2023年2月27日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

日時

令和5年2月27日(月)15:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)
日本赤十字社 血液事業本部
行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  渡辺顕一郎(血液対策課長) 他

議事

○渡辺血液対策課長 お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会薬事分科会令和4年度第2回血液事業部会を開催いたします。
本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日は、お忙しい中御参集いただき誠にありがとうございます。この度は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 なお、本日は委員の改選後初めての会議となります。改選に伴い、本年1月26日開催の薬事・食品衛生審議会薬事分科会におきまして、当部会に所属する委員の指名が行われました。その際、委員の互選により、三谷委員が部会長に選出されておりますので、御報告を申し上げます。また、部会長代理については、事前に三谷部会長にお伺いしたところ、濱口委員を御指名されましたので、御報告いたします。
 本日、委員名簿を配布しております。これから、この名簿に沿って、委員の先生方を御紹介申し上げます。荒戸照世委員、堺田惠美子委員、佐々木司委員、高橋滋委員、武田飛呂城委員、館林牧子委員、田野﨑隆二委員、長村登紀子委員、西脇公俊委員、野口晴子委員、野村恭一委員、濱口功委員、人見嘉哲委員、松下正委員、松本剛史委員、水上拓郎委員、三谷絹子委員、宮川政昭委員、矢口有乃委員、脇田隆字委員、以上となります。
 次に、委員の出欠状況です。西脇委員から御欠席との御連絡を頂いております。松下委員におかれましては、遅れて参加する旨を御連絡いただいております。なお、本日の部会は現時点で委員20名中18名の出席を頂き、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により本部会が成立したことを御報告申し上げます。
 また、本日は日本赤十字社の血液事業本部から、前野節夫副本部長、佐竹正博中央血液研究所長、皆川信也経営企画部次長、後藤直子技術部次長、鹿野千治経営企画部献血推進課長にお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、本日は改選後初めての会議ですので、委員の皆様に御留意いただきたい事項について、2点御説明いたします。第一に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。委員の皆様には、非常勤の国家公務員として、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願い申し上げます。第二に、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の忠実性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合又は任期中に該当することになった場合には、速やかに事務局に御連絡を頂くようお願い申し上げます。なお、ただいま御説明した薬事分科会規程第11条について、全ての委員の皆様より、適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
 また、薬事分科会審議参加規程に基づいて、各委員の利益相反の確認を行ったところ、堺田委員、松下委員、三谷委員から、関連企業より一定額の寄附金・契約金などの受取の報告を頂きましたので御報告いたします。議題1に関しては、松下委員については、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員については、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。議題2に関しては、松下委員については、本規程に基づきロビーの方で待機していただきます。また、堺田委員、三谷委員については、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員については、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。これらの申告については、ホームページで公開させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をおかけいたしますが、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いします。タブレット上に、マル1議事次第~マル10資料4-2-2までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声かけください。タブレットの使用方法については、お手元の「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を御覧いただき、御不明の点等がございましたら事務局までお声かけください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がございます。審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員においては、まず、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、チャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は部会長からお願いをする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて、部会長より発言者を御指名いただきます。また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、説明者において、マスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。
 間もなく議事に入りますので、カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。この後の進行については、三谷部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○三谷部会長 皆さん、こんにちは。この度、部会長を拝命いたしました三谷です。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速、議題に入ります。議題1は「令和5年度の献血の受入れに関する計画(案)について」です。本日は、令和5年度の計画案について、2月24日付けで厚生労働大臣から諮問がなされておりますので、本部会で審議をしたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。
○仲島課長補佐 事務局です。議題1「令和5年度の献血の受入れに関する計画(案)について」説明いたします。最初に事務局から概略について説明させていただき、その後、日本赤十字社から具体的な内容について説明をいたします。
 本計画は、いわゆる献血受入計画と呼ばれるものです。血液法第11条に定められていて、採血事業者が血液法に定める基本計画、献血推進計画に基づき、毎年翌年度の、今年度でしたら令和5年度の、献血により受け入れる血液の目標量を確保するために必要な措置、その他受入れに関する重要な事項等について計画を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならないとされております。また、認可に当たっては、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととされているので、本部会で審議いたします。作成に当たっては、都道府県の区域を単位として、都道府県の意見を聴かなければならないとされているところです。
