第1回 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 議事録

日時

令和5年7月10日(月)18:00~

場所

AP虎ノ門 B会議室
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル))

議事

議事録
○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、第1回「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。
 初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。
 本日の会議は、対面の会議とウェブ会議を併用しております。会議の内容は公開することとされており、傍聴者にはYouTubeでのライブ配信を行っております。
 また、厚生労働省全体の取組として審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
 続きまして、本検討会の構成員を事前にお送りしております参考資料2の構成員名簿に沿って御紹介させていただきます。
 まず、株式会社INCJ執行役員ベンチャー・グロース投資グループ共同グループ長、芦田耕一構成員でございます。
○芦田構成員 芦田でございます。
 株式会社INCJというのは政府の投資会社でございまして、私はその中でベンチャー企業への投資、支援を行っております。有識者検討会にも参加しておりまして、それに引き続いての今回の参加ということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続きまして、国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部部長、石井明子構成員でございます。
○石井構成員 国衛研の石井と申します。
 私は、主にバイオ医薬品の品質を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続きまして、国立国際医療研究センター臨床研究センター生物統計研究室室長の上村夕香理構成員でございます。
○上村構成員 国立国際医療研究センターの上村でございます。
 私は生物統計を専門にしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科長、小川千登世構成員でございます。
○小川構成員 国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科の小川と申します。
 小児がんのお子さんたちに薬剤にアクセスする方法を促進できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 一般社団法人日本病院薬剤師会副会長、奥田真弘構成員でございます。
○奥田構成員 日本病院薬剤師会で副会長をしております奥田と申します。
 本務は大阪大学医学部附属病院の薬剤部長をしております。本日はよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 日本製薬工業協会薬事委員会委員長の柏谷祐司構成員でございます。
○柏谷構成員 日本製薬工業協会で薬事委員会の委員長を拝命しております武田薬品の柏谷と申します。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続きまして、本日ウェブで御参加であります公益社団法人日本薬剤師会副会長、川上純一構成員でございます。
○川上構成員 ウェブから失礼いたします。日本薬剤師会の川上です。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続きまして、井口腎泌尿器科・内科新小岩副院長の清田浩構成員でございます。
○清田構成員 清田でございます。
 泌尿器科医ですが、第2部会の部会長をしていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科准教授の口羽文構成員でございます。
○口羽構成員 神奈川県立保健福祉大学の口羽と申します。
 私も生物統計学を専門にしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 北海道大学臨床研究開発センター、センター長の佐藤典宏構成員です。
○佐藤構成員 北海道大学の佐藤典宏と申します。
 長いこと臨床研究ですとか、試験ですとか、診療もしております。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 国立医薬品食品衛生研究所薬品部部長の佐藤陽治構成員です。
○佐藤構成員 国立医薬品食品衛生研究所の佐藤と申します。
 低分子の新薬、ジェネリックの医薬品の品質の試験研究を行っております。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続きまして、武蔵野大学薬学部教授、永井尚美構成員でございます。
○永井構成員 武蔵野大学薬学部レギュラトリーサイエンス研究室の永井と申します。
 臨床薬理と薬物動態の評価を主に担当してまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 国立成育医療研究センター開発企画主幹、中村秀文構成員でございます。
○中村構成員 国立成育医療研究センターの中村と申します。
 小児科学会で薬事委員長もさせていただいておりますけれども、長年にわたって子供の薬の適応外使用であるとか、あるいはドラッグ・ラグですね。今はもうドラッグ・ロスになっていますけれども、そういったものの解決に学会の先生方と連携して努めてまいりました。この検討会が大きい進歩に繋がることを願っております。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 北里大学薬学部教授、成川衛構成員でございます。
○成川構成員 北里大学の成川です。
 薬事政策、薬事規制全般を専門にしております。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 本日御欠席でありますけれども、九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター、センター長の中島直樹構成員でございます。
 続きまして、特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事の花井十伍構成員です。
○花井構成員 花井十伍です。
 主に患者の立場ということだと思うんですけれども、近年ヨーロッパ、アメリカ等々でもPPやNIH、PCみたいな考え方がすごく進んでいるのですが、なかなか日本では実情は違うということで、そういう観点を踏まえてお話しできたらと思います。よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 本日ウェブで御参加でございますが、一般社団法人日本希少がん患者会ネットワーク理事長、眞島喜幸構成員です。
○眞島構成員 日本希少がん患者会ネットワークの眞島でございます。
 希少がんの患者さんはお薬がなくて困っておりますので、この検討会が一助になればいいと思って参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 公益社団法人日本医師会常任理事、宮川政昭構成員です。
○宮川構成員 宮川でございます。
 薬事を担当しております。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 ボストンコンサルティンググループジャパンマネージング・ディレクター&パートナーの柳本岳史構成員です。
○柳本構成員 ボストンコンサルティンググループでヘルスケアプラクティスを担当しております柳本と申します。
 今回、産業界にも詳しく、一方で業界からは中立な第三者という期待役割でお声がけいただいていると聞いております。ぜひよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 以上、本検討会の構成員を御紹介させていただきました。
 また、本日は参考人として東京理科大学薬学部薬学科教授、鹿野真弓先生にお越しいただいております。
○鹿野参考人 東京理科大学の鹿野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 それから、後ほどウェブで御参加する予定でございますが、京都府立医科大学教授の林憲一先生も御出席を予定してございます。
 続きまして、事務局を御紹介申し上げます。
 まずは厚生労働省でございます。
 医薬・生活衛生局長、城克文でございます。
○局長 城でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 大臣官房審議官(医薬担当)の吉田易範でございます。
○吉田審議官 吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 大臣官房企画官(次世代医薬品等審査担当)の美上憲一でございます。
○美上企画官 美上でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課、次世代ワクチン等審査推進室長の松倉裕二でございます。
○松倉室長 松倉でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 次に、医薬品医療機器総合機構でございます。
 執行役員の新薬審査等部門担当、田宮憲一でございます。
○PMDA田宮執行役員 田宮と申します。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 審査マネジメント部長、清原宏眞でございます。
○PMDA清原審査マネジメント部長 清原でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 最後に、私、医薬品審査管理課長の中井です。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認です。
 議事次第にお示しのとおり、資料1から3-2、参考資料1-8があります。ウェブで御参加の構成員、参考人におかれましてはウェブ掲載された資料を御覧ください。直接お越しいただいている構成員、参考人におかれましては、お手元のタブレットを御覧ください。
 続きまして、本検討会の開催に当たりまして、城局長より一言御挨拶を申し上げます。
○局長 改めまして、医薬生活衛生局長の城でございます。
 構成員の皆様方におかれましては、日頃から医薬行政に御理解、御協力を賜り、心より御礼を申し上げます。検討会の開催に先立ちまして、一言御挨拶を申し上げます。
 我が国の医薬品産業の現状といたしましては、創薬における国際的な競争力の低下でありますとか、後発品を中心とする安定供給への不安、それからドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの懸念の発生など、様々な課題が指摘をされているところでございます。
 厚生労働省におきましては、これらに対応していくという観点から、昨年秋に「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催いたしまして、13回にわたる議論の結果、今後の目指すべき方向性について取りまとめがされたところでございます。今後は、それぞれの部門、部門でその施策の具体化を図っていくということを行っていきたいと考えております。
 その検討会におきましては、様々な分野にわたっての提言が出ているわけでございますが、本検討会におきましてはその報告書の取りまとめで示された内容のうち、薬事に関する事項について具体的な対応策を御議論いただきたいと考えております。
 また、報告書での指摘事項以外につきましても、これまで関係者の皆様から課題として指摘いただいた事項について併せて検討対象としていきたいと考えております。
 供給不安でありますとか、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロス、こういった課題の要因は必ずしも単一のものではないと考えております。我が国の市場の成長性、創薬環境、薬事制度、その他様々な要因が複合的に影響していると考えております。
 したがいまして、薬事制度上の対応だけで課題が解決するということではないということはありますが、複合的な要素を一つ一つ全ての分野で整合的に解決していくことが必要だろうということでありまして、そうした観点から薬事制度についても検討をお願いしたいということであります。
 本検討では、既存の枠組みにとらわれることなく、国民の皆様のために適切な薬事の在り方、そういったものがどういうものかということを第一に検討を進めていただきたく考えております。
 先生方におかれましては、忌憚のない御意見をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。
 本検討会の座長につきましては、清田浩構成員にお願いしております。また、座長代理につきましては佐藤陽治構成員にお願いしております。
 それでは、以後の議事進行は清田座長にお願いいたします。
○清田座長 清田でございます。
 それでは、本日は3議題ございますので、本日の議事に入ってまいります。
 カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題1「検討会開催の背景と進め方について」、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○松倉室長 それでは、資料1をお開きください。「検討会開催の背景と進め方」でございます。
 3ページですけれども、先ほど局長からの挨拶で申し上げましたように、この検討会に先立ちまして別の検討会、すなわち「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」というものが行われました。昨年の9月以降、計13回の開催が行われまして、先月6月9日に報告書が取りまとめられました。こちらの有識者検討会の名簿につきましてはお示ししているとおりです。本検討会の構成員である成川構成員、または芦田構成員も御参加されておりました。
 次のページですが、この有識者検討会の報告書のポイントを簡単に申し上げたいと思います。
 ポイントは全部で4つ、4ページにわたって記載をしてございますが、柱書きのみ紹介をしていきます。
 まず1つ目が「安定供給の確保」、それから次のページへいきまして2点目が「創薬力の強化」、続きまして「ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消」、最後に「適切な医薬品流通に向けた取組」と、この4つの柱につきましてそれぞれ課題と対策の方向性が検討されております。
 4ページに戻らせていただきまして、これら指摘された課題のうち本検討会で御議論をいただきたい事項について赤枠で囲っております。
 まず「安定供給の確保」に関しまして、赤枠で記載しているところですけれども、製造効率の向上と品質確保の両立が図れるよう、異業種におけるノウハウの活用について検討するとともに、迅速な薬事承認を可能とする体制の確保や変更手続の在り方を明確化することで、製造効率の向上に向けた企業マインドを醸成することについて検討するということが記載をされております。
 続きまして、6ページまで飛んでいただきまして「ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消」についてですけれども、こちらが特に議題としては多くなるかと思います。
 【対策の方向性】といたしまして、「革新的医薬品の迅速導入に向けた環境の整備」、具体的には国際共同治験への対応の強化、特に国際共同治験に参加するための日本人データの要否等、薬事承認における日本人データの必要性を整理すること、希少疾病用医薬品指定制度について早期段階から指定できるよう制度を見直すこと、小児用医薬品の開発計画策定の促進や新たなインセンティブを検討すること、海外ベンチャー等に対し日本の制度を伝達していくこと、これらが課題として指摘をされております。
