜萢先生が手を挙げています。
○脇田分科会長 釜萢先生、どうぞ。
○釜萢委員 何度も発言させていただいてすみません。
先ほど申し上げるのを忘れたのですが、今回は小児の接種に関して、小児科学会からお示しをいただきました。ワクチン接種の要否についてはかかりつけや近くの小児科医等とも相談し、納得した上で判断することが重要という大変大事な御指摘をいただきましたが、これは小児に限ったことではなくて、成人も同様であると思います。コロナワクチン接種は限られた期間の中に大勢の国民の皆さんに一斉に接種をしなければならないという大きなミッションでしたので、集団接種会場で一斉に接種するということが必要だったわけですが、今後はそれぞれの方の体調をよく知っている、かかったことのある医療機関で接種を個別に受けるという方向になるだろうと思います。その場合には、例えば過去のコロナの接種で非常にひどい副反応が出たと感じられている方に対して、医師は医学的判断から今後ワクチンの接種をどうするかということをしっかり評価すべきでありましょう。もし仮に今後の接種をやらないという選択をなさるのであれば、それが妥当かどうかについては医師の意見を踏まえた上で適切に判断をしていただきたいと思います。
過去に非常に辛い思いをされた方が接種をしないという選択も当然あり得るわけですけれども、その場合も判断に医師が関わってそこを適切に決めていくということが望ましいと思いますので、あえて発言をいたしました。
以上です。
○脇田分科会長 釜萢先生、ありがとうございました。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 今日、皆様方から出された意見を今後、厚生労働省がパンフレット、リーフレットを作って市町村にも説明会を行うということでしたが、一つ質問は、今回作るパンフレット、リーフレットはものすごく重要だと思うのですね。その中身、伝え方、福島先生からも書き方の注文が出たのですけれども、その辺の審議は今後、この予防接種のこの部会でなされるのか。皆さん非常にお忙しいので、少なくとも審議がなされないなら、持ち回り的なものでこういうパンフレット、リーフレットを作りましたという形で委員の御意見を聞いたほうがいいのではないかと思いますが、その辺りの厚生労働省のお考えを聞きたいと思います。
○脇田分科会長 分かりました。
それでは、事務局から今の坂元先生からの御質問はいかがでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
リーフレットにおけるメッセージは重要ということで、私どもとしても重々認識しているところでございます。
他方で、自治体から接種券等の配付に関しては一定の準備期間が必要とも認識しておりまして、なるべく早く御用意することが必要だと認識しております。リーフレットに関しましては、特に学術的な内容等につきましては専門の先生方にも見ていただきながらというところではあったのですけれども、今般の接種に関しましては、むしろこちらの分科会資料に少し語弊があったかもしれませんけれども、接種が今後、秋に開始されることということと、接種の対象者の皆さんに機会を提供するということを適切にお示しすべきということを御示唆いただいたのだと思っておりますので、こちらをしっかりと事務局のほうで盛り込んだ形でリーフレットを作ってまいりたいと現状としては思っているところでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、坂元先生からは、今日分科会で出た意見を十分に取り込んでいただきたいということと、それから、できれば委員のほうに案の段階で確認をさせてほしいということであったので、いろいろ準備の手順であったり、スケジュール等もあると思うのですけれども、できればその意見も取り込んでいただきたいということでお進めしていただきたいと思います。確約はできないのかなという今の和泉さんからのお返事だったのですけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、様々な御意見をありがとうございました。まとめたいと思います。
令和5年の秋冬の接種の対象者は、事務局案にありますとおり、高齢者など重症化リスクが高い者を接種の対象としつつ、そして、そのほか全ての者について接種機会を提供するということであります。
さらに、公的関与は、今回は接種勧奨や努力義務だけではなくて両方を含んだ形ですが、その規定については、2番目のマルのところで、秋以降の接種における初回接種の公的関与の規定は重症化リスクの高い者に適用する。これは追加接種と同様にするということでありますという方向性でよろしいでしょうかということを委員の皆様にお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 おおむね首肯していただいたと思います。ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、接種対象者については、今日の議論を踏まえて秋冬の接種に向けて準備を進めていただくようにお願いいたします。その際に、今日いただきました委員の皆様からの御意見を十分に取り込んでいただきたいと考えます。よろしくお願いいたします。
