第3回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和5年7月25日(火) 9:30~

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

  1. (1)非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計について
  2. (2)その他

議事

○今野座長 それでは時間ですので、ただいまから第3回公的職業訓練の在り方に関する研究会を開催いたします。議題に入る前に、事務局から連絡があります。
○松村訓練企画室長補佐 おはようございます。まず最初に、今般の人事異動に伴い事務局に交代がありましたので、この場をお借りして御紹介いたします。人材開発統括官の岸本です。
○岸本人材開発統括官 岸本です。よろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 人材開発総務担当参事官の宇野です。
○宇野人材開発総務担当参事官 宇野です。よろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 人材開発政策担当参事官の松瀨です。
○松瀨人材開発政策担当参事官 松瀨でございます。よろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 事務局からは以上です。座長にお返しいたします。
○今野座長 ありがとうございました。最初に開会を宣言するときに忘れていまして、おはようございます、よろしくお願いします。報道の方におかれましては、撮影はここまでとさせてください。
 それでは、早速議事に入ります。前回、大嶋構成員から御報告いただいた内容について御質問がありましたので、それについてお答えを出していただけるということですので、まずそこから入りたいと思います。大嶋さん、よろしくお願いします。
○大嶋構成員 お時間いただきましてありがとうございます。時間も限られておりますので、口頭で申し訳ありませんが、御説明申し上げます。先日、十分御説明できなかった御質問ですが、兵庫県豊岡市の訓練実施事業者の選定と、佐賀県で2つの事業、SamuraiとNinjaがあり、その事業費の違いについてでした。
 最初に、豊岡市の女性向けデジタルマーケティング人材育成事業の実施事業者の選定についてですが、年度によって方式が異なっております。初年度は企画競争入札方式で、翌年度以降は随意契約と聞いております。2年度目以降、方式を変更している背景として、初年度にプロポーザル方式で実施したところ、講座開始時期が8月以降になり、そうなると、5か月のプログラムと2か月のインターンシップを組み込んだときに、年度内に修了するのが難しくなってしまう、あるいは受講された方が実際に働こうとしたときに、保育園の確保のタイミングに間に合うために年度内のできるだけ早いタイミングで実施したほうがいいという事情から、2年度以降は講座を早く開始するという観点から随意契約にしていたとのことです。実際に初年度は8月下旬開始であったものが、2年度目以降は7月上旬開始になっております。
 次に、佐賀県のSAGA Smart SamuraiとSAGA Smart Ninjaの事業費についてです。プログラミング等を一から学ぶSamuraiは4コースで講座時間も長く、企業内でSaaSなどを使って変革を推進する人材を育てるNinjaのほうは、2コースで講座時間が短いにもかかわらず事業費がほぼ同じ理由について御質問をいただきました。こちらですが、講座そのものはSamuraiのほうが確かに長いのですが、Ninjaのほうは実際に企業から派遣されてきた方も多く、その企業の実際の課題に沿って、どのようなツールを使ってどのように問題を解決するのかという立案をするところに非常に力を入れていらっしゃるということで、そのパートをある程度学んだ後の自社プラン作成以降は講座ではないので、講座時間に入っていないということです。ですので、専門家が伴走して綿密なプランを作るようなプログラムであって、講座時間が短いからといって、その事業に係る事業者の負担が少ないというわけではないということでした。
 両事業とも、競争入札方式で別々の事業者が受託しておりますので、事業間での費用のやり取りといったことも一切ないと聞いております。大変貴重な御質問をいただきまして、本当にありがとうございました。
○今野座長 ありがとうございました。何か御質問はありますか。どうぞ。
○櫻庭構成員 東京都の櫻庭です。今のNinjaのほうですが、伴走というのは実際にどれぐらいの時間、どれぐらいの期間をかけてやっているのかを教えていただいてもいいですか。
○大嶋構成員 ありがとうございます。こちらは私も詳しく聞かせていただいたのですが、実際に課題の分析の仕方みたいなところからプランを立てるところまで、企業さんによってかなり課題が異なるということなので、数箇月の期間を設けているのですが、企業さんというか、参加されている方によってもかなり異なるということですので、実際に何箇月と決めてこの中で何時間やるということが、今は申し上げられない状況ではあります。
 ただ、個人で参加するというよりは、企業から複数の方で参加されることを推奨されると聞いておりますので、実際に伴走される時間もそうなのですが、参加されている方同士でディスカッションや議論をされたり、学び合いみたいなことをされている時間も含めると、実際に公式に言われている時間よりも長くなるのではないかと考えられます。
○櫻庭構成員 ありがとうございます。そうすると例えばA社に伴走する方が専属で付いて、複数の社員がいたらまとめて、研修などもしながら、あるソフトを用いて実際に進めていくプログラムを企業によって期間は異なれど、やっているという理解で大丈夫ですか。
○大嶋構成員 そうですね。参加されている事業者の方がどういった方が参加されているのかを見たところ、4、5名の複数の専門家の方がこのプログラムに入っていらっしゃって、その方々がそれぞれの会社や参加者のプランの立案に付いていらっしゃるということです。そのときに、推奨するというか、こういうものを使ったほうがいいというSaaSのサービスみたいなものも最初のほうのプログラムで学ぶような形式になっていて、基本的にはそういったツールを使って学ぶことにはなると思います。
 具体的に見ていくと、例えば個社名を出していいか分からないので控えますが、ある有名な汎用業務支援ツールのマイスターにあたる方も参加されていて、そのツールを使うと何ができるかの紹介も含めてやっていらっしゃるのだろうと思います。
○櫻庭構成員 ありがとうございます。東京都でも似たような事業があるので、参考になればと思い、お聞きいたしました。
○大嶋構成員 ありがとうございます。
○今野座長 そうすると、ベースのところは取りあえずみんな一緒にはやるけれど、そこから先は企業ごとの個別支援みたいな感じですか。
○大嶋構成員 そうですね。
○今野座長 そうなりますよね。
○大嶋構成員 はい。もともと企業の産業DXを進めるということが主目的にあるので、Ninjaのほうは、その意味では企業の中で産業DXを進める人材を育てるという内容になっており、この研究会で対象としている非正規の方とは少しターゲットが異なるのかなとは思います。
○今野座長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、次にいきたいと思います。今日は、これまでの議論の取りまとめということで、お手元にも報告書(案)が出ていますので、それを巡って議論をしたいと思います。
 それでは、事務局から報告書(案)について説明をいただいてから議論をいたします。よろしくお願いします。
○鶴谷訓練企画室長 おはようございます。訓練企画室の鶴谷です。お手元の資料の2ページ、資料1を御覧ください。第1回、第2回の研究会の御議論を踏まえて、今回事務局からとりまとめ案を御提示させていただいております。働きながらでも学びやすい訓練の具体的な制度設計に関するとりまとめ案です。
 まず、現状についてです。昨今の人口減少やデジタルトランスフォーメーションなどの経済関係の急速かつ広範な変化に直面し、労働者に求められる能力やスキルの範囲もこれまでの範囲を超えるものが必要となってきております。こうした経済・社会環境の変化に対応していくためには、これまでのOJTに頼るだけではなくて、OFF-JTや自己啓発支援を大幅に充実・強化することが必要となっております。しかしながら、「能力開発基本調査」によれば、正社員に対してのOFF-JTは事業所の中でも結構行われているのですが、正社員以外の方に関しては能力開発機会は少ない状況にあります。
