第150回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和5年7月13日(木)16:00~18:00

場所

東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス「Room A」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、
掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、
平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、村垣技術専門委員


(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.総括報告書の評価について
  2. 2.試験実施計画の変更について
  3. 3.協力医療機関の追加について
  4. 4.先進医療の取下げについて
  5. 5.その他
     

議事

 
○竹内座長
 定刻となりましたので、第150回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多用の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、伊藤陽一構成員、北川雄光座長代理より、あらかじめ御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として、村垣善浩委員に御出席いただいております。どうもありがとうございます。18名の構成員のうち、ただいま欠席2名を含めて、1名遅れて入室されるようですが、現時点で15名の構成員の方にお集まりいただいており、本会議が成立していることを申し添えたいと思います。
 それでは、事務局に異動があったということで、御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局員の異動がございましたので、御紹介します。医政局研究開発政策課長の中田勝己です。医政局研究開発政策課治験推進室長の飯村康夫です。保険局医療課医療技術評価推進室長の木下栄作です。どうぞよろしくお願いいたします。

○竹内座長
 それでは、配布資料と本日の審議案件の確認を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認いたします。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、「総括報告書の評価について」が資料1-1から資料1-3、「試験実施計画の変更について」が資料2から資料3、「先進医療Bの協力医療機関の追加について」は資料4-1から資料4-2、「先進医療Bの取り下げについて」は資料5、会議資料の最終ページは47ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧18の技術、慶應義塾大学病院からの総括報告に関して、竹内座長におかれましては自施設からの申請ということ、また、真田構成員におかれましては当該研究の独立データモニタリング委員であるということで、審議の際には一時御退席いただければと存じます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 (確認)
 それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員、事務局限りの届出書類等を、タブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は「会議資料の何ページ」若しくは「タブレット資料の何ページ」とあらかじめ御発言いただきますよう、お願い申し上げます。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。そのほか、途中で接続トラブル等がございましたらお知らせください。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いていますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上です。

○竹内座長
 それでは、議事に入りたいと存じます。「総括報告書の評価結果」についてですが、事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価いただきますのは、告示番号旧18の「水素ガス吸入療法」です。申請医療機関は慶應義塾大学病院です。審査担当構成員は、主担当が上村尚人構成員、副担当が飛田構成員、技術専門委員が村垣委員となっております。なお、本議題の審議に際し、竹内座長におかれましては利益相反の関係がございますので、進行を松山構成員にお願いいたします。竹内座長、真田構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係等により、本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

                           (竹内座長、真田構成員 退室)

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料に沿って御説明いたします。本邦における院外心停止は年間10万人以上に発生している。このうち心疾患が原因の心原性院外心停止は約6万人、心停止の目撃があるのは約2万人である。この2万人の1か月後生存率は8%、社会復帰率は4%にすぎない。これは心停止後に自己心拍が再開しても長期生存がほとんど期待できないこと、たとえ生存できても約半数が高度の後遺障害のために社会復帰できないことを示す。
 本研究では、心原性心停止が院外で発生し、自己心拍が再開したものの意識障害が遷延する患者を対象に、標準治療として体温管理療法を行い、人工呼吸下で2%水素添加酸素吸入を行う治療法が、神経学的予後を改善するか否かを明らかにする。
 主要評価項目は、90病日の脳機能良好の割合。副次評価項目は、90日生存率とその他脳機能。目標症例数は360例で、登録症例数は73例でした。以上でございます。

○松山構成員
 それでは、本技術の評価について、主担当の上村尚人構成員から御説明をお願いいたします。

○上村(尚)構成員
 まず、評価としまして、有効性についてはCで、従来の医療技術を用いるのと同程度です。安全性につきましては、余り問題なしということです。また、技術的成熟度に関してはBで、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる。このような評価をさせていただきました。後ほど、副担当の飛田先生、外部評価ということで村垣委員からも御説明があるかと思いますが、3名の意見は、ほぼ一致しているところかと思います。
 少し補足的に説明させていただきたいと思います。まず、タブレット資料に報告書そのものが出ていたと思うのです。タブレット資料の資料1関係にいろいろなものがまとめられていますので、よろしければ。

