2023年3月27日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和5年3月27日(月)16:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人2名出席


欠席委員(5名)五十音順

行政機関出席者
  • 山本史 (大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、始めさせていただきます。医療機器審査管理課長の中山です。どうぞよろしくお願いいたします。薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして、どうもありがとうございます。
 最初に、本年1月25日付けで、薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われまして、それに伴い本部会の委員についても、新しく委員の任命が行われました。退任された先生とともに新たに就任された委員の方を御紹介させていただきます。
まず、御退任された先生方ですが、荒井保明委員、一色高明委員、梅津光生委員、後藤雄一委員、小西郁生委員、今野弘之委員、田島優子委員、三村秀文委員が御退任されたことを御報告いたします。
 続きまして、今回から新たに7名の先生方に部会委員として御就任いただいておりますので、御紹介させていただきます。一言御挨拶を頂ければと思います。まず、東京大学医学部附属病院医工連携部部長、心臓外科教授、小野稔委員です。御挨拶をお願いいたします。
○小野委員 ただいま御紹介いただきました東京大学心臓外科の小野稔と申します。医療機器開発などにも携わってございますが、ばりばりの臨床の心臓外科医でございます。機構、あるいは医療機器審査管理課の先生方とは、長い間お付き合いさせていただきました。これから、この医療機器・体外診断薬部会の方で、まだまだ経験は未熟でございますが、より良い形で製品を世の中に出していけるように邁進させていただき、委員の先生方と協力しながら進んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。次に、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科附属医療福祉工学開発評価研究センター教授、佐久間一郎委員です。
○佐久間委員 佐久間でございます。私は工学系ということで、ずっと医療工学をやっておりました。それでこういうレギュレーションとの関係では、一時5年ほど機構の審査センターの審査センター長を非常勤でさせていただいた経験があります。まだ、経験ということではそういったことがありますけれども、医療機器の性能と信頼性と安全性について評価できるように、微力ながら協力したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。次に、川崎医科大学消化器内科学教授、塩谷昭子委員です。
○塩谷委員 川崎医大の塩谷と申します。初めて参加させていただくために要領がよく分かっていないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。専門は消化器内科で、消化器内視鏡学会、消化管学会、カプセル内視鏡学会、の理事を務めております。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。次に、森・濱田松本法律事務所弁護士、末岡晶子委員です。
○末岡委員 森・濱田松本法律事務所の末岡です。専門分野の一つとして、ヘルスケアの分野に関連する法務も扱っているということで、今回お声かけいただいたものと思っております。医学的又は工学的な観点の検討は、ほかのプロフェッショナルな先生方にお任せすることになりますが、法務的な観点で少しでも議論に貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。次に、奈良県立医科大学放射線・核医学科教授、田中利洋委員です。
○田中委員 奈良県立医科大学の田中です。昨年教授に就任しました新米ですが、よろしくお願いします。荒井保明先生のお世話になって御推薦いただきました。IVRを専門にしております。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。次に、昭和大学小児循環器・成人先天性心疾患センター特任教授、富田英委員です。
○富田委員 昭和大学の富田でございます。小児循環器系の医療機器を中心に、昨今流行ってきている構造的心疾患のデバイス等の許認可に、しばらく関わらせていただいており、その縁で御推薦いただいたものと存じます。ちょっとニッチな領域なのですが、できる限り貢献できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。次に、国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所疾患ゲノム研究部部長、三宅紀子委員です。
○三宅委員 はじめまして。Webから失礼いたします。国立国際医療研究センター研究所疾患ゲノム研究部の三宅紀子と申します。私の専門分野は小児科とゲノムになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
続いて、部会長の選出についてです。委員の改選に伴いまして、1月26日に行われた薬事分科会におきまして、各部会の部会長の選出が行われております。本部会については、小野稔委員が部会長として選出されておりますので、御報告申し上げます。小野部会長、一言だけ御挨拶をお願いいたしたいと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。先ほど簡単に御挨拶をさせていただきましたが、部会長という大任を拝しました。これから様々な新しいデバイスが出てまいると思っております。特に、先ほど御紹介いただいたインターベンション関係のデバイスは、多数これから出てくることは間違いないことでございまして、そういったものに対して、いかに安全に、かつ適正に、早くマーケットに出していけるかといった観点から、委員の先生方の御意見をしっかりと拝聴しながら、迅速に対応していきたいと存じます。かつてのデバイスラグの時代は過ぎたとは言いながらも、依然まだございますので、その解消に向けて鋭意努力してまいりたいと思います。委員の先生方、また厚生労働省並びに機構の先生方も、よろしくお願いしたいと思います。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
次に、部会長代理の選出です。薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定により、部会に属する委員のうち部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされています。小野部会長、御指名のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 関係者と様々な審議を通しまして、部会長代理としては、東京大学工学系研究科の佐久間一郎先生にお願いしたいと思いますので、部会長代理のお席まで御移動いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 部会長から佐久間委員に部会長代理と御指名がありましたので、佐久間委員に部会長代理をお願いしたいと思います。それでは佐久間委員、一言お願いします。
○佐久間部会長代理 部会長代理を仰せつかりました佐久間でございます。繰り返しになりますが、やはり科学的に、医療機器の様々なものがあると思うのですが、効果、安全性、信頼性というのをしっかり見ていくということが重要かと思いますので、小野先生を補佐して、しっかり務めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
それでは次に、本日の委員の出欠状況について、御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員22名のうち、17名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを報告いたします。なお、8名の委員におかれましては、Webシステムにて御出席ということです。
 次に、事務局から、本部会の運営方法について、特に御留意いただきたい事項等について、説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。改めまして、本部会への御参加に当たっての留意事項を3点ほど、御説明させていただきます。
 第一に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は、非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきまして漏らすことのないようお願いいたします。
 第二に、薬事に関する企業等との関係です。まずは、参考資料1「薬事分科会規程」を御用意ください。8ページを御覧ください。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 続いて、参考資料2「薬事分科会における確認事項」を御用意ください。11ページを御覧ください。審議事項について御説明いたします。医療機器という見出しの表の右側に、「部会」「分科会」と書かれている欄に、区分ごとに印がついております。○印は審議、△印は報告、▲印は文書配布による報告、×印については審議・報告なしとなっております。基本的にはこれに基づき、部会、分科会において御審議をお願いいたします。続いて、参考資料1「薬事分科会規程」を御用意いただき、7ページを御覧ください。第7条において、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」と定めております。先ほどの表に記載しております事項以外にも、このただし書にありますように、「部会において、特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることになります。
委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただきますようお願いいたします。説明は以上です。
○医療機器審査管理課長 次に、本日の審議に参考人として御出席いただいている先生を紹介させていただきます。議題2につきまして、公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院循環器内科主任部長、七里守先生に、また、獨協医科大学心臓・血管外科教授、福田宏嗣先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、議事に先立ち、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、事務局より報告いたします。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面の御提出を頂くこととなっております。御負担をおかけいたしますが、引き続き御理解、御協力をお願いいたします。
 続いて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 それでは続いて、配付資料の確認をさせていただきます。会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~10をお手元に御用意ください。タブレットの操作について御不明点等がございましたら、事務局員までお声かけいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加されている委員の先生方へ、注意事項を申し上げます。審議中はマイクをミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に、御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行につきましては、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいま事務局から説明がありましたが、何か御質問等はありますか。Web参加の先生方も、もし何かございましたら、遠慮なく御発言をお願いいたします。よろしいですか。
