第3回 匿名感染症関連情報の第三者提供に関する有識者会議  議事録

日時

  • 令和5年8月29日(火)13:00~15:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(B101号室)

議題

  1. (1)提言案について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○山本座長 それでは、ただいまから、「第3回匿名感染症関連情報の第三者提供に関する有識者会議」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
 進行につきましては、第1回の会議で座長に指名していただきましたので、私が務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 また、本日もWEB会議で開催することとしております。各構成員が個別に発言される場合、まず、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、私が指名しますので、その後に御発言をお願いいたします。なお、WEB会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承をお願いいたします。
 なお、本日は、参考人として、全国保健所長会の藤田利枝副会長から御意見をいただくこととしておりますので、御了承をお願いいたします。
 それでは、早速、議題に入りたいと思います。初めに、事前に事務局から資料について送付されておりますが、不備等ございましたら、お伝え願いたいと思いますが、大丈夫でしょうか。
 それでは、早速、議事次第に従って議事を進めてまいりたいと思います。
 最初に、「(1)提言案について」ということで、提言案につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○井上結核感染症課総括調整官 事務局より説明いたします。
 第1回、第2回の有識者会議を通しまして、構成員及び参考人の皆様から、本制度の構築に当たっての基本的な考え方あるいは制度の具体的な事項として、提供感染症の候補、提供情報の項目、情報連結を可能とするデータベースについて、さらに匿名化の方法、データ管理措置、提供時・公表時の審査の在り方について御議論をいただきました。これらの意見に関しては、参考資料1でまとめてございますけれども、それらを踏まえまして作成したものは資料2となっておりまして、その概要が資料1として現在投影されているものになってございます。こちらを基に説明させていただきます。
 2ページ目、お願いします。こちらは、制度構築に必要な具体的な事項を検討するに当たって、共通する基本的な考え方といたしまして、5点まとめております。
 1点目は、国民保健の向上に資することです。次年度施行の感染症法56条の41において、厚生労働大臣は国民保健の向上に資するため匿名感染症関連情報を利用・提供することができるといったことが規定されております。その立法趣旨を踏まえますと、感染症の重症度、ワクチン・治療薬の有効性、罹患後症状の分析など、他の情報と連結することによって可能となる分析が求められていることから、これらの具体的な社会ニーズに対応できるような制度設計を行う必要があるといった点でございます。
 2点目は、差別・偏見への配慮と個人情報保護の徹底です。感染症法の基本理念を踏まえれば、まずは人権を尊重した制度となることが前提です。さらに、感染症関連情報については、患者等の機微な情報が多く含まれることから、個人情報の保護に万全を期す必要があり、匿名化された情報についても、個々の項目から個人が特定されないように留意する必要があります。さらに、利用者への提供あるいは利用者が結果を公表する際の留意といたしましては、特定の社会属性を持つ層に対する差別・偏見につながらないようにすることが求められます。
 3点目、感染症対策における基本的な調査等への国民の信頼・理解に十分に配慮したものであることです。医療機関・保健所といった現場で聞き取りを実施する主体と国民の間での信頼関係が的確な収集を可能とするといった認識が重要となります。将来の感染症対策の調査に対して、国民の信頼・理解を損なうことがないように十分配慮した制度となることが求められます。
 4点目、可能な限りの迅速な提供を実現することです。こちらは、平時のみならず、感染症危機時においても迅速に情報が提供されることが望ましいことから、情報の抽出・提供が容易にできるよう、提供項目を必要な項目に絞るとともに、迅速性が失われないように複雑なデータ構造とならないよう配慮することが必要となります。