 以上を受けまして「本検討会の進め方」ですけれども、資料の10ページまでお願いいたします。
 本検討会の開催の経緯については今、申し上げたとおりです。
 左下に「検討事項」を列挙しております。検討事項につきましては次のページでもう少し詳しくお示しをいたしますので、こちらでの説明は省略をさせていただきます。
 右下、スケジュールですけれども、本日7月10日に第1回を開催させていただいております。この後、おおよそ月1回程度のペースで開催をさせていただきまして、今の予定ですと12月頃、年末もしくは年を少しまたぎまして年度内までに取りまとめを行いたいと考えております。
 ただし、いろいろなテーマについて順次議論をしていただきますので、運用が開始できる施策については準備が整った段階で最後の取りまとめを必ずしも待たずに実施することも考えたいと思っております。
 最後に11ページです。「検討事項の概要」ということで、こちらに一覧としてお示ししております。左上から簡単に順番に紹介をさせていただきます。
 まず「開発促進」に関することとして「希少疾病用医薬品の指定のあり方」、こちらは先ほど申し上げましたが、日本の希少疾病用医薬品の指定時期が欧米と比べて遅い、または指定数が少ないということが指摘をされております。この現状を踏まえまして、開発のより早期の段階で広く指定できるよう、運用の見直しを検討してはどうかと考えております。
 続きまして、こちらも先ほど少し触れましたが、「小児用医薬品の開発促進に資する薬事審査等のあり方」です。小児用医薬品については、特に企業による開発がなかなか難しいというところがありますので、製薬企業による小児用医薬品の開発を促すため、成人用を開発する段階で製薬企業に小児用医薬品の開発計画の策定を促すための方策を検討してはどうかと考えております。
 左下の「臨床試験」のパートですけれども、まず我が国の承認審査における日本人データの必要性を整理したいと考えております。これについては大きく2つの論点がございます。
 まず1つ目、海外で早期の臨床試験が実施された薬剤について、第III相試験等の国際共同治験の段階から日本が参加する場合において日本人の安全性の考え方を整理、すなわち第I相試験の要否を含む安全性の考え方を整理したいと思っております。すなわち、今、国際共同治験が主流になっておりますが、第III相試験の国際共同治験の段階から日本が参加しようとした場合に、その前にまず日本人でフェーズIの試験を実施して最適な用量であるとか安全性を確認するということがどの程度必要であるのか、必要な場合と必要でない場合の考え方を整理したいということでございます。
 2つ目の論点ですけれども、希少疾患等に用いる薬剤であって、外国においてのみ検証的な臨床試験が実施されている場合における薬事承認の考え方を整理してはどうか。これは、特に希少疾患のように患者数が少ない等の理由で国内での治験が難しい薬剤の場合、外国で検証的臨床試験は実施されているんだけれども、日本人ではそのデータがないという場合、薬事承認についてどのように考えるかということを整理させていただきたいと思っております。
 それから、「治験の更なる効率化の導入」ということで、日本での治験実施が高コストである現状を踏まえ、GCPの観点からさらなる効率化に寄与する運用の見直しを検討。これは、日本での開発が進みにくい一因として、治験が実施しにくいということが以前から指摘をされております。その中でも、特にこちらは薬事の検討会でございますので、GCPの規制の観点から効率化できる部分はないか。これは被験者の人権とか安全性の確保、科学性の確保を前提とした上で、過剰な部分とか無駄になっている部分を解消するような運用の見直しができないかという観点で検討をお願いできればと思っております。
 右上にいきまして「市販後安全対策」のパートですけれども、まず「製造販売後に実施する使用成績調査等のあり方」ということで、新薬の製造販売後に行われる安全性監視活動として多くの場合、使用成績調査が行われております。
 ただ、こちらについては企業の実施負担が大きいとの指摘もございますので、そういった点も踏まえ、製造販売後の情報収集の在り方について検討をお願いしたいと思っております。こちらにつきましては、使用成績調査が必要な場合と、そうではない別の手段で対応できる場合などについて整理ができればと考えております。
 その下、「薬事制度におけるリアルワールドデータの活用のあり方」としまして、リアルワールドデータの利活用に向けた環境整備が進みつつある現状を踏まえ、その薬事制度における活用の在り方について検討をお願いしたいと思っております。この点は今、申し上げた使用成績調査を実施する代わりに、例えばリアルワールドデータを活用するなど、どういった場合にこのリアルワールドデータが活用できるか、市販後の安全対策全体の中で位置づけを整理できればと考えております。
 その下、「品質」のパートですけれども、安定供給のところで先ほど少し触れましたが、「医薬品の製造方法に係る薬事審査等のあり方」ということで、医薬品の承認書における製造方法の記載や変更管理の在り方について、国際整合性も考慮しつつ検討をお願いしたいと思っております。
 こちらについては、例えば原料の調達先を切り替えるとか、製造のスケールを変えるなど、そういった製造方法の変更がある場合がしばしばあります。この場合に、薬事上の手続について、それが一つの変更に時間がかかる要因とも指摘をされておりますので、例えば製造方法の記載をもう少し合理化できないか、あるいは変更管理の在り方についても国際整合性を考慮した形で、より合理的な在り方ができないかということの検討をお願いしたいと思っております。
 最後に「情報発信」のところですけれども、「我が国の薬事制度に関する海外への情報発信」についてということで、海外ベンチャー企業が日本での開発を行わない背景の一つとして、日本の薬事制度に関する理解不足や誤解がある背景を踏まえ、海外への情報発信の在り方について検討をお願いしたいと思っております。
 こちらについては最近の創薬の環境として海外、特に欧米のベンチャー、バイオベンチャーなどで開発されたシーズを日本に導入するというケースが増えてきていると聞いております。この場合、国内拠点がある企業である場合や、あるいは国内の製薬会社と連携して開発してくれるところであれば問題ないかもしれませんが、必ずしもそうでない場合もございます。そのような場合に、日本での開発について検討してもらうためには、まず日本の薬事等の制度について英語で十分な情報発信をして理解をしていただく必要があるのではないかという問題意識に基づいて検討をお願いできればと思っております。
 以上につきまして、先ほど申し上げたスケジュールで年末、あるいは年度末に向けて御議論をお願いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 検討会開催の背景と進め方につきまして今、御説明いただきましたけれども、これにつきまして先生方から御意見、御質問がございましたら承りたいと思います。これはよろしいでしょうか。
 これは進め方でございますので、よろしいかと思います。
 それでは、早速議題2に移りたいと思います。議題2の「希少疾病用医薬品の指定のあり方について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 それでは、議題2について御説明いたします。資料2をお開きください。
 まず「現行制度の概要」について御説明いたします。3ページ目をお開きください。
 希少疾病用医薬品の制度は、難病、エイズ等の患者数が少ないことにより研究開発が進みにくい医薬品等について、その試験研究を促進する目的で、平成5年の薬事法改正により創設されました。
 4ページをお開きください。
 こちらは希少疾病用医薬品の指定の要件を記載しておりますが、大きく分けて「対象疾患」「医療上の必要性」「開発の可能性」という3つの要件が現在ございます。本日は、この要件それぞれについて中心に御議論いただく予定となっております。
 5ページ目を御覧ください。
 希少疾病用医薬品に指定された際の支援の内容について記載しております。上から順に、優先審査の対象になること、手数料の減額があること、試験研究費の助成金の交付、または税制優遇の措置がございます。それから、研究開発に関する指導・助言を受けられると、そういった支援等があるという状況になってございます。
 次に6枚目を御覧ください。
 こちらは、日米欧のオーファンドラッグの指定件数をグラフによりお示ししております。欧米と比べて、日本の指定件数が少ないということが見て取れるかと思います。
 ただ、これは欧米でそもそも開発品目数がこの3極で異なるということから、直接数字を比較するということは留意が必要と考えております。
 次の7ページ目ですが、こちらは日米欧のオーファン制度を比較したものです。指定要件といたしましてはいずれも人数の要件はございますが、医療上の必要性に関する要件は米国にはなく、また、開発の可能性に関する要件は日本のみといった状況になっております。指定をされた際の優遇措置についてはおおむね3つの地域で同様となっておりますが、優先審査となるのは日本のみといった違いがございます。
 それでは「見直しの論点」について御説明いたします。
 9ページ目をお開きください。
 まず背景でございますが、近年、海外では承認されている医薬品が日本では開発されない「ドラッグ・ロス」が拡大しているとの指摘があると承知をしております。
 このドラッグ・ロスの原因といたしましては、市場の魅力低下、創薬環境・薬事制度など複数の要因が複合的に関わっていると考えており、その一つとして希少疾病用医薬品の指定範囲が欧米と比べて狭いことがあるといった指摘を製薬業界からも受けているところです。
 この左の下の段に記載のとおり、オーファンドラッグの問題を解決することでドラッグ・ロスの問題が全て解決するものではないと考えておりますが、2つ目のポツにありますような製薬業界のアンケート結果におきましても一定の影響があるといったことは示されており、ドラッグ・ロスに関わる複合的な要因の一つとして検討を進めていきたいと考えているものでございます。
 それでは、具体的な論点として10ページ目を御覧いただけますでしょうか。
 まず「「輪切り」の要件の明確化」としていますが、この「輪切り」とは何かといいますと、左側の1つ目のポツに記載しているとおり、医学薬学上の明確な理由なしに、「重篤な」等の接頭語をつけて患者数5万人未満として計算することとされており、このような計算をすることは現状では認められていないというところです。
 もちろん、医学薬学上の理由があれば認められるとされているものですが、この解釈が厳格に運用されているのではないかとの指摘を受けているところです。
 具体的にはこの例示にありますように、重症の患者さんや医薬品による治療が必要な患者さんに限定して開発を進める場合であっても、これは「輪切り」に該当するとされる場合があるという状況でございます。
 しかしながら、右上の対応案についてですが、このような開発の進め方は創薬開発においては必ずしも不適切ではないと考えられます。
 このため、右側の3つ目のポツにございますように、例えば小児を含む年齢層、治療ライン、リスク分類、投薬の必要性といった医学薬学上の検討に基づき対象を限定する場合には「輪切り」には該当しないことを明確化してはどうかといったようなこの右側に書いてあるようなことを「対応の方向性(案)」としてお示しさせていただいております。
 続きまして11ページ目ですが、医療上の必要性の要件についてです。
 まず上段のところですが、医療上の必要性の要件の一つとして「代替する適切」な医薬品等がないことという要件がございます。この範囲が不明瞭であり、例えばこの例示にありますような重篤な疾患であって承認された医薬品はあるものの、必ずしも十分に奏功が認められないといった場合にも、これは既承認薬があるものとして現状取り扱われております。
 このため、右側の「対応の方向性(案)」といたしましては、既承認薬が全くない場合のみではなく複数の治療選択肢が必要とされている場合も要件に該当することとしてはどうかと考えております。
 また、2つ目のポツですが、医療環境・投与環境から既承認薬の投与が困難である患者が一定数存在すると考えられる場合もこの要件に該当するとしてはどうかと考えています。
 また、この場合、医薬品の有用性の判断といたしましては、新規作用機序であることや、非臨床データ等に基づいて有用性が期待できることをもって該当としていいのではないか。その際、必ずしも日本人のデータは必要ないのではないかとも考えております。
 続きまして、このページ下段ですが、既承認薬がある場合にはそれと比べて著しく高い有効性、または安全性があることが要件とされております。
 これの運用といたしましても、原則として既承認薬と直接比較した臨床試験の結果が現状では求められており、なかなかそのデータを提出できる例は少ないといった状況でございます。
 しかしながら、こちらの例に記載したように、このガイドラインにおいて優先順位が明確に定められている場合や、あるいは安全性の観点で添付文書等で明らかに異なる記載がされている場合、こういった場合につきましても医療上の必要性が認められるものがあるのではないかと考えられるため、こちらについても右側に記載したとおり、こうした例について要件に該当することを明確化してはどうかと考えております。これが、1つ目のポツと3つ目のポツについてです。
 右側の2つ目のポツについても例示にあるものではないですが、対照薬と直接比較した臨床試験の結果のみではなく、論文等の異なる試験の結果から著しく高い有効性等が期待される場合も要件に該当する場合があるのではないかとしてはどうかと考えております。
 続きまして3つ目の要件、12ページ目を御覧ください。
 開発の可能性についてで、これは右上に具体的に記載していますが、開発に係る計画が妥当であることとの要件がこれまでございました。これにつきましても、明確な基準というものが示されていなかったこともありまして、これまでですと、このチェックにありますように第II相試験が完了し、第III相試験の計画がPMDAと合意していることや、第III相試験の結果が得られていることといった段階にあることが求められる場合がありました。
 しかしながら、特にベンチャー企業におきましては、より開発の早期に指定を受けることで投資を呼び込み、日本での開発が可能となる場合があるとも聞いておりますので、指定が遅いことにより、日本での開発を断念する場合もあるというふうに聞いています。
 このため、対応案といたしまして、指定の早期化を図ることとしてはどうかと考えております。右上、1つ目のポツに記載のとおり、そもそも法律では、この開発の可能性については必ずしも明示された要件ではないことを踏まえまして、この要件といたしましては国内での開発を行うことができる体制や計画を確認することとしてはどうかと考えております。
 具体的には、臨床試験の計画の概観が把握できる程度のものが示されれば十分とするとともに、その体制といたしましては、少なくとも第I相試験を実施するために必要な非臨床試験、すなわちこれはGLPレベルの動物試験がおおむね実施されている程度の段階であれば要件を満たすこととしてはどうかと考えております。
 この非臨床試験といたしましては、承認申請前に実施するべき全ての非臨床試験が完了することを想定するものではなく、あくまでも第I相試験を実施するために必要なものがおおむね完了している程度といったことを想定しております。
 また、指定を早期化することで開発が進むにつれて要件を外れるものも出てくることが想定されますので、この下の四角囲みに記載のとおり、そういった品目の指定を取り消す要件や手続についても併せて明確化してはどうかと考えております。
 続きまして、「優遇措置等の取扱いについて」です。14枚目を御覧ください。
 まず左側ですが、今回オーファンの指定要件を見直すことで指定品目数が増加することが想定されますが、それによって優先審査の品目も増加することとなります。
 ただ、そうしますと、PMDAにおける審査負担が増加するといったことが想定されます。
 ただし、PMDAの審査体制は現在でも既に余裕がないという状況で、優先審査品目の増加に対応するためにはさらなる体制強化が必須であると考えております。
