2023年7月25日第31回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

1.日時

令和5年7月25日(火)14:00~16:30

2.場所

対面及びオンライン会議(東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンス)

3.出席者

4.議題

  1. 1.関係団体ヒアリング3
  2. 2.その他

5.議事

○伊藤障害福祉課長 定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」第31回会合を開催いたします。
 関係団体の皆様、アドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、アドバイザーの皆様にはオンラインまたは会場にて御参加いただいております。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本日のアドバイザーの出席状況ですが、有村アドバイザーは所用により御欠席となっております。
 構成員の出席状況ですが、江口企画課長は別の公務のため、遅れての出席となります。
 本日は、団体の皆様からのヒアリングを行うため、関係団体の方々にお越しいただいております。ヒアリングは1団体ごとに入れ替わりで行いますので、団体名、御出席者名につきましては、各団体からのヒアリングの際に御紹介します。
 本検討チームの議事は公開とし、審議内容は皆様に御確認いただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載する予定です。
 議事に入る前に、資料の確認、会議の運営方法、段取りを確認させていただきます。
 資料については、オンライン参加のアドバイザーにおかれましては、電子媒体でお送りしている資料を御覧ください。同様の資料をホームページにも掲載しております。
 本日の資料は、議事次第、それから、ヒアリング資料の1から8として本日の各団体の方から事前に提出いただいている資料をつけております。参考資料が1つあります。
 ヒアリングの進め方について確認させていただきます。
 ヒアリングは1団体ごと、まず、団体からの御発言を8分間行っていただきます。4分を経過した時点でベルを1回、8分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、速やかに意見をまとめていただきますようお願いします。
 団体からの御発言の後、アドバイザーの皆様からの質疑応答を行います。質疑応答は7分間です。
 御発言される場合は、現地で出席いただいている場合は挙手、オンラインで御参加いただいている場合はZoomの挙手ボタンを押してください。発言者はこちらから指名させていただきますので、指名された方は御発言をお願いします。
 なお、毎回ではありますが、ヒアリングに当たっては、5月22日の検討チームでお示しした4つの視点、それから、アドバイザーの皆様から御助言いただいた観点も踏まえて資料を用意いただき、基本的には概要版に沿って御発言をお願いします。
 4つの視点を紹介します。
 1つ目は、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策、評価方法です。現場の事業所等における支援の実態、効果を踏まえつつ、お願いします。
 2つ目は、地域において利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための質の高い人材の確保を含めたサービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策です。
 3つ目の視点は、障害福祉サービス等に係る予算額が障害者自立支援法施行時から3倍以上に増加し、毎年1割程度の伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策です。
 4つ目の視点は、ICT活用など業務の負担軽減・効率化に向けた課題、対処方策です。
 以上の4つの視点を踏まえた御説明をお願いします。
 なお、本日は手話通訳及び要約筆記を行っておりますので、御発言の際はできるだけゆっくり分かりやすくお話しいただきますようお願いします。
 早速ですが、ヒアリングを開始します。
 最初に、特定非営利活動法人日本失語症協議会より、園田尚美様、進藤美也子様、よろしくお願いします。
○日本失語症協議会 本日は、このような機会を頂き、ありがとうございます。
 私ども、日本失語症協議会から参りました、代表をしております園田と進藤でございます。二人とも失語症者当事者の家族でございます。患者、家族を代表いたしまして、本日、ヒアリングを受けさせていただきます。
 では、概要です。
 失語症はいろいろな制度の中のはざまに陥っているということがあるのですけれども、今回は、失語症のある人の機能回復についてを重点的に書き留めてまいりましたので、御理解いただきたいと思います。
 失語症の回復には約3年の期間が必要と言われておりますが、現在、回復期病院では180日の言語リハビリテーションしか実施されておらず、機能の回復途上での退院となります。上下肢麻痺のない失語症の方にとっては、回復期病院への転院もできない方もおり、また、身体障害者手帳の等級も3級、4級しかないため、失語症があっても手帳を取得できず、在宅生活に至り、引き籠もる場合が多いという認識がございます。
 次に、就労や社会参加に必要な自立訓練(機能訓練)の認知についてです。介護保険第2号被保険者は、回復期病院退院後は、介護通所サービスではなく、障害福祉サービスの自立訓練(機能訓練)事業所で機能を回復させ、就労や社会参加に有効なリハビリテーションを受けられることがあまり知られておりません。
 介護保険認定を入院中で取得されることに反して、退院後、障害者サービスを受ける受給者証取得までには身体障害者手帳も必要ですし、時間がなかなかかかり過ぎる。介護保険というのは入院中に認定ができますが、障害者サービスを受けるには退院後相当な時間が必要とされます。
 病院関係者、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネジャー、計画相談員などが、高次脳機能障害、主に失語症に関して社会参加には自立訓練(機能訓練)が有効であり、 必要不可欠な訓練であることの認識がないように思われます。
 自立訓練(機能訓練)事業所の実態は、地域で生活しながら受けられる機能訓練事業所は報酬が成果主義であるため、経営が困難を極めております。自立訓練(機能訓練)サービスを持続可能とするために、早急な報酬の体系の見直しが必要であると存じます。
 また、共生型サービスの実施は機能訓練にとって必要であると思っております。ただ、その経営形態、加算状況など、実態に合わせたものに改善し、患者、事業所、家族にとって有利な方向にする必要があるのではないかと思います。
 概要はこのとおりでございます。
 では、詳細に触れさせていただきます。障害福祉サービスの利用に関しましては、身体障害者手帳(精神保健福祉手帳)だけではなく、障害支援区分によるサービスの支給、あるいは医師の診断書だけでもその利用をするように決定していただきたいと思います。特に失語症に関しましては、障害者手帳認定が3級と4級しかないため、手帳を持たない失語症者も数多く、リハビリテーション難民が社会にあふれております。そのため、就労や就学、社会参加を諦めざるを得ない人が多くいます。手帳を持たない軽度の失語症者こそ、就労や社会参加の必要性が強く求められております。現在、手帳を持たないために障害者就労もできず、運よく一般就労が可能となっても仕事ができないという問題もあり、就労は継続しないというのが現状でございます。機能訓練等障害福祉サービスを失語症のある方が誰でも使えるような状態にしていただきたいと思います。
 また、失語症の回復の本来あるべき道筋は、回復期の病院退院後、第2号被保険者の場合は特に機能訓練の必要性や適合性を考慮して、退院直後に特定相談支援員のアセスメントを進める必要があり、その結果、障害福祉サービスが必要であるのか、この人は介護保険サービスで間に合うのかを判断すべきであると存じます。やはり皆様方が、機能訓練の大事さ、必要性を理解・認識し、失語症の方々が自立した社会生活を送るために自らが回復訓練に努力し、社会に旅立つようなシステムを認知していただきたいと思います。
 機能訓練でございますが、現在、期限が1年半となっております。しかし、これは全ての障害を通して1年半となっており、例えば失語症の方で上下肢麻痺のある方が手足の機能訓練をした後に言語の機能訓練をしたいと思いましても、そこで例えば1年を上下肢麻痺の訓練に使ってしまった後、言語訓練は半年しかできない、そんなことがございます。機能訓練自体がその障害箇所によって、上下肢麻痺は1年半、そして言語機能訓練も1年半できるというような、障害別に設定していただければ幸いに存じます。
 また、共生型サービスの報酬形態に関してですが、事業採算性を十分に考慮していただきたいと存じます。障害福祉サービス事業所が実施する場合には、障害福祉サービスの報酬体系に準じることが共生サービスの普及に必要ではないかと拝察いたします。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、今の御発言に対し、アドバイザーの皆様からの御意見、御質問をお願いします。小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー 制度の谷間にあるのだということを改めて認識しました。私のほうから、この分野はあまり詳しくないので改めて知りたいのですけれども、介護通所サービスですが、「介護保険2号被保険者の場合は」と書いてあって、そうすると、介護通所サービスではかなり不十分だという認識をしていいのかどうかが1つ目です。
 2つ目は、自立訓練(機能訓練)の拡充ということなのですけれども、私のイメージだと、自立訓練(機能訓練)はかなり幅広い障害、さっき最後におっしゃっていた失語だけではなく運動障害やその他もろもろ、そうすると訓練の仕方も、逆に言うと失語の方も肢体不自由の方も両方併発していると思いますので、一緒にされているのかどうかが分からなくて、提案ですと、それぞれ別々に期限が来てしまうみたいな、その辺りを教えていただけたらと思います。
 以上です。
○日本失語症協議会 御質問ありがとうございます。
 失語症の機能訓練には、言語聴覚士というセラピストが従事することになっております。介護保険の事業所には言語聴覚士がなかなか配置されておらず、言語聴覚士のニーズも少なくございますので、介護保険のデイサービス等には言語聴覚士がいないということと、介護保険のデイサービスは御高齢の方が多くいらっしゃいまして、たとえ言語聴覚士がいても、嚥下障害のほうに集中的に配置されているということが多うございます。
 一緒にするということは、言語訓練というのは集中的に1年半することがとても大事だと思います。もちろん、事業所の中に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士あるいは柔道整復師などが配置されることは理想的ではございますが、やはり人件費がとてもかかりまして、それこそあまり知られていない機能訓練事業所、機能訓練という場所に多数のセラピストを雇用するというのがなかなか難しく、もちろん保険のサービスの障害福祉サービスを実施するに当たり、6名に対して1人という基準を守るということは、言語の訓練というのは社会性をとても重視しますので、グループで訓練して、そして個別性がとても高いものですから、個人訓練をするということになりますと、多くのセラピストを雇用するというのは金銭的にとても難しい状況にあると思っております。
○小澤アドバイザー なるほど、よく分かりました。若年性脳卒中の方などをイメージすると、両方併せて並行してやらなければいけないのではないかと思って聞いていたので、分かりました。ありがとうございます。
○日本失語症協議会 ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 オンライン参加のアドバイザーの皆様はいかがでしょうか。石川アドバイザー、お願いいたします。
○石川アドバイザー 神奈川県秦野市役所の石川と申します。よろしくお願いいたします。
 失語症の方の問題を解決するための体制というものがまだまだ課題があるということを改めて実感いたしました。私は介護のほうの分野にいた経験がありますので、感じているところなのですが、言語聴覚士の方は介護の分野でも少なく、障害の分野でもそんなにたくさんいるような印象はありません。外来での訓練というものが実際にどのようになされているのか、障害の分野でも報酬等をどのように充実させると、言語聴覚士の方がもっと失語症の方向けのグループ別訓練ができるようになるのかなど、十分にイメージできていないようなところがあります。実際に失語症を抱えていらっしゃる方への支援をどのような形で行えば改善できるのか、実情を教えていただけたらと思いまして質問させていただきました。
 以上です。
○日本失語症協議会 御質問ありがとうございます。
 実は、回復期病院を退院した後、病院によっては外来で週1回とか2回とか、2単位ぐらい、40分ぐらいですが、回復訓練をしてくれる病院もございます。ただ、なかなか少のうございまして、みんながみんな外来で言語訓練するという幸運には恵まれておりません。
 また、こう言ってはなんですが、病院の言語聴覚士の訓練は1対1という訓練になります。もちろんそれも必要なのですけれども、失語症の方が社会参加をする、つまりコミュニケーションというのは、専門職と当事者と1対1で、例えば絵カードとか、そういうものだけをやっていては社会性がつかないということが感じられます。したがって、多くの場合、グループでまとまって、機能訓練事業所などはグループ訓練を重視しまして、失語症の方同士の、例えばディベートをやる訓練とか、自己紹介でも毎日変えてやるとか、それに対して質問をし合うとか、当事者同士の社会性を含んだ言語訓練、例えばニュースを読んで、それに対して自分の意見を言ったり、それに対して質問をしたり、このニュースはどうだったか、そういうふうな集団の訓練をとても重視しております。もちろん失語症は、個人個人、百人百様異なりますので、その方の失語症の程度に沿った個人訓練を必要とするということに重きを置いております。
