2023年7月21日第30回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

1.日時

令和5年7月21日(金)14:00~16:30

2.場所

対面及びオンライン会議(東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンス)

3.出席者

4.議題

  1. 1.関係団体ヒアリング2
  2. 2.その他

5.議事

○羽野室長 定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第30回会合を開催いたします。
 関係団体の皆様、それから、アドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、アドバイザーの皆様にはオンラインまたは会場にて御参加いただいています。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、田村アドバイザーは所用により御欠席、それから、佐藤アドバイザーは途中退席の予定となっております。
 構成員の出席状況でございますが、障害保健福祉部長の辺見、それから、障害福祉課長の伊藤、それから、精神・障害保健課長の小林が、大変恐縮ながら別の公務により欠席となっております。そのため、本日の進行は私、障害福祉課地域生活・発達障害者支援室長の羽野のほうで進行させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 また、本日は団体の皆様からのヒアリングを行うため、関係団体の方々にお越しいただいております。ヒアリングは1団体ごとに入れ替わりで行いますので、団体名と御出席者のお名前につきましては、各団体からのヒアリングを行う際に御紹介させていただきます。
 なお、本検討チームの議事は公開といたしまして、その審議内容は皆様に御確認をいただいた上で、後日、厚生労働省のホームページにて議事録として掲載することとさせていただきます。
 それでは、議事に入る前に資料の確認と会議の運営方法、特にヒアリングの段取りを御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料の確認でございます。オンライン参加のアドバイザーの皆様におかれましては、電子媒体でお送りしている資料を御覧いただければと思います。また、同様の資料を厚生労働省のホームページにも掲載しております。
 本日の資料でございますが、議事次第を御覧いただきますと分かりますけれども、ヒアリング資料として資料1~8がございます。本日ヒアリングを行う各団体様から事前に御提出していただいておりまして、「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等」の資料、それから、参考資料として「障害福祉サービス等報酬改定に向けた関係団体ヒアリングの実施について」という、ヒアリング資料を8個、それから、参考資料1つという計9点となってございます。
 資料の確認は以上でございますが、特にヒアリング資料について、資料の不足等がございましたら、恐縮ですけれども、厚生労働省のホームページからダウンロードいただくなど、御対応をお願いできればと思います。
 続きまして、ヒアリングの進め方について確認をさせていただきたいと思います。前回と同様でございますが、ヒアリングは1団体ごとに行いまして、それぞれの団体の皆様からの御発言を8分間行っていただきます。その際、4分を経過した時点でベルを1回鳴らさせていただきまして、8分を経過した時点でベルを2回鳴らさせていただきます。2回目の場合には、速やかに意見をまとめていただきますようお願いいたします。
 団体からの御発言が終了いたしましたら、アドバイザーの皆様からの質疑応答となります。質疑応答の時間は、それぞれ7分間とさせていただきます。御発言される場合は、現地で御出席いただいている場合は挙手の形で、オンラインで参加いただいている場合はZOOM機能の挙手ボタン押していただく形でお願いいたします。発言者はこちらのほうから指名をさせていただきますので、指名された方から御発言をお願いできればと思います。
 なお、ヒアリングに当たりましては、5月22日の検討チームでもお示しをしました4つの視点に加えて、アドバイザーの皆様から御助言いただいた観点も踏まえて資料を御用意いただき、それから、資料のうち、詳細資料ではなく概要版に沿って御発言いただくように、あらかじめ事務局のほうからヒアリング団体の皆様にお伝えをしているところでございます。
 4つの視点について改めて御説明させていただきますと、参考資料の1ページ目の辺りに書かせていただいておりますけれども、4点ございます。
 1つ目の視点としては、より質の高いサービスを提供していく上での課題、それから、対処の方策、評価方法についてであります。
 2つ目の視点としては、地域において、利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための質の高い人材の確保を含めたサービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策でございます。
 3つ目の視点が、障害福祉サービス等にかかる予算額が障害者自立支援法施行時から3倍以上に増加し、毎年1割程度の伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策であります。
 4つ目の視点は、ICTの活用も含めましてですが、業務の負担軽減・効率化に向けた課題及び対処方策です。
 以上4点でございまして、これらの視点を踏まえた御説明をお願いしているところでございます。
 なお、本日は手話通訳及び要約筆記を行っておりますので、御発言の際はできるだけゆっくり分かりやすくお話しいただけますようお願いをいたします。
 それでは、早速ですが、ヒアリングを開始させていただきたいと思います。
 初めに、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会就労センター協議会の皆様より、鈴木暢様、井上忠幸様にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いします。
○全国社会就労センター協議会 それでは、全国社会就労センター協議会より報酬改定に関する意見をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 資料の2ページ目をお開きください。私どもは昭和52年に当時の授産施設関係団体が大同団結して結成した団体です。働く意欲がありながら就職の難しい方や、就職を目指す障害のある方の「働く・くらす」を支えることを目的に、全国1,351の会員施設・事業所が様々な活動を展開しています。
 会長は、社会福祉法人キリスト者奉仕会理事長の叶義文が務めております。
 3ページ目を御覧ください。本会の目指す姿を示しています。新たに創設される就労選択支援を踏まえて、将来的に障害のある方の「働く・くらす」をトータルで支援できるワンストップ相談窓口の実現を目指しています。
 また、障害のある方が地域で自立した生活を送るために必要な条件整備を前提とした将来の姿として、就労継続支援A型とB型との統合を目指しています。
 障害のある方の就職を促進することは極めて重要ですが、実際には就職の難しい方もいる中で、誰一人取り残さないことを大前提としております。
 私からは以上です。
○全国社会就労センター協議会 続きまして、4~5ページの概要につきましては、井上より意見させていただきます。
 まず昨年、障害者総合支援法の改正が行われましたが、その中に盛り込まれた就労選択支援についてです。本事業については、御本人がその結果を活用することを大前提に、決して結果誘導がなされることのないように、本人の選択を尊重する仕組みづくりにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、順を追って説明いたします。まず、利用者への支援の質並びに工賃を向上するための人員配置基準の拡充についてです。この意見は6対1の配置基準を新設いただきたいという趣旨です。こちらは現行制度の重度者支援体制加算について、障害基礎年金1級受給者の割合のほかに適切な指標を検討するということで、いろいろと検討を重ねてきていたことが発端となっています。就労支援事業における重度者像について意見交換を重ねてきた中で、障害支援区分が重度であっても、あまり支援が必要ではない。つまり設備などの環境整備で対応できることが多くある一方で、軽度といわれる方であっても多くのマンパワーが必要な例が出てきました。
 別紙にその内容をまとめたものを本日の配付資料としていますが、こうした事業所では加配置をして対応しているところが多くあり、そうした事業所では持ち出しで対応しているという実態がございます。ぜひ御検討いただきたいものでございます。
 7ページ下のコラム欄では、質の高い人材顔確保について奨学金の助成制度を設けることを挙げています。人材育成につきましては、事例として他の事業所や拠点との間で実務者同士が意見交換をするような環境づくりや、そこでスーパーバイズする機能があれば、支援に行き詰まる事例も減少してくるのではないでしょうか。こうした人が育つ土壌づくりが重要ではないでしょうか。
 続きまして、平均工賃月額の算出方法の見直しについてです。現状の算出方法では、月内に工賃が発生する方の利用日数を考慮せずに1人として計算することになっているため、特に精神障害のある方を支援する事業所においては、利用日数が少ない方の割合が高く、結果として平均工賃月額が低くなってしまいます。このことが利用日数の少ない方を排除するような動きにつながる懸念がございます。現実に、私が在籍する事業所でもそのような方を受け入れており、週に2日以下の利用しかない方が全体の半数近くに達しています。今回の提案では算定のベースを日単位にすることで、利用日数の少ない方々を排除することがないようにすることができると考えます。
 次に、B型事業所の設置目的を達成するための施策として、工賃平均額最低基準を現行の3,000円から段階的に引き上げることを提案いたします。併せて、平均工賃月額を引き上げるために工賃向上計画が求められているにもかかわらず、それを提出していない事業所に対する工賃向上計画未作成減算の導入、また、工賃平均額最低基準の未達成減算の導入の検討をお願いいたします。さらに就労系事業を持続可能にしていく施策の案として、報酬改定の都度に出てくる不適切な運営をしている事業所のあぶり出し、これには実地検査の徹底や第三者評価の完全実施等を徹底して行うことで、一部コンサル企業による不適切な運営指導に対する早期発見・対応が可能になると見込んでいます。
 続きまして、就労継続支援A型事業につきまして、スコア方式の改善案の詳細を14ページにお示ししています。現在規定されている業務外の事由による負傷、または疾病の療養のための休業に関する事項については、できればそのようなことがないように日常からの健康管理をしていくことが求められているはずですので、実績の有無について評価をすべきではないと考えます。
 就労移行支援事業については、意見出しの背景を15ページに示しています。定員の充足については深刻な問題として見ています。就労移行支援事業に関しては、その他の項で就労移行支援事業と就労定着支援事業の接続並びに就労定着支援事業における利用者負担の問題について意見しております。これは17ページに詳細を示していますが、制度上の縛りによる負担感が増す仕組みとなっています。
 共通項目としては2件、1つは食事提供体制加算の恒久化です。背景や詳細については12ページにてお示ししているところですが、中には事業所で提供される食事が唯一という方も散見されますし、収入についても決して十分とはいえない方が多くいる中で、ぜひ継続していただきたいものでございます。もう一つは処遇改善についてです。こちらも17ページにお示しております。事務作業の軽減と配分方法について、事業所の裁量に任せていただきたくお願い申し上げます。
 全国社会就労センター協議会からは、以上をもって意見とさせていただきたいと思います。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、御発言に関しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等があればお願いいたします。
 まず、小澤アドバイザー、よろしくお願いします。
○小澤アドバイザー どうもありがとうございます。
 私のほうで知りたかったことで、3番目の御意見なのですけれども、就労B型事業所の平均工賃月額を上げるというところで、その上で、向上計画未達成減算に関する指摘事項がありまして、これは大変重要事項だと思って受け止めて聞いていたのですが、逆に、例えば対象者を絞ってしまうとか、選別してしまうとか、そういう懸念というのはいかがかなというのが知りたかったことです。よろしくお願いします。
○全国社会就労センター協議会 現在、就労継続支援B型におきましては、参加することにその意義を求める区分が創設されております。工賃について向上させていく、そして、生活の糧にしていく、地域生活が実現できるものとしていく、こうした「働く・くらす」を支えるというのが、我々社会就労センター協議会の一つの大きな目標でもございます。したがいまして、新たな参加することに意義を持った区分が設定されておりますので、そこでくくり分けができるのではないかと考えております。
○小澤アドバイザー ありがとうございました。
○羽野室長 続きまして、橋本アドバイザー、お願いいたします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明をありがとうございました。
 就労選択支援事業についてですが、意見なのですけれども、私の娘は自閉症で知的障害がありまして、特別支援学校を卒業して、現在、パートで高齢者施設で障害者就労をしています。実は当時、卒業後の進路を考える際に、私は親として大変過剰な期待をかけてしまっていまして、障害者就労で週5日常勤で働いてくれることを期待していました。
 しかし、高校の3年間をかけて様々な企業での実習を重ね、先生方に的確なアセスメントをしていただいて、本人にとって一番合っている企業を紹介していただいて、まずは週3日、午前中だけ、慣れてきたら徐々に時間を増やしていって、週20時間に挑戦していくという、娘のペースに合わせた働き方をさせていただきました。おかげで7年間働くことができています。
 そのような客観的なアセスメントと本人に合わせた支援がなければ、恐らく私の過剰な期待から、たとえ就労できたとしても継続は間違いなく困難であったと思います。家族も本人も客観的で適切な判断というのはなかなかできないものですので、最初が肝心ともいいますし、今、お話がありましたような就労選択支援事業で障害者自身が就労アセスメントの結果を活用して、障害者自身で最適な選択ができる仕組みを検討してほしいという御意見は、私も重要だと考えています。
