令和5年度 第2回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和5年7月18日(火) 14:00~16:15

場所

TKP新橋カンファレンスセンター カンファレンスルーム16B
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階)

議事次第

  1. (1)濃度基準値の検討
  2. (2)その他

議事内容

○環境改善・ばく露対策室長  本日は、大変お忙しい中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、令和5年度第2回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
 私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます化学物質対策課環境改善・ばく露対策室の平川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、濃度基準値に関する事項について検討することとしておりますので、開催要綱別紙の構成員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方にご参集いただいております。
 出席状況ですが、本日は14名の構成員にご出席いただく予定です。川本委員は遅れて来られます。欠席の方はおられません。
 なお、本日は会場参加とオンライン参加の併用で開催させていただいており、14名の出席者のうち2名がオンラインでの参加となっております。
 会場とオンラインの併用で開催しておりますので、会場参加の皆様はご発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生方におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、ご発言される場合を除きましてマイクをミュート、オフに設定していただきますようお願いいたします。また、ご発言の際にはあらかじめチャットでご発言の旨を入れていただくか、またお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてからご発言いただきますよう、オンラインの先生方につきましてはお願いいたします。
 なお、議事録を作成し、後日公表いたしますので、ご承知おきください。
 本日の開催は公開としておりまして、一般傍聴者につきましてはウェブでの音信配信のみとさせていただいております。
 それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長  ありがとうございます。皆様、暑い中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 では、まず事務局から資料の確認をお願いします。
○環境改善・ばく露対策室長  かしこまりました。それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料ですが、はじめに議事次第と配付資料一覧です。資料は資料1から資料5まで、参考資料は参考1から参考5まで用意しております。本日の資料は、タブレットに格納しておりますが、検討対象物質一覧の資料1と資料4は印刷資料も併せて配付しております。会場にお越しの皆様方におかれましては、資料に不備の点はありませんでしょうか。オンラインで参加いただいている先生方にも資料を事前に送付させていただいておりますが、何かありましたら事務局までご連絡ください。
 なお、濃度基準値の検討に使用する一次文献は、著作権の関係があるため委員限りの資料としております。
 傍聴の方向けの資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しておりますので、そちらをご覧ください。
 資料の確認は以上です。
○城内座長  ありがとうございます。それでは、本日の議事に入ります。
 議事1、濃度基準値の検討についてですが、本日は32物質について検討する予定としております。
 初めに、事務局から本日の検討対象物質と包括的に指定されている物質に対する濃度基準値設定の考え方について説明をお願いします。
○化学物質評価室長補佐  それでは、ご説明させていただきます。まず資料1をご覧ください。
 こちらが令和5年度の検討対象物質リストということで、154物質ありますけれども、このうち濃度基準値の欄に丸がついている物質が32物質あります。こちらを本日ご検討いただきます。これらは全て今年度新規の検討対象物質でありまして、昨年度の積み残しの物質の検討は本日ありません。
 それから、本日は基準値のみの検討のため、測定方法の欄は全部空欄となっておりますが、測定方法は次回以降に別途検討いたします。最終的に基準値と測定方法両方合意が得られたものについて濃度基準値を設定するということになります。
 本日の検討対象物質32物質ありますけれども、このうちスズ化合物が19物質含まれておおります。このような共通の元素を有するような化合物についての濃度基準値設定の考え方について、資料2にまとめましたので、こちらをご覧ください。濃度基準値の検討対象となる物質、リスクアセスメント対象物には、原則としてGHS分類されている物質を対象としておりますけれども、その中でA及びその化合物という形で、対象物を包括的に指定している物質があります。
 こちらについては、現在もこのような形で包括的に指定しておりますが、改正検討中の労働安全衛生法施行令の改正後においても、引き続き政令でこのような形で包括的に指定する予定ということになっております。
 この対象物質が下の表に33物質群あります。この包括指定物質につきましては、特定の元素から構成される化合物が共通の有害性を有することを根拠に、ACGIH等の諸機関において職業ばく露限界値を包括的に設定しているものでして、これらの物質に対する濃度基準値の検討に当たっては、包括指定の趣旨を踏まえて共通の有害性を有する化合物の濃度基準値を包括的に設定することを可能としたいと考えております。
 ただし、包括する化合物の範囲は、諸外国の各機関でも異なっております。例として下の※1に記載している通り、アメリカのACGIH、イギリスのHSEでは有機スズ化合物に対して一括して職業ばく露限度を定めておりますが、ドイツのDFGでは数種類に分けて定めております。こういった背景をふまえ、一部の化合物に特有の有害性情報について信頼性の高い根拠文献がある場合にはグループ分けして、一部の小分けした物質に係る濃度基準値を設定することも可能とするという条件で文献調査を行った上で、濃度基準値を提案し、この検討会でご検討いただくこととしております。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 それでは、各物質の濃度基準値の検討に移ります。初めにスズ化合物19物質をまとめて検討し、その後残り13物質の検討を行いたいと思います。
 まず、スズ化合物19物質について事務局から資料の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  この後の各物質につきましては小岸と神原でご説明させていただきたいと思います。前半のスズ化合物19物質、それから後半、その他13物質それぞれの説明の後に、構成員の先生方から事前に頂戴しましたご質問、ご意見などを事務局からご説明いたします。その後、ご質問、ご意見を踏まえていただいた上で、個別物質ごとにご議論いただきたいと思います。
 なお、検討に必要な一次文献の印刷版が必要な方は、事務局にお知らせいただきましたら席までお持ちいたします。
 それでは、資料3をご覧いただければと思います。前半19物質、スズ化合物になりますが、初期調査において同じ根拠文献を用いて評価を行っている物質があり、5つのグループに分けることができますので、グループごとにまとめてご説明いたします。
 資料の2ページを見ていただきますと、まずはトリブチルスズ化合物についてご説明したいと思います。対象はトリブチルスズオキシド、トリブチルスズアセテート、トリブチルスズクロリド、トリブチルスズフルオリド、トリブチルスズ=メタクリラート、トリブチルスズ=ナフテナートの6物質となります。
 代表して2ページのトリブチルスズオキシドの評価書をご説明させていただきます。
 詳細調査の要否につきましては不要となっております。
 濃度基準値の提案としましては、8時間濃度基準値がスズとして0.05mg/㎥、短時間濃度基準値は設定しない、天井値も設定しないということになっております。
 根拠論文につきましては、4本が根拠として挙げられております。
 濃度基準値の設定の提案理由は、コメント欄に記載してあります。まとめとして、動物試験の結果よりトリブチルスズ化合物のLOAELを3㎎ TBTO/kg bw/日と判断し、吸入への変換及び不確実係数を考慮した濃度基準値0.05mg Sn/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメント欄についても併せてご確認をお願いいたします。
 少し飛びまして、次に14ページをご確認ください。次が2つ目のグループでトリフェニルスズ化合物の関係になります。こちらは水酸化トリフェニルスズ、フッ化トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、酢酸トリフェニルスズの4物質が対象となります。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案につきましては、8時間濃度基準値がスズとして0.003mg/㎥、短時間濃度基準値及び天井値は設定しないとなっております。
 根拠文献につきましては6本掲げられております。
 提案理由としましては、コメント欄に記載してありますが、まとめの部分として、動物実験では鼻部以外の影響は高濃度ばく露によるものであり、トリフェニルスズ化合物のNOAELを0.014TPTH mg/㎥と判断し、不確実係数を考慮した濃度基準値0.003mg Sn/㎥を8時間濃度基準値として提案するということで提案されております。
 併せてその他のコメント欄もご確認いただければと思います。
 次に、3つ目のグループになります。資料は22ページをご確認いただければと思います。ジブチルスズ化合物のグループになりまして、対象はジブチルスズ=ジラウラート、マレイン酸ジブチルスズ、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズ二酢酸、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート)の7物質になります。
 詳細調査の要否につきましては不要となっております。
 濃度基準値の提案は、8時間濃度基準値がスズとして0.5mg/㎥、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠文献としては6物質掲げられております。
 提案理由はコメント欄に記載のとおりとなります。まとめのところで、動物試験の結果よりジブチルスズ化合物のNOAELを2mg DBTC/kg bw/日と判断し、吸入への変換及び不確実係数を考慮した濃度基準値0.5mg Sn/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認をお願いいたします。
 続きまして、資料の36ページをご覧ください。こちらはブチルトリクロロスズになります。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案は、8時間濃度基準値がスズとして0.02mg/㎥となっております。短時間濃度基準値と天井値は設定しないということになっておりまして、根拠文献はそちら記載の2本となっております。
 提案理由としましては、コメント欄に記載のとおりになりますが、最後のまとめとして、動物試験の結果よりLOAELを1mg Sn/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した濃度基準値0.02mg Sn/㎥を8時間濃度基準値として提案するとされております。
