2023年4月21日 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録

日時

令和5年4月21日(金)18:00~

出席者

出席委員(15名)五十音順
  • (注)◎分科会長
他参考人1名出席
欠席委員(8名)五十音順
  • (注)○分科会長代理
行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  衣笠秀一(総務課長)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○総務課長 定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の薬事分科会につきましては、Webを併用しての審議とさせていただきます。
委員の出欠についてですが、小野委員、清田委員、合田委員、佐藤俊哉委員、末岡委員、長瀬委員、三谷委員、脇田委員から御欠席との連絡を頂いております。現在のところ、委員数23名のうち15名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、本日は、北里大学名誉教授、海野信也先生を参考人としてお呼びしております。
 分科会を開始する前に、委員の先生方の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。本分科会におきましては、会議開催の都度、薬事分科会規程の適合状況を書面に御署名いただく形で御申告いただく運用を開始させていただいており、今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、毎度御負担をおかけしておりますが、御理解を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について、事務局より御説明させていただきます。
○事務局 事務局です。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まずWeb会議システムにある挙手機能にて、発言の御意思をお示しください。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。
○総務課長 よろしいでしょうか。本日は、非公開での審議事項が1件あります。
それでは、奥田分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○奥田分科会長 それでは始めさせていただきます。
最初に、これまでの事務局からの御説明に、委員の方々から御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
それでは、審議事項「医薬品メフィーゴパックの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定及び毒薬又は劇薬の指定の要否について」、資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、事務局から報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。あらかじめお送りした資料のうち、資料No.1~No.4及び参考資料を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。競合品目・競合企業リストについては、資料No.4を御覧ください。「メフィーゴパック」ですが、本品目は「子宮内妊娠が確認された妊娠63日以下の者に対する人工妊娠中絶」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合企業はなしとしております。
○奥田分科会長 今の事務局からの御説明に、特段の御意見はありませんか。それでは、本審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の了解を得たものといたします。
 では、委員からの申出状況について、報告をしてください。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況、及び第5条に基づく取扱いについては、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしでございます。
○奥田分科会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見などはありませんか。よろしければ、皆様に御確認を頂いたものといたします。
 それでは、審議に移ります。機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。議題1、資料No.1の「メフィーゴパック」について、機構における審査の概略を説明いたします。
資料No.1の審査報告書のファイルを開いてください。「/87」で記載している、審査報告書の通し番号の4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況」の項を御覧ください。
本剤は、1回の処置に用いるミフェプリストンを有効成分とする錠剤1錠と、ミソプロストールを有効成分とするバッカル錠4錠から構成される製剤であり、妊娠初期における人工妊娠中絶を効能・効果として、製造販売承認申請がなされました。
 現在、本邦においては、妊娠初期における人工妊娠中絶の方法として、妊娠12週未満の者に対する外科的処置が行われており、この時期の人工妊娠中絶に係る適応で承認されている薬剤はありません。
一方、海外においては、人工妊娠中絶に係る適応で承認されている薬剤があり、外科的処置のほか、薬剤による処置も選択肢として提供されており、2022年公表のWHOのガイドラインでは、妊娠12週未満の者に対する人工妊娠中絶の方法として、ミフェプリストンとミソプロストールを順次投与する方法が推奨されております。
