第23回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和5年6月12日(月)15:58~17:57

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階ホール15D

出席者

(オブザーバー)

議題

関係団体からのヒアリング

議事

議事内容
○森戸部会長 
 皆さん、こんにちは。定刻より少し早いのですけれども、皆さん、おそろいですので、ただいまより、第23回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。
 お忙しいところ、皆様、お集まりいただき、ありがとうございます。
 本日ですが、渡邊部会長代理、原田委員、山口委員については、オンラインで御参加いただいております。
 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○大竹企業年金・個人年金課長 
 資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料といたしましては、資料1「本日のヒアリング出席者一覧」、資料2「全国銀行協会提出資料」、資料3「日本損害保険協会提出資料」、資料4-1、4-2といたしまして「日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会提出資料」となっております。
 参考資料1と2としまして、これまで提出いたしました「私的年金制度に関する今後の検討における主な視点」と私的年金制度の現状等をつけております。
 また、参考資料3といたしまして、委員の皆様方の名簿を用意しております。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 それでは、議題に入りたいと思います。カメラの方が、もし、いらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○森戸部会長 
 本日は、関係団体からのヒアリングを議題といたします。
 全国銀行協会、日本損害保険協会、日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会から御意見を頂戴いたします。
 お時間もありますので、各団体からプレゼンをいただいて、その後、一括して御意見、御質問をいただきたいと思います。
 これから、その内容に入る前に一言だけ、前回の会議の最後に、私から、時間の制約もあるので、必要であれば、別途、紙での意見の提出を御検討いただきたいこと、それから、紙での意見提出がフォーマルであれば、別に各自のSNSで発信していただくことも可能であるという話をさせていただきました。
 その後、事務局と相談しまして、部会開催の一定期間前に紙として提出いただければ、御希望に応じて部会に資料として提出させていただくと、あるいは他の委員とも共有することをさせていただくということになりました。これは、資料として出すには、少し時間が必要であるためです。
 それから、SNSでの発信については、事務局にも共有いただければ、その後の検討に活用させていただきますし、もちろん、SNSですから、御自由に発言いただいても構わないということで、考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、早速、全国銀行協会より御説明をお願いいたします。

○全国銀行協会 
 全国銀行協会でございます。本日は、このような貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。
 お手元の資料2「私的年金制度の主な課題と要望について」と題しました資料を御覧ください。こちらの資料に沿いまして、私、三井住友銀行の小林から御説明させていただきます。
 1ページに記載しておりますとおり、少子高齢化の進展、長寿化の進展、企業年金制度の変化、働き方の多様化などを背景として、より豊かな老後を過ごすためには、公的年金以外の自助努力による資産形成の必要性が高まってきております。
 2ページについて、資産所得倍増プランの第1の柱として掲げられた、NISAの抜本的拡充や恒久化につきましては、制度の恒久化に加え、非課税保有期間の無期限化、非課税保有限度額の拡大などが行われる予定となっております。
 一方で、少子高齢化や長寿化が進む中、従来の公的年金や企業年金が担ってきた、老後の安定的な生活を支える役割を補うべき制度への期待が増大しております。
 資産所得倍増プランの第2の柱として掲げられているiDeCo制度の改革をはじめとする私的年金制度改革につきましても、企業型DCやiDeCoについて、拠出限度額の引上げや手続の簡素化等による一層の普及が必要とされる状況になっております。
 3ページについて、私的年金制度に関する主な検討事項に対する当協会の要望事項をまとめております。
 表の左の主な検討課題は、第21回の部会で示されました主な視点を➀から➂に掲げ、それに対応する要望事項を右側に記載しております。
 要望事項の中でも、当協会として特に重要と考えます5項目、拠出限度額の撤廃または引上げ、加入者の属性により異なる拠出限度額の簡素化、企業型DCの拠出限度額外でのiDeCo拠出の認容、退職年金等積立金に対する特別法人税の撤廃、指定運用方法の設定義務化につきましては、重要と付記しております。
 次ページ以降で、それぞれの要望事項につきまして、詳細を御説明させていただきます。
 1つ目は、重要要望事項であります拠出限度額の撤廃または引上げです。
 前回の部会で原田委員からも御発言がありましたとおり、DBと同様に、企業型DCの事業主掛金は、当該企業が退職給付制度や、財務状況、総人件費の考え方に沿って、掛金額を設定するものだと考えております。
 企業型DCの制度設計の自由度を高めることは、同制度の普及に資することと考えられることから、企業型DCに係る拠出限度額の撤廃または少なくともさらなる引上げを御検討いただきたいと思います。
 企業型DCの拠出限度額は、2014年の10月に上限5.5万円に引き上がってからは変わっておらず、見直しが必要だと考えております。
 iDeCoにつきましても、資産所得倍増プランで拠出限度額の引上げにつきまして、2024年の公的年金の財政検証に合わせて結論を得ることとされておりますことから、拠出限度額の撤廃、少なくともさらなる引上げを御検討いただきたいと思います。
 2つ目も重要要望事項であります、加入者の属性により異なる拠出限度額の簡素化です。
 5ページに拠出限度額のイメージ図を示しておりますが、企業型DCやiDeCoは、加入者の属性により拠出限度額が異なっており、さらに2024年の12月の改正で、DBの掛金相当額の水準によっても拠出限度額が変わってくることになり、iDeCoの加入を検討する個人にとりましては、複雑で不公平感を与えかねない仕組みとなっております。
 第21回の部会で岩城委員からも御発言がありましたが、計画的な資産形成を促進する観点から、加入者の属性による異なる拠出限度額を引き上げた上で統一するなど、公平で分かりやすい制度とすることを御検討いただきたいと思います。
 3つ目も重要要望事項であります、企業型DCの拠出限度額外でのiDeCo拠出の認容です。
 企業型DCとiDeCoへ同時加入する場合は、拠出限度額に収まるようにiDeCoの掛金額の調整が必要となる場合もあり、制度の分かりにくさが加入の阻害要因となっております。
 iDeCoの普及や老後所得の確保といった観点から、分かりやすく企業型DCの拠出限度額に上乗せする形で、iDeCoの拠出を可能とすることを御検討いただきたいと思います。
 4つ目の要望事項は、マッチング拠出制度における従業員拠出額の要件の見直しです。
 企業型DCの加入者がiDeCoにも加入する場合、iDeCoに係る口座管理手数料の負担や企業型DCとiDeCoの2口座を管理する負担が生じることになります。
 マッチング拠出制度における加入者掛金の拠出額は、事業主掛金を限度とするという要件を撤廃し、当該企業型DCの事業主掛金と、加入者掛金の合計額が企業型DCの拠出限度額を超えない範囲内において、加入者掛金のさらなる拠出を可能とすることを御検討いただきたいと思います。
 5つ目の要望事項は、脱退一時金の支給要件の緩和です。
 企業における退職時の脱退一時金の支給の観点や、介護、病気による療養等のやむを得ない事由等、一定の条件のもと年金資産の中途引出しを可能とすることのニーズは、引き続き高いものがございます。
 利便性をさらに向上させる観点からも、追徴課税等のペナルティを課した脱退一時金の支給を可能とする制度の創設等、さらなる支給要件の緩和を御検討いただきたいと思います。
 ➀の最後の要望事項は、国民年金の第3号被保険者がiDeCoに加入した場合における掛金の所得控除です。
 iDeCo加入者の裾野を広げるべく、第3号被保険者であるiDeCo加入者が負担すべき掛金を、配偶者等が拠出した場合には、例えば、iDeCoの掛金を現行の小規模企業共済等掛金控除から、国民年金保険料と同様に社会保険料控除へと変更することで、当該配偶者等の課税所得から控除できるようにするなど、同被保険者の加入促進を図る施策等を御検討いただきたいと思います。
 次に8ページについて、1つ目は重要要望事項でございます、退職年金等積立金に対する特別法人税の撤廃です。
 特別法人税に係る課税停止措置は、令和5年度税制改正により延長されましたが、その延長期限は、2026年3月末までとなっております。
 9ページにお示ししましたとおり、主要先進国で積立金に課税する例はございません。
 確定拠出年金制度の安定的な普及発展のためにも、拠出時・運用時非課税、給付時課税の制度設計を明確にすることが望ましく、特別法人税そのものを撤廃いただきたいと思います。撤廃が困難な場合には、少なくとも課税停止措置の延長継続を御検討いただきたいと思います。
 8ページに戻りまして、2つ目の要望事項は、退職一時金制度からの資産移換要件の緩和です。
 これには2つございます。1つ目は、加入者単位での移換を可能にしていただきたいということで、現状、企業を退職した場合、退職時に退職一時金を確定拠出年金に移換することは認められておりませんが、公的年金を補完する確定拠出年金制度のさらなる普及に資するものであり、個人の老後に向けての資産形成にもつながり得るものと期待できることから、加入者単位で退職一時金の確定拠出年金への移換を可能とすることを御検討いただきたいと思います。
 2つ目は移換方法の緩和で、退職一時金から企業型DCへの制度移換をする場合の資産移換は、4年から8年の間で均等に分割移換を行うこととされておりますが、企業型DCを導入する中小企業の一層の拡大を図ること及び加入者保護の観点から、一括移換または分割移換年数の拡大化、例えば1年から8年ということを御検討いただきたいと思います。
 10ページについて、3つ目の要望事項は、中小企業退職金共済、いわゆる中退共からの資産移換です。
 中小企業退職金共済、特定退職金共済で被保険者が退職した場合や、事業主が新たに企業型DCを設立した場合等、確定拠出年金への資産移換が認められていないケースも多く見受けられます。
 確定拠出年金制度を他制度の受け皿として活用できるよう、中小企業退職金共済から企業型DCへの資産移換に当たっての条件を撤廃していただきたいと思います。
 ➁の最後の要望事項は、iDeCo+のさらなる要件緩和です。
 企業年金の導入が難しい事業主が、従業員のiDeCoに掛金を上乗せ拠出することができるiDeCo+につきまして、対象となる事業主の要件が、2020年10月に従業員数、これは、厚生年金保険の被保険者数を指しますが、100名以下から300名以下に拡大されましたが、今後の厚生年金保険の適用拡大により、人数要件に抵触して制度を継続できなくなる事業主が出てくるおそれがありますため、この要件を緩和していただきたいと思います。
 11ページについて、1つ目は、重要要望事項であります、指定運用方法の設定義務化です。
 指定運用方法が未導入のために、未指図資産として滞留している個人別管理資産が一定量存在しております。
 設定を義務化することで、未指図になることを防止することを御検討いただきたいと思います。
 12ページの参考資料を御覧ください。
 指定運用方法を設定しているのは、4割弱にとどまり、その7割弱が元本確保型を採用しております。
 右側のグラフで、元本確保型である定期預金は過去20年間の累積で0.97%の利回りにしかなっておらず、長期的には、物価上昇率の2.77%を下回っております。
 長期的な年金運用の観点からは、分散投資効果が見込まれる商品の設定が有用でありますことから、今後設定する指定運用方法は、原則として元本確保型以外の資産を基本とし、あわせて事業主や運営管理機関が運用の結果について責任を問われないこと、いわゆるセーフハーバールールを政省令等において明確化していただきたいと思います。
 11ページに戻りまして、2つ目の要望事項は、運用指図者の資産移換方法の弾力化です。
 合併、会社分割等によりDC制度が新設される際に、運用指図者は加入者資格を保有していないため、旧DC制度から新DC制度へ資産を移換できず、旧DC制度にとどまるケースが発生しております。合併、会社分割等といった会社都合によりDC制度を異動するときには、運用指図者も資産移換を可能とすることを御検討いただきたいと思います。
 最後の要望事項は、年金受給の選択に資する税制の構築です。
 確定拠出年金の受給者は、多くが一時金を選択しており、年金として十分に活用されておりません。
 6月6日に開催されました第19回新しい資本主義実現会議において、退職所得課税制度の見直しが提案されたところではありますが、今後、確定拠出年金がさらに普及するためには、年金を選択しやすい環境を整えることも重要であると考えておりますので、公的年金等控除の拡充や、新たに年金受給に資する税制について策を講じていただきたいと思います。
 以上、当協会の要望事項につきまして御説明させていただきましたが、計画的に老後資産形成を促進する観点から、公平で分かりやすく、誰もが加入、利用しやすいシンプルな制度であることは重要であると考えております。
 制度の安定的な運営のために、金融機関も継続的なシステム対応を行ってきておりますが、制度変更によって大きなシステム対応を余儀なくされますと、利用者にも影響が出ることになりますので、新たな負担や事務負荷が最小限のものとなりますよう、十分に御留意いただき、引き続き丁寧な御審議をお願いしたいと思っております。
 当協会からの説明は、以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 続きまして、日本損害保険協会より御説明をお願いしたいと思います。

