2022年12月12日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和4年12月12日(月)15:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室

出席者

出席委員(17名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 

欠席委員(1名)五十音順
行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  中山智紀(医療機器審査管理課長)
  •  高畑正浩(医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。医療機器審査管理課長の中山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からWeb会議形式を併用して開催いたします。現時点で、再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、宮川先生が遅れておられるようなので16名ですが、宮川先生が出席されると17名ということになります。ただいま御出席いただきました。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。なお、出席委員の17名のうち8名の委員にはWebシステムを用いて御参加いただいている状況です。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいておりまして御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解と御協力を賜わりますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続いて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、部会の議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
事前にお知らせしていましたとおり、本日はペーパーレス会議で進めさせていただきます。会場の皆様のお手元には議事次第、座席表のみをお配りしております。また、Webにて御参加されている先生方におかれましては、事前に郵送若しくはメールにてお配りした資料をお手元に御用意ください。また、タブレットの操作について、御不明点等ございましたら、お近くの事務局員までお声がけいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の皆様へ、注意事項を御説明いたします。審議中はマイクミュート、通信環境等の支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、画面の右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいて御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りいたしました事務局の連絡先まで御一報いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いします。
○合田部会長 合田でございます。ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見等はございますか。よろしいですか。
 それでは、これより議題に入ります。本日は、議題1及び4が報告事項、議題2及び議題3が審議事項となっております。
 まず、議題1です。これは公開案件です。「再生医療等製品「ゾルゲンスマ点滴静注」の承認審査に関連した論文の撤回に伴う対応について」に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題1「再生医療等製品「ゾルゲンスマ点滴静注」の承認審査に関連した論文の撤回に伴う対応について」の御説明をさせていただきます。お手元の資料1を御覧ください。
 「1.経緯」についてです。2021年3月、米国FDAの査察を受けた際に出された指摘事項への対応の一環として、ノバルティス社が製造販売承認申請に用いた資料の一斉点検を行ったところ、ゾルゲンスマ点滴静注の承認審査において評価に用いられた資料の一つである学術研究機関で実施された薬理試験に関する論文について、データの正確性が確認できないことが発覚いたしました。なお、これを受けて、ノバルティス社は、論文著者に対して当該論文の修正又は撤回を促しておりましたが、論文著者と論文を投稿した学術誌との間でやり取りが行われた結果、2022年10月に学術誌側の判断で、当該論文の撤回がなされたところです。
 「2.論文概要」です。試験名は、SMNΔ7マウスを用いたin vivo有効性試験です。試験概要は、疾病モデルマウスを対象に、ベクター静脈内投与群と非投与群を比較したところ、評価項目として、マル1脳、脊髄及び筋中におけるタンパク質発現の亢進、マル2運動機能の改善、マル3生存期間の延長の効果が確認されたというものです。これらを踏まえて「事実関係」ですが、試験結果から確認されたとされていたマル3の評価項目に関して、当該論文ではベクター静脈内投与群において「250日を超えて生存したマウスは6匹」とされておりましたが、実際の試験では「250日を超えて生存したマウスは1匹」だけでした。
 「3.評価」です。ゾルゲンスマ点滴静注の有効性及び安全性については、承認審査の中で治験等のデータにより確認されており、当該論文が撤回されたことで、当該製品の承認審査時の有効性及び安全性に係る評価に変化はないと考えております。
 「4.対応」についてです。撤回された論文については、ゾルゲンスマ点滴静注の承認審査において評価に用いられた薬理試験であり、当該製品の審査報告書に記載されておりましたので、当該論文を引用している箇所を削除する改訂を行いました。また、当該論文は当該製品の添付文書に記載されておりましたので、併せて当該論文を引用している箇所を削除する改訂を行っております。これらの改訂については、ともに11月28日に行ったところです。
 最後に、ゾルゲンスマ点滴静注に係る製品概要をお示ししております。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等はございますか。
○佐藤(陽)委員 対応として削除する改訂を行ったということになっているのですが、これは経緯として非常に重要な経緯だと思います。要するに古い版を残すのかどうかというところが結構問題ではないかと思うのですが、その点については、どのように記録として残されるのですか。
○合田部会長 医薬品医療機器総合機構、どうぞ。
○再生医療製品等審査部長 再生医療製品等審査部でございます。報告書につきましては、審査報告書は機構のホームページ上で公開されておりますが、前回の版に加えまして、今般の審査報告書の修正表という形で公表させていただいております。本日、参考資料1としてお付けしているものを公表するということにさせていただいております。
○佐藤(陽)委員 分かりました。記録が消えるというわけではないということですね。
○再生医療製品等審査部長 はい、そのとおりです。
○佐藤(陽)委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等ございますか。
○宮川委員 宮川です。このように資料の一斉点検というようなことは、ままあることなのでしょうか。私は余り知らないのですが。申請に用いた資料は、途中で一斉点検すると。何があったから一斉点検になったのでしょうか。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○医療機器審査管理課長 本件に関しましては、2019年に発覚しましたサンディエゴの研究所において認められたデータの不正で、データを修正してしまったという問題があって、それを受けてFDAの査察などが行われ、いろいろ指摘があったということを受けて、一斉の点検を行うことになったという経緯があるようです。その一斉点検の中で、今回本件の事案も見つかって、その後今回のような措置を行うということにつながったということで、こういった一斉点検を行うという事案というのは、それほど頻繁にあるということではないというふうに承知しています。
○宮川委員 FDAの指摘があったから一斉点検をしたのであって、これはノバルティス社が一斉点検をしたわけではないですね。つまり、FDAのきっかけがあったということを、きちんと書かなければいけないのではないでしょうか。
○医療機器審査管理課長 分かりました。それはFDAの指示に基づいて一斉点検という流れになったということになりますので、そこについては明記させていただきたいと思います。
