第39回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康・生活衛生局 がん・疾病対策課

日時

令和5年8月9日(水)13:00~15:00

場所

オンライン

議題

(1)子宮頸がん検診におけるHPV 検査単独法の導入について
(2)超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験(J-START)の進捗状況について
(3)その他

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第39回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課 原澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の検討会はYouTubeにて配信しておりますので、その点、御承知おきください。委員の皆様方におかれましては、参加中は基本的にマイクをミュートにしていただき、発言の際にミュートを切って、初めにお名前を頂戴してから御意見、御発言等いただきますようお願い申し上げます。
 それでは、初めに、構成員の出欠状況でございます。現時点の検討会構成員の定数11名に対しまして、本日出席の構成員、11名全員の御参加をいただいております。なお、黒瀨構成員から途中退席される御予定の旨、お伝えいただいております。
 続きまして、本日、参考人としてお三方いらしていただいております。国際医療福祉大学大学院/赤坂山王メディカルセンター 青木大輔参考人、横浜市立大学医学部産婦人科 宮城悦子参考人、東北大学大学院医学系研究科・乳腺内分泌外科学分野 石田孝宣参考人のお三方にお越しいただいてございます。御承知おき願います。
 なお、議題2については、プレスリリース時から議題名が変更となっておりますので、その点も併せて御承知おきください。
 それでは、以降の進行につきまして大内座長にお願いしたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。
○大内座長 皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料は、事前にメールでお送りしてございます。厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますので、併せて適宜、御確認いただければと思います。
 資料は、議事次第、資料1、資料2、及び参考資料1から参考資料6までがございますので、御確認をお願いいたします。資料の不足や落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、座長、議題についてよろしくお願いいたします。
○大内座長 では、議題(1)「子宮頸がん検診におけるHPV検査単独法の導入について」に移ります。資料につきまして事務局から御報告をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料1を御覧ください。「子宮頸がん検診におけるHPV検査単独法の導入について」でございます。こちらにつきましては、第38回の本検討会におきまして、青木参考人から日本版のアルゴリズム(案)、検査導入に係る課題について御発表いただき、それを受けて座長から事務局に対して、検査導入の論点整理を行うようにという御指示をいただきましたので、今回、論点整理及び対応案について事務局のほうで整理させていただきましたので、そちらについて御議論いただければと思っております。
 2ページ目の「これまでの議論の経緯」からでございます。
 次、3ページ目を御覧ください。子宮頸がん検診へのHPV検査導入に係る議論の経緯についてということで、皆様、よく御存じかと思いますが、念のため、議論の前提の整理として御説明させていただきます。
 まず、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」、以降は「指針」と呼ばせていただきますが、においては、現時点で20歳以上の女性を対象として、2年に1回の細胞診の検査が推奨されているという状況になっております。
 他方で、最新の子宮頸がん検診のガイドライン(2019年度版)においては、「HPV検査単独法」は推奨グレードAと示されており、現行の細胞診単独法と同等の推奨グレードになっていることに加えまして、現行の細胞診単独法と比べて検診間隔を延長することが可能ということが示されております。
 その一方で、その効果を自治体の検診制度の中で発揮していただくためには、HPV陽性者に対する長期の追跡を含む精度管理体制の構築が前提であり、遵守できない場合には効果が細胞診単独法を下回る可能性があると付記されている状態でございます。
 第38回、前回の検討会において、厚生労働科学研究班、青木先生の班から日本版のアルゴリズム(案)及び導入に際しての課題をお示しいただいたという状況でございます。こちらは、以降の資料で導入に向けた課題の整理等について検討したいと考えております。
 次の4ページ目を御覧ください。こちらはさらに前置きみたいな形になりますが、HPV検査単独法の導入に係る受診者及び自治体に想定されるメリットについてお示ししています。
 受診者に対しては、1つは、HPV検査陽性者のごく一部が数年後に子宮頸がんの有病者となり得るということでございますので、そのリスク保持者が追跡管理されることで、子宮頸がんの早期発見・早期治療につながるメリットがあると考えております。
 もう一つ、現行の細胞診の検診間隔は2年ごととなっていますが、HPV検査単独法については、受診者の約8割から9割は5年ごと、HPV検査陰性であった方については5年ごとの検査という形になりますので、全体として受診行動の負担軽減についても期待できるのではないかと考えています。
 また、自治体においては、がん検診の未受診理由で最も多いものは「受ける時間がないから」というものでございますので、受診行動の負担が軽減されることで、受診率向上への影響というものを期待できるのではないかと考えております。
 また、事務的なところでございますが、検診間隔の延長に伴い、事務負担等の軽減も期待されるのではないかと考えています。
 次、5ページ目を御覧ください。こちらは根拠の振り返りという形で、子宮頸がん検診ガイドラインにおいて、HPV検査単独法が推奨度Aとして位置づけられていますということと、下の赤枠の囲みの中で、先ほど申し上げた、精度管理を含めた適切な運用ができる場合のみ実施すべきであるという留意事項が付記されているということについての御説明でございます。
 続いて、6ページ目を御覧ください。こちらはHPV検査単独法のアルゴリズム(案)について、前回の検討会において示されたアルゴリズム(案)のおさらいでございます。こちらは御覧いただいているとおりで、左上のHPV検査が陰性になれば、5年ごとの節目の検診に移行して、そこでまたHPV検査になりますという設計と、あとは、HPV陽性であった場合には、ここではトリアージ(細胞診)と表現していますが、この検査を行っていただき、確定精検が必要であれば、精密検査(コルポスコピー・生検)に移行していただくということと、そこで確定精検の必要なしという結果であれば、HPV検査の結果を毎年フォローしていく。陰性になった場合は、節目検診に移行するという形の設計になっていますという御紹介でございます。
 続いて、7ページ目を御覧いただければと思います。先ほど8割から9割の方がというふうに御説明したところの根拠の確認でございますが、こちらは子宮頸がんとHPVの検出率で、細胞診が正常の方のHPV陽性割合をお示ししていますが、30歳以上の年代、今回の子宮頸がん検診へのHPV検査導入の対象となる年齢層を見ていただきますと、HPV陽性の検出率が20%以下のレンジで40歳以上のところを見ていただきますと、10%を下回るという形になっておりますので、実際にその検査をしていただく方の中でHPV陽性が想定されるのが20%未満になるであろうということの根拠は、こちらになっていますという御紹介でございます。
 続いて、8ページ目を御覧ください。検診間隔についてということで、こちらはガイドライン上も5年ごととなっているので、重ねるような形になりますが、細胞診単独法による検診で「検診陰性」で2年空けてもいいと考えられる発症リスクと、HPV検査を用いた場合は、どのくらいの間隔に相当するのかということを検証してみたところ、HPV検査の陰性者について5年経過時点で、細胞診陰性確認からの2年経過で見つかるCIN3以上の発生は同等程度であるということが分かりましたので、HPV検査で陰性と判定された方につきましては、検診間隔を現行の2倍から3.5倍に、要するに2年から5年程度まで延長することが可能ではないかと考えられるという御説明のスライドでございます。
 続いて、9ページ目を御覧ください。こちら、がん検診の未受診理由の中で「受ける時間がないから」というのが最も多いですという御説明の補足でございます。
 続いて、10ページ目を御覧ください。こちらはHPV単独検診を目的とした場合の目下の課題ということで、前回、青木先生にお示しいただいた課題の再掲でございます。
 続いて、11ページ目を御覧ください。こちらは前回の検討会において、構成員の皆様からいただいた主な御意見ということで、実務・運用等については、仮に導入した場合、全国を俯瞰すると2種類の検診が混在する形になるので、異なる検診を実施している自治体間での転出入といった対応が生じた場合でも、適切な受診勧奨が実施できるような整理が必要ではないかという御指摘や、実施する自治体においてもシステム改修等の対応が必要なので、その準備期間や費用等についても、一定考慮する必要があるのではないかという御意見をいただきました。
 また、周知・普及啓発等の事前準備という観点で、検診の対象者への情報発信・普及啓発を効果的に進めるために、地域の医師会等、実際に提供者になっていただく先生方の御協力も得ながら、行政と医療機関等が協働して取り組んでいく必要があるのではないかという御意見を頂戴しております。
 ここまでが前提の振り返りでございました。
 次のページから「論点の整理」ということでお示ししたいと思います。
 13ページ目を御覧ください。
 まず、目次代わりに使っていただければと思いますが、子宮頸がん検診へのHPV検査導入に向けた論点ということで、今回、総論的事項と各論的事項に分けてお示しさせていただきたいと考えております。総論的事項は、導入に当たって必要な体制等についてということで、各論については、その中の個別の要素について御説明させていただきたいと考えています。
 14ページ目以降、まず総論的事項について御説明させていただきます。
 15ページ目を御覧いただければと思います。こちらは冒頭御紹介した指針の構成について、でございます。先生方、よく御存じだと思いますが、確認のためでございます。現在の指針においては、以下のような記載事項がございますというところで、がん検診に関連する項目としては、第3に記載されていて、その中の総則と、2から6までで設置されている各がん種別の記載において、実施体制や実施に当たって留意するべき点、検診実施機関に係る規定等がなされているという構成になっています。
