2023年8月4日 第14回政策評価に関する有識者会議 労働WG 議事録

日時

令和5年8月4日(金)9:57~12:03

場所

中央労働委員会講堂

出席者

玄田座長、岩佐委員、新田委員、松浦委員、村上委員

議事

議事内容
第14回政策評価に関する有識者会議
労働WG
開催日時:令和5年8月4日(金)9:57~12:03
開催場所:中央労働委員会講堂
出席者:玄田座長、岩佐委員、新田委員、松浦委員、村上委員
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 少し早いのですが、始めさせていただきたいと思います。ただいまから、第14回政策評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。政策評価の担当をしております浅沼です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におきましては、お忙しい中、また、お暑い中お集まりいただき感謝申し上げます。本日、皆川委員におかれましては、御都合がつかず会議を欠席となりましたので、よろしくお願いいたします。
 本日の会議では、事前に御案内したとおりペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルはマルチPDFとある赤いアイコンの中に格納されております。資料をタッチしていただいて、開くをクリックすると資料が開き、また左下にある本のマークを押すと元に戻るという形になっております。
 それでは、この後の議事進行につきましては、座長の玄田先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○玄田座長
 おはようございます。本日はよろしくお願いいたします。議事次第にありますとおり、本日は4つのテーマの実績評価書案につきまして、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、本日の配布資料及び議事の進め方につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 議事の進め方について御説明いたします。お手元の議事次第を御覧ください。本日は、まず議事(1)の令和5年度に実施する政策評価について、議事にありますⅰ~ⅳの順番で、前半・後半で担当課の入替えを行い、御議論いただきます。テーマによって多少時間が異なりますが、まず担当課より5分程度で説明を行い、その後15分程度で御議論を頂く形で進めていただければと思います。説明を終えた課は随時退室します。なお、会議資料の「概要(実績評価書(案)のポイント)」の中に、実績評価書の「確認すべき主な事項」をまとめておりますので、こちらも適宜御参考いただいた上で、委員の皆様から御意見を頂けますと幸いです。また、最後に、議事(2)から(4)までとして、事務局から何点か御説明させていただきたい事項がありますので、10分ほどお時間を頂きたいと思います。事務局からは以上です。
○玄田座長
 ありがとうございました。何か確認ですとか、よろしいですか。それでは早速1つ目のテーマ、施策番号Ⅲ-3-1「被災労働者等の迅速かつ公正な保護を図るため、必要な保険給付及び特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金の支給を行うこと」につきまして、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○労働基準局
 労働基準局補償課長の児屋野です。よろしくお願いいたします。私のほうから、まず労災保険給付に関するところの御説明を差し上げたいと思います。恐縮でありますが、配布資料の1-2の4ページを御覧いただければと思います。パワポの資料がありまして、現状というのが左と右に別れておりまして、左の労災補償の現状の所から御説明を差し上げます。
 まず背景といたしまして、労災保険ですが、令和4年度の保険給付の新規受給者は77万7,000人、それから2つ目のポツにあります精神障害の請求件数、この最新の数字を今申し上げますと、令和4年度について、請求件数が2,683件、決定件数が1,986件となっておりまして、令和2年度に比べますと少し数字が伸びているという状況であります。
 恐縮ですが、ページを2つめくっていただくと、6ページに今申し上げました数字の経年のグラフが出ております。見ていただいたら一目瞭然ですが、6ページの67万8,000人という数字77万7,000人と、令和3年度に比べて令和4年度は非常に伸びておりまして、実はこれはコロナの影響です。コロナが流行って、それが医療従事者を中心といたしまして保険給付の対象になるというのがありまして、ここが10万人ほど伸びております。コロナの数字は、御参考ですが、2ページぐらい後ろの9ページに付けさせていただいておりまして、令和4年度で言いますと、14万9,629人という数字が出ております。
 ページがあちこち行って恐縮ですが、8ページには、先ほど申し上げました精神障害をはじめとする過労死、脳・心臓疾患と精神障害の経年数字を載せております。先ほど申し上げました数字は、右側の精神障害の令和4年度の所の数字です。
 ページを戻っていただきまして、4ページです。課題といたしまして、毎年多くの新規請求者がおり、そのような中、過労死は特に調査が多岐にわたって複雑ですが、労災保険の使命であります公正あるいは迅速というものを実現しなければいけないと考えております。目標といたしましては、請求の受付から支給決定までの日数、早くやりたいということが行政サービスだと考えておりますので、それを目標に掲げさせていただいております。
 1ページめくっていただきますと、総合判定という所があります。目標1につきまして、目標19に対しまして、実績が今年度は23でした。この19であるのに対して23ということで、少し遅れが出ております。それについては、先ほどコロナという言葉を使わせていただきましたが、令和3年度に比べて令和4年度は新規受給者が非常に増えておりまして、それが1つの要因かなというふうに考えております。それから、目標2ということで、主要な指標ではありませんが、精神障害についても、受付から支給決定まで215という数字を目標にさせていただいておりますが、実績といたしましては261となっております。これも精神障害の請求件数が増えていることも要因かなと考えております。いずれにしても、目標の達成率としましては、目標1のほうが83%、目標2のほうが82%ということで、おおむね80%以上の成績という評価で入れさせていただいております。
 今後とも、労災保険の目標を達成するためには、日数の減ということを目標に挙げて、実践していきたいと考えております。私からは以上です。
○玄田座長
 ありがとうございました。もう一人、どうぞお願いします。
○労働基準局
 おはようございます。石綿給付金認定等業務室長の池田と申します。よろしくお願いします。私は実績評価書を使いまして御説明させていただきますが、同じく概要ポイントの4ページ、現状の右側部分についても、併せて見ていただければと思います。
 項目、施策の概要の2ポツ目ですが、建設アスベスト訴訟につきましては、令和3年5月17日に最高裁判決が出されまして、国の責任が認められたことを受けまして、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立いたしました。そして、昨年1月19日に施行、以降、同法に基づきまして、給付金等の支給を開始しているところです。既に裁判提訴された方につきましては、裁判上で賠償するということになっておりますが、未提訴の方でも、その請求に基づき、同法の下、給付金が受け取れるというものです。
 項目、政策実現のための背景・課題の2ですが、同法施行後、給付金等の支給を円滑に行うことが課題となっているところです。
 次に、各課題に対応した達成目標の目標2の達成目標の設定理由ですが、この給付金が、最高裁判決等に基づきまして国の責任が認められた者と同様の苦痛を受けている者について、その損害の迅速な賠償を図ることを趣旨としていますことから、測定指標では支給件数を目標値としていないところですが、現状を把握するための指標であるということで、参考指標として登録しているところです。
 その他、今後の施策の予算額・執行額には、令和3年度に計上しました補正予算額を書かせていただいております。認定に当たりましては、認定審査会で審議することになっておりますが、認定に向けた必要な予算を確保して、着実な運用に努めているところです。私からは以上です。
○玄田座長
 よろしいですか。ありがとうございました。それでは、ただいまの説明を踏まえて御質問、御意見などを頂きたいと思います。委員の皆様どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。岩佐委員、いかがですか。
○岩佐委員
 労災給付関係のところで御質問です。2つあり、1つは、日数をできるだけ早くするという目標自体は、一方では良い目標にもなると思いますが、他方で、しっかりした審査がなされないままに簡単に労災給付を認めないみたいなことになってしまうと、そこはまずいというところもあるとも思っています。そうしますと、この施策目標としては短くすることで入り、日数を比較していただいているのですが、以後、これを更に充実していくための施策について、もう少し具体的に何かあれば言っていただけると。つまり、本来やるべきものを減らしてしまうから短くなるのではなく、例えば、このように簡単に出せるようにするとか、こうしますとかという観点から、少し具体的に教えていただけると有り難いというのが1点目です。よろしくお願いします。
○玄田座長
 御回答をお願いします。
○労働基準局
 ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおり、労災保険の目標は、先ほど2つ申し上げましたが、1つは公正に、1つは迅速にと。公正にというのは、我々としては、やはり適切な認定をしなければいけないということで、そのためには何をやっているかと言うと、両方満足するために、必要なマニュアルを作成しております。そのマニュアルにやらなければいけないことを全て入れ込んで、それに従ってやることにより、給付の流れでいうと早くなるし、抜けがなければ適正になると考えております。常にこのマニュアルは見直しをしており、不必要なものは削り、必要なものは入れていかなければいけないと考えております。
 それと併せて、やはり疾病と負傷といろいろなパターンがあり、1つ取り上げると、世の中で言われております過労死という問題があり、目標の中にも、精神障害が入っておりますが、これらについては常に最新の医学的知見等を取り入れ、認定基準を改正しております。今、正にその改正の最中であり、先日、お医者様と法律の専門家の先生方に集まっていただき、検討会の報告書をまとめていただきました。そこでは、まず、医学的に十分であるという適正な部分の確保、もう1つは、迅速にやりましょうという観点からの取りまとめをしていただきました。
 先ほどの御質問に答える形とすれば、そのような不断な見直しを行いつつ、適切、迅速に進めていくことをマニュアル化、あるいは、その専門家の御意見も頂きながら基準を作っていくことかと考えております。
○岩佐委員
 ありがとうございます。できたら、ほかも共通するのですが、最後の展開される施策の所に一言、二言、今後、妥当になるように頑張りますとは短く書いていただいているのですが、例えば、これ、これと入れていただけると、より私たちもイメージしやすいかなと思いました。
○労働基準局
 承知いたしました。
○玄田座長
 そのほか、いかがでしょうか。村上委員、どうぞ。
○村上委員
 御説明ありがとうございました。達成目標1ですが、指標1、指標2について、この実績評価書の最後のページの次期目標等への反映の方向性にあるような認定を行うための調査体制の整備や調査業務の更なるシステム化については、大変、重要だと思っておりますので、進めていただきたいと考えておりますが、これを進めることで、どの程度、日数を低減できるとお考えなのか教えていただければというのが1点です。また、施策評価そのものではありませんが、精神障害がこれだけ多くなってきているということを考えると、そうしたものを未然に防止するようなことも、重要性を改めて感じるようなものになるかと思いますので、しっかり言及いただければと思っております。
