2023年2月13日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和5年2月13日(月)18:00~

場所

新橋8E会議室

出席者

出席委員(16名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 

他参考人1名


欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  中山智紀(医療機器審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。
 私は、医療機器審査管理課長の中山です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議形式を併用して開催いたします。
 最初に、本年1月25日付けで薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われました。それに伴い本部会の委員につきましても、新しく委員の任命が行われたところでございます。つきましては、御退任された委員とともに新たに就任された委員を御紹介させていただきたいと思います。
 御退任された先生ですけれども、内田恵理子委員、大隅典子委員、楠岡英雄委員が御退任されたということでございます。それに伴いまして、今回から新たに3名の先生方に部会委員として御就任いただいております。御紹介させていただきたいと思います。新任の先生方におかれましては、一言御挨拶を頂ければと思います。
 まず、国立大学法人東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子発生学分野教授、井関祥子委員です。よろしくお願いいたします。
○井関委員 東京医科歯科大学、井関でございます。このような部会の委員として議論するのは初めてですけれども、先ほど御挨拶のときに右も左も上も下も分からないというような話をしていましたけれども、医薬品に関係するということで、分からないというふうには言っていられませんので、本当になるべく早くに審議できるようになりまして、貢献していきたいと思っておりますので、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
次に、国立医薬品食品衛生研究所遺伝子医薬部部長、井上貴雄委員です。
○井上委員 御紹介ありがとうございました。国立衛研遺伝子医薬部の井上と申します。私が担当します部署では、この部会と関係するものとして、AAVベクター等の遺伝子治療用製品、ゲノム編集製品、それからメッセンジャーRNA医薬の評価科学に関する研究を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
次に、国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター長の永井宏和委員です。
○永井(宏)委員 国立病院機構名古屋医療センターの永井と申します。私もこういう委員に参加させていただくのは初めてなのですが、任命していただき、身の引き締まる思いで、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
 続きまして、部会長の選出についてなのですけれども、委員の改選に伴いまして、1月26日に行われた薬事分科会におきまして、各部会の部会長の選出が行われております。本部会につきましては、合田幸広委員が改めて部会長として選出されておりますので、御報告申し上げます。合田部会長に、一言御挨拶をお願いいたします。
○合田部会長 国立衛研の所長をしています合田でございます。どうぞよろしくお願いします。この分野は、非常に先端的な分野でございまして、実りの多い部会にするために、皆様方のお知恵をお借りして、また、積極的に意見を言っていただいて、議事を進めていく必要があると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
 次に、部会長代理の選出についてです。薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定によりまして、部会に属する委員のうち部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされています。合田部会長、御指名のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 部会長代理につきましては、永井洋士委員にお願いしたいと思います。是非、部会長代理席まで御移動いただけると幸いです。よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 それでは、御移動の方、お願いいたします。部会長から、永井洋士委員に部会長代理の御指名がありましたので、永井委員に部会長代理をお願いしたいと存じます。それでは、永井洋士委員、一言御挨拶をお願いしたいと思います。
○永井(洋)部会長代理 京都大学の永井でございます。私はかれこれ15年くらい前、文部科学省と厚労省が進めている拠点整備事業の中で、昨今の会で話題になっているような再生医療技術、その黎明期にいろいろな開発案件を支援した経験があります。それから約10年、場合によっては15年たって、当時の案件がようやくこの場に上がってきているのを目の当たりにして、本当にうれしいといいますか、わくわくしてこの部会に参加しております。引き続き頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
 現時点で、再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、16名に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。なお、16名のうち7名の委員の方がWebシステムを用いて御参加いただいているという状況です。
 次に、事務局から本部会の運営方法について、特に御留意いただきたい事項等について御説明させていただきたいと思います。
○事務局 事務局でございます。それでは、改めまして、本部会への御参加に当たっての留意事項を3点ほど御説明させていただきます。
 第1に、守秘義務の関係でございます。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は、非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきまして漏らすことのないようお願いいたします。
 第2に、薬事に関する企業等との関係でございます。まずは、参考資料1「薬事分科会規程」を御用意ください。8ページを御覧ください。薬事分科会規程第11条におきまして「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 続いて、参考資料2「薬事分科会における確認事項」を御用意ください。こちらの14ページを御覧ください。審議事項について御説明いたします。再生医療等製品という見出しの表の右側、「部会」「分科会」と書かれております欄に、区分ごとに印がついております。○印は審議、△印は報告、▲印は文書配布による報告、×印については審議・報告なしとなっております。基本的にはこれに基づき、部会、分科会において御審議をお願いしております。続いて、参考資料1に戻っていただき、「薬事分科会規程」を御準備ください。こちらの6ページを御覧ください。第7条におきまして、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」と定めております。先ほどの表に記載しております事項以外にも、このただし書にありますように、「部会において、特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることとなります。
 委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただきますようお願いいたします。説明は以上となります。
○医療機器審査管理課長 次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題3につきまして、杏林大学医学部形成外科主任教授の多久嶋亮彦先生に、Webシステムにて出席いただいております。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。先ほども御説明がありましたとおり、薬事分科会規程第11条がございますけれども、これについては全ての委員から適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面の御提出を頂いております。御負担をおかけいたしますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、部会の議題1及び2については会議を公開で行い、議題3以降の議題については、再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。会場の皆様のお手元には、議事次第、資料1~7及び座席表をお配りしております。Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前に郵送もしくはメールにてお配りした資料をお手元に御用意ください。
 次に、Webで御参加される委員の皆様へ、注意事項を御説明いたします。審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックし、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に、御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りいたしました事務局の連絡先まで御一報いただけますと幸いです。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行につきましては、合田部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。Webの先生方もよろしいですね。
 それでは、これより議題に入ります。本日は議題1、2及び6が報告事項、議題3、4及び5が審議事項となっております。
 まず、議題1、公開案件でございますけれども、「次世代再生医療等製品評価指標について」の報告に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題1「次世代再生医療等製品評価指標について」、御報告させていただきます。資料1を御用意ください。
 経緯から御説明をさせていただきます。ページをめくっていただきまして2/17ページ、「(参考)」の情報を御覧ください。評価指標ガイドライン作成事業についてでございます。医療ニーズが高く実用可能性のある医療機器及び再生医療等製品について、審査時に用いる技術的な評価指標等をあらかじめ作成・公表することにより、製品開発の効率化及び承認審査の迅速化を図ることを目的として、平成17年度からこれらの評価指標を検討し、公表させていただいているところでございます。