このような状況を踏まえ、今般、ラインファーマ株式会社より、国内臨床試験成績等に基づき、本剤の医薬品製造販売承認申請がなされました。
 有効性について、審査報告書の通し番号46ページ、「7.2 第III相試験」の項を御覧ください。国内第III相試験(LP010試験)は、子宮内妊娠が確認された妊娠63日以下の者を対象とした、非盲検非対照試験であり、次のページの表28のとおり、主要評価項目である「ミフェプリストン投与からミソプロストール投与後24時間までに人工妊娠中絶が成功した被験者の割合」の両側95%信頼区間の下限値87.3%は、海外臨床試験の成績を基に事前に定められた評価基準値を上回りました。また、主要評価項目の点推定値で示された93.3%という人工妊娠中絶の成功割合は、本邦の外科的処置による方法で想定される、おおむね100%という域には至らないものの、専門委員の意見も確認し、本邦の医療現場に受け入れられる程度であると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書の通し番号55ページ、「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本邦では母体保護法にのっとり、ミフェプリストン及びミソプロストールそれぞれの投与は、医療機関で、母体保護法指定医師による確認の下で行う必要があります。海外では外来で使用されていることから、本剤は外来診療下でも使用できることを前提として、本剤の使用に際して注意すべき事象である子宮出血、感染症及び下腹部痛に関連する有害事象を中心に検討いたしました。
 審査報告書の通し番号57ページ、「7.R.2.2 子宮出血について」の項を御覧ください。国内第III相試験では、本剤投与後全例で子宮出血が認められましたが、子宮出血が急激に悪化して管理不能になるといった症例はありませんでした。一方、海外の安全性情報によると、まれに救急搬送や外科的処置又は輸血が必要となるほどの子宮出血が認められております。本剤投与後の子宮出血のプロファイルは、妊娠12週未満の稽留流産、不全流産、進行流産での子宮出血のプロファイルと類似しており、それらに対して本邦の医療現場で実施されている待機的管理と同様の管理方法で、本剤投与後の子宮出血は管理可能と判断いたしました。ただし、必要な処置を適切な時期に受けられるようにするため、本剤の投与を受ける者に対して、処方医療機関への連絡が必要な出血量の目安を示すとともに、緊急時に速やかに受診するよう指導すること、また、処方医療機関には、本剤の投与を受けて異常を認めた者からの連絡を常時受け付け、必要に応じて外科的処置等の適切な対応が可能な医療体制が構築されていることが必要と判断いたしました。
 審査報告書の通し番号64ページ、「7.R.2.3 感染症について」の項を御覧ください。本剤投与後、子宮内容遺残に起因する感染症が発現する可能性がありますが、国内第III相試験で認められた子宮内膜炎1例では、外科的処置により回復が認められました。一方、海外の安全性情報では、ミフェプリストン及びミソプロストールの投与後、まれに敗血症等の全身性感染症に至り、死亡した例も報告されております。しかしながら、妊娠12週未満の稽留流産、不全流産、進行流産の管理方法を踏まえると、子宮内容遺残が認められること自体は臨床的に許容し得ない事象ではなく、子宮内容遺残に起因する感染症が発現した場合に、速やかに適切な処置が行われることが重要であることから、本剤の投与を受ける者に対して、感染症が疑われる症状が認められた場合には、必ず処方医療機関に連絡するよう指導すること、また、処方医療機関には、本剤の投与を受けて異常が認められた者からの連絡を常時受け付け、必要に応じて外科的処置等の適切な対応が可能な医療体制が構築されていることが必要と判断いたしました。
 審査報告書の通し番号66ページ、「7.R.2.4 下腹部痛について」の項を御覧ください。ミソプロストール投与前に鎮痛剤を投与する規定で実施された国内第III相試験において、本剤投与後に経験したことのない強い下腹部痛が認められた被験者が一定数おりました。しかしながら、各症例の痛みの経時的推移を確認したところ、ほとんどの症例で発現した強い痛みは一時的であり、使用された鎮痛剤を踏まえると、非ステロイド性解熱鎮痛剤といった月経痛に一般的に用いられる鎮痛剤で、おおむね管理可能と判断しております。
 機構は、以上の検討を踏まえ、臨床試験で発現した有害事象及び海外で報告されている副作用について、適切な注意喚起が行われ、本剤の使用に際して注意すべき事象である子宮出血、感染症及び下腹部痛に関連する有害事象について、適切なリスク最小化策を講じた上で、それらが遵守されれば、本剤の安全性は、臨床的に大きな問題とならない程度に管理可能と判断いたしました。
 審査報告書の通し番号79ページ、「1.2 効能・効果について」の項を御覧ください。本剤の効能・効果については、本剤の投与対象とすることの妥当性が示された集団を明示することが適切であり、「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」とすることが妥当と判断いたしました。
 審査報告書の通し番号75ページ、「7.R.7 製造販売後の流通管理について」の項を御覧ください。本邦では、母体保護法において、母体保護法指定医師のみが、同法で定める要件に該当する者に対して人工妊娠中絶を行うことができるとされております。母体保護法指定医師のみが処方及び投与できるものであることから、申請者は、本剤の流通等を厳格に管理する必要があるとして、妊娠中期における治療的流産の効能・効果で承認されているゲメプロストを含有する腟坐剤の流通等の管理と同等の管理を実施することを計画しております。また、母体保護法指定医師が所属していること、異常が認められたときに夜間を含め常時連絡を受け付け、連携医療機関を含め緊急時に適切な対応が可能な体制が構築されていること等を、本剤納入の条件とすることを計画しております。機構は、これらの申請者の計画は妥当と判断いたしました。
