2023年2月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和5年2月27日(月)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 
(注)◎部会長 ○部会長代理



欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長) 
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日も、お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。まず、本日のWeb会議におきます委員の出席状況についてですが、山口委員、渡辺委員より御欠席の御連絡を頂いております。このほか、亀田委員からは遅れて御参加との御連絡を頂いておりますし、松下委員も後ほど会議に御参加されるものと承知しております。したがいまして、本日ですけれども、現在のところ当部会委員数21名のうち17名の委員がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問などに就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合する旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度署名を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明します。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については、医療用医薬品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。審議事項の議題1は、資料No.1を用いますので、お手元に御用意をお願いいたします。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けいただければと思います。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。こんばんは。今の事務局からの説明に特段の御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ないようですので、審議事項議題1に入ります。議題1につきまして、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題1、資料No.1、生物学的製剤基準の一部改正について説明申し上げます。この度の生物学的製剤基準の一部改正は、資料No.1の中段「2 改正の内容」の(3)に記載しておりますとおり、A型肝炎ワクチン、狂犬病ワクチン及び5種類の抗毒素製剤の基準について、異常毒性否定試験及びpH試験の項目を削除し、併せて所要の改正を行うものです。
異常毒性否定試験は、生物学的製剤基準の一般試験法に定められている試験であり、モルモットの腹腔内に投与して、体重減少やその他の異常がないことを確認する試験となっております。歴史的に、ワクチン等の生物学的製剤に対して実施されてきた試験ですけれども、近年は生物学的製剤の製造管理や品質管理方法の向上に伴いまして、この試験によらずとも、製品の品質を確保することが可能となってきているところもあり、動物愛護の観点もあって、世界的に廃止の流れになってきております。また、pH試験に関しましては、各品目の承認書において当然規定されている試験項目ではありますが、いわゆる生物学的製剤特有の管理項目として必要というものではないことから、記載整備として今回削除することとしております。今回の改正によりまして、現在、流通しているワクチン等における異常毒性否定試験は全て削除されることになります。議題1の説明は以上です。今回の生物学的製剤基準の一部改正の中には、個別品目に関わる事項も含まれておりますが、それは後の個別品目の審議と合わせて説明したいと思います。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。本議題につきまして改正を可としてよろしいでしょうか。異議がないようですので、本議題の改正を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますよう、お願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議等を開始します。
 それでは、改めて医薬品第二部会を再開いたします。事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のWeb会議にかかる資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りしました資料のうち、資料No.2~No.26と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。このほか資料No.27として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.28として「専門委員リスト」、資料No.29として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りしております。今回、事前に多くの資料をお送りしましたけれども、不足等ございましたらお申しつけいただければと思います。システムの動作不良などございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告します。
 資料27の1ページ、「フルミスト」です。本品目は、「インフルエンザの予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、「ゴービック」です。本品目は、「百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症」の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、「ベスレミ」です。本品目は、「真性多血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、「ペマジール」です。本品目は、「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページ、「コムレクス」です。本品目は、適応としては「外耳炎、中耳炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページ、「バリキサ」です。本品目は、「症候性先天性サイトメガロウイルス感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページ、「ソーティクツ」です。本品目は、「既存治療で効果不十分な尋常性感染、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページ、「ディレグラ」です。本品目は、「アレルギー性鼻炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。事務局からの説明に、特段の御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものとします。
 それでは、委員からの申出状況につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況、第5条に基づく取扱いについては次のとおりです。
 議題2、「フルミスト」。退室委員、大隈委員、川上委員、中野委員。議決に参加しない委員、南委員です。
 議題3、「ゴービック」。退室委員、中野委員。議決に参加しない委員、川上委員、松下委員です。
 議題4、「ベスレミ」。退室委員なし。議決に参加しない委員、亀田委員、滝田委員、中野委員、南委員、山本俊幸委員です。
 議題5、「ペマジール」。退室委員、南委員、山本昇委員。議決に参加しない委員、亀田委員です。
 議題6、「コムレクス」。退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。
 議題7、「バリキサ」。退室委員なし。議決に参加しない委員、亀田委員、中野委員、横幕委員です。
 議題8、「ソーティクツ」。退室委員なし。議決に参加しない委員、亀田委員、南委員、山本俊幸委員です。
 議題10、「ディレグラ」。退室委員なし。議決に参加しない委員、亀田委員、滝田委員、中野委員、南委員、山本俊幸委員です。
 また、議題9についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の個別の医薬品等の承認審査、安全対策に係る審議以外の審議に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。事務局からの説明に、特段の御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとします。
 本日の非公開議題は、審議事項9議題、報告事項11議題、その他事項3議題となっております。ものすごく多いです。できるだけてきぱきと進行させていただきますので、御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、審議事項の議題に移ります。大隈委員、川上委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題2の審議の間、会議から御退室して待機いただくことといたします。また、中野委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題2及び議題3の審議の間、会議から退室して待機いただくこととします。大隈委員、川上委員、中野委員は、退室をお願いいたします。
── 大隈委員、川上委員、中野委員退室 ──
○清田部会長 お待たせいたしました。それでは、議題2と議題9は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、フルミスト点鼻液の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.2のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示ししますページ数は、各ページの下段に青色で記載の41分の幾つという数字を使用します。
 本剤は、遺伝子再集合により構築された弱毒生インフルエンザウイルス(A型・B型)を有効成分とする、経鼻投与型のワクチンです。今般、2歳以上19歳未満を接種対象とし、インフルエンザの予防の効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は、2022年12月時点で、米国、欧州を含む海外30以上の国又は地域で製造販売承認されています。