 本事業の成果については、3/17ページに一覧でお示ししております。これらの次世代再生医療等製品関係につきましては、冒頭の16指標を既に公表させていただいているところでございます。一番上の重症心不全細胞治療用細胞シートが心臓関係のシートでございます。
 これを受けまして、1/17ページにお戻りください。今回の成果物の概要でございます。虚血性心筋症の標準治療につきましては、侵襲性が高い外科的治療でございますので、開発が進められているヒト由来のiPS細胞のうち、特に心筋細胞シートの実用化が期待されているところでございます。また、先ほど一覧で御説明いたしました既存の評価指標ガイドラインといたしまして、「重症心不全細胞治療用細胞シート」については原材料をiPS細胞とする製品を想定したものではございませんので、今般、ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シートを用いた虚血性心筋症の治療に関する評価指標の検討が行われたところでございます。なお、今回は心筋のシートでございますけれども、このほか今年度事業といたしまして、心筋球と多層体についても同じように検討を行っているところでございます。
 今回の成果物の中で、品質、有効性及び安全性の評価に当たって留意すべき事項を、下のポツで示しているとおりまとめさせていただきました。これらの内容についてはここに書いてあるとおりなのですが、次世代評価指標ワーキングにおける議論のポイントを交えながら御説明をさせていただこうと思いますので、当日配付資料1を御覧ください。パワーポイントの横の資料でございます。
次世代評価指標ワーキングにおける議論のポイントとして、1ポツ目、最終製品として、現時点で3種類、先ほど御説明いたしましたシートと心筋球と多層体でございますけれども、それぞれ独立した評価指標を作成すること。2ポツ目といたしまして、既に既存の評価指標として「重症心不全細胞治療用細胞シート」がございますので、これも参考にすること。3ポツ目、対象疾患としては、虚血性心筋症を選択いたしました。4ポツ目、最終製品の考え方についてでございますけれども、既存の評価指標は細胞をシートにする前のものを想定したものがございましたので、今回は「心筋細胞シート」を最終製品として捉えた内容に据えております。5ポツ目、非臨床試験でございますけれども、既にシート状のものとして、既承認品であるハートシートの審査報告書等も参考に作成いたしました。最後、臨床試験でございますけれども、有効性評価に関して、主要評価項目等の留意点等について議論をしたところでございます。
裏側に行っていただきまして、こちらが指標の概要でございます。左側に指標の目次を設けております。右側にその概要を示しております。既存の評価指標との違いを中心に整理いたしました。1ポツ目、iPS細胞由来のものでございますので、既に局長通知としてお示ししている内容を踏まえつつ、iPS細胞由来の製品として考慮すべき内容を具体化いたしました。2ポツ目、製品の安定性試験についてでございます。最終製品が細胞シート状であるということもございますので、既存のものとは違う点として、シート状を前提とした安定性試験の内容を検討いたしました。3ポツ目、非臨床試験についてです。既存の評価指標には詳細に書かれている内容をそのままにしつつ、今回、iPS細胞由来ということもございますので、最終製品を用いて、特に腫瘍の評価について記載をしております。最後、4ポツ目、臨床試験についてでございます。こちらについては、既存の評価指標では特に具体的な内容は書かれておりませんでしたので、選択基準・除外基準、対照群の考え方等について、考慮要素を整理いたしました。
 これらを踏まえまして、資料1の4ページ以降に、今回の成果物といたしまして、評価指標の案をお示ししております。こちらについては既にパブリックコメントを実施しておりまして、頂いた意見のうち内容を修正するべき点については、修正したものをお見せしているところでございます。本部会においてもこの内容を報告させていただき、部会において先生からコメント等があれば、それを踏まえて最終的には通知として発出する予定としております。
資料1については以上でございます。
○合田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はございますでしょうか。非常に丁寧に作られている案だとは思います。永井先生、お願いします。
○永井(洋)部会長代理 確認です。iPS心筋シートのガイドラインは、虚血性心筋症を対象としているということですが、私の近いところで、重症心不全に対する同様の開発がなされていると聞いております。重症心不全については平成22年にガイドラインが出ているのですが、どちらも生きているのか、どういうふうに使い分ければいいのか、あるいは今回出たiPS心筋シートのガイドラインは虚血性に限らず、それ以外の心不全についても準用できると解釈してよろしいでしょうか。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 ありがとうございます。今回の内容は、先ほども御説明させていただいたとおり虚血性心筋症に関するものでございます。既存のものについては重症心不全の関係でございますので、これはこのままに運用し続けることを想定させていただいておるところでございます。ただ、平成22年というものでございますので、先ほども御説明させていただいたとおり、今回はシートでございますけれども、心筋球と多層体についても今年度事業として検討しているところでございます。特に多層体になるかと思いますが、こちらについて心不全を視野に入れた指標になると考えておるところでございます。
○合田部会長 よろしいですか。永井先生、どうぞ。
○永井(洋)部会長代理 心不全ということになると、現時点では両方とも見ないといけないという解釈になりますね。
○事務局 御理解のとおりです。
○永井(洋)部会長代理 分かりました。
○合田部会長 佐藤陽治先生。
○佐藤(陽)委員 この事業の事務局をやっておりましたので補足いたしますと、今までハートシートというテルモの骨格筋芽細胞シート製品がございまして、それを想定した評価指標が既にございます。今回作られたのは、iPS細胞由来心筋細胞シート用の評価指標でございます。先ほども事務局から御説明がありましたけれども、このほかに国内で心筋細胞を球状にした製品と心血管系の細胞の多層体シートが開発中でございまして、それぞれの製品に関する評価指標が現在準備中でございます。恐らく永井先生は多層体シートのことを御想定されているのではないかと。
○永井(洋)部会長代理 シートです。
○佐藤(陽)委員 重症心不全に関しては、三つ目の多層体シート製品の対象疾患として想定されていると存じます。その評価指標につきましては、現在、最終化に向けて文書を編集しているところでございます。つまり、現時点ではテルモの製品を想定した評価指標と、今、御覧いただいている評価指標がございますけれども、近い将来、我が国で開発されたほかの2製品を想定した評価指標も出てくると期待されるところでございます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。永井先生、よろしいですか。
○永井(洋)部会長代理 はい。
○合田部会長 井関先生、よろしいですか。
○井関委員 はい。
○合田部会長 ほかに御意見等はございますでしょうか。小原先生、お願いします。
○小原委員 ありがとうございます。6ページの、未分化細胞が混在していないことの確認について、御質問させていただきます。ここで想定されていらっしゃるのが、未分化細胞というのがどの程度まで混在していないことを想定されているのか。つまり、これがオールオアノンでゼロになるというのは非常に厳しいと思うのですけれども、そこまで要求されているのか、その辺を少し御教授いただければと思います。
○合田部会長 これは佐藤先生に聞いたほうがいいですか。事務局ですか。事務局、お願いします。
○事務局 御質問ありがとうございます。もちろん全くのゼロリスクが想定されるものではございませんで、ある程度、一部未分化のものが入っているということは致し方ないのかなと考えておりますが、しかしながら製造工程においてそれを最小限に抑える。残っていたとしても、リスクベネフィットで評価するというところを用いて、評価する側は受け止めなければいけないのかなと想像しています。
○小原委員 そうしますと、いろいろなマーカー遺伝子の量であったり、マーカー抗原の強さ、発現の量といったものは、指標として持っていらっしゃると考えてよろしいのでしょうか。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。佐藤先生。
○佐藤(陽)委員 国立衛研、佐藤の方から御回答いたします。未分化細胞が混在していないことの確認というのは、現時点で技術的に可能な、そして科学的に合理的な手法に基づいて規格を決め、その規格に基づいて未分化細胞がいないということを示すということでございます。具体的にどういった規格かということにつきましては、審査当局と申請者との間で御議論いただくことになります。以上です。
○小原委員 ありがとうございます。
○合田部会長 小原先生、それでよろしいですね。ありがとうございます。
 ほかに御質問等はございますか。よろしいですか。それでは、これで議題1を終了したいと思います。
 続きまして、公開案件議題2「再生医療等製品「ゾルゲンスマ点滴静注」の論文撤回に至るまでの経緯について」です。事務局より説明をお願いします。
○事務局 「再生医療等製品「ゾルゲンスマ点滴静注」の論文撤回に至るまでの経緯について」でございます。資料2を御用意ください。
 まず、「1.背景」でございますけれども、昨年12月、本部会におきまして、「再生医療等製品「ゾルゲンスマ点滴静注」の承認審査に関連した論文の撤回に伴う対応について」について御報告をさせていただいたところ、下記2点、本事案の経緯に係るコメントを頂いたところでございます。
 これを受けまして、「2.本事案の経緯」について、別添1のとおり整理させていただきましたので、御報告をさせていただきます。別添1を御覧ください。表の構成といたしまして、左側に「開発中から承認審査に係る経緯」、真ん中に「論文撤回に係る経緯」、そして右側にそれらを受けた「行政側の対応関係」として、それぞれ時系列として整理させていただいております。
 それでは、上からかいつまんで御説明させていただきます。まず、2010年2月、当該薬理論文がオンラインに掲載をされました。本論文の責任著者については、2019年までAveXis社の幹部を務めていた人物でございます。2014年5月、AveXis社により海外第I相試験が開始されました。2018年5月、ノバルティス海外本社によりこのAveXis社が買収され、これ以後、ゾルゲンスマの関係についてはノバルティス社が引き継いだという関係性にございます。続きまして、2018年11月でございますけれども、ノバルティス社において、我が国における製造販売承認申請がなされました。そして2019年3月、AveXis社のSan Diego研究所において実施した試験の不正に関する内部通報がございまして、ノバルティス社内において調査が開始されました。2019年6月、ノバルティス社海外本社は、米国FDAに対して、今回の不正に伴う内部調査の結果、治験製品の出荷試験(in vivo力価試験)において、データが故意に操作されていたということを報告しております。これを踏まえまして、2019年7月、米国FDAは、AveXis社の同研究所に対する査察を開始しております。
