2023年6月29日 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和5年6月29日(木)13:30~15:30

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(敬称略)
事務局(6月29日時点)
  • 佐々木 昌弘 (生活衛生・食品安全審議官)
  • 鳥井 陽一    大臣官房審議官
  • 成松 英範  (生活衛生・食品安全企画課長)
  • 扇屋   りん  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 近藤   恵美子 (食品基準審査課長)
  • 田中 里依      (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 今井 美津子 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長)
  • 佐野 喜彦  (食品基準審査課器具・容器包装基準審査室長)
  • 三木   朗   (食品監視安全課長)
  • 森田 剛史  (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
  • 福島 和子  (HACCP推進室長、食中毒被害情報管理室長)

議題

  1. (1)報告事項
    1. 1.食品添加物の規格基準の改正について
    2. 2.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  2. (2)文書による報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  3. (3)その他の報告事項
    1. 1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
    2. 2.令和4年食中毒発生状況について
    3. 3.生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律(令和5年5月26日公布)について

議事

議事内容

○扇屋補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催します。本日の司会をさせていただきます、生活衛生・食品安全企画課の扇屋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日もWebでの審議とさせていただきます。何か不具合がありましたら、お電話、又はチャット機能にて御連絡いただければ対応いたします。
はじめに、分科会委員の異動等について御報告いたします。令和5年6月27日付けで、浦郷委員、津金委員、6月28日付けで稲見委員が御退任されました。次に、新たに着任された委員を紹介いたします。令和5年6月27日付けで、新たに本分科会委員に着任された、一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長の郷野智砂子委員です。郷野先生、一言よろしくお願いいたします。
○郷野委員 聞こえますでしょうか。
○扇屋補佐 はい。
○郷野委員 全国消費者団体連絡会の郷野智砂子と申します。全国消団連は消費者の権利の実現と暮らしの向上を目指して活動しております。とりわけ、食の安全については消費者の関心が高い分野でもございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○扇屋補佐 ありがとうございます。それでは、次に同日付けで新たに本分科会委員に着任された、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事兼国立健康・栄養研究所所長の瀧本秀美委員です。なお、瀧本委員は本日御欠席との連絡を頂いております。続きまして、6月28日付けで新たに本分科会委員に着任された、東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長の内藤義和委員です。内藤先生、一言よろしくお願いいたします。
○内藤委員 東京都の食品監視課長をしている内藤と申します。本日はよろしくお願いいたします。
○扇屋補佐 よろしくお願いいたします。
本日の分科会委員の出席状況ですが、五十君委員、瀧本委員、二村委員、森委員から御欠席の御連絡を頂いております。現在の分科会員総数22名のうち、現時点で18名の御出席を頂いており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。なお今村委員、苅田委員、辻委員は途中退席の旨、伺っております。
次に、本年4月1日付けで事務局に異動がありましたので、新たに着任した職員を紹介させていただきます。食品基準審査課残留農薬等基準審査室長の田中です。
