2023年3月9日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和5年3月9日(木)17:00~

場所

厚生労働省専用第14会議室

出席者

出席委員(7名)五十音順 

 (注)◎部会長 ○部会長代理 
 他参考人2名出席
 

欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
  •  佐藤大作(監視指導・麻薬対策課長)
  •  木村剛一郎(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
  •  小野原光康(監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官) 他

議事

○監視指導・麻薬対策課長 ただいまから、薬事・食品衛生審議会令和4年度第4回指定薬物部会を開催いたします。委員の先生方には、大変御多用のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
 初めに1つ御報告させていただきます。先般開催されました薬事・食品衛生審議会委員の改選に伴いまして、本年1月26日に薬事・食品衛生審議会の総会が行われたところです。本部会に関しましては、委員の交代はございませんことを御報告申し上げます。改選後、最初の指定薬物部会ですので、特に御留意いただきたい事項などについて、事務局より初めに説明いたします。
○事務局 それでは、本部会への御参加に当たっての留意事項を3点ほど改めて御説明いたします。第1に守秘義務の関係でございます。国家公務員法第100条において「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。委員、臨時委員、専門委員は、非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について、漏らすことのないようお願いいたします。
 第2に、薬事に関する企業等との関係でございます。お手元に「薬事分科会規程」をお配りしております。薬事分科会規程の8ページを御覧ください。第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 第3に、薬事分科会の審議事項でございます。薬事分科会規程の5ページを御覧ください。第3条第14項に指定薬物部会の所掌について、「指定薬物部会は、法第2条第15項の規定による指定薬物の指定に関する事項を調査審議する。」と規定されております。次に、6ページを御覧ください。第7条に部会の議決について、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合は、この限りではない。」と規定されております。このただし書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることになります。
 委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただきますようお願いいたします。以上です。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。続いて、本部会の部会長ですが、1月26日に開催されました薬事分科会において選出が行われております。この指定薬物部会については、関野祐子委員が部会長に選出されておりますので、御報告申し上げます。では、最初に関野部会長から一言御挨拶をお願いいたします。
○関野部会長 現在、東京大学大学院農学生命科学研究科で特任教授をしております関野祐子です。この指定薬物部会においては、10年間の委員を務めさせていただいた後、前期から部会長に就任させていただき、今期引き続きまして、皆様とこのような大切な指定薬物という国民の健康を守るための審議に関わることができて、大変に光栄と思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。続いて、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされているところでして、部会長代理については、部会長から御指名いただくことになっております。関野部会長、御指名のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 池田委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、池田委員にお願いいたします。どうぞ、部会長代理の席に移動してください。
                              (池田部会長代理移動)
○監視指導・麻薬対策課長 池田委員、どうぞよろしくお願いいたします。さて、本日ですが、医薬・生活衛生局長、審議官は所用で欠席させていただいております。本日は対面での開催ですが、現在のところ当部会の委員数11名のうち、合川委員、青山委員、北中委員、松本委員から御欠席との御連絡を頂いております。現時点で7名の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることをあらかじめ御報告いたします。また、本日は参考人として、国立医薬品食品衛生研究所の花尻瑠理先生、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の富山健一先生をお招きしております。花尻先生、富山先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、部会を開始する前に、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明をいたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言を制限され、公正かつ中立な審議に著しい影響を及ぼすおそれがあると判断されましたことから、本部会については非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。それでは、以後の進行は関野部会長にお願いを致します。
○関野部会長 それでは、本日の部会の資料の確認及び注意点について、事務局よりお願いします。