○損害保険協会 
 三井住友海上の野田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 日本損害保険協会としまして、会員各社の要望を取りまとめてまいりましたので、御説明させていただきます。
 まず、1ページ目は、企業型DCにおけるマッチング拠出の加入者掛金額上限の見直しに関する要望でございます。
 前回の部会においても企業年金連合会さん、企業年金連絡協議会さん、さらには、ただいまの全銀協さんからも同様の御要望が出されておりますので、詳細につきましては省略させていただきますが、当協会として問題があると認識している部分を申し上げますと、現在の確定拠出年金の掛金限度額は、公平性の観点から、他の企業年金制度の有無を踏まえて決定されているものと認識しております。
 そして、マッチング拠出の加入者掛金は、事業主掛金と同額以下と定められております。しかしながら、事業主掛金額が低い場合、加入者掛金額は、iDeCoに加入した場合に拠出できる掛金額よりも低い金額でしかし拠出できず、拠出限度額の枠を使い残してしまっているのが現状でございます。
 退職金制度の一部として企業型DCを導入している企業においては、事業主掛金を、例えば給与比例等で設定し、勤続年数や役職が上がるにつれて、事業主掛金が増えていく制度設計というものが多くなっております。
 この場合、一般的に若年層の事業主掛金額は低いため、マッチング掛金額も低い金額に抑え込まれてしまうことから、せっかく勤務先に企業型DCがあるにもかかわらず、資産形成をするために、マッチング制度を十分利用できないことから、iDeCoに加入しているケースも、当然ながらたくさんあります。
 本件に関し、事業主が出すべき掛金を事業主に負担させることにならないかという趣旨の御懸念が従来からございますけれども、企業型DCを退職金制度として導入する場合、事業主掛金に想定利回りをつけてモデル設計をすることを通常としております。
 その場合、加入者掛金を含めて退職金水準を検討することはありませんので、御懸念の趣旨のようなことにはならないのではないかと考えてございます。
 ぜひとも当該制度改正の御検討をお願いいただければと思います。
 2ページ目の検討要望事項2は、iDeCoの諸変更手続に関する2つの要望を記載してございます。
 現在、iDeCoに加入されている方が、登録内容の変更手続を行う場合、複数の帳票に記載する必要があるケースも多く、現状としましては、加入者にとって不便な手続方法となっています。
 例えば、会社員で加入者の方が60歳前に会社を退職、転居をした場合に、加入者被保険者種別変更届と呼ばれるものと、住所変更届という2種類の書類を提出する必要があります。
 また、書類によっては、運営管理機関側が国基連さんの処理状況を確認して、順番に送付処理を行うなど、非効率な運営となっているのが現状でございます。
 まずは可能な限り帳票を集約し、効率的な処理ができるような体制にすることに関して検討をお願いしたいと思っております。
 さらには、これら手続が全て電子手続で完結できるような体制にすることが望ましいと考えますが、諸変更手続と呼ばれる内容は、運営管理機関によって差異はございませんので、iDeCoの運営主体である国基連さん側のポータルサイト等を設置し、そこで全ての加入者が手続できるような仕組みを構築することについて、検討をお願いできればと考えてございます。
 3ページの検討要望事項3について、確定拠出年金は、加入から受給まで最低でも10年を要する制度であることから、加入者等である期間に居住地の変更が発生することは少なくありません。
 しかしながら、加入者等が必ずしも住所変更の届出を適時適切に行っているとは限りませんので、発送した通知が宛先不明で戻ってくるケースが一定割合発生しております。
 宛先不明で通知書類が戻ってきた場合、これは運営管理機関によって一部異なる運営はあるかと思いますが、住所が変わっても携帯などで連絡ができるケースもありますので、まずは電話連絡を試みます。
 その上で、必ずしも電話がつながるとは限りませんので、登録住所の市区町村に対して住民票を請求し転居先を確認、住所変更手続の勧奨を行うといった対応を行っているのが現状でございます。
 しかしながら、iDeCo全体の加入者等数が増える中、本対応が必要な件数も増加しており、根本的に住所不明の状況が発生しない仕組みを検討する必要があると認識しております。
 この課題は、現在、国基連さんが日本年金機構に対して行っている住所情報照会を定期的に行うことにより、対症療法的ではありますが、権限でできるものではないかと考えております。
 一方、住所不明を発生させないための根本的な取組としては、国基連さん側で公的個人認証サービスを利用、J-LISから、氏名、生年月日、性別、住所の基本4情報を本人同意のもと取得、住所変更があった場合、iDeCo加入者の住所として登録する仕組みとすれば、加入者自らが住所変更の都度手続を行う必要がなくなり、住所不明も発生しなくなると考えられることから、これらについての検討を要望するものでございます。
 4ページの4つ目については、先ほど全銀協さんからもお話がございましたけれども、制度間の年金資産の移換、いわゆるポータビリティですが、制度改正が重ねられ、事業主加入者にとっては利便性が向上しているのが現状でございます。
 一方、中退共からの資産移換は限定的にしか認められておりません。例えば、退職一時金制度は企業型DCの代替制度として認められておりますので、退職金制度改定以降に入社した者のみ、退職金制度を企業型DC100%とするという制度改定を行った場合に、それ以前から在籍する者は、企業型DCと退職一時金の組み合わせとすると、労使間の合意により柔軟に退職金制度を設計することができますが、中退共の場合は、企業型DCの代替制度としては認められておりませんので、企業型DCを導入することにより、福利厚生制度の拡充、退職金制度の見直しを行おうとする中小企業が、既に中退共に加入していた場合、柔軟な退職金制度の変更ができず、企業型DCの導入を見送るケースが散見されております。
 DBからの脱退一時金相当額の移換が認められると同様に、中退共から脱退した場合の脱退一時金相当額、いわゆる中退共契約の解除による解除手当金を被共済者、加入者へ支給することに変えて、企業型DCへ移換することを認めることについての検討を要望するものでございます。
 この場合、当然のことながら中退共への加入期間について、DCへの通算加入者等期間に含めるといったことについても、御検討いただくものと認識をしております。
 以上が、損保協会として検討いただきたい要望事項となります。ありがとうございました。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 では、続きまして、日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会より御説明をお願いいたします。

