第16回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和5年7月26日(水) 15:00~18:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○事務局(山口) それでは、定刻となりましたので、ただいまより第16回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室の山口と申します。
 本日は、全ての委員に御出席いただいておりますが、上野委員、森委員に関しましては、途中退席の予定と伺っております。参考人につきましては、時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
 参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言のときのみ画像をオンにしていただきますようよろしくお願いいたします。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1から3、参考資料1から7までございますので、御確認ください。
 また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。
 事務局からは以上でございます。
 これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 中釜です。本日もよろしくお願いいたします。
 では、早速、本日の議題に入ります。議題(1)の「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室より資料1の説明をお願いいたします。
○市村室長 それでは、資料1を御覧ください。厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室長の市村です。
 1枚おめくりください。本年度も骨太「経済財政運営と改革の基本方針2023」を初めとした行政文章に、全ゲノム解析等実行計画の推進について、政府方針としてしっかりと記載されております。引き続き、推進していきたいと思っております。具体的には、全ゲノム解析等に係る計画の推進を通じた情報基盤の整備や患者への還元等の解析結果の利活用に係る体制整備を推進することとされております。
 3ページ目を御覧ください。こちらは既存の資料となっておりますけれども、「全ゲノム解析等実行計画2022」に記載されている全ゲノム解析等の推進によって目指す医療の姿となります。患者への還元、質の高い情報基盤の構築を進めつつ、国民へ質の高い医療を届け、がん・難病等の克服を目指したいと考えております。
 4ページ目を御覧ください。「全ゲノム解析等実行計画2022」の概要です。今年度は、本格解析2年目となります。患者還元につきましては、地域によらず、全ゲノム解析等の解析結果に基づく質の高い医療を受けられるように、準備室からも報告があるかと思いますが、全ゲノム医療機関の拡充を進めているところです。
 また、下から2行目の事業実施組織につきましては、令和7年度からの事業実施組織発足のため、現在、準備室にて組織・構成等の検討をしており、詳細は準備室から報告がございます。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等実行計画に係る事業実施組織の事業概要となっております。この事業概要に沿った検討を準備室で現在行っているところです。
 6ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等実行計画に係る事業実施組織のビジョンを改めて示させていただきます。右下の緑の部分、戦略的なデータの蓄積を進め、質の高い情報基盤を構築し、あらゆる部分の研究・創薬等への利活用を促進しつつ、新たな個別化等の推進につなげて、結果や成果を日常診療へ速やかに導入するという、国民へ質の高い医療を届け、将来的な「がん・難病等の克服」を目指す好循環の実現がビジョンとなっております。
 7ページ目を御覧ください。こちらも前回「全ゲノム解析等実行計画」の目指す未来として示したスライドとなっております。これからの医療はまさにビッグデータの時代になると考えておりまして、そのビッグデータのコアとなるのが全ゲノム解析であり、その全ゲノム解析に様々なデータを多層的に加えて、出口を見据えた戦略的研究開発としての応用研究、日本国発の新規研究開発としての基礎研究を推進し、患者還元、情報基盤・AI構築を推進するという普遍的なデータ駆動型のゲノム医療という概念を示しております。前回の専門委員会で御指摘いただいた部分につきましては、今回、修正をさせていただいているところです。
 次の8ページ目を御覧ください。こちらのスライドも再掲となっておりますけれども、先ほどの普遍的なデータ駆動型のゲノム医療を実際に推進するための流れを示したスライドとなっております。最も大切なのは、情報基盤を構築する際に、マル1として、投薬等の出口を見据えた戦略コホートの提案を、産学コンソーシアムが主体となって行うと考えているところです。その出口を見据えた基本戦略コホートに基づく新規の臨床試験・治験等による経時的で質の高い臨床情報と全ゲノム情報に加えて、マルチオミックスデータや、リアルワールドエビデンスが集積された質の高い情報基盤を構築して、事業実施組織と産学コンソーシアムが連携し、その情報基盤の利活用による創薬のプロセスの格段の加速・効率化を進めていきたいと考えております。
 9ページ目を御覧ください。今年度のスケジュールを更新いたしました。8月29日に、これまで全ゲノム解析等実行計画に係るAMED研究のサイトビジットを国立がん研究センター中央病院にて行います。本日、令和2年度から令和4年度までのAMED研究の最終報告がありますが、それらを主体として広く全国民が参加できる形でサイトビジットを企画しましたので、幅広い御参加をお待ちしております。詳細は、今後、ホームページ等で告知させていただきたいと考えております。
 10ページ目を御覧ください。こちらは令和5年度の全ゲノム解析等の実施体制となります。引き続き、専門委員会が大所高所の方針を決定する最高意思決定機関として、事業実施準備室が厚労科研、AMED研究を取りまとめながら、事業実施組織に向けた検討、整備を進めていきたいと考えております。
 11ページ目を御覧ください。こちらは全ゲノム解析等実行計画に係る実施体制の詳細となります。事業実施準備室における構造につきましては、前回御承認していただきました。
 次のスライドを御覧ください。現時点での事業実施準備室のボードメンバーとなっております。現在、追加のボードメンバーを検討中となっているところです。
 13ページ目を御覧ください。こちらがこれまでの全ゲノム解析等の報告となっております。出検症例数は、がん領域が1万2,664症例、難病領域が8,033症例、合計2万697症例となっております。そのうち格納された全ゲノムデータ数は、がん領域が1万2,024症例、難病領域が8,033症例、合計2万57症例となっています。
 これらの症例のうち、具体的な成果につきましては、この後のAMED研究報告にて報告があるかと思います。
 次のページ、14ページが最後のスライドになります。「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律(通称:ゲノム医療推進法)」が、令和5年6月16日に公布・施行されました。制定の趣旨としましては、こちらに記載のあるとおり、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策(ゲノム医療施策)を総合的かつ計画的に推進するため、ゲノム医療施策に関する基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定、その他、ゲノム医療施策の基本となる事項を定めるとされております。内容につきましては、基本理念、責務、財政上の措置等、基本計画の策定、基本的施策、地方公共団体の施策、施行日等が記載されているところです。
 現在、厚生労働省では、当該基本計画の策定等に当たって、議論の場の在り方を含めて必要な検討を進めているところでありまして、関係省庁と連携しつつ、法の趣旨を踏まえ検討を進めていきたいと考えております。
 以上が資料1の説明となります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料1の説明につきまして、御質問・御意見がある方はお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 特にございませんので、それでは、次の議題に移らせていただきます。もし、後ほど、議題1に関連して何か御質問がありましたら、また、そのときに御発言いただければと思います。
 では、議題(2)に進めます。「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況等について」事業実施準備室の青木先生を初め担当のチームリーダーの方から、資料2-1の説明をお願いしたいと思います。御質問及び審議事項につきましては、最後にまとめて行いたいと思います。
 それでは、青木先生お願いいたします。
○青木参考人 事業実施準備室の青木です。
 本年3月に事業実施準備室が設立され、その活動が本格的になってきています。本日は、その事業実施準備室の活動に関して、進捗状況を説明させていただきます。
 次お願いいたします。本日のアジェンダです。まず、プロジェクトの推進体制を私から説明させていただき、現在6個のチームが立ち上がっておりますので、そのチームの進捗状況について、各チームリーダーより報告させていただきます。
 また、本日御審議いただきたい事項として「AMED研究班への連携医療機関の追加について」、それから、御報告事項として、臨床・患者還元から「患者還元と事業化に向けた課題について」、それから、利活用支援チームから「コンソーシアム設置支援委員会について」がございます。
 次のスライドお願いいたします。これはボードメンバーになります。先ほど厚生労働省の資料で説明されたとおりでありまして、5月の専門委員会で説明されたものと同じです。
 次お願いいたします。次の2枚のスライドが、現時点での事業実施準備室のメンバーのリストとなっております。現在、6つのチームが立ち上がっており、チームごとにリーダーと副リーダーあるいはマネジャー、メンバーといった方々が、アカデミア、産業界から集まっていただいて、検討をしているところです。特に、利活用支援チームの中には、コンソーシアム設置支援委員会が立ち上がってきております。
 次をお願いいたします。トータル延べ51名の方が担当させていただいているといった状況です。
 次お願いいたします。これは令和5年度の、各チームの達成目標のリストとなっております。臨床・患者還元支援チームでは、患者にとって有用な患者還元とは何かを明確化して、それに向けた活動計画を策定したり、医療機関との連携体制・システム等を検討いたします。利活用支援チームにおきましては、データ利活用の仕組みを構築し、そのポリシー等の整理を行います。また、コンソーシアムの設立を行い、そして、実データを用いた利活用を開始するということが目標となっております。解析・DC運営チームにおきましては、解析データセンターのあるべき運営業務を展開し、必要な組織・業務・システムの事業実施組織への移行計画を策定するなどを行います。IT・情報基盤・セキュリティチームにおきましては、事業システムや組織インフラにおける設計・運用基本要件などを策定いたします。ELSIチームにおきましては、この事業実施組織を構築するに当たって、ELSI上の課題・懸念を洗い出し、設計に反映させるとともに、社会等の対応等をして、よりよい事業の進め方を見出していくといったことを行っております。総務チームにおきましては、組織設計として、財務計画あるいはロードマップを策定するといったこと、人材の育成・確保に向けた方針・計画を立てるといったことを達成目標といたしております。
 次スライドお願いいたします。これは令和5年度の各チームのプロジェクトの全体のスケジュールをお示ししたものであります。各チームの代表的な、重要な課題について、矢羽根として示してあります。各チームのスケジュールに関しましては、チームからそれぞれ詳細に説明していただけると思いますので、ここの説明は割愛させていただきたいと思います。
 それでは、各チームからの御説明をお願いしたいと思います。
○中釜委員長 臨床・患者還元支援チームのリーダーの上野先生から、説明をお願いいたします。
○上野参考人 臨床・患者還元支援チームのがん研究会 有明病院がんゲノム医療開発部の上野です。よろしくお願いいたします。
 まず我々は、キックオフを行って、2か月間、現在まで過去資料の検討、さらに、今まで行っていますAMEDの各研究班、がんと難病の研究班からヒアリングを行って、現状の把握と問題点の課題の抽出を行っております。さらに、患者還元の患者さんにとって真に有益な役に立つ還元となるかというものの検討をしてまいりました。
 その中で、まずは臨床医に向けた活動。今後の活動としましては、A、Bの2つが中心になると思います。1つは患者さんにとって有益な患者さんに還元をしていくというAの活動、さらには、日本全体にその患者還元を広げていくという意味での連携医療機関の拡大に向けた活動をこれから行っていくという方針です。そのためにはデータシステムの構築、さらには、AMEDで現在行われております、今年度から始まった新しいAMEDの各チームと連携を取りながら進めていく必要があるだろうと考えております。