 このため、対応案に記載のとおり、PMDAの体制強化については並行して検討を進めてまいりますが、これが実現するまでの間は、優先審査の対象品目については従来の要件を満たすものの範囲としてはどうかと考えております。すなわち、今回の指定要件の見直しにより、新たに対象品目となるものについては優先審査の対象とはせず、他の優遇措置のみが適用されることとしてはどうかと考えております。
 また、14ページの右側ですが、PMDAの審査負担を軽減するための方策を併せて検討していきたいと考えております。上に書いてあります新薬の承認につきましてはこれまで年4回行ってきておりますが、そのための審議会の開催は年8回行っているため、場合によっては審議会から承認までの期間が2か月程度となっている場合がございます。このため、新薬の承認頻度を増加させ、審議会開催後、速やかに承認することでPMDAが実質的に審査に充てられる時間を確保し、オーファンドラッグの優先審査に対応しやすくしてはどうかと考えております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、順番を追って今お示しいただきました論点、それから対応の方向性につきまして御意見をいただきたいと思います。
 まず、最初に「「輪切り」の要件の明確化」でありますけれども、これにつきまして御意見、新たな御提案、こちらのほうがいいのではないかとかございましたらいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○中村構成員 質問してもよろしいでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 「輪切り」というのは、英語でもスライシングという言葉があってFDAの人が使ったのを聞いたことがあるので、海外でも輪切りという定義はあるんだと思うのですが、そこと日本との違いというのは厳しくし過ぎているという理解で正しいでしょうか。もし御存じであれば教えていただきたいと思います。
○清田座長 事務局からお願いします。
○松倉室長 すみません。海外での輪切りの要件、具体的にどのような輪切りが認められて、認められないかについては今、手元に情報がありませんので、もし事務局で確認できるようであれば改めて御説明の機会を持たせていただきたいと思います。
○中村構成員 よろしくお願いいたします。
○清田座長 概念としては、同じような概念ですね。
○松倉室長 その患者様の数え方というのは、どの国でも恐らくきっぱりと数えられるものではないと思いますので、それぞれの国で数え方の工夫、考え方というのはあるかとは思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに御質問はいかがですか。
○花井構成員 輪切りの話は以前の話なのですが、そもそもこのオーファンの指定されたときの支援の在り方ですが、税制とかお金なんでしょうけれども、これ自体が欧米と比べてどうかというのと、それがオーファンで5万人になっていますけれども、実際に小慢で言えば780ぐらいあって、指定難病が380ぐらいある中で、恐らくウルトラオーファンみたいなところがあって、そういうほうが開発インセンティブが低いから、一定程度低い。
 でも、血友病は実は結構恵まれていると思っているけれども、6,000人です。それで、エイズは2万5000なんですね。エイズの場合はほかにもあるからマーケットボリュームはあると思うんですけれども、血友病などは微妙に、たまたま運よく回っているというような感じで、それで6,000、7,000の世界なので、今言った指定難病、小慢になると本当にもっと少ない領域がある。そうすると、そこについてはもっとお金がたくさんもらえるとか、そういう制度が欧米でないものかどうかという話が質問その1です。
 それから、制度の立つけの話ですけれども、開発助言で基盤研でアドバイスとなっていますが、たしかオーファンは基盤研にPMDAができたときに移動したんですけれども、PMDAもレギュラトリーサイエンス相談で結構ベンチャーの相談を受けていて似たようなことをやっていると思うのですが、その役割として基盤研でやっている助言と質とか何が違うのかを基本的な情報として教えてほしいです。
 以上、2点です。
○清田座長 最初の御質問に対しまして、どなたかお答えになられる方はいらっしゃいますか。
○松倉室長 日米欧の比較については、スライドの7ページに示しております。それで、今、花井構成員から御質問のあったウルトラオーファンというのがそれぞれの国でどのような制度的位置づけがある、あるいはどのようなインセンティブがあるかについては申し訳ありませんが、今、手元に情報がございません。
○清田座長 2つ目の御質問に対してお答えになられますか。
○松倉室長 基盤研からは、まずこのオーファンの指定制度に基づいて開発助成金、研究開発費の一部を支援するという助成金という制度がございます。それで、こちらはオーファンの指定を厚労省が行うと、それに対して企業が基盤研に申請をして、基盤研から一定の金額を助成するという形になっております。
 また、開発についての助言のようなものも基盤研では行っております。それで、すみませんが、こちらの事業の予算の出どころについては今、手元で確認はできませんが、このオーファンと連携するような形で全体としては支援が行われていると認識をしております。
○清田座長 欧米との違いについて御質問いただいたような気もしましたが。
○花井構成員 欧米の違いは今ウルトラオーファンについてはないということで、金額ベースとかで向こうのほうがモティーブが多いかというのが分かれば教えてほしいというのはありますけれども。
○清田座長 それについては今、資料はないということで。
○花井構成員 そうですね。それで、後者の話は要するに基盤研、RS相談でも結構似たようなことをやっているので、どう違うのかなというところを教えてほしいという意味です。
○清田座長 それはいかがでしょうか。
○PMDA清原審査マネジメント部長 PMDAの審査マネジメント部です。いつもお世話になっております。
 RS相談のほうはオーファンという縛りではなくて、アカデミアとか、あるいはベンチャーの方々が一般的にやはり医薬品とか医療機器を開発するに当たっての総合的な相談、それからそのステージが上がっていくごとに審査部につないで開発が進むような総合的な相談をしているというものです。その中に途中で厚生労働省に申請をしてオーファンに指定されているというものも入っているかもしれませんが、オーファンに特化してというわけではないんです。
○花井構成員 ありがとうございます。
 指定が現状、遅いからむしろPDMAで窓口になって、そこで次にオーファンを指定して、それで下流のほうで基盤研が登場するというのが現状だということですね。分かりました。ありがとうございます。
○清田座長 どうぞ。
○成川構成員 北里大の成川です。
個別の話ではなくて、全般的なところで1つコメントさせていただきます。日本でのオーファンドラッグの指定の間口が非常に狭くて、かつタイミングが遅いというのはかなり前から指摘をされていた課題でございまして、有識者会議の議論を受けてこういった形で見直しに向けた議論がされるというのは喜ばしいことだと思っております。
 それで、提案の方向性についてはおおむね賛成するんですけれども、希少疾病用医薬品の指定に関する法律の条文が資料で出てこなかったのは若干不思議であります。
 実は、法77条の2に示されている指定の条件は2つなんです。1号として、対象患者数5万人未満というのが、省令に委ねられる形であるのですけれども定められています。重要なのは2号でありまして、読みますと、申請に係る医薬品について「製造販売の承認が与えられるとしたならば、その用途に関し、特に優れた使用価値を有することとなる物であること」という条文になっています。それが解釈通知になりますと、「医療上の必要性」と「開発の可能性」という用語にすっかり置き換わってしまって運用されているというところがもともと大きな問題があるのではないかと思っておりまして、やはり法律の条文の趣旨に照らして制度の見直しについて検討していくことが必要ではないかと考えております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 これにつきましてはいかがでしょう。ごもっともですか。
○松倉室長 まず、法律の条文を参考資料としておつけしていなかったのは申し訳ございませんでした。今、成川構成員が御説明いただいたように、この「医療上の必要性」と「開発の可能性」のところについては法律で記載していない具体的な運用の部分を通知のほうで規定している部分がございます。特に「開発の可能性」のほうは法律のほうに根拠となる規定がない形で運用としてやってきたわけでございます。今回、その点を含めて見直しをしてはどうかということで提案をさせていただいております。その是非については、この場で御議論いただきたいと思っております。
○清田座長 いかがでしょう。その是非について御意見いただけますでしょうか。
○眞島構成員 眞島ですけれども、今の点ではないのですが、海外のベンチャー企業の方たちから見ると、やはり日本の制度というのは非常に難解であるということがあって、例えば今、見ていただいている7ページで患者数5万人、米国20万、EUが有病率1万人に5人以下と並んでいるんですけれども、これはざっと見ると日本もアメリカと比べてあまり変わらないんじゃないかと思うのですが、実はアメリカから見てみるとこの5万人未満というのはアメリカと比べると34%低いんです。
 ですので、これは全然同じでも何でもなくて、日本のほうが厳しいということになりますので、やはりこういうところも米国から見たら全く同じですよということが言えるように、この辺りも一緒に考えていけたらいいのではないかと思うというのが御指摘です。
 それから、今「医療上の必要性」「開発の可能性」という2つの点が出ていますけれども、今も御指摘があったように、やはりこの辺りも海外、特に米国から見て足かせにならないように文言を変えるなりしたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 それに対していかがでしょうか。
○松倉室長 1点目の人口比の日米欧の比較のところですが、今は三十数%の違いは大きく違うんだという御指摘をいただきました。この点はスライドの7ページの日米欧の比較を御覧いただくと、日本は5万人である。それで、米国は20万人で4倍の開きなのですが、人口比が3倍少しですので三十数%という数字になってくるかと思います。
 EUに関しては1万人に5人ということですので、これは1億人に5万人に相当します。これも若干日本に比べると緩いというか、そういう基準になっているのかなと思いますが、一方で何万人で切れば一番よいという明確な根拠もなかなか難しいのかなと思っておりまして、5万人というのはその一つの切りも含めて目安になっているところかなと思っております。
 それで、今回この5万人という数字自体は法律上の規定もありますので、今回は特に見直しは提案させていただいておりませんが、先ほどの輪切りの説明の中で実際に5万人と比較をする患者さんのカウントの仕方のほうで、より柔軟な形で適用できないかとして提案させていただいているところです。
○清田座長 ありがとうございました。
 まず、御質問いただいた眞島構成員、よろしいでしょうか。
○眞島構成員 今回、検討の対象になっていないということなのですけれども、やはり米国の企業から見て足かせになるような、あるいは障害になるような規定というのは極力変えていただければと思うので、これは法律的な問題と言われてしまうとちょっとどうなのかなと思うのですけれども、やはりアメリカと同じなんですよというふうに言えたほうが企業にとっては分かりやすいシステムに一歩近づくのではないかと思ったので意見させていただきました。
○清田座長 ありがとうございます。では、それは検討事項とさせていただくことでよろしいでしょうか。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 今、眞島構成員がおっしゃったことはすごく端的なところで、米国の件数を見ると非常に空振りが多いわけです。しかし、間口が広いことによりベンチャーは非常に意欲が高くなり、自分たちの可能性を確かめるために申請するようになっています。
 申請後は私たちも含めてどうやって審査していったりとか、どのようにそれを熟成していったりという段階になるのですが、まず間口が少ないということはその可能性さえも低くしてしまうことになります。日本の場合にはそこに至るまでの割合がとても低く、確実に承認できるものを拾っていけるというわけですけれども、米国の場合というのは、眞島構成員が言ったように敷居の低さがあります。空振りが多くてもベンチャーが意欲的で指定件数というのが増えていくということは創薬の力が非常に熟成していくというか、そのような流れをつくり上げていくという国力にも近いことになるので、やはりそのところが私たちにとって貴重な考え方であり、必要なことなのだろうなと考えています。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○柏谷構成員 製薬協の柏谷です。
 宮川構成員がおっしゃるとおりだと思っています。本来、オーファン指定というのは何のための制度なのかということを考えていけば、間口の狭い指定というのは制度に基づかないものだと思っております。どんどん指定を、間口を広げていって日本国というのはこういうオーファンに基づくような薬剤に関してフォローアップするんだよというところを見せるべきだと思っています。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、今いただいた御意見は参考にさせていただいて検討していただきたいと思います。
 それでは、次の「医療上の必要性の要件の明確化」につきまして「対応の方向性」、11ページにこれが示されておりますけれども、これに対しまして御意見あるいは御提案はございますでしょうか。
 これもごもっともだろうと思うんですけれども、これに関してはよろしいでしょうか。
 では、これに関してはよろしいということでありがとうございます。
○中村構成員 中村でございますけれども、これはまた細かいところはこれから詰めるという認識でよろしいでしょうか。
 多分、小児の薬だと小児科のいろいろな先生に聞いてみるともうちょっと違う、例えば特定用途医薬品の制度が議論されたときに、これまでは医療上の疾患の重篤性と医療上の重要性だけで見ていたらそこで落ちるんだけれども、子供にぜひ欲しい薬があるというのは特定用途医薬品で拾われたという経緯がありますので、細かいところでもうちょっとこんなものを拾ってほしいというものが小児科領域から出てくるかなと思っております。
○清田座長 小児はこの後じっくりやられるのではないかと思います。
○中村構成員 よろしくお願いします。
○清田座長 それでは、どうぞ。
○PMDA清原審査マネジメント部長 PMDAですけれども、ここの部分で1つは皆様に御理解というか、考えを教えていただきたいと思うのですが、実は輪切りというのもいろいろありまして、私は抗がん剤の分野の担当部にもおりましたが、そのときに既存の抗がん剤はいろいろラインがございまして、最終的に既存の有効的な治療法がないと言われていたときに、そのラストラインと言われているものから開発し、後から前のラインに遡って開発されることが多うございます。
 最初の開発はそこから開発・承認をされた後、前のラインのいわゆる標準療法と言われているもを対照群にして試験をして、少しずつ早期の段階で使えるような医薬品になってきて医薬品を育てるというのはよくあります。今回の輪切りと言われていたときに、いわゆるがんは重篤でございますが、治療ラインの一番ラストの後というのは当然有効な治療はありませんし、そういう段階の患者さんは当然残っていて、しかも新しい薬を使える患者さんというのは多分少のうございますので、そういう人を対象とすればオーファンというような考えも皆さんお持ちでもよろしいのでしょうかということです。輪切りのところの議論がございまして、皆さんそういうふうな想像というのか、具体的な品目の想像はなされているのかなと思いまして御確認をさせていただければと思っております。
○清田座長 また輪切りに戻りましたけれども、いかがでしょうか。
○松倉室長 事務局から答えることなのか、今、構成員の皆さんに振っていただいたことなのか、ちょっと分からないですが、事務局側からまず説明させていただくと、今のようなケースでもそこにターゲットを絞って開発することに医学的、薬学的な合理性があるということであれば、それも認められるということを考えております。