 この方がこの先、1年半の機能訓練を終えてどこに行くか、例えば就労継続支援に行くか、B型、A型に行くか、あるいは一般企業に行くか、そういうのもそこの管理者とともにモニタリングを繰り返して、御家族と御一緒に相談して、本人の意思を尊重して、つまり、本人が自分の意思を発話できるまでと言ったら変ですけれども、自分の意思を表現できるまでに成長していきたいという目標を持って訓練を重ねているというのが現在の機能訓練事業所です。御質問に合っているかどうか。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
 障害の事業所の中で、このような個人支援とグループ支援というものを組み合わせて実際に効果を上げている例があるのであれば、失語症の方はかなりたくさんいらっしゃると思いますので、そのようなプログラムが必要に応じて提供できる体制をもっと広げていけるようにしていく必要があるかと思います。先進的な形で効果を上げている例をお示ししていただいて、全国的に広げてくことがとても重要であると改めて勉強させていただきました。ありがとうございます。
○日本失語症協議会 ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 時間の関係もございますので、最後に岩崎アドバイザーからお願いいたします。
○岩崎アドバイザー お話ありがとうございます。
 私のほうでお聞きしたいのは、5番目のところで障害福祉サービスの特に機能訓練の事業所は、報酬が成果主義であるため、経営が困難を極めているとおっしゃっていただいているのですけれども、特に機能訓練の事業のほうが経営が困難になっているという事情について、もうちょっと詳しく教えていただきたいと思って御質問させていただきました。よろしくお願いします。
○日本失語症協議会 御質問ありがとうございます。
 機能訓練の事業所は、一応、少人数の基準として、小規模、中規模とあるのですけれども、最低が20人ということで決まっておりまして、その20人の機能訓練をする場所は平米数もそれに応じて広く必要で、そういうところを借りて事業をするわけです。事業所の集まりでもお話しし合ったことがあるのですけれども、半数の10人いればいいほうで、大体7~8名が平均的だということで、訓練事業所の家賃を払ったり、人件費、つまり7~8人いても、セラピストは3名、4名必要なわけで、さらに看護師が必要で、あとはサービス管理責任者が必要配置とされておりますので、人件費、家賃、とても経営というか、7~8人、せいぜい10人程度の通所者の保険の報酬では賄い切れないという悲鳴を皆さんが上げていらっしゃいました。やはりそういう意味では、基本の料金を定めていただき、料金の補助を頂ければありがたいという話でございます。
 すみません。ちょっと言葉が乱雑になりました。
○岩崎アドバイザー 御説明ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 それでは、お時間が参りましたので、日本失語症協議会の皆様、ありがとうございました。
○日本失語症協議会 ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国身体障害者施設協議会より、三浦貴子様、井上明秀様、よろしくお願いいたします。
○全国身体障害者施設協議会 全国身体障害者施設協議会で制度・予算対策委員長を務めている井上でございます。本日は、副会長の三浦と2人で提案させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、2ページを御覧ください。本協議会の概要を説明いたします。本協議会は、重度の身体障害者への支援を中心に行う障害者支援施設等を会員とする全国組織です。北海道から沖縄まで全都道府県にあり、会員施設数は517施設、2万1408人の常勤換算職員が2万4830人の利用者の支援を行っております。平成15年に制定した倫理綱領に基づき、「障害者の権利に関する条約」の締結当初から理念を遵守し、昨年の総括所見の要請を受け止めて活動を進めております。
 本会の掲げる基本理念は3つです。
 1つ目は、最も援助を必要とする最後の一人の尊重です。利用者の多様化、障害の進行や重度・重複化に対応して、ケアの質を高め、適切なケアに取り組んでおります。
 2つ目は、可能性の限りない追求です。多職種が連携して、利用者の自己実現を果たすために、24時間365日の支援を行っております。
 3つ目は、共に生きる社会づくりです。施設が培った専門性・経験・技術を地域で役立て、まちづくりに積極的に関わり、支援拠点、発信拠点となるように努めています。
 3ページは、そのイメージです。本会では「身障協が考える地域共生社会 ケアコミュニティの実現に向けて」をまとめました。その中で「ケアコミュニティ」という言葉を、誰もが互いを大切に思い合い、誰も排除されない相互関係によるケアにあふれたコミュニティと考え、福祉に限らず、企業・住民・行政・教育・医療等がつながる町ができることを目標としております。
 4ページを御覧ください。ここからは、目指す障害者支援施設になるために必要なことを御提案いたします。
 時間が限られているため、5ページ以降の説明は割愛いたします。提案に関するデータ等もつけておりますので、後ほど御覧ください。
 提案は3つです。
 1つ目は、質の高いサービスの持続に関することです。施設では重度の利用者を多く受け入れています。半数は重複障害の方、人工呼吸器の管理を必要とする方は56施設に103人、経管栄養を必要とする方は360施設に2201人、吸引を必要とする方は289施設に1357人と、医療的ケアが必要な方も多くいます。そして、8ページにお示ししているように、利用者1人当たりへのケアの量は昼夜を通して大きな差がないという結果が出ています。このような中、土日勤務や夜勤など24時間365日対応を実現する人材の確保・定着は大きな課題となっております。
 視点1のためには、福祉・介護職員処遇改善加算等の「障害者支援施設が行う日中活動系サービスに係る例外的な取扱い」に基づく加算率の維持と継続は必要不可欠です。また、人材確保・定着は、視点3に係る持続可能な制度の実現にもつながると考えます。加えて施設では、視点4に向けて、福祉機器やICTの活用に積極的に取り組んでいます。安全・確実に運用するために、マニュアルの作成、効果検証、メンテナンス等附帯業務や、機器の使用に伴い、ケアにかかる時間を要することにも御配慮いただきたいと思います。私たちの仕事は、人がいてこそ成り立つと考えております。1つ目の意見は、より強く要望いたします。意見の根拠となる詳細は5ページから8ページに掲載しております。
 2つ目の提案は、障害の進行、重度・重複化への対応に関することです。本会利用者は、障害支援区分6の方は67.5%、50歳以上が78.8%で、障害の進行や重度・重複化により、日中の通院対応等の頻度は多くなっています。その実態としては、1回当たりの平均通院対応時間は147分、対応職員は1.8人です。月の平均通院回数は14.2日です。このことによって通院対応中は施設では人員が少ない中でケアが行われております。このような実態に応じた評価が進むことで視点2がより一層進みます。具体的な意見は、通院対応を評価する加算の新設等5点です。意見の詳細は9ページから18ページに掲載いたしております。
 3つ目の提案は、自己実現を支援する仕組みの整備に関することです。本会が考えるケアコミュニティの実現、まちづくりが進むことによって、福祉に関する予算だけでなく他の予算も使いながら、障害児・者の自己実現を進めることが可能になり、視点3の実現にもつながると考えます。具体的な意見は医療的ケア者の評価等4点です。意見の詳細は19ページから24ページに掲載しております。
 最後に、その他として、これまで要望してきた事項を25ページから26ページに掲載しております。
 私からの提案は以上でございます。
 以下、引き続き、副会長、三浦より意見を述べますので、よろしくお願いいたします。
○全国身体障害者施設協議会 補足と質疑応答担当の三浦です。よろしくお願いいたします。
 まず、4ページ目の(2)の喀たん吸引等を行う職員の配置の評価です。喀たん吸引等を行うために9時間から50時間の座学と演習を受けた職員が約半数おりますが、その体制評価がなく、今後も医療的ケア児・者を受け入れていくための体制を強化するために評価をお願いしたいというところでございます。
 それから、(3)に「医療的ケア者の評価」と書いております。これは、医療的ケア児と同様の基本報酬設定にということをお願いしたい。既に成人期を迎える医療的ケア児を生活介護で受け入れていくために整合性を図るということが極めて重要と考えております。
 そして、厚労省のほうからヒアリング資料のために、視点1、2、3と頂いたのですけれども、視点1に沿いますと、より質の高いサービスを提供していく上での課題、対処方法、評価方法といたしましては、資料2ページの真ん中辺りでございますが、適切なケアの指針として、身障協ケアガイドラインを12年ほど前に策定し、改定を重ねながら研修を続けております。また、身障協認定制度(QOS~身障協が求めるケアの質~)という評価票を完成して今年から導入の予定です。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、御発言に対し、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。会場から、小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー 説明ありがとうございました。
 私のほうで確認したいことがあります。4ページ目の3番目「自己実現を支援する仕組みの整備」に「グループホームでの重度の身体障害者の支援体制強化」とあるのですが、この意味は、バックアップ施設、そういう意味合いの話なのかどうか。それと関連して「地域生活支援拠点の報酬上の評価」も同じような意味で、要するに、あくまで施設協議会からの御提案ですので、地域を支える施設、そんなイメージを持っての提案なのかどうか、そこが知りたかったのです。
 以上です。
○全国身体障害者施設協議会 御質問ありがとうございます。
 まず、質問1点目のグループホームでの支援体制強化は、現在、経過措置になっておりますホームヘルプの個人利用を恒久化していただきたいということです。今のグループホームの配置基準では、私ども、区分6の方が67%以上おられて、かなり濃厚なケアを必要とするので、グループホームで暮らせません。地域移行への道を確保するためのものと、おっしゃっていただきましたバックアップも緊急時は本体施設から助けに行っているというような実態がありますので、検討していただければと思います。
 それから、地域生活支援拠点の機能強化は私たちからも要望しているところなのですけれども、報酬上の評価が緊急時受入れのショートステイのみでございます。ベッドも保障しなければなりませんし、また、専用の職員も必要ではないか、ここが障害者支援施設が今後どのように地域のお役に立っていけるか、存在を認められていくかという大きなポイントだと思いますので、拠点としての機能強化のために保障をお願いしたいというところです。
○小澤アドバイザー 分かりました。ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 次に、田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー どうもありがとうございます。アドバイザーの田村正徳でございます。貴重な御意見ありがとうございました。
 医療的ケア児が今、急速に増えておりますので、この子たちはいずれ医療的ケア者として皆さんのお世話になることと思います。今回の4ページの(2)に関係しますけれども、11ページで、医療的ケア児・者の受入れ体制づくり、喀たん吸引などが必要な利用者に対するケアができる、そういう職員の研修をいろいろしているけれども、時間と費用を要するのに、それに対する加算がついていないので、加算を希望するというふうに出されております。医療的ケア児の場合は看護師の加配加算というのがありますけれども、看護師の加配加算に比較したときに、こういう喀たん吸引などを行う職員をつけた場合の加算というのは、それは実際にそういう職員を育てるために必要な時間と費用というところを根拠とした場合に、どのくらいが妥当だとお考えでしょうか。御意見をお聞かせ願えれば幸いです。
○全国身体障害者施設協議会 ありがとうございます。
 加算の金額までは私のほうで想定できないのですけれども、できますれば体制加算という形を取っていただきますと、喀たん吸引を行える職員が何人以上いて、看護師ももちろん加配も含めて体制を取っていれば、これから恒常的に医療的ケア児・者を受け入れていけますので、その体制をつくるための加算を求めているところであります。
 また、その隣のところには常勤看護職員等配置加算IVの新設も要望しておりまして、今、3までは加算があるのですけれども、4人以上配置しているところが半数以上です。また、それだけいらっしゃらないと、栄養の胃ろう等への対応も含めて、実は喀たん吸引の職員も必要だし、看護師の加配も必要、夜間看護体制をつくらなければいけないという3本柱でございまして、これらを併せて体制として要望したいというところであります。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続きまして、石津アドバイザー、お願いします。
○石津アドバイザー 石津でございます。丁寧な御説明と貴重な御提案をどうもありがとうございました。
