第12回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和5年6月29日(木) 15:00~17:00

場所

厚生労働省仮設第1会議室(Web会議併用)

出席者

出席委員(五十音順)

(会議室)
(Web会議)

※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

厚生労働省
(会議室)
  • 浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
大臣官房厚生科学課
  • 伯野 春彦(厚生科学課長)
  • 安濟 崇(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
  • 藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
健康局
  • 坂西 義史(予防接種担当参事官室長補佐)
  • 山口 敏弘(予防接種担当参事官室ワクチン対策専門官)
  • 小畠 啓史(予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官) 他
医薬・生活衛生局
  • 松倉 裕二(医薬品審査管理課長補佐) 他

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  2. 2.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  3. 3.医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査について
  4. 4.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 定刻となりましたので、ただいまより、第12回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会につきましては、ウェブ開催としてございます。磯部委員長を除く他の委員の皆様方には、厚生労働省外から参加いただいてございます。
 また、傍聴に関しましては、ユーチューブでライブ配信を行っております。担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくりはっきり御発言いただきますようお願いいたします。
 なお、資料は随時投影させていただきますが、通信環境が悪くなった場合には、通信負荷軽減の観点から資料の投影を中断いたしまして、音声配信を優先する等の対応を取ることがありますので、御了承をお願いいたします。
 それでは、以後の議事進行は、磯部委員長にお願いいたします。
○磯部委員長 こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最初に事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。また、利益相反の取扱規定に基づいて、各委員の申告内容の報告も併せてお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 事務局でございます。
 委員の出席状況をお知らせいたします。本日は、渡邉委員から御欠席の連絡をいただいております。現時点で9名中8名の委員に御出席いただいておりますので、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 続きまして、利益相反について御報告いたします。利益相反の取扱規定に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告でございますけれども、本日は議題1の「委員の求めに応じた個別事項の対応」で個別の医薬品の議論を行う可能性があることから、関連企業からの寄附金等の受取状況についてあらかじめ申告いただいております。
 各委員の申告内容について事務局にて確認いたしましたところ、今回、「退室」や「議決に加わらない」基準に該当する委員の方はいらっしゃいませんでした。
 なお、各委員の申告書につきましては、今回の監視委員会の資料と併せまして厚生労働省のウェブサイトに掲載しておりますので、詳細はそちらを御確認いただきますようお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、「委員の求めに応じた個別事項への対応」として、HPVワクチンの接種、そして新型コロナウイルス接種後の遷延する症状への対応、また、医薬・生活衛生局からの定期報告に関して取り扱うこととしています。
 今回も、厚生労働省からの説明を簡素化するなど、効率的に進めようと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、議題に先立ちまして、前回の第11回委員会で渡邉先生より御質問があった、新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」の審査報告書の記載について御回答いただきます。といっても、渡邉先生は本日御欠席ではいらっしゃるのですが、回答の内容は事前に御確認いただいて、御了承をいただいていると聞いておりますけれども、参考資料1の内容について、医薬・生活衛生局医薬品審査管理課から説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課長補佐 医薬品審査管理課の松倉と申します。よろしくお願いいたします。
 前回の委員会の中で、ゾコーバの審査報告書の記載内容につきまして、渡邉委員から御質問をいただきました。その場で十分な回答ができませんでしたので、会議後、事務局を通じて文書で回答させていただいております。今回は渡邉先生に回答させていただいた内容につきまして、この場で皆様にも御紹介をさせていただきたいと思っております。
 参考資料1を御覧いただければと思います。
 まず、前回いただきました御質問事項ですが、大きく2つございます。
 1つ目、表8というものがそちらに貼りつけてございますが、この内容は、ゾコーバの第Ⅲ相試験における主要評価項目である臨床症状の結果につきまして、ゾコーバ投与群とプラセボ群との比較を行った解析結果でございます。こちらの内容につきまして、まず①の御質問といたしまして、本薬375/125ミリグラム群において、ハザード比(0.95-1.36)が1をまたいでいるにもかかわらず、p値(0.0407)では有意差がついているのはなぜか。
 これは、その下の表で御覧いただきますと、上半分の5症状の結果を比較したところで、横軸で見ていただきますと、本薬375/125ミリグラムのところでございます。こちらはp値の欄が0.0407という一般的に5%の有意水準では有意な結果であったという形になっております。
 一方で、その下のハザード比の95%信頼区間については0.95から1.36となっておりまして、1をまたいでいる。通常であれば、この1をまたがなければ有意であると判定されるのですが、そこがまたいでいるということと、その上のp値が0.05を下回っていることとの関係性がどうかという御質問でした。
 回答については、下半分に書かせていただいております。そのまま読み上げさせていただきます。本試験の第Ⅲ相パートにおける有効性の主要評価項目は、治験薬投与開始時点からSARS-CoV-2による感染症の5症状が回復するまでの時間であり、その解析として、各投与群のカプランマイヤー曲線の重なりの有無をPeto-Prenticeの層別一般化Wilcoxon検定を用いて検定した結果が、表中のp値として表示されております。本検定により統計的有意差が認められた場合は、回復までの時間が本薬群でプラセボ群よりも短くなったものと評価されます。
 したがいまして、予定していた解析結果では有意な差がついているということには間違いはございません。
 その上でですけれども、上記のとおり、表中のp値はハザード比の仮説検定に対応するものではないため、ハザード比の信頼区間の値とは統計的有意差の判定結果が異なったものと考えております。
 なお、ハザード比については、イベントが起きるまでの時間の解析においてよく使用される指標ですので表中に記載しておりますが、あくまで参考的な位置づけのものであり、本結果に基づく有効性の有無の評価は行っておりません。ということで、2つの値がそれぞれ異なる解析手法で出されているものですので、両者が対応していないように見えたということでございます。
 2つ目の質問が②ですけれども、本薬の750/250ミリ群において、p値がついていないのはなぜか。これも表中の上半分の5症状のところで、今度は750/250ミリ群のところでp値がスラッシュとして記入がされておりません。これはなぜかという御質問でした。
 回答につきまして、下のほうの②ですけれども、申請者は、本試験の第Ⅱb相パートの結果から用量間で有効性に明確な差はなく、低用量でも十分な抗ウイルス効果が確認でき、本薬の催奇形性リスクや薬物相互作用リスクに対するマージンを大きくすることも考慮し、第Ⅲ相パートにおいては本薬375/125ミリグラムのみを有効性の検証対象としたため、750/250ミリグラム群については検定対象とされておりません。この第Ⅲ相試験の前に結果が出ていた第Ⅱb相で低い用量でも十分なウイルス効果があったことから、第Ⅲ相でもこの低い用量群を評価対象としていたということでございます。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 丁寧に御説明いただきました。何かコメント等はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、宿題事項への回答はここまでとしまして、資料1のHPVワクチン接種についてということで、本日の議題に入ります。
 議題1「委員の求めに応じた個別事項への対応」として、まずHPVワクチン接種について取り扱います。前回3月の監視委員会では、HPVワクチンの副反応疑い報告に関する取扱い、また、副反応による健康被害への対応について御説明をいただきました。今回はHPVワクチンに関して、泉委員から、この4月に行われた9価ワクチンの定期接種化、ワクチンの安全性等に関する情報伝達の状況、そして接種後の多様な症状への治療方法の確立に向けた施策の実施状況等を中心に取り扱ってほしいとの御要望がありましたので、健康局予防接種担当参事官室から御説明をお願いいたします。
 それでは、どうぞよろしくお願いします。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 よろしくお願いいたします。健康局予防接種担当参事官室でございます。HPVワクチン接種について御報告させていただきます。
 まず、HPVワクチンに関する課題に対しまして、これまでに行ってきた対応についてです。大きく分けて3つについて記載をしております。
 「マル1リスク(安全性)とベネフィット(有効性)の整理」に関しましては、平成25年12月審議会において国内外のリスクとベネフィットに関する情報を整理し、平成26年1月と7月の審議会において、HPVワクチン接種後に生じた多様な症状の病態と因果関係について評価され、病態については「機能性身体症状」の可能性が高いとされました。
 その後も審議会で継続的に副反応疑い報告の発生状況をモニタリングしながら、厚生労働科学研究事業による全国疫学調査により、接種歴がなくても多様な症状を有する者が一定数存在することを報告し、平成29年11月の審議会で国内外におけるリスクとベネフィットに関する情報を改めて整理して評価をいたしました。
 「マル2HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援」に関しましては、平成25年9月から厚生労働科学研究事業による接種後症状に対する診療と治療法の確立のための研究を実施。平成26年8月には、協力医療機関を各県に1つ以上整備。また、平成27年9月から予防接種法及びPMDA法に基づく救済の実施をしております。平成27年11月、各県の衛生部門及び教育部門に相談窓口を設置。平成27年12月からは、救済制度間での整合性を取るための予算事業を実施しております。平成29年7月~9月の審議会で、協力医療機関を対象とした研修会の概要やHPVワクチン接種後の痛み等に有効と思われる治療法の紹介などを行っております。