 その他のコメント欄も併せてご確認をお願いいたします。
 最後になりますが、38ページをご覧ください。テトラブチルスズになります。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案は、8時間濃度基準値がスズとして0.2mg/㎥、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠文献は1本記載があります。
 提案理由はコメント欄に記載のとおりですが、最後のまとめとして、動物試験の結果よりNOAELを100mg/kg(雄6.5mg TTBT/kg bw/日)と判断し、吸入への変換及び不確実係数を考慮した濃度基準値0.2mg Sn/㎥(8時間濃度基準値)を提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認をお願いいたします。
 私からの説明は以上になります。
○化学物質評価室長  続きまして、委員限りとしてお配りしておりますとおり、あらかじめご質問やご意見を頂いておりますので、まずは事務局からそれらご意見等に関する回答をさせていただきたいと思います。
 まず、2ページにありましたトリブチルスズ関係です。これに関しましてDFGのMAK値の根拠は今回の提案と同一研究か、あるいは生殖発生毒性かというご質問を頂いております。
 これにつきまして、DFGのMAK値の根拠はアンパブリッシュです。このことからACGIHのOEL引用文献及びその孫文献を精査いたしました。健康影響としては、生殖毒性については今後要検討との意見がありまして、免疫毒性を標的健康影響とさせていただいております。こちら、コメントの下のその他のコメントにも書いておりました。
 続きまして、14ページに飛んでいただきまして、トリフェニルスズ関係です。トリフェニルスズ関係では、白血球数の低下、IgM上昇を予防する影響と判断した根拠が不明というご意見を頂いております。これは1つ上の濃度では炎症性変化があるのではないかということと思われます。
 また、先ほどと同様DFGのMAK値の根拠と生殖発生毒性かというご質問を頂いております。
 これにつきましてACGIHでは、免疫機能や中枢神経機能への悪影響を検討いたしまして、DFGにおいても白血球数等の生化学データを検討しています。
 DFGのMAK値の根拠というのは、先ほどもありましたとおりアンパブリッシュでして、今回の提案と同一研究かどうかであるかは不明ですが、今回同様の知見が得られておりますほかのリスク評価書等に基づきまして、その引用元であるEHCの記載に基づいて評価することについて、専門家会議で了承を得ています。これを踏まえまして専門家会議でも議論いたしまして、その結果、白血球数等の低下等のNOAELを予防すべきポイント・オブ・デパーチャーとすることと判断され、また不確実係数はばく露期間を考慮して検討されました。
 続きまして、22ページに飛んでいただきますと、ジブチルスズ関係です。ジブチルスズ関係では、論文著者の評価である軽度の貧血を予防すべき影響とし、ラットの混餌投与による体重減少や胆管の肥厚を採用しなかった根拠は何かということと、先ほどと同様DFGのMAK値についての質問を頂いております。
 これにつきまして、22ページにあります文献の2)が6カ月、4)が90日の亜慢性のばく露期間の実験でしたが、文献2に比較して文献4が投与量の体重換算がされておりました。また、試験動物数も4の方が多かったということでして、濃度基準値の根拠となるNOAELの算定には文献4のほうが適していると専門家会合で判断されております。
 DFGの件につきましては、最初のものと同様です。
 続きまして、36ページに飛んでいただきますと、ブチルトリクロロスズになります。こちらは設定根拠となったスズ換算の1mg/㎥での白血球数とヘマトクリット値の増加を予防すべき影響とした理由は何でしょうか、より高いばく露群での変化とは一致しないのではないかというご質問を頂いております。
 スズ換算で1mg/㎥ということでは、血液学的検査に加えまして、肺の変色なども見られております。高濃度ばく露群でも同じ病態がより増悪して見られております。このため濃度基準値の根拠としては肺の変色も予防すべき影響として捉えております。
 なお、参考とさせていただいておりますACGIHでも免疫機能等への悪影響を評価しているということです。
 続きまして、スズ関係最後です。38ページをご覧ください。テトラブチルスズとなっております。テトラブチルスズですけれども、動物実験における胸腺の変化は非特異的な反応として起こり得るということだが、本物質で予防すべき影響とした理由は何か(脾臓重量の低下も同様)いうことと、DFGのMAK値の最初のものと同様のものを頂いております。
 テトラブチルスズは肝臓でトリブチルスズに変換されることから、トリブチルスズと類似の有害を示すという論文があります。ただし、その発現は遅いとされておりますので、当該影響をテトラブチルスズによるものと判断いたしました。テトラブチルスズ、最初に評価が上がっていますけれども、こちらのシリーズでもエンドポイントは胸腺の重量低下ということにしておりますので、そちらと同様と考えているということです。
 DFGの文献については最初のものと同様です。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、事前に頂いたご質問、ご意見やそれに対する事務局回答も踏まえて、1物質ごとに議論していきたいと思います。ここまでで何かご意見ありますでしょうか。
 それでは、個別物質ごとにご意見頂きたいのですが、最初のトリブチルスズオキシドからトリブチルスズ=シクロペンタンカルボキシラート及びその類縁化合物の混合物までご質問、ご意見等ありますでしょうか。お願いします。
○鷹屋委員  塩化物やフッ化物は加水分解すると思うのですが、アセテートやメタクリラートについても速やかに加水分解して、酸化物と同じになるため酸化物で代表してよいというのが、私の解釈なのですが間違いないでしょうか。それに関する記述が見当たらなかったので、そこだけ教えていただきたいのです。
○城内座長  事務局、いかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  結局情報が非常に少ないため、まず質のよい情報を取ろうという前提がありました。今、酸化物についてご指摘いただきましたが、取り立てて酸化物だからという理由で取ったわけではございません。少なくともトリブチルスズオキシドに関しては、このデータがほかのトリブチルスズ化合物よりも情報としては妥当だろうと判断しました。同時にその他のコメントにあるように、有機スズ化合物の哺乳類に対する有害性があるという共通の認識があるようなので、対象の結果、酸化物になるのかまでは検討していませんが、このような状況になっているということです。
○鷹屋委員  ありがとうございます。おそらく、有機金属ハロゲン化物は水にあったら速やかに酸化物になると思うのですけれども、ほかの有機酸とのエステルがどうなのかなと疑問に思いました。先生のおっしゃるとおり基本的に酸素がついている物質の情報が一番多いというのは理解できます。ありがとうございます。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。
○化学物質対策課長  若干補足させていただきます。2ページのその他コメントに書いてありますけれども、有機スズ化合物の哺乳類に対する有害性はアルキル基の種類とその数により毒性が異なるということですので、酸化物であるというよりは、アルキル基の種類のほうが大きいという判断です。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。ご質問、ご意見等ございませんでしょうか。
 それでは、トリブチルスズオキシドからトリブチルスズ=シクロペンタンカルボキシラート及びこの類縁化合物の混合物まで、8時間濃度基準値が0.05mg/㎥スズとしてということでよろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 では、認められたということで次に行きたいと思いますが、水酸化トリフェニルスズから酢酸トリフェニルスズまででご意見、ご質問等ありますでしょうか。武林委員、お願いします。
○武林委員  先ほどのご説明が十分に理解できずおらず質問します。恐らく0.338mg TPTH/㎥での白血球数の低下の血液学的変化及びIgM等の生化学的変化を取ったのだと思います。私がコメントした後もう少し調べてみたところ、MAKがこれを採用していて、その根拠はヘキスト社が提出した文書ということで、おそらくほかの二次評価書も同じ対応となっているのではないかと思うのです。ポリシーとして元がヘキスト社であっても、複数の二次評価書がそうなっていればよいという理解でよいのでしょうか。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  比較的信用がある二次評価書を採用しているということに反対する根拠がないということで、これを採用したという考え方です。
○武林委員  分かりました。実は本日の会議前に少し調べてみたら、このときのMAKの提案理由書があるのですが、その表を見ると0.38(0.11)では白血球が下がっていること、グルコース値とビリルビンが下がっていること、血清中のカルシウムが下がっているということが書いてあるのです。それを予防すべき影響と取った理由がもう1つ。これを使うのはいいと思うのですけれども、そこが予防すべき影響と判断されたのがポイントかなと考えたのですが、これについてはどういう議論があったのでしょうか。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  本当にそのとおりで、何を予防すべき影響とするかという判断は非常に重要な判断だと思います。その判断はNOAEL、アドバースエフェクトかどうかという判断になると思うのです。アドバースエフェクトかどうかという判断が今ここにあるような白血球の問題とかIgMの問題をアドバースと見たという判断だけの問題だと思うのです。軽い影響でこれは無視していいという判断もあり得ると思いますけれども、さっきも言いましたようにほかの機関が採用しているものに反対する理由はないという形なので、そういう意味ではリジットな判断ではありません。
 これは、常にこのような数字をつくるときに関わる問題で、何をアドバースと見るかというのは非常に重要な観点ですけれども、なかなか難しいところです。例えば大分前に議論があった鉛などの議論は非常に面白いのですが、デルタアミノレブリン酸の脱水素酵素の活性が落ちる、RDの活性が落ちると。これはアドバースエフェクトで見ていないのです。デルタアミノレブリン酸が増える、これも見方によってはアドバースではないと見ることもできるし、貧血を起こす前兆だからアドバースと見るという見方もできるので、そこら辺の判断は研究者、機関によって違うというところで、リジットではないというのは間違いないです。
○武林委員  追加させてよろしいでしょうか。そこに特に反論はないのですけれども、先ほど事務局からのご説明がDFGについてはアンアベイラブルな文献だったので、それは採用しなかったとおっしゃったことと矛盾すると思います。むしろMAKが採用しているものを否定する理由はなく、MAKの評価が変わったときには我々もすぐ変えられると思いますし、むしろその点を明示していただいたほうが、この数字を使う側にとっては何が根拠で何が不確定要素かということが分かりやすいのではないかという意味で質問させていただきました。
○化学物質対策課長  事務局でお示ししている14ページの資料につきましては、0.014TPTH mg/㎥という数字自体が1番の文献を根拠にしています。こちらは鼻部粘膜、気管及び肺の変性及び炎症性変化を用いておりまして、直接的にDFGと同じ文献を、先生が先ほどご指摘されたような血液の生化学的な変化を直接のものとしているものではないという理解です。