 ただ、一方でそこの合理性がどう判断できるのかとか、これはよい、これは見たい、これは駄目というところの判断は、より細かく詰めていく必要もあるだろうと思っております。それで、この点は先ほどの中村構成員からの御質問とも関連しますが、今日の検討会の資料では大きな方向性、基本的な考え方としてお示ししております。こちらについてもし御了承いただければ、最終的には通知とかQ&Aという形に落とし込むことを考えておりますが、そのプロセスの中でより詳細なクリアにしなければいけないところも含めて、できるだけ文章化をして示していくということを考えておりますので、ここでこのスライドの資料で示し切れていないような細かい部分については、今後詰めさせていただく部分はさせていただこうかなとは思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 代替療法の考えとか、それにもリンクしますけれども、それはこれから具体的に詰めていかれると思いますので、そこら辺は御了解いただけますでしょうか。
 どうぞ。
○佐藤座長代理 国衛研の佐藤です。
 確認なのですけれども、今のお話で例えば非常に狭い患者集団に対してまず開発を進め、その後に患者集団を広げていくといった方針のときには、現状ではオーファン指定はされないのですか。そんなことはないですよね。それを「輪切り」として、オーファン指定しないということはあるんですか。
○松倉室長 そこは、答えとしてはケース・バイ・ケースで個別に判断しているという形になるかと思います。一切認めていないとか、全てを認めているということではなくて、個別に判断しているという形になってくるのですけれども、一方でその個別の判断でどういう場合はどうするかというところが今、具体的に何か文章で示されているわけではなくて、組織なりの経験値の蓄積とか相場観みたいなところで対応している部分もあるかと思います。そういったところが企業からは分かりにくいというところもありますし、また、その判断の軸が少しずつ変わってしまうみたいなところもありますので、そういうところはなるべく明確化できればと考えております。
○佐藤座長代理 よく分かりました。ありがとうございます。
○清田座長 具体的な薬剤名は申し上げられないのですけれども、オーファンで取っておいてどんどん適用拡大していくという手法は一般的ですよね。ですから、それをどこまでどうなのかというのは難しい問題だろうとは思いますけれども、それは開発の常套手段ですね。
 どうぞ。
○柏谷構成員 製薬協の柏谷です。
 具体的には、実際にPMDAさんは厚労省とオーファン指定に関してディスカッションする際には、企業側は開発計画等々も示した上でお話をしていますし、そこである程度具体的な開発計画が分かるはずですので、御心配のようなところもあるのかもしれませんけれども、基本的には手の内を全部示した上でしていただくということですので大丈夫かなと思っているのですが。
○清田座長 第2部会では同じ薬を何度も適用拡大で審査しているものもあります。
 どうぞ。
○PMDA田宮執行役員 今、柏谷構成員からお話があったので、現状今回のケースで議論になろうかと思うところを少し申し上げますと、例えば肺がんなど、患者数がファーストラインまで含めるとそれなりの人数になるというような疾患の場合、すなわち、開発計画ではファーストラインの治療までの開発を今後予定しているが、最初の開発はラストラインであるというときに、それについてオーファン指定をするべきなのかどうかというところの議論はあろうかと思っているところです。
○清田座長 それは難しいですよね。それは、最初はラストラインで認めても、時間がたつに従ってファーストラインになる薬は幾らでもありますよね。ですから、そこは議論できないんじゃないかと私は思うんですけれども、どう思われますか。
○佐藤座長代理 ですから、やはり一定の患者さんの治療のための医薬が充足していないということ自体を判断基準にする。基本はそこかと思います。将来計画は将来計画として取っておいてというような感じでしょうか。その上で、判断の根拠がやはり明確でないと困るというのがこの10ページのお話なのではないかとは思いますけれども。
○清田座長 最初は最初で、それでいいんじゃないかなと思いますけれども、よろしいでしょうか。よろしくないかな。
 では、時間も限られていますので、次の「指定の早期化と取り消し要件の明確化」に対する御提案ですね。「対応の方向性」につきまして御意見がございましたら伺いたいと思います。
 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 取消し要件の明確化のところですけれども、指定の早期化ということでやっていただきますので、取消しの要件というか、取消しは仕方ないステップになるのかなとは思っておりますけれども、一番上にあります「臨床的位置付けが同様で、代替薬となり得る医薬品が承認された場合」、即座に指定を取り消すというのは企業側にとっては非常に厳しい内容であると思います。ここのところは少し考え直しが必要かなと思います。
 例えば、承認申請した後、ほぼ開発が同時に進んでいて、3か月早いがために3か月遅れの医薬品が突然オーファン指定を取り消されるという状況は非常に企業にとっては影響が大きいということで、ここのところは見直しが必要かなと考えておりますが、いかがでしょうか。
○清田座長 企業側から言って、ぜひ見直してほしいということでございますけれども、いかがでしょうか。
○松倉室長 この指定の取消しについては今、柏谷構成員からもお話があったように、指定の早期化に伴って附随してくるものだと認識をしています。
 これまで第II相試験が終わって第III相試験に入るという段階で指定していたものを、第I相とか、それよりも前の段階で指定した場合、開発が進むに従って臨床試験で思うような成果が出なかったとか、あるいはここに今、御指摘があったように、ほかの同じ薬効を持った薬が先に開発をされて承認されている。それに対して今、指定を受けているものが特に優れているところがないというようなこと、すなわちこの指定の要件に当初当てはまっていたものが状況の変化によって要件に当てはまらなくなったとみなされた場合は取り消すことになるのかなと思っております。
 一方で、企業の予見可能性というところもある程度大事な問題かと思っております。例えば、最初の1つ目が承認された場合に2番手、3番手をどのように扱うかというところについて、例えば既に承認申請まで至っているものについてはオーファンとして扱うといった整理の考え方はあり得るのかなとは思っております。
 ただ、一方で指定申請に至っていないものも含めて全部どこまで救うかというのは、あまり救済の範囲を広げ過ぎると、今回その指定を早期化したこととのバランスが取れなくなってしまいますので、そこはある程度、厳格な運用も必要ではないかと思っております。その辺りについても、実際の運用開始までに詰めた上で進めていきたいと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 中村ですけれども、さっきも海外、アメリカから見てとか、アメリカとの整合性とか、アメリカと比べてどうかという話が出たと思うのですが、こういうのはアメリカではどういうハンドリングをしているかというのは情報をお持ちでしょうか。やはりそこら辺りの欧米のほうでこういった対応をしていてというところで、ベンチャー企業が同じような対応を日本でもしているというところを考えたほうがいいのかなとちょっと思っているのですが。
○松倉室長 ありがとうございます。
 指定の取消しの要件について、具体的にアメリカ、EUの情報は今、手元にございませんが、これは指定の最初の要件とも絡むと思っております。例えば、アメリカの場合は患者数だけが要件となっておりますので、患者数がよほど短期間で大きく変わったとか、そういう事象がなければ指定の取消しというのは基本的には想定しにくいのかなと思っております。
 ですので、最初の指定の要件自体が日米欧で違っている部分がありますので、それに伴って取消しの要件該当性というのも影響を受けてくる部分はあるのかなと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○PMDA田宮執行役員 PMDAの田宮です。補足させていただきますと、欧州におきましてはオーファンの指定を受けた品目の承認申請の段階で、きちんとSignificant benefitがあるかどうかということについて改めて評価することになっております。その結果、指定されているもののうちの1割程度は指定の取消しを受けているというふうに承知しております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○柏谷構成員 先ほどの松倉さんの回答にまた戻してしまいますけれども、やはり先行く品目が承認された時点で承認申請されているような品目はオーファンの対象としていただく。あとは、その他出てくるデータにおいて先行く品目が承認された先行く品目と比較して、まだ申請されていない品目であってもその有効性がかなり高いと思われるものに関しましては、オーファン指定の指定を継続していただくような議論をまず持っていただきたい。そういうステップが必要なのかなと思っています。いきなり指定解除というのは避けていただきたい。
○清田座長 その議論の場を設けることは可能ですか。
○松倉室長 承知いたしました。実際に取消しとなった場合にどのようなプロセスを経て取り消すのか。厚労省側が単独の判断で取り消すのか、企業の申請状況といいますか、その医薬品の状況を確認した上で企業から相談を受けた形で取り消すのかとか、プロセスはいろいろ考えられると思いますので、そのプロセスの中でどういう手続を経てどういう要件に該当した場合は取り消すかということは詰めていきたいと思っておりますし、その詰めていく過程において業界の御意見も伺いながら進めていきたいと思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 では、次に進ませていただきます。ありがとうございます。最後の「優遇措置等の取扱いについて」ですね。14ページのオーファン指定ですが、これにつきまして御意見ございますでしょうか。
 では、芦田さんからどうぞ。
○芦田構成員 INCJの芦田です。
 ここに「PMDAの体制強化」ということが書かれています。それについては賛成です。ぜひ強化していただきたいと思います。しかし、ここに体制強化が実現するまでの間は優先審査の対象品目を変更しないということが書かれていますけれども、それはいかがなものかと思います。
 もし仮に体制が整わないとなかなか実務が実行できないというのであれば、その体制強化をいつまでに行うのかということをきちんと明示していただきたいと思います。いつまでに体制強化を行い、そこからは優先審査もきちんと変更して行うというところを明示していただかないと何も変わっていないように見えてしまうので、そこはお考えいただきたいと思います。
○清田座長 明示できますか。
○医薬品審査管理課長 御指摘のことですけれども、検討会の議論においては、やれるものはすぐにやりたいと思っているわけでして、その一方で、今日やって明日から体制変更できるかというとそんなことは多分ないと思いますので、そこは猶予が一定程度必要だと思います。
 それから、体制を強化するためには、必要な財源というものがあります。大分うなずいておられる方もいらっしゃいますけれども、そういうことをするときにどういうふうな財源を取ってくるのかということも検討しなければいけないのも事実です。目標を掲げて御検討いただくのは全然問題ないと思うのですが、ただ、そういう事実もあるということは御理解をいただきたいと思います。
○清田座長 どうぞ。
○芦田構成員 財源の点は理解しておりますけれども、具体的に検討するときには、先ほど申し上げた点も考慮して進めていただければと思います。
○清田座長 分かり次第、明らかにしていただくと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○眞島構成員 コメントさせてください。アメリカでもこの申請に関してはどのくらい量があるのかというと、先ほどグラフを見せていただきましたが、かなりの量なのですが、日本を見ますとオーファンドラッグを使っている方たちはあまりいないんです。ですから、どれだけ増えるのかということになるかと思うんですけれども、倍になるとかというのはなかなか難しいのではないか。よほど我々が頑張らないと、そんなに増えないのではないかと思うので、あまりそこの部分を足かせにしないで前向きにやってみてというくらいでいいのではないかと思いました。
 以上です。
○清田座長 貴重な御意見です。ありがとうございます。では、前向きな感じでよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○柳本構成員 ボストンコンサルティンググループの柳本でございます。
 皆さんが仰られたこと基本は一緒なのですが、まずは体制強化というものは最優先に取り組むべきと考えます。
 一方で、体制強化がままならないから制度の変更・導入が遅れるのであれば、先んじて出来ることをするというのは大賛成で、承認審査期間だけがオーファン指定のメリットではないと思っていますので、それ以外でも十分インセンティブになり得ると思います。
 あとは、体制強化までの間で、審査プロセスの効率化で見られる件数を少しでも増やせないかというところは検討できるかと思ってお伺いしておりました。
○清田座長 ありがとうございます。
 成川さん、どうぞ。
○成川構成員 ありがとうございます。成川です。
 もう5、6年前なんですけれども、私はオーファンドラッグを開発した企業の方々50社くらいを対象にアンケート調査をしたことがございます。その中の質問の一つが、開発支援策の中で一番役に立ったものは何ですかということでした。その回答は、優先審査が断トツに多かったということを覚えています。ですから、企業の方の期待値は高いので、そこを丸ごと除いてしまうのはちょっと慎重な検討が必要かなと思っています。
 ただ、そうは言ってもPMDAとか厚労省の方々に過度な負担をかけるというのは避けるべきで、彼らにも人間らしい生活を送っていただきたいですから、そこはどれくらい件数が増えるかとのバランスをよく見極めていただいて、場合によっては例えば優先審査品目の審査期間の目標値を一時的に下げるとか、そういうことも選択肢に入れて検討いただいたほうがいいのではないかと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
○花井構成員 時間のないところ、すみません。PMDAの体制強化の件ですけれども、この検討会全体の話題の中でPMDAの体制強化の必要なところがたくさんあって、ここで締切りに間に合わないから、この分オーファンが増えるからちょっと増やしましょうという議論では今後アジア市場の中でやはりレギュレーションを取ったところが勝つわけです。つまり、FDAとの規模感の差が全ての差なのであって、今後は中国市場がもう抜かれているわけですけれども、そういう文脈の中でやはり医薬とPMDAの日本のあるべき姿は今のままでいいのかという根本的議論をここの検討会の最後でいいですから、今の審査期間の持っている全体的な課題みたいなところでPDMAの体制強化については別途項目を立てていただきたい。
 もう追いつけなくなっちゃうかなという危機感を持っていまして、別途項目を立ててそれは実現がどこまでできるかという問題はいろいろあると思いますけれども、やはりほかの財務省の方々にも、これはある種の日本の今後の立ち位置の話でもあるので、そういう文脈で財務のほうにも理解をいただかないと、ちょっとこれはまずいのではないかと思っているので、PMDA充実に関しては議論の場、時間をこの検討会の最後でつくっていただきたいと思いました。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 まだありますか。
○柏谷構成員 これだけは業界として言っておかないといけないと思いまして、時間のないところ申し訳ないです。
 PMDAの全体ということで、大きな切り口はそれで最後にやるとしまして、ここの細かいところの議論を見ますと、先ほどありましたように中止基準というものが新たに設けられるわけで、業界側としてはそれほど優先審査の対象品目というのは増えるかと、そこは懐疑的に思っております。優先審査品目が急激に増えることがなければ、恐らくその優先審査9か月というのは維持できるのではないかと思っていますので、具体的な数値とともに、データとともに、この新たな制度になった場合、どれだけ優先審査品目が増えて、どれだけPMDAの工数が影響を受けるのか。