 次のスライドをお願いします。現在の進捗状況になりますけれども、今まで、がんでありますA班、3つの班がそれぞれありまして、それぞれがばらばらに、それぞれ個別に班ごとに行ってきたという過程がありますけれども、まず我々としましては、その3つの班あるいは難病を含めて4つの班において、それぞれどういうことを今やっているのかという現状把握と、さらには、その課題の抽出を行い、今後の方針としまして、まず論点整理、これはある程度進んできておりますけれども、論点を整理して、さらに、今進んでおる研究と、これは臨床への実装を目指して、少し視野に入れて進めていくべきだということもありますので、そういうものの方針を各班と協働で進めていく。最終的には患者還元、本当に患者さんにとって有益・有用なものの目標をしっかり定めながらやっていくという方針としております。
 以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、利活用支援チームの吉田先生お願いします。
○吉田参考人 利活用支援チームリーダーの吉田と申します。よろしくお願いします。
 それでは10ページですね。これが、令和5年度の利活用支援チームのロードマップとなっております。利活用支援チームの大きな目的は、左側のグレーのところにありますけれども、事業実施に関して、利活用の事業モデルをつくっているということ。それから、事業モデルの重要な一部分になるわけですけれども、コンソーシアムの事業モデルをつくっているということ。これらのモデルをつくっていくに当たっては、コンソーシアム設置支援委員会を立ち上げまして、このメンバーを中心に議論をしていくことになります。
 令和5年の年度末、右下の矢羽根にありますけれども、実データを用いたデータ利活用を開始することを目標にしておりまして、そのために、左にありますように、利用可能なデータの特定などをELSIチームや解析・データセンター運営チームと連携をして、AMEDあるいは厚生労働省等の方々とも協力を得て、調査をしているというところです。
 次お願いいたします。これが前回5月25日の専門委員会でチームリーダーを認めていただきまして、以降、12回のチームの中での会議を通して議論を重ねております。進捗状況としては、左側にありますように、先ほどのコンソーシアムの事業モデルの初期案の作成を始めておりまして、その核となるコンソーシアム設置支援委員会を、ボードメンバーでもいらっしゃる松島先生に委員長をお願いすることができまして、また、設置支援委員会のメンバーも決めて、これから議論を開始するということをしております。
 それに向けて、右側の2つのポツにありますように、利活用事業モデル初期案、それから、その中核を成すコンソーシアムの事業モデル案の初期案、こういったもののブラッシュアップをしていくことになります。
 実データを用いた利活用の対応に関しては、右下のように、各チームと連携しながら、どのようなデータが今、どのような条件で得られているのか、などの現状把握と、それに対する対応案を事業モデルとしてつくっていくことを今後進めていきます。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、続きまして、解析・データセンター運営チームの井元先生お願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
 解析・データセンター運営チームのミッションは、解析・データセンターの運営業務を具現化することです。更に、運営業務に当たって必要な組織や業務・システムを定義することでございます。そのための令和5年度のスケジュールを今投影していただいています。キックオフから2か月間やってきたことについて説明致します。まず、業務・システムについて、現状業務プロセス調査として、昨年度までのAMED研究班、今年度のAMED研究班の解析・データセンターに関わる業務フローを調査いたしました。更に、用いている、あるいは構築されたシステムの仕様が分かる資料の取得やヒアリングを行い、一連の業務フローをまとめております。
 それに並行して、昨年度からの引き継ぎ事項である論点をさらに抽出しまして、それぞれの論点に対して他のチームとの役割分担を整理いたしました。それを基に現在、解析・データセンターのあるべき姿(骨子)を作成しております。また、運営チームにおいては、IT・情報基盤・セキュリティチームとの連携が非常に大切でありますので、密に連携を取りながら、検討を進めているというところになります。
 次のスライドをお願いいたします。これは、現在の進捗状況と今後の方針をまとめたスライドになります。
 まず左の進行状況から簡単に説明いたします。現在、他のチームとの役割分担をはっきりとさせて、解析・データセンターのあるべき姿、右に書かれている移行計画について、現在、研究班が管理しているデータや情報システムを、準備室を経て事業実施組織に移行していくスケジュールや方法について検討をしてきました。これは継続事項でもございます。
 今後の方針としまして、3点挙げさせていただきました。1点目は、解析・データセンターのあるべき姿の作成、2点目は、解析・データセンターにおいて、組織の有するべき機能とコンセプトを定義すること。各業務において、どのような人材がどれぐらいの数必要なのか、人材要件を作成すること。3点目は、データやシステムの移行に関する方向性を検討すること。この3点を今後検討していく予定でございます。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは続きまして、IT・情報基盤・セキュリティチーム葛西さんお願いいたします。
○葛西参考人 葛西でございます。
 IT・情報基盤・セキュリティチームでは、まず、事業予算となる全体のシステムの概算を、今、算定をしています。この算定をする際に、概算とは言え、解析、臨床情報を集めること、それから、検体の情報を確保する、集めるところ、そして、次のページ以降にあるのですが、最後、難病に至るまで、あと、組織のインフラストラクチャーに至るまで、透明なシステムの配置であるとか、候補セーリングを確認して、その上で、全て見積を取って、システムの概算を算定中でございます。今日、9割方できてきておりますが、まだこれから最小化します。
 同時に、幾つも検証事項がありまして、まず、データの3コンソーシアムの企業さんであったり、利用者の方にデータを提供するための管理情報を提供する基盤のPoC、これはAMED研究班のC班の井元先生の研究班と協力しながら、PoCを始めるためのこの調達を検討しております。
 それから、セキュリティ対策に関して、昨年やったPoCの継続ですけれども、監視ですね。どこにデータがあって、誰がアクセスして、そして、ランサムウェアのような攻撃を受けてないかとか、そういったものを監視するための検証環境を、今年度中に検証を終えて、次年度は本格的な開発に入ろうかなという感じになっております。
 次のページへ行っていただきますと、今後ですけれども、もう一つ重要なのが本人の同意の管理であったり、それから、データアクセスに関してどのように管理をしていくかという、ベースレジストリのデータを例えば1つの案で、これは決まっていることではないのですけれども、マイナンバーであったり、それから、オンライン資格認証になったり、そのほかの固有のIDだったり、どんな情報に基づいてひもづけるかということの検討をそろそろ始めなければいけないなと思います。ITの管理ガバナンスですね。ITの運用のガバナンスをどうするかということを検討し始めています。
 次のページへ行っていただきまして、これはまだ未着手ですが、秋口ぐらいから、難病領域に関しての固有のシステム設計について着手をするといった状態になっております。
 さらに、範囲が非常に多くて申し訳ないですが、その次が組織のインフラストラクチャーです。次のページへ行っていただいて、組織のインフラストラクチャーとしては、組織のホームページから執務管理をやったり、それから、組織ができた際のパソコンであったり、そういったものも含めてどういった構成にするかということの素案を、概算を作成するときに素案を検討し始めているというところのステータスでございます。
 全体の進捗としては、主に予算算定をすると同時に、システム構成を整備しているといったところでございまして、次のページへ行っていただくと、さらに、そのシステム構成の検討を、システムに関する専門家がたくさん集まりましたので、かなり精緻に仕上げているところでございます。今後、そのシステム構成の中で、必要な検証をして、開発基準計画をさらにブラッシュアップをするといった、そういったステータスでございます。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは続きまして、ELSIチームから横野先生お願いします。
○横野参考人 資料の19枚目と20枚目でございますが、資料19枚目の赤の縦線の部分が現時点で、その左側の部分が20ページで言うと、左側の主要タスク/進捗状況という部分、それから、赤の線の右側の部分が、主に今後の方針という部分に関わっておりますので、どちらを見ていただいてもよろしいかと思います。
 これまで実際行ったことですけれども、過去の関連する検討について整理・把握を行い、今年度の活動内容を整理して、ロードマップにまとめました。また、準備室の各チーム、厚生労働省の難病課、がん課などへのヒアリングを進め、ELSIに関わる課題を中心とした認識の共有を図ってきました。
 そして、そうしたものを基に事業実施組織の発足を前提として、準備室でのELSI及びPPIの検討体制をどのように構築していくかの検討を行っています。また、それに応じたメンバーの選定・追加についても随時行っているところです。
 また、今御覧いただいている画面の下から2番目あたりのところですけれども、がんと難病領域の差分というところがございますが、がん領域と難病領域でのデータ及び試料の利活用方法、利活用範囲について、これまでのICFとか議論の中で違いがあるということがございます。この点についても、今後の事業モデル全体に影響がある部分であるということで、ELSIチームから論点として提案をさせていただき、ヒアリング等を行って、現状の把握、課題の整理を行っているところです。これについては、今後、引き続き検討をしていきたいと考えています。
 ELSIに関しては、一つずつ予定に沿って積み上げていく部分もありますが、全体を見渡してから拾い上げたり、あるいは他のチームからの依頼に応じて、共に対応方針を検討するといった活動が多くなってくると考えております。
 特に今年度は、利活用の試行が予定されており、整理すべき課題が多岐にわたりますので、吉田先生の利活用支援チーム、井元先生の解析・データセンター運営チームを中心として、随時、連携をしながら検討を進めていきたいと考えています。
 また、現場での課題の把握ということで、AMED研究班との情報交換も随時行っていきたいと考えております。
 そのほか、併せて御報告ですが、前回の本委員会での御意見を受けて、がん領域のICFのモデル文案に一部修正を加えております。こちらは新しい提案を伴うものではありませんので、説明については割愛をさせていただきます。資料2-2に修正したモデル文案が配付されていますので、そちらを御確認いただけますようお願いいたします。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 続きまして、総務チームから樋山リーダーお願いします。
○樋山参考人 総務チームの樋山でございます。よろしくお願いいたします。
 総務チームでは、組織設計と人材育成をタスクとしておりまして、組織設計につきましては、事業実施組織の目指す姿の作成、それから、人員・予算の確保に向けた計画の策定、それから、Webサイトの立ち上げの実施。人材育成につきましては、人材育成・確保に関する事項検討及び実行計画を策定することとしております。
 次のスライドをお願いします。組織設計の進捗状況につきましては、組織体制につきまして、類似組織の組織体制を調査しまして、それを基に令和4年度に検討した事業実施組織の必要機能の過不足を整理することとしております。
 今後といたしましては、各チームより、部門別の必要機能を出していただきますので、それを基に、令和4年度に検討した事業実施組織の必要機能の過不足を検討していくこととしております。
 広報につきましては、広報戦略の検討をしております。今後につきましては、広報戦略の策定をすることを予定としております。
 人材育成につきましては、採用条件に関する調査といたしまして、類似組織の求人情報を参考に、職種別の採用条件(職務内容・応募資格)に関する調査を実施し、調査結果を整理することとしております。今後につきましては、調査結果を参考に、人材確保方針(採用アプローチ等)を検討することとしております。
 外部組織に関する調査につきましても、類似組織に関する調査(人材役割・要件や人材確保・育成施策)を実施し、調査結果を整理することとしております。外部組織に関する調査の今後の方針ですけれども、調査結果を参考に、階層や職種別の職務・人材要件、人材確保・育成施策を検討することとしております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 以上、4つのチームから、現在の進捗状況について報告していただきました。加えて申しますと、何名かのリーダーからありましたけれども、この4つのチームの活動が、ほかのチームと相互に連携をしながら進めていく必要があることから、各チーム内での協議・会議に加えて、チーム間での連携、そういったものの会議、そういうものを踏まえながら、今、説明があったような進捗あるいは今後の方針について検討されているという作業を続けているところであります。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、審議事項が1件、それから、報告事項が2件あるのですが、まず最初に、資料2-1の審議事項について、こちらはAMED研究班の連携医療機関の追加についての説明ですが、これについては、臨床患者還元支援チームの上野リーダーにお願いします。