○大前委員  0.014がNOAELということで、0.338で先ほどの白血球がどうのこうのとかそこが出ているので、これがLOAELだということで、その下の濃度はNOAEL、そこから取っているというだけのことであります。
○城内座長  武林先生、よろしいでしょうか。そのほかご意見等ありますか。小野委員、お願いします。
○小野委員  このフェニル基を持つスズ化合物に関しては、非常に濃度基準値が低くなっていますので、これから測定法を考える側としては個人ばく露でこの濃度が測れるかはかなり厳しい可能性があるかと思います。㎍/㎥という単位が、現実的ではないというときにどういう判断にするのか。要するに測定法が見つからない場合には濃度基準値は設定しないということでしたから、今後こういうものが出てきた場合にどういう区切り方をするのかというのを考えて、第3回以降に測定法は発表していきたいと思います。
○城内座長  最川委員、どうぞ。
○最川委員  最川です。素人的な質問で申し訳ないのですが。まず聞いていて全く理解できなかったのですが、今回の検討会の内容は労働者に対する数値なのですが、スズ化合物だけではなくて、一般の消費者にも使われている物質もあるわけですよね。今回濃度基準値を設定するに当たって、労働者の安全を確保するという形で厳し目に設定するのはよいのですが、実は一般消費者が使っている商品に含まれる化学物質を吸い込んでいる濃度のほうが全然高いということになっていないかと感じています。あまりにも厳し過ぎる数字を設定しているということがないが、その見当もつかないので聞いているのです。
 それぞれ調べている先生方は一般的にスズ化合物がどういうものに使われているか分かっていると思うので、どういうものに使われていて、吸い込む可能性が高いのでという点を教えていただけると一番分かりやすいかなと。危険なのはいくらでも危険と言えるので、あまり厳し過ぎる数字に設定すべきではないと思っているのですが、そのあたりの勘所について教えていただきたい。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  今回の水酸化トリフェニルスズというものの考え方で言いますと、NOAELという健康影響が発現しないもので一番高い数字を基準にした上で、不確実係数を考慮し決めるということです。こちらの考え方は、労働者であろうと一般消費者であろうと基本的には同じなのですけれども、環境基準は不確実係数を非常に大きく取りますので、一般的に労働者のほうが基準値としては高めの数字が出る傾向があります。最初ご指摘がありました一般公衆向けのものよりも労働者のほうが厳しいということは基本的にありません。
 以上です。
○城内座長  小野委員からのご質問に対してよろしくお願いします。
○化学物質対策課長  測定につきましては、次回以降ご議論させていただきますので、そこで議論させていただきたいと思いますが、数字自体はDFGで0.002mg/㎥を使っておりますので、それよりは少しだけ緩いのですけれども、諸外国で使われているレベルの数字ですので、濃度基準値の低さとして取り分けて低いという認識はしておりません。ただ、ご指摘のとおり測定でどこまで測れるかはまた別の問題ですので、次回以降ご議論させていただきたいと思います。
○城内座長  そのほかご意見、ご質問等ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、水酸化トリフェニルスズから酢酸トリフェニルスズまでの4つの物質について0.003mg/㎥スズとしてということで、8時間濃度基準値を設定するということでよろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 では、次に移りたいと思います。ジブチルスズ=ジラウラートからジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート)までについてご質問、ご意見等お願いいたします。武林委員、お願いします。
○武林委員  先ほどと同じ確認です。軽度の貧血とだけ書かれていると何が軽度なのか分からないです。ご説明いただけるときにどれぐらい意味のある軽度の貧血なのかということをもう少し理解できるような補足をいただければと思います。
○大前委員  文献4の中身をすべて覚えているわけではないですし、軽度の貧血ですから大したことはないと思うのですが、軽度の貧血が見られたのが80ppmの投与分、著者はノー・エフェクト・レベルで42mg/としているので、ここを取っているので、軽度の貧血のレベルは今直ちに答えられません。
○武林委員  著者はアドバースがついていなくて、ノー・エフェクト・レベルと言っているので、かなり軽度だったのではないかということと、もしかしたらもっと数字が厳しくなるかもしれません。先ほどの最川さんからのご質問もふまえ、ここは明確にしたほうがいいのではないでしょうか。加えて、文章を読むと1つ上の同じ混餌試験での体重減少や胆管の肥厚拡張というほうがどちらかというときちんとした変化があるように読み取れましたので、そちらを考慮しなかった理由を少し整理しておいたほうがいいのではないかという質問です。
○大前委員  今ご指摘されている場所と意味が分かりました。ご指摘の点は2番の文献で、20ppmが異常所見がなかったのだからこれがNOAELだろうと。一方、4番の文献では40ppmがNOAELだろうと著者が言っていると。したがって、まず20を取るべきではないかというお話ですね。
○武林委員  ばく露期間も違うのでどういう計算したかによると思いますけれども、少なくとも何をアドバースと取るかの議論でどのように整合性があるのかということを確認したかったという質問です。
○大前委員  一般論としては、体重減少はともかくとして、胆管の肥厚と病理的な所見があれば、後者のほうが重い所見ということになると思います。それがないのが20ppm。これは50以上の群でこの所見があったわけですから、20を取るとすると4番の文献は40ppmが2ミリとなっているので、20ppmは多分1ミリぐらいになると思うのです。そうすると単純に言うとこの数字が0.5から半分ぐらいになるというご意見ですね。そこをもう少しはっきり書きなさいということですよね。それはご指摘のとおりです。
 体重換算は可能だと思います。40で2というのが出ているわけですから、20はその半分ぐらいだろうと思われます。ただし、2番の文献は1958年、4番の文献は68年ですから両方とも古い文献と言う点には留意が必要です。
 今、武林先生がご指摘のことは非常に理解できます。文献の精度の問題は、今この場では答えようがないです。文献の精度に関しては、もう一回見て、58年の文献は相当古い文献なので、まともなことをやっているか疑問ではあるのですが、いずれにしても両方の文献の精度を比較しないといけないと思いました。
○城内座長  そのほかありますでしょうか。お願いします。
○平林委員  今のところでばく露期間が6ヵ月と90日という違いがありますが、ここはどのように考慮されたかということも併せてご検討いただけたらと思います。
○大前委員  ありがとうございます。
○城内座長  そのほかご質問、ご意見等ありませんでしょうか。では、0.5mg/㎥については再検討ということでよろしいですか。皆さん、それでよろしいでしょうか。――では、ここについては再検討ということにしたいと思います。
 続きまして、ブチルトリクロロスズについてご意見等ありましたらお願いいたします。
武林委員、お願いします。
○武林委員  すみません、たびたびになりますが、先ほどの事務局からのご説明がいまひとつよく理解できませんでした。この物質については1番の文献ということなのだと思いますが、白血球数とヘマトクリット値の増加というのが一番低いところで出ているのが根拠になっていると思いますが、これをまた予防すべき影響なのかということが毒性全体で見ると、そこから先についてはどちらかというと肺、気管支での炎症を中心とした変化なのかなということを見たときに、この影響を予防すべき影響と取った理由ということがもう少しご説明いただけると理解が進むかと思います。
○化学物質評価室長  藤田です。先ほど私がご説明させていただいたところですけれども、2.4mg/㎥で白血球数及びヘマトクリット値の増加が認められましたというのがありますが、その先に同じ2.4mg/㎥ばく露群以上が含まれているところで、肺の変色及び非晶質物質の増加が加わっています。そのため、今回こちらにつきましては、肺の変色を含めて考慮しているということです。
○武林委員  よく分かりました。ありがとうございます。
○城内座長  そのほかご意見、ご質問ありますでしょうか。
 それでは、ブチルトリクロロスズについては8時間濃度基準値0.02mg/㎥スズとしてということでよろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 では、次に移りたいと思います。次はテトラブチルスズについてご意見、ご質問等ありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 それでは、テトラブチルスズに関しましては、8時間濃度基準値の0.2mg/㎥(スズとして)ということでよろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 それでは、ここまでで前半の検討が終わりましたが、引き続き次の検討に移りたいと思いますが……宮川さん、お願いします。
○宮川委員  細かいことで申し訳ありません。今までのところ全部そうなのですけれども、一番下の資料でその他のコメントの書きぶりがモノ-、ジ-、トリブチル-、トリフェニル-、テトラ-と書いてあって、書きぶりを正確にしていただかないと誤解しやすいような気がします。そこだけ細かいことで申し訳ありませんが、よろしくお願いしたいと思います。モノとジはブチルということですよね。テトラのほうはテトラブチルまで書いていただいたほうが分かりやすくなると思います。よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長  分かりました。修正いたします。
○城内座長  そのほかよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、続いて後半の13物質の検討を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  説明させていただきます。
 まずはヘキサクロロエタンから1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタンまでの7物質につきまして私、小岸のほうでご説明いたします。その後、残りの6物質について神原から説明させていただきます。
 それでは、40ページをご覧ください。ヘキサクロロエタン、詳細調査の要否につきましては不要となっております。
 濃度基準値の提案につきましては、8時間濃度基準値、1ppm、短時間濃度基準値、天井値の提案はありません。
 根拠論文は5つ掲げられております。
 提案理由につきましては、コメント欄記載のとおりとなります。まとめとして、動物実験の結果からLOAELを15mg/kg bw/日と判断し、不確実係数等を考慮した1ppmを8時間濃度基準値として提案するとされております。
 その他のコメントはありません。
 次に42ページをご覧ください。メチルアミンになります。
 詳細調査の要否は不要となります。
 8時間濃度基準値は4ppm、短時間濃度基準値、天井値の提案はありません。
 根拠論文は1本になります。
 提案理由はコメント記載のとおりになります。まとめとして、動物実験の結果からNOAELを5ppmと判断し、不確実係数を考慮した4ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 その次、44ページをご覧ください。トリブロモメタンになります。
 詳細調査の要否は不要です。
 濃度基準値の提案は、8時間濃度基準値として0.5ppm、短時間濃度基準値、天井値の提案はありません。