○事務局 本日の資料の確認をさせていただきます。委員はタブレットにて資料の御確認をお願いいたします。指定薬物部会フォルダに3つのフォルダが入っております。マル1部会資料、マル2文献、マル3参考資料となります。資料についての説明は以上です。資料や操作等について御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けください。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 では、マル1部会資料フォルダをお開きください。資料No.1は各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料No.2は御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料No.3は各審議物質の動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。
 それでは、フェンタニル系である物質1について説明いたします。資料No.2-1を御覧ください。資料No.2-1は、フェンタニル系である物質1、通称名para-Fluorofuranylfentanyl及びこれに構造が類似する麻薬及ひ指定薬物について、オピオイド受容体に対する影響、中枢神経系への作用等をまとめております。para-Fluorofuranylfentanylは、オピオイド受容体μに対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有することを確認しております。資料No.2-1は以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。資料No.3の1ページを御覧ください。para-Fluorofuranylfentanylですが、麻薬であるTHF-Fと構造が類似する化合物です。
 2ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにpara-Fluorofuranylfentanylを0.2、1.0、10.0 mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、3、4ページの表1~3に、para-Fluorofuranylfentanylに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、観察された特徴的な症状を示した写真を5ページに載せております。
 ここで写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は5つあります。これは0.2 mg/kg投与後、約30分経過後のマウスですが、後肢の指間離開、腰高歩行、掻痒感様作用が見られることが確認されました。これは1.0 mg/kg投与後、約30分経過したマウスですが、挙尾反応、旋回歩行が確認されました。これは1.0 mg/kg投与後、約60分経過したマウスですが、旋回歩行が確認されました。これは10 mg/kg投与後、約30分経過したマウスですが、挙尾反応、旋回歩行のほか、突然静止した状態を取ることが確認されました。最後に、これは10 mg/kg投与後、約2時間経過したマウスですが、旋回歩行が確認されました。動画は以上です。
 6ページ、(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。総運動量、大きい運動量及び総移動距離は、対照群と比べて投与後増加する傾向でありましたが、有意差は示されませんでした。立ち上がり回数は、投与後10分では対照群と比べ有意に減少しました。
 (3)マイクロダイアリシス試験におけるモノアミンの経時変化を御覧ください。para-Fluorofuranylfentanyl約3mg/kg腹腔内投与群を6匹、コントロール群を6匹用いて、マウスのモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれに対しても増加作用が確認されました。
 8ページ、(4)ヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。para-Fluorofuranylfentanylでは、μ受容体で1.47×10-mol/L、κでは算出されませんでした。
 以上から、para-Fluorofuranylfentanylは、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 (5)海外での流通状況についてですが、ドイツ、イタリア、アメリカにおいて流通が確認されております。また、(6)海外での規制状況についてですが、アメリカで規制されていることを確認しております。
 最後に、(7)海外での乱用事例ですが、アメリカにおいて2018年から2019年にかけて本物質が検出された29件の死亡解剖事例の報告があることを確認しております。物質1は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○関野部会長 それでは、他の委員の先生方に御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。御意見がないようですので審議をまとめます。
 ただいま御審議いただいた物質1は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、トリプタミン系である物質2について説明いたします。資料No.2-2を御覧ください。資料No.2-2は、トリプタミン系である物質2、通称名MET及びこれに構造が類似する指定薬物について、モノアミントランスポーター阻害、中枢神経系への作用等をまとめております。
 METは、モノアミントランスポーターに対する阻害作用を有しており、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの有意な増加等が確認されていることから、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料No.2-2は以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。資料No.3の9ページを御覧ください。METですが、指定薬物である4-AcO-EPTと構造が類似する化合物です。