○上野参考人 よろしくお願いします。
 次のスライドをお願いします。こちらは連携医療機関の追加ということになりますが、現在、AMEDのA班で行っております患者還元の中で、特に戦略コホートにおきまして、国内の治療の場というか、見直しの戦略コホートに入っております治験に関して追加するということが1つ大きな目的になっておりますが、そのための基準に関しまして、第15回専門委員会でこちらの基準が承認されているという状況の中で、応募してきた機関に関して、これらの基準を満たしているのかというものを確認しております。
 次のスライドをお願いします。14機関から応募がありまして、これらに関しまして、我々のチームの前の元のワーキンググループが要件をつくっておりますので、そちらのほうの確認もしていただいて、全て要件を満たしているということになって、我々のほうでそれを確認して、承認させていただいているという状況になります。これを今回、御支持いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、この連携医療機関の追加につきまして、これが審議事項となっていますが、御意見・御発言ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特に御異議ございませんので、この14機関の追加については御承認いただいたということで進めさせていただきます。
○森(正)委員 森ですが、よろしいでしょうか。
○中釜委員長 森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 これはピックアップしたものなのでしょうか。それとも、公募したのでしょうか。
○中釜委員長 上野リーダーから、説明をお願いできますか。
○上野参考人 これは基本的には、直腸がん、大腸がんの臨床試験になりますけれども、今までそういう治験に加わってきたような施設から、基本的には公募というか、応募していただいてということになると思いますが、特に、その中でセレクション等はしてないと認識しております。
○中釜委員長 A班の中で、戦略コホートとして行っている直腸がんの治験の追加医療機関の追加ということでよろしいでしょうか。
 それでは、宮野委員お願いします。
○宮野委員 ぱっと見るところ、四国からは1か所もないように見えるのですが、この認識でよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 ちょっと御発言が聞き取りにくかったのですが。
○宮野委員 すみません。四国からの参加追加医療機関が私にはちょっと見えてないのですが、そういう認識でよろしいでしょうか。
○中釜委員長 御指摘の点について、上野リーダーいかがでしょうか。
○上野参考人 御指摘のとおり、この機関を見ますと、倉敷等は入っておりますが、四国という意味では確かに入っていないということがございます。これは、応募してきた機関として入ってなかったということになりますので、今後、日本全体という意味では重要な点だと思います。ありがとうございます。
○宮野委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 連携機関の追加に関しては、今後、必要に応じて、また、御提案、御検討いただきますが、現状では、この14機関ということになります。
 ほかに、御意見・御質問はございますか。
 よろしいでしょうか。
 では、御指摘の点も踏まえながら、今回、連携医療機関としてはお認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、報告事項の2件に移ります。
 まず最初は、AMED研究における患者還元と事業化に向けた課題についての説明を、臨床患者還元支援チームの上野リーダーからお願いします。
○上野参考人 よろしくお願いします。
 次のスライドをお願いします。我々は、患者還元と事業化に向けた課題ということで、AMEDの各班のほうのヒアリングを行いましたので、その結果と課題について、御報告させていただきます。
 まず、背景ですけれども、AMEDの班からは、特にがんのほうは3つの班がやっておりますけれども、それぞれが体制を構築して行っているという現状がありまして、それぞれ共通認識がされてないということがございました。そのために、我々としましては、まず、準備室として、チームとして、AMEDの各班からヒアリングを行って、現状の把握、さらに課題の抽出を行っております。
 ヒアリング内容としましては、がんの領域に関しましては、特にデータを蓄積する、患者さんの検体を十分集めることが1つありましたので、それを中心にやっていたという現状があって、なかなか事業化に向けた方向性が各班ごとに定まってなかったという状況があります。
 その中で、特に患者還元というものが何を指すのかということが各班で少しずれていたと。それぞれがまとまった方向性ではなかったということがありました。例えば、患者さんに返すという中で、それを患者さんにその状況、結果を説明することであったり、あるいは、それはあくまでも治療に結びつけるものだと、その部分を指すのだというような意味で、患者さんに還元するというのはどういうことなのかというのがなかなか定まってなかった。それに関しては、次に説明させていただきます。
 がんと難病を我々としては、この事業としては行っていくわけですが、それぞれ患者還元という意味合い、あるいは目的は異なってくるだろうということがありましたので、それぞれの特性を十分把握した上でさらに行くべきだと。
 右側に移りまして、患者還元の目標は大きく3つあるだろうと考えております。1つ目が、解析結果を直接説明する。これはあくまでもその患者さん、さらにはその主治医に説明するということ。2つ目が臨床への応用ということで、これが、我々の還元班としては、恐らく一番重要なのだろうと考えておりますけれども、保険収載された遺伝学的検査、現状で言えばパネル検査では検出できない、そういう全ゲノム解析だからこそ実施できる検査・治療等を提供していく、この還元というものに関して、我々としては深めていかなければいけないと考えております。さらに3つ目は、利活用チームの対象になると思いますけれども、研究・開発で、アカデミアあるいは民間の創薬のターゲットの探索あるいは開発の策定等に利用するという、この3つを考えております。
 今後の活動としましては、AMEDの現在進めておりますA班あるいは國土班の現状を確認させていただいて、論点の整理を進めております。その上で、今年度から始まります3班と協働しながら、こういうふうな、特に臨床への応用というところに重点を置いて、その患者還元の目標をより深めていくことを、現在進めているところであります。
 以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 続きまして、報告事項ですので、次の資料2-1の報告事項、コンソーシアム設置委員会についての説明をお願いして、それから、全体的な議論に入りたいと思います。この点について、利活用支援チームの吉田先生、お願いします。
○吉田参考人 26ページをお願いします。先ほどの報告と少し重複するのですけれども、コンソーシアム設置支援委員会の委員長として、を松島先生に御就任いただきまして、それから、メンバーの選定も完了しております。これは、この資料の4ページに先ほど出ていました。
 今後、この設置支援委員会でどのようなポイントで議論をしていくかというところが議題にありますように、コンソーシアムの組織形態を中心に考えていくということで、これについては、参考資料6に、コンソーシアムに求められる機能等についてとして、前回第15回の専門委員会でも示された資料がありますので、そういったものを出発点にして議論をしていきたいと思っています。
 具体的には、参考資料6にもありますように、まず、オープンかつフェアな形で、ベンチャーを含む企業、アカデミア、若手研究者、それも国内外の皆さんに利活用をしていただくこと。
 それから、もう一つはガバナンスということで、オープンかつフェアであり、かつ専門委員会のガバナンスもしっかり効かせるために、例えば事業計画の承認とか、構成員の確認であるとか、そういったことを検討していくことになります。
 それから、コンソーシアムへの参加がこの利活用の前提となるということが、「実行計画2022」にあります。企業等の機微情報を扱ったり、また、個人情報も扱いますので、コンソーシアムへの参加を必須としていく形をどのように構築するか。
 最後は、自立ということで、専門委員会のガバナンスを効かせながらも、同時に自立的運営を目指す。このへんのバランスをどのように取っていくかと。こういったことがポイントかと考えております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料2-1全般につきまして、御質問・御意見ありましたら、よろしくお願いします。
 では、宮野委員お願いします。
○宮野委員 最後のスライドをちょっと出していただきますとありがたいのですが、オープンかつフェアで、ガバナンスを効かせて、そして、自立を目指すということは非常に結構なことだと思うのですけれども、方向はそれで承知いたしました。
 ただ、オープンでない、フェアでない、ガバナンスが効かない、自立しないということについての罰則規定のようなものはお考えなのでしょうか。EUでは、出口のコントロールをEU全体でやる。すなわち、フェアにある、不適切に使った場合は、例えばですが、医師の免許を停止したりするというような罰則規定をEU全体で組んでいて、そして、活用がフェアに、かつオープンに行われるということを進めているようなのですが、そのようなお考えはどこかに埋め込まれているのでしょうか。
 以上です。
○中釜委員長 この点につきまして、吉田先生お願いします。
○吉田参考人 まさに、その点も含めた議論がこれからの課題の一つと認識しておりまして、例えば、データトランスファーアグリーメントの中に、どのような防止的な罰則規定とか、不適切な使用などを検出する仕組みを盛り込むかと、こういったことが必要かと思っております。利活用審査委員会で一回承認したら、それで終わりではなく、その後のフォローアップ、計画の報告とか、そういったことの仕組みもつくっていく、それが今後の課題となっていると思います。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
 では、続きまして、中村委員お願いします。
○中村委員 よろしくお願いします。
 もう何度も言っていますけれども、本当にこのコンソーシアムだけで自立するのでしょうか。自分で律するの自律であったらいいのですけれども、経営的にも、コンソーシアム設置支援委員会は、自分で立って、自分でお金を稼いでやっていくのかどうかという、その定義づけがずっと曖昧なまま来ているのですけれども、そこは明確にしておく必要があると思います。
 私は個人的には、実施組織そのものがいずれ自立して、自分でお金を稼いで、ゲノム医療を広げていくという形になるのが理想的で、もともとはGenomics Englandのような形にすることを議論されていたように思うのですけれども、何となく実施組織は税金で賄っていますけれども、そこはもう一度専門委員会で整理していただきたいと思います。
 それから、いろいろな議論が進んでいるのはいいと思いますけれども、先ほど、上野先生がうまくまとめられましたけれども、がんでも、germlineなのか、somaticなのかによって違いますし、somaticでも、結果だけ報告するのか、何か薬に結びつくのかでかなり変わってくると思います。難病、も疾患に応じていろいろあると思います。コンソーシアムの利活用と言っても、病院同士で直接患者さんに還元できるような形もあると思いますし、企業がそれを活用して新しい薬を生み出し、最終的に再還元されるというのも還元の一つの在り方だと思いますけれども、そこをちょっと整理してやっていかないと、ここでは大学とか大きな病院で利活用することを想定した形になっていますけれども、何となくそのあたりの情報の使い方の整理がきちんとできていないように思いますので、そこは親の組織でしっかりと認識した上でどう使うのかということを、ぜひ考えていただきたいと思います。
 それから、もう一点、コンソーシアムに関連する利活用ですけれども、利活用する際に、これも何度も口を酸っぱく申し上げているように、臨床データをどんな形でどの範囲で集めるのか。幾らゲノムデータが正確で質がよくても、臨床データがひもづけされていないと、実際には患者さんに還元されないで、企業がそれを使って創薬研究をするという形にはつながらないと思いますので、そこはどんな方法でどれだけの範囲の臨床情報をどう集めるのかという議論は不可欠で、それによってデーベースの在り方も変わってきますので、何となく絵に描いてアーキテクチャーだけ言うのではなくて、最も根源的な、企業が利用したいと思うようなデータはどんなデータなのか。1点だけデータを取るのか。継続的にデータを取っていくのかということも含めて、かなり今後の大きな方向性に関係することだと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、上野先生が説明されたように、医療機関にどんどん広げていくというのは、私はいい方向だと思っていますし、最終的には、AIやデジタルを使って、全国のどこの病院でもできるという使い方がいいと思います。しかし、そのためには、AIの活用は不可欠で、議論の中にはあまり出て来なかったですけれども、もっと利活用が進むと、特に医療機関での利活用が進むためのAIのようなものを開発していく仕組みが必要だと思いますので、それを考えていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。重要な4点の御指摘ですが、現状の検討状況について、コンソーシアムに関する自立に関して、考え方について、吉田先生よろしいでしょうか。