○事務局
 申し訳ありません。タブレット資料については構成員限りとして御案内しておりまして、会場には傍聴者も入れておりますので、こちらの画面に映し出すことは難しいところです。

○上村(尚)構成員
 分かりました。それでは、構成員の先生方で御覧いただければよろしいかと思います。
 まず、報告書のページと資料のページは必ずしも一致していませんので、大きな資料としてのページの3ページ目に、実施試験デザインのスキームが書かれています。この治療法は、標準治療としては、ガスという意味においては、酸素を吸入していくということが標準的になされているわけですが、患者をランダム化した後に酸素と水素を混合したガスを吸入していただく群と、酸素のみの群、これが標準治療ということで、この2群に分けて治療効果を見ていくということになります。
 有効性の評価については、先ほど事務局から御説明があったとおりで、有効性の主要評価項目として、90病日目の脳機能評価ということで、CPCというカテゴリーデータが使われています。CPC はCerebral performance categoryという指標なのですが、こういった試験において国際的にも頻繁に使われる指標ということのようです。
 CPC1又はCPC2の割合、つまり転帰、CPC1又はCPC2に、どのぐらいの割合の患者が落ち着くかということを見たものです。CPCの1点と2点というものが、大体どのぐらいのことを言っているかというと、1というのは機能としては良好で、意識も清明で、普通に生活ができて仕事も可能であるという状態です。2というのは、中等度の障害があって、保護された状況においてパート等の仕事ができる、介助がなくても日常生活についてはできるというような状態です。3以上になると、高度障害が残るということですので、1や2を達成するということは、患者にとっての転帰としては非常に意味のある指標ということだと思います。
 ということで、比較的しっかりとした試験デザインを組まれています。二重盲検のRCTで行ったもので、実施の面でも比較的ハードルの高い試験だったと想像します。実際に非常に難しかったというようなことも聞いております。
 ボンベも2つ、酸素だけのものと混合のものを用意しているわけですけれども、中央でランダマイゼーションをした後に、ボンベの番号で、この番号でいってくださいということで、各サイトで、ランダム化のスケジュールにのっとって患者を割り付けていくということがなされています。
 試験の結果ですが、タブレット資料24ページに出ています。この試験の実施が難しくて、当初は180人と180人を割り付けるということだったのですが、それぞれの群で30人弱の患者の組入れに終わってしまったということでした。それには、いろいろな背景があって、もちろん、試験自体が非常に難しかったというのもあるのでしょうけれども、この試験をやっている最中に、COVID-19の流行、いわゆるコロナ禍という状況に陥ってしまい、この研究自体、救急現場で非常にリソースをくってしまうというような状況に陥って非常に苦戦されたと聞いています。
 24ページ目に実際の数字が出ていますが、CPC1とCPC2を達成した割合が、全体で、今回の新しい技術である水素群で56%に対して、対照群の酸素だけを入れた群が39%ということでした。この結果については、残念ながら有意差は見られなかったということです。これについては、当初予定していた組入れの人数よりも大幅に減ってしまったということも、1つ要因になっているかと推察します。
 生存率について、90日後の生存率を副次的な評価ということで見ておられるわけですけれども、25ページ目に実際の生存のカーブが出ていますが、90病日での生存率が水素群で85%、対照群では61%ということで、有意差は出ています。ただ、Cox比例ハザードモデルを用いた生存解析においては、有意差はなかったということでした。
 もう1つは、CPCという機能評価と非常に似た評価の項目に、modified Rankin Scaleというものがあります。これは「mRS」と資料の中で出ているものです。こちらも概念としては、比較的CPCと似た概念なのですが、0点から6点まで点数化されてます。症状でいえば、日常生活に戻って、機能の変化もなかったということが0点で一番いいのですが、これを達成できたかというところで御覧になっているわけです。
 こちらについても、90日目に関しては、水素群で46%の患者がmRSの0点を達成されたということで、社会復帰をされていて、それは機能障害は残さなかったと、ほぼ同義だと思います。対照群については、21%ということで、こちらもこの技術の一定の有効性が示唆されるデータであったということになります。
 安全性については、32ページ目に出ています。比較的安全に研究自体は実施されていまして、ただ、報告書の中でも議論されていますけれども、若干ですが、呼吸器関係の有害事象が見られたということで、特に、肺炎が水素群のほうで多い傾向があったということです。人数にしてみると、水素群で6名に対して、対照群で2名ということで、件数にして12件と2件、数字だけを見ると、水素群に安全性のところで若干のシグナルが出ていることが示唆されておりますが、全般的に見る範囲では、特に大きな問題になるような明らかなものはなかったということかと思います。
 一旦、ここで止めさせていただいて、副担当の飛田先生、あるいは村垣先生の御評価を頂きたいと思います。

