第13回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年7月31日(月)16:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

議題

  1. (1)これまでの議論の整理(報告書素案)
  2. (2)引き続き検討すべき論点について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○船井主任中央労働衛生専門官 本日は、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、第13回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を開催いたします。本日の検討会は、会議の資料及び議事録は原則公開とさせていただきますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日は清水委員が欠席、鹿野委員、鈴木委員、高山委員、三柴委員、森委員の5名がオンラインでの参加となっております。続いて、事務局のメンバーに交代がありましたので、御紹介させていただきます。小沼安全課長です。
○小沼安全課長 小沼です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 松岡労働衛生課長です。
○松岡労働衛生課長 松岡です。よろしくお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 計画課の星田調査官です。
○星田調査官 星田です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 以上です。それでは、以降の議事進行については、土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは皆様、よろしくお願いいたします。前回までの検討会においては、各論点について、事務局が整理した「これまでの議論の整理」及び「引き続き検討すべき論点について」に基づいて御議論を頂きました。今回は、前回の議論を踏まえて事務局が整理を行った資料を基に引き続き議論を行っていただくことを予定しております。それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○船井主任中央労働衛生専門官 お手元にクリップ留めの資料を準備させていただいております。1枚目に次第があり、その裏に配布資料一覧が付いております。続いて、ホッチキス留めの資料1、これはワードファイルで作ったものになります。その次に資料2として、パワーポイントファイルで作ったものがあります。あと、参考資料マル1、マル2として、いつも付けさせていただいております「要綱」と「これまでの議論を踏まえた対策の検討に当たって」があります。メインの資料は、資料1、2になります。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。それでは、議題(1)として前回に引き続き、「これまでの論点の整理(報告書素案)」に関して、資料1に基づいて御議論いただきたいと思います。まずは議論に先立ち、事務局から資料説明をお願いします。
○船井主任中央労働衛生専門官 それでは、資料1をお手元に御準備ください。資料1は、ワードファイルで赤や青の字が書いてあるものです。これまでの議論の整理ということで、今回、大分中身が増えてきましたので報告書素案という形で示しました。1から始まっております。これは繰り返しになりますが、資料1については別紙で議論を頂いたもので、大体議論を御了解いただいたものについて、こちらに記載をさせていただく形で、これまで何度か繰り返してやっております。ただ、青字の部分については、まだ議論が尽くされていないということで、別紙という形で資料2で具体的には御議論を頂く形になっております。
 まず1の(1)、青字で書いてあるとおり、別紙ということで、後ほど、資料2で議論をさせていただければと思います。1の(2)ですが、今回赤字の部分が前回資料2に入っていて御議論いただいたものを、御了解を得られたということでこちらに移してきた新しく記載したものになります。具体的には、脳心・精神事案の災害報告の際の報告項目についてです。報告項目について、普通の事故、けがの場合の報告とは違って、1ページ目の一番下にあるマル6その他、脳・心臓疾患及び精神障害の発症と関連のある情報(直近、6か月の就業時間数、ストレスと感じていた要因等)についても、脳心・精神の報告については事項に含めていただきたいということで御議論を頂きました。続いて、次のページ以降、新たに追加したものはありません。
 4ページ目です。青字で書いてある部分については、引き続き別紙マル2ということで、資料2で御議論を頂ければと思います。9ページ目です。これは、個人事業者等に作業の一部を請け負わせる事業者による対策の中で、個人事業者等に対する「保護具」や「作業方法」の周知の部分です。このパートについては、これまで論点2ということで、ずっと御議論いただいたものです。論点2については、最高裁判決が令和3年5月に出されて、安衛法第22条に関連する省令改正を行いました。それと同じように、第22条以外の条文についても、やる必要があるのかどうかということで御議論を頂いておりました。その結果、8ページ目の一番下に書いてあるとおり、関連条文のうち、例えば、「災害発生時の作業場所からの退避」や「立入禁止等」については、「危険性」と「有害性」で差を設ける合理性はなく、場所の管理に着目した規制なので、速やかに省令改正を行う。
 一方で、今回追加した9ページ目の所にあるように、法第22条に基づく「有害性」とは異なり、法第20条、第21条で規制されている「高所からの墜落による危険」、「機械による挟まれ、巻き込まれの危険」については、視覚によって作業者が容易に把握できるような場合も多い一方で、例えば、「高圧電路への接触による感電の危険」、一見、見た目はしっかりした床のように見えても、実は薄いスレートで、その「スレートの踏み抜きによる墜落」といったように、見ただけでは把握できない、聞かなければ対策のしようがない、そういったようなものもある。そのようなことから、災害実態も含めて個々の規制について十分に精査する必要があるのではないかということで、マル1、マル2として書いていますが、今回、新たに創設する災害報告制度に基づいて個人事業者等による災害の実態を把握して、それに基づいて個々の規制について改正を行う必要性があるかないか、そういったことを議論した上で、必要があるものについて所要の改正を行う。
 一方、一定の期間を要するので、それまでの間、ガイドライン等で「保護具」や「作業方法」の周知を推奨していくという形で御議論を頂いたところです。資料1については、この点以降追加したものがありませんので、説明は以上です。
○土橋座長 説明、ありがとうございました。それでは、ただいまの資料1に基づき、御議論を頂きたいと思います。御発言いただく際は、該当部分を明示してくださいますようお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。基本的には、話のまとまったものがこちらにまとめられているということですので、特に御発言がないということであれば、次に進めさせていただきます。よろしいですか。
 それでは、続いて議題(2)です。前回に引き続き、「引き続き検討すべき論点について」、資料2に基づいて御議論いただきたいと思います。まずは、議論に先立ち、事務局から資料説明をお願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 それでは、資料2をお手元に御準備いただければと思います。少し番号が消えて見にくいかもしれませんけれども、スライド3です。別紙マル1として、「業務上災害の報告の仕組みについて(その1)」があります。この資料を見ていただきまして、赤字の部分が、前回御議論いただいたところを踏まえて修正した箇所ということで表示させていただいております。
 これをめくっていただくと赤い字のところが結構あるのですけれども、これを1個1個説明するよりも、最後の紙のところにポンチ絵がありますので、これを先に見ていただいて、概略を説明した上で個別の記載に入ったほうが分かりやすいと思いますので、このポンチ絵を開けていただければと思います。
 このポンチ絵は「報告主体のイメージ」ということで、どういう場合に誰に報告していただくかということを整理したものです。前回出した資料にも似たようなものがありましたけれども、前回のものを踏まえて修正しております。前回出した際に、この紙で言うと上半分、「死亡した場合や入院中などによる災害発生の事実を伝達することが困難な場合」。この困難な場合について誰が報告するかという部分については、こちらの紙にあるような内容で前回は合意を頂いたという整理だと認識しております。細かい文言は、分かりやすいように少し赤字で修正しております。