○吉田参考人 これは、利活用支援チームのリーダーというよりは、もう少し上のレベルの議論になるだろうと思うので、私の個人的な意見にちょっと入りますけれども、今回の事業自体が完全にユーザー負担だけでの自立ではなく、国としての投資の部分があるのではないかと。例えば、先ほどの参考資料6のコンソーシアムの機能にも人材育成が入っています。人材育成が我が国の生命線になっていることは明らかで、日本は人口も減っていき、若い人が減っている中で、そのためにも、データ駆動型サイエンスの時代ですから、データをしっかりと基盤的事業として国が集めれば、そこで人材が育成されていく。中学校とか高校とかそういった教育に国がお金を出しているように、人材育成という観点からも、国が投資をする。イギリスなどもそのような考えで、必ずしも完全な普通の企業のような意味での事業の自立だけではないということで考えて投資しているのではないか。
 さらに、全ゲノム解析が医療に有用であることを示していくことができて、納税者等が納得されれば、保険収載に進むかもしれない。そういった場合には、例えばがんで言えば、がんゲノム医療のように、保険財源で、目の前の患者さん、それから、将来の患者さん、さらに創薬、こういったふうに日本全体の保険診療に還元するという中での収支を、コストベネフィットを計算していくと。そういうふうな形になるのではないかと考えています。
 しかし、その中でも直近の研究課題への取り組みから利用者が成果、そして利益を得られるように、モデルとして、利用者にもある程度のお金を入れていただいて、そして、事業を進めていくと。そういった努力との両輪で進めていくといいのではないかなと考えています。
 以上です。
○中釜委員長 追加で発言をさせていただきますと、事業実施組織自体を自立性の問題、経済的な基盤をどういうふうに構築するかということの議論は、引き続き重要かと認識しています。
 それから、その中でのコンソーシアムの自立あるいは独立性というところをどういうふうに担保するか。これは自立の定義づけも含めて、コンソーシアム設置支援委員会の中で議論しながら進めていくのがいいかなと思っております。自立という言葉をどう定義するか。ただ、その中で、コンソーシアムメンバーに関する独立性をどう担保するか。そういう議論と併せて考えていく必要があるかと認識しております。
 2点目及び4点目の患者還元のスキームあるいは戦略性に関しては、より詳細な検討が必要ではないかという御指摘でありますし、それに関連する医療機関を含めるためのAIツールの開発、そういうものを同時に進めるべきだという御指摘については、患者・還元支援チームの上野先生、現状での検討状況をお知らせください。
○上野参考人 どうもありがとうございます。
 現時点で連携施設の追加要件に関しましては、もともとできていたものがありましたけれども、これに関しましては、さらに、我々のほうで見直しを進めておりまして、より現実的に、より詳細な要件を検討しているところであります。
 また、AI活用に関しましては、まさにそのとおりだと考えております。我々としましても、AIなしに発展というものはなかなか見込めないし、むしろ、それを積極的に使っていくべきだと。そういう中でヒアリングを各班から行ったときに、AIの活用はどういうふうに可能性があるかという点も含めて、実際ヒアリングを行っています。今回、それをきちんと具体的にお示しできませんでしたけれども、具体的には、臨床応用に向けた活動の部分で、1つは患者さんへの同意説明をする場面、もう一つはエキスパートパネル、そういう部分に関しましてAIをどういうふうに入れられるかということを、この活動の中で検討していければと考えております。どうもありがとうございました。
○中釜委員長 それから、3点目の臨床データの収集に関する考え方、現状については、こちらは解析・データセンターの井元先生、現状あるいはその方向性について御説明いただけますか。
○井元参考人 井元でございます。
 AMED研究のほうで、お話ししようと思っていましたが簡単に説明させて頂きます。令和3、4年のAMED研究では、Web経由の手入力による収集形式を取っておりました。ただし、このやり方は持続可能なものではないと分析しております。そこで、令和4年度から、臨床情報の自動収集システム構築の研究をスタートさせました。昨年度末でA班の主要な3つの医療機関でフィージビリティスタディを行うというところまで来ております。ただし、まだ臨床情報の全ての項目を自動収集できるわけではありません。項目によっては、電子カルテへの入力を標準化するためのテンプレートを開発するという方法をとっておりますし、今後も自動収集できる項目も広げていくことを計画し、進めているところでございます。
 また、EDCの臨床項目については、3年ほど前に決定されたものをベースに、ニーズに合わせて令和4年度に少々改編したものを使っております。時間がたっておりますので、再度、ニーズの調査等を行って項目の見直しをすることが必要だと個人的には思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 中村委員、御指摘4点について、現状についての状況を説明させていただきましたが、よろしいでしょうか。これは重要な御指摘だと思います。
○中村委員 国がゲノム医療の分野に投資していくのは、私は必要だと思いますし、この遅れてしまった現状を取り戻すためには、一定の期間、投資していただくことは絶対的に必要だと思っていますけれども、今、吉田先生が言われたように、いずれ保険診療科でどんどん活用されるようになったときに、この実施組織がどういう役割を果たすのかということも含めて、それは大きなテーマとして考えていく必要があるのではないかと思いますので、その点についてよろしくお願いします。
 それから、井元先生、いろいろやっていただいているということを今聞きましたけれども、最近、私が聞いた話では、例えばChatGPTにAPIをつくることを頼んだらできたと。どこまでの範囲かは専門家ではないのでよく分かりませんけれども、そういうことが行われるようになると、臨床情報の自動収集かつ連続して一人の患者さんを追いかけることができるようになると思いますので、今できるかできないかということを踏み越えて、どんなデータが必要なのかということを前提に、今、何ができるのか、あるいは来年になれば何ができるのかということを考えて、組織づくりをやっていくことが極めて重要だと思いますので、ぜひ、検討課題の中に含めていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。特にChatGPTの活用の仕方、そういうものについても併せて検討をしていければと思います。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、辻井委員お願いします。
○辻井委員 最初の会なので、事情がよく分かってないので、聞きたいのですけれども、AIを活用するといった場合に、医療そのものの、医学的な研究そのものをよくしていくという意味でのAI活用というのと、病院の業務とか患者さんとのやり取りのところでAIをどう活用していくのかという2つの方向性があると思うのですけれども、このコンソーシアムは、その両方をカバーしようとされているのか。また、別のほうでどこかがカバーするものがあるのかというのがよく分からなくて、AI活用の範囲をどこまで広げるつもりなのかというのがちょっと気になりました。
 それから、データ駆動でいろいろなことをやっていくのは、確かにそうだと思うのですけれども、今までの科学的なプロジェクトを見ていると、そのプロジェクトが続いている間は比較的データが取れるのですけれども、研究者の興味が変わって、少し方向が変わると、データの継続性がなくなる。しかも、やるべき研究の方向によってデータの種類がかなり多様なものが必要になってきていて、それをうまく系統的に集めていくというのを考えていかないと駄目だと思うのですけれども、いろいろなヒアリングをされていく中で、どういう共通のデータが必要なのかという話なのか。ChatGPTの話になると、ログとかテキストデータもそれなりに集めてないとなかなか使えないという話になってくるとも思うので、そういう伝播の種類というか、どういうところにAIを使いたいので、こういうデータが必要で、それを継続的に集めていく体制をこういうふうにつくっていくという、何かそこの議論をしておかないと、かなりばらばらで単発的になるのかというのがちょっと気になったのです。
 井元先生が説明していただいたような、何かある種のデータを集めるための枠組みがうまくつくれるといいなと思って聞いていました。
 ちょっとコメント的になります。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。主に2点についての御指摘ですが、AIの活用の範囲をどこまで、業務的なところなのか、さらに、システムそのものにも組み込んでいくのかということ。2点目は、データの継続的な最終範囲、あるいは、例えば多様化するデータについて、どういうふうに対応するのかと。これは恐らくAMED研究というところで並行して進めていく中でのことだと思いますけれども、今の御指摘2点について、現時点での検討、方向性について、井元チームリーダーお願いいたします。
○井元参考人 井元からお答えします。
 まず1点目ですが、コンソーシアムに関しては、辻井先生に御指摘いただいた、科学研究的なところは大きいかと思います。
 一方、患者還元を考えますと、通常の業務等にAIを活用していくところは、コンソーシアムの役割とは少々異なり、私の担当している解析・データセンター運営チームで議論しております業務フローやプロジェクトの中でAIを活用することでヒューマンリソースを確保していくことを検討しなければならないと思っております。
 もう一点、データに関しましては、現在、AMED研究において、必ず集めているものは全ゲノムシークエンスデータ、RNAシークエンスデータ、臨床情報でございます。
 一方、ゲノム解析の技術は日々進歩しておりまして、多様なオミックスデータが取得できるようになってきています。その新たなゲノム関連データをいかにして患者還元につなげていくかが課題です。令和4年度のAMED研究班においては、例えばシングルセルRNAシークエンスやロングリードで読んだ全ゲノムデータなど様々な新たなデータを限られた症例ではありますが取得しまして、患者還元につなげていくための研究が開始されたというところになります。その中から有用な方向が見えてくれば、将来の医療に還元されていくというところを期待しているところであります。
 以上です。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。御指摘を踏まえながら、さらに詳細化して、精緻化して、検討していきたいと思います。
 それでは、続きまして、森正樹委員お願いします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 これまでの議論をお聞きしてのことだったのですが、改めてちょっとお伺いしたいのですが、この規模感ですね。実際の規模感が、まだ、なかなかよく理解できないのですが、例えば事業実施の準備室ができて、それから、ボードメンバーができてということで、それぞれの先生方は皆さん兼業というか、主になるのをお持ちの上でこれにも関わると思うのですけれども、このコンソーシアムに関わる人たちも含めて、実際にこの事業に専従でやる人の規模感をどの程度考えておられるのか。例えば総務のほうで、組織設計、それから、人材育成は、これから考えていくところではあると思うのですけれども、ファイナルゴールとして、どの程度ここで専従でやっていただく方はどの程度必要なのかという、その辺の現時点での見通しがもしあれば、教えていただければと思います。
○中釜委員長 それについては、私のほうからお答えしますと、恐らく、前回、前々回の専門委員会でもある程度試算としては数を示させていただいたのですけれども、事業実施組織が令和7年度に立ち上がるときには、想定の数として、全体の規模感としては120人とか150人とか、そういう陣容を出させていただいていたかと思います。ただ、これについては、参考にしているのがゲノム経済だと理解していますので、一気にその人数をそろえることはなかなか容易ではないと思いますので、どういう形で事業を実施、どのくらいのスピード感を持って、あるいはどれくらいの間隔で症例数を増やしていくのかというところも並行しますし、並行して患者還元というところも、これは医療実装側のところで変わってきますので、解析しても患者還元ができないという体制もあり、そのあたりとのバランスがどういう形のスピード感が適切かということを詳細に検討する必要があると思いますけれども、事業実施組織がある程度固まった段階では、想定すると、今申したような数がある程度想定されていると御理解いただければと思います。現状は、実施組織の設置に向けて、準備室の中で皆さん兼任併任という形を取りまして、それぞれエフォートを割いて参加していただきますので、準備室の中では、実施組織の設立に向けてできることをやっていくと。もちろん準備室は2年間の間で、さらに占有性をもってコミットしてくれる方ができることを期待していますけれども、そのような取組をしていると御理解いただければいいかと思いますけれども、よろしいでしょうか。
○森(正)委員 分かりました。ありがとうございます。