○松山構成員
 続いて、副担当の飛田構成員から御説明をお願いいたします。

○飛田構成員
 私の評価のコメントに関しては18ページ目以降に記載しているとおりです。まず、有効性に関してです。先ほど上村先生に説明していただいたとおり、本試験は、もともと360例という目標症例数を設定して実施されている試験ですが、COVID-19の蔓延による医療の制限下、医療資源を臨床試験に割くことの限界の中で継続が困難と判断され、360例中の73例の段階で、症例数未達で試験が終了されています。
 ただ、今回の試験の結果に関しては、総括報告書が作成されたほかに、本年の3月には論文化されて公開されています。
 総括報告書及び論文のいずれも主要評価項目である90病日の脳機能良好の割合では有意差が認められていませんが、副次評価項目の生存期間及び90病日後のmodified Rankin Scaleの結果には統計学的な有意差が認められ、これらの項目が重要な評価項目であるという主張が強く述べられて、考察されています。
 生存期間に関するCox比例ハザードモデルでの解析結果について、治療方法以外に、年齢、心停止から自己心拍再開までの時間が、かなり大きな影響を及ぼしています。同様に90病日後のmodified Rankin Scaleについても、年齢や自己心拍再開までの時間が与える影響に関して、照会させていただきました。
 その回答に関しては、資料の21ページ以降にあります。これらの結果及び照会事項の回答から、やはり症例数が当初の予定から大幅に不足しているところで、どう検討するかを判断しなければならないため、治療効果の推定値から、やや有効であるというBでも差し支えないとも考えられますが、いろいろな影響因子がある中で、この結果だけで有効だと判断するには厳しいと考え、総合的にCと判断させていただいています。
 それから、今後、医療機器開発として医師主導治験に進む可能性も検討されているようなのですが、この医療技術の意義や、どういう特性を有する対象集団であれば、この医療技術が適応可能なのか、それから有効性の評価項目などについて、この試験結果に基づいて、適切かつ十分に検討して、次に繋げていただきたいと考えています。
 それから、安全性に関しては、重症病態である心停止後の症候群を対象としているために、多くの有害事象が認められていますが、先ほど上村先生から説明していただいたとおり、肺炎以外は、対象群と大幅に異なるような有害事象のプロファイルの傾向は認められていないような状況でしたので、Bと判断させていただいています。
技術的成熟度に関しては、Bと判断しております。以上です。

