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第129回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)
日時
令和5年6月12日(月)13:00~15:00
場所
オンライン・対面による開催(中央労働委員会612会議室 東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館6階)
議事
○冨安障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。ただいまから第129回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催させていたきます。委員の皆様方におかれましてはお忙しいところ、御参加いただき誠にありがとうございます。本年4月27日付けで委員の改選がありましたので、冒頭事務局が議事進行をさせていただきます。
まずは分科会長の選出について御報告申し上げます。参考資料1を御覧ください。分科会長は労働政策審議会令に基づきまして、本分科会に属する公益委員の代表から、本分科会に属する公益委員の労働政策の審議会の本審の委員のうちから選出いただくことになっております。本分科会におきまして該当する公益委員は山川委員のみですので、引続き山川委員にお願いしたいと思います。参考資料1でも分科会長として二重丸を付けさせていただいているところです。それでは以後の進行につきましては山川分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 法令上選択の余地がないということで、引続き分科会長を務めさせていただきます山川でございます。よろしくお願いいたします。早速ですが労働政策審議会令に基づきまして、当職が分科会長代理を公益委員の中から指名することになっております。こちらにつきましては、渡邊委員にお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
本日は倉知委員、小西委員が御欠席です。冨高委員と新田委員は会場にお越しいただいております。また、山口委員は途中で御退席と伺っております。それから小西委員の代理といたしまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
○菊地代理 よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 では議事に先立ちまして、4月27日付けで障害者雇用分科会の委員に新たに就任された皆様を御紹介させていただきます。一言御挨拶をお願いいたします。公益代表委員につきまして小原美紀委員が退任されました。高知県立大学文化学部の教授であられる大井方子委員が就任されております。
○大井委員 大井方子です。高知県立大学文化学部です。よろしくお願いします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。同じく公益代表委員で中川正俊委員が退任されまして、北里大学大学院医療系研究科教授、田中克俊委員が就任されました。
○田中委員 北里大学の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。同じく公益代表委員につきまして、長谷川珠子委員が退任されまして、筑波大学ビジネスサイエンス系准教授、渡邊絹子委員が就任されておられます。
○渡邊委員 筑波大学の渡邊でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 よろしくお願いします。使用者代表委員では山内一生委員が退任されまして、株式会者日立製作所人財統括本部人財業務本部長兼人事勤労本部エンプロイーリレーション部長、松永恭興委員が就任されておられます。
○松永委員 すみません、遅れました。日立の松永です。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。次に障害者代表委員につきまして下屋敷正樹委員が退任されまして、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事、新銀揮子委員が就任されました。
○新銀委員 みんなネットの新銀でございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。同じく障害者代表委員につきまして竹下義樹委員が退任されて、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合評議員、田中伸明委員が就任されました。
○田中委員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。新委員の皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。また、引続き就任される他の委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の分科会はZoomによるオンラインでの御参加と会場からの御参加の両方となっております。開催にあたりまして事務局から説明がございます。
○冨安障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。簡単ではございますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。本日分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにしてお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦いただければと思います。オンライン会議に関する説明は以上です。
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、カメラ取材の方につきましてはよろしくお願いいたします。
議題(1)が、法改正に伴う令和6年度施行分の政令・省令・告示案要綱について(諮問)になっております。(2)が、2022年度の年度目標に係る評価及び2023年度の年度目標の設定についてになります。(3)が、その他となっております。では、議題(1)につきまして事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは議題(1)につきまして、資料1-1、資料1-2、関連するものといたしましては、参考資料に2として前回の資料を御用意しておりますが、中心的に資料2-1で御説明を申し上げます。
今回は、これまで御議論いただいておりました内容に基づき、法改正に伴います令和6年度施行分の政令・省令・告示案要綱につきまして諮問を申し上げるもの、資料1-1として案の要綱を御用意しております。それにつきまして、資料1-2で内容の確認をさせていただきたいと思います。
資料1-2、今回の改正につきましては3つの柱立てがあります。1点目が、障害者雇用納付金助成金の整理・拡充につきまして、関連する省令・告示。2つ目が、障害者雇用調整金・報奨金の支給調整につきまして、関連する政令・省令。併せまして3点目が、特定短時間労働者等の特例に関連する省令・告示案につきまして、諮問を申し上げたいと思います。
2ページです。まず1つ目が、今回の助成金を新設しております1本目です。加齢により、職場への適用が困難となった中高年齢等障害者の雇用継続への支援といたしまして、35歳以上の方の継続的な雇用が図られるように、事業主の皆様方に措置をしていただきます施設設備の関係、職務遂行のための能力開発の関係、併せまして、業務遂行に必要な者の配置又は委嘱ということです。これらにつきましては、助成金としては新設させていただきましたが、メニューといたしましては、35歳以上の方が既存の助成金から切れ目なくお使いいただけるということであり、それぞれ既存の助成金に拡充メニューとして追加をしていくという形で、分かりやすさ、使いやすさを踏まえ整理させていただいております。
以下、ポイントのみ御説明しますが、基本的には原則、既存のメニューと同様の形での支給額等を設定しております。1つ、全てにつきまして、中小企業又は調整金支給額等の減額が生じる事業主の皆様方には上限等を引き上げることで対応していることと、併せて、支給額等マル3にあります職場支援の部分、委嘱に関しましての上限の設定につきまして、※2として記載をしておりますが、既存メニューですと委嘱に対しまして月4万円を上限としております。つまりは、1回あたり1万円ですので、月4回という形になるわけですが、この支援につきましては支援期間、支給期間6年間を最大としております。この6年として、その期間の中において柔軟にお使いいただける設定とすることとし、4回×12月×6年ということで上限288回という上限の設定の仕方をさせていただいております。いずれにしましても、支給期間について下の四角囲みにありますように、それぞれ既存のメニューと同等の設定をさせていただいております。
これらの中高年のメニューにつきまして、既存の助成金に組み入れて整理をするという中におきまして、そもそも組み入れる先の既存の助成金のメニューを整理させていただいております。それが、3ページになります。
3ページ、特にこの中高年齢等のメニューを加えました中におきまして、障害者介助等助成金の部分につきまして、分かりやすさ等も考慮した上で、助成金のメニュー、整理・拡充等を行いたいと考えております。これらにつきましては助成率4分の3、継続について3分の2であります。それぞれの助成上限額等を下の表に整理しております。
まず、職場介助者の助成金につきましては、四肢機能、視覚障害の方たちを対象としておりますが、視覚障害の支援措置については事務的業務と事務的業務以外という形での支援の区分がそれぞれ設けられており、事務的業務以外につきましては、継続の配置も措置がなされていないこと、上限額につきましても委嘱の部分につきまして多少低額に設定がなされておりました。これらにつきましては、今般、改正案としてお示しをしておりますとおり1本化をさせていただき、措置がなかったものについて措置をするとともに、上限額につきましては高いほうの上限に寄せる形での拡充をさせていただくことを考えております。併せて下側、聴覚障害の方に対する手話通訳等の助成になりますが、こちらにつきましても現行は委嘱のみ、そして1年間企業に対して28万8,000円での上限を課した上での6,000円という形での額になっておりますが、これにつきましても今御説明しました職場介助者の助成金、支援の中身に合わせてそれぞれ措置をしていくという整理をさせていただきたいと考えております。
4ページです。今、御説明した以外に、障害者介助等助成金につきまして、新たにメニューを拡充しております。まず上ですが、医師に対しての委嘱、精神保健福祉士等専門の資格を有する方たちの相談体制につきまして、配置又は委嘱。能力開発に関して、向上措置など5条の改正がありましたので、それらに対して専門的な支援ができるキャリアコンサルタントの配置、委嘱。これら介助、支援者等につきましてその者自らの能力開発、資質の向上といった措置につきまして支給対象としていくと、新たに規定を設けております。
まず助成率につきましては4分の3ですが、医師の委嘱につきましては1回当たり2万5,000円、上限年間30万円ということ。併せまして専門職等の配置につきましては、配置1人につきまして月当たり15万円、委嘱は1回あたり1万円、年上限150万円ということ。御本人ではなく、その支援を行います介助者等の方たちに対しての能力開発につきましては、費用の3/4助成といたしました上で、1事業主100万円を上限とさせていただくということです。配置委嘱につきましては、支援期間は10年間ということです。
続きまして、5ページです。その他のメニューの拡充等につきまして御説明申し上げます。まず1点目が、職場適応援助者の拡充です。訪問型企業、在籍型それぞれでありますが、訪問型につきましては、単価につきまして4時間で区切る部分の取扱いは変えておりません。なお精神につきましては、3時間ですが、4時間以上18,000円、4時間未満9,000円と引上げをさせていただくのと、支援ケースごとに支給決定し、1日当たりの上限を3万6,000円、企業在籍型につきましては現行2回以降の支援は対象外としておりましたものを支給回数の上限は撤廃し、1年度当たり上限300万円で、助成金額の上限を措置するということで見直しをさせていただいております。5ページの下です。視覚障害の方に対する通勤等、自立的に通勤するまでの間の措置ですが、現行1か月としたものを3ヶ月に拡充しております。
6ページです。障害者の雇用啓発活動に係る支援の新設をしております。それぞれ右に書いてある額等、謝金をお支払いするという方向で、この支援措置に対しての規定を新たに設けております。
7ページです。もう1つ法改正におきまして、新たに創設をいたしました助成金です。障害者雇用に関する相談援助のための助成金につきましての規定です。まず支給対象といたしまして、労働局長の認定を受けた上で、雇用管理に関する援助事業を行うものとさせていただきますが、これにつきましては特例子会社が親会社等を対象にして支援をし、その上で親会社等に対しての雇入れが実現した場合に、この相談に係る部分について支給をするという規定がありますので、それに応じた形での対象を規定しております。それぞれにつきまして、相談援助事業を行ったその部分についてと、その上で雇入れが実現した部分につきまして、それぞれ支給するということを規定しております。
支給額につきましては、相談援助の部分につきまして60万円、中小事業主又は除外率設定業種に対する支援に対しては80万円とし、雇入れ実現に対しましては6か月の定着を見た上で、1人当たり7.5万円、中小事業主等、対象事業主にあっては10万円を上乗せ、1企業当たり4人までを上限とするということ。併せまして、相談の対象となります事業主につきましては1回、支援対象とするということにしております。
8ページです。事業者の要件に関する規定です。行われます相談援助事業等が、その質を担保しながら適正に行われるということですので、要件としてまず法人という要件と、その上で相談援助の業務又は実務の実績を有することを要件としております。併せて、その法人等につきまして事業実施責任者、事業実施者それぞれを配置することです。今回、事業実施責任者につきましては業務や実務に5年以上従事し、その上で、うち2年以上総括的な指導、監督の立場で従事した経験を有するという規定を置かせていただきたいと思っております。これにつきましては、サービス管理責任者等についても5年といった一定の考え方があることと、事業実務者につきまして3年以上業務経験あるいは従事した経験で考えておりますが、これにつきましても現在ジョブコーチの作業部会におきまして実践経験豊かなジョブコーチについて実務経験3年以上ということを議論していることもありますので、この辺りも踏まえて3年以上と置かせていただいております。