それでは、森岡先生、どうもありがとうございました。業務のために離席をされると伺っております。また次回、機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
○森岡参考人 どうもありがとうございました。失礼いたします。
○脇田分科会長 失礼いたします。
それでは、ちょっと時間が押しておりますので、次に参りたいと思います。論点2「令和5年秋冬の接種に用いるワクチンについて」であります。こちらは先週開催しました持ち回りの開催で、既に委員の先生方からは内容を御確認をいただいているということになっておりますので、事務局から簡潔に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
資料1の25ページ目以降を御覧いただければと思います。こちらは持ち回りの開催の際に資料としても盛り込ませていただいておりますので、簡潔に御説明いたします。
26ページ目が、XBBの1価ワクチンにつきまして、各社メーカーからの申請の状況を記載したものでございます。現在、2社が申請をしております。
27ページ目でございますけれども、今後の新しいワクチン株につきまして、諸外国の状況でございます。1点のアップデートといたしましては、具体にはまだ明記しておりませんが、カナダのほうでも新しい組成のワクチンを利用していくということを示されたということで、情報として盛り込んでございます。こうした内容を2日から4日の持ち回り審議におきまして先生方にも御確認をいただきまして、大きな問題点等の御指摘はなかったと認識してございますので、なるべく早く自治体の皆様に接種の開始時期をお知らせするという観点で、28ページ目のように事務連絡を発出させていただいておりまして、開始の時期は、お諮りした際は9月の中下旬ということでお諮りさせていただきましたけれども、下線を引いているとおり、開始の時期は20日を目途として開始するということでお知らせをしているところでございます。
以上をまとめまして、29ページ目でございますけれども、上のまとめのところは割愛させていただきます。【用いるワクチンについて】というところの事務局案でございますけれども、今後のワクチンについては、先々月の分科会の議論を踏まえまして、オミクロンXBB1.5対応の1価のワクチンを基本とすることとしてはどうか。ただし、それ以外のワクチンというところで、何らかの理由でメッセンジャーRNAワクチンを接種できない方における選択肢を確保ということも考えられるかと存じます。また、現在、薬事申請されているところでございますけれども、今後、薬事承認がされましたら、速やかに改めて本分科会にお諮りをした上で、令和5年秋開始接種にワクチンを特例臨時に位置づけるというところの御議論をさせていただければと存じます。また、開始の時期につきましては、既にお知らせしているとおりでございますが、令和5年9月20日を見込んで準備を進めることとしたいというふうにしてございます。
事務局からの御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
秋冬に用いるワクチンについてということであります。これは製造株に関する検討会からのペーパーが出ていまして、XBB1系統の1価ワクチンということで、この分科会でも議論を既にされたというところでありまして、それに沿った申請が2社からされているというところで、そちらを使うということであります。あと、開始の時期は9月20日を見込んでいるというところでありますので、委員の皆様から御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思います。
坂元委員、よろしくお願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
8月4日に市町村宛てに事務連絡をいただいて、9月20日から始めるとのこと。これは非常に市町村として、こんなに早く連絡をいただいたということは感謝申し上げたいと思います。
それから1点、9月20日からの初回接種なのですが、これを見ると9月19日までしか従来のワクチンを接種できないととれます。そうすると、9月20日からの初回接種というのは、現在承認申請が出ているXBBで行う算段があるのかどうか。なぜかというと、まだ初回を受けていない方で、数は少ないのですけれども希望者がいる中で、その辺の説明等が必要になると思いますので、もしその辺のいわゆる予定等がありましたら、教えていただければと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがですか。大丈夫ですか。
それでは、今の坂元先生の御質問に事務局からレスポンスをいただけますでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
御承知のとおり、薬事承認の状況にもよるというところでありますけれども、先般の7月31日の薬食審のほうでオミクロンの2価ワクチンの初回接種の適用というところもなされたというところでございまして、そういった流れもくみながら、7月7日の薬事申請についてはファイザーのほうで初回から接種をするということで申請がなされているというところでございます。こちらが薬事承認されましたら、XBBワクチンを初回から用いることができるということになるかと思っておりますので、9月20日以降の秋の接種についてはこちらを使っていくということになろうかと思ってございます。