 また、達成目標2ですが、測定指標がない中で、どうやって施策評価をするのかというところが少しあり、きちんと業務をされていることは感じているのですが、数字がないとなかなか評価するのが難しいようなこともあります。例えば、申請から給付までの標準的な所要日数を決定していただく、そして、その短縮に取り組むなど、何か具体的な評価が可能になるようなことも御検討いただけないかと思っております。参考指標に支給件数がありますが、請求件数等についても参考指標として掲載いただくということもあるのではないかと思いました。以上です。
○玄田座長
 それぞれのお答えをお願いします。
○労働基準局
 ありがとうございます。1つ目のところで、具体的な日数みたいなお話もございましたが、はっきり申し上げると、労災保険の請求そのものにいろいろな形があり、例えば、申し上げました過労死ですと、結構、日数がかかったり、そうでないものもあるので、一律に日数というのは難しいと思っております。ただ、そうは言え、システム化などで効果も出さなければいけないので、一応、我々の目標としては、前よりは下がらないようにというような形、前年度よりは早くしていきたいという形では考えているところです。
 2つ目に、精神障害にならないような予防の対策ということを頂きましたが、基準局全体としては、当然、そのことが重要な施策と考えております。具体的には、労働安全衛生法に基づく、事業者にメンタルヘルスをやっていただく指針というものを出しており、その指針には大きく3つの柱がございます。1つは、メンタルヘルス不調の未然防止という一次予防。2つ目は、不調者の早期発見や適切な対応という二次予防。3つ目として、職場復帰支援という三次予防。これらを3つの柱にして、事業者の方々にこれを遵守していただくような指導を行っているというのが一番大きな柱です。それだけではなく、当然のことながら、いろいろな事業も実施しておりまして、セミナー開催等もやっており、あるいは労働者の方が気軽に相談できるよう、ポータルサイトの「こころの耳」等を作って、いろいろな角度でそのような支援をやっております。以上です。
○労働基準局
 ありがとうございます。村上委員からの御質問ですが、所要日数を測定指標に設けたらどうかというような御意見だったと思います。受け付けた建設アスベスト給付金の請求については、まず、受け付けた後、請求書等の不備返戻や請求内容での不明な事項、これは就業歴等ですが、過去どれぐらい就業していたかを証明していただくようなことがあり、それに対して請求者や代理人、関係者への問合せを行っているところです。そこで、請求者等の方々が資料の準備ができ次第、認定審査会において、順次、審査を行っているところです。このため、請求から支給までに要する期間が個別事案ごとにかなり異なってくるので、一概に所要日数を測定しようとして設定するのは少し難しいと思っております。
 もう1つは、請求件数で測定指標というお話だったと思います。これについては、まず、給付金請求については2通りあり、1つは、既に石綿関連疾病で労災保険給付の支給決定を受けている方からの請求、それと、そうでない方からの請求、通常請求と言っていますが、その2つのパターンがあります。既に、労災保険給付の支給決定を受けている方については、労災支給決定等情報提供サービスというものがあります。そのサービスを申請していただくことで、給付金の請求に対して、被災者の就業歴、石綿ばく露作業への従事を証明する資料や、石綿関連疾病に罹患していることを証明する資料の提出が原則不要となりますので、手続が早くなる仕組みを設けているところです。これが、請求の簡便化と審査の円滑化につながっているところです。一方で、通常請求、これは労災保険請求、認定がされていない事案等々ですが、これに対しては、今、申し上げましたような資料を一から提出していただく必要があり、審査においても、石綿ばく露作業に従事していたこと、石綿関連疾病に罹患していることを確認していただく必要があると。
 このように、既に労災保険給付の支給決定を受けている方からの請求と、通常請求とでは、審査に要する期間がかなり異なってきています。そのため、一律に請求件数に対する審査件数を測定指標として設定することは難しいということです。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○村上委員
 御説明ありがとうございました。後段のほうですが、日数を申し上げたのは例示で、何か数値目標みたいなものがないと、なかなか判断しづらいのではないかと思い、何らか設定することも御検討いただければというところです。以上です。
○玄田座長
 多分、この迅速かつ公正な保護を図るためというのが両方にかかっているので。資料を作成するまでには個別の事案ごとに違うなと、資料が整った段階から最終的決着までというのが1つの目安になると思いますし、もちろん日数だけではないのですが、この迅速というところの工夫等も何か指標としてあるといいかなと私も思います。よろしく御検討ください。新田委員、松浦委員、何かございますか。新田委員、どうぞ。
○新田委員
 御説明ありがとうございました。私からは、資料1-2の5ページの下のほう、次期目標等への反映の方向性の達成目標1の所で、1つ目のポツにも2つ目のポツにも、審査業務の更なるシステム化に向けた検討というワードが入っています。これは検討と書かれているので、今後もちろん検討することだと思うのですが、2回も出ているということは、かなり重要な部分でもありますし、何か具体的に考えている更なるシステム化の内容があれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○労働基準局
 途中、少し聞き漏らしましたが、具体的にというのは、ここに書かれてあることの、やる内容というようなものでしょうか。
○新田委員
 そうですね。システム化といってもいろいろな内容があると思います。
○労働基準局
 すみませんでした。1つは、先ほど申し上げました過労死について、はっきり申し上げると、いわゆる人の目で全部やっているところがございます。それを、入力から何を調査うんぬんということをシステムの中に入れていってやるシステムの改修みたいなことを、1つ今考えております。それから、もう1つ挙げますと、診療費という審査があり、その審査について、いわゆるAI等を利用して人の目に触れる前に全て機械で審査していくというようなものを、試行的に入れ始めたところです。具体的にというと、大きいのはその2つかなと思います。それとは別に、全体のシステム改修は常にやっているところではあります。無駄なものをなくす、あるいは、効率良くやるというのは、全体として取り入れてやっているところです。
○新田委員
 ありがとうございました。今、正にチャットGPT等、いろいろ注目されている中で、AIの活用を推進していくことはよいことだと思いますが、一方で、その後のチェックは、必ず人の目で実施いただくようお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○労働基準局
 ありがとうございます。
○玄田座長
 松浦委員、どうぞ。
○松浦委員
 御説明いただき、ありがとうございました。1点だけ、事案の件数が著しく増加したということで、、不測の事態に対して真摯に御対応いただいたということだと思うのですが、こういった不測の事態の大きな増加に対して、既存のフレームワークの中で頑張ったということ以外に、何らかの対処をされましたか。例えば代替要員を増やしたとか、あるいは、今おっしゃったようなシステム構築も1つの工夫なのかもしれません。もう1つ、これからもこういったことが起きる可能性はあると思いますので、このような事案の件数の変動に対して、今後どのように対処していくべきか、今回の御経験も踏まえて、何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○労働基準局
 ありがとうございます。人員体制みたいな話も頂きましたが、体制を著しく増やしたというのは、実は、今回においては少しできていませんでした。その代わりに何をやったかと言うと、コロナが流行り、我々も未知のことだったので、どのように対処すべきかというマニュアルはすぐに作りました。これに従ってやるようにと。ところが、これは初めて作ったものであり、見直しをやらなければいけなくて、常に見直しをして、適正に早くできることを念頭にやって、要らないものは削っていくということをリアルタイムでやっていったかなと考えております。
 それから、システムのお話もしていただきましたが、そちらは、件数を取ったり業種を取ったりするのに、今までのシステムだとすぐに取れなかったので、その改修をやることにより、数字を出す業務等を効率良くやっていったと考えております。それと、今後、同じようなものが起こったらというところですが、今回のことを踏まえて、これから考えていかなければいけないかなというのを今もう痛感しておりますが、では、具体的な策が何かあるかと言うと、今、お示しできるものは持ち合わせておりません。
○玄田座長
 よろしいですか。
○松浦委員
 はい。
○玄田座長
 お話があった審査業務にAIを活用するというのは、恐らく、担当課だけではなく、労働政務全体の課題ですので、むしろ政策統括官室でこの辺りを、是非、御検討いただきたいと思います。今のマニュアル化も含めて、やはり、AI活用とマニュアル化の最大の課題は、個別固有の問題に対する対応がまだまだ十分ではないこと、非常に大きなサンプル、大きなデータがあるときには非常に有効ですが、労働政策というのは国民あまねくが対象なので、非常に個別の案件を扱うのが特にそちらの担当課の問題なので、余りマニュアルやAI化に頼りすぎると、新田委員もおっしゃいましたが、何かボヤッとした結果しかなくて、本当に個別の対応ができないと。迅速かつ公正な保護が一番大事なのですが、多分、もう1つの柱は、柔軟とか個別に対応するということ、ややもすると迅速や公正とは相矛盾する可能性のある個別性、柔軟性というのとどううまくバランスをとっていくのかというのは、多分、コロナに限らず、永遠の課題だと思いますので、その辺りは、是非、引き続き御検討いただければと思います。何かありますか。
○労働基準局
 ありがとうございます。いわゆる固くなったり硬直したりしないよう、我々も考えて進めていきたいと思っております。
○玄田座長
 何かありますか。今のAI活用、審査業務、システムについて。
○調査分析・評価担当参事官
 政策評価室として横断的に見ておりますので、サプライ側の指標もありますが、受け手側の満足的な指標というものもあるのかもしれないとは、感想ですけれども思いました。その辺は個々の制度がいろいろあるかと思います。
○玄田座長
 引き続き、御検討をお願いいたします。ほかに御意見はよろしいでしょうか。岩佐委員、どうぞ。
○岩佐委員
 1点、石綿の関係で、難しいのかもしれませんが、要するに、全体として被害を受けておられる方がどれぐらいいるのかという推計があり、今のところ、このぐらいまで届いているみたいな、大きな話で、どこに向かっているのかみたいなものが分かれば。
○玄田座長
 そうですね。ある種、未充足指標というか。
○岩佐委員
 大変難しいということも理解しつつ、それから、計算もかなりザックリした計算にはなると思いますが、でも、やはり政策としてはそのようなものも要るのではないかと。目標にまで数値化するのはともかくとして、参考でも、何か探っていただければと思い発言しました。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○労働基準局
 おっしゃっていただいたところですが、今も、当然、補正予算を立てているときに、大体どれぐらいが見込まれるかをやっているのですが、それについては、労災保険給付において石綿関連疾病で認定された方、そのうち建設業が何%かというようなところから出しているということはあります。ただ、労災保険給付については、中小事業主や一人親方のデータはございません。そういった方からも、この給付金法というのは請求があるということです。なかなか、ここのデータを取るのが今のところは難しいですが、岩佐委員の御質問については、内容については我々としても参考にさせていただきたいと思っております。
○玄田座長
 お時間になりました。担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえ、実績評価書への反映をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは、次のテーマに移りたいと思いますので御準備をお願いいたします。
(所管課入替え)
○玄田座長
 続きまして施策番号Ⅴ-2-1「社会・経済状況の変化に対応しつつ、地域、中小企業、産業の特性に応じ、雇用の創出及び雇用の安定を図ること」につきまして、担当課から全体で5分程度での御説明をお願いいたします。
○職業安定局