要件といたしましては、まずこの事業者自体が法定雇用率以上の障害者を雇用していること。また労働局又は高齢・障害・求職者雇用支援機構が行う実施状況等に関する調査への協力。併せまして、その他要請に応じること、それから個人情報について適切な取扱いの措置が講じられていることです。併せて欠格事由といたしましては、まずこの障害者雇用相談援助事業として認定を受けた後、認定の取消しを受けた事業者につきまして、5年を経過していない者を除くということ。ただし、この要件からは法定雇用率の一時的な未達成ということも考えられますので、法定雇用率以上の障害者の雇用に関する要件、あるいは自ら相談支援事業自体、事業廃止等の届出を行って、認定の取消しを受けた者につきましては除いていくということです。それから、労働関係法令に違反する重大な事実がある者、あるいは不正受給等により雇用関係助成金の支給要件を満たさない者ということで、規定を置かせていただきたいと考えております。
9ページです。申請及び認定に当たり、これら一連の相談援助自体を行う能力を有することを確認するということで、具体的な実績又は経験の内容を記載した書面等を提出することを求めるもの。併せて、この内容につきまして変更が生じたとき若しくは廃止や休止あるいは再開といったようなこと、報告の義務です。それから取消要件といたしましては、事業者要件を満たさなくなった場合ほか、適正にこの事業を実施する能力を有すると認められなくなったとき、又は正当な理由がなく労働局等が行う調査に協力せず、又は適正な指針に関する要件に応じなかった、要請に応じなかったとき、そのほか偽り、その他不正な手段において認定を受けたとき、正当な理由なく申請内容の変更報告をしなかった又は変更に係る虚偽の報告をしたときなどを、認定を取消すことができるという規定を置いております。そのほかこの助成金につきましては、令和6年4月1日施行とさせていただきますが、それ以前この事業者の認定など、準備行為を行わせていただく規定を設けております。
10ページです。これまでの審議会の議論におきましても、助成金につきましては、なるべくこの支給手続の簡素化や柔軟な対応ということの御意見を頂いております。それらにつきまして、できる限り対応していく一方で、不正受給につきましては強化することを御議論いただいておりました。不正受給対策につきましては、障害者雇用促進法、納付金助成金についての規定になりますが、雇用保険二事業におきまして措置をされている各種助成金につきまして、雇用保険法施行規則におきまして同様に不正受給対策の規定がありますので、これと併せて不支給要件、それから返還命令、事業主名等の公表につきまして、同様に規定を置かせていただくものです。
助成金関係で言いますと、最後になりますが、特定短時間労働者の取扱いを今般創設しておりますので、雇入れ助成金等につきましては特にこれを対象とするということにはしませんが、雇い入れた後、様々な措置をする部分につきましては、納付金助成金としてはこれを対象としていく方向性の中で、施設設備等につきまして支給上限額は、一般労働者等の2分の1とする。併せて人員の配置等につきましては、支給額を一般労働者の4分の1とする規定させていただいております。
それから、今回の要綱(案)の中の2点目に移ります。障害者雇用調整金・報奨金の支給調整につきまして、令和6年度からの施行となっておりますが、まず1点目です。調整金、支給調整につきましては、支給対象人員が10人を超える場合に23,000円とする。この超える部分の人数につきまして、政令で規定を置いていきます。年間の人数になりますが、120と規定しています。併せまして支給額につきまして23,000円、あるいは報奨金についての35人を超える部分の人数と、16,000円と額につきまして省令で規定をするものです。この調整金等の支給調整につきましては、以前この部分につきまして御議論いただきました際に、意見書との取扱いについての整合性について口頭で御説明申し上げました。その設定の考え方と併せて、分科会の意見書とりまとめ時からの状況の変化等を踏まえて、精査を行ったところの御説明をした中身につきまして、改めて資料の中で整理しております。基本的な設定の考え方につきましては当然変えておりませんが、意見書とりまとめ時からすると、その後、直近の障害者雇用に要する費用の実態あるいは納付金財政の状況等、事業主からの指摘なども精査し、改めて調整金額等の調整額を設定したものと、報奨金につきましても、その後、様々指摘をいただきましたことも踏まえ、調整金とおおむね同様の調整割合としたものです。
最後のページになります。3点目です。特定短時間労働者の雇用率算定につきまして。本件につきましては令和6年4月から重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者に対して、特例的に取り扱うものでありますが、特定短時間労働者の労働時間につきましては、大臣告示におきまして10時間以上20時間未満と規定させていただくものと、カウント算定の人数につきまして1人をもって0.5人とする規定を省令に置かせいただき、併せて、この取扱いからはA型を除く取扱いとすることも、省令で規定をしてまいります。
今、御説明申し上げました中身につきまして資料1-1におきまして、政省令、告示案要綱としてお示しをしております。この要綱につきまして諮問をさせていただきたいと思っております。御説明としては以上です。どうぞ、御議論をよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。本件については、基本的な内容については、これまで御議論していただいてきているところですが、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問が出されました。当分科会としては、本件について議論を行って、検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと思います。
それでは、質疑応答に入ります。御質問、御意見がありましたら、Zoom参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名した後に聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗ってから御発言をいただくようにお願いいたします。会場参加の皆様は、挙手をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。冨高委員、お願いします。
○冨高委員 労働側委員、連合の冨高です。諮問内容については、この間、議論してきた内容が反映されてきたものと考えております。その上で、今回、新設や既存の見直しなど様々な拡大や充実が図られるなかで、障害者の能力開発が適切に行われることや、個人の状況に応じたきめ細やかな環境整備が行われることが重要だと考えております。とりわけ、事業者等に対して、分かりやすい周知を行っていただくとともに、事業者の質の担保も含めて、制度趣旨に沿った運用がされるよう努めていただきたいと思います。
また、助成金の運用や内容に関しては、今後も引き続き議論しながら、適宜見直しを図るということでしたので、利用状況の把握に努めつつ、ニーズに沿ったものとなるように見直し等を検討いただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、大谷委員どうぞ。
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。なかなかいいふうにまとめていただきまして、ありがとうございます。特に、8ページの年数をここで3年と5年という形、また項目についてもはっきりとした掲示をしていただきまして、ありがとうございます。一番気になっていた部分ですので、これがどのように運用されるかということがあると思いますが、いい具合にまとめていただいたと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。影山委員、お願いします。
○影山委員 横浜市大の影山です。これまでの御議論を反映している内容なので、これ自体はよろしいと思います。運用に関わって、2点ほど御意見を申し上げたいと思います。
資料1-2、4シート目にキャリアコンサルタントと記載してある能力開発の部分です。障害者の方もキャリアパスに関心を持っていて、それがモチベーションになるという方もよくいらっしゃいますので、その点では健常者も障害者も違いはないので、このようなキャリアコンサルタントのような専門の資格を持つ方が、障害者の相談に乗れるというのは良い制度だと思っております。ただ、キャリアコンサルタントというのは、恐らく障害者に直接対応する方になるのですが、社労士の中には障害者の方も視野に入れて、社員のワークエンゲージメントを高めるアドバイスを経営側に行っている方たちもいらっしゃいます。社労士も障害者の就労に関して、相談を受けられるような制度運用を御検討いただけるとよいかなという気はいたします。
もう一点ですが、キャリアコンサルタントの方を拝見しておりますと、障害者の方へのアドバイスを想定していない方も少なくないような気がいたします。原因としては、試験問題でも障害者雇用の問題は出題されていなかったり、障害者をキャリア相談の制度から外しているような企業さんもあるようなことが背景にあるような気がいたします。受験にも関係なくて、ふだんから相談を受けることもなければ、実務経験も積みにくいと思いますので、キャリアコンサルタントの皆さんが障害者対応をきちんと意識してスキルを磨くことを意識していただけるような方策を、厚労省でも考えていただけるとよろしいのではないかなという気はいたします。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございませんでしょうか。新田委員、お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明ありがとうございました。私も御説明を聞いていて、これまでの議論をまとめた法改正を、今回は政省令並びに告示に落とし込んだものと理解しております。異論はありません。その上で、改めて本日の説明を聞いて、今回は特に助成金の創設や拡充をかなり行っていただいたと理解をしております。
先ほど、冨高委員からもお話がありましたように、しっかり周知をしていただくことと、今回、どのような形で支給が出ていくのかというのは、なかなか見えない部分がかなりありますので、やはり年度を通じ安定的に支給を行われることが非常に大事だと思っております。したがって、支給状況については適宜、十分にチェックをしていただいて年度の途中で支給が滞ることのないようにお願いをしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかには御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。内容については、特段御異議はなかったように思います。今後の運用は、周知面の充実ないし工夫も含めた今後の運用について有益な御意見を頂きました。また、今後の検討すべき課題についても幾つか御指摘を頂いたところです。
今回の諮問事項については、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認めてその旨を分科会長名で労働政策審議会会長宛てに御報告を申し上げたいと思っております。御意見ございますでしょうか。御意見がありましたら、同様の方法で御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案のスクリーン表示)
○山川分科会長 今、表示されておりますように、妥当と認めるということで労働政策審議会会長宛てに報告をするということで御異議ございませんでしょうか。御異議ございましたら、御発言をお願いいたします。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんでしたので、そのように報告をさせていただきます。このように労働政策審議会会長宛てに報告いたしましたあと、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申をするという運びになります。ありがとうございました。
では、議題(2)に移ります。2022年度の年度目標に係る評価及び2023年度の年度目標の設定についてです。2つありますので、まず、2022年度の評価について、次に2023年度の目標と分けて御議論を頂ければと思います。まず、2022年度の年度目標に係る評価について事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。まず、2022年度目標の評価について資料2-1、資料2-2を用意しておりますが、資料の2-1を中心に説明いたします。
本分科会において設定いただいております目標につきましては、柱立てとしては3本あり、それぞれについて2022年度の実績等評価を説明します。まず1ページの1つ目の括弧の所です。まず、◎ハローワークにおける障害者の就職件数について、これにつきましては通常ですと前年度以上の件数を目標に設定いたしますが、2022年度につきましてはコロナ影響等様々あった中でのこの2年度間、実績がかなり落ち込んだ時期もあり、このコロナ禍前である令和元年度以上に戻すということを1つの目標として、少し通常の考え方とは異なりますが、令和元年度の実績である10万3,163件以上ということを目標に取り組んでまいりました。その結果、2022年度の実績は10万2,537ということで、10万件は超えましたけれども、目標には少し及ばなかったという状況です。
これらについて分析した2つ目の○です。資料2-2の1ページを御覧いただくと、2020年、2021年度と2年度間10万件を割り切っていた就職件数でしたがこれが、数年ぶりにこの10万件台に乗ったということです。我々としてはコロナ禍以前の状況に戻りつつあると考えておりますが、この改善した要因、大きく影響したのはやはり新規求職申込件数が戻ってきたということだと思っております。特に、コロナ禍においては精神の障害者を中心に、解雇者数がある程度生じましたが、その後、ハローワークに求職登録にいらっしゃる方が非常に減少したというところでの特徴がありました。これらの部分、やはり求職活動が停滞していた部分がかなり、コロナ禍前まで改善が図られたということで、コロナ禍以前の2019年度の実績も上まわる水準になっております。