 本品目の専門委員として、資料No.28に記載の7名の委員を指名しました。主な審査内容について御説明します。審査報告書11ページ表11を御覧ください。申請に当たり提出された、有効性及び安全性に関する主な臨床試験の概要をお示ししています。有効性は、ワクチン有効率(VE)を評価したJ301試験に基づき審査しました。審査報告書13ページ表13を御覧ください。J301試験では、試験薬接種15日後以降のインフルエンザ発症例に基づくワクチン有効率(VE)は28.8%であり、VEの両側95%信頼区間の下限は、事前に規定された評価の基準0%を上回りました。
 21ページ2段落目以降を御覧ください。2段落目以降に記載しましたとおり、この成績について、申請者はJ301試験が実施された年と同じ年に、日本で実施された症例・対照研究の不活化インフルエンザワクチンの有効性と比べて、明らかに劣るものではないと説明しています。以上の成績等により、本剤のインフルエンザに対する予防効果は期待できると判断しました。
 審査報告書20及び21ページを御覧ください。J301試験では、治験実施計画書においてインフルエンザ感染症状を認めて来院した場合には、来院ごとにPCR検査のための検体採取をする規定になっていました。しかし、規定どおりにPCR検査のための検体採取が行われていなかった被験者が認められたことから、21ページ表19でお示ししましたとおり、事後解析として感度解析を実施しています。感度解析は検体未採取例を除外するなど、三つのケースを想定して実施しました。いずれの場合においても、主要な解析結果と同様の傾向が認められたことから、治験実施計画書どおりに検体採取が行われなかったことによる、有効性評価への影響は大きくはないと考えています。
 続いて、本剤の安全性について御説明します。審査報告書23ページ表21を御覧ください。表21の左側に、J301試験における特定有害事象の発現状況をお示ししています。本剤接種後に、70%程度の被験者にいずれかの特定有害事象が認められ、そのうち鼻漏、咳嗽、口腔咽頭痛が多く発現していましたが、特定有害事象のほとんどは軽度又は中等度で回復性が認められ、その発現割合はプラセボ群と明らかな差は認められませんでした。
 また、審査報告書24ページ表22にお示ししましたように、特定有害事象を除く有害事象においても、本剤群とプラセボ群に明らかな差は認められませんでした。さらに、その他の有害事象についても、特段懸念される事象は認められなかったことから、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。続きまして、事務局から議題2の補足と議題9の概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題2に関連して、インフルエンザワクチンの株変更プロセスについて、簡単に御報告します。資料No.2-2、「国立感染症研究所が配布する株以外の株を用いて製造されるインフルエンザワクチンの製造株変更のプロセス案について」を御覧ください。
 2ページに、概要をまとめておりますが、まず前提としまして、国内の既存のインフルエンザワクチンについては、WHOの推奨株の中から、国立感染症研究所での検討を経て、厚生労働省が四つのウイルスごとにワクチンの製造株を一つに決めており、ワクチンの製造株を行政が決定していることをもって、製造株の変更を行っています。
 一方、株の決定までに、抗原性の確認等の様々な検討を行っています。これは感染研とメーカーの方で協力してやっているということなのですけれども、製造株の決定は例年4月中下旬頃となっていますが、一方、海外企業におけるワクチン製造の開始時期より遅いタイミングとなっています。
 こうした状況を踏まえまして、海外製のインフルエンザワクチンのように、感染研が配布する株以外の株を用いて製造されるインフルエンザワクチンについては、WHOの推奨製造株の中から製造しているということを前提として、製造株の変更だけであっても、海外での取扱いと同様に薬事申請、いわゆる一部変更承認申請を求めまして、抗原性の変化の有無などの必要な情報について、薬事審査の中で感染研と連携して確認するという形にしたいと考えています。
 そういった薬事申請は、製造方法等の変更の一部変更承認申請となる見込みになりますので、薬事分科会規定上の区分15に該当するということで、事務局にて審査を行う予定としています。
 概要は以上になりまして、3ページ以降は薬事分科会の規定や、1月25日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の研究開発及び生産・流通部会の資料を参考として掲載しています。5ページが既存の国内インフルエンザワクチンのプロセス。6ページが海外でのプロセス。7ページがそれらの対応を比較したものとなっています。こういった形で、今後の株変更に対しては対応するということを、こちらでちょっと御説明しました。
 続きまして、議題9の生物学的製剤基準に関して御説明します。議題9、資料No.9の生物学的製剤基準の一部を改正することの可否についての資料を御覧ください。こちら2の改正の内容の所にあります。今回、フルミスト点鼻液の承認に際して、生物学的製剤基準に、経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの医薬品各条を追加することとしています。品目の承認の可否に併せて、御審議をお願いいたします。
 改正案に対して、現在パブリックコメント実施後に、製販の方から意見を頂いていまして、当初お送りしていた改正案から記載整備のため、今、差し替えをしていますので、そちらの方で御確認いただければと思います。
 御説明は以上になりますが、石井委員から事前にコメントを頂いていますので、こちらを御説明いたします。「まず、従来の季節性インフルエンザワクチンでは、WHOの推奨株の中から、日本やアジア地域での流行状況も踏まえて、感染研の推奨に基づき厚生科学審議会小委員会において株の選定が行われていると思いますが、本品では今後も毎年企業が独自に株の選定を行うのでしょうか。」との質問を頂いています。
 こちらについては、御理解のとおり、企業が毎年WHOの推奨株の中から株選定を行う予定となっています。その際に株の変更を行う場合には、先ほど御説明したとおり、薬事申請手続の中で、必要な情報を確認する予定となっています。
 もう1点、感染研から指摘されている、生物学的製剤基準の資料の中にあります、感染研から力価試験用一次抗体の特異性に関する事前の検証について、試験の信頼性に関わる重要なポイントと考えられますので、今後の対応について、協議が進んでいるのかどうか教えていただきたいという質問を頂いています。
 こちらについては、今後、株変更の一変申請を行う際に、感染研の方で並行して依頼検査等の枠組みを利用するなどして、力価試験の実施に必要な抗体の特異性、そういったものの検討も行うという方向で、感染研と今調整中です。説明は以上です。
 あと事前に中野先生から1点コメントを頂いています。こちらは、「フルミストについてカルタヘナの対象にはならないのでしょうか。」という御質問を頂いています。こちらについては、今回フルミストを構成している遺伝子というのは、基本的には自然界にいるウイルスから再構築した、いわゆるリアソータントになっております。いわゆるナチュラルオカレンスという形で整理されていますので、カルタヘナの第1種使用、第2種使用、そういったところの規定には抵触しないということになっています。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。石井先生、まず今の回答でいかがでしょうか。
○石井委員 御説明ありがとうございます、理解しました。ありがとうございました。
○清田部会長 中野先生は退席中なので、ちょっと確認はできませんけれども、そのほかの先生方から御意見、御質問ございますでしょうか。
○宮川委員 よろしいでしょうか、日本医師会の宮川ですけれども、教えていただきたいことがあります。このJ301試験は明らかにその前の試験以上に、もうGCPの違反のような気がするのですが、それで後付け解析をこれだけやって何とか結果を見出している感じはしないでもないのですが、本当にこれは四つのポツのところで理由を書いているのですが、真偽はどうなのでしょうか。
 その後で、先ほどの表19の(1)~(3)のところで、こうやっていろいろなことで検体未採取例を抜いたりしているのですが、実際に本試験は全体で608例エントリーされて、本剤のプラセボが302という形なのですが、この分母というのは529で(1)が530で、(2)が480で、(3)が595と書いてあるのですが、この分母はどうやって割り出したのでしょうか。これは本当に全部引いた数がここに載っているのでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 今、先生が御指摘されたとおり、分母というのは実際に1例ずつ当たって引いたものが、(1)では530、(2)で480、(3)だと595という数になっています。以上です。
 また、GCP違反ではないかという御指摘が、最初の方にあったかと思うのですけれども、GCP違反というのは、要するに違反となるようなものではなくて、ただ、現場で本来はインフルエンザ感染症状を認めた場合、来院ごとに鼻腔拭い液検体を採取するというプロトコルになっていたところに、取れていない漏れているものがあるということで、何か虚偽なものがあるとかそういうものではなくて、検体採取漏れということでGCP違反という形では我々は考えていません。
 ただ、当然、検体採取漏れがありましたので、それによる影響というものをこの表19で考察しています。 
○宮川委員 それは分かるのです。表19で説明していることは分かるのですが、虚偽ではなくてもこのような漏れがあることは、本来からするとGCP違反ですよね。虚偽か虚偽でないかにかかわらず、こういう試験にとってのプロトコル違反というのは違反と考えるのではないのですか。それは違うという根拠はおかしいと思うのですけれども。虚偽だったらもっと悪いのです。虚偽でなくてもこういうのは違反は違反で、結局エントリー違反なのです。それは機構はどうして認めないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 例えば、検体がプロトコル上取れなかったケースにつきましては、違反という形ではなくて逸脱という形で、また違反とはちょっと違うカテゴリーになるかと。
○宮川委員 それだったら、逸脱だったらその逸脱で全部抜かなければいけないではないですか。それをこうやって細かく分析をして、何とか有効性を出したということはどうなのかということを申し上げているので、別にこれが駄目だと言っているのではなくて、審議の中でどうやって説明するかということを申し上げているのです。だから撤回しろとか言っているのではないのです。でもこれは、明らかにそれは本来からすると試験としてはなってないという形だと、私は思うのですが、それを試験としてなったかのようにお話されるから、私はちょっとおかしいのではないかと。
 これは試験としてはなってないです。それは確かなのだろうと思うのです。その中で解析をしなければいけないはずなので、ただ逸脱していたからといったら、これは今までの機構がずっと試験として読んできた、そういうものを審査してきたということを全否定しますよ。
○医薬品医療機器総合機構 ワクチン等審査部長です。機構の今回のGCPに関する考え方につきましては、36/41ページの8.2のところで、機構の判断として書かせていただいています。全体として治験がGCPに従って行いつつも、実際には非常に大きな影響を与える多くの逸脱があったということは、先生御指摘のとおりで、それが試験としてなっていないのではないかというような、そのような御指摘だと理解しています。