 5点目、サーベイランスというデータの特性に留意することです。こちらについて、感染症に基づき収集されるデータについては、蔓延期における医療機関・保健所の業務の逼迫、またそうした業務負担の軽減を図るがために行った発生届等の内容の絞り込みなどを踏まえますと、入力率やテキスト情報の入力内容にはおのずとばらつきが見られるといった特性がございます。そうした点に留意する必要があるといった考え方でございます。
 次のページをお願いします。これら5つの基本的考え方に沿って、制度の個々の事項に関して具体化に向けた提言案といたしまして、以下、掲げてございます。
 まず、(1)匿名感染症関連情報の提供等についてです。
マル1、提供感染症の候補です。第三者提供の仕組みは、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある感染症を念頭に置いて立法化されたものでございます。このため、次の感染症危機に備え、平時から運用経験を蓄積するため、また、大規模にデータが蓄積され、個人特定のリスクが比較的小さくなっているCOVID-19について提供する。
 ただし、中期的には、運用実績や具体的なニーズ等を踏まえまして、平時から発生の多い疾病についても範囲拡大を検討するといったことを提言してございます。
 マル2、提供項目の選定です。国民保健の向上を目的とし、より幅広い研究者等が解析結果を創出できるよう迅速に提供していくことが重要であるわけですけれども、一方で、国民の信頼・理解を得られることが提供の前提となります。このため、提供に当たっては、積極的疫学調査に基づく情報や発生届項目のテキスト情報については、現時点では提供の対象としないこととしてはどうかといった点。また、個人特定に至らないように、具体的提供項目を選定する際には、提供時に審査を行ってはどうかといったことを提言しております。
 マル3、連結データベースの候補です。他の公的データベースとの連結に当たっては、法令上の根拠や技術的連結可能性に加えまして、連結解析の具体的なニーズがあるかといった点を検討することが必要となります。有識者会議の中では、そうした解析の事例といたしまして、罹患後症状の変化や要介護度・ADL・介護サービス変化の分析、発病日・死亡日・予防接種歴等を用いた分析が有用であるといった御議論をいただいたところでございます。このため、制度開始当初は、具体的なニーズが確認できるNDB・DPCDB・介護DB・予防接種DBといった公的データベースが連結先の候補として考えられるとしております。
 また、連結先の拡大を検討する際には、具体的なニーズを把握した上で個別に検討すべきといった点を提言しております。
 次、お願いします。(2)情報の適切な取扱いについてです。
 マル1、匿名化の方法です。感染症法における匿名感染症関連情報については、感染症法56条41において、その情報を復元することができないようにするために、厚生労働省令で定める基準に従い加工された情報とされているところです。この匿名化に当たっての加工基準については、NDB・介護DB等といった連結先の基準を下回ることがないよう、同等性のある基準を策定すべきであること。さらに、発生症例数が少ない時期の提供データについては、個別審査の中で、その可否を判断することが望まれるといった点を提言してございます。
 マル2、データの管理方法です。感染症法56条の44において、匿名感染症関連情報の利用者は、漏えい、別室等の安全管理のために必要かつ適切なものとして厚生労働省で定める措置を講じる必要があります。当該省令の具体化に向けましては、NDB・介護DB等の安全管理措置と同等の運用が保たれるよう、省令を整備すべきであること。さらに、将来的にはより安全な連結解析環境を提供することを目的として検討されているHICの活用を視野に入れることを提言してございます。
 最後になります。(3)提供時・公表時における審査の在り方についてです。感染症法56条の41において、情報の提供に当たっては、厚生科学審議会の意見を聴くこととされておりまして、また提供業務についても、相当の公益を有するものに限定することとなってございます。この具体化に向けて、解析結果の公表により個人が特定されたり、社会の特定層に不利益が生じることがないように、提供時のみならず、公表時にも一定の審査を行う体制を確保することが望まれるとともに、提供時・公表時の審査ガイドラインについては、NDB等の運用を踏まえて具体化を図るといった点、提言してございます。
 なお、相当の公益性については、本制度が国民保健の向上に資する医療に関する分析といった点を主眼としている観点から、NDB等の相当の公益性を参考にするといったことを併せて提言してございます。