 私からは、福祉機器とICTの活用のところについてお尋ねさせていただきます。頂いております資料の18ページでございますけれども、こちらに福祉機器とICTが職員の定着につながっているということで6項目の事例を挙げていただいておりまして、分かりやすくおまとめいただいていると思います。この表の下のほうにマル2で施設の対応というところがございますが、これらの記載は、かえって負担増を招くということでお書きになっていらっしゃるという理解でよろしいのかどうかということがお尋ねしたい1点目です。
 もう一点は、ICTは利用者にとっての有用性という視点での導入意義も大きいと思っておりますので、そういった意味での活用例、あるいは逆に導入のデメリットというか、留意点ということもあると思いますので、そういったことについても教えていただけますでしょうか。
○全国身体障害者施設協議会 御質問ありがとうございます。
 18ページのところの御質問ですけれども、実は福祉機器を導入して、全てがその機器だけで解決する問題ではなくて、その機器を利用者の方の安全を確実に確保しながら、というのは、人手で行うより機器を利用するほうが事故が起こった場合の事故の大きさのレベルが違いますので、安全に行うための研修が必ず必要で、附帯する様々な準備が要るということを申し上げております。なお、ノーリフティングケアの考え方はほぼ全施設に浸透してきていて、特に利用者の方々のお体が楽になっている、拘縮とかが起こりにくいというような事例も含めて、そちらのほうのケースもたくさんございます。
 なお、職員定着につながっている例としましては、高齢者雇用を続けている施設が多いのですけれども、60歳以上の方々が体を傷めずにケアを継続できる、そのことが大変大きな効果かと考えます。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 時間の関係で、最後に石川アドバイザー、お願いいたします。
○石川アドバイザー 福祉事業所の職員の実情が分かる発表をありがとうございます。
 障害のサービスの質を上げていくという意味でも、相談支援事業所の役割が重要だと思っているところです。4ページの(3)の「自己実現を支援する仕組みの整備」の中に「相談支援事業の基本報酬の増額」と書かれていますが、この基本報酬というのは、相談員の専門、経験、そういったもの抜きに全て基本報酬を上げるということでの御提案なのかどうかを伺わせていただきたいと思います。
 以上です。
○全国身体障害者施設協議会 ありがとうございます。
 実は様々な加算で前回の報酬改定から質の高い相談支援を行っているところは評価していただいて大変助かっているのですけれども、基本報酬が変わらないので、経営的にとても厳しくて、撤退している事業所も出てきております。赤字のところがかなり多いという実情があるものですから、ベースとなる基本報酬を増額していただきたいという希望です。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございます。
 それでは、お時間が参りました。全国身体障害者施設協議会の皆様、どうもありがとうございました。
○全国身体障害者施設協議会 ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、公益社団法人日本精神科病院協会より、中島公博様、前沢孝通様、よろしくお願いいたします。
○日本精神科病院協会 公益社団法人日本精神科病院協会の常務理事をしております中島と理事の前沢でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等を述べたいと思います。
 2ページ目を御覧ください。日精協の会員数は1182病院で、会員が保有する障害者総合支援法関連施設数は3010施設に上ります。会長は山崎學です。
 3ページを御覧ください。日精協が考える障害福祉サービス等の総論でございます。
 障害福祉サービス等の利用者数は年々増加しており、令和3年、精神障害者の利用者数は約27.7万人であり、約3割を占めます。精神障害者の利用者数の伸び率(年率)は7.5%で、これは身体障害者1.1%、知的障害者2.4%に比べて大きく上回っています。
 日精協の会員病院が保有する障害者総合支援法に定める障害福祉サービス等施設数は、全国で3000にも上ります。
 精神障害者は、疾病と障害が併存しているため、病状が障害の程度に強く影響し、経過の動揺性が高いことが特徴です。病状悪化時のみならず、精神障害者の地域生活の安定性維持と充実には、精神科医療の関わりが必要です。精神障害者の地域生活支援にとって真に必要な障害福祉サービス等には、医療と障害福祉の連携が不可欠であり、これを実現するためには、福祉のみならず、医療の視点・意見が十分に反映される必要があります。
 精神障害者の障害福祉サービス等の利用に当たっては、医療・医学的観点からの意見や対応が十分反映されるような制度設計を望みます。
 4ページを御覧ください。次期障害福祉サービス等報酬改定に対して、以下の5項目について要望いたします。参考資料は以下の3点であります。
 1つ目、令和3年度障害者総合福祉推進事業「グループホームの運営及び支援内容等の実態把握のための調査」。
 2つ目、独立行政法人福祉医療機構令和3年度事業年度決算 障害福祉サービス編。
 3つ目、日本精神科病院協会令和4年度共同生活援助(グループホーム)状況調査。
 参考資料1から3における調査研究結果より、共同生活援助利用者の高齢化が進んでいる。将来の独り暮らしの実現について懐疑的な結果が得られている。共同生活援助における生活の安定維持、及び共同生活援助からの退去に向けては、多職種による重層的な支援が必要である。共同生活援助の収支状況は年々厳しさを増しており、こうした状況は精神障害者の地域生活安定維持の観点から見直しが必要です。
 以上から、共同生活援助に関連する次の1番、2番、3番、4番について要望いたします。
 1つ目、共同生活援助における同行支援について。共同生活援助における施設外への同行支援について、基本報酬外に対応に応じた個別算定とするように加算の新設を要望いたします。
 2つ目、精神障害者地域移行特別加算について。退院後1年間の算定可能期間の延長を要望いたします。
 3つ目、福祉専門職員配置等加算(I、II)について。有資格者の配置に関する算定基準の緩和を要望いたします。例えば有資格者の配置における「常勤」の規定を撤廃し、非常勤職員を含めた常勤換算による算定要件とする。
 4つ目、自立生活支援加算について。利用者のニーズに合わせた算定要件の緩和を要望いたします。入居中、退去後を問わず、複数回算定可能等の柔軟な運用を可能にすべきである。例えば入居中2回、退去後1回、算定回数を増やすということです。
 5つ目の要望です。多くの精神障害者が訓練等給付サービスを利用しており、中でも共同生活援助、就労系サービス及び地域相談支援については、精神科医療との連続性の観点から、医療の視点・意見が十分に反映される制度設計とする必要があります。そこで、障害福祉サービスにおける医師意見書の活用方法と評価の見直しです。情報提供した医療機関には診療報酬からの点数化がありますけれども、医師意見書をもっと活用してほしいというような新設の要望をいたします。
 スライド5ページ、6ページは、要望1番目の共同生活援助における同行支援についての詳細版です。
 スライド7ページ、8ページは、要望2番目の精神障害者地域移行特別加算についての詳細版です。退院後1年間の算定可能期間の延長を要望いたします。
 スライド9ページ、10ページは、要望3番目の福祉専門職員配置等加算(I、II)についての詳細版です。
 スライド11ページ、12ページは、要望4番目の自立生活支援加算についての詳細版です。 利用者ニーズに合わせた算定要件の緩和を要望いたします。
 スライド13ページ、14ページは、5番目の要望ですけれども、障害福祉サービスにおける医師意見書の活用方法と評価の見直しの詳細版です。
 スライド15ページは、精神障害者における障害福祉サービス等の利用者数の推移を示しています。精神障害者における障害福祉サービス等の利用者数は、医師意見書が関与しない就労継続支援のB型、A型、就労移行支援、生活相談支援、共同生活援助が多くを占めております。これらは、障害者の精神科的な状態をきめ細やかに把握し切れていないのではないかと考えております。
 スライド16ページは、要望における各視点からの考察です。
 スライド17ページ、日精協では令和4年度に共同生活援助(グループホーム)の状況調査を行っております。事業所、利用者の状況、利用者負担や加算算定の状況等を調査しておりまして、今回の要望に反映しております。
 以上で終わります。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様からの御意見、御質問をお願いします。橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明をありがとうございました。
 質問ですが、精神障害者地域移行特別加算について、こちらの加算は長期入院者の退院に役立っていると思いますけれども、今回、算定可能期間の延長を要望されていますが、支援度も踏まえて、どれくらいの期間を想定されているのでしょうか。
 あと、もう一つ、これは意見なのですけれども、先ほど御説明いただいた13ページの障害福祉サービスにおける医師意見書の活用方法と評価の見直しのところですが、おっしゃるとおり、訓練等給付サービスには支援区分の認定を要さないため、医師の意見書が活用されていません。就労系のサービスなどの訓練等給付でも区分1の方と区分6の方では支援度も全く違うと思いますので、支援区分の評価があってもよいのではないかと思いました。
 以上です。
○日本精神科病院協会 ありがとうございます。前沢と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、1点目ですけれども、地域移行特別加算についてであります。基本的に入院1年以上の方というのは、いろいろな意味での現実検討能力の低下ですとか、社会生活能力の減弱により、比較的長期間のグループホームに移行後も支援が必要な方が多いのではないかと我々は考えております。ということですので、やはり長ければ長いほど我々はありがたいかとは思うのですけれども、かといって無期限にということも考えておりませんが、やはり年単位では延長していただきたい。2年目以降は点数の逓減があってもやむを得ないかとは思うのですけれども、年単位で延長していただきたいと考えております。
 2点目の医師意見書の活用のことについてですけれども、今、中島の説明にもありましたが、この資料はまとめ方が少し分かりにくかったかもしれません。申し訳ないのですけれども、我々としますと、今も御指摘がありましたとおり、訓練等給付ですとか地域相談支援に関しても、要するに、介護給付以外のところで精神障害をお持ちの方は御利用されている方が多いですから、そちらでも明確に制度の中でこの障害福祉の意見書を位置づけていただきたいと考えております。サービス等利用計画の更新のときごとでも結構ですけれども、今の体制ですと、情報提供加算であったり診療情報提供料で一応評価はされているのですけれども、あくまでも任意の情報提供についての評価ということでありますので、我々としますと、状態が安定のときであっても、医療の視点、関与というのは必要だろうと考えておりますので、制度の中で医師の意見書を明確に位置づけていただきたいというふうに常々考えてお話しさせていただいております。
 以上です。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、石川アドバイザー、お願いします。
○石川アドバイザー 貴重な情報提供ありがとうございます。
 私がいる自治体でも、精神の手帳を取る方や、サービス利用者が増えておりまして、その課題にどう対応していくか悩んでいるところでしたので、大変参考になりました。
 私からの質問も先ほどと同じ項目になるのですが、医師意見書の活用に報酬をという部分で確認させていただきたいと思います。医師意見書というのは、もっと活用すべきで、特に計画を立てる段階で医師がどういう見解であったのかということについての確認は大変重要と感じているところです。実際に医師の意見書は取り寄せるだけではなく、それをどう計画に反映したかというところがあって活用になるかと思うのですが、その辺をどのように評価して報酬に位置づけるとイメージされているのか、もう少し詳しく教えていただけたらということと、活用というのはどの事業への活用なのか、それから、精神障害だけではなくて全ての障害に医師意見書の活用は必要だとおっしゃっているのか、その辺のところも併せて確認できたらと思いまして、質問させていただきました。
 以上です。
○日本精神科病院協会 ありがとうございます。
 どこの事業所での活用かというのは、サービスを利用する事業所と障害者の方を診ている医療機関との連携がきちっと図れる形で医師の意見書が活用されなければいけないと考えております。障害と疾病は、冒頭で中島から御説明がありましたけれども、併存していらっしゃる方が非常に多いですから、疾病の側面がある以上はやはり医療の関わりが継続して必要であるというのが我々が考えていることですので、いろいろなサービスを利用されていらっしゃる方が多いと思いますけれども、その事業所ときちっと医師の意見書を通して必要な情報がやり取りできるということについて、ちゃんと制度上位置づけていただいて、いろいろな評価の仕方は介護給付のときに医師の意見書を出すときと同じ評価でも構わないと思うのですけれども、とにかく制度の中で評価を含めて明確に位置づけていただきたいというのが我々が考えていることであります。
 ほかの障害の方も含めて云々ということについては、医療が必要な状態の方であれば、ほかの障害の領域の方であっても当然医師の意見書というのは必要な形で活用されるべきであろうと考えております。
○石川アドバイザー ありがとうございます。