 「マル3HPVワクチンの安全性・有効性等に関する情報提供」に関しましては、審議会で国民に対する情報提供を充実すべきであるとの意見があり、その情報提供の方法等について議論をされまして、新しいリーフレットを自治体に周知するとともに、厚生労働省のホームページに掲載しました。
 その後、自治体や国民への調査の結果、情報が十分に行き届いていないということが明らかになり、審議会においてリーフレットの改訂内容が了承されまして、自治体へ通知されるなど、それぞれの課題に対して対応を行ってきたところでございます。
 そうした中で、9価ワクチンの定期接種化につきましても、審議会において検討を重ねてまいりました。令和2年7月に製造販売承認され、その後、国立感染症研究所からファクトシートが提出され、それに基づきまして、ワクチン評価に関する小委員会において9価ワクチンの定期接種化に向けて検討を要する論点の整理及び議論が重ねられまして、令和4年8月のワクチン評価に関する小委員会、10月・11月の基本方針部会、令和5年3月の予防接種ワクチン分科会での議論を経まして、令和5年4月から、9価ワクチンは定期接種に用いられております。キャッチアップ接種におきましても9価のワクチンを用いることが可能になっております。
 この9価ワクチンですけれども、子宮頸がんの発生に関連するヒトパピローマウイルスのうち、従前より定期接種で使用されてきました2価と4価のワクチンよりも多くの9種類の遺伝子型を標的としております。子宮頸がん及びその前がん病変の罹患率の減少、子宮頸がんの死亡率の減少が期待されております。
 加えて、従来の2価・4価ワクチンは3回接種となっておりますが、9価ワクチンは15歳の誕生日までに1回接種をすれば2回接種で完了とすることができます。
 また、子宮頸がんの対策としましては、ワクチン接種に加え、子宮頸がんを早期に発見し治療するため、20歳以上の女性に2年に一度子宮頸がん検診を受けていただくことも重要と考えております。
 こちらは少しビジーなスライドですが、地域におけるHPVワクチン接種に係る診療相談体制の強化のイメージということで、接種対象者を中心にサポートする体制を表している図になっております。対象者には市町村から予診票が送付され、リーフレットが同封されるなど、情報提供が図られます。HPVワクチンを接種した後に何らかの症状が出た方に対しては、より身近な地域において適切な診療を提供するため、平成27年11月以降、各都道府県に1か所以上の協力医療機関を選定しまして、厚生労働省ホームページ等で公表をしております。
 こちらの協力医療機関の窓口となっている診療科に限らず、診療科の間で情報共有をしていただきながら、地域における診療体制の中核的な役割を担っていただいております。接種後の症状に不安のある方が安心して医療を受けられるよう、協力医療機関における医師等に対する研修を実施しまして、診療内容の向上を図って、受診される方の訴えの内容にかかわらず、適切な診療がなされるように支援をしております。
 また、全国を10のブロックに分けまして、各ブロックにおいて拠点病院を選定し、その拠点病院には協力医療機関を取りまとめていただくなどの役割を担っていただきながら、定期的に協力医療機関、都道府県の担当者等と現在の受診状況や臨床経過について会議を行っていただいております。こちらには、厚労省の担当者も参加して連携を取ることにより、よりよい診療体制の構築を図っております。さらに、厚生労働科学研究において、HPVワクチン接種後の症状に関して協力医療機関を受診した方の診療状況の把握や臨床像の解析を行っております。
 また、教育現場への働きかけとしまして、都道府県の教育部門担当者に対して文科省からHPVワクチンについての啓発を行っていただいております。今後も文科省と連携を取りながら働きかけていきたいと思います。
 また、HPVワクチン接種後に生じた症状に対する対応についてですが、医療的な支援の充実として、繰り返しになりますけれども、身近な地域で適切な診療を提供するため、協力医療機関を各都道府県に1医療機関以上整備し、協力医療機関の医療従事者向けの研修会を協力医療機関のニーズ等を踏まえて年1回程度開催し、協力医療機関同士が相談できる体制の構築や協力医療機関と都道府県等が必要な情報の共有、意見交換や職員研修等ができるよう連携の強化を行い、協力医療機関の診療実態を把握するための調査も継続的に実施しております。
 また、生活面での支援としましては、各都道府県や政令指定都市等の衛生部門と教育部門に相談窓口を設置しまして、厚労省のホームページで相談窓口を公表しております。
 厚生労働省として、お示しのような概要版のリーフレットをはじめ、各種リーフレットを作成しております。本日はページ数の関係でピンク色の概要版、水色の詳細版をお示ししておりますが、ほかにもキャッチアップ接種用、9価ワクチン用、医療従事者向けなどのリーフレットを作成しておりまして、厚生労働省のホームページで公開しております。
 HPVワクチンに関するリーフレットにつきましては、平成29年の審議会においてそれまでの議論の整理が行われまして、リスクとベネフィット、安全性と有効性の両方をよく理解していただくことが必要であり、そのために国民に対する情報提供を充実すべきとされました。HPVワクチンの安全性・有効性に関する最新の科学的知見等を踏まえ、さらに改訂を行うとともに、キャッチアップ接種の開始、9価ワクチンの導入などに合わせて改訂を行っております。
 また、改訂に当たっては、審議会委員の意見を聴取して修正を加えまして、審議会で諮った上で改訂をしております。リーフレットの改訂に当たって、内容につきましては、読みやすさ、分かりやすさを重視して、専門用語等は極力排除すべきといった議論がなされました。そうした観点も含めて、審議会の議論を踏まえて決定しております。今後もそういった審議会での議論等を踏まえながら、引き続きリーフレットの内容について検討して、国民への適切な情報提供に努めてまいります。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見があれば、御発言をお願いします。
 泉さん、どうぞ。
○泉委員 まず、資料1の2枚目に「HPVワクチンに関する課題に対する対応(まとめ)」という資料を頂きましたので、それを中心に質問させてもらいたいのですが、その資料が出ますでしょうか。これの左のほうに課題マル1が書いてございますが、マル1の2つ目の枠に、平成26年1月と7月の審議会でHPVワクチン接種後に生じた「多様な症状」の病態と因果関係について評価したと書いてございます。それで、米印で「慢性的な疼痛などの身体症状はあるが、医学的検査で症状に見合う異常が認められない」、つまり医学的に数値を見たり、検査をしても異常が認められないという状態の病態であるということを明確に委員の先生方がこのときに確認されていまして、その下の下、平成28年12月と29年4月の祖父江班による全国疫学調査を実施した結果を審議会に報告して、接種歴なしでも多様な症状を有する者が一定数存在するという結論を祖父江班はお出しになったのですが、このことでちょっとお伺いします。
 このときのことを、厚生労働省に、被害を受けている皆さんから、大臣と検討部会と安全対策調査会宛てに手紙が出ています。その手紙の中に要綱として調査過程の公表を見せてくださいと。そして、その中に研究計画書並びに解析計画書の2つは既に公開されているのでしょうか、それともまだなのでしょうか。私たちはどこを見たらこの2つを見ることができますか。まずこれを教えてください。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 ありがとうございます。
 今、御質問いただいた研究に関しましては、研究報告書は、厚生労働省の厚生労働科学研究成果データベースにおいて公表されておりますので、こちらを御覧いただければと思います。
○泉委員 分かりました。
 そうすると、普通、研究班の報告書というのは必ず厚生労働省のホームページに載るわけですけれども、研究計画書と解析計画書も祖父江班は文章の中で言葉にしておりますが、この2つもそれを見れば出てくるということでよろしいですか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 研究計画書と解析計画書に関しましては、こちらのデータベースには載っておらず、解析計画書がどれを指されているか私は把握できませんが、データベースに載っているのは先ほど申し上げた研究報告書のみになります。
○泉委員 研究報告書が出るのは当たり前なのです。これは厚労科研費でやっていますからね。
 ただ、皆さんが見せてほしいよと言っているのは、研究計画書と、それから解析計画書という言葉を祖父江班がこの研究の中で使っているのです。ですから、この解析とこの研究の計画書は当然としてあるものであって、それが厚労省に研究成果として出ないのだったら、それはおかしいですね。なぜそれを載せないのか、それはどこを見たら見られるのですかということを聞いているのであって、もし今用意できないのであれば、次回でも構いませんので、それを用意して見せてください。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 ありがとうございます。
 研究報告書に関しては、先ほど申し上げたデータベースで公表されておりますのでそちらを御覧いただければと思います。
 研究計画書と解析計画書につきましては、持ち帰り、こちらのほうで検討させていただきたいと思います。
○泉委員 検討するのではなくて、これは見せなくてはいけないのですよ。厚労科研費でやっているのだから。先生方もそれは公にしているわけですから、それがそこの研究報告書に載っていないというのはおかしいのです。だから、本来であればそこに載っていればこんな質問をしなくても済むわけなのですね。それをよく考えてお答えください。
 それから、これは非常に不思議に思うのですが、祖父江班の報告を受けて議論がされたと聞いております。審議会に報告されたわけですからね。その祖父江班の報告を受ける前に厚生労働省から記者レクがあって、審議会が審議をする前に既に新聞発表があったと。どういうことがあったかというと、多様な症状はワクチン接種者以外にも現れる。ワクチン接種者だけに現れる症状ではない。つまり、HPVワクチンは、一般の人でもワクチンを打たなくても同じ症状が現れる人がいるということを審議会が審議する前に厚生労働省がその意見を新聞に伝えているということは非常に違和感を覚えますし、もう過去のことですから、どうしてそうなったのかというのはいきさつをすぐにお答えになれないと思いますので、私はそちらのほうに質問書を出しております。ですから、それに対して今日答えられるのであれば答えてもらいたいし、答えられないのであれば、なぜ審議会が審議する前に厚生労働省がワクチン接種者だけに現れる症状ではないよということを新聞に発表するように出したのか。その現実を、なぜなのかということを検討し、今、報告できるものであれば報告をもらいたいし、報告できないものであれば、後ほどで結構ですから教えてください。これが2つ目です。
○磯部委員長 今の点はどうですか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 委員御指摘の審議会の前に、記者の方々へ審議会で取り扱う内容を御説明したことがあったという件に関しましてですが、この審議会に報告する内容が非常に学術的な内容である回であったことから、事前に記者の方々へどのような研究を行ったのかを正確にお伝えするため、御説明する機会を設けたと承知しております。