○田中室長 田中でございます。よろしくお願い申し上げます。
○扇屋補佐 食品基準審査課器具・容器包装基準審査室長の佐野です。
○佐野室長 佐野でございます。よろしくお願いいたします。
○扇屋補佐 続きまして、事務局の紹介をいたします。佐々木生活衛生・食品安全審議官、鳥井大臣官房審議官、成松生活衛生・食品安全企画課長、近藤食品基準審査課長、今井新開発食品保健対策室長、三木食品監視安全課長、森田輸入食品安全対策室長、福島HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長です。
なお、審議官等については公務のため、適宜退室させていただく場合がございますので、御了承ください。
一般傍聴についてライブ配信による動画中継での傍聴としております。一般傍聴の方につきましては、厚生労働省ホームページに分科会の資料を公開しておりますので、適宜御確認ください。
続きまして、審議の進行方法について説明いたします。審議中に、御意見、御質問される委員におかれましては、カメラをオンにした上で挙手をお願いします。分科会長から順に発言者を御指名いただきます。なお御発言されるとき以外は、マイクをミュートでお願いします。
それでは議事に移ります。本日の議題はお手元の議事次第のとおりです。村田分科会長、よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 梅雨時で天候不順が続いております。委員の先生方におかれましては、御多忙中、御参加くださいまして誠にありがとうございます。
それでは、本日の議事次第に審議事項はなく、報告事項からになります。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。
まず、(1)報告事項の①「食品添加物の規格基準の改正について」、事務局から報告ください。
○佐野室長 事務局です。食品基準審査課の佐野と申します。まず、最初の議題について御報告いたします。画面に見えておりますのが、L-システイン塩酸塩についてです。審議の対象としましては、食品添加物としての規格基準の改正で、経緯としましては、今年3月15日開催の添加物部会において審議され、基準の改正を行うものであります。
用途としては調味料、概要としまして、アミノ酸であるL-システインの塩酸塩であり、スープ等への食品への添加によって食品の風味・味を改善する効果を示すものです。「L-システイン塩酸塩」は、昭和44年に添加物として指定されまして、これまでパンの品質改良及び天然果汁の酸化防止などへの使用が認められておりましたが、パン及び天然果汁以外の食品への使用は認められておりませんでした。
諸外国での状況です。欧州連合では小麦粉への使用、乳幼児用ビスケットへの使用が認められております。米国では一般に安全と認められる物質、GRASとされておりまして、オーストラリア、ニュージーランドでもGMP下でフレーバーとしての使用が認められているといった状況です。
次のページです。食品安全委員会における食品健康影響評価ですが、4点あります。1つ目、L-システインは、たんぱく質として摂取されており、摂取量の増減に対して血漿中や組織中の濃度等の恒常性を保つ機構があること。使用基準改正後の添加物由来のL-システインとしての摂取量の増加分は、現在の食事由来の摂取量と比べて少ないこと。ヒトでL-システインを有効成分とする医薬品において、重篤な副作用は認められていないこと。毒性に係る試験(ラットの13週の反復投与)で、最高用量まで毒性影響が認められていないことから、「L-システイン塩酸塩」が添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないということ、を昨年11月に評価いただいているところです。
摂取量の推計です。調味料としての対象食品への使用量は、風味を損なわない適正な添加量としまして喫食時換算で0.0025%~0.01%としております。調味の目的で用いる摂取量につきましては、適正添加量の最大値0.01%等と仮定しまして、調味料として添加することが想定される食品の年齢別の喫食量に乗じて1日の摂取量を推計し、そして、L-システインとしての摂取量に換算しました。その結果、L-システインとして1~6歳で9.43mg/人/日、国民平均(1歳以上)で15.6mg/人/日と推計されました。現在の添加物由来の摂取量につきましては、「L-システイン塩酸塩」及び「L-シスチン」の摂取量を、L-システインとしての摂取量に換算した値を合計しまして、結果L-システインとして1~6歳で45.5mg、国民平均で89.5mg/人/日と推計しております。
以上から、使用基準改正後の添加物由来の1日摂取量は、1~6歳で54.9mg、国民平均1歳以上で105mg/人/日と推計しております。