 また、公的職業訓練に振り返りますと、在職者向けの訓練はありますが、企業が受講を申し込むスタイルでして、労働者が自ら希望して受講できるような仕組みとはなっていない状況です。また、自主的に受講できる離職者向けの訓練はありますが、非正規の方でも受講しやすいように短時間・短期間の特例措置を講じているものの、実際に受講されている在職者割合を調べますと、想定ほど高くはなかったという状況です。
 2ページの下側、課題を御覧ください。離職者訓練が非正規の方に利用されなかった要因としては、平日昼間、決まった時間の受講が基本であることが要因の1つと考えられます。3ページを御覧ください。このため、公的職業訓練において、非正規労働者、在職者の方でも、働きながらでも学びやすい仕組みを構築することが必要ですので、研究会において具体的な制度設計について検討を行っていただきました。
 3ページ、具体的な制度検討のうち、(1)は先行事例です。第2回の研究会で御説明いただきました兵庫県豊岡市、それから佐賀県、4ページ下側から東京都、5ページの高齢・障害・求職者雇用支援機構で実施されました在職者訓練について、概略をまとめて掲載させていただいております。
 5ページの(2)を御覧ください。研究会で御議論いただきました職業訓練の具体的な制度設計についてです。この研究会においては、働きながらでも学びやすい訓練ということで、4つの視点から検討をいただきました。視点の1つ目は受講の対象者層、到達すべき水準、成果指標です。2点目が「働きながらでも学びやすい」という訓練コースの工夫についてです。3点目は訓練期間の選定方法になります。4点目は周知方法や受講申込みの方法です。
 続いて、6ページを御覧ください。最初の視点のうち、対象者と到達すべき水準についてです。対象者となるであろうゾーンと到達すべき水準について、表で整理させていただきました。①が非正規の方、正社員以外の方です。②と③が正社員の方です。
 まず、①の方ですが、非正規だけれども現職で正社員化を目指す方、あるいは現職とは異なる職種で正社員化を目指す方です。こうした方々については、正社員化を目指すということですので、通常の離職者向けの公的職業訓練と同様のレベル感の訓練が必要と考えられます。ただ、こうした方々は、表の下側にもありますとおり、例えば先ほど申し上げました離職者向けの訓練を受講しようとすると、平日昼間の時間の受講しかできない仕組みになっているので、時間的制約で受けられないであるとか、雇用保険被保険者を対象とした教育訓練給付制度もなかなか利用できないということで、受けられる支援が少ない状況です。
 片や、②③の正社員の方々です。②の正社員で現状の職場の中で更なる高度な人材を目指す方、あるいは③の正社員の方で現職とは異なる職種で正社員として就職又は異動を目指す方です。②の方でしたら、企業内での人材育成が期待できる上に、教育訓練給付制度も支援制度として整備されている状況です。③の方々についても、離職することが前提であれば公的職業訓練が受講できますし、そうでなくても教育訓練給付制度が整備されている状況です。ということで、表の下の3つ目の○なのですが、今回検討いただいている職業訓練については、離職者向け公的職業訓練と同レベルの訓練を非正規の方々で在職中に受講できる仕組みとすることがよいのではないかとまとめさせていただきました。
 6ページ下側のbの成果指標を御覧ください。2つ目の○ですが、今回は対象が在職者の方々ですので、必ずしも転職するということではありません。現職でのキャリアアップのケースも十分に考えられます。このため、職業訓練の効果を図る客観的な成果指標としては、就職されたという就職率のほかに、正規雇用労働者へ転換した割合、7ページの上ですが、賃金水準向上の状況を追加することが考えられるとさせていただきました。ただし、皆様からも御意見をいただきましたように、正規雇用労働者への転換割合や賃金水準向上の状況というのは把握に一定の時間を要することから、短期的に成果を把握する工夫が必要と考えられます。
 また、次の○ですが、ウェルビーイングの観点など、多角的評価も有益と考えられますので、職業訓練受講により仕事に対する意欲が向上したであるとか、キャリアに関する目標が明確化したなど、受講者の主観的評価の導入も検討すべきというようにまとめさせていただきました。
 次の②「働きながらでも学びやすい」という特性を踏まえた訓練コースの工夫についてです。まず、訓練の手法と受講日程です。働きながらでも学びやすいという訓練は、在職中の方が勤務時間外に受講することを念頭に置いていることや、非正規の方々ですと勤務曜日や時間が多様であったり不定であったりすることを踏まえた訓練日程にすることが適当であるということです。具体的には毎日の受講を求めないなど、通所日の設定の思い切った柔軟化や、通所が不要なオンライン訓練、時間が自由に選択できるオンデマンドのeラーニングの利用を認めることが考えられます。
 それから、訓練の達成に向けた必要な訓練時間を確保する必要がありますので、通所日の設定の柔軟化などと併せて、訓練が受講できる期間、受講可能期間は数箇月に設定するなどの長期化も認めることが適当というようにまとめさせていただきました。
 次のbを御覧ください。受講継続等の工夫についてです。働きながら学ぶということですので、訓練効果を高めるためには、通常の離職者向けの訓練よりもきめ細かな受講継続勧奨や知識習得の度合の確認が必要です。このため、先行事例でもいろいろと御紹介いただいたことを参考に、例えば①スクーリング機会の設定やオンラインでのビジネスチャットの活用などにより、受講者同士や受講者と講師間のコミュニケーション機会を提供すること、②学習支援者を配置して、受講継続勧奨や知識の習得度合の確認を実施すること、③キャリアコンサルタントを配置して、将来のキャリアに関する相談を実施すること、④受講訓練開始前の説明会などで受講のミスマッチを防止することなどを盛り込むことが適当とまとめさせていただきました。
 続いて、下のcの受講費用についてです。今回検討いただいている訓練の対象は非正規の方ですので、その特性から無料又は低廉な費用負担とすることが求められます。一方で、現行の公的職業訓練では、離職者向けの訓練以外は有料となっていることを踏まえる必要があるとまとめさせていただきました。
 8ページを御覧ください。訓練機関又は訓練コースの選定方法です。これまで御説明いたしましたように、今回考えている訓練は、多様な訓練分野を柔軟な手法や日程で提供する必要がありますので、公的施設ではなくて、民間の職業訓練実施機関を実施主体とすることが適当とまとめさせていただきました。訓練機関の選定に当たっては、訓練の質の担保の観点からも、現在行われているような「都道府県による委託または独立行政法人による認定」という方法も参考にすべきとさせていただいております。
 ④対象となる方への周知方法と受講申込方法についてです。まず最初に、周知と受講勧奨です。今回考えている訓練の対象者は転職希望者とは限らないことから、必ずしもハローワークで補足できるわけではありませんので、周知自体は職業訓練実施機関に委ねることが考えられます。他方で、複数の実施機関がそれぞれで周知を行うと、受講希望者の方に混乱を与えたり、あるいは費用対効果の低下につながるおそれもありますので、総括機能を有する機関で一括して行うことも考えられるとさせていただきました。
 また、周知方法に関しては、先行事例で幾つか御紹介いただき、その中でも特にインターネット広告やSNSが有効であったというお話もありましたので、そういったものの活用や、そのほかに団体や職業別ネットワーク、自治体、それから事業主を通じた受講勧奨も可能かどうかということも検討すべきと書かせていただいております。
 最後の○ですが、訓練の前に訓練受講の動機付けを高める取組や、将来のキャリアや向上すべきスキルが分からないという方もいらっしゃいますので、そういった方に対応した相談支援も有効であるとさせていただいております。また、その際にはジョブ・カードの活用も効果的に訓練の受講を促すことにつながりますので、一案と書かせていただきました。
