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第2回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録
人材開発統括官付訓練企画室
日時
令和5年6月27日(火) 13:30~
場所
厚生労働省 省議室(9階)
議題
- (1)構成員からの報告
- (2)非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計について
- (3)その他
議事
○今野座長 皆さんお集まりですので、これから第2回公的職業訓練の在り方に関する研究会を開催いたします。本日は構成員の方全員出席でございます。写真はここまでとさせていただきます。
早速、議事に入りたいと思います。まず、最初に(1)構成員からの報告ですが、前回の研究会で3人の方に宿題をお願いしましたので、その発表をしていただこうと思います。大嶋さんと宇佐美さんと櫻庭さんです。事務局から1人10分と聞いていると思いますが、10分でしゃべるのは大変ですよね。ですから、ちょっとぐらいオーバーしてもいいですが、余り大幅なオーバーは駄目ということで、プレゼンをしていただきたいと思います。3人の方にプレゼンしていただいた後に、まとめて議論をしたいと思いますので、お願いします。
それでは最初、大嶋さんからお願いします。
○大嶋構成員 それでは早速ですが、御報告をさせていただきます。私は地域における人材育成に関して、以前よりヒアリングを行っておりまして、これまで情報提供をいただいていた豊岡市と、それから佐賀県の事例について御報告させていただければと思っております。まず、研究会資料の3ページ目、兵庫県豊岡市の女性向けのデジタルマーケティング人材育成事業について御報告いたします。なお、本日御報告させていただく人材育成の施策は、必ずしも非正規雇用に限ったものではございませんが、結果的にそうした方々が受講されているということで、今回御紹介させていただく次第です。豊岡市は人口流出等に関わりがあるジェンダー不平等の是正に取り組んでおりまして、女性の経済的自立支援にかねてより注力されています。この中で2021年度より、デジタルマーケティングを軸とした女性のキャリア形成支援を行っております。
デジタルマーケティングにフォーカスしている理由は、市内企業のニーズが予想されることに加えて、ハローワーク豊岡による子育て女性向けの個別就業相談会で、デジタル系企業に女性の相談が集中したことがあると聞いております。当初は離職中の子育て女性を想定したプログラムでしたが、初年度で非正規で働きながら学びたい女性の受講者が多いということが分かり、2年度目以降は、それまではオンラインの受講だったのですが、オンデマンドとスクーリングの形式に変更したと聞いております。このプログラム受講期間は5か月で180時間です。内訳を見ると週3回3時間ずつで4週間×5か月の計算です。このほかに希望者には月20時間のインターンシップの機会を提供しております。このプログラムの中では、「脱落を防ぎ出口の見える学びの設計」が重視されています。実際この無料の講座で、5か月180時間の講座で脱落を防ぐのは非常に大きな課題として認識されておりまして、そのためにスキル装着と合わせて、魅力的な就業先の確保や企業支援などの出口戦略にも重点が置かれています。まず、事前相談や説明会の参加を申込みの必須とすることで、受講者と講座内容のミスマッチを防ぐことに加えて、受講者より自宅で一人で孤独に学ぶつらさについて指摘があったことから、スクーリングを通じて受講者同士の学び合い等の関係づくりが行われております。
またこの講座では、スキルを身に付けること以外も重視されており、経営者向けのセミナーを行うことで、インターンシップや就業の受け皿を作るといった取組や、受講期間中のキャリア相談、起業支援等も行っています。本事業2022年度の修了者は資料3ページ目の下右側の図表にお示ししているように、10名中8名でしたが、このうち非正規社員等5名は、図表中赤字で示しています部分ですが、正社員転換や転職・起業準備などに進んでいるとのことです。ただ、単年度予算の中で、修了者のフォローのための予算を確保することが難しいということで、そのフォローについては今後の課題だと聞いております。この事業の特徴は、ステップアップに関するステークホルダーとの連携にあり、市とハローワーク豊岡や、豊岡ワークイノベーション推進会議と呼ばれる関連する企業との会議との基本協定を結んだ上で、告知や職業紹介、受け皿づくり等を連携するといった取組が行われています。
続きまして、佐賀県の事例についても御説明させていただきたいと思います。資料の4ページ目を御覧ください。佐賀県の施策は産業政策寄りといいますか、産業DXを推進する取組の一環として、その担い手となるDX人材の大量養成に着手しているものです。こちらも企業ニーズと結び付いたものと言えるかと考えております。現在、大きく2つのプログラムが走っておりまして、その1つが、Saga Smart Samuraiと呼ばれるプログラミングや開発手法等を学ぶ講座で、どちらかというとキャリアチェンジを想定したもので、各年度原則100名単位で実施しております。事業概要は資料の4ページ目左下の図表にお示ししたとおりですが、受講時間は講習と実習合計で123時間で、修了率は8割を維持しているところです。
もう1つのプログラムは、Saga Smart Ninjaと呼ばれているプログラムで、こちらはSaga Smart Samuraiを実施する中で、在職者の受講ニーズが高いことを踏まえ、また企業の中で、企業のデジタル技術を活用した業務効率の改善等を推進する人材も必要であろうということを踏まえて、2020年度に開始されたものです。こちらは企業で働く人がノーコードや、サービス提供を事業者側で稼働しているソフトウェアを、ネットワークを経由してユーザーが利用するSaaSを利用して、業務改善の立案や実施ができる人材の育成を行うもので、こちらは100人を対象に全27回、54時間のコースで企業派遣が多いと聞いております。
次のページにお進みください。この資料はSaga Smart Samuraiに着目いたしまして、申込者の属性や認知チャネル、それから脱落防止策について概要を見たものでございます。まず、2020年度の本講座申込者321名のうち、ボリュームゾーンは30~40代で、全体の62%を占めたと聞いております。また割合は同じですが、在職者が62%を占めたということです。20代は求職者と学生の割合が比較的高いのですが、30代以降になると、申込者のうち在職者が増えてくると聞いています。また50代以降は無業の方も申込者の中に増えてまいります。また、説明会や体験会では女性の姿も目立ち、女性の参加ニーズも高いことが伺われるとのことです。
また、図表の一番右の、講座申込者のプログラム認知経路の図表ですが、プログラムの認知経路としましては、Instagramを中心としたSNSやWebが最も多く、そして自治体の施策の認知経路として自治体の広報は有力なことが多いですが、本施策においても県民だよりも大きな経路となっており、ほかにもハローワーク等経由も多いとのことです。また、資料で「脱落を防ぎ、出口の見える学びの設計」と称している部分ですが、こちらも孤立を防ぐ仕掛けが随時に含められています。例えばこうした学びでは、分からない所ができ学習が突っかかってしまうと脱落しやすくなりますが、随時質問ができるような体制を築いています。また講師が参加するオンライン勉強会で、その場で聞けるという仕組みも構築されています。
そのほかに、講座3か月目で合同企業説明会を開催して、学びのゴールが見えた状態で最後のそれ以降の学びを続けられるような仕組みにしたり、キャリアコンサルタントによる個別就活サポートなどが行われています。そのほかに、サポート企業との交流イベントや、協力企業によるスキルアップ講座を提供したり、ジョブカフェSAGAと連携した就職に関する説明会等が行われています。このプログラムについて、修了率が非常に高いこともありまして、どのような背景があるのかをお伺いしましたところ、特別な施策を行うというよりは、受講アンケートやSlack上での受講者と講師のやり取りを見ながら常時対応を修正して、脱落を防ぐ施策を講じていくことが一番重要だと考えていると伺っております。一旦、私からの報告は以上とさせていただければと思います。
○今野座長 ありがとうございました。まだ10分たってないけれど大丈夫ですか、追加の説明はないですか。
○大嶋構成員 大丈夫です。
○今野座長 それでは次に、宇佐美さんお願いします。
○宇佐美構成員 JEEDの宇佐美でございます。私のほうから、過去、職業大基盤整備センターで行った調査研究の2テーマについて概略を紹介させていただきたいと思います。主に訓練手法に関する事例の紹介となります。よろしくお願いいたします。
6ページの資料2を御覧ください。まず1点目、若年非正規雇用労働者に対する在職者訓練コースの設定、実施プロセスに関する調査研究です。7ページの背景・目的の欄に記載しているとおり、職業能力開発機会が乏しく、不安定な就労を繰り返して企業内の人材育成の機会にも恵まれない若年者層に対して、アルバイト等をしながらでも次のステップとしての訓練を受講できるように、土日・夜間などに開催する在職者訓練コースを開発し、検証実施したという調査研究となるものです。
この調査研究に当たり、8ページを御覧ください。まず、その訓練の内容を検討する前に、事前調査という形で関東近辺と各ブロックの拠点となるわかものハローワーク、わかもの支援コーナーの利用者のうち、正社員を目指すという方810名を対象に、アンケート調査を実施して9割の方から回答を得ております。また、その回答を得た方の大体7割ぐらいの方はアルバイトなどをしていると回答していただいております。
下段、訓練が必要かどうかと聞いたところ、訓練の必要性は8割の方が訓練は必要だと感じているということです。どのような訓練を希望するかということに関しては、これは当時のトレンドになるかと思うのですが、パソコン操作のスキルといった回答が多くなっておりました。
9ページです。では、訓練期間はどれぐらいがいいのかという話を聞いたところ、3か月以下を希望する者が全体の8割程度ありました。開講頻度についても、週3日又は2日の順で希望者が多い結果となりました。
下段の訓練時間については、平日及び朝からの受講を希望するという者がそれぞれ過半数と多く、1日の受講時間については、半数以上の方が3時間以下がよいと希望するという調査結果となりました。
10ページです。訓練方式については、曜日や時間が選択できる方式、平日昼間を希望する者がそれぞれ3割を超えて多くありました。ただ、我々は土日・夜間で開発したのですが、希望としては平日が多いということになっていたのは、平日に営業している、わかものハローワークに通っていらっしゃる方を対象にしたアンケートですので、平日でも可能だという結果が多かったのだろうかと考えております。
下段、受講料についても聞いており、受講料については、就職に必要な内容であれば受講料を負担してもよいという方が55%おり、その負担額については1万円未満を希望する者が7割以上という結果となったところです。
こうした事前調査等、又はいろいろな担当者のヒアリング等を通して訓練コースの試行実施した結果が11ページです。8コースを実施して、土日コース、平日夜間コースという形、無料コース又は有料で7,000円といった形で試行実施をさせていただいております。こちらについての広報については、ハローワーク利用者へのリーフレットの配布、商工会議所の広報誌への掲載依頼又は職業能力開発施設のホームページへの掲載、SNS等により周知したということです。結果として、8コース全体で43名の受講者がいたといったところです。また、その43名の受講者のうち、非正規雇用労働者の方は56%いらっしゃいました。
12ページです。受講者は20代~40代の方が中心で、非正規雇用労働者の雇用形態については、派遣やパート・アルバイトの方がほとんどでした。訓練実施後にもアンケート調査をしており、希望する訓練期間について再度聞いたところ、当初は3か月程度という御回答が多かったのですが、受講した後の場合は、やはり6か月ぐらいを希望したいということで、ちょっと期間が延びているという結果が得られたところです。
希望する訓練頻度については、事前の調査では週3回と多かったのですが、実際、終わった後に聞いてみると週2回以下ぐらいがいいかなという方が92%という状況でした。
受講料の負担については、1万円以下と回答する者が71%と、受講前後で特に結果に差はなかったところです。簡単ですが、以上が非正規労働に関する調査研究です。
2点目、13ページです。今度は全国の求職者を対象としたオンラインによる職業訓練の試行実施に関する調査研究です。
14ページを御覧ください。こちらも、まず実際にオンライン訓練をする前に予備調査を実施しています。IT分野でのフルオンラインの職業訓練を実施するに当たって、1年以内にIT業界職種への就職・転職の意向のある方1,000人を対象に、調査機関によってWebアンケートを取らせていただきました。1,000人のサンプルを取ったわけですが、結果として約9割の方が在職者からの回答でしたので、今回御紹介させていただくこととしております。14ページの下段ですが、オンラインに関しても、やはり8割の方が受講してみたいと、非常に興味を持っているという回答をいただいたところです。
15ページです。例えば、同一の訓練内容でオンラインと対面ではどちらがいいですかということを聞きましたら、オンラインを希望する方が65.2%という状況です。なぜかと聞いたところ、やはりオンラインのメリットとしては、通所時間がかからないといった時間的制約がないというところで、デメリット、不安なところとしては、分からないときに周りの受講者に聞けないというようなことを挙げる方がそれぞれ多くあったところです。
右側、こちらも1日当たりの訓練希望時間についても聞いています。3時間程度以下を希望する者が6割以上、訓練期間については2か月程度以下を希望する者が6割以上と、一般的な職業訓練である1日6時間6か月よりも、短時間・短期間を希望する者が多かったという結果となりました。
16ページです。フルオンライン訓練に関するイメージについても聞いています。好印象が多かったところですが、やはり教材の内容や復習、通信障害においてのサポート、この辺の不安も事前に多く聞いておりました。
こういった事前調査を踏まえて、どういった職種の訓練を希望するのかというところも聞いております。16ページの下段にあるように、希望職種の調査結果を踏まえて、訓練コースをサイバーセキュリティマネジメント科からWebデザイナー養成科までの5コースを試行実施したところです。
17ページです。実際には、全国の求職者を対象にしたオンラインによる職業訓練を試行実施しています。令和4年9月~12月にかけて同時双方向のオンライン訓練として、こちらも求職者の方なので、平日の日中に1日6時間、週3日~5日間の計300時間の訓練を実施いたしました。
18ページです。こちらも、受講者に対して訓練実施前と実施後にアンケート調査を行っております。受講者の年代としては30代が最も多く、次いで40代、20代の順でした。訓練コースを知った経緯としては、求職者の方を対象としていることもありまして、ハローワークでの職員の方からの紹介が多かったということです。一方で、インターネットによる紹介ページ経由も2番目に多く確認されたところです。
受講を決めた理由についても伺ったところ、やはり就職に希望する分野だったということと、通所することがないということが決め手になったということです。やはり、当初からパソコンの通信機器に関しての不安はお持ちであったという結果が出ております。
19ページは受講後の満足度です。学科については8割、実技については7割の方から満足だったという回答を得ておりますので、おおむね満足度は高かったのではないかと考えております。対面式と比較して、オンライン訓練の良かった点について聞いたところ、やはり、通所では受講できないコースが受講できたということで、全国どこでも受講できるといったところがメリットとして挙がっております。また、時間を有効活用できた、アーカイブがあるので復習しやすかったといったところが挙げられています。一方、改善点としては、質問がしにくかった、補習をなかなかうまくやってもらえなかった、習得度に差が出たのではないかなというような意見も挙がっていたところです。
下段ですが、事前のアンケート調査では、短時間・短期間の訓練を希望する方が多かったのですが、実際に訓練を受講した方に確認しますと、やはり1日の訓練時間は5時間以上がいい又は訓練期間は5か月以上がいいということで、それぞれ受講後は少し期間が延びている傾向が見受けられたところです。
最後、20ページです。試行実施の結果を踏まえて、今後のオンライン訓練の実施に当たっての改善点を記載しています。周知に関する点又は受講者同士の情報共有などについて工夫が必要だという結論を付けての報告書を提出させていただいているところです。私のほうからは以上です。
○今野座長 ありがとうございました。最後に櫻庭さん、お願いできますか。
○櫻庭構成員 東京都の櫻庭です。よろしくお願いします。私からは、東京都において現在実施している非正規雇用労働者などを対象にした職業訓練の御紹介をさせていただきたいと思います。資料22ページを御覧ください。我々のやっている事業のうち今日御紹介するのは、成長産業分野キャリア形成支援事業という事業となっています。まず、事業の概要を御説明したいと思っていますが、こちらの事業については、上の囲みにあるとおり、成長産業分野への人材シフトやキャリア形成を促進するため、非正規雇用労働者等を対象として、e-ラーニングによる新たな資格やデジタルスキルの取得支援及び職業紹介等の就職支援を一体的に実施する事業です。対象については非正規雇用労働者等としていますが、求職者も対象としています。
下に事業スキームがありますが、令和4年度については、1,000人の規模で実施しました。予算としては、約4億円となっています。東京しごと財団という政策連携団体を通じて実施しているのですが、どのような支援の流れかといいますと、非正規雇用労働者の方や求職者の方々が、インターネットなどでこちらの事業を知って申込みをした後、受講が決まった方には、キャリア形成相談窓口においてキャリアカウンセラーらがカウンセリングを実施して、キャリア形成に見合ったコースを御紹介させていただいています。
その後、約4か月程度の受講期間を設け、e-ラーニングでスキルアップをする機会を設けています。なお、デジタルコースと資格取得コースという2種類のコースを設けており、1,000人の内訳として、デジタルコースは500人、資格取得コースは500人となっています。4か月の受講中は、メンターと呼ばれる伴走支援者が受講者からの質問などに答える受講フォローをする形で支援し、訓練終了近くになってからは、独自に開拓した求人なども紹介しながら、再就職支援・マッチングを行って、再就職であったり、必要によってはキャリア形成につなげていただくことを目的とした事業となっています。
次のスライドを御覧ください。こちらは参考までにデジタルコースと資格取得コースのそれぞれ5つの科目を用意して実施しましたので、そちらを御紹介させていただいています。それぞれ科目名、目指す資格、目指す職種や業種ということでイメージをしていただければと思います。デジタルコースについては、レベルとしては、経産省が定めているITSSですとレベル2ぐらい、2から若干3にかかるぐらいかというイメージの仕上がり、仕上がり像を使ってしまいましたが、そういったスキルの習得具合いを目指しているというところではあります。
続いて御紹介したいのは、受講生の属性です。まず受講生の属性について、全体としては非正規が大体6割です。男女問わず募集しているのですが、結果としては女性が8割という結果となっていました。また、こちらの受講を希望された方の中心的な年代は、35~50歳ぐらいの方々が多く、こちらで大体全体の6割ぐらいを占めたという結果となっています。
続いて、実際1,000人の方が受講して、受講修了の状況ですが、昨年度の受講修了はデジタルコース、資格取得コース共に約6割でした。非正規雇用労働者のうち約3割の方が転職、結果として約7割の方が現職継続という形となりました。また、求職者に関しては、約6割の方が就職に至ったという結果となっています。
細かいことは御覧いただければと思いますが、続いて、離脱者です。先ほど65%が修了して、逆に35%は離脱しましたので、そちらの離脱した方についても、御紹介したいと思っています。離脱率です。非正規と求職者とで差があるかと思ったのですが、こちらは就業状況にかかわらず、離脱者は約3割という形となっています。離脱者のうち約5割の方が訓練中に就職・転職が決まったために離脱ということなので、決して悪い理由の離脱ではないと思っているところです。また、離脱者のうち訓練中に就職が決まったから離脱したのは、求職者は約7割です。非正規が約3割という内訳となっています。就職状況としては、コースごとに非正規・正規別を載せさせていただいていますので御確認ください。「未把握」というのが実は表の一番右のほうにあるのですが、オンライン中心で、未把握というのは、結局、途中から連絡が取れなくなってしまった方ということで、実は先ほどの受講修了者の中にもいます。実際、未把握の中には、非正規の場合であれば現職継続が多いのではないかと見ているところではありますが、こういった方々も残念ながら一定程度いるというところです。
続いて、訓練中のフォロー体制について2つあります。1つがキャリアカウンセリングです。こちらは、専任のキャリアアドバイザーを各コースに1ポスト以上配置し、事務局の開設時間中は常駐し、個別相談に対応しているところです。こちらのキャリアアドバイザーについては、就職支援の進捗管理や受講生の就職支援の相談、受講生の疑問への回答など、就職支援が円滑に進むようにキャリアアドバイザー自身が働きかけて、就職支援全般に携わっており、支援対象者の状況において柔軟に就職支援、職業紹介などを実施させていただいているところです。
また、もう1つメンターというものを用意しています。メンターというのも各コースに常時1ポスト以上配置しており、事務局に常駐しています。メンターは受講科目の内容に関する個別の相談や効果的な学習支援などを実施しています。
また、訓練の実施に当たりましては、達成度の確認テストなどを行うことにより、進捗状況や習熟度の確認を行い、個々に応じたメンターによる受講フォローを行っているものです。