 資料1を御覧ください。1ページ進んでいただきますと、厚生労働大臣から審議会会長宛ての諮問書の写しが添付されています。
3ページから計画(案)があります。本日は、この計画(案)について御審議いただきます。なお、先に開催された本部会で御審議いただいた献血推進計画と同様の内容になっております。220万Lとする目標量、目標量を確保するための措置として「ラブラッド」について加えましたが、同様に4ページに記載が加えられています。その推進計画については、15ページから参考として添付しております。
 また、都道府県の区域を単位としてと説明しましたが、9ページから都道府県の輸血用血液製剤の需要見込み等の必要量、その必要量を献血により受け入れる目標量が10ページからあります。
資料の構成はこのようになっています。時間の都合もありますので、この後、日本赤十字社からポイントを絞って御説明していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○日本赤十字社鹿野献血推進課長 日本赤十字社の鹿野です。私の方からは「令和5年度の献血の受入れに関する計画(案)」を御説明させていただきたいと思います。本計画(案)については、先ほど、15ページの参考資料にある国の「令和5年度の献血の推進に関する計画(案)」に基づき作成をさせていただいております。また、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律及び同施行規則に基づき、各都道府県と協議して、献血の受入計画と血液の目標量を確保するため、必要な措置に関する事項及びその他の受入れに関する重要事項を定めたものとなります。13ページの別紙4に各都道府県血液センターにおける主な取組が記載されているので、後ほど御覧いただければと思います。
 第1の「令和5年度に献血により受け入れる血液の目標量」については、先ほども御説明がありましたが、全血献血は約135万L、成分献血は血漿成分献血が約54万L、血小板成分献血が約31万Lで、合計約220万Lとなります。この計画については、9ページの別紙1にある「令和5年度都道府県別必要量」、さらには10ページの別紙2-1「令和5年度に献血により受け入れる血液の目標量」に示しております。
また、第2の「献血をする者の募集その他の第1の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」については、1の「献血受入体制」については、新型コロナウイルス感染症の防止対策を講じた安全かつ安心な献血の受入環境を保持するなど、継続した献血協力につながるよう、環境の整備を行ってまいりたいと思います。
 また、2の「献血受入のための施策」については、(1)の「普及啓発活動の実施」、アの「国民全般を対象とした普及啓発」、「(ア)全国的なキャンペーン等の実施」、4ページの「(イ)企業等への献血推進対策」、「(ウ)複数回献血の推進」、「(エ)献血予約の推進」に努めてまいりたいと思っております。次の5ページ、イの「若年層を対象とした普及啓発」、「(ア)普及啓発資材の作成及び活用」、「(イ)効果的な広報手段等を活用した取組」、「(ウ)献血セミナーの実施など学校等への献血の普及啓発」、下段のマル1「小学生、中学生を対象とした対策」、マル2「高校生を対象とした対策」、6ページのマル3「大学生を対象とした対策」、さらには、ウの「幼少期の子供とその親を対象とした普及啓発」など、献血セミナーを含めた啓発に取り組んでまいりたいと思っております。また、(2)の「採血所の環境整備等」、アの「献血者が安心して献血できる環境の整備」、下段イの「献血者の利便性の向上」、「(ア)常設献血受入施設における対応」、次の7ページ「(イ)移動採血車における対応」、「(ウ)献血予約の推進等」。
 第3の「その他献血の受入れに関する重要事項」としては、1の「献血の受入れに際し、考慮すべき事項」、「(1)健康管理サービスの実施」、「(2)血液製剤の安全性を向上させるための対策」、「(3)まれな血液型の血液の確保」、「(4)献血者の意思を尊重した採血の実施」。2の「輸血用血液製剤の在庫管理と不足時の的確な対応」。さらには、8ページの「3 災害時等における危機管理」、「4 効率的な原料血漿の確保」、最後の「5 献血受入施策の分析と評価」。このような内容を含めて、令和5年度の計画(案)としております。説明は以上です。
○三谷部会長 ありがとうございました。ただいま、赤十字社の方から「令和5年度の献血の受入れに関する計画(案)について」説明を頂きました。ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたら御発言をお願いいたします。ミュートを解除していただき、お名乗りの上、御発言いただけると幸いです。
よろしいでしょうか。特段の御意見はないようです。
 それでは、議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。なお、松下委員は今回の議決には加われません。当部会としては、「令和5年度の献血の受入れに関する計画(案)について」適当であると認める旨を議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。多くの先生方に御参同いただきました。特に御異議はなかったものと認めます。それでは、本件については薬事分科会における確認事項に基づいて、当部会の議決をもって、「令和5年度の献血の受入れに関する計画(案)について」適当であると認め、薬事分科会に報告することといたします。
なお、その他の取扱いについては、私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。御異議はなかったと認めさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議題2に入ります。議題2「令和5年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について」です。では、松下委員は御退席をお願いします。
委員の皆様には、昨年12月の部会において、本計画(案)について御議論いただきました。今回は、その際に空欄となっていた原料血漿の標準価格も含めた最終(案)について、本部会で審議をしたいと思います。では、事務局から資料について説明をお願いします。
○吉田需給専門官 事務局です。議題2について説明いたします。議題2は「令和5年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について」になります。令和5年度の需給計画(案)に関しては、昨年12月に開催された血液事業部会で原料血漿の標準価格を除く部分について御審議いただきましたが、今回は原料血漿の標準価格も含めた最終(案)について、御審議をお願いいたします。
資料2の1ページが諮問書、2~6ページが「需給計画(案)」の本体になります。
 需給計画は、血液法第26条の規定に基づき、翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を策定するものです。計画の内容は、令和4年度の需給計画同様としており、原料血漿の配分量や供給見込量等の数値を令和5年度の計画値に置き換えております。
 3ページを御覧ください。血液法第26条第2項で規定されている、本計画で定めることとされている各事項については、第1の「令和5年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量」は6ページの別表(ア)欄に、第2の「令和5年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標」は6ページの別表(イ)欄に、第4の「令和5年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標」は6ページの別表(ウ)欄に、第5の2の「令和5年度に輸出すると見込まれる血液製剤の種類及び量」は6ページの別表(エ)欄に、それぞれお示ししております。これら需要見込や目標量に関しては、血液法に基づき製造販売業者から報告される届出や近年の供給実績を基に、医療需要に対して過不足が生じることなく、安定的に供給されるよう算出したものです。
