第12回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年6月26日(月)16:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

議題

  1. (1)これまでの議論の整理
  2. (2)引き続き検討すべき論点について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○船井調査官 本日は、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。定刻より1分ほど早いですが、皆様おそろいですので、ただいまより第12回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。本検討会の会議の資料及び議事録は、原則公開とさせていただきますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日は出口委員が御欠席でございまして、鹿野委員、高山委員、三柴委員、森委員の4名がオンラインでの参加となっております。なお、三柴委員におかれましては、途中からの参加ということですので、御了承いただければと思います。それでは、以降の議事進行につきましては、土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは皆様よろしくお願いいたします。前回までの検討会におきましては、各論点について事務局が整理した「これまでの議論の整理」及び「引き続き検討すべき論点について」に基づき御議論いただきました。今回は、前回の議論を踏まえて、事務局が整理を行った資料を基に、引き続き議論を行っていただくことを予定しております。
 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○船井調査官 それでは、お手元に配布させていただきました資料、クリップ留めのものが1つあります。一番上に次第があり、その後ろに資料一覧がありますので、こちらも併せて見ていただければと思います。資料本体につきましては、資料1、資料2ということで、ワードファイルと、パワーポイントのファイルのホチキス留めのものがそれぞれ1つずつあります。これまでの議論の整理と、引き続き検討すべき論点ということで2つに分けております。これは前回の検討会を踏まえて修正したバージョンになっております。
 それ以外の参考資料につきましては、「開催要綱」と、「これまでの議論を踏まえた対策の検討に当たって」というポンチ絵が、参考資料マル1、マル2ということで毎回同じものを付けさせていただいています。
 今回、新たに配布させていただく参考資料マル3、マル4ですが、これは前回の参考資料でも御紹介をさせていただきました、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」、いわゆるフリーランス新法の関係です。これは前回はまだ国会で審議中だったのですが、先の通常国会で成立をいたしまして、その審議を行った衆参両院の内閣委員会において、附帯決議が取りまとめられております。それを今回配布させていただいたものです。
 参考資料マル3が衆議院の内閣委員会における附帯決議です。全部読み上げるのは省略させていただきますが、私どもが検討しております安全衛生に関係が深い部分としては、二番及び三番が該当いたします。二番につきましては報酬の決定に関して、特定受託業務従事者、いわゆるフリーランスに該当しますが、その安全衛生に係る必要な経費が確保されるよう、本法に基づき必要な対応を検討することになりますが、フリーランスの方の安全と衛生に配慮して、心身の健康を害する就業時間数等にならない期日設定などがなされるように必要な措置を講ずることなどが決議をされております。
 参考資料4の参議院の附帯決議につきましても、縦書きになっておりますが、文言は多少違いますが、同様のことが七、八番に書かれています。こちらの一六番においては、衆議院のほうには直接なかったのですが、「労災保険の特別加入制度について、希望する全てのフリーランスの方が加入できるよう対象範囲を拡大するとともに」と書いてありまして、この特別加入者が利用できるメンタルヘルス等の相談窓口の体制を一層充実することに言及しております。その附帯決議というのは、国会が国に対して検討若しくは措置を求める内容ですので、我々が行っている今回の検討も踏まえた結果として、制度を作る上で、附帯決議の内容を踏まえた対応をさせていただきたいと思っております。内容について御紹介させていただきました。資料の確認については以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは議題1、前回に引き続きまして、「これまでの論点の整理」になります。資料1に基づいて御議論いただきたいと思います。まずは議論に先立ちまして、事務局から資料説明をお願いいたします。
○船井調査官 それでは、資料1について御説明させていただきます。前回から少し日が空いてしまいましたので、資料1と資料2の位置付けについて、もう一度確認ですが、資料1については、「これまでの議論の整理」ということで、資料2で個々の論点について議論した結果、おおむね合意が得られたものについて、資料1に項目立てして書かせていただいています。前回資料1といて出させていただき合意が得られた部分については、黒字で書かせていただいております。前回、資料2で個別論点として議論したものについて、その議論を踏まえておおむね合意が得られただろうということで、今回赤字でこちらに新たに追記したものがあります。青字で書いてありますのは、まだ個別の論点として継続議論が必要であろうということで、別紙マル1という形で引用しておりますが、これは資料2に残っており、後ほど個別の論点として御議論を頂くということになっております。
 資料1についてまた戻りますが、まず1の(1)の部分ですが、こちらは青字で書いてありますように、後ほど資料2で御議論させていただきたいと思います。これは災害報告の仕組みの部分です。同様に1の(2)の青字の部分につきまして、脳・心、精神の事案の災害報告事項について、引き続き詳細に検討となっておりますので、後ほど御議論いただければと思います。
 (2)の3個目の○ですが、こちらについては前回、個別の論点として御議論いただきまして、おおむね御了解いただいておりますので、今回は資料1に移させていただきました。内容としては、脳・心、精神の事案の報告につきましては、いわゆる事故、けがの報告とは違い、プライバシーに係る部分も多分にありますので、個人事業者自身が、監督署に報告することができる仕組みを、被災者自身が、個人事業者自身が加入している団体がサポートするといった位置付けになっています。
 続きまして2ページ目です。2の(1)の3個目の○ですが、これは個人事業者が特定の機械を使用して業務を行うときに、定期に自主検査をしていただく。これは現行、労働者にそういった機械を使用させるために、事業者に既に義務付けられているのと同じ並びで、措置を用いているということなのですが、この部分につきましては、あくまでも個人事業者が自らそういった機械を持ち込んだ場合に、自分でしっかり検査をしてくださいということを想定しているものです。ただ、実際の現場におきましては、事業者が持っている機械を労働者に使用させるとともに、それと同じ機械を個人事業者も使用するというようなケースはあると思います。そういう場合の検査義務主体が誰になるのかという部分ですが、これは個人事業者自身に検査の義務は生じるのですが、実際労働者に使用させている機械については、事業者が定期自主検査を義務としてやっておりますので、そういう部分については重ねて個人事業者が行うのではなくて、定期自主検査が事業者によって行われているということを確認すれば、重複でやる必要がないということです。この部分については通達でお示しすると書かせていただいております。
 続きまして新たに追加した部分は、その前に4ページ目の上の青字の所ですが、「事業者が作業の一部を請け負わせる個人事業者等に対して講じる措置への個人事業者等の対応」の2つ目の○です。こちらについても資料2で個別に御議論いただければと思います。
 その他新たに追加する部分は、8ページ目に飛んでいただきまして、真ん中より少し下ですが、「個人事業者等に作業の一部を請け負わせる事業者による対策」という所で、「退避」や「立入禁止等」などの措置の部分です。この部分につきましては前回に御議論いただきまして、災害の急迫した危険がある際には、作業場所からの退避、何か危険・有害な状況がある場合の、「立入禁止等」の措置の部分については、作業場所の管理権原に着目した措置ですので、雇用関係や請負関係にはかかわらず、その場所で作業に従事する方を対象に課している義務であると。そういうことを踏まえれば、「有害性」に起因する災害なのか、「危険性」に起因する災害なのか、そこのベースは関係なく、災害の急迫した危険があったりとか、災害に遭う恐れがある場合の措置という意味は、「危険性」と「有害性」に差を設ける合理性はないのではないかということです。したがいまして、法第22条以外の条文に関しても、22条と同様に速やかに所要の改正をしてはどうかという合意を得られたということでこちらに移しております。
 青字の部分につきましては、「保護具」や「作業方法」の周知につきましては、引き続き議論が必要ということで、資料のほうに残しております。
 続きましてまた少し飛びまして、10ページです。この10ページ目は、(2)の所に1個目の○です。こちらについては御議論いただきまして、記載してあるように、個人事業者に仕事を注文する人であるとか、その仕事を管理するような方、「注文者等」が個人事業者に業務を委託するときは、長時間就業になりすぎないような、期日設定等の配慮を求めるということで書かせていただいております。
 あと、前回委員の方から御指摘のありました、これは言葉遣いの部分ですが、「注文者等」ではなくて、「発注者等」という言い方をしていたのですけれども、そこはちょっと狭く捉えられてしまうだろうということで、正しい文言に直しております。「注文者等」という形にして、以下同じように直させていただいております。
 メンタル不調の部分につきましても、個人事業者等が就業によって心身に不調を来たすことのないように、注文者等に対してメンタル不調予防の観点から、ガイドライン等により、安全衛生を損なう就業環境や就業条件とならないような配慮を求めることについても御議論いただいて、記載しております。またそれと関連して、他法令、労働施策総合推進法、それ以外のフリーランス新法の関係で盛り込まれているパワハラ防止の措置等を踏まえて、注文者に対してはその措置をやっていただくということも求めています。ここは新たに何か求めるというわけではなくて、我々がガイドラインで注文者の方に求めていく際には、別の法律でこういうことが決まっていますよということも、併せて連携しながら求めていくという趣旨です。