 今年もPMDAは恐らく3700万の予算を取って4名の嘱託職員を採用するという方針だったと思います。それがどれだけの効果が認められているのかというところも併せて示していただければと思います。
○清田座長 どうぞ。
○PMDA清原審査マネジメント部長 ありがとうございます。
 実は優先審査、12か月のところを9か月というのも非常に我々PMDAの審査の中でかなり無理なことをしながらスケジュールを組んでいくのですが、もう一つ実はオーファンの開発については速やかに相談を受けてアドバイスをしていこうというところで優先相談というものがございます。
 こちらのほうもかなり審査の負担がありまして、通常の業務に優先のものがすぐにきて、全てのトラックとかを書き換えて人を当てていかなければいけないということもございますので、実はオーファンが増えるのは審査だけではなくて、その途中の開発の相談というところもかなり我々にとっては負担になってきます。ここら辺の相談を適切にできる人間の育成というのもかなり時間がかかりまして、そういうことも含めた上での体制強化というのをお考えいただければと思います。
 それから、最後に4人の嘱託の募集をしております。まだ一人も応募が来ておりませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○清田座長 よろしくお願いします。
 どうぞ。
○松倉室長 事務局からですけれども、今回指定要件の見直しに伴って優先審査の対象がどれくらい増えるのかというところですが、これは定量的に予測するというのはなかなか難しいものはあります。先ほど申し上げた通知とかQ&Aで要件をこれから細かく定めていくのですが、それによっても多少増えたり減ったりすることはあると思います。
 ただ、一つの目安としてお示しさせていただくと、過去にオーファンの指定の相談の申込みを受けたんだけれども、指定されなかったもので、それについてなぜ指定されなかったのかという理由の分析をしまして、それが今回の指定要件の見直しに当てはめた場合にどうなるかといった試算をしたところ、30%程度、指定は増えるのではないかというのが一つの目安の値としては出ております。
 ただ、これは今、申し上げたように、これよりも多くなったり少なくなったりという幅のあるものですので、一つの目安としてお考えをいただければと思っております。
 それから、優先審査の数ということで言えば、指定の取消しをどこまで厳格に行うかということもまた影響を受けると思っております。その要件に満たなくなったものを厳格に取り消していけば、最終的に優先審査を受けるものはそれほど増えないかもしれませんが、先ほど企業の予見可能性という御指摘もありましたが、取消しの範囲をもう少し弱めるということであれば、結果として優先審査として審査を受けるものは増えていくということになりますので、そこの影響もあるかと思っております。
 それから、最後に構成員のどなたかからの御質問の中で、今回の見直しによって優先審査対象の審査の工程数が少し減るので効率化できるのではないかといった御質問があったかと思っております。ここについては、今回指定要件の見直しをすることによって、その指定が例えばこれまでよりも、より簡略的なデータで判断できるとか、そういった形で指定の作業自体は簡略化できる可能性はあるかとは思っております。
 ただ、指定を受けた後に承認申請されたものの審査については、これは申請される試験データ等は指定を受ける前も後も基本的には変わらないと思っておりますので、その審査自体の工程数は特に下がるものではないかなと思っております。したがいまして、その優先審査が増えることに伴って体制の強化という部分はやはり必要になってくるかと思っております。
 以上です。
○柳本構成員 ありがとうございます。理解しました。
○清田座長 次にいっていいですか。ここで今日話し合ったことがそのままファイナルじゃないですから、後になってまた議論すればいいわけですし、そこも御理解いただきたいんです。
○柏谷構成員 理解いたしました。
○松倉室長 事務局から一言よろしいでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○松倉室長 今回、指定要件を見直すというところについては特に大きな反対意見はなかったと思っております。
 一方で、優先審査の取扱いをどうするかというところについては基本的には優先審査になるように体制の強化の議論を早急に進めてほしいという御意見が多かったかと受け止めております。ですので、この指定要件の見直しそのものについて次回以降、改めて議論する必要が特になければ、そこはそこでまとめさせていただければと思っております。
 体制強化のところは宿題として御指摘をいただいたと受け取っておりまして、そこについては事務局のほうで財源とか様々な薬事以外の要素も考えないといけないですので、その点は事務局で引き取らせていただければと思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。許していただけますか。
○柏谷構成員 はい。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、議題3に移らせていただきたいと思います。議題3「小児用医薬品の開発促進に資する薬事審査等のあり方について」、まず鹿野参考人、林参考人から御説明をお願いしたいと思います。
○鹿野参考人 それでは、資料3-1を御覧いただければと思います。
 私が研究代表者で、分担研究が京都府立医科大学の林先生と一緒に「小児がん及び小児希少難治性疾患に係る医薬品開発の推進制度に資する調査研究」という研究班で調査をしてまいりました。前半に林先生のほうで調査いただきました欧米での小児用医薬品の開発促進制度について概略を御説明いただいて、私は後半のほうで主に本日は製薬企業を対象としたアンケート調査結果を御紹介したいと思います。
 それでは、林先生よろしくお願いいたします。
○林参考人 京都府立医科大学の林と申します。よろしくお願いします。
 私は、欧米の小児用医薬品開発促進の制度がどのようになっているかということの調査をしておりまして、その概要を資料3-1を使って簡単に御説明したいと思います。
 まず、次のスライドですが、委員の先生方は御存じのことも多いと思いますけれども、米国もEUも小児用医薬品の試験計画の提出を法律で製薬企業に義務づけております。米国はBPCAとPREAというのが小児関連の主な法律でして、後から小児がん領域の分子標的薬が対象のRACE法というものが加わっております。
 一方、スライドの下のほうにありますEUは2006年にPediatric Regulationが制定されて、翌2007年に施行されています。
 次のスライドですが、米国の3つの法律はそれぞれ違いがありまして、右上のPREAは成人を対象に開発または審査中の新有効成分とか新効能などに対して小児試験計画、PSPというものを提出することとされていますけれども、ただ、試験の実施が困難な場合には試験の免除、または延期を求める規定があります。
 一方、左側のBPCAはそういう対象の制限はありませんで、EDAが独自に、あるいは企業がプロポーザルをして、それに対してFDAがWritten Requestsという開発要請を出しまして、その要請に応じて自主的に小児試験を完遂した企業には6か月の販売独占権の延長が認められるということになっています。
 また、右下にありますRACE法は成人のがんに対する分子標的薬が小児がんにも有効と考えられる場合には小児試験を義務づけるというものになっております。
 次のスライドです。EUはPaediatric Regulationを施行しまして、小児用薬を専門とするPaediatric Committee、PDCOというものを設置して、これも米国同様、小児開発計画、ヨーロッパではPIPと呼ばれていますけれども、このPIPの提出を企業に義務づけるとともに6か月間の特許期間延長などのインセンティブを付与しております。
 次ですが、今説明しました米国、EUの制度と日本のそれとを比較した表になります。日本でも小児開発を促進するために再審査期間の延長とか、薬価加算とか、種々の対策を講じていますけれども、小児試験の法律による義務づけはしていません。また、この表にはないですけれども、米国もEUも規制当局内に小児専門の担当部署を設けたり、あるいは小児用医薬品を専門に審議する委員会を持っていたりというところも日本と違う点かなと思います。
 次のスライドです。米国はさっき申し上げたBPCAとPREAという法律によって小児試験計画の件数が大幅に増加したとか、あるいは添付文書に600を超える小児臨床試験の情報が記載されたなどの成果が見られたということを報告しております。
 次のスライドですが、EUでも小児に係る新薬/新効能の承認数がPaediatric Regulationの施行前後で倍以上になったとか、あるいは対象に小児を含む臨床試験の割合が増えたなどの成果があったということを言っております。
 次のスライドですが、先ほども申し上げたように米国もEUも小児試験の免除、この免除がWaiverというもので、それから延期、これはDeferralと言うのですけれども、このWaiverとかDeferralを認める規定がありまして、このグラフを見ていただくと、それらが適用されるケースが近年増加しているということがうかがえます。
 次のスライドですが、EUでも同様にWaiverとDeferralが増えています。それで、企業は小児試験の実施を何とか免れようということで当局との交渉に非常に労力を費やしているという話も聞きます。ですので、単に義務化をすれば何かうまくいくということではなくて、そのポジティブな面とネガティブな面の両方をよく見て、日本としてどうするのがベストかということを考える必要があるのかなということを調査していて感じました。
 それからもう一点、米国が本年の5月に公表したPREAとBPCAに関するガイダンスの案の中で、企業がPREAで要求されていることだけを行っているのであれば、FDAはその企業にインセンティブを与える必要はないと考えるという趣旨のことを言っていたり、あるいはEUも小児でさえあれば一律にインセンティブを付与するというのでは患者が本当に必要とする薬の開発、真に必要とする薬の開発につながらないのではないかということも言っておりまして、今はインセンティブの在り方の見直しをしているようです。ですので、インセンティブについて考える際には欧米のそういった動向にも今後注意が必要かと思います。
 私のほうの説明は以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
○鹿野参考人 それでは、続きまして10ページにまいります。私のほうでは、「製薬企業等を対象としたアンケート調査」を実施いたしました。
 左側の枠の中にありますように、国内の製薬企業団体、主に新薬を開発されている団体、企業の皆様、それからベンチャー企業でも特にオーファン薬品などを開発している会社、ベンチャー企業はいらっしゃいますので、バイオインダストリー協会の創薬ベンチャー会員の皆様にアンケートを行っております。回収率はそこに示していますように50%程度となっております。
 右側は最初の質問で、御社が保有する医薬品で2002年、これはアメリカでBPCAが始まった時期ですが、それ以降に欧州または米国で小児の適応を取得済み、開発中であるが、日本国内で具体的な開発計画がない品目がありますかという質問をしました。そうすると、「ある」と回答されたのが45%、30社となっています。それから「なし」、そもそも海外そういう品目がない会社というふうに続いております。
 この「あり」と回答された30社を対象に次の11ページにまいりますけれども、「国内で小児用医薬品を開発しない理由」を幾つか挙げまして、主な理由を3つまで選択してくださいという質問を設けました。
 そうしますと、その理由として第1位が「採算が取れない」、2位が治験の実施が困難、3位は小児患者が少ない、4位は日本では小児適応取得が義務ではない、5位は情報不足で開発計画が立てにくい、同率5位で日本では専用の小児用製剤の開発が求められるという順になっておりました。
 これは、テーマ別に内容を整理しますと色分けしてございますけれども、下の四角にありますように、課題の一つとしてまず「収益性」の問題、2番目が治験実施に関する問題、3番目が「PMDAの審査・相談」、そして先ほど林先生から御説明のあった「欧米のような義務化」制度の問題という4点を整理して検討してまいりました。
 12ページを御覧いただきますと、まず収益性です。アンケートの中で15個、いろいろな施策案を並べてどれが小児用医薬品の開発促進効果が高いと考えられるか、3つまで選択していただきました。そうすると、上位は収益向上というところにつながっています。1位が「小児適応を取得した品目の成人適応にも薬価上のメリットを拡張」してほしい、あるいは特許期間の延長、3位は再審査期間の延長、そして4位がほかの品目の薬価へのメリット拡張というような意見が上位を占めております。
 自由記載も幾つか欄を設けていろいろお尋ねしているのですけれども、その中でやはり現行の薬価制度については多く御意見をいただいています。例えば、小児加算は上限20%とされていますが、ほとんど5%しかつかないとか、小児治験の日本人症例数、対象年齢によって加算が下げられてしまう。特に超オーファンなどだと、そもそも症例がないので加算があまりつかないとか、あとはほかの加算との重複が認められない。そして、複数の効能について小児の適応を追加しても加算の対象は最初のみとか、そういうことであまり積極的にやれないというような御意見をたくさんいただいております。
 13ページ目にまいりますと、2番目の課題として「治験実施体制」が挙がってまいりました。寄せられた主な意見・要望なのですが、大きく2つあります。
 1つはまず国内の「治験実施体制」の整備です。患者が多いような医療機関であっても、小児の治験ができないというケースが結構あるという御意見をいただきました。ですので、そういう小児対象の治験の体制を整備してほしいということです。
 それから、そのような小児対象の治験が実施可能な医療機関についての情報の集約と共有によって、施設選定と症例確保を効率的にできるようにしてほしいという御意見。
 そして、これは患者さんの御負担なのですけれども、お子さんが対象になりますので、遠距離通院・入院時には御本人だけではなくて家族とかきょうだいとか、いろんなところに影響が及ぶということで、そこへの支援であったり、あるいは分散型臨床試験の推進によって負荷を軽減してほしい。分散型臨床試験は御存じの先生は多いかと思いますが、いわゆるリモートの治験ですね。訪問診療、地方の医療機関との連携、あるいはデジタルツールを利用して効率的に行えるようにしてほしいという御意見も複数いただいていました。
 2点目のポイントとしては「国際共同治験体制の整備」です。小児の国際共同治験が実施できる医療機関というのは非常に限られるということなので、その整備の要望がありました。特に希少疾病などの場合には国際学会主導で実施されるものも多いようで、医師主導の国際共同治験に日本からなかなか参加しづらいようですので、そこを支援してほしい。
 そして、やはり国際共同治験になりますとPMDAとFDA、EMAとの共同相談をお願いしたいという要望がございました。
 もう一つ、これは小児に限った話ではないんですけれども、併用薬が国内未承認の場合はありますので、それらの未承認薬の承認、あるいは利用を緩和してほしいという御要望がありました。
 続きまして14枚目、「PMDAの審査・相談」に関する課題です。
 いただいた主な御意見・要望ですが、成人と同じ開発計画ではできないので小児対象の開発に特化した相談枠を新設してほしい。
 それから、臨床試験で求めるエビデンスレベルを緩和してほしい。恐らく、症例数等の話だとは思います。
 3点目が、欧米で求められないような小児用製剤を日本で要求されるというのを見直してほしい。
 小児申請へのリアルワールドデータ活用の推進、それから相談、承認申請時の英語資料の受入れ、先ほどもありましたFDA、EMAとの共同相談・共同審査ということが挙がっておりました。
