第89回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和5年7月10(月)16:00~18:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)第4期がん対策推進基本計画について 
      ・ロジックモデルについて
    (2)個別事項について
      ・患者・市民参画について
    (3)その他

議事

議事内容
○原澤がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第89回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課、原澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本協議会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。また、健康局長は公務のため欠席とさせていただきますので、その点も御了承願います。
 まず、委員の出席状況についてでございますが、小原委員より途中退席と伺っております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
 議事次第、資料1から資料5まで及び参考資料1から参考資料7までがございますので、御確認ください。
 また、委員のお手元には机上配付資料として、別の資料も御用意しておりますので、そちらも適宜御参照願います。
 また、本日は参考人としましてお二方、認定NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ名誉理事長の井上富美子参考人と、特定非営利活動法人がんピアネットふくしま理事長の鈴木牧子参考人に御出席いただいてございますので、御承知おき願います。
 それでは、以降の進行は、土岐会長にお願いしたいと思います。土岐会長よろしくお願いいたします。
○土岐会長 皆様、こんにちは。今日はお暑い中、ウェブでございますけれども、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 今日は、これまで議論を進めまいりました第4期のがん対策推進基本計画のロビックモデルとその指標について、とりまとめを行う会となっております。
 それでは、早速、議題に従って進めたいと思います。
 議題の1ですね。第4期がん対策推進基本計画のロジックモデルと、その指標について取りまとめを行う会となっております。
 それでは、早速、議題に従って進めたいと思います。議題の1です。「第4期がん対策推進基本計画のロジックモデル・指標について」でございます。前回の御議論を踏まえて、事務局から調整していただいておりますけれども、まず、資料の1~3につきまして説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料1~3まで御説明させていただきます。まずは、資料1を御覧いただければと思います。
 第4期がん対策推進基本計画のスケジュール(案)ということで、前回お示しした資料を少し修正しております。修正したポイントとしては、前回の御議論の中で御意見のあった中間評価の議論について、少し早めに始めておくべきではないかといった御指摘があったかと存じます。
 それを踏まえまして、令和7年度の中途から議論を開始していただきつつ、令和8年度に入ってから、その時点での指標等も含めて御議論いただいて、令和8年度内に中間評価報告書を公表するというイメージで整理をさせていただいております。
 それに併せて、がん対策推進協議会と関連して御議論いただく検討会での議論のスケジュールとか、現在、検討を進めているがん研究10か年戦略の見直しや拠点病院の整備指針の見直しのスケジュールのイメージも、拠点病院のほうは、定例的に4年に一度のスケジュール感で、もし見直しをするとすればこのあたりというような形で置いておりますので、御参照いただければと思います。
 続いて、2ページ目を御覧ください。こちらは、第4期基本計画に基づく各検討会等ということで、関連する検討会をマッピングしているというものでございます。がんの予防分野については、がん検診のあり方に関する検討会とか、がんとの共生の分野については、がんとの共生のあり方に関する検討会や、がんの緩和ケアに係る部会等、関連する議論の場についてお示ししているという構造になっています。適宜、御参照いただければと思います。
 資料1の御説明については、以上でございます。
 続いて、資料2の御説明でございます。
 第4期がん対策推進基本計画のロジックモデルの修正版について、資料2でお示ししております。修正したポイントについては、緑色のセルになっているところの少し濃いめの色になっているものが、中身を含めて、前回の記載から少し修正をさせていただいたもの。薄い緑色のところは、形式的な修正を行ったところについて、各ページでお示ししております。例えば、ここで言えば、一番左の「生活習慣について」の指標番号111101のアウトプット指標とデータソースの記載について修正をしていますというような読み方になります。
 以降のページも同じような形で、形式的修正とそれ以外のところを分けてセルを塗っておりますので、御参照いただければと思います。個別の御説明については、割愛させていただこうと思います。事前に資料を御覧いただいていると思いますので、適宜、御意見等をいただければと思います。
 続いて、資料3を御覧いただければと思います。
 資料3はこちらでございますが、先ほどのロジックモデルにおける指標を一覧化してマッピングしているものでございます。これは、構造はこれまでお示ししているとおりでございまして、同じように、濃い緑のところは、形式的な部分だけではなくて、中身についても記載ぶり等を修正した上で、今回、御提示しているもので、薄い緑色のところは、形式的な修正をして整えた部分も含まれているものでございます。各項目の個別の御説明については、今回は割愛させていただこうと思います。
 1点、資料に記載していない内容について、前回御議論いただいていた点の評価の仕方について、口頭で少し補足させていただきたいと思います。前回の御議論のみならず、これまでの協議会の中で、格差についての御議論をいただいていたと思います。その中で、例えば都道府県間で比較できるものとかそういったものについては、比較をしていくべきではないかというような御意見があったかと存じます。前回、祖父江先生にロジックモデルの説明とか評価の仕方についての御提案をいただいたときに、ベースライン値を見て、そこからのトレンドを見るというような御説明をいただいていたかと思います。その点に加えて、例えば、都道府県という単位で集計できるような指標については、都道府県間でのデータの比較といったことも、併せて、今後、データをお示ししていく中で分析できればと考えています。
 他方で、都道府県間の比較を必ずしもできる数値なのかどうかというのは、個別に議論が生じる可能性もありますので、そのあたりのお示しの仕方とか、議論を実際に進めるに当たっては、お示しの仕方や、議論に当たっての留意事項等について、都度、事務局で整理した上で、協議会に今後お諮りできるように準備を進めたいと思っております。そこのあたりの見方については、研究班の先生方にも御意見をいただきながら整えていければと思っておりますので、併せて申し添えさせていただきます。
 簡単ではございますが、事務局からの資料1~資料3までの御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○土岐会長 ありがとうございます。
 前回、ロジックモデルと指標のひな形を出していただきまして、そこからの修正が、事務局、これは参考資料の6でしたか。
○原澤がん対策推進官 そのとおりです。参考資料6を御覧いただければと思います。参考資料6に、第4期がん対策推進基本計画ロジックモデル評価指標修正箇所一覧という資料をおつけしております。こちらで修正前の記載と修正後の記載と、データソースについても、同じように修正前と修正後があれば記載させていただいた上で、一番右の水色の欄のところに、修正理由について記載するという形にさせていただいていますので、こちらも併せて適宜御覧いただければと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 特に前回からの議論につきましては、参考資料に詳しく説明を書いていただいております。
 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえて、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思っております。非常に広範囲になっておりますので、特に順番とか、どの分野とかは設けませんので、御意見のある方は、挙手ボタンにて挙手をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
 では、早速ですが、黒瀨委員どうぞ。
○黒瀨委員 ありがとうございます。遅参して申し訳ございませんでした。
 資料3の第4期がん対策推進基本計画評価指標一覧の暫定版に関してでございます。1ページ目に、ちょうど緑色で示していただいた一番上の拠点病院等で実施した地域を対象としたがんに関するセミナー等の開催回数(総数)が、アウトプット指標として載っております。
 確かに回数も非常に大切ではあると思うのですけれども、施設基準をクリアするためだけの開催ということが実際ないのかというところは、非常に疑問に思うところでもございます。ですので、今回は、この評価は、新しくつくるのはなかなか難しいと思いますけれども、最低限度、こういったことの内容についてどれくらい説明をされたのか、あるいは、参加者からのいわゆる評価はどうであったのか、そういったことも今後この指標の中に入れられると、さらによろしいのではないかなと感じた次第です。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、久村委員どうぞ。
○久村委員 ありがとうございます。
 私も実は黒瀨委員と同じ箇所ですけれども、今回提示されたロジックモデルにつきましては、様々な専門家とか、あるいは研究者の方からの助言を受けて、こういったモデルになったと推測しておりますので、特に反対意見というわけではないのですけれども、もし可能であれば、検討していただきたいということで、意見を述べさせていただきます。