ただ、あくまで薬事承認がなされたらというところではございますけれども、そういった念頭で準備をさせていただければと認識しております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そのほかはいかがですか。こちらは論点1に比べるとそれほど御意見もないというところでよろしいですかね。
それでは、ありがとうございました。こちらもまとめていきたいと思います。そうしますと、令和5年の秋冬の接種に用いるワクチンに関しましては、事務局案どおりでオミクロンのXBB1.5対応の1価ワクチンを基本とするいうところで、9月20日を見込んで準備という形ですが、これでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。皆さん首肯していただいたと思います。
それでは、事務局におかれましては、そのように準備をよろしくお願いします。
では、次の議題に参ります。次は「令和6年度以降の接種について」でありますので、事務局から御説明をお願いいたします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
引き続きまして、30ページ目以降で簡単に御説明をさせていただきます。
31ページ目、早速まとめ的な形になっておりますけれども、令和6年度以降、すなわち来年度以降の接種に関する検討の進め方でございます。「経緯及び現状」といたしまして、これまでの御議論の中での整理をさせていただいております。令和6年度の接種に関しましては、「2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について」ということで、2月の基本方針部会におきまして取りまとめをいただいておりました。その考察に加えまして、新たに得られる知見を収集して、2023年度中に結論を得られるよう検討を行う必要があるという形にされておりました。
また、次のマルでございますけれども、3月に開催された分科会におきまして、今年度以降のワクチンの位置づけに関して、以下のとおりとされたということで、点線囲みでございます。新型コロナウイルス感染症に対する予防接種は、開始以来、2年以上にわたって市町村を実施主体として行ってきていることから、A類またはB類疾病とした上で定期接種する方法は考えられるものの、現時点で以下のような状況等から、2023年度においては特例臨時接種の類型を延長することによって接種を継続する。
また、その際、2024年度以降、来年度以降に予防接種を継続する場合には、安定的な制度の下で実施することを検討することが適当であるといった方向性がお示しいただいたところでございます。すなわち、来年度以降の新型コロナワクチン接種について、接種を継続する場合には、安定的な制度の下で実施するといったことに向けまして、例えば感染症の疫学的な状況、あるいはワクチンの有効性に関する科学的知見、そして費用対効果等を踏まえまして、接種の目的、あるいは対象者等について検討する必要があると現状認識をしております。
以上を踏まえまして、対応方針といたしましては、令和6年度以降の接種について、予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会におきまして、本年度の接種の方針を踏まえつつ、これまでの感染症の疫学的状況、ワクチンの有効性に関する科学的知見、費用対効果等について御議論いただいた上で取りまとめた上で、本分科会に改めて御報告をさせていただきたいといった進め方とすることとしてはどうかということでございます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 御説明どうもありがとうございました。
来年度以降、新型コロナワクチンの接種についてどのように検討していくかということですけれども、基本的には基本方針部会のほうで検討して、こちらの分科会に御報告していただくということであります。
これはアドバイザリーボードでもずっと議論をしているわけですけれども、新型コロナウイルス感染症が5類となっても、ウイルスの性質は変化していなくて、流行も継続をしている。イギリスの例を見ますと、これがある程度いわゆるパンデミックの状況からエンデミックの状況に推移しつつあるけれども、日本はまだまだそういった状況になっているかどうかというのは非常に不明確で、まだこの感染症が不安定な状況にあるということが議論をされています。
そういった状況の中で定期接種とするということが検討されているわけですけれども、どのような体制が、どのような制度が本当に適しているのかということを議論していかなければいけないということになろうかと思います。
というところで、今の事務局の御提案ですけれども、委員の皆様からまた御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、まず日野参考人、お願いします。
○日野参考人 御指名ありがとうございます。