 特になければ、これより議題に入ります。本日は、議題2~5が審議事項となっており、議題1及び6~8が報告事項となります。
それではまず、議題1「次世代医療機器評価指標について」に入ります。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御報告いたします。資料1を御覧ください。
厚生労働省では、医療ニーズが高く新規技術を使った医療機器の開発促進を目的として、承認審査の際に評価すべき点をあらかじめ検討し、評価指標として策定してまいりました。開発者と規制側が同じ指標を共有することで治験相談等での議論が容易となることに加え、開発者の申請資料作成効率化に資することができ、承認前例のない品目であってもスムーズな審査が可能になることが期待されます。
 資料2ページにてお示ししますとおり、本事業は平成17年に開始して以降、延べ44の指標を通知として発出しております。
今回は、植込型補助人工心臓に関する評価指標案を御報告いたしますが、資料3ページに令和4年度に検討した評価指標テーマ一覧を、資料4ページに令和5年度に検討予定の評価指標テーマ一覧を示しておりますので、適宜御参照ください。
 続きまして、資料5ページを御覧ください。今回御報告させていただく、植込型補助人工心臓に関する評価指標案について、平成20年4月4日付け厚生労働省医療機器審査管理室長通知として旧評価指標が発出済みですが、「背景」に記載されているとおり、マル1心臓移植までの待機目的、すなわちBTTでの移植前待機期間が想定以上に長期化していること、また、マル2長期在宅補助人工心臓治療目的、すなわちDTも普及するようになったことから、旧評価指標策定時より一層、長期の使用を想定する必要が出てきており、今般、旧評価指標を改訂することといたしました。令和3年度にワーキンググループを組織し、評価指標案を策定後、本年1月から2月にかけて募集したパブリックコメントでは特段の意見がございませんでしたので、評価指標案を原案のまま、本部会にて報告させていただくことになりました。
 続いて、資料7ページを御覧ください。評価指標案の策定の過程における主な論点を記載しておりますが、大きく四つありまして、上から、マル1用語に関する関連文書との整合性、マル2非臨床評価における留意点等の整理、マル3臨床評価における留意点等の整理、マル4旧評価指標の「参考」に記載した内容の記載整備、となっております。
 資料8ページを御覧ください。「2.用語の定義」について、「重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン」を引用する形とし、その改訂年も併せて文中に明示しております。
「5.評価にあたって留意すべき事項」の「基本的事項」では、植込型補助人工心臓システムのリスクマネジメントや警告/アラームの設定等について規格を参照して実施することに留意し、それらに関する情報提示を行うことを明記しました。また、非臨床評価の留意点に関して、旧評価指標に記載されていなかった評価項目及び留意を適宜追加しており、特にIn vitro評価では各評価項目について確認すべき事項を具体的に明記し、参照すべき規格や通知についても明記いたしました。一方で、臨床評価の留意点に関しては、リアルワールドデータ(RWD)の活用や最新の審査制度活用も踏まえた評価の考え方を追記し、さらに術後の治療管理・在宅管理プログラムの利用にも言及しています。
「参考」に記載されている「信頼性(耐久性試験)」については、BTTで6か月、DTで2年間の耐久性を示すこと、耐久性試験は国際整合の観点で一定の条件をクリアすることの推奨を明記いたしました。
 資料9ページ以降に今回策定した評価指標案を、資料22ページ以降に平成20年に策定した旧評価指標を掲載しておりますので、適宜御参照ください。
今回策定しました評価指標については、今年度内に通知として公表の予定です。御説明は以上になります。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から、何か御質問、御意見等はございますか。
追加で説明いたしますと、この評価指標は、実は私が座長となりまして2年間かけて作成してまいりました。先ほど事務方から御説明があったとおり、平成20年の評価基準を使っていたために整合性がとれなくなっていて、新しいデバイスが次々と開発されることによって、また現在も新しいデバイスが開発中ということであり、それに相応した形でのガイドラインに沿った改訂というふうに御理解いただければと思っております。特に最後、8ページに書いてありますけれども、右側のオレンジ色で囲った部分に一部ハイライトしていますが、リアルワールドデータを用いた審査という、新たな機構としての挑戦というのが、この中のかなり大きな進歩といいますか改訂ということになるということでございます。これは植込型補助人工心臓ということですが、実は今後同じような形で、改訂あるいは新規のガイドラインの策定における、非常に大きなポイントになるということです。委員の先生方は、もう既にお気付きだと思いますが、その一つのはしりになるものだというように私は認識して、このガイドラインをまとめさせていただいておりました。今日は部会長としての立場になりますが、背景を簡単に御説明させていただきました。
何か、委員の先生方から御質問等はございますか。ありがとうございます。特になければ、議題1については、これで終了したいと思います。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。それでは、この後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の方々は御退席くださいますようお願い申し上げます。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始したいと思います。
○事務局 準備が整いましたので、部会を再開いたします。
まず、本部会の利益相反について御報告いたします。資料9の「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。資料9の1ページに「弁周囲逆流閉鎖セット」について、2ページに「INDIGOシステム」について、3ページに「Evolut PRO+システム」について、4ページ以降に一般的名称に係る影響企業リストがありますので、必要に応じて御覧ください。
 委員の皆様に、資料9に示す企業について、寄附金・契約金等の受取状況をお伺いいたしましたが、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に該当する委員はいらっしゃいませんでした。また、薬事分科会審議参加規程第13条に基づく、議決に参加できない委員は、議題2において松宮委員、議題4において小野委員、田中委員、富田委員、松宮委員、議題5において小野委員、富田委員、松宮委員が該当しております。
 タブレットの操作方法が少し複雑になっております。後ほど事務局の者が一人後ろにまいりますので、タブレットの操作で何か不明な点がありましたら、お申し付けいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 以上を報告させていただきます。この後の進行については、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいま事務局から説明がございましたが、この説明について、何か御確認、御質問等はございますか。大丈夫でしょうか。
特になければ、これより議題2に入りたいと思います。それでは、議題2「医療機器「弁周囲逆流閉鎖セット」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入りたいと思います。
本議題についての参考人として、先ほども御紹介させていただきましたが、七里守先生、並びに福田宏嗣先生に、御出席いただいております。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、よろしくお願いいたします。医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
資料2の1ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、こちらの3名の専門委員から御意見を頂きました。
以降の説明は、次のページからの審査報告書に基づいて、御説明いたします。ページ番号は、資料2の通しページ番号、審査報告書のページ番号、左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。
 はじめに、本品の概要を御説明いたします。資料8ページ、審査報告書7ページの「1.審議品目の概要」を御覧ください。本品「弁周囲逆流閉鎖セット」は、人工弁の植込み後に生じた弁周囲逆流(以降、弁周囲逆流を「PVL」という)、そのPVLを経皮的に閉鎖するための人工補綴材セットです。本品は、オクルーダー、プッシャー、ローダーから構成されます。オクルーダーは、中心部のウエストと両端のディスクからなる自己拡張型人工補綴材で、全部で19種類のバリエーションからなり、欠損孔の大きさ及び形状に応じて適切なモデルが選択されます。オクルーダーを留置する手技時のイメージについては、資料10ページ、審査報告書9ページの図3を御覧ください。弁周囲逆流が生じている人工弁周囲の組織を、オクルーダーの2枚のディスクで挟むようにして留置することで、欠損孔を閉鎖します。
 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。18行目「(1)開発の経緯」から御覧ください。弁周囲逆流(PVL)は、人工弁置換術後に生じる合併症の一つであり、僧帽弁位置換術後の7~17%、大動脈弁位置換術後の2~10%に生じることが知られています。PVLの原因としては、感染性心内膜炎、弁輪部分の石灰化や脆弱性、手術手技の影響等が関与すると考えられています。PVLは無症候性のものが多いものの、1~5%の症例に遷延性溶血性貧血若しくは心不全、又はその両方の症状を呈する場合があります。
 これまで症候性のPVLの標準治療としては、再手術が推奨されてきましたが、再手術には再開胸による合併症のリスクを伴い、弁輪部の石灰化・脆弱性等のためにPVLを再発する可能性も高く、高齢等の患者背景によっては開心術を実施できない患者も存在します。
 PVLを原因とする心不全あるいは溶血性貧血で苦しんでいる患者に対し、再開胸手術以外の根治療法として、海外ではPVLの経皮的閉鎖術が1992年に初めて報告されました。その後、外科ハイリスクのPVL患者に対する再開胸手術の代替法として経皮的閉鎖術は進歩してきましたが、異なる部位への適応を持つデバイスが使用されている状況です。
本品は、PVLを経皮的に閉鎖することに特化してドイツのオクルテック社にて設計・開発され、欧州において2014年より販売されていましたが、本邦においても医師主導治験が実施され、PVLの経皮的閉鎖を目的とする医療機器として初めて承認申請に至りました。なお、本品は日本循環器学会及び日本心血管インターベンション治療学会より、早期導入の要望書が提出されています。
 本品の外国における使用状況については、資料12ページ、審査報告書11ページの14行目から記載しております。本品は、欧州において販売されており、米国では未承認です。