 6ページを御覧ください。参考として、令和4年度末の在庫見込量の報告を頂いており、この在庫見込量に(イ)の製造・輸入目標量を加え、(エ)の輸出量を引いたものが一番右端の「供給可能量」になっております。この供給可能量が(ア)の需要見込よりも多ければ、安定供給が可能になります。供給可能量と(ア)の需要見込を比較したところ、全ての製剤において供給可能量が需要見込を上回っている、あるいは同等となっておりますので、令和5年度は全ての血液製剤が安定的に供給されると考えております。
 なお、補足になりますが、血液凝固第VIII因子製剤については、換算規格が2段になっております。換算規格が1,000単位1瓶のものが献血由来の血液凝固第VIII因子製剤、エミシズマブ以外の遺伝子組み換え型製剤。換算規格が延べ人数になっているものがエミシズマブとなります。両者は、規格・単位が違い、統一できないため2段で記載しております。
 3ページに戻っていただき、第3「令和5年度に確保されるべき原料血漿量の目標」ですが、120万Lを目標量としております。4ページになりますが、血液製剤の製造業者等に配分する原料血漿の種類及び見込量を定めております。見込量は合計で120万Lになっております。
以上が、12月の部会において御審議いただいた部分です。
 今回、12月の部会から変更した点は2点です。一つは、原料血漿の標準価格を記載したこと。もう一つは、別表輸出欄の輸出数量を変更しております。
まず、一つ目の変更になりますが、原料血漿の種類ごとに標準価格について4ページに記載しております。下線部分になります。価格は今年度と同額としており、凝固因子製剤用が1L当たり12,210円、その他の分画用が11,180円としております。
 標準価格の考え方については、7ページ「令和5年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」を御覧ください。標準価格算定の基本的な考え方は、これまでの考え方と同様です。日本赤十字社では、輸血用血液の確保と原料血漿の確保が並行して行われており、人員や装置等が兼用されているため、明確に切り分けることが困難である中、原料血漿確保のために必要と考えられる部分について費用を算出し、価格を計算しております。
血漿成分採血については、献血全般に共通する事項とサービスに係る経費を除いて、必要な経費を積算しております。
 全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては、一部に限定して積算しております。例えば、人件費に関していえば、全血採血及び血小板採血から作られる原料血漿は、輸血用血液製剤を作るときに出てくる副産物という考えで整理しており、検診や採血に係る人件費は計上しておらず、原料血漿の凍結に要する費用のみを計上しております。その上で、基本方針やタスクフォースの提言及び日本赤十字社や製薬企業の収支状況等を勘案し、決定することとしております。
 採血区分別の原料血漿確保に係る費用の内訳については、9ページの表を御参照ください。費用は、採血から原料血漿を製造・保管するまでに必要な材料費と人件費、原料血漿の凍結・一時保管費用等に要する経費、及び原料血漿の輸送・貯留保管経費の管理供給費で構成されております。
採血種別ごとに積算する費用ですが、全血採血と血小板成分採血については、材料費は必要な材料費のうち、血液バッグ代と製品表示ラベル代のみ、人件費は原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費、経費は原料血漿の凍結・一時保管に係る経費、管理供給費は原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。
 血漿成分採血については、材料費は必要な材料費を全額、人件費は原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費のほかに、検診や採血、検査等に係る医師、看護師、検査職員、事務職員の人件費、経費は原料血漿の凍結・一時保管経費のほかに、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費、検査機器等の保守関連経費等、管理供給費は原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。
 7ページに戻ります。原料血漿の標準価格については、これまでと同様に、まずは凝固因子製剤用の原料血漿についての経費の積算を行っております。確保目標量の合計を120万Lとし、400mL採血や血小板成分採血等の採血区分ごとに原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しております。この積み上げに用いる経費については、基本的には日本赤十字社の令和3年度の実績の数値を用いています。人件費については、人事院が実施する直近の職種別民間給与実態調査により、算出しております。
 採血区分ごとの1L当たりの単価に、採血方法別の原料血漿確保見込量を乗じて、採血方法別の確保費用を算出します。その総額を原料血漿確保目標量120万Lで除し、10%の消費税率を乗じて、1L当たりの凝固因子製剤用価格は12,330円と算出しております。こちらは、令和4年度と比較して1L当たり670円の減となっております。
 採血方法別の原料血漿の確保量については、献血推進計画にのっとって、日本赤十字社が策定した令和5年度の事業計画に基づいて設定しております。その他の分画用原料血漿については、従来と同様に、凝固因子製剤用の価格改定率を用いて、比例計算で算出した結果、11,320円となっております。令和4年度と比較して、その他分画用は1L当たり610円の減となっております。
 なお、原料血漿の価格については、血液法の基本方針、血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会最終報告書及びワクチン・血液製剤産業タスクフォースにおいて、原料血漿確保の低減について言及されております。原価計算方式に基づく価格の積算と、需給計画で定める標準価格には差がありますが、血液法の基本方針等の原料血漿価格に関する議論等を踏まえ、日本赤十字社や血液製剤の製造販売業者の収支状況等を勘案し、標準価格を変更する特別な要因はないと考えることから、令和4年度と同額の、凝固因子製剤用が1L当たり12,210円、その他分画製剤用は1L当たり11,180円としております。
 二つ目の変更になりますが、輸出については、6ページの需給計画の別表になりますが、下線を引いた血液凝固第IX因子製剤について輸出量を変更しております。血液凝固第IX因子製剤は、KMバイオロジクス社が令和4年度に輸出を予定しておりましたが、輸出予定国との調整が間に合わず、令和4年度の輸出がなくなりました。令和5年度より輸出予定となり、輸出開始時期が令和5年度になったことから、昨年12月の血液事業部会時では6,200本の輸出計画でしたが、4,200本に変更しております。
以上が、資料2の説明となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○三谷部会長 事務局より原料血漿の標準価格、そして別表の輸出量の変更を含めた最終案について、説明を頂きました。ただいまの説明について御意見、御質問等がおありでしたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。田野﨑先生、お願いいたします。
○田野﨑委員 慶應大学の田野﨑です。原料血漿標準価格は変わらずに、原料血漿確保量120万Lと僅かに減っているぐらいで、輸血用血液製剤の需要に対する供給量としては問題ないと思いますが、昨今、免疫グロブリン製剤が非常に需要が高まっていて、医療現場では供給が少し滞る可能性があると、企業側からも相談を受けているような状況です。
 必ずしも、この原料血漿が足りない理由が、現在の製造能力で生産が間に合わないということで、この配分量が増えるから良いというものではないと思いますが、このような理由から、今後、原料血漿の供給量としては段々足りなくなり、海外から輸入する免疫グロブリンの比率が年々高くなる傾向にあるのではないかと思います。現状では、今後の見通しを含めて、どのようになっているのでしょうかという質問です。以上です。