 黒瀨委員と同じ、資料3の1ページ目の生活習慣についてのアウトプット指標、指標番号で行くと111101ですね。拠点病院等で実施した地域を対象としたがんに関するセミナー等の開催回数(総数)という指標ですね。
 そして、これは6ページ目のがん教育に関するアウトプット指標の指標番号で言うと430103は、多分同じ指標の再掲ではないかと思われます。この指標については、セミナーの開催回数ではなくて、やはり参加者数で評価すべきではないかと私は考えています。
 ちなみに、1ページ目のがんの2次予防(がん検診)のアウトプット指標の一つに、普及啓発キャンペーンの実施状況(資料の実質配布枚数・イベント参加者数)というのがあります。資料番号で言うと121102です。この指標と同じように、参加者数でカウントするのが適切かなと考えます。
 私の経験から申し上げますと、拠点病院が地域を対象にしたセミナーを開催しても、参加するのは、主催した病院の病院関係者の方が多くて、一般市民はほとんど参加していないような会も実際ありました。特に地方では、会場へのアクセスが難しい交通弱者と言われる方々も少なくありません。
 今後は、ウェブ開催をしたり、オンデマンド配信等の工夫をする拠点病院が増えていくことを期待したいと思っております。ですので、ここは、セミナー等の開催回数ではなくて、ウェブ参加を含めたセミナーの参加者数をアウトプット指標として採用していただくほうが、一般市民の方へのがんに関する知識の普及啓発を促進するという意味においても、大事なのではないかなと考えております。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 もう一方行きましょうか。谷島委員よろしくお願いします。
○谷島委員 ありがとうございます。
 私は、全体的なことに関して質問とお願いでございます。
 まずは、格差を埋めるための指標であったり比較であったりをしていただける、検討いただけるとのことを、非常に心強く思っております。
 一方で、今回、たくさんの皆様から御意見が出ている中で、その回答として「重要な指摘として、指定研究班での検討を行う」「検討して適切であれば、追加的に設定する」という形で御回答いただいている部分がかなり多いなと見ております。ですので、これが、いつ、どこで、誰が、どうやっていくのかという、スケジュールと検討プロセスがどうなっていくのかなというところをお聞きしたいと思っています。
 そこがまだ明確になっていないということであれば、ぜひ、明確化して、今後、この協議会の中でも議論していって、可視化されるような形でお願いしたいと思っております。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ちょっとお時間を頂戴して、ここで一旦まとめたいと思います。
 黒瀨委員と久村委員に関しましては、生活習慣に関するセミナーに関して、開催回数だけでよいのかと。参加者数等、もう少し突っ込んだモニタリングができないかということですけれども、事務局のほうはいかがですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御指摘いただき、ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいた111101や121102といったところ、あとは、111101の再掲の430103といったあたりのところですが、御提案のとおり、参加者数で見てはどうかという御指摘については理解いたしました。
 その上で、現状、開催回数についての報告をいただいているというのが、これまでの報告書の形になっているので、今後、どのような形で聴取が可能かといったところも含めて、検討させていただきたいと思います。御意見として承りました。
 以上でございます。
○土岐会長 それから、谷島委員から、指定研究班のことで御質問が出ました。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 指定研究班の検討につきまして、おっしゃっていただいたとおり、その進捗についても、適宜、協議会のほうに御報告等をさせていただきたいと思います。具体的なスケジュールについて、現時点でお示しするのは難しいのですが、基本的には、指定研究班でも、年に一度研究の経過について御報告を、中間報告という形になろうかと思いますが、いただいているはずですので、その状況等も含めて御報告できるように、研究班と連携して準備していきたいと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、御質問のほうをお受けします。
 松田委員、どうぞよろしくお願いします。
○松田委員 よろしくお願いします。
 私は、がん検診の受診率向上についてお伺いしたいと思います。アウトプット指標ですと121102、121101ですけれども、がん検診の受診率が増えたかどうかは、最終的には、国民生活基礎調査で受診率を把握するということです。それは了解しております。
 受診率向上策として普及啓発キャンペーンが行われ、その効果を資料の配布枚数とかイベントの参加人数で見てきました。これまで、乳がんや子宮頸がん、大腸がんの無料クーポン券を配布しています。配布された年齢に対して受診率向上効果がどの程度あったのかという検証がされないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。お伺いしたいと思います。
○土岐会長 では、後ほどお答えします。
 続きまして、石岡委員どうぞ。
○石岡委員 よろしくお願いします。
 全体的なところは、先ほど谷島委員が話された意見と私は全く同感です。事前の打合せで、意見・調査票の確認もかなりお願いしました。
 私からは、今回は、格差問題について、中間評価のときからいろいろデータを出して、大事なポイントだとして御理解いただいたと思うのですが、実際、格差をどのように評価するかという点に関しては、各委員の対応というところで、厚労の研究班に任せるという書きぶりですね。これは非常によくないと思います。
 1つ画面を共有させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○土岐会長 どうぞ。
○石岡委員 これは共有できていますでしょうか。左上に第3期宮城県と書いてあります。
○土岐会長 見えております。
○石岡委員 私は、今、宮城県のがん対策推進協議会の会長をやっていまして、今、3期の評価を行って、これから4期の策定に入ったところです。これは一つの例ですけれども、宮城県では、3期の初めに、各数値目標は、国のがん対策推進基本計画を参考にして立てて、そこでどう評価するかということに関しましては、スライドの真ん中辺に書いてある目標値の評価方法を事前に決めて、評価をやってきました。
 しかし、実際に、そこには地域格差などの指標がなかったり、あとは、宮城県が全国においてどういう位置にあるかというようなことがなかったので、例えば、左上の75歳未満の年齢調整死亡率は、宮城県は12.4%です。これは目標を12%に設定してあるので、県の評価あるいは我々の3期の県の協議会での評価方法では、これはAになるのです。非常に良い状況だと。しかしながら、新しい委員から、全国平均より低い、しかも、順位も25位だったのを26位に下げたのに、どうしてそれがA評価なのかという意見が出ました。そこで私からは新たに提案して、新評価方法を導入させました。この評価方法は県も認めてくれました。今、宮城県では、このやり方で、当初の方法と新しい評価方法で追記することになりました。つまり新しい方法ではCになりますので、やや遅れているということになります。
 今、ここで何を申し上げたいかというと、1つは、評価方法を事前に決めておくことは非常に重要だということですね。国のがん対策の評価指標を、今、議論していますが、評価方法を議論する予定はないそうです。ですから、私が申し上げたいのは、谷島委員と同じで、第4期をスタートさせる現時点で、評価方法をきちんと決めておく必要があるということです。
 今の計画では、研究班に評価方法を研究させて、第4期の途中で、その研究班の結果を使って評価するというお考えのようですが、それはやはりまずいと思うのですね。現時点で方法を考えて、どのように評価するかということを決めるということです。
 その中で私がずっとこだわってきた地域格差は、どういう評価方法で格差ができるのか。ばらつきを考慮した形で、例えば全体はよくなっているけれども、ばらつきが拡大したのか、縮小したのかということを示すことは重要です。というのは、これは基本計画で、基本計画ごとに各県が計画をつくるわけですから、その際、先ほど申し上げたように、各県が自分たちの県がどういう全国での位置づけなのかということをきちんと認識した上で計画を立てるのは大事ですね。そういった意味で、研究で後日、評価方法を決めるというのは実はまずいと思います。研究の結果、新たな評価方法がいいということであれば、私が、今、宮城県とかでお示ししたように、現時点で決めた方法とそれよりも研究班がもうちょっといい方法を考え出したのなら、この評価方法と2つでパラレルに評価するということが最も評価としては効率がいいと思います。また、今後の評価のあり方に役に立つ評価になるのではないかということを申し上げたいと思います。これが全体的な立場です。
 あと、個別のところで幾つもあるのですが、時間の関係で、気になったところを1つ申し上げますと、資料3の暫定版の後ろのほうに、がん研究の推進というところがあります。そこに、日本発治療薬の創出に向けての治験の数と書いてありますが、これも、評価指標を日本での医療機器の創出数とした場合に、出てくる数字は前よりよくなったという数値しか出てこないと思うのですね。しかし、今後のがん研究のあり方に関する有識者会議でも問題にすべきなのは、ドラッグラグ、ドラッグロスの問題です。日本の中におけるこういう治験の数が増えたということだけでは、日本が遅れているということを評価できないと思うのですね。ですから、こういったことについては、国際的な位置づけを評価できるような方法を考える必要があるかもしれません。これはあくまで日本の指標なので、指標だけ考えておけばいいというのであれば、それはそれでいいですけれども、それだったら、この数をどういう評価方法で評価するかというのは、この段階で決めておく必要があるということです。例えば、国際的にはこうで、ドラッグラグが前より拡大したか、ドラッグロスとドラッグラグが、今どんどん拡大している状況ですから、それはどうするのかということを、研究班で後日検討するということでは、私は納得できないので、先ほど言ったように、今のうち、評価方法をきちんと明らかにしてくださいということです。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 まず先に、松田委員からございました、私もあまり知らなかったのですが、無料クーポン券の効果等々のお話でございますけれども、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 松田委員から御指摘いただいた、がん検診関連の御質問でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 がん検診については、新たなステージに入って、通称「新ステ」という事業の中で、子宮頸がんと乳がんに関してだと思いますが、特定の年齢の方に対する初回の受診に関して、無料クーポン券を配布して受診を促すという取組をやっているというのが前提でよろしかったでしょうか。もし違っていたら、適宜、御訂正いただければと思います。