時を同じくいたしまして、ノバルティス社は、機構に対し、本件のデータ不正に関する経緯等を報告しております。また、2019年11月、申請者は機構に対し、操作されていた出荷試験の代わりになるデータを提示しておりまして、これによって品質審査上の問題は解決したとされております。
 ページは進んでいただきまして、2020年2月に、2019年7月から開始されておりましたFDAの査察が完了いたしまして、FDAは、データ操作問題に係る査察を最終的に「規制措置の対象ではないが自主的な改善が望まれる」と、結論をしております。
 一方、我が国の対応でございますけれども、先ほど御説明させていただいたとおり、代替のデータの提出により品質上の審査は問題ないと判断をいたしまして、部会に報告させていただいたところ、ゾルゲンスマについては承認して差し支えないとされた一方で、当時、ゾルゲンスマについては先駆的制度の指定を受けておりましたので、今回のデータ不正問題に伴いまして、審査期間がいたずらに延びてしまったということを受けまして、指定の取消しの在り方も含めた本制度の運用改善について、御指摘を頂いたところでございます。
この指摘を受けまして、下の矢印に行っていただきまして、2020年8月、当時令和元年の薬機法の改正に合わせまして先駆的制度について運用を改正いたしました。具体的には、今回のように審査途中で発覚したデータの不正だとか書類上の瑕疵が認められる場合は指定を取り消せるという規定を明確化したという改正等を行っております。上に戻っていただきまして、2020年3月、厚生労働省よりノバルティス社に対して指示を出しておりました、再発防止策の報告がなされました。あわせて、本件について分科会において御報告させていただいたところ、品質、有効性及び安全性に問題がないと判断した経緯について公表するべきという御指摘を頂いたところでございます。これについては、下の矢印に行っていただきまして、2020年5月、問題ないと判断したことについて、審議結果報告書の補遺という形のものを作成いたしまして、部会にて報告させていただいた後、公表させていただいております。
 少し前に戻っていただきまして、2020年2月、FDAの査察の結果、最終的には「規制措置の対象ではないが自主的な改善が望まれる」という結論が出されたことを受けまして、真ん中のカラムの2020年4月、ノバルティス海外本社は、製造販売承認申請に用いた全ての資料、データについて、信頼性を再度確認することを目的とした一斉点検を開始いたしました。
これの結果、2021年3月、ノバルティス社は、学術研究機関で実施されたin vivoの有効性試験に関しデータの正確性が確認できないということが発覚したことを受けまして、あわせて、このことについては申請者から機構及び厚生労働省に報告がなされております。しかしながらこのとき、全体の調査は進行中でございましたので、類似の案件がないかについては確認中としておりました。一方ノバルティス社に関しては、このことが発覚して直ちに、論文著者と学術研究機関に対して、当該論文の修正または撤回をお願いしております。なお、この論文に係る研究を主導し、その後AveXis社に入社した者は、この時点では退社してしまっており、現在ノバルティス社においては雇用されていないことは確認しております。
 2022年3月、ノバルティス社の一斉点検が終了いたしまして、結果として、信頼性が確認できないデータについては、先ほど御説明いたしましたin vivoの有効性試験のみであるということが確認されております。これについて、機構及び厚生労働省に対し、申請者から報告がなされました。また、ゾルゲンスマは海外でも承認されているということがございましたので、ノバルティス社から米国FDA、EMA等に同様の報告をしております。なお、これらの規制当局からは、追加の措置はなされていないという状況でございます。
 2022年10月、論文著者と学術誌との間で協議が行われた結果、当該論文が撤回されました。この旨ノバルティス社から機構に報告がなされております。
これを受けまして、2022年11月、当該論文が引用されていた審査報告書及び添付文書の改訂を行っております。このことについては、昨年12月、本部会、再生部会において御報告させていただいたところでございます。本日の部会においても、一連の経緯として改めて報告をさせていただきました。
 続きまして、別添2を御覧ください。こちらが昨年12月の再生部会において対応として御説明させていただいた資料でございます。本部会において御指摘いただいた点として、「1.経緯」にノバルティス社が一斉点検をするに至った経緯を明記するということで、今回赤字で追記をさせていただいているところでございます。この内容でございますが、先ほど御説明いたしました別添1でお示ししている資料について、本部会で御了承いただいた後、厚生労働省のWebサイトで差替えを行う予定でおります。資料2の御説明は以上でございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等はございますか。
このテーブルというかエクセルで作られたものの4/5の真ん中の下から四つ目なのですけれども、論文著者と学術誌側との協議の結果撤回されたという話ですが、実際には、著者は撤回しないで、論文誌側がこれはウィズドローだと言っているので、この後の別添2に書かれていることは正確なのですけれども、学術誌側の判断として該当論文が撤回されたという形に変えたほうが正確ではないですか。学術誌側の判断、要するに、著者は撤回をすると言っていないのだけれども、学術誌側が撤回した。そこだけ変えておいていただいたほうがいいのではないかと思います。その方向で皆さんよろしいですか。宮川先生。
○宮川委員 今の部会長の御指摘が非常に真っ当だと思うので、それはしっかりと書き換えていただかないといけない案件だと思います。
 それから、2/5の別添1、中ほどの「論文撤回に係る経緯」のところですけれども、責任著者が2019年まで会社にいたということなのですが、なぜ2019年と書いたのですか。何月までとなぜ書かないのですか。それを書かなかったら意味がないではないですか。2010年のところに書き込みがあって、2019年までいたわけですけれども、2019年の何月までいたのですか。どこまでそういう事象に関わったということは明らかにしないと、これは公表して出すわけでしょう。時系列で書いてあると言っているけれども、全然時系列ではないので、是非そのところは明らかにして、公表していただければと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。2019年3月なのか4月なのかは結構クリティカルですね。だから、是非そこも調べて書いていただければと思います。ほかによろしいですか。
○宮川委員 今後、このような曖昧な表現とかはされないように、しっかりとした審査の過程を明らかにしていただかないと、私たちいろいろな論文をしっかりと読んで審査する側としての責任がありますので、そのところはしっかりと書いていただかないと困りますので、よろしくお願いします。
○合田部会長 事務局、よろしいですね。
○医療機器審査管理課長 しっかり対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はございますか。Webの先生方もよろしいですね。それでは、これで議題2を終了したいと思います。これ以降は非公開ですね。
○医療機器審査管理課長 以降の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様方、申し訳ありませんが御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、審議を再開いたしたいと思います。
○合田部会長 それでは、部会の再開という方向でよろしいですね。
○医療機器審査管理課長 部会の再開、お願いいたします。
○事務局 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。資料7「競合品目・競合企業リスト」を御覧ください。お手元の資料の一番下にあるかと思います。こちらの資料の1ページに「ジャスミン」について、2ページに「ビズノバ」について、3ページに「リソカブタゲン マラルユーセル」について、リストがございますので、必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料7に示す企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条より、議決に御参加できない委員は、議題5において小牧委員、永井宏和委員、森尾委員が該当しております。この際、御退室いただく必要はございません。事務局からは以上でございます。
○医療機器審査管理課長 以上、報告いたします。以降の進行につきましては、合田部会長、お願いいたします。
○合田部会長 今の事務局の説明について、意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これより議題3に入ります。非公開案件「再生医療等製品「ジャスミン」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について」です。本議題につきましては、参考人として多久嶋亮彦先生に御出席いただいております。事務局より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3「ジャスミン」の製造販売承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。
お手元の資料ファイル「ジャスミン」の資料セットを御準備ください。そして、タブで「審査報告書」とついているところを開いていただいて、審査報告書を御覧ください。
 まず、審査報告書の3ページをお開きください。上から2行目以降に記載した「1.1 申請品目の概要」を御覧ください。本品は、患者自身の病変部を含まない皮膚組織から採取した皮膚片に由来する表皮細胞を、メラノサイトが保持されるよう培養・増殖させ、シート状に形成したヒト(自己)表皮由来細胞シートを主の構成体とする製品でございます。
 今、プロジェクターの方に、実際の治療手技の流れを分かりやすく記載したものを映してもらっています。
 本品は、メラノサイトが欠失又は減少している安定期の白斑に対して、表皮層を剥削した後に移植して、メラノサイトを含む表皮細胞の供給による色素再生を目的として使用される製品でございます。今般本品は、「安定期の白斑(尋常性白斑又はまだら症)」という内容を「効能、効果又は性能」として、承認申請が行われました。現時点において、本品は、いずれの国及び地域においても承認・販売はされておりません。
 本品の専門協議に御参加いただいた専門委員は、専門委員リストにございますとおり、5名の委員でございます。
 以下、ここからは臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明させていただきます。
 審査報告書の13ページを御覧ください。表13を御覧ください。今般の承認申請では、臨床試験成績として、国内第III相試験であるACE02試験1試験の成績が提出されました。