 次に受講申込みについてです。こちらも、必ずしも転職希望の方とは限りませんので、受講者本人が職業訓練実施機関に直接申し込むことが考えられるとまとめさせていただきました。
 9ページを御覧ください。最後にⅣということで、試行事業の実施の必要性をまとめております。今回御検討いただいている在職者向けの職業訓練はこれまでにない新しいものですので、皆様に御検討いただきました事項を踏まえて、試行事業として実施すべきとさせていただきました。その際には、適切な制度設計につなげる観点から、先行事例で紹介された取組を参考に、多様な手法等で実施すべきとしております。
 例えば、まず成果指標ですが、就職率や正規雇用労働者への転換割合、賃金水準の向上の状況などの客観的指標の把握等、受講者の主観的評価の把握を必須とすること。
 実施手法ですが、複数の手法を同時並行で実施し、どういった訓練手法がより効果的か比較分析できるようにすること。こちらの例として、受講継続に効果的なスクーリングを取り入れた訓練と、受講の場所を問わないオンライン訓練、時間を自由に選択できるオンデマンドのeラーニング、これらを効果的に組み合わせた多様な実施手法と、それぞれで適切な日程・受講可能時間を設定するという方法をいろいろ試しまして、比較分析できるようにすることを念頭にまとめさせていただきました。
 職業訓練の分野です。企業ニーズや受講者ニーズを踏まえることはもちろんのこと、オンラインによる実施も考えられますので、オンラインによる実施手法とも親和性があると考えられる分野を複数実施することとさせていただきました。
 受講継続支援ですが、受講者同士のコミュニケーション機会の提供、受講継続勧奨や学習支援を実施する支援者の配置、将来のキャリアに関する相談を必須とすることとさせていただきました。
 最後に、試行事業の進捗状況や結果については、研究会に報告すべきとまとめさせていただきました。資料については以上です。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、この報告書(案)について、今日は自由に議論をさせていただきたいと思うのですが、どこでもどうぞと言って議論をするのも何ですので、前半戦と後半戦に分けようかなと思います。前半戦は「現状と課題」がメインですが、それとともに3番目の先行事例の所ぐらいまでを前半戦で議論して、後半戦は5ページの下の(2)以降、つまり具体的な制度設計の部分を後半戦とさせていただいて議論をしたいと思います。
 それでは、まず前半で、「現状」、「課題」、「先行事例」について御意見をいただければと思います。黒澤さん、どうぞ。
○黒澤構成員 すみません、これは事前に御説明いただいたときに申し上げたことですが、現状のところ、OFF-JTがもっと必要だよね、でも正社員に比べて非正社員が少ないよね、だから支援しないといけないという流れになっています。しかし少ないから支援しないといけないというのではなく、やはり公的に介入しているわけですから、その理論的根拠のようなものをもう少し前面に出したほうがいいのではないかなという気がしております。
 それはどういうことかというと、1つは資金制約に直面していること、2つは、労働市場や訓練市場の情報の不完全性、不確実性があるということです。
 1点目の訓練の資金制約というのはどういうことかというと、自分が訓練を受けることによって、自分の人的資本のレベルが高くなり生涯賃金が高まるのだけれども、それを担保に訓練費用を借り入れるというのは無理なわけです。資本市場は不完全だし、モラルハザードが起こるし。しかもそれは未熟練、つまり非正社員により生じやすいわけです。特に最賃の対象者の場合、訓練を受けている間に低い賃金を受けることによって、訓練費用を負担するということさえも無理なわけですよね。そのように考えると、やはり未熟練な労働者にほど、訓練資金を支援してあげる理論的根拠が大きいということだと思います。
 それに加えて、2番目の不完全性や不確実性、これはどういうことかというと、訓練の成果や訓練プログラムについての情報が分からないということです。これは能力開発基本調査の結果にも出てきていることですけれども、たとえばどこでどういうことを学べばよいか分からない、そういう状況ではやはり訓練が過小になってしまうということです、効率性の観点から見て。しかもそれは不安定就労の方にとってより大きな問題になります。なぜなら事業者によるアドバイスや指導がないわけですから、自分ではますます分からない状態になる。だからこそ、先ほどのような事前のコンサルが必要だよねということにつながっていく。その人の適正とか労働市場のニーズを踏まえたコンサルをすることによって、自分に合う訓練が何なのかという情報を得ることができるということです。それから、訓練修了後のジョブ・カードの話がありましたけれども、それも訓練でせっかく身に付けてもそれが労働市場でどのように評価されるか分からないという不確実性を、スキルの市場での見える化を通して下げるということにつながります。すなわち、最初にこのような理論的前段を書いておけば、後半のほうで、では実際にこういう内容をこのスキームの中で補完的サービスとして入れ込みますという時の理論的根拠にもなるわけです。なので、そういった方向性があっていいのかなと思いました。以上です。
○今野座長 どうですか、何かありますか。言い方が難しいのですが、もう少し格調高く作ろうというか、多分もともと非正規の人が働きながら学ぶ機会を作ろうということが考えられているので、記述がすごくそちら側に引っ張られて、全体的にハウツーが多くなってしまっている。しかし、大切なことはそれがなぜ必要かということですね。ですから、非正規の労働者に対してなぜサポートが必要なのかということと、もう1つ実はあって、それが必要なのだといったときに、それをどのような方法で行うのが効果的かということが課題になります。後者の課題に応えるにはいろいろな方法がある中で、どの方法がいいのかについてもう少し記述を膨らませるといい。ですから、現状と課題の中では、非正規をサポートしなければいけないのだと、しかも働きながら受けられるようにしてあげなければいけないのだということを宣言するというのが重要な点かなと思うのです。
 ここで「なぜ」、「誰を」、「どのように」を決めてしまえば、そこから先はハウツーの問題になるということです。すると、それを決めれば、これは少し私の切り分けからすると越境しているのですが、6ページの①の表が要らないのです。これがもっと前に来なければいけないのですよね。そうすれば、黒澤さんが言われたように、そこから先は淡々と制度の設計に入っていけばいいということなのだと私もちょっと思いましたので、追加で意見を言わせていただきました。
 何かありますか。これから修正するので、お聞きしておきます。何かコメントがあればどうぞ。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。修正はするつもりではあるのですが、確かに最初の現状や課題は、能力開発機会が非正規の方は少ないということと、時間的制約に関しての観点でしか書いておらず、でも、皆様方からの御意見をいただいた具体的な制度設計ですと、時間軸や機会の提供以外のことも結構含まれているので、つながってないところも確かにあるかなと思います。御指摘のように、「現状」、「課題」の辺りを少し違う観点も入れて膨らませてみようかなと思います。以上です。
○今野座長 何かあれですよね。さらっと見ても、この課題についての記述が短いという感じですよね。普通、課題を明確にしてから、それに対応した制度設計をするので、課題の記述が短いなと思いました。ほかにいかがですか。どうぞ。
○武石構成員 ありがとうございます。今野座長がおっしゃった非正規のいろいろな課題というのを整理するのと同時に、非正規の方の能力開発が社会的にもすごく重要で、この方たちの能力が上がることが、日本全体の個人的資本の上昇や賃金が上がっていくということにつながるということがあります。つまり、非正規自身のメリットもあるのですが、それがひいては社会全体の経済に大変貢献するということを、きちんと書いておく必要があるのかなということは付け加えさせていただきたいと思いました。