○宮川委員 それはしっかりやってください。ノバルティス社が自主的に一斉点検したのではなくて、FDAが指摘したことによって、点検せざるを得なかったということで、二次的に事象が新たに見つかったということです。この関連の事実関係を見ると、非常にあってはならないような事実関係です。こういうのが通っているということ自体がおかしい話なので、そういう意味で、FDAの指摘があったということは非常に正しかったことになります。本来からすればそれ以前に、ノバルティス社が自主点検するべきなのに、それができていなかったから、FDAからの指摘によってせざるを得なかったということが、しっかりと分かるような記載でなければおかしいのです。この「経緯」のところは、しっかりとした書き込みをしてください。
○医療機器審査管理課長 分かりました。少し付け加えさせていただくと、もともとは、この事案が発覚する前に、FDAが査察するきっかけとなった事案というのがあって、それに関して我が国では、そのデータを修正したという事案があったことを受けて、我が国でも当時先駆け審査品目で指定されていたのになかなか審査が進まなかったこと、更には、そういった不正が起きてしまった事案についてノバルティス社にしっかりと改善報告というか、対応報告をすべきだということは部会からも強く指摘を受けました。それに対して、どのような改善策を講ずるのかということについては、部会でもお示しした上で、皆様にも御了承いただいたという経緯がございました。そこに対しては、しっかりとフォローを国としてもしていかなければいけないと思います。その一環の中で、この事案も見つかったということで、今回の措置に流れているわけですが、あくまでも先生がおっしゃったとおり、なぜノバルティス社が点検を行ったかということに関しては、自主的ということではなく、FDAの指示もあって実施したということですので、そこがしっかり分かるような形で、文章としては修正したいと思います。
○宮川委員 私もそのように事象は全て存じ上げているので、そういう記載の仕方が適切であると御指摘をしたということです。先駆け審査等も含めて、これからもしっかりとした立て付けでやらなければいけないということがありますので、これからも厳しくそういうことは見ていかなければいけないだろうなと思っている次第です。
○医療機器審査管理課長 承知いたしました。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。
○小野寺委員 確認したいのですが、本製品は日本でも製造販売承認されており、現在、実際に臨床でも使用されているわけです。今回のような逸脱というか不正行為があったときの情報入手は、FDAと機構との関係から入手されたものなのですか。あるいはノバルティスが機構に直接報告したものなのでしょうか。つまり、このような査察が入ったことの情報は米国とに時差が生ずるものなのかを教えていただけばと思います。
○医療機器審査管理課長 以前に出されました改善報告の中でも、ノバルティスが製造販売業者として、製造販売承認申請に至るまでの過程において、もともとの開発の会社から製造販売業者として引き継いでいるという形になっているので、その辺の情報が入手された場合には、速やかにノバルティ社から機構に報告をしっかり行うのだということが、改善報告の中にも盛り込まれていますので、そうなっていると思います。
○小野寺委員 今回は、日本のノバルティス社から直接、機構に報告があったということですか。
○再生医療製品等審査部長 再生医療製品等審査部です。ノバルティス社からは、前回の承認後以降も、資料に関してはもう一度きちんと精査をするというお約束でしたので、その後も定期的に報告は頂いておりまして、今回の論文撤回におきましても、事前にそういう形になりますというお話は頂きました。精査したところそれが見つかって、今協議中であるという段階からお話は伺っておりました。
○小野寺委員 ということは、全世界的にも同時に日本にその情報が入ったということでよろしいですか。
○再生医療製品等審査部長 はい。機構としてはそのように認識しております。
○合田部会長 ありがとうございます。楠岡先生、どうぞお願いします。
○楠岡部会長代理 今回の報告に関しては全く異論はありませんが、頭の体操的にお伺いしたい点が一つあります。それは、今回の論文は非臨床のPOCの極めて重大な部分で、三つのエンドポイントのうち三つとも達成したということだったのが、実際は二つしか達成していなかったということです。もしこの論文がなければ、臨床試験に進んだかどうか。前臨床試験としてのPOCがほかにもあるとは思うのですが、そこに進んだかどうかということを、頭の体操として考えてみたときにどうなるのかと。結果的には、臨床試験において有効性が証明されているので製品としての問題性は少ないにしても、もしこれがもっと前に明らかになっていたら、臨床試験が実施されないあるいは遅れることによって、承認も遅れた可能性もあるのではないかということです。その辺を、頭の体操として、もし機構の方で何かお考えがあれば、教えていただきたいということです。
○再生医療製品等審査部長 再生医療製品等審査部です。本件に関しましては、この非臨床試験のこういったことが分かったのが、いつかによりますが、本邦で治験に参加したのは、海外の第I相試験が終了した後で、結果が得られていたということ。ヒトで一定の効き目が期待されるというような成績が得られていた段階で、本邦も治験に参加をしておりますので、その段階で、仮に非臨床試験成績の一部が根拠としては適切でないとなった場合でも、実際に本邦での治験に入る上では支障はなかったと考えております。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。では、宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 今の部会長代理からの御指摘というのは、頭の体操というだけではなく非常に大切なことで、あえて部会長代理からそのような提言があったと思います。審査管理課で、この時系列をきちんと明らかにしてください。多分とか何とか言わないでください。どういう最初からの経緯で、どのような時系列でこういうことになったのか、もう1回報告書をきちんと出してください。それはやはりそこの務めだと思います。その事象はきちんと書いて、委員の方にしっかりと提出していただいて、報告していただきたいと思います。時系列が今ちょっと不明です。明らかでないところがありますので、それをしっかりと書き込んで、私たちに教えてください。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局、よろしいですか、今の宮川先生の御提案は。
○医療機器審査管理課長 はい、承知いたしました。
○合田部会長 以上のようですけれども、ほかに御質問はございますか。
○小牧委員 小牧ですが、よろしいでしょうか。
○合田部会長 どうぞ。
○小牧委員 私はこの薬剤を使っている立場からのコメントになってしまうのですが、今は2,000名を超えるくらい全世界で使われているのですが、やはり市販後の死亡例が出ているのですね。非常に私たちは緊張感を持って、この薬剤を使っています。そういう中で、もうある程度出てきているデータを信頼するしかないのですけれども、こういう話が出てくるとそこで非常に、命をかけて患者さんたちはこの治療にトライしているので、ハイリスクであってハイリターンであるところで、こういう話が出てきたというのは非常に、やはりメーカーとしての信頼性ということで、ちょっと疑念を抱かざるを得なくて。結果オーライだったと私は認識しています。ただ、非常に今後も含めて、どれぐらいのことを信用してやっていくのかというのが非常に悩ましいところで、複数の薬剤の選択肢があるというところで、非常に大きな事象かなという意味で、ちょっと感想にはなりますがコメントをさせていただきます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見等はございますか。
○佐藤(陽)委員 ちなみにこの事象に関しては、誰がどう責任を取るような形になっているかという点について、米国でどうなっているかは把握されていますか。もし把握されていたら教えていただきたいのですが。結局、誰が責任を負っているのかというのがよく分かりません。これが許されてしまうと、いい加減なデータでも、臨床に入ってしまって、その後うまくいったら儲けものみたいな話になりかねないので。その辺少なくともアメリカではどのような議論になっているのか、もし御存じだったら教えていただけるでしょうか。
○再生医療製品等審査部長 再生医療製品等審査部です。誰の責任かということになりますと、この一番の根本は、この論文の著者たちであろうということになると思います。また、それを受けて、臨床試験を開始した者の責任もあろうかと思います。本件に関しましては、米国FDAの方でももちろん報告は受けておりますけれども、それによって特段の処置がとられたということは聞いておりません。