 機構としましても、この非常に大きな影響に関して、果たして有効性を支持しうるものなのかどうかといった点につきましては、専門協議において統計の委員の先生等とも非常に深いディスカッションを何度も行いまして、その上で最低限有効性が否定されることはないだろうと、そのように考えて、今回の審査結果を部会において御報告させていただいたものです。
 こういった逸脱の極めて多い治験そのものの審査が難しいものだということは、そのとおりだと思いますので、引き続き、こういった試験の実施につきましては、申請者等ともそういったことがないように、よく指導していきたいと思います。ありがとうございます。
○宮川委員 ありがとうございます。本来からするとこれは要指導というか、あるべきことではないのです。だからそこは認めなければいけないので、解析の仕方うんぬんということは、みんなで知恵を出し合って何とかというのは分かるのですけれど、これは違反というか試験としてはあってはならないことだということは、やはりそうだというところを前提に考えなければいけないので、これは全くもって不届きな試験で、機構が大変御苦労されたのは分かっているのです。それを批判しているのではないのです。
 これは、試験としてはなってない試験だと私は思っています。なってない試験をどうやってその中から必要なものを一所懸命抜き取り読み取りていく、機構の御努力に関しては非常に感謝しています。しかしながら、この試験はなってないということは、しっかりと前提で言わなければいけないはずだろうと、私は思っています。
 それからこのJ301試験に参加していたいずれの被験者に対しても、治験の期間中に治験スタッフによる定期的な連絡によって、インフルエンザ感染症状の発現の有無について確認が行われていたとあるけれども、何の資料をもって確認が行われていたのかということが、ちょっと判断しづらいということがあります。それからインフルエンザ感染症状があるにもかかわらず、来院をしなかった事例はなかったと考えられるとあるけれども、記録がなければ判断できないので、これも記載が書いてあるのですけれどもよく分からないということなので、そのところもどうやってこれを判断して、この言外のところで理解すればいいのかということが聞きたかったので、そこのところもちょっと教えていただければと思います。 
○清田部会長 大丈夫ですか、機構。 
○医薬品医療機器総合機構 1点目の電話で確認をしたというところなのですけれども、それは具体的な資料というより申請者からの回答というところで、電話で確認する手順になっていたというところを確認しています。実際。
○宮川委員 それは口頭ですか。
○医薬品医療機器総合機構 いえ、文書でもらっています。
○宮川委員 だからその文書が何も書いていないではないですか。証拠としてそうやってしましたよということを、どこで判断すればいいのですか。何の書類をもって判断されたのですか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、報告書の中には具体的な根拠というのは、申し訳ございません、書いてありませんが、申請者からは照会して回答という形で。
○宮川委員 だからその記録がないのでしょうということなのですよ。記録がありますか。
○医薬品医療機器総合機構 記録というのは、大元の記録ということ。
○宮川委員 もちろんそうです。試験なのだから、大元の記録がなかったらおかしいではないですか。それでいわゆる申請者からそうでしたと、ただ記録で書かれたものというのは、それは記録というのですか。何例目はこうなりました、何例目はこうなりましたと、普通は記載がありますよ。記録してちゃんとその記録が書かれていなければおかしいはずなのですが、それはあるのでしょうか。症状があるにもかかわらず、来院をしなかった事例はなかったと考えることと書いてあるのですが、それも記録がなかったのですけれども、どういう判断ですか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、電話で確認するというのは、プロトコルにも書かれているもので、原資料にはその記載はあります。
○宮川委員 何例中何例あったというのはどうなのですか。そういうのは本来からすると載っていなければいけないと思うのですけれども、よく分からなかったので、そういう意味でこの試験というのが少し何と言うのか、記載が非常に漏れているところが多いなということがあるので、大変機構は御苦労されたのだということは、私は分かっていますので、それを非難しているのではないということは御理解ください。
 申請者がこれだけプロトコルを逸脱していた、そういうような例がたくさん載っている。そしてその記載そのものが非常にラフで、詳細についてきちんと書かれていないという事実はあるのだということを理解した上で、審議するのが私は本当だと思うのです。それが私たちの審査の内容だと思うので、それをなかったかのようにしながら審査するのでは、私はいけないのではないかと考えます。
 ですから、機構はそういうふうに説明するのではなくて、なかったならなかったと言っていただいて、そこで審議する人間がそれをもってもここは有効であるとか、ここは少しいけないねとか、どういうふうにすればいいのか、実際にその後のフォローの仕方をどうすればいいのかということを、この審査の中でしっかりと立て付けの中で審議するのが、私は本来だと思ったので、御質問させていただきました。
 機構を責めているのではないのです。そういう正確に記載を言っていただければ、私たち委員がそれをもって覚悟を持って審査をしなければいけないということなのだろうと、私は思ったので御意見を申し上げました。
○清田部会長 ありがとうございます。宮川先生、結局もうちょっと建設的に今日はどうすればいいか。
○宮川委員 本来からすると、相当な調査とかそういうものをしっかりしなければいけないものだろうと考えます。その中で審議の中で、これだけの逸脱があったということを明らかにしなければいけない。これを明らかにしないでこういうのが全部データとしてきちんと揃っていたかのように、審議してしまうのはやはりおかしいのではないかと思った次第です。
○清田部会長 ということは、一応そういう不備があったことを共有しつつ、承認ということでよろしいのでしょうか。
○宮川委員 最終的には、これはある程度機構がすごく頑張っていただいて、これだけのデータを出していただいたので、それは認めるのですけれども、その前の言い方が、やはりこれは申請者がなってないということは、言わなければいけない。
○清田部会長 ちょっと埒があきませんので、機構の方に今の宮川先生の御指摘が、ある程度当たっているということをお認めいただくのでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ワクチン等審査部長です。先生のCRFにきちんと書かれているのかといった話につきましては、私ども審査の過程において非常に重視して、様々な仮定を置いて検査等確認の上審査を行っていますけれども、そういった個別の細かいCRFの状況まで審査報告書に書かなかったということは、御指摘のとおりです。表19(3)につきましては、検体未採取例を全部陽性という形で、非常に極端に守備的に考えた有効性評価ですけれども、それにおいても一定の有効性があると考えたというのは、私どもの結論ですが、先生の視点からの審査につきましては、私どもの中でまたこういった事例があった際には、改めて想起させて審査において参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 
○宮川委員 こちらこそありがとうございました。いろいろなことを言って申し訳なかったのですけれども、本当に大変だったと思いますけれども、今後のことにいかしていただきたいと思って、一言以上申し上げてしまいましたが、許してください。そのように考えていますので、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。なお、議題2につきましては、南委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 では、議題2につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題9につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。それでは、ロビーで御待機されている、大隈委員、川上委員をお呼びください。
──大隈委員、川上委員入室 ──
○清田部会長 お待たせしました。それでは、続いて議題3に移ります。議題3と議題9についても、関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題3について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、ゴービック水性懸濁注シリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.3のフォルダから審査報告書のファイルをお開きください。説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に記載の38分の幾つの数字を使用いたします。本剤は、百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)の予防ワクチンである「テトラビック皮下注シリンジ」(以下、「4種混合ワクチン」)と同じ成分と、インフルエンザ菌b型(Hib)の抗原を含有する5種混合ワクチンであり、小児を接種対象とするワクチンです。今般、百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ及びHibによる感染症の予防に関する効能・効果で、製造販売承認申請されました。2022年12月時点で、本剤が製造販売承認されている国又は地域はありません。本品目の専門委員として、資料No.28に記載の6名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、御説明いたします。審査報告書13ページ表6を御覧ください。本申請に当たり、国内臨床試験3試験が提出されました。本剤の用法として皮下接種及び筋肉内接種が設定されており、皮下接種についてはJ03試験、筋肉内接種についてはJ02試験の免疫原性の結果に基づき、有効性を審査しました。
 皮下接種について、審査報告書19ページ表13を御覧ください。各抗原に対する抗体保有率は、本剤群でいずれも100%又はそれに近い値を示し、対照群である4種混合ワクチンとHibワクチンの同時接種との比較において、全ての抗体応答率について事前に規定された非劣性の成功基準を満たしました。
 次に、筋肉内接種について、審査報告書17ページ表11を御覧ください。こちらは非対照試験として実施されましたが、いずれの抗原に対しても高い抗体保有率が確認されました。これらの成績等から、本剤の百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ及びHibによる感染症に対する予防効果は期待できると判断しました。