 健康診断の受診の部分につきましては、健診費用を安全衛生経費として契約に盛り込むという部分について、マル1とマル2という形で、特殊健診的な部分と一般的な健康管理の部分に分けて記載しております。特殊健診の部分については、労働者と同じように、その注文によって、常時、特殊健診が必要になるような業務に就く場合には、しっかり安全衛生経費の中に、当該健診事業を盛り込むことをガイドライン等でお示しをして、注文者に対して促していこうということで書かせていただいております。
 一方、マル2の一般的な健康管理の部分ですが、これは特殊健診と違うのですが、個人事業者が健康に就業するということは、個人事業者と継続的に業務を行う注文者にとっても、事業継続の観点からも望ましいということが言えますので、望ましい取組としてガイドラインの中で示していこうということです。ただ、この部分については委員からの御指摘もありましたが、あるフリーランスの方が複数の注文者と契約をしているような場合もある。その場合、誰がその経費を配慮すればいいのか分かりにくい部分もあるので、そこら辺が明確になるように、業務量、業務内容から、個人事業者等は専ら1つの方と契約する、注文を受けた仕事のみを行っているような場合にあって、契約期間が1年を超えるような場合とか、1年を超えなくても反復して1年を超えてしまうような場合については、一般健診費用を安全衛生経費として盛り込むことが望ましい。これをガイドラインでお示しをしてはどうか。ただ、40歳以上の特定健診の関係もあり、そういった部分で無料で受けられる部分があるところまで盛り込む必要はないことも、併せて書いてはどうかということです。
 資料1につきましては、前回、議論をして追加した部分を中心に御説明させていただきました。以上です。
○土橋座長 説明ありがとうございました。それでは、ただいまの資料1に基づき、御議論いただきたいと思います。御発言を頂く場合は、該当部分を明示してくださいますように、お願いいたします。いかがでしょうか。山脇委員、お願いします。
○山脇参集者 連合の山脇でございます。11ページの「健康診断の受診の促進」について確認及び意見を述べさせていただきます。前回の検討会でも、発言したように、健診費用を契約に盛り込むことについては、賛同の立場ですが、実行性をいかに確保していくのかが大変重要です。
 そのことを前提に、まずマル1で、特殊健診費用については、ガイドライン等で注文者に対して促すとなっていますが、促すだけで本当に実行性を確保できるのでしょうか。実行性の確保に向けて、具体的に厚労省で、検討していることがあれば、お伺いしたいと思います。
 もう1つは、マル2の一般健診費用についてです。前回と比べると、今回新たに「業務量や業務内容から、個人事業者等が専ら一者から注文を受けた仕事のみを行っているような場合であって」という文言が加わっています。この場合かつ「契約期間が1年を超えるような場合」と、アンド条件になっているのではないかと思います。前回の議論を踏まえて修正がなされたのではないかと思いますが、今回この文言が入ることで、かなり対象が限定的になってしまうと思います。
 これに対する対応としては、「望ましいことをガイドライン等により示す」ということですので、この文言を入れる必要があるのかどうか、議論が必要ではないかと思っています。あるいは、この文言を追加をするということであれば、マル1と同様に「望ましい」ではなくて、「促す」止まりにすることも選択肢だと思いますので、これについては、引き続き議論をお願いしたいと思います。以上です。
○土橋座長 では、事務局側からお願いします。
○中村産業保健支援室長 御意見ありがとうございます。まず、マル1の特殊健診のほうですが、ここで書いておりますように、ガイドラインなどでそういう望ましいというか、促していくということでありますと、他のガイドラインで定めている事項も同様ですが、まずは、その周知を図っていくというところから始めていくことが通常のやり方ではないかと思います。
 それから、2点目の一般健診の所は、前回の議論を踏まえ、事前説明の段階では、専従的というような書き方をしていたかと思うのですが、ちょっとこの表現が、そういうように書いてしまうと、いわゆる労働者性を帯びているようなイメージが強い表現なのではないか、という御指摘もありまして、もう少し分かりやすい表現にしたほうがいいのではないかということで、今回、「専ら一者から注文を受けた」という表現にしております。これは前回も御議論がありましたように、例えば複数者と1年間契約をしているフリーランスの方の場合は、先ほどの御説明にもありましたように、どこが健診費用を出すのか、なかなか整理が難しいのだろうというところで、いわゆる独占的に1対1で契約しているような場合を想定することが妥当なのではないか、という議論があったと思いますので、それを踏まえての記載にしているというところでございます。
○土橋座長 よろしいですか。

○船井調査官 専従的の部分ですが、前回の検討会では、短い仕事を複数契約する際に、発注者が費用を配慮すべきかというところが曖昧なので、もう少し掘り下げて整理したほうがいいのではないかと、委員の方から御指摘を頂きました。
 それを議論する中で、事務局のほうで整理する段階としては、専従的という記載を委員の皆様に個別に事前説明する中で御提示させていただいたのですが、そこでちょっと、労働者性とか、思っているのとは違う書きぶりということで、この書きぶりで出させていただいたという経緯があります。そもそも、この一般的な健康管理の部分については、個人事業者自身が御自身で管理していただくということが基本であるという中で、特殊健診とは違って、これは自分でやっていただくとはいえ、この個人事業者が健康であるということは、その個人事業者の方と契約する注文者にとっても、事業継続の観点も含めて、それは望ましいことであろうと。なので、その望ましいということの中で、普通の労働者であれば、事業者の方が費用を負担するような部分について、注文者の方も負担していただくことが望ましいと。そういう形で、あくまでも本来、自分でやるべきものなのですが、事業継続等を踏まえると望ましいと。その中で、一定部分について、誤解がないように書いたということなので、なかなか、マル1の部分と並びで、促すとか強めるということは難しいというのが、現時点の事務局の考えでございます。
○土橋座長 よろしいですか。山脇委員。
○山脇参集者 ありがとうございます。先ほど私からは2つ選択肢をお示ししました。1つは、マル1と横並びで書いていただくという選択肢、もう1つは今回、文言を追加することによって、かなり限定的になってしまう懸念があるので、これを前の案と同様とする。つまり、今回追加した表現は追加しないことでどうか、ということを申し上げました。2点目について、今日はお預りをいただけないかというように思っております。以上です。
○土橋座長 検討事項ということで、よろしいですか。
○船井調査官 前回、この部分で、この文言がない状況で複数の注文者の方と契約しているということが、短い仕事をたくさんやるというのもある。その場合、どの注文者が配慮すべきかというのが不明確ではないかというような御指摘を、日下部先生から具体的に頂いたかと思います。それを踏まえて、こういう形でさせていただいたのですが、先生のほうで何かコメントなどございましたら。
○日下部参集者 私は今の表現で、私が申し上げた趣旨はカバーしていただいたと理解をしてお伺いしております。
○土橋座長 ありがとうございます。他の委員の方は、何か本件に関して御発言ございましたら。鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 ありがとうございます。11ページのマル2に「一般的な健康管理は個人事業者等自身で行うことが基本」とあり、もともとの特殊健診の位置付けと一般的な健康管理とは性質が異なると理解しております。そのことから考えますと、最後の表現ぶりに差を設けて然るべきではないかと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。他にございますでしょうか。これらの意見も踏まえて、少し御検討したいと思います。田久委員、お願いします。
○田久参集者 すみません、田久です。まず、一般健診の関係でいくと、個人事業主等と書いてありますが、一人親方などは、個人事業主でありながら労働者でありますので、請求するということは前提だというように思っています。
 会社が、一般健診などで経費を請求するというのは、下請も含めてやられているところなので、その範囲が狭まるという点では、ちょっと気にはなります。会社、個人事業主だからということではなく、一人親方などは個人事業主であり、労働者でもありますので、自分で働かなければ、そういった所では稼ぐことができないという点では、通常に会社で働いている人たちの考え方とはちょっと違うということで検討する必要があります。やはり、どう請求していくかという、その実行性を伴うようなことは少し考えなければいけないのではないかと思います。
 どこがどうだとか、そういうことではなくて、確かに、建設で言えば、バラバラにあちこちで働いている方もいらっしゃいますから、そういった点では、経費としてどう請求をしていくかというところも含めて、やはり、この検討会というわけではないのですが、検討する必要はあるのではないかと思います。以上です。すみません、意見的なことになってしまいました。
○土橋座長 御意見ありがとうございます。今のマル2について、ネットの高山委員から発言希望がございます。高山委員、お願いします。
○高山参集者 ありがとうございます。安全衛生経費を盛り込むかどうかというところで、マル2の所なのですが、ちょっと皆さんの業界とは、ITの場合は違う部分があるのかもしれません。IT業界の場合は、労働者とフリーランスが混在するのですが、フリーランス側は、あえてフリーランスを選んでいるという特性があります。発注企業様のほうも、どちらを選んで発注するというような、ある種、競争的なところもあったりするという背景を前提にした上で申し述べるのですが、フリーランスであり、1年以上の契約か、若しくは1年以内であっても、繰り返し発注を行っている場合という文面があるのですが、例えば、安全衛生経費を盛り込まないようにするために、短期間で契約を終わらせるだとか、本来、あってはならないことが起こるようなことが、ちょっと懸念されると思っています。
 一方で、フリーランスに対して、一般健診費用を支払うこと自体が、先ほども少し入っていましたが、労働者性を補強する要素となると、仮にその発注側が判断してしまった場合は、偽装請負の懸念を恐れて、企業がフリーランスに発注を抑制するようなことも考えられるかと思っておりますので、この辺りは慎重な判断と言いますか、ガイドライン作成のときは、十分考慮する必要があると思っています。
 そもそも、一般健診費用を自己負担ができないほどの報酬額という時点で、ITの場合は、事業者ではなく、労働者として扱われるべきではないというような考え方も一方ではあるのかと思っておりますので。フリーランスの一般健診費用を、一律でその発注者に負担させるというわけではなくて、労働者性の判断基準をまずは明確にした上で、本来労働者として扱われるべき層のフリーランスは、労働者とみなして労働関連法的なところで適用しながら、本件についても、そちらのほうで考慮するといったほうがいいのかと考えております。以上になります。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。それでは、高山委員から別の発言もあるそうですので、お願いいたします。