 10ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMETを2、20、100 mg/kgを経口投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状について観察された症状を記載しております。また、11、12ページの表1~3に、METに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。
 また、観察された特徴的な症状を示した写真を13ページに載せております。ここで写真と併せて、実際の動画も御確認ください。動画は3つあります。これは20 mg/kg投与後、約30分経過したマウスですが、伏臥位姿勢にて餌カゴに寄り掛かり、全身で痙攣、伏臥位姿勢にして静止後、頭部の小刻みな震えが確認されました。これは100 mg/kg投与後、約30分経過したマウスですが、伏臥位姿勢にて静止し、後ろ足の大きな開脚が確認されました。これは100 mg/kg投与後、約60分経過したマウスですが、しゃっくり様の症状、伏臥位姿勢で静止、尾を痙攣させる異常行動が確認されました。動画は以上です。
 続きまして、14ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。総運動量、大きい運動量及び総移動距離は対照群と比べて、投与後150~160分では有意に増加しました。立ち上がり回数は、投与後20分では対照群と比べ有意に減少しました。
 15ページ、(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。MET約25 mg/kg経口投与群を5匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれに対しても増加作用が確認されました。
 16、17ページ、(4)モノアミントランスポーターに対する機能影響評価を御覧ください。METのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。結果は、表及び17ページの図のとおり、ノルエピネフリントランスポーターについては、METのIC50が8.5×10-mol/Lで、コカイン塩酸塩のIC50の約20倍であり、ドパミントランスポーターについてはIC50が算出できませんでした。セロトニントランスポーターについては、IC50が3.9×10-mol/Lで、コカイン塩酸塩のIC50の7.5倍でした。
 18ページ、(5)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しております。首振り回数の経時変化は、3.0 mg/kg投与群では、投与後0~5分で首振り回数は増加しましたが、その後、15分まで減少傾向が認められ、30分まで持続しました。9.0 mg/kg投与群も同様に、投与後0~5分で首振り回数が増加し、15分まで減少傾向が認められ、30分まで持続しました。27.0 mg/kg投与群は、投与後0~5分で首振り回数が増加し、以降は15分まで減少は認められ、以降は首振り反応が認められませんでした。また、累積首振り回数は、3.0 mg/kg投与群で全ての時間において、コントロール群と比較して、有意に累積首振り回数の増加が認められ、9.0 mg/kgでは20分まで、27.0 mg/kgでは、投与後5分のみコントロール群と比較して有意に増加が認められました。
 19ページ、(6)ヒトセロトニン受容体に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。METのヒトセロトニン2A受容体で2.58×10-mol/L、セロトニン2C受容体に対するアゴニスト活性は1.67×10-mol/Lでした。
 以上の結果から、METは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 (7)海外での流通状況についてですが、欧州、カナダ、韓国、アメリカにおいて流通が確認されております。(8)海外での規制状況については、フィンランドで規制されていることを確認しております。
 最後になりますが、(9)には参考情報として本物質の製品例を示しております。物質2については以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員からお願いします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例が1例あります。2021年5月に1件、褐色粉末として検出されています。以上です。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。御意見がないようですので、審議をまとめたいと思います。
 ただいま御審議いただいた物質2は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。ありがとうございました。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、LSD系である物質3について説明いたします。資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、LSDアナログである物質3、通称名1V-LSD並びにこれらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、首振り反応試験、ヒトセロトニン受容体のアゴニスト活性、中枢神経系への作用等のデータをまとめております。
 1V-LSDは、首振り反応・累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-3の説明は以上です。
 それでは、資料No.3の20ページを御覧ください。1V-LSDですが、指定薬物である1P-LSDと構造が類似する化合物です。