 根拠論文は4本掲げられております。
 提案理由はコメント欄に記載のとおりです。まとめとして、動物実験でのトリブロモメタンのばく露によるLOAELを100mg/kg bw/dayと判断し、不確実係数を考慮した0.5ppmを8時間濃度基準値として提案するとされております。
 その他のコメントはありません。
 続いて46ページをご覧ください。クロロジフルオロメタンになります。
 詳細調査の要否は不要になっております。
 濃度基準値として、8時間濃度基準値1,000ppm、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文は2本掲げられております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりです。まとめとして、動物実験におけるNOAELは35,400mg/㎥(=10,000ppm)と判断し、不確実係数を考慮した1,000ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続いて48ページをご覧ください。ブロモ(トリフルオロ)メタンになります。
 詳細調査の要否は不要です。
 濃度基準値の提案として、8時間濃度基準値が1,000ppm、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文は2本になります。
 提案理由は、コメント欄記載のとおりで、結論として動物実験から50,000ppmをNOAELと判断し、不確実係数等を考慮した1,000ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続いて50ページをご覧ください。ジクロロジフルオロメタンになります。
 詳細調査の要否は不要になります。
 濃度基準値として、8時間濃度基準値1,000ppm、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文は3本掲げられております。
 提案理由はコメント欄に記載のとおりです。まとめとして、ヒトの実験から2,500ppmをLOAELと判断し、不確実係数等を考慮した1,000ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続いて52ページをご覧ください。1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(CFC-113)になります。
 詳細調査の要否は不要になります。
 濃度基準値の提案として、8時間濃度基準値500ppm、短時間濃度基準値1,500ppmが提案されております。天井値の提案はありません。
 根拠論文は4本掲げられております。
 提案理由はコメント欄に記載のとおりです。まとめとして、ヒトの研究結果からNOAELは669ppmと考えられ、不確実係数等を考慮した500ppmを8時間濃度基準値として提案する。また、ヒトの3時間ばく露による実験結果により1,500ppmを短時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
○化学物質評価係員  続きまして、神原より残りの6物質をご説明させていただきます。
 まず、54ページをご覧ください。こちらアクリル酸です。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案として、8時間濃度基準値は2ppm、短時間濃度基準値、天井値の提案はありません。
 根拠論文は2本で、提案理由はコメントのとおりです。まとめとして、動物実験の結果からLOAELが5ppmと判断し、不確実係数等を考慮した2ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントに記載はありません。
 続きまして、56ページ、3-(アルファ-アセトニルベンジル)-4-ヒドロキシクマリン(別名:ワルファリン)です。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案といたしましては、8時間濃度基準値が0.01mg/㎥、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文は1本です。
 提案理由はコメントのとおりで、まとめといたしまして、ヒトの知見に基づき不確実係数等を考慮した0.01mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとされております。
 その他のコメントに記載はありません。
 続きまして、58ページ、トリエタノールアミンです。
 こちら詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案といたしましては、8時間濃度基準値が1mg/㎥、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文としては1本掲げられております。
 提案理由といたしましてはコメントのとおりで、動物実験によるLOAELを20mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した1mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントに記載はありません。
 続きまして、60ページ、アリルアルコールです。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案といたしましては、8時間濃度基準値が0.5ppm、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文としては3本です。
 提案理由はコメントのとおりです。まとめといたしましては、動物実験の結果からNOAELは2ppmと判断し、また急性毒性が高いことやRD50が比較的低いことから、不確実係数等を考慮した0.5ppmを8時間濃度基準値として提案するとされております。
 その他のコメントに記載はありません。
 続きまして、62ページ、m-フェニレンジアミンです。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案といたしましては、8時間濃度基準値が0.1mg/㎥、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文としては2本掲げられております。
 提案理由はコメントのとおりで、まとめといたしましては、動物実験の結果からNOAELが6mg/kg/dayと考えられ、不確実係数等を考慮した0.1mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントに記載はありません。
 最後にジプロピレングリコールメチルエーテルです。
 詳細調査の要否は不要となっております。
 濃度基準値の提案は、8時間濃度基準値が50ppm、短時間濃度基準値と天井値の提案はありません。
 根拠論文は2本掲げられております。
 提案理由はコメントのとおりで、まとめといたしまして、動物実験の結果からLOAELを300ppm、NOAELを200ppmと判断し、不確実係数等を考慮した濃度基準値50ppmを提案するとなっております。
 その他のコメントに記載はありません。
 私からは以上です。
○化学物質評価室長  続きまして、事務局より先ほどと同様、事前にご質問いただいておりますので、そのご質問に関して回答を簡単にご説明させていただきたいと思います。
 まず、後半戦の最初の物質、40ページにお戻りください。ヘキサクロロエタンとなります。コメントにありますように、Fischer344のラットを使っておりますけれども、3行目にありますようにNOAEL相当が1mg/kg/日と推定できると思われますが、あえて下のほうの以上によりというところに結論が書いてありますけれども、15mg群で観察された影響に基づいて、LOAELをポイント・オブ・デパーチャーとしたのはなぜというご質問を頂いております。
 こちら当初の混餌飼料中の濃度が上のほうに書いていますけれども、3、30、100mg/kg/日となっていました。これを揮発などにより実際には1、15、62mg/kg/日となったと原典に記載があったので、1、15、62としております。ということで、1と低容量群と対象群との差がほとんどないということから、中容量の15mg/kg/日をLOAELとして、そこから不確実係数を考慮して1ppmを8時間濃度として提案させていただいているものとなっております。
 続きまして、42ページにお進みください。42ページはメチルアミンとなっております。こちらがマウスの鼻腔の変化を根拠に、6時間から8時間へのばく露時間の変換を不確実係数として採用したということになっておりますけれども、ほかの物質でも同様かというご質問を頂いております。
 ばく露時間の変換ですけれども、6時間から8時間への変換というのは、動物実験のデータの場合は多くされておりまして、ほかの濃度基準を定めるときにも同様の変換をやっております。
 続きまして、48ページまで飛んでいただけますでしょうか。ブロモ(トリフルオロ)メタンとなっております。こちらがコメントの下から2行目にありますように、NOAEL50,000ppmで出発しているのですけれども、これを出発点として不確実係数を50としたのはなぜかというご質問を頂いています。
 こちら4行目に書いていますように、モルモットとラット各10匹を5%のブロモ(トリフルオロ)メタンで24時間、10日連続でばく露したもので得られた結果を用いています。不確実係数は種差とばく露時間を考慮したものとなっております。なお、ACGIHも同様の不確実係数を採用しているということです。
 続きまして、54ページに飛んでいただけますでしょうか。54ページはアクリル酸となっております。こちらラットやマウスを用いた実験の論文を根拠にしておりますけれども、マウスのほうが感受性の観点で人に外挿するのに適切とした根拠はなぜかということと、マウス5ppm群での軽微な巣状変性をポイント・オブ・デパーチャーとして、不確実係数2.5を採用した理由はなぜかというご質問です。
 3行目の辺りにも書いてありますけれども、マウスはアクリル酸の蒸気に対してラットよりも感受性が高く、中容量、高容量での病変観察数の個体も多くなっています。なのでこちらのマウスの治験を採用したということです。不確実係数は、LOAEL5ppmでマウスに軽微な嗅粘膜下腺の過形成が見られただけであることと、影響が鼻腔の局所であることから、種差を考慮しないことと致しました。さらに1日のばく露時間6時間で1週間のうち5日ばく露して、それを13週間のばく露とした亜慢性毒性試験を実施しておりますので、こちらのばく露時間や亜慢性であることを考慮して、不確実係数を2.5としたということです。
 最後の質問となりますけれども、64ページまで飛んでいただけますでしょうか。一番最後の物質です。ジプロピレングリコールメチルエーテルということです。ラットでの麻酔作用に基づく短時間基準はいかがかということですが、ラットでは麻酔作用がばく露時間30分後に見られたということで、これを考慮しないのかというご質問であると思われます。300ppmということで麻酔作用が見られますけれども、今回設定しようとしております50ppmの8時間基準を遵守すれば、中枢神経系の影響を防ぐには十分であると考えられましたことから、短時間基準を設けないということになっていると思います。
 以上ご説明を終了させていただきます。
○城内座長  ご説明ありがとうございました。それでは、事前に頂いたご質問、ご意見、それに対する事務局回答を踏まえ、1物質ごとに議論していきたいと思いますが、まずヘキサクロロエタンについてご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。武林委員、お願いします。
○武林委員  事務局のご説明だと1mg/kg bw/日の群は使えないという判断だと思うのですけれども、例えば餌の食べ方が悪かったとかそういうデータから判断されたということなのでしょうか。