 今の御説明をお伺いしますと、やはり医療機関と連携を取ってやり取りすることで報酬にというようにお聞きしたのですが、例えば13ページ、相談支援事業所が医療機関に情報提供を要望して、いただいた情報をこのように計画に盛り込みましたということで医療機関に書類を提出した時に加算が取れる、そういう解釈でよろしいのでしょうか。すみません。もうちょっと詳しくお伺いしたいと思います。
○日本精神科病院協会 ここに書いてある部分が分かりにくかったかもしれないので申し訳ないのですけれども、我々としますと、医療側からの判断というのでしょうか、疾病である以上は、事業所側からの要望で出すものももちろん大事なのですけれども、定期的に我々側からも、仮に状態が安定していても出して、事業所とそれを通して連携を図る、必要な情報のやり取りをするということが必要であろうと考えております。相談支援事業所等から医療機関に要望があったときには今も情報提供加算がついていますけれども、我々側から定期的に何らかの意見をちゃんと出して活用していただくというのは、制度上位置づけられていないというふうに我々は考えておりますので、その点について何とか御検討いただきたい。やはり医療と福祉の連携ということを実のあるものにするためには、ここは絶対、特に精神障害をお持ちの方の支援に関しては必要ではないかと常々我々は考えているということであります。御理解いただけたでしょうか。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 それでは、時間が参りましたので、日本精神科病院協会の皆様、どうもありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合より、三宅隆様、金村厚司様、よろしくお願いいたします。
○日本視覚障害者団体連合 日本視覚障害者団体連合の三宅と申します。本日は、私、三宅と、左におります金村のほうから今回の報酬改定に関しまして本連合としての意見を述べさせていただきます。
 主立ったものとしては、I、II、IIIで示しております。Iの同行援護のところは金村から、IIの自立訓練は三宅から、IIIのところはそれぞれの立場から述べさせていただきます。
 では、早速ですが、同行援護から述べさせていただきます。
○日本視覚障害者団体連合 金村です。よろしくお願いします。
 提案1です。まず、利用時間に沿った単価設定をお願いしたいという点です。今、同行援護においては、最初の1時間は単価が高く、2時間、3時間につれて下がっていきまして、3時間以降は1時間1300円となっております。1300円だと、事業所が時給1300円出すと事業所のほうには全くメリットがないような状態になっております。これは、体系としまして、都市型の報酬体系になっておりまして、地方では6時間ぐらいを使われているところが多く、地方だと公共交通機関、バス、電車が1時間に1本ぐらいしかないというようなところがありまして、時間が相当かかっております。そういった地方の事業所におきましては、3時間以降の仕事を受けないようにとか、あるいは地方から事業所が撤退するようなことになっております。なので、総額が増えないような形で平均的な単価設定をつくっていただき、どちらかを選べるような形にしていただければと思っております。
 提案2としましては、同行援護の事業所のネットワーク化です。宿泊を伴う外出をするときに、現在では宿泊所までガイドヘルパーさんが同行して、そのまま帰ってくるようなことが行われております。これは交通費も2倍かかりますし、何より移動している時間の報酬が発生して、お金がたくさんかかるような形になっておりますので、お住まいの駅までガイドヘルパーさんに連れていっていただき、到着地の駅でまたそちらの同行援護事業所にバトンタッチするような形が望ましいと考えております。ただ、これはハードルがありまして、行き先のガイドヘルパー事業所が手を挙げてくれるのが少ないということです。なぜかといいますと、契約とか、お住まいのところの自治体への書類など、一回限りの支援にもかかわらず、全く同じような契約手続が必要ということが大変な負担になって、皆さん手を挙げられないということが多くなっております。こういった場合に行き先の同行援護事業所に加算をつけていただくようなことがあったらいいと考えております。
 提案3といたしましては、同行援護のカリキュラムが改定されまして、令和7年度から新しくなります。それに伴って、新しい研修を受けたヘルパーさんあるいは補講を行ったヘルパーさんに対して加算などをつけていただくように要望します。今、資質向上が求められておりますので、ぜひお願いいたします。
 以上です。
○日本視覚障害者団体連合 続きまして、三宅のほうから自立訓練につきまして意見を述べさせていただきます。
 スライド10ページから13ページの資料に基づきまして述べさせていただきます。主な提案は2つです。
 視覚障害者向けの歩行訓練に関しましては、通所型よりも訪問型のものを重視するような手厚い形での単価設定をお願いしたいというのが1点目でございます。こちらは、従来、通所型のもので行われていたところが確かにあります。平成30年度の報酬改定の際にも、よりいろいろなところで受けられるようにという形で、生活訓練の施設でも受けられるようになったのですが、残念ながら数としては決して増えていないという実情がございます。これはなぜかといいますと、結局、通所型のものになりますと、そもそも歩行がままならない状態である視覚障害者が訓練事業所まで訪れることができなくて、しかも同行援護等のほかの障害福祉サービスを使うと二重サービスの利用という形で利用ができないために、家族等がそれに当たらなくてはいけないということで、通所での訓練をなかなか受けられない状態になっております。そこで、歩行訓練が訪問によって受けられるように、今の訓練対象が訓練時間だけの対象となっていますので、訪問先に行ったところで加算を何かするか、訓練を移動時間も含めた形にすることによって、訪問型を手厚くし、より受けやすくするということを御提案させていただきます。
 2点目が、視覚障害者の歩行訓練は非常に専門性を有するようなことがありまして、人員がなかなか育たないという事情もございます。今、人員配置は1対6となっているのですが、視覚障害者の歩行訓練の場合は1対6という現状にはならず、ほとんど1対1というマンツーマンの状態にあることのほうが多いと聞いております。ですので、ここは1対2.5以下での人員配置のやり方をしていただきたいということと、専門性を有する歩行訓練というところでは、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の報酬を上乗せしていただきたいと思っております。
 視覚障害者も就職をして、生涯ずっと同じ道を通い続けるというわけではありません。時には事務所が変わるとか、ある日突然ワンポイントで歩行訓練を受けなければならないことも想定されます。また、他省にはなりますけれども、国交省のほうでは視覚障害者の駅ホームでの安全対策ということで歩行訓練をワンポイントで受けられるような体制が必要ではないかという形で中間報告書でも取りまとめられております。そういったことで、歩行訓練がいつでも、だれでも、どこでも受けられるように、しかも、同じようなサービスがちゃんと受けられるようにという形での報酬の在り方をぜひお願いしたいと思います。
○日本視覚障害者団体連合 金村です。IIIは、同行援護と自立訓練の連携に関する要望です。自立訓練を受けに行くために同行援護は使えないという状況になっております。視覚障害者は移動できないがために訓練を受けに行っているわけですから、同行援護が使えるようにぜひお願いしたいと思います。
○日本視覚障害者団体連合 三宅です。もう一つの要望です。同行援護従事者に関してはもちろん養成研修を受けて誘導のスキルをお持ちなのですが、利用者のほうが適切に誘導を受けるためのスキルを持っていないことがあるとお聞きします。歩行訓練側と連携することでそのようなことも解消されて、より安全に安心してそれぞれのサービスを受けられるという形につながっていきますので、ぜひこの連携についても御承知おきいただければと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。会場から小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー 御意見ありがとうございます。
 私のほうで理解していなくて確認したかったのは、訪問型の自立訓練は現状ではどういう状況なのか。これは拡充と書いてあるので現在あるということですね。その場合、どういう方が訪問型を選ばれるのだろうか、知りたかったことが一つです。
 2つ目は、自立訓練(機能訓練)が出てくるのですが、基本的には歩行訓練をしっかりやっている自立訓練事業所というのは全国的にはどのような感じで所在しているのか、あるいは数がどうなのか、そういう話を教えてほしいと思います。
 以上です。
○日本視覚障害者団体連合 ありがとうございます。三宅から回答いたします。
 2つ頂きました。
 まず、訪問型に関しては、おっしゃるとおり、確かに従来も行われてはおります。ただ、行われてはいるのですが、これは訓練事業所側の事情があるのですけれども、訪問先に伺うところの時間がサービスの単価に入らないということで、そこに人員がなかなか割けないということが一つございます。ですので、従来、行われてはいるのですけれども、それが十分かといったらまだまだそのような状況ではないというのがお答えではないかと思います。
 視覚障害者は、ワンポイントで自分の家の周りで訓練を受けて、歩くようになったのだけれども、家を引っ越したとかで改めて訓練を受けなければならないとか、今まで通っていた職場までは何とか通勤できたけれども、ある日突然、職場の場所が変わってしまったとか、こういった変化に対応するのが難しい状況もございます。これは地域性によるかもしれませんけれども、そういったところでは従来の通所型というよりかは、より自由に訪問のほうを手厚くしていただくことによって、歩行訓練がいつでも受けられる体制になってくることにつながると考えておりますので、この拡充をお願いしています。
 それから、機能訓練の数なのですが、資料には示しておりませんけれども、平成30年の改定前の時点で、機能訓練事業所の数がまだ十分でなかったということで、これは「どこでも」につながってきますけれども、生活訓練事業所のほうでも受けられるようにという形になってきたという経緯がございます。数字を示されず申し訳ないのですけれども、従来も生活訓練事業所で実施しているところが増えていないという実情があると歩行訓練士側からは意見を聞いておりますので、そうなってくると、数としては十分ではないというのは変わらない状況にあると考えております。
 以上です。
○小澤アドバイザー どうもありがとうございました。
 対象は、訪問型は結構幅広くという理解でよろしいのですね。
○日本視覚障害者団体連合 三宅です。そのとおりです。通所だと、そこの施設に通って基礎的なものを受けるというのは済むのですけれども、個々によってだったり、地域性だったり、その方の行動の範囲によって歩行の広がりが変わってくると考えておりますので、やはり訪問型を充実したことによって視覚障害者の生活がより向上すると考えております。
○小澤アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 オンラインの皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、以上とさせていただきます。
 日本視覚障害者団体連合の皆様、ありがとうございました。
○日本視覚障害者団体連合 ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワークより、丹羽彩文様、御代田太一様、よろしくお願いいたします。
○全国地域生活支援ネットワーク 全国地域生活支援ネットワーク事務局長の丹羽でございます。
○全国地域生活支援ネットワーク 事務次長の御代田でございます。
○全国地域生活支援ネットワーク 当法人は「ユニバーサルな支援による、ともに生きる社会づくり」を目指し、「ひらかれた議論」と「パートナーシップ」を基本として様々な障害のある人たちの地域生活を24時間365日支えている事業者の集まりです。
 7月に新役員体制となり、視覚障害当事者を理事に迎え、また、常日頃ほかの障害当事者団体や事業者団体と緊密な意見交換を重ね、今回のヒアリングに臨んでおります。
 その上で、3枚目の資料のとおり、今般の物価高騰や一般企業の賃上げが急速に進んでいる社会状況に鑑み、障害があっても誰もが地域で安心して暮らすことのできる社会の維持・実現、そのための福祉資源の人材の確保・定着、そして今後、障害福祉サービスを持続可能なものとするために、福祉業界全体が他産業等との人材獲得競争に耐え得る給与水準を確保することが不可欠だと考えます。このことから、公定価格である障害福祉サービス等の報酬の抜本的な底上げが最重要です。これを前提に、障害のある児・者が地域生活を維持し、特定の生活形態を強いられない支援体制を構築するための要望と意見を3つの柱立てで申し上げます。
 まず、1つ目の柱は、地域生活の安心の担保と地域移行の促進についてです。
 実行策としての地域生活支援拠点等の充実を求めます。この部分は、7月21日の全国地域で暮らそうネットワーク、全国手をつなぐ育成会連合会、この後の全国自立生活センター協議会、DPI日本会議、日本高次脳機能障害友の会との共同要望です。
 詳細版に記載しておりますが、各都道府県等全国50か所程度に、市町村や他の地域生活支援拠点等に助言・指導を行う機能を有するとともに、緊急対応・緊急を見据えた平時の対応及び地域移行の2つの役割をしっかりと担うことのできる規範となる地域生活支援拠点等が進むような支援策が必要です。