○吉田需給専門官 事務局から回答いたします。先生、御質問ありがとうございました。先生の御認識のとおり、現状、免疫グロブリンに関しては、年々需要が増えております。特に需要が増えているものは、国内献血由来のものではありませんが、皮下注製剤が増えている状況です。こちらの皮下注製剤が増えていくということは、国内で皮下注製剤がまだ開発されておりませんので、国内自給率は下がってくる状況になると思われます。
 また、グロブリン製剤で液状10%等もありますが、国内メーカーは、製造も供給もギリギリな状態を保っておりまして、今後、需要が増えてしまうと、海外からの輸入量も増えてくるかと思われます。今後も引き続き検討していきたいと思います。以上です。
○田野﨑委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
○三谷部会長 ありがとうございました。田野﨑委員よろしいでしょうか。ほかに御質問等いかがでしょうか。長村委員、お願いいたします。
○長村委員 長村です。6ページの別表で、「組織接着剤」というものが記載されていますが、これはどのようなものでしょうか。少し説明が聞き取れていなかったので。「乾燥人フィブリノゲン」の下の「組織接着剤」です。
○吉田需給専門官 事務局より回答いたします。この「組織接着剤」がどのようなものに使われているかという回答でよろしいでしょうか。
○長村委員 はい。
○吉田需給専門官 こちらは、血液事業報告書に載っているままで申し訳ないのですが、組織の接着、閉鎖となっております。これでよろしいでしょうか。
○長村委員 クリオということなのでしょうか。製剤名としてよく認識していなかったので。
○吉田需給専門官 製剤名だとタコシールという製剤名で販売されております。
○長村委員 なるほど、分かりました。これも、需要見込よりも供給可能量、輸入の血漿由来が結構多いような気がしたのですが、供給可能量の方が多いので大丈夫という認識でよろしいのでしょうか。
○吉田需給専門官 そちらは御認識のとおりです。輸入製剤の方が多いですが、国内メーカーも頑張って製造している状態で、国内自給率は年々上がってきている製剤となっております。
○長村委員 そうですか。分かりました。ありがとうございます。
○三谷部会長 ほかに御質問、御意見等おありでしょうか。濱口委員お願いいたします。
○濱口部会長代理 6ページの血液凝固第VIII因子、第IX因子製剤についてお伺いしたいのですが、これを見ますと、遺伝子組換えのところの製造量が、十分に需要見込量を超えている状況だと思うのですが、輸出されるのは、国内ヒト血漿由来のものから輸出ということになるのでしょうか。この辺りの内訳がもし分かるようでしたら教えてください。
○吉田需給専門官 事務局から回答いたします。先生、御質問ありがとうございます。先生の御認識のとおり、血液凝固第VIII因子製剤、第IX因子製剤に関しては、国内血漿由来製品のもののみを輸出という形になります。以上です。
○濱口部会長代理 ありがとうございました。
○三谷部会長 ほかに御質問、御意見等おありでしょうか。
ただいまのところ、三つの御質問を頂戴しております。田野﨑先生からは、免疫グロブリン製剤の需要増加に原料血漿の供給が追い付くかどうかという問題。それから、長村委員からは「組織接着剤」に関する御質問。そして、最後に濱口委員より、輸出される凝固因子製剤に関する御質問を承りました。
ほかに御質問はおありではないでしょうか。よろしいでしょうか。
いずれの御質問も、御提案の内容の変更を求めるものではなかったと認識しておりますので、議決に入りたいと思います。よろしいでしょうか。なお、堺田委員は今回の議決には参加できません。また私についても、同様の扱いといたします。当部会として、令和5年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について、適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
先生方、ありがとうございます。議決については、特に御異議はなかったと認めます。それでは、薬事分科会における確認事項に基づき、当部会の議決をもって、令和5年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について、適当であると認め、薬事分科会に報告することといたします。
なお、その他の取扱いについては、私に御一任いただくことでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は挙手をお願いいたします。ありがとうございました。それでは、異議はなかったと認めたいと思います。事務局におかれましては、部会意見を踏まえ。
高橋先生、御賛同でよろしいでしょうか。
○高橋委員 はい、大丈夫です。
○三谷部会長 ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、部会意見を踏まえ、本計画の告示の手続を進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題3に入ります。ロビーの松下委員をお呼びください。お戻りでしょうか。
議題3は「運営委員会委員の指名について」です。本日は、血液事業部会運営委員会規程に基づき、部会長の私から運営委員会委員の指名について御報告いたします。説明は事務局からお願いいたします。
○仲島課長補佐 事務局から説明させていただきます。資料3を御覧ください。運営委員会の指名についての説明になります。委員会名簿1枚を添付しています。
血液事業部会運営委員会規程によりますと、委員会に所属すべき委員は血液事業部会長が指名することとなっていまして、指名したときは当部会に報告することとなっています。
 今回、指名後の初の部会になりますので、指名されました委員の皆様方を御紹介いたします。武田飛呂城委員、田野﨑隆二委員、濱口功委員、松下正委員、松本剛史委員、水上拓郎委員です。委員長につきましては、田野﨑委員が委員の互選により選出されていまして、田野﨑委員長から松下委員を委員長代理に指名しています。報告は以上になります。
○三谷部会長 ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等ありましたら御発言ください。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、今回の新しい運営委員会体制につきまして、御承認いただいたとさせていただきます。
 それでは、議題4「その他」に入ります。事務局より資料の説明をお願いします。
○仲島課長補佐 事務局です。議題4「その他」につきまして、はじめに、「地方分権改革提案事項検討結果について」、御説明します。
昨年、地方分権改革概要として本部会で報告させていただいたものに関して、令和4年度において検討した結果につきまして、御報告させていただくものです。
 資料につきましては、4-1-1、4-1-2、4-1-3を御用意ください。今回、本件について検討することとなった経緯を簡単にまとめたものが、資料4-1-1になります。4-1-2は、令和4年度において検討してまいりました結果をまとめまして、事務連絡として地方自治体に送付する(案)を用意しています。4-1-3は、先月1月16日に本件について検討してまいりました献血推進調査会でのまとめの資料になります。
 それでは、資料4-1-1を御覧ください。「地方分権改革提案事項検討結果について」になります。1ページお進みください。先ほども簡単に触れさせていただきましたが、検討することとなった経緯について、簡単にまとめています。
 令和3年地方分権改革提案概要になりますが、提案があったのは都道府県献血推進計画の策定義務付けの廃止になります。提案した都道府県の主張としましては、都道府県の献血推進協議会において、献血の推進等に関する施策について調査審議していること、また、県血液センターとは常に密に連携を取っていることから、都道府県献血推進計画を廃止しても、現状と変わらず普及啓発が可能であることから、廃止することで計画策定に関する事務・人役が減り、行政の効率化につながるということでした。
 この提案に関する対応方針が、令和3年12月21日に閣議決定されまして、薬事・食品衛生審議会における今後の血液事業の在り方の検討の中で検討し、令和4年度中に結論を得るとされたものです。
 1ページお進みください。「令和4年度の薬事・食品衛生審議会開催状況(概要)」があります。令和4年度において、血液事業部会の調査会になります献血推進調査会で検討してきた概要をまとめたものです。