○大前委員  大前です。この数字は混餌で途中で蒸発等々しているようで、蒸発等々の数字も計算して出てきたのが1、15、62という数字なのです。だから本当に1がNOAELかどうかよく分からないというところがあって、しっかり影響が出ているところからやったほうがいいのではないかという意味合いで15をスタートにしました。
○城内座長  そのほかご意見、ご質問等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にご意見がなければ、ヘキサクロロエタンについては8時間濃度基準値1ppmにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。――では、そのようにさせていただきます。
 続きまして、メチルアミンについてご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。大前委員、お願いします。
○大前委員  これはコメントなのですけれども、労働時間法制で6時間、8時間は、リスク評価委員会でもずっと採用していたスタイルなので今回も使っているのですが、例えばACGIHなどは採用していないのです。日本では採用しているのだけれども、ACGIHは単純にこの性質のものを使っているということなので。現場では許容濃度以下のレベルのばく露だと当然波があるので、平均したら労働時間換算しなくてもいいと思うのですが、今回もリスク評価委員会の方法を踏襲しているということです。
○城内座長  コメントありがとうございます。そのほかご質問等ありますでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  集計値が低いので私も気になっていた物質なのですけれども、0.0015というデータもあって、使うときに実際4ですよね。間違いなくNOAELが5ppmという形でいいかと思うのですけれども、こういう論文データで見ると、短時間濃度の基準値が今回文献では不十分ということで設定されないということが気になりました。例えばACGIHのTLV-STELとかDFGのPeakの値が出ているわけなのですけれども、この辺は将来的に考慮する考えがあるのか、それともこれはあまり気にしないということなのか。特にアミン系の物質の場合は、上皮に対する過形成まで起きているし、非常に気になるところではあるので、クリアランスのことも含めてどのように考えたらいいかということをコメントいただければと思いました。
○城内座長  事務局からいかがでしょうか。
○化学物質評価課長  結論から言うと文献が不十分ということで設定はしていないのですが、ACGIHにおきましても15ppmとなっておりまして、先ほど宮内委員からご説明のあったとおり全く関係ないぐらい高いレベルで設定しておりますので、もともとそういうものでやっているものではないところであります。あくまで刺激性の影響ということでなっております。
 ご案内のとおり濃度基準値につきましては努力義務として8時間濃度基準値の3倍を超えないことを義務づけておりますので、文献が明確になっておりませんけれども、ACGIHの15ppmは努力義務を超える数字になりますので、そういったところで対応していければと考えております。
○宮内委員  分かりました。
○城内座長  そのほかご質問、コメント等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、メチルアミンについては、8時間濃度基準値4ppmということにしたいと思います。よろしいですか。――ありがとうございます。
 その次、トリブロモメタンについてご意見、ご質問等ございましたらお願いします。
 それでは、トリブロモメタンに関しましては、8時間濃度基準値0.5ppmということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 続きまして、クロロジフルオロメタンにつきましてご質問等ございましたらお願いいたします。大前委員、コメントお願いします。
○大前委員  コメントなのですが、ここから先出てくるCFC関係は、ほとんどが1,000になっています。例えば産衛でも、あるいはACGIHも二酸化炭素が5,000ppmという数字だと思うのですけれども、それ以外の物質で1,000を超えているものはないのです。1,000が上限程度のイメージで考えていただけると、不確実係数の何だかよく分からない数字、全部統一されていないではないかというところが理解できると思います。
 もし統一が必要であれば、それなりに数字がつくれます。ただし、1,000ppmは0.1%ですから、0.5%か0.4%という数字で本当によいのかというのもあるので、そういう意味で1,000というのが多いというのはそういうことです。1つだけ1,000では不適当ということで500にした経緯もものはあります。
○城内座長  ありがとうございました。今のコメントも含めてご質問等ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、クロロジフルオロメタンにつきましては、8時間濃度基準値1,000ppmということでよろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 続きまして、ブロモ(トリフルオロ)メタンにつきましてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、ジフルオロメタンに関しても、8時間濃度基準値1,000ppmにしたいと思います。
 では、次に移りまして1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタンにつきましてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 申し訳ありません。1つ戻りますが、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタンではコメント等ございませんでしたね。
 1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタンにつきましては、8時間濃度基準値500ppm、短時間濃度基準値1,500ppmにしたいと思います。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  こちら1,500ppmの根拠がこのレベルのばく露で3時間ばく露した結果、作業能力の軽度低下が見られたということを根拠にしているのですけれども、ご案内のとおり短時間ばく露基準値15分間ですので、3時間の数字でしかも軽度作業低下というところを根拠にするのはあまり例がない気はするのですが、これはそういう考え方なのでしょうか。
○大前委員  今ご指摘の理由で1,500にしたのですが、これはなくてもいいと思います。もともと8時間の3倍というのもありますし、どうしても短時間濃度平均値を1,500にしなくてはいけないという強い根拠はありません。
○化学物質対策課長  今まで過去の例で見てきても、10分間や30分間等、主に刺激性を評価してきたところでして、こちらは刺激性もなく、3時間で作業能率の若干の低下というところですと、基準値として罰則をつけるには根拠が弱いのではないかという気がしておりまして、可能であればこれを外して、ご指摘のとおり努力義務はもともと3倍でかかりますので、こちらで対応するのがいいのかと思うのです。
○城内座長  短時間濃度基準値1,500ppmについて、委員の皆様のご意見ございませんでしょうか。最川委員、お願いします。
○最川委員  不確実ならばあえて設けないでいただきたいのです。もともと3倍の努力義務がありますので。
 以上です。
○城内座長  そのほかの委員の皆様、いかがでしょうか。設けないという方向でご意見が出ましたが、よろしいでしょうか。どうしても設けたい委員の方、いらっしゃいませんでしょうか。
 それでは、短時間濃度基準値については、1,500ppmは設けないということにしたいと思います。ありがとうございます。
 前に戻ります。私が飛ばしたのがブロモ(トリフルオロ)メタンではないかと思うのですが、これについてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  今回の初期調査の値を決めることとは関係ない話なのですけれども、恐らく1,000ppmぐらいの基準値を設ける物質は沸点が非常に低くて、揮発しやすいものです。多分、冷媒で多用される物質だと思います。これから測定をどう行うかということが出てくるのですけれども、非常に高い濃度まで測らなければならない可能性があるわけです。そのときに気をつけたいのは、排気装置が要るかとか、全体換気をどうするかということを考えたときに、沸点が非常に低いものは、瞬間的に高濃度になる可能性があるということで、8時間平均値が1,000以下になったといっても、安定していつもきちんと1,000ppm以下が保てるかということが非常に危惧されるのです。
 例えばその他のコメントの欄でもいいのですけれども、沸点が極めて低いので、使用環境によっては瞬時に高濃度になる可能性があり、排気装置をいずれにしろ使う必要があることを注意喚起すべきと思います。経時的に非常に高濃度になり、酸欠にまでなることはなかなかないと思うのですが、そういった事故があったということも聞いておりますので、その他のコメント欄に言葉として何か入れたらどうかと思いました。
 以上です。
○城内座長  それは1,000ppmとは別の話でということでよろしいですか。
○宮内委員  使い方にもよると思いますけれども、非常に高い濃度だということで、どうも安心感が出てしまって、設備上の問題に対する注意喚起みたいなものも今後何かの形で入れたらどうかと思いました。関係ない話ですみません。
○城内座長  そのほかご意見等ありますでしょうか。
 それでは、ブロモ(トリフルオロ)メタンについては、1,000ppmということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  教えてほしいのですけれども、ボランティアで短時間でもとんでもない濃度をかけているというのがあるのですが、例えば何かの作業において短時間で高い濃度にばく露される可能性はあるものなのですか。あるのだとしたら、8時間濃度の1,000ppmの3倍というところで現実的にカバーできる濃度なのか教えていただければ。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  エビデンスとしてあるのは10,000ppmまでかけていますので、10,000ppmというと1%になりますので、全てについてこれを超えることは絶対ないということはないでしょうけれども、相当な高濃度ですので、50,000ppmというのもありますし、50,000ppmというと5%ですから、恐らく現実的にあり得る濃度という意味では、ほぼ上限まできちんと調べた上でやっていると認識しております。
○大前委員  現実的に沸点が低いものは、非常に短い時間ですごい高濃度になります。それを8時間で規制するのはというのはおっしゃるとおりですけれども、そういう意味では危ないです。
○宮本委員  作業現場で短時間の15分濃度も8時間濃度基準値の3倍でという努力義務がかかるというところで3,000ppmになるわけですが、実際どこかの誰かのばく露が万単位であるのだったら、それは現実的な数値なのか、もう少し高い数字でなくていいのかというのは思いました。要するにフロン抜き等の様々な作業でばく露があるような数字なのか、8時間1,000ppmで現実的に押さえられるものなのかというところを教えてほしいです。
○大前委員  おそらく連続ばく露はないと思うのです。数時間ばく露みたいなのはないと思うのですけれども、非常に短い時間でのばく露、特に漏えい等が起きるとなることがありますよね。それをもし規制しようと思ったら、TLVとかSTELではなくて、AEGLとかああいうものでやるから考え方が違って……
○宮本委員  事故的なばく露は別として、普通の作業だったらクリアできると思って良いですか?