 その事業については、その事業を継続するかどうかとか、そういったところも含めて効果評価が必要ではないかというところは、御議論としてはあろうか思いますので、その御指摘は重要なものと、事務局として受け止めさせていただき、今後、どのような評価をしていくかというのはきちんとやっていきたいと思います。
 他方で、この評価指標の中にそれを埋め込むべきかどうかというところについては、技術的な点も含めて、少し検討をさせていただければと思いますが、現時点で、すぐに入れますと言える状態にはなっていないので、今回の指標については、この状態で進めさせていただけたらと思っています。
 一旦、松田委員に対する御回答としては、以上でございます。
○土岐会長 石岡委員の格差の評価方法を事前に決めておくべきであるという御指摘でございます。もちろんもっともなだと思いますけれども、ただ、今日、石岡先生が御提示された資料においても、私はちょっと急だったので、内容が全部フォローし切れなかったのですけれども、いわゆる評価が変われば順位も変わるという、まさに評価の難しいところを示しておられるような気がしました。
 石岡先生は、もう決めてしまって、走らせてしまって、後からもう一個追いつかせて二本立てで行ったらいいのではないかということでしたけれども、そのあたりも、それで本当にいいのだろうかという、ちょっと検討が必要な気もいたしますが、事務局から、このあたりに関して、今後、どういう方向で行かれますか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、総論的なところでございます。今おっしゃっていただいた、事前に評価の仕方まで含めて規定しておくべきではないかという御指摘は、従前より頂戴しております。
 他方で、技術的に、各項目をどのような形で評価するのが適切かというところについては、個別項目の数字等を見ながら設定していく必要があろうかと思いますので、今、土岐会長がおっしゃっていただいたように、通則的に確定させられるかというのは、技術的な限界も現時点ではあって、指標そのものが固まっていないということもありますので、即座にこの場で何らかの回答をお伝えするのは難しいと思っています。
 一方で、石岡委員がおっしゃっているのは、中間評価までこのまま放ったらかしにするのはどうなのかというような趣旨もあろうかと思いますので、今回の議論の中では、指標については一旦これで仮置きとさせていただいた上で、ベースライン値の集計とか、経過を見ていく集計を、一旦事務局や研究班のほうでさせていただいて、中間評価までの間に、その評価の仮置きするとしたらこんなやり方というのと、今後、どういうふうに発展させるのかというような御議論もしていただけるように御準備するというのが、事務局としての現時点でやれることかなと思いましたので、この場でその評価方法まで確定させることは難しいということが、まず一旦のお答えになろうかと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 石岡先生、いかがですか。
○石岡委員 宮城県では、原則としてこういった指標の評価方法9ルールを事前に決めているわけで、一つ一つの項目について、ここはこういう評価方法、ここはこういう評価方法というふうにしているわけではないのですね。ですから、その辺は柔軟に運用するというようなルールで、例えば数値に関してはこういった評価をするとかというような形にしておくということを私は申し上げているわけで、これだけたくさんある指標について、一つ一つ評価方法を最初から決めるということを申し上げているのではございません。
 一つ別な角度で申し上げると、今のこの協議会のメンバーは、中間評価や、あるいは最終的な評価に関わらないわけですね(任期との関係で)。そうすると、今ここで議論されていることに関して、どのように評価するかという、ニュアンスと言うのでしょうか、後日、その意味が変わってしまうと、評価に関する考え方やその結果が大きく変わってしまうと思うのですね。研究者であれば、臨床試験をやるときに、後から評価方法を変えるということは全く許容できないわけですし、研究の場合は、メンバーは基本的には時間が経過しても変わらないので、そういった懸念は非常に低いと思います。
 一方、この国のがん対策については、今までの経過を見ても、メンバーは、私も多分次はメンバーからきっと外れるのだと思うのですけれども、そうすると、次に委員に加わった人が、また、別な評価の捉え方をしていくということは当然起こり得るわけです。そうすると、評価指標に加えて、ある程度、評価方法も原則みたいなのを決めておかないと、今は、自分たちはこういう評価指標を決めて、それが将来的にある数値になるであろうから、例えばこの評価指標については「良い」と考えていたことが、次の委員に伝わらなければ、これを「良い」とするか、「良くない」とするかという評価は、全く同じ数値でも変わっていくと思います。それでいいのかということを僕は言っているのですね。ある程度原則がどういうようなルールで、数値に関してはどういう方法で評価していくべきかということは、事前に設定しておくべきだろうというのが私の主張です。
 これは格差の問題だけではないですよ。格差を評価する方法は、当然最初から決めておく必要はあるし、本当に適切な格差評価はどういうものなのかということを、後日研究でさらに良いものにしてもらうということについては、全く反対ではないのです。例えば、セミナー開催数が増えればいいのかと。仮に数値目標として、セミナーの回数(総数)は、100だったのが150になればよしとするのかという例で考えると、もし私が委員だったら、良しとするかもしれません。しかし、5年後の新しい委員は、150までしか増えないので評価は「良くない」とするかも知れません。私はそういうことを言っているわけです。
 事前にある程度原則として、どういうような評価方法であるということは、概要を決めておく必要があると思います。細かく、各項目に関して一つ一つ評価方法を決める必要があるということを申し上げているのではありません。
 以上です。
○土岐会長 事務局、どうぞ。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。補足の御質問をいただき、ありがとうございます。
 前回の祖父江参考人から御提出いただいた資料の中でも、評価の考え方(案)をお示しいただいていて、それは現時点でのそこに対する明確な否定的な御意見はこれまで頂戴していなかったと思いますので、そこをベースに考えますと、評価の方法としては、基本的には、ベースライン値を測定した上で、アウトプット指標、アウトカム指標について、ベースライン値と最新値を比較するというのが、まず1つ評価方法としてあるだろうということと、それについて、例えば改善したとか、普遍であったとか、悪化した等の変化の方向について評価することと、各項目について、分解可能であれば、性・年齢・階級別の評価とか、がん種別の評価というのもやりましょうという具体的な御提案も頂戴しています。
 その中に記載されていなかったものとして、例えば、都道府県単位で集計が可能なものについては、その間での比較等についても考慮するということを、冒頭、私のほうから、資料3の説明の末尾で申し添えさせていただいたというところでございますので、方向性というか、大枠としては、今申し上げたようなベースライン値と最新値との比較をしましょうという点と、地域間での比較がまず可能な項目については、それぞれの指標での集計単位で可能な範囲で、横での比較をやってみて、それについてどのように評価していくのかを検討していきましょうということかと思います。現時点で、まず大枠として御提案できるところは、一旦そこまでという形になろうかと思います。
 一旦、以上でございます。
○土岐会長 石岡先生。
○石岡委員 それは不十分だということを何度も言っているのです。事前説明で、私と何度もやりとりしているのですけれども。増えたというのが、100が101になれば、じゃ、良かったということになるのですか?という話です。
 そういうこととか、あとは格差については、今も検討すると言っているけれども、格差の評価方法は、私が第3期の中間評価で示したような、例えば標準偏差とかという方法があるわけですから、それでいいかどうかというのは、今後、検討する必要はあるかもしれませんけれども、今でも、格差を評価する指標は幾らでもあるわけで、それを暫定的に決めておいたほうがいいのではないかと、そういうことを言っているのです。
 要するに、今の説明では不十分だから、次善な指標をもっときちんと立てておいたほうがいいということを言っています。
○土岐会長 ありがとうございます。
 先ほど事務局も申し上げましたように、ゆっくりやるとか、中間評価の時点まで遅らせるとか、そういう意図ではございませんので、できる限り早く対応して、案を考えていくということで、検討したいと思っております。
 あとは、先生がおっしゃいました、委員が代わるとその解釈が変わるというのは、そうであってはいけないと思っておりまして、どういう人が見ても、要するに、国民が見ても、誰が見ても、ある程度評価できるようなものを指標にしていかなければいけないと私は思っております。
 ほか、委員の先生から御意見よろしいでしょうか。