○佐藤(陽)委員 分かりました。多分、今後何か、法的にあるかもしれませんが、まだ分からないということですね。
○再生医療製品等審査部長 そうですね、今のところ何も分からないです。
○佐藤(陽)委員 承知しました。
○合田部会長 ほかに御意見等はございますか。Web参加の先生方もよろしいですか。
 これはやはり、非常に社会的な影響も大きな事柄ですので、ちょっとロングタームで、ものごとが時系列的にどういう具合に起こったか、どうしてそうなったか、それから最終的にどういう措置を皆さんがとっていたかということは、きちんと記録として残しておくことは非常に大事なことと思います。これからまだ出てくるかもしれないですよね、この話は。この辺が完全にどこで終わったのかというのは、まだ我々は最終的な認識をしておりませんので、その部分も含めて、最後の形、何かここで終わったと考えられるタイミングがあれば、それに関しての報告書というのですか、総括的に少し高い視野でも見たことも含めて、何かまとめていただけると。こういう不祥事が、この後の我々が審査をしていて、こういう審議会を行っていく上で、非常に重要なことになろうかと思いますので、是非お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかに、よろしいですね。それでは、議題1はこれで終了いたします。
次の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますよう、お願い申し上げます。
○医療機器審査管理課長 それでは、準備が整いましたので部会を再開いたします。事務局からお願いします。
○事務局 事務局です。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について、御報告いたします。お手元の資料5の競合品目・競合企業リストをお開きください。1ページに「ブレヤンジ静注」について、2ページに「イエスカルタ点滴静注」について、リストがありますので、こちらは必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料5に示す企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条より、議決に御参加できない委員は、議題2及び3において森尾委員と小牧委員が該当しております。以上、事務局からです。
○医療機器審査管理課長 以上、報告いたします。また、以降の進行については、合田部会長にお願いします。
○合田部会長 これまでの説明について、御意見等がある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
よろしければ、これより議題2に入ります。非公開案件です。それでは、「再生医療等製品「ブレヤンジ静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について」に入ります。事務局より説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明させていただきます。議題2、資料番号2-1、ブレヤンジ静注の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。会場にいらっしゃる委員の皆様方は、タブレットの資料番号2-1のブレヤンジ静注のファイルをお開きください。以降、「タブレット資料」とさせていただきます。また、オンラインで御参加の委員の皆様方は、お手元の資料ファイルの資料2-1の「ブレヤンジ静注」の審査報告書をお開きください。こちらを「審査報告書」とさせていただきます。なお、直前に事務局から、報告書の2か所の訂正の資料を配布させていただいていますが、そのとおりに修正させていただきますので、御承知おきください。説明については、タブレット資料若しくは審査報告書の資料で御説明させていただきます。
 それでは、タブレット資料の8/51ページ、審査報告書の3ページの2行目以降に記載した「1.1 申請品目の概要」を御覧ください。
本品は、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いて、B細胞の表面抗原であるCD19を特異的に認識するキメラ抗原受容体(以下「CAR」という)の遺伝子を患者由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。本品に導入されたCARがCD19を発現した細胞を認識することにより本品が活性化され、増殖、また標的細胞に対する攻撃等に関する信号を伝達することにより、CD19を発現するB細胞性の腫瘍を死滅させる効果が期待されます。
 本邦では、本品は、2021年3月に、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫及び濾胞性リンパ腫のグレード3Bで、「2レジメン以上の治療歴がある患者」を適応対象として承認されています。
 今般、本品について、1レジメンの治療歴のある患者を適応対象に追加するために、「効能・効果又は性能」を変更する承認申請が行われました。対象となるリンパ腫の種類は変わりません。なお、本品は「アグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫」を予定される「効能・効果又は性能」として、当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。以下、大細胞型B細胞リンパ腫を「LBCL」、濾胞性リンパ腫のグレード3Bを「FL3B」と略します。
 今般の適応追加に係る海外での承認状況について、米国では2022年6月に承認されており、欧州では2022年5月に申請が行われ、12月現在審査中です。
本品の専門協議に御参加いただいた専門委員は、専門委員リストにありますとおり4名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明いたします。タブレット資料の9/51ページ、審査報告書の4ページの表1を御覧ください。有効性及び安全性に関する臨床試験の一覧です。今般の承認申請では、再発又は難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫で1レジメンの治療歴を有する患者を対象とした三つの臨床試験成績が提出されました。機構は、提出された臨床試験成績のうち、1レジメンの治療歴のある再発又は難治性のLBCL及びFL3Bに対する本品の有効性及び安全性を評価する上で、重要な臨床試験は、表の一番上の自家造血幹細胞移植適応の患者を対象とした国際共同第III相試験であるBCM-003試験であると判断し、審査を行っております。
以下、BCM-003試験の結果を中心に御説明いたします。最初に、有効性について説明いたします。タブレット資料の12/51ページを御覧ください。審査報告書の7ページの表3、及び次のページの図1を御覧ください。自家造血幹細胞移植の適応のある再発又は難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫患者を対象としたBCM-003試験においては、対照群として標準治療である救援化学療法後の造血幹細胞移植併用大量化学療法が設定されました。そして、有効性等について本品群と比較検討が行われました。その結果、中間解析時の主要評価項目とされた無イベント生存期間(以下「EFS」という)について、標準治療群に対する本品群のハザード比は0.349で、中央値は本品群で10.1か月、標準治療群で2.3か月であり、標準治療群に対する本品の優越性が検証されました。
 次に、安全性について御説明いたします。タブレット資料の24/51ページ、審査報告書の19ページを御覧ください。下から15行目以降に記載してある「6.R.3 安全性について」を御覧ください。1レジメンの治療歴のある再発又は難治性のLBCL及びFL3B患者に対する本品投与時に特に注意を要する有害事象は、既承認効能に対する承認時に注意が必要と判断された有害事象としてページの脚注に記載された事象と同様であり、本品の投与に当たっては、既承認の「効能・効果又は性能」と同様に、これらの有害事象の発現に注意する必要があると判断しております。