 一方で、真ん中より下のところ、その被災した方が「災害発生の事実を伝達することが可能な場合」については、前回の案では、この特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者の方が報告義務を負うということにしていて、一方で個人事業者自身については、矢印の色は緑でして、協力義務という形で整理をしておりました。ただ、その案を検討会で御議論いただいた際に、確かに出せる状態にある、報告できる状態、伝達できる状態にあるのであれば、個人事業者自身の役割というのをもう少し強い形で整理してもいいのではないかという御意見がありました。
 これを踏まえて、今回、整理したのがこちらの形になっておりますけれども、上半分は前回と変わっていません。下半分ですが、災害発生の事実を伝達することが可能な場合については、個人事業者、被災者自身については、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者に対して報告していただくという義務を課すという形に整理をいたしました。この個人事業者から出てきた報告に必要な事項、実際作業場所や作業内容のことなどをよく御存じの特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者が、必要に応じ必要事項を追加した上で監督署に出していただく義務があるという形に整理をいたしました。これが真ん中の2つの青い矢印になります。
 一方で、特定注文者や災害発生場所管理事業者のいずれも存在しないような場合については、個人事業者等が自ら監督署に情報提供をしていただくという形にしております。こういう形にしますと、これまでは、一番左の所にありますが、災害の報告対象については、休業1か月以上や死亡ということにしていたのですけれども、それは特定注文者や災害発生場所管理事業者に、指揮命令関係も雇用関係もない個人事業者の方の災害報告を行っていただくということで、一定の重篤度に絞ったものを出していただく必要があるというように検討会での御議論がありましたので、絞っておりましたが、今回、個人事業者から特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者に報告義務という形で災害発生の内容が報告されますので、それに必要事項を付記して監督署に出すということになりますと、休業1か月に限定しておく意味というのはなくなります。もともとこの災害報告の、なるべく多くの災害を正しい形で円滑に把握するという趣旨に照らせば、ここは労働災害について詳細を把握していることと同じように、「休業4日以上の死傷災害」とすることが適当ではないかということで、このような形で御提案させていただいております。
 なお、下のところにありますように、休業4日未満のものについては、個人事業者や、そういう方が加入している団体の方などが、監督署に情報提供していただくということが可能といった形で幅広に災害を拾っておこうと。
 また、一番下の※のところにあって、少し字が切れてしまっておりますけれども、個人事業者等が中小企業の経営者や役員の場合です。これは上によらず、所属企業が報告主体になると。言わば、労働者と同じように、所属している企業が、役員さん、事業者さん、代表者さんのものを出していただくという形で機能するのではないかということです。以上のように整理いたしました。
 3ページに戻って赤い字の所だけかいつまんで御説明いたしますと、先ほど御説明したとおり、災害報告の対象については、休業4日以上の死傷災害ということで整理しております。
 もう1枚めくっていただきまして、「報告主体を選定する際の基本的考え方」ということで書いてあります。この報告主体の部分については、大分、御議論がありましたので、黒字の部分は、既に過去にも書いて何度かお示ししたところなのですけれども、まず、どういう方が災害報告の主体になるべきかというのを一番初めに持ってきて整理いたしました。
 5ページです。報告主体の続きですが、これはポンチ絵にも合わせた形で、「個人事業者等が死亡した場合や入院中など災害発生の事実を伝達・報告することが不可能な場合」と、真ん中にある「可能な場合」と、それぞれに分けて、それぞれのケースを書いております。最後には、「個人事業者等が中小企業経営者や役員である場合」も書いております。これはポンチ絵に整合した形で書いています。
 6ページです。新たに追加したところは真ん中より少し上です。「特定注文者の適用について」です。被災した個人事業者に仕事を注文している方が、また、その方も個人事業者であったような場合については、その個人事業者が特定注文者になるということです。これは前回、検討会で質疑応答いただいたものを文字に起こした形になっております。
 次の○もそうですけれども、重層請負構造のような場合、直近上位の注文者が災害発生場所に来ることが一切ないような場合は、特定注文者は誰になるのかというと、一切来ることがないような場合については、更にその1つ上の注文者を特定注文者にするという形で整理しております。ただ、ここに来ることは一切ない場合は、裏を返せば、いつもは業務を行っているのですけれども、災害が発生したときだけ、たまたまその場にいなかったというのは除外要因になりませんので、御留意を頂ければと思います。
 災害発生場所の適用についてです。この辺は既にお示ししたものと中身は変わるものではありません。次のページも中身については基本的に変わっておりません。以上、災害報告の関係で、前回の議論を踏まえた見直し内容となっております。
 続いて、最後のページです。別紙マル2は「『保護具や作業方法の周知』を行う場合の対応について」です。これは前回から何も変えておりませんけれども、この赤字の部分に書いてあるように、「事業者のみに努力義務等を課すのではなく」ということが書かれており、これは最高裁判決を踏まえた安衛法第22条に基づく省令改正で新たに事業者に義務付けられた措置のうち、保護具や作業方法に関する周知の部分については、周知でとどめておくのが果たしていいのかと。実行性が十分ではないのではないかと。これまでの議論では、ちゃんと周知した内容を徹底させるということを義務付けるなど、また、努力義務としてそれを求めていく、若しくは周知した内容をやっていない人には作業させない、作業させないように努めるといった御議論もありました。
 いろいろな状況を勘案して、現在の事務局案としては、マル1、マル2にあるように、事業者は、周知した内容が徹底されるように必要な指導等を行う。この必要な指導等を行うという際に偽装請負の問題も出てくるので、こういう指導が偽装請負には該当しないという整理は別途行う必要があります。2番目は、その周知を受けた事項について、しっかり守りましょうということを個人事業者に求めていくというものです。資料2については以上です。
○土橋座長 資料の説明ありがとうございました。それでは、ただいまの資料2に基づき御議論いただきたいと思います。こちらも、御発言いただく際は、該当部分を明示してくださいますようお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、本多委員、お願いします。
○本多参集者 資料2の別紙マル1のその1とその3で、報告対象と報告主体について質問と意見を申し述べたいと思います。まず、その1の報告対象ですが、労働者死傷病報告について、前回までは死亡、休業1日以上が見込まれる負傷災害ということで、事務局側からも合意点の説明がなされておりましたし、委員の皆様も賛同、あるいはおおむね了解という状況かと思ったのですが、今回休業4日以上ということで提示がなされました。先ほど事務局のほうから特定注文者である、あるいは管理事業者の場合には一定の重篤度ということが望ましいという御質問がありましたけれども、改めて休業4日以上に修正をされた理由、あるいは根拠を御説明いただければと思います。
 と申しますのは、個人事業者等の災害報告については、全く今回新たな試みになると思います。一般の労働者と同様ではない、休業4日以上ということではあるのですけれども、やはり低いハードルでありまして、この報告義務というのが本当に現場に機能するかどうかということを、若干疑問視しております。一般的に休業4日ぐらい、あるいは4日、10日というと、つまずきによる転倒とか、階段の踏み外し、突起物への接触というようなヒューマンエラーに係る負傷もあるかと思うのですけれども、そうなると、なかなか御自身は自主的に報告しづらい、あるいは報告しないのではないかと思っております。そこで、休業1か月以上であるということであればまだしも、休業4日以上とすることの結果として、個人事業者の中に、自らに被災報告の義務があることが根付かないような感じもしないではないのです。そういう意味で、この報告対象が1か月ではなく4日以上になされたことについての理由と根拠を改めて教えていただければと思います。