併せて就職先として比較的高い割合を占めております「医療・福祉」、「製造業」、「サービス業」、「卸売業、小売業」この業種につきましては、特に令和3年度については「卸売業、小売業」が若干、求人の改善が遅れておりましたがこれが、令和4年度(2022年度)については求人の増加幅が拡大したということで、障害者の就職先としての、この4大領域についての求人がほぼ回復しててきているということ。ただ、一方で、今一歩、令和元年前の就職件数に戻らなかったという部分につきましては、それ以外の求人についてやはり、まだまだコロナ禍以前の水準まで回復に至っていないということかと思っております。
2ページです。このため、今年度につきまして、引き続き所内チーム支援を行っていくということ、それから、少しずつ事業所訪問等がかなうようになってきておりますので、企業に対して直接的にアプローチをして、一般求人を障害者求人に開発するといったようなこと、求人者・求職者双方に対しての適格紹介、マッチング支援を行っていくということ等を加えて、特に今後は、雇用率の引上げに向けて、雇用指導についても力を入れてまいりますので、この雇用指導に際して把握した企業側の様々な情報等を、所内の職業紹介をする部署、部門と、しっかりと情報共有を図り、マッチング機能をさらに意識的に強化をしてまいりたいと思っております。
それから2つ目の目標に対して、障害者雇用率関係については、今年の6/1状況について評価をしますので、ここについては、また、年度内をめどに、公表するものを踏まえて評価をさせていただきたいと思っております。
それから最後に3つ目の目標です。精神障害者雇用トータルサポーターの支援実績については2つの目標を設定しており、1つは精神障害者雇用トータルサポーター、所内におります精神保健福祉士など、資格を持った専門相談スタッフですが、このサポーターの相談支援、集中支援期間3か月としておりますが、その間に、就職に向けた次の段階へ移行した者の割合、長期的には具体的な求人に応募をする、あるいは職業訓練受講を開始する、また、それらの結果、就職を実現するといった者の割合です。
3ページです。2022年度の目標が75.6%以上、これに対して実績は83.0%と目標を達成しております。それから2つ目の目標は、その次の段階に移った方の中で、就職を実現した方の割合ということで、目標が84.3%以上に対し86.2%ということで、こちらも、目標を達成しております。これらについての分析です。大きくはやはり、新規就職申込者件数、半数以上占めております精神障害の方がハローワークのほうに戻ってきたということ、新期求職者の増という分母全体が膨らんだ中で、意欲の高い方たちをこの支援対象の中に入れて求職活動・支援をしているわけですが、その求職活動の維持というのも、コロナ禍においては極めて難しかった部分がありますが、現行、少しずつ行動制限の解除に伴い、例えば同行紹介であったり、職場見学・職場実習という形で、実際に御自身が働く場であったり、働く仲間たちについて事前に知るということで、自信を持って求職活動の意欲自体を維持する、あるいは、向上することが図られたといったようなことから、実績が改善してきたと思っております。
ただ、地域によってはまだまだ事業所訪問等について積極的に受け入れない状況も続いている局もありますが、そういったところにつきましても、職場見学、実習、個別求人開拓など、なかなかかなわない部分につきましては最後のページですが、様々な支援ツール等も活用しながらこれを補完して、着実に支援を実施してまいりたいと考えております。事業の評価につきましては以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等はございますでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明いただきありがとうございました。今、一通り御説明を受けて特に私が着目しておりますのは、最初のハローワークにおける障害者の就職件数というところでございます。2019年度、すなわちコロナ前の状況に戻すという目標を掲げられたときに私が思ったことは、実にチャレンジングな目標を設定されたと非常に前向きに受け止めておりました。
結果のほうも、目標自体には数字としては届いておりませんが、2年度連続で増加もしておりますし、件数も10万件を上回ったということで、目標にかなり近い実績が示されたと認識をしております。ハローワークをはじめ、厚生労働省の関係者の皆様の御尽力並びに各施策の推進による成果と、率直に受け止め評価をさせていただいているところでございます。この取組を今後もしっかりと続けていただきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは大谷委員お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。よろしくお願いいたします。2点ほど数字的な問題ではないのですけれども、調整される方が全国的にどうなのかと少し気になっている部分としまして、ハローワーク内でそれを調整される方が、兼務兼務という形でやられる部分は多々あるとは思います。場所場所によって、やはり支援の在り方が変わってくるのではないかと思いますので、それによってやはり数字、雇用していく方々のことも違うということも考えられますので、その辺の調整もお願いしたいということがあります。
もう1点、トータルサポーター支援のことなのですけれども、育成会の関係として言いますと発達障害の方、精神障害手帳の手帳をお持ちの方もあるのですけれども、そうでない方もおられます。療育手帳をお持ちの方という形もあるので、この辺について使えると判断はしているのですけれども、精神のほうの手帳でないと絶対駄目というような感覚的なものがあるのかどうか、その辺のことをお伺いしたいのでよろしくお願いしたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。2番目の、後者は御質問だったかと思いますので、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 御質問ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。後者の部分、精神障害者雇用トータルサポーターについて知的障害であっても療育手帳をお持ちの方以外にも、例えば発達障害の診断を受けながら福祉手帳を持っておられたり、重複する方で福祉手帳を持たずに発達障害という障害名だけの方もいらっしゃるかと思いますが、いずれにしても精神障害者雇用トータルサポーターにつきましては、発達障害の診断を受けている方も対象とはさせていただいておりまして、このほかハローワークには発達障害者のトータルサポーターもおりますが、両面からの支援が可能になっておりますので、御本人の手帳のみならず御本人の主訴なども留意しながら、適切に対応して支援を申し上げたいと思っているところであります。以上でございます。
○山川分科会長 大谷委員、何かございますか。
○大谷委員 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いしたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。新銀委員、お願いします。
○新銀委員 みんなネットの新銀でございます。精神障害の方々のトータルサポート、そこが本当に充実しているのだなということで改めて有り難いと思いつつ、一方でトータルサポーターの若い方たちが、経験が浅くてなかなか就労につながらなかったという事例もあるのかと思いますので、更に各種の支援のツールのさらなる活用を図りというところがあるのですけれども、具体的にはどういったことが想定されるのでしょうか。教えていただければと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 御質問ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。最後のページにも書いてございますが、高齢・障害・求職者雇用支援機構などを中心に開発をしておりますナビゲーションブック、これは御本人が御本人の障害の認識をしっかりと深めていただいて、どういう支援が必要だとか、どういうときにどういう対応があると助かるとかといったことも含めて、御本人の理解と、それから併せて当然雇入れ側の企業に対しても御理解を求めていくもの、適正な雇用管理上の配慮をお願いする際の、1つの材料になるものであります。併せまして就労パスポートは、更にフォーマットを統一しまして分かりやすく記載いただく形で整備をしております。
これ以外にも、精神障害の方を中心にということかもしれませんが、御本人の障害の理解を深める支援にもついて整理をするツール、これらについてハローワークの中で活用していくことでやっておりますが、御指摘のように、例えばまだ配置して間もないような経験の浅いトータルサポーターも含めまして、今般、ツールの活用について研修を設定して実施しております。そういった形で所内の先輩トータルサポーターからの指導に加えまして、本省としても中央で研修なども立案、実施をしまして両面で経験の浅い者についても、充実した支援が可能となるような形で対応を図っていくところでございます。以上です。
○新銀委員 ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。個人的には今般のコロナ禍の下での求職活動への意欲の重要性が特に浮かび上がった。あるいは、意欲を高めるための対応の重要性ということを感じた次第でございます。
では、後半の議題2について2022年度の年度目標に係る評価については議論は以上とさせていただきまして、事務局案のとおりに取りまとめたいと考えておりますがよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。議題(2)の後半であります2023年度の年度目標の設定について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。2023年度の年度目標(案)につきまして、資料2-3で御説明します。まず、年度目標の考え方につきましても別添としてお付けしておりますが、3つのその柱立てそれぞれにつきまして、具体的な数字の確定をさせていただくということで御説明します。まず、1点目、ハローワークにおける障害者の就職件数につきましては、通常ですと前年度以上の実績でしたが、先ほど御説明したとおり、昨年度につきましてはコロナ禍前を目指そうということで、10万3,163件のこれ自体は元年の実績になっておりました。先ほど御説明したとおり、昨年度の実績自体はこれまでの前2年度に比べますと10万件に乗ってきておりまして、併せて元年の数字にもうほぼ並ぶ件数になっておりますので、今年度2023年度の目標につきましては、これまでと同様、原則の考え方に戻りまして、前年度の実績以上とさせていただこうと思っております。具体的には10万2,537件以上と御提案させていただいております。
2点目です。障害者雇用率関係で2つの目標値を設定しております。1つは障害者の雇用率達成企業割合で、この目標につきましては、遡ること過去10年間雇用率達成企業割合の伸び率の平均を、前々年度の実績に加えて目標として置いております。ただし、原則はそうなのですが、2023年度目標を評価するのが、2024年6月1日の雇用状況報告に基づくことになりますので、来年の4月に雇用率が0.2ポイント引き上がるというタイミングを挟んでおります。こうしたケースの場合、雇用率を引き上げると達成企業割合はやはり残念ながら低下をしておりますので、この雇用率引上げの影響を過去引き上げたときの実績を踏まえ、それを加味した上で、10年度間の伸び率とそれから雇用率引上げによる引下げの要素とプラスマイナスしまして、前々年度の実績に加え、2023年度につきましては46.6%以上という目標にさせていただきます。
2つ目の雇用ゼロ企業のうち、新たに障害者を雇用した、いわゆるゼロ企業脱却割合です。これにつきましては3年度間の平均を用いて設定をさせていただいておりました。コロナ禍の影響がありましたので、今回、3年度間の平均を出しますと、13.33%となり、2022年度の目標を下回る状況になりますので、このようなケースにつきましては、前年度の目標をそのままスライドさせまして、引き続き取り組むことがこれまでの対応になっています。したがいまして、2023年度の年度目標は、15.2%以上の昨年度の目標をそのまま、改めて設定しまして取り組ませていただきたいと考えております。
3点目です。精神障害者雇用トータルサポーター支援実績、1つ目の次の段階へ移行した者の割合、それから2つ目の、そのうちの就職した割合、いずれも3か年割合で設定をするのが原則の考え方です。1点目は3か年平均78.8%以上ということで、昨年度75.6%以上の目標よりも上回る目標値になっています。これにつきましては、3年度平均そのままの78.8%以上を目標に設定させていただければと思います。
2点目の就職した者の割合は、就職の割合がコロナ禍で落ち込んでいた年度を2年度含んでいますので、3か年平均しますと、83.9%で前年度の目標を下回りますので、こちらも84.3%以上という前年度の目標をそのままスライドさせまして、今年度も引続き取り組ませていただければと思っております。以上、5点の目標値につきまして御審議をお願い申し上げます。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは2023年度の年度目標につきまして、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら所要の方法で御発言をお願いいたします。新田委員お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。今御説明いただいた2023年度の年度目標(案)について、おおむね違和感なく聞いておりましたが、1点だけ申しあげます。最初の項目、ハローワークにおける障害者の就職件数について、先ほどの2022年度目標の評価のときに、2022年度は2019年度の実績を目標に掲げて、それにかなり近い数字まできたことを率直に評価するコメントをさせていただきました。それからすると今回の2023年度の目標はいささか残念なものがありまして、ほかの項目ではその前年度の目標を下回らないようにと、前年度の目標がそのまま今年度の目標として掲げられている項目があるのに対して、この項目だけ前年度実績に戻ってしまっているということです。先ほど御説明があったとおり、これからおそらく事業所の訪問等も再開する中で、この数値目標の達成に向けて、より一層尽力されると理解をしておりますので、是非とも目標は2019年度実績、要は前年の目標数値を維持して、取り組んでいただきたいと思います。