 いずれにしても、これだけの国家的なプロジェクトですので、成功させるためには、本当に全力でコミットしていただける方がいないと、兼業だけではなかなかうまくいかないだろうと思いましたので、改めてお聞きした次第です。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございます。もちろん、プラス、コンサルの方々とも相談をしながら進めているという状況です。
 それでは続きまして、葛西参与お願いします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 私は、事業実施組織内のシステム委員会をやっていますので、その経験も踏まえて、皆様に御理解いただいておくことがあるなと思って発言したいのですが、1つは、もちろんAIの活用から臨床情報を多様に集めることは非常に重要だと思いますし、そういった可変性があるシステムづくりを心がけているのですけれども、今、実は、結構な量の工程と結構な量の実証を積み重ねて物をつくっています。その過程の中で一番大きな課題になっているのが、データの取扱いをする際に、今回、研究事業と事業実施組織である事業と両面表裏一体で動いていますので、研究事業でやった場合は、当然ですけれども、倫理審査を初め、ばらばらにある倫理審査のプロトコルが変わるたびに、当然、一から手続をし直すということで、私も研究をするのですけれども、研究者の方々が非常に混乱しているというのがあります。
 これは結構重要なことで、その手続だけを差し込むだけでも1年以上取られてしまうので、まず、セントラルな倫理委員会、もしくは、情報の管理を適切に行うための制度の在り方は、二次利用の制度の一つのケースになりますので、厚生労働省の参与ですから、厚生労働省のアドバイスをしているわけですが、厚生労働省を含めて、この二次利用面をスムーズにできるような倫理審査、それから、情報管理の体制を体系立てて制度化してもらいたいなというのが1つあります。でないと、ずっとシステムづくりをそこで待ってしまっているのが現在です。
 それから、もう一つ重要な観点が、今回は創薬を含めて、きちんと患者還元するということであったり、GXP省令のような、いわゆる製薬を確実にするために、実は、データのつくり方であったり、システムのつくり方のルールが法令に準拠していることが非常にあります。例えば、ESERのような原産地証明書を使って、どこに改ざんされてないようになっているか。改ざんはなかったかという、そういった情報もきちんと適切に管理されているかというのは、これは法律事項になっているのですね。そういった法令事項に準拠していかないと、最後、研究で集めたデータが創薬に使えない。これは皆さんもご存じのとおりですが、まず、そういった基本的な法制度による情報管理事項が、実は難病などは非常に複雑で、難病の方々は情報を開示はしたくないけれども、でも、使ってもらわないと次に進まないという事例も非常に抱えていらっしゃったりします。私、医療的ケア児をやったときも同じ問題があったのですけれども、そういった法制度等を表裏一体に倫理事項、それから、情報管理事項、それから、GXPのようなプロセスの管理、全部を総合的に勘案して検討してもらわないと、実はシステムづくりは先に行けないということを御理解いただければと思います。それだけでございます。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。データの利活用と患者還元に向けて、これを最大化するためにも丁寧に法令あるいは規制等を考慮しながら進めていく必要があると思いますけれども、この事業の目的である患者還元の利活用の促進することをアウトカムとして、念頭に置きながら進める。できるだけ効率的な体制を進めていきたいと思います。
 中村委員、お願いします。
○中村委員 今の葛西さんのコメントはそのとおりだと思うのですけれども、技術が進むと医療の在り方そのものが変わってくると思っています。10年後に、今、創薬の閉塞感を打ち破るために何が必要なのか。今のルールに合わせてできないことを言っていれば、いつまでたってもできないことはできないので、ルールを変えることも含めてどう在るべきなのかという観点でやっていかない限り、この実施組織は本当に日本国内に生きていくものというか、有効に活用されないと思いますので、必要なものをつくり上げていくために、状況によっては厚生労働省にお願いしてルールを変えるぐらいの気持ちでやらないと、日本の一番の足かせは、今あるルールに則って物事を考えるので、その先に進めないという、まさに葛西さんがおっしゃったとおりだと思います。5年後、10年後を見据えて、医学研究あるいは医療に必要なものはどんなものなのかという観点から、いろいろなものを切り拓いていかないと、今のままの閉塞感は変わらないと思います。若い方がたくさん参画されておられますけれども、今の規則、今のルールに縛られるのではなくて、技術が進んだことによって変えなければならない規則も含めて変えていくという、そんな観点でいろいろな案を考えていただければと願っています。
 以上、コメントです。
○中釜委員長 重要な御指摘と思います。その点につきましても、利活用チーム、及びコンソーシアムの中で、企業の方も入っていただいておりますので、そういうところから、利活用を促進する仕組み、規制緩和への課題、そういうものも御検討いただくことになるかと思いますので、今の御指摘、非常に重要な御指摘と理解いたしました。ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、これまでの議論につきましては、おおむね御賛同いただいたということで、連携機関の追加も含めて、御指摘いただいた点を含めて、さらに引き続き検討させていただきたいと思います。
 それでは、次に議題3ですね。全ゲノム解析に係る令和2年から令和4年度までのAMED研究報告について、AMEDより資料3の説明をお願いいたします。
○土師参考人 AMEDでございます。
 まずは2ページを御覧ください。本日は、AMED研究の振り返りといたしまして、最初にがん領域から、令和3年及び令和4年の研究計画、並びに、A班の研究成果の概要をAMEDより説明さしあげた後に、患者還元にフォーカスいたしまして、A班の3班の先生方より御報告いただき、再度、AMEDから3班の先生方よりいただきました資料に基づきまして、全ゲノムシークエンス解析結果や検査の実施可能性及び研究を通して見えた課題を説明させていただきます。最後にデータベース・データセンター構築状況について、C班の先生方より御報告いただいた後に、難病領域から報告いただくこととしております。
 3ページを御覧ください。全ゲノムシークエンスの解析計画数は、A班はめ令和3年度に1,500症例、令和4年度に2,000症例、B班は令和3年度分として8,400症例でございます。
 4ページを御覧ください。こちらはC班の研究計画でございます。こちらのチームが集中管理システム、ゲノム解析・クラウド基盤・監視、臨床情報等の活用、データ共有・研究支援システム、出口戦略の構築を分担いたしまして、それぞれ右の列に記載されました目標に基づき研究が実施されております。
 6ページを御覧ください。まずは、A班の研究成果でございます。患者還元体制が整った医療機関を、専門性や地域性を考慮しつつ分担医療機関として追加することに対しまして、こちらに示しました7つの医療機関を追加いたしました。その分担医療機関を含めた、全ゲノムシーケンス及びRNA-seqの出検数を経時的に示したのが左下のグラフとなります。全ゲノムシーケンスが3,614、RNAが3,573となりまして、いずれも目標を達成してございます。全ゲノムシーケンス解析を実施した症例の臨床情報につきましては、その基本情報、及び予後など未確定な情報につきましては、3月1日付の情報について、各班併せて目標症例数のEDC入力は完了しております。
 一方、右側のグラフは、エキスパートパネルに関する成果ですけれども、実施数が1,831、アクショナブルなgenomic変異の検出数は922、Germ-lineに開示対象の病的バリアントの検出数は112に達してございます。エキスパートパネルには、各医療機関で順次進めておりまして、未実施の症例につきましては、本年の11月頃までに完了する見込みとなってございます。
 なお、B班6班の結果を併せました全ゲノムシーケンスの解析数は、先ほど厚生労働省のスライドに示されており、目標の症例数に対しまして、1万2,024症例の解析を実施し、その臨床情報につきましても、EDC入力が完了しておりましたことを報告いたします。
 続きまして、A班の3つの班より、患者還元につきまして御報告いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、まず角南班からの報告をお願いします。
○平田参考人 国立がん研究センター中央病院の平田です。研究代表角南に代わりまして、御報告いたします。
 次のスライドをお願いいたします。まず、エキスパートパネル実施体制について御説明いたします。構成メンバーは、エキスパートパネルに準じて中央病院及び研究所より、ゲノム研究者、臨床遺伝専門医、薬物療法専門医、生物情報研究者が参加しております。
 レポート返却までの流れになりますけれども、まず、ある一定の条件により検出したVCFファイルから作成したレポートに基づいて評価をします。まず、臨床情報の確認より行いまして、記載されたバリアントの病的かどうかの評価を行っております。バリアントとしては、コホート臨床を中心にまだ既陽性を排除できない状況でもありますので、右下に示すような形でIGVや、情報解析の先生方に構築いただいた新システムについてシーケンスリードの目視確認を行っております。最後に、重要な診断につながるバリアントに対して、薬剤や診断名等のコメントを記載して、レポートを完成させております。この完成させたレポートですけれども、こちらはまだ研究として実施していることから、診療録とは一線を画した形で、部門システムのほうで管理をさせていただいておりまして、担当医と協議し、患者還元へとつなげております。
 次のスライドをお願いします。こちらでは、全ゲノム解析が有用であった3症例について提示をしております。1症例目は肉腫の症例ですけれども、検体学的には脱分化型脂肪肉腫を疑いながら、そちらで典型的に認めるCDK4あるいはMDM2のアンプリフィケーションを認めなかった症例になります。全ゲノム解析でCDK4の生殖細胞系列のバリアントとTP53の体細胞遺伝子変異を検出しております。Somatic/Germline双方の網羅的解析によって、病態を解明できた症例となります。
 残り2症例については、いずれも疾患特異的な融合遺伝子が認められた症例となります。いずれも複雑な構造異常を有しておりまして、介在配列が非コード領域に存在しているために、通常のCGP検査等では検出されなかった症例と考えます。全ゲノム解析による精緻な解析により、こうした構造異常も捉えられ、診断補助として有用である可能性を示す結果を得ることができると考えております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、浦上班よりお願いします。
○浦上参考人 浦上です。
 我々は、自施設で解析パイプラインの構築から始まりまして、ここに書いてありますように、検査会社から得られたFASTQを1次解析、2次解析を行って、ここに書いてあるような細かいデータを取っていくのですけれども、それを、また、この右側のところですけれど、自施設でエキスパートパネル用のレポートの作成を行います。このレポートは、パネル検査の上乗せとして主に3つ加えています。「解析結果をCIRCOSプロットを使って見やすくした図」、そして、左下のところに「グローバルな染色体領域におけるCNVの変化を可視化、SNVと併せて見ることによって染色体レベルでLOHを見つける」ことができます。そして、その真ん中の下のところですけれども、「変異シグネチャーを見ることによってがん化の要因を探る」ことができます。この3つを主に特徴としたレポートをつくり上げてきました。
 これは各班ごとにこういうレポートをつくるのは大変な労力で、次のスライドをお願いします。今は、なるべく自動化していくということで、こういうプログラムをつくって、自動化が行われています。まだ途中ですけれども、ここにこういうバリアントのアノテーションみたいなところは、先ほどお話あったAIを使って簡単にできるようにしていきたいと考えています。その下のところは、実際、エキスパートパネルの写真が載っていますけれども、パネルの検査と同等に、構成員、専門家を集めて、毎週火曜日の夕方おこなってます。小さい字ですけれども、そこの左に書いてあるのは、パネルでも見つかるようなアクショナブルな変異が今までどれぐらい見つかったかということで、先ほどのまとめのグラフにもありましたけれども、エキスパートパネルの症例の半分ぐらいでこういうアクショナブルなものが見つかっている。
 次のスライドをお願いします。これは全ゲノムでないと見つからないものの変化を集めたものです。主に、頭頸部のがんとか肉腫とか、そういうような希少がんを中心として、特殊な融合遺伝子が見つかるというのがあります。一番下のところは、補助的な診断ではなくて、治療につながるということで、NRGの融合遺伝子が見つかった例です。ほかにもいろいろありますが、今日は典型的なものだけにいたしました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、上野班からお願いします。
○上野参考人 お願いします。