○泉委員 すると、専門家が審議する前に厚生労働省がかみ砕いた言葉で新聞記者の方にレクしたということは、私は正しいやり方ではないと思います。あくまでも審議会を通して、審議が終わった後でこれを公表するのが正しいのであって、審議会がこれからする資料が難しいからといって厚生労働省が記者レクするような内容のものではございません。被害者が出ている事案なのですから、そこは今後もこういうことがないように注意をしていただきたいと思います。
 先生、まだもうちょっと質問があるのですが、なるべく手短に。
○磯部委員長 そうですね。どうぞ。
○泉委員 課題マル2のところにHPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援ということが書いてあるのですが、そのすぐ下、平成25年9月に、接種後症状に対する診療と治療法の確立のための研究の実施をしたと書いてあります。この確立をしたということは、診療は何を重点に置いて確立されたのか、その研究は既に終了しているのか、引き続き継続して研究されているのか。私は治療方法は今でもないと聞いておりますが、どのようなお考えで今ここにこの項目を書かれたのか、内容をもう少し丁寧に説明してください。
○磯部委員長 お願いいたします。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 御指摘の研究班につきましては、厚生労働科学研究事業の慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究と子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療方法の確立と情報提供についての研究、それぞれ牛田班、池田班と申しますけれども、それらのことと推察をしております。牛田班は平成29年度、池田班は平成27年度に終了しております。
○泉委員 既に終了しているということですね。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 終了しております。
○泉委員 今のお話の中に、神経の免疫異常の症候群が言葉で出てきておりますけれども、いわゆるHANSという免疫異常症候群の治療方法があると聞きますが、これをさらに研究してもらうことは可能なのでしょうか。
 HANSに関しては、既に日本自律神経学会で発表されています。それはどういうことかというと、いろいろな症状を見るためにはどうしたらいいかということの予備診断基準が現実に数百名の方のデータを基にここでつくられているのですね。これこそ、今、厚生労働省が引き続き研究しなければいけない寄り添った支援の一つだと思うのですが、ぜひこれを検討してもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 HANSということについて、どういうふうに御認識になっているかという辺りはいかがでしょう。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 平成25年の積極的勧奨の差し控え以降、厚生科学審議会におきましては、国内外の知見を踏まえつつ、ワクチンの有効性・安全性に関する評価を行ってきております。令和3年10月の審議会では、安全性・有効性に関する国内外の最新の知見についてエビデンスレベルの高い研究デザインであること、一定規模のサンプルサイズであること、一定期間にわたって追跡された研究であることなどのおおよその比較衡量をしまして、抽出したものを改めて整理して、HPVワクチン接種後に生じた症状、慢性疲労、体位性頻脈症候群、自己免疫性疾患などとHPVワクチンとの関連について、国内外でこれまで調査が行われているが、ワクチン接種との関連性は明らかになっていないと評価をされております。
 また、同年11月の審議会におきまして、HPVワクチン接種後に生じた多様な症状とHPVワクチンとの関連についてのエビデンスがこれまで認められていないことなどから、現在のエビデンスによれば、ワクチンの安全性についての特段の懸念は認められないと評価をされております。
 令和4年度から積極的勧奨が再開された以降も、引き続き審議会におきまして安全性の評価を行っており、現状では特段の懸念は認めないとされております。HPVワクチンの接種の在り方を検討するに当たっては、今後も新たなエビデンスを収集しつつ、安全性の評価を行っていくこととしております。
○泉委員 このワクチンを接種する感染症に対する啓蒙はとても必要だと思うのですが、日本特有の被害が出ているという現状があります。それはほとんど積極勧奨のときに皆さんそういう被害を受けているわけですから、他国を検討するのも結構ですけれども、日本国内の被害を見て、その研究をした先生方が、これは学会で発表されるぐらいですから皆さん著名な先生方ですが、そのいわゆるチェック項目があると言うのだったら、ぜひ厚労省はこれに研究班を費やして、診療と治療方法がこういう方法もあるのかということを確立してもらいたいと思うのですね。これは日本特有かもしれませんが、ぜひこれはすべきだと思います。
 HANSというのは私も初めて聞いた名前ですが、これをやっている専門の先生方は著名な先生方です。たくさんいると聞きますから、厚生労働省は、被害の出ている人たちを救うために今何をしなければいけないかということを考えるのであれば、ぜひこれも研究の課題に加えてもらいたいと思います。
 私がなぜそこに注意して話しているかというと、私たちは一般市民なのですね。一般市民というのは専門家ではないわけです。結論的にちょっとおかしいよと思うのは、市民感覚でそれは再発防止のためにやってもらわなくては困るねということは言わないといけない立場なのですね。それで今、お話ししています。
 ですから、協力研究機関を各県に1つずつ持つと書いてあるけれども、ここの中には既にそういうところできちんと診てもらえない被害の方々の言葉が厚生労働省に届いているはずです。そういうことを読むと、今日は読みませんが、ぜひ研究を止めることなく、積極勧奨で受けた被害でありますから、こういう治療方法も日本特有か、あるいは各国でも出ているか知りませんが、やはりやるべきだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 次に、花井さん、お願いします。
○花井委員 ありがとうございます。
 若干この委員会の所掌と外れるのですけれども、今、泉さんが発言したことに関連して、厚生科研の研究計画書で、e-Rad等で公開している部分はありますが、完全なプロトコルというのは知財などのいろいろな関係があって全公開という形にはなっていないと思うのですけれども、例えば先ほどの祖父江班などは疫学研究だから、特段特許などに抵触しない研究で、もっと言えば人文系もあると思うのですけれども、そういった研究計画についてある程度最終報告書だけではなくて公開する仕組みというのは今まで検討されたのか。または、今後、何らかの公開の仕組みをつくったほうがいいのではないかと思いますので、それが質問と意見です。
 それからもう一点、またここの所掌とはあまり関係ないのですが、資料であるHPVワクチンのパンフレットの例えば詳細版なのですけれども、僕がこれを見て思うのは、このパンフレットだけを見ると大して積極的に勧奨していないパンフレットだなと思うわけですけれども、どうやらこれはHPVワクチンについて知ってもらうということが趣旨と書いてあるので、そうなっているのかなと思って見てはいるのですが、青いほうの詳細版の7ページの左下に、唯一パンフレットを見た人がどうするかという決断に関しての推奨が書いてあるわけですね。これもまたよく考えて書いているなと思うのですけれども、検診については下の段でワクチンを接種していなくても、していても、2年に一回子宮頸がんの検診を受けてくださいという極めて重要なことがここに書いてあって、しかもこれは受けても受けていなくてもと書いてあることから、受けない可能性も含意しているわけですね。
 さらに、8ページの右上に行くと、ワクチンにはリスクと効果がありますから、よく相談してくださいねと書いていて、パンフレット全体としては、ワクチンに関しては判断してくださいね、こういう情報がありますよと書いており、それはそれで割と腰の引けた表現としてはいいと思うのですけれども、せっかく7ページの下に検診の件でいいことが書いてあるわけですね。
 そもそもこのパンフレットを見る人は、実は公衆衛生や疫学的理由ではなくて、私が病気にならないために、もしくは我が子が病気にならないために最善をしてあげたいと思うお母さんなどが見るわけですね。そのときに結局必要なのは、例えば私がワクチンを打つべきか、打たないべきかという判断もさることながら、検診は打っても打たなくても絶対要るものですよということこそが最も強調すべき点であるわけですね。別の選択肢としてワクチンも存在しているし、公費で打てますよ、リスクとベネフィットがありますよというレトリックになると思うのですけれども、このパンフレットを見るとどっちつかずになっていて、せっかくこれだけ立派なものを作るのであれば、もうちょっと検査を受けることは一丁目一番地という表現のほうがいいように思うのですが、私の知見が及ばないだけで検査は別にパンフレットがあるのであれば教えてほしいですし、恐らくこのワクチンに関してはすごくいわゆるお金がかかっているようなので、立派なパンフレットができていると思えるので、どうせこれを皆さんが見るのであれば、検査の推奨は強調していいと思うのですが、その辺の御意見をお聞かせいただきたいし、意見としては、もっと検査は推奨すべきと思いますが、どうでしょうか。
 以上2点です。
○磯部委員長 では、お願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 まず、先に監視委員会事務局でございますけれども、花井先生からいただいた1点目の厚労科研のプロトコルを公開する仕組みというところも検討したらどうかというお話をいただいたと理解しています。
 こちらなのですけれども、実は本日、厚労科研の資料を公開する担当といいますか、運用をしている担当が今ここにおりませんものですから、事情について具体的にお答えできる状況にございません。ですので、そういった御意見があったことにつきまして承ったということでよろしいでしょうか。
○花井委員 それでよろしいです。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 では、2点目、リーフレットの詳細版につきまして、御意見を頂戴してありがとうございます。
 検診につきまして、あるいは全体を通してそうですけれども、先ほど申し上げたように審議会を通して表記について検討させていただいております。先生から御意見いただいたことを踏まえまして、また、審議会等での議論を踏まえてリーフレットの内容の改訂といったところを検討してまいりたいと思います。
 あとは、子宮頸がん検診につきましては、我々のところが所掌ではないものですから、それで単独のリーフレットがあるかどうかというところは私は存じ上げておりません。申し訳ございません。
○花井委員 そうですか。ちょっとそれは意外だなと思ったのですね。
 だから、結局国民側からすれば、ワクチンも検診も自分のヘルスケアのためのソリューションとして考えるわけですね。だから、何となくワクチンというものに着目し過ぎているので、結局ワクチンを打つか打たないかはそれぞれの個人の判断ということもありますけれども、どちらかといえば打ったほうがいいよという勧奨なのでしょうけれども、このパンフレットは、詳細に読むとリスクとベネフィットがありますよ、現在データはこの程度ですよ、選んでください、できることはワクチンを打つという選択肢もありますよ。後者は、検診の選択肢はどちらもやってくださいと書いてあって、そのレトリックと見せ方が合致していないというか、ユーザー目線としてはもう一つだなと。
 ただし、内容については相当考えられて書かれたなというのは読んで分かるのですけれども、結局のところ何が言いたいのかというところについて、もうちょっと国民の健康を守るという観点からの記載というのを検討していただくように皆さんにお伝えいただきたいし、それから、そちらは所掌ではないからというと、これは総合的なソリューションなので、厚生労働省のそれぞれの所掌のところと連携して、いわゆる対象者の国民の命を守るという上で選択肢を示すという総合戦略をちゃんと考えてほしいですね。