○高山参集者 本件です。ちょっと重なりましたが、この件です。
○土橋座長 議題1については、ほかに御発言はございますでしょうか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 私どもも、先ほど鈴木委員からお話がありました意見と同等でございまして、本来の個人事業者等というのは、自ら事業を主体的に遂行しておられる方でありますので、一定のいろいろな分野で責任があるのは当然だと考えております。安衛法上も、労働者の定義というのを明らかにされておりますので、その区別はきちんと認識しながら、記述すべきであるというように思います。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。他にございますでしょうか。議題1については、よろしいでしょうか。それでは、多方面から御意見を頂きまして、ありがとうございました。事務局におきましては、本日の議論を踏まえた整理をお願いいたします。
 それでは、続きまして議題2として、前回に引き続き、「引き続き検討すべき論点について」になります。資料2に基づいて、御議論いただきたいと思います。まずは、議論に先立ちまして、事務局から資料説明をお願いします。
○船井調査官 それでは、資料2を御覧いただければと思います。資料2につきましては、別紙マル1~マル4までございますけれども、まず別紙マル1の「業務上災害の報告の仕組みについて」です。4ページ目の所から赤字が入っております。赤字の部分については、これまでの議論を踏まえて事務局のほうで再度整理したものです。黒字については、これまで記載があったものなので、変更はないというところです。こちらの4ページ目の報告主体の部分ですが、こちらについては、前回、事務局から御提案させていただいた報告主体というのは、これまでも検討会において、いろいろな選択肢が示される中で、その議論の集約として、災害発生場所となる事業場を管理する事業者に出していただくということで提示させていただきました。ただ、その案につきまして、いろいろと問題があるという御意見もありましたので、いろいろな関係者の方、委員の方から御意見を聴きながら事務局のほうで改めて整理し直したというのが、こちらの案になっております。
 ただ、こちらの案で、新たに今回出てきたように見える1個目の○にある個人事業者等が行う仕事の注文者であって、災害発生場所において業務を行っている者のうち、個人事業者等から見て、直近上位のもの、これを仮に「特定注文者」と定義しておりますけれども、「特定注文者」としてはどうかという部分については、これまでも報告主体については、案1、案2、案3のような形で御議論していたのですが、そこで出てきていた考え方ではあります。それをもう少し精緻に議論したということです。まず○の1個目にありますように、「特定注文者」としてはどうか。ただし、特定注文者が、その場所に存在しない場合というのもあります。例えば、運送業で荷物を運んだ着荷主において被災したような場合、これは注文者自体は別の場所にいる運送屋さんで、その発生場所にはいないということがあります。そういう場合について、災害発生場所を管理する事業者としてはどうかということです。これは報告主体ということでして、「また」以下に書いてあります中小企業経営者や役員が被災した事案について、これは、これまでの個別論点の議論においても既に整理済みであったのですが、こちらの別紙という形で記載漏れしておりましたので、今回追加しました。
 例えば、中小企業の経営者とか社長さん、役員さんが被災したような場合は、御自身が所属している企業がありますので、そういう所には御自身に代わって、しっかり報告できる体制もあるということなので、この所属企業が報告するという形でどうかと。ある意味労働者と同じような形で、傷病報告と同じような形で所属企業へ出すということで御議論いただいております。それを追記しております。
 2個目の○は、特定注文者及び災害発生場所管理事業者が報告義務を負うのは、個人事業者等が当該場所において、業務上の災害に被災したことを把握した場合に限ることとしてはどうかということを書かせていただきました。これは、これまでの議論においても、災害が起きたのだけれども、例えば救急車とかが呼ばれずに、分からないまま、その現場から出て行ってしまうような事案もあると。そういうのまで、自分から掘り下げて災害を探して報告するというようなことまで、なかなか請負関係にもないような災害発生場所管理事業者に求めるというのは厳しいのではないかという御意見もありました。それを踏まえて入れさせていただいたものです。
 3個目の○は、個人事業者等が一般消費者から住宅の建築を元請として請け負うような場合、特定注文者も災害発生場所管理事業者のいずれも存在しないというケースがあります。こういう場合については、報告義務の主体自体は存在しないのですけれども、なるべく災害を幅広く把握しようということで、個人事業者等自身が、もちろん亡くなっている場合は難しいと思いますし重症の場合も難しいと思いますが、出せる場合については監督署に情報提供することを促してはどうかということで書かせていただいております。
 説明が前後いたしますけれども、特定注文者ないしは災害発生場所管理事業者、これを報告主体にするという考え方についてですが、これまでの検討会でもいろいろ議論があったのですけれども、そういうものを遡って再整理しますと、まず、災害報告の仕組みを作るに当たりましては、これは全く新しい仕組みなので正解があるわけではないのですけれども、マル1に書いてありますように、被災時に個人事業者等が行っていた業務の内容を把握している方であることがいいだろうと。あとはマル2にありますが、災害発生場所となった、その場所の状況を把握している者がいいだろうと。一番いいのは、この2つを兼ね備えている方が報告主体になるということが適当ではないか。こういう考えに立っております。マル1マル2のいずれをも満たす方というのは、「被災者である個人事業者等自身」がまずは該当します。それ以外ということになると、個人事業者が行う仕事を注文している注文者であって、さらに、災害発生場所において、その場で業務を行っている方、これが該当するのではないかと。すなわち、特定注文者ということになります。
 次に、災害発生場所を管理する事業者というのはどうだろうかと言ったときに、マル2はOKだと思います。ただ、マル1については仕事の注文者ではないので、なかなか被災者本人や特定注文者ほどは把握していないでしょうけれども、実際自分が管理するような場所において何らかの業務が行われているという部分については、完璧ではないですけれども、全く知らないということはないので、一定程度は把握されているであろうと。そういうことで災害発生場所管理事業者というのも、特定注文者がいない場合の報告主体として位置付けてはどうかということで整理しております。
 続きまして、5ページ目です。この辺りは、上のほうは文言整理なのですが、真ん中あたりの○にあります報告主体を特定注文者や災害発生場所管理事業者とするのは、本来、災害発生時に行っていた作業内容や災害発生場所となった事業場等の状況、災害発生原因等を最もよく把握しているのは個人事業者等自身であると。ただ、この被災者、個人事業者等自身が被災者になったような場合、特に今回の場合は、死亡とか、休業1か月以上というものを報告対象にしてはどうかということで御議論いただいておりますので、自ら遅滞なく報告するというのはなかなか難しいのではないかと。こういうことも踏まえてやらせていただいているものです。その部分の追記をさせていただきました。あとは、報告の円滑化のために、国が書式を示すであるとか。
 続いて、7ページ目ですが、個人事業者等が被災した場合に、亡くなっている場合とか、意識がないような場合はなかなか難しいのですけれども、自分が災害に遭ったということを伝達できるような状態のときには、報告主体になる方にそれをしっかり伝えていただいて、報告主体の方々が報告する際に、しっかり協力を行っていただくということを書いております。ただ、協力については、協力しましょうという話ではなくて、2個目の○に書いてありますように、別途の論点でも検討することとしておりました法令に位置付けて、この協力というのを求めていってはどうかということも書かせていただいております。
 次の○につきましては、個人事業者の方が被災した場合であって、その情報伝達できるような場合につきましては、監督署であるとか、報告主体だけではなくて、自分が加入している関係団体にも情報提供すると。それによってそういった団体が、たくさん個人事業者の方が下にいるのであれば、同種災害の防止とかにも役立てることができるので、そういったことが望ましい旨を示してはどうかということで書いております。
 最後はテクニカルな話です。個人事業者等とか、こういった加入団体の方が監督署に必要な情報を提供した場合については、同じ情報を報告主体が義務として監督署に出す必要はないだろうと。重複排除の整理も行うべきではないかということで書かせていただいております。
 次のページに、今申し上げましたものを分かりやすくポンチ絵にさせていただきました。なかなか字だけでやっているとイメージが湧かないかと思っております。今回、災害報告の対象になるものとして、一番左の欄を見ていただきますと、被災程度としては、死亡又は休業1か月以上のものが報告対象になると。1か月未満のものは一番下のほうにありますように、情報提供可能ということで任意で情報提供を幅広に求めて、なるべく多くの災害を把握しようという仕組みになっています。
 では、死亡又は休業1か月以上のものでも本当に亡くなってしまったりとか、ベッドの上で意識がないとか、災害の被災の事実を誰にもお伝えすることができないようなケースというのもあるのではないかと。そういう部分については、特定注文者がいる場合には、被災者から情報を聞き取れないような場合であっても、可能な範囲で監督署に出していただくということ。特定注文者がいない場合については、災害発生場所管理事業者に出していただく。両方いない場合については、義務として出していただく方はいないので、これは報告という制度にはなかなか乗ってこないという、このような整理です。
 一方で、休業1か月以上とはいえ、災害発生の事実を伝達することが可能な場合というのもあろうかと思います。こういう場合については、真ん中あたりにありますように、個人事業者等の協力のもと、特定注文者が報告をするということ。まず緑の矢印で、災害があった旨と報告主体が報告することに対する協力というのは、しっかりした形で個人事業者自身に求めていく。それを踏まえて、報告主体の方が報告義務を果たしていただくというつくりになっています。