最後に使用基準案です。下線部が改正部分でありまして、これまでの「L-システイン塩酸塩は、パン及び天然果汁以外の食品に使用してはならない」に加えて、ただし、「調味の目的で使用する場合はこの限りではない」ということを、使用基準の改正案として出しております。以上です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局からの報告につきまして、杉本部会長から追加の発言、ありますでしょうか。
○杉本委員 特に追加はありません。使用基準の改正で、成分規格には変更はないものです。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、委員の方から何か御意見、御質問ございますでしょうか。
○合田委員 よろしいですか。
○村田分科会長 合田先生、どうぞ。
○合田委員 これのタイトルですけどね、化学物質の。L-システイン塩酸塩になっているものはL-システインの塩酸塩の一水和物ですよね。いろいろな事情があって、まだ昔のこの名前を使っていらっしゃるだろうと思いますけれども、このようなものの名前は、なるべく本体そのものの名前を正確に表す名前、それから、英語名もmonohydrateがあるのが普通ですよね。ですから、英語名も含めて、どこかのタイミングで、このような食品添加物について、名前を正確な名前に変えていかれるということがよろしいのではないかと思います。今回の議論と直接は違うのですけれども、一応そういう方向性をどこかに出していただくのがよろしいのではないかと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。事務局から、今の御意見に対しまして何かございますでしょうか。
○佐野室長 今、御指摘のあった水和物の問題に関してですが、ここの表記、改めて確認した範囲ではありますけれども、確かに先生がおっしゃるとおり、いろいろな一水和物、二水和物などあったとしても、これまでの法令上の記載としては水和物は書いていないという現状は確かにございます。御指摘の名前の表記をどうするかということに関しては、専門の先生方とも相談しながら、より適正な方法をすべきかどうかも含めて検討していければと考えております。よろしくお願いいたします。
○合田委員 合田ですけど、追加でよろしいですか。
○村田分科会長 はい、どうぞ。
○合田委員 昔は余りこういう結晶水のことについて特に意識がなくて、昔の名前はそういうのが付いていないのですね。ただ、いろいろな結晶水があり、また結晶系がどうだとかというようなことで、分子量の計算が間違いやすいのですね、正確に言ってないと。ですから、そういうことも含めて世界的にこのような名前というのは、そのものの本質を正しく表す名前の方向に動いていると思っています。例えば、日本薬局方も、そういうものについては、40年かけてですけれども、正確な名前に移す方向性で、今は完全にそちらのほうの名前で命名しています。ですから、多分添加物のほうが、医薬品よりより抵抗される方が多いのではないかなとは思いますが、やはり世界で普通に考えられている方向性に名前を変えられていくほうが、僕はいいのではないかなと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。今後、合田先生の言われましたような方向も、是非考えていただければと思います。ほかにございますでしょうか。
○杉本委員 杉本です。合田先生、御意見どうもありがとうございます。添加物の名称ですけれど、おっしゃるとおりで、ハイドレイトとか水和物の名前が付くものが多くなってきています。一方で、古いものというか、古いといっても5年とかそれぐらいになるのですけれど、それについては水和物であってもそのまま水和物でない名称を付ける場合があって、世界的にどうなんだろうなという状況に今なっているところです。ですが、水和物というのは確かに付けておいたほうがいいとは思いますので、今後11版以降になるとは思うのですけれど、名称を付けるとき、既に入っているものの名称、これは国際整合も踏まえて別名で付けるとかそういうことも考えながら修正をしていきたいと考えています。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。事務局から、さらに追加はございませんか。
○佐野室長 そこは杉本先生、専門の先生とも御相談をして検討していきたいと思っています。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。このほかございますでしょうか。
○穐山委員 星薬科大学の穐山です。
○村田分科会長 穐山委員、どうぞ。
○穐山委員 御説明ありがとうございました。今回の使用基準改正で、調味の目的はパン、天然果汁以外でもいいということですが、これは用途制限で酸化防止の目的では、依然として天然果汁及びパンだけに限るということでよろしいでしょうか。
