【照会先】

社会・援護局
  障害保健福祉部企画課:
    課長補佐 岡田 麻央、
    企画法令係長 臼井 善信
  福祉基盤課:
    法人指導監査官 平田 薫

(代表電話)
  03 (5253) 1111(内線2869)
(直通電話)
  03 (3595) 2389(企画課)
  03 (3595) 2616(福祉基盤課)

報道関係者各位

改善勧告に従わない社会福祉法人の公表について

 厚生労働省が所轄庁である社会福祉法人視覚障害者文化振興協会については、債務超過状態が継続していること等により、法人の運営が著しく適性を欠くと認められたため、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第56条第4項の規定により、改善のために必要な措置をとるべき旨の勧告を行いましたが、期限内に是正又は改善措置等が図られないことから、同条第5項の規定によりその旨を公表します。


1.当該法人について
○法人名
社会福祉法人 視覚障害者文化振興協会
 
○設立年月日
平成3年3月25日
 
○主たる事務所の所在地
大阪府大阪市福島区福島7-17-9
 
○代表者(理事長)氏名 
川越 利信(かわごえ としのぶ)
 
○実施事業
視覚障害者向け専用ラジオ放送、点字出版、就労継続支援B型事業 等

 
2.勧告について
○勧告日
令和5年3月28日
 
○勧告に対する改善報告期限 
令和5年6月30日
 
○改善報告の提出状況
当該法人から令和5年6月29日付けで改善報告があった。
 
○勧告の内容及び改善報告の状況
勧告内容に係る事項 改善報告の状況
 公認会計士等外部専門家に、社会福祉法第46条の2第1項に規定する「社会福祉法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合」(以下「債務超過」という。)に該当するか否かについて意見を聴取すること。また、その意見を踏まえ、理事会において債務超過に該当するか否かについて検討し、結果を公認会計士等外部専門家の意見と合わせて令和5年6月30日までに提出すること。  当該法人が社会福祉法第46条の2第1項に規定する「社会福祉法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合」(以下「債務超過」という。)に該当するか否かについて、公認会計士等外部専門家の意見が聴取されておらず、また、理事会においても検討されていない。
 理事会において債務超過に該当すると判断した場合は、社会福祉法第46条の2第2項の規定に基づき、理事は直ちに破産手続開始の申し立てを行うこと。  上記のとおり、理事会において債務超過に該当するか否かの判断がなされていない。
 理事会において債務超過に該当すると判断しない場合は、現在作成中である新債務清算計画案の内容を実現可能なものに見直し、現債務清算計画に代わる、令和5年度から現債務清算計画の計画最終年である令和13年度までに債務超過状態の解消を実現する新たな「財政健全化及び債務清算計画」(以下「新債務清算計画」という。)を策定し、理事会、評議員会において決議すること。  上記のとおり、理事会において債務超過に該当するか否かの判断がなされないままに、新債務清算計画(債務清算9ヵ年計画)を策定し、理事会(令和5年6月14日)及び評議員会(令和5年6月26日)において決議している。
 新債務清算計画においては、次の事項を明らかにした実効性のあるものとすること。なお、いずれか一つでも明らかでない場合は、実効性があるものと認めない。
  1. ピースエントリーシステムの導入による就労継続支援B型事業の収益強化や、JBS日本福祉放送の広告協賛による収益化等、当該法人が実施する事業の種類ごとの収入増を図るための具体的な対策、費用効果(ピースエントリーシステム、JBS日本福祉放送の広告協賛の今後の収益予想が令和5年6月末までの実績を照らし合わせて妥当かどうか、また、これらの事業が既に収益の増加や協賛企業の獲得に成功しているかどうか。)
  2. 新たな支出削減を図るための具体的な対策、費用効果
  3. 債務の返済に充てるための具体的な財源
  4. 年度ごとかつ当該法人が実施する事業の種類ごとの資金収支計画
  5. 年度ごとの債務清算計画
  6. 5.に示した債務清算計画の履行に当たり、新たな借入を元手に債務を返済することとならないよう、直近の令和4年12月末時点の債務超過額(▲7,799万円)をこれ以上悪化させないこと