 確かに予防接種法の枠組みだけで考えるとこの関係はそうなるのですけれども、そもそもそういうものではないのではないかと思いますので、くれぐれも先生方にお伝えいただきたいと思います。
 以上です。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 申し訳ございません、事務局の予防接種室からお答えさせていただきます。花井先生、重要な御指摘だと思っておりまして、ありがとうございます。
 今、お答えさせていただいたように、今回、予防接種の関係ということで予防接種の担当の部局から回答させていただいているところでございますけれども、花井先生のおっしゃっていることはまさにおっしゃるとおりでございまして、女性の方を子宮頸がんから守るということがまさに一番大事であって、そのためのワクチンであり、検診でありというところだと思っております。
 今回御紹介しているのがどうしてもワクチンを中心とした情報提供でございますので、そちらではございますけれども、先生のおっしゃるとおりがん検診というのも非常に重要なものでございまして、私ども同じ健康局の中でやっております政策でございますから、よく連携をして取り組んでいきたいと思っております。
 内容について十分回答できないところがあって、それは申し訳ないところでございますが、先生の御指摘の点は非常に重要なところだと認識しておりますので、また取り組んでまいりたいと思っております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今の点のパンフレットのことは、なるほどワクチンのことだけだとまたそれはそれでちょっと不十分なところもあって、最終的に一番大事な目的は何かということで連携を取っていただくという重要な御指摘をありがとうございます。
 花井さんの1点目と、泉先生が御指摘になった研究計画書と解析計画書は、成果報告はオープンになるけれども、それがそもそもどういう計画に基づいて解析されたのかという生のデータと突き合わせて見ないといけないのではないかというのは、それはそれで説得的な気がするのですね。
 もう一つは、審議会でまさに科学技術等を評価するべきで、それを科学的なものだったということをしかるべき形で、そのまま味つけせずに公表するべきなのであって、いろいろ思うことはあると思うのですが、そうならないようにも、もうちょっと生のデータということをきちんと分かるように、そのファクターがかえってその解析、分析過程の信用性を上げることになるのではないかという御指摘だと思うので、そこは例えば情報公開請求をしたら全然出てこないのですかね。何か支障が生じるのだろうかということを考えると、そんなにおかしなことを言っているような気がしないのですね。なので、いろいろな観点から考えていただければなという感想もあろうと思った次第ですというコメントだけお話しさせてもらって、佐藤先生から手が挙がっていますね。お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。先ほどこちらのネットの回線が悪くて途中で落ちてしまいまして、泉委員の質問のところが十分聞けなかったものですから、多少重なる部分があれば、お許しください。
 私からの質問は、HPVワクチンのベネフィットとリスクのバランスに関してなのですが、このパンフレットは花井委員が言われたように、以前のものに比べるとはるかにリスクについても書き込んでいるわけですけれども、リスクに関しては1万人当たり8人ないし9人、あるいは5人から7人の重篤な症状の報告がある一方で、ベネフィットのほうはどうなのかということなのですが、それに関してより具体的な数字が出せるならば、出していただきたいというのが私からの質問です。
 このベネフィットのほうなのですが、まず子宮頸がんの罹患の割合や死亡の割合が1万人当たり何人というのがまさに最初のほうにあったかと思うのですけれども、その前を少し出していただけますか。まず、子宮頸がんそのものがどのぐらいの割合で起きるかというところです。1万人当たり132人、死亡が34人ですね。結局ベネフィットを考えるときには、この1万人当たり132人がワクチンによってどのぐらい減るのか、あるいは死亡がどのぐらい減るのかということになるわけです。もちろん検診とのセットということがあるわけですが、では、ワクチンの効果はどうなのかということなのですが、その次に感染をどのぐらい防ぐかということが一応書いてあるのですが、その次の次のページでカバーする範囲が4価の場合は何%、9価の場合は何%ということが書いてあるのですけれども、例えばHPVのワクチンが今カバーしているHPV16の感染を、ワクチンを打ったら100%防ぐわけではないと思うのですが、何%防ぐのかという数字がありますかということをまずお聞きしたいです。
○磯部委員長 どうもありがとうございます。いかがですか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 お待たせしております。
 今、手元にある資料で恐縮ですけれども、例えば2価のサーバリックス、あるいは4価のガーダシルが手元にありますけれども、この16感染につきましては、両方とも効果は9割前後となっております。
○佐藤委員 そうすると、例えば4価のワクチンであると70%カバーしていて、そのうちの9割の感染を防ぐという理解でよろしいですか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 ざっくりとした理解としてはそういったイメージだと思います。
○佐藤委員 そうすると、要するに例えば4価では70%の9割ですから、6割ぐらいが最大ですね。まず、HPVそのものの感染予防効果が6割ぐらいを防ぐというのがベネフィットなわけですね。
 そして、その後、前がん病変、あるいはいわゆる浸潤のがんそのものの予防効果も疫学研究のほうではある程度4価までに関しては出ていますけれども、それを全部組み合わせたときに、1万人当たり何人の子宮頸がんの発症を予防できるのか。そして、死亡を何人予防できるのかということに関する具体的な数字というのは出されていないと考えているのですが、その理解でよろしいですか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 御質問ありがとうございます。
 今、お伺いいただいた1万人当たり何人の子宮頸がんを予防できるかという数字は特に手元にございません。
○佐藤委員 実は子宮頸がんそのものの発生を予防したという大規模な疫学研究の結果の論文を私も細かく読んでおりますが、まだ観察の期間が短くて、子宮頸がんの好発年齢である40代という年齢まで、15歳ぐらいでワクチンを打ったときに、40歳のいわゆる子宮頸がんそのものの発症がしやすい年代までこのワクチンの効果が持続するのか、その段階においてがんの発症予防効果があるのかということについてはまだデータがない段階なのですね。
 ですので、そういう段階で1万人接種当たり10人弱にワクチン接種後非常に長く続く重い症状のリスクがあるということがベネフィット・リスクバランスとしてどうなのかというのはかなり疑問ではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
 例えば1万人当たり子宮頸がんの発症のリスクが100何人で、例えば本当の意味でそれがワクチンによって半分に減って、1万人当たり60人の子宮頸がんを防ぐとして、それの見返りに1万人当たり約10人弱の一生を台無しにするような、ほぼすぐには治らないような接種後の症状に苦しむような状況と引き替えにするということは、国民全体としてのベネフィット・リスクバランスという観点でいったときにどうなのでしょうか。これは成り立つワクチンですか。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 御質問ありがとうございます。
 委員の御指摘のように、子宮頸がんの予防効果というところでこのHPVワクチンの有効性のデータというのが限定的な部分があるという御指摘でしたけれども、それも御指摘のように疫学的な研究データでそういった子宮頸がんの予防効果というのも少しずつ出てきているところであることと、あるいは前がん病変に対する効果が出てきているというところがございます。そういったところを有効性として我々としては認めていて、また、こちらも重要な御指摘ですけれども、安全性の面でHPVワクチン接種後に様々な多様な症状を呈する方がいるというところも事実でございまして、そういったところも含めてベネフィットとリスクというところのバランスは審議会のほうでも検討いただいて、現在の判断になっていると理解しております。
 いずれにしましても、HPVワクチン接種後に症状が出現している方々に対する寄り添った支援というところを徹底してやってまいりたいと思っております。
○佐藤委員 前がん病変の段階で検診によってそれを発見すれば、ワクチンを打っても打っていなくても、100%と言わないまでもほぼ子宮頸がんの発症そのものは予防できるのですね。検診で防げるのに、わざわざ1万人当たり8人ないし9人の一生を台無しするような重い後遺症を残すリスクを負わせるということが本当に適切なのでしょうか。
 任意の接種として個人の判断に委ねるというやり方はあるかもしれませんけれども、接種勧奨するほどのワクチンの効果が見込めているのでしょうかということです。それに引き替えリスクのほうがかなり重視すべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○磯部委員長 御発言の内容が繰り返しになっている部分もあるような気がするのですけれども、何か今、もっとおっしゃることがございますか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 先ほど子宮頸がん検診の重要性というところの御指摘をいただきました。我々も非常に認識をしております。HPVワクチンでHPVの感染を防ぎながら、そういった中でも子宮頸がん検診も20歳以降は2年に1回というところを我々としてはしっかりと推進して、子宮頸がん対策を行っていきたいと思っております。
○磯部委員長 リスク・ベネフィットバランスについて厳密にどう考えているのだということの御質問だったわけですね。一般的にワクチンについて、始めてみたけれども5年、10年でもう一度見直してみようという機会はないのですか。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 ワクチンの有効性・安全性に関しましては、引き続き審議会のほうで議論をしていくと認識しております。
○磯部委員長 それは、副反応情報などがあれば、それをチェックするという話ですね。検診もあるとか、そういうものも含めてもう一度ゼロベースで見直すみたいなことではないのですね。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 ありがとうございます。
 がんに対する対策として何を活用していくかというところで、まさに仮というか、頭の体操的なところですけれども、検診などのほかの介入方法がよりベネフィットが高くてリスクがないということがあれば、当然対策の中の位置づけとしては変わっていき得るものだとは思っていて、その中の一つがまさにワクチンで、先生方の御指摘のように検診もあるし、ワクチンもあるしというところを総合的にやるべきという御指摘をいただいていて、その在り方を見直すということは当然あり得ると思っていて、かつ、今、小畠からお答えしたワクチンの安全性については、当然経時的にモニタリングしていますし、安全性のエビデンスについても当然分科会等々で示していくものではあると思いますので、全体と部分と両方を見ながら検討することは、当然委員長の御指摘のようにあり得ると思っております。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 見直す中にこういう意見がこちらの委員会からありましたよということが伝わっていただけるとうれしいなという気がしますから、その点はよろしくお願いいたします。