 職業安定局総務課人材確保支援総合企画室の井上と申します。よろしくお願いいたします。資料はお手元の資料2-2ということで、評価書のポイントを御覧いただければと思います。今回、施策が非常に多岐にわたっておりまして、私から概括的に説明をさせていただきたいと思います。
 4ページですが、当該施策目標Ⅴ-2-1におきましては、社会・経済状況の変化に対応しつつ、地域、中小企業、産業の特性に応じ、雇用の創出及び雇用の安定を図ること、これを政策の全体の目標としております。資料にも記載しておりますが、目標の背景といたしましては大きく3つ、1つ目は、人手不足の深刻化、2つ目は、地域における良質な雇用機会の不足、3つ目は、人手不足感が再び高まる中で、労働移動が進んでいないという現状があるものと考えております。
 これらの現状、そして対応する課題を踏まえまして、目標としては、地域における良質な雇用機会の創出、加えて、中小企業事業主等を対象とした雇用管理改善等の取組支援、3つ目として、人材不足分野の事業主を対象とした雇用管理改善等の取組支援及び介護事業所における雇用管理責任者の選任の促進、4つ目として、労働者の転職・再就職の支援、出向・移籍支援の強化及び休業等における雇用維持の支援という目標を設定しまして、指標は少し多くなっておりますが、参考指標を含めて16の指標を設定しているところでございます。
 1枚めくっていただいて、達成状況でございます。主要指標は、記載のあります5つの赤字のものを予定しております。この中で、指標2、中小企業団体向けの助成金であります人材確保等支援助成金の事業終了時における求人充足率という目標が、今回、未達成となっております。この点につきましては、コロナ禍が収束に向かう中で、かなり人手不足が強くなり、有効求人倍率も大幅に改善しております。特に一部の業種では深刻な人手不足が発生していることが影響していると考えておりますが、今回、助成金の対象となった事業協同組合の中に宿泊業が含まれておりまして、その点も影響していたと考えております。
 当該指標2につきましては、過去3年間は70%を超えている状況もございますし、こういった特殊事情の中で他の主要指標は目標達成していることを鑑みまして、全体の評価といたしましては4
進展が大きくない、総合判定はBとして評価をさせていただいております。
 なお、主要指標以外におきまして、指標6、雇用管理責任者を選任している介護分野の事業所の割合、指標13、中途採用等支援助成金の対象となった事業所うち中途採用の拡大を図った割合が、目標として未達成になっております。前者につきましては、責任者の周知の必要性をしっかり今後とも取り組んでいきたいと考えておりますし、後者の助成金の指標に関しましては、運用の見直しを通じて改善を図り、今後の目標達成に取り組んでいきたいと考えております。以上とさせていただければと思います。
○玄田座長
 ほかによろしいですか。分かりました。それでは、これより質疑に移りたいと思います。まず、本施策目標につきましては、今日御欠席の皆川さんからコメントも頂いておりますので、初めに事務局よりポイントの御説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 私から御紹介させていただきます。まず、指標1の地域活性化雇用創造プロジェクトにつきまして、事業の実施地域ごとに実績値、達成度の差があるようであるところ、実施地域別の実績値、達成度について、都道府県ごとでなくても、東海、北陸といったくくりでもいいので、参考指標などで示すことは可能か。また、このプロジェクトの目標が、事業のトータルで目標を達成することにとどまらず、実施地域それぞれが魅力ある雇用機会の確保を図ることを目標とするのであれば、進捗が悪い県については、その要因を分析した上で、その地域に適合した施策を更に考えるべきなのではないか。このように、地域別の達成度の相違をいかに考慮し施策の向上につなげるかという観点からの達成度評価も、今後可能であれば検討されてはいかがかという御意見を頂きました。
 また、指標5、指標12につきましては、目標値と達成値の水準が高いので、いわゆる殿堂入りでもいいのではないかとも考えたものの、助成金支給後の職場の定着率を継続的に点検していくことには、施策目標達成度の評価として意義があり、この内容での達成度評価を今後も継続することが妥当と考えたとの御意見を頂いております。以上となります。
○玄田座長
 ありがとうございます。2番目の殿堂入りという意味は分かりますか。聞いていないですか。殿堂入りというのは、目標がある程度経年的にほぼ達成されているものについては、それを継続することも大事だけれども、より高い目標に向かって見直しをすることも大事ではないかというのを、多分この委員会で出ていたと思うのだけれども、殿堂入りという表現をしていて、そういうものに指標5とか12は該当するのではないかという質問です。最初の1については、もう少し地域の特性を踏まえた、それをやったほうがいいのではないかということですが、何かそれについてコメントはありますか。
○職業安定局
 地域雇用対策課長でございます。よろしくお願いします。御欠席の皆川委員からの御質問ですが、指標1の地域活性化雇用創造プロジェクト、「地プロ」というように略称することが多いのですけれども、これは、委員が御指摘のとおり、個々に実績数値、目標数値には違いがございます。この地プロにつきましては、都道府県に対する補助事業でございまして、47都道府県が実施はできるのですけれども、現在は29の道府県で実施をしております。
 個々の数値のほうは控えさせていただきますが、全体の数値の達成割合が167.4%ということで、これを超える大幅達成の地域が29のうち12ございます。また、100%を超える目標達成の地域が13ございます。そして、100%未満、未達成の地域が4ございます。したがいまして、御指摘のとおり、こうした差もありまして、かなり達成割合が低い地域も実際はございます。
 その上で、トータルの数字が良ければ、もちろんこの事業全体の評価につながりますので、私どもはこの全体の数値というのを非常に重視はしています。ただ、やはり、個々の地域の事業をより良くするという意味では、個々の数値を把握して要因分析も当然行いますし、また、外部の選抜評価委員会という委員会でも議論をしていただきます。ですから、こういった個々の数値が重要であるということは、これは当然だというように思っております。
 ただ、この事業評価に関しては、恐らくこの事業以外でも同様に、各地域の積み上げのものがあると思いますので、ちょっとここでは、私の立場では控えさせていただきますけれども、いずれにしましても、各実施地域別の分析はきちんとやっておりますし、非常に重要視しているということは申し上げたいと思います。
○玄田座長
 では、その結果は、また適宜、皆さんにお示しいただくという理解でいいですかね。
○職業安定局
 過去、細かい数字までは、まだ公表はしていないので。
○玄田座長
 いや、そういうことのために、今おっしゃっていただいたその成果をどうやったら他の都道府県にいかすかという、そのエッセンスが大事なので。
○職業安定局
 そうですね。もちろんそれはそうです。
○玄田座長
 それは出さない部分もあると思いますけれども、是非その辺りの御理解のほどをお願いします。
○職業安定局
 はい、分かりました。
○玄田座長
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見などをお願いいたします。殿堂入りの件は、また御検討ください。今、先に御発言されますか。大丈夫ですか。2番目の指標5と12の件については。
○職業安定局
 殿堂入りのお話がございました、指標12のほうで言いますと、早期雇入れ支援コースの対象となった者の助成金支給6か月後の定着率、そちらの4年度の実績が目標90%に対して97%と、かなり高い率で達成しているということで、殿堂入りをしてもいいのではないかという先生の御意見だったかと思います。こちらのほうは、令和2年が88%、令和3年度が87.9%と、90%を下回っている状態のこともございました。定着率は必要なので、殿堂入りはしなくてもいいのではないかというお話もございましたが、より定着率を高めるよう、ハローワークにおいて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○玄田座長
 分かりました。それでは、委員の皆様、御質問、御意見をよろしくお願いいたします。
○職業安定局
 建設・港湾対策室です。指標5について、殿堂入りのお話があったのですけれども、私ども建設業の人材の確保、定着の点でいきますと、令和3年度、目標値96%に対して94.7%という実績の年もございました。また、この建設業は長らく人手不足の状況が続いておりますので、これは引き続き、目標設定を毎年度、適宜精査しながら、取組を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○玄田座長
 では、改めまして御質問、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。新田委員、どうぞ。
○新田委員
 御説明ありがとうございました。私からは指標2について御質問したいと思います。指標2は、主要指標でありながら目標達成率は79%ということで、主にその要因としてコロナ禍の収束に伴う影響ということを指摘されています。また、資料2-2の5ページの効率性の評価においては、「令和4年度を除き実績も目標を大幅に上回っている」という記述があります。その一方で、7ページの次期目標等への反映の方向性では、引き続き前年同様、定着率70%を目標とするとあります。
 実績が令和4年度を除けば、目標を大きく上回っているのであれば、目標の設定は70%ではなくて、もう少し高い数字にすることもあり得るのではないかと思います。以前からこのワーキングでも議論になっている、その目標の設定の仕方をどうするかということに係ると思うのですが、単年度を除いて、実績が既に目標を上回っているということであるならば、目標の設定はもう少しストレッチをしてもよいのではないかと思います。要は、目標は達成したほうがよいに決まっていますけれども、達成して当たり前ではなくて、それが経年的に達成できているのであれば、より高い目標を設定して、その達成に向けてどのように取り組んでいくのかという観点も大事ではないかと思っておりますので、それに関して何かコメント等があればお願いいたします。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○職業安定局
 ありがとうございます。指標2については、これまでの目標、従前は35%と、ちょっと低めの目標になっておりまして、そのときもやはり実績が大幅に上回っているのであれば、その実績を見た上で、しっかりと目標を設定するべきだろうということで、過去3年分の実績を参考にしながら目標を設定させていただいたところです。
 今後の目標については、御意見を参考に考えていきたいとは思うのですが、全体的に、今回の資料の最後の26ページに、雇用人員判断の日銀短観の資料を付けさせていただいておりますが、大幅にいろいろな産業で人手不足の状況が強まっているというような状況もございます。このような中で、実際に従業員の確保のために様々な取組をした際に助成して、その結果、充足にどのぐらい結び付くのかというような目標になっておりますので、こういった状況も少し加味しながら、考えていきたいとは考えております。問題意識としては、受け止めさせていただきたいと思います。
○新田委員
 ありがとうございます。そうすると、5ページの効率性の評価の「令和4年度を除き実績も目標を大幅に上回っている」という記述については、再考されたほうがよいのではないかと思います。従前の目標が35%と低く設定されていたのは承知しておりますが、それをもってこういう記述をすると、目標との整合性が取れないという気がしますので、その点は御検討いただければと思います。ありがとうございました。
○職業安定局
 その点は再考したいと思います。ありがとうございます。
○玄田座長
 そのほか、いかがでしょうか。松浦さん、どうぞ。
○松浦委員
 御説明いただきまして、ありがとうございます。先ほど議論になった、達成目標1の地域における安定した雇用の創出等のところでございます。一部の都道府県が非常に好調である一方で、未達の都道府県もあったということですけれど、地域ごとに分析された中で、好調の理由、逆に言うと不調の理由を現段階でどのように捉えていらっしゃるのか、補足的に教えていただいてよろしいでしょうか。
○玄田座長
 お願いします。
○職業安定局