こういった形で東京都では、昨年度1,000人を対象に支援しており、今年度も若干の見直しをしながら、引き続き事業を実施をしているところとなっています。
なお、資料上にはないのですが、こちらの講座についての費用については無料で実施をさせていただいているところではあります。
また、先ほど大嶋委員から認知経路のお話があったので、資料にはないのですが補足させていただきます。こちらは申込みいただいた方の大多数、全体の8割ぐらいがインターネットの広告経由の認知になっています。実は、これをやるに当たっては、それこそホームページのほかにも、いろいろなFacebookやInstagramなど、後は、例えば電車の地下鉄の車内広告をやったり、例えば銀座のほうにサイネージ広告を出したり、ほかにも無料の求人冊子が駅とかに置いてあると思うのですが、例えばそこに紙で媒体を出したりとか、あと、ハローワークに実はチラシを置かせていただいたりとか、いろいろやったのですが、結果としてインターネットのWeb検索や、バナー広告経由が圧倒的で、8割ぐらいを占めたということです。その次が口コミです。実はハローワーク経由みたいなのは、ほとんどなかったというのが実際のところではありました。私からは、簡単ですが以上とさせていただきます。よろしくお願いします。
○今野座長 ありがとうございました。それでは皆さん、御質問や御意見をいただければと思います。ちなみに櫻庭さんのところは、これからもこれでずっとやっていくわけですか。
○櫻庭構成員 非正規の方を対象にした事業というのは、東京都としても引き続きやっていくとは思いますが、このデジタルの資格とか、この内訳をどうするかについては、毎年毎年、見直しは必要かなと考えているところでございます。
○今野座長 ちょっとコンテンツを変えるかもしれないけれど、この支援事業は続けたいと。
○櫻庭構成員 そうですね。続けたいと思っているところであります。
○今野座長 どうぞ。
○武石構成員 ありがとうございます。幾つかあるのですけれども、まずは櫻庭さんのプレゼンで、非正規と求職者を対象にということなのですが、その非正規というのが、どのような定義をしているのか、ここに正社員が入ってきてしまったときにどうするのか。この非正規に限定しているのを、どのようにやっているのかというのをお聞きしたいと思いました。
それと、4億円の予算で1,000人ということですよね。なので1人40万ぐらいかかっていると考えていいのでしょうか。そうすると結構な予算でやっていると思うのですが、この辺りはどういう考え方というか、そこまで予算をかけて、東京都だからすごいなと思うのですが、その辺りの政策的な考え方について教えていただきたいというのが櫻庭さんへの御質問です。
それから、宇佐美さんですが、在職者の方が結果として入ってきているというお話があったと思うのですが、これは無料ですよね。在職者に無料でやるとなると、要は企業側にメリットがあるような気がするのですけれども、その辺りは公的な財源で在職者に無料の研修をして、結局は企業側のメリットがあるのではないかと、その辺りをどのように整理したのかというのをお聞きしたいと思いました。
○今野座長 順番でいきましょう。最後は大嶋さんで用意しておいてください。では櫻庭さんから。
○櫻庭構成員 2つ御質問をいただいて、まず1つ目です。どうやって非正規を対象にしているか、正社員の方を受講させないようにしているのかというのは、当然、募集の段階で「対象者については非正規の方ですよ」という形でアナウンスさせていただいておりますし、選考はオンラインの面談でさせていただいているのですけれども、そのときも受講要件に合致する非正規の方、若しくは求職者の方であるかについて確認をさせていただいていて、書類で何かを出させるとかではなくて、本人からの申告に基づく面談によって確認をしているといったところでございます。それが1つ目です。
2つ目です。1人当たり40万円というコストにつきましては、いろいろ考え方はあると思っておりますけれども、基本的にこちらは予算の4億円につきましては、当然このe-ラーニングのコンテンツの開発などというところもありますけれども、やはりかかっているのは広報経費ですね。やはり知っていただくための広報に、一定程度の予算を割いています。
それからやはり、この受講期間中に各コースにキャリアカウンセリングやメンターだったり、常時、人を置いているものですから、あとはそれから事務局ですね。そういった人件費が一定程度かかるというのが実際のところでして、その辺の経費を積み上げた結果、予算として4億円という形になっているところです。我々は、やはりやるならばしっかりと手厚くやったほうがいいだろうというような考えで、そういった体制を、逆に事業者に求めて実施していただいているというところでございます。
○今野座長 いいですか、では宇佐美さん。
○宇佐美構成員 11ページを御覧いただければと思うのですが、開講8コースで受講料が無料が3コース、有料7,000円が5コースという形にさせていただいていまして、実は平成27年と28年の2か年でやらせていただいた最初の1年目は研究会ということで、まず、一度は無料でトライアルしてみようかということで、普通職業訓練の短期課程という位置付けでやらせていただくというような体裁で、在職者の方なのですが、無料でさせていただいたということでございます。
ただ、結果として2、3名という形で非常に少なかったという部分もございまして、2年目は幾らか教材費を含めてお金をいただこうということで、この調査研究をするに当たって、いろいろな角度で募集したいということで、無料・有料という形で整理させていただいています。
○武石構成員 在職者の方が入ってくるというのは別に、そこは設計上は排除はしていなかったということ。
○宇佐美構成員 そうですね、対象者も正社員として働いている人でも結構ですし、アルバイトの方でも結構ですし、特に会社経由でなくてもよくて、会社経由でもお願いにはあがったそうなのですが、なかなか会社のほうが、ちょっと紹介するのは厳しいかなというような話もいただいたとは聞いております。
○今野座長 最後の御質問は、結局トライアルだから、ですよね。
○宇佐美構成員 そうです。トライアルなので、いろいろな場面を設定してやらせていただいたと。
○今野座長 本格施行になると、今、御質問になったようなことを考えなければいけないということですよね。思い出しましたか。
○今野座長 どうぞ。
○黒澤構成員 大変有益な御説明をいただきまして、ありがとうございます。大嶋さんに質問いたします。まずはどちらもなのですけれど、訓練を提供する業者さんを、どのように選ばれたのかなというところ。それから、最初はオンラインだったわけですよね。オンラインということはリアルでオンラインということだったのでしょうか。それをオンデマンドと対面に変えられたということで、それは、やはり働きながら学びたいとなると、オンデマンドのほうが自由な時間で学ぶことができ、それに対面スクーリングというのはすばらしいやり方だと思うのですが、これはどうやって声を吸い上げて変更なさったのかということを教えてください。それから、これはすでにお知らせいただいているかもしれませんが、受講者のリクルーティングは、どのようになさったのかということも教えていただけますか。よろしくお願いします。
○大嶋構成員 ありがとうございます。まず業者の方の委託先の選定ですけれども、豊岡市のほうはノヴィータというIT企業が受託されています。豊岡市に本拠地を置く会社ではないのですが、豊岡市でリモートワークでデジタルマーケティングの仕事の機会をつくられています。事業者選定のプロセスについて、しっかり聞いてこなかったので申し訳ありませんが、こちらのほうは宿題とさせていただければと思います。
また、佐賀県さんのほうは企画競争(企画コンペ)でというように聞いております。それから豊岡市のほうの2年度目からの形式の変更ですが、もともと同じ時間にオンラインで受講する、それにプラスしてスクーリングという仕組みだったものを、オンデマンドで好きな時間に見られる、それにプラスしてスクーリングという形式に変えたというように聞いております。
3番目、どうやって声を吸い上げたのかということですけれども、こちらも受講者のアンケートやスクーリングのときの意見の聴取みたいなことを行っておりまして、特に佐賀県さんのほうは、Slack上で講師と受講者の方が常時やり取りをしているわけなのですが、そこに県も入って、どんなコミュニケーションが行われているのかを見た上で、委託業者さんと一緒に、このようにするとよいのではないかという会話を繰り返して、プログラムを見直しているということを伺っております。
最後に、受講者のリクルーティングなのですけれども、豊岡市さんの場合はハローワークさんとの連携が非常に良いということで、ハローワークさんを通じての様々な情報提供であるとか、あとは地方ではいろいろな所でヒアリングしていて、よく聞かれることなのですけれど、市民だより、市政だよりみたいなものを、非常に住民の方がよく見ていらっしゃって、そこを通じたリクルーティングもあったというように聞いています。
これはちょっと余談になってしまうのですけれど、福岡でもこういった女性向けの、割と手厚いプログラムが最近募集を締め切ったところだったのですけれども、地元のNPOと連携して、まずはデジタルに関するキャリアセミナーを開いた上で、そこの方に周知していくというような、少し一工夫するような周知の仕方を地方ではされているようだと認識しております。
○黒澤構成員 よく分かりました。
○今野座長 今の募集の件ですが、そうするとメインは市民だよりなのですか。東京都はもっとハイテクを使っているではないですか。インターネット広告等。
○大嶋構成員 すみません、説明が不十分で失礼しました。豊岡市のほうは、そういった説明会だったり、市民だよりとかハローワークの所も大きかったと聞いているのですが、佐賀県さんのほうは、資料の5枚目でお示しさせていただいたのですけれども、下の段の一番右のグラフに講座申込者のプログラム認知経路というものがございますが、積極的にFacebookとかInstagramで動画など、説明会の様子を繰り返し繰り返し発信していまして、そういった経由での認知が最も高いというように聞いております。
○今野座長 ありがとうございました。それではどうぞ、ほかに。
○宮地構成員 大嶋さんと櫻庭さんに御質問がございます。まず、大嶋さんが御提示くださった事例なのですけれども、当初は離職中の子育て女性を想定していたということなのですが、結果的に非正規で働きながら学びたい女性受講者の多さが見えてきたということで、具体的にどういった経路ですとか経緯で、こういったニーズの多さを認識されたのかということをお伺いしたいと思います。
○大嶋構成員 こちらですが、1年目はフラットに実施されて、その中の受講者の属性を見たときに、当初予定されていた再就職したい女性よりも、非正規等でキャリアアップしたい女性のほうが、受講者の中に多かったということを踏まえて、2年度目に設計を少し変えられたというように聞いております。ですので、実績からということだと思います。
○宮地構成員 なるほど、1年目の実績から。
○大嶋構成員 そうですね。
○宮地構成員 ありがとうございます。
○大嶋構成員 ありがとうございます。
○宮地構成員 そうしましたら櫻庭さんにも、お伺いしたいことがあるのですけれども、オンライン訓練の場合はフォロー体制が非常に重要になってくると思っておりまして、フォロー体制のほうで、各コースに常時1ポスト、キャリアアドバイザーとメンターを設置ということだったのですが、各コース500人規模ということで、常時1ポストで大丈夫だったのだろうかと思いまして、実は常時1ポストのほかに非常勤の方が結構たくさん就いていたのでしょうかということ。
あともう1つ、豊岡の場合はSlackですとか、いろいろビジネスチャットとかを使いつつのサポートだったのですが、この東京都さんのフォロー体制は、どういった手段なりツールを使って実施されていたのかということをお伺いできればと思います。
○櫻庭構成員 ありがとうございます。まずフォロー体制につきましては、常時1ポスト以上という形にさせていただいておりますが、例えばキャリアアドバイザーについては、実はこの事業のために全部で18名ほど用意していただいていて、そういった方々がシフトを組みながら対応するという形になっております。時期によって、それこそ訓練の終了時期が近付くと、皆さんはそれこそ就職支援が増えるので、例えばそういった時期はちょっと手厚くするということをやらせていただいておりました。
メンターにつきましても、すみません、ちょっと手元に体制図がないのですけれども、基本的には質問に答えられるようにということで、一定数はいたというような形となっておりますが、どちらかというとキャリアアドバイザーのほうが、やってみたらニーズが多かったというのはございました。
それからフォロー体制のやり方については、受講生専用のシステムがございまして、そちらでメンターなりキャリアアドバイザーの予約を取って、それで基本的には指定された日時にオンラインで相談をするというような形を取らせていただいたというところでございます。
○宮地構成員 ありがとうございました。
○黒澤構成員 オンラインで学習していただくことのメリットは、いわゆる限界費用の低さですよね。しかしながら大嶋さんのケースにしても、東京都さんのケースにしても、案外定員をガチッと絞っていらっしゃるようにお見受けするのですけれども。例えば今の櫻庭さんのケースではメンターとキャリアアドバイザーという方がいらっしゃる。メンターのほうは、学習内容についてのフォローですよね。それは教える講師の方がする。しかしながら教育現場では、学生がある程度増えたらあとは時間も費用面でも案外変わらないようなところがあるので、メンターについては受講者が増えるからといって、コストが増えるということは余りないというか、そこは工夫次第なのかなと思ったりもするのですがいかがでしょう。
それに対してキャリアアドバイザーのほうは、やはりワンオンワンというところが大変大事ですが、それはこのプログラムの受講者だけではなくて、いわゆる通常の離職者の方々向けのキャリアアドバイザーが既にいらっしゃって、そういう方々をうまく活用なされば限界費用も抑えられたと思うのですが、そうではなくて、この事業のために貼り付けるということをなさったのはなぜなのでしょうか。
○櫻庭構成員 そうですね。まず教える側のメンターについては、当然専門的な知識とかも一定程度必要というところはあって、実際に事務局にどういう体制を取らせるかというのは、我々も仕様で縛っているところでもありますし、実際、いざ蓋を開けて、受講生が来てみて、どれぐらい質問するかを見ないと、やってみないと分からないというところが正直ありますので、我々としては受講生が聞きたいときに聞けないような状況にならないように、手厚く体制を取るようにということで、仕様で縛っているというところはありました。
実際のキャリアアドバイザーの運用のお話としては、当然経験豊富なキャリアアドバイザーは、ほかからも引っ張りだこだと思いますので、ちょっとすみません、手元に詳細なシフトはないので、ほかでどういう勤務をしているかまでは把握していないのですけれども、ただ基本的には聞きたいときに聞けないと、やはり受講生が不安になったりするというのもありますので、一定程度はやはり専属で、我々の業務の間は関与していただいたというような認識であります。
ただ、ちょっと空き時間に、ほかの事業のキャリアアドバイザーをやったりというのはやっているかもしれないですけれども、受講生の不安の解消が目的だったりもしますので、それが不足のないような体制を取るようにということで委託事業者にはお願いをしたというところでございます。すみません、ちょっとうまい回答にはなっていないのですけれども、そういった考え方で、一応、事業者にはお願いしています。
○今野座長 その前に、私が質問していいですか。すごく簡単な話ですが、東京都もそうですし、佐賀県もそうですし、兵庫県もそうですが、何でWebでやったのですか。
○櫻庭構成員 もともとこれはメインのターゲットは非正規の方と考えていたときに、やはり非正規の方は働かれているので、そもそも学ぶ時間を確保するのが難しいだろうし、当然、働き方も平日、土日、夜間、日中など様々で、そういった多様な働き方に対応できるようにということで、オンデマンドのe-ラーニングが一番受講しやすいだろうということで、e-ラーニングの方式を取らせていただいたのが理由です。
○今野座長 大嶋さんどうですか。
○大嶋構成員 佐賀県さんのほうで先にお答えさせていただくと、1つは、コロナの時期に開始されたプログラムということもあると聞いています。それ以外には、多様な方々が想定されるということもあって、そうした方々が集合できる形式としてのオンラインを選択されたのだと理解しています。
○今野座長 最後にもう1つだけです。今回、ここのテーマは、そういう多様な人たちに対してどういうふうに訓練サービスを提供しようかというのがテーマなので、だから重要かと思いますが、それに関連して、オンデマンドでe-ラーニングでやりましたと。やった結果、良かったか、悪かったかによって、これから参考にする程度が違うので、そこはどうですか。
○櫻庭構成員 我々としては、やはり非正規の方に対しては、オンデマンドで良かったと認識しております。
○大嶋構成員 私が代弁するのもおこがましいですが、継続されてオンラインという形をブラッシュアップするという方向でやられているということは、やはり、働く側のニーズに合った仕組みだと認識されているのだと思います。ただ、それだけでは足りないということで、そこと何を組み合わせるのかが非常に重要だというのは繰り返し聞いております。
○今野座長 それは一部スクーリングを入れるとか、あるいはサポーターを付けるとか、そういう意味ですか。
○大嶋構成員 おっしゃるとおりです。そこを非常に強調されていました。
○今野座長 またしつこいようですが、最後に1つだけ。ということは、そういう周辺部品は別にして、訓練それ自体だったら、もう地域を越えてしまいますよね。東京都でやっていますが、別に北海道の人が受けてもいいですよね。どうですか。
○大嶋構成員 私自身は、地域で求められるスキルや、対象者が受けやすい講座みたいなものがあると思いますので、その意味では、またスクーリングで悩みを共有し合うとか、仲間作りの面も考えますと、全国よりは、ある程度同じ境遇の人が集まれるような環境のほうがよろしいのではないかと考えています。
○今野座長 しつこいようですが、もう1点。もし、北海道の方の訓練ニーズと九州の人の訓練ニーズが一緒だったら、一緒にやってもいいですね。
○大嶋構成員 そうですが、集まったときに同じ悩みを共有できるのかというところを考慮できるのであれば大丈夫かと思います。
○櫻庭構成員 地域性については、我々の事業の場合は当然東京都の税金なので、都内在住・在勤の方に限ってはいるのですが、今回、逆に国で実施して講座を受けさせるだけであれば、全国どこでも必要とされるような講座を、例えば、デジタルなどを設定して実施すればいいのかなとは思っています。ただ、もしそこに我々がやっているような求人開拓みたいなものを設けるのであれば、当然、どのエリアの求人を開拓するかという話が出てきますので、それまで設定するのであれば、地域性というのは、ある程度限定した形でやったほうが効果は出るかとは思います。
○今野座長 ありがとうございます。
○武石構成員 大嶋さんへの御質問ですが、私は無料というのが気になっていて、先ほど宇佐美さんにお伺いしたのと似ているのですが、佐賀県のSmart Ninjaのほうで、これは企業からの参加者を募集しているということで、やはり企業のニーズの受け皿としてのNinjaのコースなのかなと思いますと、これを無料にしなくてもいいのではないかという気がしたのですが、大嶋さんがやっている佐賀県のことをお聞きしたので、この辺りはどうして無料なのか1つ気になっています。
そのNinjaとSamuraiで、4ページの事業概要の下を見ますと、それぞれ100人ですが、Samuraiのほうが4コースに分かれていて、Ninjaのほうが1コースでやっていて時間も短いですし、簡便なコースなのかなと思うのですが、予算は同じぐらいなので、これはどうしてこんなに予算がかかっているのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○大嶋構成員 ありがとうございます。まず、なぜ無料なのかというところですが、これは多分ゴールによって変わってくるかと思います。佐賀県さんの取組のゴールが、企業のDXを推進することで、より地域の中に良質な雇用機関を拡大していく。それから、産業化を進めていくといったゴールがありますので、それに資するという観点から無料にしていると理解しております。
もう1つは、NinjaとSamuraiの違いですが、Smart Ninjaのほうは、ノーコードやSaaS、クラウドを使って業務改善ができるようなプログラムなので、逆に、プログラミングの知識は余り必要がなく、基本的なツールをプログラミングなし、視覚的に使えるようになるといった課題設定ですから、そういう内容が中心になります。
逆に、Smart Samuraiのほうは、初心者の方も含めてプログラミングを一から学ぶ内容になっていますので、自習の時間を含めますと、実は結構長くて123時間かかるプログラムです。今、Samuraiのほうが少し軽そうという御指摘をいただきましたが、SamuraiはSamuraiで受講者の負担は大きいプログラムであり、手がかかるというか、必要なサポートが一定量かかるプログラムではないかと理解しています。受講者層が結構違うと聞いております。どちらかと言いますと、Smart Samuraiのほうは、相対的に年齢層が若くて、Smart Ninjaのほうは企業の中核人材から、ミドルシニアの受講者の方も非常に多いと聞いております。Samuraiが4つに分かれているのは、多様な方が参加されているからで、Smart Ninjaのほうは、企業から派遣されて、業務時間後に受講するようなイメージと聞いております。
○武石構成員 ありがとうございます。
○黒澤構成員 コストが同じぐらいなのはなぜですか。
○大嶋構成員 コストが同じぐらいなのは、何の工程にどのくらいの予算を配分しているかまで細かく見られていないので、そちらは確認してまいります。
○武石構成員 Samuraiのほうが簡単だからかと、今、御説明を聞ながら思ったのです。Ninjaのほうは高度なので、結局、そこでコストが調整されているのかと思ったのです。