 そこの吹き出しに書いてございましたが、やはり小児対象開発に特化した相談枠は有用であろうと考えられます。
 医薬品の特性とか対象疾患、臨床上の位置づけ等によって求められるものは異なりますけれども、可能な範囲で審査方針を整理して明示していただくことは、開発する側にとっては非常に役に立つであろうと考えました。
 それから、FDA、EMAとの共同相談・共同審査などが行われるようになるのであれば、やはり英語資料の受入れというのは必要になってくるであろうと考えます。
 続きまして15枚目にまいりますが、「欧米のような開発義務化制度」を導入した場合に日本で機能すると思いますかという質問をしてみました。そのうち、見ていただきますと分かるように、青色、水色の「小児用医薬品の開発が促進されると考える」、それから「必要性が高い疾患に特定されれば促進されると考える」、そして「課題を解決すれば開発が促進されると考える」と、割と前向きな御回答が予想よりは多かったのですが、中身をちょっと見てみますと、右側の吹き出しにあります「課題」のほうですけれども、インセンティブが必要というのは非常に多くの御意見がありました。
 あとは、小規模企業では義務化すると経済的負担が大きいとか、あるいは治験がそもそも実施できない。実施可能な施設が少なくて患者が登録できない。
 それから、PMDAに小児開発を専門的に評価する部署を設置してほしい、あるいは市販後の対応を含めたregulatory requirement、どの程度、何を要求されるかという規模感、方法論というものを明示してほしいということ。
 開発に失敗してもペナルティーはなしにしてほしい、あるいはWaiverですね。免除の仕組みはちゃんと入れてほしい。そういうようなことが課題として挙がっておりました。
 それから、左側の黄色い部分ですけれども、日本では開発促進があまり期待できないという回答は数は多くはなかったのですが、中身を見ますと、なるほどなという理由が挙がっておりました。吹き出しの中にございますが、義務化されても国内の小児患者組入れ困難等の問題はすぐに解決されない。義務化しても治験できないという感じですね。
 それから、先ほど林先生の御説明がありましたが、欧米ではwaiverの議論に非常に労力がかかっている。日本でもそれが起こるということが懸念されているということです。
 義務化について入れるのであれば、非常に柔軟な制度が必要であろうということ。
 そして、小児の治験計画について、FDAとEMAの間で意見の調整に難航するケースが結構あると聞きました。そこにさらにPMDAが違う指示を出してくると、もう勘弁してほしいという感じでした。
 5つ目ですが、そういうようないろいろな問題がある中で義務化を入れられると、日本市場の魅力が低下して、結果的にドラッグ・ロスが増大するのではないかという御意見もございました。
 以上、4点、そのようなポイントでまとめましたが、「その他」として16枚目に追加してございます。
 ちょっと気になった点の1つとして、「小児用医薬品開発促進に資する制度の情報発信」が不十分な部分があるのかなと感じたところです。幾つか質問の中に、15個なのですけれども、いろんな制度を挙げて、開発促進に有効と思いますかという質問を挙げているのですが、右側の特定用途医薬品のほうは制度を知らないというのはほとんどないんですね。それが、左側の「10歳または12歳以上を成人と併せて評価可能とする制度」、制度といいますか、これは令和2年6月に出た事務連絡なのですけれども、海外でアドレセントと言われる年代の人たちを成人と一緒に評価できるだろうというような扱いになっているので、それを留意点として事務連絡が出ているのですが、それを知らないという方が思ったより多かった。薬事関連のこういう制度で知らないという回答が出たのはあまりなかったので、小児用医薬品開発に関する施策については情報発信を効率的に強化していく必要があるだろうと考えました。
 最後に、17枚目にまとめを記載してございます。
 「まずは、国内の小児用医薬品開発に関する課題の解決が必要」というふうに考えます。
 その開発コストに見合う製薬業の収益を確保可能な制度の整備、小児対象治験の実施体制の強化。
 3点目として、PMDAの小児医薬品開発に関する審査・相談方針の整理と明確化、そして欧米当局との同時開発・同時申請を視野に入れた共同相談・共同審査の可能性を検討していくということ。
 4点目が、小児用医薬品開発促進に関連する制度・施策の情報発信の強化。
 それと、これらと並行して小児用医薬品開発促進のための制度を検討していくということになるかと思いますが、先ほどもありましたように欧米では近年、waiver、deferralの件数が増加傾向にありますし、アンケート調査でも欧米当局との議論には多大な労力が必要とされています。
 また、小児の治験計画への意見が当局間で異なる場合の負荷というのは非常に大きいというのはそうだろうなと思いますので、そういうような場合も踏まえた慎重な検討が必要と考えます。
 我々の研究班は8月までなのですけれども、欧米での制度運用の課題を引き続き情報収集して追加で情報発信できればと思います。そしてまた、それを参考にして国内での小児用医薬品開発に関する課題への対応策を検討していくということを継続してやっていく予定でございます。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして事務局から議題3の御説明をお願いします。
○事務局 「小児用医薬品の開発促進に資する薬事審査等のあり方について」、事務局より御説明いたします。資料3-2を御覧ください。
 2ページ目になりますけれども、まず今回の小児医薬品開発の開発対象につきましてですが、注にございますとおり新生児からを想定しております。小児医薬品開発に関する議論は、成人とは別に臨床開発が必要となる可能性があり、ドラッグ・ロスが起きやすいような年齢層を対象とすべきと考えておりますため、資料内には、年齢の上限については記載しているものの、これに限らないとは考えておりますので、1点補足させていただきたいと思います。
 小児用医薬品の開発につきましては、日本だけでなく国際的にも市場規模が小さいことや治験実施の困難さ等から一般的に開発が進みにくいことと承知しております。こちらについては今、鹿野先生の研究班の中間報告結果でも示されたところです。
 これまでも特定用途医薬品等指定制度の新設や再審査期間の運用の見直し等の対応を進めてきておりましたけれども、さらなる開発促進策が求められてきております。
 今回の検討の方向性としては、先ほど鹿野班からの報告もありました欧米の制度を参考にしつつ、日本の現状を踏まえながら小児用医薬品開発を成人用と同時に進めるための仕組みや、その実効性を高めるための対応について検討をする必要があると考えております。
 3ページ目になりますけれども、ここからは既存制度の説明となりますが、令和元年の薬機法改正に伴い、特定用途医薬品等指定制度を新設いたしました。特定用途医薬品等指定制度は、希少疾病用医薬品等指定制度が馴染まないような品目であっても、その需要が著しく充足されていない用途を指定し、その領域の開発促進をするものとして新設されました。
 この著しく充足されていない用途として小児用医薬品が対象となっており、右枠にございますとおり、優先的な取扱いの対象となっております。
 4ページ目にありますのは、特定用途医薬品の小児の指定要件としてお示ししているものです。御参照いただければと思います。
 5ページ目になりますけれども、この特定用途医薬品指定制度を新設したことから再審査期間延長に関する考え方も整備いたしました。特定用途医薬品指定制度は、その再審査期間が切れてしまっているようなもの等も対象に、ニーズが不足している領域に対して開発を促進するものでございますので、大きくくくりますと小児開発が成人開発から少し遅れてしまっているような品目であっても対象としております。
 一方、早期に開発しているようなものの場合ですと、成人開発にできる限り遅れることなく開発したようなもの、スライド下側にございますように、遅くとも成人効能が承認されるまでにPMDAと開発計画について合意されていて、遅くとも成人の効能の承認後2年以内に治験届を提出されたものに関しては、その品目の成人効能の再審査期間延長を認めるというような取組をしてまいりました。
 6ページ目からが新たな「対応の方向性」を示したものとなりますけれども、左側の「主な課題」につきましては、先ほど鹿野先生の研究班のところでもお話しいただきましたところですので右側の枠について御覧いただければと思います。
 まず1点目、新有効成分、新効能の医薬品については、成人用の開発時に企業判断ではございますけれども、小児用の開発計画を策定し、PMDAが確認する仕組みを設けることはできないかと考えております。
 また、この仕組みに関しましては※印に示しておりますが、効能効果についても必ずしも成人と小児で適応症が同一と限る必要はないと考えております。こちらにつきましては、先ほど林先生から御説明があったRACE法のところを意識して※印の記載をしたものでございます。
 また、左側の囲みに課題がございますけれども、小児用医薬品開発は患者数が非常に少ないこともあり、治験参加者の募集やその上市後においても競合してしまうことで開発の非効率が生じる可能性もございますことから、開発の優先度等を明確にしてみてはどうか。また、この明確化については関連学会等の皆さんと検討しながらその開発の優先度を明確にしてはどうかと考えております。
 7ページ目を御覧ください。
 また、小児用医薬品開発は開発コスト及び治験の効率化を目指して承認申請パッケージに柔軟性を持たせ、今までも一部行われていたモデル・アンド・シミュレーションや海外データ等を利用し、説明できるケースの明確化や、既に発出している事務連絡や通知等の周知を行うことも必要ではないかと考えております。また、新たな機構相談枠の増設も視野に入れてはどうかと考えております。
 さらに、小児剤形についてですけれども、企業が小児に特化した剤形を開発した場合においても、対象患者が少ないことから、当該剤形が採用されずに実際の利用が進まないというような課題がございました。
 こちらについては、本日御参加いただいております中村構成員より資料提供がございましたので、適宜参考資料8を御覧いただければと思います。
 こういった課題に関しても何かしらの利用促進策、例えばこちらに記載がございますように、地域において中心的に企業が開発した小児剤形に対応してくださるような薬局を設置する等の仕組みを検討する事等を進めることができないかと考えております。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、今までの全部の資料も含めまして今後の方向性ですね。事務局がお示しになった概要の方向性につきまして全部まとめて御質問、御意見をいただければと思います。
 それでは、どうぞ。
○小川構成員 まずは質問です。3-2の6ページ目の右側の2行目、3行目のところで、企業が小児用の開発計画を策定しPMDAが確認する仕組みということなのですけれども、ここで言うPMDAが確認すべき内容というのはどのようなことを意図されていますか。
○清田座長 どうぞ。
○事務局 事務局から、補足します。詳細については今後また詰めていくものというふうに認識はしておりますけれども、現在、想定しているものは5ページ目の再審査期間延長の運用のイメージでして、開発計画について合意をするといったところについては今ある機構の相談枠を用いて開発計画の妥当性について合意してもらう。その後に、実際に治験を実施してもらうといったようなところを想定しております。
○松倉室長 事務局から引き続き補足ですけれども、確認というのは基本的にはその治験の計画の中身の妥当性について確認をして助言をするという形を考えております。
 一方で、合意については伺っている御意見の一つとして今、小児の国際共同治験が増えておりますので、例えばアメリカのFDAから言われること、それから欧州のEMAから言われること、それぞれ助言の中身が違っていたりして、企業としてもなかなか全ての規制当局の助言をそのまま100%受け入れることは難しいということも聞いておりますので、そういうところはある程度現実的に、なるべくいい計画にしていくという視点ではありますけれども、現実的にどこまでできるかというところはあるかと思いますので、その辺は多少融通性も残した上での確認という形かなと思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○小川構成員 ありがとうございます。
 意見はまだたくさんありますが、質問は以上です。
○清田座長 では、御意見のほうを先にどうぞ。
○中村構成員 中村です。
 やはりPMDAが今、小児専門の部門がなくて、どうしても小児のワーキンググループがバーチャルなので、漏れ聞くところによると、PMDAの審査部がFDAとのテレカンに出そうと言わない限りは出てこない。
 私は海外に行って一生懸命、早く出してくれたらPMDAとEMAとFDAの中でテレカンで調整するよと言うんだけれども、なかなかそれが実現しないというところがあるので、やはりここのところはPMDAの体制にもはねるのかなと思っています。
 それともう一つ、先ほど参考資料8という話が事務局からあったのでごく簡単に説明させていただきますけれども、参考資料8の7ページ目ですが、用量調節が可能な製剤が医薬品として採用されていても、実際に例えば対象患者、使用量が少なくて残液分が算定請求できないからうちでは採用していません。ほかの成人用に剤形変更していますとか、用時振盪の必要性、微量調剤ができないとか、病棟での管理上、1瓶払い出しができないとか、あとはいまだに一増一減制度というものを厳密に運用している医療機関があるとか、いろいろな理由で小児用製剤がたとえあっても病院で採用されない、あるいは小児用製剤が採用されて、提案では特定の小児医療機関で小児用製剤と書いているんですけれども、そこの薬局に負担がかかってしまう可能性があるんですね。だから、そういったことも含めて検討が必要かと思っています。
 それから、この資料の15枚目なんですけれども、さらっとしか書いていませんが、今、成育医療研究センターの薬剤部が幾つかの医療機関、あるいは大学の先生と検討して、最も処方頻度が高い剤形変更医薬品について剤形変更のやり方をきちんと統一して、バリデーションして、それで5つの医療機関でやってもらって、ちょうど今日採択の論文が通ったという連絡がきたんですけれども、それでやるとそれなりに5つの違う薬局でやってもいい感じで安定して、安定性とかあるというところが出てきていまして、やはり全ての薬で小児剤形を求めるのは不可能なので、成人の剤形をきちんと剤形変更するという薬局にはきちんと加算をするとか、何らかのメリットを差し上げるとか、そういった検討もぜひ必要かと考えています。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 これに対しては何かありませんか。
○松倉室長 今の小児剤形の活用が承認をされても小児剤形がなかなか使われにくいというところに関しては、資料3-2の最後の7ページのところです。右下に「対応の方向性(案)」として書かせていただいております。
 「小児剤形の利用促進策」ということで「地域において中心的に小児剤形に対応する薬局を設置する」ということで、例えば今、専門機関連携薬局のようなものががんの分野ではあります。これは、がんの分野に専門性の高い薬剤師を配置した上で、いろいろな地域の薬局に対しての情報提供とか研修の実施、あるいは薬剤そのものの提供、サービスとか、そういったものもやっていただいておりますが、こういう薬局にがん以外にも例えば小児という区分を追加するとか、そういったこともアイデアとしてはあり得るのではないか。
 ただ、それが実際にうまく機能するかとか、あるいは現状の実態がどうなっているかとか、その辺りの検討などからまずやる必要があるかなと思っております。
 この辺も予算、財源の確保などとの兼合いもありますので、今、方向性として書かせていただいているところまでですけれども、一つのアイデアとしてはそういったことがあり得るかなと思っております。
○中村構成員 ありがとうございます。
○清田座長 ほかにいかがですか。
 どうぞ。
○柏谷構成員 製薬協の柏谷です。
 まず特定用途医薬品ですけれども、制度立てして4年たっていますが、使用されて今度は特定用途として承認されている件数が1件ということがありますので、特定用途に関しては抜本的改革をしない限り前に進まないんじゃないかと思っておりますので、ぜひ御検討いただきたい。