 21ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに1V-LSDを0.2、1.0、10 mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、22、23ページの表1~3に、1V-LSDに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、23ページには、観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
 ここで写真と併せて、実際の動画を御確認ください。動画は2つあります。これは、10  mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、挙尾反応、後ずさりする異常行動が確認されました。これは10 mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、腹ばい状態での静止、後肢の指間離開が確認されました。動画は以上になります。
 続きまして、24ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。総運動量、大きい運動量及び総移動距離は、投与後120分では対照群と比べて有意に減少し、立ち上がり回数は、投与後20分と120分では有意に減少することが確認されました。
 25ページ、(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1V-LSD約10 mg/kg腹腔内投与群を5匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、トパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては増加作用が確認されました。
続いて、26ページ(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と、累積首振り回数の結果を示しております。首振り回数の経時変化は、1.1 mg/kg投与群は、投与後5分~10分で首振り回数が増加し、以降30分まで減少しました。3.3 mg/kg投与群も、投与後5分~10分で首振り回数が増加し、以降30分まで減少しました。10.0mg/kg投与群は、投与後0分~5分で首振り回数が増加し、15分まで減少が認められ、30分まで持続しました。また、累積首振り回数は、全ての投与群で、全ての時間において、コントロール群と比較して有意に累積首振り回数の増加が認められました。
 27ページ、(5)ヒトセロトニン受容体に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果ですが、アゴニスト活性に関しては、いずれも算出されませんでした。以上から、1V-LSDは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 (6)海外での流通状況については、欧州、ベナン、アメリカでの流通が確認されております。(7)海外での規制状況についてですが、ハンガリー、フィンランド、韓国で規制されており、ハンガリーとフィンランドについては平面構造で規制されていることを確認しております。
 最後になりますが、(9)に参考情報として本物質の製品例を示しております。物質3については以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生から御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について、□□委員、お願いします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例が68例あります。まず、2021年10月に1件、12月に13件、2022年2月に17件、3月に6件、4月に7件、5月に11件、6月に7件、8月に6件の合計68件でして、ほとんどが紙片として検出されておりますが、一部錠剤として検出されております。また、これ以後も、分析中のものも含めて、まだ製品が90件あるので、かなり多い検出事例のものです。
○関野部会長 ありがとうございました。非常にびっくりするような数なのですね。
○□□委員 そうですね。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。異例なぐらい数が多いと思いますので、ここで何か先生方のほうで御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○□□委員 薬理活性のことでなくて恐縮なのですが、通し番号で20ページ目の上のほうの、私が担当した化学構造式の所で、インドール構造というのは、ベンゼン環と五員環のNが付いている境目の二重結合の位置が、本来であればベンゼン環側に付けるほうが正しいという意味ではこれも正しいのですが、ルールとして、ほかのLSDの構造もそのようにしていますので、ベンゼン環側に二重結合を付与するという修正案をお送りしたいと思います。よろしくお願いします。
○関野部会長 もう一回、ページをお願いできますでしょうか。
○□□委員 20ページ目の構造式で、ちょうど矢印で指している二重結合が、下の五員環側に付いているのですが、他のLSDは上のベンゼン環側に付いていますので、マイナーな修正なのですが、他の表記に合わせる修正案を出したいと思います。
○関野部会長 ありがとうございました。非常に短期間にすごい数の検出事例が出てきておりますが、このLSD関係で、事務局はどのようなお考えをお持ちなのか教えていただきたいと思います。非常に数が多く、これは今までにない数です。今後、今回のものだけではなくて、類似したもの、LSD関係のものはかなり出てくるかと思います。それから、形態も紙片ということで、紙に印刷したような形という点も他と異なっていますね。
○□□委員 例に出てきているのは一部分だと思うのですが、(9)の試買調査報告で製品写真が載っていまして、これが多分もっと大きい紙で、5×5片で25と、裏面に大きく構造式がバンとあるのが、多分全体的な製品なのだと思います。
○関野部会長 今までみたいな粉末とかバスとか、そういうものに混ぜて入手できる形とは少し違っているのですね。