 もう1点の報告主体については、後ほどまた質問させていただきます。
○土橋座長 では、まず事務局からお願いします。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。前回休業1か月以上と死亡にしていた根拠から先に御説明します。これまでの案は、報告主体、一番初めのきっかけというのが特定注文者であり、災害発生場所管理事業者であり、その報告に対して個人事業者、被災者というのは、あくまでも協力をしていただくという義務だったので、いわゆる一番初めの発端というか引き金というか起点が、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者だった。そういった中で、本来災害の把握という意味では休業4日以上の死傷災害であることが望ましいというのは、この検討会の議論でも出ていたと思うのですけれども、労働災害と同じように休業4日以上の災害の報告ををいきなり求めていくのがどうかということで、これもはっきりした根拠があったわけではないのですけれども、災害の半数程度が把握できるだろうということで1か月という線引きをお示しさせていただいたと。
 ただ、今回、前回の議論を踏まえて、起点を、ある意味災害に遭った個人事業者に置いたということで、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者というのは、報告が上がってくるということで、自ら発掘しなくても災害が起きたことが分かるような仕組みになりましたので、これは1か月に絞る理由が逆になくなったのではないか。そうすると、では、どこに合わせるかというと、労働者と個人事業者、同じような水準の安全衛生を確保するという意味からいうと、災害の報告についても、やはり詳細に把握する部分については休業4日以上でそろえることが適当ではないかと判断したところです。新しい制度でもありますので、労働者と全く同じように休業1日以上まで求めていくというのは、休業1日以上だと四半期まとめてみたいな話になりますので、個人事業者でそれをやると機能しない面もあると思いますので、そこは休業4日以上の個別の事案が発生した後、遅滞なく報告という部分で合わせたというのが、根拠というか考え方の説明になります。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。後半はございますが、いいですか。
○本多参集者 もう1つ、よろしいですか。
○土橋座長 もう1点のほう、お願いします。
○本多参集者 それでは、同じ資料の別紙マル1その3の報告主体の所です。これの下半分の、伝達・報告することが可能な場合の所です。個人事業者から報告を受けた特定注文者等が、必要な事項を補足して監督署に届けるという仕組みが記されておりますけれども、特定注文者等としては、個人事業者等御本人では把握できないことを補足しなければならない事項は、ほとんどないのではないかと思っております。当然ながら業務の内容、災害発生状況、さらに、けがの部位や程度などは御本人が一番把握しているものであり、仮に記載に伴う表現や言い回し、名称などの補足を想定されているということであれば、一人前の自立した個人事業者の方に対して失礼な配慮のようにも思います。やはり、報告の仕組みは、何よりもシンプルな形が第1ですので、その意味で今回、あえて特定注文者への義務付け、さらには特定注文者からの義務付けという2段階の複雑な仕組みとなされておりますけれども、そういうことが本当に必要なのかは素朴に思っております。
 仮にですけれども、報告主体というところに、特定注文者が存在するということが維持されるということであれば、例えばですけれども、個人事業者等自身が自主的に直接報告する仕組みも追加した上で、その際には、特定注文者等が重ねて報告する必要はないといった、重複整理の例外規定などを設けていただくことは検討できないのでしょうか。ちなみに、再来年1月1日に施行されるとお聞きしております労働安全衛生規則の一部改正の中で、事業者は、労働者死傷病報告の様式を用いて所轄監督署に提出しなければならないところ、これを電子情報処理組織を使用して報告しなければならないとされています。
 すなわち、17か月後には労働者死傷病報告については電子報告が義務化されることになりますので、個人事業者等御自身がスマホを利用して直接監督署に報告し、必要があれば特定注文者等にCCで伝達するのが自然ですし、合理的であると考えます。よって、今回の改正に当たって、個人事業者等が自主的に直接報告する仕組みというのも、最初に検討されてもいいのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。
○土橋座長 事務局側、いかがですか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。今、頂いたような個人事業者が直接監督署に出すという仕組みも、これまで非常に何回も、この部分を議論させていただきましたので、議論の経過の中で出てきていた論点ではあります。そういうことも経過して、履行確保の観点や、個人事業者も事業者さんなので、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者が、必要に応じ補足することが僭越だという御指摘もありますけれども、一方で、被災されて間もない方なので、完璧なものが出せるかという部分もあるので、そこは、やはり必要に応じた補足ということでサポートするという意味合いもあるのかなと考えております。
 そういった意味で、どうしても個人が直接出すというものを制度としてきちんと履行確保を図る、出していないものを出してもらうように行政の側から指導するということを全体の仕組みとして機能させることを考えたときに、なかなか難しいのではないかという御指摘も検討会でありました。とはいえ、全部が全部、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者に、押し付けるといったら言葉は悪いですけれども、そこを起点にするというのは、それも果たしてどうかという議論もありました。そういったいろいろな議論がある中で、現時点で行き着いたところが、この形ということになっておりまして、起点は個人事業者にする。ただ、その報告先というのは、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者で、必要に応じて必要な事項を追加した上で監督署に出していただく。そういう形に、議論を経て行き着いたというのが正直なところです。
 もう1点、御指摘がありました電子申請の原則義務化の話ですけれども、監督署に出していただく際には、電子申請原則義務化ということになりますので、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者の方が電子申請を使っていただければいいので、個人事業者と特定注文者、若しくは個人事業者と災害発生場所管理事業者の間は、やり方は特に問わないです。ただ、これも電子でうまく情報が伝達できればいいに越したことはありませんので、実際現場で手間暇かからないで、うまく最終的に監督署への報告につながるためには、どういう形、どういうシステムがいいのかというのは、我々としても別途チームを作って検討しているところですので、御負担と手間暇がかからないようなやり方を、同時並行で検討してお示しできるように準備したいと思っております。以上です。
○土橋座長 それでは、そのほかございますか。中村委員、お願いいたします。
○中村参集者 質問というよりは確認なのですが、別紙マル2の所で、最後のページで保護具や作業方法の周知に関して、この文章どおり読んでいくと、個人事業主に対しても指導してよいということになれば、先ほど少しおっしゃった偽装請負との関係で、私としては本当はこの文章のとおりのほうがいいと思っているのです。というのは、同じ作業場で働く者は同じ労働条件の下で働くべきだと思っているので、方法も含めてきちんと指導できるということは大変有り難いと思うのだけれども、そのように理解してもいいのかどうか、この文章の所について確認なのですが。
○土橋座長 確認ということで、事務局、お願いいたします。
○船井主任中央労働衛生専門官 「必要な指導の範囲は」という※の所ですか。
○中村参集者 そうです。
○船井主任中央労働衛生専門官 これは、簡単に言うと御指摘のとおりです。いろいろな業界のヒアリングをさせていただく中で、例えば、保護具なり作業方法なりがおかしかったと、不備があったと。だけれども、それを直接、協力会社の労働者の方に指導すると偽装請負だと捉えられてしまうおそれがあると。なので、遠回りな指導とか、責任者を通してとか、そういうことをやっていたのだと。もちろん、直接違反するような事項であれば、安衛法第29条に基づいてできるのでやるのですが、そうではない場合はなかなかやりづらいというジレンマがあるという声がありました。それを整理しようということなので、安衛法に抵触しなくても安全上不適切な行為をしていた人に対しては、直接指導しても偽装請負にならないと。逆に、偽装請負にならないものというのは、こういうものがあるのだよというのを分かりやすくお示しできればというのがここの※の意図です。