 続いて、安全性について、審査報告書25ページ、「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤の皮下接種時の安全性について、表20の左半分に示しています。注射部位紅斑、注射部位疼痛、発熱等、一般的なワクチン接種で認められる特定有害事象は、本剤群と対照群のいずれでも90%以上に発現したものの、ほとんどがグレード1又はグレード2で回復性が認められました。また、各事象の発現状況についても、対照群とおおむね同様でした。また、筋肉内接種時の安全性について、同じ表の右側に示していますが、注射部位の反応の発現割合は皮下接種よりも低く、全身性の反応の発現割合は皮下接種と同程度でした。また、その他の有害事象についても、特段懸念される事象は認められず、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 なお、本剤の臨床試験において川崎病4例が報告されており、それについては審査報告書29ページに記載していますが、本剤の接種対象者は川崎病の好発年齢と重なること、類似ワクチンにおける報告や個別症例の経過等から、現時点で本剤接種との関連は明確でないことから、製造販売後に引き続き情報収集し、リスク評価を行う必要があると判断しました。この判断については、専門委員会からも支持されています。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会では、報告を予定しています。機構からの御説明は、以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、議題9について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。議題9の前に1点、審議事項、議題3についての補足の説明があります。百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオの混合ワクチン、いわゆるDPT-IPVワクチンですが、こちらの添付文書の改訂も予定しておりますので、御報告いたします。資料No.3-3、「沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン等の接種時期について」という資料を御覧ください。
 先ほど御説明させていただきました5種混合ワクチンも含め、関連する医薬品の含有成分や接種時期について、表形式でまとめております。こちらは、今回、5種混合ワクチンを御審議いただくことになりますが、そのベースとなっている4種混合ワクチン、3種混合ワクチン、あとポリオワクチン、Hibワクチン、こういったものに関しても、諸外国では生後2か月から接種が可能となっているというところ、また、WHO等においても、2か月齢以降から接種してもいいという形で推奨されておりますので、今回、5種混合ワクチンの接種時期については生後2か月から接種できるということを使用上の注意として情報提供させていただくことになりますが、これに併せて、これらの4種混合ワクチン、3種混合ワクチン、ポリオ、Hib、こういったワクチンに関しても、2か月以上に添付文書の記載は変更したいと考えております。
 実際に、臨床試験においても、生後2か月以上の小児を対象に4種混合ワクチンと比較試験が行われておりますので、そういったところを踏まえ、関連するワクチンを全体的に生後2か月以降から使える形に、添付文書の記載を変更することを考えております。こちらについての、御報告は以上です。
 続いて、議題9の生物学的製剤基準の改正について、御説明させていただきます。今回は、ゴービック水性懸濁注シリンジの承認に際し、「沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン」の医薬品各条を追加することとしております。今回、5種混合ワクチンの医薬品各条を申請するに当たり、それらと関連する単味のワクチン、あるいは3混、4混、こういった各ワクチンの各条について、記載を全体的に整備することを行っております。これらの混合ワクチンに関しては、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ポリオワクチン、百日せきワクチン、こういったものの単味のワクチンを引用しておりますが、そこは複雑になっておりましたので、これを記載整備して明確にするということで、これらの各条も記載整備を行っております。
 Hibワクチンの各条については、パブリックコメントを実施後に、当該製販であるサノフィ株式会社より意見を頂いており、当初お送りしていた改正案から記載整備のため一部差し替えをしております。
 また、今般の改正には、基準名の改正が含まれております。こちらの基準名が変更になりますと、一般的名称についても変更することになりますので、添付文書及び包装資材等の変更が必要となります。こちらの変更に一定の期間を要することから、経過措置期間を設けていただきたいという意見が各企業より来ておりますので、表示については経過措置を設けることとしております。以上が議題9の生物学的製剤基準の一部改正についての御説明です。御審議のほどよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。とても分かりにくい感じですが、御質問すら出にくい内容だと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
 ないようですので、議決に入りたいと思います。議題3について、川上委員、松下委員においては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。では、議題3について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。続いて、議題9について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議はないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。それでは、ロビーで御待機されている中野委員をお呼びください。
──中野委員入室 ──
○清田部会長 続きまして、議題4に移ります。議題4につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、医薬品ベスレミ皮下注250μgシリンジほかの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの61分の幾つで記載している数字を使用します。インターフェロン アルファ-2bは、I型IFN受容体に結合し、JAK1等の活性化を介して、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を増加し、IFN誘導遺伝子の発現を増加させ、細胞周期の停止及びアポトーシス誘導を引き起こすこと等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 本剤の有効成分であるロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)は、このインターフェロン アルファ-2bにポリエチレングリコールを結合させた修飾タンパクであり、プロテアーゼによる加水分解の遅延等により、持続的な体内動態を示すことから投与頻度の低減が期待されています。
 今般、本剤は「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を効能・効果として承認申請されました。令和4年9月時点において、真性多血症に係る効能・効果で、37の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には、9名の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料No.28を御覧ください。以下、臨床試験成績を中心に審査の概略を説明します。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験である201試験が提出されました。有効性については審査報告書25ページを御覧ください。標準的な治療が困難な真性多血症、PVの患者を対象とした201試験において、主要評価項目とされた本剤投与9及び12か月の両時点において、中央判定により血液学的完全奏効を達成した患者の割合は、27.6%であったこと等から、本剤の有効性は期待できると判断しました。
安全性については審査報告書31ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において、特に注意を要する有害事象は肝機能障害、精神神経障害等であり、これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。以上のような審査の結果、機構は「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○南委員 南ですけれども、よろしいでしょうか。国内の第II相試験で一定の効果が見られていますので、それなりの薬理作用はあることが想定されますので、ほかに治療オプションがない方の治療として、承認してもいいのだろうと私も思います。一方で、海外の第III相試験で優越性を証明するために始めた試験が、途中で効果安全性委員会から非劣性に変えるよう指示されています。これは効果安全性委員会がデータをある程度見た上で非劣性に変えろと指示したことが推察されますが、その非劣性が証明できていません。非劣性が証明できなかったということは、添付文書にそこまで書くかどうかは別として、しっかりと現場に情報提供すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。御指摘のとおり、海外第III相試験であるPROUD-PV試験について、検証的試験としては色々な問題がある試験ではありますが、標準治療であるヒドロキシカルバミドとの非劣性が示されなかったという点については、我々としても重要な情報だと考えておりますので、医療従事者向けの資材に記載し情報提供させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○南委員 よろしくお願いいたします。
○清田部会長 よろしいでしょうか。そのほかの先生から御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、滝田委員、中野委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてもよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
それでは議題5に移りたいと思います。南委員、山本昇委員におかれましては薬事分科会審議会参加規程第5条に基づきまして、議題5の審議の間、会議から御退室いただくことといたします。南委員、山本昇委員は御退室をお願いいたします。議題5について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
──南委員、山本昇委員、退室 ──