  7. 5.に示した債務清算計画において、少なくとも既に返済期限が到来している借入金について、令和5年12月31日までに完済する計画内容とし、これを達成すること 
  8. 4.5.に示した資金収支計画及び債務清算計画について、年度ごとの計画値を達成すること
 新債務清算計画は、勧告に示した事項が以下のとおり明らかにされておらず、実効性があるものとは認められない。
  1. ピースエントリーシステムの契約実績、JBS日本福祉放送のスポンサー実績について、いずれも実績がなく、収入増を図るための費用効果が示されていない。 
  2. 新たな支出削減策が示されていない。
  3. 当該法人が実施する各事業が増収となることを前提とした債務清算計画となっているが、増収となる根拠が示されておらず、債務の返済に充てるための具体的な財源が明らかでない。
  4. 当該法人が実施する各事業が増収となる資金収支計画となっているが、増収となる根拠が示されていない。
  5. 当該法人が実施する各事業が増収となることを前提とした債務清算計画となっているが、増収となる根拠が示されておらず、債務の返済に充てるための具体的な財源が明らかでない。また、令和5年3月31日から令和5年6月14日までの期間に3,885万円の債務が減額されたとあるが、根拠が示されていない。
  6. 貸借対照表上のR5年3月末時点の債務超過額が▲8,169万円となっており、直近の令和4年12月末時点の債務超過額(▲7,799万円)よりも悪化している。また、その後3,885万円の債務が減額されたとあるが、根拠が示されていない。
  7. 既に返済期限が到来している借入金について、令和5年12月31日までに完済する計画内容となっていない。
  8. (期限未到来)
 新債務清算計画においては、次の選択肢について理事会で議論し、検討結果(採用しない場合の理由も含む。)を反映させること。
  1. 法人が実施している事業のうち、不採算の事業を廃止・縮減すること
  2. 事業譲渡や合併による他法人からの資金確保、又は任意整理や民事再生法の活用により、債務の抜本的圧縮を図ること 
 新債務清算計画は、以下のとおり勧告に示した事項が反映されていない。
  1. 既に不採算で実行が困難な事業(助成事業)は廃止したとの報告であり、勧告後に廃止した事業はない。
  2. 債権者との話し合いにより、減額・寄附を依頼しているところとの報告であり、債務の抜本的圧縮が図られていない。
 新債務清算計画の策定に当たっては、その内容及び適正性について、公認会計士等外部専門家の意見を聴取し、その結果を書面にして理事会、評議員会に報告するとともに、新債務清算計画に反映させること  公認会計士等外部専門家の聴取結果が提出されていない。
 新債務清算計画は、当該計画に関する決議を行った理事会及び評議員会における議事録並びに外部専門家の聴取結果を添付の上、令和5年6月30日までに提出すること。また、新債務清算計画の実施状況については、計画実施期間中において、毎年度9月30日及び3月31日の年2回、厚生労働省に対して報告すること  理事会及び評議員会の議事録の提出はあったが、公認会計士等外部専門家の聴取結果が提出されていない。

3.今後の対応について
○ 法人所轄庁として、当該法人に対し速やかに改善を求めることとし、正当な理由がないのに今後も勧告事項の改善が図られない場合は、社会福祉法第56条第6項の規定による改善命令を行う。
 
 
【参考】
○社会福祉法(昭和26年法律第45号)(抄)
(監督)
第五十六条 
4 所轄庁は、社会福祉法人が、法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該社会福祉法人に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置(役員の解職を除く。)をとるべき旨を勧告することができる。
5 所轄庁は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた社会福祉法人が同項の期限内にこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
6 所轄庁は、第四項の規定による勧告を受けた社会福祉法人が、正当な理由がないのに当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該社会福祉法人に対し、期限を定めて、当該勧告に係る措置をとるべき旨を命ずることができる。