 我々のチームとしましては、エキスパートパネルの構成は、御覧のとおり、がん研病院と研究所、両者から集めて、エキスパートパネルを1週間に1回、1回について10~30件を行っております。また、Germlineのほうを調べておりますので、腫瘍性の原因遺伝子に関しましては、我々のほうは通常臨床でも行っておりますから、非腫瘍性の疾患原因遺伝子が見つかることがあります。それらに対しまして、現状ではまだ開始するというところまで行っておりませんけれども、それは結果を返却するものに関して検討を進めております。特にGermline boardをつくりまして、御覧のがん研以外の専門の先生方にも入っていただいて、各疾患の専門の先生方に協力していただいて、ボードをつくっており、さらに、下にありますように、昨年の10月から、二次的所見の取扱いに関する打ち合わせを進めております。今年の3月、5月に関しましては、バリアント評価のためのエキスパートパネルを実施して、どういう疾患、どういう遺伝子に関して開示対象とすべきかというような議論を現在進めているところになります。
 次、お願いします。我々の班で見つかった有用であった症例ですけれども、これは耳下腺腫瘍で、既に2019年にNR4A3のenhancer hijackingの症例で、4番と9番の染色体の転座によってenhancer hijackingに起こったNR4A3ががんのドライバーである可能性が示唆されたという症例になります。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、AMEDの土師課長からお願いします。
○土師参考人 ここで、3班より入手いたしました情報を、全ゲノム解析検査の実施可能性及び研究を通して得た課題として、AMEDがそのまとめを御紹介いたします。
 まず、A班3班の検体評価数と合格検体数ですが、核酸の量や品質を評価するDNA QCをパスした割合は、aに示されておりますけれども、98%でございました。腫瘍含有量について、病理医による組織標本を基にした推計値と、シーケンシングデータによる推計値をプロットしたものが下のbのグラフになりますけれども、両者におおよその相関が認められますが、乖離のある症例も認められる結果となってございます。
 右上のcのグラフですけれども、こちらはアクショナブルな遺伝子として報告対象としている遺伝子について、体細胞変異が検出できなかった症例の割合を、推定腫瘍率が25%未満と25%以上に分けて示したものでございます。推定腫瘍率が25%以上あれば、アクショナブルな遺伝子に体細胞変異を検出できる可能性が高いことが示されてございます。
 その下のdでございますけれども、がん種別の解析完了割合を示したもので、CGP検査と同様に、腫瘍含有率を実施基準におきますと、新鮮凍結検体の場合はマイクロダイセクションができないため、腫瘍含有率が15%未満では解析不能となりまして、がん種によりまして10~20%程度含有率は落ちるというような結果が得られてございます。
 続きまして、15ページと16ページを御覧ください。3班より入手しました研究を通して見えた課題を、主な課題に分類したものでございます。時間の都合で詳細は割愛させていただきますが、対象症例におきましては、全ゲノム解析が有用ながん種・症例の絞り込み、検査精度では、患者還元をするためには品質保証が重要ですが、現状は研究としての実施であり、精度管理や検証が必要であること。また、所要日数におきましては、同意取得から結果返却までの所要時間について。さらに、エキスパートパネルにおきましては、レポートの平易さや、作成の負担軽減、効率化などが挙げられてございます。
 次のページにおきましては、臨床的有用性におきまして、遺伝性の腫瘍性・非腫瘍性疾患原因遺伝子を検出した際の対応。研究的有用性では、全ゲノム解析でしか見つからない構造異常を含むがん特異的なバリアントの発見のため、引き続き、データの蓄積と臨床研究の実施が必要であることが挙げられてございます。
 では、続きまして、C班の先生方より、「データベース・データセンター構築状況について」御説明いただきたいと思います。
○中釜委員長 それでは、最初に井元先生にお伺いいたします。
○井元参考人 井元です。
 次のスライドをお願いします。データセンターの構築状況について、C班の研究について報告いたします。
 次、お願いいたします。これは研究体制で、既に示されておりますので、参考資料としていただければと思います。
 次、お願いいたします。各チームがどういう領域を研究対象にしているか図示したものになります。C班では、医療機関から患者さんの検体が出検されて、受託会社によってシークエンス解析が実施され、シークエンスデータになって、研究班が受領します。臨床情報については、医師から電子カルテにある臨床情報が登録されますが、現在は自動収集の仕組みを構築しています。ゲノムデータの解析結果と臨床情報を合わせてエキスパートパネルに活用するレポートとなります。蓄積されたデータは、データ共有を行い、利活用が推進されます。以前は、フォーラムと呼ばれていましたが、コンソーシアムと名称が変更された組織へのデータ提供を行うことになります。また、全ゲノム解析の結果を医療に実装するための治験を行う出口戦略チーム以外のという幅広の活動で研究を進めておりました。今日は、この出口戦略チーム以外の5つのチームにおける令和3年度、令和4年度の成果について報告いたします。
 次、お願いいたします。まず初めに、私の方で進めてまいりましたゲノム解析・クラウド基盤・監視システムの構築について成果を2枚のスライドにまとめました。最初のスライドは、ゲノムデータを受領し、統一パイプラインによる解析を経て、患者還元のために、研究班に解析結果を戻す経過に関する部分についてまとめました。ゲノムデータはシークエンス解析を研究班から受託された8社から受け取りましたが、そのロジスティックや、輸送手段は相当に多様なものでございました。今後は、この経験をもとにロジや方法の標準化が必要だと思っています。統一パイプラインは、オンプレミスサーバ上に構築しまして、全ゲノムシーケンスデータを1日あたり約40症例の解析が可能なパフォーマンスを得ることができました。
全ゲノムデータは、患者1人分が300GBから400GB程度になるものが多かったですが、中には1ペタバイトを超える症例もございました。症例毎のデータサイズのバラツキをどう考えるかは検討する必要がございますが、統一パイプラインによって、年間1万症例以上の
WGS,RNAseqを解析することが可能な環境を構築できました。これを用いまして、一次解析としては、WGSシーケンス1万2,000症例以上、RNAシーケンスは9,000症例以上のデータを解析し、研究班に返却いたしました。これらのデータは、シークエンスの生データや解析データを含めて、現在、12ペタバイト以上の容量となっております。生データであるFastqデータだけで4.5ペタバイト以上になっておりますので、その保管並びに利活用するためのシステムは大きな課題と認識しています。
さらに研究班では二次解析が必要になってまいります。その規模の拡大が課題だということを認識しております。
 次のスライドをお願いいたします。現在は、オンプレミスのシステムを利用して統一パイプラインによる解析や、データ提供を行っておりますが、実施組織ではクラウド上にシステムを構築する計画でございます。そのために統一パイプラインのクラウドでの性能検証、クラウドにおける運用・セキュリティ対策について、昨年度は主に進めてまいりました。現在、1日当たり40症例の解析能力を実現するために、クラウドリフトで単純にオンプレミスの環境をクラウド上に再現すれば、現実的には可能ではあります。ですが、相当なコストがかかることが分かっています。それでは持続可能ではありませんので、クラウドネイティブなマネージドサービスを使って、できるだけコストを抑えつつパフォーマンスを得るための検討を現在進めております。
 また、セキュリティ対策としましては、既存のインターネット経由での攻撃をまとめたMITRE・ATT&CK従い進めています。まず、解析・データセンターのデータフローの図を作成し、アタックポイントの認識、想定される攻撃について可能な対策を整理しました。その上で、記載しました6つのセキュリティ領域におきまして、使用可能な製品調査を行い、アンダーラインで示した2つの領域については、PoCを実施しました。PoCが実施できてない分野については、今年度以降実施する計画となっております。
 また、人手で行っていましたデータの整合性の確認等は、自動化するよう、Webアプリケーションを開発し、現在PoCを行っているところになります。
 次のスライドをお願いいたします。次のスライドからは、各研究チームの先生方に説明していただこうと思います。松田先生よろしくお願いします。
○松田参考人 よろしくお願いします。東京大学の松田です。令和3年度からC班に参加させていただきまして、主に、集中管理システムの構築を担当させていただいております。
 図の上のほうにありますが、医療機関から出された検体が検査機関に送られて、そこからゲノムデータが生成されて、解析班で解析が進められていく過程、また、残余検査については保管を行って、将来的な二次利用を想定した検体管理が必要になってきます。この過程で、均質なデータをつくるために、医療機関や検査会社が実施する作業の標準プロトコルを作成すること。また、残余検体の二次利用を想定した、集中管理システムを構築するというのが昨年度行った内容になります。
 具体的には、検体処理のSOP作成と核酸抽出のSOP作成、NGS解析SOP作成、このあたりを日本病理学会と日本衛生検査所協会と連携して行いました。また、検体保管のためのバイオバンクシステムの改修、残余検体保管のSPO作成、集中管理システムの構築を進めております。
 次のスライドをお願いします。昨年度の成果の概要を説明させていただきます。左下にありますが、まず検体処理のSOPについては、日本病理学会からガイダンスを作成いただきました。こちらは日本病理学会のホームページから年度末に公開をされております。また、核酸抽出のSOPについては、A班、B班のアンケートに基づき、取りまとめの方向で、関係機関に周知を行っています。
 また、NGSの作成、解析のSOP作成については、日本衛生検査所協会と中心になっていただき、複数の検査会社からSOPを提供いただき、そこを基に類似的なSOPの作成、また、有識社企業が参加した作成会議で確定作業までを行いました。
 また、検体保管システムの改修については、BBJの液体窒素タンク1台を革新がん事業用として確保し、システム整備を実施。また、残余検体保管のSOPを作成しました。また、集中管理システムについては、まだ全体像まではできていないのですけれども、右側の図で赤で囲った領域ですね。検体の管理システムと、それを管理するシステム。また、バイオバンクとの連携のところまでが完了しております。
 今後の課題としては、まず、集中管理システムについては、医療機関でのシステムの状況から、検査会社での解析状況、ゲノム解析班での解析の完了状況、EDCの入力状況やレポート作成の進捗状況について、これを一元的にデータとして管理する必要がありますので、このあたりを各機関と連携しながら、最終的に決定して、今年度中の試験運用まで進めていきたいと考えております。
 また、今年度ではありませんが、将来的にはこのシステムが事業実施組織に移行することを想定して、システムのクラウド化。現状では、オンプレミスで運用を構築しておりますが、このクラウド化と、将来的な利活用システムとの連携というところが課題かなと考えております。現在、右上の集中管理システムの構築を、年度内完了を目指して進めているという状況です。
 よろしくお願いします。
○井元参考人 ありがとうございます。
 次のスライドをお願いできますか。臨床情報収集システムの構築で自動収集に関する研究チームのスライドになります。本来は、チームリーダーの美代先生から御説明いただくところですが、本日御欠席でいらっしゃいますので、私が代理で説明させていただきます。
 先ほど、Direct・Data・Captureのシステムに関して少しお話ししましたが、医療情報の標準規格であるHL7 FHIRを用いての臨床情報の自動収集を行うシステムを構築することが、このチームのミッションです。Direct Data Captureを略してDDCと表記しております。このシステムは、対象範囲と書かれています黒い枠の中の部分を対象にしています。システムは2つの部分から成っています。一つは医療機関側のシステム、もう一つは医療機関からデータを転送しクラウド上の結合データベースに集約するシステム、この2つの部分から成っています。前者を美代先生が担当されていて、後者を大阪公立大学の新谷先生のチームが担当されています。
 次のスライドをお願いいたします。左の研究の成果です。「DDCの流れを構築」に関しまして、まず現在のEDCの入力項目のFHIR記述仕様を定義いたしました。ただし、先ほども申し上げましたが、EDCの項目については、ニーズに合わせた見直しが必要だというところも準備室では議論をしております。
 次に2ポツ目の入力システムを導入と3ボツ目の出力項目の仮名化とFHIRリポジトリに保存できる仕組みの部分が医療機関の中のシステムに対応し、電子カルテから自動的にFHIR記述のデータベースに情報を収集するシステムになります。入力システムとしてテンプレートを定義し、標準的な入力を電子カルテに行うシステムについても導入が進んでいます。
 それぞれの医療機関において、電子カルテから院内のFHIRリポジトリに臨床データが自動的に転送されます。次に、それぞれの医療機関のFHIRリボジトリからクラウド上の統合FHIRと書かれた統合データベースに各医療機関からデータを送るためのAPIを開発しています。これが大阪公立大学の開発しているシステムです。
 昨年度においては、プロトタイプをつくりまして、年度末に3つの医療機関でフィージビリティスタディを行いました。