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料番号5、医薬品ペマジール錠4.5mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの30分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤は線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、FGFR1のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、FGFR1融合遺伝子等を有する腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤はがん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌に対して承認されています。
 今般、「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」の効能・効果及び用法・用量を追加する承認申請がされました。令和4年11月時点において、同効能にて、米国のみで承認されています。なお、本剤は同効能にて、希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議には4名の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料No.28を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験である203試験が提出されました。有効性については審査報告書8ページを御覧ください。FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍(MLN)の患者を対象とした203試験において、主要評価項目とされた完全奏功(CR)率は、62.5%でした。当概結果には臨床的に意義があること、また本対象疾患は極めて希少な疾患であり、かつ確立された標準治療がなく、治療選択肢は極めて限定的であることを考慮すると、FGFR1融合遺伝子陽性のMLN患者に対する本剤の有効性は期待でき、治療選択肢の一つになり得ると判断しました。
 安全性については、審査報告書12ページの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時に注意が必要と判断された事象であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理、本薬の休薬・減量・投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本薬は忍容可能であると判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。
 以上のような審査の結果、機構は「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、FGFR1融合遺伝子陽性のMLNに係る効能・効果で希象疾病用医薬品に指定されていることから、今回、追加する効能・効果に対して、再審査期間は10年とすることが適当であると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで御待機されています、南委員、山本昇委員をお呼びください。
──南委員、山本昇委員入室──
○清田部会長 続きまして、議題6に移ります。議題6について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品コムレクス耳科用液1.5%の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。資料No.6、審査報告書のファイルをお開きください。以降の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に23分の幾つで記載している数字を使います。コムレクス耳科用液1.5%(以下、本剤)は、フルオロキノロン系合成抗菌薬であるレボフロキサシン水和物(以下、本薬)を有効成分とする点耳剤です。本邦では、本薬を有効成分とする経口剤、点滴静注剤及び点眼剤が承認されており、今般、外耳炎及び中耳炎の治療を効能・効果とする点耳剤の製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は海外においては承認されていません。本申請の専門委員として、資料No.28に記載の5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。まず、中耳炎患者に対する有効性について、審査報告書13ページ表11を御覧ください。持続又は遷延する耳漏を有する中耳炎患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である治験薬投与終了時又は中止時の臨床効果の有効率は、本薬群が46.5%、プラセボ群が23.5%であり、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。また、中耳炎の病態別の臨床効果及び細菌学的効果の有効率についても、プラセボ群と比較して本薬群で高い傾向が示されており、機構は中耳炎患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 次に外耳炎患者に対する有効性について、同じページの7.R.1.2項及び表12を御覧ください。前述の中耳炎患者を対象とした国内第III相試験において、外耳道に炎症のある被験者が複数認められたことから、試験開始時点では計画していなかったものの、外耳炎に対する有効性評価が可能と申請者は考え、開鍵後の事後解析として、外耳炎に対する有効性評価が実施され、表12のとおり、治験薬投与終了時又は中止時の臨床効果の有効率は、本薬群が47.6%、プラセボ群が20.3%であり、プラセボ群と比較して本薬群で高い傾向が示されています。
 外耳炎に対する機構の評価ですが、審査報告書14ページの7行目、「機構は」から始まる箇所を御覧ください。外耳炎に対する本剤の有効性の確認は、中耳炎を併発していない外耳炎患者も含めた臨床試験で行われるべきであり、また国内第III相試験における外耳炎に対する有効性評価を行う場合には、試験開始前に適切な評価項目や評価に必要な例数等を計画すべきであり、開鍵後の事後解析による外耳炎に対する本剤の有効性評価は、探索的な位置付けにとどまるものであると考えております。
 しかしながら、1993年に承認された本薬経口剤は、承認当初より中耳炎や外耳炎に対する適応を有しており、これまでの長年の使用実績から有効成分として、一定の有効性が確立していると考えられること、本剤は感染部位に直接薬液を点耳できる製剤であることも考慮し、得られた事後解析結果に基づき、中耳炎に併発する外耳炎患者に対する本剤の有効性は一定程度期待できると判断しました。
 また、中耳炎を併発しない細菌感染性の外耳炎患者に対する有効性及び安全性を、製造販売後臨床試験において確認することを条件に、本剤の適応症を外耳炎とすることは許容可能と判断しました。
 次に、安全性について、審査報告書16ページ表14を御覧ください。プラセボ群と本薬群で有害事象及び副作用の発現割合に大きな差違は認められず、その他、本剤の安全性について、特段の懸念は認められていないことから、許容可能と判断しました。以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。
 本剤は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見がありますでしょうか。よろしいでしょうか。私から、一つ確認をさせていただきたいのですが、投与期間は上限を設けているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の7項に、「4週間の投与を目安とし、その後の継続投与については、長期投与に伴う真菌の発現や菌の耐性化等に留意し、漫然と投与しないよう慎重に行うこと。」といった注意喚起をしております。
○清田部会長 了解です。4週間を目安ですね。ありがとうございました。委員の先生方から、よろしいでしょうか。大曲先生、どうぞ。
○大曲委員 ありがとうございます。コメントになりますが、第III相試験のいわゆる患者さんの登録の基準を見ますと、「15歳以上の持続又は遷延する耳漏を有する中耳炎患者」と書いてあります。非常に対象が絞ってあります。でも現実には、適応症は中耳炎と外耳道炎なのですね。そこに少し違和感があると思いました。まず中耳炎に関して言いますと、あえて第III相試験でこうやって対象を絞ったにも関わらず、それは恐らく耐性菌を作りにくいようにするなどの理由があったのだと思うのですが、結果的には中耳炎一般に適応症が広がっているというのが1点です。
 もう1点は、開鍵後の結果をいかして、外耳道炎にも適応症が広がっているという点です。この文章の最初のページにも、開発された企業さんの意図としては、要は耐性菌を作らないような製剤を作ったと書いていて、耐性菌対策を意識されているのだなと、大変よく分かるのですが、結果的には、治験で対象とした患者さんよりも、かなり広い患者さん方が対象になっていて、その方々に、恐らく広く投与されていくことになっていくのだろうと思います。そこはやはり懸念があります。
 あとは、添付文書を見ていくと、「抗微生物薬適正使用の手引き」を見て、適応する患者さんをしっかり選ぶようにと書いてあるのですが、この手引きだけだと、実は抗菌薬の概要に関しては触れていないのです。ですので、どういう場合に適応になるかということを、実はカバーし切れていないのです。ですので、一番懸念するのは、この薬がかなり広く使われてしまって、結果的には耐性菌が出てきて効きにくくなるといったことになることを懸念します。ということで、少し引っ掛かるところがあったものですから、コメントをさせていただきました。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構から、いかがでしょうか。レボフロキサシンに対する耐性率は相当進んでいるのですよね。これもWHOのアラートにもあるくらいですから。それを気を付けてくださいというアナウンスは、やはり企業の方からきちっとしていただきたいというのが私からの要望です。これをお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本日、頂いたコメントについては、耐性菌の発現を抑制する観点から適切に情報提供することが重要であると考えますので、申請者にもしっかりと指導していきたいと思います。
○清田部会長 それでは、よろしいでしょうか。
○宮川委員 ちょっとよろしいですか。
○清田部会長 どうぞ。
○宮川委員 すみません。日本医師会の宮川です。やはり、この14/23の中段以降の最後の所ですよね。今、懸念されていたとおり、「中耳炎の併発によらず外耳炎に対して、本剤を使用することは許容できると判断した。」とあるのですが、やはり本来、今のお話からすると、外耳道炎ということだけで使われてしまうと、耐性菌のそういうものを助長していくことになるのではないかなと思うので、やはり、併存しているものに対して使用していくのは、本来の筋の試験の立て付けからすると、当然の帰着点になるのではないかと思うので、そこは、少し慎重に考えるべきところではないかなとは思います。