 また、機構は、本品の投与に当たって、有害事象の発現に対応できる十分な設備の整った医療施設において、LBCL及びFL3Bの治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、本品は忍容可能であると判断しました。ただし、国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後には本品が投与された全ての1レジメンの治療歴のある再発又は難治性のLBCL及びFL3B患者を対象とする調査を実施する必要があると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、タブレット資料の3/51ページ、審査報告書の表紙の1ページの下から5行目以降に記載した「効能・効果又は性能」及び「用法・用量又は使用方法」の内容で、タブレット資料5/51ページ、審査報告書の表紙の3ページに記載した承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。なお、再審査期間は、初回承認時の残余期間までを設定することが適当であると判断いたしました。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。続いて、資料の最適使用推進ガイドライン(案)について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より、最適使用推進ガイドラインについて、御説明させていただきます。お手元の資料2-2をお開きください。
最適使用推進ガイドラインは、医薬品で行われている取組に倣い、試行的に作成するもので、新規作用機序の再生医療等製品について適正な使用を進めていくため、この再生医療等製品を真に必要とする患者や、使用する医師や医療機関の要件についてお示しするものです。ブレヤンジ静注については、最適使用推進ガイドライン作成品目となっており、既にガイドラインはあるのですが、今般、「効能・効果又は性能」に係る製造販売承認事項の一部変更承認申請がなされたことに伴い、最適使用推進ガイドラインの改訂を予定しております。また、このガイドラインの案については、資料2-2の2ページに記載している学会の御協力を頂いて検討を進めているところです。本部会の委員の先生方からも御意見、御指摘等がありましたら、それも含めて検討させていただきたく、案をお示しする次第です。
 今回作成するガイドラインの構成は、既存のガイドラインの構成と同じものです。そのため、今回、製造販売承認事項の一部変更承認申請に伴う、主な変更点について説明させていただきます。お手元の当日配付資料1「ブレヤンジ静注最適使用推進ガイドライン新旧(案)」を御覧ください。左側に新ガイドライン、右側に旧ガイドラインを並べてお示ししています。
 新ガイドラインの2ページの「対象となる効能・効果又は性能」の一つ目のポツに、今回変更となった対象となる患者の範囲を追記しております。
新ガイドラインの7~20ページまでに、今回追加された臨床試験を記載しております。具体的には、有効性に関しては、7ページに「3.2.」としてBCM-001試験、10ページに「3.3.」として017006試験、及び11ページに「3.4.」としてBCM-003試験を追記いたしました。また、安全性に関しては、同様に、18ページに「3.6.」としてBCM-001試験、19ページに「3.7.」として017006試験、及び20ページに「3.8.」としてBCM-003試験を追記いたしました。
 ガイドラインの22ページの「4.施設について」の記載の内容に修正はありません。ガイドラインの24ページの「5.投与対象となる患者」については、今回、製造販売承認事項の一部変更承認申請に伴って、一次治療の後に再発した患者にも適用になるのですが、臨床試験における投与実績に照らして、投与対象から「一次治療によりCR達成したのち12か月を超えてから再発し、二次治療として自家HSCTの適応となる患者」を除外する内容を追記しております。
 最後に、ガイドラインの26ページの「6.投与に際して留意すべき事項」の内容についても修正はありません。
本ガイドラインは、改訂後も引き続き、医薬品と同様に、保険適用上の留意事項としての活用を検討いただくこととしております。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見等をお願いします。何かありましたらお願いいたします。よろしいですか。
○小原委員 すみません。小原です。
○合田部会長 どうぞ。
○小原委員 表3のEFSの2回目の中間解析結果、資料の7ページですが、死亡例が2例2.2%とあるのですが、これは、どういった原因で死亡されたか、そういうデータに関しては特に情報はないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々、お待ちください。機構よりお答えさせていただきます。この死亡例の情報については、今御提示いただいているのは表3の2例と書いてあるのですが、この時点での死亡例ではなくて、試験全体を通しての死亡例として、安全性の観点で評価はさせていただいており、その情報ですと、審査報告書の8ページ、タブレット資料の13/51ページになりますが、そちらに、安全性について治療期及び追跡調査期の死亡例が20例とあり、その内訳として疾患進行が11例、有害事象3例というところで、死亡の原因については確認をしております。こちらの御説明でいかがでしょうか。
○小原委員 承知いたしました。
○合田部会長 よろしいですか。
○小原委員 はい。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、永井先生、お願いします。
○永井委員 有効性に関する御説明がとても簡単だったので、少し質問させていただきます。自家HSCT適応の患者さんで、BCM-003試験ではイベントフリーサバイバルが明らかに違うので、これでオーケーだというのはいいと思います。一方、HSCT非適応の患者さんについては臨床試験成績が二つ出されています。こちらの方は微妙なところがあり、イベントフリーサバイバルやプログレッションフリーサバイバルは差がついていますが、OSについては差がなかったのではないでしょうか。
 一番気になるのは、審査報告書の16ページの下の表で、むしろ日本人では、本品群の方が成績は悪いのです。例数が限られているため、パワー不足で有意差がないというなら分かるのですが、数字の上では明らかに悪いのです。それを正当化する文章が17ページの上段にあり、「化学療法抵抗性の人が日本人では多かったから」と書かれているのですが、海外のデータで、化学療法抵抗性の人の割合は分かっていると思うので、そういう人ではどうだったのかという点や、19ページ辺りで言っている、外部対照との比較で「こんなものだろうから」というのは、少し議論が荒っぽい気がします。
 もう一つ、36ページのPMSで市販後調査の骨子が示されているのですが、少なくとも、先行する臨床試験の成績が確認できるのか否か、きちんとイベントフリーサバイバル(EFS)についても調査すべきです。
 あと、これは単純な質問なのですが、こういったケースの場合、市販後の臨床試験でなく、こういった調査だけでいいのでしょうか。これは薬事的な問題なので、素朴な質問です。以上、幾つかコメントいたしました。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えさせていただきます。先生からの御質問は3点あると理解いたしました。一つ目が、造血幹細胞移植非適応患者に対する説明がないという御指摘と、もう1点は、日本人患者で有効性の結果が余りよろしくないという御指摘。これは、BCM-003試験の造血幹細胞適合のある患者さんの試験の話ですので。
○永井委員 非適応ですね。19ページの上段で。
○医薬品医療機器総合機構 19ページの上段については。
○永井委員 外部対照との比較だけで、同じようなものではないかと記載されているのですが、実際には、論文などを見ると、外部対照の治療成績も95%CIと一緒に多分出ているのではないかなという気がするのですが。こちらはそれほどではないですが、特に一つ目の質問と三つ目の質問ですね。市販後のPMSの件、お願いできればと思います。
○医薬品医療機器総合機構 一つ目の造血幹細胞移植非適応患者さんに対する説明については、改めて説明させていただきますが、タブレット資料の22/51ページ、審査報告書で言うと、先ほど先生の言われた17ページの「6.R.2.4」のところで、造血幹細胞移植非適応患者に対する有効性についての所を御覧ください。こちらについては、二つの試験の成績が出されており、BCM-001試験のコホート2及び017006試験における主要評価項目の全奏効割合の結果については、それぞれ63%と80.3%でした。017006試験では、事前に設定された閾値に対して統計的に有意な差が認められた一方で、BCM-001試験のコホートについては、閾値に対して統計的に有意な差は認められませんでした。しかしながら、その理由として、予後不良と考えられる患者の割合が高い等の説明がなされています。これらの主要評価項目に加えて、他の副次評価項目の結果等を踏まえて得られた結果から、自家造血幹細胞移植非適応の再発又は難治性のLBCL及びFL3B患者に対して、本品の一定の有効性は期待できると、審査では判断しております。