もともとの経過のところでも、2023年中に結論を得られるように検討ということになっているのですけれども、定期予防接種に新たに追加するものの場合は、過去の議事録等を確認しても、大体遅くとも具体的にどういうふうにやるというのが例年11月ぐらいにはまとまって出ているという認識なのですけれども、要するにこの検討の進め方と同時に、検討が完了するお尻というのをどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいです。
○脇田分科会長 ありがとうございました。検討のスケジュール感についてということであります。
続きまして、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 令和6年度からの議論を開始するというのは非常に市町村としてもありがたいと思っております。なぜかというと、定期接種になった場合に、今までは全額国費という形だったのですが、市町村としては今後予算を組まなくてはいけない。そうすると、恐らく新年度に間に合わせるためには、秋口ぐらいからワクチン単価や接種対象を決めた上での予算策定をして、秋の予算議会にかけなければ、実質新年度からできないということなので、その辺のスピード感を持って議論していただきたいというお願いでございます。これはもう以前から何度も言っておりますが、その辺のことをよろしくお願いいたしたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
先ほど坂元委員もおっしゃいましたけれども、自治体に費用負担がかかってくるということで、特に交付税措置になりますと、市町村のほうでの使い方に色がついていないということでかなりの負担があるということを聞いておりますし、近くだと思いますけれども、中核市等を含めた政令市衛生部局長会のほうでも費用負担についての何らかの要望が国のほうに出されると思っております。
また、A類やB類などをどうやっていくかということは今後の話になると思うのですが、それも早く決めないといけないかと思いますけれども、その辺を考える上での科学的知見ということを期待したいと思いますが、例えばインフルエンザなども年齢によっては1回でよいという形になってきますし、自然感染の抗体保有率も関係していると思いますけれども、初回接種としているのか、または1回でいいよという形になるのかといったことの議論ができるような資料を今後期待したいと思いますので、よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。追加接種の場合、今は1回でいいわけですけれども、初回接種、定期接種になったときにどうなのだみたいなこともあると。ありがとうございました。
続きまして、磯部委員、お願いします。
○磯部委員 ありがとうございます。一言だけ。
31ページの対応方針のところですが、これまでの感染症の疫学的状況、その後、ワクチンの有効性に関する科学的知見と費用対効果等について議論するとあるのですが、それはどれも大事でしょうけれども、ぜひワクチンの有効性のみならず、及び安全性というのを入れるようにしていただきたいということです。どうもそういう副反応やリスクの問題はどうなのだろうといったことが十分な重みづけをもって考慮されているか、やや疑問に思いますので、その点についても総合的に判断するということを忘れずにしていただきたいというコメントです。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
続きまして、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 基本的に方針部会で議論していただくということに異論はございません。具体的なことは基本方針部会で議論していただくとして、あくまで考え方として意見を申し上げておきたいと思います。パンデミックが始まって4年になろうとしている中で、当初の不確実な状況の中で非常に予防のほうに傾いた形で判断をしていたわけですけれども、現状、3年目、4年目に入ってくる中で、継続性を考えて費用対効果、それから現場の運用というものもしっかりと考慮してワクチンの接種戦略も考えていくフェーズであると考えています。
一方で、あくまでそれは現在のオミクロン、それからオミクロンの下位系統が流行していて、臨床特性が大きく変わっていないというのが大前提ですので、定期接種化することはいいのですけれども、何か新しい変異株が発生したときに、完全に方針がごろっと変わり得るということは常に念頭に置いておく必要があると考えます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
次に、本田委員、お願いします。
○本田委員 ありがとうございます。私からは1点だけ質問です。
今後、基本方針部会でワクチンの有効性に関する科学的知見や費用対効果などについても議論いただくということなのですが、これらに関するエビデンスの集約のプロセスといいますか、費用対効果分析でも日本の中でそういった分析をしていくのか、あるいは諸外国で行われている分析のメタアナリシス等をしていくのかという点も含めて、エビデンスの集約のプロセスについて1点教えていただければと思い、質問いたしました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 ありがとうございます。