 一方で、個人事業者の方が監督署に必要な情報を提供したような場合、また、個人事業者が加入しているような団体が、同様に監督署に情報提供したような場合、必要事項が情報提供されているのであれば、報告主体の青矢印というのは重ねてやっていただく必要はないということを※で書かせていただいております。下のルートの黄色の矢印ですが、特定注文者がいない場合には、これが災害発生場所管理事業者になるということで変わりはありません。先ほど、例えば個人から住宅建築を請け負ったような場合で、特定注文者や災害発生場所管理事業者がいないような場合はどうかという部分については、個人事業者の方がそういうことを伝達できるような状況にあるのであれば、監督署に情報提供いただくということで書かせていただいております。以上が、主に報告主体を中心とした考え方の整理です。
 報告制度の関係では、前回の検討におきまして、9ページ目にありますように、幾つか御指摘を頂いております。1つ目は、「死亡又は重篤な負傷を伴う事故」の範囲について、休業日数のみを基準とすることが本当に妥当なのか、こういう御指摘でした。こちらにつきましては、災害の重篤度を測る指標としてはいろいろなものが考えられますが、例えば本当のけがの程度、出血しているとか意識がないとか、そういう状況もあるかもしれませんし、災害等級が残る、残らないという考え方もあると思います。ただ、今回、法令に基づいて遅滞なく報告をしていただくという中で、やはりほかの国でもやられているような、国際的にも一般的な休業日数若しくは休業見込日数というのは、指標として採用するのは労働者傷病報告の例を見てもある程度適当ではないかと考えております。その旨を書かせていただいております。
 また、休業見込日数を、本当に休んでから出したのでは遅いので、被災して、すぐにどうやって出すのかという部分については、これは労働者傷病報告の場合と同様、医師の見解も聞きながら、見込みであったとしても、その日数を書いていただき、御判断いただくということは、労働災害の場合と変わらないと思っております。
 もう1つは、休業1か月で線引きすることについてどうかという部分です。これは前回の検討会で、1か月で線引すると、大体全体の50%以上がカバーできるということでしたが、もう少しエビデンスを示した上で議論する必要があるのではないかということで、少しデータ的なことも出させていただきました。
 次のページを見ていただきますと、休業4日以上の死傷災害に占める「休業1か月以上」の災害の割合ということで、これは口頭で申し上げたとおり、50%強という状況になっております。これを単年で見ても、直近拾えた6年間で見ても、大体同じような傾向です。これを1か月なのか、2、3か月なのか、若しくは1か月より短い、2、3週間なのかということで見た場合の構成割合というのは、下のほうのグラフに載っております。大体1か月で50%強というところが、2、3か月になると、もう半々みたいな感じになっていくという状況です。
 では、休業4日以上全体と1か月以上で見た場合で、我々は災害の類型を集計するときに、よく事故の型という分類を使うのが一般的なのですけれども、事故の型で見たときの構成割合というのを、4日以上と1か月以上に絞った場合で書かせていただいております。こちらについては、右側が1か月以上なのですが、これは4日以上全体というのと見た場合に、災害の事故の型の並び、順番は変わっていないのですが、やはり重症になりやすい「転倒」であるとか、「墜落・転落」の部分が割合としては少し面積が大きくなっている。一方で、「切れ・こすれ」とか、なかなか1か月以上にならないような災害、動作の反動、無理な動作とかといった部分については、逆に面積が少し小さくなっていると。
 それをもうちょっと細かく見ますと、12ページ目にありますけれども、「墜落・転落」や「転倒」というのは構成率が4%前後増えていると。その一方で、「動作の反動、無理な動作」ですとか、「切れ・こすれ」とか、「高温・低温の物との接触」というのが少なく、構成割合が減少していると。休業4日以上から休業1か月で絞るという場合には、大体こういう傾向になるというのを念頭に置いておく必要があるのだろうということが一つ言えます。
 次のページを見ますと、これは「休業見込日数」の平均値について見たときですが、休業4日以上の災害全体で見ると、平均の「休業見込日数」というのが大体40日ぐらいです。これは毎年同じような状況です。令和2年、3年はコロナの影響で少し低く出ています。それぞれ事故の型別に、年ごとに休業見込日数の平均値がどうなっているのだろうというのを並べたものですが、これは今回1か月以上で切るので、30日以上か30日未満かということを見たときに、30日未満の年があるものは色を付けております。「切れ・こすれ」とか、「高温・低温の物との接触」というのは、これは大体例年30日未満になっております。一方で、「踏み抜き」とか、「おぼれ」、「有害物等との接触」とか、「破裂」というのは、年によってばらつきがありますし、この災害自体の構成割合というのが0.0幾つとか、0.2%とか、非常に構成割合としては低いという状況にあります。一番最後の「その他」は、令和2年、3年でガクッと落ちています。これはコロナの影響があって、一過性のものです。このように考えますと、構成割合もそれなりに多くて、日数に影響してくる部分というのは、「切れ・こすれ」であったり、「高温・低温の物との接触」であったり。このようなところで、ちょっと少なめに出ると。その代わり、「墜落・転落」や「転倒」の割合が少し高くなる。こういう傾向が出るのだということを念頭に置いておけば、1か月以上で切るということは、それほど災害分析を行っていく上で大きな支障はないのではないかというのが考え方です。
 続きまして、14ページです。別紙マル2ですが、話が変わりまして、「業務上の脳・心臓疾患及び精神障害の報告の仕組みについて」です。報告については、個人事業者が監督署に報告できる仕組みにするということで合意を得られておりますが、では、その際の報告の内容についてはどうかということで、今回整理をさせていただいております。報告事項については、脳・心及び精神もある意味、業務上の疾患、災害の1つですので、マル1~マル5に書いてあるような、報告者に関する情報だとか、被災者に関する情報、発症日時や、その発症の程度又は発症原因、こういう部分については、普通の事故やけがの場合と余り変わらないのではないかと。ただ、マル6の脳・心及び精神と関連がある情報、例えば脳・心であれば、直近6か月の就業時間数であるとか、精神であればストレスと感じていた要因、こういった部分については事故やけがとは少し違うので、追加でこういった部分も御報告いただくことがいいのではないかということで御提案させていただいております。
 続きまして、別紙マル3、15ページです。「『保護具や作業方法の周知』を行う場合の対応について」ということで、最高裁判決を踏まえて改正をした省令において、労働者であれば保護具を着用しなければならない、又は作業方法を守らなければいけないというような部分については、個人事業者に作業の一部を請け負わせるときには、事業者に対して周知義務が新たに課されたということです。
 では、その周知が、周知だけでいいのかということで、大分、検討会において御議論を頂きました。ただ、個人事業者との間に指揮命令関係があるわけでもありませんので、なかなかその周知以上の、着けさせるというところまで求めるのは厳しいのではないか。また、着けていない人は作業させないということも、なかなか法令で義務付けるというのは厳しいのではないかという御議論であったと思います。
 ただ、ではもう少し強めの措置というのがありうるのかどうかというのも、まだ議論の余地があると思いますけれども、今の時点で事務局から御提案させていただいているのは、事業者だけに何か努力義務も含めて求めるのではなくて、事業者と個人事業者の両方に対して取組を求めることによって、実行性を高めていくということがいいのではないか。マル1に書いてありますのは、事業者の周知義務について、周知した内容が徹底されるように、個人事業者に対して必要な指導等を行うということで実行性を高めると。では、この必要な指導といったときに問題になるのが、保護具が必要だということで周知して、保護具をしていない人がいたときに、保護具を着けてくださいという指導が指揮命令に当たってしまって、偽装請負と捉えられるのではないかと。こういう御懸念が現場においてはあると。そういうことにならないように別途、論点にも挙げておりますけれども、注文者等による安全上の指示というのがどういうものなのか、どういうものであれば指揮命令には該当せず偽装請負にもならないか、それを明確化してはどうかと。ここと併せて整理したいと思っております。
 では、周知を受けて、必要な指導を受けた個人事業者というのはどうなのか。個人事業者も完全に労働者ではないので、労働者的に作業する側面もあれば、事業者としての側面で、自分が行う作業において、どういう保護具、どういう作業方法でやるべきかというのは、主体的に判断する立場にもあると思います。ですので、個人事業者は、事業者から周知された事項をちゃんと守るという、自分で主体的に守るということも重要ではないか。
 これは今後、検討していく必要がありますが、労働者であれば労働安全衛生法第4条に規定されているような災害防止上必要な事項の遵守というのが定められていると。これと同じような位置付けの包括的な規定というのを、個人事業者向けに設けるということも検討してはどうかと。そうすると、守るということが法令に根付いた実行性が高いものになるのではないか。このように、事業者とその周知を受けた個人事業者双方が、しっかりそれぞれ役割を果たすことで、実行性を高めていってはどうかということです。
 最後、別紙マル4です。マル4の16ページについては、これは資料1のほうでも御説明させていただいたので整理済みですけれども、17ページのほうですが、「保護具」や「作業方法」の部分について、第22条に基づく省令については、周知義務を新たに課したと。では、第22条以外の第20条や第21条に基づく措置についても、同様の措置を行う必要があるのかないのか。これを考える上で、第20条とか第21条で規制されている、例えば「高所からの墜落による危険」だとか、「機械による挟まれ、巻き込まれの危険」といったものは、高い所から落ちたら危ないというのは、目で見れば作業者が容易に把握できますし、対策というのも非常に分かりやすい。一方で、何かコードがあって、そこに高圧の電流が走っているとか、一見しっかりした床に見えるのだけれども、スレートでペラペラで、乗ったら穴が空いて落ちてしまう。これは視覚のみでは把握できない。ある意味、教えてもらっていないと対策の取りようがないものがあります。「有害性」と「危険性」が全く別物だというつもりは全くありませんけれども、危険性の中には、目で見て分かるものもあるし、教えてもらわなければ対策が取りようがないものもあると。有害物の場合は、目で見て分かるというのは基本的にないので、教えてもらわないと分からないというのが前提になって、いろいろ見直しを行ったわけです。そういう部分で、少し「危険性」と「有害性」の注意しなければいけない点が違うというところもあると。これを個別にやはり規制している状況というのは個々に違いますので、災害の実態も含めて、今回、新たに創設する報告制度で、しっかりデータを取った上で必要なものを見直していこうということで、前回御提案させていただきました。