 提言案の内容に関しては、以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。これまでの議論をおおむねおまとめいただいたと考えますけれども、今回の提言案につきまして、順番に御意見を伺いたいと思います。
 いつもあいうえお順で恐縮ですけれども、今村構成員、御意見ございますでしょうか。
○今村構成員 今村です。あいうえお順だというのを忘れていました。
 では、意見を申し上げたいと思います。全体の流れとしては、私、賛成でございます。この内容で特に異存はありません。
 私、データの連結のことについて、幾つか確認したいことがあって、今回、ID4でつなぐということなのですけれども、ID4の片仮名で入っている入り方が、NDBとか予防接種の片仮名の入り方と違うと、実際にはつながらないという問題がありまして、現実に接続している中では、それがうまくつながらないという形になっています。この接続を研究者側に今、委ねられているのですけれども、もともとつながるかどうかの検証は、ぜひ厚生省側でやってもらって、何割ぐらいつながるかということを確認したものを提供できるように考えてほしいと思っています。
 それと、連結のところで、将来的にはID5を使うということが書いてあるのですけれども、このID5の接続は接続事業者にお願いする形になると思うのですけれども、これを研究者側からするというのは多分現実的ではないと思うので、これは国から要望して接続したID5をもらうことが前提になるように思うのです。すると、ID4とID5では、大分パターンが変わってくるので、その辺のところの整理が今、どこまで進んでいるかを教えてもらえればと思います。
 今村からは以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
 今のID5に関しては、事務局のほうから何かお答えございますでしょうか。
○井上結核感染症課総括調整官 2点回答させていただきます。
 まず、ID4での突合度といったことに関して、恐らく連結テストといったものはしっかりしてほしいといった御要望であったかと思いますので、それに関して、事務局のほうでも今後、ガイドラインを具体化する際に、ガイドライン以外にもデータマニュアルとか、そういったものを用意していかなければいけないと思っております。利用者の方には、これがどれぐらいの突合だとか、できれば示したいと考えておりまして、そのようなことを何ができるのか、どのようなテストができるのかといった点は、一度持ち帰らせていただいて、今後、検討課題とさせていただきたいと思います。
 ID5のほうで、できれば接続した上で提供して移管したいといった点に関して、若干将来的な話にはなってくるわけですけれども、提言案の中でもありましたとおり、HICといったことに言及してございますが、その世界が現状、整備されていきますと、ID5、それはクラウド上で研究者の方が連結する世界が検討されているかと承知しているのですが、これまでよりもその点がはるかに進みやすくなるといったことも聞いてございますので、その辺り、利便性というものをそういった環境の中でどうかなえていくかというところは、ぜひ他局とも検討していきたいと考えてございます。
○山本座長 ID5に関しては、今、NDBと次世代医療基盤法の突合の話し合いが進んでいるのですけれども、多分、今村先生、御存じだと思いますけれども、実際どうするかというと、サンプルの小さいほうからID5のリストを提出してもらう。それをプロジェクトごとに異なるSaltと呼んでいますけれども、変換の係数を用いたハッシュ化をして、同じSaltを用いたハッシュ化をNDBのID5にもして、それでプロジェクトごとでユニークなIDの列をつくった上で突合してお渡しするという形にはなっています。
 ですから、1回のプロジェクトごとにハッシュの系列が変わりますので、プロジェクトが違うと全く違うハッシュ化になってしまいますので、突合はできないという形で、今のところ1例ですけれども、進んでいるところであります。それのハッシュの計算は、いわゆるNDBの事業者さんにやっていただいているというのが現状でございます。
 よろしゅうございますか。
○今村構成員 ありがとうございます。
 1対1の場合はうまくいくのではないかと思いますが、1対3とかになってくると本当にうまくいくのかなと、ちょっと不安に思っていますので、ぜひその辺は御留意いただきたいと思います。
 今村からは以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
 引き続いて、大曲構成員、御意見いただけますでしょうか。
○大曲構成員 国際医療研究センターの大曲です。ありがとうございます。