○投資信託協会 
 ありがとうございます。投資信託協会の杉江でございます。
 このたびは、私どもの意見を申し述べる貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、投資信託協会、日本証券業協会、全国証券取引所協議会の3団体が参加しております。
 資料は2つ用意をしておりまして、資料の4-1に基づいて今日は御説明いたしますが、4-2は全体の資料をまとめておりまして、必要に応じて、参照していただけると幸いでございます。
 資料の4-1でございますが、2ページを御覧ください。
 3団体の概要を記載しております。私どもの業界では、確定拠出年金制度、DCにおいて、証券会社が運営管理機関や受付金融機関として、投資信託委託会社が運用商品の提供を行う立場として、制度の普及に取り組んでおります。
 特に証券会社は、iDeCoの過半数の加入者に対しまして、運営管理機関としてのサービスを提供しております。
 さらに、3団体では、DCについて解説した小冊子の配付や、DCに特化したセミナーを開催するなど、精力的に制度の認知向上に取り組んでまいりました。
 詳細につきましては、4-2のほうの本編資料の8ページから12ページにまとめておりますので、後ほど御参照ください。
 本日は、こうした国民の皆様に向き合って普及に取り組んでいる経験から、DCに対する考え方を説明させていただきます。
 3ページは、第21回の当部会におきまして、事務局から提示された資料を掲載しております。
 こちらの赤枠で囲んだ今後の検討における主な視点として示された3点に沿って、4ページに具体的な考え方を掲げております。
 視点の➀につきましては、加入可能年齢などの引上げ、拠出限度額のさらなる拡充、退職準備世代に対する追加の拠出枠、生涯拠出枠の導入。
 視点➁につきましては、iDeCoの手続の簡素化、迅速化、効率化、拠出可能額の見える化、iDeCo+の対象企業の要件緩和、自動加入の仕組み。
 視点の➂につきましては、指定運用方法の検証と見直し、運営管理機関によるアドバイス、資産の取り崩しと運用を両立するための取組、運用指図者や自動移換者への対応と非常に包括的で、多岐にわたる内容となっております。
 5ページに記載しておりますとおり、これらは、いずれも重要な事項ですが、他のヒアリング団体様と重複する内容も多く、時間も限られておりますので、本日は5項目に絞って説明をしたいと考えております。
 その他の項目につきましては、資料4-2の本編資料を御参照いただければと存じます。
 6ページについて、まず、視点の➀の関係ですが、2点だけ御説明いたします。
 1点目は、退職準備世代に対する追加の拠出枠(キャッチアップ拠出)を設けることです。
 DCの制度上、加入者の掛金は、企業型では事業主掛金額を超えない範囲とされ、iDeCoにも拠出限度額があります。
 そのため、様々な理由で過去に十分な積み立てができなかった方は、退職を間近に控えた年齢となっても、DCを活用した老後の資産形成は限定的になってしまう可能性があります。
 特に団塊ジュニア世代は50代を迎えており、退職後に向けた資産形成は喫緊の課題となっております。
 そこで、一定年齢以上の方には、追加の拠出枠を設けてはどうかと考えるものです。
 アメリカでは401k等において同様の追加拠出枠が設けられております。
 7ページについて、生涯拠出枠と自由度の高い拠出限度額の導入について御説明します。
 現行のDCは、毎年一律の年間拠出限度額が定められておりますが、個人の所得は低い時期もあれば高い時期もございます。
 さらに、ライフコースが多様化している現状も踏まえますと、どのような生き方、働き方を選択しても、自助努力の機会の公平性、中立性を保つことができる制度であることが重要と考えております。
 例えば、現行制度で認められている拠出総額と同等の生涯拠出枠を設定し、その範囲内で所得や生活に応じて柔軟に拠出可能とするような仕組みの導入を検討してはどうかと考えております。
 8ページについて、視点の➁に参りまして、視点の➁関係では、2点だけ御説明をします。
 まずは、自動加入・オプトアウトの仕組みです。
 我が国では、DCをはじめとする私的年金の加入は増加傾向ですが、公的年金の被保険者全体から見るとごく一部であり、加入拡大の余地は大きいと考えております。
 高齢期の長期化や、それに伴う老後資金の確保は今後大きな課題となってまいります。国民おのおのが想定する生活水準を維持するためには、公的年金に加えて私的年金を活用した所得確保が重要となります。
 制度を知らなかったり、加入に踏み切れなかったことで、その機会を逃してしまう方々が出ない仕組みが必要だと考えております。
 そこで、DCへの自動加入と自動加入を希望しない従業員がオプトアウトできる仕組みを導入することが一案として考えられます。
 9ページには、既に従業員が企業年金へ自動的に加入する仕組みが導入されております、イギリス、オーストラリアの状況を示しております。
 イギリスでは、Pension Actが施行されておりまして、全ての企業に対し、従業員を適格な年金スキームに自動加入させることを義務づけております。このPension Actが施行された後、加入者数、加入率が急激に上昇しております。
 オーストラリアにおきましても、全ての企業に対して従業員をDCに加入させる義務が課されており、そのDC制度であるスーパーアニュエーションの残高が増加しております。
 また、年代別の加入率を見ますと、現役世代の8割超が加入をしております。
 次に、10ページについて、iDeCoの各種手続の簡素化・迅速化、事務手続の効率化です。
 iDeCoの各種手続につきましては、来年12月に予定されている事業主証明書と現況確認の廃止をはじめ、様々な改善がなされており、年金関係者の皆様には御尽力をいただいております。
 もっともiDeCoの事務手続が依然として複雑かつ煩雑であるという国民の声は、私ども運営管理機関にも寄せられております。
 今後、iDeCoのさらなる普及に向けて、例えば、本日御出席されております国民年金基金連合会様において、マイナンバーを活用して手続の簡素化を実現いただければ、加入者の利便にもつながりますので、御検討いただければ幸いでございます。
 11ページについて、視点の3の関連で1点だけ御説明いたします。
 我が国では、2018年に指定運用方法が導入されましたが、現状は元本確保型商品を選定する割合が多くなっております。
 元本確保型商品は、長期・積立・分散投資効果が小さく、また、物価上昇率よりも利回りが低ければ、実質的に資産価値が目減りするリスクがあります。
 12ページを御覧いただきますと、参考として長期・積立・分散の効果を記載しております。
 バブル崩壊後に、日経平均株価あるいはTOPIXはピーク時の水準を回復しておりませんので、ピークで一括投資した場合には、高値づかみとなりましたが、ピーク時から毎月定額の積立投資をしていた場合、昨年末時点の時価評価額を試算いたしますと、含み益となっており、銀行預金に預けられた場合をはるかに上回ります。
 このような単純な試算からも、元本確保型の運用に比べて、リスク資産の長期・積立・分散投資の収益性の高さを御理解いただけると思います。
 13ページには、より具体的にDC専用ファンドに20年間、毎月積立投資を行った運用実績を載せております。
 実際のファンドにおきましても、元本確保型のみで運用した場合よりも、運用実績が高くなっております。
 2019年の当部会における議論の整理では、指定運用方法の設定について、施行後の実態を把握した上で改めて議論すべきとされました。
 制度の導入からちょうど5年が経過したところであり、制度目的を踏まえた見直しを行うことが重要だと考えております。
 次に、14ページについて、アメリカでは、労働省規則により適格デフォルト商品が整備されるとともに、事業主に対して加入者が損失をこうむった場合において免責される措置であるセーフハーバーが盛り込まれております。
 我が国でも必要であれば、事業主のセーフハーバーについて一層の明確化を図ってはどうかと考えております。
 以上、5項目について御説明をいたしました。
 昨年の資産所得倍増プランを受け、NISAについては抜本的な拡充が図られております。資産運用業界、証券業界としましては、NISAに加え、DC及びiDeCoが資産形成の上で大きな柱であると考えております。
 そのため、DC、iDeCoにつきましても、国民の安定的な資産形成を支援する観点から、抜本的な拡充を期待しております。
 以上、DCが年金制度として、高齢期の所得の確保、国民生活の向上に資するものとなるよう、考え方を述べさせていただきました。ありがとうございました。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 各団体、非常にコンパクトに、かつ分かりやすくまとめていただきました。ありがとうございます。
 では、ただいま御説明のありました資料について、一括して議論に入りたいと思います。かなり具体的な提案もいただいておりますけれども、前回と同様、個別の政策の是非というよりは、それぞれの提案の背景にある課題、問題意識について議論を深めていければと思いますので、御協力いただければと思います。
 もちろん、あそこが分からなかったとか、あそこをもう少し補足してくれというような御質問は歓迎でございます。
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、冨樫委員、お願いします。

○冨樫委員 
 御説明ありがとうございます。
 皆様に同様にお尋ねしたいのですが、マッチング拠出について、加入者掛金を事業主掛金よりも高い金額で拠出できるようにすべきと御提案いただきました。
 そもそも企業年金は事業主掛金が基本であって、加入者掛金はその上乗せという建て付けと理解しています。前回も議論がありましたが、御提案される背景について、私が実際に接している労働組合から聞いている声と皆様が見ている背景が違うのではないかと思っており、教えていただきたいと思います。
 私どもの調査では、DCをやっている企業の労働組合に課題を聞くと、約4割が「DCに対して従業員に関心がないこと」と回答しています。これは去年まとめたものです。
 したがって、例えば産業によってはそうではない、あるいは、年齢によってはそうではないなど、具体的な御提案の背景について、それぞれ教えていただければと思います。
 以上です。

○森戸部会長 
 各団体3つともにお聞きしたほうがいいのですね。
 では順番に、マッチング拠出のことは、多分どの団体も触れていらしたかなと思いますので、全国銀行協会さんからお願いしていいですか。

○全国銀行協会 
 ありがとうございます。全国銀行協会でございます。
 マッチング拠出の事業主掛金を上回る掛金拠出を御容認いただきたいと御提案申し上げている背景としましては、先ほどの損保協会さんからもお話がありましたけれども、事業主掛金が少なくて、例えば、事業主掛金が3,000円しかありませんとなると、マッチングは3,000円が上限になってくるということで、十分な拠出ができないので、本来であれば、マッチングであれば、手数料負担なく企業型DCの枠組みの中で、個人の資産形成が図れるのですけれども、わざわざ手数料を自分で払ってiDeCoに加入する、マッチングをやめてiDeCoに入り直す方がいらっしゃるのも事実でございます。
 そういったことも踏まえて、手数料負担とか、2口座管理の手間が発生していることも事実でありますので、利便性向上の観点からも、事業主掛金を超える拠出額がiDeCoで容認されておりますので、マッチングでも同じことができればいいのではないのかということでございます。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 では、損害保険協会はいかがですか。
 マッチングの話はありますね。

○損害保険協会 
 はい、検討要望事項の1番目に御提案させていただいております。
 先ほどお話がありました課題として、企業側としてDCに対して関心がない方が多いことのほうがというところは、どちらが多いかというところは、ちょっとあれなのですが、確かにDCを導入しても関心がない従業員の方が一定いらっしゃるのも、もちろん事実ですが、そこは当然ながら事業主としては、教育をやっていかなくてはいけないと、そこは法で定められているところですから、投資教育というものがありまして、そこをいかにやっていって関心を持っていただくか、それがそもそもの私的年金制度の自らの資産形成というところでございますので、そこは一朝一夕にはいきませんので、運営管理機関も事業主側と一緒になって加入者に関心を持ってもらえるような教育をしていくところは、課題認識としては持っております。
 一方で、そこで資産形成が重要だと、その観点からは事業主が、この企業型DCという制度を入れ、さらにはマッチング制度を入れましたと。マッチング制度は、こういう制度ですよと説明しているにもかかわらず、たまたま御自身の掛金額が低かった場合に、要は、本来はもっと出したいと、老後の資産形成は大事だから出したいと思っていても、事業主の掛金額が、先ほど申し上げたように若年層だったために、低いから出せないと。
 そうしたら、その方は結局マッチング制度ではなく、先ほどお話ありましたけれども、わざわざ手数料を支払ってiDeCoに入っていかなくてはいけないというところが、せっかく制度があるのであれば、なおかつ法令上の拠出限度額の枠が残っているのであれば、そこは、加入者掛金の上乗せという位置づけではありますけれども、ですから、もちろん事業主が掛金を出していない方がマッチングだけをするということは、当然想定はしておりませんで、あくまでも事業主が加入者掛金額を出している加入者の方が上乗せをするものに関しては、そこの制限というのをなくすことによって、過去からの積み上げで定められている限度額を活用することができるのではないかというところが、検討要望としての趣旨でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、お願いします。