 私は大曲先生の御指摘は、そういう意味では、ごもっともだと思います。ことさら、これが耐性菌の助長を更に加速度化してしまうことになりかねないかなというのは、危惧しておりますので、そこら辺は問題だろうということは指摘させてください。
○清田部会長 恐らく、耳鼻科学会のガイドラインなどがあるのではないでしょうかね。あるいは感染症治療ガイドなどがあると思いますので、今度、感染症治療ガイドは改訂中ですので、そこら辺を注意してくださいということは、書き添えてもらうことにさせていただきたいと思います。その辺りでよろしいでしょうか。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、大曲先生、それでよろしいですか。
○大曲委員 ありがとうございます。ほかに指針等が出ているのであれば、そこを引いて適切な適応症をお示しいただくのがいいかと思いましたので、賛成でございます。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、そろそろ議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして議題7に移ります。議題7について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品バリキサドライシロップ5000mgの製造販売承認事項一部変更承認申請の可否等について、機構より御説明します。
 資料No.7、審査報告書のファイルをお開きください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に26分の幾つと記載している数字を用います。本剤の有効成分であるバルガンシクロビル塩酸塩(以下、本薬)は、サイトメガロウイルス等への抗ウイルス活性を示すガンシクロビルの経口吸収性を改善したプロドラッグです。以下、サイトメガロウイルスをCMV、薬効成分のガンシクロビルをGCVと略します。
 本剤は、本邦において、小児を含む、造血幹細胞移植を除く臓器移植におけるCMV感染症の発症抑制のほか、後天性免疫不全症候群や臓器移植等におけるCMV感染症に係る適用で、製造販売承認されています。
 今般、本邦で実施された医師主導治験において、症候性かつ先天性のCMV感染症に対する本剤の有効性及び安全性が示されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
 なお、本剤は米国・欧州等の82の国又は地域で承認されており、国際先天性CMV感染症学会及び欧州小児感染症学会の診療ガイドラインにおける中等度から重度の症候性先天性CMV感染症患者に対する薬物治療の推奨はあるものの、2023年2月時点で、症候性先天性CMV感染症の効能・効果で薬事承認された国又は地域はありません。本申請の専門委員として、資料No.28に記載の5名の委員を示しました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。まず、有効性について、審査報告書15ページ表11を御覧ください。症候性先天性CMV感染症における主な臨床症状及び重篤な後遺症として聴力障害が知られており、また、患者の聴力悪化を抑制することで、その後の発達予後及び生活の質の改善につながることが知られております。ここでは、提出された国内医師主導治験及び海外で実施された医師主導の臨床試験における聴力障害の悪化抑制の成績を示しております。
 新生児又は乳児の症候性先天性CMV感染症患者を対象に実施された臨床試験において、右端、下から2列目の海外CASG102試験の非投与群で、「マル4増悪」と判断された被験者の割合41.2%、7/17例に対し、本剤又はGCVを6週間又は6か月間投与した場合の「マル4増悪」の割合は、下から2行目の左側4列にお示しのとおり、0%~11.6%と低値であり、本剤は少なくとも6週間以上投与することで、当該小児患者に対する聴力障害の悪化抑制効果は期待できると判断しました。
 次に、7.R.2.2に記載した発達への影響に対する評価について御説明します。15ページ、下から4~5行目に記載したとおり、非投与群とGCV群の比較が行われた海外CASG102試験では、Denver-IIに基づく発達遅延数の平均値は、投与開始から6か月後及び12か月後のいずれも非投与群より、GCV群で低い値が示されました。
 また、16ページ表12に示すように、本剤が6週間又は6か月間投与された海外CASG112試験のBayley-IIIに基づく認知複合スコア、言語複合スコア及び運動複合スコアに関して、いずれの評価時点においても、6週間投与群より6か月投与群で高い値が示されました。
 日本人患者に対しては、16ページ表13に示すように、国内医師主導治験であるVGCV-1試験に参加した被験者を対象とした観察研究が実施され、被験者が1歳又は2歳となった時点における新版K式発達検査を用いた全領域の発達指数(DQ)が記録されております。当該観察研究において、「遅延(70未満)」の割合は、1歳時点で29.2%、7/24例、2歳時点で25.0%、6/24例であり、国内での文献報告による本剤を主に6週間投与し、修正月齢18か月時点における全領域の発達指数(DQ)での「遅延(70未満)」の割合が43%、9/21例と報告されており、いずれの時点でも低い値であったことから、本剤を6か月間投与することで、発達遅延が抑制される可能性が示唆されました。以上より、機構は、日本人症候性先天性CMV感染症患者に対する本剤6か月間投与の有効性は期待できると判断しました。
 ただし、症候性先天性CMV感染症患者に対する本剤投与後の長期予後に係る成績は限られていることから、製造販売後に引き続き情報収集する必要があると判断しました。
 次に、安全性について、審査報告書18ページ、6行目の表14の下の「VGCV-1試験では」から始まる文章を御覧ください。国内外臨床試験において、本剤投与により、骨髄抑制関連の事象が最も多く認められましたが、既知の有害事象であり、新生児及び乳児において、新たな安全性上の懸念は確認されていないこと、さらに本剤を症候性先天性CMV感染症患者に、申請用法・用量で投与したときの血漿中GCV曝露量、AUC0-24hは、既承認の適応症である小児の固形臓器移植患者に、既承認用法・用量を投与したときのGCV曝露量と、同程度であったことを踏まえると、既承認の適応症での本剤の安全性に係る注意喚起と同様に、十分な注意喚起や情報提供を行い慎重に投与することで、本剤のリスクは管理可能と判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会での御審議を頂くことが適切と判断しました。また、本剤は本申請に係る効能・効果で、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年と設定することが適切と判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問等ありましたら、お願いします。
○中野委員 川崎医大の中野です。御説明ありがとうございます。現在、症候性先天性サイトメガロウイルス感染症、日本国内でも少し増えていると考えられております。海外においても、この薬剤は国内においても、今、御説明いただいたように効果があるので、私は承認に賛成です。
 お尋ね申し上げたいのは、効果の点では、6か月の方が、発達指数とかも明らかに良いというデータが多かったわけですが、添付文書を拝見しますと、決して6か月と用法・用量の所に定められてはない。6か月がいいようなことは書いてあるのですが、この理由は、先ほどおっしゃった安全性の観点から、例えば、血液毒性とか、そういったものの個人差があるので、ここへの対応が必要という意味で、6か月とは限定していないという理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御回答します。御指摘のとおり、現時点までに得られているエビデンスからの聴覚障害に対する増悪抑制の効果は、6か月と6週間では明確な差が得られていないこと。ですから、少なくとも6週間は確保する必要があると考えます。
 ただし、中枢神経障害がない患者など、いろいろな症状の患者がおりますので、副作用の発現状況も踏まえて、医師の判断で、6か月間を確保できない場合の投与期間は、ケース・バイ・ケースで判断されるものと考えております。国内ガイドライン等でも、投与期間に関する考え方について議論される予定と伺っておりますので、本剤を使用する際には、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすることを、添付文書でも注意喚起しております。以上、御回答となります。
○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、中野委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加は御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題8について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題8、資料No.8、医薬品ソーティクツ錠6mgの再審査期間延長の可否について御説明いたします。
 薬機法の第14条の4第3項において、「厚生労働大臣は、新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができる」旨の規定があります。
 この規定に基づき、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、個別に部会に御審議いただいた上で、再審査期間を延長しております。本品目については、今般、申請者から再審査期間を初回承認から2年延長し、令和14年9月25日までの10年間とする要望が提出されております。
 現時点で小児の乾癬患者に対する本剤の有効性及び安全性は検討されておらず、この度、当該患者を対象とした臨床試験の治験計画届が提出されていることから、再審査期間を10年間に延長することは適切と判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問等ありましたら承りますが、いかがですか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。亀田委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、延長を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、延長を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。続きまして、議題10について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題10、資料No.10、医薬品ディレグラ配合錠の劇薬の指定の要否について御説明いたします。ディレグラ配合錠は、アレルギー性鼻炎を効能・効果として、承認されている配合剤になります。現行の規定では、プソイドエフェドリンを1日量として196.6mg相当を含むことから、劇薬に指定されております。