 私は、主に利活用する立場ということで、それに公益性がちゃんとある。それで迅速に活用されるにはどうすればいいかという観点で御意見申し上げてきました。私自身は、今回示された提言案に関しては賛成でありまして、特段追加の質問等はございません。
 1点コメントをすれば、特に感染症の発生段階の早期の情報の扱いというのは、確かに非常に難しいということは理解しておりますけれども、こちらに関しては、また今後の議論を続けられる中で利活用の方法が具体的に定められていけばいいと思っております。
 以上でございます。
○山本座長 ありがとうございます。コメントということでお伺いさせていただきます。
 引き続いて、鈴木構成員、コメントをお願いできますでしょうか。
○鈴木構成員 国立感染症研究所の鈴木基です。
 今日、まとめていただいた、この提言の内容、基本的に私も賛成しております。ぜひ匿名加工感染症関連情報の提供、これまでの議論に従って進めていただければと思っています。
 コメントを2つ追加させていただきたいと思います。
 1つ目ですが、あくまでサーベイランスを目的として集めている情報です。これは以前も申し上げましたが、流行の発生状況のトレンドを把握するためのものですので、いわゆる臨床のレジストリのように、個々の症例の情報を詳細に集めているものとは性質が異なるので、その点はぜひ利用者にも理解していただきたい。そうした意味で、先ほど事務局からマニュアルをつけてはどうかというようなコメントもありましたが、利用者にこのデータが持っている特性について説明するようなマニュアル等をぜひガイドラインにつけてはどうかと思います。もしそれがつくようであれば、我々、データを実際使ってきた者としては、貢献させていただきたいと思っております。それがコメントの1つ目です。
 2つ目ですが、相当の公益性という言葉がありますが、何を目的として、この情報提供、データの提供をすることになったのかということを踏まえて、今後も引き続き、この目的について議論を深めていく必要があると思っています。ちょっと振り返ってみますと、そもそも初期に新型コロナの流行が始まって、例えばクルーズ船の事例があったり、あるいはアルファ株、デルタ株といった新規のウイルスが出てきたときに、サーベイランスの情報を使って、その感染症あるいは変異株の特性を把握するということが求められたわけです。それについて私たち感染研の研究者も取り組んではきました。一方で、それについて、もうちょっと改善すべきところがあったのではないかという意見があることも十分承知しているところです。
 ただ、こういった初期対応において求められる情報というのは、いわゆるファースト・フュー・ハンドレッド・スタディーと言いますけれども、積極的疫学調査の枠組みの中で、迅速かつ詳細に情報を集めて分析するということで対応するしかないわけです。これについては、私の理解では、恐らく今回の匿名加工感染症関連情報の提供は当てはまっていないのではないかなと理解しています。なので、引き続き、初期対応における情報収集と分析については、公衆衛生当局、それから2年後に想定されている新機構が設置されるときに取り組むべき大きな課題であると思っています。
 なので、今回の匿名感染症関連情報の提供というのは、公衆衛生の目的というよりは、より研究、リサーチという目的に資するものと私は理解しています。実際、我が国の今回の新型コロナ対応において、研究開発だけではなくて、疫学研究という点でも国際的には十分に応えられなかったという反省があると思います。そこに応えるために、少しでも改善できるように、今回の匿名加工感染症関連情報の提供という議論が出てきたのではないかと理解しています。
 そうした意味で、ちょっと話が長くなりましたが、広くオープンに提供していくということも大事なのですけれども、実際にちゃんと疫学研究に応えられるような、このデータを最大限活用できるような研究者にしっかりとリーチできるように、かつスムーズに提供されるような体制をつくっていく必要があるのではないかと思っております。
 それから、中期的な目標として新型コロナ以外の感染症も含めるという記載がありますが、それほど時間をかけることなく、新型コロナ以外の感染症についても、ぜひ拡大していくということは議論していく必要があると思います。
 以上、コメントです。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございました。大変ごもっともなコメントだと思います。
 事務局のほうで何かお答えございますでしょうか。