 以上の審査の結果、機構は、審査報告書の通し番号82ページの「承認条件」を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達しました。本品目は、新有効成分含有医薬品及び新投与経路医薬品としての申請であることから、再審査期間は8年が妥当と判断しております。また、本剤は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、ミフェプリストンの原体及び製剤、並びにミソプロストールの製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断しております。
機構における審査の概略の説明は以上です。
○奥田分科会長 続けて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料No.2を御覧ください。メフィーゴパックの承認の可否等については、令和5年1月27日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において審議され、医薬品第一部会としては承認可と判断されたものの、本剤については社会的関心が極めて高いことから、パブリック・コメント手続を実施し、その結果を薬事分科会の審議の参考とすることとされています。また、パブリック・コメントのほかにも、厚生労働省に意見書や陳情などの御意見が寄せられました。
 パブリック・コメントでは、1万1,450件の御意見が寄せられ、製造販売承認に関する御意見の内訳は、「承認すべきとの意見」が7,821件で68.3%、「承認すべきでないとの意見」が、3,573件で31.2%、「その他」が56件で0.5%となっております。御意見の内容は、別紙1、別紙2に記載されています。
 まず、3ページの別紙1、パブリック・コメントに寄せられた御意見を御覧ください。製造販売承認に関する御意見のうち、「承認すべきとの意見」における主な理由として、「手術以外のより安全で心身の負担が少ない選択肢を増やしてほしい」、「WHOで推奨されており、多くの国で安全に使われている薬である」、「女性の性と生殖の健康と権利を尊重するべき」といった内容が挙げられました。一方で、「承認すべきではないとの意見」における主な理由として、「胎児の命を奪うものであり、生命が尊重されない社会になるおそれがある」、「安易な中絶が増えてしまう」、「望まない妊娠を防ぐような教育や、妊娠に悩む女性への相談体制と支援を強化すべき」といった内容が挙げられました。
 また、製造販売後の管理方法に関する御意見として、「入院を必須とせず、本人の希望で外来を選択できるようにすべき」、「有床施設に限定すべきではない」、「外来ではなく、入院を前提として投与すべき」、「服用後は、医師が組織の排出完了を確認することを必須とすべき」、「薬局で購入できるようにすべき」、「不正流通された中絶薬の不適正使用の懸念がある」といった内容が挙げられました。
 その他の御意見として、「薬は安価や無償とし、若年者等でも選択できるようにしてほしい」といった内容のほかに、「母体保護法の配偶者同意を不要とすべき」といった、母体保護法に関係する御意見が寄せられました。
なお、パブリック・コメントの1件の御意見の中に、複数の項目に該当する意見が含まれる場合は、各項目の件数、それぞれで計上しています。
 続いて、5ページの別紙2「意見書や陳情などパブリック・コメント以外の御意見」を御覧ください。「承認すべきとの意見」における主な理由として、「WHOや海外で使用が認められていること」、「母体にかかる負担の軽減」、「女性の自己決定権の尊重」といった内容が挙げられました。一方で、「承認すべきでないとの意見」における主な理由として、「「薬で簡単に中絶できる」という捉え方をされる懸念」、「女性の性被害や性感染症、中絶率が増加するのではという懸念」、「アメリカの一部の州で経口中絶薬の認可が違法との判決が出た。司法判断が分かれていることから、アメリカの状況もよく見極めたうえで慎重な検討が必要」、「アメリカテキサス州での判決では、生殖機能が発達中の18歳未満の少女への影響など安全性に懸念が示されている」といった内容が挙げられました。
 製造販売後の管理方法に関する主な意見として、「経口中絶薬を外来で使用可能とするべき」、「医師の面前での経口中絶薬の服用や、観察目的での医療機関滞在は不要とするべき」、「入院設備を有しない医療施設でも処方可能とするべき」、「外来で使用した場合、胎嚢が医療機関の外で排出されることになるが、安全性は保たれるのかという懸念」、「薬事承認後は、拠点施設などで慎重に使用を開始するべき」、「麻薬に準じた厳格な流通管理が必要」といった御意見が寄せられました。
 その他の御意見として、「望まない妊娠を防ぐための包括的性教育や予期せぬ妊娠に悩む女性への相談や支援の体制の更なる強化などを進めるべき」といった、女性への支援体制に関するものや、「中絶方法が外科的処置であることを前提に母体保護法が立法されていることから、母体保護法の見直しが必要」、「DV被害や性被害などの条件にかかわらず、配偶者同意は不要とするべき」といった、母体保護法に関するもの、さらに、「従来の外科的処置による中絶に対して、経口中絶薬にある中絶の費用は安価とするべき」といった御意見が寄せられました。
 これらの御意見をもとに、資料の1ページに、製造販売後の管理方法に関するもののうち薬事に係る主な論点と対応の方向性について、事前の委員の先生方の御意見を踏まえつつ整理しております。