 地域雇用対策課長でございます。好調と不調の要因というのは、かなり細かく分析していて、いろいろあるのですけれども、不調のほうの理由は、かなり多くがアウトプットを出せていないと。つまり、アウトカムについては、この事業を利用した方の就職、あるいは、企業であれば雇用という形になるのですけれども、そのための例えばセミナーであるとか就職面接会とか、アウトプットの事業の例えば実施時期がちょっと年度末に偏っていて、アウトカム成果に出にくいとか、あるいは、そのアウトカムが出るような対象になっていない方が参加しているとか、そういったことがある。その逆がやはり好調な所であって、早くから事業を周知して、年度早々に事業を実施している所。あるいは、きちんとアウトカムに沿うように、良質な雇用に沿うような形の対象の方をうまく選定して、事業に誘導していると、これはやはり好調の原因かなと思っております。
○松浦委員
 ありがとうございます。都道府県によって、対象層の雇用情勢も変わってくると思うのですけれど、その辺については、どのように御覧になっていますか。
○職業安定局
 全般的に、今はやはり人手不足感の中でありますので、人手不足ということと、雇用のミスマッチと、若者の県外流出、大体ほとんどの地域が、こういう形の課題を言っておりますので、大きく差はないのではないかなと思います。ただ、求職者の年齢割合とかには違いがありますので、それぞれの地域の事業は、重点産業分野あるいは重点求職者、これを明確にその地域に見合った形で分けて事業を展開していると、そういう状況になっております。
○松浦委員
 分かりました。ありがとうございました。
○玄田座長
 岩佐さん、どうぞ。
○岩佐委員
 今の御説明の関係で、ちょっと私が助成の仕組みがよく理解できていないので、ちょっととんちんかんな質問になるかもしれないのですけれども、その助成金の制度がどう有効活用されているかという観点と、極端に言うと、助成金としての使われ方とかは全然うまくいっていないけれど、結果的にそれで、助成金に乗っていないけれど、説明会とかにはいっぱい来て、それで「就職がたくさんできたよね」となったら、ここの政策評価としては、それがつながればいいのではないかとなるようなところもあるように思いました。ですので、今の御説明で、助成金としてどうかということと、もうちょっと何か違う次元の観点もあるのかなという印象を持ちました。これが1点です。
 それから、これはほかにも共通するのですけれど、皆川委員からお話のあったように、大きな統計でどうなっているかということと、そこの分野の中で、どこがちょっと弱そうで、個別に弱い所の分野は数字がどうなっていて、逆にうまくいっている所はどうなっているから、では、そこの所をどのようにしていくというように、二段で施策について御説明いただけると、私どもも、ここがポイントになっているのだというのが、より分かりやすい。やり方には限界があるかもしれませんけれど、確かにそういう形が有り難いと思ったということです。1個目が感想です。
 それから、あと1点、ごめんなさい。指標3の関係で、この外国人の労働者の方について、パーセンテージで目標値、実績値が出ているのですけれども、実際の人数とか件数がどのようになっているのかというのと、ここの施策の分析の所を見せていただくと、なかなか利用実績がない、実数自体がないようなところも書かれています。私としては、この外国人の労働者の関係の就労環境を整備するというのは、人権的な立場からもとても重要で、併せて、今後の労働施策の観点からも重要なのだと思うので、その辺りのところを、実際の利用数とかも含めたところで、どのように評価されているのかというところも教えていただきたい。その2点です。
○職業安定局
 地域雇用対策課長でございます。冒頭は、指標1のいわゆる地プロの関係だと思います。助成金というお話がございましたけれども、これは都道府県に対する補助金になってございます。8割補助でございます。ですから、この事業全体は、都道府県も2割の予算を入れて、それで必要な事業をやっているのですけれども、その中で、やはり就職に結び付けるということが最大の目標でございます、先ほども申し上げましたとおり、事業所がこの事業を利用したときの良質な雇用、また、求職者がこの事業を利用したときの良質な就職ということにはなるので、この数字が最終結果です。ただ、その過程において、やはり副次的な良かった点であるとか、そういったことは事業者の方からかなり聞きます。例えば商品開発であるとか、そういったことで非常に生産が上がったとか、それが残念ながら今回は雇用に結び付かなかったけれども、将来的には雇用に結び付く可能性があるなどという声もありますので、そういったところでも副次的な事業の評価というのは私どもとしてはしているところでございます。
 それから2点目、これは私どもの事業だけに関わる話ではないと承知しておりますけれども、やはり各地域の弱い分野、強い分野というのは、事業を実施する過程の中で、かなり明確化されています。これは最長3年でやっておりますので、最初の1年度目で見えた課題を踏まえて、2年度目、3年度目という事業に展開していくのですけれども、やはり弱い分野というところが見えれば、それは当然改善していきますし、逆に強い分野については、そこをより重点化して雇用につなげると、そういう所は地域としては多いのではないかなというように考えております。
○玄田座長
 大分時間もたってまいりましたので、簡潔に御説明をお願いします。
○職業安定局
 指標3の外国人労働者の就労環境整備のコースの助成金の実績について、御質問いただきました。4年度は、定着率90%以上というところを100%の定着率があったということで、目標を達成しておりますが、実際の利用の実績の件数としましては、4年度の対象になる件数が、残念ながら1件という状況になっております。この助成金は令和2年度に創設したものでございまして、その就労環境整備は最長12か月で計画を立てていただいて、取組をしていただいて、その12か月後の定着率を見て、要件を達成していれば支給するというものになっております。今回の支給は、更にそこから6か月後の定着率を見るという指標になっておりますので、1件ということになっておりますが、利用自体もまだ少ない状況ですので、周知等をしっかりして、環境整備の取組を促進していただけるよう、努力してまいりたいと思っております。
○村上委員
 ありがとうございます。指標2と6と13について申し上げます。指標2については、先ほど新田委員からもあったとおりなのですが、目標値70%という案は、今回についてはいいのではないかと思っておりますが、一方で、この対象となる中小企業の求人数というのは多くはございませんので、充足率だと割とぶれが出てくるところもあるかと思っております。そのため、充足率に加えて、求人充足数の実数を把握いただき、その増加率を指標に加えていただくなど、実数を増やしていくというようなことも考えられるのではないかと思いました。
 次に、指標6について、これは毎回申し上げている介護の雇用管理責任者についてでございます。実績は29%と、目標に届かないということでしたが、目標5割を掲げるのであれば、それをどうやって達成していくのかというところを、工夫いただくことが必要ではないかと思っております。講師の受講者を増やしていくということであるとか、雇用管理責任者がいることのメリット、事業者にとってのメリットというものもあると思います。そういうもののPRの仕方の工夫や、何かインセンティブを付けていかないと、なかなか増えていかないのではないかと思っております。選任の義務化ということも含めて、検討いただきたいと思っております。
 それから、指標の13については、令和4年12月に、45歳以上の賃金を前職より引き上げるという、中途採用を推進するための見直しがあって、達成のハードルは上がっているのだろうとは承知しておりますが、意義のある助成金であるということからすると、どうして達成できなかったのかというところを少し丁寧に見ていただいて、その取組の強化をしていただければと思っております。以上です。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○職業安定局
 指標2の御意見につきまして、この事業自体が、中小の事業協同組合の構成員である中小企業者の方々の雇用管理改善をしたり、募集のための取組の助成ということになっておりまして、御意見いただいたように、実数というのは把握ができますし、そういうところは参考指標として書けないかという点については、検討はさせていただきたいと思っております。
 2点目の介護分野の雇用管理責任者の選任は、御指摘のとおり、5割という目標を持っております。ここの部分については、これまで、どちらかと言うと、介護労働安定センターが、様々な雇用管理の相談をする中で、周知等をしてきたのですが、今後はもう少し労働局、ハローワークも関わって、しっかり勧奨をしていくような取組をしたいと思っております。インセンティブ、義務化につきましては、なかなか課題も多くございますので、引き続き検討すべきものとして、受け止めさせていただければと思います。
○玄田座長
 時間が超過しておりますので、簡潔にお願いします。
○職業安定局
 指標13の中途採用等支援助成金については、達成率が低い状況にございます。ハローワークにおいて、計画を出している事業主に対して、しっかりと求人のフォローをしていくという取組を、今後、しっかりとやっていくということにしておりますので、それによりまして、達成率の向上に努めてまいります。
○玄田座長
 時間が過ぎているのですけれども、私も一言だけ。この施策目標は、非常に人手が余っているというか失業が多い時代と、今みたいに人手不足に直面する時代で、かなり施策のスタイルを変えないといけないと思います。例えば資料2-2の4ページ目だけを見ると、不況のときの話と余り変わらないなという感じもします。つまり、ちょっと乱暴な言い方をあえてすると、先ほどの助成金とか補助金、「お金を払うから何とか人を雇ってね」というのは、それはそのとおりなのだけれど、先ほども地域課長がおっしゃったように、やはり今はマッチングをすごく良くしないと駄目なので、マッチングを良くするための施策を。それで、何をやっているのかというところが、多分みんなの期待で、「もちろんハローワークでやりますよ」とか、労働移動助成金もありますということなのですけれど、この施策の中で、やはりマッチングを良くするために、先ほどヒントでおっしゃった、もうちょっと段取りよい求人のやり方をすると、「人は採れるんだよ」とか。
 この中でミスマッチという言葉があるけれども、マッチングの改善とかマッチングの向上という言葉が一言も出てこないというのは、やはり今の時代に合わないので、それぞれ施策の中で振り返ると、マッチングの向上策というのは、いろいろ現場を経験されると出てくると思うので、その辺りも是非、今後を含めて考えていただけると。多分、この人手不足状況というのは、この1年2年だけの問題ではなくて、より構造的な問題なので、是非その辺りも。労働余剰の時代から労働の人手不足の時代に移行する中で、この施策目標がこのように変わったという面も、是非、御検討いただければと思います。御回答は今の段階で結構です。ありがとうございました。
 では、本日の議論を踏まえまして、実績評価書への反映をお願いいたします。ありがとうございました。では、説明者の入替えをお願いいたします。
(所管課入替え)
○玄田座長
 続きまして、施策番号Ⅵ-1-3「技能実習制度の適正な運営を推進すること」につきまして、担当課から全体で5分程度で御説明をお願いしたいと思います。御準備はよろしいでしょうか。ではお願いいたします。
○人材開発統括官・海外人材育成担当
 技能実習業務室室長の藤井と申します。よろしくお願いいたします。それでは、お手元の資料、実績評価書のポイントに沿って説明をさせていただきます。
 まず、4ページ目の令和4年度の実績評価書の概要の所です。施策の大目標として、ニーズに対応した人材育成を強化するというものがございまして、施策目標としては、技能実習制度の適正な運営を推進することとさせていただいております。
 現状若しくは背景ですが、この技能実習制度につきましては、労働関係法令の遵守の徹底というところが重要であり、これは、言ってみれば、安心安全に実習できるかというところです。御案内のように、人権侵害や労働関係法令違反の存在ということが指摘をされているということです。これに対する課題として、法令遵守の徹底を図るということになるわけですが、その達成目標として3つの目標を掲げさせていただいております。1つ目が、実地検査をやっていくというものです。次に、労働災害が多い所の実地検査をやっていく。3つ目に、安全衛生に係る指導監督を行った所について、改善した実施者の割合を高めていくということです。