 そして、サービス等利用計画にそれが生かせるように、相談支援専門員とも適切な連携を取っていただきたいと思います。これはぜひ国にもお願いしたいところです。
 以上です。
○全国社会就労センター協議会 ありがとうございます。大変有意義な、本当に心を打たれる御意見だったと受け止めております。
 特に特別支援学校から社会参加をされる場合に、御本人の特性を就労に生かすという考え方を私たち絶対に見逃すことはできません。特性がきちんと生かされて、御本人が安心して働ける環境、そして、ストレスなどにもきちんと対応できるような下支えが必要だと思っております。そのためにも、就労選択支援、就労定着支援、就労移行支援、これらがしっかりとタッグを組むことが大事ではないかと考えて、今回の意見出しにつなげております。
 以上でございます。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○羽野室長 ありがとうございます。
 石川アドバイザー、お願いいたします。
○石川アドバイザー 分かりやすい丁寧な説明をありがとうございました。
 説明の中で、職員の方がいろいろと苦労しながら就労支援をされている様子が伝わってきました。その中で、従業員配置5対1の対応が提案として出されておりますが、5対1にする条件みたいなものにつきまして、何か御意見がございましたら教えていただきたいと思いまして、質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
○全国社会就労センター協議会 ありがとうございます。
 実は既に5対1の配置で支援に取りかかっている事業所が結構ございます。これは先ほども説明の中で申し上げましたけれども、全て持ち出しになっているというのが実態でございます。5対1の配置の条件といいますのは、そこに非常にマンパワーのかかる方たちが在籍しているというところが一番のポイントになるのではないかと思いますが、例えばそれを障害支援区分等であぶり出すことはなかなか困難かと思っております。
 特に行動障害等も含めて軽度の方というのはある程度判断ができて行動もできる、おかげで社会との接続の中でのいろいろな問題が起きて、事業所外のところでのマンパワーがかかってしまうというのが普通にございます。そこの基準を設けるというのは非常に困難な質問で、返答に窮するところではございますが、そのような実態があるということで、お答えに代えさせていただければと思います。
○石川アドバイザー ありがとうございます。
 障害の重い軽いでなかなか言い表せない部分があるかと思いますので、人員基準の中で、最低ラインのようなものが合わせて考えられるといいのかなと思いまして、意見をさせていただきました。
○羽野室長 続きまして、佐藤アドバイザー、お願いいたします。
○佐藤アドバイザー 御説明ありがとうございました。佐藤でございます。
 資料の詳細版12ページの下のところにありますが、不適切な運営をしている事業所をあぶり出す必要があるのではないかという御意見でした。不適切な運営をしている事業所を全て調査するというのは、なかなか難しいかと思いますが、どのような特徴が不適切な事業所には見られるのか、もし御存じでしたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○全国社会就労センター協議会 ありがとうございます。
 まず、これにつきましては私見であるということを前提にお答えさせていただきたいと思います。私たち社会福祉法人の運営目的・設置目的としましては、福祉のために、その設置がなされています。
 一方、株式ではどうでしょうか。株主の利益が一番に置かれています。つまり利益を優先する事業、それから、福祉を優先する事業、この差はかなり大きいと思います。今、こうした事業所が混在しております。私たちは福祉という視点で実地検査をはじめ、指導監査等、かなり厳しく運営指針について問われています。指摘されたことについては、しっかりとそれに反映できるような運営を心がけているところでございます。
 これにつきましては、社会就労センター協議会に加盟している社会福祉法人由来の施設全て、この誇りと矜持にかけて運営をさせていただいているところではございますが、近隣で聞こえてくることとしましては、利益を目標としてコンサルが介入する、そして、そのコンサルの介入に乗っかって地域ごとにいきなり加算が増えてくるとか、そういったことがこれまで繰り返し発生しておりますので、おおむねそのようなところが一つの目安になってくるのではないかなと感じているところでございます。
 以上でございます。
○佐藤アドバイザー 参考になりました。ありがとうございました。
○羽野室長 それでは、お時間もまいりましたので、以上とさせていただきたいと思います。全国社会就労センター協議会の皆様、どうもありがとうございました。
○全国社会就労センター協議会 ありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きまして、一般社団法人全国地域で暮らそうネットワークより岩上洋一様、山口麻衣子様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国地域で暮らそうネットワーク 一般社団法人全国地域で暮らそうネットワークの代表の岩上洋一と山口麻衣子でございます。本日は、貴重な機会をありがとうございます。
 私たちは通称チイクラネットと申しまして、障害者の皆様が希望する地域で自分らしく生活することができる持続可能な社会づくりに寄与することを目的として活動しています。この間、自立生活援助、ピアサポート、相談支援事業所の複数事業所による協働体制、就労継続支援B型の一類型である地域協働加算等については、アドバイザーの皆様の御助言の下、報酬上評価していただくことができました。今回も障害者総合支援法の基本理念の具現化、地域共生社会の実現に向けて、意見を述べさせていただきます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 初めに、視点3の持続可能な制度のための提案です。社会福祉事業を充実させるためには、構造的な改革、基本報酬のアップが必要です。障害福祉業界の人材確保の難しさは喫緊の課題です。アドバイザーの岩崎先生の研究班の調査では、大学生はほかの分野に進む学生と同じぐらいの収入を望んでいることが分かります。選ばれる業界にするためにも賃上げのための基本報酬アップと資格者へのインセンティブが必要です。
○全国地域で暮らそうネットワーク 基本報酬のアップ、つまり国民の皆様の応援も必要になりますので、この子らを世の光にといった福祉の思想・哲学や価値を共有したいと思います。そのためにも、就労継続支援B型の地域協働加算の拡充が望まれます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 公的な制度を活用して障害のある人の暮らしぶりを支援する障害福祉サービス等には、地域に必要とされ、地域を元気にする役割が秘められています。私たちはコミュニティーの頭文字ですがC型と言って普及してきました。
○全国地域で暮らそうネットワーク アドバイザーの野澤先生の研究論文でも、C型の意義の核心は障害者が社会にとって必要な存在と認識され、自己実現を求める権利を保障しようというところにあると述べられています。これを読んでうれしくなりました。
○全国地域で暮らそうネットワーク 続いて3つ目の提案です。食事提供体制加算、補足給付及び利用者負担額等の全体のバランスを考慮しつつ、国民の理解の下、再設定することで、地域生活への移行支援、地域生活支援拠点等の充実を図る必要があります。この提案は全国地域生活支援ネットワーク、DPI日本会議、自立生活センター協議会、高次脳機能障害友の会との共同提案です。
○全国地域で暮らそうネットワーク チイクラの視点3の提案をまとめます。基本報酬のアップ、地域協働加算の拡充、地域生活支援拠点等の充実のための負担の再設定、以上、3点でございます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 次に、視点2の質の高い人材の確保に向けた提案です。これは日本相談支援専門員協会と同様の提案です。社会福祉士及び精神保健福祉士といったソーシャルワークを基盤とした有資格者については、主任相談支援専門員による指導等を条件に、早期に相談支援事業所で活躍できる仕組みが必要と考えます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 先ほど資格が生かせないといった話もありましたが、深刻なことは法人内の恒常的な人員不足から、施設やサービス事業者から相談支援事業所への配置転換が難しい現実があるということです。
○全国地域で暮らそうネットワーク 相談支援専門員の研修体系、人材育成は、小澤アドバイザーの御尽力の下、厚生労働省の皆さんにしっかりつくっていただきました。これを生かさない手はございません。資料では、主任相談支援専門員が新卒有資格者を丁寧に育てている事例を紹介させていただきました。
○全国地域で暮らそうネットワーク チイクラの視点2の提案です。ソーシャルワークを基盤とした有資格者については、主任相談支援専門員による指導等を条件に、早期に相談支援事業所で活躍できる仕組みをつくることをお願いいたします。
○全国地域で暮らそうネットワーク 次に、視点1のより質の高いサービスを提供していくための提案です。1-1です。地域生活支援拠点等の充実です。全国に規範となる地域生活支援拠点等が進むような支援策と、コーディネーターと連携している事業所を評価するといった政策誘導はいかがでしょうか。コーディネーターの配置促進にもつながります。コーディネーターの質の担保のためには、国による指導者養成研修等の実施も必須となります。資料にありますS地区では、拠点のコーディネーターと連携する事業所の職員の役割を整理して、ナビゲーターという呼称をつけて配置しています。これにより、地域生活支援拠点等のネットワークの組織化が進んでいます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 追加になりますが、地域生活支援拠点等は、平時からの準備が重要になりますので、短期入所における体験利用等も含めて、アセスメントや個別支援計画の作成を評価する仕組みも必要と考えます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 次に、視点1における医療と福祉の連携についてです。1-2、精神障害者支援体制加算の要件を厳格にして、医療機関の依頼を断ることなく対応することを報酬上評価してはどうでしょうか。つまり、しっかりと取り組めている事業所を評価する仕組みです。
○全国地域で暮らそうネットワーク 1-3、相談支援事業所が、まず、本人の意向を踏まえて医療機関に情報を提供した後、医療機関が相談支援事業所に必要な情報を提供した場合に、相談支援事業所を評価してはどうでしょうか。もちろん医療機関は診療報酬で評価してください。
○全国地域で暮らそうネットワーク 1-4、入退院を繰り返す等の困難を抱えている障害者を対象に、診療報酬改定で一般医療の入退院支援加算の精神医療版をつくっていただきたい。その対象者については条件を付置せずに、地域相談支援及び自立生活援助を利用できるようにしてはどうでしょうか。まさにトリプル改正マターです。
○全国地域で暮らそうネットワーク 次に、視点1の地域生活支援・相談支援を充実させるための対応策です。
 1-5、自立生活援助と地域定着支援の段差を解消する必要があります。
 1-6、共同生活援助において、一人暮らしの準備を前提としたグループホームか否かを事業者が選定できるようにする必要があります。
 1-7、1-8は記載のとおりです。
 1-9、通所が難しい利用者が多い事業所では、必然的に登録者が多くなるため、個別支援計画の作成数で評価をしてはどうでしょうか。
○全国地域で暮らそうネットワーク 1-10です。自立訓練の支援の効果を測る評価指標としてSIMを活用するとともに、地域協働加算、ピアサポート実施加算で評価してはどうでしょうか。事例も御覧ください。
 1-11、相談支援体制整備には複数事業所共同体制の推進が必要で、機能強化の基本報酬を引き上げること等の政策誘導をお願いします。
 1-12は記載のとおりです。
○全国地域で暮らそうネットワーク 以上、チイクラから、視点1について、地域生活支援拠点等の充実、医療と福祉の連携強化、地域生活支援相談支援の充実の観点から、12項目について意見を述べさせていただきました。数が多くて恐縮です。詳細については御質問いただけましたら幸いに存じます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 最後に視点4のICT活用です。ICTは個別の支援で活用するのか、職員内で活用するのか、他機関とのネットワークで活用するのか、事業所内の業務の効率化として活用するのか等の検証も必要と考えます。
○全国地域で暮らそうネットワーク 辻井研究班の成果を踏まえ、チイクラではICTを活用できるための環境整備への補助や職員への研修等が必要であること、また、特に自立生活援助、地域定着支援、共同生活援助においては、ICTを活用した支援を評価することを提案いたします。
○全国地域で暮らそうネットワーク 以上です。皆様、御清聴いただきましてありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御発言に関しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等をお願いいたします。
 まず、小澤アドバイザー、お願いいたします。
○小澤アドバイザー 建設的な意見が多くてどうもありがとうございます。
 私から2点ほど確認させていただきたいです。
 1点目は視点1、1-1というところです。地域生活支援拠点等のコーディネーターと連携している事業所の評価、これは具体的にどういうような評価というのが考えられているかというのを知りたいのが1点目です。
 2点目は細かいのですが、1-8に長期入院者が退院後に年齢制限のためにA型事業所にという、この年齢は65という意味なのかどうかということ、そうすると、ここの提案というのは就労継続A型を含め、年齢制限の撤廃という理解でよろしいのかどうか。
 この2点ほど教えてください。
○全国地域で暮らそうネットワーク ありがとうございます。
 2点目、もともとA型に通っている人が65歳になった場合はそのまま継続できるのですが、65歳を過ぎてからA型利用というのが今の状況ではできない。長期入院の方が30年とは限りませんけれども、退院をされて、やっと社会生活に慣れてB型からA型に行こうといったときに、もう65歳になっていて利用できないということが見受けられるため、それを撤廃してはどうかという提案でございます。