○中村参集者 ありがとうございます。多分これだといろいろな指導がやりやすくなると思うので、大変有り難く思って聞いておりました。
○土橋座長 そのほかはいかがでしょうか。出口委員、お願いいたします。
○出口参集者 出口です。よろしくお願いいたします。御説明、また御意見、御要望を取りまとめていただき、ありがとうございます。資料2のその1からその6について、本多委員と重なる部分もありますが、各項目の危惧する点について確認及び要望をさせていただきます。まず、その1です。労働者死傷病報告の報告対象を踏まえて、休業4日以上の死傷災害とすることは、災害の報告件数が増えることにより、災害の実態の深掘りにもつながるのですが、報告主体としては負担が増えてしまう可能性があります。
 また、2025年1月1日から、報告者の負担軽減等のためにシステム改修が行われ、労働者死傷病報告等の電子申請が義務化される予定になっております。E-Govと連携することでスマートフォン等からでも電子申請ができ、またパソコン、スマートフォンを所持していない事業者については、労働基準監督署に設置するタブレット端末により電子申請が行える体制を整備していただけるという予定にはなっておりますが、個人事業者等を含め、負担が掛からずに円滑に報告できるようにシステム等の改修、周知展開への御支援、御配慮をお願いいたします。さらに、できれば報告だけでなく情報提供についてもシステムで提供できる形がよいと思うのですが、これらの点についてはどのようにお考えでしょうか。1点目の確認です。
 次に、その2からその6で、特定注文者や災害発生場所管理事業者への「罰則なしの義務規定」については異論のないところですが、特定注文者は、直近上位の注文者として「報告主体のイメージ」は分かるのですが、災害発生場所管理事業者の場合は、想定されるのが運輸業のような、その4で例示されております大規模商業施設のバックヤードでの災害となっており、被災された個人事業者等の契約先となる直近上位の事業者がいても、その場にいなければ特定注文者が存在しないとなり、個人事業者等が直接、契約先の直近上位を飛び越えて災害発生場所管理事業者に報告義務を負うことになります。
 以前の検討会でも、報告主体と再発防止の考え方が混在しているのではないかという発言があったと記憶しております。荷主による無理な荷卸し等の指示により発生する災害が多いことから、現時点での報告主体のイメージとなったと思われるのですが、本当に直近上位の契約先を飛び越えて、災害発生場所管理事業者に報告することで円滑に報告が労働基準監督署に提出され、再発防止に関しても良い結果となるのか懸念があります。直近上位の契約先があるならば、直近上位の契約先の働きについても支援するなど、分かりやすく明記すべきではないでしょうか。この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
 最後ですが、その5の報告事項です。先週、第155回の分科会が開催されて、令和4年の労働災害発生状況について報告がありました。建設業の一人親方等の死亡災害発生状況概要については、元請け、下請けを区別した数値で集計されており、公表もされておりました。しかし、労災保険の特別加入の把握状況については、加入、未加入の2つの区分だけで、検討会の当初から発言しておりますが、個人事業者等の災害を防止するための取組及び検討の中には、被災後の補償に関する部分も加えてこそ一貫性のある施策等を講じることができると考えております。
 また、以前ヒアリング等がありましたが、他の業界でもこの加入制度に問題が起こっているのではないでしょうか。2021年、令和3年9月1日に、ITフリーランス等を対象とした国の労災保険の特別加入制度がスタートしているわけですが、現状のデータでは個人事業者の加入者数も、補償額も全く分かりません。実際、被災後に補償とならない加入となっているケースも多く発生しているとお聞きしております。他業種では全く普及されていないのではないでしょうか。これらを改善するためにも、例えば、その後の報告事項については、加入、未加入や、加入であれば加入数、補償額などを簡単に記入するような欄を設けて、今後の施策のためのデータ集計及び分析等ができないでしょうか。この点について御検討いただくようにお願いいたします。
○土橋座長 確認事項もありました。事務局、いかがでしょうか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。まず1点目ですが、電子申請の原則義務化に伴って、なるべく負担とか手間がかからない形で、今回の仕組みもそれに乗るようにするというのは、先ほど本多委員の質問で回答したとおりです。情報提供についても、ポンチ絵でいう黄色い矢印だと思うのですが、それについても電子申請の仕組みを使わない手はないなと思っています。それが法令に基づく報告なのか、それとも情報提供なのかというのを入口で分けた形で、あとは、中身として同じであれば、得る情報としては非常に有意義だと思います。果たして制度というかシステムとして、e-Govとの関係も含めてそういうことが可能なのかどうかというのは整理しなければいけないと思うのですが、方向性としては、入手する我々も出す個人事業者の方、事業者にとっても一番いいやり方だと思いますので、そういう可能性は追求していきたいと思っています。
 直近上位の契約先を飛び越えて災害発生場所管理事業者を報告主体とすることの是非ですが、そういう議論は、これまでの検討会でもいろいろな切り口からあったわけなので、それを集約して整理したのが、今回お示しした資料でいうと、4ページの「報告主体を選定する際の基本的な考え方」という所で整理させていただきました。個人事業者の災害の報告主体になっていただくには、やはり被災時に個人事業者が行っていた業務の内容を把握していることと、災害発生場所の状況を把握している、この2つを兼ね備えた方がふさわしいのではないかというように整理したわけです。この観点からいうと、直接契約していたとしても、災害発生場所に全く来ない、いわゆる特定注文者ではない、ただの注文者の方、例えば、運送業者であれば運送契約をした遠い所にいる事業者というのは、災害発生場所の状況が分からないので、報告主体としては適切ではないのではないかという整理になるかと思います。
 災害発生場所管理事業者というのは、この報告主体の考え方に照らして、セカンドベストということで特定注文者に準ずる者として選んでいるわけなのですが、では、その方が起きた災害全てについて災害防止上の責任を負うかというと、そうではないということで、この資料の下のほうにも書いています。一方で、災害発生の責任とか再発防止の関係を全く考えなくていいのかというと、そうでもなくて、起きた災害によると思うのです。災害発生場所を管理している事業者というのは、その場所に由来する災害の再発防止については非常に大きな力を発揮していただけると思いますので、そういった意味では、パーフェクトな制度にはなっていないと思いますが、この報告主体の考えに照らして報告制度を運用していただくと。それで、その報告した災害について、自分たちで何か改善すれば同じような災害は起こらないのではないかという目で見て対策につなげていただくという観点では、そんなに悪い制度ではないのではないかと、災害防止に資する仕組みになっているのではないかと思っています。
 最後、労災加入の話ですが、繰り返しになってしまいますけれども、この検討会は補償の所をメインにして議論するのはなかなか難しいというところです。ただ、特別加入の制度を所管している所には、こういった議論や御指摘があったということは、しっかり伝えさせていただきます。あと、分科会でも報告された建設業の一人親方の死亡災害の中で労災の加入の有無というところは書かせていただいていますが、それ以上のところを掘り下げて補償がどうだったかというところまでは、実際問題、なかなか把握できていないというのが現状です。なぜかというと、現在、把握する仕組みがないのです。例えば、消防とか警察とかの情報で、労働災害ではないけれどもそういう災害を把握できたと、若しくは、労働災害だと思っていたところ個人事業者の災害だったと。そういうような形で監督署や労働局で把握できたものを本省で集約しているので、これが全数でもないし、持っている情報の深さという意味でも十分ではないということは御理解いただければと思います。以上です。
○土橋座長 オンラインのチャットを見落としておりました。三柴委員から手が挙がっておりますので、三柴委員、発言をお願いいたします。