○□□委員 あと、錠剤も検出されていますが、この錠剤も普通にあるような錠剤とは違っていて、マイクロペレットという呼び名で呼ばれているかなり小さな錠剤になっています。
○関野部会長 それをマイクロペレットにすることにより、何か流通の裏をかくとか、何かメリットがあるのですか。
○□□委員 それは分からないのです。
○関野部会長 こういうふうに一遍に出てきてしまうという状況、カンナビノイドのときも、流通の数がいきなり増えてくるということがあったと思いますが、今後どのようにこういうものを水際で止めていったらいいのか、何かお考えがあるか教えていただきたいのですが。
○事務局 事務局でございます。これまでの流通実態に基づいて、危険ドラッグと呼ばれるものについて、速やかに指定薬物としての指定を進めてきたところです。他方で、類似化合物については、これまでもいたちごっこということで、包括しての枠組みというのもありますので、そういったことがLSDにできるかどうかについては、引き続き検討していきたいと考えております。
○関野部会長 委員の皆様から、何か御意見がありましたらよろしくお願いします。
○□□委員 かなりの件数の事例があるということで、LSD関係については、少しどんなものが出ているのか事務局にてまとめていただき、できれば包括指定のような形というのが、先ほど事務局からお話があったように非常に効果的ではないかと思いました。
 形態についてですが、もともとLSDは紙片に溶液をしみ込ませて流通させるということ、さらにLSD自体はマイクロオーダーで効くということで、シャープペンの芯のような形態のもので流通するという実態もありました。例えば、家の桟の上などに隠したりとか、ある意味見付かりにくいというようなこともあったと聞いております。恐らく、LSDの形態を模した形での流通が、今回のような紙片というのはあるのかなと思いました。これはそのような情報があるということです。
○関野部会長 非常に重要な情報かと思います。ほかに御意見はございますか。
○□□委員 指定することには何の異議もないのですが、薬理学的な特性として、弱い特性しか捉えてないと思います。これはセロトニンの2Aと2Cでしょうか。ですが、恐らくこれはセロトニン量が下がってますから、1Aのアゴニスト効果があると思いますので、1Aも調べたほうがよろしいのではないかと思いますが、その辺りはいかがですか。
○関野部会長 そうですね。
○事務局 先生、御指摘ありがとうございます。今回の試験では、御指摘の1Aについては調べていないというのが実情です。先生の御意見を踏まえて、今後どうするか検討していきたいと考えております。
○□□委員 よろしくお願いします。
○関野部会長 やはり今後、非常に注意して見ていかなければいけない物質かと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。ほかに意見はありますか。
○□□委員 □□□□□□□でも、この物質の問合せは、医療機関からも非常に多くあります。正しい使い方というのは当然、全くないものですので、非常にたくさんの量を使ってしまうといった状況もあります。錠剤の流通があるということで、我々も錠剤の大量服用みたいなことに関しても問合せがあって、比較的その治療に難渋するということと、医療機関のほうも、それが何なのか、LSDなのかどうかというところで、非常に困惑しているという状況があります。ですので、広く規制を掛けることに関しては、今後の流通状況によると思いますが、規制を掛けていただくことに関しては非常に賛成でございます。
○関野部会長 このように2021年、2022年と非常に急激に増えてきたことの背景というのは想像できるようなことですか。何か手掛かりというか、なぜ急激にこのような短期間でということについては、何か情報はあるのですか。
○事務局 具体的にこれが出てきた理由というのがはっきり分かりませんが、今回バレリル基ということでしたが、これ以外のものについても、これまでもLSDのアナログということで御審議いただいてきたことがありますので、規制をするに伴って、新しいものに変わっていったということではないかと考えております。
○関野部会長 分かりました。いずれにしろ、非常に注意していかなくてはいけないし、今後、迅速な審議が求められるものではないかと思います。ほかに御意見はございますか。御意見がないようですので、審議をまとめます。
 ただいま御審議いただいた物質3は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。ありがとうございました。引き続き、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 続いて、フェンサイクリジン系である物質4について御説明いたします。資料No.2-4を御覧ください。資料No.2-4は、フェンサイクリジン系及びケタミン系である物質4、通称名3-Me-PCPy並びにこれらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシス試験、モノアミントランスポーターへの影響等のデータをまとめております。3-Me-PCPyは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、モノアミントランスポーターへの影響についても過去に指定した指定薬物と同程度の活性を有することを確認しております。資料No.2-4の説明は以上です。
 資料No.3の28ページを御覧ください。3-Me-PCPyは、指定薬物である3F-PCPに構造が類似する化合物です。29ページの(1)の行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに3-Me-PCPyを2、20、100 mg/kgを経口投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、30、31ページの表1~3に、行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を32ページに載せております。