 それから、地域生活支援拠点のコーディネーターをしっかり配置していただきたいのですが、これは市町村の地域生活支援事業の中でやるという仕組みになっているので、それを進めていくための方策が、市町村も財政的にもなかなか厳しいので難しいと聞いています。しかし、コーディネーターが役割を持つことによって、地域の生活支援の基盤をつくることができますので、むしろコーディネーターと連携して地域移行を進めている施設であるとか、平時から緊急時に備えた対応をしている事業所であるとかを評価することによって、より地域全体としてコーディネーターが必要だという機運を高めていきたい。そういうことも含めての政策誘導が必要ではないかという提案でございます。
○小澤アドバイザー ありがとうございます。
 最初のところは加算とか、あるいは国の補助として何をすべきかというのは、そういったところがあるとよりいいかなと思ったところでございます。
 以上です。
○羽野室長 続きまして、橋本アドバイザー、お願いいたします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明をありがとうございました。
 私からは3つ意見があります。
 まずは地域生活支援拠点についてですが、拠点は緊急時の対応が評価されていますけれども、先ほどおっしゃっていたような緊急事態にならないような平時からの関わりが重要だという意味でも、御提案は大変よく理解できました。そのためにも地域生活支援拠点をコーディネートして、ふだんから地域の事業所と連携するためにも拠点コーディネーターの役割は重要だと感じます。
 一方で、実際に拠点コーディネーターの役割をされている方は、基幹相談支援センターや委託相談の予算が充当されていることが多いのではないかなと思っております。本来、基幹相談支援センターの機能と地域生活支援拠点の機能はしっかり役割分担されるべきだと思いますし、家族としてもこの2つはしっかりと機能していただきたいところです。障害者総合支援法が改正されて、市町村の努力義務化されたことからも、市町村が拠点コーディネーターをしっかり配置できるように、国にも応援していただければと思います。
 2つ目は、医療と福祉の連携強化のための対応策という1-2なのですけれども、私のいる法人は医療法人なのですが、まだコロナでなかなか難しいところはあるかと思いますが、退院支援委員会に地域の事業所が入ることはとても重要で、これは報酬上の評価をすることで推進していく必要があるのではないかと思っております。
 最後ですが、1-4の入退院を繰り返す等の困難を抱えている障害者は条件を付置せずに地域相談支援及び自立生活援助を利用できる仕組みが必要ですとありますが、これは私も賛成です。そもそも家族にかかる期待と負担が大きすぎるのではないかと思います。たとえ家族がいたとしても、これまで困難が多くて入退院を繰り返してきた方が、同じ条件の元に戻られても繰り返す可能性は高いのではないかと思います。そこに自立生活援助や地域定着が入ることで家庭にも風が入り、家族にとっても大きな救いになるのではないかと思います。
 以上になります。
○全国地域で暮らそうネットワーク 橋本アドバイザー、ありがとうございます。
 私どもの意見に非常に賛同していただいておりますので、今後の議論の中でも重点的に進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○羽野室長 続きまして、野澤アドバイザー、お願いいたします。
○野澤アドバイザー 私から2つ質問です。
 地域協働加算です。これは前回の制度改正でせっかくつくっていただいたのですけれども、実態として、こちらのほうを選ぶと、事業所の報酬全体が低くなってしまうので、実際にC型就労をやっているけれども、こちらを選ばない、選べないという声を結構聞くのです。そういう実態についてどのように把握されているのか。もし、データとかがあれば意見を教えていただきたいということが一つです。
 もう一つはICT活用です。これはすごく賛成で持続可能性のことについて今回も各ヒアリング団体にお願いしているのですけれども、なかなかそういうものがない中で、チイクラさんがこういう意見を出してくれたことを大変歓迎したいと思うのです。ICT活用、自立生活援助とか、地域定着支援、あと、もう一つでしたか、この3つを特に挙げていただいているのですけれども、これらのサービスに特に必要な理由が何かあったら教えてほしいです。あるいはどのように自立生活援助だとか地域定着支援で使えそうなのか、ICTを活用してどんなことができそうなのか、具体的に、もしアイデアがあれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
○全国地域で暮らそうネットワーク 野澤アドバイザー、ありがとうございます。
 ICTの活用については、厚生労働科学研究で中京大学の辻井先生が主任研究者としてまとめられておりまして、私も参画をさせていただいておりましたが、自立生活援助、発達障害の方とか、特にICTによるアセスメント機能をできるアプリをつくって、それを実際に定着支援であるとか、グループホームであるとか、自立生活援助の方向けに使っていただいてということをやっています。それの効果については、私の資料の中にも現場の工夫ということで書かせていただいておりますので、そういったことで、まず、できるところから政策的に誘導して、多くの方に、人材というか、福祉の人材不足もございますので、そして、何よりも御本人にとって分かりやすい支援としてのICTの活用というのは有効ではないかと思います。
 前半のC型についてはB型の一類型として今できていますので、今、詳しい統計は私の手元にございませんけれども、野澤アドバイザーと一緒にこの論文の研究班にも私も入れていただいておりましたので、非常に多岐にわたるサービスの方々からも興味関心があって、ぜひそういうことに取り組んでいきたいというデータも出ていたと記憶しております。
 これは私たち、先ほど山口からも説明しましたように、どういう地域社会をつくっていくかという根幹に関わる問題ではないかと思っておりまして、地域協働加算というのは、本来当たり前のように私たちがやっていくことなのですが、サービスともう少しひもづけすることで、最初に申し上げましたように、報酬上の評価として基本報酬を上げていただきたいと思っていますから、地域協働加算と国民の理解というのはセットになっていくのではないかと思っています。
 以上でございます。
○羽野室長 石川アドバイザー、お願いします。
○石川アドバイザー 非常に多方面にわたる提案、大変参考になりました。
 私もICTの部分で非常に重要な御意見をいただいたなと思っているところなのですが、個別の対応の部分、それから、職場内での情報の共有、あるいは事業所ごとの連携など、いろいろな活用方法があると思うのです。その中で、現場の実態としてはなかなかどれも活用しきれてなくて、職員の方の負担が非常に大きくなっていると感じているところです。全国の皆さんの負担を少しでも軽減できるようにするためには、まず、何から行っていくことが負担軽減につながるのか、御意見があれば伺えたらと思いまして質問させていただきました。
○全国地域で暮らそうネットワーク 石川アドバイザー、ありがとうございます。
 先ほど申し上げましたように、ICTの活用についても整理をして、どういったところで活用できるのかを啓発しておく必要があると思います。個別の支援なのか、職員間なのか、それとも他機関との連携なのか、事業所の業務の効率化なのか、それがなかなか整理されないまま今来ていますので、まずはそういったことを事業所の皆さんにも御理解いただく機会をつくる。
 その上で、好事例というのは、好事例という言葉の使い方がこの頃問題になっていますけれども、いろいろ努力をされている事例がございますので、そういったことを共有する機会をつくることは必要だと思っています。ただし、それをずっと待っていますと、3年後、6年後みたいな話になってしまいますので、現時点でもできることについては政策誘導としてお考えいただけるとありがたいと思っているところです。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
○羽野室長 少し時間が超過しておりますので、最後に岩崎アドバイザーの質疑応答、少し簡潔にお願いできればと思います。
○岩崎アドバイザー お時間のない中すみません。福祉サービスに関わる質の高い人材ということなのですけれども、有資格者の採用自体も少ないし、実際に私どもは大学で資格を持つ学生を養成しているわけですけれども、そういった学生の中でも、現場に行くという希望を持っている人が少ないという、本当に御報告いただいたとおりの現実があるわけなのです。ですので、資格を持っている人たちのためにも、何らかのインセンティブというのは、大変ありがたい考えだと思います。
 かといって、全ての障害福祉サービス等の中で人材が不足しているということがあるわけで、特に相談支援というところに特化して今回御提案いただきましたけれども、ほかの事業に関しても、福祉人材の委託に関して何か御意見があれば、お伺いしたいということが一つです。
 もう一つは、就労継続支援B型のピアサポート実施加算の拡大というところについて、もし、具体的な御提案をいただけるようだったら補足してお話を頂戴したいと思いました。
 以上です。
○全国地域で暮らそうネットワーク ありがとうございます。
 岩崎先生の研究班にも私は入れていただきましたけれども、福祉人材の優秀な方々の皆さんに障害福祉領域に来ていただきたいと思っています。そのためにはインセンティブというか、資格を持ってらっしゃる方がそれを生かせることが必要であるというのが岩崎さんの研究結果からも出ておりますので、まずは小澤アドバイザーが中心になって相談支援の研修体系をつくっていただきましたので、厚労省がつくりましたけれども、それを活用するのが私は重要かなと思っています。
 もう一つは、相談支援をやりたくても5年の実務経験が必要になると、どうしても施設で枯渇していますので、施設からも相談支援事業所に異動するというのが非常に難しい状況なのです。それを併せて考えますと、相談支援専門員として早めに活躍できるようなところに資格のインセンティブを設けて、なおかつ、研修体系をしっかりやり、主任相談支援専門員による指導というのが、相談支援体制をつくるということにおいても非常に重要だと思っています。その上で、施設は施設でのインセンティブはまた考える必要ありますが、今回、チイクラとしては、まずは相談支援の体制整備のための人員確保ということが必要だという認識でございます。
 それと、B型については、ピアサポートも岩崎アドバイザーが中心になって厚生労働科学研究でおまとめいただきました。私も参画させていただいていたところです。特に一類型に限って地域協働加算であるとか、ピアサポートであるということではなく、B型全体として、もう一度整理をしていただく必要はあると思っています。
 以上でございます。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。全国地域で暮らそうネットワークの皆様、どうもありがとうございました。
○全国地域で暮らそうネットワーク ありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きまして、独立行政法人国立病院機構様より前田光哉様、後藤一也様、よろしくお願いいたします。
○国立病院機構 よろしくお願いします。このたびはヒアリングの機会をいただき、ありがとうございます。私は国立病院機構西別府病院院長の後藤と申します。重症心身障害協議会の会長をしておりまして、国立病院機構の説明を始めさせていただきます。
 2ページを御覧ください。当機構を紹介いたします。当機構は現在140の病院から成り立っております。障害福祉については85施設が療養介護、82施設が医療型障害児入所支援、77施設が短期入所のサービスを提供しております。当機構は財務状況にも書いていますように、国から運営費の補填を受けることなく、自収自弁で経営努力を行っております。
 3ページ目、国立病院機構の第4期の中期計画を示しております。その中では、重症心身障害、筋ジストロフィーをはじめとするセーフティーネット分野について、我が国の中心的な役割を果たすことをその使命の一つとしております。
 4ページ目を御覧ください。これから報酬改定に関する意見等について、資料に沿って説明いたします。まず、基本的な考え方を申し上げます。障害福祉サービスの方向性ですけれども、本人の希望に応じた入所から地域生活への移行、地域生活支援などを進めることを目指していると認識しております。地域生活への移行、地域生活支援のためには、いざというときの受入体制の整備が重要だと考えております。
 その一方で、高齢化や医療面の重症化、あるいは在宅での介護者の問題など、長期入所を余儀なくされる利用者も多く、また近年、新規入所者の場合、より高度な医療的ケアを必要する割合も多くなっておりまして、入所サービスを支える障害福祉人材の確保・定着も重要な課題と考えます。
 当機構が地域から必要とされる役割を引き続き果たしていくためにも、無論業務効率化などを進めていくことを前提として、次の4つのテーマを御提案いたします。4~5ページには、4つの提案の項目を列記しております。
 6ページ、1つ目の提案になります。利用者が安心して地域で暮らすことのできる体制のさらなる推進のための御提案です。地域生活支援には短期入所サービスの充実が重要と考えます。今日つけております11ページの参考資料1を御覧ください。短期入所サービスにおいて職員不足により受入制限せざるを得ないような状況の中、乳幼児を含む重症児の利用希望など、短期入所サービスのニーズは年々高まっております。また、緊急の受入要請や突然の短期入所キャンセルなど、突発的な個別対応が求められております。
 次に12ページの資料2を御覧ください。資料2では短期入所に対する利用者の様々なニーズがあることが分かります。利用者の医療・福祉サービスのニーズを事前に把握しておくことも重要で、サービス等利用計画の内容に加えて、医療的ケアの状況を情報収集している実情も現在もあります。
 以上のことを踏まえて、短期入所サービスの基本方針の増額を検討していただきたいと考えています。また、自施設以外の医師が主治医である利用者を受け入れるに当たり、入所前に当該主治医等とカンファレンス等を行い、利用者の医療・福祉サービスのニーズを把握した場合の評価の新設を検討していただきたいと思います。