 花井先生、どうぞ。
○花井委員 時間が押しているのであれなのですけれども、今、佐藤委員がおっしゃられたことは、かなり踏み込んで本音の部分を言っていると思うのですけれども、私もこのパンフレットを見る限り、先ほどのリスク・ベネフィットのベネフィット部分は4ページの下のほうに書いてあって、これを見る限り、まさに佐藤委員が指摘したようなことがこのパンフレットを読むと分かるようになってしまっているのですね。だから、いわゆる1万分の9の重篤というのはワクチンとしては相当リスクが高いなという、ワクチン同士を比較してもちょっと高めのものであり、かつ、防げるのはまだ完全にエビデンスがない世界で20人ぐらい命が助かるよと言っているわけですから、これを読むと、なぜこれを推奨するのかなという印象を持つようなパンフレットになっているというところはそのとおりで、しかもその上にちゃんと12年維持できる可能性のある抗体と書いているということは、逆に言えば12年しか確認していないとも書いてあって、相当このワクチンの弱点がここには書いてあると思うのですね。
 そういう意味では、心情的にもまさに佐藤委員の意見に全く賛成なのですが、一つ政策的に考えるときに、これを積極推奨にしたA類にしたときの経緯で、救済の厚さというのをついつい使ってしまったという経緯があります。これもこの所掌から外れる話ですが、一回検討していただきたいのは、B類接種でも救済は手厚くしたらどうかと。最初はA類に上げておいたら救済も手厚いからいいではないかという観点でもともとA類に上がったという経緯もあり、それは本当の意味ではおかしな話で、B類接種の救済を手厚くすることによって、先ほどの自由意思で打つ、打たないという判断と、それから万一の場合は救済があるという形で整合するし、それから、医薬品副作用被害救済基金の精神はそうなっているので、ここの観点から言うと、医薬品全般のリスク・ベネフィットについて、運の悪い人がひどい目に遭うことのないように、ひどい目に遭ったときには救済をするという理念から言えば、B類でもA類並みの救済みたいなところを検討してほしいとそこの担当の先生方にお伝えください。
 以上です。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種担当参事官室ワクチンシステム高度化推進専門官 花井先生、ありがとうございます。
 我々予防接種室はまさに予防接種法に関連する救済制度という観点では担当させていただいておりますので、御意見としては御指摘いただいたのだと思っておりますが、現状を簡単に御説明させていただきます。
 予防接種法上、御存じのとおりA類は公的関与が伴っておりまして、B類のほうは公的関与が伴わないという形で、接種の目的に連動して公的関与のある・ないがかかっておりまして、それに付随して救済の水準も変わっていくといった制度だと思っておりまして、まさにHPVの議論の際には、重篤な疾患を長期間後に起こし得るということで議論をいただきまして、予防接種法の改正を伴いながらA類に入っていったと理解をしています。
 B類でも救済を手厚くすべきというところは、そういった現状の予防接種法の考え方に照らすとなかなか難しいところもあるところではございますが、私ども厚労省としても御指摘の趣旨は踏まえて検討させていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 本当はA類、B類という分け方自体がどうなのだということから議論すべきことかもしれないですね。予防接種法の改正も伴うような大きな話で、ワクチン分科会などでもそこは念頭に置きたいなと思いました。
 戸部先生、どうぞ。
○戸部委員 ありがとうございます。
 皆さんの御見解や御意見をお伺いしていて、私の感想です。確かに先生方の御意見にありましたようにワクチンの安全性ということは当然第一に考えないといけないことであり、検診も重要というところは私も認識しているところです。
 ただ、これは科学的な話ではなくなるのかもしれませんけれども、20歳の女性が検診に行きなさいと言われたときに、ちょっとハードルが高いのではないかと思いました。一概に科学だけで納得して行動できるかというと、そうではないこともあるのかなと感じました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。貴重な指摘だと思います。
 だんだん時間が経過しておりますが、何かほかにございますか。
 HPVワクチンについての議論はこれまでも断続的にやってきましたが、また議論することがあるだろうと思いますので、そのときには引き続きまた御説明とお答えをいただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、今回のHPVワクチンに関する議論はここまでといたします。
 続きまして、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状(いわゆるワクチン後遺症)について、資料2に基づいて御説明いただくことになります。このテーマは佐藤委員から取扱いの御要望をいただいておりました。
 それでは、資料2の説明を健康局予防接種担当参事官室からどうぞよろしくお願いいたします。
○予防接種担当参事官室長補佐 それでは、資料2に基づきまして、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状への対応につきまして、健康局予防接種担当参事官室から御説明します。
 まず、表紙をめくっていただきまして、2ページを御覧ください。接種後に遷延する症状に限ったものではございませんが、ワクチン接種後の副反応等に対応する医療体制の確保につきましては、令和3年2月1日、これは新型コロナワクチンの接種開始の前でありますけれども、各都道府県に対して2ページの図のような医療体制を確保するよう依頼するとともに、このような体制の構築に関する経費については国による補助の対象としてきております。
 具体的には、左端の被接種者においてワクチン接種による副反応が疑われる症状が生じた場合には、中ほどの緑色のところ、接種医またはかかりつけ医を受診していただき、診察の上、さらなる対応が必要な場合、右端の専門的な医療機関を紹介していただき、受診していただくこと。
 また、都道府県においては、被接種者からの相談等受付窓口を設置していただくとともに、地域における専門的な医療機関に対する協力依頼とこれらの専門的な医療機関に関する接種医やかかりつけ医の情報提供をしていただくという仕組みをつくっていただいております。
 おめくりいただきまして、3ページは御参考までに、この仕組みに関しまして、都道府県における対応のために準備していただきたいことをまとめたものでございます。
 おめくりいただきまして、4ページでございますが、今、御説明いたしました診療体制構築につきまして、ワクチン接種開始後に行った対応をまとめたものでございます。白い丸の2つ目でございますけれども、ワクチン接種後に現に遷延する症状を訴えられる方がいらっしゃる可能性を想定し、症状とワクチンの因果関係の有無にかかわらず、受診を希望される方が必要な医療機関を受診できるよう、改めて相談窓口と専門的な医療機関に関する体制について確認するとともに、必要に応じて体制の見直しを検討していただくよう、令和4年3月24日付通知により都道府県に依頼しました。
 また、次の白い丸の3つ目でございますが、ワクチン接種後の遷延する症状について、相談先や受診先について悩んでいる方がいらっしゃること等について指摘がなされていることを踏まえて、専門的な医療機関の名称等を公表することについて、管下医療機関との調整をするよう、令和4年4月4日付通知にて都道府県に対して依頼をしております。
 その結果でございますが、白い丸の4つ目ですが、令和4年7月8日付事務連絡により、各都道府県での状況について確認を行ったところ、全ての都道府県において相談窓口の設置や専門的な医療機関の確保がなされていることが確認されました。
 また、次の白い丸の5つ目でございますが、専門的な医療機関の名称等の公表がなされているのは、全都道府県のうち3割程度にとどまったものの、名称等を公表していない自治体であっても、被接種者が受診を希望する場合に専門的な医療機関を円滑に受診するための工夫がなされており、運用上必要な診療体制が構築されていることが確認されました。
 おめくりいただきまして、5ページは、各都道府県における専門的な医療機関の円滑な受診のための工夫の状況をお示ししたものでございます。
 おめくりいただきまして、6ページは、副反応を疑う症状に対する相談窓口・専門的な医療機関の整備状況につきまして、厚生労働省ホームページにおいて一覧を作成し、公表しており、その画面を御参考までにお示ししたものでございます。
 おめくりいただきまして、7ページからは、厚生労働省の研究事業で行っております新型コロナワクチン接種後の遷延する症状に関する実態調査について御説明したいと思います。研究の概要は8ページに付しておりますけれども、本研究班の実態調査結果の第1報が、令和5年4月28日に開催された審議会、副反応検討合同部会において報告され、その資料を本日の委員会の参考資料2-1として提出しておりますので、こちらで御説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、参考資料2-1を御覧いただけますでしょうか。
 表紙をおめくりいただきまして、2ページでございますが、この研究は、国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫先生と川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦先生を代表とする分担研究班により実施していただいております。
 研究の背景ですが、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状があるのではないかとの意見が散見されますが、その実態は不明であり、そのため、新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状について、遷延する症状を含め、実態の把握を行うことを目的に評価を行うこととしたとされております。
 調査の目的については、ワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、ワクチン接種後の症状を訴え専門的な医療機関を受診した方の実態を収集・把握し、得られた知見について必要な情報提供等を行うことが第1段階の目的とされております。
 調査方法は、スライドの下方のところに記載がございますが、①の事務的調査票、すなわち医療機関の地域連携室を対象とした調査票と、②の医学的調査票、すなわち医師を対象とした調査票の2種類で行われております。それぞれの調査票の調査項目は、スライドの下のほうの表に記載のとおりとなっております。この実態調査は、令和5年2月15日から開始され、同年3月15日までに回答があった内容に基づいた結果の第1報がこの資料となっております。
 3ページを御覧ください。こちらは、今回の実態調査のイメージを図でお示ししたものでございます。ワクチン接種を受けられた方が、中ほど赤色の専門的な医療機関で受けた診療について、医療機関のうち、研究協力に同意をいただいたところから、右端の研究班から地域連携室と担当医師のそれぞれに調査票をお送りして調査を行ったというものでございます。
 続いて、4ページを御覧ください。こちらは、専門的な医療機関からの回答数などをまとめたものが示されております。左上ですが、全国の専門的な医療機関はおよそ470ありますが、事前に国が調査研究に協力いただけるか都道府県を介して打診を行い、了解が得られた当初193医療機関を対象に研究班から調査票をお送りし、その結果、まず左側でございますが、地域連携室等から得られた回答数は38医療機関であり、左下のとおり、該当症例なしとの回答が23医療機関、該当症例ありとの回答が15医療機関でした。この15医療機関からは、128症例の情報の回答があったとのことです。