○投資信託協会 
 投資信託協会です。
 マッチングにつきましては、3団体から要求している事項ですが、やはり若年層など、事業主掛金が少額にとどまる場合、せっかく従業員が自助努力として、自分の老後を考えて拠出しようとしても、事業主掛金を超える金額を拠出できないということになりますと、拠出限度額の使い残しが生じてしまうところが問題であると考えております。
 先ほどの3つの視点の中でも、国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応しまして、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援するという観点から考えますと、そういう自助努力で、自分の力で老後生活を豊かにしようという努力をディスカレッジするような制度はいかがかなと考えております。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 よろしいですか。

○冨樫委員 
 そうなると、特段何か調査などをされて、加入者掛金が上限に張りついていて、もっと上げてほしいという声があるからということではなく、そういう要望があったときにさらに上乗せができる制度をあらかじめ整えておいたほうがよいのではないかとの御提案だという理解で合っていますでしょうか。

○森戸部会長 
 どなたかありますか。

○損害保険協会 
 現状、運営管理機関として制度導入されている事業主のところで、いわゆる制度導入に関する説明会、それから投資教育というのを請け負ってやり、そこで加入者となる方々から、いろいろな御質問などを受けますし、それから事業主を通じて、こうしたいのだけれどもという御意見などもいただく中で、やはりマッチングを導入している事業主又は加入者の方から、何でうちはこの金額までしかできないのですかと、もっとできないのですかという御意見をいただきます。要は、法令上5万5000円ですねとか、それなのに何でうちはこうなのですかというような御質問というのは、すみません、統計を取っているわけではないのであれなのですが、肌感覚としては御要望といいますか、御質問といいますか、それが非常に多いというのが認識でございますので、これは過去からがそうでございましたので、今回御提言させていただいた次第でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 もちろん、何か網羅的な加入者の調査があって、そこにそれが具体的にということではないのかもしれませんが、現場としてそういう声があるのは確実なのだろうと思います。
 このマッチングの上限の問題は、前からも議論されていて、今まさに3社から出た問題点はそのとおりだと思いますし、ただ、冨樫委員がおっしゃったように、現場の声として聞いたら、そもそもDCに関心がないような層が多いのではないかと、多分それも、嘘ではなくて、そうなのだと思いますけれども、今度は、冨樫委員とかが組合員の声を聞くときに、もう少し突っ込んで、マッチング拠出のことはどうなのと聞いていただけると、もう少し問題が、そんなところまで考える余裕がないという話なのか、それともそうではないのかも分かると思うので、ぜひ、引き続き組合員の方の声を、具体的な要望とか困っている点とかも聞いていただければと思います。
 ありがとうございます。
 では、金子委員、お願いします。

○金子委員 
 最初に私の意見というよりも、冨樫委員から、今、御質問があったもので、私の記憶が合っていればなのですけれども、前回か前々回の損保協会さんのプレゼンであったと思うのですが、そこにある損保協会さんの中の運管さんの1つの例だったと思うのですけれども、何かそんなグラフを見せていただいた記憶があって、それは、事業主の掛金のところに、マッチング拠出の額が張りついている人が結構多かったという感じだったと思います。

○森戸部会長 
 ちょっと調べてみましょう、すみません、もしかしたらあったかもしれません。私も全然覚えていなくて申し訳ないです。

○損害保険協会 
 今、金子委員からありましたように、以前に、損保協会から出させていただいたことは事実でございます。

○金子委員 
 それで、ちょっと私の意見を続けさせていただきます。
 3点ほどで、最後に、それとは別に1つ質問をさせていただきたいのですけれども、1つは、日証協の生涯投資枠の話なのです。
 DCの限度額そのものを上げることができれば、それに越したことはないと、私も何回か前の部会でも申しましたし、それから、部会長もそんなことをおっしゃっていたと思うのですけれども、ただ、それ以外に、年間拠出限度額は変わらなくても、生涯拠出枠を設けるという考え方もあるのだと思います。
 ただ、私的年金に税制優遇を与えているのは、もしかすると、こつこつ積み立てることを前提にしている面があるということだと思いますので、課税所得の極端な操作を防ぐ手立ても必要なのだと同時に思います。
 今まで生涯投資枠は、そもそも技術的に現実の問題として管理するのは難しいと思ってきたのですけれども、横を見ますと、すぐそこでNISAが生涯投資枠の管理を行うことが決まっておりまして、管理の方法も、今、具体的に多分検討中だと思います。ですが、それが多分実現できるのだと思います。DCでも生涯投資枠を管理していくという選択肢も、現実的にはあり得るのかなと思います。
 それから、先ほど全銀協さんが、もしかすると退職手当だとか、退職一時金のDCへの移換みたいなことを御提案されていましたけれども、そういったものも無制限に移換できるわけではないでしょうから、どこかで枠を設けるとすると、そういう生涯投資枠の考え方の中で吸収するということもあるのかなと思った次第です。
 2つ目が、年金化して取り崩すための対策の件で、たしか全銀協さんの資料の11ページ目で、年金を選択しやすい環境整備として、要は退職所得と年金の課税のバランスの話を挙げられたのだと理解しましたけれども、前回、企年協のプレゼンの中で挙げられていたように、現行税制下でも、年金化して取り崩すことを促すための対策を検討していくことも大事なのかなと思います。
 前回の企年協さんが取り上げた提案以外にも、例えばDCを年金化して受け取るシーンを考えますと、現行の制度は、余りにも硬直的過ぎて、より柔軟な形のパターンも認める余地があるのではないかと思ったりもしております。
 また、場合によっては、一時金を受け取る人が多いということ、こういう現実を前提に、一時金取得後も安定した資産運用を継続しながら取り崩すことの重要性をDC教育の中で訴えることにより、年金取り崩しではないのですが、年金取り崩しに近いキャッシュを得る選択肢を示すことも検討に値するのではないのかなと思いました。
 3つ目は、自動移換者の問題です。
 日証協さんが、本編資料の4-2の40ページですか、移換手続等を行わなかった場合は、自動的にiDeCoに移換するような仕組みと挙げております。
 これは、前回の部会で国基連の松下理事長が、切実な問題として取り上げられた話だと思います。自動移換者の数ですとか、それが増え続けていく現状を踏まえますと、真剣に検討すべきことなのかなと思った次第です。
 最後は、日証協さんへの質問なのですけれども、メインの説明にはなかったのですが、関心を持った話があったので教えていただきたいのですが、投資アドバイスについてです。
 投資アドバイスのイメージを御説明いただけないかなと思っています。というのは、DCにおいて助言というのが定義されておりまして、見てみますと、金融商品の運用の指図を行えるよう、加入者等に伝えることとだけ規定されております。
 運用の指図を行えるように伝えるのでしょうけれども、そもそも日証協さんの御提案というのが、いわゆるロボアドだとか、対話型AIのようなものを想定しているのか、あるいは人による対応を想定しているのか、また、どの程度相談者の個別的な状況を踏まえてアドバイスを行おうとしているのか、全然イメージがつきませんでしたので、御説明いただけたらなと思っております。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 質問は、最後の1つでいいですかね。
 では、日証協さん、お願いできますか。

○日本証券業協会 
 では、私のほうから、投資のアドバイスの観点につき、回答させていただきます。
 エビデンスの1つとしまして、私どもDCのコールセンターには、自分にとってどのような運用商品がいいのか教えてほしいという問い合わせを、年間大体1,000件以上いただいております。私どもは運営管理機関ですので、個別の運用商品をお勧めすることができませんので、具体的な運用商品についてはお答えを差し控えており、いわゆる加入者のニーズ、加入者が運用商品を検討する場合に知りたい情報やニーズについて、十分にお答えし切れていない状況が、事実としてございます。
 私どもとしては、NISAその他と同様に、いわゆる加入者保護、顧客本位の業務運営の原則に則って、加入者様の年齢や資産状況、それからリスクの許容度などを総合的に勘案して最善の方法をお勧めする、いわゆるお示しすることが必要であると考えるようになってございます。
 ご質問いただきましたアドバイスの提供方法というところでございますけれども、これに関しましては、コールセンター、人による電話対応、それからロボアド、それから対面での御説明など、今のところ様々な方法があるのではないかと考えております。
 いずれにしましても、加入者保護の観点から、いわゆる要件の整備であるとか、論点の整理が必要であり、利益相反やアドバイスの質の担保を継続する仕組みをどうやってつくり込むかという点を含めて、議論していくことが重要だと考えております。
 加入者の皆さんが、理解をして納得感をもって、安心した資産形成が可能である環境づくりというのは、こういった観点でも検討が丁寧に必要ではないかと考えております。

○金子委員 
 ありがとうございます。
 大体イメージがついてきたのですけれども、もう一つ、なぜ私がこれを聞いたかということを1つ補足させていただきますと、実は私、iDeCoの投資教育に少し問題意識を持っています。
 企業型DCの投資教育の実施率の低さは、この場で非常に話題になることも多いと思うのですけれども、iDeCoの場合は企業型より、はるかに低いと推測しています。
 今はiDeCoにはリテラシーの高い人が中心的に加入しているので、特段問題ないと思っているのですけれども、この先、iDeCoの加入者を増やしていこうと考えているのであれば、iDeCoにおける投資教育をどうするのかは重要な問題で、投資アドバイスも投資教育の延長線に捉えることも一考だと思った次第でございまして、それで御意見を伺いたいと、どんなイメージなのかということを伺ったわけでございます。
 非常によく分かりました。ありがとうございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 では、島村委員。

○島村委員 
 どうもありがとうございます。
 今の点についてお伺いしたいのですけれども、iDeCoとNISAですとか、それ以外のもので、違いというのは、意識されていますでしょうか。

○森戸部会長 
 誰に、日証協さんですか、違いというのは、アドバイスの点ですか。

○島村委員 
 アドバイスする際に、iDeCoだとか、企業型DCのときのアドバイスとNISAや、それ以外のものでのアドバイスで、老後に係る重要性の比重の置き方が少し違うかと思うのですけれども、そこは、どれほど意識なさっていらっしゃるのかというところを、少しお伺いしたいです。すみません、分かりづらくて。