○大嶋構成員 これは私の印象になりますが、プログラミングを一から初心者の方が学ぶほうが、自習時間も含めますと、負荷は高いのではないかと思っております。Samuraiのほうは54時間ですので時間は短いのですが、多分、自習ではなくて、その場でしっかり教えていくような学び方になっていて、パイソン講座のほうは84時間を集団的に教えるのですが、自習も含めて長い時間になっていると思います。今、きちんとしたお答えになっていないと思いますので、そちらのほうは申し訳ありませんが、価格設定の詳細については確認してまいりたいと思います。
○今野座長 もう少し時間がありますので、私からまた継続して質問いたします。先ほどの件の延長ですが、宇佐美さんの所は、これは求職者対象にオンラインで実験をしたのですよね。
○宇佐美構成員 そうです。
○今野座長 そうですよね。それでやってみて、いろいろこういう状態でしたという御説明はいただいたのですが、やってどうですか。つまり、もうこれからオンラインでやってしまったほうがいいと思っているのか、そうではなくて、単純に言いますと、やはり対面のほうがいいと思っていらっしゃるのか。
○宇佐美構成員 私の感覚的に、オンラインは画面を通じて、離れていても相手の顔を見ながらお話できますので、e-ラーニングよりはオンラインのほうが指導を含めて進めやすいと個人的には感じています。
○今野座長 今回の実験は求職者なので、ここで想定している非正規の在職者のように、勉強しなければいけない時間が多様ということはないですよね。
○宇佐美構成員 そうです。ただ、非正規の求職者の方で転職をしたり、キャリアアップをしていきたいという非常に意欲のある方ならば、これはe-ラーニングで各自それぞれ勉強していただくということは、非常に効果は出てくるのかと思います。求職者の方で、少しサポートしながらいろいろと手助をしていくということであれば、対面指導、オンラインを含めた形での指導を定期的に入れたほうが、展開的にはやりやすいのではないかと感じています。
○今野座長 もう少し端的に質問しますと、ここで想定している非正規の在職者の人が勉強しようとすると、勉強する時間はそれぞれ多様ですし、1日のなかでそんなに長い時間勉強することは無理だというような状況を考えたときに、ここで実験をされた経験からしますと、そういう人たちに対しては、先ほど東京都や大嶋さんからは、やはり、e-ラーニングはいいのではないかという話があったのですが、その辺はいかがですか。感触で結構です。
○宇佐美構成員 感触でいきますと、やはり、時間のないところで夜間や土日で空いた時間に勉強していくということであれば、自分がコントロールできる時間で、好きなときにできるということでいけば、e-ラーニングは非常に良いのではないかと思います。
○今野座長 そういう議論をそのまま引っ張りますと、後から出てくる論点、今回の我々の主要なミッションですが、どういう時間帯で講義をやったらいいのかとか、いろいろあるのではないですか。例えば、そんなことを言わないでオンデマンドでe-ラーニングでいいではないですか、それで済んでしまうではないですかという話になれば、多分、これから想定するときに、対面でやる研修、e-ラーニングでやる研修、オンラインでやる研修、いろいろな想定を今のところしていると思いますが、今のお話を聞いていますと、全部オンデマンドでいいのではないですか。そうすれば、後は本人が選択できるようにさえしておけば、どうとでも対応できるという話になってしまうかなと、何となくそう思ったのですが、私の感想です。気にしないで。ほかはいかがですか。
○黒澤構成員 やはり、非正規労働者、就労している方々のリスキニングという観点から言いますと、オンデマンドというのは非常に魅力的だと思います。それに付加価値を付けるのが、先ほどのメンター、つまり、教える側とのやり取りです。文部科学省的にも、今回コロナで大学がオンライン講義を多く提供することになりましたが、その際の要件が、必ず「クエスチョン・アンド・アンサーセッションを設けること」というのがありました。それと共に、先ほど大嶋さんがおっしゃったように、受講者がお互いを教え合ったり、自分の境遇などを話し合う機会を提供するということ。それに加えて、キャリアに関しては、アドバイジングとかコンサルティングを付加する。恐らく、今、ご説明いただいた事例に基づけば、その3つぐらいのサービスを追加することが、よろしいのではと思います。皆さんの例も始まってまだ1、2年しかたっていないので、先ほど櫻庭さんがおっしゃったように、まだノウハウ的に十分に蓄積されていない部分があって、とくに限界費用をもう少し下げていくというか、コストベネフィット的にも有効なものにしていく余地がまだあるのではないかと思いますがいかがですか。これはなくてはいけないとか、ここの所はもう少しコストを下げられる余地があるのではないかとか、その辺について教えていただきたいと思います。
○今野座長 今、限界費用とか難しいことがありましたが、何が課題だろうかぐらいでいいと思います。
○櫻庭構成員 コストが幾らが適切かについては、皆様考え方はあるのかとは思います。今の事業の課題というのは、やはり、途中で離脱する方をより防ぐということ。せっかく講座を用意して支援を提供しているので、是非最後まで御利用いただいて、よりステップアップにつなげていただきたいと思っていますので、途中で離脱する方を減らすことは大事かと思います。そういった形で、今、3つほど御提案いただいたキャリアカウンセラー、メンター、受講者同士の交流というのは、どれも有効な手段だなと考えております。こういった事業にキャリアカウンセリングというのは、当然、不可欠だとは思っております。何人配置するかは別にして、それはなくてはならないものだとは思っています。やはり学習内容が分からなくて、つまづいてしまう方もいるので、どういう手段かは別にして、当然、質問できる体制も必ず必要だとは思っていますので、何人配置するかは別にして、それらは不可欠だと思っています。
さらに、受講者同士の交流の話は、我々この事業と別の所で、実は受講者同士の交流の機会を設けるという事業もやっております。そちらもどうなるか、今後見ていきたいと思っております。それも私としてはあるとより良いかなという形では考えております。そういった意味で、コストというのは当然予算なので、やはり税金なので少なくて済むに越したことはないのですが、あまりそこを切り過ぎてしまうと、結局、我々がやろうとしている、スキルアップをして、キャリアアップなどにつなげていただきたいというところが、できなくなってしまうおそれがあるということで、そこはバランスを見る必要があるかと思います。切れる所はどこですかということに対して上手な回答にはなっていないのですが、そんなふうに考えています。
○今野座長 そろそろ時間で、今日、もう1つ議題がありますので、次に移りたいと思います。もし時間が余って、また御質問があったらしていただくということにさせていただきます。次の議題は、事務局から報告をお願いします。それで議論したいと思います。
○鶴谷訓練企画室長 では、事務局から御説明いたします。資料は通し番号で28ページ、資料4を御覧ください。こちらは第1回の研究会において皆様からいただいた主な御意見を、論点に沿って整理したものです。こちらを御参考に、更に論点を整理しておりますので、31ページの資料5を御覧ください。「働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計」について、論点を整理させていただきました。まず1番目です。受講の対象となる方、訓練をした結果、到達すべき水準と成果指標です。まずは1の(1)に、対象者と到達すべき水準について表でまとめました。対象については正規か非正規かという観点と、その方々が訓練の結果、同じ仕事でキャリアアップをするのか、それとも異なる仕事に移られるのかという点で整理をしております。
①です。こちらは非正規の方で、非正規の方の1つのパターンとしては、現職のまま正社員ということでキャリアアップを目指す方と、現職とは異なるけれども、正社員を目指す方という2パターンについて考えてみたいと思います。どちらも現職か違う職種かという違いはあるのですが、その仕事においては正社員として初めて就かれるので、右側の到達すべき水準は、初めての職場で働くために必要な、その職業に必要な知識や技能レベルを身に付けていただくところを目指すことになってくるのではないかと整理しています。
③に飛んでください。③は正社員の方ですが、現職とは異なる職種で正社員を目指す方です。もともとの身分は正社員だったかもしれないのですけれども、違う仕事に移られるので、その仕事の正社員としては初めて働かれる方ということになりますから、右側の到達すべき水準は①と同じく、初めての職場で働くため、職業に必要な技能や知識を目指していただくというように整理をしております。
戻って②です。こちらはもともとが正社員で、その職場において中核人材などのキャリアアップを目指す方です。こちらの右側は先ほどの2つとは違って、職業に必要な高度な技能・知識を身に付けていただくことを目指していくというように整理をしています。
こうした整理の下、これらの方々に支援が必要かという観点は、表の下のほうで整理しております。まず最初のポツです。②の方から申し上げますと、こうした方々は正社員ですし、中核人材を目指すので、企業内での人材育成が大いに期待される上に、もし御自身でキャリアアップを図りたいと思った場合も、教育訓練給付制度が使えるようになっております。
また、③の方々は正社員で、在職中だったら教育訓練給付制度が整備されていることに加えて、転職を目指す方の場合は、無料で公的職業訓練が受講できるというように整理できます。さらに①の方をみてみたいと思います。この方はもともとが非正規の方々なので、企業内での能力開発の機会が少ないということ、あるいは費用負担に制約のある方が多いのではないかということが考えられます。それから非正規の方なので、雇用保険の被保険者になれないこともあり、雇用保険の被保険者を対象とした教育訓練給付制度が利用できない可能性も高いことも考えられます。このため、今回検討している新しい事業については、①の方を主な対象として考えてはどうかという整理をさせていただいております。
続いて(2)の「成果指標」を御覧ください。先ほど申し上げたとおり同じ職場、現在の職場でのキャリアアップのケースも十分考えられることから、成果指標としては就職率だけではなくて、次の32ページにまたいで御覧いただきたいのですが、例えば企業内での正規転換の割合や賃金水準の向上などの状況も、成果指標では考えられるのではないかと整理しております。さらに訓練の受講によって仕事に対する意欲が向上したなど、受講者の評価という観点も考慮してはどうかというように整理しております。
続いて2番目の様々な特性を踏まえた職業訓練の手法などの観点からの整理です。まず(1)の「職業訓練の手法、受講日程」です。「働きながら学ぶ」職業訓練は、勤務時間外に受講いただくこと、それから非正規の方を対象としますので、勤務曜日や時間が多様かつ不定であることを踏まえた訓練の日程にすべきではないかと整理しております。具体的には、もしも学校に通うとしても、通所される日にちの思い切った柔軟化とか、スクーリングが不要なオンライン訓練、あるいは受講時間が自由に選択できるオンデマンドの訓練などの利用も認めるべきではないかとしております。また3つ目のポツですけれども、到達すべき水準の達成に向けては、ある程度、総訓練時間を確保する必要があります。このため、訓練期間の長期化も認めるべきではないかと考えられます。
続いて、(2)に移っていただきたいと思います。働きながら学ぶという状況下で職業訓練の効果を高めるためには、普通の離職者向けの訓練よりもきめ細かな受講継続勧奨や、知識の習得度合の確認が必要ではないかと考えられます。ですから2番目のポツにありますように、例えば受講支援者の配置が必要ではないかというように整理をしております。
(3)が費用です。非正規の方を対象に考えた場合には、そういった特性から無料又は低廉な費用負担とすることが求められる一方で、現行の公的職業訓練の場合は、離職者向けの訓練を除き有料となっていることを踏まえ、検討するべきではないかというように整理しております。
3番目が訓練のコース、あるいは訓練機関の選定方法についてです。先ほど申し上げたとおり、柔軟な手法・日程の訓練を提供する必要がありますので、民間職業訓練実施機関を実施主体とすべきではないかとしておりますが、質の担保を図る観点からも、現行のように都道府県の委託や、独立行政法人による認定といった方法も踏まえるべきではないかというように整理をしております。
続いて33ページを御覧ください。対象となる方への周知方法や受講の申込みの方法についてです。まず(1)の受講の申込みについてです。働きながら学ぶ訓練なので、ハローワークの御利用が前提とはならないことから、受講者御本人が訓練機関に、直接お申込みをすることを基本に検討すべきではないかとしております。ただ、2ポツ目や3ポツ目にあるとおり、例えば都道府県や独立行政法人の役割を検討したり、ハローワークにおいて在職中から、継続的な支援が求められたりしていることとの整合性を踏まえた検討を行うべきではないかと整理しております。
続いて周知方法です。周知方法についても訓練の実施機関に委ねることを基本に、検討すべきではないかと整理しておりますが、前回の研究会でも御意見をいただいたとおり、例えば地域の公的団体や職業別のネットワークを通じた周知、事業主を通じた受講勧奨も並行して進めるべきではないかと整理させていただきました。そのほかに訓練の動機付けを高める取組とか、将来のキャリアや向上すべきスキルが分からない方もいらっしゃるので、事前の相談支援についても検討が必要ではないか、その際には職業能力を見える化できるジョブ・カードの活用も考えられるのではないか、というように整理させていただいております。
最後の5番目は、試行事業実施の必要性です。今回の新しい訓練については効果検証も必要なことから、まずはモデル事業として実施し、その結果を研究会に御報告した上で、制度設計を行うべきではないかとしております。また、先ほど申し上げたとおり、柔軟な手法・日程の職業訓練を提供する必要があることを踏まえて、訓練の効果が得られやすい分野に限定することも検討するべきではないかというように整理しています。
論点は以上ですが、参考を少し御覧いただきたいと思います。通し番号の35ページを御覧ください。前回、求職者支援訓練等で行っている短期間・短時間の特例措置について御説明し、御質問がありましたので資料を付けさせていただきました。36ページを御覧ください。今回付けたデータは求職者支援訓練なので、求職者支援訓練で御説明させていただきます。36ページは、現在行っている職業訓練の柔軟化の関係です。まず、訓練期間については①で書いております。求職者支援訓練というのは通常2~6か月のところ、特例措置下では2週間という短いものも設定できるように、要件緩和をしております。②は時間の関係です。求職者支援訓練は通常月100時間以上のところ、月60時間の設定も可能としています。
39ページを御覧ください。令和3年度のベースで受講者でどのくらい、この特例の短期間・短時間訓練を受られているかを御説明いたします。39ページの左側が、全分野を通じた結果です。受講者全体2万3,000人のうち、大体4分の1の方が短期間・短時間訓練を受けておりました。赤い色の部分です。右側が分野別で受講者数を見たものです。営業・販売・事務で受けられている方が多かったということです。
この短期間・短時間の訓練について、在職者が多かったかというところを見てみたいので、41ページを御覧ください。こちらは訓練を受講された方の属性を見たものです。離職者で、かつ何の事情もなかった方は、このグラフには出ていないのですが、例えば左側の通常訓練で見ますと、7割ぐらいの方は離職者かつ事情のない方です。そのほかに育児や介護、健康上の事情があった方のみ、こちらのグラフとして示しています。この中で在職者がどのぐらいいたかというと、下側にあるように、大体1割いらっしゃいました。右側の短期間・短時間訓練で御覧いただきたいと思います。同じように下側にありますが、在職者は10.7%ということで、短い訓練だからといって在職者がとても多かったかというと、そうでもなかったということです。
通し番号で46ページを御覧ください。参考3です。能力開発基本調査の中で正社員と正社員以外の統計についての比較を抜粋したものをここにまとめております。この中で論点にも関係があるので御覧いただきたいのが、まず51ページです。自己啓発を令和2年度に行った方々に御質問をしたもので、右側が自己啓発に使った自己負担の費用を整理したものです。青色が正社員、オレンジ色が正社員以外です。四角囲みにあるとおり、自己負担の費用について正社員と正社員以外とでは、平均値は大体同じなのですけれども、実際にどのくらいの額かというのを細分化していきますと、正社員以外の方々は1,000円未満のところに過半数がいらっしゃって、高いお金になればなるほど、正社員が多かったということになります。最後は全体的に一緒ぐらいになってくるのですけれども、低い額のところは正社員以外の方のほうが多かったという結果になっております。
さらに最後の55ページです。右側のグラフで御覧いただきたいのですが、自己啓発を行った方々に、自己啓発を行う上での問題点を確認したものです。一番多いのは、忙しくて時間がないということで、正社員も正社員以外もどちらも多かったのですけれども、上から4、5番目、どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのか分からないという者や、自分の目指すキャリアが分からないと回答された者については、僅かではあるけれども、非正規の方が多かったという結果になっております。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、また自由に議論をさせていただければと思います。
私から質問をしていいですか。単純な状況を想定して、もうオンデマンドでいけばいいじゃないかという話になって、研修コースを作りましたとします。それを作ると、受講者がこういう日に受講したいとか、忙しいので長い時間をかけて受講できないという多様なニーズに柔軟に応えられますよね。それはいいですよね。では、そうしようとしたときに、この論点ペーパーだと、訓練機関の選定方法というのがあるけれども、訓練機関はもう選定などしないのではないか。つまり1個作ってしまえばいいわけだから。オンデマンドですから。もし民間訓練機関に委託したら、そのオンデマンドのコンテンツは作ってねというぐらいになりますよね。そうなるとその次の受講申込みは、職業訓練実施機関にやってくれと言ったけれども、実施機関である必要はないですよね。つまり、ここで想定しているのは、ある訓練を民間のA社、B社、C社、D社にお願いするということですよね。しかしオンデマンドだったら1個あればいいので、ここで言う訓練実施機関というのは何になるのだろうかと思ったのです。どうですか。
○宇野人材開発政策担当参事官 我々が想定している、オンデマンドを認める場合というのは、例えばオンデマンドが1個あったとして、教材を作ってそれをフォルダの中に入れておくとしても、実際にそれを受講したかどうかという管理とか、受講した後に、ある一定期間内でどこまでそのファルダを見ているかという確認もなしに、単に教材を作ったら御自由にどうぞという形だと、「職業訓練」になるかどうかというところがあります。そういう意味で、ここで言う教育訓練実施機関というのは、オンデマンドという講座を提供するにしても、それは一定程度受講管理をしていただくということを前提に考えています。恐らく東京都や先ほど御紹介いただいた佐賀県も、オンデマンドの形だとしても、そこは一定期間内である程度、管理をされているのではないかと思っております。
○今野座長 そうですけれども、先ほどからオンデマンドが成功するには、キャリアコンサルタントサービスがちゃんと付いているとか、研修に対するメンターをちゃんとしているとか、受講者同士のコミュニケーションが取れるようにするとか、訓練が終わったときの就職等の出口もちゃんとサポートするというのが、セットであるというお話までは整理できたと思うのです。そうしたら、非常に単純な想定をすると、今言ったサービスが、もし全部Web上でできるとしたら、全国1か所でやればいいじゃないかという話なのです。
○宇野人材開発政策担当参事官 当然、今回考えているのは、今、座長がおっしゃったようなことは、ある意味セットでやっていただくのが職業訓練実施機関だと思います。あと、非正規の方々がオンデマンドという形がなじむ分野と、なじまない分野があるのではないかと。今回例に出ていますが、IT系であれば比較的そういうものにもなじむし、実際の働き方もそういうようになっていくと思うのです。しかし一方で、それになじまないものもあるかと思います。ただ、そういったものが果たして今回のような在職者に、働きやすい形でうまく設定できるかどうかという部分があります。我々としては、オンデマンドという形式を認める方向で論点を提示しましたけれども、考えているコースは、それ1本でいくというよりは、恐らく様々なものを試行事業という形でやっていかなければいけないかなと思いました。
セクションの1つ目に戻って、今日はすごく興味深いお話を伺わせていただいたのですが、1つ気になっていたというか、私どももすごく悩んでいるのが、在職中の訓練の効果をどう計測するかという部分なのです。先ほど御紹介いただいた東京都の事業を拝見しましたけれども、訓練を受けた後は、非正規の方の現職継続というのが多いわけです。そうすると、その訓練効果は何なのですかというところをどう証明していくのか。佐賀県の……を見てそこがなかったものですから、その辺りのところ。特に在職中で非正規の方を対象にしたときに、訓練が終わったというのが1つのあれだとは思うのですが、修了した結果、その方に一体どういう訓練効果があったのかという部分を考えるときに、本当にオンデマンド1本で大丈夫なのかどうかという部分です。もちろん、これにはいろいろなサポーターも必要です。我々としてはもう1つ、そこを説明していかないと、いわゆるコストパフォーマンスとか、税金とか、EBPMという感じからすると難しいかと思っています。そういう意味でも今回の論点の中では試行事業という形で、この研究会で御議論いただいたものを踏まえて、試行で1回やってみたいと思っているところです。
○今野座長 そうすると、1つは今おっしゃったように、例えばオンデマンドでものづくり系などはできないですよね。そういうものがあるのはそのとおりだと思うのですけれども、取りあえず今回はパイロットだから、典型でオンデマンド一発でやると、議論がすごくすっきりしていいと思っているわけです。それでパイロットでやってみようと。