まず、緊急対応体制についてですが、パブリック・コメント等では、「入院を必須とせず、本人の希望で外来を選択できるようにすべき」、「有床施設に限定すべきではない」といった御意見がある一方で、「外来ではなく、入院を必須とすべき」や、「医師が組織の排出完了を確認することを必須とすべき」といった御意見を頂きました。御意見を踏まえた対応の方向性ですが、市販後に十分な調査研究を実施し、その中で適切な医療連携体制の在り方を評価し、適切な使用体制の在り方が確立されたと判断されるまでの当分の間、入院可能な有床施設で入院又は外来、外来においては院内待機を必須としてはどうか、と考えております。
 また、流通・使用管理についてですが、パブリック・コメント等では、「厳格な流通管理が必要」、「不正流通された中絶薬の不適正使用の懸念がある」といった御意見を頂きました。御意見を踏まえた対応の方向性ですが、本剤について、製造販売業者及び各医療機関から、毎月、それぞれ販売数量及び使用数量、つまり中絶件数を都道府県医師会に報告させるよう、手順書を定めて管理してはどうか、と考えております。また、都道府県医師会においては、双方からの報告内容の整合性を確認するなど、監督を求めてはどうか、と考えております。
 続いて、本日の分科会を欠席している清田分科会長代理より、事前にコメントを頂いておりますので、事務局から紹介します。
基本的には、本薬の承認に賛成いたします。ただし、まれに発症する胎嚢排出時の多量の出血に対応することが重要ですので、胎嚢排出までの入院が望ましく、入院ができない施設では外来での緊急対応が可能な施設に限ることを使用条件とするのがよろしいと考えます。
 続いて、本日の分科会を欠席している末岡委員より、事前にコメントを頂いておりますので、事務局から紹介します。
マル1。本剤の管理方法に関して、患者の方の観点からすると、処方は外来でも可能とすることにより、アクセスを良くすべきように思います。排出が完了するまで病院での管理が必要とされると、典型的には8時間以内としても、それよりも長時間を要する場合もあり、患者への負担が大きくなることが懸念されますので、排出を待つことなく帰宅できるような場合を、ケース・バイ・ケースであっても、医師の判断で許容できる形が本来は望ましいと思います。とはいえ、日本では初めての承認ということで、当初は、排出まで病院で管理するルールとすることもやむを得ないものと理解いたしましたので、一定の期間が経過した折には、排出を院内で見届けるという要件を維持することが本当に必要かについて再検討いただきたいと思います。
 マル2。刑法の堕胎罪と母体保護法に基づく違法性阻却との関係で、個人的な理解としては問題ないと解釈できると考えておりますが、以下の点との関係で整理されているところがあれば御教示ください。(i)本件は外科的な手術と異なり、薬剤を処方する方法によるため、最終的な効果を得るために一定の時間を要すること。(ii)時間を空けて2剤を服用する必要があり、論理的には2剤目を服用しない可能性を完全には排除できないこと。(iii)特に、2剤目服用後、最終的な排出まで院内に患者を留め置かない場合には、医師の管理下で最終的な排出が行われない事態があり得ること。
 マル3。本剤と同じ成分のものか確認できておりませんが、アメリカで同様の薬についてFDAの承認をめぐり結論の異なる判決が相次いで出ていますが、その動きについてどのように見ておられるか、本剤の承認との関係での御見解を御教示ください。
以上が、末岡委員から頂いている事前のコメントになります。
 まず、母体保護法の解釈について、末岡委員より御質問がありました。母体保護法を所管するこども家庭庁より回答いたします。こども家庭庁の御担当者様、よろしくお願いします。
○こども家庭庁 こども家庭庁成育局母子保健課でございます。末岡委員より頂きました母体保護法に関する御質問に関して、回答させていただきます。
まず、御質問の(i)及び(ii)についてですが、本剤は、薬理作用により、胎児が母体外において生命を保続することのできない時期に、人工的に胎児等を母体外に排出させるものでありますので、2剤による指定医師の管理下での一連の人工妊娠中絶は、母体保護法2条2項の「人工妊娠中絶」の定義に該当するものと解しております。なお、途中で妊婦が来院しなくなる等、一連の人工妊娠中絶が中断した場合、指定医師が人工妊娠中絶として本剤の添付文書に従い投与等を実施し、適切な対応が取れる体制を整えていたのであれば、仮に、指定医師が試みても患者に連絡が取れず、その所在が分からなくなったために、1剤目の投与後、2剤目が投与できなかった場合など、指定医師が行う一連の人工妊娠中絶が途中で中断したとしても、そのことのみをもって、指定医師の当該行為について、法に基づく人工妊娠中絶として行われたものではないと評価するのは妥当ではないと考えております。
 次に、(iii)の御質問についてお答えします。母体保護の見地から、人工妊娠中絶は指定医師のみが行うことを認めているところですが、その具体的な手技について限定はございません。添付文書(案)では、本剤の投与後、妊婦に胎嚢排出に至った可能性のある出血が認められるときは、速やかに連絡を取った上で来院させることとなっているものであり、指定医師がこうした関与を行うことは、医学上、適切な方法で排出の過程を自ら管理することにほかならず、安全な手技に当たるものと解することができます。したがいまして、御質問のあった事態におきましても、指定医師が人工妊娠中絶を「行っている」と整理しております。以上です。