 もう1つの大きな背景として、技能実習自体をきちんとやっていって、人を育てていくということがあるわけです。その課題としては、この技能実習計画に沿って適正にやっていくことで認定をしていくということと、その質を高めるということがあると思っております。その目標として、まず、標準処理期間内に技能実習計画の認定の割合を高めていくということで、指標4としております。それから、技能実習計画の認定件数を目標としております。指標4がスピードの観点、指標5が量の観点という形です。指標6として、実習の質という観点から、技能検定等の合格率というものを目標としています。
 続きまして、その結果ですが、総合判定の所に書いてありますように、達成目標1である労働法令の遵守については、それぞれ達成をしているという状況になっています。それから、達成目標2としての技能実習の円滑かつ効果的な実施については、指標4は△となっておりますが、それ以外は達成をしております。この指標4の△ですが、令和4年3月に、いわゆる入国制限というものが解除になり、既にそのとき認定を受けていた1号の技能実習生が増加しました。それに伴って申請が急増したということで、令和4年の上半期に3,041件の申請があったのですが、下半期には8万6,196件というころで、28倍に増えたことがあり、これで、目標達成が難しかったというところです。
 したがって、その右上に書いておりますが、指標4は△となってしまいましたが、それ以外の指標1については◎、主要指標以外の全ての指標が◎又は○です。指標4については、先ほど申し上げたとおり、入国制限の緩和という外部要因によるものです。こういった状況を踏まえて、3
(相当程度進展あり)と区分されるということで、外的な要因を踏まえて、総合判定としては、Aの目標達成とさせていただいております。簡単ですが、説明は以上です。
○玄田座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして質疑に入りたいと思いますが、まず、皆川委員のコメントを簡潔にお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 皆川委員からは、指標2の技能実習生の労働災害件数が多い職種の実習実施者に対する実地検査等件数につきまして、施策目標として達成が目指されるのは、技能実習生の労働災害件数の減少であると思われるため、参考指標としてでも、技能実習生の労働災害件数に関するデータが提示されているとよいのではないかとの御意見を頂いております。以上となります。
○玄田座長
 この件は毎回出るような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○人材開発統括官・海外人材育成担当
 御指摘ありがとうございます。この件に関して、外国人労働者の労働災害の発生状況というのを労働基準局で公表しているものがあり、その中で技能実習生の状況についても触れているものがありますので、これを今後、参考指標のほうに上げていくということを考えていきたいと思っております。
○玄田座長
 是非、御検討をお願いいたします。それでは、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。村上さん、どうぞ。
○村上委員
 御説明ありがとうございました。まず指標1についてですが、実習実施者への実地検査については、3年に1回実施するということになっております。目標値は過去4年間の実績から出しているということですけれども、3年に1回実施するということを目標値に設定するべきではないかと考えております。
 それから、指標2、3についてですが、先ほど皆川委員からあったとおり、労働災害が発生した所の実地調査については、改善指導、助言指導をして改善していくということは当然ですが、同じような事故がほかの実施者でも起こっておりますので、そうしたことにならないような取組を、是非、展開いただきたいと思っております。また、指標9については、先ほど皆川委員からあったとおりであります。
 あと、指標1~5に共通しておりますけれども、実地検査の数や計画認定数について、目標値を実績に合わせて引き上げていくということの必要性はあるのだろうと思うのですが、それを実施する外国人技能実習機構の体制の強化について、予算確保も含めて検討いただきたいと思います。厚生労働省だけの予算ではないと思いますので、他省庁からの予算の確保も含めて、是非、政府全体で検討いただきたいと思っております。以上です。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○人材開発統括官・海外人材育成担当
 まず、指標1の件数についてですけれども、確かに3年に1回、実地検査をするという仕組みになっていて、それと今の目標点がリンクしてないというのは御指摘のとおりです。しかし、この実習実施者の数は年度ごとに変わるということがあって、なかなか変動幅が大きいような年もあり、年度ごとの目標や実績のばらつきを抑えるために、過去の複数年の実績を踏まえて平均値を出して指標としているというところです。
 それから、同じような災害が同じ所で起こらないようにというのは、本当に重要な課題と思っており、私どももいろいろな形で周知、啓発などをしっかりやっていくということをしてまいりたいと思っております。
 それから、体制整備についてお話がありました。これも本当に目標達成が実は大変なところもありますので、体制整備もしっかり考えていかなければならないのですけれども、今、御案内のように、この技能実習制度自体が見直しということになり、その論点の1つに体制整備というのも入っているというように承知しております。なので、今、有識者会議で議論されておりますけれども、そういった状況も踏まえて、必要な体制の整備に努めてまいりたいというように思います。
○玄田座長
 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。新田さん、どうぞ。
○新田委員
 御説明ありがとうございました。私からは指標4について少しコメントさせていただきたいと思います。指標4については、目標達成率97%というように書かれております。それに対する分析で、予算額が低減しているにもかかわらず、令和3年度までは目標達成していますが、今回、令和4年度については、申請の急増によって認定処理が滞ったとなっております。
 資料3-1の2ページ目に「目標値の設定の根拠」という所があり、そこを読んでいると、少し言い方が悪いかもしれませんが、「令和3年度は入国制限があって認定申請が減ったので目標達成、大幅に上回りました。ただ、今年は認定申請が急増したので目標を達成できませんでした」というように私には読めてしまいます。目標はこの80%でよいと思いますが、本来はその期限内での処理を100%目指していくことが望ましい姿であると思っていて、申請の件数が減ったもしくは増えた、だから達成できた・できないというような根拠付けというのは、少し違和感がいたします。その点に関して何かコメント等があればお願いいたします。
 
○人材開発統括官・海外人材育成担当
 御指摘ありがとうございます。この目標の在り方ですけれども、100%を目指していくべきというのは、本当に理想はそのとおりだと思うのですけれども、実績としては大体この80%を少し上回るような状況が続いてきていて、これを処理しているのがなかなか難しいというのが実態です。
 令和4年度、特にその80%を切ってしまったというのは、外部要因もあるところですけれども、コロナが収まって、これから、どちらかと言うと、そんなにぶれずに入国が進んでくるのだろうと。そして、それが増えてくるということも若干見込まれますけれども、それでもなお、やはりこの一定の水準でもって目標達成をしていく努力をしていくべきだろうというように思っておりまして、その80%を引き続き維持していくということが重要かと思って考えております。
○新田委員
 すみません、私の言い方が拙くてうまく伝わってないかもしれません。別に今回の80%を変更すべきと言っているわけではないのです。ただ、申請件数がいろいろな要因で増えたり減ったりするのは、過去の年度でも起こっており、当然、今後もあると思っているのですよね。そのときの理由付けとして、ここは多かったから達成できませんでした、ではなくて、申請件数が多くて目標を達成できなかったときに、ではどうしたら達成できるのかということをもっと考えるべきではないかと思います。ですので、目標を変更するよりは、申請件数が多かったときでも達成できるように考えていくべきではないかという点を、もう少しこの目標設定や資料3-1に反映していただけると有り難いという趣旨であります。ありがとうございました。
○玄田座長
 ほかにいかがでしょうか。岩佐さん、どうぞ。
○岩佐委員
 この達成目標1の関係でお聞きしたいのですけれども、この指標1、2、3の評価からすると、相当数の実地検査を行われて、そこで一定問題点のある所を見付け出して、90%以上の割合で改善していますという、大枠そういう御説明だと思います。他方で、私の認識がどれぐらい正しいかが分からないのですけれども、この実習生の方の労働環境が非常に問題のある、そういう人たちもたくさんいるのではないかというように推測がされて、そこが正しいのかどうかは分からないですが、そことの今のギャップみたいなところが、もし、そこの私の認識が一定程度そうだとしたら、どこにあり得るのか。
 例えば、その実地検査を行っているけれども、その選定の仕方に課題があるとか、人手もあって数がなかなか十分ではないとか、実地検査だけではなかなか見えにくいものがあるのだとか、若しくはその仕事の関係ではなくて、住まいの問題も関係するので上がりにくいのかとか、何か少しその辺のギャップ的なところがあるのかないのかとか、どう考えておられるのかというところを教えていただきたいというのが1点です。
 2点目は、これは指標に入れていただきたいという趣旨ではないのですけれども、この参考指標8で母国語相談件数を挙げていただいているのは、私からしたらとても有り難い参考指標で、この相談件数をどう伸ばしていくのかとか、その相談内容がどういうもので、どう分析して、どうやっていくのかというのは、とても大事なことのようにも思いますので、併せて是非、取組強化していただけたらと思います。以上です。
○人材開発統括官・海外人材育成担当
 御指摘ありがとうございます。この実地検査をして見付けたものについては、きちんと改善指導をしていくという取組をやっているのですけれども、違反というのは、安全衛生関係が一番多くて、その次に賃金関係が多いというような状況です。
 この制度自体は、当然、技能実習生の育成というところが目的になっているのですけれども、どうも法律の趣旨をきちんと理解しないまま、実習生を受け入れてしまっている所が多いがゆえに、結果として単純労働者の受入れになっているのではないかというような指摘もあります。そういったところも踏まえて、今、見直しが考えられているところでして、悪いところを検査で見付けるというのも大事なのですけれども、入口のところで少し要件を厳しくして、そういった法律の趣旨をきちんと理解している所に実習生の受入れを進めるというところも必要ではないかと。それがギャップになっているのではないかというところも考えられますが、有識者会議の御意見も踏まえながら、今後、要件の厳格化も考えていくべきではないかというように思います。
 それから、母国語相談についてのお話がありました。これは本当に重要な取組だと思っていまして、非常に現場のほうで困ったということについて相談できる所というのは、第一義的には監理団体と言われている所に相談するわけですけれども、そこには事情があってなかなか相談し難いなどというようなこともあったりします。そういうときに、この機構のほうの母国語相談というのは、非常に最後の砦的に役に立つような所だと思っていますので、そこでしっかり寄り添った対応ができるように、この取組を進めてまいりたいというように思います。
○玄田座長
 私も岩佐さんとかなり意見が近いので、少し申し上げたいのですけれども、おっしゃるように、やはり技能実習制度は本来の目的と今の実態が乖離しているということは誰が見ても明らかで、その中で、この総合判定Aの目標達成は、個人的にはやめたほうがいいのではないかと。つまり、制度の趣旨とか、制度としての入口がとかはAかもしれないけれども、少なくとも運営を推進するということでA判定をしているというようにやるのは、厳しいのではないか。
 制度としてはきちんと適切に管理していますよ。だけれども、今の参考指標8もそうだし、指標9も含めて、問題は決して推進する方向にまだなっていなくて、現状としては課題のほうが全然追い付けていないというのが実態だとすると、やはり、これを総合判定Aと付けるのは、このワーキングでどこまでそこに踏み込むあれかは、きちんと見ていないから分かりませんので、あくまで一委員として申し上げますけれども、少し厚労省は甘くないかというように受け取られないだろうか。