 一方で、労働災害については、これまでもたくさんのデータの蓄積があると。個人事業者の災害と労働者の災害でどこまで違うのかと。同じ作業する人間であれば、災害のメカニズムというのは基本的に同じなので、それほど違いはないのではないかと。こういう考え方もあるわけでして、これは、労働災害は労働災害、個人事業者の災害は個人事業者の災害ということで、完全に別ものとして考えるのではなくて、個人事業者による災害もしっかり押さえつつ、労働災害も脇に置いて、どういう状況なのかということも比較したり留意しながら進めていくことは重要ではないかということで書かせていただいております。
 また、これをやるには一定の期間が必要になりますので、その間、何もしないでいいのかという話もありましたので、マル2に書いてありますように、所要の改正が行われるまでの間は、ガイドライン等で事業者に対して「保護具」や「作業方法」の周知というのを推奨していこうということで書かせていただいております。長くなりましたが、資料2の説明については以上でございます。
○土橋座長 資料の御説明、ありがとうございました。それでは、ただいまの資料2に基づき御議論いただきたいと思います。御発言いただく際には該当部分を明示してくださいますようお願いいたします。御発言はございますでしょうか。大木委員、お願いします。
○大木参集者 仕組みについて(その5)の7ページですが、1つ目の○で「報告に当たって必要な協力を行うことにしてはどうか」、これは有り難いなと思ってそのまま進めていってもらいたいと思っています。
 あと、仕組みについて(その2)の4ページで、特定注文者及び災害発生場所管理事業者を報告主体とする考え方ですが、1つ目の○、2つ目の○の両方を把握している者が報告するというのはいいと思います。ただ、そのときに直近上位が特定注文者という考え方があるというお話を以前に伺っていましたが、建設業の場合は3次下請、4次下請と非常に重層下請で、例えば3次下請が被災した現場に常駐していればいいのですが、していないときもある。個人事業主に注文だけして現場を把握していない注文者がいる。そのときは3次下請でなくて、更に2次下請、1次下請も特定注文者という考え方をするのかどうかということです。
 もう1つ、7ページの業種・職種別の団体の同種災害防止等で、実際、団体としても災害防止をしていかなければいけないと思っていますが、現実に傘下の業者、会社だけだと、それぞれの団体が全ての建設業の下請の会社を把握しているかといえば、残念ながら団体ごとにばらつきがあり、鳶なら鳶の中で1割ぐらいしか把握していない。あるいは鉄筋業にしても3割ぐらいしか把握していない。その他、ほとんど働いている現場も把握していない所で災害のことだけを共有することは、現実的に非常に難しいことだなと思っています。以上です。
○土橋座長 御意見、ありがとうございました。事務局、何かございますか。
○船井調査官 御質問、ありがとうございます。まず、1点目の部分ですが、4ページ目の1つ目の○、2つ目の○で、情報を把握している直近上位の注文者を特定注文者にするという部分です。例えば直近上位の注文者が、あまり建設業でこういうことがあってはいけないのかもしれませんけれども、全く現場に足を一歩も踏み入れないという状況があれば更に上ということになりますし、例えば常駐はしていないが、ちょくちょく来て管理している場合であれば、その人は現場で業務を行っていると評価すべきだと現時点では思っています。なので、その瞬間にいなかったことをもって、更に上位の注文者に報告主体が移るという考えではありません。
 もう1つ、業種・職種別団体の部分ですが、これは本当に団体さんの加入状況、カバレッジみたいなものによって全く違うと思いますし、何か一律にそういうことを求めるということではなく、団体がそういうアクションを起こして会員さんをしっかり保護するという中で、災害に関する情報が来ることによって、アクションを起こしやすくなるだろうと。そういう意味での望ましいという形で書いていますので御理解いただければと思います。全体の1割しか入っていない中で災害の情報をもらい、それをやってどうなるかという課題はあると思います。これは団体さんが情報を集めてアクションを起こすということもそうですし、国としても集めた情報はしっかり集計して公表していきますので、そういったものとも比較しながら会員さんの保護を図っていく。それをやっていただくことは望ましいことなのではないかというスタンスです。
○土橋座長 Webのほうからございますので、高山委員、お願いします。
○高山参集者 ありがとうございます。別紙マル2の「業務上の脳・心臓疾患及び精神障害の報告の仕組みについて」の所ですが、以前から申し上げていますとおり、労災実態を把握するための取組としては非常に重要だと理解していますし、それで進めるべきだと考えています。ただ、IT業界の場合は労働局からの偽装請負等への意識と言いますか、注意が非常に強く神経質になっているという特性があります。この報告の結果で、労働局等が事業場で適切な請負をやっているかどうかの調査が入るのではないかみたいな、そういった誤解が生じないような周知をして、この施策を進めていただければと思っています。そうでないと、結果的にフリーランスを守るための取組がフリーランスの活用を消極的にしてしまうみたいな、そういう本末転倒な結果にならないようにしたいなというふうには考えています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。こちらも事務局、何かございますか。よろしいですか。それでは、中村委員、お願いします。
○中村参集者 中村です。ありがとうございます。私、前回、欠席しているのであるいは御説明があったかもしれないですけれども、まず、9ページ目です。休業1か月という形で指標を整理していくということは、これは個人事業主でなく、今後、いろいろな労働災害の統計もそういう形で整理していくということなのでしょうか。なぜそういう質問をしているかというと、今までのデータは休業4日以上が多いと思います。それに対してこういう形でまとめていこうとするならば、ほかの労働災害統計もそうなるのではないかと思っての質問です。
○土橋座長 御質問ということで、事務局からお願いします。
○船井調査官 御質問、ありがとうございます。労働災害の部分につきましては、データとしては休業4日以上の災害については事細かに把握しているので、それを取りまとめて公表しています。ただ、行政には、休業1日以上のものは全部出していただいているのです。それは統計としてはまとめて公表していませんけれども、実際、監督署で出てきた災害を踏まえて、仮に休業1日、2日であっても複数の人が、例えば化学物質の中毒で倒れたとかいうような場合はアクションを起こす材料にしています。そういう意味で、統計データとしての使い方と、監督署がアクションを起こす契機としての速報という意味で両方の性質を持っていますから、そこを今回の検討結果に併せて1か月以上に引き上げるということは考えておりません。
○中村参集者 私、実は逆の意味で質問していたのです。というのは、仮にちょっとけがをしたとしても、4日以上になると我慢して出て来てしまえば、それでならないということがありますけれども、1か月にすると、むしろそういうところがなくなってきて、きちんとした数字になるかと思い、そういうお考えかなと思ってお聞きしたのですけど。
○船井調査官 ここを1か月で線引きするのは、おっしゃったような考えではなくて、やはり労働者であれば指揮命令をしている事業者というのが、労働災害防止についてかなりの部分の責任を持っていますので、しっかり調べて休業4日以上、若しくは休業1日以上を出してくださいということを罰則付きの義務で求めている。一方、今回、報告主体として義務を課すのは、罰則なしとはいえ、指揮命令関係にもない、請負関係しかない、若しくは請負関係にすらない方に対して求めるということなので、災害を把握するきっかけとして休業4日とか、それほど重篤でないものまで全部把握するのはなかなか難しい。そういう実行性の部分で線を引いています。
○中村参集者 ありがとうございます。今のでよく分かりました。もう1点だけ確認したいのですが、今度は15ページの1つ目の※で「現場の実態を踏まえて明確化する」という所です。よく現場から聞かれるのは、実際の安全な作業方法の指導ということについて、それはやってもいいんですねと聞かれるのですが、そういう話になっていくのでしょうか。実際の安全行為とか、そういうことの指導はよく分かるのですが、実際には作業の方法そのものの中に危険性があることもあるので、その辺はどこまで認めているのか。この実態の中に入ってくるのかどうか。
○船井調査官 安全と作業方法は表裏一体の部分があって、どっちかを記せばどっちに影響するという話がありますから、そこら辺は偽装請負の関係を担当している部局ともよく調整をしながら、お示しさせていただきたいと思いますが、例えば、そんな方法でやったら危ないだろうというものは、ちゃんと止められるようにしないといけないという気持ちではいます。
○中村参集者 ありがとうございます。私も、いろいろな質問を受けた場合は安全に絡めるような形の言葉を付けて指導せよと言っているのですが、それでいいかと思ってお聞きしました。もう1つ、よく言われているのはリスクアセスメントをやって残留リスク的なものをちゃんと教えろと言っていることは、ある意味、今のお話の中に入ってきてもいい話かと思ったので質問いたしました。
○土橋座長 ほか、いかがでしょうか。清水委員、お願いします。
○清水参集者 ありがとうございます。4ページの特定注文者と災害発生場所管理事業者という所で、運送も2次請、3次請という多層構造での請負方法というのが非常に多く、これは個人事業主も一緒ですが、特定注文者を特定するというのは非常に難しい。なので、災害発生場所管理者に報告義務を課していただくのは非常に有り難いなと思います。ただ、災害発生場所管理者というのは荷受会社というか着荷主の場合が多くて、着荷主側の要求で荷役作業をやったりということで労働災害が多く発生している現状があります。それは特定注文者であっても発注者であっても、納品先の付帯作業、荷役作業というのを全く分からない。行ってみないと分からないということが多く、それで荷役作業を要求されてドライバーが仕方なくやって被災する。特に墜落・転落が運送業界の場合は非常に多いのですが、それは荷台に乗ってとかフォークリフトに乗ってとか、プラットフォームに上がってやる場合もありますけれども、そういう作業が多いことによって労働災害が多く発生している現状があります。それなので、災害発生場所管理事業者にしっかり管理をしてもらう。報告もそうですが、しっかり管理をしてもらうことは大事なのかなと思います。
 一方、ECの配送個人事業主というのは全く保護具も付けていないことが多いですし、法人のように安全指導をするというのも、多分、書面だけだと思います。なので、この事業者自体、私は専門ではないですが、ここのウーバーイーツやECの配送事業者というのは公道で事故を起こしたり、配送先のマンションの階段で事故を起こしたりしても、多分、災害発生場所管理事業者とかもいないので、ここは大きな問題になるのかなと思います。アマゾンフレックスや何かがどういう管理の仕方をしているのか、ちょっと分かりませんけれども、災害が発生したら報告しろとしているのか、それも2次下請、3次下請でやっているとどこに報告しているのか。泣き寝入りしているのかというのはよく分からないですが、ここの問題は専門事業者がもしいれば、本来、個人事業主で営業しているのはEC物流の配送事業者のほうが多いですから、そこを交じえたほうがいいのかなと思います。公道で事故を起こしていれば警察などに厄介になって分かるとは思いますが、ただ、個人でやっている所でどこにも報告義務がなければ全く分からない。個人事業主の車を見るとぶつけてあったりというのが非常に多いので、ここの事故も相当多いだろうなと感じています。