○森戸部会長 
 よろしいですか。

○日本証券業協会 
 いわゆる通常の運用ということと違う点は、DCそれからiDeCoはともに長期・分散・積立という制限があるということです。私どもの運営管理機関がもし投資のアドバイスをするという場合には、まずはそれを前提にお話をさせていただくということが、大きな相違点になろうかと思います。
 お話がお返しになっているか分からないのですけれども。

○島村委員 
 ありがとうございます。
 NISAとiDeCoは同じ、長期、分散と。

○日本証券業協会 
 NISAの場合は、一般NISAであれば、積立てではない投資方法もございますので、そういったところは分けて考えないといけないと思います。前提として、DCの投資アドバイスがいわゆる助言なのか、何なのかという位置づけの問題もございますけれども、加入者という立場で考えてみますと、そういう違いがあろうかと思います。

○島村委員 
 すみません、ありがとうございます。

○森戸部会長 
 お願いします。

○日本証券業協会 
 日本証券業協会の森本と申します。
 今、平野さんから御説明のあったとおりですが、若干補足させていただきますと、私から申し上げるまでもなく、年金制度は、老後の資産や所得の確保のためですので、引出し制限があるものです。
 一方、NISAは、現役世代においても、いろいろなライフステージにおいて、お金を使いながら資産形成ができる、すなわち引出し制限がないという大きな違いがありますので、利用される方々もその辺の制度の違いをよく理解された上で、うまく使っていってくださいといったお話になるかと思います。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 私がまとめるのも何ですけれども、アドバイスするほうも、お金がNISAなのか、DCなのか、どういう目的で貯めているのか、どういう制度なのかによって、当然アドバイスの内容とかも変わってくるのだろうとは思いますけれども、ありがとうございます。
 では、小林洋一委員、お願いします。

○小林(洋)委員 
 御説明ありがとうございました。
 少子化が進行する一方で、寿命の延伸が見込まれる中、老後の生活を支えるツールとして、安心して使える私的年金の制度や環境の整備は重要だと思っております。
 中小企業における活用は、それほど進んでおりませんが、人材の確保が課題となっている中、個々の経営状況を踏まえつつ、従業員の将来の不安を、少しでも和らげるための福利厚生支援として、普及させていければと思っております。
 そのための課題は、事業者と従業員双方の理解促進であります。現実問題として、総務人事関連業務に多くの従業員を割くことができない中小企業にとって、年金の3階部分は、まず、その存在を知ってもらうことから始めなければなりません。導入、活用までのハードルは低くないと思います。
 本日、お話しいただいた機関の皆様による、きめ細かなサポートに期待したいと思いますところ、3点、質問をさせていただきたいと思います。
 1点目は、中小企業退職金共済制度から他の制度への移換についてです。
 資料2の10ページや資料3の4ページに、移換条件の緩和等について、提言がなされております。
 本件について、全銀協さん、損保協会さんから、事業者や従業員から、実際、どのような声、意見があるのか、お聞かせいただけたらと思っております。
 2点目は、企業型確定拠出年金への自動加入・オプトアウトについてです。
 資料4-1の8ページで、海外の事例を参考に、自動加入・オプトアウトの仕組みを導入するよう、提言されております。日本で導入されるとなれば、大きな制度変更であります。
 イギリスとオーストラリアでの事例が提示されておりますが、この両国と日本では、年金制度体系に違いがあると伺っております。条件が異なる中で、日本にこの仕組みが適合するのかどうかというのを、この3団体の方から、御意見をいただければと思っております。
 3点目は、最初に申し上げました、中小企業の従業員に対する適切なサポートの重要性についてです。
 日本では、投資教育が進んでいませんので、事業者にとっても、従業員にとっても、金融商品については、最初の一歩を踏み出しにくい面があります。入り口のハードルを下げる、丁寧なサポートをぜひ、お願いいたします。
 現在、国会で審議中の金融商品取引法等の一部を改正する法律案には、金融機関や企業年金等の実施者に対し、顧客の最善の利益を勘案しつつ、業務を遂行するといったことが盛り込まれているようです。
 各団体様におかれて、どのような方針で、中小企業の従業員に対する適切なサポートを進めていかれるのか、御意見があれば、お伺いしたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いします。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 3点ありましたので、順番に行きましょうかね。中退共のお話を全銀協さんと損保協会さんにお聞きしていいですかね。

○全国銀行協会 
 全国銀行協会でございます。
 中退共からのDC移換につきましては、やはり相談はいろいろございますけれども、まずはDCに移換したいというお話があって、DCに移換できる条件としては、中小企業でなくなった場合、あるいは合併とか分割とかという条件に限られますということで、それは、なかなかしんどいということで、DC移換を断念するということが結構多いと思います。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 損保協会さんは、何かありますか。

○損害保険協会 
 同じようなお話でございますが、企業型DCを導入したいという事業主さんと、いろいろ導入のコンサルティングをする際において、当然ながら、現状の退職金制度ですとか、何か入っている制度を確認していく中で、一時金でしたら移換をしていくとか、中退共がありますという話になった場合に、それはどうしましょうかというつまずきがあって、結果として、二重コストは難しいということで、先に入っている中退共を存続するということがあり、企業型は断念するケース。
 では、なぜ企業型を検討しようかということになったかというと、例えば、もともと企業型に入っていらっしゃった方が転職をしてこられ、この会社には企業型DCはないのですかというお問い合わせがあり、メリットもあるということで、その資産形成についても、やはり気づいてもらうのには、中退共よりも企業型のほうがいいという御意見もあり、検討するようなケースにおいて、中退共があるというところで、断念されるケースがあると。
 それで、従業員の方から、これは移換できないのですか、みたいな話は、さすがに運管側には届いていないというという認識をしておりますので、どちらかというと、事業主さんとのやり取りの間で、そういうことがあるということでございます。

○小林(洋)委員 
 それは、事業主からの依頼というか、そういった案件が多いという認識でよろしいのですか。

○損害保険協会 
 多いというか、中小企業さんと退職金、企業型導入の検討をしている中で、当然ながら、資料にも書いてございますが、38万社の中小企業さんが中退共に入っていらっしゃいますので、一定の割合で、当然ながら確率としてはあるというところにおいて、必ず企業型DCを導入する際には、現状を確認する中において、あえて隠していただくものではありませんので、当然ながら入っていらっしゃれば、これがありますけれども、これはどうしましょうかという話になってきますから、そのときに必ず、それを右にするのか左にするかということが決まらない限りは、企業型DCが進まないというところが実情でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 2つ目、自動加入とオプトアウトの話は、日証協さんのところからメインであったと思うのですけれども、ほかの団体にも、いいですか。
 では、お願いします。

○投資信託協会 
 投資信託協会です。
 小林委員おっしゃるように、各国で年金制度は異なっておりますので、私どもも英国の制度をそのまま導入するとか、オーストラリアのものをそのまま導入するということではなく、我が国の年金制度と整合的な形で、私的年金に対する加入者が増加するような施策の1つとして、自動加入・オプトアウトの仕組みを御提案しております。
 英国、オーストラリアだけでなく、アメリカにおいても、連邦レベルあるいは州レベルで、そのような自動加入等を促進するような努力が行われておりますことから、日本におきましても、日本の制度を前提に、どういう制度が一番ふさわしいのかというような議論を、ぜひ行っていきたいと考えております。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 私もその資料を拝見して、私的年金に自動的に加入させると書いてある、その私的年金というのは何を指すのだろうと思ったのですけれども、今のお話だと、そこはまだはっきりこれと決めているわけではないと理解させていただきました。ありがとうございます。
 3つ目、中小企業従業員の方に向けてのサポートについてということで、各団体から、もしあれば、お願いしたいと思うのですが。
 では、お願いします。

○日本証券業協会 
 証券業協会の森本です。御質問ありがとうございます。
 私どもからの回答としては、まず、足元の取組について、本日の本編資料、資料4-2の8ページから12ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちらに、今、私ども3団体で行っております、DC関係の普及の取組について記しております。
 特に御指摘いただきました、中小企業を含めた職域の方々へのアプローチといたしましては、10ページに企業型DC御担当の方向けの講演会、次の11ページに一般事業者の方々向け講演会、さらに12ページは、取引所による職域研修など、こういった取組を実際に足元で行っており、引き続き普及に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
 また、御指摘のありました、今、国会に提出されております金商法等の改正法案、特に顧客最善利益義務について、私どもは、今でも証券会社は顧客本位の業務運営として取り組んでおりますが、新しい法案に書かれている内容が定まりましたら、その方向でも取り組んでまいりたいと思っておりますし、DCの加入者の方々に対しても、きめ細かくアドバイスができればと思っております。先ほど金子委員からも御指摘をいただきました投資アドバイスにつきましては、本編資料の38ページにありますが、こちらのほうで、加入者の方々に、個別の状況も踏まえて、さらに寄り添ったサポートができればと思っておりますので、この点、つけ加えさせていただきます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 ほかの2団体から何かありますかね。お願いします。

○損害保険協会 
 損保協会の清水と申します。
 損保各社では、他の金融業態さんとの連携で、比較的中小規模の企業さんを中心に、運営管理業務の受託をすることが多いです。
 また、各地域金融機関さんの連携においては、本当に小規模な企業さんについては、職域での個人型DC、iDeCoの取組といったことも、今、進めているところでございます。
 また、多分、他業態さんでも同じだと思うのですけれども、以前は投資教育セミナーというと対面を中心で、お金もいただくということが多かったのですが、コロナ以降、比較的あるのはウェブだとか、あと動画といったことによって、小規模な企業さんについても、あまりコストをかけずに、投資教育をお届けしているということに、今、取り組んでいるところでございます。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、全銀協さん、お願いします。

○全国銀行協会 
 中小企業従業員に対するサポートについて、全銀協としてこれまで個別企業を対象として取り組んでいるものはございませんが、個別行としては、先ほど損保協会さんのお話にもありましたとおり、動画とか漫画とか、スマホで簡単に見られるような、そんなアプローチが簡単になるような、そういったもので教育を行っております。
 あと、企業様においては、単独で企業型を立ち上げるのが、なかなか難しいところについては、総合型でありますとか、最近iDeCo+が、非常に優秀な人材を採ってくるに当たって、中小企業の中でも非常に活用をされておりますので、iDeCo+を御案内したりして、啓蒙活動を図っている最中でございます。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、大江委員、どうぞ。