○佐野室長 今回の改正は、あくまでも調味の目的に限る、ということです。
○穐山委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 ほかに御確認等もありませんでしょうか。どうもありがとうございます。
次に②「食品中の農薬等の残留基準の設定について」、事務局から報告を願います。
○田中室長 よろしくお願いいたします。今回、御報告の品目は、本年2月に開催された農薬・動物用医薬品部会で御審議を頂いた品目です。今回は農薬1品目についてADI、ARfD、いずれもその範囲内ということで評価を頂いております。
次のページから品目の御説明を申し上げます。成分名がフルミオキサジンで、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴って基準値設定の要請及びインポートトレランス制度に基づいて基準値設定の要請がありました。
こちらの用途は農薬の除草剤です。日本における農薬としての登録の状況は、大豆や枝豆などを対象作物として農薬登録をされております。今回、基準値を設定する品目としては、実えんどう、コーヒー豆が予定されています。
食品安全委員会での御評価ですが、ADIが0.018mg/kg体重/日、ARfDが、国民全体に対しては設定の必要はないということ、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に関しては0.03mg/kg体重と評価されております。
次のページの暴露評価を先に御紹介いたしますと、長期暴露評価に関しましては、一番高いところで幼小児の17.5%程度、短期暴露評価に関しましては、妊婦又は妊娠している可能性のある女性における摂取量が、ARfDを超えていないことを確認しています。
次ページに基準値案があります。少し細かいですが、一番左に食品名、その次の欄が基準値の案となっています。そこから2つ隣の列に、登録の有無、「○」とか「申」という字がありますが、今回、未成熟のえんどう、さっき申し上げた実えんどうに関しまして、申請の申の字が入っております。適用拡大の申請があったために、基準値案を付けております。また、次ページの登録の有無の欄に「IT」とあるのがコーヒー豆で、今回、ブラジルの値を参照して、基準値の案を付けています。その他にも、太い枠で囲んでいる基準値の変更がありますが、これらに関しては、国際基準が設定されているもの、あるいは、国内での作物残留のデータが得られたもの、そういったものを反映した改正です。簡単ですが、以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの報告につきまして、穐山部会長から追加発言はございますか。
○穐山委員 穐山です。繰返しになりますが、部会での審議の内容を説明させていただきます。今回は、農薬取締法、フルミオキサジン、除草剤ですが、これは農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準設定の要請と、インポートトレランス制度、これは海外の使用によって、輸入食品に設定あるいは改正に基づく要請がありまして、フルミオキサジンについて、食品中の残留基準を設定したものです。この農薬に関しては、本年2月に開催した部会において審議を行い、幾つかの報告と記載整備に関する指摘がありましたが、食品安全委員会の評価の結果として、生態にとって問題となる遺伝毒性は認められていないことから、閾値が設定できると評価されていること、また、作物残留試験や代謝試験等、規制対象物質及び暴露評価対象物質の選定に特段問題がないということです。また、作物残留試験の分析法、作物残留試験のデータ等、暴露評価及び国際基準等の情報により、残留基準値は適切であり、特段の問題はないという結論に達しています。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、委員の先生方から何か御意見、御質問はございますか。
どうもありがとうございます。御意見はないようですので、次にいきたいと思います。(2)文書配布による報告事項に移ります。「食品衛生分科会における確認事項」において、特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様のところに配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問などございますか。
○穐山委員 穐山です。私からのコメントは特にありません。
○村田分科会長 分かりました。そのほか、先生方、何かありますか。よろしいですか。
それでは、特段の御意見がなさそうですので、次に移りたいと思います。続いて、その他の報告事項に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から報告してください。