 この指標1がどんどん増えているのは、ある意味としては当然このぐらい増やさなければいけなくて、いろいろな理由があるから目標は13,000にしているだけで、本来は13,000を超えているから問題ないということでは全然ないので。問題がいろいろ山積みのところに、一生懸命、労働政策は努力しているけれども、全然まだ対応ができていないぐらい課題が大きいので、今、政府全体を挙げて取組をし直していると言うのであれば、すっと来るので。
 これをAにしているから、労働政策的にはきちんとやっています、だから私たちは責任がありませんなんていうように言っていないにもかかわらず、言っているように見受けられなくもないから、私は、施策の担当としてはやはりここはAを付けないほうがいいような気がしますけれども、いかがですか。
○人材開発統括官・海外人材育成担当
 私どもとしては、現行制度の中でできることをしっかりやっているというつもりであって、実態と制度の目的が乖離しているという御指摘もありますから、それを踏まえて、今、見直しがなされているところですので、またそういった御意見も踏まえて考えていくべきかというように思っています。
○玄田座長
 我々としては感じたことを言わないといけないと思っておりますので、あえて申し上げます。この政策評価をやっていると、制度の枠組みとしてはきちんとやっていますというように大体お答えになって、制度の枠組みはきちんとやっていませんと答えられた記憶は何もないので。
 ただ、それと社会全体からの評価とのずれみたいなものがあるとすれば、それは御指摘申し上げるのもこの委員会だと思いますので、是非そういう意見があったということを踏まえて御検討いただければというように思います。ほかにいかがでしょうか。松浦さん、何かありますか。
○松浦委員
 これまでおっしゃっていただいた内容に、付け加えることはほぼありません。結果だけ見るとうまくいっているように見えることに対する違和感を、ほかの皆さんも感じておられたのではないかと思います。もしかしたら目標の設定の仕方にも課題があるのかもしれません。ここは慎重に御検討いただく必要があるというのは同じ意見です。
○玄田座長
 ありがとうございました。大分、時間も超過いたしましたので、以上にさせていただきたいと思います。担当課におかれましては、本日の御議論なども参考にしていただきながら、業績評価書への反映をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(所管課入替え)
○玄田座長 それでは、最後に移りたいと思います。続きまして、施策番号Ⅵ-3-1「技能継承・振興のための施策を推進すること」について、担当課から全体で5分程度で御説明をお願いいたします。
○人材開発統括官能力評価担当
 人材開発統括官付能力評価室の増岡でございます。資料4-2を御覧ください。4ページからです。技能継承・振興のための施策を推進することということで、大きく2つの流れで説明をしています。
 まず、左のほうにありますけれども、技能労働者の動向です。6ページに簡単なグラフを付けた資料を用意していますけれども、建設業と製造業それぞれについて記載しています。建設業につきましては、コロナウイルス感染症拡大以降も、やはり他産業と比較して有効求人倍率が高い状況にあります。また、高年齢層の割合が高い一方で若年層の割合が低い。新規学卒者の入職者も少なくなっております。製造業につきましても、コロナウイルス感染症の影響で大幅減となりますも、現状、有効求人倍率は非常に増えている状況です。また、就職者数も若年者層が減少傾向、最近は横ばいですけれども、高齢者層は増加傾向ということになっております。新規学卒者の入職割合も、2014年に最低を記録して以降は上下を繰り返しているといった状況にあります。
 これを踏まえまして4ページです。課題としては、若年者のものづくり離れ・技能離れが課題と考えておりまして、達成目標としましては、若年層の魅力発信・ものづくり分野への入職促進といったものを目標としております。具体的な指標としましては、主たる指標としまして、ものづくりマイスター、ものづくりマイスターにつきましては8ページに概要を記載していますけれども、技能検定でいきますと1級相当以上の熟練技能者、こういった方々を中小企業や工業高校等に派遣しまして、実技指導などを行っていただくといった取組ですが、ものづくりマイスターの活用を契機として、技能検定又は競技大会を人材育成に活用した企業、団体の割合、こういったものをアウトカムとして設定しております。このほか、技能五輪全国大会、大会の概要につきましては資料の9ページ目に書いてありますけれども、成年技能者を対象にしました技能の全国大会でして、この来場者数をアウトプットとして設定しております。
 また、資料の4ページの右側になりますけれども、ものづくり分野の人材育成ということで、現状につきましては、資料の7ページ目にまとめています。人材育成に要する期間につきましては、新規採用者の場合10.2年、中途採用の場合でも7.3年というように、相当の年数が掛かるということがあります。また、「ものづくり」企業を対象とした調査結果ですが、中核技能者の育成がうまくいっていないという現状について、どういったことが原因なのでしょうとお聞きすると、育成を担う従業員の不足、効率的な教育訓練を行うためのノウハウ不足を掲げる企業が多くありました。続いて、生産現場に配属される技能系正規社員の数が少ないといったことも挙げられておられました。
 これらを踏まえまして、4ページ目に戻りまして、課題としましては、中核技能者になるまでに長時間を要するということであったり、人的・時間的不足、指導者やノウハウの不足といったものが掲げられているということで、目標としましては、ものづくりマイスターの開拓・認定、活用による人材育成推進ということです。具体的な指標としましては、太字になっているものは先ほどと重複していますけれども、ものづくりマイスターの活用を契機として、技能検定等を人材育成に活用した企業、団体の割合、それから、主たる指標以外の部分としては、ものづくりマイスターの派遣指導の活動数、開拓数、新規認定数を掲げています。
 5ページ、実績の判定です。達成目標1ですけれども、ものづくりマイスターの派遣を契機として技能検定等につなげた割合ということで、85%を目標にしておりましたところ、91.9%ということで、目標達成率が108%となっております。指標2の大会の来場者数ですけれども、84,000人の目標に対して104,136人と、達成率124%となっております。また、達成目標2で、指標3は指標1と同様ですので達成率108%、指標4のものづくりマイスターの活動実績数ですけれども、目標55,500人日に対して77,326人日と、139%の達成率となっております。また、ものづくりマイスターの新規認定数ですが、128人の目標に対して274人と、達成率は214%ということです。
 これらから、いずれも目標を達成しているということで、総合判定としましては、Aの目標達成としております。このように、高い水準で目標を達成しているというところで、今後も引き続き高い水準で目標を達成していけるように努めてまいりたいと考えているところです。簡単ではございますが、以上です。
○玄田座長
 ありがとうございました。それでは、皆川さんのコメントがありますかね。お願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 皆川委員からは、指標5のものづくりマイスター開拓数について、選定理由として、高度技能人材を育成する人材不足解消が掲げられているところ、どの分野でこうした人材不足があり、それを解消していくことが求められるかということを踏まえた上で、目標や指標が設定されることが望ましい。このため、ものづくりマイスターには、ものづくりマイスター・ものづくりマイスター(+DX)・ものづくりマイスター(IT部門)があるが、それぞれの分野ごとの開拓数を参考指標等で示してはどうかとの御意見を頂いております。以上となります。
○玄田座長
 何かコメントはありますか。
○人材開発統括官能力評価担当
 御指摘のように、ITやDXは近年の流れを見て新たに枠として設けているところで、認定としては一体化するというような見直しなども進めておるところですが、また特出しでそういった設定が必要かどうかということに関しましては、御意見を踏まえた検討課題というふうにさせていただきたいと思います。
○玄田座長
 ありがとうございました。それでは、皆さんから御意見のほどお願いいたします。
 では、私から先に申し上げると、A判定ということですが、やはり、ものづくり人材が日本から近い将来枯渇していくことへの危機感みたいなものが、正直余り伝わってこなかったです。最後の指標5も、前年実績の128人をベースにして倍増ということで、それぞれとして大変な取組だと思いますが、ある意味では、ものづくり人材という本当に必要なところで、もうこれから人があと数年後にいなくなって、日本にとって非常に大きなマイナスだという、絶滅危惧的重要ものづくり人材が何人いて、その何人の何%ぐらいの確保に成功したとか、何%はもう確保できなくて、もう近い将来絶滅するみたいなことのデータや、そういう試算があって、その中での何%は確保したよ、みたいになると、頑張っている感じがするのですが。何か本当に枯渇をするということの危機感を労働政策が感じていて、そのためにものすごく努力していてA判定とは感じられませんでしたが、いかがでしょうか。
○人材開発統括官能力評価担当
 そうですね、それを達成していくためには幅広い分野での取組が必要なのだと思いますが。
○玄田座長
 絶滅ものづくり人材調査団みたいなのをつくらないと、多分、全国あまねく、このものづくりは、この人がいなくなったら、もう誰も弟子もいないので、この技術はなくなりますよというのを、ある程度国家予算を掛けて、きちんと調べて、その人数が3,000人だとすれば今の段階でやれることをやっておかないと、もう永遠に取り返しがつかない問題なので、そのぐらいの調査をしないといけないし、それは文化庁ではなくて、厚生労働省のほうがやはり働く人材としては情報を持っているような気がするのですが、どうでしょうか。つまり、この目標を立てる前の事前データが全然不足しているのではないかということなのですが。
○人材開発統括官能力評価担当
 そうですね、多分そういうことをやっていくためには、どういったところで御指摘のような人材が不足しているのか、枯渇の危機にあるのかというところについて、まず、データを見てみるということかと。
○玄田座長
 都道府県、市町村の商工課とかなり密接に連携して、労働組合も多分連携するといいですよ。多分、そういうのをきちんと調べようと国が動けば、協力する人たちはたくさんいると思います。やらないだけだと思います。お金も掛かりますが、今やっておかないと、本当にもういなくなったねということになって。ものづくりマイスターは素敵な制度だと思いますが、ややピカピカしすぎてて、多分ものづくり人材の本当の職人さんたちのハートを打たないんですよね。先ほどのITとかもいいですが、そういう世界ではない技能を大事にされている人たちがすごくいるので、ものづくりマイスターになりませんかと言われても、「あっ、うちはそういうのではないんです」と多分言われる人がたくさんいるから、そういう人たちが今本当に何を求めているのかということまで掘り下げてやらないと、ものづくり人材は本当に日本からいなくなるような危機感が、私だけではないと思うのですが、どうですか。
○人材開発統括官能力評価担当
 非常に大きな課題だと思います。今この場で具体的にどうできるというところを示すことは非常に難しい部分だと思うのですが、確かに、どういったところで本当にやるべきかというところをきちんと捉えてやらないとということは御指摘のとおりだと思います。非常に大きな課題ですので、今日のところは課題として受け止めさせていただきたいと思います。
○玄田座長
 是非、御検討いただければと。ほかに、いかがでしょうか。村上さん、どうぞ。
○村上委員
 まず指標1ですが、今後も85%が目標ということですが、過去5年間、90%以上で達成してきているので、目標値を更に引き上げてはどうかと思いました。
 それから、指標1と3で同じものが重複しているのですが、やはり指標設定の工夫も必要ではないかと感じました。
 また、指標2についてですが、技能五輪大会の来場者数ということで、大変御努力いただいて、達成目標を大幅に上回ったということだと思います。ただ、来場者数を測定目標にしていくことが適切なのかということについて、それはあってもいいですが、ほかの指標もあってもよいのではないかと思っており、その点も御検討いただいてはどうかと思いました。以上です。
○玄田座長
 いかがでしょうか。
○人材開発統括官能力評価担当