 続いて、16ページ目を御覧ください。こちらについては、総則の記載をさらに確認しておりますが、この記載において、基本的な実施体制(精度管理体制を含む)内容とか対象者の定義が定められています。赤い点線囲みの中の上のほうが実施体制について、下のほうが対象者の定義についてという構成になっています。
 続いて、17ページ目を御覧ください。こちらは胃がん検診における胃内視鏡検査の取扱いについてで、こちらについては一番下の赤い点線囲みの中でございますが、胃の内視鏡検査の実施に当たっては、日本消化器がん検診学会が策定されているマニュアルを参考にすることという形で、そのマニュアルの中で、実施に当たって、自治体や検診実施機関等において必要とされる体制等についてお示しいただいているという状況でございます。
 このような構成で、対策型検診の実施に当たってのルールというか、規定を定めている状況になっていますという御紹介でございました。
 続いて、18ページ目を御覧ください。これまで過去の検討会においてHPV検査を導入するまでに必要な事項ということを整理していただいていましたが、赤い枠囲みの中で、検診を実施・運用するためのガイダンスの作成ということについても御提案を頂戴していました。こちらについて研究班及び学会等に連携していただいて中身をつくっていただいて、あり方検討会にも確認していただいて中身を定めていくのではないかといった御提案を当時いただいているということで、胃の内視鏡検査で定めているのと同様に、今回についても、マニュアルの策定というものは、具体的な運用を詰めていく中で必要ではないかと考えてございます。
 続いて、19ページ目を御覧ください。こちらは精度管理という観点で、全体像として、今、対策型検診はどのような精度管理体制を有しているかということの御紹介というか、振り返りでございますが、基本的には、検診を実施していただく主体となる市区町村と検診実施機関の間でやり取りをしていただくということと、それに加えまして、都道府県は管内の市区町村全体を見渡していただいた上で、フィードバックや助言・指導等を行っていただくという形のモニタリングもちゃんとやっていただくという立てつけで、御協力いただいているというところだと理解してございます。
 次の20ページ目でございますが、検診の精度管理のためのモニタリングの準備として、検診チェックリスト案や事業報告項目の作成等をしていくということが必要だとされていて、そちらについても厚生労働省として準備していく必要がありますので、事務局と学会や研究班と連携して、そういった案も具体的に作成していくということが今後、実装に向けては必要であると考えています。
 続いて、21ページ目を御覧ください。ここで総論的事項についての対応(案)ということでお示しさせていただきます。
 まず、1つ目、HPV検査の導入に当たって必要な実施体制、精度管理の体制を含むということでございますが、対象者の定義等については、これまでの例に倣って、指針及びガイドライン等において定めることとしてはどうかという御提案でございます。これまでの形と同様に整理するという御提案でございます。
 2つ目の○でございます。そのスケジュール感ということでお示ししておりますが、そちらについては、令和5年度中の改正・作成を目指して進めていくという形でどうかという御提案でございます。
 ○の3つ目でございます。HPV検査の導入に当たって必要な実施体制や対象者の定義等について、まず、基本的な事項については、指針で定めるとした上で、先ほど御紹介した胃の内視鏡検査についての例を参考として、学会等の協力をいただいた上で、詳細な部分はガイドライン等で定めるという形で、少し階層を分けて、記載項目の粒度を分けて整理することとしてはどうかという御提案でございます。
 ここまでが総論的な御提案でございます。
 続いて、22ページ目以降、各論についての御紹介でございます。
 23ページ目をお願いしたいと思います。こちらについては、検診の対象となる方の定義、年齢や受診間隔等をどうするかというところでございます。23ページ目のこちらは、現在の対策型検診の5がん種についての運用をお示ししております。子宮頸がん検診においては、冒頭にも申し上げましたとおり、対象者は20歳以上という形で、検索項目については、お示しのとおりで、子宮頸部の細胞診を含む形となっていて、受診間隔は2年に1回とされているという状況になっています。
 24ページ目でございます。こちら、また出てきましたが、ガイドラインにおいては、HPV検査単独法の赤枠囲みの中を見ていただきますと、30歳~60歳という形になっていて、5年に1回とお示しいただいているところでございます。
 次の25ページ目をお願いいたします。こちらはアルゴリズムでございます。先ほど御紹介させていただいたような運用が示されているところでございます。
 続いて、26ページ目でございます。こちらはがん検診に関する自治体間の情報連携についてというところでございますが、令和3年度の健康増進法の改正に伴いまして、市区町村は、その住民がかつて居住していた市区町村に対して健康増進事業に関する情報の提供を求めることが可能という形になっています。令和4年6月から、市町村の自治体中間サーバへの副本登録というものが行われておりまして、住民のがん検診結果について、自治体中間サーバを用いた市町村間での情報提供が可能となったといったシステムの整備も進んでいるところでございます。ですので、こういったシステムも活用しながら、自治体間での情報連携もしっかり進めていきたいと考えております。
 続いて、27ページ目を御覧ください。ここからは「追跡精検の対象者の整理とフォローアップの手法について」というところで御紹介でございます。
 28ページ目を御覧ください。こちらもアルゴリズムの再掲ですので、御説明は割愛させていただきます。
 続いて、29ページ目を御覧ください。精度管理体制についても先ほどお示ししたとおりで、市区町村、検診機関、都道府県が連携して精度管理を担っていただくという形に、現状の対策型検診において行っているという御紹介でございます。
 続いて、30ページ目以降、「液状検体の導入について」というところでございます。
 次の31ページ目を御覧いただければと思います。こちらも前回の検討会で資料をお示ししていただいているところでございますが、液状検体というものを用いることによって、1回の検体採取で2回の検査に使える検体が採れるという仕組みでございます。それを使うことによって、HPV検査が陽性になった方については、同一検体を用いて細胞診に進むことができるという形になりますので、HPV検査が陽性となった後の再検査が必要ではなくなるという形になりますので、受診者の負担軽減だけでなく、HPV検査からトリアージの細胞診への受診率の減衰をせずに、皆さん、トリアージの細胞診に進んでいただけるという仕組みがつくれるという御提案でございます。
 液状検体を導入しているところがどれぐらいあるかというと、32ページ目で、液状検体を集団検診・個別検診のいずれかでも使用している市区町村は、全体の60%を超えているという形になっているので、一定程度、実装されている自治体があると認識しているところでございます。
 続いて、33ページ目からを御覧ください。「自治体・医療機関等において必要な事前準備等について」というところで、34ページ目においては、まず、HPV検査は、現行はどのような形であっても指針外ということになりますが、HPV検査を実際にやっていると、実施状況調査において回答いただいている市区町村が全体の13.8%ありますという形で、200を超える市区町村で、一定、HPV検査を何らかの形で実施されているという実態がございますという御紹介でございます。
 続いて、35ページ目でございます。先ほどお示しした内容と同じですが、検診を実施・運用するためのガイダンスをしっかり定めて、指針及びマニュアル等で運用を定めていくことによって、これを指針に位置づけて、適切な形で実施いただけるのではないかと考えています。
 36ページ目、繰り返しになりますが、精度管理についても、現行の対策型検診においても仕組みができ上がっているところでございますので、そこの中で指針を遵守していただくという形で、きちんとチェックできるような体制を敷いていくということが重要ではないかと考えております。
 37ページ目も同様の整理でございますので、割愛させていただきます。
 38ページ目からでございます。ここまで御説明した内容を少し整理して、対応(案)という形でお示ししております。各論的事項について2枚にまたがっておりますので、まず、その1ということで、検診の対象者の定義についてお示ししております。
 対象年齢等について、従前の指針における子宮頸がん検診の取扱いと、HPV検査のガイドラインにおける位置づけ等を踏まえ、以下の取扱いとすることとしてはどうかという御提案でございます。
 まず、20歳代の方については、これまで御紹介したガイドラインにおいても対象外となっていることを踏まえまして、細胞診単独法(2年に1回)を従前のとおり実施するという想定でいかがか。加えて、30歳以上に対しては、細胞診単独法またはHPV検査単独法のいずれかを自治体ごとに判断して実施いただくことでどうかと考えております。この自治体ごとにというのは、同一自治体の中で2つの種類を混ぜて実施していただくということは避けたいということで、このような記載をさせていただいているという趣旨で、1つの市区町村においては、同じ検査手法を使って、自治体内では統一してやってくださいということを想定して記載しているものでございます。
 続いて、2つ目の○でございます。検診対象となる年齢、ここでは節目年齢と書かせていただきましたが、以外の未受診者や、転入者への受診勧奨については、以下のような取扱いではいかがかということでございます。まず、30歳から5年ごとに受診勧奨の対象とする。こちらはすみません、「節目年齢以外の」と書きながら、節目年齢のことを書いていましたが、節目年齢は受診勧奨の対象にします。その上で、加えて、当面の間、前年度に細胞診(またはHPV検査)を受診していない方、また、ほかの市区町村から転入してきた方については、全て受診勧奨の対象とするという形で、一旦運用することとしてはどうかという御提案でございます。これは、抜け、漏れを防ぐという観点で、一旦、このような整理にしてはどうかという御提案でございます。
 続いて、39ページ目を御覧ください。各論的事項(その2)で、追跡精検の対象者の整理とフォローアップということで、HPV検査の導入に当たっては、検診間隔に合わせた適切な受診勧奨と、追跡精検及びその後の確定精検の対象者への受診勧奨及び結果の把握が重要であるということでございますので、自治体において受診動向を把握する仕組みがきちんと整っているということを、実施いただくための要件とすることとしてはどうかという御提案でございます。
 続いて、液状検体の導入についての論点でございますが、HPV検査の結果に応じたトリアージ、細胞診を確実に実施していただく必要がありますので、液状検体を用いた検査での運用が可能であることというのも要件にすることとしてはどうかという御提案でございます。
 最後の、自治体・医療機関等において必要な事前準備ということで、検診運営に必要なガイドラインやチェックリストの作成、モニタリング体制を整備することとしてはどうかということで、こちらは一部、先ほど総論のところでも触れさせていただきました、研究班や学会に御協力いただいたガイドラインの作成や、厚生労働省のほうでのチェックリストの作成等について記載しているということでございます。