○松山構成員
 続いて、本技術の評価について、技術専門委員の村垣委員から御説明をお願いします。

○村垣技術専門委員
 上村先生と飛田先生に詳細に述べていただきましたので、追加で発言させていただきます。
 まず、有効性に関して、ランダム化研究の厳しさを感じております。評価項目のBの「やや有効である」というのは、単アームの試験に対して、評価を行う場合にあったと想定される項目なので、一般的に、単純に項目を選択すればBということだと思いました。
 ただ、一方で、ランダム化研究で、結果で主要評価項目がメット(合致)せず、副次はメットしているというであると、厳しさを考えると、Cと判断せざるを得ないと考えています。
 ですから、これは後付けにはなるのですけれども、症例数が足りなくて中止とする前に中間評価をやるとか、あるいは評価が堅いハードクライテリアのOSを、なぜ副次にしたのか等の議論はあります。特に1つだけ気になったのは、低体温のやり方は施設によって様々で決めていない、というとこですが、やはり類型化して、ABCDぐらいのパターン分けして後解析をしてもいいと思います。この後に、もし医師主導治験に進むのであれば、低体温法をしっかりと解析した後に、層別化因子とするかを含めて検討されて、次の形で進めていただければと思います。
 ただ一方で、こういった形で症例数が足りないという試験を時々見ますので、今後の試験で極端に少ない症例数で結果を出す場合には、何らかのセーフティネットの方式も考えてもいいのではと思いました。本法は日本オリジナルですし、非常に期待できる結果なのでこのまま承認もよいのですが治験に進んでもよいのでは、と個人的には考えております。また、安全性に関しては余り問題なしということでいいと思います。
 一方で、技術的成熟度に関しては、上村先生もおっしゃっていたように、救急の現場で混合する形で2%の水素を作るというのも、2%水素自体が製品になればよいのですが、ある一定の技術や経験のある施設での投与が望ましいのではないかと。リスクマネジメントが必要な技術だというように感じました。以上です。

○松山構成員
 ありがとうございました。それでは主担当の上村構成員より、何か追加のコメント等ありましたらお願いします。

○上村(尚)構成員
 私から村垣先生に質問なのですが、もしOSがプライマリーであったとしたら、メットしていたという話になったかと思います。CPCやmRSといったものが使われてきた背景というのは、例えば、こういった試験で、OSで有効性を示すのは極めてハードルが高いという事実もあるのかと思いますが、これまでのこういった試験の歴史というか、OSを使っていくことに対してのハードルの高さみたいなものはあったのですか。

○村垣技術専門委員
 おっしゃるとおりで、恐らく、いろいろな後解析のデータから、CPCのほうが効果への感度は高いという予測で、先生方が考えられて組んだかと思うのです。ただ、私は類似の試験で、厳しめのハードクライテリアをセカンダリーエンドポイント(副次評価項目)にして、ソフトクライテリアを主要評価項目としてで差が出そうという試験の結果で、本試験と同様にセカンダリーがメットとしてプライマリーがメットしなかったことを見ましたのでハードクライテリアを用いたほうがいいかと、幾つかの試験を見て、感じました。
 一方で、これは結果を見てからの話なのでなかなか言いにくいところですが、試験中止の前に、ワンクッション、P値を使ってでも中間解析を行ってもよかったのかなと思います。似たような社会状況で、明らかに症例数が足りなかったときにどう扱うかという場合など、今後の色々な試験での助言には使えるのかなと感じました。

○上村(尚)構成員
 はい、ありがとうございました。それでは、私のほうから取りまとめて総合的なコメントをさせていただきます。
 まず、私からの有効性に関してのコメントは、ただいまの議論にあったとおりで、副次的なところでは一定の有効性を示すということが示唆されるデータが得られております。少なくとも統計学的には、主要評価項目での有効性を示すことができなかったということです。それで、Cという評価にさせていただいたということです。
 今回、仮説としては、水素を吸入することによって、心臓を原因とする院外心停止後から、90日後の神経学的転帰と生存率、これは生存率に関してはセカンダリーですが、ここを改善するであろうという仮説のもとに、先進医療として実施された臨床試験でした。
 COVID-19の影響で、組入れが大幅に予想を下回ったということで、そこに関しては非常に残念だったと思います。一方で、研究者の先生方は本当に頑張られたと思います。この試験をRCTでされたということ自体は、非常に高く評価されるべきです。RCTの中で優越性を示すということは非常に難しいかと思いますが、そこにチャレンジされたということです。結果的には、RCTで高いエビデンスを創出したと国際的にも認識をされることにつながったと理解しておりますので、そこは先進医療としてこの試験を支援した価値があったのかと思っています。
 薬事承認に関しての申請の効率化に資するかということに関しての助言については、これは非常に難しいと思いました。
 今回の、この試験を持って、少なくとも、この試験の結果で薬事承認にいきましょうという形にはできないと思っています。それは主要評価項目での評価で、有意差も出ておりません。Nがどうしても少なくなってしまったというところは残念でしたが、仮に、薬事承認を目指すのであれば、もう少し別の形で仕上げていく必要はあるのかと思っております。
 ただ、そこに対して一定の道筋をつけたということに関しては、効率化につながっていった試験であったと思います。もし今後、新しい試験を組むということになりますと、いろいろな意味で大変かと思います。まず、この研究の枠組みの中で、これほど頑張られて、それでもなかなか症例が集まらないという状況でしたので、これより大きな試験をやってくださいということは非常に難しいことと承知しております。いずれにしても、何らかの形で再検討は必要だということかと思います。
 研究者も考察されているとおりで、医療現場において、このボンベを一生懸命、ナースが運んでいる姿を考えますと、そのまま実用化につながるような技術かというと、少し疑問は残るところですが、そういった現実的な技術の改良なども進めながら、もし次のステップに行かれるのであれば、進んでいかれることが期待されるかと思います。私からは以上です。