 まず、第1回、7月28日に開催しました調査会ですが、キックオフを行いまして、関係者インタビューの進め方等について議論をしました。
 第2回開催の9月22日の調査会になりますが、先の提案団体、非提案団体から御出席いただき、地域の事情を踏まえたお話を頂きまして、質疑をさせていただきました。
 10月24日の第3回調査会で、そのインタビューと調査会の意見を踏まえた方向性の(案)を示し、12月13日から26日にかけて献血推進計画見直しの方向性について、全都道府県を対象に調査をしまして、1月16日開催の第4回調査会で、調査結果を踏まえた案、資料でいきますと4-1-3を御審議いただき、了承いただいたところです。
 資料4-1-2を御覧ください。第4回調査会審議結果を踏まえた、都道府県に送付する事務連絡の(案)になります。今回、検討して得られました結果としては、都道府県献血推進計画を引き続き作成することとなりますので、現状と変わりはありません。事務の取扱いについてお知らせするものになりますので、事務連絡とさせていただきました。
 まず、上段について、先ほど4-1-1の内容を文書にしたものになっています。中段から少し下に「記」とありますので、ここからが連絡事項になります。
「(1)都道府県献血推進計画の計画期間について」ですが、1ページ進んでいただきますと、ポチが二つありまして、最初のポチで、「当該年度に献血により確保すべき血液の目標量」につきましては、引き続き毎年度策定することをお知らせしています。二つ目のポチで、献血の普及啓発に係る事項と、その他の重要事項については、変更の必要が生じたときに変更することで差し支えないとしています。普及啓発につきましては、成果が出るのにある程度の期間がかかるものもありますので、地域の実情に応じて必要が生じたとき、変更いただくということになります。
 続いて、「(2)その他の策定に伴う手続について」が、今回の事務の負担軽減や効率化に関するところです。県計画の策定時期になりますが、先ほど触れました4-1-3の資料の最後のページに、策定スケジュールがあります。今までは一番右端にありますように、2月末から計画を策定していましたが、本日の議題1の資料にありました都道府県ごとの目標量は、この資料の真ん中にありますが、今年度の実績では、11月8日、この日以降から県の血液センターとの調整が始まりますので、この調整で確定した量をもって計画を策定できるとしています。同様に県の手続についても、各県の判断でとしています。
 今回、いろいろな御意見を頂く中で、人員の確保がされていないなどもありました。策定期間を確保することで、人手の少ない中でも効率的に事務手続が図れると考えられますので、このようにさせていただきました。
 本日、この取組についてお認めいただけましたら、早急に当該事務連絡を発出させていただきます。説明は以上になります。
○三谷部会長 ただいま、地方分権改革提案事項の検討結果につきまして、説明をいただきました。「当該年度に献血により確保すべき血液の目標量」に関しましては、今後も毎年度策定していただくこと、また献血に関する普及活動、その他必要な措置に関する事項に関しましては、変更が生じたときにのみ修正をしていただくということになったということです。ただいまの説明について、何か御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いします。高橋委員お願いします。
○高橋委員 法政大学の高橋です。私、地方分権の方も関与していまして、今回地方の提案を受けて、目標量はきちんと毎年度作るけれども、策定のあり方については柔軟に、その判断は県独自の判断でできるようにするとの決定を頂きました。本当にありがとうございました。献血推進調査会の先生方にも、心から御礼を申し上げたいと思います。
 とにかく廃止という提案が出たのですけれども、やるべきことは行った上で、計画倒れといいますか、計画だけ作ったらもうそのままで、実際上の関係者の協議に手が回らないという状態ではなくて、できる限りの、持っているヒューマンパワーで、できる限りこの領域についての行政課題を推進する観点から、こういう結論を得たと思います。心から御礼を申し上げたいと思います。以上です、どうもありがとうございました。
○三谷部会長 高橋委員、貴重なコメントをありがとうございました。ほかに御意見、コメント等ありますか。武田委員、お願いします。
○武田委員 武田です、よろしくお願いします。頂いた資料の4-1-3の3ページですか、これからの策定スケジュールということで書かれていると思いますが、もうこれは次年度、令和5年度からこのスケジュールで実施していくということでよろしいでしょうか。
○仲島課長補佐 事務局からお答えします。令和5年度からこのスケジュールで考えています。
○武田委員 ありがとうございます。来年度からこの日赤への事務連絡、11月上旬から調整ができるという形になっていますので、検討する時間がこれまでの1か月足らずだったところから増えるということだと思います。まずこの形で来年度行っていただくということになって、その後この日数で果たして都道府県の方がもう少し日数が欲しいのかどうかとか、そういったところも聞いていただいて、もしこれよりも早められるということであれば、きちんと検討していただける時間を取って行っていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○三谷部会長 武田委員、ありがとうございました。目標量策定に要する時間を少しかけられるということで、良いことではないかと思います。来年度からうまくいけばよろしいかなと思います。ほかに御意見等おありですか。よろしいでしょうか。
 それでは続きまして、血小板製剤の輸血による細菌感染が疑われた事例についてです。資料4-2-1と資料4-2-2について、まとめて説明をうかがった後に、質疑を行うことにしたいと思います。まず、日本赤十字社より資料4-2-1について説明をお願いします。
○日本赤十字社後藤技術部次長 それでは、日赤の後藤より、「血小板製剤の輸血による細菌感染が疑われた事例について(第2報)」として御説明します。資料4-2-1を御覧ください。
まず1番、経緯ですが、令和4年11月7日に医療機関から、血小板製剤による細菌感染が疑われる症例が2症例報告されました。1症例は死亡されたことが判明し、重大な事例であることから、昨年12月2日に開催された令和4年度第1回血液事業部会に報告し、感染の拡大のないことが確認されたところです。今回は、その後の経過について報告いたします。
 次です。事例について改めて御紹介します。事例の1番、患者は70代の男性で、原疾患は悪性腫瘍でした。併存疾患のため手術前に血小板輸血が必要な状況でした。投与日の投与前体温は37.2℃。投与50分後、頭痛、吐き気、咳嗽あり。アレルギー症状が疑われ、輸血は中止されました。予定していた手術についても中止されました。投与2時間後、体温が39.8℃まで上昇したとのことです。投与後1日目にICUへ転棟し、血液培養検体を採取し培養を実施しました。投与後二日目には血液培養検体より、Morganella morganiiを同定し、メロペネム水和物の投与を開始しました。その後、細菌感染症状は回復するも、後遺症が残ったとのことです。
 もう一つの事例、事例2の患者は、こちらも70代の男性で、狭心症に対し緊急手術目的に前医より転院してきました。2種類の抗血小板薬を内服中であり、中止できない状況で、冠動脈バイパス術を実施しました。投与日は、手術部位感染予防のためセファゾリン2gを投与し、術中の輸血前は体温35.9℃、血圧86/84mmHg、SpOが97%でした。術中に血小板製剤は全量投与されました。術中の輸血後体温は35.8℃、血圧は61/45mmHg、脈拍が103回/分、SpOが98%でした。投与後1日目、ICU入室直後より、血圧の急激な低下があり、多臓器障害が出現しました。血液培養検体を採取し、血培を実施するとともに、メロペネム、バンコマイシンの投与を開始しました。次のページにお進みください。投与二日後、ECMOを装着しました。血液培養検体より、Morganella morganiiが同定されています。投与三日目に、敗血症性ショックにて患者様は死亡されました。
 続いて、3番の製剤や検査の状況について御説明します。まず輸血された血液製剤は、事例1の照射濃厚血小板は、採血後四日目であり、投与量は約40mLでした。事例2の照射濃厚血小板は、同じく採血後四日目で、全量約200mLが投与されました。事例1、事例2の血小板製剤は、同一供血者からの同一採血により製造されたものでした。