○大江委員 
 ありがとうございます。
 まずは、冨樫委員から出ていたマッチングに関して、私どものNPO法人で、企業型を実施している事業者様に毎年アンケートを行っておりまして、その数字を報告させていただきます。
 制度改正要望として、マッチングについては、御回答企業の36.8%、これは割と小さい企業さんも含めて御要望があります。
 一番多いのが、拠出限度額の引上げで、これが42.6%なのですが、その次がマッチング拠出の事業主掛金以下とする制限の撤廃というのが2番目になっております。まずは御報告です。
 それから、全銀協さんに質問なのですが、資料の11ページで、指定運用方法の設定義務化というのがございました。
 御存じのとおり、企業型DCでは、全加入者がDCの基本である、自らの老後資産の運用を、きちんと自ら行うことを実現している事業主さんもあるかと思います。テキストとともに配分指定書も配って、一人一人フォローして配分できるようにということを徹底されている事業主などです。
 そういう中で、こちらでは義務化と書かれています。義務化しなければならないとお考えになられている背景というか、その理由をお伺いさせてください。
 さらに、未指図というのは問題だと認識しておるのですけれども、例えば、未指図が多い事業主様は退職金制度におけるDCの割合とか移行元制度とか、何か傾向というような要素がお分かりであれば、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○森戸部会長 
 では、お願いします。

○全国銀行協会 
 ありがとうございます。
 指定運用方法設定義務化の背景としては、大江委員のおっしゃるとおり、規約によっては、しっかりと対応されて、未指図資産が発生していないプランも多々あるとは思います。
 ただ一方、運営管理機関連絡協議会の統計資料では、2022年の3月末時点で、企業型DCの加入者782万人に対して、未指図者は11万人いるということで、加入者に対する未指図者の割合というのが1.5%。資産でいくと317億なので、0.2%にすぎませんけれども、一定数いることは事実でございます。
 こういった方々が長期にわたって未指図ということで、現金扱いの資産でいることの不利益を考えると、やはり何らかの対策が必要なのではないかと思っております。その検討が必要ではないかということでございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 話は前後しますが、大江委員にさっきデータの紹介をいただいて、ありがとうございます。私もさっきしゃべりながら、大江委員がきっと何か言ってくれるだろうと思いながら、先ほど少ししゃべっていたのですけれども、すみません。
 あと、今の点ですが、私も実は、全銀協さんの指定運用方法義務化のところに、非常に興味というか、関心が引かれたのですけれども、「元本確保型以外の資産を基本とし」と書かれているので、私は、実はよく分かっていないかもしれませんけれども、やはり元本確保型で定期預金は、銀行の商品が多いかなと思うので、これは中でもめなかったのですかと思ったのですけれども、これは、やはり未指図のほうが、話がでかいという認識なのですかね、そこを、もし、よかったら伺えたらと思うのですけれども。

○全国銀行協会 
 「原則として元本確保型以外の資産を基本とし」としておりますけれども、必ずしも分散投資、いわゆるバランス型の投資信託が必ず必要かというと、そうではないプランもあるのかなと認識しております。
 例えば、退職一時金からの移行で、想定利回りゼロですよという設計の場合は、別に運用をしなくても、元の退職金と同じ金額になるということなので、そういったケースもあろうかと思いますので、ケース・バイ・ケースで考える余地は残すということで、「原則として」「基本とし」としております。
 あと、今、実際にお選びになっている、指定運用方法を設定しているプランもありまして、その中で、元本確保型を設定しているプランもあると思います。それは、物価変動等も考慮した上で、既に労使で十分協議した結果、元本確保型を指定運営方法として設定したものを、一律排除するということはいかがなものかということで、今後について新たな指針を示していくほうが望ましいのかなということで、「今後設定する指定運用方法は、原則として元本確保型以外の資産を基本とし」ということで記載しております。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 今後、原則、基本、ちゃんとこの言葉が入っていることを確認しましたので、ありがとうございます。
 谷内委員、お願いします。

○谷内委員 
 質問が2点あります。
 まず、1点目が確定拠出年金の拠出限度額の引上げ・撤廃について、多くの皆様が長きにわたり要望してきました。
 多分、拠出限度枠が完全に撤廃されれば万々歳なのでしょうが、なかなかそうは世の中甘くありません。仮に、撤廃ではなく一定の水準まで拠出限度額を引き上げることが認められるとした場合、当面どの程度の引上げ幅がかなえば、皆様にとって望ましいのか、根拠に基づいた水準等をお考えでしたら、ぜひご教示願います。
 拠出限度額の引上げ・撤廃については、全銀協と証券業協会が主張されていたので、両団体にお伺いします。
 2点目が、マッチング拠出の上限撤廃です。こちらも、上限が完全に撤廃されれば万々歳だとは思うのですが、そもそもなぜこうした労使折半的な考えが導入されたかというと、やはり加入者の側ばかりが拠出可能になると、企業の側としては、それに甘えて事業主拠出を多く拠出しなくなる懸念があって現在の規定が設けられたと、私は推察しています。
 本件は、表向きは加入者の要望に応えた改正を行った結果、企業側が事業主掛金を積み増すインセンティブを阻害して、加入者にとっては別の面で不利になる方向に行くのではないかという懸念も、私は持っています。今般のマッチング拠出の上限撤廃の要望では、そうした事態を起こさせないための方策などを考えた上で主張しているのでしょうか。それとも、現在は労使ともリテラシーが大分高くなったので、そんな懸念は生じないとお考えなのでしょうか。
 マッチング拠出の上限撤廃については、3団体とも言及されているので、全ての団体にお伺いします。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 1点目は、全銀協さんと証券チームに、上限はどのぐらいですかという質問ですね。何かせりみたいな、もう一声みたいになりますけれども、一応聞いてみましょう。では、全銀協さん、お願いします。

○全国銀行協会 
 全銀協でございます。
 従前から当協会は、拠出限度額の撤廃を要望しておりますので、特に企業型DCにつきましては、先ほどお話したとおり、拠出限度額がないDBと同様に、総人件費等の考え方で、企業の自由な判断で、退職給付制度を構築できるようにすべきだと考えております。
 ということで、なかなか撤廃は難しいとは思っておりますけれども、少なくとも2014年から、引き上げられていない拠出限度額は引き上げるべきだと考えておりますので、具体的な水準については、協会として取りまとめたものはございません。
 ただ、iDeCoにつきましては、特に2号については、企業年金の有無で異なる拠出限度額をそろえて、企業型DCとは別枠で拠出限度額を設定するということが1つ考えられるのかなと思っております。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 では、証券チームは、いかがでしょう。
 
○日本証券業協会 
 証券業協会でございます。
 お尋ねの拠出限度額の金額につきましては、高齢期に必要となります年金所得水準を確保するという意味で必要な引上げが望ましいと考えておりますが、具体的な金額は、今後の財政検証に基づきまして、所得代替率などを考慮して決定されるのかなと認識しておりますので、私どもも持ち合わせておりません。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、2点目に行ってよろしいですか。マッチング拠出の話、先ほども出ましたけれども、冨樫委員もおっしゃったことですけれども、結局マッチングは幾らでもしていいといったら、企業のほうが、より掛金を増やしてくという、その意欲を阻害するとか、むしろしなくていいのだとなってしまうのではないかと、こういう議論は常にあるのですけれども、その懸念を払拭するようなアイデアというか、それはどう考えているのだという御質問かと思いますけれども、もしあれば、いかがでしょうか。
 では、全銀協さん、お願いします。

○全国銀行協会 
 アイデアというわけではないのですけれども、一昔前までは、企業年金の財務負担がということで、水準を切り下げるような動きは、確かにあったと思いますけれども、昨今はどちらかというと、従業員のエンゲージメント向上の観点から、処遇を改善していこうという動きが出ておりますので、事業者掛金を下げて加入者の拠出額を増やすという行動は、今後は企業の意向としては出てこないのかなと思っております。
 ですので、特にそういった策を講じなくても、採用という観点から企業も努力をしていくのではないかなと思っております。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 ほかの2団体から何かありますか。特によろしいですか。
 ありがとうございます。マッチングの話は、いずれにしても、私も本当はしゃべりたくてしようがないのですけれども控えておきます。また、議論をする場があると思いますので、でも今日は、非常に意見がいっぱい出て、今後の議論につながると思います。ありがとうございます。
 藤澤委員、どうぞ。

○藤澤委員 
 金子委員のコメントにもあった生涯拠出枠について、運営管理機関としての御意見をお伺いしたいということで、日本証券業協会様への御質問になると思います。
 こういった個人単位の枠の管理というのは、生涯拠出枠もそうですし、キャッチアップ拠出でも枠の管理は必要になると思いますが、税制上と法令上の論点に加えて、実務上の課題というか論点があるのではないのかと思っています。
 運営管理機関として、こういったところのフィージビリティのチェックをされているのか、超えるべき課題があるのであれば、その辺りを共有いただければと思います。
 以上です。

○森戸部会長 
 生涯拠出枠の話を、事務的なものも含めて対応できるのかということもあると思うのですけれども、証券チームに、運管としてお答えいただきたいということだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○日本証券業協会 
 恐れながら、御回答にならないかもしれませんが、正直申し上げまして、管理をどうするべきかというところまでは、まだ詰めた検討はしておりません。
 先ほど金子委員からNISAの枠の管理というお話もいただきましたが、こちらの新しいNISAも来年からスタートということで、今、関係当局と準備中で、はっきり言って、まだ何も分からないという状況でございます。恐縮ですが、そういったところでございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、小林由紀子委員お願いします。