 まず1点目の指標1の数値ですが、御指摘のとおり、確かに過去のを見ると90%か、もう少し上回るような数字ということで、これは対象者が毎年違うものですから、積み上げでやっていける指標ではないというところはありますが、90%はかなり高い水準できているのかなというところも感じてはおります。こういった90%を超えるような高い水準を維持していくことを考えたときに、ではどのぐらいで目標数値を設定するのかというところで、85%ということを設定しておりますので、基本的には設定としてはそんなに問題ないのかなというのが正直な受け止めではあります。ずっと積み上げで上げていける数字ではないので、そういった意味では、この90%を確実に維持していくというところでの目標設定と考えております。
 2つ目ですが、指標1と3で同じ指標を掲げさせていただいており、このところは、ものづくりマイスター自体が1つの目標のためだけではなく、そういった意味では多義的な位置付けもあるのかなというところです。来場者数の指摘のところにもありましたように、こちらはアウトプットですが、ほかに指標として適切なものがあるのかどうか、なかなか数値化できる部分が難しい面もありますが、その辺はまた今後の課題とさせていただければと思います。
○玄田座長
 よろしいですか。ありがとうございました。新田委員、どうぞ。
○新田委員
 御説明ありがとうございました。今の村上委員の御質問と重複しますが、2点あります。1点目は、指標1の90%を目標という点で、資料4-1では、基準値を平成29年度で90%にしていますよね。それからすると、この目標値はやはり90%に設定してもよいのではないかと、私も率直に思います。
 もう1点は、指標2の「技能五輪全国大会の来場者数」、これを測定指標として掲げることについて、それ自体は否定しませんが、やや気になっているのは、この指標の前に、当然、達成目標として若年層への魅力発信やものづくり分野への入職促進があって、そのための測定指標として来場者数をあげていますが、そうすると、来場している人の年代別のデータなどは取られているのでしょうか。この来場している人が若年者でないと、この目標達成の指標としては適切ではないという考え方もあり得るのではと思っていますが、その点についてコメントがあればお願いいたします。
○人材開発統括官能力評価担当
 今、細かいところは出ないのですが、一応そういったものも取っているということですので、その辺も見た上で、どのように指標に反映させるべきかというのは、1つの課題とさせていただきたいと思います。
 1つ目の指標1に関しましては、現状は先ほど申し上げた85%というところで、目標としては適切な設定なのかなと。もちろん、その上で現状の水準を維持していくというところではありますが、具体的にどういった数字にすべきかというところは、また御指摘いただいた部分については参考にさせていただきます。
○玄田座長
 多分、85%の説明に納得している人は誰もいないと思います。前年水準維持ということだけしかないなと思いますが。是非御検討ください。ほかに、いかがでしょうか。岩佐さん、どうぞ。
○岩佐委員
 これは政策評価というところにつながらなくて、私の素朴な質問というか意見です。確かに確保していく意味では、ここにも出ているように学校等にも派遣されているというところもあり、これから仕事に就いていく人や若い層の人たちとどう結び付いて魅力を伝えるかというのが改めて大事なのだと思ったのですが、その中で、もう既に取組もされているかもしれませんが、私の仕事の分野で言うと、例えば少年院とか、そういう社会的に困難な状態で、未熟なのだけど比較的生真面目な人が多くて、そういう困難な状況にある子供たちは、今も職業訓練とかも入ってはいるのですが、違う分野でのつながりを探していくこともあり得るかなと。既に取組をされているかもしれませんが、思いつきの意見で申し訳ないのですが。
○玄田座長
 いかがでしょうか。ものづくりという分野と社会的困難を抱えている人たちとの連携の取組は、本当に重要になってくると思うのですが。
○岩佐委員
 これは意見で、そういう意見があるということです。層としては、1つ少年院ということも申し上げましたが、子供、若者支援の関係での協議会の中でいろいろと支援を受けている若年層たちもいると思いますし、そういう社会的困難な所にも連携みたいなものが、より強化されるといいのではないかという意見です。
○人材開発統括官能力評価担当
 今、少年院というか、その辺の実績がよく分からない部分もあるのですが、御意見として頂きたいと思います。
○玄田座長
 是非、御検討ください。言われてみると、若年雇用対策の中で余りそういう観点もきちんとやっていなかった気はします。松浦さん、どうぞ。
○松浦委員
 御説明ありがとうございます。測定指標4と5について、それぞれ目標達成率が非常に高く、派遣指導活動数やものづくりマイスター開拓数が大幅に増えていると理解したのですが、そのためにどのような取組をされたのか、また、そのうちどの取組が増加につながったのかを教えていただきたいのですが。
○人材開発統括官能力評価担当
 まず指標4の派遣の実績ですが、令和4年度の当初は、基本的に新しく派遣をされる所に関して国のお金でやっていて、継続で前年度も行って、また今年度もみたいな所に関しては、そこは実費でお願いしますといった運用で開始をしていたところです。ただ、このものづくりマイスターの派遣については、特に工業高校などから派遣の要請は強く頂いているもので、年度の途中から、そういった工業高校などで前年度に呼んだ所であっても継続して呼ぶこともできるというふうに見直した部分もあり、そういったところも1つ増加につながったのかなというふうに思われます。
 指標5の認定数ですが、実は令和4年度に、前半はものづくりマイスターの認定基準の見直しをしており、実際に申請を受けて、認定行為をしているのは年度の後半からだったのですが、認定基準を変えたところもあり、まずは増やすというよりも、それまでで退任された方を補充するというところを目標にしていたところ、想定以上に申請される方がいて、目標を超える認定につながったというところがあります。
○玄田座長
 多分、松浦委員がおっしゃっていることは、それを実績評価書にきちんと書くべきだと。ここにも一部業務内容の見直しをしたことで目標を上回ったと書いてありますが、大事なことは、どういう見直しを一部行ったことで、それがどういう効果を持ったのかと書かないと、数字が上がりました、OKですというだけだと、それは評価と言わないので、もし効果があった見直しの内容があるのであれば、これがやはり重要なのではないかということを評価書に是非記載されるべきだと思います。どうですか。
○人材開発統括官能力評価担当
 分かりました。すみません、御指摘を踏まえて。
○玄田座長
 是非、よろしくお願いします。そういう御理解でよろしいですか。
○松浦委員
 こういう取組をやったから、こうなったのだという中身が分かったほうが、貴重な取組を正しくアピールできることになると思いますので、是非お願いしたいと思います。
○人材開発統括官能力評価担当
 御指摘ありがとうございます。
○玄田座長
 それでは時間になりましたので、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて実績評価書への反映をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○人材開発統括官能力評価担当
 ありがとうございました。
○玄田座長
 それでは、議事(1)は以上となります。ありがとうございました。
 続きまして、議事(2)~(4)に移りたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 会議運営の効率性の観点から、議事(2)から議事(4)までをまとめて事務局より御説明いたします。その後に委員の皆様に御議論、御発言を頂ければと思います。
 まず、資料5の第13回政策評価に関する有識者会議労働WGにおけるご意見等への対応状況についてです。こちらは、本年2月に開催した労働WGで出された個別の御意見につきまして、事務局で議事録を基に御発言内容から御指摘内容を拾い、担当部局に対応状況等を照会したものとなります。こちらにつきまして御意見などをお受けしますが、細かい内容になりますので、こちらについては、可能であれば会議開催後、8月14日(月)までに事務局まで御連絡いただけますと幸いです。
 続きまして、資料6の令和4年度の分野横断的に実施している政策の評価書についてです。本年3月に開催された有識者会議で委員の皆様から頂いた御意見を踏まえ、追記を行った最終版を6月に当省ホームページにて公表しています。頂いた御意見、及びそれを踏まえた対応の内容を明らかにするため、御意見については7の学識経験を有する者の知見の活用にまとめ、御意見も踏まえた総括を8の政策評価の結果としてまとめています。貴重な御意見を頂き誠にありがとうございました。今回は初の分野横断評価の取組でしたが、本評価書が今後の政策評価や施策の検討にも活かされるよう、原局と引き続き連携してまいります。
 続きまして、資料7の令和5年度に評価を行う分野横断的な政策についてです。こちらも本年3月に開催された有識者会議で委員の皆様から議論いただいたものですが、様々な御意見を頂きました。施策の担当課とも調整を行った上、頂いた御意見を踏まえ、どのような対応を行うかをまとめた資料を2ページ目に追記しています。左側に御意見をまとめ、右側に御意見を踏まえた対応を記載しているところです。青枠部分は本テーマを取り上げる意義や目的に関する御指摘であり、改正法が施行され、連携に関する取組が始まる時期であり、評価時期は少なくとも1年後ではないか。また、良い実績値とならないことが予想されるので、数字だけを見て連携の評価を行わないよう、共通認識を持つことが必要などの御意見がありました。
 これに対しては、実績評価方式による評価書とは異なり、改正法による雇用施策と福祉施策の連携強化の進捗状況自体を評価することが目的ではないことを、評価書の目的欄に明記いたします。
 オレンジの枠は、評価書の内容に関する御指摘であり、例えば、好事例の共有などから、今後何が必要かを明らかにすることを含めて考えれば、テーマとして掲げることも有益ではないか。また、当事者の視点からの評価を行うことで、当事者が求める支援等を把握し、取組につなげていってほしいなどの御意見がありました。
 これに対しては、医療、雇用、福祉の連携の好事例を取材し、それを3つの視点で分析したいと考えています。具体的には、支援者の視点として、「効果的な連携」と評価するためには、支援者間でどのような要素が満たされていると考えるかを分析、当事者の視点として、「効果的な連携」が当事者にどのような影響を与えるかを分析、雇用者の視点として、就労支援や定着支援に当たり、医療・雇用・福祉の連携が図られていることが、雇用者にどのような影響を与えるかを分析することを考えています。その上で、連携を評価するため、どのようなデータを示せばよいか等の検討を通じて、政策評価に係る評価書の現状分析を記載する上でのひとつの材料を示すことを目指したいと考えています。
 緑の枠は、本テーマを取り扱う際の留意点などに関する御指摘です。例えば、政策の方向性にも関わる内容であるため、厚生労働省内の所管部局と十分に調整を行った上で、評価書案の取りまとめを行う必要があるのではないかなどの御意見がありました。
 これに対しては、改正法の施行に向けた取組が進められているところであることを、しっかりと念頭に置きながら、制度所管部局と十分に調整し、対応してまいります。
 以上のような整理の下、障害者の就労支援のための雇用施策と福祉施策の連携をテーマとして、令和5年度の分野横断評価を進めさせていただきたいと考えています。事務局からは以上となります。
○玄田座長
 ありがとうございました。今、資料5、資料6、資料7を御説明いただきました。どの点でも結構です。御指摘、御質問などがございましたらお願いいたします。新田さん、どうぞ。
○新田委員
 御説明ありがとうございました。資料7について申し上げます。2ページ目で私がお願いしたいのは大きく2点です。1点目は、正に対応1に書いていただいたとおり、今回の評価の位置付けについて、しっかりと明記をしていただきたいというところです。障害者雇用について、今、一生懸命取り組んでいただいておりますが、いろいろな問題が出てきています。そうした中で単純に数字だけを見て評価してしまうことへの懸念を、3月の有識者会議でも申し上げたところですので、その点、十分に御配慮いただきたいということです。