○井上結核感染症課総括調整官 1つ、今回の目的というところに関しての話でございます。2点目にいただいたコメントでございますけれども、第1回の中でも、まさにその点、今回の制度といったものが、これまでの感染症の公表制度や分析制度の中でどこに位置づけられるのかといった点を、情報の提供の迅速性と情報の粒度といった2軸に分けた図をお出しさせていただいたところでございますけれども、まさにファースト・フュー・ハンドレッドといった点は、情報の粒度とか迅速といったものがどちらも伴ったものでありますけれども、今回の制度というものは、そことは色分けされていると考えております。
 ですので、先生がおっしゃられるような疫学研究、リサーチ目的といった点で、レトロスペクティブなデータということになりますので、そこはユースケースにおいても、おのずと情報の粒度に関して限界も出てくるところはあるかと承知してございますので、改めて、その目的と活用の用途といいますか、そういったことも今後のガイドライン、マニュアルといったところで具体化していく中でしっかり示して、こういう点で使えるといったことを利用者にもお示ししていきたいと考えております。
 新型コロナ以外の部分も早期に検討をという点について、こちらのほうも、一旦、運用の実績を積みながらも、検討はしっかりとしていくようにしたいと考えてございます。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 引き続いて、田辺構成員からコメントいただけますでしょうか。
○田辺構成員 三重大学病院の田辺と申します。
 今回の第三者提供に係る制度の具体化ということで、取りまとめにつきまして適切にまとめていただいておりまして、私のほうから特に追加のコメント等はございません。
 先ほどから出ておりますデータのマニュアルといいますか、実際、これを使うという段階になったときに、どのように申請していくのか。2つ以上のデータベースということになろうかと思いますので、その申請の方法や、どのようにデータをつなげていくか、オフラインでつなげるのか、今後クラウド上でつなげるのかといった話。また、どういった項目が具体的に手に入り、何ができるのかということは、これから示されるであろうデータマニュアルなどを見ながら、また考えていく必要があるかと思っております。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
 引き続いて、戸部構成員、コメントをお願いできますでしょうか。
○戸部構成員 私もお示しの案に特段異論はありませんが、今後、さらにこの提案を細かく具体化していったり、あるいは実際に運用したりという中で、差別・偏見への配慮などの個人の権利保護と情報の利活用が微妙に対立するといった局面が様々出てくると思いますが、その際は、感染症法が人権の尊重というものを趣旨としている以上は、個人の権利保護を優先するといった判断をその都度していくというのが、この法の趣旨に照らした正しい制度の在り方だと思っています。
 この制度は利活用の制度ですので、一旦、制度がスタートしてしまうと、どうしても利活用の方向に追い風が吹きがちですので、この点はこの先も十分に御留意いただきたいと思っています。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
 引き続いて、日置構成員からコメントいただけますでしょうか。
○日置構成員 この短期間の中で提言案ということでおまとめいただいて、こちらのコメントを反映していただいているので、事務局におかれましては誠にありがとうございました。
 提言の内容自体については、コメントは特段ございませんが、運用してみて、細則、ルールのところと、あとはリスタートで、ここから積み重ねていく部分をどのように制度にもう一度フィードバックして、反映・改善していくのかというところがポイントなのかなと思っていますので、利活用と保護の観点を踏まえつつ、また運用しやすいような形で修正していかれるのがよろしいのかなと思っております。
 以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
 引き続いて、横野構成員からコメントいただけますでしょうか。
○横野構成員 提言案を取りまとめてくださって、どうもありがとうございました。これまでの議論を適切に反映していただいていると考えております。提言案については、特段、コメント、意見等はございません。今後のこの制度について、何点か、今まで出た部分もあるのですけれども、コメントさせていただければと思います。