 どうぞ、阿久津委員。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 その前の皆様とちょっとかぶる部分ではあるのですけれども、どうしてもちょっとこだわりたくて申し上げたいなというのは、がんのセミナーの数のところですけれども、やはり回数ではなく、人数、広がりだろうということかなと思います。事前の回答をいただいたところにも、人数までをカウントしてしまうと、現場の方の負担が増えるというようなことだったのですけれども、先ほど、地域の格差のお話もありましたけれども、例えば、稚内市の3万人の人口のところで90人集めたセミナーと、豊富町という3,500人の人口のところで200人集めたものは、価値が全然違ってしまうというところも考えますと、人数と回数がキーになって、それが存在していないと、広がりというところまでは組めないのではなかろうかなと思いますので、何度もこれを続けているのですけれども、ここももう一度お願いを申し上げたいなというところでございます。
 以上です。
○土岐会長 本日、非常に多くの委員から同じ意見を頂戴しました。方法論が一番難しいと考えていますけれども、何とか方法論について考えていただいて、反映させるように、検討を一度お願いしてよろしいですかね。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 繰り返しの回答になってしまいますが、今、御指摘いただいた評価指標の案については、拠点病院における活動の報告をいただいている現況報告書というところから取っているもものです。これまでの現況報告書においては、開催回数についてお尋ねをしているところでございますので、その実際の人数の集計とかそういったところがどの程度御負担があるのか。それから、集計可能な状態になっているのかといったところのフィージビリティチェックも必要だと思いますので、そのあたりも含めて、どのタイミングから例えば実装し得るのかといった検討も、併せて事務局のほうでしっかりさせていただければと思います。なので、即時実装するということは難しいと御理解いただければと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 それでは、齋藤委員いかがですか。
○齋藤委員 ありがとうございます。
 資料2のほうの話をしてもよろしいのでしょうか。
○土岐会長 どうぞ。
○齋藤委員 就労支援について(職場側)ですね。331105~331106の間の符号されてないところですけれども、中小企業も含めて企業における支援体制など、産保センターの活用、助成金の支援、普及啓発、これは、私はちょっと経過を存じ上げないのですが、アウトプット指標が設定なしとなっていますが、これはどういったことでこのようになっているのか、教えていただきたいと思います。
○土岐会長 事務局からよろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 今、御指摘いただきましたのは、資料2の20ページ目の「がん患者等の社会的な問題への対策(サバイバーシップ支援)」という資料の一番左の「就労支援について(職場側)」というところの下から2つ目と3つ目のグレーアウトしているところでよろしかったでしょうか。一応、御質問箇所は間違いないでしょうか。
○齋藤委員 そのとおりです。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 現時点でのこの指標が設定できなかったというところについては、この個別施策に対応するアウトプット指標として、何を捉えればよいのかということの具体的な項目の設定ができなかったということになります。ですので、このような取組について、しっかり検討を進めていただくということになりますが、この検討が具体的にどう進んだかというのを可視化する指標が、現時点で存在していないという判断でグレーアウトさせているということでございます。今後も可視化させないという意味ではないので、今後、可視化するような方法とか、例えばこんなことがあるのではないかといった御提案もあればいただけたらと思いますし、研究班との連携の中でも、こういったところ、現状グレーアウトさせているところについては、指標の設定は可能かどうかについては、逐次、検討を進めていくということかと認識しております。
 以上でございます。
○齋藤委員 ありがとうございます。
 現時点で、データソースがないという理解でよろしいのですね。
○原澤がん対策推進官 そのとおりです。
○齋藤委員 日本における9割方が中小企業であって、中小企業でこういった支援が進んでないということが現実的にありますので、ぜひ、早めの対策と具体的な指標の設定をお願いしたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 このロジックモデルにおいては、本当に何か所か指標設定ができていないところがございまして、こちらは今後の検討項目になっております。ぜひ、御意見を頂戴できたらありがたいと思っております。
 ほか、よろしいですか。
 それでは、私のほうから1点。今回、グリーンで修正していただいて変わったところで、医療の213108、213109、216106、216107、共通の問題ですけれども、それぞれ拠点病院の医師の数、看護師の数、薬剤師の数であったものが、全て医師とか薬剤師の数ではなくて、拠点病院の数に、今回、修正後で変わっているのですが、多くの拠点病院がもう既に備えているところが多いような気がしまして、私は実数を存じ上げないのですけれども、例えば、もう既に9割以上達成しているとなると、それ以上なかなか上がらないのではないかという気もいたしまして、施設当たりの人数が増えていくのも大事なので、施設当たりの人数の数と拠点病院の数と両方モニタリングすることが可能であれば、お願いしたいなと、そういうふうに思いましたが、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 現況報告書において、今、御指摘いただいた点については、すみません、全てかどうかは分かりませんが、恐らく配置人数も確認しているところがあると思いますので、両方見ながら、どちらで評価するのがいいかを引き続き検討という形で、一旦承らせていただければと思っております。最終的な指標の書きぶりについては、今の点、事実関係の確認も含めて、させていただければと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 今の土岐会長のと関係あるのですが、先ほど議論した、割合と数と書いてあるのがあるのですね。例えば、リンパ浮腫外来が設置されている拠点病院の割合とかですね。割合で書いてあるところと数で書いてあるところがあるのですけれども、くどいようですが、これも評価方法を決めておけば、一番欲しいのは、数字としては数なのです。割合というのは、拠点病院の数が多少変わりますけれども、そのときの数で計算はすぐできるわけです。ここで割合を出しておくと、我々の意見に対する対応、回答のところを見ると、割合のほうが評価として何か妥当なような書き方をしているのですね。
 それというのは、指標と評価の方法をごちゃ混ぜにしている書き方だと思うのです。ですから、あるところは数で、あるところは、どうして割合にするのかと。割合というのは、後で評価する方法のときに、割合を計算して、方法として割合を出せばいいだけの話で、知りたいのはやはり数です。その辺のところが、提案していただいている個別の評価指標について、あるところは数、あるところは割合、そのほうが、評価がしやすいというような書きぶりですが、具体的に必要な数字を出しておけば、割合は方法によって計算できるわけですから、その辺の統一性がないなということです。それが、私が申し上げたように、きちんと評価方法を決めておいたほうがいいということの理由の一つにもなっています。
 以上です。そこはどうして割合と数を分けるのですか。
○土岐会長 事務局のほう、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 今、土岐会長及び石岡委員から御指摘いただいた拠点病院のところについては、御指摘の中にも含まれていましたが、拠点病院の数自体が変動し得るものであるということと、こういった点については、特に地域間での違いについて言及される方も多いと認識をしておりますので、そこで比較するに当たっては、単純に数値を比較するというよりは、割合というもののほうが地域間での比較はしやすいのではないかということもあって、こういう御提案になっているかと思います。
 他方で、先生おっしゃっていただいたように、評価の仕方次第で、見るべき数字が変わるということはおっしゃるとおりかと思います。ですので、割合を出すに当たっても、ベースになっている数字をどのような根拠で算出したかという数字の定義とか、基になったデータについても、併せて集計はしておいて、その中でどのような評価の仕方を設定して、もし、その後に評価の仕方を変えるときに、もともと数字で出しておいて、例えば割合も取れるようにしておいて、事後的に割合に算出し直して、全部もう一回見直すとか、そういったことができるように、データの集計自体をまず現時点では工夫をしておこうと思いますので、今後、先ほど来御指摘いただいている評価の方法を整理していく中で、しっかり御議論いただけるように、事務局として整えていきたいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほか、御質問はございませんか。
 大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 今、事務局から回答いただいた点で、追加の質問になります。先ほどから、石岡構成員ほか皆さんが質問されているのは、割合なのか実数値なのかという話のところです。実際には、患者さんたちが医療の提供を受ける、あるいは、リンパ浮腫ならリンパ浮腫に関するいろいろなサービスを受けるといったときには、その病院が何か所にあるかということではなくて、そこへいらっしゃる患者さん、必要としている患者数に対してどれぐらいのサービスが必要なのかということが分かってこないと、この地域には10か所ありますと言われても、そこの患者さんが非常に少なければ、10か所は過剰なサービスがあるということになります。その辺のところも分かるような形で、患者さんの必要数は、この地域にはこれぐらいいらっしゃるのでこの数なのだという根拠が算出できるような方法を考えていただかないと、将来的に、ずっと数が増えていけばいいのかということではないと思います。それは、医療機器数とか手術件数とかを考えるのと同じだと思うのですけれども、実際に必要とする患者さんがこの地域にはこれぐらいいらっしゃって、それに対してこれぐらいの設備、これぐらいの人員、これぐらいのサービスが必要だということを導きだせるような指標にしていただきたいと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