 40ページ目以降は、参考資料といたしまして、41ページ目に諸外国での検診間隔についてや、42ページ、もし御提案の内容に沿って指針を改正するとすれば、触る場所はこういったところになりますという御紹介。
 あと、43ページ目には、細胞診の結果の用語の説明を念のため補記しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 長くなりましたが、事務局からの資料1の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大内座長 ありがとうございました。
 それでは、資料1について説明いただきましたが、御質問、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 松田構成員。
○松田構成員 福井県健康管理協会の松田でございます。御説明ありがとうございました。
 HPV単独検診の導入について確認なのですが、HPV単独検診はこれまでにないがん検診体制だと思います。どういうことかというと、検診の結果に応じて次の受診間隔が異なるということです。加えて、これまでは胃の内視鏡検診の生検も含めて、精検は全て保険診療で行われてきたものが検診の中に組み込まれるということなので、これからの日本のがん検診を抜本的に変える非常に大きなターニングポイントになるのかなと思います。
 それで、事務局に確認させていただきたいのですが、まず1つ目、先ほど申し上げたトリアージ精検、追跡精検は、あくまで保険診療ではなくて検診の中に含まれるのかどうかということと。それから、次の検診の案内は、検診結果に応じて市区町村が本人に正しく通知をするのか。これまで一部の地域では、検診結果に基づいて次の受診時期を自己管理していたと思いますが、そうではなくて、プログラム上で次の検診の間隔が正しく案内されるということを求めているのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○大内座長 では、事務局から。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。2点いただきました。
 現行、事務局のほうで想定している運用としては、1点目の今、おっしゃっていただいたトリアージ細胞診という表現になろうかと思いますが、そちらについても検診のフレームの中で実施していただくということを想定しています。ですので、その結果についても自治体で管理いただいた上で、その結果に応じて自治体から受診勧奨、翌年必要かどうかを判断して、必要な方にはやっていただくということを想定しておりますので、後段についても自治体のほうできちんと結果をキャッチアップして、受診勧奨を行っていただくということを想定していますという御回答になります。
 以上でございます。
○大内座長 よろしいですか。
○松田構成員 次の受診の案内は、本人任せではなくて、確実に自治体から行われる。その体制が整わなければ、その自治体では導入すべきではないといった理解でよろしいでしょうか。
○大内座長 そのようになりますね。要件としては、自治体のほうで管理できるというのが入ります。
○松田構成員 分かりました。ありがとうございます。
○がん対策推進官 念のため、事務局でございます。
 事務局としても同様の認識でございます。他方で、今後の詳細を詰めていくに当たって、例えばそれと同様の管理が別の手法でできるということであれば、それを妨げるものではないと思いますので、そういった運用が可能な、にわかに私は今、想定できませんが、そういった御提案があり得るのであれば、それは受け入れ得るものと思っております。その辺り、もし御意見のある先生、追加で御発言のある先生がいらっしゃれば、いただけたらと思っております。
 以上でございます。
○松田構成員 ありがとうございました。
○大内座長 では、祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 祖父江です。2点あります。
 1つは、HPV単独検査を導入する市町村において、30歳以上を対象者とするということになると、20歳代の人に対しては細胞診を残すということがマストになるのかどうか、この点です。複数の検査を同一の市町村で行うことになるので、20歳代の検査に関してはしないという選択肢もあり得るのではないかと思います。
 第2点は、HPV単独検査を5年間隔で行うということについて、前年未受診者とか転入者に対しては、対象の年齢でなくても受診を認めるということですけれども、それ以外の間隔を守らない受診希望者に対して、どのような対応をするのか、その点を確認したいと思います。
 以上です。
○大内座長 大変重要な課題だと思います。2つの検診法が混在することになりますが、まず、年齢的に20歳代の方に対する細胞診の扱いはどうするかということですね。
 では、事務局から。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
 今回、論点にさせていただいているのは、あくまでもガイドラインにおいて推奨されているHPV検査単独法をどのように取り扱うかということでございますので、30歳以上の方に対する選択肢を1つ増やすというフレームだと考えております。ですので、祖父江先生から御指摘いただきました20歳代の方への細胞診というのは、いずれの形を選ぶにせよ、やっていただくということだと想定していますというお答えになります。
 以上でございます。
○大内座長 よろしいですか。
○祖父江構成員 そうなのですけれども、HPV単独導入に際してのいろいろな市町村に対する負荷が大きいので、それを軽減するという意味で20歳代を省略するというのはあり得ないですか。今の20歳代の受診率とかがん発見率とかを考えると、そこに関してのイールドというのはあまり大きくないような気もしますけれども、その辺の検討はされたのですか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 御指摘いただいたことは、論点としてはあり得ると思いますが、現行の検討のレンジが、今、申し上げたとおり、ガイドラインにおける運用をどのように指針に反映させるのかということでございましたので、おっしゃっていただいた点はちょっと別の論点になってしまうと思います。
 一方で、その20歳代の細胞診が必要なのかという御議論はあり得ると思いますので、また今後、整理していくことだと理解しております。
 以上でございます。
○大内座長 今後検討すべき課題になりますね。
○祖父江構成員 2点目はどうなりましたか。
○大内座長 2点目の質問に関して。
○事務局 失礼いたしました。事務局でございます。
 2点目は、受診間隔を守らないとおっしゃっていただきましたが、要するに5年ごとの節目で受け忘れてしまった方への受診勧奨を含めて、どういうふうにするのかという御指摘だと一旦理解しております。その上で御提案としては、資料で言いますと38ページ目の下段に書いておりますとおり、当面の間の運用として、前年度に細胞診またはHPV検査を受診していない者については、すべからく受診勧奨の対象とするということを想定しておりますので、受診を忘れた方、もしくは受診に来なかった方についても受診勧奨の対象とするという運用を想定しているというお答えになります。
○祖父江構成員 祖父江です。
 質問の趣旨は、毎年受けたい人とか頻回受けたい人をどうするかという意味です。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 そういった方についての対応ということでございますが、この対策型検診の対象とはならないというお答えになろうかと思います。
○祖父江構成員 ならないということは、受診を希望しても受けてはいただけないという意味ですか。
○がん対策推進官 対策型検診の枠組みの中で、それを受けられるという形にもしした場合には、指針外の検診というふうに取り扱われるというお答えになろうかと思います。
○祖父江構成員 受診されたら受けてもいいということになるのですか。
○がん対策推進官 その受診されたらということの想定が何かによろうかと思いますが、それを自由診療として、個人が任意型の検診として受けることを妨げるものではありませんが、それを対策型検診として自治体が受け入れて、補助の対象等にするということとして仮に運用する場合においては、その自治体におけるHPV検診は指針外の検診として実施されているという整理になる、というお答えだと思っております。
 以上でございます。
○祖父江構成員 理解としては、有料になるということですか。
○がん対策推進官 有料にされるかどうかとか、どのぐらいの費用負担をされるかというのは自治体ごとの設定だと思いますので、そのお答えは私から一概にお答えすることは困難でございます。
○祖父江構成員 分かりました。
○大内座長 では、若尾構成員。
○若尾構成員 若尾と申します。
 検診を受診する立場から意見を述べさせてもらいます。もともと、今回の参考資料にもあるとおり、子宮頸がん検診の受診率は非常に低いですね。今、ここで受診間隔が年齢によって長くなるという健診の導入が検討されているわけですが、今回、非常に分かりやすくまとめていただけて、受診をする側としてはとても明確になって、いいなと思いました。
 ただ、現在でも子宮頸がん検診の受診率が非常に低いわけですけれども、この一つの原因としては、子宮頸がん検診もしくは子宮頸がんに関する情報提供が少な過ぎるということがあると思います。ですので、これを機会にそれぞれの、いわば市区町村や検診機関が行うわけですが、子宮頸がんそもそもに関する情報提供と、なぜ子宮頸がん検診が必要なのかということが受ける側に届くような情報提供を一緒に入れていただきたいと思います。
 その点に関しては、今回お示しいただいた全体像を、19ページ、29ページ、36ページに3回、取り上げていただきましたが、その全体像の中で市区町村や検診機関と住民が結ばれるという相互の矢印がないのです。些細なことといえば些細なことなのですけれども、もともと女性の労働者に対するがん検診というものの理解が少ない中で、今回、こういったことを取り入れて、しかも受診率が非常に低い子宮頸がんに対する1つのパラダイムシフトが起こるわけですので、これを機会に子宮頸がんや子宮頸がん検診の重要性というものを、市区町村や検診機関も共に情報提供していただきたいなと思いますので、意見というのか提案というのか分かりませんけれども、コメントを述べさせていただきました。
 以上になります。
○大内座長 貴重な御意見と考えます。
 それでは、井上構成員。
○井上構成員 井上でございます。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、既に出た質問もありますけれども、2つほどコメントさせていただきたいと思います。
 1つは、26枚目のスライドでしょうか、今、どんどんマイナポータルの整備が進んで、検診の結果の情報などが最終的に自治体に入ってきて、ほかの自治体で受けていたとしても、将来あるいは今でも受診の結果あるいは受診歴というものが見れるのではないかと思います。これが本当に整備されると、先ほど言っていた、市町村が変わると結局検診のタイミングがリセットされてしまうようなことも解消されるのではないかと考えるのですけれども、実際、これはどの程度普及しているものなのかということを教えていただきたいと思います。