 最初に、有効性について説明させていただきます。次に、審査報告書の15ページを御覧ください。表17を御覧ください。尋常性白斑又はまだら症による安定期の白斑を有する患者を対象としたACE02試験において、24例に本品が移植され、移植後の色素再生率が評価されました。主要評価項目とされた本品移植後52週目の色素再生率の平均値は68%であり、事前に設定された閾値50%に対して、統計的に有意な差が認められました。なお、色素再生率につきましては、本品を移植した面積のうち色素再生した部分をパーセントで示した数値であり、具体的な計算式はこのページの脚注に記載させていただいております。以上の成績等を踏まえ、安定期の白斑に対する一定の有効性が示されたと判断いたしました。
 次に、安全性について説明します。審査報告書の20ページを御覧ください。一番下の部分、「7.R.3 安全性について」の項以降に、安全性の審査報告を記載させていただいております。本品の移植に当たって、特に肥厚性瘢痕に注意が必要と考えるものの、ACE02試験で認められた有害事象等に関して、資材などを用いて医療現場に適切に情報提供すること、並びにこれらの情報を踏まえて、白斑の治療及び皮膚の外科的治療に十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等適切な対応がなされるのであれば、本品の移植に伴うリスクは許容可能であると判断いたしました。
 ただし、治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後には本品が移植された全ての患者を対象とする調査を実施する必要があると判断しております。
 また、「効能、効果又は性能」について、申請時には「安定期の白斑(尋常性白斑又はまだら症)」が設定されておりましたが、本品を用いた治療は表皮の剥削を伴う外科的治療であり、本品の治療対象となる安定期の白斑が外科的治療の対象となる、すなわち「薬物療法等の非外科的治療が無効又は適応とならない白斑」ということを明確にする必要があることなどから、「効能、効果又は性能」には「非外科的治療が無効又は適応とならない白斑」を設定することが適切と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は、審査報告書の表紙の1ページの下の「効能、効果又は性能」の記載と、その次に書いてある「用法及び用量又は使用方法」の内容で、審査報告書の次の2ページに記載した承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。本品は、既承認再生医療等製品と構成細胞が明らかに異なる新再生医療等製品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であると判断いたしました。
 機構からの説明は以上となります。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、参考人の多久嶋先生からの追加の説明はございますでしょうか。
○多久嶋参考人 杏林大学形成外科の多久嶋でございます。よろしくお願いします。
 尋常性白斑は、顔にありますと非常に目立ちますので、患者のQOLを著しく損なうものであります。ですから、治療に関しては非常に社会的意義が大きいものだと思います。しかしながら、これまでの治療法としては、陰圧をかけて水疱をつくってそれを移植するという方法しかなかったわけで、それですと治療したい領域と同じ領域の水疱をつくらなければいけないので、非常に問題も多かったわけです。これに対して本法は、メラノサイトを含めた表皮細胞を継代培養して、表皮細胞シートとして移植するという方法でありまして、これまでの欠点を補う方法ではあると思います。以上のことより、本法の製造、販売に関しては、一応問題ないかとは思います。
 しかしながら、治験での結果は、完全に周りの皮膚と同じ色になるかというと、決してそうではありませんので、培養表皮がどれだけメラノサイトを含有しているのかというところに関しても、更なる改良は必要かと考えました。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見等はございますでしょうか。小野寺先生、よろしくお願いします。
○小野寺委員 この辺は素人なのでよく分からないのですが、今、先生が言われた数値が50%と言われても、正直言ってどの程度良くなったのか実際に分かりません。これは外科的手術ですので、専門家の先生においては意味があるかとは思いますが、私のような素人においては、できれば画像等で確認したいのですが、そういうものの閲覧は可能でしょうか。
○多久嶋参考人 私は用意するようには言われていないです。
○小野寺委員 先生に対してではなく、厚生労働省に対しての要望です。
○合田部会長 資料3に1つ出ていますが。
○小野寺委員 ありますか。私は見つけられなかったのですが。
○多久嶋参考人 正直言いまして、僕は治験の結果を見ましたけれども、かなりよくなっているという症例はそんなに多くはなくて、数値として出せばよくはなっているかなというような感じのものも結構ありました。
 ただ、これ以外に全く方法がないのです。もう一つ、この方法は複数回繰り返していけるというメリットはあると思いますので、そう考えると、今後いろいろ改良しなければいけない点はあるかと思いますけれども、取りあえずこういう方法で皮膚科領域、形成外科領域の中で広めていくべきかなとは思いました。
○小野寺委員 素人質問で申し訳ないですけれども、白斑の部分はメラノサイトが存在していません。そうなるとなぜ移植した組織からメラノサイトが消失し、再び、白斑様になるか分かりません。つまり、せっかく移植しても再度、メラノサイトがいなくなる可能性はありませんか。
○多久嶋参考人 おっしゃるとおりで、なぜその領域だけメラノサイトがいないのか、あるいは減っているのか、自己免疫的なことが考えられているのですけれども、原因はよく分かっていないのです。だから、移植しても、その領域の中で局所的にそういう自己免疫的なことが働いているのであれば、結局はまた同じだろうという意見は当然あります。
 でも実際には、多少なりともくっつく、メラノサイトがメラニンをつくってくれるというところはあるとは思います。
○合田部会長 ありがとうございます。
○小野寺委員 厚労省には、実際の画像等は提出されていないのでしょうか。
○合田部会長 たしか治験のときの写真が資料3の15/25にあるのですが、これは治験のときの生データですね。
○医薬品医療機器総合機構 本日の資料の中には、写真、画像の資料はないです。もちろん審査の方では確認をしております。
○合田部会長 分かりました。ただ、治験のときのデータは、ステロイドの治療をしていないので、実際にはステロイドと併用されるからもっとよくなるでしょうみたいな話を事前の説明のときには聞いたのです。そのときには、安全性の方でよくならない例としてもこういうものがありますというのは出ていましたけれども、普通であればステロイドを当然使うから、それよりもっとよくなるでしょうという説明を受けました。この辺のところは難しいですね。生データで、皮膚のことですから、見たいという先生がいらっしゃるのももっともだなと思います。
 何かございますか。どうぞ。
○宮川委員 すごく基本的なところで教えていただきたいので質問したのですけれども、1ページでは表皮の剥削のところの表皮がグラインダーまたはレーザーでと書いてあったのですが、14ページの被験者の背景を見ると、表皮剥削の方法で5例挙がっているのですけれども、結局グラインダーは使われていないのです。最初のところではレーザーかグラインダーを使うと書いてあったのですが、グラインダーは使えなくて、剥いでしまうから駄目なのか、表皮の剥削の方法によってそれがすごくよくできるのかどうか、剥削の方法によって随分違ってくるのではないかなと思うので、その辺のところを教えていただければと思います。これは興味というわけではないのですが、やり方がよく分からないものですから、教えていただければと思います。
○合田部会長 どうぞ。
○多久嶋参考人 レーザーはかなり浅く、表皮だけ削るようなことが可能です。けれどもグラインダーは、どうしても深くなりがちです。それから、削る深さが一定しない。特に治験のレベルで、取ったそこが肥厚性瘢痕になっていたりという症例もありましたので、これは技術的な問題なのですけれども、上手な人がやっても一定した深さで浅く削ることができないので、結局レーザーで削るという方に傾いていったのではないかなとは思います。
○宮川委員 グラインダーは非常に難しいのだろうなと思ったのでお聞きしたのですけれども、よく分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○森尾委員 森尾です。ナイーブな質問です。多久嶋先生、教えてください。
 まだら症というと、先天異常と書いてあって、常染色体顕性遺伝のc-kit異常と理解していますけれども、診断においては遺伝子診断が必須のものかというのが1点目です。2点目が、c-kit異常があって限局性に異常があるというのも非常に不思議な感じがするのですけれども、現状のところだとどうなっているのでしょうか。リバータントがあるのか、限局性に何か異常があるのか。そこら辺のところを教えていただけたらと思っています。
○合田部会長 多久嶋先生、よろしいですか。
○多久嶋参考人 この製品自体は、後天的な尋常性白斑となっていたと思います。ですから、いわゆるアルビノというものとは全然違うと思いますので、遺伝子的な解析とかは、やっている人もいるのかもしれないですけれども、異常がどこかの遺伝子が特定されたという話は聞いたことはないです。
○森尾委員 これは事務局に聞いたほうがいいのかもしれません。23ページ、「効能、効果又は性能に関連する使用上の注意」のところで、下線部追加と書いていまして、1ポツの後ろに「まだら症などの先天性異常による完全脱色素斑に対して本品を使用すること」と書いてあるのですが、まだら症を適応ということでよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 機構の方から補足させていただきます。治験においては、まだら症の患者さんも見られておりまして、そこも含めて有効性、安全性は確認しておりますので、先天性の方でも使える製品として、「効能、効果」を提案させていただいております。
○森尾委員 そこに含まれているのですね。
○医薬品医療機器総合機構 関連する使用上の注意という形で記載させていただいております。
○森尾委員 多久嶋先生、これは遺伝子診断が必須になるのでしょうか。
○多久嶋参考人 この辺の解析に関しては皮膚科の方の専門だと思いますので、我々形成外科の領域ではあまりタッチしていないことだと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。
○森尾委員 「まだら症などの先天性異常」と書き切っているので、調べておかないといけないのかなというのが1点目でした。
○医薬品医療機器総合機構 関連する使用上の注意という形で記載させていただいておりまして、「効能、効果」としてはあくまでそこは明示せずに、非外科的治療が無効又は適応とならない白斑というところで。