○田中室長 御説明申し上げます。こちらの資料ですが、前回、3月の分科会と、前々回、昨年12月の分科会において、御審議、御報告を申し上げた品目に関して、その後の手続の状況をお示ししたものです。パブリックコメントの状況とWTO通報の状況ですが、全般に順調に進めていまして、1つの品目、14番目のものですが、こちらに関して、修辞上の変更が生じておりますが、それ以外、特段変更がない状況です。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問、お願いいたします。
御意見、御質問はないようですので、次に進めさせていただきます。どうもありがとうございました。次に、令和4年食中毒発生状況について、事務局から御報告願います。
○福島室長 食品監視安全課食中毒被害情報管理室の福島です。私のほうから令和4年の食中毒発生状況について御報告いたします。スライド5ページを御覧ください。こちらは過去20年ぐらいの食中毒の事件数と患者数の推移になっております。事件数が赤いバー、患者数が青い折れ線です。令和元年までは、大体事件数にすると年間1,000件ぐらい、患者数は2万人ぐらいで推移していましたが、令和2年、令和3年がやはり新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、事件数、患者数ともに少なくなっておりましたが、令和4年は事件数が962件ということで、ややコロナ前の状況に近い形になっております。一方、患者数については、6,856人で、私どもが統計で持っている数字の中では、一番低い患者数となっております。
7ページのスライドです。患者数500人以上の食中毒事例は、昨年は1件もなく、こういったこともあって、昨年の患者数が今まで一番低かった結果が出ているかと考えております。一方、死者が発生した食中毒事例が全部で5件ありまして、そのうち4件が自然毒による食中毒となっております。中でも、うち3件が食物性自然毒によるもので、イヌサフランを誤食したものが2件、グロリオサという観葉植物できれいな花の植物ですが、こちらの根をヤマイモと間違えて摂食したものが1件報告がありました。もう1件は、動物性自然毒、ふぐによるもので、こちらは原因施設が飲食店となっておりますが、お客さんに出したというものではなく、飲食店の方が賄い用に自分で調理したもので、食中毒になられたという事例です。
1件だけ、細菌性食中毒によるものがあり、腸管出血性大腸菌による食中毒です。こちらは原因食品のところに、レアステーキ、ローストビーフと書いてありますが、生肉を中心とする販売店で販売されたお惣菜で、いわゆるレアステーキというか、社会通念上はユッケと見なされる食品によるものです。こちらの患者数が全部で40名と報告されておりますが、うち1名の方がお亡くなりになるという事例でした。5件ということで死亡事例も例年より少し多かったのですが、特に、自然毒による食中毒が目立っておりまして、私どもも毎年春先や、キノコの食中毒が多くなる秋頃にいろいろ注意喚起もしているのですが、引き続き、農林水産省や文科省、自治体等、関係諸機関の御協力も得ながら注意喚起をしっかりやっていきたいと考えております。
次に、スライド19ページを御覧ください。こちらが病因物質別の事件数の推移です。一番上に来ているのがアニサキスです。こちらは平成25年から個別に統計を取り始めました。グラフで見ますと、ずっと増加しているように見えておりますが、こちらはアニサキスによる食中毒が皆さんの認知を得てきたと言いますか、だんだん広まってきて御報告も頂けているので、このように数に反映されていると考えております。
2番目がカンピロバクター、3番目がノロウイルスということで、この順位はここ5年ぐらいはずっとこのような形で、トップ3をこの3つの食中毒が占めております。
次のページ、こちらが病因別の患者数の推移を示したものです。アニサキスの食中毒は、基本的に食中毒1件に対して、患者さんが1名ということが多いので、患者数としてはものすごく少ないのですが、病因別患者数で多くなっているのは、やはりノロウイルスが一番トップで、1件当たりの患者数が多い傾向が見てとれます。2番目が、ウエルシュ菌食中毒ということで、カレーやシチューなどの大鍋料理によるものが多いものですから、患者数も多い傾向があります。
次のスライドは、ノロウイルスの患者数が非常に多く、グラフが見にくくなっていますので、細菌による、バクテリアによる食中毒だけを抽出したものになります。こちらを見ますと、トッブがウエルシュ菌による食中毒で、2番目がカンピロバクターによる食中毒ということで、原因食品としては、加熱不十分又は生の鶏肉によるものが多いのですが、こういったものが多くを占めている状況です。資料の御説明は以上ですが、やはり、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付けられて、様々な商業経済活動や、食にまつわるイベント、フェス等も、コロナ前の状況に戻ってきているところで、大規模食中毒が発生しないように、私ども地方自治体の皆様とも連携しながら、注意喚起や監視指導をしっかり進めてまいりたいと考えております。私の説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局からの御報告に対して、御意見、御質問があればお願いします。脇田先生、今日御出席なので、コロナのほうで何かお話していただけませんか。