 将来的な展望として、本人を中心に見た場合に、その本人にとって一番正しい検診間隔でコントロールできるようになるというのは、どのくらい先のことを想定されているのでしょうかというのが1番目の質問です。
 2つ続けてしまってよろしいですか。
○大内座長 では、答えていただきます。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 1点いただきました御質問、マイナポータルの自治体のシステムの導入具合というか、実装の度合いはどの程度かということの御質問だと思いますが、すみません、にわかに現時点で把握し、回答できることを持ち合わせておりませんので、今後確認してお伝えできるように準備を進めたいと思っております。そういった意味で、この制度そのものを当課で進捗管理等させていただいているわけではないので、どのぐらいをめどにということを具体的に現時点で申し上げることは難しいですが、政府全体の政策の方向性としては、こういったことも含めてDXを進めていこうということと、こういった運用の負担軽減というところについては、配慮しながらやっていく必要があるだろうということでございますので、しっかり進めていきたいという認識でございます。
 そのような定性的な回答でございますが、以上でございます。
○井上構成員 御丁寧な回答ありがとうございました。
 もう一つはシンプルな質問です。最後のほうのまとめのその2、液状検体の利用が、通常の2種類の単独法以外にも認めるようなことが記載されていましたけれども、これを実際に使っているところが六十数%あるというところで、単独法を推奨したとしても、こちらを使い続けていくほうが、見え方としては何となくよいような印象があります。自治体がこれらを使った場合に、例えばHPV検査単独法のような扱いにして、その細胞診がプラスでくっついているという見方もできてしまうような気がします。これを検診の方法として認めるようなことになった場合に、今、対策型検診としては多分認めないという扱いになっていると思われます。これについてどういう取扱いをされるのかということにちょっと興味があったものですから、質問させていただきます。
 以上です。
○大内座長 事務局のほうで質問の意味を確認させてください。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 今の御指摘は、液状検体を使用した検査を導入した場合に、実行上、HPV検査と細胞診の併用法が運用可能になるのではないか。その場合の取扱いはどうするのかという御質問と解してよろしいでしょうか。
○井上構成員 はい。それと同時に、HPV単独検査のキットが違うパターンというふうに取れてしまうような気もするのですが、どのように。HPV検査が基本にあって、プラスだったら細胞診するというのが同時に起こるというお話ですね。
○がん対策推進官 後段の意味がよく分からないのですが、検体の採取自体は1回でございますというのがまずあります。まず最初に実施していただく検査は、HPV検査のみです。その結果に応じて、陰性であればそれ以上の検査はしない。これがHPV検査単独法の運用になりますので、そのような回答になります。
 液状検体を使うことのメリットは、HPV検査が仮に陽性であった場合に、再度受診していただく必要がなく、検体検査を実施した検査実施機関において有している検体を用いて、そのまま次の細胞診を実施できるというところがメリットでございますので、厳密に言えば検体は同じものを使っていますが、検査としては別のものであるという整理になろうかと思います。
○井上構成員 分かりました。ありがとうございます。
○がん対策推進官 以上でございます。
○大内座長 では、中山構成員。
○中山構成員 中山でございます。
 総論的なこととしては、胃の内視鏡検診に倣って指針に書く。詳細については、マニュアルにまとめるという形の提案がありましたけれども、私、胃の内視鏡検診を導入する自治体に10個ぐらい関わりましたけれども、マニュアルがあったせいで非常にうまくいったと理解しています。それまでは、各医師会の専門の先生の意見でオリジナルルールができていたと思いますけれども、あのマニュアルがあったせいで、そういうオリジナルルールを生む余地がなくなったということと、委員会組織をつくることが必須となっていたので、責任を持って専門の先生方も関われるという形になったかと理解しているので、その点については賛成です。
 各論に関しましては、今日は自治体の対策型検診の導入の話だけで終始しているのですけれども、懸念しているのは、職域の検診のほうで、一気にHPVの特に自己採取法に流れる懸念があります。その場合に今、考えているような追跡精検を検診でやるといったスキームとか、自己採取法は細胞までは採れませんので、トリアージ細胞診というのもできなくなります。もし職域でそういう暴走といいますか、急に流行し始めた場合に、一体どこでその陽性の患者さんの面倒を見るのかということも、懸念しています。
 そういう場合に備えて、私は保険病名をちゃんと取っておいて、診療を受け皿にするということも同時に考えておかないと、HPV検診が導入された。では、職場でもという軽い流れにどうしてもなりそうなので、そこを懸念しております。
 以上です。
○大内座長 これは先生の御意見ということでよろしいですか。
○中山構成員 はい。
○大内座長 ありがとうございました。
 青木参考人から手が挙がっていますけれども、これはコメントでしょうか、それとも御質問でしょうか。
○青木参考人 コメントと質問をさせていただいてもよろしいですか。
○大内座長 どうぞ。
○青木参考人 いろいろ御提示いただいて、ありがとうございました。
 前回のこの検討会でプレゼンテーションさせていただいて提案させていただいた者として、まず、本日お示しいただいたアルゴリズムに関しては、自治体ができる、それからプロセス指標がなるべくよくなるような形、そしてエビデンスに基づく形で、組ませていただきました。
 しかし、そもそもガイドラインに実現可能性があるアルゴリズムというキーワードがございます。私は実現可能だと思っておりますが、今、松田構成員をはじめ、いろいろな課題をおっしゃられていたと思うのですが、恐らくまだまだいろいろな課題が出てくるのではないかなと思っているところです。ですので、本当に実現可能性のあるアルゴリズムかどうかというのは、どのように知ればいいですか。どのように確認すればよろしいですか。これが1つ質問です。
 もう一つ、これはお願いです。実現可能性についてこのような懸念事項があるので、前回の検討会のプレゼンテーションの一番最後のところに、パイロット的な事業を行ってはどうかということをつけ加えさせていただいたということです。ですから、指針に入れて、今のまま野に放たれますと、ある一定の要件はつけるにしても、そしてマニュアルができたとしても、やりっ放しになるのではないかという懸念があるということです。
 そこのところを生活習慣病検診等管理指導協議会が枠をかけるということでありますが、私も20年近く、がん部会の委員をやらせていただいていますが、確かにモニタリングはしっかりされていると思います。そして助言等々はするにしても、強制力というものは全然ないわけでありまして、去年も言ったけれども、また今年も同じ問題をこの自治体は抱えていますねということで流れていってしまうわけですね。専門家が中にはいらっしゃいますけれども、実際のデータを解析しているわけでは決してないという気がいたします。
 ですから、精度管理に関してお示しいただいたスキームの中に落とし込む前段階として、パイロット的な事業というものを投入する。新しいモダリティを使うときには、そういったステップを踏むのだということを指針の中に含めていただきたいなというのがお願いになります。
 以上です。
○大内座長 先生の御懸念はよく分かりますので、事務局のほうから回答願います。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問、御指摘いただき、ありがとうございます。
 今回の事務局からの御提案は、先生から御提案いただいていたアルゴリズムの内容も踏まえて検診の検討会でも御議論いただきましたので、こちらを実装するに当たって、先ほど来申し上げているような、一定の要件をしっかり設けた上で、実施可能な自治体において導入していただける体制をつくるということをしてはどうかという御提案になっています。
 その上で、先生がおっしゃっていただいているような、運用の状況をしっかり確認して再評価していくということは当然必要だと思っておりますので、そういった点においては、一部自治体で、例えば研究班としっかり連携していただいて、フォローアップに努めていくといったような運用はあり得ると思っています。他方で、現状の仕組みの中で、新しい枠組みとしてパイロット事業という形で、例えば実施する自治体を指定するような形で、この制度の中に実装するということは難しいと考えておりまして、その前提で、一旦御提案させていただいているという状況でございます。
 その枠組みの中でできることとしては、例えば指針に一旦位置づけたけれども、経過について、この検診の検討会でもきちんとフォローアップしていただいて御議論いただいた上で、仮に問題のある運用となっているような状況であれば、指針をさらに見直す。もしくは、できれば避けたいところでありますが、指針に一旦入れたものの、改めて削除するといった運用もあり得るという前提の中で御議論いただいて、今回、指針に位置づけるかどうかということは御議論いただきたいと思っているところでございます。
 事務局からのお答えは以上となります。
○青木参考人 一部の自治体とおっしゃられたけれども、本来はかなり厳しい要件があると理解していますので、それに見合う自治体に関しましては、ある意味、登録制のようなものを使って、国がしっかり把握するということと。それから、その自治体については、個別の受診者の結果といったものを全部御提供いただく。それの受け皿についてもきちんと検討いただいて、課題の抽出、そしてよりよいものにするということが、私は大変大事だと思っています。
 胃がんのスキームに落とし込むという、それも分かるのですけれども、胃がんの内視鏡の検査は、恐らく知らない人はいないと思います。検査としては最もポピュラーな検査に今はなっていると思いますけれども、この子宮頸がんのHPVの検査は何のためにやるのかといったところから、一般市民にきちんと分かっていただかなければ、それから、もちろん検診のプロバイダーの皆さんにも分かっていただかないとできないと思っていますので、そういった点も含めて、パイロット的な事業というものをきちんと設定していただくというのが大事だと思っています。
 そして、今日、HPV検査導入までのスケジュールと役割分担という、僕、案と書かせていただいたものを、35回のあり方検討会だったでしょうか、そこで表を出させていただいているのですが、この段階では、何が必要かの整理というところがまだ残っておりまして、この部分を班会議の中で検討した結果、アルゴリズムをつくり、そしてパイロット的な事業が必要だろうというのが今の段階です。もちろん、マニュアルはまだこれからということになりますので、その辺りも今後急いで考えてみたいと思います。
 以上です。
○大内座長 では、黒瀨構成員。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。日本医師会の黒瀨でございます。