 それから、①~③がもっと前にないと、何か同じ議論を繰り返している気がするので、これは今野座長と同意見であります。少しこれも越境してしまうのですが、具体的な設計の中で、この人たちはどんな訓練をするのかという内容についての記述が全然なくて、最後の試行事業の所で初めて出てくるのです。けれども、この人たちがどういうところの能力が今求められていているのか、という点を踏まえた内容の記述が必要だと思います。「現状」、「課題」の所でDXの話などはあるのですけれども、その後この人たちにどんな訓練をするのかというのが一切なくて、最後の試行の所で出てくるので、今どういう能力が求められているのかという辺りの整理も、「課題」でもいいのですが、そういうところで必要なのではないかと思いました。
 少し細かいのですが、2つ目のパラグラフで現状のデータが書いてあるのですが、非正規の方は自己啓発も少ないと思うので、この辺りのデータも補足しておくといいのではないかと思いました。以上です。
○今野座長 はい、どうぞ。
○櫻庭構成員 先ほど越境みたいな話が出ていまして、対象が前のほうに来るのであれば解決する話かもしれませんが、教育訓練給付金についてです。公的職業訓練の枠組みとは少し違う制度ではありながら、現状、皆様がスキルアップをするための制度の1つとしてはあると思うのです。ただ、今回、我々が支援をしようとしている非正規労働者の方というのは、時間的な制約と経済的な制約、その双方があってなかなかスキルアップができないという方々であると思うので、教育訓練給付制度というすばらしい制度がありながら、経済的な理由などから利用も難しいというのも、この「現状」、「課題」の後に入れていただくとよりいいかなと、私としては思います。以上です。
○今野座長 今、御議論の中でありましたが、非正社員の方には時間的制約と金銭的制約があるということですが、何かほかにもあるのではないか。ちょっと何と言っていいか分からないけど、今後どうやって働いていこうかを考えることができない制約とか、何かそれが大きいのではないかと思うのです。ここでは一貫して非正規の人をどうやって訓練の場に持ってくるのかということが非常に重要だということが議論されてきたと思いますが、それを非正規の人の立場で考えると、将来どうやって食っていこうかとか、どうやってキャリアを伸ばそうかということを思わなければ一歩を踏み出せないので、それを思わなくていい制約みたいなものが、何かいい言葉で表現できないのですが、そういう制約もあるのではないかということです。
 それは、黒澤さんが情報制約、つまりどこに行ったら訓練を受けられるかが分からないという制約があるかということに触れましたが、それは意図を持って動いたときの制約で、意図を作ることがなかなかできない制約みたいなのがあるのではないかと思うのです。どうぞ。
○黒澤構成員 それは私も言わなければいけなかったし、お伝えしたつもりだったのですが、すみません、言葉足らずで。それもとても重要な、いわゆる知る仕組み、知らせる仕組みの話です。すなわち、非正社員の方々は、あなたのキャリアにおいてどういうスキルが必要なのだということを知らされていない人たちなわけですよね。なので、その企業で働き続けるにせよ、職種転換するにせよ、それはいろいろあるのでしょうけれども、いずれにせよ何をやってよいか全く分からないし、知らされていない。今この労働市場ではこういうことを学ぶと仕事を得やすいんだよということや、この業種でやっていくにはこういうスキルアップをすればいいんだよみたいなことが、全く知らされてない人たちなのです。
 しかしながら、問題は、非正社員の方々が訓練を受けたりスキルアップをしても、統計的に検証すると、それが正社員に比べて賃金アップに反映されてない状態があるということです。ターンオーバーが激しい企業であればあるほど、非正社員にOFF-JTをやっているけれども、それが評価されていないということは、つまり非正社員の方々のスキルアップには大きな外部性があるということになります。つまり訓練を受けている人の賃金のアップや昇進にはなかなか結び付かない、その人が辞めて労働市場に入ったとしても、その人の習得したスキルの向上は評価されず、その人に返ってこないのです。だからこそ、そこを支援してあげなくてはいけないという根拠でもあるので、その部分は非常に重要だと思います。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。第2回の研究会のときに能力開発基本調査をお出しさせていただきまして、そのときに自己啓発の数字を幾つか御紹介させていただいています。自己啓発を行った方による「自己啓発を行う上での問題点」という数字がありまして、その中をみますと、問題だと考えている方が一番多いのは、「仕事が忙しくて自己啓発に余裕がない」という時間的制約の問題で、その次に非正規の方で多いのは、「家事・育児で自己啓発の余裕がない」という時間軸の問題がまずあります。その次に多いものは、費用がかかるということで費用面の問題なのですが、この次として多いのが、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切か分からない」と「自分の目指すべきキャリアが分からない」という、自己理解面での不足というのがまず1つあります。
 あと、少し順位は下がるのですが、「適当な教育訓練機関が見つからない」とか、「コース等の情報が得にくい」など、情報へのアクセスなのかもしれませんが、こうした問題がありまして、確かに時間や費用以外にも様々な問題があるというのは数字としても出ているところです。以上です。
○今野座長 すると、そういうことを上手に整理をして膨らませて、この課題を含む部分を膨らませればいいのですね。そうすると、以降の制度設計でずっと対応していけると思います。それと今、黒澤さんが言われたことで、知らせる仕組みなども、やはり正社員に比べて非正社員はチャンスが少ないというのも入れておけばいいと思うのです。ほかにいかがでしょうか。どうですか。もう言いたいことは言いましたか。今の部分でも事務局は大変ですよね。御苦労さまです。多分、修正するのは前半のほうが大変で、後半はハウツーになってくるので比較的に楽だと思います。
 では、後半に行きましょうか。そしてまた、全体で戻りますので。では後半で、実際の制度設計上のことで御意見をいただければと思います。ページで言うと、5ページ(2)以降になります。どうぞ。
 では、私からいいですか。既に言ったことですが、6ページに先ほどの表があって、ここで非正規だと宣言をして、成果指標以降ずっと書いてある。これを読んだときに、成果指標以降の話というのは、非正社員が学びながら働くためのことなのか、一般的な働きながら学ぶことなのかがぼわっとしているのです。これは、書いているほうはどちらをイメージしていますか。つまり、非正規に限定して書いているのか、一般で書いているのか、どうですか。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。どちらかというと、非正規の方を念頭に置いて書かせていただいております。
○今野座長 ということは、やはり6ページの表の内容を前に持っていって、今回は非正規で働きながら学ぶぞというところだと宣言をしておいたほうがいいですね。そのほうがすっきりして読めると思います。それでは、どうぞ。
○武石構成員 1つは、検討のときにきちんと議論していないので後出しなのですが、内容的なことはきちんと(2)で書いておいて、試行事業で初めて出てくるという形ではないほうがよいというのが1つです。
 それから、書き方というか、何とかすべきであるとか、何とかが適当であるとか、この辺りの表現をどうするかなというのを悩みながら考えています。例えば、私が重要だと思っているのが、7ページの②のb、向上等に向けた工夫です。先行事例も参考にということで、①②③④とあるのですが、例えば④の訓練開始前の説明会というのは、今回、遠隔とかオンラインがベースになるとするとすごく重要だと思っていまして、ここで訓練の意味とか、途中こういうサポートがあるよとか、きちんと説明しなければいけないと思うのです。ここの一文が事例の紹介で、最後に「適当である」となっているのですが、もう少し説明会とか重要なものを、こういうことはやるべきであるというように、きちんと書き込んでいったほうがいいのかなというのがあって、まずこの説明会というのがとても重要だと思いました。
 そういう意味で幾つかあるのが、8ページの周知の方法です。8ページ、④のaの4つ目の○ですが、「周知の方法については、先行事例によれば」と書いてあるのですが、この辺りも「周知とすべきである」となっていまして、すべきであるだからいいのですが、多分こういうことは必ずやらなければいけないことだと思うので、周知とすべきである、とすべきだし、次の事業主を通じた「受講勧奨」というと言いすぎかもしれないのですけれども、在職者に対して、非正規の方でも自分の社員の能力が上がるということは、事業主にとってもメリットがあるわけで、事業主を通じたこういう周知というのも非常に有効だと思います。「検討すべきである」というような書き方だと、ちょっと弱いかなという印象を持ちました。