 また、安全性についても御説明させていただきますと、タブレット資料29/51ページ、審査報告書24ページの表20で確認をしており、審査として記録を記載しております。この表20の左から三つの試験が、今回提示された試験での有害事象の発現状況です。右から二つが、初回承認時に確認した試験での有害事象の発現状況で、今回出された試験で確認された本品の安全性プロファイルが、既承認の効能で認められた安全性のプロファイルと明らかな違いがないというところを、それぞれ確認し、1レジメンの治療歴のある造血幹細胞移植非適応患者に対しても、本品の有効性、安全性は確認されたと判断しております。冒頭の御説明では少し省略させていただきましたが、審査の中では、このように確認を行っております。
○永井委員 一つ目の質問に関するコメントは以上ですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○永井委員 追加での御説明、ありがとうございます。試験全体としての成績がそうだということは分かるのですが、日本人については、治療成績がひっくり返っているのですね。明らかに本品群の方が悪いというところ、16ページの表11ですが、これをもって不可と申し上げるつもりはないのですが、日本人に関してはエビデンスというか、有効性を示唆する数字がないので、きちんと市販後でデータを取る必要があるのではないかというのが一番のメッセージです。その際、データを取るときに、調査計画の骨子にはイベントフリーサバイバルが抜けていますが、先行する臨床試験の成績を確認する意味でも、イベントフリーサバイバルはきちんと取るべきだと思います。
 それと、追加的な質問が、こういったケースの場合は、製販後臨床試験を課す必要はないのかという単純な質問です。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。追加で御指摘いただき、ありがとうございました。まず少し確認させていただきたいのですが、審査報告書16ページの、先生が御指摘された表11ですが、こちらはBCM-003試験の内容でして、BCM-003試験というのは、造血幹細胞移植適応患者を対象とした試験になります。
○永井委員 はい、分かりました。そうですね。でも、多分、質問の本質は変わらないと思います。
○医薬品医療機器総合機構 BCM-003試験における日本人結果が全体集団の結果と異なる原因については、日本人集団が少ない点等が企業からは説明がされております。また、追加で申請者が実施した、BCM-003試験の非日本人集団から日本人集団と同様の背景因子を持つ集団を抽出して有効性に関する評価を行った結果も確認しております。これらの内容等も踏まえて、今回の日本人の結果は、全体集団の結果と明確に異なる傾向があるわけではないと、機構としては判断いたしました。なお、これらの検討については、審査報告書17ページに記載させていただいております。
 それから、市販後の御指摘を頂いてありがとうございます。EFSについても検討すべしという御指摘を頂きましたので、どこまでできるか、今後、検討はさせていただければと思います。今回の審査の中では、提出された臨床試験の成績から有効性は検証されたという試験成績は出ておりますし、その結論自体は覆ることはないと判断しておりますので、市販後において改めて臨床試験をする必要があるとまでは判断しておりませんで、製造販売後調査の中で有効性のデータを十分に収集して、全例調査の中で検討をするというところで考えております。
○合田部会長 ありがとうございます。よろしいですか。
○永井委員 ありがとうございます。はい、結構です。
○合田部会長 宮川先生、よろしいですか。
○宮川委員 今のは、部会長も少し御懸念を感じたのではないでしょうか。回答がきちんと回答らしくないので、そこをしっかりと、要点をきちんと整理して答えていただかないといけません。部会の先生たちはみんな、何かはぐらかされているような感じがします。要点をきちんと言ってください。今、日本人集団ではどうだったのかという御質問があったわけで、それが明確に違うのか違わないのか、外挿性があるのかないのか、それを使って結論を導いていいのか、そういうことを聞いているので、だらだらと結果を述べないでください。そこのところはしっかりと要点を理解して御質問に答えていただかないと、やはりいけないと思います。それをもって、今後そういう市販後のところをする必要があるのかどうか、それは厚労省も含めて考えなければいけないので、部会長、ちょっとそれをまとめていただかないと、委員の皆さんが困るのではないかなと思います。
○合田部会長 宮川先生、ありがとうございます、私のとこまで言っていただいて。多分、22/51ページの所の真ん中の少し上に書いてある所で、「非日本人集団から日本人集団と同様な背景因子を持つ集団を抽出し」、その部分で解析をしたところ、基本的に日本人の集団が非常に小さいので、それに対して考えるべきことは、今できることはそれなので、そこの部分で、日本人に対しての結果は、問題がないというふうに判断したと、そういう結論ですよね。
 その結論に対して、特に、この市販後についての試験をすべきかどうかということだと思うのですが、委員の先生方、御意見がございますか。今のところ、事務局は、しなくてよろしいと、取りあえず状況を見ていきましょうという話だと、私は思うのですが、特にそれに御異論がなければ、そのように進めさせていただきますが、よろしいですか。
 御異論がないようですので、では別の質問に移ります。ほかの質問がありましたら、挙手をお願いいたします。よろしいですか。Webの先生方もよろしいですかね。
 ありがとうございました。それでは、議決を行います。再生医療等製品「ブレヤンジ静注」について、承認事項の一部変更承認を可としてもよろしいでしょうか。また、再審査期間を残与期間(令和13年3月21日まで)の指定としてよろしいでしょうか。異議のある方はいらっしゃいませんか。よろしいですね。それでは、御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで議題2を終了いたします。
 続きまして、非公開案件で、議題3「再生医療等製品「イエスカルタ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3-1、イエスカルタ点滴静注の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。
会場にいらっしゃる委員の皆様は、タブレット資料の資料3-1のイエスカルタ点滴静注のファイルをお開きください。また、オンラインで御参加の委員の皆様は、お手元の資料ファイル、イエスカルタ点滴静注審査報告書をお開きください。こちらについて、それぞれ「タブレット資料」及び「審査報告書」とさせていただきます。
 それでは、タブレット資料の7/46ページ、審査報告書の3ページの2行目以降に記載した「1.1 申請品目の概要」を御覧ください。本品は、遺伝子組換えガンマレトロウイルスベクターを用いて、B細胞の表面抗原であるCD19を特異的に認識するCARの遺伝子を患者由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。こちらもブレヤンジと同様に、本品に導入されたCARがCD19を発現した細胞を認識することにより、本品が活性化、増殖、細胞傷害等のエフェクター機能を獲得することにより、CD19を発現するB細胞性の腫瘍を死滅させる効果が期待されております。
 本邦では、本品は、2021年1月に再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫で、2レジメン以上の治療歴のある自家造血幹細胞移植(自家HSCT)適応患者又は1レジメン以上の治療歴のある自家造血幹細胞非適応患者を適用対象として承認されております。
今般、本品は、1レジメンの治療歴のある自家造血幹細胞移植適応患者を適応対象に追加するために、「効能・効果又は性能」を変更する承認申請が行われました。対象となるリンパ腫の種類は変更ありません。なお、本品は、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」「原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫」「形質転換濾胞性リンパ腫」及び「高悪性度B細胞リンパ腫」を、予定される「効能・効果又は性能」として、当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。以下、大細胞型B細胞リンパ腫を「LBCL」と略します。