 続いて、本品の非臨床試験についてですが、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料19ページ、審査報告書18ページを御覧ください。19行目からになります。本品の臨床評価資料として、国内5施設で実施された医師主導治験の試験成績が提出されました。概要については、表8を御覧ください。本治験は、人工弁置換術後に生じたPVLによる心不全又は/及び溶血性貧血の症状が至適薬物療法により改善せず、かつ外科手術がハイリスクである患者を対象として、本品の有効性及び安全性を評価することを目的とした、多施設共同単群試験で、30例が登録されました。
 本治験の主要有効性評価項目は「デバイス留置の手技成功割合」、主要安全性評価項目は「術後30日死亡及び院内死亡の割合」と設定されました。副次評価項目として、観察期間24週間における有害事象の発生率、溶血性貧血、逆流、心不全及びQOLの評価が行われました。被験者の内訳については、資料21ページ、審査報告書20ページの図4を御覧ください。登録された30例のうち、1例が術前に感染性心内膜炎を発症し、解析集団から除外されたため、本品を用いた手技が行われた症例は29例でした。
 主要評価項目の結果について御説明いたします。資料25ページ、審査報告書24ページの11行目、「1)主要有効性評価項目」を御覧ください。主要有効性評価項目「デバイス留置の手技成功割合」は65.5%、90%信頼区間は48.6%~80.0%であり、事前に設定された達成基準である90%信頼区間の下限値65%を満たしませんでした。なお、本項目における手技成功とは、留置直後の経食道心エコー図検査において、次のページの1~3行目にお示ししたa、b、c全ての達成を確認できたとき、と定義されていました。不成功とされた症例は、解析対象となった29例中10例であり、そのうち8例は、基準a、bを満たしたものの、コアラボ評価において基準cを満たさないと判定されたものでした。
 続いて、10行目の「2)主要安全性評価項目」を御覧ください。主要安全性評価項目「術後30日死亡及び院内死亡の割合」は3.4%であり、事前に設定された達成基準を満たしました。死亡した1例の死因は呼吸不全であり、本品及び留置手技との関連性は否定されました。
 副次評価項目について御説明いたします。23行目を御覧ください。本品との関連性が否定できない有害事象は、6例において計12件発生しましたが、全て観察期間中に軽快しました。また、次のページの6行目以降に、その他の項目の結果をお示ししております。詳細な説明は割愛いたしますが、NYHA心機能分類、逆流グレード、溶血性貧血、QOLについて、改善を認めました。
 次に、資料31ページ、審査報告書30ページの10行目、「4)術後2年までのフォローアップ結果」を御覧ください。本治験後、術後2年までのフォローアップ医師主導臨床研究「RESEALED試験」が実施され、術後2年間の長期予後及び安全性に関する情報収集が行われ、参考資料として提出されました。本試験では、治験の終了までフォローアップできた23例のうち20例について情報収集が行われ、期間中、死亡例が4例発生しましたが、いずれも本品との関連性はありませんでした。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。
まず、治験デザインの妥当性についてです。資料33ページ、審査報告書32ページの20行目から御覧ください。機構は、本品の対象が外科的手術ハイリスク患者であること、及び各国のガイドラインにて外科的手術ハイリスク患者において、経皮的PVL閉鎖術を考慮することがクラスIIaで推奨される根拠となったPVLの減少と臨床予後改善には一定の関連があるとする臨床試験成績を踏まえ、デバイス手技成功を主要有効性評価項目、術後30日死亡及び院内死亡を主要安全性評価項目と設定した単群試験デザインは受入れ可能であり、メタ解析を根拠とした達成基準も妥当であると、専門協議の議論も踏まえ判断いたしました。
 また、僧帽弁位と大動脈弁位にそれぞれ生じたPVLを同じ母集団として評価する妥当性については、大動脈弁位において使用される人工弁は、僧帽弁位に用いられる人工弁と構造的に同等であり、同様の手技で自己の弁輪に縫着固定されること、実臨床においては、僧帽弁位PVLと比較して、大動脈弁位PVLの治療は手技的には容易であることが多く、PVLも僧帽弁位に多く発生すること、また本品を用いた海外レジストリの長期成績からも僧帽弁位と大動脈弁位における手技成功と臨床予後の関連性に大きな違いがないことから、大動脈弁位の有効性及び安全性も含めて評価することができるとする申請者の説明は、妥当と判断いたしました。
 次に、本品の有効性についてです。次のページの7行目、「1)本品の有効性について」を御覧ください。先ほど述べたように、本治験の主要有効性評価項目において達成基準を満たしませんでした。主要有効性評価項目で定義された三つの基準のうち、基準cは、心エコーコアラボにて第三者による客観的な評価が行われました。PVLに特化した逆流グレードの評価方法は確立されておらず、また、一つの指標では重症度を判断できないことが文献にて報告されていたことを踏まえ、本治験におけるコアラボ評価では、複数の評価項目を組み入れた独自の評価法が構築されました。これまでの経皮的PVL閉鎖に関する報告では、逆流グレードの評価は担当医により主観的に行われており、これらと比較して本治験の評価法は、より厳格な指標であったと考えられます。
 続いて、資料35ページ、審査報告書34ページの11行目から御覧ください。本治験では、担当医による逆流グレードの評価も行われ、これに基づきデバイス留置の手技成功割合を算出すると89.7%でした。コアラボによる評価で手技不成功と判定された症例は10例でしたが、このうち技術的な難易度の高さにより適切に留置できなかった3例を除き、PVLグレードは減少していました。したがって、コアラボによる評価が厳格であったために、達成基準を満たすことができなかったと考えられますが、本治験で示された手技成功の臨床的有効性については十分に確認する必要があると考えます。
 次のページの表24を御覧ください。本治験と複数の海外臨床試験成績を比較して、オクルーダーの送達の成功率を表す技術的成功率は同等でした。また、PVLグレードが軽度以下に低下したと定義される手技成功率は、担当医による評価の場合、本治験と海外臨床試験成績とで同等でした。さらに、本品の海外レジストリと比較しても、本治験では6か月後の死亡率、再介入の実施率、合併症が同等であることから、本治験において本品の一定の有効性及び安全性は確認できると考えます。
 続いて、資料37ページ、審査報告書36ページの16行目から御覧ください。副次評価項目について、心エコー図における心機能評価項目及び6分間歩行については有意な改善を認めなかったものの、経食道心エコーによりコアラボにて評価されたPVL逆流は本品留置後有意に改善され、溶血性貧血が24週時点で4割を超える症例において改善を認めました。その他、心不全重症度の指標であるSAS代謝当量、NYHA心機能分類及びQOL評価においては、有意な改善を認めました。
 続いて、資料39ページ、審査報告書38ページの7行目から御覧ください。長期成績についてです。本治験の2年次の死亡率は、経皮的PVL閉鎖に関する長期予後を調査した海外の後ろ向き研究の報告と同等でした。なお、本治験では外科的再介入率が海外より高いことが想定されましたが、この点については次の安全性に関する論点にて御説明いたします。
 以上を踏まえ、機構は、本品の対象が外科ハイリスク患者であること、弁周囲逆流における標準治療である外科的手術にも周術期のリスクや再手術という課題があることに鑑み、本品には一定の有効性があり、患者背景や解剖学的特徴を十分に踏まえてハートチームにより適切に症例が選択されるのであれば、本品のリスクベネフィットバランスは保たれると判断いたしました。
 続いて、本品の安全性についてです。資料40ページ、審査報告書39ページの25行目から御覧ください。本治験における主要安全性評価項目は達成基準を満たしましたが、経カテーテル手技としては輸血を要した症例が多かったこと、手術中にオクルーダーが脱落した不具合症例があったことについて、安全性上の懸念があると考えました。
 まず、輸血症例が多かった点について御説明いたします。31行目から御覧ください。本治験において、輸血を要した症例の割合は83%でした。輸血を要する症例が多かった理由として、申請者は、手技時間が長時間に及んだこと、また、組入れ要因として溶血性貧血の症状を有する患者が半数以上を占めていたため、患者の安全性を考慮して予防的に輸血を行ったことを説明しました。
 続けて、資料41ページ、審査報告書40ページの28行目から御覧ください。手技時間が長時間に及んだ原因としては、本邦の患者は高齢で体格が小さく、PVL形状も小さく複雑といわれていること、また、次のページの1行目からお示ししているように人工弁の植え込みから長時間経過していることを踏まえ、手技の難易度が高くなったことが考えられます。さらに、本邦において外科的再介入率が高い傾向があることについても、同様の背景が関与している可能性が否定できないと考えられます。一方で、10行目からお示ししているように、経皮的PVL閉鎖術においてはラーニングカーブがあり、症例経験の増加に伴い、手技時間の短縮、主要心血管イベント発生率の低下、外科的再介入率の低下等が報告されていることから、本邦においても症例経験を積み重ねることにより手技の向上が期待できると考えます。
 次に、手術中にオクルーダーが脱落した不具合症例があった点について御説明いたします。資料41ページ、審査報告書40ページの2行目から御覧ください。本症例は、経心房中隔アプローチにて治療された症例で、脱落したオクルーダーは左大腿部よりスネアカテーテルを用いて体外へ摘出され、患者への健康被害はありませんでした。脱落の原因として、申請者は、当該患者にはX線透過性の高いMosaic生体弁がホスト弁として植え込まれており、弁輪を十分に視認できず、オクルーダーが適切な位置に留置されなかった可能性が考えられると説明しました。
 続いて、ホスト弁の規定について御説明いたします。資料44ページ、審査報告書43ページの14行目から御覧ください。本品を用いた治療に当たっては、ホスト弁へ干渉しないようにオクルーダーを留置する必要があり、術中のホスト弁の視認性が重要となります。ホスト弁がポリマー製ステントを有する生体弁の場合は、術中のホスト弁の視認性が低いため事前に人工弁の構造を十分に把握する必要がありますが、いずれの人工弁においても、人工弁の構造を踏まえてオクルーダーの留置位置を適切に判断する必要がある点は共通していると考えます。以上を踏まえ、留置時の安全性については、市販後のトレーニングプログラムによる手技経験と、PVLの治療に関する知見を蓄積することで、リスクを低減していくことが重要と考えます。
 なお、次のページの20行目に記載したように、TAVI弁等、経カテーテル的人工弁留置術に用いられる生体弁については、外科的に植え込まれる人工弁と構造や弁輪への固定方法が異なり、また、その構造上、本品のオクルーダーと干渉する可能性が高いと考えられるため、本品の治療対象から除外するとした申請者の方針は妥当と判断いたしました。
 以上を踏まえ、製造販売後の安全対策について御説明いたします。資料47ページ、審査報告書46ページの24行目から御覧ください。本品の手技は難易度が高く複雑であるため、適切な患者選択、事前の治療計画の作成も含め、座学、ハンズオン等によるトレーニングの実施が予定されています。また、手技の安全性を担保するため、本品の導入開始施設は本品の治験を経験した医師の所属する構造的心疾患治療が可能な施設に限定し、一定の成績が得られていることを確認しながら、段階的に導入施設を拡大する方針とされています。
 さらに、本品を本邦へ導入するに当たり、関連学会から、医師要件及び施設要件を含む適正使用指針案が作成されています。資料49ページ、審査報告書48ページの表30を御覧ください。適正使用指針案においては、手技の安全性をより確実に担保するため、プロクタリング制度、実施医及び単独実施医の要件が規定され、当面の間全ての症例において、事前の治療計画をプロクターが確認することとされました。また、想定される年間症例数が少数であることを踏まえ、実施間隔が空いた場合は再度プロクタリングを受けることとされております。以上の適正使用指針案の方向性について、機構は妥当と判断し、当該指針を遵守することを承認条件として付すことといたしました。