 まさに大井委員が言われたところが、この指標の設定の難しいところで、単純に総数だけを見るわけにはいかないと。それぞれの地域の事情とか、それぞれの拠点病院の事情とかがあって、それを踏まえた上で、分母と分子が変わってくるので、本当に評価というのは難しいなと感じておる次第でございます。そのあたりも、今後、事務局に対応をできる限りお願いしたいと思っております。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、この新しい試みでありますロジックモデルでございますけれども、大変多くの御意見を頂戴いたしました。本当にありがとうございます。
 今後、細かい字句の修正も含めて、今回いただいた御意見を反映させていくという作業につきましては、今後、会長一任ということでお願いしたいと思っております。都道府県のほうで、これを次の対策、次のステージに入っていただかなければいけない段階も来ておりますので、できれば、御協力・御理解をいただいて、会長一任とさせていただきたいと思っておりますが、これにつきまして、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○土岐会長 ありがとうございます。
 今後、今回いただいた御意見につきまして、事務局と会長のほうで調整をしていきたいと思っております。
 今回、私も初めてロジックモデル、指標はあったのですけれども、これをきれいにロジックモデルに当てはめるという膨大な作業に関わらせていただいて、大変事務局の苦労も見てまいりました。また、厚労科研の指定研究班でございますロジックモデルの祖父江先生の班の皆さん方も、本当に一つずつ細かく対応をしていただいて、よいロジックモデルができたように感じております。
 それでは、今後、そのような方向で進めていこうと思いますので、御理解のほどよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、続きまして、議題の2でございます。「個別事項について」の「患者・市民参画について」に移りたいと思っております。
 それでは、資料4につきまして、井上参考人より御発表をよろしくお願いしたいと思います。
○井上参考人 千葉県で支援活動をしておりますミルフィーユ小児がんフロンティアーズの井上富美子と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、活動の紹介をさせてください。
 昨年、理事長を退き、現在は一理事として必要時、活動参加しております。1997年10月に、千葉県下の主な小児がん治療施設の医療者の方々からの呼びかけで、任意団体「菜の花会」として発足し、その後、2011年、NPOミルフィーユ小児がんフロンティアーズと名称も変えて、小児がん患児、家族、そして、治療終了後の小児がん経験者への支援活動を続けております。決して一人ではない、元気になった仲間がたくさんいるというメッセージとともに、診断がついたときから、正しい知識や情報提供、仲間づくりのお手伝いなど、それから、治療終了後、自分の未来を自立的に考え、自分の進む道を開拓する姿勢を入院時から育む後押しをしております。
 2020年より、遠隔操作ロボットを使って、長期入院をしている小児がん患児がバーチャルではありますが、社会から孤立をしている状態を少しでもよくしようと、活動を始めました。更に、現在、県や県内の各自治体、さらに企業など民間のお力をお借りし、入院中の病弱児、生徒に対して、遠隔操作ロボットを用いた切れ目のない学習支援を推進しております。病室からロボットを利用し元居た学校での授業に参加する支援です。これが実現しますと出席日数が進級、卒業に影響する高校生には大きな力となり、小中学生にも最も気になる同級生や友達とのつながりを断ち切ることなく維持できるようになります。授業が無理でも、例えば、いろいろな大きな催し物とか、卒業式とか入学式、いろいろなイベントに病院から参画できるという機会をできるだけ多く作ろうと、数多くの学校に出向きデモンストレーションを行っております。
 そのほか、アニマルセラピーで、毎月1回、大、小の七、八頭のワンちゃんが訪問してくれます。この子は治療のためにぐったりして寝ていたのですが、最初は関心すらなかったのが、ワンちゃんが来たことを知ると、ベッドに寝たまま、ワンちゃんと触れ合いました。そしてそれが功を奏して、2匹、3匹と全頭の訪問を受け、最後は自分でベッドから出て、部屋の入り口で訪問を待つようになるまで元気になりました。
 この写真は、チヂミをつくっているのですけれども、これは食育を兼ねています。治療の影響で食事制限がありますし、それは退院後も自分で守っていく必要がある場合もあるため、食育として管理栄養士の指導の下勉強を定期的に行っています。ただ勉強形式では楽しくないし、しっかり学んでもらえないこともあるため、楽しいイベントとして形を変えて行っています。ここで楽しい、病院食ではない、家庭の生活に少し近づけたような雰囲気で、みんなでチヂミをつくって食べたり、回転寿司などもいたします。
 それから、キャンプですが、中央の写真です。小児がんは治療が終了しても、元通りの健康体に戻ったわけでは無く、いわゆる晩期合併症を背負って長い将来を進むことが多々あります。そのために周囲から孤立してしまうこともあるため、仲間づくり、それから、自分の気持ちを仲間の中でうまく表現できるような機会づくりに、キャンプを毎年しております。
 そして、右下の笑っている女の子ですけれども、この子は、このとき小学校1年生でしたけれども、病気のために、お買い物に一度も行ったことがなかったのですね。それで、近くの大きなショッピングモールに、私たちスタッフがロボットを持っていって、彼女は病棟から、ロボットをコンピュータで操作してお買い物をしました。この子が一番欲しかったのは、このとき1年生になったばかりだったので、筆箱を買いたいということで、「それじゃない。あっちの水色」とか言いながら、店員さんと一緒に探して、スタッフがお母様からお預かりしたお金で買いました。それを届けたときに、「本物のショッピングをしたみたい」と言って、満面の笑みを私に見せたことが本当にうれしく、今でも覚えております。
 活動ではありませんが、私は、千葉県がん対策審議会子ども・AYA世代部会に委員として参画しておりました。認定特定非営利活動ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ理事長として参加していたのですけれども、気がついてみれば、10年間も参加しておりました。10年間は長過ぎます。ですが、探しても、周囲に候補者がいなくて、ようやく次を担ってくださる方が去年現れて、バトンタッチをしたところです。
 これまで審議会に参加いたしましたけれども、それに対する感想を述べます。8つほどあります。
 この回数ですが、年2回、開催時間も約2時間と書きましたけれども、実は1時間ぐらいのときもありました。それにもかかわらず、数日前に資料が送付されるため、準備不足での出席となってしまうことが多い。つまり、それは4番目にありますけれども、審議会で話される内容が専門的過ぎて、準備をしようと思っても間に合わないということです。それに対して、「質問してもいいですよ」とおっしゃるのですけれども、医療体制、医療については全く素人ですので、どんな資料を探したらいいのかも分からなかったりするので、準備が難しいですね。医療体制や医療そのものだけではなく、闘病環境など、患者・家族の抱える問題についても、もう少し掘り下げてほしいなと思うことが多々ございました。
それを踏まえて、患者・家族が政策決定プロセスに参画するに当たって、これまで、県の審議会に参画、また、患者団体に身を置いてきてずっと感じてきたことを言います。
 1つは、都道府県の協議会における課題です。患者・家族の代表が積極的に意見を述べるに足る知識がないため、協議会での発言ができない。自分の経験だけを語るにすぎない。経験も大事ですし、患者の声を代弁することもできるのですけれども、100種類以上もある小児がんです。それを全て私が知っているかと言ったら知っていませんし、どんな立場なのかなということも、聞こえているのは千葉県の中だけです。そういうことなので、代表性というのが、全ての人の代表性を取っているのかなということが疑問に感じておりました。
 行政からの支援がない。言い換えると、当日の資料が数日前に送られてきたとか、事前に聞きたいことなど、質問ができないということなので、患者の声を届けにくい環境だったなということです。
 そして、開催頻度が少なく、開催時間も短く、会議が形式的と言ったら叱られそうですけれども、本当に何かそんな感じがしました。県民の意見を踏まえて、施策が実施されているかということも疑問に感じております。
 それから、国のがん対策推進協議会への課題と感じていることです。治療や闘病環境は時とともに変わっている現状の中、その時代に即した意見を得るには、今、本当に苦しんで困っている患者のリアルタイムの声を、可能な限り広く集めることが必要という意見を時々聞きます。よりよい審議会を継続させるためには、新陳代謝をよくした構成の審議会が必要ではないでしょうか。国として、どのような基準、判断で、審議会の委員を選んでいるのか。これも明確にしてほしいと思います。
 また、がんの当事者だけでなく、現在のところ全く健康な方々にも委員として参画していただいて、がん経験のない人々ががん闘病についてどう考え、感じているのかを、当事者たちが知り、ともによりよい環境づくりができるようにする審議会であればと思います。
 そこで、次お願いします。必要と思われることを3つほど挙げてみました。
 1つは、関係者全体の利益を調整しなくてはいけない。つまり、代表性ですね。成人がんなどに比べ、罹患者数が少なく、組織的にも脆弱な団体が個に動くのではなくて、小児がん全体の利益は何なのか、それぞれの思いを超えて、声を一つにして伝えられる代表が欲しいなと思います。
 それから、患者・家族、医療者などが対等な立場で関わるという公平性ですね。患者・家族、医療従事者、企業などから構成される組織において、全てのステークホルダーが対等な立場で意見を述べて、特定の職域を代表するステークホルダーの影響が大きくならないよう、民主的な意思決定に基づいた行動が必要だと思うのです。先ほど申し上げましたように、患者だけではなくて、社会全体のがん闘病に対する考え方も、我々当事者は知る必要があると感じております。