○宇野人材開発政策担当参事官 試行の場合だと宇佐美構成員からお話のあった、今日の2つ目の機構の研究のように、恐らく幾つかのケースで少しパターンを変えてみるということもあるかもしれないと思うのです。ですから実際のオンデマンドには1本のような典型的なものも、当然試行に入れていくのでしょうけれども、いろいろなパターンも。あと、オンデマンドの場合でもどういうように何をかませると、よりキャリアアップやスキルアップ、いわゆる賃金も含めて処遇アップになっているのかという部分も含めて、どこが効いているのかという部分を、もう少しやってみたいと思います。1本と言うよりは、幾つか複数で少しやらせていただきたいと思っております。
○黒澤構成員 正に、先生がおっしゃったようなもの、オンデマンドだけで追加的付加価値はないが、非常にオープンに無償で誰でも、というのが、先日申し上げたイギリスのスクールツールキットです。いろいろなものがあっていいと思うのです。
無償で全ての人を対象にしたものであれば、それこそ人数も多くなるのでアンケート調査をやれば簡単に計量的に効果検証ができるはずです。ただ、もちろん、それとは別にいろいろな付加価値のサービスを追加して手厚くやっていくことがあってもよいと思います。それはその訓練を提供する内容によると思います。
本当にボトムラインで必要なベーシックなIT系であれば、オンデマンドでどなたにでも門戸を広げてやる、付加価値的なものは余りやらないことも十分にあり得ると個人的に思います。
あと、先ほど有償か無償かという受講費用の話で、もちろん、コストを削減してもよいものができなければしょうがないということはおっしゃるとおりです。もし貸与という形でコストを受講者に負担させることができるのであれば、それを負担することによって離脱率を下げることができ、そのインセンティブとしても働くかと。ただ、貸与はアドミニスト的に非常にコストがかかる。突拍子もないことで、すみません。いわゆる、マイナンバー制度などは使えないのかと思ったり、すみません。
○今野座長 似ているんだね。どうぞ。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。当然、今回の論点でも無料や有料などという形で御提示しておりますので、我々は無料で決めているわけではないと思っております。かつ、無料によるメリット・デメリットと有料によるメリット・デメリット。今、先生がおっしゃったように離脱率の問題、インセンティブの問題で、やはり、効果は見ていかなければいけないかと思っています。
そういう意味では、前のセクションで機構の全体で言うと11ページでしょうか。調査研究で、最初は無料でやったら受講者数は少なかったが、その後、有料にしたら受講者数が増えたということなのです。ここは無料、有料の効果なのかどうかは分かりません。非正規向けなので貸与するほどの値段設定をするかどうかは議論があるかと思いますが、当然、貸与は人材開発政策全体としてのツールとしてはあると思っております。
○大嶋構成員 ありがとうございます。少し話がずれてしまうのですが、どのように効果指標を測るかという論点についてありました。正社員転換や賃金上昇もあったと思います。非正規で働き続ける方が何かスキルを身に付けて、まだ実践性が低いというか、そのスキルに関する生産性が低い状態で、それを活用して賃金が上昇したり、すぐに正規転換するようなことは、それほどあるわけではないというふうに考えています。
それを考えた場合、例えば、身に付けたスキルを仕事で活用できているか、仕事の幅が広がったか、仕事のレベルが上がったかなど少し幅広めに効果の指標を取らないと、やはり、すぐには結果が出てこないのではないかと思います。また、特に地方では良い仕事がなかなかない中で、例えば、女性就労支援をやられている団体の方が起業のようなこと、独立も視野に入れた支援を行われている実態がある中で、起業や独立のようなところも指標に入れていく必要があるのではないかというふうに考えました。
もう1つは、オンデマンドかというお話に少し関連するのですが、出口を設計するときに民間職業訓練機関ではない主体はないのかということを少し考えました。第1回で申し上げたことでもありますが、地域の実情を知っている人材サービス等が地元企業との接続をいかして、企業が欲しがっているスキルを学んでもらう。そのための講座は民間職業訓練機関に委託するような形で、労働市場のニーズに合った講座を、出口が見える形でどう提供するのかというところは、もしかしたら、少し検討のしどころがあるのではないかとも考えるところです。以上です。
○今野座長 事務局、何かありますか。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。今、正に大嶋委員がおっしゃった点は、論点の所でも触れさせていただいています。確かに、今回、賃上げは三位一体改革の指針にも入っておりますので例示として出しておりますが、今おっしゃったような視点も、当然、我々は考慮しなければいけないと思っておりますので有り難い意見だと思います。
また、我々の言う民間教育訓練機関は、どちらかというと公的な訓練施設でないものという感じなのです。ですから、法人格は気にしていない部分があります。そういう意味では、紹介だけでは少し困りますが訓練をやっていただければ、要するに、幅広い主体という意味で捉えていただければと思っております。
○宮地構成員 よろしいでしょうか。
○今野座長 どうぞ。
○宮地構成員 訓練の効果測定について、私からも意見を1つ述べさせていただきます。論点ペーパーの中に、仕事の満足度という主観的な指標を取り入れる手もあるのではないかというお話がありました。私もこれに賛成です。理由は2つあります。
1つは、今、様々な効果・成果を測定するときに、ウェルビーイングの視点がかなり入ってきています。例えば、職業訓練の観点で言えば、訓練を実施することによって賃金が上がることだけがより良い職業生活を実現したことにはならないだろうということで、より健康になった、よりモチベーションがアップしたなど、いろいろなウェルビーイングの視点を導入できると思います。その中でも、特にモチベーションがより高まった、あるいは、キャリアに関する目標がより明確になったなどの観点は非常に有効なのではないかと思っております。
それはどうしてかというと、まず1つは、賃金以外の評価の軸ができることです。あと、先ほど大嶋委員からもお話があったのですが、私がある県の女性キャリアセンターの職員さんから伺った話なのですけれども、実は、すぐにキャリアアップを考えている方は2割ぐらいしかおらず、8割の方は、3年後ぐらいに子育てが落ち着いてからキャリアアップをしたいというふうに望んでいらっしゃるという話を聞きました。キャリアアップを実現するには長期的な訓練の継続が必要です。
ですので、長期的な訓練継続を担保する機会になったかどうかを測る意味でも、モチベーションがアップしたか、あるいは、目標が明確化したかという主観的指標を取り入れるのは非常に有効なのではないかと思っています。1つはウェルビーイングの視点、もう1つは、長期的な訓練継続のきっかけになったかを測る意味で、主観的指標の導入は有効なのではないかと考えております。
○今野座長 訓練をしたときにどういう効果が上がったかが一番見やすい状況にあるのは、企業内訓練を行う企業だよね。企業はこれで長年苦労してきたのですが、最終的にはどうしても完全には評価できないという状況にある。例えば、この知識が得られたということは分かる。でも、その人がどれだけ行動を変えて最後にパフォーマンスに結び付いたか。それも、時間軸を長くすればするほど媒介変数がたくさん入ってくるので、なかなか難しい中でやらなければいけない。
そうは言っても、今おっしゃられたように、モチベーションでもいいですし、最近、流行っているエンゲージメントでもいいので主観指標で評価する。あと、賃金で評価するなど考えられる指標で評価すればいいかと思っています。
ですから評価項目を作るのはそれほど難しくないと思っています。それよりも、データを集めるほうが難しい。訓練を受けた人に答えてもらうのですよね。特に短期評価はまだいいですが、2、3年後どうなりましたかと追いかけるのは難しいですよね。そうすると、いかに訓練を終えた人にちゃんと答えてもらうかという仕組み作りのほうが、ずっと難しそうだというふうに思っています。
指標については、今の御意見もそうであるし、黒澤さんは昔からやっているのでそういう指標でデータを集めれば評価はできると思うので、問題はそこではない気がするのです。ですから、どう評価するかということについてはその程度に思っています。黒澤さん、どうですか。事務局は、特別に評価インデックスを考える必要があるのかということで苦労されていると思います。
○黒澤構成員 追跡調査をどのようにするかということですよね。公共職業訓練の評価が計量的に非常に難しいのは、対象者がとても少ないのですよね。なので全国レベルの調査をやっても、余りにサンプルが少なくなってしまうので見えてこない。そうすると、受講者に聞いて、それから、それの比較対照から聞いて、それでいろいろ統計的処理をするしかないわけです。
おっしゃるとおり、オンデマンドの場合、やはり、先ほどからいわれているいろいろな付随しているサービスを充実させ、その情報も含めて追跡調査をする。そういう付加価値のサービスを追加したほうが効果は大きくなると思います。
○今野座長 かなり強制力のあるしっかりした仕掛けと、あと、コストをかけないと情報を集められないよね。そちらのほうがすごく重要かと思います。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。我々としては、その辺りも含めて頭を悩ませています。今の求職者支援訓練や委託訓練の場合は、最終的には就職率の上下で訓練実施機関の方々が受け取るお金が変わってくる形になっています。まず、変わってくるところにもインセンティブがありますので、当然、訓練実施機関の方は、就職したかどうかを3か月後や6か月後まで追いかけてくれます。
そうすると、それをきちんと報告していただくということで、両方セットでやっていくことによって実績の評価をしているという話になってきます。在職者ではそれが利かないものですから、要するに現職にいるだけでは、まして非正規では同じではないですかと、では、訓練はどこが変わったのだと。ですので、その辺りのところは客観評価と主観評価の両方を組み合わせるのかもしれませんし、どういう形がいいのかを含めて、あと、実際終わった後、それを受講者の方々からどう集めていくのか、追っていくのか、訓練業者の方にどこまでお願いしていくのかという部分も制度設計としては難しいかと思っております。
○今野座長 でも、今、想定しているのは、公共訓練の場合は就職したかどうかだから非常に短期の問題ですよね。
○宇野人材開発政策担当参事官 そうですね。
○今野座長 そうしたら、その程度の短期の問題でよければ、訓練が終わった後の3か月後で何でもいいですよね。「役に立った」などを聞けばいいのではないでしょうか。項目を少し考えなければいけませんが「賃金上がった」でもいいですし、もしかしたら、在職者でそのまま在職していても賃金に影響を及ぼすかもしれないから、そういうことを想定して賃金変化などについての主観指標を考えればできるのではないでしょうか。それよりも、3年後、5年後どうなりましたかと言われると大変。どうぞ。
○櫻庭構成員 成果指標については、本当に難しい問題だと我々も思っています。今、例示いただいているような正規雇用や賃金の上昇は、恐らく、皆さんがおっしゃっているとおりそれほどすぐに出るものではありませんし、それぞれが勤務する会社の状況にもよるかと思います。
それこそ「賃金が上がりました」「正社員になりました」が一番いいと思いますが、それを成果指標で取られると、正直、成果としては出ないだろうというふうに思います。これをモデル的にやって、当然、検証して翌年度の事業にすぐに反映させることを考えると、やはり、この事業としては短期的にある程度検証できるものを成果指標として見据えたほうが、翌年度以降の事業につながるのでいいかというふうに思っております。
なので、本当に難しいと思いますが、我々の場合では、訓練をちゃんと最後まで完了しました。習熟度テストで一定程度のレベルを設けてそれがちゃんとできましたというのが、まず、そこが成果だと思っています。その上で、先ほど大嶋委員がおっしゃったように、訓練をやってどういう人を対象にするかによるのですが、例えば、それによって今の仕事の幅が広がった、社内で新しい仕事を任されるようになったなど、多分、それはプラスアルファの要素でよりいい指標かと思っています。
先ほど、宮地委員がおっしゃったような満足度が高まった、仕事のモチベーションが上がった場合はプラスアルファでいいと思うのですが、まず、賃金や正社員化など理想的な目標は当然あるにせよ、そこをこの事業の成果指標にしてしまうと、今後の展開としては難しくなるのかと思います。プラスアルファのあったらいいという部分と、ここは到達してほしいという部分の現実的なと言いますか、一旦、そういう形で整理したほうが今後につながるかと思っております。
○今野座長 評価指標についての議論はその程度ではないでしょうか。そこから先の具体的なことはどこかにプロがいるからそこで作ってもらえばよくて、ですから、おっしゃられるように、就職したかどうかはなかなか使えないし、賃金が上がったかどうかも使えないけれども入れておけばいいのですよね。もしかしたら、そういうものに反応するかもしれない。でも、それ以外に今日出てきたような項目を入れればいいのではないでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○武石構成員 ほかの話でもいいですか。
○今野座長 はい。
○武石構成員 (2)の受講継続や受講効果の向上に関連するのですが、私は櫻庭さんのデータがすごく興味深くて、メンターやキャリアコンサルタントなど、かなり一生懸命、1人40万かけてやっていると思います。何度も言って、すみません。結局、未把握の人たちが3割ぐらい出ていると思います。相当いろいろな支援、受講支援者の配置をやりながら未把握になっているのは、結局、途中で連絡が取れなくなっていったということですよね。なので、これはオンデマンドでしょうか。
○櫻庭構成員 はい。
○武石構成員 オンデマンドなので3割ぐらい未把握になるのはやむを得ないのか、この数字をどのようにお考えなのかということをお聞きしながら、要は、支援者の配置はしたほうがいいと思うのですが、だからといって、多分、最後まで把握しきれない人たちが残っていくところを、ある程度諦めていくのかという辺りが少し気になっているところです。櫻庭さんにその辺りの状況を教えていただきたいと思いました。
○櫻庭構成員 すみません。未把握については、資料としては全体の25、26ページがそれぞれ受講修了者の未把握、離脱者の未把握があります。大体、合計すると300弱います。うち220人ぐらいが非正規の方の未把握です。まず、修了者の大半は非正規なのですが、恐らく、こちらについては現職継続だというふうに思っています。
この未把握は、結局、訓練修了後に「転職しましたか」、それとも「残るのですか」という調査を投げかけたけれども反応がなかったという残念な結果です。恐らく、ここは受講した方からすると、現職の継続が決まっていて、しかも、自分として欲しい勉強ができたのであれば、ある意味この後、就職支援を受けるわけではないので、残念ながら我々の支援に接触する必要がなくなっているのです。なので、残念ではありますが、一定程度出るのはやむを得ないかというふうに思います。
一方、求職者に関しては、やはり、未把握はそれほどありません。ただ、離脱者の方の未把握は一定程度あるかと思っています。こちらについては正直分かりません。結局、我々が用意した求人で転職した人は、当然、報告があるのでいいのですが、我々の支援を受けながら御自身で転職活動をしてそのまま転職が決まったケースも、恐らく、未把握の49人の中には一定程度入っているのかというふうに見ております。結局、この未把握の方々は、先ほどの修了者も含めてなのですが、今後、我々のサービスを必要としなくなった方々が未把握なのだろうというふうに捉えているところです。
ですので、我々としてはこの未把握自体をゼロにしたいというのは、当然、事業の成果を測る上では求めていくべきであると思いつつも、受講者の立場からすると、余りこういうことを事業実施側が言うのも何なのですが、致し方ない部分はあるのかと受け止めています。
○武石構成員 ありがとうございます。なので、どこまで精緻に把握していくかというと、やはり、どこか諦めなくてはならない部分もあり、それとの見合いで受講支援者をどういうふうに配置するのがいいのか、その辺りについて悩んでいるところです。ありがとうございます。
○櫻庭構成員 私の感覚で言うと、キャリアカウンセリングやメンターはいたほうがいいと思います。ただ、それらがいたからといって必ず離脱や未把握が防げるわけではないと思っていますので、そこは一定程度、事業を設計する上では許容せざるを得ないかと思っております。そこまで強制力があるものではありません。
○今野座長 今日いただいた資料で、資料5が我々が議論しなければいけないことの一番中心的な資料です。特に2ページ目です。「特性を踏まえた職業訓練コースの工夫」について、幾つかこういう要件を考えたらどうだろうかということが書いてあります。(1)については、2ポツ目の所にありますが、「具体的には」という文章で「通所日の設定の思い切った柔軟化」、その次のポツでは、訓練期間を長くしたらどうか。
要するに、これは全体的にいつ訓練をして、どれだけの期間でやるのかということを柔軟化するかどうかという話ですよね。これは柔軟化したらどうかという提言なのですが、これは答えが柔軟化しかないので、これは今までの議論を踏まえても決まりかというふうに思います。
あと、(2)の受講向上に向けた工夫については、先ほどもオンデマンドでありましたが、キャリアコンサルタントやメンターなど周辺の要件をここでいろいろ議論いただきました。ですから、ここに書いてあることをほとんどすべきだということだと思います。
残された問題の受講費用は横に置かせていただいて、その次のページの「受講申込」や「周知方法」について、皆さんから意見をいただいておいたほうがいいかと思います。この案は、職業訓練実施機関が、つまり、民間企業がそれぞれいろいろやります、つまり、それぞれで申し込む、それぞれで受講の監視をするということになっています。これについて御意見をいただければと、この点について全く意見がなかったので。
今日の事例は、この点ではなかなか参考にならないのです。つまり、東京都は東京都で1か所でやってしまっているのでしょう。1か所でやって申込みも受けているし、宣伝もしているし受講勧奨もしているわけですよね。佐賀県もそうだよね。
○櫻庭構成員 はい。
○今野座長 だから、ここで想定している状況とは違うのです。もし今回ここでやろうとしていることが、どこかで一括してヘッドクォーターを作ってやるというのであれば東京都や佐賀県に似た状況になるのですが、今、ここで想定しているのはそれぞれでやるという話になっているので、この辺りについては、少し意見を聞いておいたほうがいいかと思いました。どう思いますか。
○大嶋構成員 個人的な考えとしては、SNSで情報を流す場合にいろいろな情報が流れてくると混乱してしまう、あと、非正規雇用の方のほうが何を学ぶべきかが分からない割合が高いこともありましたので、理想としてはヘッドクォーターのようなものがあり、そこが情報を流した上で、あなたの状況だと何を学ぶと効果が高いというようなことまでガイダンスした上で、分かれていくほうがいいのではないかと思います。
○今野座長 そこは想定しているのとは少し違いますね。ほかはいかがでしょうか。
○大嶋構成員 そうですね。
○今野座長 どうぞ。
○黒澤構成員 今、大嶋委員がおっしゃったことに同感です。それとともに大嶋委員の1つの例で、キャリアセミナーを開いた上でそこに来た人たちからリクルートする。少し前に戻ってしまうのですが、どうやって受講者を募るかというプロセスにおいて、これは離脱率にも関わると思うのですけれども、やる気のない人たちも対象にするのか、あるいはやる気のある人たちにそういうセミナーを介してという形で集中的に手当をするやり方もあっていいのかと。
それと同時に、先ほど幾つかの付加価値を申し上げましたが、プラスアルファとして募集の在り方、それから、先ほど大嶋さんがおっしゃった地域の労働市場のニーズに合った形で地域ベースでやることにより、受講者の間のインタラクションのようなもの、交流を深めると、結局、離脱率や先ほどの追跡調査ももっとやりやすくなっていくわけですよね。
だから、そういう形に持っていくのがいいのか、そうではなくて、東京都さんはメンターとキャリアということでやっていらっしゃいますけれども、それ以外の部分はそれほど手当てしていないですよね。その辺りは、いろいろなタイプがあると思いますが、それをどういうふうに考えるのか。結局、誰に対してやるのかというところにもとても関わってくると思うので、その辺りはいかがでしょうか。
○今野座長 大嶋さんが言われたヘッドクォーターは、今、黒澤さんの話と先ほどの大嶋さんの話を想定すると、県ぐらいでのヘッドクォーターでしょうか。つまり、地域の労働市場を考えてくださいとおっしゃっていたので、全国に1本ではなくて、県ぐらいずつに1個ずつ作ってくださいというイメージですか。
○大嶋構成員 はい。
○今野座長 この議論をもう少ししたほうが、事務局が最終案を作るにはいいかと思いますけれども、もう時間オーバーです。どうぞ。
○櫻庭構成員 参考までになのですが、我々も東京都の中で1つの事業を2つの事業者に分けて実施している事業があります。当然、1企業当たり可能な規模などがあるのでやっています。そうした場合、同じエリアで同じ事業を2者が受託して同時に動くと、やはり、広報の費用対効果が悪かったり、あちらへ行ったりこちらへ行ったり、受講生からすると非常に分かりにくいことがあります。
今回、複数のパターンを検証する狙いもありますし、エリアをどうするかということもあるのですが、同じエリアで複数の事業者を走らせるのはやめたほうがいいかと思います。あくまで1つのエリアは1つの会社で、その中で、条件を変えたコースを選択して比較検証するほうが事業の効果としては高くなるかと思っております。今後、どういうパターンにするか分かりませんが、参考にしていただければと思います。