 最後に、使用成績評価について御説明いたします。資料51ページ、審査報告書50ページからとなります。使用成績調査実施計画案の概要については、表31にお示ししておりますが、本治験における症例数が限定的であったこと、本品の臨床的有効性及び安全性についての仮説検証試験は海外においても行われていないことから、なるべく多くの症例における本邦での使用成績を速やかに臨床現場へ提供することで、本品の適正使用を支援し、必要に応じてトレーニングの内容を充足させる必要があると考えます。また、設定された製造販売後安全対策の充足性を確認し、必要に応じて追加の措置を講ずる必要があると考えます。これらのことを踏まえ、本品を使用した全症例を対象に、総調査期間を7年として使用成績調査を実施することとして、これを承認条件として付すことといたしました。なお、本品の導入施設を段階的に拡大した後の安全性について確認するため、使用成績調査は市販開始直後の第1ステップと、施設拡大後の第2ステップの双方において症例登録し評価する必要があると判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料54ページ、審査報告書53ページの31行目より記載している使用目的にて、また、次のページに記載の承認条件を付した上で、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたします。また、使用成績評価の調査期間は7年とすることが妥当と判断いたしました。
なお、薬事分科会では報告を予定しております。
機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 それでは、参考人の先生方がいらっしゃっておりますので、まず福田先生から何か追加の御説明等はありますか。
○福田参考人 外科医の立場から、このデバイスのニーズについて、少し意見を述べさせていただこうと思います。
まず、PVLを呈する患者数がどれぐらいいるかということですが、明らかなデータはないのですが、文献的には弁置換術後のPVLを呈する頻度は、僧帽弁位置換術後が7~17%、大動脈弁位置換術後は2~10%に発生するといわれております。日本胸部外科学会の学術調査や、日本での心臓外科のレジストリであるJCVSDでも、PVLに対する外科手術の数は明らかではありません。私は14年間、獨協医科大学に所属しておりますが、その中でもPVLで再手術をしたような症例は数えるほどしかないということで、10例にも満たない程度だとは思います。ただ、文献の、幾つだったか詳細は忘れましたが、国立循環器病研究センターからの僧帽弁位のPVLの再手術症例を解析した報告では、20年間で79例の症例があったとされております。その間に、僧帽弁位置換術はその中の約7%の頻度であったことが報告されておりますので、日本のレジストラルのJCVSDからのデータからすると、1年間に2,500例の僧帽弁位置換術が行われておりますので、その7%を単純に計算すると、175例がPVLによる再手術症例といえます。ただ、国立循環器病センターはナショナルセンターですので、その数が多いということを差し引いても、僧帽弁位は100例以上、それから大動脈弁位、さらに手術リスクが高すぎて手術に回ってこない症例なども入れると、恐らく全国で1年間に200~300例のPVLで手術を要する患者がいるのではないかと考えられます。
 現在は、外科治療が第一選択になるわけですが、やはり再手術の成績は初回手術よりも悪く、日本胸部外科学会の学術調査では、再手術が病因の死亡率は5~10%と低くない数字であるということを考えると、やはり術前のリスク等を勘案して、このデバイスを用いた血管内治療の選択肢があれば、そちらを選択する症例数は相当数あるのではないかと考えられます。
ただ、手術か血管内治療かの選択は、患者リスクを含めて、Structural Heart Diseaseの治療管理と同じように、ハートチームで十分に検討し、さらに患者家族へのICを行うことによって決定することが重要であることは、論をまたないと考えます。
 それから、このデバイスがFDAで承認されていないということに関してですが、その理由を私は詳細を存じませんが、やはりこのStructural Heart Diseaseに対する治療というのは、今まで外科治療しかない状況で、このPVLに対する治療も外科治療しかなかったということでありますが、技術やデバイスの進歩で、やはり外科治療と血管内治療の両方があって、患者への利益になるということであろうと思います。
 今回、治験数が23例しか完遂していないということで少ないわけですが、有効性について十分な結果が得られたわけではないとは思いますが、安全性に関してはある程度の担保ができていると思いますので、市販後使用成績調査制度を利用して、この有効性と安全性を更に検証することが重要であろうと考えております。
 それから、僧帽弁位と大動脈弁位という違いがあるわけですが、やはり僧帽弁位の方が多いということで、そちらの方がリスクは高いということであります。僧帽弁位はアクセスルートが三つほどありますが、治療の困難さということで、心尖部からのアプローチがよく選択されています。今回でも70%弱ぐらいが、心尖部からのアプローチです。心尖部は当然外科が関わらないといけませんので、やはりハートチームで、よく検討して症例を吟味して情報を共有することによって、安全に治療ができるのではないかなと考えております。
以上、外科の立場から、症例数の推定、あるいはニーズについて、少し意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。続いて、参考人の七里先生から追加の御説明がありましたら、よろしくお願いいたします。
○七里参考人 私は循環器内科医ですので、内科側の立場から、今の福田先生のお話に少し補足させていただきます。
症例数については、福田先生のお話のとおりかと、内科側からも考えております。ただ、追加する事項としては、カテーテル治療が開始されたときの常として、福田先生もおっしゃっていましたが、余りにもハイリスクのために外科治療に回すことができなく、言ってしまえば、治療法がなくて患者さんをもうそのまま見守るしかないという状態の患者さん方が、このカテーテル治療で福音を得られる患者さんの一つのグループになろうかと思います。そういった方は、数字上にはこれまで表れてこない方になりますので、そういう患者さんがどの程度いるかということで、これまでのデータを基に現時点で予定しているよりも対象となる患者さんが少し多くなる可能性はあるかと思います。また、カテーテル治療の技術的経験を含めた進歩によって安全性が保障されれば、やはりその部分に関して適応となる方は増えていくと考えますので、今、福田先生が示された数に、更にその部分が同数程度は乗っかってくる可能性があるかなと、内科側としては考えております。
 この治療に関しては、従来、国内においては適応外という形で、倫理委員会等を通して、機構から説明がありました閉鎖栓といわれるデバイスシリーズが使われておりました。これらは全て、血管の閉塞を目的とする、あるいは心腔内に元々ある心室中隔あるいは心房中隔の欠損孔等を閉鎖するデバイスでありまして、デバイスは非常に軟らかいのですが、形は円形です。人工弁の弁周囲逆流というのは、基本的に、丸い人工弁の外側に三日月状や半月状あるいはもっと細長い形の裂孔として存在しますので、丸い形は必ずしも適切ではないということがあります。そういった意味において、本邦でこのような形態のデバイスが認可されることは、閉鎖性を高めて手技を容易にする、患者さんの安全をより高める可能性がありますので、非常に好ましいのではないかと考えます。
 一方で、FDAの認可がないということですが、欧州においては10年弱の使用経験があって、安全性はCEマークを取得していることからも確認されているのではないかと思います。本邦における治験は、繰り返しになりますが、かなり少数例で行われたと言わざるを得ませんので、そこに関しては、我が国がしっかりと行っている市販後の使用成績調査制度を用いて、安全性を確認していくことの妥当性が高いのかなと考えます。なぜなら、この患者群は極めて手術リスクの高い方ですので、国内において手術死亡率が10%を超えるのではないかと考えられるような患者さん方をランダム化することは現状では難しいと言わざるを得ません。実際に行っていく中で、欧州から中心に出されている文献的な報告とあわせて、国内の成績が十分担保されているかどうかを確認していくことが、かなり厳格な制度を用意していただいておりますので、それによって患者さんの安全を守っていくということが大事なのではないかなと考えています。
 次に、内科側からの技術的な問題になりますが、僧帽弁位の治療に関しては、アクセスルートが三つあります。機構からの説明であったイメージされた図は、経心房中隔といわれるアクセスルートになります。そのほかに、大動脈から左心室経由でいくものと、外科の先生方にお願いする経心尖部からの、三つのルートがあると思います。最初の、イメージで出されているような経心房中隔アクセスルートは、いわゆる静脈からのアクセスになりますので、低圧系でリスクの低い手技にはなろうかと思いますが、穿刺部となる大腿静脈と、もう一つの体腔内での穿刺部となる心房中隔の2点において、治療カテーテルが固定されますので、技術的にかなり操作性が難しくなることが予想されます。現実、この少数例の検討においても、半数以上が経心尖部からのアクセスになっております。もう一方の血管内治療である経大腿動脈も同様に、大動脈弁経由で左室内で反転するような形で僧帽弁に向かわざるを得ないという技術的な問題点があります。既に僧帽弁位に関しては、弁周囲逆流のある位置によってアクセスルートを考えていこうという提案もなされておりますので、そういった点を、当然のことながら、心臓外科と循環器内科がきちんと議論をした上で治療法を考えていくということが、最も大切なのかなと考えます。
大動脈弁位に関しては、一般的には経大腿動脈からの逆行性のアクセスで手技的には大きな問題がないかなとは思いますので、こちらに関しては症例数も少ないのですが、安全性の確保は僧帽弁に比べれば比較的容易ではないかなと、内科カテーテル治療医の立場からは考えております。
 最後に、本治療においては、先ほど脱落デバイスのお話もありましたが、透視下に全て人工弁の位置が確認できるわけではありません。弁周囲逆流の位置と閉鎖、術前・術後の評価は、術中の経食道エコーによって行われることが非常に大きいと思われます。そういった点においては、循環器内科というと、治療のことが注目されますが、カテーテル治療医のみならず、循環器内科で心臓エコーを中心として診療している人に治療チームに必ず入っていただいて、適応あるいは治療の安全性を、術前・術中において担保することが必要になってくるかなと、循環器内科からの立場としては考えております。私からの追加発言は以上です。
○小野部会長 どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御意見、御質問等はありますか。
○田中委員 奈良県立医科大学の田中です。X線の視認性について、脱落症例が問題であったということで、経食道エコーでの確認という御説明を受けましたが、原則X線でされると思うのですが、X線もハイブリッド室のようなきちんとした装置がある設備と、手術室にモバイルCアームを入れて行われる施設もあろうかと思うのです。設備の所で、その辺のX線のクオリティーについては余り述べられていないようですが、その辺は必要ないのかということなのですが、いかがでしょうか。49ページの設備についてです。
○七里参考人 七里からお答えいたします。アプローチの方法によって、恐らく本来的には求められる条件が少し異なる可能性はあると思いますが、心尖部アプローチが半数を超えるだろうという前提を考えますと、治療の場としては、いわゆるハイブリッド手術室、あるいはそれに準じたものが望ましいかなと考えます。心尖部のアプローチは、やはり外科的手術にかなり近くなりますので、ある程度それを前提にして考えていくことが必要かなと思います。血管内アプローチのみであれば、カテーテル室での治療がシステム上は可能であろうと思いますが、途中で移行した症例も実際の治験中にも報告されておりますので、やはり心尖部アプローチを中心とした外科的な処置が、ある程度前提になろうかと思います。