 御丁寧な御説明ありがとうございました。このHPVの検査の単独法の導入に関して、その方向性に関しては、私どもも賛成しておりますし、できる限りの協力をしたいと思っております。その中で、例えば10ページ目の目下の課題の中には、例えば確定精検の受診勧奨とか結果の把握について、さらには5年以内の受診を制限する仕組みの構築等、こういったところで医師や受診者の理解と協力が不可欠と書いていただいております。それに対する対策案としては、チェックリストやガイドラインの作成、あるいはモニタリング体制の整備ということが39ページに記されておりますけれどもね。
 先ほど青木先生もおっしゃられたように、この検診に関しては、いわゆる内視鏡検診に比べると、より丁寧な説明とか周知というものが必要だと思います。例えばHPV単独検診で陽性になった場合に、その後の検診の仕組みを、例えば保険でやるのか、そうじゃないのか。あるいは、受診間隔が結果によって違ったり、あるいは20代と30代以降で検査方法も違ったりということで、内視鏡検診よりもより丁寧な御説明が必要になってくるのではないかと思っています。
 また、区を越えた、あるいは市を越えた異動とか引っ越しがあった場合に、情報の共有をしたりしなければいけませんし、さらには、例えば婦人科クリニックというのは、実は東京都心でもリソースにかなり地域格差がありますので、例えばA市で検診を受けられた方が、今後、引っ越したB区から、近いのでA市のほうでかかりつけ医の先生に診てもらいたいというケースも当然出てくると思いますので、そういった区市町村を越えた地域連携も必要になってまいりますので、検診の実施主体である自治体、区市町村に任せるだけではなくて、都道府県単位で情報共有する仕組みをどうするかとか、そういったことも医療関係者・自治体と一緒に説明会をしたり、情報の共有化をしていく必要があると思いますので、その点だけ要望させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○大内座長 では、中川構成員。
○中川構成員 東大の中川でございます。
 まだまだ少し時間がかかる作業だと思うのです。これは委員の皆さんが御指摘のとおりだと思いますが、指針の改定、事務局にお尋ねしますが、いつを予定しているのでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 総論的事項のところに記載させていただいておりましたので、21ページ目を御覧いただけたらと思います。今回の事務局案の御提案としては、指針及びガイドライン等について、令和5年度中の改正及び作成をめどとして進めてはどうかという形で御提案させていただいておりますというお答えになります。
 以上でございます。
○中川構成員 今年度、もしやるとしたら、かなり準備が要るだろうなということは間違いないと思います。分かりました。
 2つ目、お尋ねしたいのですが、これは既に中山構成員が御指摘になったことですが、職域における子宮頸がん検診のあり方です。私もがん対策推進企業アクションの議長として、職域のがん検診には関わってきていますが、今回の改定を職域に持ち込むのは非常に難しいと思います。大きな混乱が、これは中山先生がおっしゃったとおりだと思います。
 一方で、第4期がん対策推進基本計画の中でも、職域のがん検診をどうするか、法定化の検討あるいは制度設計の見直しという言葉がありますが、個人的には、従来どおり進めたほうが、きちんと精度管理をしていくという形のほうがいいと思うのです。この辺、改定のときにどのような記載をするかということを1つ心配しています。
 最後に、これはマイナーな話ですが、御承知のようにがん教育が指導要領の中に入って、教科書でも、当然のことながら、対策型検診について指針の内容を分かりやすく子供たちに教えているわけですね。教科書は、基本的に4年に一度改定されます。したがって、例えば中学校は21年度に新しい教科書ができて、25年をめどに改定されていくのですが、そこにおいてもきちんと記載する必要があると思います。この辺を文科とも連携していただく必要があるということだと思います。
 以上です。
○大内座長 では、福田構成員。
○福田構成員 福田でございます。
 2点お尋ねしたいのですけれども、1点目は対象年齢についてです。現在の指針ですと、受診を特に推奨する者が20歳から69歳となっていると思います。一方で、検診ガイドラインによると、HPV単独の推奨は60歳までですから、60から69歳に関しては、また細胞診の推奨ということになるのでしょうか。それを確認したいというのが1点です。
 もう一点は、HPV単独でやるか細胞診でやるかは自治体ごとに選ぶという点で、運用として混乱がなくていいのかなという気もするのですが、見方によっては、各自治体で完全にHPV単独のほうに移行できるという体制が整わないと、そちらには移れないという気もするので、ハードルが高いのではないかなという印象もあるのですが、やってみなければ分からないかもしれませんけれども、現時点で例えばこちらにどのくらいの割合で移行できそうだという見通しのようなものはあるのでしょうか。
 2点、分かる範囲でお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 対象となる年齢の件でございますが、おっしゃっていただいたとおり、ガイドラインに沿って整理するとすれば、すみません、今回、資料の中には明記しておりませんでしたが、完全に沿ってやるとすれば、HPV検査については30歳から60歳までという形にして、細胞診をそれ以外の年齢にするという整理が1点あり得ると思います。他方で、ここは御議論いただく要素でもあろうかと思っておりますので、今後の論点という形でもよろしいかと思っています。なので、この場でこちらにすべきではないかといった追加の御発言が、ほかの先生からでもあればいただきたいと思っていますというのが1点目の御回答になります。
 2点目の、HPVに移行できそうな自治体の見込みはどれぐらいあるのですかという御質問のように理解しましたけれども、そういった点については、先ほど来御議論いただいている内容も踏まえまして、あとは、前回の御議論の中でもいただいていたとおり、相当程度、ちゃんと管理できる自治体でないと実装するのは不可能というか、それはそれで不利益が発生する懸念もあるので、おっしゃっていただいたように、相当程度、限定的になるということは想定されます。ただ、現時点でそれがどれぐらいなのかということを見込んで御説明することはちょっと難しいので、そのようなお答えになってしまいます。
 以上でございます。
○大内座長 では、中野構成員。
○中野構成員 既にたくさん御意見が出ていますので、重複しますがコメントいたします。
 まず、未受診の理由としてということで、9ページにお示しいただいています。「受ける時間がないから」という回答率が一番高かったということで、今回の改正により、こういう理由の方々が少しでも検診に興味を持っていただけるようになればよいなと思います。「受ける時間がないから」という理由の方々に対する方策は、ほかの検診の期間が延びるわけでもないので、引き続き大きな課題と思いますので、それは引き続き課題として認識しておいたたほうがいいと思いました。
 次に、18ページのスケジュール関係でございます。ペンディング状態で、はてなマークもついておりますが、1行目で、取扱い等の基準について、学会等と調整しながら決定するという項目がございます。この場合の学会は、現時点でどの学会を想定されているのか、差し支えなければ御教示願いたいと思います。
 また、38ページの各論に対する対応でございます。福田構成員から自治体の話が出ましたが、自治体にそもそも判断を委ねることになりますので、スタート時点において自治体で戸惑いが生じないようスムーズに方向性がつけられるよう、万全の体制をもって臨んでいければいいのかと思いました。
 最後に、井上構成員から、自治体間での調整について、ご意見が出ましたが、移転の方も引っ越しする方もあるなかで5年間を採択した場合に、5年間の住民の方々の意向については、26ページに示されております。先ほどの事務局の御回答では、今の進捗状況を含め、後ほどお示しいただくということになっておりましたが、その辺は医療DXの中身に関わるということであり、うまく回していくのがいいのではないかと思いますし、その発展についても期待しているところでございます。
○大内座長 どの学会が関係するかということにつきましては、事務局のほうから答えていただきます。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問等ありがとうございます。
 現行、想定している学会につきましては、これまでも研究班等を通じて多大なる御協力をいただいている、日本産科婦人科学会様を中心とした学会を想定している。他方で、そのほかにも関連する学会や団体等あろうかと思いますので、そこに決め切っているというわけではございませんので、必要な御相談を適宜させていただきたいと考えてございます。
 あと、コメントいただいた自治体に対して、こちらの検査をやるようにというような過度なプレッシャーがかからないようにといいましょうか、そういった動きにならないように留意するべきではないかという御指摘だったかと思います。その点は事務局でも認識しており、ですので、今回はあくまでも選択肢を1つ追加するという形での御提案にさせていただいているのは、そのような趣旨でございますので、念のためコメントさせていただきました。
 以上でございます。
○中野構成員 ありがとうございます。
○大内座長 では、河本構成員。
○河本構成員 失礼いたします。倉敷市保健所の河本でございます。
 検診が5年間隔になったり、HPV検査を取り入れたりするということで、自治体としましても、医療機関や住民の皆様の御理解をいただくことが最も重要だと考えております。かつて胃がん検診が2年に1回に変更になったときも、様々なところで周知を図ったのですけれども、住民の皆様からの不安な声が電話等でかなり多く寄せられました。自治体としましては、本格的に受診内容や間隔が変更になることが決まれば、あらゆる機会に周知を図りたいと考えております。ここからはお願いなのですけれども、マスメディア等も活用していただいて、国のレベルでもエビデンスを踏まえた、HPV検診に対する理解を深めるPRをお願いできたらと思います。
 それから、医療機関の先生方に対しては、指針やガイドラインが完成した際には、先ほど、学会の話も出ましたけれども、学会等でもあらかじめお示ししていただけますと、その後、自治体から医療機関の先生方へ説明させていただく場合にも理解が得られやすいかと思いますので、ぜひその点もお願いできたらと思います。
 以上でございます。
○大内座長 ありがとうございました。
 様々な意見が出たところです。このHPV検査の導入に関しましては、この議論を踏まえまして、また整理させていただきます。先ほど事務局から説明ありましたように、令和5年度中に指針改定に向けて、運用マニュアル(仮称)の作成を事務局並びに研究班も含めて進めていただければと思っています。
 なお、アルゴリズムについては、今回提示されたものを基本として進めてみたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきます。