○三柴参集者 御指名ありがとうございます。まず、事務局案には賛成であるということを申し上げたいのですが、その裏付けを昔話も少し含めてお伝えしたいと思います。今、論点になっている報告制度の一番の目的は、これまで特にフリーランス等については不十分だったデータを確実に把握するということです。第2に、実はデータを把握するというのは、予防とは結び付いている。結局、予防ではPDCAが重要なので、まず事業者なり適当な人物が情報を把握して、それを予防にいかしていくと。補償とか賠償は別の議論で、少なくとも予防にいかしていくこととはリンクしているということだと思います。だから、その両者、つまり、データの把握と予防へのリンクを確実にしていくことが、この報告制度をめぐる議論の着地点だと思っております。
 ちょっと昔話をしますと、実は労働基準法ができる前は、安全衛生というと日本でも一人親方も保護対象にしていたのです。ずっと海外の話をしていましたけれども、日本でも実はもともとそうしていた時代があったということです。その後、労基法で基本的に使用者の義務にしたのだけれども、それでは収まらない事例もあり、裁判所なりが広げて解釈していたこともあったということです。それで、安衛法ができて、法文そのもので、少し義務の対象、予防の責任の対象を広げたわけですよね。元方であったり、リース業者であったり、いろいろな人に労災を防がせるために広げたということですが、そのときに一貫した視点というのは、誰に管理を任せれば労災を防げるかということだったわけです。労災を防ぐには誰が一番やりやすいかという、そういう観点だったわけです。
 ここで、今の安衛法の作りを考えると、管理を負わせる人というのが結局、まず場所の管理者である、請負契約を結んでいる、ものの提供者であるというところを手掛かりにして管理できるでしょうと言ってきたと。これは要するに、リスクの情報を持っている、権原を持っているということだったので、今回の案でも、先ほど船井さんの説明であった、どこを特定注文者に課して、どこを場の管理者に課すかという切り分けは、混乱さえ招かなければ今の案でいいのではないかということになるわけです。
 それから、今の視点でもう少し個別の議論に入ったときに、注目しなければいけないのは、注文者等は、やはり仕事の差配をするということで、丸め込みが起きたり、個人事業者側に忖度や自粛が起きたり、あるいは、個人事業者が怠慢でと言ったら言葉は悪いですけれども、本人が放置してしまうと、災害が起きているのに報告しないということが懸念されるわけです。そうすると、1つには、今の安衛法第97条のように、報告したからといって不利益な扱いはしないよということは一文を設けておく必要があるだろうということと、縷々議論のあった、私からも発案させていただいた個人事業者が入っている団体、加入している団体による報告支援、これは取り上げるべき情報をスクリーニングするという意味も含んでいるわけですが、しかし、取り上げるべきものはちゃんと報告するという支援をしっかりすると。これは労基署へ直接というのもそうですが、そこの支援だけではなくて、特定注文者への報告についても支援していくということが大事かなと思います。
 最後に、休業4日という論点ですが、これについては本来、情報収集こそが重要だというのは、もとからこの委員会でも多々意見されてきたことですし、制度としてのバランスも取れてくると考えますので、やはり事務局案に賛成であるということです。長くなりました。以上です。ありがとうございました。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。それでは、山脇委員、お願いいたします。
○山脇参集者 別紙マル1と別紙マル2について発言させていただきます。まず、別紙マル1の報告主体について、ポンチ絵を手元において発言させていただきたいと思います。1つ目は、「災害発生の事実を伝達することが可能な場合」ということで、今回大きく変更がなされた点です。ポイントは、前回案は個人事業者から事業者に対しての協力義務とされていたところが、今回の修正案では、報告義務に変更されたことと、前回案にあった個人事業者等が監督署に情報提供した場合には事業者等は重ねて報告する必要なしという取扱いが削除されたことと理解しております。特に後者、監督署に個人事業者が情報提供した場合には、事業者が重ねて報告する必要なしという取扱いが削除されたことによって、事業者等から監督者への報告義務が一本化されたことで、元方事業者の責任がより一層明確になるという点は一定の理解ができると思います。
 一方で、個人事業者自身に報告義務が課されるという点については、私自身は慎重に検討する必要があると考えています。理由としては大きく2つあります。1つは、今回の修正案は、入院や死亡など物理的な情報伝達の困難性を基準として報告義務を誰に課すかが異なる仕組みですが、同じ災害発生事実を把握した事業者であっても、個人事業者が情報伝達が可能な場合は報告義務がないことをもって、事業者から労基署への報告義務が課されないということにするならば、その違いはどのように説明するのでしょうか。同じように事実を把握していたにもかかわらず、それ以降把握義務を免れるということが合理的な理由として説明できるのかというのが1つ目です。
 2つ目は、これまでも検討会で繰り返し述べたように、個人事業者の中には事業者と対等に交渉できる高いスキルを持つ方ももちろんいますけれども、そういった方ばかりではないということです。弱い立場に置かれている方も多く、事業者との非対称性が常態化する中で仕事を行っている方々も相当程度存在すると考えています。そうした中で事業者等への報告義務が課された場合、明示、暗示を問わず事業者からの圧力、あるいは、次の仕事を失うことへの心配などによって事故報告を行うことをためらうことも懸念されます。今の提案の中では、個人事業者を保護するための仕組みが何ら組み込まれていませんが、報告を行うことが結果としてできなかった個人事業者が、安易に報告義務違反を問われるようなことがあってはならないと考えます。
 そのため、仮に個人事業者に報告義務を課すというのであれば、少なくとも報告したことに対する不利益取扱いの禁止、それに加えて、現在の安衛法で労働者に与えられているのと同様の申告権を追加するなどして、個人事業者を保護をするための施策の検討が必要と思えます。なお、今、申告権の話をしましたが、申告権については本検討会では今まで明示的に議論はされておりませんでしたけれども、災害報告に限らず、労働者と同様の射程とすべきと考えています。
 3つ目は、ポンチ絵の上のほうの「死亡した場合や入院中などにより」についてです。赤字で、今回は「把握した場合に」と表現されています。ただ、「把握した」ことを要件としてしまうと、事業者等に、「いや、私は把握できなかったので」という抗弁を容易にしてしまうことを懸念しております。現場での災害を現認していなかったとしても、大きな音がした、救急車が来た等、「把握し得た場合」というものを含めて報告義務とすべきではないかと考えております。「把握し得た」と広げることで事業者が適切な救急対応を行う、あるいは災害原因分析・対策立案ということも可能になるのではないかと考えています。
 あと、対象を休業4日とするのか1か月以上とするのかについては、今回の検討会の目的に照らせば、個人事業者についても労働者の場合同様に休業4日以上が望ましいと考えています。併せて、先ほど別の委員からもお話がありましたが、前提としては申請の簡素化を要望いたします。
 最後にもう1つ、別紙マル2の「保護具や作業方法の周知」について、前回、私のほうで努力義務を課すことができない理由について教えてくださいと発言させていただき、前回は明示的に発言がなかったかと思います。先ほどの事務局の御説明だと、もろもろ勘案した結果という御発言だったかと思いますが、努力義務を課すことができない理由について、改めて教えていただきたいと思います。これは質問です。以上です。
○土橋座長 質問事項がありましたので、事務局、いかがでしょうか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。ちょっと数が多かったので、漏れがあったら御指摘ください。
 1点目が、個人事業者の方が被災して伝達可能な場合と伝達が難しい場合というのは、まずどういう仕切りになるのかということ。もう1つは、伝達可能な場合であって、伝達可能なのだけれども報告が上がってこないことをもって、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者が監督署に報告をしないということが、果たしていいのかという部分です。
 まず、その1個目の点についてですが、これはちょっと法令上どういう形で書き下していくのか、誤解が生じないようにきっちり書けるのかというのは、我々としても大きな課題として今、一生懸命考えているところですので、引き続き検討させていただければと思います。