○土橋座長 御意見、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 報告主体の件で、特に8ページのイメージ案の所について3点ほど感想を申し述べたいと思います。1点目です。第6回の検討会の論点案では報告義務は個人事業者本人に課すことになっていましたけれども、第8回目で当該作業所を管理する事業者、前回の11回に提示された論点案では業務上災害を効率的に把握するため、報告主体は災害発生場所を管理する事業者とする旨の記述になっていました。ただ、今回、このイメージ案の上段にありますとおり、「死亡などにより災害発生の事実を伝達することが困難な場合」と、下段の「災害発生の事実を伝達することが可能な場合」を並列させて、同じ所の枠組みとして分けて整理されています。この整理の仕方というのは、より実態に即した検討が行われることが可能になるとともに、誤解を払拭したり議論を明確化する点で大きな意味がありますので、今後、こうした枠組みを踏まえて、どのような報告制度を設けることが災害実態の把握に効果的なのかを議論してまいりたいと思います。
 次に、2点目の感想ですが、この報告主体について、ただいま御紹介しましたとおり、今回、個人事業者等との間で直接の契約関係にある直近上位の者、いわゆる特定注文者という概念が持ち出されたのも初めてであり、この点を含めて検討していくことに異論はございません。ただし、報告主体のあり方に関しては以下の4つの事情を十分に考慮した上で検討を進めていくべきであると思います。1つ目の事情は、先ほども少し申し上げましたが、本来の個人事業者等というのは自ら事業を主体的に遂行しており、当該事業に関しては一定の責任を有していること。2つ目の事情は、災害時の発生内容や災害発生場所の状況、あるいは災害原因等を最もよく把握しているのは個人事業者御本人であるということ。3つ目の事情は、報告主体を個人事業者自身とすることが最も簡便で分かりやすく、かつ、多くの災害事例を収集・把握することにつながること。4つ目の事情は、個人事業者等が下請で被災する割合は厚労省の資料では5割強にとどまり、半数近くは自らが元請であったり自社工事であったりするため、そもそも特定注文者や災害発生場所管理事業者が存在しない回数が多いと思われることなどです。
 所感の3点目は、この資料の一番末尾に※で「個人事業者等が中小企業経営者や役員の場合は、所属企業が報告主体となる」と記載されました。これは資料2で初めて盛り込まれていますが、中小事業者等は企業に所属していて、報告が困難な場合は想定されないため当然の帰結であり、このことも誤解を招かないために賛成いたします。
 ここで特に補足させていただきたいことは、上段の死亡などの所で、これは恐らく救急車で搬送されたり入院ということも含めてだと思いますが、これによって災害発生場所の事案を伝達することが困難なケースでは、御本人が被災したことを届けることは物理的に不可能ですので、他の者が報告を代行することを別途検討し、報告制度が有効に機能していくようにしていくことは妥当と考えます。さらに、その代行する報告義務者は当事者との間で直接の契約関係にある直近上位の者、いわゆる特定注文者とされていまして、しかも把握可能な範囲で報告する義務が発生するという提示内容ですから、こうした観点なども踏まえながら、報告主体をどのように規定するのが適切かの検討を進めていくことに異論はございません。
 一方、下の段です。災害発生の事実を伝達することが可能な場合につきましては、特定注文者又は災害発生場所管理者が報告義務者、一方で、個人事業者等は報告への協力義務にとどまっている内容には、現実、現場の実態や運用の現実面を考慮しますと残念ながら理解に苦しみます。その意味で下段の枠組みについては、今後、原則的な報告主体を個人事業者等とするなど、実情を踏まえて更に議論を深めていくことが肝要であると思います。この部分につきましては、本日、後ほど建設業界の見解を発言させていただこうと思っています。以上です。
○土橋座長 御意見を頂きました。ほかはいかがでしょうか。青木委員、お願いします。
○青木参集者 住団連の青木です。まず、別紙マル1の4ページ目になります。「個人事業者等が一般消費者から住宅建築を元請として請負った場合など」ということで、その場合は報告義務の対象とはならないということで、それはそうだなと思うのですが、住宅建築の場合に、例えば大工さんに家を建ててもらおうというような場合、その大工さんが元請になるわけですけれども、その元請になる大工さんが、また、個人事業者に発注するというケースが多いのです。例えば、大工さんが個人事業者の電気屋さんだったり、基礎屋さんだったり、最後に引き渡す際のクリーニング、美装屋さんと言いますが、そういったところはほとんどが家族経営ですので個人事業者になります。
 そうすると、例えば、被災した方が一番末端の個人事業者の場合、特定注文者は、また個人事業者であるということで、両方とも個人事業者になってしまうわけです。その場合もこれに当てはめるのかなという感じもちょっとします。もし、そういった特殊な感じが出るようであれば、やはり全ての場合で被災した場合の個人事業者が報告するとしたほうが、非常に自然のような気がしました。
 それから、もう一点、先ほどの8ページ目、いわゆるポンチ絵の所ですが、今も、お話がありましたが、やはり一番上の「死亡などにより災害発生の事実を伝達することが困難な場合」、どの程度これがあるのかちょっと分かりませんが、ただ、その場合は物理的にこういう方法しかないと思います。報告義務ということで監督署に行っていると。
 それに対して下の「災害発生の事実を伝達することが可能な場合」、これの場合に、真ん中とその下ですが、個人事業者が直接監督署に出す場合は情報提供ということで、個人事業者から真っすぐ監督署に黄色い矢印が行っていますが、感覚的には一番上と同じように、監督署に直接出す場合は報告義務というように、2番目と3番目は報告義務としてもいいかなという気はします。
 特に、真ん中の場合の個人事業者が、例えば、真ん中ですと、発生場所管理事業者でしょうか、一番上もそうですかね、特定注文者に対して緑色の矢印が行っていますけれども、黄色い所を直接、いわゆる報告義務という形にして、ブルーの所は逆に情報提供などという形にするほうが、本来、自然な気がします。そうしないと、やはり黄色い部分から、特に「休業1か月未満」もそうですが、黄色い部分、直接、個人事業者から監督署に行くものが、要は義務化ではなく情報提供という形になって、情報が集まりづらいのかなという感じがしました。
 それから、参考資料の13ページの所で赤い点線で囲まれている部分が2つあります。「切れ・こすれ」、それから「高温・低温の物との接触」、これに関しまして、特に「高温・低温の物との接触」に関して言えば、かなりこれは減っていて、12ページのほうが分かりやすいので、そちらを見ていただくと、「高温・低温の物との接触」、これは熱中症のことが多いと思うのですが、熱中症に関しては休業4日以上だと2.4%ですが、1か月以上にすると半分以下になります。つまり、1か月以上で締めてしまうと、ほとんど症例が集まらないというような形になります。こういったものに関しては、「切れ・こすれ」も同様ですけれども、こちらに書いてありますように注意が必要というところを、やはり考慮していただきたいなと思います。
 数が少ないからといって、そのままというような扱いをするのではなく、この「切れ・こすれ」や「高温・低温の物との接触」に関しては、特別に対策を考える必要があるのかなと思っています。もちろん熱中症に関しては、毎年、厚労省様のほうから、いろいろとお達しが出ていますけれども、それ以外にも、「切れ・こすれ」でも、住宅業界、労災を見ますと、ビスが跳ねて目に刺さって失明するというようなケースが結構多いのです。失明しても片目が見えれば作業ができるということで、その後も当然仕事は続けられるのでしょうけれども、ただ熱中症も、やはり死亡事故が多いですし、それから今申し上げた「切れ・こすれ」というものも、いわゆる、けがをした後のクオリティ・オブ・ライフといいますか、その後のものがかなり低減してしまいますので、やはりそういった意味合いでも何らかの対策というものは特に注意していただけたらなと思います。以上です。
○土橋座長 御意見、ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。山脇委員、お願いします。
○山脇参集者 ありがとうございます。報告主体について、少なくとも前回までの議論では、公益の先生を含めて、事業場を管理する事業者とすべきとする意見が、私は、少なくとも過半であったのではないかと受止めております。
 今回、事務局から御提案があった、直近上位のものとすべきとする意見は、私の理解では本多委員などごく少数だったのではないかなと思っております。そうした中で今日、特にこれまで多くの方から支持があったとは言えないこの案が示されているということについて違和感を覚えます。
 かつ前回の検討会では、建設業界の委員の中には、提案内容でいいという趣旨の御発言もあったと理解しております。その方を含めて、この案についてどう思われているのか、率直なところをお聞かせいただきたいと思います。検討会ですから、議論を積み重ねて結論を得ていくものだと理解しています。
 さらに、課題ではないかなと考えているのが4ページの○の2つ目です。こちらに「災害に被災したことを把握した場合に限る」とされておりますが、これまでの検討会ではこのように狭い解釈だったでしょうか。仮にこのように報告主体について主観によることを認めてしまうと、報告する者の減少を招くということにつながらないのか、今回やろうとしているシステムの機能そのものを低下させかねないのではないかと懸念します。
 今回は積極的に災害の把握を促すことで、政策的に災害の一つでも多く拾い上げ、労災の防止につなげていくための仕組みづくりだと考えます。把握した場合のみでいいですよと言ってしまうことで、むしろ逆の効果、把握する努力をしなくなってしまうことを懸念しているところです。この表現については、これまでの議論を踏まえて、限定的な言い方を見直すよう、論議をお願いしたいと思っております。
つづいて、休業1か月でいいのかどうかというところについては、今日、データを示されました。やはりヒヤリハットの事案等々への対応の観点などを含め、この1か月以上でいいのかについては疑問も残ります。
 あとは、別紙マル3の15ページについてです。前回の検討会の中では、させない措置というのを盛り込むべきという考え方自体は変わらないが、仮にそれが難しい場合であっても、まずは努力義務からスタートしてはどうかということを提起させていただきました。その結果として赤字の部分で「事業者のみに努力義務等を課すのではなく」という文言を追加をいただいたのではないかと思いますが、その具体的な理由については記載されておりません。努力義務を課すことができない理由はないのではないかと思っております。選択肢としてまだ残っているというふうに認識をしておりますので、引き続き御検討をお願いしたいと思っております。