 今般、ディレグラ配合錠の要指導・一般用医薬品としての開発がなされたことに伴い、LTLファーマ株式会社が、ディレグラ配合錠の劇薬の該当性を改めて検討し、その結果を踏まえ、劇薬から除外することの要望書が、2ページのとおり提出されました。
 提出された資料を確認した結果、原体については急性毒性データから、従前のとおり、劇薬に該当すると判断されました。他方、製剤については、原体の急性毒性データから換算された製剤の概略致死量が劇薬指定基準に該当しないこと。臨床上の薬用量を超える用量を動物に長期連続投与、具体的には3か月投与した試験において、機能や組織に障害が認められていないこと。また、使用成績調査等の結果、副作用発現率が低いこと等を踏まえると、ディレグラ配合錠は劇薬に該当しないと判断されましたので、プソイドエフェドリンの1日量として196.6mg以下を含有する内用剤については、劇薬指定から除外するという対応をさせていただきたいと思います。なお、要指導・一般用医薬品部会においては既に御審議いただき、この内容については承認されております。
 御了承いただいた場合には、3月下旬に改正省令を公布した上で、製剤の製造状況等を踏まえた経過措置を設ける予定です。以上について、御審議のほどよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問等ありましたら承ります。よろしいですか。ないようですので議決に入ります。亀田委員、滝田委員、中野委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について劇薬からの除外を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、劇薬からの除外を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、報告事項について、1~11です。その他事項、議題1について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 それでは、報告事項の議題1と議題5をまとめて御説明します。資料No.11と資料No.15を御覧ください。議題1、医薬品オプジーボに関してです。オプジーボは、PD1に対するモノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌等に係る効能・効果で承認されております。
 議題5の資料No.15に関して、ペメトレキセドですが、本剤は葉酸代謝拮抗剤であり、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌等に係る効能・効果で承認されております。
 今般、オプジーボについては、小野薬品工業株式会社から、ペメトレキセドについては日本化薬株式会社から、それぞれ非小細胞肺癌における術前補助療法に係る効能・効果及び用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、以上の2品目を承認して差し支えないと判断しました。
 続きまして、議題2、資料No.12を御覧ください。本剤は、センチネルリンパ節の放射性トレーサーであるフィチン酸テクネチウムを用時調製するためのフィチン酸ナトリウムを有効成分とする製剤であり、本邦では、1977年に肝脾シンチグラムによる肝脾疾患の診断の効能・効果で承認されております。その後、投与部位の近傍に存在するリンパ管を経て、リンパ節の網内系組織に捕捉される性質をもとに、2009年に乳癌及び悪性黒色腫における、センチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィの効能・効果で、追加の承認がなされております。
 今般、PDRファーマ株式会社から子宮頸癌、子宮体癌、外陰癌、頭頸部癌におけるセンチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィに係る効能・効果、用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断しました。
 続きまして、議題3、資料No.13、エンハーツについて御報告します。本剤は、ヒト上皮増殖因子受容体2型、HER2に対するモノクローナル抗体と、トポイソメラーゼI阻害作用を有するエキサテカン誘導体を、リンカーを介して結合した抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デリクステカン(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。
 現在は、HER2陽性の再発乳癌や、進行・再発の胃癌といった効能・効果で承認されております。
 今般、第一三共株式会社から化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌の効能・効果を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。
 続きまして、議題4、資料No.14、シルガードについて御報告します。本剤は、遺伝子組換え酵母により製造された9種類のヒトパピローマウイルスのL1タンパク質で構成されたウイルス様粒子を有効成分として、またアジュバントとしてアルミニウム塩を含むHPVワクチンです。本剤は、本邦において、9種HPV型の感染に起因する子宮頸癌、尖圭コンジローマ等の疾患の予防を効能・効果として、2020年7月に承認されています。
 今般、MSD株式会社から既承認の0、2、6か月後に接種する3回接種に加えて、新たに初回接種の6~12か月後に2回目を接種する2回接種の用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果は、本品目は承認して差し支えないと判断しました。
 なお、本品目の審査報告書の28ページで引用している記載がありますが、参考資料として、資料No.14-2を送付させていただいております。参考資料、資料No.14-2、シルガード9の全例登録の中間報告書に基づいて、1月20日に開催された副反応検討部会安全対策調査会の合同部会において議論がなされ、本剤の安全性について重大な懸念は認められないと判断がされておりますので、申し添えさせていただきます。
 続きまして、議題6、資料No.16、コミナティ筋注5~11歳用について御説明します。コミナティ筋注5~11歳用は、SARS-CoV-2による感染症の予防を効能・効果とするワクチンであり、SARS-CoV-2の起源株のSタンパク質をコードするトジナメランを有効成分とする1価ワクチンとして現在は承認されております。
 今般、ファイザー株式会社から、トジナメランに加えて、BA.4-5系統のSタンパク質をコードするmRNA、ファムトジナメランを有効成分とする2価ワクチンの追加に係る一部変更申請がなされました。本申請の対象年齢である5~11歳を対象とした臨床試験は実施中であり、本審査におきましては、申請者から提出された12歳以上を対象とする2価ワクチンの臨床試験成績に加えて、1価ワクチンを含む本ワクチンの評価済みのデータ、海外安全性情報、文献報告等に基づき、機構において審査が行われました。また、審査中には、5~11歳を対象とした臨床試験における一部の安全性データも提示されました。機構における審査の結果、本2価ワクチンを承認して差し支えないと判断しました。
 なお、令和4年10月19日開催の本部会医薬品第二部会において、12歳以上に対する追加免疫の接種間隔が5か月以上から3か月以上に変更することについても御議論いただいた際に、5~11歳の小児の追加免疫の接種間隔の検討についても御意見を頂きました。
 本審査において検討した結果、5~11歳の小児の接種間隔を3か月とすることは可能と考えます。こちらは今回追加となる2価ワクチンと、承認済みの1価ワクチンの両方に適用します。
 議題7~9について、これらを併用する薬剤についてまとめて御説明します。資料No.17~19を御覧ください。議題7の関係は、5-FUは、フルオロウラシルを有効成分とするフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤であり、現在は結腸・直腸癌、小腸癌等に係る効能・効果で承認されております。
 議題8の関連で、エルプラットはオキサリプラチンを有効成分とする白金錯体系抗悪性腫瘍剤であり、現在は、結腸・直腸癌、胃癌等に係る効能・効果で承認いただいております。
 議題9、アイソボリンについては、レボホリナートカルシウム水和物を有効成分とする還元型葉酸製剤であり、現在は、結腸・直腸癌、小腸癌等に係る効能・効果で承認されております。これら3剤の併用投与について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、令和4年10月31日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、申請者から、治癒切除不能な進行・再発の胃癌に係る効能・効果、用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。
 議題10、資料No.20を御覧ください。まず、資料No.20-1、オプジーボについての承認条件について御報告します。資料No.20-1の2/11ページを御覧ください。オプジーボ点滴静注は、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の効能・効果で承認された際に、全例調査に係る承認条件が付されておりました。この度、小野薬品工業株式会社から承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 資料No.20-2、コミナティ筋注5~11歳用の承認条件についてです。本剤は、令和4年1月21日に承認されておりますが、承認時に長期安定性に係る情報は限られていたことから、製造販売後も引き続き情報を収集し、報告するという承認条件が付されておりました。その際、長期安定性試験の結果について承認後に提出することとしておりました。
 今般、機構において企業から提出された製剤の9か月までの長期保存試験の結果を確認し、特段の問題はないと判断されております。このため、承認条件の一部、資料では(2)と(6)、下線の引いてある所ですが、これらについては対応されたものと判断し、本部会での御報告後に削除させていただきたいと思います。
 議題11、再審査の結果について御報告します。資料No.21-1、資料No.21-2を御覧ください。本日御報告する再審査の結果については、対象の品目は、タシグナカプセルとグリベック錠です。これらの品目については、製造販売後調査等に基づいて、再審査の検討が行われ、機構における審査の結果、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定されております。
 その他事項1については、資料No.22を御覧ください。こちらについては、報告事項の議題1で御報告したオプジーボの非小細胞肺癌の術前化学療法に関する効能・効果の一部変更に関連して、併せて最適使用推進ガイドラインの変更をさせていただきたいものです。資料に記載のとおり、今回追加された適応についての記載整備を行っております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、御意見を承ります。いかがでしょうか。中野先生どうぞ。