○脇田委員 手が上がっているようですが、よろしいですか。
○扇屋補佐 事務局です。郷野委員から手が上がっております。
○村田分科会長 それでは、郷野委員、どうぞ。
○郷野委員 令和4年食中毒発生状況について御説明いただきありがとうございました。昨年の夏は、まだコロナの第7波のピークということで、飲食店やイベントなどでの食中毒の件数も抑えられていたという印象を持ちました。私からは質問が1点と、要望が2点あります。
まず、質問ですが、アニサキスによる食中毒の発生件数が多いのは、やはり、飲食店によるものが多いのかということをお聞きしたいと思いました。コロナ禍で、釣りなどのアウトドアが人気となっておりますが、家庭での発生件数はどのぐらいあるのかというのが、まず質問です。
続きまして、要望ですが、これから夏に向かって、先ほども申しました釣りやバーベキューなどのアウトドア、また様々なイベントが再開されるようです。一般的な飲食店だけではなく、露店やキッチンカーなどへの注意喚起を積極的に進めていただきたいと思います。また、消費者に対しては、アニサキスやカンピロバクターについて、具体的に、例えばイカや青魚にはアニサキス、鶏刺し、馬刺しなどには、カンピロバクターに注意が必要ですよなど、分かりやすく注意喚起していただくことをお願いしたいと思います。以上2点、これまでも季節ごとに様々な場面で、食中毒への注意喚起を行っていただきましたが、引き続き、よろしくお願いします。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。まず、アニサキスは、飲食店のものなのかどうかについて、事務局からいかがですか。
○福島室長 郷野委員、どうもありがとうございます。アニサキス食中毒の原因施設ですが、報告されているもののうち、原因施設が不明となっているものが4割ぐらいあります。これはいろいろな所で食べられているので、どれが原因だったか分からないというものが半分近くになっております。
一方、飲食店となっているものが全体の4分の1ぐらい、26%です。販売店又は家庭となっているものが、それぞれ15%ぐらいあります。ただ、家庭となっているものは、自分で釣ってきたというわけではなく、魚屋さんから丸の魚を買ってきて、自分で調理されたものについては、原因施設が家庭ということで報告されていますので、恐らく、そういうものが多くて、私が知る限り、自分で釣ってきたものでという報告はあまり見たことはないのですが、気を付けていただかなければいけないという点については一緒ですので、注意喚起をしっかりやっていきたいと考えております。
御要望のほうでいただいていたイベント等が再開されるので、露店やキッチンカーなどの注意喚起もということで、特に、コロナ禍のときから、キッチンカーがだんだん注目されるようになってきたところもありますので、監視指導をやっていただいているところですが、そういう御意見を踏まえて、引き続きしっかりやっていきたいと考えております。
アニサキスやカンピロバクターについても、もっと具体的な注意喚起ということで、私どももツイッターや、最近リスコミ班がNOTEという新しい媒体も使って、一般消費者の皆さんへの注意喚起を一生懸命頑張っているところですが、更に分かりやすいものを目指して注意喚起をしていきたいと思います。御意見をどうもありがとうございました。
○村田分科会長 郷野先生、よろしいですか。
○郷野委員 はい、ありがとうございました。よろしくお願いします。
○村田分科会長 ほかにありますか。先ほどに続いて、脇田先生、どうですか。
○脇田委員 新型コロナの感染症の状況についてお話すればいいということですか。
○村田分科会長 より最近のお話として、5類に移ってからの状況をお願いします。
○脇田委員 直接、食品衛生分科会には余り関係ないかもしれませんが、5月8日以降、5類の定点疾患ということになりまして、それまでの全数報告から、週に1回の定点での報告ということになって、少し全体の感染者数の状況が、国民の皆さんに捉えづらいという状況はあるかもしれません。そうは言っても、定点の報告が毎週続いているということになっています。新しい感染者数といいますか、新規患者数については、4月から緩やかに増加傾向が続いているということで、5類の移行後もゆっくりと増加しているということが続いています。