 地域生活支援拠点等の充実のため、財源の確保及びコーディネーターの複数配置(地域移行支援担当、平時・緊急時対応担当)、地域生活支援拠点としての指定基準、人員基準を新設し、面的整備は引き続き加算で対応しつつ、柔軟なサービス提供を可能にした上で、サービスの質について第三者評価機関の育成と導入を通じて評価する体制の整備、地域生活支援拠点等のコーディネーターと連携する施設・事業所の報酬上の評価、コーディネーターの質の担保のため、国による指導者養成研修、都道府県による養成研修を実施、及び良質な実践を全国展開するための仕組み、アドバイザー派遣等の推進を求めます。
 次に、2つ目の柱ですが、重度障害児・者の地域生活支援の充実とインクルーシブな地域社会の構築についてです。
 ここでは、特に強度行動障害児・者支援の重点強化を強く求めます。強度行動障害児・者の受入れに当たっては、ハード面の環境整備以外にも支援者のスキルも大きく関係します。強度行動障害支援者養成研修は受講人数が増え、支援手順書を使った支援方法が確立してきた一方で、肝心の受入れの事業所は増えず、そのしわ寄せは困難ケースにも対応する一部の事業所に偏り、さらに支援が困難化しています。そのため、座学研修だけではなく、より実践的な研修が必要です。強度行動障害支援者養成研修のフォローアップ研修の義務化と、管理者・運営者に対する意識調査及び実態把握が必要です。
 また、現場ではスタッフの疲弊が募り、退職者が増え、人手不足が深刻になり、ますます強度行動障害者の受入れが難しくなるという悪循環が生まれています。地域に強度行動障害児・者のコーディネーターを配置し、本人・家族支援だけではなく事業所への支援が必要です。
 さらに、強度行動障害として判定されるのは行動関連項目が10点以上の場合です。その中にも、10点の人から20点以上の人まで点数のばらつきがあります。それにもかかわらず、一律に重度障害者支援加算IIが設けられています。行動関連項目10点以上の一律の加算ではなく、行動関連項目の点数・受入れ人数に応じて加算の区分を設け、受入れの拡充を図っていただきたいと思います。
 そのほか、医療的ケア児・者がより一層地域で暮らすことのできる体制整備、障害のある子もない子も共に育ち、暮らすことができる支援体制の拡充もお願いしたいと思います。小学校時は、インクルーシブの視点からも、障害児も放課後に学校などの居場所の確保や、学童保育等での保育、塾や習い事なども含め、保育的、養護的福祉による給付のように社会的に負担するのか、学習など自己負担でのサービスなのかを明確にし、本人のニーズと共生社会として価値観の観点で支給を分ける必要があります。また、インクルーシブな育ちと学びを推進するために重要な保育所等訪問支援において、家庭や関係機関等とさらに連携できるための体制整備が必要です。
 こうしたことを実現するために、3点目の柱として、持続可能な障害福祉サービスを提供するための財源の確保と業務の負担軽減・効率化についてです。
 これも共同要望ですが、食事提供体制加算・補足給付及び利用者負担の再設定を求めます。食事提供体制加算、補足給付は、施設サービスを利用している人にのみ算定されるため、居宅でのサービス利用や施設サービスを利用しない人との間に不公平なものとなっています。また、利用者負担については、障害基礎年金等のみの低所得者にはさらなる所得補償こそ必要であり、一定の配慮をしつつ、持続可能性のため、負担を求めることも必要だと考えます。
 このほかは、当会としての意見ですが、障害支援区分認定項目の現状に合った見直し、ICT導入推進のための財政的支援もお願いいたします。
 以上です。現場で工夫している事例も可能な限りでお示ししております。ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。オンラインで高アドバイザー、お願いします。
○高アドバイザー 丁寧な御説明ありがとうございました。
 私からは、6ページの強度行動障害児・者支援の重点強化についてお聞かせください。強度行動障害児・者支援については、質の高い、スキルの高い支援と受け皿の少なさという両側面を解決していく必要があろうかと私自身も日々感じているところです。2点教えていただきたいのですが、1点目は、今回、新たな加算の区分を設けるということですが、より詳細なお考えがあるなら聞かせていただきたいと思います。2点目に、地域に強度行動障害児・者のコーディネーターを配置するとあるのですが、これは医ケア児のコーディネーターのようなものをイメージされているものなのかどうかという2点について教えていただけますでしょうか。
○全国地域生活支援ネットワーク まず、1点目の御質問についてでございます。10点から20点、例えば行動関連項目でも1つの行動障害が突出して強い方などもいらっしゃいますので、その中である程度のグラデーションをつけて加算の設定をするということを想定しております。ただ、この点数だから何点、この点数だから何点というところまでは我々のほうではまだ考えておりません。
 もう一点のコーディネーターの配置についてですが、お見込みのとおり、医療的ケア児等のコーディネーターと同様ですけれども、特に事業所の支援に強く役割を発揮するというようなイメージを持っております。特に強度行動障害の方たちについては、ハード面の環境整備をどのように現場ではやったらいいのかというのも手探りであったりしますので、先駆的に取り組んでいるところの職員がその地域の中のコーディネーターとなって、ハード面であったり、環境調整であったり、そういったところも助言できるような、そんな役割を想定しております。
 以上でございます。
○高アドバイザー どうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明をありがとうございました。
 地域生活支援拠点へのコーディネーターの配置については、私も賛成です。前回の地域で暮らそうネットワークさんのときにも申しましたが、家族としては、地域生活支援拠点と基幹相談支援センターはしっかり役割分担して機能していただきたいです。市町村が拠点にコーディネーターを配置できるように財源確保についても国のほうでも御検討いただければと思います。
 質問ですが、4ページの「地域生活支援拠点等のコーディネーターと連携する施設・事業所の報酬上の評価を求めます」という、その下です。「コーディネーターと連携している『地域移行支援を進めている施設・医療機関』『親亡き後の準備をしている事業者』」と書かれていますが、「親亡き後の準備をしている事業者」というのは具体的にどのようなイメージをされているのか、教えていただきたいと思います。
 あと、意見になりますが、15ページの「現場で工夫している事例について」の福祉人材の確保のところで「利用者の保護者または障害児を育てた経験のある人材を雇用したところ、安定して人材を確保できるようになった」とありますが、これはとてもよい工夫だと私も思います。私も、自閉症で知的障害のある娘を育てている母親ですが、その経験が発達障害のある方やその御家族の支援にどれだけ役に立ったか分かりません。障害児の母親は、こどもの育児や療育のために仕事を中断したり諦めなければいけない方も多くいらっしゃいます。そのような方たちの経験を福祉人材に充てられるような普及啓発や仕組みを国にもつくっていただければと思いました。
 以上です。
○全国地域生活支援ネットワーク では、御質問にお答えいたします。
 4ページの米印の「親亡き後の準備をしている事業者」でございますけれども、こちらについては、地域生活支援拠点の機能がそもそも親亡き後への対応ということも書かれておりますので、その地域の中で、グループホームや入所施設において親御さんが亡くなる前の段階で、例えば成年後見の準備をしているとか、そういったことも含めて、コーディネーターと連携して、地域移行や親亡き後の安定した生活を継続できるための準備をその施設だけではなくてコーディネーターと連携して行っているということを想定しております。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 続いて、石津アドバイザー、お願いします。
○石津アドバイザー 石津でございます。丁寧な御説明と貴重な御提案をありがとうございました。
 私、第三者評価機関について関心を持っておりますので、その関係で5ページにあります「第3者評価機関の育成と導入による事業所への評価を求めます」というところに関してなのですけれども、この部分について、下に記載の「背景、論拠」に書かれていることとの関係が明確につかめないので、この部分についてもう少し詳しく内容を御説明いただけますでしょうか。
○全国地域生活支援ネットワーク ありがとうございます。
 第三者評価機関が依頼しようと思ってもなかなか見つからないとか、そういった声も多くあります。ただ、どこの場所にこれを入れるかということで、ここの中に入ってしまっておりますので、ともすると、もう一つ点が必要だったかなと今、確認しながら思っているところでございます。医療的ケアだけではなくて、必要な事業において第三者評価はいずれも必要かと考えておりますので、そういった視点で提言させていただいております。
○石津アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ほか、よろしいでしょうか。小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー では、一点だけ、手短なのですけれども、4ページの1-1の地域生活支援拠点で「地域生活支援拠点としての指定基準・人員基準を新設し」という御提案ですが、地域生活支援拠点というのは5つの機能を抱え込んだシステムとかネットワークみたいなイメージが強いのです。だから、この提案の具体的なイメージが湧きにくかったので、何かあれば教えていただきたい。
 以上です。
○全国地域生活支援ネットワーク 地域生活支援拠点等は拠点型と面的整備ということで、全国的には面的整備が進んでいるところでございますけれども、やっているという形だけで実体が伴っていない場合も多うございますし、また、拠点をきちっと構えて実施しているところもございますので、拠点を構えているところはそこが一つのフラッグシップとなって、いろんな緊急時の支援や対応についてもワンストップで受け止められるような仕組みもつくれているということから、拠点型について指定基準と人員基準を新設してはどうかという御提言でございます。
○小澤アドバイザー 分かりました。ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 それでは、時間になりましたので、全国地域生活支援ネットワークの皆様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、公益社団法人日本重症心身障害福祉協会より、児玉和夫様、よろしくお願いいたします。
○日本重症心身障害福祉協会 ありがとうございます。公益社団法人日本重症心身障害福祉協会を代表いたしまして、理事長職にあります児玉のほうから御説明させていただきます。
 私どもの協会は、全国にあります重症心身障害児・者を受け入れている施設、現在、139施設ありますけれども、法人の数にしては108でございます。別に国立病院機構で重症心身障害児・者の方々が入っておられますけれども、私どものほうは国立病院機構とは違いまして、国立以外の施設ですが、そこにあります施設の皆さんが加盟している法人でございます。
 今回は、3ページにありますように、大きく分けて4項目につきまして、意見をまとめてまいりました。
 私どもの重症心身障害の方々をお受けする施設は、18歳までの児童につきましては、医療型障害児入所施設で主に重症心身障害児を対象とする施設部門と、18歳を超えますと重症心身障害者を対象とする療養介護を行う事業所、それを併せておりますけれども、一応、重症心身障害施設としてまとめてお話をさせていただきます。
 私どもの施設は、御存じのように、病院であると同時に福祉施設であり、障害が極めて多様で複雑に重なっている方々を児童期から成人期まで一貫してお世話するところでありまして、それなりの専門スタッフを用意し、整えなければいけない基準になっております。基準どおりに行いますと、もちろん全ての施設は基準を満たしているわけですけれども、少なくとも看護と支援職員を合わせますと、入所している方々の1対1、あるいはそれ以上のスタッフを配置しなければいけない、極めて人的に濃厚な配置を要する施設でありますし、しかも人的というのは、医師であるとか、看護師であるとか、児童指導員であるとか、極めて専門的な背景を持った職員で満たされなければいけないところです。そこにおきまして、昨今の人材不足、職員不足ということは非常に大きなダメージになっておりまして、どの施設でも職員を求めている次第であります。
 基本としての報酬面は非常に大きな問題になってきます。
 2番目に、ガス料金は少し下がりましたけれども、電気料金の値上げということは運営に非常に大きな重荷になっております。
 3番目に、医療型障害児入所施設及び療養介護事業所における医療型短期入所の実施ということが、この間のコロナにおいて大きな問題が全部露呈してきまして、コロナのために短期入所を中止せざるを得ないことによって大きな減収となり、それを補填する制度が非常に乏しいということが一つあります。そしてまた、今までの短期入所というのは、病棟の中においてのスペース、人員、設備等の余裕をもって受け入れるということでプラスアルファのサービスとされていましたけれども、御存じのように、今、児童期から成人期までにおいての重症心身障害の方々が生きる場所は家庭であり、地域であります。しかし、その方々を私たちが短期入所としてお受けすることによって成り立っている面もあるわけです。その短期入所が今までの入所の一部分あるいは余裕であるということでは到底成り立たない状態であります。しかし、それなりの配備をいたしますと、キャンセルや感染であるとかで途絶えますと大きな減収になってきます。おまけに各利用者のそれぞれの個性に合わせた構造というのは個室を要求いたしますし、そしてまた昨今の感染状況を見ますと、空気感染も含めて空調等の整備、医療設備、あるいは看護師の増員等々、病棟一つ設けるぐらいの配置を必要といたします。それに対しての私たちの提案がございます。