○森尾委員 この下線の文言はどこにも出てこないと考えてよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 今おっしゃっているのは使用上の注意の記載のことですか。
○森尾委員 はい。
○医薬品医療機器総合機構 関連する使用上の注意は添付文書の方では記載しております。医師が患者さんに使うときに、患者さんがこの製品の対象になるかどうかというところの情報として、記載させていただいております。
○多久嶋参考人 この点に関しまして、僕も最初に呼ばれたときに、先天的なものに関してはメラノサイトそのものの異常と考えられるので、こういうふうな治療は成り立たないのではないかという質問はした覚えがあります。
○森尾委員 ジャームラインの変異なので、どうなっているのかなという興味だけでした。ただ、限局性にまだらというと、変異の影響がこういう一部の部位に出てくるのだと思います。けれども、ほかに正常なところがあるような病気だと思っています。
○合田部会長 ありがとうございます。永井洋士先生、お願いします。
○永井(洋)部会長代理 関連して質問というかコメントですが、14ページの表15にありますが、まだら症については24例中2症例しかやっていないのです。2症例では有効性や安全性を言えないので、今回適応に含めるにしても、きちんと市販後にデータを蓄積して、本当に効くのかということは評価しないといけないと思います。
 それにも関係するのですが、次のページの表17によると、平均値は68%。標準偏差がすごく大きくて、35%。そして、最小値、最大値、0と100。全く効かない人もいるし、100%メラニンができている人もいる。数症例は、標準偏差からすると4~5割、あるいは2割程度しか効いていないはずなので、どういう症例で本当に効くのかを、よくよく市販後に調査して、この治療法を最適化していく必要があると思います。以上です。
○合田部会長 永井先生、貴重な意見をどうもありがとうございます。そのとおりだと思います。事務局、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 さっきおっしゃったとおり、市販後に適切に情報収集できるように、よく相談してまいります。ありがとうございました。
○合田部会長 ありがとうございました。小牧先生が先に手を挙げられていました。よろしいですか。
○小牧委員 私も、この治療法で、このデータで、リスクベネフィットの観点で換算便益がどれぐらいあるのかが分からなかったので質問させていただきますけれども、表23、24、25辺りなのですが、今のお話を聞くと、アンメットニーズが非常に高いので、有効性が一定数期待できるのであれば認めたほうがいいのではないかということかなと思ったのですけれども、悪いというのは、効果がないということなのでしょうか。瘢痕があって更に見た目が悪くなったので悪いと考えておられるのか、その辺が分かりにくかったので教えていただきたいです。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 治療満足度の表23の御指摘と理解しておりますが、よろしいでしょうか。
 本品について、事前に患者さんの期待度が高かったり、医師の期待度が高いと、先ほど部会長が冒頭におっしゃったとおり、併用治療がなされない中での試験でございますので、思い描いたものと違う色であったとか、色の再生パターンであったというところで、治療満足度が悪いという評価をされている場合があるというところを申請者の方から説明を受けております。
○合田部会長 ありがとうございます。小牧先生、今のでよろしいですか。
○小牧委員 分かりました。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、井関先生、お願いします。
○井関委員 私が不勉強なのかもしれませんけれども、先ほどの永井先生のに続いてなのですが、表16で移植面積に関しまして最小値は4.7、最大値は212ということは、平方センチメートルということでよろしいのですね。そうすると、4.7、こんなものから、212平方センチメートルというと、大分大きさが違っていて、68%の平均値が、もともとの移植面積との関係、いわゆる色素の残り方がどう違うのかなというのがすごく疑問で、先ほどからほとんどの先生がおっしゃっていましたけれども、写真が見てみたい。何かパターンはないのかなと思ったりもしたのですが、いかがでしょうか。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今回の治験につきましては、表14の主な選択・除外基準にあるように、2平方センチ以上の患者さんが含められる治験として実施されております。移植面積については全て本品を全部べたっと貼るというところで、貼った部分を100%として、そこから何%が色がついたかというところで評価しておりますので、少ない面積と非常に大きい面積はいろいろばらつきがあるのですけれども、評価の方法としては、今回採用された部分で評価するというのも一つの評価方法としては評価できると判断しまして、審査を進めております。
○合田部会長 事務局、どうぞ。
○事務局 先ほど御質問いただいた色素再生率の参考となる図を、今、画面共有をさせていただいております。上が移植前のものを示しておりまして、その下が移植後のものでございます。色素再生率100%であるとこれぐらいの色になるという写真を共有させていただいています。参考までに。
○井関委員 ありがとうございます。100%の方のものは、どこにあったのかなと思うぐらいきれいになっているなと思います。これは確かに4.7という最小値の方ではないと思いますので、個人差が大きいということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 特に大きさによって再生パターンが違うとか、そういうところは我々も審査の中で確認しまして、特段の傾向は今のところは確認できておりません。
○井関委員 ありがとうございました。
○多久嶋参考人 あとは、行った医師の削り方とか、かなり技術的なものには左右されるかなと思っています。
○合田部会長 ありがとうございます。荒戸先生が手を挙げていらっしゃいました。よろしいですか。
○荒戸委員 今まで議論になってきた、どういう背景であれば効くかということについて、1点教えていただきたいのですが、審査報告書の16ページ表19では、原疾患別の再生率が、尋常性白斑の分節型が優れているように見えるのですけれども、これは何らかの有効性が認められやすいような疾患背景があるのか、教えていただきたく存じます。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 やはり治験の症例も限られた中での検討にはなるのですけれども、今のところ特段の何かしらの原疾患であったり患者背景によって有効性が変わるとかいう傾向は認められていないところで、今後、製販後調査でも情報収集して検討していくような内容になるかなと考えております。
○合田部会長 ありがとうございます。荒戸先生、よろしいですか。
○荒戸委員 違わないと言われるとうーんと思うのですが、どちらにしましても市販後に情報収集していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 症例数が少ないので、これで有意と言うのはなかなか難しいかなと思います。次に、永井宏和委員が先ほど手を挙げられていました。
○永井(宏)委員 名古屋医療センターの永井です。少し教えていただきたいのですが、ジャスミンは以前、大分前にやっていた熱傷のジェイスとほぼ同じもので、いわゆるメラノサイトをキープできるように最適化されたというような形で記載されていたと思うのですが、ジェイスでは結構長期の状況も分かっていると思うのですけれども、長期の有害事象面とかそういうものはジェイスとあまり変わらない、そこら辺は外挿できるようなものなのかが1点です。
 先ほどの小牧先生のコメントでもありましたが、顔面とかに使って肥厚性瘢痕が残ることになると、例えば10分の1とか10分の2でも不満足が出ると結構大きな問題になるのではないかと思うのですが、それに対する対策というわけではないのですけれども、事前に会社が取られるとか、そういうことはあるのでしょうか。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、有害事象なのですけれども、使用方法として、ジェイスはやけどを負った部分に貼るというところ。一方で、これはやけどではなくて白い部分に貼る、そこの表皮を薄く削って貼るというところで、治療、使われ方が若干違うところですので、こちらについては今回の治験で得られた情報に基づいて、ある程度注意が必要な有害事象は何かというところの検討をさせていただいております。ただ、製品の品質に由来するものについては、共通の部分もありますので、そこは同じような注意喚起はさせていただいております。
○永井(宏)委員 長期の例えば造腫瘍性とかそういうことに関しては、ジェイスは長期にわたっても何も言われていないということでよろしかったですか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりでございます。その辺りは今のところ問題になったところではございませんので、ジャスミンにおいても、引き続き製販後でも情報収集というサポートをとっております。
○合田部会長 あと、肥厚性の話はよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 肥厚性瘢痕につきましては、御指摘のとおり見た目が赤くなるというところ、見た目によく関係する話ですので、これについては特に注意を要する事象というところで、添付文書の方でも重大な副作用として記載しますし、資材等でも、実際にどのような状態になるかを適切に情報提供する。あと、患者さんにおいても、このようなリスクがあるというところを患者さん向けの資材において情報提供した上で、この治療を行うかどうかというところを御判断いただけるように、きちんと事前に情報提供するという方策を準備しております。
○永井(宏)委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。次に、宮川先生が挙げていらっしゃいました。
○宮川委員 今もお話しになったように、患者さんの期待度と術者の成熟度によって随分違ってくることが今までの議論で分かってきました。先ほど森尾委員が23ページのアンダーラインのことを言ったのは、そういうことがあって、受け入れる患者さん、適応の患者さんも含めて、あまり過度な期待が持たれないようにすることも必要です。しっかりとした情報提供をしないと、有効なものであっても使い切れないということになってしまっては本意ではないので、是非ともそのような立てつけだけはつくっていただいて、現場が困らないようにしていただければありがたいなと思う次第です。
○合田部会長 ありがとうございました。Webの先生方、よろしいですか。小野寺先生、どうぞ。
○小野寺委員 現時点では添付文書はまだできていないのですか。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書案は資料に付けてございます。
○小野寺委員 概要というものですか。
○医薬品医療機器総合機構 概要の319ページにございます。
○小野寺委員 一般的に言う添付文書と比べたら全然違うと思うのですが、これから作成するということですか。