一番最後の精神障害者雇用トータルサポート支援実績の所も、前年の目標をそのまま変えないで、その目標の達成に向けて取り組んでいただきたいと思っております。ただ、皆さん御承知のとおり、精神障害のある方の就職につきましては、就職したその後の問題、すなわち職場定着が非常に重要な課題と認識をしておりますので、この点の取組やサポートといった部分も、引続きの御尽力並びに拡充を是非ともお願いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。御提案もありましたが、ほかの委員の皆様方からも御意見を伺いたいと思います。冨高委員どうぞ。
○冨高委員 労働側、連合の冨高でございます。先般改正された内容も含め、障害者雇用促進法の趣旨に則りながら、さらにこれから障害者雇用を促進していかなければならないことを踏まえれば、前年度の目標や実績を比較して、より高い数値をその当該年度の目標数値とするといった積極的な取組も検討できるのではないかと思います。こうした観点から言えば、先ほど新田委員からもありましたが、1つ目のハローワークにおける障害者の就職件数に関する部分については、2022年度の年度目標を踏まえることが望ましいのではないかと考えております。
併せて、3点目のトータルサポーターの支援実績に関する年度目標に関しては、実績がより高くなっています。ここは3か年の平均が原則という話でしたが、この目標数値についても高い実績に合わせるのも一つの考え方ではないかと考えております。
少なくとも、目標を下げるのはどうかと思いますので、ハローワークにおける障害者の就職件数に関しては見直したほうがよいと考えます。
次に、障害者雇用率についてです。2022年度の実績が調整中である中、次の目標を考えなければいけないということは、やはり課題があるのではないかと思います。次年度以降も含め、どのような目標設定ができるのかどうか、検討いただきたいと思います。
また、就職のみならず、職場定着が非常に重要であり、今後継続的に雇用促進を行っていただくとともに、持続可能な就労としていくためにも、中小を含めた受入れ企業に対して、受入れのための支援に限らず、障害者の方が安心して働き続けられる定着支援に積極的に取り組んでいただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。先ほど新田委員から御提案がありました、冨高委員もおおむね御賛同ということでしたが、事務局として御検討はいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。御指摘を頂きました就職件数については、コロナ禍を挟んで昨年度元年以上を目指すということで一旦取り組んでまいりまして、ほぼ事務局としては並ぶ数字が実績として出てているので、原則のとおり前年度以上というように御説明申し上げましたが、頂きました御意見、御指摘を踏まえますと、やはりこれから雇用率が引き上がっていく中で、我々ハローワークにおいて、現場が積極的にここを進めて雇入れをお願いしていく立場ですので、御意見を頂いたとおり、昨年度設定した目標値と同様に、改めて令和元年の実績値を今年度の目標として設定し、引き続き取り組んでいくこととさせていただければと思います。
それからもう一つ、精神障害者雇用トータルサポーターの実績につきましては我々としても83.0という実績は極端に引き上がった感じを受けておりまして、先ほど申し上げたように、過去2年間において極めて精神障害の方を中心に求職活動が低迷していたという中で、若干それらで足踏みをしていた方たちが、一気に積極的に求職活動に入ってきたという部分、イレギュラーの要素もあるのかなと思っております。ただ、この移行した者の割合については、実は取り方を少し令和2年のところから変えているので、それ以前まで遡って、元年前の数字と純粋に比較ができないこともありますので、今年度の目標につきましては原則3年度間の平均でやらせていただいて、また、今年度の状況を見まして、この移行の割合についてかなり目標を上回ってくるような形が引き続くようであれば、少し検討させていただきたいと思っております。少し実績を精査する時期を頂ければと思っております。
○山川分科会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明で、それから新田委員、冨高委員もそうであったかと思いますが、より強いというか、明確な御要望としてはこのハローワークにおける障害者の就職件数をコロナ前とすると、高いほうになるということですが、そちらについてほかの委員の皆様はいかがでしょうか。具体的に申しますと、2023年度の年度目標(案)が現在一番上、ハローワークにおける障害者の就職件数ですが、10万2,537件以上となっているところを、10万3,163件以上というように上方修正するという御提案ですが、それでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特段御異議がありませんでしたので、このように修正させていただきたいと思います。御提案どうもありがとうございました。
ほかは、将来的な検討課題の御指摘も頂いたところです。こちらは今後検討をお願いするとして、以上の修正を行ったものを、2023年度の目標としたいと考えますけれども、これでよろしいですか、御異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○山川分科会長 ありがとうございます。それではこのように取り扱わせていただきます。
では、議題(3)について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。その他として情報共有ですが、参考資料3~6で、4点御説明申し上げたいと思います。
まず、参考資料3ですが、前回の第128回当分科会において、令和4年1月からハローワーク等、現場を通じて障害者雇用ビジネスの実施事業者、加えてその利用企業の実態把握を行った結果を御報告を申し上げました。その際にも御説明しましたが、明らかに法令に反する事例はありませんでしたが、疑義が残る事例等があった中で、やはり我々としては、こういったビジネスを利用する事業主であっても、雇用管理のための望ましい取組のポイントと方向性を踏まえた上で取り組んでいただきたいということで、御報告の中にもこれらの点を加えて御報告を申し上げました。
これら環境整備や、適正な雇用管理のための、事業主の皆様にお願いしたい望ましい取組のポイントを、今般お示ししている参考資料3、「事業主の皆様へ」というリーフレットとして取りまとめをさせていただきました。本リーフレットについては今後、引き続き実態把握を行っていく中で、利用企業の皆様方あるいは実施事業者、それ以外にも参考としていただけるような障害者雇用に取り組む企業の皆様がいらっしゃった場合に、このリーフレットを積極的に活用して、できうれば雇用の質の向上につながるような取組としていただくように、周知啓発を図ってまいりたいというものです。それが1点目です。
参考資料4です。参考資料4~6は全てプレスリリースになっておりますが、参考資料4は令和4年度ハローワークを通じた職業紹介状況など、毎年度取りまとめているものを、公表したものです。中身についてはコロナ禍以前の水準に向けて改善を続けているということで、先ほど事業評価の中で御説明したような中身です。やはり、精神障害の方の増加幅というのが非常に著しいということが特徴かと思われます。
それから、参考資料5、これも毎年度ものですが、障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等の実績について、令和4年度分を公表させていただいております。全体としての傾向は、令和3年度から比べて大きく変わってはいません。やはり、差別禁止に係る相談というのは徐々に減ってきているということで、差別はしてはいけないという原則論については、企業の皆様にも十分に御理解が進んできてるのかと思う一方で、合理的配慮の提供については、やはりケースバイケースで対応がそれぞれ分かれるところであるので、コミュニケーション不足から生じる部分だったり、傾向としては変わっておりませんが、おおむねハローワークで法違反に係る助言に至らないものとして、相談・助言を行って解決するという方向になってきているかと思っております。
それから、最後がテレワークに関するもの、精神障害の方等、特に自宅で働くことで能力が発揮できる方だったり、あるいはそのほうが安定的に働き続けることが可能であるといった方々がいらっしゃる中で、1つの選択肢として引き続き国としてはこのテレワークの導入に向けて積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
この数年間、全国フォーラムから始まり、ガイダンス、コンサルティング事業をやってまいりましたが、今年度についてもより一層気軽に相談できるような形での相談窓口を開設して、個々の事業主における取組を積極的に支援をしてまいりたいと思っております。以上、4点です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきましても質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら同様の方法で御発言をお願いいたします。影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。今の最初の参考資料3の雇用ビジネスで、意見がございます。実態調査は、かなり大変だったかと思います。御苦労さまでございました。このように、問題点を指摘する場合は望ましい方向性を示す必要があるので、参考資料3、3ページ以降の記載や1ページにURLの記載がある実態把握の取組における記載はそれに該当するものだと思います。そういう望ましい取組をしている農園があれば、良い事例として社会に紹介しても良いと思うのですが、ただ1点意見がございます。配布資料や実態把握資料では、そこで望ましい取組として提示されている事項というのは、障害者の就労の質に着目したものではないかという気がいたします。それに関してはよくお考えになったものだと思うのですが、ここで指摘されている雇用ビジネスの場合、企業が雇用するという形で企業が関わり合いを持ちますので、ここに記載されている望ましい方向性、望ましい取組だけでは不十分ではないかという気がいたします。つまり、農園と連携してダイバーシティーマネージメントのノウハウ形成や、人的資本投資戦略のプログラムを実施して、そのプログラムの評価を実施しているかどうかも重要なポイントではないかという気がします。
というのは、日本はいわゆる金太郎飴人材に依拠した日本的経営がまだ残っているような気がするのですね。その結果、ダイバーシティーが苦手だという状況が生じているように思います。それが日本経済が低迷し続ける要因の1つと思われます。ただ、多様な人材を雇用すればダイバーシティー効果が生まれるわけではなく、職場の対立を生むこともあるので、マネージメントが必要で、それでよくダイバーシティーマネージメントと言う言葉が使われています。
ただ、多様な健常者を幾ら雇っても、健常者ってその能力をもって多様性を圧縮してしまいますので、けっきょくダイバーシティー状態にならないのですね。ダイバーシティーマネージメントのノウハウがうまく形成されないということにもなります。
一方、障害者はダイバーシティーを組織にダイレクトに持ち込むので、多様性をマネージメントする契機になってきます。しかも、障害者は深く接触する健常者に影響を与えて、組織内にダイバーシティー効果を生む土壌を形成するのですね。この意味で、障害者雇用というのは健常者の人的資本投資戦略となります。
しかし、農園に障害者を任せてしまっている企業というのは、ダイバーシティーマネージメントのノウハウの形成や、ダイバーシティー効果をうる土壌形成の機会を自ら放棄しているような、そのような状況にあると思います。その結果、時代が求めるダイバーシティーマネージメントができないということにもなり、経済にも影響を与えているのですね。そこで、望ましい方向性としては、こういったノウハウ形成の一環や人的資本投資戦略のプログラムの一環として展開していることを求めることが必要かと思います。更に内閣官房の、人的資本可視化指針では評価指標や目標設定を求めています。つまり、戦略評価をしなさいということです。そこで、プログラムの戦略評価を行っているかどうかも求めるべきではないかという気がいたします。本社でそのような取組ができているので、農園での取組では求めないという企業もあるかとは思うのですが、そこまでできている企業は余り多くないと思いますし、一般的な要求事項としては求めてもいいのではないかという気はしております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。事務局、何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。影山委員からの御指摘のとおりだと思っておりまして、このリーフレット上は、基本的に実態調査をとらまえた上での望ましい取組のポイントでまとめてしまっているので、比較的御指摘のようなダイバーシティーマネージメントの契機になるのだという所の強調が十分ではないのかという御指摘を頂いたのかと思いますが、望ましい取組の事例の所で、障害者雇用自体が、全従業員の能力を引き出すということに生きてくる、その結果、経営戦略になるのだということも少し記載しておりますので、その辺も強調しながら現場ではお伝えしていこうと。これとはまた別途、作っている障害者雇用のメリットについてのリーフレットもありますので併せて今、御指摘いただいたようなダイバーシティーマネージメントの契機になるものであるという所の強調もしてまいりたいと思っております。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。影山委員から何かございますか。
○影山委員 特にございません。現場の指導をよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。より広い経営戦略的な事柄についての御指摘を大変ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
では特にございませんでしたら、これで障害者雇用分科会は終了させていただきたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いします。