 そして最後に、公益性です。小児がんを社会問題として取り組む。そうしてほしいのですけれども、国民の税金が投入されることから、小児がんの問題について、国民に理解を深めてもらい、社会の問題として、課題の解決への取組が必要だと思います。小児がんは治る時代になりましたが、それでも治療以外の問題を抱えて生きなければならない経験者が全体の約60%を超えると言われております。人口が減っている日本です。将来を支える若者たちが、少しでも社会の一員として、日本の将来を明るくするためには、彼らに関する社会の理解は不可欠です。
 ということで、最後のページになります。2021年7月1日に、小児がん対策国民会議を立ち上げました。患者・家族、医療従事者、企業など、社会全体が将来のある子供たちに対する責任を共有し、こどもががんにかかったときに必要な、そして、適切な医薬品や、先ほど少し出ましたけれども、ドラッグラグとかロスですね、そういう問題が起きない医療が提供される社会を目指して、患者・家族やNPO法人、小児がん研究グループの理事などの有志などによって設立しました。メンバーはここに書いてあります。JCCGといって、日本小児がん研究グループの理事長とか、国立成育医療センター、国立がんセンターの先生方と一緒に行っております。小児がん対策国民会議で、ホームページがすぐ出てきますので、ぜひ御覧くださるとうれしいです。
 以上です。ありがとうございました。
○土岐会長 井上参考人、誠にありがとうございます。もうお一方御発表いただいてから、質問を受けたいと思いますので、そのままお待ち願えますでしょうか。
○井上参考人 はい。
○土岐会長 よろしくお願いします。
 それでは、続きまして、資料5につきまして、鈴木参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○鈴木参考人 こんにちは。よろしくお願いします。
 福島県におけるピアサポート事業構築事業ということで、大震災後の委託事業としての活動について発表させていただきます。私は、福島県がん患者団体連絡協議会という立場にあります、NPO法人がんピアネットふくしま理事長をしております鈴木牧子と申します。よろしくお願いします。私個人は、2003年に卵巣がんに罹患しました患者本人です。
 次のスライドに行きます。こちらのスライドは、2011年3月11日、あの東日本大震災ございました岩手、宮城、福島は、この図の濃い赤いところにありますように、とても大きな地震が来まして、一瞬の津波と尊い命がたくさん失われました。右側の図は、福島県の福島第一原発、今も福島県はALPS処理水の問題など、いろいろな課題に立ち向かっておりますけれども、ここも避難解除がされましたけれども、私の家の周りにも、避難したまま、故郷に帰れないまま過ごされている方たちがたくさんいらっしゃいます。
 さて、そんな中で、あのとき、がん患者の方たちはどうしていたでしょうか。私は、がんを考える「ひいらぎの会」の代表をしておりますが、そこに絶え間ない電話の相談がありました。皆さん電話をくださる方は、口々に「では、ひいらぎの会に入ります」とおっしゃるのですけれども、私はそれでいいのかなと思いました。待ったなしの対応、今、しなければいけない。では、誰が行ったらよいのでしょうか。皆さんに資料をお渡ししていますので、これを一つ一つは読みませんけれども、この鳴りやまない電話と、怒り、苦しみ、悲しみ、それは本当に壮絶なものでした。
 2011年、福島県のがん対策推進協議会、この時点で私も県の委員をしておりましたので、県の担当者と協議会に参加されている皆さんにお願いしました。がん相談支援センターに行き着けない患者・家族はもちろんのこと、避難先で、自分の居場所さえ把握してない人たちをこのままにしておけない。私、鈴木牧子ががんピアサポートサロンを全県に開催していくので、どうか予算をつけてくださいとお願いしました。
 2012年より、事務所の準備、それから、事務員の雇用の確保などをしながら、県にも、これを実際に助成金として、予算より私たちのほうがいただくことができました。これは県全体の問題ですので、私は、患者団体、関連団体、ここにお示しするように、オストメート協会などの福祉の団体も含めまして、多くの方々にお声がけをして、このNPOをつくるかどうかということを皆さんで考えてもらいました。
 その結果、2015年、このNPOが設立いたしました。設立した1年間で、これだけの事業をさせていただきました。特に、市民とともに歌う「うたごえ喫茶」などは、市民啓発も兼ねたり、ほかの県からも患者さんが見えたりして、がんという病気になっても、あの大変な震災があっても、本当にみんなで助け合って、こうして生きていきましょうと考えるよい場所だったと思います。
 今現在、福島県に12か所のサロンを開催しております。お示ししたとおりです。拠点病院並びに、まちなかにあるコミニュティセンターなどを活用して開催させていただきます。過去6年間のサロンの参加者数ですけれども、このコロナ禍、私たちは対面のサロンなので、数は減っておりますけれども、直接的支援として、食料支援ボックス、新米の時期に、お米と一緒に少しの食料ですけれども、送らせていただいて、患者さんと直接交流のできる機会を設けております。また、令和4年度からは、近隣にありますこども食堂さんと相互支援をして、食料の配布なども援助していただいております。
 福島県のがん対策推進審議会、これは旧協議会ですけれども、がん登録のことを扱うということで、審議会という名前になりました。メンバーはお示しのとおりです。バランスよく構成されていると思います。ただ、それを生かすためには、それぞれが意見を出し合わなければ何もなりません。事前に配付された資料は、皆さんきちんと読んできて、その場できちんと意見が言えるようなことを、ずっと私もお願いしておりますし、皆さんもそのように実践されていると思いますので、審議会は、とても意見も多いですし、時間も超過しても、みんなでよいものをつくっていこうという形になっております。
 第3期のがん対策推進計画に向けてのパブリックコメントから多くの回答をいただきました。その一つベースになるのは、ネットの環境にない方には、私どものほうから紙ベースで、今、県でこういう意見を募集していますということをお知らせして、御発言願いました。県からもそれぞれ回答をいただきました。拠点病院も3か所喪失されるということがあったのですけれども、県自体の助成で賄う、つまり、患者の不利益がないように、協議会や相談支援部会などには、そういう病院の係の方たちは残っていただいています。
 ネットワーク・パートナーシップということで、福島県保健福祉部、私たちと直接交流があるのは地域医療課ですけれども、今、健康づくり推進課のほうで、看護学校への教育などにも、私たちの協力が欲しいということで、一緒に参画させていただいております。それから、審議会のほうに教育庁からも入っていただいて、福島県のがん教育の推進にも努めております。
 患者・市民参画推進に当たって、都道府県協議会における課題。福島県の今の事例は言いましたけれども、公平に意見を言える立場の患者委員が必要であろうと思います。これは、横断的に知識も必要ですけれども、みんなで勉強して高め合っていくことが大事だと思います。また、担当部署では、人事で係が代わります。そのときに、公平性を持った機関を設置することで、継続的にその事業が私たちは行えていると思います。
 それから、先ほど来、会議の中でも出てきましたけれども、これまで積み上げられてきた議論をきちんと理解すること。そして、そこに至った経緯をきちんと理解した上で、発言することが必要だと思います。新しい課題に対しては、建設的に取り組むための議論をきちんとマネジメントできることが大事だと思います。協議会では、様々な立場からの意見を共有して、精査できる知識を生んでいくことも大事だと思います。持続可能な活動に関しては、きちんと予算化していくことが大事だと思います。
 そして、何よりもこれはがん患者・家族、そして、国民のための協議会である、そのために私たちも委員であるという認識を忘れないことが大事だと思います。
 とても早口な発言になってしまって、申し訳ありません。ありがとうございました。
○土岐会長 鈴木参考人、ありがとうございました。
 本日のテーマは、患者・市民参画ということでございますけれども、井上参考人、そして、鈴木参考人に御発表を続けていただきました。
 協議会の委員の先生方から、御質問・御意見等をぜひ頂戴したいと思いますが、もちろん感想でも結構ですし、何か御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ、石岡委員よろしくお願いします。
○石岡委員 鈴木参考人、どうもありがとうございます。私は隣県の宮城ですので、鈴木参考人が非常にアクティブに活動されているのはよく存じ上げています。ほかの委員の方は東北地方以外の方ですので、まずは、そこを皆様に御紹介したいと思いました。
 先ほど最初のほうに御指摘がありましたが、県の協議会が、回数が少なくて、型どおりの資料を、「これを見ていいですか、悪いですか」みたいな、そういう意見をちょっと聞いてというのは、非常によく実感します。私も、先ほど申し上げましたけれども、宮城県のがん対策推進協議会の委員歴、多分、15年ぐらいやって、今は会長ですけれども、今回は、そういう回数が少ない立てつけで、前期の評価と4期の策定をすることに関しては、私からは、これでは不十分だと、回数を増やすようにということを言いました。宮城県は、会議の回数を増やすことはちょっと頭が痛い問題と言っていましたが、他の県でもそういう現状がやはりあるなという印象を持ちました。
 今日は、国の協議会ですけれども、これは正直申し上げて、私のような、がん医療に40年ぐらい携わっている者でも、がん対策推進協議会がどういう立てつけで、どういうデータがどこから出てきているのかということを良く理解していないのですね。私は、このがん対策推進協議会の委員は足かけ4年やらせていただいていますが、私の場合、日本臨床腫瘍学会の理事長という立ち位置で選ばれてきていると思います、間違いなく。しかし、厚生労働省のがん・疾病対策課の皆さんが用意してくださっている委員名簿の資料をみても、どういう経緯で、誰の意見を基に出てきているのかというのは非常に不透明ですね。
 その資料については、「委員は知っているでしょう」というような形で話が出てくるのですが、一部は確かに分かります。しかし全体を理解しているわけではありません。例えば厚労科研のことを知っていますし、ワーキンググループのメンバーについてもある程度も知っていますので。しかし、先ほどの鈴木参考人の御発言は情況と課題をつかんでおりすばらしいと思います。我々のようにがん医療やがん政策にかなり関わってきた人間でも、その程度なので、一般の市民の方や患者の会の方々が、この協議会での資料は、どういう立てつけで、どういうバックグラウンドで、お役人の方はどういう人たちがいて、何人がこれに取りかかっているのかという、そういうとこまで教えてもらわないと、自分の発言が適格なのかどうかということを考えてしまい、なかなか発言しにくいのだろうなというのは、最も理解できます。