 4番目としまして、特にこの間の感染に対応して、感染に強い、しかも一人一人の生活を重視したということで、一人一人の個室、あるいは生活環境を整えた、しかも感染に強い医療機器を整えた設備を持った施設を再編する、あるいは新築する、改変するということをどの施設も迫られておりますけれども、それについては10億、20億、30億という費用が必要になってきます。昨今の状況に応じまして、それらを自分で用意するのは大変なことでございます。できれば、国においてもそれを補助する、補填するような策を講じていただきたいと思います。
 残りの時間があまりありませんので、今、申し上げた中で短期入所に関係したところを御説明させていただきたいと思います。これにつきましては、5ページにございます。先ほど申しましたように、短期入所は今までは、持っている施設の余裕をもって賄うというところがあったと思います。例えば100床の定床の施設がありますと、大体、2~3ベッドとか5ベッドぐらいを短期入所で行うというところが多かったのですけれども、そういうところでは2~3ベッド、5ベッドが、例えば感染で急に途絶えたとしても、全体の経営に及ぼす影響は少ないのですが、昨今の先進的な施設は10ベッド、20ベッドあるいは30ベッドを短期入所に対して用意するという施設が出てきております。私が所属している施設も50の定床に対して10の短期入所を受けておりますが、それが途絶えますと、それについて用意した人員とか、あるいはそれぞれのいろんな経費というものが全て入らなくなってきますので、多大なダメージになっております。せめてこれが半分以上でも補填されればと思うのですけれども、国におかれましても、これからの短期入所は、重度障害あるいはそれ以外の福祉部門におきましても、在宅あるいは地域生活をカバーするために非常に重要な策として基本から改めて考えていただきたいと思っております。
 そういうことで、空床及び利用がキャンセルになったときの補填について、あるいは特別重度支援加算がこれに出てきますけれども、今、医療的に大変な方々をお受けすると特別支援加算として610単位という単位が私どもに与えられておりますが、これを加えましても、私たちが医療的な人工呼吸器等々を用意しなければいけない方々の費用には到底及びつかない状態であります。
 ここでお見せはできないかもしれませんけれども、資料の9ページの(3)のところで、超重症児、準超重症児・者のみが入所している病棟のある施設の病棟での経費を見ますと、1日当たりの支出が4万3439円になっております。超重症児を受け入れるため、どれだけの医療費が、コストが必要か、あるいはサービスが必要かということをまとめたことが過去10年前ぐらいからありましたけれども、少なくとも1日当たり4万円以上が必要ということでまとまっておりまして、これは厚生労働省にも共有していただいていると思います。私どもが受けている超重症のこういった短期入所の方々は、入所とほとんど同様か、あるいは入れ替わり立ち替わりでさらに余計に私どもの配慮を必要とする方々ですので、少なくともこれに準じたような額になることを本当に希望いたします。そうしますと、現行の610単位から1330単位ということを私どもここに出しておりますけれども、それを合わせて全体で4万2000円ぐらいになります。それをもって、これでやっとやっていけるという形で思っております。そういうことでの配慮をぜひお願いいたします。
 さらに、短期入所が私ども生活支援の場であることを考えますと、日中活動の支援加算がありますけれども、これが今のところは相談支援専門員が事前に作成したサービス等利用計画とか障害児支援利用計画を基にしなければ取れない形になっております。ところが、実際の短期入所は随時必要に応じて入ってくるので、一々その前にそういう計画をつくっている余裕はありません。私どもが少なくともそういう人員を配置し、計画を立てたならば、お受けした方々のサービスの事後承認でもってそういう経費が取れるようにぜひ改めていただきたいと思います。今のところ、せっかく頂いたものですけれども、全国の利用実績があまりないのはそういうことが背景にございます。ぜひこの機会に医療型短期入所の拡大、医療的ケア児がもっと使えるようになるように、私どものサービスができるように支援していただきたいと思います。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー アドバイザーの田村でございます。具体的な御説明どうもありがとうございます。
 短期入所の重要性に関しましては、この2つ後の最後の全国重症心身障害児(者)を守る会のほうから、利用者の立場からそれがいかに大事かというお話があると思いますけれども、短期入所というのは、特に高度な医療的ケア児を持っている御家族、それは保護者、きょうだいのレスパイトだけではなく、医療的ケア児そのものの将来的な自立を促進するという点からも重要になっております。前回の令和3年の障害福祉サービスの改定におきまして、医療的ケア児の中でも特に動く医療的ケア児、本来は重症心身障害児の定義から外れたかもしれないのだけれども、そういうお子さんも積極的に短期入所の対象にしようということを厚労省も動き出していただいています。ただ、動く医療的ケア児が我々埼玉県での調査では、医療的ケア児の約3分の1ぐらいを占めております。そういった動く医療的ケア児を短期入所として重心施設に受け入れた場合には、その児自身の生命の維持という点から、それから、ほかのお子さんに対して、人工呼吸器や気管切開に触れたりする危険性もある、目が離せないということで、個室が大事だというお話なのだと思います。そういった医療的ケア児の対応、十分見守りをしっかりしていないときにはどのような事例が具体的に、ヒヤリ・ハット事例でもいいのですけれども、起こり得るのかということを具体的に教えていただきたいというのが1つ目の質問です。
 2つ目は、5ページの最後のところに「将来的には、地域で生活する常時医療が必要な障害児者のための専用の短期入所事業所の仕組みを設計して(中略)方策を提案したい」と、まだ頭の中で練っておられる段階かと思いますけれども、これについても、もし今、具体的にお示しいただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○日本重症心身障害福祉協会 ありがとうございます。
 私が、今、仕事をしております堺市にあります堺市立重症心身障害者(児)支援センター、ここは入所定床が50に対して短期入所を10受けております。2人部屋もありますけれども、ほとんど全部個室で受けております。その中で動く医療的ケア児の短期入所の希望があることはあります。
 例えばお一人は、小学校2年生になりましたけれども、寝返りをして動き出して止まらない、言うことは聞かないということで、お母様が夜はずっと抱っこしながら、やっと寝て、呼吸器のモニターだけを頼りに見ているという方です。私どもに入ったときもなかなか慣れずに寝てくれない。呼吸器で声が出ませんけれども、ほぼ泣いている状態ということに対して、我々は、看護師が1人、時には2人がずっとつきっきりで、1人が医療面を見ながら、1人があやしながら見ております。そういうことを続けておりましたけれども、その方は御家庭で不幸にして亡くなられました。あるとき寝返りをして喉が詰まってしまったのを親が気づかなかった。呼吸器のアラームが鳴ったのでしょうけれども、親が疲れた瞬間にそうなってしまった。
 もう一人は、17歳ぐらいの男性ですけれども、寝返りをして、知的な障害と行動障害的なものも併せた方で、跳びはねるような方で、この方も個室でお受けいたしましたけれども、見張るというと失礼ですけれども、ずっと見張りが必要で、しかも力がありますので、場合によっては男性職員も含めて待機するという形でお世話しておりました。その方も実は御家庭で亡くなられてしまいました。御家庭でそれだけきつい条件の中で親御さんあるいは周りが見ているということを実感いたしますけれども、もし私どもの施設で不幸にして亡くなられたということがありましたら、言い訳ができないわけです。そういうことをお約束をもってお受けしたので、そういう方をお受けするからには夜中を通じて誰かが絶対見ていなければいけませんし、カバーする人も必要です。それに間に合うようないろんな医療機器も必要ですし、そういう体制が必要ということを亡くなったお二人を通じて考えました。
 知的にいい方は、聞き分けがあって、静かに寝てくれる方もいるのですけれども、世の中の医療的ケア児の多くはそういうわけにはいかないので、一人一人に合わせた体制が必要になってきます。
 また、専門の短期入所事業所というのは、いろいろ考えるのですね。私どもの中のある施設がそういうものをつくりました。一つの病棟を短期入所専門にして、そのフロアは全部個室にして見渡せるようにしてという形でつくりましたけれども、そういうものをこれからつくっていきたいとは思っております。そこで全て見ることもできるし、医療的に対応もできるし、中央でみんなが集まることもできる。ただ、それは先ほどの建築にも関係してくることで、今までの施設の入所を基本とした構造を変えなければいけなくなってきます。ぜひそういうことにお力添えを頂きたいと思います。
 今回、案として持ってくるつもりでしたけれども、現在の施設は、それぞれの施設の設備あるいは空間の中で一生懸命努力してやっているところなので、一つの病棟に集めないとおまえのところは加算がもらえないぞというような案はとても出せませんでしたので、まず、施設整備を先にいこうと思っております。
 以上でございます。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。佐藤アドバイザー、お願いします。
○佐藤アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 短期入所の重要性は非常によくわかったのですが、もう一つ、資料には職員給与を引き上げる報酬改定が必要だということがございます。職員の給与を引き上げるために、この間、様々な加算が行われてきたと思います。例えば資料の5ページですと、短期入所のところで610単位では足らなくて1330単位に引き上げる必要があるのではないかというようなことがございましたが、それ以外の4ページの職員給与の引き上げのためにどのような加算が役に立ったか、立っていないのか、あるいは今後どのような加算が必要、あるいは有効であるとお考えか、伺わせていただければと思います。よろしくお願いします。
○日本重症心身障害福祉協会 ありがとうございます。
 現行の610単位ではありましても、特別支援加算は本当に助かりました。それ以上前に、7~8年前になりますけれども、短期入所は入院ではない、福祉のサービスだからということで、医療を行っても診療報酬は請求できないという時期がずっとありました。呼吸器を使っても呼吸器の代金は請求できない、そんなばかなということでいろいろお願いをし続けて、今は呼吸器の使用等は請求できるようになりましたけれども、医療として関係する職員あるいは設備に対しての補填ということが基本に入っておりません。例えば看護師の配置加算というのがありますけれども、短期入所の定員が6名、7名以上になりますと、1日につき7単位とか8単位とかの加算がありますが、例えば私ども、大変だからと、夜中に看護師の補充をもっと充実するために、看護師を3人、4人増員したとしましても、1人分について看護師1人以上の加算ということ以上は、2人でも3人加算しても、それ以上は増えないわけです。少なくとも短期入所について充実した看護体制を取った場合には、それに見合うべき加算ということを改めてお願いしたいと思います。そうしますと非常に助かると思っております。
○佐藤アドバイザー 分かりました。ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 それでは、時間が参りましたので、日本重症心身障害福祉協会の皆様、ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、一般社団法人全国重症心身障害日中活動支援協議会より、末光茂様、木村真人様、よろしくお願いします。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 このような機会をお与えいただき、本当にありがとうございます。
 先ほど児玉理事長から入所の重症心身障害の実態について詳しく御説明がありましたが、今、入所の約2倍が在宅と言われております。かつては在宅は入所に比べると軽い方が中心だと言われておりましたが、今はその差はほとんどなくなっております。むしろ在宅のほうが重い人を家族が献身的に頑張っている、そのような実態があちこちでうかがわれております。
 先ほど今回のコロナあるいは諸物価の高騰の中で、入所のほうは大変厳しい中で頑張っておられるお話がございました。通所のほうは、それ以上に厳しい状況にさらされております。そのことにつきまして、木村局長のほうから実態の報告とお願いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 それでは、私から御説明します。
 資料の4ページです。当協議会では、報酬改定前年度に障害福祉サービス等経営実態調査に準じた調査を実施していますが、その結果、平均収支差率は11.4%の大きな赤字です。
 5ページです。この調査結果を踏まえ、意見を申し上げます。意見概要は御覧のとおりですが、時間の関係上、この場では視点1に絞って御説明します。なお、この後、具体的な調査結果等に基づく参考資料のページを申し上げます。このまま概要を御覧いただきますか、もしくは参考資料を御参照いただければと思います。
 6ページです。私どもは「重症児者が他の障害児者と比較して、より手厚い支援が必要だというエビデンスはない」との意見が一部の関係者から漏れ聞こえてくることに対して大変胸を痛めておりますが、それは決して正しい情報に基づく判断ではないと信念を持って申し上げます。厚生労働科学研究末光班等による平成18年から25年にかけて入念に実施された重症児・者のケアのタイムスタディ調査研究にて、重症児・者に必要な支援の質と量が明らかにされており、確かなエビデンスが存在します。