○松山構成員
 上村構成員、本当に御丁寧な御説明をありがとうございました。ただいまの御説明等について、何か御質問などありますか。本当によく頑張られた研究であったと思って、私は感服しております。ありがとうございました。会場のほうからは、特段、御質問がないということですが、よろしいですか。渡辺構成員、お願いいたします。

○渡辺構成員
 質問ではなくて、コメントを申し上げたかったのですが。技術に関しては先生方の評価のとおりだと思います。私が思ったのは、先ほど先生方がおっしゃられたように、日本でもRCTをやられたということに対して、すごく評価をしたいということと、日本でRCTをするときに、どのように同意を取られて、どのように説明文を書かれたのかということに非常に興味があり、読ませていただきました。非常に分かりやすく説明文が書かれていたことに感服いたしました。症例数が足りなかったのが非常に残念だというのは、私もそう思いました。この研究者の先生方の真摯な態度が説明文によく表われているように思いまして、是非、何らかの形で、症例がそろって、非常に微妙な結果だというのは素人でも分かるのですが、何とか先生方の意向が叶えられたらいいなと思いました。以上です。

○松山構成員
 渡辺構成員、ありがとうございました。やはり、素晴らしい研究であったということは、渡辺構成員がおっしゃるとおり、私どもも本当に感じるところです。そのほかの先生方は、よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、告示番号旧18については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。村垣技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構です。本日は、本当に御多忙のところ、御出席いただきましてありがとうございました。

○村垣技術専門委員
 こちらこそ、ありがとうございました。失礼します。

(村垣技術専門委員 退室)

○松山構成員
 それでは、竹内座長にお戻りいただいて、以降の審議については、竹内座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(竹内座長 入室)

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、真田構成員にもお戻りいただきたいと思います。真田構成員、入室をお願いいたします。

(真田構成員 入室)