 7ページを御覧ください。2つ目、入所者の医療面の重症化に伴って必要になったさらに慎重かつ手厚い体制による福祉サービス提供に関する提案です。13~14ページの参考資料3と4を御覧ください。当機構においても利用者の高齢化が進み、さらに人工呼吸器患者の割合が増加しています。高度医療的ケアが必要な利用者に対して安全面により配慮した慎重な福祉サービス提供が必要です。入浴を例に取りますと、人工呼吸器をつけている利用者の場合、つけていない利用者に比べ、気管チューブの固定など、1名多く人手がかかり、浴槽での入浴介助、脱衣、着衣、移動、呼吸器点検など、2倍以上の時間を入浴に要しております。このことは、例えばコロナの入院患者を見ても呼吸器を装着している場合、体位交換とかに、いかに人手が多く要るかとういうことを皆さんは御存じでないかと思います。
 また、いろいろな介助には非常に人手がかかる状況もあります。また、高度医療的ケアが必要な利用者にとって、外出・外泊はQOL維持や向上のために求められているものです。このため、高度医療的ケアが必要な利用者に対する個別の状況に応じたサービス提供の評価と医療職が同行する外出・外泊の評価を検討していただきたいと思います。
 8ページ、3つ目の提案であります。セーフティーネット分野に適切なサービスを提供し続けていくための体制確保に関する提案です。高度な医療的ケアを要する利用者に対して、2つ目の提案で申し上げたとおり、それに応じたより慎重な福祉ケアが必要であり、その担い手である障害福祉分野人材の確保・定着が必要です。
 当機構は15ページの参考資料5でもお示ししているとおり、セーフティーネット分野について我が国の中心的な役割を果たしております。当機構は平成16年に独立行政法人化、平成27年度には職員の身分が非公務員化されました。今は民間と同様に自収自弁の経営を行っていますが、国と同列の施設として福祉・介護職員処遇改善加算が算定できません。令和元年度より追加された処遇改善加算も同様です。このため、当機構が求められている役割を果たしていくためにも、福祉・介護職員処遇改善加算の対象にすることを検討していただきたいと思います。
 9ページ、4つ目です。利用者の特性に応じた適切な障害福祉サービスを利用できるための御提案です。前回改定により医療的ケアスコアが基準に達していないものの、何らかの医療的対応を必要とする強度行動障害の方が、自治体判断により療養介護サービスの対象になることが明文化されました。その結果、それぞれの障害特性に応じた地域特性に向けた取組が実施できております。引き続き自治体に対して周知をお願いしたいと思います。
 最後に、現場で工夫している事例についてです。10ページを御覧ください。
 視点1、質の高いサービス提供の関係です。事例1を御覧ください。当機構では強度行動障害の患者を積極的に受け入れていますが、関係する多職種を対象とした研修を毎年実施し、チーム医療のさらなる推進を図っている事例です。
 視点2、利用者個々のニーズに応じたサービス提供についてです。事例2を御覧ください。嚥下機能が低下した利用者に食事の満足を上げるために、特別な嚥下食を提供する料理人を招へいした事例です。
 視点3と4は示しておりますので御覧ください。
 以上です。御清聴、誠にありがとうございました。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、御意見に関しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等お願いいたします。
 それでは、石津アドバイザー、お願いいたします。
○石津アドバイザー 石津でございます。丁寧な御説明をありがとうございました。
 私からは、資料の8ページのところに出ております福祉・介護職員の処遇改善に関する加算が、貴機構では取得できないという点について内容を確認させていただければと思います。私は独立行政法人については運営費交付金が一定程度交付されているものなのかなと思っておりましたのですけれども、交付されていない。それにもかかわらず、国と同列の施設として福祉・介護職員処遇改善加算が算定できる事業所から除外されているということで、不均衡であるというような御主張かなと拝聴いたしました。
 その点に関しまして、民間組織と同様に自収自弁の経営を行っているという点についてもう少し詳しくお伺いできればと思います。細かいことで恐縮なのですけれども、運営費交付金は交付されていないということなのですが、例えば収入の多くを補助金が占めている部分があるかなと思います。その補助金の項目や内容とか、あるいは算定基準とか、そういったようなところも民間と同じような形になっているのかという点ですとか、あるいは職員の処遇・給料等について民間と同様の水準なのかとか、細かくて恐縮なのですが、その点について確認させていただければと思います。
○国立病院機構 前田のほうから回答させていただきます。
 基本的に自収自弁と申しておりますので、介護報酬ですとか障害福祉サービスの報酬、あとは病院の一つの病棟ということで診療報酬というところが主な収入源でございます。また、給与面につきましても民間とそれほど変わりはないという状況でございます。
○国立病院機構 私もまさに自収自弁で介護報酬と診療報酬の医業収益で全て職員の人件費を賄っているという、民間と全く一緒になります。
○石津アドバイザー ありがとうございます。
 そうしますと、施設設備等の補助金等に関しても民間と同じような体制であるということでよろしいのでしょうか。
○国立病院機構 そのとおりです。
○羽野室長 そのほかの皆様、いかがでございましょうか。
 井出アドバイザー、お願いいたします。
○井出アドバイザー 御説明ありがとうございました。御意見等もよく分かりました。
 1点、私は今回ICTに特化して見ていこうかなと思っているのですが、ICT化についての御意見とかは特になかったようです。何かお知恵ですとか、現状があれば教えていただければありがたいなと思います。
 以上です。
○国立病院機構 医療連携とか短期入所サービスの際の情報収集とか連携について、ウェブでの多職種によるカンファレンス等は非常に好事例になるのではないかと思います。今までは例えば施設と施設、一対一の情報共有でしたけれども、関係職員とか関係施設が一堂に会して利用者の情報共有することはICTの活用にとってもメリットが非常に大きいかと思います。実際に、コロナ禍においていろいろな施設訪問とかが厳しくなっておりますので、積極的に導入されている経緯もあると思いますので、そこが一番好事例になるのではないかなと思っております。
 以上です。
○井出アドバイザー 分かりました。また、そうしたところ教えいただければありがたいと思います。
○羽野室長 続きまして、高アドバイザー、お願いいたします。
○高アドバイザー 丁寧な御説明をありがとうございました。
 医療型の短期入所において、安全面や質の高いサービスを提供するために受入人数を制限しているというお話があったと思うのですが、一方、地域における医療計画において、新たな病床の増設や開設の難しい地域もあるということで、新たに医療型の短期入所が事業として立ち上げられないという意見もときに聞くことがあります。そういった辺りも同時に考えていく必要があるかなと思っておるのですが、そういったところの御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
○国立病院機構 私たち国立病院機構が受け入れる患者さんというのは医療的ケア度の非常に高い方が多いと思います。ただ、実際のニーズは、この3年間、コロナ禍にありまして、かなり短期入所の受け入れを制限しておりました。私は大分県からなのですけれども、ある程度用意されている空床型が多いのですけれども、ベッド数と地域からのニーズというのは、ある程度均衡が取れているのではないかと思います。
 ただ、在宅がそれでも増えてきていますので、いろいろな事情を聞きますと希望も多いので、コロナが終わりまして短期入所の事業が継続するようになって、見直しが必要になってくるのではないかと思いますけれども、少なくともベッドを用意するにも、ある程度の人員とか受入体制が必要なこともありますので、増やすにしてもかなり限られているのではないかなとは思っております。今後のいろいろなニーズ等を見ながら検討していく必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○高アドバイザー どうもありがとうございました。
○羽野室長 それでは、石川アドバイザー、お願いいたします。
○石川アドバイザー 国立病院機構の高度な医療的なケアをやられている実情を詳しく御説明いただきまして、本当にありがとうございます。
 その中で、1点教えていただきたいのは、5ページに高度の医療的ケアの提供下にある利用者に対する個別の状況に応じた福祉サービス提供の評価を検討していただきたいということが書かれているのですけれども、在宅でも人工呼吸器をつけた状態で生活をされていらっしゃる方が何人もいらっしゃいまして、個別の状況を報酬等でどう評価するのが難しいと思っています。ここの部分で具体的にどのようなサービスに対して評価するのをイメージされて、記載されているのかというところが分かりましたら教えていただけたらと思います。
○国立病院機構 人工呼吸器の装着患者が増えております。もちろん医療面でもいろいろなケアをしているのですけれども、療養介護でいいますと、日常生活支援、例えば体位交換とか入浴とか排せつとか着衣等、あるいは移動支援とか、あとはレクリエーション、日中活動といったようなもの、機能訓練とかが含まれています。つまり呼吸器の装着患者が増えれば増えるほど、療養介護面でも非常に人手も多く要る。ですから、そういうような人手とか、そういったかかる人的費用面のところを全般に検討していただけないかということです。
○石川アドバイザー ありがとうございます。
 在宅でもヘルパーの2人配置が必要かどうかの判断など、悩むことが多く、重度障害者の給付決定についてのより詳細な判断基準が欲しいと思っています。医療機関の中でも、きっと人手がかかるという点では同様だろうなと思いまして質問させていただきました。人手に対する評価は非常に難しいと思いますけれども、何らかの基準がうまく設けられていくといいなと思って伺わせていただきました。
○羽野室長 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。
 国立病院機構の皆様、ありがとうございました。
○国立病院機構 ありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きまして、障害者自立支援法違憲訴訟団より藤岡毅様、家平悟様、よろしくお願いします。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 障害者自立支援法違憲訴訟団、こちらは原告の家平悟、私は全国弁護団事務局長弁護士の藤岡からお話をいたします。
 自己紹介として、スライド2として、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟において国と基本合意を締結しております。その基本合意文書及び障害者権利条約、そして、2011年8月の総合福祉部会の骨格提言、この3つの実現というものを活動目標としている団体ということで人権擁護団体であり、また、こういう政策形成訴訟における政策形成を目的としている団体ということになります。
 中身に入ります。今日、強調したい点は昨年9月に国連の権利委員会からあった総括所見を受け止めようという点です。4つほどポイントを挙げました。
 スライド4、まず、最近の裁判所の判例も障害者権利条約について実現を勧告しているということを意識する必要があるだろうという点です。旧警備業法欠格条項違憲訴訟という、いわゆるガードマンになる方が補佐制度を使うことによって失職してしまったということで障害者の方が国を訴えた違憲訴訟、一審、二審、両方とも違憲だという判断が下されているのですが、中でも昨年11月15日の名古屋高裁は、こういうことを言っています。障害者権利条約を批准しても、求められている措置が国政において実施されなければ、国際的に条約に加わった形だけのものになってしまう。アリバイづくりのようなことは許されないという強い勧告を国に出しているということを意識すべきだろうと思います。
 スライド5、そして、その9月の権利委員会からの勧告、第8パラでは、移動支援や個別の支援等における障害者への必要なサービスにおいて、格差を取り除くための必要な立法上・予算上の措置を講じなさいということが勧告されています。実際上、障害福祉の世界でも、うちの自治体は1日何時間が上限だとか、夜間帯は駄目だとか、同居家族がいると駄目みたいな様々な制限があるわけですが、そのような制限があるということは、障害者に対して給付がされない、それは言い換えると、事業者に適切な報酬が給付されていないということで、質の低い障害福祉サービスが横行する原因になって、虐待等の原因にもなりますし、悪循環が生じて、結局は地域間格差が生じている。これをなくすことが、より質の高いサービスを提供していく対処方法の一つであるといえると思います。
 スライド6として、権利委員会の勧告、第42パラでも障害者を地域生活を実現するための予算に組み替えなさい、予算配分を変えなさいということがありますので、この点も意識するべきだと思います。
 スライド7、これは43から44パラにおいて、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律におけるいろいろな制限を廃止しなさいという、まさに障害者総合支援法という名前を名指しして、通勤通学、長期間外出等の制限を止めなさいということが勧告されています。これは平成18年厚労省告示523号等を廃止せよと、そこでの注意書きにあるそういう制限を廃止しなさいという趣旨だと思います。これにより障害者の就労が実現し、結果として国の財政負担の軽減につながるという点があるかと思います。
 スライド8は家平さんのほうからお願いします。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 スライド8からは私から、利用者負担と介護優先の問題と報酬単価ということで話させていただきます。
 まず、利用者負担の問題ですが、私たち自立支援法違憲訴訟団は2010年の1月に基本合意を国と交わし、訴訟上の和解をしました。国が基本合意で確認された障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることという約束を信じたからこその和解でした。しかし、自立支援法の名称は変わりましたが、利用者負担など、様々な問題について取り残されている課題があります。特に基本合意において、当面の課題として位置づけられた自立支援医療の低所得者の無償化は財政確保が困難などという理由で、13年間にわたって放置されたままとなっています。国約として結んだ基本合意をこれ以上引き延ばすようなことないようにしてほしいと思っています。