○事務局 続いて、アメリカで議論となっている、18歳未満への使用における安全性について、また、本剤投与後の生殖機能への影響について、それぞれ機構より説明します。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。18歳未満への使用における安全性について、先ほど御覧いただきました審査報告書の通し番号78ページに記載しております。ラインファーマインターナショナルが海外で実施した臨床試験(1.1.4試験)には、18歳未満の症例が67例組み入れられておりましたが、18歳未満の症例で死亡を含む重篤な有害事象は認められませんでした。また、本剤投与後に生じる痛みと出血の程度の分布、並びに悪心、嘔吐等の発現割合は、18歳未満、18歳以上で大きく異なることはありませんでした。以上の1.1.4試験の結果に加え、海外の文献を確認したところ、18歳未満及び18歳以上で本剤投与時の安全性は大きく異ならなかったことも踏まえ、18歳未満における本剤の安全性は、18歳以上と同様に許容可能と判断いたしました。
 また、本剤投与後の生殖機能への影響についてですが、一般に、外科的手術による人工妊娠中絶後の次の妊娠で自然流産等のイベントが増えることはないと認識されており、薬剤による中絶は、外科的手術による中絶よりも、その後の自然流産を増加させなかったとの報告があること、加えて、ミフェプリストン及びミソプロストールの体内動態パラメータから、本剤による人工妊娠中絶後の次の排卵までには、両薬剤は体内から消失すると推定されることを踏まえ、本剤による人工妊娠中絶は、その後の生殖機能に問題となるような影響を及ぼさないと判断いたしました。以上です。
○事務局 なお、末岡委員へは、事前にこども家庭庁及び機構の回答をお伝えさせていただき、御了解いただいております。事務局からの説明は以上です。
○奥田分科会長 ありがとうございました。まず、既に審議を行いました医薬品第一部会長の森委員から、追加の御発言をお願いします。よろしくお願いします。
○森委員 医薬品第一部会より発言いたします。
本剤の有効性については、審査報告書の記載に基づき、部会において有効性を確認しております。また、専門協議におきまして、18歳未満の対象における本剤の使用に関しても、専門委員が支持していることも、併せて部会で確認いたしました。
 また、安全性について、国内第III相試験では、本剤投与後、全例で子宮出血が認められ、重度の子宮出血は0.8%の頻度と確認されています。また、海外の安全性情報によりましても、まれに失神を伴っての救急搬送や外科的処置、又は輸血が必要となるほどの子宮出血が認められております。このため、必要な処置を適切な時期に受けられる医療体制の構築が必要、と部会では判断しております。
 また、本剤投与後、子宮内容遺残に起因する感染症が発現する可能性があり、実際、国内第III相試験では子宮内膜炎1例が確認され、外科的処置により回復が認められました。一方、海外の安全性情報においては、ミフェプリストン及びミソプロストールの投与後、まれではありますが、敗血症等の全身性感染症に至り、死亡した例も報告されております。したがいまして、子宮内容遺残に起因する感染症が発現した場合にも、必要に応じて外科的処置等の適切な対応が可能な医療体制が構築されていることが必要、と部会では判断しております。
 今回の国内第III相試験は、120例を対象として全例が入院の下に実施された臨床試験となっており、本剤使用中の方は医療機関内で体調観察を行う中で実施されておりました。パブリック・コメントなどからも、大量出血や感染症への懸念を御心配する意見があるように、今後の実臨床での使用体制を考慮するに当たり、重度の子宮出血や感染症の発症時に適切な医療が提供できる環境での使用が必須と判断しており、これには、処方医療機関への24時間の緊急時連絡体制の整備、救急での受入施設の確保等の課題があります。緊急対応体制の今後の対応の方向性として、市販後に十分な調査研究を実施し、その中で適切な医療連携体制の在り方を評価し、適切な使用体制が整ったと判断されるまでの間、入院可能な有床施設で入院又は外来での院内待機を必須とする趣旨を、部会では支持するものです。
 また、本剤の使用に当たりまして、適切なインフォームドコンセントが重要であるという、複数の部会委員からの意見がありました。本剤は、母体保護法指定医療機関内で、母体保護法指定医師の管理の下によってのみ使用されなければならない点。本剤は、これまでの手術による人工妊娠中絶術を完全に代替するものではなく、非達成症例に対しては、追加の外科的処置が必要となる点。服用対象者は、重大な子宮出血や感染症のリスクがあることから、医療機関での経過観察と、24時間対応の相談窓口及び緊急受診の体制の整備が必要である点。服用対象者は、本剤の有用性とリスクをあらかじめ把握し、必要に応じて御自身を守るための緊急対応をとる必要性を理解し、それを前提として本剤の使用を選択する必要がある点。以上の4点を含めて、母体保護法に基づく適切な同意を取った上で使用することが適切であると、部会は考えております。
 今後、日本産婦人科医会の御協力の下、調査研究等が実施され、この調査研究を通じて、国内で安全に経口妊娠中絶薬の投与を行うために必要な医療の提供等の適切な使用体制についての評価を行っていただく、あわせて、適切なインフォームドコンセントの実施内容についても御助言を頂くことが適切であると、部会では判断しております。
以上、御報告いたします。
○奥田分科会長 森先生、ありがとうございます。続きまして、参考人の海野先生から、御発言をお願いします。
○海野参考人 参考人の海野信也と申します。私は産婦人科医でございまして、母体保護法指定医でもございます。