続いて、「(2)検体検査等の状況」についてです。まず、投与を中止した事例1の当該製剤の試験結果は、細菌分離・同定試験が陽性、Morganella morganiiが同定されました。こちらは東京都健康安全研究センターに実施をお願いしました。エンドトキシン定量試験は、2,000pg/mL以上でカットオフ値が1.0ですので、陽性ということになります。こちらはSRLに依頼しました。
続いて、事例1の当該製剤から検出された菌株と、事例1、事例2の患者由来菌株の相同性については、パルスフィールドゲル電気泳動法による遺伝子型検査で、差異は認められなかった、つまり相同性が認められました。こちらはLSIメディエンスに依頼しました。
 なお、同一採血番号の原料血漿の試験結果は、無菌試験が適合で、エンドトキシン定量試験は0.8pg/mL以下とカットオフ値以下になりました。そして、今回の供血後に採取した供血者の方の調査用検体の試験結果は、無菌試験が適合で、エンドトキシン定量試験が0.8pg/mL以下という結果でした。
 最後に、本事例を受けての日本赤十字社の対応は、本件に係る医療関係者に向けた注意喚起の情報として、令和4年11月24日に当社Webサイトの医薬品情報ページに、緊急・重要なお知らせ「血小板製剤の輸血による細菌感染症(死亡)事例について」を掲載するとともに、メール配信サービス利用者へ本文書掲載を周知しました。
 その後、当社の情報媒体である「輸血情報」において、「血小板製剤の輸血による細菌感染が疑われた事例について」というのを作成し、令和4年12月16日より医療関係者への配布を開始し、改めて血小板製剤による細菌感染の伝播リスク、医療機関における輸血用血液製剤の外観確認や投与開始後の患者状態の観察等の重要性について、周知しました。
 また、日本赤十字社内においても、全血液センターに本件の発生について連絡し、輸血用血液製剤への細菌混入に対する安全対策の周知徹底を図りました。引き続き、細菌スクリーニング検査の早期導入に向けた取組を推進するとともに、医療機関への血小板製剤使用時の細菌感染リスクに係る情報提供を続けてまいります。私からの説明は以上です。
○三谷部会長 ありがとうございました。御質問等はまとめて後で受け付けたいと思いますので、続きまして資料4-2-2につきまして、事務局より御説明をお願いします。
○有田課長補佐 事務局の有田です。資料4-2-2を御覧ください。厚生労働省では、今回の血液事業部会を受けて、自治体等の衛生主管部局長宛てに、御覧の通知を発出する予定です。内容としましては、輸血用血液製剤については、感染症伝播等のリスクを完全には排除できないこと。本日の血液事業部会において、人血小板濃厚液の使用後に細菌感染により重篤な症状を呈し、死亡に至った事例が報告されたこと。またそれを受けて、医療関係者に対して人血小板濃厚液の安全確保措置の周知徹底を行うことが適当とされたことなどが書かれています。
 「記」以下に関しましては、注意事項等情報に記載された内容になりますので、後ほど御覧いただければと思います。事務局からの説明は以上です。
○三谷部会長 はい、ありがとうございました。今回、まず日赤の方から、血小板製剤の輸血による細菌感染が疑われた2例につきまして、続報を御説明いただきました。また後半では、厚労省側の対応について御説明を頂いております。これらの件につきまして、何か御質問、御意見等おありの委員の先生は挙手をお願いします。館林委員、お願いします。その後、長村委員お願いします。館林委員、お願いします。
○館林委員 読売新聞の館林です。よろしくお願いします。日赤の資料にありました、細菌スクリーニング検査の早期導入に向けた取組を推進しているということについて、現状どうなっているか教えてください。
○日本赤十字社後藤技術部次長 細菌スクリーニングの導入については、早期の導入に向けて準備を進めているところで、2025年に導入できるように準備を進めているところです。
○三谷部会長 館林委員、よろしいでしょうか。
○館林委員 結構です。
○三谷部会長 それでは、長村委員、どうぞ。
○長村委員 私も導入の時期について、同じ質問をしたかったのが1点です。
もう一点、資料4-2-1の「(2)検体検査等の状況」の「マル3同一採血番号の原料血漿の試験結果」というところと「マル4供血者調査用検体の試験結果」で、いずれも無菌試験が「適合」ということは陰性だったという、これは同じ検体という意味でしょうか。その辺りが分からなかったので質問させていただきました。
○日本赤十字社後藤技術部次長 御質問ありがとうございます。こちらについても、日赤の後藤から御回答します。まず、マル3の「同一採血番号の原料血漿」というのは、血小板製剤を採血するときに一緒のタイミングで採取する原料血漿の分がありますので、そちらの検査ということになります。
そして、「無菌試験:適合」というのは、無菌試験が陰性だった、一定期間培養して菌の発育が見られなかったので、無菌試験は適合、つまり陰性ということになります。
 マル4の、供血後に採取した供血者の検体というのは、この事例が発生してから、この供血者の方に、その後の状態について試験採血をお願いして、頂いた別の検体になります。こちらも、無菌試験では菌の生育が見られなかったということになります。以上です。
○長村委員 そうしますと、マル4は同じ時期ではないと。マル3は同じ日に採血したもので、実はそのものは陰性だったけれども、医療機関に提供したときに陽性になったというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 そのとおりです。全く同じ採血であっても、血漿の方が陰性、血小板の方が陽性になったということです。
○長村委員 全製剤の無菌試験を実施するということなのですが、その場合も、これと同じように、一部の採取した血漿又は血小板を採っても陰性だけれども、提供したものが陽性になって、乖離する可能性があるということになりますか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 これは採血のときの条件によるもので、例えば全血を採血して、その全血にかなりの量のバクテリアが含まれていたとしても、それを遠心して血漿を培養しますと、ほとんどの場合、血漿は培養で陰性となります。ですので、遠心でバクテリアはほとんど全部下に落ちますので、今回のこの例も、成分採血のときに血漿の方は遠心を掛けられていて、バクテリアは完全に下に沈んでしまうということになります。
○長村委員 確かに遠心すると赤血球が下に行きますので、血小板はその上に、また血漿となりますので、血漿の方にはなかったけれども、その下の層に行ったという理解ですね。分かりました。なるべく早期に無菌試験が導入されることを期待します。
○三谷部会長 ありがとうございました。脇田委員、どうぞ。
○脇田委員 今回の血小板製剤の細菌のコンタミの原因としては、採血時の問題というように考えられているのか、というのが1点。
2点目は、細菌のスクリーニングということがありましたけれども、方法論としては、導入が決まっているということですので、確立されているのだろうと思いますので、その方法について教えていただけますでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 どこからMorganellaが入ってきたかということは、もちろんあくまでも推定ではありますけれども、もともと健康な人の腸管に常在しているものですので、あり得ることとしては、そのバクテリアが腸管壁から血管内の方へトランスロケーションして、それが一時的な菌血症になって、そのときにたまたま採血を行ったというのが、あり得ることかなというように考えております。もう一つの可能性は皮膚からでありますが、皮膚のところで腸管由来のバクテリアが付着していて、それが消毒にも耐えて一緒に採血されたというよりは、最初の方の可能性の方が高いのではないかと考えております。あくまでもこれは推測であります。
 それから、バクテリアのスクリーニングと申しますのは、世界中でほぼ定法として決まった形でありまして、我々もその形を考えております。具体的には、血小板採血を行った後、36時間あるいは40時間ぐらい血小板製剤を置いた後、ある程度バクテリアが増えたところで、そこから合計16mLを製剤から採取しまして、8mLずつ嫌気ボトル、好気ボトルに接種しまして、24時間培養して、そこで陰性だったもの、その血小板を、病院にお届けする。これがこの計画の粗筋です。