 また一方で、今、政府は異次元の少子化対策を掲げ、6月のこども未来戦略方針では、子育て支援として現金給付が盛り込まれました。障害児家庭の場合、障害ゆえの出費も多く、福祉サービス利用料の無償化は有効な子育て支援になり、政府方針にも合致します。この機会に、ぜひとも基本合意第3の3号に掲げている収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害者本人だけで認定することを実現してほしいと思っています。この予算については十数億円と想定されています。障害児を持つ家庭の負担を軽減するためにも、障害児の収入認定で保護者を除外していただくようにお願いしたいと思っています。
 併せて、就労支援や生活介護など、福祉的就労で働いている人たちの利用者負担の無償化を実施していただいて、これはILOにも勧告で言われているようなことでありますので要請します。これらの実施構造が骨格提言の障害に伴う必要な支援は原則無償というようなことに実現するものだと考えています。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 藤岡から、スライド12ですが、いわゆる高齢障害者の利用者負担、65歳問題、これについては2018年に一審、二審、浅田訴訟の判決が出ており、障害者にとって個別の状況によって障害者サービスを選択することが適切な場合もあり得るということが判示されています。基本合意文書に書かれている介護保険優先原則の廃止、障害特性を配慮した選択制の導入を図るということの実現を求めたいと思っています。
 スライド13、訪問系サービスにおいて国庫負担基準がありますが、中でも介護保険対象者、65歳、あるいは特定疾病等の対象者の場合、報酬単価が場合によっては区分6と約7割近い減額になっています。こういう不合理なことは廃止すべきだということ、これが質の高いサービスを提供していく上での課題だと思います。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 最後に報酬支払いの問題です。この間、コロナ禍において、例えばグループホームで感染拡大が起き、医療機関が入院拒否をしたという事例があると思いますが、そういうときにグループホームで療養看護をせざるを得ない状況になった。しかし、グループホームの世話人体制だけでは対応できないため、作業所の職員が作業所を休所して対応して乗り切ったというような事例は全国にたくさんありました。
 しかし、作業所を休所して応援に入っても日額制のため作業所の報酬は保障されず、運営困難な状況に追い込まれた事例という深刻な実態があります。こうした問題を解決するためにも、骨格提言が示す個別給付(日払い)プラス事業所運営(月払い)を組み合わせた報酬支払い、この骨格提言の早急な実現が必要ですし、早急に見直していくことを強く要望したいと思います。
 以上です。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見に関しましてアドバイザー皆様から御意見・御質問等があればお願いいたします。
 それでは、小澤アドバイザー、お願いいたします。
○小澤アドバイザー いろいろと根幹に触れる御意見も含め、ありがとうございます。
 私のほうで知りたいことなのですけれども、障害福祉と介護保険の関係というところでこういう御提案なのですが、介護保険優先原理の廃止と選択制を採用すべきであるというところで、その中身なのですけれども、障害特性を配慮した選択制の導入という御提案なのですが、もう少し具体的に、どういうイメージの選択性というのが説明上ありましたらよろしくお願いしたいと思います。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 65歳を超えた場合でも、障害福祉サービスを今まで使ってそういう生活をされてきたという方について、そういう障害者にとっての法制の基本的な権利というのは尊重すべきだろうということ、その上で、個別の事情に応じて、この浅田訴訟の場合等でも利用者負担の問題もありますし、様々な事情から本人が障害福祉サービスを選択したいのだといった場合には、その選択権を認めるという制度、障害の状況に応じて本人の選択性を認めるという制度を導入しましょうということを基本合意では確認していることになります。
○小澤アドバイザー この表記で、障害の特性というので私が分かりにくかったのですけれども、要するに今のお話だと、ある程度の御本人の意思、それから、その置かれている状況みたいなことの総合的な判断みたいな理解でよろしいでしょうか。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 おっしゃるとおりだと思います。その方が置かれている状況とサービスの種類・内容等に置いて、私が言うのもあれですが、課長通知等でも個別の状況に応じて、障害福祉サービスを使う必要性があるという方は、個別の状況に応じて認めましょうというのは厚労省の方針でもあるわけなので、その延長線上でいわゆる介護保険でなくては一律駄目だというような強制はされずに、状況に応じて、この人の場合はこういう事情があるから障害福祉を選択することができるという制度にしようということになります。
○小澤アドバイザー 分かりました。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 先月、新しい通知が出て、グループホームだとか就労関係のほうでも引き続き使えるというようなことの明示があったと思うのですけれども、例えば生活介護のほうは、そこに含まれているか含まれていないか分からないのです。生活介護を受けているのは、僕も後に生活介護になるような作業所に通っていましたが、65歳まで積み上げてきた人間関係とか、支援が必要な人たちとのやり取りの中で、重い障害者の人ほど、そういう支援の組み立ててきた、やり取りしてきた内容があるわけなので、65歳になったからといって、デイサービスがあるだろうとかいうことで高齢者のほうに行かされるみたいな事例はまだまだあるわけです。そういう実態を加味しないものはおかしいと思うのです。なので、そういう実態も含めてお考えいただきたいなと思っています。
○小澤アドバイザー ありがとうございました。
○羽野室長 そのほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。障害者自立支援法違憲訴訟団の皆様、どうもありがとうございました。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 ありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きまして、一般社団法人日本筋ジストロフィー協会より、竹田保様、矢澤健司様、どうぞよろしくお願いいたします。
○日本筋ジストロフィー協会 本日は、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。日本筋ジストロフィー協会の竹田といいます。横にいるのが矢澤です。
 本日は、限られた時間ですので、資料に沿って矢澤のほうから説明したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○日本筋ジストロフィー協会 矢澤から、資料2ページに当協会の概要を示しております。筋ジストロフィー協会は1964年、病気により日々衰弱し、また、筋力低下により関節や体幹の変化などの厳しい病状の1日も早い病気の原因究明と治療薬の実現、呼吸器やストレッチャー型車椅子を利用する重度障害者が普通に暮らせる地域に向けて活動しております。筋ジストロフィーという進行性の難病として、筋力低下により障害が日々進行するため、障害福祉サービスのより一層の充実を期待しております。本日は、そのために次年度の報酬改定について意見を述べさせていただきます。
 3ページに要望の概要を示させていただきました。会員は在宅と筋ジス病棟入院患者と家族、支援者で構成されています。筋ジストロフィーにおいては、専門的医療や呼吸器管理などの進展により平均寿命が延び、重度・高齢化が進みました。また、福祉制度の充実によりQOL向上が図られ、自立した生活の実現を進めている方も増えております。以前は20歳までと言われた人たちが大学生活を送り、社会進出しやすくなり、社会の関わりも保たれる人たちも増えております。そのため、筋ジス病棟入院患者、地域で暮らす在宅患者、患者を支える家族のニーズも多様化しています。
 それぞれの課題・要望を4ページ目以降に示させていただきました。筋ジス病棟入院患者は幼少期より入院する人が多く、入院期間が30年を超える人も多くなっています。4~5ページには筋ジス病棟入院患者について提起させていただきました。筋ジスは、いまだ根本的な治療薬の実現ができておりません。入院期間の長期化と重度化・高齢化は、筋ジス病棟では医療と生活空間としての両方の支援のより一層の充実が求められています。入院期間が短く治療による回復が見込める患者と、終いの住み処として捉える筋ジス病棟の入院患者では感じ方に違いがあると思います。人員不足による影響ははかり知れません。我慢することが普通にならない、望まない異性による介助が生じないように、必要な人員配置への予算増額をお願いします。
 次のページですが、入院患者の中には病棟で就業している方もいます。筋ジス病棟での在宅ワークは重度障害者への支援により、新たな働きかたの可能性を広げるものだと思います。また、地域移行を円滑に進める上で、患者家族の高齢化は外出の機会を奪い、地域とのつながりを疎遠にしております。入院患者のヘルパー利用について進めていただきたいと思います。
 6ページからは在宅支援について提起させていただきました。筋ジストロフィーは筋力低下に伴い、呼吸、嚥下、咀嚼など、多くの課題を抱えています。在宅生活においてはヘルパー利用に加え、生活介護、就学支援、放課後等デイサービスなど、障害福祉サービス事業全体に医療的ケア支援の環境が充実することを望んでおります。また、同居家族の介護負担も大きく、重度訪問介護の入院中の利用、通勤通学での利用、18歳未満の見守りに対応するため、重度訪問介護の適用拡大を求めます。
 7ページですが、幼少期の筋力低下による障害による運動機能の変化に合わせ、製品の耐用年数に合わせた現行の福祉用具の給付制度から、利用状況に迅速に対応できる、利用環境に対応する制度変更は必要だと思います。北欧では必要に応じて利用者が福祉用具に附帯するレンタル制度がありますが、幼少期の成長・変化に合わせた福祉用具等のレンタル給付の制度化が必要と考えます。
 8~9ページ、在宅支援について述べさせていただきました。ICTを使用することで呼吸器やストレッチャー型車椅子を利用する人も、自宅や病院などで様々な在宅ワークが可能になりました。しかし、1人ではパソコン操作もできない筋ジストロフィー患者も多数おります。病院単位での就労など、多様な働き方に合わせ、就業中のヘルパー利用など、必要な支援を拡大することにより、より一層の社会参加の促進になると思います。そのために、世帯を基準とした自己負担から、本人能力に応じた自己負担を検討していただきたいと思います。
 余暇支援については、昨年8月にジュネーブで障害権利条約の日本の審査が行われました。その中で、障害者は他の者と同様に生きる権利を持っていることが強調されました。余暇支援は生きるために必要な重要な項目です。
 計画相談支援では、計画相談をしたときのみに報酬が支払われますが、一般相談を行っているときには報酬がつきません。特に就学児に対しては放課後デイサービスのメニューしかなく、不登校の生徒や外出ができない重度障害者の支援ができません。一般相談の加算やモニタリングを必要なだけ行える加算が必要です。
 最後に家族負担軽減について提案させていただきます。昨今、18歳未満のこどもが家庭内での介助・家事などのいわゆるヤングケアラーの問題が注目されていますが、同居家族の支援により一層の充実を引き続き求めたいと思います。ヘルパー利用時間の地域格差、担い手不足など、重度障害者の地域のQOL向上は多くの問題を抱えていますが、負担の多くは結果的に同居家族に強いられます。また、病院内での人員不足はQOLの低下につながりかねないと思います。日本筋ジストロフィー協会では、iPSなど医療を取り巻く環境の変化は、筋ジストロフィーなどの難病治療の実現が期待できるようになり、今後は生き方の質が問われてくると思います。筋ジス患者当事者として、必要な支援を安定的に提供していただけるよう課題提起をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、御意見に関しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等をお願いいたします。
 小澤アドバイザー、お願いいたします。
○小澤アドバイザー 非常に大事なところの御説明をありがとうございました。
 説明はなかったのですが、私のほうで知りたいことがあって、それは提案の在宅療養患者への支援というところの6番目、重度訪問介護利用者の大学就学支援というところがございまして、これに関しては資料を見させていただいたら、既に地域生活支援事業の位置づけがあって、市町村の取組が非常に悪いという指摘事項なのですが、これは啓発ということで書かれているのですが、それだけで済む話なのか、もうちょっと何か具体的な対策があるのか教えてほしいです。
○日本筋ジストロフィー協会 竹田ですけれども、ありがとうございます。
 今、筋ジスの患者も18歳になって、いろいろな意味で大学教育を受けるようになったのですが、実態としては学校の中でも体制がなかなか整っていないとか、あるいは大学とかでヘルパーを利用できるという情報自体が行政からも周知がないという中で、どうしていいか分からないという相談が結構多いのです。家族が結果的に大学内でも介助をしながら通学している方が非常に多いという実態があります。これについては、もう少しこの制度自体、どこに問題があるのかということを根本的に調査していただくなり、検討していただく必要があるのではないかなと思っています。
○小澤アドバイザー ありがとうございました。
 多分、大学側も非常に大きな問題を抱えているかなと思って聞きました。ありがとうございました。
○羽野室長 そのほかの皆様、いかがでしょうか。
 石川アドバイザー、お願いいたします。
○石川アドバイザー 医療的ケアの方への対応というところで、我々も市町村の立場でいろいろと悩むことが多く、貴重な意見として伺わせていただきました。
 資料の6のところにあります在宅療養患者への支援の(1)の意見のところに、重度障害者を支援する介護職員や看護師を確保するための施策の検討と書いてあります。介護職員のほうにつきましては、障害の制度の中で、いろいろな形で活躍されているように思われますが、看護師の場合は医療の訪問看護で対応している状況が多いと思っております。看護師を確保するための施策というところで、具体的にどのようなことを考えてらっしゃるのかなというのが1点。