○冨安障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課の冨安でございます。次回の日程については分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 それでは、これで終了といたします。本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。散会いたします。
まずは分科会長の選出について御報告申し上げます。参考資料1を御覧ください。分科会長は労働政策審議会令に基づきまして、本分科会に属する公益委員の代表から、本分科会に属する公益委員の労働政策の審議会の本審の委員のうちから選出いただくことになっております。本分科会におきまして該当する公益委員は山川委員のみですので、引続き山川委員にお願いしたいと思います。参考資料1でも分科会長として二重丸を付けさせていただいているところです。それでは以後の進行につきましては山川分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 法令上選択の余地がないということで、引続き分科会長を務めさせていただきます山川でございます。よろしくお願いいたします。早速ですが労働政策審議会令に基づきまして、当職が分科会長代理を公益委員の中から指名することになっております。こちらにつきましては、渡邊委員にお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
本日は倉知委員、小西委員が御欠席です。冨高委員と新田委員は会場にお越しいただいております。また、山口委員は途中で御退席と伺っております。それから小西委員の代理といたしまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
○菊地代理 よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 では議事に先立ちまして、4月27日付けで障害者雇用分科会の委員に新たに就任された皆様を御紹介させていただきます。一言御挨拶をお願いいたします。公益代表委員につきまして小原美紀委員が退任されました。高知県立大学文化学部の教授であられる大井方子委員が就任されております。
○大井委員 大井方子です。高知県立大学文化学部です。よろしくお願いします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。同じく公益代表委員で中川正俊委員が退任されまして、北里大学大学院医療系研究科教授、田中克俊委員が就任されました。
○田中委員 北里大学の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。同じく公益代表委員につきまして、長谷川珠子委員が退任されまして、筑波大学ビジネスサイエンス系准教授、渡邊絹子委員が就任されておられます。
○渡邊委員 筑波大学の渡邊でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 よろしくお願いします。使用者代表委員では山内一生委員が退任されまして、株式会者日立製作所人財統括本部人財業務本部長兼人事勤労本部エンプロイーリレーション部長、松永恭興委員が就任されておられます。
○松永委員 すみません、遅れました。日立の松永です。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。次に障害者代表委員につきまして下屋敷正樹委員が退任されまして、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事、新銀揮子委員が就任されました。
○新銀委員 みんなネットの新銀でございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。同じく障害者代表委員につきまして竹下義樹委員が退任されて、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合評議員、田中伸明委員が就任されました。
○田中委員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。新委員の皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。また、引続き就任される他の委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の分科会はZoomによるオンラインでの御参加と会場からの御参加の両方となっております。開催にあたりまして事務局から説明がございます。
○冨安障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。簡単ではございますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。本日分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにしてお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦いただければと思います。オンライン会議に関する説明は以上です。
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、カメラ取材の方につきましてはよろしくお願いいたします。
議題(1)が、法改正に伴う令和6年度施行分の政令・省令・告示案要綱について(諮問)になっております。(2)が、2022年度の年度目標に係る評価及び2023年度の年度目標の設定についてになります。(3)が、その他となっております。では、議題(1)につきまして事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは議題(1)につきまして、資料1-1、資料1-2、関連するものといたしましては、参考資料に2として前回の資料を御用意しておりますが、中心的に資料2-1で御説明を申し上げます。
今回は、これまで御議論いただいておりました内容に基づき、法改正に伴います令和6年度施行分の政令・省令・告示案要綱につきまして諮問を申し上げるもの、資料1-1として案の要綱を御用意しております。それにつきまして、資料1-2で内容の確認をさせていただきたいと思います。
資料1-2、今回の改正につきましては3つの柱立てがあります。1点目が、障害者雇用納付金助成金の整理・拡充につきまして、関連する省令・告示。2つ目が、障害者雇用調整金・報奨金の支給調整につきまして、関連する政令・省令。併せまして3点目が、特定短時間労働者等の特例に関連する省令・告示案につきまして、諮問を申し上げたいと思います。
2ページです。まず1つ目が、今回の助成金を新設しております1本目です。加齢により、職場への適用が困難となった中高年齢等障害者の雇用継続への支援といたしまして、35歳以上の方の継続的な雇用が図られるように、事業主の皆様方に措置をしていただきます施設設備の関係、職務遂行のための能力開発の関係、併せまして、業務遂行に必要な者の配置又は委嘱ということです。これらにつきましては、助成金としては新設させていただきましたが、メニューといたしましては、35歳以上の方が既存の助成金から切れ目なくお使いいただけるということであり、それぞれ既存の助成金に拡充メニューとして追加をしていくという形で、分かりやすさ、使いやすさを踏まえ整理させていただいております。
以下、ポイントのみ御説明しますが、基本的には原則、既存のメニューと同様の形での支給額等を設定しております。1つ、全てにつきまして、中小企業又は調整金支給額等の減額が生じる事業主の皆様方には上限等を引き上げることで対応していることと、併せて、支給額等マル3にあります職場支援の部分、委嘱に関しましての上限の設定につきまして、※2として記載をしておりますが、既存メニューですと委嘱に対しまして月4万円を上限としております。つまりは、1回あたり1万円ですので、月4回という形になるわけですが、この支援につきましては支援期間、支給期間6年間を最大としております。この6年として、その期間の中において柔軟にお使いいただける設定とすることとし、4回×12月×6年ということで上限288回という上限の設定の仕方をさせていただいております。いずれにしましても、支給期間について下の四角囲みにありますように、それぞれ既存のメニューと同等の設定をさせていただいております。
これらの中高年のメニューにつきまして、既存の助成金に組み入れて整理をするという中におきまして、そもそも組み入れる先の既存の助成金のメニューを整理させていただいております。それが、3ページになります。
3ページ、特にこの中高年齢等のメニューを加えました中におきまして、障害者介助等助成金の部分につきまして、分かりやすさ等も考慮した上で、助成金のメニュー、整理・拡充等を行いたいと考えております。これらにつきましては助成率4分の3、継続について3分の2であります。それぞれの助成上限額等を下の表に整理しております。
まず、職場介助者の助成金につきましては、四肢機能、視覚障害の方たちを対象としておりますが、視覚障害の支援措置については事務的業務と事務的業務以外という形での支援の区分がそれぞれ設けられており、事務的業務以外につきましては、継続の配置も措置がなされていないこと、上限額につきましても委嘱の部分につきまして多少低額に設定がなされておりました。これらにつきましては、今般、改正案としてお示しをしておりますとおり1本化をさせていただき、措置がなかったものについて措置をするとともに、上限額につきましては高いほうの上限に寄せる形での拡充をさせていただくことを考えております。併せて下側、聴覚障害の方に対する手話通訳等の助成になりますが、こちらにつきましても現行は委嘱のみ、そして1年間企業に対して28万8,000円での上限を課した上での6,000円という形での額になっておりますが、これにつきましても今御説明しました職場介助者の助成金、支援の中身に合わせてそれぞれ措置をしていくという整理をさせていただきたいと考えております。
4ページです。今、御説明した以外に、障害者介助等助成金につきまして、新たにメニューを拡充しております。まず上ですが、医師に対しての委嘱、精神保健福祉士等専門の資格を有する方たちの相談体制につきまして、配置又は委嘱。能力開発に関して、向上措置など5条の改正がありましたので、それらに対して専門的な支援ができるキャリアコンサルタントの配置、委嘱。これら介助、支援者等につきましてその者自らの能力開発、資質の向上といった措置につきまして支給対象としていくと、新たに規定を設けております。
まず助成率につきましては4分の3ですが、医師の委嘱につきましては1回当たり2万5,000円、上限年間30万円ということ。併せまして専門職等の配置につきましては、配置1人につきまして月当たり15万円、委嘱は1回あたり1万円、年上限150万円ということ。御本人ではなく、その支援を行います介助者等の方たちに対しての能力開発につきましては、費用の3/4助成といたしました上で、1事業主100万円を上限とさせていただくということです。配置委嘱につきましては、支援期間は10年間ということです。
続きまして、5ページです。その他のメニューの拡充等につきまして御説明申し上げます。まず1点目が、職場適応援助者の拡充です。訪問型企業、在籍型それぞれでありますが、訪問型につきましては、単価につきまして4時間で区切る部分の取扱いは変えておりません。なお精神につきましては、3時間ですが、4時間以上18,000円、4時間未満9,000円と引上げをさせていただくのと、支援ケースごとに支給決定し、1日当たりの上限を3万6,000円、企業在籍型につきましては現行2回以降の支援は対象外としておりましたものを支給回数の上限は撤廃し、1年度当たり上限300万円で、助成金額の上限を措置するということで見直しをさせていただいております。5ページの下です。視覚障害の方に対する通勤等、自立的に通勤するまでの間の措置ですが、現行1か月としたものを3ヶ月に拡充しております。
6ページです。障害者の雇用啓発活動に係る支援の新設をしております。それぞれ右に書いてある額等、謝金をお支払いするという方向で、この支援措置に対しての規定を新たに設けております。
7ページです。もう1つ法改正におきまして、新たに創設をいたしました助成金です。障害者雇用に関する相談援助のための助成金につきましての規定です。まず支給対象といたしまして、労働局長の認定を受けた上で、雇用管理に関する援助事業を行うものとさせていただきますが、これにつきましては特例子会社が親会社等を対象にして支援をし、その上で親会社等に対しての雇入れが実現した場合に、この相談に係る部分について支給をするという規定がありますので、それに応じた形での対象を規定しております。それぞれにつきまして、相談援助事業を行ったその部分についてと、その上で雇入れが実現した部分につきまして、それぞれ支給するということを規定しております。
支給額につきましては、相談援助の部分につきまして60万円、中小事業主又は除外率設定業種に対する支援に対しては80万円とし、雇入れ実現に対しましては6か月の定着を見た上で、1人当たり7.5万円、中小事業主等、対象事業主にあっては10万円を上乗せ、1企業当たり4人までを上限とするということ。併せまして、相談の対象となります事業主につきましては1回、支援対象とするということにしております。
8ページです。事業者の要件に関する規定です。行われます相談援助事業等が、その質を担保しながら適正に行われるということですので、要件としてまず法人という要件と、その上で相談援助の業務又は実務の実績を有することを要件としております。併せて、その法人等につきまして事業実施責任者、事業実施者それぞれを配置することです。今回、事業実施責任者につきましては業務や実務に5年以上従事し、その上で、うち2年以上総括的な指導、監督の立場で従事した経験を有するという規定を置かせていただきたいと思っております。これにつきましては、サービス管理責任者等についても5年といった一定の考え方があることと、事業実務者につきまして3年以上業務経験あるいは従事した経験で考えておりますが、これにつきましても現在ジョブコーチの作業部会におきまして実践経験豊かなジョブコーチについて実務経験3年以上ということを議論していることもありますので、この辺りも踏まえて3年以上と置かせていただいております。