 次の○の所にも、ジョブ・カードの活用というのが出てくるのですが、これも「一案である」になっているのです。ジョブ・カードはすごく有効だと思うので、もっときちんと位置付けてもいいのではないかなと考えると、何となく全体に、検討すべきであるとか、適当であるとか、一案であるというのを、もう少し格上げしてもいいと思うのが幾つかあったという、そのような印象です。
○今野座長 平たく言うと弱気すぎる、もう少し強気でいけ、そういうことですね。
○黒澤構成員 今の武石先生のお話への追加と、私が先ほど申し上げたことにも関わるのですが、先行事例でこうだったからこうしたほうがよいというだけではなくて、やはり理論的にもこれは補完的に効果を高めるのだからやったほうがよいということをもう少し区分けして、強調すべき所はより強調した形で書いていただけると大変有り難いなと思います。
 もう1つの点は8ページの周知方法です。私も東京都さんのとか、いろいろ拝見させていただきました。今回の東京都さんのは、SNSとかインターネットの形が主ですよね。そうすると、それを介してこういう訓練スキームがあると知った人はアクセスできるのですが、知らない人はかなりわかりにくい。東京都民だったらまず大体は都のホームページに行くわけです。そこで、働くという所をクリックすると、在職者と離職者となっています。その場合、非正社員はどちらをクリックすればよいのか非常に分かりにくいと思いました。今回は確か在職者の所にあるのですよね。それで、在職者の所をクリックしたのです、今回のオンラインのスキームというのがパッと見つかりませんでした。非常に小さい字でしごとセンターのHPに飛んで、そこでもまた小さい字でちょこっと書いてあって、やっと行きついたという感じなのです。
 本当に情報のない非正規で働く人たちが、何か公的な支援がないかなと探し始めてもアクセスしやすい形での周知の方法というのを、もちろんインターネット広告やSNSでも結構ですが、それも併せて御検討いただけるとよいかなと思いました。よろしくお願いいたします。
○櫻庭構成員 東京都のものを御覧いただいて、ありがとうございます。ホームページについては引き続き改善に努めていきます。
○今野座長 先ほどの武石さんと黒澤さんのお二人の弱気ではなくて強気でいけというような話は、こうしたらどうですかね。取りあえず私の案ですが、5ページの(2)以降が制度設計ですよね。この制度設計がどこから始まるかというのがすごく弱いので、前の事例紹介が大きな3でしたから、ここから4にして、先行事例を考えるとこのようにしたほうがいいのだとここで宣言してしまえば、後半の文中で「先行事例によると」とか、何か弱気な「一案である」とかというのを全部落とせるのではないかと思うのです。
 もう一度言うと、一番最初に理論的なこととか、先行事例のいろいろな経験を踏まえると、ここで言うと4つの観点ですが、次のような4つの観点から見たときにこういう制度にすべきである、したほうがいいとかと宣言してしまって、そこから先は比較的強気に書くというようにすればうまくいくかなと思いましたので、参考にしていただければと思います。
○宇野人材開発総務担当参事官 ちょっと横からなのですが、今回、御指摘のとおり、比較的弱気な部分と強気な部分が混在していまして、そこの辺りは、事務局としては最後、この立て付けを試行するということにすると、どうしても試行に対しては複数回していく中で比較しながらまたこの研究会で報告するとなると、はじめに試行として最低限縛っておくところと、実際に試行してみて、ちょっと見た上で決めましょうというところと、幾つかバリエーションがあるのかなと思っています。ですので、各先生方の御意見を承りながら、事務局としても、今の座長の御指摘のとおりというか、そのとおりにしつつも、その辺の試行として幾つか比較して今後決めていく内容と、試行するに当たってもある程度、最低限ここは必須としてあるべきだよねというところと、そこは強弱を分けさせていただきたいというのが事務局の希望でございます。
○今野座長 でも、少なくとも「先行事例によると」というようなものは要らないですよね。それは最終案を作るときに上手にやってよということですね。大嶋さん、どうぞ。
○大嶋構成員 私からは、少しHOWの話になってしまうのですが、成果指標の所をまず少しだけ申し上げたいと思います。成果指標は、このプログラム、事業を通じて働く人に何を実現して欲しいのかのメッセージとなる部分であり、個人的には非常に重要だと考えています。今、就職率のほかに、正規雇用者への転換割合、賃金水準の向上等を追加するとしたうえで、それ以外に、短期的に成果を把握する工夫が必要であると書いてあるのですが、もう少しどうなってほしいのかというようなことを、非正規雇用者の方がキャリアアップしていくプロセスで起きることを念頭に例示してもいいのではないかと私自身は考えています。
 例えば、正規雇用者にいきなり転換する方というよりは、一度契約社員になっていくというようなプロセスもあるでしょうし、仕事の幅が広がるとか、労働時間が増えるとか、学んだことを使って仕事をしているとか、そういったことも起きてくるのだと思います。それを通じて次のプロセスが始まっていくということが実際にはあると思いますので、成果指標の所をもう少し詳しくするというのが1つあるのではないかと思っています。
 費用の話を、今しても大丈夫でしょうか。費用についてですが、仕事を通じた人材育成の機会が少ない方々が対象であり、費用負担を極力下げるということについては、一定の合理性があると考えています。今事例をどう見るかという話が今あったばかりですが、無料でも就業率を高く保つ方法があるということは、ご紹介した地方自治体の事例を見ても分かっていることかと思います。一方で、一定の負担をしても受講したい人をある程度選抜していくという中で、例えば教材費のみを徴収している自治体の例もありますので、そういったやり方をすることで、完全に興味だけで申込みだけをしてしまうというようなことを防ぐ方法もあり得るのではないかなと思います。
 もう1つ、周知についてなのですが、いろいろな調査で日本人は自己学習の習慣がないということが分かってきており、特に企業経由で、何か昇進の機会だったり、学んだことが役立つ機会が見えたとき、あるいはOJT、OFF-JTの機会を提供したときに自己学習が増えるということが、私が所属しているワークス研究所のパネル調査からも分かってきています。そういった機会がない、少ない非正規雇用者の方々が受け身でもその機会を知るような、SNS等を通じたレコメンド的な、SNSを通じたアウトリーチに近い形での周知というのは非常に重要かなと思っています。
 私も、SNSを通じて個人にリーチする方法というのを個人的に模索したことがあるのですが、やはり専門家の方がSNSでどのように周知するかについてすごく知見を持っていらっしゃいますので、可能であれば専門家をきちんと活用して、どうやって周知していくのかというところを、この事業はトライアルという意味もあると思いますので、是非試行錯誤していただきたいです。例えば、イラストを活用したり、漫画を活用したり、様々な工夫やノウハウ、それから最初の3回の投稿の反応を見てメッセージを変えていくような柔軟な対応もSNSではできるところが強みですので、そういったこれまでにない周知の在り方というのを、この事業では是非工夫していただければなと思います。これは、報告書にそこまで細かく盛り込む内容ではないかもしれませんが、申し上げておきたかったのでお伝えをさせていただきました。
○今野座長 今、大嶋さんが言われた前半では、周知するときに一種の介入型周知、リコメンドをするとおっしゃっていたのですが、これについて、東京都は経験的にどうですか。
○櫻庭構成員 東京都もSNSとか、ターゲットを絞った形で広報をさせていただいておりますので、一定程度効果はあるかなと思います。やはり趣向とか検索履歴に基づいたりしながら広告が出せるというところはいいかなと思っていますので、おっしゃるとおり、効果はあるかなと思います。