○脇田委員 ありがとうございました。
○三谷部会長 時間を置いた検体で、もう一度スクリーニングをされるということですね。続きまして、宮川先生、お願いします。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。佐竹所長からの御説明にありましたように、日本のそのような採血の時間的な待機時間と、諸外国の待機時間に違いがあるということが、細菌のスクリーニングのシステムとして浮彫りになったのかなというように考えています。100%それを防ぐことはできないにしても、諸外国の例をとれば、少しばかりはこのような危険性が少なくなるということが想定されますので、できる限りその方法をとっていくという形、つまり、採血をしてから一定時間以上置くということで、その血液の中の状況を、外観だけではなく、細菌等を含めて増殖のありやなしということがはっきり分かる時間をとることが、非常に重要かなと考えます。しかしながら、早期導入をなるべく早くしなければいけないので、時間的なタイムラグが非常に心配であるということは確かだろうと思いますので、なぜ導入までの時間がこれだけかかるのかということも含めて、教えていただきたいというのが1点です。
 あわせて、これを確実に行えば、100%防ぐということができるのかできないのか。今お話があったように、できないということも海外の事例でも少しあるような感じもするのですが、そこについても所長から御説明いただければと思います。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 御質問ありがとうございます。まず、後の方の御質問に関しては、この方法が非常にスムーズに行われたとしても、100%細菌の汚染を防ぐことはできないことは海外でも証明されています。現在とっている戦略よりも少しでも安全性が高まる方法として、これを採用するという考え方で、この細菌スクリーニングの導入を決めたということです。
 それから、どうして時間がかかるのかということについてですが、もちろんそのためには、製剤、血小板の有効期限、現在は大体三日半ですが、先ほどのスケジュールで言うと、この期限を延ばさなければなりません。ですので、期限を延ばすための製剤の新しい製造承認を得ること、それから、実際にスクリーニングをする場合に、新たなスペース、人員、機材を用意しなければなりませんので、現在、全国の血液センターで、そのスペースの確保のための工事等を進めているところです。
 それから、各国で実績はあるわけですが、我々としても、形としては、それをその方法で安全性が高まる、あるいは多くの種類のバクテリアの検出がその装置でできるということを、我々自身も検証しなければなりませんので、その検証にも相当の時間がかかります。その機器のバリデーションも、全国で数十台入れることになりますので、一台一台、血液センターに入ってからバリデーションを進めます。それから、スタッフの教育・訓練。これがうまくいきませんと、偽陽性が膨大な数出てくる可能性がありますので、ここの訓練を相当厳重にやらなければならない。そういった幾つものステップがございますので、それから、これらを全部統括するコンピュータシステムを改変しなければなりませんので、そういったことを今、全包囲で進めているところです。そういったことで、外から見ると時間がかかっているように見えますけれども、我々としては全力で進めているところでございます。
○宮川委員 詳細な御説明をありがとうございます。詳細な説明を、皆さんが理解することが大切だと理解しております。私も概略は知っておりますが、そのような詳細なことをしっかりとこの会議の中で皆さんへ周知することが必要かと考えました。こういうシステムを変えていくのには、それだけの予算もかかるということもありますので、国がしっかりとした施策の中で、このような血液事業に対しての安心・安全な体制をいかに作っていくのかということが非常に重要であります。これは厚生労働省だけではなくて、国がしっかりと考えていかないと、予算化しなければ何もできないので、ある程度皆さんがそういうことを理解して、日赤に対する理解もして、ただただ非難を言うことではなくて、建設的な論拠の中で、しっかりとした立て付けの中でこの運営を進めていくということが非常に重要だと考えております。その細かいことを所長から詳しく説明していただきたかったということが、質問の趣旨です。ありがとうございます。
○三谷部会長 ありがとうございました。それでは、堺田委員、お願いします。
○堺田委員 千葉大学血液内科の堺田と申します。先ほどの御議論から、大変分かりやすく御説明いただき、ありがとうございます。やはりこのような事例は、避け難い場合もありますが、可能な限りゼロにしていかなくてはならないということで、この事例を非常に重く受け止めております。
 この細菌検査、無菌試験の導入、スクリーニングの導入というのは、非常に重要で、期待の持てる対策かと思いますが、1点だけ確認させていただきたいことがございます。
 この供血者なのですが、先ほどの菌の御説明を頂いた際に、この菌自体は腸管細菌目の菌だと伺ったのですが、そうしますと、供血者が何らかの体調不良であった可能性が、この段階で示唆されるのではないかと思います。当日は体調不良ではないかもしれないのですが、例えば24時間前、48時間前に、何らかの体調不良があったとしても、現在コロナ禍にあって、予約制になっている献血ルームでありまして、せっかく献血するのだからキャンセルせずにと思って、少し無理をなさって献血なさる方もおられるのではないかと思うのですが、そういったスクリーニングの体制などを少し強化していくということも考えられるのではないかと思ったのですが、この点はいかがでしょうか。供血者に、追って、体調は悪くなかったかというような御確認はなさっておりますでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 このような事例が起きた場合には、後日、その献血者に来ていただいて採血をして、無菌検査をしたと先ほど申しましたが、当然ながらそのときには、採血の前後に何らかの、例えば腸管感染症を疑わせるような症状、全身の体調のことはこのような場合にはかなり詳しく聞いております。ですので、今回のこの事例の場合も、献血者においては、そのような自覚される何らかの体調不良は一切なかったという答えを頂いております。
これまで疑われた例、あるいは細菌汚染が確定された例でも、そういうものがほとんどです。問診のレベルで、このことも問診に入っておりまして、過去1か月以内に、高熱を伴うような激しい下痢、そのような症状はなかったかどうかも、献血者にきちんと聞いております。そこでチェックが入った場合には、当然ながら献血は御遠慮いただく、そういったシステムを作っております。
○堺田委員 御詳細にありがとうございます。そのようなスクリーニングはとても重要だと思いますので、継続してお願いできればと存じます。ありがとうございます。
○三谷部会長 堺田委員、ありがとうございました。続きまして、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 東京大学の佐々木です。供血者の方に、こういうことがあったということはお伝えしていると思うのですが、御自分の献血なさった血液で人が亡くなったというのは、心理的にはかなり負担になるようなことだったのではないかと思うのですが、その辺のお伝えの仕方とか、その後の供血者の方へのフォローのようなことは何かなさっているのでしょうか。その辺りをお聞きしたいと思い、質問させていただきました。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 これは非常に重要な問題でして、我々も面談するときには非常に気を遣うところであります。ただ、献血者の方に、あなたの血液のせいでこういう死亡例が出たということは、我々はお伝えはしておりません。それは、献血者の方に心理的な大きな負担を強いることになりますので、多くの場合は、この血液で副作用というものが出たので調べさせてくださいという形で、お話をすることが多いです。
 そのドナーの方については、後ほど、バクテリアの種類によるわけですが、献血をそれ以降お断りする場合、あるいは血小板ではない採血、例えば血漿の採血といったところに変えていただく、そのような処置を取っております。バクテリアの種類によりますけれども。