 もう1つ、今回、個人事業者から特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者に報告がある。それを踏まえて特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者が、監督署に報告する。では、1個目の報告がなかったら2個目の報告は生じないのかと。法令の書き方は、これから詳細に詰めていくことによって、その辺りはクリアになってくると思いますが、1つ言えるのは災害の状況を把握している。例えば現認している、でも、報告が上がってこないから私は出さないというのがまかり通るのは、さすがによくないなと思っていて、そういうことが起きないようにやるためには、どういうふうに制度化していくのか、これもちょっと知恵を絞って考えていきたいと思います。いずれにしろ、起きた災害が円滑にステップを追ってしっかり監督署に出てくるということが重要であって、それが負担なく行えるというのが、個人事業者の方にとっても、特定注文者の方にとっても、災害発生場所管理事業者の方にとってもいいと思いますので、そういうふうになるように整理をしたいと思っています。
 もう1つは、これは回答を求められているかあれですが、先ほど三柴先生からもお話がありましたように、今回のような個人事業者に報告義務を課して、それを起点にするような仕組みにするということだと、不利益取扱いの禁止のような規定が必要ではないかということです。これは今、即答できませんが、御指摘が当たっているとは思いますので、預からせていただいて検討させていただきたいと思います。また、申告の話も、今回個人事業者保護の観点から、事業者やその他の方にいろいろな措置が新たに創設されるということも踏まえれば、労働者ほどではないですが、何か違反の事実を監督署に伝えなくてはいけないというシチュエーションもあるかもしれませんので、この点も含めて検討させていただければと思います。
 最後、別紙マル2の関係の努力義務を課すことができない理由ですが、課せない理由があるのかないのかと言われれば、別に最高裁の判決では努力義務を課してはいけないとまでは言っていませんので、ないわけなのですが、ただ、我々が検討を進めるに当たりまして、個人事業者の方も100%保護されるべき立場ではないのではないか。労働者的側面で保護されるべき立場というものと、事業者的側面で、頂いた情報をもとに自分の判断で、どういう形で措置をしていくかということを決める立場にもあると思います。そういったことも踏まえると、一方だけというか、事業者だけに努力義務を課してやらせるというのが、ちょっとバランスを欠いているのではないかという感覚的な問題になってしまうのですが、そういった個人事業者の労働者的側面で守られるべき、事業者的側面で自分でしっかりやるべきというもののバランスを取ろうとすると、今、書いてあるマル1、マル2のような形というものが一番納得性が高いのかなと思っています。ちょっと答えになっているか分からないですが、そういう考えで整理をさせていただいています。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。小野委員、お願いいたします。
○小野参集者 運輸・物流研究室の小野と申します。今までに既に御意見が出ていますので、若干重複するのですが、まず、休業4日以上については賛成です。基本的に、報告した結果、それで終わりということではなくて、やはり生じるような災害を防止するような観点につなげていくというのが、先ほどおっしゃいましたPDCAの考え方にありますので、なるべく多くのデータを取りたい。4日以上となると、割と大きい災害と考えられますので、それは取っていただきたいなと思います。
 前回、お示しいただいたデータにおいても、実際には1か月という条件だと6年間で約40万5,000件ということでした。4日以上だと77万8,000件ということで、約、倍にはなりますが、これが10倍、20倍になるわけでもありません。それほどの事務作業量が急激に膨大になって事業者を悩ますみたいな話にはならないのではないかと思いますので、6年間でですから、それは1つ4日以上というのは賛成です。
 それからもう1つは、特定注文者又は発生場所の管理事業者がそれを実際に報告していくということなのですが、それについては賛成です。このような流れでいいかと思います。1つはやはりこれも特定注文者なりが知らない場合には、その個人事業者と契約をする。特に運送の場合には運賃だけではなく、運送の条件、あるいはその納期、そういった納入条件、荷役、そういったものも合わせて契約していくわけで、そういった災害が起きたときに、やはりその契約条件でよかったのかどうかというのは、見直していただくような端緒にもなりますから、是非、これはまずは特定注文者、直近上位です。それがいない場合には、その現場にいない場合には、やはりその災害の発生場所について現場管理者として、しっかり認知していただいて、その現場の災害がなくなるような対策強化に結び付けていただきたいということで、そういうインセンティブにつながりますので、この流れでいいかなと思います。
 ただ1つ、ちょっと質問としては、その特定注文者、すなわち運送で言えば直近上位の元請運送事業者等ですが、もう1つは現場管理者、これは例えば納品、誰もいない所となると、例えば納品先の現場など、そういった所になりますが、そういったときにその納品先の現場の管理者が報告者なのか、あるいは直近上位の特定注文者が報告義務者なのか、こういったことがお互いに現場から、その個人事業主とは、お互いにその情報を頂いたときに、どちらが報告主体なのだろうかということをどうやって認識するのだろうかと。共々、元請けのその事業者が、そして現場の管理者が報告をしてしまうようなことにならないのかどうか、どうやってそれは判断するのかをちょっと教えていただきたいということが1つ。
 それから、もう1つ、先ほどの6年間で約77万件の4日以上の死傷災害が生じていますが、これは全て労働者の数字なのか、一部は個人事業者が入った数字なのか、これは知らないので教えていただけたらと思います。この2点、質問です。
○土橋座長 質問事項について、事務局、いかがでしょうか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。1点目ですが、これは着荷主か発荷主かによって、ちょっと変わってくるかなと思っています。恐らく御質問の趣旨は、着荷主における着荷主の事業場の管理者がいます。ですが、運送の元請けの人はその場に一緒に付いてくるわけではないので、その場にはいらっしゃらないということになりますと、ポンチ絵でいうところの下から3番目です。特定注文者はいない、特定注文者は直近上位の注文者であって、災害発生場所で何らかの業務を行う者ということなので、運送の人は遠くにいるので、いないということで、配送先の場所を管理する事業者が報告主体になる。
 一方、発荷主の場合は、そこで請負関係などがあれば、運送の元請けさんがその場で業務を行っているので、特定注文者として出すということはあり得ると思います。
 では、混乱するのではないかという部分については、これは新しい仕組みなので、しっかり分かりやすい形で周知するというのは大前提なのですが、まず、個人事業者の方が伝達できるような状態であれば、その個人事業者の方が自分が直接請け負っている注文者がその場にいるのか、いないのかというのは分かりますので、いなかったらその着荷主の事業者さんに伝達をするというような形で個人事業者の方にしっかり理解していただくということで、その報告義務の宛先が変わってくるので、それが重要なのかなと思います。
 一方で、個人事業者の方が亡くなってしまった場合、誰が出すかという部分があります。上の段の部分ですが、そういうところも含めますと非常に幅広い周知が必要かなと。ただ、実際、事業場の中で個人事業者の方が亡くなった場合、監督署に相談がくること、重傷の場合に相談がくることなどがありますので、そういった際にフォローさせていただければ円滑にいくと思いますが、いずれにしろしっかりした周知が必要だと、今の御質問で改めて思いました。
 もう1つのほうですが、休業1か月以上で災害の休業4日以上の半数を占めていたというデータの中で出てきた6年間で60万件、これは全部労働災害です。労働災害以外は入っていません。
 すみません、先ほど山脇委員から御質問いただいた中で、回答漏れがあったと思われるところをちょっと補足で御説明させていただきたいと思います。今回、出したポンチ絵の所で特定注文者が把握した場合、災害発生場所管理事業者が把握した場合と書いてあります。ここをこういう書き方にしている趣旨というのは、要は把握できないような形で、例えば何か車に乗ってすぐに引き上げられてしまったなど、そういうところまで報告していないではないかといって、取り締まるというか、指導させていただくようなことは考えていないと。そういう意味での把握した場合で、これは実は前回に出したときには、把握可能なものについて報告という書き方をしていたのです。あと、本文のほうは、把握可能な場合に限って報告という書き方にしていて、そのどれが一番、今、私が申し上げたことを表現できているのかというのが、ちょっと混乱していますが、いずれにしろそういう趣旨ですので、もしかしたら前回書いていた把握可能な場合というのが、山脇委員の御指摘に合っていることかもしれません。もうちょっとポンチ絵形式ではなくて、細かく書き砕いて、こういうものが対象だと分かるように、次回、整理したいと思います。以上です。