 ちなみに、今のお話を伺って思ったのが、広報の手法をいろいろと検討している中で、専門家の活用というのは非常にいいと思います。我々も、事業を実施する際は、委託事業者がいて、その委託事業者が広報部門を専門で持っていたり、若しくは広報を更に再委託しているという事例もあります。それをやりながら、どういうキーワード検索が引っ掛かる、引っ掛からないというのを検証しながら、試行錯誤してバージョンアップしているところもありますので、おっしゃるとおり、検証しながらやっていけばいいのかなと思ったところです。
○今野座長 今、大嶋さんが言われたのは、不特定多数の非正規の人がいたときに、まずどうやってつながろうかという話ですよね。それはSNSなどを使った周知だと思うのですが、つながった後に頑張れよでもいいし、こういう訓練をしたらどうですかとかというような、一種の相談機能とか支援機能のようなものも必要だと大嶋さんは言ったのかなと思って聞いていたのです。もしそうだとすると、その辺については東京都はどうしているのかなと思ったのです。
○櫻庭構成員 相談機能については、例えばインターネットで募集しているものだと、最初の説明会の後や申込みの時点で相談機能を持たせています。インターネット以外でも、我々が直営でやっている就労支援機関があって、そこに来た人は、最初にキャリアカウンセリングをするというのがありますので、そこで必ず話を聞いて促すというか、こういうスキルが向いているのではないですかというのは、入口で必ずやるようにはしています。
○今野座長 今の点については、既に書いてありますか。どうですか。
○鶴谷訓練企画室長 今の点はそこまで書き切れていないので、報告書に書けるかどうかも含めて検討いたしますが、実際にやるときは、もちろん参考にさせていただきたいと思います。
○櫻庭構成員 恐らく「受講継続や受講効果の向上に向けた工夫」の所で、キャリアコンサルタントを配置したりとかというのを既に書いていただいていると思うのですが、これを、要は訓練が終わった後だけではなくて、最初の所で活用していただければいいだけかなと思います。
○鶴谷訓練企画室長 そういう意味では、周知という点では書いてはいないのですが、訓練開始前の相談とか、訓練実施中の相談とかはもちろん書き込んであるつもりです。
○今野座長 今の点については、8ページの④の「周知方法、受講申込方法」、この辺ですよね。ちょっと思ったのですが、いいですか。受講申込方法みたいなハウツーが前面に出て、今言ったようなことが少し後ろに引っ込んでいるタイトルになっていますよね。ですから、この中を見ると、先ほど大嶋さんが言われたアクセスするというのと、アクセスした後も頑張れよとか、サポートするぞというようなこと、ここでは受講勧奨とか動機付けとかと書いてあるのですが、これが重要だという話ですよね。だから、何かそこをもう少し前に出すようなタイトルにしてあげたほうがいいかなとちょっと思いました。その割には、ハウツーの申込方法のようなものがタイトルに載っていると思いましたので、これは内容というか、書き方の問題だと思います。ほかにいかがでしょうか。
○櫻庭構成員 今の動機付けのお話で、動機付けは多分、実際はものすごく難しい問題だなと思っています。どこまで対象にするかというのはあると思うのですが、今回の事業は漠然とスキルアップしたいという人が、自分でインターネットで検索して、インターネット検索でちゃんと出てきて、事業を見ると、ここに行けばいいのだなと思えるようにしておくのはいいかなと思っています。世間一般の人全員にスキルアップをしようというような機運醸成というのができれば、もちろんいいとは思うのですが、その動機付けのところというか、0を1にしようとするところまでをこの事業でやろうとすると、それはそれで非常に困難な話かなと思います。そこは、社会全体のリスキリング機運の醸成という別の観点と、やりたい人を支援するというのは、切り分けて事業の設計をしたほうがいいかなとは思います。
○今野座長 ちょっと質問をいいですか。私もそのとおりだと思いますが、そうすると、ターゲットゾーンはどうやって決めるのですか。つまり、ターゲット層を決めてそこに集中的にアクセスするという、そういうSNSの使い方をしようという話ですよね。
○櫻庭構成員 ターゲットは、例えば資格取得とか正社員化とかで検索した人に届くようにすればいいのであって、純粋な非正規全部ではなくてというのがいいかなと思います。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○大嶋構成員 昨年、私が所属する研究所のほうで、全国1万人の就業者と就業希望者を対象に、ITデジタル領域の学びを希望するか、関心があるかどうか、実際に学んでいるかの調査を行ったところ、非正規の人も含めて就業者の4割ぐらいの方が、デジタル領域の学びに関心があると答えていらっしゃる一方で、実際に学んでいらっしゃる方は、ウエイトの調整をしていない数字で恐縮ですが、4%ぐらいしかいないという状況にありました。ですので、非正規の方も含めて、学びに関心がある方はたくさんいるけれども、実際にどう始めていいか分からないとか、過去に少し学んだがやめてしまっているような人が非常に多い状況かと思います。
 ここで申し上げたいのは、先ほど言及のあったもともと学びに関心がある人をターゲットにすることでいいのではないかということ、実はその人たちは結構たくさんいて、それでも動けない状態にあるので、そうした設定はデータから見てもすごく合理的ではないかということを補足させていただければと思います。
○今野座長 そうしますと、今のお二人の話を聞いていますと、今回の試行は、もちろん訓練、それ自体になりますよね。訓練内容をどうするかとか、あるいは受講時間の柔軟性をどう作り込むかとか、それは1つ重要ですが、9ページの「試行事業の実施の必要性」ということで、そういうことがずっと書いてありまして、それと共にどういうふうに周知方法を作ったらいいのかとか、あるいはどうやって受講を支援したらいいのかとか、お二人の意見は、そういう入口の所の試行もやったほうがいいのではないかということかと思うのですが。ということは、9ページ目に入れてという話なのですが。
○櫻庭構成員 我々は、いつもいろいろなことを試しながら、徐々に効果が高いほうにどんどん絞っていますのでいいと思います。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。周知について、確かに9ページの所に書いていなかったので、その点は工夫して書かせていただきます。
○宮地構成員 今までのお話をお聞きしてなのですが、講座の実施方法、周知を含めてネットのほうに偏っている気がしているのです。実際、私は女性キャリアセンターの方とよくお話をする機会があるのですが、結構有効なのが、その女性の生活圏で配布している自治体の広報誌や、そういったものでの周知が、実際に来て受講してくださる方をキャッチするという意味では、ネットよりも、ある意味非常にキャッチ率が高いということを聞いているのです。
 もちろんネットは非常に重要だとは思うのですが、ある程度想定されるターゲットの方が生活しておられる生活圏で、既存の信頼性のある手段として流通している周知手段を使っていくことも、デジタルデバイドを引き起こさないという意味でも、ポリシーとしては書いておく必要があるのではないかと思います。
○今野座長 どうですか。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。先日の大嶋様からの事例でも、確か自治体の県民だよりなどが有効というお話もございましたので、その点も踏まえて考えさせていただきます。
○今野座長 もし、そういう紙媒体みたいなものでやるとすると、対象地域を限定しなければ実施できませんよね。そういうことにはなりますよね。全国に配布するわけにはいかないでしょう。
○鶴谷訓練企画室長 Ⅳの「試行事業の実施の必要性」の実施手法等の所にも書かせていただいたのですが、複数の手法で、いろいろお試しして比較分析ができればと思っています。その中の比較分析の対象の1つとして、ネットに頼ったオンライン訓練、eラーニングだけではなくて、地域限定にはなってしまいますが、スクーリングをやることで、受講継続なりに大変効果があったというお話もあったので、そういったものも取り入れたいと思っております。もし、スクーリングが可能であれば、もちろん自治体と連携した周知などもあるかと考えておりますので、周知に関してもいろいろな方法が試せるのではないかと考えております。