○佐々木委員 そうすると、亡くなったということはお伝えになっていないということなのですね。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 はい。それは伝えておりません。
○佐々木委員 「どのような副作用があったのですか」というような質問がきっとくると思うのですが、その辺はどのようにお答えになっているのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 細菌の汚染がありましたというところは伝えておりますが、その臨床的な、患者さんが最終的に亡くなられたというところまではお伝えはしていない、そういうところです。
○佐々木委員 「大丈夫だったのですか」というような質問まではこないということでよろしいのですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 私が全例をやっているわけではないので、そのとき話されたこちらのドクターとどこまでなったか、そこまでは追ってはおりませんが、概要は大体先ほどお話したとおりでございます。
○佐々木委員 質問するときの、そのようなガイドラインがおありなのですね。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 はい。そのような形で話をするようにということで、全体は統一しております。
○佐々木委員 分かりました。いろいろあったということで、また、呼ばれたということで詳しくお知りになりたい方もいらっしゃると思うものですから、それをどのように説明するかというガイドラインのようなものがあったほうがいいかなと思いましたので、またそういう点もよろしくお願いいたします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 ありがとうございます。
○三谷部会長 ありがとうございました。続きまして、館林委員、お願いします。
○館林委員 日赤のお話をお伺いして非常によく分かったのですが、世の中にこの情報を出されたときに、皆がどのように理解するのかということに対して、説明できる状態になっていたほうがいいと感じました。日赤が一生懸命細菌スクリーニング検査を進めようとしているのは非常によく分かったのですが、例えば民間企業でこういうことが起きたときは、日赤だけに任せていていいのかと思う人もいるかもしれません。そうは言っても日本の頻度は非常に少なかったということも説明したほうがいいことなのかもしれません。そうは言っても亡くなった方の命は一つだからいろいろな考え方があると思います。伝え方の整理をもう少しされているほうがいいのではないかと感じました。専門の先生はよく分かっていらっしゃると思うのですが、難しい話だなと思いました。
 あともう一つ。厚労省の事務連なのですが、敗血症になるかどうかを注意して、輸血のときに注意することで重症化を防げる効果がかなりあるのか。教えていただけると助かります。
○三谷部会長 まず、日本赤十字社からお答えいただけますか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 最初の質問が少しよく分からないところがありましたが、それは医療機関、医療に携わる方への説明のことでしょうか。それか一般国民に対する説明のことなのでしょうか。
○館林委員 1番目の方は質問ではありませんで、意見です。
 次の質問は、事務連に対して、どれぐらい医療的な効果があるのかを教えていただきたいという質問です。
○三谷部会長 大変失礼いたしました。それでは、厚労省の方から回答をお願いします。
○有田課長補佐 事務局の有田です。事務連に書いてあることですが、まず、「エンドトキシンショック、敗血症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い」というところですが、輸血をする場合には、一般的に、きちんと何分に1回等と決めて観察をしてもらって、症状が出たら直ちに中止するということをしていただいています。そういうことの注意喚起になります。それをしないで症状があるのに続けるということになると、仮に細菌感染だったときに、より重篤になるからということになります。
○館林委員 そのことについても説明できる状態になっているといいと思いました。ありがとうございました。
○三谷部会長 それでは、続きまして、水上委員、お願いします。
○水上委員 今回、日本赤十字社で検体検査をしていただいて、特に菌の相同性の確認について、LSIメディエンスに提出されて、パルスフィールドゲル電気泳動法で、相同性を確認されているというところなのですが、現在はゲノムシークエンス等があると思うのですが、そういった方法を使って、菌の由来をより詳細に調べる必要はないのかということを、一つお聞きしたいと思っています。
 もう一つ。今回の細菌汚染への対策に関してなのですが、発出予定の「人血小板濃厚液の使用時の安全確保措置の周知徹底について」でありますが、これは今までも喚起されてきたことかと思うのですが、今回の汚染の原因となったMorganella morganiiに関して、血小板製剤で汚染されていたときに、今まで報告されているような色調の変化や凝集物及びスワーリングの有無等の外観異常が、このMorganellaでも起こるのかということに関して、あるいは何か外観で分かるほかの特徴があるのかということについて、質問したいと思います。よろしくお願いします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 最初の質問に関しては、先生がおっしゃるとおり、パルスフィールドの時代かと、そういうことかと思いますが、我々の所では、質量分析の体制を整えております。ただ、もともとの調査の仕方が、バクテリアに関する検体の検査については、外部の機関で行うようにということに、歴史的なところで決められているのです。そういった意味で、我々も検体が入った場合には、外部にパルスフィールド等をお願いする形になっています。ただ、内部としては、質量分析で、検体を出した後、我々の所でそれも検討はしております。
 それから、この菌株については、入手してから外観等を見ていますけれども、外観には全く変化が出ない形でした。それから、今回の事例が起こった現場におきましても、医療機関においては外観には全く変化がなく、気付くことができなかったというように報告を受けております。
○水上委員 ありがとうございます。
○三谷部会長 今回の菌に関しては、外観検査では認めることができないということで、やはり細菌スクリーニングの導入が非常に重要かなと思います。
 ほかに何か御意見、コメント等はございますか。よろしいでしょうか。
たくさんの御意見、コメントを頂戴しました。本来、安全であるべき輸血療法の結果、今回、細菌感染が疑われた2例が出てしまい、しかも結果が重大であったということで、皆さんの関心が非常に高い案件ではないかと思います。今回、日本赤十字社の方から、2025年をめどに、細菌スクリーニング検査を導入されるということで、スクリーニング検査の内容と導入に向けたタイムラインについてお話を頂きました。本当に貴重な機会であったと思います。ありがとうございました。
 日本赤十字社におかれましては、今後の血小板製剤の安全対策について、引き続き御検討を進めていただければと思います。また、事務局においては、今回の見解を踏まえて、通知の発出等、対応をよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上ですが、委員の皆様から、何か追加の御発言等はおありでしょうか。よろしいでしょうか。御意見がないようでございます。本日はありがとうございました。
それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。よろしくお願いいたします。
○渡辺血液対策課長 三谷部会長、ありがとうございました。委員の皆様方におかれましても、各議題について活発に御議論いただき、感謝申し上げます。次回の血液事業部会の日程は、別途御連絡差し上げます。
 これにて、令和4年度第2回血液事業部会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

血液対策課 課長補佐 仲島(2909)