 今般の適応追加に係る海外での承認状況について、米国では2022年4月に、欧州では2022年10月に承認されているという報告を受けております。
本品の専門協議に御参加いただいた専門委員については、専門委員リストのファイルにあるとおりの4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。タブレット資料の8/46ページ、審査報告書の4ページの表1を御覧ください。今般の承認申請では、臨床試験成績として、海外第III相試験であるZUMA-7試験の成績が提出されました。
 最初に、審査方針について御説明いたします。タブレット資料の12/46ページ、審査報告書の8ページを御覧ください。今回の審査に当たっては、日本人患者を対象とした臨床試験成績は得られていないため、海外試験であるZUMA-7試験の成績に基づき、日本人患者への使用における本品の有効性及び安全性を評価することが可能かどうか検討を行いました。
 機構は、既承認効能である2レジメン以上の治療歴のある再発又は難治性のLBCLに係る承認申請時に提出された臨床試験(ZUMA-1試験及びJ201試験)において、本品の有効性及び安全性に明確な国内外差は認められていないこと等を踏まえ、自家造血幹細胞移植適応の1レジメンの治療歴のある再発又は難治性の日本人LBCL患者における本品の臨床的有用性を評価することは可能と判断して、今回、提出された海外試験を中心に審査を進めました。
 次に、有効性について御説明いたします。タブレット資料の10/46ページから11/46ページを御覧ください。審査報告書については、6ページから7ページを御覧ください。データとしては表3及び図1を御覧ください。自家造血幹細胞移植の適応のある再発又は難治性のLBCL患者を対象としたZUMA-7試験においては、こちらも同様に、対照群として標準治療である救援化学療法後、造血幹細胞併用大量化学療法が設定されて、有効性等について本品群と比較検討が行われました。その結果、主要評価項目とされた無イベント生存期間、以下「EFS」と略しますが、EFSについて、標準治療群に対する本品群のハザード比は0.398でして、中央値は本品群で8.3か月、標準治療群で2.0か月であり、標準治療群に対する本品群の優越性が検証されました。
 また、安全性については、タブレット資料の16/46ページ、審査報告書の12ページの、下から5行目以降に記載している「6.R.3 安全性について」を御覧ください。自家造血幹細胞移植の適応のある1レジメンの治療歴のある再発又は難治性のLBCL患者に対する本品投与時に特に注意を要する有害事象は、既承認効能に対する承認時に注意が必要と判断された有害事象として、ページの脚注に記載された事象と同様であり、本品の投与に当たっては、既承認の「効能・効果又は性能」と同様に、これらの有害事象の発現に注意する必要があると判断しております。
 機構は、本品の投与に当たって有害事象の発現に対応できる十分な設備の整った医療施設において、LBCLの治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応がされるのであれば、本品は忍容可能であると判断いたしました。ただし、自家造血幹細胞移植の適応のある1レジメンの治療歴のある再発又は難治性のLBCL患者に関しては、国内の治験症例がないことから、製造販売後には当該患者の全例を対象とする調査を実施し、安全性に関する情報のみならず、有効性に関する情報も収集する必要があると判断しております。製造販売後調査においては、実臨床下の日本人患者における自家造血幹細胞移植適応の1レジメンの治療歴のある再発又は難治性のLBCLに対する本品の有効性及び安全性を検討することが計画されております。
 以上のような審査の結果、機構は、タブレット資料の3/46ページ、審査報告書の表紙の1ページの、上から32行目以降に記載した「効能・効果又は性能」及び「用法・用量又は使用方法」で、タブレット資料の4/46ページ、審査報告書の表紙の2ページに記載した承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。なお、再審査期間については、初回承認時の残余期間を設定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。続いて、資料の最適使用推進ガイドライン(案)について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、最適使用推進ガイドラインについて御説明させていただきます。お手元の資料3-2のガイドラインの案をお開きください。
先ほど御審議いただいたブレヤンジと同様に、イエスカルタ点滴静注についても最適使用推進ガイドラインの作成品目となっており、既にガイドラインがあります。今般、「効能・効果又は性能」に係る製造販売承認事項の一部変更承認申請に伴い、最適使用推進ガイドラインの改訂を予定しております。このガイドラインの案については、資料3-2の2ページに記載している学会の御協力を頂いて検討しているところです。本部会の委員の先生方からも、御意見、御指摘等がありましたら、それを含めて検討させていただきたく、案をお示しする次第です。
 繰り返しの説明となって恐縮ですが、今回、作成するガイドライン(案)の構成については、既に作成しているものと同じです。そのため、今回、製造販売承認事項の一部変更承認申請に伴う主な変更点について御説明させていただきます。お手元に当日配付資料2を御用意ください。こちらについても左側に新ガイドライン、右側に旧ガイドラインを併記しております。
新ガイドラインの2ページに、「対象となる効能、効果又は性能」の一つ目のポツに、今回、変更となった対象となる患者の範囲を追記しております。
 新ガイドラインの10ページから18ページにかけて、今回、追加された臨床試験を記載させていただいております。有効性に関しては10ページの「3.2.」に、また安全性に関しては、17ページから18ページにかけて「ZUMA-7試験」を、それぞれ追記させていただいております。
 ガイドラインの18ページ、「4.施設について」の記載についての修正はありません。
21ページの「5.投与対象となる患者」については、今回、製造販売承認事項の一部変更承認申請に伴って、一次治療の後に再発した患者にも適用になるのですが、臨床試験における投与実績に照らし、投与対象から「一次治療によりCRは達成したが、治療終了後12か月を超えてから再発し、二次治療として自家HSCTの適応となる患者」を除外する内容を追記しております。こちらに関しては、ブレヤンジと同じ内容です。
 最後に、ガイドラインの23ページの「6.投与に際して留意すべき事項」についても修正はありません。本ガイドラインの改訂後も引き続き、医薬品と同様に、保険適用上の留意事項として活用いただくことを検討していくこととしております。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見等はございますか。小野寺先生、どうぞ。
○小野寺委員 今回、適応範囲が広がったということは非常に良いことであり、また、データ的に問題はないと考えますが、一方、国内での治験実施をどう考えるかというのが非常に問題になると思います。もちろん、CAR-T細胞療法のような治療は余り人種差がないと思われるので、今回のイエスカルタにおいて海外のデータで適応拡大はあっても良いかと思うのですが、先ほどのブレヤンジでは国内治験を行っているわけです。今後、CAR-T細胞療法が適応拡大を申請した時、国内治験をどう考えるかを機構でも厚労省でも良いですがお聞きしたいのです。これは、国外企業が日本での治験をあまり実施したくないこともあり、このような承認の仕方はあまり望ましくないと考えているからです。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。機構としては、基本的には日本人患者を対象とした臨床試験成績に基づいて、日本人に対する製品の臨床的有用性を評価、検討する必要があると考えております。今回の申請については、既承認効能と対象と、再発・難治性のLBCLから変更はないとか、本品の使用を少し早期の段階から使えるようになるという内容だったり、初回承認のデータと比べた検討を精査した結果、今回の審査の個別の判断として、海外の試験で評価できるだろうということで、審査を進めた経緯があります。なので、個々の製品の状況によって個別に判断となるかと思いますが、機構としては、冒頭に申し上げたとおり、基本的には日本人患者の治験は必要ということで考えております。