○宇佐美構成員 周知の方法の地域限定という話の中で、これも超ハウツーですが、前回発表させていただいた若年非正規の訓練コースの試行実施をするときに、ある地域だけ非常に応募者が多かったのです。これは何で多かったのかと担当者に聞いたら、地元の新聞に折り込みチラシを入れて配ったという話を聞きまして、その人たちは新聞を見るのかと思ったら、実は意外に親元から通っている方が多くて、新聞チラシを親が見ると、自分の子がもしアルバイトをしているのだったら、こういうのがあるから行ってこいという感じで、本人が新聞を取っているのではなくて、家庭で新聞を取られていて、そこから情報が入るということでたくさん来ていただいたという話を聞いていましたので、そういった手法もあるのかなとは思います。
○今野座長 ありがとうございました。大変貴重な経験だと思います。ですから、そういうことを参考にされて、いろいろやってみてということですね。今回は試行ですよね。だから、成功すればいいけれども、失敗してもいいですよね。失敗というか、失敗とは言わず、予想どおりの結果を少し下回ってもいいですよね。
○武石構成員 今、試行事業の話になって、このイメージをもう少し具体的に知りたいと思いました。予算の制約もあると思うのですが、大体幾つぐらいの事業が展開できるのかということです。複数の手法を同時並行で実施して、どんなものが有効かということを検証するというのが目的にあるとすると結構難しくて、今の周知の方法とか、訓練の内容とか、スクーリングを入れるかどうかとか、いろいろな要素を組み合わせていくと、要はたくさんの事業があれば、少しずつ変えてどちらがいいかというのができるのですが、これはどういうふうにこの試行事業をやるのかというのが分からなかったので、教えていただければと思いました。
○鶴谷訓練企画室長 公式見解は、まだ全然予算要求もしていないので、なかなか答えるのは難しいのですが、ただ、おっしゃるとおり、例えば1個しかやらなくて比較というのはあり得ないので、複数やらなければいけないのですが、30も40も50もできるかと言いますと、それは私ども事務部隊が難しいのかと思っているような状況です。なので、そんなには多くはないが、そこそこの数は実施したいとは考えております。
○武石構成員 そうなったときに、例えばAとBの2つがあって、そこで何を比較するのかというようなことをきちんと考えてやらないと、ここの効果検証はできないので、いろいろな要素があるので、その辺の設計は難しいなと思って聞いていました。
○鶴谷訓練企画室長 おっしゃるとおりかと思います。少なくとも実施手法も、例えば全面オンラインか、そうではないのかというだけでも2種類発生しますし、オンラインではないスクーリングをどのぐらい入れて、期間をどのぐらいにするかというのでも、また決まります。あるいは、先ほどの周知に関しても幾つか手法はあると思いますので、何パターンかはやらなければいけないなとは考えております。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○櫻庭構成員 少し話が戻って、成果指標の話ですが、前回もたくさん御意見が出た中で、本当にこれは難しいなとは思うのです。参考までに紹介させていただきたいと思いますが、東京都でやっている事業のうち、前回紹介したものとはまた別で、資格取得を目的にしているものがあります。例えば11月に資格取得の試験があれば、その3か月ぐらい前にeラーニングを開始して、日曜日が試験であれば、直前の金曜土曜にスクーリングで集中的に模試をやって、合格を目指すみたいな形があるのです。
 その訓練については、成果指標は資格取得の合格率という形でやらせていただいています。今回は、何の中身でやるかというのはこれからあるかもしれませんが、もし資格が関わるものであれば、そういった資格取得というのも1つ成果指標として挙げるのはあるかなとは思いますので、いわゆる効果検証というのは本当に難しいとは思うのですが、今、記載されているような賃金や正規雇用化というのを短期的に見ていただくのも、当然いいとは思いますが、そういった分かりやすい指標があることを是非御紹介したかったなと思います。以上です。
○今野座長 参考にしていただければと思います。ほかにいかがですか。出切ったでしょうか。ありますか。いいですか。出切ったら早めに終えようかと思っています。
○鶴谷訓練企画室長 すみません、これは伺っていいのか分からないのですが、今、櫻庭様からもお話をいただいた中身とも関わるのですが、成果指標で資格取得というお話がありました。そこに別にこだわりを持って伺うわけではないのですが、最初に、武石先生から訓練の内容についてあまり書いてなくて、最後に分野だけ書いてあるのだけれどというお話がありました。そして今、課長からは資格取得のお話を少し伺ったのですが、もし何か御意見があればお願いできないでしょうか。
○櫻庭構成員 いろいろと検討はできると思うのですが、1つはやはりデジタル分野について訓練の中身で入れると、恐らく業種や地域を問わずに求められているかと思いますので、幅広く受講生を募るという意味ではいいかなとは思います。
 あともう1つは、やはり非正規の方々が、それこそもし転職を考えているような形で参加するときも、資格があるなしで、面接のときのアピールも変わると思いますので、デジタルの資格でもいいですし、それ以外の資格でもいいですし、そういったコースを入れてもいいのかなとは思います。以上です。
○今野座長 今回は試行ですから、例えば非正規の人たちが持っている訓練ニーズの全体像を考えて、それに全体として応えようかということはする必要がないですね。そうしますと、一番典型的なものでバッとやったほうが、試行としてはいいと思うのです。そうしますと、どういう分野がそういう意味で適切かを決めればいいかなとは思うのです。ですから、今回は試行ですから、いろいろなことをやる必要はないと私は思います。そうしますと、どこに絞ってえいっとやったほうがいいのか考えればいいのかなとは思っているのですが。今の御案内はDXでやってみたらという話ですよね。この点について何か御意見はありますか。実際には、非正規の人が別にDXの専門人材になるわけではないでしょう。DXのリテラシーを持っているということが転職には重要だということだ。そういう意味だとは私は思いますが。大嶋さん、どうですか。どこを戦略分野にしたらいいのか。
○大嶋構成員 私自身がデジタル領域のリスキリングに関して研究してきたこともありまして、やはりデジタル領域の知識を持っていることは、企業でスキルアップをしていくとか、あるいは仕事の幅を広げていくという意味でも非常に重要だと考えています。
 一方で、例えば地域の中小企業の実態を見ますと、まだまだデジタルで何かを変えていこうとなった際に、特に中小企業においては経営者の意識、行動、考え方が非常に重要ですが、まだまだその点を十分認識できていない企業さんも多いと聞いています。ですので、デジタルについて学んでもらうと同時に、受け皿の企業を増やすみたいなことも本当はしていかないと、学んだはいいけれども、なかなか使えないみたいなことも起きてくるということは、いろいろな地域で聞いていることではあります。
 なので、結論としては、デジタルのほうにフォーカスしたほうがいいと思います。ただし、それをどう使うのか、出口をうまく見せてあげたり、そういった就業機会も情報として提供してあげることも実はやったほうがいいだろうと。学んで終わりではない設計のほうが実効性は高くなると私自身は考えています。
○宮地構成員 私も大嶋委員とおおむね同じ意見なのですが、特にスクーリングを導入する事例と導入しない事例と、幾つか試行されるという話を聞いたのですが、スクーリングを導入する場合には、やはり地元のニーズに根差していないと、出口の説明が非常に難しいのではないかと思っています。試行なので、一般的な分野にフォーカスするというのも、もちろん一案なのですが、スクーリングを導入する事例では、ある程度地域のニーズを踏まえる必要があると思います。一般的な分野としてのDXだけにフォーカスするパターンと、地域のニーズをある程度組み入れたパターンと、2つやってみるのも効果の比較対象のパターンとしてはあるのかなという気がしました。
○今野座長 これは試行のイメージですが、全ての試行は大体地域限定と考えていいのですか。例ですが、もし地域限定でいくのでしたら、単純な言い方をすると、DXでいけなんて言わないで、その地域の人材ニーズを考えて、最も非正規社員がキャリアアップするにはいい分野を地域の特性に合わせて設定しなさいと書けばいいのです。その辺はどうですか。