 私、ここからは感想で、同感ということです。今日は、厚生労働省のがん・疾病対策課の方に、今のをむしろお聞きしたいのですけれども、皆さんは、多分、恐らく夜も寝ないで仕事をしている、最もハードワーカーで働いていらっしゃるのはもう百も承知です。私も、医療と研究と教育と、そして、こういう国のあるいは県の審議会の委員とかをやっていて、すごく忙しいのですけれども、皆さんはどうなのですか。こういうやり方で、もうこれはしようがないと考えられていらっしゃるのか。これがベストなのか。仕事を山のように抱えていて、大変で、これ以上できないのか。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。そういうことがなければ、いつまでたっても、この議論は進まないと思うのですね。感想をちょっと教えていただけないですか。
○土岐会長 石岡先生、もう一度ポイントを絞りたいのですけれども。
○石岡委員 県も国も、協議会というのは、こういうやり方で、恐らく鈴木参考人は、型どおりやられていて、十分な議論がやられてないのではないか。それはどういう背景で委員が選ばれて、どういう立てつけになっているかということを、選ばれた委員はみんな新人で、よく理解できないままに議論が進んでいると。こういったやり方をずっとやってきているけれども、それでいいのかどうか。そういったところにお役人の方々は問題点を感じてないかどうかという、そういう感想を教えてくださいということです。
○土岐会長 委員及び参考人の選び方ということでしょうか。
○石岡委員 ええ。あと、回数ですね。このぐらいの議論で、協議会は十分であるかということなのですが。あるいは、いろいろな意見をもらっても、十分に反映できないという理由の一つに、自分たちがあまりにも忙し過ぎて、仕事をいっぱい抱えていて、時間切れになるのはやむを得ないということなのかどうか、その辺のことを教えてくださいということです。
○土岐会長 最後のところは、かなり反映していただいていると思っていますけれども、まずは、御意見のほうを伺いたいと思います。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 まず、私の今からする回答は、あくまでも国で、このがん対策推進協議会の先生方、委員の皆様方に対してやっていることをお答えするのであって、先ほど来触れていただいている各県の対応について、何かを申し上げているわけではないということをまず御留意いただきたいという前提です。
 その前提で、昨年の秋に、がん対策推進協議会のメンバーも一定数交代があって、その段階でも、これから本格的に協議会で、第4期がん対策推進基本計画を決めていかねばならないという議論の取っかかりのときに、私も何ならそのタイミングで着任しておりますし、委員の皆様方も新しい顔ぶれの先生方がいらっしゃるということで、その背景についてもしっかり御理解をいただいた上で、議論を進めていただく必要があるということで、着任していただいた先生方には、協議会を開催する前に、事前のこれまでの経緯の御説明とか、そこまでに議論になった中間評価に関する議論の経緯についても、一定御説明の機会をいただいていたように記憶しておりますし、各協議会の前には、事前の御説明の場も個々別々に、可能な限りお時間を頂戴して、その資料の策定に至った背景とか、それまで第3期基本計画でどのような形の取組が行われてきたかということの御説明を、できる限り申し上げてきたつもりではございます。
 他方で、石岡委員がおっしゃっていただいたように、その資料が作成された経緯も、説明があったとは言え、例えば、各委員の先生方に1日4時間とか5時間とか時間をいただいているわけではなくて、各資料30分か1時間で御説明しているというのが、お互いに時間の確保できる限界点だというところだと思いますので、その時間の中で、御説明させていただける範囲でやっているということかと思います。
 ただ、それが必要十分かどうかというところは、御指摘があろうかと思いますので、不十分なので、もうちょっと説明してほしいみたいな御要望がもしあれば、おっしゃっていただければ、可能な範囲で応じたいと思っています。
 他方で、今、先生に御指摘いただいたように、我々のほうでも、時間に余裕があるかというと、所掌業務自体は多うございますので、各員、時間をうまく切り回してやっているというのが実態でございますので、これ以上の多くの業務を、余裕を持ってさばけるかというと、そういうわけではないというところですので、事前の御説明の時間を、例えば、今より10倍確保してくれとか言われると、なかなか難しいというところかと思いますが、そこは個別の状況に応じて、必要な御説明とか、ここはよく分からなかったので、改めて教えてほしいとか、そういうものはむしろ忌憚なくいただけたらと思っています。
 というのは、ここは個人的な意見も含めてお伝えしておきますので、その上で、先生方の御意見を反映させることが難しいとお感じのところが、事務局の事務的な都合かというと、そういうわけではございませんで、そこは、そこの時点で反映させられるだけの十分な根拠なり、研究の進捗なり、調査の進捗なりがなかなかないという部分で、お答えが難しいと申し上げているのであって、事務局が忙しいのでやれていませんというわけではないということは申し上げようかと思います。
 すみません。十分かどうかは分かりませんが、以上でございます。
○土岐会長 それでは、実際の市民、患者団体の方から御意見をお伺いしたいと思います。前田委員どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
 本当に、鈴木参考人、井上参考人のお話を聞いて、今まで切り開いてこられたことにまずは敬意を表したいなと思います。
 私は、患者・市民参画について、意見は2点あります。
 まず1つは、委員の構成についてです。先ほど、井上参考人から、代表性や公平性ということが述べられましたけれども、私は多様性や更新性が必要であろうと思います。また、先ほど石岡委員もありましたように、透明性も重要だと思います。多様性という面では、例えば京都は、予防と検診の委員が多く、そのために、予防と検診に施策や予算も多いです。バランスよく議論を深めるためには、椅子に座る委員の多様性という議論だけでなく、椅子そのものも多様で妥当なのかという視点も必要で、こういったところは国もチェックをしてほしいなと思います。
 更新性については、一人の人が長く委員を務め過ぎていることも、私は少し問題だと思っています。先ほど、井上参考人からも、10年は長過ぎるというお話がありました。10年以上委員を務めている都道府県も複数あります。もちろん引き継ぎが難しい、代表性の難しさということもあると思いますが、、一人が長く委員の椅子を占領することで、多様な意見が失われることにもならないかなと思っています。更新制については例えば、2年目の委員と1年目の委員がセットになるようにして、翌年に2年目になった委員が新しく入った委員をフォローするなど、更新とフォローができるような工夫で、更新していってもらいたいなと思っています。
 石岡委員にありましたとおり、透明性については言うまでもないですが、どのような基準で人選しているか、目的とプロセスが分かるような公開が必要だと思います。
 もう一つは、COI、利益相反の問題です。私自身も患者として学会などで発表する際に、COIの開示を求められます。患者・市民参画が広がると、患者や支援団体にもCOIの認識・開示が必要になります。現在の医療者や研究者向けの基準には当てはまらない患者や支援団体にとってのCOIについても考える必要があると思いますし、全がん連でも、今、議論を始めているところです。
 以上、御意見ということで述べさせていただきました。
○土岐会長 ありがとうございます。
 多様性・更新性・透明性、そして、COIマネジメントにつきましての御意見を頂戴いたしました。
 それでは続きまして、大井委員どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 井上参考人、鈴木参考人、地域での取組、あるいは小児がんの中での取組ということで、情報を共有いただきまして、本当にありがとうございます。
 その中でも、先ほど来からある代表性であったりとか、公平性であったりとかということが両氏から御指摘あったかと思います。
 立憲民主党の早稲田衆議院議員の質問趣意書に対して、6月30日に政府が回答を出しております。ささえあい医療人権センター(COML)のメンバーが構成員を務める厚生労働省の審議会や部会、懇談会などの数は35であるという答弁書を閣議決定として6月30日にされております。
 同じ団体とかいうところが、先ほどの前田委員からも多様性ということで御指摘があったと思うのですけれども、様々な人たちが参画するような機会を設けていくことが、国会の中でも議論が始まっているということであれば、患者・市民参画でも、そういう多様性であったり、代表性・公平性をどう考えていけばいいのかということも考えておく必要があります。当初、委員に任命いただいたとき、私も指名されて委員になったという立場ですので、どういう立場で入ってきたかということも不透明ということであれば、不透明ということになります。そういったものを社会に対してどう説明できるのかということの仕組みづくりは重要だなということを、今回のお二方の参考人のお話で実感したところです。
 意見というか、感想までということになりますが、ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、樋口委員どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 参考人の方々、お二人のお話をいただきました。私からは、井上参考人のお話にも関連するかと思うのですけれども、監査委員であったり、何十年もやっておられる方を見ると、ちょっと大丈夫なのかと思ってしまうところがあり、目まぐるしく変わる医療であったり、ゲノムだったりとか、新しい概念がたくさん医療の中に出てきております。それに対応できておられるのかという目線で見てしまうのもありますし、委員の方がお年を召した方だと、私たちのようなAYA世代の声であったり、小児の声であったりを、果たして拾っていただけているのかという心配もございます。国民であったり、市民の皆さんが納得できるような、いろいろな理由であったりとか、目的を示していくことは大事なのではないかと思っております。