○今野座長 それでは、時間をオーバーしているのでこの辺りで終わりにします。今日もいろいろな意見をいただきましたので事務局に整理していただいて、今度は成案に近い形に徐々に進んでいかなくてはいけないので、次回の委員会ではそういう資料の整理をしていただければと思います。それでは、この辺りで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
早速、議事に入りたいと思います。まず、最初に(1)構成員からの報告ですが、前回の研究会で3人の方に宿題をお願いしましたので、その発表をしていただこうと思います。大嶋さんと宇佐美さんと櫻庭さんです。事務局から1人10分と聞いていると思いますが、10分でしゃべるのは大変ですよね。ですから、ちょっとぐらいオーバーしてもいいですが、余り大幅なオーバーは駄目ということで、プレゼンをしていただきたいと思います。3人の方にプレゼンしていただいた後に、まとめて議論をしたいと思いますので、お願いします。
それでは最初、大嶋さんからお願いします。
○大嶋構成員 それでは早速ですが、御報告をさせていただきます。私は地域における人材育成に関して、以前よりヒアリングを行っておりまして、これまで情報提供をいただいていた豊岡市と、それから佐賀県の事例について御報告させていただければと思っております。まず、研究会資料の3ページ目、兵庫県豊岡市の女性向けのデジタルマーケティング人材育成事業について御報告いたします。なお、本日御報告させていただく人材育成の施策は、必ずしも非正規雇用に限ったものではございませんが、結果的にそうした方々が受講されているということで、今回御紹介させていただく次第です。豊岡市は人口流出等に関わりがあるジェンダー不平等の是正に取り組んでおりまして、女性の経済的自立支援にかねてより注力されています。この中で2021年度より、デジタルマーケティングを軸とした女性のキャリア形成支援を行っております。
デジタルマーケティングにフォーカスしている理由は、市内企業のニーズが予想されることに加えて、ハローワーク豊岡による子育て女性向けの個別就業相談会で、デジタル系企業に女性の相談が集中したことがあると聞いております。当初は離職中の子育て女性を想定したプログラムでしたが、初年度で非正規で働きながら学びたい女性の受講者が多いということが分かり、2年度目以降は、それまではオンラインの受講だったのですが、オンデマンドとスクーリングの形式に変更したと聞いております。このプログラム受講期間は5か月で180時間です。内訳を見ると週3回3時間ずつで4週間×5か月の計算です。このほかに希望者には月20時間のインターンシップの機会を提供しております。このプログラムの中では、「脱落を防ぎ出口の見える学びの設計」が重視されています。実際この無料の講座で、5か月180時間の講座で脱落を防ぐのは非常に大きな課題として認識されておりまして、そのためにスキル装着と合わせて、魅力的な就業先の確保や企業支援などの出口戦略にも重点が置かれています。まず、事前相談や説明会の参加を申込みの必須とすることで、受講者と講座内容のミスマッチを防ぐことに加えて、受講者より自宅で一人で孤独に学ぶつらさについて指摘があったことから、スクーリングを通じて受講者同士の学び合い等の関係づくりが行われております。
またこの講座では、スキルを身に付けること以外も重視されており、経営者向けのセミナーを行うことで、インターンシップや就業の受け皿を作るといった取組や、受講期間中のキャリア相談、起業支援等も行っています。本事業2022年度の修了者は資料3ページ目の下右側の図表にお示ししているように、10名中8名でしたが、このうち非正規社員等5名は、図表中赤字で示しています部分ですが、正社員転換や転職・起業準備などに進んでいるとのことです。ただ、単年度予算の中で、修了者のフォローのための予算を確保することが難しいということで、そのフォローについては今後の課題だと聞いております。この事業の特徴は、ステップアップに関するステークホルダーとの連携にあり、市とハローワーク豊岡や、豊岡ワークイノベーション推進会議と呼ばれる関連する企業との会議との基本協定を結んだ上で、告知や職業紹介、受け皿づくり等を連携するといった取組が行われています。
続きまして、佐賀県の事例についても御説明させていただきたいと思います。資料の4ページ目を御覧ください。佐賀県の施策は産業政策寄りといいますか、産業DXを推進する取組の一環として、その担い手となるDX人材の大量養成に着手しているものです。こちらも企業ニーズと結び付いたものと言えるかと考えております。現在、大きく2つのプログラムが走っておりまして、その1つが、Saga Smart Samuraiと呼ばれるプログラミングや開発手法等を学ぶ講座で、どちらかというとキャリアチェンジを想定したもので、各年度原則100名単位で実施しております。事業概要は資料の4ページ目左下の図表にお示ししたとおりですが、受講時間は講習と実習合計で123時間で、修了率は8割を維持しているところです。
もう1つのプログラムは、Saga Smart Ninjaと呼ばれているプログラムで、こちらはSaga Smart Samuraiを実施する中で、在職者の受講ニーズが高いことを踏まえ、また企業の中で、企業のデジタル技術を活用した業務効率の改善等を推進する人材も必要であろうということを踏まえて、2020年度に開始されたものです。こちらは企業で働く人がノーコードや、サービス提供を事業者側で稼働しているソフトウェアを、ネットワークを経由してユーザーが利用するSaaSを利用して、業務改善の立案や実施ができる人材の育成を行うもので、こちらは100人を対象に全27回、54時間のコースで企業派遣が多いと聞いております。
次のページにお進みください。この資料はSaga Smart Samuraiに着目いたしまして、申込者の属性や認知チャネル、それから脱落防止策について概要を見たものでございます。まず、2020年度の本講座申込者321名のうち、ボリュームゾーンは30~40代で、全体の62%を占めたと聞いております。また割合は同じですが、在職者が62%を占めたということです。20代は求職者と学生の割合が比較的高いのですが、30代以降になると、申込者のうち在職者が増えてくると聞いています。また50代以降は無業の方も申込者の中に増えてまいります。また、説明会や体験会では女性の姿も目立ち、女性の参加ニーズも高いことが伺われるとのことです。
また、図表の一番右の、講座申込者のプログラム認知経路の図表ですが、プログラムの認知経路としましては、Instagramを中心としたSNSやWebが最も多く、そして自治体の施策の認知経路として自治体の広報は有力なことが多いですが、本施策においても県民だよりも大きな経路となっており、ほかにもハローワーク等経由も多いとのことです。また、資料で「脱落を防ぎ、出口の見える学びの設計」と称している部分ですが、こちらも孤立を防ぐ仕掛けが随時に含められています。例えばこうした学びでは、分からない所ができ学習が突っかかってしまうと脱落しやすくなりますが、随時質問ができるような体制を築いています。また講師が参加するオンライン勉強会で、その場で聞けるという仕組みも構築されています。
そのほかに、講座3か月目で合同企業説明会を開催して、学びのゴールが見えた状態で最後のそれ以降の学びを続けられるような仕組みにしたり、キャリアコンサルタントによる個別就活サポートなどが行われています。そのほかに、サポート企業との交流イベントや、協力企業によるスキルアップ講座を提供したり、ジョブカフェSAGAと連携した就職に関する説明会等が行われています。このプログラムについて、修了率が非常に高いこともありまして、どのような背景があるのかをお伺いしましたところ、特別な施策を行うというよりは、受講アンケートやSlack上での受講者と講師のやり取りを見ながら常時対応を修正して、脱落を防ぐ施策を講じていくことが一番重要だと考えていると伺っております。一旦、私からの報告は以上とさせていただければと思います。
○今野座長 ありがとうございました。まだ10分たってないけれど大丈夫ですか、追加の説明はないですか。
○大嶋構成員 大丈夫です。
○今野座長 それでは次に、宇佐美さんお願いします。
○宇佐美構成員 JEEDの宇佐美でございます。私のほうから、過去、職業大基盤整備センターで行った調査研究の2テーマについて概略を紹介させていただきたいと思います。主に訓練手法に関する事例の紹介となります。よろしくお願いいたします。
6ページの資料2を御覧ください。まず1点目、若年非正規雇用労働者に対する在職者訓練コースの設定、実施プロセスに関する調査研究です。7ページの背景・目的の欄に記載しているとおり、職業能力開発機会が乏しく、不安定な就労を繰り返して企業内の人材育成の機会にも恵まれない若年者層に対して、アルバイト等をしながらでも次のステップとしての訓練を受講できるように、土日・夜間などに開催する在職者訓練コースを開発し、検証実施したという調査研究となるものです。
この調査研究に当たり、8ページを御覧ください。まず、その訓練の内容を検討する前に、事前調査という形で関東近辺と各ブロックの拠点となるわかものハローワーク、わかもの支援コーナーの利用者のうち、正社員を目指すという方810名を対象に、アンケート調査を実施して9割の方から回答を得ております。また、その回答を得た方の大体7割ぐらいの方はアルバイトなどをしていると回答していただいております。
下段、訓練が必要かどうかと聞いたところ、訓練の必要性は8割の方が訓練は必要だと感じているということです。どのような訓練を希望するかということに関しては、これは当時のトレンドになるかと思うのですが、パソコン操作のスキルといった回答が多くなっておりました。
9ページです。では、訓練期間はどれぐらいがいいのかという話を聞いたところ、3か月以下を希望する者が全体の8割程度ありました。開講頻度についても、週3日又は2日の順で希望者が多い結果となりました。
下段の訓練時間については、平日及び朝からの受講を希望するという者がそれぞれ過半数と多く、1日の受講時間については、半数以上の方が3時間以下がよいと希望するという調査結果となりました。
10ページです。訓練方式については、曜日や時間が選択できる方式、平日昼間を希望する者がそれぞれ3割を超えて多くありました。ただ、我々は土日・夜間で開発したのですが、希望としては平日が多いということになっていたのは、平日に営業している、わかものハローワークに通っていらっしゃる方を対象にしたアンケートですので、平日でも可能だという結果が多かったのだろうかと考えております。
下段、受講料についても聞いており、受講料については、就職に必要な内容であれば受講料を負担してもよいという方が55%おり、その負担額については1万円未満を希望する者が7割以上という結果となったところです。
こうした事前調査等、又はいろいろな担当者のヒアリング等を通して訓練コースの試行実施した結果が11ページです。8コースを実施して、土日コース、平日夜間コースという形、無料コース又は有料で7,000円といった形で試行実施をさせていただいております。こちらについての広報については、ハローワーク利用者へのリーフレットの配布、商工会議所の広報誌への掲載依頼又は職業能力開発施設のホームページへの掲載、SNS等により周知したということです。結果として、8コース全体で43名の受講者がいたといったところです。また、その43名の受講者のうち、非正規雇用労働者の方は56%いらっしゃいました。
12ページです。受講者は20代~40代の方が中心で、非正規雇用労働者の雇用形態については、派遣やパート・アルバイトの方がほとんどでした。訓練実施後にもアンケート調査をしており、希望する訓練期間について再度聞いたところ、当初は3か月程度という御回答が多かったのですが、受講した後の場合は、やはり6か月ぐらいを希望したいということで、ちょっと期間が延びているという結果が得られたところです。
希望する訓練頻度については、事前の調査では週3回と多かったのですが、実際、終わった後に聞いてみると週2回以下ぐらいがいいかなという方が92%という状況でした。
受講料の負担については、1万円以下と回答する者が71%と、受講前後で特に結果に差はなかったところです。簡単ですが、以上が非正規労働に関する調査研究です。
2点目、13ページです。今度は全国の求職者を対象としたオンラインによる職業訓練の試行実施に関する調査研究です。
14ページを御覧ください。こちらも、まず実際にオンライン訓練をする前に予備調査を実施しています。IT分野でのフルオンラインの職業訓練を実施するに当たって、1年以内にIT業界職種への就職・転職の意向のある方1,000人を対象に、調査機関によってWebアンケートを取らせていただきました。1,000人のサンプルを取ったわけですが、結果として約9割の方が在職者からの回答でしたので、今回御紹介させていただくこととしております。14ページの下段ですが、オンラインに関しても、やはり8割の方が受講してみたいと、非常に興味を持っているという回答をいただいたところです。
15ページです。例えば、同一の訓練内容でオンラインと対面ではどちらがいいですかということを聞きましたら、オンラインを希望する方が65.2%という状況です。なぜかと聞いたところ、やはりオンラインのメリットとしては、通所時間がかからないといった時間的制約がないというところで、デメリット、不安なところとしては、分からないときに周りの受講者に聞けないというようなことを挙げる方がそれぞれ多くあったところです。
右側、こちらも1日当たりの訓練希望時間についても聞いています。3時間程度以下を希望する者が6割以上、訓練期間については2か月程度以下を希望する者が6割以上と、一般的な職業訓練である1日6時間6か月よりも、短時間・短期間を希望する者が多かったという結果となりました。
16ページです。フルオンライン訓練に関するイメージについても聞いています。好印象が多かったところですが、やはり教材の内容や復習、通信障害においてのサポート、この辺の不安も事前に多く聞いておりました。
こういった事前調査を踏まえて、どういった職種の訓練を希望するのかというところも聞いております。16ページの下段にあるように、希望職種の調査結果を踏まえて、訓練コースをサイバーセキュリティマネジメント科からWebデザイナー養成科までの5コースを試行実施したところです。
17ページです。実際には、全国の求職者を対象にしたオンラインによる職業訓練を試行実施しています。令和4年9月~12月にかけて同時双方向のオンライン訓練として、こちらも求職者の方なので、平日の日中に1日6時間、週3日~5日間の計300時間の訓練を実施いたしました。
18ページです。こちらも、受講者に対して訓練実施前と実施後にアンケート調査を行っております。受講者の年代としては30代が最も多く、次いで40代、20代の順でした。訓練コースを知った経緯としては、求職者の方を対象としていることもありまして、ハローワークでの職員の方からの紹介が多かったということです。一方で、インターネットによる紹介ページ経由も2番目に多く確認されたところです。
受講を決めた理由についても伺ったところ、やはり就職に希望する分野だったということと、通所することがないということが決め手になったということです。やはり、当初からパソコンの通信機器に関しての不安はお持ちであったという結果が出ております。
19ページは受講後の満足度です。学科については8割、実技については7割の方から満足だったという回答を得ておりますので、おおむね満足度は高かったのではないかと考えております。対面式と比較して、オンライン訓練の良かった点について聞いたところ、やはり、通所では受講できないコースが受講できたということで、全国どこでも受講できるといったところがメリットとして挙がっております。また、時間を有効活用できた、アーカイブがあるので復習しやすかったといったところが挙げられています。一方、改善点としては、質問がしにくかった、補習をなかなかうまくやってもらえなかった、習得度に差が出たのではないかなというような意見も挙がっていたところです。
下段ですが、事前のアンケート調査では、短時間・短期間の訓練を希望する方が多かったのですが、実際に訓練を受講した方に確認しますと、やはり1日の訓練時間は5時間以上がいい又は訓練期間は5か月以上がいいということで、それぞれ受講後は少し期間が延びている傾向が見受けられたところです。
最後、20ページです。試行実施の結果を踏まえて、今後のオンライン訓練の実施に当たっての改善点を記載しています。周知に関する点又は受講者同士の情報共有などについて工夫が必要だという結論を付けての報告書を提出させていただいているところです。私のほうからは以上です。
○今野座長 ありがとうございました。最後に櫻庭さん、お願いできますか。
○櫻庭構成員 東京都の櫻庭です。よろしくお願いします。私からは、東京都において現在実施している非正規雇用労働者などを対象にした職業訓練の御紹介をさせていただきたいと思います。資料22ページを御覧ください。我々のやっている事業のうち今日御紹介するのは、成長産業分野キャリア形成支援事業という事業となっています。まず、事業の概要を御説明したいと思っていますが、こちらの事業については、上の囲みにあるとおり、成長産業分野への人材シフトやキャリア形成を促進するため、非正規雇用労働者等を対象として、e-ラーニングによる新たな資格やデジタルスキルの取得支援及び職業紹介等の就職支援を一体的に実施する事業です。対象については非正規雇用労働者等としていますが、求職者も対象としています。
下に事業スキームがありますが、令和4年度については、1,000人の規模で実施しました。予算としては、約4億円となっています。東京しごと財団という政策連携団体を通じて実施しているのですが、どのような支援の流れかといいますと、非正規雇用労働者の方や求職者の方々が、インターネットなどでこちらの事業を知って申込みをした後、受講が決まった方には、キャリア形成相談窓口においてキャリアカウンセラーらがカウンセリングを実施して、キャリア形成に見合ったコースを御紹介させていただいています。
その後、約4か月程度の受講期間を設け、e-ラーニングでスキルアップをする機会を設けています。なお、デジタルコースと資格取得コースという2種類のコースを設けており、1,000人の内訳として、デジタルコースは500人、資格取得コースは500人となっています。4か月の受講中は、メンターと呼ばれる伴走支援者が受講者からの質問などに答える受講フォローをする形で支援し、訓練終了近くになってからは、独自に開拓した求人なども紹介しながら、再就職支援・マッチングを行って、再就職であったり、必要によってはキャリア形成につなげていただくことを目的とした事業となっています。
次のスライドを御覧ください。こちらは参考までにデジタルコースと資格取得コースのそれぞれ5つの科目を用意して実施しましたので、そちらを御紹介させていただいています。それぞれ科目名、目指す資格、目指す職種や業種ということでイメージをしていただければと思います。デジタルコースについては、レベルとしては、経産省が定めているITSSですとレベル2ぐらい、2から若干3にかかるぐらいかというイメージの仕上がり、仕上がり像を使ってしまいましたが、そういったスキルの習得具合いを目指しているというところではあります。
続いて御紹介したいのは、受講生の属性です。まず受講生の属性について、全体としては非正規が大体6割です。男女問わず募集しているのですが、結果としては女性が8割という結果となっていました。また、こちらの受講を希望された方の中心的な年代は、35~50歳ぐらいの方々が多く、こちらで大体全体の6割ぐらいを占めたという結果となっています。
続いて、実際1,000人の方が受講して、受講修了の状況ですが、昨年度の受講修了はデジタルコース、資格取得コース共に約6割でした。非正規雇用労働者のうち約3割の方が転職、結果として約7割の方が現職継続という形となりました。また、求職者に関しては、約6割の方が就職に至ったという結果となっています。
細かいことは御覧いただければと思いますが、続いて、離脱者です。先ほど65%が修了して、逆に35%は離脱しましたので、そちらの離脱した方についても、御紹介したいと思っています。離脱率です。非正規と求職者とで差があるかと思ったのですが、こちらは就業状況にかかわらず、離脱者は約3割という形となっています。離脱者のうち約5割の方が訓練中に就職・転職が決まったために離脱ということなので、決して悪い理由の離脱ではないと思っているところです。また、離脱者のうち訓練中に就職が決まったから離脱したのは、求職者は約7割です。非正規が約3割という内訳となっています。就職状況としては、コースごとに非正規・正規別を載せさせていただいていますので御確認ください。「未把握」というのが実は表の一番右のほうにあるのですが、オンライン中心で、未把握というのは、結局、途中から連絡が取れなくなってしまった方ということで、実は先ほどの受講修了者の中にもいます。実際、未把握の中には、非正規の場合であれば現職継続が多いのではないかと見ているところではありますが、こういった方々も残念ながら一定程度いるというところです。
続いて、訓練中のフォロー体制について2つあります。1つがキャリアカウンセリングです。こちらは、専任のキャリアアドバイザーを各コースに1ポスト以上配置し、事務局の開設時間中は常駐し、個別相談に対応しているところです。こちらのキャリアアドバイザーについては、就職支援の進捗管理や受講生の就職支援の相談、受講生の疑問への回答など、就職支援が円滑に進むようにキャリアアドバイザー自身が働きかけて、就職支援全般に携わっており、支援対象者の状況において柔軟に就職支援、職業紹介などを実施させていただいているところです。
また、もう1つメンターというものを用意しています。メンターというのも各コースに常時1ポスト以上配置しており、事務局に常駐しています。メンターは受講科目の内容に関する個別の相談や効果的な学習支援などを実施しています。
また、訓練の実施に当たりましては、達成度の確認テストなどを行うことにより、進捗状況や習熟度の確認を行い、個々に応じたメンターによる受講フォローを行っているものです。
こういった形で東京都では、昨年度1,000人を対象に支援しており、今年度も若干の見直しをしながら、引き続き事業を実施をしているところとなっています。
なお、資料上にはないのですが、こちらの講座についての費用については無料で実施をさせていただいているところではあります。