○大前委員  そんな作業はおそらくないと思います。
○宮本委員  分かりました。
○城内座長  事務局から何かありますか。
○化学物質対策課長  50,000ppm等のオーダーになりますと、kg単位のものを一気に気化させるといったオーダーにならないと現実的にありえませんので、恐らく事故的なものでなければ5%とかを超えるような数字はなかなか出ないのではないかと思います。
○城内座長  私は全部物質をチェックしていないのですけれども、冷媒で使われているものについては今後廃止の方向とかいろいろなものが含まれているような気がするのですが、そういうものについてはなくなっていく可能性もあるということでよろしいですか。
○大前委員  基本的に本日議論しているのは、モントリオール議定書で製造・使用禁止が残っているのはあるかもしれないというレベルです。
○城内座長  分かりました。順次、使用・製造禁止になってくるものが出てきていますので確認しました。ありがとうございます。
 それでは、ブロモ(トリフルオロ)メタンの1,000ppmはよろしいですね。
 では、次に行きたいと思いますが、アクリル酸についてご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。武林委員、お願いします。
○武林委員  先ほどのご説明だと感受性の高いラットを使ったということだと思うのですけれども、感受性が高いから使うということなのか、そうではなくてどっちがヒトに適切かを普通考えるべき点で、そこをもう少し具体的にここに書き込んでおく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。少なくともほかの機関を見ると、ACGIHとDFGの違いというのは恐らくそこの判断なのではないかと。数字を見ただけの予測なのですけれども、だとするときちんとそこを書き込むべきではないかと思いますが、この点についてどのように議論があったのでしょうか。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  ラット、マウスのどちらが人間に当てはまるかという話はどこかに書いてありましたか。今アクリル酸ですよね。こちらには書いていないですよね。
○化学物質評価室長  54ページの不要の場合のコメントの3行目にありますように、マウスはアクリル酸蒸気に対し、ラットよりも感受性が高くと書いてあります。
○大前委員  要するにより低い濃度で影響が出たというだけのことですよね。
○武林委員  どちらがヒトに適切か普通議論するのだと思うのですけれども、DFGは2005年に10ppmにしているということは、むしろラットのデータを使ったのではないかと予測しました。
○大前委員  DFGが10で、ACGIHが2で違うのですよね。提案理由のところを読むと、5ppmで出てきた軽微な影響を取るか取らないかというお話で、ACGIHとDFGの判断の差が出てきているのです。DFGは取らないという判断でやっているので10。ACGIHはそれを取っているということなので。
 今ここで中間の5みたいな数字が出ているのですけれども、これは1つは鼻腔なので種差は要らないだろうと。軽微な影響だからLOAEL、NOAELも10は要らないだろうということで、2.5が不確実係数だから2.5にするのか3にするのか、そこら辺は判断だと思うのです。
○城内座長  そのほかコメント等ありますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  事前に指摘しておらず申し訳ないのですけれども、結論として生殖毒性の部分は取っていないのですよね。腐食性物質を腹腔内に投与しているということなので。大きく書いてあると何でこれは使わないと思う人もいると思うので、その他のコメントぐらいに2)を使わなかったということは書いたほうがよいような気もするのですけれども、いかがでしょうか。
○城内座長  事務局でお願いします。
○化学物質対策課長  今のご指摘は、8mg/kgで胎児毒性でこれをLOAELに……
○宮川委員  そうではなくて、2)のところを読むと4.7と8でもって外表奇形が有意に増加と書いてあるので、これはなぜ使わないのかなと。4.7以上で影響が出ているのだとすると、NOAELが2.5になってしまって、ここから計算すると数字が粗くなっていきますので、要するにこのデータは使っていないことになると思うのですけれども。
○城内座長  こちらはACGIHでも②は評価しているのですけれども、ACGIHの評価では8mg/kg群では胎児毒性が見られるが、報告書中で無毒性量についての記載がないということです。今回採用しなかったのは同様の理由ですが、そういった点については書いたほうがよいということですね。
○宮川委員  これは採用していないとどこかに一言書いていただければ。
 以上です。
○城内座長  そのほかコメント等ありますでしょうか。――ありがとうございます。
 それでは、アクリル酸について8時間濃度基準値は2ppmということにしたいと思います。
 続きまして、3-(アルファ-アセトニルベンジル)-4-ヒドロキシクマリン(別名:ワルファリン)についてコメント等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員  小野です。これも濃度基準値が低いのですけれども、ここの文章を見ても初期調査の結果のところを見てもはっきりは書いていないのですが、混餌の実験だと思うのです。そうなると、当然これは経口から投与する薬ですので、毒性が高い形になってくると思うのですけれども、製薬時にこの濃度を測るというのが実際どうなのかというところもあって、混餌でも吸入でも同じと考えざるを得ないという理解でよろしいですか。昨年度、アスピリンのときも濃度基準値を決めたと思うのですけれども、混餌でやった場合も体の中に入ってしまえば同じということで、吸入ばく露に対する濃度基準値も同じように設定するという理解でよろしいですか。これを見た限りでは混餌とは書いていないですし、元文献を見ないと分からないのだと思うのですけれども、その辺の疑問がありましたのでお尋ねしています。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  1)の文献につきましては、ヒトに経口投与したものです。そちらの結果がLOAELとして2mg/日ということですが、こちらが先ほどご指摘ありましたように吸入経路に換算して不確実係数が必要となりますので、それを考慮した上で0.01にしているという形になっています。
○小野委員  分かりました。
○城内座長  そのほかコメント等ありますか。
 それでは、3-(アルファ-アセトニルベンジル)-4-ヒドロキシクマリンについては、8時間濃度基準値0.01mg/㎥ということにしたいと思います。ありがとうございます。
 その次、トリエタノールアミンについてご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  数字自体には異議はありませんが、一般的なこととしてこの物質は感作性物質ですよね。感作性物質の場合について、元は動物実験で決めているわけですけれども、既に感作を受けた人などでは注意が必要な場合が実際に出てくると思うので、この物質に限らず、特に感作性があるようなもので吸入のあるようなものについては、濃度基準値を適用するときに既に感作を受けた人は注意が必要だということは広報することも必要な気がするのです。一般的なことを聞いてしまって申し訳ないのですけれども、いかがでしょうか。この濃度で大丈夫ですよという言い方をすると、ヒトによっては既に感作になっているヒトについてはまずいことがあり得ると思うのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長  59ページにGHS分類がありまして、トリエタノールアミンにつきましては、呼吸器感作性は分類できないとなっています。
○宮川委員  これは皮膚感作性ですね。皮膚のほうは皮膚接触なので別ですけれども、今これを見て呼吸器感作性のほうも頭に浮かんで発言してしまいましたけれども。
○化学物質対策課長  皮膚感作性についてということですね。もともとこちらは皮膚や目への刺激性というところで濃度基準値の設定をしていますので、それはGHSに基づいて感作性も考慮して使っていただくということになろうと思います。
○城内座長  そのほかご意見等ありますでしょうか。――ありがとうございます。
 それでは、トリエタノールアミンについては、8時間濃度基準値1mg/㎥ということにしたいと思います。ありがとうございます。
 続きまして、アリルアルコールについてご質問、コメント等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 ご意見等なければ、アリルアルコールについて、8時間濃度基準値は0.5ppmにしたいと思います。よろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 では、引き続きまして、m-フェニレンジアミンにつきましてコメント等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、ご意見等なければ、m-フェニレンジアミンについては、8時間濃度基準値は0.1mg/㎥ということにしたいと思います。よろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 それでは、最後の物質ですが、ジプロピレングリコールメチルエーテルにつきましてご意見等ございましたらお願いいたします。
 ご意見等がなければ、ジプロピレングリコールメチルエーテルにつきましては、8時間濃度基準値50ppmにしたいと思います。よろしいでしょうか。――ありがとうございます。
 これで本日予定の全ての物質の濃度基準値の審議が終わりましたが、最終的なまとめを事務局からご報告をお願いいたします。
○化学物質評価室長補佐  資料4に一覧表をつけております。そちらをご覧ください。非常に字が小さくて恐縮ですけれども、本日の検討の中で修正した点、あるいは再検討となった点のみ確認させていただきます。
 濃度基準値の提案値につきましては、ジブチルスズ=ジラウラートほかジブチルスズ化合物については、0.5mg/㎥と提案されておりましたが、今日の検討の結果、再検討ということにさせていただきます。こちらは再検討の上で次回以降情報がそろったところで審議をさせていただきたいと思います。
 続きまして、変更点といたしましては、3ページ目になりますが、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、CFC-113です。こちら短時間濃度基準値1,500ppmについては削除させていただきます。8時間濃度基準値500ppmのみということにさせていただきます。
 値の修正、あるいは再検討については以上です。あと一部の物質につきまして提案理由、それからその他のコメントについてご意見、ご指摘いただきましたところはまた修正させていただきます。
 それから、冒頭にも申し上げましたけれども、こちらの一覧表右側の捕集法、分析法はまだ全て空欄となっております。捕集法、分析法につきましては、次回以降の検討会で順次検討いたしますけれども、最終的に濃度基準値と捕集・分析法、測定法が両方そろったものについて、濃度基準値を設定させていただくということになります。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。委員の皆様、よろしいでしょうか。武林委員、お願いします。