 また、担当医師から得られた回答数は16医療機関、119症例であったとのことでございます。地方ごとの回答が得られた医療機関の数などは、右の表のとおりまとめられております。
 続いて、5ページを御覧ください。こちらは、地域連携室宛てに送付した事務的調査票の回答の全体の状況が示されております。下側ですが、15医療機関から回答があった128症例について、性別、年齢階級別の数が示されています。今回回答があった症例においては、男女別では女性のほうが多く、女性においては40代に最も多いとの結果が得られたとのことでございます。
 続いて、6ページを御覧ください。こちらは、地域連携室から回答があった症例のそれぞれにおいて最も受診回数の多い診療科が示されています。総合内科、救急科、脳神経内科などが多くなっていますが、そのほかにも様々な診療科で対応いただいている結果が得られている旨、審議会で御説明がありました。
 続いて、7ページを御覧ください。こちらは、報告された症例について、症状発症日とワクチン接種後の症状に関して当該医療機関を受診した初診日をお示しした表が示されております。調査対象期間が令和3年2月1日から令和4年5月31日までに受診した方となっていることを考慮する必要がございますが、2021年中に受診した方が全体の約89%となっている旨、審議会で御説明がございました。
 続いて、8ページを御覧ください。こちらは、発症日からワクチン接種後の症状について当該医療機関を初回受診するまでの期間をお示しした表が示されております。0日目で受診した方が47名と、日ごとでは最も多くなっていること。右側には期間を区切った表もお示ししており、0から7日間が69人、8から30日間が38人などとなっているほか、91日を超えて365日未満の方も7名おられた結果が示されております。
 続いて、9ページを御覧ください。こちらは、地域連携室から得られた調査報告のまとめが示されております。あくまでも今回の調査で回答があった症例の中での比較でございますが、男性よりも女性が多く、女性の中では40代の症例が最多であること、受診した診療科は総合内科、救急科、脳神経内科等と多岐にわたっていたこと、受診患者の発症日は2021年が約89%であったこと、また、ワクチン接種後の症状に係る当該医療機関の初診日は発症当日が最多であり、半数以上が発症日から1週間以内であったことの御説明がございました。
 また、今回の調査研究では、そもそもそれがワクチンに起因するものかどうかという因果関係に関しては研究の性質上評価ができない点について注意を要するとされております。
 続いて、10ページからは、医師宛てに送付した医学的調査票での回答状況のスライドが示されています。下の表ですが、16医療機関から回答があった119症例について、性別、年齢階級別の数が示されております。
 続いて、11ページは、報告された症例について、ワクチン接種後の症状に関して、入院の有無や前医の受診状況が表で示されております。入院については、ありが18.5%、なしが48.7%、未回答が32.8%と報告されております。
 前医の受診状況は、他の医療機関の受診はないものが46.2%、1施設どこかで受診があるものが47.9%などと報告されています。
 続きまして、12ページはワクチン接種後の症状に係る当該医療機関の初診日が表で示されております。
 続いて、13ページでございますが、受診患者のワクチン接種前の基礎疾患の有無と日常生活自立度が表で示されております。基礎疾患は、ありが42.9%、なしが49.6%、不明が7.5%となっております。日常生活は、119人のうち114人が自立であり、一部介助が必要、介助はそれぞれ3人と2人であった旨、報告されています。
 続いて、14ページは、今回の症状に影響を及ぼした可能性のあるワクチンの接種時期などが示されております。調査対象時期を考慮する必要がございますが、接種時期は2021年が多く、接種回数は1回目が43.7%、2回目が40.3%、3回目が8.4%、不明が7.6%である旨、報告されています。また、ワクチンの種類は、ファイザーが60.5%、モデルナが8.4%、不明が31.3%と報告されております。
 続いて、15ページは、医療機関の受診のきっかけとなった症状のうち、日常生活を送る上で最も支障を来している主な症状について、複数回答ありで集計して示されたものです。数が多いものから発熱、疼痛、倦怠感、頭痛などが報告されているほか、非常に様々な症状が報告される旨、審議会で御説明がございました。
 続いて、16ページは、ワクチン接種後の症状に対して行われた検査及び検査所見の概要が示されております。実施症例数が多いケースは血液検査で、69症例で実施されている旨、また、血液検査では28症例で異常所見があり、41例では異常所見なしという結果が得られている旨、報告されております。
 続いて、17ページは、ワクチン接種後の症状に対して行われた治療内容の概要が示されております。上の表で、治療内容の組合せごとに数が示されております。全体の119症例のうち、薬剤治療が行われたのが79症例であり、その内容は下の表のとおり、解熱鎮痛剤やステロイドなどが用いられていた旨、報告されております。
 続いて、18ページは、ワクチン接種後の症状に係る確定病名の一覧が示されております。表の下の脚注にありますとおり、これらの病名はワクチン接種との因果関係の有無にかかわらず、医療機関より報告された確定病名を記載していることに御留意いただきたいと思いますが、症例数が多いものから、予防接種副反応54例、アナフィラキシー4例、頭痛3例などのほか、多領域にわたる様々な診断が1例から3例ずつ報告されております。
 続いて、19ページは、ワクチン接種後の症状に係る疑い病名が示されております。
 続いて、20ページでございますが、報告された症状の経過が示されております。回復または軽快化されたものが90例で75.6%、未回復が6例で5.1%、死亡が3例で2.5%、こちらは脳出血、多臓器不全、心室細動が各1例報告されました。不明は20例で16.8%であった旨、報告されております。
 続いて、21ページからは、入院した22症例の症状・病名・検査・治療・転帰が表で示されております。22ページは、この表の続きとなっております。
 続いて、23ページは、医師から得られた調査報告のまとめが示されております。報告された症例の数は、性別では女性が多く、女性では40代が最多であったこと、調査対象期間を考慮する必要がありますが、受診者数は、2021年における接種回数は1回目と2回目が多い結果になったこと、また、様々な症状の訴えがあって受診されていて、担当医師から様々な病名を報告されていること、転帰の観点では、症状の4分の3以上で回復または軽快があったこと、なお、この医者宛ての調査については、症状と接種との因果関係は評価できない点に注意する旨、審議会での説明がございました。
 続いて、24ページは、今回の報告の総括が示されております。研究班からは、今回の本調査の報告は第1報であること、今回報告された症状、確定病名、疑い病名の一覧からは、現時点で懸念を要するような特定の症状や疾病の報告の集中は見られていないこと、また、本調査の性質上、症状とワクチン接種との間の因果関係は検証できないことのほか、症状が遷延している事例を可能な限り個別の事例単位で調査していくことが必要と審議会で御説明がございました。
 資料の御説明は以上でございますが、研究班においては、3月15日以降に報告があった症例も含めまして、引き続き調査分析に取り組んでいただいており、今後、報告がありましたら、審議会、副反応検討合同部会においてまた御報告いただく予定となっております。
 資料の説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見、御質問等があれば、御発言をお願いいたします。
 佐藤先生、どうぞ。
○佐藤委員 御説明ありがとうございました。
 一つの資料だとは思うのですけれども、この症例は何を代表するのですかということですね。470の専門的な医療機関と言われながら、実は回答の意思を示したのは193しかなく、実際に症例について報告した医療機関は、事務的な調査票で15医療機関、医師が該当したのが16、470のうちの15と16しか具体的な回答はされていない。そこで報告された症例が何を代表するものなのですか、ここから何が見えてくるのですかということです。
 しかも、この調査票も参考資料のほうにありましたけれども、遷延する症状、症状が回復せずに長引く症状のことについて知りたいわけですけれども、ここで報告されているのは、すぐに回復するような接種後の副反応も全てここに入ってきているのですね。ですから、回復の割合が高いのは当たり前というか、遷延する症状があった場合に報告してくれではなくて、接種後の副反応があれば報告してくださいという調査表になっています。
 ですので、まさに何を調べているのかよく分からない調査だったということで、要はここから分かることは、厚労省が指定したこの専門医療機関は、まさにこのワクチン接種後の副反応に関しては専門というのは名ばかりで、実質的にはこういう調査にまともに答えられる医療機関がほとんどないということが示されたというのがこのアンケート調査の一番の成果ではないかなと思うわけです。
 ただ、総括の最後の4番目が、まさに非常に的を射た指摘だと私は思うのですね。個別の事例単位で調査していくことが必要であるとこの調査をされた先生方もおっしゃっているわけで、調査された先生も回答がこんなに少ないとは思わなかったと思うのですね。
 この問題に関して私が思うのは、厚労省にこのままただ資料を求めても、なかなかこれ以上のものは出てきそうもないと思いますので、この委員会として独自に調査をするなり、聞き取り調査をしてはどうかと思うのです。
 実は新型コロナワクチン後遺症という名前が世間一般ではついていて、後遺症で悩む、まさに回復しないまま何か月も、場合によっては年単位で体調不良が続いている方の報告が書籍にもなっていますし、そういう被害者の会も今つくられているところです。まさに専門的と言われている医療機関も含めてだと思いますけれども、そういう接種後の遷延する症状に苦しんでいる方はどの医療機関に行ってもワクチンとは関係ないなどと言われて医療機関をたらい回しにされている状況で、結局親切にこの問題と向き合って診療してくださるお医者さんというのは全国の中でも非常に限られていて、そういうところに患者さんが集中しているという実態もあります。
 ですから、実は1人で100例以上の接種後の遷延する症状の症例を診ているようなドクターもいますので、まずそういうドクターにこの委員会にお越しいただいて、どういう症状が起きているのかということを伺うということから始めないと、この問題はなかなか明らかにならないのではないかなと思います。これは厚労省に対する質問というよりは、委員の皆様に御意見を伺いたいという趣旨で発言をさせていただきました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ヒアリングするかというところの前に、そもそもサンプルが少な過ぎて何が分かるのだというところについてお答えいただけますか。
○予防接種担当参事官室ワクチン対策専門官 佐藤先生、御質問ありがとうございます。予防接種担当参事官室でございます。先生、いろいろな御指摘を頂戴しましたので、1つずつ回答してまいりたいと思います。
 まず、専門的な医療機関の位置づけでございますけれども、本日の資料2の3ページ目で、先ほど参考ということでお示しさせていただいたところでございますけれども、厚生労働省といたしましては、新型コロナワクチン接種が開始される令和3年2月の時点で協力を依頼する専門的な医療機関として、総合診療科や複数の内科診療科等を有し、総合的な診療ができる、また、円滑な紹介受診のため地域連携室にワクチン接種後患者の対応用窓口を設ける、地域の医療機関から相談があった際に対応する等の体制を構築できる機関、といった考え方を示させていただいておりまして、実際、例えば東京都におきましては、東京医科歯科大学病院様、日本赤十字社医療センター様、国立国際医療研究センター病院様等の13の基幹病院に御協力をいただいており、専門的な診療をいただいているものと承知しておるところでございます。