 最後は別紙マル4の関係です。これも前回と同様の発言になりますが、17ページに記載していただいているとおり、○の1つ目の3行目、「高圧電路への接触による感電の危険」、「スレートの踏み抜きによる墜落」、ここは事務局のほうから説明を頂いたとおりで、現段階でも危険なものは相当ありますし、私は電力会社におりましたので、高圧電路への接触は相当多く発生していて、それは個人事業者だろうが一般の労働者だろうが関係なく起こっているという実態があります。
 これを労働者と個人事業者で分けて議論しなければいけない。本当にそのことに理由が必要なのかでしょうか。今すぐにでも、ここはやれることはやるべきだと思っています。現行案では、数年後の災害報告制度に基づいて実態を把握した上で検討となっておりますが、それを待たずにできることは早急にやっていくべきだと今でも強く思っていることは申し述べておきたいと思っております。
 最後に、※で書いてもらっている3行目の所に「留意」という言葉ですが、ここで「留意」というのが何を指しているのか、御説明をいただきたいと思っております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。質問事項もございましたので、事務局からお願いいたします。
○船井調査官 御質問ありがとうございました。4ページ目の部分の報告主体について、前回提示させていただいたものから、いわゆる特定注文者の部分が入っているということの理由ということでございますが、前回、災害発生場所管理事業者というものを報告主体として御提案させていただいたのは、これまでにいろいろと議論がありましたが、一番初めに事務局からは、個人事業者自身でという案を出させていただいて、とはいえ、なかなか亡くなってしまったりなど出せない部分があるので、個人事業者が加入している団体さんであったり、そういった所が代行できるような仕組みも、まずは御提案させていただいた中で、やはり被災者自身に報告を求めるということはいかがなものかという御意見がありました。また、個人事業者、被災者自身に報告義務を課しても、なかなか実行性や履行確保の部分が難しいのではないかという意見もありました。
 一方で、公益の先生からも諸外国の状況なども御紹介を頂きまして、やはり、場所を管理する事業者に報告を課しているケースや、報告も含めて関係者が連帯責任を負うといったような話もあったと思いまして、そのようなことも踏まえながら、直近上位の注文者が出すとか、災害発生場所を管理する事業者が出すといった案をご提示させていただきました。その複数の選択肢を御提示させていただいて議論を行っていただいたというのがが前々回ぐらいまでの経緯です。ただ前回以降は、まとめも見据えてやらなければいけない中で、正解はないのだけれども、一番効率的に把握できて、履行確保性も高いものはどれかということで、事務局としては災害発生場所管理事業者を提案させていただいたという経緯がございます。
 それに対して、前回満場一致ではなく、いろいろと反対の御意見も頂いたと。特に建設業界の皆様からは現場の実態を踏まえて、災害発生場所管理事業者が災害の状況や業務の状況などを必ずしも把握できていない部分もあるという御意見も頂きましたので、もう一度、よく冷静に整理をし直して、報告者というのは、災害の状況であったり災害発生場所の状況、そういったものをよく知っている人であるべきだと。
 一方で、遅滞なく出していただくという意味で、被災者本人に義務としてやっていただくのはなかなか難しい。そういったものを総合的に踏まえて、全く新しい制度ですので、これが正解だと思っているわけではないのですが、一番実態にも、より近くなっていいのではないかということで、今回このような案を提示させていただいたという考え方でございます。事務局がどう考えていたのかということを御説明したに過ぎないので、十分な理由になっているかは分かりませんが、御理解を頂ければと思います。
 あとは4ページ目の○の2つ目ということで御指摘を頂きました。その報告主体に義務が発生するのが、災害を把握した場合に限るという言い方をしておりますが、ここの趣旨というのは、この「場合に限る」という言い方が本当に適切であったかどうかということはありますが、気持ちとしては、要は災害発生場所管理事業者なりが自分の所で管理する場所において、例えば亡くなって救急車が来たなどという場合は、これはどう考えても把握できると思いますが、例えば1か月以上とはいえ、骨折して自分の車でそのまま報告もなく運ばれていってしまった、把握しようとしてもするすべがなかった。そういうものまで把握しなければ義務違反だということで言われるのは、なかなか実態に即さないし現実的ではないのではないかという御意見も検討会でありましたので、それを踏まえた上で書かせていただいたものです。検討会で出た意見がこの文言で完全に反映されていたかというのは、もう少し整理が必要かと思いますので検討させてください。
 あとは、一番最後の部分で、別紙マル4に関してです。この「留意」というのはどういうことを意図するのかということですが、これは、個人事業者の災害というのは、我々が業務を行っていく上で把握できた建設の一人親方の災害については、年間100件前後ですが、把握できたものについては毎年公表しており、これはごく一部であって全体像ではないですと。それが個人事業者の災害の全体を反映しているかというと、必ずしもそうではないと思っております。
 一方で、労働災害については休業4日以上のものも含めてたくさん蓄積があるわけで、それと個人事業者の災害というものが本当に全然違うメカニズムで起きているのかというと、そうではないと思いますので、個人事業者の災害と労働災害というのも、同じ作業を同じ人間がするのであれば非常に近い傾向が出ているのではないかとは思います。そういった状況も踏まえて、新たに把握する個人事業者の災害というのは、それだけ個別に分析するというのではなく、蓄積がある労働災害ともしっかりと比較をしながら、何が違って何が同じなのか、個人事業者の災害としては1か月以上なので漏れているものはあるかもしれないけれども、労働災害では1か月未満も拾えているので、それならどうなんだと。そんなところも比較考量しながら、しっかり分析したいと。そういう意味で「留意」という言葉に集約させていただきました。説明は以上でございます。
○土橋座長 Webの三柴委員、お願いいたします。
○三柴参集者 申し上げたいのは、別紙マル1の8ページ目にまとめられている特定注文者等を構想した仕組みについてです。まず、根本的なところから振り返りをさせて頂きます。
 結論的には、今回事務局で示されたスキームに賛成です。根本に遡ったときに、以前、建設職人基本法ができて、最近はフリーランス新法も通ってという中で、個人事業主といっても、保護が必要な人にはしていくべきという流れがあると思います。特に、安全衛生については、安衛法自体が、ある程度リスクを生み出す人に責任を持ってもらって、いろいろな人をカバーしていこうという読み方ができるつくりにもなっていたと。そのとき鍵になるのは、るる申し上げたように、情報を持っている人と管理権原を持っている人であって、必ずしも指揮命令関係ではないという面が、特に安全衛生についてはありました。
 更に、一人親方を含めて個人事業主を守らなければというときに、今あるいは今後注目していかなければいけないのは、交渉力が強いか弱いか、あるいは働く条件を作り出しているか、つまり彼/彼女らの働きに関する決定権があるかという、そこは恐らく大きいのかなと思っています。そういう意味で、個人事業主の方々についても、安全衛生からスタートして、ある程度、守れるところは守っていくということが基本だと思うのです。しかし、こういう取組だけに、更に建設業界がおっしゃるように、個人事業主は個人事業主という生き方を御自身で選択しているというところもあるわけなので、何でも守ればいいということでもないかなと。特に、今までの安衛法というのは、社会工学的に、そこに責任を課すことで労災防止につながるという考えもあって、元方等にかなり強い責任を課してきたことも事実です。
 しかし、社会調査を私などがやっていても、特に日本の場合は、KY運動もそうですけれども、全体主義で労災を減らしていかなければいけないということもあるので、新たなステークホルダーを要保護者として取り込むのであれば、みんなで協力してくださいという流れも、一方で作らなければいけません。
 そうすると、鹿野先生も以前におっしゃいましたけれども、制度的なバランスということを考えたときに、事務局が御提案の特定注文者制度でいくというのはあるのかなと思います。
 ただし、特定注文者の特定が難しくなるという面が生じ得るというのは、何名かの委員が御指摘のことを私ももとより感じておりまして、それが個人になる場合もあるとか、特定注文者の実態がない、あるいは現場にいないとか、そういうことは十分にあり得るわけなので、そこは通達等で、どういう場合にはどうなるということは書いていただければと思います。
 あと、この制度を実際にワークさせるためには、休業1か月未満のところの手当が必要になるかなと。確かに、任意でやってくださいとした場合に本当にデータが取れるかというのはあると思いますので、そこは、この制度全体を生かすためにも、もう少し強化策を考えてもいいかなということは思っております。以上です。
○土橋座長 御意見、ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。中村委員、お願いします。
○中村参集者 私も、これまで事業者が報告すべきだと言ってきた立場だったと思いますが、今回の報告の中で一番重要なのは、8ページの図の一番上のケースは、皆さん了解だと思います。問題は2番目と3番目のケースです。
 今日の説明で私が理解したのは、重要なことは、どこに報告義務を課したということで、特に真ん中のケースでは、事業主と言わないで、特定注文者又はそこの作業所を管理できる者に義務を課したと。そこに義務を課した以上は、そこが厳しすぎてはいけないということから、1か月という基準を持ってきたと私は理解したのですけれども。4日以上にしてしまうと余りにも厳しすぎるから、そこに1か月を持ってきて、でも、そこの実際のリスク管理をできる者が責任を取るべきだという形は残っていると思いましたので、私はこの案でいいかなと思って聞いておりました。
○土橋座長 御意見、ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。小野委員、どうぞ。
○小野参集者 今のことに関しまして、感想を言いたいと思います。報告義務のどちらを優先していくかということだと思うのですが、基本的には、私は事業者のほうで、特定注文者なのか管理事業者なのかと思いますけれども、そちらのほうが、実は個人事業者が働いている全体の施設を、もっと幅広く地域として持っているわけなので、例えば報告義務の項目として、既に6ページ目に案が出ておりますけれども、「災害の概要及び原因」というところに、日時だとか性別も重要なのですが、それは個人で簡単に書けることなのですが、その災害の内容及び要因をしっかり取っていて、それを改善なり、災害の縮減につなげていくことを思えば、より広い知識、施設の問題をよく知っている特定注文者又は災害発生場所管理事業者が書いたほうが、よりメリットある報告の内容になってくると思いますので、私はこの優先順位でいいと思っております。