○医薬品医療機器総合機構 319ページに添付文書、今のフォーマットのものがありますので、御覧いただければと思います。その前が添付文書に対して説明があります。
○小野寺委員 失礼しました。見つけました。申し訳ありませんでした。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。中岡先生、どうぞ。
○中岡委員 何度も蒸し返すようで申し訳ないのですけれども、0%と判断した方に関して、18ページを見ると、6症例13件のデータの取扱いについて議論になっていて、それが全部0%と判断されていると読めるのですけれども、最初に見ると3枚貼られた方と2枚貼られた方と1枚貼られた方がいて、そういうところを見ると5例7件とか3例5件とかいうのが同じ患者さんなのか、それとも違う患者さんなのかとか、そういうものが分からないので、もし何かそういうところでも議論されていたのであれば、教えてほしいなと思ったのです。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、ここのそれぞれ取り扱われた症例については、重複している症例もあります。ただ、それぞれについて審査の中でどの症例が重複して、どの部分で重複しているかは確認をさせていただいて、症例の取扱い、またデータの取扱いについては、評価においてはそこまで影響はないというところで審査を進めてまいりました。
○中岡委員 先ほども言われたとおり、お医者さんの腕のようなものも関わってくるとなると、何となくこれをぱっと見たときに、同じ患者さんとか同じお医者さんがやったケースで、例えば3枚貼った1例で、3枚とも0%だったとか、そういうことがあるのではないかと思ったりしたので、そういうところももうちょっと説明していただけるとありがたいなと思ったところです。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 それぞれの取り扱った症例については、脚注のところに登録番号として書かせていただいておりまして、同じ登録番号であれば同じ症例というところで、最低限の情報としては書かせていただいております。以上、補足でした。
○合田部会長 詳しく読めば分かるようです。個人の問題があります。
ほかの先生、よろしいですか。ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますか。よろしいですか。
それでは、議決を行いたいと思います。再生医療等製品「ジャスミン」については、承認を可としてもよろしいでしょうか。また、条件及び期限付き承認に該当せず、8年間の再審査の対象として指定することとしてよろしいでしょうか。
 皆様、よろしいですか。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで議題3を終了します。多久嶋先生、どうもありがとうございました。
○多久嶋参考人 どうもありがとうございました。
── 多久嶋参考人退室 ──
○合田部会長 それでは、議題4の「再生医療等製品「ビズノバ」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4「ビズノバ」の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。
 お手元に「ビズノバ」の資料セットを御準備ください。タグはついていないのですけれども、2枚めくっていただくと審査報告書がございますので、こちらを用いて御説明させていただきます。
 まず、審査報告書の3ページを御覧ください。上から2行目以降に記載させていただいた「1.1 申請品目の概要」を御覧ください。この製品につきましては、ドナーより採取したヒト角膜から分離した角膜内皮細胞を培養して製した成熟分化培養角膜内皮細胞を構成細胞とする、角膜内皮細胞剤を主構成体とする製品でございます。
今、プロジェクターの方に、実際の治療手技のイメージを映していただいております。
 まず、対象疾患なのですけれども、水疱性角膜症となります。水疱性角膜症につきましては、手術や先天的な要因で角膜内皮細胞の密度が減少して、角膜の水分量の調節機能の低下が起きて、角膜がむくんで混濁し視力も低下する疾患でございますが、本品はこの障害された内皮を再建して、角膜の透明性を回復させることを目的としています。実際の手技なのですけれども、御覧いただいているように、幾つか手順があるのですが、局所麻酔下で角膜(黒目の部分)に2mm弱の小切開を入れまして、そこから中にある変性した内皮細胞を剥離・除去した上で、きれいにして、その後に2mmの切開創を一度縫合し、その上で本品細胞剤を注射針で注入した後、その後、患者さんがうつむき姿勢を保持することで、角膜の内側に本品を伸展、定着させる製品でございます。水疱性角膜症の既存の治療法としては角膜移植がございますが、ドナー不足であったり、侵襲性の高さなどから、新たな治療法が期待されている状況でございました。今般本品は、「水疱性角膜症」を「効能、効果又は性能」として、承認申請が行われました。なお本品は、当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。現時点において、本品は、いずれの国及び地域においても承認・販売はされておりません。
 本品の専門協議に御参加いただいた先生につきましては、資料セットの2枚目にございます専門委員リストに記載させていただいている、5名の委員でございます。
 ここから、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明させていただきます。
 まず、審査報告書の15ページを御覧ください。下の方に表13がございますので、こちらを御覧ください。今般の承認申請では、評価資料として、水疱性角膜症患者を対象とした二つの医師主導による国内臨床試験の成績が提出されました。
 最初に、有効性について説明させていただきます。審査報告書の18ページを御覧ください。一番下の行以降に有効性を記載させていただいております。次のページの表18に、実際の有効性のデータがございますので、表18も御覧ください。国内第III相試験として実施されたCHCEC-301試験を中心に説明させていただきますと、水疱性角膜症患者を対象としたこのCHCEC-301試験において、12例の患者さんに本品が移植され、有効性の主要評価項目である「移植後24週における角膜内皮細胞密度1,000個/mm2以上を達成した被験者の割合」は100%、12例中12例でございまして、事前に設定した閾値10%に対して、統計学的に有意差が認められました。なお、達成基準である1/mm2当たり1,000個という値なのですけれども、角膜内皮障害の重症度分類で、1,000個未満となると角膜の透明性を維持する上で危険とされていることなどから設定されております。また、角膜内皮細胞密度、角膜厚及び最良矯正視力の推移については、表18のとおりでございまして、本品移植前後で浮腫の軽減により角膜厚が減少し、最良矯正視力が改善した結果が得られています。以上の成績を踏まえ、水疱性角膜症に対する一定の有効性は示されたと判断しております。
 次に、安全性について説明させていただきます。審査報告書の22ページを御覧ください。「7.R.3 安全性について」を御覧ください。本品移植に当たって特に眼圧上昇、嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、眼感染症に注意が必要と考えるものの、臨床試験で認められた有害事象等に関して医療現場に適切に情報提供すること、並びにこれらの情報を踏まえて、水疱性角膜症の治療に十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応がされることにより、本品の移植に伴うリスクは許容可能と判断いたしました。
 ただし、国内での治験症例数が極めて限られることから、製造販売後には本品が投与された全ての患者を対象とする調査を実施する必要があると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、審査報告書の表紙の一番下に記載させていただいた「効能、効果又は性能」、並びに次のページに記載させていただいた「用法及び用量又は治療方法」で、その下に記載させていただいております承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。
 本品は、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。
 機構からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見等はございますでしょうか。佐藤陽治先生。
○佐藤(陽)委員 国立衛研の佐藤でございます。5ページの「2.2.1 ヒト角膜」の最後の「ウインドピリオドを勘案した検査は実施されていない」ということについてです。確認ですけれども、これは核酸増幅法のウインドピリオドを勘案した検査が実施されていないということであって、血清学的検査によるウインドピリオドは核酸増幅法によって勘案されていると考えてよろしいでしょうか。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答申し上げます。ウインドピリオドについてですけれども、ドナーの方がお亡くなりになっているということもございますので、2回目のウインドピリオドを勘案した試験の方は実施されておりません。その代わり、受入れのときに新たに試験をNATの方で実施しているという状況でございます。
○佐藤(陽)委員 ありがとうございます。要するにNATのウインドピリオドですね。
○合田部会長 よろしいですか。それでは、ほかに御質問等はございますか。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 301試験とR-01試験で眼圧の上昇の頻度はかなり違って、R-01試験では長期のところでは眼圧がすごく上がっている症例があります。長期安全性のところ、21ページにはR-01試験で書いてあって、眼圧のことに関しては、特に23ページは201試験で書いてあります。眼圧の上昇のところで乖離が少しあるのではないかと考えます。どのように読み取ればいいのかなと思って、教えていただければと思います。201試験では軽度緑内障点眼薬で回復したといっても2例という形で、R-01試験では移植後1週間以内に認められてうんぬんと書いてあるのですが、長期安全性のところ、25ページで見ると、38症例中、実際には42件16症例見られたと内訳が書いてあるのですけれども、それに対しての治療とかがよく分からないことと、機構は考察したということで、長期安全性については特に眼圧上昇が問題だということで、眼圧のところが変に書き分けられているのでよく分からなかったので、教えていただければと思います。
○合田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審査においては、治験として実施された201試験、301試験を中心に評価を進めておりましたが、こちらの部分で実施された治験においては、治験の実施期間が半年だったり、1年だったりと、期間が短い部分もありましたので、発現する事象も限られている状況であります。一方で、臨床研究として実施されたR-01試験については、長期的、より長いデータがあるというところで、事象の発現も積み重なってきている。その背景としては、本品移植後にステロイドの点眼をするというところで、それが眼圧の上昇、長期的に使用するというところでこの部分が出てきていると考えております。そこの部分は長期の安全性というところで考察させていただいているところでございます。