今、第一部会の先生の方から御説明がありました。第一部会でも意見を述べさせていただいておりますので、お話が重複するところもあるかもしれませんけれども、ここで改めて、メフィーゴパックの臨床上の位置付けと運用上の課題ということについて、意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本剤は、妊娠初期の人工妊娠中絶を目的として、母体保護法指定医師によって投与されることを前提として開発されております。母体保護法指定医師は、研修及び実務経験によって、人工妊娠中絶に係る様々な課題や、有害事象が発生した場合の対処方法について熟知しておりますので、本剤が妊娠初期の人工妊娠中絶の方法の選択肢の一つとして使用可能となった場合においても、幾つかの重要な留意点を把握し、それに対処可能な体制を構築すれば、本剤の有するメリットをいかし、起こり得るデメリットを最小限に抑えて、適切に使用することができるというように考えております。本剤の導入により、人工妊娠中絶に伴う対象者の身体的、精神的負担を、これまでより軽減することが可能になるということが期待されるということでございます。また、人工妊娠中絶の対象者の方々にとっては、人工妊娠中絶の方法として、新たな侵襲性の低い選択肢が増えることになるわけですが、その一方で、これまでとは異なる対応も必要になることも重要と考えております。
 それらを含めて、私が考えている重要な留意点というのが幾つかございます。
第1に、本剤は、母体保護法指定医療機関内で、母体保護法指定医師によってのみ使用されなければなりません。これは法律でそのように決まっているということでございます。そのためには、本剤の流通及び管理体制は、ゲメプロスト腟坐剤というお薬がございまして、こちらは妊娠12週以降の人工妊娠中絶にこれまで使われてきているお薬で、商品名「プレグランディン」と言いますが、これと同等の極めて厳格な運用が必要になるということでございます。
 第2に、本剤は、これまでの手術による人工妊娠中絶を完全に代替するものではございません。人工妊娠中絶の方法に、新たな侵襲性の低い選択肢を提供するものであるという位置付けで考えていただくのが妥当かと考えます。
 国内第III相試験(LP010試験)の結果では、人工妊娠中絶達成率は93.3%ということでしたが、本剤が導入された場合、非達成症例が一定数発生することを想定する必要がございます。非達成症例に対しては、子宮内容除去術ないし子宮内容清掃術が必要になります。この手術は、現在の人工妊娠中絶あるいは自然流産の症例に対して行われている手術と同等ということになるのですが、必要な医療設備、機器、薬剤、技術及び想定される医療上の侵襲性、リスクという点については、これまでの手術による人工妊娠中絶と同等というように考えていただいて大丈夫だと思います。
 本剤が妊娠初期の人工妊娠中絶の方法の選択肢の一つとして提示された場合、多くの対象者によって選択される可能性は高いと思われます。しかし、この方法だけでは人工妊娠中絶の完遂は保証されませんので、人工妊娠中絶施設としては、今後も手術的な方法も可能な施設及び人員の体制を整備しておく必要がございます。
 本剤は、海外では既に広く使用されております。その際、先ほどもお話に出ておりましたが、基本的には外来対応で実施されているという実態がございます。しかし、我が国で本剤を導入し、外来対応で運用するということを考えた場合には、人工妊娠中絶施設としては、これまでの医療機能に追加して、新たな体制、すなわち、24時間対応の相談窓口と緊急受診が可能な体制の整備が求められることになります。これが第3の課題ということになります。
 手術による人工妊娠中絶のメリットは、人工妊娠中絶に係る処置が、術後の経過観察期間も含めて医療機関内で完結するということです。対象者は、人工妊娠中絶の経過中は専門家の管理下にございます。処置が終わった後、対象者は1週間後程度に再受診を求められます。この再受診の目的というのは、術後経過が順調であることを確認するということになるわけです。手術後に急変が発生する可能性は低いというのが実際のところでして、これまで、人工妊娠中絶の対象者に対して、24時間対応の相談・受入体制の整備の必要というものは高いものではなかったということになり、また、そういう整備ができていない人工妊娠中絶施設も現に存在しているというのが現状です。
 これに対して、本剤による人工妊娠中絶では、第1剤のミフェプリストンの投与から36時間から48時間で、第2剤のミソプロストールの投与が行われます。海外と同様の運用を行う場合には、基本的に、第1剤投与から第2剤投与まで、そして、第2剤投与から胎嚢排出までの期間、対象者は医療期間外で過ごすことを想定する必要がございます。このような運用を行う場合には、対象者は、専門家の直接の管理下にない環境で、人工的な流産の過程が進行し、下腹部痛、性器出血に続いて、子宮内容物の排出という過程を経験することになるわけです。
 こういう場合に、当事者にとっては、本剤の投与後の御自身の身体上の変化が、本剤の通常の作用の範囲内のものであるのか、あるいは重篤な有害事象の発生の懸念があるものなのか判断できないという状況も想定する必要がございます。そういう意味で、外来対応で本剤を用いた人工妊娠中絶を行う施設では、必ず24時間対応の相談窓口、緊急受診の体制の整備が必要になるというように考えられるわけです。この緊急受診の体制は、本剤投与を行う場合に想定しなければならない対応ということになるので、地域の救急医療体制に依存してこれに対応するというような方策をとることは、救急医療体制の方に大きな負担を掛けるということになりますので、適切ではないだろうと考えております。
 外来対応で本剤を用いた人工妊娠中絶を行う場合、第2剤のミソプロストール投与後、胎嚢排出に至った可能性のある子宮出血が認められたとき、あるいは、そのような出血が確認されない場合であっても、遅くとも1週間を目途に実施施設に受診することが求められます。この受診は、胎嚢の排出と人工妊娠中絶の完遂を確認するために欠かすことのできないものです。要するに、人工妊娠中絶の過程の中にあるということです。実施施設では、対象者が確実に受診する体制を整備する必要があるということになります。
 一方で、実際にこれを受けられる人工妊娠中絶の対象者にとっても、これまでと異なる対応が必要だということを認識していただいて、適切な対応をとっていただけるように、指導・啓発をすることが必要になるということが、第4の課題になると考えております。