また、先ほど大嶋委員から認知経路のお話があったので、資料にはないのですが補足させていただきます。こちらは申込みいただいた方の大多数、全体の8割ぐらいがインターネットの広告経由の認知になっています。実は、これをやるに当たっては、それこそホームページのほかにも、いろいろなFacebookやInstagramなど、後は、例えば電車の地下鉄の車内広告をやったり、例えば銀座のほうにサイネージ広告を出したり、ほかにも無料の求人冊子が駅とかに置いてあると思うのですが、例えばそこに紙で媒体を出したりとか、あと、ハローワークに実はチラシを置かせていただいたりとか、いろいろやったのですが、結果としてインターネットのWeb検索や、バナー広告経由が圧倒的で、8割ぐらいを占めたということです。その次が口コミです。実はハローワーク経由みたいなのは、ほとんどなかったというのが実際のところではありました。私からは、簡単ですが以上とさせていただきます。よろしくお願いします。
○今野座長 ありがとうございました。それでは皆さん、御質問や御意見をいただければと思います。ちなみに櫻庭さんのところは、これからもこれでずっとやっていくわけですか。
○櫻庭構成員 非正規の方を対象にした事業というのは、東京都としても引き続きやっていくとは思いますが、このデジタルの資格とか、この内訳をどうするかについては、毎年毎年、見直しは必要かなと考えているところでございます。
○今野座長 ちょっとコンテンツを変えるかもしれないけれど、この支援事業は続けたいと。
○櫻庭構成員 そうですね。続けたいと思っているところであります。
○今野座長 どうぞ。
○武石構成員 ありがとうございます。幾つかあるのですけれども、まずは櫻庭さんのプレゼンで、非正規と求職者を対象にということなのですが、その非正規というのが、どのような定義をしているのか、ここに正社員が入ってきてしまったときにどうするのか。この非正規に限定しているのを、どのようにやっているのかというのをお聞きしたいと思いました。
それと、4億円の予算で1,000人ということですよね。なので1人40万ぐらいかかっていると考えていいのでしょうか。そうすると結構な予算でやっていると思うのですが、この辺りはどういう考え方というか、そこまで予算をかけて、東京都だからすごいなと思うのですが、その辺りの政策的な考え方について教えていただきたいというのが櫻庭さんへの御質問です。
それから、宇佐美さんですが、在職者の方が結果として入ってきているというお話があったと思うのですが、これは無料ですよね。在職者に無料でやるとなると、要は企業側にメリットがあるような気がするのですけれども、その辺りは公的な財源で在職者に無料の研修をして、結局は企業側のメリットがあるのではないかと、その辺りをどのように整理したのかというのをお聞きしたいと思いました。
○今野座長 順番でいきましょう。最後は大嶋さんで用意しておいてください。では櫻庭さんから。
○櫻庭構成員 2つ御質問をいただいて、まず1つ目です。どうやって非正規を対象にしているか、正社員の方を受講させないようにしているのかというのは、当然、募集の段階で「対象者については非正規の方ですよ」という形でアナウンスさせていただいておりますし、選考はオンラインの面談でさせていただいているのですけれども、そのときも受講要件に合致する非正規の方、若しくは求職者の方であるかについて確認をさせていただいていて、書類で何かを出させるとかではなくて、本人からの申告に基づく面談によって確認をしているといったところでございます。それが1つ目です。
2つ目です。1人当たり40万円というコストにつきましては、いろいろ考え方はあると思っておりますけれども、基本的にこちらは予算の4億円につきましては、当然このe-ラーニングのコンテンツの開発などというところもありますけれども、やはりかかっているのは広報経費ですね。やはり知っていただくための広報に、一定程度の予算を割いています。
それからやはり、この受講期間中に各コースにキャリアカウンセリングやメンターだったり、常時、人を置いているものですから、あとはそれから事務局ですね。そういった人件費が一定程度かかるというのが実際のところでして、その辺の経費を積み上げた結果、予算として4億円という形になっているところです。我々は、やはりやるならばしっかりと手厚くやったほうがいいだろうというような考えで、そういった体制を、逆に事業者に求めて実施していただいているというところでございます。
○今野座長 いいですか、では宇佐美さん。
○宇佐美構成員 11ページを御覧いただければと思うのですが、開講8コースで受講料が無料が3コース、有料7,000円が5コースという形にさせていただいていまして、実は平成27年と28年の2か年でやらせていただいた最初の1年目は研究会ということで、まず、一度は無料でトライアルしてみようかということで、普通職業訓練の短期課程という位置付けでやらせていただくというような体裁で、在職者の方なのですが、無料でさせていただいたということでございます。
ただ、結果として2、3名という形で非常に少なかったという部分もございまして、2年目は幾らか教材費を含めてお金をいただこうということで、この調査研究をするに当たって、いろいろな角度で募集したいということで、無料・有料という形で整理させていただいています。
○武石構成員 在職者の方が入ってくるというのは別に、そこは設計上は排除はしていなかったということ。
○宇佐美構成員 そうですね、対象者も正社員として働いている人でも結構ですし、アルバイトの方でも結構ですし、特に会社経由でなくてもよくて、会社経由でもお願いにはあがったそうなのですが、なかなか会社のほうが、ちょっと紹介するのは厳しいかなというような話もいただいたとは聞いております。
○今野座長 最後の御質問は、結局トライアルだから、ですよね。
○宇佐美構成員 そうです。トライアルなので、いろいろな場面を設定してやらせていただいたと。
○今野座長 本格施行になると、今、御質問になったようなことを考えなければいけないということですよね。思い出しましたか。
○今野座長 どうぞ。
○黒澤構成員 大変有益な御説明をいただきまして、ありがとうございます。大嶋さんに質問いたします。まずはどちらもなのですけれど、訓練を提供する業者さんを、どのように選ばれたのかなというところ。それから、最初はオンラインだったわけですよね。オンラインということはリアルでオンラインということだったのでしょうか。それをオンデマンドと対面に変えられたということで、それは、やはり働きながら学びたいとなると、オンデマンドのほうが自由な時間で学ぶことができ、それに対面スクーリングというのはすばらしいやり方だと思うのですが、これはどうやって声を吸い上げて変更なさったのかということを教えてください。それから、これはすでにお知らせいただいているかもしれませんが、受講者のリクルーティングは、どのようになさったのかということも教えていただけますか。よろしくお願いします。
○大嶋構成員 ありがとうございます。まず業者の方の委託先の選定ですけれども、豊岡市のほうはノヴィータというIT企業が受託されています。豊岡市に本拠地を置く会社ではないのですが、豊岡市でリモートワークでデジタルマーケティングの仕事の機会をつくられています。事業者選定のプロセスについて、しっかり聞いてこなかったので申し訳ありませんが、こちらのほうは宿題とさせていただければと思います。
また、佐賀県さんのほうは企画競争(企画コンペ)でというように聞いております。それから豊岡市のほうの2年度目からの形式の変更ですが、もともと同じ時間にオンラインで受講する、それにプラスしてスクーリングという仕組みだったものを、オンデマンドで好きな時間に見られる、それにプラスしてスクーリングという形式に変えたというように聞いております。
3番目、どうやって声を吸い上げたのかということですけれども、こちらも受講者のアンケートやスクーリングのときの意見の聴取みたいなことを行っておりまして、特に佐賀県さんのほうは、Slack上で講師と受講者の方が常時やり取りをしているわけなのですが、そこに県も入って、どんなコミュニケーションが行われているのかを見た上で、委託業者さんと一緒に、このようにするとよいのではないかという会話を繰り返して、プログラムを見直しているということを伺っております。
最後に、受講者のリクルーティングなのですけれども、豊岡市さんの場合はハローワークさんとの連携が非常に良いということで、ハローワークさんを通じての様々な情報提供であるとか、あとは地方ではいろいろな所でヒアリングしていて、よく聞かれることなのですけれど、市民だより、市政だよりみたいなものを、非常に住民の方がよく見ていらっしゃって、そこを通じたリクルーティングもあったというように聞いています。
これはちょっと余談になってしまうのですけれど、福岡でもこういった女性向けの、割と手厚いプログラムが最近募集を締め切ったところだったのですけれども、地元のNPOと連携して、まずはデジタルに関するキャリアセミナーを開いた上で、そこの方に周知していくというような、少し一工夫するような周知の仕方を地方ではされているようだと認識しております。
○黒澤構成員 よく分かりました。
○今野座長 今の募集の件ですが、そうするとメインは市民だよりなのですか。東京都はもっとハイテクを使っているではないですか。インターネット広告等。
○大嶋構成員 すみません、説明が不十分で失礼しました。豊岡市のほうは、そういった説明会だったり、市民だよりとかハローワークの所も大きかったと聞いているのですが、佐賀県さんのほうは、資料の5枚目でお示しさせていただいたのですけれども、下の段の一番右のグラフに講座申込者のプログラム認知経路というものがございますが、積極的にFacebookとかInstagramで動画など、説明会の様子を繰り返し繰り返し発信していまして、そういった経由での認知が最も高いというように聞いております。
○今野座長 ありがとうございました。それではどうぞ、ほかに。
○宮地構成員 大嶋さんと櫻庭さんに御質問がございます。まず、大嶋さんが御提示くださった事例なのですけれども、当初は離職中の子育て女性を想定していたということなのですが、結果的に非正規で働きながら学びたい女性受講者の多さが見えてきたということで、具体的にどういった経路ですとか経緯で、こういったニーズの多さを認識されたのかということをお伺いしたいと思います。
○大嶋構成員 こちらですが、1年目はフラットに実施されて、その中の受講者の属性を見たときに、当初予定されていた再就職したい女性よりも、非正規等でキャリアアップしたい女性のほうが、受講者の中に多かったということを踏まえて、2年度目に設計を少し変えられたというように聞いております。ですので、実績からということだと思います。
○宮地構成員 なるほど、1年目の実績から。
○大嶋構成員 そうですね。
○宮地構成員 ありがとうございます。
○大嶋構成員 ありがとうございます。
○宮地構成員 そうしましたら櫻庭さんにも、お伺いしたいことがあるのですけれども、オンライン訓練の場合はフォロー体制が非常に重要になってくると思っておりまして、フォロー体制のほうで、各コースに常時1ポスト、キャリアアドバイザーとメンターを設置ということだったのですが、各コース500人規模ということで、常時1ポストで大丈夫だったのだろうかと思いまして、実は常時1ポストのほかに非常勤の方が結構たくさん就いていたのでしょうかということ。
あともう1つ、豊岡の場合はSlackですとか、いろいろビジネスチャットとかを使いつつのサポートだったのですが、この東京都さんのフォロー体制は、どういった手段なりツールを使って実施されていたのかということをお伺いできればと思います。
○櫻庭構成員 ありがとうございます。まずフォロー体制につきましては、常時1ポスト以上という形にさせていただいておりますが、例えばキャリアアドバイザーについては、実はこの事業のために全部で18名ほど用意していただいていて、そういった方々がシフトを組みながら対応するという形になっております。時期によって、それこそ訓練の終了時期が近付くと、皆さんはそれこそ就職支援が増えるので、例えばそういった時期はちょっと手厚くするということをやらせていただいておりました。
メンターにつきましても、すみません、ちょっと手元に体制図がないのですけれども、基本的には質問に答えられるようにということで、一定数はいたというような形となっておりますが、どちらかというとキャリアアドバイザーのほうが、やってみたらニーズが多かったというのはございました。
それからフォロー体制のやり方については、受講生専用のシステムがございまして、そちらでメンターなりキャリアアドバイザーの予約を取って、それで基本的には指定された日時にオンラインで相談をするというような形を取らせていただいたというところでございます。
○宮地構成員 ありがとうございました。
○黒澤構成員 オンラインで学習していただくことのメリットは、いわゆる限界費用の低さですよね。しかしながら大嶋さんのケースにしても、東京都さんのケースにしても、案外定員をガチッと絞っていらっしゃるようにお見受けするのですけれども。例えば今の櫻庭さんのケースではメンターとキャリアアドバイザーという方がいらっしゃる。メンターのほうは、学習内容についてのフォローですよね。それは教える講師の方がする。しかしながら教育現場では、学生がある程度増えたらあとは時間も費用面でも案外変わらないようなところがあるので、メンターについては受講者が増えるからといって、コストが増えるということは余りないというか、そこは工夫次第なのかなと思ったりもするのですがいかがでしょう。
それに対してキャリアアドバイザーのほうは、やはりワンオンワンというところが大変大事ですが、それはこのプログラムの受講者だけではなくて、いわゆる通常の離職者の方々向けのキャリアアドバイザーが既にいらっしゃって、そういう方々をうまく活用なされば限界費用も抑えられたと思うのですが、そうではなくて、この事業のために貼り付けるということをなさったのはなぜなのでしょうか。
○櫻庭構成員 そうですね。まず教える側のメンターについては、当然専門的な知識とかも一定程度必要というところはあって、実際に事務局にどういう体制を取らせるかというのは、我々も仕様で縛っているところでもありますし、実際、いざ蓋を開けて、受講生が来てみて、どれぐらい質問するかを見ないと、やってみないと分からないというところが正直ありますので、我々としては受講生が聞きたいときに聞けないような状況にならないように、手厚く体制を取るようにということで、仕様で縛っているというところはありました。
実際のキャリアアドバイザーの運用のお話としては、当然経験豊富なキャリアアドバイザーは、ほかからも引っ張りだこだと思いますので、ちょっとすみません、手元に詳細なシフトはないので、ほかでどういう勤務をしているかまでは把握していないのですけれども、ただ基本的には聞きたいときに聞けないと、やはり受講生が不安になったりするというのもありますので、一定程度はやはり専属で、我々の業務の間は関与していただいたというような認識であります。
ただ、ちょっと空き時間に、ほかの事業のキャリアアドバイザーをやったりというのはやっているかもしれないですけれども、受講生の不安の解消が目的だったりもしますので、それが不足のないような体制を取るようにということで委託事業者にはお願いをしたというところでございます。すみません、ちょっとうまい回答にはなっていないのですけれども、そういった考え方で、一応、事業者にはお願いしています。
○今野座長 その前に、私が質問していいですか。すごく簡単な話ですが、東京都もそうですし、佐賀県もそうですし、兵庫県もそうですが、何でWebでやったのですか。
○櫻庭構成員 もともとこれはメインのターゲットは非正規の方と考えていたときに、やはり非正規の方は働かれているので、そもそも学ぶ時間を確保するのが難しいだろうし、当然、働き方も平日、土日、夜間、日中など様々で、そういった多様な働き方に対応できるようにということで、オンデマンドのe-ラーニングが一番受講しやすいだろうということで、e-ラーニングの方式を取らせていただいたのが理由です。
○今野座長 大嶋さんどうですか。
○大嶋構成員 佐賀県さんのほうで先にお答えさせていただくと、1つは、コロナの時期に開始されたプログラムということもあると聞いています。それ以外には、多様な方々が想定されるということもあって、そうした方々が集合できる形式としてのオンラインを選択されたのだと理解しています。
○今野座長 最後にもう1つだけです。今回、ここのテーマは、そういう多様な人たちに対してどういうふうに訓練サービスを提供しようかというのがテーマなので、だから重要かと思いますが、それに関連して、オンデマンドでe-ラーニングでやりましたと。やった結果、良かったか、悪かったかによって、これから参考にする程度が違うので、そこはどうですか。
○櫻庭構成員 我々としては、やはり非正規の方に対しては、オンデマンドで良かったと認識しております。
○大嶋構成員 私が代弁するのもおこがましいですが、継続されてオンラインという形をブラッシュアップするという方向でやられているということは、やはり、働く側のニーズに合った仕組みだと認識されているのだと思います。ただ、それだけでは足りないということで、そこと何を組み合わせるのかが非常に重要だというのは繰り返し聞いております。
○今野座長 それは一部スクーリングを入れるとか、あるいはサポーターを付けるとか、そういう意味ですか。
○大嶋構成員 おっしゃるとおりです。そこを非常に強調されていました。
○今野座長 またしつこいようですが、最後に1つだけ。ということは、そういう周辺部品は別にして、訓練それ自体だったら、もう地域を越えてしまいますよね。東京都でやっていますが、別に北海道の人が受けてもいいですよね。どうですか。
○大嶋構成員 私自身は、地域で求められるスキルや、対象者が受けやすい講座みたいなものがあると思いますので、その意味では、またスクーリングで悩みを共有し合うとか、仲間作りの面も考えますと、全国よりは、ある程度同じ境遇の人が集まれるような環境のほうがよろしいのではないかと考えています。
○今野座長 しつこいようですが、もう1点。もし、北海道の方の訓練ニーズと九州の人の訓練ニーズが一緒だったら、一緒にやってもいいですね。
○大嶋構成員 そうですが、集まったときに同じ悩みを共有できるのかというところを考慮できるのであれば大丈夫かと思います。
○櫻庭構成員 地域性については、我々の事業の場合は当然東京都の税金なので、都内在住・在勤の方に限ってはいるのですが、今回、逆に国で実施して講座を受けさせるだけであれば、全国どこでも必要とされるような講座を、例えば、デジタルなどを設定して実施すればいいのかなとは思っています。ただ、もしそこに我々がやっているような求人開拓みたいなものを設けるのであれば、当然、どのエリアの求人を開拓するかという話が出てきますので、それまで設定するのであれば、地域性というのは、ある程度限定した形でやったほうが効果は出るかとは思います。
○今野座長 ありがとうございます。
○武石構成員 大嶋さんへの御質問ですが、私は無料というのが気になっていて、先ほど宇佐美さんにお伺いしたのと似ているのですが、佐賀県のSmart Ninjaのほうで、これは企業からの参加者を募集しているということで、やはり企業のニーズの受け皿としてのNinjaのコースなのかなと思いますと、これを無料にしなくてもいいのではないかという気がしたのですが、大嶋さんがやっている佐賀県のことをお聞きしたので、この辺りはどうして無料なのか1つ気になっています。
そのNinjaとSamuraiで、4ページの事業概要の下を見ますと、それぞれ100人ですが、Samuraiのほうが4コースに分かれていて、Ninjaのほうが1コースでやっていて時間も短いですし、簡便なコースなのかなと思うのですが、予算は同じぐらいなので、これはどうしてこんなに予算がかかっているのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○大嶋構成員 ありがとうございます。まず、なぜ無料なのかというところですが、これは多分ゴールによって変わってくるかと思います。佐賀県さんの取組のゴールが、企業のDXを推進することで、より地域の中に良質な雇用機関を拡大していく。それから、産業化を進めていくといったゴールがありますので、それに資するという観点から無料にしていると理解しております。
もう1つは、NinjaとSamuraiの違いですが、Smart Ninjaのほうは、ノーコードやSaaS、クラウドを使って業務改善ができるようなプログラムなので、逆に、プログラミングの知識は余り必要がなく、基本的なツールをプログラミングなし、視覚的に使えるようになるといった課題設定ですから、そういう内容が中心になります。
逆に、Smart Samuraiのほうは、初心者の方も含めてプログラミングを一から学ぶ内容になっていますので、自習の時間を含めますと、実は結構長くて123時間かかるプログラムです。今、Samuraiのほうが少し軽そうという御指摘をいただきましたが、SamuraiはSamuraiで受講者の負担は大きいプログラムであり、手がかかるというか、必要なサポートが一定量かかるプログラムではないかと理解しています。受講者層が結構違うと聞いております。どちらかと言いますと、Smart Samuraiのほうは、相対的に年齢層が若くて、Smart Ninjaのほうは企業の中核人材から、ミドルシニアの受講者の方も非常に多いと聞いております。Samuraiが4つに分かれているのは、多様な方が参加されているからで、Smart Ninjaのほうは、企業から派遣されて、業務時間後に受講するようなイメージと聞いております。
○武石構成員 ありがとうございます。
○黒澤構成員 コストが同じぐらいなのはなぜですか。
○大嶋構成員 コストが同じぐらいなのは、何の工程にどのくらいの予算を配分しているかまで細かく見られていないので、そちらは確認してまいります。
○武石構成員 Samuraiのほうが簡単だからかと、今、御説明を聞ながら思ったのです。Ninjaのほうは高度なので、結局、そこでコストが調整されているのかと思ったのです。
○大嶋構成員 これは私の印象になりますが、プログラミングを一から初心者の方が学ぶほうが、自習時間も含めますと、負荷は高いのではないかと思っております。Samuraiのほうは54時間ですので時間は短いのですが、多分、自習ではなくて、その場でしっかり教えていくような学び方になっていて、パイソン講座のほうは84時間を集団的に教えるのですが、自習も含めて長い時間になっていると思います。今、きちんとしたお答えになっていないと思いますので、そちらのほうは申し訳ありませんが、価格設定の詳細については確認してまいりたいと思います。