○合田部会長 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど御指摘を頂きましたR-01の臨床研究と治験との結果の乖離でございますけれども、その点につきましては、R-01の臨床研究の時点では、ステロイドの点眼が、リンデロンの点眼の回数も治験のときよりは多く、長期に使うなど、ステロイドの特に局所投与の強さが違ったというところが一つあるかと思います。恐らくその辺りも踏まえまして、その後の治験でステロイドの使用を弱めても有効性が得られるだろうということで、投与方法を変えておりますので、今後、情報提供するのは、治験に基づいて提示させていただきますので、どちらかというと治験で得られた成績に近い眼圧上昇の発現状況になってくるのではないかと予想はしております。
○宮川先生 それは推測ですね。長期のところはR-01で見ているわけですね。201、301は時間的に系列としては短いです。それは機構の方の推測の意見ですね。長期にわたっての状況はどうなのかといったら、R-01でしか見られないわけですね。そのときはたまたまステロイドを使っていた。しかしながら、201、301試験は期間が短くて、ステロイドはそれほど使われていなかったけれども、長期のデータはないのですね。それに対しては、そういうふうな区分をしてくださいねと申し上げたのです。注意喚起のところは非常に難しいことだろうと僕は読み取っていたのです。だから、長期のところで分からないのであれば分からないということで、ステロイドをどうやって使うのかというところに関しては、しっかりと立てつけをつくらなければいけない。R-01試験でそれでやっていったから、R-01試験はそういう意味でステロイドをたくさん使っていました。では、201試験とか301試験のようにステロイドを使わなくていいのですと、少なくすれば安全ですとは言い切れないわけではないですか。そこはそういうふうに言ってしまってはいけないのではないかなと思っています。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。もちろん長期的な成績につきましては、市販後に情報収集をさせていただきます。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。そのことをしっかりと書き込んでください。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○合田部会長 今のは添付文書とか何かに説明をもうちょっと加えるという話になるのですか。宮川先生、書き込んでくださいと最後に言われましたね。
○宮川委員 しっかりと書き込んでいただきたい。短期のとき、術後うつ伏せで、そのときは眼圧は上がっていないのですけれども、うつ伏せのところで目をかなり圧迫しながらやらないといけないので、このポジションと、その後時間をずっとやっているのは、受けた側はかなりきついのです。その後も含めてですけれども、立てつけとして、この段階ではきちんとしたステロイドの使い方を確立していないのです。リンデロンも含めてですけれども、どのようなステロイド剤を使って、どのような投与をするのかというのを確立していないのにそういうことは言えないはずです。しっかりとした書き込みが必要です。それから市販後も含めてしっかりとした試験というか、そういうもののフォローをしていただかないといけないと御指摘申し上げたいと思います。
○合田部会長 分かりました。要するに、今後のことも含めてということでよろしいですか。分かりました。ありがとうございます。永井宏和先生、お願いできますか。手を挙げておりました。
○永井(宏)委員 名古屋医療センターの永井と申します。少し教えてほしいのですが、ドナーというのは、いわゆる日本のアイバンクからのドナーとイコールと考えてよろしかったでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらのドナーに関しましては、米国のアイバンク協会に登録されている施設から提供されているものになっております。
○永井(宏)委員 米国ですね。分かりました。海外のというところなのですが、例えば添付文書を読んでもヒト角膜というような書き方で、由来を添付文書とかいろいろな周知するところに書かなくてもいいのでしょうか。気になるところかなとは思ったのですが、いかがでしょうか。
○合田部会長 機構、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の方には由来を記載させていただいております。また、注意喚起の方もさせていただいております。
○永井(宏)委員 ちなみに、米国のバンクというのは添付文書のどの辺に書いてありましたでしょうか。少し読んで私が見つけられなかっただけかもしれませんので、教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構の方から説明させていただきます。今、採取国というのは、角膜に関しては書いていないです。
○永井(宏)委員 トランスフェリンとかそういうものは書いてあるのですが、物のいわゆる角膜がどこから来たというのが読みにくかったのですけれども、それは添付文書に書かれる予定はあるのですか。別途ですか。
○医薬品医療機器総合機構 書くことにはなっていないというのが、正直な御説明にはなります。
○永井(宏)委員 これは書かなくていいものですか。どうなのでしょうか。自分、受ける者としては、海外でも国内でもいいのですが、多少由来が分かった、一番コアなものなので、知らしめたほうがよいような気はするのですけれども、いかがでしょうか。
○合田部会長 これは厚労省でしょうか。どうぞ。
○再生医療製品等審査部長 説明させていただきます。添付文書上の記載のルールといたしましては、血液に関しましては原産国を記載することになっておりますけれども、それ以外の組織に関しては、特に原産国を記載するような形の規則はございません。
○永井(宏)委員 規則ではなくて、薬剤として、受ける身としては、一番コアな、一番大事なところが、ドナーさんは何かなとかいうふうに考えるので、添付文書は患者さんも見るので、その辺を記載されてはどうかと意見したところです。
○合田部会長 中岡先生、ありますか。
○中岡委員 今のと関連してなのですけれども、前も聞いたのですが、私の記憶が間違いなければ、テムセルを除いて、同種の細胞を使った製品はこれだけですね。同種の細胞で、しかもその細胞が実質的に機能する製品はこれが初めてではないかなと思っているのです。そうであれば、そのことは何となくどこかで書いておかないとまずいような気がします。
○合田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から答えします。同種の製品ですという話に関しましては、もともとテムセルは、一般的名称のところで「ヒト(同種)」というのはルールに従って付けていたところで、同種というのが出ていたのですけれども、今回INNを取得して、一般的名称がINNのカタカナ表記のネルテペンドセルということで、ちょっと分かりにくい作りになっております。ただ、添付文書の「重要な基本的注意」のところで、同種製品についてこういうふうに書きましょうという記載例があって、同種になりますので感染症です。そういったところで手厚く書いてあるぐらいです。
○中岡委員 添付文書案を拝見していると、確かに「2.重要な基本的注意」の下の方に「本品の原料であるヒト角膜は、適格性が確認されたドナーより採取されたものである」と書いてはあるので、そこでちゃんと分かるとは思うのですけれども、そういう面では、その辺りのことは今後考えたほうがいいのかなと。特に同種製品で、その細胞自体が機能を示すものとしてはこれが初めてで、テムセルの場合はどちらかというと免疫抑制でした。これは、これ自体が定着して機能を発揮することを求めている再生医療等製品だと思うので、そういう意味では、この後のフォローも大切になってくるでしょうし、その辺りは今後の課題として考えられたほうがいいかなと思った次第です。
○合田部会長 ありがとうございます。中山課長、いかがでしょうか。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。先生方から御指摘を受けたとおり、基本的には記載する方向で検討・調整して、実施したいと思っておりますので、お時間をいただきたいと思います。
○合田部会長 ありがとうございました。先に宮川先生、お願いします。
○宮川委員 今のことの関連ですけれども、是非それは前例があるからどうのこうのという言い方はこれからはしないでいただいて、より正しく、それから、使う側、使われる側含めて、より分かるようにしていくのが、これからの審議の中でやっていかなければいけないことだろうと思います。前はそうでしたどうのこうのという感情的な言い方はこれから是非お止めいただいて、前向きにそういうことをして、私たちがこれからどういうことを皆さんに伝えていくのか、伝えればいいのか、齟齬がないのかということで、先ほど中岡委員もおっしゃったことだろうと思うので、是非とも含み入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○合田部会長 ありがとうございます。荒戸先生、お願いします。
○荒戸委員 先ほどのお話なのですけれども、アロフィセルという体性幹細胞加工製品は同種だったと思うのですが、その添付文書では一番上の囲みのところで、スペインで採取されている旨の記載があるようですので、情報共有させていただきます。以上です。
○合田部会長 先生、ありがとうございます。機構、何かありますか。よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 少し経緯が複雑なのですけれども、採取国のスペインでヤコブ病が発生したこともあって、ヒト細胞組織の原料として使わないようにという通知が出ております。スペインが原産国だったというところが審査上の論点となったために、スペインというのは名指しで記載したという背景があります。米国で採取されたテムセルの骨髄液については、添付文書では米国とは書いていないところがありますが、今回、先生方から御指摘いただきましたので、検討させていただきたいと思います。今後、同種製品は、iPSは国内のほか海外もありますし、ESなんかもありますので、まだ初期だというところで、検討させていただければと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、小原先生、お願いします。