 続きまして、議題(2)に移ります。「超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験(J-START)の進捗状況について」です。では、資料2に基づいて石田参考人から説明をお願いいたします。
○石田参考人 それでは、よろしくお願いいたします。改めまして、東北大学乳腺・内分泌外科の石田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。「超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験(J-START)の進捗状況について」、お話しさせていただきたいと思います。
 こちらは、がん検診の種類・検査方法についてということで、皆さん、よく御承知の内容かと思います。現在、乳がん検診におきまして科学的根拠を持っているのは、マンモグラフィのみということになります。これは死亡率減少効果が証明されている検診方法ということになります。
 一方で、死亡率減少効果が明らかにされていないもの、現段階では推奨グレードがIということで確定していないものの中に、視触診の単独法、あるいは超音波検査。これは単独法・マンモグラフィ併用法、いずれも科学的根拠はまだ確立していないという扱いになっておりますし、40歳未満の検診に関しても十分な根拠がないということになっております。
 新しい検査項目を指針に導入するに当たりましては、そのがん種が国民の中で非常に多いがん種であるということ。
 そして、2番目に記載してありますように、そのがんの死亡が、この検診を行うことによって確実に減少することが求められていること。
 そして、7番目に、検診を受けるメリットがデメリットを上回ること。これは全ての検診に共通する内容かと思います。
 さて、今回、J-STARTの中でも、マンモグラフィと超音波、2つの検査方法を使った比較試験ということになるわけですが、そもそもマンモグラフィは、御承知のようにX線検査でございますし、超音波は音響の検査ということになりますので、違った検査方法ということになります。それぞれの得意分野と不得意分野というのが存在します。例えばマンモグラフィは、石灰化病変を検出する能力が非常に高いということになります。一方で超音波は、石灰化病変の検出はちょっと苦手なのですけれども、小さな腫瘤、小さな浸潤がんの検出は非常に得意であるといった位置づけになっております。
 精度管理に関しましても、マンモグラフィは日本で導入されて二十数年たちますので、十分な精度管理の基盤ができているわけであります。超音波に関しましても、精度管理に関して、今どんどん整備が進んでいる状況という形になっております。死亡率減少効果に関しましては、マンモグラフィでありますが、超音波では現在のところではまだ確立されたものがないという状況になってございます。
 J-STARTの研究をしておりますと、マンモグラフィと超音波、どちらがいいのですかという質問が必ず出てくるわけですけれども、これは先ほどお話ししましたように、違ったモダリティですので、どちらが優れているかではなくて、お互いがそれぞれの長所・欠点を補完し合うといった検査方法であるということで、両方をうまく総合的に使うことが最も有効・効率的であると考えられています。
 こちらは全世界の検診をシステマティックに行っている先進の23か国のデータになります。検診の対象にしている年齢ですけれども、先ほどマンモグラフィでは、死亡率減少効果が証明されているというお話しをしましたが、40歳代と50歳以上では、この死亡率減少効果に差がありまして、50歳以上では非常に高い死亡率減少効果があります。一方で、40歳代も死亡率減少効果は証明されているのですが、50歳以上に比べると、その減少効果がやや劣るということで、40歳以上から導入している国と、50歳以上から導入している国と分かれてございます。日本は、御承知のように40歳から導入している国の中の一つということになります。
 こちらは開始年齢と検診間隔ですけれども、40歳代から始めている国々のほとんどが2年に1回。そして、50歳以上から導入している国もほとんどが2年に1回。イギリスは、昔から3年に1回という間隔ですが、多くの国々が2年に1回ということで、これは費用対効果等を踏まえた上での間隔ということで、ほぼ統一されているということになります。
 そして、検診方法に関しましては、基本的にはマンモグラフィが死亡率減少効果の点で、科学的根拠を持っていますので、全ての国がマンモをベースに置いて、これに視触診を加えている国もあるのですけれども、こちらはどんどん減ってきているという現状で、国際的に見ても超音波を正式な形で導入している国というのは、現状では見られないということになるかと思います。
 乳がん検診に関する科学的根拠では、先ほどから繰り返しておりますけれども、死亡率減少効果が証明されているのはマンモグラフィのみということになります。
 超音波を交えた大規模なRCTの研究はJ-STARTのみということになります。J-STARTは40歳代の方限定の科学的な比較試験ということになりますし、マンモグラフィと超音波の併用に関する研究であるというところを、ぜひ御留意いただきたいと思います。
 一方で、超音波単独法については、現状では科学的な根拠がないということですので、単独の検診方法の導入に関しては、議論に上がっていないというところになります。
 それでは、改めまして「J-STARTの概要」についてお話しをさせていただきたいと思います。
 J-STARTは、がん戦略研究として開始された国家プロジェクトということになります。日本におきましても、乳がん、女性で最も多く罹患するがんということになりまして、今、大体、年間10万人の方が新たに乳がんと診断されているという状況になっております。しかも、アジアの国々、これは日本も含めてですが、40歳代から特に罹患が増えてまいりまして、40代後半に罹患のピークがあって、それがずっと50歳代、60歳代まで継続するという状況になっております。
 一方で、マンモグラフィに関しましては、40歳代では高濃度乳房、乳腺の量が多い年代では、十分な感度が得られないということも分かっておりますので、40歳代に関しまして、超音波を併用することのメリット・デメリットをきちんと検証するという目的で始まったのが、このJ-STARTの研究ということになります。
 J-STARTの大きな目的は2つございまして、1つ目は、超音波検査を乳がん検診に導入するために標準化するということで、ガイドライン等を関連団体と一緒に策定して、その基盤を整備してきているというところでございます。
 そして、2つ目は、これが最も大きな目的になりますが、日本で、あるいは世界でも初めての大規模な比較試験ということで、両群にマンモグラフィを置いて、超音波をオンするという試験で、日本の40歳代の女性、約7万6000名の方がこの試験にエントリーしてくださったということで、現在もこの研究は続いております。プライマリのエンドポイントは、感度、特異度、がん発見率。セカンダリのエンドポイントは、累積進行がん比率ということになりまして、ファイナルのエンドポイントが死亡率減少効果の検証という設定になっております。プライマリのエンドポイントに関しましては、大内憲明リーダーが既にLancetに報告されておられます。
 この7万6000名という数のエントリーの根拠になった、これが報告書になるのですけれども、宮城県の地域がん登録を用いた、各年代の感度を見たものですけれども、先ほどお話ししましたように、50歳代以上は世界的なマンモグラフィの研究でも高い感度が得られて、これが85%以上ある。一方で、40歳代に関しましては、感度が70%程度にとどまっているということで、この差が15%あるということになっております。
 J-STARTを開始するに当たりましては、40歳代の方にマンモと超音波を併用することによって、感度を15%アップすることができる。つまり、40歳代の方のマンモの感度を、50歳代以上のマンモの感度に近づける。この15%のアップをすることができれば、超音波の有効性が十分に検証できるのではないかという形で、7万6000名というエントリーの数が算定されているということになります。
 プライマリのエンドポイントの結果でございますが、がん発見率に関しましては、超音波の併用群におきまして、マンモの単独群に比べて1.5倍、がんが発見されたということで、有意に併用の効果が見られたわけでありますけれども、一方で、不利益に当たります要精検率は、検査方法が2つになりますので、要精検率もまた1.5倍増えてしまった。これは不利益ということになります。
 感度に関しましては、マンモグラフィの単独群が77%、超音波・マンモの併用群が91%ということで、実際の予定した数字に近い14%の感度の上昇が得られたということで、こちらは有意に併用群の効果が証明されたという結果でございました。両群で認められたマンモ発見のがんの割合は、ほぼ同数ということになりますので、1.5倍に増えたがんの発見は、超音波の上乗せ効果によるものということが言えるかと思います。
 一方で、このJ-STARTの場合は、両群とも視触診の併用が許容されておりまして、それぞれの群でほぼ同数の46名、45名、視触診で異常が認められた方がいらっしゃいましたが、マンモグラフィ単独群では、マンモでそれらの方を見つけることができなかったけれども、視触診だけで分かった方が8名いらっしゃったわけですけれども、超音波併用群では、マンモ・超音波で分からずに視触診だけで分かった方は1人もいらっしゃらなかったということになりますので、超音波が視触診の代替になることを証明する結果になったかと思います。
 中間期のがんに関しましては、超音波・マンモの併用群でマンモ単独群の半分になったということで、その有効性がここでも実証されたという結果でございました。
 実際に見つかっている乳がんのステージを見たものですけれども、両群ともステージ0、非浸潤がんの比率は変わらなかったのですが、ステージIの比率が10%ぐらい、超音波・マンモの併用群で高かった。そして、ステージIIはその分、マンモ・超音波の併用群で低くなっているということになりますので、ステージⅠ、2センチ以下の浸潤がんが多く見つかったという結果でございまして、この群は超音波の上乗せ効果と言えるかと思います。
 一方で、不利益に関しましては、我々、要精密検査になった方、全ての方から聞き取り調査を行いまして、それらの方が精密医療機関でどれぐらい針を刺されたかという数を調査いたしておりまして、超音波の併用群では、マンモ単独群に比べて2.5倍多く針を刺されたということが分かっておりまして、これも不利益の一つとしてLancetの中に書き込んだという状況になってございます。
 このJ-STARTに関しましては、RCTという位置づけでございましたので、マンモ・超音波、独立判定で行っておりまして、どちらかで要精査となった方は精密検査ということになっておりました。それで、要精密検査率が1.5倍、併用群で多くなったという状況になってございますが、実際の検診の場では、マンモを見ながら超音波を行って、不要な精密検査を減らすということの取組がもう既に行われておりまして、総合判定のマニュアルができてございますし、マンモと超音波の総合判定の講習会といったものも、正規で開始されておりますので、こういった総合判定を行うことによって、先ほど不利益とされております要精検率を下げることができるだろうということが想定されております。
 J-STARTの最新の進捗状況について御報告させていただきたいと思います。こちらがJ-START関連の英語論文ということで、1番目は、先ほどお話ししたエントリー数の設定根拠になった論文。
 2番目は、デザインペーパーです。
 3番目が、先ほどのLancetの報告。
 そして、4番目がデンスブレストに関する報告ということで、こちらはJAMA Network openのほうに出させていただきました。40歳代におきましては、デンスブレスト、ノンデンスブレスト、高濃度、非高濃度、どちらも超音波の上乗せ効果があるということで、乳房構成にかかわらず、40歳代は超音波の有効性が証明されたという内容を4番目の論文として報告させていただいております。
 現在、セカンダリのエンドポイントであります累積進行がん比率を解析すべく、乳がんの集積に当たっております。統計解析委員会のほうで指定された、この累積乳がん比率の解析に必要な症例数が400例と出されておりますが、現時点で全乳がん1945例の情報が我々のところにございまして、そのうちステージII以上が502例という形になっております。これらの症例数が今、追跡されておりますので、進行がん比率を解析する症例数は十分に集まっていると考えております。
 現在、この502の症例数に関しまして、実際の医療機関から情報をいただいて、裏を取っており、乳がんの状況、進行度、生物学的な特徴等の情報を得ているという段階です。
 こちらが昨年改定されました日本乳がん学会の診療ガイドライン、日本で最も頻繁に使われているガイドラインということになります。その検診の項目の一番最初のクエスチョンが超音波検査に関するもので、超音波の検査は乳がん検診として推奨されるかというクエスチョンに対しまして、マンモグラフィと併用する限りにおいては、感度が上昇して早期乳がんの発見に有用であり、適切な精度管理が行われるならば、行うことを推奨するとされております。
 一方で、超音波単独の検査に関しましては、マンモとの比較で優位性を証明する科学的根拠も乏しく、これは行わないことを推奨する。超音波を単独で行うことは推奨しないという内容になっております。
 ここで問題なのは精度管理ということになるかと思うのですが、現在、精度管理中央機構のほうで行っている講習会、そして試験で合格されている方に関しまして、マンモグラフィでは、全部で2万4000名弱の方が合格、A・Bのライセンスを持っていらっしゃるのですが、一方で、超音波に関しましては6000名にとどまっておりまして、4分の1程度ということになりますので、現状では、この超音波の講習会等をさらに実施して、この基盤を整備する必要があると考えております。
 「J-STARTの今後の予定」でございます。先ほどお話ししましたように、セカンダリのエンドポイント、累積進行がん罹患率に関しましては、現状で500例の数の情報を受診者の方からいただいているのですけれども、これらのデータクリーニングを今、行っている。これは医療記録あるいはがん登録との照合を行うということで進めているところであります。
 それから、もう一つの目標がセカンドラウンドの感度、特異度ということで、J-STARTはマンモ単独群、超音波併用群の2群で2回検診を行っております。2年後に2回目の検診を行っておりまして、1回目、異常がなかった方が、2回目の検診でも同じ群で、同じモダリティで検診を受けていらっしゃいますので、これらの感度、特異度、がん発見率等をきっちりとまとめていきたいと考えております。
 こちらが最後のスライドになります。プライマリのエンドポイント、セカンダリのエンドポイントに加えまして、ファイナルのエンドポイント、死亡率減少効果をきちんと検証していきたいと考えておりますが、これまでのマンモの海外のメタアナリシス等を考えても、時間があと10年程度はかかるだろうと予測しておりますが、最後までしっかりとこの検証を行っていきたいと考えております。
 以上です。
○大内座長 石田先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明内容につきまして御質問がある方は挙手願います。
 中山構成員。
○中山構成員 中山です。
 情報をお知らせいただいたのですけれども、超音波でのみ発見される乳がんと、マンモで発見される乳がんとの間の生物学的な特徴とか悪性度の違いとか、例えばトリプルネガティブがどっちに多いとか、あるいは生存率とか、その辺の話はいかがですか。
○石田参考人 御質問ありがとうございます。とても重要なポイントだと思います。
 バイオロジーに関しましても、医療機関から情報をいただくという作業を現在も進めております。1つ、時期的な問題がございまして、このJ-STARTが始まりましたのは15年前ということになるのですが、当時もホルモン受容体の陽性率、ER、PgRの陽性率に関しては、もう既にホルモン療法が行われていましたので、全ての患者さんで情報が集まってきているわけですけれども、例えばHER2に関しましては、当時、まだアジュバントで使うことができない時期でございましたので、HER2検査を行っていない患者さんたちがたくさんいらっしゃって、そういう意味では、本当にトリプルネガティブかどうなのかという検証がなかなか難しい。データ的にフェイリアになっている、十分に集まっていないという状況もございます。
 したがいまして、今、先生御指摘いただきましたような形の解析の中で、トリプルネガティブという解析が難しいという状況も想定されるのですが、ホルモン受容体陽性、陰性という形で解析するということは可能かなと、現状では考えております。
○中山構成員 新しい検査を追加することで見つかった早期のがんというのは、過剰診断かどうかというのが最大の議論になりやすいので、例えば情報がなければ、生存率だけでも見て、それがある程度死亡するものなのか、全く死亡しないのか、それとも発見はできるのだけれども、すぐに再発して、すぐに亡くなってしまうのかというところは、ちょっと見ておいたほうがいいと思うので、ぜひそれはまた御検討いただければと思います。
○石田参考人 ありがとうございます。
○大内座長 ほかに御質問ありますか。
 若尾構成員。
○若尾構成員 ありがとうございます。
 石田先生が御発表いただきました今回の資料、とても参考になりました。マンモグラフィと超音波の併用ということでお話しいただきましたが、市町村によっては、マンモグラフィと超音波を1年置きに行うというところが幾つかあると思います。これは併用という位置づけになるのでしょうか。私ども、実際に受ける立場においては、特に乳がんに罹患して乳がんの手術を全摘で行ったりする者にとってみたら、マンモグラフィは術側のほうは受けられないのです。それで、むしろマンモグラフィと超音波が1年置きにあるというほうがとてもありがたいのです。
 そういったことを含めますと、先ほど先生がおっしゃった、マンモグラフィと超音波による上乗せ効果というものは、40歳代の高濃度乳房だけではなく、サバイバーのがん検診というところにも貢献するのではないかということをちょっと思ったのですけれども、その点に関しては、今回はされていないと思います。何かの指針が今後、ガイドラインでもいいのですけれども、示され得る可能性はあるのでしょうか。この点、ちょっと教えていただけますか。
○石田参考人 ありがとうございます。とても重要なポイントだと思います。
 今、例えばマンモグラフィを対策型で受けて、そして2年の間隔の間に任意型で超音波を受けるという運用をされている方も、実際にはいらっしゃるかと思いますけれども、そういった形のしっかりとした科学的なデータを集積する必要があるだろうと考えております。
 海外では、先生御指摘されたように、実は1年置きにマンモと超音波を交互にやるというデザインで比較試験が行われている国もあるのですね。それらの結果が出てきたときに、その精度といいますか、研究の質といいますか、そういったものがどういうものになるのかというところにもよるかと思うのですけれども、十分に信用に足るような、信頼できるような格好のデザイン、内容であれば、そういったことも1つの参考になる可能性はあるかなと考えております。
○若尾構成員 ありがとうございます。
 乳がんは、御存じのように、毎年新たに9万人ぐらいの方がなりますので、累積の乳がん患者は膨大な母数があるのですね。その方たちが医療で治療として外来で診て、スクリーニングしていただいている間は、それなりに医療者が対応してくれると思うのですが、自ら受診をやめたり、10年過ぎたり、もしくは5年の方もいらっしゃると思いますけれども、そういったときに地域のがん検診を受けてねと言われて、市中に出されるわけですね。そういった方たちが、この結果をあと10年待てるかというと、ちょっと酷だなということも思いますので、この点も含めて御検討いただけると、当事者としてはありがたいなと思います。これは意見でいいです。
 以上です。
○石田参考人 ありがとうございます。
○大内座長 若尾構成員からの御質問、逐年ごとに、1年置きにマンモグラフィと超音波検査を交互に行う単独検査の臨床試験は、台湾で行われております。両群、3万人程度ですが、結果的にはネガティブです。研究デザインの問題もありますけれども、単独では効果が出ないということですね。ネガティブだったので、結果が論文化されていない。台湾の研究者たちと意見交換したのですけれども、論文化には至っていないということで、実質そういったトライアルはあるのですが、石田参考人が最初に示されたように、超音波単独ということについては、ほとんど有効性評価が得られていないということになります。その辺の運用については、今後もしっかりと説明していく必要があると思っています。
 では、祖父江構成員。
○祖父江構成員 祖父江です。
 J-STARTに関しては、開始当初からそれなりに参画していますので、あまり第三者的に質問するのも違和感があるのですけれども、セカンダリエンドポイントの累積進行乳がん罹患率に差があるかどうかということをずっと待ち望んでいるわけですけれども、論文化が来年度予定と。その際に、ネガティブなデータが出たら導入ということはないですけれども、ポジティブと出た場合に、このデータでどう政策判断するのかというのは、今からちゃんと考えておかないといけないと思うのですけれども、何かプラスアルファ、研究が必要なのか、それともこのJ-STARTの結果のみで政策判断が可能なのか。
 この辺りは、石田先生というよりは、むしろ中山先生に聞いたほうがいいのかもしれませんけれども、私も聞く立場かどうか、よく分からないのですけれども、どう考えるのかというのを、まずは石田先生、どうお考えになるか確認したいと思います。
○石田参考人 祖父江先生とは、J-START開始当初から御一緒させていただいておりますので、大変お世話になっております。
 このセカンダリのエンドポイントは、祖父江先生が中心になって大内先生と設計されたエンドポイントということで、J-START、5年間の研究期間しかなかったものですから、死亡率減少効果までは検証する時間がない、期限がないということで、これが将来の死亡率減少効果のサロゲートになるかどうかということは、現状でも確定したものではないということは、皆さん、御承知おきいただきたいと思うのですが、1つの参考になるかどうかといった議論は、これからされていく必要があるのだろうと思うのですけれどもね。
 この累積進行がん比率で差があったということをもって、死亡率減少効果の推定になるかどうかといったところは、恐らく専門家の間でも議論が分かれるところだと思いますし、現状では確立したものではないという位置づけになりますので、それをもって施策に反映されるかどうかというのは、私がコメントする立場にはもちろんございませんので、コメントしづらいのですけれども、もともと想定された研究、セカンダリのエンドポイントですので、この結果はしっかりと皆様にお届けしたいと考えております。
 すみません、コメントになっていないかと思いますが、御容赦ください。
○大内座長 これはサロゲートマーカーに関係することでして、死亡率減少効果のみが根拠として、ガイドライン上で適用されているわけですけれども、死亡率減少効果の結果を待つと、さらに15年ぐらいかかります。その間、どうするかということだと思いますが、仮にセカンダリエンドポイントで進行乳がん罹患率が介入群で減少したとしても、それが直接、死亡率減少効果に結びつくかということが、これまた大きな議論になります。
 最も理想的なのは、セカンダリエンドポイントを示して、さらに死亡率減少効果の検証をきちんと追いかけていって、それが連動して証明されれば、世界で初めて乳がんの進行がん罹患率減少が死亡率減少のサロゲートになるという根拠になるわけですね。そういったことも考えているのですが、今日の検討会では、日本の乳がん検診をどうするかということになりますので、その点において、若い女性の命を救うという観点から、この研究成果をどのように国民に還元していただくかということに尽きると思います。
 では、松田構成員、お願いします。
○松田構成員 松田でございます。
 死亡率減少効果が証明されれば、晴れてマンモグラフィと超音波の併用検診をいつから始めるかが議論されると理解します。では、死亡率減少効果が証明される前はどうなるのか、これからまだまだ議論になろうかと思います。そこで石田参考人にお伺いしたいのですが、結論が出るのが10年先なのか分かりませんが、死亡率減少が証明されたとなると、対象年齢はあくまでも40歳代で、そしてマンモと超音波の判定は総合判定ということでよろしいでしょうか。
 今、先生がうなずいておられたのを画面で拝見しましたが、一番の課題としては、キャパシティの不足でしょう。他のがん検診でもそうなのですが、日本のがん検診受診率は極めて低いですね。年齢調整乳がん死亡率は、増えていますので、マンモグラフィと超音波の併用は将来的な課題として先生方のデータを拝見させていただきたいと思うのですが、マンモの受診率を上げる手立ても並行して、今、進めないといけないと思います。あとは、40歳代はほかの年齢と比べて罹患率があまり増えておらず、高齢者の方が増えていますので、高齢者を含めて、受診勧奨についてしっかり考えていく必要があろうかと思います。
 それと、もう一つ、改めて申し上げるまでもないのですが、乳がんは他のがんと比べて、生存率が高いですね。治療成績が以前と比べてはるかに向上しているので、10年後、15年後に本当に死亡率減少効果が証明されるのかというのが疑問になってくると思います。まとまりのない質問ですが、先生、いかがでしょうか。
○石田参考人 とても重要な御意見、御質問ありがとうございます。
 まず、冒頭でいただきました御質問で、J-STARTは40歳代の方を対象にしたマンモ単独・超音波併用の比較試験ということになりますので、この結果は基本的には40歳代の方に反映される内容だと。したがって、50歳以上の方にこの内容がそのまま適用できるか、応用できるかというところは疑問が残ることになるかと思いますが、40歳代の方の一つの参考になるかと思います。
 発症年齢に関しまして、先生御指摘いただきましたように、前は40歳代の後半にピークがあったのですけれども、現在は50歳代も増えておりますし、60代の前半、半ばぐらいまで罹患が結構どんどん増えておりまして、前は2こぶラクダみたいになって、一旦、50代でちょっと下がって、60代でまた上がるような格好もあったのですけれども、現在は落ちないでずっと上がり続けるという形で、年代とともに罹患年齢も変化してきているというのも事実ということになるかと思います。
 また、御指摘いただきましたように、乳がん領域は薬物療法の進歩が非常に目覚ましいので、死亡率そのものはあまり大きな改善はないのですが、少なくとも罹患してから転移・再発して亡くなるまでの期間が非常に延びている。これは先生御指摘のとおりということになりますので、そうしますと、死亡率減少効果を解析するための死亡数の集積にも、時間がもっとかかるだろうというところが予想されますので、その2回の検診介入の効果がどの程度本当に反映されるのかというところは、実際に追跡してみないと何とも言えないところはあるのですが、もちろん厳しい状況になる可能性も十分にあるかと思っております。
 以上です。
○松田構成員 ありがとうございます。
○大内座長 よろしいでしょうか。
 では、議題(2)については、これにて一旦終了いたします。
 続きまして、議題(3)「その他」に移ります。参考資料3及び4について、事務局から説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 議題「その他」ということで、参考資料について御紹介させていただきます。
 令和2年度から令和4年度にかけて実施いただいた厚生労働科学研究費補助金の事業において、「がん検診の利益・不利益」に関連する資材を作成していただいています。今回、これらの資材についての周知ということで、参考資料としてお示しさせていただいています。資料3には、そのがん検診に関する情報提供資材の一覧ということで、参考資料3-1から参考資料3-6までのメニューについてお示しさせていただいております。
 この場で詳細な内容の御説明については、時間の関係もありまして割愛させていただきますが、こういった形で研究班から、WHO作成資材の翻訳書とかE-ラーニングの資材等を作っていただいていたり、「がん検診SDM運用マニュアル」というものを作成いただいたりと、それぞれ研究班が2つあって、斎藤班と濱島班とあるのですが、その2つの研究班から、それぞれ今、申し上げたような資材の作成等、御協力いただいておりますので、この場をお借りして御紹介させていただくとともに、がん検診の適切なシチュエーションにおいて御活用いただけるものがあろうかと思いますので、活用について御検討いただけたらと考えてございます。
 事務局から、資料の御紹介は以上でございます。
○大内座長 ただいま事務局から資料の説明がございましたけれども、これに関しまして御質問等はありますか。
 若尾構成員。
○若尾構成員 ありがとうございます。
 私、この検診ナビというホームページを拝見させていただいたのですが、まだ発展途上ですというコメントがありましたけれども、今の時点で、子宮頸がんの市区町村における受診率まで載っているのですね。それで、第4期がん対策推進基本計画は、誰一人取り残すことがなくという言葉がありますけれども、これを実行するためには、市区町村の協力は欠かせないと思いました。
 先ほどもがん検診の受診率を上げるのにどういったことが必要かということの中でも、ちょっと関連するかなと思うのですけれども、都道府県が幾ら旗を振っても、市区町村は現状が分からないと、効果的な対策は立てられないと思うのですね。そのときに、この検診ナビの検診受診率、市区町村別の要精密検査受診率というものが見える化されていくと、とてもいいなと思いました。ですので、大変だろうと思いますけれども、様々な視点から、各市区町村が対策に生かせるような情報をアップデートしていっていただけるといいなと思いました。
 もう一点ですけれども、同じく受診率向上のために、先日、筑波大学のヘルスサービス開発研究センターというのか、そこが乳がん検診に参加しない人の特徴の簡易リスクスコアというものを公開していました。それによると、簡易的なリスクスコアが分かるのですけれども、これも各市区町村がただでさえ低い女性の、今回は乳がん検診ですけれども、女性のがん検診受診に対する積極的な推奨の参考になるのではないかなと思ったので、この点も1点紹介したいなと思って発言いたしました。
 以上になります。
○大内座長 青木参考人、どうぞ。
○青木参考人 この参考資料は大変役に立つといいますか、今まで気がつかなかったところを気づかせてくれるという意味では、いろいろ検診に関わる皆さんに見ていただきたいなと私も思いました。
 その観点で、参考資料3-4でしょうか、WHO資材を基にしたE-ラーニング資材、スクリプトということですけれども、この中に、パートIII-1にスクリーニングプログラム開始というところがあるのです。今日、最初の話題にありましたHPVの単独検診も、こういった方法でスクリーニングを開始するということでありますので、こういったきちんとした形で出されたものに沿って進めていきたいと思っております。
 そして、その最後のところにパイロットが出てまいりますので、スクリーニングを新規に開始する場合には、オーソライズされた進め方と私は感じていますので、こういったスキームに沿って、ぜひ厚労省にも考えていただいて進めていただきたいという、私の要望でございます。
 以上です。
○大内座長 祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 祖父江です。
 教材が複数提示されるのは、今後の利用の範囲がすごく広がっていいと思うのですけれども、検診の不利益に関しての理解というのは、教材だけで進むのかというのはなかなか難しいところもあると思うのですけれども、こういう教材を使って、どの程度理解が進んだかを検証するということを併せてやっておられるのかどうか、その辺、伺いたいと思います。どなたかおられますか。斎藤先生、入っておられますか。いないですか。そういうことも併せて御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○大内座長 では、意見として承ります。
 ほかにございますか。
 では、本日の議事はここまでとさせていただきますが、事務局から今後のことについても御説明お願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 本日は長時間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 先ほど議題1に関連して大内座長からおまとめいただきましたが、一旦、年度内の見直しに向けて検討を進めさせていただく。指針の改正、作成ですとかマニュアルの作成等について進めさせていただくという方向性については、御了解いただいたものと認識しています。一方で、今後、指針の方向性について、ある程度見えてきたところで、適切なタイミングで、この検討会において改めてお諮りさせていただいて御議論いただきたいと考えてございますので、本日いただいた御指摘や論点等についても、そこで整理した上でお示ししたいと考えております。ということで、議題(1)についても、引き続き御議論に御協力いただけたらと思っております。
 事務局からの補足は以上でございます。
 次回の検討会の詳細につきましては、調整の上、御連絡させていただきたいと思います。
 事務的な連絡も併せてさせていただきました。事務局から以上でございます。
○大内座長 それでは、第39回「がん検診のあり方に関する検討会」をこれにて終了いたします。

照会先

健康・生活衛生局 がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3825)