要件といたしましては、まずこの事業者自体が法定雇用率以上の障害者を雇用していること。また労働局又は高齢・障害・求職者雇用支援機構が行う実施状況等に関する調査への協力。併せまして、その他要請に応じること、それから個人情報について適切な取扱いの措置が講じられていることです。併せて欠格事由といたしましては、まずこの障害者雇用相談援助事業として認定を受けた後、認定の取消しを受けた事業者につきまして、5年を経過していない者を除くということ。ただし、この要件からは法定雇用率の一時的な未達成ということも考えられますので、法定雇用率以上の障害者の雇用に関する要件、あるいは自ら相談支援事業自体、事業廃止等の届出を行って、認定の取消しを受けた者につきましては除いていくということです。それから、労働関係法令に違反する重大な事実がある者、あるいは不正受給等により雇用関係助成金の支給要件を満たさない者ということで、規定を置かせていただきたいと考えております。
9ページです。申請及び認定に当たり、これら一連の相談援助自体を行う能力を有することを確認するということで、具体的な実績又は経験の内容を記載した書面等を提出することを求めるもの。併せて、この内容につきまして変更が生じたとき若しくは廃止や休止あるいは再開といったようなこと、報告の義務です。それから取消要件といたしましては、事業者要件を満たさなくなった場合ほか、適正にこの事業を実施する能力を有すると認められなくなったとき、又は正当な理由がなく労働局等が行う調査に協力せず、又は適正な指針に関する要件に応じなかった、要請に応じなかったとき、そのほか偽り、その他不正な手段において認定を受けたとき、正当な理由なく申請内容の変更報告をしなかった又は変更に係る虚偽の報告をしたときなどを、認定を取消すことができるという規定を置いております。そのほかこの助成金につきましては、令和6年4月1日施行とさせていただきますが、それ以前この事業者の認定など、準備行為を行わせていただく規定を設けております。
10ページです。これまでの審議会の議論におきましても、助成金につきましては、なるべくこの支給手続の簡素化や柔軟な対応ということの御意見を頂いております。それらにつきまして、できる限り対応していく一方で、不正受給につきましては強化することを御議論いただいておりました。不正受給対策につきましては、障害者雇用促進法、納付金助成金についての規定になりますが、雇用保険二事業におきまして措置をされている各種助成金につきまして、雇用保険法施行規則におきまして同様に不正受給対策の規定がありますので、これと併せて不支給要件、それから返還命令、事業主名等の公表につきまして、同様に規定を置かせていただくものです。
助成金関係で言いますと、最後になりますが、特定短時間労働者の取扱いを今般創設しておりますので、雇入れ助成金等につきましては特にこれを対象とするということにはしませんが、雇い入れた後、様々な措置をする部分につきましては、納付金助成金としてはこれを対象としていく方向性の中で、施設設備等につきまして支給上限額は、一般労働者等の2分の1とする。併せて人員の配置等につきましては、支給額を一般労働者の4分の1とする規定させていただいております。
それから、今回の要綱(案)の中の2点目に移ります。障害者雇用調整金・報奨金の支給調整につきまして、令和6年度からの施行となっておりますが、まず1点目です。調整金、支給調整につきましては、支給対象人員が10人を超える場合に23,000円とする。この超える部分の人数につきまして、政令で規定を置いていきます。年間の人数になりますが、120と規定しています。併せまして支給額につきまして23,000円、あるいは報奨金についての35人を超える部分の人数と、16,000円と額につきまして省令で規定をするものです。この調整金等の支給調整につきましては、以前この部分につきまして御議論いただきました際に、意見書との取扱いについての整合性について口頭で御説明申し上げました。その設定の考え方と併せて、分科会の意見書とりまとめ時からの状況の変化等を踏まえて、精査を行ったところの御説明をした中身につきまして、改めて資料の中で整理しております。基本的な設定の考え方につきましては当然変えておりませんが、意見書とりまとめ時からすると、その後、直近の障害者雇用に要する費用の実態あるいは納付金財政の状況等、事業主からの指摘なども精査し、改めて調整金額等の調整額を設定したものと、報奨金につきましても、その後、様々指摘をいただきましたことも踏まえ、調整金とおおむね同様の調整割合としたものです。
最後のページになります。3点目です。特定短時間労働者の雇用率算定につきまして。本件につきましては令和6年4月から重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者に対して、特例的に取り扱うものでありますが、特定短時間労働者の労働時間につきましては、大臣告示におきまして10時間以上20時間未満と規定させていただくものと、カウント算定の人数につきまして1人をもって0.5人とする規定を省令に置かせいただき、併せて、この取扱いからはA型を除く取扱いとすることも、省令で規定をしてまいります。
今、御説明申し上げました中身につきまして資料1-1におきまして、政省令、告示案要綱としてお示しをしております。この要綱につきまして諮問をさせていただきたいと思っております。御説明としては以上です。どうぞ、御議論をよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。本件については、基本的な内容については、これまで御議論していただいてきているところですが、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問が出されました。当分科会としては、本件について議論を行って、検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと思います。
それでは、質疑応答に入ります。御質問、御意見がありましたら、Zoom参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名した後に聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗ってから御発言をいただくようにお願いいたします。会場参加の皆様は、挙手をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。冨高委員、お願いします。
○冨高委員 労働側委員、連合の冨高です。諮問内容については、この間、議論してきた内容が反映されてきたものと考えております。その上で、今回、新設や既存の見直しなど様々な拡大や充実が図られるなかで、障害者の能力開発が適切に行われることや、個人の状況に応じたきめ細やかな環境整備が行われることが重要だと考えております。とりわけ、事業者等に対して、分かりやすい周知を行っていただくとともに、事業者の質の担保も含めて、制度趣旨に沿った運用がされるよう努めていただきたいと思います。
また、助成金の運用や内容に関しては、今後も引き続き議論しながら、適宜見直しを図るということでしたので、利用状況の把握に努めつつ、ニーズに沿ったものとなるように見直し等を検討いただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、大谷委員どうぞ。
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。なかなかいいふうにまとめていただきまして、ありがとうございます。特に、8ページの年数をここで3年と5年という形、また項目についてもはっきりとした掲示をしていただきまして、ありがとうございます。一番気になっていた部分ですので、これがどのように運用されるかということがあると思いますが、いい具合にまとめていただいたと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。影山委員、お願いします。
○影山委員 横浜市大の影山です。これまでの御議論を反映している内容なので、これ自体はよろしいと思います。運用に関わって、2点ほど御意見を申し上げたいと思います。
資料1-2、4シート目にキャリアコンサルタントと記載してある能力開発の部分です。障害者の方もキャリアパスに関心を持っていて、それがモチベーションになるという方もよくいらっしゃいますので、その点では健常者も障害者も違いはないので、このようなキャリアコンサルタントのような専門の資格を持つ方が、障害者の相談に乗れるというのは良い制度だと思っております。ただ、キャリアコンサルタントというのは、恐らく障害者に直接対応する方になるのですが、社労士の中には障害者の方も視野に入れて、社員のワークエンゲージメントを高めるアドバイスを経営側に行っている方たちもいらっしゃいます。社労士も障害者の就労に関して、相談を受けられるような制度運用を御検討いただけるとよいかなという気はいたします。
もう一点ですが、キャリアコンサルタントの方を拝見しておりますと、障害者の方へのアドバイスを想定していない方も少なくないような気がいたします。原因としては、試験問題でも障害者雇用の問題は出題されていなかったり、障害者をキャリア相談の制度から外しているような企業さんもあるようなことが背景にあるような気がいたします。受験にも関係なくて、ふだんから相談を受けることもなければ、実務経験も積みにくいと思いますので、キャリアコンサルタントの皆さんが障害者対応をきちんと意識してスキルを磨くことを意識していただけるような方策を、厚労省でも考えていただけるとよろしいのではないかなという気はいたします。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございませんでしょうか。新田委員、お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明ありがとうございました。私も御説明を聞いていて、これまでの議論をまとめた法改正を、今回は政省令並びに告示に落とし込んだものと理解しております。異論はありません。その上で、改めて本日の説明を聞いて、今回は特に助成金の創設や拡充をかなり行っていただいたと理解をしております。
先ほど、冨高委員からもお話がありましたように、しっかり周知をしていただくことと、今回、どのような形で支給が出ていくのかというのは、なかなか見えない部分がかなりありますので、やはり年度を通じ安定的に支給を行われることが非常に大事だと思っております。したがって、支給状況については適宜、十分にチェックをしていただいて年度の途中で支給が滞ることのないようにお願いをしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかには御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。内容については、特段御異議はなかったように思います。今後の運用は、周知面の充実ないし工夫も含めた今後の運用について有益な御意見を頂きました。また、今後の検討すべき課題についても幾つか御指摘を頂いたところです。
今回の諮問事項については、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認めてその旨を分科会長名で労働政策審議会会長宛てに御報告を申し上げたいと思っております。御意見ございますでしょうか。御意見がありましたら、同様の方法で御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案のスクリーン表示)
○山川分科会長 今、表示されておりますように、妥当と認めるということで労働政策審議会会長宛てに報告をするということで御異議ございませんでしょうか。御異議ございましたら、御発言をお願いいたします。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんでしたので、そのように報告をさせていただきます。このように労働政策審議会会長宛てに報告いたしましたあと、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申をするという運びになります。ありがとうございました。
では、議題(2)に移ります。2022年度の年度目標に係る評価及び2023年度の年度目標の設定についてです。2つありますので、まず、2022年度の評価について、次に2023年度の目標と分けて御議論を頂ければと思います。まず、2022年度の年度目標に係る評価について事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。まず、2022年度目標の評価について資料2-1、資料2-2を用意しておりますが、資料の2-1を中心に説明いたします。
本分科会において設定いただいております目標につきましては、柱立てとしては3本あり、それぞれについて2022年度の実績等評価を説明します。まず1ページの1つ目の括弧の所です。まず、◎ハローワークにおける障害者の就職件数について、これにつきましては通常ですと前年度以上の件数を目標に設定いたしますが、2022年度につきましてはコロナ影響等様々あった中でのこの2年度間、実績がかなり落ち込んだ時期もあり、このコロナ禍前である令和元年度以上に戻すということを1つの目標として、少し通常の考え方とは異なりますが、令和元年度の実績である10万3,163件以上ということを目標に取り組んでまいりました。その結果、2022年度の実績は10万2,537ということで、10万件は超えましたけれども、目標には少し及ばなかったという状況です。
これらについて分析した2つ目の○です。資料2-2の1ページを御覧いただくと、2020年、2021年度と2年度間10万件を割り切っていた就職件数でしたがこれが、数年ぶりにこの10万件台に乗ったということです。我々としてはコロナ禍以前の状況に戻りつつあると考えておりますが、この改善した要因、大きく影響したのはやはり新規求職申込件数が戻ってきたということだと思っております。特に、コロナ禍においては精神の障害者を中心に、解雇者数がある程度生じましたが、その後、ハローワークに求職登録にいらっしゃる方が非常に減少したというところでの特徴がありました。これらの部分、やはり求職活動が停滞していた部分がかなり、コロナ禍前まで改善が図られたということで、コロナ禍以前の2019年度の実績も上まわる水準になっております。
併せて就職先として比較的高い割合を占めております「医療・福祉」、「製造業」、「サービス業」、「卸売業、小売業」この業種につきましては、特に令和3年度については「卸売業、小売業」が若干、求人の改善が遅れておりましたがこれが、令和4年度(2022年度)については求人の増加幅が拡大したということで、障害者の就職先としての、この4大領域についての求人がほぼ回復しててきているということ。ただ、一方で、今一歩、令和元年前の就職件数に戻らなかったという部分につきましては、それ以外の求人についてやはり、まだまだコロナ禍以前の水準まで回復に至っていないということかと思っております。