 田中先生からのもう一つの御質問の透視装置に関しては、Cアームはやはり透視画像上非常に問題が起こるので、これは避けるべきかと思います。私の経験的に言えば、一般的なアンギオ装置の透視のレベルは必要で、可能であればバイプレーン装置があったほうが恐らく手技としては容易になるかなと思いますが、そこまで義務付ける必要はないのかなと考えております。
○田中委員 ありがとうございます。なかなかバイプレーンを手術室に入れている施設はかなり少ないと思うので、ただ、いわゆる先ほど少しお聞きしたモバイルCアームというのは、従来、非常に簡便な機械で、手術室に持ち込んで、今もステントグラフトをそれでされている施設も多数あると聞いています。このX線透視が非常に重要なデバイスということで、もし規定していただけるのであれば、ハイブリット手術室というような規定があってもいいのかなと思いました。
○小野部会長 ありがとうございます。ただいまの田中委員の御発言も、最終的には、この適正使用指針案で、関連する学会の合同の協議会等で最終的に案が確定されると思いますので、そういった意見があったということは申し伝えていただければと思います。
それでは、松宮委員、どうぞ。
○松宮委員 福田先生等からお話があったように、非常に重篤な心不全や溶血を呈して我々非常に困ることもありますし、非常にリスクの高い患者さんが多いので、長らく待ち望まれていた治療法かと思います。
 質問が二つあります。一つは溶血に関してです。この副次評価項目の有害事象の中に、溶血性貧血3例と出てくるのですが、もともと患者さんのバックグラウンドとして溶血性貧血があるわけで、これは新たに起こった溶血性貧血ということで、もともとはその定義に当てはまらなかった方が溶血性貧血を起こしたのでここに出ているという意味なのでしょうか。あるいは何段階か以上悪化したから、ここに出ているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。今、御指摘いただいた有害事象としての溶血性貧血については、もともとの組入れ要因、バックグラウンドが溶血性貧血であって、本品による治療を行った後、測定した結果、悪くはなっていないのですが、まだ溶血性貧血と診断される基準に該当した患者さんのことを指します。
○松宮委員 そうすると逆に、19例でしたか、そのうち16例はよくなって、溶血性貧血がなくなったということになりますが。ただ、27ページのLDHなどの平均値を見ると、術前1,800が24週間後に1,500。1,500は結構高い数値で、これぐらいだと、このまま放置していいのかと思うぐらいの数値なのです。ただ、平均値なので、非常に悪くなった人も入っているとは思うのですが、19例中16例もよくなったのに、この平均値ということはないような気がするのです。ですので、もともとない人がなったか、何かすごく悪くなったかということではないかと思うのですが、違いますか。
○医薬品医療機器総合機構 溶血性貧血に関しては、PVL閉鎖栓を入れて逆流が減っても、速度が増えると悪化してしまう症例もあったと伺っており、それらの平均になっておりますので、少しちぐはぐに見える可能性もあると思います。
○松宮委員 そうですね。ですから、多くの症例では逆流が残っているからLDHはそんなによくなっていないということかと思うので、有害事象の中に、3例の溶血性貧血と書くのは何かおかしいとは思うのですが、それは御検討ください。
 それから、今おっしゃったように、逆流自体は減っても、逆流する孔が小さくなるとむしろ溶血が悪くなったりということは我々も経験することがあるので、このラーニングカーブで、それを改善する余地が今後何かあるのかどうかが気になります。逆流を減らすことができて孔の大部分は閉鎖したけれども、少し残ったから溶血はむしろ悪くなるというようなことがあるような気もしますが、それに対して、何か今後できることがあるのか、もし分かれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。症例を1例1例みても、松宮委員の御指摘のとおり、思ったほどはという患者さんもいらっしゃることは確かです。そういった治験での29例の経験を基に、しばらくは治験を実施した医師らが、症例を事前にスクリーニング、解剖学的なところも含めて、果たしてこの患者さんにこの治療が適切なのかどうなのかを、1例1例事前に検討すると伺っております。
○松宮委員 もう一点だけ、すみません。逆流の評価の件ですが、術中の経食道エコーで評価したということですね。前後で比較しているわけですが、前というのは、同じように全身麻酔をかけて、手術中にこのプラグを入れる前の逆流量を定量的に評価して、入れた直後を評価して、同じモダリティーで比べているということでいいのですか。ここには「術直後の」と書いてあるので、術直後を経食道エコーで見たのは分かるのですが、術前の評価はどこから来ているのか。
○医薬品医療機器総合機構 術前の評価も、先生がおっしゃるように。
○松宮委員 麻酔がかかった状態で。
○医薬品医療機器総合機構 はい。術前後でと伺っております。
○松宮委員 あと、1グレード以上を改善したのが余りなくて40%でしたか、思ったよりはということで、そこは残念な結果かと思うのですが。ただ、そのほかの、まだ日本に入っていないような外国で報告されているデバイスでは、特にsevereが、severeだけれどもsevereの上のものすごいmassiveとか、torrentialなものがsevereになったらすごくよくなるということで、そういった評価も加えているものがあるのです。この場合は、グレードは変わらないけれども、絶対値でいうと幾つかの指標がありましたよね、四つ。これは下がっているものが多いのか、同じ絶対値で見てもそんなに下がっていないのかというのが、分かれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 一応、経食道エコーで何点か撮っており、コアラボでみても全体的な重症度のスコア化でみると、術前からグレードは下がってきていると、改善はしてきていると伺っています。
○小野部会長 今のお話は、28ページにグラフとして示されております。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、28ページの図5「PVL程度の推移」のところで、経食道エコー、コアラボで評価した結果になっております。
○松宮委員 ですから、これは定性評価というか、4段階に分けたときの数値なのですが、私が聞いているのは、同じmoderateでも、severeぎりぎりのところからmildぎりぎりに落ちてもmoderateはmoderateなので、絶対値で比べられるかと、比べたら下がっていないのでしょうかという質問なのですが。分からなければそれで結構です。
○医薬品医療機器総合機構 すみません。
○松宮委員 以上です。
○小野部会長 どうもありがとうございます。永井委員、お願いします。
○永井委員 今の御質問とも関係するのですが、今回プライマリーエンドポイントを達成できなかったという点についてです。まず、このプライマリーエンドポイントを手技的成功割合に設定した点はよいと思います。というのは、うまく留置した患者さんだけを対象にしてPVLが減ったといっても仕方がないからです。そして、このようにa、b、cの全てという定義も合理的だと思います。
 一方で、cのPVL重症度が1グレード以上低下をどう判断するかで、この臨床試験の結果が変わると思うのです。今回は、独自に決めた規準で、すなわち、バリデートされていない評価法で無理矢理区切ってしまったわけです。
 今さら言っても仕方ないのですが、今後のこともありますので、少しコメントいたします。非常に探索的な段階で、このように確定的に区切ってしまうのではなく、例えばですが、あらかじめ評価のガイドラインを作って、そして前後の画像をシャッフルして、そして、それぞれの判定委員が判定して、一致していないものについては議論して決める、というやり方もあったのかと思います。そうすると、より現場に近いニュアンスでの評価ができたのではないでしょうか。以上、コメントです。
○小野部会長 ありがとうございます。永井委員の御説明は、こういったタイプの定量性が非常に乏しいような症例に対するコンセンサス評価の置き方みたいなことです。実際に、こういう臨床試験で、コアラボで判定者を一応3人ぐらい置いているような臨床試験などを、欧米などではやっていることがあります。確かに、画像評価というのは主観がかなり入ってしまうことがありますので、永井委員の御意見は、今後に向けた大きな示唆というように解釈できると思います。ありがとうございます。
では、宮川委員、お願いします。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。46/394ページのところで、「マル4 術後の抗血小板/抗凝固療法について」ということなのですが、実際にこれだけの量を使っていることによって、脳や脳血管も含めていろいろなことが起こっているのです。これだけの量が必要になってくるのかどうか。それは、なぜこういう後療法というか、それを維持しなければならないのか。これによって起こってくる長期的な患者さんのいろいろな状況というのが見えてくるので、多少心配であるのですが、それはいかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきましてありがとうございます。術後の抗血小板/抗凝固療法でも、これだけの量のお薬を使ったということなのですが、もともと患者さんの背景として、外科的に人工弁が植え込まれていたことも踏まえて、これだけの量が必要なのではないかと考えています。
○宮川委員 それは分かるのですが、そのことによって、術後のいろいろな合併症がかなり増えているようなところが見えていますよね。それは、なぜそこまで使っていくのか、実際にそれは防げないのか、逆の方を見ているような感じがするのですが、いかがなのでしょうか。それも投与禁忌だったり、治療責任医師の裁量によって必要な薬剤を調整することとしたということで、非常に曖昧です。そういうような記載があるということは、実際にかなり問題点をはらんでいるのではないかなという気がするのですが、いかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。先生から御指摘いただいたのは、出血性の合併症が増えるのではないかという。
○宮川委員 そうですね。それもまた、「治療医師の裁量によって」という書き方なので、何をメルクマールにしてやるのか。その裁量権はどこまであるのか。非常に難しいこの判断を迫られているような状況だろうと私は考えるのですが。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。先生、これらの術後の抗血小板/抗凝固療法について、欧州ではこのような術後の抗血小板療法が推奨されておりまして、治験でもこのような併用療法がされておりました。ただ、日本の方々は出血性の合併症が多いこともありまして、企業とあとは専門協議の先生方と話をしまして、必ずこれをやってくださいというようには書かないようにしようということで、こういう記載になっています。
○宮川委員 ですから、そういう意味では、人種差があるので、欧州の例を取って、そのような形を導入してどうなのかなと思ったので。それがそのまま導入されているような気がしたので。というか、導入せざるを得ないじゃないですか。それは、人種差があるけれどもという話になっていて、非常にそこが曖昧になっているわけですよね。医師の裁量権というのが、本当にこれだと非常に問題を起こしている表現になるのではないかなと。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、治験ではこういうことをしましたと書くのですが、それをmustにしてしまうと少しまずいのかなと思いまして。