○鶴谷訓練企画室長 先ほど申し上げたとおり、全てがスクーリング付きではなくて、オンラインで全部完結できるものもあっていいのかなと思います。仮に全てオンラインで完結するのであれば、受講者自体は全国です。
○今野座長 全国区ですか。
○鶴谷訓練企画室長 はい。そういうものも発生するのかなと考えております。
○今野座長 1例です。今の御意見を踏まえますと、そういう全国区のものはいろいろあるだろうから、共通でDXでいって、地域限定なら地域の労働需要を考えてテーマを設定したほうがいいですよと、ここに書いておけばいいわけですかね。
○鶴谷訓練企画室長 御意見を踏まえて検討させていただきます。
○櫻庭構成員 今、出口の話が出たので、今回の事業も制度設計するときに、非正規の方はターゲットなのですが、要は転職を希望しているがゆえにスキルアップを望むのか、自社でのキャリアアップを求めているかによって、スクーリング、地域、就職支援のところが絡んでくるなと思っていますので、どちらかにある程度ターゲットを絞ったほうが事業としては分かりやすいのです。もし、転職を希望する人もということであれば、それについてどう支援するのかということも併せて考えておいたほうがいいと思います。そこでお話にあるようなハローワークにつなげていくとかでも全然構わないのですが、eラーニングで全国、いろいろな所で訓練を受講すると、それに対する就職支援も全国でやらなければならなくなってきますので、そこを考えたほうがいいかなとは思います。
○今野座長 今回の試行では、今、出ました就職支援まで含めた出口のほうはどう考えているのですか。
○鶴谷訓練企画室長 今回は働きながら学びやすいというところにターゲットがあるので、必ずしも転職されるというわけでもなく、同じ会社の中での、例えば正規化を目指す方でも受講できるものという念頭だったのです。確かに、転職などにターゲットを絞って、働く方に学びやすい訓練のコースがあったほうが、非常に企画はしやすいと思いますが、そういうものを、例えば企画競争するときに入れるかどうかという、具体的なところまでは、今の段階では何とも申し上げられなくなるので、具体的に企画競争するときに、きちんと検討したいと思います。仮に取りまとめ案にそこまで書いてしまうと、後で動きづらくなる部分もありますので、参考としていただいて、どこまで入れるかはこちらで考えさせていただければと思います。
○今野座長 でも、少なくともこの報告書に、対象者は企業内でキャリアアップする人と、転職する人の両方はありますよとはちゃんと書いてありますよね。いかがですか。よろしいですか。
 では、早いのですが、終わりにしましょうか。最後に進め方ですが、これは事務局への私のお願いですけれども、今日の意見などを踏まえて修正をしていただいて、あとは座長に任せてというほど私は自信がないので、修正していただいた後、一度皆さんにメールで回して、もう一度コメントをいただいて、そのコメントを踏まえて、最後は事務局と私にお任せしていただきたいと思います。そういう段取りを踏ませていただきたいのですが、よろしいですか。
                                   (異議なし)
○今野座長 そうしますと、皆さんの心構えとして、いつ頃修正案が来て、いつまでにコメントを付けなければいけないかということが、皆さんにとって重要になりますね。その辺のスケジュール感はどういう感じになりますか。
○鶴谷訓練企画室長 来年度の予算要求も視野に入れていることから、報告書自体の取りまとめは8月中には行いたいと考えております。ということで、今週中には事務局修正案を一度皆様にメールさせていただければと考えております。以上です。
○今野座長 すごく早いですね。それでは、皆さんにメールを出すときに、コメントはいつまでときちんと締切を明示して、それを超えたらもう受け付けませんからと明確に書いて、皆さんにお知らせください。皆さんの最後の宿題ですので、よろしくお願いします。
 最後に、報告書の件についてではないのですが、この文章をどう解釈するかだけを教えていただきたいと思います。これは皆さんと関係するのですが、最後の文章で、「試行事業の進捗状況及び結果については随時本研究会に報告すべきである」と書いてあるということは、この研究会はずっと続くと考えるのかどうかということはお知らせいただきたいと思ったのです。
○鶴谷訓練企画室長 予定は、まだ確たるものはないのですが、研究会自体は一時的にあるものではなくて、ずっと存在するものではあるのですが、いつ開催するとまでの予定は、今すぐには申し上げられないところです。ただ、最初の研究会のときに申し上げたとおり、次は賃金上昇について把握する方法という課題が残っておりますので、それについてはまた別途、皆様に御相談したいと思います。その際に御連絡させていただきます。
○今野座長 この文章があるということは、少なくとも、試行が終わるまでは我々は解放されないということですよね。そういうことですよね。そういうふうに理解しておいていいわけですね。皆さん、覚悟しておいてください。試行が終わるまでは解放されませんので。
 予定されていた議題はここまでです。では、本研究会の主催者である人材開発統括官から御挨拶をお願いします。
○岸本人材開発統括官 これまで3回にわたりまして、また本日も大変熱心な御議論をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、報告書について案を御提出させていただいて、また、有益な御指摘をたくさんいただきました。今回、議論いただいておりますのは、在職者訓練政策という括りで言えば、本人が主体的に選択をする、会社で労使一体でこれを請負って受けるというのではなくてという新しいスキームでございます。また、個人主導の能力開発政策としては、教育訓練給付制度というのがこれまで大きな柱でしたが、それが雇用保険の適用要件が非常に緩和されてきておりますので、カバレッジは非常に広いのですが、それでも全部覆いきれていないというところから、新しいスキームが必要だということで議論をいただいております。
 そういったこともあって、本日、前半で御指摘いただいたとおり、なぜこの事業が必要なのか、その必要性からすると、どういった人をターゲットに、どういったスキームであるべきなのかといったロジックの部分をより補強すべきという御意見で、誠におっしゃるとおりと思いまして、そこは今日の御議論を踏まえて、きちんと書き込んで、また、先生方の御添削をいただきたいと思います。また、そのロジックから、訓練を受ける前に会社が人的投資の費用対効果を考えてくれるのではなくて、本人が判断しなければいけないということで、そこをどうやってキャリアコンサルティングその他で補っていくかというような、後半のハウツーの部分も、前半のロジックから結び付いてくるところもありますので、そこの結び付きもよく意識しながら整理をしたいと思います。
 一方で、純粋なハウツー的な部分も中にありますが、新しいスキームでありますし、事業の成否というのは、往々にして真実は細部に宿るといいますか、細部のきめ細かな配慮が行き届いているかどうかが事業の成否を分ける部分もありますので、その点もまた先生方の御意見をいただきながらより良いものにしていきたいと思います。そういう意味では、ハウツーが、訓練内容についても、例えば時間的なフレシキビリティを重視すると、どうしてもオンラインとかオンデマンドに馴染む訓練科、非正規で働く人のニーズに合う訓練メニューの中から、オンラインやオンデマンドに馴染むところを切り出していくような、ハウツーがその中身を規定する部分もあると思いますので、その両者の関係もよく意識して頑張っていきたいと思います。
 繰り返しになりますが、新しいスキームで、我々も手探りな部分もあるものですから、様々な先行事例の蓄積も御紹介いただきましたし、正に先行事例に取り組んでいらっしゃる皆様の御意見もいただきながら、今しばらくお付き合いいただきまして、本試行事業が無事、まずは財政当局によく説明できることが大前提ですが、成果を上げていくことができるように、引き続きお付き合いいただければ大変幸いに存じます。御礼を申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げます。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。