 その中でも、今、PPIという言葉も出て、研修などができていますけれども、そのような公的な研修のプログラムを受けているであったりとか、網羅している、それだけの知識があるということを示しておくことも必要なのではないかと思っております。
 以上です。
○土岐会長 樋口委員、ありがとうございます。
 先ほど来、市民・患者の教育プログラムですね。話についていけない、そこに発言ができなくなって、縮こまってしまうというのがあって、ある程度の教育は必要だと思っていますので、こちらも第4期のほうで、患者さんも教育して、参加していただくのは必要だなと思います。
○樋口委員 そうですね。ある程度の事前知識は必ず必要となってくると思いますので、イベントに当たって、そのようなものが身近にあることも大事だと思っております。ありがとうございます。
○土岐会長 それと同時に、知識を超えた、患者さんでなければ分からない熱いメッセージも我々は本当に欲しいと思っていますので、ぜひ、そういうメッセージを頂戴できたらと思っております。
 続きまして、谷島委員いかがですか。
○谷島委員 ありがとうございます。
 お二人のお話は、本当に重要なお話で、勉強になりました。ありがとうございます。
 その中で、1つ確認ですけれども、井上参考人からお話のあった、都道府県協議会における課題についてです。患者・家族の代表が積極的に意見を述べるにしても、知識がないので、なかなか協議会で発言ができないという部分は、これは長年、協議会の委員を続けておられた中で、都道府県の協議会全体で感じられたことなのですか。それとも、千葉県の対策審議会の中で感じておられることですか。
○井上参考人 そうなのです。医療というか、小児がんについての勉強は、30年もたてば、いろいろと身についてくるのですけれども、例えば施設の問題とか、そういった事務的と言うのかしら、そういうことが、どこそこの機械が駄目だとか、その機械を県内の病院が幾つ持っているのかとか、そういうことがいきなり出てくると分からないので、前もって教えていただきたいなと、よく思います。
○谷島委員 分かりました。ありがとうございます。
 私は、都道府県の会議にも参加させていただいているのですけれども、できるだけ事前に勉強して臨むようにしておりますし、自分の経験だけを語るようにならないように、発言に気をつけて、参加するよう心がけています。なので、実際、自分自身ができているとは言えないのですけれども、参加する側も、自分から知識を得て、全体を代表しての意見が言えるような方を選定されるような仕組みが必要なのかなと感じております。
 あと、お二人の話や今まで皆さんからの御意見を聞かせていただいた中で、共通して出ているのが透明性という部分なのかなと思いました。透明性、それが選定プロセスであったり、選定理由であったり、利益相反であったり、その辺の透明性は、皆さん共通して、今後、政策策定に関わっていく中では必要であると感じておられるということを思いました。
 その選定のための価値観というか、指標として、代表性であったり、公益性であったり、公平性というお話がありましたが、今後、時代はどんどん変わっていくと思いますし、時代の動きも速いと思います。それに合わせていくためには、前田委員からもお話がありましたが、多様性であったり、今後の時代に合わせた革新性であったり、先導性、または、今後出てくる主たる課題に対しての当事者性といった、そういったいろいろな価値観とか、指標も必要となってくると思いますので、これからの時代に合わせた選定方法と透明性を考えていく必要があると感じました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 事務局に、選んでいくときの透明性とか、何かそのような方針とか、もしヒントになることがございましたら、教えていただけますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、明確なお答えはなかなか難しいのですが、事務局のほうで、がん対策推進協議会等の協議会や検討会を運用していくに当たって、まず、がん対策推進協議会については、がん対策基本法に基づいて設置されている協議会ですので、そこの中でどのように規定が置かれているかといったところが、ルールがあるものについては、それに則ってやりますというのが1つと。
 例えば、健康局長が意見を聴くために開催する検討の場として設置するような検討会であれば、その趣旨・目的に沿って、どのような方を選ぶかということは、事務局のほうで整理をさせていただいて、各団体とか各構成員になっていただく先生方にお願いをしているというのが実態かと思います。
 他方で、そこの選定のプロセスについて、明確になっているかというと、必ずしもそうである場合とそうでない場合があるというのは事実かもしれないというところですので、そこをどこまで明確化していけるのかということと、どのようなところまでお示ししていくのが、妥当・適切な範囲なのかというところは、いろいろ御議論はある部分かなと思います。
 なので、一概にお答えするのはなかなか難しいというのが、現時点でのお答えになろうかと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
 私も複数のがんの関係の学会の役員をやっておりますと、ついつい全がん連のホームページを開いて、加盟団体とか、何かそういうアプローチに頼ってしまって、本当にどういう方法で選んでいったらいいのかというふうに悩むときは多々ございますので、そのあたりも、委員の皆様から、ぜひ、どういうふうにすればいいのか、御指示をいただけたらと思っております。
 それでは、続きまして、阿久津委員どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 井上参考人、鈴木参考人、本当に貴重なお話をありがとうございます。お二人がずっと築いてこられた道筋が、今の対策をつくっているのだなということを本当に非常に実感しているところでございます。御発表ありがとうございます。
 その中で、都道府県の協議会のところで、患者の人数が圧倒的に足りていないのではないのかなと感じているところでございます。今、この対策協の委員は、樋口さんがAYA世代だったり、前田さんが全がん連から来られたり、谷島さんが希少がんだったりという、私は若干メディアが入っていたり、大井さんは家族だったりというところで、D&Iといいますか、ダイバーシティ&インクルージョンが非常に取られた構成にきっとされておられるのではなかろうかと思いますし、集まられている先生方も:保健でしたら検診がお得意な松田先生であったり、在宅医療の鶴岡先生であったり、皆さん分かれておられてというところで、多分、その意見をきちんと反映させようと、皆さんの意見を聴こうという流れになっているのではないかなと感じている中で、都道府県に下りてくると、それがそうではないところが非常に多いのかなと思っております。
 地域の拠点病院の先生のお名前が並んでいて、その間に、そこを拠点にされている患者団体の方が1人いらっしゃって、もちろんこういう委員がいらっしゃるところもあるのですけれども、圧倒的に、私たちが今、この画面の中にいるバランスとは違うバランスがそこにあって。ですから、先ほど、鈴木さんや井上さんがおっしゃったように、なかなか発表がしづらかったり、次の新陳代謝が入れづらかったりというような環境が生まれるのではなかろうかなと思いますので、そこも含めて、女性役員を3割にするのを国の目標というような感じの目標がよくありましたけれども、患者委員を何%にすることが目標というような具体的な水準みたいなものも、きっとあってもいいのではないのかなと感じているところでございます。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 都道府県のところにどのように踏み込んでいくかという、そういう問題であると思いました。
 大賀委員、どうぞ。
○大賀委員 ありがとうございます。
 PPIに関して、井上様、鈴木様から、御説明いただきましたこと、私は小児血液がん学会の理事長をしておりますので、そういう立場から少し感想を述べたいと思います。
 先ほど、阿久津委員、谷島委員からお話がありましたように、都道府県の状況はいろいろ違うと思いますし、希少がんであれば、小児がんと同じように、患者さんの数が少ないので、なかなかそこの意見が反映しにくいだろうと想像していました。構成員をどう考えるかというのも非常に難しいと思います。
 千葉県での状況を御説明いただきました。今回の構成員の中で、小児医療・小児血液がんにコミットしている私としては、患者経験者としてキャンサーサバイバーの方もいらっしゃいますが、希少がんや小児がんはすごく患者さんの数が少ないので、その意見の反映に関しては、都道府県になりますと難しくなると考えています。この委員のダイバーシティに関して、非常に御苦労された井上様のお話が、地方のひとつである九州として、私も同様なところを感じております。福岡県以外の地方のほかの県でどんな様子かというのは、特に、中国・四国も含めて、西日本のほうは理解しているところでございます。
 したがいまして、国の部分と県の部分で、そういう構成員のダイバーシティが随分違うのではないかなと、そういうところが御発言しにくいところになっているのかもしれないと思います。各都道府県でも、そういうPPIの活動を推進していただけるようにというか、国からの呼びかけもあるとよろしいのではないだろうか、と思いながら、聞かせていただきました。どうもありがとうございました。
○土岐会長 全く同感でございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 井上参考人、鈴木参考人、改めてお礼を申し上げます。本当に、今日は貴重な千葉県、福島県の状態、そして、小児がんの状況、国民会議等の貴重な情報を賜りました。改めて、お礼を申し上げます。
 それでは、その他、委員の先生方から御質問等ございますでしょうか。
 よろしければ、本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお返ししたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 本日は、活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 次回以降の日程につきましては、追って、別途、事務局より御連絡させていただきます。
 本日は終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線2066)