照会先

厚生労働省労働基準局労災保険業務課
       課長     千葉 茂雄
       課長補佐   横田 道明
連絡先:03-3920-3311(内線300、331)

報道関係者 各位

労災年金にかかる不適切な事務処理について

 徳島労働局鳴門労働基準監督署において、労災保険の遺族補償年金の支給に際し、不適切な事務処理を行ったことにより、誤った個人番号を登録する事案が発生していたことが確認されましたので、その概要等をお知らせします。
 今回の事態を重く受け止め、労災保険の給付事務の適切な取扱いを徹底し、再発防止に努めてまいります。
 
                       記
 
1 事案の概要
 労災保険制度においては、労災年金の支給事務において、個人番号を利用し、厚生年金等との併給調整等を行っています。
 徳島労働局鳴門労働基準監督署(以下「鳴門署」といいます。)において、被災者遺族であるA様に対して、誤って、別の御遺族であるB様の個人番号が登録されていました。
 このため、
 ○A様のマイナポータルにおいて、労災保険の給付情報が表示されない
 ○B様のマイナポータルにおいて、B様の労災保険の給付情報だけでなくA様の給付情報も表示される
といった状態が生じていました。
 なお、マイナポータルで確認できる給付情報には個人が特定できる情報は含まれておらず、また、給付額や振込先口座に誤りは発生しておりません。
 鳴門署ではマイナポータル表示上の不具合を既に是正しており、A様とB様に本事案について説明した上で、謝罪を行いました。
  
2 事案の経緯と発生原因等
(1)経緯
 平成30年4月~5月:鳴門署において、A様とB様の遺族補償年金の支給決定。
 B様の個人番号をシステム登録する際に、請求書原本を取り違えたことで、B様の登録情報に誤ってA様の個人番号を登録。
 鳴門署の担当者が、まもなく当該誤りに気づき、B様の個人番号を修正入力しようとしたが、労働基準行政システム機械処理手引(以下「機械処理手引」といいます。)に基づかない手順で行った結果、正しく登録されていたA様の個人番号がB様の個人番号にシステム内で自動変換され、結果として、B様の個人番号にA様及びB様両名の労災保険の登録情報が紐付いた状態になった。
 
 令和元年11月:労災年金制度では、厚生年金等との併給調整の要否等の確認を行うため、労災年金支払期(2ヶ月に1回)ごとに、日本年金機構から厚生年金等の受給情報を取得し「厚年等情報突合結果表」を出力している。この事務処理の過程において、鳴門署は不一致を認識し、日本年金機構に当該情報を確認したところ、A様に対する支給額には影響がないことが確認できたことから、入力情報の修正を怠っていた。
 
 令和4年9月:徳島労働局の労災補償監察において、鳴門署の個人番号紐付け誤り及び厚生年金等受給情報との「不一致」について指摘があったものの、修正を怠っていた。
 
 令和5年7月:本省労働基準局から各労働局に対して「マイナンバー取得に係る事務処理の実態調査」を依頼したところ、当該誤りについて徳島労働局より厚生労働省本省へ報告するとともに、マイナポータル表示上の不具合は速やかに是正。

(2)発生原因等
 ○労災保険給付個人番号利用事務処理手引(以下「事務処理手引」といいます。)に定める、個人番号のシステム登録時に基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)の照合作業を怠ったこと。
 ○個人番号登録誤りに気づき、個人番号の変更処理を行う際、機械処理手引に基づく事務処理(登録情報をいったん取り消した上で、改めて登録し紐付けをし直す処理)を行わなかったこと。
 ○厚生年金等受給情報との突合にて「不一致」の表示がなされていたところ、その原因の確認及びその後の対応を怠ったこと。
 
3 今後の対応
 ○改めて、事務処理手引及び機械処理手引に基づく処理の徹底を指示する。
 ○紐付け誤りの生じた鳴門署については、秋までに、全件基本4情報によるJ-LISとの照合を実施するとともに、それ以外の監督署においても「厚年等情報突合結果表」で不一致が確認された事案について、同様の対応を秋までに実施する。