 ここで写真と併せて、実際の動画も御確認ください。動画は3つあります。これは20 mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、スニッフィングや掻痒感様作用など、忙しい行動が確認されました。これは100 mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、激しい飛び跳ね、転倒が繰り返し確認されました。これは100 mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、忙しいスニッフィング、頭部の小刻みな震え、全身の震えも確認されました。動画は以上です。
 33ページ、(2)自発運動における運動量の測定結果について御覧ください。総運動量、立ち上がり回数及び総移動距離は、投与後110分では対照群と比べて有意に増加しました。大きい運動量は、投与後30分、110分で対照群と比べて有意に増加しました。
 34ページ、(3)マイクロダイアリシス試験におけるモノアミンの経時変化を御覧ください。3-Me-PCPy約22 mg/kg経口投与群を6匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれに対しても増加作用が確認されました。
 続いて、35、36ページ、(4)モノアミントランスポーターに対する機能影響評価を御覧ください。3-Me-PCPyのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。結果は下の表及び36ページの図のとおり、3-Me-PCPyのノルエピネフリントランスポーターに対するIC50は2.0×10-mol/Lで、コカイン塩酸塩の約0.038倍でした。ドパミントランスポーターに対するIC50は1.9×10-mol/Lで、コカイン塩酸塩の約0.9倍でした。セロトニントランスポーターに対するIC50は1.5×10-mol/Lで、コカイン塩酸塩の約0.035倍でした。
 37ページ、(5)3-Me-PCPyのグルタミン酸NMDA受容体に対する50%阻害濃度(IC50)を算出した結果です。Phencyclidine siteで6.63×10-mol/Lでした。以上から、3-Me-PCPyは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、(6)の海外での流通状況についてですが、カナダ、フランス、ルクセンブルク、アメリカにおいて流通が確認されております。また、(7)の海外での規制状況については、フィンランド、ハンガリーで規制されていることを確認しております。物質4については以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きます。最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について検出事例が1例あります。2022年10月に白色粉末として1件検出されております。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々に御意見を頂きます。いかがでしょうか。御意見がないようですので、審議をまとめます。
 ただいま御審議いただきました物質4は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、カンナビノイド系の2物質、物質5及び6について御説明いたします。物質5及び6については、2つまとめて御審議をお願いできればと存じます。
 資料2-5を御覧ください。資料2-5は、カンナビノイド系である物質5、通称名Δ9-THC-O、物質6、通称名Δ8-THC-O及び、後ほど御審議を頂きます物質7、通称名HHC-O並びにこれらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、症状観察の結果、カンナビノイド受容体親和性等の結果をまとめております。Δ9-THC-O及びΔ8-THC-Oは、症状観察の結果、影響が認められていること、また、カンナビノイド受容体への親和性が認められていることを確認しております。資料No.2-5の説明は以上です。
 それでは、資料3-5の38、39ページを御覧ください。Δ9-THC-O及びΔ8-THC-Oは、麻薬であるΔ9-THCやΔ8-THCに構造が類似する化合物となっております。
 40ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにΔ9-THC-O又はΔ8-THC-Oを20mg/kgで腹腔内投与し、投与後180分までの運動活性及び体温に対する影響を評価しております。結果については図1-1のとおりですが、投与によりカタレプシー様無動状態及び体温低下効果が確認されております。また、41ページの図1-2にありますが、これらの作用については、カンナビノイド受容体拮抗薬を前処理することにより抑制されることが確認されております。
 続いて、42ページのアカゲザルの行動観察試験結果を御覧ください。アカゲザルにΔ9-THC-O又はΔ8-THC-Oを静脈内投与した後の行動学的変化及び身体的な変化を評価したところ、42ページにあります表1のような結果となっております。
 43ページ、(2)ヒトカンナビノイド受容体機能評価について御覧ください。ヒトカンナビノイドCB受容体を発現させたCHO細胞を用いて、Δ9-THC-O又はΔ8-THC-O添加による細胞内カルシウム濃度の変化を蛍光強度として測定したところ、Δ9-THC-O及びΔ8-THC-Oの40μmol/Lの添加により、有意に増加することが確認されております。また、この蛍光の増加はCB受容体拮抗薬を前処理することにより、完全に抑制されていることも確認されております。
 44ページ、(3)代謝についてを御覧ください。Δ9-THC-O又はΔ8-THC-Oは生体内に存在するエステラーゼの作用により、規制物質であるΔ9-THC又Δ8-THCが生成する可能性が考えられたことから、in vitroによる代謝実験が行われております。ヒト肝臓ミクロソーム溶液中に、Δ9-THC-O又はΔ8-THC-Oを添加し、37℃の条件下で分解物の確認を行ったところ、図3-1及び図3-2に示しますように、Δ9-THC-O又はΔ8-THC-Oは生体内で酵素化学的加水分解を受けて、Δ9-THC又はΔ8-THCが生成することが推察される結果が得られております。