○宮川委員 だから、そう出していただくのは非常にいいのですけれども、非常に難しい判断だなと。
○医薬品医療機器総合機構 先生、PMSでもしっかりその辺りの情報をとりまして、そういう合併症が増えるようであれば、また適切に、すぐに医療現場に情報提供をするようにさせていただきたいと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。
○小野部会長 よろしくお願いします。
○医療機器審査第一部長 宮川委員、御指摘どうもありがとうございます。こういう金属を体内に留置する医療機器の新規デバイスに関して、一番懸念されるのが、留置後の抗血小板療法をどうしていくかということであり、これは我々はいつも課題にしています。今、御説明したとおり、PMSできっちり見ていって、やはり日本人に対して、留置するデバイスごとにどういう抗血小板療法が最適なのかは、市販後のエビデンスとしてとっていくしかないと。それまでの間は、治験で推奨された抗血小板やアスピリンの量を、まずはトレーニングなどで認識していただく。その後、全例調査の中で、実際の日本人の患者さんに各病院で使われた抗血小板療法を分析させていただいて、脳出血が起こっていないかどうかなど一例ずつ見て、学会の先生方と相談させていただきながら、こういうデバイスのときの抗血小板療法の至適投与量を、できれば作っていきたいと考えております。古くは、冠動脈のPCIでのステント治療もそういう歴史を踏まえて、一定期間後はアスピリン1剤でもいいのではないかなどと、議論がされているところと認識していますので、今後のPMSのデータをしっかり分析していきたいと思っています。ありがとうございます。
○宮川委員 是非、そういう仕組みをつくっていただいて、今後に役立てていただくような形に、しっかりと記述していただければ幸いかと思っています。よろしくお願いします。
○小野部会長 ありがとうございます。今、PMSの話が出ましたので、少し、私からも追加で質問させていただきたいと思います。51ページのところに、PMSの概要が、先ほど御説明いただいたとおりですが、PMSの形態は多分ですが、いわゆる効果安全評価委員会のような形での、安全性評価の独立した委員会は設けるということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。
○小野部会長 そうすると、先ほどお答えいただいたことが分かるわけで。いわゆるPMSの場合には、中間解析みたいな形では多分されないのではないかと、通常の場合には。そうすると、このDSMBというか、効果安全評価委員の安全性評価は定期的に行う、半期とかあるいは1年ごとに行うとか、そういうような形での開催形態と理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。症例ごとが基本になると思いますし、あと経年報告という形で、我々も1年ごとに結果を確認させていただきます。
○小野部会長 症例ごとにやるというのは、これは、ばらばらになってしまって駄目ですね。やはりまとめて一定数の症例に対しての安全性評価をまとめてやっていかないと、一例だけ起こったのは意味があるのかどうかという、先ほどの非常に重要な質問ですので、そこは多分、安全性評価をシステマティックに、もう少しきちんと決めてやったほうが、こういう出血性合併症についてはより分かりやすいと思います。これは私の座長としての意見でもありますので、御検討いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。企業にも伝えまして、検討いただくようにしたいと思います。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますでしょうか。よろしくお願いします。
○永井委員 評価資料と参考資料の整理について、機構に少し伺います。今回、2年後のデータが、参考資料として審査報告書に書き込まれています。時間的なことを考えなければ、それは治験のデータとしてきちんと評価資料に入れた方がよいと思う反面、そうするとどんどん遅くなるので、参考資料でオーケーにしたのかと想像します。今回は1回埋め込むだけの医療機器なので、参考資料という位置付けでもよいのかと思いますが、繰り返し投与する可能性のある医薬品等の場合、どれくらい効果が持続するのかという疑問に答えるためには、2年後の状態もきちんと評価資料として収集する必要があるのだと思います。その辺、評価資料と参考資料の扱いをどのように整理しているのか教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。評価資料については、その資料があって評価をするということで、参考資料というのは、あくまでも参考という位置付けで見させていただいています。ですので、今回に関しては、主要評価項目の「術後30日」などのところをもって申請していただいて、後々2年の成績が出たら教えてくださいという形にさせていただいています。
○永井委員 分かりました。持続期間が問題になるような場合は、また少し違う扱いにせざるを得ないと思います。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは、富田先生、お願いいたします。
○富田委員 昭和大学の富田でございます。PVLは形態が非常に多様で、そうした形態が多様なものをデバイスで閉じる場合、サイズのバリエーションばかりではなく、どうしてもその形態のデバイスでは合わないという方も多分出てきて、合いきれない。手術はオーダーメイドですが、デバイス閉鎖はレディーメイドの治療ですので、レディーメイドのデバイスでは合わないものが多分出てきていることが、いろいろなところに効いてきているような気がします。リークの問題ですとか、溶血の問題ですとか。多分、欧米の実臨床だと、このデバイスで閉じ切れないデバイスには、変な言い方ですが、適用外のデバイスを使ったり追加したりして閉じたりするので、すごく成績がよくなるのではないかなと思う部分があります。日本ではそういうわけにはいきませんので、このデバイスが投入されたらこのデバイスでいかなければいけないわけですから、このデバイスに合う形態のPVLということを、アカデミアの方に検討していただいて、そういうものを選ぶ方策を、PMSの中や今までのデータを見直していただいて立てていただくのがいいかなと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。機構から、何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 富田委員、貴重な御意見をありがとうございます。そうですね、今、頂いた御意見を企業や関連学会の皆さんと相談しながら検討いたします。ただ、事前にそういう解剖学的に合致するかどうかは、しばらくの間は全症例を検討すると伺っております。
○小野部会長 富田委員、貴重な御質問をありがとうございました。続きまして、北澤委員からも御質問があります。よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。使用成績調査について伺います。このデバイスは、治験の段階では主要有効性評価項目を満たさなかったわけなのですが、それでも承認を認めようとしています。その場合に、使用成績調査いわゆる市販後の調査において、このデバイスの有効性を改めて評価する必要はないのでしょうか。審査報告書の51ページを見ますと、有効性の評価としての主要評価として、心不全のグレードがよくなっているとか、そういう全般的な有効性をみると書いてあるのですが、このデバイス自体の有効性というのは、治験の段階ではいろいろ理由は書いてあるのですが、有効性は証明されていないのではないかと思ったので、その辺り、市販後の調査でどういう評価をするのかについて、お聞きしたいと思います。お願いします。
○小野部会長 機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 北澤委員、御質問いただきましてありがとうございます。機構からお答えします。治験では、御指摘いただきましたように、PVLのグレードの指標を設けて、PVLグレードが1グレード以上減少するかというところで有効性を評価しましたが、これはPVLのグレードが減少すると症状の改善が見込まれるだろうということを踏まえて、治験では主要有効性評価項目として設定をしておりました。PMSでは、御指摘いただいたように、逆流グレードをみていないのではないかという御懸念はあるかもしれませんが、先ほど申し上げましたとおり、グレードが減っても必ず改善するのかという話もありますので、総合的にNYHAグレードの変化や、症状を含めて、使用成績調査では評価する方針で妥当と考えております。
○北澤委員 説明としては分かるのですが、この審査報告書を読んでいると、29ページの心不全の心機能分類はきちんと改善されたとあるので、何となく改善しそうなものを有効性の指標として市販後調査でみているのかなというふうに思われかねないので、御質問しました。
○小野部会長 ありがとうございます。北澤委員の御懸念は正にそのとおりで、何となくすり替えに見えてしまうというところがあるのですね。私は心臓外科医なので、決してすり替えているわけではないのはよく分かるのですが。言ってしまえば、こういう物理的な、解釈の難しい映像の評価ではなくて、最も臨床的に意味のある臨床改善度で評価をしているところにおいては、いわゆる最も有効なサロゲートマーカーという考え方でみることもできないこともありません。ただ治験の、いわゆる形態としてのプライマリーエンドポイントを満たすという治験の形だけにこだわると、北澤委員が懸念されたようなことが起こると私も考えています。そうですよね。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。そのように見えてしまうことは反省します。評価項目としましては、PVLの逆流の程度をきちんと評価することにはなっておりますので、その辺りを含めて、私たちもきちんと見させていただこうと思います。ありがとうございました。
○小野部会長 北澤委員、ありがとうございました。では、続きまして、清水委員から、御質問をよろしくお願いします。
○清水委員 清水です。先生方のこれまでの御質問とかぶるかもしれませんが、審査報告書35、36ページに関して、コアラボ評価が厳しかったので海外臨床試験成績との比較をしているということなのですが、審査報告書36ページ表の下の3行目から11行目にわたって、「同等」という言葉が4か所出てくるのですが、これは統計的な裏付けがある同等なのか、それとも単に数値が近いという意味の同等なのか、この辺はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 清水委員、ありがとうございます。数値が近いという意味です。
○清水委員 できれば、信頼区間等を使って同等であるというエビデンスをしっかり示していただくと、これは海外臨床試験成績との比較が重要なポイントになっているようですので、そこが補強できるのなら補強していただくといいと思いました。私からは以上です。
○小野部会長 清水委員、ありがとうございました。
大分時間が経過してまいりまして、当初は18時までということで、部屋のリミットが18時30分までだということですので、中途半端な質疑応答のまま先に進むのは極めて不十分と言わざるを得ませんが、大体議論は、問題点となるところは、委員の先生方から御質問いただいたのではないかと思っております。
 それでは、よろしければ、議決に進めていきたいと思います。ただいま御審議いただきました「弁周囲逆流閉鎖セット」について、まず、本部会として承認を与えるかどうかということで、承認を与えて差し支えないものとして、生物由来製品及び特定生物由来製品としては指定しないとしてよろしいでしょうかということが1点です。また、使用成績評価は、評価期間を7年とするということでよろしいかどうか。これに対して、御異議のある委員の先生方はいらっしゃいますでしょうか。Webの方は私から見えないので、確認をお願いします。よろしいですか。
○事務局 皆さん、特に否定される方はいらっしゃらないようです。