 特に、施設管理者が書いた場合に現場の改善にもつながっていくということになるので、あるいは特定注文者が書いた場合には作業方法の改善につながっていくというメリットもあると思いますので、こちらのほうでいいと思います。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。本多委員、お願いいたします。
○本多参集者 直近上位、いわゆる特定注文者に関しての意見に関して、発言したのは私だけではなくて、今日は欠席しておりますけれども、出口委員も発言されていることを1つ申し述べたいと思います。
 それから、第6回で事務局から提示された個人事業者自身が報告者になることについても、複数の委員が発言されたことも、改めて申し上げたいと思います。その中で、各委員の皆様からいろいろな意見がございますので、建設業界としても統一の見解としてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、これまで何回となく開催された検討会の中で、紹介、説明がなされた幾つかの業種の個人事業者の方々では、非常に弱い立場の方もいらっしゃいますので、災害発生の事実を把握して、その後に対策とかケアを行う仕組みを確立するのは社会的に不可欠だと思います。
 ただし、先ほども申し上げましたとおり、被災者御自身が報告できるのに、報告の義務者は特定注文者あるいは災害発生場所管理事業者とするのでは、災害事実を数多く把握するという目的に合致していないのではないでしょうか。と申しますのは、特定注文者や災害発生場所管理事業者が報告義務を行うのでは、まず、当該場所で被災したことを把握した場合に限るとしていること、それから、被災者御本人が被災事実を申し出ても、特定注文者が報告を忘れたりすることが予想できます。そういうことから、省令によりまして、仮にこの仕組みを制定しても、実際にはそれぞれの事業場内に根付くことはなく、結果的に絵に描いた餅になると私どもは考えております。
 また、特定注文者や災害場所管理事業者のいずれも存在しない場合、例えば個人住宅のリフォーム工事など個人事業者が元請である場合には、先ほど青木委員もおっしゃいましたが、事務局案では被災者自ら情報提供できるとしていますが、情報提供という形では、災害事実の報告カバー率は極めて低いものになるはずであります。個人事業者が下請ではないときに被災した災害件数が40%以上を占めることを考慮すれば、カバー率を向上させるためには、個人事業者が元請の場合でも、御自身が報告主体となることが必要であると思います。
 いずれにしましても、災害が発生したときに、その事実に業務的にも距離的にも近い順にアクションを起こしたり、報告する義務が発生するのは、社会一般になじむのではないでしょうか。私は、個人事業者等が報告するのは、義務と言うよりも権利であるとも認識しております。更に申し上げると、被災した事実を伝達できる方の権利をなくして、他人にその権利を委ねる仕組みとするのは、御本人にとって本当によいことなのでしょうか。私は、素直に疑問を持っております。
 最後に、個人事業者等も一定の割合で活躍している建設現場では、これまで労働安全衛生法の遵守を基本に、長年にわたって厚労省、国交省の指導・監督、並びに建設各業界団体と建設各社の弛まぬ努力によりまして、確実に労働災害は減少してまいりましたが、このところ、下げ止まりの状態になっております。
 そのような中で、災害事故を更に減少させていくためには、元請事業者、専門工事業者が実行している安全設備の充実及び統括管理責任や事業者責任の強化だけでは限界に達しておりまして、これから機械化、ロボット化、自動化等の促進に加えて、働く人自身の安全意識の高揚、危険感受性の向上が何よりも不可欠であります。新規参入者や高齢者はもとより、現場に従事する方々の危険感受性の低下の実態には目を覆いたくなるのが事実であります。そのため、個人事業者等に、安全意識や危険感受性を認識し深めていただくための一丁目一番地に、もし被災をしたら治療や補償を受けるために、あるいは類似災害が発生しないために、御自身に報告する権利と義務があることを明確に認識していただくことが必要であると確信しております。個人事業者あるいは一人親方が、収入や所得に関しては御自身が税務申告しているのに、災害事実を伝達できる状況下で、なぜ御自身の報告・申告を他の者に委ねることになるのでしょうか。以上です。
○土橋座長 御意見、ありがとうございます。田久委員、お願いいたします。
○田久参集者 主体のイメージとしては、全体としてはこの方向に向かってほしいというのはありますが、山脇委員が言われたように、最初の部分では災害発生場所管理事業者、はじめは個人事業主からそういった流れになってきていたとは思っています。報告の数を出すのか、安全衛生対策を取るのかということもあると思うので、基本は安全衛生対策を強めていくということであれば、その場所を管理しているところが、しっかりと把握するというのは当然だと私自身は思っているところです。
 そういった点でも、この流れを作っていく必要はあるのですが、1つは、下の真ん中ですが、情報提供した場合は重ねて報告する必要はなくなってくると。仮に、この方向としたときは、力関係によって、基本的には下の図のような情報提供のほうに流れていくのではないかと。報告義務があったとしても、先にそちらを出させることによって、その方向が主流になってしまうのではないかと。そういった点では、発生した場所に関しての管理事業者が、自分の現場、その場所で事故があった、どういう事故があったか分からない、労働者だけが分かるという状況にならないようにしていく必要があると思っています。
 現に、数年前に大手のゼネコンの現場で、前もお話したように、重篤なけがをしたときには、そこの管理をするエリアマネージャの方が、「自分の所の事故ではない」という発言をしたと組合員からお聞きしています。これが全体とは言いませんが、そういうことがあったということもあるので、自分の事故として捉えるという点では、きちんと報告するという義務としては、罰則を付けないと書いてありますが、義務を知っていただくということは必要かなと思っています。
 その点で、先ほどの個人事業主に関して言えば、リフォームをするというところでは、そこはもちろん提供ということではなくて、報告義務でもいいのかなと思います。ただ、基本的には下請、2次、3次があったりする流れのものが書かれていると考えていますので、そこは私自身は図の黄色がなくて、協力義務があって報告義務というほうがすっきりすると思っていますが、提示されたところでは、先ほど言ったように、力関係で下の図に流れないような政策はしていかなければならないと思っています。
○土橋座長 御意見、ありがとうございました。Webから三柴委員、お願いいたします。
○三柴参集者 重ねての発言で恐縮です。改めて制度的なバランスを申し上げたいという趣旨でこれに賛成です。理想を言えば、例えば災害発生場所の管理事業者から特定注文者への協力義務とか、そういう話にもなってくると思うのですが、あえてそういうところを抜きにして、制度としては、これをデフォルトとしてはどうかということ。それでも足りないところについては、通達行政を含めて、いろいろやりようがあるという前提に立った、私は事務局の苦心の案だと思うのです。なので、その辺りは関係各位に御理解いただければということなのかなと思っています。
 先ほど全員野球が必要だと。新しいステークホルダーを取り込むためにも、これまでの問題の解決のためにも、全員野球が改めて必要だということは申し上げました。ただし、音頭を取る人は必要なのだと思います。ですので、制度的バランスの中で、このケースだったら特定注文者というようにされたのは、類型に応じて特定注文者を主役にされたのは、妥当と思います。
 最後に、先ほど休業1か月未満については、個人事業者等による報告支援システムと言うような意味で強化されたらと申し上げましたけれども、個人事業者等のアクターとしての役割を強化していただく。脳・心臓疾患の申告も含めて、その他、矢印の基になっている部分については、もう少し強化策を考えてもいいかなと思っています。以上です。
○土橋座長 御意見、ありがとうございます。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木参集者 経団連の鈴木です。私の中でずっと腹落ちしていない部分なのですが、災害防止の措置を取ることと、災害の事案を収集することは、似ているようですが分けて議論したほうが良いのではないかと思っています。
 例えば、先ほどの大木委員からのご発言に対して、報告後に、厚生労働省が集めた事案を集計・公表するというお話を、船井調査官から頂きました。特別加入団体も各県ごとに分かれている中で、得られるデータが十分でないといったところを、同じような事象について集めたデータを国がしっかりとフィードバックし、その内容を特別加入団体が構成員に周知する、あるいは研修の素材に活用してもらうというような、トータルで議論していくことが重要ではないか。これが1点目です。
 もう一点は、特定注文者や災害発生場所管理事業者に報告を義務付けるということが、個人事業者の安全意識や災害防止につながるかどうか。これは自明ではないと思います。その意味でさきほどの本多委員の意見に賛同します。個人事業者が事業者としての責任や役割を果たしつつ、実態を見据えて、どのような仕組みが実際にワークするのかを深掘りしながら、必要な被災情報が行政機関に提供され、それがPDCAサイクルと言うか、データに基づく政策につながる、あるいは各業界、各個人事業者が災害防止のアクションにつなげていく。そのような仕組みとしてどのようなものが最適なのか、引き続き議論を深めていく必要があると思います。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日は多方面から様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。本件、事務局においては、本日の議論を踏まえて整理をお願いいたします。議題としては以上となりますが、その他として事務局から何かございますか。
○船井調査官 どうもありがとうございました。正式には後日、改めて御案内させていただきますが、次回は7月31日(月)の開催を予定しております。詳細は追って事務局から御案内させていただきます。今日の議事録については、参集者の皆様に御確認いただいた上で公開することとさせていただきます。以上です。
○土橋座長 本日は長時間にわたり活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。以上で、第12回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を閉会いたします。どうもありがとうございました。