 対象の方には、先ほどもお話が出ておりましたが、自分の体の中で起きることですけれども、それが専門家の直接の支援のない環境で進行する場合があるのだということを御理解いただいている必要があります。そういうことがございますので、起こり得る身体症状やその程度について、あらかじめ把握していていただいて、必要に応じて御自身で判断いただいて、実施施設への相談や緊急受診というような適切な対応をとっていただけるということを前提として、そういうことをしなければならないのだということを御理解いただいた上で、本剤の使用を選択していただく必要があるということになります。
また、先ほど申し上げましたように、投与後1週間を目途に少なくとも実施施設を受診していただくということに関しても、これは人工妊娠中絶完遂の確認ということがございますので、どうしても必要なのだということも御理解いただく必要があるということです。
 このように、本剤の導入に際しては、安全な実施のための実際の運用体制の適切な整備が必要と考えられます。我が国の現状を勘案した上で、諸外国のような外来中心の運用が可能かどうかということが、第5の課題ということになると思います。
 日本人女性120例を対象としたLP010試験では、第2剤投与後24時間以内の達成率というのは93.3%であったわけですが、それをもう少し詳しく見てみると、状況が少し見えてくると思います。第2剤投与後、被験者の61.7%は4時間以内に胎嚢が排出しています。8時間以内には88%が胎嚢排出に至っているということになります。そういう意味で、もし外来中心の実臨床で同じような状況である、経過をたどると想定しますと、第2剤を診療時間の比較的早い時点で投与するということであれば、診療時間内に人工妊娠中絶の完遂を、仮に外来ベースでも電話等を通じて確認することができる可能性がございます。また、診療時間の終わりの時点で胎嚢排出が認められていない事例に関しては、連絡をとることによって、改めて夜間の対応について詳しく御説明をすることができますし、時間外の緊急対応の段取り等についても確認することができるだろうと思います。そのような対応を行い、時間外受診が必要な事例については、原則としてその施設を受診していただくということになりますけれども、事前に適切な診療連携契約等を結んでいただいていれば、適宜適切な情報提供を行った上で、ほかの医療機関で対応するということも、運用上は可能かもしれないというように考えております。
 実際には、本剤が診療現場に導入された後、第2剤投与後の経過と、必要な医療介入の内容やその頻度というものについて、我が国の人工妊娠中絶を担当している医療機関においても、経験を蓄積する必要がございます。そして、我が国において、安全性確保のために必要な体制の詳細を確認していくことが必要だろうと考えております。それを明らかにするためには、本剤の最初の導入に際しては、その運用体制に関して段階的な対応で行っていっていただくのがいいのではないかと思います。そして、その都度適切に評価をしていただきながら、段階を追って進めていくということで、我が国において安全な体制を最終的に構築していくことが可能になるのではないかと考えております。
 以上、本剤の臨床的位置付けと運用上の課題について、意見を述べさせていただきました。このような機会を与えていただき、ありがとうございました。私からは以上です。
○奥田分科会長 海野先生、ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から、御質問などをお願いいたします。佐藤陽治先生、お願いします。
○佐藤(陽)委員 運用上の課題について、一つだけコメントいたします。外来での院内待機による胎嚢の排出の確認が必要ということについて、その条件が市販後調査研究の結果に基づいて将来緩和される可能性があるということを、今までの話の中で理解しています。ただ、排出された胎嚢を医師以外の方、つまり本剤を服用された女性とか、その御家族、あるいは生活をともにされる方々がどう取り扱ったらよいのかということについて、恐らく戦後の日本では社会的なコンセンサスはないのではないかと思うのです。なので、もしも排出まで見届けるという条件を緩和するということが将来行われる場合には、この点についても議論が必要ではないかと思っています。
○奥田分科会長 恐らくそういったことも今後の調査研究の課題なのだろうと思いますが、この段階で何かありますか。
○こども家庭庁 こども家庭庁です。いわゆるこういった排出物、胞衣という取扱いになると思っておりますが、まず胞衣につきまして、自治体において胞衣条例を定めているところもございますので、その場合においては、その胞衣条例に従って適切に処理されるものと考えております。また、医療機関向けに、我々も、初期のこういった胞衣に関して適切に扱うよう通知を発出しているところです。
 ただ、一方で、今回は中絶に関してのお話ではありますが、現実として自然に流産するということが自宅でも起こっているということですので、それは、その方々の宗教観等であったり、また病院からの指示がいろいろあると思いますけれども、それに従って適切に対応していただいているものと考えております。
○奥田分科会長 海野先生、この件に関してコメント等を頂けたら幸いでございます。
○海野参考人 御質問は大変重要な点かと思います。もし自宅あるいは医療機関外で胎嚢が排出された場合ですが、私どもが実際にお願いしているのは、できる限りそれを医療機関に御持参いただいて、こちらで確認させてくださいということを申し上げています。それはどうしてかと申しますと、実際には、御本人が排出されたと思われても、それが本当に間違いないものかどうか、出血で血の塊が出ることもありますから、それと区別がついているかどうかということもあります。また、お手洗いに流れてしまうようなこともあるので、それをお願いしても100%実現するわけでもないことも確かです。ですけれども、できる限り拝見させていただいて、特に病的な変化があるとか、例えば胞状奇胎とか、中には、たくさんやっていれば、そういうことがある可能性もありますので、そういうことも含めて、確認できるのが一番いいだろうと思っています。できない場合も、そういうことも含めて、少なくとも1週間後程度には必ず来ていただいて、本人は大丈夫だと思っていても大丈夫ではない場合もありますので、その辺を確認していくというようなプロセスになるのかなと考えております。