 それから、現在、医療的ケア児の学校の中での医療的ケアの行為の部分について、これを看護師の派遣ですとか、あるいは看護師を任用して、幼稚園・小学校でも医療的ケアが行われるよう検討しているところです。学校とかで重度訪問介護も使えるといいというような御意見もあったのですけれども、重度障害者を支援する介護というところの中で、重度訪問介護があればそれでいいのか、それ以外の制度があったほうがいいのか、御意見があれば、参考までにお伺いさせていただけたらと思います。
 以上です。
○日本筋ジストロフィー協会 ありがとうございます。
 医療的ケアでいいますと、筋ジストロフィーの場合は痰吸引ですとか胃瘻とかということだけではなくて、実際には人工呼吸器という問題も出てくるのです。ところが、人工呼吸器ですとか、排痰介助といいまして、例えば痰が詰まりそうになったときとか、口に当てるカフアシストという機械があるのですが、これらについての扱いは医療的なケアとしてはなかなか認められていないという解釈が強いので、実態としては介助者だけでは担いきれていないのです。そうなりますと、どうしても看護職の方が学校内にいないと、筋ジストロフィーの人工呼吸器をつけた患者が通常の学校に通うというのは、保護者がいなければ通えないという状態になっています。この辺を課題として提起させていただいたのですが、もちろん看護師の配置をどうするのかというのは非常に難しいと分かってはいるのですが、ただ、それがないと、筋ジスの場合は安定的に学校に通っていけるという状態にならないということになるので、ぜひお願いしたいなと思っています。
○日本筋ジストロフィー協会 今、医療的ケアを介護士もできるようになったのですけれども、下に書いてあるように、第3号研修が必要で、それをやってもらえる場所が非常に少ないのです。なかなかそれが増えないというのが問題です。筋ジス病棟は26ありますので、できれば、その中でそういう研修もできるようにして、多くの介護士さんが医療的ケアができるようにしてもらえると、もっと環境が改善できるのではないかと思っております。
○石川アドバイザー 貴重な御意見をありがとうございました。
 本市でも小学校・幼稚園、それぞれどういう形で看護師を配置したらいいか、あるいは看護師が全て対応しきれない部分を介護のスタッフでどう見守って、学校に行けるようにする支援についても検討が必要と思っておりましたので、大変参考になりました。
○羽野室長 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。
 日本筋ジストロフィー協会の皆様、どうもありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きまして、特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワークより、福島慎吾様、どうぞよろしくお願いいたします。
○難病のこども支援全国ネットワーク よろしくお願いいたします。本日は、このような機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。
 早速でございますけれども、お手元の資料に沿って御説明をさせていただきます。
 2ページ目、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークの概要です。1998年に設立されましたが、実際の活動は、これより10年ほど前、1988年から始まっております。難病や慢性疾病、障害のあるこどもの親たちと小児科医が中心に集まって活動が始まりまして、病気や障害のあるこどもとその家族並びにそれらを支援する人々を対象にして、時のニーズに応じながら相談活動、交流活動、啓発活動を行ってまいりました。主な活動は記載のとおりでございます。
 現在、一緒に活動しております親の会連絡会の参加団体が72団体ございまして、会員数は658名ということで、この横の日付に誤植がございまして、これは2023年7月現在ということでございます。
 意見につきましては、3点に絞って書かせていただきました。
 4ページをお開きください。先ほども話題に上がっておりました医療的ケアのあるこどもへの支援についてということでございます。痰の吸引、経管栄養、導尿などのいわゆる医療的ケアが必要なこどもたちが在宅に移行するケースが増えてきて、新しい法律もできておりますけれども、現行の障害福祉サービス、特に居宅系のサービスにおいては、医療に分類されている行為、濃厚な医療的な行為を必要としているこどもが使うサービスが制度上存在していないために、これは日常生活において介助者である家族、主として親の大きな負担となっているという現状がございます。医療的ケアがあるがゆえに、幼稚園や保育所、学校への受け入れに制約が生じたり、集団活動や学習活動から排除されてしまうという例は、今でも枚挙にいとまがないという認識でございます。
 難病や慢性疾病を原因とする障害については、医療と福祉を切り離して考えることが難しく、医療保険制度と障害福祉サービスの谷間をつくらない制度の構築が必要と思っておりまして、一例として、こどもに対する訪問看護は、現在、医療保険制度の一つとして行われておりますけれども、診療報酬上の制約から長時間、あるいは頻回な利用が難しいというのが現状でございます。そのために、障害福祉サービスに訪問看護を新しく位置づけていただいて、現在必要な制度の利用に結びついていない医療依存度の高い利用者への支援を確保していただきたいと思います。
 また、いわゆる重症心身障害児ではなくて、歩ける・動ける医療的ケア児への障害福祉サービスの利用促進を図る観点から、有効かつきめ細やかな加算、あるいは新しいサービス等が必要ではないかと思っております。そうしたことによって、従来のサービスの利用に結びついていない医療依存度の高い利用者への支援を、ぜひ確保していただきたいと思っております。
 5ページは学校の関係です。地域の通常の学級に在籍するこどもたちへの支援ということでございます。特別支援学校における基礎的環境整備との差を埋めるための合理的配慮の提供が不可欠ということでございますけれども、現場では合理的配慮の提供というのが必要なところになかなか届いていないという認識を持っております。特に地域の学校の通常の学級においては、親の付き添いを強要されたり、修学旅行などに連れていってもらえないというような事例が今でも聞こえてまいります。
 文科省のほうで行っております特別支援教育支援員、介助員の制度ですけれども、これだけでは多様なこどものニーズ、あるいは校外学習などに対応しきれないこともしばしばございます。いわゆる居宅縛りをなくして、学校内、宿泊を伴う修学旅行など、校外学習時においても、あくまで補完的でいいと思いますけれども、障害福祉サービス、居宅介護、あるいは重度訪問介護の対象年齢を学齢児以上にするとか、あるいは先ほど申し上げた医療保険における訪問看護、こういったものを利用できるようにしていただきたい。
 また、通学や移動が保障されなければ教育機会を保障することにはなりませんので、学校への登下校時におけるサービスについても、重度訪問介護、移動支援などを柔軟に利用できるようにしていただきたいということでございます。
 学校は学習の場だけではなくて、こどもたちにとって将来の自立を見据え、社会性を身につける重要な場であると考えております。
 6ページ、家族支援の必要性と、その充実についてです。難病や慢性疾病、障害のあるこどもの子育ては、保育、学校教育、就労というこどもの成長、発達、自立のライフステージにおきまして、親による体験的知識でだけでは解決することが難しいことに向き合わなければならないことも多く発生します。そのため、家族がライフスタイルの大幅な変更を求められたり、自己実現を諦めざるを得ないというようなことが起こることも多くございます。
 また一方、家族による丸抱えの生活は、こどもの発達や成長に大きな影響を与えるため、その自立や社会参加の制約要因となっているということにも、ぜひ目を向けていただきたいと思います。親が障害のあるこどもの社会的障壁のような形になってしまうということを申し上げております。
 今般のコロナ禍においては、特に医療的ケアのこどもたちを持っている親から、自己が感染症に罹患した際、あるいは災害のときのこどもの預け先に関する大きな不安が多数寄せられておりました。緊急時においては、専門性よりも利用者と支援者のふだんの関係性が重要だと思っております。例えばピアサポートや親の会など、当事者による体験的知識を生かした相談体制の普及が必要だと思います。
 また、フォーマルな社会福祉サービスは十分とは言えないけれども、整いつつあると思っておりますが、ただ一方、家族が動かなければ、本当に必要なサービスには現実にはなかなか行き着かないというところであります。さらに親のレスパイト、兄弟支援、そういった視点は圧倒的に欠けていると言わざるを得ないと思っております。そのため、難病や慢性疾病、障害のあるこどもとこども本人への支援に加えて、その親・兄弟も含めた包括的な家族支援を確保することによって、生活者の視点から家族を支えていただきたいと切に願っております。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、御意見に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等お願いいたします。
 それでは、有村アドバイザー、お願いいたします。
○有村アドバイザー 様々、特に家族支援についても、実情に応じてまとめていただいてありがとうございます。
 お伺いしたかったのが、要は親がサービスとサービスの間を埋めなければ、そこが利用できない、生活が維持できないというところがあるわけなのですけれども、もう少し具体的に、例えばこういった部分のサービスが使える、あるいは既にこういうサービスが使えているというようなところなどの御示唆や御意見がありましたら、追加で教えていただければありがたいと思います。
 以上でございます。
○難病のこども支援全国ネットワーク 御質問ありがとうございます。
 親が動かなければということについて御質問をいただきました。例えば障害福祉サービスの利用調整だけであれば、相談支援専門員さんに御相談することによっていろいろな調整がつくと思うのですけれども、皆様御案内のとおり、こどもの場合は障害福祉サービスだけではなくて、学校や保育所、そういった様々な支援をされているところと絡んでくるわけで、縦割りといいますか、そこを超えた支援というのがなかなか行き届いていないと思っているところでございます。
 もちろん保育所等訪問支援などというサービスもございますけれども、それが有効に動いているのかというと、そういった話は届いてまいりませんし、もちろん支援者の側が育つのも時間もかかりますし、地域差もあるので、一朝一夕に全国津々浦々でレベルの高いサービスが提供できるかというと、なかなか難しいところあるのは承知しておりますが、こどもは日々成長、発達して、どんどん大きくなっていってしまうということで、ぜひ優先的に、そういった部分に人とお金を割いていただきたいと思っているところでございます。
 お答えになっているかどうか分からないですけれども、以上です。
○羽野室長 ありがとうございました。
 続きまして、高アドバイザー、お願いいたします。
○高アドバイザー 御説明ありがとうございました。非常に生活実態を反映した御説明でありまして、うなずきながら聞かせていただきました。
 私のほうからは1点、御意見があれば聞かせていただきたいのですが(1)の医療的ケアのあるこどもへの支援についてのポツ2つ目で、いわゆる歩ける・動ける医療的ケア児への障害福祉サービスの利用促進を図る観点や、有効かつきめ細やかな加算が必要とありましたが、具体的な手だてとか、御提案等がありましたら御意見をお聞かせいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございます。
 現実問題として、いわゆる重症心身障害児のような医療的ケアのあるこどもであれば、少しずつではありますけれども、実際に受け入れてくれる事業所もかなり増えてきたと思っております。ただ、ここに書かせていただいたようなこどもたちを現実的に受け入れてくれる事業所があるのかというと、非常に少ないと言わざるを得ないという現状で、それをどのように変えていくのかというのは、私のほうでいい案はございませんけれども、ただ、本当に困っているということは間違いございませんので、それを促進するための何らかのインセンティブといいますか、そういったものが必要なのではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。
○高アドバイザー ということでありましたら、いわゆる通所支援事業所の受け入れを促進するような何か方策が必要ということで捉えさせていただいてもよろしいでしょうか。
○難病のこども支援全国ネットワーク そのように思っております。
○高アドバイザー どうもありがとうございました。
○羽野室長 続きまして、石川アドバイザー、お願いします。
○石川アドバイザー 貴重な御意見をありがとうございます。
 同じ部分の医療的ケアのあるこどもへの支援についての上のポチのところに、障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置づけという御意見がありまして、今、ちょうど我々が医療的ケア児の保育園、幼稚園、小学校に看護師を派遣する基準をつくるため苦労しています。診療報酬の訪問看護は在宅で主治医の指示の下で提供されているのですが、保育園、幼稚園、小学校など在宅でないところでは、自治体の中でもそれぞれ所管している課が違うため、合意を図っていくのが非常に大変な状況になっています。障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置づけるというところの御提案ですが、医療の訪問看護と障害福祉サービスの訪問介護の住み分けなど具体的に何かお考えがあるようなら、御意見として伺いたいなと思いまして質問させていただきました。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございます。
 利用する側からすると、利用したいときに利用したいということになるわけで、先ほども御説明させていただいた際もお話しさせていただいたとおり、診療報酬上の制約というのはかなり細かく決まっていて、診療報酬はとても大きな制度ですので、マイノリティーの人にマッチするような形になっているかというと、必ずしもそうはなっていない。呼吸器がついていたりすると、比較的利用範囲が広かったりといったことがございますけれども、そうでないと、かなり制約があって、本当に必要な場所で必要な時間帯に利用できるかというと、そうなっていないと思っております。ぜひその壁を越えるという意味で、先ほど来、補完的にというお話をさせていただいておりますが、メインはメインの制度としてあっていいと思うのです。それでは使えない、使いづらいところに、また別の手だてがバックアップとしてある、そういった形があると、とても助かる人たちがいるのではないかという視点で申し上げているつもりです。