○小野部会長 ありがとうございます。大分御議論をいただきまして、機構にも、その問題点、また今後のPMSの在り方、このデバイスに対するPMSの在り方等、貴重な御意見を頂きましたので、そういったものをしっかりと含みおいた形で進めていただくという条件が付きますが、その条件をもって、御異議がないと議決させていただきます。これは、更に上位の分科会に報告することになりますので、これで全て終わりというわけではありませんので、よろしいでしょうか。
 大変活発な御議論を頂きまして、どうもありがとうございました。また、貴重な御意見を頂きました七里先生、並びに福田先生、今日は御出席いただき、どうもありがとうございました。
── 七里参考人、福田参考人退室 ──
○小野部会長 それでは、議題3「医療機器「INDIGOシステム」の使用成績評価の要否について」に議論を進めたいと思います。事務局から説明をよろしくお願いします。
○事務局 事務局より、議題3「INDIGOシステム」の使用成績評価の要否について、御説明いたします。資料3を御用意ください。
今回御審議いただく医療機器の品目ですが、販売名は「INDIGOシステム」、申請者はPenumbra, Inc.です。
 2ページを御覧ください。本品は吸引カテーテル、セパレーター及び吸引チューブ等から構成され、別品目として申請中の専用の吸引ポンプ「Penumbra エンジン」と接続し、閉塞した血管の血流を再開させるために用いる血栓吸引システムです。本品は血栓溶解剤を使用せずに血栓除去が可能な吸引カテーテルとして海外で開発されました。
 本邦においては、カテーテル血栓溶解療法に使用される血栓溶解剤であるウロキナーゼについて、令和4年2月に原材料供給の問題に起因する市場への供給停止が製造販売業者から発表されており、令和5年半ばには医療機関における在庫も枯渇する可能性があることが想定されています。このため、カテーテル血栓溶解療法の実施が困難となる状況を踏まえ、令和4年8月に、関連する4学会から、血栓吸引デバイスの早期導入等が要望されております。
 6ページ以降に記載のとおり、臨床試験に関する成績として、急性下肢動脈閉塞症、急性上腸間膜動脈閉塞症及び急性深部静脈血栓症のそれぞれの疾患に対して実施された海外臨床試験等の結果を取りまとめた臨床評価報告書が提出されており、有効性及び安全性に大きな問題は認められておりませんでした。
 したがって、本品の臨床試験成績は非常に限られたものではありますが、現在、血栓溶解療法を行うことが困難となっている国の現状を考慮しますと、当該疾患において、血栓溶解療法の代わりに閉塞血管を再疎通させるための治療法としての有効性及び安全性が、本品には期待できると審査において判断しております。
 一方で、血栓溶解療法が実施困難となり、本品を代替法として使用する国内医療環境下における本品の使用成績については、国内における本品の使用成績がないこと、また、血栓溶解療法を併用しない本品の使用成績は海外でもまだ少ないこと、血栓溶解療法の代替として本品を用いざるを得ない本邦において、当該疾患に対する治療手段の変更が、その治療成績にも影響を及ぼす可能性があることから、本品を使用成績評価の対象とし、本品及び手技に関連する安全性とともに、臨床予後等も含めた有効性について、併せて確認することが妥当であると判断しております。
 調査期間については、販売準備期間3か月、症例登録期間が1年9か月、フォローアップ期間が6か月、解析期間が6か月の、計3年とすることが妥当と考えております。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、何か御質問、御意見はありますでしょうか。
○事務局 清水先生が挙手されております。
○小野部会長 よろしくお願いします。
○清水委員 すみません。手を下ろすのを忘れておりましたので、大丈夫です。
○小野部会長 分かりました。
ウロキナーゼが使えなくなるということで、薬物ではなくてデバイスでの血栓溶解を代替するということです。なかなか直接比較はできないので、ある意味で判断が難しいのですが、やはり治療法がなくなるということに対して、早期に安全性が高いと予測される代替治療を導入するという考え方によっていると、委員の先生方も御理解いただいていると思います。使用成績調査を3年とするのは、代替治療として行われる治療の数が、3年の間に十分得ることができるということで、フォローアップ期間もそれほど長期にみる必要はないはずなので、ということだと思います。委員の先生方、よろしいでしょうか。
 それでは、議決を行いたいと思います。医療機器「INDIGOシステム」の使用成績評価の期間を3年と指定して、これを承認するということですが、特に御異議はありませんか。Webの先生方も大丈夫ですか。では、そのように進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。これで議題3を終了いたします。
 それでは、続きまして、議題4「医療機器「Evolut PRO+システム」の使用成績評価の要否について」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題4「Evolut PRO+システム」の使用成績評価の指定の要否について、御説明いたします。資料4を御用意ください。
1ページを御覧ください。御審議いただく医療機器の品目の概要となっております。販売名は「Evolut PRO+システム」で、申請者は日本メドトロニック株式会社です。
 本品は、ブタ心のう膜由来の経カテーテル大動脈生体弁と、これを大動脈弁位に送達するデリバリーカテーテルシステム等から構成される経カテーテル生体弁留置システムです。本品は、自己大動脈弁の症候性重度弁狭窄又は植込み済み大動脈生体弁の機能不全による症候性弁膜症患者への治療において承認を取得しておりますが、今般、慢性透析患者への適応を追加する目的で、一部変更承認申請が提出されました。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○本品について○○○○○○○○○○○使用成績評価の対象とすることが妥当と考えております。
 調査期間については、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○販売準備・症例登録期間は○年、フォローアップ期間は○年、解析期間は○年の、計7年とすることが妥当と考えております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 新しい経カテーテル的大動脈弁置換術のデバイスですね。「Evolut PRO+システム」の使用成績評価の期間ということになりますが、既に先行して、別の企業の同等の新しいデバイスについても、7年と同じ期間であるということです。これについて、委員の先生方から、御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。Webの先生方もよろしいでしょうか。
それでは、特に意見もございませんので議決に進みます。医療機器「Evolut PRO+システム」の使用成績評価期間を7年として指定することについて、特に御異議はございませんか。特に御異議がございませんので、このような形で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。議題4については終了いたします。
 続いて、議題5です。「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」を審議いたします。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料5を御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器への指定、及び特定保守管理医療機器の指定の要否について、御審議いただいております。
今回は、新設が必要と考えられる一般的名称が2名称ございます。
 まず、名称を付そうとする品目の一品目目について御説明いたします。3ページを御覧ください。こちらの品目は、内視鏡的非吸収性止血材であり、止血材(ナトリウムベントナイト粉末)とデリバリーシステムから構成されています。この品目に付そうとする新設予定の一般的名称については、1ページを御覧ください。名称は「非吸収性局所止血材」で、定義は「止血のために、皮膚創傷又は消化管内に適用する、非吸収性の素材からなる器具をいう。」です。本品は、中心循環系に使用されず消化管において使用されること、そして非吸収性であることを考慮し、クラスIIIの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えております。
 続きまして、二品目目について御説明いたします。7ページを御覧ください。この品目は、実物大の心臓モデルであり、既存の画像診断に加えて本品を用いることで、先天性心疾患患者の形態診断の精度をより高めること、また術式決定等に役立てられ、外科医が的確に手術を実施できるようにすることを目的とするものです。外観図については、同ページの下部を御覧ください。この品目に付そうとする新設予定の一般的名称について、4ページを御覧ください。名称は「手術計画支援心臓模型」で、定義は「患者のCTやMRI等の画像情報をもとに軟質材料で作製された心臓モデルであり、既存の画像情報からは手術計画の立案が困難な心疾患患者の手術計画立案等の支援に、他の診療情報と併せて用いる。例えば、小児の複雑先天性心疾患患者等をいう。」です。「手術計画支援心臓模型」は心疾患の手術計画立案の支援に用いるものであり、そのリスクを勘案して、本品は、クラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えています。以上です。
○小野部会長 これまで委員を務めた先生方はよく御存じだと思いますけれども、管理区分の話です。
一つ目は「非吸収性局所止血材」で、これは消化管内の粘膜面に適用することによって、生体吸収性がないということですが、体腔内にありますので、クラスIIIということになっています。
 「手術計画支援心臓模型」については、これを一つのメルクマールとして、複雑な先天性心疾患の手術計画を行うということで、治療そのものには関与しないということになるわけですので、これはクラスIIでよいということになっています。
これについて、委員の先生方から、何か御質問などはございますか。
○宮川委員 クラスIIIですから、このぐらいの言葉の概念なのかなとは思ったのですが、クラスIVの方で「中心静脈系」というのが頭に付くわけですが、この場合だと、「非吸収性局所止血材」という形なのですが、これは皮膚と消化管ということですが、消化管にも多種あると思うので、どこまで頭に何か付けたほうがいいのかどうか。クラスIIIであっても、あまりにも漠然としているので、クラスIVの中では、このように名前が上に付いているのですけれども、これも何か上に1個か2個入ったほうが、皮膚と消化管では余りにも違うので、その辺をどのように私たちは理解すればいいのか、お聞かせ願えればと思います。
○事務局 事務局より回答させていただきます。先生がおっしゃるように、もともと、今回の一般的名称創設の発端となった製品というのが、消化管内で使われるものですので、そういう意味では、例えば「内視鏡用」とか「消化管用」という名前を付けてもいいのかなという検討もさせていただいたのですが、一方で、最近こういう一般的名称を作るときに、余りにも細かくなりすぎているというような御議論もありまして、一つの名称で表現できる範囲であれば、少し広めに読めることにしてもよいのではないかという考えのもと、同じクラスIIIの範囲に入りそうなものは、皮膚創傷と消化管内は大分違うので違和感があるとは思いながらも、一つに含めさせていただいたというのが経緯です。
○宮川委員 私もそうだろうと思いますが、難しいなと思ったので、一応確かめさせていただきました。ありがとうございます。