 また、研究の報告数の少なさについて御指摘がございました。今回の調査で回収された回答数につきましては、先ほどの資料2の8ページ目の下段のところに、調査票の送付をしてからの回答までの期間のところに記載をさせていただきましたけれども、今回、第1報として報告いただいた対象の期間が1か月程度ということで、集計期間が非常に短かったということも影響しているのではないかと拝察しておりまして、こちらの報告数の少なさにつきましては、追って第2報として追加の回答について御報告いただけるものと承知しているところでございます。
 また、今回の先生方の調査の対象の適切性についてもお尋ねがあったと理解しております。今回の研究班に設計いただいた研究設計につきましては、令和4年3月のワクチン接種後に現に遷延症状を訴える方がいらっしゃる可能性を想定し、症状とワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、受診を希望される方が必要な医療機関を受診できるよう厚生労働省が自治体にお願いし、自治体に体制を整備いただいたまさに専門的な医療機関に対して今回の研究班の先生方から調査をいただいているものと承知しております。
 したがって、先生のお話にもございましたけれども、まさに遷延する症状を訴える方で受診を希望された方を多く診ていただいた先生方、あるいは医療機関に対する調査をいただいているものと承知しているところでございます。
 また、今回の研究の対象についてもお尋ねがあったと思いますけれども、今見ていただいている調査方法のマル1、マル2のところに書いてございますけれども、厚生労働省といたしましては、その実態把握に資するよう、研究班の先生方に性別、年齢、受診した診療機関等の受診状況の全体像を把握するとともに、症状や診断や治療の結果明らかとなった病名等、医学的な内容を把握することも目的として複数の調査票を設計いただいて、これを全国の専門的な医療機関のうち、研究に御協力いただけると回答があったのが今回は190余りだったと承知しておりますけれども、そちらから幅広く調査をいただいたものと承知しておるところでございます。
 また、全国で遷延する症状についてたらい回しに遭われている方がいらっしゃるというお話もございました。こちらに関しても、厚生労働省と致しましてもそのようなお話を聞いており、それに対する一つの対策といたしまして、専門的な医療機関の名称を公表するよう厚生労働省として呼びかけております。また、専門的な医療機関の名称の公表がなされていない機関であっても、先ほどの資料2の5ページ目でございますけれども、全体のうち3割程度が公表されている状況ではあったのですけれども、名称を公表していない自治体であっても、例えば被接種者が受診を希望する場合に専門的な医療機関に円滑に受診するための工夫がなされておりまして、運用上は必要な診療体制が構築されているということを厚生労働省として確認させていただいていると承知しておるところでございます。
 厚生労働省の取組の状況及び研究班の先生方の研究の設計についての説明は以上でございます。
○磯部委員長 佐藤先生、何かありますか。特にないということですね。
 ありがとうございました。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 今の立てつけなのですけれども、接種医もしくは開業医、ホームドクターにまず行きますね。そこから紹介される、もしくは自治体に連絡をします。自治体はどうするのかなと思うのですけれども、例えばエイズ拠点病院の場合は、エイズに関してそこにかかる場合は選定療養費が免除されるという立てつけになっていて、直接行けるのですけれども、この立てつけでは選定療養費は免除されなければ、必ず一応ホームドクターに戻して、そこから紹介されるということになっているのですかね。だから公表していないと思うのですよ。どうぞどんどん専門的医療機関に行ってくださいという制度設計になっていないという理解なのですが、その理解でよろしいですか。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種担当参事官室ワクチン対策専門官 花井先生、御指摘ありがとうございます。
 花井先生の御質問に対して十分に回答できているかというところはありますけれども、一般的な何らかの疾病にかかった場合に、まずかかりつけ医の先生、あるいは予防接種ですのでこの場合は接種医の先生もあり得ますけれども、まずそこにかかっていただいて、そこで医学的な判断で、かかりつけ医の先生では対処が難しいといった場合に専門的な医療機関を一旦受診していただいて、その過程の中で、専門的な検査や必要に応じて治療等を行っていただいた上で、その後の長期的なフォローアップがかかりつけ医の先生でも可能であろうという段階になった段階でかかりつけの先生方に患者様をお戻しいただいているといった一般的なスキームとして先生方に全国で診ていただいているものではないかと承知しているところでございます。
○花井委員 ですよね。だから、公開してもちょっと困るということになる。専門的な医療機関のリストができたとして、それを公開してもちょっと違う形になるのかなと思うのですよ。
 確かに総合病院のキャパシティーの問題でどれだけそこに押し寄せるかという問題もあるのですけれども、一つの考え方は、当時のエイズのブロック拠点病院のように、最初から直接そこだということで、いわゆる患者の自己負担分の選定療養費を免除するという制度にして可能なのか、もしくはこのスキームでいくのであれば、ホームドクター、あるいはかかりつけ医の先生が重要になるので、日本医師会等々に協力を要請しているとは思うのですけれども、変なゲートキーパーをしてもらっては困るわけですよ。
 HPVでもありましたけれども、ワクチンでそんなわけないだろうみたいなところで追い返すという、全ての先生とは言いませんが、そこで詐病扱いされたり、ワクチンと関係ないよというのでそこで止まってしまうというケースがあったわけですね。
 コロナについてはこれほど国民全体の話なので、かかりつけ医の先生にワクチンのせいではないかと患者さんが訴えたら、速やかに専門的医療機関に一応紹介してあげるということを促すという形にしないと、確かに医師免許を持っている人が開業しているから、そこで専門的医療機関に紹介していいかどうかを判断できるというのが前提ではあるのですけれども、やはり開業医の先生もいろいろお忙しいところもあると思うので、そこは何か開業医の先生方の協力を強く促すような制度が必要なのではないですか。
○磯部委員長 いかがでしょう。
○予防接種担当参事官室ワクチン対策専門官 花井先生、ありがとうございます。
 こちらも花井先生の御指摘に完全にお答えできているか定かではないのですけれども、厚生労働省といたしましても、全国でまさに副反応を疑ってお困りになっている患者さんに寄り添うことが重要であるということを踏まえてこの医療体制の確保というものをさせていただきました。現にそういったお困りの方がいらっしゃるということもあったので、再度しっかりと対応するようにということで改めての周知もさせていただいているところでございます。
 そうした中で、先生の御指摘と少しずれてしまうかもしれないのですけれども、こちらのスライドでもお示ししておりますけれども、例えば一番下のところに4都道府県しか挙がってはいないのですけれども、今、実際に患者さんとしては副反応を疑っている、ただ、かかりつけ医の先生では副反応ではないかもしれないからということでちょっと様子を見てほしいであるとか、あるいは紹介してもらえなかったといった方であっても、自治体のほうに御相談いただいた場合に、自治体様によっては直接専門的な医療機関への紹介をする等の工夫していただいているというところもあって、全体としてはしっかりと患者さんが適切に専門的な医療機関に御受診いただけるようなスキームがあって、当然自治体様によって専門的な医療機関を設けられるキャパシティー等も異なると思いますので、その実情に照らして御対応いただいているのかなと承知しているところでございます。
○花井委員 まさに5ページのポンチ絵のマル2が注目点で、多分都道府県も困ると思うのですよ。それが4都道府県というのは私が指摘したことを反映していると思っていて、例えばそこで直接紹介したら、お金の自己負担が患者さんに生じるわけですね。だから、それではまずいのではないかと思いますし、最初にホームドクターなのか、ある程度都道府県を通せば直接そこに紹介されるのかというのは国がちゃんと示してあげないと、事情によってはすぐにこれだけの総合病院のリストがありますからどこかに行ってくださいと言っていいのかどうなのかという判断は、当然地方の行政官は迷うと思うのですよ。私がその立場でも迷うと思うのですよ。なぜかというと、それは今言った2つのスキームのどちらを選択しているか、いまいち明示的ではないからです。
 だから、ホームドクターオリエンテッド主義でいくのだったら、そこは日本医師会なりの協力を得て、ある意味インセンティブをつくれるとか、いろいろなことがあると思うのですけれども、何かやるか、選定療養は免除するのだという舵を切るかしないと、どうも患者フレンドリーなスキームになっていないと思いました。
 以上です。
○予防接種担当参事官室ワクチン対策専門官 先生、ありがとうございます。
 先ほど冒頭で御説明申し上げましたけれども、実際、この医療体制の構築に当たっては、厚生労働省といたしましても、補助事業として都道府県の各自治体にこの医療体制を構築するために必要な経費としてお渡しさせていただいているところでございます。そういった中で、実際に先生の御指摘の専門的な医療機関に直接かかった場合に患者負担がないようなところまで自治体が対応できているかどうかまでは覚知していないのですけれども、そういったことが先生から御指摘があったことを踏まえまして、我々の中でも問題意識として受け止めさせていただきたいと思っております。
 このような医療体制の必要性については我々としても認識しておりますので、引き続き必要に応じて適切な対応を取れるよう、我々としても取り組んでまいりたいと思っております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 伊豆津先生、お願いします。
○伊豆津委員 ごく手短にいきたいと思います。
 今のお話のあった根本的なところは非常に難しい問題なので、しっかり考えていくとして、直接的にこの調査に関して、研究班に丸投げだとなかなか情報は集まってこないと思います。医療機関は非常にたくさんの調査が送られてきて、どれがどうかという問題を考えると、このまま待っていれば情報が集まってきますよという話には絶対にならないと思うので、ぜひ厚労省はとにかく情報を集めることに関してはサポートをして、それをどう解析するかに関しては専門家に任せてということで、そこはぜひよろしくお願いします。
○予防接種担当参事官室ワクチン対策専門官 先生、御指摘ありがとうございます。
 こちらの研究でございますけれども、決して研究班の先生に丸投げをしているということはございませんで、例えば厚生労働省といたしましても、この報告の回収率を上げるために事務連絡を、自治体を通じ、医療機関に対してしっかりと協力をお願いしますということを再度周知するような連絡をさせていただいたり、厚生科学審議会副反応検討合同部会に御報告いただくことで、そこでいただいた意見を踏まえ、研究班の先生方にフィードバックがあり、その状況も踏まえ、さらに調査を進めていただけるものと承知しております。