○石川アドバイザー ありがとうございます。
 1つの基準を補完的に活用できるようになりますと、非常に普及もひろがるのではないかと思い、伺わせていただきました。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございます。
○羽野室長 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。
 難病の子こども支援全国ネットワークの福島様、どうもありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きまして、オンラインのほうからの御参加になります、一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会より、清水誠一様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 全国肢体不自由児者父母の会の清水と申します。本日は貴重な時間をありがとうございました。
 私どもは会員の中の特に多い障害があって医療的ケアのある方たちが生涯を通して安心して住んでいけるのか、また、国内の中で地域差があるのか、そういうところに視点を当てながら、令和2年、4年、5年、3年間にわたり、全国の地方公共団体を中心に会員等の調査を実施してまいりました。その調査の結果に基づいて、今日は御説明をさせていただきます。
 最初は、視点1の重度障害者の障害福祉サービスの提供に関する課題ということであります。少子高齢化は現実でありますが、家族介護がそれぞれの家庭によって非常に厳しくなってきたという状況があります。今日、参考資料として資料2、3で示しましたが、当事者、保護者、支援者を対象にした障害福祉サービスの中で特に認められなかったサービス、あるいは希望しているサービスというようなことを設問にいたしました。
 その結果、利用日数ですとか、利用時間、土日祭日が使えない、入浴サービスが思うとおりの時間・回数にならない。生活介護事業所へ移動するにしてもその手段が、どの移動支援を使うのか、事業所の移動なのか、あるいは地域生活支援事業の移動を使うかということが全く分からない。それから、入浴サービスに関して言いますと、時間とか回数が足りないというのはもとよりでありますが、特にこれは市町村の中で違いがありますけれども、成人になる前、児童の段階での入浴介護というのが全く市や町でそれを認めてくれないというような意見がありました。
 そういうようなことで、今回、生活介護事業者の移動なども、先ほど申し上げましたように事業所が行うのか、地域生活支援事業でやるものなのか、そういうような制度上、一つの行動について違う形での制度を選択しなくてはいけない。こういう問題については、利用する人たちが家族ともども非常に混乱しているというような話があります。
 また、同じように、宿泊を伴って外出する際も、事業所が対応するのか、あるいは地域生活支援事業の移動支援で対応するのか、こういうことについてもそれぞれの地域で全く違う判断が出ているという、今の制度上の問題だと、私はそのように考えます。
 また、資料6では、市町村についてそれぞれ回答を得ました。障害福祉サービスの提供で、なぜ市町村で格差が出るのか。これは国が明確な基準と財源を示せていない、事業所等の地域資源が少ない、人材確保等に十分な保証が必要、重度障害者対応事業所が不足している、これが各自治体から寄せられた代表的な意見であります。
 このようなことを考えてまいりましたら、人材確保、あるいは施設の整備は最低必要なことではありますけれども、全国一律の障害福祉サービスとするためには、ソフト・ハードの中で社会資源の不足は非常に深刻ですので、市町村の財政力だけの問題ではなく、国・都道府県・市町村の役割を見直す必要があるのではないかと考えております。
 特に障害福祉サービスの最終決定権が市町村にありますから、国が示している基準ということで重度訪問介護を取り上げさせていただきますけれども、今、標準単価が5万800単位です。支援区分6で一月270時間、1日9時間というのが標準的な単価ということであります。特に重い障害の方の場合の介助というのは複数のヘルパーさんが必要となるということで、今回の調査の中では、大きい市ではありますけれども、1,000時間を超え1,300時間、こういうような時間を超えている市町村もあります。しかし、全く自分のところは250時間か300時間しか認めていないというような自治体もあるということで、市町村に対して権限がある地方分権というような精神から見ると、少しサービス面では欠けているのではないか。ぜひ御理解をいただきたいと思う次第であります。
 また現在、国が示している国庫負担基準、これで看護師さんや、スキルのある支援員さんの確保というのは非常に厳しいと言わざるを得ません。これは実際に事業を運営している方たちの声でもあります。特に重度障害者、医療的ケアを必要とする方たちの支援ということで考えたときに、今の報酬単価で人件費を算出するというのは非常に難しいのではないか。ですから、重い障害のある方や医療的ケアの方たちに対する人件費、そこで支援をしてくれる方たちの費用というものは報酬単価ではなくて、また、人件費という形の中で、ぜひ算定できるようなことも考えていただきたいと思います。
 また、これは市町村が実施主体ですけれども、補装具の支給制度、これは車椅子とか座位保持装置です。また、日常生活用具の給付は市町村が事業主体になっておりますが、18歳未満、あるいは児童の場合、親の扶養者であるため、親の所得で公費負担の上限が定められています。今、こども家庭庁が設置され、障害のあるこどもに対する公的給付を撤廃するというような法律改正にも着手するようでありますので、ぜひ早期に改正されるように要望いたします。
 次に、視点1ですけれども、まず、グループホームの必要性についてということで、資料1で示させていただきました。障害当事者・保護者が将来に向けて希望する住まいについて調査をさせていただきましたところ、令和2年度調査では会員461名のうち105名、入所施設希望者は133名、51.6%の方、令和4年度の調査では会員466人のうちグループホームの入所施設希望で60.9%が希望しているというのが現実だということです。在宅で住まうということは重い障害のある場合に非常に厳しい。どうしても入所施設やグループホームという選択しかない。このことをぜひ御理解いただきたいと思います。
 現在、グループホームはサービス包括型、外部サービス利用型、日中サービス支援型の3類型がありますけれども、世話人の数は5対1、4対1、3対1という配置をしておりますが、重い障害のある人たち、これは介助に複数人が必要です。先ほども申し上げましたように、障害福祉サービス重度訪問で1,300時間を超えているというようなことが現実ということを考えたときに、市町村が必要な時間数を認めるということではなくて、格差がないような仕組みをつくっていただきたいと思います。
 今後、令和5年度も引き続き調査を実行されますけれども、重い障害のある人たち、グループホームに対する利用の人数の把握ということは、支援区分については何人が入って利用しているということは分かりますけれども、例えば肢体不自由ですとか、こういうような方たちの障害種別というのは把握していない。こういうようなことが調査ではっきりしてまいりました。障害者数だけではなくて、障害種別についてもぜひ把握するような都道府県・市町村計画になるように、国の来年度の計画についても、ぜひそのようにしていただきたいと思っております。
 また、資料4で、今グループホームの話もいたしましたけれども、今の3類型だけでは到底重い障害のある施設には対応できないということで、新しい仕組みとしての第4の類型のグループホームを戦略的な制度としていただきたいと思います。
 視点の2、利用者個々のニーズに応じたサービス提供体制の課題、対処方策ということであります。今、どうしても障害のあるこどもを育てているお母さん、お父さんたちというのは、自分が介助することが難しくなったときに、ヘルパーに依存しなければいけない。そういうようなことでありますので、ぜひ地方においても、こういうような視点に基づきながらヘルパーさんの増員、あるいは確保ということに御尽力を賜りたいと思います。
 人件費とか運営経費、これは口はばったい言い方をいたしますけれども、報酬単価で整理するということは、全国ではそれが必要なのかもしれませんけれども、しかし、現実的には報酬単価では人が集まらない、運営をする事業者がいない、これが実態だということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 最後に、視点3で自立支援法施行時から3倍以上に増加しているというようなことで、持続可能な制度にするための課題と方策ということでありました。障害者自立支援法、三障害一元化になりましたけれども、当時の平成18年のときの予算と、それから、障害ニーズということを考えていったときに、現在3倍になったということでありますけれども、これは現在の状況の中で障害福祉サービスですとか、実際に障害福祉にかかる予算というものは、今はサービス等利用計画を全員が策定しているわけですから、現在の一番必要な需要を決めていかなければ、3倍だということで私は納得することはできないのです。
 ですから、ぜひ今必要なものということ、これは自立支援法施行後、総合支援法になるときに障害者制度改革推進会議総合福祉部会の平成24年の骨格提言の財政の在り方について、少なくともOECD諸国の平均水準ということを目標に予算というものを考えるべきであるというような提言がありました。
 それから考えますと、現在の日本の中で考えていきましたら、財政的には1兆8000億ぐらいの数字に単純計算ではなろうかと思いますけれども、今後、障害福祉サービスの予算を決める際に、まず分母がどれぐらいかかるのか、このことを私どもに示していただき、その中で、私たち自身がコスト削減、あるいはともに支え合いながらも今の生活を維持していくというようなことも含めて考えていきたいと思います。ぜひ総量、分母を計算していただいて、現在の障害福祉予算というのはどれぐらいになるかということです。
 以上で、私からの説明は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、御意見に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等お願いいたします。
 それでは、石津アドバイザー、お願いいたします。
○石津アドバイザー 石津でございます。御説明ありがとうございました。
 私は資料の14ページの地域格差の要因のところで、もう少し御説明を伺えればと思うのですけれども、私も地域生活支援事業、幾つかの自治体さんのヒアリングに行って、地域格差というのは随分あるのだなということを実感しているところなのですが、その原因として、国が明確な基準と財源を示さずというのが突出して多くなっているということが、この調査資料の中でよく分かりました。
 先ほど重度障害支援を例に御説明くださっておりましたけれども、国が現在では明確な基準を示していないと、そして、財源も示していないと読めるのですけれども、その辺りのところについて、具体的にもうちょっと説明していただけますか。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 先ほど重度介護の標準単価ということで、5万800単位と申し上げさせていただきました。5万800単位というのは1日9時間平均、これを掛ける1か月ですから270時間ということです。1日は24時間、これが一月になると720時間になりますけれども、ある政令市で、3か所ぐらいありますけれども、1,000時間を超えて1,300時間を超えている重度訪問介護の時間数を認めているところがあります。
 一方で、これは財政的な事情かどうかは分かりませんけれども、国が標準単価で270時間と示しておりますけれども、実際には自分の町では250時間しか上限を定めていないというようなところがあるということです。ですから、それぐらい地方で同じ個別支援計画を出して、それだけ必要と思っても、その障害福祉サービスの時間数が認められない。これはあまりにも格差が酷すぎるということであります。
 ならば、どうやって格差をなくすかということになりますときに、今の報酬単価だけでは決められないと思うのです。同じ支援区分の中でも重い障害、あるいは医療的ケアのある方、介助が全介助の人、あるいは半介助、1人の介助で間に合う、こういう人たちのところには、はっきりとした形で全介助の場合には最低でも食事、あるいは入浴、排せつのときには、どうしても2~3人の人間がかかるということをはっきりと基準として明示してもらわなければ、どうしてもこの格差というのは出てくるのではないかというように思います。
 もう一つ、格差の大きな原因というのは人材と施設の問題です。一つには、専門的スキルを持ったヘルパーさん、それから、看護師さんがいる、いない、また、運営する事業者がどうしても赤字の場合には、事業者は経営しませんので、そういう事業者がいないというようなところ、要するにハード面での格差も要因の一つではないかなと考えているところです。
○石津アドバイザー どうもありがとうございます。
 そうしますと、単価が決まっていて270時間ということも明確にはなっているけれども、基準の内容が不十分であるという意味合いと理解してよろしいのでしょうか。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 270時間というのは平均的な時間だと国のほうで示して、別にこれにこだわらないということには、市町村では多分理解していると思うのですけれども、しかし、支援区分6で5万800単位、これが支援区分6の人もそれぞれだと思うのです。全介助が必要な支援区分の方もおりますし、また、車椅子、あるいは四肢が動かないとかいうような方たち、支援区分も身体障害に限らず、知的障害とかというのも考えていったときに、それぞれの障害種別、また、障害の内容によって270時間ということを決めるというのは非常に無理がある。
 ですから、全介助が必要な人の場合には、例えば今5万800単位ですから10万単位にするとか、15万単位にするかというような、現実を見た形での標準単価というものを支援区分だけではなくて定めなければいけないのではないか。そうでなければ、市町村も自分のところに権限があるということで、市町村決定の中で市町村の財政的な問題とか、人的な問題、こういうようなことを加味しているというようなことで、同じ支援区分6にしても支援区分5にしても、それぞれの状況を、もう少し細かい支援区分の仕方をしなければいけないなと感じております。
○羽野室長 そのほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。全国肢体不自由児者父母の会連合会の清水様、どうもありがとうございました。