以上のことから、Δ9-THC-O及びΔ8-THC-Oは中枢神経系に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」ものと考えております。
 45ページ、(4)国内外での流通状況について御覧ください。まず、国内の状況ですが、THC-Oについては、Δ9-THC-O又はΔ8-THC-Oを標榜する製品が流通していることを確認しております。併せて、使用感について書き込みがなされていることも確認をしております。マル1の後半にありますが、標榜している製品について分析を行ったところ、Δ9-THC-O及びΔ8-THC-Oが検出されたとの報告がございます。マル2ですが、THC-Oに関する麻薬取締部への問合せ状況について簡単にまとめたものでして、昨年1年間という一定数の割合で確認の件数がコンスタントに認められている状況です。マル3ですが、記載しておりますように、ニュージーランドの警察が押収したサンプルからTHC-Oが検出されたという報告がなされているとともに、現時点では海外のサイトにおいて、THC-Oの含有を標榜している製品が販売されていること、及びTHC-Oの使用感について書き込みがなされていることを確認しております。
 最後に46ページ、(5)国外での規制状況です。英国及び米国において包括的な規制の枠組みがあり、その中でTHC-Oが規制されている可能性があることが推察されております。また、(5)の一番最後のほうに記載しておりますが、一部報道によると、米国麻薬取締局(DEA)が、Δ9-THC-O及びΔ8-THC-Oが米国の規制物質法のスケジュールⅠの規制対象であることを明らかにしたという報道がなされています。物質5及び6の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○関野部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きます。最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について検出事例が42件あります。こちらは2022年3月に2件、5月に5件、6月に5件、7月に7件、8月に2件、9月に9件、10月に9件、11月に2件です。形態としては、薄黄色から褐色のオイルで、色は製品によっては違いがあります。固形物としてお菓子のグミ、カプセル剤で中に粉末が入っているものの検出事例があります。また、最近も製品が検出されており、まだ分析中のものがあります。それが25件ありますので、とても多く検出されております。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。これもまたすごい勢いですね。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 すみません、また薬理のことでなくて恐縮なのですが、38ページのΔ8-THC-Oの物質名訳の「6H」の「H」がイタリックということと、その後のジベンゾの後の「b」と「d」をイタリックに修正ください。資料No.1はイタリックにきちんとなっていますので、恐らく資料3の修正を行っていただければよいかと思います。
○関野部会長 ありがとうございました。これはカンナビノイド系というか、今後どういう対策を考えていったらいいのですか。これもすごい勢いのような気がしますし、オイルの形というのも少し考えなくてはいけないのかなと思うのですが、何か今後の方針としてお考えがおありでしたら、事務局からございますか。
○事務局 御質問ありがとうございます。まずは、流通の報告が入っているという状況がありますので、そちらについて速やかに止めるということで、指定薬物として指定をしていくという形になるかと存じます。また、先ほどのLSDと同じように、同様の類似化合物も入ってきているという情報もありますので、そういったものについても引き続き流通実態等を踏まえて、指定薬物等への指定を検討して、速やかに規制対象の対応をしていきたいと考えております。
○関野部会長 やはり、こちらも迅速に対応していくしかないということになるのでしょうか。先生方から何か御意見、コメントはありますか。これもいたちごっこ的になっていくのか、やはり代謝が関わってきているわけですが、同じようなものが出てくる可能性はたくさんありますか。
○事務局 LSDのアナログに関しても、先ほどのバレリル基の所が切れてLSDになるということで、代謝が関与しているという話もあります。御指摘のとおり、今回の代謝実験の結果THCになるというような物質ですので、そういったものについては、引き続きどのように規制をしていくかは検討していかなければいけないとは思いますが、とりあえず出てきているものについては速やかに規制をかけていくということで、対策を講じていきたいと考えております。
○関野部会長 ある程度予想ができるものについては、あらかじめ的なところも考えていかなくてはいけないということですよね。
○事務局 御指摘のとおり、包括指定も含めて検討は必要だと考えております。
○関野部会長 ありがとうございました。先生方、ほかに御意見はございませんか。御意見がないようですので、審議をまとめます。
 ただいま御審議いただきました物質5と6は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、最後の物質です。同じく、カンナビノイド系の物質7について御説明いたします。資料No.3-6の47ページを御覧ください。HHC-Oは、指定薬物であるHHCとか麻薬等であるΔ9-THCに構造が類似する化合物となっております。なお、48ページに、以降の検討における化合物の略称等をお示ししております。11位に結合する結合の仕方によってα、βという形で記載をしておりまして、以降、この略称を採用させていただいているというものです。
 それでは、結果について御説明いたします。まず、49ページ、50ページの(1)行動及び中枢・自律神経系の症状の観察を御覧ください。マウスに11α-HHC-O、11β-HHC-O 20 mg/kgで口腔内投与し、投与後180分までの運動活性及び体温に対する影響を評価しております。結果については図1-1のとおりです。投与により、カタレプシー様の無動状態及び体温低下効果が確認されております。また、51ページの図1のとおりですが、これらの作用については、カンナビノイド受容体拮抗薬を前処理することにより抑制することが確認されております。