○小野寺委員 分かりましたとしか言いようがないのですが、そこは少し企業側に、国内治験を進めるように言っていただきたいと思います。このような前例があると国外企業は海外でのデータで国内申請を通そうとするような気がしてしまいますので。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 今回は特例のような感じですかね。ケースバイケースで考えるということだろうとは思いますが。御質問等はよろしいですか、Webの先生。永井先生、お願いいたします。
○永井委員 HSCTの件なのですが、先ほどのブレヤンジのときには、きちんと非適応の患者についても臨床試験成績を提示してくれていたわけですが、イエスカルタについては、HSCT非適応の患者に関する臨床試験成績がないのです。先ほどの最適使用推進ガイドラインを見漏らしたというか、聞き漏らしてしまったのですが、結局これはHSCT非適応の患者にも使えるのでしょうか。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。御質問については、使えますというのが答えになります。イエスカルタにおいて、1レジメンの治療歴のある造血幹細胞移植非適応の患者さんのデータについてなのですが、今回の申請では入っておりません。ただ、初回承認時に提出されたZUMA-1試験において、少ない症例数ですが、1レジメンの治療歴のある患者さんを含めた臨床試験が提出されており、そこで既に評価して、1レジメンの治療歴のある造血幹細胞移植非適応の患者についても有効性が期待できるという結果を確認しており、初回承認時に、その患者を含めて承認がなされている状況です。なので、最適使用推進ガイドラインについても1レジメン治療歴のある自家造血幹細胞移植適応患者については使えるという形の内容になっております。
○永井委員 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 ただし、最適使用推進ガイドラインの中では、あくまで治験で確認された患者背景というところで、治験で使われた1レジメンの治療歴のある自家造血幹細胞移植非適応患者には、再発の方は除くというところが掛かっておりますので、そういう一部限定的な制限は掛かった形でガイドラインは作られている状況です。
○合田部会長 永井先生、よろしいですか。
○永井委員 ありがとうございます。ほかになければ、もう一点あるのですが、よろしいですか。
○合田部会長 お願いします。
○永井委員 ブレヤンジとイエスカルタに加えて、キムリアも同じような適応だと思うのですが、市販後は一つのデータベースから抽出するようなことになるのか、あるいは、キムリアについては、また別に適応拡大が出てくるのでしょうか。三つあって、二つだけが今回出てきているというのは、ちょっと不思議な感じがするのですが。答えられる質問なのか分からないですが。
○合田部会長 申請企業の問題もありますが、事務局、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。キムリアについては、今回のブリヤンジとイエスカルタで効能追加された1レジメンの治療歴のある造血幹細胞移植適応のある患者を対象に比較試験を実施した結果、主要評価項目について標準治療に対するキムリアの優越性が検証されなかったという論文報告が出ております。企業からは、特に、キムリアに関しては、1レジメンの治療歴のある造血幹細胞移植適応のある患者に対する一変申請の予定に係る連絡は受けておりません。状況としては以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。明確な結果だったのですね。ほかに、永井先生、よろしいですか。
○永井委員 ちなみに、ブレヤンジとイエスカルタは、同じデータベースの市販後調査の、同じ枠組みで、市販後調査がやられるのですか。市販後調査計画の骨子が全く同じ記載になっているのですが。
○医薬品医療機器総合機構 データベース自体は、同じ造血幹細胞移植学会のデータベースを活用する形で、調査を行うことになります。
○永井委員 なるほど、分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。佐藤先生、どうぞ。
○佐藤(陽)委員 ブレヤンジは、先ほどの議論の中で、非日本人集団から日本人集団と同等の背景因子を持つ集団を解析していたりするのですが、イエスカルタでは、そういう試みはされなかったということでよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、していません。
○合田部会長 佐藤先生、よろしいですか。
○佐藤(陽)委員 されなかったと言うのであれば、されなかったで、しょうがないです。
○合田部会長 しょうがないですね。
○佐藤(陽)委員 単なる好奇心ですが、ブレヤンジでは日本人集団と同様の背景因子を持つ集団と合わせて解析しているのに、イエスカルタだと全くそういう試みをされていないというのは、どうしてなのだろうなと思いました。
○合田部会長 日本人集団はないですか。
○佐藤(陽)委員 日本人集団はないからというのもあるのでしょうけれども、ブレヤンジは、先ほどの御指摘のとおり、日本人集団で差が付いていない、むしろ良くない方向に行っているのに、日本人集団と同様の背景因子を持つ集団と統合しています。ところが、イエスカルタは、日本人的な背景を持っているような集団の解析はされていなくて、それで有効性を市販後に評価しなければいけないというのは、何となくバランスがどうなのだろうという気がいたします。
○医薬品医療機器総合機構 イエスカルタについては、御指摘のとおり日本人患者は含まれていないものですから、そういう解析は行われておりません。ブレヤンジについては、日本人が入っていて、そちらの試験に入った日本人患者の患者背景と合わせた非日本人患者さんのデータはどうかという観点で、細かく解析、検討をしたという経緯です。
○合田部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 それが事実だろうと思いますが、こういう臨床試験を組み立てていくのに当たって、機構がどのように指導していくのか。今後こういうパターンになってくることは分かっているわけで、非常に難しいことは分かるのですが、こういう中で、日本人をそういうものを試験の中にどのように組み入れるのかということを、今後どのように指導していくのかが問題です。ないものはないのかもしれないですが、今後そういう考え方を持っていかないと、国の治験体制が組めないと思うので、どのように指導していくのかということは、非常に重要になってくるのではないかなと考えます。部会長も含めて、こういう審議をしていかないというと、既に今日議論を行ったように、壁みたいな事象に常に付きまとうわけなので、どのように事前の指導をしていくのか、どういう立て付けになったら、きちんとこういう審議ができるのかということを今後決めていかないといけません。今日のように委員の方が非常に苦悩するというか、同じような議論をこれからもずっとしていくのではないかなと思うのです。外挿性のことも含めて、少し部会でも考えなければいけないのかもしれませんが、機構として、どのように企業を指導していくのか、どのようにそういうものを組み立てて、今後の体制を作り上げていくのかということも考えていかなければいけないのではないかなと思うのです。部会長、いかがでしょうか。
○合田部会長 そのようには思いますが、お金の問題とか、いろいろな問題が全部来ているのだろうなと勝手に想像していたのですが、中山さん、何かありますか。
○医療機器審査管理課長 今、御指摘いただいたとおり、我が国の治験のデータをどう入れていくのかという話を、あらかじめ最初の指導のところからきちんと指導していって、そこで一貫性を持ってやっていくということは、基本的には大事だと思っています。ただ、今回の場合は、初回申請時のときのデータも含めてということで、総括的に機構としては判断したということになるのではないかと思っております。効能追加が次々と行われる場合に、全体としてどのように考えていくのかというところは、一本筋が通った形で、しっかり機構でも審査方針としては持って、指導していくことが大事なのではないかなと思います。
○合田部会長 いい治療を早く患者さんに届けるというのは、時間の問題とデータの正確性の問題というのが我々のジレンマになるのです。機構が言われているように、初回のときに一応あったからというのは、もっともな意見だなとは思いますが、確かに、日本人のデータがなくていいのだろうかと。では今まで日本人のデータだけの解析をどうして一生懸命やっていたのだろうと。特にこういう追加の場合というのは、非常に特殊ですよね。だから、最初に言いましたように、初回に一応そういうのがしっかり出ているのだったら、そこを前提としてということは、ぎりぎり私は許せるのではないかなと思っています。ただ、こういうタイプの治療は、逆に言うと、人の特異性とかが実はあるのではないかと思えるような気もいたします。私は専門家ではないので、最後の所は分からないのですが。その辺は、これまで宮川先生とかが言われているように、承認後というのか、その辺についてのデータもやはり見ていかないといけないというのも本当のことだろうと思います。それが一番サイエンティフィックなのかなと思います。佐藤先生、何かありますか。