 そこで出てきた問題点を踏まえながら、また研究班、あるいは検討部会の先生方のお知恵を借りながら、必要に応じてさらなる実態調査の在り方も含め検討していくものかと承知しております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そもそも資料2で御説明いただいた医療体制の確保というのはどこで定まっているのでしょうということを聞こうと思ったのですけれども、4ページのこれまでの経緯のまとめと書いてあるところで、まず令和3年2月1日にこういうことを始めたわけですね。そこから先は3月にまた通知で依頼、4月に通知で依頼、7月にも事務連絡をやり、公表数が少ないから9月にも事務連絡という、事務連絡万能主義といいますか、何でもそれでやっていくというところは、都道府県単位でやっていただくということで後ろに引いている厚労省の難しさというのは理解はするのですけれども、しかし、令和3年2月に何か通知を出して、これは全体として全国で動いたほうがいいというふうには動き始めたわけですね。であるなら、そこをどうせなら徹底して、集めるなら集めて、できるだけ早く分析して次に生かすというふうに、もうちょっと引っ張っていってもいいのではないかという声もあったわけですし、これだけたくさん通知があるということは一般の方々は分からないわけで、結局のどこの病院に行ったらいいのだろうかといったときに何を見ればいいかもよく分からない。患者さんからすれば分かりにくさは否めないということなのだと思うのですね。
 大事な取組だと思うので、一層よりよい仕組みにしてほしいなというのが一国民としての率直な感想でございました。
 さて、そのほかはいかがでしょうか。
○花井委員 佐藤委員の提案はどうしましょうか。私の理解では、これはこれとしてあってもいいのですけれども、現にいわゆるある程度そういう患者さんのグループというのが存在し、それを見ている現場というのも存在するのであれば、その辺りの定性的な調査は別途やっておいてもいいかなと思います。この委員会自体を設けるかどうかはともかくとして、そういう定性的なところを調査してみて、その定性的な結果を踏まえて、それがある種のもうちょっと大きな定量的なプロトコルを書いて実装できるものかどうかという段階があるかどうかというのは別なのですけれども、そういう感じで話を聞いてみるというのは一つあっていいかなと思います。
 この方法論もいいのですけれども、そんなにすぐには進まないと思うのですね。あと、これも余計な話ですけれども、エイズなどの経験があるのですが、こういった通知行政をして、自治体がそれをいろいろやるのはなかなか大変で、どうやって持ち上げたかというと、結局本省の行政官が汗をかくという。特にこういう医療現場をつくる話というのは健康局が一番得意なので、健康局が汗をかけばかくほど自治体のパフォーマンスが上がっていくというのが私の20年の経験なので、そういう意味では本省のほうも相当汗をかいていただくということは重要と思いました。
 前者についてはちょっと御検討いただければと思いますが、委員長、どうでしょうね。
○磯部委員長 ごめんなさい、最後のほうが聞こえなかったのですけれども。
○花井委員 最後のほうは、健康局が汗をかかないと自治体に通知を投げてもうまくいきませんよと。それはエイズで分かっていますよという話をしただけです。
○磯部委員長 ありがとうございます。佐藤先生の御指摘は、委員会として独自に調査をしてはどうかということでしたね。
 今、花井さんがおっしゃったのは。
○花井委員 この委員会自体が主体となれるかは別として、現に私たちがそういう目に遭っていますという集団と、それからそういう患者さんをたくさん診てやっていますという現場の人たちがいるのだから、その人たちの定性的インタビュー調査をやるのはよいことではないかと思いますということです。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 どういう方にどういうふうに聞くといいのかというやり方はちょっと検討したいかなと思いますので、いろいろなグループがいるのだろうとしたら、何を選ぶかというのは実はそれなりに難しいところはありますけれども、少し検討させてください。前みたいに人にここに来ていただくのか、幾つかこちらが何か文書で質問して答えていただくようなことをするのか、対象と方法といったことについてはまた検討させてください。御相談させていただきますということでいいですか。
○花井委員 佐藤先生は落ちているのですね。
 だから、リサーチクエスチョンを最初から持たないような研究ですね。むしろリサーチクエスチョンはそこから生まれるかもしれないということを期待した定性的な調査というイメージですが、どうでしょう。
○磯部委員長 定性的な調査という意味では、まず話を聞いてみようということですね。佐藤先生もそれをしてはどうかという趣旨ですね。
 ありがとうございました。では、これはまた検討するということにさせてください。
 そのほかはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、新型コロナワクチンの遷延する症状への対応に関する議論というのはここまでとさせいただきます。どうもありがとうございました。
 続いて、医薬・生活衛生局からの定期報告と個別医薬品の海外調査について、事務局から説明をお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 ありがとうございます。
 それでは、事務局から資料3の定期報告、そして資料4の海外調査・個別医薬品の状況につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
 まず、資料3の医薬・生活衛生局からの定期報告のところを御覧ください。まず、3月の第11回監視委員会以降に、緊急安全性情報や安全性速報、いわゆるイエローレターやブルーレターにつきまして、これまでに新しく発出はされておりません。このために、今回の定期報告の資料の中には入っておりませんことをお伝えいたします。
 それから、今回は市販後安全対策関係で、※印のところに書いております、国内における市販後の安全対策の措置状況、それから海外での新たな措置の報告状況、こちらは定期的に報告しておりますけれども、今回は報告の対象となっております情報につきまして、前回の監視委員会以降、新規の該当はありませんでしたので、こちらも今回の報告には含まれておりません。
 引き続き、薬事・食品衛生審議会の医薬品安全対策部会で取り扱われた後、対象の情報を取りまとめた上で、次回以降の監視委員会で御報告をさせていただく予定ですので、御了承くださいますようお願い申し上げます。
 2ページになりますけれども、「製造販売承認された医薬品の情報」を御覧いただければと思います。前回3月の会議で報告した後、新たに承認された品目につきましては、今、ここに記載されております2品目ということになっています。いずれも海外承認がなかったということで、今年3月27日に承認がされております。
 詳細な内容は、時間があと4分ぐらいしかありませんので、割愛させていただきます。
 続いて、資料4に移らせていただきたいと思います。こちらは、新たに承認された医薬品の成分で、国内での承認審査時に海外で承認がなかったものや緊急承認、特例承認等の対象品目について、欧米での承認状況を調査した結果ということになっております。
 調査品目がこの資料の2ページから6ページにかけて記載がされているところでございます。今回は、先ほど定期報告いたしました海外未承認の医薬品2品目を加えて計50品目を調査対象としております。
 一覧表の3ページになりますけれども、R2-14のコミナティのところを御覧いただきたいと思います。この品目は国内で特例承認された品目ということになっておりますけれども、米国ではこちらは緊急使用許可、いわゆるEUAという形で使用されるようになりまして、現在では正式承認されたという状況がございます。
 この監視委員会では、米国で緊急使用許可をされた品目につきまして、どういった状況になっているのかという御意見を何度かいただいておりましたので、米国で緊急使用許可された品目につきましては、その後の状況の更新があった場合、この内容を記載することにいたしました。
 それから、欧州につきましても、条件付承認をされた品目で通常承認されたなどの品目がございました場合には、その内容を追記することといたしております。
 資料の中身の詳細が7ページ以降に続いているのですけれども、今回は安全性のことに関して特に注意が必要だった品目はなかったように思いますので、内容については省略させていただきたいと思います。
 資料3、4をまとめて御説明いたしました。以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 コミナティについては、12歳以上が追加承認となっていて、6か月から11歳はEUAのままなのですか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 24ページに記載のとおりということになってしまいます。こちらは22年の8月で調査が終わっていますので、その後の状況は更新されておりませんけれども、少なくとも12歳以上は委員長のおっしゃるとおり通常承認という形になっています。
 11歳以下の状況は現時点で手元では分かりませんけれども、そういった状況でございます。
○磯部委員長 分かりました。ありがとうございました。
 ほかに何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
 ありがとうございます。
 では、これで定期報告については次回委員会に引き続いて御報告をよろしくお願いいたします。
 その他、本日の議題や監視委員会全般について何かあれば、御発言をお願いいたします。
 伊豆津先生、お願いいたします。
○伊豆津委員 伊豆津ですけれども、今回、コロナが5類に移ったということで、その間のいろいろな問題について、今日も出てきましたけれども、個々の問題については委員会で取り上げていくということでいきたいと思いますけれども、特に行政の中でいろいろなプロセスであったり、関係機関との連携であったりということをしっかり見直しておいていただきたいというのを、今回、ちょうどこの時期だからということで、今まではとてもそれどころではなかったと思いますし、これから先に行ってしまうとできないということで、ぜひお願いしたいと思っております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 コロナのワクチンがああだどうだという話ではなくて、コロナ関係のこの時期に医薬品関係で行われた種々の対策全般を一度振り返ってみるべきではないかという趣旨ですかね。
○伊豆津委員 そうですね。よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 そうですね、緊急承認や特例承認という制度が実際に動いたとか、その他一度改まって振り返ってみてはどうかという意見を出そうかということなのですかね。
○伊豆津委員 いえ、委員会自身で何かを直接作業するのはまた個別の問題になってくると思いますので、行政機関としてそこの部分をしっかり振り返っていただいてということをお願いしたいと思いますということです。
○磯部委員長 確かにそうですね、私たちは医薬品の行政評価をする側ですので、まずは第一次的な見直しみたいなことは行政自身にやってもらうというものなのでしょうけれども、どんどん時間が過ぎると昔のことはすぐに忘れてしまいますし、記憶と記録が確かなうちにこの間のことを振り返るようなイメージですね。ありがとうございます。
 では、どういうふうに対応したらいいかは御相談させていただくということにさせてください。
 そのほかは何かございますか。
 それでは、もう時間ですので、以上で本日の議題は終了となります。
 事務局から最後に何かございますか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 次回委員会につきましては、日程を調整の上、改めて御連絡をいたします。
 また、議題についても別途委員の皆様からの御意見を基に相談をさせていただきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、今日の議事はこれにて全部終了ということになります。委員の先生方、どうもありがとうございました。
 それでは、また次回。