○竹内座長
 よろしいですか。では、続きまして「試験実施計画の変更」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2、27ページを御覧ください。国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号34、プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡による胃上皮性病変の診断です。適応症は胃上皮性病変です。御審議いただく主な変更内容については、28ページを御覧ください。
 主な変更内容としては、研究期間の延長で、登録期間、総研究期間、終了予定日が、それぞれ10か月延長となります。変更申請する理由は、2段落目からですが、当初の計画よりも参加する協力施設の先進医療Bとしての開始が遅くなったこと、及び新型コロナウイルス感染症による受診数の減少により、登録患者数が目標を下回っています。受診数の変化は、当科における新患数及び再診数が、平成30年度に比べて、令和4年度では22%減少していました。目標登録患者数まで必要な残りの2次登録数は162例ですが、現在の平均登録患者数は、月当たり6.7例です。このため目標達成には、目標登録数を月当たり12.5例にすること、及び2023年4月から起算して16か月の登録期間が必要と考えました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。その理由についても、変更申請する理由の中で具体的に述べられております。実際的に、新規登録症例数を倍に増やすということなどを含めて、登録期間の延長についての根拠が示されています。本変更内容について、何か御意見等ありますか。よろしいですか。
 ありがとうございます。そういたしますと、告示番号34の変更については、認めることとさせていただきます。続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料3の31ページを御覧ください。順天堂大学医学部附属順天堂医院からの申請で、告示番号68、アモキシシリン、ホスホマイシン及びメトロニダゾール経口投与並びに同種糞便微生物叢移植の併用療法です。適応症は、潰瘍性大腸炎です。御審議いただく主な変更内容について、33ページを御覧ください。
 変更内容の1つ目は、被験者登録期間及び研究実施期間が、それぞれ1年延長となります。その理由としては、本研究の被験者登録期間及び研究実施期間は、順天堂医院でこれまでに実施したFMTの臨床研究実績から設定しました。一方で、本研究を先進医療として実施するにあたり、以下の点が影響し、当初の想定よりも被験者登録開始時期が遅延しました。
 まず、先進医療告示から研究開始に至るまでの準備に時間を要したこと、ヒストリカルコントロールとして設定した対照試験に合わせた多岐にわたる患者適格性基準により適格率が低下したこと、ドナースクリーニング検査の厳格化により腸内細菌叢溶液の在庫確保に時間を要したこととあります。
 34ページに、本変更では、確実な臨床研究完成を目的に被験者登録期間及び研究実施期間をそれぞれ1年延長しますとあります。
 2つ目は、ドナー予定症例数の変更で、10例から25例に変更となります。理由として、本研究では、FMTの安全性向上を目的に適格性確認時及び便提供開始後に定期的に再検査を実施しています。本研究計画時は、適格性確認後の定期的な再検査での脱落は想定せずに、ドナー予定症例数を設定しました。
 一方で、本研究開始後にドナー登録された10名のうち、50%に当たる5名が上述の定期的な再検査で脱落となりました。このような状況を考慮しますと、本研究を完遂するためには20名以上のドナーが必要であると判断しました。
 3つ目は、患者同意取得時期の変更で、FMT1回目から-8週~-3週だったのが、-20週~-3週となります。理由は、本研究では、患者同意取得時期を、FMT1回目から-8週~-3週の時期に実施する計画としていました。FMT1回目を含む順天堂医院の一般診療における内視鏡室の空き状況に応じてスケジューリングされていますが、内視鏡室の予約混雑により、同意取得は8週以内にFMT1回目を計画することが困難な状況です。余裕をもった患者さんの日程調整が可能となるように変更いたします。
 4つ目は、医療技術評価検討委員会の追加です。本委員会は、A-FMT療法のリスク・ベネフィットについて第三者的な視点で検討することを目的に設置します。本研究における具体的な役割は、データ最終固定後の有効性と安全性の結果を踏まえ、本研究の総括報告書案に対する意見を提示することになります。なお、本委員会は総括報告書案へ意見を提示しますが、本研究の結果や品質に影響を及ぼすことはありません。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。今回の研究計画の変更については、33ページにあるように、マル1~マル5についての変更をお願いしたいということです。この変更内容について御意見等はありますか。よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、こちらもお認めいただいたということで、告示番号68番の変更については、認めることとさせていただきます。どうもありがとうございます。
 続きまして、「先進医療Bの協力医療機関の追加」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料4-1の37ページを御覧ください。告示番号54について4施設、告示番号60について1施設、告示番号68について1施設、告示番号70について3施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料4-2の39ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。
 (確認)
 特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、事務局のほうで手続を進めていただきますようお願いいたします。続きまして、「先進医療Bの試験終了に伴う取下げ」についてです。事務局から御説明をお願いします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 説明いたします。資料5の47ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号24の1件の申請がありました。取下げを行う理由として、「予定された登録期間を終了し、全ての研究対象者について規定している観察が完了したため取り下げる。総括報告書を後日提出する。」とあります。以上について、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいですか。こちらは全て研究が終了したということで、これから総括報告書をまとめていただくというところです。御意見がないようです。
 それでは、事務局のほうで手続を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。本日の議題は以上です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問等ありますか。よろしいですか。ありがとうございました。皆様の御協力でスムーズに議事が進んでおります。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は令和5年8月10日(木)に開催させていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、第150回先進医療技術審査部会は、これにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
(了)