○中野委員 中野でございます。1点確認させてください。コミナティの2価ワクチン、従来株オミクロン株の2価ワクチンですけれども、追加接種に承認と理解しています。接種間隔が前回の接種から3か月ということも理解いたしました。御質問申し上げたいのは、薬事承認としては、追加接種の薬事承認であって、その3回目とか4回目とか回数は限定するものでしょうか。特に回数は薬事承認として限定はしてないものでしょうか。
○医薬品審査管理課長 薬事承認上は特段、限定しているものではないと思っております。ですから、3回でも4回でもやろうと思ったらできるのですけれども、薬事承認の書き方上はこういう形で、今後追加接種する際の用法・用量はこうだと書いているだけです。ただ、一般論として、先生御質問のとおり、特にオミクロン対応の2価ワクチン、今後の接種方針をどうするのかは、また別の健康局の分科会の方で議論する話でして、そこでは全体的な接種方針に基づいて、今後どうするのかを考えるのだと思っております。
○中野委員 かしこまりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問ございますでしょうか。
○南委員 南です、教えてください。時間が押しているのにすみません。議題5のペメトレキセドが肺癌の術前治療として適用拡大されたわけですが、後発品が先に適用拡大されて、先発品がまだだと思うのです。これは現場に混乱を来す可能性もあるのですが、ほかの後発品とか先発品の申請はされそうなのか、分かってたら教えてもらえませんか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を頂きありがとうございます。機構からお答えさせていただきます。今回、後発品が申請されたわけですけれども、先発品、ほかの後発品をどうするかは、今後、検討されていくものと考えております。○南委員 そうですか、分かりました。製剤としての同等性は確認されているから、後発品として承認されているものと理解していますので、ちょっと現場が混乱しそうなので、心配します。仕方ないですね。申請されてないのを承認するわけにはいきませんので。
○事務局 事務局より少し補足させていただきます。この度、協力できたのが日本化薬で、そのためオプジーボと一緒に審査されたのがこのペメトレキセド点滴静注用「NK」の剤となっております。こちらとしましても申請が行われないと、対応ができないこともありますので難しいところもございますが、先生の御懸念もよく理解しておりますので、今後に向けて何ができるか検討してまいりたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○南委員 ありがとうございます、よろしくお願いします。
○清田部会長 ほかに御質問ございますか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。報告事項の議題1~11及びその他事項の議題1につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項、議題2に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項、議題2、医薬品ヌバキソビッド筋注について御報告いたします。資料No.23になります。今般、ヌバキソビッド筋注について、追加免疫における接種対象年齢を12歳以上に引き下げる添付文書の改訂を予定しております。資料No.23-1が改訂後の添付文書案となっています。7.2.1の追加免疫の接種対象者の項において、従来「18歳以上の者」となっていた所を「12歳以上の者」に改訂するほか、所要の記載整備を行う添付文書改訂となります。
 根拠となるデータについては、資料No.23-3の適正使用ガイドラインを用いて説明いたします。試験の概要を1ページに記載しており、試験は海外(米国)で行われた第III相試験で、目的の項に記載しておりますとおり、12歳~17歳までを対象に、初回免疫と比較して追加免疫としての接種を行った際の免疫原性と安全性を評価するものです。
 評価項目は同ページの中段やや下に記載をしています。免疫原性としては、追加免疫と初回免疫での中和抗体価の非劣性を検証するもの。安全性としては、接種後7日以内に発現した局所性及び全身性特定副反応と、接種28日後までに発現した有害事象の評価を行うこととなっています。
 試験のデータについては5ページの中段以降に記載をしています。まず、免疫原性については、中和抗体価の幾何平均値と抗体陽転率の比較を行い、幾何平均値の増加倍率は2.7倍、抗体陽転率は追加免疫、初回免疫のいずれも100%であり、非劣性が確認されております。また安全性については6ページ以降に記載をしています。基本的な安全性プロファイルは初回免疫と追加免疫で変わりがないこと。安全性についても特段の懸念はないものと考えております。
 以上のことから、12歳~17歳における追加免疫の有効性は確認され、安全性も許容可能と考えられることから、追加免疫の接種年齢を12歳以上に引き下げることは可能と判断いたしました。御報告は以上になります。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問がございましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、その他事項の議題2につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項の議題3に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題3、医薬品コミナティRTU筋注1人用について御報告いたします。資料は先週お送りしているものですが、資料No.24-1及び24-2として、添付文書案になります。従来のファイザー社のコミナティ筋注については、一つの製剤、バイアルから複数人の接種分を取ることが可能な製剤となっていますが、今般申請のあったコミナティRTU筋注1人用の製剤については、一つのバイアルで1人分の接種分が含まれています。いわゆる単回接種用のバイアル製剤というものになります。本剤の組成等は既承認の製剤と全く同一で、バイアルへの充填量のみが異なるものになりますので、機構の審査においては、充填工程の違いによる品質への影響はないこと、これを確認いたしまして、結果、承認して差し支えないと判断しております。こちら事務局審査ということで審査承認となるかと思いますが、御報告をさせていただきます。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございませんでしょうか。よろしいですね。それでは、その他事項の議題3につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項の議題4に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.25-1を御覧ください。新型コロナウイルスに用いる中和抗体薬の添付文書の改訂について御説明いたします。オミクロン株の亜系統につきましては、世界的にBA5系統が主流となっておりますが、世界各地でスパイクたん白質に特異的な変異を有するオミクロン株の亜系統組換え体が複数報告されている状況です。こうした状況から2月14日に日本感染症学会のガイドライン、COVID-19に対する薬物治療の考え方第15.1版が策定されており、変異株の流行状況を踏まえた中和抗体価の使用の考え方について追加されることとなっております。この中では、流行の可能性がある変異株が多様化していること、変異株に対する有効性に関するリアルワールドデータの報告もあること等を踏まえて、今後の中和抗体薬の変異株に対する注意喚起につきましては、この学会のガイドラインを参照するよう、添付文書の改訂を行ってはどうかと考えております。具体的には、これまで3剤の中和抗体薬が承認されていますが、ロナプリーブ、ゼビュディ、エバシェルドについて、この表に記載のとおり、添付文書の冒頭にありました個々の変異株に対する注意喚起については削除とした上で、ロナプリーブであれば5.4項の記載の中で、「最新のガイドライン等も参考に」という記載を追加することで、日本感染症学会などのガイドラインなども踏まえつつ、本剤投与の適切性を検討することという注意喚起とさせていただければと思っております。
 学会のガイドラインについては、資料No.25-2として付けております、その中の26ページを御覧ください。今回2月14日に追加された補遺という形で、変異株の流行状況を踏まえた中和抗体薬の使用の考え方についての項目が追加されております。この中では、承認されている薬剤ごとに、また各変異株、その系統ごとに中和活性の価とか、あるいは臨床的な使用された経験に関する文献などが、より詳細に取りまとめられていますので、こちらを参考にする形で注意喚起の変更をさせていただければと思っております。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問ございませんでしょうか、よろしいですか。はい、その他事項議題4につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項の議題5に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.26を御覧ください。中和抗体薬に関することですが、そのうちエバシェルドの再投与に係る添付文書の改訂について御説明いたします。エバシェルドは2022年8月30日に、SARS-CoV-2による感染症、及びその発症抑制を対象として承認されております。承認時点におきましては、この発症抑制での使用における再投与については、再投与時の安全性・有効性を裏付けるデータは得られていないとして、注意喚起されていましたが、この後、海外第III相試験、プロベント試験のサブスタディにおいて、本剤を再投与した成績が得られたこと等を踏まえて、再投与に係る記載を添付文書に追記する相談が製造販売業者から機構になされております。この相談を踏まえ、添付文書において、以下のとおり記載する改訂が2月17日に既に行われております。具体的にはこの7.3項の所で、本剤を2回目以降繰り返し投与する場合は、前回の投与から6か月は間隔を開けること。なお、得られている臨床成績は10~14か月後に再投与されているものであるという注意喚起を記載するとともに、具体的な臨床試験の成績を追記するという改訂を行っております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問ございますか、よろしいでしょうか。はい、その他事項議題5につきましては、御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告がございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は令和5年4月24日月曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 本日はこれで終了といたします。長時間にわたりありがとうございました。お疲れさまでした。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)