2ページです。このため、今年度につきまして、引き続き所内チーム支援を行っていくということ、それから、少しずつ事業所訪問等がかなうようになってきておりますので、企業に対して直接的にアプローチをして、一般求人を障害者求人に開発するといったようなこと、求人者・求職者双方に対しての適格紹介、マッチング支援を行っていくということ等を加えて、特に今後は、雇用率の引上げに向けて、雇用指導についても力を入れてまいりますので、この雇用指導に際して把握した企業側の様々な情報等を、所内の職業紹介をする部署、部門と、しっかりと情報共有を図り、マッチング機能をさらに意識的に強化をしてまいりたいと思っております。
それから2つ目の目標に対して、障害者雇用率関係については、今年の6/1状況について評価をしますので、ここについては、また、年度内をめどに、公表するものを踏まえて評価をさせていただきたいと思っております。
それから最後に3つ目の目標です。精神障害者雇用トータルサポーターの支援実績については2つの目標を設定しており、1つは精神障害者雇用トータルサポーター、所内におります精神保健福祉士など、資格を持った専門相談スタッフですが、このサポーターの相談支援、集中支援期間3か月としておりますが、その間に、就職に向けた次の段階へ移行した者の割合、長期的には具体的な求人に応募をする、あるいは職業訓練受講を開始する、また、それらの結果、就職を実現するといった者の割合です。
3ページです。2022年度の目標が75.6%以上、これに対して実績は83.0%と目標を達成しております。それから2つ目の目標は、その次の段階に移った方の中で、就職を実現した方の割合ということで、目標が84.3%以上に対し86.2%ということで、こちらも、目標を達成しております。これらについての分析です。大きくはやはり、新規就職申込者件数、半数以上占めております精神障害の方がハローワークのほうに戻ってきたということ、新期求職者の増という分母全体が膨らんだ中で、意欲の高い方たちをこの支援対象の中に入れて求職活動・支援をしているわけですが、その求職活動の維持というのも、コロナ禍においては極めて難しかった部分がありますが、現行、少しずつ行動制限の解除に伴い、例えば同行紹介であったり、職場見学・職場実習という形で、実際に御自身が働く場であったり、働く仲間たちについて事前に知るということで、自信を持って求職活動の意欲自体を維持する、あるいは、向上することが図られたといったようなことから、実績が改善してきたと思っております。
ただ、地域によってはまだまだ事業所訪問等について積極的に受け入れない状況も続いている局もありますが、そういったところにつきましても、職場見学、実習、個別求人開拓など、なかなかかなわない部分につきましては最後のページですが、様々な支援ツール等も活用しながらこれを補完して、着実に支援を実施してまいりたいと考えております。事業の評価につきましては以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等はございますでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明いただきありがとうございました。今、一通り御説明を受けて特に私が着目しておりますのは、最初のハローワークにおける障害者の就職件数というところでございます。2019年度、すなわちコロナ前の状況に戻すという目標を掲げられたときに私が思ったことは、実にチャレンジングな目標を設定されたと非常に前向きに受け止めておりました。
結果のほうも、目標自体には数字としては届いておりませんが、2年度連続で増加もしておりますし、件数も10万件を上回ったということで、目標にかなり近い実績が示されたと認識をしております。ハローワークをはじめ、厚生労働省の関係者の皆様の御尽力並びに各施策の推進による成果と、率直に受け止め評価をさせていただいているところでございます。この取組を今後もしっかりと続けていただきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは大谷委員お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。よろしくお願いいたします。2点ほど数字的な問題ではないのですけれども、調整される方が全国的にどうなのかと少し気になっている部分としまして、ハローワーク内でそれを調整される方が、兼務兼務という形でやられる部分は多々あるとは思います。場所場所によって、やはり支援の在り方が変わってくるのではないかと思いますので、それによってやはり数字、雇用していく方々のことも違うということも考えられますので、その辺の調整もお願いしたいということがあります。
もう1点、トータルサポーター支援のことなのですけれども、育成会の関係として言いますと発達障害の方、精神障害手帳の手帳をお持ちの方もあるのですけれども、そうでない方もおられます。療育手帳をお持ちの方という形もあるので、この辺について使えると判断はしているのですけれども、精神のほうの手帳でないと絶対駄目というような感覚的なものがあるのかどうか、その辺のことをお伺いしたいのでよろしくお願いしたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。2番目の、後者は御質問だったかと思いますので、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 御質問ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。後者の部分、精神障害者雇用トータルサポーターについて知的障害であっても療育手帳をお持ちの方以外にも、例えば発達障害の診断を受けながら福祉手帳を持っておられたり、重複する方で福祉手帳を持たずに発達障害という障害名だけの方もいらっしゃるかと思いますが、いずれにしても精神障害者雇用トータルサポーターにつきましては、発達障害の診断を受けている方も対象とはさせていただいておりまして、このほかハローワークには発達障害者のトータルサポーターもおりますが、両面からの支援が可能になっておりますので、御本人の手帳のみならず御本人の主訴なども留意しながら、適切に対応して支援を申し上げたいと思っているところであります。以上でございます。
○山川分科会長 大谷委員、何かございますか。
○大谷委員 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いしたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。新銀委員、お願いします。
○新銀委員 みんなネットの新銀でございます。精神障害の方々のトータルサポート、そこが本当に充実しているのだなということで改めて有り難いと思いつつ、一方でトータルサポーターの若い方たちが、経験が浅くてなかなか就労につながらなかったという事例もあるのかと思いますので、更に各種の支援のツールのさらなる活用を図りというところがあるのですけれども、具体的にはどういったことが想定されるのでしょうか。教えていただければと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 御質問ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。最後のページにも書いてございますが、高齢・障害・求職者雇用支援機構などを中心に開発をしておりますナビゲーションブック、これは御本人が御本人の障害の認識をしっかりと深めていただいて、どういう支援が必要だとか、どういうときにどういう対応があると助かるとかといったことも含めて、御本人の理解と、それから併せて当然雇入れ側の企業に対しても御理解を求めていくもの、適正な雇用管理上の配慮をお願いする際の、1つの材料になるものであります。併せまして就労パスポートは、更にフォーマットを統一しまして分かりやすく記載いただく形で整備をしております。
これ以外にも、精神障害の方を中心にということかもしれませんが、御本人の障害の理解を深める支援にもついて整理をするツール、これらについてハローワークの中で活用していくことでやっておりますが、御指摘のように、例えばまだ配置して間もないような経験の浅いトータルサポーターも含めまして、今般、ツールの活用について研修を設定して実施しております。そういった形で所内の先輩トータルサポーターからの指導に加えまして、本省としても中央で研修なども立案、実施をしまして両面で経験の浅い者についても、充実した支援が可能となるような形で対応を図っていくところでございます。以上です。
○新銀委員 ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。個人的には今般のコロナ禍の下での求職活動への意欲の重要性が特に浮かび上がった。あるいは、意欲を高めるための対応の重要性ということを感じた次第でございます。
では、後半の議題2について2022年度の年度目標に係る評価については議論は以上とさせていただきまして、事務局案のとおりに取りまとめたいと考えておりますがよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。議題(2)の後半であります2023年度の年度目標の設定について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。2023年度の年度目標(案)につきまして、資料2-3で御説明します。まず、年度目標の考え方につきましても別添としてお付けしておりますが、3つのその柱立てそれぞれにつきまして、具体的な数字の確定をさせていただくということで御説明します。まず、1点目、ハローワークにおける障害者の就職件数につきましては、通常ですと前年度以上の実績でしたが、先ほど御説明したとおり、昨年度につきましてはコロナ禍前を目指そうということで、10万3,163件のこれ自体は元年の実績になっておりました。先ほど御説明したとおり、昨年度の実績自体はこれまでの前2年度に比べますと10万件に乗ってきておりまして、併せて元年の数字にもうほぼ並ぶ件数になっておりますので、今年度2023年度の目標につきましては、これまでと同様、原則の考え方に戻りまして、前年度の実績以上とさせていただこうと思っております。具体的には10万2,537件以上と御提案させていただいております。
2点目です。障害者雇用率関係で2つの目標値を設定しております。1つは障害者の雇用率達成企業割合で、この目標につきましては、遡ること過去10年間雇用率達成企業割合の伸び率の平均を、前々年度の実績に加えて目標として置いております。ただし、原則はそうなのですが、2023年度目標を評価するのが、2024年6月1日の雇用状況報告に基づくことになりますので、来年の4月に雇用率が0.2ポイント引き上がるというタイミングを挟んでおります。こうしたケースの場合、雇用率を引き上げると達成企業割合はやはり残念ながら低下をしておりますので、この雇用率引上げの影響を過去引き上げたときの実績を踏まえ、それを加味した上で、10年度間の伸び率とそれから雇用率引上げによる引下げの要素とプラスマイナスしまして、前々年度の実績に加え、2023年度につきましては46.6%以上という目標にさせていただきます。
2つ目の雇用ゼロ企業のうち、新たに障害者を雇用した、いわゆるゼロ企業脱却割合です。これにつきましては3年度間の平均を用いて設定をさせていただいておりました。コロナ禍の影響がありましたので、今回、3年度間の平均を出しますと、13.33%となり、2022年度の目標を下回る状況になりますので、このようなケースにつきましては、前年度の目標をそのままスライドさせまして、引き続き取り組むことがこれまでの対応になっています。したがいまして、2023年度の年度目標は、15.2%以上の昨年度の目標をそのまま、改めて設定しまして取り組ませていただきたいと考えております。
3点目です。精神障害者雇用トータルサポーター支援実績、1つ目の次の段階へ移行した者の割合、それから2つ目の、そのうちの就職した割合、いずれも3か年割合で設定をするのが原則の考え方です。1点目は3か年平均78.8%以上ということで、昨年度75.6%以上の目標よりも上回る目標値になっています。これにつきましては、3年度平均そのままの78.8%以上を目標に設定させていただければと思います。
2点目の就職した者の割合は、就職の割合がコロナ禍で落ち込んでいた年度を2年度含んでいますので、3か年平均しますと、83.9%で前年度の目標を下回りますので、こちらも84.3%以上という前年度の目標をそのままスライドさせまして、今年度も引続き取り組ませていただければと思っております。以上、5点の目標値につきまして御審議をお願い申し上げます。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは2023年度の年度目標につきまして、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら所要の方法で御発言をお願いいたします。新田委員お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。今御説明いただいた2023年度の年度目標(案)について、おおむね違和感なく聞いておりましたが、1点だけ申しあげます。最初の項目、ハローワークにおける障害者の就職件数について、先ほどの2022年度目標の評価のときに、2022年度は2019年度の実績を目標に掲げて、それにかなり近い数字まできたことを率直に評価するコメントをさせていただきました。それからすると今回の2023年度の目標はいささか残念なものがありまして、ほかの項目ではその前年度の目標を下回らないようにと、前年度の目標がそのまま今年度の目標として掲げられている項目があるのに対して、この項目だけ前年度実績に戻ってしまっているということです。先ほど御説明があったとおり、これからおそらく事業所の訪問等も再開する中で、この数値目標の達成に向けて、より一層尽力されると理解をしておりますので、是非とも目標は2019年度実績、要は前年の目標数値を維持して、取り組んでいただきたいと思います。