○佐藤(陽)委員 部会長のおっしゃるとおりだと思います。
○合田部会長 ぎりぎりのところで、こういうのは、患者さんの利益と、どちらに振るかと。安全性ばかりに振っていると、最後はそうでもない場合があるし、こういう治療を早く受けたいという方もいらっしゃるだろうしと。非常に微妙ですよね。たまたまそういう治験ができるシステムと、そういう患者さんがそこにいるかどうかというのは分からないので。そこら辺のせめぎ合いだとは思いますが、楠岡先生、よろしいですか。
○楠岡部会長代理 おっしゃるとおり、ドラッグラグをまた拡大させるようなことは決してしなくてもいい。やはりこういうのは、初回のときにある程度の有効性等も押さえられているので、安全性の確認が中心になっていくとは思うのですが、ただこの薬が安い薬であれば余り問題ないのですが、安全性は大丈夫だったけれども、有効性は結局なかったという長期データが出てくると、あの薬はあれだけお金を掛けてどうだったのかという医療経済的な問題がまた出てきます。当面は余りそこまでは気にせずとも、一定のデータが集まってきた段階では、そこは少し厳しく見ていく必要があるのかもしれないと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。私も同じように思います。こういう非常に高額な治療を行うものというのは、やはり難しいなと思いながら話を聞いておりました。ほかに、本件に関して御意見等はございますか。
○小原委員 小原です。
○合田部会長 小原先生、どうぞ。
○小原委員 これの承認条件2のところにある、一定数の症例を日本人の患者さんから集めるというのは、大体どのぐらいの数の症例を想定されているのかを教えていただければと思います。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えさせていただきます。製造販売後調査の中では、300例のデータを収集する予定ですので、条件については、300例の例数を念頭に設定させていただいております。
○小原委員 承知いたしました。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。よろしいですか。
 それでは、議決に入りたいと思います。再生医療等製品「イエスカルタ点滴静注」については、承認事項の一部変更承認を可としてもよろしいでしょうか。また、再審査期間を残余期間(令和13年1月21日まで)の指定としてよろしいでしょうか。御異議はございませんか。よろしいですね。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、分科会にて報告を行うことといたします。これで、議題3を終了いたします。
 それでは議題4、非公開案件です。「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題4、資料4について、事務局から御報告いたします。お手元の資料4をお開きください。
カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
 まず、第一種使用規程の承認を行った品目について、御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での御報告以降で、令和4年7月~令和4年10月までに、第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの3品目です。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って、本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
 続いて、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について、御報告いたします。2ページの一覧を御覧ください。令和4年7月~令和4年10月までに、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、延べ3品目です。こちらについても、機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、採られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。以上で御報告を終わります。
○合田部会長 ありがとうございます。ただいまの説明について、御質問、御意見等はございますか。Webの先生方もよろしいですね。ありがとうございます。それでは、これで議題4を終了いたします。
 本日の議題は以上です。事務局から連絡事項等はございますか。
○医療機器審査管理課長 皆様、御承知のことと存じますが、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が、来年1月末に予定されているということで、本部会については、予定でいけば、臨時で開かれることがない限り、改選までにはこれが最後という予定になっております。したがって、今回限りで御退任いただく先生が3人いらっしゃるということで、3人の先生方から一言ずつ御挨拶いただければと思っております。まず、お一人目は、内田恵理子先生です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○内田委員 国立医薬品食品衛生研究所の内田です。私は、こちらの部会自体は、まだ2年ほどで余り長くはないのですが、薬事・食品衛生審議会のほかの部会の委員として10年になってしまったようです。この部会も今回で最後ということは先ほど聞いて、非常に驚いているところです。
○医療機器審査管理課長 どうも失礼いたしました。
○内田委員 私は特に遺伝子治療を専門にしており、今後、この部会でも遺伝子治療用製品の承認申請の品目が増えてくると思いますので、今去るのは非常に残念ですが、今後の部会の御発展を祈念したいと思います。ありがとうございました。
○合田部会長 内田先生、どうもありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 どうもありがとうございます。手続に不手際がありまして、大変申し訳ありませんでした。お二人目は、大隅典子先生です。よろしくお願いいたします。
○大隅委員 大隅です。本薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会の委員を、そんなに長い間ではないのですが務めさせていただきました。その間に、私は基礎系の研究者であったものですから、こういったことについては、なかなか理解が足りていないところがあり、どちらかというと、たくさん勉強させていただいたという形で、この委員会を去ることになります。先生方におかれましては、毎回、非常に貴重な御意見を述べていらっしゃいまして、そのような御発言から学ぶことが非常に多かったことを思い出しております。今後ともこの部会が、日本の薬事に関して非常に重要な立ち位置であるということ、重要なというよりは、より重要になるかなと思っているところです。どうぞ、今後とも御発展されますようにと思っております。ありがとうございました。
○合田部会長 大隅先生、どうもありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 3人目は、楠岡英雄部会長代理です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長代理 楠岡です。私がこの部会に参加したのは、生物由来技術部会が再生医療等製品・生物由来技術部会に拡大されたときに、今後、再生医療の所も審査するので入ってくださいということで入りました。私自身、再生医療の専門家でも何でもないので、どうしてかと聞きましたら、再生医療新法の省令を作るときのワーキングに入っていたので再生医療が分かるでしょうという、ちょっと乱暴な理屈で参加されられました。私自身は臨床にも関わっておりますので、ちょっと的外れなところもあったかと存じますが、いろいろ質問させていただき、また勉強させていただきました。どうもありがとうございました。
○合田部会長 楠岡先生、どうもありがとうございました。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。
 それでは、次回の部会については、また日程調整をさせていただいて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)