(説明者入れ替え)
○羽野室長 続きましてもオンラインからの参加でございます。一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会より、佐々木桃子様、又村あおい様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国手をつなぐ育成会連合会 こんにちは。全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。先月29日の理事会総会において、前会長の久保から引き継ぎ会長に就任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。資料の御説明については、常務の又村からさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○全国手をつなぐ育成会連合会 それでは、又村のほうから、資料に基づきまして御説明させていただきます。資料についてはお手元にある前提でお話をさせていただきます。私ども育成会の概況については御覧のとおりでございます。
 それでは、総論から申し上げます。私どもとしては、昨年の9月に国連から示された障害者権利条約の対日審査総括所見の中で、特に19条関係が強い要請として、障害者の地域生活支援に向けて、いわゆる地域社会での自立した生活への移行を国家戦略、あるいは法的枠組みとして位置づけるとされた点を大変重視しております。今回の報酬改定がその一歩となることを強く期待しているところでございます。
 他方で、私どもとしても要望を強めておりますが、現下の物価高騰については、障害のある人の暮らしと支援事業所において大きな影響があると考えております。少なくとも現価の物価高騰分をカバーし、他産業分野との賃金格差を縮小できるだけの報酬改定となることを期待しておりますし、私どもとしては、少なくとも今回については食事提供体制加算や補足給付といった利用者の負担軽減に資する加算や補足給付等については、存置することが不可欠と考えております。
 また、後ほども申し上げますが、制度の持続可能性については、報酬の在り方だけではなくて、そもそも制度の持続可能性とは何なのかということを、ぜひ御議論いただきたいなと考えております。必ずしもお金の話だけではない、人的な配置等の課題があるのではないかということも考え、事業の存続・維持というところ、特に小規模法人事業所への配慮ということも重要と考えております。
 それでは、各論でございますが、以下は(1)のAといった表現で申し上げます。
 (1)のAでございますが、市町村が主体となって自立支援協議会を活用して事業所の質を評価する仕組みの導入を求めます。その際には、都道府県の実地指導等のデータが大変役に立つだろうと考えますので、都道府県のバックアップとセットでお願いできればと考えております。
 B、サビ管でございます。サビ管については、現状では配置されているかどうかがポイントとなっておりますが、安定的な配置がなされていない、あるいは取っ替え引っ替えになっていないかどうかという不安が利用者側としてはございますので、できる限り安定的な配置の評価をお願いしたいと思います。
 (2)のA、今回の報酬改定では、私どもとしては強度行動障害のある人の支援が最重要課題と考えております。特に強行状態の方は、グループホームの入居ができないだけではなくて、緊急時にも短期入所などのサービス利用を断られるといったようなことがございますので、ぜひ人材養成の研修の実践、あるいは現行の人員配置体制の中で研修修了者がいる場合の加算の算定などについてお考えいただくとともに、行動援護、重度訪問、あるいは重度障害者包括支援の利用拡大を求めたいと思います。
 (2)のB、地域生活支援拠点でございますが、コーディネーターの複数名配置をぜひ評価いただければと考えております。また、体験利用については、グループホームの体験だけではなく、単身生活の体験や、良いか悪いかはさておき入所施設の体験といったような切り口も加算の中に入れ込むべきと考えております。また、拠点を整備する際、面的整備が大半なわけですが、契約等についての拠点の認定の考え方が市区町村任せになっているところが課題になっていると考えますので、ここの部分については市区町村に対して、拠点の認定は委託契約や決定通知などが必要だということを明確化していただきたいと思います。
 Cの相談支援については、基本報酬の引き上げ、もしくは加算を取りやすくするという視点を入れ込んでいただければと思います。あるいは併設をより多くするために、地域相談や自立生活援助の併設を増やすためのインセンティブを御検討ください。グループホームにつきましては、日中サービス支援型の設置が進んでいない、もしくは進んでいたとしても本来の役割を果たしていないという課題がございますので、グループホームにおける重度障害者の受け入れを抜本的に拡充するため、報酬の思い切った見直しをお願いいたします。また、グループホームにおける居宅介護の個人単位の利用は恒久化についてお願いしたいと思いますし、補足給付、家賃補助の部分の拡充もお願いできればと思います。
 (2)のE、共生型類型については、大事でが広がっていない点、ぜひ介護報酬との差異を改善していただければと思います。
 Fの障害児支援につきましては、児発、放デイの事業所の整備が進んでいる点は評価しておりますけれども、反比例して保護者の対応力が低下するという悪循環が出ていないかという懸念がございます。家庭における保護者への適切な関わり方が報酬で評価されるようにお願いいたします。
 例えば居宅訪問型児発はほとんど利用されていませんが、いわゆるひきこもり状態にある障害のあるお子さんや家族への支援に当てはめられないか、あるいは行動援護サービスの居宅内利用の拡大などが想定されます。児発センターにつきましては、地域支援の中核的な役割を担っていただきたいので、人材の配置、あるいはインクルージョンの推進の講習評価が必要と考えます。特に学齢児の利用については、こども家庭庁から文科省に放デイとの連携については強く働きかけていただくとともに、強行状態のお子さんの受け入れもぜひ進めていただきたいと考えております。
 虐待防止の取組については、減算の適用状況をぜひ確認していただいて、減算率については介護保険と並べて10%ということも念頭に置いていただければと思います。
 (3)のA、先ほど申し上げたように持続可能な制度とは何かについての御議論をお願いします。障害者部会を機会と捉えて議論いただければと思います。
 B、オンライン支援の拡充ということで、新型コロナ特例で認められていたオンラインによる支援は、いわゆる利用できる方の人数を増やすという観点から有効性があると考えます。現在、就労系のサービスを除いて終了していると理解しておりますが、ぜひともこれを恒久化していただければと思います。また、障害児通所のきめ細かい報酬設定については、時間単位等の考え方を入れていただければと思います。
 共生型類型の大幅な拡大については、保育所、児発、放課後児童クラブ、放デイといったような共生型を拡大することで、利用できる範囲を広げるということが考えられます。
 2の(4)のA、小規模事業者への請求負担の軽減、小規模事業所における請求業務の負担の軽減をお願いしたいとともに、加算が漏れなく取れる請求システム等の開発をそろそろ国のほうとしてもお考えいただいてもよいのかなと考えております。
 以上でございます。
○羽野室長 ありがとうございました。
 それでは、御意見に対しまして、アドバイザーの皆様、御意見・御質問等をお願いいたします。
 それでは、小澤アドバイザー、お願いいたします。
○小澤アドバイザー 御説明ありがとうございました。
 私のほうからは2点ほど、一つは各論の(2)のA、障害福祉計画のところの記載なのですけれども、事業所の質の評価で自立支援協議会の活用ということです。今は日中支援型のグループホームが多分これに該当しているのですけれども、事業所の質といったときに、どのぐらいの範囲の事業所を質評価という観点で考えるべきものなのかということが知りたいことの1点目です。
 2点目は(2)のD、共生型類型の大幅な拡大という御提案です。これは現在、介護保険と相互に使えるという議論なので、その中にこういう感じで保育所とか放課後等とか、その他を広げてという指定意見なのかという確認です。
 以上2点です。
○全国手をつなぐ育成会連合会 ありがとうございます。
 まず、1点目でございますが、実際には市町村における実務の兼ね合いがございますので、イメージとしては、当該市町村内に事業所が例えば10ある場合に、その10が年によって抜き出しで一つというような形で、実際にはランダムで行っていくというイメージになるのではないかと思われます。これはもちろんやり方の問題ですので、あくまでも市町村の実務に負担がない、あるいは負担がかかるとしても軽くするようにという趣旨でございます。
 2点目については小澤先生の御指摘のとおりでございます。現行の介護保険と障害福祉サービスだけではなく、類似しているとまでは申しませんが、インクルージョンの推進の観点からも、介護保険と障害福祉だけではない組み合わせで社会資源の有効活用を図るという考え方が重要ではないかという提案でございます。
 以上です。
○小澤アドバイザー どうもありがとうございました。
 1点目の協議会は、現実を考えるとなかなか大変なので、いろいろ検討させていただけたらと思います。
○羽野室長 続きまして、高アドバイザー、お願いいたします。
○高アドバイザー 非常に興味深い御提案で勉強になりました。ありがとうございます。
 その中で、2つの御提案についてお聞きしたいのですが、一つは居宅訪問型児童発達支援の対象拡大、もう一つ、オンラインによる支援の恒久化についてです。この2つについては、通所している実態がない中でのサービスになりますので、有効的かつ質の高い支援にしていくためには、対象となるこどもを明確にするなど、一定の条件が必要かとも感じたりするのですが、そういった点についてはいかがでしょうかという点と、先への支援を見据えたときに、学校連携等についても同時並行する必要もあろうかと思うのですが、そういった点についての御意見やお考えがありましたら、聞かせていただけますでしょうか。
○全国手をつなぐ育成会連合会 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、訪問児発、あるいはオンライン支援を拡大した場合には、実際には事業所にお見えにならない、あるいはアウトリーチをして支援を届けるということになりますので、これは一定の要件の設定は必要になると考えております。
 2番目の質問とも関連いたしますが、イメージとしては、現時点で学校等に通うことができていない、あるいは親御さんも障害など大変な状況で、障害のあるお子さんを育てる部分に関して負担を感じておられる。いわゆる複合的な生活課題があることによってお子さんの発達が気になるものの、親御さんが通所先に送り届けたり、一緒に通所サービスを利用したりといったことができない。さらには先ほど例示させていただいたいわゆるひきこもりと呼ばれている状況である、いずれかの理由で、本来であれば障害児通所ですので通いでサービスを利用できるようになっていただきたいところ、それが難しいお子さんを対象にアウトリーチするサービスとして、訪問児発の対象を拡大してはどうかという趣旨でございます。
 そして、その関連で申し上げれば、学齢児であれば学校、未就学児であれば幼稚園、ないしは保育所といったように、未就学のお子さんの場合にはいわゆる教育義務はございませんが、通所に結びついたほうがよりよいと考えられる場合には通所、通学の場合には義務年齢であれば、少なくとも必ず学校と連携をすることが、今申し上げたようなオンライン支援であるとか、特に訪問型児発を拡大する際には必須になってくるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○高アドバイザー ありがとうございました。非常に興味深い御提案でした。
○羽野室長 続きまして、有村アドバイザー、お願いいたします。
○有村アドバイザー 大変緻密で厚みのある御指摘・御意見をありがとうございます。
 2の各論の(2)のFの障害児支援の再構築のところで、家庭において保護者への適切な関わり方を伝達することなども含めて、保護者への対応についていろいろ御提案いただきました。これに関して、例えば需要であったりとか、あるいは動機づけが結構大きいところだと思います。家庭の力、あるいはこどもをしっかり見ていくというところで、家庭がそういったことを身につけなければならない、あるいは学ぶことでメリットがあったりとか、よりよくこどもと接していけることができるというような動機づけの部分をどうしていくのかなど、もし、御意見があれば伺いたいと思いました。よろしくします。
○全国手をつなぐ育成会連合会 ありがとうございます。
 ただいま御指摘をいただいた部分については、一義的にはいわゆる療育相談、あるいは発達支援の相談と呼ばれる1歳半、あるいは3歳の健診からつながる母子保健のフォローアップの中で、お子さんのフォローアップが必要な状況を親御さんと共有しながら、その後には個別の支援が必要だとなったときに、児童発達支援、あるいは放デイ、場合によっては訪問型児発といったことにつながっていく一連の中で、御家庭の中で、表現を選ばずに言えば、親子ともにストレスが少ない子育て、あるいは子育ちができる環境をつくっていくことの働きかけが重要と考えております。
 その意味では、本質的には法律上、今のところ何の定義もない療育相談や支援の相談と呼ばれている部分を、いかに厚みを持たせていくかというところに重要性があると考えておりますけれども、御両親がともに働くということがスタンダードになりつつある現状にあっては、そのモチベーションは、もしかすると、保育所のように両親がともに働くことが前提の社会資源から発信をしていただくということの必要性もあるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○有村アドバイザー どうもありがとうございます。
○羽野室長 そのほか、よろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。
 全国手をつなぐ育成会連合会の皆様、どうもありがとうございました。
○全国手をつなぐ育成会連合会 貴重なお時間をありがとうございました。
○羽野室長 本日予定している議事としては以上で終了となりますが、アドバイザーの皆様、何かコメントとか、よろしゅうございますでしょうか。それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。時間が超過してしまい大変失礼いたしました。
 次回の検討チームは7月25日14時からの開催予定となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございました。