2023年6月20日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和5年6月20日(火)16:00~

場所

新橋5A会議室

出席者

出席委員(9名)五十音順 

 (注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  木村剛一郎(監視指導・麻薬対策課監視指導室長) 他

議事

○事務局課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会令和5年度第1回指定薬物部会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日、監視指導・麻薬対策課長、監視指導対策室長及び薬物取締調整官は所用で欠席させていただく予定となっております。また、医薬・生活衛生局長及び審議官におかれましては所用のため遅れる見込みとなっております。
 本日は対面開催でございますが、現在のところ当部会の委員数11名のうち、青山委員、松本委員は御欠席との御連絡をいただいており、現時点で9名の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 続きまして、部会を開催する前に、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とさせていただきます。また、会議の議事録の公開につきましては、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 それでは、以降の議事進行は関野部会長にお願いいたします。
○関野部会長 それでは、本日の部会資料の確認及び注意点につきまして、事務局より、お願いいたします。
○事務局 今回、既に資料のファイルのほうは事前に開かせていただいております。資料No.2-1、2-2、2-3及び3-1という資料はあらかじめ開いております。フォルダとしては、資料フォルダ、文献フォルダ、参考資料フォルダを付けておりますので、そちらのほうでも確認できるかと思います。若干仕様が変わっておりますので少し不自由かと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。以上が操作についてですが、御不明な点がございましたら、事務局までお申し付けください。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。本日の議題は、「指定薬物の指定について」です。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 資料については、資料No.2と資料No.3というものが既に開いているかと思います。資料No.2-1、2-2、2-3というのは、今回御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物等について一覧表にまとめたものになります。資料No.3に関しては、各物質の動物実験の結果、それから中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものとなります。
 それでは、今回の審議物質の1番目になります合成カンナビノイド系である物質について説明をいたします。資料No.2-1を御覧ください。資料No.2-1は、合成カンナビノイド系である物質、通称名4F-ABINACA、4F-ABUTINACA及びこれに構造が類似する麻薬及び指定薬物について、カンナビノイド受容体に対する影響、中枢神経系への作用等をまとめております。4F-ABINACAは、カンナビノイド受容体CBに対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有することを確認しております。資料No.2-1は以上です。
 続きまして、資料No.3について説明をいたします。資料No.3の1ページを御覧ください。4F-ABINACAは、指定薬物であるAPINACA N-(5-chloropentyl) analogと構造が類似する化合物です。
 続いて2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに4F-ABINACA 15mgを添加したマーシュマローリーフ 0.25gを燃焼させることで、マウスを薬物にばく露させ、燃焼後15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状について、観察された症状を記載しております。また、3、4ページの表1~3に、4F-ABINACAに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、観察された特徴的な症状を示した写真を5ページに載せております。ここで写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は2つございます。正面のモニタに映します。
 これは、燃焼終了後約8分経過後のマウスですが、側壁にもたれ掛かるも脱力、伏臥位姿勢にて静止、荒い呼吸が見られることが確認されました。
 これは、燃焼終了後約22分経過後のマウスですが、よろめきながらの旋回歩行が見られることが確認されました。動画は以上になります。
 続きまして、6ページの(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。カタレプシー試験の結果は、燃焼終了後15、30、60分のいずれにおいても5匹全てが陰性でした。
続いて(3)ヒトカンナビノイド受容体機能評価を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB及びCB受容体)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を載せております。CB受容体で1.16×10-mol/Lでした。また、CB受容体では算出することはできませんでした。この結果から、カンナビノイド受容体CBに対するアゴニスト活性があることが確認されております。
 以上から、4F-ABINACAは、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、(4)海外での流通状況についてですが、欧州、ロシア、カナダ、アメリカ、中国、インドネシア、シンガポール等、計19か国において流通が確認されております。また、海外での規制状況については、インドネシア、スウェーデンで規制されていることを確認しております。
物質1は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物につきまして、□□□□での検出事例はございませんでした。以上です。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特に御意見はございませんか。ありがとうございました。それでは、御意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議なしと認めます。
それでは、引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、ニタゼン系である物質2について説明いたします。資料No.2-2を御覧ください。資料No.2-2は、ニタゼン系である物質2、通称名Etonitazepipne、N-Piperidinyl Etonitazene及びこれに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシスのデータ等をまとめております。Etonitazepipneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-2の説明は以上になります。
 続いて、資料No.3の7ページを御覧ください。Etonitazepipneは、指定薬物であるEtonitazepyneに構造が類似する化合物です。
 8ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにEtonitazepipneを0.2、1.0、10.0mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。
 また、9、10ページの表1~3にEtonitazepipneに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を11ページに載せております。