 52ページ、(2)ヒトカンナビノイド受容体機能評価について御覧ください。ヒトカンナビノイドCB受容体を発現させたCHO細胞を用いて、11α-HHC-O又は11β-HHC-Oの添加による細胞内カルシウム濃度の変化を、蛍光強度として測定しております。結果につきましては図2のとおりです。11β-HHC-O 40μMの添加により、有意に増加することが確認されております。なお、11α-HHC-Oでは有意な増加が認められていないという結果になっております。また、先ほど申し上げた11β-HHC-Oで認められた蛍光の増加につきましては、CB受容体拮抗薬を前処理することにより完全に抑制されたとされております。
 53ページ、(3)代謝について御覧ください。11α-HHC-O又は11β-HHC-Oについても、先ほどのTHC-Oと同じく、生体内に存在するエステラーゼにより、規制物質であるHHCが生成する可能性が考えられたことから、in vitroによる代謝実験が行われております。ヒト肝臓ミクロソーム溶液中に11α-HHC-O又は11β-HHC-Oを添加し、37℃の条件下で分解物の確認を行ったところ、図3-1及び図3-2に示すような結果となっております。11α-HHC-O又は11β-HHC-Oは、生体内で酵素化学的加水分解を受け、指定薬物であるHHCが生成することが推察される結果が得られております。
以上のことから、HHC-Oは、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」ものと考えております。
 続いて、54ページの(4)国内外での流通状況について御覧ください。まず、国内における状況です。HHC-Oの含有を標榜している製品が販売されていること、及び使用感について感想を述べているサイトがあることを確認しております。また、HHC-Oの含有を標榜している製品について分析を行ったところ、11α-HHC-O及び11β-HHC-Oが検出、同定されていることを確認しております。
 マル2ですが、麻薬取締部におけるHHC-Oに関する問合せ状況について御説明したものです。先ほどのTHC-Oに比べると少ない結果ではありますが、一定数の割合で相談がなされていることを確認しております。
 マル3国外での流通状況です。先ほどの国内での状況と同様に、HHC-Oの含有を標榜している製品及びHHC-Oについての使用感の感想を述べているサイトがあることを確認しております。
 55ページ、(5)国外での規制状況です。先ほどのTHC-Oと同じく、英国及び米国におきまして規制されている可能性があることを確認しております。物質7については以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について、□□委員、お願いします。
○□□委員 本化合物につきまして検出事例が26件あります。2022年5月に4件、6月に4件、8月に5件、9月に8件、11月に3件、12月に2件ありました。これ以外にも、また最近もずっと製品がきておりまして、分析中のものがあと7件あります。それから、先ほどのTHC-Oが同時に含まれる製品もあります。以上です。
○関野部会長 先ほどの物質と合わせますと、流通の実態がやはり非常に急速に増えているのが分かるかと思いますが、中毒のほうで何か報告とかはありますか。
○□□委員 医療機関の問合せは非常に増えている、増加傾向にあるかと思います。THC-Oですと、やはりグミ等の菓子に入っていることがありますので、小さいお子さんが摂取してしまうという事例も散見されている状況です。我々が把握する情報としては、医療機関の先生からの問い合わせ御申告に基づくものでして、分析をした結果ではないのですが、この名称でのオイル形態のものなどの問合せは非常に増えている状況でございます。
○関野部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見ございますでしょうか。
○□□委員 よろしいですか。
○関野部会長 はい。
○□□委員 すみません、また構造の所なのですが、48ページ目です。こちらに書かれているα体、β体それぞれ、一番左上にある六員環の所に二重結合があると思うのですが、こちらは不要ですので、単結合に修正をお願いいたします。
○事務局 失礼しました。修正いたします。
○□□委員 4つになります。よろしくお願いします。
○関野部会長 すみません。もう一回示してもらってよろしいですか。
○□□委員 今、矢印がある所が、二重結合ではなくて単結合、線1本になりますので、そちらの修正をよろしくお願いします。
○関野部会長 よろしくお願いいたします。そのほかに御意見ございますでしょうか。よろしいですか。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。
 ただいま御審議いただいた物質7は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として、指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、引き続き、事務局より説明をお願いします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明します。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り、適正使用に支障を来さないように対応をいたします。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。以上で本日の議題は全て終了いたしました。令和4年度の部会は本日で終了しました。事務局から、来年度の予定について御連絡をお願いします。
○事務局 来年度の部会日程については、正式に決まり次第、御連絡いたします。以上です。
○関野部会長 それでは、以上をもちまして、令和4年度第4回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
(了)
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 竹内(2779)