○小林(由)委員 
 御説明どうもありがとうございました。
 私からは、全銀協様と投信協会様にそれぞれ1点ずつ、質問とコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、全銀協様への質問ですが、資料の11ページで要望されている指定運用方法の設定義務化についてです。
 指定運用方法が未導入のために、未指図資産として滞留している個人別管理資産が、一定量存在しているという御説明でした。
 先ほど、大江委員からも言及がありましたが、現行の確定拠出年金法では、個人が自己の責任において運用の指図を行うこと、国民の高齢期における所得の確保に関わる自主的な努力を支援するということが規定されています。個人が自己の責任において運用の指図を行うように、自主的な努力を支援する方法について、運営管理機関として、指定運用方法義務化のほかに、議論、取組はないのかを確認させていただきたいと思います。
 例えば、運営管理機関において、加入者の商品選択状況を把握して、未指図の加入者に対しては、運用の指図を促すといった方法は、現状でも取り得ると認識しています。そうした取組が、どの程度行われているのかということを教えていただきたいと思います。
 指定運用方法について、設定義務化まで求めるとなると、ある意味、法律の建て付けを大きく変えることにもつながるのではないかと思います。そうした観点も含めて、お考えと現下の取組状況について教えていただきたいと思います。
 2点目は、投信協会様のご説明に関し、こちらはコメントになります。先ほど質問も出ましたが、資料の8ページで提示されている自動加入の仕組みの件です。
 これについては、私もご説明を聞いていて、全ての企業に対して企業年金制度を実施することを求めるものなのか、それとも従業員個人が何らか私的年金に加入をするように、企業が取組を行うことを求めるものなのか、どちらの趣旨でのご提案かがよく分かりませんでした。
 具体案はこれからご検討とのことでしたので、今後議論されるということかもしれませんが、改めて、企業にとって企業年金は、従業員への報酬、福利厚生制度の一部であると考えており、その導入については各社の人事戦略上の観点を踏まえて判断され、制度の設計・運用は労使自治のもとで行うものだと認識しています。
 一方で、iDeCoやNISAといった仕組みは、あくまで従業員個人が自助努力として実施、活用する手段であり、おのずと位置づけやスタンスは異なると考えています。
 雇用、働き方の変化や、あるいは個々人の価値観、ライフスタイルの多様化など、社会情勢が様々変化する中で、私的年金制度についても、基本的な在り方を含めて、今後の方向性を議論していくということ自体は、必要と認識をしています。これまでの本部会の議論の中でも御指摘がありましたように、私的年金制度として一括りにするのではなく、企業年金と個人年金の位置づけや性質の違いはきちんと整理し、論点を明確にした上で議論をすべきと考えております。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 2点目は、私も少しコメントしたところにも関わりますね、おっしゃるとおり、その点、一言で私的年金といっても、もちろん共通するものもありますけれども、違う性格のものが入っていますので、そこのところをどう考えるかというのは、今回の話に限らず、大きなテーマだと思います。ありがとうございます。
 では、1点目のほう、指定運用方法絡みで全銀協さんに、設定義務化という案を出されているけれども、今、未指図の人について、今でもできることはあるし、設定義務化というより、ほかにいろいろ考える方向もあるのではないかというような御質問だったと思いますが、全銀協さん、いかがでしょうか。

○全国銀行協会 
 小林委員、ありがとうございます。
 非常に大事な観点だと思っております。今も運営管理機関は、各社によって対応は異なるとは思いますけれども、定期的に配分登録してもらうためのメール配信を行ったり、入り口は結構大事だと思うので、入り口でウェビナーとか、短い動画、漫画を活用して、まずは関心を持ってもらうことが非常に大事であると考えております。
 例えば、セミナーで、ウェブでも実面でもあるのですけれども、その場でスマホを使っていただいて、その場で配分登録をやっていただくことをやったりとか、あとは未指図が多いようなプラン、企業様におかれましては、それをフィードバックして、それを解消するための継続教育の御提案をしていったりとか、そんな形で、いろいろ努力はしております。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 小林司委員、お願いします。

○小林(司)委員 
 ありがとうございます。
 マッチング拠出については、先ほどから議論になっておりまして、私も実は懸念について聞こうと思ったのですが、すでにやり取りがありましたので省略したいと思います。
 それぞれの皆様に1つずつ質問です。ぼやっとした質問とお感じになるかもしれませんが、御容赦いただけないかと思います。まず、全銀協の小林様、御説明ありがとうございました。
 第3号被保険者のiDeCo加入促進の件、7ページ目で触れられております。こんな議論があったのかという観点での質問なのですが、とりわけ、いわゆる収入の壁について私たちにもたくさんの声が届いておりまして、就業調整により特に中小企業における人材確保について非常に困っているという声が届いています。
 最近は政府でも動きがありそうですが、そのような状況で、今こうした提案を継続なさることについて、組織内で御議論があったのか、教えていただければと思います。
 2つ目、日本損害保険協会の野田様、御説明ありがとうございました。
 中退共の関係です。企業年金への移換後は元に戻せないため、労使でしっかり議論する必要があると思います。もともと中退共は、退職金をみんなで助け合おうという仕組みであり、企業年金との性格の違いもある中で、どのような議論の整理をなさっているのか、教えていただければと思います。
 最後に、投資信託協会の杉江様、御説明ありがとうございました。質問でありまして、不勉強で申し訳ないのですが、7ページ目の生涯拠出枠の関係について、これはあくまでDCの限度枠と理解してよろしいのかどうか、その点だけ教えてください。
 以上です。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、最初に全銀協さんに、3号被保険者のiDeCo拡大という話だったけれども、それと就労調整、収入の壁という話の関係、議論などがあったかどうかという御質問ですかね、それは、いかがですかね。

○全国銀行協会 
 特に議論はございません。

○森戸部会長 
 議論は、なかったということです。分かりました。ありがとうございます。
 では、次に損保協会さんに、中退共に関して、その位置づけをどう捉えているかという話ですかね。コメントがあれば、お願いします。

○損害保険協会 
 すみません。御趣旨のところは認識しておるのですが、関係の会社との協議の中では、そこについての議論というのはございませんでした。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、最後は証券チーム、投信協会さんに、生涯拠出枠の話、これがDCの話なのかどうかということの確認ですが。

○投資信託協会 
 御質問ありがとうございました。
 この生涯拠出枠の議論は、DC制度に関するものです。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、岩城委員、お願いします。

○岩城委員 
 どうもありがとうございます。
 全銀協さんの資料の7ページの、先ほどの小林委員と同じ箇所なのですけれども、国民年金第3号被保険者がiDeCoに加入した場合における掛金の所得控除、これについては、日証協さんの資料にも同じように要望として挙がっていたと思いますが、確かに加入促進を図る施策等として検討に値すると思うのですが、さかのぼりますと、2017年から国民年金第3号被保険者もiDeCoに加入できるようになりました。
 厚労省の方に、当時の議論の経緯が分かる資料を御教示いただいたのですけれども、第3号被保険者がiDeCo加入可能となったことは、非常に意義深いと思っております。
 資料で指摘されていた第3号被保険者において、就業者が半分近く存在していて、第3号であるというだけで、iDeCoの加入資格という自助努力の環境に差がつくのは不合理であるということでした。
 第3号は、女性が多いということで考えると、寿命のより長い女性が自助努力で合理的に私的年金をつくっていけるというのは、非常に大きなポイントだと思っています。
 他方、先ほど小林委員もおっしゃったように、今、厚生年金の企業規模要件撤廃の方向で議論が進んでいて、第3号被保険者も厚生年金に加入していくことが、年金財政の上からも、個人の老後の安心のためにも必要という方向で話が進んでいると思うのです。
 そこに所得控除のメリットを与えることで、それが逆行することにはならないのかと心配しております。つまりは課税控除を認めることで、やはり就労調整をして扶養内で働くことを選択することにはならないのか。公的年金制度の方向性と齟齬が生じないように、しっかり考えていかなければならないのではないかと思います。

○森戸部会長 
 先ほど、全銀協さんは、議論はなかったとおっしゃったから、日証協さんのほうに聞きますかね。何かそういう議論とかはありましたかね、その要望を出す上で。

○日本証券業協会 
 御質問ありがとうございます。
 恐縮ですが、私どもでも、特段、これという議論は出ていない状況です。ただ、本編の30ページに全銀協さんと同じような内容を書いており、やはりこのような形で、第3号被保険者の方の拠出についても手当がされれば、年金制度として充実して、老後資産確保という意味では、良い方向に進むのではないかと理解しているところです。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 今のお話は、もちろん、ちゃんと問題を整理しないといけないですけれども、もし、公的年金のほうの拡大の話と、こっちの話が、岩城委員がおっしゃるように、それは結局どっちを国として目指しているのですか、みたいな話になるのだとしたら、それは問題というか、どう考えるか整理しなくてはいけないので、むしろ、それは事務局というか、こちらで考えなくてはいけないことかもしれません。いずれにしても、また、そういう議論も、これからしていかなければいけないと思いますので、ありがとうございます。
 ほかに、ここにいらっしゃる方は、一応聞いたのですかね、オンラインは、もう後回しみたいな、別に決まっているわけではないのですけれども、何となくそうなってしまって申し訳ありませんが、オンラインの先生方で、御意見は、どうせいと言ったらあれですけれども、皆さん、ありますね。
 では、山口委員、お願いします。

○山口委員 
 御説明ありがとうございます。
 今までの委員の先生方の御意見とか、御質問のことと重なる部分があるかもしれませんが、さらに、お伺いできればと思っていることが、2点あります。
 1つは、指定運用方法の設定義務化について、現状、運用といっても、元本確保型だったり、そのまま自動移換にもなってしまうような、放っておくという形で、置いたままの方も結構いらっしゃるようなのですけれども、仮に指定運用方法の設定を義務化するというと、これは、事業者の側で、セーフハーバールールを設けるということなのですけれども、運用能力が求められることになるのではないのかと思いました。
 現状、特に今回の議論の前提が、これまでの制度の枠組みを、さらに使いやすくするという部分と、これまで私的年金が、あまり積極的には使われてこなかった、あるいはこれから裾野を広げていくという部分と両方から議論をしていると思います。そういう意味では、いろいろな方がいらっしゃるというところで、指定運用方法を導入するといった場合に、事業主の側の運用をするための能力とか責任という点で、かえってハードルが上がるのではないかと、素朴な感想ですけれども、運用能力が問われるようになるのではないかという感じもしております。
 質問は、現状、指定運用方法を導入、運用されている事業者がおられると思うのですけれども、どのような形で、それを運用されているのか、何か具体的な例、それをうまく使われている例がありましたら、教えていただきたいというのが一点。
 もう一つは、投資教育について、これもいろいろ御意見があるわけなのですけれども、特に、これから私的年金も視野に置いて、老後の資産形成を考えていかないといけない世代というのは、やはり若い世代とが、必要性が高いと思います。これは、日証協の方から御説明をいただいたことに関連するかもしれないのですが、若い方というのは、お金がそれほどないところから運用を始めるというという導入の部分と、一方でお金がないので、手っ取り早く儲けようみたいなことで、悪質商法のような儲け話でトラブルに遭うこともあるので、そういうことは、なくさないといけないと思っているのですけれども、若い方に対する投資教育として、現場として行われている、企業で行われている例とか、何か良い取組がありましたら、御紹介いただければと思います。
 よろしくお願いします。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 1点目は、指定運用方法の話ですが、事業主の運用能力が問われるというのは、要は指定運用方法の選定において、何を選ぶかというところが、非常に能力というか、それが問われるという御趣旨かなと思って伺っていましたけれども、既に、もちろん今、指定運用方法が指定されているところもありますけれども、それぞれ、一応、各チームに指定運用方法の設定に関して、その実例というか、今の御趣旨だと、別に元本確保にしているというよりは、積極的にリスク、リターンのある程度あるファンドを選んでいるような話なのかなと思うのですが、指定運用に関して、何か現場の実例みたいなものを御存じでしたら、もし、そういうのがあれば、お話しいただきたいのですが、いかがでしょうか。
 では、全銀協さん、お願いします。