一番最後の精神障害者雇用トータルサポート支援実績の所も、前年の目標をそのまま変えないで、その目標の達成に向けて取り組んでいただきたいと思っております。ただ、皆さん御承知のとおり、精神障害のある方の就職につきましては、就職したその後の問題、すなわち職場定着が非常に重要な課題と認識をしておりますので、この点の取組やサポートといった部分も、引続きの御尽力並びに拡充を是非ともお願いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。御提案もありましたが、ほかの委員の皆様方からも御意見を伺いたいと思います。冨高委員どうぞ。
○冨高委員 労働側、連合の冨高でございます。先般改正された内容も含め、障害者雇用促進法の趣旨に則りながら、さらにこれから障害者雇用を促進していかなければならないことを踏まえれば、前年度の目標や実績を比較して、より高い数値をその当該年度の目標数値とするといった積極的な取組も検討できるのではないかと思います。こうした観点から言えば、先ほど新田委員からもありましたが、1つ目のハローワークにおける障害者の就職件数に関する部分については、2022年度の年度目標を踏まえることが望ましいのではないかと考えております。
併せて、3点目のトータルサポーターの支援実績に関する年度目標に関しては、実績がより高くなっています。ここは3か年の平均が原則という話でしたが、この目標数値についても高い実績に合わせるのも一つの考え方ではないかと考えております。
少なくとも、目標を下げるのはどうかと思いますので、ハローワークにおける障害者の就職件数に関しては見直したほうがよいと考えます。
次に、障害者雇用率についてです。2022年度の実績が調整中である中、次の目標を考えなければいけないということは、やはり課題があるのではないかと思います。次年度以降も含め、どのような目標設定ができるのかどうか、検討いただきたいと思います。
また、就職のみならず、職場定着が非常に重要であり、今後継続的に雇用促進を行っていただくとともに、持続可能な就労としていくためにも、中小を含めた受入れ企業に対して、受入れのための支援に限らず、障害者の方が安心して働き続けられる定着支援に積極的に取り組んでいただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。先ほど新田委員から御提案がありました、冨高委員もおおむね御賛同ということでしたが、事務局として御検討はいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。御指摘を頂きました就職件数については、コロナ禍を挟んで昨年度元年以上を目指すということで一旦取り組んでまいりまして、ほぼ事務局としては並ぶ数字が実績として出てているので、原則のとおり前年度以上というように御説明申し上げましたが、頂きました御意見、御指摘を踏まえますと、やはりこれから雇用率が引き上がっていく中で、我々ハローワークにおいて、現場が積極的にここを進めて雇入れをお願いしていく立場ですので、御意見を頂いたとおり、昨年度設定した目標値と同様に、改めて令和元年の実績値を今年度の目標として設定し、引き続き取り組んでいくこととさせていただければと思います。
それからもう一つ、精神障害者雇用トータルサポーターの実績につきましては我々としても83.0という実績は極端に引き上がった感じを受けておりまして、先ほど申し上げたように、過去2年間において極めて精神障害の方を中心に求職活動が低迷していたという中で、若干それらで足踏みをしていた方たちが、一気に積極的に求職活動に入ってきたという部分、イレギュラーの要素もあるのかなと思っております。ただ、この移行した者の割合については、実は取り方を少し令和2年のところから変えているので、それ以前まで遡って、元年前の数字と純粋に比較ができないこともありますので、今年度の目標につきましては原則3年度間の平均でやらせていただいて、また、今年度の状況を見まして、この移行の割合についてかなり目標を上回ってくるような形が引き続くようであれば、少し検討させていただきたいと思っております。少し実績を精査する時期を頂ければと思っております。
○山川分科会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明で、それから新田委員、冨高委員もそうであったかと思いますが、より強いというか、明確な御要望としてはこのハローワークにおける障害者の就職件数をコロナ前とすると、高いほうになるということですが、そちらについてほかの委員の皆様はいかがでしょうか。具体的に申しますと、2023年度の年度目標(案)が現在一番上、ハローワークにおける障害者の就職件数ですが、10万2,537件以上となっているところを、10万3,163件以上というように上方修正するという御提案ですが、それでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特段御異議がありませんでしたので、このように修正させていただきたいと思います。御提案どうもありがとうございました。
ほかは、将来的な検討課題の御指摘も頂いたところです。こちらは今後検討をお願いするとして、以上の修正を行ったものを、2023年度の目標としたいと考えますけれども、これでよろしいですか、御異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○山川分科会長 ありがとうございます。それではこのように取り扱わせていただきます。
では、議題(3)について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。その他として情報共有ですが、参考資料3~6で、4点御説明申し上げたいと思います。
まず、参考資料3ですが、前回の第128回当分科会において、令和4年1月からハローワーク等、現場を通じて障害者雇用ビジネスの実施事業者、加えてその利用企業の実態把握を行った結果を御報告を申し上げました。その際にも御説明しましたが、明らかに法令に反する事例はありませんでしたが、疑義が残る事例等があった中で、やはり我々としては、こういったビジネスを利用する事業主であっても、雇用管理のための望ましい取組のポイントと方向性を踏まえた上で取り組んでいただきたいということで、御報告の中にもこれらの点を加えて御報告を申し上げました。
これら環境整備や、適正な雇用管理のための、事業主の皆様にお願いしたい望ましい取組のポイントを、今般お示ししている参考資料3、「事業主の皆様へ」というリーフレットとして取りまとめをさせていただきました。本リーフレットについては今後、引き続き実態把握を行っていく中で、利用企業の皆様方あるいは実施事業者、それ以外にも参考としていただけるような障害者雇用に取り組む企業の皆様がいらっしゃった場合に、このリーフレットを積極的に活用して、できうれば雇用の質の向上につながるような取組としていただくように、周知啓発を図ってまいりたいというものです。それが1点目です。
参考資料4です。参考資料4~6は全てプレスリリースになっておりますが、参考資料4は令和4年度ハローワークを通じた職業紹介状況など、毎年度取りまとめているものを、公表したものです。中身についてはコロナ禍以前の水準に向けて改善を続けているということで、先ほど事業評価の中で御説明したような中身です。やはり、精神障害の方の増加幅というのが非常に著しいということが特徴かと思われます。
それから、参考資料5、これも毎年度ものですが、障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等の実績について、令和4年度分を公表させていただいております。全体としての傾向は、令和3年度から比べて大きく変わってはいません。やはり、差別禁止に係る相談というのは徐々に減ってきているということで、差別はしてはいけないという原則論については、企業の皆様にも十分に御理解が進んできてるのかと思う一方で、合理的配慮の提供については、やはりケースバイケースで対応がそれぞれ分かれるところであるので、コミュニケーション不足から生じる部分だったり、傾向としては変わっておりませんが、おおむねハローワークで法違反に係る助言に至らないものとして、相談・助言を行って解決するという方向になってきているかと思っております。
それから、最後がテレワークに関するもの、精神障害の方等、特に自宅で働くことで能力が発揮できる方だったり、あるいはそのほうが安定的に働き続けることが可能であるといった方々がいらっしゃる中で、1つの選択肢として引き続き国としてはこのテレワークの導入に向けて積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
この数年間、全国フォーラムから始まり、ガイダンス、コンサルティング事業をやってまいりましたが、今年度についてもより一層気軽に相談できるような形での相談窓口を開設して、個々の事業主における取組を積極的に支援をしてまいりたいと思っております。以上、4点です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきましても質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら同様の方法で御発言をお願いいたします。影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。今の最初の参考資料3の雇用ビジネスで、意見がございます。実態調査は、かなり大変だったかと思います。御苦労さまでございました。このように、問題点を指摘する場合は望ましい方向性を示す必要があるので、参考資料3、3ページ以降の記載や1ページにURLの記載がある実態把握の取組における記載はそれに該当するものだと思います。そういう望ましい取組をしている農園があれば、良い事例として社会に紹介しても良いと思うのですが、ただ1点意見がございます。配布資料や実態把握資料では、そこで望ましい取組として提示されている事項というのは、障害者の就労の質に着目したものではないかという気がいたします。それに関してはよくお考えになったものだと思うのですが、ここで指摘されている雇用ビジネスの場合、企業が雇用するという形で企業が関わり合いを持ちますので、ここに記載されている望ましい方向性、望ましい取組だけでは不十分ではないかという気がいたします。つまり、農園と連携してダイバーシティーマネージメントのノウハウ形成や、人的資本投資戦略のプログラムを実施して、そのプログラムの評価を実施しているかどうかも重要なポイントではないかという気がします。
というのは、日本はいわゆる金太郎飴人材に依拠した日本的経営がまだ残っているような気がするのですね。その結果、ダイバーシティーが苦手だという状況が生じているように思います。それが日本経済が低迷し続ける要因の1つと思われます。ただ、多様な人材を雇用すればダイバーシティー効果が生まれるわけではなく、職場の対立を生むこともあるので、マネージメントが必要で、それでよくダイバーシティーマネージメントと言う言葉が使われています。
ただ、多様な健常者を幾ら雇っても、健常者ってその能力をもって多様性を圧縮してしまいますので、けっきょくダイバーシティー状態にならないのですね。ダイバーシティーマネージメントのノウハウがうまく形成されないということにもなります。
一方、障害者はダイバーシティーを組織にダイレクトに持ち込むので、多様性をマネージメントする契機になってきます。しかも、障害者は深く接触する健常者に影響を与えて、組織内にダイバーシティー効果を生む土壌を形成するのですね。この意味で、障害者雇用というのは健常者の人的資本投資戦略となります。
しかし、農園に障害者を任せてしまっている企業というのは、ダイバーシティーマネージメントのノウハウの形成や、ダイバーシティー効果をうる土壌形成の機会を自ら放棄しているような、そのような状況にあると思います。その結果、時代が求めるダイバーシティーマネージメントができないということにもなり、経済にも影響を与えているのですね。そこで、望ましい方向性としては、こういったノウハウ形成の一環や人的資本投資戦略のプログラムの一環として展開していることを求めることが必要かと思います。更に内閣官房の、人的資本可視化指針では評価指標や目標設定を求めています。つまり、戦略評価をしなさいということです。そこで、プログラムの戦略評価を行っているかどうかも求めるべきではないかという気がいたします。本社でそのような取組ができているので、農園での取組では求めないという企業もあるかとは思うのですが、そこまでできている企業は余り多くないと思いますし、一般的な要求事項としては求めてもいいのではないかという気はしております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。事務局、何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。影山委員からの御指摘のとおりだと思っておりまして、このリーフレット上は、基本的に実態調査をとらまえた上での望ましい取組のポイントでまとめてしまっているので、比較的御指摘のようなダイバーシティーマネージメントの契機になるのだという所の強調が十分ではないのかという御指摘を頂いたのかと思いますが、望ましい取組の事例の所で、障害者雇用自体が、全従業員の能力を引き出すということに生きてくる、その結果、経営戦略になるのだということも少し記載しておりますので、その辺も強調しながら現場ではお伝えしていこうと。これとはまた別途、作っている障害者雇用のメリットについてのリーフレットもありますので併せて今、御指摘いただいたようなダイバーシティーマネージメントの契機になるものであるという所の強調もしてまいりたいと思っております。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。影山委員から何かございますか。
○影山委員 特にございません。現場の指導をよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。より広い経営戦略的な事柄についての御指摘を大変ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
では特にございませんでしたら、これで障害者雇用分科会は終了させていただきたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いします。
○冨安障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課の冨安でございます。次回の日程については分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 それでは、これで終了といたします。本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。散会いたします。