○小野部会長 今の宮川委員の御懸念はよく分かるところです。これが消化管の中で、例えば気道内だった場合はどうなのか。あと尿路の場合はどうなのか。そういう排泄されるものとされないものといったところも。皮膚の場合は、自然脱落して体外に消えるということですので、もしこれが気道の中の場合には必ずしもそうとはいかないかもしれませんので。正に御指摘いただいた点は、やはり重要だろうと私も思います。
 ほかの委員の先生から、御質問、御意見はございますか。2番目の「手術計画支援心臓模型」についても、特に御質問、御意見はございませんか。
 特にないようであれば、「非吸収性局所止血材」は高度管理医療機器として指定するということ、また、「心臓模型」については管理医療機器として指定するということで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。では、このような形で報告させていただきます。以上で、議題5については終了いたします。
 続きまして、議題6の報告事項です。「医療機器の再審査結果について」、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 再審査は、平成25年改正以前の薬事法第14条の4の規定に基づき、新医療機器等を対象として再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査結果に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
 資料6の1ページを御覧ください。販売名は「アルコン エクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス」です。この品目は、薬物治療やレーザー治療などの治療法によっても十分な眼圧下降が得られない緑内障患者の眼圧降下に用いる機器です。平成23年12月20日に初回承認されています。この度、長期的な不具合発現状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、承認条件として再審査期間中の使用成績調査が課せられておりましたので、その概要を御説明いたします。
 2ページの図1に記載があるとおり、安全性評価については778症例、また、有効性評価については775症例を対象としております。
 まず、安全性について御説明いたします。3ページを御覧ください。表2が、不具合の発現状況をまとめたものです。「本体の虹彩接触」の発現割合が26.9%と顕著に多く確認されております。しかしながら、その多くの症例において、有害事象の発現は認められておらず、また、経過観察により対応されたということを踏まえ、引き続き起こり得る不具合として添付文書による注意喚起を継続し、情報収集に努めることで対応可能と判断しております。
 また、4ページの表3を御覧ください。こちらは、有害事象の発現状況をまとめた表です。「眼圧上昇」が11.9%と最も多く確認されました。こちらについて、原疾患である緑内障の進行等により発生し得る事象であり、また、本調査では、前回の検査値から上昇した場合に加え、下降が認められなかった場合も、「眼圧上昇」として扱っていること、また、後述の有効性の評価において、本品における平均眼圧降下は十分に得られていることも踏まえ、当該有害事象については追加の注意喚起は必要ないと考えました。以上から、安全性に関して、特段の対応は不要と判断しております。
 続きまして、有効性について御説明いたします。6ページの表5を御覧ください。全ての観察期間において、術前からの平均眼圧の下降を認めております。また、緑内障治療薬の併用数の減少傾向について、臨床評価報告書の内容とほぼ同等の成績を確認しております。したがいまして、有効性について、特段の対応は不要と考えております。
 最後に、承認条件について御説明いたします。9ページを御覧ください。本品の承認時には二つの承認条件が付されておりました。この中で、承認条件2については、再審査期間中に満たされたと判断し、承認条件2は解除するとともに、再審査期間終了後も、安全性及び有効性の確保のため、承認条件1については継続することが適切であると判断しております。
 以上を踏まえ、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項についての変更の必要がない、カテゴリー1と判断しております。以上です。
○小野部会長 眼科用のデバイスですので、専門の先生の御意見が必要だろうということで、委員の山上先生が眼科の先生ですので、事前に山上先生には、この件について御意見を頂いております。
 先ほど、有害事象の中で、虹彩接触がかなり、4分の1ありましたが、これについて眼科の立場から言うと、穿刺の際に角度に気を付けてやれば回避できる場合が多いと。当たった場合には、角度を変えて挿入し直すことによって回避可能であるということですので、このデバイスとしての不具合としては、大きな問題はないという御意見を頂いています。御参考までです。
 委員の先生から、何か御質問、御意見等はございますか。Webの方もよろしいでしょうか。
 特にないようですので、これをお認めするということで、議題6については終了したいと思います。
 続きまして、議題7「部会報告品目について」、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 議題7の部会報告品目について、御説明いたします。資料7を御覧ください。
こちらの資料では、令和4年10月1日から令和5年1月末までの4か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 医療機器については、70品目が該当しております。まず、1ページからは、「臨床試験の試験成績が提出され、審査し承認した医療機器」11品目についてです。それらの一般的名称、販売名、クラス分類などとともに概要をお示ししており、5ページまで続いております。また、6ページからは、臨床試験成績を必要とせず、審査・承認した57品目の一覧で、27ページまで続いております。28ページでは、プログラム医療機器2品目をお示ししております。
最後に、29ページから、該当する体外診断用医薬品20品目をお示ししております。新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等に該当するものについては、一般的名称欄にそれらの別を記載しております。
これら報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいておりますので、この場での個別の説明は割愛させていただきます。
資料7の説明は以上です。
○小野部会長 品目が多くて、事前に送付された資料で御確認いただいておりますけれども、何かここで特別御意見はございますでしょうか。Webの方もございませんか。よろしいですか。
 特にございませんので、これで議題7については終了とさせていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、議題8「プログラム医療機器調査会における審議結果について」、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 「SUSMED不眠障害治療用アプリ Med CBT-i」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について、報告いたします。
 本品は、モバイル端末にインストールされ、不眠障害を有する患者に対し、認知行動療法を実施するために用いるソフトウェアです。
販売名と使用目的に関し、調査会において、「本品で不眠障害に対する認知行動療法の治療が完結するものではなく、医師が行う治療の補助、又は支援するものである。」との御意見がありました。その意見を踏まえ、販売名を「サスメドMed CBT-i不眠障害用アプリ」、使用目的を「不眠障害の治療において、医師が行う認知行動療法の支援を行う。」に変更しました。
また、一般的名称を「不眠障害用プログラム」、定義を「不眠障害の治療において、医師が行う認知行動療法等を支援する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」としました。
本品は、プログラム医療機器として承認することは適当との審議結果を頂きました。
 続いて、項目2です。医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否についてです。
一般的名称「生体音記録プログラム」の品目「生体音測定アプリ」は、患者が医師の診察前に汎用スマートフォンのマイクを介して患者用モバイルアプリから呼吸音のデータを取得し、クラウドサーバーに送信し、医師が患者により取得されたデータを確認することによって、オンライン診療を支援する医療機器プログラムです。本品は、クラスIIの管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないことが適当との審議結果を頂きました。
プログラム医療機器調査会における審議結果についての報告は以上です。
○小野部会長 二つのプログラム医療機器についての審議結果でした。
委員の先生から、何か御質問はございますか。Webの方の委員の先生方もよろしいでしょうか。
特にないようであれば、御報告のとおりで承認を頂くということで、この審議は終了したいと思います。
 本日、準備した議題は以上ですが、事務局から何か追加の報告等はございますか。
○事務局 その他の連絡事項として1件ございますので、事務局より報告させていただきます。左肩に「当日配布資料1」と書いてある資料を御用意ください。
説明に入る前に、導入部分について御説明いたします。医療用検査薬を一般用検査薬へ転用、すなわちOTC化するに当たっては、使用者がこれを正しく用いて、健康状態を把握し速やかな受診につなげることで、疾病の早期発見に資するものである必要があり、その対象等については通知で示しているところです。この通知を「一般原則」と呼んでおります。
 また、当該「一般原則」の見直しに当たっては、課題の整理と、そういう状況等を把握した上で、関係者の理解と合意を得ながら段階的に検討を進める必要があるとされております。これまで本部会において、この見直しについて幾度となく議論していただいたという経緯がございます。
 これらを踏まえて資料に戻っていただき、これまでの経緯です。直近の議論としては、昨年の4月11日の本部会において、それまでの経緯の御報告をさせていただいた上で、主に下記の三つの観点で御意見を頂きました。なお、これらの意見は代表的なものを抜粋したものです。
 これを踏まえて、今後の方向性です。これらのような様々な御意見があったことを踏まえて、現に医療用検査薬として承認されている品目において、採取する検体及びその検体を用いて測定する検査項目を具体例とした場合、これらの組合せの中で、一般用検査薬としたときに想定される各課題について、各関係団体と整理をさせていただいているところです。これらの整理がなされた後、次年度以降となるかと思いますが、本部会において改めて御意見を頂きたいというように考えているところです。御報告は以上です。
○小野部会長 本日は時間を超過しておりますので、本来は御意見を頂ければと思っておりますが、昨年度こういった形で問題点を抽出して、今後引き続きということでよろしいでしょうか。また御意見を改めて委員の先生方から頂くという形にさせていただければと思います。ありがとうございました。
ほかには何かございますか。
○医療機器審査管理課長 以上でございます。本日は、お忙しい中、医療機器・体外診断薬部会に御参加いただき、また時間をオーバーした中、御議論いただきまして誠にありがとうございました。
 次回以降の部会については、メール等において詳細を御連絡させていただくということとさせていただきたいと思います。連絡事項は以上です。
○小野部会長 本日は進行の不手際があり、大分時間を超過してしまったことに対して、お詫び申し上げたいと思います。また一方で、委員の先生方から活発な御議論を頂いたことに対して、改めて感謝申し上げたいと思います。以上で、本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)