 また、現実問題として、当協議会会員の過半数は同一法人内にて重症児・者と重度知的障害児・者の支援を同時に提供しています。私を含めて多数のスタッフが「重症児・者」と「それ以外の重度障害児・者」の両方の支援を経験しており、双方を比較した上で、重症児・者の支援の特殊性を正しく理解し、実践しています。ここで重要なのは、決して重症児・者の支援は他の障害児・者よりも尊いなどということではありません。単純に人手がかかるということです。
 少し飛ばしまして、9ページです。まず、意見を申し上げる前に、その調査結果と現状について申し上げます。私どもの会員事業所は、児童通所のみと生活介護のみ、そして児と者の多機能の3類型がございます。それを定員区分ごとに分類し、グループ化したのが御覧の表です。定員20人以下の小規模な事業所が多数を占めております。
 10ページは、そのグループごとの収支差額、11ページは収支差率の状況です。一部を除き、ほとんどのグループで大きな赤字を計上しています。収支差率がマイナス30%あるいは50%を超えている事業所群が多数存在する、この現実から目を背けないでいただきたいというのが私たちの願いです。なお、有効回答のうち11か所の児童発達支援センターがありますが、その平均収支差額は約1900万円の赤字です。
 12ページです。なぜこのような理不尽かつ不条理なことが起こっているのかをこのグラフで御説明いたします。当協議会で黒字化が達成されている1つ目のグループは、定員5人に限定した児童発達支援です。しかしながら、定員が1人増えるごとに報酬が大きく下がり、定員11人以上では半減以下です。これにより定員11人以上の多機能型の平均収支は1700万円強の赤字になっています。黒字化が達成されているもう一つのグループが、このグラフからはみ出ている定員40人とか60人の規模の大きい生活介護で、利用者のうち5人程度の重症児・者を受け入れている事業所です。重症児・者の部分は大きな赤字ですが、それ以外の部分が他の生活介護事業所と同等の黒字であるために、その赤字分をのみ込んでいます。逆に最も収支差率が悪いのは定員5人の成人のみの生活介護です。
 13ページです。児童を受け入れている事業所の重症児の出席割合と看護職員加配加算の算定状況です。重症児の出席割合が高くなるほど赤字が大きくなるわけですが、注目すべきは、看護職員加配加算を算定している事業所のほうが看護職員を加配していない事業所よりも赤字が大きい現実です。その原因は、看護職員加配加算は算定要件のハードルが今なお高く、医療的ケア児に対応するために加算区分を超えて看護職員を増員しているためです。
 14ページです。成人を受け入れている事業所も児童と同様で、重症者の出席割合が高くなるほど赤字が大きく、常勤看護職員等配置加算を算定している事業所のほうが算定していない事業所よりも赤字が大きくなっています。
 8ページに戻りますが、このような具体的なデータに基づいて意見を申し上げます。
 第1には、児童発達支援の定員区分による報酬低減については大幅な見直しが必要であるという点です。重症児には1対1の手厚い支援が必要なのに、なぜ定員が1名増えるごとに報酬が下がるのか理解できずにいますし、ニーズに応えるためには、たとえ収支が悪化しても不利な定員拡張をし続けざるを得ません。
 第2は、重症者対象の生活介護の定員5人及び定員10人以下の報酬の新設です。障害福祉サービスの最少定員20人のさらに4分の1の5人定員をお認めいただくのであれば、その規模の小ささに応じた基本報酬と加算額の公平・公正化が必要です。
 第3には、医療的ケアに対する評価のさらなる拡充です。看護職員の加配または配置加算を算定している事業所ほど赤字額が大きい現状を踏まえ、医療的ケア受入れ促進のため、さらなる算定要件の緩和と増額が必要です。
 最後に、16ページ以降、17ページになりますが、利用者の受益の大きさに見合った加算の充実です。当協議会にて送迎の恩恵を受けているのは今なお60%に満たないのが現実です。多大な費用負担と実質1対1以上の送迎人員を必要とする割に報酬単価が低いこと、全体の3割強の利用者さえ送迎すれば、送迎していない人を含めて全員に加算が算定できてしまうという算定要件の矛盾により、希望者全員の送迎が今なお実現していません。
 18ページです。入浴サービスは送迎以上の設備投資と手厚い人員が必要です。特に成人の重症者の場合には自宅での入浴が物理的に不可能な場合が多く、入浴のニーズは切実ですが、報酬上の裏づけがないために、入浴サービスを提供してもしなくても同じ報酬です。利用者のニーズや受益を踏まえ、特に提供するための労力や負担に見合った加算の充実を切にお願い申し上げる次第です。
 時間を超過しました。以上でございます。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。井出アドバイザー、お願いします。
○井出アドバイザー 御説明ありがとうございました。それから、画面の不調によって私の顏が見えなくてというか、申し訳ありません。
 御説明を聞いていて、ある意味、すごくショッキングというか、どうにかしなければいけないという感じがしております。今日お聞きしていて、今のお話の前に失語症の方とか視覚障害の方が自立訓練に対してもう少し報酬云々というのがあって、いわゆる概況調査とか経営調査とか見ると、確かに自立訓練は全体感からするとちょっと収支差率が低いという印象を持っていて、どうにかしなければと思っていたのですが、今、お話を聞くと、実は11.4%程度もマイナスの収支差額だというのはびっくりしています。これは改めてまたお聞きしなければいけないと思いますが、8ページあるいは16ページでしょうか、幾つか案が出されていますので、これは個人的ですが、井出としては、しっかり検討して、何かできることがあれば、収支差額率というのは大きいので、何か手を打たなければと思っています。意見だけですけれども、よろしくお願いいたします。また、お話を聞かせていただければと思います。ありがとうございます。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 続いて、田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー ありがとうございます。田村でございます。
 私自身も今日この御報告を聞いて非常にショッキングでした。特に前回の令和3年の障害福祉サービスの改定で医療的ケア児に関していろいろ新しいスコアが採用されて、看護師の加配がしやすくなったと考えていましたので、それがむしろ赤字を増やす事につながったかもしれないということは非常にショックでございます。
 それに対する対応策としては、21ページで、看護師以外の支援員の研修をして、それに対してそれなりの加算を要望するということと、これについては先ほど全国身体障害者施設協議会のほうでも同じような要望がありました。
 更に24ページには、既に人工呼吸器などの重い医療的ケア児を見ておられた保護者の方の経験を活用するということも挙げられております。そういった看護師以外の支援員が研修を受けた場合、それから医療的ケア児の保護者の方で保護者の経験を生かして働いていただいた場合、特に後者の場合は、医療的ケア児支援法の中で挙げられております医療的ケア児だけではなくて医療的ケア児の家族の離職を防止したり就労を支援するということにも繋がると思いますが、こういったことを行った場合の加算については、看護師の加配加算の場合を1とすると、具体的にはどのくらいの加算を認めるとすれば、赤字の解消になるとお考えなのでしょうか、教えていただければ幸いです。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 御質問ありがとうございます。
 今、21ページ、24ページの現場の意見ということで取り上げていただいた2つの意見は、図らずも私がかつて責任者をしていた事業所の職員の考え方なのです。というのは、看護師といえども、重症児のケア経験のある人なんて10人に1人もいないし、ましてや呼吸器ケアという重症児の医療的ケアの核心的な部分の経験者となれば100人に1人ということもないかもしれませんが、ほとんど出会うことはないぐらい厳しくて、そういう中で、ある日突然、重症児の日中活動支援事業所に配置されても、1人だった場合には、なぜか全責任が、看護師だからできるのでしょうということになってしまって、看護師の方々は大きなプレッシャーなり孤独感で耐えられない。たとえ1人、2人、3人の医療的ケア児であっても、複数いなかったらとても1人では耐えられないぐらいの重圧がかかってしまうということをたくさん経験しています。ここの事業所の責任者もそういうことを経験しているわけです。
 そういう中で何とか看護師ではない自分らでできることはないかということで、看護師の加配加算、配置加算ができる前から、介護職員がたんの吸引の研修を受けたり、あるいは私の指導の下に「御家族に聞きなさい。喜んで教えてくれるから。我が子の医療的ケアを理解してくれる人が1人増えればこんなうれしいことはないから、とにかく御家族に教えてもらいなさい」と言って、看護師の増員ができない段階で福祉職員でできることをやってきたという経過があります。
 しかしながら、これを法律的に、社会的な責任のある福祉事業所において看護師以外の者のできる範囲を広げるだとか認めるだとかということを今よりもさらに広げるということは、報酬改定だけではない、もう一つ違うところの議論が必要になってきて、我々の方針をどう生かすかというのは、むしろ私のほうも教えていただきたいと思っております。いずれにしても、何か制度の見直しなどがないと、一人の看護師だけに医療的ケアの全ての責任をお願いするというのはなかなか難しいのかもしれないと思っています。ご質問についてはお答えすることが大変難しいのですが、この2つの意見はそういう中でジレンマを抱えている現場の責任者の意見だったということでございます。
 以上です。
○田村アドバイザー どうもありがとうございます。
 私自身、新生児医療に関わっていた医療者として、看護師さんの中でも実際に小さな赤ちゃんや小さなこどもの喀たん吸引などを含めた医療的ケアができる方というのは非常に限られておりますので、そういった中でも21ページと24ページのグッドプラクティス例というのは非常に参考になる事例だと思います。厚労省のほうでもぜひ前向きにこれから検討を続けていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 田村先生、ありがとうございます。
 入所の場合はチームで看護師さんが3交代24時間連携してやれるのですけれども、日中は1人、2人の看護師さんが全責任を持たなければいけないので、今までベテランの看護師さんを配置しても、重症児の経験がない人は1週間で辞めていってしまいます。そういう意味で、10年、15年のベテランの人でないと、重症児通園、そして田村先生の御専門の保育園での医療的ケア児を受け入れる場、我々のところでもやっていますけれども、その方々は国の基準では到底対応できないような経験と給与の人を配置せざるを得ないということが一つございます。
 それから、もう一つは、御質問と外れるかもしれませんが、最近、私は岡山県での在宅の医療的ケア児の家族と情報交換会をやりました。私はこどもばかりと思ったのですけれども、19歳から31歳までの年齢の高い方が在宅で頑張っておられます。それも岡山市だけでなくて、人口1万人足らずの過疎の地域でかなり重い酸素吸入の人が頑張っておられます。そこで先ほども出ました専門職、看護師、保育指導員がチームでやるということは実際は難しいと思っております。1人で看護なり保育指導の資格を持つ。最近、私はヘルシンキに行ってきたのですけれども、あそこではラヒホイタヤという准看護師の資格に保育士その他、多専門資格を持つ人が頑張っております。正看護師であるにこしたことはないのですけれども、准看護師レベルで保育等もできるような資格が人口過疎の地域では必要ではないかと思ったりしております。そのことも含めて、ぜひ田村先生、どんな地域に住んでも頑張れるようなシステムにしていただく、その方向で御支援を頂けたらと思っております。よろしくお願いします。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 時間が来ておりますので、最後に岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 詳細な御報告ありがとうございました。
 質の高いサービスを提供していらっしゃるところに見合う報酬をということでこの検討が行われている、本来的にはそういうことだと理解していたのですけれども、今日の御発表を聞いて非常に驚いているわけです。実際に加配による人件費ということだけではなくて、様々な理由で経営的に厳しい状況になっていらっしゃるということもあるかと思いますし、また、それに対して様々な工夫をされているということも分かるのですけれども、実態としてこのような赤字が出ている。また、今年度もまだ同じような状況が続いている事業者さんもいらっしゃると思うのですけれども、この赤字ということに、事業者の皆さんは現実的に出てしまっているものに対してどういうふうに対処されているのか、あるいはどういうふうに対処しようと考えていらっしゃるのか、そういった御意見とか対処方法について、御存じの範囲で結構なのですけれども、教えていただければと思います。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 私どもの前身である重症児通園事業というのがあります。30年前から行われていますが、そのときからこの状況は実は変わっていないのです。平均すれば常に1000万円前後の赤字をずっと続けてきました。いろんな加算もついて充実もしてきたけれども、さらに医療的ケア児の受入れの割合が増えてきて、結局、いたちごっこで今日まで変わっていないということがまず1点目です。