 あとは、ピンクの資料の6ページ目で※印で書いてある2つ目です。「企業による開発計画策定を促すインセンティブについても別途検討」とありますけれども、企業側としましてはこのインセンティブの部分、保険財政もそうですし、再審査期間延長、治験環境の改善等々、こういうインセンティブ全て入っていると思いますけれども、この辺のところを明確にしていただかなければ、なかなか企業としても何がどこまでできるのかがはっきりしませんので、この辺のところはこれの検討に先立ってどういうふうなインセンティブを考えておられるのか、示していただきたいということがございます。
 以上になります。
○清田座長 ありがとうございます。どうぞ。
○松倉室長 まず、1点目の特定用途医薬品指定制度については、確かにまだこの指定要件で承認されたものが1件ということで実績としてはまだ少ない。当初、期待していたほど、まだ活用されていないというのは正直感じるところです。
 それで、その活用が思ったほど進んでいない理由がどこにあるのかとか、どういった改善の可能性があるのかとか、こういったことについては業界の皆様からの御意見とかもよく伺って、どういったことが可能かということを考えていきたいと思っております。
 それから、2点目のインセンティブのところですけれども、御指摘はごもっともかと思っております。基本的には企業判断でということで義務づけまでは至っていないのですが、小児用の開発計画を策定し、PMDAが確認する仕組みということです。
 ただ、それに対して何もインセンティブがない場合、企業がなぜそれを積極的にやるのかというところは当然あるかと思います。
 一方で、このインセンティブについては様々なインセンティブが可能性としては考えられますし、例えば薬価などの議論であれば、これは中医協とか別の会議体で決めていただく必要もありますので、この場でどうしますということはなかなか申し上げにくい部分があります。
 ただ、そういった問題意識は今、御指摘をいただきましたので、省内の関連部局ともよく連携を取ってやっていきたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございました。
 川上先生から御質問があるようですので、どうぞ。
○川上構成員 ありがとうございます。ウェブから川上ですけれども、資料3-2の7ページの「小児剤形の利用促進策」のところでぜひコメントさせてください。
 こういった小児剤形の利用促進などに、薬局や薬剤師が関わっていくことは重要だと考えております。先ほど、がんの専門医療機関連携薬局のことを御紹介いただきましたけれども、例えば地域連携薬局もございますし、地域の薬剤師会が使用頻度の少ない薬剤について一定の在庫や備蓄を持って必要な薬局に対応している事例もあります。小児領域ですと、小児薬物療法認定薬剤師の制度もありまして、そういった領域に強い薬剤師が最近では育成されている背景もあります。
 一方で、薬局にかかわらず医療機関の方にも、「小児剤形が採用されず、利用が進まない」とのご指摘はありますけれども、小児領域や前のテーマのオーファンドラッグについても、対象患者さんが少ない場合に、薬剤の包装形態が実際の医師の先生方の使用量や処方量に合っていなくて、一部の薬剤は使ったけれども、残薬は全て破棄になるケースも我々はよく経験しております。医療機関や薬局側が採用しないから悪いという言い方よりは、その医薬品の大本からの供給体制が本当にこれで良いのかどうかという点からも見直していただいて、メーカーも医療従事者も皆でオーファンドラッグや小児剤形が利用しやすい環境をつくることに努力できればと思う次第です。 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。貴重な御意見だと思います。
 これに対していかがですか。
○松倉室長 ありがとうございます。
 今の供給体制を全体としてどうするかというようなところは非常に大事だと思う一方で、非常に大きな議論が必要だと思っております。特にその薬事制度の範疇を超えている部分もありますので、どういうことができるかというのはなかなか即答は難しいところでありますが、御指摘として受け止めさせていただきたいと思っております。
 それから、すみませんが、1つ前の質問に戻りますけれども、特定用途医薬品のところで、なぜ活用があまり実績として進んでいないかというところの一つの理由を紹介させていただくのが漏れておりました。
 実は、この特定用途医薬品に指定する際には、未承認薬等検討会議という国内で未承認適用外のある医薬品について学会とか患者会から要望を受けて、それに対して医療上の必要性などを評価して指定をしていくというスキームを通しております。そのスキームを通す過程で、どうしても検討に時間がかかっているというのはあるのですが、一方でその学会とか患者会から直接この要望を出していただけるというメリットというか、ほかにはないそういったところもあるかと思っておりますので、そちらとの兼合いなども含めて、どういった改善の在り方があるかというのは考えていきたいと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 中村でございますけれども、小児剤形の件については剤形変更がどの程度されているかという調査をして、その結果を厚労省の幾つかの部署に持っていったことがありますけれども、今のルール上では例えば残薬のところをカバーするということはなかなか保険局としては難しいところですね。
 そういった話が出ていまして、ただ、そこを解決していただかないと川上先生に御指摘いただいたように永久に解決しないので、この会議で解決できるかどうかは別として、きちんと問題提起をしていただかないとやはり小児の医療は立ち行かないのかなと思っております。
 それから、特定用途医薬品制度は、実は会社さんのほうでもまだどれぐらい使えるか、1品目、ファイザーさんだったんですけれども、あの会社も、とにかく出してみてくださいと言って出してみて、会社としても取れると思っていなかったみたいなところがあったんです。
 だから、製薬企業の中でも、まだ取れるかなというところを疑心暗鬼で見ているところもあると思いますので、もちろんこの制度が万能とは思わないです。成人で既に承認されている薬しか駄目とか、それは我々から見たら本来は小児科には、子供には大人と同じタイミングで開発してほしいので、そうはいかないにしても、やはり企業の中でもうちょっとそこを試してみてよとか、あるいは小児医薬品開発ネットワークがせっかくあるのでそこに相談をするとかということを促していただくことも必要かなと思っています。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 眞島先生、どうぞ。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 資料3-1で、「米国の取組み」についての説明、どうもありがとうございました。私どもの小児がんの患者会のほうからは、義務化するということは非常に日本では重要なのではないかという意見が出ておりまして、それぐらいやらないと日本で小児がんのお薬というのは全然届かないのではないかという危機感を皆さんお持ちです。
 先ほど来、製薬企業の方からもいろいろと御指摘はありましたけれども、例えば義務化が駄目ならばそれに取って代わるようなインセンティブというのは何なのだろうか。そういうことも含めてこちらのほうで議論していただければありがたいなと思っておりまして、例えば私どもでドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスに関してのセミナーをやったときに皆さんから指摘されたのは、プライオリティーレビューのバウチャーシステムというのがアメリカにあるんだよと、こういったようなことも出てきておりますので、例えばそれが強力なインセンティブになって義務化の代わりになるのであればそういうこともこちらのほうで検討していただければと思います。
 それから、資料3-1の2ページ目に書かれておりますFDAのPediatric Review Committeeに関して、例えばFDAのほうでは患者会との窓口というのも設けてくださっていまして我々が相談することもできますので、日本のPMDAにもぜひそういうような窓口をつくっていただきたいということを要望しつくっていただきました。それで、皆さんのほうから御指摘がありますように、やはりPMDAでもPediatric Review Committeeというものをぜひつくっていただいたほうがいいのではないかと、私も同感ですのでぜひそれについて検討していただければありがたいと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○鹿野参考人 先ほど御指摘がありましたバウチャー制度を含めてなんですけれども、欧米も先ほど林先生から御説明がありましたように、いろいろ制度を見直して問題点が出てきているところですので、林先生のほうでバウチャー制度の扱いについて御説明いただければと思います。
○林参考人 米国の制度は優先審査バウチャープログラムというものだと思うんですけれども、もともと熱帯病ですね。Neglected tropical diseasesに対する不十分な開発インセンティブを補うという目的で2007年に開始をされまして、FDAが審査した上でバウチャーを授与して、授与された企業はそれを自社の品目で使ってもいいし、他社に販売を含めて譲渡することもできて、買った企業は小児用以外の医薬品でもFDAにそれを出して優先審査を受けられるというもので、もともとは熱帯病だけでしたけれども、2012年に対象が拡大されて小児希少疾患と、それからバイオテロ等の対策のための医薬品にも拡大をされています。
 それで、このプログラム自体はもともと2020年度までのSunset legislationという時限立法で、その後コロナの対策のための法律によって期間は延長されたのですけれども、今のところ期限は2026年の9月までとなっていますので、そこまでしかないというものになっています。
 このプログラムの評価についてなんですけれども、2010年と2012年にWHOが、このときはまだ対象は熱帯病だけでしたけれども、この仕組みが本当に医薬品の開発促進につながるかどうかは明らかでないというレポートを出しております。
 それから、米国の議会がGovernment Accountability Office、GAOという組織にこのプログラムの評価に関する調査をしなさいということで指示をしておりまして、2020年にその結果が出ていますが、その中でこれまでFDAが授与したバウチャーの中身だとか、あるいはプログラムを評価した査読つき論文の調査もやっているんですけれども、やはりバウチャーが対象となる医薬品の開発を促進したという証拠はどうも乏しいようだというのが結論になっています。
 また、この調査の中でGAOに意見を聞かれて、FDAもそのプログラムの運用のためにFDAの他の重要業務が影響を受けてしまうとか、それからバウチャーのためにその優先度が本当に高い医薬品の審査が後回しになってしまうというようなことを懸念しておりまして、米国の話ですけれども、調査した範囲では仮にこのプログラムをリニューアルするにしても、そのFDAの負荷がどれぐらいあるか、もっと正確な評価をする必要があるという意見もありました。
 リソースが日本よりも格段に豊富なFDAですらこのような状況なので、日本でも今後バウチャーをということであれば、米国のものをそのまま持ってくるんじゃなくてどういう仕組みがベストなのか、私も即答はできませんけれども、厚労省とかPMDAのリソースにどれだけの負荷とか、あるいはコストがかかるかもよく見た上でよほど上手に制度設計をしないと、日本ではうまくワークしないんじゃないかという気がしております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
○中村構成員 1つよろしいでしょうか。
 バウチャー制度を十分に御存じない方がいるかもしれないと思うので、林先生から少し補足いただいてもいいでしょうか。
 バウチャー制度というのは、希少難病の薬を開発したらバウチャーをあげるよというのがあって、そのバウチャーをその企業が自分の会社で使うこともできれば、ほかの企業に売ることもできて、もらった会社はどんな薬にでも使えるから、世間から見たらブロックバスターになりそうだけれども、あまり患者さんから見てとか医者から見て大事じゃなさそうなものでも、バウチャーがあると迅速審査しないといけなくなるとか、そういうシステムという理解でいいですか。言い過ぎでしょうか。
○林参考人 まさに今、中村構成員がおっしゃったとおりの仕組みでして、FDAもそういったところをちょっと懸念していていろいろと意見を言っているということが、私がちょっとバウチャー制度について調べた範囲で分かったことです。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○眞島構成員 眞島ですが、バウチャーシステムについて私が聞いた話ですと、バウチャーを売ることによって31ミリオンとか、多い場合ですと200ミリオン、350ミリオンというような形でもってバウチャーを売ることができて、それが非常に企業のインセンティブになっているという話は聞きました。
 日本でそういったようなシステムになるかどうかは別として、やはり企業にとって非常に強力なインセンティブになっているんだなというのが私の印象でした。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
○林参考人 私がGAOの報告書を見たところにもそのことがちょっと書かれておりまして、一応GAOがヒアリングした企業はその開発の決定をする要素にバウチャー制度はなっているんだけれども、本当にそれが決め手になったと言っている会社は、7社聞いているうちの1社しかなかったということが書いてありました。
○清田座長 ありがとうございました。大変勉強になりました。
 ほかによろしいでしょうか。
 どうぞ。
○小川構成員 先ほど質問に続ければよかったんですけれども、小児がん領域におきましては特定用途医薬品の制度というのが事実上はほとんど機能しておりません。それは、成人のがんと小児のがんというのはがんの種類が全く違うということがありますので、その効能効果に対して開発をするという形では特定用途医薬品の制度は全く利用できません。
 それで、先ほど書いていただいて私が質問させていただいたところの新規の分子標的薬等の成分に関しては、成人に対して全く違うがん腫に対して開発されたものであっても、小児がんに対して異なるがん腫でよいので、開発を始めたらそのことをきちんと評価するという制度がここにお書きいただいたように非常に必要だと考えております。
 違うがん腫であっても開発を着手したということ、つまり成人の例えば胃がんなどのがんに対して最終段階に入った段階で、小児に関しては全く違うがん腫に対してでも最近は遺伝子パネル検査で有効性が推測できるようになっていますので、その推測されたがん腫に対して小児がんは数が少ないので、一つのがんに対して開発をするということは恐らく難しいと思いますけれども、まず安全性や用法用量を確認する試験をすることで成人のがん腫とは全然異なるがん腫に対して開発に着手していただいて、ある程度のどこかでエビデンスが出てきたときに速やかにそれを承認することができるような成人の試験と並行した小児の第I相を義務づけるのか、あるいはインセンティブでやっていただけるようにするのかはこの場での議論かもしれませんけれども、そのような体制づくりが非常に重要だと思っていますので、先ほどPMDAの質問をさせていただいたのは、PMDAが確認するというふうに書かれていましたので、確認するとなると、その最終的な出口までのロードマップを確認すると取られてしまいますと、出口がないものに関しての開発はストップしてしまうのではないかという危惧から質問させていただきました。出口を決めなくても、最初に着手したということを評価するシステムが必要だと考えます。
○清田座長 いかがでしょうか。
○松倉室長 今の御指摘も、どのようなインセンティブを設けるかというところと関わってくるかと思いますが、今日ほかの構成員の皆様も含めてインセンティブが重要であるという御指摘を複数いただいたと認識しております。その点は、私どももインセンティブの検討は必要であると認識しております。