○奥田分科会長 ありがとうございます。佐藤陽治先生、よろしいでしょうか。
○佐藤(陽)委員 現場のことを存じ上げなかったので、御説明いただいてよく分かりました。ありがとうございます。
○奥田分科会長 追加の御質問はございますか。
○海野参考人 追加ですけれども、今申し上げたような運用というのは、今のところは人工妊娠中絶でそういうことは行われていないわけですけれども、自然の流産で排出されてしまった場合等について、実際に私どもがやっていることというように御理解いただければと思います。
○奥田分科会長 ありがとうございます。先生方、ほかにございますか。
○佐藤(好)委員 産経新聞の佐藤です。お話ありがとうございました。大変よく分かりました。24時間以内に胎嚢を排出する割合、93.3%だったと思いますが、外科的手術と比較するのはフェアではないと理解しておりますが、先生御自身は、この93.3%という数字を、どのように評価していらっしゃいますか。
○奥田分科会長 海野先生、佐藤好美先生からの臨床成績に関する評価の質問です。
○海野参考人 いろいろな見方があると思います。ですけれども、実際に人工妊娠中絶を受けられる方の身体的な負担を考えますと、手術というのは押し並べてみんな同じだけの負担を受けなければならないということがありますが、それに関しては、お薬の方が少ないのは間違いないと思うのです。ですので、こちらでうまく完結できれば、それに24時間以内は93.3%ですけれども、もう少し時間がかかって終了するという場合もありますので、そこもしっかりフォローアップができる体制で進めれば、このお薬自体は、投与を受けるお立場の方々としては、負担が少ないし、安全性も高いと考えていただいていいお薬と認識しております。
○佐藤(好)委員 ありがとうございました。
○奥田分科会長 ほかに、委員の先生方、よろしいでしょうか。
それでは、今までの御説明、御質問で、製造販売後の管理方法の取扱いについては、事務局が整理した方向で、おおむね御理解いただいたものと思います。また、これまでの議論で、母体保護法の解釈についても問題はないということで確認できたと思っております。
つきましては、製造販売後の管理方法について、どのような管理方法が考えられるのか、現時点での事務局の考えについて、御説明いただきたいと思います。
○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。御議論、どうもありがとうございました。
先ほど、資料No.2に基づいて、管理方法について御説明させていただきました。それは大きな方向性でございます。それを具体的な方法に落とし込むとどうなるかということで、現時点における考えでございますが、まず1点目は、緊急対応体制についてです。これは、実際には通知という形で規定することが考えられるのではないかと思っています。具体的には、通知らしくするとすれば、「適切な使用体制の在り方が確立されるまでの当分の間、入院可能な有床施設で入院または外来(院内待機を必須)とする」といったような形にした上で、「この「適切な使用体制の在り方が確立されるまでの当分の間」については、市販後に十分な調査研究を実施し、適切な医療連携体制の在り方について評価を行い、その結果に基づき検討・判断する」といったようなことも、通知の中で明記するといった方法が考えられると思っております。
 2点目の流通・使用管理の関係ですが、方向性は先ほど資料No.2で御説明したとおりですが、製造販売業者及び各医療機関から、毎月、それぞれ販売数量、使用数量と中絶件数を、各都道府県医師会に報告させるよう、いわゆる手順書を定めて管理するということを求め、製造販売業者に対しては、承認条件における「必要な措置」という形で規定すると。また、都道府県医師会に対しては、双方からの報告内容の整合性を確認するという監督を求めるというようなことが考えられるのかなと思っています。
 また、先ほどの資料には記載が特にございませんけれども、森先生、参考人の海野先生から、各種対象者への適切な情報提供、指導、啓発といったものが極めて重要だという御指摘がございますので、いわゆる正しい情報提供の充実を図るため、指定医師向けの資材あるいは適正使用ガイドを作成するとともに、国民の皆様向けのホームページなどを作成するといった対応も必要ではないかなと考えているところです。事務局からは以上です。
○奥田分科会長 現時点での具体的なやり方について、事務局から御説明いただきました。
 この取扱いが行われるということが前提にはなりますけれども、医薬品「メフィーゴパック」の承認について、可としてよろしいでしょうか。
特段の御異議はないようですので、それでは、承認を可と判断いたします。
 以上で、本日の議題は全て終了いたしましたが、今回の薬事分科会を通じて、御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に、事務局から報告事項はございますか。
○事務局 次回の薬事分科会の開催日程については、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○奥田分科会長 それでは、以上をもちまして、薬事分科会を閉会といたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局総務課 

薬事審議会係(内線2785)