 2点目としては、会員事業所の4割ぐらいは背景に大きな重症児者の入所施設がある法人が運営しているため、一定程度の赤字であっても甘受できるわけですが、6割程度は実はそうではないのです。しかし、それらの法人も重症児を受け入れている事業所がメインではないのです。背景には別の知的障害の大きな入所施設や通所施設があって、サブとして重症児を受けているグループなり事業所があるということなので、そういう中では、赤字であっても、やめずに頑張ってくれている事業所が今なお6割ぐらいはいるということです。確かに重症児者の入所施設を運営している法人よりはその赤字額は半分ぐらいかもしれませんけれども、黒字のところは極めて少ないのが現実です。また、そのうちの一部は、赤字である小さい事業所と黒字である大きな事業所を合併させて赤字を見えなくして、それで何とかやっているというところもございます。そういうことで、赤字がなくなっているわけではなくて、厳然として重症児を受け入れいてるグループなり事業所のほとんどは、赤字で頑張っているというのが現実です。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 私の立場で心配しているのは、単独でやっているところで、赤字を抱えて頑張っていますけれども、限界が来たらやめてしまうと思います。やめたら御家族はどこに行くのか、在宅の重症児はどうなるのか、このことをぜひ考えていただきたいと思っております。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 参考までに、この10年間で私どもの会員は30事業所ぐらい退会しています。新たに毎年1~2か所入っていますけれども、トータルして20か所ぐらい減っている現状がございます。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 それでは、以上といたします。全国重症心身障害日中活動支援協議会様、ありがとうございました。
○全国重症心身障害日中活動支援協議会 ありがとうございました。
(説明者交代)
○伊藤障害福祉課長 続きまして、本日最後になりますが、社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会より、安部井聖子様、長井浩康様、よろしくお願いいたします。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 全国重症心身障害児(者)を守る会でございます。よろしくお願いいたします。
 重い障害のあるこどもの命を守るため、親たちが中心になって昭和39年に設立いたしました会でございます。設立当時でございますが、「社会の役に立たないものに国のお金は使えません」との声も聞かれる世相の中で、私たちは「どんなに障害が重くても真剣に生きているこの命を守ってください」と訴えてまいりました。以来60年にわたり「最も弱いものをひとりももれなく守る」という基本理念に沿って、重症心身障害児・者の医療・福祉・教育等の分野の皆様に御理解いただくよう活動を続けております。
 本日は、私どもの会長代行、小山と申しますが、代わりに東京都守る会の会長の安部井から障害者施策に関する親の思いをお話しさせていただきまして、続きまして、私、長井から障害福祉サービス等報酬改定に関するお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、安部井東京都守る会会長からお話しいたします。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 安部井でございます。
 私の娘は、現在、36歳で年齢から言えば内科を受診しなければならないのですが、身長153センチ、体重25キロという体で、重積のてんかん発作もあり、1ミリグラム単位で毎月、抗痙攣剤の薬の調整が必要なため、現在も重症児者医療を支えてくださっている小児神経科を受診しております。
 重症心身障害児者の場合には、医療も含め、児者一貫の支援体制がある重症心身障害児者施設があってこそ短期入所事業が行われております。この体制によって本人も親も安心して在宅生活を送ることができますので、短期入所事業は、在宅生活にとって必要不可欠な必須の福祉サービスでございます。全国どこでも短期入所が利用できる仕組みとなるよう願っておりますので、どうぞ御検討くださいますようお願いいたします。
 それから、もう一点、生涯学習についてお願いいたします。文部科学省から生涯学習の必要性の報告が出されて5年がたちました。その間にも全国様々なところで訪問型の生涯学習の取り組みが行われるようになりましたが、人材育成や運営に課題があります。特に、財政的な裏づけがありません。NPO法人などが運営している場合は、本人の負担を考慮して年間授業料が5000円、1万円と安価な授業料で行っていただいております。しかし、訪問してくださる先生への報酬は全くありません。生活介護事業所に在籍している人が、人工呼吸器になって全く通所できないという場合、生涯学習の視点からも職員が訪問してくださっているのですが、それに対しての報酬も全くないという中で、必要な本人支援が関係者の熱意によって、ボランティアで今なされているということが全国各地で発生しております。どうぞこの状況を打破するために、何らかの事業として実施されるよう、障害者サービスとして報酬改定の面から制度化をお願いいたします。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 それでは、障害福祉サービス等報酬改定のお願いについて申し上げたいと思います。
 まず、これまでの障害者施策におきまして、重症心身障害者福祉の向上が図られておりますことに感謝申し上げます。
 資料3ページを御覧いただきたいと思います。3年前の報酬改定の後、政府の動きといたしまして、国連の権利条約に関する政府報告と国連からの勧告、これに関連した第5次障害者基本計画の策定等がございました。
 第5次障害者基本計画には、私たち守る会の「重症心身障害児・者の命を守ってください」という主張を受け入れていただき、在宅の障害者に対する日常生活を営む上で一番の心配事であります「必要な時に救急医療が受けられる体制整備を推進する」と書いていただきました。これは医療体制でございますので、障害福祉サービス等報酬改定とは直接関わりはありませんが、この基本計画では、これに関連することとして、短期入所の確保、在宅サービスの量的・質的充実を図るとされております。
 4ページの詳細版には、令和元年障害者総合福祉推進事業として厚労省の補助金で行った調査結果をエビデンスとしてお示しいたしました。この調査結果が表しておりますように、短期入所に用意されているベッド数が不足していることは明らかでございます。事業者が重症心身障害児者のための短期入所事業を行い、ベッド数を増やすためのインセンティブを高めるための報酬改定をお願い申し上げます。
 短期入所サービスの報酬の増額要望につきましては、事業者団体であります日本重症心身障害福祉協会様より先ほど具体的な根拠を基に説明していただきました。報酬改定により短期入所事業者が増加するための政策誘導をぜひともお願い申し上げたいと思います。
 次に、同じく第5次障害者基本計画では、障害者が生涯にわたり学習の機会に親しみ、訪問支援を含む学びの場や、その機会を提供・充実することを書いていただきました。特別支援学校等では、タブレット等ICTを使ったコミュニケーション支援が行われておりますが、卒業後の日中活動の場である生活介護では、それまでの支援が途切れてしまいます。居宅訪問型の生活介護事業を含め、報酬での工夫により障害者基本計画の達成に向けた検討をお願いいたします。
 以上、よろしくお願いいたします。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 それでは、アドバイザーの皆様から御意見、御質問をお願いします。田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー 分かりやすい御説明どうもありがとうございました。
 短期入所サービスというのは、医療的ケア児を持っておられる御家族の場合は、御両親だけではなくて、きょうだいについてもレスパイトの役に立つし、それから、お子さん自体にとっても自立の方向に歩んでいく一歩にもなるので、非常に大事だと思っております。私の質問は、4ページにマル2として、報酬単価の設定のところで、日払いを見直して、月払い、定員払いに合わせることを要望いたしますとあるのですが、具体的に日払いを月払い、定員払いにすることによってどれだけ経営的に有利になるのか、それから医療型短期入所を受け入れてもいいという施設が増えることにつながるのか、その辺りについて教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 御質問ありがとうございます。
 具体的にどのぐらいの額が保証されるかについては、今、お答えすべき材料はございませんが、令和元年の研究事業におきまして、空床型の短期入所というのは59.6%となっております。ただ、施設によっては空床を長期入所で埋めるという傾向があります。空床がありますと、その分、使っていないときは収入が入ってこないわけでございます。それは日払いによる制度の影響を受けてのことでございますけれども、そのために、空床をなくす、つまり長期入所を入れて空床のベッドを埋めてしまおうというような考えを持つ経営者の方がいらっしゃいます。そうであるならば、短期入所の事業を幾ら望んでも利用することができなくなるということだと思います。したがいまして、先ほども日本重症心身障害福祉協会様からもお話があったかもしれませんが、短期入所のベッドをきちっと確保した上で、その分を日払いではなく、要するに実績払いではなく、その分を確保するように定員払いにするというような考え方をしていただきますと、その分の短期入所が確保されるのではないかということで提案させていただきました。
 以上でございます。
○田村アドバイザー 御説明ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー 生涯教育のことで知りたいのですけれども、資料の5ページの提案事項の中で私が特に関心を持ったのは、生活介護事業所のある種の役割というところの指摘事項が入っているのですが、現在の状況と、どういうような形で生活介護事業所の中にメニューとして入れ込むと、これは教育と福祉の谷間もあるのですけれども、やはり生活介護事業所ならではというのは、何か御提案があれば、より詳しく知りたいのですけれども。
 以上です。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 学校教育は卒業があります。生活介護事業所には、本人が入所しない限りずっと続けて利用できるという利点があります。また、そこにいる生活介護指導員の方たちの様々な日中活動のノウハウを、在宅で生活せざるを得ない、通所施設に通えない人たちに対して、訪問して生活介護事業の一場面を家の中に持っていっていただく、そういう利点があります。現在、コロナで訪問できていないのですが、コロナ禍前までは、人工呼吸器が必要になり、お母さんも外に出すのが不安、本人も外に出る体力がないという家庭には、生活介護事業所がボランティアで2名以上の支援員さんが訪問して1時間ほどの支援を行っているという実例がありました。そのことによって本人が生き生きと期待を持って生きていく、命をつないでいくということがありますので、生活介護事業所でのそういうような取り組みが事業として展開されることを願っています。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 補足させていただいてもよろしいでしょうか。資料の9ページ、10ページに、今、実際行われている生涯学習の例がございます。先ほども申し上げましたが、18歳になって特別支援学校を卒業される。そのときに、それまで続けてきたコミュニケーションツールであるタブレット等をお返ししなければいけないのです。できますれば、タブレットをそのまま、使い慣れておりますので、学校教育の場から18歳を過ぎても使わせていただけるような仕組みがあればいいのですけれども、ただ、18歳を過ぎますと学校教育から離れてしまいます。そうしますと、障害のある方はどこのサービスを受けるかといいますと、福祉のサービスにつながっていくわけです。生涯学習だから、これは学校の仕事ですよということではなく、文部科学省の仕事ではなくて、厚労省として生活介護のサービスの中にきちっと受け止めて、それを続けていただきたい。特に重症心身障害児者は、ゆっくり成長を続けてまいりますので、18歳になったからといって、そこで支援が途切れてしまうのは非常にもったいない状態でございます。
 先ほど資料の9ページ、10ページを御覧くださいといったものの共通点に、教師として活用されているのが特別支援学校の勤務経験のあるOBの方、この方が人材として担っているということでございますので、そういったOBの方を雇った場合、障害福祉サービス報酬でいいますと、特別支援教員OB雇用加算といったものがあれば、生活介護の中でさらに特別支援学校を引き継いだ訓練という意味になるのかもしれません。コミュニケーションの成長過程の中の一つの支援として続けていただけるのではないかと考えております。
 以上です。
○小澤アドバイザー 興味深いお話をどうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 よろしいでしょうか。
 時間が参りましたので、全国重症心身障害児(者)を守る会の皆様、ありがとうございました。
○全国重症心身障害児(者)を守る会 ありがとうございました。よろしくどうぞお願いいたします。
○伊藤障害福祉課長 本日予定している議事は以上で終了でございます。
 アドバイザーの皆様、何かございますか。
 それでは、以上といたします。
 次回の検討チームは7月31日月曜日、14時から開催予定となっておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。お忙しいところ、御参集いただき、ありがとうございました。