○今野座長 もう少し時間がありますので、私からまた継続して質問いたします。先ほどの件の延長ですが、宇佐美さんの所は、これは求職者対象にオンラインで実験をしたのですよね。
○宇佐美構成員 そうです。
○今野座長 そうですよね。それでやってみて、いろいろこういう状態でしたという御説明はいただいたのですが、やってどうですか。つまり、もうこれからオンラインでやってしまったほうがいいと思っているのか、そうではなくて、単純に言いますと、やはり対面のほうがいいと思っていらっしゃるのか。
○宇佐美構成員 私の感覚的に、オンラインは画面を通じて、離れていても相手の顔を見ながらお話できますので、e-ラーニングよりはオンラインのほうが指導を含めて進めやすいと個人的には感じています。
○今野座長 今回の実験は求職者なので、ここで想定している非正規の在職者のように、勉強しなければいけない時間が多様ということはないですよね。
○宇佐美構成員 そうです。ただ、非正規の求職者の方で転職をしたり、キャリアアップをしていきたいという非常に意欲のある方ならば、これはe-ラーニングで各自それぞれ勉強していただくということは、非常に効果は出てくるのかと思います。求職者の方で、少しサポートしながらいろいろと手助をしていくということであれば、対面指導、オンラインを含めた形での指導を定期的に入れたほうが、展開的にはやりやすいのではないかと感じています。
○今野座長 もう少し端的に質問しますと、ここで想定している非正規の在職者の人が勉強しようとすると、勉強する時間はそれぞれ多様ですし、1日のなかでそんなに長い時間勉強することは無理だというような状況を考えたときに、ここで実験をされた経験からしますと、そういう人たちに対しては、先ほど東京都や大嶋さんからは、やはり、e-ラーニングはいいのではないかという話があったのですが、その辺はいかがですか。感触で結構です。
○宇佐美構成員 感触でいきますと、やはり、時間のないところで夜間や土日で空いた時間に勉強していくということであれば、自分がコントロールできる時間で、好きなときにできるということでいけば、e-ラーニングは非常に良いのではないかと思います。
○今野座長 そういう議論をそのまま引っ張りますと、後から出てくる論点、今回の我々の主要なミッションですが、どういう時間帯で講義をやったらいいのかとか、いろいろあるのではないですか。例えば、そんなことを言わないでオンデマンドでe-ラーニングでいいではないですか、それで済んでしまうではないですかという話になれば、多分、これから想定するときに、対面でやる研修、e-ラーニングでやる研修、オンラインでやる研修、いろいろな想定を今のところしていると思いますが、今のお話を聞いていますと、全部オンデマンドでいいのではないですか。そうすれば、後は本人が選択できるようにさえしておけば、どうとでも対応できるという話になってしまうかなと、何となくそう思ったのですが、私の感想です。気にしないで。ほかはいかがですか。
○黒澤構成員 やはり、非正規労働者、就労している方々のリスキニングという観点から言いますと、オンデマンドというのは非常に魅力的だと思います。それに付加価値を付けるのが、先ほどのメンター、つまり、教える側とのやり取りです。文部科学省的にも、今回コロナで大学がオンライン講義を多く提供することになりましたが、その際の要件が、必ず「クエスチョン・アンド・アンサーセッションを設けること」というのがありました。それと共に、先ほど大嶋さんがおっしゃったように、受講者がお互いを教え合ったり、自分の境遇などを話し合う機会を提供するということ。それに加えて、キャリアに関しては、アドバイジングとかコンサルティングを付加する。恐らく、今、ご説明いただいた事例に基づけば、その3つぐらいのサービスを追加することが、よろしいのではと思います。皆さんの例も始まってまだ1、2年しかたっていないので、先ほど櫻庭さんがおっしゃったように、まだノウハウ的に十分に蓄積されていない部分があって、とくに限界費用をもう少し下げていくというか、コストベネフィット的にも有効なものにしていく余地がまだあるのではないかと思いますがいかがですか。これはなくてはいけないとか、ここの所はもう少しコストを下げられる余地があるのではないかとか、その辺について教えていただきたいと思います。
○今野座長 今、限界費用とか難しいことがありましたが、何が課題だろうかぐらいでいいと思います。
○櫻庭構成員 コストが幾らが適切かについては、皆様考え方はあるのかとは思います。今の事業の課題というのは、やはり、途中で離脱する方をより防ぐということ。せっかく講座を用意して支援を提供しているので、是非最後まで御利用いただいて、よりステップアップにつなげていただきたいと思っていますので、途中で離脱する方を減らすことは大事かと思います。そういった形で、今、3つほど御提案いただいたキャリアカウンセラー、メンター、受講者同士の交流というのは、どれも有効な手段だなと考えております。こういった事業にキャリアカウンセリングというのは、当然、不可欠だとは思っております。何人配置するかは別にして、それはなくてはならないものだとは思っています。やはり学習内容が分からなくて、つまづいてしまう方もいるので、どういう手段かは別にして、当然、質問できる体制も必ず必要だとは思っていますので、何人配置するかは別にして、それらは不可欠だと思っています。
さらに、受講者同士の交流の話は、我々この事業と別の所で、実は受講者同士の交流の機会を設けるという事業もやっております。そちらもどうなるか、今後見ていきたいと思っております。それも私としてはあるとより良いかなという形では考えております。そういった意味で、コストというのは当然予算なので、やはり税金なので少なくて済むに越したことはないのですが、あまりそこを切り過ぎてしまうと、結局、我々がやろうとしている、スキルアップをして、キャリアアップなどにつなげていただきたいというところが、できなくなってしまうおそれがあるということで、そこはバランスを見る必要があるかと思います。切れる所はどこですかということに対して上手な回答にはなっていないのですが、そんなふうに考えています。
○今野座長 そろそろ時間で、今日、もう1つ議題がありますので、次に移りたいと思います。もし時間が余って、また御質問があったらしていただくということにさせていただきます。次の議題は、事務局から報告をお願いします。それで議論したいと思います。
○鶴谷訓練企画室長 では、事務局から御説明いたします。資料は通し番号で28ページ、資料4を御覧ください。こちらは第1回の研究会において皆様からいただいた主な御意見を、論点に沿って整理したものです。こちらを御参考に、更に論点を整理しておりますので、31ページの資料5を御覧ください。「働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計」について、論点を整理させていただきました。まず1番目です。受講の対象となる方、訓練をした結果、到達すべき水準と成果指標です。まずは1の(1)に、対象者と到達すべき水準について表でまとめました。対象については正規か非正規かという観点と、その方々が訓練の結果、同じ仕事でキャリアアップをするのか、それとも異なる仕事に移られるのかという点で整理をしております。
①です。こちらは非正規の方で、非正規の方の1つのパターンとしては、現職のまま正社員ということでキャリアアップを目指す方と、現職とは異なるけれども、正社員を目指す方という2パターンについて考えてみたいと思います。どちらも現職か違う職種かという違いはあるのですが、その仕事においては正社員として初めて就かれるので、右側の到達すべき水準は、初めての職場で働くために必要な、その職業に必要な知識や技能レベルを身に付けていただくところを目指すことになってくるのではないかと整理しています。
③に飛んでください。③は正社員の方ですが、現職とは異なる職種で正社員を目指す方です。もともとの身分は正社員だったかもしれないのですけれども、違う仕事に移られるので、その仕事の正社員としては初めて働かれる方ということになりますから、右側の到達すべき水準は①と同じく、初めての職場で働くため、職業に必要な技能や知識を目指していただくというように整理をしております。
戻って②です。こちらはもともとが正社員で、その職場において中核人材などのキャリアアップを目指す方です。こちらの右側は先ほどの2つとは違って、職業に必要な高度な技能・知識を身に付けていただくことを目指していくというように整理をしています。
こうした整理の下、これらの方々に支援が必要かという観点は、表の下のほうで整理しております。まず最初のポツです。②の方から申し上げますと、こうした方々は正社員ですし、中核人材を目指すので、企業内での人材育成が大いに期待される上に、もし御自身でキャリアアップを図りたいと思った場合も、教育訓練給付制度が使えるようになっております。
また、③の方々は正社員で、在職中だったら教育訓練給付制度が整備されていることに加えて、転職を目指す方の場合は、無料で公的職業訓練が受講できるというように整理できます。さらに①の方をみてみたいと思います。この方はもともとが非正規の方々なので、企業内での能力開発の機会が少ないということ、あるいは費用負担に制約のある方が多いのではないかということが考えられます。それから非正規の方なので、雇用保険の被保険者になれないこともあり、雇用保険の被保険者を対象とした教育訓練給付制度が利用できない可能性も高いことも考えられます。このため、今回検討している新しい事業については、①の方を主な対象として考えてはどうかという整理をさせていただいております。
続いて(2)の「成果指標」を御覧ください。先ほど申し上げたとおり同じ職場、現在の職場でのキャリアアップのケースも十分考えられることから、成果指標としては就職率だけではなくて、次の32ページにまたいで御覧いただきたいのですが、例えば企業内での正規転換の割合や賃金水準の向上などの状況も、成果指標では考えられるのではないかと整理しております。さらに訓練の受講によって仕事に対する意欲が向上したなど、受講者の評価という観点も考慮してはどうかというように整理しております。
続いて2番目の様々な特性を踏まえた職業訓練の手法などの観点からの整理です。まず(1)の「職業訓練の手法、受講日程」です。「働きながら学ぶ」職業訓練は、勤務時間外に受講いただくこと、それから非正規の方を対象としますので、勤務曜日や時間が多様かつ不定であることを踏まえた訓練の日程にすべきではないかと整理しております。具体的には、もしも学校に通うとしても、通所される日にちの思い切った柔軟化とか、スクーリングが不要なオンライン訓練、あるいは受講時間が自由に選択できるオンデマンドの訓練などの利用も認めるべきではないかとしております。また3つ目のポツですけれども、到達すべき水準の達成に向けては、ある程度、総訓練時間を確保する必要があります。このため、訓練期間の長期化も認めるべきではないかと考えられます。
続いて、(2)に移っていただきたいと思います。働きながら学ぶという状況下で職業訓練の効果を高めるためには、普通の離職者向けの訓練よりもきめ細かな受講継続勧奨や、知識の習得度合の確認が必要ではないかと考えられます。ですから2番目のポツにありますように、例えば受講支援者の配置が必要ではないかというように整理をしております。
(3)が費用です。非正規の方を対象に考えた場合には、そういった特性から無料又は低廉な費用負担とすることが求められる一方で、現行の公的職業訓練の場合は、離職者向けの訓練を除き有料となっていることを踏まえ、検討するべきではないかというように整理しております。
3番目が訓練のコース、あるいは訓練機関の選定方法についてです。先ほど申し上げたとおり、柔軟な手法・日程の訓練を提供する必要がありますので、民間職業訓練実施機関を実施主体とすべきではないかとしておりますが、質の担保を図る観点からも、現行のように都道府県の委託や、独立行政法人による認定といった方法も踏まえるべきではないかというように整理をしております。
続いて33ページを御覧ください。対象となる方への周知方法や受講の申込みの方法についてです。まず(1)の受講の申込みについてです。働きながら学ぶ訓練なので、ハローワークの御利用が前提とはならないことから、受講者御本人が訓練機関に、直接お申込みをすることを基本に検討すべきではないかとしております。ただ、2ポツ目や3ポツ目にあるとおり、例えば都道府県や独立行政法人の役割を検討したり、ハローワークにおいて在職中から、継続的な支援が求められたりしていることとの整合性を踏まえた検討を行うべきではないかと整理しております。
続いて周知方法です。周知方法についても訓練の実施機関に委ねることを基本に、検討すべきではないかと整理しておりますが、前回の研究会でも御意見をいただいたとおり、例えば地域の公的団体や職業別のネットワークを通じた周知、事業主を通じた受講勧奨も並行して進めるべきではないかと整理させていただきました。そのほかに訓練の動機付けを高める取組とか、将来のキャリアや向上すべきスキルが分からない方もいらっしゃるので、事前の相談支援についても検討が必要ではないか、その際には職業能力を見える化できるジョブ・カードの活用も考えられるのではないか、というように整理させていただいております。
最後の5番目は、試行事業実施の必要性です。今回の新しい訓練については効果検証も必要なことから、まずはモデル事業として実施し、その結果を研究会に御報告した上で、制度設計を行うべきではないかとしております。また、先ほど申し上げたとおり、柔軟な手法・日程の職業訓練を提供する必要があることを踏まえて、訓練の効果が得られやすい分野に限定することも検討するべきではないかというように整理しています。
論点は以上ですが、参考を少し御覧いただきたいと思います。通し番号の35ページを御覧ください。前回、求職者支援訓練等で行っている短期間・短時間の特例措置について御説明し、御質問がありましたので資料を付けさせていただきました。36ページを御覧ください。今回付けたデータは求職者支援訓練なので、求職者支援訓練で御説明させていただきます。36ページは、現在行っている職業訓練の柔軟化の関係です。まず、訓練期間については①で書いております。求職者支援訓練というのは通常2~6か月のところ、特例措置下では2週間という短いものも設定できるように、要件緩和をしております。②は時間の関係です。求職者支援訓練は通常月100時間以上のところ、月60時間の設定も可能としています。
39ページを御覧ください。令和3年度のベースで受講者でどのくらい、この特例の短期間・短時間訓練を受られているかを御説明いたします。39ページの左側が、全分野を通じた結果です。受講者全体2万3,000人のうち、大体4分の1の方が短期間・短時間訓練を受けておりました。赤い色の部分です。右側が分野別で受講者数を見たものです。営業・販売・事務で受けられている方が多かったということです。
この短期間・短時間の訓練について、在職者が多かったかというところを見てみたいので、41ページを御覧ください。こちらは訓練を受講された方の属性を見たものです。離職者で、かつ何の事情もなかった方は、このグラフには出ていないのですが、例えば左側の通常訓練で見ますと、7割ぐらいの方は離職者かつ事情のない方です。そのほかに育児や介護、健康上の事情があった方のみ、こちらのグラフとして示しています。この中で在職者がどのぐらいいたかというと、下側にあるように、大体1割いらっしゃいました。右側の短期間・短時間訓練で御覧いただきたいと思います。同じように下側にありますが、在職者は10.7%ということで、短い訓練だからといって在職者がとても多かったかというと、そうでもなかったということです。
通し番号で46ページを御覧ください。参考3です。能力開発基本調査の中で正社員と正社員以外の統計についての比較を抜粋したものをここにまとめております。この中で論点にも関係があるので御覧いただきたいのが、まず51ページです。自己啓発を令和2年度に行った方々に御質問をしたもので、右側が自己啓発に使った自己負担の費用を整理したものです。青色が正社員、オレンジ色が正社員以外です。四角囲みにあるとおり、自己負担の費用について正社員と正社員以外とでは、平均値は大体同じなのですけれども、実際にどのくらいの額かというのを細分化していきますと、正社員以外の方々は1,000円未満のところに過半数がいらっしゃって、高いお金になればなるほど、正社員が多かったということになります。最後は全体的に一緒ぐらいになってくるのですけれども、低い額のところは正社員以外の方のほうが多かったという結果になっております。
さらに最後の55ページです。右側のグラフで御覧いただきたいのですが、自己啓発を行った方々に、自己啓発を行う上での問題点を確認したものです。一番多いのは、忙しくて時間がないということで、正社員も正社員以外もどちらも多かったのですけれども、上から4、5番目、どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのか分からないという者や、自分の目指すキャリアが分からないと回答された者については、僅かではあるけれども、非正規の方が多かったという結果になっております。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、また自由に議論をさせていただければと思います。
私から質問をしていいですか。単純な状況を想定して、もうオンデマンドでいけばいいじゃないかという話になって、研修コースを作りましたとします。それを作ると、受講者がこういう日に受講したいとか、忙しいので長い時間をかけて受講できないという多様なニーズに柔軟に応えられますよね。それはいいですよね。では、そうしようとしたときに、この論点ペーパーだと、訓練機関の選定方法というのがあるけれども、訓練機関はもう選定などしないのではないか。つまり1個作ってしまえばいいわけだから。オンデマンドですから。もし民間訓練機関に委託したら、そのオンデマンドのコンテンツは作ってねというぐらいになりますよね。そうなるとその次の受講申込みは、職業訓練実施機関にやってくれと言ったけれども、実施機関である必要はないですよね。つまり、ここで想定しているのは、ある訓練を民間のA社、B社、C社、D社にお願いするということですよね。しかしオンデマンドだったら1個あればいいので、ここで言う訓練実施機関というのは何になるのだろうかと思ったのです。どうですか。
○宇野人材開発政策担当参事官 我々が想定している、オンデマンドを認める場合というのは、例えばオンデマンドが1個あったとして、教材を作ってそれをフォルダの中に入れておくとしても、実際にそれを受講したかどうかという管理とか、受講した後に、ある一定期間内でどこまでそのファルダを見ているかという確認もなしに、単に教材を作ったら御自由にどうぞという形だと、「職業訓練」になるかどうかというところがあります。そういう意味で、ここで言う教育訓練実施機関というのは、オンデマンドという講座を提供するにしても、それは一定程度受講管理をしていただくということを前提に考えています。恐らく東京都や先ほど御紹介いただいた佐賀県も、オンデマンドの形だとしても、そこは一定期間内である程度、管理をされているのではないかと思っております。
○今野座長 そうですけれども、先ほどからオンデマンドが成功するには、キャリアコンサルタントサービスがちゃんと付いているとか、研修に対するメンターをちゃんとしているとか、受講者同士のコミュニケーションが取れるようにするとか、訓練が終わったときの就職等の出口もちゃんとサポートするというのが、セットであるというお話までは整理できたと思うのです。そうしたら、非常に単純な想定をすると、今言ったサービスが、もし全部Web上でできるとしたら、全国1か所でやればいいじゃないかという話なのです。
○宇野人材開発政策担当参事官 当然、今回考えているのは、今、座長がおっしゃったようなことは、ある意味セットでやっていただくのが職業訓練実施機関だと思います。あと、非正規の方々がオンデマンドという形がなじむ分野と、なじまない分野があるのではないかと。今回例に出ていますが、IT系であれば比較的そういうものにもなじむし、実際の働き方もそういうようになっていくと思うのです。しかし一方で、それになじまないものもあるかと思います。ただ、そういったものが果たして今回のような在職者に、働きやすい形でうまく設定できるかどうかという部分があります。我々としては、オンデマンドという形式を認める方向で論点を提示しましたけれども、考えているコースは、それ1本でいくというよりは、恐らく様々なものを試行事業という形でやっていかなければいけないかなと思いました。
セクションの1つ目に戻って、今日はすごく興味深いお話を伺わせていただいたのですが、1つ気になっていたというか、私どももすごく悩んでいるのが、在職中の訓練の効果をどう計測するかという部分なのです。先ほど御紹介いただいた東京都の事業を拝見しましたけれども、訓練を受けた後は、非正規の方の現職継続というのが多いわけです。そうすると、その訓練効果は何なのですかというところをどう証明していくのか。佐賀県の……を見てそこがなかったものですから、その辺りのところ。特に在職中で非正規の方を対象にしたときに、訓練が終わったというのが1つのあれだとは思うのですが、修了した結果、その方に一体どういう訓練効果があったのかという部分を考えるときに、本当にオンデマンド1本で大丈夫なのかどうかという部分です。もちろん、これにはいろいろなサポーターも必要です。我々としてはもう1つ、そこを説明していかないと、いわゆるコストパフォーマンスとか、税金とか、EBPMという感じからすると難しいかと思っています。そういう意味でも今回の論点の中では試行事業という形で、この研究会で御議論いただいたものを踏まえて、試行で1回やってみたいと思っているところです。
○今野座長 そうすると、1つは今おっしゃったように、例えばオンデマンドでものづくり系などはできないですよね。そういうものがあるのはそのとおりだと思うのですけれども、取りあえず今回はパイロットだから、典型でオンデマンド一発でやると、議論がすごくすっきりしていいと思っているわけです。それでパイロットでやってみようと。