 一方で、先ほど申し上げたように、薬価などであればこの会議体ではなかなか議論は難しいところもありますし、あとはインセンティブと言っても1つなのか、複数の組合せなのか、あるいはどれが最も有効性が高いのかとか、そのインセンティブを設けるための財源は確保できるのかとか、いろいろ現実的なところの議論も必要だと思っておりますので、そこのインセンティブの議論は引き続き事務局のほうで検討させていただきたいと思っております。
 それで、今日事務局からお示ししている「対応の方向性(案)」というところについては、今のインセンティブが重要であるという御指摘はいただいておりますけれども、それ以外の部分については特段反対の御意見は今のところいただいていないのかなとは思っておりますが、そういう形でよければこの「対応の方向性」で進めさせていただいた上でインセンティブのところは別途検討させていただくということにさせていただければと思っておりますが。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○柏谷構成員 柏谷ですが、私が申し上げたのはやはりインセンティブのところを明確にしないと企業として何がどこまでできるのかというのは明確にできませんので、今、提案されている内容だけで突っ走ることなく、インセンティブの話は並行して走るべきだと思っておりますので、これだけを認めるということは厳しいと思います。
○清田座長 反対ということですね。
○柏谷構成員 はい。
○清田座長 ほかの委員の先生方はいかがですか。
 では、ここの部分のどこを反対されますか。
○柏谷構成員 インセンティブを別途検討するのではなくて並行して検討して、この成人の開発の、要はここにあるPMDAが確認する仕組みを設けてはというところもやはりインセンティブがはっきりしてからここのところは制度化というか、明確にしたらどうかと思っております。
○清田座長 これに関していかがですか。保険局も絡むと思うので、ここだけではちょっと済ませられないような感じが私はしますけれども。
○松倉室長 今、座長が御指摘のとおり、医薬・生活衛生局では判断し切れない部分もありますし、薬価とかの議論であれば別の会議体でやっていただく必要もあります。
 それで、そこが決まらない限り、こちらの薬事の今日お示しした部分も御了解いただけないということであれば、そこについては決定は後ろのほうにずれてしまう。場合によってはそのインセンティブの議論がどうなるかによって導入が難しいという結論もあるのかなと思うのですが、その点も含めて皆様に御意見を頂戴できればと思っております。
○清田座長 いかがでしょうか。
 どうぞ。
○宮川構成員 もちろん企業の方にも、国に対しても言えることですけれども、インセンティブという言葉の中に、小児の子供たちを救わなければいけないという使命感がなければいけないので、インセンティブがなければできないといったら、それはおかしい話です。
 つまり、社会貢献ということも企業は考えなければいけないし、もちろん国がそのことを重要に考えていただいた上で、企業に対してインセンティブのようなものをかけていくのか。
 そのようなことを考えないと、この検討会は非常に薄っぺらいものになってしまうので、やはり子供をいかに救うのか、皆さんの知恵の中でやっていかなければいけないので、ぜひそこはしっかりと大義として考えていただければありがたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
○柏谷構成員 もちろん企業としてもそのように考えております。
○清田座長 どうぞ。
○柳本構成員 逆に、企業側からどういうインセンティブがあればどこまでできますか。もちろんきれいに切るのは難しいと思うんですけれども、そういうものを俎上に載せていただくこととかは難しそうなのでしょうか。
○柏谷構成員 企業から申し上げても、やはり国としてできることとできないことがあると思います。そこのところは厚生労働省さんと企業と、また話を詰めさせていただきたいと思いますし、企業は一方的にそのインセンティブに関して御説明するということはできないと思います。
○清田座長 眞島先生、どうぞ。
○眞島構成員 今インセンティブの話が出ているんですけれども、1つ質問なのですが、義務化に関しては前向きに検討するという方向で考えているということでよろしかったのでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○松倉室長 今日お示しさせていただいた案は、あくまでも企業の判断でやっていただくということで、義務づけまでは求めていないという形の案を提案させていただいております。
 これについては今日、研究班から海外での調査結果などをお示ししていただきましたが、やはり義務づけをしていても実際には免除とか猶予されているものが結構多くて、義務づけをすれば単純に開発が進むというものでもないかなと受け止めております。
 また、実際に国内で開発を進めていくためには先ほどのインセンティブの議論もありましたが、それ以外にも治験のしやすい環境とか、様々な要件が必要になってくるかと思っておりますので、そういったものが整っていない段階で義務づけを行った場合には、今ドラッグ・ロスの拡大が指摘されているような状況の中で単純に義務づけだけを行うと、やはり日本での開発コストの上昇ということから、日本の市場自体を忌避するというおそれもなくはないのかなと思っておりますので、まずは任意の制度とした上でどのようなインセンティブがあり得るかというのを考えていくという形で提案をさせていただいています。
○眞島構成員 御説明ありがとうございます。
 そういうことであれば、先ほど林先生のほうからも御指摘があったのですけれども、義務化されたところではバウチャーシステムは有効ではないという話もあったかと思うのですが、義務化ではなくて任意なのだというところであれば、やはり様々なインセンティブについて検討していただいて、それを俎上に上げてこの中で議論していただければありがたいと思いますので、ある程度リスト化されているかとは思うのですけれども、まずそれについてもう一度御検討いただければありがたいと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうしましょうか。これについては、ほかのところと連携して。
○医薬品審査管理課長 繰り返しになりますけれども、セクショナリズムなことを言うつもりはないんですけれども、どうしても我々として検討できる範囲はあります。
一方でインセンティブを我々は同時並行で検討するのはやぶさかではありませんし、もちろん検討したいと思ってはいます。ただ、今ここで提案しているものをまずは一旦それを止めて、そのインセンティブを検討してからだという御提案かと思いますが、それはそれで、もし、皆さんが御納得されるのであればそれでも構わないと思っていますけれども、その一方で、同時並行で検討ということも全然問題ないというか、我々としては、やるつもりではいることは申し上げます。
○清田座長 どうですか。
○柏谷構成員 私は主張を明確にしていますので、あとの先生方、構成員の方の御意見を。
○清田座長 では、取りあえず大枠は御承認いただいて、このインセンティブの部分につきまして保険局などを含めていろいろ絡んできますので、この会議が進むごとに御報告いただくということで御納得いただけますでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。では、その点につきまして大枠は御了承いただけたと。
 どうぞ。
○花井構成員 大枠はもちろんそれでよろしいのですけれども、今日は開発のところでの議論はここに入るのか、今後議論するのか分かりませんが、治験の中身ですね。例えば今、承認制度でも多分再生医療等製品であればかなり少数の症例で仮免許みたいな、要するに有効性の推定と確認というグレーな行政用語があるのですけれども、緊急承認でもかなり議論のあった話なのですが、実際には症例が集まらなくて難しい場合にかなり限定した開発でも、それは確認なのか、推定なのか、もし推定となったら立てつけ上、何か再生医療等製品とか緊急承認制度のような違う承認の形を案出するのか、今のいわゆる条件つき承認で例えばRMPとか承認条件で一定程度やることによって割と限りなく有効性の推定に近い確認みたいな中身ですね。そこはあまり議論がなかったので、それは今後議論する余地がありますか。
○清田座長 どうぞ。
○松倉室長 ありがとうございます。
 今日、資料1の中で今後の検討事項というのを一覧でお示しをさせていただきました。資料1の11ページがそれになりますけれども、この中で左下の「臨床試験」の枠の中で日本人データの必要性というところを整理したいということを申し上げました。これは御説明したとおり、国際共同治験に入る前にまず日本人でのフェーズ1が必要なのかという論点と、あとは承認するタイミングで日本人での検証的試験の結果が必要かどうかという大きく2つの論点があると思っています。
 今の花井構成員の御指摘は2点目のほうに近いのかなと思っておりまして、特に患者さんの数が非常に少ない等で治験の実施が難しい病気において日本人データをどこまで求めるのか、海外での検証的試験があれば日本人データは必要ないとするのか、ある程度の条件を付して承認するということができるのかとか、その辺りはこのテーマの中で議論させていただきたいと思っております。この点は必ずしも小児だけではなくて、治験の実施が難しい小児以外の病気についても対象になり得ると思っております。
 以上です。
○花井構成員 分かりました。ということは、ここが議論されれば、逆に言えば小児の開発環境も向上するという理解ですね。ありがとうございます。
○松倉室長 すみません。ちょっと説明が誤解を招いたかもしれないのですが、資料3-2の中でも最後の7ページの右側の「承認申請パッケージの柔軟性」というところで、モデル・アンド・シミュレーションの方法とか、海外のデータ、文献情報などを使って有効性・安全性を評価できる場合があるのではないか。どういう場合にそういうことができるのかということを整理したいと考えておりますので、この小児の切り口においても別途そういう日本人データ、国内データがどこまで必要かということの整理はしていきたいと思っております。
○清田座長 そういう理解でよろしいでしょうか。
○花井構成員 分かりました。承認といってもドーズだけで何とかなる問題とか、全然がん腫が違うとか、やはりいろいろバリエーションがあって一概に言えないとは思いますので、またそれは後の議論で詰めていただけたらと思います。
 特に安全性についてはやはり譲れない部分はあるので、例えば論文とか書いていても、論文が1つ出たからいいというものではないとか、いろいろあると思うし、それはまた細かい話ですので事務局で詰めていただけたらと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 どうぞ。
○永井構成員 今お話の中で出た「承認申請パッケージの柔軟性」ということで、こういうことが目に見える形になってくるとやはり開発コストの点では非常にメリットが大きいのではないか。
 臨床薬理的なアプローチの活用、つまりモデリング・アンド・シミュレーションですけれども、このことに関連して、私は令和2年の事務連絡を見させていただいて非常に有用な文書だと感じております。
 その理由は、ICHのE11Aですか、Pediatric Extrapolationが国際的に動いています。この中で成人とか年長の小児の有効性をいかに年少、特に臨床評価がしにくい年齢層に外挿していくかというコンセプトになっているんですね。ですから、そういう観点からいうと、この令和2年の文書は非常に有用でこの文書をもっとアップデートしていただきたいと思います。
 鹿野先生の研究班の御発表でもあったとおり、知られていないんだなというのはちょっと残念な気持ちがしました。ですから、情報発信していただきたい。
 アップデートしていただきたいと思ったのは、近年FDAでモデリング・アンド・シミュレーションを使って、特にてんかん領域ですね。部分発作のてんかん領域ではガイダンスが出ています。それで、昨年の公表論文では、1か月の乳幼児まで有効性の外挿ができる、つまり血中濃度の情報を活用して小児の適応を決められる。
 ですから、血中濃度の情報を基に小児に使用できる疾患が増えてくるようになっていく、そうすると承認申請パッケージの柔軟性ということでは、開発の上でもコストの面でもメリットはとても大きいと思うんです。ですから、こういった流れを促進していただいて、FDAとEMAはこういう議論をすごくしていると聞いておりますので、当然このICHの流れの中でPMDAの審査員も一緒に議論はされていますから、一緒にこういうモデリング・アンド・シミュレーションの効果的な活用をグローバルに統一していただけるというのが良いと思っています。
 それと同時に、この文書はアップデートしていただきたい。令和2年の事務連絡はこういった活用ができる疾患領域について、疾患経過を成人と小児でしっかり議論していただく。医者の方、それから様々な分野の方で、疾患、臨床的な経過と、あとはE11Aのモデリング・アンド・シミュレーションの効果的な活用ですね。目に見える形でこれから取り組んでいけるのではないかと思いますので、ぜひそういった方向、承認申請パッケージの柔軟性ですね。これができないものはやはり従来どおりというか、有効性の確認をしていただくようなことが必要で、その際には先ほどの花井構成員のお話にもあったような推定とか、そこはまた別の議論にはなるかと思うのですが、このE11Aコンセプトが活用できるものであれば、承認申請パッケージがかなり目に見える形で整理していけるのではないかと思います。
 長くなりましてすみませんが、以上です。
○清田座長 どうぞ。
○鹿野参考人 ありがとうございます。
 今日はあまり詳細は御紹介しなかったのですけれども、アンケートの中で出てきた印象として、小児の医薬品の開発をやった会社は日本では決して多くないわけです。そうすると、regulatory requirementというのは何をどこまでいつの段階で求められるかというのが分からない不安感というのを結構持っている会社が多いんだなという印象はあります。
 ですので、今のこういうやり方があるよという文書として明示するということと、あとは承認に至るまで最低限何が必要かという花井構成員がおっしゃったようないろいろな制度的な問題とか、そういうものを含めて具体的にもっと出していかないと、恐らく企業側はどこから何に手をつけていいか分からないのかなという印象がございました。
 ですので、これから審査に関するいろいろな考え方については整理と文字化をやっていただく必要があるのかなという印象です。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 事務局から何か補足はございますか。
○松倉室長 ありがとうございます。
 こういった国際的な考え方を日本もそのつくる過程で参加をして、また出来上がったものを実装していくということは非常に大事だと思います。今、御指摘いただいたICHのE11Aについては間もなく実装というフェーズになってくると思いますので、その辺りはしっかり対応していきたいと思っております。
 また、10歳から12歳のところを合わせて評価する事務連絡については、今アップデートという御指摘がございました。具体的などういった観点でアップデートしたらいいのか、先生の御意見も伺いながら検討させていただきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、ほかにないようでしたらそろそろお開きにしたいと思っていますが、よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、本議題につきまして先生方からの御意見、御質問は承って、基本は大枠合意ということにさせていただきたいと思います。
 本日の検討会は以上ですけれども、事務局から何か報告がございますでしょうか。
○松倉室長 活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
 次回の検討会の日程につきましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○清田座長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。
 ありがとうございました。