 今後の課題としましては、まずは、自動抽出できる項目の拡大があげられます。必須でございます。それに加えて、他の施設でPoCを行うことも重要だと考えております。そのために、検討項目を7項目挙げさせていただいています。
 以上です。
 次のスライドをお願いいたします。次はEDCシステムのところで、自動システムの前のシステムとして、これは間野先生から説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○間野参考人 よろしくお願いします。国立がん研究センターの間野でございます。
 将来的には、今、井元先生がお話しされたシステムで臨床情報を集めていくと思うのですけれども、そこまでのつなぎ役としてEDCシステムを構築して、現在、臨床情報を収集しています。その下にありますように、臨床情報の収集項目自体は、2020年当時のがん全ゲノム解析等連絡調整会議のバイオバンクワーキンググループで議論して、かつ日本製薬工業協会の皆様のヒアリングを経て、内容を決定しております。
 その後、全てのゲノム研究者の方にアナウンスをして、それで微調整をした上で、最終決定をしたものを、EDCの収集項目といたしました。EDCシステム自体は、下にありますように、Webで説明会を開催して、その後、IRB承認施設から順次、臨床情報を入れていただいています。昨年度末までに、大体9,600例ぐらいEDCの情報が集まっていました。
 そのシステムの上の図にありますように、EDC自体はAWSのクラウド上にありますので、各病院の端末から、そこに、3省庁のガイドラインに従ってアクセスをして、そこでEDCにログインして、臨床情報を入れていただきます。ここは手入力になります。
 少しでもプロセスを自動化するように、例えば全ゲノムに出検する検査会社にサンプルを送る際に、出検Excelファイルをつくりますが、そのファイルをダイレクトにこのシステムに読み込んで、基本的な情報がもう既に入ったようなEDCが人数分作られるような仕組みもつくりましたし、それから、1例1例の個別入力のほかに、多くの症例の情報をまとめたExcelファイルを一度に読み込むようなバッチ処理のようなシステムもつくっています。また、施設単位かつプロジェクト単位で、入力したデータに関しては、そのプロジェクト・施設単位でダウンロードできるような機能も既に備えています。
 次のページお願いします。こちらはレポート作成システムです。各A班の方々は、チームごとにレポートを作成されているのですけれども、将来的にどういうふうな全ゲノム解析レポートが必要になるのかということを議論していただいて、標準レポートのひな形みたいなものをつくりました。
 また、実際A班に一緒に連携している病院の中で、標準レポートを欲しいという希望を持っている施設もありますので、そういう方々に実際にレポートを送るシステムをつくりました。具体的には、その上の図にありますように、井元先生のところから最終的な変異リストがつくられて、NCCに送られてまいります。また、先ほどお話ししましたクラウド上にありますEDCの臨床情報の一部がNCCに送られてまいります。その2つをクラウド上に作成したレポート作成クラウドに上げまして、そこには臨床試験の日本のデータベースもありますので、その臨床試験データベースを使って、遺伝子変異に対してアノテーションをつけて、パイプラインでレポート作成して、NCCに落として、医療施設に配布するというような形になります。
 全ゲノム解析標準レポートに掲載する内容については、A班内で議論していただいて、また、返却システムについては、A班とAMEDを含めた会議で最終決定をされております。
 それでは、次のページをめくっていただけますか。実際にこのシステムは昨年度末で完成しておりまして、今年度になって、7月には幾つかのA案班が連携している施設に実際に標準レポートをお送りした例もございます。
 各レポートには、そこの左側の順番で書いたような8つの項目から成っていて、実際の肝となるのは、2番の調査結果と3番の臨床試験の細かい情報です。その例が、右にありますように、DNAマーカーで塩基置換、挿入、欠失が4種類、コピー数変化が2種類、遺伝子再構成、構造異型が2種類、それから、Germlineのバリアントが2種類検出されたというふうな要約情報を示した後、それぞれのバイオマーカーに対して、エビデンスタイプ、臨床的意義、それから、臨床試験ないしは承認薬が示されます。臨床試験の番号をクリックすると、詳細情報のページに飛ぶような形をつくっています。もちろんこれでフィックスされたわけではありませんので、今後、また、標準レポートがどのようなものがいいのかということに関しても、継続して議論が必要になると思います。
 以上です。
○中釜委員長 続きまして、データ共有・研究支援システムについて、これは白石先生にお願いします。
○白石参考人 がんセンターの白石と申します。
 データ共有・研究支援システムの構築について、説明させていただきます。まず、こちらの開発の背景になりますけれども、データ共有活用に当たりまして、いろいろな利活用方法が考えられます。例えば、解析結果を一覧にして、サマリーを読めるようなポータルサイトとか、あとは、解析結果をレポートに患者還元のためにレポートをつくることとか、あとは、ゲノムの元データに近いデータにアクセスしまして、そこでデータ解析するというような、様々な利活用方法があります。この研究班では、そういった様々なデータ利活用、アプリケーションに耐えられるような形でAPIを整備しまして、フレキシブルな形でデータ利活用モデルを構築することを目指しました。
 この利点としましては、今回のアーキテクチャーですと、解析データセンターから臨床情報とかゲノムデータを管理するので、アプリケーション開発担当の企業とか大学がかなりのデータを管理を、データのプログラムまでのアクセスが可能なので、様々な事業化ができるというメリットがあります。それによって多くの企業、アカデミアにおいて、創意工夫が図られて、様々な試みが可能性があることを期待していました。
 具体的に何を開発したかということですけれども、大きく分けて3つのテーマに分けて開発を進めました。1つはAPIデータベースで、このAPIデータベースは、データベース自身に加えて、データをどういった形で管理するかのインフラストラクチャーも考えます。また、データベースのどういった形の構造を持っているかというデータモデルとか、実際にアクセスがあったときに、どういった形で行うかという機能を含めています。
 2つ目はAPIで、具体的にそのデータをどういった形でアクセスするときに利用するかというソフトウェアの部分があります。これは臨床情報も含んでおりまして、様々なアプリケーションに開発に耐えられるような形で、いろいろな形でゲノムデータが利用できるような仕掛けを用意しております。例えばシーケンスデータの領域指定へのアクセスがここでできるようになっています。
 実際に、APIとデータベース、ソフトウェアがあれば利活用はできるのですけれども、それだけだとなかなか進まないということもありますので、実際の電子的なアプリケーションをつくって、その結果を踏まえて、APIのデータベース等にフィードバックをかけるという形で進めました。
 次の資料をお願いします。実際の研究成果についてですけれども、まず、AWS上でインフラストラクチャーの構築をしました。ここでロジスティックとか、暗号化とか、世代管理など、一連の機能が備わっております。
 APIの開発をしまして、実際に認証・認可ができるような形で開発をしまして、様々な用途を備えた機能を用意しました。
 データモデルについても策定しまして、実際にどういった形でゲノムデータ、臨床情報のデータベースをアップロードして、また、それに付随するようなメタデータをどういった形で登録するかという形のロジスティックスを整備しまして、ワーキングフローをつくりました。
 実際に患者還元班としまして、約600検体のゲノムデータ、臨床情報の登録を完了しております。
 例示アプリケーションとしましては、大きく分けて2つつくりまして、1つはEP支援システムといいまして、実際に患者還元班と協力しまして、こちらのEP支援システムでは、例えば実際の元データを閲覧して、実際にがん特異的にそういった構造異常を指し示すようなものが見れるかといったような、そういった検証をしたりとか、あとは、実際に見つかった変異に対して、どういった形のアノテーションがプールされているかというようなところを簡単に見られるようなシステムをつくりました。
 また、いわゆるビジティング環境としましては、Jupyter notebookによる簡易解析環境などの開発しております。
 こういったAPIに基づくアプリケーション開発を進める上で、実際にAPIを使って何でもやっていいというわけではないので、アプリケーション開発企業に対して、どういった形の基準を組み立てればいいのかということを示すような、ひな形となるようなものを、サービスレベル合意書という形で用意しました。こちらは厚生労働省の利用安全ガイドラインに基づいた形で開発をしております。もちろんこれが最終的な解ではないと思いますので、今後、セキュリティ基準については、準備室で様々な議論をすべきだと思っております。
 今後の課題についてですけれども、今回はゲノムデータを全てクラウド上に置くような形で開発をしましたけれども、実際にやってみますと、クラウドに巨大なゲノムデータを置いておくと非常にコストがかかってしまうことが分かりまして、特にゲノム元データについては、オンプレミスに保管しまして、ハイブリッドのような形で利活用システムをつくっていくことが必要であるというところに関しまして、今年度そういった検証を進めていこうと思っております。
 ほかには、APIについても恐らく継続的にいろいろな改善が必要だと考えております。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、難病委員会の徳永先生からお願いします。
○徳永参考人 徳永でございます。
 難病の全ゲノム解析研究の結果について、簡潔に報告させていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いします。これが何度か専門委員会でも出てまいりました國土班の研究体制でございます。この研究班には、専門委員の水澤先生が研究副代表として、また、松原先生も分担研究者として加わっていただいております。私のチームはゲノム基盤を担当しております。簡単に言いますと、全ゲノム解析の実施を担当しているということでございます。
 それでは、次のスライドをお願いします。これが概要図でございますけれども、私たちは、この図で言いますと、真ん中から左に向けて青い枠で囲われたところ、難病ゲノムデータセンター、難病バイオバンクを担当しているという形になります。この下の黄色の枠で囲われた部分は、分担研究者の先生方のところに、全国の協力医療機関から難病の患者さんあるいは御家族の検体が収集されてきて、分担研究者の先生方がゲノム解析をされてきたという構造です。その中で、まだ全ゲノム解析ができていないという検体を私どものところに送っていただいて、全ゲノム解析をした結果を分担研究者の先生方に御報告する。そして、分担研究者の先生方が専門性を伴った解析をすることによって、病因、遺伝子あるいはバリアントを特定するという研究をしています。
 また、残余検体につきましては、難病バイオバンクを設置して、そこに保管しております。全ゲノムデータ及び分担研究者の先生方からお送りいただいた臨床情報につきましては、データベースを構築して、今後の製薬企業、アカデミアの研究者の利活用に備えるための準備をしております。
 次のスライドをお願いします。これは研究開発の歩みの代表的な項目をここで挙げております。最初に倫理申請・承認が得られたのが2020年11月でございますが、その後、検体・臨床情報提供手引きを作成して、分担者の先生方にお送りする。あるいは統合ID採番・管理のための検体管理システムを構築する。全ゲノムシークエンスの委託、実際に検体を受け取って受託会社に委託を始めたのが2020年12月からということで、その後、臨床情報データベースの仕様を策定する、あるいはホームページを開設するということを行ってまいりまして、全ゲノム解析に関しては、順次、進めまして、当初目標の解析数6,500検体でありましたけれども、それは2021年度に完了することができ、その後、2022年度の活動を加えまして、当研究機関全体で8,033症例、その御家族の検体を加えまして、1万2,408検体の全ゲノム解析を完了することができました。これはひとえに分担研究者の先生方の非常に大きな御協力をいただいたということで、このように順調な解析ができたと考えております。
 スライド、次をお願いします。まとめになりますけれども、ゲノム医療の実現に貢献する「難病全ゲノム先行解析プロジェクト」を2023年、本年の3月に終了いたしました。研究代表者、副代表者、ゲノム基盤及び臨床情報担当者と14人の分担研究者によってこの研究班を実施いたしました。
 分担研究者が収集した難病患者・家族検体を、ゲノム基盤担当者が受けて全ゲノム解析を実施し、その結果に分担研究者が専門的な解析を加え、新規病因遺伝子及びそのバリアントが多数見出されております。2年半の研究開発で8,033症例1万2,408検体の解析を完了しました。
 難病のゲノム情報・臨床情報のデータベースを国立国際医療研究センター内に構築して、そのデータを格納しました。本年の3月からは、新たな「難病のゲノム医療実現に向けた全ゲノム解析の実施基盤の構築と実践」として新規の活動を開始しております。
 以上でございます。ありがとうございました
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、以上で令和4年度までのAMED研究についての報告をしていただきましたが、資料3について、何か御質問・御意見はございますでしょうか。