○武林委員  本日の議論について数字も含めて特に異存ありません。一方で提案理由とコメントに関してなのですが、今回事前に頂いて3日ぐらいでコメントを返しましたが、私はどちらかというとリスク評価値を読み解くのに慣れているほうだと思うのですが、やはりオリジナルを読んだ方と比べると非常に分かりづらいところが多くありました。それは、濃度を測る数字を決めるだけでなく、基本的には何が予防すべき影響なのかということが使用者である現場や化学物質管理者、産業医がもう少し分かりやすく読み取れるようにしていただきたいです。予防すべき影響は何かということを少しずつみんなが使えるようにするための根拠はここにしかないのです。
 数字がひとり歩きすることは絶対よくないと思います。ワーキンググループの先生方はよく分かっているかもしれませんが、この文章だけを読むと分からないことが多いので、もう少し丁寧に、今後現場で使われることをもう少しイメージしていただいて、書き方を工夫いただきたい。私たちはオリジナルの文献まで変えられませんので、ほかの機関がどう考えたかではなくて、国がどう判断したかを理解する大事なコミュニケーションの場だと思いますので、ぜひリスクコミュニケーションやいろいろな人が使うコミュニケーションの観点でご修正いただけると非常に意味があるものになるのではないかと思います。このままでは不足ではないかと感じました。
 以上です。
○城内座長  大変重要なコメント頂いたと思いますが、事務局からいかがでしょうか。お願いします。
○化学物質対策課長  本日先生からそれぞれの物質につきましてコメント頂いている点につきましては、できるだけ評価書の中に書き込めるような形で修正したいと思います。
○城内座長  ありがとうございます。そのほか全体を通してコメント等ありますでしょうか。最川委員、お願いします。
○最川委員  今回の濃度基準値の設定に関しては特に異論はないのですけれども、全体を通して要望があります。何回もお願いしているのですが、本質安全化について川上の対策が今までほとんど打たれておらず、今回濃度基準値が決まったとしても、それをラベル表示ですとかSDSの内容に濃度基準値設定物質を記載しなくてはいけないルールがまだない中で、濃度基準値が決められている状況です。この場で発言する内容ではないと思うのですけれども、ぜひそれを知らせるルールというのをまず検討いただきたく思います。特にSDSとラベル表示しか私たちは情報を得るところがないので、本日安全衛生部長も参加されていますので、ぜひルール化をご検討いただきたいです。
 以上です。
○城内座長  今の点について事務局からありますか。お願いします。
○化学物質対策課長  ご指摘ありがとうございます。濃度基準値につきましては、いわゆる法定の基準値になりますので、SDSに書く必要があります。ただ、既に発行されているSDSに直ちに反映するのは難しいということですので、そちらのメーカー団体と協議しながら、できるだけ早急に反映できるように働きかけていきたいと思います。
○最川委員  ありがとうございます。今出ているものに関して変えるのは難しいと思うのですけれども、順次記載していただきたいのと、以前に安全衛生分科会でもお願いしているのですが、ラベル表示とSDSの交付が現在8割もいっていない、六十何%というところが一番問題で、世の中に出回っているものの3割ぐらいは記載もされていないものがあるという状況が放置されたまま、法律化・規制されているというところが一番問題と思います。8割目標ではなくて、そこは100%目標で指導をしっかりしていただきたいというのが1つです。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  最川さんのご指摘に対し、化学業界の実情を知っていただきたいということで発言させていただきます。
 あり方検討会の後に前課長とお話しさせていただいた際、これから対象物質が1,800物質増えていきますよねということで、化学業界としても川上、川中、川下、いろいろなところのポジションがありますし、SDS、ラベル作成が非常に企業に負荷がかかり大変ですよねという話をしました。
 具体的にどの程度の期間があればSDSが作成できますかという話になった際に、川中の日本接着剤工業会の業界の数社について調べましたら、2年から3年程度かかりそうだということを提案さし上げたのです。ということで、これに関しては厚労省の方も理解していただいて、鋭意努力してくださいということを発言されたので、業界に対して本件を周知させていただきました。
 ここに来て、がん原性物質とか当然濃度基準値、それから皮膚等障害性物質に関してどんどん追加でSDSへの記載対象物質が出てきているわけです。そういった中で化学業界の担当から声が上がっているのは、とてもではないけれども無理と。令和6年4月1日に向けて鋭意努力しているのですけれども無理と。またかまたかという声が上がっています。
 彼らはなぜそういうことを言うかというと、化学業界のSDSやラベル作成の担当が手を動かしてSDSをつくっているわけではないのです。その先にシステムを改修しているベンダーさんがいるわけです。今ベンダーさんの取り合いになっている。2年ぐらいの余裕があるので、鋭意努力しながら計画を立ててやっているわけなのですが、今ここにきて令和6年4月施行ということで、今ベンダーさんの取り合いになって、どこもかしこも手を動かせないという状況が来ているということです。
 次に皮膚等障害性物質に関しては1,040物質に増えてしまいました。今、裾切り値がない状態で、例えば製品中の残留モノマー、残留溶媒に至るまで書くのか書かないのかという不明点に対して担当は非常に不安に思っているわけです。もし裾切値をお考えならば、それを早く提示してもらって、ここまで書く/ここが要りませんということを早く明示していただいて、指導していただきたいと思っています。以上2点に関して早めに方針を出さないと令和6年4月1日は非常に大変なことになるのではないかと予想しています。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○化学物質対策課長  ご事情について伺っているところです。まず1点、皮膚浸透物質の裾切り値につきましては、もともと職業ばく露限度の注記としてSkin Notationというのがありますので、職業ばく露限度対象物質における裾切りの考え方は基本的にGHSと同じ考え方ですので、追ってお示ししたいと考えております。
 それから、SDSにつきましては、ご事情あるということも承知しておりますが、新しくつくるSDSについては最低限の対応が必要ということですが、当然既存のSDSにつきましては先ほどのご事情もあると思いますので、直ちにというのは難しいと思いますが、十分にコミュニケーションさせていただいて、いつぐらいならできるのかというところでご相談させていただきたいと思います。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。全体を通してよろしいでしょうか。最川委員、お願いします。
○最川委員  今、尾崎委員が言われたとおりだと私も思っているのですけれども、逆に2年、3年ではとてもできないと思っているのです。ただ、令和6年4月1日からは設定基準値以下にしなければいけないと。使う側にとっては猶予期間も終わってしまっているので、皆さん努力していればいいかもしれませんけれども、私たちは結果責任が求められるので、単純に濃度基準値を下回っていませんねということだけの指導ではなく、できる指導をしていただかないと、単純に法違反というところにならないようにだけ、できるだけ早く分かりやすいものを提示していただきたい。
 もう1つ、年間400件程度、労働者災害が起きていますけれども、それ以外に2万件ぐらい一般消費者で災害が起きているわけですよね。城内先生の文献を見て言っているのですけれども、そこに今回濃度基準値を決めたからといって絶対防げませんよね。私はラベル表示だとか誰が見ても分かるところに手をつけない限りは災害が減らないと思っていて、何でそこに早く手をつけてくれないのかなと前から思っているのですが、そこをぜひ早くやってください。お願いします。
 以上です。
○城内座長  ご意見ありがとうございました。それはここでの議論にはならないかと思いますけれども、事務局にも検討をお願いしたいと思います。
 そのほか濃度基準値について何かご意見等ありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして議事のその他ということですが、事務局から資料5の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長  それでは、私から資料5をご説明させていただきます。
 こちら個人ばく露測定に係る測定精度の担保等というところです。ご案内のとおり、作業環境測定につきましては、測定に専門知識及び技術を要する作業場、指定作業場となっておりますが、実際は作業場というよりは物質で決まっているわけですが、作業環境測定におきましては、作業環境測定士による測定、具体的にはデザイン、サンプリング、分析を義務づけていて、デザインとサンプリングにつきましては二種の作業環境測定士でもできると。分析につきましては一種の作業環境測定士しかできないということで、レベル分けにやっているわけですけれども、こちらを義務づけていまして、測定結果の精度を担保しているということです。こちらにつきましては、労働安全衛生法ではなく、作業環境測定のほうで対応しているということです。
 一方、個人ばく露測定につきましては、指定作業場において定められた物質を測定する場合を含めまして、測定実施者の限定は、現時点では法令で定められていないということでして、法令上は測定精度を担保する仕組みがないという状態です。
 特に第三管理区分作業場などにおきましては、個人ばく露測定の結果によりまして、呼吸用保護具の選択を行うことを義務づける予定ですので、こういったものにつきましては少なくとも測定の精度を担保する仕組みを検討する必要があるのではないかという問題提起です。
 以下、資料の下半分が現状のご説明です。左側に図がありますが、点線がリスクアセスメント対象物です。上に青い枠がありまして、こちらがいわゆる指定作業場で指定されている物質で約六十数物質あります。このうちリスクアセスメント対象物からはみ出ているものは粉じんの関係です。その中に6年4月から第三管理区分作業場につきましては、個人ばく露測定を行うことが義務づけられるということになります。
 それからもう1つ、④です。紫色ですが、金属アーク溶接等作業を継続的に行う作業場ということでして、既に個人ばく露測定を義務づけているというところです。
 それから、一番下の赤い枠ですが、本日ご議論いただいております濃度基準値の設定物質を製造、取扱いを行う作業場というところですが、こちらにつきましては濃度基準値を超えるおそれがある場合につきましては、個人ばく露測定を指針で求めているというところでして、測定の義務はかかっていないということになります。
 ③、最後、濃度基準値が定められていないリスクアセスメント対象物を製造、取り扱う事業場につきましては、リスクアセスメント指針によりまして見積りのために必要に応じて個人ばく露測定を行うとなっております。こちらにつきましても義務ではないということです。
 義務であるもの、ないものが入り交じっている状態になっていますけれども、こういった中でどのような形で精度を担保していくのかというところを今後議論させていただきたいと考えております。