 2点目は、対応3です。3月の有識者会議の時点では担当部局に事前に相談していないという状況がありました。そういう事態は望ましくないと思っています。必ずしも全てを事前に原局に相談する必要はないという判断もあるかもしれませんが、幾ら縦割りとはいえ、結局、実施するときには原局の協力が絶対必要になってきますから、連携はしっかりと取っていただきたい。今回は令和5年度の話ですけれども、今後、令和6年度、7年度の評価をするときには、事前に、ある程度の相談、調整をきちんとされたほうがいいと思いますので、この対応3についても、是非、今後、御配慮をお願いしたいということを重ねて申し上げます。私からは以上です。
○玄田座長
 ありがとうございます。重要な点だと思います。どうぞ。
○調査分析・評価担当参事官
 御意見を踏まえまして着実に進めていきたいと考えています。
○玄田座長
 私も同じお願いで、特に対応3の部分が大事になると思います。原局同士の連携というのは、結局のところ政策統括官が責任を持ってやらなければできないので、然るべき立場の方の責任で、しっかりとしたものにしていただきたいということも、併せてお願いしたいと思います。ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。資料5の対応状況ということにつきまして8月14日、もうすぐになりますけれども、この日程でよろしいですか。では、是非、御検討をよろしくお願いいたします。岩佐さん、どうぞ。
○岩佐委員
 資料7の関係で、いろいろな資料を見ながら考えないと分からないのですが、就職とか仕事ということを考えたときに、その手前でどんなふうな教育を受けてきたり、そこに向けてどうされているかが、多分、関係してくる可能性もある。従前であれば、厚生労働省内でということで関係部局と正に調整をお願いしますで済んでいたものが、そこの障害児部分がこども家庭庁に移ってしまって、こちらからこども家庭庁に政策評価としてこうせよと言えないというのは理解しますけれども、場合によっては、個々の政策評価の中で、こういう点については留意が要るという意見が出ていたことをお伝えいただくとか、場合によっては、そこのところが絡んでくるかもしれないなと。特に今回、こども家庭庁ができたことで障害児と障害者の分野のところの扱いが別になり、従前、かなり一貫した見方で厚労省はやっておられたようにも思うし、懸念の声も出ているので、今の分野も少しそういうことが出てくるかもしれないと思い、できれば、こんな意見も出ていたということをお伝えいただくこともあり得ると思って発言しました。
○玄田座長
 いかがですか。こちらも重要なところだと思います。
○調査分析・評価担当参事官
 ありがとうございます。御指摘の点は、政策評価自体はあくまで所掌のものをやることになりますけれども、当然、これから中身についてはいろいろ検討していきますので、そういった中で必要があれば、留意点等として配慮したいと考えています。
○玄田座長
 難しいですね。あちら側の評価はできないけれども、あちら側との橋の部分でこういう橋が渡っていないみたいな話もありますよね。
○岩佐委員
 ちょっと付け加えるのであれば、1つは、これも正によその庁のことになりますけれども、こども家庭庁の政策評価がどういう形になっていっているのか、もともと厚生労働省から行った分野に関して、すごく気になっているところもあります。あと、建前でいくと、こども家庭庁自身は、もともと各省庁と調整するという機能が重要だということで、前面に出しておられるので、正にそこでの調整機能を発揮するところが自分たちの目標というか、1つだと言われていますから、そうであれば是非、他省庁という言い方もあれですが、他省庁からこんな意見が出ているというところも家庭庁として受け取っていただいて、そこをこども家庭庁の施策にいかしていただく。こども家庭庁の成り立ちから言ってもそうなのではないか。ここで私が言ったからどうこうなる問題ではないですが、一応、そんなふうにも意見としては持っています。
○調査分析・評価担当参事官
 ありがとうございます。こども家庭庁のほうでも、当然、政策評価を行うことになりますし、連携するということは、厚労省もこども家庭庁も考えています。補足しますと、テーマごとになるのですが、総務省のほうで実は省庁をまたがる評価もやることになっておりますので、それに入るかどうか断言できませんけれども、そのような仕組みもあることを補足しておきます。
○玄田座長
 大事な御指摘、また、御返答ありがとうございました。本日予定しておりました議事は、一応、全てです。ただ、何となく恒例で、いつも制度評価をやると、全体を通じた感想みたいなことを委員の皆さんに一言ずつ頂いていますので、今回もそれで締めたいと思っています。どなたからでも結構です。
 この評価WGを何度かやりまして、夏休みの宿題は一生懸命やっていますよということがありますけど、自由研究は別に聞かれていませんよねという感じというか、何かうまく言えないですが、私は宿題として出された部分は一生懸命ちゃんとやっています、出された宿題は100点ですという感じが、それはしようがないのかもしれないですけど、そういう確認をする機会みたいになりますね。100点を取り続けているのだから、いいではないですか、殿堂入りで何が悪いのですかと、そこまで言われないけど、感じはしますね。だから、それを一歩踏み越えるのは担当者としては相当勇気が要ることだろうと思いますが、率直に感じた1つです。そういう意味では労働政策として然るべきミッションは着実に果たしていると、今回に関してもすごく思いました。安易に国民みたいな言葉を出すのはよくないと思いますが、全体的な期待とか評価みたいなものと、もしずれがあるときに、それをどういうふうに考えていくのかというのは悩ましい問題だなと改めて思いました。岩佐さん、どうですか。
○岩佐委員
 1つは、ずっと長く見ていてロジックが前よりは洗練されてきている部分もあったり、途中で申し上げたのですが、大きな指標と、弱い部分のところも分野を入れていただいて、数字を入れていただいていたりとか、部分的にまだ入っていないところもありますけれども、パーセンテージの所に実数を入れていただいていたり、進んできているところもあるなと思っています。正に今、玄田先生が言われたとおりで、役所の議論としては立てにくいというか、担当としては難しいのだろうなというところは理解します。たあd、できたら分科としては、先ほどの石綿の話でもそうですが、多分、推計値とか言ってパッと出してしまうと、それに達していない、そんなに要るのか、予算はどうなるなど、多分、波紋もあるだろうから、フワッとしながらやっていくというところもあると思いますけど、本来、施策としては、どれぐらいの人に、どこまで届いているのか、そういうところを考えてするほうが筋は筋です。かつ、そこがなかなか届きにくい困難があったら、率直に国民というか、国会に対してもそうですが、こうだから届きにくいんですと、はっきり説明して議論するほうが本当はいいなと思いながら発言していました。以上です。
○玄田座長
 ありがとうございます。新田さん、よろしければ一言、お願いします。
○新田委員
 今回、リアルで開催できたことはよかったなと思います。
○玄田座長
 そうですね。久しぶりですものね。
○新田委員
 画面越しだと分からない、厚生労働省の説明している方の表情や、こちらから発言や質問をしたときの受止めの様子が非常に分かって、リアルで開催したことは非常によかったと思っています。資料についても、ポイントをまとめていただいて、以前よりも非常に議論しやすくなったと感じます。一方で、玄田座長は先ほど国民という言い方をされましたが、目標設定の考え方について、我々と役所の世界との意識のずれを毎回感じています。この点を毎回発言しても変わらないことについて、どうしたら変わっていくのかということを、今日も強く感じました。
○玄田座長
 村上さん、どうぞ。
○村上委員
 ありがとうございます。玄田座長がおっしゃっていたことと重なると思いますが、Aを取らなくては、といった意識があるのではないかと思っています。Aを取るための数字や目標ではなく、本来の目的に近づいていくような目標を掲げていただいて、達成できないけれども、そこにチャレンジしていくということも挙げていただくと、よりいいのではないかと思っていました。なぜできないのか、できないのはおかしいのではないか、という話をするための会議ではなく、どうすれば目的を達成できるのか、目標を立てて目的に近づけるのかということを、少し頭を柔らかくして考えていただくということも必要かと思っており、この場がそういう機会になっていくといいのではないかと思っていました。以上です。
○玄田座長
 ありがとうございます。先ほどの夏休みの宿題的に言えば100点を取ることが一番大事ではなくて、子供によく言いますね、間違えたところをどうやって間違えなくするか、どうやったらもっとお勉強が好きになるかというところが大事なので、この会も、Aを取らないと叱る先生方がたくさんいる、何でAではないのかという会ではないのです。むしろ、Bとして課題をしっかり把握していて、次につなげることをちゃんと認識していて、そういうことに取り組んでいる。むしろ、良きBは数字だけのAを上回るという感じは共通してしますけど、多分、ほかのワーキングもそうではないだろうか。もしそれを何となく担当の方がAでないと評価的にまずいのではないかみたいに受け止めているのであれば、多分、そういうことではないのだと御説明いただいてもいいのではないかと思います。どうですか。
○調査分析・評価担当参事官
 ありがとうございます。政策評価の目的は、政策を改善していくところに当然ありますが、先ほどの話だと宿題というのは、恐らく事前分析のときに、いかに、どういった目標を立てていくかというところかと思いますので、そういったところも配慮しながら進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○玄田座長
 ありがとうございました。本日は、毎回どおり熱心かつ有意義な御審議を頂きましてありがとうございました。事務局より本日の議論の取扱い等について御説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 本日、頂いた御意見等の取扱いですが、まず実績評価書の記載に関する御指摘につきましては、担当課において必要な修正をするとともに、評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」という欄がありますので、そこに反映状況を記入させていただきます。会議の場で伝えきれなかった御意見がございましたら、8月14日(月)までに事務局まで御連絡ください。実績評価書につきましては、当室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。併せて、皆様にも最終版を送付いたします。また、今後の目標設定等に関する御指摘のうち、中長期的な検討課題となるものについては、事務局で整理の上で、担当部局にて検討の上、進捗状況を今後の会議にて皆様に御報告させていただきます。説明は以上です。
○玄田座長
 本日の会議は以上で終了とさせていただきます。ありがとうございました。
【会議後の提出意見】
 会議時間の制約により、会議の場で発言できなかった意見については、事務局宛に提出されることとなっていたところ。新田委員より意見提出があったことから、議事録として以下のとおり公表する。
〈番号2 施策目標Ⅲ-5-1について〉
 労働保険料収納率について、事業の経営状況や経済状況によって収納に至らないケースが生じてしまうことは理解している。他方、保険料の納付は法令で規定されている以上、目標としては収納率100%を掲げ、その達成に向けて取り組んでいくべき。
収納に至らないケースを考慮するという観点では、ここ数年間における収納に至らなかったケースを除いた収納率を測定指標として設定することも考えられる。
〈番号29 施策目標Ⅵ-1-2について〉
 合格者数と申請者数のどちらも指標として重要であることに異論はない。しかし、技能検定の知名度を上げ、そもそも申請者が増えなければ、合格者数の増大にはつながらない。どちらも重要な指標という認識であれば、少なくとも両方とも主要な指標として設定すべき。加えて、技能検定は、定められた一定水準以上の者を合格者と認定(相対的ではなく絶対的)しており、時々で大きく合格者数の変動が生じるにもかかわらず、その人数を主要な指標とすることには違和感がある。
 また、2つ目の対応困難な理由として、「雇用保険二事業の事業評価、行政事業レビューにおいても技能検定合格者数を成果を評価するための主要指標としているため、政策評価についても同様とさせていただきたい」と記述されているが、対応困難な理由として適切であるとは思えない。よりよい施策の導入・実施に繋げていくためにも、その時々の状況に応じて、指標の目標値や重要度を不断に見直していくべき。
 同懇談会の委員も務めていることから、次回以降の同懇談会において、上記意見を改めて申しあげたい。