 宮野委員、お願いします。
○宮野委員 小さなことですが、白石先生に。お話を伺っていますと、AWSは、日本のがんゲノム医療、がんに限らず医療を推進するサービスを提供していないというようなふうに認識しましたが、その認識でよろしいでしょうか。
○白石参考人 AWSについて、様々なマネージドサービスをされておりまして、その中では直接医療に使えるものとそうではないものがありまして、いろいろなレベルでAWSは機能を提供していますので、それをうまく使えば、システムとしてはつくることができると考えています。
○宮野委員 その意味でAWSとして特にやりたくないことは、みんなユーザー側がやめようというふうに今受け取ったのですが、実際、私もKaplanは、AWSですぐ供給されているのだろうと思ったら、そんなものは入ってないよというので、驚き、あきれたAWSだったのですけれども、それと似たようなことだということですね。
○白石参考人 そうですね。リファレンスとしてはいろいろなことができるとしているのですけれども、言ってみれば、すごい巨大なPCだけが与えられるというようなものと、あとは、ストレージについても、いろいろなサービスはありまして、例えば無効化の機能とかそういったものはいろいろあるのですけれども、医療に特化してとなると、その部分を研究者とか企業のほうでつくり込んでいく作業が必要になると思います。
○宮野委員 分かりました。御苦労が多いかと思いますが、頑張っていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、中村委員お願いします。
○中村委員 何点かお伺いしたいことがあるのですが、まず1点目は、実際、薬の投与に至った数は出てこなかったと思うのですけれども、3人発表していただきましたけれども、本当に治療薬の投与に至った症例があれば、その数を教えてください。
 2番目に、AMEDから、フレッシュなマテリアルだと腫瘍細胞の割合が少ないケースがあるので、ゲノム解析ができないという結論なのかどうか分からないコメントがありましたけれども25%のがん細胞の割合だと、ゲノムにする遺伝子異常率は12.5%になります。スレシュホールドを下げても何も引っかからないのかどうかという検討をされたのかどうか。確かにスキャフォールドを下げるとノイズが上がってくるのですけれども、例えばp53とかのような変異でも腫瘍割合が低い場合には何も引っかからないのか。スキャフォールドを下げると引っかかるのかという検討をされたかどうかを教えていただきたいと思います。
 それから、3点目が、間野先生の二要素認証ですけれども、今までのいろいろな多要素認証はログインするためだけの認証であって、実際にログインした人が使い続けているかどうか分からないと思いますので、皆さんに使ってもらうような段階になれば、本当にログインした人がずっといるのかどうか。例えば、スマホがそばにあるときだけはログインできるけれども、席を立つとシャットダウンするような仕組みもあるので、そこまで含めてセキュリティを担保する必要があると思います。
 4点目。白石先生がゲノムのデータをクラウドに集めると、確かにいろいろと動きにくいと言われましたけれども、それは全ゲノムを入れればいいのか。あるいは、ある程度変異を見つけて、変異だけをデータとして格納するのかによってかなり違ってくると思うのですけれども、クラウドをどう使うかということを考える段階で、何を入れるのかというのが大事なので、ちょっとそこを全部のゲノムを入れるのか、対象物だけを入れたのかを教えていただきたいのと、最後、ロングリードの話があったと思うのですけれども、その結果は何か出ているのかどうかということを教えていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 3班からそれぞれ御報告いただけますか。
 実際、薬が届いた数ですかね。診断ではなくて、薬が届いたかということで御質問です。これについて、平田先生からお願いします。
○平田参考人 角南班から御報告させていただきます。
 まず、治療に結びついた症例についてですけれども、こちらは、我々は、手術後の症例を主に集めているということがありまして、あまり多くはないという症例です。現状、1症例でPIK3CAの遺伝子変異を検出した症例について、その治療に結びつけることについて、検討を進めているという状況です。
 もう一点、基準を下げた場合の検出可能性については、実際にIGVを見てレポートに掲載されていなかった融合遺伝子を確認した症例はあります。そういったものに関しては、レポートにコメントして、記載を加えて、ファイルしているという形にしております。
○中釜委員長 それでは、浦上先生お願いします。
○浦上参考人 浦上です。
 最初のほうですけれども、我々の施設では、今まで7症例ありましたが、平田先生がおっしゃられたように、手術適用ということで、恐らく半分ぐらいは治る患者さんだと思います。これから時間がたてば、再発転移が増えてくるのではないかと思っています。
 2つ目ですけれども、我々の施設では、閾値というのは設けてなくて、出てくるものは全て拾って評価しています。推定値ということで、腫瘍含有量がかなり低い場合も、ホットスポットとなる変異などは、拾えるものもあります。ただ、偽陰性がどれくらいあるのかという評価は難しいので、そういうことも含めて、これからデータを全部集めて、どれぐらいの閾値が一番よいのかというのを調べていきたいと思っています。
○中釜委員長 最後に、がん研から上野先生お願いします。
○上野参考人 我々の施設では、治験等の治療に結びつけたのはがん事例のみになっております。先ほど2班からお話がありましたとおりで、手術経緯がメインだったということと、多分大きな原因だと思います。推奨度に関しましては、25%のデータはがん研から出しているデータです。それで、生涯生存率が低いと認識することに関して、現在、研究所で検討中という状況であります。
 以上です。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、EDCの認証について、間野先生お願いします。
○間野参考人 ありがとうございました。
 現在の段階では、先ほど中村先生がおっしゃったような、例えば携帯から離れていったときにシャットダウンするとかというふうなセキュリティは保たれていません。今後、テクノロジーがもちろん進化していきますので、それに応じたセキュリティの在り方も、このような枠組みの中でぜひ議論していきたいと思います。ありがとうございました
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、4点目、白石先生、格納するデータの規模感、サイズ感、種類で、これについてどのような検討を行っていますか。
○白石参考人 中村先生がおっしゃっていただいたのは非常に重要なことでして、今現在は、自分たちがこちらのデータシステムにおいて、本当に断トツで大きいものがゲノムの元データになりまして、それ以外は100分の1ぐらいのサイズになりますので、ゲノムの元データだけを今今はクラウドのほうに移すことを考えています。検体は一旦クラウドのほうにゲノムの元データを全部置いたのですけれども、かなりたってしまうということで、使った変異の周辺だけのものに制限をして、ゲノムの元データを物すごく頻発をして講じているということをしています。こちらについても、もしかしたら、ゲノムの元データ以外に対しても、最終的な変異についても、今後いろいろな解析をして、そちらについては、今、検討中という状況です。
○中釜委員長 最後、ロングリードの状況については、これはAMEDの土師課長にお願いしていいでしょうか。
○土師参考人 ロングリードですけれども、当初は、7班個別に実施予定でしたけれども、7班全体で、研究のさらなる推進の観点から、実施条件を統一すること、また、将来、遺伝子異常の確認検査として利用する可能性も含めまして、解析企業で実施することに変更となっております。すなわち、受託解析という形となってございます。このために、実施基準の統一などにつきまして、研究班7班間での調整作業が生じておりまして、現在、令和5年に繰り越して継続しているところでございます。現在の状況といたしましては、各班間の情報共有、連携強化並びに解析業務を含めた検討を進めているところでございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 以上、御指摘の5点について答えていただきましたけれども、中村先生いかがでしょうか。
○中村委員 いろいろやっていただいてみてありがたいと思います。最後のロングリードに関しては、本当に特定の企業を採用するような縛りがあったので、本来は、使えるかどうかを検討した上で、次の段階に進むべきだったと思いますけれども、今後の反省として、新しい技術を利用する場合には、本当にそれが利用可能かどうかというフィージビリティスタディをやった上で、次に進んでいただきたいと思いますので、今回、AMEDから説明していただいた結果は、最初から予測されることだと思いますので、今後の反省として、新しい技術を採用して、いろいろな角度から考えていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 準備室あるいは実施組織とAMED研究班の関係について、基礎的な研究はAMED研究で行わせていただくわけですけれども、そのあたりの連携、情報共有といったところを、最初からしっかりと決めていくべきだという御指摘でしたので、そんな方向で進めていきたいと思います。ありがとうございます。
 では、続きまして、安川参考人お願いします。
○安川参考人 御指名ありがとうございます。
 井元先生に対する質問とそのほかの方に対する質問になるか分かりませんけれども、井元先生が24ページ、25ページで御説明されたDDCは3施設でPoCをとれたが、まだ課題が幾つかあるということだったので、直ちに全施設で使用するレベルにはまだ達していないと理解いたしました。
 その上で、先ほどのセクションで、葛西参与がおっしゃった今後つくるデータベースは、GXP、その他法令をクリアするレベルでつくるべき。この御発言には100%賛同いたします。
 そして、中村先生のゲノム情報には臨床情報がくっついていないと、製薬会社、その他の研究に使えないためどうするのかという御質問の回答の中で、ネクストフォーマットをつくってあって、それを各施設で入力をしていただくというような回答があったと思います。ご説明を聞いて、臨床データは、病院にあるカルテから何らかのプロセス、何らかの人為的な作業を経てつくられる二次的なデータベースだと理解しました。とすると、この二次的なデータベースのクオリティー、正確性を担保するためのシステムが必要だと思います。この部分は、企業が治験を行うときに、いちばん労力を使い、一番気を這って正確性を担保する部分であり、ここに疑義が発生しますと、薬剤の不承認につながる重要な部分ですので、今回のプロジェクトにとっても非常に重要な部分だと思っております。従いまして、ここの正確性を担保するようなシステムはどのようなものになっているかというのを、今、何かあれば、御説明いただきたいし、今後検討するということであれば、今後のどこかの会で詳細な説明をいただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘の点について、間野先生と井元先生から、現状での検討状況をコメントいただけますでしょうか。
○間野参考人 EDCに関しましては、ロジカルチェックは行っておりますけれども、外部あるいは第三者などの質保証のシステムは、現状のところ、費用の関係からもできてないのが現状であります。
 以上です。
○中釜委員長 DDCについての検討状況について、井元先生お願いします。
○井元参考人 DDCに関しましては、電子カルテから直接データを抽出するという形式ですので、対応できているかと思っております。一方、現状集めているデータに関しましては、安川様に御指摘いただいた問題があることは既に認識しております。何らかの形で対応するべく、現在、検討しているというところになりますので、また、御報告させていただければと思っています。
 以上です。
○安川参考人 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 では、ほかに、御質問・御意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、最後になりますが、全体を通して何か御質問・御意見がありましたら、お願いいたします。
 特にないようです。
 今回の議論につきましては、非常に多くの御指摘、御意見をいただきました。その点を踏まえながら進めたいと思いますが、おおむね、方向性、現在の進捗に関しては、合意を得られたと思いますので、本日の議論については、委員長預かりにさせていただき、微修正等がありましたら、検討させていただき、また、先生方の御意見を反映させていただきたいと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして、本委員会を終了したいと思います。追加の意見等がございましたら、適宜、事務局までお寄せください。委員の皆様にはスムーズな議事進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、議事進行を事務局にお返しいたします。
○事務局(山口) 事務局の山口でございます。
 次回の専門委員会の日程調整につきまして、事務局担当より御連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、御回答のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。