○全国銀行協会 
 実例というよりも、基本的な考え方でございますけれども、指定運用方法というのは、労使の協議結果を尊重して、運営管理機関が選定することになっておって、労使の協議のために、運営管理機関から、その会社のDC制度の特性、どういう制度から移行したのか、想定利回りがあるのか、ないのか、想定利回りが0%の企業と、例えば3%だと、目指す運用も変わってくると思います。
 あるいは、従業員の特性ですね、若い社員が多いのか、そうでない社員が多いのか、金融リテラシーが高い人が多いのか、そうでない人が多いのかによって、全然変わってくると思いますので、そういったことを踏まえて、こういった考え方だと、こういった指定運用方法が望ましいのではないのですかという労使で協議するための情報提供、ディスカッションのための資料を御提供して、そこで検討を進めていくということになっております。
 ですので、結論から申し上げると、当然、企業のリテラシーでありますとか、DC制度の特性によって、設定する指定運用方法というのは、当然ゴールは変わってくると思います。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 枠組みも説明していただいて、ありがとうございました。
 ほかのチームからは、何かあれば、お願いします。

○日本証券業協会 
 私どものところでは、基本的に職域という形で担当がついて対応しておりますが、先ほど全銀協の皆さんからもお話をいただきましたように、やはり加入者の条件、リテラシーの程度、それから年齢、そういった形でしっかり状況をコミュニケーションさせていただいて、事業主様と必要な運用商品を検討していくというコミュニケーションは、非常に、足元で活発になっております。
 その中で言いますと、職域におけるファイナンシャル・ウェルネス・プログラムなどの実施という形で、企業が積極的に従業員の資産形成に関与していくという姿勢が見えるようになってきていることは、非常に象徴的なところだと思います。
 事業主の中には、やはり先ほどセーフハーバーの話をしていただきましたけれども、投資信託の価格が下落した際などに、加入者からの批判が起こることを懸念して、指定運用方法に、いわゆる投資信託などを設定することを、躊躇するケースがあるとは認識しております。けれども、例えば、一定のリスクの範囲内でバランス型を採用し運用成果をしっかり入れていくであるとか、ターゲット・デート・ファンドといった運用方法の採用について、御質問が集中するなど、足元そういったコミュニケーションが活発になっているということは、ここで共有させていただきたい点でございます。
 いずれにしましても、指定運用方法の活用によって、より多くの加入者の皆さんが、長期分散投資の積立てを理解して、実践できる前提で進めることが重要であるかと考えております。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 損保協会さんは、何かありますか。

○損害保険協会 
 基本的には、先ほど全銀協さん、日証協さんがおっしゃったことと同じでございます。
 損保の場合、会員各社によって、例えば、総合型をメインに進めている会社もあれば、また、そうではないところもありまして、総合型は、あらかじめプランで決まっていることになるのですけれども、ただ、そうではなくて、単独型、連合型であれば、やはり各企業様のニーズというのが大事でございますので、例えば、ヒアリングシート、制度導入が決まってから、規約が立ち上がるまでの間に、ヒアリングシートのほうで、各企業の特性を出していただいて、それに応じたアドバイスとしてお勧めするといったことを行っております。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 確かに企業の能力というか、企業というか労使が運管の情報提供を基にというお話でしたけれども、総合型になってくると、また、問題状況も違いますし、いろいろ考えなくてはいけない点は多いのだなということも、今、改めて分かりました。ありがとうございます。
 2点目ですけれども、投資教育で、特に若者向けの話で、これも証券チームに、日証協さんのほうに、若者向けの投資教育ということで、何かそれに関する問題とか、検討をされているところあればという御質問だったと思いますが、何かありますでしょうか。

○日本証券業協会 
 御質問ありがとうございます。
 先ほど申し上げたことと繰り返しになりますが、資料4-2の8ページから12ページまで、今、3団体で行っております取組を載せております。その中で9ページ、上のほうに記載したのは投資未経験者、初心者の方向けの取組です、また、下のほうに記載のとおり、学校において資産形成に関する教育をどうすればいいのか、先生が分からないこともあるということで、先生向けのセミナーというものも取り組んでおります。先ほども御指摘の中で、なかなかお金がない中で若い方がどうやって年金の拠出に取り組んでいくのかというお話がございました。もちろんなかなか無理はできないとは思いますが、まず、こういった制度があること、そして長期・積立・分散という形で資産形成をしていくことの有効性を地道に周知して、普及に努めているところです。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 では、原田委員、何かありますか。

○原田委員 
 原田です。ありがとうございます。
 少しだけですけれども、もう皆さんが、ほとんどおっしゃっていただいたので、今日の大きなトピックとしては、自動加入ですとか、指定運用方法の設定義務化というところなのかなと感じておるのですけれども、そこのところについては、先ほど来話があったとおり、冨樫委員のほうから、運用していない人というのは、DCに関心がないというお話もあったと思いますが、そこが一番根っこなのかなと思っていまして、指定運用方法設定を義務化するときに、関心がない層にいかに関心を持ってもらうかということであったり、それを支える企業のスキルといいますか、能力といいますか、そういったところをどう上げていくのかというのが、非常に大事なのだろうなと感じた次第です。
 それを、先ほど小林委員が中小企業の人材のお話をされていたと思うのですけれども、そういったところに必ずしも適任の方がいるとは限らないので、関係団体の皆さんのサポートですとか、そういったものが受けやすくなるような環境整備というのも、非常に必要なのではないかと感じた次第です。それが1点目です。
 もう一点ですが、マッチング拠出の上限の話では、皆さん、若年層は少ないとおっしゃっていましたけれども、若年層に限らず、DCの制度の設計によっては、短期勤続の方が金額が少ないということも起こり得ます。離転職が増えた場合に、転職されて、そこそこの年齢で新しい会社に入ったときに、DCの事業主拠出額が少ないということも十分起こり得ますので、そういう方が増えた場合に、もっと顕在化してくるのではないかということで、検討し直すことが必要なのではないかなと思いました。
 DCといいますか、企業年金については報酬の一部ですから、必ずしも勤続が長い、年齢が高い人が、給付といいますか、DCで言えば拠出額が多いとは限りません。例えば、一定の年齢になると、退職金の積上げがなくなるというような退職金制度を持っている会社というのも、まだ結構ありますので、そうなってくると、一定の年齢以上になると、DCの企業側の拠出額が一気に小さくなる。そうするとマッチング拠出もほとんどできない。そういうような事例もありますので、もう少しうまく整理していけたらいいなと考えております。
 私からは、以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございます。
 2点、いずれも貴重なコメントをいただけたと思います。ありがとうございました。
 では、渡邊代理、ありますでしょうか。

○渡邊部会長代理 
 いろいろ御説明いただき、ありがとうございました。
 もう既に各委員からいろいろな御意見を頂戴した後ですので、私のほうからは、もうほとんどコメントをすることがないといったような状況なのですが、2点ほど簡単にコメントをさせていただければと思います。
 1点目は、小林委員、森戸部会長から既に御指摘のあったところではございますが、私的年金と言った場合に、個人年金、企業年金というものを一体的に捉えて議論しても差し支えない部分もあれば、やはりそれぞれの性格などを考慮して議論すべき、そういった部分もあろうかと思います。そういったことを整理した上で、慎重に議論をすることが求められていると改めて感じた次第です。
 もう一点については、今回、企業年金の普及促進といったような方策として、自動加入や企業年金の実施の義務づけといった諸外国の例について、日証協の方から御指摘があったところです。
 これについては、やはり各国の公的年金の状況というものが大きく違っているということがありますので、日本においてどのような形で導入できるのか、導入できないのかといったところは、きちんと整理する必要がありますし、また、公的年金との関係性ですとか、さらに事業主に企業年金の実施を義務づけるといったような場合には、2階部分であります、厚生年金保険の充実化と何が違うのかといったところの議論も必要でありますので、検討するに際しては、そういった公的年金との関わりといったところを意識する必要があろうと思いました。
 私からは、以上です。

○森戸部会長 
 渡邊代理、ありがとうございます。
 最後、非常にポイントをまとめていただけたと思います。おっしゃるとおり、企業年金も義務化とか強制という要素を強めると、それは公的年金と何が違うのだという話にもなってきますし、まさに一体で議論しなくてはいけない問題だということも明らかになったと思います。
 ちょうど、一通り皆さんに御意見をいただけたと思うのですが、時間もびっくりするぐらいちゃんと合っていて、いいと思っていますが、各報告も各団体の御要望ではありましたけれども、ポイントの整理なり、また、議論のきっかけにもなる非常にすばらしい報告、要望をしていただいて、本当にありがとうございました。
 それでは、まだ、いろいろ議論したいポイントはあるとは思いますけれども、それは、また別の回に、今日出たポイントを踏まえて議論ができればと思いますので、ちょうど予定の時間になりましたので、本日の議事は、以上で終了したいと思います。皆さん、スムーズな進行に御協力いただきまして、本当にありがとうございました。
 今後の予定については、事務局からお願いいたします。

○大竹企業年金・個人年金課長 
 次回の議題、開催日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。引き続き、ヒアリングをさせていただければと思います。
 以上でございます。

○森戸部会長 
 ありがとうございました。
 それでは、第23回「企業年金・個人年金部会」を終了いたします。
 御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。