○宇野人材開発政策担当参事官 試行の場合だと宇佐美構成員からお話のあった、今日の2つ目の機構の研究のように、恐らく幾つかのケースで少しパターンを変えてみるということもあるかもしれないと思うのです。ですから実際のオンデマンドには1本のような典型的なものも、当然試行に入れていくのでしょうけれども、いろいろなパターンも。あと、オンデマンドの場合でもどういうように何をかませると、よりキャリアアップやスキルアップ、いわゆる賃金も含めて処遇アップになっているのかという部分も含めて、どこが効いているのかという部分を、もう少しやってみたいと思います。1本と言うよりは、幾つか複数で少しやらせていただきたいと思っております。
○黒澤構成員 正に、先生がおっしゃったようなもの、オンデマンドだけで追加的付加価値はないが、非常にオープンに無償で誰でも、というのが、先日申し上げたイギリスのスクールツールキットです。いろいろなものがあっていいと思うのです。
無償で全ての人を対象にしたものであれば、それこそ人数も多くなるのでアンケート調査をやれば簡単に計量的に効果検証ができるはずです。ただ、もちろん、それとは別にいろいろな付加価値のサービスを追加して手厚くやっていくことがあってもよいと思います。それはその訓練を提供する内容によると思います。
本当にボトムラインで必要なベーシックなIT系であれば、オンデマンドでどなたにでも門戸を広げてやる、付加価値的なものは余りやらないことも十分にあり得ると個人的に思います。
あと、先ほど有償か無償かという受講費用の話で、もちろん、コストを削減してもよいものができなければしょうがないということはおっしゃるとおりです。もし貸与という形でコストを受講者に負担させることができるのであれば、それを負担することによって離脱率を下げることができ、そのインセンティブとしても働くかと。ただ、貸与はアドミニスト的に非常にコストがかかる。突拍子もないことで、すみません。いわゆる、マイナンバー制度などは使えないのかと思ったり、すみません。
○今野座長 似ているんだね。どうぞ。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。当然、今回の論点でも無料や有料などという形で御提示しておりますので、我々は無料で決めているわけではないと思っております。かつ、無料によるメリット・デメリットと有料によるメリット・デメリット。今、先生がおっしゃったように離脱率の問題、インセンティブの問題で、やはり、効果は見ていかなければいけないかと思っています。
そういう意味では、前のセクションで機構の全体で言うと11ページでしょうか。調査研究で、最初は無料でやったら受講者数は少なかったが、その後、有料にしたら受講者数が増えたということなのです。ここは無料、有料の効果なのかどうかは分かりません。非正規向けなので貸与するほどの値段設定をするかどうかは議論があるかと思いますが、当然、貸与は人材開発政策全体としてのツールとしてはあると思っております。
○大嶋構成員 ありがとうございます。少し話がずれてしまうのですが、どのように効果指標を測るかという論点についてありました。正社員転換や賃金上昇もあったと思います。非正規で働き続ける方が何かスキルを身に付けて、まだ実践性が低いというか、そのスキルに関する生産性が低い状態で、それを活用して賃金が上昇したり、すぐに正規転換するようなことは、それほどあるわけではないというふうに考えています。
それを考えた場合、例えば、身に付けたスキルを仕事で活用できているか、仕事の幅が広がったか、仕事のレベルが上がったかなど少し幅広めに効果の指標を取らないと、やはり、すぐには結果が出てこないのではないかと思います。また、特に地方では良い仕事がなかなかない中で、例えば、女性就労支援をやられている団体の方が起業のようなこと、独立も視野に入れた支援を行われている実態がある中で、起業や独立のようなところも指標に入れていく必要があるのではないかというふうに考えました。
もう1つは、オンデマンドかというお話に少し関連するのですが、出口を設計するときに民間職業訓練機関ではない主体はないのかということを少し考えました。第1回で申し上げたことでもありますが、地域の実情を知っている人材サービス等が地元企業との接続をいかして、企業が欲しがっているスキルを学んでもらう。そのための講座は民間職業訓練機関に委託するような形で、労働市場のニーズに合った講座を、出口が見える形でどう提供するのかというところは、もしかしたら、少し検討のしどころがあるのではないかとも考えるところです。以上です。
○今野座長 事務局、何かありますか。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。今、正に大嶋委員がおっしゃった点は、論点の所でも触れさせていただいています。確かに、今回、賃上げは三位一体改革の指針にも入っておりますので例示として出しておりますが、今おっしゃったような視点も、当然、我々は考慮しなければいけないと思っておりますので有り難い意見だと思います。
また、我々の言う民間教育訓練機関は、どちらかというと公的な訓練施設でないものという感じなのです。ですから、法人格は気にしていない部分があります。そういう意味では、紹介だけでは少し困りますが訓練をやっていただければ、要するに、幅広い主体という意味で捉えていただければと思っております。
○宮地構成員 よろしいでしょうか。
○今野座長 どうぞ。
○宮地構成員 訓練の効果測定について、私からも意見を1つ述べさせていただきます。論点ペーパーの中に、仕事の満足度という主観的な指標を取り入れる手もあるのではないかというお話がありました。私もこれに賛成です。理由は2つあります。
1つは、今、様々な効果・成果を測定するときに、ウェルビーイングの視点がかなり入ってきています。例えば、職業訓練の観点で言えば、訓練を実施することによって賃金が上がることだけがより良い職業生活を実現したことにはならないだろうということで、より健康になった、よりモチベーションがアップしたなど、いろいろなウェルビーイングの視点を導入できると思います。その中でも、特にモチベーションがより高まった、あるいは、キャリアに関する目標がより明確になったなどの観点は非常に有効なのではないかと思っております。
それはどうしてかというと、まず1つは、賃金以外の評価の軸ができることです。あと、先ほど大嶋委員からもお話があったのですが、私がある県の女性キャリアセンターの職員さんから伺った話なのですけれども、実は、すぐにキャリアアップを考えている方は2割ぐらいしかおらず、8割の方は、3年後ぐらいに子育てが落ち着いてからキャリアアップをしたいというふうに望んでいらっしゃるという話を聞きました。キャリアアップを実現するには長期的な訓練の継続が必要です。
ですので、長期的な訓練継続を担保する機会になったかどうかを測る意味でも、モチベーションがアップしたか、あるいは、目標が明確化したかという主観的指標を取り入れるのは非常に有効なのではないかと思っています。1つはウェルビーイングの視点、もう1つは、長期的な訓練継続のきっかけになったかを測る意味で、主観的指標の導入は有効なのではないかと考えております。
○今野座長 訓練をしたときにどういう効果が上がったかが一番見やすい状況にあるのは、企業内訓練を行う企業だよね。企業はこれで長年苦労してきたのですが、最終的にはどうしても完全には評価できないという状況にある。例えば、この知識が得られたということは分かる。でも、その人がどれだけ行動を変えて最後にパフォーマンスに結び付いたか。それも、時間軸を長くすればするほど媒介変数がたくさん入ってくるので、なかなか難しい中でやらなければいけない。
そうは言っても、今おっしゃられたように、モチベーションでもいいですし、最近、流行っているエンゲージメントでもいいので主観指標で評価する。あと、賃金で評価するなど考えられる指標で評価すればいいかと思っています。
ですから評価項目を作るのはそれほど難しくないと思っています。それよりも、データを集めるほうが難しい。訓練を受けた人に答えてもらうのですよね。特に短期評価はまだいいですが、2、3年後どうなりましたかと追いかけるのは難しいですよね。そうすると、いかに訓練を終えた人にちゃんと答えてもらうかという仕組み作りのほうが、ずっと難しそうだというふうに思っています。
指標については、今の御意見もそうであるし、黒澤さんは昔からやっているのでそういう指標でデータを集めれば評価はできると思うので、問題はそこではない気がするのです。ですから、どう評価するかということについてはその程度に思っています。黒澤さん、どうですか。事務局は、特別に評価インデックスを考える必要があるのかということで苦労されていると思います。
○黒澤構成員 追跡調査をどのようにするかということですよね。公共職業訓練の評価が計量的に非常に難しいのは、対象者がとても少ないのですよね。なので全国レベルの調査をやっても、余りにサンプルが少なくなってしまうので見えてこない。そうすると、受講者に聞いて、それから、それの比較対照から聞いて、それでいろいろ統計的処理をするしかないわけです。
おっしゃるとおり、オンデマンドの場合、やはり、先ほどからいわれているいろいろな付随しているサービスを充実させ、その情報も含めて追跡調査をする。そういう付加価値のサービスを追加したほうが効果は大きくなると思います。
○今野座長 かなり強制力のあるしっかりした仕掛けと、あと、コストをかけないと情報を集められないよね。そちらのほうがすごく重要かと思います。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。我々としては、その辺りも含めて頭を悩ませています。今の求職者支援訓練や委託訓練の場合は、最終的には就職率の上下で訓練実施機関の方々が受け取るお金が変わってくる形になっています。まず、変わってくるところにもインセンティブがありますので、当然、訓練実施機関の方は、就職したかどうかを3か月後や6か月後まで追いかけてくれます。
そうすると、それをきちんと報告していただくということで、両方セットでやっていくことによって実績の評価をしているという話になってきます。在職者ではそれが利かないものですから、要するに現職にいるだけでは、まして非正規では同じではないですかと、では、訓練はどこが変わったのだと。ですので、その辺りのところは客観評価と主観評価の両方を組み合わせるのかもしれませんし、どういう形がいいのかを含めて、あと、実際終わった後、それを受講者の方々からどう集めていくのか、追っていくのか、訓練業者の方にどこまでお願いしていくのかという部分も制度設計としては難しいかと思っております。
○今野座長 でも、今、想定しているのは、公共訓練の場合は就職したかどうかだから非常に短期の問題ですよね。
○宇野人材開発政策担当参事官 そうですね。
○今野座長 そうしたら、その程度の短期の問題でよければ、訓練が終わった後の3か月後で何でもいいですよね。「役に立った」などを聞けばいいのではないでしょうか。項目を少し考えなければいけませんが「賃金上がった」でもいいですし、もしかしたら、在職者でそのまま在職していても賃金に影響を及ぼすかもしれないから、そういうことを想定して賃金変化などについての主観指標を考えればできるのではないでしょうか。それよりも、3年後、5年後どうなりましたかと言われると大変。どうぞ。
○櫻庭構成員 成果指標については、本当に難しい問題だと我々も思っています。今、例示いただいているような正規雇用や賃金の上昇は、恐らく、皆さんがおっしゃっているとおりそれほどすぐに出るものではありませんし、それぞれが勤務する会社の状況にもよるかと思います。
それこそ「賃金が上がりました」「正社員になりました」が一番いいと思いますが、それを成果指標で取られると、正直、成果としては出ないだろうというふうに思います。これをモデル的にやって、当然、検証して翌年度の事業にすぐに反映させることを考えると、やはり、この事業としては短期的にある程度検証できるものを成果指標として見据えたほうが、翌年度以降の事業につながるのでいいかというふうに思っております。
なので、本当に難しいと思いますが、我々の場合では、訓練をちゃんと最後まで完了しました。習熟度テストで一定程度のレベルを設けてそれがちゃんとできましたというのが、まず、そこが成果だと思っています。その上で、先ほど大嶋委員がおっしゃったように、訓練をやってどういう人を対象にするかによるのですが、例えば、それによって今の仕事の幅が広がった、社内で新しい仕事を任されるようになったなど、多分、それはプラスアルファの要素でよりいい指標かと思っています。
先ほど、宮地委員がおっしゃったような満足度が高まった、仕事のモチベーションが上がった場合はプラスアルファでいいと思うのですが、まず、賃金や正社員化など理想的な目標は当然あるにせよ、そこをこの事業の成果指標にしてしまうと、今後の展開としては難しくなるのかと思います。プラスアルファのあったらいいという部分と、ここは到達してほしいという部分の現実的なと言いますか、一旦、そういう形で整理したほうが今後につながるかと思っております。
○今野座長 評価指標についての議論はその程度ではないでしょうか。そこから先の具体的なことはどこかにプロがいるからそこで作ってもらえばよくて、ですから、おっしゃられるように、就職したかどうかはなかなか使えないし、賃金が上がったかどうかも使えないけれども入れておけばいいのですよね。もしかしたら、そういうものに反応するかもしれない。でも、それ以外に今日出てきたような項目を入れればいいのではないでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○武石構成員 ほかの話でもいいですか。
○今野座長 はい。
○武石構成員 (2)の受講継続や受講効果の向上に関連するのですが、私は櫻庭さんのデータがすごく興味深くて、メンターやキャリアコンサルタントなど、かなり一生懸命、1人40万かけてやっていると思います。何度も言って、すみません。結局、未把握の人たちが3割ぐらい出ていると思います。相当いろいろな支援、受講支援者の配置をやりながら未把握になっているのは、結局、途中で連絡が取れなくなっていったということですよね。なので、これはオンデマンドでしょうか。
○櫻庭構成員 はい。
○武石構成員 オンデマンドなので3割ぐらい未把握になるのはやむを得ないのか、この数字をどのようにお考えなのかということをお聞きしながら、要は、支援者の配置はしたほうがいいと思うのですが、だからといって、多分、最後まで把握しきれない人たちが残っていくところを、ある程度諦めていくのかという辺りが少し気になっているところです。櫻庭さんにその辺りの状況を教えていただきたいと思いました。
○櫻庭構成員 すみません。未把握については、資料としては全体の25、26ページがそれぞれ受講修了者の未把握、離脱者の未把握があります。大体、合計すると300弱います。うち220人ぐらいが非正規の方の未把握です。まず、修了者の大半は非正規なのですが、恐らく、こちらについては現職継続だというふうに思っています。
この未把握は、結局、訓練修了後に「転職しましたか」、それとも「残るのですか」という調査を投げかけたけれども反応がなかったという残念な結果です。恐らく、ここは受講した方からすると、現職の継続が決まっていて、しかも、自分として欲しい勉強ができたのであれば、ある意味この後、就職支援を受けるわけではないので、残念ながら我々の支援に接触する必要がなくなっているのです。なので、残念ではありますが、一定程度出るのはやむを得ないかというふうに思います。
一方、求職者に関しては、やはり、未把握はそれほどありません。ただ、離脱者の方の未把握は一定程度あるかと思っています。こちらについては正直分かりません。結局、我々が用意した求人で転職した人は、当然、報告があるのでいいのですが、我々の支援を受けながら御自身で転職活動をしてそのまま転職が決まったケースも、恐らく、未把握の49人の中には一定程度入っているのかというふうに見ております。結局、この未把握の方々は、先ほどの修了者も含めてなのですが、今後、我々のサービスを必要としなくなった方々が未把握なのだろうというふうに捉えているところです。
ですので、我々としてはこの未把握自体をゼロにしたいというのは、当然、事業の成果を測る上では求めていくべきであると思いつつも、受講者の立場からすると、余りこういうことを事業実施側が言うのも何なのですが、致し方ない部分はあるのかと受け止めています。
○武石構成員 ありがとうございます。なので、どこまで精緻に把握していくかというと、やはり、どこか諦めなくてはならない部分もあり、それとの見合いで受講支援者をどういうふうに配置するのがいいのか、その辺りについて悩んでいるところです。ありがとうございます。
○櫻庭構成員 私の感覚で言うと、キャリアカウンセリングやメンターはいたほうがいいと思います。ただ、それらがいたからといって必ず離脱や未把握が防げるわけではないと思っていますので、そこは一定程度、事業を設計する上では許容せざるを得ないかと思っております。そこまで強制力があるものではありません。
○今野座長 今日いただいた資料で、資料5が我々が議論しなければいけないことの一番中心的な資料です。特に2ページ目です。「特性を踏まえた職業訓練コースの工夫」について、幾つかこういう要件を考えたらどうだろうかということが書いてあります。(1)については、2ポツ目の所にありますが、「具体的には」という文章で「通所日の設定の思い切った柔軟化」、その次のポツでは、訓練期間を長くしたらどうか。
要するに、これは全体的にいつ訓練をして、どれだけの期間でやるのかということを柔軟化するかどうかという話ですよね。これは柔軟化したらどうかという提言なのですが、これは答えが柔軟化しかないので、これは今までの議論を踏まえても決まりかというふうに思います。
あと、(2)の受講向上に向けた工夫については、先ほどもオンデマンドでありましたが、キャリアコンサルタントやメンターなど周辺の要件をここでいろいろ議論いただきました。ですから、ここに書いてあることをほとんどすべきだということだと思います。
残された問題の受講費用は横に置かせていただいて、その次のページの「受講申込」や「周知方法」について、皆さんから意見をいただいておいたほうがいいかと思います。この案は、職業訓練実施機関が、つまり、民間企業がそれぞれいろいろやります、つまり、それぞれで申し込む、それぞれで受講の監視をするということになっています。これについて御意見をいただければと、この点について全く意見がなかったので。
今日の事例は、この点ではなかなか参考にならないのです。つまり、東京都は東京都で1か所でやってしまっているのでしょう。1か所でやって申込みも受けているし、宣伝もしているし受講勧奨もしているわけですよね。佐賀県もそうだよね。
○櫻庭構成員 はい。
○今野座長 だから、ここで想定している状況とは違うのです。もし今回ここでやろうとしていることが、どこかで一括してヘッドクォーターを作ってやるというのであれば東京都や佐賀県に似た状況になるのですが、今、ここで想定しているのはそれぞれでやるという話になっているので、この辺りについては、少し意見を聞いておいたほうがいいかと思いました。どう思いますか。
○大嶋構成員 個人的な考えとしては、SNSで情報を流す場合にいろいろな情報が流れてくると混乱してしまう、あと、非正規雇用の方のほうが何を学ぶべきかが分からない割合が高いこともありましたので、理想としてはヘッドクォーターのようなものがあり、そこが情報を流した上で、あなたの状況だと何を学ぶと効果が高いというようなことまでガイダンスした上で、分かれていくほうがいいのではないかと思います。
○今野座長 そこは想定しているのとは少し違いますね。ほかはいかがでしょうか。
○大嶋構成員 そうですね。
○今野座長 どうぞ。
○黒澤構成員 今、大嶋委員がおっしゃったことに同感です。それとともに大嶋委員の1つの例で、キャリアセミナーを開いた上でそこに来た人たちからリクルートする。少し前に戻ってしまうのですが、どうやって受講者を募るかというプロセスにおいて、これは離脱率にも関わると思うのですけれども、やる気のない人たちも対象にするのか、あるいはやる気のある人たちにそういうセミナーを介してという形で集中的に手当をするやり方もあっていいのかと。
それと同時に、先ほど幾つかの付加価値を申し上げましたが、プラスアルファとして募集の在り方、それから、先ほど大嶋さんがおっしゃった地域の労働市場のニーズに合った形で地域ベースでやることにより、受講者の間のインタラクションのようなもの、交流を深めると、結局、離脱率や先ほどの追跡調査ももっとやりやすくなっていくわけですよね。
だから、そういう形に持っていくのがいいのか、そうではなくて、東京都さんはメンターとキャリアということでやっていらっしゃいますけれども、それ以外の部分はそれほど手当てしていないですよね。その辺りは、いろいろなタイプがあると思いますが、それをどういうふうに考えるのか。結局、誰に対してやるのかというところにもとても関わってくると思うので、その辺りはいかがでしょうか。
○今野座長 大嶋さんが言われたヘッドクォーターは、今、黒澤さんの話と先ほどの大嶋さんの話を想定すると、県ぐらいでのヘッドクォーターでしょうか。つまり、地域の労働市場を考えてくださいとおっしゃっていたので、全国に1本ではなくて、県ぐらいずつに1個ずつ作ってくださいというイメージですか。
○大嶋構成員 はい。
○今野座長 この議論をもう少ししたほうが、事務局が最終案を作るにはいいかと思いますけれども、もう時間オーバーです。どうぞ。
○櫻庭構成員 参考までになのですが、我々も東京都の中で1つの事業を2つの事業者に分けて実施している事業があります。当然、1企業当たり可能な規模などがあるのでやっています。そうした場合、同じエリアで同じ事業を2者が受託して同時に動くと、やはり、広報の費用対効果が悪かったり、あちらへ行ったりこちらへ行ったり、受講生からすると非常に分かりにくいことがあります。
今回、複数のパターンを検証する狙いもありますし、エリアをどうするかということもあるのですが、同じエリアで複数の事業者を走らせるのはやめたほうがいいかと思います。あくまで1つのエリアは1つの会社で、その中で、条件を変えたコースを選択して比較検証するほうが事業の効果としては高くなるかと思っております。今後、どういうパターンにするか分かりませんが、参考にしていただければと思います。
○今野座長 それでは、時間をオーバーしているのでこの辺りで終わりにします。今日もいろいろな意見をいただきましたので事務局に整理していただいて、今度は成案に近い形に徐々に進んでいかなくてはいけないので、次回の委員会ではそういう資料の整理をしていただければと思います。それでは、この辺りで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。