○土橋座長 労災の77万件の内訳というところは。
○船井主任中央労働衛生専門官 それは全部労働災害です。労働災害以外の部分はそこに入っていません。
○土橋座長 それではオンラインから、鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 御指名ありがとうございました。報告に関して、山脇委員より先ほど、個人事業者自身に報告義務を課すことは慎重に検討すべきとの御発言がありましたが、私は事務局案を支持したいと思います。その理由として、これまでの発言と重複する部分もありますが2点申しあげます。1点目は、報告制度の実行性を高める観点から、個人事業者自身の果たす役割が重要と思うからです。何度も繰り返して恐縮ですが、被災時の業務内容や就業場所の状況、特に災害の発生原因をもっとも良く把握しているのは個人事業者自身だと思いますので、死亡した場合等を除き個人事業者が報告主体となることは適当だと考えます。
 それから、もう1点、こちらも本多委員を中心に以前も繰り返し御指摘がありましたが、個人事業者自身の安全意識、あるいは危険感受性を高める観点から、事故の予防も含めて、今後、個人事業者が自らの役割や責任をしっかりと果たしていただくということからも、個人事業者自身に報告義務を課すことが自然であり、理にかなうと思います。ただし、仮に個人事業者が特定注文者等に報告したことで不利益を被るようなことになれば、山脇委員が御指摘のように個人事業者が報告をためらうというようなことにもなりかねませんので、不利益取扱いをしないよう、何らかの手当があってもよいと考えます。私からは以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。続いて、オンラインから鹿野委員、お願いします。
○鹿野参集者 鹿野です。ありがとうございます。既に出された御意見と重なるところもありますが、意見を申し上げたいと思います。まず、別紙マル1の「報告の仕組みについて」は、今回の事務局案に基本的に賛成です。もともとこの報告の仕組みというのは、その1の所にも書いてありますが、個人事業者等の業務上の災害の実態というものがうまく把握できておらず、そのため何が今後必要なのかということの検討の大前提の材料がないということがあり、その実態を把握することが重要であるということで、その新しい仕組みを作りましょうということだったものと思います。そして、その際、この実態把握の実効性確保等の観点から、誰にどのような役割を担ってもらうのかということで今まで議論があったものと思っています。今回は前回までとは少し違って、個人事業者自身が伝達報告等が可能な場合に、その本人に報告においてより積極的な役割を担ってもらうというような形で組まれていて、それとの関係で対象とする災害の範囲については休業4日以上として拡大することが提案されています。大枠ではそのようなところが重要な点だと思っているところです。
 もともと御本人以外のところに報告義務を課するというのは、災害に遭った本人が報告をするということはなかなか難しい場合もあるからということで考えられてきたところだと思いますので、今回のような作りというのは、役割のバランスとしてはよいと思いますし、こういう形にすることによって対象を広げるということで、より実態把握という意味ではメリットもあるのだろうと思っているところです。
 その上で、私も少し懸念を持ったところがあります。既にお話も出たところなので、私もこう思っていますという形で付け加えさせていただきたいと思います。第1点は、やはり個人事業者が管理者や特定注文者等に報告をするということによって、不利益を被るというようなことがあっては、この制度が機能しないことになりますので、その不利益を防ぐような何らかの手立てが必要だと思いました。
 それから2番目は、出発点として、先ほども指摘されましたが、報告や伝達をすることが困難な場合と可能な場合ということで大きく分けられていて、それは考え方としてはとても分かるのですが、実際に運用するにはもう少しきめ細かなというか、明確な区別が必要なのだろうなと思いました。立付けとしては、考え方を示してガイドラインなどで具体化するというようなやり方もあるのかもしれませんが、いずれにしても適用に困難が生じないように明確化するということが、将来的には必要かなと思いました。
 それから3番目、これも御指摘があったところなのですが、今回、本人が伝達困難な場合について、特定注文者が把握した場合、あるいは場所の管理事業者が把握した場合となっていまして、この把握した場合とされたことによって、当然にこういう場合には把握できるはずだというような場面で、把握していないので報告はしません、あるいはしませんでしたという言い訳を許すような形になっては困るなと思っていたところです。もしかしたらこれは運用でやっていけるのかもしれませんが、把握した場合という表現について少し懸念を覚えました。これは、先ほど御発言のあったところと同様の趣旨です。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。オンラインから三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 ありがとうございます。1点だけちょっと追加コメントをいたします。今、最後に鹿野先生からも提議された把握論なのですが、法律論上の認識論の一般では、現に認識しているか、すべき場合、そういう表現と内容を示していますので、参考になればと思います。以上です。
○土橋座長 情報をありがとうございました。それでは、そのほかに御発言は。田久委員、お願いします。
○田久参集者 ありがとうございます。これまで皆さんから御意見いただいているところと重複するところもあるかと思いますが、基本的に三柴委員や鹿野委員、山脇委員が言われたような意見に対しては賛同の考えであります。私自身が感じているのは、個人事業主が報告主体に変わったように感じられる中で、先ほど来ありますように不利益な取扱い、こういったものが考えられるのではないか。この間、私自身も労災保険の労災隠しを何度か体験をしている中では、やはりそういった業者がいます。やはりそこに対するしっかりした担保がない限り、山脇委員が言われるように、ここの部分の慎重な扱いというのは、検討ということにしていくのは必要ではないかなと思っています。
 また先ほど来、委員の皆さんが言われているように、前回までは把握可能という記載でしたので、把握可能であれば、、報告がなくても報告をする義務というものが生まれるのではないかと私は認識はしていました。ですから、把握した場合となると、そういったことがなくなってしまうのではないかというのは、少し懸念をしているところです。とにかくその個人事業主が、きちっと報告をする体制はもちろん必要だと思います。その事故に対しても、特定注文者や災害発生場所の人たちがきちっと理解をする。そして、今後につなげる対策を一緒になって考えていくということが大事だと思っていますから、全ての人がそういった点で把握をしていく方向という流れというのは作っていく必要があるかなと思っています。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。青木委員、お願いします。
○青木参集者 住宅生産団体連合会の青木です。今回の事務局案におおむね賛同をしたいと思います。懸念点は幾つかありましたが大部分が重複してしまいますので、1点だけ確認させていただきたいと思います。ポンチ絵の中の「災害発生の事実を伝達することが可能な場合」の中の一番下の黄色い矢印の所です。特定注文者、災害発生場所管理事業者のいずれも存在しない場合ということですが、逆に存在した場合でもこういった情報提供、つまり、直接個人事業者から監督署に情報提供しても可と考えてもよろしいのでしょうか。ここに明示がないのでやってはいけないと見えてしまうところもありますので、いわゆるツートラック化と言いますか、特定注文者や災害発生場所管理事業者を経ていくものと、直接個人事業者から、これは義務でなくていいと思いますが、下の休業4日未満と同じような形で、監督署に直接情報提供してもいいのではないかと考えます。この辺りを確認させていただけたらと思います。以上です。