今後の接種について、基本方針部会で決定していく。私はそれは賛成でございます。
1点、それ以外に、今日申し上げることかどうかあれなのですけれども、先ほどからも安全性のことなど、いろいろな御意見が出ています。正直なところ、新型コロナワクチンは、国民の皆さんはもちろん、医療従事者にとってもその効果や安全性、位置づけがまだ確立していない。世に出て短いから確立していなくて当然なのですけれども、確立していないものだと思います。これで定期接種として接種対象や法律上の位置づけだけを決めてしまうと、このワクチンはさらにはmRNAワクチン、ほかのモダリティーも出てくるかもしれませんが、感染症にとって予防は大切な手段なわけなのですけれども、そこがはっきりしないまま定期の接種の対象だけ決めるというのは、ワクチン本来の目的からすると少し不十分な点があると思いますので、これは予防接種・ワクチン分科会の話ではないかもしれませんが、その点を1点コメントさせていただきます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。皆さんから重要な御指摘をいただきました。
ということで、スケジュール感であったり、新たな変異株が出てきたらすぐに対応する必要があるということも念頭に置くべきということ、そしてワクチンの安全性に関してというところ、それから中野委員からは、まだ新型コロナワクチンの位置づけ自体が十分に確立されていないというところがあるのではないかといったところ、あとはエビデンスの収集のプロセスに関してという御質問、御指摘がございました。
事務局からレスポンスをいただけますでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
まず、全体の話としまして、スケジュールにつきましては、まさにいつから始めるのかというところも念頭に置きながら、可及的速やかに検討を進めていきたいと思っております。明示的にいつなのかというところは検討の内容にもよるところかと思いますので、現状線を引くことは難しいところでありますが、事務局としては資料等を御用意して、御議論いただけるように準備をしてまいりたいというところでございます。
それから、磯部先生から極めて重要な御指摘をいただいたと思っておりまして、ワクチンの安全性に関する評価についても、副反応検討部会も含めて情報収集等していただいているところでありますので、適切に情報を盛り込んで、御議論いただけるように準備をしてまいりたいと思っております。
また、初回と追加のところは少し薬自体の薬事承認の範囲というところもございますので、どういった形になるかというところは引き続き検討していきたいというところでございます。
また、鈴木先生御指摘の現状の状況が続く場合であってということについては、WHOの指針でも同様に指摘をされていると理解しております。現状のエビデンスの中でどういうふうに考えられるかというところをまずは御議論いただいた上でというふうに認識をしております。
あと、本田先生に御指摘をいただきました費用対効果等のプロセスでございますけれども、従前、ほかの定期のワクチンに関しましても、国内の研究班の先生方にも御協力をいただきながら費用対効果分析をしているところでございますので、諸外国の情報も盛り込むことになるかもしれないですけれども、国内の研究班の先生にも御指導いただきながら、情報を提供してまいりたいと思ってございます。
また、中野先生に最後に大所高所からの御指摘もいただいたところでございますので、様々な御見解や知見を踏まえて議論をしていきたいと思ってございます。
事務局からの御回答は以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
定期化ということになりますと、またいろいろな議論が必要になってくるということですが、基本的には基本方針部会で議論してというところについては皆様から特に異論はなかったと思います。
さらに追加の御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。自治体の立場からするとかなりスピード感を持って決めていっていただかないと、なかなか予算化が難しいのではないかといったところもございました。
それでは、おおむね意見が出たと思いますので、事務局におかれましては、今日の議論を踏まえまして、6年度以降の接種については基本方針部会で議論を進める準備をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、準備しました議事は以上となりますけれども、委員及び参考人の皆様、そして事務局からも何か追加の御発言等はございますか。よろしゅうございますね。
それでしたら、事務局から最後にお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
本日も活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
次回の開催につきましては、追ってまた御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。本日も活発な御議論をどうもありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。