 この提言の中でも、国民の信頼・理解が得られるものであることということが1つの大きな柱になっています。感染症は、誰がいつ、感染当事者になるか分からない、あらゆる人が当事者となり得る社会全体にとっての問題であるということが、ほかの疾患とも大きく違う部分だと思います。社会全体の理解・信頼というのが極めて重要であると考えていますので、個人の権利・利益の保護のために、どのような取組を行っているかということを含めて、本制度についての情報発信や社会的な理解の醸成ということにぜひ注力していただきたいと思います。
 また、この制度に限らず、感染症関連の対策全般における情報の収集や利活用の意義や必要性について、一般的な理解の醸成といったところも幅広い政策の中で取り組んでいただく必要があると思っております。
 また、このような制度ができたけれども、提供された情報が活用されていないということですと、それもまた信頼を損なうことになると思いますので、意義のある活用がなされるように、研究する側への情報提供や働きかけ、様々な形での支援といったことも必要になってくると思いますし、そうした利活用によって得られた成果を、個人の権利利益に配慮しつつ積極的に発信していくということも重要だと思っております。
 そのような形で運用を着実に行っていくということと、今回の提言の中にも将来的に範囲を拡大する可能性とか、新たな解析環境を提供する可能性について盛り込んでいただいています。そういったものを含めて、制度を硬直的なものとするのではなく、感染症に関する状況や、この制度自体の運用状況あるいは社会的な状況を反映し、アップデートに積極的に努めていただくのが非常に重要だと思っております。
 以上、コメントです。
○山本座長 ありがとうございます。
 事務局のほうで、これまでのコメントに関して、何かお答えございますでしょうか。
○井上結核感染症課総括調整官 ありがとうございます。
 今、横野先生からいただいた点、特に情報の発信であったり、あるいは意義のある研究が進むような周知とか何らかの支援というところに関しまして、先ほどのマニュアルというお話の中でもそうですけれども、他の公的データベースでも、制度の創設時であったり、そういったときには、しっかりとかなり幅広く大学あるいは民間企業等にも声をかけるような形で、事前の説明会ということを制度開始前にすることにしております。我々のほうも、こういう変数を使って、こういうアウトプットが期待できる、あるいは逆にできないという点もある程度明確にしたほうがいいのかと考えていますが、この制度だからこそできるものは、しっかりと発信していきたいと思っております。
 日置先生からありました、運用してみて、それをフィードバックしていくというPDCAの考え方といったものは、今後に関してもしっかりと持ちながら、改善・対応を図ってまいりたいと考えておりますし、その中で出てくる差別・偏見とか、そこがかなりいろいろ細かなところで発見されるようなことも出てくるかもしれません。まさにそういうふうな話についても、しっかりと対応できるような柔軟な制度の改善といったことを図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
 それでは、本日参加いただいている藤田参考人のほうから何かコメントございますでしょうか。
○藤田参考人 全国保健所長会から参加しております藤田です。
 第2回の会議におきまして、我々の意見を述べさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございました。また、そのときに申し上げた意見につきましても、この提言案の中にしっかり盛り込んでいただいておりまして、ありがたいと思っております。ありがとうございます。
 そして、こちらから特に意見はございませんが、2つ要望がございます。
 1点目が、これまでの構成員の先生方も述べられたことですけれども、第三者への情報提供の相当の公益性という点につきまして、特に法律や人権等を専門にされている有識者の方にぜひ御意見をいただいた上で、感染症法とか憲法との整合性を確認していただきたいと思っております。
 第2点目ですけれども、これから先、政省令やガイドライン等を作成されるかと思いますけれども、その折にもぜひ我々保健所長会のほうにも意見を聞いていただければと思っております。
 以上2点になります。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。
 皆様の御意見、今回、事務局でおまとめいただいた提言案について、おおむね御賛同いただいたと考えております。私も読ませていただいて、これまでの議論がよく反映されていて、問題がないというか、よくまとめられた提言案だと考えております。
 ただ、皆様方からの今日の御意見にもありましたけれども、国民の理解を得ながら進めることが非常に重要でありまして、2つの面があるのですね。
 1つは、この提供自体が国民の権利を侵害していないということを確実にお知らせするということ。