○土橋座長 事務局側、お願いします。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。下から2番目の黄色い矢印と同じように、その上の2つも黄色い矢印があっていいのではないかということだと理解しますが、黄色い矢印があったからといって、この特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者に対する報告義務がなくなるということではないです。ないのですが、監督署に情報提供していただくということは別に禁止されているわけではないので、出していただいていい。では、どういうときに出す動機が起きるのかというと、自分は報告したのに監督署に出ていないかもしれないなど、そのようなことはあり得ると思いますので、そういった場合には情報提供をする。若しくは違うやり方としては、きちんと出ていますかということを聞いていただくというのは、別に禁止をされているわけではないです。それを報告制度の中で、この図にきっちり書くかというと、ちょっと違うかなと思ったので書いていないのですが、先ほど山脇委員からもありましたように、例えば労働者に付与されているような申告権のような形があると、そこの流れに乗って、きっちりした形で制度としてできるというようにも位置付けられるのかなと。仮に、それがなくても情報共有していただいたり確認していただくということは別に何ら禁止されているわけではありませんので、御理解いただければと思います。以上です。
○土橋座長 そのほか御発言は。中村委員、お願いします。
○中村参集者 私はずっと聞いていて思ったのですが、今の図でいいのですが、一番重要なことはどうやってこのような災害が再発することを防ぐかだと思います。そうすると、現実的にその場をきちんと管理できる人がきちんと報告することが基本であって、そのためには必要な情報をその人にきちんとあげるというのが、このまとめという中の基本だと思います。
 それで、まず確認したいのは、一番中心になっているのは下のほうの2番目の所ですよね。下の青い線の2つですよね。なぜそう言っているかというと、普通はけがが多いと思います。死亡までいくというのは、その中の1つのケースとして、把握できなかった場合は点線になって、本来基本は、どんな状況であったかをきちんとリスク管理できる人に報告するのが本当だと思います。逆に、そうでないと、その事故を再び防ごうとする場合、私はよく事故調査などに関わるのですが、ここの報告がないと有効な対策が打てないところもあるので、ここはしっかりと報告をやっていただきたい。ただし、先ほど三柴先生からあったように、何らかの、ここに対して、いわゆる報告したことによる不利益を得ないような考慮だけは入れたと思うのですが、やはりこの報告ラインがメインではないかと私は理解したのですが、それでよろしいでしょうか。
○土橋座長 事務局側、いかがでしょうか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。どっちがメインかということは余り意識はしていなかったのですが、やはり災害が起きたときに、その災害を報告するからといって、全部が全部、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者が責任を負うわけではないですよということは書いてあるのですが、ものによっては作業方法がどうだった作業場所の不備がどうだったというのがあるケースもあると思いますので、そういったものはきちんと報告して、コミュニケーションを取りながら、報告だけではなく再発防止につなげていくということは、そういう意味ではどれがメインということはないのですが、すごく重要なことだと思っていますし、それができるような仕組みになってきているのかなと思います。
○中村参集者 私は全部賛成なのです。賛成の上で言っているのですが、どうやってこの事故の再発を防ぐかを考えたら、このラインは必要だということで言っています。
○船井主任中央労働衛生専門官 それはおっしゃるとおりだと思います。何が原因で起きたのかということを、報告制度を通じて把握をして、それを次というか、防止につなげていくというのは、この制度のもう1つの側面だと思いますので、おっしゃるとおりだと思います。
○土橋座長 インターネットから森委員、お願いします。
○森参集者 ありがとうございます。基本的に私も事務局案、論点1、論点2とも賛成をしています。
 その上でちょっと論点2について、質問というか教えていただきたいことがあります。労使関係において義務をどう掛けるか、義務を使用者や事業者に掛けたら、労働者に努力義務を掛けるなど、バランスを取るということについて理解していて、今回の場合は片方だけに努力義務を掛けるわけではなくて、両方ともバランスを取る、そういった趣旨ということで理解しています。その上で、「何々するように努めなければならない」といった表現で努力義務が掛かっている場合と、ここにあるように「何々すること」のような表現になっていることの差で、実効性には差があるのでしょうか。私は、今まで労働衛生の分野でいろいろ仕事をしてきても、この間で実効性に大きなが差が生じるという実感がありません。今回のバランスを取る件、あくまでも規則や法律を作るための技術の話なのか、努力義務を掛けたときとそうでないときには何らかの違いが生じることを期待しているのか、この辺りについてどう考えたらいいか教えていただきたいと思っています。
○土橋座長 事務局、いかがでしょうか。
○船井主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。努力義務という形にすると、すごく効果が進む、実際に取り組まれるということは、この件だけでなく過去の件でも、劇的に変わるかというと、必ずしもそんなに大きく変わらないのではないかという印象です。何か措置を求めるときに、罰則付きの義務でもない限り、現場でちゃんと機能するか、現場の実態に即した内容というのがやられるかやられないかの決定的な違いになってくるのではないかと思っています。そういう意味では実際、現場で例えば保護具を着けてないので着けろと言いたい、だけれども、それが偽装請負になるから言えない。そういうことを解消して差し上げるというのが、やりたいことができる、その足かせがなくなるという意味ですごくいいのではないかと思っています。それがマル1の関係です。
 マル2の関係は、これは実は法令上何らかの仕組みができればと思っていて、※の所に書いてあるのですが、労働者であれば労働安全衛生法第4条で、災害防止上必要な事項を守りましょうということが包括的に書いてあるのですが、個人事業者というのは今まで余り保護対象にもされていなかったし、自分から何かを守りましょうということも書いてなかったわけです。こういったことを労働者並びで書くことによって、個人事業者自身だけではなく、個人事業者のそばで働く労働者の方への危害も防止し得ると思いますので、災害報告の所でも常々お話が出ていましたが、個人事業者自身の意識を高める意味でも、こういうものがあると、いろいろなところにいい効果があるのではないかと思って書かせていただいています。実際、法令上書けるかどうか、また検討しないといけないので検討という表現にとどめていますが、以上のような考えです。
○森参集者 ありがとうございます。個人事業者自身を守るためにも、個人事業者自身が自分で自分の健康、安全を守るという意識が高まるということは極めて重要なことと思っていますので、そういった意味でこういったバランスのある表現というものに対しては、私自身は賛成しています。よろしくお願いします。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは、御発言はほかにありませんか。大木委員、お願いします。
○大木参集者 建専連の大木です。報告主体の仕組みについて基本的には賛成です。実際、この特定注文者が監督署に報告するということになりますと、特定注文者というのは建設業で言えば我々専門工事業者、あるいは一次下請以下の会社になるかと思います。そのとき我々、この特定注文者という概念、あるいは言葉が従来の安衛法、今までなじみのない言葉ですので、我々が会員以下に周知徹底させるためにも、広報活動はじめいろいろなことをしていかなくてはいけないのですが、できるだけ報告する書式を簡便な書式にしていただきたいということと、また周知・啓蒙するために、我々団体自身もやりますが、是非、厚労省さん自身も御支援していただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。そのほか御発言はありますか。よろしいですか。それでは議題(2)は以上とします。多方面から様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。事務局においては、本日の議論を踏まえた整理をお願いいたします。
 それでは最後になりますが、その他として事務局から何かありますか。
○船井主任中央労働衛生専門官 連絡事項ですが、今日頂いた議論も踏まえて、改めて整理したものについては、次回8月22日の午後開催予定の検討会において、お示しさせていただきたいと思います。詳細は、また事務局から御案内させていただきます。
 本日の議事録については、参集者の皆様に御確認を頂いた上で公開することとさせていただきます。以上です。
○土橋座長 それでは、本日は長時間にわたり活発な御議論いただき、ありがとうございました。以上で、第13回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を閉会します。どうもありがとうございました。