問題は、医療がしっかりと、こちらもどの医療機関でも患者さんを診られるようにということになりましたが、医療が適切に、患者さんが逼迫しないように診られるという状況は大事なわけです。全国的には、今のところそれほど問題はないわけですが、多分、報道でも御存じのとおり、沖縄県は定点での感染者数がかなり多くなってきています。それで医療のほうも、かなり逼迫している状況になっていると聞いております。ただ、沖縄県のほうでは対応が始まっていると思います。
今後、どの程度感染の状況が続いていくのか、よく御質問を頂くわけですが、これまで過去3年間の状況を見ますと、やはり夏の間、特に夏休みやお盆の辺りまで、非常に人の動きが多くなりますので、今後もしばらくは増加傾向が続いていくだろうと考えています。ですので、その間、全国的に医療提供体制への負荷がどうなっていくのか、しっかり見ていくというところだと思います。
あとは対策としては、特に行動制限とか、これまでそういうことはあったわけですが、そういうものは考えられているわけではなくて、特に、できるところは、地域の感染状況等を見ていただいて、可能な範囲での感染対策の手洗いや換気。マスクを外す方が非常に増えているわけですが、屋内で混雑しているような場面では、やはりマスクを適切に着用していただく。どれか1つだけが非常に効果的というわけではないので、様々な感染対策を適切にやっていただくことが重要だろうと思います。
今、高齢者、基礎疾患のある方には、ワクチン接種が行われていますので、お話をすると、コロナは終わったからか、ワクチンはもういいでしょうというお話をよく伺うのですが、基本的には、特に今対象になっている高齢者、基礎疾患のある方というのは、ワクチンの有効性、特に重症化予防についても、接種してから半年以降は徐々に効果は落ちていくということになっていますので、しっかりとワクチン接種を今後も続けていくことがどうしても必要になってくるだろうと考えます。
引き続き、これまでもそうですが、日本のコロナの体制というのが、なるべく死亡者を抑制していくということでされてきましたので、そういった観点で、引き続き、我々としても感染病歴を見ていきたいと考えております。大体、そんなような状況だと思います。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。このほか、食中毒発生状況等について、御質問はほかにありませんか。どうもありがとうございました。
それでは、次に移ります。③「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律(令和5年5月26日公布)について」、事務局から御報告願います。
○扇屋補佐 御報告いたします。現在投影されているとおり、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律が、令和5年5月26日に公布されましたので、その御報告になります。
改正の概要としては、食品衛生基準行政の機能強化として、厚労省が現在担当している食品衛生基準行政が消費者庁に移管されること。2つ目として、水道整備・管理行政の機能強化として、水道行政が、国土交通省及び環境省に移管されること。また、所掌事務の見直しといった内容になっております。こちらの施行期日、令和6年4月1日となっております。次のページ以降は、前回の食品衛生分科会で御説明いたしましたので、割愛させていただきます。
37ページ、この法律案に衆議院、参議院、それぞれで附帯決議が付いております。附帯決議のうち、食品基準行政について記載されたものについて、資料としてまとめております。それぞれ衆議院のほうで2項目、参議院のほうで3項目ありますが、概要としては、「食品安全推進の取組に支障や停滞が生じることがないように、移管元の厚生労働省、移管先の省庁及び関係機関との間で連携を図ること。また、移管に伴って必要な予算の配分や人員の配置など、万全の措置を講ずること。また、今回の移管の対象となる行政分野の都道府県、市区町村で混乱が起きることがないよう、十分に留意すること」という内容になっております。事務局からの説明は以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問があればお願いします。ないようですので、以上で報告事項の議事は終わりました。どうもありがとうございました。最後に事務局から何か連絡事項はありますか。
○扇屋補佐 長時間の御審議、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会は9月を予定しておりますが、詳しい日時は、追って、御連絡いたします。どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○村田分科会長 長時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして、閉会とさせていただきます。