 ここで写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は5つあります。
これは、0.2mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、旋回行動や掻痒感様作用など、ややせわしい自発運動が確認されました。これは、1.0mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、挙尾反応、後肢(こうし、うしろあし)の指間離開、腰高での旋回行動が確認されました。これは、同じく1.0mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、挙尾反応、腰高での旋回行動が確認されました。これは、10.0mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、挙尾反応、後肢指間離開のほか腹ばいでの旋回行動あるいは壁にもたれ掛かるなどの異常な行動が確認されました。これは、同じく10.0mg/kg投与群の投与後約120分経過したマウスですが、挙尾反応、腹ばいでの旋回行動が確認されました。動画は以上になります。
 12ページの(2)をご覧ください。自発運動における運動量について、マウスにEtonitazepipneを1.0mg/kg腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定したところ、総運動量及び総移動距離は、投与後10~70分では対照群と比べ有意に増加し、大きい運動量は投与後10~50分及び70分で対照群と比べ有意に増加しました。立ち上がり回数については、測定期間を通して有意な差は見られませんでした。
 13ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化です。Etonitazepipne約5.0mg/kg腹腔内投与群をマウス5匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
 14ページの(4)をご覧ください。Etonitazepipneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするため、EC50を算出しております。μ受容体のEC50は4.56×10-10mol/L、κ受容体のEC50は算出されませんでした。
以上から、Etonitazepipneは、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 (5)海外での流通状況についてです。2022年にオーストリア、2021年にカナダ、スウェーデンにおいて流通が確認されております。
 最後に(6)海外での規制状況についてです。イギリス、ハンガリーで規制されていることを確認しております。
物質2については以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はございませんでした。以上です。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特に問題はありませんか。ありがとうございました。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議を頂きました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
引き続き、事務局から説明をお願いします。
○事務局 続いて、フェンメトラジン系である物質3について説明いたします。資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、フェンメトラジン系である物質3、通称名3-CPM、3-Chlorophenmetrazine並びにこれらに構造が類似する向精神薬、指定薬物について、ヒトセロトニン受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験等のデータをまとめております。
 3-CPMは、セロトニン受容体アゴニスト活性を有し、マイクロダイアリシス試験でモノアミン類を有意に増加させ、中枢神経系への作用も有することを確認しております。資料No.2-3の説明は以上です。
 資料No.3の15ページを御覧ください。3-CPMですが、指定薬物である3-FPMと構造が類似する化合物です。
 16ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察です。マウスに3-CPM(R体、S体の等量混合物)を2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。
 また、17、18ページの表1~3に3-CPMに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。同18ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は1つです。これは、100mg/kg投与群の投与後約120分経過したマウスですが、よろめきながら、ややせわしい自発運動が確認されました。動画は以上です。
 19ページの(2)自発運動における運動量の測定結果をご覧ください。総運動量及び総移動距離は、投与後80分では対照群と比べて有意に減少し、立ち上がり回数は投与後10分で有意に増加、80分では有意に減少しました。大きい運動量は、測定期間を通して対照群と比べて有意な差は確認されませんでした。
 20ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化です。3-CPM約20mg/kg経口投与群を4匹、コントロール群を6匹用いて、マウスの線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ノルアドレナリンで有意に増加することが確認されました。
 21ページの(4)ヒトセロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果です。3-CPMはヒトセロトニン2A受容体で6.06×10-mol/L、セロトニン2C受容体で2.45×10-mol/Lでした。
以上から、3-CPMは、ヒトセロトニン受容体アゴニスト活性を有し、中枢神経系に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 (5)海外での流通状況についてです。2021年以降、デンマーク、フィンランド、フランス、ハンガリー、スロベニア、スウェーデン、アメリカで流通が確認されております。
 (6)海外での規制状況についてです。ハンガリー、イタリアで規制されていることを確認しております。
物質3については以上です。御審議のほどをよろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例がございます。2021年6月に1件、2021年10月に2件、2021年11月に1件、2023年5月に1件、計5件の検出事例がございました。以上です。
○関野部会長 それでは委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか、特に問題はありませんか。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、事務局から今後の手続について説明をお願いします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次々回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議を頂いた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は全て終了いたしました。事務局から、次回の予定について連絡をお願いします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、御連絡いたします。以上です。
○関野部会長 以上をもちまして、令和5年度第1回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
(了)
 
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 竹内(2779)