 本日もご意見を伺いますけれども、本格的な議論は第3回にばく露担当の先生方に入っていただいてからさせていただく予定ですが、そちらまでに実態調査をさせていただく予定です。具体的には、現時点で個人ばく露測定を行っているのは金属アーク溶接等作業を継続的に行う作業場だけですのが、特殊健康診断が同時に義務づけられておりますので、そちらの報告がある事業場がおおむね2万5,000あります。その中から約2,000事業場を抽出いたしまして、現状どういった方が個人ばく露測定を行っているかとか、その結果を読み解いて、実際にマスクの選定が適切にできたか、精度についてはどうなのかといった現状をお聞きするとともに、測定を行う人間について何らかの制限というか資格みたいなものを設けるべきですかというご意見の聴取も併せて行う予定にしております。そちらの結果につきましても第3回の検討会でお示しして、議論の材料とさせていただく予定です。
 私の説明は以上です。
○城内座長  ありがとうございました。第3回で本格的な議論を行うということですが、今のご説明に対してご質問等ありましたらお願いいたします。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員  質問ではなくて私の考えなのですけれども、今後個人ばく露測定をする機会が非常に増えるというのは間違いない。それから、現状でも第三管理区分が4月からやることになっています。また、金属アーク溶接等では現にやっているということで、最後のとりでの呼吸用保護具の選定について、ばく露濃度が非常に貴重になっています。直接ヒトの健康影響に関わるようなデータを採るということがこれからどんどん行われるわけです。
 非常に心配しているのは、資格制度として測定士ではないような人たちももちろんきちんとやれば構わないということだと思うのですけれども、今のうちからしっかり精度を担保するという仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。
 このとおりデザイン、サンプリング、分析という順でばく露測定も行われるわけですけれども、デザイン、サンプリングについて言うと、ちょうどC・D測定の二種の資格制度ができましたので、そういう人たちがトレーニングを十分に積んで、実務がしっかりできるということになっておりますので、ぜひ活用いただきたいと思います。
 もう1つ、濃度基準値が非常に低濃度化しています。当然毒性が高いと分かれば下がるわけですけれども、低濃度まで機器分析をして、精度をよくしっかりデータを出すというのはかなり大事になってくると思うのです。そういう面では分析の精度管理をいかに担保していくのかということが今後重要になると思っています。
 また、均等ばく露作業のデザインのところは客観的に見てグルーピングできるような能力が要求されます。ある程度の経験がいります。しっかりしたデザインができる能力のある人をセレクションし、精度管理をすることによって、不適切なデザインがされることに対して抑止力になると思います。アンケートされるということですから、それを踏まえて議論いただければと思いました。これは個人的な意見です。
 以上です。
○城内座長  そのほかご意見等ありますか。小野委員、お願いします。
○小野委員  第三管理区分とかアーク溶接で個人ばく露とか個人サンプリングというのは、あくまでも今までの法令に対応しての仕事になると思います。これからは、法令に頼らないという形で今回の改正をしていますので、その中でやはりデザイン、サンプリングが大事になるというのは今、宮内委員もご指摘のとおりだと思います。
 ほとんどの作業環境測定士は個人ばく露測定を現場に即した形で、今までの100物質以外にこれから数百物質について対応しなければいけない。初めての作業場に対する対応をしなければいけない。あとはガスと粒子が一緒にある場合とか、様々な場合に対応できなければいけないので、今いる作業環境測定士だけでは足りないと思います。
 あと分析法に関しても、今まで対象の化学物質以外のものがどんどん増えますので、今測定機関が持っている方法とか、今まで作業環境測定士が測っていたものでは対応できないので、その辺についてどういう人を取り込んでいくのか、どういう組織を取り込んでいくのか、あるいは現場がいろいろあるときに、うまくいった、うまくいかなかったという情報をどのようにフィードバックを取って情報を提供していけるのかということが必要になります。今の作業環境測定士だけでは足りないと思います。アンケート等もどういう形で情報を取っていくのか、次回の検討会で議論することになると思うのですけれども、その辺について議論できるような情報を集めていただきたいと思います。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。アンケート結果というのは、次回の検討会までには出てくるということでしょうか。
○化学物質対策課長  出す予定でして、ただその時点の回収率が非常に低かったりすると集計できないかもしれませんが、ある程度あれば少なくとも暫定のような数字をお出しして、督促して増やしてからもう一回数字を変えるといった形にしたいと思っています。
○城内座長  ありがとうございます。少し安心しました。
 そのほかご意見ありますでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  余談かもしれませんが、測定士は第二種、一種という形で資格制度が設けられていま。私は測定士の教育をやっていますが、報告書はただ測定して値を出すというだけではなくて、現場の中の問題点を提起する、事故が起きないように予防するということもしっかりやる。それを例えば事業主に開示して、安全性委員会で議論してもらうコメントを記載することになっているのです。
 そういう面で言うと、ただ測定をする、機械を取り扱うということではなくて、現場をちゃんと理解して、しっかり事故、障害を予防できるような能力、こういうこともばく露測定をする人たちに対して必要かなと思うのです。つまり第三が第二になればいいのではなくて、第二が第一になる、第一もさらによい第一になるようにするような、常にアドバイスできる、改善活動に協力できるような知識とか能力が要るかなと思っています。そこが日本の測定士のきめの細かい技術かと思っています。
 先ほど濃度基準値1,000ppmが今後あり得るということを伺ったのですけれども、例えば測定結果が1,000ppm以下であったとしても、場合によっては排気設備がないところでは使えないと思います。使用状況によってとんでもない濃度になることが換気量と使用量、気象条件などから計算でも出ると思うのです。そういったことも最初からちゃんとコメントできる方の養成を、資格制度がどうのこうのは別としても、教育制度とか精度管理の中にぜひ入れていただきたいと思います。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございます。そのほかご意見、ご質問等ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  一言だけお伝えしますけれども、化学物質を一番扱っているのは化学業界だと思うのです。作業環境測定をするに当たって、皆さん昼勤務でサンプリングするとイメージされていると思いますけれども、効率性を考えて化学業界は24時間体制で生産しているということもありますので、もしかすると測定士さんを夜中に呼ぶということもあるのではないかと思います。それは非現実的でありますので、サンプリングに関しては社内の人間で対応が出来るようにするなど、ある程度のところで役割分担を意識しながらディスカッションしていただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございます。小野委員、お願いします。
○小野委員  デザインとかどういう形でサンプリングするかというのは、会社にいる化学物質管理者がやって、サンプリングまでして、分析は分析会社に出すという形にすれば、測定士を必ず呼んでやらなくても、夜の時間帯に対応できるのかなと思います。
 ただ、今の測定士とか測定機関をどういう形で盛り上げていくかというのは、今、私が言ったようなことでは逆方向になってしまいますので、そういった全体的に精度のよい分析をして、かつ現場を分かっている人がどう関与できるのかというシステムも見直しが必要なのではないかと思います。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございます。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  似たようなことを化学産業の工事の段取りのところで役割分担しているということはあるのです。現場は変わりません。ただ、そこで工事をするときにおいては、工場の工務部隊がミーティングに入る。手を動かす人と3者ミーティングを絶対やって、どこに危険性があるか、どこにどういうハザードがあるか全部前もって段取りをしてから工事に入る。工事に入ったらそれぞれの役割分担があるので、そういったシステムを参考にして、役割分担をすればいいのではないかとイメージします。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございます。どうぞ。
○宮内委員  そうすると、今伺っていて、社内で第二種(個人サンプリング法)測定士、デザイン、サンプリングできる方を養成いただくのがいいかと思いました。二種の測定士は資格試験の科目が複数ありますけれども、一度に取らなくても一つ一つ取り、要は経年的に計画的に取ることができるようなシステムで、まさに現場の方たちが着実に取れるような試験システムになっていると思いますので、前向きなことも各企業で今後検討いただけると非常にいいのかなと思いました。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございます。
○尾崎委員  大企業の場合ですと社内で育成ができると思いますけれども、今後問題になるのは、外のコンサルタント、分析会社に出さざるを得ないときに皆さん困るのではないかと思うのです。特に、中小企業の経営者等が一番頭を悩ますところではないでしょうか。
○城内座長  ありがとうございます。3回目からもっとたくさんのご意見が出ると思いますが、本日は取りあえずこの辺でよろしいでしょうか。――ありがとうございました。
 事務局は、本日の意見も踏まえて、次回以降の資料の作成をお願いいたします。
 議事は以上になりますが、事務局からさらに何かありますでしょうか。
○環境改善・ばく露対策室長  本日の議事は以上です。本日の議事録ですが、後日、構成員の皆様にご確認いただいた上での公開とさせていただきます。
 次回ですが、8月28日月曜日14時から17時を予定いたしております。この会議前半、後半と分かれておりまして、構成員名簿のうち、前半に全般に関する事項、毒性に関する事項の欄の先生方にご出席いただく会議を行い、その後、後半に全般に関する事項、ばく露防止対策に関する事項の欄の先生にご参集いただく予定としております。
 議事ですが、前半は濃度基準値の検討、後半は対象物質ごとの測定方法、個人ばく露測定の精度担保関係の内容を予定いたしております。正式な開催案内は後日お送りさせていただきます。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。
 以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。本日はお疲れさまでした。帰りはまだまだ暑いと思いますので、お気をつけてお帰りください。どうもありがとうございました。