 もう1つは、これを利用して国民に公益が生まれたのだと。つまり、利益があったのだということも迅速かつ分かりやすくお伝えしていく必要があるのだろうと思うのですね。多分、これから細かいところを詰めていただいて、ガイドラインとかマニュアル等、あるいは政省令の整備とかを事務局で進めていただくわけですけれども、そのときにこの提供が行われた後に、その成果をどういうふうに一般の国民の方々にお伝えするかということも、ぜひ視点に入れていただいて御検討願えればと思います。
 どうせ皆さん、論文で発表されるわけですけれども、論文を全ての人が読むわけではないわけですから、こういったデータがこんなふうに役立つのだということを、データが有用であるということを分かっていただくことが非常に重要ですので、その点も含めて進めていただければと考えております。
 あとは、提言案は非常によくまとめられておりますし、皆さんの意見を反映したものだと思いました。
 事務局のほうから何か皆さんの意見に対して、全体としてコメントございますでしょうか。
○井上結核感染症課総括調整官 本日は、様々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 まさに提言案というところ以上に、今後、それをさらに具体化していくといったところで、特に公益性の部分の話であったり、データの点であったり、そして将来的には成果なりをどう発信していくのかといったことで、最後に座長のほうからも、国民に公益が生まれたのだということを示していく。その一連の取組ということが、制度を構築するだけではなく、重要になってくるかと考えております。
 また、今後、具体化の際には、皆様方からも御意見を聞くような場であったり、そういうことも設けたいと考えてございますし、保健所長会様のほうにも、機会を見て御意見を伺うということをしてまいりたいと思います。丁寧なコミュニケーションをしながら、制度のつくり込みをしてまいりたいと考えておりますので、また引き続きよろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。
 順番に御意見を伺ったのですけれども、言い忘れたことがあるとか、追加があるという方、いらっしゃいますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、議事「(2)その他」ということで、ほかに御発言ございますでしょうか。今回の提言案だけではなくて、これまでのこの会議全体についてで結構ですけれども、何か御発言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 おおむね皆様方の御意見は一致していたと思いますし、また有益な今後の行動についてのコメントもいただいたと思っておりますので、提言案の修正はほとんどしなくて済むと思いますけれども、もう一度、事務局でも確認していただいて、もし軽度な修正がありましたら、私に御一任いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(委員首肯)
○山本座長 ありがとうございます。
 それでは、本日予定されていた議事は以上になります。皆さん、御意見いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、議事の進行を事務局にお返しいたします。
○井上結核感染症課総括調整官 構成員の皆様及び藤田参考人におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 最後になりますけれども、事務局を代表いたしまして、局長の大坪から最後の御挨拶をいただければ。
○大坪健康局長 皆様、御多忙のところ、本日も御審議いただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様方の貴重な御意見をいただきつつ、また今回のコロナでも、保健所の方をはじめとして、大変御苦労いただいて集めた情報、こういったものが有意義な方向で利用・活用できますように検討を進めてまいりたいと思います。
 引き続きの御指導、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○井上結核感染症課総括調整官 ありがとうございました。
 それでは、今回の第3回をもちまして、本検討会を終了とさせていただきたいと思います。この後につきましては、事務局側のほうで記者ブリーフィングをさせていただきます。
 重ねてになりますけれども、本日、御参集いただきまして、誠にありがとうございました。また、引き続き、よろしくお願い申し上げます。