○小原委員 違うところで教えていただきたいのですけれども、先ほどの安全性のところでまた確認をさせていただきたいのですが、本品を使った後に眼痛が出た例について、24ページに記載があります。比較的高い割合で眼痛が出ているのですけれども、出る方と出ない方で何か違いがあるのでしょうか。一般的に手術等をされた後に出ることはあるとは思うのですけれども、その辺、何か情報があったら教えていただきたいです。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 眼痛について、5例で出ているのですけれども、今のところこれらの有害事象について特定の患者背景を持つ方で特に傾向があるという情報は確認されておりません。限られた症例の中での状況でございますので、今後、製販後の情報に基づいてそういう部分は検討されることになるかと思いますので、ここはきちんと情報収集するように努めてまいりたいと思います。
○小原委員 現時点で例えば用法に注意を喚起するような必要はないという御判断でよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験で発現した事象について、特に頻度高く見られたものについては副作用の項目で記載させていただいて、適切に情報提供させていただいております。
○合田部会長 ありがとうございます。小原先生、よろしいですか。
○小原委員 はい、よろしいです。
○合田部会長 ありがとうございます。その次、小野寺先生、お願いします。
○小野寺委員 気になる点は先ほど宮川先生が言われたステロイドの使い方に関してです。24ページに拒絶反応について書かれておりますが、実際に治験、I、II相においてステロイドの全身投与はなされたのでしょうか。
○合田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。臨床試験、治験の際にも、ステロイドの全身投与及び局所投与、両方が使用されている状況でして、全身投与も周術期のみですが実施されております。
○小野寺委員 記載されているかもしれませんが、かなりの量のステロイドが使用されていると思われます。体重あたり何mgでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 あくまでも推奨レジメンという形ではございますが、全身投与のステロイドの量としましては、ソルメドロールで125mgの静注を注入前日と投与日、リンデロン1/1mgを1日後から3または7日後というような記載で、推奨レジメンは説明を受けております。
○小野寺委員 それでは全身投与に関してはある一定期間使用して、その後、中止と理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 全身投与は周術期のみで終了しておりまして、その後は点眼での対応とされておりました。
○小野寺委員 点眼はどの程度継続されるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 点眼の終了時期については、特定のところはございませんで、担当医が状況を見ながら判断していると御説明を受けておりますが、201試験は52週の試験ですけれども、52週まで推奨レジメンでは使用が推奨されておりました。
○小野寺委員 24ページの移植片の拒絶に関して添付文書に記載する予定でしょうか。
○合田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 拒絶については現時点では事象は認められていないというところで、添付文書には記載はしておりませんが、拒絶反応については製造販売後の重要な検討事項の一つとして設定し、情報収集をするというところで考えております。
○小野寺委員 ヒト細胞、特に同種組織なので気になります。自家組織であれば拒絶がない可能性が高いですが、同種組織でステロイドを使っているわけですから拒絶に関しては記載した方が良いのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回あくまで治験において拒絶に関するイベントがあったかどうかというところで、注意喚起の情報については検討させていただいている状況でございます。また、市販後にそのような事象が集積した場合には、その時点で改めて添付文書の内容についても、拒絶反応の注意喚起の詳細を含め検討されるものになろうかと考えております。
○小野寺委員 了解しました。先ほど言われたように、テムセルと違って長期的に生体内に生着するわけですからその辺(拒絶等)の情報をしっかりと収集をしていただければと思います。以上です。ありがとうございます。
○合田部会長 小野寺先生、ありがとうございます。機構、よろしくお願いします。
 ほかに御質問等はございますか。よろしいですか。それでは、議決を行いたいと思います。再生医療等製品「ビズノバ」については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件及び期限付き承認に該当せず、10年間の再審査の対象として指定することとしてよろしいでしょうか。
 皆様、よろしいですか。御異議ありませんね。それでは、そのように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで議題4を終了します。
 続きまして、議題5「リソカブタゲン マラルユーセルを希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について」です。事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局より、議題5、「リソカブタゲン マラルユーセル」を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、御説明をさせていただきます。
 資料番号としては5番のものを御用意ください。耳が幾つか付いておりますけれども、「事前評価報告書」というものを中心に御説明させていただきます。
 本品の名称は「リソカブタゲン マラルユーセル」となっておりますけれども、既に承認されておりまして、販売名としては「ブレヤンジ静注」でございます。ブレヤンジ静注につきましては、既に効能・効果として濾胞性リンパ腫というものがございますが、既存の効能はGrade3Bのみでございました。今回、申請者より、濾胞性リンパ腫のうちGrade1、2、3Aと別のリンパ腫である辺縁帯リンパ腫に関する申請がなされたものでございまして、それの指定の可否について御議論いただくものでございます。
 まず、希少疾病用再生医療等製品の指定への該当性についてでございますけれども、指定要件としては三つございまして、一つ目「対象者数」についてでございます。資料に記載もございますとおり、濾胞性リンパ腫、以下FLと略しますけれども、FLにつきましては、全体として1万7,000人の患者さんが推計されているところでございます。当然この中にはGrade1から3Bまでが含まれておりますので、既存のGrade3Bにつきましては全体の多くて5%という推計がございます。さらに、今回追加の申請がございましたGrade1から3Aにつきましては、以上の点から、これよりは少ないであろうと考えておるところでございます。一方、辺縁帯リンパ腫でございますけれども、MZLと略しますが、こちらについては9,300人という推定がございますので、ともに指定要件である5万人未満の条件を満たすと考えておるところでございます。
 続きまして、指定要件の2番目「医療上の必要性」でございます。まず、濾胞性リンパ腫、FLについては、再発を繰り返し予後不良の患者集団が存在する、完治が困難であり、治療の選択肢が限定的であるということが知られております。一方、辺縁帯リンパ腫、MZLにつきましては、再発した症状では十分な生存期間の改善を期待できる治療選択肢がそもそもないということがございますので、ともに医療上の必要性は高いと判断しております。
 最後の指定要件「開発の可能性」でございますが、こちらは再発又は難治性のFL(Grade1、2、3A)及びMZLの患者さんを対象に治験が行われておりまして、その治験の中間解析の結果から、非常に高い有効性が示されていることが分かっております。したがいまして、開発の可能性も高いと判断しております。
 以上より、これら三つの要件を全て満たしていると考えておりますので、今回の指定の可否について、妥当であろうと考えておりますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 御説明ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、議決を行いたいと思います。「リソカブタゲン マラルユーセル」については、本部会として希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。
皆様、御異議はないですね。それでは、そのように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで議題5を終了いたします。
 それでは、議題6「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」です。事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題6、資料番号6について、事務局から御報告いたします。
 カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物等を、治験等を目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要がございます。
 まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について、御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での御報告以降で、令和4年11月から令和4年12月までに第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの1品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
 続きまして、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について、御報告いたします。2ページの一覧を御覧ください。令和4年11月から令和4年12月までに、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ3品目となります。これらにつきましても、機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、採られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。以上で御報告を終わります。
○合田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、これで議題6を終了いたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から連絡事項はございますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 本日も御議論、ありがとうございました。次回の部会につきましては、5月26日16時から予定しております。詳細につきましては、後ほど御連絡をさせていただきたいと思います。連絡事項は以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)